DJ / 音楽プロデューサーのtofubeatsが、メジャーデビュー10周年記念ライブを11月26日(日) に恵比寿The Garden Hallで開催することが決定した。tofubeatsの誕生日に行われる本公演には、新井ひとみ、KEIJU、中村佳穂、okadada、STUTS、VaVaといったゲストが出演。またシークレットゲストも登場する予定だ。また、tofubeatsの設立した事務所HIHATTの設立8周年記念イベントも11月5日(日) に開催される。<ライブ情報>tofubeatsメジャーデビュー10周年記念ライブ11月26日(日) 恵比寿The Garden Hall開場16:00 / 開演17:00【LIVE】tofubeats【GUEST】新井ひとみKEIJU中村佳穂okadadaSTUTSVaVaand more……【OPENING DJ】okadadaHIHATT LLC 8th Anniversary Party @SUPERNOVA KAWASAKI11月5日(日) SUPERNOVA KAWASAKIOPEN/START15:00 / CLOSE19:00『HIHATT LLC 8th Anniversary Party @SUPERNOVA KAWASAKI』告知画像【DJ】tofubeats(10th Anniversary Of Major Debut Dj Set)<mt.west(Pasocom Music Club)CE$(HIHATT LLC)Michelle Sorry【LIVE】uku kasaitofubeats オフィシャルサイト:
2023年09月28日tofubeatsの3年半ぶりとなるニューアルバム『REFLECTION』。そのタイトル通り「内省」や「熟考」を感じさせるシリアスで陰りのある言葉と音にあふれていながら、地に足をつけて背筋を伸ばしているような清々しさを湛えた一作だ。グリッドから離れたスタッター的エディットの多用や、メトリック・モジュレーションまで飛び出す没入を誘う曲間の繋ぎ、あるいは入れ子的セルフサンプリング等々、プロダクション面での新しいチャレンジと過去への眼差しが混在する独特な手触りが、「内省」をこれほどフレッシュに響かせているように思う。そんな『REFLECTION』のオンラインリリースパーティが5月26日に配信された。同作に参加したゲストが全員出演、かつ無料!という熱烈大サービスぶり。「ライブでやることを想定していない」と自らインタビューで語っていた本作をいかにライブで見せるのかもふくめて、期待が高まる配信ライブとなった。幕を開ける一曲は、アルバムではラストを飾る「Mirai」……のビートに乗せた、「RUN」。意表をついたマッシュアップだ。冒頭から、ライブらしいサプライズが飛び出す。リミックスで参加したVaVaとKREVAのヴァースも交え、景気のいいスタートダッシュとなった。続いては「PEAK TIME」。パフォーマンスするtofubeatsの周囲に配置されたモニターにはMVが流れ、モニターと並んでセットされた鏡がせわしなく動くtofubeatsの姿を映し出す。シニカルなようで最後に逆転ホームランを打つようなリリックに改めて心打たれつつ、そのままアルバムの曲順どおり、「Let Me Be」へ。かねてから傾倒していたバイレファンキのテイストを盛り込んだトリッキーなグルーヴの楽曲だ。浮遊感あふれるビートから、流れるように「STAKEHOLDER」へなだれ込む。こちらもバイレファンキでおなじみの口ドラムも引用したライヴエディットだ。まだまだノンストップ。BPMがぐいっと下がって突入したのは「Emotional Bias」。ゆるめのテンポのインストチューンだが、力強く打ち付けるビートとシンセブラスの響きが高揚感をじりじりと演出する。そのままテンションを維持しながらマイクを持ったtofubeatsが歌いだしたのは、2021年のシングル「SMILE」。新型コロナ禍にあって音楽と自分に向き合い続けるリリックが印象的な一曲で、リリース当時は「アルバムに入ったら浮くんじゃないか?」と思うほどだったが、蓋を開けてみればむしろアルバムの空気感を予告する一曲だった。ここでパフォーマンスは一段落してMCタイム。と思いきや、立ち止まるつもりはないとばかりにMCを済ませ、ゲストタイムに突入する。まずはNeibissのふたりが登場し、「Don’t Like You feat. Neibiss」がスタート。ルーズで飄々としたビートに2MCが絡む、『REFLECTION』のなかでもっともヒップホップ指数が高い一曲だ。ビートの印象とベストマッチなつかみどころのない佇まいと、ゆるそうでいて濃厚なラップは、『REFLECTION』(そしてこのリリパ)にフレッシュな風を吹き込んでいた。続いて、Neibissに引き続いての神戸勢、UG Noodleが登場。「恋とミサイル feat. UG Noodle」。tofubeatsにしては異色のボサノバ曲だ。ハンドマイクでスウィートなヴォーカルを披露するUG Noodleには奇妙な色気がある。その姿に惹きつけられていると、歌いきった後に「Love and Peace, y’all. 音楽で小さな平和をこつこつと神戸でつくっていこうと思っておる所存でございます。よろしければ皆さんもご参加ください」とUG Noodle。なんてかっこいいんだ……。UG Noodleのパフォーマンスを受け、アルバムと同様の最高な前口上で登場したのは小鉄昇一郎。「VIBRATION feat. Kotetsu Shoichiro」はアルバムのなかでもハイライトの一曲だと思うが、生のパフォーマンスでも息の合ったかけあいを見せつけ、抜群の存在感を放っていた。生でぶちかましたECDからの引用は今夜のベストモーメントだった。ここからは、インストのダンストラックが続く。どこかキュートな「not for you」を経て、2021年のシングル「CITY2CITY」へ。NEXCOのCMソングらしく疾走感あふれる4つ打ちに、高揚感を煽るようにゆっくりと上昇するメロディライン。逆に高速道路でこれをかけて走ると危ないのではないか……と余計な心配をしてしまう。そんなハウシーなグルーヴを経て、「TBEP」にも収録されたアシッドなブレイクビーツ「SOMEBODY TORE MY P」が鳴り響く。「SOMEBODY TORE MY P」はいわばtofubeatsの真骨頂というべき曲だ。歌モノのポップソングやヒップホップの仕事も多いtofubeatsが、自身のアルバムやEPでは執拗にインストのダンストラックにこだわりつづける、その真価が発揮されている。シンプルなリフと暴れるようなエグいアシッドシンセに呼応するかのように、huezの手掛けるライティングも激しさを増していく。HIHATTからのリリースEXELLLA「I FEEL」(THREE THE HARDWAREのテーマソングとしてもおなじみ)とのマッシュアップをはさみつつ、「Okay!」へ。トランシーな「SOMEBODY~」とは対照的に、しっとりと体を揺らしたくなるようなハウストラックだ。すでに『REFLECTION』を聴いている人なら、「Okay!」が始まった時点で次の曲への期待もじわじわ高まったはず。ここまで、おおよそ収録順に楽曲は披露されている。とすると、このあとに控えるのは表題曲のはずだからだ。メトリック・モジュレーションを使ったBPMチェンジを経て、いよいよその時がやってくる。スクリューされた中村佳穂のヴォーカルが鮮烈に響くなか、BPMがじわじわと上がって中村佳穂が登場。先行曲かつ表題曲として話題を呼んだ一曲、「REFLECTION feat. 中村佳穂」のスタートだ。歌い出す前からオーラを放ち、tofubeatsを食ってしまうような歌唱。狭いステージが一気にスケール大きく見えてくるような存在感。ヴォーカルカットアップを再現するようなエクストリームな歌唱もふくめ、スキルとオーラを存分に見せつけていた。アウトロで聴き馴染みのあるリフが流れ出すと、そのままラストはまさかの「水星」。「みんな、YouTubeの前で歌ってや!」とサービス精神に殉じるtofubeatsの姿には謎の迫力があった。なるほどこれで大団円か……と画面を眺めていると、気づけばステージ上にはまさかの人物が。「水星」という選曲自体がこのオチへのフリだったのだろうか。サービス精神のようにも、ちょっとした意地悪のようにも思える絶妙なユーモアに、きつねにつままれたような気持ちだけが取り残された。あれ、なんだったんだ。パフォーマンスを通じてtofubeatsと『REFLECTION』への理解が深まったような、むしろ謎が深まっただけのような、不可解な後味を味わいながら改めて今回のリリパを反芻してみる。素晴らしい60分間だったことだけは間違いない。とりあえず、『REFLECTION』をかけながら、重刷が決まったという『トーフビーツの難聴日記』を読み返してみることにしよう……。文=imdkm<配信情報>『tofubeats “REFLECTION” online release party 2022.05.26』『tofubeats “REFLECTION” online release party 2022.05.26』配信サムネイル出演者:tofubeats / Neibiss / UG Noodle / Kotetsu Shoichiro / 中村佳穂VJ:杉山峻輔Visual & Lighting:huez『tofubeats “REFLECTION” online release party 2022.05.26』<リリース情報>tofubeats 5thアルバム『REFLECTION』Now On Saletofubeats『REFLECTION』ジャケット●初回限定盤:4,180円(税込)※tofubeats歴代アートワークを12枚のポストカードにまとめたスペシャルパッケージ●通常盤:3,080円(税込)【収録曲】01. Mirror02. PEAK TIME03. Let Me Be04. Emotional Bias05. SMILE06. don’t like u feat. Neibiss07. 恋とミサイル feat. UG Noodle08. Afterimage09. Solitaire10. VIBRATION feat. Kotetsu Shoichiro11. Not for you12. CITY2CITY13. SOMEBODY TORE MY P14. Okay!15. REFLECTION feat. 中村佳穂16. Miraitofubeats「SMILE」MVtofubeats「CITY2CITY」MVtofubeats「REFLECTION feat. 中村佳穂」MVtofubeats「PEAK TIME」MVtofubeats「don’t like u feat. Neibiss」MV【特典情報】・汎用特典:オリジナルステッカー・Amazon.co.jp:メガジャケ・楽天ブックス:缶バッジ・セブンネット:ミニスマホスタンドキーホルダー購入リンク:<書籍情報>『トーフビーツの難聴日記』発売中価格:1,870円(税込)詳細はこちら:関連リンクHP::::
2022年05月27日音楽プロデューサー/DJのtofubeatsさん、4年ぶりのフルアルバム『REFLECTION』のテーマは“鏡”、“反射”。エレクトロ、ハウス、テクノといった多彩なダンスミュージックをベースに、コロナ禍での自分自身との対話が綴られている。ユースカルチャーは若者に自由に消費してもらいたい。「テーマはコロナになる前から決めてたんですけど、期せずして自分自身に向き合うようなテーマがばっちりの時代になってしまいました。反射っていうと、投げたものに何が返ってくるかわからないのも面白さだと思うんで、『恋とミサイル feat. UG Noodle』では神戸のシンガーソングライターのUG Noodleに歌だけじゃなく作詞もお願いしたんです。自分で歌詞を書くのってすごく大事だと思ってるんで基本、人にお願いしないんですけど。いつもと違う形で人の力を借りてみたいって思ったんですよね」ドラムンベース調のトラックと中村佳穂さんの歌が放つエモーションが絶妙に融合するタイトル曲の「REFLECTION feat. 中村佳穂」は、コロナ禍における緊急事態宣言中にアイデアがまとまったそう。「移動が制限される中、東京駅から日比谷に向かって音楽を聴きながら歩いてて、『こういうことができるんなら幸せだから大丈夫かも』って思ったんです。移動の自由が妨げられるっていうのは本来人間にとってかなり重いことだと思うんですよね。でも、こうやって音楽を聴きながら散歩するっていう行為はできる。その幸せを記録しておこうと思って作った曲ですね」今作は「tofubeats丸出しアルバム」だと分析する。「アルバムと同日に『トーフビーツの難聴日記』っていう初の書籍を出すんですが、そこにもめっちゃ本音書いてたりして(笑)、書籍含めて結構僕そのものって感じだと思います。でも、好き勝手やろうと思いながらも、人とコミュニケーションをとってちゃんとJ‐POPをやりたいっていう精神があるんだなとアルバムを聴くと思います」シティポップがブームになる10年近く前から「プラスティック・ラブ」のカバーを発表していたことで知られるが、音楽シーンにおけるトレンドと自身の表現とのバランスを、どう考えているのだろうか?「4枚ぐらいアルバムを出していて、『水星』や『LONELY NIGHTS』がたくさんの人に聴いてもらえたので、もうtofubeatsのことを説明する必要はないっていう楽さは感じています。今回も、自分の中でのブームはあるんですけど、世間一般のブームはそこまで意識しないで作ってみようと思いました。コロナ禍であまり遊びに行けなくなると、恥ずかしい話、昔好きだったものを体が欲したりするので、そういう雰囲気があるアルバムでもあると思います。TikTokとかで昔出した『水星』がシティポップとして流行ってますけど、自分としては『水星』はヒップホップR&Bであってシティポップではないんです。でもシティポップとして売れてるんだったらラッキーだなと(笑)。ユースカルチャーは若者のものなので、若い子に自由に面白く消費してもらいたい。そうやって上の世代の人がほったらかしてくれたから、今の僕があるんですよね」5thアルバム『REFLECTION』。「REFLECTION feat. 中村佳穂」含む全16曲収録。初回限定盤(¥4,180)はこれまでのアートワークを12枚のポストカードにまとめたスペシャルパッケージ。通常盤¥3,080(ワーナーミュージックジャパン)トーフビーツ1990年生まれ、兵庫県出身。「水星 feat. オノマトペ大臣」がiTunes Storeシングル総合チャートで1位を獲得しメジャーデビュー。最近は、テレビドラマや映画の主題歌・劇伴等も手掛ける。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小松香里(by anan編集部)
2022年05月24日tofubeatsが、ニューアルバム『REFLECTION』の無料オンラインリリースパーティー『tofubeats “REFLECTION” online release party 2022.05.26』を5月26日に行うことが決定した。今回の生配信は、アルバムに客演で参加したNeibiss、UG Noodle、Kotetsu Shoichiro、中村佳穂の全アーティストが集結した豪華なイベント。なお本日5月18日にリリースされた『REFLECTION』は、各ストリーミングサイトにて軒並みチャートが上昇中で、早くも話題を呼んでいる。■Neibiss コメント憧れのトーフさんと同じステージで歌えるのを誇りに思います!2人とも気合十分で挑ませていただきますので、どうか画面越しで踊ってください!■UG Noodle コメント僭越ながら一曲、まごころを込めて歌わせていただきます。若輩者ではございますが、皆みな様方におかれましては、ひとつお手柔らかにご清聴くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。ロックンロール。■Kotetsu Shoichiro コメントTB 5.26!!!! アルバム『REFLECTION』を彩りし音(おと)こたち、音(おん)なたち、音(おと)もだち若干名が、2022年5月26日、浪速の町角から回線ごしにアナタの液晶へ、その頑固者ぶりを爆発させる!ワタクシ小鉄も四国からマイク握りながら駆けつけるよってに、見たってや!■中村佳穂 コメントお祝いのための歌なら任せてください!楽しみです〜〜!■tofubeats コメント有観客でのツアーは一旦未定となっておりますがここでトーフビーツチーム謎の心意気で無料配信が決定しました!全員集合でREFLECTIONをお届けさせていただきます。お楽しみに。<イベント情報>『tofubeats “REFLECTION” online release party 2022.05.26』5月26日(木) OPEN 20:30 / START 21:00『tofubeats “REFLECTION” online release party 2022.05.26』サムネイル画像出演者:tofubeats / Neibiss / UG Noodle / Kotetsu Shoichiro / 中村佳穂VJ:杉山峻輔Visual & Lighting:huez配信URL:<リリース情報>tofubeats 5thアルバム『REFLECTION』Now On Saletofubeats『REFLECTION』ジャケット●初回限定盤:4,180円(税込)※tofubeats歴代アートワークを12枚のポストカードにまとめたスペシャルパッケージ●通常盤:3,080円(税込)【収録曲】01. Mirror02. PEAK TIME03. Let Me Be04. Emotional Bias05. SMILE06. don’t like u feat. Neibiss07. 恋とミサイル feat. UG Noodle08. Afterimage09. Solitaire10. VIBRATION feat. Kotetsu Shoichiro11. Not for you12. CITY2CITY13. SOMEBODY TORE MY P14. Okay!15. REFLECTION feat. 中村佳穂16. Miraitofubeats「SMILE」MVtofubeats「CITY2CITY」MVtofubeats「REFLECTION feat. 中村佳穂」MVtofubeats「PEAK TIME」MVtofubeats「don’t like u feat. Neibiss」MV【特典情報】・汎用特典:オリジナルステッカー・Amazon.co.jp:メガジャケ・楽天ブックス:缶バッジ・セブンネット:ミニスマホスタンドキーホルダー購入リンク:<書籍情報>『トーフビーツの難聴日記』発売中価格:1,870円(税込)詳細はこちら:関連リンクHP::::
2022年05月18日アルバム単位で言えば実に4年ぶりとなるtofubeatsの新作『REFLECTION』が素晴らしい。全16曲、1曲ごとの個性とメッセージを持ちながらも全体の連続性が大きなひとつの物語となって迫ってくる。制作期間にコロナの日々も内包したこの作品は、まさに彼が日々考え、思い巡らせていたことが音楽として描かれている。そこには、同時期に彼が日記を書き続けたということも大きく関係しているのだと言う。アルバムと同日、5月18日(水) に発売となる『トーフビーツの難聴日記』の記述にも基づきながら、5枚目のアルバムの中身についてtofubeatsに話を聞いた。〈鏡 / 反射〉というテーマを掘り下げた最新作――今回のアルバム『REFLECTION』のテーマとなっている〈鏡 / 反射〉というのは、日記の記述によると2019年3月時点からあるものなんですよね。そうですね。――最初は無意識なものとして、それがだんだん定着していく過程がこの3年間だったと思うのですが、振り返れば〈鏡 / 反射〉というテーマはどのようなものとしてあり続けたのでしょうか?そもそも耳が聞こえなくなった時に、鏡が気になるなって思ったこと自体に意味があるなって感じたんですよね。じゃあなんで自分が鏡に意味があると感じたのかっていうこと自体をアルバムのテーマにしようと思ったんです。だからどっちかって言うと鏡をイメージして曲を作るぞっていうよりも、なんで自分が鏡をイメージしたのかを見つけようっていう感覚でした。それは終始一貫して変わらずあって、できてくる曲やアートワークを見て、そこから“なるほどな”って思う部分や謎のままの部分もあったりして、おじさんの自由研究みたいな感じでした(笑)。――ああ、なるほど。じゃあ鏡というもの自体が入り口となって様々なものに派生していったという感じだったんですか?と言うよりも、鏡というものにそれまでほとんど興味がなかったのに無意識でもそれが気になるっていう事実自体は動かないものとしてあり続けたので、その違和感に対する探究をゴールに考えようということにブレはなかったですね。――結果ここまでひとつのテーマが長くあり続けたというのはどうしてだと思いますか?それはもうラッキーな部分があって、だいたいこういう自分の試みって失敗するんですけど(笑)。今回に関してはコロナもあって、まあ怪我の功名じゃないですけど、いい意味でこのテーマを増幅させる出来事が多くて、自分なりに飽きずに続けられたというのはありましたね。――ジャケットのアートワークが2019年3月に福岡のビジネスホテルで自撮りしたものが元になっています。なんだか見れば見るほど不思議な絵に感じます。しかもなんでインカメで撮ってるのかが謎なんですよね。いかに動揺していない風を装って本当は動揺してたかっていう(笑)。――1曲目の「Mirror」はまさに反射というテーマに沿って、増幅、増殖といったイメージの曲ですが、《オーケーです》という機械音は駐車場のサンプリングなんですよね。都心のとある駐車場で録音しました。駐車場の機械がぶっ壊れてて、作業員の方たちが5、6人で原因を調べたりしてたんです。朝だったんで客は僕だけで、誰も気にしてないのでレコーダーを回しました。――それを採集できたことで一気に曲のイメージが見えた?そうですね。なんで見えたのか?と言われたらそれをなんと説明したらいいか難しいんですけど、ただ全然オーケーな状況じゃないのに《オーケーです》って延々繰り返してるのがとても面白くて、ひとりでツボに入ってたんですよ。――「Mirror」の歌詞の中に《自分の知らない自分》という言葉があるのですが、〈鏡 / 反射〉というテーマには自分自身を見つめることが含まれると思います。tofubeatsさんにはDJ、サウンドプロデューサー、そしてアーティストといった顔がありますが、特にこの2年間で言うとDJの比率はグッと下がりましたよね。そこが今回のアルバムに影響した部分というのはありますか?それはすごくあると思いますね。DJの現場をあまり意識せず制作したので、ライブっぽい曲が少ないなあって改めて感じてます。大勢の前でかけるということを全然想定していなかったというか、そういう変化は如実に全編にわたってありますね。――いい意味でそこが作用したという側面もありますよね?そうですね。このアルバムでやったようなことを思いっきりやれる時代が今から先にあるのかなって考えたら、老後とか、あとは本当に耳がダメになった後とかになるんだろうなって思ったりしたので。今の年齢でこういうテイストの作品を1枚作れたということは貴重だし、置いておく意味があるなと思ったんですよね。もちろん一生懸命クラブっぽいものを作ることも可能だったんですけど、逆にせっかくこの状況だしっていう感じも結構あったと思います。――もうひとつ大きな変化で言うと、生活の拠点を神戸から東京に移されましたよね。『REFLECTION』全編を通して感じるのは、平坦な都市の中を散歩しているようなイメージなんですけど、この拠点の変化は作品に影響を与えましたか?いやそれが、スタジオができたとかっていうツール的な変化は感じるんですけど、地理的な変化をあまり感じなかったっていうのが正直なところなんですよ。だからフィールドレコーディングとかで自分の中で強引に東京と結びつけようとしているというのは感じるなぁっていうのは出来上がったアルバムを自分で聴いて思うことですね。神戸にいる頃は、自分は神戸にいるんだっていう気持ちでどんどん作って、それが神戸のものとして世に出されて、という感じでぐるぐる回っていたんです。だけど東京というのは自分のルーツがそこにあるわけじゃないし、東京に来たメリットとして想定していた横のつながりだとか、DJがめっちゃできるとか、そういうのがコロナで一切なくなって。自分の思っていたメリットがほぼなくなった状態で東京にいるので、逆にそこがもしかしたら変化として現れているということなのかもしれないですね。フィールドレコーディングなんかで無理やりくっつけたら何か出てくるものがあるんじゃないかとか、そういう意識はもしかしたら作品に影響しているかもしれません。――全体的に漂うそこはかとない都市感というのはそこから出てきたものだと思いますか?ドライな感じはありますよね。やっぱり他人と関わっている量が極端に少ないというか、今回コラボしている人で言うと中村(佳穂)さんくらいしかお会いしていないですし、Neibissもアルバムができてからはちょっと会ったんですけど作っている間は一切会ってなくて。――Zoomなどでやり取りして共作されたんですか?基本はそうですね。でもNeibissに至ってはZoomすらやってないんじゃないですかね(笑)。今回は人と直接密にやり取りすることがあまりなかったので、そのあたりが全体の雰囲気に出ているのかもしれませんね。今ちょうどいいテンションとは?――曲と曲とのつながりが今回のアルバムでは重要な部分にもなっていると思いますが、ここにはどういう意図があるんですか?前回のミニアルバム『TBEP』(2020年)はフィジカルで出なかったんですよ。結構フィジカルで出すというのも難しくなってきたなって思ってたところに、今回のアルバムはCDで出せるということになって。そうなったらやっぱりCDっぽい仕掛けは入れたいし、サブスクで聴くにしてもアルバムっぽい仕掛けを入れたいなって思ったんです。それにはやっぱり単曲で聴いた時とアルバムで聴いた時に全然違って聴こえるっていうことが一番大事だと思ったので、例えば制作段階で1曲として作っていた2曲目と3曲目を別トラックとして区切ってみたりとか、アルバムとして聴く面白さを伝える為の仕掛けをしっかり入れ込みました。あとはアルバムの中の曲を別の曲でサンプリングし直す入れ子構造みたいなのも、これまでもやっていたんですけど今回は特に意識してやっていますね。――2曲目「PEAK TIME」はあらゆる感覚が引き延ばされていくような不思議な感じになる曲ですが、この曲ができたことによって今回のアルバムにおいて目指すべき方向性が見えたとおっしゃっていますよね。コロナ禍に入って、今の自分たちがやりたいテンションってどんな感じなのかな?ってマネージャーと毎日喋ってたりしていて、なんとなくわかってるんですけど曲としてできないんですね〜って言ってるところにこの曲ができたんです。「あ、これこれ。こういうテンション、これをリファレンスにやっていきましょう」ってなった曲ですね。――「PEAK TIME」もそうですし、5曲目の「SMILE」もご自身で歌唱する曲の歌詞に関しては、情報量が少なくて、繰り返されるフレーズというのが特徴としてあるのですが、そこは意識してやったトライですか?そうですね。長い時間を埋めるために言わないでもいいこととか言いたくもないこととかをただおしゃれな言葉で歌うのが年々ちょっと苦手になってきてて(笑)。だったら同じことを2回繰り返した方がいいし、そもそも歌わないでいいって思うんですよね。もともと僕はメジャーフィールドにおいては珍しくインストの曲を意識して出しているタイプのアーティストだと思うんです。せっかくそれができるんであれば歌とインストどっちかに振り切れた方を出す必要はないというか、間のバランス感覚があってもいいと思っているんですよね。昔からトライしていて、1stアルバムくらいから意識はあるんですけど、ここへきてようやく技術が追いついてきたというか(笑)。適切なバランスが見えてきたなっていうのをここ1、2年は感じますね。――今回の共演陣、中村佳穂さん、Neibiss、UG Noodleさん、小鉄昇一郎さんと、親密な関係性が垣間見られる方々ですよね。通称「闇の瀬戸内軍団」と呼んでいます(笑)。ま、別に闇ってこともないんですけど(笑)。――みんな西の人たちですね。完全なる瀬戸内界隈に今回はなっていますね。NeibissとUG Noodleさんが神戸、小鉄さんは香川、中村さんも瀬戸内近辺なんで。――比較的近いつながりの共演陣にしたというのは何か理由があるんですか?今回は大風呂敷を広げる感じではないなっていうのは最初からあって。これまでは客演をする人を決めてから曲を当て書きするっていうのが多かったんですけど、今回は曲ありきでちょっとエッセンスを足してほしいなっていうところにお願いしていったっていう感じなんです。6曲目「don’t like u feat.Neibiss」や7曲目「恋とミサイル feat.UG Noodle」、10曲目「VIBRATION feat. Kotets Shoichiro」、15曲目「REFLECTION feat. 中村佳穂」も全部出来上がっている曲にNeibissだったらラップを乗せてくれ、UGさんだったら歌詞と歌をお願いします、小鉄さんだったら1ヴァースだけお願いしますとか、そういう感じで、本当の意味での客演というか、補強していただいたっていう印象ですね。「REFLECTION feat. 中村佳穂」も歌もオケも完全に出来上がったものがあって、それを歌っていただいたっていう感じでした。――じゃあ楽曲を作ってからどうしようかなって考えた?そうですね。この人に歌わせるために曲を作ろう、ではない、本来みんながやっている客演に近い形のものを今回はやってみたって感じです。あとは隙間みたいなものがちょっとほしかったっていうのがあって。「don’t like u」も「恋とミサイル」も作詞を全部投げちゃってるんですよね。Neibissはラッパーなんで当たり前なんですけど、UG Noodleさんの曲も歌メロだけこっちで作って歌詞は全部書いてもらいました。レールは引きつつも、上がってきたものに対して全く一語も直してないんです。このアルバムには〈反射〉というテーマもあるし、思いがけないパートというか、自分的にも全く整理しない部分をあえて作ることができたのは作品の魅力のひとつになりましたね。――アルバムの中でも「恋とミサイル」が唯一生っぽい手触りのある曲ですね。UG Noodleさんまわりのバンドの方たちにトラックを生演奏で全部吹き替えていただきました。こちらとしては作曲家みたいな感じで関わった曲で、簡単な歌メロと演奏が入ったデモを送って、全部生演奏してもらったものをもらってこっちでミックスダウンしてっていう制作方法を取りました。これまでやったことのない作り方だったので面白かったですね。――小鉄さんと共演した「VIBRATION」、ここからアルバム全体のギアが一段階変わっていく感じがしますね。言うなれば昼から夜になるような。カラ元気感というか(笑)。1番と3番が既にできていて、2番を誰にするか、みたいなところで小鉄さんがいいかなと思ってお願いしました。この方は著述家であり、ミュージシャン/ラッパーでもあるんですけど、文章の方でもラップの方でももっと評価されてほしいなっていうのがあって、前々からお声がけしたかったっていうのはありますね。――日記によると、前半の流れは割合すぐに決まったんだけど、後半の流れがちょっと悩ましかったとありますね。5曲目くらいまでの流れはすぐに固定されたんですけど、そこから先の曲順だったり、どう持っていくかっていうパズルは結構難しかったですね。――曲順はいつもよりもこだわった感じはありましたか?これまでの作品は制作に2年かけたと言っても結局は最後の半年に集中してやるって感じでした。ただ今回は延期、延期ということが続いて、半年後に出るかもなって思いながら作業している時間が長かったんですよ。なのでラッキーなことに細部にわたって調整する時間が長かったんです。そんなこともあって曲順に関しても時間をかけて入れ替えたり試行錯誤できたって感じですね。――全体の流れが本当に素晴らしくて、僕の感じ方ですけど、散歩していてそのまま車に乗って夜の街を走っていくようなひとつながりの心地よさがあります。ありがとうございます。そういう感じは意識しましたね。――「CITY 2 CITY」のモダンな感じから、「SOMEBODY TORE MY P」でまたギアが変わる感じもたまらなくいいんですが、この「SOMEBODY TORE MY P」めちゃくちゃ好きです。僕も多分これが一番好きですね(笑)。――MVもかなりいいですし。うちの事務所の裏の壁で撮ったやつです。――そうなんですか!予算は全くなかったんですけどビデオだけ撮りたいなって思って、Fixの画でカメラを5分くらい放置しておいて、それをデジタルズームでアップしてっていうだけのものなんですけどね。――実に雄弁というか、とてつもない情報が隠されているんじゃないかってどんどん疑ってしまうようなところが最高です。日記にも書いているのですが、あの曲はある絵を見て作った曲で、元の絵がめちゃくちゃカッコ良くて。――国吉康雄の《誰かが私のポスターを破った》ですよね。あの絵も不思議な感覚になりますね。国吉康雄という画家が本当に面白くて、今回アルバムを作る中では元気をもらえた作品のひとつというか。ああ、頑張ってた人がいるんだな、みたいな(笑)。――どこでご覧になったんですか?東京国立近代美術館の常設展でした。そもそも美術批評家の椹木野衣さんが画家の山下菊二《あけぼの村物語》を紹介している文章に触発されてそれを観に行ったんですけど、その近くに国吉の絵があって、そのあたり一帯がすごくいい雰囲気を放っていたんですよね。そこでかなりの元気が出ました。――国吉康雄はアメリカにわたって創作活動を続けて、向こうでも認められるんですけど結局アメリカ国籍は取れずに外国人としてアメリカで病没するという、すごく今回のアルバムのテーマにも通底するものがありますよね。期せずして、みたいな感じでリンクしていますね。――めちゃくちゃ深読みしますけど、DJという職業の成り立ちというんですかね、人の曲をかけて自分を表現するというそこのねじれにどこか共通するものがあるのかなと思いました。そうですね。国吉の生き方を見ていると本場じゃないところで本場のものを愛するという難しさみたいなことの極北じゃないですか。日本人だけど日本人じゃないし、アメリカで絵画のキャリアをスタートさせたのにアメリカ人とは思われてないっていう。わかりやすくパラドックスというかジレンマみたいなものが人生全体を覆っている人ですよね。――2020年にリリースされたミニアルバム『TBEP』にも「SOMEBODY TORE MY P」は収録されていますが、言わばクラブでのプレイを意識して作ったこのミニアルバムというのは、今どのようなものとしてありますか?実はあの作品に関して言うと、不完全燃焼だったんですよ。本来1曲目にするはずだった曲ともう1曲がクリアランス(※サンプリングで使用する音源に関する原盤権の権利処理)の関係で入れられないってなって。しかもクラブで一度も披露できていないんですよ。でも後から見たら逆に象徴的というか、行くはずだった空白みたいなものが点線で見えるという感じがあって、そこが『REFLECTION』のようなアルバムを作るモチベーションになったかなっていう感じがしましたね。『REFLECTION』のその先――14曲目「Okay!」からの流れがまた素晴らしいのですが、「Okay!」でいつも泣いてます、私。そんな曲じゃないですよ(笑)。――1曲目「Mirror」との関連性も濃厚な曲ですが、アルバム制作の時系列で言うと最後の方にできた曲になるんですかね?最後にアイデアが出たのがこの曲ですね。もともと「REFLECTION feat. 中村佳穂」につなぐ用のR&Bみたいな曲があって、そこからオルガンのフレーズをはさんで「REFLECTION feat. 中村佳穂」に向かう想定でした。ただこの流れだと「REFLECTION feat. 中村佳穂」の前に全体のテンションが下がってしまう。それが自分的にちょっと承服しかねるなと思って四つ打ちのこの曲を作ったって感じですね。「Okay!」は最後にラフなアイデアで階段を歩く音を入れていたり、いい意味で雑なところが僕は気に入ってて。結果的にうまく「REFLECTION feat. 中村佳穂」に繋がってくれたと思います。あとひとつ小ネタみたいなところで言えば、1曲目「Mirror」に入っている《オーケーです》は駐車場で録った音なんですけど、14曲目の「Okay!」で使っている《オーケーです》は駐車場のものではないんですよ。シンセサイザーに喋らせてる音なんです。パッと聴き同じなんですけど、なんかそういう『REFLECTION』おもしろ小ネタみたいな感じで入れています。思いついたことをとりあえずやってみたっていう曲ですね。――なんだか泣けちゃうんですよねぇ(笑)。逆にその雑な感じがいいんじゃないですかね。今回はあんまりきっちりやらないっていうのを結構意識したんですよ。検聴盤ができて、工場に行く前のマスタリング音源なんですけど、ワーナーの人がチェックしてくれて「ノイズがちょっと多いです」って書いてくれてたんです。普段だったらノイズを綺麗にするんですけど、携帯で録った音をそのまま使ってみたり、いい意味で行き届きすぎないところを行き届かせるみたいなのがテーマだったので、特に『Okay!』はそのへんを意識しましたね。これまでだったらとことんやっちゃうけど、もうこれでいいんだ、みたいな。見ないようにするのも今の年齢になったからできるようになったことかもしれないですね。――そして15曲目が「REFLECTION feat. 中村佳穂」。中村佳穂さんに歌唱してもらうというのはすぐに思いついたんですか?この曲はスタッフ全員で客演は誰がいいかっていうのをバーっと書き出したりしたんですよ。やっぱりちゃんとストライクを狙いに行くべきだなって思った時に中村さんにお願いするのがいいだろうということで、最終的に依頼させていただきました。――言うまでもなくですが、素晴らしい歌唱ですね。アルバム全体の流れにあって、圧倒的に前に進んでいく感じもしますし。そうですよね。中村さんの歌唱ってちょっとフリーキーなところに注目が行きがちだと思うんですけど、やっぱりうますぎるからこそ、レールみたいなものを引いた曲を歌ったときに逆に魅力がすごく出るなと思ってて。歌詞まで決まっている客演だからこそ出せる良さってあるじゃないですか。そこは自分的にも中村さんのいいところを見せられたかもなと思っています。――最後に収録されているのが「Mirai」で、まさに大団円的な雰囲気のある曲ですね。毎回アルバム最後の曲をがんばるという。当たり前なんですけど(笑)。今回、このアルバムにつながる流れの中で結構大事な曲で「Keep on Lovin’ You」(2019年)っていう曲があって、もともと5枚目のアルバムのシーズンはこの曲から始まってたんですけど、ちょっとタイアップ度が高すぎるというのがあって、今回は入れないでおこうってなったんです。けど、「Keep on Lovin’ You」のジャケットも鏡にしてもらったし、もともと5枚目のアルバムに入る一発目の曲として書いたんですよ。なのでその曲の要素をサンプリングして入れ込んだりとか、そういうやり残したことを最後の曲に詰め込みました。あとは、その前に入っている「REFLECTION feat. 中村佳穂」の中村さんのコーラスをループしてたりだとか、おっしゃったように大団円というか、5枚目の区切りをここできちんと入れることができましたね。――「REFLECTION feat. 中村佳穂」の《押し寄せる未来》というフレーズがループとして用いられていますが、ここを使用した理由は?正直なところを言えば、〈Mirror〉と〈未来〉って似てるなって思って、「REFLECTION feat. 中村佳穂」の中で未来って言っているフレーズを使ったっていう思いつきに近い感じですね。ただ、この曲の最後に付け足しみたいなラップがあるんですけど、ここはずっと空けてて、アルバム制作の最後に画龍点睛みたいな感じで、この日って決めて録りました。――確かに、一筆書き的な力強さがありますよね。さっきから言っている、いい意味で適当にやるというか、やり込まないというか、そういう感じを意識した曲がアルバムの後半に行けば行くほどありますね。――その、いい意味でやり込まない雑な感じのままでオーケーとするというのは、これまであまりなかったんですか?単に雑、というのとは全然違うというのはアルバムを聴いていたらわかるんですけど。聴いてやり直して、また聴いてやり直してってできるのがDTMのメリットのひとつだと思うので、それが良さだと思ってやっていた部分はあったんです。ただ緩急のつけ方として「REFLECTION feat. 中村佳穂」のようにギッチギチに細かいところまで直している楽曲があるとすると、その前後の曲はそうではない曲の方が際立ってくるし、いい意味でスリリングな感じというか、ライブでいろんな人に聴いてもらうということを意識しないでいいというか、そういう危うさみたな感じを表現できたと思います。そういうことで言うと例えば1曲目の「Mirror」のボーカルは普通に歌っているもののように思われるかもしれないんですが、歌ったものを録った後にピッチを半音下げているので厳密に言えば本当の僕の声じゃないんですよ。そういうことってライブでやることを想定していたらできないじゃないですか。単なる雑さじゃなく、編集の仕方とかもハード機材を通して戻れなくするというか。そういう不可逆性の高い作業だったりとか、本来であれば自分が手を入れなかったところも手を入れる。逆に今まで入れていたところに入れないというか、そんな感じの変化をつけようっていうのが全体的にあったかもしれないですね。――その“不可逆性”というのは精神的なところと結びついているんでしょうか?どうなんですかね?でもやっぱり(制作期間が)長かった分前進している感じっていうのは結構ほしかったというのはありますね。日記をつけていたというのも大きくて。最初は意味なく書いていたんですけど、途中から「本になるかも」って前進して行く感じが出てきたんですよね。音楽だけ作っててもあんまりその感じって出ないんですけど、日記が合わさると流動性がすごく上がるというか。曲って何日かに1回直す程度なんですけど、日記って毎日つけるんで、そうすると進行の区切りがより細かくなるので、音楽の作り方もそれに寄ってきたっていうのもあったかもしれないですね。――最後に「Mirai」があることによってこのアルバムのさらにその先を感じられるような気がします。ああ、そこはかなり意識しましたね。やっぱり「REFLECTION feat. 中村佳穂」じゃ終われないなっていう感覚は正直ありました。だから、その先を感じてもらえるというのはすごくうれしいですね。Text:谷岡正浩Photo:森好弘<リリース情報>tofubeats 5thアルバム『REFLECTION』2022年5月18日(水) リリースtofubeats『REFLECTION』ジャケット●初回限定盤:4,180円(税込)※tofubeats歴代アートワークを12枚のポストカードにまとめたスペシャルパッケージ●通常盤:3,080円(税込)【収録曲】01. Mirror02. PEAK TIME03. Let Me Be04. Emotional Bias05. SMILE06. don’t like u feat. Neibiss07. 恋とミサイル feat. UG Noodle08. Afterimage09. Solitaire10. VIBRATION feat. Kotetsu Shoichiro11. Not for you12. CITY2CITY13. SOMEBODY TORE MY P14. Okay!15. REFLECTION feat. 中村佳穂16. Miraitofubeats「SMILE」MVtofubeats「CITY2CITY」MVtofubeats「REFLECTION feat. 中村佳穂」MVtofubeats「PEAK TIME」MVtofubeats「don’t like u feat. Neibiss」MVアルバム予約リンク:<書籍情報>『トーフビーツの難聴日記』2022年5月18日(水) 発売価格:1,870円(税込)詳細はこちら:<ライブ情報>『d KOBE MELLOW CRUISE』5月28日(土) 神戸メリケンパーク特設会場開場10:00 / 開演11:00『森、道、市場 2022』5月29日(日) 愛知蒲郡市ラグーナビーチ&遊園地ラグナシア開場10:00プロフィールtofubeats1990年生まれ神戸出身。中学時代から音楽活動を開始し、高校3年生の時に国内最大のテクノイベントWIREに史上最年少で出演する。その後、「水星feat.オノマトペ大臣」がiTunes Storeシングル総合チャートで1位を獲得。メジャーデビュー以降は、森高千里、の子(神聖かまってちゃん)、藤井隆ら人気アーティストと数々のコラボレーションや、ドラマ「電影少女-VIDEO GIRL AI 2018-」、カンヌ映画祭のコンペティション部門に出品された映画『寝ても覚めても』の主題歌・劇伴を担当するなど活動の幅を拡げ活躍している。2022年5月18日に5thアルバム『REFLECTION』と書籍「トーフビーツの難聴日記」を同時リリースする。関連リンクHP::::
2022年05月17日chelmico(チェルミコ)とtofubeats(トーフビーツ)のコラボレーションによる新曲「Meidaimae」が、2022年3月18日(金)に配信リリース。chelmico新曲でtofubeatsと初コラボ2021年はミニアルバム『COZY』や、メンバーである鈴木真海子の1stソロアルバム『ms』のリリースなど、ホットなニュースを発信し続けてきたラップユニットcheimico。そんな彼女たちの2022年第1弾デジタルシングルとなるのが、新曲「Meidaimae」だ。新曲「Meidaimae」は、5月18日(水)に最新アルバム『REFLECTION』を発売することでも話題のトラックメイカーtofubeatsと初めてコラボレーションしたもの。tofubeatsが手がけたトラックに、エモーショナルなラップをのせたラブソングとなっている。<chelmicoコメント>素直になれたらよかったのになって思うことってたくさんあるよねえ。キュートなラップからのトレンディなHook!これぞchelmico節(たぶん)!トーフビーツのビートも炸裂!はい!いい曲できたよ〜!聴いてみて!(Rachel)久しぶりのラブ曲だ!tofubeatsの素敵なトラックのおかげで新たなchelmicoを感じれるはず!キュンとするよ。どうぞ!(Mamiko)<tofubeatsコメント>chelmicoのお二人よりオファーをいただいて「Meidaimae」のトラックを製作させていただきました。今回は「いじらしい感じで!」とのオファーがあり、そんなイメージでトラックを組んでいきました。そのわりにはファットなリズムになってしまいましたが…笑モヤっとした気持ちとちょっとした開放感のバランスみたいなのが二人のラップでも表現されていると思います。ぜひ明大前で、そうでないところでも、聞いてみてください。【詳細】chelmico 新曲「Meidaimae」配信日:2022年3月18日(金)トラック制作:tofubeats
2022年03月17日tofubeats(トーフビーツ)の最新アルバム『REFLECTION』が2022年5月18日(水)にCDで発売。tofubeats、4年振り5作目となる最新アルバムCD『REFLECTION』幅広い楽曲プロデュースを手掛け、これまでに森高千里、KREVA、藤井隆ら人気アーティストと数々のコラボレーションを行い注目を集めてきたtofubeats。2021年には同じトラックメイカーとして活躍するSTUTS(スタッツ)とのコラボレーション楽曲「One」のリリースなどで話題を呼んだ。そんなtofubeatsが自身4年振り5作目となる最新アルバム作品『REFLECTION』をリリース。tofubeats自身の歌唱曲はもちろん、ミレニアム・パレード(millennium parade)が手掛けた、映画『竜とそばかすの姫』の主題歌「U」のボーカルを務めた中村佳穂をはじめとする様々なアーティストを客演に迎えた楽曲を含む全16曲を収録する。新曲を随時先行配信、中村佳穂が歌う表題曲などアルバムに収録する新曲はCD発売日までに随時先行配信。第1弾には表題曲となる中村佳穂とのコラボレーション楽曲「REFLECTION feat.中村佳穂」、第2弾には自身が歌唱したダンスナンバー「PEAK TIME」をリリースした。また、第3弾としてtofubeatsの地元・神戸在住のヒップホップクルーNeibissをゲストボーカルに呼んだ楽曲「don’t like u feat. Neibiss」を配信リリース。神戸で撮影されたミュージックビデオも併せてチェックしたい。通常盤&初回限定盤の2形態で展開なお、CDのパッケージは通常盤と初回限定盤の2形態で展開。初回限定盤は、人気イラストレーター山根慶丈がこれまで描いてきたtofubeatsのアートワークを12枚のポストカードにまとめたスペシャルなパッケージとなる。詳細tofubeats 最新アルバムCD『REFLECTION』CD発売日:2022年5月18日(水)価格:通常盤 3,080円、初回限定盤 4,180円<CD収録曲>1. Mirror2. PEAK TIME3. Let Me Be4. Emotional Bias5. SMILE6. don’t like u feat. Neibiss7. 恋とミサイル feat. UG Noodle8. Afterimage9. Solitaire10. VIBRATION feat. Kotetsu Shoichiro11. Not for you12. CITY2CITY13. SOMEBODY TORE MY P14. Okay!15. REFLECTION feat. 中村佳穂16. Mirai■第1弾先行配信曲「REFLECTION feat. 中村佳穂 」先行配信日:2月25日(金)■第2弾先行配信曲「PEAK TIME」先行配信日:3月25日(金)■第3弾先行配信曲「don’t like u feat. Neibiss」先行配信日:4月29日(金)
2022年02月28日tofubeatsが、4年ぶりとなる5thアルバム『REFLECTION』を5月18日にリリースすることが決定した。今作にはNeibiss、Kotetsu Shoichiro、UG Noodleなど様々なアーティストが参加しており、第1弾のデジタルシングルとして3rdアルバム『FANTASY CLUB』でも共演した中村佳穂が参加した「REFLECTION feat.中村佳穂」の先行配信が本日2月25日よりスタート。さらに、maxilla山口悠野監督と杉山峻輔監督の両名で手掛けたMusic Videoも公開され、tofubeatsのいつもと一風変わった風貌が既に話題になっている。tofubeatsは、今後もアルバムリリースまで新曲を随時配信するとのこと。tofubeats「REFLECTION feat. 中村佳穂」MV併せて、山根慶丈とGraphersRock岩屋民穂が制作したジャケット写真と収録内容が公開された。初回限定盤は、これまで山根慶丈とGraphersRock岩屋民穂で制作してきたtofubeatsのアートワークを12枚のポストカードにまとめたスペシャルパッケージが付属。さらに本日より3月20日までの期間限定で「朝が来るまで終わる事の無いダンスを(2022mix)」、freeeが企画するスモールビジネス映画祭スペシャル短編映画『ムカチノカチカ』主題歌「自由」の2曲が収録されたCDがもらえる早期予約キャンペーンがスタートしている。初回限定盤ポストカードイメージ■tofubeats コメントみなさん、ここ数年いかがお過ごしでしたか?トーフビーツです。このたび4年ぶりとなるフルアルバム『REFLECTION』のリリースを皆様にお伝えすることができます。タイトル曲は本日からお聞きいただくことができます。コロナ禍なんて言葉ができる前から次作のアルバムは「鏡 / 反射」をテーマにするぞと決めていたのですが、まさか本当に毎日鏡や検温カメラで自分の顔と向き合わされる毎日になるとは夢にも思いませんでしたし、せっかく上京したのにDJやライブをする機会がほとんどなくなることになるとも思いませんでした。きっと皆様もこれに類するさまざまな生活の変化を強いられていることかと思います。この曲は2020年夏の緊急事態宣言の最中、東京駅から日比谷に向かって歩いている時にアイデアがまとまった曲です。人気が少なくなった遊歩道を歩きながらいろんなできなくなったことに思いを巡らせていたのですが、ふとまだ自分には歩きながら音楽を聴く自由があるなと思い直したことがきっかけになりました。ボーカルの中村さんはちょうどオファーした時期に映画の出演が決まるか決まらないかの頃だったのですが、半年待つのでその後だったらどうですか!とそこそこ強引な我々のオファーを快諾してくださり歌っていただくことができました。楽曲の魅力を最大限まで引き上げてくださった中村さんの歌唱にぜひご注目ください。マキシラさんにお願いしたミュージックビデオにはこの長いブランクで見た目がちょっと変わった自分が出演しています。今回もアートワークは毎度お願いしているGraphersRock. x 山根慶丈コンビ。まだこんな世の中になるなんてことは1ミリも想像していなかったころのtofubeatsの自撮り写真をイラストにしていただきました。その理由について書いた本も実はアルバムと同じ日に出るのでそちらもよろしくお願いします。いろいろなんか情報量が多くなってしまいましたが、とにかく楽曲の方、楽しんでいただけますと幸いです。<配信情報>tofubeats「REFLECTION feat.中村佳穂」配信リンク:<リリース情報>tofubeats5thアルバム『REFLECTION』2022年5月18日(水) リリース『REFLECTION』ジャケット●初回限定盤:4,180円(税込)※tofubeats歴代アートワークを12枚のポストカードにまとめたスペシャルパッケージ●通常盤:3,080円(税込)【収録曲】01. Mirror02. PEAK TIME03. Let Me Be04. Emotional Bias05. SMILE06. don’t like u feat. Neibiss07. 恋とミサイル feat. UG Noodle08. Afterimage09. Solitaire10. VIBRATION feat. Kotetsu Shoichiro11. Not for you12. CITY2CITY13. SOMEBODY TORE MY P14. Okay!15. REFLECTION feat. 中村佳穂16. Mirai【早期予約特典】2月25日(金) 〜3月20日(日) までの期間限定で、予約した人に「朝が来るまで終わる事の無いダンスを(2022mix)」「自由」(スモールビジネス映画祭スペシャル短編映画『ムカチノカチカ』主題歌)の2曲が収録されたCDをプレゼント。【店舗別予約特典】■汎用特典:オリジナルステッカー■Amazon:メガジャケ■楽天ブックス:缶バッジ■セブンネット:ミニスマホスタンドキーホルダー予約はこちら:関連リンクtofubeats HPtofubeats.comtofubeats Twitter Instagram YouTube
2022年02月25日STUTS(スタッツ)が新曲「One」を配信リリース。tofubeats(トーフビーツ)を客演に招いた。STUTSとtofubeatsがコラボした新曲「One」STUTSは、自身の作品制作やライブと並行して、数多くのプロデュース、コラボレーション、テレビ・CMへの楽曲提供を行っているトラックメーカー、MPCプレイヤー。2021年は、TVドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌『Presence』で話題を集めた。そんなSTUTSが2021年を締めくくる新曲「One」の客演に招いたのは、ドラマや映画の主題歌・劇伴を担当するなど活躍の場を広げているtofubeats。印象的なストリングスのループから始まるトラックに、tofubeatsをボーカルをのせると共に、STUTS自身もボーカルにチャレンジした。【詳細】STUTS 新曲「One (feat. tofubeats)」配信日:2021年12月15日(水)<クレジット>Produced by STUTSWritten by tofubeats, STUTSViolin: Anzu SuharaCello: Junpei HayashidaMixed by STUTSStrings recorded by Yosuke Maeda.Mastered by Mike Bozzi at Bernie Grundman Mastering
2021年12月20日tofubeatsが、本日8月27日に新曲「CITY2CITY」(シティトゥシティ)を配信リリースし、合わせて同曲のMusic VideoをYouTubeで公開した。本楽曲はNEXCO中日本の「名二環開通プロモーションムービー」用に書き下ろされた疾走感のあるダンサブルなナンバーとなっており、MVは「RUN」や「RUN REMIX」の監督を務めた盟友・杉山峻輔とAEROBISTUDIOが手掛けた。■監督 杉山峻輔 コメント車から風景を眺めるビジュアライザーのような雰囲気にしてみました!街から街へ移動するのも憚られるようになってしまった昨今、改めて昼間に見る建物や高架もかっこいいものですね。tofubeats「CITY2CITY」MV<リリース情報>「CITY2CITY」配信中「CITY2CITY」配信ジャケット配信リンク:関連リンクtofubeats HP: Twitter: Instagram:
2021年08月27日tofubeatsが新曲「SMILE」を本日6月18日に配信リリースした。昨年のリミックス集『RUN REMIXES』からおよそ10カ月ぶりのリリースとなる同曲は、ボーカル・作詞・作曲に留まらず、マスタリングからジャケット写真、さらにはMusic Videoの制作まで、あらゆるクリエイティブを全てtofubeats本人が手がけている。公開されたジャケットはコロナ禍においてはお馴染みの風景となった自動検温機がモチーフになっており、MVには自身のスタジオでの制作風景が収められている。■tofubeats コメント検温のために出先のビルなんかの入り口でカメラ越しに自分の顔を覗き込んでいるとき、これまでの人生では感じたことのないなんともいえない気持ちになります。ああいう時ってどういう顔するのが正解なんですかね?そんな感じのことを考えながら作ったミュージックビデオと楽曲「SMILE」是非聞いてみてください。tofubeats「SMILE」MV<リリース情報>tofubeats「SMILE」2021年6月18日(金) 配信リリースtofubeats「SMILE」ジャケット配信リンク:関連リンクtofubeats HP: Twitter: Instagram: YouTube:
2021年06月18日インターネットやSNSは日常のツールという世代の申し子のように10代からトラックメーカーとして活動してきたtofubeatsさん。アルバムをリリースするたびに新しい扉を開き、ダンスミュージックの楽しさを示してくれるアーティストだ。新作『TBEP』の制作秘話とともに、彼のプライベートライフにグッと迫ってみた。――『TBEP』は、シンプルこのうえないネーミングですね。これは気合が入ったアルバムです!という感じではなく、DJでも使える曲や、みなさんが家でも楽しめる曲というしばりで、BPMも120~130の間と、テンポも決めてやってみようと気軽な気持ちで作りました。――前作『RUN』はゲストボーカルなしで自ら歌っているのが印象的でしたが今回も、ですね。前作はシンガーソングライターとしての自覚が芽生えたアルバムでしたね。それ以前はゲストボーカルの方にお願いしていたけど、曲を作る技術が向上してきたというか、歌詞も言いたいことの輪郭やメッセージがはっきりしてきたので、他の方が歌うと、矛盾が出てくる気がして。それで自分で歌うようになっていきました。――昨年はボーカリストとして、竹内まりやの名曲「Plastic Love」をカバーしてビックリ。あの曲は海外でリバイバルというか、再評価されています。僕のカバーとは関係なく(笑)。そんな海外の反響を受けて日本側からリアクションしようと、僕が歌うことになったんです。海外の友達からは山下達郎さんや細野晴臣さんの作品を聴きたいと言われるし、最近ではさらに突っ込んで「角松敏生のアルバムはないか」とか。日本の’80年代シティポップスの注目度はいますごいですよ。tofubeats的働き方改革とは。――新作1曲目の「陰謀論」はタイトルにギョッとしたけど、内容はクラブのことで、ニヤリ。何も考えてない曲のときは、意味深なタイトルを付けがち(笑)。僕自身、クラブには昔から相当通っていて、踊ったりDJやったり両方楽しんでいたので、クラブの楽しさも共有できる曲を作れたらいいなと思って書きました。――配信シングルの「SOMEBODY TORE MY P」がインスト曲、というのも意外なセレクトでした。あの曲は実は自分にしては珍しい作り方をした曲なんです。国立近代美術館で国吉康雄という画家の「誰かが私のポスターを破った」という油絵を鑑賞し、タイトルも絵もめちゃカッコいい!と触発されて出来上がったんです。――ええ!?一枚の絵からあの曲が生まれたんですか。他の絵が目的で行ったのに、後から見た「誰かが私のポスターを破った」があまりにも衝撃的すぎて。その後、国吉さんの画集を買ったり、本を読んだりしながらイメージを膨らませていきました。日本から移民としてアメリカに渡り、戦時中は冷遇された時代背景までくっきりと出ている作品に心から感動したんですよね。――他にはどんな刺激や衝撃から曲が生まれるんでしょうか。漫然と生きてても、何も生まれないですからね。やばい、曲ができない!という状況のときには、やっぱり美術館に行くことが多いかな。神戸ではよく「横尾忠則現代美術館」に行っていました。――助けを求めて。そう。僕が美術館をフラフラしてるときは、曲ができてないというときなので、見かけたら優しくしてくださいね(笑)。――そういえば、最近、東京に引っ越されたそうですが。はい。まぁここ5年ぐらいは、ひと月のうち1週間は東京に滞在していたので、ちょっとずつ慣らしていった感じですね。いまだ慣れないのは、人が多いことと、物価が高いことぐらいかな。体が関西の価格に順応しきっていたので。でも、家と仕事場を完全に分けたので、仕事しやすくなりました。――では、通勤しているんですか。徒歩通勤ですけどね。毎朝、NHKの朝ドラを見てから家を出て、9時から19時ぐらいまで仕事してます。自宅にはパソコンは持ち込まないし、スピーカーもブルートゥースのちっちゃいやつだけ。家では真面目に音楽を聴かないようにしています。――どうしてですか?大学を出てから就職をしないで、ずっとこの仕事をしているので、家で働くということがどういうことか、身をもって分かっています。いまテレワーク中の方にも参考になると思いますが、僕のようなソーホー(在宅)ワーカーには“退路を断つ”ことが最も大事なんですよ。もともと神戸の仕事場には、ふたり掛けのソファを置いていましたが、そこで寝てしまうので、ひとり掛けに変えました。寝ないで自分を働かせる環境じゃないとダメだと。人間工学に従ってというか、強制的に労働させる条件を作ったんです。東京の仕事場もデスクしか置いてないので、仕事のみに集中できるし、もし眠くなったら床で寝るしかない(笑)。その代わり、自宅ではくつろげるように、音楽のことは考えない環境に。――働き方改革、すごい!仕事内容は、毎朝決めるんですか?これは昔からなんですけど、一日の最後に明日やるべきことを全部書き出してから帰るんです。それを毎日やるので、たとえその日に全部終わらなくても、また翌日の予定に繰り越す。そうやって自分を管理する、みたいな。――それは子どものころから?いや、この仕事一本になったときに、“自動的に人はサボる”ということを発見して、いまはこのやり方で落ち着いています。あと、体調が悪くなったりすると、音の聞こえ方のバランスが悪くなったり、違って聞こえたりするんですよ。夜中まで働くと、耳がおかしくなるので、意識的に午前中から動くようにしています。週末はDJの仕事で夜中まで働くこともあるんですけど、それでも月曜日は元通りに働く感じです。――作品が生まれる背景には、そんなストイックなライフスタイルがあったんですね。驚きました。はい。8年かけて、このスタイルを構築しました(笑)。――でも、ご自分の作品制作以外に、他のアーティストからMIXを依頼されたり、CMの仕事とか締め切りも厳しいのでは?僕はめちゃくちゃ締め切り守ります。ですよね?(と、担当者に確認)でも、セカンドアルバムの『POSITIVE』を作っていたころまでは締め切りを飛ばしまくっていて、どうしてできないんだろうと自己嫌悪を感じていましたけど、周りのスタッフに「ポジティブになりなよ」と励まされて、それがアルバムタイトルになったり(笑)。そんな時代を経て、“人に迷惑をかけるな”というルールを守ってきました。締め切りって約束だし、約束は絶対破ってはいけない。トーフビーツ1990年生まれ、兵庫県出身。学生時代からインターネット上で音楽制作活動を行い、2013年『Don’t Stop The Music』でメジャーデビュー。森高千里、藤井隆らをゲストに迎えて楽曲を制作、またSMAP、平井堅、Crystal Kayのリミックス、ゆずのサウンドプロデュースに加え、CM音楽など、活動は多岐にわたっている。4thアルバム『RUN』から1年半ぶり、7曲入りミニアルバム『TBEP』をリリース。前作同様ゲストアーティストを入れない、セルフメイド作品。トラックメーカー、シンガーソングライターとしても新たな進化を遂げた。最新情報は、公式Twitter(@tofubeats)をチェック。※『anan』2020年4月29日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・北條尚子(by anan編集部)
2020年04月22日これまで藤井隆や森高千里など、ジャンルレスな人選でゲストボーカルや客演を招き、クラブミュージックの可能性をポップに切り開いてきたトラックメーカー、tofubeats。前作『FANTASY CLUB』は派手な演出をそぎ落とし、彼自身の本来の作家性が問われた一枚だったが、1年4か月ぶりとなるオリジナルアルバム『RUN』は、その地平をさらに突き進む。4枚目にして初めて全てセルフボーカル、演奏も全て一人でこなしているのだ。「それは最初から狙っていたわけじゃないんですよ。まずドラマの主題歌として作った『ふめつのこころ』と映画の主題歌の『RIVER』という2曲が先にあって。どちらも誰かに歌っていただくつもりで当初作っていたんです。それが、デモを関係者に聴いてもらったら、どちらもご自身で歌ってくださいという話になった(笑)。じゃ、せっかくなのでアルバムもミニマムに一人だけでやってみようか、となったんです」tofubeatsといえば、声に機械的なエフェクトをかけたオート・チューンの歌声が特徴のひとつ。「これまでオート・チューン=激しいダンスナンバーみたいな図式があったと思うんです。でも、徐々にその意識も変わってきているんですよね。『RIVER』のようなバラード曲でエフェクトがかかった僕の声でも違和感を与えず“いいね”と言ってもらえる時代のムードがある。あ、そうか、今はそれが求められるタイミングなんだな、と。それが今回の方向性を決めてくれたと思う」表題曲「RUN」は、そんな“自分自身で進むこと”への自覚を強く感じさせる自立心あるポジティブソング。ほかにも、普遍的な恋や愛をテーマにしたメロウな「MOONLIGHT」「SOMETIMES」や、まるで生声のように響くバラード「DEAD WAX」など、これまでのtofubeatsにはないタイプの表現にハッとさせられる。一人で己と向き合いつつも、そこから外へと走り出そうとする前向きな姿勢は、多くのリスナーの心に寄り添うものになるはずだ。「聴く人に、なにかしら響くものがあるとうれしいですね。とくに僕は、古内東子さんや傳田真央さんが歌うようなOL系恋愛ソングが大好きなので(笑)。キラキラした女性たちに、アッパーな踊れる曲だけじゃなく、そういうミディアムなナンバーが刺さると言ってもらえるのは、とても光栄なことだなと思います」トーフビーツ1990年、神戸市生まれ、神戸在住。中学時代に音楽活動を開始。’13年メジャーデビュー以降も地方発信のスタイルにこだわり、プロデュースやDJでも人気に。『RUN』4枚目のオリジナルアルバム。土曜ドラマ24『電影少女‐VIDEO GIRL AI 2018‐』主題歌「ふめつのこころ」、映画『寝ても覚めても』主題歌「RIVER」など12曲収録。『RUN』¥2,800(ワーナーミュージック)※『anan』2018年10月17日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)インタビュー、文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年10月10日ネット発のアーティストの代表格とも言えるのは、感性のままに、スマートに、自在に音を操るトラックメイカーtofubeats。学生時代からインターネットで音楽活動をしていたtofubeats。顔を知らない者同士が意見を交わすネットという場が、音楽スキルを伸ばしてくれたと話す。「ネットって匿名だから悪口も生まれやすいけれど、僕は自作の音楽をアップして、率直な意見を言ってもらえるのが嬉しかった。改善点を教えてくれたり、“こりゃ明らかにプロだな”と思われる発言もあったりして。顔の見えない師匠たちに鍛えられました」tofubeatsといえば、独特な世界観のMVも話題。編集から納品まで、全て自分で手掛けることも。「今年リリースしたアルバムの収録曲『WHAT YOU GOT』のMVは、1本8000円の映像素材を3本買って、それを編集して作りました。同じことを映像のプロがやったら、きっとそんなに面白くないんですよ。本職ではない人間が作るから、ネタ的にもインパクトがある。ということを最初から想定して作っているので、ちょっとずるいんです(笑)」ネットの寵児だと評されることもあるが、本人はいたって冷静。「ネットって、インフラですから。新幹線と一緒。ネット発というのももはや当たり前なんです。でもだからこそ、質実剛健にならないといけないなって思う。ネットがあろうとなかろうと、聴いてもらえる音楽を目指して作りたい。あとは自分がかつてネット上で匿名の師匠にアドバイスをもらっていたと先ほど話しましたが、それと同じようなことを僕も次の世代にしていきたいなと思っていて。tofubeatsの活動とは別に、こっそり始めているんです」私的リピアーティストは?ゆるふわギャングラッパーのRyugo IshidaとSophiee、ビートメイカーAutomaticからなるヒップホップユニット。2016年9月の本格活動開始以降、急速にファンを獲得。「ポップでいて、毒がある。日本のミュージシャンで、今一番注目しています」Alex Gフィラデルフィアの大学生でありながら、すでに7枚ものアルバムを音楽直販サイト「bandcamp」で発表。「デビュー当初からずっといいと思わせてくれるまれな人。フォークあり、サイケありの多彩なシンガーソングライター」Mac DeMarcotofubeatsと同い年、1990年生まれのシンガーソングライター。「曲がロマンティックで、ギターのサウンドもいい。すごいおしゃれなんだけど、“ナーバスに見られるのが嫌”らしくライブは全裸(笑)。そのギャップも好きです」今ハマっていることは?バイクシェアアプリでどこでも自転車移動!「docomo bike share」は本当に便利。住んでいる神戸も仕事で来る東京も坂が多いので、自転車シェアは重宝してます。トーフビーツ2013年秋に『Don’t Stop The Music』でメジャーデビュー。さまざまなアーティストのリミックスや楽曲提供なども行う。最新アルバム『FANTASY CLUB』が発売中。※『anan』2017年8月9日号より。写真・岩澤高雄文・保手濱奈美河野友紀間宮寧子(by anan編集部)
2017年08月05日アイドルへの楽曲提供や有名アーティストのリミックスで、瞬く間にその名を浸透させたtofubeats。2作目のフルアルバム『POSITIVE』は、有名アーティストをゲストに迎えた、最新型コラボレーションアルバムだ。「僕はゲストが決まってから曲を作るタイプ。その人のために一から作ることがモチベーションになるんです。まだ曲もないのにオファーする、というリスクの高いことをやったのですが(笑)、みなさん快く受けていただき、ありがたかったですね」くるりの岸田繁に小室哲哉、KREVA、Dream Amiなどワクワクするようなゲストリスト。それぞれの個性と魅力が、tofubeatsのデジタルなトラックとミックスされ、驚くような意外性も生み出している。いま最も才能を輝かせているトラックメイカーの感性とテクニックが、ぎっしり詰まった作品となった。「こんなにすごい方々の声やプレイを、堂々と合法で使えるのがメジャーのいいところですね(笑)。今回、自分に課した裏テーマとして、全て積極的に行く、ということがあった ので、仮のタイトルで“POSITIVE”と呼んでいたのですが、人選から曲作り、レコーディングまで険しい過程を乗り越え、そのタイトルにブレないアルバムが完成したと思うので、(仮)を取って、本タイトルにしました」次々に話題になるオリジナル作品とともに、リミキサーやソングライターとしても活躍中のtofubeats。つい最近も平井堅のシングルのカップリング曲「ソレデモシタイ」のリミックスを手がけるなど、その独特の才能は引く手あまただ。ちなみに本誌をはじめ女性誌の熱心な読者。というのも女性アーティストに「こんな歌詞歌いたくない」と言われないよう、女性誌を読んでウラを取っているのだそう。なるほど。「この曲いいじゃん、へえ、これもトーフなんだ、って(笑)。いろんな場所にtofubeatsというクレジットを見つけてもらい、コイツはいつも面白いことをやってるなぁ、みたいな存在になりたいですね。それには僕自身も変化を続けながらもっと頑張っていかないと」◇トーフビーツデビュー前からももクロなどアイドル作品のリミックスで注目される。一昨年、森高千里らをゲストに迎えたEP『Don’t Stop The Music』でデビュー。神戸在住の24歳。◇2nd album『POSITIVE 』【初回限定盤CD+DVD】¥3,600ゲストにくるりの岸田繁、KREVA、小室哲哉、Dream Ami、中納良恵、玉城ティナなどを迎えたコラボ作品。【通常盤CD】¥3,000(Warner Music Japan)※『anan』2015年9月23日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子
2015年09月22日