東京都感染症情報センターは9月2日、都内のデング熱報告数の推移などを明らかにした。蚊を媒介して感染するデング熱は、デングウイルスを原因とする急性の熱性感染症。主な症状として発熱や頭痛、筋肉痛、皮膚の発疹などがある。症状は1週間程度で回復するが、ごくまれに感染者が死亡するケースもある。昨年は8月中旬頃から東京都をはじめとする関東圏で、70年ぶりとなるデング熱の国内感染者が続出。8月末から厚生労働省が感染者数の公表に追われ、最終的な国内感染者は160人を数えた。昨年9月4日にデングウイルスを保有している蚊が東京都の代々木公園で確認されたことなどもあり、同公園や国立オリンピック記念青少年総合センター、新宿御苑などの施設が閉鎖された時期もあった。今年は国内感染者がいまだ報告されていない一方、海外での感染者は増えている。8月30日時点での東京都における感染報告数は53人。2011年以降の推移と比べると、国内感染者が続出した2014年を除けば2番目に報告数が多かった2012年と、今年8月時点の数値がほぼ等しくなっている。このまま増えていけば、2012年や2013年の報告数を上回る可能性もある。厚生労働省が「海外の流行地で感染し帰国した症例が近年では毎年200名前後」見られるとしているように、元来、デング熱は主に東南アジアや南アジア、中南米などで感染者が多く報告されている。実際、同センターも「推定感染地域別報告数」を公表しているが、今年の東京都の感染者数の大半がインドネシアやフィリピン、タイなどで感染したと見ている。今後もこれらの地域に渡航する際は、注意が必要といえそうだ。なお、世界保健機関の西太平洋地域事務所によると、今年のマレーシアのデング熱の感染者は8月15日時点で約7万6,000人となっており、昨年同時期に比べて3割近く増加している。ベトナムは8月16日時点で感染者が2万5,000人近く報告されており、昨年同時期に比べて5割以上も多くなっている。同じくフィリピンもやや増加傾向にあるとのこと。一方で、中国は7月の感染者数は過去3年と似たような傾向にあり、オーストラリアの感染者数も昨年とほぼ同様となっている。※画像はすべて東京都感染症情報センター提供
2015年09月03日毎年夏になると悩ましいのが、知らないうちに血を吸っていく蚊。刺されるとかゆいし、赤く腫れて目立つし、脚や顔に刺され跡があっては、せっかくのおしゃれも台無しです。昨年はデング熱騒動もあり、できるだけ蚊に刺されずに夏を過ごしたいもの。ちょっとの工夫で蚊に刺されにくくなるコツを知っておきましょう。蚊に刺されにくくなるにはどうすればいいの?まず手軽にできる対策が、服の色です。蚊は暗い色に集まるという習性があります。とくに黒い色には集まりやすいので、外出するときは黒い服は避け、できるだけ明るい色を着用するようにしましょう。また、蚊は人や動物が吐く二酸化炭素に集まります。二酸化炭素が増える場面といえば、飲酒や運動。とくにアルコールは、水と二酸化炭素に分解されて体の外に排出されます。お酒を飲むと呼吸も早くなり、回数も増えます。今の季節、外で飲むビールは美味しいですが、蚊に刺されないためにはできるだけ控えた方がよさそうです。蚊は汗に含まれる乳酸に集まる習性もあるため、汗をかいたらそのままにせず、こまめに拭くことも大切です。手作り虫よけで蚊をシャットアウト!蚊をよせつけないために有効なのは、何といっても虫よけ剤。でも、市販の虫よけスプレーなどは、つけたときに吸い込んだら心配…と思う人もいるかもしれません。そんなときは、簡単にできる手作り虫よけで蚊を追い払いましょう。用意するものは、ハッカ油、無水エタノール、それに精製水。精製水がない場合は水道水でもかまいません。作り方は簡単! 容器にエタノール10mlを入れたらハッカ油を20滴加え、よく振って混ぜ合わせます。そこに精製水90mlを加え、再びよく振ったら完成です。プラスチック製の容器だと、素材によってはハッカ油の成分で変質してしまうことがあるので、ガラスのスプレーボトルなどに入れるとよいでしょう。また、ゼラニウム、レモングラス、シトロネラ、レモンユーカリなどのアロマオイルも虫よけ効果があります。虫よけスプレーを作る場合は、ハッカ油と同様、無水エタノール10mlにアロマオイル20滴を混ぜ、そのあと精製水90mlを加えます。アロマオイルはお好みでブレンドしてもよいでしょう。それでも刺されてしまったら…かゆみや跡を残さないために虫よけの工夫はしていても、気付かないうちに蚊に刺されてしまうこともあるかもしれません。刺されたところをかいてしまうと、余計にかゆみが広がったり、色素沈着を起こして跡になったりすることも。蚊に刺されたときは、かかないようにすることがとても大切。もし腫れても、かかずにそのままにしていれば短時間で赤みは引きます。蚊に刺されたと気付いたら、まずその部分を冷やしましょう。温めて血行がよくなると、かゆみは増してしまいます。冷たい水で洗うか、保冷剤などで冷やすのが効果的です。また、かゆみの原因は蚊の唾液です。蚊の唾液は酸性なので、刺されてすぐにアルカリ性の石鹸で洗えばかゆみをおさえることができるといわれています。それでもかゆい場合は、市販のかゆみ止めを塗るか、絆創膏を。とくに絆創膏やテープなどを貼って空気に触れないようにすれば、短時間でかゆみがおさまることが多いようです。今の季節、なかなか避けては通れない虫刺されの問題。しっかり対策をして、快適な夏を過ごしましょう。
2015年07月12日デング熱をはじめとした蚊媒介感染症についての情報を発信するため、このほど「みんなで防ごう! デング熱プロジェクト」が発足した。ウェブサイトもオープンし、対策法や最新情報について情報を公開している。2014年8月、約70年ぶりに日本国内でデング熱感染者が確認された。デング熱は蚊が媒介するウイルス感染症で、感染すると潜伏期間を経た後に発熱や激しい頭痛、関節痛などの症状が出る。日本では2014年10月31日時点で感染者数は160人と報告されていたが、世界的に見ても、最近の数十年間でデング熱にかかる患者数が増加している。同プロジェクトは、デング熱をはじめとした蚊媒介感染症および害虫リスクへの予防意識を高め、虫よけ活動をサポートすることなどを目的に立ち上げたもの。ウェブサイトでは、デング熱など蚊媒介感染症に関する正しい知識や対策、最新情報を掲載している。4月中旬からは、蚊や害虫専門家の嘉糠洋陸教授(東京慈恵医科大学)や、皮膚科医の馬場直子先生などによるデング熱対策や、虫よけの必要性に関するコラムも掲載予定とのこと。早期からの対策の重要性や具体的な対策法について啓発を行っていく。そのほか、マダニなど蚊以外の害虫リスクも掲載する。
2015年04月14日公益社団法人東京都獣医師会はこのほど、「デング熱のペット動物への感染」についての情報を発表した。○犬や猫はデング熱を発症しない同会危機管理室によると、デング熱は文献上、約200年以上前から存在しているが、この歴史の中で、同病の流行地において、犬や猫などが何らかの特殊な疾病に罹患している報告は見当たらず、同病が犬や猫に感染し発症することはないと思われる、としている。また、犬や猫などが同病に関し、公衆衛生上何らかの役割を演じているということもないという。つまり、犬や猫を媒介して同病が伝染する危険は報告されてないことになる。WHO(世界保健機構)によると、デング熱は世界で毎年1億人以上の患者が発生していると推測される。病原体はデングウイルスで、蚊が媒介し感染する。臓器移植や輸血などの特殊なケースを除けば、人から人への感染はないとされる。(画像と本文は関係ありません)
2014年11月06日東京都福祉保健局は9月26日、東京都・代々木公園における蚊の病原体保有調査の結果、デング熱の原因となるデングウイルスを保有している蚊が確認されなかったことを明らかにした。9月4日にデングウイルスを保有している蚊の存在が確認されて以降、同公園内での同調査でデングウイルスを保有している蚊が見つからなかったのは、今回が初めてとなる。9月26日時点で、国内で147人の患者が確認されているデング熱は、デングウイルスを原因とする急性の熱性感染症で、蚊を媒介とする。蚊がデングウイルスに感染した人の血を吸い、体内で増殖させた後に別の人間を吸血することで、デング熱の感染者が増えていく。主な症状として、発熱や頭痛、筋肉痛、皮膚の発疹などがある。当初より、代々木公園ないしは同公園周辺を訪れていた人にデングウイルス感染が確認されていたことを受け、東京都は同公園の蚊の採集を実施。デングウイルスを保有している蚊「ヒトスジシマカ」が9月4日に確認されたこともあり、現在、東京都は同公園の一部地区を閉鎖させている。東京都は継続的に同公園での蚊のデングウイルス保有調査を続ける意向を示していた。東京都福祉保健局によると、今回、9月24日から25日にかけて同公園内の複数地点で蚊を採集して調査した結果、デングウイルスが検出された蚊は見つからなかったという。9月3日の調査によって、同公園内の4カ所でデングウイルス保有の蚊が確認されて以来、次の調査(9月9日~10日)で4カ所、さらに次の調査(9月16日~17日)で3カ所から同様の蚊が見つかっており、今回の調査で0カ所となった。同公園内で採集できた蚊の数も、9月16日~17日の調査時は191匹だったのに対し、直近の調査では41匹と少なくなっている。なお、都は引き続き蚊のデングウイルス保有調査を実施していく方針。
2014年09月27日