根本厚美
出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。女性誌や健康雑誌、単行本などのライターからWeb業界へ。出産後、エキサイトブログの編集・執筆に携わり、ピックアップブロガーはじめ、良質なブロガーのインタビュー記事、特集、暮らしノートなどを担当。ブログでの経験を活かし、ブロガーのノウハウが詰まったライフスタイル系の記事を中心に執筆。1児の母。おいしいものと温泉が大好き!
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京都の町家から、子育てと手づくりを楽しむ日々をつづった、「
FU-KOなまいにち。」のFU-KOさん。毎日を自分らしく楽しく、ほんの少していねいに暮らすことは、家族みんなの笑顔につながる――。そんな思いが詰まったブログが、子育て中の女性をはじめ、幅広い層の読者に人気を呼んでいます。
今回のインタビューはそんなFU-KOさんに、暮らしのなかで大切にしていることや、お気に入りのものについてお話をうかがいました。
■長女のために始めた服作りがライフワークに
シンプルで着心地のよさが伝わる手づくり服が人気のハンドメイド作家、FU-KOさん。長女ゴンちゃんにつくり始めた洋服を紹介するためにスタートしたブログも、いまでは暮らしのなかの「小さな幸せ」がぎゅっと詰まったライフスタイルブログとして、多くの読者に親しまれています。
「せっかくなら、“FU-KOって作家はどんな暮らしをしていて、どんなふうにものづくりをしているのかな”って知ってもらいたい」。そんな思いが『FU-KOなまいにち。』というタイトルに込められているそうです。
いつのまにか洋服作りはFU-KOさんのライフワークとなり、ブログでは好きなファッションや町家での暮らしのこと、子育てのこと、季節の保存食づくりなどを紹介。その暮らしぶりに憧れる人や共感を呼ぶ女性たちに支持されています。
■季節のうつろいや大切なことを教えてくれる町家の暮らし
古い町家での暮らしはFU-KOさんらしさを伝える原点となっていますが、そのきっかけは、結婚して新居を探すとき、「京都に住むんなら町家がいいよね」と言い出したご主人のひとこと…だったそう。
最初はあまり乗り気がしなかったというFU-KOさんですが、町家の見学会に行くうちに、「古いものの持つ味わい深さや趣きのある風情がいいなあ」と次第にとりこになっていったといいます。
そして8年前、築90年以上になる町家を購入。それまで現代風の家にしか住んだことのなかったFU-KOさんにとって、最初のころは試練の連続だったとか。
「掃除の仕方もわからなければ、障子やふすまの手入れも知らない。収納も少ない。おまけに窓が少ないので光がささず、冬は極寒なのです」
それでも数年たって暮らし始められるようになったころ、最初の頃に感じていた不便さは、反対側からみれば良さでもあることに気づいた、というFU-KOさん。
「たしかに日中でも暗いわが家なんですが、だからこそ、横からさしこむ光がもののシルエットを美しく照らしてくれたり。無駄なように見える坪庭があることで、暑い夏でも風が通り抜け、都会でも季節のうつろいを感じながら心豊かに暮らすことができるんですよね。
昔ながらの暮らしはたしかにめんどくさいけれど、どうにか頭をひねっていい方法をみつけ、家に寄り添うに暮らしていると、手をかけるほどにだんだんと愛着がわいてきたんです。
めんどうくさいことを楽しむことで、目の前にある幸せに気づけるんじゃないかな、って。それは暮らしだけじゃなく、子育てや人づきあいにおいても、大切なことなんじゃないかなって思うんです。いろいろな大切なことを、この家から教えてもらったのかもしれませんね」
■居心地のいい家を保つコツは花を飾ること
そんなFU-KOさんのお宅は、町家ならではの風情に合うような、シンプルでしっとり落ち着いた和の印象を漂わせていますが、「お気に入りのインテリアは?」と伺うと「お恥ずかしながら、とくにコンセプトはないんです…」とFU-KOさん。
「今のインテリアに落ち着いたのは、子どもができて、こまめに掃除しなくちゃならないから、床にはものを置かないようにしよう、とか、片付けが苦手な家族のために使いやすい収納にしよう、ということがきっかけになったと思います。地震で倒れてきたら怖いから、本棚はいっぱい詰めず、上のほうは飾り棚として使って余白を楽しもうとかね」