「植物だけでなく音楽や映画、民俗学など、自分の興味をひとつ残らず入れたお話を作りたかったんです」著者の穂坂きなみさんが話すように、『グリーンフィンガーズの箱庭』はひとことでジャンルを説明しにくいのだが、それもあってか独特の余韻を残してくれる。文学部に通う大学生の旭は、大学の裏山にある大きな屋敷に住む“少し変わった植物学者”の手伝いをするアルバイトを紹介される。迷うはずのない山中でなぜか迷子になり、幼少期に何度も神隠しに遭った過去を思い出しながら辿り着いた屋敷にいたのは、透明人間の植物学者・草薙だった。「草薙は当初、1話限りのゲストキャラだったのですが、気に入ったのでメインキャラに(笑)。表情が見えない謎めいているところが面白いと思いつつ、身ぶり手ぶりをオーバーにしたり、おしゃべりな設定にして怖くならないようにしています。旭はできるだけ普通の人にしようと思い、ある意味、私に一番近いキャラになりました」旭の神隠しの原因は植物にあることを特定し、草薙がそれを取り除いたことがきっかけで、ふたりはバディ的な雇用関係に。不思議な現象や風習、日本人の自然観、おとぎ話などをモチーフに、奇妙な植物とそれらに翻弄される人間たちの姿が描かれていく。「物語は基本的にシーンから思いつくタイプです。たとえば第1話だと、草薙と旭が最初に出会う庭のシーンみたいに。その場面に最初から植物が登場していればそこから話を広げていくし、そうでなかったらどういう植物が出てきて、どういう展開だったらこのシーンが一番輝くのかを考えていきます」いろんな要素を盛り込んでいるものの、主軸となっているのは人間ドラマ。幼少期の経験から寂しさを抱えてきた旭が、同じようにちょっと不器用な人たちと出会い、内に秘めた想いに触れたときに起こる、ささやかな変化に光を当てる。「人間の細かい心情の移り変わりを描くのは、自分の強みとまでは言わないけれど、向いているかなと思っています。単にいい話で終わらないような読後感にしたいんです」単行本では、描き下ろしとして各話の最後に、別の角度から物語を補完するショートストーリーが収められていて、読後感がさらに豊かに。「本編で描ききれなかったこともたくさんあるので、描き下ろしを含めてようやく1話が完成しているイメージです。今後は、草薙がなぜ透明人間になったのか、過去を掘り下げていくと思うのですが、達観しているように見える彼の人間くさいところも描いていきたいですね」『グリーンフィンガーズの箱庭』2透明人間の植物学者・草薙と大学生アルバイト・旭の距離感の変化も見どころの第2巻。人の欲望と想いに、不思議な植物が交錯するファンタジー。イースト・プレス880円©穂坂きなみ/イースト・プレスほさか・きなみイラストレーター、漫画家。著書に『おやすみエトランゼ』。本作はイースト・プレスのWebメディア「マトグロッソ」で連載。※『anan』2023年3月8日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2023年03月07日プラントアーティストの川本諭さんが手がける『GREEN FINGERS(グリーンフィンガーズ)』はニューヨーク、ミラノ、日本に計5店舗を展開するライフスタイルショップ。グリーンを中心にして作り出される独特の世界観は、ハイエンドなニューヨーカーの心もキャッチ。ショップでは植物以外にもオリジナルの鉢から文房具や古着のセレクトアイテムまで販売されていて、見た目にもおしゃれなインテリア性の高いグッズに出会えます。 2012年にニューヨークにプラント・ショップをオープンし、以来ブランド向けのインスタレーションなどファッション業界を中心に人気が火が付き一躍人気のショップへ。植物と人との関わり方をより豊かに、身近に感じてもらえる新しいフィールドを開拓していて、グリーンの見せ方も新鮮です。 カラーにこだわったオリジナルのポット グリーンのある暮らしを始めたいという人にオススメなのは部屋に馴染みながらも、おしゃれなエッセンスをプラスしてくれるオリジナルポットです。スタンダードなテラコッタ製のポットをセンスを感じるカラーリングや柄を施し、植物が映えるデザインに仕上げています。無地のタイプは鉢と受け皿が別売りなので、バイカラーなど自分の好きな組み合わせが楽しめるように。エスニックなムードあふれるプリントのタイプは多肉植物と相性抜群。部屋の印象を変えたいときにもぴったりのアイテムです。寒くなり家にこもりがちなこのシーズン、部屋の中で植物を育て癒されてはいかがでしょうか。 (トップ画像)左から植木鉢(L)¥1,800、受け皿(L)¥550、柄の植木鉢・受け皿(セット)¥2,800、植木鉢(M)¥900、受け皿(M)¥350、グリーン 参考商品/すべてGREEN FINGERS GREEN FINGERS:kimyongduckstyling:Rina Taruyamatext:Momoko Yokomizo
2019年01月29日グリーン&雑貨ショップなどを展開するグリーン・フィンガーズ(Green Fingers)代表で、プラントアーティストの川本諭の初の大型エキシビジョン「川本諭展『HERE AND THERE』」が、11月19日から23日まで東京・原宿のラフォーレミュージアム原宿で開催される。ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)やビームス(BEAMS)、ギャップ(GAP)などの有名ブランドの空間演出などを手掛けてきた川本諭による初の大型エキシビジョンとなる同展。植物を主役に、インテリアのスタイリングやドローイングとともに展示されるインスタレーション空間で、世界中の様々なブランドやデザイナーとのコラボレーションにより培ってきた独自の世界観が表現される。また期間中は、11月18日発売予定の最新書籍『Deco Room with Plants -here and there』を記念して、グリーン・フィンガーズによるポップアップショップもオープン。人気商品や書籍などが販売される。【イベント情報】「川本諭展『HERE AND THERE』」会場:ラフォーレミュージアム原宿住所:東京都渋谷区神宮前1-11-6 ラフォーレ原宿6階会期:11月19日~23日入場無料
2015年09月26日