最近よく耳にする「オーバーローン」という言葉ですが、これは主に住宅などを購入する場合に利用されるローンの一形態です。オーバーローンにはメリットもありますが様々なデメリットもあります。今回はこの「オーバーローン」についてお話しします。■ そもそもオーバーローンって何?freeangle / PIXTA(ピクスタ)住宅などを購入する場合に、物件価格以上の金額を住宅ローン等で借り入れることをオーバーローンと呼びます。物件価格以上の金額を住宅ローン等で借りるといっても、自分が自由に使えるお金を銀行が貸してくれるわけではありません。オーバーローンは、住宅購入時にかかる諸費用分(登記費用・銀行保証料・仲介手数料など)のみがその融資対象です。■ オーバーローンのメリットGraphs / PIXTA一般的に、住宅を購入する場合は物件価格の他に様々な諸費用が発生します。もし、購入する物件価格の100%を融資してくれる銀行があれば頭金は必要ないことになりますが、この購入時にかかる諸費用については別途用意しなくてはなりません。しかし、この諸費用も銀行が融資してくれるなら、手持ちの資金がゼロでも住宅が手に入ることになります。仮に、手持ち資金があったとしても、「現金を手元に残しておきたい」や「現金を使う予定がある」等の場合にこのオーバーローンが利用できれば、住宅取得に自己資金を充てなくて済みます。この様に、自己資金を利用せず住宅の購入ができるのがオーバーローン最大のメリットです。■ オーバーローンのデメリットタカス / PIXTA(ピクスタ)オーバーローンにはメリットだけではなく、いくつかのデメリットもあります。このデメリットをしっかり理解せずにオーバーローンを利用するのは避けなければなりません。換金性の低下最も大きなデメリットは、「換金性の低下」です。例えば、購入物件が「4,000万円」で、諸費用が「350万円」だった場合、その住宅をすぐに売却する場合は「4,350万円」以上で売却しなければなりません。つまり、購入時の価格よりも高い金額で売却しなければローンを全額返済することができなくなるのです。諸費用の借入分は金利が高いことも購入時の諸費用については、住宅ローンの一部として融資可能な銀行や、住宅ローンとは別枠で融資する銀行があります。住宅ローンの一部として融資を受ける場合、その金利は住宅ローン金利が適用されますが、別枠で融資を受ける場合は住宅ローンよりも高い金利が設定されています。その場合は、当初想定していたよりも毎月の返済額が多くなる可能性もあります。オーバーローンを申し込む場合は金利の差にも注意してください。■ オーバーローンを諸費用以外に使うのは契約違反!Graphs / PIXTA悪質な業者から、「オーバーローン分は自由に使えますよ」とか「他の借入金返済に充当できますよ」などと言われたりしても絶対にやってはいけません。オーバーローンは、あくまで購入時の「諸費用」にしか充てられませんので、それ以外の使途(車の購入資金や他の借入金返済など)に充てると、銀行から「契約違反」として、住宅ローンの一括返済を求められることもあります。■ 結局、オーバーローンは利用してもいいの?money/pixabay「物件価格プラス諸費用分」の融資を行っている銀行は、それぞれ独自の審査を行ったうえで融資の可否を判断しています。自分自身がローンを確実に支払っていける自信と根拠があり、銀行の融資審査をクリアし、尚且つ不正行為でなければオーバーローンを利用しても問題はありません。ただし、十分に返済計画を検討したうえで利用することを心がけましょう。
2019年07月25日婚姻期間中に購入したものは、共有財産として離婚の際に財産分与の対象となります。その中でも、高価なものは『家』ではないでしょうか。離婚する際に、両者とも購入した家から出て行く場合、その家を売却したり、賃貸にしたりするでしょう。賃貸にする際は、家の名義人が賃貸として家を貸していくことで、財産分与の対象からあえて外すことが大半です。しかし、売却する場合はどうなるのでしょう。虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士に監修いただき、■売却する場合発生するオーバーローン住宅ローンを支払いきっていない場合、売却したとしても、家の価値が購入時より下がっており、ローンの残債額が売却額を上回ってしまうことがあります。例えば、4,000万円の住宅ローンを組み、そのうちの1,000万円(利息は別)支払っていたとします。残りは3,000万円ですよね。その家を売却しようと査定して見ると、2,500万円という結果が出ました。つまり、ローンの残債を返済するには500万円足りないということ。これを『オーバーローン』と言います。 ■オーバーローンは一括で返済しなければならない任意売却などの場合を除き、基本的に家を売却すると、ローンの残債は全額一括返済しなければいけません。ほかにも、借り入れの名義人を変更すると、『期限の利益喪失』という現象が生じます。これは銀行が、お金を貸したのは、当初の借主を信頼していたからですよ、ということです。ほかにも銀行は、お金を借りる際、家と土地を担保としており、その担保がなくなってしまうのならもうお金は貸していられませんよ、ということですね。 ■家の名義人でなくても、残債は共有財産の対象になる?共有財産は『財産』として残るものを指します。つまり、負債しか残らない場合は共有財産とならず、住宅ローンの残債は名義人に支払いの義務があります。よく、家庭裁判所の調停などでも問題の議題になりますが、オーバーローンの対象物件は、財産分与の対象から外して考えます。しかし、元配偶者の名義で、自身が連帯保証人になっている場合、元配偶者の支払いが滞れば離婚後も連帯保証人に支払いの義務が発生します。離婚の際には連帯保証人から外れる手続ができればベストですが、銀行などの契約書を精査しなければ、期限の利益喪失のリスクを負ってしまいます。 ■請求されたら支払わなければならない?そんなことはありません。前項でも説明した通り、負債は財産分与の対象ではないので、元配偶者に支払えと言われてもその必要はありません。もちろん、離婚後も家には住み続け、その所有権を最終的には取得するという形で合意した場合には、別途考慮しなければなりませんが、基本的に請求にただちに応じる必要はありません。 ■さいごにお金の問題は、シビアですよね。誤解や思い込みがある状態で財産分与を決めてしまったらのちのち後悔するでしょう。住宅ローンがある場合の財産分与は、トラブルに発展したり、ややこしくなったりしがちです。何も知らずに銀行と話をしてしまい、あとあと支払えず…などの事態になることも想定されますね。そもそも、家は全部取得するんだ!と頑固に譲らない方もいます。 スムーズに話を進めるには、弁護士に依頼するのがおすすめです。 *弁護士監修/ 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士となってから、数々の不倫・離婚問題を解決。弁護士として働くかたわら、慶應義塾大学にて法務研究科助教も務める)*取材・執筆/アシロ編集部*画像pixtaから使用画像はイメージです離婚後に家を売却…オーバーローンは折半?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。離婚後に家を売却…オーバーローンは折半?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年03月30日