オリンピックイヤーに向けて建設ラッシュが続いていた東京。2020年は注目のスポットが続々オープン!駅やクルーズターミナルも新設され、アクセス性は一気に向上。ますます東京が魅力的な国際観光都市に変貌!? 今回は春までに開業予定の8つのスポットをご紹介します。【1月24日オープン】江戸前場下町(じょうかまち)“江戸前”をテーマにした豊洲市場の場下町(城下町)。東京の台所・豊洲市場に、初の場外施設が誕生。フードホール棟、多目的広場、マルシェ棟の3エリアからなり、日本の食とライフスタイルを発信。豊洲市場の食材を活かした飲食店や、おみやげが買える物販店など、21店舗が入店予定。中央の多目的広場では、屋外マルシェなどのイベントも開催される。【1月24日オープン】PARCO劇場伝説の劇場がパワーアップ!より臨場感を味わえる造りに。渋谷PARCO建て替えのため、3年以上休館していたPARCO劇場が開場。旧劇場の舞台と客席の距離感を継承し、創る側の創造性を刺激する舞台空間と、圧倒的に舞台に近い客席を両立した新劇場。「志の輔らくご ~PARCO劇場こけら落とし~」で幕を開け、3月から多彩なオープニングシリーズの上演がスタート。【3月14日オープン】高輪ゲートウェイ駅デザインアーキテクト・隈研吾氏が設計する山手線の30番目の新駅。JR品川駅と田町駅の間にできる新駅。“グローバルゲートウェイ品川”をコンセプトに、新たな街の核施設として機能する。折り紙をモチーフにした大屋根など、和を感じられる造りが印象的な駅舎は、隈研吾氏が建築デザインを担当。改札内には無人AI決済コンビニが初出店。駅以外の商業エリアは2024年度以降に開業予定。【4月13日オープン】WATERS takeshiba商業施設が一部先行開業。今夏には劇団四季専用劇場が。文化・芸術を核にしつつ、竹芝の地域資源である水辺を活かした複合型まちづくりを推進。商業施設「アトレ竹芝」が4月13日にI期、7月14日にII期が開業決定。また劇団四季の専用劇場が「JR東日本四季劇場[春][秋]」として生まれ変わる。[秋]劇場は7月14日開場。[春]劇場は9月10日に開場し、『アナと雪の女王』を公演。【4月15日オープン】東京ディズニーランド ニューファンタジーランド史上最大規模の開発で、さらに魅力的なテーマパークに。夢と魔法の王国がパワーアップ。ファンタジーランドを拡張し、『美女と野獣』をテーマにした新エリアが誕生する。アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」、屋内シアター「ファンタジーランド・フォレストシアター」などがオープン。さらに別エリアにも新アトラクションやミニーに会えるスポットが仲間入り。©Disney【4月25日オープン】SMALL WORLDS TOKYOエヴァやセーラームーンなどの世界観をミニチュアで完全再現。動くミニチュアが生み出す“もうひとつの世界”への没入体験ができる、世界最大級の屋内型ミニチュア・テーマパークが有明に誕生。「エヴァンゲリオン 第3新東京エリア」「エヴァンゲリオン 格納庫エリア」「美少女戦士セーラームーンエリア」など、7つのエリアで構成。AR/VRを活用した映像アトラクションも楽しめる。【4月オープン】WITH HARAJUKU文化発信地として注目の的。原宿の新ランドマークに。原宿駅前の約5000㎡の敷地を利用した、再開発プロジェクト。商業施設が立ち並ぶ路面店空間や、ファッション・ライフ・カルチャーのトレンドを創出するイベントホールなどを擁する。8階には、明治神宮の森を一望できるパークビューレストランも。原宿駅前と竹下通りを繋ぐ通り道も造られ、街の回遊性も高まる。©2019,Takenaka Corporation【春オープン】有明ガーデン商業施設、劇場などを擁する湾岸エリアの新ランドマーク。200店舗を超える大型商業施設を核に、多彩な施設で構成。国際会議にも使える約8000人収容の国内最大劇場型ホールをはじめ、露天風呂付きの温浴施設、全749室の大規模ホテルも同時オープン。2021年4月には、劇団四季専用劇場「有明四季劇場」が開設され、国内最多上演記録更新中の『ライオンキング』を公演予定。※『anan』2020年1月15日号より。取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2020年01月11日北海道の玄関口である新千歳空港で、2014年から行われているアニメ映画祭をご存じだろうか。施設内にある3つのシアターをメイン会場として、国内外の新鋭アニメ作家たちによる長編・短編さまざまな新作の上映のほか、関連イベントや展示、シンポジウムなど、作り手もファンも楽しめるフェスティバルとなっている。このフェスティバル・ディレクターを務めているのが、アニメ評論家としても活躍する土居伸彰さん。“まだまだ日本のアニメには可能性がたくさんある”「もともとはアニメよりも、インディペンデント系の音楽とか映画に興味を持っていたんですが、大学のロシア語の授業の中で紹介されたユーリー・ノルシュテインというアニメ作家の短編を観て衝撃を受けたんです。ギョッとするようなリアリティがあって、いままで持っていたアニメーションのイメージが一変しました。そこから作家性の強い短編アニメやインディペンデントアニメを中心に研究するようになったんです」研究を進めるなかで、それらの作品が日本で観られる機会があまりに少ないことを感じた土居さんは、自ら映画館と交渉し上映会などを行うように。ちょうどその頃、テレビや映画といったメディアが強い個性を放つアニメーション作家に目をつけ始める。「それまでアニメーションの分野で芸術性と商業は、ある種、対極に位置していたんです。それが、芸術性のある商業作品がマーケット的に求められるようになってきた。その象徴的な存在が映画『君の名は。』の新海誠監督です。もともと新海さんは短編を自主制作で作っていたインディペンデント作家。作家性の強い新海さんと東宝のプロデューサーが組むことで、爆発的なヒットに繋がりました」そんな流れを受け、現在、土居さんは日本に海外の作家を紹介したり日本の作家を後押しする事業を行っている。新千歳空港国際アニメーション映画祭の活動もそのひとつだ。その土居さんによると、いまの日本のアニメーション業界は「分岐点にある」とか。「いまはDVDやBlu-rayが売れなくなっている時代です。これまで日本のアニメは、こういったパッケージやグッズの売り上げまで見込んで製作されていました。しかしこれまでのやり方では製作資金が回収できなくなっているんですよね。そもそも業界自体、いまだにアナログに頼っている部分が多く、働く人たちの労働問題も頻繁に取り沙汰されている状況。このままでは産業自体が衰退していく危険もあると思います」しかし同時に、可能性もある。「Netflixのような資金力を持った企業が、いまオリジナルのアニメーション作品の製作に乗り出しています。湯浅政明監督の『デビルマン・クライベイビー』がそのいい例。新海さんや湯浅さんだけでなく、『ペンギン・ハイウェイ』の石田祐康監督、『映画 聲の形』の山田尚子監督など、冒険的な作品を作る新しい才能も生まれていますし、面白くなっていく予感はあるんです。長きにわたって独自の発展を遂げてきた日本のアニメは、これからは戦略的に変化しないといけない。ますます世界を視野に入れた作品創りが求められていくはずです」いま土居さんが進めているのは、国の支援を受けてアニメーション制作をしているフランスで、日本人監督の作品を創るプロジェクト。「ほかにもアプリゲーム化や、漫画、CMといった多分野に応用するなど、まだまだ可能性はたくさんあるのではないでしょうか」どい・のぶあき新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター、「ニューディアー」代表/アニメプロデューサー1981年生まれ、東京都出身。東京大学大学院総合文化研究科卒。ユーリー・ノルシュテインを中心にインディペンデント作家の研究を行う傍ら、アニメ評論や上映イベントなどの企画のほか、海外映画祭での審査員やキュレーターとしても活躍。著書に『21世紀のアニメーションがわかる本』(フィルムアート社)。※『anan』2020年1月15日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月10日年末年始のテレビ番組といえば、子どもたちにとっても大きな楽しみのひとつではないでしょうか。大好きなアニメの特別版や映画版に興奮したり、両親はもちろんいとこや親戚などと一緒に教養番組から何かを学んだり、ネイチャードキュメンタリーで共感したり…。普段とは違うテレビの楽しみ方ができそうですよね。そこで、2019~2020年の年末年始に放送される子ども向けテレビ番組を一挙にご紹介します!■2019年年末に放送される子ども向けテレビ番組▼12月23日(月)『<NHK>2020応援ソング「パプリカ~Foorin楽団」』NHK Eテレ 12月23日(月)~27日(金) 午前9:00~子どもたちを中心に大ヒットとなった、<NHK>2020応援ソング「パプリカ」を歌うFoorinが、聴覚障害や発達障害といった、さまざまな特性を持つ子どもたちと「Foorin楽団」を結成。3ヶ月を掛けたミュージッククリップ撮影の様子を捉えたドキュメンタリーだ。『Eうた・ドラマ“歌のおじさん”・Eたん』NHK Eテレ 12月23日(月)~25日(水) 午後6:45~/12月26日(木) 午後6:54~ NHKEテレの放送60周年を記念して、「うた」をテーマにした特別番組。矢部太郎演じる歌の妖精“Eたん”と中学生のコウキが人々の心をつなぐ「うた」を生み出していく。Perfume、Sexy Zone、JUJUなど豪華アーティストがカバーするEテレの数々の名曲たちに注目!▼12月24日(火)『子犬が家にやってきた! ~パピーラブラブドキュメント~』NHK総合 午後7:30~8:42子犬を飼うことになったご家庭、数組に密着取材。飼い主と子犬が本当の家族になっていく様子を見つめた、あたたかいドキュメントだ。▼12月25日(水)『“アナ雪の故郷”を訪ねて ノルウェーファンタジー紀行』NHK BSプレミアム 午後9:00~映画『アナと雪の女王』の製作者たちが、登場人物や舞台のヒントとして多くのインスピレーションを得た北欧ノルウェー。女優の山本美月が現地を訪ね、その魅力を探っていく。▼12月27日(金)『チコちゃんに叱られる!「拡大版SP!イチョウ並木・氷の謎・イラスト一挙公開!」』NHK総合 午後7:30~ゲストには、さだまさし、萬田久子らが登場。スペシャル回のみ登場する「チコの部屋」では、チコちゃんがさだを「ボーっと生きていないか」チェック。また、チコちゃんリスクエストでさだがあの名曲を歌う!?▼12月28日(土)『まるごと見せます! 世界の教育コンテンツ~日本賞2019~』NHK Eテレ 午後2:00~世界中の教育コンテンツから、幼児向け・児童向け・青少年向け・一般向けの各部門で最優秀賞を受賞した4本を、ノーカット・日本語版で放送。11月8日に行われた授賞式の模様もレポートする。『ドラえもん』年忘れスペシャルテレビ朝日 午後5:00~2019年最後の『ドラえもん』。『ネズミ年だよ! ドラえもん』は、ネズミ嫌いのドラえもんがひみつ道具の力でネズミと仲良しに!? そして、『出てくる出てくるお年玉』では、お年玉が少なかったのび太がいろいろな方法でお年玉がもらえる“お年玉ぶくろ”を使うが…。地球ドラマチック『3D解析! ピラミッドの謎~エジプト 最後のミステリー~』NHK Eテレ 午後7:00~エジプトのギザにある三大ピラミッドとスフィンクス。エジプト、フランス、アメリカの研究者たちが、最新のテクノロジーを用いて精巧な3Dモデルを作り、古代文明の謎を解き明かす。『ドラえもん“誕生”50年 みんなみんなかなえてくれる♪ ~ひみつ道具とかがく~』NHK 午後7:30~1970年の連載開始からちょうど50年。これまでドラえもんに登場したひみつ道具は1600以上にものぼる。実は今、このひみつ道具が世界で実現されつつあるという! そこで番組では、ドラえもんのひみつ道具を通して最新科学に迫る。▼12月30日(月)『はじめてのおつかい 傑作選』日本テレビ 午前6:00~おなじみの人気特別番組『はじめてのおつかい』。過去に放送された、笑いあり涙ありの傑作エピソードを集めて紹介する。子どもたちの一生懸命な姿に、胸が熱くなること必至だ。映画『劇場版 ダーウィンが来た! アフリカ新伝説』NHK総合 午後7:30~放送開始から12年の人気自然番組が初めて映画化。放浪して生きる若きオスライオン、女手ひとつで子どもたちを育てるメスライオン、争いで片腕を失ったゴリラ…。アフリカでたくましく生きる動物家族の物語が語られる。▼12月31日(火)『香川照之の昆虫すごいぜ!』 「アリ」/「カマキリ先生コスタリカへ行く」/「キリギリス」(再放送)NHK Eテレ 午前10:10~香川照之扮するカマキリ先生が昆虫についての熱い授業を行う番組から、過去作品「特別編☆カマキリ先生コスタリカへ行く」など3本を再放送。年明け放送予定の新作を観る前に、もう一度振り返りたい。『オリガミの魔女と博士の四角い時間SP』NHK Eテレ 午後5:00~日本の伝統文化である“折り紙”の奥深い世界をドラマで紹介する番組の年末スペシャル。折り紙の創作に情熱を注ぐオリガミ博士(滝藤賢一)が謎解きに挑戦するが…。世界各国のユニークな折り紙作品も登場。■2020年お正月に放送される子ども向けテレビ番組▼1月1日(祝・水)『ごちそんぐDJ 幸せいっぱい! おせちスペシャル~きみの願いにNEOおせち!~』NHK Eテレ 午前7:40~楽しい歌と映像にのせて、毎回おいしい食べ物を紹介する音楽&食の番組。年始一発目のテーマは、「おせち料理」! さて、どんなおせちが出来上がるかな?『香川照之の昆虫すごいぜ! お正月スペシャル カマキリ先生☆冬の森でオサボリ!?』NHK Eテレ 午前9:00~香川照之扮するカマキリ先生が昆虫のすごさを紐解く人気番組の最新作。今回は、冬を越す虫たちに焦点をあて、カマキリ先生の昆虫に対する思い入れから、その生態や自然とのつながりまで、授業が繰り広げられる。映画『ねずみ物語 ~ジョージとジェラルドの冒険~』NHK Eテレ 午前9:45~辻信太郎の絵本「大切な仲間たち ねずみ物語」を原作にしたアニメ。ねずみ一族の長老レオポルド一世は、後継者候補のジョージとジェラルドに、月の谷に住む光の竜をつかまえた者を後継者にすることを宣言。旅に出た2匹は固い友情で結ばれていく。『ネコメンタリー 元日SP ますむらひろしと モンとハテナとコマ 特別編』NHK Eテレ 午後2:00~作家と愛猫の生活を、書きおろし原稿と映像でつづる異色ドキュメンタリーの特別編。3匹の愛猫と暮らす漫画家ますむらひろしは、なぜ猫をモチーフにした漫画を描くようになったのか。2019年夏放送後の大反響を受け、追加撮影を敢行した拡大保存版だ。映画『GAMBA ガンバと仲間たち』NHK Eテレ 午後4:40~テレビアニメ版でも人気を博した「冒険者たち ガンバと15ひきの冒険」が原作の3DCGアニメ(2015年公開)。町ネズミのガンバとマンプクは「海は世界で一番広くて大きい」と聞き、海を目指して旅に出る。港で出会った島ネズミの忠太に助けを求められた彼らは、仲間たちと巨大な敵に立ち向かうが…。『坂上どうぶつ園プレゼンツ 1000人が本気で選んだ! 激カワ! 感動!爆笑! 新春どうぶつ映像アワード』フジ 午後6:00~視聴者1000人から投票し選ばれた、永久保存したい「どうぶつ映像ランキング」を発表! ほか、坂上忍が希少動物が多く生息するハワイ島へ赴き、「どうぶつ地球百景」の撮影に挑戦。ある巨大な生きものを探すため、夜の海へ入るが…。『もふもふモフモフ 神ネタ新ネタ集めちゃいましたスペシャル』NHK Eテレ 午後6:05~いぬ、ねこ、うさぎ、ハムスター…。もふもふモフモフする動物のかわいい姿をたくさん集めたスペシャル版。ナレーションは、自身も犬を飼う俳優の堤真一。『おしりたんてい』NHK Eテレ 午後6:15~トロル原作の大ヒットシリーズのアニメ。おしりの顔の形をした名探偵が、「フーム、においますね」というお決まりのセリフを言いながら難事件を解決していく。1月1日(土)は、原作でも子どもに人気な大泥棒「かいとうU」が登場する「ププッ かいとう たい たんてい」を前後編で放送する。▼1月2日(木)映画『プリキュア スーパースターズ!』TOKYO MX 午前9:00~人気アニメ『プリキュア』シリーズの劇場版24作目(2018年公開)。『HUGっと! プリキュア』を中心に、『キラキラ☆プリキュアアラモード』『魔法使いプリキュア!』の3世代12人のプリキュアが力を合わせ、世界を救う!『ハイウェイ・ラット ~嫌われおいはぎネズミ~』NHK Eテレ 午前9:15~動物たちから食べ物を奪って生活する“おいはぎネズミ”は、ある日、アヒルから山のてっぺんの洞窟にお菓子がたくさんあると聞く。アヒルの案内で、洞窟を目指すおいはぎネズミだったが…。『日本人のおなまえっ!×みんなで筋肉体操「筋肉のおなまえSP」』NHK 総合 午後7:20~人気番組『日本人のおなまえっ!』と『みんなで筋肉体操』がコラボしたお正月のバラエティ特別番組。謎の“筋肉のおなまえ”を探ったところ、肩こり・腰痛改善といった健康や美容の秘けつが見えてきて…!?『福山雅治×香川照之・生きものすごいぜ!』NHK 総合 午後9:00『龍馬伝』で共演して以来、仲良しの福山雅治と香川照之。「生きものや自然に対する深い興味や愛情がある」という共通点を持ったふたりが、自然の魅力や生きものへの愛を語り合う!『潜入! ウワサの大家族 スペシャル』フジテレビ 午後10:00~聞き込み取材から集められた情報をもとに、大家族を訪問。その家族のルーツや生活ぶりを紹介する。以前番組で取り上げた、宮崎県で自給自足の生活を送る大家族のその後もレポート。『デザインあ・おとなスペシャル2020』NHK Eテレ 午後10:15~身の回りにあるもの、毎日使っているものなどを、デザインの視点から見ることで、その面白さを知ることができる番組「デザインあ」。大人が観ても新しい発見がたくさんある番組だけに、「おとなスペシャル」に期待が高まる。映画『夜明け告げるルーのうた』NHK Eテレ 午後10:35~『マインド・ゲーム』の湯浅政明監督作で、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門クリスタル賞(最高賞)ほかを受賞したことで話題になった映画。寂れた漁港の街を舞台に、鬱屈(うっくつ)した思いを抱えた中学生のカイが人魚のルーと出会う…。▼1月3日(金)『チコちゃんに叱られる! 新春・麒麟がくるスペシャル』NHK総合 午後7:20~大河ドラマ『麒麟がくる』から、長谷川博己、門脇麦、堺正章がゲストで登場。チコちゃんから明智光秀に関する問題や、お正月にまつわる謎を投げかけられる…!▼1月4日(土)『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん スペシャル』テレビ朝日 午後6:30~強い好奇心によって大人顔負けの知識や、優れた才能を持った子どもの“博士ちゃん=先生”たちが、世界にひとつだけの特別授業を開講する。MCには、サンドウィッチマンと芦田愛菜。▼1月5日(日)『ダーウィンが来た! チューもく!干支(えと)のネズミ大特集』NHK総合 午後7:30~新年第1回目の『ダーウィンが来た!』は、2020年の干支“ネズミ”を大特集。実はありがたいご利益がある世界のネズミたちを紹介する。特別ゲストに、大河ドラマ『麒麟がくる』の谷原章介と徳重聡。▼1月6日(月)『はじめてのおつかい! 2020年爆笑! 30周年記念スペシャル』日本テレビ 午後7:00~子どもたちが初めて子どもだけでお買い物する様子を追いかける超人気番組。妹が初めて食べる魚を買いに魚市場に行く4歳のりんたろうくんは、途中泣いてしまうけれど「パプリカ」を歌って勇気を出す…。ゲストには市川海老蔵ほか。『ファミリーヒストリー』NHK総合 午後7:30~毎回、ゲストの出自を探る番組だが、今回はなんと「パンダの彩浜~世界に誇るパンダ一族」を特集! 和歌山県のアドベンチャーランドで16番目に生まれた彩浜とその一家に迫る。
2019年12月23日世界総人口の約8割が何らかの超常能力=“個性”を持って生まれる世界を舞台に、ヒーローを目指す高校生たちの成長と葛藤、熱いバトルを描いた人気作品『僕のヒーローアカデミア』。そんな通称“ヒロアカ”で轟 焦凍(とどろき しょうと)を演じる梶 裕貴さんが語る、劇場版最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』の魅力とは?個性は弱点じゃなく魅力だと、気づかせてくれる作品です。轟焦凍は、演じ始めた頃と今で、ガラッと印象が変わりました。クールで心を閉ざしていたけれど、彼自身の中にある炎がいつしか身も心も温めて、次第に柔らかくなっていく。“半冷半燃”という彼の“個性”のように、冷静だけど人を思う本質が、徐々に出てきたのかなと。対照的な性質を持ち合わせているところは、自分にも共通しているかも。声優は、役になり切ることが大事であると同時に、自分の立ち位置や求められているものを一歩引いたところから考えないといけない。でも、人としての魅力はお芝居に影響するはずなので、熱さや人間らしさを持つ必要もあります。ただ熱いだけではダメで、状況を客観的に把握する頭や目も大事。その狭間で葛藤しつつ、ベストを探り続けています。ヒロアカは、みんな異なる“個性”を持っていて、でもそれは決して自分で選んだものではなく、だからこそ時にコンプレックスになることもあります。けれど、努力を通じて受け止め方を変えて、逆に輝く個性にしている。僕もそうでしたが、思春期には自分をネガティブにとらえてしまうことも少なくないですよね。でも“それは弱点じゃなく魅力だよ”と気づかせてくれる物語だと思います。『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』No.1ヒーロー、オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーローを育成するプロジェクト”の一環として、とある島でヒーロー活動をすることになった、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たち。そこへ、突然謎の敵が島を襲撃。敵の目的は一体何なのか。デクをはじめとする1‐Aの生徒は、島の住民を守るための戦いに挑む。©2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会©堀越耕平/集英社かじ・ゆうき1985年9月3日生まれ、東京都出身。『PSYCHO‐PASS サイコパス3』『あひるの空』等出演。『うちタマ?!~うちのタマ知りませんか?~』来年放送。※『anan』2019年12月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・アートメイク・中山芽美(e‐mu)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2019年12月17日世界中で人気!総人口の約8割が何らかの超常能力こと“個性”を持って生まれる世界を舞台に、ヒーローを目指す高校生たちの成長と葛藤、熱いバトルを描く『僕のヒーローアカデミア』。飯田天哉(いいだ てんや)を演じる石川界人さんに、最新作の劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』について、そして自身が熱狂していることについてお聞きしました!アニメ作品にこそ、リアリティが大事だと思っています。“なぜこういう行動をとるのか”というキャラクターの行動原理が整理され、きちんと描かれている作品は演じていて楽しいです。逆に、行動の理論が崩れると、その上にのっかる感情にも齟齬が生まれやすいし、“なんでこうなるんだろう…?”と観る人の気持ちが冷めてしまう。それはエンタメを創る者として避けたいし、アニメ作品にこそ、リアリティが大事だと思っています。だから、台本を読んで登場人物の行動の意図がわからない時はスタッフに相談するのですが、ヒロアカの現場はそういう時に何度も協議を重ねてくれる。特に、三間(雅文)音響監督は、声優のお芝居に重きを置き、耳を傾け、心を寄せてくれる熱い人です。皆さんに助けられているからこそ、相応の思いや姿勢を持って返していかないとアンバランスですよね。プレッシャーはあるけど、だからこそ楽しいです。これまでは無趣味でしたが、最近は車にバイク、スマホゲームの実況&動画編集にいそしんでいます。時間が足りないから、ヒロアカのように“個性”が使えるなら、トゥワイスというキャラの分身できる“個性”がいい。それぞれで仕事や趣味を経験して、それを統合できたら最高ですよね(笑)。『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』No.1ヒーロー、オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーローを育成するプロジェクト”の一環として、とある島でヒーロー活動をすることになった、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たち。そこへ、突然謎の敵が島を襲撃。敵の目的は一体何なのか。デクをはじめとする1‐Aの生徒は、島の住民を守るための戦いに挑む。©2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会©堀越耕平/集英社いしかわ・かいと1993年10月13日生まれ、東京都出身。来年放送される『盾の勇者の成り上がり』『ハイキュー!!シリーズ』、『波よ聞いてくれ』などに出演。※『anan』2019年12月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・アートメイク・トキ取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2019年12月16日オタク心を持つ、フリーアナウンサー、タレントの宇垣美里さん。「これだ!」という作品に出合い、熱狂的にハマる理由を存分に語っていただきました。撮影開始まで少し時間があると聞いて、さっと自分のバッグの中から本を取り出し、黙々と読みはじめた宇垣美里さん。空き時間を読書に費やすのはいつものこと。「週にだいたい1~2冊、多い時は4冊くらいの本を読んでいます。お仕事関係の課題図書もあるのですが、自分が読みたいと思って選んだ小説も多いです。漫画やアニメと一緒で、私にとっては完全に娯楽の一つですね」両親の影響で、幼い頃から大量の本に囲まれて育ってきた。小・中学生の時に好きだったのは、『ハリー・ポッター』シリーズや『指輪物語』などのファンタジー。「学校の図書室の本を片っ端から読みたいと思っていて」と当時のことを振り返る。「小説と同じくらい、映画や漫画も大好きでした。一度ハマると没頭するタイプで、たとえば映画なら“この監督の作品を全部観よう”と自分に課すことも。10代の頃よく読んでいた漫画は『カードキャプターさくら』『美少女戦士セーラームーン』『NARUTO‐ナルト‐』『ONE PIECE』に『鋼の錬金術師』…。『銀魂』は今も全巻持っています。趣味の本やDVDが大量にありすぎて“いつか床が抜けるんじゃないか”とハラハラしていたほどです(笑)」大学時代には、宇垣さんの“好きなものリスト”に「アニメ」が加わる。「私と同じ名前の登場人物がいることを知って『新世紀エヴァンゲリオン』を見はじめたのがきっかけ。アニメの中では『コードギアス』シリーズが大好きで、何度も繰り返し見ていました」小説、映画、漫画、アニメ。各ジャンルの作品に対する熱は、大人になった今でも変わらない。「趣味に費やせるお金が増えたぶん、時間は圧倒的に足りなくなりました。読みたい本も、見たい映画もアニメもありすぎてしんどいです(笑)。だから、“休みの日に何をしていいかわからない”という人の気持ちにはあまり共感できないかも。最近は、小野不由美さんの小説『十二国記』シリーズにハマっています。仕事でなかなか時間はとれないのですが、どうしても読むのをやめられなくて」自分が好きなものを、堂々と胸を張って「好き」と言える。その潔さが、宇垣さんの人としての魅力の一つでもある。「たまたま私にはそれを発言する機会があっただけで、誰にでも好きなものってあると思うんです。それこそ、私の会社員時代の同僚には四六時中ゲームをしているような人もいれば、車マニアの女性もいました。その人たちを見ていて思ったのは、“自分の好きを伝えたい”という熱量が、語彙力を増やすきっかけになるということ。一方で、私は愛が強すぎると言葉が暴走してしまうので(笑)、アナウンサーとして、作品の魅力をわかりやすく伝えていくことを今後の課題にしたいと思っています」実は宇垣さん、舞台を観劇したり、一人旅で海外の美術館を訪れたり、コスメオタクの一面があるなど、他にも幅広い趣味のアンテナを持っている。好きなものに対する情熱の源とは一体?「“人間の感情をピアノだとすると、人によって鍵盤の多寡がちがう。多く持ってうまれた人は、ときに現実以外のことでも感情の音律が鳴って、そのぶんだけ人生が感覚的に豊富になる”。司馬遼太郎さんの著書『アメリカ素描』の言葉を目にした時、ハッとしたんです。つまり、何かで心がすごく揺れたり、感動しすぎて泣いてしまったりというのは、良し悪しではなくて、ただ自分に鍵盤が多いだけなんだってこと。私にとっては、素敵なモノや作品との出合いこそが人生の活力。たとえ日常で辛いことやしんどいことがあっても、“生きててよかった!”と本気で思える瞬間なんです」宇垣さんが熱狂するモノマンガ:『窮鼠はチーズの夢を見る』水城せとな小学館鋭く冷静な目線とキレのある言葉に夢中!揺れ動く2人の男性の切なくも狂おしい恋を描く。来年映画化予定。「水城先生の漫画の大ファンです。地獄のような世界の中にもどこか救いがあり、生きるうえでの糧になります」小説:『十二国記』シリーズ『白銀の墟 玄の月』小野不由美新潮社王朝の繁栄と没落を描く異世界ファンタジー。’91年から読み継がれる『十二国記』シリーズ。「18年ぶりに新作が発売されるタイミングで友達に薦められ、読みはじめたら見事にハマりました。壮大な世界観に魅せられます」マンガ:『カードキャプターさくら』シリーズCLAMP講談社大人になった今も、グッズに目がありません。主人公のさくらが愛と魔法を通じて大人に近づく成長物語。’96年の『なかよし』での連載開始から多くの小・中学生に人気を博した少女漫画。「アニメもリアルタイムで見ていました」うがき みさと1991年4月16日生まれ、兵庫県出身。フリーアナウンサー、タレント。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』『篠田麻里子のGOOD LIFE LAB!』レギュラー。多くのテレビ番組や広告、雑誌に出演するほか、『週刊文春』にてコラム「宇垣総裁のマンガ党宣言!」を連載するなど、趣味を生かした執筆活動も行う。ニット¥20,000(イエナ)バングル¥16,000(フィリップ オーディベール)共にメゾン イエナ TEL:03・5731・8841※『anan』2019年12月18日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・武政ヘア&メイク・北 一騎取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2019年12月16日『僕のヒーローアカデミア』、通称“ヒロアカ”。世界総人口の約8割が何らかの超常能力=“個性”を持って生まれる世界を舞台に、人と社会を守る職業「ヒーロー」になることを目指す雄英高校ヒーロー科の生徒たちの活躍を描いた人気作品だ。“無個性”で生まれながらヒーローに憧れ、No.1ヒーロー、オールマイトに内なる資質を見出され彼の“個性”を受け継いだ主人公の緑谷出久(みどりや いずく)、通称“デク”と、そのクラスメイトたちの成長や葛藤を描く。’14年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載がスタートして以来、その人気はとどまるところを知らず、’16年にはTVアニメシリーズがスタート。昨年は初の劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE~2人の英雄(ヒーロー)~』が公開され、日本のみならず世界中のヒロアカファンの熱狂を呼び、大ヒットを記録した。そして今年12月20日、劇場版最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』が公開に。オールマイトの引退後、彼の後を継いで次世代ヒーローを目指すデクたち1年A組の面々が大活躍。ヒロアカを構成する、3つのキーワード。Keyword1:個性ヒロアカの世界では、約8割が何らかの超常能力、“個性”と呼ばれるものを持って生まれてくる。“爆破”“半冷半燃”“無重力”などユニークな“個性”を活かしたバトルシーンが見どころ。Keyword2:成長シリーズを通じて、少年少女たちの成長の過程を見守ることができるのも醍醐味。各々のヒーロー観や戦い方の違いからぶつかり合い、葛藤する中で強くなる彼らから片時も目が離せない。Keyword3:継承No.1ヒーロー、オールマイトから“個性”を継承したデク。そして“ヒーローとして誰かを助ける”という信念を受け継いでいく少年少女たちの、力を合わせた熱いバトルにも注目。ここでは、そんなヒロアカのメインキャスト5人――緑谷出久を演じる山下大輝さん(写真・中央)、麗日お茶子(うららか おちゃこ)を演じる佐倉綾音さん(写真・左から2人目)、飯田天哉(いいだ てんや)を演じる石川界人さん(写真・左)、轟 焦凍(とどろき しょうと)を演じる梶 裕貴さん(写真・右)、爆豪勝己(ばくごう かつき)を演じる岡本信彦さん(写真・右から2人目)――が、“ヒロアカが熱狂を生む理由”について語り合ってくれました。山下大輝:ヒロアカって、登場するキャラクターたちが、男女を問わずヒーローを目指しているところが素敵だよね。佐倉綾音:私が演じるお茶子も、ヒロインじゃなくて、ヒーロー。石川界人:僕、デクってすごく応援したくなる主人公だと思うんです。初めてこの作品を漫画で読んだ時、デクがとにかく弱くて、情けなくて、でも不思議とカッコよくて。身近でいて魅力的な主人公がいるというのは、夢中になれる理由の一つだと思います。梶 裕貴:特に今回の劇場版は、すごく主人公然としてるよね。ヒロアカは登場人物みんなにドラマがあるから、誰に感情移入しても熱狂できるとは思うんだけど、その中でもやっぱり、デクが主人公として物語の中心にいてくれるのが、心地いいんだよね。山下:デクの絶対に折れない心、諦めない姿には、演じている僕自身も、いつもパワーをもらってます。岡本信彦:ライバルの爆豪を演じる身としては、デクが頑張れば頑張るほど負けられない、という気持ちです。ヒーローを目指して、みんなが切磋琢磨していくというのがヒロアカのドラマ性なんだと思う一方で、爆豪目線で見ると、デクの成長が嫌で嫌で(笑)。梶:そうやって苛立ちながらも、がむしゃらにぶつかっていくからこそ、爆豪はみんなに愛されてるんじゃない?佐倉:私は、わりと日の当たらない場所で生きてきた自覚がある人間だから、主人公然としたデクがまぶしくて。自分はこうはなれないなって思ってしまうところがあるんですよね。でもこの作品は、そういう人でも感情移入できるキャラクターがいて、それぞれの葛藤やドラマも描かれているんです。そういうところもヒロアカに魅了される要因の一つなんじゃないかな。梶:確かに、一人ひとり全然違う子どもたちがヒーローになっていくのって、夢があるよね。みんなバラバラに個性があって、たとえコンプレックスがあったとしても、自身の発想や努力でそれを武器へと変えていけるから。佐倉:現実では、ヒロアカの世界みたいにわかりやすく自分の強みと弱みを把握できるわけではないけど、そんなそれぞれが成長する姿を見せてくれるのが、面白いところですよね。山下:あとは、ヒロアカは現場そのものが熱狂的。毎回、熱気がすごい!石川:他の人の芝居にも圧倒されて、熱狂するし。そういう時ってみんな思わず前のめりになりますよね(笑)。梶:今回の劇場版の収録では、デクと爆豪の声が入ったものを聞きながら演技したんだけど、うらやましかったな。岡本:“プルス・ウルトラ”って物語にも出てくる言葉で「もっと先へ」という意味なんですけど、ヒロアカの収録はまさにそれ。「もっと聞いたことのない声を聞かせてくれ」って言ってもらえるから、役者冥利に尽きます。山下:本当に思いっきりやらせてもらってます。その分、求められることも多いんですけどね。佐倉:プレッシャーもあるけど、むしろそっちのほうが頑張れます。梶:そうやって導いてくれる場所のほうが、僕たちにはありがたいよね。石川:声優って面白いことをやりたい、人を喜ばせたい、感動させたいっていう人たちだから。現場で自分のやりたいことを受け入れてもらえると、アイデアもどんどん広がるし、それが結果として作品の広がりにつながったりすることもあるし。そういう時は、やっぱり熱狂します。山下:4期までシリーズを続けてきたからこその空気感もあるよね。スタッフさんたちとの信頼関係があるから、全力でぶつかれるっていう。佐倉:スタッフさんの“ヒロアカ愛”を感じるので、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。TVアニメシリーズがスタートする時、「10年続く作品にします」って言われましたからね。岡本:そうそう。それに応えるためにも体調管理だけはしっかりしないと!佐倉:いっそ、来年以降も映画やりたいです。年に1度の風物詩に!山下:堀越先生が最終回のネタを思いつき次第、映画にいただいて(笑)。岡本:この勢いで100年続けよう!梶:ヒロアカは普段アニメを見ない人にも入り口としてすごくいい作品だと思うので、ぜひ劇場に足を運んでもらいたいですね。手に汗握る展開で、必ず熱狂してもらえると思います。岡本くんの言う通り、この先10年、100年めざして!プルス・ウルトラ!『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』No.1ヒーロー、オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーローを育成するプロジェクト”の一環として、とある島でヒーロー活動をすることになった、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たち。そこへ、突然謎の敵が島を襲撃。敵の目的は一体何なのか。デクをはじめとする1‐Aの生徒は、島の住民を守るための戦いに挑む。©2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会©堀越耕平/集英社やました・だいき9月7日生まれ、静岡県出身。2012年より声優活動をスタート。『弱虫ペダル』の小野田坂道役で’14年に声優アワード新人男優賞を受賞。さくら・あやね1994年1月29日生まれ、東京都出身。主役を演じる『劇場版新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA‐X』が12/27に公開。いしかわ・かいと1993年10月13日生まれ、東京都出身。来年放送される『盾の勇者の成り上がり』『ハイキュー!!シリーズ』、『波よ聞いてくれ』などに出演。かじ・ゆうき1985年9月3日生まれ、東京都出身。『PSYCHO‐PASS サイコパス3』『あひるの空』等出演。『うちタマ?!~うちのタマ知りませんか?~』来年放送。おかもと・のぶひこ10月24日生まれ、東京都出身。2009年声優アワード新人男優賞受賞。『青の祓魔師』『とある科学の一方通行』『暗殺教室』等多数出演。※『anan』2019年12月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・アートメイク・トキ(山下さん、岡本さん、石川さん)福田まい(addmix B.G/佐倉さん)中山芽美(e‐mu/梶さん)取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2019年12月15日’14年に連載がスタートして以来人気続行中の、ヒーローを目指す高校生たちの成長と葛藤、熱いバトルを描く『僕のヒーローアカデミア』。最新作の劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』について、麗日お茶子(うららか おちゃこ)を演じる佐倉綾音さんにインタビュー!自分の心の奥底にある、美しい部分を探しながら演じました。麗日お茶子は、触れるたびに希望をもらえる、まぶしい女の子。人生の指針になりそうな人です。最初は、“女性にも好かれてほしい”というエゴもあり、あざとく映らないよう、少しボーイッシュな人物にとらえていました。でも、心配とは裏腹に、彼女の言動すべてが人を前向きにするものだったので、監督や制作の皆さんが思う可愛さをしっかり演じています。ただ、まっすぐで素直なキャラクターを演じるのは難しかった。クセのある人物は、ほかの作品や人からヒントを得てインプットできるけど、まっさらなお茶子の場合は、何かを入れるほどに濁ってしまう。考えすぎて役から遠ざかったこともありました。結果、自分の心の奥底にある、一番美しい部分を探しながら演じたのですが、見つけられたかどうか、作品を観て判断してもらえたら嬉しいです。今、熱狂しているものはコスメ!気になったものは試さずにいられず、限定品を買うために朝7時から並んだり、予約のために百貨店に100回くらい電話をかけたこともあります(笑)。一番、気持ちが上がるのはアイシャドウ。小さい頃から絵を描くことと画材集めが好きだったので、その影響が大きいのかもしれません。『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』No.1ヒーロー、オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーローを育成するプロジェクト”の一環として、とある島でヒーロー活動をすることになった、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たち。そこへ、突然謎の敵が島を襲撃。敵の目的は一体何なのか。デクをはじめとする1‐Aの生徒は、島の住民を守るための戦いに挑む。©2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会©堀越耕平/集英社さくら・あやね1994年1月29日生まれ、東京都出身。主役を演じる『劇場版新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA‐X』が12/27に公開。※『anan』2019年12月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・アートメイク・福田まい(addmix B.G)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2019年12月15日世界総人口の約8割が何らかの超常能力=“個性”を持って生まれる世界を舞台に、人と社会を守る職業「ヒーロー」になることを目指す雄英高校ヒーロー科の生徒たちの活躍を描いた人気作品『僕のヒーローアカデミア』。爆豪勝己(ばくごう かつき)を演じる岡本信彦さんに、劇場版最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』の魅力をお聞きしました!ヒロアカの現場はとにかく熱くて楽しい!爆豪勝己は、主人公・デクの幼なじみであり、ライバル。だからデクに対してはあまりいい感情を持っていないんです(笑)。たぶんお互いに、目の上のたんこぶだと思ってる。そんな二人がどう戦っていくのかが今作では重要になってきます。前作(※’18年公開の劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE~2人の英雄(ヒーロー)~』)のテーマがデクとオールマイトという師弟の共闘だとしたら、今回は、実は爆豪がキーパソン。個人的にはとてもやりがいを感じました。僕の本来の声質はやわらかいので、爆豪を演じていると言うと驚かれることが多いんです。いつも怒った顔をしていて、言葉も荒っぽい爆豪は、僕とは性格も正反対。だけど他人に厳しい分、自分に対してもストイックだし、実は一番熱い心を持った男でもある。大人の女性から見たらきっと可愛く感じてもらえると思います。今回、10時間にわたる長丁場の収録の後、みんなで食べに行った焼き肉は沁みました!僕は長年、焼き肉とチョコレートに熱狂してます。好きなのはシャトーブリアンとフィレとカイノミ。チョコレートはプラリネが一番好きです。おいしいものを食べると、仕事を頑張ろうっていう気持ちになります。といっても、ヒロアカはあんまり仕事と思ってないかも。とにかく楽しんでやってます!『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』No.1ヒーロー、オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーローを育成するプロジェクト”の一環として、とある島でヒーロー活動をすることになった、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たち。そこへ、突然謎の敵が島を襲撃。敵の目的は一体何なのか。デクをはじめとする1‐Aの生徒は、島の住民を守るための戦いに挑む。©2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会©堀越耕平/集英社おかもと・のぶひこ10月24日生まれ、東京都出身。2009年声優アワード新人男優賞受賞。『青の祓魔師』『とある科学の一方通行』『暗殺教室』等多数出演。※『anan』2019年12月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・アートメイク・トキ取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2019年12月15日ヒーローを目指す高校生たちの成長と葛藤、熱いバトルを描く『僕のヒーローアカデミア』。主人公の緑谷出久(みどりや いずく)、通称“デク”を演じる山下大輝さんに、劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』の見どころを伺いました。つい応援したくなる一生懸命さが、デクの魅力。僕が演じる緑谷出久、デクと呼ばれている彼は、夢に向かってまっすぐ突き進む力を持った強い子です。心が折れそうになることはあるけれど、ヒーローになりたいという夢は絶対に揺るがない。僕も、いつも彼からパワーをもらっています。今回、僕は爆豪勝己(ばくごう かつき)役の岡本信彦さんと劇場版オリジナルキャストの4人で一緒にブースに入り、10時間かけて一気に収録したんですが、後半はデクとかっちゃん(爆豪)が叫びっぱなし。喉が潰れるのでは、と心配もしましたが、リアルタイムで収録したからこそ生々しさが出せたと思います。そして何といっても今回は、作者の堀越耕平先生が原作の最終回のために考えていたという、とっておきのアイデアのひとつがストーリーの大きな鍵になっています。僕も台本を初めて読んだ時に、衝撃を受けました。ドラマティックな展開をぜひ劇場で味わってください。僕自身の“熱狂”といえば、猫!子どもの頃から兄弟のように育ってきたので、筋金入り。一番好きなのは鼻をツンツンして遊ぶことでしたが、最近猫にとってあまりよくないと聞いてショック。可愛いんですけど、早朝に暴れだすのだけはやめてもらいたいです(笑)。『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』No.1ヒーロー、オールマイトの後を継ぐ“次世代のヒーローを育成するプロジェクト”の一環として、とある島でヒーロー活動をすることになった、雄英高校ヒーロー科1年A組の生徒たち。そこへ、突然謎の敵が島を襲撃。敵の目的は一体何なのか。デクをはじめとする1‐Aの生徒は、島の住民を守るための戦いに挑む。©2019「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会©堀越耕平/集英社やました・だいき9月7日生まれ、静岡県出身。2012年より声優活動をスタート。『弱虫ペダル』の小野田坂道役で’14年に声優アワード新人男優賞を受賞。※『anan』2019年12月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・アートメイク・トキ取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2019年12月15日芸能界きっての“オタク心”を持つ女優、モデルの山本美月さんに、作品を熱狂的に愛することの喜びや楽しさを語っていただきました。「私、今までアイドルに夢中になったことが一度もないんです。たとえば思春期の頃も、まわりの女の子たちが好きなタレントの話題で盛り上がっているなか、自分はアニメの話ばかりしていて(笑)。生身の人間よりも二次元のキャラクターに惹かれてしまうんです」まっすぐな瞳で、みずからのアニメ愛を語ってくれた山本美月さん。はじめて二次元の相手に恋したのは小学6年生の時。「『鋼の錬金術師』のアニメを見て、声優の朴ロ(※)美さん演じる主人公のエドワード・エルリックが大好きになりました。物心ついた時から漫画とアニメは常に身近にあったのですが、自分がオタクだと自覚したのはその頃のことなのかもしれないです」もっとも熱狂していたのは中学時代。友達と一緒に地元の福岡で開かれる同人誌即売イベントにもよく足を運んでいたそう。さらに“好き”が高じて、みずから創作活動を試みるようにも。「ドリーム小説といって、登場人物の名前を自由に変換できる二次創作の小説を書いたり、漫画も描いていました。ジャンルとしては怪盗モノとか、悪魔と天使が戦うファンタジーみたいなお話が多かったです。“漫画家になりたい”と思った時期もあったのですが、さすがに母に止められて(笑)。でも絵は大好きなので、今も空いた時間にイラストを描いています」その腕前はかなりハイレベルで、自身のSNSのハッシュタグ「#近々の美月」にて公開中。「みなさんに作品を見てもらえるのは嬉しいです。ただ、SNSでは自分の好きなアニメーターさんとも繋がっていたりするので、プロの方たちに見られていると思うとドキドキしますね。すごく恐れ多いのですが、絵もコスプレと同じで自己満足だと思っているので、これからも続けていきたいです」好きなアニメの基準を尋ねてみると、「まずはストーリーがしっかりしていること。それから、やっぱり作画の美しさですね」と彼女らしい答えが。凝った作画に出合った時は、手掛けたアニメーターや監督の名前をすかさずチェックするのだとか。ここまで夢中になれる、いちばんの原動力とは?「アニメが“新しい感覚”をくれるからかもしれないです。その視点はなかった!というような。たとえば最近だと、幾原邦彦監督の『さらざんまい』を見た時もそう感じました。“こういう描き方するの?”とか“今ここでこのキャラ死ぬんだ”みたいな、いい意味で予想を裏切られる瞬間の感動は大きいですね。もちろん『プリキュア』や『アイカツ!』のように、王道のルールがある作品にも安定の面白さがあるのですが」ちなみに、“アイドルよりも二次元のキャラが好き”なのにも、山本さん独自の理由があるそう。「だってキャラクターは絶対に裏切らないじゃないですか。自分だけのものでいてほしいんです、私(笑)。二次元なら画面で見られる相手の姿がすべて。だからこそ永遠に追いかけていられるんです」最後に「自分がオタクでよかったと思うことは?」と質問すると、「気づいたらずっとこうなので、よくわからないですね」という、なんとも率直な答えが。「『CanCam』の専属モデルだった最初の頃は、アニメ好きなことを公表していなかったのですが、今はファッション誌でアニメを題材にしたコスプレとイラストの連載をやらせてもらったり、自分の“好き”を仕事に生かせていることが嬉しいです。なりたい自分像は人それぞれだと思いますが、私はアニメが好きな自分でいたいし、おしゃれが好きな人たちにもこの楽しさを知ってもらいたい。そんなふうに、“ファッションとオタクの懸け橋”に自分がなれたらいいなと思っています」山本さんが熱狂するモノライトノベル:『Re:ゼロから始める異世界生活』長月達平KADOKAWAコスプレするほどキャラが好き!死して時間を巻き戻す「死に戻り」の能力を手にした高校生ナツキ・スバルの数奇な運命を描く。「ボストンへ短期留学中、ハロウィンに鬼化したレムのコスプレをしました(笑)」マンガ:新装版『魔探偵ロキ』木下さくら全7巻マッグガーデン少年探偵・ロキの活躍を描く推理ファンタジー。人間界に追放された北欧神話の邪神ロキが、神界へ戻るために少年探偵となり、人間に取り憑いた魔を落としていく。「この作品の影響で、探偵モノのショートショートを書いてました」イラストを描くこと:『#近々の美月』撮影現場や旅行にもiPadは必ず持参。山本さんの直筆イラスト。近況や演じている役のイメージ画などを「#近々の美月」のハッシュタグをつけて自身のSNS 上に公開中。「iPadにアップルペンシルを使って描いています」やまもと みづき1991年7月18日生まれ、福岡県出身。女優、モデル。主演ドラマ『ランチ合コン探偵~恋とグルメと謎解きと~』(日本テレビ系)が来年1月9日(木)よりスタート。雑誌『SPRiNG』(宝島社)にて、「山本美月とアニメのはなし」連載中。自身がチョイスしたアニメ作品のコスプレと直筆のイラストも披露している。ワンピース¥42,000(シー/エスストア TEL:03・6432・2358)ピアス¥40,000左リング¥16,000右リング¥9,000(以上イディアライト/ジェリー&コー TEL:03・5773・5070)靴¥45,000(ビューティフル・シューズ/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)ソックスはスタイリスト私物(※)ロの字は王へんに路※『anan』2019年12月18日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・武政ヘア&メイク・北 一騎取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2019年12月14日これから年末にかけて、何かと忙しさが増すこの時期。ストレスが溜まるとついイライラしてしまいがちですが、そんなときに心を癒してくれるオススメ映画をご紹介します。それは……。『映画 ひつじのショーンUFO フィーバー!』【映画、ときどき私】 vol. 281ショーンとその仲間たちが暮らす平和で静かな田舎町に、ある日突然UFOが不時着し、町は大騒ぎとなる。そんななか、ひょんなことから牧場に迷い込んだのは、かわいい宇宙人のルーラ。ショーンたちと出会い、すぐに仲良くなるのだった。みんなで楽しい時間を過ごしていたが、家族を恋しく思っているルーラを見たショーンは、両親のいる星に帰れるように計画を立てることに。しかし、思わぬハプニングが次々と巻き起こってしまう。果たして、ショーンはルーラを無事に故郷へと送り届けることができるのか……。170の国と地域で展開されているクレイ・アニメーション『ひつじのショーン』。本国イギリスでは、子ども向けテレビ番組の「もっとも愛されるキャラクター」の1位に選ばれたこともあるほど、高い人気を誇っています。いまや子どもだけでなく、大人もショーンのかわいさに虜となっているところですが、今回は本作の舞台裏について、お話をうかがってきました。長編監督デビューを果たしたウィル・ベチャー監督!本作は、ベチャー監督とリチャード・フェラン監督の2人によって手掛けられた作品ですが、シリーズ初の長編映画『映画 ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』以来、4年ぶりの新作となります。そこで、劇中の必見ポイントや制作秘話などについて、教えていただきました。―今回は、まさかのSF作品となりましたが、その理由から教えてください。監督テレビシリーズが終わった段階で、次のアイディアについて話し合っていたとき、誰かが「エイリアンはどう?」と言い出したんです。スタッフにはSF好きが多かったこともあり、「それはいいね!」とすぐになりました。あとは、ショーンたちがいる農場が人里離れたところに位置しているので、ミステリーサークルを入れたりするのにもピッタリだと感じたところもありましたね。―なるほど。そのなかでも、いままでとは違うところは?監督前作ではショーンたちが街に出ていく物語でしたが、今回はもっと壮大なものにしたかったので、まずは画面のサイズを大きくしています。それから撮影監督には光を研究してもらって霧のエフェクトを生み出してもらいましたし、美術チームにもこれまで以上にレベルアップして作り込んでもらいました。そのほかにはルーラの能力を示すシーンや宇宙船をキラキラさせているところでは、VFXの力を借りて表現しています。―劇中では、『2001年宇宙の旅』や『ゼロ・グラビティ』など、数々のSF作品にオマージュを捧げていますが、監督が影響を受けている作品はありますか?監督わりと最近の作品になりますが、僕は2016年の『メッセージ』が好きなんです。本作では、視覚的なギャグとして入れている部分がありますよ。劇中に込められた秘密のオマージュとは?―劇中ではとても1回観ただけでは探しきれないほど、随所に小ネタを見ることができますが、マニアでも見つけられないような秘密があれば、特別に教えてください!監督この作品では、50年代初期から最近のSF作品まで、本当にたくさんオマージュを捧げています。それはなぜかというと、共同監督でもあるリチャードと僕は映画が大好きな子ども時代を過ごしていたから。なかでも80年代に影響を受けているので、そのころの作品が多いですが、おそらく誰も気がつかないと思うのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する車のデロリアンを意識したところですね。それは、宇宙船のなかの一部になりますが、デロリアンのエンジンを駆動させている装置のデザインに近いものが船内の壁にあります。なかなか見つけにくいとは思いますが、壁に注目してもらえば、見つけられるかもしれません!―そんな細かいところにまでSF愛が込められているとは驚きです。ぜひ、みなさんにも、そのあたりは注目していただきたいですね。また、今回は新キャラクターのルーラも話題ですが、作り上げる過程で苦労したポイントは?監督はじめは小さい丸い形のものがモンスターに変化するというのを考えていたので、それと比べると、ずいぶん進化したなとは思います。開発する段階で僕たちが求めていたのは、「イノセントであること」そして「とても若いけど、幼すぎないこと」というのがありました。フォルムについては、ロケットのイメージもはじめはありましたが、見た目で重要だったのはカラフルであることですね。顔だけ見ると、犬のようにも見えますが、それは初期の段階で考えていたシーンに、牧羊犬のビッツァーが犬と見間違えるところがあったので、その名残でもあるんですよ。―そういった背景もあったんですね。監督あと、実はルーラはほかのキャラクターと素材が違うので、技術的な意味でも造形がかなり難しいところがありました。それから、当然のことながらショーンの世界観にうまくハマらないといけないので、それも難しいところでしたが、人形の彫刻を担当するスタッフたちともいろいろ話し合い、1年かけて好奇心旺盛な元気いっぱいのルーラが完成したのです。キャラクターの“ハート”を大事にしている―それだけ考え込まれたキャラクターだけに、本作では全編セリフがないにも関わらず、感情が見事に伝わってきます。ここまでの高い表現力はどのように生み出されているのですか?監督アードマン・ アニメーションズでは、どのキャラクターも観客のみなさんときちんと通じ合うために、それぞれが持つ“ハート”がどんなものなのかというのをすごく大切にしています。なかでも表情で重要なのは、目とまゆげ。僕は、それだけでも感情を伝えられると考えています。そのほかに苦労したのは、「足がないルーラをどういうふうに動かすか」ということでした。ただ、エネルギーと好奇心でいっぱいな感じで世界を見ている様子を表したかったので、横から見るとつねに前のめりの姿勢になっているんですよ。それは、私の娘たちが幼いときに、何に対しても目を見張って近づいていこうとしていた様子からインスパイアされました。それによって、おもしろいと思ったことにはまっしぐらなスピード感を表現できたと思います。―では、本作を制作するうえで一番の難しかったのはどんなことですか?監督これまでとは違うロケーションに連れて行くだけでなく、新しいキャラクターも登場するので、技術面でも内容面でもより複雑で野心的な企画でした。それだけに、僕にとっては大きな挑戦だったと思います。実際、制作中は深夜まで働いた日もたくさんありましたし、実現できなくてカットせざるを得ないシーンもありましたが、大切なのは、力強い映画を作ること。そして、ショーンの世界観が生み出すコメディとハートをきちんと観客に伝えなければいけないという思いがありました。そのなかでも一番大変だったのは、宇宙船の制作。各部門のスタッフが一丸となって6か月を費やして作り上げましたが、正直言ってかなりてこずった部分もありました。でも、アードマン・ アニメーションズの素晴らしいところは、どんな課題を投げられても、経験値の高いスタッフたちが対応してくれるところだと、改めて感じることができたと思います。毎日忙しくて4年はあっという間だった―準備はもちろん、1日に撮影できるのは約15秒分という本当に時間のかかる作業の連続だったと思いますが、完成までの4年間を振り返ってみていまの心境は?監督前作にも携わってはいましたが、僕とリチャードにとっては、今回が初の監督作品となるので、本当に光栄なことだと感じていました。最初の2年は絵コンテなどの開発、次の年はパペットやセット作り、そして最後の1年は撮影をしながら編集作業に明け暮れているような忙しい毎日だったので、いま思うとこの4年はあっという間でしたね。最初は少人数でしたが、最終的には30人くらいのアニメーターたちが携わってくれたので、そのやりとりはとにかく大変だったなと思います。それぞれの打ち合わせのためだけに、1日10キロくらいはスタジオ内を走り回っていたんじゃないですかね。そして、夜になると毎晩ひつじの夢を見ていましたよ(笑)。―夢までひつじですか……(笑)。ちなみに、宇宙の次は、ぜひ日本にもショーンたちに遊びに来てほしいと思いますが、今回来日してみて、連れてきたいと思う場所はありましたか?監督たとえば、チームラボが生み出す光のなかにショーンたちがいたらおもしろそうだなとか、いろいろ想像はしていますよ!あとは、富士山を登ってみたり、渋谷のスクランブル交差点なんかもいいかもしれないですね。―日本のファンも楽しみにしているので、ぜひお願いします!子ども心はもちろん、大人心もくすぐられる!ショーンたちとルーラが繰り広げる大冒険にハラハラドキドキしながら、笑顔でいっぱいにしてくれる本作。日々の疲れも吹き飛ばしてくれる“UFOフィーバー”を味わえば、今年のラストスパートも一気に駆け抜けられるかもワクワクが止まらない予告編はこちら!作品情報『映画 ひつじのショーンUFO フィーバー!』12 月 13 日(金)、全国ロードショー配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES© 2019 Aardman Animations Ltd and Studiocanal SAS. All RightsReserved.
2019年12月12日12月が近づいてくると、この1年を振り返りながら、これからの自分についても考えたくなるところ。そこで、そんな気分のときに観たい大人にオススメのアニメーション作品をご紹介します。それは……。台湾発の話題作『幸福路(こうふくろ)のチー』!【映画、ときどき私】 vol. 279アメリカに住むチーは、祖母が亡くなったという知らせを受けて、台湾へと帰国する。しかし、久しぶりに見た故郷の景色は、記憶とはずいぶんと違っていた。同級生に会っても、相手に誰だかわかってもらえず、チーはそれほどまでに自分が変わってしまったのかと困惑することに。そんななか、チーは幼い頃を過ごした台北の郊外にある町、幸福路を出発点に、自分の人生を振り返りはじめるのだった。そこで見たものとは……。本作は、台湾アニメーションの歴史を塗り替えたと言っても過言ではないほど、世界各国の映画祭で数々の賞に輝くだけでなく、アカデミー賞長編アニメーションの25作品にもエントリーされた注目作。今回は、完成までの厳しい道のりについて、こちらの方にお話しいただきました。監督・脚本を手掛けたソン・シンイン監督!シンイン監督は、京都大学大学院で映画理論を学び、さらにアメリカのコロンビア・カレッジ・シカゴで映画修士号を取得したのちに、いくつかの実写映画を制作してきた実力派。しかし、アニメーションに関しては驚くことに独学であり、半自伝的な本作で初の長編アニメーションへの挑戦となりました。そこで、舞台裏で起きた問題や仕事の原動力について語っていただきました。―これまで、実写映画で経験を積んできたにもかかわらず、本作ではあえてアニメーションという手法を選ばれました。まずは、その理由を教えてください。監督実は、最初は実写で撮ろうと思っていましたが、テレビ局で働く先輩と話をしていて、急に「アニメーションが良いかもしれない」とひらめきました。なぜなら、主人公は妄想が好きな性格ですし、人の成長過程にある暗さや残酷さ、痛さといった部分をアニメーションにすれば、ファンタジーの要素も出すことができ、童話のような味わいが出せると思ったからです。―結果的に劇中ではアニメーションでしか表現できない部分もあり、見事ではありましたが、とはいえ不安はありませんでしたか?監督それはなかったですね。なぜなら、アメリカで実写映画を勉強していた頃から、「何をどういうふうに描きたいか」ということがすごくはっきりしていたからです。ただ、実際に制作過程に入る段階になったとき、自分がいかに知らないことが多いのかということに気がつき、本当にいろいろな困難に見舞われました。―そのなかでも、大変だったのはどんなことでしょうか?監督一番大きな問題となったのは、人とのコミュニケーションでした。というのも、ジブリや新海誠監督の作品のように、システムがきちんと確立されている日本とは違って、台湾ではオリジナルのアニメーションを作る環境がまったく整っていません。それもあって、私はこの作品のために自分でスタジオを設立したわけですが、私が頼んだアニメーターたちは学校を出たばかりの新人にもかかわらず、みんなアーティスト気取りで、自分のやり方が正しいと思っている人ばかりだったんです。そんな彼らを説得するのは、本当に大変なことでしたね。ただ、私は自分の意見が通りやすくなるように、自分のお金をかけてスタジオを作ったので、彼らには私の目の前で一生懸命働いてもらうようにお願いしました。とはいえ、私の監視下で自由がないことに不満もあったようですし、「はいはい」と言いながらも全然やってくれないケースも多くありましたが、その理由のひとつは、私が女性であったからです。女性ならではの難しさに直面した―つまり、台湾にも男女差別がまだまだ根強くあるという意味ですか?監督もちろんありますよ!なので、今回は男性社会のなかで女性としてどうやっていくかという難しさにも直面しました。私はスタジオをまとめるトップでもあるにもかかわらず、あるときラインプロデューサーが私の肩をたたきながら「まあ、がんばってください」と言ったんです。それを見ていた私の夫も、「ああいう態度はよくないね」と言っていたほどでした。たとえば、本作でチーのいとこであるウェンの声を担当してくれたウェイ・ダーション監督は、台湾でも成功している監督のひとりですが、彼の肩をたたいて「まあ、がんばってね」と声をかけるスタッフは絶対にいませんから。つまり、私は女性だからそうされたのですが、そんなふうに性差別を感じることはありました。―確かに、私もいろいろな国の女性監督に取材をすることがありますが、女性であることが理由で嫌がらせをされたという話を聞くことはあります。監督はそういう状況を乗り越えるためにしていることはありますか?監督たとえば、授賞式などに参加する際、ほかの監督たちと並ぶと、私は唯一の女性となることが多いので、そういうときはきつそうな女性を装うようにしています。それまでは、どちらかというと優しいお姉さんというイメージを持たれていましたが、私は自分を守るために、わざとそうするようになったのです。そのせいで、「どうして急にこんな厳しい表情に豹変したんですか?」とよく聞かれるようになってしまいましたけどね(笑)。でも、本当に女性監督と男性監督とでは、現場の雰囲気は全然違うものなんですよ。資金集めで支えてくれたのは夫の存在―そんな厳しい環境のなかでも、監督は自分でスタジオを設立するだけでなく、なんと1億8千万円もの資金を自らの力で集めたとうかがいました。すばらしい行動力だと思いますが、どのようにして集めたのでしょうか?監督まずは、私の短編が台湾のアカデミー賞と言われる「金馬奨(きんばしょう)」で最優秀アニメーション映画賞を獲ることができ、賞金としていただいたのが、日本円で350万円ほど。そのあとは、国からの補助金ももらうことができましたが、残りは2~3年ほどかけて個人の投資家に出資をお願いするように声をかけました。ただ、「実写の映画だったら出すけど、台湾でアニメが成功した例はないので無理ですね」とみんなに言われてしまったのです。―そこから、どのようにして説得することができたのですか?監督私の著書である『いつもひとりだった、京都での日々』という本をお金持ちの方や弁護士をしている先輩などに送りました。そして、内容に共感して、私のことを信じてくれた16人の方たちがそれぞれ出資してくれることとなりました。そうやって、資金を集めていきましたが、そんなときに私を一番支えてくれたのは、私の夫です。―妻の夢を全力で応援してくれる旦那さんというのは、とても素敵ですね!監督ただし、彼は仕事に対しては厳しい人なので、優しい言葉をかけてくれるというわけではありません(笑)。それでも私があきらめようとすると、すごくポジティブな意見をくれたり、いろいろなアドバイスをくれたりしました。あとは、出資をしてくれた会計士や弁護士の方々も彼が紹介してくれたのですが、一緒に食事をするときなどに「うちの妻は、いますごくおもしろい映画を作っているので、話を聞いてみませんか?」というふうに、きっかけを作ってくれたのです。―では、完成した作品を見て、旦那さんも喜ばれたのではないでしょうか?監督それよりも、「もうアニメはやめなさい」と言われました(笑)。なぜなら、台湾ではアニメのほうが実写よりも何倍も大変ですから。実際、私はストレスから2年前に倒れたこともありました。そういったこともあって、「次は実写映画を作ってくださいね」とお願いされています。―それだけ大変さを目の当たりにしたからこそ、旦那さんも心配されているんですね。監督そうですね。でも、もし私がまた本当にアニメを作りたいと言ったら、次も絶対に支えてくれると思います。影響を受けた日本のアニメとは?―何よりも心強い存在ですね。ちなみに、劇中では『科学忍者隊ガッチャマン』のエピソードも登場しますが、日本のアニメから影響を受けている部分はありますか?監督私は日本のアニメには小さいころから親しんでいました。たとえば、『となりのトトロ』とか、『ドラえもん』とか『ちびまる子ちゃん』は本当によく見ていましたが、私だけではなく、多くの台湾人が日本のアニメで育ってきたと思います。あとは、いまだと『名探偵コナン』や『ONE PIECE』、『サザエさん』も人気ですよ。とはいえ、私のようにそれまで実写で撮っていたのに、「アニメが好きだから、じゃあアニメで撮ろう!」みたいなことをする監督はほかにいないと思いますが……。―いまではアニメーション制作の大変さも身に染みていると思いますが、そのうえで日本のアニメの魅力はどんなところだと思いますか?監督日本のアニメというのは、いまや世界に誇る日本の文化になっていますが、本当にジャンルを問わずに、さまざまな作品ができているところだと感じています。そんなふうに、日本独自の文化を作り上げていることは、すごくうらやましいです。―監督は京都に2年住まれていたということなので、アニメだけでなく日本の文化にも触れる機会が多かったと思います。そのなかでも、印象に残っていることはありますか?監督普段の生活のなかにも、学ぶべき点はたくさんありました。日本人は生活のディテールをものすごく大事にしていると思いますが、たとえば着物でも、外から見るとあまり派手ではないものも、チラリと覗かせる裏地の柄を大事にしていたりしますよね。そういうところは日本の美学だと思いましたし、小津安二郎監督の映画のなかにも同じようなことを強く感じました。そんなふうに、私は日本人を観察することで多く学んだと思います。心の目で見て自分の未来を考えてほしい―そのように言っていただけることは、日本人としてうれしいことです。それでは最後に、ananwebの女性読者へ向けて、メッセージをお願いします!監督みなさんにも、「自分が本当は何をしたいのか」「自分の夢は何なのか」というのをちゃんと“心の目”で見てほしいです。そのためには、社会のいろいろな期待に流されることなく、10年後の自分がどういうふうに見えるのかを考えながら、きちんと本当の自分を見ることが必要だと思っています。心に沁みる珠玉のアニメーション!いまや、スイーツや旅行先としての人気が高い台湾ですが、その背景についてもより深く理解することができる本作。そして、たとえ経験してきた歴史は違えども、人生で感じる葛藤や成長は誰にとっても同じものだと共感せずにはいられないはずです。あなたも、過去の自分を振り返ることで、新たな一歩を踏み出すことができるかも。懐かしさがこみ上げる予告編はこちら!作品情報『幸福路のチー』11月29日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次ロードショー配給:クレストインターナショナル提供:竹書房、フロンティアワークス© Happiness Road Productions Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.
2019年11月28日日本ではここ数年、空前の台湾ブーム。タピオカや雪花冰(かき氷)はお馴染みだし、誠品書店が日本に進出するなど経済交流も盛んだ。でも台湾の歴史や政治、教育やエスニシティ(少数民族のアイデンティティ)に関しては無関心かも?本作『幸福路(こうふくろ)のチー』は、観る人が台湾をもっと深く知りたくなる可能性大の傑作アニメだ。主人公は、アメリカで暮らす台湾人のチー。祖母の訃報を受けて帰国した彼女は、久しぶりに見る故郷の風景が記憶とは違うことに戸惑う。しかも選挙活動中の幼馴染みは彼女のことを忘れた様子。そんなに変わってしまったのかと自身を見つめ直すチーの脳裏に、台北郊外にある幸福路168号に越してきた日の記憶がよぎる。小型トラックの荷台に乗って舗装されていない道を進むチーは、川に落ちて金髪碧眼の王子さまに助けられる妄想をする。空想好きの少女はやがて、親友になった金髪のハーフ少女ベティやいたずらっ子シェン・エンと屋上に上って、アニメ『ガッチャマン』のように羽ばたきたいと望むのだった。チーが回想するのは、彼女の人格形成に影響を及ぼした社会事情やアミ族である祖母との思い出。彼女の誕生日が4月5日で、中華民国(台湾)初代総統の蒋介石が死去した日というのも物語のポイントのひとつ。当時の台湾には戒厳令が敷かれていて、学校では台湾語使用が禁止され、少数民族差別も当たり前!?そんな暗い時代と、輝かしい未来を夢見る無邪気な子どもの対比が切ない。また「将来は医師に!」という両親の希望に背いたチーが大学で学生デモに夢中になったり、いとこの色覚障害などで白色テロで行われた拷問を匂わせたり。921大地震の悲劇も体験したチーの半生は、激動の台湾史と重なってとてもドラマティック。そして「どこで間違ったんだろう」と過去を振り返るチーの現在の悩みがとても普遍的だ。移住したアメリカで白人青年トニーと結婚した彼女は、アイデンティティ喪失を恐れながら、「私は幸せなの?」と自省する。葬儀に集まった親族に「子供はまだ?」と尋ねられてうんざりする一方で、再会したベティの前向きさに勇気づけられもする。両親の想像以上の老いに気づき愕然とするチーに自身を重ねる観客も少なくはないだろう。ソン・シンイン監督が自身の人生を投影させたチーの物語は、どこにでもいる女性の平凡な人生といってもいい。ただ凡人であっても、その来し方を振り返ることで、“幸せ”を求める人間の本質や人生はリセット可能という事実が見えてくることもあるのだと実感する。宮崎アニメや新海アニメを見慣れた人は、絵柄が素朴すぎると感じるかもしれない。が、物語が進むうちにその純朴さが逆に台湾らしく思えてくるはず。パステル調で描かれる街並みに見覚えのある看板や風景を探すこともでき、台湾を訪れたことがある人ならきっとにっこりするに違いない。チーの声を英語も流暢な人気女優グイ・ルンメイが演じ、主題歌は大物歌手ジョリン・ツァイが担当。新人監督のアニメ作品としては超異例なキャスティングだけど、二人とも脚本を読んだだけで参加を決意したそう。全ては観終わって知った製作裏話だけど、映画を観れば大物が魅了されたのも納得でしょう。『幸福路(こうふくろ)のチー』監督・脚本/ソン・シンイン声/グイ・ルンメイ、チェン・ボージョン、リャオ・ホェイジェン、ジワス・ジゴウほか主題歌/ジョリン・ツァイ11月29日より新宿シネマカリテほか全国順次公開。©Happiness Road Productions Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.※『anan』2019年11月27日号より。文・山縣みどり(by anan編集部)
2019年11月23日小越勇輝さんといえば、ミュージカル『テニスの王子様』の越前リョーマ役でご存じの人も多いはず。しかし近年は、ドラマ『サバイバル・ウェディング』や『腐女子、うっかりゲイに告る。』など映像作品を中心に活躍。今回、『ハケンアニメ!』で2年半ぶりの舞台出演となる。「俳優になった頃は、自分が舞台をやるなんて思ってもいなかったんです。それが16歳で初めて立つことになって…学ぶことも多かったし、楽しかったんですよね。そんな時に、『弱虫ペダル』というドラマで主演させてもらって、映像にももっと挑戦したいという気持ちが生まれて…。舞台をやっていると先々までスケジュールが埋まってしまうので、いったん映像に軸足を置いて頑張ってみたいと思ったんです。でも、その間も舞台は観ていて、そこで輝いている人たちの姿に刺激を受ける部分もあり、舞台と映像の両立ができるといいな、と。いま久しぶりに舞台の稽古をやっていて難しいなと思うこともありますけれど、それと同時に、お芝居している、作っているなっていうワクワク感も感じています」『ハケンアニメ!』は、アニメの制作現場で働く人々の奮闘ぶりを描いた辻村深月さんの同名小説が原作。「原作を読んだ時、これまで見る機会のなかったアニメの制作の過程が描かれているのがとても面白かったんですよね。何より、アニメ業界の話ではあるけれど、ほかの仕事にも通じる部分がたくさんあるんです。情熱があるだけではうまくいかないことがあったり、壁に当たったり、もどかしさを感じたり…。自分だけじゃないんだって背中を押してもらえたような気がしたんですよね。今回の舞台を観た人にとっても、そういう作品でありたいなと思います」小越さんが演じるのは、天才アニメ監督の王子千晴。「王子は、いいものを作りたいというアニメに対する熱があって、譲れないこだわりを持った人。相手が誰であろうと、それを曲げずにガツンと言えちゃう強さがある人。自分にも、こだわりや熱はありますけれど、なかなか言えないんで、羨ましくもある。ただ、何もそんな言い方しなくても…とは思いますけどね(笑)」そんな癖の強い監督のもとで新作アニメの制作はスタートするが、容赦なくリテイクの指示を出すせいで、現場は大混乱。進行も遅れ…。「演出のG2さんをはじめ、共演者も初めての方々でドキドキだったんです。でも、稽古が始まってみたら、すごくいい現場なんですよ。G2さんは、僕が言われたことをきっちりやりたい性格なのを見抜いてか、『僕が言ったことを、そのまま目指さなくていいからね』って言ってくださいますし。共演者のみなさんも、稽古初日の本読みの段階から、いろんな芝居を挟んでこられてすごく面白い。僕の課題としては、真面目になりすぎずに、王子として自由にいられたらいいなと思っています」本人は否定するかもしれないけれど、難役といわれるキャラクターも見事に演じ、もともと素養があったわけでもないダンスも歌も器用にこなす小越さんも天才肌のような…。「器用に見られがちですが全然なんです。ただ、自分にプレッシャーを課して、それに負けまいと思う気持ちをパワーに変えていくタイプです。王子自身、天才と呼ばれながらも人には見せないところで、プレッシャーや孤独と戦っていたりもする。共感できる部分もありますね」では、ご自身のなかで譲れないものって何でしょう。そう尋ねると、少し悩んだ後「初心を忘れずにはいたいなと思っています」との言葉が。「仕事を続けていると、どんどん自分のこだわりが出てきてしまうもの。それも大事にしながら、求められることに応えていける役者であり、人間でありたいとは思っています」原作は辻村深月さんの小説『ハケンアニメ!』舞台で描かれる、有科香屋子&王子千晴の物語に加え、ライバル作品のプロデューサー行城理&斎藤瞳監督、そして、聖地巡礼で町おこしをはかる宗森周平とアニメーターの並澤和奈の物語が絡まり合う。視点が変わることによって見えていなかった事実に気づいたり、はっとさせられる多くの名シーン&名セリフに満ちている。観劇前に読んでも、観劇後に読んでも、さらに胸が熱くなること必至。ひたむきに働くことのすばらしさを感じるお仕事小説。『ハケンアニメ!』¥880マガジンハウス文庫『ハケンアニメ!』アニメ制作会社のプロデューサー・有科香屋子(町田)は、天才・王子千晴(小越)を次クールの監督に抜擢。しかし、こだわりの強い王子は各所で軋轢を起こし…。10月31日(木)~11月14日(木)紀伊國屋ホール原作/辻村深月脚本・演出/G2出演/大場美奈(SKE48)、小越勇輝、市川しんぺー、三上市朗、菅原永二、町田マリー、幸田尚子、山内圭哉、小須田康人全席指定¥7,500(税込み)※未就学児入場不可チケットよしもと TEL:0570・550・100おごえ・ゆうき1994年4月8日生まれ。東京都出身。子役として活動を始め、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで人気を博す。出演映画『探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。2』が現在公開中。11月29日には『おかざき恋愛四鏡』も公開予定。衣装はすべてスタイリスト私物※『anan』2019年10月30日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・小田優士ヘア&メイク・小竹珠代インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年10月28日マンガ賞を多数受賞し、国内外で大人気のマンガ『BEASTARS』が、満を持してアニメになります!監督を務めるのは、高畑勲さんの『平成狸合戦ぽんぽこ』で監督助手を、また『宝石の国』の演出を手掛けている松見真一さん。実は“少女マンガ”的要素たっぷりの、動物群像物語。「登場人物が動物ですが、基本はヒューマンドラマなんですよね。肉食動物と草食動物では、一般的には肉食のほうが強いとされていますが、この物語の中では、肉食のほうが肩身が狭く生きづらい。みんなが仲良く生きるために作られたルールでは、特に肉食動物は、本来あるべき本能的な姿では生きられないんですよ。そこにジレンマやズレが生じるわけですが、その生きづらさって、人間が社会で生きる上で感じる、個人としての考えと社会のルールの板挟み感みたいなものと同じなんじゃないかな、と思います」(松見さん)主人公はハイイロオオカミのレゴシ・17歳。彼より年上だが体はとても小さいドワーフウサギのハルとの恋模様を中心に、学園で起こる殺傷事件の謎を追う物語。動物を描くにあたり、スタッフ一同動物園にも足を運び、熱心に観察したのだそう。「群馬のサファリパークにみんなで行ったのを皮切りに、個人的にもあちこちの動物園に行きました。我が家にいる愛犬をいろんな角度から眺めて、レゴシの毛並みを描く参考にしたりもしました(笑)。でも、あまり本物との整合性ばかり気にしてしまうと、作品の持つ魅力を見落としてしまうので、そっちに引っ張られすぎないように注意をしつつ、キャラをデザインしていきました」と、キャラクターデザインの大津直さん。大津さんは『宝石の国』で作画監督を務めています。アンアン読者に見どころを…と伺うと、監督から意外な答えが!「原作のコマ割り、情緒の描き方、モノローグが多い構造、そして男の子2人(匹)の間に女の子がいて、その女子と関わり男子が変わっていく物語も、実は少女マンガそのもの。少年マンガの殻をかぶった少女マンガ(笑)。あるいは、ヴァンパイア物なんかのロマンス小説にも通じる。アンアンを読む方に響く作品だと思うんです。そういった原作の魅力を入れ込むべく、監督は僕のようなおじさんですが、脚本には20代の女性に参加してもらいました。映像も美しさを意識して作っているので、ぜひ見てほしいですね」(松見さん)板垣巴留(ぱる)先生から Specialコメント「最初にアニメ化の話が来たときは、正直全然想像ができなかったのですが、松見監督やキャラデザの大津さんがマンガを読み込んでくださり、私の考えが及ばないようなところに関しても質問をしてくださったりしたので、とても光栄で、本格的にプロジェクトが動いていくにつれ、期待値がどんどん上がっていきました。アニメを初めて見たときには、キレイな映像の中で、精巧に作られた動物のキャラたちが、私が考えマンガに書いた言葉を喋っていたので、思わず爆笑してしまいました。ただそれは照れ笑いというか…(笑)。いずれにしても、素晴らしい体験でした。Netflixで海外でも配信されるということなので、外国の方々にも楽しんでもらえたら嬉しいです!」『BEASTARS』10/9より、フジテレビ「+Ultra」枠で、毎週水曜24:55より放送。また一足早く10/8よりNetflixにて世界190か国へ配信開始。2話以降は毎週木曜日の配信。原作は、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載中。©板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会※『anan』2019年10月16日号より。写真・中島慶子(本)(by anan編集部)
2019年10月13日いよいよ「読書の秋」といわれる時季になってきたところですが、そんなときにオススメしたいのは、大人でも楽しめる絵本。そこで、今回ご紹介する映画は、まるで絵本を開いたかのような世界へと引き込まれる感動作です。それは……。夫婦の半生を描いた『エセルとアーネスト ふたりの物語』【映画、ときどき私】 vol. 2621928年、ロンドン。メイドとして働いていた生真面目なエセルは、牛乳配達をしている陽気なアーネストと出会い、恋に落ちる。その後、2人は結婚し、ひとり息子のレイモンドにも恵まれ、幸せな生活を送っていた。ところが、第二次世界大戦の影響で、苦難の日々を強いられることとなる。そんななかでも、エセルの隣には、つねにアーネストが寄り添っていたのだった……。本作で描かれているのは、ごく平凡な夫婦の40年にもわたる物語ですが、原作となるのは、イギリスでもっとも愛されている絵本作家レイモンド・ブリッグズさんの「エセルとアーネスト」。日本でも「スノーマン」で知られているレイモンドさんが、激動の時代のなかでも愛情あふれる人生を生き抜いた両親を描いた珠玉の名作です。今回は、本作を完成させた立役者でもあるこちらの方に、お話を聞いてきました。プロデューサーのカミーラ・ディーキンさん!映画やテレビ業界で25年以上のキャリアを誇るカミーラさん。これまでにさまざまなアニメーション作品を手掛けてきたカミーラさんですが、9年もの年月をかけて完成させた本作の舞台裏や忘れられないエピソードについて語っていただきました。―まずは、カミーラさんとこの作品との出会いから教えてください。カミーラさんこの本が出版されたのは1998年で、確か私が読んだのはその翌年だったと思います。当時、私はチャンネル4という公共放送に勤めていて、レイモンドさんのほかの作品に携わっていました。その後、2007年頃にレイモンド作品を数多く映像化してきたアニメーションのプロデューサーから、一緒に仕事をしないかと声をかけてもらったのが始まりです。―そのとき、この作品の魅力はどんなところだと感じていましたか?カミーラさんレイモンドさんのほかの作品よりも時代についての物語であり、リアリズムに基づいた作品ですが、私が感銘を受けたのは、非常に誠実で、感情面においても普遍的な物語であるところです。しかも、私は子どもの頃からレイモンドさんのファンであると同時に、人としても尊敬していたので、この企画は絶対に成功させたいという思いもありました。―とはいえ、資金集めにかなり苦労されたと聞きましたが、レイモンドさんほどのネームバリューがあるにもかかわらず、何が問題となっていたのでしょうか?カミーラさん通常のアニメーション作品と比べると、この作品にはアドベンチャーやファンタジーの要素はなく、どちらかというとドキュメンタリー的な物語だと思われてしまっていたことがまずひとつ。あとは、「大人向けのアニメーションは商業的に当たらないからリスクがある」ということも言われていました。しかも、手描きのアニメーションというのは、かなり予算がかかってしまうものなので、インディペンデントの作品でも実写よりもはるかに大きな予算が必要になります。そういう意味でも、超えなければならないハードルは非常に高かったです。―そんななか、どのようにして完成へと導いていったのでしょうか?カミーラさんまずは、テレビ局のBBC(英国放送協会)と映画に関連する機関であるBFI(英国映画協会)に制作資金を提供してもらい、さらに国が行っている税制優遇処置の制度も活用させてもらいました。イギリスには国としても最大限の資金提供をしてもらいましたが、それでもまだ不十分だったので、最終的にはルクセンブルクのアニメーション会社にも国際共同制作として入ってもらって、ようやく資金をすべて集めることができたという流れです。ポール・マッカートニーさんとの仕事は素晴らしい経験―それだけの苦労をしてでも作り上げたいほどの魅力がこの作品にはあると思いますが、同じくこの企画に賛同してくれた存在として話題となっているのが、歌手のポール・マッカートニーさん。本作にエンディング曲を書き下ろしてくれた経緯を教えていただけますか?カミーラさんまさか曲を書いてもらえるとは思ってもいなかったので、ポールさんとのコラボレーションは本当に素晴らしい経験となりました。もともとポールさんはレイモンドさんの大ファンで、自分のお子さんにも読み聞かせていた『いたずらボギーのファンガスくん』という作品にインスピレーションを受けて、「ボギー・ミュージック」という曲を書いたこともあるほどだったのです。そこで、レイモンドさんがファンガスくんのキャラクターが描かれている便箋でポールさんに手紙を書いたところ、なんとOKをいただくことができました。―ポールさんと初めて会われたときの印象的なエピソードはありますか?カミーラさん初めてポールさんと会ったのは、ロンドンにある彼のオフィスにレイモンドさんとロジャー・メインウッド監督と私の3人で訪問したとき。私たちはとてもナーバスになってしまい、「ドキドキするよね」「怖いね」なんて話しながら、彼のもとを訪れたのです。部屋に入ると、あまり広くないスペースにイスが2脚と2人がけのソファ1つ置いてありました。すると、レイモンドも監督もシャイなタイプの人たちなので、すぐにイスを確保してしまい、私がポールさんと同じソファに座らないといけなくなってしまったのです。足が触れ合うくらい近い距離に並んで座ることになったので、そのときは震えてしまわないかが心配でした(笑)。でも、ポールさんは本当に優しい方ですし、これまでも自分に会って緊張している人たちとたくさん接してきたこともあり、冗談を言って私たちをリラックスさせてくれたのです。完璧な仕上がりに何も言うことなかった―ステキな方ですね。ちなみに、どのような冗談をおっしゃっていたのですか?カミーラさん「僕はコラボレーションすることが大好きだから、怖がらないでくださいね。だから、作った曲を聴いたら自由にいろいろとコメントしてもらって大丈夫ですよ。ただし、その言葉には耳を貸さずに無視しちゃうけどね(笑)」とおっしゃっていました。―さすがです(笑)。実際に、曲を聴いたときはどのように感じましたか?カミーラさん驚いたことに、ポールさんは私たちが初めて訪問した段階ですでにデモテープを作ってくれていました。そこで聴かせてもらったあと、監督が本当にフィードバックしていましたが、無視されることなく、「検討しますね」というお返事もきちんといただきましたよ(笑)。ただ、そのあとに歌詞を書いたり、オーケストラを加えてミックスをしたりという作業もあったので、できあがったのは映画の完成直前でしたが、曲を聴いたときは何も言うことがないくらい完璧だと思いました。なので、そのときは一切コメントする必要がありませんでしたね。しかも、ポールさんのマネージャーさんに聞いたところ、彼のスケジュールは5年先まで埋まっているくらい本当に忙しい方なので、かなり無理をして曲を作ってくれたのだと思うと感謝の気持ちでいっぱいです。―映画に関しては、ポールさんから何かコメントはありましたか?カミーラさん作品を観てくださったあと、「本当に素晴らしい映画だと思う。僕にできることはなんでもサポートしますよ」というご連絡をいただきました。とてもステキなメッセージをいただけて、私たちもうれしかったです。それから、興味深かったのは、ポールさんとレイモンドさんには多くの共通点があることがわかったこと。ふたりとも労働者階級の出身であったこともあり、育ってきた家の雰囲気やそれほど物が豊かではない家庭であったこと、学費が無料である代わりに難しい入試を受けなければ入れないグラマースクールに通っていたこと、父親が第二次世界大戦の兵士ではあったけれども戦場の前線ではなく、消防士として街で働いていたことなど、本当に多くの点で重なるところがあったのです。そして、ポールさんが感動していたのは、レイモンドさんが自分の両親へのオマージュを込めてこの作品を作ったこと。それもあって、今回の曲は、レイモンドさんの両親への思いを受けたポールさんが、14歳のときに他界したご自身の母親への気持ちを歌詞に込めたそうです。亡くなった両親へのオマージュが込められている―そういったおふたりの思いが作品を通して、多くの人の心を動かしているのだと思います。カミーラさんそうですね。あと、もうひとつこの作品に込めていることをお話すると、実はポールさんのお父さんは1920年代にジャズバンドでバンドリーダーをされていた人物。レコードは出していないものの、「Walking In The Park With Eloise」という曲を書いていて、これまでにポールさんがカバーしたこともありました。そこで、劇中でエセルとアーネストが初めて映画館にデートへ行くシーンで、通りかかったクラブから聴こえてくる音楽として使わせていただくことにしたのです。映されている看板にも、ポールさんのお父さんの名前を書いてありますし、最後にポールさんの曲に続けてお父さんの曲も流すようにしました。なので、この映画はレイモンドさんの両親へのオマージュであり、ポールさんの両親へのオマージュでもあるのです。―そういう家族への思いも含めて、本作は普段アニメを観ない人にでも響く作品となっているように感じました。カミーラさん確かに、この作品は家族や人間愛についての映画でもあるので、世界のどこに行っても前向きな反応をいただけていることに私たちも驚きました。というのも、非常に英国的な物語であるにもかかわらず、夫婦愛や親子愛、そして家族の話だとみなさんが捉えてくれたからです。実際、イギリスではBBCで放送したときに視聴率も非常に高かったですし、放送と同時にTwitterでも「美しい物語で泣いてしまった」とか「両親や祖父母のことを思い出して、久しぶりに電話してみようかな」といった声がたくさんあがりました。そんなふうに、映画が人に行動を起こさせたということ自体、ステキなことですよね。あとは、普段アニメを観ない人たちでさえも「偶然観始めたけれど、引き込まれて驚いた」といった感想を述べていたのも印象的でした。予想以上の大きな反響があったので、放送された日はイギリス国内のTwitterでは、この作品がトレンドの1位にもなったほど。ちなみに、そのことをレイモンドさんにも電話で伝えましたが、「何のことだかよくわからないけれど、いい話だね」と喜んでくれました(笑)。忘れがたい体験と驚きを感じて欲しい―ということは、大人向けのアニメはリスクがあると思われていますが、実際はそういう作品を求めている大人が多いということではないのでしょうか?カミーラさんそうなんです。つまり、大人たちもアニメーションを求めてはいるんだけど、自分たちに合った作品とまだ出会っていない、もしくはそういう作品があることを知らないというのが現状だと思います。なので、ananwebを読んでいるみなさんのなかにも、これまではあまりアニメを観てこなかったという人も多いかもしれませんが、この作品に関しては、自分のなかにある気持ちを呼び覚ますような感動を味わえるだけでなく、忘れがたい体験になることをお約束できると思います。ぜひ、その驚きを感じていただけたらうれしいです。まさに大人が観るべきアニメーション作品!手描きアニメの持つ温もりとともに、夫婦や親子の間にある愛情の深さを感じられる本作。人生における幸せや喜び、悲しみといった人が持つあらゆる感情に訴えかけるストーリーは、さまざまな経験をした大人だからこそ味わえる感動があるはずです。心温まる予告編はこちら!作品情報『エセルとアーネストふたりの物語』9月28日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ© Ethel & Ernest Productions Limited, Melusine Productions S.A., The British Film Institute and Ffilm Cymru Wales CBC 2016原作:「エセルとアーネスト」(バベルプレス刊)
2019年09月27日音楽をこよなく愛する、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。【音楽通信】第5回目に登場するのは、ゲスの極み乙女。の川谷絵音さんほか豪華制作陣が手がけるシングルでデビューする、声優・歌手の結城萌子さん!写真・黒川ひろみいまの私を形成しているのはアニメです【音楽通信】vol. 5今年1月に声優デビューし、8月28日にはシングルEP「innocent moon」で歌手としても活動をスタートした結城萌子さん。今作は、全曲の作詞・作曲をゲスの極み乙女。の川谷絵音さんが手がけ、アレンジャーには菅野よう子さん、クラムボンのミトさんなどが参加し、プロジェクト全体の監修を冨田明宏さんが担当。そんな豪華なクリエイターが集結したデビュー・シングルについて、お話をうかがいました。ーー今回、歌手デビューとなりますが、今年1月に公開された劇場アニメ『あした世界が終わるとしても』では声優デビューされています。もともと声優になりたかったのですか。小さいときから声優さんになりたいと思っていましたが、すぐになれたわけじゃなかったんです。いろいろと人生の紆余曲折を感じてきたこともあって、ここまでくるのは険しい道のりでした。覚悟したり、自分が行動したりしないと結果がついてこないので、夢を叶えるのは簡単ではなかったです。ーーそこまでの決意で声優になる夢を叶えたきっかけとして、もともと小さいときに影響を受けたアニメなどがあったのでしょうか。いまの私を形成しているほとんどがアニメだといえるので、影響を受けたアニメはいっぱいあるんですけど、その中のひとつだと、昔から『少女革命ウテナ』(1997年放送のテレビアニメ)という作品がすごく好きです。天上ウテナ役の声優さんの川上とも子さんという方の人間味あふれるお芝居が好きで、アニメを観ている感じがしなかったんですよね。ファンタジー系のアニメなんですけど、キャラクターはすごく現実主義者で、アニメだけど感情移入できる世界だったんです。ーー大好きなアニメの世界で声優のお仕事をされたわけですが、手応えはいかがでしたか。そのときは(声優の)養成所に通っていたので、まだ勉強している身で、右も左もわからなかったんです。歌のレコーディングならひとりで録りますけど、その作品は劇場版でスタジオに20人ぐらいキャストさんがいて、独特の雰囲気でした。勉強している内容では通用しないというか、現場で得ることが多すぎるので、たくさん勉強していかないと声優として通用しないなと感じましたね。作品に出演できてうれしいという気持ちはもちろんありましたけど、自分の無力さを痛感したことのほうが大きかったです。ラジオの仕事で「自分とは何なんだろう」と考えたーーそれ以前には、2018年10月からラジオパーソナリティとしてラジオのお仕事(文化放送のアニメ&ゲーム系Webラジオ「超!A&G+」でのレギュラー番組)もされていましたね。ずっとそのラジオが好きで、もともとリスナーとして知っている番組だったので、一番最初のお仕事が文化放送さんのラジオで本当によかったです。スタッフのみなさんも優しいし、不慣れなこともわかってくださっているので、何から何まで教えてくださいました。ーー声優もラジオパーソナリティも“話す”という言葉を使うお仕事ですが、ご自身の中での違いはありますか。キャラクターとしてしゃべるのと、自分を出さなきゃいけないラジオでは違いますね。とくにこのラジオに出演しているときは声優としての作品にも出ていなかったので、リスナーさんからも「何者ですか」と聞かれることがあって、「自分とはなんなんだろう」と考えていました。声優のラジオを聞く人は、作品から入るんです。「このキャラの声を担当している声優はどういう人だろう」と思ってラジオを聞くので、私のラジオ番組を聞くリスナーさんとは別なんです。だからこそ、私のラジオを担当してくださった作家さんやプロデューサーさん、レコード会社さんや事務所も含めて、声優という職業からではなくひとりの新人・結城萌子として多くのみなさんにラジオを聞いてもらおうと話していました。ーーそうだったのですね。そして歌手としてもデビューされましたが、歌うことには興味があったのですか。実は歌うのが好きというくらいで、「歌手として絶対にやってやろう!」みたいな感じではなかったんです。もともと声優になるのが夢だったので、その中で歌もやれたらいいなとは思っていました。歌手活動は川谷絵音からのオファーがきっかけーー今回、作詞・作曲に川谷絵音さんはじめ豪華な面々がそろっていますが、川谷さんとは最初に曲についてお話ししたり、アドバイスされたりしたのですか。お話もアドバイスもほとんどなかったんです(笑)。それまで川谷さんとしゃべったこともなかったんですけど、冨田さんには「ふたりはコミュニケーションをとったことがないけどシンクロしてるよ」とおっしゃっていただいて。それを聞いて「そうなんだ」って納得していたぐらいです。ーー川谷さんとのお仕事は、冨田さんがきっかけだったんですか。もともとは川谷さんのほうから「やりませんか」というお声がけをいただいたのがきっかけです。そこからわたしがアニメ好きなのもあって、そういう曲が歌いたいと言っていたら、まわりにアニメに精通している方がいらっしゃらなかったので「人を加えてどういうふうにするか考えたほうがいいね」という話になりました。そこで共通の知り合いを通じて、(アニメに詳しい)冨田さんを紹介していただいたという経緯です。ーー川谷さんをはじめとして、冨田さんなど、それだけ豪華なみなさんが協力したいと思うのは、結城さんの魅力なのでしょうね。私としては、川谷さんが動いてくださったから、みなさん協力してくれたところがあると思うんです。川谷さんのおかげです。ーーそういう人とのめぐり合わせもタイミングがありますよね。そうですね。タイミングがよかったですね。ーーシングルのジャケットも雰囲気があります。松田聖子さんや昭和の歌姫が好きで、昔の昭和の歌い手さんのジャケットがすごくキュートだと思っていて。そんな温かみのあるジャケットにしたいという話をアートディレクターの木村豊さんにお伝えして、それでできあがったのがこのジャケットです。ーー今日もレトロな感じのお衣装ですね。今日は、本当は珍しい衣装なんですよ。普段は真っ白の衣装が多いんですが、『ananweb』さんだからこの衣装です。(笑)バラードを歌うと涙がこぼれそうになるーーシングルの収録曲のお話をうかがえればと思うのですが、1曲目「さよなら私の青春」では、「責任取ってよね」という歌詞がありますが、インパクトがあります。「責任取ってよね」という言葉は、わたし自身では言ったことがないです(笑)。ただ、この歌詞の世界ではたぶん受験生が主人公で、思春期だと学校という空間にほとんどの時間があって、視野が狭いと思うんです。だから歌詞に出てくる女の子も、限られた世界を見ていると感じて、この子が歌の中でしている恋愛はすごく大切なものだから、「責任を取ってよね」というのは、相手にも自分と同じくらいの気持ちでいて、という意味かなと思って歌っていますね。ーー歌詞では、先生に対して言っているようにも受け取れます。私も先生に言っている歌詞かと思っていたんです。レコーディングのときに、マネージャーさんと歌詞を考察していたら、マネージャーさんは「女の子と先生の恋愛じゃなくて、また別のクラスメイトとの恋愛だと思う」と。私はその考えがなかったので新しい発想だと思ったんです。その場に川谷さんもいらしたので、歌詞の設定を聞いてみたら、川谷さんもマネージャーさんタイプだったとわかりました。でも、「先生との恋愛という解釈もできるから、ふたつの意味でとらえられる曲だね」と話していました。ーー面白いですね、解釈も受け手でさまざまです。続く2曲目「散々花嫁」は、サビの部分がずっと頭の中で鳴ってしまうキャッチーなメロディですね。この曲の歌詞は幸せじゃない感じなんですけど、メロディをすごく明るく作っていただいているから、聴く方も暗くならずに聴けるのではないかなと思います。ーーでは3曲目「幸福雨」はどんな曲でしょうか。この曲は一番最初に録ったんですよ。川谷さんとちゃんとしゃべったのも、この曲をレコーディングする1時間くらい前です。初めてご一緒したので、川谷さんがどういうディレクションをされるのか、求めているものがあったら応えないといけないと思っていたので、言われたことに対してちゃんとやらないとという気持ちでレコーディングに臨んでいましたね。ーーすごく気合が入っていたのですね。はい、頑張らないといけないという気持ちだったと思います。でもレコーディングはツルッと終わって、ホッとしました。ーー歌声には高音の伸びやかさがあって、そしてセリフもありますね。そのつぶやきかたと歌とのメリハリのある曲だと感じました。実はこの曲は、声優の勉強をする前に録った曲なんですよ。ですから、この曲を最初にいただいたときに、たくさん練習したんです。このときは「あ! セリフが来たーっ」て思っていました。(笑)ーー(笑)。そういう意味では、いろいろな表現を発揮されていますし、楽しい曲ですね。自分の中でも、歌っていて、すごく楽しかったです。ーー4曲目「元恋人よ」は、クラムボンのミトさんが編曲をご担当されていますね。はい。最初にこの曲を聴いたとき、感動しました。すごい大好きな曲なんですよ。バラードでシンプルだから、ほかの楽曲と比べるとごまかせない。こういうシンプルな曲を歌うと、パーソナルな部分が明るみに出ちゃうから、慎重に歌わないといけないと思いつつも、この曲を聴くと気持ちを持っていかれそうになって、涙がこぼれてしまいそうになっちゃうんです。この曲以外はパートごとに区切って録っていたんですけど、この曲でそれをすると気持ちが死んでしまうので、1曲通して録って、スタミナを使いました。アニメやゲームの作品に「結城萌子」として出るのが目標ーー歌手活動も始められてお忙しいと思いますが、普段されている趣味があったら教えてください。最近はずっとゲームの「どうぶつの森」をやっています。いろいろな動物と仲良くなるんですよ。自分のキャンプ場に来てもらって、動物にくつろいでもらうんです。すっごくかわいい、白くてクマさんみたいな“ゆきみちゃん”というキャラクターの写真を毎日撮っています。ーー楽しそうですね。すごく楽しいです。ゲームの世界でも「生きている」という感覚があるので、いまはこういう歌手活動もしていて「現実世界を生きている」とも思ってもいるんですけど、ゲームのようなバーチャルの世界でも、「バーチャルとしての自分の世界でも生きている」と考えているんです。だから、あんまりゲームにログインしていないと、(ゲームでつながっている)まわりの人たちに「生きているのかな?」と心配されるので、ログインはちゃんとしていますね。ーーでは現実の世界で、今後こういうふうになりたいという目標があれば教えてください。声優としても歌手としても駆け出したばかりというか、この間スタートラインに立ったばかりで、これからという感じなんです。小さい頃からアニメやゲームが好きだから、そういう作品に自分が出て、その作品の曲を自分でキャラ上だったり主題歌だったり、どんなかたちでもいいんですけど、「結城萌子」として作品に出られたらというのが一番の目標ですね。取材後記取材時には、まわりへの気配りを欠かさない奥ゆかしさとチャーミングさを見せてくれた結城萌子さん。声優になる夢を叶えた結城さんの歌手としての才能を川谷さんが引き出し、実に有能なクリエイターたちがデビューを後押ししています。まずはシングルをチェックしてみてくださいね。結城萌子 PROFILE3月31日生まれ。千葉県出身。幼少期より音楽に親しみ、さまざまな楽器にふれて育つ。特技はフルートで、音楽学校ではフルートを専攻。また、物心ついたときからアニメや漫画を愛し、自然と「いつか自分も演じる側に立ちたい」と思うようになり、声優を志す。2018年10月から2019年6月まで、文化放送 超!A&G+でレギュラー番組を担当。2019年1月公開の劇場アニメ『あした世界が終わるとしても』への出演で念願の声優デビューを果たす。さらに、2019年8月28日リリースのシングルEP「innocent moon」で歌手としてもデビュー。スタイリスト・石井なお子InformationNew Release「innocent moon」1.さよなら私の青春2.散々花嫁3.幸福雨4.元恋人よ8月28日発売WPCL-13091¥1,500(税別)
2019年09月04日幼稚園児によくあるキャラクターへの「なりきり」が絶賛発動中のムギ。オタクの母としては、そんな姿もとても愛おしく感じます。そんな娘が6歳になり、母と子、やっと共通して好きなアニメができました!■母と娘のオタクトークに花が咲く■アニメを観賞する姿勢がすごいこの出来事のあと、ポ●モンセンターに遊びに行ってきたのですが、ムギと私の2人でエキサイトしてしまい、ついつい1人1体ずつぬいぐるみを買ってしまいました。大変楽しかったです…!そして買ったぬいぐるみと大好きなキャラとの楽しみ方ですが…いただきもののハンモックを最大限に活用する方法、考えました!ドレッドヘアは、夫がかなりの時間をかけてほどいてくれました。ありがとう!! そしてムギがハンモックにのるときは、帽子をかぶるのがルールに!そして、この事件の翌日は、何を思ったのかハンモックのまわりにこども用の柵を立てていました。柵に囲まれたハンモックに寝転がっている姿は、動物園のパンダそっくりでした…。
2019年09月04日2007年より全4部作として公開されているアニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ。2020年6月に公開の最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を控え、改めてその魅力を再発見できる展覧会『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展+EVANGELION ARTWORK SELECTION』が開催される。「国内外に幅広い年齢層のファンを持つ本作をキーとした催事は、高島屋の中でも特に若い方や外国人のお客様が多い新宿店に相応しいと企画担当者が考えたことが始まりでした。今回は、これまでヒットして全国を巡回してきた『エヴァンゲリオン展』と『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』の2つをドッキングし、さらに新作映画の展示物も加えた、魅力満載の内容です」(高島屋広報)11階の催事場をフルに使った今回の展覧会は、エヴァンゲリオンの原画と日本刀作品が対応し、双方を楽しめる趣向に。劇中に登場した刀剣を、日本を代表する刀匠が実際の刀剣として再現した作品が今回の主役。ロンギヌスの槍など人気の刀剣に加え、レイやアスカ、カヲルなどの人気キャラクターや初号機などの機体から発想した本展オリジナル作まで26点を展示する。なかでも注目は「刀野薙(なたやなぎ)」。これはエヴァンゲリオン・メカニックデザイナーである山下いくと氏と刀匠・宮入小左衛門行平氏がコラボし、1年7か月もの歳月をかけて完成させた作品。山下氏と宮入刀匠は直接会って話をし、その後も手紙やイメージ画を何度もやり取りしながら細部にまでこだわって制作を進めたとのこと。山下氏が描くエヴァ仕様の刀は、日本刀業界において前代未聞の形状だけに、宮入氏は弟子たちと手分けして様々な分野へ相談、鞘は木工職人や鉄を扱う工場にもサポートを依頼したという。こうして出来上がった逸品は、まさに伝統工芸を担う職人の粋を集結させた目玉だ。また、本展のために原画200点を選りすぐった「EVANGELION ARTWORK SELECTION」には、劇場版4部作の名シーンはもちろん、より細かく描き込まれたアニメーターの筆致が感じられるもの、指示出しなどのコメントやメモが多いものを選出。作品に対する熱、現場の創意を感じてもらいたい意図だ。ファンはもちろん、国内外のクリエイターにも大きな影響を与えるエヴァンゲリオンシリーズ。作品に影響を受けて、業界の垣根を越えて新しい作品を生み出す。その波及効果をリアルに実感できる内容だ。ヱヴァンゲリヲンと日本刀展2012年に備前長船刀剣博物館が企画した、日本刀と『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』がコラボした展覧会。盛況で本展まで全国を巡回してきた。上・「刀野薙」はエヴァのメカニックデザイナー・山下いくと氏がデザインを描き下ろし。下・それを日本屈指の刀匠・宮入氏が再現した作品。宮入氏もマンガが大好きで、本作に意欲的だった。©カラーEVANGELION ARTWORK SELECTION2013年から全国を巡回する『エヴァンゲリオン展』の中から、貴重な原画約200点をセレクトした、本展のために再構成されたオリジナル・コレクション。「:Q」C‐1271/修正原画©カラー『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展+EVANGELION ARTWORK SELECTION』新宿高島屋11階 特設会場東京都渋谷区千駄ヶ谷5‐24‐28月30日(金)~9月9日(月)10時~20時(金・土曜~20時30分、最終日~17時。入場は閉場の30分前まで)一般1000円ほか。新宿高島屋TEL:03・5361・1111(代表)©カラー※『anan』2019年9月4日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2019年08月31日この夏も話題のアニメ映画が次々と公開を迎えていますが、美しいものが好きな大人女子たちにオススメしたいのは、フランスから届いた注目のアニメ作品。まるで宝石箱をひっくり返したようなきらめきを味わえる最新作とは……。夢の世界へと誘う『ディリリとパリの時間旅行』!【映画、ときどき私】 vol. 254ベル・エポック真っ只中のパリ。ニューカレドニアからやってきた少女のディリリは、配達人の青年オレルと出会い、パリで初めてのバカンスを一緒に楽しむ約束をする。そんななか、パリでは男性支配団と名乗る集団による少女誘拐が多発していた。ディリリはオレルが紹介してくれるパリの有名人たちに手がかりを質問しながら、誘拐事件の謎に迫っていくことに。ところが、ついにディリリも誘拐の標的とされてしまうのだった。彼らを待ち受ける運命とは……。ベル・エポックとは、フランス語で「良き時代」という意味を持ち、19世紀末から1914年までのパリが栄えていた時代のことを指していますが、その華やかさが見事に再現されているのが本作。そこで、こちらの方に創作の裏側について語っていただきました。フランスアニメ界の名匠ミッシェル・オスロ監督!これまで、『キリクと魔女』や『アズールとアスマール』などで高く評価されているオスロ監督。今回は、本作のテーマに惹かれた理由や日本のアニメに対する思いなどについてお話いただきました。―今回の作品には、ベル・エポックに対する尊敬や憧れが詰まっていると感じましたが、もともとこの時代へ特別な思いがあったのでしょうか?監督実は、特に思い入れがあったわけではありませんでした。どちらかというと、フランスなら18世紀の歴史や、才能のある人たちを輩出した第一次世界大戦と第二次世界大戦の間が文化的に発展したモダンな時期として好きだったので、そんななかで今回ベル・エポックを選んだのは偶然だったのです。―というのはどういう意味でしょうか?監督最初は「女性がロングドレスを着ていた最後の時代だった」という表面的な理由で選んだからです。そういう時代の特徴に惹かれて描くことにしましたが、私が映画を撮るときに大切にしているのは、観ている人に夢を見させたいという思い。だからこそ、そういった美しいドレスを着ている女性たちを登場させたいという目的もありました。もし、女優のサラ・ベルナールがショートパンツをはいていたら、あまり魅力的ではないですよね(笑)。―では、この時代を描くにあたって意識したことはありましたか?監督私は、作品に取りかかるときはいつもその時代や国についてかなりリサーチをしますが、今回もどういう時代だったんだろうかと、いろいろと調べました。その過程でどんどんとこの時代に魅了されていったところはあったと思います。というのも、世界中からやってきた素晴らしい人々とどこに行ってもぶつかるほど、たくさんの天才たちがパリに集まっていた時代だということに気がついたからです。当時のパリには自由の精神が漂っていて、それが人々を引き付けたんだと思いますが、そういった風潮があったからこそ、ひとりひとりが自己表現をすることを認めていた時代でもありました。そんなふうに文化的にも科学的にも非常に優れた活動が行われてきた時代であると同時に、いっぽうでは女性が台頭し始めた時代でもあり、女性のステイタスが変わり始めた境目であったとも言えるでしょう。女性たちが自ら壁を壊していった情熱があった―まさにそういう女性たちの姿はこの作品のなかでも、印象的に描かれていたと思います。監督ただ、実際は女性が表に立つことをよしとしない男性もいましたし、それまでは女性を優遇するような法律もありませんでした。それでも、女性たちが自ら少しずつ“壁”を壊し始めていったのです。そのおかげで、初めての女性教授や女子大学生が誕生しましたが、ほかにも女医や女性の弁護士、女性の編集者など、多くの女性たちが戦った末にそれぞれのポジションを勝ち取ることになりました。そういう意味でも、すごくワクワクするような情熱のある時代だったんだと思います。女性を軽蔑し、侮蔑し、虐待するという現実があったからこそ、男性支配という“悪”を描くにあたって、それと対極にある素晴らしい女性たちの進出を描きたかったのです。―劇中では数々の著名人たちが重要な役割をはたすために登場しており、その数は100人を超えていますが、監督が影響を受けたアーティストはいらっしゃいますか?監督昔から好きなのは、画家のロートレック。なぜなら、彼はとても自由な気質の画家で、彼が描く人物像は生き生きとしているからです。おいしい料理を愛し、友達もたくさんいて、自分自身の人生を謳歌しているところが彼の魅力だと思います。―監督はアニメーションに関しては独学ということですが、日本の作家や作品から影響を受けている部分もありますか?監督もちろん、宮崎駿さんと高畑勲さんは避けては通れない巨匠だと思います。あとは、細田守さんの作品も非常に興味深いですね。とはいえ、日本のアニメはあまりにも素晴らしいので、誰の作品がいいのか迷子になってしまいそうなくらいです。(笑)日本のアニメは他が到達できないところまで来ている―監督の目には、いまの日本のアニメはどのように映っていますか?監督日本のアニメは、ほかの国のアニメ業界が到達できないほどの評価を得ていると思っています。というのも、日本のアニメ作家たちというのは、どの階級の人たちにも興味を抱かせるアニメを作り出し、子どもだけではなく大人の観客にも響くような世代を超えた作品を生み出しているからです。同じことをほかの国のアニメ作家たちもやろうとはしていますが、なかなかできず、日本ほど成功していません。私がデビューした80年代頃から『マジンガーZ』などが大ヒットし始めて、日本のテレビアニメが世界を席巻しましたが、そういった影響もあって、僕が一緒に仕事をしている若い子たちや生徒たちの頭のなかは、日本のアニメでいっぱいなんですよ。たとえば、フランスでは1週間くらい研修をさせますが、男の子も女の子もみんな日本のアニメのような絵を描いているほど。だから、いまはジャポニズムの第二の波が来ている感じです。―とはいえ、日本の作品にはない監督の作風も非常に魅力的で、今回はパリの街並みがとにかくリアルで美しかったです。描くうえで苦労した点はどのあたりでしょうか?監督実はこの作品の背景は写真を加工して作っているので、4年間かけて写真を撮り続けました。ただ、私はパリに住んでいますし、カメラを持って散歩していただけなので、苦労や困難はまったくありませんでしたよ。(笑)それよりも大変だったのは、最初の頃にプロデューサーも資金を出してくれるテレビ局も誰も見つからなかったことです。ただ、そういう状況に反して、パリの美術館や役所の方々がもろ手を挙げてこの企画に賛成してくれたことによって助けられました。そのおかげで、美術館の休館日にひとりで中に入らせてもらって、好きなだけ写真を撮ることを許可してもらえたり、オペラ座の地下から屋根裏だけでなく、普段立ち入りが禁止されているところやパリの下水道にも入ることができました。だから、私自身は背景となる写真をとても楽しく撮り収めていましたし、ここの景色が足りないと思ったらカメラを持って外に出る、ということを繰り返していただけなんです。私はいまの時代も悲観的にはとらえていない―監督から見て、ベル・エポックの時代にあって、いまの時代に失われてしまったものは何だと思いますか?もし、私たちが取り戻すべきものがあれば教えてください。監督フランス人をはじめ、悲観的な人がいまの世界には多いですが、私は悲観主義者ではありません。というのも、すべては相対的だと私は思っているからです。たとえば、フランスも日本もいまは平和だし、ヨーロッパの歴史のなかで70年もの間戦争が起こっていないというだけでも、すごいことですよね?それに、私はパリに住み、豊かに生きている実感がある自分の運命にとても満足しているのです。もし、ほしいものがあったとしても、アパートを出ればすぐに手に入れることができますからね。あと、私は自分のことを「世界市民である」という自覚を持つようにしています。だから、東京にいてもちゃんと地下鉄に乗ったり、公共の交通に乗って空港に行ったり、そういう世界市民的なところは大事にしていることです。ただ、いまの時代に欠けているものがあるとすれば、公共や民間の建物に対するリスペクト。フランスやそのほかの国でも、不法な落書きが街にあふれていますが、これは本当にひどいことだと思いますし、美しくないと感じています。でも、そういったものが生まれてしまうということは世の中で何かがうまくいっていない、どこか調子が狂っているということの表れでもあるのです。そういったことに対しては、悲観的な気分にはなってしまいますね。―時代背景としては100年以上前ですが、作品にはいまにも通じるメッセージが数多く込められていると思うので、最後にananweb読者へ向けて伝えたい思いをお願いします。監督いま言ってもらったようにメッセージは映画のなかで伝えているので、ぜひ作品を観ていただきたいですが、女性たちに伝えたいとすれば、「ルイーズ・ミシェルやサラ・ベルナール、そしてキュリー夫人のような素晴らしい女性たちを目指してがんばって欲しい」ということですね。目も心も奪われる美しさ!一瞬でベル・エポックのパリにタイムスリップしたような感覚を味わえる本作。華やかさと美しさを満喫できるだけでなく、女性たちが声を上げ、自らの足で一歩を踏み出した瞬間にも心を動かされるはず。ディリリと一緒に、見たこともないパリへと冒険の旅に出てみては?輝きの詰まった予告編はこちら!作品情報『ディリリとパリの時間旅行』8月24日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開配給:チャイルド・フィルム© 2018 NORD-OUEST FILMS – STUDIO O – ARTE FRANCE CINEMA – MARS FILMS – WILD BUNCH – MAC GUFFLIGNE – ARTEMIS PRODUCTIONS – SENATOR FILM PRODUKTION
2019年08月23日新海誠監督の大ヒット作『君の名は。』で、主人公の瀧を演じた神木隆之介さん。新海映画をこよなく愛する神木さんが、愛情溢れる解説を披露してくれました!取材現場に現れた神木隆之介さんの傍らには、小さなノートが。「大好きな新海作品について語るので、昨日の夜、いろいろ観直して予習してきたんです(笑)」と言う神木さんは、自他ともに認める筋金入りの“新海誠マニア”。魅力を語り始めると、とにかく言葉が止まりません!「最初に監督の作品を観たのは高校生のときです。レンタルビデオ店に並んでいたパッケージの美しさに惹かれ、『秒速5センチメートル』を借りたのですが、始まって数秒で、なんだこの世界観は!!とノックダウンされました。こんな美しく描かれた世界にもっと浸りたい…と思い、そのときに観られる新海作品を一気に観ました」入り口は絵の美しさでしたが、観続けていくうちに、セリフの内容や言い回しのリアリティ、人間を描く深さ、そして日常音の美しさなど、魅力を発見してはますますハマっていったそう。「僕が思うに新海監督は、きっと心にずっと空洞があって、そこを埋めるための何かをずっと探しているのかな、と思います。その、どこか満たされていない状況は寂しくて切なくて儚いのですが、そこに監督が憧れているロマンがあるような気が…。『ほしのこえ』からずっと、一貫してその雰囲気を感じますね」ここでは、お話に出てきた『秒速5センチメートル』、『ほしのこえ』、そして主人公を演じた『君の名は。』の見どころを神木さんが熱く解説。神木さんの溢れる愛を汲み取りながら、お楽しみください!『ほしのこえ』(2002年)2046年、同じ中学で同じ部活に所属する、同級生のミカコとノボル。淡い恋心を感じていた二人だったが、中3の夏、ミカコは国連軍の選抜メンバーに選ばれ、宇宙に旅立つ。高校に進学したノボルは、遠く離れたミカコと携帯メールで通信をするのだが、ミカコが太陽系の深淵に向かうに従い、メールのやりとりにかかる時間が、数日、数週間、そして年単位…と開いていく。「宇宙と地上に引き裂かれる恋人の話です。監督の第1作ですが、後の作品に脈々と引き継がれていく、新海さんの核みたいなものが描かれている作品だと思う。宇宙にいるミカコとノボルの間には、想像もできないほど遠い距離があって、メールがどんどん届かなくなっていくわけですが、強く思えば思うほど、二人は遠く離れていくんです。すごく切ない、悲しい恋物語。繊細で儚くて、でもだからこそとても美しい。実はこの作品も、登場人物と天気が大きく関わっていて、彼らの心情で雨が降ったり、入道雲が発生したりするんです。『天気の子』にも通じますよね。監督の描きたいものにブレがないんだなと、観返して改めて思いました」『ほしのこえ』第1作は、監督、脚本、演出、作画、美術、編集のほとんどを一人で手がけた完全個人制作アニメ。オリジナル版はノボルの声を新海監督が務めている。ミニシアター1館での公開ながら、1か月で約3500人の観客動員が。声の出演/武藤寿美、鈴木千尋25分DVDサービスプライス版¥2,286(発売:コミックス・ウェーブ・フィルム)©新海誠/コミックス・ウェーブ・フィルム『秒速5センチメートル』(2007年)東京に住む小学生のタカキとアカリはお互いに想い合う仲。しかし卒業後、アカリが栃木へ引っ越して二人は離れ離れに。さらに中学生になったタカキは鹿児島に転校が決まる。遠くに引っ越す前にアカリに会おうと決め、大雪の中タカキは栃木に向かう。時は過ぎ、種子島で高校生活を送るタカキは、同級生からの想いを知りつつ、遠くにある何かを見つめていた。後日、東京で社会人になり、タカキは仕事に追われて疲弊する中で、忘れかけていた一人の女性のことを思い出す。「物語は〈桜花抄〉〈コスモナウト〉〈秒速5センチメートル〉の3章から成り立っていて、僕は最終章が一番好きです。タカキはアカリの面影を求め、彼女に似た女性と付き合うんですが、過去を思い出にできず、関係は破綻します。その、タカキのダメな感じが、だらしない生活ぶりから強く伝わってきて、特に部屋の中で空き缶が転がるシーンの音と描写がとにかく秀逸。何かを追い求めているんだけれど、それが何なのかわからない。タカキのその感覚は、僕にも重なるところがある。最終章の彼の言動を見るたびに、なんとも言えない気持ちになります」『秒速5センチメートル』題意は、作中でアカリが「桜の花びらが舞い落ちる速度」と言う。惹かれ合っていた男女の時間と距離による変化を、3章の連作で描く。海外でも、アジアパシフィック映画祭の最優秀アニメ賞など、映画賞を受賞。声の出演/水橋研二、近藤好美、尾上綾華1時間13分DVD通常版¥3,800(発売:コミックス・ウェーブ・フィルム)©新海誠/コミックス・ウェーブ・フィルム『君の名は。』(2016年)1000年ぶりとなる彗星の来訪を控えた日本。東京に住む男子高生の瀧はある日、山奥の田舎に住む女子高生・三葉になる夢を見た。一方、三葉は瀧になる夢を見た。二人とも「変な夢」と思うが、この妙にリアルな夢は繰り返される。抜け落ちた記憶、不思議な時間感覚…。「もしかして、入れ替わってる?!」と気がつく二人。奇妙と思いつつも二人なりのやり方で協力し合い、瀧と三葉は打ち解けていくのだが…。「それまでの作品と比べると、とにかくテンポが速いです。それからコメディシーンがあるのも、過去の新海作品にはない新しい側面かも。コメディ要素を盛り込みながら展開の速い作品ですが、登場人物の心情をしっかり丁寧に描いているところはさすがです。観てほしいところは…やっぱり二人が入れ替わっているシーンかな。瀧くんの中に三葉が入っている場面は、僕はちょっと内股で演じていましたし、三葉を演じた(上白石)萌音ちゃんは、逆にガニ股になっていたのを覚えています。最先端のCG技術を使った映像がとにかく美しく、RADWIMPSの音楽と一体化したときのエンタメ感は、本当に素晴らしい」『君の名は。』日本における邦画の興行収入第2位という大ヒット作。世界100以上の国と地域で公開され、世界興行収入が日本映画として歴代1位になった。RADWIMPSが映画音楽を担当したことも話題に。声の出演/神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ1時間47分DVDスタンダード・エディション¥3,800(発売、販売:東宝)©2016「君の名は。」製作委員会かみき・りゅうのすけ1993年生まれ、埼玉県出身。俳優として、また声の出演でも数多くの作品に参加。公開待機作に、『屍人荘の殺人』(今年12月公開)、『Last Letter』(’20年公開)が。※『anan』2019年8月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2019年08月14日日本だけでなく、世界中で記録的興収を打ち出している『トイ・ストーリー4』。監督のジョシュ・クーリーとプロデューサーのマーク・ニールセンに、世界中の老若男女に愛される秘訣を聞きました。「“万人に愛される”ように作るってこと自体は難しいんだよね。だからこそ、そこは考えないようにするのが秘訣かな。それよりも何よりも、いいストーリーだったら子どもでも大人でもみんなが好きになってくれるはず。だから、僕自身が自己投影できるような物語にすることが、愛される作品を作る第一歩だったのかもしれないね」(クーリー)「本作にはタイプの違う新キャラクターを登場させたけど、世代ごとのウケが違うよね。子どもが好きになってくれるのはフォーキーだけど、毒舌ぬいぐるみのダッキー&バニーやシュールなライダーのデューク・カブーンは大人に響いているはず。特にダッキー&バニーは、3年も射的で残っているから、お金を巻き上げられる子どもたちをたくさん見てきた、社会の苦いところを知っているキャラ」(ニールセン)本作のキャラはどれも愛らしくかわいいけど、一方で本物っぽいリアル感もあり。これって矛盾しているんだけど、どうやってるの?「’90年代の旧作を観るとわかるけど、当時は技術が今ほどなかったから、リアルじゃないんだよね。でも、だからといって、最新技術で超リアルにおもちゃたちを作り込んでしまうと、きれいには見えるけどかわいさは失われちゃう。あくまでアニメーションのおもちゃであって、本物らしさはそこそこに。そのバランスをとるのが、その矛盾に立ち向かう一番の難しさだね」(クーリー)「たとえばボー・ピープ。彼女は1作目と2作目に出てそれきり。今の技術でアップデートした姿を作ってしまうと、以前のかわいらしさがなくなっちゃう。だから、ボーに関しては0スタートで最初から作り直しているんだよ」(ニールセン)ちなみに旧作のアーカイブは、どの程度参考にしたの、監督!「ピクサーにはありとあらゆる資料が残っているからね。と言っておいてなんだけど、じつはピクサー・アーカイブスに入ったことがないんだよね(笑)」(クーリー)「みんなが資料を持ち込んでくれたから行く必要がなかったんだよね。それに、1作目で中心人物だったスタッフがまだたくさん働いているから、彼らの知恵が最大の宝物だったと思うよ」(ニールセン)マーク・ニールセン(Mark Nielsen・右)’98年の『バグズ・ライフ』からピクサーに参加し、’06年の『カーズ』でストーリー・マネージャー、’15年の『インサイド・ヘッド』ではプロデューサー補を務めた。ジョシュ・クーリー(Josh Cooley・左)インターンとしてピクサーに入り、’04年の『Mr.インクレディブル』でキャリアをスタート。その後、短編の監督・脚本を経て、本作で長編監督デビュー。『トイ・ストーリー4』20年以上続く長寿シリーズ最新作。おなじみの声優陣が続投する中、新キャラの声も超豪華。監督/ジョシュ・クーリー声の出演/トム・ハンクス、ティム・アレン、キアヌ・リーヴス日本版声優/唐沢寿明、所ジョージ、戸田恵子、森川智之ほか全国公開中。©2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.よしひろまさみちオネエ系映画ライター。弊誌ほか女性誌、情報誌で連載するほか、テレビやラジオなどでも映画紹介を担当。※『anan』2019年8月7日号より。写真・小笠原真紀取材、文・よしひろまさみち(by anan編集部)
2019年08月06日魅力あるアニメーションの数々を生み出しているピクサー。絶賛公開中の『トイ・ストーリー4』をはじめ、名作アニメーションが生まれる舞台裏とは?ライターのよしひろまさみちさんがレポートしてくれました。名作アニメーションが生まれる舞台裏ピクサーに勤めるスタッフが1000人超ということからもわかるように、どの作品でもシステマティックに分業しています。実際は各作業を監督にフィードバックして“三歩進んで二歩下がる”方式ですが、名作が生まれるプロセスをいくつかに分けてざっくりと解説します。モデリング:魅力あふれるキャラが生まれるまで。9年前の『トイ~3』には登場しなかったボー・ピープを、今作で復帰させるために、ボーの担当スタッフが苦労したのは「『トイ~2』までのボーを復活させるだけではダメ」だったこと。というのも、『トイ~2』を最後に登場しなかったキャラクターということは、イコール、ボーを作った映像技術は20年前のものだから。ボーのモデリングを担当したスタッフは、「とにかく1作目のデッサンまでさかのぼって、キャラクターを再研究することから始めた」とか。それもそのはずですよ…。だって、ブルーレイで旧作を観れば一目瞭然だもん。『トイ~2』までのボーは完全に作り物(それも磁器製でテカりまくり)。しかも、メインキャラではなかったため、リギングやモデリングも今のピクサー作品ほど細かく作り込まれていなかったという事実も発覚。よって、旧作のデータは全く使わずに、ボーは新しく作り直しとなりました。イチからよ!作り直すとなったら、今作ることができる最高のキャラクターモデルにするのが使命。ということで、デザイナーが描いたデッサンをもとに、以前より表現豊かなキャラクターにすべく、ディテールを作り込んでいったそうな。たとえば、眉毛が少し溶けているのは実際の磁器の特徴によるなど、本物の磁器人形により近く、それでいてアクションもキレキレにできるようモデリングしたんですって。初期デッサン。ブラッシュアップしたデッサン。パンツルックで躍動的なキャラに。セット&カメラ:CGアニメーションの舞台裏。今作でもっともセット&カメラに苦心したシーンは、移動遊園地?それとも大騒ぎな幼稚園?いえいえ、じつはアンティークショップ。ボーの電気スタンドがあり、ギャビー・ギャビーと恐怖人形ベンソンがいるあのショップです。なぜかというと、とにかく物が多いから!みなさん、CGアニメーションと聞いたら「ボタン一つで世界ができるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、ノンノン。キャラクターのみならず、ギャビー・ギャビーの乳母車や店内の商品全て、それを飾っている棚も全て、ぜ~んぶ作らないといけないんですよ。これ、本当に気の遠くなる作業で、どこに何を配置して、どうキャラクターが動いて物語が進行するかを考えながら、店内のレイアウトを決めないといけないんですね。しかも、商品は骨董品だから古ぼけてないといけないし、そんなに客の往来がないから蜘蛛の巣があったり。セットのチームは監督から「これも作ってね。がんばってー」とサラッと言われたそうな。恐怖。細かく言うと、写真にあるギャビー・ギャビーの登場シーンは90ショットあり、ショップ内にあるアイテムは1万超(数え切れないらしい)。でも、ストーリーが決まらないことには先に進まないパートでもあるので、最初の4年は「本当に使うかどうかわからないけど、とにかく作り始めなければ」と、祈りながら作ったそうです。くわばらくわばら。コンテから読み取ってカメラ位置も決める。ここは不気味さを重視。夢のような空間、アーカイブルーム!社屋Cの「クィーンズ」には、これまでのピクサー全作品の資料を作品ごとのエリアに分けて保管している「ピクサー・アーカイブス」という部署が。主にCG化する前のデッサンやアートワーク、粘土モデル、CGにしたときのポリゴン(モデリング時の線画)を想定した立体モデルなどなど、リアルな資料がわんさか収蔵されています。発案者のジョナス・リヴェラ曰く「せっかくでかい倉庫があるんだったら、そこに全部収納すれば、クリエイターも見に来られるし」ということで作られたそう。というか、この大量の資料、今までどこにあったのよ…という物量なの。もっともお宝なのは、’95年の『トイ・ストーリー』の制作初期段階で作られた、ウッディとバズの粘土モデルと、アイデア段階のストーリーボード(簡単なマンガ風にまとめられてるヤツ)ね。粘土モデルは、正直「これ、全然イメージ違う…」というアイデア段階のものまで残っているの。また、ピクサーが設立されたとき、ウォルト・ディズニー社に買収されたときなど、歴史的瞬間の新聞記事なども、美しい状態で保存されているので、そのうちピクサー美術館が建てられるんじゃないの?っていうレベル。というか、「PIXARのひみつ展」が大成功しているんだから、アーカイブ展「クィーンズへようこそ(仮)」をやってもいいんじゃない?旧作のアートワークの数々。日本人スタッフも活躍中!ピクサーで働く、原島朋幸さんと成田裕明さんにお話を伺いました。原島:ピクサーで仕事したい、と思ったきっかけが’95年の『トイ・ストーリー』だったから、今作に関われたのは本当に幸せでね。成田:いや、僕もそうですよ!ピクサーにいるからには一度は関わりたいシリーズ。原島:ですよね。僕はこれまで『ファインディング・ドリー』でニモやドリー、『カーズ/クロスロード』でライトニング・マックィーンのアニメーションは体験できたけど、ウッディとバズを動かしたときはやっぱり感動しましたよ。成田:僕は冒頭のシーンに、キャラクターが総出演するんで、とてもうれしかったですね。ウッディやボーが雨に濡れるとか、その雨粒の反射とか細かいところだったけど。原島:それにしても、あのシーンは本当に水浸しで、成田さん大活躍でしたね。成田:しかもシーンの担当スタッフが当初の想定より少なかったんですよね。そのせいで1人当たりの作業量が多くなったんです。原島:でも、多くのところを担当できるのはうれしいですよね。成田:結果的には(笑)。雨で情緒的なシーンなので、すごく考えさせられたんですよ。原島:日本のアニメを参考にしたり?成田:そうそう。水しぶきとか、日本のアニメでの雨の表現に通じるところがあって。原島:それにしても、完成して良かった。僕らにとって特別な一作になりましたよ!原島朋幸さん(右)2015年入社。アニメーターとして『アーロと少年』から参加。『トイ~4』では冒頭の回想シーンのキャラクターを動かしている。成田裕明さん(左)2017年入社。エフェクト・テクニカル・ディレクター。『トイ~4』では冒頭の雨のシーンで、雨に関する全ての視覚効果を担当。『トイ・ストーリー4』20年以上続く長寿シリーズ最新作。おなじみの声優陣が続投する中、新キャラの声も超豪華。監督/ジョシュ・クーリー声の出演/トム・ハンクス、ティム・アレン、キアヌ・リーヴス日本版声優/唐沢寿明、所ジョージ、戸田恵子、森川智之ほか全国公開中。©2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.よしひろまさみちオネエ系映画ライター。弊誌ほか女性誌、情報誌で連載するほか、テレビやラジオなどでも映画紹介を担当。じつはピクサー来訪は今回で13回目(日本のプレスでは最多らしい)。※『anan』2019年8月7日号より。写真・Kaori Suzuki(ピクサー)取材、文・よしひろまさみち(by anan編集部)
2019年08月05日大ヒットした映画『君の名は。』に引き続き、新海誠監督の最新作『天気の子』でも音楽を担当したRADWIMPS。前作以上に“物語”に踏み込み、作品に影響を与えた彼らの音楽の、秘密に迫ります。――『君の名は。』で初めて映画音楽を手がけられましたが、バンドとしての活動と映画音楽作りに、違いを発見しましたか?野田洋次郎(Vo、G、P):バンドの枠でやっていると、限られた楽器の中で音を構築するという制限があるわけで、でもだからこそ、その中でどう面白いものを作ろうか、というところが醍醐味です。一方映画音楽は、1曲に10、20の楽器はもちろん、オーケストラを使っての曲作りもできる。バンドを10年やっていても、そんなことができる扉はなかなか開けられないので、バンドにとっても大きな経験だったと思います。武田祐介(B):あとバンドだと、ライブで再現できるかどうかを常に考えますが、そこを考えないでの曲作りは楽しいですね。野田:そうだね。映画音楽は黒子的な感じが強くて、その“裏方としての快感”もちょっとあるよね。桑原彰(G):あるある。音楽の力で雰囲気を変えられたり、また見えない部分で観客の心を引っ張ったり…。そういう快感はありますね。――今回は、前触れもなくいきなり野田さんのLINEに、新海監督から脚本が送られてきたことがスタートだったと伺いましたが…。野田:そうなんですよ。特に「音楽をやってください」とかは何も聞いていなかったので、すごくびっくりしました。しかもそれが、前作公開日からちょうど1年後の、8月26日。「これを読んで、洋次郎さんが何を思ったかを知りたい。できれば歌詞が乗ったものを聴いてみたい」と新海さんが言っていたので、3か月くらい後に、「愛にできることはまだあるかい」と、「大丈夫」のデモを送りました。武田:そのくらいの段階で、僕と桑原は洋次郎から「新海さんからこんな話があって、曲を渡した」って聞きまして。――「愛にできることは~」は、タイトルと同じサビの歌詞が非常に印象的ですが、脚本のどんなところからヒントを得て、その歌詞が生まれたのですか?野田:なんだろう、帆高と陽菜の切実さというか、高い純度で大事なものに対峙する姿勢は、新海さんの描きたい世界の核でもあり…。彼らの、“まだ終わりじゃない、まだ何かやれることがある”という感情と、僕らが音楽作りに対して思っている“まだ作れる、まだ伝えたいことがある”という思いがオーバーラップし、それであの歌詞が出てきたような気がします。――当初は、今回は歌わなくてもいい、と野田さんはおっしゃっていたと聞きましたが…。野田:『君の名は。』の音楽は、僕の声に覆われている部分があったので、そこを違う印象にしたかったし、細部においても1段とは言わず、5段くらいレベルアップしたものにしたかったんです。――今回、三浦透子さんという女性Voが入っているのも、“新しいものにしたい”の一環ですか?野田:まさにそうですね。あと僕は個人的に女性の力強さに圧倒的な憧れがあって。だから今回はぜひ女性に歌ってほしかった。オーディションをしたんですが、彼女の声の魅力は、それこそ圧倒的で。透明で色がないのに、何より強い。押し付けがましくないのに、聞き入ってしまう声。桑原:彼女の歌が乗ったシーンを観ると、画面から声が飛んでくるんです。あと、僕らの演奏とも相性が良かったと思いますね。『天気の子』SOUND TRACK映画のために書き下ろされた31曲を収録した、サウンドトラック。主題歌が5曲、劇伴が26曲。¥3,000(ユニバーサル ミュージック/EMI Records)ラッドウィンプス右から、桑原彰(G)、野田洋次郎(Vo、G、P)、武田祐介(B)。2005年メジャーデビュー。アルバム『ANTI ANTI GENERATION』が発売中。8月末までツアー中。『天気の子』家出少年の帆高と、天気を操り、晴れにできる不思議な能力を持つ少女・陽菜が、東京の歌舞伎町で出会う。天気の調和が狂っていく時代の中で、運命に翻弄される少年と少女が生き方を“選択”する、切なく美しい愛の物語。全国東宝系で公開中。©2019「天気の子」製作委員会※『anan』2019年8月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・服部昌孝ヘア&メイク・矢口憲一(by anan編集部)
2019年08月05日新海誠監督の最新作・映画『天気の子』において、ピュアでまっすぐな主人公・森嶋帆高(ほだか)とヒロイン・天野陽菜(ひな)を演じた2人組、醍醐虎汰朗さん&森七菜さんの対談をお届けします。――オーディションで役を掴んだそうですが、オーディションではどんなことをしたのですか?醍醐:1次審査は、自分の声をスマホのボイスメモに録って、それを送りました。森:そのあと、2次審査はスタジオに呼んでいただいて、絵コンテに合わせてセリフを言うんですが、アニメってとにかくテンポが速くて、それが想像以上だったんです。新海さんがお相手をしてくださったんですけれど、ものすごく難しかったです。醍醐:3次審査のとき、七菜ちゃんと一緒に声を入れたんですけれど、すごく掛け合いが気持ちよかったんです。しかも、なんていうのかな、うまいというよりも…、素敵な感じだった(笑)。森:なにそれー(笑)。醍醐:褒めてるんだって!(笑)終わったあとマネージャーさんに、「陽菜役はきっと七菜ちゃんだと思います」って話してたんです。森:実は私も3次で醍醐くんと共演したときに、演技の間合いとか、テンポが心地よくて、相性いいなって感じてました(笑)。もしこの役をやるなら、相手は醍醐くんがいいなと思ってた(笑)。醍醐くんが帆高を演じるのを聞いてると、“あ、これが帆高だ”って感じがしたんです。うまく説明できないけど、そんな気がした(笑)。――新海監督の作品は、監督が吹き込んだセリフが入ったV(ビデオ)コンテがあるわけですが、まずそれを聞いて、役作りをするんですか?醍醐:はい。実際に演技したものを見本にできるのでわかりやすくて、ありがたいお手本というか、道標でした。でも同時に、監督の演技がすごすぎて、これを超えていかなきゃいけないのかっていうプレッシャーもありましたね。森:私も監督が吹き込んだセリフをずーっと聞いていたので、初めて自分の声を聞いたとき、「え、こんなの陽菜の声じゃない!新海さんの声のほうがしっくりくる、どうしよう…」って落ち込みました。でも、初めてのアフレコで、技術的にはまだまだだけど、気持ちの部分だけでも監督の演技を追い越したいって思って、1か月頑張ったのを覚えています。――声だけで演技をするのは初めてだったと思いますが、やってみて、どうでした?醍醐:難しかったし、でもおもしろかった。その2つはセットなんだな、と思いました。森:うんうん。醍醐:例えば、走っているときのシーンは、普通の演技だったら実際に走りながら演じるわけですが、アフレコは、マイクの前で息遣いだけでそれを表現しなきゃいけない。どう演じたらいいのか僕はわからなかったので、とりあえずスタジオの周りをぐるっと一周走って、本当に息切れした状態でアフレコしてみたり、かなりいろんなチャレンジをさせてもらいました。演技をしながら、わからないことを一つ一つ勉強させてもらうのが、とても楽しかったです。森:私が難しかったのは、“顔”の演技をしているのは映像に描かれた陽菜で、私はその陽菜の気持ちに完全に寄り添って演技をしなければいけないこと。声に自分の感情を全て乗せるっていうことが、頭ではわかっているんだけど、なかなかできなくて…。でもあるとき、思い切って全ての気持ちを乗せてみたら、やっとリミッターが外れて。自分の表現の幅が広がった気がして、そこからより楽しくなったのを覚えています。――アンアンを読んでいるのは主に二人より少し年上の世代なんですが、最後に、そんなお姉さんたちに見どころを教えてください!森:えー!?お姉さんたちに!?えーと、もし私が社会人だったら、仕事のあとにレイトショーで観に行ったら気持ちよくなれる映画だと思うので、観終わったあとぜひおうちでアロマキャンドルをたいて、余韻に浸ってほしいです!はい、次、醍醐くん!醍醐:えーと…、観終わったあと、愛についてとか、好きな人についてとても考えたくなる映画だと思います(照れ笑い)。あ、あと、風景と音楽のコラボは本当に素晴らしいので、爽快感を味わいに、ぜひ劇場に行ってください!!もり・なな2001年生まれ、大分県出身。’17年に女優デビュー。公開待機作に『最初の晩餐』『地獄少女』(共に11月)、岩井俊二監督映画『Last Letter』(’20年)など。だいご・こたろう2000年生まれ、東京都出身。’17年から映画、ドラマ、舞台で活躍。舞台『弱虫ペダル』で主演に抜擢され、話題に。今秋には演劇『ハイキュー!!』に出演予定。『天気の子』家出少年の帆高と、天気を操り、晴れにできる不思議な能力を持つ少女・陽菜が、東京の歌舞伎町で出会う。天気の調和が狂っていく時代の中で、運命に翻弄される少年と少女が生き方を“選択”する、切なく美しい愛の物語。全国東宝系で公開中。©2019「天気の子」製作委員会※『anan』2019年8月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・井上 亮(BVC/醍醐さん)申谷弘美(森さん)ヘア&メイク・大泉直人(醍醐さん)佐藤 寛(森さん)(by anan編集部)
2019年08月04日我が家では、私が主に生活費を稼、旦那が家事を担当してくれています。私があまりにも料理が下手で、以前火事を起こしそうになってしまったため、その頃から私は料理から手を引く形になってしまいました…。その代わり、何とか金銭面で頑張らなければ! と懸命に働く日々です…。さて、私は子供の頃から、「天空の城ラピュ〇」に出てくる、目玉焼きを乗せたトースト、いわゆる「ラピュ〇パン」にとても思い入れがありました。映画の中に出てくるそのパンは、とてもおいしそうで、いつかあんなパンを食べてみたいなと憧れを抱いていたのです。しかし、実際に自分でトーストの上に目玉焼きを乗せて食べてみたところ、あまりおいしくありませんでした。何と言うか、とにかく味がありません。でも映画の中ではあまり味付けをしていなかったような…。塩コショウくらいはしてい たんだっけ…でも塩コショウしたところであまりおいしくならないような…と、自分の 思い描いていたパンとはかけ離れた感じの味に、ショックを隠せませんでした。しかも、確か最初に目玉焼きを全部食べてから、残ったパンをそのまま食べていたような…。随分と自分のイメージしていた感じと違うなぁと思い、旦那に相談して、自分なりの究極のラピュタパンの再現に成功したのです。それがこちらです!とにかくたまごは半熟です!!やはり半熟とトーストの組み合わせが好きなんです!そして、周りをマヨネーズで囲むことで、味付けとたまごのずり落ち防止という二役を 担ってくれます。マヨネーズはあまり色味がないので、見た目的にもケチャップ等をかけてしまうよりもラピュ〇パンらしさを残してくれます。一番難しいのが焼き加減なのですが、うちはトーストモードではなくピザモードで焼いています。その方が、白身も固まり、尚且つ君は半熟になるのです。1~2分早めに取り消しを押すなどして取り出すのもポイントです。最後まで焼いてしまうと、半熟にもなりませんし、カリカリし過ぎてしまいます。ピザモードが無い方はトーストでもできますが、「トーストでラピュ〇パン作ってみた けど白身が固まらなかった」という失敗談が良く出るので、是非そういうときはレンジで20~30秒温めてください。白身が固まります。上記の時間はたまごの固まり具合いを好みの感じにするため、各々研究しながら自分の 好きなラピュ〇パンを作っていってください。それでは、良きズボラアニメ飯ライフを!(協力してくれた旦那よ、ありがとうございました!)
2019年08月04日絶賛公開中の『トイ・ストーリー4』のほか、数々の名作アニメーションを世に送り出してきたピクサー。そのスタジオ内部を、ライターのよしひろまさみちさんが徹底レポート!子どもだけでなく、大人の心をもわしづかみにするアニメーション映画を輩出し続ける、ピクサー・アニメーション・スタジオ(以下、ピクサー)。ピクサーがあるのは、全米一多様性のある街として知られるサンフランシスコのベイエリア、エメリーヴィルという街。なんの変哲もない街並みのなか、いきなり巨大なスタジオの入り口がドドーンと現れます。ここは普段、一般には開放されていないものの、ときおり行われるゲスト招待やスタッフの紹介によるゲスト、マスコミ取材などで外部の人も入ることができます。1000人を超すスタッフが勤めており、敷地は野球場一つ分程度。じつは、この社屋が建つ前、この場所は本当に野球場だったそう。社内には、建設中に発掘された野球関連の歴史的アイテムが飾られている場所もあります。社屋は「ザ・スティーブ・ジョブズ・ビルディング」(以下、社屋A)、「ブルックリン」(以下、社屋B)、「クィーンズ」(以下、社屋C)など。社屋によって役割が違っています。社屋Aはここにピクサーが建てられた当初からあるビルで、デザインを担当したアップル社の元CEOにして、ピクサーの創業者の一人であるスティーブ・ジョブズが亡くなった後、彼の名前を冠しました。ガラス張りのビルに入ると、巨大な吹き抜けと広場のようなスペースにまず驚かされますが、これにも意味があります。ここを全社員が往来するため、あらゆるスタッフが意見交換をできるように配慮されているんですね。それがクリエイターの創造力向上につながる、という仕組み。奧には社員食堂「ルクソーカフェ」(ピザ用の石窯も!)と、街の映画館と同サイズ級の試写室があるほか、ここでしか買えないグッズを売っているスタジオショップもあります。社屋Bは新しい社屋で、主に制作中の作品を担当するスタッフが勤める場所。よって、取材時も入れるエリアは限定されています。こちらにも試写室と社員食堂「V8カフェ」(こちらはサラダバーが自慢)があるほか、吹き替えの収録用スタジオや、VIPを招いた際の隠し部屋などがあります。社屋Cは一見倉庫で、本当に倉庫をリノベした建屋。ここにはこれまでの作品制作で作られた彫刻やスケッチ、アートワークなどの資料がまとめてあり、「ピクサー・アーカイブス」という部署が管理しています。温度・湿度・照明・塵などが一定にキープされ、お宝アーカイブを守り抜いているんですね。ちなみにここを作ったのは最近のことで、発案者は『トイ・ストーリー4』のプロデューサーの一人であるジョナス・リヴェラ。アート部門出身の彼ならではのアイデアで、設立されたそう。作品を紡ぎ出すスタッフの環境は整っているうえ、しょっぱい話だけど、福利厚生も完璧(と、他スタジオの人の間で有名)。広大な敷地内には、ジム、サッカーコート、プール、バスケットボールコートなどもあり、なんと託児所も併設されているんだとか。スタッフに最高の環境を提供し、最高の作品を作り出そうというのが、アニメーションスタジオの最強ブランド、ピクサーの強み。創業時から活躍しているスタッフが今でも大勢勤め続けているのもうなずけますよね。社屋Aの玄関にはウッディ&バズの人物大レゴ(右)とインクレディブル・ファミリー(左)が。社屋Aを入り口から。左が「ルクソーカフェ」、奥の壁の向こうは巨大な試写室。社屋Bから社屋Aに続く道。右はサッカー場なんですよ。『トイ・ストーリー4』20年以上続く長寿シリーズ最新作。おなじみの声優陣が続投する中、新キャラの声も超豪華。監督/ジョシュ・クーリー声の出演/トム・ハンクス、ティム・アレン、キアヌ・リーヴス日本版声優/唐沢寿明、所ジョージ、戸田恵子、森川智之ほか全国公開中。©2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.よしひろまさみちオネエ系映画ライター。弊誌ほか女性誌、情報誌で連載するほか、テレビやラジオなどでも映画紹介を担当。じつはピクサー来訪は今回で13回目(日本のプレスでは最多らしい)。※『anan』2019年8月7日号より。写真・Kaori Suzuki(ピクサー)取材、文・よしひろまさみち(by anan編集部)
2019年08月03日前作『君の名は。』からの怒涛の3年を経て、さまざまな思いを詰め込んだ新作映画『天気の子』が完成。「良いことも悪いこともありました」。そう語る新海誠監督の想いを聞きました。日本国内のみならず、世界をも感動させた映画『君の名は。』。国内で1900万人以上が観たというその事実は、新海誠さんの中でもかなり大きな出来事だったよう。「正直ちょっと、桁の違う観客との出会いでした。最初は、熱狂の中にいて幸せだったんです。でも観客数が増えるに従って、面白かったという声と同じくらい…いや、それ以上に批判のほうが耳に入るようになって。有識者がメディアであれこれ書いているのも読みましたし、それこそ外で飲んでいるときに批判的な声が聞こえてくることもあった。もちろん皆さんお金を払って観ているわけですから批判する権利はあります。ただ、想像もしていなかった視点からの批判や、映画によって傷ついてしまった人からの意見というのは、予想もできていませんでした」そんな経験の中で、次の映画をどのようなものにするかを思案していたとき、考えた選択肢は2つあったそう。一つは『君の名は。』を観て怒った人たちが怒らない映画にする。もう一つは逆に、彼らがもっと怒るような映画にする。新海さんが選択したのは、後者でした。「人はたぶん、どうでもいいことには怒りませんよね。もし僕の中に何か作家性のようなものがあるとしたら、そこに彼らを怒らせた何かがあるんだろう、と。ならばそこをもっと追求したいと思い、『天気の子』の制作に取り掛かりました。まあ僕は、あまのじゃくなのかもしれません(笑)」その思いの延長線上に見つけたのが、10代の、『君の名は。』の瀧と三葉と同じくらい若い主人公とヒロインでした。「もともと僕はアニメーションをはじめとするエンタメは、悩める10代の人のためのメディアだと思っていて。なので、思春期の人たちが共感できる同世代のキャラクターを出すことは、僕の作品作りの前提条件の一つです。それから『君の名は。』に関して批判を浴びたとき、僕は“社会”から何かを言われたような気持ちになっていたんですが、ただよく考えれば“社会”というのは概念であり、いろいろ言っているのは、その中の個々人なんですよね。SNSなんかを見ていても、毎日誰かがどこかで揉めていて。人はそれを眺めて娯楽として消費している場合もあるし、正義感から立ち向かうこともあるだろうけれど、でもそれもある種の消費の形であって。そういう状況を見ていると、人間って、随分と原始的な生き物であり、同時に社会ってなんて窮屈なんだと改めて感じさせられて。そのときに、この、僕が感じている社会に対する憂鬱や憂慮を物ともせず、軽々と乗り越えて別の場所に走っていく、そんな人たちを描きたいと思いました。そしてそれはきっと、“今”を一生懸命生きている10代の若者たちだろうと。そこから帆高と陽菜という二人が生まれました」『天気の子』の舞台は、数か月も雨が降り続けている東京。劇中の須賀のセリフを借りるなら、〈狂った天気〉の世界。’16年あたりから、昔に比べて天候が変わってきたと思うことが増えた、と監督は語ります。「僕は今まで作品の中で、日本の季節の移り変わりとして、あるいは情緒的な表現として雨を描いてきましたが、でもどうもここのところ雨は情緒的なものではなく、備えるもの、準備をしなければならないものに変わってきた実感があって。“今年の夏は大変に暑くなります。命に関わるかもしれないので、気をつけて”とか、“命に関わる寒波が来ます”とか、よく聞くようになりましたよね。たぶん僕だけじゃなくて、たくさんの人が気候変化を実感しているのでは、と思ったとき、これをエンターテインメントの形にして何かが言えるのではないかと考えたことが、天気をテーマにしようと思ったきっかけです。’11年の震災以降、穏やかな時代は一度途切れてしまったのかもしれない、という気持ちもあります。その中で、映画監督という立場の自分が何ができるのか。その矜持もあります」今作で描かれるのは、雨に濡れて色が変わっていく東京の風景と、晴れ女という役割を担った天野陽菜の“祈り”で晴れていく、雨上がりの空。雨の東京は切なさとやるせなさ、晴れた空には清々しさが溢れていて、どちらも違う美しさがあり、胸が打たれます。「僕自身が雨が好きか…?大好きなわけではないですが、部屋で一人で雨の音を聞いたりするのは好きです。水たまりに雨が落ちて広がる波紋も好きだし、雨が塗り替えていく街の色も結構好き。あ、あと雨の日の夜って、特に人を内省的にさせますよね。普段考えないようなことを考えたり、ちょっといいことが思い浮かんだり…。孤独と雨って、意外と相性がいいのかもしれません。でも、“天気が狂ってるね”と言うのは、“その前の天気”を知っている世代の人間であり、今しか知らない10代の人たちにとっては、正直きっと、別にどうでもいいんだと思うんです。そういう人を描くことで、たぶん僕自身もスッとできると思ったし、僕が思う窮屈さの背中を笑って蹴飛ばしてくれるような気がしたんですよね」しんかい・まこと1973年生まれ、長野県出身。’02年、個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。’16年に公開された『君の名は。』で、国内外で数々の映画賞を受賞。『天気の子』家出少年の帆高と、天気を操り、晴れにできる不思議な能力を持つ少女・陽菜が、東京の歌舞伎町で出会う。天気の調和が狂っていく時代の中で、運命に翻弄される少年と少女が生き方を“選択”する、切なく美しい愛の物語。全国東宝系で公開中。©2019「天気の子」製作委員会※『anan』2019年8月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2019年08月03日新海誠監督の最新作、映画『天気の子』の魅力を徹底解説します!STORY:家出少年が出会ったのは、空を晴れにできる少女。森嶋帆高は高校1年生。離島から家出し、フェリーに乗って雨が降り続く東京にやってきた。しかしすぐにお金も底をつき、船の中で知り合った怪しいオカルトライター・須賀の事務所に転がり込む。須賀にこき使われる中、偶然出会ったのが、弟と二人で懸命に生きている少女・天野陽菜。彼女にはなんと、祈るだけで空を晴れにする能力があった。なかなかやまない雨の中、少しずつ陽菜に惹かれていく帆高。しかし二人の運命は、暗い影に呑み込まれていき…。CHARACTER:悩みながら真っすぐに生きる、そんな登場人物たち。主人公の帆高は離島生まれのピュアな少年。ヒロインの陽菜はイケメン&大人びた雰囲気の弟の凪と古いアパートで暮らしており、アルバイトで二人の生活を支えている。また帆高の東京暮らしのキーパーソンになるのが、フェリーの中で出会った、小さな編プロを営むオカルトライターの須賀。その事務所で働く好奇心の強い女子大生の夏美と、須賀の関係性も気になるところ。陽菜が始めたバイトのお客さんとして登場する老婦人の冨美も、物語の鍵になる人物。VISUAL:大スクリーンで味わいたい、圧巻の映像美。舞台は雨模様の東京。これまでにも幾度となく新海作品の中で登場した新宿ですが、街の風景としては、今回は歌舞伎町が描かれているところが見どころの一つ。歓楽街ならではの猥雑さや薄暗さが緻密に描き出された背景は、何度見ても発見がありそう。また、晴れた空、雨模様、そして雨上がりなど、新海マジックで描かれるさまざまな空の景色は今回も圧巻。絶妙なカメラワークは、観ている私たちも空を浮遊しているような、そんな感覚が味わえる。MUSIC:RADWIMPSの音楽が、物語をさらなる高みへ。前作『君の名は。』に引き続き、今回もRADWIMPSが音楽を担当。歌入りの5曲を含め、31曲を書き下ろした。また新たな挑戦として、女優の三浦透子をゲストボーカルに迎えた曲も。曲を作っては新海監督に送付し、それに合わせて監督がコンテをブラッシュアップ。映像と音楽が互いに影響を与え合い、極上のエンターテインメントに到達した。曲に合わせて畳み掛けるように映像が繋がっていく場面は、まさに新海アニメの真骨頂。思わず胸が詰まります。企画・プロデュースの川村元気さんよりメッセージ!大ヒットした『君の名は。』に引き続き、今作の映画のプロデューサーも務める川村元気さんは、新海作品はその芸術的な画がまず魅力だと語ります。「僕は新海さんは画家だと思っています。アニメーションは、作画があり、背景美術があり、CGやさまざまなエフェクトをかけた撮影処理を加えていくんですが、彼が筆を入れると、映像が途端にまったく違うものになるんです。今ハリウッド版の『君の名は。』を作っているんですが、アメリカのスタッフからもよく“あれはどうやってるの?”と聞かれるのですが、いったい何をどうしているのか、僕にもわからない(笑)。でもこの人の見ている空は、こういう色なのかと、いつも感動させられます。映画の中では、青空だったり、雨が降るグレーの空が多く出てくる印象ですが、オレンジや赤に染まった夕焼けの空も、さすが新海さん、とても美しい。キャラクターが少し逆光気味になっているところも含め、作品の世界観がとてもよく表現されていると思います」その映像を10秒でも見れば、“新海誠の作品だ”と誰でもわかる。そういった強い個性を持つクリエイターというのは、実はなかなかいない、と川村さん。「RADWIMPSの野田洋次郎や僕が言ういろいろな意見や、あるいはさまざまな雑音が新海さんの耳には入っていると思いますが、彼は自分の世界観をしっかり確立しているから、何を聞いてもブレないし、必要な意見には耳を傾け、吸収するという柔軟性もある。その姿勢が、新海作品の強さに繋がっているのでは」前作のヒットを受け、世界中が待っている中での新作づくり。どんな心境でしたか?「プレッシャーもありましたが、そんな状況で物づくりをできる経験もなかなかないので楽しみながら仕事ができたと思っています。個人的には非常にパンクな作品だと思うので、その攻めた側面もぜひ感じ取っていただきながら、観てほしいですね」かわむら・げんき映画プロデューサー、小説家。『告白』『悪人』『モテキ』などを製作。著書に『百花』『四月になれば彼女は』『ブレスト』など。『天気の子』家出少年の帆高と、天気を操り、晴れにできる不思議な能力を持つ少女・陽菜が、東京の歌舞伎町で出会う。天気の調和が狂っていく時代の中で、運命に翻弄される少年と少女が生き方を“選択”する、切なく美しい愛の物語。全国東宝系で公開中。©2019「天気の子」製作委員会※『anan』2019年8月7日号より。(by anan編集部)
2019年08月03日