バルツァシャーグ地方の100年前の部屋へ

2012年1月26日
トランシルヴァニアの東端にあるハンガリー村。
ハルマージ村の中心にある、小さな郷土博物館。
20世紀の長い歴史を生き残ってきた、
最後の古い品々を村人たちがもちよってできた展示室です。

古い家具に刺しゅうのタペストリー、
ひとびとの生活を彩ってきたあらゆるものがその空間を
過去の世界へといざなってくれます。
水玉のリボンがふんわりとかかる麦藁帽子。
労働する女性をうつくしく見せる、魔法の小物。

糸を巻くスピンドルにも、赤と緑のしま模様でおめかしされます。
あらゆる生活の品を自分たちの手で生み出してきた、
人々の知恵の偉大さ。

古い鏡のうしろには、
40年代に流行したイラストの刺しゅうタペストリーが見られます。
ロマンティックな詩の言葉と場面が、
たどたどしい少女の指先からステッチとなって布に刻まれています。

真っ白な花とレースのボンネットは、
まるで永遠に色あせない無垢さを表すかのよう。
都市ブラショフに近いこの地方では、
100年前からすでに既成の布を使い、
都会の洗練されたファッションを取り入れていました。

バルツァシャーグと言われるこの地方の、伝統的なブラウス。
襟や胸元、袖やカフス部分にほどこされた赤いクロスステッチ模様は、
調和のとれた美しさをたたえています。

少女のために母親が作ってあげたのでしょうか。
ドロンワークのクッションに横たえられた人形からは、
母の愛をいっぱいにうけた少女が、
そのやさしさを注いだ跡がうかがえるようです。

1910年の年号入りのロングクロス。
貴族刺しゅうへの憧れが感じられる、青い花束の刺繍。
古くから教会や貴族の屋敷を彩ってきた、洗練されたデザインに、
いかに彼らが流行に敏感だったかがわかるでしょう。

ブラショフで作られた、ラーダと呼ばれる衣装たんす。
花模様のそれは、特に「チューリップのラーダ」と呼ばれています。
ペイント家具の深い色の混ざり合い、
さまざまな花が入り交ざりながらも文様化している、
その巧みなデザイン性にあっとため息がつきます。
100年前は各地で見られたこのペイント家具も、
現在ではほとんどその伝統が受け継がれていません。

鮮やかなサテンステッチの花模様にデコラティブなモノグラム、
甘く香ってくるようなレースの枕カバー。

トランシルヴァニアの東の果てに
これだけの繊細な文化の足跡がのこっていたことに驚かされます。
当時この地方は、ハンガリー帝国の豊かな地方でした。
これからの古く美しい品々のすべてが、
100年前のこの村の美意識や歴史をそのままに物語っています。
Text & Photo by 
ICIRI・PICIRIの小さな窓

100年の素晴らしい歴史が詰まってますね。こういった伝統は是非受け継がれていって欲しいものです。

ウーマンエキサイト編集部 はぴこ

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