変則的なバウンドが脳と神経を刺激する、サッカー上達につながるボール。サカイクが開発・販売する「テクダマ」です。2号球の大きさながら4号球の重さが持つボールで、独自のバランス設定により、不規則なバウンドや回転をするのが特徴です。様々な大会でタイトルを獲得し、関西屈指の強豪として知られる兵庫県神戸市の「センアーノ神戸」では、選手が自主練などで活用しているので、使ってみた感想を選手たちに聞きました。記事の最後で実際に使っている動画を紹介しております。ぜひ参考にしてみてください。(取材・文:森田将義コメント動画:浅尾心佑)テクダマを数か月使ってみた感想をセンアーノ神戸の選手たちに聞きました頭も技術も鍛えるボールTEKUDAMA(テクダマ)の詳細はこちら>>関連記事:高校年代の選手も翻弄?サッカーが上手くなる魔法のボール!?昌平高校サッカー部が「TEKUDAMA(テクダマ)」を使ってみた■数十センチのズレに対応する力がつく、反応をよくするのに格好のボールテクダマでトレーニングすることで、試合の中での数十センチの動きに差が出てくると語ってくれた田代コーチ6年生を担当する田代浩樹コーチにテクダマの感想を聞いてみたところ、「選手が使う前に僕が使ってみたのですが、上手く行かない。デモンストレーションも上手くできなくて赤っ恥をかきました(笑)」と最初は大人でも上手く扱えなかったことを明かしてくれました。そのうえでテクダマを「ボールの回転やバウンドが不規則なので、小学生に向いています。イレギュラーなボールに対する反応は慣れておいた方が良い」と評価してくれています。センアーノの選手は、ドリブルやリフティングといった個人練習や、2人組での対面パスなどでテクダマを使用しているそうです。最初は不思議なバウンドをするテクダマに驚いた様子を見せながら、蹴り始めると楽しむ選手が多いと言います。「テクダマを使うと反応が変わると思います。サッカーはほんの数十センチの動きが大事。相手よりも速く反応して先にボールに触ったり、こぼれ球に反応するので、ほんの数十センチで勝ち負けが変わります」(田代コーチ)▼センアーノ神戸選手達のコメントはこちら!■いろんな方向にボールが飛んでいくので頭を使いながらプレーする実際に使用している選手にも話を聞いてみました。一人目はベルギー代表のケヴィン・デ・ブライネ選手に憧れる池澤崇斗くん(いけざわ しゅうと・6年生)です。「テクダマは自主練で使っています。ドリブルとかリフティングで使っています。重心が色んな所にあってブレるので、リフティングをする時は考えながらやっています。使ったことでパス精度が良くなった気がします。みんなでゲームをする時にテクダマを使うと上手くなれそう。いろんな方向にボールが飛んでいくので、頭を使いながらプレーするようになると思います」■跳ね返る場所がわからないから、瞬発力や反射神経を鍛えるのに良い2人目は「スルーパスが得意。シャビ・エルナンデスやチアゴ・アルカンタラ、モドリッチが好きです」と話す石田大翔くん(いしだはると・6年生)です。「センアーノの練習に加えて、自主練も週に2回ぐらいしています。テクダマは壁あてで使っています。跳ね返る場所が分からないので、瞬発力や反射神経を鍛えるのに良い。あとは友だちとの遊びでサッカーテニスをやっています。跳ねる場所が分からないので、みんなで楽しく遊んでいます。僕は結構使っているから慣れているけど、他の子は使ったことがない。大抵は僕が勝つので"ズルい"とか、"このボール面白い!"みたいな反応が多いです(笑)。相手が自分の目の前でボール触った時、軌道が変わった時もテクダマを使ったことによって反応できるようになりました。リフティングが結構難しいので、頑張ってできるようになってきました。重心が真ん中にないから、すぐ反応できるよう蹴った後はすぐ動けるように準備しています」■イレギュラーな回転がかかったボールにもすぐ対応ができるようになった最後は「プロになるために、強いチームでやりたいと思って、センアーノに来ました」と話す磯野蓮くん(いその れん・6年生)です。「上手くなるためにコーンドリブルやリフティングを頑張っています。テクダマでリフティングをする際に軸がズレる。普通では行かないところに飛んで、反射神経が鍛えられます。普通なら真上に行くのに、斜め前とかに行って、最初は動くのが難しかった。ボールを蹴ってから、次に蹴るためにボールを見たり、準備をするようにしています。変な回転がかかったボールにすぐ対応できるようになりました。試合ではたまに変な回転をするボールが来る時があるので、早く動けるための準備をするのに良い。友だちとはリフティングパスで使いました」半年間テクダマを使用する選手の反応はいずれも上々。今後もすくすく成長するセンアーノの選手たちに欠かせないボールになりそうです。▼センアーノ神戸の選手たちがテクダマを使っている様子はこちら頭も技術も鍛えるボールTEKUDAMA(テクダマ)の詳細はこちら>>
2023年02月07日サカイクがお届けする『親子で遊びながらうまくなる!サッカー3分間トレーニング』。今回は特にサッカー初心者が悩む「イレギュラーな動きに咄嗟に反応するのが苦手」を克服するトレーニングをご紹介します。試合中はボールがイレギュラーバウンドしたり、相手にぶつかって方向が変わるなど、様々な要因で咄嗟に反応しなければいけない場面が多々あります。しかし、サッカーを始めたばかりの初心者にはイレギュラーな動きとはどんな動きがあるのか、相手に当たって方向が変わるのはどんな状況か、経験がないので想像できず瞬時に身体を反応させることが難しいもの。このトレーニングは遊びを通して楽しみながら行うことで、試合の中で自分の思った所とずれたところにボールが来ても素早く反応して対応できるようになります。親は難しい動きはありません。【やり方】1.親がボールを持って立ち、子どもは後ろ向きで足踏みをする2.手をたたくなどの合図で子どもは振り返り、そのタイミングで親は子どもの足元左右どちらかにボールを転がす3.子どもは正面で受け止められる所に移動し、足元で止める4.慣れてきたらボールをバウンドさせたり、転がすスピードを上げて難易度アップ【トレーニングのポイント】・ボールの行く先に身体を移動させる・ボールを身体の正面でとらえる・足先で受けると上手くコントロールできないので、しっかり正面でボールを受ける・力まずリラックスして行う・慌てずゆっくり、慣れてきたらリズム良く行う・失敗しても気にせず、親子で楽しみながら行う次回もサッカー初心者のお悩みに応えるトレーニングをお届けしますのでお楽しみに!お父さんコーチに役立つ練習メニューを公開中>>
2022年04月18日昔の子に比べると技術がありスマートなプレーをする子が多いが、平たんでないでこぼこピッチだと一気にプレーの質が落ちる。バランスを崩して転びやすくなる子も多くイレギュラーバウンドへの対応力がない。練習環境が良すぎる日本の環境が原因?遊びを取り入れながら、足場の悪い環境でのトレーニングもしたほうがいい?というご相談をいただきました。皆さんのチームではどうですか?今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外の育成環境の事例やJクラブトレーナーの言葉をもとにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<「元日本代表が教える」というのが売りのスクールで、新米女性コーチに保護者から不満の声。保護者を納得させる方法を教えて<お父さんコーチからのご質問>こんにちは。私は街クラブで教えている保護者コーチです。指導年代はU-10~U-12です。ご相談したいのは、足場の良くない場所での練習についてです。最近の子どもたちは、昔に比べて粗削りな選手が少なく、みんなスマートで上手な動きをしますが、それは整備されたピッチの上でのことであり、グラウンドコンディションが良くないところでのプレーだと一気に質が下がります。バランスを崩して転ぶことも増えます。静止した状態のリフティング練習と一緒で、きれいで平らなグラウンドでの練習だけではボールがちょっとずれたときの調整力など、試合で咄嗟の時に使う技術がなかなか身につかない気がしてます。もちろん今サッカーを楽しんで中学以降も続けてくれることが一番なのですが、今どきの子は細身で体幹が弱く、相手に当たられるとグラつく子も多いので、サッカーの時間の中で身体を強くする要素も入れられたらと思っているのです。海外ではデコボコのピッチが当たり前で、イレギュラーバウンドしたボールに食らいつくのでボディコントロールも上手になると聞くのですが、やはり練習環境が良すぎることの弊害などもあるものでしょうか。砂浜など足場が不安定な環境で、遊びを取り入れたトレーニングなども考えているのですが、池上さんはどう思われますか。<池上さんのアドバイス>今の子どもたちが育つ環境を考えると、野山を駆け巡るようなものではありません。サッカーコートは土か人工芝の整備されたところのみですね。彼らの遊び方も同様です。自然の中で走り回るとかではありません。私たち世代の子ども時代は鬼ごっこが遊びの中心でしたが、今はテレビゲームなど「静的な遊び」が多いようです。しかも、地方と都市部の違いはもうあまりなく、遊び方や環境は昔とは少し違います。とはいえ現実は受け入れるしかありません。■神経系が発達する幼少期は生活の中でいろんな動きができるのが理想神経系がどんどん発達する幼少期は、山を登ったり、坂を下ったり、飛んだり跳ねたりと、生活の中でいろんな動きができるのが理想です。サッカーのトレーニングのなかに「コーディネーション」と呼ばれる体をなめらかに動かすための練習を取り入れてもいいでしょう。そのあたりは、検索すれば動画サービスでもいっぱい出てきます。そういうものを取り入れてはどうでしょうか。イングランドは、育成年代のトレーニングにクロスカントリーを取り入れたりしているようです。地面に凹凸があるので、足首を鍛えることにはなりますね。ただし、大人がそういうところばかりに気をとられ、ストイックになりすぎてしまうのもどうかと思います。もちろん砂場の練習が悪いわけではないけれど、子どもたちにはサッカーをする時間は限られています。考え方は間違ってはいないと思いますが、そのことにあまり執着する必要はないでしょう。■「ズレが生じる」ようなリフティング環境を用意して、対応力を養う南米は主に芝のグラウンドを使います。地面に凸凹があっても芝生が生えていることでクッションになっているので、足がかかったりするなどイレギュラーなことは起こりません。以前、ジーコが「人工芝なんてグラウンドではない」と話していると聞いたことがあります。その一方で、オランダは「小学生の間は人工芝でやりなさい」とオランダサッカー協会が推奨しています。小学生までは良い環境で、きちんとした技術を身につけることが必要だという考えです。ご相談者様がおっしゃるように、子どもたちがバランスを崩すようならば、まずはコーディネーションのトレーニングを取り入れてみてください。加えて、静止した状態で行うリフティングは試合で使わない技術なので、例えば走りながらやったり、二人で前に進みながらパス交換しながらリフティングをするような練習をしましょう。ひとりでやるリフティングは、ほぼ予想した通りのところにボールが落ちてきますが、二人で行うとズレが生まれます。とっさに動く体の対応力も養えるでしょう。■どこに跳ねるかわからないボールで瞬発力を向上させるもうひとつの方法は、リアクションボールを使う練習です。リアクションボールは「凸凹がついたボール」です。サカイクを運営するE-3のショップで販売している「テクダマ」も、サッカー専用に開発されたリアクションボールの一つです。リアクションボールはどこに跳ねるかわかりません。そのボールをワンバウンドさせてみたり、投げてキャッチするトレーニングを行います。ボールがどこにいくかわからないので、瞬発力の向上に役立ちます。ダイレクトでキャッチするのではなくて、まずは「ワンバウンドで取ってね」と言ってワンバウンドしたボールをとってもらいます。そうすると、子どもはだんだん構え始めます。「腰を低くしろ」とか「構えろ」などとあらかじめ大人が教えてはいけません。本人たちがそれをやり始めたところで、「パスが来る時にそういう構えだと、多少ズレても受けられるよね」と説明すればいいだけのことです。■まずは遊びの雰囲気で行うことが大事。指導しようと真剣になりすぎないことまずは「ワンバウンドでいくよ」という話をするだけでいいのです。最初はとれなくても「ワンバンで取ってねっていったよ」などと、和やかに遊びの雰囲気で行ってください。日本のコーチは練習を「できるまでやれ」みたいに真剣すぎるところがあります。そうならずに、楽しくやらせてください。上述したように、「ワンバウンドでとって」と言いながらやっていくと、子どもは構えるようになりますが、それでも取れないこともあります。「構えてても取れないことがあるよね。でも、構えないと、もっと取れないよね。試合の中でも、いつもそんなことを考えてやろうね」と伝えてください。■子どもの運動能力が低下しているのは確かだが、工夫次第で足りない部分を補えるそもそも、日本と海外ではグラウンド環境に差があります。海外は天然芝が多いので、雨上がりはピッチがスリッピーになります。そうすると、練習や試合でワンバウンドのボールが予測よりも伸びてきます。南米や欧州の子どもたちは普段から当たり前のようにやっているのですが、日本の子どもは多くが土のグラウンドなのでそんな経験ができません。今日は芝が荒れているからどうするか?といったことを学べないわけです。それに、日本では雨が降ると使えない土のグラウンドもありますね。文部科学省からも、子どもの運動能力が低下しているデータ等が伝わってきます。冒頭でお話ししたように、子どもたちの育つ環境が変化しているからです。ただ、そのあたりの足らない部分を取り戻すことは決して難しくはありません。大人が考え過ぎず、コーディネーションの回数を増やすとか、複合的な動きをしてからボールコントロールをするといった工夫をしてあげてください。池上正さんの指導を動画で見る>>■小学生年代の体幹トレーニングについてJクラブトレーナーの見解は......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)あるJリーグのトレーナーによると、小学生の体幹教室が流行っているそうです。でも、そのトレーナーは「小学生の間は走り回っていればいいんですよ」と話していました。例えば練習中のミニゲームで勝ち負けを意識して必死でやれば、おのずと体幹(※背骨の周辺部分の胴回りのこと)は鍛えられます。プロになったときに「身体のここが弱いね」と意識して鍛えればいいのです。「小学生の間は、普通に練習していればいい」が大方の見解です。結論として、少々ピッチが荒れてても、グラウンドは絶対きれいなほうがいいと私は思います。オランダサッカー協会の考え方と一緒です。そのなかでいい技術が磨ける。いい技術を出せる。コンディションが良好なグラウンドでいい技術をつけることを、まずは考えてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年07月30日