前作『レ・ミゼラブル』でその名を世界に轟かせたフランスのラジ・リ監督の最新作が『バティモン5望まれざる者』として、5月24日(金)に日本公開されることが決定。併せてシーン写真9点が解禁された。パリ郊外(=バンリュー※)に存在する、都市再開発を目前に控えた居住棟エリアの一画、通称「バティモン5」。ここに立ち並ぶいくつもの団地には労働者階級の移民家族たちが多く暮らしているが、バティモン5では再開発のために老朽化が進んだ団地の取り壊し計画が進められている。そんな中、前任者の急逝で臨時市長となったピエールは、自身の信念のもと、バティモン5の復興と治安を改善する政策の強行を決意。だが、その横暴なやり方に住民たちは猛反発、これまで移民たちに寄り添い、ケアスタッフとして長年働いていたアビーたちを中心とした住民側と、市長を中心とした行政側が、ある事件をきっかけについに衝突。やがて激しい抗争へと発展していく――。監督は、前作『レ・ミゼラブル』のラジ・リ。役者として、また、1995年にアーティスト集団「クルトラジメ」のメンバーとしてキャリアをスタートした彼は、1997年、初の短編映画『MontfermeilLesBosquets』(原題)を監督、2004年にはドキュメンタリー『28Millimeters』(原題)の脚本を、クリシー、モンフェルメイユ、パリの街の壁に巨大な写真を貼ったことで有名になった写真家JR(ジェイアール)と共同で手がけるなど、新進気鋭アートティストの1人でもある。『レ・ミゼラブル』では、ラジ・リ監督自身が生まれ育ったパリ郊外の犯罪多発地区モンフェルメイユを舞台に、そのエリアを取り締まる犯罪防止班(BAC)と少年たちの対立を手に汗握る圧倒的な臨場感で描き出し、観る者の心を鷲掴みに。第72回カンヌ国際映画祭審査員賞、第45回セザール賞4冠の最多受賞(観客賞、最優秀作品賞、有望男優賞、編集賞)、第92回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートされた。それから4年。ラジ・リ監督のもとに『レ・ミゼラブル』製作スタッフが再集結し、再びバンリューが抱える問題を持ち前の臨場感に新しい視点を交えて生み出したのが本作。前作と地続きのテーマを採用しつつも、そのドラマはより人間くささを帯びながらさらに社会性をまとい、力強さで進化した作品となっている。解禁となった場面写真では、バティモン5で働くアビー(アンタ・ディアウ)が、仲間のブラズ(アリストート・ルインドゥラ)と談笑する様子。行政の思惑で取り壊される古い団地の様子や、新しく臨時市長に就任したピエール(アレクシス・マネンティ)が整然とした市庁舎で街並みの新構想を練る姿。行政との戦いに挑むバティモン5の住人らを捉えたカットなどとなっている。移民たちの居住団地群の一画=バティモン5の一掃を目論む「行政」とそれに反発する「住人」による、“排除”vs“怒り”の衝突。本作では、恐れと不満の積み重ねが徐々に両者間の溝を深くし、憎しみのボルテージが加速していく様が息もつかせぬ緊迫感で描かれる。このコミュニティ内にある「権力」「革新」「暴力」の3つの視点を交錯させることでバンリュー地区の実態、ひいては花の都パリの知られざる“暗部”を炙り出していく。この街で不都合なものとは一体何なのか、望まれざる存在とは何を指すのか――その真髄を映し出した本作は、まさにラジ・リ監督の真骨頂。2024年夏季五輪を控えて盛り上がりを見せるパリ。世界的な注目を集める大都市が人知れず抱え続ける問題を、サスペンスフルかつエモーショナルにクローズアップした衝撃作が誕生した。さらに本作は「横浜フランス映画祭2024」(3月20日~24日)での上映が決定し、ラジ・リ監督の来日も予定されている。<※1:フランス語で郊外を意味するbanlieue(バンリュー)は「排除された者たちの地帯」との語源をもつ。19世紀より労働者の街として発展し、戦後は住宅難を解消する目的で大量の団地が建設された。団地人気が低下する1960年代末より旧植民地出身の移民労働者とその家族が転入し、貧困や差別などの問題が集積する場となった>『バティモン5 望まれざる者』は5月24日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:バティモン5 望まれざる者 2024年5月24日より 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開(C) SRAB FILMS - LYLY FILMS - FRANCE 2 CINÉMA - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINÉMATOGRAPHIQUE – 2023
2024年02月18日ミュージカル『レ・ミゼラブル』が、2024年から25年にかけて帝劇をはじめとする全国で上演されることが決定し、オールキャスト・オーディションを開催することが発表された。『レ・ミゼラブル』以前のミュージカルでは、経験や知名度のあるスターを主役などにキャスティングしてきた。しかし『レ・ミゼラブル』は、1987年日本初演時に、全ての役について分け隔てなくオールキャスト・オーディションを実施。以来、オーディションの度に有名無名は問わず、役に相応しい演技が出来るかどうかをオリジナルプロダクションのサー・キャメロン・マッキントッシュによって審査され、厳正なオーディションを突破した俳優のみが『レ・ミゼラブル』に出演することが出来た。また、ひと度出演したキャストも毎回厳しい審査を経なければ出演することが出来ず、初演以来35年間『レ・ミゼラブル』からは多くのスターが輩出されている。日本初演時オーディションチラシ写真提供:東宝演劇部そして、1966年に開場した現・帝国劇場は2025年に建て替えのため一時休館を発表。今回の公演は、『レ・ミゼラブル』が現・帝劇で上演される最後の機会となっている。併せて、1997年から長年『レ・ミゼラブル』マダム・テナルディエ役を演じてきた森公美子と2019年、2021年にジャン・バルジャン役を演じた佐藤隆紀よりコメントが到着した。<コメント>■森公美子『レ・ミゼラブル』2024年度、2025年度のオーディションの発表でございます!『レ・ミゼラブル』に参加したいと思っていらっしゃる方、これはチャンスです。帝国劇場が建替えのため、なんとこれが今の帝国劇場での最後の『レ・ミゼラブル』の公演となります。夢を叶えたい方、何かチャンスをつかみたい方、年齢は問いません。その熱い想いをオーディションにぶつけてみようではありませんか。オーディションは、本当に自分では考えられないチャンスがたくさん詰まっております。自分への挑戦だったり、自分の何かの蓋をあけてくれたり。これが人生において何かの分岐点になる可能性もあります。このオーディションを勝ち抜いて、帝劇の舞台で歌う自分を想像してみてください!客席との一体感がでたとき、帝劇は鳴るんです! その瞬間は今でも思い出すだけで、涙がポロポロ出てくるぐらいすごく感動的で、『レ・ミゼラブル』が持っている音楽の力が見られます! ごめんなさい、思い出して涙出てきちゃいました!帝劇には思い入れがあります。私も1986年に森繁久彌先生の『屋根の上のヴァイオリン弾き』が帝劇のデビューでございました。私、初日、泣きました。満席の客席からの拍手は、息が止まるような感覚でした。そしてその光景はいまだに目に焼き付いています。また、初めて帝劇の主演(センター)に立たせていただいた『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』で菊田一夫賞をいただいたりもしました。今の帝劇との別れは寂しい気持ちもありますが、新しい帝劇にもとても期待しています。私が『レ・ミゼラブル』のオーディションを受けたのは、1996年。ちょうど《レ・ミゼ》の10周年記念の公演のオーディションで、同期に本田美奈子.さんがいました。また、お稽古初日、前田美波里さんら大先輩ばかりで、「このオーディションに、私合格したんだ!!」と本当に大興奮しました。だってこのスタイルだから。でも、オーディションを受ける前に、『レ・ミゼラブル』の本をよんだら、マダム・テナルディエは熊のような女ってかいてあったんです。そしてオーディション時、演出家のジョン・ケアードさんに、「あなたを10年待っていた!」と。そこから人生が変わったかな。また、ブロードウェイに『レ・ミゼラブル』の舞台を観に行ったとき、会場でイギリス人の男性に「あなたは日本のマダムだよね。あなたが今世界一のマダムだ!」と言われたこともあります。挑戦するということは楽しいこと。私は結構長い間マダム・テナルディエをやらせてもらいました。でも、凄い若い力もでてきたらいいなと思っております。この役、どうぞ! 差し上げます!オーディションで待ってます! 東宝は待っています! 私は観客かもしれませんが……。■佐藤隆紀『レ・ミゼラブル』2024-2025年度のオールキャスト・オーディションが決定致しました!さあ僕も思い出しますと最初にオーディションを受けた時はとても緊張しまして、実はその時は落ちてしまった、そんな思い出があります。でも落ちたことをバネに、自分の足りなかった技術は何なのかを見つめなおして、自分で切磋琢磨しまして2回目のオーディションで受かることが出来ました。オーディションを受けるというだけでも自分の新たな発見があります。伸ばせる部分を発見できるのではないのかなと思います。(審査が進めば)海外の演出家の方々にアドバイスをもらって受けることができるので、それだけでもとても貴重な経験だと思います。そして2024-2025年度が、実はこの現・帝国劇場での最後の『レ・ミゼラブル』上演となるそうです。沢山の方々が出演して、沢山の思いが詰まっている、この帝国劇場で、ぜひ皆さんにこの素敵な舞台に立ってみてほしいなと思います。このミュージカル『レ・ミゼラブル』は愛がテーマになっていると思います。今、日本は、世界は様々な問題を抱えていると思います。世界に、そして日本に愛を届けてみてはいかがでしょうか。皆さんの戦う心でオーディションに向き合ってほしいと思います。皆さんのオーディションぜひお待ちしております!森公美子 コメント動画佐藤隆紀 コメント動画オーディション詳細はこちら:
2022年12月23日ミュージカル『レ・ミゼラブル』の報道陣向けの囲み取材が5月25日、都内で開催された。原作はフランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーが自身の体験を基に、19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に当時の社会情勢や民衆の生活を克明に描いた大河小説。原作の持つ、「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」といったエッセンスを余すことなくミュージカルに注ぎ込んだ本作品は、1985年のロンドン初演を皮切りに、日本では1987年6月に帝国劇場で初演を迎えた。以来熱狂的な支持を得ながら、東宝演劇史上最多の3336回という驚異的な上演回数を積み上げるに至る。囲み取材はまずプレビュー公演を終えた感想についての話題からスタート。これについて福井晶一は「声を出せないなか、ありったけの拍手をしていただいて。待っていてくれるお客様の圧をカーテンコールで感じました」と語りながらも、「いつも通り冷静を心がけてやるのに必死でした」と素直に心中を明かした。吉原光夫は不安を感じた昨年を振り返りつつ「何も変わらずに守られ温められて、先に進んでいくものもあるんだと安心した」と感慨深げ。佐藤隆紀は「去年、仕事が無くなった時に自分を見つめ直してきました。それが実った充実感もあるので、この想いで千秋楽まで頑張っていきたいです」とした。生田絵梨花にも同様の質問が飛ぶ。「今までの開幕は緊張でフワフワしていましたが、今年は地に足が付いている感じ。役に力をもらっているのもありますが、この日常がいつまであるか分からないという可能性があるので、今できることに魂を込めていく」と力強く発言。コゼット役からエポニーヌ役に至ったことについては「コゼットっぽいと言われるので、自分が演じることに不安がありました。でも稽古場で『良いね』とか『最初からこの役やってた?』と言ってもらえる様になって、この方向でいいんだなと勇気をもらえました」と話す。また役と自分の共通点を問われると「強い役という印象がありますが、傷つかないために弱さを隠したり、生きていくために強くいようとするという点で共感できると思います。その強さのなかに複雑な心情を混在させるかを意識しました」と答えた。ミュージカル初挑戦の六角精児は出演経緯を「自分が本格的なミュージカルで歌ったらどうなるのか、確かめたかった。今59歳ですが、還暦を越えたらそれができるかなと。頭も体も融通が効く時に思い切って挑戦しました」と明かした。オーディション合格について「運が良かった」と控えめ。森公美子は本作に24年目の出演となる。彼女は「みなさんに飽きられない様にマイナーチェンジをして新しいマダム・テナルディエをお届けしようと思っています」とコメントしつつ、「コロナ禍で自炊が増えて、衣装がパンパンです(笑)。これだけは皆さんに迷惑をかけています」と笑いを誘う。マスクでの稽古については「本番でマスクを取ったら『誰?』とようやく対面できました」と感染対策の万全ぶりをアピールした。さらに森は生田の演技について「依然とは違うキャラクターを押し出していた。声も地声でぐわっと張っていて。『どこで勉強した?』と聞きました」と太鼓判。生田は今回のために発声を変えて稽古に打ち込んだという。最後に福井が「この様な状況でステージに立てることを嬉しく思いますし、地に足を付けて、明日舞台があるということで準備をして挑むだけです。長い公演ですが最後まで完走できる様に頑張りたいと思います。応援のほど、よろしくお願いいたします」と本公演への意気込みを語り、囲み取材は幕を閉じた。■公演情報ミュージカル『レ・ミゼラブル』<東京公演>5月21日 (金)~7月26日 (月)会場:帝国劇場<福岡公演>8月4日(水)~8月28日(土)会場:博多座<大阪公演>9月6日(月)~9月16日(木)会場:フェスティバルホール<松本公演>9月28日(火)~10月4日(月)会場:まつもと市民芸術館
2021年05月26日ミュージカル『レ・ミゼラブル』が25日に東京・帝国劇場で初日を迎え、福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀、生田絵梨花、六角精児、森公美子が取材に応じた。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年の初演から愛され続けている。19世紀初頭のフランスを舞台に、ジャン・バルジャン(福井、吉原、佐藤)という1人の男の人生を軸にして社会情勢や民衆の生活を描いていく。2021年は5・6・7月の帝劇公演を皮切りに、8〜10月に福岡・博多座、大阪・フェスティバルホール、長野・まつもと市民芸術館の、全国4都市の上演となる。緊急事態宣言下での公演に、福井は「なんとかお客さんに入っていただいてプレビュー公演(21日〜24日)をさせていただいたんですけど、やはりこの作品を待っていただいているお客さんの圧を全身で感じました。ありったけの拍手をしていただいて、その熱意が伝わって、レミゼラブルという作品の力を強く感じたプレビュー公演でした」と振り返る。吉原も「また帰ってきたなという感覚がすごくあった。一時は『どうなってしまうんだろう』という不安が渦巻いていたんですけど、舞台上で俯瞰して感じることは、変わらずに先に進んでいくこともあるんだということ。特殊なことをやろうと思わず、いつも通り舞台が開いていくことが日本の日常にあることに安心しました」と心境を吐露。佐藤は「拍手に感動して、様々な思いで会場まで来て下さったことを感じたら、あたたかくありがたい気持ちに包まれました」とプレビュー公演に思いを馳せ、「仕事がなくなった時は『今こそ研鑽していつか進化した物をお届けしたい』という思いで、自分に向き合う時間だったんですが、それが一つ実ったような充実感もありながら、感染対策をしっかりして千秋楽までお届けできれば」と意気込んだ。NHKの朝ドラ『エール』の出演が話題にもなった吉原は、「僕よりもおふくろの環境が変わった。僕はあんまり変わってないです。元々声をかけづらいキャラクターなので、あまり声かけられることもないですけど、おふくろが子供の面倒を見るために来てくれるときに『ここにサインして』と言われるくらい」と明かす。「日常は普通に過ごさせていただいてますが、素晴らしい出会いをさせていただいたなと思っています」と改めて同作について語った。24年目の出演となる森は「飽きられないようにと、それだけを祈っておりまして」と謙遜しつつ、「何しろ衣装がパンパンで、コロナ禍で自炊が増えちゃったので、これだけが皆さんに迷惑かけてるという状況なんですけど……」と苦笑する。さらに「今回はコロナ禍のリハーサルで、回数も前回よりも5分の1くらいしかなかったものですから。全員が揃ってのお稽古がなかったのと、マスクしての稽古だったので、マスクを取った途端に『誰?』という状況」と明かし、「外から来て自分のマスクを捨て、新しいマスクをして、また濡れてきたら新しいマスクにする。舞台上でマスクを外しても、エレベーターに乗る頃にはマスクする、人の顔がわからない状態が続いてましたので、やっとご対面するという感じでございました」と裏側の努力を明かした。最後に福井は「いよいよスタートします。このような状況の中で舞台に立てること本当に嬉しく思いますし、しっかりと地に足をつけて、まだまだ状況はすぐには良くならないと思いますけど、私たちは準備をしっかりとして挑むだけだと思います」と語る。「長い公演になりますけど、最後までなんとか完走出来るように頑張りたいと思います」と決意を表した。
2021年05月26日ミュージカル『レ・ミゼラブル』新プリンシパルキャストの扮装写真が、24日に公開された。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年の初演から愛され続けている。19世紀初頭のフランスを舞台に、ジャン・バルジャンという1人の男の人生を軸にして社会情勢や民衆の生活を描いていく。2021年公演の新プリンシパルキャストとして、生田絵梨花(エポニーヌ役)、竹内將人(マリウス役)、加藤梨里香(コゼット役)、敷村珠夕(コゼット役)、六角精児(テナルディエ役)、樹里咲穂(マダム・テナルディエ役)、木内健人(アンジョルラス役)が決定しており、このたび役衣装での写真が公開された。2017年、2019年にコゼットを演じ、今回初めてエポニーヌ役となった生田は「決まった時は、色々な方々から『イメージが沸かなくてすごく驚いた』と言われました」と明かす。「前回と前々回にコゼット役として出演させていただいてまして、前にご一緒したキャストの方々も、『まだ慣れないな』とおっしゃっていて、きっとお客様も私がエポニーヌというイメージがなかなかないと思うので、コゼットだったということは忘れてもらうくらい、地に足を踏みしめられたらと思います」と意気込んだ。実際に衣装を身につけ「ついにエポニーヌになったんだなと、ひしひしと噛みしめました」という生田。「ずっと見ていた人なので、誰かと入れ替わっちゃったんじゃないかみたいな不思議な気持ちになってるんですけど、しっかり扮装をなじませてエポニーヌの目線で生きていけたら」と語り、「こういう状況下だからこそ聞き取れる人物達の声があるので、誠実に向き合っていけたらと思います。戦う列に加わっていただけたら嬉しいです」とメッセージを送った。マリウス役の竹内は「本当に念願の役です。今回演じられるということで、大きな喜びを感じています。大先輩方に囲まれて演じると言うことにプレッシャーを感じながらも、念願の役なので、興奮が大きく上回っております」と喜びをあらわに。コゼット役の加藤は「お稽古は刺激と学びと発見で溢れていて、お稽古をすればするほど、この作品への愛が高まっているのを実感しています」、同じくコゼット役の敷村は「カツラもお衣装も本当に素敵でかわいくて、実際に身にまとわせていただいて得た感覚をしっかりと今後のお稽古にも生かしていきたいです」と思いをふくらませる。また、大ベテランながらテナルディエ役でミュージカルに初挑戦する六角は「稽古中で乗り越えなければいけない山や壁がたくさんあるわけです。乗り越えた時に自分がどう感じるのかわからないというところはあります」とコメント。「『すごいことをやられてるな』と、同じ舞台人として横目で見ながらやってきたんですけども、1度こういう伝統あるミュージカルに初体験で立ったら自分がどういう風になるのかということをぜひ試して、そして皆さんに見ていただきたくて、今回参加いたしました」と、挑戦の理由を明かした。マダム・テナルディエ役の樹里は「初演の頃、学生時代に大阪の梅田コマ劇場に観にいって、本当に大変感動いたしまして、その頃販売されてたCDの赤版、青版を買ってもらって、カセットテープにダビングしまして、学校へ行くのにウォークマンで聴きながら通っていた思い出があります」と振り返る。衣装について、樹里は「ガツガツに寄せて上げてる」と笑わせつつ、「こういう姿勢で立つのかなとか、動きはこうなるのかなとか、体の反応が自然に出てくる。それがすごく面白くて、稽古に生かせますね」と身につけたことが役立つ様子。アンジョルラス役の木内も「アンジョルラスといえばこの赤いベストだと思うんですけど、衣装やカツラを身につけた瞬間にとても心が高ぶりました。日本でそして世界で愛される『レ・ミゼラブル』カンパニーの一員になれること、本当に誇りに思います」と、扮装によって作品への思いが高まったようだった。東京公演は東京・帝国劇場にて5月25日〜7月26日(プレビュー公演:5月21日〜24日)、福岡公演は福岡・博多座にて8月4日〜8月28日、大阪公演は大阪・フェスティバルホールにて9月6日〜9月16日、松本公演は長野・まつもと市民芸術館にて9月28日〜10月4日。
2021年04月24日ミュージカル『レ・ミゼラブル』が5月から帝国劇場で上演される。この度、扮装写真が公開された原作はフランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーが自身の体験を基に、19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に当時の社会情勢や民衆の生活を克明に描いた大河小説。原作の持つ、「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」といったエッセンスを余すことなくミュージカルに注ぎ込んだ本作品は、1985年のロンドン初演を皮切りに、日本では1987年6月に帝国劇場で初演を迎えた。以来熱狂的な支持を得ながら、東宝演劇史上最多の3336回という驚異的な上演回数を積み上げるに至る。公開された扮装写真には、生田絵梨花(エポニーヌ)、竹内將人(マリウス)、加藤梨里香(コゼット)、敷村珠夕(コゼット)、六角精児(テナルディエ)、樹里咲穂(マダム・テナルディエ)、木内健人(アンジョルラス)の姿が写し出されている。エポニーヌ役を演じた生田絵梨花は、劇中衣装に身を包み、「『ついにエポニーヌになったんだ』と、ひしひしと噛み締めました。誰かと入れ替わっちゃったんじゃないかみたいな不思議な気持ちです」と、前回、前々回とコゼット役を演じていたからこその感想を述べる。上演を楽しみにしている観客に向けては、「こういう状況下だからこそ聞き取れる作品や人物たちの声があるはずなので、それと誠実に向き合っていけたらと思っています。皆さんも私たちと戦う列に加わっていただけたら嬉しいです」とメッセージを送った。マリウス役を演じた竹内將人も、「世の中が大変な時期ですが、そんな中でも楽しみしているお客様に最高のパフォーマンスをお届けできるよう、スタッフの最善のサポートのもと、俳優も命を懸けて稽古に励んでおります。歴史のある作品ですが、今までとは一味違った2021年版の『レ・ミゼラブル』をお届けできればと思います」と観客へメッセージ。コゼット役の加藤梨里香は、実際に衣装を身に着けてみて、「改めて自分がコゼットを演じるんだという自覚や責任が高まりました。これから、この衣装がもっと似合う女性になりたいなと思いますし、衣装の重みや自分の姿を大切にしながら稽古に励んでいきたいです」と感慨深い様子。同じくコゼット役を演じた敷村珠夕は、「衣装も本当に素敵で可愛くて、これを着てコゼットをさせていただけるんだなぁと本当にワクワクしています。実際に身にまとわせていただいて得た感覚をしっかりと今後の稽古にも活かしていきたいです」と意気込みを語った。■公演情報ミュージカル『レ・ミゼラブル』<東京公演>5月21日 (金)~7月26日 (月)会場:帝国劇場<福岡公演>8月4日(水)~8月28日(土)会場:博多座<大阪公演>9月6日(月)~9月16日(木)会場:フェスティバルホール<松本公演>9月28日(火)~10月4日(月)会場:まつもと市民芸術館
2021年04月24日第92回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされ、第72回カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞した話題作『レ・ミゼラブル』が、早くも「BS10 スターチャンネル」にて独占プレミア放送されることが決定した。『パラサイト 半地下の家族』と共に、カンヌ現地でセンセーションを巻き起こした本作は、ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の舞台となったパリ郊外の街モンフェルメイユを舞台に、モンフェルメイユ生まれ・在住のラジ・リ監督が、移民大国である現代フランスが抱える深刻な社会問題を描く。また本作は、パリに限定した話ではなく、移民、貧困、格差といった“世界共通”の現代の社会問題を痛切に切り取っている。2月28日に日本公開を迎えた本作。今回、なんと劇場公開からわずか6か月という速さで放送が決定。スターチャンネルの映画レーベル「STAR CHANNEL MOVIES」として放送される。STAR CHANNEL MOVIES 『レ・ミゼラブル(2019)』は【STAR2 字幕版】8月16日(日)21時、8月19日(水)12時ほかにて放送。(cinemacafe.net)■関連作品:レ・ミゼラブル(2020) 2020年2月28日より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
2020年06月23日「笑いすぎて涙が出た」「才能あふれる家族!」ベン・マーシュさん一家がFacebookに投稿した替え歌動画が、世界中で笑いの渦を巻き起こしています。レ・ミゼラブル劇中歌『ワン・デイ・モア』を替え歌でベンさん一家が暮らすイギリスでは、2020年3月23日からロックダウンが行われ、4月5日現在、いまだ解かれていません。新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)のこれ以上の感染拡大を防ぐためとはいえ、多少なりともストレスや不満は出てしまうもの。ベンさん一家もまた、ロックダウンが続く日々の中で、さまざまな不満を募らせていました。しかし、ベンさん一家はその不満を、名作『レ・ミゼラブル』の劇中歌『ワン・デイ・モア』の替え歌にのせ、笑いに変えることに。歌詞の一部を紹介すると「ネット上で買い物しようにも、9月まで在庫切れ」や「サッカーの試合がなくなった」、「離れた場所に暮らす祖父母はスカイプが使えない」など、歌詞と壮大なメロディのギャップに、笑いが込み上げてきます。また、クライマックスの「明日には分かる、神の御心が」というオリジナルの歌詞が、「明日には分かる、オンラインスーパーの品ぞろえが」となるなど、替え歌のセンスも抜群。もちろん、劇中で印象的なシーンの1つ、旗をかかげるシーンも再現するのも忘れてはいません。6人全員、歌がうまい点にも注目して、ベンさん一家による『ワン・デイ・モア』替え歌バージョンをお聴きください。This is the last one we are going to do on a lockdown theme, but it felt very apt. And it might be just in time to cheer up some friends and family who have had - or are about to have - birthdays, all by themselves. Decided to include a bit of the intro so that you can see what kind of madness Danielle Marsh and I would be dealing with, if we didn't occupy them with music making...Hope everyone out there is doing okay.Ben Marshさんの投稿 2020年3月29日日曜日コロナウイルスにより世界中に不安感が広まる中、多くの人に笑いを届けたベンさん一家の替え歌。しかし、届けたのは笑顔だけではないはずです。この状況をみんなで乗り越えようとする勇気も届けたのではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2020年04月05日フランスの文豪、ヴィクトル・ユゴーの傑作『レ・ミゼラブル』と同じタイトルが大胆にもつけられた本作は、フランスの新鋭、ラジ・リ監督の長編デビュー作。惜しくも受賞は逃したが、本年度のアカデミー賞で国際長編映画賞部門にノミネートされるなど、世界中の映画祭で反響を呼んだ注目の1本だ。ラジ・リ監督にとって本作は念願の1作だったと明かす。「映画の舞台はパリ郊外に位置するモンフェルメイユ。ユゴーの小説の舞台でもあるこの地域は、いまや移民や低所得者が多く住み、犯罪多発エリアと化している。実は、このエリアで僕は育った。そして、いまも暮らしている。このエリアのリアルな現実をきちんと描いて、世界に届けたいと思ったんだ。というのも、パリの光と影ではないけど、フランスにはパリの輝かしさとは無縁、貧困化と治安悪化が進む郊外がある。そこにスポットを当てた、いわゆる“郊外映画”がよく作られているんだけど、当事者の僕からすると納得できる内容の作品がほとんどない。実際に暮らしていない監督が作っているからか、とってつけたような社会のイメージやレッテルで語られる。そのエリアに流れている空気や、生きている人間の息吹が感じられない。だから、実際に生きている自分たちが語るべきだと、思ったんだ」ただ、そう事は簡単に動かなかった。「10年前からこのテーマで長編を作りたいと思っていた。でも、まったく資金を調達することができなかったんだ。僕は15年ぐらい前からドキュメンタリーを発表してキャリアを重ねていたけど、それもこれもこの長編を作るため。すべてがここに終結するための準備だと考えていた。その間には、潤沢な予算で長編を撮ってみないかという、とても魅力的な話も舞い込んできた。でも、自分の長編映画第一作はこの題材と決めていたから断ったよ。それぐらい決意は変わらなかった」そこで、まず同名の短編映画を作ることにする。「今回、長編にも出演している同じようなメンバーで撮っている。なかなか資金が集まらないから、まずは自分たちの実力をみてもらうために、短編を作ることにしたんだ。それはすごく評判が良くて、実際、いろいろな映画祭で数多くの受賞をした。これで“いける!”って思ったんだけど、現実は甘くなかった。当初予定した予算の半分も集まらない。でも、これ以上は待てないということで、低予算体制で撮影を決行したんだ」作品は、ムスリム同胞団と麻薬売人が覇権争いを繰り広げ、民族間の対立もあれば、黒人とロマの衝突もある。本来、治安を維持する役割の警察も住人を恫喝したり、差別的発言を繰り返したりとほめられたものではない。そうした混沌とした街が、ひとつのいたずらからとんでもない事態が起きてしまう。そこには、このエリア周辺で実際に起きている出来事と人間関係、民族間のパワーバランスの変化などを、つぶさにみつめ、つきつめた監督の深い洞察力と本質をとらえる鋭い目によってきりとられた社会の縮図が広がる。「自分は自覚していたんだ。“自分が暮らすこの地区は特殊だ”と。それでカメラを回し続けていた。おそらく、このエリアの日常をこれだけカメラに収めている人間は僕以外にいない。だから、ほかのことに手を出すよりも、自分の身の回りのことを突き詰めて、映画にしようと思った。スペシャリテになればいい。掘り下げてつきつめることが自分にとっての切り札になるんじゃないかと思ったんだ。僕は絶対にこのエリアの空気を描けることを自負していた。その空気はひしひしと感じてもらえるんじゃないかな」一方、物語のキーパーソン、街の仕切り屋、市長を演じたスティーヴ・ティアンチューは、脚本を手にしたときをこう語る。「プロデューサーのひとりから、こんな作品があると、シナリオを渡されたんだけど、一気に読んでしまった。本物の“郊外映画”になると思ったよ。それで、なんとしても役をもらわないとと、オーディションを受けたんだ。僕はいま37歳だけど、この年でいまこそやるべき役と思ったのが市長役だった。当初は、違う役を想定されたみたいなんだけど、僕は市長にこだわって受け入れられた。この自称、市長は自然とあのエリアの平穏を保つために存在している。いわば行政と住人の調整役だったりする。ただ、だからといって彼の身は安泰ではない。調整役ゆえにいつ恨みをかって、危ない目にあうかわからない。常に恐怖と裏返しで、綱渡りの人生を送っているといっていい。ある意味、このエリアのギリギリな状況を象徴している人物だと思うんだ。一見すると彼は自分の帝国を作り上げているようにみえるんだけど、その実物は砂上の楼閣なんだ。いつ、自分がこの世界から消えてもおかしくない。そういう人物の複雑な心境を表現したいと思ったんだ」作品は、断ち切れない暴力の連鎖、権力者によって抑圧される弱者、自分ではどうすることもできない貧困など、社会のシステムから零れ落ちてしまった人間たちの姿と、歪んだ現代社会の現状が浮かび上がる。自己責任論など、世間の目が弱者に対して厳しく当たる現代の日本にも当てはまるところが多々ある。ラジ・リ監督はこういう。「日本の社会はちょっと、みんなが同じ方向を向かないとダメというところがあるよね。そこは少し考えるべきことかもしれない。フランスは相互援助が当たり前という意識が市民の中にある。だから、たとえばホームレスがいたら、日本では“そういう状況になったのはお前のせいだ”と思う傾向が強いというようなことを聞いたことがあるけど、フランス人でそう考える人はほとんどいないんじゃないかな。“人生でちょっとまずいて時間が必要なのかな”ぐらいに考える人がほとんど。人権が大切にされているからね。そういう人権や個人の尊厳といったことにも思いを馳せる時間に、この作品がなってくれたら、うれしいと思っているよ」監督自身、社会がいい方向にいくようアクションを起こしている。「映画学校を設立して、学費無償、条件一切不問で、子供たちを受け入れている。次世代の子たちが自分たちでカメラを手にして、自分たちの身の回りのことを撮らせている。まずは自分が生きている地点の現実を知ることからなにごとも始まるからね」『レ・ミゼラブル』2月28日(金) 新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開取材・文・写真:水上賢治
2020年02月27日カンヌ国際映画祭審査員賞受賞、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートなど、世界に衝撃を与えた話題のフランス映画『レ・ミゼラブル』。ヴィクトル・ユゴーの傑作小説の舞台となった街を描く本作から、ベテラン警官による少女への行き過ぎた取り締まりの様子を捉えた本編映像が解禁となった。パリからわずか15kmほどの郊外の街モンフェルメイユに、新人警官として赴任してきたステファン(ダミアン・ボナール)。犯罪防止班としてチームを組むことになった2人の警官からパトロールがてら街のことを教えてもらうことに。この街には世界各地からの移民やかつての犯罪者などが溢れ、混沌そのもの。バス停でタバコを吸っている少女を見つけたベテラン警官のクリス(アレクシス・マネンティ)は、「突撃しろ、新入りの教育だ」と車をUターンさせる。今回解禁となった本編映像が捉えるのは、クリスによる少女への行き過ぎた取り締まりの様子を捉えたもの。少女たちに歩み寄ったクリスは落ちていたタバコを拾い、煙を少女に吹きかける。さらには、その手のひらに鼻を近づけハシシ(大麻)のにおいがすると言うと、彼女の身体検査を始めようとする。少女は「令状は?」と反論するが、クリスの口撃は止まることはなく、“警官の横暴”を映像に収めようとした別の少女のスマホを取り上げ、叩き壊してしまう。ステファンは「もうやめろ」と言うのが精いっぱい、クリスの余りに過激なやり方に言葉を失うしかなかった…。本作のラジ・リ監督は、どんな人に対しても先入観や偏見を持たないようにしているといい、その理由として、「なぜなら現実はいつも複雑だからです。どちらの立場にも善と悪があり、私はそれぞれの登場人物を偏見なく描くよう心がけています」と語る。また、この警官のクリスという人物について、「クリスは本当にイヤな奴ですが、どこか人間味があるところを描きたかったんです。アレクシスが見事に演じてくれたので、憎たらしい一面があるキャラクターであっても観客は次第に彼に感情移入していけるのではないかと思います」と明かしている。この場面でのクリスの取り締まりは確かにやり過ぎ、横暴ともいえるが、一方では「タバコは体に悪い」と告げるだけで少女たちを見逃したのも事実。異なる派閥や様々な危険がはらむ、“誰も正しくない”この街の治安を守り、警官として威厳を持ち続けるための、クリスなりの考え方が表れたシーンとなっている。『レ・ミゼラブル』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:レ・ミゼラブル(2020) 2020年2月28日より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
2020年02月27日第92回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされたフランス映画『レ・ミゼラブル』のプレミア試写会が2月17日(月)、都内で行われ、2度目の来日を果たしたラジ・リ監督が出席。さらに本作に感銘を受けたという細田守監督が駆けつけた。長編デビュー作で、いきなりアカデミー賞候補に!「幸運であり光栄」ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発エリアとなったパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、犯罪防止班に配属された刑事の視点から、現代社会に潜む闇を描いた。ある少年が引き起こした事件によって、同地で対立する複数の犯罪グループが、かつてない緊張状態に陥る…。ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がパルム・ドールに輝いた第72回カンヌ国際映画祭(2019年)で審査員賞を受賞している。先日のオスカー授賞式にも出席したラジ・リ監督は「自分にとって初めての長編作品でノミネートされたのは幸運であり光栄なこと。たくさんの人たちの目に触れるチャンスを得られますから」と喜びのコメント。昨年、同じくアカデミー賞の授賞式に参加している細田監督は「今年は作品賞も、国際長編映画賞も良い作品がいっぱいで充実していた。そのうちの1本が間違いなく『レ・ミゼラブル』だった」と太鼓判を押していた。細田守監督「僕らがどうするべきか突きつけてくる」モンフェルメイユで生まれ育ったラジ・リ監督は、本作を作る上で「ここに暮らす子どもたちの未来はどうなるんだろうという思いが強かった」そうで、「実際、健全に機能していない社会で、最初に犠牲になるのは子どもだから、社会や教育がいかにあるべきか考えている。それに僕自身が10歳の頃、警察から職務質問を受けた記憶も根強く残っている」とも。映画には、現地に暮らす演技経験ゼロの子どもたちを起用し「すばらしい演技を見せてくれて、誇りに思っている」と胸を張った。細田監督は「子どもたちの存在がカギを握る点は、僕の作品と共通している」と分析し、「社会派の作品で、ここまで子どもたちのリアリティを描いた作品はあまりないはず。それがとても感動したところ。僕らがどうするべきか突きつけてくる」。また、ハードな中にコミカルな要素を含む作風について「(北野武監督の)『その男、凶暴につき』を思い出したり、いろいろな切り口で楽しめる。観終われば、タイトルも腑に落ちる」と語ると、ラジ・リ監督も大いにうなずいていた。『レ・ミゼラブル』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:レ・ミゼラブル(2020) 2020年2月28日より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
2020年02月17日ラジ・リ監督作『レ・ミゼラブル』の公開記念として、シンポジウム付特別試写会が2月11日に開催。森千香子(同志社大学社会学部・教授)、望月優大(ライター、ニッポン複雑紀行編集長)、安田菜津紀(フォトジャーナリスト)が登壇し意見交換を行った。移民や低所得者が多く住む危険な犯罪地域と化す、小説「レ・ミゼラブル」にも登場するモンフェルメイユを舞台に、世界中で起きている移民、貧困、分断、格差などを描く本作。近年では『家族を想うとき』、『ジョーカー』、『パラサイト 半地下の家族』など、世界中の映画監督たちがその現状を描き、警鐘を鳴らしている。今回行われたシンポジウムでは、まず森さんが「フランスでは“郊外映画″というジャンルがあるくらい郊外で映画はよく作られていますが、それらと大きく違うのがこのタイトル」と言い、「ユゴーが描いた19世紀と2世紀後の現在がどう変化したのか、していないのかを描いています。本作は単に移民を描いた作品ではなく、『レ・ミゼラブル』とは哀れな人々、貧しい人々という意味ですが、移民社会を描きながら、フランスの19世紀から脈々と続いている伝統を映し出した素晴らしい映画だと思います」と感想を述べる。望月さんは「監督がこの街で暮らしているということが、一つの特徴」と話し、「フランス以外から来た人達が、本質的に危険で、劣っていて、ずっと貧しくあってしかるべき、という描き方をしていない。子供や女性たちの明るい日常、生活の生き生きしたシーンがある。そして、最後のシーン、ある種の爆発が起きるまでの経過をしっかりと描いている。なんで、そうなってしまうのか。ムスリム同胞団のボス、サラが語った『怒りは避けられない』という言葉があった。なぜ、避けられないのか。警察的な暴力的に扱いが背景にあるわけですが、なぜあのような結末になってしまうのか。なぜ、他の落とし前がつけられなくなったのか。そこがきちんと描かれていたのが良かったです」と評価。また、中東のシリアやイラク、紛争の続いている地域で取材を行う安田さんは「そこからヨーロッパ、フランスに向けて難民として渡った人達がいる。その一方で、フランスからイスラム国に参加した女性たちに取材したことがあります。なぜ、そういう行き来があるのかを、私はつかめずにいました。この映画が全てとは言いませんが、何にせめぎ合い、どんな葛藤があって彼女たち、彼らがそうしたのか。抱えていた何か、その一端をこの映画で観られたような気がしました」と話した。フランスの郊外だけではなく、世界中で起きている移民問題と貧困から生まれる分断と格差。これについて望月さんは「理由と歴史と経緯があってそこにいる、ということを考えるべき」と強調し、「移民という言葉は、貧しい国から裕福な国に稼ぎに来た、自由意思で来ているからきつくても仕方ないという目線がある。ただ、受け入れ国側が在留資格などを開けたり、閉めたりして呼んできてもいる。そこに住み、働くかにも政策的な意図があり、こういう結果がある。映画の中で(少年が)ケガをした理由を(警官が)『転んだからと言え』という全部自分が悪かったと言えというシーンがあります。『お前のせいだ』と移民に押し付けていく社会のまなざしを、この映画は描いています。ここからどう離れられるかが、移民を語る上で重要なテーマです」と示す。そして「この映画をみて、さすがに日本では、ここまでの熾烈な暴力や衝突せめぎ合いは起きないと思われたのではないでしょうか」と呼びかけた安田さん。「私は果たしてそうだろうかと思っています」と言い、「例えば、いま新型のコロナウィルスのニュースが駆け巡っています。感染症など人が怖いというものに対して、必ず外国人が悪いことをしているという陰謀論がおきます。特定の国籍や民族を名指しして犯罪をしている噂が回ってしますことがある。自然災害でも。まさか、自分たちのコミュニティの人間がやらないはずだという想いが裏側にある。これは放っておくと、いずれは身体的な暴力に発展するものだと思います」と日本でも起きうる可能性もあると指摘した。一方、来場者から“現実をどれだけ反映しているのか”という疑問が投げかけられると、森さんは「最後に警察との対立から暴動が起きますが、それは実際に起きています。1990年代には340件以上の対立、暴動が警察によって記録されています。それが日常的に起きているかというと、そうではありません」とコメント。「この映画でよく描かれていることのひとつは、内部の人々の結束の強さ」と言う森さん。以前、別の団地で自身の携帯を落とした経験をふり返り、「知っている人の連絡先がたくさん入っているということから、色々な繋がりによって、携帯が出てきたのです。その繋がりはよい意味での結束でもありますが、少年のイッサがいじめられた時は、仕返しに行くという形で非行に繋がることもあるわけです。監督が経験した現実を反映していることは確かですが、365日の全てではない。ただ言えることは、映画の中に出てくる警察の身体検査のシーンがありました。私自身も身体検査を受けたことがありますが、日本人の私からしますと、こんなことを秩序を守る警官がするのかという屈辱的な扱いを受けました。そういう小さな屈辱や嫌がらせの積み重なり。それがこの映画で描かれた事実だと思います」と語った。そんな様々な問題を映し出す本作で、果たして解決への希望はあるのだろうか?望月さんは「イエローベストの運動ともつながりを感じています。『レ・ミゼラブル』いわゆる惨めな人々という言葉を、他者ととらえるのか、自分たちと捉えるのか。この映画を他者の物語とみるのか、自分の物語と見られるのか。それが、その後に変化を起こしていく主体となれるかの需要な契機であると思うのです。イエローベスト運動に普通のフランス人が路上で声を上げていることとのつながりを少し感じています。あの運動が成功しているかどうかは疑問ではありますが、そこに希望があるように思えます」と話し、安田さんは「こういう映画を観た時に、こういう暴動が起きるのではないかと聞かれることがあります。そういう時に『本当に?』と一度エクスキューズを持つことが大切です」「テロや暴動など、今の恐怖にとらわれると視野は狭まっていきがちです。そういう時ほど、過去を振り返ってみると、もうそこにヒントがあり、答えの一つがあったりする。希望と考えると、もうそこにあるよということでしょうか」と一度立ち止まることが大切だという。森さんは「この映画のラストシーンをどう考えていいのかわかりません。まだ考えは定まっていませんが、ある種の希望であると思っています。怒りです。不当な扱い受けたことに対して、まだ怒りをはく奪されていない若者が声をあげる。それはすごく大きいことだと思っています」「自分にも同じ権利があるのだという怒りを忘れないこと。それがこの映画の強烈なメッセージではないのかと、私自身は見ています」と話していた。『レ・ミゼラブル』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:レ・ミゼラブル(2020) 2020年2月28日より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
2020年02月13日第92回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされた映画『レ・ミゼラブル』の公開に先駆けて、本作を解説する「STAR CHANNEL MOVIES 『レ・ミゼラブル』 公開記念特番 町山智浩が語る『レ・ミゼラブル』の魅力」がBS10スターチャンネルで放送されることが決定した。第72回カンヌ国際映画祭でポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』と並んでパルムドールを競い、称賛を受けて審査員賞を受賞した本作。現在は犯罪多発地区となっているあの名作「レ・ミゼラブル」で知られるパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、現代が抱える闇をリアルに描き出す衝撃作だ。今回この注目作の公開に先駆け、より期待値が高まる特別番組を放送。映画評論家・町山智浩が出演し、解説していく。また併せて映像も到着。「一級の娯楽作品」「リアリティが半端ない」「本当に考えさせられる映画」と本作について熱く語っている。「STAR CHANNEL MOVIES 『レ・ミゼラブル』 公開記念特番 町山智浩が語る『レ・ミゼラブル』の魅力」は2月7日(金)20時~BS10スターチャンネルほかにて無料放送。『レ・ミゼラブル』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:レ・ミゼラブル(2020) 2020年2月28日より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
2020年02月05日映画『レ・ミゼラブル』が、2020年2月28日(金)より、新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラスト シネマ有楽町ほかにて全国で公開される。“ミゼラブル”なこの現代を描く世界各地で起こる、デモや暴動。引き金となるのは、権力に抑圧される人びとが抱く、政治や社会への不満だ。映画『レ・ミゼラブル』では、現代が抱えるそうした病巣、“ミゼラブル(悲惨)”な世界の縮図が描きだされる。舞台は、パリ郊外に位置するモンフェルメイユ。ヴィクトル・ユーゴーの小説『レ・ミゼラブル』で知られるこの街は、いまや移⺠や低所得者が住まい、悲しみや怒り、そして暴力に満ちる危険な犯罪地域と化していた。犯罪防止班に配属された新人警官ステファンは、仲間とともに街をパトロールをするうちに、いくつかのグループが緊迫した関係にあることを見てとる。そんなある日、1人の少年イッサが引き起こした些細な出来事が、大きな騒動へと発展。事件を解決しようと奮闘するステファンたちだが、事態は取り返しのつかない方向へ......。モンフェルメイユに生まれ育つラジ・リが監督・脚本監督と脚本を務めたのは、映画の舞台であるモンフェルメイユで生まれ育ち、いまもそこに暮らす、ラジ・リだ。ウェブドキュメンタリーを長年手掛けるとともに、 2006年にはフランス人ストリートアーティスト・JRとプロジェクトを発表するなど、幅広い活躍を見せている。初の⻑編監督作品となる本作では、自身がモンフェルメイユで体験してきた出来事を、緊張と洗練を湛えた映像で描いている。数々の賞を受賞なお本作は、第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。第77回ゴールデン・グローブ賞では、惜しくも受賞を逃したが、外国語映画賞にノミネートされた。また日本時間2月10日(月)に開催される第92回アカデミー賞においては、<国際長編映画賞>にノミネートされている。詳細『レ・ミゼラブル』公開日:2020年2月28日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラスト シネマ有楽町ほかにて全国ロードショー原題:Les Misérables監督・脚本:ラジ・リ出演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ、ジャンヌ・バリバール配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES2019年 / フランス / フランス語 / 104分 / カラー / シネスコ / 5.1ch
2019年12月02日英BBC発のドラマ版「レ・ミゼラブル」が、9月21日(土)よりAXNミステリーで日本初放送されることが決定した。本作は、2018年12月から今年2月にかけて、英BBC Oneで放送されたドラマで、1862年に執筆されたヴィクトル・ユゴーの大河小説を、英BBC/ルックアウト・ポイントプロダクションが映像化。脚本は、「戦争と平和」や『ブリジット・ジョーンズの日記』のアンドリュー・デイヴィス。一般的に知られるミュージカル版「レ・ミゼラブル」とは一線を画し、歌を使わず、ストーリーに重点を置いた展開で、コゼットが生まれる前のファンテーヌの人生や、彼女がなぜシングルマザーとして生きることになったのかなどが描かれる。主人公のジャン・バルジャンを演じるのは、「アフェア 情事の行方」、『マネーモンスター』『トゥームレイダー ファースト・ミッション』のドミニク・ウェスト。また、バルジャンを追う刑事ジャベール役を『グローリー/明日への行進』でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされたデヴィッド・オイェロウォ。娘のために身を売るファンテーヌを『ハッピーエンドが書けるまで』『シャドウハンター』『ハリウッド・スキャンダル』のリリー・コリンズ。ほかにも、オリヴィア・コールマンやデレク・ジャコビらが出演している。なお、日本初放送となる今作は、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの日本唯一のミステリー専門チャンネル“AXNミステリー”で放送。「SHERLOCK シャーロック」「ダウントン・アビー」など、英国ドラマをはじめイタリア、フランスほか世界各国の上質なミステリードラマを24時間オンエア中だ。第1話のあらすじ1815年ワーテルローの戦いの後、戦場で略奪をしていたテナルディエは偶然、ポンメルシー大佐を救う。大佐の息子マリウスは、不仲の義父ジノルマンに育てられている。お針子のファンテーヌは、学業のためパリに滞在しているフィーリックスと出会い、恋仲になる。19年の刑期を終えたジャン・バルジャンは町に出るが、元受刑者ゆえに宿も取れない。そこで通りすがりの女性の勧めに従い、司教が暮らす家の扉をたたくことにした。「レ・ミゼラブル」は9月21日(土)16時~AXNミステリーにて日本初放送。※字幕版・全8話(cinemacafe.net)
2019年07月17日ミュージカル『レ・ミゼラブル』の初日会見が19日に東京・帝国劇場で行われ、福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀、濱田めぐみ、生田絵梨花、森公美子が登場した。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年の初演から公演数は3,172回を数える。19世紀初頭のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を描いていく。役者出身の演出補に変わり、「旧演出、新演出の間のシンプルなものを提示されている」(吉原)、「それぞれの個性を引き出してくれてる」(福井)と変化を語るキャスト陣。一方、初出演となった佐藤は「このナンバーをもうちょっと楽に歌えるかなと思ってたんですけど、流れで行くと、なんでこんなにきついんだろう、みたいな」と苦笑する。「バルジャンの先輩から『やった人じゃないとわかんないんだよ』って言われて、本当にそうだな。1人の人生をかけぬけて生きていくことのエネルギーは、見ている以上に大きいものだった」と、心境を明かした。福井は「シュガー(佐藤)が33歳でジャン・バルジャンということで、余計な予備知識なく飛び込んできてくれて、逆にハッと気づかされる。どんどん質問してくれるので、惜しみなく共有しながら稽古をすすめていきました」と、新キャストからの刺激を実感。吉原も「前回前々回は、ジャベールと2役やってたので、ディスカションする暇もなかった」と振り返り、「今回3人でいろいろ話し合ったり語ったりする時間がすごくとれた。3人で話したことをまずシュガーがやってみて、こうなるんだって検証したり。シュガーが入ったことで自分のやってることを具現化できた」と、チーム感が増した様子だった。森は、夫役で新キャストの斎藤司について「お笑いの仕事がなくなるんじゃないかってくらい真面目なんですよ。きちきちやるので、『こうですよね』確認してくれて、『斎藤さんなりにやれば』と言うんですけど、本当に真面目!」と語る。「たぶん、レミゼが終わったあと仕事が減るだろうと思うので、ミュージカルの方で仕事を入れてあげてください」と訴えた。また、初日前の気持ちを色に例えたキャスト陣は、「青。すがすがしい気持ちと、青い炎を燃やしたい」(福井)、「朱色。新しい化学反応だし、赤というより、あったかいものもあって見守ろうという感じ」(吉原)、「黄色。やってやるぞという気持ちと、芝居の中での神とのつながってく光につながってくイメージ」(佐藤)、「白金です。カーテンコールのときに白金の光に包まれているような充実感を得て、お客様も共有して、思いがひとつになる」(濱田)、「黄色。コゼットは光を宿す存在だと思うので、輝かしい、光のようなイメージ」(生田)とそれぞれのイメージを表す。最後の森は「トリコロールです。今回(ノートルダム)大聖堂が火災に見舞われて、フランス国民みんなが落胆している。フランスという大きな国が一つになって、再現しようとしている。私たちは自由に向かって前に行くわけですけど、フランスの国旗から力をもらえたかな」と、パリの火災に触れる。「少しでもこの作品をやってる限りは募金したいなと思って。日本も震災のときにいろいろ助けてもらってますから」と涙を見せた。東京公演は帝国劇場にて2019年4月19日〜5月28日(プレビュー公演 4月15日〜4月18日)。他、名古屋公演、大阪公演、福岡公演、北海道公演と全国ツアーを予定している。
2019年04月19日1985年にロンドンで生まれ、現在では50か国以上で上演されている、世界的メガヒットミュージカルの代名詞的存在『レ・ミゼラブル』。世界で3か国目の上演地である日本での初演は1987年で、2年前の公演は30周年記念公演として大きな盛り上がりを見せた。あれから2年、“今年の『レミゼ』”のプレビュー公演が本日4月15日(月)に開幕する。“今年の『レミゼ』”と、まるでボージョレ・ヌーボーのような言い方をしてしまいたくなるのは、それだけ年によって味わいが異なるから。ヴィクトル・ユゴーの長編小説が完璧と言っていい構成と音楽によって舞台化された作品は、もとよりロングランされて然るべきハイレベルかつ普遍的な内容だが、それだけではさすがに30年以上は続かなかっただろう。毎回のようにキャストを入れ替え、時には演出を大幅に変更し、常に新風を吹き込み続けてきたから今がある。逆に言えば、どんな新風を受け入れても尚『レ・ミゼラブル』であり続けられるこの懐の深さこそ、作品の偉大さの証明であるとも言えるだろう。日本版では、プリンシパルと呼ばれる主要9役について常にダブル・トリプル・クワトロキャストが組まれてきており、ここ数年はそのうちの何役かに新キャストが投入されることが多かった。全役が本国スタッフによる厳正なオーディションで決定されるため、新たに受かる俳優がひとりもいない役があったことがその理由と考えられるが、今年は久々に9役すべてに新キャストが揃っている。満を持してのファンテーヌ役となる濱田めぐみ、ミュージカル界での確固たる実績を引っ提げて新役に挑む上原理生、伊礼彼方(ともにジャベール)、小野田龍之介(アンジョルラス)、ミュージカル界の新星となりそうな屋比久知奈(エポニーヌ)、熊谷彩春(コゼット)、三浦宏規(マリウス)、異ジャンルからの参戦となるトレンディエンジェルの斎藤司(テナルディエ)、朴璐美(マダム・テナルディエ)。何より、弱冠33歳、つまり日本初演時にはまだ生まれてもいなかった新ジャン・バルジャン、佐藤隆紀の巻き起こす新風に期待が高まる。4月15日(月)から18日(木)のプレビュー公演を経て、帝国劇場にて4月19日(金)から5月28日(火)まで上演。その後、名古屋、大阪、福岡、北海道へと、全国5大都市ツアーが9月まで続く。文:町田麻子
2019年04月15日ミュージカル『レ・ミゼラブル』の製作発表会見が1月23日に開催された。全世界での観客総数は7千万人を突破した、世界の演劇史を代表する作品のひとつ。日本でも30年以上の長きにわたって上演を重ねている。この日は出演者72名が登壇する華やかな会見となった。【チケット情報はこちら】ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、19世紀初頭のフランスの動乱期に生きる人々の姿を描く群像劇。パンを盗んだことから19年投獄されたのち、名を変えながらも新しい人生をまっとうに生きていこうとする主人公ジャン・バルジャン、彼を追う刑事ジャベールを中心に、様々な人々の人生が描かれていく。会見ではキャストが思い思いに、役への意気込みや作品への愛情を語った。22年間マダム・テナルディエ役として出演している森公美子は「この作品はオーディションですので、次は受かる自信がない。今年が最後じゃないかなと思いながら、舞台を務めさせていただきます」とコメント。また『レ・ミゼラブル』は同じ俳優が年を重ね、別の役で出演することも多い作品。これまで若き革命家・アンジョルラスを演じていた上原理生は今回、ジャベール役として登板。「まったく違う『レ・ミゼラブル』の世界が見れるのかなとワクワクしています」と話す。1987年の日本初演時はバルジャンの養女コゼットを、その後その母ファンテーヌを、そして前回からマダム・テナルディエを演じている鈴木ほのかは「今年は元号も変わります。昭和でコゼット、平成でファンテーヌ、新元号でマダム・テナルディエ、ますます頑張ってまいります!」と力強く意気込んだ。ジャン・バルジャン役は福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀のトリプルキャスト。初参加の佐藤が「この役をやるには、まだ自分は精神面も技術面も足りない部分がある。いいステージをお届けできるよう、日々精進していきたい」と気を引き締め、前回より続投の吉原と福井はそれぞれ「自分に向き合って精進して、楽しみながら自分を高めていく作品」(吉原)、「本当にバラエティに富んだ素晴らしいキャストが集まって、どんな化学反応が起こるのか僕も楽しみ」と話した。会見では劇中歌7曲の披露も。テナルディエ役として初出演するトレンディエンジェルの斎藤司は、マダム・テナルディエ役の朴路美とともに『宿屋の主人の歌』を軽快に歌った。斎藤は「今まで生きてきた中で一番というくらい、のどの調子が悪かった(笑)。本番はさらに素晴らしいものをお見せできると思う」とコメントし会場を沸かせた。ジャベール役に初挑戦する伊礼彼方は名曲『スターズ』を披露、「自分で望んでオーディションを受けたこの役ですが、いざ歌ってみるととても重たいものがあった。先輩たちが30年築き上げた歴史に、新たな息吹を吹かせたい」と話した。東京公演は4月15日(月)から5月28日(火)まで帝国劇場にて上演。その後6月に愛知・御園座、7月に大阪・梅田芸術劇場メインホール、7月末~8月に福岡・博多座、9月に北海道・札幌文化芸術劇場hitaruでも上演される。
2019年01月25日フジテレビ開局60周年特別企画として、不朽の世界的名作「レ・ミゼラブル」を平成30年間の日本を舞台に置き換えた大河エンターテインメントとしてドラマ化することが決定。ディーン・フジオカと井浦新をW主演に迎えるほか、若手から実力派まで魅力的なキャストたちが集結する。■「レ・ミゼラブル」とは――文豪ヴィクトル・ユゴーが1862年に発表した不朽の世界的名作「レ・ミゼラブル」。ミュージカル版はブロードウェイほか世界各地で上演され続け、世界中で愛されている。日本でも、1902年に「噫無情(あぁ、むじょう)」の題名で黒岩涙香によって翻案された。18~19世紀のフランス革命の時代を舞台にした原作では、一斤のパンを盗んだだけで19年も投獄された男が脱獄後、一人の神父と出会い改心し、別人に名前を変え成功を収めるも、自分を怪しむ警官の追及により正体が暴かれ、再び逃亡する前半。身分を隠して血のつながらない娘を育てあげ、やがて時代の波にのまれていく後半、と30年に渡るダイナミックな展開が描かれる。■ドラマでは舞台を平成の日本に…今回放送が決定したドラマでは、舞台を日本に移し、平成の30年間に置き換えた。主人公は、過去に罪を犯し別人に成り代わって生き抜いた男と、その事件の被害者遺族で彼を生涯追い続けた刑事の2人。追う者と追われる者、互いに一歩も引かない心理戦が展開される。【第1幕】<舞台は平成3年(1991年)~7年(1995年)の神戸>ある日、殺人犯の少年が刑務所から脱走したニュースが駆け巡る。2年前、17歳の少年・馬場純が正当防衛の末、殺めてしまった相手は、母・結子を騙して全財産を巻き上げた男・斎藤太。ある日、弟が危篤であることを聞かされた純は思わず脱走するもすでに死亡…。絶望の淵で自殺しかけたところ、自立支援施設「徳田育成園」を営む徳田浩章に助けられ、身分を隠して育成園で暮らし始める。そこで弁護士を目指す少年・渡辺拓海と出会う。もう一人の主人公は純が殺めてしまった男・斎藤の一人息子・斎藤涼介。悪徳な両親と縁を切っていたものの、父親が殺された理由が投資詐欺を働いたせいだと世間に知られ、被害者遺族のはずがまるで加害者家族の様な報道被害にあう。そんな中、平成7年に起きた阪神・淡路大震災が2人の少年の運命を大きく変えることに――。【第2幕】&【第3幕】第2幕は<平成16年(2004年)の東京を舞台に>、第3幕は<平成30年(2018年)の福島が舞台に>2人の主人公の再会と、阪神大震災で決定的に変わった運命のその後が描かれ、世間から身を隠しながら生きる純と、純を追いかけ続ける涼介、ついに対峙する2人の男。30年にわたる長い旅路に打たれる衝撃的な終止符が描かれる。■W主演は“逃亡者”ディーン・フジオカと“追跡者”井浦新本作で主演を演じるのは、ディーンさんと井浦さん。別人に成り代わって波乱の人生を生き抜く馬場純を、「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」で愛憎に満ちた復讐鬼を演じたのも記憶に新しいディーンさんが、その逃亡者を憎しみで執拗に追い詰める刑事・斎藤涼介を井浦さんが演じる。第1幕の撮影が終わり、ディーンさんは「『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』で同じゴールに向かって一緒に戦い抜いたメンバー、初めてご一緒する並木監督、3年ぶりの共演になる井浦新さんや個性あふれるキャスト、スタッフの皆さんと共に新たな世界的名作シリーズに挑戦できることに喜びを感じています」とコメント。一方、井浦さんは「斎藤涼介という男は、驚くほど臆病で、自分の弱い部分を人に見せないためにいろいろな言い訳を周りにも自分にもしてきた男です」と自身の演じる役柄について語り、「たった一つの生きる糧が馬場純への復讐心。その純とどのような反響を見せられるか、とても楽しみにしています。ですので、この役をやるにあたっては、役を固めて芝居に臨むのではなく、現場で生まれてくる熱を最大限に引き出すようにしたいと思っています。壮大だからこそ、なるべく力を抜いて、柔軟にアプローチできたら、と」と語っている。■山本美月&吉沢亮&村上虹郎らも出演!W主演の2人のほかにも、メインキャストが一挙発表。病に倒れ、幼い娘を純に託すシングルマザー・不破唯を山本美月。若き日の主人公・馬場純を吉沢亮。純の親友で物語のキーとなる渡辺拓海を村上虹郎。純が大切に育て上げた娘・梢を清原果耶。梢と恋に落ちる若手政治家・碓氷慎を松下洸平。怒りを抱える若き日の斎藤涼介を清水尋也。慎に好意を寄せる田辺瑛里華を福田麻由子。絶望の淵に立たされた若き純を救う自立支援施設の園長・徳田浩章を奥田瑛二が演じる。「名作に参加させていただけることをとてもうれしく思います」と今作への参加を喜んだ山本さんは、「私の演じさせていただく不破唯の短い人生の中で、母親として娘を想い、強く生きる姿を表現出来たらと思います」と意気込みを語り、ディーンさん演じる主人公の少年時代を演じる吉沢さんは、「毎日が濃厚で、映画一本撮ったくらいの達成感と疲労感。そしてキャスト、スタッフ、並木監督、是非またご一緒させていただきたいと思える素晴らしい方々と過ごした時間は至福でした」とふり返る。夏にロンドンで本場の「レ・ミゼラブル」を鑑賞したという村上さんは、「まさか設定が神戸弁で来るなんて。大胆に日本版として書き換えられた本が素敵で泣きました」と語り、清原さんは「壮絶な人生を生き抜いてきた血のつながりがない父・馬場純に大切に育てられてきた、純な心を持つ梢の意思を素直に表現出来ればと思います」とコメントしている。そのほか、長谷川京子、金子ノブアキ、富田靖子、寺脇康文、伊武雅刀、かたせ梨乃、香里奈が出演する。■キャストコメント松下洸平あの大作を現代ドラマ化するという企画を伺った時は驚きましたが、更に驚いたのは、頂いた台本が映し出す日本の激動と「レ・ミゼラブル」の世界が見事に交わり合っていたと言う事です。僕は原作に登場するマリウスという革命家をモデルにした若き政治家、碓氷慎を演じさせていただきます。この作品の一部になれる事を光栄に感じますし、新しい年の始まりにふさわしい、これまでにない現代版「レ・ミゼラブル」が多くの方に届く様、精一杯務めさせていただきます。長谷川京子わたしが演じさせて頂く役は一言で言うと…“強欲”な女です(笑)。救いようもない、全く共感出来ない人物をどう自分に引き寄せるか。考えるだけでワクワクしています。映画版「レ・ミゼラブル」は大好きな作品で、公開当時は続けて3度見に行ったほどです。今回参加出来ること、とてもうれしく思います。金子ノブアキ今まで演じてきた悪役の中でもかなりタチの悪い男ですが、楽しみながら作り上げたいと思います。この記念碑的作品に参加できる事をうれしく思います!伊武雅刀今回は政治家の役です。国民のために働く人間です。国を良くする信念の前に立ちはだかる些末(さまつ)な事は冷徹に切り捨てます。老獪(ろうかい)、冷酷、人誑(たら)し。統率力、実行力、判断力を駆使して組織をまとめる豪腕さ。はっきり言ってあまりお近付きになりたくない人物です。しかし役者である以上与えられた役はこなさなければならない。ああ無情。今回は嫌われようが憎まれようが、主人公の前に巨大な壁となって行く手を阻むつもりです。可愛い孫のために。かたせ梨乃自分とは正反対で、今までやった事が無いぐらい、ものすごく薄幸な役です。まさか自分がこのような役をやらせていただけるとは思ってもおりませんでした。誰かに依存しないと生きていけない女性で、その誰かを失い、家族が崩壊して、自分も崩壊してしまう。心の中に刻み込まれた後悔を抱えながら何もできず、乗り越えられない…。物語は震災という動乱に巻き込まれて、自分の意思ではどうにもならず、進む方向が変わってしまった人々。その懸命な生き様が描かれており、心ヒリヒリする作品になるのではと期待しています。香里奈この度、佐山梨沙子役をやらせていただくことになりました。本作の中で、梨沙子は小料理屋で働いている女性になりますが、主人公やその周りの人達とどのような関係性なのか、そしてどのような“秘密”をもった人物なのかも注目して見ていただけたらと思います。そして今回、時間経過がありそれぞれの役年齢も変わっていく中で、キャラクターがどのように変化していくかも、とても楽しみにしています。スタッフ、共演者の皆様と共に、心に響くような作品を作っていけたらと思っています!!奥田瑛二人は結局、誰を信じて、誰を守るか…強い信念で主人公、若者たちの道しるべとなる役どころである。久しぶりの難役だ。心砕いて信愛を注ぐ、目に見える手を差し伸べるのではなく強く生きるべく方向を示す。重大な問題を抱え、どっちの道に進むか迷った時…『難しい方を選ぶ。無理やと思う方を選ぶ…それが大体、正解や』と言う。自分に嘘(うそ)がつけない役である…だだいま静かに奮闘中!フジテレビ開局60周年特別企画「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」は2019年1月6日(日)21時~フジテレビにて放送。(cinemacafe.net)
2018年11月20日ミュージカル『レ・ミゼラブル』新キャストお披露目会見が10日、都内で行われ、佐藤隆紀(ジャン・バルジャン役)、上原理生(ジャベール役)、伊礼彼方(ジャベール役)、濱田めぐみ(ファンテーヌ役)、屋比久知奈(エポニーヌ役)、三浦宏規(マリウス役)、熊谷彩春(コゼット役)、斎藤司(テナルディエ役)、朴璐美(マダム・テナルディエ役)、小野田龍之介(アンジョルラス役)が登場した。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年の初演から公演数は3,172回を数える。19世紀初頭のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を描いていく。佐藤は「いつか、という思いでいたけど、正直こんなに早く受かるとは思ってなかったので、焦っています」と心境を表す。「自分のスキル、そして内面が伴って、これから本番に向けて、スキルアップしていきたい」と意気込んだ。伊礼も「いつかジャベールをやりたい」と思いつつ、「思ったより早くこの役にたどり着けたので、自分の持ってるワイルド感、イケメン感、悪役感、培ってきた引き出しをすべて駆使して挑みたいと思います」と語った。一方、これまでのアンジョルラス役から役替わりとなった上原は「あぐらをかきたくない」「違う役をやってみたい」という思いから、今回ジャン・バルジャン役とジャベール役のオーディションを受け、ジャベール役を射止めたという。「たくさん革命をしてきた私が、今回から革命を鎮圧する側に回りました。全く違う『レ・ミゼラブル』の景色が見れるんじゃないかなという楽しみがあります。どれだけできるかわからないんですけど、2幕頭の『昔は俺も戦った』という台詞は説得力があるんじゃないかなと思います」と会場を笑わせた。ファンテーヌ役の濱田は「"まさかハマメグが!? と驚かれたと思うんですけど」と苦笑。「お客様として楽しむ作品だなと思ってたんですが、オーディションを受けさせていただくタイミングがありまして。自分が亡くなって、天国に行く時に後悔したくないなと思いました」とオーディションを受けた時の心境を明かす。朴も「独立したばかりで、もうちょっとチャレンジしてもいいのかな」と決意。オーディション時には「『璐美はキャット、猫のようにコゼットを追い詰めて!』と言われて『なんだ!?』と思ったけど、『自由にやってみちゃえばいいじゃない』とスイッチが入ったのを覚えています。あっという間に終わって、扉を出た瞬間に大号泣しました」と振り返った。お笑い芸人・トレンディエンジェルとして活躍する斎藤は「大先輩の方々に囲まれて本当に緊張しまして、歯が痛い」と普段とは雰囲気が違う様子。「皆が愛している作品ですし、足を引っ張らないようにやらせていただければ」と意気込んだ。オーディションの話題に注目が集まったが、『モアナと伝説の海』ヒロインでも知られる屋比久は、「ワークショップのような形でオーディションを進めていただいて、私が今まで知らなかった感情に出会える場だった」と振り返る。17歳の熊谷も「高校で友達に話しかけるように歌ってみて」というアドバイスで歌った結果、「『目の奥でキラキラしているのが見えたよ』と言われたのが本当に嬉しかった」と様子を語った。上演時には20歳で、史上最年少のマリウスとなる三浦は、オーディションで「演出家の方に『カフェ・ソング1曲の中にもいろんな感情があって、それを表現して欲しい』と言われて、表現したいと思っても、技術が伴わず、思うようにできなくて。それが本当に悔しくて、泣きそうになるくらいできなかった」と当時の心境を吐露。「絶対に、次はもっと自分が経験してできるようになってやろうと思っていたのが、選んでいただけたので、あと少しの時間しかありませんけど、万全の状態で挑んでいきたいと思います」と決意を新たにした様子だった。また、実は「15歳の時にもオーディションを受けて最終選考まで残っていた」という小野田。「どの作品よりも見ている」とレミゼ愛を語る。オーディションでは譜面をもらっていなかった『ア・ベ・セー・カフェ』前半も急遽歌うことになったものの、「『いけますよ』と答え、好きでよかった。見事に歌詞が出て、自分のことを尊敬しました」と笑顔を見せた。東京公演は帝国劇場にて2019年4月19日〜5月28日(プレビュー公演 4月15日〜4月18日)。他、名古屋公演、大阪公演、福岡公演、北海道公演と全国ツアーを予定している。
2018年10月10日1987年6月17日に帝国劇場で幕を開けたミュージカル『レ・ミゼラブル』日本公演が、6月17日に30周年記念日を迎えた。“日本初演30周年記念公演”と銘打つ今年の公演だが、6月11日からはスペシャルウィークとして、本編の上演後、歴代キャストが登壇するスペシャルカーテンコールを開催。中でもまさに30歳の誕生日となったこの日は、“超スペシャル版”だ。初演のジャン・バルジャン役の鹿賀丈史をはじめ、約150名の歴代・現役キャストが登壇、さらに本作の産みの親であるアラン・ブーブリル(オリジナルフランス版脚本)とクロード=ミッシェル・シェーンベルク(作曲)も駆けつけ、この記念日を祝った。チケット情報はこちらスペシャル・カーテンコールは、この日登壇した現役・歴代キャスト150名による、1幕ラストのビッグナンバー『ワン・デイ・モア』からスタート。オリジナルキャストである鹿賀が最初のワンコーラスを歌った時点で、客席からはため息と歓声の入り混じったような声が起きる。その後も、次々と新旧のキャストが歌い継ぐと同時に、大スクリーンにその顔が映し出されると、その都度大きな拍手が沸き起こった。『レ・ミゼラブル』は“スターを作るミュージカル”と称されているが、本作でデビューを飾り初演時にアンサンブルとして出演していた藤田朋子、2011年から子役として出演していた加藤清史郎らの姿も見える。初演の初日のステージにも立っていた鹿賀は「今日の舞台を拝見しましたが、初演時の勢いよりもっと元気のいい舞台でした。…が、これもすべて我々が始めたこと(笑)」と茶目っ気たっぷりに挨拶。同じく初演キャストである島田歌穂は「私にとって大きく人生を開いていただいた作品。生涯、感謝し続けます」と話す。2003年からバルジャンを演じていた別所哲也は「僕にとって俳優人生で大切な大切な役であり、作品」と言い、2007年からマリウス役を演じていた山崎育三郎は「僕は『レ・ミゼ』が大好きで、アタマから最後までひとりで歌えるくらい『レ・ミゼ』おたく」と作品愛を語った。さらに作曲家のシェーンベルク自らが弾くピアノにのせ、バルジャンのナンバー『彼を帰して』を新旧6名のバルジャン役者が歌うパフォーマンスに劇場は大きな感動で包まれ、ラストは誰もが知る名曲『民衆の歌』の大合唱へ。1時間超に及ぶスペシャルなカーテンコールは、熱い熱い拍手の中、幕を下ろした。終幕後に行われた囲み取材には、歴代バルジャン役の鹿賀、今井清隆、別所、初演キャストである島田、岩崎宏美、鳳蘭、現バルジャン役の福井晶一、ヤン・ジュンモ、吉原光夫が出席。鹿賀は「あっという間の30年。これだけ大掛かりなミュージカルを日本でやったのは、たぶん『レ・ミゼラブル』が初めてだった。その最初に作った時の気持ちを、初演の時には生まれていなかったような若い人たちが受け継いでくれている。今日は一緒に歌うことが出来て感動しました。非常にいい時間でした」と語っていた。公演は7月17日(月・祝)まで帝国劇場にて。福岡・大阪・愛知公演もあり。
2017年06月19日俳優の山崎育三郎が17日、帝国劇場で行われたミュージカル『レ・ミゼラブル』の日本初演30周年記念日 スペシャル・カーテンコールに登場した。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年6月17日に初演を迎えた。19世紀初頭のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を描いていく。山崎はマリウス役で2007年から2013年まで同作に出演していた。日本初演からちょうど30周年を迎えた同作に、現役・OB合わせて約150名の役者が集まった。森公美子と岡幸二郎によるMCで、マリウス役への思い入れを聞かれた山崎は「10年前の6月にデビューさせていただき、オーディションのことを思い出しまして」と振り返る。「レミゼが大好きで、ここにいる皆さんの大ファンで、ずっと客席で見ていたんですね。皆さんに負けない『レミゼ』オタクで、最初から最後まで全部歌えるんです」と語る山崎。森から「時間がない」というジェスチャーをされながらも、「それくらい大好きで、審査では『カフェ・ソング』だけでいいと言われたのに、『マリウスの歌、全部何も見ないで歌えます』と言ったら合格しました! それくらい思いが強いことを伝えたかったです」と熱弁した。森が「今度はバルジャンも狙えるし、ジャベールも」と他の役のオーディションの可能性について示唆すると、山崎は「頑張ります!」と宣言。会場からは拍手が起こっていた。
2017年06月17日ミュージカル『レ・ミゼラブル』の日本初演30周年記念日 スペシャル・カーテンコールが17日、帝国劇場で行われ、鹿賀丈史、岩崎宏美、島田歌穂、鳳蘭、今井清隆、別所哲也、福井晶一、ヤン・ジュンモ、吉原光夫が取材に応じた。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年6月17日に初演を迎えた。19世紀初頭のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を描いていく。30周年を記念し、1週間のスペシャル・カーテンコールを行っていた同作。30周年当日となる17日は、歴代キャストに加え、作・脚本のアラン・ブーブリル、作・音楽のクロード=ミッシェル・シェーンベルクらが登場し、祝福のメッセージを贈った。また、シェーンベルクが自らピアノを弾き、福井&ヤン&吉原の現役バルジャン、鹿賀&別所&今井のOBバルジャンが歌った「彼を帰して 30周年バージョン」には多くの観客が涙していた。鹿賀、島田、岩崎、鳳の4人は初演時にステージに立っていたメンバーだが、鹿賀は30年前の今日について「もちろん覚えています」と力強い一言。「一生懸命稽古したせいですが、そんな緊張することもなく、結構伸び伸びやった気がしますけど、今日の方が緊張しました」と笑顔を見せた。別所も久しぶりの『レミゼ』曲に「蘇るものがたくさんあった」としみじみ。「スペシャルな編曲で、このために作られたものだったのでとても僕にとって思い出に残りました」と語る。今井は「キーが転調して、いつもより高い声を出さなきゃいけなくて、慌てて練習して」と、現役後に起こっていた変化を明かし、周囲を笑わせた。また、初演時は宝塚歌劇団退団直後だったという鳳は、コゼットをいじめるマダム・テナルディエ役に「毎日ファンの人が減っていくので、子供をいじめる役はダメだなと思いました」と苦笑した。現役で『レ・ミゼラブル』のステージに立つ後輩たちの姿に、鹿賀は「アドバイスなんかとんでもないです。素晴らしいですよ。僕らも一生懸命やってましたけど、力強くて、あったかくて、熱がね、すごい熱いものがあるので」と絶賛。「楽屋にいたんですけど、一緒に歌わせてもらったんです」と裏側の様子を明かした。鹿賀は改めて「今日、若い連中の演技や歌っている姿を見て、逆に力をいただいた気がします」と語り、「非常に幸せな30周年です」と喜びを表した。
2017年06月17日ミュージカル『レ・ミゼラブル』が、プレビュー公演を経て5月25日、初日の幕を開けた。日本でもコンスタントに上演され続けている人気作だが、今回は1987年の日本初演から数えて30年目の節目の公演で、いつも以上に注目が集まっている。同日、初日キャストである福井晶一、吉原光夫、知念里奈、昆夏美、生田絵梨花、森公美子が取材に応じた。チケット情報はこちらヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、19世紀初頭のフランスの動乱期に生きる人々の姿を描く群像劇。パンを盗んだことから19年投獄されたのち、名を変え新しい人生をまっとうに生きていこうとする主人公ジャン・バルジャンを演じる福井は「日本初演30周年。日本の皆さまにこれだけ愛され続けてきた作品に出演出来て嬉しく思います。先輩方が築き上げ、繋いできたバトンをしっかり守っていきたい」と意気込みを。バルジャンを追う刑事ジャベール役の吉原も「感慨深い。30年、たくさんのキャストやお客さまが携わり作り上げてきたものに負けないよう、でも意識しすぎないよう冷静に演じたい」と話した。30年のあいだ、多くの新しいキャストが加わり、卒業を繰り返していった作品。今回も、1987年の日本初演でバルジャンの養女・コゼットを演じた鈴木ほのかが、コゼットをいじめる宿屋のおかみマダム・テナルディエとして初参加するなど話題も多い。初日メンバーの中ではコゼット役の生田がニュー・キャストだが「先輩方が築き上げてくださったものをしっかり受け継ぎながら、新しい空気感を出していけるように頑張っていきたい」と初々しく挨拶した。乃木坂46のメンバーとして活躍する生田だが、1月に『ロミオ&ジュリエット』で本格的にミュージカルデビューを果たし、今回が歴史ある帝国劇場への初出演。ファンテーヌ役の知念が「いくちゃんはどんどん進化している。私もかつてコゼットを演じていたので、ファンテーヌ役もいつかやってくれたら嬉しい」、エポニーヌ役の昆が「自分の大好きな人が生田さん演じるコゼットに思いを寄せているという物語なのですが、生田さんを見ていると、これだけ美しく歌声も素敵なので、完敗だなと…」と話すなど、共演者からも高い評価を得ているよう。またマダム・テナルディエ役の森も「生田さんは本当にまっすぐで、声も素直に出る。何も言うことがない。最初はキスシーンなどにぎこちなさがあったけれど、今はもう“大女優”! ファンの方たちが相手役に嫉妬するんじゃないかと思うほど。素晴らしい」と絶賛、さらに「イギリス人のスタッフの方が、わざわざ生田さんを呼び出して「綺麗」って言ったのよ」とも明かした。最後に改めて福井が「ひとりひとりが作品と向き合い、いい仕上がりになっている。たくさんの方にこの作品の感動を届けたい」と話し、キャストは初日の舞台へと向かった。30年愛され続ける名作を、節目の年にぜひ。なお、メインキャストはすべてトリプルキャストで、日によって出演者は異なる。東京公演は7月17日(月・祝)まで同所にて。その後8月に福岡、9月に大阪、9~10月に愛知でも上演される。
2017年05月25日ミュージカル『レ・ミゼラブル』初日囲み取材が25日、東京・帝国劇場で行われ、福井晶一、吉原光夫、知念里奈、昆夏美、生田絵梨花(乃木坂46)、森公美子が登場した。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年の初演から公演数は3,006回を数える。19世紀初頭のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を描いていく。森が生田とLINE友達ということを明かすと、吉原が「LINE交換してるんだ……」と羨ましそうな様子に。森が「LINEグループがあるんですよ」と説明すると、吉原は改めて「地方公演に行くまでに生田さんとLINEを交換したい」と意気込みを語った。吉原が「ジャベール(役)をやってるんで、招待されてないんですよ」とぼやくと、森は「ごめん忘れてた」と大爆笑。さらに知念も「私も入ってない……」、福井も「僕も入ってないんです」と、次々と“グループ漏れ”が発覚し、生田が「まだできたばかりなので、募集中です」と弁解する展開になった。また、今回が日本初演から30周年の記念公演となるが、それぞれの発見を聞かれると、ファンテーヌ役の知念は「ジャン・バルジャンに、娘をこんなに美しくこんなに聡明に育ててくれてありがとうと思いました。新たな発見だったかなと思います」としみじみ。生田は「今までのイメージのコゼットはおとなしかったけど、今回はそうじゃない」と明かし、「現代の女の子にも通じるような心を持ってやれたら」と語った。福井は「特に二幕からのバルジャンの心の持ちかたで発見があった」と稽古を振り返り、「相手を優先していく心持ちを前よりも理解できるようになった」という。吉原は毎回の演出の変化に「いい意味で、現代にそったような人格や性質を持っていくんではないのかな」と作品について考えを述べた。マダム・テナルディエ役の森は「どちらが頭がいいか、毎回テナルディエとの関係が変わっていくんですね。今回はテナルディエ」と演出について説明。「私はついていく方で、手数が増えたので、覚えるだけでなかなか大変」と苦笑し、「次の『レミゼ』には私がいるかいないか、またオーディションを受けて頑張りたいとは思います」と心境を吐露した。最後に、昆は演出家から言われた「音楽の力に、もっと寄り添ってほしい」という言葉をあげ、「感情を伝えつつも、音楽の力に少し寄り添えたらなというのが発見であり、目標です」と公演へ意気込んだ。東京公演は帝国劇場にて2017年5月25日~7月17日、福岡公演は博多座にて8月1日~26日、大阪公演はフェスティバルホールにて9月2日~15日、名古屋公演は中日劇場にて9月25日~10月16日を予定している。
2017年05月25日1987年の帝劇日本初演以来、30周年となる『レ・ミゼラブル』の制作発表記者会見が帝国劇場で行われた。オーディエンス800人と記者たちが見守る中、まず橋本じゅんと鈴木ほのか、アンサンブル48名が「宿屋の主人の歌」で場を盛り上げる。その後、男性アンサンブル&女性アンサンブル、子役キャストをひとりひとり役名とともに紹介。そしてプリンシパルが登場し、意気込みを語った。ミュージカル『レ・ミゼラブル』チケット情報特別ゲストとして登場したのは、1987年日本初演のオリジナルキャスト、エポニーヌ役の島田歌穂。「帝劇のこの舞台に立たせていただくと、初演初日の幸せな緊張感とカーテンコールの大感動が一気に蘇ってきて感無量です。レミゼとの出会いは生涯の宝物。40周年、50周年に向かって、どこまでも大きな感動の輪を広げ続けてください」(島田)。6月11日(日)~17日(土)は日本30周年スペシャルウィークとして、特別カーテンコールがあり、歴代のキャストや海外ゲストが登場するという嬉しい発表も!キャストの質疑応答では、作品の魅力について問われると、「まず音楽。スコアが深く、台本を読み、映画を読んでいるような気持ちに。原作数巻を3時間に濃縮している、その濃厚さを食らう感じはクセになるのでは?」(吉原光夫)。「一気に作品世界に誘う音楽。またユゴーのメッセージ、蔑まれた弱き者たちに焦点を当てた点はいつの時代も共感できると思います。登場人物誰かしらに感情移入できますし、キャストが変わればまた新たな発見がある」(福井晶一)。「ドラマと音楽。中でも、最後、バルジャンが天に召されるシーンの『誰かを愛することは神様のおそばにいることだ』という台詞には、全ての登場人物の魅力が込められていると思います」(ヤン・ジュンモ)。「主役は民衆で、実はアンサンブルの皆さんが主役。「民衆の歌」を力強く歌ってくださることで、私たちは生きることの素晴らしさを感じられます。生きるというテーマ、そして愛なくして生きることは成立しないと教えてくれます」(森公美子)。またコゼットとして初出演となる生田絵梨花は、稽古の感想を聞かれ、「すごい迫力で、鳥肌が立つぐらいの素晴らしい歌声が集まっています。私もそこにしっかり乗っていけるように頑張ります」と語った。歌唱披露では、まずは新キャストがレ・ミゼラブルの数々の名曲をパフォーマス。皆、役にハマる美声で、堂々とした歌いっぷり。最後には全員で「ワン・デイ・モア」。30周年にふさわしい。ダイナミックな多重唱に引き込まれ、心が躍った。ああ、幸せなレミゼの季節がもうすぐやってくる!『レ・ミゼラブル』は2017年5月25日(木)から7月17日(月・祝)まで、東京・帝国劇場にて。プレビュー公演5月21日(日)から24日(水)まで、日本初演30周年スペシャルウィーク6月11日(日)から17日(土)まで。全国ツアー公演あり。取材・文/三浦真紀
2017年03月06日ミュージカル『レ・ミゼラブル』の製作発表記者会見が28日、東京・帝国劇場で行われ、73名の出演者たちが出席した。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年の初演から公演数は3,006回を数える。19世紀初頭のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を描いていく。この日は、1万人の応募の中から選ばれた800人のオーディエンスに向けて、「宿屋の主人の歌」(橋本じゅん&鈴木ほのか)、「夢やぶれて」(二宮愛)、「レッド&ブラック」「民衆の歌」(相葉裕樹&男女アンサンブル)、「プリュメ街」(生田絵梨花)、「心は愛にあふれて」(生田&内藤大希&唯月ふうか)、「オン・マイ・オウン」(松原凜子)、「ワン・デイ・モア」(オールキャスト ※橋本じゅんは仕事のため退席)が披露された。○『レ・ミゼラブル』の魅力と意気込みジャン・バルジャンとジャベールの2役を演じる吉原光夫は、「自分が本当にこの劇場が大嫌いなんです」と帝国劇場について語り、周囲をざわめかせた。初めて出演した際に「『(Endless) SHOCK』のセットの前で記者会見をして、心臓が飛び出て転がってどっかいっちゃうんじゃないかというくらい緊張」したと振り返った吉原。「目の前を観れば宇宙みたいに広がる帝国劇場が怖くて仕方ありません」と語り、「また戦いが始まると思うと、気合いを入れて行こうと思います」と意気込んだ。また同作の魅力について、ジャン・バルジャン役の福井晶一は「それぞれが信念を持って生きて、お客様が自分に置き換えて、いろんな役を実感として感じられる作品」と説明。同じくジャン・バルジャン役のヤン・ジュンモは、同役の最後の場面で歌う「神様のお傍にいることだ」という一節が印象的なフレーズだと引用する。ヤンは、「『誰かを愛することは神様のお傍にいることだ』というのは全てのキャラクターに通じること」で、「魅力が込められていると思います」と持論を展開した。2016年に、同じく帝国劇場で行われたミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』に出演していたアンジョルラス役の上原理生は、「同じフランスのパリで別の革命をしてまして、そのときは勝ちました」と報告。『1789』では「生き延びてバスティーユを陥落」したものの、「今回また戦って破れて天に召される季節がやってきた」と苦笑し、「フランスの別の革命をやった後、果たしてこのレミゼラブルが自分の目にどう映るのか、楽しみにしています」と意気込みを述べた。また、マリウス役の内藤大希は「ここに立っている姿を両親に見せたかったんですが、抽選に外れまして……」と告白。「本番をたくさん見てもらって、それまでは元気に生きていてもらいたい」と希望を語った。会見には、初演時にエポニーヌ役を演じて以来、同役を代表するキャストとなった島田歌穂がゲストとして登場した。島田は「30年経ってしまったというのが信じられない」と振り返り、同作は「生涯の宝物」だとしみじみと語った。さらに、初演時にコゼットを演じた鈴木ほのか(マダム・テナルディエ役)とは「楽屋が一緒だったんです。二人部屋でした」と明かし、周囲を驚かせていた。会見にはプリンシパルとして、福井晶一&ヤン・ジュンモ&吉原光夫(ジャン・バルジャン役)、川口竜也&岸祐二(ジャベール役)、知念里奈&和音美桜&二宮愛(ファンテーヌ役)、昆夏美&唯月ふうか&松原凜子(エポニーヌ役)、海宝直人&内藤大希&田村良太(マリウス役)、生田絵梨花&清水彩花&小南満佑子(コゼット役)、上原理生&上山竜治&相葉裕樹(アンジョルラス役)、駒田一&橋本じゅん&KENTARO(テナルディエ役)、森公美子&鈴木ほのか(マダム・テナルディエ役)、さらにアンサンブル・キャスト陣が出席。本番では今回の欠席者を合わせて、84名が出演する。東京公演は帝国劇場にて2017年5月25日~7月17日。8月に福岡公演(博多座)、9月に大阪公演(フェスティバルホール)、9~10月に名古屋公演(中日劇場)を予定している。
2017年02月28日11月25日、日本初演30周年記念公演『レ・ミゼラブル』の新キャストお披露目会見が行われた。すでに公式HPで発表されていたキャストに加え、この日、新たに相葉裕樹と小南満佑子が加わり、9名がお披露目となった。様々なジャンルから集まった個性豊かな新キャスト陣が緊張した面持ちで、抱負やオーディションの様子を語った。生田絵梨花(コゼット)「中学生の頃からコゼットを演じたいと思い始め、声楽を学び、目標にしてきました。オーディションでは、『あなたは本当に楽しそうに歌うのね』と言われました。本番でも楽しむことを忘れず、光のような存在でありたいです」小南満佑子(コゼット)。2015年からアンサンブルに参加。「コゼットは清純なイメージでしたが、演出家に芯の強い女性だと教えていただいて。私らしいコゼットを演じたいです」内藤大希(マリウス)「ミュージカル俳優のステイタス的な作品。オーディションでは松原さんと役を替えて歌ってと言われ、立ち位置を変えたら冗談でした(笑)」橋本じゅん(テナルディエ)「小学生の時、先生の『ああ無情』の読み聞かせを聞き、テナルディエは大っ嫌いでした(笑)。でも今回、明日への活力を分かち合える役だと実感しました」鈴木ほのか(マダム・テナルディエ)。1987~91年日本初演でコゼット役、1997~2001年ファンテーヌ役。「レ・ミゼラブルに帰ってきたことを心から感謝します。オーディションで鳳蘭さんの動きをそのままやったら、なぜ本番みたいに動けるのかと不思議がられました」唯月ふうか(エポニーヌ)「オーディションでは『エポニーヌは切ない気持ちの他に、強い気持ちも持っている。見つけてみて』と言われて何度も歌ったのですが、その時は見つけられず、悔しい思いをしました。本番では絶対にエポニーヌを見つけて、自分ならではの役を作り上げたいです」松原凛子(エポニーヌ)「コゼットとエポニーヌで受けていました。エポニーヌを演じたら、演出家の方から『色気のあるエポニーヌ。それはありだね』と」相葉裕樹(アンジョルラス)「20代のうちに帝国劇場に立ちたくて挑戦。オーディションでは『君の熱はどうやったら上がるんだい?』と言われ試行錯誤。自分でも見たことのない表現ができました」二宮愛(ファンテーヌ)「エポニーヌで受けましたが、最終で『ファンテーヌやってみてよ』と突然言われ、歌いました。色黒で体も強靭な私が?とびっくり」『レ・ミゼラブル』は2017年5月25日(木)から7月17日(月・祝)まで、東京・帝国劇場にて。プレビュー公演は5月21日(日)から5月24日(水)まで。取材・文:三浦真紀
2016年11月29日ミュージカル『レ・ミゼラブル』新キャストお披露目会見が25日、都内で行われ、追加キャストとして俳優の相葉裕樹(アンジョルラス役)、小南満佑子(コゼット役)が発表となった。同作はフランスの作家・ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作に、1985年ロンドンで初演。以来、世界中で上演されており、日本では1987年の初演から公演数は3,006回を数える。19世紀初頭のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を描いていく。「どうしても20代のうちに帝国劇場に立っておきたかった」という相葉は、オーディションを「受けない選択肢はなかった」と語る。相葉は「正直自分にとっては1こも2こも高いステージだなと。それでもダメ元で、できる限りのことをやって、もしもダメだったら仕方ないなという思いで覚悟を決めて受けました」と、経緯について語った。相葉はオーディションの様子を「ワークショップ形式で、何度も君の熱はどうやったらあがるんだい? と言っていただき、ディスカッションしながらやって、最終的には自分でも見たことないような表現ができたのかな」と振り返り、「今までとは違ったアンジョルラスが届けられたらと思いますので、精一杯自分の役割を果たしたい」と意気込んだ。一方、2015年公演ではアンサンブルとして出演していた小南は「こうして30周年という記念すべき年に大好きな作品に、コゼット役として戻ってこられてことを嬉しく思います」と喜びを表し、「最初はコゼットはもっと、清純なイメージを描いていたんですけど、実はとても芯の強い女性だと教えていただいた」とオーディションについて振り返った。そして、「私も芯の強い部分があると思うので、自分と照らし合わせて、私らしいコゼットを演じて喜んでいただけたらと思います」と、作品への思いを込めた。会見には他、生田絵梨花(コゼット役)、内藤大希(マリウス役)、橋本じゅん(テナルディエ役)、鈴木ほのか(マダム・テナルディエ役)、唯月ふうか(エポニーヌ役)、松原凛子(エポニーヌ役)、二宮愛(ファンテーヌ役)が出席した。東京公演は帝国劇場にて2017年5月25日~7月17日。8月に福岡公演(博多座)、9月に大阪公演(フェスティバルホール)、9~10月に名古屋公演(中日劇場)を予定している。
2016年11月25日ミュージカル『レ・ミゼラブル』が、9月20日の夜公演をもって国内上演回数3000回に到達した。日本では1987年に初演。2015年公演は4月に東京・帝国劇場で開幕し、愛知、福岡、大阪、富山公演を経て、静岡市清水文化会館マリナートにてこの日、3000回の大台に達した。当日は特別カーテンコールが行われ、主人公ジャン・バルジャンをトリプルキャストで演じている福井晶一、吉原光夫、ヤン・ジュンモらが挨拶をした。ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作とし、19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」といったテーマを荘厳な楽曲に乗せ描き出す作品。ミュージカルの金字塔と呼ばれるほど、幅広い層に愛され続け、28年という長きにわたり上演を重ねている。この日のカーテンコールでは「ミュージカル『レ・ミゼラブル』日本上演通算3000回達成!」という文字がスクリーンに大写しになると、客席からは大きな歓声と拍手が沸いた。その中で、マダム・テナルディエ役、森公美子の進行で特別カーテンコールはスタート。「3000回とひと言で言っても、本当にたくさんの出来事があって、たくさんの努力があって、この回数を重ねてこれたのだと思う。初演からたくさんの方々がこの作品に携わって、作り上げてきた3000回。僕たちはその気持ちを受け継いで、明日の3001回目からまた毎日、1回1回を大切に演じていきたい」(福井晶一)、「3000回という歴史的な瞬間を皆さんと一緒に過ごすことができ、光栄です。これからも続く『レ・ミゼラブル』の歴史が楽しみです」(ヤン・ジュンモ)、「28年間で3000回と訊いて「重いな」と思った。このお芝居に役者として立つということは、すべての役において、非常に重いこと。そして今までその重みを背負って、ずっと繋げてきてくれた人たちがいるんだなと思うとすごく感慨深くなります」(吉原光夫)と、口々に支えてくれたファンや、これまで作品に携わったキャスト・スタッフへの感謝を述べていた。2015年公演は9月24日に大千秋楽を迎えたが、さらにその千秋楽の場で、2017年春の再演が発表に。日本初演30周年記念公演としての上演になるとのこと。これからも重ねられていく『レ・ミゼラブル』の歴史をお楽しみに。
2015年09月24日