【音楽通信】第101回目に登場するのは、世界中から注目を集めている、国内外で活躍する“NEOかわいい”4人組バンド、CHAI(チャイ)!日本はもちろん世界のトップを目指す写真左から、ユナ (Dr&Cho)、カナ (Vo&G)、マナ (Vo&Key)、ユウキ (B&Cho)。【音楽通信】vol.101双子のマナさん(Vo&Key)とカナさん(Vo&G)、ユウキさん(B&Cho)、ユナさん(Dr&Cho)からなる、4人組ガールズバンドのCHAI。アメリカやイギリスのインディーレーベルから海外デビューも果たし、世界各国でライブを行っている彼女たちは、コンプレックスさえも愛して、ポジティブかつカラフルにこれからもますますボーダーレスに飛躍していくに違いありません。そんなCHAIが2022年1月12日に、ニューシングル「まるごと」をリリースされたということで、メンバーのみなさん全員にお話をうかがいました。――小さい頃に憧れていたアーティストから教えてください。マナ小さい頃は、DREAMS COME TRUEがすごく好きでした。実は、人生で初めて行ったライブは、ママと一緒に行ったドリカムです。本当に曲が大好きで、ドリカムを聴くと踊っていました。カナ小さい頃から歌手になることが夢で、当時はモーニング娘。が好きでした。ミニモニ。に入りたいときもあったかな(笑)。家で、マナと一緒にモー娘。を聴いて歌って踊ったりとか、ママの好きなドリカムを聴いて歌って踊ったり。テレビに出ている人たちの音楽を聴く環境でしたね。ユウキ私もみんなと同世代なので、モー娘。は好きでした。ただ、アイドルにハマったのは、このときが最初で最後という感じです。ユナ小さい頃はすごくJ-POPを聴いていましたし、超テレビっ子でした。テレビに出ていた人たちにハマって、当時放送されていた音楽番組に出ているモー娘。を観て「超おもしろい!」と思って(笑)。最終的にはORANGE RANGEにどハマりして、バンドという存在に惹かれて、ドラムという楽器を知って、実際にCHAIで担当することになっていまに至ります。――マナさん、カナさん、ユナさんが同じ高校の軽音部で、後から知り合ったユウキさんが加わって、CHAIを結成されましたね。海外のレーベルからのリリースやライブ活動などもされていますが、もともと日本だけではなく、海外も視野に入れていたのですか。マナもちろん海外を視野に入れていました。CHAIを始めたときから「日本はもちろん世界で売れたほうがトップだよね?」という単純な考えから、世界を目指すことにしたんです。――では大人になってからは海外のバンドの曲も聴くようになって、参考にすることもあったのですか。マナはい、CHAIを始めてからは、ほぼ洋楽を聴いていました。それこそ、聴いているアーティストがグラミー賞を獲っていることが多かったから「夢はグラミー賞!」と、わたしたちもずっと言っています。「これがトップの音楽なんだな」と思いながら、洋楽を聴いているうちに、CHAIでも目指すようになりました。ニューシングルは初めてのドラマ主題歌書き下ろし――2022年1月12日にニューシングル「まるごと」をリリースされました。キュートなポップソングですが、曲にこめた思いを教えてください。マナそれぞれの人が持っているいろいろな愛のかたちを認め合うことができたら、本当に最高だよね、という思いを込めた曲になっています。――今作は現在放送中の岸井ゆきのさん、高橋一生さんのW主演となる、よるドラ『恋せぬふたり』(NHK総合 毎週月曜 午後10:45)の主題歌ですね。音楽ファンだけではなく、お茶の間にもCHAIの曲が広く浸透します。マナリアルタイムでドラマの第一話を見ていましたが、ドラマの主題歌を書き下ろしたのは初めての経験だったので、オンエアを見て感動しました。カナやっぱり地上波のドラマの主題歌を担当すると、誰よりも親や親戚が喜んでくれるから、感謝したい身近な人たちに届くこともすごくうれしいです。お茶の間に響くのも、CHAIを知ってもらえるいい機会ですし、「紅白歌合戦」にもいつか出演できたらいいな(笑)。ユウキ私はこの曲で歌詞を担当したのですが、ドラマ放送前に5話ぐらいまでの台本を読ませてもらって歌詞を書いていたから、実際にドラマを見ると映像と音楽があわさったときに、まず感動しました。良い映像を引き立てる言葉で歌詞が書けたと思えましたし、ドラマにも合っていたのでうれしかったです。ユナ私は本当にテレビっ子でいままで数々のドラマを見てきたなかで、まさか自分たちの曲が、ドラマを見ていてワッと出てくるなんて、この衝撃と感動といったらもう……(笑)! テレビの前でひとりで鳥肌が立って、あたふたしていたぐらいの喜びです。――2月2日には、EP『WINK TOGETHER』をリリースされましたね。EPのリミックス陣として参加しているカリフォルニア在住のアーティストのスクーバート・ドゥーバートが、「まるごと」のサウンドプロデュースも担当していて、CHAIとの好相性を感じます。マナスクーバートは、もともとSpotifyのNew Music Fridayというプレイリストに入っていたところを見つけました。彼の曲がすごく良くて、ストーリーにあげたら本人から連絡がきたので、連絡を取り合うようになって。スクーバートの曲はCHAIの曲にも合いそうで、アレンジも上手だなと思っていたので、今回「まるごと」のアレンジをお願いしました。スクーバートには、ロマンチックだったり、ノスタルジックだったりする雰囲気にしたいとイメージを共有して、そこから一緒に曲を仕上げていったので、いいマッチングになったと思います。――EPのほうはどんな仕上がりになっていますか?マナすっごく面白いと思います。もうねえ、ジャンルがよくわからない感じになっていて(笑)。カナそうだねえ(笑)。世界のトップアーティストたちも参加しています。マナいろいろな国のアーティストたちが参加してくれていて、CHAIの3 rdアルバム『WINK』の中から曲を選んでリミックスをしてくれた人もいれば、バンドアレンジをしてくれた人や歌で参加してくれた人も。とにかくさまざまな言葉や音楽が聴ける作品です。――曲作りをする際やレコーディングのときなど、いつも歌うとき、演奏するときに心がけていることがあればえてください。マナいろいろな自分を出せたらいいな、その自分がたくさんの人に届けばいいなと思って、いつも歌っています。カナレコーディングとライブでは、歌うにしても、全然感覚が違う面もありますね。レコーディングのときは、マナも言っていましたが、声だけで自分をいろいろと表現できたらいいな、それをみなさんにも楽しんでもらいたいな、スッと誰かの感情の中に入れるような歌が歌いたいなって。ライブでは、表情や動きといった見ていて伝わるものが多いですよね。だから、レコーディングのときよりも、声のニュアンスにおいても、ダイナミックになるようにしています。ユウキわたしは歌詞を作ることが一番メインの担当になるので、ドラマ主題歌ならその世界に沿ったことを意識していたり、CHAIだけのオリジナルの曲はわたしの中から出したいものをテーマとして持ってきたりしていますね。どんな場合でも、CHAIの言いたいことは一貫して「セルフラブを一番伝えたい」ので、そこにはつながるように作っています。ユナたとえばスクーバートがアレンジしてくれている曲なら、まず自分の中に曲をインプットして、プレイでユーモアや遊び心を表現してから、アウトプットするようにしています。レコーディングもライブも、日本でも海外に行ったときも、音楽は共通。グルーヴが強かったら、どこの国の人も踊ってくれるんだろうなという感覚があるので、どれだけ気持ちいいビートがたたけるか、そして曲に即したアウトプットで表現できるかということを最近は意識してトライしていますね。――2月からは、日系女性シンガー・ソングライターMitskiさんとの「Mitski 2022 tour」、そして「WINK TOGETHER NORTH AMERICA TOUR」と題した北米ツアーがあります。どのようなステージになりそうですか。マナ 2年ぶりの海外ツアーですね。ステージは、とにかくエンターテインメントの場なので、刺激と感動をみなさんにお届けして、驚かせまくります(笑)。それは日本も海外も共通する、CHAIのライブのテーマです。――日本と海外のライブでのパフォーマンスの違いはありますか。マナ多少はありますね。文化が違えば、音楽の楽しみ方も違いますし、海外の方のほうがけっこう踊るんです。日本のように、アーティストをずっと見ていないから。海外の方だと、遊びに来た、飲みに来た、という感覚でライブに来てくれるので、見方が違うんですね。だから、踊ってほしい曲が多いですし、ライブアレンジもちょっと変えたりします。CHAIの音楽がもっと世界に届くよう活動していく――新曲「まるごと」には「違いさえもまるごと愛せたらなあ」という歌詞もありますが、みなさんが現在“まるごと愛している!”と思える“推し”を教えてください。マナ私は実家にいる、犬のロイちゃんですね。ミニチュアシュナウザーなのですが、犬の考えていることを知りたい。だから一緒にいると家からなかなか出られないんです(笑)。実家に帰ると、ロイと過ごす時間が一番多くて、ロイが何をしたいんだろうって、まるごと愛しちゃってます(笑)。カナ私も一緒です(笑)。動物全般がすごく好きで、何を考えているのかわからないところもすごく面白くて、動物は人間が思い浮かばないことを考えているから見ていておもしろいんですよね。ロイとも、ずっと一緒にいたい。ユウキ私は、推しがないんですよ。何かをずっと追いかけるようなハマり方が1回もなくて、絵を描くことは好きですが、毎日描きたいわけではなく、描きたいときがそのときという感じ(笑)。でも、人の推しの話を聞くことは好きなんです。ポッドキャストで、ジェーン・スーさんらの番組『OVER THE SUN』があって、すごく推しのことを語っていて、私に推しがまったくないから聞いていると、おもしろいです。ユナ私は推しがありすぎて、何から言おうかな(笑)。食べ物も観葉植物もドラマも推しがありますが、なかでも俳優だと吉沢亮さんを推しています。美形はもちろん、原作がある作品の実写化では勝つものがいなくて、なんでも自分のものにしていくところが魅力的です。馬も、推しています(笑)。コロナ禍になる前に、ユウキと乗馬クラブに行ったんですが、そのときの感動がいまだに忘れられなくて、密かにいまも馬を推しています。ユウキ乗馬はすごく楽しかったね。間近で馬の顔を見たら、恐竜並みに大きくて、筋肉もすごく美しくて、毛並みもきれいでした。でも、ユナがそこまで推しているとは(笑)。――おふたりで乗馬に行かれたということですが、外出自粛する前だと、プライベートで4人でどこかへ行ったりした思い出はありますか。マナ東京へ引っ越してきたばかりのときに、4人で東京ディズニーランドに行きましたね。カナ行ったねえー。ユウキそんなこともあったねえ。ユナ夜からのパスポートで。ユウキプーさんの乗り物にみんなで並んだりして。マナこんなに近くにディズニーランドがあるなら行っておこうと、みんなテンション爆上がりで、楽しかったです。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。マナ2022年は寅年なので、弱肉強食を恐れず、ぜーんぶ、寅のように噛みつきまくって、最後は全部笑える年にしたいですね。いままで通り挑戦し続けて、感謝しつつ、刺激ももらう年になる気がします。CHAIの音楽がもっと世界に届くといいなという願いを込めて、これからも活動していきます。取材後記日本のみならず、海外でも活躍されるバイタリティを持ちながら、ポジティブにキュートに音楽を放ち続ける、CHAIのみなさん。ananwebの取材では、マナさん、カナさん、ユウキさん、ユナさんのメンバー全員にいろいろなお話をうかがいました。マナさんいわく寅のように、今後も勇敢に挑戦し続ける、CHAIの音楽を聴かせてくれるはず。そんなCHAIの新作をみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりCHAIPROFILE双子のマナ(Vo&Key)とカナ(Vo&G)、ユウキ(B&Cho)、ユナ(Dr&Cho)からなる、“NEOかわいい”4人組バンド。2017年、1stアルバム『PINK』が各チャートを席捲、音楽業界のみならずさまざまな著名人からも絶賛される。2018年、アメリカ、イギリスの人気インディーレーベルから海外デビューも果たし、自身のワールドツアーや世界各国のフェスへの出演も精力的に行っている。2019年、2ndアルバム『PUNK』が世界中の音楽サイトで軒並み高評価を獲得。2020年、コロナ禍で活動が制限されるなか6作シングルをリリースし、10月にはUSインディーレーベルSUB POPと契約。2021年5月、3rdアルバム『WINK』をリリース。2022年1月12日にニューシングル「まるごと」、2月2日にリミックスEP『WINK TOGETHER』をリリース。InformationNew Release「まるごと」2022年1月12日配信New Release『WINK TOGETHER』(収録曲)01. Nobody Knows We Are Fun (STUTS Remix)02. PING PONG! feat. YMCK (Busy P Remix)03. END (Confidence Man Remix)04. Miracle (Scoobert Doobert Remix)05. ACTION (with ZAZEN BOYS)06. Donuts Mind If I Do (with Beenzino)2022年2月2日発売取材、文・かわむらあみり
2022年02月04日記念すべき【音楽通信】第100回目に登場するのは、日本のみならず海外でも高い評価を受け世代を超えてリスペクトされ続ける、アーティスト活動40周年を迎えた日本を代表するギタリスト、布袋寅泰さん!14歳のときにロックミュージックと出会った【音楽通信】vol.100日本のロックシーンへ多大なる影響を与えた伝説的ロックバンド「BOØWY」のギタリストとして躍進し、1988年のバンド解散後、アルバム『GUITARHYTHM』でソロデビューを果たした、布袋寅泰さん。以降、国内外でソロアーティストとしてはもちろんのこと、吉川晃司さんと結成したロックユニット「COMPLEX」としての活動や、他アーティストへの楽曲提供やプロデュース、映画やCMへの出演などさまざまなシーンで脚光を浴び続け、数多くのミュージシャンからもリスペクトされ続けている存在です。昨年アーティスト活動40周年を迎えた布袋さんが、2022年2月1日に20枚目のニューアルバム『Still Dreamin’』をリリースされたということで、音楽を始めたきっかけや普段のご様子なども含めて、さまざまなお話をうかがいました。――あらためまして、布袋さんの幼い頃の音楽環境やギターを始めたきっかけから、お聞かせいただけますか?僕は幼稚園からずっとピアノのレッスンを受けていましたが、ピアノは練習曲の連続で譜面通りにしっかり弾くという、基本の練習が長くて少し飽きていた部分もあってやめて。そのあとエレクトーンを習ったら、楽しかったですね。そんな14歳のときに、ロックミュージックと出会ったんです。ロックは自由で、どんな音を出してもいい世界。どんどんロックに惹かれていって、ギターにも興味を持つようになりました。でも、その時代はYouTubeもビデオもない時代だったので、ギターを練習するとしたら、レコードを聴きながら合わせて自己流で練習するしかなかったんですね。それから地元である群馬の高崎で、高校の仲間とバンドを組んだりしながら、17歳でプロを夢見て上京しました。はじめはバンドもなかなかうまくいかず、やりたいことすら見つからないような状況のときに、BOØWYのメンバーと出会い、そこから19歳でライブハウスデビューしたんです。6年間 BOØWYをやっていましたが、売れたのは最後の2、3年。最初はまったく売れず、貧困生活を送っていたときは、毎日マヨネーズごはんを食べていました(笑)。そこから、気がつけば昨年40周年を迎えて、いろいろな経験をしてきましたね。昨年はコロナ禍でライブ活動も制限されたなか、ポーズボタンを押して立ち止まるだけではなく、僕も布袋チームも「制約があるなかでも、やれることを力を合わせてやろう!」という気持ちで行動していました。――私が初めて布袋さんのライブに行かせていただいたのは、約30年前ぐらいの「COMPLEX」の大阪城ホール公演でした。「布袋さんだ!」とそのステージに圧倒されまして……。よく「実在するんだ」とか言われますが(笑)。たとえ当時を知らない方でも、最近ではCOMPLEXの1989年の曲「BE MY BABY」が、2019年に川口春奈さんが出演されていたシャンプーのCMで聴いたこともある方や、映画『キル・ビル』(2003年)のテーマ曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(新・仁義なき戦いのテーマ)」は、いろいろなバラエティでもかかっていますよね。今井美樹さんの「PRIDE」という曲は僕の作詞作曲なので、20代の方でも、カラオケに行ったら歌うこともある曲なんじゃないかなと。僕も若い頃、雑誌『anan』を見ていましたし、ananwebをご覧になる若い読者の方は、世代でいえば僕のライブを見たことがない、アルバムを聴いたことがない方もいるでしょう。もし僕の姿を知らなくても、きっとみなさん、どこかで曲は聴いたことがあると思います。そういう方々にも、ぜひいまの自分を伝えたいですね。ライブをやっていても、昔は男性のファンの方が多かったのですが、だんだん女性も増えてきました。親御さんに小さい頃にライブへ連れてこられた子たちが大きくなって来てくれていて、10代や20代の方も多いんですよ。男性は「布袋―!」とこぶしをあげて野太い布袋コールを変わらず送ってくれるのもうれしいんですが、女性の方は一人ひとりが感じるままに踊ったり、楽しんでくれていたりするのもすごく伝わるので、もっと若い方や女性の方にもライブに来ていただきたいですね。――昨年の「第72回 紅白歌合戦」や「東京2020パラリンピック」開会式にもご出演されて、ロックファンの方は布袋さんの姿を見てうれしかったと思いますし、年齢問わず幅広い層の方々も布袋さんのご活躍を目にする機会となりました。「布袋」という名前を聞くことはあっても、実際にギターを弾く姿を見て、やっと「布袋寅泰」だと一致した方も多かったでしょうね。僕のギタースタイルは尖っていて、鋭角的な曲が多いから、「布袋」というと尖ったイメージの方も多いかもしれません。パラリンピックのときの曲は、このために書き下ろした「TSUBASA」「HIKARI」の2曲ということもあって、普段の僕のライブでは見せない、多くの部分を伝えられるいい機会でした。やさしかったり、力強かったり、すごく高揚する部分と静寂の部分、音楽的なギタリストとしての表情を見せることができましたね。そして紅白も、ソロで出演するのは初めてでしたが、今回はコロナ禍でとにかくみんな疲れていて、年が開けて「またがんばるぞ!」という気持ちになってほしい一心での出演でしたので、伝わるものも大きかったと思います。生まれ故郷の群馬の高崎で制作したアルバム――2022年2月1日に20枚目のニューアルバム『Still Dreamin’』をリリースされましたね。いつから制作されていたのですか。昨年の8月からですね。十数年前からイギリスに住んでいるので、ここ数年はイギリスでの音楽制作が多かったのですが、昨年のパラリンピック前から僕ひとりでロンドンから帰国して一人暮らしをしているので、家族とは7か月会っていないんです。コロナ禍で帰れない、予想のつかない状況になっているから、腰を据えて、いまでこそ伝えたいことも必ずあるはずだということで、今作は日本で制作しました。生まれ故郷の群馬の高崎に戻って、曲を書き始めたんですね。パラリンピックの少し前からです。――アルバムの表題曲でもある、1曲目「Still Dreamin’」は、歌詞もサウンドも鼓舞してくれるような力強い楽曲ですね。今回のアルバムは、コロナや環境など問題が山積みの世界のなかで、1日のスタートを軽快に前向きにスタートしようというメッセージを込めた曲が多いんです。いままでの作品には1度もなかった「ハッピー」がテーマ。能天気な意味合いではなく、とにかくうつむいていては何も始まらない、こんなときこそ音楽を聴いて気持ちをポジティブに、元気になってほしいという思いがあります。「Still Dreamin’」の「Still」は「いまもなお」という意味もありますが、思えば10代の頃にプロになりたくて、いつかギターで世界中を旅したくて、その夢を見たときから、僕の音楽家人生は始まりました。そしていまもなお、人から見ると長いキャリアでいろいろなものをつかんだように見えるかもしれませんが、いまだに「もっと知らない世界に向かって冒険していきたい」という思いがあふれていて。ワールドツアーを成功する夢はかなっていませんからね、いまだに夢を追い続けているんです。10代、20代の頃の気持ちを忘れずに、こうやって60代を迎えることができました。だから、同世代や長年のファンのみなさんはもちろん、さまざまな世代の方にも、ストレートにスッと受け入れていただける曲が多いアルバムになっていると思います。――2曲目「Do you wanna dance?」は、実は40年前に作っていた曲だそうですね。BOØWY時代に作っていた曲ですが、そのときのバンドのやりたい方向性と少しずれていて、そのまま引き出しに閉まったままだったんです。昨年になって、ふとこの曲のことを思い出して「待てよ、いまこそ響く曲なんじゃないかな」と再構築しました。でも瞬間冷凍したように、曲を作ったときの自分の生々しい感触は残っていますし、それが色褪せるどころか、むしろデジタル音楽が主流となりつつある現在、この曲が非常に新鮮に響いたので、アルバムに収録しました。――以前作られた曲も膨大な数をお持ちですよね?そう、だから作った曲はいちいち取っておかないで、ボツになるにはボツになる理由があるので(笑)、そういう曲は捨てますけどね。新しい曲もどんどん生まれてきますし。――この曲に限っては、違ったんですね。そうですね。40周年で原点回帰という思いと、群馬で曲を作っていたということもあって、バンド時代に曲を作っていたときのことも、いろいろと蘇ってきたんですよ。これまで作った曲はメッセージ性のあるものが多くて、とにかく夢をあきらめず、自分らしく毎日を自己更新していこう、というメッセージがおもだったんです。でも今回は、コロナ禍のなかでの家族への思いや自分のなかにあるやさしい気持ちも入っていて、いつもより表情豊かなアルバムですし、4曲目の「Starlight」や5曲目の「コキア」といった女性に向かって歌った曲も多いので、布袋は男のものと思わず(笑)、ぜひ女性も聴いてください。布袋というと、ロックギターの印象から荒々しいイメージかもしれませんが、実はどことなく女性的な部分もあるんですよね。今井美樹さんの「PRIDE」なんて、どこか自分のなかで「ギタリスト布袋」ではなく「ピアニスト布袋」という部分があって、できた曲ですし。ようやくいい意味で、表現力のバランスがよくなってきたところもあるので、これからは柔らかい音楽や、柔らかい気持ちも伝えていきたいですね。――昨年発売されたEP『Pegasus』から、アコースティックナンバーの12曲目「10年前の今日のこと」などの2曲がAlbum versionとして収録されています。「10年前の今日のこと」は、いい曲ですよね。この曲は、ロックダウンのなか、ロンドンの家でひとりでマイクを立てて、録音もすべて自分でやって作りました。“十年ひと昔”という言葉もありますが、東日本大震災から10年ということもありましたし、自分たちがイギリスへ移住してから10年ということもありましたし。母が旅立ったり、愛犬もいなくなったり、そんな寂しいできごとの一方で、娘は今年20歳になります。この10年の間にいろいろなことがありました。でもこの先の10年を考えたときに、きっとこれからAIやメタバースの時代になり、世界は変化していくと思いますが、振り返ったときに「いまの自分がどういうふうに映るだろうか」ということも思ったり。この曲は、前のことを振り返りながら、先のことを歌った曲でもあるんですよね。この曲は、みなさんが自分のことと重ねてじっくり聴いてくれる曲なので、ライブでもこぶしをあげて楽しむものとは違うんです。僕のライブはいろいろな表情がありますから、とくにコロナ禍のライブはみなさん声援は出せない、歌えないという状況。昨年のツアーでは、途中でアコースティックコーナーを設けて、この曲や懐かしい曲をアコースティックギターで披露したら、それが逆にすごく新鮮だったようです。笑っている人がいたり、泣いている人がいたり、こちらもすごく胸が熱くなりました。――ツアーといえば、5月に群馬の高崎芸術劇場から始まる全国ツアー「HOTEI the LIVE 2022 “Still Dreamin’ Tour”」はどんなステージになりますか。今回のアルバム『Still Dreamin’』からの曲や、ライブ映えする曲をやります。加えて、昨年の40周年ツアーは制約があって各会場に半分のお客さんしかご覧になれなかったから、そんなみなさんも含めて久しぶりに以前の曲も聴きたいでしょうし、懐かしい曲も披露します。ベストツアープラス『Still Dreamin’』という感じですね。最初から最後まで、おもしろいツアーになると思います。――さらに2月4日から2週間限定で、映画『Still Dreamin’ ―布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム―』が全国公開となりますが、ドキュメンタリー映画なのですね。僕の40年を辿るような内容になっています。少しファンタジーな部分もあって、自分と自分が向かい合って対話するという、普通のドキュメンタリーとは違う、おもしろい作りなんですよね。いま見るとかわいいもんですが(笑)、ヤンチャで暴れん坊で、でもまっすぐ夢を目指している鋭い目があった若い頃の自分も見れて、昔ながらのファンの方には懐かしい映像もあります。ananwebの読者の方や若い世代の方、僕の名前は知っているけれど僕のことをそれほど知らない方にも、ご覧になっていただきたい。こういう時代だからこそ、音楽が非常に力を持っているということ、また、夢は若者たちだけのものではなく、大人になってもずっと追い続けるものなんだぞ、というメッセージが伝わる映画です。それこそ、ご家族で、親御さんと一緒に見てもけっこう楽しめる映画だと思います。みなさんが元気になる音楽を続けていきたい――アルバムリリースの2月1日は、60歳のお誕生日でしたね。イギリスの家族のもとに帰れないので(笑)、まさか60歳の誕生日をひとりで迎えるとは思いませんでしたね。でも、この日は映画のプレミア上映会があったので、ファンのみなさんとも会えて、ひとりじゃなかったです(笑)。せっかくいい作品を作ったので、ひとりでも多くの人に観てほしいですし、聴いてほしいですし、ここが踏ん張りどきなのでもうちょっとの我慢ですから、がんばります。――音楽活動以外のときの布袋さんのご様子がまったく想像できないのですが、どのように過ごしていらっしゃいますか?そうですよねえ、想像できませんよね。僕は、みなさんがびっくりするぐらい、おだやかな毎日を過ごしていますよ。いまは予期せぬ一人暮らしということもあって、料理も洗濯も掃除も自分でやりますし、花を買うのも好きですし。人目につかないように散歩することもあります。寂しいですが、いまは人に会えないですからね。映画やテレビばかり観ているかといえばそうでもなく、音楽ばかり聴いているかといえばそうでもなく。――お部屋でだらんとされているイメージがまったくないです。いえいえ、そんなときもありますよ(笑)、いつもきっちりしていないです。僕を知っている人たちは、ステージのときだけ、シャキーンとするイメージでしょうね。どちらかというと普段は、ほんわかしたイメージだと思います。いつもみなさんのお目に留まるときは、テレビなど一番オンなときですからね。でも、音楽を聴いてもらえば、僕のイメージの向こう側といいますか、人となりみたいなものも伝わればいいなと思います。――布袋さんは常に日本のロックシーンを牽引し続け、誰もがその背中を追う存在ですが、そのバイタリティはどこからくるものでしょうか。また、夢をかなえるモチベーションを持ち続けるには、どうすればよいと思われますか。夢を目標と置きかえてみても、あまり大きな夢を持ちすぎてもかなわないような気もしますし、かといって、小さな目標は夢と呼ぶにはふさわしくないような印象もありますよね。夢というのは心躍る言葉だけれども、なかなか自分から言葉にできない部分もあると思うんです。止まぬ雨はないわけで、明日は必ず来るわけで、そのときにどんな気持ちで明日を迎えるかが大事ですよね。我慢しなければならないことも多い現代のなかで、立ち止まってじっくり考えることも大事だけれど、ずっと足踏みをし続けるわけにもいかない。やっぱり、一歩前に踏み出す勇気だと思うんです。立ち止まりすぎてもろくなことを考えないですから、扉を開けたり窓を開けたり、同じ通学路や通勤路でも、昨日とちょっと違う気持ちで何かを探そうとすれば、いきいきとする自分もいるはずなんですよね。モチベーションというと、僕は「この先には何があるんだろう?」という好奇心が強くて、ひとつのゴールを超えても「さて、次は何があるか?」と、気持ちを切り替えます。命に関わることではない限り、人生って、どうにかつながっていきますよね。だから、大なり小なり迷った時は、自分のなかの声を聞く。そのほうが、おもしろいことにつながっていくと思うんです。とくに若いうちは、絶対そのほうがいいと思いますし、大人になったときのことを考えなくても、気がつけば大人になっているから。――いろいろなお話をしていただき、ありがとうございました。では最後になりますが、今後の抱負をお聞かせいただけますか。まずは新しく決まった全国ツアーをしっかりやりたいです。そしてコロナ禍によって、予定にあったヨーロッパツアーやアメリカツアーといったワールドツアーの夢が一度閉ざされている部分もあるので、一段落つき次第イギリスに戻って、夢に向かって活動を継続していきたいです。音楽が好きでやっているので、1日でも長くいきいきとみなさんが元気になるような音楽を続けていきたいですし、心身ともにムキムキにはなりたくないですが(笑)、ヘロヘロにはならないように、コントロールしていきたいなと思います。取材後記偉大なるギタリストである、布袋寅泰さん。ananwebの撮影時、布袋さんが部屋に入られる前に、ご準備いただいた幾何学模様のギターを先に拝見しただけでもBOØWY〜COMPLEX〜ソロとそのロックを聴いて育った筆者は息をのみました。「象徴的なあのギターを見るだけで僕だとわかりますし、いろいろな音が聴こえる、歴史を刻んだギター。宝物ですし、僕の身体の一部です」と布袋さん。ステージではカッコよく、お話しされる際はジェントルマンな布袋さんのニューアルバムと映画をみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみりヘアメイク・原田忠(資生堂)スタイリスト・井嶋 一雄(Balance)スーツ ¥621,500、シャツ ¥69,300、ベルト ¥99,000、チーフ¥29,700/すべて ブルネロ クチネリ(ブルネロ クチネリ ジャパン株式会社)(問い合わせ先)ブルネロ クチネリ ジャパン株式会社 03-5276-8300布袋寅泰PROFILE1962年2月1日、群馬県高崎市生まれ。日本のロックシーンへ大きな影響を与えた伝説的ロックバンドBOØWYのギタリストとして、1982年にアルバム『MORAL』でデビュー。1988年のバンド解散後、同年にアルバム『GUITARHYTHM』でソロデビューを果たす。また、吉川晃司と結成したユニットCOMPLEXとして1989年にシングル「BE MY BABY」でもデビューし1990年に解散。以降、ソロアーティストとして、そして同時に他アーティストへの楽曲提供、プロデューサー、作詞作曲家としても才能を高く評価されており、映画やCMへの出演などさまざまなシーンで活躍している。クエンティン・タランティーノ監督からのオファーにより提供した「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY(新・仁義なき戦いのテーマ)」 が映画『KILL BILL』(2003年)のテーマ曲となり、世界的にも大きな評価を受け、いまもなお世界で愛されている。2012年よりイギリスへ移住し、4度のロンドン公演を成功させる。2014年にザ・ローリングストーンズと東京ドームで共演を果たし、2015年に海外レーベルSpinefarm Recordsと契約。インターナショナルアルバム『Strangers』がUK、ヨーロッパでCDリリースされ、全世界へ向け配信リリースもされた。2021年にアーティスト活動歴40周年を迎え、日本武道館公演を無観客配信にて開催。また、同公演を完全パッケージした映像作品『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』やEP『Pegasus』をリリース。8月24日には、東京2020パラリンピック開 会式にて「TSUBASA」「HIKARI」の2曲を制作/出演。圧倒的なパフォーマンスが世界中から高評価を受けた。2022年、2月1日に20枚目のニューアルバム『Still Dreamin’』をリリース。2月4日から映画『Still Dreamin’ ―布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム―』が全国ロードショー。5月から8月までは全国ツアー「HOTEI the LIVE 2022 “Still Dreamin’ Tour”」を開催する。InformationNew Release『Still Dreamin’』(収録曲)01. Still Dreamin’02. Do you wanna dance?03. Let’s Go04. Starlight05. コキア06. オペラ07. Pegasus (Album version)08. 理由09. Rock & Soul Music10. Pure11. 世界は夢を見ている12. 10年前の今日のこと (Album version)2022年2月1日発売(通常盤)TYCT-60190(CD)¥3,300 (税込)(初回生産限定盤)60th Celebration EditionTYCT-69229(3CD+フォトブックレット+グッズ)¥6,600 (税込)<付属>・29曲合計約150分 2枚組ライブCD・60Pフォトブックレット・メモリアルピックセット・三面デジパック+三方背スリーブケース仕様。写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり ヘアメイク・原田忠(資生堂) スタイリスト・井嶋 一雄(Balance)
2022年02月03日【音楽通信】第99回目に登場するのは、プライベートレーベルを設立するなど、結成15周年を迎えて、さらなる飛躍を遂げようとしている4人組ガールズバンド、SCANDAL(スキャンダル)!ボーカル&ダンススクールでバンドを結成写真左から、TOMOMI(B&Vo)、HARUNA(Vo&G)、RINA(Dr& Vo)、MAMI(G&Vo)。【音楽通信】vol.992006年に大阪で結成された、HARUNA(Vo&G)さん、RINA(Dr&Vo)さん、MAMI(G&Vo)さん、TOMOMI(B&Vo)さんからなる4人組ガールズバンド、SCANDAL。2009年にシングル「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞、国内外問わずさまざまな場所でコンサートを行い、メンバー全員がボーカルを務めるなど、その力強いパフォーマンスで人気を博しています。そんなSCANDALが、2022年1月26日にアルバム『MIRROR』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、メンバーからHARUNAさんとRINAさんにお話をうかがいました。――小さい頃に憧れていたアーティストから教えてください。HARUNA小さい頃から聴いていて、音楽をやろうと思ったきっかけになったアーティストは、安室奈美恵さんです。もともと小室哲哉さんのサウンドがすごく好きで、小さい頃からgloveやhitomiさんなどの小室さんが作った曲をカラオケで歌いながら、「歌って楽しいなあ」と思いました。RINA 小さい頃は、母親の影響で浜崎あゆみさんの曲をたくさん聴いていましたね。他にもEvery Little Thingといった、女性ボーカルの曲がすごく好きでした。それからだいぶん経ってから、歌とダンスのスクールに通うようになって、SCANDALのメンバーとも出会って。スクールの先生が歌やダンスだけでなく、楽器演奏もすすめてくれたので、そこで初めてバンドの音楽や楽器に触れるようになって、気づくとバンドマンになって15年経っていました(笑)。――2006年に大阪でバンドを結成され、2008年にシングル「DOLL」でメジャーデビューされましたね。この15年を振り返っていかがですか。HARUNA長くやってきたなあと(笑)。15年経ってやっとバンドをやっていること、バンドマンでいることが心地よくなってきました。もともとボーカル&ダンススクールでのバンド結成という特殊なきっかけから始まっているので、それ以前の自分と、バンドを始めてからの自分との差を感じてしまうことも多くて。でも、やっとこの2、3年でそういう自分との差がなくなってきた気がします。――それは何か気持ちが切り替わる出来事があったのですか。HARUNA私が30代になったことが大きいと思います。20代の10年間は、オンオフ問わず、いつも完全にギアを入れた状態でバンドをやっていたといいますか。また違う人格を自ら作り出していたような感覚があって、なかなかそういう自分で10年ぐらい続けていると、心がしんどくなってしまうこともありました。でも、これから長くバンドを続けていこうと思ったときに、ありのままの自分でいるのが、一番大事なんだなと30代になってようやく気づき始めました。過去の自分を否定しているわけではなく、生きていることすべてに意味があると思っているので、これまでのいろいろな経験を経て、やっといますごくいい自分にたどり着いた気がしています。RINA 私はこの15年、シンプルに同じメンバーで、ずっと音楽ができていてうれしい気持ちでいっぱいですね。やり続ける度にバンドが大事になっていますし、楽しくなっています。いま自由に自分たちの個性を認めながら、楽しくナチュラルに音楽ができていると思うので、いまが一番楽しいですね。自分たちや時代と向き合って作ったアルバムHARUNA(Vo&G)。1988年8月10日生まれ、A型。――2022年1月26日に10枚目のアルバム『MIRROR』をリリースされます。まずは今作が仕上がっての手応えから、お聞かせください。HARUNAできてよかったーっ! という感じです(笑)。コロナ禍に入ってから、アルバムの制作がなかなか進まなかった時期もあったので、自分たちの心境の変化とともに完成していったアルバムだといえますね。――1曲目「MIRROR」はアルバムのタイトル曲でもありますが、もっとも今作を表す楽曲となりますか。RINA そうですね、収録曲のなかで最後に書いた曲でもあります。光や、自分たちが感じる女性の柔らかさやしなやかさ、繊細さみたいなキーワードを象徴するワンワードをずっと探していて、なかなかタイトルが決まらないなか最後に「MIRROR」という言葉に辿り着きました。これまで音楽の活動がストップした時期もありましたし、世界全体でいろいろな変化のあった時期に、どういうふうに音楽を続けたらいいかもすごく考えて、自分たちそして時代と向き合って作ったアルバムという意味でも、「MIRROR」というタイトルがすごくしっくりきて。リード曲にもなっていますし、このアルバムを象徴する曲でもあると思います。――4曲目「彼女はWave」はRINAさん作詞作曲の楽曲となり、それ以前の曲とはガラリと雰囲気が変わりますが、どんなイメージで作られましたか。RINA 波のように自由に生きている女の子をテーマにして作った曲なのですが、初めてひとりでDTMで作った曲で、家で打ち込みをしながら制作していった作業も新鮮で楽しくて。デモには私の作った仮歌を入れていたんですが、みんなに聴いてもらったときに「これ、RINAが歌っちゃえば?」となって、久しぶりにボーカルもやらせていただいた曲になりました。――7曲目「夕暮れ、溶ける」はHARUNAさん作詞作曲の疾走感のある楽曲ですが、どのようなシチュエーションから生まれた楽曲ですか。HARUNAこれはまず「夕暮れ」「溶ける」というワードが、夕方に犬の散歩をしていたらふと思い浮かんできました。表現としては違和感があると思いながら、でもワードが妙にグッときたといいますか。うまく言葉では説明できないけれどなんかいいな、という感覚は世の中にたくさんあるなあって、そんな感覚や潔さをうまく表現できればと思ってできた曲です。――ではいつも曲を作られるときは、インスピレーションで作られるのですか。HARUNA曲にもよるのですが、今回は1曲作ろうと思って机に向かったというよりは、何気ない日常のなかでふっと言葉が降りてきた感覚を大事に作ってみました。RINA 私の場合は、作詞作曲するときは、作ろうと思って机に向かうタイプです。バンドのなかで歌詞だけ書くことが多いので、好きな歌詞を書き溜めてみたり、ギターのMAMIがメロディを書いてくれることが多いのですが、そこに歌詞をのせていくパターンも多いですね。HARUNA今回のアルバムに関しては、初めてライブを意識しないで作ったかもしれません。RINA(Dr&Vo)。1991年8月21日生まれ、B型。――これまではライブに向けて曲を書くことが多かったのですか。RINA ほとんどライブに向けて曲を書いていて、ライブでお客さんに会って、それがインスピレーションになっていることが多かったんです。でも、コロナ禍でライブの機会がなくなって、今回は曲を書き始めるのが大変でした。だからこそ、自分と向き合う時間がたっぷりあって、自分たち自身を肯定する曲が多くなったんです。人に何かを発信するよりは、自分を発散する感覚、そんな曲が多いなと。あとはテンポを落としたものを作ろうと思って制作しました。HARUNAサウンドにいい丸みがある感じに仕上げたいなって。たっぷり時間をかけて作れたので、いままでとは全然違う意識でも作れた作品だと思います。――そうやって制作されてきた今作は、どんなふうに聴き手に聴いてほしいですか。RINA 仕上がってみて自分たちも気づいたのですが、あまりこの曲はこういう意味です、とかこういうことを言いたいです、とか答えがないような楽曲が多くて。だから、聴き手に委ねたいですね。その人の状況やライフスタイルによって伝わることが違うと思うので、好きに受け取ってくれたらうれしいです。一回振り切ってこういうアルバムを作ってみたかったので、やれてよかったですし、大事な一枚になりました。HARUNAバンドマンでいると、たまに年齢や性別を自分で忘れてしまう瞬間があるんですが、今回はちゃんと30代の女性として、一人の人間として向き合った中でできた作品がたくさんあります。なので、わたしたちをより身近に感じながら、聴いてもらいたいなと思います。――3月12日からは「SCANDAL WORLD TOUR 2022“MIRROR”」と題した全国ツアーを6月まで開催。7月からはノースアメリカツアー、9月からはヨーロッパツアーと、海外でもツアーをまわりますね。RINA 久々にワールドツアーができることがうれしくて、海外のお客さんもたくさんいるので、アルバムをどういうふうに聴いてくれているのかなと、ワクワクしながらまわることになりそうです。ホールも似合いそうなアルバムなので、すごく楽しみですが、ステージの内容はまったく考えていないので詳しく言えません(笑)。ワールドツアーとついたタイトルが自分たちらしいなと思うので、これがやっと戻ってきたな、と思いました。――日本と海外ではパフォーマンスに違いなどはありますか。HARUNAそんなにないですね、現地の言葉を教えてもらって、挨拶するぐらいです。RINA 日本語で歌うしね。HARUNAそう。国によって、お客さんの反応はさまざまだったりしますが、コロナ禍になって海外のライブがどういうふうに変化しているかはわからないので、それは行ってみてのお楽しみだなと思っています。ナチュラルな4人でずっと音楽をやり続ける撮影:ヤオタケシ――おうち時間が長引く現在、ハマっていることはありますか。HARUNA自粛期間にハマったのは、K-POP。BTSからハマって、NCT、ENHYPENとか、いろいろなアーティストの曲を聴いています。十数年前もよく聴いていたんですが、近年のK-POPブームにのってこうしてまた聴き始めたり、韓国チャンネルを予約してドラマを観たりすることも。最近はCSチャンネルでしか観られないドラマなのですが『マウス』(2021年)というサスペンスドラマが面白くてハマっていますね。RINA 叶姉妹のポッドキャストがすごく面白くてよく聴いています。おふたりのトークがすごく親しみやすい感じもありますし、違う世界の人の話を聴く楽しい感覚もありますし、人間力のあるおふたりのお話を聞くと満たされますね。あとはkemioくんのポッドキャストも聴くことがあります。多彩なゲストの方が来ていて、違う職業の方のお話を聴くのもすごく好きなので、力をもらいました。――おふたりのお気に入りのコスメやファッションもお聞かせください。RINA ヴィーガンコスメブランド「mirari(ミラリ)」のパックがお気に入りです。成分がやさしいもので、いろいろな肌質に合う種類もあって、パッケージもすごくかわいいんですよ。ファッションは、ヴィンテージショップでお買い物するのが好きで、古着もエコだからそれもいいなと。新しい洋服にないサイズもあるので、面白いですし、よくヴィンテージショップに行きます。HARUNAずっと使い続けているのは、韓国コスメ「Dr.jart(ドクタージャルト)」のシカペアクリーム。何本もリピートして使っていて、季節を問わずにお肌がなめらかになります。ファッションのこだわりはあまりないのですが「MM6(エムエムシックス)」や「TOGA(トーガ)」あたりのクールでちょっと形が変わった洋服をよく選びますね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。RINA 2022年は、遊び心を大事にしたいです。いままでバンドだけの人生という感じでここまで来たのですが、昨年後半は違う職業の友人と会ったり遊んだりして癒され、リフレッシュできて、刺激をもらって過ごしました。そういう時間を今後も増やしていけたらいいなと思っています。バンドとしては、いまが最高の状態だと思うので、この状態が続いたらいいなと。ナチュラルな4人でずっと音楽をやり続けたいですね。HARUNA私も仕事とプライベートのメリハリを大事にしたいです。RINAと一緒で、この10年ぐらいはずっと仕事モードだったので、旅行したり、家で犬と過ごす時間を大事にしたいです。プライベートの時間で生まれる心の余裕みたいなものを、ちゃんと音楽に反映していきたいな。ライブをすることも楽しくて大好きなので、これからも少しずつやっていきたいですし、そういう幸せな日々をいっぱい増やしていきたいですね。取材後記女子中高生のときにバンドを結成し、15年間、駆け抜けてきたSCANDALのみなさん。ananwebの取材では、HARUNAさん、RINAさんに登場していただき、新作や普段のご様子までうかがうことができました。30代に突入し、自然体になったみなさんが放つこれからの音楽も期待大です。そんなSCANDALのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりSCANDALPROFILEHARUNA(Vo&G)、RINA(Dr&Vo)、MAMI(G&Vo)、TOMOMI(B&Vo)からなる4人組ガールズバンド。2006年8月、大阪のダンス&ボーカルスクール所属の女子中高生4人で結成。2008年、メジャーデビュー。翌年にはシングル「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞。国内外問わずに多くのフォロワーを持ち、世界中でコンサートを実施。2019年、プライベートレーベル「her」を設立。2022年1月26日、10枚目のアルバム『MIRROR』をリリース。3月から全国ツアー「SCANDAL WORLD TOUR 2022 “MIRROR”」を開催。InformationNew Release『MIRROR』(収録曲)01.MIRROR02.eternal03.愛にならなかったのさ04.彼女はWave05.愛の正体06.アイボリー07.夕暮れ、溶ける08.蒼の鳴る夜の隙間で09.プリズム10.one more timebonus track1. Living in the city2. SPICE2022年1月26日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)VICL-65653(CD)¥3,300(税込)(初回限定盤A)VIZL-2001(CD+DVD)¥4,400(税込)<初回限定盤A付属内容>DVD「SCANDAL DOCUMENTARY “her” Diary 2021 SPECIAL EDITION」*ドキュメンタリームービー。(初回限定盤B)VIZL-2002(CD+雑誌)¥4,400(税込)<初回限定盤B付属内容>雑誌「”her” Magazine Vol.3」(完全生産限定盤)VIZL-2003(CD+DVD+GOODS)¥11,000(税込)<完全生産限定盤付属内容>DVD:MUSIC VIDEO CLIPS (「Living in the city」「SPICE」「月」「eternal」「アイボリー」「one more time」を含む計7曲を収録)、GOODS:MIRRORロングスリーブTシャツ(L size)。取材、文・かわむらあみり
2022年01月23日【音楽通信】第98回目に登場するのは、声優としてアニメやゲームなどで数多くの作品に携わりながらも、音楽活動やドラマ出演でも注目を集める、増田俊樹さん!高校生の頃に聴いたロックサウンドが音楽的ルーツ【音楽通信】vol. 992011年から声優活動を本格的にスタートし、『アイドリッシュセブン Third BEAT!』和泉一織役、『僕のヒーローアカデミア』切島鋭児郎役、『ヴィジュアルプリズン』ディミトリ・ロマネ役ほか、洋画の吹き替えやナレーション、舞台など、数多くの作品で活躍中の増田俊樹さん。アーティストとしては、2019年から音楽活動をスタートされた増田さんが、2022年1月26日に1stシングル「Midnight Dancer」をリリースされるということで、お話をうかがいました。――声優では2011年に『遊戯王 ZEXAL』(2011〜14年)で初レギュラーを獲得され、2013年にアニメ『サムライフラメンコ』(2013〜14年)で初主演を務め、その後数多くの作品でご活躍中です。そもそも増田さんが声優を目指されたきっかけ、影響を受けた作品から教えてください。高校生の頃に観たアニメに影響を受けて、「僕もこんなカッコいいことをやってみたい」という思いを持ちました。以前から芸能界に憧れもあったのですが、多感な時期で顔を出すことに抵抗があり、「顔を出さない声優なら自分にも目指せるかも」と興味を持ったことが声優になったきっかけです。TVアニメ『天元突破グレンラガン』(2007年放送)や『コードギアス反逆のルルーシュ』(2006年〜07年放送)などの作品に大きく影響を受けました。ゲームなども好きだったので、こういった「ひたすらカッコいいアニメに出たい!」という気持ちが強かったです。――その後、ご自身名義での音楽活動を2019年3月に発売の1st EP「This One」で開始され、2021年9月リリースの2ndアルバム『origin』も好調です。声優だけでなく、音楽活動をすることになった経緯と、そもそもの音楽的なルーツもお聞かせください。レコード会社のトイズファクトリーとご縁があり、マネジメント所属することになった後、音楽活動に興味はあるかと聞いていただいたことが、音楽活動をすることになった直接の理由です。音楽的なルーツといえば、もっとも自分に影響があると思うのは、高校生の頃に聴いていたロックバンドのサウンドですね。もともとBUMP OF CHICKENさんの楽曲が好きだったので、偶然にも同じレーベルであるトイズファクトリーで音楽に挑戦できるというのは、幸運だと思っています。初めてTVアニメのオープニングテーマを担当――2022年1月26日に、1stシングル「Midnight Dancer」をリリースされます。1月12日から放送中のTVアニメ『殺し愛』(毎週水曜24:00 TOKYO MXほか)のオープニングテーマでもありますね。初めてTVアニメのオープニングテーマを担当するということで、とてもプレッシャーを感じた制作でした。ただ、大変だったぶん、タイアップさせていただいた『殺し愛』のイメージを壊さない世界観を作れたのではないかと思っています。ミュージックビデオやジャケットなどのヴィジュアル面においても、原作を読んでいる方々にも気づいてもらえたらうれしい要素を含んでいるので注目してみてください。――冒頭からホーンがカッコいいアーバンジャズとなっている表題曲ですが、ご自身ではどのようなイメージで今作を歌っていますか。グルーヴ感を大事に、かつダーティな世界観を感じていただけるように、少しスレた歌い方をしているかもしれません。『殺し愛』という作品名から感じるセンシティブなイメージから「どんなストーリーが展開されるんだろう」と、曲と合わせて想像していただけたらうれしいです。――2曲目のバラード「ひび」は、どんな思いを込めて歌っていますか。今回、カップリング曲を作るということも初めてで、タイアップ曲と同じCDに収録されるもうひとつの曲と考えると、どんなバランスで作るのがいいのだろうかと悩みました。最終的には、発売日が冬だということと、1曲目「Midnight Dancer」が持つシリアスさとの対比を狙って、2曲目「ひび」はゴリゴリのウインターソングに仕上げています。みなさんが冬を感じるときに、この曲を聴いてくれたらうれしいですね。――増田さんの音楽活動において、声優として役になって歌を歌うのではなく、ご自身として歌う場合に、心がけていることはありますか。僕と制作チームが一緒に作る音楽を、聴いてくれる方々にしっかり届けたい、という気持ちがより強いです。音楽は、人生に少し変化を与えてくれるスパイスになればいいな、とも思っていますね。どんなときも気分が前を向く作品を作っていきたい――音楽活動の一方、1月クールの連続ドラマ『パティシエさんとお嬢さん』(毎週金曜23:00 テレビ神奈川ほか)に、功至役として出演されますね。どのような役どころとなりますか、また、ドラマの見どころもお聞かせください。パティスリーを舞台にしたラブストーリーなのですが、僕はアルバイト店員として、パティシエさんの奥野丈士(崎山つばさ)や、店長の帯刀稜(村井良大)に茶々を入れる、楽しい役どころです。出演シーンもおもにこの3人でのカットだったので、少しふざけた場面が多いかもしれません(笑)。お互い気になっているのに打ち明けることができず、一向に進展しない丈士と“お嬢さん”こと波留芙美子(岡本夏美)の恋の行方をやきもきしながら見られるドラマになっています。――お話は変わりますが、増田さんはおうち時間をどのように過ごしていますか。ここ2年ほど、自分がふと仕事以外でやっていることを思い返すと、ジムに行くか、家でゲームをするかでしたね(笑)。外食も減り自炊することも増えましたが、どれも自分にとってはこだわりの強いものなので、充実した日々を過ごしています。――楽曲ではさまざまなシチュエーションの歌を歌ったり、アニメ作品ではいろいろなキャラクターになったり、恋物語に触れることもありますが、増田さんが思うすてきな女性像をお聞かせください。男女問わずですが、新しいことも吸収し、努力できる人がすてきな人ではないでしょうか。――では最後に、増田さんの声優としての、そして音楽活動をするうえでの今後の抱負を教えてください。これからも引き続き、見てくださる方に夢を与え、一瞬でもまた頑張ろうと思っていただけるような作品づくりに参加したいです。音楽も同じように、楽しいときも辛いときも気分が前を向くような作品を作っていきたいですね。取材後記声優としてはもちろん、現在放送中のドラマでも俳優としてその姿を見せ、音楽活動でも新たな顔を見せてくれている、増田俊樹さん。今後も、ジャンルレスに活躍の場を広げて、活躍されるのが楽しみですね。そんな増田さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてください。取材、文・かわむらあみり増田俊樹PROFILE1990年3月8日、広島県生まれ。出演作に、アニメは『コタローは1人暮らし』(狩野役)、『アイドリッシュセブン Third BEAT!』和泉一織役、『僕のヒーローアカデミア』切島鋭児郎役、『ヴィジュアルプリズン」ディミトリ・ロマネ役、その他洋画の吹き替えやゲームなど、数多くの作品に出演。増田俊樹名義での音楽活動は、2019年3月に1st EP「This One」をリリースし、スタート。2022年1月26日、1stシングル「Midnight Dancer」をリリース。InformationNew Release「Midnight Dancer」(収録曲)01.Midnight Dancer02.ひび03.Midnight Dancer (Instrumental)04.ひび(Instrumental)2022年1月26日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)TFCC-89723(CD)¥1,430(税込)(初回生産限定盤)TFCC-89721〜2(CD+BD)¥2,420(税込)<初回生産限定盤付属 BD 収録予定内容>「Midnight Dancer」Music Video、BEHIND THE SCENE「ひび」/Recording Documentary(期間生産限定盤)TFCC-89724(CD)¥1,430(税込)取材、文・かわむらあみり
2022年01月21日若いころは音楽が好きで、高校時代は軽音楽部にも入っていたほどの私。30代になり仕事と家庭の両立が大変な時期でも、音楽を聞く時間は作るようにしていました。それが40代になり、生活も仕事もどんどん忙しくなって新しい音楽を探すエネルギーもなくなり、すっかり音楽から遠ざかってしまった……そんな悩みを解決してくれたエピソードです。10~20代は音楽とともに生活があった両親とも音楽好きだったこともあり、幼いころから実家には常に音楽が流れていました。父はクラシックやポップス、母はロックが好きだったため、私も必然的にさまざまな音楽を聞いて育ちました。私自身ピアノも習っていたので、クラシックやジャズなどを弾いて親しんでいました。加えて、現在40代の私は、バンドブームの洗礼を受けた世代。小学生でバンドブームに刺激を受けた私は、中学生で「高校生になったら自分もバンドを組む!」と心に決め、さまざまなバンドの音楽をCDやラジオで楽しんでしました。そして、高校生になり軽音楽部に入部。ギターを担当し、自分で演奏したり、先輩バンドのライブに参加したりしてバンドライフを満喫していました。大学時代にもプロアマ問わずいろいろなバンドのライブに行き、心の底から音楽を楽しんでいたのでした。20代後半になると、仕事と家事育児との両立が始まりましたが、生活圏内にすてきなCDショップがあり、いろいろなジャンルの音楽に触れることができました。ボサノヴァやフレンチポップなど、自分では探せないようなジャンルのCDもそこにはあり、聞くだけの音楽生活でも満足していました。30~40代にかけて音楽から遠ざかる30代に入るタイミングで最初の離婚を経験し、完全ワンオペ育児に入った私。しかもそのタイミングで、より条件の良い職場に転職したため、毎日仕事と家事、育児だけで必死。音楽を聞く余裕がまったくなくなりました。再婚後はさらに職場が遠くなったため、せめてその間に音楽を聞こうともしたのですが、新しい音楽を仕入れる心の余裕がありません。20代のときに買いためたCDを移動中に聞くのが精いっぱいでした。それでも30代のうちはなんとか20代までの音楽ストックで過ごせていたのですが、40代にもなると、さすがに感性が20代のころとは大きく変化しています。また音楽自体も20年以上前のものなので、「いつまでもこんな昔の音楽を聴いていて良いのかなぁ……」と自分で自分に疑問を感じたりすることも。かといってかつてのように、CDショップに立ち寄ったりライブ会場に出向いたりして、新しい音楽をインプットするような余裕は、気持ちの面でも時間の面でもありません。それでも昔の音楽を聞き続けることにも違和感があり、 どんどん音楽からは遠ざかる一方でした。「以前はあんなに音楽が好きだったのになぁ……」という一抹の寂しさを感じました。30代の友人から贈られた30年近く前の音楽を聴いてそんなある日、10歳下つまり30代半ばの友人とのやりとりで、最近ちょっと元気がなくて……ともらした私。彼からはすぐ反応があり、「元気が出る音楽を送ります」と言って、とある曲が送られてきました。「この歌詞が自分の気持ちなので、字幕つきで」とのメッセージとともに。それはブルーハーツの『人にやさしく』という1曲でした。小学生でバンドブームに触れた私が、最初にファンになったブルーハーツ初期の楽曲。友人にその話は一度もしたことがありません。あくまでも彼の選曲で「歌詞を見てほしい」とのチョイスでした。10代の自分がワクワクしながらこの曲に心を踊らせていたことを思い出しながら聞きました。歌詞のなかには、10代のときは特に印象に残らなかったところが、30年近くたった40代の私に響くものがありました。今の私は年齢相応の感覚を持って、この曲を楽しむことができているんだと実感しました。「古い曲だって、今の感覚で楽しんで良いんだ。それが人生経験を重ねた40代ならではの楽しみなのかもしれない」と思ったエピソードでした。まとめ友人のおかげで、音楽を楽しむということは、そのときに流行している音楽を楽しむことだけではないと気付きました。それから私は、「古い音楽でも、40代の今の自分なりの感性で楽しめば良い」と思うように。そのような感覚で、10~20代のころの音楽を聞き直してみると、たしかにいろいろな発見があります。「この音楽をこんな気持ちで聞き返せるのは、40代の今だからこそだなぁ」と加齢による経験をプラスに感じることも。いつか育児や仕事の手が離れてきたら、また新たな気持ちで出合う音楽もきっとあることでしょう。そんなふうに加齢による変化も楽しみながら、音楽とは長いお付き合いができたらと改めて思っています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。★関連記事:自分でも驚き!「BE:FIRST」のおかげで更年期の沈みがちな気持ちが元気になった【体験談】★関連記事:生活に音楽を♪アラフィフの疲れた頭をリフレッシュ&気力UP!【体験談】★関連記事:推し活に目覚めたら、アラフィフの生活がキラキラ輝き始めた!【体験談】著者/まっちゃ (45歳)40歳で再び独身に戻った、バツ2シングルマザー。30代まではボディラインにも肌にも自信あり。40代初期はプロポーションを褒められたり、そこそこモテたりでいい気になっていたが、40代半ばになり加齢の現実を徐々に目の当たりにしている最中。
2022年01月19日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第98回は、したくてしているわけではないけれど、気づくとイマイチな男性に夢中になっていたり、自分自身の恋愛のクセから恋をつかみそこねてしまう、ダメ恋に陥りやすい女性の特徴をお届けします。1.つい見返りを求めてしまう【結婚引き寄せ隊】vol. 98妙な男性には絶対に引っかからない女性もいれば、まわりから心配されてアドバイスを受けたとしても、どうしてもダメな男性にばかり思いを寄せてしまう女性もいます。また、相手の男性のタイプにかかわらず自分自身の恋愛のクセによって、なかにはダメな恋を続けてしまったり、せっかくのご縁さえも遠ざけてしまったりする女性も。そんなダメ恋をつかんで時間を無駄にしないためにも、事前にこんな特徴があったら改善したいものです。ひとつめは、相手に「つい見返りを求めてしまう」タイプ。実際のところ、あまり自覚がない場合も多いようですが、何かをしてあげることでそのぶんのリアクションを期待してしまうタイプが当てはまります。とくに相手の男性が喜んでもいないのに、自分自身の勝手な思い込みで親切の押し売りをしてしまったり、尽くしすぎてしまったり。そうされることがうれしいタイプの男性ならその行為も喜んで受け入れられるはずですが、そうではないことに気づかず見返りを期待してしまうと、うまくいくはずの恋でも、うまくいかなくなってしまいます。もしもそういった傾向があると感じたら、改めたいものです。2.人を見かけだけで判断する「人を見かけだけで判断する」タイプの女性は、外見的要素のみで恋に落ちたり、相手を遠ざけたりしてしまいがちです。よくあるのは、イケメン好きで相手の男性を顔の好みだけで選んでしまい、付き合ったはいいが浮気されて全然幸せな恋ができなかったり、そもそも自分自身がセカンドや遊びの立場だったとしても甘んじてそれを受け入れてしまうような、はたから見ると自ら不幸を選んでいる場合です。ルックスの良し悪しは別としても、パッと見た感じがものすごく“いい人そう”に見えるのに、実は裏ですごく遊んでいた……など、外見的要素を重視しすぎると、思わぬ結果を招いてしまうこともあるでしょう。確かに相手を表す要素として、表に出ているものは判断材料にしやすいものではありますが、あくまでも参考程度にしたいところ。知り合った段階から、できれば相手の男性の内面的な部分をしっかりと知っていくプロセスを経てから、どんな人なのかを再確認したり、幸せな恋ができそうなのかを把握したりできると安心です。見かけだけで恋心をスパークさせてしまうと、あとが大変になりますよ。3.おごられ癖がある続いて、恋をつかみそこねてしまったり、男性から敬遠されたりしがちなのが、「おごられ癖がある」タイプの女性。まだ若くて相手の男性の保護本能をくすぐるようなタイプは、守ってあげたいと思わせると同時に、食事などの際のお会計でも自然と「ごちそうしてあげたい」と思ってもらえることもあります。そういった場合や、女性にお金を出してもらうことに抵抗のある男性の場合は、そのまま金銭的な面はお任せでいてもいいかもしれません。ですが、一度ならともかく、何度もお茶や食事に行く機会があっても、お会計のときにあえてトイレに立って支払わなくて済むようにする女性や、一緒にレジに行ってもたとえポーズでさえ自分のお財布すら出さないという女性も。こういったタイプの女性は、男性から敬遠されてしまいます。本当にお金がない、という理由でおごられ癖がある場合もあるでしょうが、若い頃おごられすぎてある程度年齢を重ねても昔の気分のまま支払わない癖が残っている女性、金銭面にルーズな女性、相手への感謝が足りない女性と思われてしまうこともあるでしょう。毎回が難しい場合でも、せめて何度かに一度は自分からごちそうしたり、ふたりの仲を進展させたいなら手料理を振る舞う機会を作るなど、感謝の気持ちを見せられるようになると、恋の展開も変わってくるかもしれませんね。いい恋がしたいなら、相手探しも大事ですが、自分自身のことを振り返ってみると、何かヒントがあることも。くれぐれも、みなさんにとって素敵な恋ができますように。文・かわむらあみり©JackF/Getty Images©martin-dm/Getty Images©Drazen Zigic/Getty Images文・かわむらあみり
2022年01月17日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第35回は、関わりたくないママ友たちの特徴をお届けします。1.気に入らないママ友だけ連絡しない【ママライフばんざい!】vol. 35保育園や幼稚園に子どもが通っていると、ママたちとの付き合いが何年間か固まってしまうものですよね。だからこそ、多少イヤなことがあっても、できれば穏便に過ごしたいところ。ですが、人がたくさんいればいるほど、自分とは合わないママ友だって出てくる可能性は高まります。そんな関わりたくないママ友エピソードのひとつめは、「気に入らないママ友だけ連絡しない」人。これはママ友との交流だけに関わらず、明確に「気に入っている人」「気に入らない人」に分けて人と接しているタイプのママ友だと、そのクセは学生時代から続いている場合もよくあります。もともとグループに分かれることを好み、物事が正しいか、そうでないかということではなく、自分自身が好きか、嫌いかという二択だけで人を判断しがちなタイプがママになって、いい大人になっても同じようなことを繰り返していることが多いもの。こういったタイプがまったく関係のない立場のママ友ならほうっておけばいいですが、同じクラスに子どもが通う保護者同士だと、まったく関わらないわけにはいかなくて困ってしまいます。たとえ自分がその手のママ友に気に入ってもらったとしても、いつどんなタイミングで気に入らないチームに区分けされるかわかりません。この手のママ友には、なるべく普段から距離を詰めすぎずに、接していけるといいですよね。2.やたらと委員を強調するあるママ友の場合、もともとまわりを取り仕切るような役割が大好きなタイプで、クラス委員に率先して立候補している人がいました。他のママ友たちにしても、いつもお世話になっている園や学校に役立ちたいという思いはありながらも、ママ友たちの家庭事情はさまざまで、委員になると忙しくなることもあってどちらかといえばやりたくない人も。そんななかで毎年、率先してクラス委員になって、常にクラスのことを考えているそのママ友は、ありがたい存在でもあります。ただ、他のママ友は知っているのに、自分の耳には入ってこないような情報があると「クラス委員なのに連絡がきてませんけど」と、トゲのある言い方で報連相を強いてくるのだとか。確かに、クラスの何かに関わる重大なことなら、クラス委員に報告するでしょうが、けっこうどうでもいいような「くんのところが今度旅行に行くらしい」という世間話まで、クラスの間のすべての動きを知りたがるようです。それはもともとの性格なのか、それとも長年クラス委員をやっているから、知らない間にクラスの人たちの詳細をつかもうとするようになってしまったのかは謎。いずれにしても、あまり肩書きばかりを強調するようにはならないほうが、健全なママ友付き合いができそうですよね。3.そもそも感じが悪いこれを言ったらおしまいですが、そもそも感じが悪いママ友って、あまり近づきたくないですよね。とはいえ、自分自身では特定のママ友と会うと「感じが悪いな…」と思ったとしても、同じように感じない人もいるかもしれません。感じが悪い、苦手だな、と感じるママ友がいたとしても、もっと踏み込んで交流してみれば、意外と話のわかるママ友というパターンもなくはない話。ですが、言葉で言わなくてもだいたい肌で感じる雰囲気は、当たっているときもあるのかもしれません。なんであのママ友だけ仲良くなれないんだろうなと、思い悩んで頭を抱えていては体に悪いものですし、歩み寄ろうと努力してもなんともタイミングが合わない人だってこの世にはいます。そんなときは、ただ相性が合わないだけということ。100人いたら100通りの考え方や好みがあるので、全員と良好でいられるようにするのは難しいものです。感じが悪いママ友がいても、そしてママ友ではなくてもそれが感じの悪い知り合いだったとしても、人生のなかでそんな人たちと触れ合うのは、ほんのひとときだけのことと知っていれば、なんとかやりすごすことができることもあるのではないでしょうか。ママになると、さまざまな人たちと交流する場合もあるはず。でもそんなときになるべく穏やかな生活が送れるといいですよね。みなさんが健やかなママライフを送れますように!文・かわむらあみり©Sima_ha/Getty Images©draganab/Getty Images©Highwaystarz-Photography/Getty Images
2021年12月31日「日比谷音楽祭 2022」が、2022年6月4日(土)・5日(日)の2日間、日比谷公園とその周辺施設にて開催される。亀田誠治主導の音楽フェス「日比谷音楽祭」音楽プロデューサー・亀田誠治が主導する「日比谷音楽祭」は、人々がより自由に、多様な音楽と出会える無料の音楽祭。日本の野外コンサートの歴史を作った聖地「野音」を擁する日比谷公園を舞台に、親子孫の3世代、誰もに開かれた様々な催しが行われる。ライブやワークショップ、トークショーなど多彩なコンテンツ開催3回目を迎える今回も、日比谷公園や東京ミッドタウン日比谷内に設置する複数のステージで多様なライブを開催。ライブ以外にも、ワークショップやトークショーなど、音楽にまつわる様々なコンテンツを、世代・国籍・障がい・経済格差などを超えてボーダーレスに届ける。注目の出演アーティスト「日比谷音楽祭 2022」第1弾出演者発表で参加が明らかになったのは、シシド・カフカが主宰するel tempo(エル・テンポ)」、自らのアーティスト活動だけでなく音楽プロデューサーとしても注目を集めるSKY-HI(スカイハイ)、DREAMS COME TRUE(ドリームズ・カム・トゥルー)など。日比谷音楽祭のために結成される、亀田誠治率いるスペシャルバンド The Music Park Orchestraも登場する。第1弾出演アーティスト発表の際には、亀田誠治が「今、まさに各アーティストとセットリストやコラボについても話し合いを始めているのですが、アーティストからも「こんなコラボやりたい!」「今だからこそこんな曲をやりたい!」など、バンバンアイディアが出てきていて、本番の6月4日、5日にはとびきりの音楽をみなさんに感じてもらえると確信しています」とコメント。人気アーティストたちの共演にも注目したい。出演アーティスト一覧【6月4日(土)】■YAON(日比谷公園大音楽堂)・Hibiya Dream Session 1 The Music Park Orchestra with SKY-HI、Def Tech、新妻聖子、YOYOKA・Hibiya Dream Session 2 The Music Park Orchestra with 石川さゆり、EXILE SHOKICHI、MIYAVI、やのとあがつま■ONGAKUDO(日比谷公園小音楽堂)el tempo / 西川進 / Polaris / 民謡クルセイダーズ / 龍声〜Ryusei〜■ワークショップ &トークステージ KADAN (日比谷公園第二花壇)EXILE TETSUYA with EXPG / 大宮エリー / GAKU-MC / 《聞かせ屋。けいたろう》■HIROBA(東京ミッドタウン日比谷・ステップ広場)ATSUSHI TAKAHASHI×辻コースケ / 小倉博和 / 空に油 meets Cru Cru Cirque DX with HISASHI &うつみようこ /民謡ユニット こでらんに~■KOTONOHA(東京ミッドタウン日比谷・パークビューガーデン)アスハン / 荒谷翔大(yonawo)/ RIO【6月5日(日)】■YAON(日比谷公園大音楽堂)【Hibiya Dream Session 3】DREAMS COME TRUE / The Music Park Orchestra with 角野隼斗、KREVA、半﨑美子、藤井フミヤ、山弦■ONGAKUDO(日比谷公園小音楽堂)伊那市ミドリナ委員会 / 岡本梨奈 / 紀平凱成 / 角野隼斗 / 平井秀明■ワークショップ &トークステージ KADAN(日比谷公園第二花壇)《聞かせ屋。けいたろう》 / 杉田篤史(INSPi / hamo-labo) / たなしん / 龍声〜Ryusei〜■HIROBA(東京ミッドタウン日比谷・ステップ広場)上妻宏光 / GAKU-MC / 花耶■KOTONOHA(東京ミッドタウン日比谷・パークビューガーデン)朝倉さや / 佐藤ひらり / 関取花※第3次出演者情報。開催概要「日比谷音楽祭 2022」開催日:2022年6月4日(土)・5日(日)※雨天決行。荒天、災害時の場合は中止。但し、会場によっては、雨天一時中断、もしくは、中止となる場合あり。会場:日比谷公園(東京都千代田区日比谷公園)サテライト会場:東京ミッドタウン日比谷(予定)(東京都千代田区有楽町 1-1-2)料金:入場・参加無料※なお、観覧に抽選制の無料チケットが必要なYAONステージの3公演は、4月26日(火)から5月18日(水)の期間でプレイガイド事前抽選を行う。
2021年12月26日【音楽通信】第97回目に登場するのは、“ファンクを歌うアイドル”として音楽ファンからも注目を集めているアイドルグループ、フィロソフィーのダンス!想像していなかったアイドル道を突き進む4人写真左から、佐藤まりあ、十束おとは、日向ハル、奥津マリリ。【音楽通信】vol. 972015年に結成し、2020年9月にメジャーデビューした、奥津マリリさん、佐藤まりあさん、日向ハルさん、十束おとはさんからなるアイドルグループ、フィロソフィーのダンス。ファンクやソウル、ディスコなどをベースにした楽曲とクオリティの高い歌とダンスが、アイドルファンだけではなく、音楽通からも熱視線を浴びている異色の存在です。そんなフィロソフィーのダンスが、2021年12月1日にニューシングル「サンフラワー」をリリースされたということで、メンバーから奥津さん、十束さんのおふたりに、お話をうかがいました。ーーananweb初登場となりますので、自己紹介からお願いします。奥津奥津マリリです。グループではグラビア担当ということで、お衣装でも一番布面積が少ない担当をやらせていただいています。好きな食べ物は、ラーメンやモツといった、お酒に合うものですね。十束十束おとはです。映画やアニメ、漫画が好きなので、グループではサブカル担当で、プロゲーミングチーム“魚群”にも所属中。とにかく白米が好きで、毎日白米を食べて、幸せを堪能しています(笑)。でもそのぶん、運動もしているんですよ。好きな飲み物は、カフェラテとコーヒーです。ーー小さい頃に憧れていたアイドルと、アイドルになったきっかけを教えてください。奥津小さい頃は、松田聖子さんやサザンオールスターズさんが好きでした。いまアイドルになってからは、モーニング娘。さんが大好きです。もともとバンドやシンガーソングライターで活動をしていて、フィロソフィーのダンスには、スカウトを経て入りました。だから、アイドルになりたいという強い思いを持ってなったというよりは、どちらかというとロックな女になりたいという夢があって。バンドだとチャットモンチーさんや海外のバンドの曲が好きでしたね。十束子どもの頃は、三次元よりは二次元の『セーラームーン』や『おジャ魔女どれみ』、『プリキュア』のような強くて自分を持っている可愛い子に憧れていました。実在する人物としては、私がこのアイドルになりたいな、と憧れを持ったのは元モーニング娘。の後藤真希さんだったんです。奥津えっそうなの?ゴマキ!?十束そう(笑)。いまは、でんぱ組inc.さんや私立恵比寿中学さんが好きです。そもそもは芸能界に入る気持ちはなく、大学を卒業してから一度OLになって働いていたなか、好きなゲームを応援できる応援団募集というオーディションを知りまして(笑)。やっぱり好きなものに関わりたくてOLを辞めて、そちらの道に進んだことをきっかけに「以前から好きだったアイドルになろう!」と決めていまに至ります。ーー2015年7月に結成され、2020年9月にメジャーデビューされました。アイドルとしては、コンテンポラリーなファンクやR&B、歌詞には哲学的なメッセージを込めるというコンセプトは珍しいですね。十束私と佐藤まりあはオーディションでグループに入ったんですが、奥津マリリと日向ハルはスカウトされて入ったので、最初お互いに感じていたことは違ったのではないかと思います。私はとにかく可愛いアイドルになりたかったので、ファンクを歌うアイドルというのは、予想していませんでした(笑)。でも活動をやっていくうちに、自分たちにしか出せないものだったり、他の人が登っていない山があったり、独自性を突き進めていけるという部分と、何年経っても私たちにしかできない良い音楽をお届けできるところは良いなと。ただ、いつかは可愛いフリフリの衣装を着て、可愛い音楽をやってみたいという気持ちもあります(笑)。奥津私はバンドをやっていたこともあって、このグループをやるにあたってはかなりの覚悟が必要で、ロック魂を売っても良いのかという思いもありました。でも悩んだ末に入ると決めてからは「なんだってやってやる!」という思いで、フリフリの可愛らしいキュンキュンするアイドルグループを予測していたら、そういうことはやらないので、あれ?と(笑)。想像していたアイドル像とは違ったので驚きもありましたが、グループの生みの親で音楽プロデューサーの加茂啓太郎さんから「良い曲を良い形で伝えていく」という壮大なコンセプトを聞いて納得できましたし、こだわりの曲をいただけてうれしいなと思いながら活動しています。たくさんの場面でフィットする味付けの違う4曲奥津マリリ。7月11日、神奈川県生まれ。O型。スイートでメロウなボーカルが特徴。ーー2021年12月1日に4thシングル「サンフラワー」をリリースされました。同曲は福原遥さんやディーン・フジオカさんが声優を務める、12月3日公開のフラガールを目指す新人ダンサーたちの奮闘を描くオリジナルアニメ映画『フラ・フラダンス』の主題歌にもなっていますね。十束主題歌を歌わせていただくと決まったときに、まずは登場人物たちの心情や映画のあたたかい雰囲気をまとった曲を作りたいと思いました。実際に映画の試写会でエンディングを見たときに、曲も歌詞も素敵で、私たちの個性の違う歌声が映画の主人公や仲間たちともぴったりハマっていてメンバー全員号泣してしまったので、映画を観た方の感想もはやく聴きたいです。奥津多幸感があふれていて、私たちにも映画にもぴったりの曲になっているので、これからさらに大切な曲になっていくんだろうなと感じています。ーー同曲のミュージックビデオでは、実際にフラガールのみなさんとステージに立つ様子もありました。奥津事前に別々でフラダンスの練習をしていましたが、当日に会場入りして、みんなで練習をしました。そこで最終調整をして、全体のフォーメーションの確認や、全員で大きなひまわりを咲かせる振り付けなどを細かく決めて、いざステージに立ったんです。フラガールさんたちが大切にしているステージに上がらせていただき、お客さんも私たちのファンの方を呼んだわけではなく、たまたまその日会場に来ていた方に観ていただくかたちとなったので、とても緊張しました。ーージャジーで大人っぽい2曲目「ジョニーウォーカー」は、アメリカ出身の凄腕ミュージシャンで構成されたバンドのGROOVE ASYLUMがアレンジと演奏を担当しています。奥津 GROOVE ASYLUMさんと一緒に演奏してみたら、グルーヴ感が段違いで、いままで体感したことがないような本場のグルーヴを感じました。わたしたちがいままでやってきた音楽はそういうところから来ているので「こういうことだったんだ」と実感できて、本当に良かったです。歌のほうもグルーヴが大事な曲なので、声色や表情のほかにもリズムの乗り方を研究するのに苦労したのですが、ハマってくると気持ち良かったです。この曲のようなテイストの音楽をずっとやってきたからこそわかるグルーヴ感を出せたらいいな、と思いながらレコーディングしましたし、ライブでもはやく披露したいですね。十束1曲目の「サンフラワー」はすごく明るい曲で、キーもすごく高い曲だったのですが、一転2曲目の「ジョニーウォーカー」は大人の曲で、とてもキーが低いところから始まっているので、みんな苦戦してがんばった曲です。わたしたちは年齢を公表していませんが大人という部類に分類されるので、わたしたちにしか出せない色気を出そうと、努力しました。十束おとは。8月9日、神奈川県生まれ。A型。独特のアニメ声が特徴。ーーキュートな3曲目「二人のエクリチュール」は、奥津さんが作詞家のSHOWさんと共作詞されたクリスマスソングですが、どのようにこの曲が生まれましたか。奥津まずSHOWさんが詞の大枠を作ってくださって、それにわたしの色を加えるかたちで参加させていただきました。私が短編小説ぐらいの「ここで待ち合わせして」「彼がこんなことを言ってきた」といった具合に、細かく書いた原案をお送りしてまとめていただいて。わたしらしさを出したくて、ライブで映えるような工夫もしています。曲の最後にあるセリフを入れていて、これも提案させていただいたこだわりポイントのひとつなので、みなさんにも聴いてキュンキュンしていただければ(微笑)。わたしプロデュースだからこその仕上がりになったと思います。ーーこうして奥津さんが仕上げた楽曲を十束さんはどんなお気持ちで歌入れされましたか。十束そうですね、まず本当に最初の原案の短編小説のクセが強くて(笑)、コメディかな?というぐらいのポエムだったんです。受け取ったSHOWさんがきれいに整理整頓して4分に凝縮してくださった感じを受けたので、わたしたちは(奥津)マリリがやりたかったことを汲んで、歌にしなければという使命感で歌いました。ーー4曲目「気分上々」は、2006年にヒットしたパーティチューンをフィロソフィーのダンス流にアレンジしていますが、どのようなイメージで歌われましたか。奥津この曲はもともとノリノリな曲じゃないですか。でも上げて歌うというよりは、声も抑え気味で、グルーヴに身を委ねるといいますか。チルなホームパーティで気持ちよく乗っているイメージをしながら、ニュアンスに気をつけて歌いましたね。十束そもそも「気分上々」を選んだきっかけが、もっとたくさんの方にわたしたちのことを知ってほしいという思いがあり、少し懐かしいカバー曲をみんなで数十曲出し合って決まった曲なんです。オリジナルのmihimaru GTさんは元気いっぱいで、私たちもリアルタイムに聴いていたのでそのイメージがとても強かったのですが、カバーするなら新しい魅力をこの曲に吹き込みたいと思って、あえていったん原曲は忘れて(笑)、自分たちにしかできない歌い方にしました。かなりチルでゆっくりな曲調なので、そのなかにグルーヴを出す歌い方が難しかったです。ーーでは、聴き手には今作がどんなふうに届いてほしいでしょうか。奥津1枚を通して聴くと、夏の曲が表題曲かと思えば、クリスマスの曲もあって、かと思えばすごくチルなカバー曲や、アメリカのグルーヴたっぷりの曲もあり、春夏秋冬を気にしない作品に仕上がりました(笑)。だからこそ、味付けが違う4曲なので、「いまはこれ」「今度はこの曲」というふうに、そのシーンに合った聴き方ができるのではないかなと。みなさんの気分に合わせてトラックをかえていただいて、たくさんのシーンでフィットできたらいいなと思います。老若男女に愛される存在と全国ツアーが目標ーーお話は変わりますが、おうち時間が長引く現在、いまハマっていることはありますか。奥津いまだからというわけではないですが、ずっとお酒が好きなので、お酒に合うごはんを作るようにしています。最近は鍋や牡蠣、白子がおいしい季節なので、旬のものを食べていますね。ーーお酒は何を一番飲むのですか?奥津ビールが一番多いですね。でも「ジョニーウォーカー」という曲を歌ったことで、最近は(同名のスコッチ・ウイスキーのブランドの)ジョニーウォーカーをよく飲んでいます。炭酸で割ってハイボールにすると、さっぱりとして飲みやすいんですよ。十束私は以前から、おうち時間はゲームをたくさんしています。新しい趣味だと、キャンドルにハマっていて。火をつけるタイプのキャンドルは怖いのですが、最近は火をつけなくても、コンセントをつないで電球の熱さでキャンドルが燃えて良い香りがするものがあるので、それをゲットしてからはかなりハマっていますね。ーーおふたりがお好きなコスメもお聞かせください。十束コスメは好きで集めていまして、日本のコスメブランドだととくにSUQQU(スック)のアイシャドウが好きです。最近だと、韓国や中国のコスメも流行っていますよね。韓国コスメだと、最近日本に上陸したhince(ヒンス)も良くて、お値段も手頃なのでおすすめです。奥津わたしはリップが大好きで、いろいろな色味や質感のリップを集めています。最近はブラウン系が流行っているので、ブラウン系リップに手を出してムフムフしている最中です(笑)。秋冬だと、気分が変わってくるので、秋冬コスメの情報をドキドキしながら見ていますね。ーー普段から美容面で気をつけていることはありますか。十束気をつけていることは、日々幸せに生きたいので、とにかくよく食べ、よく眠ることを前提に過ごしています。わたしはかなり太りやすくヤセにくい体質で、筋肉もつきにくいことがわかっているので、ジムに通って運動したり、常にプロテインを飲んだりして、頑張って維持していますね。奥津フィロソフィーのダンスは全員、食べることがすごく好きなので、絶対それをあきらめたくないから(笑)。なので好きなものを食べつつ、幸せに生きていく方法をみんなで探しています。わたしは筋トレが好きなのもあって、おうちで筋トレしていますね。あとはサウナも好きなので、入って、水風呂でしめてと。代謝が良くなりますし、サウナを出たあとはお肌もツルツルになります。初心者の方だと水風呂はちょっと抵抗があるかもしれないのですが、サウナのあと水風呂でしめなくても、少し水シャワーを浴びるだけでも、お肌には良いですよ。とくに女性の方におすすめなのは「塩サウナ」。普通のサウナでも「塩サウナ」をやっている場所もあるので、サウナが苦手じゃなければ、美肌になるのでおすすめです。ーーいろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。奥津今年は東名阪ツアーの名古屋公演が中止になってしまって、悔しい気持ちがあります。グループの目標として、全国ツアーに行けるようになりたいということと、状況にもよりますがこれからは有観客ライブがたくさんできるようになれればうれしいです。十束こうしてananwebさんに出させていただいたら、わたしたちを知ってくださる女性の方が増えるのではないかと思うんです。そうして見ていただいたときに、ちゃんと好きでいてもらえるような魅力をちゃんと身につけていきたいですし、もっと老若男女に愛されるグループになりたいです。取材後記アイドルシーンで異彩を放つ、フィロソフィーのダンス。ananwebの取材では、奥津マリリさん、十束おとはさんに登場していただき、新作や普段のご様子までうかがうことができました。メンバーのみなさんそれぞれが放つ個性を武器に、これからも音楽ファンを魅了してくれるに違いありません。そんなフィロソフィーのダンスのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりフィロソフィーのダンスPROFILE2015年、スカウトとオーディションにより結成。奥津マリリ、佐藤まりあ、日向ハル、十束おとはの4人からなるアイドルグループ。略称は“フィロのス”。2020年9月、シングル「ドント・ストップ・ザ・ダンス」でメジャーデビューし、オリコンウィークリーチャート2位を獲得。3rdシングル「ダブル・スタンダード」はTVアニメ「魔法科高校の優等生」のエンディングテーマに起用。2021年12月1日、4枚目のシングル「サンフラワー」をリリース。表題曲「サンフラワー」はオリジナルアニメ映画「フラ・フラダンス」主題歌に起用されている。InformationNew Release「サンフラワー」(収録曲)01. サンフラワー02.ジョニーウォーカー03.二人のエクリチュール04.気分上々2020年12月1日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)SRCL-11972(CD)¥1250(税込)(期間生産限定盤)SRCL-11973〜11974
2021年12月03日【音楽通信】第96回目に登場するのは、今年7月に新体制の12人となり、さらに急成長を遂げているハロー!プロジェクトのアイドルグループ、つばきファクトリー!ハロプロ研修生から「つばきファクトリー」へ写真左から、浅倉樹々、山岸理子、豫風瑠乃。【音楽通信】vol. 962015年4月に結成され、2017年にメジャーデビューした、つばきファクトリー。同年には第59回『輝く!日本レコード大賞』最優秀新人賞受賞を受賞するなど、急成長を遂げている、ハロー!プロジェクトのアイドルグループです。2021年7月には4人のメンバーが加入して新体制となり、10月には、つばきファクトリー コンサート2021「CAMELLIA〜日本武道館スッペシャル〜」と題した、日本武道館での単独公演を開催して大成功を収めました。そんなつばきファクトリーが、11月17日に新体制の12人で初となるトリプルA面シングル「涙のヒロイン降板劇/ガラクタDIAMOND/約束・連絡・記念日」をリリースされたということで、メンバーを代表してリーダーの山岸理子(やまぎしりこ)さん、浅倉樹々(あさくらきき)さん、豫風瑠乃(よふうるの)さんにお話をうかがいました。――ananweb初登場ですので、おひとりずつ自己紹介からお願いします。山岸つばきファクトリーのリーダー、山岸理子、23歳です。趣味は映画鑑賞とカフェ巡り、YouTubeでモッパン(食事動画)やルームツアーの動画を観ることと、ダンスをすること。最近は、ガチャガチャにハマっています。浅倉浅倉樹々、21歳です。趣味はロックを聴くこと、愛犬と遊ぶこと、おいしいごはんを食べることです。豫風今年7月に加入した、豫風瑠乃、13歳です。趣味はお菓子作り、音楽鑑賞、そしてマンガを読むこと。音楽は一日中聴いていることが多いです。――あらためて、みなさんが小さい頃に憧れていたアーティストや、アイドルになろうと思ったきっかけを教えてください。山岸小さい頃、ダンスを一緒に習っていたお友達が芸能のオーディションを受けていて、「私もやってみようかな」と思い、ハロプロ研修生のオーディションを受けました。ハロプロ研修生になれたら、ハロプロメンバーのバックダンサーになれるとオーディション雑誌に書いてあったので、当時バックダンサーになりたかった私は、「これだ!」と思ったんです。浅倉アニメ『しゅごキャラ!』シリーズ(テレビ東京系 2007〜2010年)の主題歌を歌われていたBuono!さんに憧れて、アイドルという存在を知りました。その後、元モーニング娘。の鞘師里保さんのダンスに圧倒されて、「一緒のステージで踊りたい!」と思うようになり、オーディションを受けました。豫風小さい頃から歌って踊ることが大好きで、テレビで歌って踊る人を見るとすぐまねをしていたんです。父はモーニング娘。さんが好きで、よく家でDVDを観ていたことがきっかけで、アイドルになりたいと思いました。小学校5年生のときに、「モーニング娘。’19 LOVEオーディション」があることを知り、オーディションを受けました。――2015年4月に結成、2017年2月にメジャーデビューされ、2021年7月に新メンバー4人が加入し、現在は12人体制となっていますね。結成してからメジャーデビューするまで、そして新体制での現在までを振り返ると、何か心境の変化はありましたか。山岸結成当初は、周りから心配されるような自信なさげなグループに見られていましたが、今年10月にはつばきファクトリー初の単独での日本武道館公演ができるまでに成長しました。一人ひとりが自覚と責任を持ってリハーサルに挑み、本番では新体制のつばきファクトリーとして、みなさんに自信を持ってパフォーマンスを披露することができたのではないかなと思います。成長したつばきファクトリーを感じられる新作山岸理子。1998年11月24日、千葉県生まれ。B型。座右の銘は「みんなちがって、みんないい」。――2021年11月17日に、12人体制で初のトリプルA面シングル「涙のヒロイン降板劇/ガラクタDIAMOND/約束・連絡・記念日」をリリースされました。まず今作ができての手応えからお聞かせください。山岸新メンバー4人の歌声が加わり、また新しいつばきファクトリーが誕生しました。今回の楽曲は、いままでのわたしたちを象徴するような切ないしっとりとした曲調ではなく、スタイリッシュで大人っぽい楽曲になっています。今作で、少し強くなった大人なつばきファクトリーを感じていただけるはずです。――豫風さんにとっては、今作が初参加となりますが、レコーディングは順調でしたか。また、新メンバーが参加したことで、歌やパフォーマンスなど、これまでとは違う変化を感じましたか。山岸新メンバーの歌声が素晴らしくて、音源ができあがって、歌声を聴いたときはびっくりしました!つばきファクトリーの楽曲に厚みも増しましたしパフォーマンスは迫力がアップして、新メンバーはフレッシュさもありつつ、今作の大人っぽさも活かせた表現力もあるので、今後に期待大です。浅倉個人的には感情移入がしやすい楽曲ばかりだったので、曲の世界観に溶け込むのはそこまで難しくありませんでした。ただ、音が低かったり、ピッチの上がり下がりが激しかったりで音程を取ること、喉を痛めない発声で歌うことに苦戦しました。新メンバー4人の歌声を完成した音源で初めて聴いたとき、想像以上のものができあがっていて、かなりびっくりしました。4人それぞれ素敵な声を持っていて、12人体制スタートのシングルから、インパクトのある大きな華を添えてくれましたね。浅倉樹々。2000年9月3日、千葉県生まれ。AB型。座右の銘は「清く正しく美しく」。豫風レコーディング自体はハロプロ研修生のときに経験があり、初めてではなかったのでまだリラックスしてできたのではないかと思いますが、レコーディングとステージで歌うのとはまた違うので、その点は大変でした。でも、とても楽しかったです。――「涙のヒロイン降板劇」は、失恋した女の子が立ち上がる姿を小気味良いテンポで聴かせる大人っぽいナンバーですが、この曲に込めた思いを教えてください。山岸この楽曲は彼にフラれたあとのお話になっているのですが、フラれて悲しくてへこむというよりも、切り替えて前に進もうとしている女の子の歌。なので、恋愛に限らず、仕事や学校などのどんな出来事に置き換えても、その姿に共感できるような歌詞だなと。聴くだけで体がつい動いてしまう、口ずさんでしまうようなグルーヴ感があって、オシャレでノリノリになれるので、テンションを上げたいときに聴きたい1曲です。浅倉自分に自信がなくなってしまい、でも一歩前に進みたいと思っている方の背中を押せるような楽曲にもなっていると思います。豫風この曲は失恋してもジメジメしていなくて、強く生きていくという、前向きなイメージ。そしてオシャレな曲調なので、聴いてくださる方に、未来は明るいんだよという思いを込めて、歌わせていただいています。ーー「ガラクタDIAMOND」は、裏切った恋人を断ち切る潔い女性の歌ですが、この曲でとくに聴いてほしい、注目ポイントはどこでしょうか。山岸新メンバーのフィーチャー楽曲で、一人ひとりの歌声をちゃんと聴けるようになっています。彼の浮気現場を目撃してしまい、ショックを受けながらも、強く芯のある女性を表現していて。サビの最後は「ダイキライよ!」というフレーズなのですが、アイドルが怖い顔をして“ダイキライよ”とはなかなか言わないので(笑)、そこが注目ポイントだと思いますし、とても新鮮だなと思いました。豫風瑠乃。2007年12月20日、大阪府生まれ。O型。座右の銘は「七転び八起き」。浅倉新しく入った河西結心(かさいゆうみ)ちゃんの歌い出しは、情緒あふれる歌い方になっているので、注目してほしいですね。あとはこれまで、たとえば“大好き”というあまい台詞やフレーズを歌うことはあっても、“ダイキライ”という否定的な言葉はなかなかなかったので、また新しいつばきファクトリーが見られるはず。豫風そうなんです、歌詞の中で3回「ダイキライよ!」というフレーズが出てくるのですが、3名のメンバーがそれぞれ素敵な味を出しながら想いを込めて歌っているのが聴きどころです。あと落ちサビ(最後のサビの前に置くボーカルを際立たせるサビ)では、裏切った恋人に対しての儚い、切ない想いを表現しながら歌っているので、その点も注目してほしいですね。ーー「約束・連絡・記念日」は、恋人への本音を吐露するダンサブルなナンバーです。この曲の聴きどころ、ダンスパフォーマンスの見どころはどこになりますか。山岸サビがとても特徴的で、一度聴いたら耳から離れなくなるような中毒性のある楽曲になっています。曲の最後には、一人一文字ずつ歌うところがあるので、誰がどの文字を言っているのか当ててみるのも、ひとつの楽しみかな(笑)。間奏のダンスでは、全員でワックダンスをしていて、12人で踊るととても迫力があるのが見どころです。浅倉サビの変速リズムやタイトルにもあるように、約束、連絡、ふいうち、記念日、と歌詞で単語が多く使われているのも斬新で、お気に入りです。ダンスは12人でカノンになって踊っていますが、これは何度も練習して合わせた部分でもあるので、ぜひ見ていただきたいですね。豫風切なさを表現した今作のダンスの見どころは、各メンバーの切ない表情。12人が数人にわかれてシンクロしているダンスは、ひとりずつではなく、全体を観ていただきたいです。ホールコンサートのリベンジとミニライブを開催したい――12人と大所帯となりましたが、普段はどのように交流を深めていますか。浅倉まだ全員で遊んだことはありませんが、お仕事の合間やお休みの日に予定が合えば、メンバー同士でご飯に行くことがありますね。(山岸)理子ちゃんとは、同じ千葉仲間でもあるので、ディズニーランドに一緒に行くことが多いです。――みなさんは美容やダイエットなどで気をつけていることはありますか。山岸私はとてもむくみやすい体質なので、普段から筋膜リリースローラーや小顔ローラーでコロコロしたり、足のマッサージ器でマッサージしたり、足つぼシートに乗ってむくみをできるだけとったり。そして、お風呂に入ることも好きなので、いつも汗をかくまで湯船に浸かっています。スキンケアに関しては、最新のスキンケア情報を常に見て、今月の売上ランキングや口コミなどをチェックしていますね。浅倉朝起きたら、お白湯をコップ1杯飲んでいます。あと乾燥肌なので、保湿をすることと、適度な運動をすること、湯船に15分は浸かること、これらは毎日しています。豫風寝る前に、よく顔にパックをして保湿しています。また、偏った食生活をすると顔にできものができてしまうので、炭水化物以外のいろいろな食べ物を意識しながら、食べていますね。なかでも、豆腐がおいしくていまは毎日食べています。――では、オフの日の過ごし方を教えてください。最近ハマっているものはありますか。山岸愛犬のマッサージをすることですね。マッサージをすると、うっとりしてとても気持ちよさそうな顔をするのがたまらなく可愛くて、愛犬が寝るまでずーっとマッサージしてあげちゃいます(笑)。私が手を止めると、「もっと」というように足で押してくるので、その仕草も可愛くて、永遠にしちゃうんです。浅倉私は韓国ドラマにハマっていて、自粛期間から20作品くらいは観ました。暇さえあれば、ドラマ観賞会です(笑)。筋トレも、ドラマ同様に自粛期間から続いている趣味なので、負荷を強めたりしながら、下半身をメインに鍛えていますね。あと食べることも好きなので、時間があるとレシピを見ながら、料理やお菓子作りに挑戦したり、カフェ巡りをしたりしています。豫風オフの日は買い物に行くとき以外、家でお菓子作りをしていることが多いです。最近は料理にもチャレンジしていますが、もっと献立の幅を広げられるよう、頑張りたいですね。また、音楽を聴きながらマンガを読んだり、おもしろい動画を観たりして過ごしています。――いろいろなお話をありがとうございました。最後に、リーダーの山岸さんから、今後の抱負を教えてください。山岸今後は、まず昨年中止になってしまったホールコンサートを全国各地でやりたいですね。そして、つばきファクトリーは、結成当初からリリースイベントのミニライブをたくさんやってきています。各地のファンの方にたくさんお会いできるうえ、近くでパフォーマンスをすることで、みなさんの熱量や楽しそうな表情も間近に見ることができて、私は大好き。いまはまだこのご時世で難しいかもしれませんが、リリースイベントのミニライブも、再開できたらいいですね。取材後記新メンバーが4人加わった12人体制となり、新たにスタートした、つばきファクトリー。ananwebの取材では山岸理子さん、浅倉樹々さん、豫風瑠乃さんが登場してくださり、みなさんのグループにかける強い想いが伝わってきました。これからのご活躍も楽しみですね。そんなつばきファクトリーのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりつばきファクトリーPROFILE2015年4月、ハロー!プロジェクト研修生内ユニットとして結成。2017年2月、シングル「初恋サンライズ/Just Try!/うるわしのカメリア」でメジャーデビュー。同年、第50回日本有線大賞 新人賞、第59回『輝く!日本レコード大賞』最優秀新人賞受賞。2021年7月、河西結心、八木栞、福田真琳、豫風瑠乃の4名が加入し、新体制となる。11月17日、トリプルA面シングル「涙のヒロイン降板劇/ガラクタDIAMOND/約束・連絡・記念日」をリリース。InformationNew Release「涙のヒロイン降板劇/ガラクタDIAMOND/約束・連絡・記念日」(収録曲)01.涙のヒロイン降板劇02.ガラクタDIAMOND03.約束・連絡・記念日04.涙のヒロイン降板劇(Instrumental)05.ガラクタDIAMOND(Instrumental)06.約束・連絡・記念日(Instrumental)*収録曲は全形態共通。2021年11月17日発売(通常盤A)EPCE-7643(CD)¥1,300(税込)*特典:トレーディングカードソロ12種+キラ仕様集合1種よりランダムにて1枚封入(涙のヒロイン降板劇 Ver.)。(通常盤B)EPCE-7644(CD)¥1,300 (税込)*特典:トレーディングカードソロ12種+キラ仕様集合1種よりランダムにて1枚封入(ガラクタDIAMOND Ver.)。(通常盤C)EPCE-7645(CD)¥1,300 (税込)*特典:トレーディングカードソロ12種+キラ仕様集合1種よりランダムにて1枚封入(約束・連絡・記念日 Ver.)。(初回生産限定盤A)EPCE-7635(CD+BD)¥2,200(税込)*特典:BD付。収録内容:01.涙のヒロイン降板劇(Music Video)、02.涙のヒロイン降板劇(Dance Shot Ver.)、03.涙のヒロイン降板劇 メイキング映像。(初回生産限定盤B)EPCE-7637(CD+BD)¥2,200(税込)*特典:BD付。収録内容:01.ガラクタDIAMOND(Music Video)、02.ガラクタDIAMOND(Dance Shot Ver.)、03.ガラクタDIAMOND メイキング映像。(初回生産限定盤C)EPCE-7639(CD+BD)¥2,200(税込)*特典:BD付。収録内容:01.約束・連絡・記念日(Music Video)、02.約束・連絡・記念日(Dance Shot Ver.)、03.約束・連絡・記念日 メイキング映像。(初回生産限定盤SP)EPCE-7641(CD+BD)¥2,200(税込)*特典:BD付。収録内容:01.「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?、02.黄色い線の内側で並んでお待ちください、03.好きって言ってよ、04.初恋サイダー、05.オーディションオムニバス映像。取材、文・かわむらあみり
2021年12月01日【音楽通信】第95回目に登場するのは、『呪術廻戦』ほか大人気アニメの主題歌を務め国内外で話題を呼んでいる、クリエイターズユニット・Who-ya Extended(フーヤエクステンデッド)!バンド活動を経た延長線上にデビューがあった【音楽通信】vol. 952019年11月に、TVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』(フジテレビ系)のオープニングテーマ「Q-vism(キュビズム)」でメジャーデビューした、ボーカリストのWho-ya(フーヤ)さんを中心としたクリエイターズユニット、Who-yaExtended。同曲はiTunes総合チャート第1位など配信チャートを席巻し、ミュージックビデオがYouTubeで公開されるとすぐ100万回再生を突破。2021年には、TVアニメ『呪術廻戦』のオープニングテーマ「VIVID VICE」を担当し、デジタルシングルランキングで1位を獲得。同曲のオリジナルミュージックビデオはYouTubeの再生回数1250万回を突破し、国内外から注目を集めています。そんなWho-yaExtendedが、2021年11月10日に2ndアルバム『WII (ダブリューツー)』をリリースされたということで、お話をうかがいました。――まずはWho-yaさんの音楽的なルーツや影響を受けたアーティストから教えてください。ルーツといえば、母親の影響で、生まれた頃から(アメリカのロックバンドの)リンキン・パークなどのミクスチャーサウンドバンドを自然と聴く環境で育ってきました。同時に、椎名林檎さんの楽曲も、子守唄として小さい頃から聴いていたので、しいてあげるならそのふたつですね。――2019年11月に、新人では異例の大抜擢となったアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』(フジテレビ系 2019年)のオープニング曲「Q-vism(キュビズム)」でメジャーデビューされました。同曲はiTunes総合チャートやAmazonデジタル人気度ランキングと各1位を獲得し話題となりましたが、もともとデビューを目指して活動していたのですか。デビューすることを意識していたことはないんです。もともと僕は中学、高校とバンドをやっていて、ライブをしながら「音楽というかたちでどこまで表現できるのだろう」と、自分の限界を探していました。いまはバンドではなく、クリエイターズユニットなのでかたちは違いますが、音楽での追求の延長線上にデビューがあった、というのが一番近い答えかなと思います。――バンドでは何のパートを担当していたのですか。ずっとボーカルを担当していました。そのときは、楽器を担当するよりも「歌うほうが好き」という気持ちが強かったんです。――ご自身で発信していこうと考えたのはいつ頃からなのですか。親の影響で音楽を聴いて育ちましたが、その頃は、音楽は聴く側でしかないと思っていました。その考えが変わったきっかけは、中学3年生のときに最後の文化祭で思い出作りに「バンドやろうよ」と、誘われたことです。それまで音楽は受け取る側だったけれど、「自分から発信してもいいんだな」と思って。そこからは発信していきたいという気持ちが徐々に生まれました。――学生時代から人気があったのではないですか?あまり自分でモテていましたとかは言えないです(笑)。そのときは、ただ「楽しいから」という気持ちだけでバンドをやっていて、まわりからどう見えるということはあまり考えずに、純粋に「音楽が好き」という気持ちだけでしたね。――デビュー以降、ずっとアーティスト写真などもイラストでしたし、Who-yaさんの姿を出さずに活動していたのが、2021年1月に配信された初のオンラインライブ「Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館」で初めて顔を出されました。何か心境の変化があったのでしょうか。デビューという大きなタイミングで、今後どういうことをやっていきたいかと考えたときに、まずは音楽とそこから表現できる世界観という、自分たちで作り上げられるものだけで勝負したいと思いました。そのために楽曲を発表していくけれど、キービジュアルだけで活動してみたら、どういう反応をもらえるのか興味があったんです。そこから1年少し経って、ある程度リスナーの方の反応がわかるようになってきたので、今度は自分がステージに立ってみてもおもしろいんじゃないかなと。そこで、今年1月の武道館公演のタイミングで、自分が表に出ることにしました。――実際に出られて反響はいかがでしたか。個人的には、みなさんから反響をいただけていると思います。キービジュアルだけで活動していた1年間と比べると、表に出ることによって、自分が歌っている姿がもっとダイレクトに感じてもらえるというのは、同じ曲を聴いたとしてもリスナーの方の聴こえ方が少し変わってくるところもあるのかもしれません。内外ともに変化の時を経て完成した2ndアルバム――2021年11月10日に、2thアルバム『WII』がリリースされました。まず、仕上がってみての手応えから、お聞かせください。1stアルバム『wyxt.』を昨年4月にリリースしてから約1年半が経って、その間、自分自身も変化して、世界でもコロナ禍となって内外ともに変化の多い期間でした。そのなかでこうして活動を続けられて、音楽を聴いてくれる方がいてというこの1年半を通じてのいまのWho-ya Extendedが感じられる2ndアルバムになっています。――いつも曲作りはどのようにされているのですか。このプロジェクトでいうと、いまも僕ひとりではなく、まわりのいろいろなクリエイターとともに、知見を借りながら曲作りをしています。曲を作るクリエイター、歌詞を書くクリエイター、音楽とは関係のない作業を担当するクリエイターなど、コアなメンバーはいるものの人数は固定せずに、その都度集まっていて。プロジェクトでディスカッションを進めて、最初の楽曲の軸から、より多くの方に響く楽曲としてどう落とし込んでいくか、パズルを組み立てていく感じで作っています。――今作はいつ頃から制作されていたのですか。今年は2月に1stEP『VIVID VICE』、8月に2ndEP『Icy Ivy』を出していて、そこから今作に収録している曲もあります。今回のように1枚のアルバムという構想でいうと、4曲目の「Wander Wraith(ワンダー レイス)」は、夏前ぐらいから制作は始まっていました。――4曲目に収録された「Wander Wraith(ワンダー レイス)」は、疾走感あふれるギターが響く、アルバムのリード曲になっていますね。そうですね。この曲は8月に行った有観客ライブで披露した楽曲なのですが、ライブの配信もありつつそこではアンコールは配信せず、実際にライブ会場に来てくださった方に限定で披露したいと思って作った曲なんです。なので、ライブの空間をイメージして切り取ったときに、映える曲になるよう作りました。この曲はギミック的なところがあるんですが、音声のデータをぶつぎりにした状態で並べたりしているので、ライブで完全再現できないものの、逆に別物としてのおもしろさがあると思っています。――映画の幕開けのようなドラマチックさのある1曲目「WII -prologue-」や、ラストを飾る12曲目「12 WII -epilogue-」があり、アルバムを引き締めつつ彩っていますね。おっしゃっていただいた通り、映画のようなイメージで、最初と最後にこの2曲を追加していて。もともと「WII -prologue-」はライブのSEとして、登場するときに使っていた楽曲なんです。8月のライブでも使用したので、そのライブを経てアルバムをリリースするタイミングで、作品でも1曲目にあったらおもしろいかなと入れてみました。そしてアルバムを11曲通じて聴いていただいたときに、最後の12曲目「12 WII -epilogue-」を入れることで、アルバムとしてのまとまりができるかな、という発想から作っています。――2曲目「VIVID VICE」は、大人気アニメ『呪術廻戦』(MBS/TBS系 2020年〜21年放送)の第2期オープニングテーマで、YouTubeのMusic Videoは再生回数が現時点で約1300万回を突破するほど注目を集めていますね。この曲は『呪術廻戦』と親和性が高くなるように作りました。もともと僕自身、『呪術廻戦』が好きなので、自分が好きな作品の主題歌を歌うというのは、なかなかできないことで新鮮。作品が持っている引力やパワーが強いほど、自分自身も楽曲を通じてより一層いい楽曲になればという、熱量を持って挑めました。――11曲目「Icy Ivy.」はアニメ『NIGHT HEAD 2041』(フジテレビ系 2021年)のオープニングテーマとなりましたが、この曲はどのように生まれた曲ですか。『NIGHT HEAD 2041』の主役が、超能力を持っているために社会から疎外されてきた兄弟という設定で、その能力のせいで国を追われるストーリーなんです。僕は生まれながらに超能力は持っていませんが、僕たちと照らし合わせてみるとベクトルは違いますが、家庭環境や経済的なことでは、自分で選んだわけではないけれど決められているという面は同じだなと共感できるところもあって。たいていのことは生まれたときに、すでに決められているじゃないですか。でもそれに左右されずに生きていかなきゃいけないですし、この作品の主人公だけでなく僕を含めみんなが、運命的なものにのまれないように生きていけたらという思いを込めています。みんなの背中を押すほどではないですが、寄り添う曲になっているのではないかなと。――バラードの10曲目「透明な花」は、唯一の日本語タイトルです。初めて日本語タイトルにした楽曲なんですが、もし本当に「透明な花」があっても目に見えないので、そういった見えないもののたとえ、比喩のような意味で使っていて。楽曲は、祈りや願いが、テーマになっています。たとえば夜は何も悩まずにゆっくり寝たいとか、自分の大切な人が幸せでいてほしいとか、理想や願いのようなものって確度の違いはあるかもしれませんが、みなさんそれぞれ持っているものじゃないかなと。それを「透明な花」というワードにたとえて歌った曲です。歌録りも、細かい言葉のニュアンスまでかなり意識して歌ったので、この曲が一番時間がかかりました。――歌うときはいつもどのようなことを意識して歌っていますか。楽曲ごとのコンセプトやテーマにそって、「こういう思いが伝わればいいな」「この景色が伝わればいいな」というイメージを歌というツールを通じて、聴いている方にダイレクトに思いを感じてもらえるように意識して歌っています。――では聴き手に、どんなふうに今作を聴いてほしいですか。アルバムはライブと似ている気がしていて、それぞれの人たちが受け取ってくれる気持ちのままでいいのかなと思っています。こういうコンセプトだから聴いてほしいという押しつけでなく、それこそ今回は曲ごとにいろいろな顔を持つ楽曲が多いので、ただ受け取って終わりではなくて、作り手と受け取り手の共鳴があるように感じていて。自分たちはこう受け取りましたということを、ファンの方たちはSNSなどで言ってくださっていることも多いので、そういった共鳴を経てやっと、アルバムが完成すると思っています。――アルバムリリース後に、来年はライブの予定もあるそうですね。1月23日に東京の渋谷にあるVeats SHIBUYAで、初めてのワンマンライブを開催します。来年1月でデビューして約2年経つのですが、いま応援してくれている方がいるからこそ、クリエイターズユニットとして成り立っているという思いがあるので、この2年間の思いをワンマンライブの一夜で埋められるような、聴いてくださる方々との“待ち合わせ場所”のような空間にしたいと思っています。アルバムからの曲も披露する予定なので、期待していただきたいですね。ダイレクトに音楽を届ける場所を増やしていく――おうち時間が長引く昨今ですが、いまハマっているものはなんですか。映画がすごく好きなので、家では映画を観ているかゲームをしているかという、夜更かし系のことをしています(笑)。その一方で、キャンプに行ったり釣りをしたりするのも好きなので、自然の多い山や川へ出かけることも。日によって、インドアだったりアウトドアだったり、けっこう両極端ですね。――端正な顔立ちをされていて、ピアスも似合っていますが、普段からアクセサリーやファッションなどで、お好きなものやこだわりはあるのですか。ファンの方からすると意外かもしれないですが、あまり服やアクセサリーは頻繁には買わないんです。このピアスもずっと、デビューしてから同じものをつけていて。サウナに行くとき以外は、ずっとつけているピアスです。――サウナに行くことがあるのですね?すごくよくサウナに行きます(笑)。ピアスをしたまま入ると耳がやけどしてしまうので、サウナ以外はずっと身につけていて。アクセサリーなどは、お店に行ったりネットで見て購入しています。シルバーが好きなので、全部シルバーで揃えていますが、一目惚れというのでしょうか、パッと見て気に入ったものを選んでいます。――ちなみに女性のファッションで好みはありますか。色でいうと、カーキや黒系が好きかもしれません。街でパッと見ていいなと思うのは、日本のモード系ファッションブランドの『TOGA(トーガ)』、ロンドンのブランドの『COS(コス)』あたりの服装に目が留まりますね。いわゆる大人っぽい服装です。――では素敵な女性像というと、どんな人でしょう。性別問わずかもしれませんが、芯がある人ですね。自分で自分を裏切らない人は、いいなと。きちんと自分の意思があって、まっすぐに自分やまわりとも向き合っている人が好きです。――では最後に、今年もあと少しとなりましたが、来年や今後の抱負をお聞かせください。来年は年始から初ワンマンライブもありますし、フェスのようなイベント出演もしたいですし、個人的にはライブをたくさんやりたいです。いままで2年間、楽曲メインで活動をしていたぶん、来年以降はワンマンライブをきっかけに、さらにリスナーの方にダイレクトに音楽を届けられる場所が増えればいいなと考えていますし、足を運んでくださった方が「楽しい!」と思ってもらえる場所にしていきたいと思っています。取材後記これまでその姿は謎のベールに包まれていたところもあった、Who-ya Extended。今回ananwebに登場してくださったボーカルのWho-yaさんは、きらめく才能を感じさせる美男子ながら、あくなき音楽への探究の旅を続けるアーティストです。インタビューの際、つけていたシルバーのマスクチェーン姿もクールでした。そんなWho-ya Extendedのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・安田光優取材、文・かわむらあみりWho-ya ExtendedPROFILE2019年11月、シングル「Q-vism(キュビズム)」でメジャーデビュー。2021年1月、TVアニメ『呪術廻戦』第2クールオープニングテーマ「VIVID VICE」を提供し、 アーティストとして大躍進。5月には、一発撮りのパフォーマンスを鮮明に切り取るYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にも出演し、その繊細なパフォーマンスが話題に。11月10日、2ndアルバム『WII』をリリース。2022年1月23日、渋谷のVeats SHIBUYAで初ワンマンライブを開催する。InformationNew Release『WⅡ』(収録曲)01.WⅡ -prologue-02.VIVID VICE03.Discord Dystopia04.Wander Wraith05.MESSY WORLD06.Growling Ghoul07.The master mind08.Wasted Dawn09.Absolute 010.透明な花11.Icy Ivy12.WⅡ -epilogue-2021年11月10日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)SECL-2708(CD)¥ 3080(税込)(初回生産限定盤)SECL-2706〜SECL-2707(CD+BD)¥ 3800(税込)*三方背スリーブ仕様。<初回生産限定盤Blu-ray Disc>(DISC2内容)01.Wander Wraith -MUSIC VIDEO-02.Icy Ivy -MUSIC VIDEO-03.VIVID VICE -MUSIC VIDEO-04.VIVID VICE / THE FIRST TAKE05.VIVID VICE Acoustic version写真・安田光優 取材、文・かわむらあみり
2021年11月26日【音楽通信】第94回目に登場するのは、「奏(かなで)」「全力少年」ほか数々のヒット曲を世に送り出している、ソングライターのふたりからなるユニット、スキマスイッチ!バンド活動を経てあるきっかけでユニット誕生写真左から、大橋卓弥、常田真太郎。【音楽通信】vol. 94大橋卓弥さんと常田真太郎さんという、素晴らしいソングライターのおふたりからなるユニット、スキマスイッチ。1999年に結成し、2003年のメジャーデビュー後は「奏(かなで)」「全力少年」「ボクノート」、近年ではドラマ『おっさんずラブ』シーズン1(テレビ朝日系 2018年)や劇場版(2019年公開)の主題歌「Revival」など、数々のヒット曲をわたしたちのもとに届けてくれていますよね。そんなスキマスイッチが、2021年11月24日にコンセプトオリジナルアルバム『Hot Milk』と『Bitter Coffee』を2枚同時にリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、おふたりにお話をうかがいました。――あらためて、まずはおふたりが影響を受けたアーティストから教えてください。大橋それは中学生の時にファンクラブに入っていて、一番ハマったアーティストだといえる、ザ・ビートルズです。ただ、学生時代はまわりのみんなが聴いているのと同じようにJ-POPも好きで、ヒットチャートの上位になっていたMr.Childrenやスピッツ、B’zなども聴いていました。常田僕もタクヤと同い年なのですが、早生まれなので学年は違うものの、同じような音楽環境でしたね。カラオケで歌える曲を聴くというのも、当時、音楽を聴く上での指針だったと思います。上位ランキングのアーティストやDEEN、ZARDといったみんなで歌える曲をCDショップで借りてきたり、ワゴンセールで買ったり、というのがひとつの流れというか。まだ洋楽は聴いていませんでした。大橋卓弥(オオハシタクヤ/Vocal, Guitar)。1978年5月9日生まれ。――1999年にスキマスイッチを結成されて、2003年7月にシングル「view」でメジャーデビューされましたね。結成のいきさつから、デビューにいたるまでの経緯をお聞かせください。大橋僕たちは別のバンドをやっていたのですが、おたがいの出身が愛知県で一緒だったので、僕の中学校の先輩に、シンタくん(常田さんの呼称)を紹介してもらいました。もともと僕はこの先輩とバンドを組んでいて上京したんですが、バンド活動がうまくいかなくなって、解散したんです。その後、ひとりで何かできないかなと、20、21歳ぐらいのときは渋谷の公園通りのあたりで、ストリートミュージシャンとして演奏していました。最初は路上で弾き語りをしていても、誰も足をとめてくれる人がいなくて、場所を変えたり試行錯誤していて。そのうち聴いてくださる方も増えてきて、そんな方たちに何か作品を作って、持って帰ってもらいたいなと考えるようになったんです。その頃、シンタくんはアマチュアのバンドさんたちに、アレンジや録音をやりますよ、という募集をかけていました。それを知っていたので、当時お金がないなかでどうやってCDを作るか考えた末、安く制作してもらえないかなと、シンタくんに1曲レコーディングしてもらったんですよ。シンタくんはそういった録音以外にも、いろいろなバンドをかけもちしていたなかで、知り合いのアレンジャーさんに自分の録音した作品などのワークスを持って、売り込みにいくことがあったみたいで。その前日に僕のお願いした曲が完成して、ワークスの最後に僕の曲を一応入れたら、その曲だけが、アレンジャーさんにひっかかったんです。常田真太郎(トキタシンタロウ/Piano, Chorus, Organ, Other instruments and total sound treatment)。1978年2月25日生まれ。そのときに、「この子と一緒に活動してるの?」と聞かれて、シンタくんは「やってる」って言ってしまったみたいで。僕としては一緒にやってなかったんですけど(笑)。これがきっかけで、ふたりの活動もやるけれど自分の活動と並行してやろう、どうせ自然とだめになっていくだろうしなと思っていたんですよ。でも、ふたりで活動しだしたら、シンタくんも曲も歌詞も書くので、自分だけでは作らない曲の広がり方、世界観が面白いなと思って。あるとき自主制作のCDを作ろうとなって、ユニット名をつけることになったんです。バンドを組んでいたときは意気込んで横文字のかっこいい名前にしていたんですが、かっこいいとされるものは時代とともに変わっていくこともあり、ちょっととぼけた感じのものはずっと残っている気がしたんです。ふたつのワードをひっつけて名前にしようと、目についたものをおたがいに言ってみて、糸が垂れて引っ張るタイプの電気を見て「スイッチ」というワードが出て、「響きがいいね」となりました。そのときは下積みの貧乏な時代だったので、アパートもボロボロで窓や襖のたてつけも悪く隙間があいていたので、それを見て「スキマ」というワードも出て、「とぼけた感じでいいね」と。それで「スキマスイッチ」というユニット名が誕生しました。それからはふたりで活動しながら、あるオーディションに参加したときに、僕らを見つけてくれたのがいまの事務所で、その流れでデビューへとつながりました。2枚のアルバムは“入門編”と“いま出したいもの”――2021年11月24日に、約3年半ぶりとなるコンセプトオリジナルアルバム『Hot Milk』と『Bitter Coffee』が2枚同時にリリースされます。コンセプト別の楽曲を収録しているそうですが、それぞれのアルバムの特徴を教えてください。常田もともと複数枚リリースは、前作『新空間アルゴリズム』(2018年)の制作が終わってすぐアイデアとして出ていました。いまは音楽を手軽に聴ける時代になって、端末で配信曲も聴けて、僕らとしてもリリースがはやくなってきてレスポンスもすぐにわかるという利点があるものの、届いたあとのことを考えると、曲を“所有していない感”が強いのかなと。それはCDというかたちになっていないからだと、ずっと思ってきていることで、今後もこだわっていきたいところでもあるんですが、所有感を感じてもらうにはCDが多いほうが面白いかなと。そしてスキマスイッチをあまり知らない人への情報として、複数枚出すことで目に留まることもあるのではということから、今回の2枚同時リリースとなりました。以前は、一度に4枚5枚ぐらいでジャンル分けして、スキマスイッチの魅力をバラード集やアップテンポ集などに分けて、こちらから届けてみようかというアイデアもあったんです。ただ、そうなると曲をたくさん作らないといけなくて、そのなかでもよく聴く曲、聴かない曲と偏りが出てきたらよくないから、何枚出すかは決めないでとりあえず曲をたくさん作ろうとしていたなかで、コロナ禍になって時間ができて、デモがいつもより多くできました。できている曲の中で、先にタイアップがついて世に出ていく曲もあって。あとは新しい作り方で、「こんな曲書いてみない?」という、スタッフが僕たちに希望しているようなテイストで作ってみました。僕たち以外の因子とそうでないもので分けられた感じがあって、でもそこでタイアップ曲やスタッフの意見を取り入れたものは明るい、自分たちのエゴで作った曲は暗い、というのはいやだったので、ちゃんと1枚のアルバムとして確立させてリリースしようと決まったのが、昨年の秋ぐらいです。1枚に7曲ぐらいが聴きやすいですし、それをもう1枚の計2枚のリリースにして、『Hot Milk』はタイアップや引き出してもらったもの。『Bitter Coffee』は、自分たちが「いま出したいね」と話していた曲、自分たちのなかで流行っている音やジャンル。そんなかたちで、分けさせてもらいました。大橋もしかするとananwebの読者のみなさんのなかには、CDやCDプレーヤーを持っていない方もいるかもしれないですよね。便利な世の中なので音楽は手軽に聴けますし、検索すれば無料で聴けることもある。携帯に入っているものもあれば、聴きたいときに検索して聴いたら終わり、という方も多いと思うんです。でも僕らの世代では、音楽やアーティストが作ったものに対して、もう少し大事にする感覚があって。CDショップに行ってCDを買って、帰りの電車のなかで先に歌詞カードを見ようかな、でも家に帰ってからCDを聴きながら見ようかな、というような楽しさをいま少しでも、こちらから提案できたらいいなと。それにはあまりにも内容の濃い作品じゃないほうがいい。『Hot Milk』はもしかしたらどれかはテレビでちょっとぐらい聴いたことがある曲も入っていて、手に取りやすいんじゃないかなと。7曲なら聴くのに時間もそんなにかからないし、もしそこでスキマスイッチに触れてみて、ちょっと好きなところがあるなと思ったら、『Bitter Coffee』も聴いてみてもらったりと、つながっていけばいいなという思いはあったんですよね。それがひとつのきっかけになって、音楽に対するものの考え方が、少しだけ変わったなら、僕たちの世代のやり方として間違っていないのではないかなと。あともうひとつは、アルバムを聴いて僕らは育ってきたので、ザ・ビートルズもそうですが、曲順が変わるだけで違和感があるんですよ、何回もアルバムを聴いてきているので。「この曲の後にこのイントロが鳴ってくれないと気持ち悪い」とか。それぐらい聴きこんだんですよね。それぐらいなるべくCDというもので、僕らが考えたこの曲の並びで聴いてもらって、「どんなメッセージが込められているのかな?」と考えてもらえたら。CDには歌詞カードもついているので、歌詞には書かれていなくても、歌詞カードの行間にこめられた思いがあって。良くも悪くもいまの音楽がファッション的なものになっているところをもう少し、何かのメッセージや表現を感じてもらえたらいいなと思っています。――『Hot Milk』収録曲の7曲目、「されど愛しき人生」の俳優の柄本時生さんが出演しているミュージックビデオが公開されていますね。大橋いろいろなアイデアが出たなかで、登場人物が全部同じ顔をしながら自分はこんな人生でもあり、また違うこんな人生もあった可能性がある、という見せ方をする物語のアイデアがあって、面白そうだねと決まりました。そこでキャスティングとなったときに、物語にも合うどこか哀愁のある人がいいとなって、柄本さんの名前が上がったのでぴったりだと思ってオファーしたところ、快諾してくれました。――おふたりでいつも曲作りはどのようにしているのですか。大橋ふたりでゼロから作るときもありますし、どちらかがベースを持ってきて、「これいいね」となったらそこからブラッシュアップしていくときもあります。『Hot Milk』の1曲目「OverDriver」の場合は、シンタくんがデモとして持ってきたものを聴いて、「これカッコいい」となって、それをふたりでちょっとメロディを変えていったり、構成やサウンドはこんな方向でいこうとか話していったり。常田驚くほど、手作りです。――いいですね。おふたりでじっくり作られた思いは聴き手側にも伝わってきます。大橋なかには、家でパソコン1台あれば曲を完成させるというミュージシャンもいるかもしれませんが、僕らはプロのミュージシャンの方々の力を借りて、作り上げていきます。まずは自分たちだけで、プライベートスタジオでパソコンを使ってシミュレーションをしてみて、そのときから「このギターは〇〇さんに弾いてほしい」というようにイメージしていきます。そこから正式にオファーさせていただいて、スタジオでセッションしながら作っていくんですよ。――『Bitter Coffee』は大人っぽい雰囲気から始まって、4曲目「いろは」のように美しいメロディにのるセンチメンタルなナンバーもあれば、6曲目「フォークで恋して」はまるでドラマのような展開で続きが知りたくなる歌詞、おしゃれなサウンドが印象的です。いつ頃から制作されたのでしょうか。常田古いデモもありますが、昨年の秋からアルバムを見据えて作り始めて、今春から制作をスタートしました。『Bitter Coffee』に関していうと、ほぼ新曲なので、僕たちのテンションもどんどん上がっていっています。『Hot Milk』は入門編かなと。『Bitter Coffee』は、知らない曲でも絶対こっちがいいと言わせてやるという、目に見えないテンションの高さも込められています(笑)。――12月22日には日本武道館公演、2022年2月からは全国ツアーを開催されますが、どんなステージになりそうですか。大橋12月の武道館公演では特別な企画ものをやりたいと思っていて、この日のためだけに書き下ろした音楽と映像をお届けします。アルバムの『Hot Milk』と『Bitter Coffee』を引っ提げたライブは、来年2月から7月まで「SUKIMASWITCH TOUR 2022 “café au lait”」と題して全国をまわるので、楽しみにしていてほしいですね。スキマスイッチのライブに足を運んでみてほしい――新作がコンセプト違いの2作品ということで、おふたりの「オン/オフ」の2面性についても教えてください。大橋2面性というと、僕らふたりはまったく真逆の性格ですが、音楽だけは同じ方向を向いています。僕はAB型なんですが、スタジオに入った瞬間にスタッフは「今日はA型だな」とか、「今日はB型の日だな」とかがわかるらしいです(笑)。僕自身はそんなに違うキャラクターというつもりはないんですが、言わんとしていることはわかるかもしれない、意識してはいないのですが。スキマスイッチがみなさんにどこまで浸透しているかはわからないですが、ananwebの読者のみなさんが思っているよりも、イメージが逆な気がしますね。――イメージというと?大橋シンタくんのほうがなんか……。常田ガサツですね、ズボラだし。大橋それはイメージ通りのはず(笑)!常田その通り(笑)。だとすると、なんか僕は、職人ぽく言われることが多いんですが、全然そんなことはないんです。大橋たぶんですが、パブリックイメージとして、僕のほうが優等生なイメージがあって、シンタくんのほうがちょっと昔ヤンチャしていたようなイメージですが、それは逆ですね。――大橋さんはヤンチャしていたんですか?大橋僕はヤンチャではないです(笑)。常田……してたかなあ(笑)。大橋シンタくんも僕もすごい真面目です(笑)。――続いては、おうち時間が長い昨今ですが、最近ハマっていることはありますか。常田ありますね。壊れたものの修理にハマったんですよ。先日は、コピー機が壊れていたので、自分で直しました。昔から分解癖があって、よく修理していたのですが、直ったら得も言われぬ達成感があって(笑)。けっこう自分で修理できるのが、おもしろいです。大橋僕は家で映画を観ていて、最近は、Netflixを観ることが多いですね。世の中ではいま韓国作品が流行っているじゃないですか。それこそ大ヒットした韓国ドラマ『愛の不時着』とかもありますが、僕はラブロマンスがあまり得意ではないので、観やすいものを探したらけっこうありました。『イカゲーム』や『梨泰院クラス』、『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』や『マイネーム:偽りと復讐』あたりも観ましたね。これまで韓国作品は全然通ってこなかったんですが、最近になって観てみると、独特な雰囲気がおもしろかったです。韓国のドラマって、日本にはない、韓国ならではの慣習のようなものを感じ取れますよね、先輩を敬う感じとか。最初はそこに入り込めなかったんですが、文化がわかってくると、2本目3本目とだんだん観るようになってきましたね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後になりますが、来年の抱負をお聞かせください。大橋来年は全国ツアーがあります。このままの状態でいけば、お客さんと一緒に会場で楽しめそうなので、もし興味があればananやananwebを読んでいるみなさんにも来ていただきたいです。10代の読者の方の場合、お父さんやお母さんがスキマスイッチを聴いていて、家にはCDがあるという方もいるかもしれないですよね。常田車でスキマスイッチがかかっていたとかもね。大橋最近どこにも外出していないな、という読者の方がいたら、僕らのライブを口実にしてもらっていいので、友達や家族で過ごす時間をスキマスイッチのライブで提供していければいいなと思います。取材後記誰もが耳にしたことがあるであろう、ポップスの名曲を次々と生み出している、スキマスイッチ。ananwebの取材でも、大橋卓弥さん、常田真太郎さんの音楽に対する深い想いをお聞かせくださいました。これから生まれてくる楽曲にもまた期待が募るスキマスイッチの2枚のコンセプトオリジナルアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・安田光優取材、文・かわむらあみりスキマスイッチPROFILE大橋卓弥、常田真太郎のソングライターふたりからなるユニット。2003年7月、1stシングル「view」でメジャーデビュー。「奏(かなで)」「全力少年」「ボクノート」「Revival」など数々のヒット曲を生み出し、全国区での人気を獲得する。2021年11月24日、コンセプトオリジナルアルバム『Hot Milk』『Bitter Coffee』を2枚同時にリリース。12月22日、「スキマスイッチ”Soundtrack”」と題した日本武道館公演を実施。2022年2月10日から、「SUKIMASWITCH TOUR 2022 “café au lait”」と題した全国ツアーを開催。InformationNew Release『Hot Milk』(収録曲)01. OverDriver02.吠えろ!03.青春04.Ordinary05.東京06.スイッチ!07.されど愛しき人生2021年11月24日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)UMCA-10087 (CD)¥2,500(税抜)(初回限定盤)UMCA-19065 (CD+Blu-ray付)¥3,500(税抜)*スリーブケース仕様。<Blu-ray内容>・Hot Milk盤:「Documentary of“Recording”」 レコーディングドキュメント+メンバーインタビュー映像。New Release『Bitter Coffee』(収録曲)01.I-T-A-Z-U-R-A02.G.A.M.E.03.風がめくるページ04.いろは05.SINK06.フォークで恋して07.あけたら2021年11月24日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)UMCA-10088 (CD)¥2,500(税抜)(初回限定盤)UMCA-19066 (CD+Blu-ray付)¥3,500(税抜)*スリーブケース仕様。<Blu-ray内容>・Bitter Coffee盤:「Documentary of “Studio Live”」 *収録曲のスタジオライブを撮り下ろしで収録。写真・安田光優 取材、文・かわむらあみり
2021年11月23日【音楽通信】第93回目に登場するのは、音楽一家に生まれ育ち、心が洗われるような美しい歌声をわたしたちに届けてくれる天性のアーティスト、坂本美雨さん!母のお腹の中にいるときから音楽に触れる【音楽通信】vol.9316歳のときに「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビュー以降、本名で本格的に歌手活動をスタートさせた、坂本美雨さん。その後は音楽活動に加え、ラジオパーソナリティ、執筆活動、ナレーション、演劇といった、さまざまなフィールドで活躍。「東京2020パラリンピック」開会式では、「パラ楽団」の一員として登場し、その美声を世界に届けました。そんな坂本さんが、2021年10月20日にニューアルバム『birds fly』をCDリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、いろいろなお話をうかがいました。ーー2021年8月24日から13日間開催された「東京2020パラリンピック」開会式では、式典のために特別に結成された「パラ楽団」のボーカルとして、坂本さんは澄み渡る美声でパラリンピック旗入場曲「いきる」を歌唱されていました。パラ開会式は素晴らしい式典になっていましたね。パラリンピックは障害者の方々が主役であって、わたしたちパラ楽団のなかにも障害者の方もいたんですが、その方々の晴れ舞台という想いで参加していました。ですから最初から、「みなさんのお役に立てば」という気持ちでいたので、プレッシャーを感じることなく全体を楽しむことができましたし、素晴らしいメンバーに加われてとても光栄でした。今回、開会式に関わっただけでも、考え方が変わりました。今回のスローガンとして、世界中で15%の人たちが何らかの障害を持っているという「We The 15」がありました。これからの時代は、障害者の方々がよりわたしたちの生活に溶け込んでいくはずですし、サポートが必要なときに自然にお手伝いできるように、社会全体でなっていけたらと思っています。ーーここでおさらいとして、そもそも坂本さんが音楽にふれたきっかけもお聞かせ願いたいのですが、坂本龍一さんと矢野顕子さんがご両親という音楽一家に生まれていらっしゃるので、もう小さいときから音楽が身近な環境だったのでしょうか。そうですね。無意識のうちに、母のお腹の中にいるときから音楽の中にいて。母は妊娠中も父のYMOツアーのサポートメンバーをしていて、生まれて数か月でまたツアーに出てという環境でした。だから、自分の音楽的嗜好を考えると、お腹の中で聴いていた音の影響が大きいんじゃないのかなあと感じますね。テクノを聴くと、やっぱりなんか懐かしいな、気持ちいいなと思うんです。ーーご両親の音楽はもちろんですが、他にもプロになる前によく聴いていた音楽はありますか。父と母だけじゃなく、そのまわりに素晴らしいミュージシャンたちがいたので、自然とそういう方々の音楽が入ってきました。日本人ですと大貫妙子さんやオフコースが、わたしのルーツになっていますね。自分で音楽を聴き始めて選ぶようになってからは、TMネットワーク、X Japanと、いろいろな音楽を聴きました。9歳からニューヨークに住んでいたので、アメリカでは音楽をむさぼるように聴いていました。(アメリカのロックバンドの)スマッシング・パンプキンズ、マリリン・マンソンとか。それと同時に、テクノの血が騒いで、イギリスのクラブシーンを聴きあさったりと、ゴクゴクと飲むように音楽を聴きました。ーー1997年、16歳で「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビューされ、その後本名で活動をスタートされましたが、自然と音楽の道へと歩まれたのでしょうか。14歳ぐらいから「音楽家になる」とまわりには言っていて、学校でも将来の夢としてそう書いたりもしていたんですが、恥ずかしかったんです。まわりに本気で音楽に向き合う人たちがいるなかで、適当な気持ちではそんなこと言えないから、大きな声でやりたいとは、言えなかったですね。音楽家になるには、やりたい気持ちだけではできないことはわかっていましたし、どれだけの才能と努力が必要かは肌で感じて知っていたから。これは、自分は演奏する側ではなくて、ジャケットのデザインを手がけるといったかたちで音楽に携わろうと思って、途中まではデザインの勉強をするつもりでいました。ーーでも坂本さんの歌声を聴かせていただくと心が洗われるような癒しを感じるので、もしデザインの道に進まれていても、音楽業界の方から求められる存在だったのでは?いいえ、最初にSister Mとして歌うことが決まったのも、本当に偶然でした。教授(坂本龍一さん)のスタッフさんと一緒にカラオケに行って、華原朋美ちゃんの歌を歌ったときに「こういう声してるんだね」と聴いてくれた機会があって。たまたまそのとき、父のプロジェクトで探していた声質にフィットしているということで、やることになっただけなんです。求められたわけではなく、偶然、灯台下暗し! ということです(笑)。でもそこから、自分で意識を高めていったところはありますね。なんの発声のテクニックも、教えも受けていなかったので、自分の声を最初から好きなわけではなかったんです。本当に、徐々に開眼していった感じですね。音、歌、呼吸、響きをていねいに封じ込めた新作ーー2021年10月20日に、約5年ぶりのニューアルバム『birds fly』をリリースされます。こちらはドリーミュージックと KSR の共同レーベル「FOLKY HOUSE」第一弾アーティストとしての発表で、8月からビジュアルEP(Music Video付きアルバム)としての先行配信もありました。企画に富んだ印象の今作ですが、いつから制作していたのですか。制作は2月ぐらいから始めました。曲自体は昨年からできているものや、もっと前からの曲も入れています。今作に参加しているピアニストの平井真美子さんと、年明けぐらいに組もうと決めました。そのとき同時進行でレーベルのお話もあって、「FOLKY HOUSE」が発足しての第一弾となるのですが、全部が同時進行で形づくっていった感じなんです。レーベル主催の新羅慎二(にらしんじ)さんとお話しするなかで、「室内楽的な音楽」「人がそこにいるぬくもりのある音」また「それができていく過程をリアルに見せる」というキーワードも出てきて、今回6曲全部を1日でほぼ一発録りでレコーディングするかたちに至ったんです。ーー新羅さんといえば、湘南乃風の若旦那さんですね? レーベル主催が若旦那さんで、坂本さんのリリースに至るのは不思議なご縁ですね。新羅さんとはボイストレーナーが同じ方で、一緒にご飯を食べに行くこともあって、それからは不思議となぜだか気にかけてくださっていて、いまに至ります。ーーコ・プロデューサーも今回担当しているピアニストの平井さんは、もともとお知り合いだったのですか。一昨年から、ライブでご一緒する機会が何度かありました。今作は(平井)真美子さんの他に、チェリストの徳澤青弦(とくざわせいげん)さんとのトリオで演奏したんですが、(徳澤)青弦とは20年来の仲間です。ライブで一緒に演奏するピアニストを探していたときに、青弦が推薦してくれたことがきっかけとなって、一度合わせてみたらすごく化学反応があって、おたがいに「もっと一緒にやりたいね」と息が合ったんです。その後ライブを何度か重ねて、今回2曲目に「shining girl」を収録していますが、もともとこの曲は真美子さんのソロアルバムに収録されている楽曲なんです。ライブでも何度かこの曲を演奏しながら、「オリジナルも作りたいね」という話になって、4曲目の「gantan(birth)」も、そんな感じでできあがっていきました。ーー「gantan (birth)」は、「あぁ かわいいひとよここまでよく来たねあぁ 愛しい子よこれまでよく生きたね」との歌詞が印象的ですが、どのようなイメージで歌っていますか。これは子どもの頃の自分に捧げる歌で、いまはもう大人だから引きずってはいないけれど、小さい子ならではの心の整理の付け方、寂しさ、本当は心にあった気持ちみたいなものをいま認めてあげようという思いで歌っていますね。さらに、いま大人になった自分たちのことも、「よくこれまで生きてきたね」と言ってあげたいと歌っています。ーー収録曲1曲目「birds fly」は清々しい楽曲ですが、アルバムのタイトル曲となっているということは、もっとも今作を表す楽曲ということになりますか。結局はそうなったのかな、と思っています。アルバムタイトルで他にふさわしいものが見つからなくて、みんな馴染んでしまったから(笑)。新曲としては最初にできた曲でもあって、コロナ禍のステイホームとなってすぐに作った曲で、解放されたい、という気持ちがあふれている曲です。ーー3曲目「story」は、一般の方も坂本さんの公式YouTubeチャンネルでMVを視聴することができますが、すでに1万回の再生回数を突破されています。今作は東京の自由学園 明日館(みょうにちかん)で 3 人の生演奏を1日で全曲レコーディングするという画期的な作風ですが、その様子がわかる動画は緊張感がありながらも、美しい歌と演奏に見入ってしまいました。この曲を含めて、全6曲のミュージックビデオをApple MusicでビジュアルEPとして先に配信しているのですが、インスタグラムなどにうれしい感想などをいただきました。今回は、自分の身近な人たちに聴いてほしくて、「新作できました」と、データを友人たちに送ったりしたんです(笑)。信頼する友人たちが「素晴らしいね」と言ってくれたので、自信になりましたね。今作は普段の自分と歌っている自分の乖離がない作品というか、素の私のまま、より個人的な作品を作れた気がします。ーーいつもは完成してもあまりお知らせしないのですか。あまりないですよ、恥ずかしいので(笑)。今回は、自分に正直な作品になりました。ーー今作が収録されたその現場に、観客として行きたかったぐらい、とっておきなものと感じました。今回、いろいろなクリエーターの方々が参加してくださって、一緒に作っていきました。衣装、ヘアメイク、頭の後ろの編み込みは装飾の方が編んでくださった付け毛のアート作品だったり。写真家、映像チームも本当にすごかったです。あの緊張感の中、録音と映像とを両方やるというのが無謀なことだったのですが、あんなにたくさんの機材を動かしながら物音ひとつもたてない。誰もくしゃみも咳もできない、すごい集中力でした。演者の私たち3人は、おたがいの気配に感覚を研ぎ澄ませて、呼吸を合わせて演奏しました。ーー5曲目「hoshi no sumika」は、haruka nakamuraさんとの共作となりますね。以前、『Sing with me』『Sing with me II』(ともに2016年発表)というアルバムを2枚一緒に作って、そのあとも全国ライブしてまわった仲間なんですが、その頃のデモに歌詞をつけました。真美子さんとのライブでこの曲を一緒にやったらすごくしっくりきたので、今回はふたりの曲として収録しました。ーー6曲目「for IO(イオ)」は、悲しみを帯びているように聴こえながらも、最後は顔を上げて希望を感じるような歌詞に思えました。この曲は、友人のミュージシャンの猫沢エミさんと、その猫のイオちゃんに捧げた曲です。春に病気で闘病していたイオちゃんを看取ったんですが、それまでの壮絶な看病やその移り変わりを細かくインスタグラムに綴っていらして。私自身もイオちゃんに会いに行ったりと、すごく通じ合うものを感じていて、離れているけれど一緒に時を過ごしている感覚がありました。いよいよ今日看取るという日に、私もスタジオに入って、遠隔の「音楽葬のつもりで歌うので聴いていてね」と話して、インスタライブでそれをエミさんも聴いていてくれて。そのときに生まれたメロディから、ふくらませた曲です。歌詞も、イオちゃんとエミさんのことを綴りました。ーー坂本さんは動物愛護活動をライフワークとされていますし、猫がお好きなことでも知られていますね。飼い猫のサバ美ちゃんは、お元気ですか。元気ですよ。本当の年齢は保護猫なのでわからないですが、推定2歳からうちにいて、11年になります。まだまだ長生きする予定です!ーーでは聴き手には、今作をどのように聴いてほしいでしょうか。室内楽として建物の会場の響きも大切に、その瞬間にしかない音、歌、呼吸、響きをていねいに封じ込めた作品です。部屋のなかでも、もちろん外でヘッドフォンでも、どこで聴いてもそばに私たちがいるような気配を感じてもらいたいですし、安心や穏やかさも感じてもらえたら一番うれしいです。「自分のなかの小さな女の子を輝かせていく」ーーお話は変わりますが、坂本さんはおうち時間をどのようにお過ごしですか。しいて言うなら、よくお料理しています。でも母親なので必要に迫られてやっているところもありますね。おうちにいると、娘と一緒に料理をする時間は増えました。娘も成長してきて、包丁を上手に使えるようになって、料理を手伝ってくれるようになったんです。この間も、餃子を一緒に作りました。娘が担当する料理もあって、そのときは任せています。ステイホーム中、娘がアメリカの料理番組にハマって、番組で作られていた創作料理をどうしても自分も作りたいと言われたことがありました。どうやって作るのかさっぱりわからないけれど(笑)、見よう見まねで作ってみたりして、すごく楽しかったです。ふたりの趣味ですね。でももともとは、時間があるとすぐ外出して、「とにかく美味しいコーヒーが飲みたい!」とカフェに行ったりするのが好きなんですけどね。ーーおうちで美味しいコーヒーを集めたり、淹れたりしますか。私はコーヒーを淹れるのがヘタなので、夫に「美味しいコーヒーを淹れて」とプレッシャーをかけてみたりはします(笑)。ーーみなさんの仲の良さが伝わってきます。ところで、いつもしなやかで美しい坂本さんですが、普段、コスメや美容面で気に入っているものはありますか。たくさんありますよ。まわりに美容に詳しい人やエキスパートがいるので、日本一の美容情報をまわりから得ています(笑)。最近だと、FEMMUE(ファミュ)の「ソフトクレイ ベルベットマスク」という、ピンクのクレイマスクが最高です。まず香りも色も最高に気持ちよくて、うすいピンクのクレイなんですが、肌がワントーン明るくなりますね。あとは(メイクアップアーティストの)早坂香須子×シンシア・ガーデンによるオーガニックスキンケアブランドのNEROLILA Botanica (ネロリラ ボタニカ)のものは全部信頼していますし、THREE(スリー)もよく使います。新作を試させていただく機会も多くて、いろいろと使いますね。OSAJIも好きで、新作が出るたびに感激しています。ーーたくさんのおすすめ情報を教えていただき、ありがとうございます。では最後になりますが、今後の抱負をお聞かせください。今回のアルバムでも、真美子さんと「自分のなかの小さな女の子を見つけて大事にする」「その子を輝かせる」という話をしていたのですが、それは今作のテーマというよりも、わたしたちのこれからの人生のテーマなんです。たとえばそれはインナーチャイルドと呼ばれることもあるものですが、自分のなかの小さな女の子が感じていることをより大事に生きていくことが、一番幸せなのかなと感じていて。どんな音楽をやっていくのか以前に、どうやって、本当の自分として生きていくのかを考え続けていますし、このアルバムはその第一歩になるものでした。それは今後の音楽人生においても大事な一歩で、この続きがどうなるかはまだわからないですが、自分のなかのそんな声をこれからも大事にしていきたいと思っています。取材後記美しく胸を打つ歌声や楽曲で、わたしたちの毎日を彩ってくれる、坂本美雨さん。その歌声や話し声を聴いていると、癒されるのは、筆者だけではないと思います。音楽活動だけではなくさまざまな表現活動もされ、さらに猫ちゃんや娘さんなど、まわりを大事に愛し愛されている様子がとっても素敵。そんな坂本さんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・前康輔取材、文・かわむらあみり坂本美雨PROFILE1980年5月1日、東京都生まれ。音楽一家に生まれ育ち、9歳でニューヨークへ移住。1997年、16歳で「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビュー。以降、本名で本格的に歌手活動をスタート。音楽活動に加え、執筆活動、ナレーション、演劇など表現の幅を広げ、ラジオではTOKYO FM他全国ネットの「ディアフレンズ」のパーソナリティを2011年より担当。村上春樹さんのラジオ番組「村上RADIO」でもDJを務める。ユニット「おお雨(おおはた雄一+坂本美雨)」としても活動。2020年、森山開次演出舞台『星の王子さま-サン=テグジュペリからの手紙』に出演。2021年、ニューアルバム『birds fly』を8月20日に配信、10月20日にCDをリリース。『Memories of Shelter坂本美雨 feat. 平井真美子』として、12月26日に金沢21世紀美術館 シアター21にて、昼夜二回公演を開催。また、ユニット「おお雨」では、年末にライブを行う予定。InformationNew Release『birds fly』(収録曲)01.birds fly02.shining girl03.story04.gantan (birth)05.hoshi no sumika06.for IO(作詞:坂本美雨 作曲:坂本美雨)2021年10月20日発売(通常盤)MUCK-1001(CD)¥3,300(税込)*特殊仕様パッケージ。(初回限定盤)MUCK-8001/2(CD+Blu-ray+特典)¥6,820(税込)*特殊仕様ボックス。[Blu-ray収録内容]※初回限定盤のみ全楽曲のレコーディング風景を収めたMusic VIdeoを収録。写真・前康輔 取材、文・かわむらあみり
2021年10月13日【音楽通信】第92回目に登場するのは、ロックシーンの第一線を走り続けて結成30周年を迎えたロックバンド「L’Arc〜en〜Ciel(ラルクアンシエル)」のリーダー&ベーシストで、今年ソロデビュー20 周年を迎えたTETSUYAさん!ソロ活動はマイペースにやってきた【音楽通信】vol.92日本のロックシーンを語るうえで欠かせない、唯一無二のロックバンドL’Arc〜en〜Cielのリーダー&ベーシストであり、稀代のメロディーメーカーとしても知られるTETSUYAさん。2021年でソロデビュー20周年を迎えたTETSUYAさんが、前作から10年ぶりの新作となる3rdアルバム『STEALTH』を10月6日にリリースしたということで、音楽的なルーツや普段のご様子などを含めて、お話をうかがいました。――おさらいとしまして、まずはTETSUYAさんの音楽的なルーツや、ベースを始めたきっかけから教えてください。音楽を聴き始めたのは、小学生の高学年ぐらいからですね。YMOや一風堂などを聴いていました。楽器については、まずギターがすぐそばにある環境があったので、ギターに触れるなかで、先輩にベースでもやればと勧められ、親に買ってもらいました。14歳のときです。――そもそもギターに触れる環境だったというのは?僕の実家の向かいに、2歳年上の先輩の家があって、よく遊びに行っていたんです。その家は玄関に入ってすぐ横に先輩の部屋があったので行きやすかったんです、そこにギターがあったので、よく触らせてもらっていました。その頃は、放課後になるとすぐ先輩の家に遊びに行く感じでしたね。そうやってギターに触れていたからか、ベースを買ってもらってすぐ弾けるようになりました。――その後1991年2月にTETSUYAさんを中心に「L’Arc〜en〜Ciel」が結成され、1994年7月に1stビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューされました。2021年はバンド結成30周年の節目となりますが、振り返ってみての心境をお聞かせください。「30年」と口にすると「長いな」と思いますが、長いようでいて短く、短いようでいて長い。自分のことのようでいて、どこか他人事のような感じもして、変な感じです。振り返ると、あっという間でしたね。――2001年には、「TETSU69」としてご自身のレーベル「SPROUSE」を立ち上げてソロ活動を開始され、7月に1stシングル「wonderful world/TIGHTROPE」をリリースされ今年で20周年となります。もともとソロ活動は何かきっかけがあったのですか。ソロ活動のきっかけは、(L’Arc〜en〜Cielの)ヴォーカルのhydeがソロ活動をすることになって、そうなると僕も時間ができるので「じゃあ僕もやろうかな」と始めました。――美しいメロディを作るメロディメーカーという印象のあるTETSUYAさんですから、ファンの方からも、ソロ活動は「待ってました!」という声も多かったのでは?そんなことないと思いますよ。ファンの方は、L’Arc〜en〜Cielが見たい、バンドの音が聴きたい、という方が多いはず。――ではソロ活動を振り返ると、20周年のいまのお気持ちはいかがでしょうか。はやかったですね。ただ……今回、20年目でやっと3rdアルバムをリリースする、という遅さがスゴいですよね(笑)。まあ、もともと他にやりたいことがあったから始めたわけではないので、ソロ活動はマイペースにやってきました。ニューアルバムは「すごく良いものができた」――2021年10月6日に、3rdアルバム『STEALTH』がリリースされました。まず、仕上がってみての手応えから、お聞かせください。このアルバムができあがってから、自分でも何度も聴いています。そのぐらい、すごく良いものができたと、自分でも気に入っています。――今回、新曲が4曲収録されていますね。まず1曲目「REGRET」は荘厳な幕開けを感じさせる始まりで、「REGRET」(後悔)というタイトルもあるのかどこかノスタルジックな印象のあるナンバーですが、どのように生まれた曲ですか。僕の場合必ず曲を先に作っています。歌詞はレコーディングの直前まで書かないので、曲を作った時期と歌詞を書いた時期はたぶん3年ぐらいブランクがあるんです。この曲を書いた時期は、確か作曲期間中だったので、何曲か書いたなかの1曲ですね。――3年前の曲を今回採用したのですね。はい、3年ぐらい前に原曲はありました。他にも何曲かあったなかで、今回それまでにリリースしたシングルと並べたときにバランスが取れる曲として、この4曲を選びました。――歌詞はアルバムのレコーディング直前に書かれたということですね。そうです、このアルバムの中で一番最後に歌詞を書いた曲が「REGRET」ですね。メロディを繰り返し聴きながら、自然と出てくる言葉を形にしていきました。だからこの歌詞は、曲が呼んでいた、メロディに引き出された歌詞ということですね。――4曲目「誰がために鐘は鳴る」は、それまでとテイストが違う印象の曲です。これも2年ぐらい前からある曲です。サウンド的には、アルバムの中で一番実験的な曲で、これからのTETSUYAの方向性がこの曲から見えるかなと思うんですけれども。歌詞も他の曲と同じようにメロディから自然と出てきたものを形にして、譜割りによって文字数が決まっているので、パズルのピースを合わせていく感覚で作詞しています。――ヴォーカルを加工している感じもありますね。そうです、声をエフェクト処理しています。使ったマイクも、普段はあまり使わないマイクを使っているので、これまでの曲と比べると一番サウンド面での変化がありますね。――先ほど、今後の方向を示すような曲とおっしゃっていましたが、今後もこういったタイプの曲が増えるのですか。そうですね……いや、増えないかもしれない(笑)。ふと考えてみたら、僕、もう1枚アルバムができるぐらいストック曲があるので、それらが先に世に出ると思うので、そんなに早くはこういった曲を出さないかもしれません(笑)。――バラードナンバーの5曲目「白いチューリップ」は、アルバム発売後に数量限定でシングルカットされ、10月10日にリリースされます。これも原曲は、3年以上前に作っていますね。これはピアノから始まる曲を作りたいなと思って、作った曲です。この曲は約2年前のライヴで披露したのが最初で、歌詞はその直前に書いていたものがベースになっていますね。今回録音するにあたって、ライヴで歌っていた歌詞から若干手直ししています。――以前作った曲をいまリリースしても色褪せないで聴けるというのは、純度が高い楽曲を作っていらっしゃるんだなと、お話を聴いていて実感しました。基本的に、曲作りをするときには流行りのことはあまり考えないです。いつ聴いても、色褪せないもの、何年後に聴いても「いいな」と思えるものをずっと作り続けています。――9曲目「ARIGATO」は、ライヴではおなじみの名曲「THANK YOU」が生まれ変わり、初音源化されるそうですね。これは一番古い曲ですね、もとを作ったのは、2005〜6年ぐらいです。今回「ARIGATO」とタイトルを変更したのは、「THANK YOU」という言葉が特別な意味を持ちすぎてしまいそうだったから。ソロのバースデーライヴのタイトルが「THANK YOU」だったり、2017年には「THANK YOU」というタイトルの映像作品をリリースしていたりするので、変更したいなと。そのとき、ちょうどオリンピックの閉会式で「ARIGATO」が電光掲示板に出ていたのを見て、これは世界にも通じる日本語にもなっていますし、このタイトルにしました。――リリース後、2021 年初となるソロライヴ「TETSUYA LIVE 2021 “THANK YOU” 」を10月10日にLINE CUBE SHIBUYAで開催されますね。どのようなライヴになりそうでしょうか。アルバムの曲は、全部、演奏する予定です。レパートリーも増えたので、新しい感覚のライヴになると思います。今後もコンスタントに活動していきたい――お話は変わりますが、おうち時間が長引くなかで、TETSUYAさんがいまハマっていることがあれば教えてください。家の片付けですね。整理したいと思っているんですができなくて、ずっと片付けしているようで進んでないという状態です。物が多すぎて、どうしていいかがわからない感じで、プロの整理整頓アドバイザーさんに来ていただいているんですが、それでもだめです(笑)。――それだけお家が広いので、置く場所がたくさんあるということですよね?いえ、スペースに対して、物の量が合ってないんです。全部大事で捨てられないので、結局、右から左へ移動しているだけで、物は減っていなくて。本、服、楽器、ヴィンテージの家具たちなどがたくさんあるんですよ。家具は椅子だけでも30脚ぐらいあります。廊下や階段の踊り場などに置いているんですが、もう置くところがなくて。倉庫もあるんですが、すでに一杯なので、家の整理をする前に倉庫の整理をしなくては(笑)。――ヴィンテージの家具というと、お好きな作家の方がいるのですよね。(フランスを代表する)近代建築家具デザイナーのジャン・プルーヴェが好きでコレクションしていて、世界中でコレクターが争奪戦を繰り広げているので、その家具を見つけると「買わなきゃ!」となってしまうんです。――貴重な物をたくさんお持ちなんですね。あと服もたくさんお持ちということですが、お気に入りのファッションはなんですか。好きなのは、ストリート系のブランドのものが多いですね。自分でも『STEALTH STELL’A』というアパレルブランドをやっているので、洋服は好きなんですよ。時間があればネットでもチェックしますし、お店にも入って見ますし、服を買うのも参考資料として買う側面もありますね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。L’Arc〜en〜Cielも30周年、ソロ活動も20周年を迎えて、感慨深いです。僕自身のアルバムリリースは10年ぶりですが、次のアルバムは10年も経たずにリリースできればと思っています(笑)。こういった記念の年ではないときでも、今後も、コンスタントに活動していきたいですね。取材後記ソロ活動でのTETSUYAさんとしてはもちろん、日本が世界に誇るロックバンドL’Arc〜en〜Cielとしても、わたしたちにずっと、最高の音楽を届けてくれていますよね。ananwebの取材では、アルバムのお話から家具のお話まで、快くインタビューに応えてくださったTETSUYAさんの3rdソロアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりTETSUYA PROFILE1969年10月3日生まれ。L’Arc〜en〜Cielのリーダー&ベーシスト。1991年、TETSUYA を中心に大阪で L’Arc〜en〜Cielを結成。2001年、ヴォーカリストとしてソロ活動スタート。ソロとしてこれまでに 11 枚のシングル、2 枚のアルバム、5 枚の映像作品をリリース。2021年10月6日、3rdアルバム『STEALTH』をリリース。10月10日、ソロライヴ「TETSUYA LIVE 2021 “THANK YOU”」@LINE CUBE SHIBUYAを開催。同日、数量限定シングル(この日を皮切りに、その他のライヴやイベント会場、通信販売限定で販売)「白いチューリップ」をリリース。InformationNew Release『STEALTH』(収録曲)01.REGRET02.Make a Wish03.I WANNA BE WITH YOU04.誰がために鐘は鳴る05.白いチューリップ06.FATE -Album ver.-07.愛されんだぁ I Surrender08.READY FOR WARP09.ARIGATO10.Time goes on ~泡のように~11.Eureka[Bonus Tracks]12. milky way~砂時計~Link -LIVE 2019 “THANK YOU” 4950-13. 瞳の住人 -LIVE 2019 “THANK YOU” 4950-2021年10月6日発売*[Bonus Tracks]の2曲は初回限定盤、UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤のみに収録。(通常盤)UPCH-20587(CD)¥3,300 (税込)(初回限定盤)UPCH-29397(CD+Blu-ray)¥5,280(税込)*デジパック仕様。<Blu-ray収録内容>[Music Clips]01.Make a Wish02.Time goes on 〜泡のように〜03.愛されんだぁ I Surrender04.I WANNA BE WITH YOU05.READY FOR WARP06.白いチューリップThe Making of “白いチューリップ -Music Clip-”(UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤)PDCN-1926(CD+DVD)¥11,000 (税込)*LPサイズジャケット仕様・LPサイズ二つ折りブックレット付き。<DVD内容>[Xmas LIVE STREAMING 2020]01.Time goes on〜泡のように〜02.愛されんだぁ I Surrender03.I WANNA BE WITH YOU04.TIGHTROPE05.empty tears06.15 1/2フィフティーンハーフ07.Fantastic Wonders08.Eureka09.Make a Wish10.lonely girl11.REVERSE12.Can’t stop believing13.Roulette14.Are you ready to ride?15.snow drop16.I Wish17.Don’t be Afraid18.魔法の言葉19.流れ星取材、文・かわむらあみり
2021年10月08日【音楽通信】第91回目に登場するのは、数多くの舞台やドラマ出演などで知られ、ソロアーティストとしても活躍し、甘い歌声とカッコいいパフォーマンスで魅了している、高野洸さん!小6からグループで活躍しソロ活動へ【音楽通信】vol. 912009年11月、小学校6年生のときに、ボーカル&ダンスユニット「Dream5」のメンバーに抜擢されてCDデビューした、高野洸(たかの あきら)さん。2014年、レコード大賞や紅白歌合戦に出演後、2016年にDream5としての活動を終了。同年、俳優として、映画への出演やミュージカルの主演を務めるなど、個人での活動をスタートしました。2019年1月には、1stシングルCD「LOVE STORY」でソロデビューし、アーティストとしても音楽活動に励んでいます。そしてこの度、2021年8月18日に5thシングル「Vacances(ヴァカンス)」を発表し、10月27日にライブ映像作品「高野洸 1 st Live Tour “ENTER”」のDVD&Blu-rayも発売されるということで、お話をうかがいました。ーーそもそも高野さんが音楽にふれたきっかけから教えてください。4歳からヒップホップダンスを習っていて、ダンスをやりながらいろいろな音楽に触れていました。小6からDream5としてグループ活動をやらせていただき、徐々に俳優業にも興味を持ち始めて、グループ活動を終了したときに、俳優一本でやっていくと決めました。ただ、ミュージカルをやらせていただくと歌う機会も多く、結局は歌もダンスもできるステージはすごく楽しくて、好きなんだと実感しました。その頃からいまもずっと向上心は高く持って、歌もうまくなりたいと思っていて、ソロでアーティスト活動を始めたんです。――では普段、高野さんがよく聴いていたアーティストはいますか。小学生のときは、親が運転する車のなかでよく流れていた、Mr.Childrenさんが好きでしたね。コード進行もメロディも好きです。いまは、いろいろなジャンルの音楽を聴くようになりました。――以前、ananwebにはミュージカル『刀剣乱舞』の膝丸役の高野さんとして登場いただきましたが、役での歌唱とご自身名義での歌ですと、意識の違いはありますか。膝丸として、ミュージカル『刀剣乱舞』の世界観を背負って歌うときは、ステージでパフォーマンスすることが前提となりますね。膝丸のキャラクターというのは、武士で力強いものなので、勢いを持って歌うことを心がけています。僕自身で歌う、ソロアーティストとしての作品は、レコーディングのときから自分の良さを出せるのはどれなのかと手探りしながら、時間をかけて進めていくんです。なので、意識は自然と切り替わっていると思いますね。きっと歌のニュアンスや語尾の表現の仕方などに、その違いがけっこう出ているかもしれません。初のソロツアーを経てアーティストとして成長――2021年8月18日にニューシングル「Vacances」をリリースされました。1曲目「サマービーツ」は爽快でキャッチーなナンバーで、高野さんご自身で作詞されていますね。シングル曲に「サマービーツ」を選んだのは、野外ステージで歌っている姿を想像して、明るく元気をもらえるサウンドだったから。それから曲を聴き込んで、突き抜けて爽やかなサビをいかして夏の暑さをエネルギーに変えよう、新しい世界を見てみたいという設定で主人公を描くと決めて、歌詞を作っていきました。――歌詞を書かれるときは、どんなふうに作っていかれるのですか。面白い言葉を見つけたら、メモをとるようにしています。今作は夏をテーマにしたので、夏らしい言葉などをある程度メモしておいて、そのなかでも異彩を放つような面白い単語を選んで、曲にあてはまるか試していきました。そんなふうにして、何段階かにわけて、構成していく感じですね。作詞の作業は、本当に楽しいです。ときどき僕の歌詞は独特だと言われるのですが、それは面白い言葉を集めているからなのかなと思いながら、曲を聴いたみなさんはどう捉えてくださるのか、気になりますね。――2曲目「tiny lady」も高野さんが作詞を担当されていますが、この曲はどのようにして生まれた曲ですか。今回、「Vacances」に収録している3曲は夏をテーマにしていて、「tiny lady」はテーマを決めるのにすごく時間がかかりました。この曲を聴いていると、4つ打ちのリズムが曲調的にも少し若い感じもして、イキイキとした、心が浮かれている様子を描いたほうが良いなと。さらに、ドライブしているときにもこの曲を聴きたいと思ったので、ドライブデートというテーマで、歌詞を仕上げていきました。――歌詞に「ドライブの時くらい 君が俺見てよ」とあって、少し大人っぽい印象の曲です。そうですね。歌詞には英語のフレーズを多く入れたのですが、けっこう苦心しましたね。良いメロディとリズム感だからこそ、中途半端な言葉にするとハマりが良くないので、英語詞にはすごく時間がかかりました。――3曲目「Memory of Sunset」は共作されていますね。デモのときに、すでにある程度テーマが決まっていたので、そのデモに惹かれて選んだ曲です。1番の歌詞のみできていたものを引き継いで、その世界を僕なりにいろいろと解釈しつつ、2番からはオリジナルで作りました。この曲に関しては、歌詞の景色が見えてすごく描きやすく、スラスラといきましたね。ラストのサビ終わりにはラップを入れたら面白いなと思って、「Where we going」というメロディが続くところにラップパートも盛り込みました。そういう意味では、最後の歌詞のブロックではメロディも作っているということになります。そのラップのところにも、注目して聴いてほしいですね。――10月27日には、今年の4月と5月、振替公演が9月に行われた「高野洸 1 st Live Tour “ENTER”」のDVD&Blu-rayが発売されるそうですね。初のソロワンマンライブツアーを振り返って、手応えはいかがでしたか。本当にすごく手応えもありましたし、来ていただいたお客さんのおかげで、達成感がありますね。各公演やりきれた、という経験が自分のなかではとても大きいです。ツアーが始まる前は、ひとりで歌って踊ってステージをやりきることが、例えば足がつったり声を枯らして裏返ったりという、アクシデントの不安もありましたが、そういったこともなく。乗り越えられたことが、自信につながりました。――各公演の様子はいかがでしたか。各会場、熱気がすごかったです。トークでは、各地のご当地ネタをやりました(笑)。福岡公演の場合は地元なので、地元で人気のファミレスの話をしましたし、埼玉の大宮だったら、事前に地元の名物を調べてナポリタンの話をしました。――特典映像には、リハーサルやバックステージなどのドキュメント映像が収録されているそうですね。メイキング映像ですが、かっこよく仕上げていただいています。今回、ライブのリハーサルの日数がそれほど多くはなかったのですが、短い時間の中で急ピッチで仕上げていったところを撮ってくれていますし、悩んでいる姿も入っています。――初のツアーが映像作品として発売されるのは、率直にどんなお気持ちでしょうか。ライブの様子が映像作品となって発売されたものを購入した方が、また家でライブを観ていただけるというのは、ひとつの憧れでした。実際のライブでもめちゃくちゃ良い音質だったのですが、その音源がほぼそのまま収録されていて。きっと大画面で良いスピーカーで聴くと、よりライブの雰囲気が味わえて、臨場感があると思います。――高野さんは、歌はもちろん俳優としてもご活躍されていますが、シンガーと役者とは無意識に切り替えているんでしょうか。自然と切り替わっている気がしますね。でも、実はそれぞれ気をつけるポイントはたくさんあって、細かい部分での違いが多いと思うんです。もしステージ上で立っている場合は、エネルギーを発散しなくちゃいけないので、客席の一番後ろまで届ける、ということが重要。でも、自分のソロライブの場合、スクリーンがステージの後ろにあって、カメラで映してくれているんです。アーティストはマイクを通して音を、エンターテインメントを届けているので、舞台のお芝居とソロライブでは、そういう意味でも、感覚が少し違うのかなと。一番大きなポイントとしては、どの大きさで撮られているかが大事という気がしますね。舞台と映像作品の差はそこで、舞台の大きさで表現が変わってきますし、立ち姿から違いがあるので、ヨリで撮られているのか、どれだけの規模で伝えるかというのが、一番繊細なポイントだと感じて表現しています。こうやって自然と切り替えられるのは、いろいろなエンタメをやらせていただいていることも、大きいかもしれません。ひとつのことを極めようとしているわけではないからこそ、舞台や音楽活動などのさまざまな現場で学んだことが、ほかの現場で活きることが多いのかなと思います。音楽活動では「紅白」、俳優では朝ドラと大河が目標――お話は変わりますが、高野さんはおうち時間をどのようにお過ごしですか。家では小説を読んだり、動画サイトを観たりすることが多いですね。あとは曲をスピーカーから流したり。――ご自身の曲ですか?自分の曲もありますし、人気の曲を聴きながら、「自分の曲をここで流してみるとどんな感じなのかな」と、試してみたり(笑)。あとは最近、アロマキャンドルを灯すことを始めました。香りもあって、落ち着く気がしますね。灯していると、空間がすごく活性化されて、空気もイキイキしている気がします。――楽曲ではラブソングを歌うこともありますが、そういうときは理想の人を思い浮かべていますか。また、高野さんの理想的な女性像はどのようなタイプでしょうか。作詞をするときは、自分が行動に移すかどうかではなく、自分がしないようなことも入れています。ストーリーを作ってから歌詞を書くので、あくまで架空寄りですね。そして僕自身の理想の女性像というと、かわいらしくて、愛嬌がある方です。かわいくなろうと努力をしている女性なら、より魅力的。あとは、リアクションが豊かだと良いですね。――では、かわいいだけ、だとダメなんですね?いや、“かわいい”はすべてを補います(笑)。――高野さんは歌やダンスをされているので、普段から健康面や体力作りには気をつけていたりするのでしょうか。それほど気をつけていることはないのですが、食事はだいたい三食とるようにしています。お腹がすいていなくても、一応夜ご飯はちゃんと食べようと……でも、僕正直なところ、お腹が空いていることがないな(笑)。言いたかったことは、バランスよく栄養素をとるといいということ。僕も足りない栄養をサプリメントなどから補うこともあるんですが、実際の食材にはかなわないので、毎食ちゃんと食べて栄養をとるようにしていますね。――運動もされていますか?僕は筋肉がつきやすい体なので、むしろ逆に筋トレしないようにしているんです。首や肩にすぐ筋肉がついてゴツゴツするから。でも、健康でいるには、運動したほうがいい方ももいらっしゃるでしょうし、人それぞれの体調や環境に合わせて運動するといいと思いますね。あまり食欲がない方だと、運動して汗をかいたほうがお腹が空くので、少し体を動かしてみるのも、健康体につながると思います。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。音楽活動では、音楽番組に出演して、世の中にもっと浸透していきたいですね。やっぱり、目標の番組は「紅白歌合戦」です。Dream5と刀剣男士と、いままで2回紅白に出演させてもらっていますが、どちらも作品の力を借りて出ているので、今度は僕自身の作品で出てみたいですね。俳優としては、朝ドラと大河ドラマの出演を目指しています。実家にいるときや両親も朝ドラと大河ドラマを観ていますし、これまで観る側として楽しませていただいた恩返しとして、今度は出演する側として、作品を届けていくことができたらと思っています。取材後記歌に芝居にご活躍中の高野洸さん。ananwebの取材はまだ夏の日差しを感じる午後に、撮影では瞳がキラリと輝く、きりりとした姿やほんのり微笑した表情も見せていただき、インタビューもテキパキと応えてくださいました。そんな高野さんのニューシングルと映像作品をみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみり高野洸(たかの あきら)PROFILE1997年7月22日、福岡県生まれ。177cm。特技はダンス、ゲーム。2009年、『天才てれびくんMAX』(NHK Eテレ)での全国オーディションから生まれた、5人組のボーカル&ダンスユニット「Dream5」のメンバーとなる。11月にはシングル「I don‘t obey~僕らのプライド~」でCDデビュー。2014年発売のシングル「ダン・ダン ドゥビ・ズバー!」でオリコンウィークリー1位を獲得。妖怪ウォッチ「ようかい体操第一」エンディングテーマは、全国のお子さんたちに大人気となり、話題を呼びました。同年末には、レコード大賞や紅白歌合戦にも出演し、2016年、Dream5としての活動を終了。同年に映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』や、ミュージカル「ROCK MUSICAL BLEACH」~もうひとつの地上~ の主演を務める他、2017年にはミュージカル『刀剣乱舞』 ~つはものどもがゆめのあと~ で膝丸役として出演するなど、俳優としても活動。2019年1月、1stシングルCD「LOVE STORY」でソロデビュー。2020年11月には、4枚目のシングルCDがオリコンウィークリーランキング5位を獲得するなど、ソロアーティストとしての活動も行っている。2021年8月18日に、5枚目のシングル「Vacances(ヴァカンス)』をリリース。10月27日に、ライブ映像作品「高野洸 1 st Live Tour “ENTER”」のDVD&Blu-rayを発売。InformationNew Release「Vacances」(収録曲)01.サマービーツ02.tiny lady03.Memory of Sunset2021年8月18日発売*収録曲はA盤とB盤は共通。<CD+DVD (スマプラ対応)A盤>AVCD-61095/B¥2,090(税込)<DVD内容>01.サマービーツ 〜高野洸 1st Live Tour “ENTER”〜 [Live Video]02.tiny lady [Music Video]03.tiny lady [Music Video Making]初回封入特典(全形態共通) :1.トレーディングカード(全6種類中1種ランダム封入)2.特典応募シリアル<CD+DVD (スマプラ対応)B盤>AVCD-61096/B¥2,090(税込)<CD (スマプラ対応)C盤>AVCD-61097¥1,320(税込)New Release「高野洸 1st Live Tour “ENTER”」(収録曲)01.Can’t Keep it Cool02.TOO GOOD03.WARNING04.MY CREATURE05.Untouchable love06.Shining warm07.In the shade08.You’ve Broken My Heart09.モノクロページ10.Way-Oh!!11.COLOR CLAPS12.Poppin’ Groovin’13.Love To You14.BURNING UP15.New DirectionENCOREEN01.Our HappinessEN02.Always on your sideEN03.サマービーツ<特典映像>1st Live Tour “ENTER” Behind The Scenes*収録曲、特典映像は全形態共通。2021年10月27日発売(通常盤)・DVD:AVBD-27430・Blu-ray:AVXD-27431¥6,050(税込)<封入特典>・ポストカード2枚封入(初回生産限定盤)・DVD:AVBD-27428・Blu-ray:AVXD-27429¥8,360(税込)<仕様>・豪華三方背BOX仕様、・ピクチャーレーベル<封入特典>・PHOTOBOOK・レプリカスタッフパス・大判カード(2枚)・バックステージパス風ステッカー写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年10月01日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第32回は、結婚するとついてまわる義実家との付き合いにおいて、ママたちがウンザリしたエピソードを3つご紹介します。1.お茶さえ出さない義母【ママライフばんざい!】vol. 32恋愛はふたりだけでもできますが、結婚となるとお互いの家族の付き合いにもなってくるものですよね。絶対についてくるのは、義実家との付き合いですが、そんな交流のなかでママ友たちがウンザリしたエピソードをこれまで聞いたなかからお届けします。ひとつめは、お茶さえ出さない義母のこと。あるママ友は、年末年始など夫の実家に挨拶に行くと、一応歓迎している印象はあるものの、お茶さえ出してくれないそうです。家に来客があったらお茶ぐらい出しそうなものですが、それはもう息子の妻のことをお客さんではなく、家族として認識しているからお茶も出さないのか、それとも内心苦々しく思っているからなのか……。ママ友のなかで話をすると、「遠慮のない間柄の表れ」だとか「むしろ自分からお茶を入れるかもよ」だとか「義母の家に着く前にペットボトルの飲み物を買ってから行くといい」など、さまざまな声も。はたして、お茶さえ出さない義母にうんざりするのは心が狭いのか否か。それぞれの家庭環境や義両親のキャラクターによっても解釈が変わってくるので、意外と難しい問題だと思ったのでした。2.義兄嫁が最悪あるママ友は、義理の兄嫁が最悪だそうです。そもそも兄弟の仲があまり良いとは言えない関係だったらしく、お互いの連絡先さえ知らないような状態。まあ、そういう状態の兄弟や姉妹もいますから、それぞれの親族関係においての距離感って、各家庭によって違いはありますよね。ただ、そんな縁の薄い関係性であってもどうしても顔を合わせざるを得ないのが、冠婚葬祭の場。なかには、そういった場であっても、「行かない」「顔を合わせない」という方もいるかもしれませんが、義理の兄嫁が最悪だというママ友は、節目ごとの場は大事だと考え、欠かしたことはないそう。しかし、義理の兄嫁はまず、そのママ友の結婚式に招待されていたにも関わらず、義兄嫁の入れ知恵でなんとドタキャン!もともと自由奔放なタイプの義理の兄と姉は、それがどれだけ失礼なことかなどはまったく考えません。法事のときも、「こっちは長男だから」と、何かにつけて勝手に敵対視してくるんだとか。あいにくそのママ友の夫は聡明らしく、見事にスルーして相手にしていないそうですが、ママ友は「一切関わりたくない」とのこと。まあ、普通に非常識な人とは距離を置きたいですから、それが親戚だとツライものがありますよね。そのママ友の場合、いまのところ関わり合いがないということが、救いだと思ったのでした。3.ノックしない習慣の義実家あるママ友がとくに「まいった」と思ったと言うのは、ママ友の夫婦に子どもが生まれたときのこと。出産後の女性の体は心身ともにケアが必要になることも多いので、義理の母に家事において助けられたこともたくさんあったようですが、唯一困ったのは、ノックしないで勝手に部屋に入ってくることだったそうです。赤ちゃんにおっぱいをあげる際など、ママ友が無防備になるようなときに、お腹がすいて泣いてしまう赤ちゃんの声を聞いて「どうしたの?」と、寝室に勝手に入ってきてしまう義両親。何か助けることはないかと善意で飛んできてくれるのはありがたいのですが、せめてノックしてほしいと思いながらも、遠慮して言えなくてまた疲れるという悪循環。夫が両親に部屋に入るときはノックをするように伝えても、それまでの日頃の習慣をなかなか変えられないのか、ドアを明けてから「あっノック忘れた」と気づくことも……。その後は、話し合った末に、部屋に鍵をつけて無事に日々送ることができたとのこと。ママになると、夫の家族との付き合いも発生するため、困ることもあるかもしれません。でもそれ以上に、プラスになる場合も。何よりも家族が幸せでいられることが一番! みなさんがすてきなママライフを送れますように!文・かわむらあみり©JackF/Getty Images©Studio4/Getty Images©JackF/Getty Images
2021年09月27日【音楽通信】第90回目に登場するのは、現在、デビュー25周年というアニバーサリイヤーを迎えている、シンガーソングライターの山崎まさよしさん!アーティストとしての原点は地元のライブハウス【音楽通信】vol. 901995年にデビューし、現在デビュー25周年というアニバーサリーイヤーを迎えている、シンガーソングライターの山崎まさよしさん。音楽活動はもちろんのこと、主演映画『月とキャベツ』(1997年公開)の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、近年も主演映画『影踏み』(2019年公開)で俳優としても活躍するなど、さまざまな顔をわたしたちに届けてくれています。そんな山崎さんが、2021年9月22日に、メモリアルとなるニューアルバム『STEREO 3』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――おさらいとして、まず山崎さんがデビューする前によく聴いていたアーティストから教えてください。たくさんいますが、基本的にはシンガーソングライターで、楽器を演奏する人の音楽をよく聴いていました。(イギリスのミュージシャン)エリック・クラプトンであったり、(アメリカのシンガーソングライター)スティーヴィー・ワンダーであったり。他にもギタリストの曲や洋楽を聴くことが多かったですね。でもやっぱりザ・ビートルズ、なかでもポール・マッカートニーにすごく憧れていました。僕が洋楽を聴き始めたのは、地元の山口県に住んでいた頃です。アメリカのヒットチャートを紹介する『ベストヒットUSA』(テレビ朝日系 1981年〜1989年/2003年より復活し現在BS朝日で毎週金曜 深夜0時から放送中)という、小林克也さんが司会をされている音楽番組のチャートをよく観ていて、興味を持ちました。――いつ頃から楽器に触れ、シンガーソングライターを目指すようになったのですか。中学3年生ぐらいのときにアコースティックギターを買って、ひとりで弾いていたのですが、高校生になると先輩とバンドを組んでドラムを担当しました。でも結局、高校3年生のときにみんなバンドを卒業していって、ドラムを叩くことがままならなくなって、ひとりでできる音楽はないかと考えるようになりました。その頃、地元に「Boogie House」というライブハウスがあって、そこに「歌わせてくれないか」と交渉しに行ったんです。ほぼブルース専門のライブハウスだったので、ブルースのアナログ盤などが置いてあって、週に1度通うようになりました。マスターと一緒に演奏したりカバーをやったりして、ライブ活動を続けていくなかで、シンガーソングライターを目指すようになりました。――その後、1995年9月にシングル「月明かりに照らされて」でメジャーデビューされてから、昨年デビュー25周年を迎え現在25周年イヤーですね。これまでを振り返ってみての心境をお聞かせください。あっという間だけれど、やっぱり、いろいろなことはありましたね。この歳になると、1年がすごくはやく感じます。デビュー10年目ぐらいのときは「まだ10年か」と思っていたら、知らない間に四半世紀になっていたという感じですね。音楽活動としては、ツアーをやって、制作をやっての繰り返しです。そのときどきでこんなことがあった、あんなことがあったという記憶はありますが、現場で僕についてくれているマネージャーが変わっていったことも、25年の歴史を感じさせますね。25周年記念の「STEREO」シリーズ最新作――2021年9月22日にニューアルバム『STEREO 3』をリリースされます。仕上がってみての手応えはいかがでしょうか。実は、本当に発売延期になるんちゃうかな、というくらい手こずりました(苦笑)。アルバムの制作時は弾き語りのツアーに入っていたので、なかなか制作のほうにベクトルがいかなくて。あと体力的なものもありますし、切り替えが難しいモードのなかでやっと完成できて、良かったです。――今回「3」となっていますが、1996年11月発売の『STEREO』、1997年11月発売の『STEREO 2』から、約24年ぶりの作品を「3」としたのは、特別な意味があるのですか。最初に『STEREO』を出した頃の他のフルアルバムには、『アレルギーの特効薬』(1996年発表)や『ドミノ』(1998年発表)などもあるんですが、これらはサウンドプロデュースも楽器演奏も含めて、他者との関わりで作っているものなんです。この『STEREO』は、全部の演奏を自分でやっているという意味において、『STEREO』『STEREO 2』とともに「プライベートアルバム」という位置づけで制作しているなかでの、今回の『STEREO 3』です。ただ、以前出した『SHEEP』(1999年発表)が、そういう意味では『STEREO 3』だったんですが(苦笑)。だから最近は、ほぼ「STEREO」シリーズなんですよ。今回、タイトルを考えたときに「『STEREO3』ってどうですか?」という提案があって、タイトルを曲からはつけづらいので、それでいいかと。けっして面倒くさかったわけではないです(笑)。25周年という記念的な部分もありますし、「STEREO」シリーズがすでにあるということをファンの方もご存知なので、「3」ならなかなか購買意欲をそそられるのではないかと思います。――収録曲についてもうかがいます。2曲目「Hello ヘヴン」は忌野清志郎さんの声も聴こえてくる楽曲ですが、どのようにこの曲が生まれたのでしょうか。「愛し合ってるかい?」という、ライブで清志郎さんが「スローバラード」(清志郎さんがいたバンドのRCサクセションの名曲)の前に、きまってお客さんをあおる言葉が、この曲の「Boys and Girls」と歌う裏で、入っています。さらに最初の「うかうかしてると見失う」という歌詞の部分では、僕が清志郎さんのものまねをして歌っています。なんでそうなったかというと、「ヘヴン」とは「天国」のこと。清志郎さんが亡くなられてからずいぶん経ちますが、そんな天国にいる清志郎さんに歌っている曲が1曲あればいいなと。それは、僕が所属しているオフィスオーガスタ創始者の森川欣信さん(現・最高顧問)が提案してくれて、清志郎さんの遺族の方に許可をとって、この曲で声を使わせてもらっているんです。――もともと山崎さんは清志郎さんがお好きですよね。はい、高校時代にドラムをやっていたときは、RCサクセションのコピーバンドだったんですよ。プロになってからは、少しだけ、清志郎さんと交流もありました。最初は、この曲全部「清志郎さんのものまねで歌わないか?」と言われたんですが、「それは無理」と(苦笑)。この一部分だけだったら、いけるかもと、「Hello ヘヴン」が完成しました。――4曲目「霧雨」は少しメランコリックな曲です。ラストに鐘が鳴り、雨の音も印象的です。それも森川さんの案ですね(笑)。最初は、雨音が入っていなかったんです。でも最後に鐘の音を入れて、不安をあおるようにしたいとか、そういうアイデアはいっぱい持っている方なんですよ。――制作されるときは、いつも話し合いながら作るんですか?いや、今回は「レコーディングやるから一緒にやらない?」って、僕から誘ったんです。昔は、制作サイドに5人ぐらい人がいて、やいのやいの言いながら制作していました。でも面倒くさくなって、いつからか「STEREO」シリーズのようにひとりで作るようになってしまったんですよ。ただ、よく考えたら、いろいろな人と関わって、切磋琢磨しながら制作していくのもいいんじゃないかなと。とくにいまはコロナ禍で、こういった状況下でひとりでレコーディングしたら、より独りよがりになってしまうのが、ちょっと嫌だったのかもしれません。それで、もともとRCサクセションのディレクターをやっていた経験もある、森川さんをお呼びしました。――では逆に、コロナ禍じゃなかったら、人を立てるとは思わなかったのでしょうか。そうかもしれないですね。いまはないじゃないですか、顔をつきあわせて、ちょっとムカッとしながらも話し合うとか(笑)。全部僕の意見を肯定するわけではなく、何かを否定されることもあるので。例えば、歌詞についての添削をされたりすると、若いときなんてそれだけですごくムカッとしていたんですよね。でも、こういうときだからこそ、他人の意見を生で聞きたくなるんです。おかげで、今回はアレンジも面白くなりました。――8曲目「泣き顔100%」は小粋で弾むような楽曲で、山崎さんの声の後ろに、子どもの声が聴こえますね。これ、娘です(笑)。子どもが楽曲に参加するのは初めてなんですが、家の地下をスタジオにしていて、今作を作っていて。ちょうどリビングで、娘がひとりで留守番していたので、「ちょっと来て」って呼んで作りました(笑)。子どもが泣くときって、悲しみ100%なんです、絶望しているんですよ、世の中に。涙を流して、全力で泣いちゃうんですよね。だから、そういう歌を作ろうかなと。でも、子どもが泣いているところを見るのも嫌いじゃないんですよ、いつも可愛いなあって見てしまうんです。だから、そんな歌にしてみました。――娘さんは、おいくつぐらいなんですか。幼稚園の年長だから、6歳になります。長男は、小学校4年生なので、もう娘ほどは全力で泣かないですね。どちらにしても、この曲には、女の子の声のほうが良いと思って、娘が参加しました。――アルバムのリード曲となる6曲目「サイドストーリー」は、9月15日に先行配信されていますね。この曲は最初、誰かに提供しようと思って作った曲でした。でもそれをやめて、自分のアルバムに入れて。「ENEOS EneKey 2周年キャンペーンソング」になりましたが、僕が25周年でもあるので、そこも意識して書いていますね。――歌詞ですと「どうだい?そろそろまた旅に出ないか」と、前を向いて歩いていく力強さを感じました。大人になったら、冒険しなくなるじゃないですか。仕事でツアーに出て冒険のようなことが実現していてありがたいんですが、家にずっといてくれと言われたら、僕はインドア派なのでずっと家にいられるんです。でも、たまに外に出るのも必要なのかもと。歌詞にある旅というのは、人生の旅なのかもしれないし、実際に外へ出る旅なのかもしれないし、いつもとは違う方面のことに踏み出すということかもしれないし、情報を探ることかもしれない。人それぞれにとっての、旅に出ないか、という意味がありますね。これからも、楽しく探究して、挑戦していきたい――お話は変わりますが、山崎さんはDIYがお好きなことで知られていますが、ご自身のYouTubeチャンネルでも毎週金曜日にDIYシリーズ「craftpapa」を配信されて本格的ですね。けっこう、大変なんですよ(笑)。月に1回、2作品ぐらい作るんです。朝9時から夜8時まで、1日がかり。ちなみに、DIY好きが高じてできた歌が、アルバムの7曲目「斉藤さん」です(笑)。もともと何かを作ることが好きなんですよね。DIYをやり始めたきっかけは、東日本大震災のとき。東京も揺れましたが、僕はそのときツアー中だったんですが、帰ってくると置いていたギターが何本も倒れていました。それで全部のギターを立てかけられるようにと、ギタースタンドを作ったあたりが、最初だったと思います。あとは結婚して、妻からも「棚がここにほしい」というオーダーがあって、なかなかジャストサイズのものがないときに、「だったら作ったらいいんじゃないか」となって。近くにホームセンターや木材を売ってくれるお店を見つけたので、10年ぐらい前からDIYをやっていますね。いまはうちに工具もありますし、丸ノコもふたつありますし、溶接機もありますし、普通の家にないものが揃っていますよ。――今年はバラエティ番組『有吉ゼミ』(日本テレビ系 毎週月曜19時)の人気企画「八王子リホーム」にご出演され、ヒロミさん、SixTONESのジェシーさんともDIYをしていましたが、すでに趣味の域を超えて、プロのような知識と仕上がりでしたね。たぶんみなさんがけっこう引くぐらい、普段からDIYをやっていますからね(笑)。ヒロミさんとジェシーさんが作ってくれたベンチも良かったですし、ヒロミさんには「(事業者向け工業用間接資材の通信販売の)モノタロウのユーザーは、俺と山ちゃんぐらい」と言われましたね(笑)。けっこう、嫌いじゃないんですよね、自分で作るのが。家にも作業場がありますし、車庫の中で狭いスペースですが、そこで何かを作っています。――ではDIY以外だと、おうちではお子さんと遊んだり?そうですね、夏だとプールをやったりと、子どもと遊んでいます。「プールやりたい!」といわれて用意して、実際に入って遊ぶのは子どもですが、家庭用プールに空気を入れて膨らませて水を入れるといった“作業”が僕は好きなんですよ。遊んだら水を抜いてたたむという作業も好きで。あと、卓球台もあるんですが、子どもが「卓球やりたい!」と言ったら、卓球台を設営するんです。そういう作業が、好きなんですよ(笑)。――作る作業というと、お料理もお好きですか?やりますね。妻からも「ごはん作って」と言われたら、晩ごはんを作ったりして、挑戦ですよね、毎回。味付けとか、いろいろ試してみようかな、と。揚げ出し豆腐を作ったことがないから、今日は作ってみようかな、とか。毎年、僕が梅干しもつけていますし、妻は家庭菜園をやっていますね。――素敵なご家庭ですね。いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。僕の活動はデビューしたときから決まっていて、制作と、ライブパフォーマンスですよね。だから、そのやり方は変わらないですし、体力が続く限りは、ずっとやっていくと思います。それとともに、まだ欲求があるんですよ、何かを作りたいという欲求が。これをやろうかな、試してみようかな、というもの。それが料理にせよ、DIYにせよ、ギターを弾くことにせよ、歌にせよ、自分自身のスキルを上げていきたいんです。歳を重ねるごとにできなくなってくることもあるかもしれないですが、上手いやり方を見つけていきたい。力を抜きながらも楽しめて、また探究もできる、ということにこれからも挑戦していきたいと思っています。取材後記1995年のデビューから、25年間、わたしたちの心に響く歌声を届けてくれている、山崎まさよしさん。ananwebの取材では、時に穏やかな笑顔を見せていただきながら、和やかに取材を進めることができました。これからも音楽活動や俳優業など、ご活躍が楽しみな山崎さんのメモリアルアルバム『STEREO 3』をみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりヘアメイク・島徹郎(juice)スタイリスト・宮崎まどかプリントシャツ¥20,680(RAGA MAN / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、カーゴパンツ¥14,300(REELL / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、バングル¥5,500(FACTOTUM / FACTOTUM LAB STORE)ほか スタイリスト私物。<SHOP問合せ先>HOLLYWOOD RANCH MARKET〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町 28-17Tel・03-3463-5668/FACTOTUM LAB STORE〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-17-16 代官山TKビル1F Tel・03-5428-3434山崎まさよしPROFILE1971年12月23日、滋賀県生まれ山口県育ち。1995年にシングル「月明かりに照らされて」でデビュー。 1997年公開の主演映画『月とキャベツ』の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、ブレイク。精力的な全国ツアーを行ってきたほか、全国各地のフェスやイベントへの出演、ミュージシャンとしてのセッション参加なども数多く、音楽ファンのみならず多方面から支持を得ている。2020年9月25日にデビュー25周年を迎え、アニバーサリーイヤーの締めくくりとなる2021年9月22日に、メモリアルアルバム『STEREO 3』をリリースする。InformationNew Release『STEREO 3』(収録曲)01.Prelude02.Hello ヘヴン03.Flame Sign04.霧雨05.虹のつづき06.サイドストーリー07.斉藤さん08.泣き顔100%09.温かい手10.Updraft2021年9月22日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)UPCH-20593(CD)¥3,300(税別)(完全生産限定盤)PDCN-1928(CD+プラモデル)¥7,700(税別)※プラモデル全長約100mm、スペシャルBOX【縦244mm 横190.5mm高さ48.5mm※若干の個体差が発生する可能性があります。】に同梱。写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年09月21日【音楽通信】第89回目に登場するのは、2019年のオーディションで選ばれて2021年9月にメジャーデビューする、個性豊かな6人組ダンス&ボーカルグループ、WATWING(ワトウィン)のみなさん!ダンス&ボーカルグループのオーディションで結成写真左から、鈴木曉、古幡亮、髙橋颯、桑山隆太、福澤希空、八村倫太郎。【音楽通信】vol.892019年に結成された、髙橋颯(たかはしふう)さん、鈴木曉(すずきあさひ)さん、桑山隆太(くわやまりゅうた)さん、福澤希空(ふくざわのあ)さん、古幡亮(ふるはたりょう)さん、八村倫太郎(はちむらりんたろう)さんからなる、男性ダンス&ボーカルグループのWATWING。2020年1月にインディーズデビューし、これまで4作のデジタルシングルと2枚のEPをリリースしています。個性豊かな6人のメンバーが揃い、日々歌とダンスに磨きをかけるなか、2021年9月22日に、いよいよEP『Take off,』でメジャーデビューされるということで、お話をうかがいました。髙橋颯。1998年5月8日生まれ。172cm。趣味はピアノ、ギター、ドラム。――ananweb初登場ということで、まずは自己紹介から、お願いします。古幡古幡亮です。特技はダンスです。最近は、環境問題にも関心があります。桑山桑山隆太です。最近は、レゴを作ったり、ピアノを弾いたりしていますね。ピアノは3歳からやっていて10歳で1度やめて、いまもう1度やりなおしています。髙橋髙橋颯です。いまはミュージカル『ジェイミー』(2021年8月8日〜9月26日)に出演(取材時)しています。福澤福澤希空です。最近、昔購入した『ウォーリーをさがせ!』という本を久しぶりに見たら、一瞬でウォーリーを見つけることができました。鈴木鈴木曉です。最近、親指だけで腕立て伏せができることを発見しました。他のメンバーはできなかったので、自信満々で、特技だと言うことにしました(笑)。鈴木曉。1998年2月15日生まれ。180cm。趣味は曲作り、筆で文字を書くこと。八村八村倫太郎です。グループでは、メンバーのトークをまわしたり、制作に携わらせてもらったりしています。――WATWINGは「Star Boys Audition」により2019年に結成され、2020年1月にインディーズデビューされています。それまで個人で活動されていた方もいますが、あらためてグループ結成のいきさつを教えてください。福澤もともと小5からダンスをやっていたので、ダンスを活かしたいと思って、できることはないかと探したらこの「Star Boys Audition」があって、受けました。――もともとみなさん同じ事務所に所属されていたわけではないですよね?古幡そうですね。僕は特技のダンスを仕事にしたくて探していたけどなくて。この「Star Boys Audition」は、パフォーマンスチームのs**t kingz(シットキングス)のNOPPOさんがフリをつけて世界的に発信していくというコンセプトだったので、これはぜひやりたいと思って、応募したんです。桑山隆太。2004年1月27日生まれ。174cm。趣味はピアノ、ソフトテニス。八村こうやってそれぞれの決意で6人が集まりました。全員出身地もバラバラで、ちなみに僕は神奈川県出身です。鈴木僕は宮城県だし。みんな見事にかぶっていないよね。福澤愛知県出身です。髙橋僕は埼玉県です。桑山東京都です。古幡長野県です。鈴木……もう、これはWATWINGの特技と言っていいんじゃない?髙橋え?出身地が違うこと?福澤それ、特技なのかな……。八村特徴だね(笑)。古幡ただ、関西出身の人がひとりもいなくて。ツッコミがいないというのが、逆にWATWINGの面白さです。髙橋(鈴木)暁が、最近はひとりひとりとコラボして、このチームにおけるツッコミ役をやってくれています。お笑いのエッセンスが加わるといいな(笑)。鈴木がんばっていきたいですね(笑)。福澤希空。2004年2月22日生まれ。173cm。趣味はダンス、ゲーム。――ここでおひとりずつ、隣のメンバーの「ここがスゴイ!」という長所を教えてください。古幡(桑山)隆太は、気配りがすごくできます。メンバー同士はもちろん、メンバー以外の方にも、そして対バンライブのときも他の出演者のファンの方々の名前を覚えてMCに入れたりもしていて。スケールが広くて、優しいところがスゴイところですね。桑山なんか鼻の下が伸びちゃいますね(笑)。(髙橋)颯は、ギャップを感じるところがスゴイ。普段は、年下の僕や(福澤)希空にも甘えてくれるときもあるんですが、いざステージに立つと別人のように、一気に「WATWING 髙橋颯」になる。切り替えもスゴイと思います。髙橋ありがとうございます(笑)。(福澤)希空は、ずっと元気で、我が道を進んで、すごくポジティブなエネルギーで居続けているところが、スゴイと思いますね。希空の場合は、目を見ると楽しそうにしているときも、心のなかでWATWINGへの思いがしっかりしているのを感じられて、素晴らしいと思います。福澤鈴木くんは、たぶんWATWINGのなかで、一番元気。テンションが高いので、ダンスの練習をして踊って疲れていても、休憩のときもすごくエネルギーを使うんですよ、全然休まない(笑)。古幡亮。1997年11月8日生まれ。174cm。趣味はダンス、海外旅行、料理。鈴木ちょっと、めんどくさいと思われてないかな(笑)!?福澤たまにそのテンションについていけないこともありますが(笑)、ボケてもその上を超えてくるんですよ、いつも。そこがまた、いいなって思うんです。そういうメンバーがひとりぐらいいてもいいなって。鈴木(八村)倫太郎はすごくオールマイティで、僕のこともカバーしてくれて、僕より年下なのにしっかりしていて、毎日勉強になります。それで、いい奴なんです……でも、あんまりホメると調子に乗るので、このぐらいに(笑)。八村(古幡)亮のスゴイところは、悩んでから行動に起こして実際に打破しようとする人は少ないと思うんですが、亮はしっかりとアクションできます。ひとりでできることじゃないにしても、他の人に頼ったりして、なんとかそこを乗り越えようとするから、見習うことが多くて、それが素敵ですね。古幡どうもありがとう(笑)!八村倫太郎。1999年7月28日生まれ。178cm。趣味はクランプダンス、料理、曲作り。――みなさんはプロになる前によく聴いていた楽曲や憧れのアーティストの方はいますか。古幡僕がいまこの活動をやる原点は、BIGBANGの方々で、そのなかでもG-DRAGON (ジードラゴン)さん、SOL (ソル)さんが好きなんです。アーティスト性がすごくかっこいいなと、自分にもっと磨きをかけたいと刺激をもらっている存在ですね。髙橋(古幡)亮はものすごくファンなんですよ。桑山僕はこの活動を始める前は、BTSのみなさんを中心としたK-POPに憧れていました。でもWATWINGに入ってからは、みんなの影響も受けるようになって。WATWINGとしては、自分たちのオリジナルをどんどん作って、みなさんから僕らを目標にしたいと思われるグループになりたいですね。八村(髙橋)颯や僕は、洋楽がすごく大好きで。メンバーそれぞれルーツがいっぱいあるところから始まって、この世界に入って音楽を始めたから、お互いに詳しい音楽などをシェアし合っています。それをWATWINGに落とし込めないかなと探したり。そうやって、WATWINGというひとつのジャンルができたらいいなと思っています。鈴木だから、みんなで音楽の話をするのは楽しいですね。メジャーデビュー作はこれから続く旅の始まり――2021年9月22日に1stEP『Take off,』でメジャーデビューされます。現在のお気持ちをお聞かせください。八村WATWINGのファンの方々を「Windy」と呼んでいるのですが、Windyのみなさんに感謝している気持ちが大きいんです。メジャーという新しいステージを大空ととらえて、そこをWATWINGという翼で羽ばたいていくことになったのも、みなさんからの大きな愛があるからこそで、とても感謝しています。アルバムタイトルの「Take off,」という言葉の最後にカンマをつけているのは、これから続いていく旅の始まり、という決意を秘めていて、今作の楽曲もひとつずつの魅力があります。メジャー1作目としては、十分な手応えを感じていますね。古幡このEPには5曲収録されているんですが、どの曲も僕らがアーティストとして目指すべきものを常に追求しています。いまもゴールは完璧に見えていないなかで、色とりどりの作品が揃っています。――収録曲についてもうかがいます。EPのリード曲となる3曲目「HELLO WORLD」はスケール感のあるキャッチーな楽曲ですね。桑山メロディを聴いたときにもう、忘れられないような楽曲だと感じました。この曲の振り付けは、BTS「Butter」の振り付けに参加した世界的ダンスクルー「GANMI(ガンミ)」さんにやっていただいたんです。視覚的なキャッチーさを意識した振り付けで、踊っている僕たちも楽しくて、観ているWindyの方々も楽しく踊れるという、コンセプトになっています。歌詞に「取り合ってhand in hand」というフレーズがあるんですが、新しく僕たちを知ってくれた方にも、国境や言語は関係なく、音楽ひとつで人と人がつながろうという意味を込めて、今回この曲を完成させました。――「HELLO WORLD」のミュージックビデオ作品のみ、9月6日に先行発売されましたが、登坂淳一アナウンサーも出演する、ユーモアのある内容になっていますね。髙橋面白さや楽しさのあるものもやってみたいね、という話になって、この内容になりました。登坂さん演じるWATWINGのマネージャーが監督にプレゼンに行くところから始まるんですが、僕たちダンス&ボーカルグループなのに監督が勘違いして、不思議なミュージックビデオになっていくという。最後に向けて、徐々にかっこいいWATWINGになっていきます。古幡最後は本来のWATWINGを取り戻していくという内容で、制作の方々とも僕ら会議をしながら決めていきました。いまはきちっとパフォーマンスする完成形のミュージックビデオも多いなか、ありのままの僕らの楽しさやコミカルさも出ていて、新しいものになりました。――軽快でカッコいい2曲目「Sensation」に込めた思いも教えてください。鈴木この曲で、この音楽史上にセンセーションを巻き起こしたいという意味を込めて歌わせてもらいました。歌詞に注目してもらいたいのですが、WATWINGというグループ名にはWING=翼が入っているので、空や翼という言葉も歌詞にうまくはめられていて、僕たちらしい曲になっています。古幡曉がリスペクトしているFLATLINEというクリエーターの方に作っていただいた曲です。インディーズの頃からお世話になっている方なので、これまでの僕らのすべてを知り尽くしているからこそ、こんなWATWINGらしい歌詞とメロディができました。髙橋曲調も明るいですし、歌っていてもとっても楽しいんですよ。福澤歌詞では「翼 広げて Fly away」とあるところにミニフレーズがあるんですが、そういうところをファンの方と一緒に歌えることを楽しみにしています。――EPの最初、1曲目「Spark!!」は、どのようなイメージでみなさん歌っていますか。八村パワフルな曲ですが、僕たちあんまりサビをユニゾンで歌うことがないところ、この曲はユニゾンで歌っています。僕たちのエネルギッシュな一面を出せているんじゃないかな。この曲の振り付けは(古幡)亮が担当しています。古幡インディーズの頃から、WATWINGの曲は何曲か、僕が振り付けを担当しています。このメジャーデビュー作でも、ありがたいことに大切な作品のなかでこうして振り付けを担当させていただけるというのも、とても幸せです。鈴木今作では、2曲、振り付けをしてくれたよね。髙橋「Spark!!」と「HERO」の2曲を振り付けしてくれました。――「HERO」のミュージックビデオも、初回生産限定盤BのDVDに収録されています。八村はい。このミュージックビデオでは、素の僕らが出るようにと考えて作って、個々のキャラクターに合わせた衣装になっているんですよ。鈴木全員、大満足の出来でした。古幡「HERO」は、インディーズ時代の「Shooting Star」という曲でお世話になった監督に撮っていただきました。僕らと同世代の若い監督なのですが、以前からさらに進化して、かつ僕らの魅力を最大限に引き出してくださるプランを立ててくださって、最高の作品になっています。――クールなイメージの5曲目「Turn it up」はいかがですか。古幡まだ振り付けはされていないんですが、この曲だけダンスパートが入っていて、そこが気持ちいい曲です。福澤WATWINGの曲に、初めてこういうテイストの曲がきました。振り付けがどんなふうになるか楽しみです。八村この曲で、新しい僕たちの顔を見せることに挑戦した気持ちがあります。EPのラストにこの曲がくるので、聴いてくださった方が、これでWATWINGの魅力にトドメを刺されたと思ってほしいですね。髙橋僕ら、実はこういうテイストの曲も得意です。古幡レコーディングも楽しかったよね。桑山すごくフリーダムにレコーディングをやらせてくださいました。八村どうすれば音楽に対するグルーヴが出せるのか、イン・シンクやマイケル・ジャクソンといった素晴らしい人たちの歌い方をみんなで研究して、挑みました。髙橋僕はこの曲の歌に、パワフルなメッセージを込めました。僕たちときどき人狼ゲームをやるんですが、この曲を初めて聴いたときに、人狼ゲームのような狼と、誰もいない荒廃とした夜の雰囲気や力強さ、生命力を感じたんです。そこをすごくコミットしました。歌に苦労したので、そのぶんダンスで発散したいと思います。鈴木イントロで狼が鳴いとるもんね。古幡狼っぽく聴こえるやつね。――今後、「WATWING Major Debut EP『Take off,』リリース記念ワンマンライブ〜Departure〜」が、有観客で9月23日に東京・Veats Shibuya、26日に大阪・Live House ANIMAで開催されます。どのようなライブになりそうでしょうか。八村初めてこのEP『Take off,』の全5曲を披露できるので、ワクワクしています。最近、WATWINGとWindyのみなさんとのつながりがどんどん深くなっていることを感じています。髙橋そして、関西に初上陸します。古幡大阪のライブでは、きっと初めましての方もいると思うので、そこもまた新鮮でうれしいなって思っています。世界へ羽ばたくため東京ドームのライブを目指す――みなさんは「おうち時間」をどのようにお過ごしですか。古幡家ではけっこうゆっくりしていて、Netflixでアニメ『ワンピース』を観ていますね。昔からアニメや漫画にはあまり興味がなかったのですが、家にいる時間で名作を観るようになってから、楽しいです。桑山僕はピアノを弾いたり、レゴを作ったりしています。最近は、レゴでスター・ウォーズのヨーダを作りました。キットがあったので買ってみたら、見事にハマっちゃいましたね。それ以外は、日本の映画を観るのが好きで、最近だと『きみの瞳が問いかけている』や『糸』を観て泣きました。髙橋僕は、YouTubeを観ることが多いですね。例えば、きれいな部屋でいい感じのお兄さんが、顔は写っていないけれど、キャンバスに絵を描いている様子とか。朝に聴きたいBGMが流れているようなものとか。でも、一番はタイトル一覧を見るのが好きです。テレビ番組表の一覧とか。その作品を表す見出しをつい、目で追ってしまいます。福澤つい先日iPadが届いて、いまはまだゲームのアプリしか入っていないんです。でも、画面が大きいので、映画が観たいときにiPadで観てみたいと思います。鈴木僕は、いま曲作りが楽しいですね。ワンマンライブやリリースイベントが始まる前に流す、踊れるビートだけのメロディが入ってない音を作るのが好きで。昨年のライブでも、独学ですがパソコンの「ロジック・プロ」というフォーマットで自分で曲を作って、WATWINGで踊りました。自分で作った曲をみんなで踊れるのが楽しくて、これからも曲作りを続けていきたいと思っています。八村僕はひとり暮らしを始めたので、QOLを上げたくなって、まったく育てたことのない観葉植物を置いてみました。これまでインテリアに凝ったこともないのに、ちょっとレコードも買って置いてみて、部屋の雰囲気を上げたいなと。あとは料理をしています。ストレス解消にもなっていて、疲れていても料理したくなるときは、夜な夜な野菜炒めを作ったりしています。鈴木好みの味にできるから、自分で作ったほうがおいしいよね。八村そう、そう。メンバーと曲を作ったりもありますね。いまもアイデアがいっぱいあるので、またいつかそれを形にしたいと思っています。――楽曲ではラブソングを歌うこともあると思いますが、みなさんが魅力を感じる女性像はどのような方でしょうか。古幡やっぱり、波長が合うのに越したことがないかな。一緒にいて楽な人、居心地がいい人ですね。桑山魅力的なのは、自分の活動を理解して、応援してくれる人ですね。髙橋いいギャップを感じられるような人です。例えば、いつもはおろしている前髪をある日、ちょっと上げているとか、そういうことでもいいんです。普段とは違う一面を見せてくれる人ですね。福澤僕と一緒にいて、よく笑ってくれる子がいいです。それとよくしゃべる人も魅力ですね。鈴木僕は、何かをがんばって成し遂げようとしている人です。仕事をがんばっていたり、目標を持って努力していたりするといいですね。八村愛があれば、それがすべてです(笑)。自分にも、まわりにいる人たちにも、愛のある人が好きですね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、メンバーを代表しておひとり、WATWINGとしての今後の抱負をお聞かせください。古幡まずは、東京ドームを目指していきたいです。これからどう進んでいくのかというところで、常にWATWINGを自分たちでも追求していきたい。この6人で、WATWINGというジャンルを作っていきたいと思っています。そのためにも、Windyの方たちとは変わらずに、そしてたくさんの人たちにも僕たちのことを知ってもらうために、どんどん魅力を磨いていこうと。世界へ羽ばたくために、まずは東京ドームでライブができるよう、がんばります!取材後記映えあるメジャーデビューのタイミングで、髙橋颯さん、鈴木曉さん、桑山隆太さん、福澤希空さん、古幡亮さん、八村倫太郎さんからなるWATWINGのメンバー全員が、ananwebに登場。取材中も、和気あいあいとした仲の良さを見せてくれました。そんなWATWINGのEPをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりWATWINGPROFILE2019年「Star Boys Audition」により結成された、髙橋颯、鈴木曉、桑山隆太、福澤希空、古幡亮、八村倫太郎からなる、男性ダンス&ボーカルグループ。2020年1月、デジタルシングル「Only One Life」でインディーズデビュー。これまで4作のデジタルシングルと2枚のEPをリリース。2021年9月22日、EP『Take off,』でメジャーデビュー。「WATWING Major Debut EP『Take off,』リリース記念ワンマンライブ〜Departure〜」を9月23日に東京・Veats Shibuya、26日に大阪・Live House ANIMAで開催。2022年、初のZeppツアー<WATWING TOUR 2022>を4月23日に大阪・Zepp Osaka Bayside、24日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で予定している。InformationNew Release『Take off,』(収録曲)01.Spark!!02. Sensation03. HELLO WORLD04. HERO05. Turn it up2021年9月22日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)TFCC-86781(CD)¥2,200(税込)*初回プレス特典:メンバー撮影ランダムトレーディングカード(通常盤ver.)※全6種のうちランダムで1種封入+WATWING Zepp TOUR 2022プレミアムエリアチケット最速先行シリアルナンバー封入(初回生産分のみ)。(初回生産限定盤A)TFCC-86777~86778(CD+DVD)¥3,500(税込)<初回プレス特典>スペシャル紙ジャケット仕様、メンバー撮影ランダムトレーディングカード(初回生産限定盤Aver.)※全6種のうちランダムで1種封入+WATWING Zepp TOUR 2022プレミアムエリアチケット最速先行シリアルナンバー封入。<DVD収録内容>「HELLO WORLD」Music Video & Music Video Making映像収録。(初回生産限定盤B)TFCC-86779~86780(CD+DVD)¥3,500(税込)<初回プレス特典>スペシャル紙ジャケット仕様、メンバー撮影ランダムトレーディングカード(初回生産限定盤Bver.)※全6種のうちランダムで1種封入+WATWING Zepp TOUR 2022プレミアムエリアチケット最速先行シリアルナンバー封入。<DVD収録内容>「HERO」Music Video& Music Video Making映像収録写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年09月21日【音楽通信】第88回目に登場するのは、これまでに8度のワールドツアーを成功させ、音楽活動以外にも俳優としてハリウッドデビューを果たし、ワールドワイドに活躍している、世界的ギタリストのMIYAVIさん!バンドの花形であるギターを選んだ理由【音楽通信】vol.88エレクトリックギターをピックを使わずにすべて指で弾く、独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約30か国 350公演以上のライブとともに、8度のワールドツアーを成功させている、MIYAVIさん。音楽活動の一方では、アンジェリーナ・ジョリー監督の映画『不屈の男 アンブロークン』(2016年日本公開)で俳優としてハリウッドデビューを果たし、2017年には日本人として初めてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の大使に就任。そんなさまざまなかたちでワールドワイドに活躍するMIYAVIさんが、2021年9月15日にニューアルバム『Imaginary』をリリースされるということで、お話をうかがいました。ーーおさらいとして、まずギターを始めたきっかけから教えてください。もともと小学生の頃からサッカーをやっていて、プロを目指していました。大阪にあるプロチームのジュニアユースに入ったのですが、14歳ぐらいのときに怪我で挫折して。そこから地元の友人たちとバンドでもやるか、となって。ーーいろいろと楽器はありますが、なぜギターだったのでしょうか。やっぱギターはバンドの花形、ある種ロックの象徴。バンドといったらギターだろう! と単純な思考で選びました。ーーユースチームに入るほどの才能もあり、そこからさらにこうして音楽活動などでもご活躍されていてすごいですね。サッカーのほうはそんな才能ないですし、とはいえ音楽のほうも才能ではなく、これは僕に限らずですが、一つの物事にどれだけの熱量と時間をかけているか、ということだと思うんです。サッカーでは僕よりも才能のあるプレーヤーはいましたし、だから僕はキープアップできなかった。そういう意味では、その挫折で得たものを音楽活動に活かしている部分はあると思います。ーー当時よく聴いていたアーティストの音楽はなんでしょうか。(アメリカのブルースギタリスト)スティーヴィー・レイ・ヴォーンですね。他とは違う、一度音を聴いたら「あっ、スティーヴィーだ!」とわかる音の強さと、唯一無二の存在感が好きでした。(エリック)クラプトンや、ジミ・ヘンドリックスも好きでしたね。アルバムを聴いて「未来を感じてほしい」ーーMIYAVIさんは9月14日が40歳のお誕生日ということで、おめでとうございます。ありがとうございます。ーーお誕生日の翌日、2021年9月15日に13枚目のアルバム『Imaginary』をリリースされるということで、30代最後の作品となりますね。仕上がった手応えから教えてください。実は、このアルバムはもともと去年4月に発表した前作『Holy Nights』に続けてすぐリリースしようと思っていた作品なんですが、コロナでツアーなどが延期になり、やっぱり自分にとっては、こういった音楽作品ってライヴでオーディエンスの皆に届けてはじめて完成する部分もあるので、改めて2021年に発表することになりました。前作は『世界に目を向けると世界は燃えている、この時代で何を歌えるのか、歌うべきなのか』というテーマで制作して、今作では『その後の世界、どんどん価値観がシフトしていく中で僕たちの新しい在り方、存在意義』をテーマに作りました。今、このコロナ禍でこの時代に生きていて思うことは、『音楽家として何ができるのか』僕たち音楽家は少なからず影響力を持っていて、その力を持って作品を通じて、救える人がいるとしたら、少しでも未来への希望を持てるものを作りたい。僕たちの持つ想像力や創造性、これこそが未来へのキーなんじゃないかと。『Imaginary』というタイトルをつけたのも、未来を指し示すためです。ーー昨年リリースするつもりだったということは、制作期間は長かったのですか。はい、昨年の段階で作り上げていました。でもリリースするタイミングを延ばすとなって、そのまま一度冷凍保存したんです。やっぱり時代が変わると、言いたいことの温度感も変わってくるので。そして今年の2月ぐらいから制作を再開しました。ーー収録曲についてもいくつかうかがいます。2曲目「Imaginary (feat. Kimbra)」は9月1日に先行配信された楽曲で、アルバムのタイトル曲でもあります。もっとも今作を表す楽曲ということになるのでしょうか。そうですね。Imaginary、想像力、イマジネーション、これこそが、僕たちの未来を切り拓いていくうえでの武器だと強く感じています。1曲目「New Gravity」も、アルバムのタイトルにしようかなと思っていたくらいの曲で。新しい重力、既存のルールや在り方、自分たちが作ってきたもの自体が自分たちを縛り付ける重力そのものだったんじゃないかと。そこから解き放たれて、新しい価値観、新しい世界の中で、僕たちがどう飛べるのか、を歌っています。ーー6曲目「Hush Hush (feat. Kang Daniel)」は韓国の男性アイドルグループのWanna Oneの元メンバーである、韓国の歌手、カン・ダニエルさんとの楽曲ですね。MIYAVIさんが、コラボのお声をかけたということですか。そうです。コロナ禍での制作期間だったので、直接会わずにリモートで制作していって。会わずしても、こうしてつながって、完成できたのもご縁だと思います。自分だけでは出せない表現をしてくれたと思いますし、曲の世界観が広がったので、すごくうれしいです。ーー4曲目「Smells Like Teen Spirit」はニルヴァーナのカバー曲です。7曲目にもカバー曲はありますが、このニルヴァーナの曲を選んだ理由はなんでしょうか。カラオケで得意なんで……というのは冗談ですが(笑)、やっぱり歴史を変えた楽曲ですから。同じギターミュージックとして、新しい解釈で挑ませていただきました。7曲目「Youth Of the Nation (feat. Troi Irons) 」(P.O.D.の「Youth of the Nation」カバー)は、ちょうどアメリカで学生運動が盛んになっていた時期に作りました。やはりいつの時代も未来を作るのは、若い世代。これもオリジナルと全然ニュアンスが違うし伝え方は違うけれど、現状を打破する、熱量の大きさという意味では負けていない曲になっています。ーーすでにアルバムから先行配信された楽曲もありますし、みなさんの反響も楽しみですね。そうですね、やっぱり、自信はありますよね。歌うべきことを歌っている自信はあるし。マイナーチェンジですけど、自分のなかでの成長というか。エクスプレッションの部分、表現力やコンポーズ能力は上がってきていると感じていますーー9月30日から10月は、アメリカ合衆国とカナダで19都市をまわる北米ツアーを予定されていますね。現在の状況下ではライヴを行う際、大変なこともありませんか。正直、コロナで先が見えないところもありますが、やるしかないですし、何よりやれることに感謝したいです。日本では、アルバム『Imaginary』のリリース前日が誕生日なので、節目を祝うバースデーライブをUSEN STUDIO COASTで開催します。そのあと、もうひとつ、京都の清水寺で新たなバーチャルライヴを行う予定で、その後に北米ツアーとなります。ーー清水寺でのライヴは、配信されるのですか。配信します。とくにオリンピックの開閉会式を観て強く思ったこともあったので、僕だったら、日本のライヴをこうしますよ、ということを表現したライヴになる予定です。日本から世界に対して、メッセージを発信します。ーー日本から発信されるというのは、日本人としてもうれしいですね。清水寺でロックするのは、初めてのことみたいです。何より神聖な場所ですし、僕たちも気を引き締めて臨みたいと思います。「目の前にいる人たちに音楽を届けたい」ーー音楽活動以外では、2021年9月10日から配信されたデヴィッド・リーチ製作総指揮による、アメリカのアクションスリラーでNetflix映画の『KATE』にもご出演されていますね。日本人キャストとしては、他に浅野忠信さん、國村隼さんもご出演されています。『KATE』は監督と出会って、オーディションを受けて、役柄がハマったというのもあって、参加させていただきました。タイで撮影しましたが、他の日本人のキャストの方とはシーンが別だったので、そんなに絡んでいないですね。作品自体は、初めてのガチアクションなので、面白かったです。なかなかギタリストで、アクションもやれる人はいないと思うし、こんな挑戦をさせてもらえること自体、とても光栄でした。ーーその一方で、9月3日から配信された新しい音楽バラエティ番組、Amazon Prime Video「ザ・マスクド・シンガー」では、パネリストとしてご出演しています。全米で大ブームだった人気番組の日本版だそうですね。この日本版は大泉洋さんがMCで、パネリストは他にPerfume、水原希子ちゃんたちも一緒に出演しています。マスクをかぶったパフォーマーが歌い競い合い、僕たちは誰もその正体を知らずに観るんですが、今回日本の曲がほとんどで、70〜90年代の邦楽の強さをあらためて感じました。NetflixやAmazon Prime Videoといった新しいメディアの台頭もあって、世界中で観ることができる。作品の作り方も変わってきていますよね。こういったメディアを通じて、今この瞬間に地球の裏側の人にコンタクトできる。これは、文明のパワー。それを良い形で使うのか、そうじゃない形で使うのかは、僕たち次第だと思っています。ーーではお仕事以外で、おうちにいる間はどのようにお過ごしですか。キッズたちと遊ぶことが多いですね。生まれたばかりのベイビーもいるし。ーーお子さんにはギターを教えることも?ギターも教えますし、歌も一緒に歌います。皆でファミリーバンドもやります。夏はプールも行ったりキャンプに行ったりしました。いまは日本にいるので、できるだけ日本の文化を経験させてあげたいですね。ananwebをご覧の方のなかには、僕と同じようにお子さんがいる方もいるかもしれないですが、子を持つというのは、やっぱり大変だし、もう一度自分の人生をやり直すような不思議な感覚もあります。自分のDNAが入っている子どもたちの軌跡を見ながら、うまくガイドしていくのは大変だけど、自分たちもまた人として成熟していく、その過程だと感じます。ーーMIYAVIさんは日本だけでなく、海外でもご活躍されていますが、そのエネルギーの源はどこからきているのでしょうか。うーん、どうだろう。小さいときから、人が驚いたり喜んだりする顔を見るのが好きなので、「ワオ!」という体験を共有したい、という思いからかなと。「ワオ!」を感じたときに、未来を感じる。人を喜ばせたくて、自分もエネルギーが湧いてくるのかもしれません。ーーいろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。9月のバースデーライブをやったあと、日本から世界に届けるプロジェクトにチャレンジします。それはきっと(VRを使用したリアルとバーチャルをつなぐパフォーマンスイベントの)「Virtual LIVE」の延長線上になるはず。そして、いよいよアメリカツアーがはじまります。年内には、日本でもツアーをしたいですね。いまはライヴに行きたくても行けない方もいるじゃないですか。ライヴをやることだけが正解ではないと思うんです。だけど僕のやれることはやっぱり、目の前にいる人たちに音楽を届けること。なので、また早くライヴで皆に会いに行きたいですね。取材後記その志の高さで、ギタリストとしてはもちろん、俳優としても、ボーダーレスに国内外でご活躍されているMIYAVIさん。ananwebの取材では、未来を見据える力強い瞳が印象的でした。そんなMIYAVIさんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりスタイリスト・櫻井賢之[casico]<スパンコールセットアップ>ジャケット¥869,000、シャツ参考商品、パンツ¥385,000、ソックス参考商品、スニーカー参考商品/グッチ(グッチ ジャパン クライアントサービス 0120-99-2177)MIYAVIPROFILE1981年9月14日、大阪府生まれ。バンド活動を経て、2002年からソロ活動を開始。以降、コンスタントに作品を発表し、国内外でのライブも成功に収めている。2019年7月、アメリカのドジャースタジアムで行われた大リーグ始球式での国歌演奏で観客を魅了し、日本、アメリカで話題騒然となった。アンジェリーナ・ジョリー監督映画『不屈の男 アンブロークン』(2016年日本公開)では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、国内では『BLEACH』『ギャングース』(ともに2018年公開)、国外では『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年日本公開)、『マレフィセント2』(2019年日米同時公開)などにも出演。2020年6月、GUCCIがグローバルに展開する「Gucci Off the Grid」コレクションの広告に起用される。GUCCI創設以降、約100年の歴史のなかで広告に日本人の著名人が起用されるのは初の快挙となった。2021年9月15日、アルバム『Imaginary』をリリース。アルバム発売前夜の誕生日となる9月14日、バースデーライブを東京・STUDIO COASTにて、9月18日、京都・清水寺でライブを開催。9月30日からは、カナダ・アルバータ州カルガリーを皮切りに、ロサンゼルス、ニューヨークを含む北米19都市を巡る、北米ツアー「MIYAVI North America Tour 2021」を行う。InformationNew Release『Imaginary』(収録曲)01.New Gravity02.Imaginary (feat. Kimbra)03.Warrior04.Smells Like Teen Spirit05.Living In Fire06.Hush Hush (feat. Kang Daniel)07.Youth Of the Nation (feat. Troi Irons)08.I Swear09.Are You With Me?10.Dance With Me11.Super Hero2021年9月15日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)TYCT-60176(CD)¥3,080 (税込)(完全生産限定盤A)TYCT-69206(CD+DVD)¥4,400 (税込)(完全生産限定盤B)TYCT-69207(CD+DVD)¥4,400 (税込)(UNIVERSAL MUSIC STORE 限定セット)通常盤+Tシャツ¥5,500(税込)*サイズ:Lサイズ(ワンサイズのみ、身丈 73cm,身幅 55cm,肩幅 50cm,袖丈 22cm)。写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり スタイリスト・櫻井賢之[casico]
2021年09月14日【音楽通信】第87回目に登場するのは、音楽界とお笑い界の才能が集結した、小籔千豊さん、くっきー!(野性爆弾)さん、中嶋イッキュウさん、川谷絵音さん、新垣隆さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ!番組をきっかけに才能豊かなメンバーが集結写真左から、新垣隆(Key)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、小籔千豊(Dr)。【音楽通信】vol.87バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)発のプロジェクトとして、2017年に誕生した小籔千豊(Dr)さん、くっきー!(野性爆弾/B)さん、中嶋イッキュウ(Vo)さん、川谷絵音(Gt)さん、新垣隆(Key)さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ。お笑い芸人さん、ミュージシャン、現代音楽家と、さまざまなジャンルのジェニー(フランス語で天才の意)が集結。バンドの全面プロデュースを「ゲスの極み乙女。」や「indigo la End(インディゴラエンド)」などのバンド活動も行っている川谷さんが兼任する、才能豊かで個性あふれるメンバーが揃っています。そんなジェニーハイが、2021年9月1日に、2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされるということでメンバーから、小籔さん、川谷さん、中嶋さんの3名にお話をうかがいました。――あらためて、それぞれ初めて会ったときの印象から、お聞かせください。小籔川谷P(川谷プロデューサーの呼称)のことは、すでに「ゲスの極み乙女。」の音楽を聴いて認識していました。いざ番組でバンドを作るとなったときに、曲を作っていただく先生を決めることになり、第一希望で「川谷さんが良い」と話していたんです。ご快諾いただいて、実際にお会いすることになったのですが、ミュージシャンではなく、例えば演歌歌手における曲を作ってくれる先生にお会いするような感覚でしたね。そこから初対面の感想は……意外と、普通やったなと(笑)。ミュージシャンて「僕は空がパープルのときじゃないと曲が思いつかないから」とか、もっと前衛的なことを言うのかと思ったらそういうこともなく(笑)。川谷わはは、普通ですよ(笑)。初めて会ったときは確か番組の収録現場だったので、深くは話さず、その後ご飯に行きましたね。小籔さんは、テレビで観ている印象よりも、だいぶん優しい人だと思いました。小籔それはよう言われます。この間は、坂下千里子さんに「小籔さんて飲んでいるときは全然怒らない、ジェントルマンですよね」と言われましたし(笑)。中嶋私は(川谷)絵音さんの第一印象をあまり覚えていなくて。昔、渋谷にあるライブハウスのeggmanで、私がボーカルとギターをやっているtricot(トリコ)というバンドとindigo la End la Endが対バンしたときが初対面なんです。覚えているのは、その後に全国ツアーを一緒にまわらせてもらったときのことですね。絵音さんはライブのMCがすごく長くて面白くて、淡々と話し続けるんですが、演奏しているときとのギャップがスゴイから、ユニークな人なのかなと感じました。――今日はご不在のくっきー!さんと、新垣さんの印象は?小籔ガッキー(新垣さん)は、いろいろな騒動後にメディアに初めて出たのがこの番組だったんですが、えらい上品な方やなと思いました。よく「僕は『BAZOOKA!!!』で救われました」と常々おっしゃるし、ジェニーハイに誘っても「恩があるのでやらせていただきます」と快諾する、何に対しても男気のある方です。マネージャーをされているお兄さんいわく、「『BAZOOKA!!!』のお話じゃなかったらバンドは組んでいないはず」と。それに、才能のある川谷Pの存在も大きかったようです。くっきー!は芸歴が一個下なんですが、吉本興業の養成所のNSCの同期に情報通がおって、「一番面白いのは野性爆弾です」と聞いていて。下には次長課長、チュートリアルやブラマヨとかおるんですが、「一番面白いの誰や?」と聞くと、ダントツ1位が野性爆弾。ただ、あの見た目だしと思ったけど、会ったら気のええやつでしたね。とにかく、ジェニーハイはいいバンドです。――そもそも川谷さん、小籔さん、中嶋さんが、プロになる前に憧れていた歌手やアーティストの方などと、初めて購入したCDなども教えてください。川谷これまで音楽の変遷はいろいろとあるんですが、もとは小学生のときに、T.M.Revolutionの西川貴教さんに憧れていました。初めて買ったCDは、EXILEです。中学1年生ぐらいのとき『EXILE ENTERTAINMENT 』(2003年)というCDを買いました。当時は楽器が弾けないので、鼻歌で曲を作っていて、最高のメロディが出来た! と思った鼻歌のメロディが完全にEXILEのアルバムの曲と一緒だったこともありました(笑)。聴きすぎていたんですね。「あっ俺、音楽の才能無いかも」って当時思いました。小籔まあ、子どもやったらそうなるわなあ(笑)。僕は、親が音楽を好きすぎて、母親は「大阪球場にマドンナのライブ行ってくるわ」「ジェームス・ブラウン行ってくるわ」とか。掃除機をかけるときもよくレッド・ツェッペリンとか、洋楽を爆音でかけていました。僕が小さいときにおばあちゃんから「ファミコンのカセットを買うたるからギターを習いに行け」と言われることも。うちは自転車屋やったんですが、自転車が好きと思ったこともないですが、すでに自転車に囲まれていたという状況に近いというか、無意識のうちに音楽のシャワーを浴び続けていたような感じです。車に乗るようになってからは、FMラジオを聴くようになって、TOKYO No.1 SOUL SET、ピチカート・ファイヴ、スチャダラパーとか、車に乗っていた時期に一番音楽を聴きましたね。中嶋小学校のときに、モーニング娘。にハマったのが最初ですね。中学高校とバンドをしたので、また好きな音楽も変わっていきました。一番好きなロックバンドは、システム・オブ・ア・ダウンです。川谷ギターが弾けなくて、コピーするのをやめたやつ?中嶋そう、難しくて、まだ全然弾けないんです(笑)。絶妙な曲がいっぱいある飽きないニューアルバム――2021年9月1日に2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされますね。川谷前作が約2年前のリリースなのですが、僕がやっている各バンドでは毎年アルバムを出しているので、2年ぶりというととても期間が空いた感覚もあります。ただ、ジェニーハイはすごくレコーディングに時間がかかるので、そのぶん準備できて良かったなと。練習の時間もできるので、だんだんと曲のレベルが上がっていっています。そういう意味では、早く作らなくて良かったなって(笑)。いろいろなジャンルの曲が入っていて、バンドの成長記録としては、やっと世に出せるものになったかなという感じ。老若男女が聴けるアルバムになりました。――6月に先行配信された収録曲1曲目「華奢なリップ feat.ちゃんみな」では、実際にラッパーのちゃんみなさんと組んでみていかがでしたか。中嶋ちゃんみなさんとは今回初めてお会いしました。レコーディングは別々だったのですが、MV撮影のときに一緒になって、そのときに表現力が圧倒的だなと。コラボさせてもらって、刺激を受けました。川谷コラボ作品でも基本的に、いつもは僕が歌詞を書くのですが、この曲は最後のラップの歌詞をちゃんみなに書いてもらってコライトをして、新しい刺激をもらいましたね。こういう書き方もあるんだな、こういう譜割りもあるんだなと。歌もちゃんみなが自分で録ったものを1トラックのみ送ってきて、たぶんコレという歌のバランスやこだわりが強く本人のなかにあるようで。ジェニーハイって、良くも悪くもふわっとしているので、彼女のようにストイックな人が入ってくると、バンドの空気も良くなると思いました。小籔川谷Pもイッキュウさんも、ちゃんみなに刺激をもらったんですね。僕は、『BAZOOKA!!!』内の企画「高校生RAP選手権」にちゃんみなが出ていて、「あの子はみんなを惹きつける子」やなとその当時から言っていました。出演の翌年(2017年)にその子がデビューして、パーティに歌いにきてもらったり、彼女のミュージックビデオに出たり、ご飯に行ったり。高校生のときから知っているから、僕のなかでは東京の娘、親戚の子という感じ。うちの娘もちゃんみなが好きですし。ある日、突然、川谷Pが「ちゃんみなとコラボしようと思うんです、知ってますか?」と言われての今回です。みんなで串カツを一緒に食べに行ったら、ちゃんみなが串カツを上品に食べていたんですよ。僕は、そんな串カツの食べ方に刺激を受けましたね(笑)。――2曲目「夏嵐」は7月配信の軽やかなサマーナンバーです。川谷ジェニーハイの曲はシンプルな曲もあるんですが、わりと複雑な曲も多いので、この曲はシンプルに作ろうと思って。アルバムのスパイスになるよう、疾走感のある曲を作ろうと考えました。夏の曲にしようとは思っていなかったんですが、あとから歌詞で夏らしさを入れ、J-POPとして広く聴いてもらいたいので、イントロから耳なじみの良い曲を作りました。中嶋今作のなかで「夏嵐」が一番意外で、これまでになかった感じの曲でした。歌うときもどういう感じなのか想像できなかったというか、できあがって聴いてみたら、すごく爽やかでずっと聴いていられる曲に仕上がったと思いましたね。小籔イッキュウさんの声が一番可愛らしいな、合ってるんやろうなと。僕はドラムのところから聴いて、だんだんマスターして余裕が出たら、歌を聴いて、楽しくなってきました。たくさんの人に聴いてもらいたいなと思いますね。――6曲目「良いんだって」や、8曲目「ジェニーハイボックス」もみなさんで歌うラップ曲ですが、バンドの演奏曲とラップ曲とのバランスが絶妙ですよね。「ジェニーハイボックス」は自己紹介があって、聴いていて楽しくなります。川谷ラップを作っていると、自己紹介する感じになっちゃうんです。「良いんだって」は全然自己紹介の曲じゃないですが、こんな曲もラップでできたりしますし。新垣さんのソロラップも「ジェニースター」には入っていて、新垣さんは最初いやがっていたんですが、最近は「ラップの王になる!」と言うまでになっているので(笑)。わりとラップの曲は増えてはいますね。ジェニーハイにしかできないことがやりたいので、普通のバンドだったらこんなことやったらただ寒いだけかもしれないんですが、新垣さんは真面目にやっているだけで面白いじゃないですか。あれはもう天性のものですし、この5人のバランスだからできることです。小籔ライブではガッキーのラップがすごい盛り上がるんですよ。女の子からの声援のあとに、めちゃくちゃ下手なラップが聴けるという(笑)。僕が見ていても、この人がメンバーでいてくれて良かったです。ーーアルバムのタイトル曲となる11曲目「ジェニースター」は、一番今作を表すということでしょうか。川谷表すと言えば表すんですが、ちょっとふざけた曲なので(笑)。ジェニーハイがもともと、「天才を超える」という意味なので、まだまだみんなスターじゃないんですよね。だから本当はスターじゃないけれど、例えばいきなり自分が超人になる夢を見るような、「スターになったらいいな」という思いを自虐的に表している曲なんです。――川谷さんはindigo la End、ゲスの極み乙女。、ichikoro(イチコロ)その他複数のプロデュースにも携わっていますが、ジェニーハイの楽曲制作にあたり心がけていることや、他のバンド制作の際と違う面があればお聞かせください。ジェニーハイはインディゴやゲスのように、いい意味で深く考えすぎないというか。ゲスとかインディゴとかは「べつにわかりづらくなってもいいや」と作り込んでしまうことも多くて。でも、ジェニーハイは、わかりやすさ、ポップさみたいなものを優先しています。――小籔さんは「よしもと新喜劇」の座長として、そしてお笑い芸人さんとして活動されている一方、2003年にラップユニット「ビックポルノ」(2014年に解散)、2016年にバンド「吉本新喜劇ィズ(よしもとしんきげきぃず)」を結成、音楽フェスティバル『コヤブソニック』を開催など、音楽活動にも積極的な印象です。小籔お笑いに関しては、努力したことがないんです。ぐうたらなんで、新喜劇に入って最初の2年間だけです、努力したのは。新喜劇も、いまはそれほど気を張ってやらんでも、目配りをすることもないですし。台本はだいぶん手間をかけて真剣にやっていますが、それ以外はそうでもないから。でも、いまはそれ以外のお仕事をさせていただくことが多くて、ドラマに出演させていただくときも、セリフだけはきちんと入れます。役者さんのほうが絶対に芝居がうまいし、僕は絶対下手やけど、セリフは覚えているから許しといたろうか、と思ってもらいたいと。音楽をやるときも、新喜劇でデビューする前ぐらいに、最初はスチャダラパーを聴いたときに面白くてカッコいいけど、逆に芸人がラップやったら面白いかもと。それでふとしたきっかけでラップをやることになって。新喜劇ィズのメンバーには、いつも言うてることがあって、例えばフェスで僕らが出るとなったら、絶対に裏で舌打ちしてるやつはおると。なんでお前と一緒に出なあかんねんと思う人が、言ってけえへんだけでおる。そこで、芸人がフェスに出てすみませんと思うんやったら、あいつめっちゃ下手やけど練習はちゃんとしてるな、下手やけど音楽に対しては真面目やなと思ってもらうのが大切や、と言っているんですよね。――イッキュウさんは、2010年からロックバンド「tricot」としても活動されていますが、ジェニーハイのシンガーのときは意識の違いはありますか。中嶋 tricotでは、長い間自分で作って自分で歌うことしかしていなかったので、ジェニーハイのデビュー曲「片目で異常に恋してる」が地獄のように難しかったんです(苦笑)。絵音さんの曲は一筋縄ではいかないとは予想していましたが、レコーディングでもすごく苦戦した記憶があって。でも、最終的にはその作業が自分の実になっていて、他の人が想像するゴールに向かって考えるというのはとても楽しくて。自分のなかでまた違う扉が開いた感じがあって、tricotのときとは違う脳みそを使っている感じですね。川谷「片目で異常に恋してる」は、コンピューターが歌うようなメロディなんですよね、ボカロのような譜割りで。人間が歌うには限界の速さに近いんです(笑)。これが1曲目だったから、そのあとはスムーズに受け入れられるというか。この曲は変拍子だし、ドラムとギターも全然違う譜割りで弾いてもらうような難しい曲をやっていたから、あれ以上に難しいものはいまやってないですね。自分で演奏するのもいやだから(笑)。小籔難しいものばっかりになったら、こちとら、ヒィヒィ言わなあかんから、難しい曲をやりたいときはその気持ちだけにしておいてください(笑)。――では今回のアルバムをどんなふうに聴き手に聴いてほしいでしょうか。川谷楽しいアルバムですが、全曲に切なさもあって、ただ明るいだけのアルバムでもない。絶妙な曲がいっぱいあるので、好きなときにいつでも聴いてほしいですね。クリスマスの曲もありますし、飽きないアルバムになっています。中嶋私は家でも聴いていて、楽しくてワクワクする感じがわいてきます。歌詞自体は両手放しで楽しいです、という話ではないのもあるんですが、音がすごいワクワクするので、音楽を聴いて楽しんでもらえたらと思います。小籔全部通して聴いていただきたいですし、1曲だけ鬼聴きする感じでもいいですし。わりと長いこと、聴いていただけるようなアルバムちゃうかなと。ぜひ買っていただきたいなと思います。――9月25日には初のアリーナ公演が控えていますが、どのようなライブになりそうでしょうか。川谷けっこう効果的な演出にもなりそうで、かなりバラエティ豊かなステージになると思います。小籔芸人がおるバンドのライブじゃないような、「めっちゃアーティストやん」っていう感じのライブになります。曲がいいのはもちろんですが、きっと12回は笑うと思います、そのうち8回は、ガッキーで笑うでしょうけど(笑)。「65歳までジェニーハイを続けたい」(小籔)――よろしかったら普段のご様子もお聞かせくだい。みなさんはおうち時間をどのようにお過ごしですか?川谷以前は映画を観ることもありましたが、最近はずっと観れなくて。曲を作るときは集中しているんですが、きっと人間は脳の容量があって、いろいろな曲を作っているとそれ以外のことは端から忘れていくんじゃないかなと。映画を観た直後しか内容を覚えていないぐらい、集中できないんです。だから、2、30分で終わるようなアニメをずっと流して、部屋の掃除をしたりしていますね。(新旧のアニメが鑑賞できる)バンダイチャンネルで視聴できる『わがままフェアリーミルモでポン!』(テレビ東京系列シリーズは2002年〜2005年放送)という、ほのぼのアニメなんかを観ています。BGM代わりにちょうどいいんです。それ以外のときは基本曲を作ったり、あんまり休みという休みはないですね。前はご飯を食べに行ったりしていましたが、いまはできないですから。小籔よう働いてはりますもんね。1回、沖縄の砂浜を携帯も持たずに裸足で歩くような日が、1年に1回ぐらいは必要かもしれないですね。川谷そうかもしれないですね、デトックスしないと。デトックスといえば、いまは以前は飲んでいたコーヒーもやめて、お酒も飲まないので、寝起きもよくてすごく調子がいいですね。なんとなくやめてみたんですが、カフェインにおかされていたんだなと(笑)。曲を作っていても、以前とは違う気もします。小籔諸説ありますけど、昼の14時以降にコーヒーを飲んだら、夜の睡眠に影響があるって、言いますもんね。川谷一番長いと、14時間ぐらいカフェインがきいちゃうという説も。小籔僕はいま、ドラムと(オンラインゲームの)「フォートナイト」の2本をやっていますね。ドラムもゲームも、基礎練習が必要なものですが、ドラムで好きな曲を叩いているときと「フォートナイト」をやっているときが、何も考えなくていい楽しい時間です。それ以外は、社会の闇に怒っていたり、子どもたちの将来が心配だったりして……僕も沖縄に行って、裸足で歩かなあかんかな(笑)。中嶋私も家では、曲を作るか、服を作るか、絵を描くかですね。仕事でもあるけど趣味でもあるので、これをやっているときは一番癒されます。自分でブランドをやっているので、カバンなど持ち物にどういう機能をつけようかな、とか考えるのが楽しいので、家ではそういうことをしていますね。――美容面では気をつけていることは?中嶋健康的な生活が一番いいと思っていて、犬を飼っているので、早寝早起きを心がけています。川谷めちゃくちゃ早朝に散歩に行ってない?バンドマンぽくないよね。中嶋そうですよね(笑)。いま暑いので早朝に犬の散歩に行っています。散歩しているときは携帯も見ないですし、1時間ぐらい散歩するので、脳がクリアになりますね。それが一番美容にも、結果的に良さそうかなという気がします。――では最後に、バンドを代表して小籔さんから、ジェニーハイの今後の抱負をお聞かせください。小籔「紅白歌合戦」に出て、日本の三大フェスにも出て、全国ツアーも毎年開催して、それが65歳まで続けばいいなと思っています。僕が65歳になるまで、ジェニーハイを続けたいと思っていますので、目標を達成するために、みなさんさまざまなご支援をお願いします。取材後記まさにスターが集結した、ジェニーハイのみなさん。ananwebのインタビューの際は、川谷絵音さんの音楽の感性や秀逸さ、中嶋イッキュウさんのシンガーとしての魅力、小籔千豊さんの音楽や人生に対する真摯さを実感。とくに小籔さんは、筆者やスタッフの方にもお菓子を自ら配るなど、気配りが素晴らしい方。大阪出身の筆者としては、ジェニーハイの音楽もお笑いもたくさんの人たちに届いて、笑顔が広がることを祈っています。そんなジェニーハイのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりジェニーハイPROFILE小籔千豊(Dr)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、新垣隆(Key)からなる5人組バンド。バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)の知名度をあげるため、2017年にプロジェクトとして誕生。音楽番組や音楽フェスなどへの出演を目標に、当初は番組MCの小籔千豊、レギュラー出演のくっきー!、中嶋イッキュウの3人で結成。その後、3人からのアプローチにより、川谷がプロデューサー&ギターに就任。さらに小籔の推薦で新垣をメンバーに迎える。2018年3月、1st配信シングル「片目で異常に恋してる」でメジャーデビュー。2021年9月1日、2ndアルバム『ジェニースター』をリリース。9月25日、ぴあアリーナMMにてアリーナ単独公演「アリーナジェニー」を開催。InformationNew Release『ジェニースター』(収録曲)01.華奢なリップ(feat.ちゃんみな)02.夏嵐03.バイトリーダー典子04.BABY LADY05.コクーンさん06.良いんだって07.ルービックラブ08.ジェニーハイボックス09.卓球モンキー10.クリスとマス11.ジェニースター12.シャンディー2021年9月1日発売*収録曲は全形態共通。*トールサイズデジパック仕様、オリジナル漫画掲載「ジェニースター」ZINEを封入。(通常盤 CD)WPCL-13323¥3,300(税込)(初回限定盤 CD+DVD)WPZL-31892/3¥4,950(税込)(初回限定盤 CD+Blu-ray)WPZL-31894/5¥5,500(税込)*初回限定盤2形態には下記公演映像を付属。・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」(2020.2.18@Zepp Divercity Tokyo)・ジェニーハイ無観客ワンマンライブ「ベイビージェニー」(2020.10.27@Zepp Tokyo)・ジェニーハイ1stフルアルバム『ジェニーハイストーリー』リリース記念フリーライブ(2019.11.27@六本木ヒルズアリーナ)・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」Behind the scenes取材、文・かわむらあみり
2021年08月29日【音楽通信】第86回目に登場するのは、今年“リアル中学生”メンバーを含む新メンバー3名が加入し、新9人体制となった「誰もが永遠に中学生」というコンセプトのアイドルグループ、私立恵比寿中学!アイドルやアニメの影響から“エビ中”の道へ写真後列左から、真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子。前列左から、桜木心菜、小久保柚乃、風見和香。【音楽通信】vol.862009年8月に結成されたアイドルグループ、私立恵比寿中学。真山りかさん、安本彩花さん、星名美怜さん、柏木ひなたさん、小林歌穂さん、中山莉子さんの6名に、2021年5月、応募総数約7,000人のオーディションを経て桜木心菜(ここな)さん、小久保柚乃(ゆの)さん、風見和香(ののか)さんの3名の新メンバーが加わりました。新9人体制となった通称「エビ中」が、2021年8月18日にニューアルバム『FAMIEN’21 L.P.』をリリースされたということで、メンバーから真山さん、桜木さん、小久保さん、風見さんにお話をうかがいました。ーー今回は真山さんと、新メンバーの方が3名いらっしゃいますので、まずはおひとりずつ自己紹介からお願いします。真山出席番号3番、真山りかです。声優さんと、アニメを観るのが大好きです。特技は声優の田村ゆかりさんの「イントロドン」のまねですが、披露したことはまだないです。桜木出席番号13番、桜木心菜です。特技はジャズダンスを踊ることと、I字バランスで、頭の横に足がつくぐらいに体が柔らかいこと。あとは辛いものを食べることも得意です。小久保出席番号14番、小久保柚乃です。特技は竹馬と長距離走と、公式プロフィールには書いてあるのですが、それほど特技ではないかもしれません(笑)。最近の特技はシャボン玉を上手に作ることができたことです。風見出席番号15番、風見和香です。一番の特技は、バースデーカード作りです。ーー自己紹介ありがとうございました。ではあらためまして、そもそもみなさんが音楽にふれたきっかけや憧れていたアイドルの方からお聞かせください。真山家庭では、父の趣味でジャズやレゲエぐらいしか聴いたことがなかったのですが、小さい頃にモーニング娘。さんをテレビで観て、「アイドルの音楽はこんなに明るくて楽しいんだ!」と惹きつけられました。そのモーニング娘。さんがきっかけで「歌を歌いたい」とアイドルを志すようになって、とくに初期メンバーの石川梨花さんが好きで、同じ「りか」という名前もうれしいですし、いまも憧れています。桜木小さい頃は、アニメのプリキュアに憧れていました。毎年プリキュアはシリーズとキャラクターが変わるのですが、私は『Yes!プリキュア5』(2007〜2008年テレビ朝日系)の世代だったんですが、なかでも「キュアレモネード」の春日野うららちゃんというキャラを推していました。うららちゃんは、学校に通いながら新人アイドルとしても活動するという設定なんです。いまの私たちと状況が重なって、学校とアイドルを両立しながら頑張っているから応援したいなって。実際のアイドルでは、AKB48さんも好きでよく曲を聴いていました。なかでも、板野友美さんが一番好きで、アイドルグループのなかでひとりだけ茶髪のギャルだったところに惹かれて、私もアイドルになりたいと思いました。小久保私もAKB48さんが大好きで、よく聴いていました。なかでも渡辺麻友さんに憧れて、アイドルになりたいと思いました。あとは、『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(2009〜2013年NHK総合)のまいんちゃん役の福原遥さんにも憧れて、芸能界に入ろうと思いました。風見私も(桜木)心菜と一緒で、プリキュアに影響を受けました。私は『ドキドキ!プリキュア』(2013〜2014年テレビ朝日系)の世代です。アニメのエンディングに流れる歌を小さい頃はずっと歌っていて、プリキュアが踊っているのに合わせて踊っていました。姉がふたりいてチアダンスをやっていたので、姉の様子を見ていて、ダンスは面白いなって。あと、姉がカラオケでAKB48さんの「ヘビーローテーション」を歌って踊っていたので、そこでアイドルにも興味を持ちました。音楽が好きですし、歌って踊ることが仕事になったら楽しいだろうなと思って、エビ中に応募したんです。ーー2021年の今年は、病気療養中だったメンバーの安本彩花さんが復帰され、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で歌う姿が公開3日で120万回再生と反響を呼びましたね。そして新メンバーとしてみなさんが加入し、9人体制になって新たなスタートを切りました。真山3人が入って、早くも3か月経ちました。(安本)彩花も寛解をして、グループとしても、ようやく9人で歩き始められたという感覚があります。仕事によっては全員ではなく、何人かで動くこともありますが、9人でパンフレット撮影や生写真撮影をする機会があって、9人のグループになった実感がわきました。新しいかたちでの「FAMIEN e.p.」シリーズ最新作真山りか。1996年12月16日、東京都生まれ。身長154.2cm。A型。ーー2021年8月18日にニューアルバム『FAMIEN′21 L.P.』をリリースされます。2015年より配信限定でリリースされてきた「FAMIEN e.p.」シリーズの最新作となる、今作に込めた思いから教えてください。真山だいたい年に1度、夏の恒例野外ワンマンコンサート「エビ中 夏のファミリー遠足」略して「ファミえん」といって、ファミリー(ファンの方の呼称)が会場に遠足のようにバスツアーなどで集まってくださって「帰るまでがファミえん」ですと言って、楽しんでいただく大きなライブがあるんです。そこで毎年テーマソングを作っていまして、今回はいままでの楽曲と、9人での新曲も含めて、この『FAMIEN′21 L.P.』というアルバムでのCD発売になりました。「ファミえん」では明るい楽曲が多いので、そんな曲たちがまだCD化していなかったということにあらためて驚きましたが、こうして3人が入ってきてくれて新しいかたちでみなさんにお届けすることができて、とってもうれしいですね。初期から中期までの楽曲はわたしたち先輩メンバーも再レコーディングしまして、3人の歌声プラスいまの歌声が聴けるので、楽しめると思います。「THE FIRST TAKE」に出させていただいて知っていただいたファンのみなさんにも、エビ中といえばアイドルらしからぬ楽曲というイメージだとしたら、今作にはアイドルっぽい楽曲が詰まっているので、新しい発見もあるのではないかなと感じています。桜木心菜。2005年9月14日、茨城県生まれ。身長160cm。AB型。桜木わたしたち新メンバーは初めてレコーディングをさせていただいて、初めて自分たちの声が入っている楽曲を聴いて、新鮮でした。明るい曲もかっこいい曲もゆったりした曲も収録されていて、聴いていただける方に楽しんでいただける作品になっているんじゃないかなと思います。小久保いろいろな方に聴いてほしいですし、6人体制のエビ中で歌っていた曲にも、新たにわたしたちの声を再収録して入れているのですごくうれしいです。風見ボイストレーニングの先生にもたくさん教えていただいて頑張ったので、ぜひ私たち“新メンバーはこんな声だよ”というのも覚えてくださるといいなと思います。ーー収録曲についていくつかおたずねします。新体制初の新曲で、残念ながら中止となりましたが、2021年の「ファミえん」テーマソングでもあるキャッチーな11曲目「イヤフォン・ライオット」は、どのようなイメージで歌っていますか。真山初めて聴かせていただいたときに、エビ中ではデビュー曲「仮契約のシンデレラ」などを書いてくださっている作曲者の杉山勝彦さん、そして児玉雨子さんの歌詞がすごく心に突き刺さって。イヤフォンで音楽を聴くと、コロナ禍で溜まってしまうフラストレーションがパッと忘れられて発散できて、耳だけでモヤモヤが完結できるんだという感動を覚えました。その感動が、聴いてくださるみなさんにも伝わればいいなと思っています。桜木最初に聴いたときは、元気でパワーのある歌だと感じましたし、初めて9人で制作した「イヤフォン・ライオット」は思い入れのある曲なので、ぜひ聴いていただきたいです。いまはコロナ禍で不自由に過ごしている部分もありますが、それに打ち勝つぞー!壁を壊すぞー!という感じで、思春期だったり反抗期だったりするいまの学生時代のもやもやを発散したい意味でも、私たちにぴったりな曲だと思っています。レコーディングでも、思いをこめて歌うことができました。小久保柚乃。2007年3月20日、愛知県生まれ。身長157cm。AB型。小久保「イヤフォン・ライオット」は、明るくていい曲なのでたくさん聴いてほしいですし、私と同じ中学生の方や、高校生といった学生の方ならより共感できる歌詞だと感じました。風見「君らしさなんだった!」という歌詞があるのですが、ハッとさせられてとても心に響きました。聴いてくださるみなさんの心にも残る歌詞だと思いますし、気持ちを込めて歌いました。ーー歴代のファミえんテーマソングを完全網羅している今作ですが、みなさんの思い入れのある曲といえば、どの曲になりますか。真山私は収録曲最後を飾る「いい湯かな?(2021 ver.)」ですね。毎年「ファミえん」で歌い続けてきた曲で、8分もあって長すぎるということでワンマンライブのときしか歌えない曲なんです。「おじいちゃん いい湯かな?おばあちゃん いい湯かな?」と歌う、あったかい気持ちなれるすごくいい曲です。こんなにもたくさん曲があるなかで、今作の収録曲の最後がこの曲で、また歌えたという喜びが大きくて。最後にこの曲がくると、味わいがさらに深くなる、最高の配置になっています。ぜひいろいろな方に聴いていただいて、優しい気持ちになっていただきたいですね。桜木私は、2曲目の「ラブリースマイリーベイビー(2021 ver.)」という曲です。とてもかわいらしい曲で、自分の声が高くないから合わないんじゃないかと、レコーディングのときに少し苦戦しました。でも、苦手意識を持たずに楽しく明るく歌うよう意識して、完成したものを聴いてみたら、自分の声が明るく聴こえてきて「高い声も出せるんだ」とうれしくなって、頑張ったぶんの思い入れがあります。3曲目の「誘惑したいや(2021 ver.)」も、合宿で急遽覚えないといけなくなった曲で、聴くとその合宿を思い出しますね。ーー合宿というのは?真山新メンバーオーディションの最終の合宿審査がありまして、3泊4日の合宿をやらせていただきました。みんなが「誘惑したいや」を最終日に披露してくれまして、3人3組でチームを組んでもらって、わたしたちとレコード会社の人と事務所の人の前で、歌ってくれたんです。小久保合宿はすごく緊張しました。そして私の思い入れのある曲は7曲目の「朝顔 (2021.ver.)」です。私たちがセリフを言う部分があるのですが、新しいメンバー用に、作詞の(元チャットモンチーの)高橋久美子さんが朗読詩を加筆してくださって、今回9人全員の朗読詩が楽しめるようになりました。そのセリフ部分を録り終えたときに、レコーディングをしてくださった方が、「すごい」と言ってくださって、すごくうれしかったです。風見和香。2007年8月25日、東京都生まれ。身長158cm。風見真山さんと同じく「いい湯かな?(2021 ver.)」に一番思い入れがあります。サビの最後の部分を歌わせていただいたので、聴いてくださる方の印象に残るようにしないとと頑張りました。ボイトレの先生にもたくさん質問して、何テイクも録ったので、注目して聴いてほしいですね。3曲目の「誘惑したいや(2021 ver.)」では、合宿のときと同じ部分を歌わせてもらっていて、合宿で大変だったことを思い出しながら歌っています。レコーディングで苦戦したところもありましたが、できなくて悔しかったところはまた「ファミえん」などのライブでも、しっかり歌えるようになれたらと思っています。ーー5曲目「summer dejavu」のアップデートとミックスを、作曲、編曲、プロデュースを担当した大沢伸一さん自らが今回務めていますが、ハワイアンな印象でゆったりとした楽曲です。真山もともとオールユニゾン曲で、新メンバーは歌入れしていますが、今回はわたしたち先輩メンバーはレコーディングしていない、2016年の楽曲になります。4年前のわたしたちの歌声と、いまのみんなの歌声が合わさっていて。昔のわたしたちの歌声と新メンバーの歌声とのフュージョンという、不思議な感覚がありますね。新メンバーの3人の歌声が入ると、ユニゾンがどこか変わった気がしますし、いまの私たちが歌っても大人っぽい楽曲なので、この曲の魅力であるユニゾンと歌詞とのアンバランスさがさらに増しています。ーー以前の曲は先輩メンバーの方は新たに録り直していない曲もあるけれど、新メンバーの方は全曲録っているということですよね。真山 そうです。初期から中期までの楽曲を再レコーディングしていますが、わたしたち先輩メンバーが再録したのは、1曲目「ご存知! エビ中音頭(2021 ver.)」と2曲「ラブリースマイリーベイビー(2021 ver.)」と4曲目「ナチュメロらんでぶー(2021 ver.)」と12曲目「いい湯かな?(2021 ver.)」になります。あとはパートごとで、増えたところは録っていたりしますね。「9人のエビ中はいいね」となったら明治神宮球場へーーお話は変わりますが、おうち時間が長引く現在、みなさんがいまハマっていることを教えてください。真山けっこう前からなんですが、ピクルス作りをしています。もともと酢の物が好きで、いまの時期は夏バテもしますし体力を落とさないためにも、何かいい案がないかなと思っていたら「ピクルスがある」と気づいて(笑)。自分で漬けています。お酢の分量やスパイスなどの調味料の分量によって、味もいろいろと変わってくるので、どんなお野菜でも漬けられるんですよ。いま漬けているのは、オクラのピクルスです。一度湯通ししているので、多少ふにゃっとしていますが、ピクルスにすると粘り気と酸味がすごくおいしいです。桜木私は特技でも言ったんですが、激辛料理にハマっています。以前は全然食べられなくてカレーも甘口でしたし、歯磨き粉も辛いのはダメだったんですよ(笑)。でも、あるとき突然、辛い料理が好きになって、純豆腐を激辛にしたうえで、スパイシーな唐辛子の粉を入れて食べたりもできるようになりました。あとは小説を読むことにハマっています。とくに、お風呂上がりのゆったりした時間に小説を読むと、心も体もリラックスできますよ。最近だと『みんな蛍を殺したかった』(木爾チレン著/二見書房)という小説を読みました。ハッピーエンドではないんですが、後半にいくにつれてすごく盛り上がっていって、本当は小説を読むのに時間がかかるんですが、この小説はすぐ読んでしまいました。小久保私はアニメを観ることが多いですね。前は漫画のほうを読んでいて、いまはアニメのほうを観てハマっているのが、『魔法少女サイト』(2018年MBSほかアニメイズム枠/現在はアマゾン・プライムビデオでも配信中)です。すごく面白いです。あとは1年中ですが、入浴剤にもハマっていてバスボムがすごく好きなので、毎日湯船に入れています。石鹸の香りが一番好きです。お湯に溶けると、中から何かが出てくるバスボムも好きで、サンリオのキャラクターが中から出てくる大きな「キャラボム」というのも集めていて、昨日やっと好きなキャラクターが出てきたので楽しいです。風見私はバランスボールにハマっていると言いますか、バランスボールに乗りながら、テレビを観たりスマホを使ったりしています。そうすることで、知らないうちに体幹がついたりするので、遊んだり正座して乗ったりしていますね。あとYouTubeで、声優の花江夏樹さんがやっているゲーム実況にもハマっています。『バイオハザード ヴィレッジ』という最新作のゲーム実況を何本かにわけて実況されていて、怖いシーンもあるんですが花江さんの叫び声が聴けるので、どのシーンも楽しく観ています。ーー続いては、みなさんの美容法があればお聞かせください。真山実は、小学6年生からずっと体重が変わっていなくて、体型維持を心がけています。いま24歳で今年25歳になるんですが、大人の女性らしい体型になると思うので女性らしいラインは残しつつ、鏡を毎日見てどこが自分にとって余分かそうじゃないかちゃんと見極めて、自分に合ったストレッチや筋トレをするようにしています。あとは、お水をしっかり摂るようにしていて、普段のお水も常温にして、体を冷やさないように心がけていますね。桜木いま15歳にしては気を遣っているほうなのかなと思うのは、毎日こまめに日焼け止めを塗ったり、化粧水に混ぜて使うビタミンCの粉があるので使っていたら肌もきれいになって、思春期だとできやすいニキビもおさえられています。そして食後にも、ビタミン剤を飲むのですが、内側からも外側からもビタミンを摂っています。以前、無理な筋トレをして腰を痛めたことがあったのですが、真山さんも言っていたように、自分にあった筋トレをやって、腰痛にならない筋トレやストレッチを意識してやっていますね。小久保私はみんなほど美容に気を配ってはいないんですが、学校に行くときは長袖を着たり、通学で半袖のときは上にカーディガンを羽織ったりしています。スカートも脚が日焼けしないようにスカート丈を絶対折らずに、膝丈をちゃんと守って履いていますね。少しでも日焼けしないように、だいたい日陰にいます。風見けっこう食べ物には気をつけていますね。ついお菓子を食べちゃうので、食べる前に最初から「今日はこれとこれとこれしか食べない」と決めて、1回袋からお菓子を取ったら、取ったぶんしか食べないと決めています。ダンスのレッスンのときにいただくお弁当はお肉が多いので、そのぶん家では母がお魚のメニューを考えてくれたりと、バランスの良い食事をしています。あとは野菜も入っているし、味噌は塩分もあって良いことがたくさんあるので、お味噌汁は絶対飲むようにしています。ーーみなさん、いろいろとお話をありがとうございました。では最後に、代表して真山さんから、今後の抱負をお聞かせください。真山6人体制のときに、エビ中でどこに向かっていきたいのかという「目標会議」をみんなでしまして。そのときに、エビ中は(所属事務所の)スターダストプロモーションの中でもライブを多く行っているアイドルですし、私たちもライブを大切にしてきたアイドルグループですので「いつか明治神宮球場に行きたい」とそのときに決めました。そのためにも、今年も来年もできれば精力的にライブ活動やグループ活動を頑張って、「9人のエビ中はすごくいいね」と言ってもらえるようになった暁には、明治神宮球場でワンマンライブができたらいいなと思っています。取材後記新たに9人体制となった私立恵比寿中学から、今回は真山りかさん、桜木心菜さん、小久保柚乃さん、風見和香さんにリモートインタビューさせていただきました。先輩メンバーである真山さんはテキパキと、新メンバーのみなさんは一生懸命インタビューに応えてくださる姿が初々しく、こうしてみなさんが一丸となって、新たなエビ中を盛り上げていかれるのだなと実感。そんな私立恵比寿中学の魅力が伝わるニューアルバム、みなさんもぜひチェックしてくださいね。取材、文・かわむらあみり私立恵比寿中学PROFILE2009年8月結成。真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子、桜木心菜、小久保柚乃、風見和香からなる、9人組アイドルグループ。通称「エビ中」。初期活動イメージは「king of 学芸会」。「誰もが永遠に中学生」というコンセプトのもとに活動をスタート。2012年5月、1stングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビュー以降、すべてのシングルがオリコントップ10入り。2013年12月、初のアリーナ単独公演をさいたまスーパーアリーナで開催。当時の日本人アーティスト史上デビュー最速記録を打ち立てる。2017年、4thアルバム『エビクラシー』を発売、自身初のオリコンウィークリーチャート1位を獲得。結成10周年の2019年は『MUSiC』『playlist』という怒涛の2枚のオリジナルアルバムをリリース。オリコン、Billboard両チャートで1位を獲得。2021年8月18日、ニューアルバム『FAMIEN’21 L.P.』をリリース。9月25日、26日に秩父ミューズパーク 野外ステージにてエビ中 秋声と螻蛄と音楽の輝き 題して「ちゅうおん」2021開催予定。InformationNew Release『FAMIEN’21 L.P.』(収録曲)01.ご存知! エビ中音頭(2021 ver.)02.ラブリースマイリーベイビー(2021 ver.)03.誘惑したいや(2021 ver.)04.ナチュメロらんでぶー(2021 ver.)05.summer dejavu(2021 ver.)06.HOT UP!!!(2021 ver.)07.朝顔(2021 ver.)08.イート・ザ・大目玉(2021 ver.)09.青い青い星の名前(2021 ver.)10.23回目のサマーナイト(2021 ver.)11.イヤフォン・ライオット(ファミえん2021 テーマソング)12.いい湯かな?(2021 ver.)2021年8月18日発売(初回仕様限定盤)SECL-2684¥3,300(税込)*トレーディングカード2種封入。スペシャル・ペーパーケース。取材、文・かわむらあみり
2021年08月26日【音楽通信】第85回目に登場するのは、タイ発の大人気ドラマ『2gether』(トゥギャザー)で数多くの楽曲が挿入歌として登場し、物語の胸キュン度を高めて、ドラマの特大ヒットとともに世界中でブレイクしているタイのポップバンド、Scrubb(スクラブ)!僕たちは「音楽には障壁がない」ことを実感写真左から、トーポン・チャンタブッパー(G)とタワットポン・ウォンブンシリ(Vo)。【音楽通信】vol.85リードヴォーカルのタワットポン・ウォンブンシリ(Thawatphon Wongbunsiri):通称 ムアイ(Muey)さんと、ギタリストのトーポン・チャンタブッパー(Torpong Chantabubpha):通称 ボール(Ball)さんの2人からなる、タイのポップバンド「Scrubb」。タイで2003年に発表されたメジャーアルバム『SSSSS..!』は、音楽アワード賞を複数受賞するなど、評価も高く、人気もある実力派バンドです。Twitter世界トレンド1位を記録するなど話題となっている、タイ発のドラマ『2gether』(2020年)は日本でも大人気ですが、そもそもScrubbのことを好きすぎる原作者が、彼らの楽曲にインスピレーションを受けてドラマのストーリーを構想。そのため主人公も彼らの大ファンという設定で数多くの楽曲がドラマの挿入歌として登場し、劇中には本人たちも出演、ドラマの特大ヒットとともに、世界中にファンが急増しています。そんなScrubbが、2021年7月14日に『2gether』シリーズ内の印象的なシーンで使用されている彼らの楽曲全19曲を収録した世界初、日本独自企画のパッケージの限定アルバム『Songs In 2gether』をリリースされたということで、Scrubbのおふたりにお話をうかがいました。ーーこのananwebの「音楽通信」では、海外アーティストの方は初登場となります。まずは自己紹介と、おふたりがScrubbを結成された経緯などから教えてください。ムアイ、ボールこんにちは、Scrubbのムアイとボールです。ムアイ僕たちは最初、大学で知り合いました。それが私たちの友情の始まりであり、いまのScrubbというバンドの始まりです。ボールもうかれこれ20年以上の付き合いになります。大学では国際音楽サークルにも所属していました。ーーいま話題のドラマ『2gether』では、挿入歌としてScrubbの曲がたくさん聴けますし、ドラマの特大ヒットとともに世界中にファンを増やしていますが、現在のこの「世界的なヒットの状況」をおふたりはどのように感じていますか?ムアイ、ボール僕たちはこの世界的なヒットの状況を本当にうれしく思っていて、とても感謝しています。ムアイとくに、ドラマの原作者で作家のジッティレイン(Jitti Rain)さんには、僕たちの楽曲を小説に登場させてくれて、本当に感謝という言葉以外が見つからないほど、感謝しています。ーー日本のファンの方からの反響はいかがですか?ムアイ日本のファンの方の声や、アルバムのフィードバックを日本人の友だちからよく聞かされています。ボール僕たちはいま、音楽には障壁がないことを実感しています。音楽を通じてお互いが同じものを感じることができると実感しています。ムアイ僕たちは母国語であるタイ語で歌っていますが、日本のファンのみなさんはタイ語で歌っている僕たちの歌を喜んで聴いてくれています。それは素晴らしいことであり、いつか日本のファンのみなさんにお会いできることを願っています。ドラマ『2gether』で世界に通用する手応えありーー日本で初めてとなるアルバム『Songs In 2gether』を7月14日にリリースされましたね。話題の楽曲ばかりで注目度も高いですが、手応えを教えてください。ムアイ実は個人的に、Scrubbは日本向けではないと思っていました。日本人が僕たちの音楽を聴いてくれるかどうか、実のところとても心配していました。ボールそうだね。でも、ドラマ『2gether』によって、僕たちのその固定観念はすべて覆りました。いまでは僕たちの音楽が世界のどこであっても、通用するのではないかと思えるようになりました。ーードラマには、おふたりともご本人役として登場されていますが、ドラマ出演の感想も教えてください。ムアイ僕たちは普段あまりテレビ番組に出演することがないので、最初に出演が決まったときは驚きました!ボールそう、とても恥ずかしかったですね(笑)。でも、スタッフのみなさん、そして演者のみなさんが僕たちの歌を歌ってくれるのでとてもうれしく、本当にありがたいことだと感じました。ーー今回のアルバム『Songs In 2gether』のなかで、おふたりがとくに印象深い楽曲と、その理由を教えてください。ムアイ過去にタイでリリースしたシングル曲のB面に入っていた「เก็บมันเอาไว้ / Kep Man Ao Wai (Forever)」という楽曲がアルバムの16曲目に収録されているのですが、この曲はとくに好きです。この楽曲はもともと人気が高いわけではありませんでしたが、ジッティレインさんが小説でも登場させてくれたおかげで、再び曲が生き返りました。ボール僕たちは、ジッティレインさんに感謝しなければなりません。いつかB面だけを演奏するライブをしたいと考えています。ーーリードヴォーカルのムアイさんは、いつもどのようなイメージで楽曲を歌っていますか。ムアイ第一に、自分が幸せであることを心がけています。自分が幸せにならなければ、他人を幸せにすることはできませんからね。一番大切なのは、自分の気持ちを整えること。常に自分が幸せを感じ、それを他人にも伝えられるよう努めています。ーーギターのボールさんは、いつもどのような意識で演奏されていますか。ボール僕も、ムアイと同じです。自分の気持ちと反対のことはできませんからね。自分が幸せな気持ちで演奏できていないと、他人に幸せな演奏を届けることはできないと思っています。だから、常にまず、自分が幸せだと感じられるように演奏しています。ーーでは楽曲を作っていく際に心に留めていることはありますか。ムアイ楽曲を作る際は、いろいろと複雑なことは考えていないことが多いです。そうして考えていなかったときに、ふと頭の中にメロディや歌詞が浮かんでくるんです。だから、シンプルが一番。あまり考えないほうが、逆に良いものができるとこともあると思っています。考えるのではなく、感じたことをありのままに、ということですかね。日本のファンにたくさんの「ありがとう」を伝えたいーーこれまで来日されたことはありますか。その際、日本で印象深かったものや出来事は何でしょうか。ムアイ2015年に、日本に行ったことがあります。一番印象に残っているのは、日本のライブハウスでバンド「Popdub(ポップダブ)」(ムアイさんのサイドプロジェクト)で、ミニライブを行ったことです。その際お世話になった、勝井裕二さん(ROVOのエレクトリック・ヴァイオリニスト)と西伸也さん(deepsea drive machineのベース)のおふたりには、とくに感謝しています。そのときは、東京の「新宿MARZ」と「新代田FEVER」、神奈川の「POWERS 2」というところでライブをしました。Popdubはインストバンドなんですが、もともとインスト曲をやろうと思ったきっかけは、以前「フジロックフェスティバル」を観に行ったときに、日本のインストバンドを観て、僕もインスパイアされたからです。ーー世界的にコロナ禍となり、タイでも大変な状況かと思いますが、こんなときだからこそ心がけていることや、おうち時間で普段している趣味や日課を教えてください。ムアイでは僕が応えますね。いまは1日の中で、いろいろなことをするようにしています。まず起きてから1時間くらい走って、残りの時間(23時間)は本を読んだり、絵を描いたり、曲を作ったりしています。最近は料理を始めたりもして、とにかく家にいるときにできることはすべてやっていますね。ーーいろいろなお話をありがとうございました。日本でも知られることとなったScrubbですが、今後の抱負と、ananwebを読んでいる日本のファンの方へメッセージをお願いします。ボール僕たちは、Scrubbというバンドを可能な限り、やりたいと思っています。歌えなくなるまで歌を歌ったり、演奏ができなくなるまで演奏したり、曲が作れなくなるまで曲を作りたいです。ムアイただ……僕もいつかは声が劣化すると思うので、そのときはインスト音楽をもっとやりたいです(笑)。そして日本のファンの方には、たくさんの「ありがとう」を伝えたい。いまはまだ日本に行ける状況ではありませんが、僕たちの歌を通して、みなさんとつながっていると強く感じています。だから、いつか日本で僕たちの歌を一緒に歌えることを願っていますし、いつもサポートしてくれて、本当にありがとうございます。取材後記Scrubbの楽曲は、ドラマを彩りストーリーを盛り上げ、海を渡ってタイから日本へと、音楽の楽しさも届けてくれています。今回、タワットポン・ウォンブンシリさんとトーポン・チャンタブッパーさんにうかがったお話で「自分が幸せであることを心がける」という言葉が印象的でした。まずは自分が幸せで、そして他の誰かを幸せにするって、素敵なことです。そんなScrubbのアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりScrubbPROFILEリード・ヴォーカルのタワットポン・ウォンブンシリ(Thawatphon Wongbunsiri):通称 ムアイ(Muey)とギタリストのトーポン・チャンタブッパー(Torpong Chantabubpha):通称 ボール(Ball)の2人によるタイのポップバンド。デモ曲がタイ国内のラジオで一躍注目を浴び、その後2003年にメジャーアルバム『SSSSS..!』を発表。そのブリットポップのスタイルと独自性が評価され、その年の音楽アワード賞を複数受賞。その後も作品をリリースし、数多くのファンを魅了している。ドラマ『2gether』(2020年)では、Scrubbのことを好きすぎる原作者が、彼らの楽曲にインスピレーションを受けて『2gether』のストーリーを構想。そのため、数多くの楽曲がドラマの挿入歌として登場し、ドラマの特大ヒットとともにタイ国内だけでなく、世界中にファンが急増中。日本では2021年6月に映画『2gether THE MOVIE』も全国公開された。2021年、7月14日にアルバム『Songs In 2gether』をリリース。InformationNew Release『Songs In 2gether』(収録曲)01. Khu Kan (Soulmate) <Together>02.Khamtop (Inside) <Answer>03.Klai (Closer) <Close>04.Thuk Yang (Everything)05.Khao Kan Di (Click)06. Khon Ni (The One) <This Person>07. Luek Luek (Deep)08. Hai Thoe (Always) <To You / For You>09. Rak Ni Ran (Eternal Love)10. Kho (Only You) <Wish>11. Roiyim (Your Smile) <Smile>12. Thoe Mun Rop Chan Chan Mun Rop Thoe (Universe) <You Revolve Around Me, I Revolve Around You>13. Fon (Rain)14. Ni (Escape)15. Luem (Let It Be)<Forget>16. Kep Man Ao Wai (Forever) <Keep It>17. Phleng Nan Yang Yu (That Song Is Still Here)18. Kep Wai Kap Thoe (The Last Song) <Keep It With You>19. See Scape*内はドラマ『2gether the series』及び『Still 2gether』で使用された英語タイトル名。・その1CD封入特典:初回生産限定封入特典ありCDサイズ・ポスターカード(4種類の内1種ランダム封入/CDサイズ)・その2ストア別特典あり(先着順。無くなり次第終了)限定ストア:UNIVERSAL MUSIC STORE/HMV/TOWER RECORDS全店(タワーレコードオンライン含む/一部店舗除く)/その他店舗/Amazon.co.jp*詳しくはScrubb公式サイトをご確認ください。2021年7月14日発売UICE-1208¥3,300 (税込)取材、文・かわむらあみり
2021年08月20日【音楽通信】第84回目に登場するのは、とびきりの笑顔や元気とともに歌やダンス、圧倒的なライブパフォーマンスを届け絶大な人気を誇る、ももいろクローバーZの高城れにさん!アイドルを目指したのはテレビアニメの影響【音楽通信】vol.84歌はもちろん、アクロバティックなダンスも披露するライブパフォーマンスが絶大な人気を誇るガールズユニット「ももいろクローバーZ」、通称“ももクロ”のメンバー、高城れにさん。高城さんは、2015年から毎年ソロコンサートを開催し、2020年にはドラマで初主演を果たすなど、ももクロとともにアイドルシーンにおいて、トップを走り続けています。そんな高城さんが、2021年8月18日に1stソロアルバム『れにちゃんWORLD』をリリースされたということで、お話をうかがいました。ーーまずは、高城さんが幼少期に憧れていたアイドルや聴いていた音楽からお聞かせください。小さい頃から、いろいろな音楽を聴くことが大好きで、モーニング娘。さんに憧れていました。「アイドルになりたい」と思ったきっかけは、テレビアニメ『きらりんレボリューション』(テレビ東京系 2006〜2009年放送)です。アイドルを目指す主人公の月島きらりちゃんが大好きで、このアニメでアイドルという職業を知ったんです。でも、もともと歌がすごく得意だったわけでもなく、どちらかといえば苦手だったんですが、自分ひとりで歌うことは好きでした。そこから私自身もアイドルを目指すようになって、中学2年生のときにスカウトされて、その頃「月島きらりちゃんのようなアイドルになれたらいいな」と思っていたタイミングで、ももクロをやらせていただくことになりました。いまも音楽はジャンルにこだわらずに、アイドルソングやロック、洋楽も邦楽も聴いています。もともとソロコンサートを始めるにあたって新曲を作ったり、歌詞を作ったりする機会もあって、これまでに聴いてきたいろいろな音楽や歌詞から、影響を受けていると思います。ーーでは、ももクロとしての活動状況は現在、いかがでしょうか。2019年にリリースした5thアルバム『MOMOIRO CLOVER Z』以来、2年ぶりになるオリジナルアルバムを今年の冬にリリースすることが決まっていて、いまはそのアルバムの制作も始まっています。ソロ作は“心の味方”としてそばにおいてほしいーー2021年8月18日に、1stソロアルバム『れにちゃんWORLD』をリリースされましたね。実は今年、ソロアルバムが出せるとは思っていなかったんです(笑)。でも、ありがたいことに、ソロコンサートもたくさんやらせていただいていて、ソロ曲もアルバムが1枚できるぐらい作っていただいていて。昨年、うちのグループの佐々木彩夏がソロアルバムを出させていただいたんですが、ファンの方からちらほら「次はそろそろ、れにちゃんのソロアルバム出さないかな?」というお声をいだだいていました。「いつかみなさんのお声にお応えしたいな」とはずっと思っていて、自分でもアルバムを出せたらいいな、そしてソロ楽曲も増やしたいなと思っていたんです。ちょうど今年のソロコンサートが終わったタイミングで、今回のソロアルバムのお話をいただいて、本当に夢のようでしたね。普段はグループで活動しているので、ソロでアルバムを出すというのはまた違った感動があって、それこそアルバムは形として一生残るもの。ジャケットや楽曲など、いろいろなことにこだわって作りたいなと思い、制作しました。ーー今回、新曲が3曲あります。リード曲で1曲目となる「SKY HIGH」は爽快な夏曲ですね。自分自身で聴く曲はポジティブな歌詞と曲調のものが多くて、元気がないときはそういう曲に元気づけられてきたので、やっぱり自分で曲を出すときも明るい雰囲気にしたいと思って作ったものです。いまはとくにコロナ禍でみなさん元気がないときでもあるので、この曲で少しでも元気になってもらいたいということと、発売が8月で夏なので、夏らしい前向きな曲にしたくて。そしてイメージとしては、飲料系のCMソングに使われているような爽やかなものがいいなと、曲を作る段階でスタッフの方に相談しました。ーー新曲の7曲目「Voyage!」はシティポップ風な印象もあります。この曲は、「SKY HIGH」に比べたら、大人っぽい感じのかっこいい曲にしたかったんです。ポジティブな印象の曲というところは変えたくなくて、でもそれだとテイストが似てしまうので、ポジティブのなかにもみんなが少し持っているであろうネガティブな気持ちも入れてみました。歌詞でいうと、元気が出ない日もあるよねと落ち込む気持ちを肯定しつつも、どんなときも笑顔でいたいというニュアンスも入っています。みなさんにもきっと共感してもらえるような歌詞になったのではないかと思います。未来へ舵を切ろうという、人生を船旅にたとえたような感じで、この曲のミュージックビデオも航海風なものになっています。ーー新曲の11曲目「何度でもセレナーデ」は、アニメ『鬼滅の刃』主題歌「紅蓮花」を作曲した草野華余子さんが作詞作曲したミディアムバラードですね。そうなんです。他の新曲2曲がけっこうアップテンポな楽曲なので、この曲はしんみりしすぎない程度のバラードがいいなとお伝えして、いただいた曲です。恋人や友達、家族といった大切な人へ向けた、さまざまな状況の方に共感してもらえるような歌詞になっていて、それぞれの立場で受け取っていただければといいなと。そして歌詞の1番には、いまのコロナ禍で私が思ったことも入っていて。あまり会えないみなさんへ向けて、何度でも歌にのせて想いを奏でるよ、というメッセージや気持ちがこもっています。ーー過去のももクロのアルバムに収録されていた高城さんのソロ曲や、配信既発曲などもソロアルバムに収録されていますね。3曲目「恋は暴れ鬼太鼓」と4曲目「津軽半島龍飛崎」は、「-NEW RENI ver.-」となっていますが、以前との違いはどのあたりでしょうか。ニューバージョンになっている2曲は演歌なのですが、正直、そこまで変わってないんです。でも、もう10年以上前に録ったものですから、自分の中では声が変わっていたり、表現の仕方が変わっているんじゃないかなという意味で、新しく録り直したいと相談しました。自分自身でも未知なる挑戦でしたが、どんなふうに変わっているか、その成長過程の聴き比べも、みなさんに楽しんでいただきたいですね。ーージャケ写はどのようなコンセプトなのでしょうか。実は私のソロコンサートにしても“その年の等身大の私を見せる”ということが、しいて言えばコンセプトなので、ソロアルバムについても、いまの私をお見せする感じです。ポップな歌やかっこいい歌、演歌とジャンル問わずなので、そういう楽曲たちをおもちゃに例えて、おもちゃ箱をひっくり返したようなイメージ。夢の国があるとして、行けるとしたら、大人も子どもも関係なく、ワクワクした気持ちになるじゃないですか。そのおもちゃ箱とワクワク感をこのアルバムで表現したいと思っているんです。ーーボーナストラックに、お笑い芸人の永野さんと歌詞を共作され、ヒャダイン(前山田健一)さんが作曲された「ユーアノッアロン」も収録されています。以前、千鳥さんの番組で、永野さんと高城さんがコントをしている場面も観させていただきましたが、おふたりで組んだきっかけはなんですか。私がお笑い好きなことはもちろん、もともと永野さんが私たちの初期からやっているレギュラー番組『ももクロChan~Momoiro Clover Z Channel~』(テレビ朝日の動画サイトのオリジナル番組)に、ゲストとして来ていただいたことがきっかけですね。実はあまり覚えていないんですが、番組で永野さんがネタを失敗して凹んでいたときに、私が「元気出して、笑顔だよ」と話しかけたことで永野さんも私のことを気にかけてくれるようになって。永野さんからお誘いいただいて、アイドルと芸人さんのコントライブはいままでないですし、面白いんじゃないかと思ってコントをすることになりました。年に1回、永野さんとふたりでコントライブをさせていただいて、もう、4、5回になりまね。ーーお忙しいなかでコントに挑戦というのは、なかなかハードルが高そうな印象もありますが。でもすごく、普段とは違うことをやっていて新鮮ですし、もとをたどれば見せ方や表現の仕方の追求にもなって、永野さんとのライブは勉強になることばっかりなので、毎年私楽しみにしています。ーー―『れにちゃんWORLD』は、どのように聴き手に届いてほしいですか。いまはこういう時期なので、私自身もそうですが、凹むことやうまくいかないことが、例年よりあると思うんですね。そんなときに“心の味方”として、このアルバムがそばにあってほしいなって思いますね。「いろいろなお仕事に挑戦してお芝居もやりたい」ーーお話は変わりますが、普段、プロポーションをキープするためにしていることはありますか。スタイルキープは私自身、あんまりできていないところがあるんです。やっぱり食欲には勝てないじゃないですか(笑)。疲れちゃった、失敗したというような日はめちゃくちゃ食べちゃいますし、スタイルキープできているかいなかというと、ちょっとアヤシイところ。でも、一応気にしているのは、食生活です。カロリーをとりすぎないように、家では0カロリーのお砂糖を使っていたり、お米には「マンナンごはん」という、コンニャクのお米をとりいれていたり。お米を炊くときに、白米とマンナンごはんを半分ずついれて、カロリーハーフのごはんを食べていますね。ーー美容面ではいかがですか。私、美容が大好きで、情報を共有するのも好きなんです。いろいろなものを自分で試してみて、よかったもの、ちょっと合わなかったものと、確かめてみたり。私が合うものでも他の人には合わないことやその逆もあって人それぞれだと思うので、お友だちと美容情報を交換しています。でも、まわりから私に一番多い質問というと、髪の毛なんですよね。このロングヘアをどうやってキープしているのかという。本当に、髪だけは恵まれているなって感じるので、髪のケアにはこだわっています。ーーどのようにケアをされているのですか。自分に合うこだわりのシャンプーをずっと使っています。そのシャンプーをした後に、シャンプーとトリートメントの間にやるトリートメントがあるのでそれをやって、5分おいて。さらにそこからトリートメントをして、その後はさらにヘアパックをします。ーーそれを毎日?毎日やっています(笑)。お風呂から出たら、洗い流さないトリートメントを髪全部につけて、乾かしたあとに、さらにオイルをつけています。ーーすごいです、アイドルの鑑ですね。ちなみに、今回のアルバムは夏の発売ですが、高城さんが“夏に必ずすること”があったら教えてください。季節もの、王道なものは、必ずやっています。夏だと、花火や、おうちで家族でバーベキューしたり。昨年は、おうちで夏祭りごっこをするために、屋台みたいな雰囲気を出して、打ち上げ花火の音だけかけてみたり。外出自粛中でも楽しめますよ。もしコロナ禍じゃなければ、夏は海へ行ったり、それこそ小学校の頃は毎年、キャンプに行っていたり。でもキャンプに行く前は、必ず、熱を出すんですが(笑)。ーーかわいいです(笑)。高城さんはけっこうアクティブなんですね。わりとそうですね。小さい頃は、夏に登山もしていました。最近はYouTubeで、海の定点カメラを観ることにハマっています。おすすめですよ。ーーでは最近ハマっているものといえば、定点カメラの映像ですか?定点カメラと、映画やアニメ鑑賞ですね。映画は、おしゃれな『キューティ・ブロンド』とか『ココ・シャネル』、アクションスリラー映画の『イコライザー』とか『デンジャラス・ラン』とか、いろいろなジャンルを観ますね。観た作品はほぼ全部、ストーリーがどうだったか、一番印象的だったセリフは何かなど、メモをとっています。ーーそして、6月21日で28歳、おめでとうございます。この1年で今後、プライベートでやってみたいことはありますか。いっぱいありますが、美容について極めたい、勉強したいですね。あと介護福祉にも興味があるので、その勉強もしたい。これはプライベートになるのかどうかわかりませんが、モノノフ(ももクロのファンの方の呼称)さんの女の子たちと、ゆるっと美容のことについて、配信だったりチャットだったりしてみたいです。あとは御朱印帳を集めているので、緊急事態宣言があけたら、歩ける範囲のお寺や神社を全制覇して、御朱印を集めたいですね。ーーこれまでに参拝して印象深かった神社仏閣はありますか。私がずっとお世話になっている神社があって、神奈川県の江の島にある、芸能の神さまがいらっしゃる、江島(えのしま)神社です。地元が横浜で神奈川県なんですが、小さいときから江ノ島方面に行くことも多くて、いまの事務所に入る2、3年前から江島神社に行き始めたんです。そこからことあるごとに、例えば大きなライブの前などは、必ず江島神社に「成功しますように」とお参りに行っていて。ライブが終わったら、お礼参りに行くということを毎年恒例でやっています。ーーいろいろなお話をありがとうございました。では最後に、高城さん個人として、ももいろクローバーZとして、今後の抱負をお聞かせください。個人としては、いろいろなお仕事に挑戦したいですし、まずはこのソロアルバムをたくさんの方に聴いていただきたいなと思います。そして個人的には、お芝居のほうもやってみたいなという願望があります。グループとしては、私たちの売りでもあるライブが昨年はあまりできなかったぶん、今年はもっとやりたいなと。ももクロとして冬にアルバムもリリースする予定なので、いろいろな方に、私たちの想いを届けたいですね。取材後記国民的アイドルグループ、ももいろクローバーZのメンバーであり、初めてのソロアルバムをリリースされた、高城れにさん。今回はリモートインタビューをさせていただきましたが、その際につけていたマスクが高城さんのイメージカラーの紫色だったのでそのことをたずねると、「今日たまたま紫色なんですよ」と、(見えている瞳が)ニッコリ笑顔ではにかむ姿がとってもキュートで素敵でした。そんな高城さんの1stソロアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり高城れにPROFILE1993年6月21日、神奈川県生まれ。百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人によるガールズユニット「ももいろクローバーZ」、通称“ももクロ”の最年長メンバー。イメージカラーは、紫色。2015年から、毎年3月9日に高城のソロコンサートを開催。2016年より、文化放送のラジオ番組「高城れにの週末ももクロパンチ!!」(毎週土曜17:00)をレギュラー担当中。2020年、よるドラ『彼女が成仏できない理由』(NHK総合)で初主演(森崎ウィンとともにW主演)。2021年8月18日、高城の1stソロアルバム『れにちゃんWORLD』をリリース。ももいろクローバーZは、次世代の新人プロジェクトとして2008年春に結成。ストリートライブを出発点に活動を開始し、2009年8月にシングル「ももいろパンチ」でインディーズデビュー。2010年5月にシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビュー。以降もコンスタントに作品を発表し、メンバーの身体能力を活かしたアクロバティックなダンスやバラエティタレント顔負けのトークによってライブ会場を盛り上げ、次第に個性的なグループとして頭角を現す。2021年冬、6thアルバムのリリースを予定している。InformationNew Release『れにちゃんWORLD』(収録曲)01.SKY HIGH02.じれったいな03.恋は暴れ鬼太鼓-NEW RENI ver.-04.津軽半島龍飛崎-NEW RENI ver.-05.Dancing れにちゃん06.Tail wind07.Voyage!08.しょこららいおん09.まるごとれにちゃん10.『3文字』の宝物11.何度でもセレナーデ12.spart!13.everyday れにちゃん14.一緒に<ボーナストラック>15.ユーアノッアロン*以下、初回限定盤のみ収録。[Blu-ray]新曲MUSIC VIDEO「SKY HIGH」「Voyage!」2曲「CongratuRenichan~The 02 season 2020~」-LIVE VIDEO-01.Dancing れにちゃん02.Ride on time03.キューティーハニー04.ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)05.VALENTI06.タマシイレボリューション07.everyday れにちゃん「まるごとれにちゃん0202スプリングツアー2021」-LIVE VIDEO (Edit ver.)-01.一緒に02.まるごとれにちゃん03.春夏秋冬04.spart!05.しょこららいおん06.笑―笑 ~シャオイーシャオ!~07.GODSPEED08.全力少女09.未来へススメ!10.everyday れにちゃん11.Tail wind[れにちゃんWORLD SPECIAL BOOKLET(44P)]Special Photo100 Questions!!-Fromモノノフ-What’s in Renichan’s bag?DiscographyInterviewRenichan Playlist2021年8月18日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)KICS-4016(CD)¥3,080(税込)(初回限定盤)KICS-94016(CD+Blu-ray)¥9,000(税込)取材、文・かわむらあみり
2021年08月19日【音楽通信】第83回に登場するのは、世界に羽ばたく人気急上昇中の7人組実力派ダンス&ボーカルグループ、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE(バリスティックボーイズ・フロム・エグザイル・トライブ)のみなさんです!初の単独ツアーを完走してファンと絆が深まった写真左から、砂田将宏、深堀未来、海沼流星、日髙竜太、加納嘉将、松井利樹、奥田力也。【音楽通信】vol.832018年に結成された、EXILE TRIBE初のメンバー7人全員がマイクを持ち、ダンス、ボーカル、ラップを披露し、さらにアクロバットもできる身体能力を備えている実力派ダンス&ボーカルグループ、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE。2019年のメジャーデビューアルバム『BALLISTIK BOYZ』はさまざまなチャートで1位を獲得し注目を集め、マレーシア、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムなどでのプロモーションツアーを行うなど、以降も力強い楽曲とライブパフォーマンスで活動の場を世界に広げています。そんなBALLISTIK BOYZ from EXILETRIBEが、2021年8月4日に4枚目のシングル「SUM BABY(サマーベイビー)」をリリースされるということで、メンバー7人全員にお話をうかがいました。――今年でデビュー3年目となりましたね。3年目というと区切りの年といわれたり、もう新人ではなく後輩を育てる側になったりもしますが、みなさんはいかがですか。松井利樹気持ちとしては、まだ新人のままですね。EXILE TRIBEの中では、僕らは1番下の世代になるグループなので、先輩方に1日でも早く追いつけるようにと思っています。ライブにおいても、先輩方と同じステージに立たせていただけることが毎回ありがたく感じているので、そういう意味ではまだまだなのかなと。初心を忘れずにいたいですね。砂田将宏全体のライブでもグループでも僕は最年少になるので、逆に今後、もし後輩ができたときにどんな感じになるんだろうなって。できれば、ずっとこのまま最年少というポジションでいたいぐらいですね(笑)。――2021年3月からは「BALLISTIK BOYZ PROLOGUE LIVE TOUR 2021 “PASS THE MIC” 〜WAY TO THE GLORY〜」と題した有観客の公演を行いましたね。深堀未来本当は昨年行う予定だった公演が中止になって、単独ツアーは念願だったので、楽しみにしていたぶん中止になったことがとても悔しくて。でも、こうして今年公演できるようになって、学ぶことがたくさんありました。常に成長することをテーマにやってきたので、このツアーはまた次につながるような大きな経験になりました。奥田力也昨年は3公演しかできなかったので悔しかったですが、今回全国でパフォーマンスできたことで、自分たちもまた新しく成長できた部分もあって。何よりも、各エリアで、観に来てくださる方々に会いに行くことができて、すごくうれしい気持ちでいっぱいでした。加納嘉将コロナ禍ということで制限もありながら、ライブに来たくても来られなかった方もたくさんいたと思うんです。そのなかでも来てくださった方々への感謝もありましたし、会場では声が出せないなかでも観てくださっていて、ライブ中もそんなみなさんの思いを感じていましたし、「全力でやろう」という思いで臨みました。ようやく東京公演までできたことがすごくうれしかったですね。日髙竜太今回、キャパシティも観客50パーセント以下といったさまざまなルールのなかで開催されたのですが、LDHの今年のテーマである「日本を元気に」という目標と、エンターテインメントの復活を目指したライブでした。いま発表されている東京公演まではなんとか完走することができて、素直にうれしい気持ちと、ひと安心している気持ちがあります。実は、こういった状況下でライブをすることにいろいろな不安もあったのですが、実際にやってみると、本当に良い手応えを感じて。ライブが成立したこと、何よりLDHのファンのみなさんのルールを守る姿勢や団結力もすごく感じて、より僕たちとみなさんの絆も深まりました。各エリアをまわって、全公演とも良い空気感のなかでライブを終えることができたので、それは今後の自分たちの活動にも、良い影響があるんじゃないかなと。開催して、本当に良かったです。新曲はメンバーの仲の良さもわかる楽しい夏曲日髙竜太(ひだかりゅうた)。1996年1月11日、宮崎県生まれ。2014、17年とVOCAL BATTLE AUDITION 4と5のヴォーカル部門に2度挑戦し、ともにファイナリスト。2018年グループ加入。――2021年8月4日に、夏にぴったりのキャッチーなナンバーとなる4thシングル「SUM BABY」をリリースされますね。砂田2020年8月に配信したサマーソングとなるシングル「SUMMER HYPE」が好評だったので、「今年の夏も前作を超えるようなものをリリースしたい」という思いがみんなにあって、今回この楽曲ができました。とある夏の1日のストーリーを歌にしたような楽曲になっているんですが、前作は女性に向けて歌っている感じがあるなか、今作は友だちやメンバーと夏を楽しんでいるような“仲間感”の強い内容で、BALLISTIK BOYZの仲の良さや関係性も表せるような楽曲になっています。砂田将宏(すなだまさひろ)。2000年5月17日、大阪府生まれ。2014〜17年、PROJECT TAROのメンバーとしてNY留学。帰国後、グループに加入。海沼流星夏は、ワクワクするような遊びたい時期でもあるので、「今年の夏は何かがあるかもしれない」という期待を膨らませながら、楽しみにしていただけるような曲になるのかなと。この曲を聴いて、より充実した夏を過ごしていただけるのではないかなと思います。松井「SUM BABY」はひとりでも、仲間や友だち、恋人など、誰と聴いても楽しい楽曲。そこはこの曲の強さでもあり、おすすめポイントでもありますね。加納嘉将(かのうよしゆき)。1996年9月10日、宮城県生まれ。2017年、VOCAL BATTLE AUDITION5のヴォーカル部門でファイナリストを経て、グループに加入。奥田今回の歌詞は、ストレートな思いもつめこんでいますし、あまりいろいろと頭で考えずに“ただ夏を楽しむ”というイメージです。ミュージックビデオも、自分たちが遊んでいる映像も多くて、休みの日に「ああいうことしたいな」「こういうことしたいな」というものを全部、取り入れているんです。そういった意味では、より自分たちがオフのときにガムシャラに楽しんでいる感じが楽曲にも詰め込まれています。聴いていただけると、すごく明るくて、「夏が来たな」と感じる曲になっていますね。日髙昨年の「SUMMER HYPE」が好評でたくさんの方に届いた楽曲で、また1年後にこうしてサマーチューンをリリースすることになって、楽曲制作やレコーディングやミュージックビデオ撮影もすべて、前作を超える思いで作らせてもらったので楽曲の良さはもちろんとして、今作に自信を持っています。海沼流星(かいぬまりゅうせい)。1999年6月19日、神奈川県生まれ。2017年、VOCAL BATTLE AUDITION 5のRAP部門ファイナリスト。2018年に加入。ミュージックビデオについても、いままでのBALLISTIK BOYZの雰囲気とは違った作品になっています。監督さんにも「こういうミュージックビデオにしたい」「こういうカットを増やしたい」など相談しながら作り上げたので、みなさんにも楽しみにしていただきたいですし、今年は「SUM BABY」で夏の思い出を作っていただけたらと思っています。――2曲目「HANDS UP」は、ツアー「PASS THE MIC」で初披露された楽曲だそうですね。砂田はい、単独ライブツアーのために作られた楽曲です。昨年、初の単独ツアーが中止になってから、オンラインでライブをしたりといろいろなかたちでコネクトしていったんですが、それでも直接みなさんにライブをお届けできないジレンマも経験して。あらためて、ファンのみなさんがいるからこその自分たちということを感じて、その思いを一番ストレートに歌詞にした楽曲ですね。深堀未来(ふかほりみく)。1999年7月1日、東京都生まれ。2014〜17年、 PROJECT TAROのメンバーとしてNY留学。帰国後、グループに加入。日髙実際にライブをやってみて、最後にこの曲をパフォーマンスしたときに、会場に来てくださったみなさんが涙を流してくださっていて、「この歌詞が届いているんだな、みんな同じ気持ちなんだな」と実感しました。ファンのみなさまと通じ合えたと感じましたし、歌詞のなかでも「君の待つ 約束の舞台で」というフレーズがあるんですが、それは日本のファンのみなさんはもちろん海外のファンのみなさんともつながっていたいという思いがこもっています。2019年は東南アジアでプロモーションツアーをしてきましたし、自分たちなりに各国の方々と常にコミュニケーションをとってきて、僕たちのことを応援していただけるよう頑張っているので、「自分たちが世界をまわってこの曲とともにひとつになれたら」と、国内だけでなく海外の方のことも思いながら歌っています。――3曲目「Blow Off Steam」はクールなテイストですが、どのようなイメージで歌っていますか。砂田これもツアーのために作られた楽曲でして、タイトルには「発散する」というような意味があります。これまでやりたいことができなかった期間があって、やっとツアーができるようになったという、いままでためてきたものを爆発させるといったテーマや思いがあって作られた曲なので、力強いものになっていますね。奥田力也(おくだりきや)。1999年10月12日、大阪府生まれ。22014〜17年、 PROJECT TAROのメンバーとしてNY留学。帰国後、グループに加入。日髙ライブで1曲目に披露するために作られた楽曲なので、いままでのうっ憤を晴らす勢いが表現されていますし、歌っていると、やっぱり気持ちがすごく高ぶります。いままでたまっていたものを自分たちなりに表現しようと思いましたし、ライブでは「やっとみなさんに会えた」という感覚で歌っていました。――4曲目「Chasin’」は、海沼さん、奥田さん、松井さんが作詞作曲で参加していますね。海沼今年の2月にリリースした3枚目のシングル「Animal」に収録した「HIGHWAY」という曲でも、ラッパーチームとして同じこの3人で作っているんですが、「HIGHWAY」につながる楽曲を作りたいということでできた曲なんです。作詞についても、前回と変わらず日本語以外の言葉を取り入れて、3人がそれぞれ得意とする言葉で作りました。「HIGHWAY」は高速道路を走っているような感じで3人の生きざまを描いていたんですが、今回の「Chasin’」は、追いかけ続けるという意味もあるので、高速道路に乗った3人がいまもまだ夢に向かって追いかけている、というイメージのつながりもあります。自分の気持ちや自分とは何かを歌詞で表現しているので、前回はファンの方から「それぞれのカラーが曲に表れていてすごく良い」という評価をいただいていたので、今回もまた、よりいっそうレベルアップした、ラップ3人の楽曲になっていますね。松井利樹(まついりき)。2000年3月26日、福岡県生まれ。2017年、VOCAL BATTLE AUDITION 5のRAP部門ファイナリスト。2018年にグループ加入。松井もともと「この曲を作ろう」と思って作ったのではなく、遊びの延長線上でできた曲です。プロデュースしてくださったO.M.Wさんのトラックの上で、僕たち3人が作詞作曲したラップとフロウをほぼスタジオで作って、参加しました。歌詞も自分たちで書いているので、思いもより表現しやすかったですし、普段伝えたいことを込めています。僕たちを応援してくださるファンのみなさんのことを「BBZ Family」と呼んでいるんですが、歌詞にも「愛する Family なら BBZ Family」と入れて、曲を通して自分たちの気持ちを伝えられたので、よりリアリティがありますね。奥田トラックをプロデュースしていただいたO.M.Wさんからも、好きにやっていいよという感じだったので、この曲で自分たちの求めている音になるように、想像を超えるくらい気合をいれて頑張ろうと思ってできた曲なんです。だから自信のある曲になりましたし、他のメンバーにも「あの曲いいね」って言ってもらえてうれしかったので、きっとファンのみなさんにも、このよりヒップホップテイストの楽曲で新しい僕たちを見ていただけるのかなと思います。国民的なスターになって世界でもトップになる――今回の新曲はサマーチューンでしたが、夏といえば、みなさんが必ずすることはありますか。松井僕は“エアコン強”ですね。湿気アレルギーで、ちょっとでも暑いとだめなので、夏の暑さ対策に僕は“エアコン強”です(笑)!加納わかるわ(笑)。海沼ドライブとか、海へ行くとか、夏にしかできないことってワクワクします。砂田海はいいね。奥田夏といえば、僕は日焼けします。深堀日光浴?奥田そう、それこそ休みの日には、川沿いに行ってひとりで服を脱いで、太陽を浴びながら動画を観たり。ひとりの時間はそうやって過ごすことが多いですね。深堀僕は、全裸で筋トレですね。奥田しないだろ(笑)。日髙一番しない(笑)。深堀嘘です(笑)。やっぱり、炎天下の中の投げ込み、野球です。これはガチです!趣味は仕事と野球なので、晴れている日は野球がしたくなりますね。加納夏が大キライなんですよ(苦笑)。ずっとクーラーがかかった部屋にいたい。涼しい部屋から出前をとったり、買い物もネットでしたり。深堀僕は、外出して帰ってきたらクーラーがよくきいているように、そのためにクーラーをつけっぱなしにして出たりするね。うちは実家が花屋だったから、花のためにいつもクーラーがかかっていたから最高だった。加納それはよく冷えてるね。奥田涼しいね、それは。日髙僕はもう、海、川、バーベキューですね(笑)! この状況下なので今年は行けるかわからないですが、願望としては、キャンプをやってみたい。よくキャンプの動画を観ているんですが、ひとりキャンプはキツいから、行くなら誰かと(笑)。――では女性の夏服で、こんな服装だとすてきだな、と思う格好はありますか。松井裸足……。サンダルとかいいんじゃないですか。海沼夏って、他の季節より肌を露出することが多いので、ワンピースとかミニスカートはすてきかも。砂田そうだね。夏らしい感じの服がいいな。日髙アレはなんでしたか、サマーニット感のある、ピチッとした服。奥田お腹出してるやつかな、タンクトップみたいな。日髙ああ、それでもいいね(笑)。奥田夏といえば、キャミソールは萌えますね。加納僕は、浴衣。家にいながら、夏祭りから帰ってくる浴衣姿の女性を見るのは好きですね。「ああ、お祭りに行ってたのかな」とか思って(笑)。日髙祭り、行きたいなあ。――いろいろなご意見ありがとうございました!では最後に、BALLISTIK BOYZとしての今後の目標をメンバーを代表して、砂田さんと日髙さんからお願いします。砂田日本で先輩方のようにステージに立ったり、国民的なスターになったりすることはもちろんひとつの夢です。僕たちは、さらに世界進出を目指していままで活動してきたので、世界的なスターになりたいですね。日本人といえば、日本のグループといえば、BALLISTIK BOYZといわれたいですし、世界で活躍できるようなグループになっていきたいと思っています。日髙彼が言ってくれた通り、僕たちはLDH、EXILE TRIBEの中で代表として、世界で闘っていきたいと思っています。そして良い意味で、先輩たちとは違った形を築いていきたいという思いも持っていて、変な意味ではなく“はみ出し者”というか、先輩方が築いてきたものは受け継ぎながらも、自分たちで新しい道をどんどん切り開いていきたい。先輩たちができなかったことまでも、自分たちが達成していきたいと思っていて、そこは生意気ではあるんですが、それぐらいの覚悟を持っていないと世界では闘っていけないと思っています。良い意味で生意気な感じは忘れずに、常に挑戦者でありたいな、と思っています。日本だけではなく、海外でトップになったら、おのずと日本のトップにもなるという認識で活動していきたいと思います!取材後記破竹の勢いで急成長を遂げている、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE。ananwebの取材時は和気あいあいとしていて、日髙さん、加納さん、海沼さん、深堀さん、奥田さん、松井さん、砂田さんの仲の良さが伝わってきました。次世代を担う世界基準のダンス&ボーカルグループとして、これからの活躍も見逃せません。そんなBALLISTIK BOYZさんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみりヘアメイク・大木利保、藤原早代、中山伸二、富樫明日香(CONTINUE)BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEPROFILE2018年4月にグループを結成。日髙竜太、加納嘉将、海沼流星、深堀未来、奥田力也、松井利樹、砂田将宏の7人によるダンス&ボーカルグループ。武者修行を経て、2019年5月にアルバム『BALLISTIK BOYZ』でメジャーデビュー。同作はオリコン週間アルバムランキング、 Billboard JAPAN Top Album Sales / Billboard JAPAN Hot Albums、 Spotifyのバイラルチャートで1位を獲得し、注目を集める。これまでにアルバム1枚、シングル3枚をリリース。2021年3月から6月まで、単独全国ツアー「BALLISTIK BOYZ PROLOGUE LIVE TOUR 2021 “PASS THE MIC” ~WAY TO THE GLORY~」を開催。6月23日、BALLISTIK BOYZも参加したアルバム『BATTLE OF TOKYO TIME 4 Jr.EXILE』をリリース。8月4日、BALLISTIK BOYZ from EXILETRIBEの4thシングル「SUM BABY」をリリースする。InformationNew Release「SUM BABY」(収録曲)01. SUM BABY02. HANDS UP03. Blow Off Steam04. Chasin’05. SUM BABY(Instrumental)06. HANDS UP(Instrumental)07. Blow Off Steam(Instrumental)08. Chasin’(Instrumental)2021年8月4日発売*収録曲は全形態共通。(CD)RZCD-77385¥1,500(CD+DVD)RZCD-77384/B¥4,950[DVD内容]SUM BABY Music Video「BALLISTIK BOYZ PROLOGUE LIVE TOUR 2021 “PASS THE MIC” 〜WAY TO THE GLORY〜」LIVE & DOCUMENTARY写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2021年07月31日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第30回は、残念ながら離婚することになったかたから、身近でよく耳にしたその理由を3つご紹介します。1.何も考えずに結婚したから【ママライフばんざい!】vol. 30運命の人と出会い、そのままハッピーに暮らすこともあれば、そうではない場合もあります。年を重ねていくにつれて、離婚する人たちは増えていきます。いまは多様化の時代ですから、その人にとってよりよい人生の選択が離婚であるならば、それはそれでよいことですよね。とはいえ、よく耳にする離婚理由のひとつめは、残念ながら「勢い」。恋人同士のときは、結婚してからの「生活」がどうなるのか、あまり何も考えずに結婚してしまったということ。好きな気持ちが強くて結婚したものの、経済力のない夫に苦労したとか、義両親との関係性がうまくいかなくて、勢いで結婚したことを後悔するといったこともあるかもしれません。ただ、結婚にはいろいろなタイミングや勢いが重要ともいえるので、勢いで結婚することがよくないこととはいえません。ですが、勢いで結婚した人は、同じく、勢いで離婚してしまうというパターンも。いずれにしても、夫婦になれば、恋人同士のときのように会いたいときだけ会えばいいというスタンスではなくなりますから、勢いを持ちつつも“その後”のことをできるだけ考えておけるといいですよね。2.頼れる年上だと思っていたから同世代婚はもちろん、最近では男性が女性よりも年下というパターンも増えてきましたが、昔から一番多いパターンは、年上の男性に憧れを抱く女性です。恋人同士ならまだしも、結婚するとなると、年上のほうが経済力もあって、頼りがいがあると思いますよね。でも、それが勘違いだった…と気づいて、離婚することも。経済力があるタイプの男性は仕事に精を出しているわけで、結婚するとほとんど家にいない、子どもが生まれてもワンオペになりやすいといった特徴があります。ワンオペになっても経済力があれば、ベビーシッターや家事代行を頼める家庭もあるかもしれませんが、そこまでの余裕がある場合はそれほど多くはなく、また頼めたとしても、それで心の寂しさが満たされるわけではありません。さらに、年上=甘えられると思っていた場合、結婚してみたら全然頼りがいがないとわかったり、ほとんど妻がなんでもしてあげなくてはいけなかったり。それに年上だからといって、しっかりしているとは限りません。年下だって、頼りがいのある男性はたくさんいますので、要はその人の性格によるもの。そのことに気づいた頃には、どんどん嫌気がさしてきて、ついに離婚ということもあるようです。3.やりたいことができたから結婚して、小さな不満はあるとしても、大きな不満はとくにない、といった場合でも、だからこそふと家庭以外のことに目を向けるきっかけがあったり、結婚後に出会った人たちや環境から、何かの影響を受けることがあるかもしれません。子育てをしていて少し余裕が出てきたときに、子どもに関する仕事が何かできたらと考えたり、結婚後も続けていた仕事でやりがいのある仕事を任されて力を入れたくなったり、何かしらの向上心が芽生えることもあるでしょう。いまは妻が家でじっと夫を待つという家庭のスタイルはほとんど少なくなってきていますし、妻のほうでもやりたいことができたからと、独り身になると気兼ねなく興味のある分野へと向かっていきやすいと考えるところもあるようです。離婚の理由は家庭によってもさまざまですが、もしまだ独身なら、将来の夫を今後見極める参考に、既婚なら我が振り直す参考にしてみてくださいね。みなさんがこれから、すてきなパートナーとよいママライフが送れますように!文・かわむらあみり©JGI/Jamie Grill/Gettyimages©Con Tanasiuk/Gettyimages©A. Chederros/Gettyimages
2021年07月26日【音楽通信】第82回に登場するのは、TVアニメ『うたのプリンスさまっ』シリーズで注目を集め、現在『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』にも出演中の声優であり、ドラマや舞台、アーティスト活動まで七変化の大活躍で魅了する、蒼井翔太さん!初めて買ったCDはバラエティ番組の影響【音楽通信】vol.822011年に声優デビューし、『うたのプリンスさまっ』シリーズの美風 藍役で注目を集めるなど、多くのTVアニメやゲーム作品に出演してきた、蒼井翔太さん。アーティストとしては、2019年に開催したライブツアー全公演で22,000人を動員し、10月発表のシングル「Harmony」はデイリーチャート3 位を獲得。2021年3月に開催された2度目となる日本武道館公演では、歌とピアノのみの構成で無観客オンラインライブを生配信するなど話題を集めています。また、7月6日まで放送されていたMBS/TBSドラマイズム『REAL FAKE 2nd Stage』(MBS/TBSほか)に出演するなど、幅広いジャンルで大活躍中の蒼井さんが、2021年7月14日に13枚目のシングル「give me me」をリリースされるということで、お話をうかがいました。――そもそも蒼井さんが音楽にふれたきっかけから、教えてください。僕がまだ物心つかない頃に、当時は数少なかったカラオケ機器が家にあって、祖母が美空ひばりさんの曲「川の流れのように」を歌っていたことを覚えていて。祖母がカラオケで歌った歌を録音したカセットテープがあるんですが、大人になってからそれを聴くと、歌声とは別に、僕の小さな声も入っていたんです。音楽に出会ったのは、この頃だといえますね。――蒼井さんが幼少の頃に聴いた、おばあさまの歌が音楽との出会いということですが、ではご自身で初めて買ったCDというと?小学生の頃によく観ていたバラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ系 1996〜2002年)で結成された、ウッチャンナンチャンの内村光良さん、タレントの千秋さん、キャイ〜ンのウド鈴木さんのバンド「ポケットビスケッツ」のCDですね。「YELLOW YELLOW HAPPY」(1996年)という曲のCDを初めて自分で買ったのですが、やっぱりテレビの影響は大きかったです。番組を観て、翌日いかに学校でその話ができるか、ということを小学校のときは、みんなで競い合っていました。――そうした時期を経て、2011年に声優デビューされたのはどんな経緯ですか。もともとアニメが好きで、当時はアニソンを歌うアニソンシンガーを目指していて、いまの事務所に入りました。すると、事務所の社長から「あなたの声はとても特殊で個性的だから、声優のレッスンも勉強してみないか」と言われたのが、声優になったきっかけなんです。声優という職業はもちろん知っていましたが、自分の声にコンプレックスを持っていたので、まさか本当に声優のお仕事ができるなんて思ってもいませんでした。だから、レッスンをしたところで声優という仕事に対しては自信が持てないだろうなと思っていながらも、勇気を出して一歩踏み出したんです。――そこから声優としてもご活躍されていますね。本当にありがたいことです。まだ声優として出たばかりの頃は、なかなか受け入れてもらえないこともありましたが、そのなかでも支えてくださる方もいっぱいいました。そんなみなさまや自分の演じたキャラクターたちに、なんとか心を支えられてやってこられたので、応援してくださったみなさんに感謝しています。――アーティストとしては、2016年に初の日本武道館公演を開催され、今年の3月にも同会場で「蒼井翔太 ONLINE LIVE at 日本武道館 うたいびと」を生配信されましたね。無観客でのオンラインライブはいかがでしたか。5年前も、ソロで武道館に立たせていただくことが信じられなくて、プレッシャーがすごくのしかかってきました。でも会場に来てくださったみなさまの声援に支えられて、ステージに立った瞬間から、不安は安心に変わって。緊張感や悪い思考は全部取り除かれて「来てくださったみなさんに歌を届けよう」という気持ちだけが残って、ストレートに歌えた気がします。今年の武道館公演は以前と違い無観客で状況は違いますが、本番が始まると、5年前にみなさまがいてくださった光景を鮮明に思い出しました。頭の中のみなさんと一緒にいるビジョンを思い浮かべて「いまきっと画面の向こうでは観てくれているんだな」と、いままで築いてきたみなさんとの信頼関係が、見えない糸でつながっていることを感じさせてくれた今回の公演でした。「はめふら」と『REAL FAKE』の世界観を凝縮――2021年7月14日に、13枚目のシングル「give me me」をリリースされます。表題曲は7月2日から放送されている、TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』通称「はめふらX」(TBS系 毎週金曜日 深夜1時25分)のエンディングテーマですが、第一期に続いてご担当されるそうですね。第一期は、バンドサウンドでロックに歌い上げる「BAD END」という曲だったので、今回はガラッとサウンドを変えたくて、ダンサブルな打ち込みやデジタル要素を取り入れています。僕は女の子のアイドルグループがすごく好きなんですが、今回打ち込みを曲に取り入れるにあたって、アイドルグループの曲のような要素をサウンドにもフレーズにも入れたくて、意識して作ってみました。なので、蒼井翔太流の初めてのアイドルソング的な楽曲にも仕上がっていますが、キュートでラブリーなだけではなく、「はめふらX」の世界観もグッと詰め込んだ楽曲になっています。――ちなみに、好きなアイドルグループとは誰なんでしょうか?モーニング娘。です。ハロプロ系ですね、すごく好きで。この曲を聴いたり、ミュージックビデオを観ていただいたりしても、モー娘。が好きな方には、曲のテイストからも感じるところがあるかもしれません。――「はめふらX」では前作に引き続き「ジオルド・スティアート」役で声優を務めていらっしゃいますが、ストーリーや役柄についてもお話しいただけますでしょうか。乙女ゲームの世界の悪役令嬢、カタリナ・クラエスに転生したオタク女子が、自分の破滅エンドを回避するために奮闘する物語で、そのカタリナの唯一の婚約者で王国の第三王子が、僕が演じているジオルド・スティアートです。カタリナは、男女問わずまわりのひとたちを虜にしてしまうキャラクターで、話が進むにつれてジオルドのライバルがどんどん増えていくんです。なので、他の人に奪われないように、愛する人のために裏で作戦を立てたりする、腹黒だけど純粋な思いもある、かわいい王子だと僕は感じています。そのジオルドという役の気持ちもしっかりと詰め込まれている曲なので、愛が強い楽曲ですね。――さわやかでキャッチーな3曲目「Baby Steady Go!!」は、ゲーム版の『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… ~波乱を呼ぶ海賊~』オープニングテーマなんですよね。そうなんです。「はめふら」がゲームになりまして、「Baby Steady Go!!」を使っていただいて。まだゲームの内容は、ボイス収録をしていないので詳しくはわからないのですが、サブタイトルに「波乱を呼ぶ海賊」とついているだけで、「海賊」と聞くと大海原で大航海して、水平線の先に何が待っているのかと期待する感じがあふれてくると思うんです。そんなワクワクをつめこみたくて、イントロからみなさんにも楽しんでいただけるようにという思いをこめて制作しました。――2曲目「硝子のくつ」は蒼井さんが作詞、作曲されたアグレッシヴなナンバーですが、蒼井さんご自身がご出演されていたドラマ『REAL FAKE 2nd Stage』のエンディングテーマでしたね。ドラマは数多く経験させていただいているわけではないですから、貴重なひとつずつのシーンの撮影で、プレッシャーを自分に与えながらも、まだまだ慣れないところもありました。前作から引き続き「朱音(あかね)」という役をやらせていただいて、レコード会社の社長に就任して、新しく入ってきたユニットの「ASTRA RING」をプロデュースするところから、物語は始まります。朱音たちにどんな困難が降りかかってきても、自分が守りたいと強く思うものを守るためには、ストレートにそれを行動に移すこともできるけれど、人や立場によっては何かを演じなくてはいけないときもあって。例えば会社の上司の方は下の方たちをなんとか守ろうとか、いろいろなものを動かすためには、いやな人を演じるときもあると思うんです。まわりになんと言われても、最後までやりぬく意志を貫くというか。そんな朱音の強い決意をこの曲には詰め込みましたし、作品の枠をこえても、響く方もいるんじゃないかなと。タイトルの「硝子のくつ」の意味は、シンデレラがモチーフになっているところもあって。リアルとフェイクを色に例えると、白と黒だとして、まざると灰色になるじゃないですか。その灰色から灰を想像すると、灰をかぶるシンデレラが想起されました。シンデレラは最初灰かぶりだけど、本当のみすぼらしい姿は見せずに、魔法で姿が変わって、舞踏会では美しく演じるわけですよね。でも魔法がとけて、王子さまが探しにきてくれたときに、やっと本当の自分の姿を見せる。そんなシンデレラのお話のリアルとフェイクが、この曲の要素になっている部分もあります。大切な人たちを守りたいという朱音の強い意志を「硝子のくつ」を履き続ける、という歌詞にしてこの曲に表しています。――2.5次元舞台でも活躍されているキャストの方たちとも共演されていましたが、現場で印象的だったことはありますか。今回、前作ほど本編で絡むことはなかったんですが、現場が一緒だったのは荒牧慶彦くんや、和田雅成くんといった、ドラマのなかのユニット「Stellar CROWNS」のメンバー。ドラマのオープニングで流れているダンス映像を「Stellar CROWNS」として、みなさんが撮影されていたんですが、休憩中も大きな鏡のある楽屋で振り付けを確認しながら練習されていて、微笑ましく見ていましたね(笑)。みなさん、ドラマのセリフももちろん頭に入っているんでしょうが、休憩せずにダンスの練習も怠らないところがすごいなって。舞台やドラマの世界は、まわりのみなさんが先輩ですので、見習うところが多かったです。――シングルのジャケット写真は、蒼井さんを囲んだ黒い格好の人たちが印象的ですが、ここに写っている人たちはもしかして、すべて蒼井さんですか?全部、僕です(笑)。別々に撮影して合成しました。表題曲の歌詞にある「重なり合う世界線」という言葉が頭に残っていて、いろいろな世界線、選択肢がいつも自分の隣り合わせになっていて、それがいろいろな影として自分にまとわりつくという構図。面白い画が撮りたくて、ポップに、アートのように仕上げていただきました。活動の目標は「変わらず変わる」七変化――おうち時間が長引く昨今ですが、いまハマっているものはありますか。いまハマっているのは、観葉植物ですね。でもショックなことに、大きな樹を買ったんですが、1か月もしない間におじいちゃんになっちゃって……。以前から部屋に置いてある観葉植物たちはぴんぴんしているのに。――相性が合わなかったんでしょうか。相性が悪かったのかな、また蘇らないかなと思って、まだ置いていますけどね。観葉植物はひとりひとりがかわいいんですよ、めちゃくちゃ癒されますね。あと、僕はタロットカードが趣味なので、時間があるとタロット占いをやっています。声優としてのお仕事とか、舞台があったら舞台とか、時間があるときはずっとタロット占いをしていて、持ち歩いています。まわりの人たちにもけっこう「タロットで運勢をみてください」と言われることも多いですね。また、タロットは話し相手にもなるので、友だちという感覚もあります。――いつから興味を?もともとミステリアスなタロットに興味を持っていましたが、魔術師の人が作り出したという言い伝えもありますし、以前は怖いイメージもあってなかなか手を出そうとは思いませんでした。でもあるとき、ゲームをやっていて、使っていたキャラクターがタロットカードで戦うキャラクターで、とても刺激されたんです。そして実際にタロットカードを手に取ってみたら「かっこいいな」と、そのときからしっくりきました。タロット占いをするようになったあるとき、父が病気になりそうだと、占いの結果が出て。急いで父に知らせて病院に行ったら、本当に父の病気が見つかったんです。でも、早期発見で大事にも至らなかったのですが、この一件以来、タロットに恩を感じたのでいまも続けています。一方で、コレクターとしても目覚めて、50デッキ(50個)以上は持っています。タロットカードは絵柄もすごくきれいで、机に並びきれないほど持っているので、飾っているんですよ。最近は直感力のある母もタロット占いにハマったので、「じゃあ僕のタロットをあげる」って言ってあるんです。――蒼井さんは霊感のようなものはあるんですか?まったくないです(笑)!でも直感力はあると思いますね。そういえば、1回だけ見たことが……。――見た、というのは、オバケですか?オバケさんかな、オバケくんかな、見ました。プロモーションビデオの撮影のときに、撮影場所が廃病院だったんですが、霊安室が休憩室だったんです。――チャレンジングなところで撮影されて……。でもそのおかげで、かっこいいプロモーションビデオが撮れました(笑)。――安心しました(笑)。ところで、蒼井さんはブログで不登校だったことを告白されていたり、声優として出たばかりの頃は心ないことを言われたというお話もしてくださいましたが、さまざまな葛藤を乗り越えてのいまのこのご活躍は、多くの人を勇気づけるのではないでしょうか。いまコロナ禍でつい気分が沈みがちになってしまう方もいるようですが、そんなときどうしたらよいでしょうか。僕の場合は、へこんだときだけ、自分のワガママを許すようにしています。すぐ前向きになるなんて、本当はすごく難しいことだからこそ、落ち込んだ瞬間は、自分のやりたいことに素直になる機会を作ってあげたらいいなって。食べたいものはその日のうちに我慢せずにしっかり食べて、声が聞きたい人がいたら、いつもは仕事中かな、寝ているかなと遠慮するところでも、我慢せずに電話してみて。へこんだときは、誰かの声を聞いて、ひとりじゃないっていうシチュエーションを作らないといけないと思うんです。どうしたらいいのか自分ひとりじゃ答えが出ないのは、過去にその経験をしていないからで、経験したことのある人にどうしたらいいか相談すると「そうすればいいんだ!」って少しでも前向きになると思うんですよね。――ありがとうございます。では最後に、今後の抱負を教えてください。今回、シングル「give me me」を、1枚の作品としてリリースすることができました。蒼井翔太としての活動の目標として、「変わらず変わる」というものがあって、さまざまな姿かたちになって七変化する蒼井翔太をみなさんにお見せしたいという気持ちがあります。でも根本的なものは変わらず、いろいろな活動を届けていきたいので、これからも同じことをするのではなく、いろいろな姿になっていきたいと思います。取材後記さまざまなジャンルで大活躍中の蒼井翔太さん。ananwebの取材では、スケジュールもご多忙のなか、撮影時は美麗な姿をたくさん見せてくれたうえ、インタビューでもいろいろな質問に軽やかに応じてくださいました。そんな蒼井さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみり蒼井翔太PROFILE8月11日、福井県生まれ。声優、歌手、舞台などさまざまな分野で活躍中。2011年、声優デビュー。主な出演作として『うたのプリンスさまっ』シリーズ(美風 藍)、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(ジオルド・スティアート)、『カードファイト!! ヴァンガード overDress』(近導ユウユ)、『劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal』(フィッシュ・アイ)など、多くのアニメ、ゲーム作品に出演。アーティストとしては、2016 年に自身初となる日本武道館公演を開催。2017年、10,000人を動員した代々木第一体育館公演を含む東阪ライブツアーを成功に収める。10 月には2ndアルバム『Ø(ゼロ)』がオリコンウィークリー7位を獲得し、アルバムを掲げての2万人動員の全国ライブツアーも開催。2019年、全7公演のライブツアーで計22,000人を動員。10 月にはTVアニメ『この音とまれ!』第2クールのオープニングテーマとなる11thシングル「Harmony」を発売し、オリコンデイリー3 位を獲得。2021年7月14日、13thシングル「give me me」をリリース。InformationNew Release「give me me」(収録曲)01.give me me02.硝子のくつ03.Baby Steady Go!!2021年7月14日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)KICM-2091(CD)¥1,430*※初回製造分のみプレイパスコード封入。(初回限定盤)KICM-92091(CD+DVD)¥1,980*プレイパスコード封入。[DVD内容]「BAD END」MUSIC VIDEO、MAKING写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2021年07月11日【音楽通信】第81回目に登場するのは、EGO-WRAPPIN’(エゴラッピン)のボーカリストとしても活動しながら、今回6年ぶりのソロ作品を発表する、中納良恵(なかのよしえ)さん!ピアノが流れる家で育ちテレビの昭和歌謡を聴く【音楽通信】vol.81昭和歌謡やブルース、スカといった多彩なジャンルを昇華させたサウンドで、音楽シーンにおいて常に注目を集め続けている、中納良恵さん(Vo、作詞作曲)と森雅樹さん(G、作曲)によるユニット、EGO-WRAPPIN’。EGO-WRAPPIN’のボーカリストとして活動される中納さんが、2007年からソロ作品も発表しています。そんな中納さんが、2021年6月30日に、ピアノと歌で紡がれた3枚目のソロアルバム『あまい』をリリースされたということで、音楽的なルーツなどを含めてお話をうかがいました。ーーおさらいとして、まず中納さんが幼少時に音楽にふれたきっかけから教えてください。実家で母がピアノの音楽教室をやっていたので、初めて音楽にふれたきっかけは、おうちです。普段から、家にいるとピアノがずっと流れている環境のなかで成長しました。それ以外では、テレビで『ザ・ベストテン』(TBS系 1978年〜1989年放送)という歌番組が流行していた時代に観ていたので、昭和歌謡を聴いて育ちましたね。松田聖子さん、小泉今日子さん、松任谷由実さん、チェッカーズ……いま聴いてもすごくいい曲ばっかりだし、いい時代だったんじゃないかな。あの頃は、グループよりは、個人が目立っていて。中森明菜さんや山口百恵さんなど、いま聴いても、すごく歌が上手な人ばかりで、歌や曲のクオリティが高い時代だったと思います。あの時代からヒット作を出している有名な作曲家の筒美京平さんは、売れなかったら駄作という考えがあったみたいで、私には考えられない発想で頭が上がらないというか。私はそこのシーンにはいないんですけど、いまも商業的な視点で作曲していくシーンはあるかと思いますし、現代はインターネットの時代で歌っている人物がバーチャルアーティストだったり、あとはなんぼでもミックスして加工できたり。アニメもそうですが、いまの人はちょっと架空の存在に憧れを抱く感じがありますよね。いまはグループの方も多いですが、昔は個が強い時代のなか、幼少期から中学生までは、そんな感じで音楽にふれていましたね。ーーそんななかで、ご自身で歌うことになった理由は?聖子ちゃんの歌とかをまねて歌ったりしていたんですが、祖母がそれを聴いて喜んでくれたから、ちょっと快感を覚えたんです。私の歌を聴いて喜んでくれる人がいると、もっとやりたくなるというか。なので、ちっちゃいときから、歌を歌いたいなと思っていました。ーーEGO-WRAPPIN’は、1996年にギターの森さんとともに大阪で結成され、その後1998年に1stアルバム『BLUE SPEAKER』でデビューされましたが、今年で結成25年ですね。本当にもう、あっという間の25年です。でも、40年、50年とやってはる人もいるし、そう考えたら私らなんて、まだまだ。私らは、1年に1枚必ず作品を出すというような感じでカツカツに活動していないですし、私もソロ作品を出したりと、マイペースにやっています。それでも根強いファンの方がいてくれて、コンスタントにライブ活動をやってきたりしているのは、25年ずっと続けてこられた理由として強いかもしれないですね。6年ぶりのソロアルバム「あまい曲が多かった」ーー2021年6月30日に、前作『窓景』から6年ぶりとなる、3rdソロアルバム『あまい』をリリースされましたね。まずアルバムタイトルの意味から教えてください。今回は、あまい曲が多かったから。あとは25年やっていますが、まだまだ答えが見つからへんのが音楽で、そこが面白かったり、悔しかったり。そんな音楽に対して、まだまだ私はあまい、という気持ちを含めてのタイトルです。楽しいだけじゃない、音楽から、いろいろなことを教わるんですよね。ーー2007年に1stソロアルバム『ソレイユ』を発表されてからは、EGO-WRAPPIN’の活動と並行して、ソロ活動もされていますね。当初、ソロでアルバムを出すきっかけが何かあったんですか。なんていうか、ちょっと出しときたいなと(笑)。EGO-WRAPPIN’は森くんとふたりで作っていきますが、ソロは全部自分だけで成立しますよね。実は昨年からソロを出したいと思っていたんですが、ちょうどコロナ禍になってライブも全部飛んじゃったから、ひたすら曲を作って、いまに至っています。ーーコロナ禍での制作は大変でしたか。とくに大変ではなかったです。今回はできるだけ少人数で作りましたし、会う人もエンジニアの中村督くん、ドラムの菅沼雄太くん、何人かのゲストぐらい。基本は全部、家でひとりでピアノで作れますし、声も重ねられるしという感じ。この状況下では、世界中の人たちが内側に気持ちが向きがちで、これからのこととかをすごく考えた時間だったと思うんです。そのなかでも、やれることをみんな探したと思うんですが、私はラッキーなことに自分のやりたいことができたから、それを無駄にしたくないと思って。やりたいことをやれる環境で、聴いてくれる人たちに、ちょっとでも前向きな何かが浸透していったらいいなと思って作りました。ーー収録曲からいくつかうかがいます。4月にアルバムのリード曲として先行配信された4曲目「SA SO U」はスウィングしたくなるような楽曲ですね。昨年の緊急事態宣言中に作った曲なんですが、どこも行けないし、「どっか行こか」っていうことすら言えない雰囲気というか。歌詞にも「さぁ行こう」とありますが、歌いながら、気持ちを明るくしたいなと思って。アトラクション的な感じの歌なんですよ。ーー6曲目「待ち空 feat. 折坂悠太」は、月9ドラマ『監察医 朝顔』シリーズ(フジテレビ系)の主題歌を担当された、シンガーソングライターの折坂さんとのコラボレーション曲です。折坂さんの歌も曲も大好きで、ぜひ一緒にやらせてもらいたいとお願いして、参加してもらいました。ーー折坂さんは、ふくよかな歌声ですね。ふくよかですよね、ぴったりの言葉です。私の友だちは、折坂さんのことを「牧師みたいな人やな」って言っていました。折坂さんの歌は、聴く人の心のモヤモヤを洗い流すというか、折坂さん自身の曲は歌詞も独特です。どこか新鮮で、ハッとさせられる感じが、自分が忘れていた景色をもう一度見させられるような。ちょっと私は懐かしさも感じますし、牧歌的という感じがあります。キレイなだけのものって、つまらないと思うんですよ。汚いなかにも、ちょっとキラッと光るものに、惹かれるんです。折坂さんは歌も上手だし、すごく美しいんですけど、その美しさはすごく大きな闇を抱えているようにも、聴こえて。ちょっとパンクというか、ロックなところが彼にあると思っていて、そこが自分のひっかかるポイントだと思うんですよね。ーー8曲目「ポリフォニー」や9曲目「真ん中」ともに、とても曲の展開が面白くて、まるで映画を観ているような感覚で、聴いていて楽しかったです。いじわるなんですよ(笑)。ーーいじわるとは、どういうことでしょうか(笑)!?いじわるなんです、いろんな要素をぶった斬っているというか、あんまり聴く人のことを考えていない。「ポリフォニー」はとくに、自分が楽しんで作ったんですが、曲でいろいろ遊んでみたくなってしまって(笑)。ーーその楽しさは聴いていても伝わりました(笑)。では10曲目「おへそ」は、歌詞にも「ママ」というフレーズがありますが、どういうイメージで作られた曲なのでしょうか。これは代々授かってきた命、自分は選んでここに生まれてきて、それを伝えたいと。母に向けて作った曲ですね。ーーお母さまは曲を聴かれましたか?いやいや、全然聴いてないです(笑)。ーーあ、そうなんですね(笑)。いつもアルバムや楽曲などは聴いていらっしゃったり?母は聴いてないんじゃないんですかね(笑)。曲を聴くというよりも、活躍していることに喜んでくれていて、実家に帰ったら、玄関に私が出た新聞の切り抜きとかを貼ってくれていたりします。ーーすてきなお母さまですね。いえいえ。でも、親子ってわからないところもありますよね。自分が思っている以上に、すごく大きな目で子どもを見てくれていて、すごいなって。大人になったら甘えられないから、甘えられなくて何十年も過ごしてきたかと思うと、いまはすごく抱きしめたくもなります。ーーアルバムの初回生産限定盤には、映像が何曲かつくんですね。この映像、めっちゃいいから、ぜひananwebを読んではるたくさんの方々にも、観てほしいんです。桟橋のシーンとか、浜辺でピアノを運んで、弾き語りをしたりしています。ーージャケット写真のアートワークも凝ってらっしゃる印象ですが、今回のコンセプトは?深い意味はあんまりなくて(笑)。しいて言えば、タイトルに『あまい』とつけたので、あまい水に引き寄せられるホタルのような、そういうアルバムになったらいいなと。水のイメージがあったので、このジャケ写は、水の入ったペットボトルごしに撮った写真なんです。ーーペットボトルにカメラのレンズをあてて撮るなんて、すごい発想ですね。なんかもう、自分のアルバムやし、全部自分で好きに作ろうと思って、撮ったんです。ーーご自身で撮影されたんですか。セルフなんです。家です、寝る前です、これ(笑)。今回は、そういう気分でした。またいろいろな人と一緒にやろうというテンションになるときもあると思うんですが、今回は曲はもちろん、ジャケ写も全部自分で手がけたいなと。自分でといっても、完成するまでには、いろいろな人に手伝ってもらってやりました。ーー今後、ソロのライブツアーもあるのですか。9月、10月に予定をしていて、ひとりでピアノ弾き語りをする場所もありますし、主要都市はバンド編成の予定です。コロナ禍ではありますが、その頃にはちょっと落ち着いているといいですね。ライブに来てくれる人は、みなさん声を出さないとか真面目にルールを守ってはるのに、私はライブをやりながらつい忘れてしまって「イエーイッ!」とか叫んだりして「そうやった」って、いつもと状況が違うんやったと思い出すんです(笑)。だからか、なんか一方通行な感じもすると、ミュージシャンはみんな言ってます。でも、「心はつながってるから!」とかは、べつにMCで言わんでええなって(笑)。みんな「そんなことわかってるし」って思ったり。同じ空間にいるということが、お互いにとって、奇跡やなって。観に来てくれた人も、この状況下でライブに来たという気合いがこちらにも伝わってくるのもあって、前とは違うかたちで触れ合っていると思いますね。「自分で判断しながらずっと音楽がやれたら」ーーところで、いまはおうち時間をどのようにお過ごしですか、自粛期間にハマったものは?イチゴの生クリームサンドウィッチを作ることかな。イチゴの切れ目をどんだけいい感じで見えるようにできるかとか、そういう、ささいな喜びですね。それ以外だと、本を読んだりとか。あんまり小説は読まなくて、エッセイとか、気の本とか、体の本とか。いつも何冊も掛け持ちして読んでいます。ーーもともと読書がお好きなのですね。ハマっていく感じが好きですね。最近読んだなかでは、スマホがどれだけ脳によくないかっていう「スマホ脳」を読みました。けっこうスマホでYouTubeやインスタを見ることがあって疲れるから、誰かにすすめられたんですけど、ベストセラーみたいですね。ーー読書以外ですと、いまは外出する機会が少ないですが、リモートで会話するようなことはあるのでしょうか。1回、友達とズーム飲み会しましたけど、1回で終わりました(笑)。なんか画面越しなのがじれったいですし、自分も画面に見えてるじゃないですか、なんか不思議な感じで。たまたま会ったときは、やっぱり通じ合えるとうか、深い話もします。ーーいまおこもりする生活が長いですが、気持ちが下向きになる方もいるかもしれません。そんなとき、中納さんだったら、どんなふうに気持ちを立て直しますか。私も下向きになることはありますけど、やっぱり呼吸が大事ですね。最近寝れなくて、ヨガをやっている友だちに、「片方ずつ、鼻の深呼吸をやればいい」と言われて、それで寝れないのも軽減されましたね。まず座禅のポーズをして、口で息はせず、片方の鼻を指で抑えて、もう片方の鼻から息を吸って吐く。これを繰り返すとスッキリしました。落ち込んだりしたときは、心と身体は繋がっていると思っているので、肉体からアプローチしていきます。外側から、内側をなおすということですね。サウナやジムに行ったり、散歩したり、ストレッチしたりすると、血が巡って気持ちも楽になります。あとは、鉄分が不足するとイライラするらしくて、女性は鉄分が少ないから、鉄分を摂るのもいいみたいですね。ーー今日も青い髪がおしゃれな中納さんは、ファッションにおいてのこだわりはありますか。どんな格好をするのも好きで、あまりこだわりはなくて、そのときどきに自分が着たい服を着ています。気分ですね。服は大好きだし、おしゃれするのも好きです。青い髪の色も、ここまでブリーチしたのは20年ぶりぐらい。せっかくプロモーションが始まるので、気合いを入れてブリーチしました(笑)。ーーすごくお似合いです! では最後に、今後の抱負をお聞かせください。あまり先のことは考えてないんです。前はもうちょっと考えていましたが、コロナ禍になってから、先を考えすぎると自分に負荷をかけそうだから。でもまあ、ずっと音楽はやれたらいいなと思っています。そのためにも、いいものを見て、いいものを聴いて、自分でちゃんと判断できるようにしていたい。これからも、常にいい感じでいられるようにしたいと思っています。取材後記圧巻の世界観でわたしたちを魅了してやまないEGO-WRAPPIN’の中納良恵さん。ananwebの撮影の際は、中納さんの青い髪とオレンジのアイラインが美しく印象的なうえ、インタビューでも誠実にそしてとってもキュートな一面も垣間見えて、惹きつけられました。そんな中納さんのソロアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみり中納良恵PROFILEEGO-WRAPPIN’ボーカリスト。1996年、中納良恵(Vo、作詞作曲)と森雅樹(G、作曲)に よってEGO-WRAPPIN’結成。多様なジャンルを消化し、独自の世界観を築きあげた「色彩のブルース」や「くちばしにチェリー」は、名曲として異例のロングヒットとなる。以後、作品ごとに魅せる斬新な音楽性において、常に日本の音楽シーンにおいて注目を集め続け、2021年に結成25周年を迎える。中納良恵名義によるソロアルバム『ソレイユ』(2007年)、『窓景』(2015年)の独創的な作品を2枚発表。2021年6月30日、通算3枚目のソロアルバム『あまい』リリース。7月からは個展を実施、秋にはソロライブツアーを開催。InformationNew Release『あまい』(収録曲)01.オムライス02.オリオン座03.Dear My Dear04.SA SO U05.同じ穴のムジナ06.待ち空 feat. 折坂悠太07.あなたを08.ポリフォニー09.真ん中10.おへそ2021年6月30日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)TFCC-86764(CD)¥3,300(初回生産限定盤)TFCC-86762〜TFCC-86763(CD+DVD)¥4,730[DVD内容]Yoshie Nakano Film Live -sweetrip-※動画がスマホなどで再生できるQRコード付。良恵のあま〜いフォトカード10枚封入。写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年07月09日【音楽通信】第80回目に登場するのは、話題作『ウマ娘 プリティーダービー』など数多くのTVアニメやゲームなどに出演し、第15回「声優アワード」で「新人女優賞」を受賞した、和氣あず未さん!TVアニメの影響で音楽を聴き、声優の道へ【音楽通信】vol. 802015年にゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』の片桐早苗役で声優デビューした、和氣あず未さん。話題作『ウマ娘 プリティーダービー』のスペシャルウィーク役の声を務めるなど、数多くのTVアニメ、ゲーム、ラジオに出演し、第15回「声優アワード」で「新人女優賞」を受賞しました。音楽活動としては、2020年1月に1stシングル「ふわっと/シトラス」でアーティストとしてデビュー。そんな和氣さんが、2021年6月16日に4枚目のシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」をリリースされるということで、お話をうかがいました。――音楽にふれたきっかけや、影響を受けたアーティストから教えてください。小学生の頃はあまり音楽を意識しなかったのですが、中学生ぐらいから、ポルノグラフィティさんやL’Arc〜en〜Cielさんがすごく好きになりました。それは当時よく観ていたTVアニメ『鋼の錬金術師』のオープニングテーマを担当されていて、その影響でアーティストのことを知って、音楽も聴くようになりました。とくに男性アーティストの曲を聴く機会が多かったので、カラオケに行っても、男性ボーカルの曲をよく歌っていたんですが、自分の声に男性の歌が合わなくて、歌うのは難しいと思っていました。その頃、ちょうどニコニコ動画が流行っていて、ボーカロイドの曲も聴くようになって。それからはカラオケでも、男性ボーカル以外のアニメソングやボーカロイドの曲を歌うようになっていきましたね。――2015年に声優デビューされましたが、目指したきっかけはなんですか。声優を目指したのも『鋼の錬金術師』の影響です。それまでもアニメは観ていたんですが、声優という存在を知らなくて、ちゃんと認識できたのがこのアニメでした。『鋼の錬金術師』の声優さんがアフレコする映像を観て、すごく衝撃を受けて「かっこいいなあ」と思って。中学2年生ぐらいから「声優をやってみたい」と、自分でもマイクを買って声を録音したりしていました。――2021年3月には、第15回「声優アワード」で「新人女優賞」を受賞されましたね。2020年度にもっとも活躍した声優を称えるという賞ですが、受賞していかがですか。私の学生時代からずっと続いている賞で、受賞者はとても活躍されている方ばかりですごいなあと思っていたので、まさか私が受賞できるとは思いませんでした。「新人女優賞」をいただけると聞いて「私でいいんですか?」とマネージャーさんに言ったぐらい(笑)。今回を逃したらめったにもらえない賞ですし、新人でいられるのも短い期間しかないので、受賞できて光栄です。――2020年1月には、アーティストとしてもデビューしましたね。お声がけをいただいて、アーティストデビューさせていただきましたが、声優人生のなかでまさかこんな日がくると思っていませんでした。もともと小さい頃から歌は好きなんですが、人前で歌うことがすごく苦手なんです。ひとりでこっそり歌ったり、ひとりで行くカラオケは大好きなんですが、友達と一緒に行くのは苦手で、もし一緒に行っても「私は歌わないから」と逃げて(笑)。声優デビューしてからは、キャラクターとして歌うことは多かったのですが、最初は苦手意識がありました。でも「歌っているのは自分じゃなくてキャラクターだ」と思うと、お芝居と一緒だなと。そう思えば、歌うのも楽しいと思えてきて、そんなときにアーティストデビューのお話をいただきました。キャラクターではなく、自分自身として歌うのはすごく大変なことですが、最初の頃は夢のような感じでしたね。――ご自身から発する歌ですものね。そうなんです。自分で歌うってなんだろう、誰かのまねになったらだめだし、難しいなと。最初は悩んでいたんですが、いまはすでに26曲も歌わせていただくようになって。音楽活動をしているうちに、なんとなく自分の歌はこうなのかなと、やりやすい歌い方がつかめてきました。いまもレコーディングでは良い緊張感はありますが、だんだんと落ち着いてきて、自分の歌を歌えるようになりましたね。いまの日常をテーマにしたシングルをリリース――2021年6月16日に、4枚目のシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」をリリースされます。アップテンポな「Viewtiful Days!」は4月から放送中のTV アニメ『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(TOKYO MX・BS11ほか 毎週土曜22:00/Abema TVほかでも配信中)のエンディングテーマですね。実は、レコーディングしたのが1年ほど前だったんですが、そのときから『スライム倒して300年』のエンディングテーマになることは決まっていたんです。何曲かほかにも候補があって、アニメに合う曲をたくさん聴き比べました。アニメは、主人公のアズサちゃんが、働き過ぎが原因で過労死した前世から、不老不死の魔女として異世界に転生して、辺境の高原でのんびりスローライフを始めるというお話です。登場するキャラクターはほぼ女性で、ほのぼのとスローライフを楽しむ内容のアニメなので「ハッピーに終わりたい」ということで、この明るい「Viewtiful Days!」を聴いたときに、ピッタリだと思ってこの曲に決めたんです。「いっせーのせ!!」というフレーズがあるんですが、聴いたあとに印象に残りやすくて、タイアップにもふさわしいと思いました。初めてアニメがオンエアされて、エンディングまで観てくださった方が、この曲は「心に残りやすい」と言ってくださって、うれしかったですね。――『スライム倒して300年』では、フラットルテ役として声優も務めていらっしゃいますが、どんなキャラクターでしょうか。フラットルテちゃんは、もともとブルードラゴンの女の子で、人間の姿になることもできるというキャラクターです。スライムを倒して強い魔女になったアズサちゃんのまわりに、フラットルテちゃんも含めて、たくさんの人が集まります。フラットルテちゃんは、頭で考えるよりも先に行動してしまう、突っ走りがちでおもしろい、かわいい子ですね。――2曲目「2030」は、「口元隠して恋をするなんて新しい世界だね」という歌詞がありますが、コロナ禍での出会いや恋のことを描いているのでしょうか。まさにいまの状況だからこそ、できた曲です。これまでマスクをしながら恋をする機会なんてなかったと思うのですが、いまはそういう時期になって。シングルの全体のテーマが「日常」なので、いまの日常というとマスクをしていることでもあるので、「2030」にその様子を入れさせていただきました。コロナ禍というとマイナスなイメージが多いですが、この曲の主人公はいまをポジティブにとらえていて、好きな人に会えない状況だけれど、会えないからこそこの時期にもっと君好みの女性になれるといいなという、恋愛をポジティブに楽しむ歌詞になっていて。いま同じような状況にいる女の子たちにも、共感してもらえるところがたくさんあるのではないかなと思っています。――続いて、3曲目「記憶に恋をした」は、センチメンタルな失恋ソングのようですね。「Viewtiful Days!」とともに両A面となる「記憶に恋をした」ですが、切なくてキュンキュンする曲になっています。もともと恋愛ソングが大好きなので、これまでも恋愛系の曲が多く、この曲もそのひとつです。主人公の女の子は、ふいに昔好きだった男の子のことを思い出して切なくなってしまうんですが、この歌詞では失恋して離れ離れになったのか、好きだった男の子と一生会えない状況になったのか、結末は聴く方の想像次第で変わっていくのかなと。彼のことが好きだった気持ちをずっと忘れていないものの、「待ち合わせした駅は 今はもうないけれど」という歌詞もあり、時間経過を感じさせる部分もあって。これは小説のようにひとつのフレーズが長くて、物語を読んでいるような歌詞になっています。――4曲目「hopeless」は、他の3曲と少しテイストが違って、後ろ向きな気持ちを歌っています。全体のテーマが日常ということで、最初の1、2曲は楽しく日常を過ごしていて、3曲目で少し切なかったり過去のことを思い出したりする様子を描いています。この4曲目は、コロナ禍で暗い気持ちになった方もいると思うのですが、そういうところをあえて外さずにネガティブに表現しています。だから、最初から聴いていくと幸せなんですが、だんだん暗くなっていくかもしれないので、そうなったらまた最初から聴いていただくと明るい気持ちになるので、無限ループに聴けるシングルに仕上がっています(笑)。――今年の7月18日には、東京・中野サンプラザで「1st LIVE -超革命的恋する音楽会-」と題したコンサートが、有観客で開催されますね。中野サンプラザは、友達のライブで行ったこともなく、自分自身のライブ会場としても初めての場所なんです。有名な会場で開催できるのはうれしいですが、緊張しますね。バンドメンバーの方がいらっしゃるので、きっとかっこいいライブになると思います。タイトルの「1st LIVE -超革命的恋する音楽会-」は、今年の2月にリリースした1stアルバムの『超革命的恋する日常』から取ったタイトルなので、ライブでも恋愛の歌が多くなってキュンキュンできることがたくさんあるかなと、ライブを楽しみにしています。「応援してもらえるアーティストになりたい」――「Viewtiful Days!」のミュージックビデオでは、部屋でお料理したり運動したりしていますが、和氣さんご自身も、おうちではあんなふうに過ごしているのですか。全然していないです(笑)。あのミュージックビデオは、監督さんが「和氣さんが普段やっていそうなことをやろう」とおっしゃって、ガーデニングやヨガなど家でできるいろいろなことを集めて撮影してくださっていますが、実際の私はガーデニングもできないしヨガも料理もできないんです(笑)。いつものミュージックビデオでは、けっこうポーズなどをきっちりと決めて撮っていたんですが、今回は、作っていない不器用な私の姿が見られるんじゃないかなと。あれは、ほぼ素の私ですね。――ということは、実際に、おうちではどう過ごしているんですか?ミニチュアダックスを2匹飼っているので、ワンちゃんと遊んでいるのと、ゲームをして過ごしています。私が幼稚園の頃から、実家ではワンちゃんを7匹飼っていたので、ワンちゃんといると幸せ。住んでいるマンションでは共有部分だけ、ペットの足を床につけてはいけないので、お散歩するときはペット用のベビーカーに玄関でワンちゃんを乗せて、そのまま外出していて。まるで自分の子どもができたような気分になります(笑)。――かわいいですね(笑)。ゲームは、どんな内容のものをやっているんですか。最近は『バイオハザード』をやったり、友達と通話しながら、オンラインゲームをしたりします。私はもともと外に出るのがあまり好きではないので、いまの外出自粛生活はまったく苦ではないんですが、友達と話す機会は減っているので、オンラインでいろいろとできるのは便利ですね。――和氣さんは占いもお好きだとうかがっていますが、最近占いはしましたか。「LINEトーク占い」をやりました。実際にその場で、LINEのトーク機能を使って、占い師の先生と会話しながら占ってもらえるんです。私が占ってもらった明占先生は、顔文字を使ったりする優しい先生で、友達とLINEをしている感覚で、仕事、恋愛、健康と、なんでも鑑定してくれました。鑑定時間が終わりになったときに、最後に「ありがとうございました」と送ったら、最後の最後まで「どの色のクマさんが一番いいと思いましたか?」と、選んだクマによって結果が違うという方法でも占ってくださって。アフターケアまでしっかりしていました。――そのときの基本的な占いの種類は、西洋占術ですか、東洋占術でしたか?西洋占星術を使って生年月日で占ってもらいましたね。すごく面白かったですよ。おうちにいて気軽にできる占いだったので、楽しくて、また「LINEトーク占い」で占ってもらいたいなと思いました。――以前、アニメ『鬼滅の刃』の竈門禰豆子役で知られる声優の鬼頭明里さんがこの「音楽通信」の取材で、「すごく仲良い友達の和氣あず未さんといつか一緒にコラボレーションして歌ってみたい」「一緒のステージにも立ってみたい」とお話しされていました。鬼頭さんとは、仲良しなんですね。悩みを聞いてもらったり、聞いたりする、昔からの友達という感じです。ふたりでおしゃべりもするし、ゲームもするし、でも、とくに何もしないこともありますし(笑)。ただ一緒にいるだけで、何もしなくても、心地いい関係。変に気を遣わなくていい、家族みたいな存在ですね。鬼頭明里にも「カラオケ行こうよ」と誘われるんですが、「絶対に行かない」と断っていて(笑)。彼女が「和氣あず未は仕事でしか歌ってくれないから、ライブとか仕事で一緒になったら歌ってよね」と言われていますので、いつか一緒にステージに立つことがあったら、お仕事だったら一緒に歌えると思います(笑)。――最後に、今後の音楽活動での抱負をお聞かせください音楽は、すでにアルバム1枚とシングル4枚を出させていただいています。いままでリリースイベントやオンラインライブは経験がありますが、7月の公演では、実際にステージに立ち人前で歌うので、いまから緊張していて。本人が緊張していると、観ている方も不安な気持ちになるかもしれないので、お客さんにはそういう緊張などは一切なく、ぜひライブを楽しんでいただきたいんです。そうなれるように頑張りますし、応援してもらえるようなアーティストになっていきたいですね。取材後記声優としてはもちろん、アーティストとしても活躍されている、和氣あず未さん。ananwebの撮影では、シングルのジャケット写真でも着用されているさわやかな白い衣装で登場され、プリンセスのようで、とてもチャーミングでした。インタビューも、にこやかにハキハキと応えてくれたのが印象に残っています。そんな和氣さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみり和氣あず未PROFILE9月8日生まれ。東京都出身。2015年、ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の片桐早苗役で声優デビュー。これまでに「おしえて!ギャル子ちゃん」主役ギャル子役、「ウマ娘 プリティーダービー Season 1」主役スペシャルウィーク役、「東京リベンジャーズ」橘日向役などTVアニメ、ゲーム、ラジオ、音楽活動とさまざまな分野で活躍中。音楽活動としては、2020年1月に1stシングル「ふわっと/シトラス」でアーティストとしてデビュー。2021年6月16日、4枚目のシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」をリリース。7月18日、東京・中野サンプラザで「1st LIVE -超革命的恋する音楽会-」公演を開催する。InformationNew Release「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」(収録曲)01. Viewtiful Days!02. 203003. 記憶に恋をした04. hopeless05. Viewtiful Days!(Instrumental)06. 2030(Instrumental)07. 記憶に恋をした(Instrumental)08. hopeless(Instrumental)2021年6月16日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)COCC-17881(CD)¥1,650(初回限定盤)COZC-1751-2(CD+DVD)¥2,200写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年06月15日元テレビ誌編集者で、地上波では全クールの作品&動画配信のドラマなどもチェックしている、テレビウォッチャーでライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。今回から、毎月1本、注目のドラマをお届けする【テレビっ子の窓】をお届けします。連載第1回は、『コントが始まる』をオススメします。「マクベス」と仲間が選んだもの【テレビっ子の窓】vol. 1現在放送中の菅田将暉さんが主演する土曜ドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系 毎週土曜 午後10時)は、同枠で2019年10月期に放送された『俺の話は長い』で「第38回向田邦子賞」を受賞した、金子茂樹さんによるオリジナル脚本の青春群像劇です。ドラマでは、高岩春斗(菅田)、朝吹瞬太(神木隆之介)、美濃輪潤平(仲野太賀)が、売れないお笑い芸人のトリオ「マクベス」を演じています。そんなマクベスがネタ作りにいつも集まるファミリーレストラン『メイクシラーズ』のウェイトレス、中浜里穂子(有村)と妹のつむぎ(古川)とともに、姉妹はマクベスの3人と次第に縁が深まっていきました。6月12日放送の第9話は、コント『結婚の挨拶』。ステージには、プロレス実況役の春斗、チャラい若者役の瞬太、頑固オヤジ役の潤平がコタツを囲みます。春斗が実況する中、雲行き怪しい結婚の挨拶は「娘さんと結婚したいんすけど」という瞬太。マクベスによるコントの前フリが始まります。里穂子とつむぎの就職祝いのため、マクベス開幕の聖地「ポンペイ」に集まる春斗たち。潤平は奈津美(芳根京子)とともに参加していましたが、奈津美の実家への挨拶を控えて緊張気味。さらに潤平は、奈津美の元彼氏で新進気鋭の実業家として活躍する小林勇馬(浅香航大)とのこじれた関係が気がかり。一方、春斗は、ひきこもりを脱して印刷会社で働くようになった兄の俊春(毎熊克哉)と再会。そして、春斗と瞬太は高校の担任の真壁(鈴木浩介)の家にバーベキューに招待され、真壁の息子の太一から「夢」について、ある問いかけをされるのですが……。若者たちのリアルな感情を繊細に描く毎回、ドラマの冒頭はマクベスのコントから始まり、そのコントが残りの物語の重要な伏線としてつながっていくという、異例の構成で繰り広げられる『コントが始まる』。菅田さん、有村さん、神木さん、仲野さんという、実際に全員が93年生まれという同世代俳優のみなさんが、実年齢と同じ28歳の役を演じるのも興味深いところです。また、劇中で有村さんの妹役を演じる古川琴音さんは現在、24歳。この20代の5人のキャストが、現代の若者の生きざまを体現。人生の岐路に立つ若者たちのリアルな感情の揺れを巧みに描いている点が、このドラマの魅力です。これまで今作を観続けている視聴者のみなさんはもちろん、観ていない方にもおすすめしたい理由はいろいろありますが、まずひとつはマクベスや彼らを取り巻く人たちの言動が人生を見つめるヒントになっていること。苦悩の末、解散することになった、マクベスの3人。偶然入った居酒屋でマクベスと出会い、後にマネージャーとなった楠木実籾(中村倫也)。里穂子からのふとしたひと言で、本当に芸能事務所のマネージャーを志望して就職したつむぎ。会社案内のパンフレットに見事な生花が飾ってあったことで、会社を選んだ里穂子。マクベスの3人も思い描く未来をつかむために闘っていましたが、彼らと関わり合うなかで、まわりの人たちもそれぞれがちょっとした瞬間の行動やふいの言葉にヒントを得て、前へ進んでいきます。わたしたちにも、ありますよね。うんと思い悩んでいる最中に答えを出せないのに、ふとしたきっかけで、まったく違うギアが入ること。生きることに不器用な人たちばかりが登場するからこそ愛らしく、今作を観ていると、共感できる場面がたくさんあるように感じます。また、マクベスの大ファンである里穂子のオタクっぷりにも注目。当初、働いていたファミレスに集まる彼らがいるため仕事に精を出すようになり、さらには隣のマンションに彼らが住んでいることを知り、1週間かけて自力で彼らが「マクベス」という名前のお笑い芸人であることを突き止めます。以降は何かとマクベスを心の支えにし、マクベスの名付け親の奈津美と一緒に記念撮影したり、マネージャーの楠木から、マクベスの第1回単独ライブのチラシをもらって「一生の宝にします!」と歓喜したり(2回以降の単独ライブのチラシもおねだり)。大阪出身でお笑いが大好きな筆者は、ダウンタウンさんが好きで学生時代によく劇場へ足を運んでいましたが(菅田さんも大のダウンタウンさん好きなことは知られていますが)、『コントが始まる』はお笑い芸人がメインとなるドラマというだけでも大変興味をそそられましたし、冒頭のコントが物語にも絡んでくるなんて、金子さんの脚本にうなるばかりなうえ、演技力の高いキャストがそろい、見どころしかありません。さて、これから最終回に向けて、いよいよ壊れた過去に向き合い、止まっていた時間が動き出します。マクベスの解散ライブまで、残りわずかとなりました。夢に敗れた若者たちの先にあるものは、いったいなんなのか。見逃せない展開となる『コントが始まる』。彼らの喜劇的な人生を、あなたも一緒に見守りませんか。Information出演:菅田将暉、有村架純、仲野太賀、古川琴音、神木隆之介ほか脚本:金子茂樹演出:猪股隆一、金井紘(storyboard)、瀬野尾 一(トータルメディアコミュニケーション)チーフプロデューサー:池田健司プロデューサー:福井雄太、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)主題歌:あいみょん「愛を知るまでは」(unBORDE / Warner Music Japan)制作協力:トータルメディアコミュニケーション製作著作:日本テレビ©日本テレビ文・かわむらあみり文・かわむらあみり
2021年06月12日【音楽通信】第79回目に登場するのは、デビュー15周年を迎えて新曲を連続リリースするジャズバンド、JiLL-Decoy association(ジルデコイ・アソシエーション)のおふたりです!ジャズのライブで出会いジルデコを結成写真左から、chihiRo(vo)、towada (dr)。【音楽通信】vol.792002年に結成され、2006年にメジャーデビューした、chihiRo (vo)さん、towadaさんからなるJiLL-Decoy association・通称「ジルデコ」。ジャズ、ポップス、ロックをベースにしたオリジナリティあふれる楽曲とエレガントなボーカルで、多くの人たちを魅了しています。2013年にはアルバム『ジルデコ5』が「第55回日本レコード大賞」の「優秀アルバム賞」を受賞。2021年は、いま世界的ヒットになっている70年代のシティポップのカバー曲を発表したり、ジルデコの既発曲が海外で1位を獲得したりと国内外で躍進。そんなジルデコが、2021年6月23日にデビュー15周年イヤーの第1弾となるシングル「ダブル」をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めてお話をうかがいました。ーーそもそもchihiRoさんとtowadaさんが音楽にふれたきっかけや影響を受けたアーティストから教えてください。chihiRo一番影響を受けているのは、DREAMS COME TRUEですね。小学校の頃から歌手になりたくて、ドリカムさんが登場されてから「指標になる人が現れた」と感じていました。高校1年生からボイストレーニングに通い始めたんですが、歌い方がドリカムの吉田美和さんにそっくりすぎて、先生からドリカム禁止令が出るくらい(笑)。そのボイトレは家から一番近い場所にあって「そこならいいよ」と母に言われて行ったんですが、ポップスではなく、ジャズのスクールだったんですよ。それが、ジャズとの出会いでした。chihiRo(vo)。神奈川県生まれ、O型。趣味は睡眠。ラーメンが好き。towada 幼少の頃からクラシックに囲まれていて、6歳からクラシックピアノの教育を受けていました。中学生になってからはTHE BLUE HEARTSなどのバンドの音楽を聴いて、13歳でドラムを始めて、モテたい一心でバンドを組んだことも。当時はレコード店で、自分の感性に合う作品を発掘することが好きだったので、周りの友達が聴いていないジャズのレコードを買って、よく聴いていたんです。(アメリカの伝説的ジャズトランペッター)マイルス・デイビスでジャズに目覚めて、それからは管楽器を手にするようになりました。その後はヘビーメタルを聴くこともあったりと音楽の遍歴はありましたが、高校を卒業してから「ジャズの近くにいたい」と思い、シカゴ音楽大学に籍を置いてジャズを聴き、帰国後にバンドを組みました。ーーおふたりはもともと知り合いだったのですか。chihiRo2002年にジャズのライブでtowadaと出会いました。towada そのときは、chihiRoの歌は良いと思いましたが“ジャズは全然興味がない”感がすごくて(笑)。ただ、そのあとバンドを組もうとなったときに、「ジャズには窓口が必要」という話になり、出会ってから半年後くらいにchihiRoに連絡をして、結成に至りました。ーー2006年にシングル「like ameba」でデビューされてから2021年でデビュー15周年、来年は結成20年となりますね。chihiRo振り返ると、長くもあり、短くもあり。私たちは90年代に多感な時期を過ごしていたのですが、そこから20年前というと、70年代の音楽なんだなあと。towada それぐらい時代が流れているんだなと思うと、けっこう長く活動していると感じるときもあります。自分たちはCDを作るために音楽制作をやっていますが、いまはあらゆるメディアがあって、CDをアルバムとして購入することはほとんどなくなってきていますよね。ストリーミングでみなさん聴いていらっしゃるなかで、どうやって表現していけばいいんだと頭を悩ませたときに、「時代が変わったんだなあ」と実感することも。chihiRoジルデコがデビューするときには、すでにCDが売れない時代と言われていましたが、それでもこの20年はなんとかリリースしてこられました。towada (dr)、リーダー。東京都生まれ、O型。義理人情にかたく、問題課題が難解なほど燃えるタイプ。ーー移りゆく音楽環境のなか、いま日本のシティポップが世界中で注目を集めています。なかでも、1979年に発売された松原みきさんの「真夜中のドア~Stay With Me」は世界中で話題となっていますが、同曲をジルデコもカバーされて、2021年3月に日本語で、4月に英語で配信リリースされましたね。chihiRo「真夜中のドア」は、70年代にポニーキャニオンからリリースされていて、当時まだ私はお母さんのお腹の中にいる頃で、全然知らなかったんです。でも、今回カバーをする企画があり、お声がけいただいて。towada 僕たちは最初、ポニーキャニオンからリリースさせていただいたので、ご縁を感じてカバー曲の配信リリースにつながりました。ーーカバーされてみて、オリジナル曲を歌うときとは違いますか。chihiRo70年代の作詞家さんが書かれた詞というのは、歌い手が自分の魂や思いをこめるというよりも、一歩引いて詞の世界を演じているようで。それは原曲で松原さんが歌っている時点でも感じて、自分の気持ちとして歌うよりも、ちょっと女優になった気持ちで歌いました。ーーJiLL-Decoy association feat.BASI(韻シスト)の曲「イヤホンを外したら」は、イギリスのApple Music「J-Pop トップミュージックビデオ」で1位になったそうですね、2018年に発表した楽曲です。towada はい、うれしいんですが、今年突然1位になったのか、配信当時も上位だったのか。chihiRo海外の状況ははっきりとわからないんですよね。towada 1度デジタル配信すると、世界中とつながるので、どことどうつながってどういう国の人にハマるのか、面白いですよね。chihiRoこの間も、アラブ首長国連邦で『ジルデコDUO〜Zinger〜』(2018年)というアルバムが1位になりまして。どこをどう頑張ったら、そこに響くのかが全然わからないです(笑)。towada シティポップが世界中で認められるようになってから、日本語だと海外の方に響かないという傾向が減ってきた感じがします。昔は海外の方にわかるように英詞でやろうという考えもあったんですが、いまは逆に、日本語だと興味を持っていただくこともあるのかもしれません。新曲を連続発表するデビュー15周年プロジェクトーーデビュー15周年イヤープロジェクトとして、新曲を連続リリースする「ジルデコ10~double~」シリーズを展開されるとのこと。2021年6月23日に、第1弾シングル「ダブル」を配信されますね。towada ちょうど今年の6月がデビューの月で、全国ツアーやリリースの標準をそこに合わせていました。一昨年メンバーがひとり抜けまして、その次にリリースするアルバムであること、ジルデコのアルバムは「1」からシリーズになっていて次が「10」で区切りになることもあり、すごく大切なタイミングだということがベースにあります。でも、計画を立てたときにはコロナ禍がここまで長引くとは思っておらず、いまはライブもできるかわからない状況と、なかなか集まれなくて制作の仕方も昔とは勝手が違って。当初アルバムをリリースする予定でしたが、それで1回リリースしました、と点にするのではなく、この状況下だからこそ6月からの半年間、年内はずっとリリースし続けようという企画に変更しました。今回の作品やライブで集まるメンバーも、20年来のミュージシャン仲間が多く、1回で終わらせるのも寂しいので。ーー第1弾シングルの「ダブル」は小気味良いテンポで聴かせるナンバーですが、サポートメンバーの石田衛さんが作曲を、ジルデコのおふたりが作詞を担当されています。1曲目の配信曲に選んだ理由はなんですか。chihiRo曲を聴いたときに、これがアルバムの象徴になると、お互いにビビッときていたので「1曲目だね」と異論なく決まりました。ーー「ダブル」の意味合いはなんでしょうか。towada 時代の二面性をデザインするという意味が込められています。いま時代の変化が急速に起こっているなかで、さらにコロナ禍で大変だけれど、この状況じゃなければどんな日々を過ごしていたのかと、想像することがあるんです。過去から今を見るのか、未来から今を見るのか。見方が違うだけで、いま何をなすべきかが、わかってくる。いま曲を作るとしたら、応援歌でもなく、自分がこれだけ頑張っているという話でもなく、恋愛の話でもないと。いまをどう生きて、古き良きことと、古き悪しきことをうまく選別して、良い未来にしていこうというふうに作るしかないと感じました。大切なところを残していきたいという強い思いがあるということですね。chihiRoコロナ禍だとしても、そうではなかったとしても「自分はこうしていただろう」と思って行動していかないと、なんでもコロナのせいにしてしまうだろうし、それは違うだろうなと。towada 歌詞の最後に「ダブルスタンダード」という言葉を使わせていただいたのですが、「ダブルスタンダード」って、あまりプラスの意味で使われない言葉ですよね。でも、良い面と悪い面の2つの意味を持つことも、前向きに見ていくと良いのではという思いも含まれているんです。chihiRoいま自分が本当に思っていることしか、歌詞には書けないから。みんなと共有したいこともとても明確なので、それをどのように表現していくか。ジルデコの曲は、ゲーム感覚に近いんです。悔しい、悲しい思いをちょっと面白おかしく書いてみたりしながら「ジルデコってこんなことを考えているんだな」と、伝わっていけばいいなと思っています。ーー今後も、連続配信のご予定だと、その都度反響がわかりますね。towada テレビドラマじゃないですが、反響にそって、アレンジや最後の歌入れや歌詞も変化させていけますね。今年の終わりぐらいにはコロナ禍を脱する、先が見えたねという歌詞や、歌い方になることを希望しています。20周年に向け今後もジルデコらしさを大事にするーーお話は変わりますが、おふたりは、おうち時間をどのようにお過ごしですか。chihiRo私は小さい子どもがいるので、なかなか自分の時間はないんです。でも、自分たちで立ち上げた会社があるので、毎日みんなで集まって仕事していて、そのなかで手作りのご飯をおいしく食べています。といっても、おもに作るのはtowadaやスタッフで、私は料理しませんけども(笑)。towada 僕はおもにご飯を作っていますね(笑)。chihiRo私は顆粒ダシでサッと済ませるタイプなんですが、towadaはいろいろなものからダシをとって、みんなで味わうことが好きなんです。towada 全然、カップラーメンも化学調味料も気にならないタイプなんですが、自分で作るとなると、ダシって楽しい。ーー足したりアレンジするという意味では、曲作りとダシ作りは、似ていたりするんでしょうか。towada けっこう似ていますね!chihiRo本当〜!?towada 作業的には音作りと似ているんですが、料理はよりレスポンスがあるので良いですね。音楽はこちらが苦労して作っても、その部分はまったくスルーされることもあるんですが、料理は反響がそのままかえってくるから、ストレスが発散できます(笑)。chihiRo確かに、曲を聴いても苦労したところは「ああ、言われてみれば……」という感じで(笑)。towada でも、料理を頑張ればすぐ「おいしい!」って言ってもらえるのでうれしいですし、それって素敵なことだと思うんです。家には子どもが3人いるので、大量にご飯を作らなきゃいけないときもあって、普段から料理しているので、会社でも貢献しようかなと(笑)。ーーおいしそうですね(笑)。ところで、美容面や健康面で気をつけていることはありますか。chihiRo普段あまり化粧品に気を使わないタイプなのですが、化粧水はよく使って、保湿を心がけています。あとは、キムチや味噌汁などの発酵食品をよく摂るようにしていますね。腸を元気にすると、調子が良くなる気がするんです。towada 僕はとにかくお酒をすごく飲むんですが、健康な状態でお酒が飲みたいと思っていて。ここ1年はシジミを味噌汁に入れて食べています。あとコンスタントに続いているのは、内臓脂肪が減るといわれている、お酢をとりいれること。炭酸水を買ってきて、お酢を入れて飲んだりしています。ーーでは最後に、今後の抱負をお聞かせください。chihiRo来年は結成20周年なので、コロナ禍が良くなっていることを願って、ライブを組みたいですね。1年前から、いまはオンラインサロンという形で、月額制で月に2、3本のライブも行っていて。音楽は不要不急じゃないといわれることもありますが、音楽でコミュニケーションを取り続けることはすごく大事だと感じた1年でもあったので「どうにか音楽を届け続けたい」という思いで、配信を中心にやっています。有観客でのライブシーンが戻ってきても、きっと配信ライブも続けると思いますね。towada 今後も、生配信であろうとなかろうと、ライブをひとつの作品にしたいんです。配信ライブではただライブ映像を流すということではなく、「これは作品である」ということ。ミュージシャンとして大切にしなきゃいけないのは、価値を下げないことだと思っています。「タダでいつでも観られるからいいや」となると、聴いている人も楽しめないし、なかなか興味を持たないことも。今後も時代に合わせながらも、ジルデコらしさを大事にしていきたいと思います。取材後記ジャズバンドであり、ライブバンドとしても活動され、現在の2人体制となってから今回が初めての取材になったという、JiLL-Decoy associationのchihiRoさんとtowadaさん。ananwebの取材ではchihiRoさんの素敵な笑顔とtowadaさんのダンディな声に癒されました。そんなジルデコのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・安田光優取材、文・かわむらあみりJiLL-Decoy associationPROFILEchihiRo (vo)、towada (dr)によるジャズバンド。2002年結成、2006年メジャーデビュー。2013年、アルバム『ジルデコ5』が「第55回日本レコード大賞」の<優秀アルバム賞>を受賞。A-HAの「Take on me」をジャズアレンジしたミュージックビデオが話題を呼び、海外のテレビでも紹介される。ビルボードライブ東京、東京ジャズや日本全国のジャズフェス、国内最大級のロックフェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL」にも出演。2019年3月、『ジルデコ9 〜GENERATE THE TIMES〜』をリリース。初のビッグバンドも参加し、築き上げてきた「ジルデコのジャズ」をすべて日本語で歌い上げた。2021年、デビュー15周年イヤープロジェクト「ジルデコ10~double~」シリーズを発表。2021年6月23日、第1弾シングル「ダブル」を配信リリース。6月19日「JiLL-Decoy10 “ double LIVING” vol.1 」、6月29日「Play Jenga with 菅原信介」(ともに収録配信)を実施。InformationNew Release「ダブル」2021年6月23日配信写真・安田光優 取材、文・かわむらあみり
2021年06月09日