恋愛情報『【小説】時間の奴隷/恋愛部長』

2019年6月18日 22:00

【小説】時間の奴隷/恋愛部長

朝目覚めると、夜中に送られた「つかれた」というスタンプだけがスマホの画面に虚しく浮かんでいた。

最初こそ、「大丈夫?」と夜食の弁当をつくって自宅を訪れてみたりもした。だが、ただひたすらにパソコンに向かい、目の色を変えている一真の横にいても、自分が透明人間になったようで虚しくて、会いに行くのをやめた。

会社の近くを通りかかる時も、もし少しでも顔が見れたら、と思ってメールしてみたりしたこともあったけれど、「ごめん・・・・・・」という言葉の先を飲み込むような返事が返ってくるだけなので、連絡するのはやめた。

せめて文字だけでもやり取りしたい。1日に一度でいいから、と思って、毎日メッセージアプリに朝晩のメッセージを書き残しているけれど、それもいつしか返事が返って来なくなった。「ああ、もう私のことはどうでもいいんだな・・・・・・」そう思うと不意に、もう全部終わらせたい、という衝動に駆られる。でも、今の一真は、自分の知っている一真ではない。
全部忙しさのせいなんだ。時間がないだけなんだ。と思うと、そんな一真を切り捨てるのはいけない、とも思う。

一真の仕事を理解したい。頑張っている一真を応援しなけりゃいけない。

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