ウーマンエキサイトをご覧の皆さん、こんにちは。tomekkoです。前回、文豪クズ男列伝の特別編として女流作家「岡本かの子」をご紹介したところ、女性作家についてもっと知りたいというお声もいただいたので、今回は流行りに乗ってこちらの超有名女流作家たちについて書いてみたいと思います。私の趣味をご存知の方、インスタやXを見てくださっている方からは「ハイハイ知ってるよ」…という声が聞こえてきそうですが、私は幼少期から平安時代の文化や文学が大好きなんです!今年の大河ドラマの紫式部の人生をモチーフにした『光る君へ…』。完全にドハマりで、やや家族を巻き込みながら楽しんでいます!ということで、平安時代を代表する才女といえばやっぱり紫式部と清少納言でしょう!実は直接出会ったことがない清少納言と紫式部ドラマでは同席していたふたりでしたが、史実としては交流した記録は残っていません。同じ天皇時代に宮中で働いていたとはいえ、紫式部が一条天皇の女御(妃)彰子に仕えたのは、清少納言の主人で中宮(皇后)であった定子とその一家が失脚した数年後からなので、少なくとも宮中で遭遇することはなかったはずです。でも、このふたりが同僚だったとしたら…ふたりのそれぞれの作品ももっと殺伐とした内容になっていたかもしれません。というのも、清少納言と紫式部って正反対の性格のようなんです。平安時代の人って絵で見るとみーんな引き目鉤鼻、更に身分によって髪型も身につけるものも同じだから、なかなか個性を見出しにくいんですが文字で残された作品は個性が爆発しています!まずは清少納言からいきましょう。頭がキレて気が強い!キャリアウーマンの清少納言清少納言は祖父も父も百人一首に選ばれるほど有名な歌人である清原家出身。幼いころから歌や漢詩を学び、この時代にはかなり珍しいタイプの女性に育ちました。平安時代の貴族女性に生まれたら、経済力のある男性が通って来てくれるのをひたすら待つだけの人生です。さらに家事は召使がやるので、琴を弾いたり庭を眺めて歌を詠んだりするくらいしかやることがありません。もちろん人に顔を見られてはいけないのでほとんど外出もできず、いくらお金と時間があってもできることが限られます。これってなかなかキツくないですか? ま、正直お家大好き&ひとりが大好きな私はそんなにしんどくないような気もするのですが…。とにかく当時の貴族女性の生き方のスタンダードがこれだった時代に、彼女はこう言ってのけます。「将来の計画性もなく夫に頼りっきりでささやかな家庭の幸せだけ守ってるような人生なんてつまらないし軽蔑しちゃう。それなりの身分の娘に生まれたからには結婚前に宮仕えぐらいして社会勉強した方がいい。できれば典侍(ないしのすけ)ぐらいの地位は経験しておくべき。宮仕えする女は軽くてダメだなんて考えの男はほんっと憎たらしいわ。」(枕草子「生い先なく…」)え、バリキャリの考え方…? 平安時代の女性でこんな考え方する人がいるなんて!!と衝撃でした。頭の良い女性は幸せになれないとまで言われる平安の世で、自身の聡明さに自信を持って人とは違った視点で世の中を捉え、宮中での生活を楽しんだ清少納言は気の強い陽キャな印象ですね。そんな、一見はつらつとして見える彼女の意外な一面について、以前からXで人気の犬アイコンの編集者たらればさん(@tarareba722)の解釈に目から鱗でした!「清少納言の直属の上司、中宮定子さまは清少納言にとって直視できないほど尊いお方。枕草子に書かれた彼女の定子さまへの心酔っぷりはまさに推し活のようだ」といった内容を投稿されていたのです。これは「成功したオタク」ってやつですかね?「初めて宮仕えに出た頃はどうしたらいいかわからなくて泣きそうになりながら毎日夜になったら参上して近くに侍っていると定子さまが絵などを見せてくださるけど、緊張して手も出せず縮こまってしまう。(中略)とても寒い頃で、袖口からちらりとのぞいた指先が本当に艶々とした綺麗な薄紅色で、こんなに美しい人がこの世に実在するのかとびっくりしてお見上げしたものだわ。」(枕草子・第179段「宮にはじめてまゐりたるころ」)教養と感性には自信のある清少納言ですが容姿にはコンプレックスがあったみたい。とてつもなく高貴で美しい定子さまは今で言うなら直接お会いできるなんて夢のまた夢、別世界のキラキラした芸能人のよう。そんな彼女から直接話しかけられ、やりとりしている自分に時々ハッと我に返って「あの美しい推しとこんなみすぼらしいババア(宮仕え当時すでに三十路近く、定子よりだいぶ年上だった)がしゃべってるよ 恥ずかしいー!!」って…頭のキレる皮肉屋なキャリアウーマンがこんなふうに推しに身悶えてる姿を想像すると、この人にもこんな可愛いところがあるのか、と微笑ましくなってきますね。一方紫式部はというと…。華やかな生活に馴染めずしんどくなって休職しちゃった紫式部清少納言と同様、幼いころから学に親しむ環境がバッチリあった学者・藤原為時の娘なんですが、彼女の場合はけっこうコンサバな育てられ方をしたようです。父親が弟の出来の悪さを嘆き「お前が男だったら」と言われた話は有名ですが(今で言えば毒親というやつかも…)こういう言葉で子どもって自己肯定感折られていくんだな、とつくづく思うわけです。ですが、こうして紫式部は「女のくせに学をひけらかすのははしたない」と自分の賢さ、学識を恥じつつもどこか認められたい、そんな陰キャ女子に育ったのかもしれません。一条天皇に入内させた娘の彰子のために教養高いサロンを作りたかった道長。そんな道長に源氏物語がヒットしたことで目をつけられスカウトされた紫式部なのですが…。『紫式部日記』の中には時の最高権力派閥の華やかなサロンでの生活に馴染めず、空気読みすぎてしんどくなって休職しちゃう陰キャ式部が描かれてまして…「その辛さ分かる〜」と共感しかございません。とはいえ『紫式部日記』って、ちょいちょい毒舌部分があるんですよね。なんならそこだけが有名になってる感も…。「清少納言って人ほんと最悪。したり顔でかしこぶってる。漢字を無闇に使ってるけどよく見たら間違ってるとこいっぱいあるし。ああやって人より自分は優れてるように見せたがる人って最後には見劣りして残念な結果になるのよね。どんなつまらないことでも感動して見せて、少しでもいい感じのネタ探しに頑張っちゃってる感じ、かえってダサくない?」紫式部が日記の中で清少納言をガチめにこき下ろしている部分、なんというか…SNSで有名インフルエンサーの悪口言ってる裏垢女子…みたいな…?でもこれ(本音も入ってると思うけど)実は政治の動きが関係しているとも言われています。つまり道長率いる彰子サロン所属の紫式部としては、前勢力定子サロンの風評を下げる必要があってわざわざ書いた可能性もある…と。それだけ清少納言が及ぼした影響力が大きかったとも言えそうです。当時の日記は人に読まれる前提なので、個人の感想風だけど意図が仕込まれていると考えられますよね。ふたりが現代で創作活動をしていたなら…って想像してみました。どちらが良い悪いと言いたいわけではなく、自己表現のタイプの違いを表現してみましたが…いかがでしょうか? 平安時代に文学や和歌で活躍した女性はまだまだいます。心にどのような想いを抱えて生きていたのか…本当のところは本人にしかわからないことですが、彼女たちの境遇や人となりを想像しながら作品を読んでみるとまた一味違った楽しみ方ができそうです!
2024年03月04日京福電気鉄道株式会社(本社:京都市中京区、社長:大塚憲郎)は、紫式部や清少納言ゆかりの地をめぐっていただける「いとをかし嵐電1日フリーきっぷ」を発売します。嵐電沿線の嵯峨・嵐山地域は、紫式部や清少納言、またその作品や取り巻く人々などのゆかりの地が数多くある本拠地中の本拠地のひとつです。きっぷ発売に合わせ、ゆかりの地めぐりの特別パンフレットも発行します。平安の昔、ここで生きた人々に思いをはせながら、嵐電でゆったりと京都の旅をお楽しみください。「いとをかし嵐電1日フリーきっぷ」1.内容〇「嵐電1日フリーきっぷ(※1)」大人券(沿線社寺等で使えるお得な約30種の特典付き)〇車折神社末社「清少納言社」:「才色兼備お守り」と、本きっぷのみの「限定御朱印」引換券(※2)○特典:通常の「嵐電1日フリーきっぷ」の特典に、さらに次の特典が加わります(以下、「」は特典を受けていただける場所を表示しています。また表示価格はすべて消費税込です)①紫式部ポストカード進呈:「嵯峨嵐山文華館」(最寄駅:嵐山)・入館おひとりにつきポストカード1枚をプレゼントします。②『八十八最中』購入券進呈:「八十八良葉舎(はとやりょうようしゃ)」(最寄駅:車折神社)・本きっぷご利用の方のみお買い求めいただけます。1個400円。③三吉稲荷(さんきちいなり)カチンコ絵馬50円割引:「キネマキッチン」(最寄駅:帷子ノ辻)・映画撮影に使うカチンコの形をした三吉稲荷の絵馬(通常500円)を450円でお求めいただけます。④キネマキッチン セットドリンク200円割引:「キネマキッチン」(最寄駅:帷子ノ辻)・お食事、デザートご利用のお客様のセットドリンクを200円割引します。⑤オリジナルポストカード1枚進呈:「映画のまちの駄菓子売り場 映菓座」(最寄駅:帷子ノ辻)・嵐電オリジナルポストカード数種の中から、お好きなポストカード1枚をプレゼントします。※1ご利用日当日、嵐電が1日乗り放題となる乗車券。発売当日限り有効。※2車折神社社務所で引換券と「才色兼備お守り」「限定御朱印」とを交換します。(9:30~17:00)2.発売額1,500円(大人券のみ)3.発売期間2024年3月1日(金)~2024年12月31日(火)4.発売場所四条大宮駅、帷子ノ辻駅、嵐山駅、北野白梅町駅の窓口「清少納言社」の「限定御朱印」「清少納言社」の「才色兼備お守り」(ご参考)1.嵐電沿線いとをかし 特別パンレット沿線のゆかりのスポットの紹介や、「紫式部ゆかりの地コース」、「源氏物語の舞台の地めぐりコース」の2つのモデルコースを掲載しています。(配布場所:嵐電主要駅、京都総合観光案内所「京なび」、車折神社などで3月1日(金)から配布)2.嵐電沿線紫式部・清少納言ゆかりの地■最寄駅:嵐山・野宮神社源氏物語屈指の名場面『賢木』に登場。光源氏の愛人だった六条御息所が源氏との別れを決意し、斎王となって伊勢に下る娘と共に野宮に仮住まいしていたところを、源氏が訪れるという印象的な場面です。竹藪に囲まれた静かな佇まいに、平安時代を思わせる清浄な空気が満ちています。・清 凉 寺阿弥陀堂は光源氏のモデルともされる源融の山荘・棲霞観を偲ぶ唯一の建物と言われています。源氏物語の『絵合』『松風』では、光源氏が嵯峨の地に御堂を建立したとなっています。境内には源融の墓所があります。・大 覚 寺この地は嵯峨天皇の離宮嵯峨院としてつくられ、その後、876(貞観18)年に大覚寺となりました。晩年の光源氏は出家し、この嵯峨院で2〜3年過ごしたと源氏物語『宿木』の中で語られています。・嵯峨嵐山文華館古来より貴族や文化人に愛されてきた嵯峨嵐山。嵯峨嵐山文華館は、この地で誕生したと伝えられる百人一首の歴史やその魅力と日本画の粋を伝えるミュージアム。また、百人一首には紫式部と同時代を生きた歌人の作品も多く、平安男女の恋愛ツールであった「和歌」を通して、往時を身近に感じることができます。・大堰の邸跡地明石の御方が上京後に住んだ大堰の邸宅は、このあたりの桂川畔と考えられています。■最寄駅:車折神社・車折神社清少納言は一条天皇の皇后・藤原定子に仕え、『枕草子』を著した文学者で、父は清原元輔。車折神社のご祭神・清原頼業公と同じく天武天皇の第六皇子・舎人親王の後胤であることから、車折神社には清少納言を祀る「清少納言社」があります。■最寄駅:御室仁和寺・仁 和 寺仁和寺は、紫式部が仕えた藤原彰子の母・源倫子の曾祖父にあたる宇多天皇、祖父の敦実親王ゆかりの寺院。源氏物語『若菜上』で朱雀院(光源氏の兄)が出家したお寺のモデルであるといわれています。源倫子とその父・源雅信も仁和寺に葬られています。■最寄駅:北野白梅町・清 和 院藤原良房の邸内 染殿第の南に創建された仏心院が由来。清和天皇が、藤原良房の孫として誕生され、染殿第に住まわれた清少納言や紫式部も、当清和院で宮仕えをしていたといわれています。■最寄駅:龍安寺・一条天皇陵龍安寺の裏山(朱山七陵)参道を上ると、京都の絶景を望む場所に一条天皇と堀河天皇の陵墓があります。■嵐電嵯峨・安倍晴明墓所安倍晴明公嵯峨御墓所が角倉稲荷神社の隣に位置しています。3.特典施設URL嵯峨嵐山文華館 ◎企画展「よきかな源氏物語」開催中(4月7日(日)まで)八十八良葉舎 キネマキッチン (公式フェイスブック)映菓座 (公式インスタグラム)240222_keifuku.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年02月27日株式会社ケン・ホテルマネジメント京都が運営する、京都山科ホテル山楽(所在地:京都市山科区、総支配人:園田 琢磨)は、2024年2月20日(火)より、紫式部ドラマ関連商品の販売を開始いたします。特設コーナー紫式部が源氏物語の構想を練ったとされる石山寺がある大津市では、大河ドラマ「光る君へ」(NHK)の放送を機に地域の活性化に繋げようと、観光協会や市などでつくる「大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会」を立ち上げ、市内事業所が開発したドラマ関連の商品をPRする取り組みを進めています。紫式部や源氏物語の様子を入れ込んだ期間限定パッケージを用いたものや、平安時代の暮らしから着想を得たものなど、紫式部の生涯や源氏物語の世界観を楽しめる商品が目白押しです。当ホテルは、約100種の関連商品の中から厳選した下記8種をロビー特設コーナーにて販売いたします。特設コーナー2■紫式部・源氏物語 販売商品1. 源氏物語 ポストカード5種セット 販売価格:1セット700円(税込)2. 源氏物語一筆箋 全6種 販売価格:各480円(税込)3. 源氏物語 二曲屏風全7種 販売価格:各2,200円(税込)4. 紫チョコ(アップルワイン風味)1箱9枚入り 販売価格:1箱1,380円(税込)5. 紫式部 桜の香りのお線香 販売価格:1箱1,320円(税込)※大河ドラマ「光る君へ」ロゴライセンス商品6. 紫式部ラベル 日本酒「萩乃露」飲み比べ3本セット 販売価格:1,800円(税込)※びわ湖大津ふるさと観光大使 唐々煙先生書き下ろしイラスト使用許可商品7. 源氏物語ブックマーカー 販売価格:1枚1,200円(税込)8. 紫式部飴缶(抹茶味) 販売価格:1缶770円(税込)■公式HPでは「紫式部ゆかりの地を巡る」特設ページを公開中!「源氏物語」で有名な紫式部ですが、京都・滋賀には作中で登場する場所や執筆を行ったとされる場所など、紫式部にゆかりのある場所が数多く存在しています。滋賀と京都を繋ぐ“山科”に位置するホテルだからこそ訪れられるゆかりのスポットを巡り、いつもとは少し違った京都観光を楽しんでみてはいかがでしょうか。▼特設ページはこちら ■ご宿泊のご予約・お問い合わせご宿泊のご予約はこちら: 公式HP : お問い合わせ: 075-502-1111E-mail : info-yamashina@kenhotels.com ■京都山科ホテル山楽ホテルは国内外で37施設のホテル・旅館を展開する株式会社ケン・ホテル&リゾートホールディングス(本社:東京都港区)による京都初のグループホテルとして2018年11月2日に誕生しました。全100室の客室、レストラン、宴会場を備えた当ホテルは、京都だけでなく、びわ湖、宇治等を訪れるお客様にとって旅の拠点となるだけでなく、千年の都・京都の夢に浸り続ける寛ぎをお届けすることを目指しています。山科駅とホテル■会社概要商号 : 株式会社ケン・ホテルマネジメント京都/京都山科ホテル山楽代表者 : 総支配人 園田 琢磨所在地 : 〒607-8012 京都府京都市山科区安朱桟敷町23番地設立 : 2018年11月事業内容: 京都山科ホテル山楽 ホテル運営資本金 : 1億円公式HP : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年02月20日現在放送中の吉高由里子主演大河ドラマ「光る君へ」が、1月21日(日)に再放送を実施することが決定した。本作は、「源氏物語」を書き上げた、紫式部の物語。「大恋愛~僕を忘れる君と」「知らなくていいコト」「星降る夜に」の大石静が、再び吉高さんとタッグを組んでいる。大河ドラマ「光る君へ」第3回吉高さんが紫式部/まひろ、柄本佑が藤原道長を演じるほか、高畑充希、黒木華、町田啓太、塩野瑛久、毎熊克哉、松下洸平、井浦新、ユースケ・サンタマリアらが出演する。大河ドラマ「光る君へ」第3回第2回まで放送されている本作。今回の再放送は、第1・2回を連続で放送。1月21日(日)には第3回の初回放送が控えている。▼大河ドラマ「光る君へ」第1・2回連続再放送1月21日(日)※20日(土)深夜(NHK総合テレビ)【第1回】「約束の月」午前0:30~【第2回】「めぐりあい」午前1:35~▼1月21日放送:第3回「謎の男」あらすじ放免に捕えられた道長(柄本佑)を案ずるまひろ(吉高由里子)。為時(岸谷五朗)に謹慎を強いられ、成す術もない。ある日、まひろは為時から思わぬ依頼を受けることに。 自分のせいで放免に捕らえられた道長(柄本佑)を心配するまひろ(吉高由里子)。しかし、父の為時(岸谷五朗)に謹慎を強いられたため、ただ案じることしかできない。兼家(段田安則)の指示で道兼(玉置玲央)は女官を使って帝の食事に毒を仕込み、円融天皇(坂東巳之助)は急激に体が弱っていく。政権を掌握するために二の手を打ちたい兼家は、ライバルの左大臣家の動向を探るため、為時を利用してまひろを間者として送り込む。大河ドラマ「光る君へ」は毎週日曜日20時~NHK総合にて放送中(再放送 翌週土曜13時5分)。BS・BSP4K/日曜18時、BSP4K/日曜12時15分。※【1月19日更新】「光る君へ」第2回「めぐりあい」放送時間は5分繰り下げとなりました(シネマカフェ編集部)
2024年01月18日ジュエリー京都(Jewelry Kyoto)の“ピアスのようなイヤリング”「ぴあり」から、「源氏物語シリーズ」の番外編として新作「紫式部」が登場。2024年1月12日(金)より発売される。『源氏物語』の作者・紫式部モチーフのガラスジュエリー「ぴあり」は、ピアスのようなスマートな見た目でありながら、“痛くない・落ちにくい”快適な付け心地を叶えた新感覚のイヤリング。今回は、2023年11月に発売された「夕霧」にて完結を迎えた「源氏物語シリーズ」の番外編として、世界最古の長編恋愛小説である『源氏物語』の作者・紫式部をモチーフにしたジュエリーを展開する。『源氏物語』の作者、紫式部は、学問に精通し聡明で慎ましやかな平安時代の歌人。藤原道長の長女、中宮・彰子に仕えた女房兼家庭教師としても知られている。紫をベースに紫式部を表現そんな紫式部を表現したジュエリーでは、紫をベースに複雑な輝きを放つガラスと、隠れるようにして咲く花を用いて、紫式部の胸の内に秘めた思いを表現。また、夜霧をイメージしたチェーンは、『源氏物語』の艶やかさと、執筆している時の心情をイメージしている。チェーンは取り外し可能なため、2WAYでの着用が可能だ。【詳細】「源氏物語~紫式部~ぴあり」22,000円発売日:2024年1月12日(金)取扱店舗:清水坂ガラス館-ぴあり-、ジュエリー京都オンラインストア■店舗詳細清水坂ガラス館-ぴあり-住所:京都府京都市東山区五条坂白糸町569-3TEL:070-2286-9493営業時間:9:30~18:30 通常年中無休※営業日時を変更する場合がある。
2024年01月13日吉高由里子が大河ドラマ「光る君へ」で紫式部を演じる。自らの知性と感性、秘めた情熱と想像力によって千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を書き上げた女性だ。脚本を手がけるのは、ドラマ「知らなくていいコト」「星降る夜に」で吉高さんと組んできた大石静。“ソウルメイト”藤原道長を演じる柄本佑をはじめ、黒木華、井浦新、吉田羊、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則ら豪華キャストたちが吉高さんを取り囲む。これまで女性運動家や翻訳家、脚本家、実業家、検事、医師など、吉高さんが演じてきた女性たちの軌跡を追いながら作品の見どころに迫る。「光る君へ」優れた文才で、愛に生きた平安の女性に平安中期に、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を生み出した紫式部/まひろの人生を描く本作。まひろは、藤原家の生まれではあるものの身分は低く、和歌や漢籍に通じ学問をつかさどる父・為時のもとで並外れた文学の才を発揮し、想像力と好奇心を育みながら、考え深く鋭い感性を持つ女性へと成長する。学問が苦手な弟・藤原惟規/太郎(高杉真宙)とは対照的だ。女性がどれほど学問に長けていたとしても、それが活かされる機会になかなか恵まれないのが世の常。そんなまひろを藤原道長がバックアップしていく。脚本の大石さん曰く「紫式部と藤原道長はツインソウルで、宿命のふたり」と言うように、お互いへの想いを秘めつつ影響を与え合っていく姿が色濃く描かれる様子。また、大石さんは2人の関係を「希代の政治家・道長の唯一の弱点は、まひろ(紫式部)でした。彼女のこととなると、思わず軸がぶれてしまう」とも表現している。舞台となる平安時代は、国風文化という優美な情緒が栄えた“戦のなかった”時代。戦国や鎌倉など武士の時代とは異なり、ドラマの見せ場は歴史に名高い合戦ではなく、宮中での権謀術数にあるという。「この世をばわが世とぞ思う望月の欠けたることもなしと思えば」と、娘を天皇に嫁がせた宴の夜に詠んだ道長は“この世は自分のもの、満月のように欠けることがない”ほどの権力を手にしていたとされる。権力闘争に心身を砕く父・兼家(段田安則)の五男であり、長兄・道隆(井浦新)、次兄・道兼(玉置玲央)、道隆の子で甥の伊周(三浦翔平)が相次いで死去・失脚したことから(おそらく)のんびりと、斜に構えて見ていた政治の中心へと向かうこととなる。まひろが描く「源氏物語」の光源氏の人生やライバル・頭中将との関係性には彼の栄華も反映される。先に公開されているPR映像を見ても、どちらかといえば韓国ドラマの時代劇に近しい雰囲気がある。また、そんな時代の女性を描くにあたり、大石さんは公式サイトのインタビューにて「彼女の人生哲学のような部分はなるべく掘り起こして、ドラマの中で描いていきたい」とも語っている。当時も(現代も)弁が立ち、文才に優れた自我の強い女性は疎まれることもあったはず。“宮中サロン”を創りあげた道隆の長女・定子(高畑充希)、「枕草子」でその才能と個性を発揮した清少納言/ききょう(ファーストサマーウイカ)らの存在も鍵となっていくことだろう。脚本・大石静これまでにも、朝ドラ「花子とアン」ではL・M・モンゴメリ原作の「赤毛のアン」を初めて翻訳した村岡花子(安東はな)を演じ、アンさながらに自由な魂を持つ才女を演じてきた吉高さん。「東京タラレバ娘」ではなかなかヒット作を生み出せないパッとしない脚本家役だったが、今作では貴族社会でトップに上りつめていく道長を傍らで見つめながら、自身も宮中で揉まれ懸命に生きて書き続ける女性となる。公開されている映像では、本来左利きである吉高さんが右手で文を綴るシーンも切り取られている。飾らない人柄はそのままに、ひたむきに努力し、吸収力や共感力は柔軟で、周囲に助けられながら情熱を持って意志を貫く――。そんな吉高さん演じる、まひろという女性には期待しかない。第1回「約束の月」あらすじ平安中期、京に生を受けたまひろ(落井実結子)、のちの紫式部。幼いころから父・藤原為時(岸谷五朗)から漢籍の手ほどきを受け、空想好きな少女に育つ。下級貴族である為時の政治的な地位は低く、母・ちやは(国仲涼子)と弟とともに、慎ましい暮らしをしている。ある日まひろは、三郎(木村皐誠)という少年と出会い、互いに素性を隠しながらも打ち解けあう。再び会う約束を交わす二人だったが…激動の運命が始まる。大河ドラマ「光る君へ」は1月7日(日)より放送(初回15分拡大)。NHK総合:日曜20時(再放送 翌週土曜13時5分)、BS・BSP4K:日曜18時、BSP4K:日曜12時15分。大石脚本&柄本佑共演の初タッグ作「知らなくていいコト」(2020)大河ドラマ「功名が辻」や連続テレビ小説「ふたりっ子」ほか、「家売るオンナ」「大恋愛~僕を忘れる君と」など多くのヒットドラマを手がけてきた大石さんのオリジナル脚本で、吉高さんと初タッグとなったお仕事系ヒューマンドラマ。『検察側の罪人』の信念を持った検察事務官や、「正義のセ」の新人検事、「ガリレオ」の捜査一課の女性刑事、“必ず定時で帰る”ことをモットーにするWEB制作会社のOLなど、さまざまなキャリアの女性を演じてきたが、今作では政治家の不正やスキャンダルにぐいぐい迫る週刊誌の辣腕記者役。ドラマ情報解禁時に大石さんが主人公・ケイトについて語った「猪突猛進力、絶望からの回復力、想い全開力」も、まさに吉高さんにぴったり。さらに、ケイトが抱える苦悩を受け止め、関係を深めてしまう“元カレ”役で、柄本さんと運命的な初共演を果たしている。柄本佑「知らなくていいコト」はHuluにて配信中。井浦新×松下洸平との三角関係「最愛」(2021)「これまでにこんなに反響の大きかったドラマはなかった」と、「東京ドラマアウォード2022」で主演女優賞を受賞した際にふり返った吉高さん。監督は塚原あゆ子、プロデューサーは新井順子、脚本は奥寺佐渡子と清水友佳子という強力布陣による本作では、殺人事件の重要参考人となる、性暴力のサバイバーでもあった女性実業家・真田梨央を演じた。梨央の初恋の相手であり事件の真相を追う刑事(松下洸平)、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士(井浦新)とのキリキリするような、でも切ない三角関係はSNSでも大きな話題に。韓国でリメイクされることも決定している。今作は、吉高さんがその年の新人俳優賞を多数受賞した初主演映画『蛇にピアス』(08)にて“シバさん”を演じた井浦さん(当時はARATA)との再共演作であり、井浦さん演じる清濁併せ持つ弁護士の加瀬が梨央を懸命に支えてきた、という設定。今回の「光る君へ」では道長の兄・道隆役として、まひろとどう関わっていくことになるのか、ファンの興味は尽きない。さらに松下さんも、まひろに影響を与える宋から来た見習い医師・周明という大河オリジナルキャラクターで出演!「最愛」メンバーの再結集は注目を集めている。「最愛」はHulu、Netflix、U-NEXTなどにて配信中。既成概念を超えていく出会い「星降る夜に」(2023)大石さんとの再タッグによるラブストーリー。感情を忘れて孤独に生きる産婦人科医・雪宮鈴(吉高さん)と、音のない世界で自由に生きる遺品整理士・柊一星(北村匠海)、命の“はじまり”と“終わり”を見守る2人の立場や年齢差を飛び越えた運命的な結びつきが注目を集めた。「星降る夜に」制作発表記者会見ドラマ情報発表時、大石さんは「孤独な心を胸にしみるリアリズムで表現できる稀有なる女優さん」と吉高さんを表現。「この閉塞した時代を生きる“出来る女の孤独”を、今回もしみじみと表現してくれると思います」とコメントしていたのが印象的。“出来る女の孤独”は、「光る君へ」においても焦点となるだろう。「星降る夜に」はAmazon Prime Video、Netflix、TELASA、U-NEXTなどにて配信中。文学で世を照らした女性に「花子とアン」(2014)2014年3月から放送され、連続テレビ小説第90作目となった本作は、「赤毛のアン」の翻訳家・児童文学者として知られる村岡花子/安東はなが、故郷・山梨から上京して女学校で英語を学び、数々の児童文学を世に送り出していった半生を描く物語。機知に富み、自由で独立した精神を持った花子も吉高さんのハマり役であり、「西郷どん」「Doctor-X」で知られる脚本家・中園ミホはモンゴメリの描いた「赤毛のアン」を花子に重ね合わせて表現した。劇場版として公開される『風よ あらしよ』の柳川強監督が演出を手がけている。「花子とアン」総集編は前編1月7日(日)13時50分~、後編:1月7日(日)15時35分~NHK 総合にて放送。筆1本で立つ、伊藤野枝に『風よ あらしよ 劇場版』100年前、筆1本の力でジェンダー格差や貧困などの社会矛盾に異議を申し立てた伊藤野枝の物語を描いた今作は、NHK BS4K・8Kで放送した特集ドラマの劇場版。伊藤野枝は貧しい家を支えるための結婚を蹴って上京。平塚らいてう(松下奈緒)の言葉に感銘を受け、青鞜社に入ることに。青鞜社は当初、詩歌が中心の女流文学集団だったが、やがて野枝が中心になり婦人解放運動に発展していく。だが、関東大震災が起こり、理不尽な暴力が彼女を襲う――。野枝の文才を見出した第一の夫・辻潤役で稲垣吾郎、夫というより唯一無二のパートナーとなるアナーキスト・大杉栄を永山瑛太が演じる。こちらも、まひろに通じる部分が多い愛に生きながら理想を追求した女性だ。『風よ あらしよ 劇場版』は2月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。(上原礼子)■関連作品:風よ あらしよ 劇場版 2024年2月9日より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開©風よ あらしよ 2024 ©村山由佳/集英社
2024年01月04日ホテルオークラ京都は、紫式部から着想を得た冬限定メニューを2024年1月1日(月)より順次提供する。“紫式部”着想、もっちり食感の花型パン“紫式部”着想のパン「紫季舞」が登場。草花の知識が深い紫式部にちなみ、キュートなフラワー型に仕立てている。ヨーグルトを練り込んだ生地に、紫いもとさつまいもの餡を合わせた、優しい甘さが特徴だ。“やわらかい&もっちり”食感が魅力的なメニューとなっている。“ピンクのグラデーション”が美しいノンアルカクテル柚子サイダーと紫蘇ジュースを使った甘酸っぱいノンアルコールドリンク「若紫」もラインナップ。紫式部の作品『源氏物語』の恋愛模様をテーマに、カシスシロップできれいなピンクのグラデーションを表現した。柑橘をグラスに添えて、爽やかな香りも楽しむことができる。“京都のドライジン”入りカクテルもまた、「季の美 京都ドライジン」をベースとしたカクテル「藤袴」も用意。上で紹介した「若紫」に、和の味わいを堪能できるドライジンをベースとし、カシスリキュールで美しい淡いピンク色が魅力的なドリンクを完成した。【詳細】ホテルオークラ京都 2024年限定メニュー■パン販売期間:2024年1月5日(金)~2月29日(木)提供店舗:焼きたてパン パネッテリア オークラ住所:京都府京都市中京区河原町御池価格:紫季舞 250円※イートインの場合は価格が異なる■カクテル販売期間:2024年1月1日(月)~4月30日(火)販売店舗:ホテルオークラ京都内 レストラン・カフェ・バー 7 店舗 スカイレストラン「ピトレスク」/鉄板焼「ときわ」/ トップラウンジ「オリゾンテ」(ブッフェ)/京料理「入舟」/ 中国料理「桃李」/カフェ「レックコート」/ バー「チッペンデール」※京料理「入舟」はノンアルコールカクテル「若紫」のみ提供価格:若紫 1,000円、藤袴 1,600円※サービス料込※からすま京都ホテル(株式会社京都ホテルが運営)内レストラン・バーでも提供
2023年12月11日来年放送予定の吉高由里子主演大河ドラマ「光る君へ」より、メインビジュアルが公開された。本作は、千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を書き上げた紫式部が主人公の物語。光源氏=光る君のストーリーの原動力は、秘めた情熱とたぐいまれな想像力、そして藤原道長への想い――。吉高さんが紫式部/まひろを、藤原道長を柄本佑が演じるほか、井浦新、高畑充希、三浦翔平、竜星涼、塩野瑛久、黒木華、松下洸平らの出演が決定している。番組制作統括は「衣装がよく似合って本当にきれいな吉高さんの、何枚もの写真の中でハッと惹きつけられたのが、この一枚です。誰かに微笑んでいるような、自分の内面を見つめているような。冷静なような、心の揺れをじっとこらえているような。とらえきれない、そして目を離せないこの表情に、私たちの『まひろ』がいる、と確信しました」と話す。メインビジュアルの制作を担当した市耒健太郎(UNIVERSITY of CREATIVITY主宰)は、「時代を超えても、きっと変わらない人間のきもちがある。今回の大河ドラマのテーマをお伺いして、始めに感じたことです。恋の美しさとはかなさ。運命の優しさと厳しさ。創造性の輝きと葛藤。そんな普遍的な人間らしさを、『この想い1000年前も1000年後も』という言葉に込めました」とコメントしている。大河ドラマ「光る君へ」は2024年1月7日(日)より放送(初回15分拡大)。NHK総合/日曜20時(再放送 翌週土曜13時5分)、BS・BSP4K/日曜18時、BSP4K/日曜12時15分。(シネマカフェ編集部)
2023年11月24日天才作家は、陰キャのシンママ!?笑いが止まらない平安朝コメディ、D・キッサンさんが描く『神作家・紫式部のありえない日々』をご紹介。光源氏と女性たちが活躍する長編小説『源氏物語』。物語は有名でも、著者自身については「あまり知らない」という人も多いのでは。D・キッサンさんも、「紫式部といえば『源氏物語の作者』程度の知識しかなかったです」3年ほど前から『紫式部日記』を中心に調べ始め、気持ちは一変。「実は結婚して2年で夫と死別したとか、30代になって初めて宮仕えで働きに出た、のちに天皇の乳母になるほど出世した娘を育てた、などいろいろわかって。女性の生き方として妙に現代に通じる部分を感じ、興味深い人生だなと思いました」かくて生まれた『神作家・紫式部のありえない日々』は、紫式部の半生を軸にした宮中のコメディ。これがもう、爆笑に次ぐ爆笑なのだ。舞台こそ平安時代だが、現代に引きつけて描かれているので、親近感が湧く。紫式部の控えめな性格を陰キャ、ひとり娘のいる状況をシングルマザー、彼女が打ち込んでいる物語の執筆は同人活動…。見立てのうまさにうなる。作中では『源氏物語』で名を上げる前の香子(こうし)、女房名〈藤式部(とうしきぶ)〉として登場。彼女を取り巻く人々もバラエティ豊かで、物語に花を添える。同人誌のいちばんのファンで腐女子の小少将の君、たおやかで控えめな中宮彰子(しょうし)、彰子が慕う爽やかな帝、紫式部に出仕を勧めた賢いひとり娘〈ケンちゃん〉、スランプの紫式部に「締切」を設けてぐいぐい書かせる倫子(りんし)など、人間模様も面白い。「以前、平安期に変わった感性の才女がいたという設定で『千歳ヲチコチ』という作品を描いたことがあるのですが、まさか実在の才女も描くことになるとは(笑)」高貴な人々の服装、宮中の様子など、興味の尽きない場面がいっぱい。「イマドキのファッションの方が流行り廃りも早いし、着せる服でキャラクターの印象も変わってしまう。私にとっては、この時代の画の方がプレッシャーが少ないくらいです。平安文化や紫式部のファンそれぞれが持っているイメージを壊さないようにしつつ、キャラや宮中の暮らしの魅力は存分に伝えたいので、史実には沿いながらいかに大胆にデフォルメするかに腐心しています」たとえば、他の女房たちから冷たくされて引きこもったことや、自分自身の頭の良さを悟られないようにわざとおっとりふるまったことなどは紫式部の実際のエピソードだ。「彼女の日記には、少し清少納言の悪口が出てくるのも本当です。ふたりの関係性にも興味があるので、連載が続けばそれについても膨らませていけたらと思っています」『神作家・紫式部のありえない日々』1帝と彰子の仲を取り持つ役割も期待されている『源氏物語』。倫子の皮算用は吉と出るのか。『月刊コミックZERO‐SUM』で連載中。2巻はこの秋発売予定。一迅社700円©D・キッサン/一迅社ディー・キッサンマンガ家。奈良県出身。同人活動を経て、2006年、『共鳴せよ!私立轟高校図書委員会』でデビュー。近著に『三千世の心中』など。※『anan』2022年7月6日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年07月04日吉高由里子が、NHK大河ドラマ第63作目となる「光る君へ」に主演することが決定。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を書きあげた紫式部を演じる。2024年の大河ドラマは平安中期に、のちに世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を生み出した、紫式部の人生を描く。武家台頭の時代を目前に、華やかにひらいた平安文化の花。きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した女性の一生に挑戦する大河ドラマ。平安時代といえば、十二単姿の女性が長い髪をひいて伏している絵が印象的。その優雅さはともかく、実は平安はアクティブな時代。男は仕事先や寺社、はては野山まで馬で馳せ、女も自分の財産を持ち、家事のみならず、外に出かけ、宮仕えなどでキャリアを磨く。その生き生きとしたたたずまいは、現代に通じるものさえある。そうはいっても、女性に学問は不要と言われていた時代。主人公の紫式部は、その中で自らの知性と感性、そして努力によって、壮大で精緻な恋愛長編「源氏物語」を書き上げた女性。そんな紫式部の「源氏物語」執筆に欠かせないひとりの男性が、藤原道長。ドラマでは紫式部が生涯心を寄せ、陰に陽に影響しあいながら人生をたどる、いわばパートナーとして登場する。紫式部、藤原道長、そして周りの人々が平安の世に何を思い、懸命に生きていたのか。その心に想いを馳せながら華やかな絵巻を紡いでいく。吉高由里子、鋭い感性を持つ紫式部にそんな本作で主人公の紫式部/まひろを演じるのが、吉高さん。2014年には連続テレビ小説「花子とアン」でヒロインの村岡花子を演じ、ドラマでは「東京タラレバ娘」や「知らなくていいコト」「危険なビーナス」ほか「最愛」も記憶に新しく、大河ドラマへの出演は2008年の「篤姫」以来2回目。平安時代、10世紀後半に京に生を受けた「まひろ」。藤原家の生まれではあるが、父は受領階級で、けっして裕福ではなかった。幼いころ母を失うが、学問をつかさどる父のもとで並外れた文学の才を発揮、想像力と好奇心を育んできたまひろは、考え深く鋭い感性を持つ女性へと成長する。数歳年上の藤原道長とは少女のころに知り合い、惹かれ合うも、身分差に阻まれる。やがてはるかに年上の男性と結婚して娘を授かるも、死別。一人娘を育てながら、のちに「源氏物語」として知られる長編小説を書きはじめる。道長との縁が絶えることは終生なく、彼への愛憎は、まひろの人生をさいなみ、そして花開かせる。「源氏物語」の評判が高まり、まひろは道長の求めで、その長女の中宮・彰子に仕える宮中の女房となる。現代でいえば華やかなキャリアウーマン。一方で、まひろが書きつづる「源氏物語」は、道長のバックアップを受け、天皇や貴族の間で大ベストセラーに。ヒロインの紫の上にちなみ、まひろに「紫」の呼び名が冠されることになる。この物語を紡ぐのは、NHK連続テレビ小説「ふたりっ子」では第15回向田邦子賞と第5回橋田賞、2011年に「セカンドバージン」(NHK)では東京ドラマアウォード脚本賞、21年にNHK放送文化賞を受賞、さらに同年に旭日小綬章を綬章した大石静。これまでの執筆作に連続テレビ小説「オードリー」や、大河ドラマ「功名が辻」ほか、「家売るオンナ」「大恋愛~僕を忘れる君と」「あのときキスしておけば」「和田家の男たち」など多数、「知らなくていいコト」でも吉高さんを主演に迎えている。制作統括・内田ゆき「平安の女性像」に注目「そろそろ女性の主人公がきてもいいのでは?」と考えたという内田氏。そんな中で浮かんできたのが、平安時代、源氏物語」の作者の紫式部だったという。「千年の時を超えて現代語訳や二次創作を生み出し続け、世界20か国以上で翻訳されているこの物語の作者について、わかっていることは多くはありません。しかし彼女について探るうちに、鍵となるモノが二つ。ひとつは、意外にも活動的で男性貴族とも対等に付き合い、政治にさえも大きな役割を果たしていた平安の女性像。もうひとつは最高権力者となった藤原道長と紫式部の『近さ』でした。二人は年代的にも物理的にもいくつもの接点を持っていたのです」と語る。「平安時代の多くの女性の名前は判然としません。紫式部も然りです。そこで私たちは、心に燃えるものを秘めた個性的な主人公に『まひろ』という名をつけました。のちに歴史上もっとも有名な女性の一人となった彼女は、なぜ、この完全無欠な男性を彩る愛の物語を書いたのか。そこに、彼女の人生に欠かせない片割れ、ソウルメイトとして藤原道長が大きく関わっていたのではないか。そして彼女が見聞きした、愛憎と権力が渦巻く宮中での、天皇や貴族たちの生きざまは、どのように物語に取り入れられていったのか。これまでにない挑戦となるドラマには、想像の余地があふれています」と見どころをコメント。「女性の人生と恋愛を描く脚本で、トップを走り続ける大石静さんをお迎えすることができました。そして主人公の紫式部、まひろ役には吉高由里子さん。吉高さんならば、書かずにはいられない女・まひろの情熱と、強くしなやかな生きざまを表現してくださることと、嬉しく、心強く感じております」と、2人のタッグに大きな期待を寄せている。大河ドラマ「光る君へ」は2024年1月~放送予定、2023年夏クランクイン予定。(text:cinemacafe.net)
2022年05月11日柳楽優弥と田中泯で、葛飾北斎の知られざる生涯を初めて描く映画『HOKUSAI』。この度、老齢の北斎の描く作品に共感する、江戸随一の人気戯作者・柳亭種彦役を演じた永山瑛太の場面写真が到着。武士でありながら独創的な作品を生み出し続けた柳亭種彦の一面をとらえている。紫式部の「源氏物語」をなぞり、江戸城の大奥を表現したとされる「偐紫田舎源氏」を代表作に持つ戯作者・柳亭種彦。本作では、表現者たちの創作の自由が幕府によって厳しく抑え込まれていた時代に、芸術を取り締まる立場である武士の家系に生まれながらも身分を隠し、優れた文才で一気に人気となった作家として描かれる。北斎の老年期において欠かすことのできない非常に重要な人物であり、己の創作意欲を止められないその生き様に北斎は共鳴し、幾度となくタッグを組み北斎の盟友とも呼べる存在。生まれた時から定められた自らの運命に抗いながら、己の人生をかけて信念を貫き通す、その堅固な意志は静かながらも熱く沸々と湧き上がる強い思い。その感情を胸に抱きながら、覚悟をもってひたむきに突き進む人物、柳亭種彦を永山さんが迫力の演技で魅せる。永山さんは『アヒルと鴨のコインロッカー』や『ディア・ドクター』、『余命1ヶ月の花嫁』などで着実に注目を集め、TVシリーズ&映画『まほろ駅前』シリーズ、『ミックス。』からNHK大河ドラマ「西郷どん」、『友罪』などまで数多くの話題作に出演。幅広い役どころを演じ、高い演技力が評価されている。また、4月16日より放送中のTVドラマ「リコカツ」(TBSテレビ系)にも出演しており、これまでにあまりなかった肉体派で、厳格な家庭に育った堅物ぶりから生まれるコミカルさが早くも話題を呼んでいる。今回、そんな永山さんが演じる、北斎(田中泯)にとってキーパーソンとなる柳亭種彦の姿が収められた場面写真が到着。江戸後期、表現に対する取り締まりが強化され、多くの絵師や戯作者が処罰される中、武士である種彦も執筆活動を続けるか否か悩み始めることに。種彦は、浮世絵を描くことに強い執着を持つ北斎に相談することで、納得のいく答えを探す。場面写真には、思い悩んでいた種彦が力強いまなざしで何か覚悟を決めたかのような表情をする姿が切り取られており、気迫が満ちあふれる1枚に。そして、種彦と北斎、2人の信頼関係や盟友ぶりが垣間見える場面写真も。種彦を良きパートナーとして信頼し、自身の天望を語りかける北斎とその北斎の飽くなき探究心と生涯通して絵を描き続ける覚悟や生き様に感銘を受け、尊敬の眼差しで北斎を見る姿が写し出されている。大きな困難を乗り越えた北斎は「冨嶽三十六景」の数々と「神奈川沖浪裏」を見事に描き出す。多くの人が「冨嶽三十六景」を買い求める中、種彦も北斎の力作を目にし、その鬼気迫る作品群から長年タッグを組んできた北斎のまだ見ぬ才能と情熱に衝撃を受ける種彦の姿も収められている。『HOKUSAI』は5月28日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:HOKUSAI 2021年5月28日(金)より全国にて公開。©2020 HOKUSAI MOVIE
2021年04月23日10軒の一軒家が並ぶ袋小路。普段は平穏なこの住宅地だが、女性横領犯が刑務所を脱走、この地域に向かっているというニュースが流れ、住民たちはそれぞれの思いを抱く。津村記久子さんの新作『つまらない住宅地のすべての家』は、そこから始まる人間模様を巧みな筆さばきで描き出す長編小説だ。静かな住宅地に起きたさざなみ。隣人の顔が見えてくる群像劇。「テレビで容疑者の逃亡事件がニュース速報で流れるたびに、犯人が逃げている方面に住んでいる人たちってどんな気持ちだろうって必ず想像するんです」もうひとつのきっかけは大好きな作家、マーガレット・ミラーのミステリー『まるで天使のような』。「私立探偵が人捜しを依頼される話ですが、銀行の金を横領して捕まったアルバータという女性が出てくるんです。重要ですが登場シーンは少ない人物で、もっとこの人のことを読みたいと思っていました」本作の脱獄犯・日置はこの地域出身で、住民の中には元同級生もいる。住民たちは彼女が逃げ込んでくるに違いないと判断、交代で見張りを立てることに。10世帯それぞれの人物造形が秀逸。登場人物は多いが、ステレオタイプが一人もいない。不穏な人間もいて、幼い少女を誘拐しようと企む男や、言うことを聞かない息子を閉じ込めようとしている両親もいる。「誘拐を企む望という男は、自分は世間から奪われてきたから奪い返さないといけない、と図式的に考えている。そういう人が近所の人たちの中に放り込まれた時、違う窓が開くんです。望が隣のおばあさんに萌えポスターを見られて意外な反応をされる場面は、力を入れて書きました」見張りを置くことを提案したのは自治会長の丸川だが、彼はシステマティックに物事を考えるタイプ。「礼儀正しいけれどビジネスライクな人ですが、そのほうが接しやすいこともある。感情のこもった交流のほうがいいと言われがちだけど、それは言いすぎやと感じています」一方、笠原家の老夫婦と松山という壮年の一人暮らし男性は、普段から一緒に七並べをする仲。「以前、『探偵!ナイトスクープ』で、母親が夜出かけるのが怪しいという調査依頼があって、調べたら近所の人たちと七並べしていたんです。それがすごく楽しそうで、いつか小説にしてみたかった(笑)」ただ、多くの住民は日頃は交流はなく、隣人のこともよく知らずにいた。それが逃亡犯のニュースによって変わり、人生に影響を与えていく。「日置は目的があって逃亡していて、住民たちのことは考えてもいない。私は“あなたの人生を変えてあげます”といって現れるものは信用していません。おこがましいわーって思う。人生が変わる瞬間は、小さな偶然の結果であってほしいし、全然違う方向から吹いてきた風が変化を与えることもある。だから失望するなって言いたかったのかもしれない」終盤はそれぞれの行動が絡み合って意外な結果を生み、伏線が回収される爽快感が。ちなみに3世代が暮らす長谷川家の祖母にラスボスのような風格があるが、「ロス・マクドナルドの『さむけ』のある怖い登場人物をモデルにしています。今回は大好きな夫婦作家(※ミラーとマクドナルドは夫婦)の影響を受けて書きました!そこにナイトスクープも入れました!という感じですね(笑)」その結果、津村さんならではの極上の群像劇が生まれたわけだ。『つまらない住宅地のすべての家』コンビニもない静かな住宅地。横領犯の女性が脱獄、この地域に向かっていると知った住民たちは交代で見張り番を立てることに。それぞれの反応と事情とは。20人以上の日常が絶妙に交錯する群像劇。双葉社1760円つむら・きくこ1978年、大阪府生まれ。’09年「ポトスライムの舟」で芥川賞、’16年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、’17年『浮遊霊ブラジル』で紫式部文学賞など受賞多数。※『anan』2021年4月21日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2021年04月20日「愛しい」という言葉を感覚的に使っているかもしれないけれど、その言葉の本来持っている意味や、その思いがもたらすさまざまなことを、実はあまり知らない私たち。そんな「愛しい」を言語学から解剖。どこか掴みどころのないこの感情の正体に迫ります。実は繊細な心理を表している!「愛しい」という言葉の意味は。言語学的な観点から「愛しい」にアプローチ。辞書に記されている意外な意味や、言葉の中に含まれているニュアンス、語源などを言語学者の金田一秀穂先生が解説。その豊かで奥深い意味を知れば、これまで以上に思いを込めて、より大切な場面で使いたくなるはず。「愛しい」は苦しいほど好きな思い。辞書によると「愛しい」は、(1)かわいい、こいしい。(2)かわいそうだ。を意味する言葉(『新レインボー小学国語辞典改訂第6版』学研プラス/金田一春彦・金田一秀穂監修より)。一般的に(1)の意味で使っている人が多いと思うけれど、「かわいそうだ」という意味もあるなんて!しかも、まるで違う意味が一つの言葉に同居しているのも興味深い。「実は日本語には、『愛しい』のように相反する意味が一緒になっている言葉が少なからずあるんです。似たようなところでいうと、『胸キュン』なんてまさにそう。“キュン”って胸が締めつけられるような状態を表す言葉ですよね。でも、ただときめいていれば、胸は苦しくならずに済むはず。そうじゃなくて、ときめきと同時に苦しさも伴うのが『胸キュン』なのです。同じく『愛しい』も、かわいそうとか気の毒とか、ある種の痛みを感じるほど、かわいい、こいしいと思っているということ。単なる『かわいい』だけにとどまらず、それ以上の気持ちを表す言葉なのです」「愛しい」は「厭う」が語源との説。そもそも「愛しい」の語源は、嫌うという意味を持つ「厭う」とされている。「『嫌い』と『かわいい』は対極の意味ではありますが、古(いにしえ)より日本人は、この2つの気持ちがごく近くにあると感じていたようです。かわいいと思っているぶん、大嫌いになることもあるし、その逆もある。『厭う』が転じて『愛しい』になったのは、そんな心模様を表してのことでしょう。日本語には『愛しい』のほかにも、辛さと喜びが混ざった感情を表現した言葉がさまざまあります」ちなみに「愛しい」の2番目の意味には語源の「厭う」にも通じる「かわいそうだ」があるが、その意味で「愛しい」を使うことは現代語ではまずないという。それでも辞書に載っているのはなぜ?「使わないとはいえ『かわいそうだ』を省いてしまうと、『愛しい』の本来の意味が伝わらなくなるからだと思います。『かわいそうだ』もあることにより、単純な言葉ではないとわかるはずです」平安時代から使われている!「愛しい」は「愛おしい」という言い方もするが、この2つには意味や使い方の違いがあるのだろうか。「意味はどちらも同じ。ただし、『愛しい』より『愛おしい』のほうが古い言葉のようですね。時を経て言いやすいように『愛しい』と短くなったのでしょう」では、もとの言い方である「愛おしい」は、いつ頃から使われるようになったのか。歴史を辿ると、平安時代の文献に登場していたことが明らかに。「『源氏物語』にはよく出てきますし、『竹取物語』でも使われています。どれもそれこそ『かわいい』と『かわいそうだ』の両方を含んだ意味合いで用いられている。昔の日本人は研究熱心というか、自分の感情にぴったり当てはまる言葉を、一生懸命考えていたんでしょうね。それを紫式部や清少納言が著すことで、読んだ人たちが『この気持ちわかる!』と使うようになり、広まっていったのです」会話の中で使わないのはなぜ?「愛しい」の用途については、少し不思議なところもある。小説などの文章や歌詞の中には出てくるのに、日常会話であまり使わないのはどうしてなのだろう。「それは古い言葉ならではのわかりにくさがあると思います。そもそも意味も複雑です。文章の場合は、それがむしろ言葉の深みにつながりますが、会話となると『好き』と言ったほうが簡単だし、伝わりやすい。だから話し言葉の中ではあまり使われないのでしょう。ただ、このようにありきたりの話し言葉になると、言葉の意味が軽くなってしまう。やはり『愛しい』と言ったほうがふさわしい感情はありますし、とてもいい言葉でもあるので、日常会話でも使う人が増えるようになったらいいなと思います」とはいえ、安易に使いすぎると、言葉の価値が下がってしまうという。「たとえば『絆』なんて、そうですよね。本当はとてもいい言葉なのに、一時期使われすぎて、空々しい印象になってしまった。言葉の意味を実感せずになんとなく使っていると、嘘っぽく聞こえてしまう。だから『愛しい』も、まずはその意味をきちんと理解することが大切だと思います。実感できていないうちに使うと変な感じがすると思いますが、何かに対して愛しいという感情が納得できたときには、違和感なく言葉にできるはず」愛しい対象は大切で守りたい相手。では、「愛しい」という言葉は、何に対して使われるのか。「一番顕著なのが、お母さんから子どもに使う場面です。そこには相手をとても大切に思う気持ちがあって、だからこそ守りたくなる。どちらかというと保護的な関係で使われるんです。あとはペットとか、自分より弱いものに対して使うことが多いような気がします」基本はそうであれ、たとえば大人の男性など、自分より弱くなさそうな相手に対して「愛しい」気持ちになることもあると思うけれど…。「相手にかわいさを感じるなら、その人が自分より弱くなくても愛しいと思うことはあるでしょう。最近は“おじキュン”なんて言葉もあるくらいなので、何をかわいいと思うかは人それぞれ。たとえば豪傑な人の弱い部分をたまたま見たとか、いつもではなく、何かの瞬間に愛しいと思うこともあるのです」自然と出てきたら大人の表れ。ここまでさまざまな角度から「愛しい」を深掘りしてきたが、この言葉には、どこか成熟したニュアンスが感じられる。金田一先生曰く、「ある程度、大人にならないと使わない言葉」なのだという。「『愛しい』は痛々しく感じるほど相手を思う気持ちです。こういう複雑な感情が理解できるようになるのは、年齢的にも精神的にも成長してから。だから、子どもは誰かのことを『愛しい』と思わないんです。相手への好意は『好き』や『かわいい』といった単純な言葉で表します。つまり、『愛しい』が自然と出てきたなら、その意味を実感できるほど大人になっている、といえるでしょう」それにしても、たったひとつの言葉の中に、これほどの要素が詰まっているなんて!こんなにも豊かに言葉に感情表現を込めるのは、日本語ならでは?「そこは難しいところで、母国語だからよくわかるわけで、もしかしたら他の国にもあるかもしれません。ただ、日本語には、色でたとえると中間色のような言葉がたくさんあって、そこから日本人の感じ方、考え方みたいなものが見えてくる。『愛しい』は、まさにそんな日本の大事な文化を表す言葉だと思います」きんだいち・ひでほ杏林大学外国語学部教授。祖父・金田一京助氏、父・金田一春彦氏に続く、日本語研究の大家。『日本語のへそ』(青春出版社)、『金田一秀穂の心地よい日本語』(KADOKAWA)など著書多数。※『anan』2021年2月17日号より。イラスト・micca取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2021年02月10日1.『悲しみよこんにちは』フランソワーズ・サガンフランスを代表する作家・サガンが18歳のときに出版したデビュー作。世界的なベストセラーとなりました。18歳のヒロイン・セシルが、ひと夏のヴァカンスで大人の女性へと変わってゆくさまが、衝撃的なラストへ向かって描かれています。本作のテーマは「悲しみよ、こんにちは」というタイトルに集約されています。大人になることは、孤独や虚無、そして悲しみを受け容れること。その悲しみにむかって「こんにちは」と言えることが、大人の女性になる、ということなのかもしれません。2.『マチネの終わりに』平野 啓一郎芥川賞作家・平野啓一郎氏による、映画化もされた恋愛小説です。天才クラシックギタリストの蒔野は、コンサート後の楽屋でジャーナリストとして活躍する洋子と出会います。蒔野は婚約者のいる洋子に惹かれ、洋子もまた蒔野に運命を感じます。東京・ニューヨーク・パリ・イラクを舞台に展開する大人のドラマは、まさに上質なクラシックのマチネ=演奏会を聞いているかのよう。本作のテーマは、本当に愛した人との恋愛の行方です。惹かれ合いながら、すれ違いや誤解によって結ばれることのない蒔野と洋子は、物語の中で、たった三回しか会っていません。大人だからこそ、若い頃のように大きく踏み出すことができない。でも、真実の愛や運命は信じたい。それこそ、DRESS世代が最も共感できるポイントかもしれません。福山雅治さん、石田ゆり子さん主演の映画も素晴らしくて、筆者は映画館で二回観ました。3.『マディソン郡の橋』ロバート・ジェームズ・ウォラークリント・イーストウッドとメリル・ストリープが主演し、映画版が大ヒットした本作。アメリカ・アイオワ州の片田舎で出会った主婦と、中年のカメラマンのたった四日間の恋物語です。結婚15年目で、毎日変わらない日々を送っていた農場の主婦・フランチェスカは、夫と子どもがでかけ、四日間ひとりで過ごすことになります。そこへ道をたずねてきたのが、カメラマンのロバート。ふたりは惹かれ合い、四日間の濃密な日々を過ごしますが……。出会うタイミングが違っただけで結ばれることのできなかったふたり。でも、そのタイミングでなければ出会うことはなかった。誰の人生にも起こりうる濃密な時間が、クライマックスで永遠の愛に昇華されます。長い人生、いつか起こるかもしれない情熱的な恋愛について、想いをはせてみてはいかがでしょうか?4.『源氏物語』紫式部平安時代に書かれた源氏物語が、世界最古の小説であり、恋愛小説であるということを、ご存知でしたか? それ以前も『古事記』や『伊勢物語』などがありますが、いずれも作者は不明。ひとりの作者が書いた本としては、『源氏物語』が最も古い物語なのです。ご存知の通り『源氏物語』は、イケメン貴族・光源氏の、魅力的な女性たちとの恋愛と、政治的謀略や権力闘争などが描かれます。あらためて読むと『源氏物語』の中に、恋愛ドラマや映画で描かれる要素はすべて含まれています。仕事や目の前のことに追われ、恋愛から遠ざかってしまっている……という人にぜひ、世界最古の物語小説が恋愛小説であったことの意味を、味わっていただきたいと思います。5.『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ2019年、アメリカで一番売れた本。アメリカ南東部の湿地帯で、家族に捨てられ、湿地帯でひとり生きる少女カイヤ。彼女が愛したふたりの男性と、壮大な自然の摂理の中で生きることの意味。分厚い本ですが、冒頭からひきこまれ、あっという間に読み終えてしまいます。物語は、カイヤと関係をもった男性の死体が、湿地帯で見つかるというシーンから始まります。ミステリーのような展開と、孤独な少女が自然とともにたくましく成長してゆく物語は、衝撃的な結末へとかけぬけてゆきます。人との関わりをもたなかったカイヤが、恋愛におけるさまざまな感情を、自然の摂理と重ね合わせて理解しようとするシーンに、深く考えさせれます。情報と人工物に囲まれてしまった私たちは、本来「動物」である自分たちの恋愛について、どれくらい理解できているのだろうか……ということを考えながら本を閉じました。■大人の恋愛小説に女性の人生が詰まっている映画やドラマ、マンガと違い、小説は言葉を通して、自分が主人公になったかのような気持ちで、別世界を疑似体験できます。恋愛小説こそ、大人の女性にって、最も必要な本かもしれませんね。
2021年01月02日映画『十二単衣を着た悪魔』(11月6日公開)の完成報告会見が20日に東京・セルリアンタワー能楽堂で行われ、伊藤健太郎、三吉彩花、伊藤沙莉、山村紅葉、笹野高史、LiLiCo、黒木瞳監督が登場した。同作は脚本家・小説家の内館牧子による長編小説『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』の実写化作。就職試験を立て続けに落ちているフリーターの雷(伊藤)は、激しい雷雨に見舞われ気を失い、目覚めると1,000年以上も昔に紫式部によって書かれた『源氏物語』の世界にいた。アルバイト先で配られた『源氏物語』のあらすじ本のおかげで陰陽師として弘徽殿女御(三吉彩花)に見出され、息子を帝にしようと野心に燃える弘徽殿女御に翻弄されながらも次第に触発され支えていこうと決心する。女優の黒木瞳が監督を務める。主人公・雷との共通点を聞かれ「あの平安時代に急に飛び込んで、意外とすんなりと対応していく姿。今自分が平安時代にタイムスリップしたら、最初は驚くだろうけど、対応するだろうなというところはちょっと似ているかも」と答える伊藤健太郎。黒木監督は「最初からスタッフの中で、伊藤健太郎さんでという想いがありまして、受けて下さるかしらと不安がありました。たまたま私が出演しているラジオ局の番組の収録に行く際に、エレベーターのドアが開くと、真正面にポスターが貼られていまして、エレベーターが開くと伊藤健太郎さんがいらっしゃる。この方が雷ちゃんを演じてくれたらなぁと思っておりましたが、念願かなって嬉しかったです。ずっと見つめて、いいえ、見つめられてて良かったです」と伊藤健太郎の出演を熱望していたという。そのラブコールっぷりを聞かされた伊藤健太郎は、「見つめててよかったです」と笑顔を見せた。弘徽殿女御を演じた三吉は「ここまで強い女性を演じたのは初めてなんですけれども、だんだん自分の息子の為にとか誰かのためにとか愛情をもって何を犠牲にしてでも貫いていく姿勢に、この人についていきたいなと自然に感じることができて、弘徽殿女御への熱い想いを聞かせていただいて愛着がわいてきました。監督からセリフの発声の仕方から、滑らかさ、強さ、高さなど、細かく指導していただきました」と明かす。黒木監督は、「ヘア、十二単衣が似合う三吉ちゃん以外、弘徽殿女御はいないと思いました」と太鼓判を押した。伊藤健太郎との共演経験もある伊藤沙莉は、今回雷の妻役で登場。黒木監督がテレビを見てオファーしたという話に「凄くシンプルで嬉しかったです。現代を生きる女性は演じてきましたが、時代を超えて生きる女性を演じることが少なく、経験として踏まなければならないと思っていた時期にオファー頂いて、黒木組でその経験が出来たのがすごく嬉しかったです」と喜びを表す。黒木監督は「連ドラに出ている沙莉ちゃんをみて、倫子がいると思ってテレビ画面を写メっていました。後日制作プロデューサーに沙莉さんを提案してみると、なんと制作プロデューサーも私に提案しようと思ってくださってたみたいで」とイメージにぴったりのようだった。「タイトルにちなんで、この人、こういうところが悪魔だなと思った経験」について聞かれると、山村は「普段監督は天使だと思っているのですが、撮影中、ダイエット企画であと3㎏痩せないといけない状況なのに、監督は寒いのでと気遣ってくださって、温かい豚汁、おどん、炊き込みご飯などご用意くださってたのに、私は冷たいサラダを食べてまして、この時監督が“悪魔”に見えました」と監督悪魔説を暴露し、キャストは大爆笑。主演を務めた伊藤健太郎は、最後に「こういった時期に、公開が近づいてきて、能楽堂という場所で、皆様に完成を報告する機会を設けられたことを、光栄に思っています。主人公の雷の様に、映画の中にタイムスリップしていただき、ちょっとした非現実的体験をご体験頂ければと思っております。公開しましたら、是非劇場に足を運んでくださればと願っています」と締めくくった。
2020年10月20日漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第67回アクマの辞典マ行【モ】➤「元カレ」(もとかれ)今回のテーマはマ行から「元カレ」だ。「元カレが忘れられない、執着してしまう女について語ってほしい」と担当に言われたのだが、私個人は「元カレに執着している女」にお会いしたことがない。私が知っている女たちから「元カレ」という言葉が出てくのすら稀であり、大体「あのクソ」「パチンカス」「全身海綿体」などのような仮称を用いて語られることが多い。つまり、女が元カレの話をする時は、未練よりも圧倒的に「悪口」が多いのである。もちろん、一瞬でも好きでつきあっていた人間の悪口を言うのは褒められた行為ではない。そいつがクソだったら、クソと寝たり、クソのクソを口に入れたりしたお前はどんなスカトロウーマンだよ、という話になってしまう。しかし、人にもよるだろうが、私は元カレの愚痴や悪口を聞くのはそんなに嫌いではない、少なくともノロケよりは目を開けて聞く気になる。よって女子会では、彼氏と別れた女が元カレのクソっぷりをプレゼンし、それに深く頷きあうという、クソ元カレ品評会が割とよく開催される。もちろん別れたあとしばらく落ち込んでいる女もいるが、次の彼氏ができたらもう忘れているし、元カレを懐かしむとしたら「もっとすごいクソとつきあってしまったため、クソと思っていた元カレがカレーに見えてきた」というケースぐらいである。昔から、女は上書き保存、男はフォルダ別保存などと言われるように、女は新しい彼氏ができたら元カレのことはすぐ忘れるが、男は今までつきあった女たちをいつまでも覚えている、と考えられている。しかし、今の世の中、性差だけで物事を語るのは炎上のもとである、全て「無題」で上書きしてしまう男もいれば「数学レポート01」みたいな、エロフォルダにつけるような名前をつけて全部保存している女もいるだろう。元パートナーに対する未練に関し、男女でそのような傾向があるのだとしたら、男女の精神構造の違いというより「役割の差」が関係しているような気がする。「別れてあいつの大切さがわかった」という男の話をよくよく聞いてみると「別れたら、部屋が汚くなった」などと言っているケースが結構あるのだ。つまり、彼女と別れたことにより、自分の生活水準が下がってしまったため相手に対し「未練」を感じているのである。また、そのように甲斐甲斐しく世話された記憶があるため「今でも俺を好きな可能性がある女」として一応フォルダ保存してしまっているのかもしれない。逆にそういう男とつきあっていた女は別れたことにより、世話を焼かなければいけない相手がいなくなり、生活水準が上がる。そのため「早く別れれば良かった」としか思わないし「自分に何もしてくれなかった男」を保存してメモリを無駄する意味もないのでさっさと消すか、上書きしてしまう。どちらかというと日本には、女は男の生活的世話を焼くものといった風潮があるため、このような差が生まれたと言えなくもない。「男は妻が先に死ぬとすぐ弱って死ぬ」のは、男の心が弱いというわけではなく、今まで健康的生活を提供してくれていた相手がいなくなったせいで、急速に健康を害すからとの説もあるそうだ。男女の役割に差がなくなれば、これらの男女差も自ずとなくなっていくのかもしれない。つまり「未練」というのは「自分がその相手とつきあうことで、どれだけ良い思いをできたか」なのである。--------------------------■マ行【マ】➤「マッチングアプリ」(まっちんぐあぷり)…まずマッチングアプリを選ぶところから始めないと、既婚者とマッチングするはめになる【ミ】➤「ミニマリスト」(みにまりすと)…パートナーの物を捨てるのはミニマリストではなくモラハラ【ム】➤「紫式部」(むらさきしきぶ)…ピクシブに投稿したR18小説が後世に残った裏アカ女子【メ】➤「メンヘラ製造機」(めんへらせいぞうき)…製造機側は俺の行く先々になぜかメンヘラがいると思っている【モ】➤「元カレ」(もとかれ)…元カレが思わぬ成功をして、時間差未練を感じる場合もある**************************プロフィールカレー沢薫漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。『ひとりでしにたい』 (モーニング KC)、『きみにかわれるまえに』 (ニチブンコミックス)も発売中。
2020年10月05日俳優の伊藤健太郎が主演を務める、映画『十二単衣を着た悪魔』(11月6日公開)のビジュアル&予告編が2日、公開された。同作は脚本家・小説家の内館牧子による長編小説『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』の実写化作。就職試験を立て続けに落ちているフリーターの雷(伊藤)は、激しい雷雨に見舞われ気を失い、目覚めると1,000年以上も昔に紫式部によって書かれた『源氏物語』の世界にいた。アルバイト先で配られた『源氏物語』のあらすじ本のおかげで陰陽師として弘徽殿女御(三吉彩花)に見出され、息子を帝にしようと野心に燃える弘徽殿女御に翻弄されながらも次第に触発され支えていこうと決心する。女優の黒木瞳が監督を務める。この度解禁されたビジュアルでは、キャストたちが平安時代の色合いや再現にこだわり抜かれた衣裳に身を包む。着物にパーカーインの伊藤と、初めて十二単衣を身に纏ったという三吉の姿が。黒木監督がとことん拘り抜いたというが、特に力を注いだのが弘徽殿女御が初登場する際に着用している十二単衣の色合いで、「この十二単衣は渾身の組み合わせ、ベスト・オブ・ベスト」と言わしめるほどだったという。初解禁となった予告編では、就職活動もうまくいかない、彼女にもフラれ、家にも居場所がない、落ちこぼれの伊藤雷が、バイト先でもらった「源氏物語」のパンフレットを手に雷に打たれ、目が覚めると「源氏物語」の世界へタイムスリップ。ひょんなことから“悪魔”と呼び声高い弘徽殿女御付きの陰陽師として新たに人生を歩み始める。ヘタレニート街道まっしぐらだった雷が、「源氏物語」という時空を超えた世界で出会った弘徽殿女御、恋に落ちる倫子(伊藤沙莉)ら様々な人々と関わることで、自分の進むべき未来を見つけようともがいていく。三吉彩花演じる弘徽殿女御役の「可愛い女にはバカでもなれる」「言いたい事を言って何が悪い」などエッジの効いたセリフも見どころ。OKAMOTO’S が歌う主題歌「History」にのせ映画の世界を彩る予告編となった。
2020年09月02日「志村ふくみ展 いのちを織る」が、兵庫・姫路市立美術館にて、2020年7月4日(土)から8月30日(日)まで開催される。人間国宝・志村ふくみの約60年にわたる創作の歩み志村ふくみは、絹に草木染めを施した"紬糸”から織りあげた“紬織(つむぎおり)”で知られる、人間国宝の染織家だ。野山の草木から採取した染料で染めた糸と独自の図案で織りあげられた作品の数々には、鮮やかさや繊細さ、独特の気品が漂い、多くの人びとを魅了してきた。草木染めと独自の感性で織り上げた紬織約100点を展示「志村ふくみ展 いのちを織る」は、志村ふくみの約60年にわたる創作の歩みと、その芸術の核心に迫る展覧会。滋賀県立近代美術館が所蔵するコレクションを中心に、主要な紬織着物100点を、織物の生地見本を貼った裂帖や染糸などとともに紹介する。『源氏物語』シリーズを展示見どころは、紫式部の『源氏物語』をテーマに制作した紬織着物のシリーズだ。従来、染織品で文学作品をテーマとする場合、その場面に現れる人物や植物を染や織、刺繍などで描写してきた。しかし志村は、文中での草木や衣装などの色の記述に着目し、色のグラデーションや幾何学的な文様により場面を表現した。本展では、《松風》や《夕顔》など、日本の文化に対する深い考察に基づく着物のシリーズを、前期・後期あわせて14点展示する。草創期から円熟期までをたどるほかにも、やさしい赤色を織りあげた《茜》、志村ならではの世界が自在に発展されていく時期に作られた《梔子熨斗目》や《聖堂》など、草創期から円熟期までいたる各時期の紬織作品を展示。加えて、志村自らが裂を手に取り、配置や配色を考えながら制作した六曲の金屏風《小桉・雪輪屏風》も紹介する。展覧会概要展覧会「志村ふくみ展 いのちを織る」会期:2020年7月4日(土)~2020年8月30日(日) ※展示替えあり[前期 7月4日(土)~8月2日(日) / 後期 8月4日(火)~8月30日(日)]会場:姫路市立美術館 企画展示室住所:兵庫県姫路市本町68-25休館日:月曜日(8月10日は開館)、8月11日(火)開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)※会期中の金・土曜日、および8月9日(日)は20:00まで(入館は19:30まで)観覧料:一般 1,000円(800円)、大学・高校生 600円(400円)、中・小学生 200円(100円)※( )内は20名以上の団体料金※展覧会会期は変更ないし中止となる場合あり(詳細は姫路市立美術館ホームページを確認)【問い合わせ先】姫路市立美術館TEL:079-222-2288
2020年05月28日琵琶湖ホテルの「バー ベルラーゴ」では、2018年10月1日(月)から12月31日(月)までの期間、「百人一首カクテル」~女性歌人の夜長~を提供する。2018年9月で1周年を迎えた「百人一首カクテル」は、これまでたくさんの女性から好評を得てきた。今回は、女性の心を詠った女性歌人をセレクト。これから迎える秋の夜にふさわしい3首を取り上げ、奥深く幅広い百人一首の世界をカクテルで表現してみせた。歌右大将道綱母(藤原道綱母)が詠んだ「嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る」は、3層のグラデーションが美しいカクテルで、浮気性である夫を待ち続けた歌を表現。孤独な夜を嘆く複雑な心情を表した下層部は、時間の経過と共に溶け出すカンパリとグレープフルーツのリキュールで凍らせたシャーベットを使用。ブルーの部分には、すみれとマスカットのリキュールを使用したゼリーを重ね、深まった暗い夜をイメージした。紫式部の歌「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな」は、すもものリキュールとブランデーの甘酸っぱいカクテルで表現。幼友達と再会し、積もる話もできずに去られてしまった寂しさをイメージしだドリンクは、大胆に真空調理したりんごのガーニッシュと、白いムースのような泡状の桃で、雲間に隠れてしまう“夜半の月”をイメージした。その他にも、オレンジのノンアルコールカクテルと果肉に加え、すみれのリキュールをベースに、りんごリキュールと洋ナシのシロップを忍ばせた2層のカクテルや、ハーブティーにエルダーフラワーのシロップをアクセントに加えたノンアルコールカクテルを用意する。【詳細】「百人一首カクテル」~女性歌人の夜長~提供期間:2018年10月1日(月)~12月31日(月) 17:00~23:00提供場所:琵琶湖ホテル2階「バー ベルラーゴ」住所:滋賀県大津市浜町2-40料金:1,400円(税込)~ ※サービス料込【問い合わせ先】琵琶湖ホテル レストラン予約TEL:077-524-1225(9:00~20:00)
2018年09月23日斉藤由貴(51)が4月に放送されるスペシャルドラマ「黒井戸殺し」(フジテレビ系)でドラマ復帰すると2月14日、分かった。斉藤のドラマ出演は、昨年7月期の「カンナさーん!」(TBS系)以来7カ月ぶりとなる。 今作は、アガサ・クリスティの名作「アクロイド殺し」を日本で初めて映像化するというもの。野村萬斎(51)が主演を務め、斉藤はその相棒の姉“カナ”を演じる。斉藤は自身の役柄について、同局のホームページ上で回想している。 「カナは明るくかわいらしいキャラクターですが、実は大きな秘密を抱えている役どころでとてもやりがいがありました」。 今作の脚本を務めたのは、斉藤の大ファンである三谷幸喜(56)。昨年末の“キス不倫騒動”の最中も三谷が勇気づけてくれたことを1月、第60回ブルーリボン賞の助演女優賞を受賞した際に斉藤は明かしている。 アガサ・クリスティの大ファンでもある三谷。そんな思い入れの強い作品に斉藤を起用するということは、三谷の “女優としての斉藤由貴“への評価ぶりがうかがえる。実際14年の舞台「紫式部ダイアリー」に起用した際も、三谷は斉藤のことを「最高のコメディエンヌ」と評している。 「三谷さんからの手紙をもらったような気分にさせられる台本ばかりで、すばらしい仕事でした。舞台みたいな気分でした」 8日のブルーリボン賞授賞式では、女優人生を支えてくれた母親への感謝の気持ちを述べていたが――。演じることでそれぞれに、気持ちを返していくようだ。
2018年02月15日斉藤由貴(51)が第60回ブルーリボン賞の助演女優賞を1月23日、受賞した。 昨年公開された是枝裕和(55)監督「三度目の殺人」での演技が評価されての受賞。斉藤のブルーリボン賞は、初主演作「雪の断章-情熱-」で1985年度に新人賞を受賞して以来。斉藤は「すんごくうれしくて、たまらないです」と喜びを噛み締めた。 さらには昨年を振り返り、「いろんな葛藤があった」と告白。「キス不倫」渦中は是枝監督や三谷幸喜氏(56)から励ましの連絡があったと明かし、「応援してくださった」と感謝の気持ちを述べた。 騒動はあったものの、斉藤へのオファーは依然絶えない。その理由はいったい何なのか。是枝監督は以前、同作での斉藤の演技について「ゾワッとする」とインタビューで表現している。 「観たくないものを観てしまったような背徳感というか、本質を直接言わずに表現してくれる芝居をしてくれた」 いっぽう14年には、三谷作品「紫式部ダイアリー」にも起用されている。その際、三谷は斉藤のことを「めちゃくちゃ芝居が上手い」「コメディエンヌの天才」と評している。 ある映画関係者は、斉藤の女優としての魅力について語る。 「斉藤さんは『不思議な女優だ』と言われています。シリアスな演技も、コミカルなものも、自分のものにしてしまう。その様を是枝監督は、『ものすごく入り込んでいるにも関わらず、スッと俯瞰で観ることもできる』と表現しています。役に没頭しつつ、客観視もできる。そのバランスが『起用したい』とソソるのではないでしょうか」 そして、いくつになっても「アイドル」だ。 「昨年『リベンジgirl』で斉藤さんを起用した三木康一郎監督は、斉藤さんがアイドル時代からのファンでした。撮影を振り返った際、『現場に現れた時、これは本物なのかと思った。今でも本物なのかと思う』とコメントしています。アイドル時代の斉藤さんを知るひとからすると、どこか『夢のなか』のように思えてしまう。やはりいつまで経っても『アイドル』なのでしょう。それも幻のような、どこか『触れがたい』アイドルです」(前出・映画関係者) 「授賞式を両親に見せたいです。両親が見てたら、泣いちゃうかも」と語っていた斎藤。これを機に、女優としてさらに注目されるか。
2018年01月24日“にほんのれきし”をテーマに贈る今年の「FNS27時間テレビ」。この度、番組内で放送されるドラマ「源氏さん! 物語」に、俳優・城田優が主演を務めることが決定。絶世の美男子と呼ばれる主人公・光源氏を演じる。時は平安。“モテない”ことが笑い話で済まされない平安貴族は、妻を多く娶ることが“権力”だった。そのたぐいまれなる高貴な生まれと、比類ない美貌でもって“宮中一の色男”とうわさされていた光源氏(城田優)だったが、彼には誰にも言えない秘密が。実は“女性経験ゼロ”だったのだ。年上の未亡人でちょっとクセのある六条御息所、地味で可憐で男心をくすぐる夕顔、年増でありながら特殊な愛の形をはぐくむ源典侍、純粋無垢な紫の上、幼い頃から憧れる初恋の藤壺…と周りには魅力的な姫君がいっぱい。にも関わらず、女性経験ゼロの光源氏。さらに、宮中でいろいろな女性に手を出していると嘘をついてしまったため大ピンチに。“そろそろうそも限界にきている…”押し寄せるプレッシャー、一刻も早く童貞を捨てなくてはならなくなった光源氏は、陰陽師の空斎、その弟子・美琴に相談し、ある作戦に一縷の望みをかける。それは、別の時代から指南役を召喚するという破天荒な策で…。総合司会・ビートたけしとキャプテン・村上信五(「関ジャニ∞」)のタッグで注目を集める「FNS27時間テレビ にほんのれきし」。今年はバラエティー、ドラマ、情報、スポーツ、アニメと縦横無尽にジャンルをわたって“にほんのれきし”を掘り下げていくが、中でも本格時代劇ながら現代語を用いて新たな視点で描いた「新感覚時代劇」ということで期待がかかる時代劇ドラマが話題。すでに、バカリズム脚本の戦国ドラマ「僕の金ケ崎」、幕末ドラマ「私たちの薩長同盟」が発表されているが、このほど平安ドラマ「源氏さん! 物語」の製作が決定。紫式部の「源氏物語」は、貴族きらびやかなりし平安時代にひときわ際立つ美貌をもった王子・光源氏を主人公に、恋愛、栄光と没落、政治的欲望と権力闘争など、平安貴族の悲喜こもごもを描いた恋愛長編小説。数々の姫君を翻弄した希代のモテ男・光源氏だが、本ドラマでは「5→9~私に恋したお坊さん~」の脚本家・根本ノンジが、「もし光源氏がまったくモテないダメダメ草食男子だったら?」という設定に改変し、千年以上前に書かれた「源氏物語」を大胆にアレンジして放送する。そんな“新感覚源氏物語”で華やかで美しいだけでなく、ちょっとトホホで人間味のある新たな光源氏像を体現するのは、ミュージカル「エリザベート」で第65回文化庁芸術祭・演劇部門で芸術祭新人賞、第23回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞するなど実力派俳優として評価を高める城田さん。「主演なので、責任を持って視聴者の皆様に笑顔を届けられるように、現場でも笑顔の絶えない時間の中で、素敵な作品を作れるように、精いっぱい頑張ります」と意気込みを語った城田さんは、「歴史や時代物に硬いイメージを持っている方も、元々歴史が好きな方も、フィクションとして楽しんで観ていただける脚本になっていると思います」と本作についてコメント。また、「時代を超えた、女性の口説き方講座も、お楽しみに(笑)」見どころを明かしている。「FNS27時間テレビ にほんのれきし」は9月9日(土)18時30分~10日(日)21時24分までフジテレビにて放送。(cinemacafe.net)
2017年08月19日京都の中心部からほんの少し足をのばして恋愛運アップの旅に出てみましょう。おみくじや絵馬も各神社によってさまざまでユニーク! 今回は恋愛運アップのご利益がつまっているおもしろいおみくじや絵馬も特集しますね。ぜひお気に入りを見つけてみて下さい。京都で恋愛のご利益がある神社のひとつといったらここ京都の中心部からバスで30分ほど、ほんの少し足をのばして今度は恋愛運アップの旅に出ましょう。出会いや結婚と、縁結びのご利益がある下鴨神社です(写真左上)。この神社に行く途中にある相生社(写真左下)は、2本の木が途中から1本になったということで強い結びの力があると言われています。この相生社の縁結びのおみくじは「源氏物語のおみくじ」とも呼ばれているそうです。男女で引ける番号の木箱が異なり、羽織の形をした紙には源氏物語の作中で詠まれた和歌が一首書かれていています。それぞれ引いた番号によって羽織の色も異なるおみくじでした(写真右上)。世界にひとつだけ、あなただけのお守りをさらに、下鴨神社や相生社では女性の心願成就のご利益がある媛守(800円)がおすすめです。友禅柄のちりめん生地がとても華やかでかわいく、ひとつとして同じものはないそうです。なので世界にひとつだけのあなただけのお守りになります! キュンとする柄が多いのでどれにしようか迷うところですが、直感を頼りにぜひ選んでみて下さい。男性用の彦守(800円)はデニム生地なので、カップルは2人で持つのもいいかもしれませんね。美人になる神社で鏡絵馬を恋愛運アップのためにも美人にもなっちゃいましょう。ということで上で紹介した下鴨神社のすぐ近くにある河合神社にもぜひ参拝を。ここでは鏡絵馬を自分の顔に見立て、自分のもっている化粧品や用意されているペンでかわいくメイクをして仕上げます。そして神社に立てかけて美人祈願です。みんなそれぞれ絵馬の顔が異なるからおもしろい。紫式部も通った! 恋愛の神様にお願いを下鴨神社からバスで10分ほど、仕事運にご利益がある上加茂神社があります(写真右下)。ここでのおみくじは参道の横に神様が乗る馬がいることから馬のおみくじです(写真左上)。この神社の敷地内にある片岡社はあの源氏物語で有名な紫式部も縁結びを願って通ったそうです。絵馬がハートの形をしています(写真右上)。たくさんの絵馬がかけられていたので、世の中の女子はよき出会いと縁結びを求めてここに駆け込むのでしょう。神社の前にある、『葵家やきもち総本舗』の「やきもち」もご利益がもらえるお菓子だそう(写真左下)。これ、とってもおいしくておかわりしちゃいました(笑)。少し市内中心部からは遠いですが、女子旅で訪れる女性たちや浴衣姿の美人さんもたくさんいました。みなさんも恋愛運アップの旅にぜひ訪れてみて下さい。Information■2017年夏特集「テーマでめぐる京都旅 宇治&伏見」■京都お茶の宇治・お酒の伏見満喫の旅■京の夏の旅■下鴨神社■河合神社京都市左京区下鴨泉川町59■上加茂神社■葵家やきもち総本舗
2017年08月11日山崎賢人がタイムトラベルをする主人公を演じる「Galaxy Time Traveler CM」。現在、第4弾まで放送されており、先日は元恋人役の飯豊まりえが彼を追いかけるように旧石器時代へタイムトラベルするWeb限定ムービーも公開され、注目を集めた。そして今回、第5弾目となる新CM「永恋」では、舞台は平安時代へ。なんとそこで、彼女にそっくりの紫式部と対面を果たしていることが分かった。「昨日までを、超えてゆけ」というメッセージを掲げた本CMは、主人公・渡(山崎さん)が、恋人のユイ(飯豊さん)に振られ、ひょんなことからタイムトラベルをするという壮大なストーリーが好評を博している。旧石器時代、弥生時代をへて、今回は雨の平安時代にタイムトラベル。父からの「見つめれば道は開ける」という謎の言葉を受け、「Galaxy S8|S8+」を見つめた渡。虹彩認証でロックが解除されると、画面には、振られてしまったユイとの2ショットが…。つい、その思い出に浸る渡だったが、そのとき、ユイにそっくりな紫式部が登場!驚きを隠せない渡。だが、互いに運命的な何かを感じながらも、すぐに別れの時を迎えてしまう――。今回のCMは、岩手の歴史公園「えさし藤原の郷にて撮影を敢行。平泉文化を築いた奥州藤原氏の軌跡をたどり、古代から中世にかけての東北の歴史と文化を体感できる歴史テーマパークとして知られ、大河ドラマなどでもよく使用されている。厳密な時代考証に基づいた800年前の歴史的構造物を再現した建物で、ロケはスタート。この風情あるロケ地には、「まるで平安時代に来たかのように、リアルで迫力ありますね」と山崎さん。雨を降らせた演出の中、寝殿造の縁側からジャンプして飛び降りるなど体を張って演技を見せた。また、飯豊さん本人が重さ約20kgにもなる十二単を実際にまとい、紫式部に扮して登場。山崎さんと飯豊さんは、2017年1月にオンエアされたGalaxyドラマCMで恋人を演じて以来の再共演が叶った。2時間をかけ、十二単の着付けと平安時代をイメージしたヘアメイクを行った飯豊さんは、まるで本物の紫式部がいるかのような存在感。その可憐な美しさにスタッフも釘付けとなった。所作の先生からは、初心者には難しいとされる立ち振る舞いや歩き方においても「飲み込みが早い」とのお墨つきをもらっていた。撮影の合間には、山崎さんは池にいるたくさんの鯉に餌をやり、優雅なひとときを過ごした…かと思えば、餌を求める鯉の勢いにあわてるひと幕も。飯豊さんも、重い衣装と足のしびれと戦いながらも和気あいあいとした雰囲気の中で、無事撮影は終了した。撮影を終えて山崎さんは、「今回、平安時代へタイムトラベルし、振られた恋人ユイによく似た紫式部と運命的な出会いをしましたが、僕も毎回撮影の度に、人との出会いは一期一会で、毎回運命的だと思って大事にしています。CMでは、渡がスマホを片手に、タイムトラベルし、いろんな歴史上の人物に出会ったり、変わった体験をしています。そんな成長を見守ってもらえると嬉しいです」とコメント。紫式部役で十二単に身を包んだ飯豊さんは、「所作が難しかったです。自分が思っている以上にゆっくり動くように心がけました。やはり、現代と全然違うんですね。品格のある女性になるのって大変だと思いました。普段は、楽な格好をしているので、20kgあるお召し物が重かったです。重みのあるお仕事でした(笑)」と、ふり返っていた。Galaxy「昨日までを、超えてゆけ#5 永恋」篇は7月20日(木)より全国にてオンエア。(text:cinemacafe.net)
2017年07月20日鋭い切れ味は人生のお楽しみ。みんな大好き悪口ですが大人ならば、誰かを傷つけたりしないよう、お作法が必要です。エッセイストの酒井順子さん曰く悪口は「楽しいからこそ危険な行為」。だからこそ、言う場所にも気を使うべきだといいます。***悪口を言う場所もまた、大切です。学校や職場など、多数の人がいる中で悪口を垂れ流すというのは、愚の骨頂。これは勘違いされやすいことですが、悪口とは、対象者を攻撃したり傷つけたりするために言うものではありません。それはあくまで、自分の腹の中に溜まっている黒い思いを吐き出してスッキリするための、自慰行為のようなもの。そう考えるならば、悪口の対象となった人の耳には、その悪口が届かないようにしたいところです。相手の人格を矯正したい、という世直し欲求がある人は、悪口ではなく面と向かって喧嘩をすればいいのであって、そうでない人の場合は、悪トモ以外には絶対に耳に入らないような場所を選ぶべきでしょう。それは、臭いや煙が非喫煙者に漏れないよう、タバコを喫煙所で吸うのと同様の、悪口のマナーです。たとえば私の場合は、個室があるレストランをしばしば利用。個室でなくとも、知り合いが周囲にいなければいいだろうという話もありましょう。しかし、知らない人の悪口であれ、他人にとっては聞いていて心地よいものではないのです。できれば「他人の耳目が無い場所」を、選びたい。ではネット上での悪口は、どうなのでしょうか。ネットは今や、悪口すなわちディスり行為の主戦場となっていて、匿名性があるからこそ、過激な悪口が飛び交っている。一人でスマホやパソコンに向かっている時、つい悪口欲求が湧き出してくるのも、わからぬではありません。しかし私のような者からすると、ネット上に悪口を書くと、それが残ってしまうのが心配なところです。個人の特定はされにくいとしても、「書く」という行為によって、自分の心の中には確実に「言う」よりも深く、その言葉は刻みこまれるのですから。ネット上に多少の悪口を書いたとて、そんなものはすぐ忘れ去られる……という感覚もあるのでしょう。が、それも確実ではありません。たとえば紫式部は、『紫式部日記』の中に、ライバルである清少納言に対する激烈な悪口を記しています。それは彼女の本心であったろうし、またそれが後世まで残るなどとは、夢にも思わなかったに違いない。しかし彼女に才能があったせいで、それは千年後の今もなお、活字となって版を重ねているのです。そして、「紫式部って、けっこうジメジメした性格なのね……」と、読者に思われ続けてしまっている。「一度文字になった言葉は、延々と残り続ける」可能性があるということを、悪口を書く時は理解しておきたいものです。◇酒井順子エッセイスト。最新刊は『朝からスキャンダル』。創刊から現在まで、anan が映し出してきたその時どきの世相を振り返る試みが好評を博した連載「ananの嘘」は今号で最終回!※『anan』2016年10月5日号より。イラスト・maegamimami文・酒井順子
2016年10月01日5月26日~30日は七十二候「紅花栄く(べにばなさく)」。紅花はその昔、「紅花一貫は黄金一貫」と言われたほど高価な植物だったそうです。紅花から抽出した天然色素は女性の口紅や、紅色の染料に。紅花染めが流行した奈良時代や平安時代には、上流階級、いわゆるセレブの皆さんがこぞって、紅花で染めた衣装を身にまとっていたそうですよ。「紅花って、あまりなじみのない花だな」とつぶやいている方もいらっしゃるでしょう。今日は、女性なら誰もが気になる「美人になる方法」を探るべく、平安時代に生まれた王朝ロマン「源氏物語」に登場する、美人を超える異色の不美人!紅花色のお鼻をもった「末摘花」をご紹介します。これを読んだら、あなたの中の美人の基準が変わるかもしれませんよ。七十二候とは?時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。末摘花ってどんな女性?「源氏物語」に登場する中で、最も美しくない女性として描かれる「末摘花(すえつむはな)」。紅花はいにしえの時代、「末摘花」と呼ばれていました。光源氏が愛する、美しく魅力的な女性たちが花のように咲き競う「源氏物語」において、不美人ナンバー1。高級ではあるけれど、白茶けた時代遅れのファッションに身を包み、気の利いた和歌ひとつ詠めない姫君は、美男美女揃いの物語の中である意味、圧倒的な存在感を放っています。しかし、悲恋のお話が多い源氏物語の中で、末摘花は源氏の妻のひとりとして晩年を幸せに過ごしました。「恋多き光の君」源氏のハートをつかんだ姫君の魅力は、いったい何だったのでしょう?愛されるにはもちろん、理由があるのです!イケメン光源氏とブス末摘花の出会い夕顔をうしなって傷心の光源氏に、今は亡き常陸宮(ひたちのみや)にひとり娘がいるという話が届きます。没落してしまったものの高貴な血筋であるがゆえ、誰とも会わず、琴をひとりつま弾く悲劇の姫君。心ひかれた源氏は、月夜の晩、物陰から琴の音に耳を澄ませました。ところが、特に心にしみいるほどの腕前でもない。あまり胸もときめかない。そこで顔を合わせたのが、同じ夕顔を愛した恋のライバル、頭中将(とうのちゅうじょう)でした。光源氏も頭中将も、どちらも姿の見えない姫君に興味津々。中将がしきりに姫君に言い寄っていることを知り、源氏のライバル心に火がつきます。そこで光源氏も手紙を書きますが、返信は来ず。待てども待てども変わらぬ状況にしびれを切らした源氏は、強引に障子をあけて屋敷へ忍び込み、一夜をともにします。その後、和歌を送りますが、ロマンティックな返歌もできない姫君に、ため息をつく源氏。そうしてある冬の日、明るい場所で、源氏は姫君の顔をまじまじと見ることになるのです。源氏はその姿に心底驚きました……。はじめての顔合わせ。光源氏が驚いた理由とは?その理由をご紹介しますと、1:長く赤い鼻2:青白くやたらと広いおでこ3:座高が高い4:着ている物が古臭く時代遅れ5:ぽっちゃりが美人の条件だった平安時代において、がりがりに痩せていたとまぁ、徹底的に可愛くない姫君を見て愕然とする源氏ですが、ここまで可愛らしくない女性を、自分以外のいったい誰が面倒を見るというのだろうと思い直すところが、源氏の器の大きいところ。鼻が赤いから「末摘花の君」。その後、源氏は須磨へ流され、末摘花とは一度も会うことなく、長い長い月日が流れたのでした。ブスが美人を超えるとき須磨から戻った源氏は偶然、末摘花と再会します。末摘花のことなどすっかり忘れ、ほかの女性に会いに行こうとしていた源氏。そこで、末摘花がいまだ自分を待ち続けていることを知るのです。没落しようとも、皇族である父の代から受け継がれてきた家や家財道具を、お金に換えることはせず守り続けてきた末摘花。しかし家人の裏切りによって家財を持ち出され、生活は困窮していました。それでも人をうらまず、愛した源氏を信じ続け、誇り高くつつましやかに生きる女性。その姿に心打たれた源氏はその後、末摘花を二条院へ招き入れ、妻の一人として生涯にわたり面倒を見ました。源氏は見た目ではなく、その心根に感動したのでしょう。美しい女性に次々と心奪われる源氏に、嫉妬の炎をメラメラと燃やし疲れ切ってしまう女性もいれば、末摘花のようにありのままの自分で、疑うことなくまっすぐに愛する人を信じ、おだやかな幸せを手にいれる女性も。しわくちゃのおばあさんになっても、心の美しさは決して衰えることがありませんね。源氏物語に異色の不美人「末摘花」を登場させた紫式部。「女性の美しさは見た目や教養だけではありませんよ。心ですよ、心!」という紫式部の声が聴こえてくるような気がしませんか?心を磨いてハッピーエンドを迎えよう!山形の県花にも指定されている「紅花」。山形の見頃は7月ですが、千葉県の長福寿寺(ちょうふくじゅじ)では6月中旬、10万本の紅花が可憐な花を咲かせます。ちなみに長福寿寺は願いが叶う!幸せを呼ぶ!吉ゾウくんのお寺として有名です。平安時代、貴族のあこがれだった紅花。その紅花の古名である「末摘花」と呼ばれた姫君は、悲恋が多い物語の中で、ハッピーエンドを手に入れました。本当の美人、不美人は「心」で決まるのです。今年は紅花を眺め、末摘花を見習って心を磨きましょう。大切な恋もハッピーエンドを迎えられるように。
2016年05月25日茶寮都路里(さりょうつじり)はこのほど、新たな限定メニューの提供を開始した。○秋の味覚と宇治茶スイーツの競演メニュー提供メニューは祇園本店限定「大原女」と、伊勢丹店限定「秋の桜」、高台寺店限定「紫式部」の3品。栗やいもを使った秋の深まりを感じるメニューをそろえているという。祇園本店限定「大原女(おはらめ)」は、栗の甘露煮の味わい深い栗アイスと、祇園辻利自慢の玄米茶アイスをベースに、ほうじ茶風味に焼き上げたアーモンドスポンジや、栗のクリーム、いちじく、ヘーゼルナッツゼリーなど、秋の味覚をふんだんに盛り込んだパフェ。販売期間は10月1日~31日。提供店舗は、茶寮都路里 祇園本店。価格は1,253円(税込)。京都伊勢丹店限定「秋の桜(あきのさくら)」は、アイスにカステラ、ゼリー、シロップすべてに玄米茶を使った玄米茶づくしのパフェ。きなこの焼き菓子やふわふわの紅いもクリームで秋を演出した。販売期間は10月1日~31日。提供店舗は、茶寮都路里 京都伊勢丹店。価格は1,201円(税込)。高台寺店限定「紫式部(むらさきしきぶ)」は、高台寺店の秋の人気メニューをリニューアル。紫いものモンブラン、さつまいもの甘露煮、渋皮栗、かぼちゃチップ、安納芋の羊羹など秋色の食材をふんだんに詰め込み、さらに秋らしいパフェに仕上げた。祇園辻利の宇治抹茶「長久の白」とセットで都路里の秋を楽しめる。販売期間は10月1日~終了時期未定。提供店舗は、茶寮都路里 高台寺店。価格は、抹茶付き1,782円(税込)、パフェ単品1,566円(税込)。※いずれも、予告なく終了時期が変更となる場合がある。
2015年10月06日●文具大賞から見る万年筆ユーザーのひろがり近年、安価な万年筆が充実してきたこともあり、万年筆を持つことがぐっと身近になった。定番の"クラシックで重厚なデザイン"以外の選択肢が増えたこと、特にパイロットの「カクノ」やペリカンの「ペリカーノジュニア」などをはじめ、ポップなデザインでよりカジュアルに持てる物が増えてきたことは、以前おすすめ万年筆の記事で取り上げたところだ。今回は、東京都・表参道「文房具カフェ」の奥泉輝店長に、最近の万年筆まわりの話題と共に、1本目の万年筆を持ったら次に着目したい「インク」についての情報を教えてもらった。○静かに高まる万年筆フリークの熱気万年筆ユーザーの広がりは、今年の「日本文具大賞」に、万年筆のためのアイテムが選ばれたことからも実感できます。文具見本市「ISOT」内で発表される、毎年注目の文房具が選ばれている賞ですが、文房具フリークから見ても、今年のグランプリは意外なものだったと話題になりました。グランプリに選ばれた「SUITO」は、インクを吸入する際などに汚れてしまう万年筆のペン先をきれいにするための専用紙です。吸い取り紙を万年筆の手入れに最適化したもので、手を汚さずにインクの拭き取りができる、万年筆ユーザーにとってはかゆいところに手が届く一品です。こうした一見マニアックな用途の文具がグランプリを受賞したのは、今の万年筆の人気を反映したものと言えるでしょう。○黒だけじゃない、万年筆インクの世界万年筆のインクというと、現代では黒が一般的で、伝統的なブルーブラックを使う方もいます。ですが、その他の選択肢も実はたくさんあるんです。紫陽花、天色、朝顔、竹林、冬柿、冬将軍、稲穂、孔雀、秋桜、紺碧、霧雨、紅葉、紫式部、深緑、深海、松露、竹炭、土筆、露草、躑躅、月夜、山葡萄、山栗、夕焼け…突然、四季折々の花鳥風月を思わせる美しい名前を並べましたが、実はこれ、すべてパイロットの万年筆用インクの名前です。このインクシリーズ「色彩雫」は実に24色もの種類があり、昨年はそのミニボトルバージョンも発売された人気商品。万年筆のインクというとブルーブラックの印象が強いですが、服を選ぶように好きな色のインクを選ぶことができるのも、万年筆の人気を加速させる一因と言えそうです。ちなみに、万年筆=ブルーブラックという印象は、万年筆が筆記具としてメジャーだった時代、長期保存に耐えうるよう開発されたインクの色から来ています。●オリジナルインクを作る3つの方法○欲しい色を自ら作る人が増加中さらに、市販のカラーバリエーションでは満足できない人たちには、また別の世界「オリジナルインク」があります。いくつか入手する方法はあるのですが、ここでは3つ紹介しましょう。■オリジナルインクを作る方法:その12014年9月、東京・蔵前にある有名店文具店「カキモリ」が、オリジナルのインクを調合できるお店をオープンしました。カウンターテーブルには、16種類のインク原液、スポイト、カップ、試し書き用の紙とガラスペンが置いてあり、自分でインクを調合していきます。気に入ったものができたら、その調合比率を店員さんに伝えると、15分ほどでボトルに詰めたオリジナルインクを受け取ることができます。明るいバーカウンターのようなおしゃれな店内で、バーに立ち寄るような気軽さで、自分だけのカラーを見つけることができるお店です。■オリジナルインクを作る方法:その2その名の通り、混ぜあわせて自分ごのみのカラーを作ることができるインクです。調合サポートキットも販売されていて、カラーチャートも掲載されているため、化学の実験のように、自分の部屋でじっくりと色を追求することができます。■オリジナルインクを作る方法:その3インクのプロ「インクブレンダー」に、その場でオリジナルインクを作ってもらえるという「インク工房」という催事があります。この催事の特筆すべき点は、首都圏のみならず日本全国を巡回しているところ。インクブレンダー・石丸治氏がまるでバーテンダーのようにシェイカーを使い、ユーザーの話を丁寧に聞き取ってインクを調合してくれます。カラーバリエーション豊かな市販インクだけでなく、自分だけの色を追求できる方法も豊富にあり、万年筆の"インク沼"は思った以上に深そうだ。次回は、「オリジナルインクを作る方法」で挙げられた「ink stand by kakimori」へ行き、自分の好きな色を調合したレポートをお送りする。
2015年09月10日『源氏物語』とは紫式部が記した平安時代を代表する世界的に有名な日本文学です。男性も女性も虜にしてしまうほどの美貌を持った光源氏。そんな彼は宮廷イチのプレイボーイでもありました。そこで今回、光源氏の妻・彼女たちをタイプ分けしながら、プレイボーイに愛される女性はどんな人なのかをみてみましょう。○奥ゆかしい和風美人 - 「藤壺の宮」「紫の上」まずは、光源氏が最も愛した女性、「藤壺の宮」と「紫の上」から。2人とも容姿端麗で気が利いて、頭も良くて優しいという、まさにパーフェクト美人でした。藤壺の宮は母親を早くに亡くした光源氏の母代わりであり、姉代わりでした。いつしか光源氏はそんな藤壺の宮へ恋心を抱くようになったのですが、藤壺の宮は実父の後妻。しかも、父は時の帝(天皇)でした。つまり、藤壺の宮と結ばれるということは、父への裏切りであり国への裏切りでもあったため、光源氏の恋は決して実らせてはいけない恋だったのです。実はこの時、藤壺の宮も光源氏に恋心を抱いていました。それなのになぜ光源氏を拒んだのでしょうか? それは保身のためでもありますが、1番は光源氏を想ってのこと。不倫が完全悪だった時代に父、しかも帝の妻と結ばれるなんて重罪も重罪。見つかったら死刑で済むどころではありません。さらに、藤壺の宮は自分を惜しみなく愛してくれる夫の帝にも配慮をし、2人のために自分を押し殺して耐えたのでした。一方の紫の上は、藤壺の宮にそっくりだという理由から光源氏が幼い頃から女性としての立ち振る舞いや教養を教え込み、大切に育て上げてのちに正妻とした女性です。光源氏は彼女に藤壺の宮の面影を投影していたのです。紫の上は本当に人間のできた人で、正妻になった後も光源氏の他の愛人に嫉妬することも、愛人の家へいそいそと出かける光源氏を醜く引き留めたりすることもしませんでした。それどころか愛人の子どもを引き取り、皇后にまで育て上げたのです。その際、自分に子どもを託してくれた光源氏の愛人を敬い、気遣う手紙を書くなど、細かいところにまで気の回る女性だったことがうかがえます。この2人に共通しているのは、男性を立てて堪え忍ぶ、いわば古き良き日本の女性。光源氏のように浮名をたくさん流した男性にとっては、口やかましく自分の行動をとがめる女性より、ある程度自由にさせてくれて最終的に大きな愛で包んでくれる、そんな女性の方が家に帰ってきたいと思わせたのでしょう。○誇り高きインテリ美人 - 「六条御息所」「明石の君」次に紹介するのは「六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)」と「明石の君」。2人は、才色兼備という言葉がぴったりの女性で、教養があって頭の回転も早く、特に知性あふれる女性でした。六条御息所は先の春宮(とうぐう)の妻で光源氏よりも8歳年上の未亡人でしたが、光源氏に会話を楽しむなら六条御息所が1番だと言わしめたほどでした。また、字もとてもきれいで、彼女にかな文字を書かせたら右に出る者はいないとまで言われたそう。初めこそ、「こんな若造に恋をするなんて! 」とくすぶる恋心を否定して葛藤していたものの、自分の恋心を認めた六条御息所は燃えるような愛情を光源氏に捧げ続けました。その勢いは凄まじく、いつしか嫉妬に代わり、光源氏の恋人を2人も呪い殺してしまうほどでした。光源氏もこの六条御息所の激しい愛を認め、生涯で最も愛情を捧げてくれたのは六条御息所だと言っています。しかし、六条御息所の愛は重すぎたようで、最後には六条御息所をあまり訪ねなくなってしまいました。そして明石の君は、光源氏が政治的騒動により須磨に流された時に出会った恋人。紫の上がいなかったら正妻にしていた、と光源氏に言われるほど愛された女性です。光源氏の愛人たちの中では実質ナンバーワンでした。明石の君は身分は低かったのですが、六条御息所に匹敵するぐらいの教養の持ち主。光源氏が彼女に求愛したのもそういった理由からでした。明石の君は当初、身分の違いから光源氏の求愛を拒んでいましたが、父親の勧めもあって最終的に光源氏の愛を受け入れ、女の子を身ごもります。その子が先述した紫の上が「愛人から引き取り、皇后にまで育て上げた子」です。この2人に共通しているのは、初めは光源氏の求愛を拒んだこと。ころっと自分になびく女性よりも、自分の考えをしっかり持っていて身の振り方をわきまえている、その誇り高さが故に光源氏は興味を持ったのでしょう。ただ、光源氏は彼女たちと話すときは常に気を張っていないといけないから少し疲れるとも言っていますから、賢すぎるのも問題だったみたいです。○女は気ごころで勝負 - 「花散里」「末摘花」女性には事欠かなかった光源氏ですが、関係を持ったのはなにも美人だけではありません。「花散里(はなちるさと)」と「末摘花(すえつむはな)」の2人は、特別美人ではありませんでしたが、光源氏から重宝された女性でした。花散里は、先に見た4人のようにずば抜けて美人でも教養があるわけでもなかったので、正直言って花散里の家に光源氏が足を向ける日はそう多くはありませんでした。しかし、光源氏は自分が落ち込んだり気弱になったりした時は決まって、花散里のもとを訪れました。それは花散里が並はずれておおらかで優しく、心休まる性格をしてたからに他ありません。そして、花散里が光源氏に愛された理由のひとつが、訪問やプレゼントを素直に喜んでいたことです。普通、なかなか遭ってくれなかった恋人が久しぶりに家を訪れたりプレゼントを持ってきたりしたら、どうせ機嫌を取りに来たんでしょう? と勘ぐって捻くれてしまったりしてしまいますよね。ところが、花散里はただ素直に自分に逢ってくれたこと、プレゼントをくれたこと、そういう事実だけを素直に受け止めて喜ぶのです。そして末摘花はというと、美人ではないどころかはっきりいってぶちゃいく! 赤ら鼻で痩せていて、引っ込み思案で教養もなし。褒められるところといえば真っ黒でつやつやした髪の毛だけ。そんな末摘花になぜ天下一の色男・光源氏が? と思ってしまうのですが、末摘花のいいところは、不器用なりに一生懸命なところでした。自分のイマイチな容姿のせいにして卑屈になったり、他人を羨んでばかりだったのではなく、末摘花なりに光源氏へ愛を尽くしました。そういったひたむきさが、光源氏にはかわいらしく思えたのでしょう。さらに、末摘花は純粋でウソをつくということを知りませんでした。なので、自分を訪ねてくれない光源氏を疑うこともせず、彼が私の居場所を分からなくなったら大変だから、と家がぼろぼろになっても引っ越さずに待ち続けたのです。そんな末摘花の姿を見た光源氏は、一夜だけの関係にしようと思っていた心を改め、足を向ける回数は少ないものの末摘花との関係を継続することにしたのでした。○愛される女性への近道は……これまで、光源氏に愛された女性達を見てきましたが、まさに十人十色。パーフェクト美人からぶちゃいくまで、いろんなタイプの女性が愛されたことが分かりますね。それと同時に、どんな女性も愛されるのにはそれ相応の苦労をしていたことがうかがえます。藤壺の宮や紫の上のように完璧な女性を目指すのもいいですが、それはなかなか難しいところ。そこで、思い切って自分の欠点を素直に認めてみましょう。誰にでも欠点はありますが、逆に良いところも必ずあります。気取って無理に自分の弱点を補完しようとするのではなく、自分の立場や役割をよく理解し、得意な愛し方で一生懸命愛情を注ぐ。それが、愛される女性への近道なのではないでしょうか。※写真はイメージで本文とは関係ありません○筆者プロフィール: かみゆ歴史編集部歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史全般、世界史、美術・アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『一度は行きたい日本の美城』(学研パブリッシング)、『日本史1000城』(世界文化社)、『廃城をゆく』シリーズ、『国分寺を歩く』(ともにイカロス出版)、『日本の神社完全名鑑』(廣済堂出版)、『新版 大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)など多数。また、トークショーや城ツアーを行うお城プロジェクト「城フェス」を共催。「かみゆ」「城フェス」
2015年07月07日『源氏物語』の終盤、光源氏が死んだ後を描く宇治十帖は、かねてより紫式部ではない人間の著作では、と噂されてきた。その真相について、『女たち三百人の裏切りの書』で“古川版源氏物語”を生み出した古川日出男さんに話を聞いた。「僕は宇治十帖は紫式部本人が書いたと思う。前半の宮廷の恋愛模様は技術がある人間だったら書ける内容だけど、この後半の部分には紫式部本人でないと書けないと感じる。ジェンダーや文化や宗教の問題で、きつい思いをして生きているという彼女の気持ちが滲み出ているから。式部の語る部分では、『源氏物語』を読んだことのない人にも細部の構図まで伝わるよう配慮しました。彼女が“あなたたちよ”と語りかけ断定口調で話を進めていく部分は自分で書いていても楽しかったですね」舞台はほかにもいくつかある。奥州の武士たち、瀬戸内海の海賊たち、山陰道の沖合の島にいる蝦夷たち…。「『源氏物語』には東北に赴任した人たちがなまっているとか九州の豪族は粗暴だという記述がある。でもそれ以上深くは書かれていないので、そこは自分の出番だということで、彼らの話を足していったんです。僕にできるのは物語を書くことと読むこと。それは無駄なことではなくて、物語が歴史を動かすこともできるんだと証明したかった」そもそも本書のきっかけのひとつは、東日本大震災だったという。「千年に一度の巨大地震があって復興がうまく進まずにいる時、いつからこんな社会は生まれたんだろうと思った。それで作家として千年前の小説にコミットしようと思ったわけです。書いてみたらやっぱり千年前から、社会の構造は変わらないと感じた。だったらやっぱり一人ひとりが自分の持ち場で、世の中が少しでもよくなるよう頑張るしかないと吹っ切れた。僕は僕で、物語で世界を変えられるようにしていきたい」◇ふるかわ・ひでお作家。1966年生まれ。‘98年『13』でデビュー。‘02年『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞と日本SF大賞、‘06年『LOVE』で三島由紀夫賞受賞。著書に『聖家族』等。◇女御が物憑きで床に臥せ、女房や愛人の男が見守り僧たちが読経する麗景殿。代理の少女に取り憑いた怨霊は、百年前にこの世を去った紫式部だった。彼女は宇治十帖を語りだす…。2500円新潮社。※『anan』2015年6月3日より。写真・岡本あゆみ(古川さん)加藤 淳(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2015年06月02日