そんな彼女を、かまって何か得があるんだろうか。
今はもっと自分にプラスになる人にそばにいてほしいのかもしれない。本当に好きな人ができたら、その人のためには、頑張るのかもしれない。
全部、私のせいなんじゃないか。
そう思うと苦しくて苦しくてたまらなくなった。一真に会って話さなければ、と舞は思った。
もうこんな宙ぶらりんの関係のまま、待っているのはもう無理だ、と思った。
■あふれ出してしまった想いの行方
「夜中でもいいから、一度会いたい。
話がある」
そんな切羽詰まった舞からのメッセージの文面に、何か察知したのか、一真が1ヶ月以上ぶり舞の家に姿を現したのは、夜中の2時のことだった。
眠そうな目をこすって、一真は舞の部屋のラグの上にどっと倒れ込むようにして座った。
「あ~もうしんどい。マジで死にそう。今日もエグかったわー」一真は、一気にそう言うと、舞が差しだしたペットボトルの水をごくごくと飲んだ。
久しぶりの一真の姿に気圧されて、舞はビクビクと、お伺いを立てるようになってしまう。
「ホントに水でいいの?ビールとか、買ってくる?あ、お腹空いてない?何かつくろうか?」
一真はごろりと横になりながら、目を閉じた。