赤澤遼太郎、高橋健介が再びアキとハルを演じる実写映画第2弾『アキはハルとごはんを食べたい 2杯目!』から、メイキング映像&オフショットが解禁となった。この度解禁されたメイキング映像は、映画の目玉でもあるアキとハルの家での撮影合間の2人のやり取りや、クッキングシーンに加えて、しながわ水族館での撮影の風景シーンがお披露目。また、オフショットは、川野浩司監督が赤澤さんと高橋さんをスマホで撮影している場面や、監督が撮影した写真を和気あいあいと3人でカメラのファインダーをのぞき込んで話す様子。カメラマンが撮影しにひょっこり2人の傍に行くと笑顔でポーズや目線を送る、撮影現場の雰囲気の良さが伝わってくるものばかり。キャスト、スタッフもアキとハルのように距離感も近く和気あいあいとした撮影現場の様子が想像できるが、やはりお芝居のことになるとスイッチが入って真剣モードに。台本を見ながら監督とこまめに演出を確認している真剣な眼差しの赤澤さんと高橋さんの様子も伺え、オフショットの2人の仲良しっぷりは必見となっている。『アキはハルとごはんを食べたい 2杯目!』は6月14日(金)よりシネマート新宿ほかにて2週間限定公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:アキはハルとごはんを食べたい 2杯目! 2024年6月14日よりシネマート新宿ほかにて2週間限定公開©たじまこと/竹書房・「アキハル2杯目!」製作委員会
2024年05月30日人と人が関わればそこに誰かの居場所が生まれ、この世界のあちこちにあるそうした居場所は他者の記憶の中で生き、戦争という出来事もまた記憶によって風化を免れる――そんなことが直接的に語られるのではなく、詩情あふれる音楽と演出によって頭ではなく心に届く、至高の日本オリジナルミュージカルが誕生した。5月9日に日生劇場で初日を迎えた、アンジェラ・アキ音楽、上田一豪脚本・演出による『この世界の片隅に』である。活動を休止して渡米してから10年、ミュージカル音楽作家になるという夢を叶えたアンジェラに、開幕の手応えと創作秘話【前編】、アメリカの音楽大学での具体的な勉強内容と今後の展望【後編】を聞いた。「ミュージカルはコラボレーションで作る総合芸術」ミュージカル『この世界の片隅に』より©こうの史代/コアミックス・東宝製作:東宝――開幕おめでとうございます。個人的な感想になりますが、こういう日本オリジナルミュージカルを待っていた……!と心から思える素晴らしい舞台でした。わあ、本当に?ありがとうございます。自分の作品って、「すごく良いものができた」と思った翌日には「もっとこうしなきゃいけなかったんじゃないか」と思ったりと波があって、なかなか自分で「最高!」とは思えないものなんです。それに私の場合、ステージと言ったら今までは自分がパフォーマンスをする側で、見守る側は初体験。パフォーマンスする側だとアドレナリンまみれになれるけれど(笑)、今回は冷静で客観的になっているのもあって、初日の前の晩は不安で眠れなかったんですよ。だから良かったと言ってもらえると、本当にホッとします。――稽古場見学は何度かしていたのですが、ここまでのものになるとは、舞台で通して観るまで分かっていませんでした。そこでまずは、アンジェラさんにはどこまで見えていたのかをお聞きしたいのですが、たとえば、台詞と歌があそこまで境目なく融合すると思っていましたか?思っていたというか、狙っていたところではありますね。ミュージカルはたくさん観ているから、色々なやり方がある中で、自分が何を踏襲したくて何を避けたいかというのは初めから明確で、台詞と歌の分離は一番避けたかったこと。どこで音楽が始まって終わっているのか分からないような、一体感のある作品が観ている側として好きだから、そういう作品にしたかったんです。今回は、上田一豪さんの書かれた脚本が元々そうなっていたから本当に作りやすかったですし、一体感というのは稽古中もずっと気にしていたことでした。――ということは歌だけではなく、台詞のシーンの後ろで流れている音楽も、編曲家や音楽監督ではなくすべてアンジェラさんが作曲されたのですか?はい、全部私です。私は口うるさい作曲家だから(笑)、編曲にも「晴美はフルートにしたい」「弦楽器はこういうラインで」とかって口を出させてもらっていました。といっても、ミュージカルはコラボレーションで作る総合芸術だから、一方的にということではもちろんなくて。編曲・音楽監督の河内肇さんは、私が曲を作り始めた3年半前から加わってくれていて、一緒に試行錯誤しながら完成させていったという感覚です。私がずっと悩んでいたコードを、河内さんが最後の最後に「こうしたらいいんじゃない?」と変えてくれて、「ありがとう、私がやりたかったのにできなかったのはそれよ!」となったこともありました(笑)。ミュージカル『この世界の片隅に』より©こうの史代/コアミックス・東宝製作:東宝――台詞と歌の一体感はまた、台詞と詞に“説明し切らない”という共通点があるからでもあるように思います。それが結果的には、頭ではなく心に入ってくるような本作の上品さに繋がっていると思うのですが、創作中には、もっと説明しないと伝わらないという不安に駆られることもあったのではないかと。そこは、「お客さんを信じよう」と……?私は、「一豪さんを信じよう」でした。もっとはっきり言ったほうがいいのか、逆にもっと抽象的にしたほうがいいのか、私は結構ブレてたんですが、一豪さんは常に明確だったんです。でも一豪さんは、「そこまで言わないで」とは言っても「だからこう直して」とは言わないから、キャッチボールしながら作るのが本当に楽しかったですね。ただ、日本語の美しさを絶対に守ろうという思いは私の中に強くあったから、開幕会見で大原櫻子ちゃんが「どこか懐かしい感じが全曲に共通してる」と言ってくれた時は、「たまたまじゃないの、そこは狙ったのよ!」って(笑)。――そうだったんですね! 詞も曲も日本的というのは私も感じていたことなので、その“狙い”、ぜひ詳しくお聞きしたいです。曲の話になりますが、明治時代にヨーロッパに勉強に行った山田耕筰先生のような作曲家が、戻ってきて書いた《赤とんぼ》といった日本の名曲には、独特の温かさがあるじゃないですか。それはメロディーもハーモニーも、洋楽を取り入れた邦楽になっているからなんです。勉強してきたことをただ真似するんじゃなく、日本人の琴線に触れるものにしたいって、先生たちが試行錯誤して作った名曲たちが、歌い継がれて現代の私たちにも親しまれている。それを分析して取り入れて作ったから、今回の楽曲に懐かしさを感じてもらえるのだと思います。「再演を重ね、これからゆっくり100点にしていきたい」――“台詞と歌の一体感”に加え、“音楽の統一感”というのも、通して観て初めて見えたものでした。楽曲のバリエーションは豊かなのに、作品全体がひとつのトーンでまとまっているのは、印象的なモチーフが繰り返し登場しているからかと思います。1曲目の《この世界のあちこちに》イントロ冒頭の、あのたった5音のモチーフはどのように生まれたものなのでしょうか?ミュージカル『この世界の片隅に』より©こうの史代/コアミックス・東宝製作:東宝ミュージカルの音楽を勉強する中で、モチーフを効果的に散りばめていくことの重要性は感じていたので、今回も絶対必要だなと。私が好きな、その作品を象徴するような強いモチーフってだいたい短くて、かつオープニングのド頭に来てるんですよ。だから今回も、5音以上は要らないなと思っていくつか作って、その中からド頭のシーンに合ったモチーフを採用しました。――あのモチーフは、そのままの形だけではなく、反転した形でも随所に登場していますよね。それもやはり、お好きなミュージカルを参考にされてのことですか?いえ、それは私の感覚ですね。最初はそのままの形であちこちに散りばめていたんですが、ちょっと多すぎるかなと思って反転させたんです。すずの知っていることが語られるシーンではそのままの形、すずの知らないところで何かが変わっていくシーンでは反転した形で使っています。そんな凝ったことをしても誰も気付かないと思ってたから、気付いてもらえてうれしい(笑)。――気付く気付かないにかかわらず、温かく優しいあのモチーフが全体を貫いていることは、誰もが心地良く感じていると思います。ある歌のメロディーの一部が、別のシーンの台詞のバックで流れているということは、この5音モチーフに限らず結構ありますよね?そうですね。たとえばすずと周作の《醒めない夢》の「まるで夢の様に」部分のメロディーを、すずとリンのシーンで、周作の存在を感じさせたい時にひっそりと入れていたり。リンの《スイカの歌》も実は、そのままの形や反転形で色々なところに登場しています。もっとマニアックなところで言うと、《この世界のあちこちに》の「この世界の朝焼けに」部分のハモリのあるパートが、《醒めない夢》の「あと少しこの夢を見させて」のメロディーと同じだったりもするんですよ。ミュージカル『この世界の片隅に』より©こうの史代/コアミックス・東宝製作:東宝――それもまた“音楽の統一感”に繋がっているのでしょうし、マニアックなことにもっと気付きたいという思いにも駆られます(笑)。前知識なく観てもスッと心に入ってきて、知れば知るほどまた観たくなって、観れば観るほど発見のある、やはり素晴らしいミュージカルですね。ありがとうございます。正直に言うと、同じモチーフやメロディーを使い過ぎちゃったかもしれないな、と思うこともあるんです。でもそこは自分に優しく(笑)、もし再演ができたら、その時に見直したらいいのかなって。脚本も見直して、それに合わせて曲の入り方を変えたり、曲を増やしたりしてもいいかもしれないですよね。初演の今の時点での“正解”は今回の形だけど、これが“完成形”ではなく、これからゆっくり100点にしていけばいいのかなと思っています。――すでに初演とは思えない完成度ですが、さらに上がるならば、私も再演が今から楽しみです。ではここからは、アンジェラさんがミュージカル音楽作家デビューにして、ここまで完成度の高い音楽を作れた理由に迫っていければと思います。( 後編() に続く)取材・文:町田麻子★ミュージカル『この世界の片隅に』開幕会見レポートは こちら()★昆夏美・大原櫻子・海宝直人・村井良大インタビューは こちら()<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』原作:こうの史代音楽:アンジェラ・アキ脚本・演出:上田一豪出演:浦野すず:昆夏美/大原櫻子(Wキャスト)北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)白木リン:平野綾/桜井玲香(Wキャスト)水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)浦野すみ:小向なる黒村径子:音月桂白木美貴子川口竜也加藤潤一飯野めぐみ家塚敦子伽藍琳小林遼介鈴木結加里高瀬雄史丹宗立峰中山昇般若愛実東倫太朗舩山智香子古川隼大麦嶋真帆桑原広佳澤田杏菜嶋瀬晴大村つばき鞆琉那増田梨沙【東京公演】2024年5月9日(木)~5月30日(木)会場:日生劇場【全国ツアー公演】6月6日(木)~6月9日(日) 北海道公演・札幌文化芸術劇場hitaru6月15日(土)・16日(日) 岩手公演・トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)6月22日(土)・23日(日) 新潟公演・新潟県民会館大ホール6月28日(金)~30日(日) 愛知公演・御園座7月6日(土)・7日(日) 長野公演・まつもと市民芸術館7月13日(土)・14日(日) 茨城公演・水戸市民会館グロービスホール7月18日(木)~21日(日) 大阪公演・SkyシアターMBS7月27日(土)・28日(日) 広島公演・呉信用金庫ホールチケット情報:()公式サイト:
2024年05月22日日生劇場で上演中の至高の日本オリジナルミュージカル、『この世界の片隅に』。音楽を手掛けたアンジェラ・アキを開幕直後に直撃し、手応えと創作秘話を語ってもらったインタビュー前編に続き、後編ではアメリカ留学中のことや今後の展望を聞く。『この世界の片隅に』ファンやミュージカルファンはもちろん、これからミュージカル音楽作家を目指す若者にも必読の内容だ。「ミュージカルを分析したノートが、家には山のように積まれています」――アメリカの音楽大学では、具体的にどんな勉強をされたのですか?音楽理論と楽曲分析が主ですね。クラシックからポピュラー音楽まで、様々なジャンルの楽曲を何から何まで細かく分析したんですが、天才と呼ばれる作曲家たちって本当にすごいんですよ。たとえばバッハの譜面なんて、もう得体の知れない数学的なことが行われていて、宇宙人が書いたんじゃない?と思うくらい。音の動きとその効果が分かってくればくるほど興奮して、私のノートには「大発見」「すごい」「天才!」みたいな走り書きがたくさん残っています(笑)。――ミュージカル音楽限定ではなく、幅広く学ばれたのですね。そうですね。ミュージカルについては、授業もありましたがそれ以上に、自分でスコアと脚本を取り寄せて勉強していました。大学で学んだやり方を応用して、このスコアと脚本は何がすごいのか、このミュージカルはなぜ成功したのかを分析したノートが、家には山のように積まれています。実は留学する前から、私が日本の宝だと思っているさだまさしさんの歌詞を書き出して、季節の言葉は何色、比喩表現は何色、記号は何色、みたいにマーカーで色分けして、自分なりに分析していたことがあるんです。元々そういうオタクのようなことが性に合っていて(笑)、大学で学んだことで、歌詞だけじゃなくスコアも分析できる知識が身についたという感じです。――歌詞に関しては元々お持ちのセンスかと思いきや、そのように研究もされていたとは。詞の書き方は大学でも教わって、もちろん英語でしたけど、それを応用したりもしています。ただ『この世界の片隅に』に関して言えば、歌詞は私だけではなく、みんなで作り上げたという感覚が強いですね。まず脚本が一豪さんでなければ、歌詞は全く違うものになっていたと思いますし、キャストの皆さんの意見を受けて書き換えたところもたくさんあるんです。たとえば海宝(直人)くんから「この時の周作の思いはこうじゃないと思う」と言われたら、「それもっと聞かせて!」と言って座り込んで、原作漫画を持ってきて一緒に話し合ったり。私は作品を強くするためなら、自分のエゴなんて全くなく、いくらでも書き直すタイプ。逆にもうちょっと芯を持って押し返したほうがいいのかなと思うくらい、詞も曲もバンバン“断捨離”できちゃうんです(笑)。ミュージカル『この世界の片隅に』より©こうの史代/コアミックス・東宝製作:東宝これからも、日本語へのこだわりは譲らずに――そもそもミュージカルは、高校時代に訪れたブロードウェイで初めて観て好きになられたとのことですが、特に影響を受けた作品や、よく分析した作品というと?初めて行った90年代に観て衝撃を受けた『RENT』、捨て曲のないミュージカルを目指すきっかけになった『レ・ミゼラブル』、これでアメリカのミュージカル界が変わると思った『ハミルトン』、親しくさせてもらっているジニーン・テソーリの作品など、影響を受けた作品はたくさんあります。よく勉強したのは、スティーヴン・ソンドハイム作品。特に『リトル・ナイト・ミュージック』は、一番長い時間を掛けて分析したスコアかもしれません。失敗作として語られる『アサシンズ』も、スコアと脚本はもう天才的ですし、ソンドハイムは私の教科書、バイブルですね。――ソンドハイムのすごさ、ぜひ教えていただきたいです。キャラクターごとに異なるサウンドが割り当てられていて、それによってそれぞれの人物に、ちゃんと世界観が存在してるんです。一度聴いただけでは誰がどこを歌っているのか分からない、複雑なハーモニーの楽曲が多いんですが、主旋律ではない音での伝え方も天才的。だから一度聴いて終わりではなく、噛めば噛むほどじゃないけど、長く楽しめるのだと思います。私自身、『スウィーニー・トッド』や『太平洋序曲』なんてもう何回観たことか。その度に発見があるんです。――なるほど、それだけ色々な作品をご覧になって研究して、それをアンジェラさんならではの形に落とし込んだのが『この世界の片隅に』なのですね。先ほどお話のあった山田耕筰のミュージカル版のようなことをアンジェラさんがなさっていて、だからブロードウェイの伝統を踏襲しつつ、日本オリジナルのミュージカルになっているのだと納得した思いです。そうなっていたらいいなと思います。私は、ブロードウェイだけがすごくて、日本のミュージカルはダメ、ということではないと思うんです。英語や西洋文化に変に媚びることはしないで、私たちの母国語と文化を大事にした“ジャパニーズ・ミュージカル”を作って発信していけば、それが世界に認められることだってあるはず。そのこだわりは、これからも譲りたくないですね。――先ほどお名前の挙がった、ジニーン・テソーリさんとの親交についても少しお聞かせください。『ファン・ホーム』や『キンバリー・アキンボ』でトニー賞を受賞するなど、ブロードウェイを代表する作曲家のおひとりですが、どのようなお付き合いなのでしょうか。出会ったのは、東京ディズニーシーの『アウト・オブ・シャドウランド』(2016~19)というミュージカルショーで、ジニーンが作曲を、私が歌詞を担当したことがきっかけ。そこから仲良くしてもらって、私がニューヨークに行くと一緒にご飯を食べたりしています。「あの新作ミュージカル観た?」「なんで二幕は良くなかったんだと思う?」みたいなお話もしてくれる、私にとって先生のような存在。友達のようにフランクに接してくれるけれど、私はずっと“弟子”のつもりでいます(笑)。本当にラッキーな出会いでしたね。――そんな素晴らしい“師匠”がいらっしゃるということは、アンジェラさんご自身のブロードウェイ作曲家デビューもそう遠くはなさそうですね……?もちろん、視野には入れています。でもそれは、ずっとブロードウェイで作品作りがしたいということではないんです。先ほどお話したような“ジャパニーズ・ミュージカル”を、ブロードウェイを目指す作品と並行して、これからもどんどん作っていきたい。実は私のメイクさんが、初めてのミュージカルとして『この世界の片隅に』を観て、「なんで今までミュージカルを観ずにいたんだろう!」って号泣してくれたんです。そんなふうに、私の作品をきっかけに、日本にミュージカルファンがもっともっと増えてくれたら素敵だなと思っています。取材・文:町田麻子★アンジェラ・アキ、『この世界の片隅に』とミュージカル音楽を語る【前編】は こちら()「アンジェラ・アキ sings 『この世界の片隅に』」発売中本公演の為に書き下ろした30曲以上の楽曲の中から厳選された曲をアンジェラ自身が新たにアレンジし、歌唱した12年ぶりのアルバムSony Music Labels Inc.<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』原作:こうの史代音楽:アンジェラ・アキ脚本・演出:上田一豪出演:浦野すず:昆夏美/大原櫻子(Wキャスト)北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)白木リン:平野綾/桜井玲香(Wキャスト)水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)浦野すみ:小向なる黒村径子:音月桂白木美貴子川口竜也加藤潤一飯野めぐみ家塚敦子伽藍琳小林遼介鈴木結加里高瀬雄史丹宗立峰中山昇般若愛実東倫太朗舩山智香子古川隼大麦嶋真帆桑原広佳澤田杏菜嶋瀬晴大村つばき鞆琉那増田梨沙【東京公演】2024年5月9日(木)~5月30日(木)会場:日生劇場【全国ツアー公演】6月6日(木)~6月9日(日) 北海道公演・札幌文化芸術劇場hitaru6月15日(土)・16日(日) 岩手公演・トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)6月22日(土)・23日(日) 新潟公演・新潟県民会館大ホール6月28日(金)~30日(日) 愛知公演・御園座7月6日(土)・7日(日) 長野公演・まつもと市民芸術館7月13日(土)・14日(日) 茨城公演・水戸市民会館グロービスホール7月18日(木)~21日(日) 大阪公演・SkyシアターMBS7月27日(土)・28日(日) 広島公演・呉信用金庫ホールチケット情報:()公式サイト:
2024年05月22日ミュージカル『この世界の片隅に』の開幕を記念し、5月10日に出演する昆夏美と大原櫻子(浦野すず役Wキャスト)、海宝直人と村井良大(北條周作役Wキャスト)、音楽を手掛けるアンジェラ・アキが、東京・日生劇場にて取材に応じた。原作は、こうの史代の同名漫画。太平洋戦争下の広島県呉市を舞台に、つつましく生きる人々の日常を丁寧かつコミカルに描いた本作は、これまでに度々アニメ化・ドラマ化されており、今回が初のミュージカル化。脚本・演出は、『四月は君の嘘』『のだめカンタービレ』でも漫画のミュージカル化に携わってきた上田一豪が担当している。広島市から呉市に嫁いでくる“ボーっとした”主人公・すずを演じる昆は、「原作はありますが、日本の新しいミュージカルが生まれる瞬間に立ち会えていることが、とても光栄。原作をリスペクトしつつ、ミュージカル化する意味を考えながら、どうすれば最大限のものをお届けできるか考えた稽古期間だった」と初日を迎えた心境を語り、Wキャストで、すずを演じる大原は「戦争の悲惨さを描いていますが、根底にあるのは、すずが居場所を探すという普遍的な成長の物語なので、きっと笑顔で劇場を後にできる温かい作品になっている」とアピールした。2014年に一切の活動を休止し、アメリカの音楽大学に留学後、10年ぶりに活動を再開したアンジェラは、本作のために4年の歳月を費やし、全編の音楽を担当した。「ピアノと向き合いながら作った楽曲が、演者さんの声を通して、新しいものに生まれ変わったと思う。自分の言葉を借りれば“自由の色”に染まっていく感覚で、毎公演ごとに新しい作品が生まれると思う」と、楽曲と演技の化学反応に期待を寄せた。「没入できる楽曲が多い。客席で聞くのも楽しみ」(昆)、「どの曲も涙が止まらないほど感動した。アンジェラさんおひとりから生まれたとは思えないほど、楽曲がバラエティに富んでいる」(大原)。また、すずの夫・北條周作を演じる海宝も、「作品にマッチした瑞々しい楽曲が、作品の推進力になっている」と楽曲の魅力を熱弁。稽古場では、アンジェラ自らピアノを演奏し、編曲をすることもあったといい「稽古中は当たり前に感じてしまったが、なんて贅沢な時間だったかと」と振り返った。Wキャストで、北條周作を演じる村井は、「どの曲も耳に残り、心地よい。役を忘れて、歌いたくなってしまうし、他のキャストの皆さんの曲も、自分で口ずさんでしまう」といい、「これから、たくさん地方公演もあるので、皆さんの心に響くメロディをお届けし、感じ取ってもらえれば」と意気込んでいた。取材・文・撮影:内田涼<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』原作:こうの史代音楽:アンジェラ・アキ脚本・演出:上田一豪出演:浦野すず:昆夏美/大原櫻子(Wキャスト)北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)白木リン:平野綾/桜井玲香(Wキャスト)水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)浦野すみ:小向なる黒村径子:音月桂白木美貴子 川口竜也 加藤潤一飯野めぐみ 家塚敦子 伽藍琳 小林遼介 鈴木結加里 高瀬雄史 丹宗立峰中山昇 般若愛実 東倫太朗 舩山智香子 古川隼大 麦嶋真帆桑原広佳 澤田杏菜 嶋瀬晴大村つばき 鞆琉那 増田梨沙【東京公演】2024年5月9日(木)~5月30日(木)会場:日生劇場【全国ツアー公演】6月6日(木)~6月9日(日) 北海道公演 札幌文化芸術劇場hitaru6月15日(土)・16日(日) 岩手公演 トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)6月22日(土)・23日(日) 新潟公演 新潟県民会館大ホール6月28日(金)~30日(日) 愛知公演 御園座7月6日(土)・7日(日) 長野公演 まつもと市民芸術館7月13日(土)・14日(日) 茨城公演 水戸市民会館グロービスホール7月18日(木)~21日(日) 大阪公演 SkyシアターMBS7月27日(土)・28日(日) 広島公演 呉信用金庫ホールチケット情報:()公式サイト:
2024年05月11日ミュージカル『この世界の片隅に』の開幕記念会見が11日に東京・日生劇場で行われ、昆夏美、大原櫻子、海宝直人、村井良大、アンジェラ・アキが登場した。同作はこうの史代氏による同名漫画のミュージカル化作。太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が丁寧に描かれ、生きることの美しさが胸に迫る作品となっている。映画化、実写ドラマ化もされ、この度新たにミュージカルとして上演される。○■ミュージカル『この世界の片隅に』開幕記念会見にキャスト陣登場会見時の気持ちを「色に喩えて」と無茶振りされると、前日に初日を終えた昆は「新作のミュージカルですので、まだ色が全くついていない状態の白だと思うんですけど、この作品のあたたかみという部分を入れると、真っ白というよりオフホワイトかなと思いました」と表す。「お客様がいてくださることによって作品が誕生するのは本当だなと感じて、『どういう作品が目の前に繰り広げられるんだろう』というワクワクだったりソワソワだったり。始めはシーンとしている感じだったんですけど、徐々に作品の温度感を受け取ってくださって、劇場が一体になる感じもしていて、笑いや拍手を肌で感じて、『届いてるのかな』という印象で初日を迎えられました」と手応えを感じている様子だった。同じく前日に初日を迎えた海宝は「世界初演ということで、観客の皆様も僕たち演者も緊張感のあるところからはじまりましたけど、あたたかくお客様に迎えていただいて、肌で感じることができて、皆様のおかげでいい初日を迎えられたと思っています」と感謝。「一色というよりはさまざまなパステルのような優しいカラーで作品を彩っていただいたという感じがしています」と表現した。一方、会見の後に初日公演を控えていた大原「今の素直な気持ちはオレンジです、演じている私自身もそうですし、昨日お二人の初日を観させていただいた時も、お客様があたたかい気持ちで劇場を出られるなと感じていたので」と回答。村井は「先ほど最後の通し稽古を終えた時は青色だったんです。自分でもびっくりするぐらい冷静で。これから本番に向けていくために、赤を混ぜて紫にして臨みたいと思います」と意気込む。今作で音楽を手掛けたアンジェラは「4人のおっしゃってる色が私の中でもすごくしっくりきて。私はこの作品と共に4年近く時間を費やしてピアノと1人でずっと向かいって作ってきたものが、演者さんの全ての人たちの声を通して新しいものに生まれ変わったと思うので、お客さんと一緒に作っていくカラーだなと思うので、自分の言葉を借りて言いますけど、『自由の色』なのかなと」作中の曲タイトルで表し、キャスト陣も「おお〜」と感心。「それぞれの公演が違う色に染まっていく、自由な新しい作品が毎晩生まれるような気がします」と期待を寄せた。また好きなシーンについて聞かれると、アンジェラは「歌はすばらしい、もう100点。それはおいといて、(自分が)お芝居の世界の人じゃないからお芝居に圧倒される。早いタイミングで村井くんに言ったのが、言葉を発さないけど2人のキャラクターがすれ違うシーン、あれで号泣。喋らなくても泣けるってすごい演技力だなと思うし、いっつも圧倒されて」と絶賛。さらに「(周作役の)2人の思いがまたちょっと違って、同じ感じなんだけどそれぞれの周作の思いがビシビシきて毎回フレッシュな気持ち」と語る。さらに「もう1個は、最後の方にすずと妹のすみちゃんが会話をするシーン。あれは1回も涙せずには見てないです。あの間の取り方とか、さすが。毎日稽古場にいて、こんな演技を毎日見れるんだとぜいたくな気持ちです。最初の通しを見て『お金取れる、これ! 』と。それくらい圧倒されて素晴らしい体験をさせてもらっています」と演者たちを称えていた。東京公演は日生劇場にて5月9日〜30日、北海道公演は札幌文化芸術劇場 hitaruにて6月6日〜9日、岩手公演はトーサイクラシックホール岩手 大ホールにて6月15日〜16日、新潟公演は新潟県民会館 大ホールにて6月22日〜23日、愛知公演は御園座にて6月28日〜30日、長野公演はまつもと市民芸術館にて7月6日〜7日、茨城公演は水戸市民会館 グロービスホールにて7月13日〜14日、大阪公演はSkyシアターMBSにて7月18日〜21日、広島公演は呉信用金庫ホールにて7月27日〜28日。
2024年05月11日ミュージカル『この世界の片隅に』の開幕記念会見が11日に東京・日生劇場で行われ、昆夏美、大原櫻子、海宝直人、村井良大、アンジェラ・アキが登場した。同作はこうの史代氏による同名漫画のミュージカル化作。太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が丁寧に描かれ、生きることの美しさが胸に迫る作品となっている。映画化、実写ドラマ化もされ、この度新たにミュージカルとして上演される。○■ミュージカル『この世界の片隅に』音楽を手掛けたアンジェラ・アキ2014年に無期限活動休止を発表し、米国に移住しながら音楽活動を行なっていたアンジェラ。ブロードウェイミュージカルの制作が夢で、音楽学校に通っていたというアンジェラは、10年ぶりに日本での活動を再開し今作の音楽を担当、楽曲を集めたアルバム 『この世界の片隅に』も発売した。今作について「苦労した点はいくつもあるんです。原作が持っている温かさとか、ピュアなこうの先生の作品をどう音楽化するか、そして(脚本・演出の)上田(一豪)さんが台本でしてくれた素晴らしい脚色をどう支えられるか。原作を1番にリスペクトしながら、一豪さんの脚色を支えられる音楽にしたいと思った」と振り返る。「楽曲を作っていくときに台本がすごく読みやすかったし、毎日『じゃあ今日はどこから作るか』と、バン! と(台本を)開けて『このシーンだ!』とやって、最初に作ったのが『醒めない夢』と『端っこ』だったんです」と明かし、キャスト陣も「へ~!」と驚いていた。音楽制作には約4年かかっているそうだが「最初に出来上がったときに、『見えた』と思いましたね。それを乗り越えたら、あとはどういうふうにバランスをとっていくかということだったので、最初の5曲に時間を費やしたかなと思います」と語った。楽曲の魅力について、昆は「昨日お客様の前で歌った時に、すごく没頭できる、入り込める楽曲が多いなと思って。改めて客席で聴いた時にどういう印象を受けるのか楽しみ。アンジーさんが『端っこはさくちゃん(大原)と昆ちゃんの色で歌っていい。任せるからと』言ってくださったのがすごく嬉しくて、2人の個性とか、やってきた歴史の中から出るものの違いもあるでしょうし、幅広い聞き方で聴いていたける楽曲、キャストによって聞こえ方が違う楽曲が多いんじゃないかなと思いました」と表す。大原は「初めて携わったときに『端っこ』と『醒めない夢』を聞かせていただいて、涙が止まらない感動があって」と心打たれた様子。「私はアーティストとしてポップスも歌わせていただく中で、アンジェラさんが『ポップスで歌っていいよ』と言ってくださって、曲との距離が近くなて、今はとても歌いやすくのびのび歌わせていただいています」と感謝した。海宝は「とても原作、作品とマッチした瑞々しい楽曲」と絶賛しつつ、「稽古場の配置的に僕らの席がピアノの横で、アンジーさんが直したいところをピアノで弾きながら歌ってらっしゃる。アンジェラさんが稽古場にいるのが当たり前になっていくというか、ふと『アンジェラ・アキさんが隣でピアノを弾いて歌ってるんだな』と思うと、なんて贅沢な時間なんだと感じていました」と笑顔に。村井は「全ての曲が耳に残り、心地よく聴けてしまうので、役を忘れて歌いたくなっちゃうようなところもあるのと、他の方たちが歌っているのを自分も口ずさんでいたりするくらい、耳にも残るし心にも残るしあったかさもある」「日本人だけがわかるような温かみはすごく感じ取れると思うので、ぜひ聞いて覚えていただいて、帰る頃に口ずさんで歌っていただければと思います」とアピールした。東京公演は日生劇場にて5月9日〜30日、北海道公演は札幌文化芸術劇場 hitaruにて6月6日〜9日、岩手公演はトーサイクラシックホール岩手 大ホールにて6月15日〜16日、新潟公演は新潟県民会館 大ホールにて6月22日〜23日、愛知公演は御園座にて6月28日〜30日、長野公演はまつもと市民芸術館にて7月6日〜7日、茨城公演は水戸市民会館 グロービスホールにて7月13日〜14日、大阪公演はSkyシアターMBSにて7月18日〜21日、広島公演は呉信用金庫ホールにて7月27日〜28日。
2024年05月11日アーティストのアンジェラ・アキが10日、東京・日比谷の日生劇場で行われたミュージカル『この世界の片隅に』の開幕記念会見に参加した。こうの史代氏の同名漫画を原作とする本作は、太平洋戦争下の広島・呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれ、それゆえにいっそう生きることの美しさが胸に迫る作品。2度にわたるアニメーション映画化、実写ドラマ化もされた不朽の物語を、ミュージカルとして新たに伝える。ミュージカル全編を彩る音楽は、2014年の渡米からミュージカル音楽作家として10年ぶりに再始動するアンジェラが手がける。国民的卒業合唱曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」から15年。2014年にミュージカル音楽を学ぶために渡米し、その後日本での活動を休止していたアンジェラが2024年に日本での活動を再開。オリジナルアルバムとしては12年ぶりで、ミュージカルで使用された楽曲を自身で歌唱した書き下ろし新曲全10曲が収録された『アンジェラ・アキ sings「この世界の片隅に」』をリリースしている。主人公の浦野すず役を昆夏美と大原櫻子、北條周作役を海宝直人と村井良大がWキャストで務める。9日の公演で昆と海宝は初日を迎え、10日の公演で大原と村井が初日を迎えた。会見は10日の公演前に実施。アンジェラは、心境を色で例えると、という質問に「この作品と共に4年近くの時間を費やした。ずっとピアノと1人で向き合って作ってきたものが、彼らをはじめ、演者さんすべての人たちの声を通して新しいものに生まれ変わった。お客さんと一緒に作っていくカラーだなと思う。自分の言葉を借りますけど『自由の色』なのかな」とミュージカルで使用される楽曲のタイトルを引用して語った。また、10年ぶりに日本で活動再開となる。楽曲制作で苦労した点を問われると「苦労した点はいくつもあるんですけど…」と苦笑いしながらも「原作が持っている温かさ、ピュアなこうの先生の作品をどう音楽化するか。(脚本・演出の)上田(一豪)さんが素晴らしい脚色を台本でしてくださったので、それをどう支えられるか。1番、原作をリスペクトして、脚本を立てるような音楽にしたいと思った」と振り返る。台本が大好きだったそうで、その日の音楽はどのシーンを作るかは、台本をパッと開いて決めたそう。「割りと最初の方に作ったのが『醒めない夢』と『端っこ』だったんです。最初にできあがった時に『見えた』と思いました。それを乗り越えたら、あとはどうバランスを取るかだった。最初の2曲が時間を費やしたかな」と物語にとって重要な2曲から作ったことを明かし、キャスト陣を驚かせていた。好きなシーンをトーク。楽曲の手直しのためにけいこ場に足繁く通ったというアンジェラ。「4人の歌は素晴らしい。100点なので置いておいて」と切り出しながら「お芝居の世界の人じゃないからお芝居に圧倒されて。あるシーンで言葉を発さないけど、2人のキャラクターがすれ違うシーンで、もう号泣。しゃべらなくても泣けるって、スゴい演技力。いつも圧倒されている」とうなる。「けいこ場で毎日、演技を観られてぜいたくだった。最初の通しけいこで『これでもうお金取れる!』と言ったぐらい圧倒された。素晴らしい経験をさせてもらった」としみじみと口にしていた。日生劇場での開幕後に全国ツアーを展開し、作中の舞台である広島・呉市の呉信用金庫ホールで大千秋楽を迎える。
2024年05月11日太平洋戦争下の広島県呉市を舞台に、つつましく生きる人々の日常を丁寧かつコミカルに描く、こうの史代の漫画『この世界の片隅に』。これまでに度々アニメ化・ドラマ化されてきた名作がミュージカルとなって、本日5月9日(木)に東京・日生劇場で開幕する。音楽を手掛けるのは、シンガーソングライターとして「手紙~拝啓 十五の君へ~」などのヒット曲を放ったのちの2014年に一切の活動を休止し、アメリカの音楽大学に留学したアンジェラ・アキ。当時からミュージカル作家になる夢を語っていた彼女が、オファーが来る前から原作漫画を読んでいて大好きだったという本作で、10年ぶりの活動再開を果たした。アンジェラ自身が本作の楽曲を歌ったアルバムが、開幕に先駆けて既に発売されており、聴いた上でミュージカル観劇に臨むという楽しみ方もできそうだ。脚本・演出は、『四月は君の嘘』『のだめカンタービレ』でも漫画のミュージカル化に携わってきた上田一豪。自身が主宰する劇団TipTapでもオリジナルミュージカルを作・演出し続けている上、『キューティ・ブロンド』『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『ネクスト・トゥ・ノーマル』など翻訳ミュージカルの演出でも確かな手腕を発揮している実力派だ。広島市から呉市に嫁いでくる「ボーっとした」主人公・すずをWキャストで演じるのは、有名ミュージカルのヒロイン役をほとんど総なめにしてきた昆夏美と、歌手として活動する傍ら舞台俳優としても読売演劇大賞・杉村春子賞に輝くなど高い評価を得ている大原櫻子。すずの夫・周作役には海宝直人と村井良大、すずの友人・リンに役は平野綾と桜井玲香、周作の姉・径子役には音月桂と、演技力・歌唱力ともども申し分ないキャストが揃った。時系列に沿って淡々とエピソードが綴られていく原作を、果たして2~3時間の物語にどうまとめ上げるのか。そして自己主張が決して激しいとは言えない登場人物たちは、一体どんな形で歌うのか。予想はつかないが、ミュージカルへの情熱と実績を併せ持ったこの面々なら、ミュージカルならではの『この世界の片隅に』を作り上げてくれるに違いない。「アンジェラ・アキ sings『この世界の片隅に』」全曲FLASH文:熊田音子昆夏美さん・大原櫻子さん×海宝直人さん・村井良大さんインタビューも掲載中!()<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』原作:こうの史代音楽:アンジェラ・アキ脚本・演出:上田一豪出演:浦野すず:昆夏美/大原櫻子(Wキャスト)北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)白木リン:平野綾/桜井玲香(Wキャスト)水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)浦野すみ:小向なる黒村径子:音月桂白木美貴子 川口竜也 加藤潤一飯野めぐみ 家塚敦子 伽藍琳 小林遼介 鈴木結加里 高瀬雄史 丹宗立峰中山昇 般若愛実 東倫太朗 舩山智香子 古川隼大 麦嶋真帆桑原広佳 澤田杏菜 嶋瀬晴大村つばき 鞆琉那 増田梨沙【東京公演】2024年5月9日(木)~5月30日(木)会場:日生劇場【全国ツアー公演】6月6日(木)~6月9日(日) 北海道公演 札幌文化芸術劇場hitaru6月15日(土)・16日(日) 岩手公演 トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)6月22日(土)・23日(日) 新潟公演 新潟県民会館大ホール6月28日(金)~30日(日) 愛知公演 御園座7月6日(土)・7日(日) 長野公演 まつもと市民芸術館7月13日(土)・14日(日) 茨城公演 水戸市民会館グロービスホール7月18日(木)~21日(日) 大阪公演 SkyシアターMBS7月27日(土)・28日(日) 広島公演 呉信用金庫ホールチケット情報:()公式サイト:
2024年05月09日ミュージカル『この世界の片隅に』が、5月から7月にかけて東京・北海道・岩手・新潟・愛知・長野・茨城・大阪・広島で上演される。このたび、原作者のこうの史代、主人公の浦野すずをWキャストで演じる昆夏美と大原櫻子、そして音楽を手がけるアンジェラ・アキの4名による座談会が実現。その模様を綴ったオフィシャルレポートを紹介する。座談会は稽古場で実施され、原作の創作秘話やミュージカル版の見どころ、聞きどころなどが存分に語られた。なおこうのは、アンジェラと昆、大原と今回初対面を果たした。原作者に聞く、「すず」誕生秘話大原今日はお忙しいなか、稽古場までいらしていただきありがとうございます。昆お会いできて本当に嬉しいです。緊張していて、うまくお話できるか分かりませんが(笑)。こうのいえいえ、私こそ嬉しいです。おふたりとも、キラキラキラキラされていて。アンジェラそうなんですよ。それにふたりとも、もうすずさんそのもの。今日は昆ちゃんの稽古を見ていただきますが、どちらも魅力的なので、本番はぜひ両方見ていただきたいですね。昆私が最初に原作を読んだ時に心打たれたのは、戦争を扱っていながら、常に温かい空気が流れているところでした。「戦争はいけません!」と声高に訴えるのではなく、今の私たちとも変わらない“人の心”に焦点が当たっていて、だからこそ、すずさんの喪失感がより迫ってきたのだと思います。その後も読む度に色々な発見があって、今、特に気になっているのはすずさんの表情。分かりやすく笑ったり怒ったりしている時もあれば、もっと奥深い表情をしている時もあることに気付いて、どう自分の中に落とし込んだらいいかを考えながらお稽古しています。左から)大原櫻子、昆夏美こうの確かに、そこは演じる方の解釈によってくるところですよね。すずの個性に昆さんと大原さんの個性が重なった時にどうなるのか、すごく楽しみです。大原すずちゃんの個性というところでぜひお聞きしたいのですが、主人公を「ボーっとした」キャラクターに設定したのはどうしてなんですか?こうのそのほうが、この時代と場所に馴染みのない読者でも、物語に入り込みやすいと思ったんです。主人公が最初から呉でチャキチャキ頑張っている人だと、会話の中で状況を説明する隙がないですよね。でもよそから来たボーっとした人が主人公なら、主人公が周りの人たちに色々と質問をして、それに答える形で状況の説明ができるんです。アンジェラああ、なるほど。私もそこはぜひお聞きしたかったのですが、すごくしっくり来るお答えです。ノンフィクションのようにリアルな秘密アンジェラ・アキアンジェラすずさんや周りのキャラクターに、モデルはいるんですか?こうの周作の職業だけは私の親戚をモデルにしていますが、あとは全部創作ですね。アンジェラそうなんですね!初めて原作を読んだ時、私にはまるでノンフィクションのように感じられて、先生ご自身やご家族の体験談なのかと思ったほどでした。大原分かります、それくらいみんなリアルなんですよね。私はすずとリンさんの関係性にも惹かれているのですが、リンさんはどんな思いから生まれたキャラクターなのでしょうか?こうのすずに家族とはまた違う、同世代の友達との世界を作ることで、もうひとつの“世界の片隅”を表現したかったというのがひとつ。それから、当時の呉には実際に遊郭があったので、そういう過酷な境遇の人たちをいなかったことにはできない、というのもありました。大原ありがとうございます。やはり史実に基づいているからリアルなのですね。昆少し話が逸れてしまうのですが、すずもリンも、元素名から名前が取られているんですよね。調べてみたら全員そうで鳥肌が立ったのですが、それはなぜなんですか?こうのキャラクターの名前って、自分の思いつきだと似通ってしまうから、系統立てて考えることが多いんです。最初は呉の地名にしようかと思ったのですが、呉には硬い地名が多いんですね。悩んでいた時、たまたま近くに周期表があったので、これを使おうと(笑)。たくさんある元素の中で「すず」を主人公にしたことには、私が飼っていたインコの「すずしろ」が関係しています。ある時いなくなってしまったのですが、どこかでずっと元気にしていてほしくて、新天地で頑張る主人公にその思いを込めたんです。こうの史代昆そんな大切な思いが込められていたんですね!お聞きできて良かったです。アンジェラ本当に。貴重なお話ばかりで、なんだか得した気分です(笑)。オリジナル作品ならではの苦労と喜びこうの私はディズニーのミュージカルアニメが大好きなので、自分の漫画がミュージカルになるなんて夢のようで、アンジェラさんの歌われたデモテープも感動しながら聞かせていただきました。ミュージカルが出来上がっていく過程を垣間見られるのも刺激的で、これから見学できるのも本当に楽しみなんですが、お稽古で特に苦労されているのはどんなことですか?アンジェラ今回が初演のオリジナル作品なので、最終形が見えていない難しさはやはりありますね。でもだからこそ、キャストの皆さんと一緒に作れている感覚があって楽しいです。特にすずのふたりは、「すずはこういう言い方はしないと思う」といったフィードバックをくれる頼もしい存在で、それを受けて歌詞を変えたりもしているんです。私はこの作品が長く続いていくことを願っているのですが、最初のすずがこのふたりで本当に良かったです。大原そんな、こちらこそ。アンジーさんが音楽や歌詞を変える相談もさせてくださるので、オリジナルならではの生みの苦しみはありますが、私も楽しくお稽古させていただいています。昆アンジェラさんは、強い思いを持って楽曲を作られたはずなのに、私たちの思いを汲んで柔軟に変更してくださるんです。こうの先生の生み出された温かい原作のもと、温かい人たちが集まって、温かい作品を作っている感じがすごくある稽古場です。こうの素敵ですね。漫画は基本的にひとりで作るもので、編集さんたちとの縦の関わりはありますが、ミュージカルのようにたくさんの人がいっぺんに、横に関わることがないんです。でも漫画にも、見えていないだけで本当はたくさんの方が関わっていることを、こうしてミュージカルになったことで実感できた気がします。アンジェラミュージカルは、総合芸術なんですよね。私も自分のアルバムを作る時は基本的にひとりですが、今回はみんなとキャッチボールをしながら作っているから、大変ではあっても決して孤独ではない。それがミュージカルの醍醐味なのかもしれません。昆もうひとつ苦労しているのは、やはり原作の雰囲気を損なわないようにすること。原作ではどの話にも必ずオチがあって、そこも私の大好きなところなのですが、ミュージカルは2時間半ほどにまとまっているので、クスっとできるエピソードのすべては入っていないんですね。削られている分、温かい雰囲気をベースに置いておく、ということを意識しています。こうのああ、なるほど。そこはミュージカルならではの見どころになりそうですね。ミュージカルの見どころ聞きどころ大原私から先生に見どころを紹介させていただくなら、すずと周作のデートのシーン。特に「醒めない夢」という楽曲が、ふたりの可愛らしさがギュっと詰まっていてすごく素敵なんです。演じていて楽しいですし、あのキラッとした空気感を先生にもぜひ味わっていただきたいです。昆私は、2度出てくる「この世界のあちこちに」に注目していただけたら嬉しいです。これからどんな物語が広がっていくのか、お客様がまだ知らない状態で一度歌われた曲が、すずさんが自分の在り方を見つけた時に再び歌われる、という構成が大好きなんです。2度目に歌う時には、涙をこらえるのに必死になってしまう楽曲です。大原聞くだけで涙が止まらなくなる楽曲が、本当にたくさんあるよね。アンジーさんおひとりから、どうしてこんなにも色々なメロディーや言葉が生まれるのだろうと感動してしまいます。どれも大好きなのですが、特に聞きどころだと思うのは、径子さんの歌う「自由の色」。すずの生き方や考え方が変わるきっかけの曲ですし、お客様一人ひとりが自分の「自由の色」を発見し、救われたような気持ちになれるのではないかと思います。こうの「自由の色」は、私もアンジェラさんのデモで聞いた時からジーンと来ていました。アンジェラありがとうございます。今日はキャストの声で聞けますので、ぜひ楽しみになさっていてください。私が注目していただきたいのは、機銃掃射のシーンです。こうの漫画では顔のアップで進んでいくシーンだから、どう演じるんだろうと思っていました。大原そうですよね。漫画と同じようにはできない分、ミュージカルならではの表現になっていると思います。アンジェラ加えて、ふたりの演技がとにかく素晴らしいんですよ。このシーンあたりから、すずの感情がクレッシェンドしていき、最後には優しくデクレッシェンドしていくのですが、そのすべてが見どころですね。すずの熱量を表現するのは本当に大変だと思うのですが、ふたりとももう、「圧倒的」「ヤバい」といった言葉しか出ないくらいすごいパワーなんです(笑)。今日の通し稽古は昆ちゃんの回の予定ですが、実際に先生に見ていただけるのが私も楽しみです。昆あの、お手柔らかにお願いします(笑)。こうの「ハイやり直し!」なんて言いませんから安心してください(笑)。漫画が私の子どもなら、映画化や舞台化作品は孫のようなもの。私には可愛いばかりなんですよ。今日お話して、おふたりともそれぞれにすずだと感じましたので、お稽古も本番も本当に楽しみにしています。この座談会の後に、昆がすず役を演じて通し稽古が行われた。こうのは演じ終えたカンパニー全員に対して、感極まった面持ちで「お疲れ様でした。素晴らしい舞台でした。ちょっとジーンときました。ちょっとというか、大分ジーンときました。すごくすずが可愛くて、十数年前にこれを書いていた私に“グッジョブ!”と言いたいです(笑)。本当に有難うございました。感動しました」と伝え、カンパニーは大いに勇気づけられた様子だった。<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』原作:こうの史代音楽:アンジェラ・アキ脚本・演出:上田一豪出演:浦野すず:昆夏美/大原櫻子(Wキャスト)北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)白木リン:平野綾/桜井玲香(Wキャスト)水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)浦野すみ:小向なる黒村径子:音月桂白木美貴子 川口竜也 加藤潤一飯野めぐみ 家塚敦子 伽藍琳 小林遼介 鈴木結加里 高瀬雄史 丹宗立峰中山昇 般若愛実 東倫太朗 舩山智香子 古川隼大 麦嶋真帆桑原広佳 澤田杏菜 嶋瀬晴大村つばき 鞆琉那 増田梨沙【東京公演】2024年5月9日(木)~5月30日(木)会場:日生劇場【全国ツアー公演】6月6日(木)~6月9日(日) 北海道公演 札幌文化芸術劇場hitaru6月15日(土)・16日(日) 岩手公演 トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)6月22日(土)・23日(日) 新潟公演 新潟県民会館大ホール6月28日(金)~30日(日) 愛知公演 御園座7月6日(土)・7日(日) 長野公演 まつもと市民芸術館7月13日(土)・14日(日) 茨城公演 水戸市民会館グロービスホール7月18日(木)~21日(日) 大阪公演 SkyシアターMBS7月27日(土)・28日(日) 広島公演 呉信用金庫ホールチケット情報:()公式サイト:『この世界の片隅に【新装版】』上(ゼノンコミックス/コアミックス)著者:こうの史代発売:コアミックス©こうの史代/コアミックス上巻、下巻好評発売中「アンジェラ・アキ sings『この世界の片隅に』」発売中。品番:MHCL-3076Sony Music Labels Inc.
2024年05月03日ミュージカル『この世界の片隅に』原作者のこうの史代氏が稽古場を訪問し、音楽を務めるアンジェラ・アキ、主人公すず役の昆夏美・大原櫻子と語り合った様子が3日、届いた。同作はこうの史代氏による同名漫画のミュージカル化作。太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が丁寧に描かれ、生きることの美しさが胸に迫る作品となっている。映画化、実写ドラマ化もされ、この度新たにミュージカルとして上演される。5月9日の開幕に向けて稽古中という同作。アンジェラは4月上旬に渡米し、上田がキャストに付ける動きに合わせて、音楽をブラッシュアップする作業を行っていたが、稽古が佳境を迎えた同月下旬、日本に帰国した。稽古場ではそれまでの間に役を自分に馴染ませてきたキャスト陣が、アンジェラにその成果を披露しつつ、通し稽古を何度も重ねる日々。この度、そんな稽古場を原作者であるこうの氏が初訪問した。通し稽古を見学する前に4人は初対面。原作の創作秘話やミュージカル版の見どころ聞きどころについて、存分に語り合う。その後、昆がすず役を演じて通し稽古が行われ、こうの氏は演じ終えたカンパニー全員に対して、感極まった面持ちで「お疲れ様でした。素晴らしい舞台でした。ちょっとジーンときました。ちょっとというか、大分ジーンときました。すごくすずが可愛くて、十数年前にこれを書いていた私に『グッジョブ!』と言いたいです(笑)。本当に有難うございました。感動しました」と伝え、カンパニーは大いに勇気づけられた様子だったという。東京公演は日生劇場にて5月9日〜30日、北海道公演は札幌文化芸術劇場 hitaruにて6月6日〜9日、岩手公演はトーサイクラシックホール岩手 大ホールにて6月15日〜16日、新潟公演は新潟県民会館 大ホールにて6月22日〜23日、愛知公演は御園座にて6月28日〜30日、長野公演はまつもと市民芸術館にて7月6日〜7日、茨城公演は水戸市民会館 グロービスホールにて7月13日〜14日、大阪公演はSkyシアターMBSにて7月18日〜21日、広島公演は呉信用金庫ホールにて7月27日〜28日。○■座談会オフィシャルレポート大原:今日はお忙しいなか、稽古場までいらしていただきありがとうございます。昆:お会いできて本当に嬉しいです。緊張していて、うまくお話できるか分かりませんが(笑)こうの:いえいえ、私こそ嬉しいです。お二人とも、キラキラキラキラされていて。アンジェラ:そうなんですよ。それに二人とも、もうすずさんそのもの。今日は昆ちゃんの稽古を見ていただきますが、どちらも魅力的なので、本番はぜひ両方見ていただきたいですね。・原作者に聞く、「すず」誕生秘話昆:私が最初に原作を読んだ時に心打たれたのは、戦争を扱っていながら、常に温かい空気が流れているところでした。「戦争はいけません!」と声高に訴えるのではなく、今の私たちとも変わらない“人の心”に焦点が当たっていて、だからこそ、すずさんの喪失感がより迫ってきたのだと思います。その後も読む度に色々な発見があって、今、特に気になっているのはすずさんの表情。分かりやすく笑ったり怒ったりしている時もあれば、もっと奥深い表情をしている時もあることに気付いて、どう自分の中に落とし込んだらいいかを考えながらお稽古しています。こうの:確かに、そこは演じる方の解釈によってくるところですよね。すずの個性に昆さんと大原さんの個性が重なった時にどうなるのか、すごく楽しみです。大原:すずちゃんの個性というところでぜひお聞きしたいのですが、主人公を「ボーっとした」キャラクターに設定したのはどうしてなんですか?こうの:そのほうが、この時代と場所に馴染みのない読者でも、物語に入り込みやすいと思ったんです。主人公が最初から呉でチャキチャキ頑張っている人だと、会話の中で状況を説明する隙がないですよね。でもよそから来たボーっとした人が主人公なら、主人公が周りの人たちに色々と質問をして、それに答える形で状況の説明ができるんです。アンジェラ:ああ、なるほど。私もそこはぜひお聞きしたかったのですが、すごくしっくり来るお答えです。・ノンフィクションのようにリアルな秘密アンジェラ:すずさんや周りのキャラクターに、モデルはいるんですか?こうの:周作の職業だけは私の親戚をモデルにしていますが、あとは全部創作ですね。アンジェラ:そうなんですね! 初めて原作を読んだ時、私にはまるでノンフィクションのように感じられて、先生ご自身やご家族の体験談なのかと思ったほどでした。大原:分かります、それくらいみんなリアルなんですよね。私はすずとリンさんの関係性にも惹かれているのですが、リンさんはどんな思いから生まれたキャラクターなのでしょうか?こうの:すずに家族とはまた違う、同世代の友達との世界を作ることで、もうひとつの“世界の片隅”を表現したかったというのがひとつ。それから、当時の呉には実際に遊郭があったので、そういう過酷な境遇の人たちをいなかったことにはできない、というのもありました。大原:ありがとうございます。やはり史実に基づいているからリアルなのですね。昆:少し話が逸れてしまうのですが、すずもリンも、元素名から名前が取られているんですよね。調べてみたら全員そうで鳥肌が立ったのですが、それはなぜなんですか?こうの:キャラクターの名前って、自分の思いつきだと似通ってしまうから、系統立てて考えることが多いんです。最初は呉の地名にしようかと思ったのですが、呉には硬い地名が多いんですね。悩んでいた時、たまたま近くに周期表があったので、これを使おうと(笑)。たくさんある元素の中で「すず」を主人公にしたことには、私が飼っていたインコの「すずしろ」が関係しています。ある時いなくなってしまったのですが、どこかでずっと元気にしていてほしくて、新天地で頑張る主人公にその思いを込めたんです。昆:そんな大切な思いが込められていたんですね! お聞きできて良かったです。アンジェラ:本当に。貴重なお話ばかりで、なんだか得した気分です(笑)。・オリジナル作品ならではの苦労と喜びこうの:私はディズニーのミュージカルアニメが大好きなので、自分の漫画がミュージカルになるなんて夢のようで、アンジェラさんの歌われたデモテープも感動しながら聞かせていただきました。ミュージカルが出来上がっていく過程を垣間見られるのも刺激的で、これから見学できるのも本当に楽しみなんですが、お稽古で特に苦労されているのはどんなことですか?アンジェラ:今回が初演のオリジナル作品なので、最終形が見えていない難しさはやはりありますね。でもだからこそ、キャストの皆さんと一緒に作れている感覚があって楽しいです。特にすずの二2は、「すずはこういう言い方はしないと思う」といったフィードバックをくれる頼もしい存在で、それを受けて歌詞を変えたりもしているんです。私はこの作品が長く続いていくことを願っているのですが、最初のすずがこの2人で本当に良かったです。大原:そんな、こちらこそ。アンジーさんが音楽や歌詞を変える相談もさせてくださるので、オリジナルならではの生みの苦しみはありますが、私も楽しくお稽古させていただいています。昆:アンジェラさんは、強い思いを持って楽曲を作られたはずなのに、私たちの思いを汲んで柔軟に変更してくださるんです。こうの先生の生み出された温かい原作のもと、温かい人たちが集まって、温かい作品を作っている感じがすごくある稽古場です。こうの:素敵ですね。漫画は基本的にひとりで作るもので、編集さんたちとの縦の関わりはありますが、ミュージカルのようにたくさんの人がいっぺんに、横に関わることがないんです。でも漫画にも、見えていないだけで本当はたくさんの方が関わっていることを、こうしてミュージカルになったことで実感できた気がします。アンジェラ:ミュージカルは、総合芸術なんですよね。私も自分のアルバムを作る時は基本的にひとりですが、今回はみんなとキャッチボールをしながら作っているから、大変ではあっても決して孤独ではない。それがミュージカルの醍醐味なのかもしれません。昆:もうひとつ苦労しているのは、やはり原作の雰囲気を損なわないようにすること。原作ではどの話にも必ずオチがあって、そこも私の大好きなところなのですが、ミュージカルは2時間半ほどにまとまっているので、クスっとできるエピソードのすべては入っていないんですね。削られている分、温かい雰囲気をベースに置いておく、ということを意識しています。こうの:ああ、なるほど。そこはミュージカルならではの見どころになりそうですね。・ミュージカルの見どころ聞きどころ大原:私から先生に見どころを紹介させていただくなら、すずと周作のデートのシーン。特に《醒めない夢》という楽曲が、二人の可愛らしさがギュっと詰まっていてすごく素敵なんです。演じていて楽しいですし、あのキラッとした空気感を先生にもぜひ味わっていただきたいです。昆:私は、2度出てくる《この世界のあちこちに》に注目していただけたら嬉しいです。これからどんな物語が広がっていくのか、お客様がまだ知らない状態で1度歌われた曲が、すずさんが自分の在り方を見つけた時に再び歌われる、という構成が大好きなんです。2度目に歌う時には、涙をこらえるのに必死になってしまう楽曲です。大原:聞くだけで涙が止まらなくなる楽曲が、本当にたくさんあるよね。アンジーさんおひとりから、どうしてこんなにも色々なメロディーや言葉が生まれるのだろうと感動してしまいます。どれも大好きなのですが、特に聞きどころだと思うのは、径子さんの歌う《自由の色》。すずの生き方や考え方が変わるきっかけの曲ですし、お客様一人ひとりが自分の《自由の色》を発見し、救われたような気持ちになれるのではないかと思います。こうの:《自由の色》は、私もアンジェラさんのデモで聞いた時からジーンと来ていました。アンジェラ:ありがとうございます。今日はキャストの声で聞けますので、ぜひ楽しみになさっていてください。私が注目していただきたいのは、機銃掃射のシーンです。こうの:漫画では顔のアップで進んでいくシーンだから、どう演じるんだろうと思っていました。大原:そうですよね。漫画と同じようにはできない分、ミュージカルならではの表現になっていると思います。アンジェラ:加えて、2人の演技がとにかく素晴らしいんですよ。このシーンあたりから、すずの感情がクレッシェンドしていき、最後には優しくデクレッシェンドしていくのですが、そのすべてが見どころですね。すずの熱量を表現するのは本当に大変だと思うのですが、2人とももう、「圧倒的」「ヤバい」といった言葉しか出ないくらいすごいパワーなんです(笑)。今日の通し稽古は昆ちゃんの回の予定ですが、実際に先生に見ていただけるのが私も楽しみです。昆:あの、お手柔らかにお願いします(笑)こうの:「ハイやり直し!」なんて言いませんから安心してください(笑)。漫画が私の子どもなら、映画化や舞台化作品は孫のようなもの。私には可愛いばかりなんですよ。今日お話して、お二人ともそれぞれにすずだと感じましたので、お稽古も本番も本当に楽しみにしています。(C)こうの史代/コアミックス
2024年05月03日2025年5月公開予定のオムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS Season7』に収録されるショートフィルムを加藤浩次と加藤シゲアキが監督することが決定した。「MIRRORLIAR FILMS」(ミラーライアーフィルムズ)は、クリエイターの育成発掘を目的とする短編映画製作プロジェクト。2021~2022年に劇場公開したSeason1~4では「変化」をテーマに、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した36本のショートフィルムを発表。Season5~8では、「企業版ふるさと納税」の制度を活用した行政の地域振興事業として、撮影支援やワークショップ、上映会が行われるなど、映画製作を通して地域の魅力発見や人々の交流を生み出していき、地方創生に寄与していく。「東海市創造の杜交流館」この度監督を務める加藤浩次は初監督、加藤シゲアキはショートフィルム『渋谷と1と0と』(2022)に続く2本目の監督作。2作品は、愛知県東海市に2025年5月1日開館予定の建築家の隈研吾が設計した新施設「東海市創造の杜交流館」オープニング作品となる。「東海市創造の杜交流館」は、「歴史」「映像(映画)」「交流」をキーワードに、環境にも配慮された新しい施設。2つの棟からなる高いデザイン性もさることながら、映画が上映できる映像ホールや、美術展示のみならず、インスタレーションも可能な多目的ギャラリー、映像制作ができる編集室や収録撮影スタジオといった全国でも珍しい機能を持つ。■加藤浩次監督 コメント(動画コメントより抜粋)今回東海市でショートフィルムを撮ることになりましたけれども、ちょっとびっくりしました。僕自身、ずっと映画は好きでずっと見ていましたが、ショートフィルムを監督するのが自分なんかで大丈夫なのかなと思ったんですけど、やるとなったら、東海市の皆さんに協力を得ながら、精一杯、脚本も監督も自分でやろうと思っています。ロケも当然、東海市でします。もし、これから僕が東海市でロケしていたら、皆さん、気軽に声をかけてください。あの、本番中は静かにしてください!笑どんな作品になるかというと、今ちょっと考えているのは、ワンシチュエーションでやるかどうかは分かりませんが、ひょんなことから、いろんなことが巻き込まれて、いろんな人の人生が変わっていくようなショートフィルムを考えています。今回、隈研吾さんが設計なされた新施設でお披露目ということで、ちょっと本当に緊張はするのですが、頑張って作りたいと思いますので、皆さん、応援、よろしくお願いします。また、会いましょう!■加藤シゲアキ監督 コメント(動画コメントより抜粋)私は普段、NEWSというグループでアーティスト活動をしていますと同時に、小説家としても10年以上活動をさせていただいております。たくさん物語は作ってきたので、そういったご縁から、今回、ミラーライアーフィルムズにお声がけいただいたのかなと思っておりますが、小説と連動して以前、ショートフィルムを撮ったこともあるので、今回が2度目の短編映画の監督という形になるかと思います。今回、愛知県東海市と一緒に組んでやるということや、隈研吾さんの新しい施設で公開してもらえるということで、すごく光栄な機会に恵まれて、2025年のことではありますが、今からワクワクしております。どんな作品を作るのかはまだ具体的には決め切れていないのですが、東海市と一緒にやるからという、ならではのものができればと、それこそ、加藤シゲアキならではのもの、今から必死に知恵を絞って考えていきたいなと思っておりますし、見ていただいた方、撮影に関わった現場、全ての方が、やってよかった、見てよかったと思えるような現場づくりを目指し、いい作品を届けて参りたいなと思います。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。来年、作品を見てもらえる日を楽しみにしております。■建築家・隈研吾さん コメント歴史ある地域と新しい世代を繋ぐ、大きな道が通る建築をつくりました。映像文化の新しい道となる挑戦的な枠組みの中で、見たことのない作品が生まれることを楽しみにしています。■大村秀章 愛知県知事 コメントこの度、ミラーライアーフィルムズ Season7の東海市における制作が決定されましたことを、心よりお慶び申し上げます。このプロジェクトでは、タレントの加藤浩次さん、俳優で小説家の加藤シゲアキさんがそれぞれ監督される作品に加え、市民参加型のワークショップを通じた地域特別短編映画の制作も計画されていると伺い、市民の皆様、一人ひとりが、深く関わる機会を得られることに、大きな可能性と価値を感じています。市内の各所で撮影が行われるだけでなく、完成までの過程で、地域の皆様が参画されることにより、東海市の魅力をさらに深く掘り下げ、多くの人々に愛される作品となることと思います。私自身、作品の完成を大変楽しみにしております。また、隈研吾さん設計の新施設「東海市創造の杜交流館」は、「横須賀文化の発信拠点」「映像(映画)を中心とした創造活動の場」「多世代交流の場」を基本コンセプトとされていると伺っており、オープニングあたり、施設のコンセプトに通じるプロジェクトの作品が上映されることは、東海市の魅力を発信する素晴らしい機会になると確信しています。このプロジェクトが、地域の新たな価値の創造と交流のきっかけになるとともに、素晴らしい作品の誕生につながることを、心より祈念いたします。『MIRRORLIAR FILMS Season7』は2025年5月公開予定。(シネマカフェ編集部)■関連作品:MIRRORLIAR FILMS Season1 2021年9月17日より全国にて公開©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
2024年04月19日料理担当のアキと片付け担当のハル、“ゼロ距離”な2人と簡単に美味しく作れるレシピで読者の心と胃袋を掴んだ話題作の実写映画第2弾『アキはハルとごはんを食べたい 2杯目!』が、6月14日(金)よりシネマート新宿ほか2週間限定公開。この度、場面写真と30秒の新映像が解禁された。解禁となった場面写真では、就職活動用のスーツを着て自撮りするシーンに加え、キラキラ光る水槽に泳ぐ魚を仲良く鑑賞する水族館デートが捉えられている。また、アキ(赤澤遼太郎)がご飯を作る様子を肩越しに覗くハル(高橋健介)の姿、2人で一緒に「いただきます!」とごはんを食べる様子、友人たちと集まっておいしそうなたこ焼きパイを目の前に歓声を上げるシーンなど、ほのぼのとした2人の愛おしくも心温まる数々の日常を映し出している。また、新映像では「ごはんだ!」とお腹を空かせたアキとハルが自室から飛び出し、タコライス風ごはんをおいしそうに頬張るシーンから始まる。ハルが両手でアキの顔を挟んでいちゃいちゃしたり、2人でゲームに夢中になったり、楽しい一軒家でのルームシェアの大学生活も卒業間際。心もお腹も満たされる日々を過ごしながら就職活動に奔走する2人は希望の就職先に内定。友人たちと“たこ焼きパイ”でお祝いした矢先、アキに1通のメールが届く…それは、勤務地が大阪に決まったという知らせ。一緒に暮らせるのも卒業まで残りわずか。「アキといるの好きだよ。それを記録したかった」「ハルと一緒にいたい――」と寂しい気持ちとモヤモヤを抱える2人は友情以上の気持ちに気づいていく…。アキとハルは社会人になっても2人でごはんを食べるときめきを感じることができるのか、2人の行く末に期待が高まる。『アキはハルとごはんを食べたい 2杯目!』は6月14日(金)よりシネマート新宿ほかにて2週間限定公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:アキはハルとごはんを食べたい 2023年6月2日よりシネマート新宿ほかにて2週間限定公開©たじまこと/竹書房・「アキハル」製作委員会
2024年04月18日“ゼロ距離”な仲良し2人のおいしい毎日を描いた『アキはハルとごはんを食べたい』の第2弾『アキはハルとごはんを食べたい 2杯目!』が、6月14日(金)より2週間限定公開が決定。主演は、赤澤遼太郎と高橋健介が続投し、予告編とビジュアルが解禁された。原作は、ごはんものの新鋭・たじまことによる同名ボーイズラブ漫画。“ゼロ距離”の大学生のアキとハル。暖かみのある一軒家でルームシェアをする2人のほのぼのとした日常と、簡単においしく作れるレシピで、読者の心と胃袋を掴んだ話題作の実写映画が帰ってくる。前作に続き、料理担当のアキを演じるのは、「マッシュル-MASHLE-」THE STAGEやMANKAI STAGE「A3!」など2.5次元舞台・ミュージカルを中心に活躍する、赤澤遼太郎。「アキとハルの空気感、ロケーション、仲間、色々なモノが沢山パワーアップして、ついに二人の関係も前進!? 自分のやりたいことや進路、好きな人に想いを伝えることや、この後何を食べるか迷ってる人など、たくさんの方に色々な角度で刺さること間違いなしです!」と作品の見どころをコメント。「前回公開時は多くの方が劇場に来ていただき公開が延長され本当に嬉しかったです!2杯目も初めて見る方でも楽しめる映画ですので周りのみんなを誘っていただき、何杯も"おかわり"してもらえると嬉しいです!」とアピールした。そして片付け担当のハルを演じるのは、初主演のテレビドラマ「ウルトラマンX」以来、ドラマや映画だけでなく、ミュージカル「刀剣乱舞」や「ワールドトリガー the Stage」など2.5次元作品に出演し話題の高橋健介。「アキハルの続編が決まり非常に嬉しく思います!」と喜びを語り、「1の撮影からそれほど時間が経っていなかったこともあり、スムーズに撮影ができ、より深くアキハルの世界を創れたのではないかと思います。アキ役の遼太郎とも前回以上に楽しく日々を過ごさせてもらいました。今作も沢山ご飯が出てくるので目と耳とお腹で是非楽しんでください!」と撮影をふり返った。原作者のたじさんは、「映画アキハルの続編&劇場公開決定おめでとうございます!ふたりの関係が変化していく様子が見られると思うとドキドキワクワクと緊張でいっぱいになります。タイトルの『2杯目!』も映画アキハルらしくて好きです」と喜び、「白ごはんわんぱく盛りなんだろうな」と期待のコメントを寄せた。さらに、佐奈宏紀、櫻井佑樹、竹内星菜、伊織いお、青山ひかる、永山たかし、鎌苅健太、柴田理恵の出演も発表。今回解禁になった予告編では、「ごはんだ!」とお腹を空かせたアキとハルが自室から飛び出し、「タコライス風ごはん」や「梅とろろうどん」を2人でおいしそうに食べるシーンから始まる。一軒家でのルームシェアの大学生活も卒業間際。心もお腹も満たされる日々を過ごしながら就職活動に奔走する2人は、希望の就職先に内定が決定。友人たちと「たこ焼きパイ」でお祝いした矢先、勤務地が大阪に決まったというメールが届く。一緒に暮らせるのも卒業まで、あと残りわずか。寂しい気持ちとモヤモヤを抱える2人は友情以上の気持ちに気づくが…。社会人を迎えるアキとハルの行く末が気になるところだ。併せて解禁されたポスタービジュアルは、「甘いナポリタン」を手に取り、寄り添うアキとハルが印象的。ほんわかした雰囲気が漂うとともに前作からの関係性の変化も感じ取れるビジュアルに仕上がっている。また、全12種にもおよぶ“映画前売券付きブロマイド”も4月12日(金)正午より発売決定。「エンタメプリント」にて購入できる映画前売券付きブロマイド写真は12種、ランダムで赤澤さん&高橋さんの2ショット2種、赤澤さん&高橋さんの1ショット各5種となっている。映画前売券付きブロマイド『アキはハルとごはんを食べたい 2杯目!』は6月14日(金)よりシネマート新宿ほかにて2週間限定公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:アキはハルとごはんを食べたい 2023年6月2日よりシネマート新宿ほかにて2週間限定公開©たじまこと/竹書房・「アキハル」製作委員会
2024年03月28日これまでにたびたび映像化されてきた、こうの史代による不朽の名作漫画『この世界の片隅に』が、アンジェラ・アキを音楽に迎えてミュージカル化される。主人公・すずとその夫・周作を演じるのは、昆夏美&大原櫻子、海宝直人&村井良大のWキャスト。ぴあでも既報の 製作発表会見() の直後に行われた4人の合同取材会より、主なやりとりをピックアップしてお届けする。言葉にしづらいこともダイレクトに伝えられる――まずは、製作発表も終わり、ミュージカル版『この世界の片隅に』が本格的に動き出した“今”のお気持ちをお聞かせください。昆原作を読んだり映像化された作品を観たりする中で、これをどうやってミュージカル化するんだろう?という思いがまずあって。これをどういうふうに作っていくのかな?という期待が今、ますます膨らんでいます。本当に新たな試みだと思うので、ストレートプレイではなくミュージカルとしてこの作品を上演することの意味を、これから見つけていきたいですね。大原私は、ミュージカルでここまでたくさん歌わせていただく作品は初めてです。なので、すごく楽しみですが、少し不安もあります。海宝そうだよね。原作では日常が淡々と、生々しく、すごく繊細に描かれているから、アニメーションにするのも大変だったと思うんです。そんな中で(劇場版アニメーションの片渕須直)監督は、基本的には原作に忠実に、でも監督自身の思いも入れて映像化したと聞いているので、そういう意味では原作とはまた違う『この世界の片隅に』なのだと思っていて。それが舞台になることで、さらに新しいものになるのだろうと思うと、すごく楽しみな反面、ハードルはやっぱり高い。クリエイトすることの難しさを実感しながら作っていくことになると思うので、覚悟を持って臨んでいきたいです。村井原作があって、アニメ化やドラマ化もされているものを、ミュージカルに落とし込むわけですからね。でもアニメ映画版を観た時に、挿入歌が結構入っているのが、僕にはすごく自然に感じられたんです。優しい旋律がずっと流れているような空気感が、この作品に合っている気がしたから、ミュージカル化するのにぴったりな作品なのかなと。言葉にしづらいことを、歌詞と旋律に乗せることで、お客さんにダイレクトに伝えられると思います。――製作発表では、Wキャストの相手についての印象を語っていらっしゃいましたが、相手役のおふたりについてはいかがですか?昆周作さん役のおふたりとはどちらも共演経験があって、仲良くさせてもらっている……と、私としては思ってるんですけど(笑)。村井はい、いつもお世話になってます!(一同笑)昆良かった(笑)。なので周作さん役がおふたりと聞いて、すごく心強いなって思いました。すずさんと周作さんは、すずさんの不器用なところや足りないところを、周作さんが受け止めてくれるような関係性。それはちょっと、ポンコツな私としっかり者のおふたりの関係性に似ているような気がするので(笑)、夫婦役として一緒に役を作っていくのがとても楽しみです。大原私は、海宝さんとは『ミス・サイゴン』の稽古場でご一緒しました。本番には出られなかったのですが、昆さんとも海宝さんとも稽古場で色んなお話をしていたので、おふたりがいらっしゃるだけで安心感がありますね。そして村井さんとは、今回が初めてで。海宝そっかそっか、初めましてか。大原そうなんです。でもPV撮影の時にすごくサポートしていただいたので、私も昆さんと同じく、心強いな、という安心であふれております。海宝僕は昆ちゃんのことも大原さんのことも、表現者としてすごく尊敬しているので、相手役としてご一緒できて本当に光栄です。昆ちゃんとは今まで、相手役として組んでもハッピーな結末を迎えられたことがなくて(笑)。昆そうだね、ようやくだね!海宝やっと夫婦役ということで、新鮮な感じがしています。大原さんは、音楽に対してもお芝居に対しても絶えずハングリーに、前に進もう、前に進もうとしているのをいつも感じていて。この舞台に臨む姿からもきっと刺激がいただけると思うので、とっても楽しみですね。村井僕と昆ちゃんは、共演させていただくといつも、昆ちゃんのほうが僕より強い役だったんです! 今回の役は、今までとは違う関係性の役になりそうなので楽しみ。初めて静かな昆ちゃんが見られるのかなって(笑)。大原「静かな昆ちゃん」(笑)。昆……頑張ります(一同笑)。村井櫻子さんとはPV撮影の時が初対面だったんですが、プロ意識の高い方だなと思いました。もっとこうしたらこう見えるんじゃないか、といったことをすごく追求されていたので、稽古場でご一緒できるのがやっぱりすごく楽しみです。現代と地続きの人々の営みを通して、戦争というものを感じてもらう――演じられる役柄に共感する部分や、ご自身と似ていると思うところがあれば教えてください。海宝周作さんは、ちょっと鈍くさいというか(笑)、スッとしてるように見えて、意外と自分の思ったようにはできないところがあって。村井良かれと思ってやったことがダメだった、みたいなことが結構ある人だよね。海宝そうそう(笑)。普段はすずさんを引っ張ろうって頑張ってるけど、たまに弱さや素直さを見せる、そのバランスが可愛らしいキャラクターだなと思います。その人間臭さ、人間味みたいなところには共感するというか、素敵なところだなあと。村井優しいところが可愛らしくもあり残念なところでもあると僕も思います。自分で言うのもなんですが、僕も優し過ぎるところがあるので、そこは似てるなあと思いますね(一同笑)。大原すずさんと似てるところかあ、難しいな……。昆私は、不器用なところが似ています!(一同笑) 着物を裁ち間違えてしまったりとか、「あちゃー!」みたいなことをすずさんはよくやっていて、分かるなって(笑)。一生懸命やっているのに「あれ? どこで間違えた?」みたいなことが、私もよくあるんです。大原すずさんって、柔らかくて温かくて、ちょっとおっちょこちょいなところが可愛らしい人だと思うんですが、私は結構ハッキリした性格なんですね。だから似てるところを探すのは難しいんですが……ホワっとした中にも強さとか明るさ、元気さが感じられる人でもあるので、強いて言うならそういう前向きなところなあと思います。――最後に、この作品のテーマについて伺います。言葉で表すのがなかなか難しい作品かとは思いますが、今の時点で皆さんが特に伝えたいこと、大事にしたいと思っていることは?村井これは、原作者のこうの先生が仰っていたことなんですが。私は原爆体験者ではないけれど、戦争の話というのは体験者だけが伝えればいいということではなく、我々全員に語る権利と語る義務があるんだと。そのお話を聞いた時、僕らも戦争を体験はしていないけれど、ミュージカルを通して皆様に知っていただくということを、自分たちの義務としてやるべきなんだと、背中を押された気持ちになりました。戦争を前面に押し出した作品ではないですが、戦時中の人々の生活を舞台上で、生身の人間である僕らが演じることで、皆さんに戦争というものを感じていただく機会になるのではないかと思っています。昆・大原すごい、全部言ってくれたね。村井じゃあもうこれで終わりにする(笑)?――何かしらトッピングするか、「同意です」のひとことでも大丈夫ですので皆さんもぜひ(笑)。大原そうですね~、言葉にするのが本当に難しいのですが……。戦時中の話ではありますが、日々を生きる中での出来事とか苦悩、人間だから思うことというのはいつの時代も同じなんだなって、この作品に触れていると本当に思うんですね。だからすごくシンプルに言うと、「生きるとは何か」というのがテーマなのかなあと。生きるために何かと向き合って、戦って、もがき苦しみながらも前を向いて進むということを、すごく感じさせてくれる作品です。昆私は、コレ! という明確なテーマがないというか、簡単にキャッチコピーが付けられないところ、色々な角度から捉えられるところが、この作品の魅力なのかなと感じていて。だから「これを表現したい」と言うことはできないけれど、ひとつ言えるのは、戦争の悲惨さを派手に訴えるのではなく、戦時下にもあった当たり前の日常を淡々と描いているということ。原作がそうだから、このミュージカルも、“戦争を題材にした作品”と聞いて思い浮かべるものとは違う作品になる、ということだけは確信しています。海宝……もうね、ほぼほぼ出尽くしてますけど(笑)。村井トッピングお願いします!海宝はい(笑)。皆さん仰っていたように、戦争の被害を生々しく描いているわけじゃないのに、戦争にリアリティを感じづらくなっている僕らの世代にも、戦争が生々しく突き刺さってくるのがこの作品。それは、日常が淡々と描かれていて、その日常を送るキャラクターたちに“実在感”があるからだと思います。みんなが自分たちと同じようなことで喜んだり悲しんだりしてるから、自分たちとは価値観の違う時代を生きてた人たちではなく地続きの人たちの話なんだ、そういう当たり前の人間の営みの背景に戦争があったんだ、と思える。僕が原作や映像化作品で感じたそのリアリティを、音楽の力も借りながら、この舞台でも表現できたらいいなと思っています。取材・文:町田麻子撮影:杉映貴子<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』原作:こうの史代音楽:アンジェラ・アキ脚本・演出:上田一豪出演:浦野すず:昆夏美/大原櫻子(Wキャスト)北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)白木リン:平野綾/桜井玲香(Wキャスト)水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)浦野すみ:小向なる黒村径子:音月桂白木美貴子 川口竜也 加藤潤一飯野めぐみ 家塚敦子 伽藍琳 小林遼介 鈴木結加里 高瀬雄史 丹宗立峰中山昇 般若愛実 東倫太朗 舩山智香子 古川隼大 麦嶋真帆桑原広佳 澤田杏菜 嶋瀬晴大村つばき 鞆琉那 増田梨沙【東京公演】2024年5月9日(木)~5月30日(木)会場:日生劇場【全国ツアー公演】6月6日(木)~6月9日(日) 北海道公演 札幌文化芸術劇場hitaru6月15日(土)・16日(日) 岩手公演 トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)6月22日(土)・23日(日) 新潟公演 新潟県民会館大ホール6月28日(金)~30日(日) 愛知公演 御園座7月6日(土)・7日(日) 長野公演 まつもと市民芸術館7月13日(土)・14日(日) 茨城公演 水戸市民会館グロービスホール7月18日(木)~21日(日) 大阪公演 SkyシアターMBS7月27日(土)・28日(日) 広島公演 呉信用金庫ホールチケット情報:()公式サイト:音楽を手がけるアンジェラ・アキさんと昆夏美さん、大原櫻子さんによる、一発撮りパフォーマンス映像『アンジェラ・アキ - この世界のあちこちに / THE FIRST TAKE』も公開中!
2024年03月15日俳優の金子ノブアキが、5日に都内で行われた映画『マッチング』(公開中)の大ヒット御礼舞台挨拶に土屋太鳳、佐久間大介(Snow Man)、内田英治監督とともに登壇した。同作は内田英治が監督・脚本を務めるオリジナル映画。ウェディングプランナーとして仕事が充実している一方で、プライベートでは恋愛に奥手な輪花(土屋)は、同僚から新しい出会いを勧められてマッチングアプリに登録する。新たな出会いに期待をして、初デートに向かう輪花だったが、そこに現れたのはプロフィールとは全くの別の暗い男・吐夢(佐久間)。アプリ婚をした利用者を狙った連続殺人事件が起こり、吐夢が捜査線上に浮上するが、事件は意外な方向へと発展し、魔の手は輪花にも迫る。○■金子ノブアキ、映画『マッチング』大ヒット御礼舞台挨拶に登場大ヒットを記録している同作の反響について聞かれると、金子は「何度も足を運んでくださる方がすごく多いと思っていて。いろんな観点から物語を楽しむことができるという言葉をいただくので、それは本当に冥利に尽きると言いますか、嬉しいです」と喜びを語る。SNS上での多くの感想や考察が上がっていることについてトークが進むと、金子は「皆さん、ネタバレ全然しないじゃないですか! ありがとうございます! 皆さんのディフェンス力、素晴らしい!(笑)」と感謝を伝え、「おかげで人気が出ているところもあると思う!」とネット上でのマナーの良さを絶賛していた。
2024年03月05日2024年3月3日、旧・株式会社ジャニーズ事務所であり、芸能事務所の株式会社SMILE-UP.がウェブサイトを更新。同社に所属するアイドルグループ『NEWS』の、加藤シゲアキさんが結婚したことを発表しました。加藤シゲアキが結婚を発表加藤さんは、同社のウェブサイトで次のようにコメントしています。私事で恐縮ですが、この度加藤シゲアキは結婚するはこびとなりましたことを報告させていただきます。この変化を機に改めて感謝を胸に刻み、表現の場においてはさらなる高みを目指す所存です。しかしながらまだまだ未熟な私でございます。今後とも変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。FAMILY CLUB Official Siteーより引用サンケイスポーツによると、加藤さんのお相手は「普通の日本人」で、妊娠はしていないとのことです。加藤さんは、『NEWS』のメンバーとして2003年にCDデビュー。2004年5月にメジャーデビューを果たしました。その後、『NEWS』のメンバーとして活動しながら、『ピンクとグレー』で作家デビューした加藤さん。2020年刊行の長編小説『オルタネート』では、第42回『吉川英治文学新人賞』を受賞し、話題になりました。嬉しいニュースに、ネット上では「めっちゃビックリ!」「おめでとう」「お幸せに!」といった声が上がっています。加藤さん、ご結婚おめでとうございます![文・構成/grape編集部]
2024年03月03日俳優の金子ノブアキが、23日に都内で行われた映画『マッチング』(公開中)の初日舞台挨拶に土屋太鳳、佐久間大介(Snow Man)、真飛聖、杉本哲太、斉藤由貴、内田英治監督とともに登壇した。同作は内田英治が監督・脚本を務めるオリジナル映画。ウェディングプランナーとして仕事が充実している一方で、プライベートでは恋愛に奥手な輪花(土屋)は、同僚から新しい出会いを勧められてマッチングアプリに登録する。新たな出会いに期待をして、初デートに向かう輪花だったが、そこに現れたのはプロフィールとは全くの別の暗い男・吐夢(佐久間)。アプリ婚をした利用者を狙った連続殺人事件が起こり、吐夢が捜査線上に浮上するが、事件は意外な方向へと発展し、魔の手は輪花にも迫る。○■金子ノブアキ、『マッチング』公開にしみじみ「嬉しいしちょっと寂しい」「無事に初日を迎えられたということで胸がいっぱいです。キャラクターや物語が我々の手を離れて、皆さんの中でどんどん成長していってくれるのかなと思うと嬉しいし、ちょっと寂しいというめでたい1日ですので、一緒に過ごせてとても嬉しいです」と挨拶した金子。撮影で印象的だったことを聞かれると「太鳳ちゃんと2人で話している喫茶店のシーン」と回答。「お店をお借りして撮影するときって、長時間貸し切りになってしまうし、レイアウトを変えさせてもらうなどご迷惑をおかけすることが多いんです」と話し、「無事に撮影が終わって良かったなと思っていたら、喫茶店のお母さんが『がんばってるね~! お腹空いたでしょ~?』ってドーナツくれたんです。疲れたから本当に染み渡っちゃって!」とほっこりするエピソードを披露した。最後に「お母さん、ごちそうさまでした! おかげでいい映画になりました」と改めて感謝を伝えていた。
2024年02月23日ものまねタレントの清水アキラが22日に自身のアメブロを更新。銀座でバッタリ遭遇した人物を明かした。この日、清水は「銀座でバッタリ!」と述べ、演歌歌手の小林幸子と美里里美との3ショットを公開。「私は小林幸子さんにずーっと会いたかった」と明かし「短い時間でしたが楽しかったです」と満足した様子でつづった。続けて、小林について「ガマン強い、余計な事は言わず『根性』って言葉がピッタリな人」とコメント。「会って尚更その生き様を感じた夜だった!オレも頑張ろう」とつづり、ブログを締めくくった。
2024年02月23日過去にアニメーション映画化、実写化されてきた、こうの史代の傑作漫画を原作とするミュージカル『この世界の片隅に』の製作発表記者会見が2月20日(火)、都内で開催され、出演者の昆夏美、大原櫻子、海宝直人、村井良大、平野綾、桜井玲香、音月桂と脚本・演出の上田一豪が出席。音楽を担当するアンジェラ・アキからはビデオメッセージが寄せられた。戦争下の広島県呉市でつつましく暮らす人々の姿を丁寧に描き出す本作。卒業ソングの定番となった「手紙 ~拝啓十五の君へ」で知られるアンジェラは、2013年に日本での活動を休止し、2014年に渡米し大学で音楽を学んでいたが、本作の楽曲の発表と共に日本での活動を再開させることになる。4月24日には本公演の為に書き下ろした30曲以上の楽曲の中から厳選された曲をアンジェラ自身が新たにアレンジし、歌唱した12年ぶりのアルバム「アンジェラ・アキ sings 『この世界の片隅に』」がリリースされるSony Music Labels Inc.会見のためにビデオメッセージを寄せたアンジェラは、上田による台本に最初に目を通した時に「自然にセリフと共に音が見えてきた」と明かし「素晴らしい原作を舞台化する意味があるんだと思えたし、それに寄り添うような曲をつくりたいと思いました」と語る。既にアンジェラの楽曲を耳にしたというキャスト陣からは感動の声が! Wキャストで主人公・すずを演じる昆は「何て素敵な楽曲なんだろうと心から思いました。アンジェラさんのつくる力強くもあり、温かく寄り添うような楽曲が作品の温度感にぴったりハマるなと。この素敵な楽曲を早く歌いたいです」と語り、同じくすず役の大原は、学生時代からアンジェラのファンだったと明かし、「(音楽がアンジェラと聞いて)え? アンジェラさんが曲を? とワクワクして、(曲を聴いて)ワクワクを通り越して体の芯がゾワゾワッと震えるくらい感動して涙が出てきて、これは絶対に歌いたい! という思いが強まりました」と明かす。昆夏美大原櫻子すずの夫の周作を演じる海宝は「アンジェラさんが久々に復帰して音楽を書かれる、その一作目に参加できることを幸せに感じます」と語り、海宝と共にWキャストで周作を演じる村井は「(曲を聴いて)とにかく思ったのは、純粋だなということ。この作品に本当にぴったりな楽曲がいきなり目の前に現れて、完成形が見えちゃった」とアンジェラの楽曲が作品に与える力の大きさを口にしていた。海宝直人村井良大脚本・演出の上田は、原作の漫画について「戦争を描いていながら、日常に暮らす人々の細やかな機微や心の小さな動き、内面まで繊細に描かれている作品」と語り、ミュージカルの脚本にする上でとにかく原作に「丁寧に向き合った」と述懐。「演出も奇をてらうのではなく、登場人物たちの感情線がしっかりと届くように、お客様が歩み寄り、耳を傾けたくなるものにしたいと思い、プランニングしています」と語った。脚本・演出を務める上田一豪原作の好きなシーン、演じるのが楽しみなシーンを尋ねると、昆と大原は奇しくも同じシーンを選択。ひょんなことからすずと仲良くなる遊女のリン(平野と桜井のWキャスト)がすずに「この世界に居場所はそうそうなくなりはしない」ということを優しく語るシーンを挙げ、大原は「この作品のテーマであり、良い言葉だなと胸に突き刺さりました」と語る。昆も「居場所を見つけざるを得なかったリンさんが、この作品でずっと居場所を探し続けているすずさんにかける言葉であり、(原作の)読者のみなさんも今回、(ミュージカルを)ご覧になるみなさんも、すずが一貫して自分の本当の居場所を探すところに非常に重きを置いてご覧いただけるのではないかと思います」とこのセリフの重みを口にしていた。なお、東京公演後には北海道、岩手、新潟、愛知、長野、茨城、大阪と全国を巡り、大千穐楽は物語の舞台である広島県呉市(呉信用金庫ホール)にて上演される。取材・文・撮影:黒豆直樹<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』原作:こうの史代音楽:アンジェラ・アキ脚本・演出:上田一豪出演:浦野すず:昆夏美/大原櫻子(Wキャスト)北條周作:海宝直人/村井良大(Wキャスト)白木リン:平野綾/桜井玲香(Wキャスト)水原哲:小野塚勇人/小林 唯(Wキャスト)浦野すみ:小向なる黒村径子:音月桂白木美貴子 川口竜也 加藤潤一飯野めぐみ 家塚敦子 伽藍琳 小林遼介 鈴木結加里 高瀬雄史 丹宗立峰中山昇 般若愛実 東倫太朗 舩山智香子 古川隼大 麦嶋真帆桑原広佳 澤田杏菜 嶋瀬晴大村つばき 鞆琉那 増田梨沙【東京公演】2024年5月9日(木)~5月30日(木)会場:日生劇場【全国ツアー公演】6月6日(木)~6月9日(日) 北海道公演 札幌文化芸術劇場hitaru6月15日(土)・16日(日) 岩手公演 トーサイクラシックホール岩手大ホール(岩手県民会館)6月22日(土)・23日(日) 新潟公演 新潟県民会館大ホール6月28日(金)~30日(日) 愛知公演 御園座7月6日(土)・7日(日) 長野公演 まつもと市民芸術館7月13日(土)・14日(日) 茨城公演 水戸市民会館グロービスホール7月18日(木)~21日(日) 大阪公演 SkyシアターMBS7月27日(土)・28日(日) 広島公演 呉信用金庫ホールチケット情報:()公式サイト:©こうの史代/コアミックス・東宝製作:東宝
2024年02月21日ミュージカル『この世界の片隅に』の製作発表が20日に都内で行われ、昆夏美、大原櫻子、海宝直人、村井良大、平野綾、桜井玲香、音月桂、上田一豪(脚本・演出)が登場。また楽曲を担当したアンジェラ・アキが映像でコメントを送った。同作はこうの史代氏による同名漫画のミュージカル化作。太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれ、生きることの美しさが胸に迫る作品となっている。映画化、実写ドラマ化もされ、この度新たにミュージカルとして上演される。○■ミュージカル『この世界の片隅に』で音楽を担当したアンジェラ・アキ今回音楽を担当し、同作の楽曲を集めたアルバム 『この世界の片隅に』も発売するアンジェラは、アメリカの自宅スタジオからコメント映像を寄せた。「最初に上田さんの台本を読ませていただいた時に、もともと大好きだった原作の漫画の世界をこういう風に具体化するんだと、本当に感動したんです。読んだばかりなのに、目を閉じると舞台の上でどういうふうに繰り広げられていくのかがすごく見えてきて、自然にセリフとともに音も聞こえるぐらいすごくカラフルなわかりやすい台本だったんです」「そこから一つずつのシーン、曲に向き合いながら上田さんと細かいやり取りをして作り上げていって。実際ワークショップをして二十数人の方のお声とともに、客観的に聴けた時はもう本当に感動しました」とここまでの仕上がりを絶賛する。さらに「上田さんの脚本、本当にこの素晴らしい原作を舞台化する意味があるんだと強く思って、寄り添うような楽曲を作りたいなという気持ちで、このミュージカルに向き合いました」「全身全霊で込めて作りました。そして全身全霊を込めて、キャストのみんなと共に皆さんにお届けしたいと思うので、楽しみにしていてください」とメッセージを送った。脚本・演出の上田は「今回は私が台本を一通り書いた上で、皆さんと細かく打ち合わせをするところから始まりました」と説明。構成をもとにアンジェラが楽曲のメロディを作り、歌詞をアレンジ、デモを送るといった制作の流れがあったという。上田は「デモはご本人が歌を吹き込んでくれるのを、初めて聞くわけです。おおって思う。アンジェラ秋が歌ってる!と思うんでうsけど、日本語の細かいニュアンスだとか、楽曲的に必要なもの、何が1番伝えなきゃいけないことなのかというのを、お互いに細かく電話やメールでやりとりしながら、1曲ずつ丁寧に調整をかけていく形で、仕上がっていきました」と語った。実際に楽曲を聴いた昆は「なんて素敵な楽曲なんだろうと、心から思いました。アンジェラさんの作る、力強くも温かく寄り添うような楽曲が、この作品の世界観や温度感にぴったりハマるなと思いました」、大原は「学生時代から大好きで大ファンでもあるアーティストさんの一人だったので、曲を聴く前に『え、アンジェラさんが曲を作ってくださるんだ』とワクワクしてましたし、その上で楽曲聴かせていただいて、ワクワクを通り越してもうゾワゾワというか。本当に体の芯が震えるぐらい感動して、それから涙が出てきて、『絶対歌いたい』という思いがすごく強まりました」とそれぞれに思いを表す。海宝は「ポップスでずっと培っていらっしゃった感覚に、アメリカに留学して演劇の勉強をされていた演劇的な感覚との融合というか、今までのミュージカルとはちょっと違うカラーというか。日本を舞台にしてる作品も数多くない中で、すごく新しい感覚を受けた」と明かす。「とても美しくて繊細で、作品のみずみずしい感覚にマッチしている音楽だなと。お話する機会が何回かあったんですけれども、ワークショップでも俳優たちが表現したものや一豪さんが書いているものを受けてアグレッシブに作品に臨んでいらっしゃる言葉や姿を見ていて、表現する僕たち自身もしっかりと向き合って、演劇の中で音楽を表現しなければならないなと感じました」と気持ちを新たにした様子。また村井は「初めて聴いた時にとにかく『純粋だな』と思ったんです。本当にこの作品にぴったりな楽曲が、いきなり目の前に現れたので、完成形が正直見えちゃったというか。曲の力ってすごいなと思いましたし、アンジェラさんの語る優しい旋律、包み込んでくれるような楽曲が多くて、この歌を早く劇場で聴きたいなあとも思いながら。ダブルキャストだから『聴けるわ』と思いながら。素敵な楽曲です」と会場を笑わせていた。東京公演は日生劇場にて5月9日〜30日、北海道公演は札幌文化芸術劇場 hitaruにて6月6日〜9日、岩手公演はトーサイクラシックホール岩手 大ホールにて6月15日〜16日、新潟公演は新潟県民会館 大ホールにて6月22日〜23日、愛知公演は御園座にて6月28日〜30日、長野公演はまつもと市民芸術館にて7月6日〜7日、茨城公演は水戸市民会館 グロービスホールにて7月13日〜14日、大阪公演はSkyシアターMBSにて7月18日〜21日、広島公演は呉信用金庫ホールにて7月27日〜28日。
2024年02月21日アプリから始まる新感覚サスペンス・スリラー映画『マッチング』より、金子ノブアキ演じるプログラマー・影山剛の新たな場面写真がシネマカフェに到着した。金子さんが演じる影山は、マッチングアプリ「Will Will」(ウィルウィル)の運営会社で働くプログラマーで、主人公・輪花(土屋太鳳)がウエディングプランナーとして働く結婚式場とマッチングアプリの共同プロジェクトを通じて、輪花と出会う人物。アプリでマッチングした永山吐夢(佐久間大介)からのストーカー被害に悩む輪花は、影山に助けを求め、悩みの相談を通じて2人の距離は徐々に近づいていく。影山は輪花に思いを寄せ、彼女にふりかかる災厄を一緒に受け止め、支えになろうとする。今回公開された場面写真は、輪花が影山に相談をもちかけるという出会いのシーンや、古いもの好きな影山のリードで、名画座とレコード屋を巡るデートシーンがとらえられている。輪花の前では優しく温かく包み込むような表情の影山だが、鬼気迫る表情で食い入るようにPCを見つめる姿もあり、影山の“裏”の顔が垣間見えるようだ。内田英治監督と初タッグとなった金子さんは、キャスト発表時に「以前から内田監督と仕事をしたいと思っていたので、オファーをいただいてとても嬉しかったです」と念願の参加であったことを明かしていた。内田監督はそんな金子さんについて「金子ノブアキさんとは、あるセリフを腹に落とすために、かなり長く対話しました。難しい役どころを、ミュージシャンであるところも生かして、瞬間でため込んだ力を吐き出すように演じていただきました」と金子さんならではの演技を評している。『マッチング』は2月23日(金・祝)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:マッチング 2024年2月23日より全国にて公開©2023『マッチング』製作委員会
2024年01月31日土屋太鳳、佐久間大介(Snow Man)、金子ノブアキが共演する映画『マッチング』のメインビジュアルと場面写真が公開された。本作は、マッチングアプリによって増えた出会いの裏に仕掛けられた恐怖を、完全オリジナルで描く新感覚サスペンス・スリラー。メインビジュアルは、土屋さん演じる恋愛音痴な主人公・輪花の背後に、スマホ画面に写し出された輪花とマッチングアプリで出会う“狂気のストーカー”永山吐夢(佐久間さん)と、マッチングアプリ運営会社のプログラマー・影山剛(金子さん)が迫る一枚が完成。よく見ると、スマホの画面は“表と裏”、2つの顔が影のように写し出されている。また、初公開となる場面写真では、ウエディングプランナーとして働く輪花と同僚の尚美(片山萌美)の姿や、輪花のマッチングアプリのプロフィール写真など、物語の入り口となるアプリに関わる場面から、吐夢との水族館での初デートシーン、木の陰から薄気味悪い視線を送る吐夢、輪花と父・唯島芳樹(杉本哲太)が何かに警戒している姿など、次第に登場人物が不穏な空気に包まれていく様子が切り取られている。さらに、アプリ婚カップルを狙った不可解な連続殺人事件を追う刑事、西山(真飛聖)と堀井(後藤剛範)のバディや、差し迫った表情の輪花、輪花を抱き寄せる影山、赤いワンピースを着た車椅子の美知子(片岡礼子)と節子(斉藤由貴)も登場している。『マッチング』は2024年2月23日(金・祝)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:マッチング 2024年2月23日より全国にて公開©2023『マッチング』製作委員会
2023年12月20日アキ・カウリスマキが監督を務めた映画『枯れ葉』が、2023年12月15日(金)より公開される。引退宣言から6年、アキ・カウリスマキが復帰映画『枯れ葉』は、フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキが贈るラブストーリー。2017年『希望のかなた』のプロモーション中に突如“監督引退宣言”をしてから6年、名匠アキ・カウリスマキがファンを悲嘆に暮れさせた引退宣言を覆した。労働者3部作『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』に連なる新たな物語として発表された『枯れ葉』には、愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意など、「人類に未来をもたらすかもしれないテーマ」を込めたという。ヘルシンキで孤独に暮らす女と男のラブストーリー『枯れ葉』の主人公は、ヘルシンキの街で孤独さを抱えながら生きる労働者の女アンサと男ホラッパ。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も電話番号も知らないまま惹かれ合うが、不運な偶然と現実の過酷さによって、ささやかな幸福から遠ざけられてしまう。運命に振り回されながらも、想いを成就させようとする恋人たちの姿を描く。ノスタルジックなヘルシンキの風景や、現実とリンクした演出、自由自在な音楽の使い方、とぼけたユーモア、映画愛に溢れたディテール、そしてカウリスマキ映画には欠かせない名優“犬”の存在など、「愛を信じる」というテーマ以外にも見所満載の作品となっている。『TOVE/トーベ』のアルマ・ポウスティとユッシ・ヴァタネンがW主演主人公の女と男を演じW主演を務めるのは、『TOVE トーベ』でムーミンの作者トーベ・ヤンソンを演じたアルマ・ポウスティと、『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』で高い評価を得たユッシ・ヴァタネンだ。両名ともアキ・カウリスマキ作品には初出演となる。主人公・アンサ…アルマ・ポウスティ理不尽な理由から仕事を失う。カラオケバーでホラッパと出会い、互いの名前も、電話番号も知らないまま恋に落ちる。職場の不当な扱いに抗い、恋人の悪癖をきっぱりと諌める強さを持つ。主人公・ホラッパ…ユッシ・ヴァタネン酒におぼれながらも工場で働く労働者。酒浸りで周囲を心配させるが、どこか憎めない性格。アンサとの不器用な恋のはじまりのデートでジム・ジャームッシュのゾンビ映画『デッド・ドント・ダイ』を見に行く場面も。フータリ…ヤンネ・フーティアイネンリーサ…ヌップ・コイヴゴールデングローブ賞にノミネート尚、映画『枯れ葉』は国際映画祭の審査員賞、2023年国際批評家連盟の年間グランプリに輝き、第81回ゴールデングローブ賞の非英語映画賞と主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネート。賞レースの今後の展開にも注目だ。【詳細】映画『枯れ葉』公開日:2023年12月15日(金)監督・脚本:アキ・カウリスマキ出演:アルマ・ポウスティ、ユッシ・ヴァタネン、ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ原題:KUOLLEET LEHDET英語題:FALLEN LEAVES配給:ユーロスペース
2023年12月17日2017年に突然の監督引退宣言をし、世界中の映画ファンに衝撃を与えたフィンランドの巨匠アキ・カウリスマキ監督。それから6年が経った今年、何事もなかったかのように最新作『枯れ葉』とともにカムバックを果たして大きな話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。アルマ・ポウスティさん【映画、ときどき私】 vol. 624カウリスマキ作品初出演にして初主演を務めたのは、『TOVE/トーベ』でムーミンの作者トーベ・ヤンソンを演じて高く評価されたアルマさん。本作では、職場での理不尽や恋人の悪癖に毅然とした態度で立ち向かう孤独なヒロインのアンサを好演しています。今回は、カウリスマキ監督ならではの現場で驚いたことや日本との関わり、そして愛の奥深さなどについて語っていただきました。―ananwebでは、カウリスマキ監督の前作『希望のかなた』で主演を務められたシェルワン・ハジさんにも取材をさせていただいたことがありますが、「カウリスマキ監督の作品で主演を務めることは至高のうれしさと同時に恐怖もある」とおっしゃっていました。出演が決まったとき、アルマさんのお気持ちはいかがでしたか?アルマさんアキがまた映画を作るということだけでもみんな驚いていましたが、“フィンランドの巨匠”とされる彼から電話が来て「映画に出てほしいから会いたい」と言われたときは、本当にびっくりしました。私はアキの作品をずっと観てきましたし、彼が経営しているバーにも映画館も行ったことがあるくらい。つねに自分の人生のなかにいるような存在でしたから。だからこそ、この作品に出られたことを誇りに思っています。ただ、一度もお会いしたことがなかったので、会うまでは信じられない気持ちでしたし、最初はとにかく緊張しましたね。話し合いで重要だったのは、アスパラガス論争―実際の監督は、どのような印象でしたか?アルマさんとてもハートフルで、素晴らしい人です。家族のようなチームのなかに、温かく受け入れてくださって、貴重な経験ができたと思っています。アキはとにかく何に対しても正確で細かいところがありますが、すべてがうまく行くように進めてくださるので、私もベストを尽くすことができました。―憧れの人とのお仕事でプレッシャーを感じる部分もあったと思いますが、ご自身で何か準備をされたのでしょうか。アルマさん実は、アキからは「事前に稽古をしちゃダメ」と言われていたんです。なので、とりあえず彼の作品をもう一度全部観ることにしました。というのも、過去作のどれかに何らかの繋がりがあるかもしれないと思ったからです。とはいえ、それらを真似するつもりはありませんでしたが、準備ができない代わりにそういった方法を考えて挑みました。―なるほど。制作過程ではグリーンかホワイトかを巡るアスパラガス論争もあったそうですが、監督との印象的なやりとりがあれば、教えてください。アルマさんアスパラガスの話はけっこう重要なので、最初にお話ししますね(笑)。あれは、初めてアキとプロデューサーと同じく主演を務めたユッシ(・ヴァタネン)の4人で会ったときのこと。映画の話をまったくせずに、フィンランドの森や犬のこと、それから政治の話をしていたのですが、そのなかでも一番重要だったのがアスパラガスの話題でした。最終的には、アスパラガスサラダが劇中に登場するところまで繋がっていますから!これまで経験した現場のなかでも一番静かだった―つまり、そこで話していたからアスパラガスが映画にも使われたと。アルマさんジョークの意味合いもありますが、おそらくそうだと思います。―劇中ではホワイトアスパラガスのサラダが出てきますが、ということはホワイト派が勝利したのでしょうか。アルマさん実はまだ結論が出ていなくて、いまだにその話をしているくらいなんですよ(笑)。でも、映画に出てくるサラダは、ホワイト派のプロデューサー自身が作ったからホワイトになっています。私はグリーンのほうが好きなんですけどね!―サラダひとつにそんな背景があるとは驚きです。現場でもカウリスマキ監督ならでは演出などもありましたか?アルマさん私の人生で経験した現場のなかでも、一番静かな現場だったと思います。というのも、アキのチームは何十年も一緒に仕事をしているスタッフばかりなので、もはや話さなくてもわかる関係性。たとえば、口笛で合図するだけで誰かが動いたり、ほかの人にはわからない“秘密の合言葉”でうなずき合っていたりするようなとても不思議な現場でした。あと、アキは絵画を描くように構図を決めてから照明や小道具など時間をかけて作り上げていくタイプの監督なので、集中力の高さや細かいこだわりがとにかくすごかったですね。孤独と愛というのは、表裏一体だと感じている―今回、カウリスマキ監督が復帰した理由については、「無意味でバカげた犯罪である戦争に嫌気がさして、愛や連帯、希望などをテーマにした物語を描くことにした」と話されていますが、アルマさんは不器用な2人によるラブストーリーをどう感じましたか?アルマさん「他人を気遣う思いや相手にシンパシーを抱く気持ちには強い力があるんだ」という印象を受けました。小さな映画ではありますが、そこにはとても大きなヒューマニズムがあると感じています。最近は、人と人がお互いのことを気にかける思いやりをなくしてしまっているところもあるかもしれません。でも、たとえいろんな失望を経験していたとしても、どんなにシャイな人たちだとしても、愛と勇気を持って進んで行けば、将来に希望が見えることをこの作品は伝えようとしてくれているのだと思っています。―その通りですね。以前、『TOVE/トーベ』で取材させていただいた際、「いい意味で自分を見失うことができる愛には圧倒されるし、それこそが生きる力を与えてくれるものと考えている」と話されていました。本作を経て、愛に対する考え方にも変化はありましたか?アルマさん愛にはいろんな形があり、映画の世界でもラブストーリーは語り尽くせないテーマなんだなと改めて感じました。そして、孤独と愛というのは表裏一体であり、人生にはそういった二面性が存在しているとも思っています。アキは作品を通して日本のみなさんに手を振っている―劇中では、ワンちゃんとの間に生まれる愛情も描かれていますが、撮影でハプニングなどはなかったですか?アルマさん本作がデビュー作ですが、とても才能があっていいリズム感を持っているので、すべて上手くいきました。実は、もともとポルトガルで野良犬だったところをアキが見つけて、育てているワンちゃんなんですよ。なんと名前が私と同じアルマなので、そういったこともあってすごく仲良くなりましたね。―見事なコンビネーションでしたが、名前が一緒とは運命的ですね!また、以前「日本に行ってみたい」とおっしゃっていましたが、実際に日本に来てみていかがですか?アルマさん長い間、日本を訪れることを夢見ていたので、やって来ることができて本当に幸せです。ただ、今回は滞在が短いので、近いうちにまた戻ってこれたらいいなと。日本で知られているフィンランドの代表といえばムーミンのトーベ・ヤンソンとアキ・カウリスマキ監督ですが、彼らに導かれるようにして日本に来ることができたのも不思議な縁を感じています。―本作についても、カウリスマキ監督が小津安二郎監督に敬意を払っていると明かしているように、日本への愛が随所に散りばめられています。アルマさんそうですね。それはアキ流のジョークでもありますが、彼は作品を通して日本のみなさんに手を振っているのだと思いました。映画でも最初に流れる曲は、日本の「竹田の子守唄」ですし、劇中のあちこちに小津監督が好んで使っていた赤も印象的に置かれているほど。それが彼なりの日本に対しての挨拶だと感じました。好奇心を持ちながら、自分の道を見極めてほしい―細かいところまで、ぜひ注目していただきたいですね。それでは最後に、ananweb読者に向けて、メッセージをお願いします。アルマさん若いときは「あれもこれもチェックしなきゃ」と新しいものを追いかけようとしてしまうことってありますよね?私自身もそうでしたが、ある程度年齢を重ねてくると、「先人たちはどんなことをして、何を思っていたんだろうか」と考えるようになり、そこに価値を感じるようになることがあります。そんなふうに、ときにはちょっと立ち止まって振り返ってみると、おもしろい発見があることは伝えたいですね。あと、私はシェイクスピアが好きな祖母から、「愛を受けたいと思ったら愛を与えるべき」とよく言われていましたが、そういうところも大切かなと。30歳前後というのは、ちょうど人生の方向性を選ぶ時期であり、物事が深まっていくときでもあるので、好奇心を持ちながら自分の気持ちがどちらに向かっているのかを見極めてほしいなと思います。インタビューを終えてみて…。前回のオンライン取材では画面越しでも伝わるほど笑顔が素敵な印象でしたが、実際はさらに魅力的なアルマさん。取材中もお茶目なリアクションと満面の笑みをたくさん見せてくださり、とても癒されました。「日本に来れて2年越しのリベンジが果たせた!」とおっしゃっていましたが、直接お会いできてうれしかったです。ぜひ、本作でもアルマさんの演技に魅了されてください。悲痛な現実をはねのけるカウリスマキ流ハッピーエンドカウリスマキ監督のノスタルジックでユーモア溢れる世界観にふたたび浸ることができる本作。孤独を抱えながらも日々を懸命に生きる男女がたどり着く愛と希望に、胸が熱くなるこの冬必見のラブストーリーです。写真・園山友基(アルマ・ポウスティ)取材、文・志村昌美ストーリー舞台は、ヘルシンキの街。ある夜、理不尽な理由から仕事を失ってしまったアンサは、酒に溺れながらも何とか工事現場で働いているホラッパとカラオケバーで出会う。そしてふたりはお互いの名前も知らないまま、惹かれ合うようになる。ところが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざけてしまうのだった。果たしてふたりは、無事に再会を果たし、想いを通じ合わせることができるのか…。釘付けになる予告編はこちら!作品情報『枯れ葉』12月15日(金)よりユーロスペースほか全国ロードショー配給:ユーロスペース(C) SputnikPhoto: Malla Hukkanen(C) SPUTNIK OY 2023写真・園山友基(アルマ・ポウスティ)
2023年12月16日アキ・カウリスマキ監督最新作にして復帰作となる、孤独を抱えながら生きる女と男の心優しいラブストーリー『枯れ葉』。第81回ゴールデングローブ賞のノミネーションがL.A.現地時間12月11日に発表され、非英語映画賞と主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)に選出された本作から、大島依提亜デザインのオルタナティブポスターが解禁された。今年のカンヌ国際映画祭審査員賞、2023年国際批評家連盟の年間グランプリに見事輝き、アカデミー賞国際長編映画賞部門のフィンランド代表にも選出された本作。先日発表された、米タイム誌の「2023年の映画ベスト10」にてベスト1に選ばれたことでも注目を集めている。また本国フィンランドでは、動員20万人を超え(フィンランドの人口は約550万人)、カウリスマキ最大のヒット作『過去のない男』を超える動員数を記録、フランスやドイツでも大ヒットするなど各国で快進撃を続けている。この度解禁されたオルタナティブポスターは、米クライテリオン社の小津安二郎『お茶漬の味』『お早よう』のブルーレイジャケットのイラストも担当したイラストレーターの木内達朗とデザイナーの大島依提亜のタッグ。赤いワンピースを着て佇むアンサ(アルマ・ポウスティ)をホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)と飼い犬が見つめる様子が収められている。イラストを手掛けた木内さんは、「カウリスマキ監督が大事にされている、家具や内装や服装などの色が最大限に生きるように照明と配色とを考えました」と製作意図を明かす。大島さんは、「木内さんから上がってきた絵は、とうぜんながら自分のちっぽけな脳みそで考えていた想像の絵を遥かに凌駕していて、ポスターのデザイン中もドキドキしてました」とそのイラストに刺激を受けたとコメントした。また、先日、初来日を果たしたアルマ・ポウスウティは、「なんて美しいポスター!とても気に入りました」と喜び、「アンサの部屋のタペストリーまで描かれているのが面白いですね(笑)丘に山羊がいるでしょ? フィンランド語で山羊は“カウリス(kauris)”、丘は“マキ(mäki)”、ふたつ合わせるとカウリスマキ。映画の美術さんが仕込んだジョークです」と思わぬエピソードも教えてくれた。本編に登場する犬は、アキ・カウリスマキ監督の飼い犬で“アルマ”という名前だったことが明かされており、アルマ・ポウスウティは「名前を聞いて運命を感じました。彼女はとても演技が上手な犬で、間をしっかりと理解して演技をするんです!」と共演の思い出を語っていた。なお、本ポスターは上映劇場限定で販売も予定されている。各界の著名人からのコメントも到着NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本を務める足立紳は「カウリスマキ監督の作品を観たらいつも自己肯定感が爆上がりして活力がみなぎる」、『CUT』で知られるアミール・ナデリ監督は「アキ・カウリスマキの新作を観ることは、現在の世界の映画界ではめったにできない、真の宝物」と称賛。『あのこは貴族』の監督・岨手由貴子は「生活に困窮しながらも、アンサとホラッパの日常には音楽や衣服といった文化が存在する。そんなささやかで豊かな事実に、何度もハッとさせられた」(※フィガロジャポン2024年1月号より抜粋)、アニメーション作家の山村浩二は「カウリスマキの老練な『真の花』によって、私の心に花が開いた。世の中は少しも良くならないが、前向きに生きるしかない」とのコメントが寄せられている。『枯れ葉』は12月15日(金)よりユーロスペースほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:枯れ葉 2023年12月15日よりユーロスペースほか全国公開© Sputnik
2023年12月13日アキ・カウリスマキ監督の最新作『枯れ葉』で主演を務め、『TOVE/トーベ』などで知られるフィンランドの国民的女優アルマ・ポウスティが初来日。12月6日にアキ・カウリスマキ監督の大ファンである俳優・松重豊と先行上映のトークショーに登壇した。本作は、孤独を抱えながら生きる女と男が、人生で最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする心優しいラブストーリー。今年のカンヌ国際映画祭の審査員賞、2023年国際批評家連盟の年間グランプリに見事輝き、先ごろアカデミー賞国際長篇映画賞部門のフィンランド代表にも選出。本国フィンランドでは、動員20万人を超え(フィンランドの人口は約550万人)、カウリスマキ最大のヒット作『過去のない男』を超える動員数を記録、フィンランドのみならずフランスやドイツでも大ヒットするなど各国で快進撃を続けている。アルマは「こんにちはー!ありがとう!!」と日本語で満面の笑みを浮かべ、「実は今日はフィンランド106年目の独立記念日。そんな特別な日をカウリスマキ映画の雰囲気の中で皆さんとご一緒できて光栄です」と満席の会場に向けて挨拶。続いて、アキ・カウリスマキ監督の大ファンである松重さんが大きな花束を手に登壇。その髪型は、カウリスマキ監督の『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』にオマージュを捧げたリーゼントスタイルというこだわりぶり。「僕は自分が出ている映画の舞台挨拶にも行かない方ですが、アキ・カウリスマキ監督の作品ならば髪の毛をおっ立てても出たいと思った。とにかく大ファンで御座います」と熱弁すると、アルマはその髪型に「ファンタスティック!」と大笑い。松重さんは「アルマさんに笑ってもらえるなんて…幸せな気持ちです!」と語った。「短い中に物語が凝縮」松重豊が語るアキ・カウリスマキ監督の魅力約6年ぶりのアキ・カウリスマキ監督復帰作『枯れ葉』を先んじて鑑賞した松重さん。「引退すると言った人がもう一度作るというのは日本でもあることですが、よくぞ戻って来ていただいたと思った。そしてどんなテイストになるのかと思ったら、『パラダイスの夕暮れ』、『真夜中の虹』、『マッチ工場の少女』のいわゆる労働者三部作に連なるものだった」とコメント。「しかもアルマさんがカティ・オウティネンを上回る演技をされていて…魅了されました」と絶賛した。一方のアルマは「引退撤回を一番驚いているのはアキ監督自身だと思います。意欲的に盛り上がり、脚本も指が勝手に動いて書いた結果、労働者3部作に連なる4作目が生まれたそうです。そして監督業に戻ってきただけではなく、私たちのような新しい俳優を迎え入れて作ってくれたのも素晴らしいことだと思います」と述べた。松重さんは、アキ・カウリスマキ監督の作品の魅力について「世の中がわかりやすい作品を要求している中で、それとは逆行している作風ではあるけれど、81分という短い中に物語が凝縮されている。そこに置かれた役者の表現力は問われるものです。言葉で説明したり過剰な演技をしたりすることなく、一瞬一瞬の表現に満ち溢れている空間がアキ・カウリスマキ監督の作品。そこに触れることで僕らの信じる表現が世界のどこかにはまだあるぞと思わせてくれる」と熱弁した。“沈黙の巨匠”アキ・カウリスマキ監督の「ピュアで正直な脚本」そして松重さんは「今回の作品の脚本の分量はどのくらいですか?早口で喋れば日本だったら15分で終わるセリフ量ですよね?」とアルマに質問。これにアルマは「確かに、私の人生の中で出会った一番短いページ数の脚本でした」と笑わせつつ「でも珠玉の一冊であり、素晴らしい文学であり詩的で、慎重に選ばれた言葉が使われています。アキは沈黙の巨匠。一行のスーパースターだと思います。ちょっとした言葉にそのキャラクターの性格やヒントが散りばめられていて、足すことも引くこともできない。まさにピュアで正直な脚本」と明かす。「でもひとつだけ書かれていなかったのはウインクのシーン。あれは、撮影のときにアキが『やってくれ』と言ったんです」と笑顔で打ち明けると、松重さんは「これは貴重な話を聞けた」と大興奮。さらに、松重さんの興味は尽きず、俳優ならではの視点で「監督からは具体的にどんな演出や指示があるのですか?」と質問すると、「セリフは覚えるべきだが、読みすぎず練習や稽古はするなと言われました。そして撮影は基本的にワンテイクで終わります。俳優としてはとても怖いことですが、唯一のオンリーワンの瞬間がフィルムに焼き付けられます。それは二度と出来ないもの。すべてがワンチャンス」とアルマは明かす。「アキはカメラを覗いて、すべての配置を自分で動いて決めて、準備が揃うとカメラの横でアクション!と声をかける。モニターチェックも一切しません。なぜならば何が撮れているのかを把握しているからです」と巨匠の演出術に触れると、松重さんは「ワンチャンス…。その緊張感、僕も好きです!」と大喜び。今度はアルマが、松重さんに「日本でもワンテイクで撮影する監督はいますか?」と質問。これには「北野武さんなんかはそうです。テストというか、もう回していこうか…みたいな感じです」と答え、「テストを重ねて固まっていく芝居もあるけれど、一回しかできないものを切り取って映画が出来上がる方が僕はいい。究極的なことをいうと、ドキュメンタリーに近いものになればいいと思っている」と俳優としての理想像も告白した。最後に、松重さんはアキ・カウリスマキ監督作への出演も熱望。「もしそんなチャンスがあるならば、旅費から何から全部出してでも行きます。セリフなしだっていい!バーのウェイター役でも何でもいいから!」と前のめりになると、アルマも「松重さんはすでに髪型の準備も出来上がっているので、是非とも出演してほしいです」と太鼓判を押していた。また、来年6月には、『枯れ葉』の日本での公開を記念し、アキ・カウリスマキ監督が共同オーナーを務めている映画館「キノ・ライカ」への訪問やヘルシンキ近郊の撮影スポットめぐりなど、カウリスマキファンの心をくすぐる「キノ・ライカとアキ・カウリスマキの世界スペシャルツアー」が実施されると聞いた松重さんは、「スケジュール何とかならいかな」と本気で悩む様子も。まだまだ質問し足りないと漏らす松重さんに、アルマは「このような素敵な機会をありがとうございました。とても楽しかったです!」と感謝を伝え、大盛況のうちに舞台挨拶は幕を閉じた。『枯れ葉』は12月15日(金)よりユーロスペースほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:枯れ葉 2023年12月15日よりユーロスペースほか全国公開© Sputnik
2023年12月07日ヒット曲『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』『サクラ色』などで知られ、2014年より日本での活動休止していた、歌手のアンジェラ・アキさん。2023年11月22日に、日本での活動を再開することを発表しました。アンジェラ・アキ、10年ぶりに日本再始動!アンジェラ・アキさんは、2024年5月から日本全国で上演されるミュージカル作品『この世界の片隅に』の音楽を担当。全面的に音楽を手掛けたこの作品の発表に合わせて、日本での活動再開を発表することになりました。同年2月7日には、ミュージカルのために書き下ろし、自らリアレンジと歌唱をした楽曲『この世界のあちこちに』を配信リリースすることも決定。日本でのリリースは、2014年3月にリリースしたベスト盤『TAPESTRY OF SONGS -THE BEST OF ANGELA AKI』以来で、新曲としては2013年7月リリースのシングル『夢の終わり 愛の始まり』以来、約10年ぶりとなります。約10年ぶりの日本での再始動に関して、アンジェラ・アキさんは以下のようにコメントしました。この度、『この世界の片隅で』ミュージカルに音楽担当として参加させて頂く事になりました。ミュージカルの音楽作家になりたくて、10年前にアメリカの音楽大学に入学し、作曲を学び直しました。その学びの体験を経て、この素晴らしい作品に巡り会えた事を心から光栄に思っています。そして、この作品の発表をもって日本での活動を再開させて頂きます。シンガー・ソングライターとして曲を書くことと、ミュージカル音楽作家として曲を書くこと。その一番大きな違いは、視点です。シンガー・ソングライターとして曲を作るときは私の個人的な視点で書きますが、ミュージカルの場合はキャラクターの視点。そのキャラクターがどの場面で何を感じているのか、その視点になって、言葉ではなくまず音で考えてみる。そのときにどんな音が鳴っているのが正しいのかを探していく。難しいことではあったけれど、ものすごくやりがいを感じている自分がいました。ミュージカルは総合芸術。関わる全員が答えを探し、何度も書き直したりしながら一緒に作品を作り上げる。この喜び、この経験は、一回やって“楽しかったな”で終われるようなものではありません。私は日本語にこだわりながら、ミュージカル音楽を一生作り続けていきたい。そう思っています。アンジェラ・アキさんは、ミュージカル音楽作家になりたくて、アメリカの音楽大学で作曲を学び直していたとのこと。「日本語にこだわりながら、ミュージカル音楽を一生作り続けていきたい」という言葉からは、本人の強い意志を感じますね。ネットでは、アンジェラ・アキさんの日本再始動について、ファンからは歓喜の声が上がっています。・おかえりなさい。ずっと待っていました!・また日本で活躍してくれるなんて、本当に嬉しい!いつもアンジーの曲に支えられています。ライブがあったら行きたいな。・やったー!日本での活動、心から楽しみにしています。10年間アメリカで生活をしながら、さまざまな角度で音楽と向かい合ってきたというアンジェラ・アキさん。今後、パワーアップしたアンジェラ・アキさんが、素敵な音楽を届けてくれることを楽しみにしたいですね![文・構成/grape編集部]
2023年11月22日アンジェラ・アキが、東宝ミュージカル『この世界の片隅に』に音楽制作として参加することが決定し、10年ぶりとなる日本での活動再開を発表した。2005年シングル「HOME」でメジャーデビューし、2008年にリリースした楽曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」がプラチナディスクを獲得。15年が経った現在も卒業ソングとして日本全国で歌い継がれている。2013年には日本での活動停止を発表し、以前からの目標であったミュージカル音楽家になるべく2014年渡米した。活動再開として2024年2月7日(水) には、新曲「この世界のあちこちに」を配信リリースする。本楽曲は、ミュージカル『この世界の片隅に』の為に書き下ろした楽曲。ミュージカル本公演用に制作した楽曲をリアレンジし自ら歌唱したもので、言わば“ミュージカル音楽作家”として作った楽曲を、“シンガーソングライター”アンジェラ・アキが歌う作品となる。併せて、アンジェラ・アキよりコメントが到着した。■アンジェラ・アキ コメントこの度、『この世界の片隅で』ミュージカルに音楽担当として参加させて頂く事になりました。ミュージカルの音楽作家になりたくて、10年前にアメリカの音楽大学に入学し、作曲を学び直しました。その学びの体験を経て、この素晴らしい作品に巡り会えた事を心から光栄に思っています。そして、この作品の発表をもって日本での活動を再開させて頂きます。シンガーソングライターとして曲を書くことと、ミュージカル音楽作家として曲を書くこと。その一番大きな違いは、視点です。シンガーソングライターとして曲を作るときは私の個人的な視点で書きますが、ミュージカルの場合はキャラクターの視点。そのキャラクターがどの場面で何を感じているのか、その視点になって、言葉ではなくまず音で考えてみる。そのときにどんな音が鳴っているのが正しいのかを探していく。難しいことではあったけれど、ものすごくやりがいを感じている自分がいました。ミュージカルは総合芸術。関わる全員が答えを探し、何度も書き直したりしながら一緒に作品を作り上げる。この喜び、この経験は、一回やって“楽しかったな”で終われるようなものではありません。私は日本語にこだわりながら、ミュージカル音楽を一生作り続けていきたい。そう思っています。<配信情報>デジタルシングル「この世界のあちこちに」2024年2月7日(水) 配信リリース「この世界のあちこちに」配信ジャケットアンジェラ・アキ Official HP:<公演情報>ミュージカル『この世界の片隅に』ミュージカル『この世界の片隅に』ビジュアル原作:こうの史代脚本・演出:上田一豪出演:昆夏美/大原櫻子(浦野すず役Wキャスト)海宝直人/村井良大(北條周作役Wキャスト)平野綾/桜井玲香(白木リン役Wキャスト)音月桂(黒村径子役)ほか【東京公演】2024年5月会場:日生劇場【全国ツアー公演】2024年6月北海道公演:札幌文化芸術劇場 hitaru岩手公演:岩手県民会館大ホール新潟公演:新潟県民会館大ホール愛知公演:御園座2024年7月長野公演:まつもと市民芸術館茨城公演:水戸市民会館グロービスホール大阪公演:SkyシアターMBS広島公演:呉信用金庫ホール公式サイトこうの史代/コアミックス・東宝
2023年11月22日アキ・カウリスマキ監督最新作『枯れ葉』の公開を記念し、監督作品の特集上映が決定した。アキ・カウリスマキ監督最新作にして復帰作となる『枯れ葉』は、孤独を抱えながら生きる女と男が、人生で最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする姿を描く心優しいラブストーリー。随所に新しさを感じさせながら、お馴染みのとぼけたユーモアや抜群の音楽センスにもさらに磨きのかかった、いわばカウリスマキの集大成ともいえる作品となっている。監督自ら、「労働者3部作(『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』『マッチ工場の少女』)に連なる“第4作目”」と位置付ける本作には、『街のあかり』のヤンネ・フーティアイネンや『希望のかなた』のヌップ・コイヴ、そしてカウリスマキの愛犬が登場するなど、過去のカウリスマキ作品とのつながりも見られる。新たに解禁された場面写真からも、可笑しみと切実さに満ちたラブストーリーの様相が感じられ、これまでと同様、貧しい市民の悲喜劇を厳しくもユーモアに描くカウリスマキらしさが伝わってくる。さらに、本作の公開を記念して、ユーロスペースにてアキ・カウリスマキの過去作品を一挙上映する特集上映「愛すべきアキ・カウリスマキ」の開催が決定。デビュー作『罪と罰』から前作『希望のかなた』まで長篇17作品を一挙上映する。また12月9日(土)、10日(月)には35mmプリントでの特別上映も決定している。上映作品は、『罪と罰』、『カラマリ・ユニオン』、『パラダイスの夕暮れ』、『ハムレット・ゴーズ・ビジネス』、『真夜中の虹』、『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』、『マッチ工場の少女』、『コントラクト・キラー』、『ラヴィ・ド・ボエーム』、『愛しのタチアナ』、『トータル・バラライカ・ショー』、『レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う』、『浮き雲』、『白い花びら』、『過去のない男』、『街のあかり』、『希望のかなた』。本特集上映では『ル・アーヴルの靴みがき』の上映はないが、12月2日~ユーロスペースにて開催の「日芸映画祭 2023 『移民とわたしたち』」にて上映が予定されている(上映日:12月2日(土)10:30、12月8日(金)15:30)。また、長らく廃盤となっていたBlu-ray BOX「キートス!! カウリスマキ Part1&2」が12月6日(水)に再発売、Prime Videoチャンネル「シネフィルWOWOWプラス」、Amazon Prime Videoでは過去作品を配信中、ミニシアター系のサブスク「ザ・シネマメンバーズ」では12月より配信開始、さらにCS放送洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」では24年1月に6作品が放送される。『枯れ葉』は12月15日(金)よりユーロスペースほか全国にて公開。特集上映「愛すべきアキ・カウリスマキ」は12月9日(土)~2024年1月12日(金)よりユーロスペースにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:枯れ葉 2023年12月15日よりユーロスペースほか全国公開© Sputnik
2023年11月10日アキ・カウリスマキ監督最新作『枯れ葉』より日本版ポスタービジュアルと予告編が解禁された。『ル・アーヴルの靴みがき』『希望のかなた』などのアキ・カウリスマキ監督が監督引退を宣言してから6年。復帰作となる本作は、孤独を抱えながら生きる女と男が、人生で最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする心優しいラブストーリー。この度解禁された予告編には、アンサ(アルマ・ポウスティ)とホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)が徐々に距離を縮めていく様子が収められており、姉妹からなるフィンランドのポップ・デュオ「MAUSTETYTÖT(マウステテュトット)」の歌う楽曲「SYNTYNYT SURUUN, PUETTU PETTYMYKSIN(悲しみに生まれ、失望を身にまとう)」が、可笑しみと切実さに満ちた、最高のラブストーリーを盛り上げる。随所にカウリスマキ節ともいえるカットやセリフ回しが垣間見え、漂う哀愁が印象的な予告編となっている。併せて公開された日本版ポスタービジュアルでは、温かな灯りのもと、食卓で見つめ合うアンサとホラッパの印象的な写真と「愛を、信じる」というキャッチコピーを配置。デザインは、『過去のない男』以来、カウリスマキ作品を担当している大島依提亜が手掛けた。また、11月12日(日)16時30分~本作の先行上映が決定。チケットは11月1日(水)深夜0時より、ユーロスペースの公式サイトにてオンライン販売される。『枯れ葉』は12月15日(金)よりユーロスペースほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:枯れ葉 2023年12月15日よりユーロスペースほか全国公開© Sputnik
2023年10月31日