脚本:フジノサツコ×演出:森新太郎による新作舞台『メディア/イアソン』が、2024年3月12日(火) に東京・世田谷パブリックシアターで初日を迎えた。原作は、古代ギリシャの劇作家・エウリピデスが記したギリシャ悲劇の傑作『メディア』。夫イアソンの裏切りによって、我が子を殺めるという王女メディアの凄惨な復讐劇は、世界各国で舞台や映画の題材として取り上げられてきた。本作では、その前日譚である若き日のふたりの出会いと愛情に満ちた日々を鮮やかに照射し、太陽のような存在であったふたりが悲惨な結末を迎えるに至るまでの顛末を、ふたりの間に産まれた3人の子どもたちの視点を通して描き出す。タイトルロールのひとりであるイアソン役を井上芳雄が演じるほか、もうひとりのタイトルロール、王女メディア役で南沢奈央、そしてイアソンとメディアの間に産まれた3人の子どもたちとして、三浦宏規、水野貴以、加茂智里が出演する。初日を迎えて、森は「私が希求していた『メディア/イアソン』の劇世界に、ようやく辿り着いたと思えた初日でした。おとぎ話のようでもあり、同時に生々しい人間ドラマでもある。この絶妙のバランスを追求すべく、美術・照明・音響・衣裳・ヘアメイク・振り付け・5人の俳優……すべての分野の人たちが力を出し尽くしてくれました。特に井上君をはじめとする若き俳優陣の限界知らずのパッションと軽やかさには、感動すら覚えています」と出演者を絶賛。『メディア/イアソン』撮影:細野晋司また井上は「イアソンはこれまでに演じたことのない役どころで、とても新鮮です。演じれば演じるほど、知れば知るほど得るものがある、深い戯曲ですが、現代の我々にも通じるところも多く、近寄りがたい物語ではありません。構えず、気負わずにご覧いただき、思ったように感じていただけたら嬉しいです」、南沢は「この作品には今の人たちと変わらない普遍的なものが含まれていて、物語として共感していただけると思いますし、心を動かす瞬間があると思います。ギリシャ劇だからとあまり気負わずに、演劇ならではの表現を楽しんでいただきつつ、それぞれの登場人物のストーリーを感じ取っていただけたら嬉しいです」とコメントを寄せた。『メディア/イアソン』撮影:細野晋司『メディア/イアソン』は、3月31日(日) まで同所で上演後、2024年4月4日(木) から6日(土) に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。■演出:森新太郎 コメント私が希求していた『メディア/イアソン』の劇世界に、ようやく辿り着いたと思えた初日でした。おとぎ話のようでもあり、同時に生々しい人間ドラマでもある。この絶妙のバランスを追求すべく、美術・照明・音響・衣裳・ヘアメイク・振り付け・5人の俳優……すべての分野の人たちが力を出し尽くしてくれました。特に井上君をはじめとする若き俳優陣の限界知らずのパッションと軽やかさには、感動すら覚えています。フジノサツコさんが構想した「アルゴナウティカ」と「メデイア」の融合が、私には本当に刺激的で、大いに演出欲を掻き立てられました。このような叙事的な語り口で、メディアとイアソンの物語が上演されたことはかつてなかったのではないでしょうか。淡々と、しかし容赦のない速いスピードで、ふたりの愛の行く末が描かれます。是非とも多くの方々に、我々の新しいギリシャ悲劇を体感していただき、感想を伺えたらと思います。劇場にて、お待ちしております。■井上芳雄 コメント『メディア/イアソン』撮影:細野晋司物語の展開に合わせて、観客の皆さんの集中力が終幕に向けて段々と高まっていく……いまだかつてない、特別な2時間でした。森さんの強い情熱と、細部にまでこだわりぬく演出に率いられ、稽古を重ねてきました。演劇は、才能だけでも、情熱だけでも、そしてひとりだけでもできない。みんなで積み重ねていく過程が面白いんだな、それが好きなんだな、と再確認した稽古期間でした。イアソンはこれまでに演じたことのない役どころで、とても新鮮です。演じれば演じるほど、知れば知るほど得るものがある、深い戯曲ですが、現代の我々にも通じるところも多く、近寄りがたい物語ではありません。構えず、気負わずにご覧いただき、思ったように感じていただけたら嬉しいです。■南沢奈央 コメント『メディア/イアソン』撮影:細野晋司初日を迎え一旦完成したこの作品が、これから回を重ねるごとに更に変化していくんだろうなと、ワクワクしています。客席には緊張感がありましたがお客様の集中力が伝わってきて、膨大な台詞もギリシャ劇ならではの難しい言葉も、観て聴いてくださっているのがわかり、嬉しく感じました。森さんが仰っていたように、この作品には今の人たちと変わらない普遍的なものが含まれていて、物語として共感していただけると思いますし、心を動かす瞬間があると思います。ギリシャ劇だからとあまり気負わずに、演劇ならではの表現を楽しんでいただきつつ、それぞれの登場人物のストーリーを感じ取っていただけたら嬉しいです。■三浦宏規 コメント『メディア/イアソン』撮影:細野晋司客席の皆さんがどう受け止めてくださるのか、楽しみ半分、不安半分で迎えた初日。でも、緊張し過ぎて客席のことが気にならなくなるほどだったのですが、その分『メディア/イアソン』の世界に集中して挑むことができました。カーテンコールで明かりが点いた瞬間、客席の皆さんの拍手や表情から、この壮大な物語をお届けすることができたんだなとほっとしました。森さんの演出作品には初めて出演させていただきましたが、学びの多い、充実した稽古期間でした。僕にとって、次のステップへと踏み出す貴重な経験をいただけたと感謝の気持ちでいっぱいです。難しく考えずご覧いただける作品に仕上がっているかと思うので、ぜひたくさんの方にご観劇いただきたいです。■水野貴以 コメント『メディア/イアソン』撮影:細野晋司皆で温めてきた『メディア/イアソン』がついに幕を開けました。黒を基調とした舞台にたった5人のキャスト。所狭しと走り回る空間の広いこと!けれど不思議と不安は無く、その広い空間と5人のキャストの間にそれまで皆で作り上げてきた確かな温かさみたいなものがぎゅっと詰まり守ってくれているような感じがして。そこへお客様が入ったことの充実感、今ここに居る幸せが相まって、いつまでも心に留めておきたい初日となりました。開演前、あまりの緊張に演出の森さんの所へ助けを求めに行くと、「水野にかかってるぞ!」と森さんらしい冗談で和らげてくれて(笑)、また頼もしい出演者の皆にも気持ちをほぐしてもらい、その一つ一つに愛が溢れて止まらないです。■加茂智里 コメント『メディア/イアソン』撮影:細野晋司ご本人には内緒にしておりましたが、井上芳雄さんと同じステージに立つのが夢でした。まさかこんな日がくるとは思いませんでした。初日を終えて、お客様お一人お一人がとても真剣に観劇してくださっていたのを感じました。芳雄さん、奈央さん、三浦さん、貴以さん。舞台上で4人の家族を見つめる気持ちは、どこかメディアがイアソンに抱く恋心に似たものがあります。森新太郎さんと共に何度も稽古を重ねた『メディア/イアソン』、最後までお楽しみいただけましたら幸いです。<公演情報>『メディア/イアソン』原作:『アルゴナウティカ アルゴ船物語』作:アポロニオス 翻訳:岡道男『メデイア』作:エウリピデス 翻訳:中村善也脚本:フジノサツコ演出:森新太郎出演:井上芳雄 南沢奈央 三浦宏規 水野貴以 加茂智里【東京公演】日程:2024年3月12日(火)~31日(日)会場:世田谷パブリックシアター【兵庫公演】日程:2024年4月4日(木)~6日(土)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールチケット情報:()公式サイト:
2024年03月14日コスプレイヤーの東雲うみ、高見奈央、えい梨が、発売中のマンガ誌『週刊ヤングマガジン』(講談社)第11号のグラビアに登場している。東雲は9月26日生まれ、高見は11月28日生まれ、えい梨は11月19日生まれ。大人気コスプレイヤー3人が“春のセクシーフェア”グラビアで夢の競演を果たした。東雲は『月曜日のたわわ』『異世界好色無双録 ~異世界転生の知恵と力を、ただひたすら××××するために使う~』、高見は『だれでも抱けるキミが好き』『みょーちゃん先生はかく語りき』、えい梨は『ヤニねこ』『異世界らくらくサバイバル~生存スキル強者の俺が美少女四人と暮らす無人島生活~』のコスプレに挑戦した。
2024年02月28日2024年3月より世田谷パブリックシアターで上演される舞台 『メディア / イアソン』より、公演概要とビジュアル、そして出演者のコメントが到着した。原作は、古代ギリシャの劇作家・エウリピデスが記したギリシャ悲劇の傑作『メディア』。夫イアソンの裏切りによって、我が子を殺めるという王女メディアの凄惨な復讐劇は、世界各国で舞台や映画の題材として取り上げられてきた。本公演では、その前日譚である若き日の二人の出会いと愛情に満ちた日々を鮮やかに照射し、太陽のような存在であった二人が悲惨な結末を迎えるに至るまでの顛末を、二人の間に産まれた三人の子供たちの視点を通して描き出す。脚本を手掛けるのは、森新太郎が主催するモナカ興業の作家フジノサツコ。フジノは数多くの『メディア』伝承に着目し、異国の地で生まれたメディアとイアソンが、まるでロミオとジュリエットのように10代でめぐり逢い、幾多の障害を乗り越えながら愛を成就する経緯を作品の前半に置くことで、後半の復讐劇をより際立たせていく構成をとった。演出を担当する森新太郎は、世田谷パブリックシアター主催公演でもこれまでに『The Silver Tassie 銀杯』(2018)、『メアリ・スチュアート』(2020)、世田谷パブリックシアター×東京グローブ座『エレファント・マン THE ELEPHANT MAN』(2020) など、多くの話題作を創出。ギリシャ悲劇ならではの壮大な神話世界を、ファンタジックな要素や喜劇的なエピソードも網羅しつつどのように演出するのか、期待が高まる。タイトルロールの一人、イアソン役を演じるのは井上芳雄。ギリシャ悲劇の世界を体現するのは本作が初めて。愛にあふれた王女メディアを憎しみにかられた女性へと至らしめる夫イアソン役をどのように構築していくのか。そして、もう一方のタイトルロールの王女メディア役を南沢奈央、イアソンとメディアの間に産まれた三人の子供たちを、三浦宏規、水野貴以、加茂智里が演じる。『メディア / イアソン』出演者<出演者 コメント>■井上芳雄演劇の題材の中でも、最古の部類に含まれるであろうギリシャ神話の物語。改めて読んでみたところ、人間の根本は変わらず、人の弱さや狡さ、それゆえに生まれる喜びや苦しみなどの感情は、時空を超えて普遍的で、リアルに伝わってくるのだと驚きました。僕が演じるイアソンは、人間臭くて、弱いところやダメなところも持ち合わせている役柄です。マイナスな面も演じるのは俳優としてチャレンジでもあり、楽しみです。メディア役の南沢奈央さんは柔らかい印象をお持ちの方なので、その南沢さんが悲劇の後半へむけてどのように変貌されていくのか、面白い創作の旅ができるのではないかと期待しています。森新太郎さんは様々なアプローチで幅広い演劇作品を創造し、演劇界に衝撃を与える演出家です。今回はどんな世界を立ち上げるのか、どんな体験ができるのか……恐ろしいような楽しみなような気分でいます。『メディア / イアソン』井上芳雄コメント動画■南沢奈央メディアというと凄惨な復讐劇というイメージが強くありますが、この『メディア / イアソン』ではそれだけではなく、イアソンとの恋や冒険など、様々なエピソードが盛り込まれるとのことなので、現代を生きる私たちも共感できるメディア像を築けるのではないかと思っています。一方で、これまでに演じたことのないような感情も映し出す役柄なので、自分でも知らない自分が出てくるのではと少し怖さも感じつつ、大きな挑戦への期待でいっぱいです。森新太郎さんの演出作へは二度目の出演となります。誰よりも早く稽古場にいらしてプランを練り、誰よりも高い演劇への熱量をお持ちの森さんの演出にお応えし、さらには期待を超えていきたいと意気込んでいます。イアソン役の井上芳雄さんとは一番濃密に対峙することになると思うので、遠慮せずぶつかっていきたいです。森さんを筆頭に、俳優としての実力が高く、舞台経験も豊富な共演者の皆さんと、魂を込めて作品を作っていけたらと思います。『メディア / イアソン』南沢奈央コメント動画■三浦宏規舞台人として、いつの日か挑みたいと思っていたギリシャ悲劇の世界。それが今回、メディアとイアソンというその世界を代表するような傑作で、それも森新太郎さんの演出で叶うことになり、今ものすごくしびれています。壮大なギリシャ悲劇の世界をわずか5人の出演者でどう演じていくのか。僕自身も複数の役を演じる予定とお聞きし、今までに経験したことのない、予測不能な舞台になりそうです。「何でもやります!」という意気込みで、恐れず、森さんと共演者の皆様と一緒の船に乗り込み、世界へ飛び出していくような気持ちです。初めてづくしで、一体どうなるんだろう?と思いつつも、これまでにやってきたことを信じて、森さんと、井上さん、南沢さんをはじめとする共演者の皆様から様々なことを吸収し、俳優としての幅を広げていけたらと思っています。『メディア / イアソン』三浦宏規コメント動画■水野貴以中学生の時、ギリシャ神話のミュージカルに出演し、以来、様々な物語に触れました。神話の登場人物はどこか破天荒で、リアリティがあまりないイメージです。でもこの『メディア / イアソン』では、人間味のあるキャラクターを打ち出してくださるとのことで、お客様にも感情移入していただける、心打たれるギリシャ悲劇になるのではと、とても楽しみにしています。森さんの演出は、役者や演劇に対する愛と情熱に満ちていて、私自身はメディアとイアソンの子どものほか、様々な役を演じるということもあり、気力、体力、集中力をもって挑む覚悟が必要だと思っています。でも、私はそんな森さんの稽古場が大好きですし、いまだかつてない、新しいギリシャ悲劇をお見せできるよう努めたいと思います。『メディア / イアソン』水野貴以コメント動画■加茂智里演劇を始めた頃からたくさん足を運んできた世田谷パブリックシアター。舞台と客席との一体感や、俳優の肌感を感じられる劇場です。多種多様なキャラクターが登場するギリシャ悲劇を出演者5人で演じるという未知の体験に、不安と期待とが入り混じりながらも、私がこれまで客席で感じてきたような熱量をお伝えできたらと思っています。これまで私が参加させていただいた森さんの稽古場には、かわいらしい小道具がそこかしこに有りました。そんな小道具を扱っていらした姿に、森さんご自身、実はかわいらしい一面をお持ちなのではないかとひそかに思っています。一方で、厳しく緻密でリアルな演出をされる方ですし、どんな舞台になるのか、皆様も楽しみに待っていていただければと思います。『メディア / イアソン』加茂智里コメント動画<公演情報>『メディア / イアソン』『メディア / イアソン』メインビジュアル原作:『アルゴナウティカ アルゴ船物語』作:アポロニオス 翻訳:岡道男『メデイア』作:エウリピデス 翻訳:中村善也脚本:フジノサツコ演出:森新太郎出演:井上芳雄南沢奈央三浦宏規水野貴以加茂智里【日程】2024年3月12日(火)~31(日)会場:東京・世田谷パブリックシアター【チケット料金】S席(1階・2階席):9,000円A席(3階席):5,500円※ほか高校生以下、U24など各種割引あり■一般発売:2024年1月14日(日)【ツアー公演】兵庫公演:2024年4月4日(木)~6日(土) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール公演HP:
2023年12月11日2024年3月に、東京・世田谷パブリックシアターで『メディア/イアソン』が上演されることが決定した。古代ギリシャの劇作家・エウリピデス傑作で知られるギリシャ悲劇の最高傑作「メディア」。夫イアソンの裏切りによって、我が子を殺めるという王女メディアの凄惨な復讐劇は、これまでに世界各国で数多くの舞台や映画の題材に取り上げられてきた。本作『メディア/イアソン』ではフジノサツコの脚本、森新太郎の演出により、この有名な復讐劇を復讐劇に終始せず、その前日譚である、若き日のふたりの出会いと愛情に満ちた日々を鮮やかに照射し、太陽のような存在であったふたりがなぜ悲惨な結末を迎えるに至ったのかを、ふたりの間に産まれた三人の子供たちの視点を通して描き出していく。演出の森新太郎また、本作を舞台上で体現するのは、わずか五名の俳優陣。精鋭五名には演出の森新太郎が望みうる限りの「最高のキャスト陣」が名を連ねる。タイトルロールのひとりであるイアソン役を演じるのは井上芳雄、もう一方のタイトルロール・王女メディアには南沢奈央、そしてイアソンとメディアの間に産まれた三人の子供たちを演じるのが、三浦宏規、水野貴以、加茂智里。ミュージカルでデビュー後、ストレートプレイや映像作品などの第一線で、俳優として数多くの作品世界に身を置き、類い希なる存在感を築き上げてきた井上は、意外にもギリシャ悲劇の世界を体現するのは本作が初めてとのこと。愛にあふれた王女メディアを憎しみに燃える女性へと至らしめる夫イアソン役をどのように立ち上げるのか、期待が高まる。舞台・映像に豊富なキャリアを持ちながらも、読書家で数々の書評や自身でも連載を手掛ける南沢は、ピュアな演技力に加え、その研ぎ澄まされた文学的なセンスも生かし、ギリシャ悲劇の中でも壮絶なヒロイン・メディア役で新たな一面を開花させるだろう。複数のバレエコンクールで優秀な成績を収め、バレエダンサーとしての未来を嘱望されながらも、ミュージカル公演をはじめ数々の舞台に挑戦、近年は舞台『千と千尋の神隠し』のハク役や舞台『キングダム』の信役も話題となるなど、今や演技力・歌唱力・ダンサーとしての才能と三拍子そろった舞台姿が話題の三浦宏規。森新太郎演出の『パレード』『奇跡の人』『モンスターと時計』に出演し、森作品では欠かせない俳優のひとりといえる水野貴以。スウィング(アンダースタディ)として森の演出作品に関わっていた時に、森がその才能を高く評価して今回の出演につながった加茂智里。森の信頼を得ている俳優陣の演技にも期待が集まる。これまでにも多くのタッグを組み、数々の舞台を生み出してきたフジノサツコの台本と森新太郎の演出、そして精鋭五名の出演陣。夫婦と子供たちの一つの家族の誕生と崩壊が、歴史背景や国家体制という大きな枠組みの中でどのように描かれていくのか……。卑近にして壮大な『メディア/イアソン』は、2024年3月に世田谷パブリックシアターにて開幕、その後、2024年4月からは兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて兵庫公演が上演される。<公演情報>『メディア/イアソン』脚本:フジノサツコ演出:森新太郎出演:井上芳雄南沢奈央三浦宏規水野貴以加茂智里【東京公演】2024年3月会場:世田谷パブリックシアター【兵庫公演】2024年4月会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール公式サイト【お問合せ】世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515
2023年09月15日深川麻衣、前田敦子、石井杏奈が共演するサスペンスドラマ「彼女たちの犯罪」の第3話が、8月3日(木)今夜放送される。横関大の同名小説を原作とした本作は、愛を求める繭美(深川さん)、自由を求める由香里(前田さん)、正義を求める理子(石井さん)という、それぞれに普通の幸せを望み、葛藤を抱えながらも、それぞれの日常を暮らしていた彼女たちが、ある日、1人の女性の失踪事件をきっかけに、彼女たちの人生が思いもよらぬ方向に進んでいくというストーリー。前回は、関係をもってしまった智明(毎熊克哉)が既婚者であることを知った繭美が、絶望しながらも神野家の近くを訪れると、妻の由香里と鉢合わせるという、波乱の幕開けを予感させるところで終了した。気になる今夜の3話では、友人・玉名翠(さとうほなみ)から助言を受け、ついに浮気の証拠を見つけた由香里は、智明が既婚者だとは知らず付き合っていたという繭美に、「このまま主人とお付き合いを続けてください」と提案をする。一方の翠は、繭美と対峙したという由香里の話を聞き、「人生を交換できたらみんな幸せなのに」と思いを吐露。その後、翠の様子が気になった由香里は、「死に場所を求めている」と話す翠の言葉に危険を感じ、繭美に頼み、一緒に警察へと相談に向かう。そしてついに、理子と出会うのだ。さらに物語を盛り上げる登場人物として、第4話から南沢奈央、第5話から木村了が出演することも決定した。「彼女たちの犯罪」は毎週木曜日23時59分~読売テレビ・日本テレビ系にて放送中。(シネマカフェ編集部)
2023年08月03日「わんダフルネイチャーヴィレッジ」と「南沢あじさい山」では、2023年6月16日(金)から7月9日(日)までの期間で「秋川渓谷あじさいまつり 2023」を開催。期間中は両施設を利用できる共通入園券が販売され、それぞれに趣の異なるあじさいが楽しめる。「秋川渓谷あじさいまつり 2023」東京・あきる野市で開催「わんダフルネイチャーヴィレッジ」東京サマーランドが運営する「わんダフルネイチャーヴィレッジ」内では、毎年恒例となっている「あじさいまつり」を開催。約3万㎡の広大なあじさいエリアを舞台に、純白の「アナベル」が群生する「アナベルの雪山」など、約60種・15,000株のあじさいが楽しめる。「南沢あじさい山」一方の「南沢あじさい山」は、“現代の花咲かじいさん”こと南沢忠一がたった一人で植え続けたあじさいを継承するため、2017年に観光事業として山開きされたあじさいの名所だ。金比羅山・瀬音方面へと抜けるハイキングコースに、約1万株のあじさいが咲き誇る。開催概要「秋川渓谷あじさいまつり 2023」開催期間:2023年6月16日(金)~7月9日(日)※開催期間中は無休。共通入園券:1,000円※小学生以下は「南沢あじさい山」のみ入山料400円が必要。販売場所:「わんダフルネイチャーヴィレッジ」「南沢あじさい山」各施設の窓口共通企画:①インスタフォトコンテスト「#秋川あじさい2023」②シャトルツアーバス付共通券(両施設巡り)運行日:6月24日(土)・25(日)、7月1日(土)・2日(日)の計4日間料金:2,000円※両施設の入園料が含まれる。<施設情報>■「わんダフルネイチャーヴィレッジ(東京サマーランド)」入園料金:おとな(中学生以上) 850円/犬(1頭) 850円/小学生以下 無料駐車料金:乗用車 700円/二輪車 300円/バス 2,000円所在地:東京都あきる野市上代継 白岩600アクセス:[車の場合]中央道八王子IC(都心方面から第2出口)より約10㎞、圏央道あきる野ICより約3㎞[バスの場合]JR五日市線秋川駅より平日限定で無料送迎バス運行(6月16日~7月9日)■「南沢あじさい山」入山料金:おとな(中学生以上) 600円/小学生以下 400円所在地:東京都あきる野市深沢368アクセス:JR五日市線武蔵五日市駅より有料シャトルバス運行(6月17日~7月2日)※上記以外の期間に来山する場合はタクシー又は徒歩で。※駐車場なし(あじさい山への車での来場不可)。
2023年05月19日山崎育三郎が主演する「リエゾン-こどものこころ診療所-」の7話が3月4日オンエア。南沢奈央演じるパニック障害の患者に佐山が送った“言葉”に、視聴者から「これは本日の学び」などの反応が寄せられている。本作は郊外の児童精神科クリニックで、自ら発達障害を抱える院長と研修医の凸凹コンビが、発達障害を抱えて様々な生きづらさを抱える子どもとその家族に向き合い、寄り添っていく姿を描く医療ドラマ。自身が発達障害(ASD)ゆえ患者の子どもの苦悩を誰よりも理解し、じっくり向き合う時間を大事にしている「さやま・こどもクリニック」の院長・佐山卓を山崎さんが演じるほか、大学病院で研修医をしていたが重大な事故に繋がり兼ねない失敗をして、「さやま・こどもクリニック」で研修医をすることになった遠野志保に松本穂香。佐山の理解者で「さやま・こどもクリニック」臨床心理士、小学校のスクールカウンセラーとしての顔も持つ向山和樹に栗山千明。ロリータファッションが好きな言語聴覚士をしている堀凛に志田未来。さやま・こどもクリニックで受付担当をしている市川渚に是永瞳。「佐山記念総合病院」に勤務する佐山の弟・秀に塩野瑛久。佐山を育てた叔母で「りえ・こども診療所」を営んでいた佐山りえに風吹ジュンといったキャストが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。「佐山記念総合病院」で行われた症例検討会に、佐山ともに参加した志保は、そこで佐山から同病院での後期研修を勧められる。クリニックに戻った志保は向山から、佐山の父が佐山を「佐山記念総合病院」に新設する児童精神科の医長として迎えようと計画をしていることを知り、クリニックがなくなってしまうのでは?と心配になる。そんななかASDの少女・丸山優実(加藤柚凪)と父・丸山浩之(三浦貴大)が来院。優実は3か月前に母を交通事故で亡くし、浩之も慣れない子育てや妻を亡くした悲しみで憔悴している様子だった。また佐山記念総合病院で志保が出会った元駅伝選手の美樹(南沢奈央)が、パニック障害の発作を起こし電話。クリニックに来院する…というのが今回のストーリー。自分の話を誰かに聞いて欲しかった美樹だが、佐山記念総合病院では短い診察時間でそれは叶わず、佐山に自分の苦しみを吐露する…視聴者からも「こんな一人ひとりにちゃんと向き合ってしっかりと話を聞いてくれる児童精神科ほんとにあったら理想」「病院で話を聴いてくれるってすごく大事。私のクリニックもちゃんと聴いてくれるし、本当にしんどい時には急でも診てくれる」などの声が上がる。美樹の話を聞いた佐山は「耐えがたい恐怖を感じたときは、まず一番に“パニック障害では決して死なない”ということを思い出して」と話す。この言葉にも「パニック障害では絶対に死なない これは本日の学び」「パニック障害では死なないなるほど…死にそうな恐怖感は感じるが死なない…」といった反応が寄せられている。【最終回あらすじ】ASDの少女・優実が家からいなくなってしまったと、浩之から連絡を受けた佐山や志保は、後日、優実が亡き母に会えると思い込んで遊園地に向かっていたところ保護されたと知る。向山は優実の話から遊園地へ向かった理由を知る。その理由を聞いた佐山は、かつて自分が母を亡くした頃に叔母のりえと交わした会話の記憶がよみがえる…。「リエゾン-こどものこころ診療所-」は毎週金曜23:15~テレビ朝日系で放送中。(笠緒)
2023年03月04日12月5日、ついに放送がスタートしたアニメ「鬼滅の刃」遊郭編。この度、配信番組「鬼滅テレビ」内にて、本作の新キャスト、東山奈央、石上静香、種崎敦美が発表された。今回の「遊郭編」では、無限列車での任務を終えた炭治郎たちの次なる任務が描かれる。今回発表された3名が担当するのは、本作の主要キャラクターであり、鬼殺隊最高位の剣士<柱>の一人、宇髄天元の妻たち。「神のみぞ知るセカイ」「マクロスΔ」などに出演し、歌手としても活躍する東山さんが須磨。「食戟のソーマ」「虹色デイズ」の石上さんがまきを。「鬼灯の冷徹」「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の種崎さんが雛鶴を演じる。新キャスト解禁PV(雛鶴・まきを・須磨)宇髄天元役の小西克幸は「3人いますけど、声を聞いたらもっと好きになると思います。とてもステキですのでお楽しみに」とコメントを寄せている。▼新キャストコメント石上静香天元様のお嫁さんの一人、まきをちゃんを演じさせて頂きます、石上静香です!まきをちゃんを任せて頂けたこと、大変有り難く、身が引き締まる思いです。<遊郭編>もこれからドンドン盛り上がっていきますので、どうぞお楽しみに!東山奈央天元様の妻の一人、須磨を演じさせていただきます東山奈央です!待望の“鬼滅の刃”続編ということで、美しいアニメーションの中でキャラクターたちがより魅力的になって皆様のもとに届きますように。私も精いっぱい、須磨を演じさせていただきます!放送までお楽しみに!種崎敦美最高にステキでカッコいい宇髄天元様の、三人おります嫁のうちの一人・雛鶴を演じさせていただきます、種崎敦美です。嫁三人寄ればなんとやら…ということで、にぎやかに華やかに<遊郭編>を彩れたなら幸いです。何とぞよろしくお願い致します。テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編は毎週日曜日23時15分~フジテレビにて放送中。(cinemacafe.net)
2021年12月07日杉原邦生が既存の戯曲を中心に様々な演劇作品を演出する場として、2004年に立ち上げたプロデュース公演カンパニー“KUNIO”、9年ぶりの上演となるKUNIO10『更地』が、10月9日、京都・京都芸術劇場 春秋座で開幕した。杉原の大学時代の恩師でもある太田省吾の代表作のひとつ『更地』は、バブル経済崩壊期の1992年、太田自身の演出によって初演され、阪神・淡路大震災の翌96年に再演。家の解体を終えた更地で過去の記憶を辿る夫婦の姿が観客の胸を打ち、大きな話題となった。杉原は自身のカンパニーKUNIOにて、東日本大震災の翌2012年に上演。戯曲の設定と異なる若い俳優をキャスティングし、ふたりの男女が「未来」の希望へと向かう新たな物語として再創造。京都のみの公演でありがなら注目を集めた。9年ぶりの上演となる今回も、安定した演技で舞台での活躍目覚ましい南沢奈央と、杉原とは『オレステスとピュラデス』(2020年)以来2度目のタッグとなる濱田龍臣というフレッシュなふたりが初の二人芝居に挑む。初日公演を追えて、南沢は「ジェットコースターのようでした」と述べ、「緊張もしていましたが、どんどん楽しくなっていく感覚もあって、達臣くんと一緒にどんどんノッていったな、という感覚があった。稽古の時にはないようなノリが生まれたような感じがします」と語り、みどころについては「台詞ひとつひとつに意味があって、深い事をいっていたりとか、男と女で主張が違ったり。男女関係なく、男性が女性の意見に共感したり、観る人によっても感じ方が違うし、一つひとつの言葉を自由にキャッチしてみていただきたい」とし、さらに「今回更地でまっさらなところから始まって、ふたりでどんどん創り上げていって最後は全然違う姿に変わる舞台美術が本当に素敵なので、自分も客席から観てみたい。お客様には是非客席からそれ(舞台美術)も楽しんでもらいたい」と加えた。濱田も「今回もあっという間でした。いつのまにかカーテンコールで、お客様に拍手をいただいて、すごく幸せな時間でした」と初日公演の感想を述べ、「更地と言う場所においてふたりぼっちの人間は何をできるのだろうか、という事をみせてくれる舞台。ひとりじゃないという事だけでも人は強く、優しくいられる生き物なのかな、ということを自分は演じながら実感することができた。観てくださるお客様は(演じている自分とは)また違った面でそこを観ることができるのではないか」と本作の魅力を語った。KUNIO10『更地』の上演時間は約80分。今後の公演は10月30日(土)・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館公演、11月7日(日)~14日(日)に東京・世田谷パブリックシアター公演を予定している。
2021年10月11日タレントのりゅうちぇると高見奈央が司会を務めるラジオ番組「りゅうちぇると高見奈央のiDOL on-line」が、ラジオの枠を飛び越えて、アイドルの音楽フェス第2弾を8月28日(土)に開催することが決定した。「iDOL on-line SUPER SUMMER FESTIVAL2021 POWERED BY UtaTen」チケット情報ラジオ番組「りゅうちぇると高見奈央のiDOL on-line」は、毎月第2、第4水曜19時に、東京渋谷のFM『ShibuyaCross-FM』で放送中。この番組は、タレントのりゅうちぇると高見奈央が司会を務め、音楽シーンで活動する女性アイドルから、新しいスターを発掘するため、ライブや配信で輝く人達を紹介していくものとなっている。「iDOL on-line」は2019年からライブイベントを開催しているが、今回は「りゅうちぇると高見奈央のiDOL on-line」と、7月22日(木・祝)にZepp Haneda(Tokyo)にて『iDOL on-line SUPER SUMMER FESTIVAL2021 powered by UtaTen』を開催する。同ライブの司会は、ラジオでパーソナリティーを務めているりゅうちぇるが担当。出演アーティストは、alma/=LOVE/神宿/QUEENS/kolme/神使轟く、激情の如く。/綺星★フィオレナード/なんキニ!/#2i2/♯ババババンビ/femme fatale/Run Girls, Run! /LinQ/レイドロイド/わーすた/ONE BY ONE (※五十音順)総勢16組となっており、今夏で最大級のアイドルイベントになりそうだ。チケットは、7月5日(月)11:00までオフィシャル先行(抽選)を受付中。
2021年07月01日タレントのりゅうちぇると高見奈央が司会を務めるラジオ番組「りゅうちぇると高見奈央のiDOL on-line」が、ラジオの枠を飛び越えて、アイドルの音楽フェスを今夏、開催することが決定した。「iDOL on-line SUPER SUMMER FESTIVAL2021 POWERED BY UtaTen」チケット情報ラジオ番組「りゅうちぇると高見奈央のiDOL on-line」は、毎月第2、第4水曜19時に、東京渋谷のFM「ShibuyaCross-FM」で放送中。この番組は、タレントのりゅうちぇると高見奈央が司会を務め、音楽シーンで活動する女性アイドルから、新しいスターを発掘するため、ライブや配信で輝く人達を紹介していくものとなっている。「iDOL on-line」は2019年からライブイベントを開催しているが、今回はラジオ番組『りゅうちぇると高見奈央のiDOL on-line』と、7月22日(木・祝)にZepp Haneda(TOKYO)にて『iDOL on-line SUPER SUMMER FESTIVAL2021 POWERED BY UtaTen』を開催する。同ライブの司会には、ラジオでパーソナリティーを務めている高見奈央が担当。出演アーティストは、神宿/煌めき☆アンフォレント/KiREI/Gran☆Ciel/神使轟く、激情の如く。/Jewel☆Neige/純情のアフィリア/戦国アニマル極楽浄土/Task have Fun/東京女子流/虹色の飛行少女/放課後プリンセス/#ババババンビ/夢みるアドレセンス/リルネード/Luce Twinkle Wink☆。(※五十音順)総勢16組となっており、今夏で最大級のアイドルイベントになりそうだ。チケットは、6月21日(月)11:00までオフィシャル先行(抽選)受付実施中。【ライブMC:高見奈央のコメント】「りゅうちぇると高見奈央のiDOL on-line」も1周年を迎えて、隔週でアイドルさんとのトークに元気をもらいつつも、ライブが見たいなーとますます興味が湧いていたのでこのラジオでいつかフェスがやりたいなとずっと思っていました!こんなに早く叶うとは思ってなく本当に嬉しいです!これまでにラジオに出演してもらった方達ばかりなので是非アーカイブを聞いて個性を知ってからライブ観るとより楽しめるんじゃないかなと思います!!ラジオを飛び出してトークもライブも楽しく盛り上げていきますので、よろしくお願いします!!
2021年06月17日「できるけど疲れる」ことがたくさんある筆者が吉川先生を知ったのは、2018年11月にNHK総合で放送された『発達障害って何だろうスペシャル』だった。千原ジュニアさんや南沢奈央さんらをMCに据え、スタジオには小島慶子さんのほか、筆者がテレビ取材もさせていただいた“トリプル発達障害”の漫画家・沖田×華さんも出演。そこでの吉川先生の発言に、思わず膝を打った。「発達障害のある方に関して『何かができるかできないか』っていうことだけで見ると、見誤るんですね。『できる』と『できない』の間に『できるけど疲れる』ことがたくさんある」(吉川先生番組内で)誤解を恐れずに言えば、吉川先生はちょっと異質的な存在だ。元々教員になりたかったが、学校教員の文化が自分に合わないことに高校時代に気づき、子どもの精神科医という道を選んだ。大学教員などを経て「自分は研究者向きではない」と感じたといい、現在では多くの発達障害当事者や養育者に支持されている。Upload By 桑山 知之「“正確さを犠牲にした分かりやすさ”っていうのを意識しているんです。専門の研究者って、正確さを大事にしなきゃいけない立場ですよね。正確さを犠牲にできないじゃないですか。でも僕は研究者ではないから、『誤解を招きかねないけど分かりやすい』ということがいくらか許される立場なんです。研究者になってしまうとできない表現や書き方ができるというのが、研究者ではない医者の特権かなと」(吉川先生)確かに、前述の「できるけど疲れる」ことがたくさんあるというのは、それに当てはまらないケースがあるのも事実だ。しかしながら、発達障害の苦しみを理解するうえでは非常に分かりやすい表現だといえる。福祉や法律といったあらゆる領域をまたいでいるからこその見識の深さを、自身は「ひとつの領域を突き詰めるというのがあんまりできなくて……」と謙遜する。Upload By 桑山 知之この子、発達障害かも?まずは「人手集め」から我が子にADHDや自閉症スペクトラム障害のような特性がみられた場合、多くの養育者はまず子どものことを理解しようと、発達障害の知識を蓄えることからスタートしてしまいがちだ。しかし、吉川先生によれば、まず「人手をできる限りたくさん集める」ことが入口として一番“無難”だという。「人手が足りないときに知識だけ集めたり、トレーニングだけ受けたりすると、わりとややこしいことになるんですよね。例えばこの子に何か新しいことを好きになってもらおうとすると、ちょっと演出しないと難しいよって。お母さんが歯磨きをしたあとに、すぐに僕もやる!ってなる子は歯磨きを覚えさせるのも難しくないんだけど、真似っこしたい気持ちが弱い子に対しては歯磨きって楽しいんだよっていうか、何かひと手間ふた手間かけないと歯磨きが好きにならないし、できるようにならないかもしれない。だから今、この子の子育てで何かを好きにさせるためにもできるようになるためにも、もっと言うと虫歯にさせたり怪我をさせたりしないためにも、余分に人手が要りますよねっていうところを共通認識にしていくことが入口なんですよね」(吉川先生)Upload By 桑山 知之あくまで順序としては人手、すなわちマンパワーを集めることが最優先事項。それがひと段落したあと、知識や技術を身につけていく。そのためにも、家族以外からサポートを受けることが精神的な支えになるそうだ。一般的には母親が先に気づいて父親はあとからついてくることが多いが、夫婦間だけでなく祖父母世代との間でも「足並みが揃うまでに時間がかかる」ことは多い。「早い時期に関わる支援者はつい子どもの特性とか子どもに対する関わり方をどんどん伝えたくなるんですけど、それよりも先にどうやってお父さんと足並みを揃えるのか、おじいちゃんおばあちゃんへの説明をどうしようか、っていう相談に応じていただいたほうがいいと思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之「できたら褒める」は要注意「挑戦したら褒める」にシフトをドキュメンタリーCM『見えない障害と生きる。』を放送したのは2019年5月。発達障害は、ここ5年ほどの間に急速な認知が広がったように筆者は感じている。こうした中、人手を含めたリソースの供給などが追いついていないと吉川先生は話す。「社会の認め方もそうですけど、当事者やその身近な方の認め方も確実に変わってきているというのは、確実にそうですね。ただ、変わってきているのも、いいところも悪いところも両方あるかなって思っています。必要な方が援助にたどり着きやすくなったってことはあると思うんですが、急速に知識だけが広がってきたので、支援のためのリソースがまだ充分足りていない。文化の変化というか、そういう人たちがたくさんいるんだっていうのを含んだ“文化の成熟”っていうのも遅れているんじゃないかなと」(吉川先生)Upload By 桑山 知之吉川先生は、発達障害の有無にかかわらず子育てをする中でつい陥りがちなことがあると指摘する。それは、「できたら褒める」ということだ。「できたら褒められるっていうのを子どもが学びすぎると、大人が好きなのは完成と達成と勝利だけと思ってしまうんですよね。そうすると、どうせ達成できないから僕はやらない!ということになってしまう。発達障害のあるお子さんの中には、難しそうな課題は手を出さなくなる子が一定の割合でいるんです。どちらかというと、『挑戦したら褒める』作戦でいく方が、子どもを育てやすくなると思います」(吉川先生)Upload By 桑山 知之完成と達成にフォーカスするよりも、何かに取り掛かり始めたところで応援することに軸足を置いた方が育てやすいという。特に、きょうだいの中に発達障害と定型発達の子がいたり、知的障害のある子がいる場合、完成と達成を評価してしまうと他方への褒め方が見つからなくなる。それよりも、挑戦に対して「ナイストライ」「いいチャレンジだったね」と声を掛ける方が“辻褄が合いやすい”と吉川先生は話している。Upload By 桑山 知之平成元年愛知県名古屋市生まれ。慶應義塾大学経済学部在学中からフリーライターとして活動。2013年に東海テレビ入社後、東京支社営業部を経て、報道部で記者/ディレクター。2018年から公共キャンペーンのプロデューサーとして「いま、テレビの現場から。」や「見えない障害と生きる。」、「この距離を忘れない。」といったドキュメンタリーCMを制作。主な受賞歴は、日本民間放送連盟賞CM部門最優秀賞、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSゴールド、JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール経済産業大臣賞、ギャラクシー賞CM部門優秀賞、広告電通賞SDGs特別賞など。取材・文:桑山知之取材協力:若者支援ネットワーク研究会in東海
2021年05月17日東山奈央が、5月12日リリースするコンセプトミニアルバム『off』の初回限定おふとん盤と通常盤のジャケットを公開した。初回限定おふとん盤は名前の通り真っ白な布団に包まれている写真で、通常盤は歯磨きをしている写真。どちらも東山奈央が今まで見せてこなかった日常の“off”を切り取った新たな一面が表現されている。東山奈央『off』初回限定おふとん盤ジャケット東山奈央『off』通常盤ジャケットまた、合わせて『off』の収録楽曲も発表された。三浦康嗣提供による東山奈央自身の日常音を重ねてトラックを作り上げた“日常の音に癒されるoff”がテーマの表題曲「off」や、YouTubeで2,700万再生を超える大ヒット曲「ベノム」の作家としても知られる人気クリエイターかいりきベア提供による“ストレス発散で理性をoff”がテーマの「グー」、そして東山奈央本人が作詞作曲を行った“おふとんの中で心のスイッチをoff”がテーマの「あした会えたら」といった、コンセプトである「休みと癒し」を多角的な視点から捉えた6つの“off”テーマによる新曲6曲が収録される。さらに、『off』のチェーン別オリジナル特典絵柄も決定。アニメイトでは、完全生産限定で販売される「なおぼうもちもちぬいぐるみ」付き初回限定おふとん盤の予約も受け付けている。特典絵柄やアルバムの詳細は特設サイトでチェックすることができる。東山奈央 コンセプトミニアルバム『off』解禁PV東山奈央 コンセプトミニアルバム『off』icial siteなおぼうチャンネル2リリース情報コンセプトミニアルバム『off』2021年5月12日(水) リリース●初回限定おふとん盤(CD+Blu-ray)3,520円(税込)●通常盤(CD)2,420円(税込)●初回限定おふとん盤<アニメイト限定セット>(CD+Blu-ray+なおぼうもちもちぬいぐるみ)5,280円(税込)※なおぼうもちもちぬいぐるみ:全長約160mmアニメイト限定 なおぼうもちもちぬいぐるみ デザイン【収録内容】1. off(作詞 / 作曲 / 編曲:三浦康嗣)テーマ:日常の音に癒されるoff2. プロローグ(作詞 / 作曲 / 編曲:三矢禅晃)テーマ:恋愛にときめくoff3. グー(作詞 / 作曲 / 編曲:かいりきベア)テーマ:ストレス発散で理性をoff4. シャンプーリンス(作詞 / 作曲:川崎里実 編曲:渡辺和紀)テーマ:お風呂で1日の疲れをoff5. Rhythm Loop(作詞:小詠 作曲 / 編曲:タナカノブマサ)テーマ:感傷に浸るoff06. あした会えたら(作詞 / 作曲:東山奈央編曲: 扇谷研人)テーマ:おふとんで心のスイッチをoff【初回限定おふとん盤特典】1. おふショット収録ブックレット2. 「なおぼうを無理やり(?)休ませる!一泊二日癒し旅」ブルーレイ日々、立ち止まることなく仕事に邁進し続ける声優・歌手の東山奈央。そんななおぼうをたまには休ませたい!どこに行くのか、何をするのか知らされていないなおぼうは、これから待ち受けるOFF(休日)にドキドキハラハラ!?普段見ることができない東山奈央のオフの素顔に密着した一泊二日「ただ休むだけ」の癒し系ドキュメンタリー企画。【配信情報】5月12日より、音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信スタート。【特典情報】<チェーン別オリジナル特典>東山奈央コンセプトミニアルバム「off」を下記各チェーン、Eコマースでお求めの方に先着でオリジナル特典を差し上げます。(一部、取り扱いの無い店舗もありますので、ご予約の際は各店舗にご確認下さい。)■アニメイト各店 / アニメイト通販・初回限定おふとん盤<アニメイト限定セット>なおぼうもちもちぬいぐるみ(全長160mm)付き:2L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)+おふショット缶バッジ(56㎜)・初回限定おふとん盤:2L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)+おふショット缶バッジ(56㎜)・通常盤:2L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)※初回限定おふとん盤<アニメイト限定セット>、初回限定おふとん盤、通常盤の2L判おふショットブロマイドは同じ絵柄です。■ゲーマーズ各店 / ゲーマーズオンラインショップ・初回限定おふとん盤:L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)+おふショット缶バッジ(56㎜)+なおぼうちゃん色紙(複製サイン&コメント入り)・通常盤:L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)+おふショット缶バッジ(56㎜)※初回限定おふとん盤と通常盤のL判おふショットブロマイド、おふショット缶バッジ(56㎜)は同じ絵柄です。■TOWER RECORDS 全国各店 / TOWER RECORDS ONLINE(2形態共通)L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)■TSUTAYA RECORDS 全国各店 / TSUTAYA オンラインショッピング(2形態共通)L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)※TSUTAYAオンラインショッピングは、ご予約分のみが対象です。■HMV全国各店 / HMV&BOOKS online(2形態共通)L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)■Amazon.co.jp・初回限定おふとん盤:メガジャケ(複製サイン&コメント入り)+おふショットブロマイド2枚セット(複製サイン&コメント入り)・通常盤:メガジャケ(複製サイン&コメント入り)※Amazon.co.jp では、特典つき商品のカートがアップされます。特典をご要望のお客様は特典つき商品をお買い求め下さい。■ネオウィング(2形態共通)2L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)■セブンネットショッピング(2形態共通)2L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)■とらのあな・初回限定おふとん盤:なおぼうちゃんアクリルキーホルダー・通常盤:L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)■ソフマップ×アニメガ(一部店舗除く)・初回限定おふとん盤:『off』icial布ポスター(A4サイズ)・通常盤:L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)+なおぼうちゃん缶バッジ(57mm)■メロンブックス(2形態共通)2L判おふショットブロマイド(複製サイン&コメント入り)関連リンク東山奈央 オフィシャルTwitter東山奈央 LINEブログ東山奈央 アーティストHP東山奈央 Instagramアカウント
2021年04月06日3月6日(土)、シアター711にてウォーキング・スタッフ プロデュース『岸辺の亀とクラゲ-jellyfish-』が開幕する。演出家の和田憲明がリアリティある空気感、存在感を追求する作品を上演し続けているウォーキング・スタッフ プロデュース。過去には『SOLID』、『304』、『三億円事件』、『怪人21面相』で読売演劇大賞優秀作品賞や優秀演出家賞を受賞している。今回選ばれた『岸辺の亀とクラゲ』は、脚本を手掛ける牧田明宏主宰の明日図鑑にて2006年に上演され、和田演出では2011年、ちょうど10年前に初演を果たした作品。ファンからは長く再演を望む声が上がっていたという。川沿いのマンションに住むさゆりは、教師として働き、ときにマンションで恋人と過ごすこともある平凡な女性。ある日スーパーで万引きを目撃する。缶入りのミートソースという、華やかでも高価でもないものを万引きした女性。彼女と一瞬目が合ったものの、気づかないフリをしたさゆり。しかしその日をきっかけに、ベランダから見る川の景色を気に入っているさゆりのおだやかな暮らしは崩れはじめる。今回、主人公のさゆりを演じるのは南沢奈央。南沢といえば、昨今舞台で精力的に活躍している。昨年だけでも鴻上尚史の『ハルシオン・デイズ2020』で自殺願望をもつ女性を演じ、「『アーリントン』(ラブストーリー)」では、共演者と顔を合わせることなく心を交流させる難しい役柄を演じ切った。演技を追求し続ける彼女が、今回はどんな顔を見せてくれるかがひとつの大きな見どころになるだろう。共演には阿岐之将一、岡田地平らが名を連ねる。再演では、よりリアルな心理描写を追求し、「物語の一室を覗き見ているような臨場感や緊迫感」を感じられるような演出をめざしているという。どこにでもいるような女性の感情が人との関わりの中でどう変化していくのか、その様を見守りたい。文:釣木文恵『岸辺の亀とクラゲ-jellyfish-』演出:和田憲明脚本:牧田明宏出演:南沢奈央 / 阿岐之将一 / 岡田地平 / 白勢未生 / 井上華那 / 若杉宏二2021年3月6日(土)~2021年3月14日(日)会場:東京・シアター711
2021年03月06日お笑いコンビ、博多華丸・大吉の博多華丸が、舞台『羽世保スウィングボーイズ』で4度目となる舞台主演を務めることが29日、明らかになった。7月に福岡・博多座、8月に大阪・新歌舞伎座で上演される。華丸が、気鋭の作家兼演出家・G2氏と再びタッグを組む。物語は、ジャズの盛んな九州のとある港湾都市を舞台に、逆境に立ち向かう造船会社の社員たちの姿や家族愛を笑いと涙で描く完全オリジナル作。「タップダンス」や「和太鼓」がストーリーの要となり、国内でも有数のタップダンサーやジャズの生バンドが登場、音楽的な要素も盛り込まれた新感覚の舞台となる。出演者は、南沢奈央、SKE48・大場美奈、ジャニーズJr./Jr.SP・中村浩大、椿鬼奴、パラシュート部隊・斉藤優、天宮良、財木琢磨、幸田尚子、天津・木村卓寛、松岡裕哉、坂本あきら、大空ゆうひ、長谷川初範と豪華メンバーが集結。華丸は、「4回目の博多座出演、これまで舞台でいろんな経験をさせていただいたおかげで度胸がつき、しっかりと体調などの自己管理もできるように成長しました(笑)」とコメント。既にタップダンスの稽古を始めているというが「普通のダンスと違い、リズムを刻むことがとても楽しいです。プライベートでは信号待ちの時間にもリズムを刻んで、妻に『やめてよ!』と言われるくらいには真剣に取り組んでおります」と楽しみながら練習に励んでいることを明かす。そして「今回は50代になって臨む初めての舞台になります。50代にしてはなかなか無謀なチャレンジをしていますが、その結果はぜひ劇場でご確認いただければと思います」とアピールした。
2021年01月29日KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>にて上演中の『アーリントン』〔ラブ・ストーリー〕より舞台写真が到着。2018年に草彅剛主演で上演し、大きな話題を呼んだ『バリーターク』の作者であり、KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督を務める白井晃が「彼ほど刺激的な作家はいない」と惚れこむアイルランド出身の劇作家・脚本家のエンダ・ウォルシュによる衝撃作。物語の舞台となるのは時も所もわからない、ある待合室の中。自分の名前が呼ばれるのを待つ若い女アイーラと、隣の部屋でモニター越しにアイーラを見ている“若い男”。その男は今日初めてそこへやってきたと言うが……。主人公アイーラを演じるのは、KAATプロデュース『恐るべき子供たち』(2019年)に続き、白井作品2度目の出演となる南沢奈央。若い男には、長塚圭史演出・KAATプロデュース『常陸坊海尊』(2019年)に出演、白井作品には初参加となる平埜生成。また、ダンサー・振付家の入手杏奈が劇中の重要な役どころで出演。さらに川平慈英、霧矢大夢、那須佐代子、伊達暁の声の出演も見どころとなっている。当初2020年4月上演予定だったが、舞台稽古の直前に公演中止、9ヶ月を経て上演が叶った本作。コロナ禍で人々がお互いの行動を監視し合う「相互監視社会」の状態となっている今、本作の描く理不尽な社会と、それでも生まれる人間的な感情や忘れられない記憶の物語、人間の力を改めて知ることができるだろう。上演は1月31日(土)まで。ー白井晃(演出)コメントー本作『アーリントン』(ラブストーリー)は、昨年4月、新型コロナ感染拡大防止の為に出された緊急事態宣言の元、初日間近にして中止になった作品です。関係者の皆さんの多大なる努力によって、こうして上演できることになったことを本当に嬉しく思っています。エンダ・ウォルシュという、稀有な作家によって書かれたこの作品は、もしかしたらこのような世界情勢でこそ上演されるべき作品だったのではないかと思えるくらいです。それくらいに、私たちの置かれた状況を写し、離れてしかコンタクトができない人と人との関係を考えさせくれます。この作品は、極度に管理され、人と人とを区分する世界の物語ですが(現実が追いついています)、同時に副題にあるようなラブストーリーでもあります。ほんの一瞬の心の繋がりが、私たちを救ってくれる。そんな小さな恋の物語です。それは切ないほどの痛ましさを伴って。今、私たちは奇しくも、再び昨年と同じような状況に陥りました。しかしながら、私たちは万全の対策をして、皆さんの安全を第一に考えてご来場をお待ちしています。是非この物語に触れてみてください。撮影:岡千里『アーリントン』〔ラブ・ストーリー〕作:エンダ・ウォルシュ翻訳:小宮山智津子演出:白井晃出演:南沢奈央 / 平埜生成 / 入手杏奈声の出演:川平慈英 / 霧矢大夢 / 那須佐代子 / 伊達暁2021年1月31日(日)まで会場:KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
2021年01月20日『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』が1月16日(土)からKAAT神奈川芸術劇場にて開幕する。2020年4月、開幕直前に公演中止となった作品。KAAT芸術監督でもあり、今作の演出を務める白井晃の尽力で、中止から9か月という異例の早さでの上演が決定した。白井と、主演の南沢奈央に話を聞いた。時間を置いたことで、作品を俯瞰して見られた「稽古中も途中から時間を短縮したりしていて、少しずつ不穏な空気が忍び寄っていたんです。それでも初日が延期になったときにはまだ『上演できる』という希望があったので頑張っていられたのですが、中止が決まった瞬間に心が折れたのか、体調を崩してしまって。表現をする場がなくなってしまうのはこんなにもつらいんだ、と思いました」(南沢)「通し稽古も終えて、明日にも舞台での稽古をスタートするという段階で緊急事態宣言が出て延期になり、さらに中止が決定しました。でもこの難しい作品を南沢(奈央)くんや平埜(生成)くん、入手(杏奈)くんと力を合わせて作ってきた、スタートラインまできていたものがここで終わることはどうしてもできないと思いました。それだけの思いで1月の上演にこぎつけました」(白井)「こんなにも早く、もう一度やると決断してくださって、生きる気力が湧いてきました」(南沢)『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』は、2018年に上演された『バリーターク』で注目を集めたエンダ・ウォルシュによる戯曲。『バリーターク』で彼の作品の魅力にはまったという白井が再び挑む今作では、どこかに閉じ込められている若い女・アイーラと、それを監視する若い男が直接顔を合わせないまま会話を交わし合う。「本人は明言していませんが、彼にこれを書かせた背景は、たとえばヨーロッパに入ってきた難民たちがひとつところに集められて出ることもできないような状況だとか、社会の格差、紛争から生まれた弱者の有りよう……。そのようなことがあったと思うんです。それが、コロナ禍以降僕らが置かれた状況に酷似してしまった。感染を予防するために自分たちで決めたガイドラインによって圧力をかけあい、規制しあっている。人々が管理しあっている。それは、まさにアイーラがカメラでずっと監視されている状況と変わらないと思うんです。よくぞこんな凄い作品を書いたな、と思います」(白井)「私は閉じ込められている設定なので、声だけを聞いてやりとりしていかなくてはいけない。稽古を通じて、ふだんどれだけ直接顔を合わせることで影響し合っていたのかを実感しました。登場人物も少ないし、一見静かな戯曲に見えますが、白井さんも翻訳の小宮山(智津子)さんもこれはエネルギッシュな作品だとおっしゃっていて。稽古を重ねていくうちにその感覚がわかってきたんですが、広い空間に自分ひとりでエネルギーを出していくのは大変で、それだけにすごく面白い作品だと思います」(南沢)「直接会うことのない、声だけで心を通わす男女の物語に〔ラブ・ストーリー〕というタイトルがついているのが切ないよね。いちど時間を置いたぶん、今はいい意味でこの作品を俯瞰して見られている気がします」(白井)今の状況で観てもらうことで響くものがある白井が語るように、「直接会うこともできず、離れた場所から声だけで交流する」という今作の設定は、コロナによって切り離された人々と重なる。「以前稽古していたときは物語の中でしかありえなかったできごとが、とても現実的になってしまった。むしろ、今この時期にやるべきものとしてチャンスを与えられたんじゃないかなと思えるようになりました」(白井)「自粛期間中、『アーリントン』のセリフをことあるごとに思い出しては『これはまさにいまの私の気持ちだ!』と思っていました。良くも悪くも『この戯曲はそういうことだったのか』と改めて捉え直す感覚がありました。今の状況の中で観ていただくことで、お客様にも響くものがあるんじゃないかなと思います」(南沢)一度は「幻の作品」になりかけた『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』が、驚くほどいまの世の中に寄り添った作品として再起動する。「つい先日、自粛明け初の舞台(『ハルシオン・デイズ2020』)に立ちましたが、今までに味わったことのない気持ちでした。お客様の前に立って、直接演じられるこの舞台という場所は絶対になくなってはいけないと思っています。思い入れのある『アーリントン』が再びお客様に届けられるチャンスを得られたのは本当に幸せです」(南沢)「とにかく、劇場を開き続けること、演劇を上演し続けることのために戦った1年でした。表現衝動は人間が生きている限り止められないと思うので、今できることを精一杯やって前に進んでいきたいと思います」(白井)今作は白井にとって、KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督として演出を手がける最後の作品となる。最後に、2021年4月に芸術監督のバトンを渡すこととなる長塚圭史へのメッセージを語ってもらった。「まさかこんな事態でのバトンタッチになるとは思っていませんでした。僕自身、もっとKAATに文化的な財産を蓄積し、それを渡していかようにも変容させてほしかった。もう少し華々しく迎えられたらよかったんですが……。けれど、長塚くんはきっと彼なりの展望をもって、新しい公共劇場のあり方、新しいKAAT像を作ってくださると思っています」取材・文:釣木文恵撮影:源賀津己『アーリントン』〔ラブ・ストーリー〕作:エンダ・ウォルシュ翻訳:小宮山智津子演出:白井晃出演:南沢奈央 / 平埜生成 / 入手杏奈声の出演:川平慈英 / 霧矢大夢 / 那須佐代子 / 伊達暁2021年1月16日(土)~2021年1月31日(日)会場:KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
2020年12月28日柿澤勇人、南沢奈央、須藤蓮、石井一孝が出演するKOKAMI@network vol.18『ハルシオン・デイズ 2020』が10月31日(土)に開幕、11月23日(月・祝)まで東京・紀伊國屋ホール、12月5日(土)・6日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演中。11月1日(日)の公演レポートをお届けする。鴻上尚史が、さまざまな人たちと出会い、公演するために作ったプロデュース・ユニット「KOKAMI@network」の第18弾。『ハルシオン・デイズ』は、鴻上作品の中でも最も多く上演されている戯曲『トランス』のテーマを引き継いだ作品(’04年初演)で、今回は“今だから”届けたい作品として 2020年版に書き換え上演される。登場人物は、ツイッターの「#自殺」で知り合い、一緒に死ぬために集合したメンバー。流行の感染症“パンデ”にまつわる出来事が理由で会社を辞めた原田雅之(柿澤)、実は自殺を食い止めたいスクールカウンセラーの谷川和美(南沢)、ゲイであることなどを隠しながら生きる橋本哲造(石井)、そして谷川のカウンセリング後に自殺した高校生・平山明生(須藤)という3人+1人だ。哲造の「楽しく死にたい」というアイデアで、練炭、ハルシオン(睡眠導入剤)、美味しい食事、ゲームなど、死ぬための準備を進めるメンバー。しかし突然、雅之が「自粛警察と戦う」と言い始めて――。劇中では“コロナ”ではなく“パンデ”だが、登場人物のマスク姿に、“今”の物語であることを突き付けられる2020年版。大きく変化したのは雅之の妄想の内容だ。これまでは「自分は戦地の“人間の盾”だ」というものであったが、今作ではそれが「<自粛警察と戦い隊>のリーダー」となった。今現在、多くの人が気にしているであろう“自粛警察”だからこそ、台詞の一つひとつが、物語の展開が、実生活と重なり生々しく響く。柿澤の等身大の青年役は新鮮。雅之の内側に渦巻くものが苦しいほど伝わってくるがゆえに、救われることを願わずにはいられない存在となっている。南沢の奥深い芝居も印象的。谷川のある気持ちが解放されたときは、こちらまで解放されるような感覚を味わえた。須藤は熱の塊のよう。高校生ならではの不安定さや必死さの芝居に、なにかがギュッと絞られるようだった。石井の哲造は、その存在がガラリと空気を変える、そんな強さがあり、一番死にたがっているように見えながら、“生きる”とはどういうことなのかを何度も発見させてくれる人物だった。「自殺」から物語は始まるが、最後には、今を生き抜こうと思える作品。閉塞感に風穴があくような感覚を、ぜひ劇場で味わってほしい。
2020年11月06日グラビアアイドルの百白奈央(ももしろ なお)が、最新イメージDVD『癒しの天使』(発売中 4,180円税込 発売元:イーネット・フロンティア)をリリースした。同DVDがグラビアデビューとなる百白奈央は、152cmの身長に上からB92・W58・H89という日本人離れしたプロポーションにバストもHカップとトップグラドル顔負けの21歳だ。デビュー前からグラドルファンならず業界関係者から注目を集めていた百白。デビュー作でその全ぼうが明らかにされる。本編では、百白のバストが水着から溢れ出そうで、デビュー作からいきなり手ブラにもチャレンジする大胆さも。水着や衣装もV字形水着やセクシーメイド衣装など露出度が高く、バストフェチも納得のラインナップとなっている。その豊満なバストとボディーのみならず、セクシーさもあり、デビュー作からいきなりアイス舐めやベッドでのシーンなどにも挑戦している。なお、同DVDの発売を記念したイベントが11月8日に東京・秋葉原の書泉ブックタワー9F(15:00~)で開催予定(中止・延期の可能性あり)。
2020年11月05日柿澤勇人、南沢奈央、須藤蓮、石井一孝が出演するKOKAMI@network vol.18『ハルシオン・デイズ 2020』が10月31日(土)に開幕する。主演の柿澤と作・演出の鴻上尚史に話を聞いた。鴻上が「コロナ禍での5月、6月頃のSNSの荒れ方を見ていて、これは今やるべき芝居になると思いました」と語る本作。2004年の初演では自殺系サイトで出会った4人の物語として上演されたが、今回2020年版に書き換えられ、ツイッターの「♯自殺」で出会った4人の物語として上演される。しかし暗い物語ではない。「もともと僕の芝居は、劇場に来る時よりも出る時に元気になってほしいというのがテーマですが、今回は特にそう思っています。今だからこそ、初演より楽しいものにしたい。観て悲しい気持ちになるものには絶対にしたくない。『生きようぜ!』という芝居になればいいと思っています」(鴻上)柿澤は「出演作が次々と中止になり、今年は舞台上で芝居をすることはないんだろうなと思っていた時に声をかけていただいて、作品にも惹かれたし、嬉しかったです」と喜んで出演を決めたが、その後迷いが訪れたことを明かす。「この作品は“自死”もテーマのひとつですが、最近、僕の友人や近しい人が死を選ぶという出来事があって。『鴻上さん、俺、できるかな』という話はしました。そしたら鴻上さんは“生きろ”というのがテーマなんだと言ってくださって。それで『よし、やろう』と思いました」。稽古が始まり、出演者については「面白い4人だと思います。よくまあこれだけ個性の違う4人が集まったなと(笑)。しかも、それぞれがそれぞれの役柄にすごく合ってるんですよ。ここまで合ってるとは思わなかったな」と鴻上。柿澤が演じる原田雅之を「カッキー(柿澤)っぽい」と言うと、柿澤は「うそだ!」と笑うが、鴻上は「うそじゃないよ(笑)。『引き受けなくていいじゃん、そんなたくさんのものを』というものをちゃんと引き受ける。その誠実さがカッキーにあると思うから」と印象を明かした。作品について柿澤は「いろいろ抱えた4人が集まるお話ですが、人が集まるといいこともあるし、バカみたいなこともある。単純にみんなで飯を食うだけでもこんなに面白いんだ、とか、そういうものを楽しんでもらいたいです」。柿澤が「舞台って楽しいな、芝居って楽しいなと、僕も思いたいし皆さんにも感じてもらいたい。観終わった頃には、『明日も生きよう』とか『がんばってまた舞台観に行こう』という気持ちになってもらえたら」と語る本作は、10月31日(土)から11月23日(月・祝)まで東京・紀伊國屋ホール、12月5日(土)・6日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。
2020年10月26日女優の芦田愛菜が主演を務める、映画『星の子』(10月9日公開)に著名人がコメントを寄せた。同作は、最新作『むらさきのスカートの女』で令和初の第161回芥川賞を受賞した小説家・今村夏子の同名小説の実写化作品。監督・脚本は『さよなら渓谷』『日日是好日』の大森立嗣が務める。大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろ(芦田)だが、その両親はちひろが生まれたときの病気を奇跡的に治してしまった「あやしい宗教」を深く信じてしまっている。思春期を成長していくちひろは、生まれて初めて、両親と暮らす自分の世界を疑い始めて行く。ドラマデビュー作『Mother』から10年、映画女優としての姿を見せている芦田。演じているときは、「自分がその役になるというより、その役が自分に近づいてくる感覚になる」と表す。本作でも一日中ずっと、ちひろのことを考えていたため、「撮影が進むほど、私の部分がどんどん少なくなって、ちひろの部分が多くなりました」と明かし、「家族から『ちひろの話し方が抜けてないよ』と言われることもあり、いつもちひろが心のどこかにいた気がします」 と撮影時を振り返った。大森立嗣監督は、映画化するにあたって挑戦したのは「少女の心の繊細な揺らぎを撮ること」「セリフのないときのちひろをどう捉えるかです。喋っていないちひろにこそ、この映画の核があると思います。繊細なものが隠れていて、それは映画だから描けることの一つです」と語る。芦田については「セリフのない一人でいるシーンが印象に残っています。芦田さんは的確な読解力と、引き出しの多さ、表現力、コミュニケーション能力、どれをとっても素晴らしかったです」「それに恐ろしい程のバランス感覚を持っています。15歳にして、自分のことを肯定しながら、解放していくことができるのは凄い。自分のどうしようもない部分を自分で認めないと演技のスタート位置に立てないのですが、芦田さんはそれができているので、もう子役という認識はなかったです」と評した。また、宇野維正、恩田泰子、川島小鳥、鴻巣友季子、佐々木敦、サンドウィッチマン、SYO、鈴木福、はるな檸檬、平松洋子、光浦靖子、南沢奈央、山田孝之が同作を見てコメントを寄せる。そして女優・芦田愛菜の一端が垣間見られる場面写真として、一人佇むシーンや涙を目にいっぱいためた横顔など、繊細な揺らぎが映し出されたシーンが公開された。○富澤たけし(サンドウィッチマン) コメント芦田愛菜ちゃんとは一緒に番組をやらせて頂いていますが、この映画には女優、芦田愛菜『さん』がいました。人間にはいくつもの感情があり、そのベクトルの中を時に傾きつつ、引っ張りあうバランスの中で『自分』を形成し、保っている生き物だと思います。引っ張られる先にあるのは自分の置かれている状況や、家族、友達、先生といった人間関係、信じている物。バランスが欠けると片方にふっ飛んでいってしまう。宇宙における星同士のように。何かを『諦めること』で人は大人になる。何かを『諦めないこと』で人は成長する。ちょっと何言ってんのかわからなくなりました…。○伊達みきお(サンドウィッチマン) コメント愛菜ちゃんとは、バラエティで共演させて頂いてますが、それとはまた違う…彼女の生業『女優・芦田愛菜』の真髄を見ました。娘をもつ親としての目線だったり、大友康平さん演じる伯父さん目線…更に、懐かしい中学時代の友達関係や教室の雰囲気等、様々な感情で深く映画を観る事が出来ました。個人的には、授業中…イケメン教師の似顔絵を書いていて叱られるシーンで、ちひろの友達が『似顔絵は先生じゃない……』○鈴木福 コメントちーちゃんの信じる強さ、まーちゃんの自分を信じる強さ、2人の揺らぐ姿に人の深い部分を感じました。何かを信じること、素直に信じることの難しさを考えさせられる作品です。芦田愛菜さんの小さな頃から変わらぬ素晴らしさに感慨深いものがありました。○光浦靖子 コメント正しいから信じるんじゃなくて、信じてるから正しい、になるかもしれないから、人は信じることを躊躇し、怖がるんだと思います。「海路さんが焼きそば作ってるぅ」「きゃー」と女の子たちが群がる短いシーンが、印象的でした。彼女らのいろんな感情や状況が想像されて、見ちゃいかんもんを見ているようで、胸がぎゅうとなりました。○南沢奈央 コメント美しいはずの星空が、こんなにも不気味に見えてくるとは……。すごい余韻。物凄いものを渡されて終わる。自分の見ているものが、他のみんなにも見えてるものなのか。この映画を観終えた今、わたしはそこに立ち返って、立ち尽くしてます。○山田孝之 コメント笑える理由はこの世なのか、この世に生きる自分なのか。素晴らしく完成度の高い物語と登場する人々。全ての行動と言動の動機が理解できるから笑ってしまう。しかしずっと笑ってもいられない。
2020年10月06日南沢奈央が、演出・白井晃のもとで再びKAAT神奈川芸術劇場プロデュース公演に臨む。挑戦するのは、アイルランドの劇作家エンダ・ウォルシュが2016年に発表した『アーリントン』。副題に“ラブ・ストーリー”と冠された日本初演となる戯曲を一読し、作品のイメージを膨らませる稽古前の心境に耳を傾けた。【チケット情報はこちら】高層ビルの中にある待合室を舞台に、自分の“番号”が呼ばれるのを待つ若い女アイーラと、隣の部屋でモニター越しに彼女を見つめる若い男を軸とした物語が描かれる本作。壁を隔てた2人の間に何が芽生え、アイーラの番号が来た時に男はどんな決断を下すのか──。共演者には平埜生成、入手杏奈が名を連ねている。2019年5・6月に主演した白井の演出作『恐るべき子供たち』を通じて、彼と「もっと一緒に仕事をしてみたい!」と直感した南沢。豊富なアイディアや戯曲解釈の多様性を体感するだけでなく、役や作品のバックボーンをわかりやすい形で共有し、キャストの表現力に委ねる白井の演出手法に「新しい一面を引き出していただけた」と信頼を寄せる。1年を待たずに迎える再タッグは、白井からのオファーで実現した。南沢いわく「戯曲を読んだ白井さんが、今回演じるアイーラに私が重なったとおっしゃっていて」──。感情を内に秘める南沢の性格が、さまざまな過去や思いを抱えながら少しずつ自分について語るアイーラの役どころに「近いかもしれません」と分析する。南沢は、劇中の監視体制を「投稿を楽しむ一方で自分も誰かに見られている」とSNSが隆盛する現代のインターネット社会に置き換える。同時に「自分の目で観る、耳で聴く、肌で感じる機会がどんどん失われている気がして」とバーチャルへ移行しつつある世界についてコメント。しかし『アーリントン』では、アイーラと男の間にリアルな心の交流が芽生える。「誰かにそばにいて欲しいと願う彼女が、根本的な人の“あたたかさ”に触れる姿を見届けてください」と呼びかけた。その様子を、説得力ある形で観客へ提示するには──。南沢は「相手役の顔が見えず、声だけ聴いて反応する芝居は初めて。きっと五感をフル活用しないといけませんね」と青写真を描く。「最初は居心地が悪いと思いますが、そのやり取りで揺れ動くアイーラがおもしろいはず。新たなチャレンジです」と笑顔を覗かせた。公演は、4月11日(土)~5月3日(日・祝)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年03月10日戸塚祥太(A.B.C-Z)が主演を務める舞台『阿呆浪士』が1月8日に開幕、それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には、戸塚、福田悠太(ふぉ~ゆ~)、小倉久寛、演出のラサール石井が出席した。【チケット情報はこちら】本作は、脚本の鈴木聡が主宰を務める劇団「ラッパ屋」の公演として1994年に初演された“笑いたっぷり、泪ちょっぴり”の時代劇。魚屋の八(はち)が長屋小町の気を引きたくてついた「俺は赤穂浪士なんだ」という嘘から、やがて本当に討ち入りすることになって――というストーリーで、友達のためのみならず他人のためにも命を懸けて闘う“阿呆な”男たちの生き様と、ひょんなことから転がる人の縁の素敵さを描く。囲み取材で戸塚が「2020年、『阿呆浪士』で最高のスタートダッシュを切れてます。お客様にもこの舞台で最高の幕開けを感じていただきたい」と笑顔をみせた本作。自らの役柄については「僕が演じる八は、酒に女にだらしないけど、野暮なことを貫き通すヤツです。こういう役をやらせていただける機会はなかなかないので、とことん楽しんでやりたい」と語る。八とは違い本物の赤穂浪士のひとりで真面目な田中貞四郎を演じる福田は、スケジュールの都合上、稽古にあまり出られなかったそうだが、ラサールが「最初から台詞と動きが完璧だった」と明かすと「もう1回言ってください」と喜びながら「遅れて入った僕を皆さんが受け入れてくれた。だから僕はただ阿呆になればよかった。楽しかったです」と話した。大石内蔵助を演じる小倉は「最後はすごくかっこいい役」と話すラサールに「そんなの言っちゃだめ!俺はハードルを下げて下げたにも関わらず、さらにその下をくぐって生きてきたんだから(笑)」と返し戸塚や福田を笑わせていた。歌あり、ダンスありの、華やかでスカッと楽しめるエンターテインメント時代劇に仕上がっている本作。小劇場で上演された「ラッパ屋」公演を観た人にはそのギャップもおもしろく感じられるだろう。ラサールが「笑いと言ってもギャグっぽいものではなくて、滲み出るようなね、人間のおかしさへの笑いです。でも最後は泣けると思います」と話したように、笑いながらも心に沁みる内容となっている。劇中にはまさかのうちわやペンライトOKなシーンもあるので、お持ちの方はぜひ振ってほしい(貸出用うちわもあり)。戸塚、深田、南沢奈央、伊藤純奈(乃木坂46)ら若手と、浪曲師の玉川奈々福、竹内都子、小倉らベテランの組み合わせや、出自が全く違う面々が一堂に会すことで生まれる化学反応も楽しい本作は1月24日(金)まで東京・新国立劇場 中劇場、1月31日(金)から2月2日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。取材・文・撮影:中川實穂
2020年01月10日令和初めてのお正月、こんな時代劇で芝居初めはいかがだろうか。人情味あふれるコメディの名手・鈴木聡が1994年に自らが率いる劇団・ラッパ屋に書き下ろした代表作『阿呆浪士(あほうろうし)』が、本日1月8日に開幕する。時は元禄。主人公は、しがない魚屋の八(はち)だ。ある日、ひょんな取り違いから、赤穂浪士の血判状を手にする。八は同じ長屋のマドンナ・お直の気を引きたい一心で、自分が本物の赤穂浪士だと嘘を付き始める。一方、大石内蔵助の娘のすずが、いつまでも討ち入りを果たさない父に業を煮やして、赤穂から江戸に乗り込んでくる。すずは、お調子者の八を利用して、ニセモノの赤穂浪士たちと討ち入りを決行しようとするが……。今回、演出するのはラサール石井。八に扮するのはA.B.C-Zのメンバーとしてジャンルを問わない活躍を見せる戸塚祥太だ。また、本当の赤穂浪士のひとり、田中貞四郎にふぉ~ゆ~の福田悠太、八が惹かれる相手・お直に南沢奈央、大石内蔵助の娘・すずに乃木坂46の伊藤純奈が扮する。ベテラン勢もバラエティ豊かだ。本作には欠かせない浪曲・三味線を担う浪曲師の玉川奈々福、唯一無二の存在感を見せる竹内都子、大石内蔵助には時代劇もコメディも硬軟自在に演じる小倉久寛がキャスティングされた。鈴木が得意とするのは、どうもうまくいかない、スマートに振る舞えない人々が繰り広げる悪戦苦闘コメディだ。スマートにはいかないけれど、でもそれぞれが、それぞれの人生に一生懸命で、その熱が舞台全体を照らす。本作もまさに、そういった作品群の代表格と言えよう。嘘から始まった討ち入りは、武士道でもなく意地でもなく、「阿呆の神様」に忠臣する者たちの所業だ。ダメダメだけど、愛おしい。かっこ悪いけど、かっこいい。そんな男たちの大奮闘で、心の底からポカポカにしてくれるはずだ。公演は1月24日(金)まで東京・新国立劇場 中劇場、1月31日(金)から2月2日(日)まで 大阪・森ノ宮ピロティホールで行われる。文:小川志津子
2020年01月08日作・鈴木聡×演出・ラサール石井×主演・戸塚祥太(A.B.C-Z)の舞台『阿呆浪士』が1月8日(水)に開幕する。稽古場にてラサール石井に話を聞いた。【チケット情報はこちら】稽古が始まって「キャストが面白い。みんなうまいんですよ。若いメンバーも魅力がある人ばかりだし、重鎮たちもがんばっている。みんなの要素がうまく絡み合っていると思います」と手応えを語るラサール。主演は、A.B.C-Zのメンバーで、舞台『BACKBEAT』での好演も印象的だった戸塚祥太。さらに、舞台での活躍が目覚ましいふぉ~ゆ~の福田悠太、南沢奈央、乃木坂46の伊藤純奈ら若手と、浪曲師の玉川奈々福、竹内都子、小倉久寛らベテラン勢が顔を揃える。「戸塚くんがすごくがんばっています。馬鹿で弾けた人間を真面目に演じていて、観ていて面白い。戸塚くんはこういう芝居をやってこなかったそうですが、意外だと感じました。新しい姿が見られると思いますよ」本作は、脚本の鈴木が主宰を務める劇団「ラッパ屋」の公演として1994年に青山円形劇場で初演、1998年にはTHEATER/TOPSという小劇場で再演されたが、今回は新国立劇場中劇場と劇場サイズは大きくなり、さらにパルコ・プロデュース作品でもある。作品にどんな変化をもたらしたか。「小さい劇場でやる作品として書かれた脚本なので、劇場が広くなるとテンポが悪くなってしまう。舞台上での移動にかかる時間も変わりますからね。それをできるだけ解消して、新国立劇場“中劇場”を“小劇場”のように見えるようにしました。歌や踊りも足して、エンターテインメント作品に仕上げています」タイトルの『阿呆浪士(あほうろうし)』はもちろん“赤穂浪士(あこうろうし)”をもじったもの。以前はテレビドラマでもよくモチーフにされていたが、最近は赤穂浪士って?忠臣蔵って?という層も多い。「“仇討ち”の話だとわかってもらえるくらいの説明はつけますが、歴史的背景がわからなくても“エネルギーがあってかっこいいね”というものになればいいと思っています」。そのかっこよさとは?「コストパフォーマンスや忖度を考えずに突っ走る阿呆のかっこよさです。今は、できるだけ労力を使わず利益を得るのがよいという時代。でも実は、舞台や芸術は効率を考えたらやれないものです。観る方にも、一生に1回くらいはそういうこともあっていいかもなと思ってもらえたら」公演は1月8日(水)から24日(金)まで東京・新国立劇場 中劇場、1月31日(金)から2月2日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。取材・文:中川實穂
2020年01月06日アイドルグループ・Sexy Zoneの菊池風磨が8日、東京グローブ座で行われた舞台『HAMLET ―ハムレット―』のフォトコールに出演し、森新太郎、南沢奈央、大谷亮介、安蘭けいとともに取材に応じた。同作はシェイクスピア四大悲劇の一つで、デンマーク王・ハムレットが父王の死に復讐を誓い、狂気を装って、王座を継いだ叔父・クローディアスに迫る。演出は『クレシダ』『The Silver Tassie 銀杯』『プラトーノフ』等、卓越した演出力で高い評価を得ている気鋭の演出家森新太郎が務める。この日は18時半から初日公演を予定していたものの、台風15号の接近に伴い、公演は中止となった。振替日程や、チケットの払戻しにつきましては現在調整中だという。取材でも中止にするかどうか協議中だと話していたが、菊池は「一筋縄でやらせてくらないのがハムレット」と苦笑し、森は「彼の心の中で台風より激しいものが吹き荒れるでしょう」と予言した。ストレートプレイもジャニーズ以外の舞台に出るのも初めてという菊池は、最初に話を聞いた時には「伝達ミスだと思ったんです。"ゆうま"と"ふうま"で間違えたんじゃないかと。何回確認しても僕だった」という。「先輩方もハムレットを一度やってみたいとおっしゃってるのはよく聞いていたので、僕はもうちょっと経験を積み重ねていったときにやりたくなるものなんだなと思っていた」と振り返る。菊池が、森について「やっぱインスピレーションも豊かな方なので。昨日言ってたことと180度違うときとかあるんです」と明かすと、森が「悪口か!」と突っ込むなど、和気藹々とした雰囲気のカンパニー。菊池は「ジャニーさんと近いですね、本当に。懐かしい感じがしました。Jr.の時に全然理不尽なことで怒られてたこと……理不尽と言ってるわけじゃないですけど、思い出すところはありましたね」としみじみ。「実感として良かったと思ったところを、さらっと言われたりすると、抱かれてもいいかなと思います」と笑わせた。「抱いてもいいんですけど」と応えた森は、「僕の一夏を返してほしいくらい本当に大変でした。でも上に行くしかないので。今日のフォトコールの時もできなかったことができたり、楽しいです」と笑顔を見せる。菊池が『プラトーノフ』を観にきた時が初対面だったというが、「ものすごい印象悪かったんです。目が虚ろで、ぼそぼそっと自己紹介して、何にも言わないんです。でも差し入れがとってもおいしいいちごだったのでいいやつだなって」と暴露し、「初日で俺が『抱かせてください』って言うかも」とほのめかす。これに対し、菊池は「あらすじは把握してったんですけど、全然わからなくて。お客さんが笑ってるところもなんで笑ってるのかわからなくて、あわせて笑うくらい。これ僕、ダメだと思ったんですよ。ハムレットはできないと屍のような状態で挨拶に行った」と弁解。今回の台本にしても「友達に付き合ってもらいながら」古典の言い回しを覚える日々だったという。しかし南沢は「日々変わっていくハムレットが、見てて本当にドキドキしました。難しいセリフも心から言ってる。様になっている」、安蘭は「最初はプレッシャーに打ち勝てるのか心配だけど、ここまで成長できたんだ。本当に森さんのおかげなんだろうから、森さんにありがとうって言いなさいよって」と菊池の成長具合に驚いた様子。大谷は「風磨ちゃん、差し入れの梨がおいしい。びっくりするほど。あんなにおいしい梨は初めて!」と絶賛し、菊池は「差し入れ奉行……」と照れた。Sexy Zoneメンバーの反応を聞かれると、「びっくりしてましたよ。まさか僕がハムレットをやるとは思ってもなかったみたいで、3度聞きくらいされました。中島(健人)も興奮してましたし、マリウスは生粋の宝塚ファンなので、僕よりも『安蘭さんと一緒なんだ!!』という身震いしてました。勝利も同じ時期にドラマや映画を撮ってるので互いに『頑張ろうね』と言うのはありました」と語る。またフェンシングシーンは、森が「頭悪いから、最初に左利きですって言わないで、利き腕じゃない方でものにしてしまった」と明かし、菊池も「大変でした。僕の意向で左利き用にしてもと思って言わなかったんですけど」と苦笑する。「少しずつ自信になってる部分もあるので、千秋楽にはどういう気持ちを抱いてるのかな」と想像しつつ、「ジャニーさんに観てもらいたいか」という質問については、「4時間あるので、絶対観に来なかったと思います」ときっぱり。「長いよ! って言われて、観てくれなかったと思う。逆に今の方が観てくれてるかもしれない」と思いを馳せた。
2019年09月08日ステージいっぱいに敷かれた布を雪景色に見立て、子供達の雪合戦が始まった。そこで起きた事故をきっかけに、子供たちの関係が大きく動き出す――。【チケット情報はこちら】この物語は、フランスの作家ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』の舞台化。白井晃演出、ノゾエ征爾脚本により6月2日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉で上演中だ。外界を知らずに成長した不遜な姉弟を演じるのは、南沢奈央と柾木玲弥。姉エリザベートは、母を病気で亡くし、ケガをして引きこもる弟との“王国”を守ろうとし続ける美しくも残酷な少女。愛情か、依存か……南沢はポールへの執着を、生々しく感情を剥き出しにして振る舞い、登場人物も観客も巻き込んでいく。また弟・ポールは我がままで癇癪持ち。ポールの魅力がこの作品のキモでもあるが、まっすぐな感情を持て余す繊細さで周りの子供達を惹き付ける。演じる柾木は「稽古で皆と合わせていく中で役ができていきました」と振り返る。“物語の案内役”を担うのが、ポールの友人・ジェラール役の松岡広大。原作とは違う役どころとして、1歩離れた立ち位置で姉弟に関わっていく。松岡はストレートプレイ初出演だが、まっすぐで真面目な姿勢で丁寧に物語を語る。会見では「しっかりと言葉の意味を伝えることに、今まで以上にエネルギーを使いました」と真摯に述べた。絶妙なバランスの3人。その危うい均衡を脅かすふた役を、馬場ふみかが演じる。すべての始まりとなる雪合戦でポールにケガをさせる少年ダルジュロスと、彼に瓜ふたつの少女アガート。傲慢なダルジュロスと繊細なアガートを演じ分ける。「ふた役それぞれ違った目線で作品について考えることができるので面白い。同時に、(役の)スイッチングの難しさを感じています」。4人の子供たちの世界を白い布が表現する。1枚1枚剥いだり、布に溺れたり……自在に動く布が、彼らの関係性も表現する。強い風が吹いたら飛びそうな、もろい世界だ。「こんなにシンプルなセットは初めて。リングの上に立たされている気持ちで、逃げも隠れもできない状況での芝居です」(南沢)。4人以外の俳優たちが大人を演じ、子供だけの王国を際立たせる。大人になることを拒絶する子供たち――。演出の変更は日々重ねられており、より良い作品を模索する。白井晃の要求に柔軟に食らいつく俳優たち。2週間の上演期間のうちに、これからも大きく進化していくだろう。チケット発売中。取材・文・撮影:河野桃子
2019年05月20日アイドルグループ・Sexy Zoneの菊池風磨が、舞台『HAMLET ―ハムレット―』で単独初主演を務めることが17日、明らかになった。同作はシェイクスピア四大悲劇の一つで、デンマーク王・ハムレットが父王の死に復讐を誓い、狂気を装って、王座を継いだ叔父・クローディアスに迫る。演出は『クレシダ』『The Silver Tassie 銀杯』『プラトーノフ』等、卓越した演出力で高い評価を得ている気鋭の演出家森新太郎が務める。菊池にとっては、2015年9月に上演された「DREAM BOYS」以来約4年ぶりとなる舞台出演で、CDデビューから8年目となるSexy Zoneメンバー初の、外部舞台への挑戦となる。ハムレットの婚約者・オフィーリア役には南沢奈央、オフィーリアの父・ボローニアス役には大鷹明良、ハムレットの叔父・クローディアス役には大谷亮介、ハムレットの母・ガートルード役には安蘭けいと、豪華な面々が顔を揃える。更に、宮崎秋人、章平、風間由次郎、小柳心、味方良介、末原拓馬、福原冠、冨永竜、森田甘路、駒井健介、天野勝仁、新垣ケビン、花王おさむと、若手からベテランまで個性あふれる役者がそろった。東京公演は東京グローブ座にて9月8日~10月6日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて10月9日~15日。○菊池風磨 コメント今回出演が決まって、まさか自分がハムレット役をやらせて頂く事になるとは思ってもみなかったので、とにかく驚いた次第でございます。もちろん、喜びもありましたが、何より驚きが大きかったです。『ハムレット』は、作品自体に歴史と伝統があり、国内外においても、様々な方々が演じられてきた由緒正しき役であることは私でも百も承知ですので、かなりのプレッシャーを感じていることは否めません。ですが、やりたいと思ってやらせて頂ける役ではないからこそ、この機会に全身全霊で向き合いたいと強く思っております。ストレートプレイに対する意識は強く、恐縮ながら役者としても活動させて頂く以上、一度はストレートプレイの舞台に立ちたいと思っていたので、これ以上光栄なことはございません。Sexy Zoneの可能性を広げるきっかけになれればと思っております。ハムレットという大役を、歴史と伝統に則り、真摯に演じて参りたいと思っております。その表現の中で現れる新たな菊池風磨をお見せすることを約束致しますので、是非ご覧ください。○森新太郎 コメントそこに活劇としての魅力があるとはいえ、『ハムレット』が相当血なまぐさい復讐劇であることは確かです。主要人物のほとんどが残酷な死を遂げます。「復讐せよ」とハムレットに命じた父の亡霊もまさかこれほどの事態になるとは想像していなかったのでは。人間の理性を信じ “正義”や“名誉”というものを希求して止まなかったハムレット。そんな彼による凄惨な復讐劇だからこそ、この物語はいま上演する意義があり、現代にも通じる問題作として我々の前に立ちはだかるはずです。古典戯曲の金字塔に真っ向勝負で挑んでいけたらと思います。
2019年05月17日白井晃(演出)とノゾエ征爾(上演台本)が初タッグを組む『恐るべき子供たち』が5月18日(土)に開幕する。ジャン・コクトーの小説を原作に思春期の姉弟の歪んだ関係を描く本作で、姉弟を演じる南沢奈央、柾木玲弥に話を聞いた。稽古が始まったばかりのこの日。南沢は「まだなんとなくですが、うすーく全体像が見えてきたかなという段階です。セットもすごくシンプルですし、小道具も極力使わない。子供たちの無垢さが際立つつくりになりそうです」、柾木は「原作を読んだときに、このよさが舞台でどう表現されるんだろうと思ったのですが、実際にやってみて“ああ、こうなるんだ。いいな”と思いました。おもしろいです」と話す。「子供たちの嫉妬や憎しみ、喧嘩の描き方がえげつない」(柾木)という本作で、20代ながら“子供”を演じることについて南沢は「白井さんには“子供っぽくやろうと思わなくていい”と言われました。普段より感情を出すようには意識していますが、シンプルに役を追求できれば子供になるんだと思います」、柾木は「最初は“子供を演じる”と思っていたのですが、稽古が始まって、“子供の思考や神経を演じる”のだなと思いました。声の高さを変えるということじゃなく」と話す。そのなかで、南沢の演じる、弟との“王国”を守ろうとし続ける美しい姉・エリザベートについては「最初は“こういう子、怖いな”と思ったのですが、稽古が始まって理解が深まっていくと、この子はただ純粋に感情を表現したり自分を守るために嘘をついているだけなんだと気付きました。そこが“子供”たる所以であって、怖い子というのとは違うんだと思うようになりました」。姉と共に幼稚で享楽的な価値観のまま成長していく弟のポールについて柾木は「ポールはときどき大人に憧れる瞬間があるのですが、姉によって大人になることを拒否“させられている”感じです」と語る。そんな姉弟役のお互いを「征木くんとはテレビドラマで姉弟役を演じたことがあって、数年ぶりにお会いしたら大人になっていました。芝居の瞬発力がすごい。ビビッてます(笑)。そして刺激も受けています」(南沢)、「南沢さんと一緒に芝居をしていて楽しいです。思ってもみない球がくるんですよ。そっちか!って」(柾木)と話す。とはいえ「でもお互い人見知りだよね」(南沢)、「今はまだ芝居のときしか目が合わない(笑)」(柾木)と暴露。姉弟の関係性をつくりあげていくのはこれから。開幕を楽しみに待ちたい。『恐るべき子供たち』は5月18日(土)から6月2日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて。チケットは残りわずか!取材・文:中川實穗
2019年04月26日KAAT芸術監督・白井晃が演出を手掛ける近現代戯曲シリーズ『春のめざめ』『恐るべき子供たち』が4、5月に連続上演される。その製作発表会が行われ『春のめざめ』に出演する伊藤健太郎、岡本夏美、栗原類、『恐るべき子供たち』に出演する南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大、そして白井が登壇した。【チケット情報はこちら】白井は、今年この2作を続けて上演することについて「“生”と“性”シリーズといいますか、思春期の大人社会との対峙の中で子供たちがいかに戦っていくのか、どうやって自分の道を見つけていくのか。そういう若き日の葛藤を描く作品を、連続で上演する試みに挑戦します」とコメント。今回が2度目の上演となる『春のめざめ』は「昨今はミュージカルで有名になっていた作品ですが、もともとはストレートプレイだぞということをしっかり見せたいと思い、2年前に上演しました。そのときに好評をいただき、この作品をKAATで継続的に上演できたら、そして若き俳優の皆さんとこの作業を共有していくことができたらと、今回の再演に至りました」と話す。白井が初めて手掛ける『恐るべき子供たち』は「ジャン・コクトーの小説は若き頃から愛読しておりましたので、この作品を演劇にできないかと上演台本をノゾエ征爾さんに書いていただいています。これからいろんなアイデアを掘りながら、キャストの皆さんと一緒につくっていきたいです」と語った。『春のめざめ』の主演・伊藤は「僕は舞台が2度目なのでまだまだ素人のようなもの。白井さんやキャストの皆さんの胸を借りてしっかり演じていきたいです」と意気込み、岡本は「初演を客席で観劇したのですが、その日の日記には“ヴェントラ役をやりたかった”と書いていました」と明かす。初演に続き出演する栗原は「どんなに時代が進んでも、思春期に起こる身体の異変や、身体と脳の違いで、誰もが苦痛や葛藤を経験するのだと思いました。たとえ本が同じでもキャストが変われば完全に新作だと思うので、また一から皆さんとつくっていきたい」と話した。『恐るべき子供たち』の主演・南沢は「白井さんとはずっとご一緒したいと思っていたので、このお話をいただいたとき本当に嬉しかったです。白井さんから“大変だと思うけれど、覚悟して”と言われたので、心して挑みたいです」、映像を中心に活躍する柾木は「僕は最後の舞台出演が3年前。経験も浅いですが、一生懸命演じて素敵な作品にできたら」、松岡も「戯曲は初挑戦で緊張していますが、本番までしっかりがんばっていきたいです」とそれぞれ語った。『春のめざめ』は4月13日(土)、『恐るべき子供たち』は5月18日(土)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで開幕。取材・文:中川實穗
2019年02月08日