ケイト・ウィンスレット主演「ザ・レジーム/壊れゆく政権」がU-NEXTにて見放題独占配信開始。予告編が公開された。中央ヨーロッパに位置するとある国家。かつての権力者だった父を継ぎ首相となったエレーナは、肺病の原因となるカビを異常なまでに恐れ、宮殿にこもり公務をこなしていた。そこへ、国軍の兵士・ズバクが連行され彼女の要人として雇われるが、精神的に不安定だったエレーナは次第にズバクの考えに陶酔し、彼の助言のもと、自国を先進国の後ろ盾に依らない強国にすることを国民に宣言。彼女の行う傍若無人な政治により、国家は分裂していく…。主人公の女性首相・エレーナを演じるのは、『タイタニック』『エターナル・サンシャイン』など、多くのハリウッド映画に出演する実力派俳優、ケイト・ウィンスレット。2009年の第81回アカデミー賞にて『愛を読むひと』で主演女優賞を受賞したほか、これまで7度のアカデミー賞ノミネートを経験。また、2021年にはドラマ「メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実」で、同年の第73回エミー賞にて主演女優賞を含む3部門を受賞するなど、近年TVシリーズでも活躍を見せる彼女が、新たなHBOオリジナルドラマで主演を務めた。『ザ・メニュー』などの製作総指揮を務めたプロデューサーのウィル・トレーシーがショーランナー、製作総指揮、脚本を兼任。また、製作総指揮には主演のケイト・ウィンスレット本人や、今年1月に行われた第75回エミーで作品賞を含む最多6部門の受賞を果たした「メディア王~華麗なる一族~」のフランク・リッチらが名を連ねる。また、ケイト演じるエレーナの政権交代前の前首相、エドワード・ケプリンガー役に、ヒュー・グラントがゲスト出演。2020年の「フレイザー家の秘密」以来のHBOドラマシリーズ出演となり、ケイトとは1995年公開の映画『いつか晴れた日に』以来、約30年ぶりの共演を果たした。「ザ・レジーム/壊れゆく政権」はU-NEXTにて見放題で独占配信中(全6話)。(シネマカフェ編集部)
2024年05月17日物議を醸した「ベビーシッター割引券」の次は、“毎月ワンコイン徴収”――。岸田政権主導の「異次元の少子化対策」が、ことごとく国民から不評を買っている。2月14日の衆議院予算委員会で、加藤鮎子こども政策担当相(44)は少子化対策における新たな財源調達の手段「支援金負担制度」の試算を公表。同制度は公的医療保険料に上乗せする仕組みとなっており、運用が始まる26年度は加入者1人あたり月平均300円弱、27年度は400円弱になるという。28年度は500円弱になるといい、段階的に徴収額が上がる見込みだ。政府が少子化対策を強化すべく提示した「こども未来戦略」は、予算が3兆6000億円規模にも上る。支援金負担制度によって国民から徴収する総額は、26年度に6000億円、27年度に8000億円、28年度に1兆円が想定されている。加藤こども政策担当相はこれらの試算について「粗い試算」とし、国民が加入する医療保険によって負担額が異なることから「1人当たりの拠出額についてどのようなお示しの仕方ができるか、精査を進めてまいります」と述べていた。現段階でのアバウトな試算のようだが、負担増は国民の生活に大きな影響を及ぼしかねない。「加藤こども政策担当相は段階的に徴収する方針を明かしましたが、具体的な使い道の説明はなされていません。物価上昇が続くなか、数百円といえども国民にとっては大きな負担。毎月500円徴収されるとなれば、年間の負担額は6000円にも上ります。医療保険とは本来、ケガや病気をした際に医療費の負担を軽減する制度です。政府は『実質的に追加負担を生じさせない』と謳っていますが、性質が異なる少子化対策を目的とした上乗せは実質的な“増税”でしょう」(社会部記者)いっぽう政界では、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件が取り沙汰されている。自民党が党所属議員を対象に実施したアンケート調査では、18年~22年の間で現職国会議員82名、選挙区支部長3名に政治資金収支報告書の不記載や誤記載が判明。その総額は約5億8000万円にも上った。また二階俊博元幹事長(84)に関しては、幹事長時代の5年間で50億円近くもの「政策活動費」が支払われていたことが明るみに。二階氏が代表を務める政治資金団体では、3年間で約3500万円も書籍代に支出していたことが発覚し、批判が殺到している。国民から徴収する前に、明るみになった裏金や二階氏の政策活動費を少子化対策に充当すればよいのではとも思えるが……。加藤こども政策担当相が明かした“ステルス増税”に、ネットやSNSでは国民の怒りが爆発している。《てめえらの裏金で賄え》《二階から取り立てろよ》《結局は、何をするの?この税金以外もそうですが、何に使っているのかをしっかりと明示した上で徴収していただきたい》《金額の問題じゃない!#子育て増税#ステルス増税反対》《少子化対策の支援金と言う名の負担金、どうせ中抜きとか使途不明とかで正しく子供のためになんて使われないんだから払いたくない300円分ジュース買った方がいい小学生の給食が豪華になりますとか具体的な使い道示してほしい》
2024年02月15日岸田内閣の内閣支持率が危機的な状況に陥っている。各種、新聞やテレビの世論調査では、政権支持率は軒並み20%ほどに。特に低く出た毎日新聞の世論調査では、なんと支持率16%、不支持率は79%だった。政治部記者はこう語る。「支持率低下について記者に問われたとき、どの首相も『支持率に一喜一憂しない』と答えるのがお約束になっています。しかし、支持率の高低は政権の求心力に直結しますから、やはり気にしているのが現実。もちろん岸田首相も例外ではありません」過去に低支持率に苦しんだ結果、政権を追われた首相はたくさん。そこで、過去の内閣の退陣直前の最終的な支持率を調べてみた。対象は2000年以降の内閣で(首相の死去によって交代した小渕内閣は除く)、世論調査はNHKのものと、支持率が比較的高く出る傾向にある読売新聞と、低く出る傾向にある毎日新聞で調べた。すると、すでに岸田首相の不人気っぷりは、“退陣”レベルに達していることがわかった。支持率ひと桁を記録した“レジェンド”森首相(当時、以下同)にはまだまだ及ばないが、安倍首相や菅義偉首相をこえて、麻生首相や野田首相の末期に近い水準に。「とはいえ、退陣にはきっかけが必要。就任以来、低支持率に苦しめられた森首相は国会での予算成立を花道に退陣、野田首相は1年近く支持率20〜30%台をさ迷った挙句、衆議院選挙に惨敗。自民党との政権交代とともに、退陣しました」(同前・政治部記者)永田町では、岸田首相の退陣のタイミングとして、2024年度予算が成立する来年3月や、自民党総裁選が行われる来年秋がささやかれているが……。■2000年以降の内閣の退陣直前の支持率と不支持率■森喜朗(〜2001年4月26日)NHK:支持率7%(9%)、不支持率:81%(82%)読売新聞:支持率8.6%(19.2%)、不支持率:82.4%(70.4%)毎日新聞:支持率9%(14%)、不支持率:75%(62%)■小泉純一郎(〜2006年9月26日)NHK:支持率51%(46%)、不支持率:39%(41%)読売新聞:支持率53.0%(51.1%)、不支持率:36.5%(39.2%)毎日新聞:支持率45%(44%)、不支持率:37%(40%)■安倍晋三(〜2007年9月26日)NHK:支持率34%(29%)、不支持率:55%(58%)読売新聞:支持率29.0%(27.2%)、不支持率:60.7%(63.7%)毎日新聞:支持率33%(22%)、不支持率:52%(65%)■福田康夫(〜2008年9月24日)NHK:支持率20%(33%)、不支持率:72%(58%)読売新聞:支持率28.3%(26.6%)、不支持率:59.7%(61.3%)毎日新聞:支持率25%(22%)、不支持率:52%(54%)■麻生太郎(〜2009年9月16日)NHK:支持率15%(23%)、不支持率:74%(64%)読売新聞:支持率22.2%(24.7%)、不支持率:69.1%(64.3%)毎日新聞:支持率20%(17%)、不支持率:60%(67%)■鳩山由紀夫(〜2010年6月8日)NHK:支持率21%(32%)、不支持率:68%(56%)読売新聞:支持率19%(24%)、不支持率:75%(67%)毎日新聞:支持率20%(23%)、不支持率:67%(62%)■菅直人(〜2011年9月2日)NHK:支持率18%(16%)、不支持率:65%(68%)読売新聞:支持率18%(24%)、不支持率:72%(63%)毎日新聞:支持率19%(24%)、不支持率:56%(57%)■野田佳彦(〜2012年12月26日)NHK:支持率20%(23%)、不支持率:64%(59%)読売新聞:支持率20%(19%)、不支持率:70%(68%)毎日新聞:支持率23%(25%)、不支持率:54%(53%)■安倍晋三(〜2020年9月16日)NHK:支持率34%(36%)、不支持率:47%(45%)読売新聞:支持率52%(37%)、不支持率:38%(54%)毎日新聞:支持率34%(32%)、不支持率:59%(60%)■菅義偉(〜2021年10月4日)NHK:支持率30%(29%)、不支持率:50%(52%)読売新聞:支持率31%(35%)、不支持率:57%(54%)毎日新聞:支持率37%(26%)、不支持率:55%(66%)■岸田文雄(2023年12月24日時点の最新の支持率)NHK:支持率23%(29%)、不支持率:58%(52%)読売新聞:支持率25%(24%)、不支持率:63%(62%)毎日新聞:支持率16%(21%)、不支持率:79%(74%)※退陣前の最新の世論調査の支持率と不支持率。NHK、読売新聞、毎日新聞で、それぞれ世論調査の実施時期や頻度は異なる。()はその前の調査の結果。選挙期間中に世論調査が複数回行われた場合、最新回のみ反映し、()内は選挙期間より前の最新の調査結果を反映している。内閣名ではなく、首相名を表記。敬称略
2023年12月26日創業60有余年、株式会社東峰書房(本社:東京都新宿区/代表取締役:鏡渕 敬)は、2023年12月27日(水)、これまで2度の政権交代を達成し3度目への挑戦に臨む小沢一郎氏を、多くのルポルタージュを刊行してきた著者が取材・執筆した『「政権奪取」小沢一郎、三度目の挑戦』(著:大下英治(定価:1,980円税込))を発売します。書影■書籍ご紹介サイト 岸田政権が支持率低下を続ける一方、対抗勢力となるべき野党の結集もままならない政局の中、本書では、過去2度の政権交代の立役者である小沢一郎の新たな始動をレポートします。「日本を復活させたい。自分はそのためならばなんだってやるつもりだ。」議員当選すること18回、今なお政界の真ん中で活躍する小沢一郎氏。かつて2度に渡って自民党からの政権交代を実現させた小沢一郎氏は、長年の盟友である羽田孜氏の葬儀・告別式で3度目となる政権交代の達成を誓います。国のため、国民のために挑戦し続けてきた小沢一郎氏の、最後の戦いが今始まります!政治経済から裏社会まで幅広いジャンルを手がけ、500冊以上の著作を持つ大下英治氏が取材・執筆。過去2度の政権交代の舞台裏から、選挙戦略、政治問題への見解、次の政権奪取にかける想いまで、小沢一郎の闘いのすべてが描かれた一冊です。■『「政権奪取」小沢一郎、三度目の挑戦』概要判型 :四六判ページ数:494ページ定価 :1,980円(税込) 本体1,800円+税著者 :大下英治■目次第一章 友に誓う。三度目の政権奪取第二章 小沢一郎、一度目の政権奪取第三章 混迷する連立政権第四章 自自連立から自公連立へ第五章 ねじれ国会の時代第六章 二度目の政権奪取への戦い第七章 民主党政権の崩壊・あとがき■著者プロフィール著者画像・著者:大下英治(おおした えいじ)1944年6月7日、広島県に生まれる。1968年3月、広島大学文学部仏文科卒業。1970年、週刊文春の記者となる。記者時代「小説電通」(徳間文庫)を発表し、作家としてデビュー。さらに月刊文藝春秋に発表した「三越の女帝・竹久みちの野望と金脈」が反響を呼び、岡田社長退陣のきっかけとなった。1983年、週刊文春を離れ、作家として独立。以降、政治経済から芸能、犯罪、社会問題まで幅広いジャンルで創作活動を続けている。著書は、「十三人のユダ 三越・男たちの野望と崩壊」「美空ひばり・時代を歌う」(以上、新潮社)、「闘争! 角栄学校」「一を以って貫く 人間 小沢一郎」(以上、講談社)、「週刊文春 トップ屋魂」(イースト・プレス)など500冊以上にのぼる。近著に「論語と経営 SBI北尾吉孝(上・下)」「石原慎太郎伝」「内閣総理大臣」(エムディエヌ)、「鳴動! 政権政局の舞台裏」「最後の無頼派作家 梶山季之」「ハマの帝王 横浜をつくった男藤木幸夫」(さくら舎)、「大宏池会の逆襲」「安倍官邸 『権力』の正体」(KADOKAWA)、「安倍晋三・昭恵 35年の春夏秋冬」(飛鳥新社)などがある。■発行:株式会社東峰書房 会社概要(1)商号 :株式会社東峰書房( )英名 :TOHOSHOBO INC.(2)代表者 :代表取締役 鏡渕 敬(3)本店所在地 :東京都新宿区新宿4-2-20(4)主な事業の内容:ビジネス書の出版(5)資本金 :3,500万円 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月13日支持率が低迷する岸田政権。11月に各社が行った世論調査では、内閣支持率が、朝日新聞で25%、日本経済新聞社とテレビ東京の合同調査でも30%など、相次いで過去最低を記録した。岸田政権に対して、世間から家計の負担が増えるのではないかという不信感があることは「増税メガネ」のあだ名が体現しているだろう。目玉施策として打ち上げた「異次元の少子化対策」では、必要とされる3.5兆円の財源について、一部を医療保険料として新たに徴収する方向。また、’24年12月から高校生への児童手当の拡充がなされるにあたり、高校生の扶養控除の縮小が検討されていることが報じられると“給付して増税では意味がないじゃないか”と違和感が噴出した。「増税メガネ」のレッテルを脱すべくかかげた所得税の定額減税についても、実施が来年夏と遅すぎることや、一度きりでは不十分だとして評価はイマイチ。SNSなどでは、物価高対策として「消費税の減税」を訴える声も多く、所得税の減税は期待外れとなったようだ。また、これらは選挙対策としての”バラマキ”であり、「いずれまた増税されるのでは」との懸念も漂っている。さらに、「辞任ドミノ」もの不信感を増す要素に。10月26日に山田太郎文部科学政務官(当時)が女性問題で、10月31日に柿沢未途法務副大臣(同)が選挙違反事件への関与で、11月14日には神田憲次財務副大臣(同)が税金滞納でと、3週間足らずで3人が辞任となったのだ。岸田政権への不満が高まっていく昨今。国民ははたしてどの政党に次の政権を取ってほしいと思っているのだろうか?1000人を対象に「次に政権を取ってほしい党」について、アンケートを行った。3位に選ばれたのは野党第一党の立憲民主党。116票を獲得した。10月18日に公表した「物価高を克服するための緊急経済対策」には、全世帯の6割に「インフレ手当て」3万円を支給するほか、トリガー条項の発動で1リットルあたり約25円の減税、児童手当の先行拡充、給食費無償化の先行実施、インボイス制度の廃止などの政策が記されている。民主党時代に、’09年から’12年まで政権を担った経験があることから政権を運営できるのではないかとの期待が寄せられたほか、自民党政権から脱するには立憲ががんばるしかないとはっぱをかける声も。総じて、自民党への不満の受け皿として票を集めたが、「自民党以外ならどこでもいい」と消極的な理由もみられた。当の泉健太代表(49)は、「あと5年で政権交代を考えている」として、次の選挙はその基盤づくりにあてたいとの考えのようだ。「腐りきった自民はいらない。今度は頑張ってほしい」(20代・女性)「自民党に緊張感を持たせるため」(70歳以上・男性)「野党の中で勢力がある民主党時代に政権の経験がある」(30代・男性)「自民党よりましで、それなりの経験があるから」(60代・女性)「ここが頑張らないと日本は良くならない」(30代・男性)「自民党は嫌」(30代・女性)158票を獲得し、2位に選ばれたのは日本維新の会。10月23日に公表した「緊急経済対策」には、低所得者は5割、それ以外は3割の現役世代の社会保険料減免、ガソリン税の当分の間税率(暫定税率)の廃止、給食費および高校授業料の無償化、出産費用無償化、消費税減税(最大10%から8%)などが並んだ。今年春の統一地方選では、大阪府議会と市議会の両方で過半数を獲得するほか全国的にも議席を大きく増やした。府政で議員報酬のカット、外郭団体の削減、小中学校の給食無償化を実現するなど、“有言実行”してきた実績から、大阪府民からの信頼は厚いようだ。馬場伸幸代表(58)は、約10年で政権交代を実現するとして「できないなら、維新は解散した方がいい」と意気込んでいる。「自民党でも良いけれど、変化を見てみたいから」(60代・女性)「少しは日本も変わるのかなあとおもった」(50代・男性)「大阪での成功事例があり公約に対して唯一コミットしてる政党であるから」(30代・男性)「暫く自民党で悪い状況になっているので、全て維新に賛成出来るわけではないが、一度やってもらいたい」(50代・男性)「吉村知事をはじめ、関西では日本維新の力がすごいから。他にも吉村知事は有言実行をしていて信頼を勝ち取っているので、維新のイメージがいいから」(20代・女性)「一番国民の声に耳を傾けてくれそうだから」(70歳以上・女性)■「ほかに選択肢がない」大差をつけ1位に選ばれたのは?立憲、維新と大きく差をつける313票を獲得し、1位に選ばれたのは自民党だった。これほどまでに不満の声が噴きあがるにもかかわらず、やはり日本の政権を担当できるのは現状「自民党」しかないとの見方が多くを占めた。結党以来、長く政権運営を務めてきた実績や、人材の豊富さを信頼する声があがる一方、今回自民党と選択した人の理由の多くが”消極的”なものだった。「他に選択肢がないから仕方なく」(30代・男性)「自民党に期待しているわけではないけど、他の政党を信じることが難しいため」(20代・女性)「自民党も相当酷いけど、それでも他の党が政権を取るよりはまだマシだろうから」(40代・男性)「野党があまりにもレベルが低いから。消極的に自民党しかない」(20代・男性)また、自民党以外に政権を任せることへの抵抗感は、民主党政権時代の“失敗”の記憶から生じているようだ。’09年に国民の期待を背負って立ち上がった民主党政権は、政権運営にてこずり支持率を大きく下げ、さらに東日本大震災も重なりわずか3年で幕を閉じた。「野党が政権を取ると以前の民主党のように今より更に景気が悪くなりそう。消去法で自民党」(60代・女性)「以前、民主党が政権をとった時の悲惨さをみると、自民党のままのほうがマシ」(40代・男性)「ほかの党ではできないと思う。いい例が民主党がダメでしたね。なんだかんだ言っても経験のない政党は無理」(70歳以上・男性)今の自民党に不満があっても、他に取る選択肢がないというのが有権者の本音のようだ。野党は、”政権を運営できないのではないか”という不安を払しょくし、実行力を見せていく必要があるだろう。■次の政権を取ってほしい党ランキング全順位【1位】自由民主党 313票「政権交代しなくてよいから」「他に選択肢がないから仕方なく」「政権運営の経験値だけは高いと思うから」「今の政権与党に不満はあるものの、それにとって代わろうという気概の感じられる野党も見当たらない感じを受けるため。」「野党が駄目すぎるので」【2位】日本維新の会 158票「自民党の政治に、長年の驕りを感じているので、日本維新の党に新しい風を吹き込んで、新しい政治を作ってほしい」「政党の姿勢が好きだから」「少しは新鮮味があると希望している」「暫く自民党で悪い状況になっているので、全て維新に賛成出来るわけではないが、一度やってもらいたい」「まだまだ力不足ではあるが、不正まみれの自民党を倒してほしい」【3位】立憲民主党 116票「はっきり言ってどこの政党が良いかわからないし、期待もない。自民党のあぐらをかいている体制は不安しかない。」「自民党よりましで、それなりの経験があるから」「自民党ばかりでなんか変わってほしい」「過去の政権運営をみると、現状政権を握っている某政党よりも、より一般的な生活を送る人たちの目線で世間を見れているように思える人たちが多く所属している政党だと思うから」「現在の野党の中ではとりあえずそれなりのメンバーが揃ってはいる」【4位】国民民主党 59票「党首の玉木さんの政策が一番ましだと思うから」「政策に共感できるから」「一番現実的な政策を提案し、一番真面目にまともな質問をする政党だから」「比較的自分のイデオロギーに合うから」「最近、自民党寄りの動きを見せており、自民党政権をベースにして微調整していける野党が適当である。ただ単に、自民党政権を批判するだけの野党では、実際、何もできないと思う」【5位】れいわ新選組 53票「経済対策がもっとも理論的で、まともだから」「自民党は長期政権によるおごりがひどく、腐敗も進んでいるので論外。立憲民主党はなにかを変える力がない。政権をとることはありえないことではあるが、もしも取れるならばれいわ新選組なら国会の腐敗を正せると思った」「減税を真剣に考えている政党だから」「庶民の気持ちを一番代弁していると思うから」【6位】参政党 42票「演説等を拝聴して自分の考え方と合致すると感じる部分が多いから」「日本を強くしてほしいから」「自虐史観からの脱却と積極財政への転換を掲げているから」【7位】公明党 32票「以前から応援している。人を大切にする党だと思う」「真摯に国民の為に議員一同、頑張っておられる姿が見れるから弱い立場の人に寄り添ってくれていると思う」「自民党は国民を利用しているだけで国民の幸せを考えていないような気がする」【8位】日本共産党 30票「党の力はないが、言っていることは一番まともなことを言っている気がする」「現代社会の諸矛盾・諸問題を解消するためのショック療法を期待して」「前にアンケート答えたら丁寧に家まで挨拶来てくれた」【9位】みんなでつくる党 19票「自民党以外ならなんでもいいから」「諸派党構想、NHK問題などがユニーク。子育て政策が強力であり、少子化問題に大きな期待持てる。自民党と似た政治思想であり、極端に変わるわけではない」【10位】社会民主党 8票「福島みずほの一人ひとりが主人公なんだという言葉にひかれたから」「一番人権問題に対するスタンスがしっかりしているから」【10位】日本保守党 8票「国のこと国民のことを大切に国力をつけるという理念」「国民のための政策をしてくれそうだから」その他 172票調査対象:20代以上1000人調査方法:WEBでのアンケート(クロス・マーケティングのセルフアンケートツール『QiQUMO』を使用)
2023年12月03日KADOKAWAは、2009年から17年までアメリカ合衆国のファースト・レディを務めたミシェル・オバマさんによる書籍『心に、光を。不確実な時代を生き抜く』を9月26日に発売します。■彼女が、気高く生きると決めるまでの道のり同書は、北米で275万部・世界14言語20カ国で出版された元大統領夫人ミシェル・オバマさんによる自己啓発書。「ニューヨークタイムズ」と「USA トゥデイ」のベストセラーでは第1位、「TIME」の「2022年必読本100冊」のうちの1冊にも選ばれています。弁護士にして元米国ファーストレディ。キャリアに恵まれ、完璧に見える彼女でしたが、物心ついた頃から「周りとちがう」「浮いている」と感じることもあったそう。子育てや友人作りの壁にぶつかり、明日の講演会がうまくいくのかと不安に襲われるなどの日々について「58年、私は不安を抱えて生きてきた」と語っています。同書では、そんな彼女の、不安を克服し、気高く生きると心に決めるまでの道のりについて打ち明けています。自分らしくいるためにどうふるまうかについても、余すところなく伝えます。不安やストレスの多い現代、自信をもって前へ進み続けるために、明日から実践できるシンプルなヒントが詰まった希望の書です。■書誌概要書籍名:心に、光を。不確実な時代を生き抜く著者:ミシェル・オバマ訳者:山田文定価:2,400円(税別)電子版配信開始日: 2023年9月26日(希望小売価格 2,400円/税別)公式サイト: (フォルサ)
2023年08月31日7月11日、立憲民主党の小沢一郎衆院議員(81)が、自身のツイッターを更新。岸田政権への憤りをあらわにした。小沢議員は、《日本の平均年収は「443万円」、国民負担率46.8…もはや罰ゲーム!普通の生活が厳しすぎる日本人に増税を企てる鬼の岸田政権》と題されたネットニュースを引用すると、《物価はこの夏の暑さのように家計を苦しめ、そこへミサイル増税やサラリーマン増税が待ち構える。進む生活破壊。破壊されるべきは岸田政権。刮目を。》と岸田政権を痛烈に批判したのだ。引用した記事は、6月21日の記者会見で30年ぶりの高水準の賃上げだとアピールする岸田首相を批判するもの。賃上げがなされても、物価高の影響を加味した実質賃金は前年同月比1.2%減であり、2月に財務省が発表した国民負担率(租税負担率と社会保障負担率を合計したもの)が2023年度は46.8%に上るとの見通しを紹介。一方で、日本の平均年収は443万円にとどまっており、この水準では二人暮らし以上世帯の暮らしはままならないとした。あらゆる分野で値上げがなされる昨今。総務省が6月23日に公表した消費者物価指数では、今年5月の消費者物価は前年比3.2%上昇。6月には大手電力会社7社の家庭向け規制料金の値上げが実施され、家計にはさらなる追い打ちとなっている。そんななか、岸田政権の政策は家計にさらなる負担を強いかねないという。「6月16日には、防衛費増額の財源を確保するための特別措置法が成立。税外収入を積み立てて防衛費にあてる『防衛力強化資金』が新設されました。さらに今後、法人税と所得税、たばこ税を対象に増税も行われるということが示されています。また、6月30日には政府税制調査会が、サラリーマンの給与所得控除が比較的手厚いつくりになっていると指摘したことがニュースに。給与所得控除はこれまで段階的に引き下げられており、この動きが加速するのではないかとの懸念も広まっているのです。給与所得控除の引き下げは、実質にはサラリーマンを対象とした増税になります」(政治部記者)次の衆議院選挙にむけ、小選挙区で野党候補の一本化を目指す「有志の会」を立ち上げた小沢議員。果たして、有言実行し、国民の生活を改善することはできるのだろうか。
2023年07月12日岸田政権の防衛費倍増に、抗議の声をあげた東村アキコさん。詳しい説明がなされないまま強引に進む国の政策には不安を感じると、その心境を語ってくれた。「防衛費を増額するというニュースを聞いたとき“防衛に関わるものに使うんだろうな”と、あまり深く考えていなかったんです。ところが、私たちの税金が“敵を攻撃する”ためのミサイルに使われるのだと知って、すごく驚きました。本当にそれで戦争を抑止できるのか、生活を犠牲にしてまで軍拡すべきなのか、わからないことだらけ。だからこそ、思い切って声をあげてみたんです」こう口を開いたのは、漫画家の東村アキコさん(47)。『海月姫』や『東京タラレバ娘』など数々の人気漫画を世に送り出してきた東村さんが、「そこはかとない恐怖」を抱いているのは、防衛費の増額によって進む日本の軍拡だ。岸田内閣は敵基地攻撃能力の保有や新規装備の購入などを打ち出し、5年間の防衛費総額を43兆円に増額。これまで対GDP比で約1%としてきた防衛費を’27年度には2%まで倍増させる方針だ。2月3日には、防衛費増額の財源を確保するための特別措置法案が閣議決定された。東村さんが、こうした“異変”に気づいたきっかけは、漫画の取材中だった。「着物漫画を描いているため、京都に取材旅行に行ったときのことです。ある着物屋さんの女将さんと、舞妓さんが身につける“ぽっちり”という帯留めの話になりました。“ぽっちり”は芸術的な意匠を凝らしたものが多く、家で代々受け継がれたりするもの。だからすごく高価なんですが、その女将さんから『先生も一つ、買いはったら、どうですやろ?お金残しても、税金でミサイルを買わされるのやから』って言われて『え!ミサイルって、何それ!』となってしまったんです」驚いた東村さんは防衛費に関する情報を探すためテレビを見てみたが……。「防衛費を増額して、どんな目的で、どんなものを買おうとしているのか知りたくなって、朝から晩までつけっぱなしにしている仕事場のテレビを見たんです。けれど、ほとんどこの話題に触れていないんですね。知らないうちに、軍拡が進められたら怖いなって思うようになりました。そんなとき、漫画のモデルにもなっている実業家の奥谷禮子さんから『平和を求め軍拡を許さない女たちの会』を一緒にやろうというお誘いをいただいたんです」メンバーに東大名誉教授の上野千鶴子氏、法政大学前総長の田中優子氏、経済学者の浜矩子氏らが名を連ねた同会。防衛費の対GDP比2%への引き上げを撤回し、女性や子供の視点に立った政策を進めるよう、署名活動をしている。■武器購入が平和につながるのか、疑問でならないとはいえ、これまであまり漫画や自身のSNSなどでも政治について発信してこなかった東村さん。参加に迷いはなかったのだろうか。「エンタメの世界で生きてきたクリエーターとして、純粋に作品を楽しんでもらうために、あえて政治的な発言は控えてきました。でも、エンタメは、平和あってこそのもの。もう黙っていられなくなったんです。もちろん『わざわざ、東村さんが言う必要はないじゃないですか』と止める人もいたし、ネットとかでたたかれることもあるかもしれません。でも、私が発信することで、1人でも多くの人にこの問題を考えてほしいと思ったんです」ネットニュースのコメント欄やSNSでは、軍拡反対を訴える人に対して、厳しい言葉を投げかける人も少なくない。しかし、それでも東村さんは決して引かない。「なかでも私がいちばん疑問に思ったのは、トマホークを500発も買うことです」トマホークとは、敵基地攻撃を想定して、日本がアメリカから購入する巡航ミサイル。政府は、’23年度に約500発を一括購入する契約を米国と結ぶ方針。同年度の予算案には、トマホーク取得費として2113億円が計上された。「“何をそんなに甘いことを”“平和ボケだ”と言う人もいるでしょう。でも、ウクライナにロシアが侵攻してから1年がたちます。当初、圧倒的な軍事力があるロシアが、数日以内に制圧すると報じられていたし、私もそうなんだと思っていました。しかし、戦いはまったく終わりません。毎日のように何発ものミサイルを撃ち合って、犠牲者が出ても、戦争は続いています。仮に日本がトマホークを500発購入したところで、本当に平和につながるのでしょうか。戦争の抑止につながるのでしょうか。ウクライナの状況を見ると、とてもそうは思えないんです」たしかに増税や歳出カットなどで“何が何でも防衛費を作る”という今の政府のスタンスには、恐怖を覚える人も多いだろう。■周辺国との緊張が高まることへの懸念「コロナ禍以降続く物価の上昇で、この3年ほど、生活が厳しくなっています。ガス代も電気代も高くなったし、各家庭では教育費などでも大変な思いをしています。もっと日常生活のために税金を使うという選択肢はないのでしょうか。もちろん、反対の意見もあると思います。もっと賛否を含めた議論を聞きたいのです」防衛費増税をはじめ、自民党は憲法9条に自衛隊を明記する改憲案を打ち出すなど、政府は軍拡の動きを加速させている。考えたくないことだが、今を生きる若者たちが戦地に送り出されてしまう可能性もゼロとは言い切れない。エッセイ漫画『ママはテンパリスト』では、息子“ごっちゃん”の幼少期を描いた東村さん。一人の母親としても、決して人ごとではないのだ。「防衛費と言いながら、敵基地を攻撃する武器を購入することで、周辺国との緊張が高まることも不安の一つです。いま、ウクライナでは、18歳から60歳までの男性が出国を禁止されたと報じられています。“ごっちゃん”も、いまは高校生。軍事的な衝突が起これば、どうなるのか……」ウクライナでは侵攻開始当日の’22年2月24日に発令された総動員令が今も発令されたまま。自分の子供を戦地に立たせるのは、どんな親でも避けたいだろう。「外交などを通じて、どんな話し合いをするのか、防衛費を増やす以外の道筋も、もっと見える形で示してほしいです。ほんとうに、私にはわからないことばかり。だからこそ、納得できる説明や議論をしてほしいんです」東村さんが訴えるような、子を持つ母の思いは、岸田政権に届くのだろうか。
2023年02月23日JNNが2月に発表した最新の世論調査で、不支持率が政権発足後では過去最高となる62.2%を記録するなど、苦境に立たされている岸田政権。昨年7月から支持率は下降の一途を辿り、最近も岸田文雄首相(65)が国会で同性婚を認めることで「社会が変わってしまう」と発言、政務秘書官を務める長男の海外での行動が問題視され、反発は強まるばかり。果たして、崖っぷちに立たされた岸田政権を立て直せる人物はいるのか。そこで本誌は、アンケートサービスとTwitterで「岸田政権で最も期待できない閣僚」についてアンケートを実施し、ランキングを作成した。回答したのは男女501人。まず第3位は、河野太郎デジタル大臣(60)だ。菅前政権時代の’21年1月にワクチン担当大臣を担当し、国民のワクチン確保などに尽力した河野大臣は、岸田政権で‘22年8月にデジタル大臣に就任。現行の健康保険証を‘24年までに原則、廃止してマイナンバーカードと一本化する方針を発表して、話題を呼んだ。しかしその裏では、医療機関の受診に必要な健康保険証が廃止となると、事実上の “マイナンバーカード義務化”となるため、批判の声が噴出。さらに、昨年12月にはマイナンバーカードをクレジットカードや「Suica」などの交通系ICと紐づけることで、キャッシュレス決済などに活用できるといった利用シーンの拡大に向けた取り組みも発表した。それゆえ、期待できない理由として、マイナンバーカード促進に向けた一連の取り組みを上げる意見が多かった。《知らないうちにマイナンバーカードを作るように強引すぎる。国会議員だけで作っていろいろ使って見て直して安全性が確保してから国民に推奨してほしい》(60代女性・専業主婦)《コロナワクチン担当大臣だった頃も、現在のデジタル担当大臣でも、自分の独自の思いだけで政策をぶち上げる点》(70代男性・無職)続いて第2位となったのは、高市早苗経済安全保障担当大臣(61)だ。高市氏は昨年12月、防衛費増額のための増税を掲げた岸田首相に対して自身のSNSで以下のコメントを投稿し、反旗を翻した。《企業が賃上げや投資をしたら、お金が回り、結果的に税収も増えます。再来年以降の防衛費財源なら、景況を見ながらじっくり考える時間はあります。賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません》首相にさえも公然と異論を唱えたこの投稿には、支持者を中心に応援の声が続出。しかし、今回のアンケートでは、自民党内での協調性を問題視する声が多く上がっていた。《岸田内閣で同調性に欠ける。岸田内閣の方針内容に聞いていないなどの発言多し》(70代女性・無職)《考え方が極端すぎるため不安が大きい。内閣の中で勢力を増してしまうと危険だと思うから》(30代男性・会社員)また昨年7月に銃撃を受けて死亡した安倍晋三元首相(67)が率いた自民党内派閥「安倍派(清和政策研究会)」に所属していた高市氏。そのため、《安倍元総理の後ろ盾がなくなったから》(60代女性・専業主婦)と“後ろ盾”がなくなってしまったことを理由にあげる人も。そして、残念ながら第1位に選ばれてしまったのは閣僚のトップである内閣総理大臣を務める岸田首相だ。「聞く力」を掲げている岸田首相だが、昨年12月には防衛費の大幅な増額のために財源の約1兆円を増税でまかなう方針を表明。物価や光熱費が高騰し、国民の生活費負担が増えるなかでの増税に怒りの声が噴出したが、方針を変える様子はない。そうした姿勢から、期待できない理由として“聞く力”を疑う声が多数上がっていた。《景気が増税できるほどに回復していないのに、増税しようとしているから》(10代男性・学生)《国民の生活や将来や今の状況をわかってない》(50代女性・専業主婦)《国民に寄り添う力も聞く力も決断する力も何もない。増税などを決断するのはやたらと早い》(60代女性・専業主婦)《何が「聞く力」だ。国民の声なんて、何一つも聞いてない。ニュースで、顔を観るのも嫌》(40代女性・会社員)また、2月9日にはフィリピンへ2年で6000億円の官民支援を約束したばかり。国民の生活負担が増えるなかでの”海外支援”に対する不満の声も少なくない。《外国にばかりいい顔をして、国民には増税を迫るから》(30代女性・専業主婦)《国民のためになるようなことは検討に検討を重ね、防衛増税はさっさと決める。外国人を大切にして国民を守る気がない》(30代女性・医療従事者)果たして汚名を返上し、国民からの期待を取り戻すことはできるのだろうかーー。【岸田政権で最も期待できない閣僚は?】1位:岸田文雄244票2位:高市早苗42票3位:河野太郎39票4位:林芳正31票5位:浜田靖一15票次点:鈴木俊一13票
2023年02月11日世論調査によっては、政権を維持する上で“危険水域”といわれる支持率3割を切るなど厳しい政権運営を余儀なくされている岸田政権。支持率が上がる気配もないなか、果たして岸田内閣の中に、政権を立て直すことのできる閣僚はいるのか?そこで、本誌はアンケートサービスとTwitterで「岸田政権で最も期待できる閣僚」についてのアンケートを実施。ランキングを作成した。回答したのは男女581人。第3位は、閣僚のトップである岸田文雄首相(65)だ。1月27日の参議院本会議では、「育児中など、さまざまな状況にあっても主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押ししてまいります」と、育児中の女性に対する”学び直し”を推奨した岸田首相。しかし、ネットでは《子育て中に勉強なんて無理!》《育児をしていない人の発想》などといった批判が相次ぎ、1月30日の衆議院予算委員会で真意を問われた岸田首相は「本人の希望が前提の話だった」と釈明。度々失言や失策が注目される岸田首相だが、いっぽうで昨年12月に中国で新型コロナの感染が急拡大していることを受けて、中国本土からの渡航者と中国本土に7日以内の渡航歴のある人すべてに対し入国時の検査を行うなど、緊急の水際対策を行った。安倍政権下で、外務大臣を長らく務めた経験からも、期待できる理由として、外交政策を支持する声が寄せられていた。《不正や悪い噂が無い。外務大臣の経験があるから、外交に強そう。他国とうまく付き合う為には岸田総理だと思う》(30代男性・会社員)《期待が持てると言えるか分からないが、なんだかんだ内閣の顔でもあるし、安倍総理の元で外務大臣を務め日米の和解や広島訪問の成果、日韓合意の成果があるため。彼がダメであればもう内閣は持たない》(20代女性・会社員)続いて第2位に入ったのは、高市早苗経済安全保障担当大臣(61)だ。昨年12月、岸田首相が打ち出した「1兆円の防衛費増税」に対して高市氏は自身のTwitterで「総理の真意が理解できません」などとツイートし、猛抵抗。入閣直後の昨年8月にもTwitterで《辛い気持ちで一杯》と綴り、“人事への不満?”と波紋を広げていた。アンケートでも、身内でありながら公然と「増税反対」の意を示す高市氏の姿勢を賞賛の声が多く上がっていた。《高市早苗内部の人が今の政権に批判するのは覚悟がいると思うが、ズバズバ言ってくれるから》(10代男性・学生)《国益を考えてそうに見えるし、良いものはいい、駄目なものはダメとはっきりしてるところに好感が持てる》(40代女性・専業主婦)《他の人物よりは。という程度ではありますが、増税反対派ということで》(30代女性・医療関係者)そして、栄えある第1位に選ばれたのは河野太郎デジタル大臣(60)だ。菅前政権時代に新型コロナワクチン接種推進担当大臣として、日本国内のワクチン供給体制を整えた手腕は国内外で高く評価された。また、デジタル大臣就任以降は、マイナンバーカード普及を促進し、今年1月31日に年齢確認が必要な酒とたばこの購入に、マイナンバーカード等を利用して、セルフレジで購入可能にする取り組みを視察。都内のコンビニエンスストア3店舗が対応し、今後順次全国へ広がっていくという。そんな河野氏を「期待できる」とした理由には、”デジタル化政策“やスピード感を高く評価する声が多数上がっていた。《コロナワクチン確保や、ハンコレス化など、決断力、実行力は評価出来ると考える。あとは、他に適任者が浮かばない》(40代男性・会社員)《コロナ政策など動きが早く、民間の考え方を理解した上で世界と戦っていけると思うから》(20代女性・正社員)《お役所の事務作業のペーパーレス化、デジタル化を、掲げているので》(70代男性・無職)《デジタルが進んでいく中どういう政策をするのか期待しているから》(10代女性・学生)《現在のややこしい制度に対して、抜本的な見直しや改善の要求を積み込むように進め、リスク覚悟で臨んでいることです》(20代男性・福祉関連業)上記のほかに、フォロワー267万人を誇る自身のTwitterを頻繁に更新し、リプライを交わすなど気さくな”SNSの活用術”にも賞賛の声が多数上がっていた。《SNS発信が頻繁で、国民との距離が近く、行動力に長けていると思う為。従来の消極的な姿勢から積極的政治に転換できるのではないかと期待している》(20代女性・無職)《SNSで一般人とやり取りする姿を見て国民に目を向けてくれてはいそうだから》(20代女性・パート)支持率が低迷している岸田政権。国民が「期待できる」とする閣僚がひとりでも増えてほしいものだーー。【岸田政権で最も期待できる閣僚は?】1位:河野太郎252票2位:高市早苗117票3位:岸田文雄97票4位:若宮健嗣31票5位:林芳正18票次点:西村康稔13票
2023年02月11日物価高に増税、少子化、年金の改悪……。私たちの家計がますます火の車になった岸田政権下の2022年を振り返り、経済ジャーナリストの荻原博子さんが警鐘を鳴らすーー。ますます少子化に拍車がかかり、改善が見られません。2022年の日本の年間出生数は、統計の開始以来初めての80万人を下回る見通しです。これまでの少子化に加え、新型コロナの影響もあるのだろうと分析されています。子どもの貧困問題に取り組むNPO法人「キッズドア」が、経済的に困窮し支援が必要な子育て家庭を対象に行ったアンケート調査では、ほぼすべての家庭が「家計が厳しくなった」と回答。出費を減らしている項目は、「洋服などの費用」74%、「日用品の費用」62%などのほか、もっとも多いのは「食費」の84%。子育て世代はそれほど苦しいのです。国は2023年以降「出産・子育て応援交付金」を、新生児1人当たり10万円相当のクーポン券などを支給することにしました。また、「出産育児一時金」についても現状の42万円から50万円に増額する方針で、岸田首相は「こどもまんなか政策だ」と胸を張りました(2022年12月10日)。でも、本当の意味での支援になっているのでしょうか。出産・子育て応援交付金は、先述の通りクーポンで配布されます。クーポンは子育て用品に交換できるものですが、当然ながら現金より使い勝手はよくありません。それでもクーポンにこだわるのは、現金を送ると「使われずに貯金に回る」「子育て関連じゃないものに使われる」などと思っているからでしょう。ですが、余裕のある家庭は子どもの将来のために貯金するし、余裕のない家庭は今日の食事に使うのが当然ではないでしょうか。クーポンの作成や配布には、事務費用や郵送費用などが掛かります。現金給付よりコストがかかるクーポンにこだわるのは、業者との癒着などがあるのかと疑いたくなります。また、近年出産費用が上がっていましたから、出産育児一時金の増額はありがたいことでしょう。ただ子育てにお金がかかるのは出産時だけではありません。特に重くのしかかるのは教育費ではないでしょうか。日本の高等教育への国の支出はOECD諸国で最低レベルです。子ども1人当たりにかかる教育費は、すべて国公立でも1千万円、すべて私立なら2千万円を超えるといわれます。それだけの経済力がないと思う方は、子どもを産むのをあきらめるでしょう。それが少子化の原因の1つだと思います。一時的なクーポン配布などではなく、教育費をどう支援するのか。抜本的な教育支援こそが、少子化の解消につながる1つの方法ではないかと思います。
2022年12月30日物価高に増税、少子化、年金の改悪……。私たちの家計がますます火の車になった岸田政権下の2022年を振り返り、経済ジャーナリストの荻原博子さんが警鐘を鳴らすーー。2022年日本は30年ぶりの物価高に襲われました。ガソリンの高騰が続き、食品値上げは2万品目を超え、電気やガス料金は2~3割上がりました。私たちの暮らしが厳しかったのは言うまでもありません。そんななか、国が国民に直接支援したのは、「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」として住民税非課税世帯に5万円の給付だけ。そのほか、ガソリン価格を抑えるための「燃料油価格激変緩和補助金」は原油元売り業者へ支給し、2023年から行う「電気・ガス価格激変緩和対策事業」も電気・ガスの事業者への補助です。国は、それらの補助金でガソリン代や電気・ガス料金が抑えられ、私たちの暮らしが楽になるといいますが、「暮らしが楽になった」と感じた方がどれくらいいるのでしょうか。ガソリンは多少下がったものの高止まり。原油元売り業者に多額の補助金がつぎ込まれていますが、本当に補助金全額がガソリン代高騰を抑えるために使われているのか疑わしいと思っていましたが、その不安は的中。財務省の調査によると、3~7月の補助金総額5577億円に対し、ガソリン代の抑制に使われたのは5467億円。110億円が価格抑制ではなくガソリンスタンドの経営改善に使われていたというのです(22年10月7日)。国の補助金が一部の事業者を助けるために使われ、私たちの暮らしには届いていません。また、電気代の補助は23年1月から始まりますが、その3カ月後、23年4月には最大45.84%の値上げを東北電力、中国電力、四国電力、沖縄電力、北陸電力が予定しています(東京電力も値上げ申請の準備中)。国の補助は、2割程度の値上げを相殺するものですから、4月以降は足りません。私たちは「国の補助があって助かった」実感を持てないまま、税金だけが使われていくのです。私は以前から、「すべての家庭の電気基本料金を国が支払う」などわかりやすい方法での支援を求めています。事業者経由ではなく、国民への直接支援を。そして、国民への支援をもっと増やしていただきたい。2023年も政府の動きを厳しく見ていきたいと思います。
2022年12月30日物価高に増税、少子化、年金の改悪……。私たちの家計がますます火の車になった岸田政権下の2022年を振り返り、経済ジャーナリストの荻原博子さんが警鐘を鳴らすーー。2022年はずっと厳しい家計が続きました。ですが、岸田政権が進めるのは「増税」ばかりです。まず、相続税・贈与税の改正が税制改正大綱に盛り込まれました。生前に贈与した財産でも、贈与者の死亡からさかのぼって3年分は相続財産に含める「もち戻し」を、7年間に拡大する方針です。狙いは、高齢者が多く持つ資産を若い世代へと移して資金の循環を促すことだといわれますが、端的に言えば、相続税の課税期間の延長。つまり増税にほかなりません。次に、2023年10月に導入される「インボイス制度」です。23年10月以降は、これまで消費税の納税を免除されていたフリーランスや小規模事業者も、インボイス登録を行って消費税を納めなければなりません。登録しない選択肢もありますが、未登録業者に仕事を発注すると発注側の税負担が増えるため、未登録業者への発注が減る。つまり、インボイス未登録だと仕事がなくなる危険性もあるのです。フリーランスや小規模事業者にとっては、登録してもしなくても、今より経済的にも事務の手間も負担が増えることに。消費税は、今は8%と10%ですが、それよりもっと細かく複数税率にしていくとなるとインボイス制度が必要です。今後、食料品など生活必需品は8%のまま、日用品は少し上げ、ぜいたく品やし好品の消費税をぐっと高く設定するなどという法改正は、インボイス制度がないとできません。だから急いでいるのです。インボイス制度の導入は、消費税を上げるための布石です。さらに、2022年末に飛び出したのが防衛増税です。防衛費を2027年度にGDPの2%、5年間で43兆円まで引き上げる。そのための増税が論議されています。増税の矛先は、法人税とたばこ税、復興特別所得税の3つ。結局、増税時期は先送りになりましたが、今後法人税が上がるかもしれない状況で、企業は給料を上げるでしょうか。23年も給料は上がらないのに物価高は続き、私たちは買い物を控えガマンするしかありません。日本経済は回らず、不景気はこれからも続くでしょう。岸田首相の目に、庶民の暮らしは映っていないとしか思えません。
2022年12月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「習近平政権3期目」です。独裁体制の続く中国。白紙運動で流れは変わるのか。10月23日に中国で習近平政権の3期目が始まりました。中国の政治は、毛沢東後は、共産党幹部たちが複数人で協議をし、最終的に皆で合意をして決める仕組みでした。しかし、習近平政権になってからは、集団指導体制ではなく習近平指導体制に変わっていきました。国家主席の任期も憲法で2期10年までとされていましたが、2018年にその期限は撤廃されました。習近平国家主席は、国民からの支持を集めるために、汚職の摘発に力を入れました。不動産業の大手・中国恒大集団が経営危機に陥っても、取引に不透明なところがあるとして、国は救済しませんでした。急成長したアリババに対しては、いきなりトップを呼び出し叱りつけておとなしくさせました。習近平体制になってからは、中国の躍進は目覚ましく、経済成長を背景に強い支持と強権を集めていきました。自らの政治基盤を固め、執行部のなかでも異を唱える人たちを要職からはずし、習主席のゼロコロナ政策を支えてきた人たちが党最高指導部のナンバー2やナンバー5に起用されています。中国が目指しているのは一帯一路構想をさらにアップデートし、中国を中心とした世界の経済基盤を広げていくことです。また、「一つの中国」を掲げているので、台湾への侵攻は5年以内にあるだろうといわれています。ただ、中国からしてみれば台湾は自分たちの領土であり、日本やアメリカも台湾を独立国と認めてはいないため、内政に口を出すのは難しく、全面戦争になる可能性は少ないと思います。そんななか、11月24日に新疆ウイグル自治区の高層住宅で火災が起き、10人が死亡。ゼロコロナ政策のせいで救助が遅れたとし、「自由を返せ」とゼロコロナ政策、さらには共産党、習近平体制に対する抗議のデモ「白紙運動」が各地で起きています。言論統制にかからぬよう、スローガンを書かずにA4の紙を掲げて抗議の声を上げています。中国で政権批判をすれば身に危険も及びます。天安門事件以来の出来事ともいわれ、それだけ市民の不満が膨れあがっていることを表しています。東京でも新宿で抗議の集会が開かれました。今後に注目したいと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~)が放送中。※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年12月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「岸田政権発足1年」です。成果はまだだが、描くビジョンの実現を期待したい。岸田内閣は発足から2年目を迎えました。10月の所信表明ではコロナ対策や旧統一教会の問題に触れながらも、多くの時間を成長戦略について語りました。キーワードは“スタートアップ創出元年”。5年間で企業を10倍に増やそうとしています。新しい技術の学びの機会がなかった人たちに向けては、「リスキリング」と呼ばれる学び直しの政策に5年間で1兆円規模の予算を投入しようとしています。また、デジタルを使いビジネスを変容する「DX」化や、環境対策を取り入れた「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」を掲げ、新しい産業づくりや、新規参入者を増やし起業家たちの活動を促進し、いままでにない日本の稼ぎ方をめざす。成長することで、分配を増やしていくビジョンを示しました。外交に関しては「直接対話と平和交渉を続ける」と明確に打ち出した点は評価されるべきだと思います。ロシアとの問題は非常に困難だけれども、平和条約締結を諦めないと言い、ちょうど日中国交正常化50周年のタイミングでもあったので、両国の良好な関係を築いていきたいと発言しました。北朝鮮のミサイル発射実験が相次いでいますが、金正恩氏との会談も希望しています。あれらの行動は、アメリカや国際社会に対して、北朝鮮の存在をアピールするためのもの。だからこそ、日本が大国の間に入って、交渉の道を開いていく役割を担えればいいのではないかと個人的には思います。所信表明で語られた内容がしっかり実行されれば、とてもすばらしいと思います。ただ、この1年を振り返ると、まだ成果は見えてきていません。方針がころころ変わっているようにも見えますし、ダイナミズムがないだけに、「聞くだけですね」などと揶揄されてしまいます。肝心なところで説明をしないという姿勢も改善してほしいです。ただ、欠点にばかり目を向けていても始まりません。旧統一教会のニュースも大切ですが、メディアもそればかりでなく、日本経済をどう立て直すのかを本気になって考え報道しないと、共倒れになりかねません。どうしたら良い社会が作れるのか、みなさんと一緒になって考えていけたらと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年12月7日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年12月03日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「バイデン政権の1年」です。アメリカのパワーが失われたことが露呈した1年に。アメリカのバイデン大統領の就任から1月で1年が経ちました。就任直後は57%だった支持率が、1年後は40%ほどに落ち込んでしまいました。コロナ禍でも、経済政策としては、失業率も経済指標も上向きにさせました。ワクチンも2億1600万人が接種済みとなったことをひとつの成果と強調しています。しかし、経済活動は回復していますが需要に対して供給が間に合っておらず、物価が上がって市民はインフレに大変苦しんでいます。支持率が落ち込んだ大きな理由はインフレでしょう。これに対して、バイデン大統領は200兆円規模の大型財政歳出を考えていますが、与党内の反対もあり、議会がねじれた状態になると、こういった法案も通らなくなってしまいます。外交面では、昨年の夏、アフガニスタンから米軍が撤退する際に大きな混乱が起きました。かつては「世界の警察」といわれ、世界の平和と安全のために貢献してきたアメリカのパワーが失われているということを国内外に露わにする結果となってしまいました。トランプ政権から一転し、各国との協調関係は取り戻せたので、ヨーロッパ諸国の首脳からは、「コロナ禍でもうまく立ち回れた」と評価の声が上がっています。ただ、トランプ氏はプーチン大統領と疑惑が取り沙汰されるほど仲が良く、中国に対しては真っ向から臨んでぶつかり、ある意味アメリカの影響力を示していました。日本とアメリカの関係も、安倍元首相とトランプ前大統領はとても相性が良かっただけに、岸田政権とバイデン政権の関係が強固ではないところに、アフガニスタンでタリバン政権が復活したり、中国と台湾の緊張関係も高まったり、ロシアがウクライナに侵攻するなど、これでいいのかと思わざるを得ません。リベラルな大統領が誕生ということで、多くの移民がアメリカに押し寄せました。しかし、不法移民に関してはバイデン氏も頭を悩ませ、結局国境を強化するしかありませんでした。2021年度の不法移民の拘束者数は過去最高に達し、一部のリベラル層からは落胆の声が上がりました。11月には中間選挙があります。ここがバイデン大統領の正念場となるでしょう。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2022年3月30日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2022年03月25日『anan』で連載中の「社会のじかん」がスペシャルバージョンに!読者を代表してイラストレーターの五月女ケイ子さんが堀潤さんに質問しました。テーマは「新政権になり、日本の政治や経済はどうなる?」です。“新しい資本主義”を掲げる岸田政権。再分配をテーマに、暮らしは良くなる?堀潤(以下、堀):この2年、コロナ禍で国民は弱りきってしまいました。そこで岸田政権は「新しい資本主義」を掲げました。五月女ケイ子(以下、五月女):それはどういうものですか?堀:いままでの資本主義は、市場の自由競争に委ねて、勝ち上がる人は勝つ仕組みだったんですね。ところが競争が進みすぎて、お金持ちや大企業は成長するけれど、そうじゃない人は吸い上げられてしまう、格差が広がってしまいました。世界的にそういう事態は起きており、岸田政権は、市民が安心して物が買えて、暮らせるように再分配をする「成長と分配の好循環」というのを目指すと謳ったんです。これが実現できるかどうかが今後の大きなポイントになります。五月女:ぜひ、分配してほしいです!これから景気は良くなりますか?堀:暮らしのレベルでは良くなる可能性はあると思います。コロナ禍が落ち着いて人の流れが戻ってくるでしょうし、再分配策をしっかりやりましょうと言っているので、2022年の参議院選挙の前には、与党も選挙に勝つために、大盤振る舞いするんじゃないかと思います。五月女:給付金みたいなことですか?堀:給付金だけでなく、住居費の負担軽減、学費の補助や省エネ家電のサブスク化、企業にとっても活動しやすい税の仕組みの導入など、国民の納得することをして、はずみの年にすることは間違いないでしょう。五月女:最近、お金の価値が変わってきているのを感じるんです。前は買えていたものが買えなくなってしまった。子供の遠足のおやつの300円で買える範囲がかなり限られてきたなあと(笑)。堀:政府のインフレ誘導が効いているんでしょうね。日本は、価格が安いほうへと競争が進んで、利益を得られないからお給料も減る、さらに物が売れなくなってまた値段を下げる…というデフレの悪循環が続いて抜けられなかったんです。国はもっとお金を刷ってたくさん市場に供給してお金の価値を下げ、インフレに持っていこうとしています。そうすると所得も上げられるようになるだろうと。五月女:でも、所得はそんなに増えてないですよね?なぜなんでしょう?堀:企業の賃上げが足りていないのも要因の一つです。こういう状況を「スタグフレーション」といいます。企業としてはリーマンショックのようなことがいつ起きるかわからないので、従業員に還元せず、お金を貯めておきたいんですよね。五月女:もっとみんなのお給料に回してほしいです。あ、もしかして、私のイラストの稿料も上げてくださいって言ってもいいのかしら?実は仕事を始めたころから、イラストレーターのギャラってたぶんほとんど変わってないんです。お菓子の値段は上がっているのに(笑)。堀:そういうことは日本の各地で起きているようですね。経営者にとってもSDGs、持続可能な発展は大事なキーワードなんです。従業員のみなさんや取引先のみなさんから搾取するような現状はいけませんよ、という旗振りですね。大企業には課税を強化する形で、大きな利益を上げた企業から税金を集め、それを従業員の暮らしを支えることに回す、社員の雇用を守った会社には税金で優遇するというようなことで進みそうです。五月女:税金を払ってよかったなと思えるような分配策をやってほしいですよね。ほり・じゅんジャーナリスト。「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『モーニングFLAG』(TOKYO MX)、「ABEMA Prime」(ABEMA)ほか、レギュラー多数。そおとめ・けいこイラストレーター。オンラインストア「五月女百貨店」では、新年の商品も取り揃えている。LINEスタンプも展開。『乙女のサバイバル手帖』(平凡社)が発売中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月26日《オバマさんが貰うようなすごい賞を小室が貰っていた事になっているのだがw》《小室圭オバマ元米国大統領と並ぶ???》小室圭さんの帰国直前、就職先が発覚すると、ツイッター上でこのような声が上がった。就職先の法律事務所「ローウェンスタイン・サンドラー」のHPに掲載された小室さんの経歴が原因だった。小室さんが「JFK Profile in Courage Award」を受賞したとの記載があったからだ。この賞は、第35代米大統領ジョン・F・ケネディの著書『勇気ある人々』にちなんで、政治的に優れたリーダーシップを発揮した人物を称える賞だ。おもに政治家や公務員から選出され、オバマ元米大統領やアナン元国連事務総長らが歴代の受賞者に名を連ねている。当たり前だが、一人の学生にすぎなかった小室さんが受賞するはずのない賞であり、受賞者リストにも小室さんの名前は見当たらない。小室さんといえば、フォーダム大学入学時にも大学HPで「プリンセス・マコのフィアンセ」と紹介されたことで皇室利用ではないかと指摘を受けたことがあった。今度は偽りの受賞歴を載せてしまったのか――。だが、ネット上で指摘が相次いだこともあってか、小室さんのプロフィールはいつの間にか書き換えられていた。「Fordham’s JFK Profile in Courage and Sweat Equity Award」と、フォーダム大学による賞であることが強調された表現になっていたのだ。■JFKの財団は「そのような賞は出していない」本誌は、本家の「JFK Profile in Courage Award」を主催するJFKライブラリー財団に問い合わせることに。すると、広報部門の部長から次のような回答があった。《JFKライブラリー財団は、JFK Profile in Courage Awardの管理運営者であり、この名称の唯一の著作権保持者です。フォーダム大学とは関係やパートナーシップを取っておりませんし、彼らの賞の運営も行っていません》さらに、同財団のプレス担当からも《われわれの財団では、そのような賞は出しておりません》との回答があった。書き換えられた「Fordham’s JFK Profile in Courage~」という賞に、JFKライブラリー財団はいっさい関与していないという。財団が“非公認”だというこの賞、そもそも本当に存在するのか――。あまりに不可解な受賞歴。その真相について小室さんの代理人を務める上芝直史弁護士に取材すると、小室さん本人に確認のうえで回答があった。まず、プロフィールの作成や表記の変更について。《プロフィールについては、アメリカ国内で通常とられる方法と同じように、フォーダム大学の名称をあげたうえで賞を列挙しており、同大学内部の賞であることは容易に伝わるだろうという発想で表記されたものです。アメリカではごく一般的な表記の仕方だったようですが、日本のマスメディアから多くの問い合わせがあったようで、誤解するマスメディアの方がいるのならと説明を加えて分かるように修正したというのが経緯です。特に問い合わせがなければそのままになっていたでしょう》たしかに書き換え前のプロフィールを見ると、フォーダム大学ロースクールを’21年に卒業したとの記載に続き「JFK in Courage Award」と書かれている。ただ、それだけで「容易に伝わる」とは思えないが……。■「一番目立っていた方に与えられる賞」では、この賞は何を表彰するものなのか。上芝氏によると、《この「JFK Profile in Courage and Sweat Equity Award」は、フォーダム大学のリーガルクリニックが独自に出している賞です。ロースクールでは法曹養成を目的とした教育プログラムが多数用意されているわけですが、リーガルクリニックとは、このうち指導教官のもとで実務体験をし、これを通じて実用的な力を養成するプログラムです。そのプログラム受講者のうち一番目立っていた方に与えられるものだそうです》つまり小室さんは、フォーダム大学のロースクールの、さらにその中の教育プログラム受講者に与えられる賞を受賞したにすぎないというのだ。受賞歴の謎は解けたものの、宮内庁関係者は苦言を呈する。「小室さんはただでさえ、今後ビジネスで“皇室ブランド”を利用するのではないかとの疑念を持たれています。もともとの表記では、JFKの財団が公認する賞を受賞したと誤解する人もいるでしょう。小室さんが“誤解を招く表現もいとわず、自分を大きく見せようとしている人”と見られてしまうのは、小室さん自身にとってもマイナスだと思うのですが……」ちなみに、ケネディの著書『勇気ある人々』は、たとえ有権者に不評であっても信念を貫き、国家と国民のために勇気ある決断をした政治家たちを描いた伝記集だ。ケネディは次のように「勇気」について述べている。《人生のどんな舞台の上で勇気を試されることになっても、自分の良心に従うことによってどんな犠牲を払うことになっても、友人、財産、心の安らぎ、そして仲間の尊敬までも失うことになっても、われわれは一人ひとり自分の進むべき道を決めなければならない》小室さんは10月26日、ついに眞子さまと結婚し、記者会見に臨むことになる。多くの批判を浴びながらも、弁護士事務所への就職を決め、眞子さまが望むニューヨーク生活を実現させようとしている小室さん。その「勇気」を、はたして国民は認めるのか――。
2021年10月12日この1年国民の思いとすれ違い続けた菅政権が、驚くべき早さで終幕を迎える。世間は「次の自民党総裁は誰なのか?」という議論で持ち切りだが、菅政権が残す数々の課題はなかったことにはできないーー。9月3日に、自民党総裁選に立候補しないと表明した菅義偉首相(72)。昨年9月の就任からわずか1年あまりで首相の座を下りることになった。短い期間だったが、菅政権がこしらえた負の遺産は多岐にわたる。これらを整理することで、次の政権の課題を可視化していこう。■沈んだ日本経済と進んだ格差4−6月期の実質GDPの成長率が、前期のマイナス成長からプラスに転じた日本経済。しかし、同じようにコロナ禍に苦しんだ諸外国のGDP成長率と比べると、回復傾向とはいい難い。第一生命経済研究所の首席エコノミストの永濱利廣さんは次のように語る。「今年に入って東京都では緊急事態宣言が出されていない期間は約2カ月。そんな状況では、GDPも減って当然です。緊急事態宣言が出されれば、行動制限によって消費は押し下げられてしまう。菅首相になってから3回の緊急事態宣言が発出されていますが、その経済的損失はあわせて6.8兆円になると見込まれています」(永濱さん)解除しては、すぐに感染者が増えて再発令。緊急事態宣言の乱発については、場当たり的な対応を繰り返すことで、人々の警戒感を弱めてしまったという指摘も多い。さらに、経済損失の裏で、格差も広がっていると永濱さん。「コロナショックの影響で、サラリーマンの給与は低迷していますが、その一方で株高などにより富裕層の財産所得は堅調です。日本経済は菅政権前から、中産階級の貧困化とインフレが重なり、富裕層との格差が広がっていました。生活必需品の価格が上昇基調にあるなか、よりいっそう格差が広がることが懸念されます」■次期首相が背負う課題「菅政権の負の遺産」国民の命と暮らしを守るーー。そう繰り返した菅首相。経済損失や格差以外にも、多くの課題が次期首相に引き継がれる。【森友学園問題】学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の文書改ざん問題。国はその過程をまとめた「赤木ファイル」の存在を認めたものの、再調査は行わず問題の真相も解明されないまま。【桜を見る会】菅首相がはぐらかし続けた、安倍前首相の「桜を見る会」問題。会前日の夜に行われた懇親会を巡り、安倍前首相が不起訴になったことを検察審議会は「不当」と議決した。【河井夫妻 大規模買収事件】河井克行元法相夫妻による選挙区買収事件。原資とされる自民党から渡った1億5,000万円の使途や提供経緯はいまだ不明。河井案里氏の擁立を主導したのは当時官房長官だった菅首相。【総務省幹部 接待事件】菅首相の長男が勤める「東北新社」の総務省幹部の接待問題。忖度が働き行政がゆがめられた疑惑もある。「(息子は)別人格」と野党の追及をかわし、事実解明には積極的に動かず。【IR事業を巡る汚職事件】現職の国会議員に実刑が下されたカジノを含む統合型リゾート(IR)施設事業を巡る汚職事件。責任を問う声も大きいが、カジノ推進の旗振り役の菅首相は説明をつくさなかった。【黒い雨訴訟】広島で原爆投下直後に降った「黒い雨」を巡り、広島高裁は原告全員を被爆者と認めた。しかし、より広範な被害者の救済に向けた審査基準の見直しに関する具体的な動きはないまま。【子ども庁】「何としても進めたい」と待機児童や虐待、貧困などの課題に取り組む省庁作りを牽引。組織や政策の議論、予算の中身については今年末に固まる予定だったが、発足さえ不透明な状況に。【デジタル庁】IT施策を一元化する新省庁は首相の肝いり案件。9月1日に発足するも2日後に総裁選不出馬を明らかに。はしごをはずされた形のデジタル庁が役割を果たせるか先行きは見通せない。【脱炭素】2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言し、脱炭素に舵を切ったが、産業界などは慎重な立場。気候変動サミットで国際公約までしたが達成への道のりは険しい。彼が残した負の遺産は、次の政権で清算されるのだろうか。
2021年09月15日《政権が代われば、政治が変わります。政治はやる人間によって必ず変わります。私の信念です》9月8日、Twitterでこう宣言したのは立憲民主党の福山哲郎幹事長(59)。菅義偉首相(72)が9月3日に自民党総裁選不出馬の意向を表明して以来、政権交代に向けた立憲民主党の動きが加速している。3日、同党の枝野幸男代表(57)は会見で、内閣がレームダック状態(死に体)であると指摘した上で、「総理も無責任でありますし、またこうした状況を作り上げた自民党全体に、もはや政権を運営する資格はない」と政権与党の自民党を激しく批判。蓮舫氏(53)や安住淳国対委員長(59)は、連日、国会を招集するよう政府・与党に厳しく呼びかけている。7日には、「政権交代した場合の初閣議で直ちに決定すること」とした7項目を発表。7項目には、生活困窮者への現金10万円給付といった、新型コロナウイルス対策として30兆円以上の補正予算を編成することやコロナの対策司令塔を設けること。さらに「日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命」や「赤木ファイル関連文書の開示」といった、自民党政権下で起こった数々の問題についても取り組む姿勢を見せていた。勢いを増す立憲民主党だが、世間の評価は追いついていないようだ。9月6日の「読売新聞オンライン」によると、同社が行った最新の世論調査では、野党第一党である立憲民主党の政党支持率はわずか7%。これは新型コロナ対策で失策続きである自民党の36%の約5分の1だ。また、連日メディアで報じられている自民党総裁選がさらなる逆風となっているようだ。「コロナ対策の遅れや長引く緊急事態宣言によって自民党はかなりの打撃を受けていますが、総裁選によって国民の注目を一手に集めているのも事実。実際、菅首相の“退陣表明”以降、立憲民主の議員がメディアで取り上げられる機会は大幅に減少し、総裁候補たちの去就ばかりが報じられています。今の自民党政権は断じて100点ではありませんが、野党第一党である立憲民主が具体的かつクリティカルな政策を提案できているわけでもありません。SNS上では自民党のしたことに“ただ噛みついているだけ”という印象を抱いている人も多く、今、求められているのは具体的なビジョンをきちんとした言葉で示すことではないでしょうか」(全国紙政治部記者)自民党総裁選後には衆議院総選挙が控えている。果たして、それまでに野党第一党の“意地と誇り”を見せつけることはできるのかーー。
2021年09月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「温室効果ガス46%削減」です。環境の問題だけではなく、経済の生き残り策 。4月に気候変動サミットが開かれ、各国が温室効果ガスの削減目標を表明しました。日本は2030年度までに2013年度比で46%削減するという新たな目標を掲げ、「50%の高みに向けて挑戦を続ける」と発表。それまでの目標値は26%削減でしたから、一気に引き上げた形になります。ところが、環境問題に熱心に取り組む若い人たちが、その数字では足りないと、経産省前でハンガーストライキを行いました。パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5°Cに抑えることを目標に定めています。そこまで効果を出すには日本は62%の削減が必要だと訴えたのです。ちなみに他国の目標値は、アメリカは2005年比で50~52%削減。EUは1990年比で55%以上減。イギリスは1990年比で78%以上減です。アメリカのバイデン大統領は、オバマ政権で謳われた、温暖化防止と経済格差是正の両方を行う経済刺激策「グリーン・ニューディール」をさらに強化し、「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」に4年間で総額2兆ドルを投入すると公約で掲げました。中国は、公害により健康被害が多く出たことを機に、環境対策に積極的になり、2030年までの温室効果ガス削減目標は2005年比で65%以上削減。また、2035年の新車販売でガソリン車をゼロに。電気自動車を中心に省エネ・新エネルギー車の割合を5割にし、残りの5割もすべてハイブリッド車にすると昨年秋に発表しました。欧米や中国の削減目標値が高いのは、環境対策がこれからの経済の主戦場になると踏んでいるからです。欧米の大手企業は、石炭や火力による電力に依存する企業とは取引しないと公言していますから、日本も再生可能エネルギーの比率を上げるなどの対処をしないと、このままでは世界の経済市場から日本の企業は排除されてしまいます。環境対策は、地球を守るというイデオロギー的なものから、産業の生き残り策に大きく変わったんですね。AIや再生可能エネルギーなど、あらゆるテクノロジーを駆使し、環境に負荷をかけない産業政策を、国が本格的にとる必要があるのではないかと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年6月16日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年06月12日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米中外交」です。体制の違いにより対立が顕著に。注視が必要です。アメリカの外交政策を、国際協調から「アメリカ第一主義」に大きく方向転換したトランプ前大統領。バイデン大統領は2月の演説で、「アメリカは戻ってきた」と世界に向けてメッセージを発し、再び協調体制に戻すこと、失われた同盟関係を修復することを宣言しました。問題は対中国です。就任前には「弱腰になるのでは?」と推測する声がありましたが、それを覆すかのようにバイデン政権は中国に強い姿勢を示しています。人種や宗教によって差別することは許さないと、新疆ウイグル自治区や香港、東南アジアに対する中国の挑発的な支配姿勢を批判。「中国の経済的虐待に立ち向かう」「人権や知的財産、グローバルガバナンスに対する中国の攻撃を押し返す」などと表現しました。中国への強硬姿勢は、トランプ時代と変わりませんが、バイデン大統領は「アメリカの国益となる場合は、中国政府と協力する用意がある」と付け加えることも忘れませんでした。しかし、米中関係は日に日に緊張感を増しています。3月に行われた米中外交トップ会談では、人権に反する中国の行為を非難したアメリカに対し、「内政に干渉する行為には断固として反対」と、中国側は強く反発しました。中国は自らを民主国家と謳いますが、民主主義の定義が私たち自由主義国とは異なり、最終決定権はすべて中国共産党にあります。バイデン大統領は、中国が民主国家に変わることを期待していたのですが、体制の違いは露わになるばかり。3月末の記者会見でバイデン大統領は「21世紀における民主主義と専制主義のどちらが機能するかの闘い」と発言し、対立を極めました。習近平国家主席は、オバマ政権のころには「G2」として、中国とアメリカで世界の秩序を作ることを呼びかけていました。ところがトランプ政権になり対立関係に。本音ではビジネス上で繋がっておきたい両国ですが、不当逮捕や弾圧が日常的に行われる国相手では安心して投資はできません。今後、たとえば台湾をめぐり、米中関係がさらに悪化した場合には、日本の米軍基地から中国にプレッシャーをかける可能性も。他人事ではいられないのです。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。新しい朝の報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~8:00)が放送中。※『anan』2021年4月21日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年04月16日バラク・オバマ元米国大統領とブルース・スプリングスティーンによるポッドキャスト番組「Renegades: Born in the USA」がスタート。2月23日より、スポティファイ(Spotify)にて配信されている。オバマ元米国大統領とスプリングスティーンが初めて顔を合わせたのは2008年のこと。以来、2人はまったく異なる背景や経歴を持ちながらも、深い交友関係を気築いてきた。この度スタートしたポッドキャスト番組「Renegades: Born in the USA」では、気の置けない2人の個人的な会話を楽しもう。「Renegades: Born in the USA」は、オバマ元大統領とミシェル・オバマ夫人が設立したプロダクション「Higher Ground」との提携でスポティファイが配信する2作目のポッドキャスト番組。同番組では、シーズンを通じて、オバマ元大統領とスプリングスティーンが、人種、父親の役割、結婚、アメリカの未来といったトピックについて語り合う。故郷やロールモデルについて意見を交わし、新しい時代に求められる男性の役割を模索。痛ましいまでに分断された今日の米国の状況に向き合い、皆で手を取り合って前進するためのビジョンを提案していく。気になる初回のエピソードどうしてこうなってしまったんだ? どうすれば一致団結したアメリカに戻れるだろう?番組の最初のエピソードで、オバマ元大統領がこのように尋ねる。その後、こう続けた「去年の私の会話は、ほとんどがこのトピックだった。ミシェルとも、娘たちとも、友達ともね。そしてその友達の1人が、たまたまブルース・スプリングスティーンだったというわけだ。表面的にはブルースと私にはあまり共通点はないよね。でも年月を重ねるにつれ、私たちには共有する感性があることが分かったんだ。仕事について、家族について、アメリカについて感じること。やり方は違っていても、ブルースも私も、自分たちにたくさんのものを与えてくれたこの国についてもっと理解しようとしてきた。そこに住む人たちの物語を記録しようとしてきた。そして、己の意義や真実、コミュニティを探すなかで、それをもっと大きなアメリカのストーリーに結び付けられないかと模索してきたんだ–––––––––––」続きは、スポティファイで聴いてみよう。現在、2つのエピソードを全ユーザーに向けて配信中。
2021年02月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「バイデン政権」です。格差で分断されたアメリカをどう手当てしていくのか。アメリカ合衆国の第46代大統領にジョー・バイデン氏が就任しました。共和党政権から民主党政権に変わり、政策も大きく方向転換します。トランプ政権の特徴は、企業活動を積極的に支援し、企業が潤うことが国民の生活水準向上につながるというスタンスでした。貿易でも強い交渉力を示し、企業家や投資家にとっては喜ばしい政策でした。これに対してバイデン政権は、社会保障、医療、最低賃金の引き上げ、生活保護など、市民の生活基盤から底上げしようという姿勢です。バイデン大統領は、「アメリカ救済計画」と謳い、200兆円規模のコロナ対策を打ち出しました。日本のコロナ対策の約2倍です。具体的にはワクチン接種の推進、検査の拡大、国民1人当たり1400ドルの給付、失業保険を週あたり400ドル上乗せ、失業手当の9月末まで延長など。公衆衛生関連の人材育成も進めると表明。経済政策としては、財務長官(日本の財務大臣)に初となる女性、ジャネット・イエレン氏を起用。イエレン氏は経済学者でもあり、「失業者と中小企業を支えることが、今のアメリカにとって大規模な景気刺激策になる」と話しています。しかし、共和党の議員からは、「市民にお金をつぎ込むより、企業を支えないと財政を痛めるのではないか」と反発の声が上がっています。バイデン政策のもう一つの大きな柱は環境です。トランプ政権が脱退を表明したパリ協定に復帰。SDGsに該当する産業の育成に焦点を当てています。Black Lives Matterで注目された人種格差問題も優先課題として挙げています。人種差別撤廃を謳い、トランプ前大統領の移民政策も見直しに。トランプ政権下では受け入れを拒否された移民たちですが、南米から職を求めアメリカを目指す人々が再び、多数押し寄せています。どの政策も結果が出るまでには時間がかかります。大統領選は僅差での勝利だったため、政権運営は難しい舵取りを迫られるでしょう。真っ二つに分断された国内をどう手当てするのかが大きなテーマです。不満を持つ人に恩恵の行き渡る経済政策が成功するのかどうか、今後も注視していきましょう。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『モーニングCROSS』(TOKYO MX 平日7:00~8:00)にメインキャスターとして出演中。※『anan』2021年3月3日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年02月25日かねてより圧勝が予想されていたが、接戦に苦しんだバイデン氏。なぜこの選挙戦はもつれにもつれたのか、そして新たな大統領はどんな政策を打ち出していくのか。専門家が徹底解説ーー!「日本ではトランプ大統領の“過激な発言”が頻繁に報道されたため、バイデン氏の圧勝を予想した人は多かったと思います。『人種差別の解消』『環境問題の是正』や『国際協調』を謳い、『トランプ大統領よりは聞く耳を持っている』と言われていたバイデン氏ですが、“政策に具体性がない”という指摘も受けていました」こう語るのは『コロナ後の世界』(文春新書)の編著もある在米ジャーナリストの大野和基さん。それでもバイデン氏に軍配が上がったのは「新型コロナ感染拡大という背景があったからでしょう」と分析する。アメリカ大統領選ウオッチャーで、明治大学政治経済学部教授の海野素央さんも、“コロナ禍でなければトランプ大統領の圧勝だった”と見ている。「しかし選挙戦の大詰めで、トランプ大統領は新型コロナに感染。退院したあとはマスクもせずに大規模集会を行い、“強いリーダー像”を見せようとしました。ただ、そんな感染対策を無視した選挙運動に、嫌悪感を抱いた有権者が多かったのです」反対にバイデン氏の選挙運動といえば、マスクをしてソーシャルディスタンスを保つ姿が多く報じられていた。海野さんが続ける。「バイデン氏は、人々の目に“強いリーダー”ではなく“共感できるリーダー”に映った。それが支持を集めたのだと考えます」自らの政策を強く打ち出すより、トランプ大統領の政策に反対することで選挙を戦い抜いたバイデン氏。彼の政権は、日本にどのような影響を与えるだろうか。大野さん、海野さん、そして国際政治ジャーナリストの小西克哉さんに聞いた。【対中・対北朝鮮】“アジアに無関心”の姿勢がスキを与える可能性も「バイデン氏は中国に対して、地球温暖化対策では協調するものの、知的財産権の侵害やスパイ活動においては、トランプ大統領と変わらず厳しく取り締まるスタンス。大きな変化はないと見ています」(小西さん)ただし北朝鮮問題に関しては。「バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権時は、米国側が対話ばかりを求め何もしなかった。それゆえに、北朝鮮のミサイル問題までに発展した経緯があります」(大野さん)小西さんも「バイデン氏はアジアよりも、中東に目を向けているのでは」と見ている。トランプ大統領の“睨み”が外れた政権下では、北朝鮮の挑発行為にストップがかけられない可能性もある。【東京五輪】米国選手「不参加」の暗雲。“五輪恐慌”という最悪のケース大統領選で、バイデン氏がもっとも有権者の心をつかんだコロナ対策。これは、かねてより開催が危ぶまれている東京五輪にも、大きく影響するという。「バイデン氏は、全米で23万人もの死者を出しているコロナの対策を徹底的に行うでしょう。ワクチン開発にも力を入れ、収束時期が早まれば、日米の渡航も自由に行える日も近くなります。ただ仮に東京五輪までに感染が収束していなければ、経済最優先のトランプ大統領なら何も考えずに参加するでしょうが、バイデン氏なら参加を見送るでしょう」(海野さん)日本では「規模を縮小してでも五輪を開催してほしい」という声も根強いが……。「世界のスーパースターが集まるアメリカが見送る選択をすれば、追随する国も出るでしょうし、大会自体が成立しません。設備投資が無駄になり、インバウンド効果でコロナの損失から復活しようと考えている人たちにとっては大打撃です」(大野さん)五輪中止による恐慌が日本を襲う可能性もあるのだ。政治的姿勢に“穏健すぎる”という指摘を受けるバイデン氏だが、トランプ大統領が日本に強いてきた負担が、少しでも軽減されるように手腕を振るってほしい。「女性自身」2020年11月24日号 掲載
2020年11月13日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「政府事業の民間委託」です。問題点は行政側に。新規民間の参入と育成が課題です。新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」の支給において、経済産業省がサービスデザイン推進協議会に事業委託。そのほとんどを電通に再委託していたことが発覚し、中抜き疑惑が湧き起こり問題になりました。こういう大きな行政事業は、お金の管理、宣伝文句やデザイン、業者への発注など、仕事が多岐にわたります。しかも迅速に実行しなければいけないとなると、ノウハウを持ち安心して任せられるのは大手広告代理店しかないというのも事実です。東日本大震災で、計画停電を急にしなければいけなくなったときも広告代理店がいろいろなプロジェクトを組んで進めていました。前述の問題の決定的なミスは、説明がきちんとなされなかったことでしょう。不透明な関係で、本当は発注に偏りがあるのに、あたかも公平にやっているかのように見せかけた手法が問題。最初から、こういった大事業を頼める業者は限られていることを正直に公表すればよかったのだと思います。ただ、発注先が限られるということは、市場競争が起こらないため、価格が適正なのかどうかも判断がつきません。この状況を変えるためには、日頃から、様々な業界が行政事業に参入しやすくすることではないでしょうか。アメリカではオバマ政権以降、「オープンガバメント政策」を打ち出しており、政府の透明性、国民参加、官民協業を謳っています。地方行政では福岡市がITやデジタル技術を積極的に使った、新たな行政サービスを次々と打ち出しています。交通では配車サービスの「Uber」のライドシェアをいちはやく実験的にスタート。ベンチャー企業の誘致も進め、育成に力を入れてきました。LINEやYahoo!などのテック系、デジタル系新興企業と連携してプロジェクトを動かすなどしており、他県から視察も多く来ているようです。大手広告代理店が悪いという話ではなく、政府はきちんと情報公開をして、民間参入者を増やし、新たな産業を起こしたり企業育成をすること。本当の意味での効率を高めて、先鋭的、前衛的な新陳代謝のいい国になる必要があるのではないかと僕は思います。ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。※『anan』2020年10月14日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年10月12日現地時間2月9日に行われた第92回アカデミー賞。日本のみならず世界を席巻中のポン・ジュノ監督による韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞ほか4部門を制し、歴史的快挙を成し遂げたメモリアルな授賞式となった。アワードでは各賞の最優秀作品が発表される以外にも、趣向を凝らしたステージパフォーマンスが目を楽しませてくれるが、その中でも強烈な印象を残したのは2人の歌姫の存在だ。その歌姫とはミュージカル女優シンシア・エリヴォと、個性派アーティスト、ジャネール・モネイ。奴隷解放活動家ハリエット・タブマンの激動の人生を活写した『ハリエット』(6月5日公開)では、2人の熱き共演が堪能できる。奴隷から「英雄」へ知られざる真実の物語『ハリエット』米・メリーランド州で奴隷の子として産まれたハリエット・タブマンは、19世紀半ばに活躍した実在する奴隷解放活動家だ。秘密結社「地下鉄道」の“車掌”として、奴隷州から自由州へと逃亡する奴隷を誘導する係を担い、手助けした人数は70人以上。南北戦争では自ら黒人兵士を率いて戦い、750人以上もの奴隷を解放している。本作は6歳の頃から奴隷として過酷な労働を強いられていたアラミンタ・ロス(通称ミンティ)の決死の脱走劇と、ハリエット・タブマンと名を変え「英雄」となっていく姿を真正面から描いた知られざる真実の物語だ。雄大な平原や木々生い茂る森を駆け抜け、時には濁流にも飛び込み自由を勝ち取ったハリエット。命の危険も顧みずに、家族や仲間のために組織を先導した彼女の崇高なる志と不屈の精神は、いまなお残る不平等と不寛容な社会を生きる現代人の心に深い感銘を与えることだろう。ハリエットを熱演そして熱唱!シンシア・エリヴォ今回、不屈の魂を持つハリエットに扮したのはミュージカル女優として活躍中のシンシア・エリヴォ。ブロードウェイデビューとなった「カラーパープル」で演じた主人公セリー役が高く評価され、主要な演技賞で主演女優賞を受賞したほか、トニー賞では最優秀主演女優賞に輝いている。また今年1月には三浦春馬と共演した「シンシア・エリヴォ ミュージカルコンサート featuring マシュー・モリソン&三浦春馬」が東京で開催されたのも記憶に新しい。スクリーンデビューはジェフ・ブリッジス、クリス・ヘムズワースと共演した犯罪サスペンス『ホテル・エルロワイヤル』(2018年)。そして三本目の映画出演にしてタイトルロールを務めた本作では、歴史に名を残す女性活動家を熱演したほか主題歌を熱唱し、アカデミー賞(主演女優賞、歌曲賞)でWノミネートの快挙に!本作では虐げられている仲間たちのために奔走するハリエットの勇猛果敢ぶりを骨太に活写する一方で、妻として、家族の一員として愛する人たちを守りたいと願う彼女の根底に流れる“人間的な温もり”にも焦点を当てている。また、13歳の時に頭がい骨陥没の重症を負わされ、生涯ナルコレプシー(強い眠気に襲われる睡眠障害の一種)の後遺症に苦しめられたというハリエット。多くの奴隷の逃亡を成功させた彼女は尊敬を込めて「黒人たちのモーゼ」と呼ばれていたが、劇中では彼女が常人とは少し違う神秘的な存在としてとらえられていた一面も映し出す。そんなハリエットを全身全霊で体現したシンシアの“魂の演技”に、圧倒されることだろう。そして演技と同じく強烈な印象を残すのが、シンシアが歌う主題歌「スタンド・アップ」。アカデミー賞授賞式では歌曲賞にノミネートされた候補者たちが素晴らしいパフォーマンスを披露したが、満を持して登場したシンシアは抜群のカリスマ性を発揮してステージを支配。そのパワフルな歌声には世界がくぎ付けに!気高き奴隷制度廃止論者マリーを好演!ジャネール・モネイジャネール・モネイは歌手、作曲家、音楽プロデューサー、モデルと複数の分野で活躍する、エキセントリックでフューチャリスティックな個性派アーティストだ。ソウルやポップほか多彩なジャンルを繰り出すシームレスな楽曲構成が魅力で、初来日となった昨年夏の「FUJI ROCK FESTIVAL ’19」ではその見事なパフォーマンスと共にメッセージ性の高さも絶賛されている。またアカデミー賞授賞式においてはオープニングの“スペシャル・パフォーマンス”として登場。ステージ後半ではアリ・アスター監督作『ミッドサマー』を彷彿とさせる衣装をまとい、自身のヒット曲「Come Alive」を主張と共にエネルギッシュに披露し、会場は熱気の渦に!ジャネールはNASAを支えるヒロインをモチーフにした『ドリーム』(2016年)でスクリーンデビュー。その後も第89回アカデミー賞で作品賞ほか3冠に輝いた『ムーンライト』(2016年)や彼女を模したバービー人形も登場するロバート・ゼメキス監督作『マーウェン』(2018年)に出演するなど、女優としても着実に作品を重ねている。そんなジャネールが本作で扮するのは、奴隷制度が廃止されているペンシルベニア州へと逃れてきたハリエットをかくまう、気高き奴隷制度廃止論者マリー・ブキャナン。自由の地フィラデルフィアで自由黒人として暮らすマリーは、ハリエットが“車掌”として活動する際に怪しまれないようドレスを与え、レディとしての立ち居振る舞いを教え込む。出会った瞬間は警戒しあっていた2人が、尊敬と友情の念で結ばれる印象的なシーンもお見逃しなく。後年は婦人参政権運動に参加するなど女性の地位向上にも尽力し、「アメリカ史で最も有名な10人」に選ばれたこともあるハリエット・タブマン。オバマ政権時代には、彼女の肖像がアフリカ系アメリカ人として史上初となる新20ドル札に採用されることが決定している。だが、婦人参政権運動100周年となる2020年に予定されていた新紙幣の発行は、トランプ政権となった現在では事実上膠着状態に…。自由への渇望と不屈の精神を描く『ハリエット』。本作が訴えかけてくるテーマを、いまこそ噛みしめたい。《text:足立美由紀》(text:Miyuki Adachi)■関連作品:ハリエット 2020年6月5日より全国にて公開© 2019Universal Pictures International, Focus Features LLC and Perfect Universe Investment Inc.
2020年06月01日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「イランVSアメリカ」です。イランは日本と関係の深い国。現状に目を向けて。今年に入り、イランとアメリカの緊張関係が急速に高まりました。イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が、イラクを訪問中の1月3日に、アメリカのドローンを使った空爆により殺害されました。イランは報復措置として、8日にイラクの米軍基地をミサイル攻撃しましたが、それ以上の戦いは望まないと、双方手打ちとなりました。ところが、同日、ウクライナ旅客機がテヘラン近郊で墜落。最初は事故と発表されていましたが、のちにイラン軍による誤射だったことが明らかに。これにより外国人を含む176人の民間人の命が奪われました。イランとアメリカの関係は、オバマ政権時代に改善しかけていました。2009年から8年かけた粘り強い交渉の末、イランの核開発を平和裡に制限させることに成功。代わりに経済制裁を解除する予定でした。歴史的に意味のある合意だったのですが、トランプ政権はそれを白紙に戻してしまいました。前大統領の功績をすべて覆そうとするトランプ大統領。イランに強硬な態勢をとっているのも、秋の大統領選を意識しての行動といわれています。一方、日本とイランは親密な関係にあります。事件後、安倍首相はすぐさまイランに飛び、アメリカと中東の仲介役になろうと働きかけています。日本はイランから、石油や天然ガスを多く輸入していますから、有事にそれらが入らなくなれば、日本の社会は回りません。アメリカに気を使い、中東地域に海上自衛隊を派遣しましたが、目的はあくまで情報取集で、攻撃のためではないことを強調しました。しかし、自衛隊は専守防衛、武器の使用を禁じられています。そんな状態で隊員の安全は守られるのでしょうか?もう一つ注目すべきは、イラン国内で起きている反政府デモです。発端は昨年11月の石油価格の高騰。政府の制圧で300人以上の人が亡くなったとの報道も。そして、ウクライナ旅客機墜落で真実を隠蔽しようとしたことから、国民の不満は再燃。言論統制されているイランで政府に反発を示すのは命がけの行為です。それほど不満が溜まっている状態であることを、みなさんにも知っていただけたらと思います。ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。映画『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)が3月7日公開。※『anan』2020年3月4日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年02月27日ヴィオラ・デイヴィスがドラマ「First Ladies」(原題)で、ミシェル・オバマ氏を演じるという。テレビ局「Showtime」が発表した。ヴィオラといえば、エミー賞で主演女優賞を獲得した「殺人を無罪にする方法」の主演として有名。同ドラマは今年の春にシーズン6で幕を閉じることが決定している。「First Ladies」は、カリスマ的で複雑で、生き生きとしたアメリカのファースト・レディたちに焦点を当てたドラマ。シーズン1では第32代大統領フランクリン・ルーズベルトの妻エレノア・ルーズベルト、第38代大統領ジェラルド・フォードの妻ベティ・フォード、そして第44代大統領バラク・オバマの妻ミシェル・オバマの政治人生や私生活について描く。同局の社長は、ミシェル氏を演じる女優としてヴィオラを迎えることに「夢が叶った。このシリーズを立ち上げるのに、彼女のような素晴らしい才能を持つ人が出演してくれるのは、本当に幸運なことだ」と語っている。ヴィオラは製作総指揮も務める。脚本は、ジョエル・シュマッカーのもとで十年以上に渡り企画構想を担当し、作家でもあるアーロン・クーリーが担当する。(Hiromi Kaku)
2020年02月06日漫画「遊☆戯☆王」の作者・高橋和希氏が7月15日、Instagramを更新。選挙に行くよう呼びかけた。だが同作のキャラクターで「独裁政権」と現政権を揶揄したたため、ネットで物議を醸している。高橋氏は同日、自身のInstagramで《YU-GI-OH! OCG 20th ANNIVERSARY MONSTER ART BOXが11月に発売されます》《内容はボリュームたっぷりなのですが、値段も高く、分厚い本なので購入される方、そして宅配業者の方にはホント 申し訳ありません そして ありがとうございます!》と投稿。続けて7月21日にひらかれる参議院議員選挙について触れ、《本当に今の売国政権で日本の未来は大丈夫かと思うわ!ヤバイ~~!!》《アテム「決闘者のみんな!今こそ正義の一票スタンバイだぜ!!」》とつづった。さらに高橋氏は「遊☆戯☆王」の主人公・武藤遊戯が「Let’s VOTE!」と書かれたカードを持ったイラストをアップ。その後ろには同作に登場するキャラクター・ブラックマジシャンとブラックマジシャンガールも描かれているが、2人にはこんな吹き出しがついている。《ホント…日本て住みづらくなっちゃった》《独裁政権に未来は暗黒次元(ダーク・ディメンション)》連日、著名人がSNSを通じて選挙に行くよう呼びかけている。これまで政治的な言動を避ける流れがあったため、彼らの投稿はそのたびに大きな反響を呼んでいる。しかし高橋氏はキャラクターで「独裁政権」といった過激な表現を用いたため、Twitterでは否定的な声も上がっている。《作者本人が政治的発言をするのは個人の自由だろうけどキャラクターに言わせるのはちょっと違うと思う。自分で作り上げた世界観を壊してしまう恐れのある行動はどうかねぇ?単に「選挙へ行こう!!」ってならまだ分かるけど「遊戯王」って元々そういう漫画じゃなかったし》《私が子供の頃好きだったセーラーマーキュリーに武内直子が「売国政権」やら「民主党政権は悪夢」やら言わせてたらドン引きしてただろうから、遊戯王のファンが幻滅する気持ちはわかるわ》《遊戯王とは別のオリキャラでも描けばよかったのに》いっぽうで賛同する声も上がっている。《遊戯王の作者が左右どちらからでも仕事として請け負って自分のキャラクターに政治的発言をさせたらただのプロパガンダだけど、なんだか世の中に腹が立って思わず書いたなら誰に文句の言いようのない「表現」です。彼に怒っている人は「まんが家が表現すること」に怒っているに等しい》《あくまで作者の生み出したキャラなんだから、何言わせるかは作者が決めることだろ。受け手が批判する問題ではない》《「干される」とかを気にしてるより、ずっと健全だよ》同日、Twitterでは「高橋和希先生」「売国政権」「暗黒次元」といった言葉が軒並みトレンド入り。事態を重くみた高橋氏は《なにやらお騒がせしております。いろいろ意見を頂き、キャラクターに政治的表現をさせてしまった事、ファンの皆様に深くお詫び申し上げます》とInstagramで謝罪している。
2019年07月16日