●さまざまな問題で大きく揺れたエンタメ業界に危機感エンターテインメントや政治・社会問題などについて自身の考えを述べ、その発言がたびたび注目を集めている音楽プロデューサー・松尾潔氏。2023年、旧ジャニーズ事務所や宝塚歌劇団の問題などで大きく揺れたエンタメ業界に危機感を抱き、クリーンな世界に変えていくために今、膿を全部出しきるべきだと考えている。「大好きな音楽の仕事を続けていくためにも、クリーンな世界にしていきたい」。松尾氏に今の思いを聞いた。昨年、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)の創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害問題について、疑惑を放置するべきではないと、いち早く声を上げた松尾氏。今年1月には、日刊ゲンダイでの連載「メロウな木曜日」、RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』での発言に加え、今の自身の思いを書き下ろした著書『おれの歌を止めるなジャニーズ問題とエンターテインメントの未来』を出版。「1冊の本にして世の中に対して提言とか問題提起ができたら」と思いを明かす。昨年はエンタメ業界のさまざまな問題が明るみに。松尾氏は「エンターテインメントの未来を考えるにあたって、2023年はのちのち大きな節目と言われるんじゃないかという実感がありました」と語る。「ジャニーズ、宝塚、歌舞伎など、エンターテインメントの老舗が抱えていた非常に根の深い問題……セクシャルハラスメントやパワーハラスメントといったハラスメントが顕在化し、表に出たときにはかなり根腐れを起こしていた。似たようなことがいろんなところで起こっているのではないかと想像するのは自然なことですよね」そして、「ジャニーズも宝塚も歌舞伎も別の話なのでそれぞれ検証しなきゃいけない」とするも、「問題の構図はどこか似ているところがある」と感じているという。「エンターテインメントは文化ですがビジネスでもある。利潤追求を優先するあまり、モラルやマナーをないがしろにしたのではないかなというのが、すべての問題に共通しているように思います。さらにもっと言うと、その根本にあるこの国の在り方……政治や経済にも目を向けて正すべきところは正していかないといけないと思います」○誰もが自由に意見を言える社会に変わらなければいけないまた、何か疑問を感じたときに誰もが意見を言える社会に変わらなければいけないと、その必要性を強調する。「おかしいと思っても口に出せない空気があるからこそ、何か問題があっても表に出なかったり、なかなか問題が解決できないのではないかなと。我々は今、そういう反省をしなければいけないと思っています」自身も、ゆるくではあるが同調圧力のようなものを感じることがあったという。「『いいエンタメとは、いいショービジネスとはこういうものである』『こういうときはこうするべき。空気を読めよ』というような同調圧力が、ギュッと締め付けるのではなくふわっとした感じで、そういった空気が蔓延している気がします」日本を代表するアーティストの楽曲を手掛けてきた松尾氏だからこそ、関わってきたアーティストへの影響も考えざるを得ない。「2015年の安保法制のときに、デモに参加したミュージシャンの方もいました。僕は日本のエンタメのど真ん中にいる人たちと仕事をしているので、例えば僕がそういったデモに参加したり、業界や社会に関して何かアクションを起こすと、その人たちに迷惑がかかるのではないかと。そういう思いをずっと抱えていました」だが、ジャニー喜多川氏の性加害問題が明るみに出て、「これは声を上げなければいけない」という思いに。「この問題の本質は人権蹂躙であり、被害を受けているのが子供、もしくは、かつて子供だった大人たち。僕は特別正義感が強いわけでもないですが、これはあり得ないと思ったんです」そして、音楽を愛しているからこそ、クリーンな業界にしていきたいという思いがある。「おかしいと思うことを放置し、視界が曇ってしまうのが嫌なので、最初は手動のワイパーかもしれませんが、一生懸命、視界をクリアにしていきたいなと。ハラスメントのない労働環境であるべきだし、人権が尊重されるべき。せっかく楽しいと思える音楽の仕事ができているので、長く続けるためにも健全化させていきたいという思いです」だが一連の発言がきっかけとなって、スマイルカンパニーとの業務委託契約が終了となり、昨年7月に公式Xで「私がメディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です」と報告した松尾氏。契約終了は全くの想定外だったと振り返る。「ジャニーズ事務所とスマイルカンパニーの関係が近いとはいえ、まさかこの件で契約終了になるとは思ってなかったので本当にびっくりしました。むしろ賛同してくれると思っていて、山下達郎さん(スマイルカンパニー所属)も『よく言った』と言ってくれるかなと。おめでたいんでしょうね、僕は……」●僕の声の上げ方が間違っていたのかなと自問自答することも2023年をきっかけに声を上げやすい社会に変わっていくことに期待を寄せる松尾氏だが、そう簡単には変わらないということも痛感。「ジャニーズ問題に関して僕は、ジャーナリストという立場ではなく、エンタメ業界の内部から最初に声を上げた人になると思っていました。でも続けて発言される方があまりいなくて」と語る。続けて、「僕の声の上げ方が間違っていたのかなと自問自答するときもあります」と吐露する松尾氏。「松尾みたいに声を上げるといろんな不利益を被ると感じてしまって、僕が声を上げたばかりに逆にみんなの警戒心を高めることになってしまったのだとしたら、それは全く僕の意図するところではないので。みんなで声を上げようよと言いたいですが、なかなか……。この本を『読みましたよ』と言ってくれる方は業界の内外問わず多いのですが、『僕もSNSで発言します』とおっしゃる方は少なくとも業界内からは出てこないですね。僕のペンの力が弱いのかな」さらに、「皆さん『生活もあるし』と言いますが、本質的な意味での豊かな生活を考えたら発言したほうがいいと思うんです。僕はこの数年、特にこの1年、すごく心豊かに過ごせているので」と力説。想定外の展開にはなったものの、言うべきことを言ったことで「心の豊かさを失わずに済んでいる」と語る。「僕はもともとメロウなR&Bが好きで、柔らかなラブソングをたくさん作ってきました。その柔らかさを守るためにも、言うべきところではハードエッジなことも言わなきゃいけないんだなと感じています」目指すは、純粋に音楽が好きな人たちが、権力などによって嫌な思いをすることなく、好きな音楽を届けられる世界。そして、音楽を生み出す人自身の人権意識も十分でなければ、その音楽も台無しになってしまうと松尾氏は言う。「もちろん、聖人君子であれとまで求めるつもりはありません。ただ、せっかく弱者への眼差しを音楽などで表現しても、その人自身がそういうことを大切にしていなかったら、表現は著しく説得力を欠いてしまう。どんなに生み出しているものが素晴らしくても、その人がそうでなければ響かないというシビアさはあると思います」○「ラブソングを作り続けたい」 音楽プロデューサーのやりがいも語る音楽業界、そしてエンタメの未来を思って行動を起こした松尾氏。「この半年ぐらい『松尾さん出馬するんですか?』とよく聞かれますが、全くそんなこと考えていませんよ」と笑う。「政治や社会について話すと、すぐそういう風に思う方がいますが、皆さん政治や社会というものを神棚に置きすぎだと思います。全部地続きの発言ですよ。エンタメのことも政治のことも同じ口で言っていいじゃないですか」ちなみに、子供の頃から好奇心旺盛だったそうで、「何でも分解したい子供で、父親の腕時計をバラバラにして大目玉を食らったことも(笑)。好奇心や探求心はあるほうだと思うので、いろんなことが気になるというのが根底にあるのかもしれません」と自己分析する。今後について尋ねると「ラブソングを作り続けたい」と願う。「ポップミュージックを大きく2つに分けるならば、ラブソングかライフミュージックだと思っていて、人生の素晴らしさや人の優しさを歌ったものがライフミュージックだとすると、さまざまな恋愛について歌ったものがラブソング。ですが、恋愛はポップミュージックの尺だと2人ないしは3人ぐらいの中での人間関係を濃密に描いたものであり、優れたラブソングはそれ自体がライフミュージックにもなると思っているので、僕はラブソングという多機能性を備えた形態を好んでいるのだと思います」そして、「自分で歌うことに強い興味はなく、優れた歌唱力を持っている歌手、魅力的な声の持ち主に、僕がデッサンした絵を色付けしてもらうという作業が大好きなんです。作ったものがいろんな人の手に渡って価値が高まっていくのもうれしいですし、物語の起点に立って展開を見守ることを楽しんできました」と音楽プロデューサーのやりがいを語る。さらに、「僕には子供がいますが、父親が変な仕事をしていると思われたくないという気持ちもあるんです」と思いを告白。「子供がエンターテインメントの世界を目指したいと言ったときに、『それだけはやめておけ』とは言いたくない。素晴らしいことを仕事に選んでいるのだと、胸を張っていられる世界にしたいと思っているので、そのためにできることをやっていきたいと思います」と力を込めた。■松尾潔1968年1月4日生まれ、福岡県福岡市出身の音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。早稲田大学卒業。SPEED、MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。その後、プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、東方神起、三代目J SOUL BROTHERS、JUJU等を成功に導く。これまで提供した楽曲の累計セールス枚数は3000万枚を超す。日本レコード大賞「大賞」(EXILE「Ti Amo」)など受賞歴多数。
2024年03月31日仁和寺を中心とした任意団体・御室杜睦(おむろのもりむつみ)が、“社会的問題点を解決しながら文化を学ぶ”というコンセプトの元、体験型ワークショップ「本物を知る寺子屋」を発足いたしました。年に2度予定をしている春の一大イベントが3月30日、31日に開催。茶と能による寺子屋、黒書院特別BAR(サントリー山崎協力)、御室桜特別雲海ライトアップなどを揃え、未来持続化の観点から子供向けのコンテンツも用意しています。仁和寺イベント(1)【背景とコンセプト】日本の「ほんもの」のラグジュアリーを世界に届ける活動をするJAXURY委員会の2022年アワードにて、【歴史・神話】部門賞を「仁和寺 松林庵」が受賞。それを機に仁和寺と慶應義塾大学大学院 SDM研究所 オーセンティック・ラクシュアリーラボの共同研究が開始されました。仁和寺の裏山である成就山には約3kmにわたる山道にお堂(札所)が点在し、それぞれのご本尊・弘法大師がお祀りされていて、四国八十八ヶ所の写しである札所を約2時間の行程で全て巡ることができるのですが、昨今の台風などで倒木や参道の崩落、諸堂の破損、山内にある弁天池の決壊など壊滅的打撃を受けている現実を把握。特に早急な対応を要す倒木や間伐材問題を解決するにあたり、同じくJAXURY委員会のアワード2022年【美】部門賞を受賞した中川木工芸に協力を得て着手しました。人手や経済的理由も重なり放置せざるを得なかった状況を分析すればするほど、現代の日本社会縮図と重なり、社会的・文化的解決を必要とするものである、という問題点を提議しています。文化的素地の欠乏が著しい若年層へ、いかにアプローチを行うか?また若年層の受け皿となるべき、熟年層の文化見識を深める場の提供をいかに行うのか?成就山再興にあたり、文化継続と保存の重要性を体験し、理解してもらうため仁和寺を通して、大人だけでなく子供も参加できる「本物を知る寺子屋」として発足するに至りました。「社会的問題点を解決しながら文化を学ぶ」というコンセプトの元、ワークショップを2023年6月からスタート。現在までに計4回実施されています。<本物を知る寺子屋・春イベント概要>【開催場所】仁和寺(〒616-8092 京都府京都市右京区御室大内33)【グッズ】御室杜の御朱印【発売日】3月23日10時より【価格】各3,000円(税込) 無くなり次第終了【販売場所】仁和寺観音堂 西側 カフェ蔵仁和寺裏山である成就山の倒木を板状に加工し、限定の御朱印を作成。1,000年以上続く仁和寺を守り続ける木々を手に取っていただける機会となっております。*御朱印の収益は成就山の再生基金として活用されます。【プロジェクトコメント】●一般社団法人JAXURY委員会 専務理事 隅谷 彰宏 氏共同研究からいろいろなヒントが生まれました。JAXURY研究のなかでも日本人独特の感性があることを研究していました。その原点には、縄文時代などから続く、アメニズムの文化からの感性が日本の美意識に大きく起因しており、何千年もこの自然と共に生きてきた我々が、失われた30年の中で一番大きく失われたことが、この自然と共に生きることと仮説を立てました。失われた自信、美意識を再生するには、森の再生や本物に触れることで、自らを再生し、美意識を育むのでは?エビデンスとしての結論には達していませんが、この問いを明らかにすべく、活動・研究を行って参ります。●中川木工芸 比良工房 代表 中川 周士 氏京都には数多くの寺社があるが、これだけ広大な山を持ち、その山を周れたり、触れたりするのは、仁和寺だけ。日本の課題を今回の取組みなどで、様々なアイデアで解決方法を実践する場としてとても貴重だと思う。この活動を通じて森や木に触れ、一人でも多くの方に醍醐味を味わってほしい。また、ここにある杉や檜は戦後に植えられた70年前後の木が多く、日本全国同じ状況。本来、杉などは、花粉を放つのは、150年くらいから。でも間伐など山の手入れをしないことで、木が密集。木は生き残るために必死に花粉を放っている。ちゃんと正常な状態にしてあげれば、花粉の量は減り、ひどい状況は回避できるはず。明治神宮の森は、100年後の未来の為にと先人の気概で作られたが、我々も孫世代が花粉症にならないために立ち上がりたい。●任意団体 御室杜睦 代表 金崎 義真 氏この活動を通して、社会課題解決のモデルケースにしていきたい。仁和寺だけの問題でなく、社会の問題を如何に解くか。この御室杜睦の活動を通して、仁和寺だけでなく、企業、大学、行政とも連携し、新たな道筋を創り、現代版寺子屋で、学校や家庭や地域で学んでいたことなどを学ぶ場を創ります。「本物を知る寺子屋」本物を知ることでしか得られない喜び、幸せ。僥倖を生めることを取り組みます。【組織概要】名称 :御室杜睦(おむろのもりむつみ) 任意団体主催イベント:本物を知る寺子屋(御室杜ワークショップ)代表 :金崎 義真(総本山仁和寺)協力 :中川木工芸 比良工房、阪急百貨店 若手有志一同テイラーアンドクロース株式会社/オーカ・デザイン株式会社ブルーロック株式会社/アセットマネージメント株式会社一般社団法人JAXURY委員会<お客様お問い合わせ先>仁和寺担当:金崎 義真Tel :075-461-1155Fax :075-464-4070 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自民党政治刷新本部」です。問題は派閥ではなく、資金管理の透明化。政治資金パーティをめぐる裏金問題を受けて、自民党は「政治刷新本部」を立ち上げ、政治資金の透明性を高めること、派閥は「政策集団」として、政治資金パーティを認めず、人事への関与を認めない。違反が明らかになれば、派閥の解散や活動休止を求めることを案として取りまとめました。今回の事件で、岸田派、安倍派、二階派、森山派は解散を決めました。しかし、本来、派閥は政策集団だったはずです。1988年、リクルート事件で政治と金の問題が顕在化し、政治不信が広がりました。それを解消するため、自民党は翌年「政治改革大綱」を策定。そこには派閥の弊害の除去と解消への決意が盛り込まれていました。政策研究のために集い、派閥を作ること自体は問題ではありません。資金の透明性がないことが問題です。独立した第三者的な立場が資金を管理し、政治に関わる金は全てデジタル決済にして記録を残せば、解決します。派閥の解散は問題のすり替えで、煙に巻かれたような気がしてなりません。裏金問題は、中央政界だけでなく、東京都江東区長選での、柿沢未途衆議院議員の買収事件でも発覚しました。2019年参院選での河井夫妻選挙違反事件も記憶に新しい。現状、検察は、裏金が何に使われたかよりも、誰の指示で配られたのかを立証しようとしていますが、政治家が直接関与した裏付けは取れず、会計責任者だけが立件され、派閥のトップや幹部クラスは無傷です。政治刷新本部のメンバーも、安倍派の10人中9人はパーティ収入を収支報告書に記載しなかった疑いがありますし、岸田首相が本部長を務めているというのも妙な話です。本当に刷新するつもりならば、事件に関与した疑いのない人が指揮を執るべきでしょう。なぜ裏金が必要になるのかというと、既得権を守るためです。政界も各業界も、権力を持つ同じメンバーが長年その立場を牛耳ることにより、本来あるべき、公正で自由な競争を制限してきました。結果、新しい産業が生まれず、日本の経済は30年以上停滞し続けています。政治改革は、その国の成長と大きく関わっていることを私たち有権者は自覚しなければなりません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年3月6日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年03月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「能登半島地震」です。通信手段を失い、幹線道路は1本。半島ゆえの難題。元日に能登半島で起きた大地震。発生後1か月経っても、地震活動は活発で注意が必要な状態が続いています。災害時には僕はLINE IDを公開し、「発信支援の必要な方は連絡を」と呼びかけています。地震発生直後に約230件が届きましたが、今回はどの情報が本当に支援を必要としている方からなのかを精査する必要がありました。情報が古かったり、厚意で転送してくださったXなどSNS上のヘルプ要請も真偽の判断がつかないものがありました。インプレッションを増やすために偽の住所を書いて助けを呼ぶ投稿が多数アップされていたからです。直接連絡の取れた方の情報をもとに現地入りしましたが、道路が分断され車が入れないところは徒歩で山を越えなければいけませんでした。今回、支援の初動が遅れた理由の一つは、情報インフラが途絶えてしまったことです。山中では、電波の入る場所を必死に探す人たちに大勢会いました。震央に近い穴水町は、役所に災害対策本部を立てたものの、通信障害により県庁とのホットラインが使えなくなっていました。NHKですら中継基地局が電力不足で放送不可に。被害状況を伝えることも、災害の全体像を掴むこともできない状態でした。僕も知り合いの議員らに窮状を訴え、ある議員の働きかけで、スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」を能登に提供してもらえることになりました。もう一つ、今回ネックになったのは、半島という地理的な理由です。東日本大震災も熊本地震や西日本豪雨も、大きな災害でしたが周辺自治体からすぐに支援に入ることができました。しかし能登半島の北端は金沢からも約140km、東京から静岡ほどの距離があります。幹線道路は1本しかなく途中で寸断されました。海岸線は地形が変化し、接岸できる場所が限られ、船で海から支援に入るのも難しい状況でした。被災したのは、高齢者の多い過疎の僻地で古い家屋が多く、倒壊を免れませんでした。同じような問題を抱える地域は全国にたくさんあり、都市とは違う防災のあり方を考えなければなりません。能登半島地震は、地方が抱える問題を集約した災害といえます。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年2月21日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年02月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「旧統一教会解散命令」です。一件落着ではない。与党はこの問題にメスを入れて。10月、文科省は旧統一教会(宗教法人世界平和統一家庭連合)に対する解散命令を東京地方裁判所に請求しました。信教の自由は民主国家にとって非常に大切な問題ですから、解散命令請求を行ったというのは、日本の歴史の中でも重い決断だったと思います。旧統一教会は約30年前に悪徳な霊感商法により、一度注目されましたが、昨年、元総理大臣が殺害されるという事件も相まって再び注目を集めました。信徒が多額な献金を請求され、暮らしそのものが破壊されたり、宗教2世が自由も人権も奪われていたり。さらに、教団と政治家が強く結びつき、政治家たちを様々な形で支援していたこと。教団の本拠地が外国にあるなど、総合的に見て、「公共の福祉」に反すると判断されたんですね。これらの問題は、宗教法人資格を剥奪して終わり、ではありません。与党はもっと自分たちの業界にもメスを入れてほしいと思います。なぜなら、特定の宗教法人の意向が、政治家たちの発言や行動に影響を与えていたとすれば、それこそ民主主義国家としての信頼を根底から覆すことになります。しかし、旧統一教会問題への世間の関心は次第に薄まり、解散命令が問題の幕引きに使われたところもあるのは見過ごせません。宗教2世の子供たちが、自由に活動する権利を奪われたり、親の信仰によって制限される問題は、放置してよいものではありません。子供の権利を誰が守ればいいのか、議論をもっと深めていかなければならないでしょう。解散命令が請求されるまでに、文科省は宗教法人法に基づき、宗教法人に対する質問権を行使しました。これが規定されたのは平成8年ですが、行使されたのは今回が初めてです。これまでにも問題はあったはずなのに、行使を阻むものが何かあったのではないかという疑問も残ります。霊感などで不安をあおり、寄付を必要不可欠と思わせる不当な勧誘行為や、家や資産を売却してまでも献金するよう要求することを禁止する「被害者救済法」が昨年成立したのは前進でした。しかし、政治と宗教の問題、宗教2世のケアなど、課題は山積しています。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年12月20日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年12月18日コミュニケーションデータで社会問題を解決する、リモートウェル株式会社(所在地:東京都港区、代表:澤 孟澄)は、自宅からでもLINEで気軽に専門家に相談できるオンライン相談サービス『CALLPET』をリリースしました。獣医療の発展や食事の変化により、ペットの寿命が延び、高齢化に伴って動物の医療ニーズが急増しています。『CALLPET』はペットオーナーが獣医療をより身近に感じられるようにサポートします。CALLPET URL: CALLPET【ペットが認知症に?飼育放棄につながる恐れあり】この10年で犬の寿命は0.7歳、猫の寿命は0.4歳程度延びていることがアニコム『家庭どうぶつ白書2022』の発表で明らかになりました。これは人間に換算すると3~5歳に相当し、高齢化に伴って様々な問題が発生します。ペットの長寿化・高齢化に伴い、病気を発症する確率も高くなっています。中には認知症を発症するペットがいるなど、現代ならではの病気も増えています。異常行動を示す、病気にかかりやすくなる、介護が必要になるなどの問題につながり、中には飼育を放棄されてしまうペットもいます。ペット飼育のサポート体制の需要が今後ますます増えていくと予想されます。【自宅にいながら獣医などの専門家に相談できる環境を実現】飼い主とペットの専門家をLINEでダイレクトに結びつけるペット特化型相談プラットフォーム『CALLPET』が2023年11月にリリースされました。LINEを使って専門家に相談できるサービスはほとんどなく、誰でも簡単に、かつ気軽に相談することができます。日本動物高度医療センター(JARMeC社)が立ち上げに協力し、主に健康・病気・しつけ・食べもの・生活などの質問に回答が可能。獣医療業界で長期的に活躍してきた専門家から返事をもらえるため、「近くの動物病院の意見だけでは不安」という問題も解消されます。利用方法は簡単。LINEで『CALLPET』を友達追加し、月額の決済を行うだけで利用が開始できます。LINEを使ってやり取りをするのと同じ要領で専門家にペットに関するお悩みを相談することが可能です。お試し期間として、登録から30日間は無料でご利用いただけます。実際の操作画面【「助けられなかった…」事業部長の無念】開発のきっかけは事業部長の体験。「昔飼っていた柴犬のモモが、あるときからだんだんお腹が大きくなってきました。妊娠かなと思っていたら、実は心臓の病気が進行していて、腹水が溜まっていることが原因でした。苦しそうなそぶりを見せることもなく、また近くに動物病院もなかったため、発見が遅れてしまいました。病院に連れて行ったときはもう手遅れで、獣医師からは[心臓の弁がほとんど機能していない]と告げられてしまいました。普通なら15歳くらいまで生きる柴犬ですが、モモはわずか7歳でこの世を去りました。モモには[気付いてあげられなくてごめん…]という思いしかありません。そこからずっと動物を助けるようなことをしたいという思いがずっと心の底にあったので、『CALLPET』という形で実現できてよかったです。」他にも仕事の関係でなかなか動物病院に行けなかったり、症状を訴えられず苦しい思いをしているペットがたくさんいるという事実を知りました。動物は自分で意思表示ができません。むしろ症状を隠すような行動をとることもあります。病院に行くほどでもないか、という安易な判断が病気の早期発見を妨げているケースも多いです。『CALLPET』を利用することで、動物も飼い主も安心して生活できるようになることを願っています。【24時間、土日祝日も回答できる体制づくり】サービスリリースから間もない現在は、質問への回答が平日の昼間のみになりますが、利用者が拡大するにつれて、夜間や土日祝日も返信ができる体制を整えていきます。動物病院が近くにない方、昼間は仕事で動物病院にかかれない方、多くの事例に対応できるように、サポート体制を充実させていきます。CALLPET 相談内容《CALLPET サービス概要》定価 :980円(税抜)/1,078円(税込)登録から30日間無料(翌月から自動更新)利用方法:ホームページよりLINEに友達追加料金【会社概要】会社名 : リモートウェル株式会社(事業部長=桝家 直人)本社 : 〒105-0013東京都港区浜松町1丁目20番10号ライオネス浜松町506号室事業内容: アプリケーション及びシステムの開発及び販売などURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月04日パートナーと共に生活を始める同棲は、信頼の新たなステップです。しかし、同棲中にはお金の問題がしばしば生じがち……。現代社会では、経済的自立を目指す女性が増えており、金銭管理のあり方も多様化しています。そこで今回のMOREDOORでは「同棲中のお金問題」に関してのお悩みから、理想の姿を考えていきます。35歳アルバイトAさんの場合同棲してからずっと気になっていたことなのですが、彼との金銭感覚にズレを感じています。私は収入が低く、彼は私の3倍は稼いでいます。食費、光熱費、家賃は出してもらっているのでとてもありがたいです。ですが、アクティブな彼にデートに誘われることが多く、お金のかかるデートばかりなので困っています。デート代は割り勘です。ライブ、旅行、映画、食事、釣り、イベントには高価なプレゼントを用意し、デート代だけで給料が飛んでしまい、貯金もできない状況です。デート代まで出して欲しいとは思いませんが、少しだけ、お金が節約できるデートができたら助かります。Aさんが考える解決策は?お金のかからないデートを提案したり、手持ちのお金の状況を伝えたりしていますが、なかなか伝わらないことも多く困っています。解決には時間がかかるなと感じているので、少しずつ、状況を伝えながら、彼の心の余裕がある時に話し合っていこうと計画しています。完全に理解してくれるまで何年かかるかわかりませんが、元々持っている価値観を変えるようなすり合わせにはどうしても時間がかかると思いますので、根気強く向き合っていきたいです。同棲カップルはお金の問題とどう向き合えばよいか?お互いがどういう金銭感覚なのかよく知り、歩み寄れるところは歩み寄り、承認できないところは話し合うのがベストだと思います。話し合いになった時は、お金のことですので喧嘩になりやすいと思います。ですので、冷静に話し合える環境づくりも大切だと考えます。例えば、仕事が終わった後の疲れた状態で話さない。特に夜は余計なことを考えてしまうので、昼間話すなどです。私は昼間のデートの時、ゆっくり話す時間を設けて、二人の機嫌が良い時に相談しています。(35歳/アルバイト)冷静に話し合える環境づくりをお金のことは喧嘩になりやすいから、冷静に話し合える昼間のデートで時間を設けていると語ったAさん。なぜ相手がそうしたお金の使い方をするのか、その背景にある想いを聞いていくことで、相手の人生観も垣間見ることができるかもしれませんね。大切なのは、「自分たちが納得のいくルール」をお互いにつくること。互いの価値観を尊重し、安心して生活できる関係を築いていけますように!※この記事は実際に募集したエピソードを記事化しています。(MOREDOOR編集部)
2023年11月24日法政大学大原社会問題研究所では、2023年11月29日(水)に法政大学多摩キャンパス(東京都町田市)で第15回大原社研シネマ・フォーラム「ハマのドン」を開催します(参加費無料、事前申込不要)。上映後に、松原文枝氏(「ハマのドン」監督)によるトークも行われます。第15回大原社研シネマ・フォーラム「ハマのドン」2019年8月、“ハマのドン”こと藤木幸夫が横浜港をめぐるカジノ防止に向けて立ち上がった。地元政財界に顔が利き、歴代総理経験者や自民党幹部との人脈がある、保守の重鎮だ。その藤木が、カジノを推し進める政権中枢に対して、真っ向から反旗を翻した。身体を張った勝負師の行動は、多くの市民、自民党の長老、カジノ側の人物までも動かす。一方市民のカジノ反対の動きは燎原の火のごとく広がっていた。だがその声は届かず、横浜市長選に持ち込まれた。藤木は無名の新人を押し立て、現職市長、そして菅側近の現職官僚を相手に闘うことになる。無謀とも言える闘い。その行方は―。監督はテレビ朝日の「報道ステーション」プロデューサーを務めた松原文枝。ナレーションはリリー・フランキー。【開催概要】■日時 :2023年11月29日(水) 17:20~20:00(開場17:00)■会場 :法政大学多摩キャンパス EGG DOME 5階ホール (アクセス)京王線めじろ台駅、JR横浜線相原駅、JR中央線西八王子駅より法政大学行バス利用■プログラム:17:30~19:10 上映 「ハマのドン」19:15~20:00 トーク・質疑応答 松原文枝氏(「ハマのドン」監督)■参加 :参加費無料■申し込み :不要(どなたでも参加できます)■その他 :詳細は下記URL(大原社会問題研究所ウェブサイト)をご確認ください。 【大原社会問題研究所】1919(大正8)年に大阪で創立。1949年に法政大学と合併、現在に至る。100年の歴史を誇る社会科学の分野ではわが国で最も古い歴史を持つ研究所。『大原社会問題研究所雑誌』(月刊)、『日本労働年鑑』、研究所叢書をはじめ、出版活動も積極的に展開。21世紀に生起する労働問題の解明を中心にしながら、同時にジェンダー、社会保障、環境、貧困などの諸問題の研究にも力を入れている。研究所所蔵の図書・資料は、社会・労働問題関係図書をはじめとする約21万冊。その他、貴重書、ビラ・チラシなどの原資料、ポスター・写真・バッジなどの社会運動関係の現物資料を多数所蔵。インターネットを通じた情報公開と研究支援も積極的に展開している。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年10月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国立科学博物館クラウドファンディング」です。クラファンは一時的な対処法。研究にもっと力を。国立科学博物館は、運営資金の不足を解消するために8月にクラウドファンディングを立ち上げ、目標額の1億円を1日で達成し、2週間余りで7億円超の資金を集めました。“国立”と名前がついていますが、独立行政法人で、独自に運営を任されています。標本や資料は500万点に及び、展示されているのは約2万5000点。多くはつくば市にある収蔵庫に置かれています。化石や動物の骨、剥製、植物など、古く貴重な標本を保存・管理するには莫大なお金がかかり、コロナ禍や光熱費の高騰などにより資金に窮していました。大きな役割は、標本資料の収集と保管、展示・学習支援、調査研究などです。資金不足により、新しい事象が発見されても現場に行けないというような状況にも陥っていました。現在、日本の研究の現場は大変弱っており、文部科学省科学技術・学術政策研究所が調べた「科学技術指標2023」によると、他の論文に引用される回数をカウントする注目論文の数が、日本はイランに抜かれて13位になりました。かつては4位でしたが、20年の間に次第に順位を下げていったのです。イランは国際的に制裁を課せられているので、自前のインフラ、サービスを作る必要があり、科学分野に積極的に財政を投じてきました。それにより、研究者のレベルが底上げされ、日本を追い越していきました。クラウドファンディングは、資金集めの持続可能な方法ではありません。国がきちんと科学分野に投資できないのは問題だと思います。また、科学博物館側も所蔵品をツアー形式で見せたり、企業研修に使うなど、稼ぐ方法は見つけられると思います。研究者が経営につくのではなく、マーケティングやPRのプロを経営陣に呼ぶなど、改革の必要があるのではないでしょうか。すぐに成果に結びつく研究が求められがちですが、草の根的な基礎研究が国の将来を支えます。クラウドファンディングによって、科学博物館に関心を寄せる人が増えたことはすごく良かったと思います。国立科学博物館のクラファンは11月5日まで行っています。研究がその国の国力につながるという意識が広がることを願います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年10月25日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年10月19日法政大学大原社会問題研究所(東京都町田市/所長:布川 日佐史)は、10月24日(火)に第36回国際労働問題シンポジウム「循環型経済におけるディーセント・ワーク ―公正な移行に向けて」(主催:法政大学大原社会問題研究所・ILO駐日事務所/後援:日本ILO協議会)を法政大学市ケ谷キャンパスおよびオンライン(Zoomウェビナー)にて開催します。本シンポジウムは、2023年のILO総会で議論された、「全ての人のための環境的に持続可能な経済と社会への『公正な移行』」に関する議論を紹介します。そして、自動車産業を中心とした脱炭素化への移行と、それに伴う雇用や生産現場への影響の事例の報告を通じて、地球温暖化と雇用の問題がどのように関連しているのかを広く一般に向けて発信します。どなたでもご参加いただけます。ご希望の方は、参加申込フォームにご登録ください。第36回国際労働問題シンポジウム「循環型経済におけるディーセント・ワーク ―公正な移行に向けて」<開催概要>■開催日時:2023年10月24日(火) 14:00~16:30■開催方法:会場参加およびオンライン参加(Zoomウェビナー)の併用型■開催場所:法政大学市ケ谷キャンパスボアソナード・タワー26階スカイホール(JR・地下鉄「市ケ谷」または「飯田橋」駅下車 徒歩10分)■参加費 :無料■プログラム:【主催者挨拶】布川 日佐史(法政大学大原社会問題研究所所長)高崎 真一(ILO駐日代表)【第1部 2023年第111回ILO総会について】「ILOより映像紹介」「政府の立場から」 厚生労働省「使用者の立場から」経団連「労働者の立場から」連合【第2部 自動車産業を事例とする問題提起とディスカッション】「EVシフトの実態と影響」喜多川 進(山梨大学生命環境学部准教授)「産業構造の視点から」 植田 浩史(慶應義塾大学経済学部教授)ディスカッション喜多川 進、植田 浩史、鈴木 玲(法政大学大原社会問題研究所教授)司会:藤原 千沙(法政大学大原社会問題研究所教授)■参加申込:【会場参加】10月22日(日)までに下記URLよりお申し込みください。 【オンライン参加】下記URLよりお申し込みください。ZoomウェビナーのURLが自動返信されます。 <大原社会問題研究所について>1919(大正8)年に大阪で創立。1949年に法政大学と合併、現在に至る。100年の歴史を誇る社会科学の分野では日本で最も古い歴史を持つ研究所。『大原社会問題研究所雑誌』(月刊)、『日本労働年鑑』、研究所叢書をはじめ、出版活動も積極的に展開。21世紀に生起する労働問題の解明を中心にしながら、同時にジェンダー、社会保障、環境、貧困などの諸問題の研究にも力を入れている。研究所所蔵の図書・資料は、社会・労働問題関係図書をはじめとする約21万冊。その他、貴重書、ビラ・チラシなどの原資料、ポスター・写真・バッジなどの社会運動関係の現物資料など多数を所蔵。インターネットを通じた情報公開と研究支援も積極的に展開している。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「改正入管法」です。難民認定率の低い日本。審査方法を再構築するべき。「出入国管理及び難民認定法」、通称「改正入管法」が6月に成立しました。この改正案は2年前に国会に提出されましたが、長期間入管で留め置かれたスリランカ人女性が、十分な治療を受けられずに亡くなったことを機に、日本の難民認定の制度が問題視され、廃案になりました。ところが、今国会でほぼ同じ内容の法案が再提出され、可決されたのです。改正入管法では、難民認定3回目以降の申請は「相当の理由」がなければ、本国への送還が可能になります。長期に留め置くのが問題なのであれば、帰っていただこうというスタンス。しかし、内戦や迫害など、本国にいては身に危険が及ぶため日本に逃げてきたかもしれない人に対して、強制送還することは正しい判断なのでしょうか?最も問題なのは、難民申請者が本当に難民なのか、不法入国者なのか、適切に判断できているのか不透明だということです。入管の難民認定審査(一次審査)で不認定となり、不服を申し立てた人を二次審査するのが難民審査参与員。法律や国際情勢に関する学識経験を有する人が任命されます。現在110名いますが、1人あたりの審査件数に大きな偏りがあることがわかりました。ほとんどの参与員が年間数件~40数件だったのに対し、NPO法人名誉会長だった柳瀬房子さんだけが’22年だけで1231件審査を行っており、「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど確認できません」と発言。これに対し、ほかの参与員から異論が集中しました。難民審査は総合的な国際状況をもとに判断しなければなりませんし、申請者は自分を証明するものを何も持たずに逃げてきている場合もあり、本人を特定するのには時間もかかります。年間1000件以上の申請を的確に審査できるのでしょうか?難民申請中は働くこともできませんが、審査が長引けば家族を養うために違法でも働かなければ生きていけない矛盾も抱えています。日本は国連の難民条約に加入しており、難民を受け入れる立場です。今回、準難民というグレーゾーンを設けたことは評価できますが、その前に難民を審査する仕組みを立て直す必要があると思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年08月12日HOSEIミュージアムは、法政大学市ケ谷キャンパスにてHOSEIミュージアムテーマ展示〈働く人々とその社会の探究〉「社会を記録する」(大原社会問題研究所企画)を2023年9月1日~2024年4月27日に開催します。また9月1日には、オープニングを記念してギャラリートークを実施します(事前申込制)。「社会を記録する」は、HOSEIミュージアムを構成する6つのテーマのうち〈働く人々とその社会の探究〉をテーマとし、大原社会問題研究所が所蔵する貴重な資料を展示します。社会問題の解決を企図する大原社会問題研究所は、1919年の創設以来、調査研究の基礎となる資料の収集・公開に努めてきました。今回の展示では、およそ100年前に収集された映像、貴重書、写真を通して様々な媒体で「社会を記録する」ことの意味を考えます。HOSEIミュージアムテーマ展示〈働く人々とその社会の探究〉「社会を記録する」【開催概要】■会期 :第1部 2023年9月1日(金)~12月23日(土)第2部 2024年1月10日(水)~4月27日(土)■会場 :HOSEIミュージアム ミュージアム・コア(東京都千代田区九段北3-3-5法政大学九段北校舎1階)■展示内容:・「神戸川崎・三菱大争議」(1921年)フィルムの上映・貴重書展示第1部:マルクス―社会を変革する―第2部:ルターからロバート・オーウェン―「近代」の思想的源泉―・『関東大震災写真集1923・9』展示第1部:都市の被災状況―建物・死者・街―第2部:被災後の都市―避難・救援・復旧、復興―※9月1日に、オープニングを記念してギャラリートークを実施します。詳細は下記法政大学大原社会問題研究所ウェブサイトをご確認ください。(事前申込制)法政大学大原社会問題研究所ウェブサイト( )※9月1日~30日まで、HOSEIミュージアム2023年度特別展示「都市と大学―法政大学から東京を視る―」を同時開催します。両展示の詳細は下記ウェブサイトをご確認ください。HOSEIミュージアムウェブサイト( )【大原社会問題研究所について】1919(大正8)年に大阪で創立。1949年に法政大学と合併、現在に至る。100年の歴史を誇る社会科学の分野ではわが国で最も古い歴史を持つ研究所。『大原社会問題研究所雑誌』(月刊)、『日本労働年鑑』、研究所叢書をはじめ、出版活動も積極的に展開。21世紀に生起する労働問題の解明を中心にしながら、同時にジェンダー、社会保障、環境、貧困などの諸問題の研究にも力を入れている。研究所所蔵の図書・資料は、社会・労働問題関係図書をはじめとする約21万冊。その他、貴重書、ビラ・チラシなどの原資料、ポスター・写真・バッジなどの社会運動関係の現物資料など多数を所蔵。インターネットを通じた情報公開と研究支援も積極的に展開している。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月09日共働きのサヤコさん一家。毎週末、生鮮や冷凍食品、パンやお菓子、いざというときのカップ麺など、1週間分の買い物を済ませてから夕飯の準備をしています。そんな、ある週末のできごと…「パーム油の問題」は、私たちの問題ゾウさん、ごめんね。僕たちのせいで大切な居場所がなくなっていたなんて。どうしたらいいんだろう……やっと気づいてくれたか…。でも、いまからだって遅くない。動物たちの居場所や地球環境を守るためにできることを教えよう…こんにちは! 廣岡です。サラヤでは約20年前からボルネオ島で環境保全活動をしているんだ。世界中のパーム油の85%は食用、15%が非食用。そのうち、サラヤの洗剤が使っている割合はほんのわずかなんだけれど、原料の調達先であるボルネオの現状やパーム油にまつわる様々な問題を知ってしまった以上、なんとかしなければ…と、2004年から「ボルネオ環境保全プロジェクト」を開始。住む場所を奪われた動物たちの救出や治療をしたり、分断された森をつなぐ吊り橋をつくったり、ボルネオ島の動植物を守るための活動をしているんだよ。ひろおかさん、僕もうこれ以上ゾウさんたちを苦しめたくないよ…。そもそもアブラヤシ農園なんて、もうつくらなければいいじゃん。みんながもうパーム油を使わなきゃいいじゃん! 涙そうだよね。でも、すでにこれだけたくさんの商品に使われているパーム油を世界中から完全になくすことは難しいかな…。あと、アブラヤシ農園で働いている人たちにとっては、生活の糧となる大切な収入源でもある。むやみになくすことはできないのが現状なんだ。 共存していくためには、もともとあった熱帯雨林も野生動物も、農園で働く人の仕事も守ることができる、“持続可能なパーム油”を生産することが大切なんだ。そのためにサラヤでは、違法労働や違法伐採をしていない、環境と人権に配慮したパーム油である証、「RSPO認証」のパーム油を商品に採用。RSPOの加盟や認証制度の普及支援もしているんだよ。生産や流通の過程で持続可能なパーム油が使われていることを保証するRSPOマーク。この認証マークのついた商品を選べば、自然と社会貢献につながる。こんなマークがあるんだね、知らなかった~~‥‥動物たちを助けたい気持ちはわかるけれど、学校や仕事もあるし、自分たちだけでやろうとするのはとても大変だよね。でも、「ものの選び方」を少し変えるだけで、ボルネオの動物や熱帯雨林を守れるかもしれない。そこでサラヤは、「ヤシノミ」シリーズの売上の1%(※メーカー出荷額)を、ボルネオ環境保全活動の支援に還元。洗剤を使うだけで「誰でも気軽に支援に参加できるしくみ」をつくったんだよ。なるほど! 普段食べているものや使っているものをRSPO認証マークがついている商品に変えたり、売上が環境保全活動に寄付されているものを選ぶことで、ボルネオの動物や働く人たちみんなを守ることができるんだね!パーム油の現実を知ってから買い物をするときは原材料をチェックしたり、RSPOマークがあるかどうかも意識するように。(ママ)やれることから始めるのが大事だよね。家族の笑顔や地球の未来につながる“もの選び”、これからも続けていきたいね!(パパ)子どもたちの未来のために“人と地球にやさしい”ヤシノミ生活を“人と地球にやさしい”がコンセプトの「ヤシノミ」シリーズは、無香料・無着色。ヤシの実由来の植物性の洗浄成分。排水は微生物によって生分解され、すばやく地球にかえります。1971年の誕生以来、50年以上変わらないコンセプト、品質・製法で、世代を超えて愛されているロングセラーシリーズです。*サラヤは日本に籍を置く企業として初めて2005年1月にRSPOに加盟。2010年には日本で初めてRSPO認証パーム油を原料として使用した商品を販売開始。ヤシノミシリーズはすべてPSPOマーク認証商品です 「ヤシノミ」シリーズ をみる おてつだいで地球にいいことやってみよう!スペシャルサイト、公開中! 夏休み中のおてつだいはヤシノミ洗剤を使った食器洗いにチャレンジ! サラヤでは8月4日を「ヤ(8)シ(4)ノミ洗剤の日」と制定し、夏休み中は“地球についてお子さんと一緒に考えてみること”を提案、親子で一緒に楽しみながら学べるコンテンツを公開中です。 詳しくはこちら >> イラスト:つん 文:佐々木彩子[㏚] サラヤ株式会社
2023年08月02日社会を蝕むネット上の侮辱行為。侮辱罪を厳罰化することでそれらを抑止し、人々の命や問題を解決することはできるのか?SNSとテクノロジーで社会課題の発見・解決をサポートするICTスタートアップのPolimill株式会社(ポリミル、本社:東京都港区、代表取締役:横田えり、以下Polimill社)は2023年7月17日、新イシュー「侮辱罪の厳罰化で、こころの傷の問題は解決できるのだろうか?」についてSurfvoteで意見投票を開始しました。 侮辱罪の厳罰化で問題は解決できるのか?有名人の自死に関して、インターネット上での誹謗中傷について言及されることが残念ながら後を絶ちません。オンラインコミュニケーションは、相手の顔を見ることができないため言葉の威力や影響力を適切に認識できないという側面があります。2022年6月には、侮辱罪が厳罰化され法定刑に懲役刑や禁固刑、罰金刑が加えられました。それに伴い、Surfvoteでは同時期に侮辱罪厳罰化の賛否を問うイシューを発行し、88.6%が厳罰化に賛成という結果が出ています。今回は、それの続編として、厳罰化で問題の解決ができるのか?をユーザーへ問うイシューを発行しました。関連イシューSNSのせいでお前らは他人をバカにしても顔面を殴られない環境に慣れ過ぎているのか? - Surfvote : Surfvoteとは?当社が提供するSNS「Surfvote」は社会にあるさまざまな課題を問題提起し、それについて誰もが簡単に意見を投票できるサービスです。Surfvoteでは「イシュー」と呼ばれる各テーマ(課題)に対して複数の選択肢から自分の意見を投票できます。また他のユーザーのコメントを見たり、評価(いいね)したりすることもできます。イシューは当社編集部だけでなく大学の先生やさまざまな分野の専門家にも執筆のご協力をいただき発行しています。投票結果はイシューの内容に応じて、適宜関係省庁や政治家へ提出し報告を行なっています。各イシューで投票・コメントしていただいた1人1人の意見を大切に扱い、社会を前進させるために寄与したいと考えています。 Polimill株式会社Polimill株式会社は目的特化型SNS【Surfvote】を運営・提供するICTスタートアップ企業です。Surfvoteは社会課題に特化し、ユーザーがあらゆるテーマについて自分の意見を投票できるだけでなく、他のユーザーの意見を傾聴できるサービスです。地方公共団体版のSurfvoteも拡充中で自治体と連携し住民による住みやすい街づくりを促進します。あらゆる人がルール作りに参加し、価値観の変化やテクノロジーの進化に合わせた柔軟でスピーディーな制度改革ができるような社会を、SNSとテクノロジーで実現させます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米国のTikTok利用禁止」です。広がる使用禁止。データ管理と認知戦の問題が。アメリカ連邦議会下院は3月1日に、中国発の動画投稿アプリ「TikTok」の国内での使用を大統領権限で全面的に禁止できるとする法案を可決しました。アメリカは、トランプ政権時から、TikTokやファーウェイなど、中国製のものにはバックドアがあり、重要なデータが抜き取られる可能性があるので、市場から締め出すべきだというスタンスをとっていました。連邦議会下院は、3月23日にTikTokの運営会社「バイトダンス」CEOの公聴会を開きました。CEOは、バイトダンスは中国政府のユーザーデータへの無許可アクセスを許さないグローバル企業だと主張。また、約15億ドルを投じて、アメリカの利用者のデータはアメリカに本社を置く企業にホストサーバーを置き、「TikTok USデータセキュリティ」に管理させるなどの提案をしました。アメリカでは、公的機関に従事する職員が、公的な端末でTikTokを使用することを禁じる州が増えていますが、カナダのトルドー首相も同様の禁止措置を発表。4月には、アメリカのモンタナ州議会で、一般ユーザーの使用も禁じる法案が可決されました。TikTokには、公的な場面で大事な機密情報が中国に流出するかもしれないという安全保障面での危惧もありますが、「認知戦」の脅威もあります。認知戦とは、ある動画や言葉を多く目に触れさせることで、考えや認識を恣意的にコントロールすることです。実は、NGOの「国境なき記者団」もTikTokには警鐘を鳴らし続けていました。ロシアによるウクライナ侵攻が始まったころ、エンターテインメントコンテンツに紛れて、ロシアのフェイクニュースが表示されるようになっていたからです(その後、ロシアのライブ配信は一時的に禁止されました)。TikTokユーザーの3分の2は10代~20代半ばの若者といわれています。楽しみで動画を見ているつもりでも、誤情報により極端な価値観を植え付けられる危険があります。自分のスマートフォンは世界中に繋がっていて、そのデータを誰がどんなふうに活用しようとしているか分からないということは、意識しておかないといけません。ほり・じゅんジャーナリスト。8bitNews代表。『堀潤モーニングFLAG』(TOKYOMX)が放送中。スーダン取材の2つの写真展を6/11まで、両国『ピクトリコ』と恵比寿『弘重ギャラリー』で同時開催中。※『anan』2023年6月14日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年06月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「放送法の解釈問題」です。視聴者も監視して自由な報道を守っていこう。2015年に行われた、放送法第4条の「政治的公平」の解釈変更。その背景に政府の介入があったのではないかということが明らかになる総務省の行政文書が、3月、国会で立憲民主党の小西洋之議員により提示されました。放送法では、放送事業者が番組を放送、編集するにあたり「公安及び善良な風俗を害しない」「政治的に公平である」「報道は事実をまげないでする」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ことが定められています。「政治的公平」に関しては、放送事業者の放送する番組全体で判断するということでしたが、’15年の参院総務委員会で当時の高市早苗総務相が、「一つの番組でも判断できる」という新解釈を示し、’16年には、公平さに欠けると判断された場合には電波停止もありうると表明しました。当時の安倍政権は勢いがあり、安保法制や特定秘密保護法、森友問題、憲法の解釈変更など、強権的に物事を進めており、反対勢力に攻撃していくような空気感がありました。今回、国会で公開された総務省の文書には、放送法の運用に関して政権側から解釈の変更を求めており、その仲介を促すような、当時の礒崎陽輔首相補佐官と高市総務相とのやりとりが残されていました。私たちのあずかり知らないところで、政権側が放送事業者に対して圧力を加えたのではないか、それを放送局も呑んでしまったのではないかというのが大きな問題になっています。それが本当ならば徹底的に抗議をすべきです。放送局側もたとえ圧力があったとしても、それに屈して番組をやめたり、論調を変える必要はそもそもないのではないでしょうか。ただ、制作者側からいうと、一つの番組で出演者全員が同意見というのは不健全だと思います。賛成も反対も多角的な意見を交わさなければ議論は深まりません。異なるそれぞれの立場から検証することが、メディアの役割なのではないかと思います。視聴者の皆さんには、メディアをしっかり監視し、誠実に報道している番組は応援していただけたら、メディアも頑張れると思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2023年4月26日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年04月21日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「トルコ・シリア地震」です。今後も支援が必要。独裁政治による問題も明らかに。2月6日に発生したトルコ・シリア地震から2か月が経ちました。発生1か月後の数字でトルコで4万5968人、シリアで5914人、合わせて約5万2000人が犠牲になったと発表されました。トルコに比べてシリアの犠牲者が極端に少ないのは、シリアの情報がほとんど入ってこないからです。シリアで大きな被害に遭ったのは、イドリブ県やアレッポ県。シリア北部にあたり、反体制派の拠点となっているエリアで、アサド政権の激しい攻撃に抵抗を続けてきました。アサド政権は地震発生2時間後にもこの地域を空爆し、地域の立ち入りを制限しており、国際人道支援や救助、正しい情報発信が大変遅れています。イドリブ出身のフォトジャーナリストにシリアから映像を送ってもらったところ、一部では川が決壊、洪水が発生して街が水に浸かっている場所もありました。衛生状態が非常に悪く、生き残った人たちも困難にさらされています。重機の数が足りず、行方不明になった人たちの捜索もままなりません。一方トルコは、倒壊被害が20万棟にのぼり、人口の16%にあたる1400万人が住まいを失いました。移り住む先がなく、テントで避難生活を送る人も150万人近くいます。支援の必要な先が広範囲にわたっており、食料や水も足りず、電気や水道がない状況、氷点下の日々も続きました。トルコの建物の倒壊がひどいのは、違法建築が横行していたせいです。エルドアン政権は、地震直後に違法建築に関わった疑いのある人を200人以上逮捕しました。国連開発計画の発表では、トルコの震災瓦礫が1億~2億t発生していて、これをどう処理するかが問題になっています。発生から2か月経ち、報道も少なくなりましたが、これからも息の長い支援が必要です。しかし、その国のトップの采配如何により、国際支援や物資が届いても、被害に遭った地域に届かない、助けを求めている人たちを助けられないという問題が起こります。強権的な独裁を許すと、天災も人災になる。被害が広がるということを改めて思い知らされます。世界で監視の目を強めていかなければなりません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~)が放送中。※『anan』2023年4月19日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年04月15日音楽バンド『マキシマム ザ ホルモン』のナヲさんが、2023年3月3日に自身のTwitterを更新。小学6年生の娘さんの、『珍解答』を明かしました。娘さんが解答したのは社会科の問題で出てきた、第二次世界大戦後の日本に対し、民主化を指令した人物を答えるもの。6文字以内で答えるものだったようで、正解は『マッカーサー』です。しかし、娘さんが書いたのは…。うちの長女が小6でリアル「もう中」なのですが、先日社会の問題でうちの子のこういうところを伸ばしていきたい!と強く思った答案がこちらです(本人の承諾済) pic.twitter.com/rCN2cZSY7C — ナヲきち (@mth_nao) March 3, 2023 海外の俳優として知られる、トム・クルーズ!問題文に掲載されているマッカーサーの写真から、娘さんは「トム・クルーズだ!」と思い、解答欄に書いたのかもしれません。娘さんの正直な解答を見て、ナヲさんは「うちの子のこういうところを伸ばしていきたい」と強く思ったそうです。ファンからは、「『トム・クルーズ』と答えたくなる気持ちがよく分かる」「笑いました!」といったコメントが寄せられました。社会科の問題に対する解答としては合っていなくても、人々に笑いをもたらしている点では正解といえますね![文・構成/grape編集部]
2023年03月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「イラン“ヒジャブ”抗議デモ」です。ヒジャブを発端に広がる反政府運動。深刻な人権問題。昨年9月イランにて、ヒジャブ(スカーフ)のかぶり方が不適切と、22歳のクルド人女性マフサ・アミニさんが風紀警察に拘束され、3日後に死亡しました。これに対する抗議デモが拡大し、世界中のセレブリティが女性の自由と人権をSNSで訴えました。イランでは、9歳以上の女性は、国籍や宗教を問わず公共の場では、髪の毛を覆うヒジャブと体の線を隠す服の着用が法律で義務付けられています。事件のあと、イランの抗議デモは国内各地で膨れ上がり、当局はデモ参加者のうち、治安部隊に危害を与えた2人の男性を死刑に処し、2人目は公開処刑を行いました。昨年12月半ばの段階で約1万8000人が拘束され、治安部隊との衝突などにより約490人が亡くなっています。カタールで開かれたサッカーW杯では、イランの選手やサポーターがデモへの連帯を示し、国歌を歌いませんでした。国内でも、プロサッカー選手のアミル・ナスル・アザダニさんがデモに参加したことで拘束され、長期の懲役刑にあたる罪に問われています。イランの国民的俳優のタラネ・アリドゥスティさんは、抗議活動に加わった人を死刑にすることに異を唱え、反革命と暴動を支援する虚偽の情報を拡散した罪で、12月半ばに警察に逮捕されました(※1月4日に釈放)。10月にイスラムの女性に取材したところ、イスラム教の経典コーランでは、女性が男性を誘惑するようなきっかけを作ることが禁じられていますが、ヒジャブのかぶり方まで制約されているわけではないと話していました。つまりこれはとても政治的な意味合いの強い問題です。独裁的な政治家たちが国の統治を強めるために、ヒジャブに言いがかりをつけているのであり、イスラムの教えによるものではありません。民主的な運動で国家体制が崩れることを警戒する統治者が、締め付けを図っているのです。イスラム教そのものに対して、世界で誤解や偏見を生みかねないことを、その方は懸念されていました。イランの男性中心の政治の権力構造が、ヒジャブ着用の問題に表れているということに目を向けてほしいと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~)が放送中。※『anan』2023年2月8日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年02月04日ananで連載中、意外と知らない社会的な問題についてジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」の拡大版をお届け。円安や物価高、気候変動…私たちの暮らしに密接に繋がっている、社会の問題たち。2023年は、どうなっていくのでしょう?ここでは、環境問題について堀さんが解説し、五月女ケイ子さんが独自の視点から読み砕きます。Q. 災害、気候変動、海面上昇…環境問題はこれからどうなる?A. 目標達成のリミット間近。コロナ禍や戦争でエネルギー不足。シフトチェンジが求められそう。2023年は、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、気温上昇を1.5~2°C未満におさえることを目標に掲げた、150の国と地域がその進展状況を検証する年です。その後5年ごとに検証されます。日本は原発の多くがストップしており、石炭、石油、天然ガス依存が続いて、目標達成には厳しい状況です。’23年は、日本のエネルギー問題において、原発をどうするのかという話に決着をつけられるかどうかが大きなポイントになるでしょう。欧州もやむなく原発回帰の流れ。CO2削減、目標達成に日本はどうする?ロシアのウクライナ侵攻により、欧州はロシアからの石油や天然ガスの輸入がストップし、深刻なエネルギー不足になっています。脱原発を掲げてきたドイツも、代替エネルギーが必要になり、方向転換をせざるを得なくなってきました。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんも、火力エネルギーに立ち戻るならば、原発を容認するという立場に変わり、流れを大きく変えるきっかけの一つになりました。政府は今、原子力発電所の最長耐用年数60年をさらに延ばし、古い原発を使い続けようとしています。しかし、それでは安全面の不安も残りますし、1か所で大量の原子力エネルギーを作るため、無駄も出てきます。安全性も高い最新の技術を使った小型の原発を使い、必要なところに最小限投入するなど、今に適した選択肢もあるのではないかと思います。我慢、節電だけでなく、持続可能な環境対策を改めて考える一年に。日本は、エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーでの電力の50%を賄えば、「2030年度までにCO2の排出量を2010年度比で50~60%削減」という目標が達成できます。しかし、これは簡単に実現できる数字ではありません。気候変動はまったなしの問題ですが、電気料金が値上がりし、経済成長も先行き不透明ななか、「節電してください」と我慢を強いられると、環境対応疲れも出てきて、反発心が芽生えてしまいます。環境よりも足元の暮らしをまず優先してほしいという気持ちになるのもやむを得ないのではないでしょうか。暖房を使うのを我慢して体調を崩してしまうというような、本末転倒なことも起きかねません。’23年は、止めている原発や再生可能エネルギーへの展望など、もう一度私たちで環境対策、エネルギーの問題を考える年にしないといけないのだと思います。気候変動により増える自然災害。災害に強い地域を作ることも肝要。台風や豪雨災害など、日本では毎年のように災害が深刻化しています。東京都大島町は9年前に大規模な土砂災害に見舞われ、40人近い方が亡くなられ、まだ行方不明の方もいらっしゃいます。町では10年かけて予算を組み、復興計画を立てたのですが、この間にも災害が何度も起きて、財政的にも非常に困難な状況に陥りました。また、気候変動により、漁場や藻場が荒れて稼ぐこともできません。この大島町は一例にすぎず、各地で同様のことが起こっています。気候変動により生業さえも失いかねない。災害に強い地域作り、また、暮らしの基盤を確保することも必要になってくると思います。持続可能な環境対策にスーパーシティ構想が再定義されそう。’23年以降は、“スマートグリッド”と呼ばれる電力の一体運用や、人々の消費・流通・移動などがトータルに設計管理される“スーパーシティ構想”の議論が、国会でも再開されそうです。スマートシティ化の構想は10年ほど前から政府によって掲げられていたのですが、この数年は棚上げ状態になっていました。しかし地域でどのくらい電力が消費されているのかが可視化されれば、その地域の発電によって、無駄なく電力を賄うことができます。また、デジタル技術を使い、移動手段も無人のEV車が地域をめぐり、送迎してくれる。農業や畜産業もデータ管理により無駄な生産をせず、食品ロスを防ぐなど、様々な問題が同時に解決できるようになります。岸田内閣が掲げている「デジタル田園都市国家構想」にもそういった一体運用が盛り込まれています。北海道の上士幌町では、観光と畜産と暮らしと移動をデジタルで共有するような仕組み作りがなされているのです。牛の受精卵をドローン輸送と陸送を組み合わせて効率よく運び、環境負荷を軽減させる工夫も。また、岩手県八幡平市では、ベンチャー企業が入り、地熱発電の仕組みを使ったスマート農業が始まっています。これからは単体の環境対応というよりは、持続可能で、様々な業種がイノベーションを起こしながら、皆が豊かさを手に入れられる環境対策が花開いていくでしょう。五月女解読員のひと言「節電」って、全然いまっぽくないし、全然持続可能じゃないですよね。「省エネ」が叫ばれた昭和より進化したネットワークを、賢く駆使できたら、やみくもに厚着して寒さを我慢しなくても、スマートに令和っぽく乗り切れそうです。ほり・じゅんジャーナリスト。市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX)、『ABEMA Prime』(ABEMA)などに出演中。監督作に『わたしは分断を許さない』など。そおとめ・けいこイラストレーター。オンラインストア「五月女百貨店」では、面白楽しいオリジナルグッズを多数、販売中。LINEスタンプも各種展開。近著に細川徹との共著『桃太郎、エステヘ行く』(東京ニュース通信社)がある。※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2023年01月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「スピーキングテスト」です。受験科目に加えることが、英語力向上につながる?都立高校の入試の合否判定に、来年度から英語のスピーキングテスト導入の準備が進められていますが、受験生や親御さんらから中止を求める声が多く上がっています。都議会でも、立憲民主党や東京維新の会から、合否判定から除外する要請を盛り込んだ条例案が出されました。入試の中学校英語スピーキングテスト(ESAT‐J)は、日本人の英語能力を上げていきたいという理由から導入されました。英語能力を示すEFEPI(英語能力指数)の世界ランキングを見ると、2021年は日本は112か国中78位。前年は100か国中55位、2011年には44か国中14位でした。経済成長につれ海外留学が増えたことなどで、英語力が上がっている他国に日本がどんどん追い抜かれている状況が露わになっています。ESAT‐Jは、英文の音読や絵に描かれたシチュエーションに対する解答、自分の意見を述べることが求められ、タブレットに録音して答えます。このテストが、英語以前に、自分の思いを言葉に表すことが得意か否か、コミュニケーション能力を問うものにならないか。吃音や障害のある子供に対して不公平にならないかという問題が指摘されています。テストを受けないという選択肢もあるのですが、受けて低い点数をつけられるよりも受けないほうが受験に有利になる可能性も。また、ベネッセが実施しますが、一事業者が選定された経緯が不透明。解答した音声はフィリピンに送られ採点されます。AからFのグレードに分けられ点数がつきますが、1点の違いでもグレードが分かれてしまうこと、採点の正当性についても問題視されています。そもそも、受験にスピーキングテストを加えることで、日本人の英語力が上がるのでしょうか。それよりも、普段から、英語に触れられる機会を増やす、海外から来る外国人との交流を頻繁にする、留学や英会話スクールへの助成を入れるなど、ほかにもより効果的な方法はあるように思います。11月27日には本テストが実施されます。東京で導入されればこれは全国に広がる可能性も大きい。改めてきちんとした議論が必要だろうと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年11月30日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年11月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「日中国交正常化50周年」です。50年の間に刻々と変化した力関係。直接対話を求む。9月29日、日中国交正常化50周年を迎えました。習近平主席は非常に平和的、友好的なメッセージを打ち出し、日本側も中国の覇権主義に対して一定の重しをかけながらも、両国の発展のために協力し合っていきたいというメッセージを送りました。国際社会でロシアが孤立するなか、世界の信用を得ようとするあたりは、習近平主席のしたたかさが垣間見られた印象です。文化大革命を経て集団指導体制をとっていた中国でしたが、近年は永久国家主席を狙っているのではないかと推察されるほど、習近平主席に権力が集中しています。“一つの中国”を掲げ、香港の自由を奪い、次のターゲットが台湾であることは間違いありません。これまでに日本と中国は4つの政治文書を交わしてきました。1972年に田中角栄首相と周恩来首相の間で日中共同声明を。1978年には福田赳夫首相と鄧小平党中央委員会副主席との間で日中平和友好条約を結び、互いの領土を尊重し合うことを確認。これを機に日本は中国に政府開発援助(ODA)を大胆に入れていきました。1998年には小渕首相と江沢民主席の間で日中共同宣言を交わしました。このときは中国への侵略行為に反省を示し、日中の関係を調整しました。2008年に福田康夫首相と胡錦濤主席が出した日中共同声明のキーワードは、戦略的互恵関係。尖閣問題など、日中関係が冷え込みましたが、互いに恵み合える戦略的なパートナーシップを作りましょうと手を打ちました。これらの文書を振り返っても、中国が次第に力を持ち、日本の立場がだんだん弱くなっていることが明白です。習近平体制のなかで、岸田政権が5つ目の文書を交わすかどうかが注目されましたが、50周年式典のなかでは何もありませんでした。日中首脳会談も、2019年を最後に開かれていません。今後、台湾問題は避けて通れませんし、世界が注視する中国の海洋進出問題、電子戦や宇宙戦、軍事的パワーを強めている中国と、これからどう対峙していくのか、日本の技術力や安全保障政策が問われます。友好を前面に打ち出した50周年、これらの問題もしっかりコミットしてほしいと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年11月23日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年11月19日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「赤字ローカル線」です。技術を使い、町に付加価値をつける好機にしては?赤字ローカル線の問題が深刻になっています。少子高齢化や過疎化が大きな要因ですが、コロナ・パンデミックにより、JRの経営を支えてきた新幹線の利用客が激減。赤字を補填できなくなったことが大きく作用しています。1kmあたりの1日の平均乗客数1000人未満を主な基準に、現在、JR東海を除くJR5社の61路線100区間が見直しの対象になりました。赤字路線が廃止になってしまうことは、地域にとっては死活問題。住民の足が失われ、移動が困難になるだけでなく、地域の誇りが失われてしまうんですね。電車が通ることで、都市部とつながり、人の往来によって文化が育まれます。赤字でも朝夕だけ運行するなど路線をなんとか維持してきたのは、学生の通学に必要だったからです。地域に学校は必須。学校を失えば、その土地で子供を産み育てようというモチベーションもなくなりますから、将来的に町は廃れていってしまいます。そんななか、北海道の上士幌町では新しい試みを始めています。この地域は30年以上前に鉄道が廃止になり、帯広空港からのアクセスは限られた本数の路線バスしかありません。観光客はレンタカーで移動し、運転手不足のためタクシーはほとんど走っていません。そこで町はデジタル化と新しいテクノロジーを導入し、空港と町の間に自動運転バスを走らせることにしました。上士幌町は自動運転車の実証実験の場になっているんですね。時速30~50kmのゆったりしたスピードで、観光客は雄大な農地や牧草地を眺めながら、自動運転バスのなかでお弁当やお酒を楽しんだりして過ごし、町まで来ることができます。また、鉄道の代わりに、ドローンと陸送を組み合わせたハイブリッド型の輸送も検討中です。「赤字ローカル線の見直し」というと、後ろ向きなニュースとして語られがちです。しかし、最新技術を駆使することで、町や観光に新たな付加価値をつけることも可能になります。国鉄の民営化により、これまでは地域にインフラを背負わせすぎたかもしれません。国や地域の補助金を投入することで、新産業を起こすことも今後は考えていく必要があるでしょう。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年10月5日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年10月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「宗教2世」です。公的支援から外れる貧困。偏見もなくそう。安倍元首相の銃撃事件を機に宗教2世の存在がクローズアップされました。僕は以前からオウム真理教信者の子供たちや、脱会した方のその後の社会生活について当事者に取材してきました。彼らは、一般の社会生活を送るのは極めて困難な状況に陥っていました。学校でも職場でも自分が宗教2世であることを伝えるのは難しかったとみなさん話しておられます。奇異な目で見られたり、レッテルを貼られたり、警戒されたり。友人や恋人に話せば自分から離れていくのではないかという怖さから、余計に一人で抱え込んでしまいます。一方では、SNSの普及により、初めて自分以外にも同じような状況にある人がいることがわかり、心が支えられたとおっしゃる方もいます。今回の事件の山上容疑者の家は、旧統一教会の信者である母親が多額の献金をしたことにより破産しました。このようにカルト教団で、常識を超えた霊感商法などで信者がお金を吸い上げられていくような家庭で育った人は、経済的に非常に苦しい状況に陥ります。ところが、こういう場合の貧困は法的なサポートから外れてしまうんですね。生活保護費は、病気や怪我で働くことができない人に支給されます。しかし、宗教による過剰献金の家庭の場合、両親のどちらかが働いており、お金も稼いでいる。それが家庭や子供たちに回らないという状況ですから、当然、生活保護の対象にはなりません。旧統一教会の信者の子供たちは「祝福2世」と呼ばれ、教会内で大切に育てられます。しかし自由な恋愛や結婚ができないなど厳しい教えがあります。教義に疑問を抱き、親とは違う道を歩みたいと思っても、家族や人間関係、自分の居場所などをすべて切り離すことになるので相当の覚悟が必要です。この問題はほかの新興宗教にも通じます。宗教2世は自分で信仰を選べず、そういう家庭に生まれたことで社会的孤立を強いられ、学びの機会や様々な選択の自由を奪われます。偏見を抱いてしまう社会風潮にも問題はあると思います。公的支援のあり方も再考の余地があるでしょう。宗教の問題というよりは、子供の虐待や貧困の観点から捉えるのが重要ではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年9月21日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年09月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「政治と宗教」です。政策にどれだけ介入していたのか。透明性を求める。安倍元首相の銃撃事件を機に、政治家と旧統一教会との関係が問題になっています。自民党の保守系グループ、なかでも清和会とのつながりは古く、歴史的な経緯がありました。旧統一教会の教祖・文鮮明氏は1968年に国際勝共連合という、共産主義に勝つことを目的に掲げた政治団体を立ち上げました。敗戦後の日本は、民主主義国家になるか、中国やソ連をはじめとする共産化の波に呑み込まれるかの瀬戸際にありました。日本の共産化を防ぐという大義のもと、イデオロギーを同じくする一部の保守系の政治家たちは、勝共連合と強く結びついたのです。1980年代になり、統一教会の悪質な霊感商法などが社会問題になりました。’97年に教会から名称変更の要望がありましたが、実態が変わらないまま変更を認めれば社会に悪影響を及ぼすと、文化庁は認めませんでした。ところが、2015年に変更申請は文化庁に受理され、現在の「世界平和統一家庭連合」に。ちょうど第3次安倍政権が発足して1年目でした。当時の下村博文文科相のもとで交わされた文書が公開されましたが、変更が可能になった理由の部分は黒塗りでした。教会側にとっては、政治家が集会に出て挨拶をしたり祝電を寄せることは、自分たちの正当性を証明することにもなります。信徒たちはボランティアとして無償で選挙運動を支えていました。問題は、政権与党は宗教団体からの政策リクエストをどれほど受けていたのか、ということです。憲法改正やスパイ防止法推進、同性婚や選択的夫婦別姓に反対など、自民党の主張と団体の運動方針は重なるところがあり、因果関係の有無を明確にしてほしいです。旧統一教会に限らず、私たちの与り知らないところで、さまざまな団体が絶えず献金をしたり、選挙を手伝ったり、組織票を入れるなど、政治家と利害関係を結びながら、自分たちの求める政策を実行させるという構図が、今回明らかになりました。政治は放っておくと、お金や力のあるところに吸い寄せられてしまいます。市民やメディアが絶えず緊張感を持ってチェックし、政治の透明性を求める努力を続けていかなければならないと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年9月7日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年09月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「#教師のバトン」です。疲弊した現場があぶりだされた。政策に反映を。「#教師のバトン」は、昨年3月に文部科学省が始めたプロジェクト。ベテラン教師から若手教師に、現職の教師から教師をめざす学生や社会人に、先生方のノウハウや学校にまつわる日常のエピソードなど、情報をSNSを使って発信、共有。教職の魅力を広めてもらう目的でスタートしました。ところが蓋を開けてみたら、いい話もある一方で、教育現場の過酷な状況を訴える投稿が多く寄せられ、国はこれらの実態を把握していなかったのではないか、ということが明らかになりました。最も問題になったのは長時間労働です。2018年のOECDの調査によると、日本の中学校教師の仕事時間は週56時間で、48の調査に参加した国と地域のなかで最長。文科省の調べでは、1950~’60年代と2000年代以降では、小中学校の教育活動時間は近年のほうが長くなっていますが、これは部活動や教育相談、進路相談など、授業以外の時間が増えたためといわれています。しかし、残業時間は一律に決められていて固定化されたままです。また、休日やプライベートの時間を割いて子どもたちの指導にあたらないといけない、ブラック部活動問題もあります。近年は、子どもたちのメンタルヘルスの状況が悪化し、教師の負担を大きくしています。デジタル化や、コロナ禍では消毒や感染対策も先生方の肩に重くのしかかりました。「#教師のバトン」であぶりだされたさまざまな不満は、現場のニーズです。現場の声を国は、具体的な政策にぜひ落とし込んでほしいと思います。部活動の指導に関しては、土日は地域のスポーツ教室に委託する動きも出てきています。しかし、社会経験の豊富な人が、教員免許を持っていなくても1~2コマの授業を担当できるなど、外部参入の障壁を低くする抜本的な改革も必要なのではないかと思います。そもそも教育に潤沢な予算をかけないから、数が足りずに教師に負担がかかっているという指摘もあります。OECDのなかで日本は、教育費がGDPに占める割合が平均以下。これを改善しないと疲弊した状況は変わりません。みなさんもぜひ「#教師のバトン」で現場の声を知ってください。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年8月31日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年08月27日早急に解決すべき世界的な社会問題のひとつといえば、子どもの貧困。そんななかご紹介するのは、本国アメリカで“いまこそ観るべき1本”として取り上げられた話題作です。『きっと地上には満天の星』【映画、ときどき私】 vol. 508ニューヨークの地下鉄のさらに下に広がっていたのは、暗い迷宮のような空間。廃トンネルのなかでは、ギリギリの生活を送っているコミュニティがあり、5歳になる少女のリトルは、母親のニッキーと暮らしていた。ところがある日、不法居住者を排除しようと市の職員たちがやってくる。隠れてやり過ごすことができないと判断したニッキーは、リトルを連れてと逃げ出すことを決意するのだった。夢にまで見た地上で、外の世界を初めて体験するリトル。喧騒の街ニューヨークで追い詰められていく母娘に、希望の光は降り注ぐのか……。ヴェネツィア国際映画祭をはじめ、さまざまな映画祭でも絶賛された本作。この作品で長編デビューを果たし、一躍注目を集めたこちらの方々にお話をうかがってきました。セリーヌ・ヘルド & ローガン・ジョージ監督監督と脚本のみならず、女優として母親のニッキー役も務めているセリーヌさんと、共同で監督と脚本を手掛けたローガンさん。同じ大学で演劇を学んだ友人同士だった2人ですが、現在は公私ともにパートナーとなり、いくつもの作品を一緒に発表して高く評価されています。そこで、本作に込めた思いや撮影現場の裏側、そして日本での忘れられない出来事などについて語っていただきました。―もともとは、セリーヌさんが住居を持たない母子と出会ったことと、地下コミュニティへの潜入記『モグラびとニューヨーク地下生活者たち』を読んだことが始まりとのことですが、映画にすべきと思われたきっかけは何ですか?セリーヌさんその母子と本に出会うまで、子どものホームレスというのがここまで大きな問題であることを認知していませんでした。いまでも、私のようにホームレスには何となく大人のイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。ただ、調べていくとニューヨークでも、何万人もの子どものホームレスがいることがわかりましたし、世界中にもたくさんいることを知りました。さらに、日本の『万引き家族』やレバノンの『存在のない子供たち』といった海外の作品では描かれているにもかかわらず、アメリカの映画ではしっかりと掘り下げていないことにも気づかされたのです。そういったこともあって、この題材に取り組みたいなと。ただ、公共広告的な映画にするのではなく、映画的なストーリー展開でありながらホームレスの子どもたちが抱えている問題を知るきっかけになるようなものにしたいと考えました。まさにいま起きている問題として考えてほしい―制作に取り掛かるうえでは、ホームレスたちが住んでいた本物のトンネルにも行かれて、不法侵入で逮捕されたこともあったとか。実際の場所に足を踏み入れてみて、いかがでしたか?ローガンさんマンハッタンの地下トンネルに初めて行ったのは2012年ですが、そこに人が住んでいたのは1980から90年代頃だったので、すでに誰も住んでおらず、人々が残したものがあるくらいでした。ほかにも、セントラル・パークの下にあるトンネルなどに行きましたが、印象的だったのは壁画が描かれていたこと。それによって、そこにはコミュニティが存在していたことや温かみのようなものを感じたのです。トンネルのなかで起きていたことは昔の話かもしれませんが、この映画では現代の物語として描きました。その理由としては、過去の出来事として片づけるのではなく、まさにいま起きている問題として考えてほしかったからです。―そういった経験をした方々と話をするなかで、印象に残っていることもありましたか?セリーヌさん私は子ども時代にホームレスをしていた女性と話をする機会があったのですが、彼女は自分の母親に置いていかれてしまった方でした。18歳になったとき自分の母親を探し出し、どうして自分を他人に預けたのか聞いたところ、「母親になる心の準備ができていなかったし、そもそも子どもを産みたいと自分で選択したわけではなかったから」と言われたそうです。それを聞いたときに、女性だからといって誰もが母親になりたいという願望を持っているわけではないのだと感じ、とても強烈な言葉だと思いました。人によっては、ある程度年齢を重ねたり、タイミングが訪れたりしたことによってそういう思いが出てくるものなのだと改めて感じた瞬間です。彼女が話してくれた母親の話は、劇中のニッキーのキャラクターに多く反映させてもらいました。誠実な演技と素晴らしい存在感が撮れた―ニッキーを演じる際、セリーヌさんがイヤホンを付けながら演出と演技を同時に行っていたと聞いて非常に驚きました。精神的にもかなりきつい役どころだったと思いますが、どのようにして監督業と女優業を両立させていたのでしょうか。セリーヌさんうまくやるのは難しかったですね。ただ、リトル役のザイラと一緒のシーンだけイヤホンをしていたくらいで、ずっと付けていたわけではありません。特に必要だったシーンとしては、ローガンが彼女に指示を出さなければいけなかったときとか、映像の画角を考慮しなければいけなかったときです。というのも、ザイラにあまりスタッフの姿を見せたくなかったのと、撮影場所が狭かったこともあって、カメラマンと音声と役者だけになることが多かったので。そういったときは、私とローガンが耳でつながることによって、お互いがお互いの目の役割を果たして進めていきました。ローガンさんザイラにとっては初めての演技だったので、作品の世界観のなかに身を置いてもらい、自然と撮り続けるなかで演じてもらうほうがいいと思ってそのようにしました。特に、子どもというのはマジカルなものなので、ときには僕たちが脚本で書くセリフより10倍もいいことを口にしたりすることがありますからね。自由に演技してもらい、自分自身との境界線があいまいになるような感覚になってほしかったので、15分から20分ほどカメラを回し続けたことも。結果的には誠実な演技と素晴らしい存在感が撮れたと思っています。―ザイラちゃんは初めての演技とは思えませんでしたが、出演のきっかけは家族と教会の炊き出しに来ていたときにキャスティングディレクターと出会ったときだとか。彼女が置かれている状況も、リトルに近いものがあったのですか?セリーヌさんザイラが2歳のとき、つまり彼女と出会う3年前のことですが、家族で住んでいた家が火事で全焼してしまったそうです。しかも、当時は仕事をしていたのはお父さんだけでお母さんはまだ大学に通っていたそうなので、仮の住まいしかなく、生活もまだ不安定なときだったと思います。ザイラは5人兄弟の真ん中で、他の兄弟たちは赤い髪色で人目を引く家族だったので、お父さんもいつか家族が撮影されるような機会があればいいなと考えていたのだとか。なかでも、ザイラは演技が好きだったようなので、いい出会いができたと思っています。いまでは、きちんと家もあって安定していますし、私たちとは家族ぐるみの付き合いをしているところです。日本での結婚式は、完璧で美しい一日だった―日本についてもおうかがいしたいのですが、もし日本にまつわるエピソードがあれば教えてください。セリーヌさん実は、私たちは日本にあるインターナショナルスクールで2年間ほど演技や演劇を教えていたことがあるんですよ。なので、日本をとても愛していますし、住んでいた東京を気に入っています。ローガンさんただ、毎日仕事が忙しくて東京以外の場所に行く時間がなかったのは残念だったかなと。ぜひ地方の町も見てみたいので、ちょうどいい季節のときにまた戻りたいなと考えているところです。個人的には、日本の冬の景色に惚れ込んでいて、特別なものを感じています。セリーヌさんそれと、日本での思い出と言えばですが、なんと私たちは日本で結婚をしたんです。というのも、当時はコマーシャルのプロジェクトや短編の制作も日本でしていて、いろいろな手続きの関係上、夫婦になったほうが楽だなと思ったので、勢いで結婚したんですが(笑)。ローガンさんでも、僕たちはもともと小さな結婚式をしたいと思っていたので、僕たちのことを誰も知らない土地で結婚するという意味では完璧な場所でしたね。セリーヌさん式を挙げたホテルからは結婚の証明書もいただいたので、それを壁に飾っているんです。2人きりの結婚式を日本という美しい国ですることができて、とても光栄に思っています。ローガンさんしかも、日本人のみなさんはとても思いやりがあって優しい方々ばかり。おかげで、本当に美しい一日を過ごすことができました。社会で起きている問題を知るところから始める必要がある―素敵な思い出を教えていただき、ありがとうございました。セリーヌさんがこの問題に取り組み始めて、すでに10年が経過していますが、ホームレスの方々が置かれている現状は変わりましたか?もし私たちにでもできることがあれば、教えてください。セリーヌさんアメリカも経済的に不況になってきたので、あまり改善は見られていないように感じています。ローガンさんしかも、コロナ禍になってしまったので、ニューヨークをはじめ、西側のロサンゼルスやカリフォルニアなどではホームレス問題はより深刻になっている印象です。セリーヌさんただ、ワシントン州では住宅を基本的人権のひとつとみなすようになり、すべての人に住宅を与える対策を取ったところ、それがうまく行っているようなので、改善されている州もあります。ローガンさんでも、アメリカでは不平等がどんどん広がっているのではないかなとも思っています。セリーヌさん確かに、アメリカの政策は迷走しているところもあるので、これからどうなるのかはわからないところかなと。だからこそ、この作品を通して「ニッキーのような人が電車で自分の隣に座っているかもしれない」と観客に感じてほしいと思っています。ローガンさんニューヨークでは、ギリギリホームレスではないけれど、明日にでもホームレスになりそうな可能性のある方は増えていますからね。セリーヌさんそのほかに、個人的に人生を変えてくれた出来事といえば、ボランティアに参加したこと。そこで自分の行動が他人の人生を少しでも変えられるかもしれないと感じられた経験は大きかったです。なので、みなさんに言えるとすれば、ボランティアをしてみること、あとはこれらの問題を解決してくれる実行力のある人に投票するといったことでしょうか。ただ、いまは世界的に見ても本当にいろんなことが起きているので、社会で起きている問題について、まずは知るところから始めていく必要がありそうです。暗闇のなかでも、手を伸ばせばきっと希望はある当事者の目線から物事を見ることによって、これまで知ることのなかった世界を知るきっかけを与えてくれる本作。胸が張り裂けるような愛でつながった母と娘の姿に、心が揺さぶられる必見作です。取材、文・志村昌美目が離せない予告編はこちら!作品情報『きっと地上には満天の星』8月5日(金)より シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開配給:フルモテルモ、オープンセサミ️©2020Topside Productions, LLC.All Rights Reserved.
2022年08月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「モビリティ社会」です。移動手段が変わる。社会の課題解決が期待される新分野。インターネットの発達により、車や公共交通などの移動手段のあり方が変わりつつあります。モビリティ(mobility)とは、もとは移動性、流動性という意味で、交通手段や移動手段をめぐるモノ・コト全般を指します。国土交通省は、Mobility as a Service(MaaS)(マース)という、住民や旅行者の個々のニーズに合わせて、複数の公共交通やカーシェアリング、自転車のシェアサービスなど新しい移動手段を最適に組み合わせて検索、予約、決済できるサービスの普及を推進。国は、AIやIoTを使い、モビリティを中心とした新しい技術変革のある街づくりを積極的に進めていこうとしています。その「モビリティ社会」の実現に大きく関与するのが自律型の自動運転の技術。自動運転は6段階にレベル分けされており、周囲の車との間隔や道路の混雑状況などをセンサーにより判断し、運転手がハンドルから手を離しても走れるのがレベル3。世界初、この技術を搭載した車を発売したのはHondaでした。日本は少子高齢化、都市部の人口集中が進み、過疎地では鉄道やバスの維持が難しくなっています。孤立した地域の暮らしを支えるのが自動運転。この技術が進めばコストを圧縮し、人々の移動だけでなく、モノを運ぶサービスも付与できますし、CO2の削減にもなります。TOYOTAは、自動車を中心にした実験都市の開発プロジェクトをスタート。自動運転車が街の交通を担うほか、燃料電池車が蓄電装置となり、地域に電力を供給することも計画中。モビリティ社会は製造業やサービス業、エネルギー産業など様々な業種にかかわりますし、高齢化や過疎化、技術立国など社会の課題解決も期待されます。自動車メーカーはモビリティカンパニーに移行していますが、IT企業のほうが得意な分野。HondaはSONYと提携に向けて協議を始めました。EVはガソリン車に比べ部品が少ないので、切り替えれば多くの部品工場が潰れます。日本の自動車産業を世界に押し上げ、経済を支えてきたのも町工場です。その重みを認識しつつ、各社緩やかな産業転換を図っています。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bit News」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年6月22日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年06月17日松下政経塾と日本政策学校は、全国各地域において地域社会の問題に関心を持ち、社会課題の解決を志しているワカモノを中心に、次世代リーダーと共にこれからの時代に向けて学び、研鑽する公開講座「地方創成ラウンドテーブル」を開始いたします。本講座は社会課題の解決を志すリーダー育成に取り組んでいる松下政経塾と日本政策学校の共催で実施するオンライン公開講座 Next Leaders プログラムを企画となります。各界で活躍されている有識者の皆様を基調講演にお迎えして、「地方」をテーマに様々な切り口でお話しいただきます。また、松下政経塾で塾主・松下 幸之助が塾生達とともに「円卓」(ラウンドテーブル)を囲んで、日本と世界の未来について議論した方式を基に、オンライン形式でラウンドテーブルを実現します。参加者からの積極的な質疑応答も予定しています!ぜひあなたの参加をお待ちしてます!地方創成ラウンドテーブル告知【Next Leaders プログラム概要】共催 :松下政経塾/日本政策学校開講 :2022年6月~2023年3月(全6回)※受講は1回のみの参加も可能です2022年6月29日(水) 19:00~21:002022年8月31日(水) 19:00~21:002022年10月26日(水) 19:00~21:002022年12月21日(水) 19:00~21:002023年2月22日(水) 19:00~21:002023年3月18日(土) 13:00~17:00(※松下政経塾での開催を予定)場所 :オンライン(ZOOM)受講料 :(Peatixで受付)(一般)各1回3,000円全6回×3,000円=18,000円→10,000円(学生)各1回1,000円全6回×1,000円=6,000円→3,000円申込方法:Peatixより受付 【Next Leaders プログラムの特徴】(1)各界で活躍する一流のリーダーから、その最前線を学べる(2)完全オンライン型授業で全国どこからでも誰でも参加できる(3)講師とのディスカッションや参加者同士の交流ができる※ただし、正規生ではないので、本オンラインスクールを受講しても「松下政経塾出身」「日本政策学校修了」を名乗ることはできない。地方創成ラウンドテーブル全6回基調講演者【プログラム・登壇者】基調講演者は決定しております。なお、公務の関係で変更もありますのでご了承ください。第2回以降の基調講演者は決定しておりますが、他の登壇者については調整中。<第1回 地方創成~地方から日本を変える~>6月29日(水)19:00~21:00・第1部 基調講演(45分)宮田 裕章氏(慶應義塾大学医学部教授)・第2部 ラウンドテーブル(60分)伊藤 達也氏(衆議院議員・元地方創生担当大臣補佐官・松下政経塾第5期)杉島 理一郎氏(埼玉県入間市長・松下政経塾第31期)モデレーター:伊崎 大義塾生(松下政経塾42期生)<第2回 自治体の公共経営>8月31日(水)19:00~21:00・第1部 基調講演増田 寛也氏(日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)・第2部 ラウンドテーブル登壇者調整中<第3回 地方創成と人材育成>10月26日(水)19:00~21:00・第1部 基調講演堀 義人氏(グロービス経営大学院学長)・第2部 ラウンドテーブル登壇者調整中<第4回 民間からの地域活性化>12月21日(水)19:00~21:00・第1部 基調講演藤沢 烈氏(一般社団法人RCF代表理事)・第2部 ラウンドテーブル登壇者調整中<第5回 自治体経営のDX化>2023年2月22日(水)19:00~21:00第1部 基調講演朝比奈 一郎氏(青山社中株式会社筆頭代表CEO)第2部 ラウンドテーブル登壇者調整中<第6回 地方創成ラウンドテーブルin松下政経塾>2023年3月18日(土)13:00~17:00第1部 基調講演金子 一也 松下政経塾 塾頭第2部 ラウンドテーブル登壇者調整中 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年05月12日ドウェイン・ジョンソンが「E!News」のインタビューで、「男性は、メンタルヘルスの問題を抱えていてもオープンに話すことができない傾向にある」と問題提起。自らの経験を語った。「私は一人っ子で、男として育った。男というのは、もともとそういうこと(メンタルヘルス)について語らないような性質がある。話すことで、傷つくような気がするからだ。誰だって傷つきたくない。メンタルヘルスについて話すことで、弱さを見せるような気になるんだ」と指摘した。ドウェインは1990年代から90年代半ばに、アメフトがらみのけがや不調で「うつ」を経験。初めて「うつ」を患ったときは「それがなんだかわからなかった。とにかく最悪な気分で、なにもしたくなかった」という。どん底から抜け出すために必要だったことは、人と話し、助けを求めることだった。この経験をもとに、自身の伝記ドラマ「Young Rock」で視聴者に「助けを求めるのは弱さを見せるんじゃない。助けを求めるのは、私たちのスーパーパワーなんだ」と呼びかけたことも。「最高に感動する視聴者からの感想は、メンタルヘルスについて語る開放性に関してのことなんだ」と話し、ドラマがメンタルヘルスについて考えるための手助けとなっていると、手ごたえ感じていることを明かした。(Hiromi Kaku)
2022年03月15日