薔薇の香り

2019年6月6日

5月のある日の午後、
薔薇の香りに誘われ・・・




向かった先は、東京・北区・西ヶ原にある旧古河庭園。

庭園内には、戦前、旧古河財閥の3代目古河虎之助男爵が暮らした洋館が今も遺っています。(昨年、100周年を迎えたそうです。)

薔薇の名所は、日本全国あるいは世界に津々浦々あると思いますが、ここは、こじんまりとした薔薇の園として都内では有名な場所。毎年春と秋に、約100種200株の薔薇の花々が咲き誇ります。

私にとっても子供の頃から親しんだ懐かしい庭園のひとつです。



深窓の令嬢が顔を覗かせそうな窓の下には、ジャーマンアイリスも咲いていました。


庭園内は穏やかな初夏の風が流れ、優雅な薔薇の香りに満ちています。


たくさんの種類の薔薇が咲き誇る庭園、とてもすべては掲載できませんが、特に印象に残ったいくつかの薔薇の写真を掲載させていただきます。



シャルル・ド・ゴール

Charles de Gaulle(1890-1970)言わずと知れた、フランス共和国第18代大統領も務めた、軍人であり、大政治家の名が冠された薔薇。
フランスの老舗メイアン社により作出されたハイブリッドティー・ローズ。とても上品で華やか、そして、とても良い香りがします。ブルーがかったパープルと花型に、気品と威厳をも感じました。


※個人情報保護の観点から、写真に映りこんでいる方の画像には加工を施しています。一部お見苦しい部分があるかもしれませんが、何卒ご了承ください。



ダイアナ元妃の名が冠されたエレガント・レディ


Diana,Princess of Wales(1961-1997)“イングランドのバラ”と呼ばれた、故ダイアナ元妃に捧げられた薔薇。
アメリカのジャクソン&パーキンス社により、ダイアナ元妃の死後、作出されたハイブリッドティー・ローズ。
この薔薇の色を見ていると、シャイ・ダイと言われた頃の、ダイアナ元妃の時折赤く染まる頬を思い出します。エレガントでありながら、イナセントさと気取らない親しみを感じます。

※以前は、“ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ”の名前で知られたこの薔薇、この薔薇の苗木の売上げ金の一部をダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ記念基金に寄付することを条件に、エリザベス女王がこの名前の使用を許可されたのだそうです。しかし現在では、基金との契約が終了し、“エレガント・レディ”と名付けられて流通しているようです。



エグランタイン

別名に、雅子皇后さまのお名前が冠されています。

イギリスの育種家、デヴィット・オースティンが作出したイングリッシュローズ。薄いピンク色がとても可憐で気品に満ちています。その甘い香りには一瞬、夢見心地になります。



エグランタインは、現在も存続している、セーブ・ザ・チルドレン基金というチャリティー団体を設立したイギリスの社会改革家、エグランティン・ジェップ女史(Eglantyne Jebb 1876-1928)に因んで名付けられた薔薇だそうです。


私はこの優しい風情の薔薇がとても好きです。



園内は人・人・人。曇り空がすこし残念でしたが、皆様愉しそうに、薔薇やそのほかの草花を堪能されていらっしゃいました。

ここに来ると、まるで当たり前のように薔薇を鑑賞していますが、本来、薔薇はとても育てるのが難しいお花。
子供の頃、実家の庭にも薔薇のコーナーがあり、今頃の季節に薔薇のアーチをくぐるのが好きでしたが、母はもう薔薇を育てるのをやめてしまったようです。

どのお花もとても綺麗に咲いていて、どれだけ手間がかかっているのかと思わず想像しました。




インカ


ドイツ・タンタウ社により作出されたハイブリッドティー・ローズ。私は黄色の薔薇も大好きです。

ドイツ人など欧州の人々は、日頃から薔薇にとても親しんでいると思います。いろいろな場面で、日本よりも気さくに気軽に薔薇を飾り、また互いに贈り合います。

私も薔薇の花には、数えきれないほど友人知人との想い出があります。

長く暗い冬を終え、花々が一斉に咲き始めるドイツの美しい5月。花を愛でるのは、日本のみならず、万国共通です。



プリンセス・ミチコ



イギリスの老舗ディクソン社が皇太子妃時代の美智子さまのために作出したフロリバンダ・ローズ。半八重咲きと濃いオレンジが印象的です。



この日は見頃には少し早かったのですが、ここに来ると必ず鑑賞させていただく大好きな薔薇です。
楚々とし、控えめながら心を捉えて離さない美しさを感じます。



メリナ


ドイツ・タンタウ社が作出したハイブリッドティー・ローズ。メリナMelinaとは、女の子につけられるギリシャ語起源の名前。

この薔薇を見て、皆様はどんな女性を想像しますか?

因みに、まほろばの想像では・・・

金髪にブルーアイズ、瞳が大きく見開かれ、ちょっと垂れ目で睫毛が長く、健康的な色気を漂わせ、明るく朗らかで、少しふくよかで、良く笑う、ちょっと甘えたところのある、可憐な美女。

妄想を膨らませてみました。笑



カーディナル


こちらはドイツ・コルデス社が作出したハイブリッドティー・ローズ。切り花向けに育てられるようです。緋色がとても印象的。カーディナルは枢機卿という意味でもあります。すこしだけ意味深なものも感じる薔薇。この庭園で、やはりいつも鑑賞する好きな薔薇のひとつです。



ヘルムート・シュミット


Helmut Schmidt(1918-2015)かつて西ドイツの首相も務めた偉大な政治家の名が冠されています。こちらもドイツ・コルデス社から作出されたハイブリッドティー・ローズ。ここでは、とても色濃く華のある黄色に育てられています。この黄色の薔薇を作出した方の思いが伝わり、ドイツの歴史を知るだけに、なんとなく泣けてきます。端正でありながら、親しみと誠実さを感じる薔薇です。



マリア・カラス


Maria Callas(1923-1977)伝説のプリマドンナの名が冠されています。こちらはフランス・メイアン社により作出されたハイブリッドティー・ローズ。姿も香りも華やかで、カラスのイメージにぴったりです。



大ぶりで存在感があります。私も若い頃、マリア・カラスのCDを擦り切れるくらい聴きました。この薔薇を眺めながら、彼女のドラマティックな歌声が私の中で響いていました。



万葉


今年はこの薔薇が殊更に美しく感じました。日本で作出されたフロリバンダ・ローズ。万葉の頃、平安時代をイメージして作られたそうです。

万葉集から引用された元号が始まった今年・・・


優しいオレンジ色・・・とても美しくて、しばらく魅入っておりました。波打つ花びらの微妙なグラデーション、何とも言えず風情がありました。

大輪の薔薇も良いのですが、小ぶりや中輪の薔薇も楚々として好きです。



スブニール・ドゥ・アンネフランク


ナチスのユダヤ人迫害により短い生涯を終えたアンネ・フランクを偲び、ベルギーの育種家デルフォルゲにより作出されたフロリバンダ・ローズ。アンネの優しさと平和・そして差別の撤廃を強く希求する心を刺激されます。



サハラ’98


ドイツ・タンタウ社で作出されたクライミングローズ。いわゆるつるバラです。これほどに色濃く育てるにはかなりの肥料や手間をかけるのでしょうか。輝くような黄色でした。



熱情


こちらは日本の京成バラ園芸により作出されたハイブリッドティー・ローズ。

深紅の薔薇は、いかにも正統派といった風情で咲き誇っていました。まさしく、熱情、燃えるような熱い赤。


他にも数えきれない薔薇の花々がそれぞれの美を競演していました。




洋館は小高い丘にあり薔薇の園は一段下がったところにあります。さらに階段を降りて低地に下っていくと
京都の庭師、7代目小川治兵衛作の池泉回遊式の日本庭園が広がります・

自然の崖をうまく使って、和と洋がほどよく共存する、今となっては貴重な大正時代の庭園です。

ここにはかつて明治の元勲・陸奥宗光の邸宅があったそうですが、
陸奥の次男が旧古河財閥古河家の養子になったことで、のちに古河家の所有となったそうです。



この右奥には広い池、また左奥には茶室もあります。


因みに、今年お亡くなりになられたドナルド・キーン先生は、
この旧古河庭園を借景に臨むマンションにおすまいだったと言われています。




新緑を眺めると心身がリフレッシュします。そして5月の爽やかな風は心を優しく癒してくれます。
都会の生活の中で、ふとこうして自然に接し、歴史や季節を肌で感じる場所は、とても貴重です。



親戚や友人の中には、この洋館で結婚式を挙げた人もいました。



洋館は、明治期に日本で活躍したジョサイア・コンドルによるもの。
コンドルの建築は、東京には他にもまだいくつか残っています。
今はもう現存しませんが、鹿鳴館もまた、ジョサイア・コンドルの建築でした。

Text & Photo by 
まほろば日記

素敵な洋館を彩る美しい薔薇の花たち☆華やかな景観に癒されますね(^^♪

ウーマンエキサイト編集部 はぴこ

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