4年に一度、ラグビーの世界一を決めるラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が9月8日に開幕。自国開催だった前回大会で日本は初のベスト8に進出、その快進撃に日本中が熱狂した。今回、前回以上の成績として“優勝”を目標に掲げるジャパンは再び輝けるか。代表33人のうち半数以上の選手がW杯代表に初選出となるなか、活躍が期待されるキーマンをベースに、ジャパンの戦い方をラグビージャーナリストの村上晃一さんに教えてもらった。「バックス陣では、ナイカブラ、フィフィタ、マシレワですね。レメキ(ロマノ ラヴァ)や松島(幸太朗)も含めてアウトサイドバックス(ウイング)が、ちょっと危険なスピードランナーというか、アタッカー揃いなんです。外側でトライを取るのが日本のラグビーだと思うのですが、結構面白い選手を並べてきました。ここは誰が出てきても、相手チームは怖いと思います」トライゲッターといえば、4年前、大活躍した福岡堅樹選手を思い出す。「ナイカブラは福岡より速い。フィフィタは福岡よりパワーがある。マシレワのステップは福岡より切れている。福岡は何でもできましたが、もう福岡はいないので(笑)。ちょっとずつ長所が福岡に勝っている選手を並べたんでしょうね。なかなか完璧な選手は今のジャパンにはいないので、長所を掛け合わせて強いチームを作るってことだと思います」日本の戦い方が見えてきたような。「キック合戦をしても、今回対戦するアルゼンチンやイングランドには敵わない。だったら、怖いアタッカーを揃えて、自分たちでボールを持って攻め続けたほうが相手もイヤだろうなっていうのが、このメンバー編成からは感じられますね」フォワードでは誰が注目ですか?「コーネルセンですね。ロックでもフランカーでも、ものすごくレベルが高い。ディフェンスも幅広いし、よく動く。ラインアウトも取れる。なので、すごく大事な選手。おそらく全試合ずっと出ます。あとは福井翔大に頑張ってほしいですね。福井がジャッカルやタックルをバチバチいって大活躍してくれたら、日本代表の新しい力として、世界を驚かせられるんじゃないかなと思います」トライゲッターはこの3人!ジョネ・ナイカブラ選手(写真右)(東芝ブレイブルーパス東京)フィジー出身。WTB。シオサイア・フィフィタ選手(写真左上)(トヨタヴェルブリッツ)トンガ出身。WTB。セミシ・マシレワ選手(写真左下)(花園近鉄ライナーズ)フィジー出身。WTB。FW陣の要となる選手!ジャック・コーネルセン選手(写真左)(埼玉パナソニックワイルドナイツ)オーストラリア出身。LO/FL。福井翔大選手(写真右)(埼玉パナソニックワイルドナイツ)福岡県出身。FL。ラグビーワールドカップ2023フランス大会日程:9月8日(金)~10月28日(土)開催地:マルセイユ、リヨン、ボルドーなどフランスの9都市。NHK、日本テレビ、J SPORTS(Amazon)で放送、配信。日本vsチリ9/10(日)20:00日本vsイングランド9/18(月)4:00日本vsサモア9/29(金)4:00日本vsアルゼンチン10/8(日)20:00※時間は日本時間※『anan』2023年9月13日号より。写真・7044sueishi SportsPressJP/アフロ森田直樹/アフロスポーツ(by anan編集部)
2023年09月11日今夏の国際大会ネーションズリーグでメダルを獲得し話題沸騰中のバレーボール男子日本代表(龍神NIPPON)。その快挙に、「日本はどうしてこんなに強くなったのか?」という声があがっている。その理由の一つに、イタリアで世界トップレベルの選手と日常的に戦っている石川祐希選手、髙橋藍選手の2人の存在がある。そこで2人に海外で戦うことの意味を聞いた。――海外のチームに一人で飛び込んで、そこで競争を勝ち抜くためのメンタルや、必要なものって何だと感じていますか?髙橋藍(以下、髙橋):僕は2シーズン経験して、海外の選手の主張の強さやアグレッシブさはすごいなと思ったし、自分もそこで戦っていくためにはそういうものが必要だなと。あと、海外の選手に比べたら僕は身長が低いので、最初はなめられるというか、評価が低い部分もあったんですけど、常に「自分はここで戦える選手だ」という自信を持つことを意識しました。それぐらいの気持ちでやらないと負けてしまうなと思ったので。石川祐希(以下、石川):僕も、やっぱり主張ができないと厳しいかなと思いますね。自分のせいにされることも多いので。例えば2人の間のボールをどっちが取りに行くかという時も、海外の選手は「オレは今のは無理だった」とか平気で言うので(苦笑)。そういうところでも戦えないと生き残っていけない。自分が悪くなくても、悪いように見せられちゃったら評価は下がるので。だから言葉も話せないと。間違っていても自分の思ったことを口にする。そういうのは海外でしか経験できないよね?髙橋:そうですね。石川:日本だと空気感で察してもらえたりするけど。髙橋:海外では言わないと伝わらない。やっぱりコミュニケーションは大事ですよね。信頼を築くためにも。石川:そうだね。コミュニケーションをとるために、語学力は必要。あとは自己管理。日本なら友だちもいるし、レストランもいろんなものがあるけど、イタリアは基本的にパスタやピザ、リゾットとか。その中で好きなものばかり食べていたら体がどんどん変わっちゃう。何でも我慢するというわけじゃなく、自分に合うものをしっかりわかって摂ること。お酒や睡眠に関しても、これ以上飲んだらよくない、最低でもこれだけ寝ないといけないとか、まず自己分析。それができないと、「イタリアが合わなかった」というふうに環境のせいにしちゃうと思うから。自己分析と、そのあとの自己管理ができないと厳しいかなと。プロ選手としては当たり前のことなんですけど。髙橋:祐希さんはそこは徹底していますよね。自分も参考にさせてもらっています。やっぱり日本のほうが何かしら融通が利いたり、便利なんですけど、海外で活躍するためには、今ある環境の中で自分のルーティンを作って、バレーボールにつなげていくことが重要なのかなと。石川:僕の場合は厳密に決めすぎると、それができなかった時にストレスになったりするので、基準はあるけど、それに縛られすぎないことも意識しています。睡眠時間は8時間ぐらいとるようにしているけど、アウェイのバス移動などで、それができない場合もあるし、チームスポーツなので基本チームが優先。自分のペースでできない時にも対応できるように、幅を持たせて、心に余裕を持つことも大事だなと。あとは、海外は、楽しめてないときついよね?髙橋:うん、そうですね。石川:藍に「イタリアどお?」って聞くと、「あ、楽しいっすよー」って返ってくるんですよ。どんな環境でもそんな感じで心から楽しめていると、長く続けられるんじゃないかなと思いますね。髙橋:僕はもともとの性格が、どこでも楽しめるし、コミュニケーションをとるのも好きなので、馴染むのも早いほうだと思います。パドヴァは若い選手が多くて共通の話題が見つけやすかったり、街も自分に合っていましたし。自分が望んで、せっかく海外に挑戦しに行っているので、日本では得られないものを、バレーボールでも、それ以外でも得たいし。いいものを見て学んで、街も楽しみたいなという思いがあります。石川:最初は楽しめない人もいると思うけど、そこはもう頑張って耐えるしかないと僕は思っていて。慣れてきたら自然と楽しくなってくる。それを待てるか待てないか。髙橋:そういう根性もいりますね。石川:僕も、日本に帰りたいなとか、寂しいなと思う時期もゼロではなかったので。でも徐々に言葉を話せるようになったり、食事もいろいろ試すうちに美味しいものが見つかって、自然と楽しくなってくる。そういうパターンもあると思います。――楽しむといえば今の代表もみんな楽しそうにプレーしていますが、重要な試合の前に眠れなくなるとか、プレッシャーはないんですか?石川:ないよね?髙橋:うん、ないっすね。僕はあまりプレッシャーを感じないタイプなので。もちろん日の丸を背負う責任感は持っていますけど。自分がバレーボールを好きでやってきて、自分のバレーを多くの人に知ってもらえればいいというマインドなので。石川:たぶんすごいプレッシャーを感じているという選手は今はあまりいないと思います。感じている人がいても、たぶんいつの間にかなくなっちゃう。今って僕も藍も、他にもリベロの山本智大や小川智大とかもそうですけど、なんていうか、遊び心を持ってやれているので。試合前でも普通にバスケやサッカーをしたり。その姿を見て楽しんでリラックスしている選手もいるし。でも、やる時はやる。メリハリがハッキリしているのでいい環境なのかなと。髙橋:そうですね。練習が終わってからもしゃべったり、一緒にどこかに行ったり、普段からコミュニケーションも多いので信頼関係もできるし、上と下の関係もいいですよね。――SNSなどを見ると髙橋選手も石川選手にタメ口だったり…。石川:あーもうそんな感じだね?髙橋:え、でも僕も時と場合によりますけどね。メリハリです(笑)。石川:下の子たちはちゃんと先輩に対するリスペクトは持っているので。上の人も許容範囲が狭くないし、そういうのも一種のコミュニケーションだと、みんなわかってやっているからいいんじゃないですかね(笑)。Yuki Ishikawa(写真左)1995年12月11日生まれ、愛知県出身。192cm、84kg。アウトサイドヒッター。中央大学時代からイタリア・セリエAでプレーし、今季で9シーズン目。日本代表では2021年から主将。初のオフィシャルブック『14 quattordici』が12月に発売決定。9/6から早期予約受付開始。ニット¥134,200パンツ参考商品(以上ダンヒル TEL:0800・000・0835)Ran Takahashi(写真右)2001年9月2日生まれ、京都府出身。188cm、83kg。アウトサイドヒッター。19歳で東京五輪出場。日本体育大学に所属しながら、’21‐’22シーズンからイタリア・セリエAへ。今季はモンツァでプレーする。国内外に多くのファンを持ち、インスタグラムのフォロワー数は150万人を超える。ニット¥88,000パンツ¥97,900(以上エンポリオアルマーニ/ジョルジオ アルマーニジャパン TEL:03・6274・7070)※『anan』2023年9月13日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・TOYO(BELLO)インタビュー、文・米虫紀子(by anan編集部)
2023年09月10日バレーボール男子日本代表(龍神NIPPON)・髙橋藍選手が、9月30日に開幕するパリ五輪予選を前に、イタリア・セリエA挑戦で得たものや代表キャプテン・石川祐希選手について語ります。世界に飛び出し急成長。周囲を惹きつける理由とは。軽やかに有言実行を重ねてきた22歳。1年前、イタリア・セリエAの開幕に向けて日本を発つ際、「(所属チームの)パドヴァでスタメンを張れるように」「自分が強くなって、日本代表でも軸になれるように」と口にしていた。その言葉通り、パドヴァではレギュラーをつかみ、試合に出続けることで攻撃力が格段に向上。今年のネーションズリーグでは一番の持ち味である守備だけでなく、石川選手に次ぐチーム2位の得点を稼ぎ、攻撃でも軸となって銅メダル獲得に貢献した。イタリアでもまれた収穫はプレー以外にも。銅メダルを獲得した夜、3位決定戦で対戦したばかりのイタリア代表の2人、髙橋選手と同い年のエース・ミケレット選手と、パドヴァでチームメイトだったボットロ選手が宿舎の部屋にやってきて、夜通し語り合ったそう。「ボットロが僕としゃべりたいと連絡をくれて。試合中は真剣勝負ですが、普段は友だちだし、一緒にイタリアで戦った仲間という絆があるので、試合が終わればいつもの仲に戻ります。イタリアでプレーしているからこそ世界に友だちが増えるし、刺激ももらえる。それが海外でプレーしている意味なんじゃないかなと思います。試合で対戦しているだけだと『あの選手はすごい』と思ってしまいがちですが、普通に話してみると、例えばミケレットは子供のような一面もあって、人間味が増すんです。すると意識しすぎなくなる。以前はブラジルやイタリアと対戦すると名前に圧倒される部分もあったんですが、実際に一人一人、海外の選手と話したり接してみると、同じ人間だし、向こうもミスをするし、というのがわかってくる。『全然オレらと変わんないじゃん』という感じになって、相手を大きく見すぎずにフラットに戦える。それはすごく大事なことだと感じてます」異国の地で打ち解け合えるのは、オープンマインドな人柄のおかげでもある。それは日本代表でも。先輩に対しても自然体でスルリと懐に入り、年下の選手が入ってくれば積極的に話しかける。「関西人なんでずっとしゃべっていられるし、コミュ力が高いのかも」と笑う。それはかつて“憧れの人”だった石川選手に対しても。今回の撮影中もまるで友だち同士のような雰囲気で、先輩の肩に肘を乗せるポーズのリクエストにもためらいなく、屈託のない笑顔で応じた。それでも「石川選手はどんな存在?」と聞くと、「一番近くにいる、尊敬できる選手です。日本代表の絶対的なキャプテンで、エースで、最後の得点や大事な場面では、自分も『祐希さんに託したい。祐希さんなら決めてくれる』という思いになる。常に刺激をもらっていますし、自分に成長材料を与えてくれる一番のお手本です」心からのリスペクト。だからといってただ見上げているだけではない。「祐希さんを超えないといけないという意識でやっています。それが日本代表の強さにもつながるし、自分の成長のモチベーションにもなるので」身近で偉大な存在を刺激に、若きエースはさらなる高みへ。Ran Takahashi2001年9月2日生まれ、京都府出身。188cm、83kg。アウトサイドヒッター。19歳で東京五輪出場。日本体育大学に所属しながら、’21‐’22シーズンからイタリア・セリエAへ。今季はモンツァでプレーする。国内外に多くのファンを持ち、インスタグラムのフォロワー数は150万人を超える。コート¥792,000ニット 参考商品ブレスレット¥330,000シューズ 参考価格¥352,000(以上ボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン TEL:0120・60・1966)※『anan』2023年9月13日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・TOYO(BELLO)インタビュー、文・米虫紀子(by anan編集部)
2023年09月09日今夏の国際大会ネーションズリーグでメダルを獲得し話題沸騰中のバレーボール男子日本代表(龍神NIPPON)。9月30日に開幕するパリ五輪予選を前に、石川祐希選手がその抱負を語る。余裕あふれるプレーと思考で日本の躍進を支える主将。「まだ3位。目標とするところは頂点なので、そこを狙えるチームになっていくことが僕たちの求めていることです」7月まで行われたネーションズリーグで、メダルを獲得した直後のインタビューに答えて語った石川祐希選手。主要な国際大会では46年ぶりとなる快挙にも満足することなく、“頂点”を見据え、「ここで終わりじゃないぞ」というチームメイトへのメッセージも込めた。「今回の経験は間違いなく次につながる。自分たちには力があると自信を持って、これからの試合も戦えるのかなと思います。でも過信しないように、このあとパリ五輪予選もあるので気を引き締めないと。あくまで3位だし、ネーションズリーグが今シーズンの僕たちの一番の目標ではないので。全員わかっているとは思いますけど、まだ先があるし、もっと強くならないといけないし、安定してこういう結果を出せるようにならなきゃいけないということを、帰国後の会見や、何かにつけて発言するようにしています」と、キャプテンの顔で語る。中央大学1年だった2014年に日本代表デビューし、その後、世界最高峰リーグのイタリア・セリエAで着実に力をつけ、海外の一流選手からも一目置かれるトッププレーヤーの仲間入りを果たした。彼の中には、いちアスリートとして“世界一の選手”を目指す石川祐希もいるが、日の丸をつけている時は基本的に「キャプテンモード」なのだとか。ネーションズリーグでは予選ラウンドから3位決定戦まで15試合、すべて先発し、全選手中トップの275得点を挙げ、決定力とタフさを証明。しかもファイナルラウンドに入って1段ギアを上げた裏には、こんな計算があった。「予選ラウンドでは、キャプテンの仕事はそんなにしていないんです。割とゆっくりと、『劣勢になった時にこの選手はどうかな?』とか、他の選手を観察していました。連勝していたこともあって、あえてフリーにして。そこで完成度を上げすぎると、そのあと下がってしまうのが怖かったので、(8月の)アジア選手権からちょっと固めて、9月末のパリ五輪予選に向けてどんどん上げていくイメージでした。その入り口として、ファイナルラウンドからはミーティングをしたり、試合中にもみんなを集めて声をかけたりを意識してやるようになりました」パリ五輪を念頭に、チームビルディングにまで思考を巡らせている。そんな石川選手には、自身の背中を追って急成長し、代表で対角を組む6歳年下の髙橋藍選手はどんなふうに見えているのだろう。「強くなってるな、経験値上がってるな、というのは感じます。僕が大学生だった時よりも、間違いなく今の藍のほうがスキルとかは高い。でも僕の歳になったらどうかは、わからない。彼が今後どういう選択をするかによってたぶん変わると思います。そこは面白いところだし、楽しみです。藍がどういう選択をして、どういうチームでどういうプレーをして、どういう結果を残していくのか…興味ありますね(笑)」Yuki Ishikawa 1995年12月11日生まれ、愛知県出身。192cm、84kg。アウトサイドヒッター。中央大学時代からイタリア・セリエAでプレーし、今季で9シーズン目。日本代表では2021年から主将。初のオフィシャルブック『14 quattordici』が12月に発売決定。9/6から早期予約受付開始。コート¥665,500スウェット 参考価格¥82,500パンツ 参考価格¥495,000シューズ¥165,000(以上ジバンシィ/ジバンシィ ジャパン TEL:0120・218・025)※『anan』2023年9月13日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・TOYO(BELLO)インタビュー、文・米虫紀子(by anan編集部)
2023年09月09日どうすればぐっすり眠れるか、その答えは人それぞれ。だからこそ、睡眠リズムが不規則だったり、ハードなスケジュールをこなしているにもかかわらずいつも元気そうなあの人の“眠り方”には、深く眠るためのヒントがあるはず。ここでは、自分にとって心地いい睡眠のスタイルを見つけた、バレーボール選手・石川真佑さんにインタビュー。アスリートは体が資本。バレーボール女子日本代表の石川真佑選手も、そう実感していると話す。「チームメイトの会話を聞くと、特に睡眠に対する意識は皆高いです。普段の雑談でも『よく寝た』『昨夜は寝るのが遅くなっちゃった』など、何気なく睡眠のことをよく口にしていて。それぞれ睡眠に気を遣っているんだろうなと」石川選手自身も例に漏れない。「睡眠が充実すれば頭の回転も良くなるし、何よりパフォーマンスに直結するので、毎晩なるべく早く寝るようにしています。遅くなっても就寝時間が日付を越えないように意識していて、早ければ22時、遅くても23時半には布団に入ります。また、試合前は睡眠時間を長めにとっています。“長め”といっても、いつもより1時間、早く寝る程度ですけどね。あまり早くに寝ると、夜中に目が覚めてしまうので。ただ目覚めるタイミングを完全にコントロールするのは難しいので、実際早めに寝て、途中で目が覚めたら次はもう少し就寝時間を遅らせる。微調整しつつ、朝までしっかり眠れるリズムをいつも探っています」また夜から朝にかけての睡眠に加え、空き時間があればパワーナップ(積極的仮眠)も取り入れる。「普段の練習の日、昼食を摂った後に午後練にいいコンディションで臨めるように仮眠をとることが多いですね。夜遅い時間に試合がある日も同様です。仮眠の時間が長すぎると逆にパフォーマンスが下がるので、30分程度に収めます」もともとどこでも寝られるタイプだと話す石川選手。いつも熟睡できる秘訣を分析してもらった。「入浴は大きいと思います。昔からお風呂好きですし、練習で疲れた体を回復させるためにも入浴は重視していますが、毎晩お湯に浸かる習慣が睡眠の質を高めることに繋がっていると思います。私の体感ですが、お湯に浸かって発汗し、体がすっきりした状態で睡眠をとると、だいたい翌朝の目覚めもいい。湯船と水風呂を行き来する交代浴をよく実践しています」シャワーで済ませるのは時間がとれない時だけ。逆に、少しでも浸かれるならば湯船に浸かる。入浴で一度深部体温を上げておくと、その反動で、数時間後に眠る頃には深部体温がほどよく下がるため、眠りにつくのもスムーズに。よっぽどのお風呂ラバーでないと、湯船に浸かっている間、なんとなく手持ち無沙汰になるもの。石川選手も“長湯派”ゆえ、飽きずに浸かるために様々な工夫をしているそう。「スマホを持ち込んでSNSをチェックしたり、ネットフリックスもよく見ます。あとは音楽を流すことも。アップルミュージックにあるトップ100のプレイリストなどを再生して、最新の曲を楽しむことが多いです」練習で日中の活動量も人一倍多く、入浴のルーティンもここまで確立されていたら、眠れない夜はほとんど経験がないかもしれない。「試合前日で緊張して眠れない…ということは確かにないですね。でも国際試合などで海外に遠征すると、マットレスの寝心地や枕の高さがあまり合わないことは結構あって、そういう時はいつもほど睡眠の質が良くないような。そういう意味では自分に合う寝具を選ぶことが重要だと思っています」また、今秋からはイタリア1部リーグのフィレンツェに移籍する石川選手。新生活に突入するうえで、睡眠に関して一つ気になることが。「日本と違い、イタリアは湯船がない環境の方が多いと思うんです。今までのように入浴できなくなると睡眠にも影響があるかと。でもそれは仕方ないし、寝具などを工夫して新たなリズムをつくればいいだけ。睡眠のスタイルも柔軟に変えていくつもりです」睡眠のお供仮眠ではアイマスクで視界をオフ。仮眠をとる時にはアイマスクをつけて。「いつも使っているのは『めぐりズム』。目の疲れにも効くし香りで落ち着くのもいいなと。私はラベンダーの香りを選ぶことが多いです」。視覚を遮って少しでも深く眠れるよう工夫。睡眠の質に直結するアイテムは吟味。寝具を選ぶ際は、自分の体に合うかどうかを入念にチェック。「ミズノの新商品のマットレス『ReFull』は手持ちのものに重ねて使えるし、枕もほどよいサイズ感です」とある日のスケジュール6:00起床6:00~6:30入浴6:30~7:30朝食7:30~11:30午前の練習11:30~12:00昼食12:00~12:30昼寝12:30~18:00午後の練習18:00~20:30夕食&入浴20:30~22:30リラックスタイム22:30就寝いしかわ・まゆ2000年5月14日生まれ、愛知県出身。’19年より女子日本代表に選出。’23~’24年のシーズンはイタリア・セリエAのイル・ビゾンテ・フィレンツェにてプレー。X(旧Twitter)は@m_ish_0514Instagramは@mayu_00514※『anan』2023年9月6日号より。写真・黒川ひろみ(石川さん)ヘア&メイク・高松由佳(石川さん)取材、文・門上奈央(by anan編集部)
2023年09月01日テニスの四大大会最終戦、全米オープンが28日に開幕する。テニスツアーは年始から休みなく続いており、この時期は選手の疲労も溜まりやすく、けがを抱えたままの転戦や欠場も多く見られる。さらにニューヨークは真夏。年によっては40°C近い猛暑が選手を襲うサバイバル要素の大きい大会でもある。車いすテニスの小田凱人は今大会も優勝候補筆頭だ。ウィンブルドンではセットを1つも落とさずに圧倒的な勝ち上がりで優勝したばかり。既に向かうところ敵なしの構えだ。全米も取って四大大会3連勝となり、世代交代と小田時代の到来を宣言する大会になるのだろうか。男子の注目は、やはり前年の覇者、アルカラスだ。ウィンブルドンでジョコビッチをフルセットで破り優勝。20年間にわたって続いたBIG4による優勝独占を崩し、世代交代を強く印象付けた。これまでにも世代交代の兆候はあったが、アルカラスの活躍は過去最大級のうねりを伴っている。昨年は瞬く間に駆け上がって史上最年少で世界ランク1位となった感があるが、今年に入って数字や記録に実力が追いついてきた。20歳とは思えぬメンタルの強さと老獪さも兼ね備えており、このまま新王者となれるか。初の防衛戦となる全米は大きな試金石となりそうだ。グランドスラムで2大会連続でBIG4が優勝できなかったことは2003年以来一度もない。ジョコビッチが意地を見せるのか。さらなる新星が現れ世代交代は加速するのか。そして、ついにグランドスラムに錦織圭が帰ってきた。1年8か月ぶりの復帰戦となった下部ツアー大会では、史上初となる世界ランキングなしでの優勝。過去に何度も大けがからカムバックしてきたが、その中でも、今回は上々のスタートを切ったといえるだろう。試合勘を取り戻すには時間がかかるのでまだ慣らし運転ではあるが、全米オープンは過去3度ベスト4以上がある、最も相性のいい大会。組み合わせ次第ではいきなりの躍進も期待できそうだ。女子は引き続き混戦模様。注目は昨年出産し、ママさんプレーヤーとしてこの春からコートに戻ってきたスビトリナだ。WTAファイナルズ優勝経験もある実力者が、全仏ベスト8、ウィンブルドンベスト4と調子を上げてきている。正確なショットを武器に初の頂点を目指す。小田凱人(ときと)選手17歳の若さで早くもグランドスラム2連勝。レジェンド国枝慎吾から引き継がれた王者の称号は、簡単には渡せないはずだ。カルロス・アルカラス選手史上初となる10代での世界ランキング1位の座に就く。フェデラーとも比べられる早い展開のテニスが、新世代の旗頭となる。錦織 圭選手準優勝で空前の錦織フィーバーを起こしたのも9年前。新たな気持ちで再び頂点を目指す戦いが始まる。エリナ・スビトリナ選手夫は独創的なテニスをプレーすることで知られているモンフィス。祖国ウクライナのためにも悲願のグランドスラム初優勝を狙う。全米オープンテニス2023日程/8月28日(月)~9月10日(日)会場/USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターWOWOWで生中継。※『anan』2023年8月30日号より。写真・Getty Images文・今田望未(by anan編集部)
2023年08月29日バスケットボール男子のワールドカップがいよいよ開幕。日本代表「AKATSUKI JAPAN」は世界を相手にどう戦うのか?チームを牽引する2人のキーマンへのインタビューをお届けします。“Wユウキ”が登場!司令塔ふたりに聞く、「世界で一勝」への思い。バスケットボール男子日本代表候補の中でもキーマンといえる富樫勇樹選手(右)と河村勇輝選手(左)。共に“コート上の監督”ともいわれるポジションのポイントガードを担う二人を直撃!――現在のチームの様子を教えてください。富樫勇樹選手(以下、富樫):ワールドカップに向けてモチベーション高く、いい雰囲気が作れていると思います。河村勇輝選手(以下、河村):トムさん(トム・ホーバスHC/ヘッドコーチ)も明言しているように、男子日本代表の目標は、アジアで1位になることです。メンバー全員が、その目標に向けて練習に取り組めているという一体感を感じます。――同じポジションの二人ですが、それぞれチームにどのように貢献したいですか?富樫:ポイントガードはチームをまとめて、ゲームの中でコントロールすることが必要とされるポジションです。トムさんが男子日本代表のHCに就任してからは、キャプテンをやらせていただいているので、いずれにしてもチームを引っ張る立場にあるのかなと思います。ただ、世界の強豪を相手に勝てていないのは、僕も含めてみんな同じ。その意味で上からというより、一緒に戦えるチームを作っていけたらと思っています。河村:チームをまとめる役割でいえば、勇樹さんをはじめベテラン選手の存在が心強い。そんな中で僕はメンバーの中でも若手のほうなので、積極的に声出しをするなどして、チームを勢いづけていきたいです。――富樫選手は河村選手の、河村選手は富樫選手の強みはどんなところだと思いますか?富樫:河村選手はBリーグの中では得点力やアシスト力といったオフェンス力に注目されがちですが、僕からしたらディフェンス力こそが彼の魅力。サイズの小ささをむしろアドバンテージに変えている。代表クラスになるほどこういう選手と対戦したことがないと思うので、すごく嫌がられるんじゃないかな。河村:富樫選手は、ゲームの流れを読んで、大事なところできっちりスコアしたり、ゲームをコントロールしたりするところが本当にすごい。そのメリハリは、経験値によるところもあれば、もともと持ち合わせているものもあると思います。経験値の部分はワールドカップを通して、富樫選手のプレーを間近で見ることで、少しでも多く学びたいです。――ところでお二人は同じ“ユウキ”という名前ですが、どう呼び合っているんですか?富樫:僕は河村選手のことを、下の名前ではあまり呼ばないかな。苗字で呼ぶかも。河村:僕は、“勇樹さん”です。――じゃあ、代表で“ユウキ”という呼び名は富樫選手ということに?富樫:でも二人とも“ユウキ”って呼ぶ人もいるよね?だいたいどっちのことを言っているのかわかるので、混乱はしないけど…。河村:トムさんが僕のことを“ユウキ”と呼ぶ時と、“河村”と呼ぶ時があるので、たまに「え?」ってなるくらいです(笑)。世界を相手にどこまで戦えるか。その挑戦を楽しみたい。――富樫勇樹選手代表でキャプテンを務める富樫勇樹選手。ポイントガードのトップランナーとして活躍し続け、東京2020オリンピックなど、国際試合の経験も豊富に持つ。「代表の強化合宿は6月から始まりましたが、僕は今のメンバーの中ではトムさんのもとで長くやっているほうなので、特に大変なことはなく、練習に適応できました。でも、なかには新しく代表入りしたメンバーや、久しぶりに招集されたメンバーも。何かわからないことがあった時には、僕が手伝ってあげられたらという気持ちで接しています」本人曰く、もともとは“まとめ役”といったタイプではなかったそう。しかし、今大会では、キャリアも年齢も重ねた自身が、チームを引っ張っていこうという思いが言葉の端々から感じられる。「1次ラウンドで日本が戦わなければいけないグループEは、“死の組”と呼ばれるほど、強豪のチームばかり。ただ、プレッシャーというよりは、楽しみのほうが大きいです。男子日本代表はまだまだ世界で結果を残せているわけではないので、失うものは何もない。これまで培ってきたことをしっかり出して、どこまでいけるか、挑戦したいです」そんな富樫選手の強みについて、バスケットボール解説者の佐々木クリスさんは、こう言及する。「ポイントガードというと、一昔前は周りを生かす職人のようなイメージだったかと思いますが、今やNBAでは最も平均得点の高いポジションです。つまり、世界で勝つためには、ポイントガードに得点力が不可欠ということ。そんな中、富樫選手は多種多彩な得点パターンが持ち味。敵と1対1になった時の打開力もずば抜けている。また、ポイントガードの一番の評価軸になる、アシスト数の多さとミスの少なさの対比から見ても、Bリーグトップクラスの選手です」とがし・ゆうき1993年7月30日生まれ、新潟県出身。身長167cm。2015年より千葉ジェッツ所属。以降、7年連続で「レギュラーシーズンベストファイブ」、2018‐19シーズンにはMVPを受賞するなど、数々の栄冠に輝く。ドイツに勝てば、どんな相手でも勝負できると思えるはず。――河村勇輝選手2022年から日本代表入りを果たした、現在22歳の河村勇輝選手。「ワールドカップほどの大きな国際大会は、今まで経験したことがありません。世界のレベルがどういうものかということを初めて感じる大会になるので、すごくワクワクしています。グループEはタフな相手ばかりですが、チームで共有しているのは、初戦のドイツ戦が一番大事だということ。ドイツは世界でもトップレベルのチームです。そこでしっかり勝つことができればもっと自信がつくし、どんな相手でも勝負ができるという気持ちになれると思います」強豪国に勝つために――。日本はどんなプレースタイルで挑むのだろう。「日本はスピード(ゴールに向けて走る速度やパス回しの早さ)あるプレーを武器としているチームです。あとゲーム中の連携など、組織力の高さでは負けられないと思っています」今大会は、日本を含めた3か国で開催されることもあり、いつもの国際大会以上に注目されることが予想される。「日本のみなさんに今大会ほど関心を寄せてもらえる機会は、そうないと思います。一生懸命にプレーをする泥くさくて、ひたむきな姿を、ぜひ観てほしいです」河村選手は、代表入り後、大きく成長したといわれている。その一番の変化は「得点力が格段に上がったところにある」と佐々木さんは評する。「もともと河村選手は、パスの技術に秀でた選手です。しかし、ホーバスHCのもとで、シュートを狙うことを強く求められた。実際、試合でもシュートを狙わないポイントガードは相手の脅威にならないと体感し、マインドセットを変えたのです。新たな強みとなった高い得点力に加えて、若さを生かしたスピードあるプレーも河村選手の魅力といえます」かわむら・ゆうき2001年5月2日生まれ、山口県出身。身長172cm。’22年、横浜ビー・コルセアーズとプロ契約。Bリーグ2022‐23シーズンは、MVPやアシスト王、新人王など、リーグ史上最多の6冠に。バスケットボールワールドカップとは?ワールドカップは4年に一度行われる世界大会。今大会はフィリピン、インドネシア、日本(沖縄)の3か国で史上初の共同開催。8月25日に開幕し、1次ラウンドではグループごとに対戦が行われる。日本を含むグループEと、グループFの試合の舞台となるのは沖縄アリーナ。「出場できるのは世界32か国。12か国が参加するオリンピックに準じる大きな大会です。本選は来年のパリ五輪の予選も兼ね、順位決定戦を経て32位まで決定。日本は今大会で五輪出場権が得られる“アジア1位”を目標に掲げています」(佐々木さん)佐々木クリスさんバスケットボール解説者、Bリーグ公認アナリスト。NBAについて語るYouTubeチャンネル(@ChrisSasaki2020)も人気。※選手のデータなどは8月4日時点の情報です。※『anan』2023年8月30日号より。写真・魵澤和之(まきうらオフィス)©JBA取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2023年08月24日バドミントンの世界選手権がデンマークで始まった。来年4月までの1年間、パリオリンピックの出場権を国際大会のポイントで争う「五輪選考レース」が続く中、日本選手はどのような戦いを見せるのか注目だ。バドミントン・マガジン編集長の田邉由紀子さんに見どころを聞いた。「日本人で一番優勝に近い位置にいるのは、女子シングルスで2連覇中の山口茜選手でしょう。山口選手に加え韓国・中国・台湾とランキング上位4選手の実力が拮抗する中で、3連覇を十分狙える位置にいます」過去、世界選手権では金銀銅独占したこともある女子ダブルスは日本のお家芸というほど層が厚い種目。「シダマツこと志田千陽・松山奈未ペアは、東京五輪後に急成長した注目株。細身な二人が繰り出すスピード感のあるプレーが特徴です。一方、東京五輪出場組も健在。五輪前の大怪我を乗り越えて復活したフクヒロ(福島由紀、廣田彩花)ペア、世界選手権にはめっぽう強いナガマツ(永原和可那・松本麻佑※まゆ)ペアと共に、上位独占もあり得ます」東京五輪での活躍も記憶に新しい、混合ダブルスのワタガシ(渡辺勇大・東野有紗)ペアも見逃せない。「バドミントン初心者に一番見てほしいのが彼らのプレー。混合ダブルスでは女性が前、男性が後ろを主に担当しますが、前衛の東野選手がネット前に切り込むショットや、渡辺選手のスマッシュを打つと見せかけてからのネット際にふわりと落とすドロップショットには観客も盛り上がり、見ていて楽しいです」男子シングルスは東京五輪金メダリストにして前回覇者、デンマークのアクセルセン選手が圧倒的王者として君臨する。「桃田賢斗選手と同世代の彼は、高身長でスマッシュも強いオールラウンダー。誰が彼を倒せるか、に注目が集まる中、この一年で日本男子のエースに躍り出たのが奈良岡功大選手です。A代表歴わずか1年の大学生で、現在世界ランキングは4位。パワーで押すタイプではないですが、ディフェンスからの攻防に秀でていて、ネット際ギリギリのヘアピンショットや相手の裏をかくフェイントが得意。そんな技ありプレーを楽しみながら応援してほしいですね」日本人の注目選手は?女子シングルス 山口 茜選手7月末時点で世界ランキング1位。身長156cmと小柄ながら「相手の予想を覆すクリエイティブなプレーが魅力。女子には珍しいジャンピングスマッシュが決まると、観客が沸きます」。女子ダブルス 松山奈未選手&志田千陽(ちはる)選手東京五輪後に急成長し、一時世界ランク2位につけた。「前衛・後衛を自在にローテーションするプレーで、相手を押し込みます」。ナガマツ、フクヒロと共に活躍に期待。混合ダブルス 渡辺勇大(ゆうた)選手&東野有紗選手東京五輪銅メダリスト。中学時代からペアを組み、昨年の世界選手権では銀メダルを獲得。パリでの金を目指す。「プレーの面白さは随一。前回王者の中国ペアを倒してほしい」男子シングルス 奈良岡功大(こうだい)選手昨年代表デビューし、世界ランキングで日本人トップに立つ、22歳の新鋭。「とにかくスキルが高くて、ゲームセンスがあります。粘りのディフェンスで、上位に食い込めるか」世界バドミントン選手権2023日程/開催中~8月27日(日)会場/デンマーク・コペンハーゲン「ロイヤルアリーナ」テレビ朝日、CSテレ朝チャンネルほかで中継。田邉由紀子さん『バドミントン・マガジン』編集長。ベースボール・マガジン社でテニス、野球専門誌を経て現編集部。試合情報はWebサイト「バド×スピ!」で。※『anan』2023年8月30日号より。写真・Getty Images(by anan編集部)
2023年08月23日広島ホームテレビ(本社:広島市中区)は、2023年8月30日(水)深夜0時15分から「eスポーツ道」を放送します。【番組名】「eスポーツ道」【放送日時】2023年8月30日(水)深夜0時15分~45分※広島エリアのみ【内容】広島ホームテレビが放送する、広島発のeスポーツ教養バラエティ番組「eスポーツ道」。今回は、シューティングゲームや対戦ゲームなど「eスポーツ」の原点ともいえる「ゲームセンター」に注目!コロナ禍やオンラインゲーム人気の影響もあり、その数は減少傾向にある「ゲームセンター」ですが…今、改めて家族や仲間とリアルで楽しめる、ゲームセンターの魅力や楽しさを考えていきます!広島エリアで人気の2店舗が全面協力!番組MC中島尚樹と新人アナウンサーの岡本愛衣が、イマドキのゲームセンターを遊び尽くします!【出演者】番組MC:中島尚樹(ローカルタレント)、岡本愛衣(HOMEアナウンサー)株式会社アミパラ川西浩二さん(エリアマネジャー)株式会社タイトー増田由佳さん(タイトーステーション広島本通店店長)【配信】放送後、YouTube「eスポーツ道」公式チャンネルで配信予定!過去放送回やプロゲーマーへのインタビュー動画も配信中!【「eスポーツ道」とは…】プロゲーマーや、eスポーツの関係者が講師役として登場し、「eスポーツ」の魅力やその奥深さを教える教養バラエティ番組。(広島ホームテレビ第5水曜・深夜0時15分~放送)WEB版では、豪華ゲストとのゲーム対決やプロ選手へのインタビュー企画など、eスポーツの魅力を発信中!【番組公式YouTubeチャンネル】 : 【番組公式Ⅹアカウント】 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年08月23日スポーツロゴ入りのトップスやジャケット、ジャージやジョガーパンツなどのスポーティーなアイテムを取り入れた「スポーツミックス」がこの夏のトレンド。80年代~90年代のオールドスクールな気分はリバイバルする中で、やっぱりスポーツウェアを取り入れたスタイリングはマストになっています。普段のコーデの何かをスポーティーなアイテムにチェンジするだけで、手軽に今っぽいムードになりそう。今回は、スポーツミックススタイリングのコツを伝授。おすすめのアイテムと一緒にご紹介していきます。スポーティートップス × レディなタイトスカート出典:Instagram人気のスポーツブランドとして最初に思い浮かぶのが【adidas(アディダス)】です。有名な3本のラインは知らない人がいないほどではないでしょうか。このアディダスのTシャツを普段のコーデに取り入れるだけで、スポーツミックスにブラッシュアップ!スポーティーなTシャツをラフに見せないポイントは、大人っぽい長め丈のスカートと合わせること。カラーもシックにブラックでまとめるとTシャツの3本ラインが引き立ち、スポーツミックスの印象が強くなります。スカートのスリットからチラリとのぞく足首がヌケ感を演出するので、ぜひ素足にスニーカーや、ヌーディーなサンダルで試してみてください。大きめロゴトップス × マキシスカート出典:Instagram大きめロゴのアディダスTシャツも、スポーツミックスに使いやすいアイテム。ロゴを主役と位置づけ、ロゴを引き立てるようなアイテムでコーデを組み立てると可愛く仕上がります。ふんわりと風になびく様子がキュートなマキシスカートはロゴTシャツの相手役にうってつけ。ラフさと女性らしさの絶妙なバランスをキープした着こなしができますよ。キャップやスニーカーを足すと屋外イベントなどにぴったりなスポーティー寄りのコーデに。逆にタウンユースにしたい場合はゆるめにまとめたヘアやサンダル使いがハマります。サイドラインパンツ × きれいめトップス出典:Instagram【notch.(ノッチ)】の「サイドラインワイドトラックパンツ」はジャージライクなサイドラインがスポーティーな印象のパンツ。ワイドシルエット & ウエスト総ゴムの楽ちんな履き心地がたまりません。子どもっぽくならない秘密はセンタープレスが入っていること。これがきれいめトップスとの橋渡し役になってくれるので、スポーツミックスに取り入れやすくなります。シルバーアクセサリーやエッジの効いた柄物のトートバッグでアクセントをつけるのがこなれ見えのコツ。パフスリーブワンピース × ハイテクスニーカー出典:Instagramトップスやボトムスにスポーツブランドを取り入れることに抵抗があるなら、きれいめなワンピースにハイテクスニーカーを合わせたスポーツミックスはいかがでしょうか。1枚でコーデの主役になるパフスリーブワンピを【ニューバランス】のスニーカーでカジュアルダウンさせることで、主張しすぎないスポーツミックスに。バッグやアクセサリーを上質なものにすることで、上品さをキープできます。足首と手首、デコルテは意識的に肌見せしてこなれ感を演出しましょう。グレーやベージュなどニュアンスカラーのハイテクスニーカーは今季のトレンド。スポーツミックスだけでなく、カジュアルからきれいめまでどんなコーデにも合わせやすいので、お気に入りを見つけたらゲットしておくと便利ですよ!クロップド丈キャミソール × ストライプ柄シャツ出典:Instagram普段きれいめな着こなしが多い人にも、スニーカーをプラスするスポーツミックスはおすすめのスタイル。今までローファーやパンプスを合わせていたジャケットやセンタープレスパンツの足元をスニーカーにするだけで、今っぽい旬コーデになりますよ。ジャケットスタイルに取り入れるなら、履くだけで清潔感がアップするホワイトのスニーカーがベスト。グリーントップス × ホワイトパンツの爽やかな組み合わせをスニーカーが軽やかに引き立てます。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※こちらの記事では@kumika_iiio2様、@yun_wear様、@yui_life__様、@say011様、@naco_rooms様のInstagram投稿をご紹介しております。※記事内の情報は執筆時のものになります。価格変更や、販売終了の可能性もございます。最新の商品情報は各お店・ブランドなどにご確認くださいませ。writer:さくらこ
2023年08月03日2年に一度開催されるスポーツクライミングの世界選手権がスタート。見どころをプロクライマーの尾川とも子さんに伺った。IFSC クライミング 世界選手権 2023 ベルン大会様々な技術を使って人工の壁を登っていくスポーツクライミングは、スピード、リード、ボルダーの3種目からなる。ロープをつけ、1対1で15mの高さの壁をどれだけ速く登れるかを競うスピードは「その名の通り速い人が勝ち」。12m以上の壁を制限時間内にどの高さまで登れるか争うリードは「持久力がものをいう競技です」。クライミングジムなどでなじみのある“ボルダリング”は、ボルダーという種目名だ。「4~5mの壁に数種の課題(セッティングされたルート)があり、技を駆使しながらゴールを目指します。リードとボルダーはホールド(突起物)の位置が試合ごとに変わり、ボルダーの決勝では、競技前に登り方を選手同士で話し合う作戦タイムがあるのも特徴的です」成長著しい若手が群雄割拠する日本からは総勢21人が出場。尾川さんが推すのは、16歳の安楽宙斗(あんらく・そらと)選手だ。「今季初参戦したボルダーのワールドカップで年間総合優勝を果たしています。また、東京オリンピック4位・楢崎智亜(ならさき・ともあ)選手の弟・明智(めいち)選手は、海外選手に劣らない高身長で遠い手順もすんなりこなす。今シーズンはかなり体を作り込み、一気にパリ五輪代表候補として名をあげました」女子の筆頭は19歳の森秋彩(もり・あい)選手。「リードが得意で、4月のボルダー&リードジャパンカップを制し早々に世界選手権の内定を決めたパリ五輪代表に最も近い選手。もう一人、松藤藍夢(まつふじ・あのん)選手は次世代の女子ボルダーを担う存在。パワフルで体を大きく動かす動きが得意で、キレとスピード感、しなやかさがあります」今回はパリ五輪の正式種目となる複合(ボルダー&リード)も開催され、スピードとともに上位選手は五輪の内定が出る点でも注目が。観戦はテレビのほか、動画配信でも。「ジャンプしたり、コウモリみたいに逆さにぶら下がったり。テレビ番組の『SASUKE』を見る感じに近いかもしれません。一つ一つの技の凄さ、ダイナミックな動き、選手の身体能力に驚きつつ気軽に見てほしいですね」安楽宙斗選手高校2年生にしてベテラン勢を押しのけ活躍。「スピード感と体の身軽さは特筆すべきものが。また親指が強く、ホールドに指を固定する保持力の強さも凄い」森 秋彩選手「150cm台と身長は低いですが、安楽選手同様、保持の強さが際立っている。指先の強さを感じさせる登りを見てほしいですね」。アップになった時の手元に注目。尾川とも子さん日本人女性初のプロクライマーとして活躍。クライミングの指導を行うほか、スポーツクライミング解説者として今回の世界選手権でも解説を担当する。IFSC クライミング 世界選手権 2023 ベルン大会【日程】開催中~8月12日(土)【会場】スイス・ベルン「ポストファイナンス・アリーナ」で開催。決勝はNHK総合、J SPORTSで放送予定。IFSCのYouTubeチャンネルの中継もあり。※『anan』2023年8月9日号より。写真・YUTAKA/アフロスポーツ(by anan編集部)
2023年08月02日ジリジリと照りつける日差しをめいっぱい浴びて、真っ黒に日焼けした高校球児たちが今年もまた、甲子園で熱戦を繰り広げる。第105回 全国高等学校野球選手権記念大会。そこでは毎年数々のドラマが生まれ、涙が流れる。そして最後に笑うのは、たった1校、たった1チーム。なんと過酷な戦いだろうか……。私はそんな高校野球が大好きです。好きで好きでたまらないのです。……なぜこんなに高校野球の魅力に取りつかれたのか、ちょっと語らせていただきたいと思います。■魅了される「高校球児が作り上げるドラマ」さて、なぜこんなにも高校野球に魅了されるのでしょうか。私は野球部出身でもないし、さらに言うと暑いのがすこぶる苦手。でも、夏の甲子園にはロマンがあるのです。夏はほとんど外出しない私ですが、そのロマンを追い求め、東京から新幹線に乗り込み、甲子園球場へと向かいます。まず、野球というものには「絶対」がありません。誰しもが聞いたことがある強豪校であっても、練習試合等を含め1年間を通じて「一度も負けない」チームはありません。だから予想ができない。かつてとある高校球児は「優勝候補が強いのではなく、勝ったチームが強い」という名言を残しています。プロ入りも確実と見られていたピッチャーが、その日たまたま調子が悪くて、それにつられてチームがズルズルと沼にハマってしまい、強豪校がまさかの初戦敗退……なんてこともザラにあるのが高校野球なのです。その逆もしかりで、「まさかこのチームが?」と思う学校がいいところまで上りつめることだってあります。ちょっと気になった方はぜひ、「2007年 甲子園 決勝戦」と検索していただきたい。県内のごくごく普通の公立進学校・佐賀県立佐賀北高等学校と、その後プロへ進む4人の目玉選手を率いた私学強豪・広陵高等学校との試合。誰もが広陵が勝つと疑わなかった試合は、8回裏、満塁ホームランを含む一挙5点を決勝点とし、佐賀北が優勝。あの頃は「がばい旋風」だなんてもてはやされていたんだよ。覚えていますか。そう、何が起こるかわからない。これこそがロマンであり、ドラマなんです!正直ね、全10回のドラマよりはるかに予想ができない。そんな素晴らしいドラマが、1年に一度、毎日繰り広げられるんです。私はこれ以上に面白いドラマを知りません。■地元を応援したい高校野球ファンたち佐賀北の話題を出して思い出したのですが、私の父は佐賀県の生まれです。いつもはあまり冗談も言わず、九州男児あるあるな「THE☆亭主関白」なのですが、この年だけは違いました。テレビにかじりつき、近所迷惑なほどの大声を出して応援する父。優勝した瞬間にはこれまでに一度も見たことのない父の涙を見ました。みなさんも、出身都道府県の学校はついつい応援してしまうのではないでしょうか。私もそうです。なんせ、自分の出身高校野球部を破って甲子園に出場しているわけです。各地域の期待を背負って彼らは甲子園の土を踏む。それだけ国民の注目が集まるのもうなずけます。そして「スタンド」にも地元を応援したい人々が駆けつけます。ブラスバンド、チア、応援団、OB・OG、学校の地元の人たち、甲子園近隣に住む地方出身者……。猛暑、炎天下の中、彼らの背中を少しでも押したいと、大勢の人がスタンドに集まります。近隣高校の友情応援が見られることも多々。誰かを「応援する」ということに対し、これほどまでに力強さを感じられることも、甲子園のほかないなと私は思ってしまうのです。■高校球児と話して気づいたことそんな私ですが、毎年地方大会前の取材に参加しています。今年のチームはどうなのか、目標はどこなのか、キャプテンが思うキーマンは……。そんな質問を選手にかけていくのですが、数年前にこんな選手と出会いました。その選手は当時3年生、身体も大きくて、プロも視線を注ぐ注目選手。大学進学するにしても、各所から声がかかるような有力選手でした。「卒業後の進路は考えていますか」。私は、プロ注目選手に対して必ずかけるこの質問を彼にしました。たいてい返ってくるのは「行けるならプロに行きたい」「この先も野球を続けたい」……そんな返事。でも彼は違いました。「プロとか、大学とか、全然今は見えない。僕は甲子園に行きたくて野球を始めました。1年生、2年生と甲子園には行けなかった。今年がラストチャンスなんです。甲子園なんです。ただこのチームで甲子園に行きたい、それだけなんです」。野球少年のように「甲子園」を繰り返すその選手の目に、私はやられました。「頑張って、心から応援してる」。そんな言葉しかかけられませんでしたが、甲子園という場所にかける想いを心底感じた選手との出会いでした。その選手はというと、その年の甲子園には行けませんでした。「僕はここで終わります。取材してくれてありがとうございました」。そんな連絡をもらい、彼は彼の野球人生に自分から幕を引いたことを知りました。それほどまでに、甲子園とは魅了される場所なのだと、私はこの仕事をして改めて知ることとなりました。■記念大会の夏、はじまる。今年も夏が始まります。一生に一度、あるかないかの晴れ舞台。今年はどんなドラマを見せてくれるのか。彼ら一人ひとりの背中を、ぜひあなたも押してあげてください。きっと、そこには、あなたの知らなかった夏があるはずだから。(文:山口真央、イラスト:のがみもゆこ)
2023年07月30日多彩なシュートが「エグすぎる!」と注目を浴びている、セレッソ大阪の上門知樹選手に独占インタビューをしました。オン&オフの気になるあこれこれを大公開します!何事も「楽しむこと」がいい結果に結びつく『キャプテン翼』の大空翼さながら、ジェットコースターのように急降下するドライブシュートや難易度の高い無回転シュートなど、まさに漫画のようなハイレベルな神業を得意とする、セレッソ大阪が誇るミッドフィールダー・上門知樹選手。シュート動画はSNSでも数多く取り上げられ、「エグい!」「無双!」と絶賛の声が止みません。魔球を操るヒミツと、知られざるプライベートの顔を紐解きます。ーー上門選手と言えばシュートというイメージが広く定着しています。プロサッカーの世界で生きてくうえでの、僕の一番のストロングポイントです。俊敏性といった動きは他の選手もできることですが、多彩なシュートを放つことは僕ならではの武器だと思っています。それがなければ、ここまで来られていないですね。ーー体得するには、当然のことながらものすごい練習量が必要ですよね。シュート練習で特に覚えているのは僕が中学生の頃のことですね。当時、サッカーW杯で本田圭佑選手が蹴った無回転シュートが流行ったんです。それを真似しようと、壁に向かってボールを蹴り続けたり、練習後も残ってシュート練習を重ねました。確かに難しい技ですが、うまくいかなくても全く苦にならなかったし、何より楽しくてずーっとやっていましたね。そこから、いろいろな種類のシュートを打ち分けできるようになったんです。ーーできないことが続くと嫌になりそうですが、心がけていることは?楽しむという気持ちが、僕がサッカーを続けるうえで一番大事なこと、忘れてはいけない原点だと思っています。と言うのも、中学高校の頃は試合でうまくいかない場面があると、ついイライラしたり仲間にキツい言葉を言ってしまうことがあったんですね。でも、それは何の解決策にもならないと自分でも気づいたし、監督からも指摘されたんです。そして、自分が楽しんだら、自分の持ち味も出せてチームの雰囲気もゲームもうまくいった。そんな経験から、楽しむということを常に意識しています。ーーその考え方は、座右の銘である「なんくるないさー」に通じるような気も。広報の方によると、チームでもご出身のいわゆる“沖縄時間”(時間に捉われない)で過ごしているそうですね。それでもだいぶ直ったんですよ(笑)。僕の地元、沖縄では時間を気にしないことが普通でしたが、プロに入って遅刻などで怒られて、それで初めて社会では通用しないと気づきました。今では遅刻なんてありえないと思っています。それでも、「なんくるないさー」は座右の銘には変わりありません。どんなことでも最終的にはどうにかなる、自分がどうにかする、そういう精神は持ち続けたいですね。ーー影響を受けた人や出来事を教えてください。サッカー面では、FC琉球でご一緒した先輩の播戸竜二さんです。いろいろなアドバイスをいただいて、僕が成長するきっかけを作ってくれた恩人です。それ以外で言うと、やっぱり父親ですかね。偉大な人です。1、2歳の頃に両親が離婚して、僕は三兄弟の末っ子なんですけど父が全員を引き取って育ててくれました。あまりにも小さい頃のことなので僕にとって母親がいないことは当たり前の環境なんですよね。父は体力的にも経済的にもかなりしんどかったと思いますが、何不自由なく好きなことをさせてくれたので、不満も寂しさも感じないどころか父にとても感謝しているし、逆に男手ひとつで僕らをこんなに大きくしてくれたんだぞって、父子家庭で育ったことを誇りに思います。ーー具体的にどんなお父さまなのでしょうか。毎日朝早くから夜遅くまで仕事して、加えて兄や姉の弁当も作ってくれていた時期もあり、休んでいる印象がないんですよ。父の唯一の休日である日曜も、朝から僕のサッカーの送迎をしてくれていたので、大人になって改めて父のことを振り返ると本当にすごいなと思いますね。特に覚えているのは、サッカーのスパイクがボロボロになってしまった時のこと。買い替えるのはお金がかかるし迷惑をかけてはいけないと、ずっと黙っていたんです。そうしたら、父から気づいて、何で言ってくれないのか、子どもが気を遣うなと怒られたんです。それまで少し反抗期で父とケンカをすることもありましたが、それを機に歯向かうことはやめました。尊敬しないといけないと思うようになりましたね。プロサッカー選手を推してくれたのも父です。本当は僕、兄の後を追って調理師になろうと専門学校に受かっていたんですよ。そんななか、当時J3だったFC琉球からオファーをいただいたのですが、サッカー選手としての収入面で少し不安があったことから、プロになる気はありませんでした。でも、父がすごく積極的で「誰でもできることじゃないからやってみたら」と背中を押してくれたんです。父の言葉がなければこの世界に入っていなかったですね。ーーお父さまの素晴らしさに胸を打たれる人は多いと思います。上門選手は三兄弟の一番下ということで、一般的に末っ子の特徴として甘えん坊がよく挙げられますけど、ご自身の性格はいかがですか。父の実家に住んでいたので、父のほかに祖父母や兄と姉など、周りがいろいろお世話してくれたせいか、受け身かもしれないですね(笑)。なので自分から話しかけられず、シャイというか人見知りです。セレッソに来たときもしゃべれなくて…でも、みんな優しいので話しかけてくれて助かりました。慣れないと自分から動けないんですよね。特に女性の目を見て話せないです(笑)。サッカーでなら注目を浴びたいですが、プライベートでは自分のことをあまり見られたくないです。ーー女性の話が出たので、好きな人のタイプ、好きな芸能人も教えてください。よく笑う人、フィーリングが合う人がいいですね。「なんくるないさー」な考え方の人も好きです。好きな芸能人は長谷川潤さん。自分が沖縄出身だからか、はっきりした顔立ちの女性に惹かれますね。付き合ったら送迎は任せてください。車好きでもあるんで、どこでも迎えに行きます。ーー休日の過ごし方は?たまに外出してご飯に行くこともあれば、午前中はずっと寝ていて午後から出たりと日によってさまざまですね。また、同チームの毎熊晟矢選手と仲がよくて、休日に限らずふたりで外食しています。温泉やカフェにも一緒によく行きますね。僕、ストレス発散は眠ることなんですよね。12時間くらい平気で寝ます。毎熊もよく寝るから、生活サイクルとかひっくるめて相性がいいんです(笑)。ーマイブームや好きなファッション、音楽などもお聞きしたいです。ゴルフを趣味にしたいんですけど、なかなか実行に移せていないので…う~ん(と考え込む)。調理師を目指していたから料理好きとよく思われるんですけど、そうでもないんです。ただなりたくて、志そうとしていただけなので(笑)。とはいえ実際、料理作りに一時期ハマって、課金までしてレシピを検索していましたけどもうブームは去りました。サッカーしか考えていないから、他に趣味を見つけるのって難しいですね。ファッションは色にこだわりがあって白黒が多いです。シンプルなのが好きですね。音楽は洋楽も邦楽もランダムに流して聴いています。試合前はアップテンポなものを聴いてテンションを高めますね。同県出身のHYさんや安室奈美恵さんも好きでよくかけています。ーーでは最後に、今後の目標や将来の夢、そしてメッセージもお願いします。目標はJ1リーグ戦で2桁ゴールです。夢は、日本代表になること。みなさんがもし何かに迷っていたり、悩んでいたら、直感を信じることをおすすめします。僕はそれを重視していて、サッカーの道を選んだのも直感からでした。何かにピンと来たら、それをやり続けるんです。それが大事かなと思いますね。ひとつひとつの質問に、考えながら丁寧に答えてくれた上門選手。撮影時は照れからかひょうきんな一面も垣間見れ、終始和やかムードでした。そんな上門選手ですが、試合になると顔つきは激変。パワフルで巧なシュートは鳥肌&伝説級で必見です!上門知樹1997年4月27日生まれ、沖縄県出身。セレッソ大阪所属。ポジションはミッドフィールダー。沖縄県立与勝高等学校卒業後、FC琉球に加入。その後、ファジアーノ岡山を経て、2022年より同クラブ。2023年7月12日の天皇杯大宮アルディージャ戦では2得点を挙げ、勝利に大きく貢献した。取材、文・伊藤順子
2023年07月22日U-20サッカー日本代表にも選出され、2023年6月10日の神戸戦ではJ1リーグ戦初ゴールを決めたセレッソ大阪所属の北野颯太選手に独占インタビューをしました。エリート街道を突っ走ってきた強みや困難の乗り越え方、そして8月に19歳となる北野選手の気になるプライベートも大公開します。悪ガキだけど気配り上手で泣き虫…!?小4で同クラブスクールのエリートクラスにスカウトされ、高3時にはトップチームのキャンプに帯同、その後に初出場したルヴァン杯ではプロ初ゴールを成し遂げクラブの公式戦最年少記録を打ち立てるなど、同クラブはおろか日本サッカー界を牽引するひとりに必ずやなるであろう北野選手。「相手の意表をつく攻めのスタイルが持ち味」でオラオラ感、メラメラ感満載のプレーで多くの人々を魅了しています。まずはサッカー選手としての“北野颯太”を深掘りしましょう。ーープロ2年目にしてJ1リーグ戦初となる待望のゴール、おめでとうございます!ありがとうございます。僕だけじゃなく、サポーターの方、監督や他の選手、そして家族みんなが喜んでくれたゴールだと思います。これまで続けてきた結果が形となったわけですが、点が入った瞬間の気持ちよさや快感をもっと味わいたいと強く思い、さらに練習を重ねないといけないと身が引き締まりました。ーー勝利やゴールへの執念、泥臭さを特に感じたゴールでした。“初”だけではない特別な思いもあったのでは。そうですね。予選敗退したU-20W杯で悔しい思いをして日常から変えないといけないと改めて決意していたところでしたし、プロ1年目の最初のほうは得点できていたなかで、後半から苦しい時期が続いていたので、とりあえず1点取りたいという思いがありました。みなさんから期待されるのは嬉しいし、それに応えたいという一心でやっていたんですけど、背負い過ぎていたのかはわかりませんが、プレーに焦りがあったのだと思います。(相手ミスからの)あのようなゴールでしたけど1点は1点なので、とても嬉しいです。ーー苦しく辛い、挫折とも言える困難な時期について、どう捉えていますか。挫折は、これまで何度も経験しています。なので、こういうものは乗り越えられるというのは自分でもわかっていたし、反骨心というか不満や悔しさはサッカーで見返してやる、自分ならやれるという自信があるんです。だから、「もうあかんなぁ」と腐ったり、誰かのせいにはしません。そういった部分が自分のいいところでもあると思っています。ーーそのような考え方は、これまでの経験が糧となり形成されたと思いますが、ほかに影響を受けた人やことなどは?パッと浮かぶのは、中1の時に指導してくれたセレッソ大阪アカデミーの金晃正コーチです。かなり厳しかったですが、ほんまに芯がある人やと思います。僕は身長が172cmとサッカー選手のなかでは低いほうなんですが、金コーチも僕と同じように小柄で、だからこそ響くアドバイスをしてくれました。印象的なのは、ファーストタッチや駆け引きの場面において「小さいなりに工夫しろ」という言葉ですね。なので、「小さくてもこの世界でやっていけることを見せたい」と思いながら、ボールを取られない技術を磨いてきました。それらは僕の武器である、相手をびっくりさせるようなプレーや、ゴールに向かって仕掛けていくプレーに結び付いていると思います。ーーピッチ上で魅せるオラオラ感は、もともとの負けん気の強さだけでなく、反骨心やコンプレックスのようなものからでもあるんですね。ではここからは、素顔の部分を。普段でもオラオラしているんですか(笑)?してないですね(笑)。でも、チームのみんなには悪ガキって言われています。優しい先輩たちなので、何しても許されています。いじったりしても、「セレッソじゃなかったら終わりやぞ」って注意されるくらいです(笑)。ーーここで広報ご担当の方から、「やんちゃで悪ガキなんですけど、年齢のわりに気配り上手で優しいんです」とのコメントが。なんでも、遠方での取材時に、広報の方だけが急ぎで大阪に戻らねばならず、真っ先に新幹線の時間を気にしてくれたのだとか(北野選手は終始ニヤニヤと照れまくり!)。ご自身でほかに意外な一面!?を挙げるとしたら?えぇ、勉強は嫌いだし、推し活とかもしてないし、見たまんまです…。ただ、基本的に前向きではありますが、メンタルが意外と弱くて、サッカーの話になりますけどミスをけっこう引きずるタイプです。気にしすぎてしまう。だから克服できるように、ミスをしたら、大丈夫、大丈夫と頭の中で自分に言い聞かせて、しゃあない、次決めればいい、と思うようにしています。それはミスを軽く捉えるという意味ではなく、ミスを気にし続けたらまた繰り返すと思うので切り替えることを意識するためです。でも、まだ精神面は弱いと思うし、周囲の声も気になりますね。それに、泣き虫です。ーー涙もろいということですか!?映画を観ても泣かないですけど、最近だと中学校の卒業式で泣きました。コロナ禍で歌も歌えなかったし、友達のことが好きやったんで、寂しくて悲しかったんです。とはいえ友達は今でも応援してくれるし、一緒に遊んでリラックスできるし、変わらず会えていて、ありがたい存在やなと思っています。ーーでは、サッカー以外で今一番興味があることは?「荒野行動」というスマホゲームを寮生みんなでやっています。でもそれは夜が多くて、休日はほとんど家にいません。買い物やボーリングなどに行きますね。ひとりは絶対イヤです。寂しいし楽しくない。ひとりで過ごすのは、休日の夜に数時間くらいでいいです。買い物は服を買うことが多いです。シンプルなのが好きですね。ピタピタにフィットするでもなく、ルーズな感じでもなく、程よいのが好みです。音楽は、ヒップホップや邦楽など、気分によっていろいろな曲を聴いています。今は、GADOROというラッパーの方が好き。声もいいですが、特にMVをよく観ています。僕の地元で撮っているんですよ。毎日通っていたところが映っていて、それが好きな歌手の人の映像と思うとより嬉しくて。試合前に音楽は聴きますが、決まったものはなくてそのときの気分で流しています。ゆったりした曲も聴きますね。テンションを高めるというよりも、好きな歌をとりあえずかけたいんです。ーーずばり、好きな人のタイプ、好きな芸能人を教えてください。優しくてずっとにこにこしてるようなふんわりしている女性がいいです。芸能人だと、浜辺美波さん。テレビを見ていて、可愛くて性格も良さそうと思います。ーー付き合ったら、北野選手はどんなことをしてくれますか?優しくします!LINEも返せる時にまめにしますし、送り迎えも基本します。愛情表現はストレートにします。(ここで広報の方が、「見たことないくらい顔赤くなってる!」とツッコミ)ーーファンが倍増しますね(笑)。最後に、今後の抱負をお願いします!リーグ戦が折り返しにきたということで、神戸戦のように自分のゴールで勝利したい。チームを勝たせられるような存在になるのが直近の目標です。いずれは、世界を代表する選手になり日の丸をつけてプレーをしたいです。僕やセレッソのことを応援してくれたら嬉しいです!取材の終わりに、「大舞台になるほど燃えるタイプ?」と聞くと「どちらかというとそっちです。慣れはあると思うんですけど、昔から大舞台で縮こまる感じではないです」と答えてくれました。世界に羽ばたく時期が訪れるのもそう遠くないはず。今のうちから、北野選手の勇姿を目に焼き付けておきましょう。北野颯太2004年8月13日生まれ、和歌山県出身。セレッソ大阪所属。ポジションはフォワード。U-20日本代表。3歳の頃、3つ上の兄がやっていた小学校のクラブチームについて行ったことがきっかけでサッカーを始める。小4以降、セレッソ大阪のスクール及び下部組織に入り、高1の時にクラブ史上最年少16歳2か月で公式戦出場。全ての年代で日本代表メンバーにも選出。取材、文・伊藤順子取材、文・伊藤順子
2023年07月17日約8か月にわたって行われていたBリーグの2022‐23シーズンが5月に終了。6月2日には選手などの功績をたたえる「B.LEAGUE AWARD SHOW」が開催されたが、その場で最も多くのスポットライトを浴びたのが横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝選手。MVPと新人賞を史上初のダブル受賞。ほかにもアシスト王など、史上最多の6冠を達成。今、大注目の河村選手を受賞後にキャッチ!MVP受賞!Bリーグで今一番ホットな選手を直撃。「MVPの発表で、自分の名前が呼ばれた時は驚きました。選ばれると思っていなかったので、心の準備をしていなくて。でも、MVPを受賞したということは、これからの日本のバスケットを引っ張っていかなければいけない立場になったということ。その責任を感じました」アシスト王は、Bリーグ歴代最多タイでの受賞。「タイ記録ではありますが、ポイントガード(河村選手のポジション)はアシストをすることが重要な役割でもあるので、アシスト王になれたのは、すごく光栄なこと。ただ、それは自分がどうにかしてなれるものではなくて、やっぱりチームメイトがシュートを決めてくれて成り立つもの。ビー・コルセアーズ全員で作り上げた記録かなと思います」どの賞の受賞に対しても、河村選手が言葉にするのは、チームメイトやファン、スタッフへの思い。「バスケットボールはチームスポーツなので、チームメイトとの連携は不可欠です。今シーズンはお互いがバスケットをしやすいような環境を作ることができたと思います。それに僕たちが力を出せるのは、応援してくれているブースター(ファン)やスタッフのみなさんの支えがあってこそ。本当に感謝しかないです」絶好調のシーズン終盤、右太もものケガでチームを離脱。3週間試合に出られないという、バスケット人生で初めての経験をした。「プロ1年目の甘さもあったのか、大事な時にケガをしてしまって…。ベンチから試合を観て、チームメイトの良さなど客観的に把握できることもありましたが、同時に強く感じたのは、自分が本当にバスケットを好きだということ。回復後は、もっと楽しく、全力でバスケットをやろうと心がけるようになりました」9月からはプロ2年目のシーズンがスタート。その意気込みは?「今シーズンは、チャンピオンシップ出場という目標を掲げ、それを上回るベスト4という成績を収めましたが、チームとしては、やはり日本一になれなかったという悔しさが残りました。来シーズンは絶対に優勝して、ファンのみなさんと勝利の喜びを分かち合いたいと思います」AWARD SHOW REPORT4年ぶりに有観客で行われたAWARD SHOW。台風の影響で琉球ゴールデンキングスのメンバーは欠席となったが、選手たちは黒のスーツ姿で、颯爽と登場。授賞式では選手やプレゼンターのスピーチで盛り上がった。B1に所属するヘッドコーチ、選手、メディアの投票による「レギュラーシーズンベストファイブ」を受賞したのは、富樫勇樹選手、原修太選手、クリストファー・スミス選手(すべて千葉ジェッツ)、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)、ぺリン・ビュフォード選手(島根スサノオマジック)。富樫選手は7年連続7回目の受賞。「MVP」「新人賞」「アシスト王」「レギュラーシーズンベストファイブ」「ココロ、たぎる。賞」「MIP」を受賞。MVP授与時には、おばあさまからの手紙に思わず涙する場面も。かわむら・ゆうき2001年5月2日生まれ、山口県出身。身長172cm。ポジションはポイントガード。’22年に横浜ビー・コルセアーズとプロ契約。同年夏から日本代表に招集されるなど、今年8月開催のワールドカップ出場にも期待がかかる。※『anan』2023年7月12日号より。写真・大靏 円©B.LEAGUEインタビュー、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2023年07月09日INFORMATION今回行ったのは「両国国技館」両国駅から徒歩1分。最大1万人収容可能な空間に最新設備を完備し、伝統と文化が魅せる新しい感動イベント体験を提供します。東京都墨田区横網1丁目3-28詳しくはこちら(のがみもゆこ)
2023年07月05日テニスの聖地に猛者たちが集う。テニス四大大会第3戦、ウィンブルドン選手権2023は7月3日に開幕する。歴史と伝統の芝テニスの季節到来!群雄割拠の戦いを制するのは誰だ?昨年はウクライナ侵攻問題で様々な制約を受けた大会となったが、今年はロシアとベラルーシの選手の出場が許可され、ランキングポイントも復活する。通常の大会に戻り、熱戦が期待される。先日の全仏オープンで大きく話題となったのが、車いすテニスの小田凱人(ときと)だ。わずか17歳1か月で男子シングルス全仏オープン史上最年少優勝。さらに最年少で世界ランキング1位に立った。今年引退を発表した国枝慎吾のプレーに刺激を受けて車いすテニスを始めた新星が瞬く間に絶対王者への階段を駆け上がっている。芝の経験はほとんどないが、ウィンブルドンでも初優勝して、小田王朝到来への足掛かりとするのか。男子シングルスの主役はジョコビッチだ。全豪、全仏オープンで連勝し、年間グランドスラムも視野に入れている。レジェンドのフェデラーが引退、ナダルが来年の引退表明をする中、この男は一人元気にコートを駆け回っている。以前ほどの支配力はなくなってきたが、重要な大会で取り切る力は健在だ。特にウィンブルドンでは、フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーの4人が2003年から19大会連続でタイトルを手にしており、まさに「聖域」となっている。目立った対抗馬は不在だが、昨年史上最年少で世界1位になった20歳のアルカラスをはじめとして、若手世代が総出でジョコビッチを止めにいく展開か。それでも、優勝に向けてジョコビッチの視界は良好だろう。女子は全仏を制して勢いに乗るシフォンテクがここも優勝して女王宣言となるか。ハード、クレーでの成績は申し分ないが、芝はまだ勝ち切れずに課題となっている。過去のウィンブルドンではベスト8の経験すらない。連覇を狙うリバキナは今シーズン大躍進。年間1位も見える位置でこの大会を迎えており、飛躍のきっかけとなったウィンブルドンで再び躍動できるか期待が集まる。他にも有力な選手が数多くひしめいており、混戦が予想される。また、全仏女子ダブルスでの失格騒動の後に混合ダブルスで優勝した加藤未唯(みゆ)にも注目したい。初のグランドスラム獲得で自信をつけて次は女子ダブルスでも結果を残せるか。小田凱人選手9歳で骨肉腫を発症し左脚の自由を失う。パラ五輪の国枝慎吾のプレーを見て車いすテニスを志し、わずか7年で世界の頂点に立つ。ノバク・ジョコビッチ選手全仏の優勝でグランドスラム通算23勝は単独最多記録に。ウィンブルドンでも優勝して、センターコートの芝を食べることになるのか。エレナ・リバキナ選手今シーズン絶好調で、ランキングを20近く上げ3位へ。芝コートに合った高速サーブや高速ショットを武器に連覇を狙う。イガ・シフォンテク選手現女子シングルス世界1位。全仏ではけがを乗り越えて連覇。攻撃的なプレーが持ち味で、今年こそ芝コートにフィットできるか。ウィンブルドン選手権2023日程/7月3日(月)~16日(日)会場/イギリス・ロンドン「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケ・クラブ」NHK総合、WOWOWで放送予定。※『anan』2023年7月5日号より。写真・Getty ImagesSportsPressJP/アフロ文・今田望未(by anan編集部)
2023年07月04日サッカーのクラブチームやリーグは世界中にあるが、各国を代表するスター選手が多数在籍し、最高峰のクラブが集まっているのがヨーロッパだ。そのヨーロッパの今シーズンの最強クラブを決める大会「UEFAチャンピオンズリーグ」(欧州CL)が、ついに決勝戦を迎える。攻撃のマンC vs 堅守インテル。欧州サッカーの頂に立つのは?スペインのラ・リーガ、イングランドのプレミアリーグ、ドイツ・ブンデスリーガ、イタリア・セリエA。これらUEFAランキング1~4位の4大リーグをはじめ、欧州各国の国内リーグで前シーズンの順位が上位だったチームだけが出場できる、欧州サッカーシーンで最も権威ある大会。グループリーグが始まったのは昨年の9月。本大会シードの26チームに予選を勝ち上がった6チームを加えた32チームが、そこから実に9か月かけて戦ってきた。決勝の舞台に進んだのは、マンチェスター・シティ(マンC/プレミアリーグ)と、インテル・ミラノ(インテル/セリエA)。マンCは、準々決勝ではバイエルン・ミュンヘン(ブンデスリーガ)、準決勝では昨年度優勝のレアル・マドリー(ラ・リーガ)と対戦。難敵を破って2大会ぶりに決勝戦に進出し、悲願の初優勝を狙う(今シーズンは、プレミアリーグでも優勝し3連覇を達成。6月3日のFAカップ決勝の結果次第では、3冠をかけた戦いに!)。インテルは、準決勝で同じくミラノに本拠を置く宿敵、ACミランと対戦。イタリア屈指の名門同士のミラノダービーをホーム&アウェイの2戦合計3‐0と完封。優勝した2009/10シーズン以来、13年ぶりの決勝戦となる。マンCには下で紹介する3人の他にも、グリーリッシュ(イングランド代表)やギュンドアン(ドイツ代表)、昨年のW杯でも活躍したアルゼンチン代表のフリアン・アルバレスら強力なアタッカーが揃う。一方、インテルは強固な守備が持ち味。準決勝の2試合を含めてここまで7試合をクリーンシート(無失点試合)で勝ち上がってきた。両者が公式戦で対戦するのは史上初だ。今シーズンの欧州サッカーのラストを飾るCL決勝戦。対照的な2チームによる、欧州王者をかけた頂上決戦に注目したい!マンチェスター・シティケヴィン・デ・ブライネ絶妙なスルーパスに高速クロス。自ら得点も決められる、攻撃を牽引するキープレーヤー。ベルギー代表。MF。ベルナルド・シウバ準決勝で2得点を挙げた得点力、精度の高いパス、運動量。チャンスメイクに欠かせない存在のMF。ポルトガル代表。アーリング・ハーランド今シーズン、プレミアリーグで36ゴール。シーズン最多得点記録を更新した“怪物”。ノルウェー代表。FW。インテル・ミラノロメル・ルカクパワーとスピードを兼ね備えたストライカー。交代出場で流れを変えるスーパーサブ。ベルギー代表。FW。ラウタロ・マルティネスジェコと2トップを組む、インテルのエース。アルゼンチン代表ならではのテクニック、駆け引きなど得点感覚に秀でたFW。エディン・ジェコ193cmの高さ、強靭なフィジカルに加え、テクニックもあるセンターフォワード。ボスニア・ヘルツェゴビナ代表。UEFA チャンピオンズリーグ 決勝戦6/11(日)4:00~(日本時間)トルコ・イスタンブールWOWOWで独占生放送・配信。※『anan』2023年6月14日号より。写真・Getty Images(by anan編集部)
2023年06月12日『eスポーツ』×『麻雀』をコンセプトとしたプロジェクトチーム「麻雀eスポーツProject」を発足し、第1回イベント『麻雀eスポーツProject杯 EAST』を開催いたします。大会ロゴ【プロジェクト発足背景】『麻雀』という競技は、娯楽的な要素に加えて、福祉はもちろん教育などにも使用されるなど様々な可能性を秘めております。また、最近では、オンラインを中心にエンタメ性の高さからプレイ人口の増加が著しい競技です。そして、『eスポーツ』は、プロeスポーツプレイヤーやストリーマーの活躍などもあり、市場規模・競技人口ともにここ数年で右肩上がりに増加しております。そのため、新しく新設する「麻雀eスポーツProject」では、競技性という意味合いに加え、エンタメ性という部分での親和性を掛け合わせて、『eスポーツ』としての『麻雀』を前面に押し出して、大会開催や交流イベントを開いていくことを目的に活動をしていきたいと考えています!【第1回イベント『麻雀eスポーツProject杯 EAST』】■『麻雀eスポーツProject杯 EAST』について6月17日(土)22時から6月18日(日)21時59分の間の24時間いつでも対戦可能な四麻の個人戦大会を開催します。予選は四麻東風戦を行い、準決勝・決勝は四麻東南戦を予選通過者+特別通過者等で行います。また、大会の様子はYoutubeチャンネルにて生放送いたします。●開催期間予選(東風戦):6月17日(土)22時~6月18日(日)21時59分予選結果発表:Twitterにて ※予選通過者はTwitterのDMでご連絡ください準決勝・決勝(東南戦):6月24日(土)20時~●実施方法(オンライン):雀魂アプリ内※大会ID:499809●参加条件:段位制限なし●参加方法:各SNSにて詳細の確認をお願いいたします。●ルール詳細:予選は、四人東で行い、連続5戦最高合計精算点で準決勝進出者を決定する。対局は自動マッチングで行い、段位制限は設けない。その他ルール:飛びなし、和了・聴牌終局なし、他は段位戦ルール準拠準決勝進出者は、予選の連続5戦最高合計精算点の上位5名となります。また、予選開催期間に役満をあがった参加者のうち、より開催期間の終盤(6月18日(日)21時59分)に近い時間であがった参加者1名を役満賞にて予選特別通過者として準決勝に進出とします。そして、大会期間中に1局で最も高い点数を出した参加者1名についても最多得点賞にて予選特別通過者として準決勝に進出とします。これに主催者推薦選手1名を加えた合計8名で準決勝を行います。※役満が万が一出なかった場合は、次に高い得点を出した方のうち開催期間の終盤に近い時間であがった参加者を予選特別通過者として準決勝に進出とします。※他の賞と重複した場合は順次繰り上がり通過とします。準決勝・決勝は、東南戦で行います。対局カードは抽選により決定し、基本ルールは予選と同様で行います。●大会配信:公式Youtubeチャンネル【麻雀eスポーツProject】 ※配信者による視点配信は、大歓迎です!●参加者は、ハッシュタグ #MeP_EAST でツイートしてもらえると嬉しいです!!【プロジェクトチーム】団体名 : 麻雀eスポーツProjectYoutubeチャンネル: 公式Twitter : (メンバー)・公人直人公人直人元官僚(文科)で日本eスポーツ連合(JeSU)認定【リアルタイムバトル将棋】のプロeスポーツプレイヤー。eスポーツ教師、JeSU愛知事務局長などの経歴を持つ。Twitter: ・一宮真純一宮真純エリート剣客アイドルVTuber。麻雀大会以外にもVTuber将棋大会の運営なども務める。個人配信ではゲーム実況、歌、雑談などマルチな配信を行っている。Twitter: ・電子れいず電子れいず将棋麻雀系のVTuberとして活動中。主に初級者への指導を行い、各種企画を立ち上げるなど普及活動に勤しむ。Twitter: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年06月07日今年もバレーボールの国際シーズンが幕を開けた。今年は、来年のパリ五輪につながる重要な大会が続く。その最初がネーションズリーグだ。パリオリンピックへとつながる世界トップチームとの熾烈な戦い。パリ五輪の出場権を獲得するには2つのルートがある。一つは今年9~10月に開催されるパリ五輪予選で8チーム中2位以内に入ること。もしもそこで届かなかった場合は、来年6月の世界ランキングによって出場権を獲得できるかどうかが決まる。ネーションズリーグは、パリ五輪予選に向けてチームを作り上げるためにも、ランキングを上げるためにも、非常に重要な大会。世界トップの16チームが3週にわたって世界各地で予選ラウンドを戦い、上位8チームがファイナルラウンドに進む。日本代表は男女とも名古屋で、予選ラウンド第1週を戦う。昨年、世界ランキングを11位から7位へと大幅にアップさせた男子日本代表は、さらなる躍進を狙う。その中心として期待されるのは、世界最高峰リーグであるイタリア・セリエAで存在感を放ったアウトサイドヒッターの2人、主将の石川祐希と21歳の髙橋藍だ。石川にとっては、セリエAでプレーすることはもはや挑戦ではなく日常。参戦8年目となった22‐23シーズンは、ミラノの大黒柱として、プレーだけでなくリーダーシップも発揮し、強豪を倒してクラブ史上初の準決勝に進出する原動力となった。髙橋は日本体育大学に在籍しながら、覚悟を持ってセリエA参戦を選び、レギュラーをつかんでフルシーズン活躍。持ち前の守備力に加え、高さのある相手に対する攻撃も磨いた。「特にイタリアで力をつけてきたスパイクやサーブを、日本代表でも発揮したい」と意気込む。女子大会は、男子に先立って5月30日に開幕。日本はランキング6位からさらなる上位を目指す。そのために今年掲げるのはサーブ強化だ。主将の古賀紗理那は「サーブでエースを取ったり、崩して、そこからのブロックとディフェンスで拾って速い展開で攻め返すというのが私たちの勝ちパターンになると思うので、そこを見てもらえたら」と語る。勝ちパターンを確立し、来年メダルを獲得するために。パリ五輪に向けた戦いはもう始まっている。龍神NIPPON(男子日本代表)髙橋 藍(日本体育大学)高い守備力を武器に19歳で東京五輪に出場。成長著しい21歳。攻撃力にも自信をつけた。石川祐希(右)(パワーバレー・ミラノ)海外で実績を重ね、目標とする“世界トッププレーヤー”に着実に近づく頼れるエース。西田有志(左)(ジェイテクトSTINGS)躍動感あふれるスパイク、サーブが魅力の点取り屋。豪快に奪うサービスエースに注目。火の鳥NIPPON(女子日本代表)石川真佑(日本バレーボール協会)Vリーグで日本人最多得点記録更新。今年は兄・祐希と揃っての五輪出場権獲得を目指す。古賀紗理那(NECレッドロケッツ)今年のVリーグでNECを優勝に導きMVPを獲得。昨年末に男子代表の西田との結婚を発表。関 菜々巳(東レアローズ)昨年の世界選手権で正セッターとしてベスト8入りに貢献。日本の高速コンビバレーの要。【バレーボール ネーションズリーグ2023】<男子日程>第1週6/6~6/11名古屋第2週6/20~6/25フランス第3週7/4~7/9フィリピンファイナルラウンド7/19~7/23ポーランド<女子日程>第1週開催中~6/4名古屋第2週6/13~6/18ブラジル第3週6/27~7/2タイファイナルラウンド7/12~7/16アメリカ男女とも日本戦全試合、BS‐TBSで放送。※『anan』2023年6月7日号より。写真・アフロスポーツGetty Images取材、文・米虫紀子(by anan編集部)
2023年06月06日横浜に世界の超人たちがやってくる。5月21日に開催される「セイコーゴールデングランプリ陸上 2023 横浜」だ。最大の注目は、“ふたりの世界王者”が招待されている男子100mだろう。昨年7月に開催されたオレゴン世界陸上で“人類最速”の座に輝いたフレッド・カーリー(米国)と、同大会の男子400mを制したマイケル・ノーマン(米国)が参戦予定なのだ。横浜にトップアスリートが集結。世界のスピードを体感せよ!自己ベストはカーリーが世界歴代6位タイの9秒76で、ノーマンが9秒86。実はカーリーも元は400mが専門で、ふたりはこれまでに世界で3名しか達成していない100m9秒台、200m19秒台、400m43秒台の記録を持つマルチスプリンターだ。その巨大な壁にホームの日本勢は急成長中の坂井隆一郎(大阪ガス)らが挑むかたちになる。現在25歳の坂井は昨年の日本選手権で2位に食い込み、一躍注目を浴びた選手。しかもスタートが持ち味で、後半型といえるカーリーとノーマンを相手に中盤まで互角の戦いを演じる可能性は十分にありそう。ふたりの世界王者を苦しめることができれば、目前に迫る“9秒台”突入の瞬間が見られるかもしれない。男子100m以外にもオレゴン世界陸上のメダリストたちがやってくる。男子走高跳で銀のウ・サンヒョク(韓国)、同走幅跳で金の王嘉男(中国)、女子やり投で金のケルシー・リー・バーバー(豪州)だ。女子やり投はバーバーと銅メダリストの北口榛花(JAL)以外にも、オレゴン世界陸上の入賞者が参戦予定。コンディションに恵まれれば、世界大会の決勝を彷彿させるハイレベルの戦いになるに違いない。トラック種目では男子3000m障害の三浦龍司(順天堂大)、女子1500mの田中希実(New Balance)の積極的な走りと好タイムに期待がかかる。その他の種目は男子が400m、3000m、110mハードル、400mハードル、やり投。女子は100m、3000m、100mハードル、走幅跳が実施される。今年で12回目を迎える今大会。テレビ地上波でライブ中継されるが、ぜひ現地で、世界のトップアスリートのスピード感や躍動感を味わってほしい。男子100mは世界王者に坂井ら日本勢がチャレンジ。フレッド・カーリー(米国)世界歴代6位タイの9秒76を持つ、スプリント大国の絶対的エース。オレゴン世界陸上では金メダルに輝いた。マイケル・ノーマン(米国)日本人の母親を持つマルチスプリンター。昨年のオレゴン世界陸上では400mで金メダルを獲得、今季から100mに本格参戦する。坂井隆一郎(大阪ガス)昨年は日本歴代7位の10秒02をマークして、オレゴン世界陸上で準決勝に進出。日本のホープが横浜で9秒台に突入できるか!?女子やり投 北口榛花(JAL)66m00の日本記録を持ち、世界陸上で銅メダルに輝く。来年のパリ五輪、再来年の東京世界陸上でもメダルを狙う。男子3000m障害 三浦龍司(順天堂大)東京五輪で7位入賞の快挙を果たした21歳。学生駅伝でも抜群のスピードを披露している。女子1500m 田中希実(New Balance)世界陸上は800m、1500m、5000m に出場。プロ選手となり、さらなる高みを目指す。「セイコーゴールデングランプリ陸上 2023 横浜」日時/5月21日(日)12:30(開場)~17:30(競技終了予定)会場/日産スタジアム男子9種目、女子6種目が行われる。TBS系列で生中継。※『anan』2023年5月24日号より。写真・Getty Images文・サカイマサト(by anan編集部)
2023年05月23日この4月から子どもがサッカーをはじめとする何らかのスポーツを始める、または始めたご家庭は多いのではないでしょうか?子どもの成長にとって「スポーツは素晴らしい」のはいうまでもありませんが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。シンキングサッカースクールで子どもたちにサッカーを教えている菊池健太コーチにお話を伺いました。子どもだけではなく、親にもいいことがたくさんあるとのお答えも必見です。(取材・文:小林博子)写真はサカイクキャンプサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■スポーツを通して学べる事はたくさんある「スポーツを通して子どもが学べること、身につけられることは、本当にたくさんあります」そう答えてくれた菊池コーチによると、その「たくさん」の内訳は協調性とチームワーク、洞察力や思考力、礼義など、親として子どもに身に付けてもらいたい能力がずらりと並びます。学校や家庭での学びだけではなく、スポーツもプラスすることでそれらが身に付く理由として大きいのが多様な価値観に出会えるからだということ。もちろんスポーツをしていなくてもさまざまな価値観を持つ人にこれからの人生ではたくさん出会いますが、「スポーツを通して」というところがポイントなのだとか。例えば、菊池コーチが指導しているシンキングサッカースクールでは、「作戦会議」の時間を設けています。子どもたちはその時間を通して、自分とは違う考え方があることを知り、時には意見が食い違っても受け入れ、「聞く力」を身につけていきます。大好きなサッカーを通してなので、その経験がより受け入れやすい状態であることも見逃せないポイントです。子どもの心の成長の加速度はサッカーだからこそ高まるともいえます。多様な価値観があることが早い段階からわかっていることは、心の発達にもつながります。いろんな価値に触れ、尊重しあう経験を通して心が豊かな子どもに成長してくれることでしょう。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■勝ち負けがあるのは悪いことじゃない結果が目に見える=実感できる多くのスポーツが他と大きく違うのは、わかりやすい結果があること。例えばサッカーでは試合ごとに勝ち負けがあります。日々の努力や向き合う姿勢次第で、その結果が変わるというのは、小さな子どもはまだあまり経験してきていないこと。これも心の成長には欠かせません。ちなみに、いわずもがなですが体の成長度もスポーツを通してぐんと高まります。しっかり運動をして適度に疲れ、よく食べてよく眠ることがいいことなのはいうまでもありません。生活にメリハリをつけてくれることにも繋がりますし、体力がついてより健康的な生活ができるようになる子も多いものです。成長目覚ましい子どもの時期だからこそ身につけられる技術もあります。■感謝の心を持つことができれば「礼義」は自発的に身につく多くの親御さんが子どもの習い事で身につけてもらいたいと思うのが「礼義」ではないでしょうか。しっかり挨拶をすること、相手をリスペクトする姿勢などは、普段の生活だけよりも、スポーツや習い事の場で家族以外の人間関係を経験することで身につきやすい能力のひとつです。「礼に始まり礼に終わる」武道などでは、それらをしっかりとルーティンとして身につけることができるのもメリットのひとつ。メリハリのある態度で練習や試合に臨むことができるようになることでしょう。なお、サカイクが提唱している「ライフスキル」の一つである「感謝の心」は、子どもたちから自然な形で礼儀を引き出すことにもつながります。自分がサッカーができるのは、親御さんをはじめとした周囲の大人のサポートやコーチ陣の指導、審判や相手チームの選手たちなどがいてこそ。そう気づくと、周りの人たちへの感謝の心が育まれて態度に現れ、挨拶や態度などの「礼儀正しさ」に反映されるからです。「ちゃんと挨拶をしなさい」と大人から言われるよりも自発的に礼儀が身につくのです。■親としてのスタンスもよりよいものにさまざまな「いいこと」があるスポーツ。最後に菊池コーチが伝えたいとおっしゃったのが「親の成長」でした。それにはこんなエピソードが。菊池コーチが指導を行うシンキングサッカースクールやサカイクサッカーキャンプで子どもたちが使っている「サカイクサッカーノート」には、子どもたちへの質問が書かれ、それに答える形で子どもの気持ちや考えを言語化するページがあります。「サッカーを通してどんな力を身につけたいですか?」「サッカー選手になるための技術」「試合で活躍する力」などを想定しがちですが、この問いに、こう書く子どももいるそうです。「人を大切にする力」この子は前述した「感謝の心」があるからこそ、そう記入したに違いありません。家に帰れば、小学生、中学生のサッカーをする4人の男の子のお父さんでもある菊池コーチ。休日は子どもとサッカーをしたり、お子さんが所属するチームの練習に顔を出す時間もあるといいます。そんな"パパ目線"でも、「サッカーを通して身につけたいのは人を大切にする力」という答えに、はっと気付かされたそう。子どもの成長につれ親もだんだん欲が出てきて「上手くなってほしい」「試合に出て活躍してほしい」と思ってしまいがち。大切な子どもが大好きなサッカーを楽しめるようにという親心からくる願望でもありますね。とはいえ、もっと大切なことを、子どもの心の成長から、学んだ瞬間だったそうです。スポーツを通して子どもが身につけた豊かな心が、親としての子育てのスタンスも良い方向へ導いてくれた好例ではないでしょうか。■スポーツは身体づくりや運動能力だけでなく、心の成長にもつながる身体だけでなく、心の成長にたくさんのメリットをもたらしてくれるスポーツ。それぞれの種目の特徴によって身に付くものに細かな違いはありますが、総じて言えるのは「スポーツは心を豊かにし、人間として成長させてくれる」ということです。「春から何か始めさせてあげたい」とお思いでしたら、ぜひその何かをはじめてみてはいかがでしょうか。その時に「サッカー」もぜひ選択肢にいれてもらえたら、サカイクとしては嬉しいです。菊池健太(きくちけんた)サカイクキャンプヘッドコーチ。約20年にわたり未就学児から小学生まで指導。私生活では4児の父。4人ともサッカーをしており、サッカー選手を育てる保護者でもある。<資格>日本サッカー協会C級JFA公認キッズリーダーキッズコーディネーショントレーナー佐倉市立井野中学校サッカー部外部指導員<経歴>VERDY花巻ユース 日本クラブユース選手権出場(全国大会)中央学院大学 千葉県選手権 優勝千葉県1部リーグ 優勝サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年04月21日ボールあるところにその姿あり。素早い判断で攻撃をビルドアップ。東京サントリーサンゴリアスの齋藤直人選手のインタビューをお届けします。「“ボールの傍(そば)に常に齋藤がいる”と気づいてくれたら嬉しいです」試合運びの起点となる、スクラムハーフを担う齋藤直人選手。「端的に言えば、どうやって勝つかをコントロールする役目です」165cmと小柄な体で、2mを超すような大柄のフォワードたちが押し合うスクラムや、モールやラックと呼ばれる密集戦に飛び込みボールをピックアップ、相手の布陣を見ながら、パスか、キックか、あるいは自分で走るかを瞬時に判断する――。「相手の弱みを把握しながら自分たちの強みをどうやってぶつけるか、逆に相手の強みをどう防ぐか。僕ならではの武器=“予測”を活かして次の展開を読みながらチームを動かしています」遡れば、父親にラグビースクールへ「自分の意思とは関係なく連れていかれた」のは3歳の頃。「ボールを持って走る、体を当てる、それが楽しくて」いつしかラグビーが大好きになり、今や日本を代表するスクラムハーフに。「興味があること、好きなことはとことん突き詰めたいタイプ。目標に対してならどんな犠牲を払ってでも成し遂げたいと思います」と自身の性格を分析する。言うまでもなく、そのターゲットとなったのがラグビーだ。その魅力とは、「まずは体がぶつかる激しさ、迫力でしょうか。試合によっては掴み合いになるなど激しいイメージがあるかもしれませんが、卑怯なプレーや騙し合いなどは一切しません。ごまかしの利かないスポーツであることがラグビーの良さだと思います。試合終了後はチームの垣根を越えた交流が持てることも特徴ですね。そのおかげで世界中に知り合いがいます(笑)」観戦のハードルとして、よく言われるのがルールの難しさだが、「全てを頭に入れてから臨む必要はなく、観ながら少しずつルールを知っていくというのでも楽しめます。最近は反則時に場内放送で説明が入るなど、初心者の方にもわかる工夫がされているので、臆せずに来ていただきたいですね」齋藤選手が主戦場としているのがリーグワン。日本ラグビーの新たな歴史を刻むべく昨年に誕生したばかりのリーグだ。「国内に限らず、世界トップレベルの選手が活躍しているので、海外からも注目されています。今年は9月からフランスでワールドカップが開催されるので、リーグもいっそう盛り上がると思います」最後にワールドカップについての思いを聞くと…。「自分の持つ大きな目標のひとつ。必ず出場したいです」所属するチーム、東京サントリーサンゴリアスには同じスクラムハームのポジションに、前回ワールドカップで不動のレギュラー、現在も代表候補の流大選手も在籍。「そのことは入団を迷うポイントにはなりました。ただ、当時の監督に『日本代表が目標ならどうせ競わなきゃ行けないんだぞ』と言われて入団を決めました」柔和な笑顔のうちに秘めた、強い思いは、チームで、代表での結果となって表れるはず。観戦のしかたジャパンラグビー リーグワンはディビジョン1(D1)からD3まで全23チーム。齋藤選手の東京サントリーサンゴリアスは最上位D1の3位(3/31現在)で、5月に上位4チームが参加するプレーオフトーナメント進出圏内。チケット購入は、リーグワン公式サイトもしくは各チーム公式サイトからが一般的。各チームのファンクラブに入ると優先的に購入できる。価格は試合にもよるが一般自由で2000~3000円前後~。迫力満点の攻防をぜひ一度スタジアムで体感してほしい!世界との戦い9/8から10/28まで、フランスでラグビーワールドカップ2023が開催予定。日本は前大会の結果により出場が決まっている。出場20か国はプールA~Dの4グループに分かれ、各プール上位2チームが決勝トーナメントに。世界ランキング10位の日本の入ったプールDは他にチリ(22位)、イングランド(6位)、サモア(12位)、アルゼンチン(8位※順位は全て3/27現在)の4か国が。代表候補の齋藤選手の活躍で前回を上回る成績を期待したい。さいとう・なおと1997年8月26日生まれ、神奈川県出身。スクラムハーフ。ラグビーの強豪校、桐蔭学園高校と早稲田大学で共に主将を務め大学では日本一に導く。大学3年時に学生で唯一日本代表候補に選出。卒業後は「子どもの頃から憧れだった」という東京サントリーサンゴリアスに入団。入団4シーズン目の今年は共同キャプテンとしてチームを引っ張る立場に。※『anan』2023年4月19日号より。写真・濵田茉里(A.K.A.)ヘア&メイク・浜田あゆみ取材、文・伊藤順子(by anan編集部)
2023年04月18日日本の若者は、先進諸外国に比べて、自己肯定感が低いというデータがあります。『子ども・若者白書』(平成26年版/内閣府)によると、日本の若者(13歳~29歳)で、自分自身に満足していると答えた人の割合は、アメリカ(86.0%)、イギリス(83.1%)、フランス(82.7%)、ドイツ(80.9%)、スウェーデン(74.4%)、韓国(71.5%)に対し、わずか45.8%にとどまりました。そこでサカイクでは、サッカークラブやコーチの関わりが子どもに与える影響について調査しました。令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】における設問に対し、東京都大田区で活動する大森FCの選手85名に回答してもらい比較したところ、全国調査に比べ、自己肯定感がとても高いという結果が出ました。「自分には、よいところがあると思いますか」への回答「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」で79.3%出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】同じ質問の大森FCの回答「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」で100%、「どちらかといえば、当てはまらない」「当てはまらない」という回答は無かった強豪クラブによくある、所属選手がJクラブへと移籍する際の、自己肯定感の重要性とは?(取材・文:鈴木智之写真提供:大森FC)写真提供:大森FC<<前編:スポーツの特性やコーチの関わり方が子どもの自己肯定感や幸福度にどの程度影響するのか【サカイク調査結果】サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■大森FCに所属することで感じる、自己肯定感の高まり本田さん大森FCは親身になってくれるというか、コーチ陣の雰囲気が温かいと感じます。練習試合に行くとよくわかるのですが、いまだにコーチが怒鳴ったり、人格否定するような言葉をかけるチームはたくさんあります。もちろん、大森FCのコーチもただ優しいだけでなく、指導として必要なときは厳しく言ってくれますが、愛ある指導というか、感情的にダメだと怒ったり、怒鳴るようなことはありません。それも、子どもたちの自己肯定感を高めることにつながるのかなと思います。だから、コーチのことが好きで、サッカーも嫌いにならずにやっていけているのではないでしょうか。周りの子のレベルが高くて、たくさん要求されて上手くプレーができなかったり、コーチが厳しすぎて自分が出せずに、サッカーが嫌いになるという話を聞くこともありますが、うちの子がそうならずに、楽しみながらも厳しく、上を目指して頑張れているのは、コーチのおかげもあると思います。西川さんコーチが作る雰囲気もそうですし、子ども同士が、お互いの良いプレーを言い合うことが多いんです。「お互いの良いところを言い合ってみよう」と言ったら、ポンポン出てくると思います。スタメンの子もサブの子もいる中で、互いにそれぞれの良さがわかっているんですよね。サッカー面で良いところを言う子もいれば、「この子はポケモンカードをいっぱい持っていてすごい」とか(笑)、サッカーだけに拘らない価値観を共有しながら、サッカーをすることができる環境って、なかなかないんじゃないかなと思います。子どもが子どもらしくいられて、なおかつサッカーも楽しめるのが良いところだと思います。小島代表サッカーだけに集中させないというか、いろんな価値観を持っていいよという雰囲気づくりは意識しています。たとえば、Jクラブに行けるかもしれない子がいた場合、無条件に行かせてあげるのではなく、コーチ陣でミーティングをして、「その選手はJクラブに行ったとして、自己肯定感を感じることができるか」については、結構話し合います。自分よりも上手な子がいる中へ入っていくことで、その選手の自己肯定感は高まるのか。それとも自信をなくしてしまい、自己肯定感が下がるのか。子どもの性格や状態によっては「いまは止めておいたほうがいい」と言うこともあります。当然、選手の自己肯定感が高く、失敗から学ぶことができる状態であれば、何も問題はありませんが、レベルの高い環境に行くことで、自信をなくして、つらくて心が折れてしまうこともあります。それであれば、良い状態になってから移籍しても遅くはありません。そこは、その選手の人生に関わることなので、選手とも保護者とも、コーチともたくさん話をして決めて頂いています。大事なのはチームが強くなることよりも、大森FCに関わるみんなが成長することであり、サッカーが生きがいになること。そのためには、選手もスタッフも保護者も、みんなでチームとしてやらないといけません。コーチ同士も結構な量で話をしていますし、クラブの価値観を共有することで、子どもたちの中にちょっとずつ伝播していってくれたらと思っています。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■子どもが失敗したときの、自己肯定感を損なわない接し方写真提供:大森FC本田さんできなかったことを責めると、自己肯定感が高まらないと思うので、サッカーにしても勉強にしても、できなかったことに対して、「こういうところがいけなかったから、こういう結果になったね」と話をするようにしています。上手くいったとき、成功したときは、「勉強なりサッカーを毎日やったから、こういう良い結果になったね」と、しつこいぐらいに言います。たとえば、セレクションがあるからリフティングを頑張ろう。朝練を一ヶ月間やろうと言って、実際にやって良い結果が出たときに「毎日頑張ったから、この結果になったんだよ。自分の努力でそうなったんだよ」というような声をかけます。成功も失敗も「原因があって、結果があるんだよ」と伝えることが大事だと思っています。その中で、失敗だけを指摘するのではなく、次に繋げられるような声かけを心がけています。そうすると「やればできる、やらなかったらできないんだ」ということが理解できるかなと思うのです。「自分は何をやってもできない」と感じてしまうのが、一番怖いことなので「やればできる」「やったからできた」「やらないとできない」という気持ちを忘れないような接し方を心がけています。それが自信につながり、「自分はできるんだ」という自己肯定感につながるのだと思っています。西川さんうちの子は3月生まれなので、「みんなはもうできるのに、自分はできない」というところからのスタートでした。そこでまずは「できないならできないでいい。できない自分を受け止めよう」という話をしました。そして「できないことで、何が嫌だったの?」と、彼の気持ちを言語化するようにしました。「何でもかんでもみんなと同じにできるようにならなくていいよ」「自分がやりたい道をみつければいいよ」という話をしました。それが自己肯定感につながるのかはわかりませんが、長い目で見てあげることも大事なのかなと思います。小島代表大森FCには「ローカルヒーローズ」という言葉があります。地域のヒーローという意味で、三笘薫選手や久保建英選手のように、地域から世界へ羽ばたいていけばいいねと。そこを目指して育成する中で必要なのは、その選手が持っている武器です。キックが強い、足が速い、性格が明るいなどなんでもいいのですが、その武器を発揮してチームに貢献できたときに、自己肯定感は高まるのではないでしょうか。一方で、自分にはこれができない、この選手はここが足りないと、「足りないもの探し」をすると、いつしか自信は失われていきます。そもそも、足りないものに目を向けていてもキリがありませんよね。できなかったことよりも、できることに目を向けて、その選手の特徴や個性、武器を軸に、問いかけをするようにしています。「キミのこの部分、めちゃくちゃ良いね!」というように認めてあげることで、自己肯定感も高まっていくのではないでしょうか。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年04月17日現在Bリーグは2022‐23シーズンの終盤戦。その熾烈な首位争いに絡んでいるのが、河村勇輝選手が所属する横浜ビー・コルセアーズ。今季プロ契約をした河村選手は、新人王やアシスト王などが期待されるほどの活躍ぶりで、注目度No.1の新星だ。リーグ屈指のスピードスター。得点力も際立つ驚異の司令塔。「コートの中にいる時は、誰よりもうまいという気持ちで戦っています。その自信が持てるだけの準備はいつだって整えているので、プロ1年目だからといって臆することはありません」バスケの強豪校である東海大学を中退してのプロ入り。即戦力として実力を発揮しながらも、プロの壁を感じる部分もあるという。「学生時代は基本的に日本国内の選手との対戦でしたが、Bリーグには世界中からトップ選手が集まってきています。自分にとってのバスケットボールの水準が、いきなり世界レベルに上がった感覚です。そこで見えてきた課題を改善しながら、バスケ選手としても人としても厚みを増していければいいなと思っています」幼い頃は野球少年だったという河村選手。小学2年生の時に「ユニフォームがかっこいいから」との理由でバスケットボールに転向。以来バスケ一筋だが、その魅力について聞いてみると、「球技の中でも、展開が早いところ。点数の取り合いになるので、中だるみすることがあまりないんです。40分間ずっと楽しい。あとは野球やサッカーと比べると、アリーナというコンパクトなスペースでのプレーなので、観客席との距離が近い。そのぶん、間近に応援を感じられる良さもあります」また、Bリーグには、海外とは違う、こんな魅力もあるという。「例えば、NBAの試合を観ていると、いいプレーに歓声が上がるのはもちろん、悪いプレーはブーイングが起こるなど、観客の個性が強いというか。それも面白さではあるんですけど、Bリーグのファンの人たちは、一丸となってチームを応援してくれる印象です。選手としては、その一体感に後押しされることが多々あります」今シーズンが終わると、8月には4年に一度のワールドカップが日本など3か国で開催。河村選手はアジア予選に続き、本大会でも代表入りを目指している。「近い将来の目標として、ワールドカップや2024年のパリオリンピックのメンバーに入りたいということは、ずっと考えてきました。去年の夏から代表に選出してもらっていますが、NBAでもプレーされていたトム・ホーバスヘッドコーチのアドバイスなど、世界と戦ううえで学ぶことが多い。いずれは海外でプレーしたいと思っている自分にとって、日本代表での経験は大きな財産です」明確な目標に向け、バスケ中心の日々。ホームアリーナが横浜ということもあり、息抜きにはふらっと近所の海へ。「海岸を散歩したり、海をぼんやり眺めたり。体を休めることも大切なので、自然が好きな自分にとっていいリフレッシュです」観戦のしかたBリーグはB1からB3まで全部で54チームが所属。河村選手の所属する横浜ビー・コルセアーズはB1中地区2位(3/31現在)で5月の「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2022‐23」進出圏内。チケット購入は、Bリーグ会員に無料登録し公式サイトで購入するのが一般的。各チームのファンクラブに入ると優先的に購入できる。価格は試合にもよるが一般で3000円前後~。屋内競技で、身近に選手を感じることができるのも魅力。世界との戦い8/25から9/10の間、フィリピン、日本(沖縄アリーナ)、インドネシアでFIBAバスケットボールワールドカップ2023が開催予定。予選を勝ち抜いた32か国が優勝目指して集う。出場が決まっている日本代表(AKATSUKI JAPAN)は予選リーグを全て沖縄で戦う予定。FIBAのランキングでは36位だが上位チームへのジャンアントキリングをもくろむ。河村選手も2022年から代表チームに参加、本大会での活躍に期待大!かわむら・ゆうき2001年5月2日生まれ、山口県出身。ポイントガード。福岡第一高校では全国タイトルを獲得。’20年1月、特別指定選手として三遠ネオフェニックスに入団、18歳8か月で当時のB1史上最年少出場および得点をはたす。東海大学進学後、在学中に特別指定選手として横浜ビー・コルセアーズに入団。今季よりプロ契約、司令塔として活躍中。’22年7月、ワールドカップアジア地区予選、台湾戦で日本代表デビュー。※『anan』2023年4月19日号より。写真・濵田茉里(A.K.A.)ヘア&メイク・浜田あゆみ取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2023年04月17日『子ども・若者白書』(平成26年版/内閣府)によると、日本の若者(13歳~29歳)は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、韓国といった諸外国に比べ、自己肯定感が低いというデータがあります。自分自身に満足していると答えた人の割合は、アメリカ(86.0%)、イギリス(83.1%)、フランス(82.7%)、ドイツ(80.9%)、スウェーデン(74.4%)、韓国(71.5%)に対し、日本はわずか45.8%にとどまりました。そこでサカイクでは、サッカークラブやコーチの関わりが子どもに与える影響について調査しました。令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】における設問に対し、東京都大田区で活動する大森FCの選手85名に回答してもらい比較したところ、全国調査に比べ、自己肯定感がとても高いという結果が出ました。「自分には、よいところがあると思いますか」への回答「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」で79.3%出典:令和4年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料【全国版/小学校】同じ質問の大森FCの回答「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」で100%、「どちらかといえば、当てはまらない」「当てはまらない」という回答は無かったなぜ、大森FCの子どもたちは、自己肯定感が高いのでしょうか?クラブの代表を務める小島直人氏と小学4年生のお子さんをお持ちの保護者2名に話を聞きました。(取材・文:鈴木智之写真提供:大森FC)写真提供:大森FCサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■大森FCに子どもを通わせることになった理由本田さんうちの子は小学2年生の終わりに、大森FCに入りました。入会前に練習参加をしたところ、子どもがすぐに「このクラブに入りたい!」と言ったことがきっかけです。練習参加で緊張していたところ、周りの子が「どこから来たの?」「名前は?」などと聞いてくれて、すぐに仲間の輪に入れてくれたことがうれしかったようです。西川さんうちの子は小学3年生の4月に入りました。いくつかのクラブに練習参加したのですが、子どもが「このクラブがいい!」と即答でした。練習参加の後に、みんなで鬼ごっこをしたのが楽しかったそうです。私としても、子どもがすぐに打ち解けて、コーチもすごく良い雰囲気で鬼ごっこを見守っていたので、良さそうなクラブだなと思いました。小島代表大森FCは、以前からたくさんの子が練習参加に来てくれるクラブです。そのため、新しい子が来たときに「名前、なんて言うの?」といったように、話しかけることが伝統になっています。みんな、その経験を経てクラブに入っているので、自然とそうなっていくんですよね。コーチがそうしろと言っているわけではなく、みんなが仲間として受け入れる空間があります。それが自己肯定感の高さにつながるところはあるのかもしれません。練習参加した子が「練習後の鬼ごっこが楽しかった」と言ってくれていましたが、それも自然に発生するもので、サッカーのときもあればバスケットをすることもあります。練習が終わった後に、みんなで楽しく遊ぶのは、友達になれる時間なので、コーチは口を出さずに見守っています。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■大森FCに入って、子どもが変わった、成長したところは?本田さん試合中に声を出すことと、自分のことは自分でするようになってきました。うちの子の学区では、小学4年生から宿泊学習をするのですが、大森FCでは頻繁に合宿があるので、荷物の準備を自分でしたり、わからないことがあれば先生やコーチに聞くことが、自分からできるようになってきました。大森FCに入るまでは、困ったことがあっても恥ずかしくて大人に聞くことができなくて、気づいてもらうのを待つことが多かったのですが、困ったことがあったら、自分から主張して、コーチなり誰かに助けてもらうことができるようになりました。西川さん大森FCのコーチは、子どもを子ども扱いしないところがあります。当初、うちの子はそれを怖いと感じていました。保育園や学校の先生は、子どもを子ども扱いして、優しく接してくれることが多かったんです。大森FCに入って、子どもを子ども扱いせず、対等に扱ってくれることに、最初は戸惑っていました。「コーチが怖い」って。私としては、「どこが怖いの?」みたいな感じだったのですが(笑)。それが、徐々に「コーチは面白い」に変わってきました。いままでは優しい先生と接することが多くて、大森のコーチに対して身構えてしまったところがあったのですが、いまはどの学年のコーチとも楽しそうに接しています。トップチームの選手たちとも絡むことがあり、あるとき「トップチームの選手にジュースをおごってもらっちゃった」と、うれしそうに話していました。同世代だけでなく、幅広い世代の人たちと接する機会が多いことで、コミュニケーション能力が上がってきたと感じます。小島代表色々な大人と接することで、感性が磨かれることはあると思います。なので、なるべく同じコーチが連続して指導をしないようにしていて、いろんなコーチのいろんなアプローチの仕方を知ってほしいです。たとえば一人のコーチと合わないときは、私にでもいいし、他のコーチでも、ユースの監督でもいいので、誰かに相談できる環境があることが大事だと思っています。海外のビッグクラブには、食堂のおじさんや掃除のおばさんなど、気軽に相談できる人が身近にいます。大森FCでも、相談しやすい人をみつけてほしいと思っています。■自己肯定感の重要性について感じること西川さん自己肯定感とは、自分を自分で受けられることだと思います。自分のことを自分で認めることができないと、自分と違う人に対してアレルギーを持ってしまいますよね。自分を理解していると、自分と違いがある人に対しても、受け入れられるようになるのかなと思います。本田さん自己肯定感が強くないと、心の悩みが増えてくるのではないかと感じます。否定されることが多い環境だと、私なんてどうせ......、という考え方になってしまいがちです。自己肯定感があると、困難にぶつかったときのベースになるというか、自分を支えてくれる根本の自信になると思います。小島代表大森FCはサッカークラブですが、売り物にしているのは、生きがいや成長です。それは全スタッフと共有していて、子どもたちはサッカーが好きで上手くなりたいと思っています。サッカーはミスのスポーツなので、失敗するのは当たり前。大事なのは、その失敗を受け入れて、どう成長していくかです。そのプロセスがサッカーには詰まっていて、コーチたちもチャレンジを奨励するような接し方をしています。その繰り返しが、自己肯定感につながっていくのではないでしょうか。■生きがいと自己肯定感写真提供:大森FC大森FCの小島代表、保護者のみなさんに話をうかがっていると、「子どもを一人の人間として認め」「チャレンジをうながして、失敗しても良い」という雰囲気を作ることで、伸び伸びとサッカーに取り組み、その結果、成長していくというプロセスを感じました。小島代表は「サッカーを通じて、生きがいを与えたい」と言っていましたが、生きがいを感じることと自己肯定感を高めることは、とても密接な関係にあるのではないでしょうか。次回の記事では、自己肯定感をなくさないために、子どもたちと接する上で心がけていることについて紹介します。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年04月11日国内男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」のバレンタイン企画「B.LEAGUE モテ男No.1決定戦」。今年の1位は、大注目の大型新人・河村勇輝選手に決定!シーズン終盤、フルスロットルで活躍する彼の素顔に迫ります。かわむら・ゆうき2001年5月2日生まれ、山口県出身。身長172㎝。ポジションはポイントガード。’22年3月、東海大学を中退、横浜ビー・コルセアーズとのプロ契約を発表。今年の「B.LEAGUE モテ男No.1決定戦」で1位を獲得したのは、横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)の河村勇輝選手。昨年プロ入りするや、瞬く間に大活躍。いま最も注目されている選手の一人といえる。「1位を獲れたのはブースター(Bリーグのファン)のみなさんが、僕のプレーを評価してくれたからこそだと思うので、感謝の気持ちでいっぱいです。チームメイトには、冷やかされましたけど(笑)」チームでは年下の21歳。国内屈指のバスケットボール強豪校の東海大学を中退し、プロ入りを果たした。「プロになることを意識し始めたのは、高校2年生くらいの頃です。それまでは、両親と同じように教員になりたいと思っていました。バスケットボール選手になるなんて、非日常的な気がして…。でも、バスケをやっていくうちに、高みを目指して挑戦することが、自分の性に合うと感じるように。今年の夏には日本でワールドカップが開催されますし、2024年にはパリオリンピックがあります。そういう大きな舞台に立つには、大学でプレーを続けるより、国内最高峰のプロバスケットボールリーグ、Bリーグで一刻も早く自分をアピールする必要がある。その思いでプロ入りを決意しました」横浜BCは現在、中地区優勝圏内(3月中旬時点)。その勢いを牽引する存在であるとともに、日本代表にも選出され、2月のW杯アジア予選では勝利に貢献している。「自分の武器はクイックネスと、渡す相手を見ないでパスを出すノールックパス。敵はもちろん、観ている方も欺くようなノールックパスで、バスケットボールの面白さを感じてもらえたらと思っています」身長172㎝とバスケットボール選手の中では小柄なことから、チームメイトからは〝おちびちゃん〞とも呼ばれているそう。「年下ということもあって、いじられキャラです。でも、そういうコミュニケーションから信頼関係が築けているので、どんどんいじってくださいって思っています」平均年齢も若く、オフの日は、チームメイト全員で会食することもよくあるという仲の良さ。ほかにも、休日にはこんな人と過ごすことが…。「大学時代の先輩で千葉ジェッツの大倉颯太選手とは、2人でドライブやグランピングをしたり、サウナに行ったり。興味のあることが似ているので、よく一緒にいます。苦手だったうどんのおいしさに気づかせてくれたのも、大倉選手でした(笑)」B.LEAGUE モテ男No.1決定戦、ベスト3を発表!Bリーグが毎年バレンタイン時期に行うファン投票イベント「モテ男No.1決定戦」。各チームから1名ずつがエントリーし、TwitterやLINEなどでの投票を実施。1位の選手は『anan』に出演!という特典(!?)付きで、昨年は河村選手とも仲良しの、千葉ジェッツの大倉颯太選手が1位を獲得。今年は横浜ビー・コルセアーズの河村選手が“モテ男No.1”となり、2位は琉球ゴールデンキングスの牧隼利選手、3位は宇都宮ブレックスの荒谷裕秀選手に決定した。1位 河村勇輝46,630票(横浜ビー・コルセアーズ #5)2位 牧 隼利38,338票(琉球ゴールデンキングス #88)3位 荒谷裕秀28,063票(宇都宮ブレックス #11)ブルゾン¥43,450(ウィリー チャバリア/ジェットン ショールーム TEL:03・6804・1970)シャツ¥8,800(リーバイス/リーバイ・ストラウス ジャパン TEL:0120・099・501)靴¥29,700(ヨーク/HEMT PR TEL:03・6721・0882)その他はスタイリスト私物写真・濱田茉里(A.K.A.)スタイリスト・ダヨシヘア&メイク・浜田あゆみ取材、文・保手濱奈美撮影協力・横浜カントリー・アンド・アスレティック・クラブ横浜ビー・コルセアーズB.LEAGUE※『anan』2023年3月29日号より。(by anan編集部)
2023年04月03日なぜ日本のために戦うのか。それは恩返しだと断言する森保一監督。今夜のウルグアイ戦前に一読すべき、監督が掲げる“森保ジャパンが戦う意義”と現在の心境とは。【森保一監督が語る“つながるチカラ”3】カタールW杯から約3か月。森保 一日本代表監督は、「日本代表の勝利のために。日本サッカーの発展のために。社会に貢献できるように」という原理原則を起点として、問題の対処法を考えるようにしていたと語る。ここではその3つ目である、“社会貢献”の観点からお話を伺った。社会のために~応援してくれるからプレーできる。“3つの気”を届けることが恩返し。©JFA「批判されるというのは注目されている、試合を観ていただいている証しと、ポジティブにも受け取っています」批判に対してもポジティブに受け止めている、という森保監督。「大事なのは国内でサッカーがより認知されること。日常にサッカーを感じてほしいんです。そして、観ていただいている時間は、喜怒哀楽を出してほしい。一喜一憂したり、予期できない展開に興奮したり、そこで日々のストレスを発散してもらえたら。サッカー観戦をそういう時間にしてもらいたいと思っています」森保監督の原理原則のうち、3つ目は社会貢献のために。その心を聞いて、なぜ森保監督の根幹となる部分にこの考え方があるのか、腑に落ちる人は多いかもしれない。「日本のため、国民の方々のために我々は戦っていますが、代表活動は多くの方々の支援や応援があるからこそできることです」このことは、日本代表というチームだけでなく、選手一人ひとりにも言えるという。「試合で活躍した選手は、ある意味スーパースターで特別な存在として見てもらえます。それはやりがいとなり、大舞台に立つことを目標にし、叶えるべく自分を奮い立たせることができる。加えて、彼らのプレーを観にお金を払って来てくれる方々がいるから、好きなサッカーを続けられるんです。実際は、特別な存在ではなく一人の人間であることを忘れずに、活動していくべきと考えています。私たちはみなさんにしてもらうだけではいけない。お互いが支え合うべきであり、プレーを通して恩返しをしたいと思っています」具体的なこととして、森保監督が掲げたモットーとは?「日常にエールを送りたいんです。チームとして“元気、勇気、根気”の3つの気を届けたいと思っています。一番は元気。日常の活力になってほしい。勝敗の枠を超えたパワーを感じて、日ごろのエネルギーの糧にしてほしいですね」元気と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが、W杯4大会連続出場となった長友佑都選手。試合前後のインタビューで事あるごとに「ブラボー!」と絶叫し、私たち視聴者のテンションを上げ、勝利の喜びも増大させてくれた。「次は勇気。選手は毎試合、最善の準備をして、果敢にチャレンジをしています。みなさんにも日常の一歩を踏み出すためのチャレンジをしてもらいたいんですね」ドイツ戦で見せた浅野拓磨選手の執念ともいえる逆転ゴールは、勇気そのものと言ってもいいだろう。前回のロシア大会では招集外で帯同メンバーとしての参加となり、苦杯をなめた。《その日から今日(ドイツ戦)のために全力で準備してきた》という言葉が、森保監督の思いと重なる。「そして、根気。日々の暮らしは楽しいだけではなく、続けなければいけないこともありますよね。選手のアグレッシブなプレーを観てもらい、諦めずに頑張ろうという継続力を持っていただけたら」“三笘の1ミリ”でピンとくる人も少なくないだろう。スペイン戦、ゴールラインギリギリで三笘選手が折り返したボールが好アシストとなり、田中碧選手が逆転決勝弾を決めた伝説級のシーンだ。諦めない姿勢が最高の結果をもたらすことを見事に体現してくれた。2026年のW杯では、新しい景色を見せたいです。今大会の森保ジャパンの躍動は、日本に限らず、世界各国が興奮のるつぼと化した。彼らが与えた衝撃は、ポジティブな影響を多くの人に与えただろう。社会貢献という面では目標を達成できたといえるが、森保監督にはどうしても拭い切れない思いがある。「カタールW杯では、喜びもありチームで成長も感じられました。ですが、最終的にはベスト8以上という目標はクリアできなかった。日を追うごとに、悔しさはどんどん募っています。次回、2026年のアメリカ合衆国、メキシコ、カナダの北中米3か国共催のW杯では、みなさんに新しい景色を見せることができるよう、時代の進化に対応しながら、個の力をもっと伸ばして成長したいです。そのなかで、勝利をより大きく積み上げていきたいと思っています」スタンドに向かってハートマークを作ったり、深々とお辞儀をしたり。試合終了後のサポーターに対する真摯な対応も、森保監督の温かい人柄をよく表している。©JFA森保監督は愛に満ち溢れた人だと思う。そう伝えると、「愛と表現するのは恥ずかしいですが、愛情と相手を尊重する気持ちは常に持っています」と照れた表情を見せた。多忙な合間をぬって取材に応じ、一つ一つの質問に丁寧に答えてくれた姿勢からも、森保監督の愛情が伝わってきた。勝利や利益を目標に掲げるのは当然だが、チーム作りに必要な信頼関係や求心力といった“つながるチカラ”の源は、突き詰めれば“愛”だ。それなしでは一体感は生まれない。もりやす・はじめ1968年8月23日、長崎県生まれ。現役時代はサンフレッチェ広島、ベガルタ仙台などでプレー。元日本代表。1993年の“ドーハの悲劇”を経験。現役引退後は広島の監督、東京五輪代表監督、ロシアW杯日本代表コーチなどを経て、2018年7月より日本代表監督。※『anan』2023年3月8日号より。写真・日本サッカー協会Getty Images取材、文・伊藤順子(by anan編集部)
2023年03月24日新生森保ジャパンが今夜初陣!そこで森保一監督が丁寧に答えてくれた、選手への思いをご紹介します。感謝とリスペクト、2つのキーワードから見えてきたものとは…。【森保一監督が語る“つながるチカラ”2】選手のために~結果に至るまでの過程を評価し、感謝と敬意を込めて接する。クロアチア戦終了直後に撮影された、三笘選手とのツーショット。森保監督と選手一人ひとりとの信頼関係の強さも、森保ジャパンの特徴の一つ。©JFA選手は一人の人間で、そこには心があることを忘れてはならない。そう語る森保監督の、選手への思いを象徴する印象的な写真がある。号泣する三笘薫選手を、監督が優しくハグしている姿だ。1‐1の同点からPKにもつれこみ惜しくも敗れた、カタールW杯決勝ラウンドのクロアチア戦。終了直後のバックヤードで撮られたその一枚は、瞬く間に日本はおろか世界中に拡散された。「『みんなすごいよ!』って、日本代表の活動がある度に思っています。彼らはピッチ内外で想像以上の努力をしていますからね。それは、自分が成功するためにという冷めた表現もできますが、うまくなりたい、自分をより高めたいという強い向上心を見せてくれているのだと思っています。そして勝利のため、仲間のためにという気持ちを持ち、試合ではチームの要求に対して、どの選手も真摯にベストを尽くして頑張ってくれる。私は、勝つことに至るまでのそのプロセスを評価してあげたい」同じくクロアチア戦当日、体調不良のため欠場を余儀なくされた久保建英選手を見舞い、言葉かけやグータッチをしたというのも森保監督の人柄がわかるエピソードだ。選手へのリスペクトは、日本代表が解散し選手が所属チームに戻る時も。監督は宿舎を出発する選手一人ひとりを見送るという。「彼らが代表の活動に参加するということは、各所属先でそのポジションが空くということ。不在の間に他の選手に奪われる可能性があり、戻った時に居場所があるという保証はないんですよ。そうしたリスクがあることを覚悟して代表の活動に参加してくれているんですね。それに、代表チームの活動期間になるとクラブやリーグはオフになる。クラブに残る選手はリフレッシュできる状態を作れますが、代表に招集された選手たちは、より高いレベルのなか、キツいプレッシャーを感じながら戦うわけです。そして休息を終えた所属クラブのもとへ、疲弊したカラダで戻り、そこでまた新たな戦いをしていくことになります」代表選手ともなれば何万人もの観衆のなかでプレーをし、チームを勝利に導けばヒーローになれる。「確かに華やかな世界ではあります。でも実はすごく大変なんです。それがわかるので“ありがとう”という感謝とリスペクトの気持ちを持って見送っています。所属先でも充実した時間が過ごせるようにという思いも込めていますね」森保ジャパンのキャプテンを4年間務めてきた吉田麻也選手が、W杯を振り返って涙ながらに吐露した《いろいろな監督のもとでやってきたなかで、間違いなく一番尊敬できる監督。もう1個上に連れていってあげたかった…》。この言葉からも、選手と監督の強い絆が見て取れる。また、森保監督の人間性と求心力、それはミスをした選手や、今大会で一度も出場機会のなかった選手への接し方からも垣間見えるかもしれない。「基本的には、その選手の良いところ、武器を伸ばすようにアドバイスしますが、最低限のレベルアップをしてもらいたい場合は、成果(今できていること)と課題(足りないところ)の両方をできるだけはっきりと伝えています」試合の前後やトレーニング中、積極的にコミュニケーションをとる森保監督。“褒めて伸ばす”が基本姿勢ではあるが、敗戦などで改善点が見つかれば、成果と課題をセットでわかりやすく伝えることを心がけているという。 ©JFA心身を鍛錬してきた一流選手でも、思うようなプレーができない時は自信を喪失したりクサることもある。監督の言い方によっては信頼関係が揺らぐ可能性も出てくる。だが、ドイツ戦やスペイン戦で勝利が決まった瞬間、全身で喜びを表現しながらピッチに駆け出すベンチメンバーの姿を思い出せば、森保監督のもと全員が同じ方向を向いていたと多くの人が確信するだろう。ただその一方で、見方によっては、そもそも監督のやり方を理解した、信頼できる選手を集めたからともいえるのでは…。「(少し考えてから)合っているようで、合っていないような(笑)。選手の選考にあたっては、できるだけニュートラルに、何をしているかを見ています。もちろん、力のない選手は呼びませんが、この4年間、信頼できる選手を見極めてはきました。川島(永嗣)や柴崎(岳)は、出場はなかったですが、力があったうえでチームを支えることもできると思い声をかけました。世界と戦えるレベルであることはもちろん、上田(綺世)がいい例ですが、所属先で結果を出しているかも判断材料です。コーチと共に総合的に見て決めています。例えば、一人の選手に対して賛成が私だけで反対が10人なら、私は10人の意見を採ります」選手たちはみな、我が強いとも話してくれた森保監督。それでもあの一体感が生まれたのは、監督の“心”あるコミュニケーションとマネージメントの賜物だろう。“つながるチカラ”は、言い換えれば心が通うことでもあるのだ。もりやす・はじめ1968年8月23日、長崎県生まれ。現役時代はサンフレッチェ広島、ベガルタ仙台などでプレー。元日本代表。1993年の“ドーハの悲劇”を経験。現役引退後は広島の監督、東京五輪代表監督、ロシアW杯日本代表コーチなどを経て、2018年7月より日本代表監督。※『anan』2023年3月8日号より。写真・日本サッカー協会Getty Images取材、文・伊藤順子(by anan編集部)
2023年03月24日勝利を信じ続けた先にはまだ見ぬ景色が広がっていた…。格上相手に快進撃を遂げたカタールW杯から約3か月。次開催の2026年まで指揮官続投が決まった森保 一監督が語る、一体感を生む“つながるチカラ”の作り方とは。【森保一監督が語る“つながるチカラ”1】“ジャイアントキリング”という言葉が世界中をかけ巡ったカタールW杯。その主役を担った国の一つが日本だ。本大会での予選(グループステージ)で、ドイツ、スペインというW杯優勝経験のある格上の強豪国にどちらも逆転勝利を収め、グループ首位で決勝ラウンド進出を決めたのだ。とはいえ快進撃はここまでで、結果はベスト16。目標だったベスト8に届かなかったことに目を背けてはいけないが、日本中に勇気と感動を与えてくれたのも事実。多くの人々の記憶にあるのは下馬評をものともせず、一致団結して勝利と仲間、自分を信じて前進した森保ジャパンの勇姿ではないだろうか。2018年に監督に就任してからの4年半、サッカー人気の低迷、結果や采配への批判に加えて、グループステージの組み合わせ抽選で“死の組”に入るという不安要素もあり、本大会直前まで逆風は吹き荒れた。それでも揺らがなかった一体感はいかにして築かれたのか。森保 一監督が教えてくれたのは、どんな組織にも通じる対人関係の作り方だ。森保流“つながるチカラ”。それはシンプルだけれど、仕事をするうえで実は多くの人が忘れがちなことかもしれない。チームのために~コンセプトを共有することで、進むべき方向性が明確になる。©JFAチーム一丸となって動くためには、ゴールとなる大きな目標設定が不可欠だ。そして、そこに到達するために、小さな目標を細かく決めて着実にクリアしていく。このことは、目標達成のための王道、かつ効率的な方法だろう。日本サッカー協会が掲げる最終目標は「2050年までにW杯優勝」。そのためのステップとして、カタールW杯ではこれまでに到達したことのない“ベスト8以上”を目指した。だが、本当にそれだけでチームは一つにまとまれるのだろうか。強固な“つながるチカラ”を生み出すため、ほかに重要視していたこととは。「小学生でもわかることですが」と前置きしたうえで、森保監督は話し出した。「チームコンセプトとして“みんなのために頑張る”ということを大切にしてきました。ミーティングなどで選手やスタッフにも伝えていたことです。ただし、気をつけてほしいのが、組織が先にならないようにという点。チームのために一体何を頑張ればいいのか、相反するようですがそれは自分磨きです。それぞれの個の良さや特長を最大限に活かすこと。すなわち、個の力をより大きくし、そして個と個が融合できれば、団結力は必ず上がっていくと思います」“つながるチカラ”を生み出すためには、まずは個の能力を高めること。では、ひたすらトレーニングや練習を積めばいいのか?といえば、それだけでもないよう。森保監督は、個の力の高め方について指針があるという。「心・技・体という言葉があります。これらがすべて揃った時に最大限の力が発揮されるという意味ですが、優先順位をつけるなら、私は“体・技・心”だと考えているんですね。まずはフィジカルを強くすること。次に技術力を高めること。そして最後は一人ひとりがプレッシャー下でも、自分の力(体と技)を出せるようにメンタルを強くすること」次なる段階は個の融合。他者と自分が“つながる”とは、具体的にどういうことなのか。森保監督が例に挙げたのがある言葉だ。「“和して同ぜず”という論語にある文言が好きなんです。それは、協調するが主体性は失わないという意味です。選手それぞれに特長やリズムがありますから、縛りつけることはしたくないし、馴れ合いにもなってほしくない。チームにいることが苦しくならないような関係を作ってほしいんです」そこから、そのためには最低限のルールは必要と続けたのが…。「(1)集合時間を守る。(2)チームで起きた問題はチーム内で解決する。(3)SNSの発信に注意する、の3つの決まりごとを設けています。(1)は集団生活における基本のきですね。(2)は、選手間で競争はしながらも、一方で家族として、戦う仲間として、自分をさらけ出し、ぶつけ合ってほしい。話すことで建設的に問題解決を図れるし、相手のことも理解できます。(3)は、今はメディアを通さずに個々が発信できる時代。内部のことをどう公にするのか、それを出したことでチームメイトがどう思うか。お互いを尊重し、快適な空間作りのために必要なことですね」拍子抜けするほどのシンプルな内容であるが、森保監督の真意は、あえてそこにあるようだ。「日本代表だからと、特別なことは何もありません。Jリーグのクラブでも会社でも、組織として何か行う場合のルールはどこも同じだと思います。大切なのは人と人との関わりのなかで、尊重し合い過ごせるような環境作りです」各自が個の能力を高め、お互いがそれらを尊重し認め合うことで“つながるチカラ”が生まれる。そうした森保ジャパンが築き上げた関係性のなかで、“監督”はどのような存在で、どんな役割を果たしているのだろうか。「選手が思い切りプレーできるよう、成長できるよう、黒子としてチームを支えるのが基本的な私の考えです。監督って特別な存在と思われますが、様々な役割があるなかの“監督係”だと思っているんですよ。よく組織の形をピラミッドに例えますが、私は砂時計と表現しています。時によっては、リーダーの位置がくるっと変わるんですね。私が牽引する立場の時もあれば、みんなから教えてもらう側に立つこともあるんです」森保監督が教えてもらうというのは、コーチや選手からの意見。森保ジャパンが分業制で成り立っていることは、あまり知られていない事実かもしれない。監督と選手の間には専門分野に長けたコーチ陣がいて、フィジカルや分析などの各担当に分かれているという。私は決定するだけです。信頼してるから任せられる。「私と彼らで受け持つ仕事の比率を徐々に変えていき、今では9割くらいを各コーチに任せています。プレゼンもしてもらいますし、私とは異なる意見も積極的に出してもらい、最後の最後は私が決定を下していますが、いろいろな価値観を見出すことで、より確かな結論を出せると思っています。彼らに頼り切っていますね(笑)」海外クラブの監督に多いワンマンという手法は、森保監督の選択肢にはなかったよう。「私にはできません(笑)。日本代表の活動期間って2週間くらいしかないんです。そのなかで中途半端に現場のことを私がやっていたら、選手に伝えるべきことが薄く浅くなってしまう。そうであるなら、戦術を熟知している各コーチに任せたほうが合理的ですよね。私も含めて、みんながいろいろなことにチャレンジして成功につながったらいいなと思っています。選手、コーチなど、チームに関わるすべての人が、やりがいを持てる組織でありたいですね」完璧ともいえるチームビルディング。だが、森保ジャパンが一般的な組織と異なるのは、そこに激しいバッシングがあったことだ。「結果で評価されるスポーツですから覚悟のうえであり、勝ったとしても批判はあるものと思っています。とはいえ、批判は少ないほうがいいですね(笑)。指摘を受けた時にしていたのが、原理原則に立ち返ること。それは、『日本代表の勝利のために。日本サッカーの発展のために。社会に貢献できるように』というもの。改めてそこを起点として、問題の対処法を考えるようにしていました。立ち返らなかったら、糸の切れた凧のように修正がきかなくなっていたでしょう。その一方で、批判されるというのは注目されている、試合を観ていただいている証しと、ポジティブにも受け取っています」私たちは、肩書や一時の感情で放たれた言葉に囚われすぎていて、その大本となる人間をしっかり見られているだろうか。対人関係とは文字通り、人と人が向き合うこと。森保監督はこう言う。「私も含めて選手は、チームがうまく機能するための駒ですが、そこには心がある。それを忘れずチームのためにやってきました」試合後に選手の輪の中心に立ち、話をする森保監督。W杯で逆転勝利を果たしたスペイン戦後では死力を尽くした選手たちをねぎらい、決勝ラウンドに向けて士気を鼓舞した。©JFA試合中にメモする姿はおなじみの光景。「良かった点や改善点、心情を記して選手に伝えます」(森保監督)©JFAもりやす・はじめ1968年8月23日、長崎県生まれ。現役時代はサンフレッチェ広島、ベガルタ仙台などでプレー。元日本代表。1993年の“ドーハの悲劇”を経験。現役引退後は広島の監督、東京五輪代表監督、ロシアW杯日本代表コーチなどを経て、2018年7月より日本代表監督。※『anan』2023年3月8日号より。写真・日本サッカー協会Getty Images取材、文・伊藤順子(by anan編集部)
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