パラドックス トーキョー(PARADOX TOKYO)の2019年春夏コレクションが2018年10月17日(水)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。前シーズンから引き続き、ミューズ(MUZE)と合同でショーを行った。パラドックス トーキョーのブランドコンセプトは、“アクティブ・モード”。本来は、スポーツという枠組みを超えて、アクティブな気持ちになれる服を目指す同ブランドが、今季は思い切りスポーツへと舵をきった。日本体育大学の伝統「エッサッサ」からショーはスタートショーのスタートは、日本体育大学の伝統的な「エッサッサ」。今では、日本体育大学の独特の応援スタイルとなった「エッサッサ」ではあるが、その始まりは大正10年代、日本体育大学の前身である体操学校でうねったスポーツの波が誘因となって誕生したものだ。今回は、2つのブランドのショーの成功を祈願して、スタートに力強いパフォーマンスを見せた。“アクティブ・モード”はスポーツに帰来するランウェイで魅せた服もまた、スポーツを紐解くようなスタイルの連続。イエローやグリーンなどアクティブ感のある蛍光カラーが先頭を走った。素材はメッシュで軽やかに演出。メンズのレザーベストはスウィムウエアのような質感でハリがあるし、ウィメンズのトップスはブラトップも多い。前にジッパーを配して開くことでベルボトム調にみせたトラックパンツは、パーカーと合わせてストリート感も抱合している。ミリタリーな要素も感じられて、頭には蚊帳のようなマスクをかぶっている人もいるし、さらにマウンテンルックも登場していて、大きなバックパックを背負っている人も印象的だった。しかしいずれも“アクティブ”という点では共通しており、ブランドの根底はそのままであることが感じられた。さらに、スポーツのムードは足元にも及んでいて、レースアップシューズやローファーなどクラシックなシューズ群は、アッパーを切り取ってオープントゥにすることで、スポーティなアイテムへと転換している。モデルには現役K-1選手の武尊(タケル)も登場モデルには、K-1選手の武尊(タケル)、車いすバスケットボールプレイヤーの堀江航、そして望月あもんと三井すみれという日本体育大学バーベルクラブ所属の2人も登場した。ファッションとスポーツという相いれないものが交わった瞬間でもあった今季、パラドックス トーキョーの“アクティブ・モード”はさらに既成概念を越えたようだ。
2018年10月20日クセニア シュナイダー(Ksenia Schnaider)は、2019年春夏コレクションを2018年10月17日(水)、東京・渋谷ヒカリエにて発表した。ウクライナのリゾートからインスパイア着想源となったのは、ウクライナのリゾート。しっかりとドレスアップ、メイクアップしてビーチに臨むための、都会的なウェアを構築した。ソ連崩壊後の新たな時代と、伝統的な古来の考え方を織り交ぜ、キッチュながらも実用的なウェアに仕立てている。多彩なデニムの表現ここ2年間、クセニア・シュナイダーが着目しているというデニムのウェアをメインに、オープンな雰囲気のピースをランウェイに揃えた。トーンの異なるデニムを繋ぎ合わせ、しなやかなワイドパンツに仕立てたり、ライトな色彩のデニムでアクティブなショートパンツを作ったりと、バリエーションは様々だ。デニム地でレオパード柄を作ったトップスや、スパンコールできらびやかに装飾したデニムパンツも登場。表現の幅広さを見せた。ダイナミック&ミニマルなフォルム目に留まったのは、ダイナミックかつミニマルなフォルム。スリットを大胆に入れたワイドパンツは、端正なパターンメイキングにより、優雅な動きを見せる。また、Aラインのノースリーブワンピースや、ビスチェドレスは無駄をそぎ落としたシンプルなシルエットだからこそ感じられる美しさを提示した。膝と水平に切り込みを入れ、膝から下をタイトに仕立てたパンツは一見するとデニムパンツをレイヤードしているかのように見える。奔放で多彩なパターンメイキングからは、遊び心が感じられるようだ。ハワイアンプリントの再構築グラフィックデザインを担当する、アントン・シュナイダーがクラシカルなハワイアンプリントを再構築したグラフィックは、シャツワンピースやアクティブなスカート、スパンコールをあしらったプルオーバーに落とし込まれた。古典的な柄に文字を入れたり、レタッチすることにより、モダンな空気感をプラス。夕焼けの海を背景に、パルムツリーのシルエットを配したオーセンティックな柄が、リラックスしたムードを描き出す。
2018年10月20日ミントデザインズ(mintdesigns)の2019年春夏コレクションが、2018年10月17日(水)に発表された。現代的で都会的な博物館を表現シーズンテーマは「Natural History Project」。今季のクリエーションは、デザイナーの勝井北斗が博物館を訪れた時に感じた、モダンで都会的なムードにインスピレーションを得ている。動物や植物、昆虫たちにまつわる様々な展示。それらは自然のものであるはずなのに、どこか人工的で近未来的な要素さえ感じさせた。自然史学、博物学といった意味を持つ言葉をタイトルに掲げ、その時に感じ取った現代的な博物館の様子を表現していくプロジェクトが始まった。「動物」「植物」「昆虫」にカテゴライズ洋服作りは、「動物」「植物」「昆虫」の3つのカテゴリーに分類して進められた。動物に属するのは、たっぷりと生地を使ったレオパード柄のワンピースやロングスカートなど。幻想的な植物モチーフが配されたエアリーな羽織りや、写実的な葉が描かれたモノトーンのスカートは、「植物」にカテゴライズされる。「昆虫」に分類されるのは蝶やクワガタの刺繍を施したスカートなど。ネットのような素材を採用することで、虫取り網に捕らえられた昆虫の様子を、ユーモラスに表現している。レイヤードで現代性を表現こういった博物館の要素を落とし込んだピースに、現代性や都会性を加えるために多用されたのは、重ねるというアプローチ。蝶が舞うトップスに、ポリエステルを溶かして光沢感を与えた人工的なトップスをレイヤードしたり、アニマル柄のワンピースに、近未来的な箔プリントを施したシアーワンピースを重ねたり。有機的なピースに、人工的、未来的な要素を組み合わせることで、モダンなムードを演出している。ショー演出は標本をイメージファッションショーにも、博物館を感じる仕掛けが施されていて、ランウェイに設置されたキューブ型のインスタレーションもそのうちの1つ。モデルたちは大きな物体の周囲を練り歩くように進み、その箱の中に吸い込まれるようにして入ったかと思うと、ぴったりと静止する。その様はまるで、フレームに収められた標本のようだった。
2018年10月20日マラミュート(malamute)の2019年春夏コレクションが、2018年10月17日(水)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。“記憶”がキーワードコレクションのテーマは「Re:」。デザイナーの小髙真理が、クリストファー・ノーランの映画『memento』と川上未映子の詩「まえのひ」から着想を得て、“記憶”をキーワードにコレクションを制作。10分しか記憶を保持できない主人公が織り成す物語や、“今日はいつだって、すべての、まえのひ”という言葉に突き動かされるように、過去の自分との対話を、ピースの1つ1つに投影した。時と共にほころぶローズニットほころんだローズのジャカード編みニットは、着ていくうちにほつれ、表情を変える。時間経過とともに移り変わっていくローズの、儚く繊細な美しさが、ブラックのロングドレスを彩った。デニム×ニットなど異素材組み合わせ元々ニットをルーツに持つブランドだが、布帛やカットソーのスタイリングや、異素材組み合わせのピースも登場。「リペア」をキーワードに、デニムを解体してニットと組み合わせたドレスやトップス、ジャケットなどは、クラフト感やヴィンテージの雰囲気が漂う。繊細な編地とレース、デニム地を組み合わせたキャミソールは、複雑かつ緻密に構築されている。情報量の多いアイテムまた、カットソードレスとニット地を組み合わせ、上品なスカーフをあしらったスタイリングや、多彩な編地から成るニットドレス、ラメ糸やナチュラルな質感の糸などを組み合わせ、水彩画のような色彩バランスに仕上げたニットドレスなど、1つのアイテムや、1スタイリングに対しての情報量の多さも印象的だ。ミックスカルチャーから作り出す自立したスタイル2000年代の、様々なカルチャーをミックスしたファッションに色濃く影響を受けたデザイナーの小髙が考える自立した女性――ありとあらゆる情報を取り込みながらも自分の軸を持ち、自らのスタイルを確立する強さを持った女性に向けた服だからこそ、それぞればらばらな個性を放っている。上述したアイテム以外にも、凹凸をつけたボーダーニットや、アーティスティックなアクセサリー、オパールプリントによる透かし模様のジャケットなど、表現の幅の広さと、唯一無二の世界観を存分に発揮した。
2018年10月20日ミドラ(MIDDLA)の2019年春夏コレクションが、2018年10月17日(水)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。“忘れな草”がシンボル今シーズンのテーマは「STILL IN BLOOM」。小さく可憐な「忘れな草」の花をコレクションのシンボルとし、非日常的なドレススタイルと日常的なストリートスタイル、2部構成のショーを展開した。ピュアな非日常のドレスサックスソロ、そしてカルテットのクラシック演奏で幕を開けたショー。まず登場したのは、真っ白なドレスに身を包んだモデルたちだ。細やかな花々の装飾が身頃を埋め、ギャザーやフリル、プリーツを重ねたドレスは歩を進める度にゆるやかに揺れ動く。透明感のあるチュールや、光沢のあるサテン生地などが、ピュアで幻想的なムードを演出する。ドレスは白の他、シックなブラックやネイビー、ブルーも登場。いずれも上品さや純粋さを思わせる仕上がりとなっており、ほのかに“忘れな草”の香りも漂わせている。ギャザーを寄せ、幾重にも生地を重ねたマーメイドドレスは、ブルーのグラデーションを描き、清く華やかな存在感を見せる。デイリーウェアに潜むロックカルテットの演奏が終わると、暗転とともに始まったのはエッジの効いたロックの生演奏。非日常から切り替わり、日常的な世界観が繰り広げられた。デザイナー・安藤大春は、シーズンテーマを決める際に尾崎豊の楽曲「Forget-me-not」や、ニルヴァーナの「In Bloom」からインスパイアされたという。マニッシュ&アクティブなエッセンスロックが象徴するように、後半はナイトカモに小さな花をあしらったプリントテキスタイルや、マニッシュなセットアップなど、フェミニンな表現と、無骨な要素やアクティブさをミックスしたピースが散見された。例えば、エレガントなロングワンピースの足元にリーボック(Reebok)のスニーカーをセレクトしたり、トレンチコートドレスのベルトをリボンカットしたり。ワークジャケット風のカーキのショートジャケットには、ペプラムをあしらうことで柔らかさと活発な印象を両立させた。空気を含むようなゆったりとしたフォルム服の造形は、ギャザーやフリル、分量感のあるパターンメイキングによる、ゆったりとしたシルエットが目立った。斜めに大胆な切り替えを配したスカートや、透け感のある生地で仕立てたプリーツの巻きスカート、生地をたっぷりととったワイドパンツなど、空気を含むようなフォルムが、穏やかな空気感を放っていた。
2018年10月20日ジェーン スミス(JANE SMITH)が2019年春夏コレクションのルックを公開した。テーマは、「THIS IS THE ONE」。
2018年10月20日フミク(Fumiku)は、2018年10月17日(水)に、2019年春夏コレクションを渋谷ヒカリエで発表した。コレクションテーマは“明晰夢”フミクは、“リアルとファンタジーの間の世界を表現し、新しい人物像を提案する”をコンセプトに掲げるウィメンズブランド。デザイナーの林史佳は、記念すべき東京コレクションの初参戦に、このブランドコンセプトを意識した“明晰夢”をテーマとして掲げた。そもそも明晰夢とは、夢の中にいながらも“あ、これは夢だな”とはっきりと自覚した状態を指す。それでも夢の中で広がる風景は、現実とは少しかけ離れていて、どこか朧げなフィクション性を帯びているのだ。異素材を重ねたレイヤードスタイル会場に鳴り響くのは、シトシトと降り続ける雨音。そこに落雷のようなするどい音がしたかと思うと、雨足はぴたりと止み、ピアノの音色と共にショーが開幕した。ファーストルックから散見されたのは、デニムやポリエステルなど異素材を重ねたレイヤードスタイル。幾層にもレイヤードされたスカートは、プリーツや、アシンメトリーなデザインが加わることで、空気を含むたびにふわりと宙を舞い、観る者に余韻を残していく。そこには生地を重ねた重さはなく、夢と現実の狭間を漂うかのような軽やかな雰囲気を纏っている。スポーティーな要素で軽快にスカートの中に、アクティブなショートパンツを差し込こんだルックも登場した。ガーリーなテイストの中に、アクティブな要素が織り交じることで、“雨上がり”のような爽やかな空気感を帯びている。テキスタイルを彩る花模様カーキーやベージュといったカラーパレットに彩りを加えるのは、花柄のテキスタイル。実用的なカラーの中に咲き誇る花々は、どこかファンタジックな空気を纏っていて、ふんわりとした女性らしさを演出してくれる。“寝起き”のようなユニークな着こなし印象的だったのは、まるで“寝起き”のように、中途半端な状態となっているスタイリング。肩からずりおちてしまったキャミソールのストラップや、襟を片方だけ立てたままのポロシャツ、ランジェリーを急いで被ったかのうようなカットソー…。それらのルックからは、“やはりあれは夢だったのか”と、明晰夢から覚めた直後の様子を再現しているかのような、ユーモアが感じられた。
2018年10月20日BiSやBiSHのアイドルプロデューサー、渡辺淳之介が手掛けるネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATiENTS)が、2019年春夏コレクションを2018年10月16日(火)に発表した。なお、ランウェイにはBiSHのメンバーであるアイナ・ジ・エンド、リンリン、アユニ・Dらが登場した。BiSやBiSH手掛ける渡辺淳之介のファッションブランド東京コレクション初参加となるネグレクトアダルトペイシェンツは、渡辺淳之介が立ち上げたブランド。ブランド名は日本語に直訳すると"大人な患者は無視"。アンチ アダルト(ANTi ADULT)をテーマに、渡辺自身が抱える"大人になりきれずに大人になってしまった後悔"を、ファッションで表現していくという。"HEAVY SiCK" もはや現代、みんな病気。2019年春夏シーズンのテーマは「"HEAVY SiCK" もはや現代、みんな病気。」。渡辺はテーマについて「今の世の中の風潮を見ていると、病気な人たちが多いんじゃないかと感じる。みんなが子供の頃みたいに自由でいたら、もっと楽しいんじゃないかと思って、もはや大人たちは全員病気、という設定にした」と語っている。会場に足を踏み入れるとまず耳に留まるのは、渡辺が"歯医者で流れている音楽"をイメージしたという、オルゴール調のJポップ。広い会場にシュールに鳴り響くその音楽が、リズミカルなショーミュージックに変わると同時に、ファッションショーがスタートした。ショーの幕開けを飾ったのは、メインイラストレーターのFACEによるアイコニックなブランドロゴを配したパーカー、サイドラインに"NAP"ロゴを施したハーフパンツ、真っ赤なバンダナを合わせた10人のモデルたち。ユニフォームのごとく皆一様に同じピースを身に着けた彼らが、ランウェイに一斉に登場し、渡辺のファッション界への挑戦を印象付けた。みんな子供みたいに戻れたら...そんな言葉の通り、ランウェイに現れるモデルたちからは、どこか懐かしい学校の風景が見て取れる。ファッションショーなんてお構いなし、カップ焼きそばを夢中で頬張る自由奔放な少女は、学校から指定されたジャージのようなセットアップを身に着けている。足元を彩るグリーンのシューズは、まるで校舎の中で履く内履きのようだ。パンク・ロックなムードは、コレクション全体を通して多用された、特徴的な表現の1つと言って良いだろう。パンをくわえたままランウェイに出てきてしまった少女は、パンキッシュなレオパード柄のジャージを纏い、どこか気怠い表情を浮かべている。ベルトのディテールが印象的なレッドチェックのセットアップに、ハードな鋲を打ち込んだスリッパを組み合わせたルックも、反抗心をむき出しにしているかのよう。病院着を彷彿とさせるパステルグリーンのピースを纏ったモデルたちは、車椅子と共に登場。バックスタイルには、渡辺にとって特別な場所だというDOGENZAKA=道玄坂と、MEDICAL CENTER=メディカルセンターのロゴが配されている。自ら点滴を運びながらランウェイを進む少年の背中には、BAD HEALTH=不健康の文字が描かれた。アイドルをショーモデルに起用ショーモデルには、アイドルたちを起用。BiSHからアイナ・ジ・エンド、リンリン、アユニ・D、BiSからはアヤ・エイトプリンス、ペリ・ウブ、ミュークラブらが参加した。また、フィナーレには、パフォーマンス集団・電撃ネットワークのギュウゾウがサプライズ出演し、観客から注目を集めていた。タンタンやCA4LAとのコラボレーションもショーでは他ブランドのコラボレーションアイテムも披露。丹野真人によるタンタン(TANGTANG)のTシャツや、CA4LA(カシラ)のハットなどが展開された。また、今後のグラフィックなどにはグラフィックアーティストのYOSHIROTTENも起用する予定だという。
2018年10月20日ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)の2019年春夏コレクションが、2018年10月16日(火)、東京・恵比寿ガーデンプレイス内「ザ・ガーデンホール」にて発表された。ショーの始まりは、爽やかなアイリス柄最初に登場したのは、ホワイト地にアイリスの花を敷き詰めた爽やかなプリント。ワンピースやトップス、バッグなど様々なアイテムにアイリスのパターンがあしらわれ、ルックごとに異なる表情を見せてくれる。メッシュのような軽やかな素材を使ったワンピースは、ピンク色のアイリスで、レディライクに着こなして。ナイロンのようなツルリとした素材と蛍光のピンクやパープルのカラーリングを採用したジャケットやスカートと合わせれば、スポーティなコーディネートが完成する。シルバーで都会的なアクセントを添えてエレガントなムードにアクセントを添えるのは、シルバーカラーだ。ホワイトのブラウスやシルクのワイドパンツなど、春夏シーズンのゆったりとしたムードを纏ったアイテムに、シルバーが取り入れられた。シルバーとブルーのカラーコンビネーションで、都会的なサマースタイルに仕上げた。TシャツもエレガントなスタイルにカジュアルになりがちなTシャツも、ユキ トリヰらしい上品なスタイルにアップデートされている。きらめくストーンをあしらった淡いブルーのプリントTシャツは、クリーンな印象のホワイトのタイトスカートを合わせ、肩には同系色のジャケットを羽織って統一感のあるシックなスタイルに昇華した。クライマックスを飾るのはアジサイのロマンチックなドレスショーのクライマックスを飾るのは、アジサイの花びらを刺繍した美しくエレガントなルックたち。ふわりと広がるスカートの裾からチュールがちらりと覗き、ロマンチックな雰囲気をより一層引き立てている。何重にもフリルを重ねたオフショルダーのトップスの肩口は、まるでアジサイの花びらのようだ。
2018年10月19日まとふ(matohu)の2019年春夏コレクションが、「Amazon Fashion Week TOKYO 2019 S/S」2日目の2018年10月16日(火)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。ブランド“第3章”がスタート昨シーズン、日本の美意識をコンセプトに2010年よりスタートしたシリーズ「日本の眼」が完結したまとふ。今季、新たなシリーズの開幕として発表の場に選んだのは、映像+プレゼンテーション形式という真新しい手法だ。物語の始まりは、青森・津軽オープニングを飾ったのは、大画面で映し出されたドキュメンタリー映像。「手のひらの旅」と冠した今回のプロジェクトの舞台は、青森・津軽。そこでは麻の粗い目に糸を通して、繊細な幾何学模様を描く“こぎん刺し”が、江戸時代から伝わる伝統技術として親しまれている。そしてその美しさに魅了されたデザイナーの堀畑裕之と関口真希子が、実際に刺し子が作業をする現場を訪れて、今季のコレクションとなるデザインのアイディアを膨らませていくというストーリーだ。3人のモデルによるプレゼンテーション映像が終了すると、会場に現れたのは3人のモデル。伝統を守り続ける刺子との交流を通して生まれたアイディアが、全く異なる雰囲気を持つ3パターンのクリエイションとなって視覚化される。アイコニックな「長着」にこぎん刺しを1人目のモデルが纏うのは、ブランドのアイコニックなワードローブ「長着」。羽根のように軽やかな印象を与えてくれるその素材は、試行錯誤の末に使用したというシルク素材。本来こぎん刺しには不向きなキメ細かなテキスタイルには、同じく繊細なシルク糸を通して、美しいグラデーションを描いた幾何学模様を実現させた。現代のワードローブへとアップデート続いて登場したモデルは、胸元に真っ赤なこぎん刺しをアクセントに配したジャケットを披露。本来寒さをしのぐため、裏着として使用されていたこぎん刺しであるが、無駄のないすっきりとしたシルエットや、首元をほんのりと隠す上品な襟のデザインなど、現代の要素と融合することで、洗練されたワードローブへと昇華している。こぎん刺しにオマージュを捧げて最後に現れたモデルは、こぎん刺しが彩るひし形の幾何学模様からインスピレーションを得たという、カットジャカードのジャケットを纏って登場。立体感を帯びた純白のジャカードは、まるでレースのように軽やかさを帯び、フレッシュな印象を与えてくれた。こぎん刺しをモチーフにしたニット&ワンピースもその他にも会場には、こぎん刺しをモチーフにしたニットやエレガントなワンピースなど20体のワードローブがマネキンに着せられて登場。先ほどのドキュメンタリー映像を見終わったこともあってか、“この洋服はどれほどの過程を要したのだろう”と、思わず作り手に想いを馳せながら、まじまじと眺めてしまう。日本の伝統文化や作り手との交流を大切にして生まれる、丁寧なワードローブ。ブランドが大切にしている根幹を、ひとつひとつのピースを通して感じ取ることができるコレクションとなった。
2018年10月19日タエ アシダ(TAE ASHIDA)の2019年春夏コレクションが、2018年10月16日(火)、東京・国立新美術館にて発表された。エスカレーターからモデルが登場国立新美術館2階、通常ならば展示室同士をつなぐ役割を持つ長い廊下が、ランウェイに変貌を遂げた。ショーの始まりを告げる音楽が響き渡ると、モデルたちがエスカレーターを下るようにして登場。サプライズ演出での幕開けに、会場からは驚きの声が巻き起った。スポーティーなルックで幕開けアップテンポな音楽と共にファーストルックを飾ったのは、ワンピース風に着こなしたスポーティーなジャケットコート。袖口のディテールやフロントに配したファスナー、ポリウレタンラバーの素材感が、アクティブな印象をもたらしている。足元に合わせたリーボック(Reebok)のハイテクスニーカー・インスタ ポンプ フューリーも、より一層軽快なムードを加速させる。プレイフルなアニマル柄や鮮やかなカラーショーが中盤に差し掛かると、猿、鳥、ライオンといった動物たちや、ジャングルを彷彿とさせる植物がデフォルメされたかのようなプリントスカートを皮切りに、プレイフルなムードが高まっていく。オレンジ、ピンク、ネオングリーンといった鮮やかなカラーや、チェック、ストライプ、グラフィカルなパターンがピースを彩る。ジャージ素材とレースを融合させたトップスには、愛らしいチワワを配して、ユーモアを効かせた。力強くエキゾチックなムード前述の動物柄とは対照的に、写実的な動植物と、レオパードを組み合わせたロングスカートが現れると、ランウェイはどこかエキゾチックで、力強い雰囲気へと一転。カーキやブラウンなどアースカラーをベースとしたピースに、煌めきを放つチェックのドレスや、メタリックなタイトスカートを差し込むことで、エッジィなムードも加えている。ゴージャスなドレス群フィナーレを飾るのは、ゴージャスでエレガントなドレス群。ミステリアスな模様を描いたアシンメトリーのドレスや、オーロラのように幻想的な輝きを放つタイトシルエットのドレスなどが、続々とワンウェイを彩っていく。ラストには、エレクトリックな光を放つ十字モチーフをフロントに配した、近未来的なドレスが登場し、会場からは盛大な拍手が送られた。ショーにはモデル・冨永愛の姿も。全身を潔くシルバー1色で纏めた、ワンショルダーのドレスなどに身を包んで登場した。
2018年10月19日ミスター イット(mister it.)の2019年春夏コレクションルックが公開に。
2018年10月19日ティート トウキョウ(tiit tokyo)の2019年春夏コレクションが、2018年10月15日(月)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。なお、ランウェイには小松菜奈も登場した。会場にのびたランウェイには、懐かしいポップアートみたいな空想の宇宙が描かれている。どこか未来っぽくて、でも懐かしくもあって。わくわくするような音楽が流れて、スタートした今季のティート トウキョウ。テーマは“from here”だ。“新しい夢”を探す物語思い描いたのは、60~70年代、まだ未来や宇宙という異次元の世界にあこがれていたころのこと。そんなに遠くない過去、その時代に想いを馳せた女性が前に進むことで生まれる“新しい夢”を探していく。だから今季のワードローブには、過去も未来も指し示すモノが混在している。過去から未来へ物語の始まりは、真っ白なドレス。音楽はどこかフューチャリスティックな印象なのに、洋服はというとフューチャーというわけではない。紐を忍ばせたふんわり揺れるドレスは、装飾はほとんどなく、忍ばせた紐でキュッとギャザーを寄せているだけ。どちらかというと古来的なシルエットだ。足元はメタリックなパンプスで、そこにだけ潜んだ“未来”が、控えめな日本女性の美しさを想わせる。ヌーディーなレースが登場したかと思えば、それに代わってビビッドなチェック柄が登場する。シルエットは変わらず緩やかで、でもその中で唯一プリーツスカートだけ動きがない。繊細なデジタルプリントを施し、いつもは動きが出るはずのプリーツを硬質的にすることで、近未来的に演出。その傍らで、動きを出したのは意外にも数種類の糸を混合したサマーツイードだった。空想の未来を“なつかしさ”の中に描くツイードが未来的になったのは、おそらくポップなパッチが胸元に配されたからだ。ミニマルなシルエットかつ、カラーはレトロシックなベージュなのに、パッチワークだけでその姿はフューチャリスティックに姿を変える。ハンドニッティングの技巧を駆使したニットも同じで、温かみのあるニットはフリンジとともに配す一方、テクスチャーの異なるシースルー素材と共存させることで、新鮮な印象を抱かせた。そして、ニットを部分的かつ直線的に構成することで、ニット本来の温かみが軽減されているのが分かる。テクスチャーをミックスして完成したワードローブは、懐かしさも新鮮味もあって、今より少し過去、空想を楽しんだそのときの“ワクワク感”みたいなものも宿っている。その気持ちはきっと、洋服を着る人の気持ちにも反映していく。あの頃思い描いた未来を今表現することで、過去と未来を往来するこの物語は、限りなく現実的なティート トーキョウの楽しいファンタジーだ。
2018年10月18日IHNN(イン)は、2019年春夏コレクションを「Amazon Fashion Week TOKYO 2019 S/S」1日目の2018年10月15日(日)に、新宿・文化学園で発表した。IHNN初のランウェイショーIHNNがショー形式でコレクションを発表するのは、今回が初。デザイナー・イン チソン(印致聖)の母校でもある文化学園を舞台に、マーチングバンドの緊張感ある生演奏とともにショーが幕を開けた。グラフィックプリントや、多彩な素材の組み合わせ、大胆な配色など、IHNNのアイデンティティを辿っていくようなコレクションが展開された。また、冨永愛が、モデルとしてランウェイに登場した。“肌”から着想を得たジェンダーレスな表現今シーズンのインスピレーションは、“スキン”=肌。肌を守る服、という服の定義の前では性別を分けて考える意味がない。だからこそ、男性モデルが化粧をし、レディースのウェアに身を包んだり、女性モデルが素肌にガウンをまとい、あえて開けっ広げに着てみたり、ヘアスタイルも既成のイメージにとらわれず様々だったり。男女のボーダーを軽々と越え、行き交うようなルックが散見された。力強い色彩表現燃えるような赤、目に飛び込んでくるようなスカイブルー、はっきりとした黄緑など、個性の強いカラーを自在に組み合わせることで、アーティスティックなウェアを構築。ホワイト、ベージュ、レッド、マスタードイエローのプリーツ生地を組み合わせたスカートや、肌に馴染むようなライトベージュのオーガンザとツヤのあるレッドの生地を切り替えたジャケットなど、パワフルな色彩表現が、生き生きとした空気感をもたらす。光を通す透明感また、透け感のあるファブリックが多用されていたのも印象的。柔らかなホワイトのシャツワンピース、鮮やかなグラフィックプリントを乗せたブラウス、ニュートラルなイエローが落ち着いた雰囲気の、空気を含んだようなブラウスなど、服の持つ透明感によって、光をそのまま身に着けているような、神秘性を孕んだオーラが生み出されていた。アクティブ&モードな造形フォルムはアクティブかつモード。ハイウエストのパンツ、ミニ丈のワンピース、タイトなサイドラインパンツ、ブラトップ、バックを編み上げたキャミソールなど、活発なイメージのアイテムが目に留まる。ストラップをたすき掛けのようにして着るスカートは、溌溂とした印象だ。さらに、袖口にあしらったリボンや、ウエストのベルト、ワンピースの前後に施した装飾など、身体性とは無関係に長く伸びるディテールが、服に“動”の表現をプラスする。
2018年10月18日ディーベック(D-VEC)の2019年春夏コレクションが、2018年10月15日(月)、東京・赤坂のアークヒルズ アーク・カラヤン広場で発表された。水しぶきが飛び散るカラヤン広場を舞台にフィッシング用品メーカーのDAIWAのアパレルラインとして展開されるディーベック。今季、ショー会場として選ばれたカラヤン広場には、そのランウェイとなるルーフトップから水が滝のように流れる演出が加えられている。やがて観客席にまで水しぶきがかかるほど、水の勢いは増していき、夕闇を切り裂くような鮮烈なライト共にショーはスタートした。雨にも負けない、ファッショナブルなピースファーストルックから散見されたのは、異素材のドッキング。トレンチコートのようなエレガントなレインコートには、プリーツを配した軽やかな異素材を、そのサイドから配して。ホワイトのロングパーカーには、同系色でクリンクル加工を施したテキスタイルを組み合わせて、遊び心をプラスしている。ランウェイに飛び散る水しぶきを気にする素振りもなく黙々と歩くモデルたちが、それらのピースの高い防水機能を証明しているようだ。ジッパーやドローコードで、アレンジを加えて目を凝らすと見えてくるのは、洋服の細部に仕掛けられた拘りのディテール。リラックスしたムードのワイドパンツは、そのサイドに配したジップを上げることで、スリットを配したようなセクシーな雰囲気に。カットソーの裾にあしらわれたドローコードは、女性のボディラインに合わせて絞ることで、フェミニンな印象を与えてくれる。纏う者のアレンジによって、シルエットを自在に操ることができるのだ。自由な着こなしで個性を表現ショーの中盤に差し掛かると、様々な着こなしを楽しむモデル達が登場する。フォーマルな雰囲気のセットアップのジャケットに、カジュアルなレインジャケットを合わせたレイヤードスタイルや、アウターの下にゆったりとしたパーカーを差し込んだストリートスタイルなど。異なるテイストの組み合わせにも違和感はなく、日常に溶け込むスタイリングへと仕上がっている。ブランドがコンセプトとして掲げる「機能性とファッション性の融合」の具現化を感じることができるコレクションとなった。
2018年10月18日アカリ ミヤヅ(AKARI MIYAZU)の2019年春夏コレクションが、2018年10月15日(月)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。”生命”をテーマにしたブランドのデビューコレクションこの舞台が、ファーストコレクションとなった新ブランドアカリ ミヤヅ。服作りを通して、”生命とは何か。”を表現することをコンセプトにしたブランドだ。今回のコレクションのテーマは、「輪廻」。空色や桜色の優しい色彩と、シフォンなどの繊細な素材を組み合わせ、現代的な女性が内に秘めるしなやかさと柔らかさ、そして強いエネルギーを表現している。ランジェリーのように繊細でしなやかなドレスたちショーを飾るのは、シフォンやレース、シルクで構成された、まるでランジェリーのように柔らかで優雅なワードローブたち。裾を優雅に垂らしたシフォンのロングドレスが、しなやかに身体を包み込む。ぴったりと肌に沿うブルーのシルクのドレスには、レースのフリルを何重にも重ねたスカートのようなディテールを組み合わせ、アシンメトリックなシルエットを生み出す。不規則にカットされ、組み合わされた様々な素材や、ちらりと覗く肌が、繊細なリズムを奏でている。堅い素材やハンサムなディテールでアクセントを添えてそんな柔らかなムードに、アクセントを添えるかのように、張りのある堅い素材や、マスキュリンな要素を感じさせるディテールも組み合わさっている。まるでコートを再構築したようなドレスは、まだらな模様が艶めくツルリとした硬質的な素材と、ジャケットのようにかっちりとしたハンサムなシルエットで表現。一方で、裾の部分や胸元に組み合わせた柔らかな素材が、コントラストを生み出している。模様やドレープで「生命の流れ」を表現もちろんブランドのテーマである「生命」や「輪廻」は、ルックのあらゆるところに溶け込んでいる。多くのルックに施されたうねるような模様は、筋や波、地層などを連想させる。輪廻という生命の流れと、うねりが表現する自然や大地の流れが呼応しているようだ。また、デザイナーの宮津自身が「樹木が合う服を作りたい。」と語るように、流れるよなドレープのドレスは、会場に飾られた木の飾りと馴染んでいる。
2018年10月18日ステア(STAIR)の2019年春夏コレクションが、2018年10月15日(月)、渋谷・CARATO71にて発表された。コレクションテーマは「MOMENT」ステアの今季のコレクションテーマは「MOMENT」。写真家である父の影響から、デザイナー・武笠綾子が手に取ったのは、アメリカの写真家・エドワード・ウェストンのヴィンテージ写真集。レンズ越しに映し出された、古くも美しい世界に感銘を受けて、その“レンズ越しの世界観”をテキスタイルやカラー、シルエットに落とし込んで表現する。異なる印象を残すピースレンズの映し方次第で広がる、全く異なる風景。写真の持つその面白さは、連続したピースで分かりやすく表現された。例えば、ファーストルックのスカートに現れたオリジナルのジャカード生地は、次のピースでトップスとなって再び登場。またショート丈のワンピースに使用されたチェック柄のテキスタイルは、アシンメトリーなロングスカートにも起用されている。同じテキスタイルの連続であっても、その手法に捻りを加えるだけで、観る者にフレッシュな印象を与える。写真集から着想を得た曲線的なフォルム写真集に映し出された砂漠や、植物の曲線的なラインは、洋服のシルエットとなって蘇る。スカートには、プリーツをあしらってうねりを強調。アシンメトリーなドレスには、繊細な光を放つスパンコールを流れるように散りばめて、その優雅なフォルムを引き立てた。メタリックカラーが残す鮮烈な印象テキスタイルは、“レンズ越し”を意識して、シフォン生地や、網目模様のテキスタイルなど、肌を透かせる素材が多用されている。そこに彩りを与えるのは、アイボリーやブラックといったベーシックな色合いに織り交じる、色鮮やかなメタリックカラー。ブルー、ピンクといったカラーパレットは、どこか懐かしさを感じさせる色彩で、モデルがランウェイを横切るその一瞬に鮮烈な印象を与える。それはまるで、カメラが“一瞬(モーメント)”を捉える際の出来事を体感しているかのようだった。
2018年10月18日ハレ(HARE)の2019年春夏メンズ・ウィメンズコレクションが、2018年10月18日(木)に東京・渋谷ヒカリエにて発表された。スクエア(四角)をテーマにテーマは「スクエア(Square)」。それは洋服から容易に読み取れる。ジャケットやシャツはボックスシルエットで、ベストに至ってはブロックチェックであるだけでなく、サイドを開けたままの前掛けのようなフォルムだ。ボトムスはというと、メンズであればトラウザーにサイドラインを走らせることで直線を強調し、ウィメンズであればペンシルスカートで長方形を象っている。ディテールにもテーマを分かりやすく反映しており、特にポケットがその好例。フラップ付きポケットは、まるで小さな箱を取り付けているみたいに立体的だったり、胸ポケットはパイピングすることで強調していたり。また、テーマを純粋に汲んだポンチョは、ジッパーを台形状に配したフロントと、巨大なポケットを配してそのフォルムを強調するバックで構成されていて、あらゆる方位から“スクエア”を組み込んでいる。“スクエア”から連想する、折り紙のようなデザインも今季特筆すべきポイントのひとつだ。ウィメンズでは、トップスをウエストに巻いたようなスタイルが登場し、コルセットのような役割を果たしている。しかし、それがデザインという意義だけでなく、ポケットを配することできちんと機能的役割を持っている。“スクエア”のイメージを払拭する存在これほどまでにテーマに忠実な“スクエア”の連続。その形からは、やはり堅苦しい印象であったり、無機的な印象をぬぐえないのが普通だ。しかしハレは、それを覆すためにテキスタイルやカラーリングへ、対照的な柔らかさやしなやかさをを加味し、解放を意図させた。スクエアの連続の先にあったのは、“自由”に溢れた表現だ。選んだ素材は、爽快感に溢れていて軽やか。フワフワと揺れるシースルー素材に、テクニカルなメッシュ素材。少し硬質的なテキスタイルもシワ加工によって、しなやかさを纏う。スクエアを強調するために入れたスリットやデフォルメされたパターン、そして直線を表すはずのニットの延長にあるフリンジは、軽やかな素材感の魅力を底上げする手法となっている。さらに自由度は高く、エキセントリックなマーブル柄だったり、ストリート感溢れるタイダイ模様だったり……。柔軟性のある模様は、スクエアシルエットの重厚的な雰囲気を打ち壊して、柔らかな印象へとシフトさせる。ハッピーな花柄と、柔らかなペールトーンの色合いはテーマにはそぐわないくらいに角がなくて、それは“何かからの解放”を謳っているようにも思える。
2018年10月18日ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2019年春夏コレクションが、2018年10月15日(月)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。インスタレーションを取り入れた"新しい"ショードレスドアンドレスドは、2019年1月、ブランド立ち上げから10周年というアニバーサリーイヤーを迎える。そんな記念すべきシーズンに向けたコレクションを披露する上で、デザイナー・北澤武志が意識したのは"新しい"ドレスドアンドレスドを見せること。"恋は食事に似ている"という言葉に着想を得たピースを、インスタレーションを取り入れた新しいランウェイ形式で展開していく。レストランから始まる恋シーズンテーマは「レストラン(RESTAURENT)」。レストランの店内を彷彿とさせる会場には、大きなテーブルと9脚の椅子が並べられた。ファーストルックを飾ったのは、ウェイターのようにマスキュリンなジャケットを纏った女性モデル。美しい店員に魅せられた客が彼女にこっそり渡したメモは、きっとラブレターに違いない。彼女が纏うジャケットには、"You are pretty"の文字が綴られている。またその文字の隣には、ドレスドアンドレスドのブランドロゴと、電話番号も添えられた。"隠す""見せる"も恋のテクニック前シーズンで特に意識していた、"隠す""見せる"のキーワードは、今季も健在。なぜなら、レストランを舞台にした恋の駆け引きでも、"隠す""見せる"は重要なテクニックだから。一見するとベーシックなブラックジャケットも、バックスタイルが大胆にくり抜かれ、背中が露わになっている。スラックスにショートパンツをドッキングしたかのようなボトムスからは、脚をすらりと覗かせた。モデルたちはランウェイを歩いた後、中央に並べられたテーブルに着席。フィナーレに向け、用意された席が次々と埋まっていく。全員が揃った時。モデルたちは突然、スローモーションのようにゆっくりと動き始めた。食事をしたり、ワインを飲んだり、目隠しをしたり...それぞれのミステリアスな恋のストーリーを繰り広げていた。
2018年10月18日アオイワナカ(AOI WANAKA)の2019年春夏コレクションが、2018年10月15日(月)に、東京・渋谷ヒカリエで発表された。コレクションテーマは「菜虫化蝶」「日常に彩りを添えるデザイン時間を共に歩む服を」をコンセプトに唱えるアオイワナカは、着る人にとって少しでも自信がもてるよう、自立した女性に向けて洋服作りを提案するウィメンズブランド。東京コレクションに初参加となる今回、シーズンテーマに掲げたのは「菜虫化蝶」。デザイナーの和中碧 は、これから本格的にスタートする自身のブランドへの想いを込めて、“いつか蝶になる”幼虫の様子をクリエイションで表現したという。幼虫の美しさを表現したシルクドレスファーストルックに登場したのは、鹿の子絞りを全面にあしらったシルクドレス。立体感のあるテキスタイルは、幼虫の美しさをイメージして採用したもの。ドレスが空気を含むたび、よりその立体的なフォルムは増し、まるで生きているかのような躍動感を感じさせる。植物からインスピレーションを得た淡いカラーリングピースを彩る淡いカラーパレットは、ヤマブキやシモクレンといった植物から着想を得た。淡い色合いをのせたシフォン素材は、ドレスのテキスタイルの一部として多用されていて、モデルの足や腕をヴェールから覗いているかのように映し出す。そこには、センシュアルな雰囲気よりも、触れると壊れてしまいそうな儚さが存在する。ピースを飾るカットワークカットソーやスカートを飾るのは、蝶や植物を描いた刺繍やパンチングといったカットワーク。アイボリーやブラウンといった、一見目立たない色合いのピースに、エレガントなムードをプラスしている。蝶になることを夢見てラストを飾ったのは、シフォンスカートを合わせたニットのカットソー。ラッフルのようにふわりと広がるニットの袖は、“羽根”となるまでには至らず、その“胴体”もまだ完結していない。「このコレクションでは、蝶になった様子を描いていません。それはこのブランドがこれから作り上げていくことだから」と語る和中碧 。本格的なスタートラインに経ったブランドが、いつの日か蝶のように美しい羽根を広げて羽ばたいていきたい、という強い想いを感じることができるコレクションとなった。
2018年10月18日トリー バーチ(TORY BURCH)の2019年春夏コレクションが、アメリカ・ニューヨークで発表された。毎夏繰り出した、両親のバカンスが着想源今季のインスピレーション源となったのは、トリー バーチの両親が毎夏繰り出した旅行先での思い出。冒険家であった彼らが選ぶバカンスは、イタリアからギリシャ、モロッコ、スペインまでを6週間ほどかけて巡る刺激的なものであった。今季のコレクションでは、両親が幼いトリー バーチに聞かせてくれた、そんなバカンスでの思い出話が、美しいドレスとなって蘇る。異国の土地柄や文化を感じさせる色&柄ピースを彩るのは、夏の日差しによく映えるホワイトや、爽やかなネイビーなど。そこに鮮やかなオレンジやグリーン、コバルトブルーといったポップな色合いが時折加わり、楽し気なバカンスのムードを助長する。海辺でのひと時を彷彿させるストライプ柄や、エキゾチックな異国文化を香らせるエスニック柄など、テキスタイルのプリントからも、様々な土地や文化が感じられる。刺繍や装飾を飾って、女性らしさをプラスサファリシャツやスーツ、チュニック、ニットカーディガンなどは、どれもリラックスできる、ゆったりとしたシルエットが特徴。けれど旅先でも女性らしさを忘れてはいけないから、モロッコ風のカフタンドレスにはたっぷりの刺繍を、踝まで伸びた白のシャツワンピースには、ゴールドのコインをあしらって、ゴージャスな佇まいへと昇華している。エフォートレスなアクセサリーアクセサリーは、展開されるピースに同調したエフォートレスな印象。足元には、アクティブなキャンバス地のスニーカーを差し込み、スポーティーなムードをプラス。モデルが手にするハンドバッグは、両親が旅先で持ち歩いた“カメラバッグ”から着想を得たというすっきりとしたシルエットで、洗練された印象を与えてくれる。
2018年10月17日チャーチ(Church’s)が、世界に先駆けウィメンズの2019年春夏新作シューズを取りそろえた期間限定ショップを伊勢丹新宿店本館 2 階=婦人靴/プロモーションに、10月17日オープンする。大阪の阪急うめだ本店に続いてオープンする東京初のこの期間限定ショップでは、チャーチで定番人気のレース アップシューズ「シャノン」と、ベーシックなローファー「ペンブリー」に、英国を象徴するタータンチェックプリントを施した特別なモデルに加え、新作のトリプルモンクシューズ「バベル」 や、トリプルモンク ショートブーツ 「アメリア」が登場。いずれもユニオンジャックを刻印したヒール部分のメタルプレートがポイントになっている。期間限定ショップの会期は23日まで。タータンプリント レースアップシューズ 「シャノン」 ブラック 7万5,000円※予定価格また、同日の17日には、チャーチのウィメンズシューズだけを取り扱う国内2店舗目のショップが阪急うめだ本店にオープンする。同店はでは、2018-19年秋冬コレクションのスモーキーなダークグレーカラーをまとったレースアップブーツ「アレクサンドラ」を始めとする新作や、定番モデルが豊富にそろう。
2018年10月17日ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)の2019年春夏コレクションが、2018年10月13日(土)に東京・日本橋三井ホールにて発表された。唯一無二の着物たちを今季のジョウタロウ サイトウのコレクションテーマは“One and Only -唯一無二-”。ランウェイには、和の伝統は受け継ぎながらもモダンな雰囲気を纏った、今までも、これからも、2つとして同じものはない、まさに“唯一無二”な着物たちが登場した。シックな色に現代的な柄を落とし込んで登場した着物たちは黒や茶色などシックな色が基本。落ち着いた色味の中には、赤や青、黄色などのカラーがアクセントとして用いられている。“唯一無二”な点は表面に描かれる柄に現れる。2種類の異なる格子模様を組み合わせたものや、夏の花である彼岸花を想起させるような幾何学的な模様のものなど、ジョウタロウサイトウが描く模様は斬新でありながら、伝統的なエッセンスも忘れない。“夢のはじまり”と名付けられた新作の柄にも注目したい。何種類ものパターンを織り交ぜて完成させた今までに見たことのない一つの模様は、芸術的かつモダンなルックス。ラベンダーとベージュのコンビネーションのこちらは、裏地のスカイブルーと共に爽やかな印象の一着に仕上げられている。個性溢れる帯着物と共に個性を主張するのが帯だ。中でも今回のランウェイにおいて複数回登場したペイントアートのような柄が描かれた帯は特に目を惹く一品。現代的なデザインが巧く、和装において必要不可欠なアイテムとマッチした。和の装いに新たな表情をコレクション内で新作として発表されたアイテムには“ニット半衿”やパイソン型押しのクラッチバッグなどがラインナップ。新たな素材を取り入れることで、和装というスタイルに今まで無かったユニークな表情が落とし込まれた。
2018年10月16日アキコアオキ(AKIKOAOKI)の2019年春夏コレクションが2018年10月12日(金)に、渋谷・セルリアンタワー東急ホテルにて発表された。ノスタルジックなホテルの一室で今季のコレクションは、37階に位置するホテルの一室でインスタレーション形式で発表された。デザイナーの青木明子は、様々な客が利用するにも関らず、その滞在期間だけは“パーソナルな場”として変容するホテルの個室に魅力を感じ、この場所を選んだという。ドアを開けるとまず目に飛び込んでくるのは、リビングルームのソファでくつろぐ最新コレクションを纏ったモデル達。またベッドに置かれたままの、食べかけのチェリーパイや、脱ぎ捨てたハイヒール、バスルームで切られたバラの花など、その部屋の随所にも拘りが散りばめられており、空間一体にノスタルジックな雰囲気が漂っている。淡いカラーのシフォンで女性らしさを演出ラックに掛けられたアイテムを彩るのは、ホワイトやブラウン、グレーなどベーシックな色使いに加え、淡いピンクやパープルといった女性らしいカラー。カットソーやスカートといった日常に馴染むベーシックウェアに重ねたシフォン生地は、淡いカラーで染められ、センシュアルな雰囲気を醸し出している。90年代のスポーティーな要素を取り入れてホテルを利用する様々な年代の客に着想を得て、取り入れたのは90年代のスポーティーな要素。光沢感のあるネイビーのスカートは、伸縮性のあるファブリックとドッキング。自分でシルエットの調節ができるドローコードもつけられている。女性らしいシルエットやカッティング脱ぎ掛けているかのようなシルエットのシャツワンピースや、カッティングを肩に入れたワンピースなど、女性の肌を露わに魅せるセンシュアルな雰囲気のピースも。前身頃にフックを散りばめたシャツやワンピースは、フックの取り外しで肌を垣間見せる仕掛けが施されている。
2018年10月15日チャーチ(Church’s)から、2019年春夏新作レディースシューズが登場。全国のショップで、2019年1月下旬ごろより展開される予定だ。フラワーパッチワークやタータンチェック柄の新作イギリスの伝統的な職人技が光るクラシカルなシューズに、現代的なデザインを取り入れたチャーチの新作シューズ。人気のレースアップシューズ「シャノン」や、定番のローファー「ペンブリー」には、フラワーパッチワークを散りばめた新作が加わる。また、英国ブランドのチャーチを象徴するタータンチェックも目を惹く。モデルは「シャノン」「ペンブリー」に加え、新作のトリプルモンクシューズ「バベル」が展開される。その他、ユニオンジャックを刻んだメタルプレートをヒール部分に配した「バベル」やショートブーツ「アメリア」も取り揃える。期間限定ショップで先行発売なお、紹介した新作シューズは、2018年10月10日(水)から16日(火)まで阪急うめだ本店で、10月17日(水)から23日(火)まで伊勢丹新宿店で開催されるチャーチのレディースシューズ限定ストアにて世界先行発売される。【アイテム詳細】チャーチ2019年春夏新作レディースシューズ発売時期:2019年1月下旬アイテム例:※全て予定価格・フラワーパッチワーク レースアップシューズ「シャノン」78,000円+税・タータンプリント ローファー「ペンブリー」67,000円+税・トリプルモンク ショートブーツ「アメリア」87,000円+税【限定ストア詳細】・阪急うめだ本店4階 プロモーションスペース 44期間:2018年10月10日(水)~16日(火)住所:大阪府大阪市北区角田町8−7・伊勢丹新宿店本館2階=婦人靴/プロモーション期間:10月17日(水)~23日(火)住所:東京都新宿区新宿3-14-1※先行発売シューズは店舗により異なる。【問い合わせ先】チャーチTEL:03-3486-1801
2018年10月12日バレンシアガ(BALENCIAGA)の2019年春夏コレクションから新作アイウェアが2019年1月より登場。ドーバー ストリート マーケット ギンザでは、同コレクションを2019年1月2日(水)から9日(水)までの期間限定でいち早く取り揃える。2018年9月にフランス・パリで発表された2019年春夏コレクションで初披露となったアイウェアコレクション。デムナ・ヴァザリアのディレクションのもと、「Everyday(日常)」と「Extreme(極限)」の2つにグルーピングされた、バリエーション豊かなアイウェアが展開される。ユニセックス構造を落とし込んだ「Everyday」「Everyday」には、バレンシアガのアイコンであるシャープでユニセックスな構造を落とし込んだアイテムを取り揃える。空中にとどまっているかのように繊細で軽やかなメタルフレームを、アセテート素材が包み込むように支えるモデルなど、そのラインナップは多彩だ。スポーティなエッセンスを汲んだ「Extreme」「Extreme」には、スポーツにインスパイアされたレンズを特徴とする現代的なアイウェアを用意。革新的な構造とミラー素材を採用した、エレガントかつダイナミックなモデルが登場する。ドーバー 銀座で限定販売&限定ディスプレイドーバー ストリート マーケット ギンザでは、期間限定で初のアイウェアコレクションを販売。特注スタンド上に並べられるラインナップには、普段使いのものからエキセントリックなものまでが揃う。また、アイウェアの発売とともに限定ディスプレイが展開され、販売会場はバレンシアガの旗艦店のコンセプトを反映した、むき出しのアルミとグレーを基調とする打ちっぱなしの構造となる。バレンシアガを象徴するロゴ入りカーペットとグラフィックの要素も落とし込んだ。【詳細】バレンシアガ 2019年春夏アイウェアコレクション発売時期:2019年1月■ドーバー ストリート マーケット ギンザ 限定販売期間:2019年1月2日(水)~9日(水)【問い合わせ先】ケリング アイウエア ジャパン カスタマーサービスTEL:0800-555-1001
2018年10月11日9月24日、グッチ(GUCCI)がクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)による2019年春夏ウィメンズ&メンズコレクションを発表した。Images by Dan Lecca今シーズンは、メゾンの歴史の中で初めて発表の場をパリへと移した。会場となったのは、ル・パラス(Théâtre Le Palace)。1968年5月のパリ学生運動を着想源とした2018年プレフォール コレクションの広告ビジュアル、2018年5月にフランス アルルで行われた2019年クルーズ コレクション ファッションショーに続く、フランス三部作を締めくくるものとなった。ショーの合間にはサプライズでジェーン・バーキン(Jane Birkin)によるパフォーマンスが行われ、名作「Baby Alone in Babylone」が披露された。
2018年10月09日セリーヌ(CELINE)が、2019年春夏コレクションショーをパリにて発表。今季よりアーティスティック、クリエイティブ、イメージ・ディレクターを務めるエディ・スリマン(Hedi Slimane)によるデビューコレクション。今シーズン最大の注目を集めたショー。フロントロウには、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、レディー・ガガ(Lady Gaga)、カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)ら錚々たる面々が集結した。フランス共和国親衛隊によるドラム演奏が静かに響く。暗闇の中央に現れたメタリックなオブジェの扉が開くと、その中から女性モデルと男性モデルが交互に登場。これらのセットデザインを含め、全てのディレクションをエディ・スリマン自身が担当したという。コレクションのテーマは「パリの夜」。若い世代をターゲットに、これまでのセリーヌのイメージを一新するエッジーなロックスタイルを展開した。ウィメンズのスタイルはマイクロミニ。胸元に巨大なリボンを纏ったようなドレスやメンズのジャケットに合わせた“ダンシングドレス”、繊細なレースやメタリックに輝くドレスには見事なクチュールワークが見て取れる。ナロータイやライダースジャケットなど、エディ・スリマンを象徴するアイテムも多く、カラーパレットはもちろんノワール。テーラードスタイルは全体的に細身であるものの、ジャケットのレングスを変化させたり、パンツにタックを入れて大きなポケットをあしらうなど、ややリラックスした雰囲気だ。今回新たにスタートしたメンズラインは、全ルックがユニセックスデザインになっており、ウィメンズとしても着用できる。エディ・スリマンがこれまでに「ディオール オム(Dior Homme)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」で見せてきたスキニーなシルエットは共通しているが、それぞれのアイテムはミニマムでシックなデザインに進化したように感じられる。その中で異彩を放ったのは、音楽とアートの領域を横断するアーティストとして知られるクリスチャン・マークレー(Christian Marclay)とのコラボレーションアイテム。全96ルックが登場するボリューム満点のコレクションとなった。エディ・スリマンは、ルーブル美術館大学在学中のほとんどの夜をパリにある「Les Bains Douches」などのナイトクラブで過ごしたという。そんなエネルギッシュな時代のムードを反映させたデビューコレクションは、前クリエイティブ・ディレクターのフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が10年かけて確立したセリーヌのイメージとは対極の方角へと向かい、これまでのファンを置き去りにした感は否めない。しかし、エディ・スリマンが彼らしさを貫いたことで、メゾンが新たな客層を取り込めるのは間違いない。結論を出すのはまだ早いのかもしれない。新生セリーヌの航海は今、始まったばかりだ。
2018年10月09日セリーヌ(CELINE)の2019年春夏ウィメンズコレクション。今季のパリは、セリーヌの話題で一色だった。エディ・スリマンがパリにカムバック。ショーの前は「セリーヌはどうなる?」、そしてショー後は「新生セリーヌをどう思った?」と。とにかくファッションシーンは終始このトピックで持ち切り。ここまで話題を作り、注目を集めるエディは“カリスマ”か。テーマは「パリの夜」デビューショーのテーマは「パリの夜」。“セリーヌが消えた。 アイ ミス フィービー。”その声が上がるのも無理はない、これまでのセリーヌとは違う。ミニドレス、ギラギラの装飾、細身のタキシード。エディのコードがランウェイを駆け巡っている。エディファンにはたまらない、デビューショーの幕開けだ。学生時代のエディの記憶がいまに繋がるしかし、蓋をあけると、好きなものはずっと好きでいる彼のピュアな心と、ファンに向けてマイスタイルを贈る思いやりの心が垣間見える。インスピレーション源は、エディの10代の記憶。パリで学生時代を過ごした彼は、クラブに通い夜を過ごしたという。当時の思い出をファッションに落とし込み、そして自分の大好きな音楽との融合を楽しむ。クラブで踊っていた女の子たちをイメージした、ダンシングドレス。ふっくらと膨んだパフィーなミニドレスに、パイソン・クロコダイルなどアニマルモチーフのワンピース。華奢な脚を引きたてるミニドレスにはメンズライクなジャケットをあわせて、女子だってスーツを着たっていいじゃないとパンツスーツも用意した。エディに欠かせない「音楽」の要素70年代ヨーロッパを中心に流行っていた、コールドウェーブという音楽のムーブメント。グラフィカルな衣装を纏って、エレクトロミュージックを奏でていたアーティストたちをヒントに、ショルダーを大きく張ったジャケットや太もも辺りに羽のようなテキスタイルを残したテーパードパンツなどを作り出した。頭にのせたのはViViハットという名の小さな帽子かヘアバンド。これもパリのクラブで見かけた、女の子たちの思い出から生まれている。繊細な手仕事が生む「ストリートtoクチュール」エディの思い出が詰まったピースは、繊細なクチュールのテクニックによって表現される。強気なアニマル模様も全てスパンコールやビーズを並べて緻密な刺繍によって生まれたもの。ビッグサイズのドレスにもジャケットにも、細かいパーツを重ねて重ねて模様を描いた。ストリートtoクチュール、エディが示したもう一つのキーワードは、彼の大切な思い出とセリーヌの職人たちの手仕事によって表現されている。
2018年10月07日ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)の2019年春夏コレクションが、フランス・パリで発表された。ショーでしか体験できないこと「ファッションショーでしか体験できないことを届けたい。」デザイナーの二宮啓の願いは、ドラマティックな演出で実現される。モデルがランウェイに降りた瞬間“たんぽぽになった”。真っ白なふわふわヘアーから、一つまた一つと綿毛が舞い、ふわふわと会場を漂っている。“花と人が一つになる”夢のような物語からショーはスタートした。テーマは「フュージョン」テーマは「フュージョン」。AとBが一つになって新しいものを作る。目指したのは、相反するものを融合させるのではなく、交わるはずのない異なる性質のコンバイン。軽い素材と重量感のある素材のミックスはありきたりだから…と、シルクとPVC、合皮とオーガンジーといった不協和音のようなマッチングにトライした。小さなパーツを繋いで服を作る小さなパーツやリボン状の長いパーツを繰り返し、繰り返し、繋げて出来上がるウェア。薄いPVCが波のように重なったジャケットやコート。断層のようにレザーを重ねたライダースジャケット。小さなピースを繋ぐのは光沢のあるメタルで、マテリアルの隙間からほっこり顔を出して輝きを届ける。コーディネートはレイヤードをポイントに。ライダースジャケットの上にはベストを、スカートの上にはさらにスカートを、斬新なミックススタイルが提案される。花のようなドレスなどもありながらも、新しさを感じたのはマニッシュなスタイル。テーラードコートやブルゾン、パンツスタイルなどが登場している。
2018年10月07日