●山口県に新たな宇宙電波望遠鏡をつくるKDDIと山口大学は1月26日、KDDI山口衛星通信所にある大型パラボラ・アンテナを、衛星通信用から電波望遠鏡へ改造し、ブラックホールなどの宇宙観測研究に活用すると発表した。KDDIは2001年にも別の大型パラボラ・アンテナを国立天文台に譲渡しており、電波望遠鏡に改造され、現在は山口大学が研究に使用している。同大学では今回借用するアンテナと組み合わせることで「山口干渉計」を構築。日本最大級の電波干渉計として、ブラックホールなどの宇宙観測研究に挑む。今回は同日に行われた記者会見の模様から、KDDI山口衛星通信所の来歴や電波望遠鏡の概要、観測により期待される成果などについて見ていきたい。○見渡す限りのパラボラ・アンテナ、世界の通信を支える西の関門局KDDI山口衛星通信所は山口県山口市仁保中郷という、周囲を山に囲まれた、緑豊かな場所にある。敷地内には大小さまざまなパラボラ・アンテナが立ち並び、これらのアンテナによって、静止通信衛星「インテルサット」や「インマルサット」からの通信を受け止め、通信先へ中継する役割を担っている。KDDIは1963年(当時はKDD)に、茨城県に「茨城衛星通信センター」(当時は茨城衛星通信所)を開所し、日米間の衛星テレビ通信の中継を行っていた。開所直後、米国との衛星通信実験が行われた最中に飛び込んできたのが「ケネディ大統領の暗殺」という衝撃的なニュースだったことは、歴史の教科書に載るほど有名な事件である。しかし、同通信所は主に太平洋を挟んだ米国との通信用に造られたため、日本の西側にある欧州やアフリカなどとの交信はできなかった。そこで山口県に新しい衛星通信基地が造られることになり、1969年5月に開所したのがこのKDDI山口衛星通信センター(当時はKDD山口衛星通信所)である。山口県からであれば太平洋だけでなく、インド洋上空の衛星との通信もでき、また台風や地震などの災害に見舞われる可能性も少ないこと、さらに周囲を山に囲まれていることで通信にとって厄介な雑音も少ないことなどが、この地が選ばれた理由だという。その後、2007年に茨城衛星通信センターは閉所され、同所が担ってきた機能はすべて、この山口衛星通信センターに統合されることになった。現在では日本最大にして、世界でも有数の大きさをもつ衛星通信基地となっている。○衛星通信アンテナから電波望遠鏡へ山口衛星通信センター内には、合計で24基のアンテナが並んでいる。その中でもひときわ目を引くのが、アンテナの直径(口径という)32mと34mの大型パラボラ・アンテナである。32mの「山口第4アンテナ」は1979年に、34mの「山口第2アンテナ」は1980年に建設され、衛星テレビや国際電話、国際データ通信など、さまざまな通信を国内外へ中継し続けてきた。しかし現代では、海底ケーブル網が発達したことや、通信衛星の性能が上がり、より小さなアンテナでも通信ができるようになったことなどを受け、大型アンテナは衛星通信としての役目を終えることになった。しかし、アンテナそのものの役目はそこで終わらなかった。新たに「電波望遠鏡」として、第二の人生を歩み始めることになったのである。「望遠鏡で宇宙を見る」には、大きくふたつのやりかたがある。ひとつは市販の天体望遠鏡や、あるいはハワイにある「すばる」望遠鏡のように、可視光、つまり人間の目に見える光で観測する方法。そしてもうひとつが、赤外線やX線、ガンマ線、電波といった、人間の目には見えない電磁波で観測する方法である。天体はあらゆる電磁波を出しているため、可視光だけでは見えなかったことが、他の電磁波を使うと見えるようになる。電波望遠鏡では宇宙の天体からやってくる電波を捉える必要がある。一方、衛星通信用のアンテナも、宇宙の人工衛星からやってくる電波を捉えるように造られている。両者は受信機器など細かな点は異なるものの、設備をそのまま共有することができる。まず2001年に、山口第4アンテナの運用が終わり、国立天文台へ無償譲渡されることになった。その後、電波望遠鏡にするための改造が行われ、2002年から「第1電波望遠鏡」として運用が始まっている。現在は国立天文台との協定により、山口大学と共同で研究に活用されている。第1電波望遠鏡では、単体での観測はもちろん、国内や中国、韓国、台湾などにある他の望遠鏡との連携による観測も行われており、東アジア地域における観測の中核的な存在にある。これまで星が誕生する様子やブラックホールの観測が行われており、2011年には形成中の星の周囲にあるガスが、回転し、中心の星へ向けて落下している様子を検出することに成功している。そして山口第2アンテナもまた、2015年に運用を終えることになり、「第2電波望遠鏡」として活用されることになった。第2電波望遠鏡は単体でも運用されるほか、隣接する第1電波望遠鏡と連携することで「干渉計」という仕組みを構築でき、単一の望遠鏡では達成できないほどの高い能力で、宇宙を観測できるようになる。●「山口干渉計」の誕生へ○山口第2アンテナも電波望遠鏡に第2電波望遠鏡は1980年に山口第2アンテナとして建設され、インド洋上の静止軌道に配備された通信衛星「インテルサット」との通信で運用が開始された。その後約35年間にわたって、インド洋と太平洋上の静止衛星とを結んだ、国際電話や国際データ通信、国際テレビ伝送などの国際通信サービスで活躍した後、2015年に運用を終了した。そして山口大学の要望に応じ、昨年11月にKDDIと山口大学との間で第2アンテナの賃貸借契約が結ばれた。契約期間は今月から来年3月までの1年3カ月で、その後も必要に応じて更新が行われていく予定になっている。第2電波望遠鏡のアンテナの口径は34mで、これは国内第3位の大きさを誇る。その表面は432枚のアルミ製パネルで構成されている。内部にはセンサーとヒーターが内蔵され、雪などが積もると自動的にヒーターの電源が入り、雪を溶かすようになっている。また熱による膨張や収縮に対応するため、パネル同士の間は若干隙間が開けられている。高さは最大42mで、重量は430トン。電動モーターによって土台を360度回転させることができ、方位を自由に変えることができる。またアンテナの上下の角度(仰角)は0度から90度まで、こちらも自由に変えることができる。もっとも、衛星通信で使われていたころは、静止衛星は上空の一点でほぼ静止しているため、アンテナを頻繁に動かす必要はなかったので、電波望遠鏡になって初めて真価を発揮することになる。同大学の藤沢健太(ふじさわ・けんた)教授は、「ひとつの大学がこれほどの規模の望遠鏡を使えるというのは、あまり例が無いこと」と語る。あまり、というのは、実は茨城大学も、前述の閉鎖されたKDDI茨城衛星通信センターにあった大型パラボラ・アンテナの提供を受け、電波望遠鏡に改造して研究に使用しているためである。したがって山口大学と茨城大学とはお互いに仲間同士であり、またライバル同士でもあるという。今後は実際に電波望遠鏡に改造するために必要な、駆動部や受信機、電波信号分析システムなどの開発が行われることになっている。計画では今年中に工事を終えて観測を開始し、2017年にも何らかの成果を発表したいとしている。○山口干渉計第2電波望遠鏡ができたことによる最大の特長は、隣接する第1電波望遠鏡との共同で、「干渉計」という仕組みを構築することができる点にある。望遠鏡で対象を細かく見ようとすると、口径を大きくする必要がある。たとえば可視光を見る望遠鏡の場合、市販の天体望遠鏡でも高性能なものは筒の部分が太くなっており、ハワイにある世界最高性能の望遠鏡である「すばる」は8.2mもの口径をもっている。電波望遠鏡でも口径が大きいほうが、より遠くの天体を鮮明に見ることができる。では、直径34mの第2電波望遠鏡は、直径8.2mの「すばる」よりもはるかに良く見えるのかといえば、実はそうではない。そこには光と電波の波長の違いがある。電波のほうが波長が1000倍以上も長いため、仮に「すばる」と同じだけ細かく見ようとすると8.2m x 1000 = 8200mという、途方も無い大きさの口径が必要になってしまう。そこで、離れたところに置いた2基以上の望遠鏡を使い、同じ対象を同時に観測する「干渉計」という仕組みを使うことで、単一の望遠鏡では到底実現不可能な大きさの口径を、擬似的に作り出すことができる。山口大学では、第1電波望遠鏡と第2電波望遠鏡で干渉計を構築。「山口干渉計」と名付け、これまで誰も見たことがない宇宙の姿の解明に挑む。もっとも、第1と第2電波望遠鏡の間の距離は110mほどと近いため、角度分解能(どれだけ細かく見られるかを角度で示したもの)は小さい。しかし、周波数に対して連続的に放射強度が変化している「連続波天体」に対する感度はとても高くできるという特長をもっている。おおまかな数字で言うと、第1電波望遠鏡だけで観測したときと比べ、100倍近い感度で観測できるようになるという。藤沢教授はこの性能向上について、「たとえば星が爆発している様子などは、これまで第1電波望遠鏡だけでは見られなかった。それが感度が100倍になることで捉えることができるようになり、またブラックホールなどの観測でも新しいものが見えてくるだろう。また、今まで見られなかった天体も見えるようになる。とにかくいろいろ見えるようになる」と語る。藤沢教授らが着目しているのは、天体の明るさが短時間に大きく変化するような「爆発現象」である。その中でもとくにブラックホールに興味があるという。ブラックホールとは、星が爆発したあとに残される小さいながら重力の大きな天体で、その重力で光をも吸い込んでしまうことから「ブラックホール」と呼ばれており、研究者から大きな注目を集めている。しかしブラックホールは、この天の川銀河の中に100万個から1億個ほどあると考えられているものの、これまで見つかっているのは50個ほどに過ぎない。これを山口干渉計で探査し、より多くのブラックホールが見つけたいという。藤沢教授は「ブラックホール研究に新しい流れを作りたい」と意気込みを語った。ただ「ブラックホール」を見つけたいとは思うものの、最初から狙ってうまくいくかどうかはわからない。そこで手堅い研究対象として、星の表面の爆発現象の観測も行いたいという。例えば、太陽は常に一定の明るさで眩しく光っているように見えるが、実はときどき表面で大爆発が起こることがある。これがなぜ起こるのかは完全にはわかっていないが、近年の研究で、電波を使って観測することでより顕著に見えることがわかっており、山口干渉計でもこの現象に着目し、研究をしていきたいとしている。○KDDI山口衛星通信センターは一般の見学も可能KDDIグローバルネットワーク・オペレーションセンターの河合宣行(かわい・のぶゆき)副センター長は「第1電波望遠鏡と合わせて観測が行われることで、今後の世界的な天文研究へ貢献することができる。また地元山口大学の要望に応えることにより、当社の地元貢献に寄与することもできる。当センターの30m級アンテナは国内でも有数の施設であり、施設見学に来られるお客さまにとっても魅力的な価値の維持、向上につながる」としている。なお、KDDI山口衛星通信センターは一般公開されており、アンテナの近くまでは入れないが、遠目からでもその迫力は十分に伝わる。また、センター内には広報施設「パラボラ館」もあり、KDDIによる衛星通信や海底ケーブル通信への取り組みの歴史や現状、技術の仕組みなどについて学ぶことができるようになっている。牧尾さんは「電波望遠鏡による観測結果や成果についても、パネルなどを置くコーナーを設けることで、子供たちに宇宙のこと、電波のことの関心を高めていただけると期待している」と語った。【参考】・KDDI、衛星通信用のパラボラアンテナを活用して山口大学の宇宙観測研究に協力・KDDIパラボラ館・宇宙電波観測センター > 山口32m電波望遠鏡・2015年度VERAユーザーズ・ミーティング@水沢 山口干渉計 藤沢健太(山口大学)・電波干渉計のしくみ - アルマについて - アルマ望遠鏡 国立天文台●写真集
2016年01月29日マスプロ電工は1月14日、右左旋円偏波信号を同時に受信できるBS/110度CSアンテナを発表した。右旋円偏波で送出されているBSデジタル放送と110度CS放送に加え、左旋円偏波で送出される4K・8K衛星放送を受信できる。総務省が2015年7月に発表したロードマップによると、2017年に110度CS左旋円偏波で4K試験放送、2018年にBS右旋円偏波および110度CS左旋円偏波で4K実用放送、BS左旋円偏波で4K・8Kの実用放送が開始される。このたびマスプロ電工が発表した新製品は、従来のBS/110度CS放送で使用されてきた右旋円偏波信号と、今後4K・8K放送で使用される予定の左旋円偏波信号を同時に受信できるアンテナ。受信周波数は11.7~12.75GHz。受信した信号を1,032~3,224MHzに変換して出力することで、1本の同軸ケーブルで複数の部屋へ配信できる(別途、分配器や直列ユニットといった3,224MHz対応のテレビ受信機器が必要)。アンテナ利得はBSが33.8dB、CSが34.2dBとなる。雑音指数は0.45dB。ただし、スカパー! プレミアムサービスは受信できない。45cmタイプの「BC45RL」、BC45RLにアンテナ取り付け金具などをセットにした「BC45RL-SET」、60cmタイプの「BC60RL」、75cmタイプの「BC75RL」、100cmタイプの「BC100RL」、120cmタイプの「BC120RL」の6製品をラインナップ。1月下旬から順次発売。一般家庭で多く使われる45cmタイプは2月初旬に発売される。45cmタイプの2製品はオープン価格で、推定市場価格はBC45RLが15,000円前後、BC45RL-SETは16,000~17,000円前後。そのほかの希望小売価格はBC60RLが90,000円、BC75RLが118,000円、BC100RLが190,000円、BC120RLが257,000円(いずれも税別)。
2016年01月16日ビートソニックはこのほど、トヨタ自動車の新型「シエンタ」に対応した「ドルフィンラジオアンテナ タイプ9(FDA9T)」を30日に発売すると発表した。新カラー4色を追加発売することで、新型シエンタの全色をラインナップする。同アンテナは車種専用設計となっており、対応車種にジャストフィットする外部突起規制対応のFM/AM用ドルフィンアンテナ。取り付けは、純正ポールアンテナが装着されているアンテナボス部にケーブルを接続し、同アンテナをかぶせて両面テープで止めるだけ。立体駐車場や洗車機でアンテナを外したり、倒したりする必要はない。塗装には、新型シエンタの純正と同色・同等品質の塗料が使用されており、新発売の4色「グリーンマイカメタリック」「ヴィンテージブラウンパール クリスタルシャイン」「エアーイエロー」「レッドマイカメタリック」を含め、新型シエンタに対応する全色が用意されている。仕様としては、FMの受信周波数が76.0MHz~90.0MHz、AMが530KHz~1,710KHz、アンテナ形式はヘリカルアンテナ、外形寸法はW211mm×D99mm×H68mm。価格は1万2,420円(税込)。新型シエンタは、トヨタ自動車が7月9日に発売した"ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン"。従来の四角いハコ型というミニバンの概念を打ち破るスポーティなエクステリアが特徴で、カジュアルな印象の新規開発色「エアーイエロー」を含む全8色のボディカラーを設定している。
2015年08月28日シャープは8月19日、米Kymeta Corporation(カイメタ)と共同で、新たな方式のフラット型衛星アンテナを開発すると発表した。開発するフラット型衛星アンテナは、従来のパラボラアンテナと同等の送受信性能を有しながら、可動部品なしで衛星を追尾でき、信頼性が高く薄型で軽量のため、車や船舶、航空機などの移動体に容易に設置することができる。同アンテナはカイメタが開発したmTenna技術を採用し、衛星との送受信に必要な回路を形成したガラス基板に、もう1枚のガラス基板を重ねた基本構造となっている。液晶ディスプレイの構造に近いため、シャープが保有する液晶用の生産ラインを用いた開発や試作が可能だという。また、民生に向けて培った生産プロセスにより、シャープが見込む同アンテナの旺盛な需要に十分対応できるとしている。
2015年08月19日アンテナハウスは4月17日、PDF表示機能をAndroidアプリへ組み込めるライブラリ「Antenna House pdfview」の販売を開始した。同ライブラリでは、PDFファイルをビットマップ画像に変換することにより、PDFファイルの表示・閲覧機能やテキスト検索の機能をAndroidアプリケーションへ組み込むことができる。同ライブラリはネイティブコードで開発されており、インターフェース(API)はC言語の関数の形式で提供される。また、Java言語で使用するサンプルとして、簡易ビューアのソースコードおよび実行ファイルが付属する。対応プラットフォームは、Android 4.0.4~4.4.4。なお、同ライブラリには評価版が用意されており、購入前に機能を試すことができる。
2015年04月17日三菱電機は4月8日、第5世代移動通信方式(5G)基地局向けの技術検証として多素子アクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ(APAA)の試作機を開発したと発表した。5Gでは急増する無線トラフィックに対応するため、周波数利用効率を高める必要がある。その実現に向けてカギとなる技術の1つと考えられているのが、多素子アンテナを用いて複数のビームを形成・多重化し、空間の利用効率を高めるマルチビームフォーミング技術である。同試作機は、多素子アンテナを用いた4つのビームによる空間多重を実現したほか、垂直・水平方向の2次元ビーム走査が可能となっている。周波数帯は現在のセルラー移動通信の上限である3.5GHz帯を使用している。なお、同日よりニューヨークで開催される「Brooklyn 5G Summit」においてNokia Networksと共同で同試作機を用いたマルチビームフォーミング技術のデモを実施し、4ビームの特性を確認するとしている。
2015年04月08日DXアンテナは12月1日、同社の映像機器ブランド「DXブロードテック」から、ブルーレイディスクプレーヤー「DXBP2」を発売した。A4サイズと同程度の面積に設置できる。価格はオープンで、推定市場価格は税別10,800円だ。DXBP2は、本体サイズがW28×D20×H4cmで、設置面積がA4用紙に収まるブルーレイディスクプレーヤー。前面にはUSB端子を備えており、別売のカードリーダーを使用すればSDメモリーカードに保存されたAVCHD形式の動画、JPEG形式の静止画をテレビで楽しめる。再生可能なディスクはBDビデオや、DVDビデオ、音楽CDなど。SD映像をフルHD(1080p)相当にアップスケーリングする機能、超解像機能、ノイズリダクション機能を搭載。出力端子はHDMI×1基。重量は1kg。リモコンが付属する。
2014年12月01日慶應義塾大学は11月27日、1素子の受信アンテナで多入力多出力方式(MIMO)伝送を行う実験に成功したと発表した。同成果は同大学大学院理工学研究科の矢部達郎氏、同 土井寿人氏、同 松岡暉氏および同理工学部電子工学科の眞田幸俊 教授らの研究グループによるもの。12月1日より開催される「International Symposium on Intelligent Signal Processing and Communication Systems 2014で」内容が発表される。従来のMIMOシステムでは、複数の送信アンテナで並列に信号を送信し、同数のアンテナで受信することによって通信速度を増加する。これに対し、同研究グループは、通信速度を維持しながら受信アンテナ数と受信回路を削減する信号処理方式を開発。それをソフトウェア無線機に実装し、実証することに成功したという。受信アンテナ数を削減することによって、無線受信システムのサイズを小型化し、メガネ型ウェアラブル端末などへ搭載することが可能となる。また受信回路の削減は省電力化につながる。同研究グループは、今後はより多くのアンテナからの無線信号の受信に対して、特性劣化を抑えながら受信アンテナ数を削減する方式を検討していくとしている。
2014年11月28日KDDIとKDDI研究所は11月13日、従来より通信性能を2倍に高めたLTE-Advanced基地局向け小型アンテナの開発に成功したと発表した。同社によると従来と同等サイズで、これまでと比較して2倍の通信速度を実現可能にした4MIMO方式アンテナ開発は、世界初だという。このアンテナは、基地局の設置条件が厳しい都市部において、従来と同等のスペースを活用して通信の高速化を実現するために開発した。4つの信号を同時に送受信できる4MIMO方式に対応し、今後本格普及が見込まれるLTE-Advancedおよび3.5GHz帯を活用した第4世代移動通信システム等での活用が期待できる。これにより、景観を損ねることなく、通信需要の増加に応える次世代通信網の構築が可能となる。KDDIとKDDI研究所は、アンテナの効果を検証するため、東京都千代田区、大阪府大阪市、宮崎県日南市でのフィールド実験を実施し、従来の2MIMO方式アンテナ2本分相当の通信性能を確認した。両者は今後、このアンテナの実用化検討を進めるとともに、快適な通信環境の整備に向けて最新技術の研究・開発に取り組んでいく。
2014年11月14日DXアンテナは8月4日、「DXブロードテック」ブランドの液晶テレビ「LVW32EU3」「LVW28EU3」「LVW24EU3」を発表した。発売は8月8日。価格はオープンで、推定市場価格はLVW32EU3が42,800円前後、LVW28EU3が37,800円前後、LVW24EU3が34,800円前後(いずれも税別)。3製品は、外付けのUSB HDDへの録画機能を搭載した液晶テレビ。内蔵しているチューナーは、地上/BS/110度CSデジタル×2基。1基は番組視聴専用で、もう1基は番組録画専用。視聴している番組とは関係なく、別チャンネルの番組を録画することができる。なお、録画モードは標準モードのみ。液晶パネルの表示画素数は1,366×768ドット。視野角は上下左右とも178度(LVW24EU3のみ176度)。CM時に音声レベルが上がるのを抑える「ぴったり音量」機能や、簡易サラウンド機能の「DTS TruSurround」、放送中の番組を一時停止する「静止画」機能などを搭載する。入力インタフェースはHDMI×3系統に、D4映像入力×1系統、映像入力端子×1(音声入力端子はD4と映像入力で共通)。HDMI端子はPC映像入力端子としても使用可能で、その際に使用するPC音声入力端子も装備する。出力インタフェースは光デジタル音声×1系統、ヘッドホン×1系統を装備。そのほかに、USB×1基、LAN端子×1基を装備する。本体サイズは、LVW32EU3がW734×D180×H480mm、LVW28EU3がW640×D180×H432mm、LVW24EU3がW577×D140×H394mm。質量は、LVW32EU3が約5.9kg、LVW28EU3が約4.8kg、LVW24EU3が約3.5kg(いずれもスタンド込み)となっている。消費電力はLVW32EU3が50W、LVW28EU3が43W、LVW24EU3が42Wで、年間消費電力量はLVW32EU3が55kWh/年、LVW28EU3が49kWh/年、LVW24EU3が44kWh/年。
2014年08月04日DXアンテナは6月23日、強電界地域向けの室内用テレビアンテナ「US120」を発表した。発売は7月1日で、希望小売価格は6,800円(税別)。室内アンテナは、電波がやってくる方向に向けることで受信感度を上げることができる。しかし、平面タイプの室内アンテナでは、設置スペースによっては向きを変えられないこともある。US120は「お部屋のアンテナも美しく」をコンセプトに作られた室内アンテナ。円筒形のフォルムが採用されているため、設置スペース内で電波を受けやすい方向に向きを変えやすい。新開発したローノイズブースターを内蔵。ブースターの利得は15~20dBで、同社の従来機の10~19dBよりもアップ。受信性能は1.6倍に向上している。本体サイズはW85×D85×H205mmで、質量は0.17kg。電源はACアダプター(5V/500mA)となっている。
2014年06月24日DXアンテナは3月18日、地上デジタル放送用平面アンテナ「UAH810」の新色「スーパーブラック」を発表した。4月1日より発売を開始する。価格はオープン。平面アンテナは、家の外壁やベランダに直接取り付けるため、屋根の上に設置する八木アンテナに比べて、そのデザインやカラーに気を配るユーザーが多い。UAH810は、地上デジタル放送受信用平面アンテナ「DIGICATCHFLAT(デジキャッチフラット)」シリーズの1モデルとして2012年4月に発表された製品。W225×D113×H510というコンパクトサイズながら、7.8~9.7dB(標準値)という、八木アンテナ20素子相当の高利得を特徴としている。これまではオフホワイト、ライトブラウン、ブラックブラウンの3色がラインナップされていたが、今回のスーパーブラックが加わることで計4色となった。4色のカラーバリエーションは、地上デジタル放送用平面アンテナとしては最多となる。
2014年03月18日