恋愛情報『【夏目かをる 恋愛小説】眠れない夜 第二章~今日子の場合(2)』

2018年3月18日 19:00

【夏目かをる 恋愛小説】眠れない夜 第二章~今日子の場合(2)

「年下の男って、健太のことを言っているの」

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去年の暮れに健太を『カフェソサエティ』に連れてくると、ノブミツは健太の頭のてっぺんからつま先までじろじろ見た。“男による男の品定め”からまるで健太を護るようにすぐさまテーブル席に共に移動した。「年下って、刺激があっていいけど、疲れることもあるのよね。あたしなんかいつもよ」「年上でも疲れることもあるわ」今日子はバッグから転送された江口貴彦からの手紙を取り出してことのいきさつを打ち明けると、ノブミツは意外にも親身になってくれた。「5年前の手紙……なんだかミステリアスね。もし気になるんだったら。ここで開封して。もし怖い内容なら、一緒に怖がってあげる」「ありがとう」ほっとしたものの、差出人の江口貴彦の名前が生々しくて、手紙を開封しようとするがイマイチ力が入らない。「今夜は無理に開けなくてもいいわよ、今日子」ノブミツが今日子の手をそっと握った。「過去ってある日突然どっと押し寄せてくるものなの。そんなときは、通り過ぎるまで待っていた方がいいわよ」「マスター…私…」ふいに涙がどっと溢れてきた。この5年間泣いたことのないのに、涙はどうして予告せずに訪れるのだろう。

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