恋愛情報『【小説】向こう側の彼女/恋愛部長』

2019年8月29日 22:00

【小説】向こう側の彼女/恋愛部長

夏花は、指をからめながら、少しじらすように言う。

「え・・・・・・、約束なんてしたっけ?」

そして、男の顔が一瞬こわばる前に、すかさずにっこり微笑んだ。

「な~んてね。・・・・・・うれしい」

祐二は、目を潤ませて、夏花のことを見つめた。ぐっと腰を抱き寄せられ、軽くキスされた。

「夏花ちゃん、好きだよ」「私も」

ぎゅっと祐二の背中を抱いて熱くささやきながら、夏花は、心の中に浮かんだ影に向かって、そっと嘲笑を送った。

(彼女じゃなくなってもいいから会いたい、なんて。未練がましくてみっともない女!)

■3か月目の憂鬱

ハイヒールを履いた女性


付き合うまでが、一番燃える。
つまり、気に入った男に近づき、誘惑し、落とすまで。ドキドキするし、好きな気持ちも最高潮に盛り上がる。

でも、付き合ってしまえば、なんてことはない。どんな男も同じようなもので、最初の1か月を過ぎたころには、もう退屈が襲ってくる。

大体、夏花が相手にする男は、仕事が忙しいエリート男性ばかりだから、恋愛にそれほど時間を割けるわけでもなく。たまにしかないデートでは、いつも金がかかっていて趣向も凝らされているけれど、デート自体が頻繁にあるわけではない。

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