20世紀の幕開けとともに彗星のごとく現われ、スキャンダラスな逸話と挑発的な名画の数々を残して、28歳の若さで早世した異端の天才画家エゴン・シーレ。その愛の物語を描く『エゴン・シーレ死と乙女』から、複雑に入り組んだ彼の恋愛模様を象徴する本編映像がシネマカフェに到着した。第一次世界大戦末期のウィーン。表現主義を代表する天才画家エゴン・シーレはスペイン風邪の流行によって、妻エディットとともに瀕死の床にいた――。時を遡ること、1910年。美術アカデミーを退学したシーレは、同世代の画家仲間と“新芸術集団”を結成、16歳の妹ゲルティをモデルにした裸体画で頭角を現していた。そんなとき、ヌードモデルのモアと出逢う。褐色の肌を持つエキゾチックな彼女をモデルにした大胆な作品で一躍、脚光を浴びるシーレ。その後、敬愛するグスタフ・クリムトから赤毛のモデル、ヴァリを紹介されたシーレは、彼女を生涯のミューズとして数多くの名画を発表。幼児性愛者という誹謗中傷を浴びながらも、2人の信頼関係は、文字通りシーレを時代の寵児へとのし上げていく。しかし、第一次世界大戦が勃発。シーレとヴァリの関係も、時代の運命に翻弄されてしまう――。16歳でヌードモデルを務め、敬愛する兄を献身的に支え続けた妹ゲルティ、そしてクリムトのモデルを経て、シーレとは公私にわたるパートナーとなった赤毛のヴァリ。数多くのモデルと浮名を流したシーレにとって、とりわけ大きな存在となった2人の女性との濃密な愛の日々を通じて、芸術を追求し続けるシーレの姿を、本作では赤裸々に描き出す。シーレ役には、モデル出身で本作が長編映画デビューとなる新星ノア・サーベトラが大抜擢。プレイボーイで非情、野心的なシーレを、その儚げな美貌とともに説得力たっぷりに息づかせた。今回解禁となった本編映像は、シーレの最高傑作といわれる「死と乙女」が中央に飾られた展示会の様子を収めた1シーン。幼い子どもの手を引き、建物に足を踏み入れるのは、シーレの妹ゲルティ。彼女は兄シーレへの当てつけのように、兄の友人と結婚した。また、ゲルティが挨拶を交わしている女性は、シーレの妻エディット。その一方で、展示会の中心に飾られた「死と乙女」のモデルは、公私にわたるパートナーとして彼の美のミューズであり続けたヴァリだ。実は、超絶イケメンであり非情なプレイボーイでもあったシーレの複雑な愛の模様を描いている象徴的なこのシーン。撮影されたのは、実際にウィーンにある「セセッション館」というウィーン分離派の展示施設。「死と乙女」の上にあるクリムトのベートーベン・フリーズという絵画は、いまでもそこに飾られている。本シーンでは、壁一面にシーレの絵が展示されているので、目を凝らしてみてほしい。『エゴン・シーレ死と乙女』は1月28日(土)より Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月21日奇想の画家とも呼ばれるジュゼッペ・アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo)作品を集めた「アルチンボルド展」が、6月20日から9月24日まで東京・上野の国立西洋美術館で開催される。ジュゼッペ・アルチンボルドは、16世紀後半にウィーンとプラハのハプスブルク家の宮廷で活躍した画家。果物や野菜、魚や書物といったモチーフを思いがけないかたちで組み合わせた、寓意的な肖像画を多く手掛け、自然科学に深い関心を示したマクシミリアン2世や、稀代の芸術愛好家として知られるルドルフ2世といった神聖ローマ皇帝たちにも寵愛されていた。今回開催される「アルチンボルド展」では、世界各地の主要美術館が所蔵するアルチンボルドの油彩約10点を中心に、アルチンボルドのイメージ世界の生成の秘密に迫る。
2017年01月17日クリムトと並び世紀末ウィーン美術史に燦然と輝く天才画家エゴン・シーレのわずか28年の生涯と、彼が遺した名画「死と乙女」に秘められた女性との愛の物語を描く『エゴン・シーレ死と乙女』。このほど、さまざまな性的指向を疑われたエゴン・シーレが愛した2人の女性との“未公開写真”が、シネマカフェにて解禁となった。20世紀の幕開けとともに彗星のごとく現われ、スキャンダラスな逸話と挑発的な名画の数々を残しながら、わずか28歳で早逝した異端の天才画家エゴン・シーレ。演じるのは、モデル出身の新人イケメン俳優ノア・サーベトラ。プレイボーイで非情、野心的なシーレを、眼を奪う白皙の美貌とともに説得力たっぷりに息づかせている。数多くのモデルと浮名を流したシーレにとって、とりわけ大きな存在となった2人の女性――16歳で兄の絵のヌードモデルを務め、敬愛する兄を献身的に支え続けた妹ゲルティ、そしてクリムトのモデルを経て、シーレとは公私にわたるパートナーとなって彼の美のミューズであり続けたヴァリ。今回到着したのは、シーレの実妹のゲルティが裸で横たわるカットをはじめ、2人が絵のモデルとしてエロティックなポージングをとっている未公開写真だ。本作の脚本家のヒルデ・ベルガーは、妹ゲルティについて「シーレとゲルティの関係は、互いに相手を所有しようとする関係でした」と明かす。「ゲルティはシーレの最初の裸体モデルで現在でも、たくさんの有名な絵に彼女の姿を見ることができます。シーレが描いた『腕を組んで立つ少女の裸像 』――この絵の彼女は、薄い、両性具有的な肉体をしていて、まだ胸の膨らみもありません。これはシーレが理想とする女性の姿でもあり、いつもこのようなやせた少女の体を探していました。子どもから大人へと変わっていく過程にある女性たちに、シーレはとりわけ強い関心を抱きました」と語っている。そして、ヴァリについては「シーレの生涯で、最も大切な女性の1人でした」とコメント。「ヴァリは全面的にシーレを支えて、彼のためにモデルも探したり、イレングバッハの小さな家に住んでいたころ、彼女はシーレの絵を客に売るために本屋も開きました。彼女は全てに耐えます。シーレに別のガールフレンドがいても、彼女は耐えました。大事なことは彼のそばにいることだったからです」と、彼女の愛を讃えている。エゴン・シーレ没後、約100年。ヴァリをモデルにした彼の最期の作品にして、最高傑作「死と乙女」に秘められた愛の伝説を映し出す本作。時代の寵児へとのし上がっていくシーレを支えた2人の女性を、これらの写真からも見つめてみて。『エゴン・シーレ死と乙女』は1月28日(土)より Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年01月07日イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)が、画家の山口歴とコラボレーション。全国に先駆けて1月6日、エルトブ テップ イッセイ ミヤケ / ギンザ(ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE / GINZA)にてアイテムを先行発売する。また同日から31日まで、同店のメイン・ウィンドウを山口が今回のために特別に描き下ろした新作が飾る。山口歴(やまぐちめぐる)は、“筆跡/ブラシストローク”を現代の表現に昇華した作品を発表し続けるニューヨーク・ブルックリン在住のアーティスト。今回の特別展示では、山口が筆跡をカットしてコラージュを制作する独自の手法「カット&ペースト」で生み出した、四角という枠組みを越えてキャンバスから浮き出した立体作品「OUT OF BOUNDS」と、イッセイ ミヤケ メンがコラボレーションしたアイテムが展開される。アイテムラインアップは、シルクスクリーンを幾版も使用して刷り重ね、染料と顔料を組み合わせて凹凸感と光沢を出したシャツ(半袖/5万円、長袖/5万2,000円)や、軽やかなレーヨン生地にインクジェットプリントで「OUT OF BOUNDS」の作品を落とし込んだ大判ストール(2万8,000円)、「OUT OF BOUNDS」の作品を全体に転写プリントしたデニム(4万8,000円)など。薄手のコットンジャージー素材に、花をモチーフにした「ALL SOUL」シリーズをプリントしたカットソー(3万円)も登場する。さらに、エルトブ テップ イッセイ ミヤケ / ギンザのメイン・ウィンドウには、山口が今回のために特別に描き下ろした新作を展示する他、店内にはシリーズ作品「OUT OF BOUNDS」も見ることが出来る。なお、同コレクションはエルトブ テップ イッセイ ミヤケ / ギンザで先行発売された後、2月1日より全国展開される。
2017年01月06日COS(コス)は、アメリカ人画家アグネス・マーティン(Agnes Martin)の作品からインスパイアされたカプセルコレクションを2016年10月7日(金)よりCOS青山店で発売する。20世紀を代表する画家の一人アグネス・マーティン。鉛筆による繊細なラインを活かした作品制作を得意とする彼の美学は、同時代のアーティストだけでなく、現代にも多大な影響を与えている。今回は、彼の作品から象徴的な幾何学的構成にヒントを受け、メンズとウィメンズそれぞれに12ピースのユニークなコレクションを作り上げた。メンズラインからは、スタンドカラーのシャツや胸ポケット付きのジャケット、ウィメンズラインからは、膝下丈のラップスカートやウエストリボンがポイントのブラウスなどが展開される。いずれも柄(パターン)やシルエットに、グラフィカルな遊びをプラス。アーティスティックな印象でありばがらも、シーンやシーズンを問わず着用できるミニマルなピースに仕上がっている。【アイテム詳細】COS×アグネス・マーティン カプセルコレクション発売日:2016年10月7日(金)取扱い店舗:COS青山店■メンズ・ジャケット 27,778円・ニット 21,296円■ウィメンズ・スカート 12,963円・ブラウス 12,037円
2016年09月08日映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』が、2016年12月にTOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショーされる。イギリス軍のキャサリン・パウエル大佐と国防相のベンソン中将は、テロリストたちが大規模な自爆テロを実行しようとしていることをつきとめる。攻撃の指令を出すが殺傷圏内に幼い少女がいることがわかった。安全な会議室から戦争に干渉する彼らがとった行動とは……。罪なき少女を犠牲にしてまでもテロリストを殺害すべきか、現代の戦争の闇を映しながら正義とモラルを問う。監督は『ツォツイ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞し『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』などを手掛けたギャヴィン・フッド。またプロデューサーは『英国王のスピーチ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞し、『キングスマン』にも主演したコリン・ファースと期待の高まるタッグだ。豪華なのはスタッフ陣だけではない。強烈な正義感をもって任務遂行を推し進める指揮官キャサリンを演じるのは『クイーン』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレン。また共演には、テレビドラマ『ブレイキング・バッド』で3度のエミー賞を受賞しオファーが殺到中のアーロン・ポールが。また、『ハリー・ポッター』シリーズのアラン・リックマンがベンソン中将を演じ、彼にとって本作は日本で上映される生前最後の出演作になる。【概要】『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』公開時期:2016年12月公開劇場:TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー!監督:ギャヴィン・フッドプロデューサー:コリン・ファースキャスト:ヘレン・ミレン、アーロン・ポール、アラン・リックマン配給:ファントム・フィルム©eOne Films (EITS) Limited
2016年08月25日アラン・リックマンの日本公開作としては最後の作品となる『EYE IN THE SKY』(原題)が、『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』として今冬より公開されることが決定。共演にはヘレン・ミレン、プロデューサーはコリン・ファースが務めている。ナイロビ上空6,000mを飛ぶ“空からの目”(無人偵察機ドローン)を使い、英国軍の諜報機関のキャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)は、国防相のベンソン中将(アラン・リックマン)と協力して、英米合同軍事作戦を遠く離れたロンドンから指揮していた。あるとき、凶悪なテロリストたちが大規模な自爆テロを実行しようとしていることをつきとめた彼らは、アメリカ・ネバダ州の米軍基地にいるドローン・パイロットのスティーブ(アーロン・ポール)に攻撃の指令を出すが、殺傷圏内に幼い少女がいることが分かる。キャサリンは、少女の命を犠牲にしてでもテロリスト殺害を優先しようとするが…。本作は、全米の各メディアがこぞって大絶賛した衝撃の軍事サスペンス。ドローンが映し出す戦場は、“安全な場所”にいる全員のパソコンへリアルタイムで送られ、さまざまな関係者が干渉しながら戦争をする――。そんな、現代の戦争の闇を巧みに描いた本作は、何が正義かを突きつけ同時にモラルも問いかけていく。強烈な正義感をもって任務遂行を推し進める指揮官キャサリンを演じるのは、『クィーン』(’06)でアカデミー賞主演女優賞を受賞して以降も、2017年公開予定の『ワイルド・スピード』第8弾に出演するなど、活躍を見せるヘレン・ミレン。また、共演には、大人気テレビドラマ「ブレイキング・バッド」で3度のエミー賞を受賞し、オファーが殺到中のアーロン・ポールと、日本で公開される作品としては本作が遺作となるアラン・リックマン。監督は『ツォツイ』(’06)でアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』を手がけてきたギャヴィン・フッド。さらに、本作のプロデューサーを務めるのは、『英国王のスピーチ』(’10)でアカデミー賞を受賞し、『ベストセラー編集者パーキンズに捧ぐ』『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』と公開作も続くコリン・ファース。豪華アカデミー賞キャスト&スタッフが集い、罪なき少女を犠牲にしてまでもテロリストを攻撃するべきか否か、正義とモラルを問いかける衝撃の問題作を送り出す。『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』は今冬、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年08月19日画家であるゴッホと彼を支え続けた弟テオの半生を描く『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』の上演にあたり、韓国発のこのミュージカルを日本版として創作していく3人が顔を揃えた。上演台本・演出の河原雅彦、ヴィンセント役の橋本さとし、弟テオ役の岸祐二である。韓国では、キャストふたりだけで濃密な物語を紡いでいくこと、さらに、プロジェクション・マッピングを駆使し、ゴッホの絵画がそのまま美術の一部になったりする舞台美術が話題を集めたこの舞台。さて、日本版が目指すものは。ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』チケット情報韓国での公演を目にしてきた河原は、やはりプロジェクション・マッピングの使い方が印象に残ったそうだ。「今はマッピングと芝居が連動する舞台も珍しくないんですけども、より細かく複雑な使い方をしていて、面白いアイデアがいっぱい詰まっていた。ここでの映像は、すでに作品の一部として内包されていて、細部まで仕上がっているので、それは構造上外せない。その分じゃあ、演出として何ができるのかと思いヴィンセントとテオの関係を調べていくうちに気が付いたのは、ふたりはただ狂った兄とやさしい弟ではなく、もっと人間っぽかったということ。いびつで生々しいふたりを提示することで、韓国版とはまた違うエンターテインメントを作れるんじゃないかと思ってるんです」。橋本も言う。「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホといえば狂人的なイメージがあるけど、おそらく彼としてはただ普通に生きてるだけだったと思うんです。それが周りの常識からはみ出していただけで。だから、僕としてはどこかのほほーんと存在していたいなと思うんですね」。そのヴィンセント本人が無意識に放つものを信じ続けたテオを岸は、「兄を助けることが自分の救いになるという共依存の関係だったんじゃないか」と分析し、「そういう根底にあるいびつな感情とか、感情のぶつかり合いを、この作品では音楽に乗せることで見やすく変換しているんです」と付け加える。「あの爽やかな曲のなかにいびつさをどう出していくか。陽のメロディのなかに陰な部分を組み入れることで、ヴィンセントとテオのエキセントリックで複雑なものが出たらいいなと思いますね」と橋本も意欲的だ。「韓国版のように『こんな兄弟愛、素敵でしょ?』というシンプルな手触りにはならないと思います(笑)。でも、ふたりのこの過剰さは、ピュアだから生まれたものだし、過剰さは時にファンタジーにも似た感動を覚える。ゴッホって色々な切り口で語れる面白い題材だなと改めて思います」と河原が最後に語る。どこまでも突き抜けて生きた人間を観ることは、それが叶わない現状を少しでも打破する力になるかもしれない。公演は9月2日(金)東京・かめありリリオホール、9月7日(水)から24日(土)まで東京・紀伊國屋サザンシアターにて。チケットの一般発売は7月23日(土)午前10時より。取材・文:大内弓子
2016年07月04日戦場取材78回、戦場カメラマンになって23年。世界中の戦場で、そのリアルな状況とそこに住む市井の人々の生活を写真で伝えてきた、戦場カメラマンの渡部陽一さん。いまではマスコミでも活躍され、誰もが知る有名カメラマンのひとりでもあります。最近出版された『戦場カメラマンの仕事術』(光文社)には、戦場取材の作法や秘訣、戦場のリアル、命拾いをした体験、先輩ジャーナリストとの対談などが盛りだくさん。渡部さんの人柄や、仕事に対する真摯な姿が詰め込まれています。今回は、渡部さんが経験して学んできた「戦場カメラマンが伝える、仕事をする上で大切なこと」を伺ってきましたので、ご紹介したいと思います。■1:仕事の極意は「マメに動くこと」仕事では、「マメであることは力」と渡部さん。これは日本でも世界でも同じだそうです。「海外の外交官でも取材許可をくれる内務省の役人でも、マメに連絡をし続けると、決して許可証を出さなかった鉄壁も破れることがあるんです」海外のキーパーソンへのインタビューのときも、情報提供者に会い、その人の紹介の紹介の紹介の……と進んでいき、やっと意中の人に会える。まさに、マメに動き、粘り強く待つ、の繰り返し。しかし、そんなアナログな手法が一番効果を発揮したようです。また日本に帰国すると、渡部さんは戦場で撮ってきた写真を売り込みに、複数のメディア会社に何度も足を運んだといいます。最初はまったく見てくれなかった担当者さんも、3回、5回、10回と粘り強く何回も連絡をとり続けることで、少しずつ心を開いてくれるようになったとか。そうやって信頼関係を構築していったわけです。そして現在、渡部さんは写真集、著書、テレビ、ラジオ……多方面でご活躍中です。渡部さんいわく「マメさは武器」。仕事の内容問わず、マメに行動するスキルはぜひ身につけたいものです。■2:「石の上にも15年」の心意気でいること「どんな職種であっても、自分で悩み、納得をして決断したのであれば、努力を続けることが大切です。粘り強く待つこと、繰り返すこと、耐えることで道が開く。まさに『石の上にも15年』だと思います」と渡部さん。なかなか形にならないと焦るけれど、自分のペースでコツコツと動いていくことが重要。それでも続けていれば、どんな小さなものでも、必ず日の目をみられるものが出てくる……。経験から導き出された真実のようです。この「石の上にも15年」とは、写真の師匠でもある山本皓一さんからいただいた言葉で、渡部さんの座右の銘でもあるといいます。「若いときはみんな手探りだと思うんです。でも、その手探りこそが原動力でもあります。『これだけは続ける』と決めたことは粘り強く毎日続ける。その貯蓄が自分の支えになってくれるでしょう」仕事ですぐにくじけそうになったり、気持ちが折れそうになったりしてしまう人は、心に留めておくといいかもしれません。■3:たくさんの人と出会うこと&自分から会いにいくこと「人との出会いは爆発的な力を生み、支えてくれます。コツコツとたくさんの人に会いに行くことが大事です」渡部さんは人との出会いを本当に大事にしているようです。いろんな人との出会いのなかでたくさんのことを学び、行動の指針にもしてきたそう。取材相手はもちろん、現場で働いた仲間や指導して貰った先輩方との繋がりがあったからこそ、これまで戦場カメラマンとしてやってこられたのだといいます。渡部さんおすすめは、自分で「一週間で◯◯人の方に会う」とリズムをつくり、それを継続して、必ずその通りに動くこと。これがご縁や自信につながるそうです。■4:使命や夢をもつこと仕事に使命感をもつと強くなれる。これは、渡部さんのお話でよくわかります。「戦場に行くと、血だらけで、必死な目で訴えてくる子どもたちがいます。戦場の悲惨さをもっと日本や世界のたくさんの人々に知ってもらえれば、少しでも状況がよくなっていくのではないか、と。この可能性に自分の使命をかけています」“ここにいる子どもたちの声を伝えなければ”という気持ちが渡部さんの仕事の原動力になっているとのこと。使命をもって仕事をしている人は、やはり強い。へこたれそうなときにも心の支えとなってくれているようです。また、夢も仕事を支えてくれる大事なツールです。夢があればがんばれる。渡部さんの夢は、「戦争や紛争、争いが世界からなくなっていき、『戦場カメラマンはもういらない』となること」だそうです。辛い現場を目の当たりにしているからこその願いであり、その分、使命を感じて仕事をしているのでしょう。ちなみに戦場カメラマンがいらなくなったあとの夢は、『世界の学校カメラマン』なのだそう。仕事問わず、自分なりの使命と夢をもって仕事をしてみる。すると、やりがいが生まれて、気持ちも強くなれるようです。働くすべての人が参考にできることではないでしょうか。*世界中を飛び回り、仕事の仕方でも人間関係でも、いままでたくさんの発見や学びがあったという渡部さん。シビアな現場をたくさんみてきた渡部さんの言葉だからこそ、心に伝わるものがあります。今回の著書は、渡部さんの経験から導き出された人生の極意が詰まった本ともいえそうです。ぜひたくさんの方に読んでほしいと思います。(文/齊藤カオリ) 【取材協力】※渡部陽一・・・戦場カメラマン。学生時代から世界の紛争地域を専門に取材を続ける。戦場の悲劇、そこで暮らす人々の生きた声に耳を傾け、極限の状況に立たされる家族の絆を見据える。イラク戦争では米軍従軍(EMBED)取材を経験。これまでの主な取材地はイラク戦争のほかルワンダ内戦、コソボ紛争、チェチェン紛争、ソマリア内戦、アフガニスタン紛争、コロンビア左翼ゲリラ解放戦線、スーダン、ダルフール紛争、パレスティナ紛争など。 【参考】※渡部陽一(2016)『戦場カメラマンの仕事術』光文社
2016年04月22日画家・ロベール・クートラス(Robert Coutelas)の画業を集成した2冊組の大型作品集『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』の出版を記念した展示会「小部屋のクートラス」が、東京・恵比寿にあるナディッフ ギャラリー(NADiff Gallery)でスタートした。ロベール・クートラスは、1930年にパリに生まれ1985年に急逝したフランス人画家。厚めのボール紙にゼラチンで下地を作り、お尻を突き出した子供や炎の中の聖母子、ギロチン場で断罪される人、股間からのぞく顔など奇怪でユーモラスな図像を描いた、“カルト”とも呼ばれる小作品群「僕の夜 “Mes Nuits”」をはじめ、頭部や動物を象ったテラコッタの彫刻、グァッシュで描かれた多くの肖像画作品「僕のご先祖さま “Mes Ancetres”」などの作品を発表している。3月12日に発売された作品集『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』では、カルト、グァッシュの他、ロベールが生前売ることも散逸させることも望まなかった油彩の“リザーブ”と呼ばれる作品群をすべて収録。膨大に残されたデッサンやドローイングなども網羅した他、1999年にジャンヌ・マトション財団に寄贈された作品など主要な作品がほぼ全て詰め込まれた。今回開催される展示会では、同作品集の紹介をするとともに、パリのヴォージラールの小部屋から生まれ出たカルト作品や、グァッシュ、テラコッタ作品の一部などを展示。また、ロベール・クートラスの作品を長きにわたり撮影してきた写真家の平地勲氏による写真も併せて展示される。期間は5月8日まで。【展覧会情報】ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」―『ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』刊行記念展―会場:NADiff Gallery 住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T B1F会期:4月1日~5月8日時間:12:00~20:00休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)※5月2日は営業入場無料【書籍情報】『Robert Coutelas 1930-1985 ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』寄稿:小川洋子発刊:ECRIT上製・函入・二冊組/600ページ/303×215mm発売日:2016年3月12日価格:3万円
2016年04月01日西洋美術史上もっとも偉大でワイルドな天才画家、カラヴァッジョ(1571~1610)。彼の作品などを紹介する展覧会『カラヴァッジョ展』が、2016年3月1日から上野の国立西洋美術館ではじまります。カラヴァッジョの人生は、まさに波乱万丈。ミラノ近郊生まれのカラヴァッジョは、故郷で修業したあとローマに移り、教会や礼拝堂の祭壇画を描いて名声を高めます。しかし、気性が荒く暴力沙汰を繰り返し、ついに殺人事件を起こしてローマから逃亡。ナポリやマルタ、シチリアへと逃げ続け、38歳で亡くなりました。若くして没したため現存する真筆作品が60点強といわれるなか、本展ではカラヴァッジョの傑作約10点が集結。日本では15年ぶりとなる本格的な回顧展です。カラヴァッジョ作品の特徴は、光と影のコントラストを生かした写実性とドラマチックな構図。臨場感にあふれ、見る者の心をつかむ強い力をもっています。たとえば、本展のチラシにも使われている作品《トカゲに噛まれる少年》は、ガラスの花瓶や植物の描写が驚くほどリアル。目を見開いた表情や手のポーズなどが劇的に描かれ、少年の心理状態まで伝わってきます。破滅的な人生を送った殺人犯であり、イタリアが誇る芸術家でもあるカラヴァッジョ。彼のドラマチックな作品を味わえる刺激的な展覧会、ぜひ足を運んでみて。イベントデータ:日伊国交樹立150周年記念『カラヴァッジョ展』会期:2016年3月1日(火)~ 6月12日(日)※休館日は月曜日(ただし、3月21日、3月28日、5月2日は開館)、3月22日(火)時間:9:30 ~ 17:30(金曜日 9:30~20:00)※入館は閉館の30分前まで会場:国立西洋美術館料金:当日一般 1,600円/大学生 1,200円/高校生 800円/中学生以下無料
2016年01月03日東京都・渋谷のBunkamura Galleryは、「ドン・キホーテ」の舞台として知られるスペインのラ・マンチャ地方に移住した画家の個展「阿部 幸洋 展」を開催する。会期は12月2日~12月9日。開館時間は10:00~19:30。入場無料。同展は、阿部幸洋の新作を中心に、油彩と版画作品を展示販売するもの。阿部氏は、1980年に日本を離れ、セルバンテスの名作「ドン・キホーテ」の舞台として有名なスペイン中心部に位置する歴史的な地域、ラ・マンチャ地方に移住。一日のほとんどの時間をアトリエで過ごしているという。1951年福島県に生まれ、美術研究所にて油絵を学び、スペインに移り住んでからは銅版画も手掛けている阿部氏の作品にあるのは、「光」とそのキャンバス内に浮遊する「空気感」だという。阿部氏は、モチーフとなっている家や丘や空を、光の変化によって浮かび上がる情景としてとらえ、観る側の想像を掻き立てる叙情的な世界観を描き続けている。単調な色彩から見て取れる光の変化には、画材や技法、筆致の徹底した追求と共に、高度な美質を目指す職人的な仕事ぶりを垣間見る事が出来るということだ。また、2014年10月に開催された、スペイン・トメジョーソのアントニオ・ロペス・トーレス美術館での展覧会では、阿部氏の作品は表現こそ異なるものの、地元で敬愛される歴代の作家たちの作品のように、その土地と光を感じさせ相通じるものがあるという評価を得たということだ。
2015年11月05日東京都・渋谷のBunkamura Galleryは、花と本を作品制作の礎とする画家の個展「笹尾光彦展花のある風景」を開催する。会期は11月18日~11月29日。開館時間は10:00~19:30。入場無料。同展は、笹尾氏が昨年発表した「The Book」シリーズを進化させた、花と本を存分に描いた新作の数々を発表するもの。笹尾氏にとって、花と本は愛すべき存在であり、部屋に飾る色とりどりの季節の花々、そして自身の書棚にある長年愛読しているアートブックから小説まで、常に身近にあったそれらが作品制作の礎となってきたという。同展では、AからZまでの頭文字からはじまる花を描いたブック型の立体作品や、人気シリーズ「The Shelf」の様々なアートブックが並ぶ本棚を描いた新作も登場する予定となっている。ポップな色使いと洗練された構図の中に描かれた花と本の数々は、力強い存在感の中にも笹尾の温かい眼差しが感じられ、来場者は、花屋と本屋に迷いこんだかの様な会場で、好きな花と心に残る一冊を見つけるように作品を見ることができるということだ。
2015年10月22日京都府・中京区の京都文化博物館は、縦横無尽に生きた画家・小川千甕の特別展「小川千甕展 縦横無尽に生きる~彼は、仏画師・洋画家・漫画家・日本画家だった。」を開催する。会期は12月8日~2016年1月31日(12月28日~1月4日・月曜休館、ただし祝日の場合は開館し翌日休館)。開館時間は10:00~18:00(金曜は19:30まで)。入場料は一般1,000円、高校・大学生700円、小・中学生400円。同展は、個人コレクションを中心に、初期から晩年に至る千甕の代表作約140点、仏画、スケッチ、書簡などの資料類を展示、その芸術を紹介する回顧展。小川千甕(1882-1971 本名・多三郎)は、京都の書店「柳枝軒」の家に生まれ、15歳で仏画師に師事するかたわら、浅井忠に洋画を学び、同じ浅井門下の千種掃雲、芝千秋らと丙午画会に参加、新傾向の日本画を描いた。同時期に京都市立陶磁器試験場の絵付け技手となったことをきっかけに「千甕」(せんよう・ちかめ)と号している。その後「ホトトギス」、「太陽」誌等に挿絵や漫画を発表し、大正4年には日本画家として平福百穂、小川芋銭、森田恒友らと珊瑚会に参加、大正10年からは院展日本画部にも続けて入選を果たした。昭和期には個展も多く開催し、昭和46年に90歳で没するまで、精力的な活動を続けたという。千甕は、浅井塾での平明な鉛筆画・水彩画にはじまり、大正期には各地を旅しながら、柔らかな色調で田園風俗を日本画にした画家で、昭和期には、墨を生かした独自の風景画へと展開、戦後には自讃を配したダイナミックな文人画で知られている。これらの作品は、近代における洋画と日本画、美術と文芸などの問題を考える上で重要な位置にあるという。力みのない朗らかな作風は、個性重視の近代にあって異色であり、画壇にとらわれずに自由な立場を貫いた、千甕の独自の哲学を示すものだということだ。そのほか、関連イベントとして、レクチャー「よくわかる小川千甕入門」(12月12日10:30~12:00)、特別講演会「小川千甕の魅力」(2016年1月9日10:30~12:00)が開催される。いずれも申し込み不要、先着順となる。また、学芸員によるギャラリー・トークが開催される。開催日は12月18日、12月19日、2016年1月16日、1月22日、1月23日。金曜日は18:00から、土曜日は14:00から30分程度行われる。
2015年10月21日デルヴォー(DELVAUX)が11月下旬より、15年ホリデーコレクションを発売する。ベルギー王国が誇る画家のルネ・マグリットへのオマージュとして製作された同コレクション。“雲”、“りんご”、“ボーラーハット”といったルネ・マグリットのアイコニックなモチーフに、デルヴォーならではの息が吹き込まれた。ブランドのシグネチャースタイル「タンペート GM」と「ブリヨン MM」には、インナーに雲プリントを採用。バックル部分のマグリットブルーで彩ったラッカー加工が、細部へのこだわりを感じさせる。「タンペート GM」のまるでリボンのようなハンドルにも、雲モチーフが採用された。その他、シルクスクリーンされたモチーフをキルト・ステッチで仕上げた小物も展開される。
2015年10月11日東京都・渋谷のBunkamura Galleryは、互いにリスペクトする画家と人形作家の展覧会「トレヴァー・ブラウン&三浦悦子 二つの聖餐 -闇から光へ-」を開催する。会期は11月6日~11月15日。開館時間は10:00~19:30。入場無料。同展は、互いにリスペクトする画家のトレヴァー・ブラウンと人形作家の三浦悦子の作品40余点を展覧販売するもの。ブラウン氏と三浦氏の作品で表現される少女たちは、皆傷を負ったもの、何かの理由で(あるいは自らの意志で)不完全な姿になったものが登場するが、痛々しい姿を淡々と誇らしくさらしている姿は不気味でもあり、愛おしくもある。彼女たちは、己の身体に傷や痣、縫い目など欠損があることを自ら美しいと確信しており、不完全故に完全な身体であることの優越性や、自己肯定の獲得により、屈折とは異なる自己愛が逆説的に他者への優しさに還元されてゆくことを伝えているという。世の中には、哀しく痛ましい過去や記憶から消去したい悲壮な思い出「心的外傷=トラウマ」をリセットをする為に自ら命を絶つものや、自傷に走るものが存在するが、それらは生きたいが故の生に対する逆説であると同展では分析されている。しかし、心の痛みや苦痛は臨界点に達すればその先にあるものは絶望や死ではなく、恐れから親しみへ、同展のタイトルにもあるように、「闇から光へ」コペルニクス的転回が起きると捉えているということだ。また、同展に合わせ、トレヴァー・ブラウンと三浦悦子の新刊画集をそれぞれ刊行。ふたりのサイン会が開催される。開催日時は11月14日16:00~。参加に際しては、作品・新刊画集の購入が必要となる。
2015年10月08日軽井沢ブルワリーは、「THE軽井沢ビール」シリーズの冬季限定商品として、日本画家・千住博による雪景色デザインラベルビール「THE軽井沢ビール<浅間名水> 冬紀行(白ビール)」を発売する。販売開始は10月13日。価格は288円/本。同商品は、日本画家・千住博が2014年にオペラ「夕鶴」の背景として描いた、壮大な雪景色がデザインされた白ビール。これは「THE軽井沢ビール」シリーズの冬季限定商品として毎年販売されているもので、観る人を荘厳で静寂な雪の世界へと誘う芸術的な商品として好評を得ているという。今年からは冬のギフト商品限定で、千住博の絵本「星ふる夜に」のしおりがセットになった、お歳暮ギフト向けの冬紀行瓶ビールも用意されるということだ。また、ビールは選び抜いた小麦麦芽を用いた、上面発酵(エールビール)ならではの上品かつ繊細で、フルーティな香味が特長。酵母が入った淡い色調と柔らかな味わいは冬の温かい料理との相性が良い白ビールに仕上がっている。原材料は麦芽(大麦・小麦)、ホップ。アルコール分は5%。なお、千住博は1958年東京都生まれ、ニューヨーク在住の日本画家。1995年、代表作「ウォーターフォール」でヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門で名誉賞を受賞。1998年より大徳寺聚光院の襖絵制作にとりかかり、2002年の伊東別院完成に引き続き、2013年京都本院の襖絵も完成した。2007年~2013年3月まで京都造形芸術大学学長を務め、現在は東京藝術学舎学舎長。
2015年10月06日不朽の名作アクションゲーム『戦場の狼』&『トップシークレット』が満を持しての音源化。アーケード、家庭用ゲーム音源はもちろん、海外ハードも収録したオリジナルサウンドコレクションとなって2015年12月12日に発売される。CD5枚組 / 高音質デジタル収録で、価格は5,500円(税別)。『戦場の狼(AC)』から始まったスーパージョ―と盟友スペンサーの戦いの軌跡を『バイオニックコマンドー マスターD復活計画』まで、マスターシステム版や海外版も含む全14タイトル。国内で発売されたタイトルはもちろん、海外版『戦場の狼』『バイオニックコマンドー』の音源も収録されるなど、シリーズだけでなく、海外ハードファンにもオススメのタイトルとなっている。■戦場の狼&トップシークレット オリジナルサウンドコレクション - 収録予定タイトル・戦場の狼(AC)・戦場の狼(FC)・戦場の狼II(AC)・戦場の狼II(MD)・MERCS(SMS)・COMMANDO(C64)・COMMANDO(AMIGA)・トップシークレット(AC)・トップシークレット(FC)・バイオニックコマンドー(GB)・Bionic Commando Elite Forces(GBC)・BIONIC COMMANDO(C64)・BIONIC COMMANDO(AMIGA)・バイオニックコマンドーマスターD復活計画複数の作曲家からのインタビューおよびライナーも収録され、両シリーズのファンのみならず、ゲーム音楽好きにとっても読み応えのあるものとなっている。なお、一般発売に先駆け、「イーカプコン」と「クラリスショップ」にて2015年11月28日より先行発売が予定されているので、こちらもチェックしておきたい。(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.※画像は制作中のイメージ
2015年10月05日横浜美術館、 神奈川新聞社、 tvkは、横浜ゆかりの「変転の画家」・中島清之氏の回顧展「横浜発 おもしろい画家:中島清之―日本画の迷宮」を開催する。会期は11月3日~2016年1月11日(木曜、12月29日2016年1月2日休館)。開館時間は10:00~18:00(入館は17:30まで)。会場は横浜美術館。入館料は一般1,200円、 65歳以上1,100円、大学・高校生800円、中学生400円、小学生以下無料(すべて当日券の場合/前売り券あり)。同展は、画家・中島清之氏の16年ぶり(横浜では22年ぶり)の回顧展。初公開作品や画稿、スケッチを含む約130点を展観し、青年期から最晩年に至る清之の画業をたどり、主題や技法への関心のありようとその変遷を探っていく。また、 中島氏は一見すると同じ画家とは思われないほど、 常に新しい様式と手法に挑戦しつづけたことから、 「変転の画家」と評された。そのために「焦点が定まらない」といった厳しい批評を受けることもあったが、自由奔放で型にはまらない作品群は、 中島清之という作家像の焦点を絞り込もうとする鑑賞者を惑わせ、まるで「迷宮」に誘い込むかのような魅力を備えているという。なお、中島清之(なかじまきよし)[1899(明治32)年~1989(平成元)年]は、明治・大正・昭和の激動の時代に生きた画家。会社勤めをしながら休日は東京の松本(まつもと)楓(ふう)湖(こ)の画塾で伝統的な模写を学び、 早朝や深夜に制作に勤しみ、 25歳で日本美術院展覧会(院展)に初入選を果たす。以降4度、院展にて日本美術院賞を受賞。後に同人として活躍し、83歳で病に伏すまで、 生き生きとした作品世界を展開した。画家・片岡球子の師として、あるいは今日活躍する日本画家・中島千波(ちなみ)の父としても知られる。
2015年09月28日ノエビアは、東京都・銀座のノエビア銀座ギャラリーにて、銅版画家・山本容子が描いたポートレートを集めた作品展「山本容子のアーティスト図鑑」を開催している。会期は2015年8月24日~10月30日。入場は無料。本展は、1995年に創刊された小冊子『本の話』(文藝春秋刊)の表紙画として、銅版画家・山本容子が描き続けたアーティストの肖像画を集めた作品展。会場では、17年にわたって描かれた191名の銅版画のポートレートから、日本人アーティストをピックアップして展示するという。なお、展示される作品には、持ち主の印として蔵書に貼られる"蔵書票"を意味する「EX-LIBRIS」の文字が書き込まれるなど、すべてが蔵書票のスタイルで描かれている。古くは紋章や肖像画をあしらった図案が用いられた蔵書票だが、今回展示される作品は、山本が大切に考えたという「作家の人物としての空気感」に重点を置いて描かれているとのこと。
2015年08月24日東京都・西新宿の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館は、20世紀初頭のパリで活躍し、親しみやすく甘美な作品を描いた画家たちの作品を展示する「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20′s Paris」を開催する。会期は9月5日~11月8日(月曜休館、ただし9月21日・10月12日は開館)。開館時間は10:00~18:00(金曜は20:00まで)。観覧料は一般1,200円、大・高校生800円、65歳以上1,000円、中学生以下無料。同展は、印象主義や新印象主義といった前世紀のスタイルを受け継ぎながら、親しみやすく甘美な作品を描いたカリエール、アマン=ジャン、ル・シダネルら、「画家彫刻家新協会」のメンバーから、約20名の作家による作品約80点を展示し、20世紀初頭のパリで活躍した芸術家たちの作品を紹介するもの。「画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)」は、若い芸術家たちの作品を発表する目的で結成されたグループで、おもにサロン出身の芸術家たちで構成され、1900年から1922年まで、パリのジョ ルジュ・プティ画廊で毎春展覧会を開催していた。彼らはフォーヴィスムやキュビスム等の前衛的な芸術運動に加わらなかったため、モダニズムを主体とする美術史の視点からあまり取り上げられることが無かったという。しかし見たままに描きながらも自然や事物に潜む詩情を表現した彼らの作品は、商業的にも批評的にも成功を得、会員の多くが万国博覧会で賞を獲得するなど、20世紀初頭におけるフランス美術界の一端を担うようになった。また、関連企画として、休館日に貸切の美術館で、ボランティアガイドと対話しながら楽しむ参加型の作品鑑賞会「ギャラリー★で★トーク・アート」が開催される。開催日時は10月19日14:00から2時間程度。参加費は1,000円(観覧料不要)、中学生以下無料。参加に際しては10月5日までに同美術館ホームページより申込が必要となる(申込多数の場合は抽選)。そのほか、同美術館学芸員が展示室で作品解説を行うギャラリートークが開催される。開催日時は9月11日17:30および9月12日13:30から、いずれも30分程度。参加費無料(要観覧料)、申込不要。
2015年08月21日東京都・銀座の松屋銀座は、画家バルテュスの未亡人、節子・クロソフスカ・ド・ローラの暮らしを紹介する「ド・ローラ・節子の暮らし展バルテュス夫人、スイス グラン・シャレで活きる日々」を開催する。会期は9月25日~10月5日。会場時間は10:00~20:00(10月5日は17:00まで、入場は閉場の30分前まで)。入場料は一般1,000円、高大生700円、中学生500円、小学生300円。同展は、20世紀最後の巨匠と称えられた画家バルテュスの未亡人、ド・ローラ・節子の美しく豊かな暮らしぶりを紹介するもの。節子氏は、文化・芸術に造詣が深かったバルテュスとの約40年にわたる西欧での生活でも日本人の和の心を大切にし、現在は、バルテュスとともに過ごしたスイス最大の木造建築、250年以上の歴史を持つグラン・シャレで家族とともに暮らしている。その暮らしぶりは決して華美なものではなく、祖母らから受け継いだ着物を身につけ、ガーデニングをこよなく愛し、友人や来客には四季折々に趣向をこらして部屋をしつらえ、食器やお料理にこだわり、手作りのおもてなしをする。同展では、着物や手作りの品、テーブルコーディネートや、手芸の部屋の再現、絵画作品など約180件が展示されるということだ。展示されるテーブルコーディネートには、朝食やアフタヌーンティーなど日々の食事、クリスマスなど特別の日のおもてなし、手作りの品や和と洋を取り入れ、春夏秋冬それぞれの季節に、グラン・グランシャレでの生活を彩る節子氏のおもてなしの心が表れている。また、節子氏がデザイン・原型制作をしたフランス・パリのアスティエ・ド・ヴィラット社の器を使ったテーブルセッティングも紹介されるということだ。また、一方で、節子氏はバルテュス財団の名誉会長やユネスコ平和芸術家などの社会活動のみならず、画家、随筆家としても活躍している。節子氏は20世紀最後の巨匠と称された画家、バルテュスの創作活動を妻として支えるだけでなく、自身も画家として活動し、これまでジュネーブ、パリをはじめ、2012年には南仏エクサンプロヴァンスにあるセザンヌのアトリエで個展を開催してきた。同展では、グワッシュによる静物画、インク絵、絵本の原画などが展示される。そのほか、会場ではスイスのグラン・シャレの家の内部や、花が咲き乱れる美しい庭、ロシニエール村の風景などが映像や写真で紹介されるということだ。
2015年08月10日ジョージア(グルジア)を代表する画家、ニコ・ピロスマニの半生を描いた映画『ピロスマニ』が、デジタルリマスター版として37年ぶりに公開されることが決定した。パブロ・ピカソに「私の絵はジョージアには必要ない。なぜならピロスマニがいるからだ」とまで言わしめた独学の天才画家、ニコ・ピロスマニの半生を描いた同作。名匠ギオルギ・シェンゲラーヤ監督により、名も知られず清冽に生きたピロスマニの魂とジョージアの風土や民族の心を描いた作品だ。物語の舞台は、19世紀後半のジョージア・チフリス(現・トビリシ)。幼くして両親を亡くし、流浪生活を始めたピロスマニは、やがて店の看板や壁に飾る絵を描きながら生活をするようになる。庶民はそんな彼に一目置いていたが、酒場で見初めた踊り子・マルガリータへの報われない愛がピロスマニを孤独にしていく。ある日、ピロスマニの絵がこの地を訪れた芸術家の眼にとまり一躍されるようになるのだが…。69年の製作当時、同作は国際的に高い評価を受け、日本でも78年にロシア語吹き替え版が公開されたが、37年ぶりとなる今回は『放浪の画家ピロスマニ』を邦題としてデジタルリマスター・グルジア語オリジナル版が上映される。『放浪の画家ピロスマニ』は11月21日より岩波ホールほか全国にて順次公開。
2015年08月02日1920年代よりフランスを中心に活躍した日本人画家の藤田嗣治(レオナール・フジタ)の半生を描いた、11月14日に全国公開となる映画『フジタ(FOUJITA)』のティザーポスターが公開された。1913年に単身フランスへ渡った藤田嗣治は、1919年に美術展覧会「サロン・ドートンヌ」に6点の作品を初出品し、すべて入選。「私の部屋、目覚まし時計のある静物」、「五人の裸婦」などの作品を発表し、高く評価された。1940年に戦時の日本に戻ると、「アッツ島玉砕」、「サイパン島同胞臣節を全うす」など数多くの戦争協力画を発表する。映画では、1920年に「乳白色の肌」で裸婦を描き、パリのモンパルナスを中心に活躍した芸術家たちの中で寵児となっていた藤田嗣治が、戦争を機に日本に戻り、数多くの「戦争協力画」を描いて日本美術界の重鎮に上りつめていく様が描かれている。主演の藤田嗣治役を演じるのはオダギリジョー。台詞の半分はフランス語という撮影に猛特訓で挑んだという。その他、5番目にして最愛の妻である君代役の中谷美紀を始め、加瀬亮、岸部一徳などのキャストが顔をそろえた。ティザーポスターでは、“パリが愛した日本人”というコピーとともに、画家として活躍するきっかけとなったと言われる「ジュイ布のある裸婦」と、「戦争協力画」の代表作でもある「アッツ島玉砕」の間に、アトリエでキャンバスに向かうオダギリジョー演じる藤田嗣治の写真を配置。フランスと日本、二つの国と時代に生きた藤田嗣治の二面性や複雑さが表現された。また、中谷美紀演じる君代との2ショット写真や、モンパルナスの女王と謳われたモデルのキキとのパーティシーンなども公開されている。
2015年07月02日自らの戦場体験を描いた2008年製作の『戦場でワルツを』がアカデミー賞外国語映画賞ノミネートをはじめ、世界中で大反響を呼んだアリ・フォルマン監督。いまや注目の映画作家となった彼が、新作『コングレス未来学会議』で『惑星ソラリス』の原作者スタニスワフ・レムのSF小説の映画化に挑んだ。その他の写真まず、最初に今回レムの原作『泰平ヨンの未来会議』を手にした理由を監督はこう明かす。「レムの小説を初めて読んだのは16歳のとき。すっかりトリコになってね。映画学校に進んだとき、今回の原作を再び手にとって、こう思ったんだ。“いつか映画化したい”と」いわば念願の映画化。ただ、共産主義体制の時代を現代のハリウッドに置き換えるなど、大胆に翻案している。「原作の世界観を大切にしながら、現代に沿わないところは今に見合う形に変えることを決断した。現代を生きる人々に届けるわけだから」こうして生まれた物語は、ハリウッドで活躍する実力派女優のロビン・ライトが演じる女優のロビン・ライトが主人公。40歳を過ぎた彼女はその美貌も人気もピークを過ぎている。時を同じくして、ハリウッドは俳優の絶頂期の容姿をスキャンし、そのデジタルデータを自由に使い映画を作るシステムとビジネスを発明。女優生命と引き換えに巨額の金を手にした彼女の行く末が見つめられる。そこからはデジタル化の脅威、利益を追求する企業の暴走、バーチャルと現実の境界線など、といったさまざまな現代の問題が不思議と浮き彫りに。さらに現在の巨大スタジオが牛耳る映画産業にも大きな問いを投げかける。「今の社会、そして映画界について一石投じたかったのは確か。また、このままいくと今回の映画のように生身の俳優は必要なくなるかもしれないし、監督の存在だって危うい。僕自身はそうなるとは思っていないけどね。そのことを含めクリエイティヴの持つ力についても改めて考えたかった」主演のロビン・ライトについてはこう語る。「彼女は早い段階からこの作品に関わることを決意してくれた。脚本にあれこれと口を挟むこともなくてね。むしろ私がびっくりしたよ(笑)。ロビン・ライトという役を表現者として体現してくれた。すばらしい俳優だよ」本作でも世界的評価を受けたフォルマン監督。今後の動向が気になるが、先日、アレハンドロ・ホドロフスキー監督と会ったことが報じられた。「パリで会ったんだけど、すばらしい時間だった。未完の大作『DUNE』について話して、彼は最後にこんなことを言ったんだ。『この企画を実現に導くのは、どこからか現れるクレイジーなアニメーターだ』と。その人物が私だったらこれほど光栄なことはないよ(笑)」『コングレス未来学会議』6月20日より新宿シネマカリテほか全国公開(C)2013 Bridgit Folman Film Gang. Pandora Film, Entre Chien et Loup. Paul Thiltges Distributions. Opus Film. ARP
2015年06月19日今月、13日(土)からは『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』、そして20日(土)からは『ターナー、光に愛を求めて』と、立て続けに2人の天才画家の生涯を描いた作品が公開される。前者は、本年が没後120年となるフランス印象主義の立ち上げ人物の一人で、人や物をモチーフに絵を描く女性画家ベルト・モリゾが、巨匠マネとの出会いにより絵画を学び、成長していく物語。一方、後者は生誕240年となる現在も絶大な人気を誇る、英国史上最高の風景画家J・M・W・ターナーの謎に包まれた人となりを、『ハリー・ポッター』シリーズのティモシー・スポールが主演を務め、美しい映像で映画化した。ターナーからモリゾへ。光の伝道18世紀に流行した、地域の特徴や名所などを描く地誌的水彩画から出発したターナーは、光の表現を追究して油彩、水彩、素描を問わず、多くの風景画を描いた画家として知られている。賛否両論を受けつつも、新たな絵画表現を探求し続け、100年先に誕生する“印象派”を予兆する絵画を世に送り出すことになった。鮮やかな色彩と生き生きとした筆遣いによって、自然の“光”をカンヴァスに焼き付けたターナーは“光の画家”と呼ばれ、後にモリゾをはじめとする印象派の画家たちにも多大な影響を与えた。天才画家の孤独と理解者また、モリゾがパリに生きた19世紀は、まだ女性たちが本格的に学んだり、職に就いたりすることは困難な時代だった。画家になるための登竜門であった国立美術学校は、女性に門戸を閉ざしていたものの、モリゾはこの時代に才能を開花させる。ルーヴル美術館で姉と摸写をしている際、画家マネと出会った彼女は、彼に導かれてモデルとして、そして女性画家としてたくましく成長してくことになるのだ。対して、ターナーは精神を病んで亡くなった母の影響で、人付き合いに不器用で極端な秘密主義者だった。ただ、ひたすらに絵を描くことに情熱を捧げていた彼の最大の理解者は、父親。彼に読み書きを教え、画家としての才能を支えたことによって、労働者階級でありながら、史上最年少でロイヤル・アカデミーの正会員になるなど、イギリスが誇る天才画家としての名声を得ていった。眠っていた天才画家に息を吹き込んだのは2人の名匠女性画家ベルト・モリゾの半生に息を吹き込んだのは、フランスのカロリーヌ・シャンプティエ監督。彼女は長編監督としては本作が初となるが、過去に撮影監督としてゴダール、ドワイヨン、ジャコー、カラックスなどの作品に携わり、諏訪敦彦監督や河瀬直美監督作品でも撮影監督を、そして第22回東京国際映画祭でも審査員を務め、日本にも縁が深い。そして、謎に満ちたターナーの人生を描いたのはイギリス人監督マイク・リー。カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭の常連で最高賞「パルム・ドール」「金獅子賞」を受賞した巨匠であり、家族や愛をテーマに即興演出で役者たちの生の演技を引き出し、本作でもカンヌ国際映画祭「男優賞」「芸術貢献賞」を受賞。本年度アカデミー賞では「撮影賞」など4部門にノミネートされた。ひと時代前のターナーの描く絵の中の“光”に、心を奪われていたというモリゾ。それぞれの時代に名画を描き、後世に名を残した2人は、女性と男性、絵のモデルに引っ張りだこだった絶世の美女となりふり構わず絵に集中する自由な個性派、多くの家族を描いた作品と物言わぬ自然を独り描いた作品と、一見正反対の画家のよう。だが、実は相通じる部分があったことを、この2本の映画が教えてくれるはずだ。『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』は6月13日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。『ターナー、光に愛を求めて』は6月20日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密 2015年6月13日よりYEBISU GARDEN CINEMAにて公開(C) K’ien Productions - 2012
2015年06月11日19世紀末から20世紀はじめにかけて活躍したフィンランドを代表する女性画家、ヘレン・シャルフベック。彼女の代表作を集めた日本で初めての展覧会『ヘレン・シャルフベック− 魂のまなざし』が、上野の東京藝術大学大学美術館で開催されます。近年、世界的に注目を集める画家のひとり、シャルフベック。ヘルシンキで生まれた彼女は幼少のころに事故で足が不自由になりますが、絵の才能を見出され、本格的に絵を学ぶためパリに渡ります。マネやセザンヌ、ホイッスラーから影響を受け、やがて自分のスタイルを確立。母国フィンランドで絵画制作を続けました。シャルフベック作品の特徴は時代とともに変わり、写実的な絵もあれば、抽象絵画も手がけています。代表作の《快復期》をはじめ、子どもや親子をモデルにした優しい色調の絵が有名ですが、晩年に描かれた自画像も見逃せません。自画像は、実物よりも美しく描かれることも多いのですが、シャルフベックの自画像は美化することなく、ガイコツのように見える作品もあります。画家が抱いていた自負を、自画像の「まなざし」から感じることができるでしょう。本展は、東京の後、仙台や広島などに巡回します。フィンランドの国宝級といわれる作品も来日する展覧会、どうぞお見逃しなく。イベントデータ:『ヘレン・シャルフベック− 魂のまなざし』会期:2015年6月2日(火)~7月26日(日)※休館日は月曜日。ただし7月20日は開館、7月21日(火)時間:10:00 ~ 17:00 ※入館は閉館の30分前まで会場:東京藝術大学大学美術館料金:一般 1,500円/大学・高校生 1,000円/中学生以下無料
2015年06月01日時代に翻弄された19世紀の女性画家ベルト・モリゾの生涯を描いた映画『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』が、6月13日(土)YEBISU GARDEN CINEMAにて公開となる。このほど、本作のポスタービジュアルと予告編がひと足先にシネマカフェに到着した。パリ16区のサロンに出品していたベルト・モリゾは、ルーヴル美術館で姉と摸写をしているとき、既に、美術界では名をなしていたマネと会い、モデルを依頼され、彼のアトリエに通うことになる。女性は家庭に入るものという時代、画家を目指すモリゾは数々の苦悩を乗り越えていく。戦争も始まり、時代に翻弄されながら、夢を追い続けた女性の人生の物語――。19世紀半ばにフランスで起こった芸術運動である「印象派」。その影響は欧米を始め日本にまで及ぼしている。本作は、印象派の誕生に大きくかかわった女性画家ベルト・モリゾが、巨匠エドゥアール・マネとの出会いを経て一人の女性として成長していく過程を描く。「バルコニー」、「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」など、しばしばマネの作品でモデルとなったモリゾだが、いままで描かれることのなかった2人の関係をも物語の中に織り込まれている。今回公開となった予告編では、芸術家であれば今もなお憧れを抱くパリ16区のサロンを舞台に数々のマネの名画が登場。現代では名作として知られているが「オランピア」が“下品な裸婦だ”と貶されるシーンや、モリゾの名作がアトリエに無造作に並んでいたりと、絵画が描かれた当時の様子を垣間見ることができる映像となっている。タイトル後に登場する「バルコニー」でズームしていく映像が、まるで絵画の世界へ引き込まれていくような気分にさせてくれる予告編だ。さらに公開となったポスタービジュアルの半面以上を占めるのは、マネが描いた「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」。オルセー美術館所蔵のこの名画で描かれている美女こそ、ベルト・モリゾそのひとなのである。名作が描かれる瞬間を再現した、ビジュアル下部分の劇中カットにも目を奪われる。本作のメガホンをとったのは、ゴダール、カラックス、フィリップ・ガレル、最近では『ハンナ・アーレント』などの作品の撮影監督であり、『神々と男たち』でセザール賞撮影賞を受賞したカロリーヌ・シャンプティエ。ベルト・モリゾ役を『ココ・シャネル』のマリーヌ・デルテリムが、巨匠エドゥアール・マネ役を『焼け石に水』のマリック・ジディがそれぞれ演じる。また、ベルド・モリゾは女性の社会的地位が確立していない時代における女性画家のはしりとなった人物。結婚と仕事の狭間で悩む彼女の姿は、現代を生きる女性にとって響く部分も多いのでは。印象派の名画の知られざる物語に注目してみて。『画家モリゾ、マネの描いた美女~名画に隠された秘密』は6月13日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAにて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年05月01日去る3月1日、Apple Store Ginzaにて、『50代から楽しむiPad』の著者・馬塲寿実氏と83歳のiPad画家・中村作雄氏がナビゲートするシニア向けワークショップ「iPad画家になろう」が開催された。このイベントは、iPadと無料のスケッチアプリ『LINE Brush Lite』を使った絵の描き方を紹介していくというものだ。まずは馬塲氏から今回のワークショップの概要の説明と、中村氏の紹介。中村氏は、馬塲氏の著書『50代から楽しむiPad』にも登場しているとのこと。83歳という年齢は、Apple Storeで開催されたイベント登壇者の中で、おそらく最高齢だろう。この日の参加者は、ほぼ全員、自前のiPadを手に来場。イベント開始時間より前倒しで、使用するアプリの解説があり、レクチャーを受けながら、一斉にダウンロードに勤しむという場面も見られた。馬塲氏は、視覚が不自由な方、高齢でインターネットが苦手な方にユニバーサルな情報提供を行い、支援するNPO法人「ハーモニー・アイ」の代表を務めている。「ハーモニー・アイ」の設立は2006年とのことだが、その一方で、2013年末から執筆活動を開始。2014年の春から「50代からの幸せ研究所」という個人屋号で活動し、iPadやSNSに関する著書を上梓。前述の『50代から楽しむiPad』は今年の2月に刊行された。紹介された中村氏は、iPadを手に、自身の経歴や作品についての詳細を述べた。20年前に淡彩画家に弟子入り、10年ほど前に小林一茶の英訳された作品にインスパイアされ、パソコンで俳画を描くようになったという。その後、鈴木真砂女の、これまた英訳された俳句にイラストをつけるという作品に着手。それらの作品群もパソコンで手がけていたとのことだが、制作期間中にiPadが登場し、ツールとして取り入れることになったのことだ。最初のうちは思ったようには描けず、四苦八苦したらしいが、すぐに操作には慣れたと話す。中村氏が普段、制作用に使っているのは『Brushes Redux』とのことであるが、この日は『LINE Brush Lite』が使用アプリとして選ばれた。「(自身の作例を指して)これくらいの絵は描けるようになりますから」と、参加者には心強い一言の後、実際にiPadを使って作業に取り掛かる。まずは、アプリを起動し、白いキャンバスが表示されているかどうか確認。続いて作成した絵を格納する「ギャラリー」をチェックする。キャンバスで描いた絵は、ギャラリーに保存し、制作途中の絵はギャラリーからキャンバスに呼び出すことができるのだが、中村氏曰く、この操作は言葉で言うと簡単だが、感覚的にはなかなかつかめない、ということで、参加者全員で何度か一緒に操作することに。この段で挫折する方が多いとのことで、ゆっくりと作業が続いていく。そして、いよいよキャンバスに線を描く。ツールなどを表示させるには画面をタップするのだが、これがシニア層、「タップ」と言われても何だかわからない様子で、馬塲氏から即座に「画面をポンと一回叩いてみてください」とアドバイスが飛んでくる。iPhone/iPadを使い慣れているなら「タップ」や「スワイプ」がどういった操作を指しているか、理解していない人はまずいないと思うが、初めて使う人にとっては何かの呪文か暗号と同じだ。先ほどのタップは「画面をポンと一回叩く」、スワイプは「シュッと画面を掃く」といったように、馬塲氏は具体的な言い方に替えて丁寧に解説していた。これなら初心者でもしっかりついていける。キャンバスに描いた線は、覚えたてのギャラリーに保存し、また新たなキャンバスを広げ、別なペンで別な線を描いていく。筆の形状を変えたり、色を変えたり、絵を描くための操作をひとつずつ習得する。この間、紙のノートに忘れないようメモをとる受講者が何人かいたようだが、中村氏は「ノートはとらないように」と注意を促す。メモを取るのと絵を描くのとでは頭の使い方が違うから、そのやり方だと何時まで経っても上達しない、というのが氏の持論だ。中村氏は、最初から上手く絵を描こうとしてはいけない、まずは道具に慣れることが大事だと話す。ということもあってか、ワークショップも単純な線や円を描くというところから始まっていた。一通りアプリの使い方に慣れたところで、ようやく絵を描く作業に入る、といった具合で進んでいく。途中、中村氏の解説が駆け足になる場面があったが、そこもまた馬塲氏がサッと割って入り、参加者全員の進捗状況を見てから次へと移る。筆者は時々、Apple Storeで開催されるジュニア向けのワークショップを取材させて頂くことがあるのだが、今回初めてシニア向けのワークショップを拝見してみて気づいたことがある。それは、iPadの操作に関しては子供達のほうが圧倒的に習得が早いということだ。しかし、シニアには子供達にはないものがある、集中力だ。操作を覚えるには個人差があって、なかなか一様にはいかないようだったが、そこは集中力の高さでカバーしているように見える。結果、ワークショップの終盤には、皆、同じことができるようになっていた。参加者は単純図形に色をつけ、チューリップの絵を描き上げた。中村氏は小技として、彩色するためのインクの濃淡、彩度の調整法などを紹介。一段上に仕上がるテクニックを学んだ。仕上げとして作品に署名を入れ、iOS標準アプリ『写真』に保存し、一通りのレクチャーは終了。最後は参加者の作品をAirPlay+Apple TV経由でスクリーンに投影、鑑賞して皆で楽しんだ。
2015年03月09日戦場カメラマンの渡部陽一が2月13日(金)、『アメリカン・スナイパー』の特別試写会に出席した。イラク戦争で活躍した“米軍史上最強の狙撃手”の自伝を映画化。渡部さんは自身の経験を重ねながら、兵士やジャーナリストが危険な戦地に身を置く理由を語った。クリント・イーストウッド監督がメガホンをとった本作の主人公は、米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに所属し、4度のイラク遠征で多くの仲間を救った狙撃手のクリス・カイル。敵兵からは悪魔と恐れられ、常に命を狙われる彼の胸にあるのは「良き夫であり、良き父でありたい」という願いと葛藤だった…。2003年のイラク戦争で、米軍従軍(EMBED)取材を経験した渡部さんは、「ある兵士は『一度戦場に足を踏み入れた人間は、生還しても必ず戦場に戻ってくる。まるで中毒だ』と言っていた。僕もその言葉に大きく影響されている」と神妙な面持ちでふり返る。そして、「戦地での悲しい現実を目の当たりにし、また戻りたくなる衝動にかられる。それは兵士だけではなく、ジャーナリストも同じ。僕らの間では“戦場カメラマン症候群”という言葉もあり、実際、ベイルート、バグダッド、カンダハール…どこに行っても、現場にいるのは同じメンツですね」と当事者にしか知りえない本音と心境を明かしていた。「戦争の犠牲者はいつも子ども。彼らの声を世界に届けるため、今後も戦場カメラマンとして丁寧に取材を重ねたい」と渡部さん。映画が描く戦場の“リアル”にも太鼓判を押し、「どんなに経験を重ねたプロでも、戦争の狂気から逃れることはできない。ぜひ、この作品を通して、いまこの瞬間、何をすべきか考えてもらえれば。自分の足元を気づかせてくれる作品」と力強くアピールしていた。本作は米興行収入は2億5,000万ドル(300億円)を突破し、クリント・イーストウッド監督最大のヒットを記録中で、第87回アカデミー賞では「作品賞」をはじめ6部門で候補になっている。本作でイーストウッド監督と初タッグを組み、3年連続で「主演男優賞」にノミネートされたブラッドリー・クーパーが、プロデューサーも兼任している。『アメリカン・スナイパー』は2月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:アメリカン・スナイパー 2015年2月21日より全国にて公開(C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2015年02月13日