以前の記事でも書いたとおり、僕は東京・世田谷で大家業を営むかたわら、祖父が東京のはずれの山奥に建てた小屋の管理もしています。築50年以上のボロ家ではありますが、自然豊かな環境が自慢です。さまざまな野鳥の鳴き声や虫の音が聞こえ、夏の夜に川沿いを歩けば蛍の光がきれいです。……というのは良い面だけを切り取った話。自然に囲まれた生活は、たくさんの生き物と隣り合って(ときには気づかないうちに同じ屋根の下に)暮らすことを意味します。クルマを運転すればタヌキやイノシシにも出くわしますし、虫が室内に入ってくるのも日常茶飯事です。この間の夏にはどこから入ってきたのか、居間を沢ガニが何食わぬ顔で歩いていました……。今回は、僕が山の家で実際に体験した生き物トラブルの数々をご紹介します。■ 別荘の敵と言えば、ハチ!ハチが家の軒先に巣を作るのは「別荘あるある」ですね。うちはなぜかアシナガバチに気に入られてしまっているらしく、毎年のように巣を作られます。これは家の前の石垣に巣を作られてしまったときの写真です。しばらく使っていなかった離れの書庫を覗いたら、本棚に巣が作られていたこともあります。昨年は、しばらく足が遠のいていた間に、玄関に巣を作られてしまいました。これでは家の出入りもままならないので駆除することに。たびたびお世話になっている害虫駆除業者さんに聞いてみたところ、アシナガバチは比較的危険が少ないため、きちんと準備すれば自分でも駆除できると聞き、チャレンジしてみました。ホームセンターで駆除スプレーを購入。働きバチは夕方に巣に帰ってくるので、日が暮れるのを待ってから全身重装備で固め、遠くから噴射して巣を攻撃して駆除しました。■ 危険なスズメバチの巣は業者に駆除を依頼すべし巣の大きさやハチの種類によっては業者を呼んだほうが安全です。不運なことに、今年はスズメバチに巣を作られてしまいました。気がつくとベランダの屋根に10cmほどの巣が。見慣れたアシナガバチの巣とは形が異なるのでよく見てみると、なんとスズメバチらしきハチが出入りしているではありませんか。夜には、明かりに引き寄せられたのか、窓に張り付いていることも。これが室内に入ってきたらと思うとゾッとします。業者に連絡して現地をみてもらうと、キイロスズメバチだと判明しました。アシナガバチと比べて攻撃性が高いそうで、素人が駆除するのは危険。大人しくプロにお願いしました。料金はおよそ2万円也。巣が大きいと、もっとかかるようです。別荘はこういう地味な出費が多いですね……。以前、日刊Sumaiの記事でも「ハチ激取れ」なるアイテムが別荘必需品として紹介されていましたが、来年からはうちでもお世話になったほうがよさそうです。■ 屋根裏がハクビシンのトイレに?いちばん驚いたのはハクビシンです。夜、寝ていると、屋根裏から不気味な足音が聞こえることがあったのですが、あるとき「ジョーッ」とオシッコする音がして、これはさすがにヤバイぞと思い、業者に調査を依頼したのでした。屋根裏を見てもらうと一画にフンの山ができており、ハクビシンだとわかりました。幸い家の外に出かけている最中だったので、その間に屋根裏を消毒してもらい、出入り口と思われるスキマを塞いでもらいました。フンの山やオシッコなどというと笑いごとに聞こえますが、これがたまると徐々に天井を傷めていき、天井が落ちてしまう場合もあるそうです。そう考えると、全然笑えない話です。■ とにかく衛生的に厄介なのが野ネズミ屋内に入ってこられて厄介なのが野ネズミです。築古物件だけに家のあちこちにスキマがあり、小型のネズミの侵入を防ぐのはほぼ不可能です。ちょっと料理をしようものなら、すぐに匂いをかぎつけて夜な夜なキッチンを歩き回ります。そこかしこにフンをするので、衛生管理上、非常に厄介です。あるときは、解凍しようとキッチンに出しておいた肉を夜中にかじられ、泣く泣く廃棄したことも。我が家では、ホームセンターでネズミ捕りや忌避剤を購入して対策しています。ネズミ捕りは、大型のゴキブリホイホイのような粘着シート。効果はてきめんですが、ほ乳類を殺すというのはなかなかの罪悪感を抱かせるもの。ネズミを寄せ付けないという薬剤(ハーブのような強い香りがする)を併用し、なるべくネズミ捕りを使わないで済むように努力しています。■ 最恐の敵は、家の柱を喰らうシロアリ!建物を傷めるといえば、最も恐ろしいのがシロアリです。やつらは知らないうちに床下の根太や柱を食い荒らし、取り返しのつかないダメージを家に与えてしまいます。我が家も、床下にシロアリが住みついたことがあり、柱の一部を補修することになってしまいました。ラッキーなことに、うちは取り返しのつかないダメージを受ける前に、なんとか水際で食い止めることができました。シロアリを駆除してもらったあとも定期的にシロアリ対策の薬剤を散布してもらっているので、現在は被害が出ていません。ちなみに、シロアリは一定以上の高地になると出現しないようなので、別荘購入を検討している方は購入前に確認しておくとよいかもしれません。僕の体験だけでもこれだけありますから、別荘の数だけ自然生物との戦いがあるといっても過言ではないでしょう。自然の素晴らしさを満喫できる印象が強い別荘生活も、害獣や害虫対策なしには成り立ちません。セカンドハウスの購入や田舎への移住をご検討の方は、生き物との戦いを覚悟しておいてください。
2018年07月31日