【Politically Incorrect Dictionary】は、Be inspired!編集部が社会的にNGな言葉/コンセプトを集めて作った辞典だ。「社会的にNG」な言動/コンセプトとは、簡単に言えば、政治的、経済的、文化的背景から「それどうなの?」と思ってしまうもの。欧米では政治の場から日常まで、頻繁に議論されるテーマである。日本でもより良い社会づくりのためにそういった議論の場を生み出すべく、この辞典は生まれた。今回は、【Politically Incorrect Dictionary】の番外編として「肌色」「主人」「家内」といった日本語特有の表現を取り上げる。これらの言葉がこの時代になぜ「社会的にNG」なのか?そして「伝統ある言葉を守ること」と「言葉の使い方を変えていくこと」のどちらを優先すべきなのかを考えたい。
2017年04月14日(Photo by Flickr)日本人の両親を持つあなたはイギリス生まれ、イギリス育ちだとしよう。 両親は日本から60年代にイギリスに移民したが、イギリスで生まれたあなたの第一言語は英語、受けた教育も英語、友達もみんなイギリス人。 それなのに、日本人の見た目だからという理由で、新しい人に会うたびに「どこから来たの?」と生涯ずっと言われたらどう思うだろうか。 毎回説明するのは面倒だろうし、悲しみや、怒りも感じるかもしれない。 いつまでたっても部外者扱いだからだ。 自国の大多数を占める人種、もしくは力のある人種ではないからといって「どこから来たの?」と他人に聞くのは“Politically incorrect (ポリティカリー・インコレクト)”である。(Photo by Freaks and Geeks Stills)みなさんは、この“Politically Incorrect”というフレーズ、聞いたことがあるだろうか? 西洋ではよく議論のテーマとなるこのコンセプト。 誰かの言動が、“Politically Incorrect”というと、その人が政治的、宗教的、歴史的、社会的、そして経済的な背景を考慮しないで、他人に不適切な発言をしてしまったり、行動をしてしまったりすることを意味する。 実際の例を挙げてみよう。 ここ数年、北米の音楽フェスティバルでは先住民の「羽飾り」が若者の間でファッションとして人気である。 見た目もかわいいし、フェスティバル感が増して、人気な理由も理解できる。(Photo by National Post)しかし、北米には先住民に対する500年の悲惨な虐殺の歴史がある。 勝手にやってきたヨーロッパ人は原住民が元々居た地を侵略し、原住民を虐殺しつづけた。 その数は「何千万人」にも達したという。 完璧に居着いた後も、原住民をまとめて一つの地区に追いやったり、選挙権を与えなかったり、扱いは良くならなかった。 権利も与えられず、苦しい生活に追いやられ、酷い扱いを受け続けてきた先住民。 その後遺症はアルコール中毒や、高い失業率など、今日まで続く。 「羽飾り」は原住民にとって、戦闘における勲章であり、勇敢な戦士である事を意味している。 それを何も考えずファッションとして、着用している若者たち。 しかも、彼らは原住民を苦しみ続けた北米人。 原住民の人が不快に思ったのも簡単に理解できるだろう。(Photo by AnOther)記事の冒頭に出した例を振り返ってみると、イギリスで日本人の見た目の人に「どこから来たの?」と聞くのも、北米の音楽フェスティバルで、「羽飾り」を着けるのも、当人たちに悪気があるとは思えない。 しかし、マイノリティが迫害されてきた歴史を見れば、「無知」や「関心のなさ」は暴力の一貫であり、マイノリティの人々に苦痛を与えてきたという事実は否めない。 また、難しいのは、何が“Politically Incorrect”なのかと考える時、正解は一つではないということだ。 関わっている人々の背景や、力関係によって答えはいくつも存在する。 時代の流れで社会の価値観も常に変わっていく。 もちろん個人レベルでも、何を不愉快とするかが変わってくる。 私たちは常に何が“Politically Incorrect”なのか考え続ける必要があるし、お互いコミュニケーションをとることで答えを出すことがとても大事だ。だから今回、Be inspired!でPOLITICALLY INCORRECT DICTIONARY(これからは言っちゃいけない?コトバ辞典)の作成が決定した! 毎週1つ、“今”私たちが日常で使いがちな、“Politically Incorrect”な言葉やコンセプトを挙げていく。 「賛成」でも、「反対」でも、「?」でも、これをきっかけにみなさんが考えたり、ディスカッションしてくれたら、それだけで平和な世界への第一歩なのだ。 来週からお楽しみに! via. National Post, るいネット この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!日本人が気づかないうちにしている「盗み」のこと パリス・ヒルトンが着ていたネイティヴ・アメリカンのハロウィンコスチューム、セレーナ・ゴメスがつけていたインドのビンディ、ケイティ・ペリーの着物風ステージ衣装。どれも... ーBe inspired!
2016年09月09日