当時、息子は生後9カ月。おすわりやハイハイ、つかまり立ちなど、できることが増え、行動範囲が広がってきました。成長をうれしく思う反面、子育てに行き詰りそうになることも。なかでも苦痛だったのが食事の時間です。今回は、ジッとしていられなかったわが子の食事に関する体験談を紹介します。 日に日に活発になってくる息子離乳食も後半に入った生後9カ月ごろ、息子の活発度は日に日に増していきました。自分の意思で移動できるようになり、引き出しやリモコンなど興味のある物に一直線。行動範囲が広がり、ますます目が離せなくなりました。 この時期で一番大変に感じた日常シーンは、「食事時間」でした。体を動かすのが大好きな息子はジッとしているのが大の苦手です。案の定、食事中も椅子に座れませんでした。 ジッと椅子に座っていられない大人と同じ目線で食べられるよう、ハイチェアに息子を座らせていました。しかし、ジッと座って食べたことは一度もありません! 椅子の上に立とうとする、ダイニングテーブルを足で蹴るなど、体を動かしていないと気がすまない様子です。 「きちんと座ろうね」と何度言ったことか……。残念ながら私の声が届くことはありませんでした。どうすれば椅子に座って食べてくれるのかが、最大の悩みでした。 ハイチェアからローチェアに変えてみた先輩ママにもらったアドバイスは、「足置きがある椅子を選ぶ」、あるいは「足が床につく椅子を使う」ことでした。そこで床に足がつくタイプの「ローチェア」に座らせてみました。 その結果、なんとある程度ジッとして食べられる時間が増えたのです。足が宙に浮いている状態で食事をしていたことも、食事に集中できない一因だったのかもしれません。 食事中は周りに興味をひくような物を置かない工夫をしました。また、絵本を読むなど、ある程度椅子に座っていられる時間もつくるように。なかなか難しいことでしたが、息子なりに少しずつ座っていられる時間が増えたように思います。著者:田中由惟一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。
2019年09月21日男子兄弟を連れていると、公共の場や密室空間となる乗り物は、ママにとって拷問のような時間になりますよね。私も、わが家の3男児を連れて行くとなった時には、あれこれ覚悟をして出かけます。今回は、静かにしてほしい公共の場や乗り物に、男子を連れて行く時の奥の手ポイントをご紹介します。■奥の手その1:「できたらカッコイイ」とひたすら言い続ける静かにしてほしい場面で、口を閉じてジッとしていられる男子はほとんどいません。彼らにとって恐ろしい存在であるママがどんなに「シッ!」と言っても、効果があるのは30秒ほど。すぐに動きだして、ゲラゲラ笑う声が響きわたってしまいます。そんな彼らにジッと静かにしてほしい時には、とにかく「できたらカッコイイな〜」と言い続けます。特に、ヒーローに憧れているなら「できたら◯◯みたいでカッコイイんだけどな」と言うと、「シッ!」と威嚇するよりも長い時間、効果があるのでおすすめです。ただ、このセリフも言い続けなければならず、しかも、そのうち効果をなさなくなってきます。公共の場での用事がすむ・乗り物を降りるまでには、いくつもの手段を用意しておかなければなりません。■奥の手その2:「静かにしていられるゲームをしよう」と誘ってみる“敵”が奥の手その1を突破してしまったら、次は、「ジッと静かにしていられるゲーム」に誘ってみましょう。「何秒できるかな」と時間を測って、長くできた人が勝ち=カッコイイ、というルールを決めてスタート。兄弟がいれば競わせるとより効果があります。時間を測るのが面倒では…という心配は不要です。大体、秒単位〜もって数分で、1ラウンドが終了します。これもそのうち、飽きたり、変顔をして笑わせて「動いた! 負け〜」という別のゲームになっていったりするので、うるさくなりそうになったら、別のアイデアに移りましょう。 ■奥の手その3:この機会に子どもにたくさん質問してみる絵本を読んだり、覚えているおとぎ話などをしてあげるのは常用手段ですが、なかなかジッとは聞いていてくれないですよね。そこで、「昨日は幼稚園/保育園/学校で何したの?」「どんな夢を見た?」など、こちらから話題をふって会話を楽しむ時間を作ってみましょう。シーンとした場所では難しいですが、バスや電車の中などであれば、普通の会話程度の大きさなら問題ありません。声の音量には気をつけながら、普段はじっくり聞けない話をしてみると、子どもの知らない一面を聞くこともできて一石二鳥です。あまり自分のことを話したがらない子であれば、車窓から見える景色の話をしてもいいですね。■奥の手その4:とにかく「奥の手」をたくさん用意しておくことゲームをしたり、お話をしたり、あの手この手を使って気を紛らわすことが大切です。飽きやすいので、いくつもの手段を用意しておくのがベスト。ただし、逆に盛り上がりすぎても、子どもの声がどんどん大きくなってしまうので注意。「興奮してきたな…」と思ったタイミングで違う遊びに切り替えるのがおすすめです。「長く座っていられた人が勝ち」「息を長く止められた人が勝ち」などその場の状況にあったゲームもバージョンを変えながら続けられるのでいいですよ。子どもには、公共の場や乗り物でのマナーは、身につけてほしいもの。でも、すぐにできるようにはならないですし、ママは思わず「静かにして!」とイライラすることもありますよね。根気強く「静かにする場であること」を伝えていけば、いつかは静かにしていられるようになります。ママが子どもを怒る声が一番大きくならないよう気をつけて、やり過ごせるようになりましょう!
2018年01月18日ADHDの子どもの学校生活出典 : の特性を持つ子どもにとって、6時間近くじっと座って授業を受けるということは、それだけで重労働です。我が家の小学校1年生の息子(ADHDの診断済)は離席こそしませんが、授業中は常に椅子をガッタンガッタン、貧乏ゆすり。それについて叱られると、今度は鉛筆をガリガリと噛み始め、息子の鉛筆は書く側だけでなく反対側の端からも減っていきます。また、姿勢をまっすぐに保ち続けることに大変な労力が必要なため、すぐに姿勢がぐにゃっと崩れ始めます。息子が口癖のように言うのは「僕は6時間もじっと座っているんだよ!褒めてよ!!疲れるんだよ!!」です。これは何の誇張でもなく、息子の素直な気持ちなんだと思います。でもふと思うことはありませんか?「ジッと動かないでいたほうが集中力って高まるんだろうか?」息子の言葉を聞いて、自分が仕事をしているときのことを思い出してみました。確かに音楽や人の話し声などが聞こえてくると、集中力が削がれ、パフォーマンスは落ちます。けれども、私自身、仕事で難しいところにさしかかり始めると、激しく貧乏ゆすりをしたり、身体を左右に揺れ動かしたり、それでもダメなときは部屋中をウロウロと歩き回ったりします。そのほうが、頭が回転するのを感じるのです。実はこれ、海外の研究でも同じようなことが指摘されています。海外でのユニークな取り組みリンク先のアメリカの教育振興センター(Center for Educational Improvement)の記事を見ると、不思議な写真が掲載されています。1枚目のニコニコ笑顔の子どもが座っている学習机をよく見てみると、足元にペダルがついているのです。 Kinetic Classroom: The Pedal-Desk, ADHD, and the Mind-Body Connection (活動的な教室―「ペダルデスク」「ADHD」「心と身体の関係」)このペダルは何だろうと読み進めていくと、「ペダルデスク」と呼ばれているもので、実際にはフィットネス用のエクササイズバイクを子ども用に小さく改造し、さらに発生音を小さくしたものであるようです。海外では、ADHDなどの子どもに限らず、子どもたちの集中力を高めるために取り入れている学校もあるようです。記事の中では、特にADHDとペダルデスクとの関係について触れられています。衝動・多動の特性があったり、集中力の維持が難しかったりするADHDの子どもたちにとって、ペダルデスクがエネルギーのはけ口としてとても役立つということが研究で明らかになっているというのです。さらに、運動をすることで、集中力が高まり、気が散りにくくなることが最新の研究から分かったといいます。また、集中力のほかにも、記憶力や創造性が高まるという報告まであるようです。「ジッと座って静かに授業を受けるほうが集中力が高まり、学業のパフォーマンスが上がる」というこれまでの常識を覆した研究が出てきたことにより、アメリカやカナダの学校で取り入れられるようになったのがこの写真にある「ペダルデスク」なのだそう。Pedal power boosts N Carolina pupils’ performance(ペダル・パワーで成績アップ-ノースカロライナ州)こちらの記事は、「ペダルデスク」をアメリカのノースカロライナ州の学校に取り入れた例です。ペダルを漕がせながら授業に参加させることにより、子どもたちの学業成績は顕著に向上し、授業に積極的に参加するようになったと書かれています。下の動画は、実際にペダルデスクを取り入れた学校を取り上げたものです。動画に出てくる女の子は、「すごく難しい問題を解くときなんかは、ペダルを高速で漕ぐのよ」と話しています。これは、「頭を回転させるためには、身体の運動が付随していたほうが良い」ということを表しているのかもしれません。「ジッとしなさい!」と叱るよりも前に出典 : これまで、勉強しながら手足をモソモソ、鉛筆カミカミ、身体グニャグニャする息子に対して、私は何度「集中しなさーーーい!!」と声を荒げたことでしょう。このコラムを書きながら、大反省しています。集中というのは、身体を動かしているほうができる場合もあるのでしょう。頭を高速回転させるときには、身体も一緒に動いてもおかしくないのかもしれません。これまでの常識が覆される思いです。家庭でペダルデスクを取り入れることが難しいとしても、アメリカの教育振興センターの記事の中にはこんな記述があります。「10分程度の運動時間を取り入れるだけで、学習パフォーマンスの明らかな改善が見られる」「ADHDの子どもは長い時間集中することに苦痛を感じるため、都度休憩を入れることが学習の助けになる」というのです。Scheduling breaks for exercise in the class for periods of as short as 10 minutes can show demonstrable improvements in academic performance and mood (Howie, 2013). For students with ADHD, extended attention can be particularly stressful and cognitively demanding so the very act of taking a break itself can be very helpful to them (Brock, 2002).こうしたアメリカでの取り組みや研究が、日本の子どもたちにも同じように当てはまるものなのかは、まだはっきりとはわかりません。ただ、成績UPの効果はさておき、細切れに休憩を促したり、勉強の前に身体を思いきり動かす時間を作ることは、ADHDの子どもたちにとって心地よい配慮となるかもしれません。運動や休憩の時間が、親子の楽しいコミュニケーションにもつながり、宿題の時間が今までとは違った時間になるかもしれませんね!
2017年11月23日