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横浜美術館では現在、表現者・教育者の佐藤雅彦初となる大規模な個展「横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」が開催されています。CMやテレビ番組からメディアアートに至るまで、ジャンルを横断して時代に残る作品を発表し続けてきた佐藤氏。その創作の裏側にある独自の思考方法=「作り方」に焦点を当てた本展は、見る者の「分かりたい」という好奇心に火をつけます。横浜美術館「佐藤雅彦展」会場風景 ©FASHION HEADLINEあのCMも、「ピタゴラスイッチ」も──“知ってる”が連鎖する、記憶の迷宮「佐藤雅彦」という名前にピンとこなくても、佐藤氏の手がけた作品に無意識に触れている人は多いはず。たとえば、記憶に残るテレビCM、教育番組NHK『ピタゴラスイッチ』、直感を刺激する映像作品、さらには書籍やゲーム、映画など──会場に一歩足を踏み入れた瞬間から、「これ懐かしい」「あ、これも!?」という驚きと共感の連続が始まります。本展の最大の特徴は、そうした“懐かしさ”を入り口に、創作の奥に潜む「考え方」「伝え方」へと鑑賞者の視点を導く構成にあります。ただ作品を並べるだけではなく、その作品がどのような「作り方」で生まれたのか、思考のプロセスそのものを展示するという試みは、アートの枠を超えた佐藤雅彦という表現者の全貌に迫るものです。展示風景 ©FASHION HEADLINE展示風景 ©FASHION HEADLINE創造の核心は、「作り方を作ること」 「私は、作り方を作っているんです。作り方が新しければ、出来たものはおのずと新しいものになります」本展のキーフレーズとも言えるこの一文は、佐藤氏の創作を貫く哲学を端的に表しています。表現の手段が何であれ、その根底には「分かるように伝えるにはどうすればよいか」という問いがあり、そのための手法や構造自体をつくり出すところから作品が始まっているのです。つまり彼にとって創作活動とは、手段ではなく思考そのもの。作品は、“分かり方”を発見するためのコミュニケーションツールであり、観る者自身が「自分ならどう考えるか」を引き出すきっかけでもあります。展示風景 ©FASHION HEADLINE「アート」とは何かを問い直す、新生・横浜美術館の挑戦この展覧会は、横浜美術館のリニューアルオープン記念展として開催されました。「おかえり、ヨコハマ」展に続き、美術という枠組みにとらわれない多様性を体現する展示として位置付けられています。インスタレーション、アニメーション、インタラクティブな映像コンテンツ、グラフィックデザイン……ジャンルの壁を越えて並ぶ作品群は、どれもが異なる顔を持ちながらも、佐藤という一人の作り手によって繋がれています。その一貫性こそが、“作り方”の結晶であることに気づくとき、観る者のなかにも新たな「観察」と「創造」の芽が育ち始めるはずです。展示風景 ©FASHION HEADLINE横浜美術館リニューアルオープン記念展佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)会 場:横浜美術館 横浜市西区みなとみらい3-4-1会 期:2025年6月28日(土)~11月3日(月・祝) (開館日数:111日)開館時間:10:00~18:00 (入館は閉館の30分前まで)休 館 日:木曜日主 催:横浜美術館、TOPICS特別協賛:株式会社電通、株式会社サイバーエージェント、DNP大日本印刷協 賛:株式会社湖池屋、株式会社ビームス協 力:NHKエデュケーショナル、アドミュージアム東京、NEC、東京藝術大学大学院映像研究科、佐藤雅彦教育文化財団、みなとみらい線観 覧 料:一般2,000(1,900)円/大学生1,600(1,500)円/中学・高校生1,000(900)円/小学生以下無料 ※チケットはオンラインにて発売中。券売所は混雑が予想されるため、オンラインチケットの事前購入をおすすめします。 ※()内は有料20名以上の団体料金[要事前予約(TEL:045-221-0300)、美術館券売所でのみ販売] ※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料(ミライロID可) ※同時開催の「コレクション展」、「アーティストとひらく」も、「佐藤雅彦展」チケットで観覧当日に限り入場可能です。お問い合わせ:横浜美術館TEL 045-221-0300(代表)
2025年06月30日「ハローキティ(Hello Kitty)展 -わたしが変わるとキティも変わる-」が、2025年9月25日(木)から12月7日(日)まで、京都市京セラ美術館 新館 東山キューブにて開催。東京国立博物館でも開催された巡回展となる。ハローキティ50周年を記念した展覧会世界中で愛されるサンリオキャラクター・ハローキティの誕生50周年を記念した「ハローキティ展 -わたしが変わるとキティも変わる-」。“キティとわたし”の50年をテーマに、ハローキティの魅力を紐解く展覧会だ。ハローキティの展示史上最大量のグッズ展示やフォトスポット会場では、ハローキティの展示史上最大量となるグッズの数々を展示。また、個性あふれるアーティストとのコラボレーション作品や、オリジナル映像コンテンツといった様々なコーナーをもとに、長年愛され続けるハローキティの姿に迫る。さらに、写真が撮れるフォトスポットも盛りだくさん。ハローキティ尽くしの空間で、思い出の1枚を残してみては。展覧会概要展覧会「ハローキティ展 -わたしが変わるとキティも変わる-」会期:2025年9月25日(木)~12月7日(日)会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124開館時間:10:00〜18:00(展示室への入場は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(祝日の場合は開館)観覧料:[当日券]一般 2,000円、高大生 1,200円、小中生 800円、グッズ付き(数量限定) 3,000円[前売・団体券]一般 1,800円、高大生 1,000円、小中生 600円、ペアチケット(一般・前売のみ) 3,000円、グッズ付き(数量限定) 3,000円<チケット販売先>美術館公式オンラインチケット、イーティックスオンラインチケット、ローソンチケット(Lコード 51621)、アソビュー!、KKday、イープラス、チケットぴあ(Pコード 995-515)、セブンチケット、CNプレイガイド、楽天チケット、アニメイト、京都新聞文化センター ほか※チケットは6月25日(水)10:00から発売。※前売券は9月24日(水)23:59まで販売。※未就学児入場無料。※団体は20名以上。※障がい者手帳等の提示者は本人及び介護者1名まで無料(要証明)。※グッズ付きチケットは数量限定。無くなり次第、販売終了。物販での販売は無し。※本展は予約優先制。混雑時には入場を待つ場合あり。詳細は美術館公式サイトを要確認。※学生料金で入場の際は学生証を要提示。※本展に関する情報は予告なく変更になる場合あり。最新の情報は京都展公式サイト・SNS等を要確認。【問い合わせ先】京都市京セラ美術館TEL:075-771-4334
2025年06月23日中京テレビ放送株式会社では豊田市美術館とともに主催する「モネ 睡蓮のとき」豊田展を2025年6月21日(土)より開催いたします。展覧会名 : 開館30周年記念「モネ 睡蓮のとき」(豊田市美術館)公式サイト: キービジュアル印象派の画家として広く親しまれるクロード・モネ(1840-1926)。並外れた眼と鋭敏な造形感覚によって、自然の移ろいゆく光と色彩を生き生きと画布にとどめました。画業の円熟期にさしかかったモネは、ジヴェルニーの邸宅を買い取り、睡蓮の池のある「水の庭」を造営していきます。そして、周囲の自然や光が一体となった水面を創造の源として、部屋全体を覆いつくす“大装飾画”の構想へと情熱を傾けていきました。本展の中心となるのは、この時期に描かれた大画面の〈睡蓮〉の数々です。【展覧会の見どころ】(1)モネ最後の挑戦 ― “光の画家”集大成となるモネの晩年の制作に焦点を当てた究極のモネ展クロード・モネ《睡蓮、夕暮れの効果》1897年 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ (C) musee Marmottan Monet/Studio Christian Baraja SLBクロード・モネ《アガパンサス》1914-1917年頃 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ (C) musee Marmottan Monet(2)世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開作品7点を含む、厳選された作品が多数来日!さらに日本国内に所蔵される名画を加えた、国内外のモネの名作が一堂に会するラインナップクロード・モネ《睡蓮》1916-1919年頃 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ (C) musee Marmottan Monetクロード・モネ《睡蓮》1914-1917年頃 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ (C) musee Marmottan Monet(3)2メートルを超える大画面の〈睡蓮〉に囲まれて、モネの世界に浸る、本物の没入体験クロード・モネ《睡蓮》1916-1919年頃 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ (C) musee Marmottan Monet■展覧会アンバサダーは石田ゆり子さん!パリをこよなく愛し、モネにもひときわ想いが深い石田ゆり子さんが、「モネ 睡蓮のとき」アンバサダーに就任。アーティストlilyとして本展テーマソングも歌います。また、音声ガイドでは、映画『もののけ姫』サン役など声優としての活躍でも知られるその魅力的な声で、モネの世界へと誘います。会場で、目だけでなく「耳」でもモネの世界にひたることができます。展覧会アンバサダーは石田ゆり子さん ※国立西洋美術館で撮影された写真です。 (C)NTV<石田ゆり子さん コメント>モネとの出会いは、わたしが19歳のとき。初めてパリで訪れた、睡蓮の間。あのとき、あの空間に初めて踏み入れた時の、丸ごと包み込まれるような感動を昨日のことのように記憶しています。時は流れて、この度こうして開催されるモネ展のアンバサダーに就任することになり、まるで夢を見ているかのような幸福な気持ちでいっぱいです。 加えて、音声ガイド、そしてなんとテーマソングも歌い手として担当させていただくことになり、身に余る光栄です…。心をまっさらにして、思う存分モネの世界に浸る。そんな空間が海を超えて日本にやって来るのですね。楽しみでなりません。<プロフィール>石田ゆり子(いしだゆりこ)1988年ドラマ『海の群星』でデビュー。以降、ドラマ・映画・舞台・執筆活動など、多岐にわたり活躍。近年は、『友情~平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」~』・『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』・連続テレビ小説『虎に翼』・『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』(8月1日公開)などに出演。lily名義で音楽活動も行っている。■豊田展限定オリジナルグッズも!i 坂角総本舗 ゆかり詰合せ箱愛知の伝統菓子である「坂角総本舗」のえびせんべい〈ゆかり〉と「モネ 睡蓮のとき」豊田展がコラボ!箱全体にダイナミックにデザインされた日本初公開の《睡蓮》の絵柄とともに、お楽しみいただける、お土産にぴったりの一品です。<海老せんべい〈ゆかり〉>江戸時代、尾張徳川家2代の光友が横須賀(現在の愛知県東海市)に御殿を建てた際、漁師たちが浜辺で炙り焼いた「えびはんぺい」を極上の美味と賞され、献上品となったことに由来。1枚の約7割が海老の身でできており、新鮮な海老の身を丹念に焼き上げた深く香ばしい味わい。ていねいな二度焼き仕上げにより、豊かな風味と香ばしさを引き立たせています。ゆかり詰合せ箱ゆかり詰合せ箱ii PFLANZEN-APOTHEKE〈睡蓮〉のためのブレンドティー名古屋在住のティーブレンダー佐藤 智美氏によるオリジナルティーブランド「PFLANZEN-APOTHEKE」と「モネ 睡蓮のとき」豊田展がコラボしてお届けする、〈睡蓮〉の世界を再現した、豊田限定のオリジナルティー!蓮花の香りを着香したオーガニック緑茶と蓮の葉を主軸にスミレ、ダマスクローズなどの花をあしらい、水辺の植物をイメージした柑橘系ハーブと共に甘く華やかに香り立ちます。 8種類の繊細な材料が絶妙なバランスでブレンドされた茶葉は、湯を注ぐと睡蓮の絵画のような色彩がティーポットに広がり、味と香りだけでなく、視覚的にも展覧会での感動を追体験できる特別なブレンドティーです。オリジナルティーは、本展覧会のために製作した限定ボックス入り。デザインは2種類。熟練の職人による貼り箱仕様で、箱の内側にも「睡蓮」の世界が広がります。お茶を飲み終えた後も展覧会の思い出の品として長く愛用いただけるデザインです。<PFLANZEN-APOTHEKE>「PFLANZEN-APOTHEKE(プランツェン アポテーケ)」は名古屋在住のティーブレンダー佐藤 智美氏によるオリジナルティーブランド。佐藤氏は、老舗レストラン等へのメニュー提供や他社ティーメーカーのプロデュースなど多方面で活躍。数々のハイブランドのオリジナルティー製作も手掛けてきた実力と実績の持ち主です。独創性に富んだ材料のセレクトと精巧なブレンディングが特徴で、五感に響く芸術的なお茶にはそれぞれストーリーがあり、唯一無二の美味しさ。「プランツェン アポテーケ」の美しい世界観に共感するファンは全国に拡がり、幅広い層から支持されています。〈睡蓮〉のためのブレンドティー〈睡蓮〉のためのブレンドティー〈睡蓮〉のためのブレンドティー■開催概要展覧会名:開館30周年記念「モネ 睡蓮のとき」会期 :2025年6月21日(土)~9月15日(月・祝)休館日 :月曜日(7月21日、8月11日、9月15日は開館)開館時間:午前10時~午後5時30分(いずれも入場は閉館の30分前まで)会場 :豊田市美術館〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1TEL :0565-34-6610観覧料 :一般 2,300円、大学生 1,400円※券種により、使用できる期間が異なります。詳しくは公式HPをご確認ください。※高校生以下無料※大学生無料期間:6月21日(土)~7月4日(金)※学生料金でご入場の方は学生証のご提示をお願いいたします。※以下の方は観覧料が無料になります。(要証明)豊田市内在住の18歳以下の方(満18歳から最初の3月31日まで)豊田市内在住で満70歳以上の方豊田市内在住で母子・父子家庭医療費の受給を受けている方※以下の手帳等の交付を受けている方、及びその介添者(1名)(要証明)身体障害者手帳(ミライロID可)精神障害者保健福祉手帳(ミライロID可)戦傷病者手帳療育手帳(名古屋市:愛護手帳)※入場券の変更・払戻・再発行・転売不可主催 :豊田市美術館、マルモッタン・モネ美術館、中京テレビ放送後援 :在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ特別協賛 :大成建設協賛 :第一生命グループ、光村印刷協力 :日本貨物航空、NX 日本通運豊田展協力:あいち豊田農業協同組合企画協力 :NTVヨーロッパ【一般のお問合せ】豊田市美術館0565-34-6610【公式サイト】 【美術館サイト】 【公式X】@monet2024_jp 【公式Instagram】monet2024_jp 【巡回情報】東京展 2024年10月5日(土)~2025年2月11日(火・祝)国立西洋美術館(終了)京都展 2025年3月7日(金)~6月8日(日)京都市京セラ美術館(終了) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年06月20日企画展「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」が、鳥取県立美術館にて2025年7月19日(土)から8月31日(日)まで開催される。東京・六本木などでも開催された巡回展だ。水木しげるの故郷で大型展覧会が開催水木しげるは、「ゲゲゲの鬼太郎」をはじめ数多くの妖怪作品を世に送り出した漫画家。「妖怪」という言葉を広く一般に浸透させただけでなく、日本の妖怪ブームを長年にわたり牽引してきた人物でもある。そんな水木の生誕100周年を記念した展覧会「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」では、日本の妖怪画だけでも生涯で1,000点近く妖怪画を描いた、水木の創作方法に着目。妖怪の「実存感」の表現にこだわった水木の様々な資料や手法などを通して、その独自の世界観を創り上げるまでの道筋に迫る。水木しげるの故郷である鳥取の地で、ユニークな妖怪世界に浸ることができる展覧会となっている。100点以上の原画を展示会場には、水木しげるの妖怪画をテーマごとに100点以上展示する。なかでも、山、水、里、家の4つの場所に即して妖怪画を分類し、展示したエリアでは、妖怪のいる場所や、その雰囲気を大切にした水木の表現手法を見比べることができる。また、「ぬりかべ」などのお馴染みの妖怪に加え、山陰地方の妖怪画も特別に公開される。水木しげる所蔵の妖怪関連資料も展示さらに、妖怪画を多く描いた浮世絵師の鳥山石燕(とりやませきえん)による「画図百鬼夜行」や、日本各地の民話を収集した柳田國男の「妖怪談義」など、水木しげるが妖怪画を描くきっかけとなった書籍を公開。貴重な資料から、日本の妖怪文化の足跡を辿ることができる。妖怪と写真撮影できるARコーナーもさらに、妖怪たちと写真撮影ができるARコーナーも設置する。専用アプリを使用した「妖怪カメラAR」では、隠れている妖怪を探し出し、現れた妖怪と一緒に記念撮影が楽しめる仕組みとなっている。【詳細】「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」会期:2025年7月19日(土)〜8月31日(日)会場:鳥取県立美術館 3F 企画展示室住所:鳥取県倉吉市駄経寺町2-3-12開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)※夜間開館日(7月19日(土)・20日(日)、8月2日(土)・9日(土)・10日(日)・30日(土)・31日(日))は21:00まで休館日:月曜日(7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館)、7月22日(火)観覧料:一般 1,500円(1,200円)、学生 950円(750円)、高校生 500円(400円)、小中学生 300円(240円)※( )内は前売料金および20名以上の団体料金※未就学児、障がい者・難病患者・要介護者およびその介護者の観覧は無料(手帳など証明できるものを要提示)※企画展チケットで当日のコレクション展も観覧可※8月8日(金)は「妖怪の日」として前売料金で観覧可能(他の割引との併用不可)【問い合わせ先】鳥取県立美術館パートナーズTEL:0858-24-5442(平日 9:00~17:00)
2025年06月15日企画展「宮城県美術館コレクション 絵本のひみつ展」が、富山県美術館にて2025年7月12日(土)から8月24日(日)までの期間開催される。月刊絵本「こどものとも」の原画を公開「宮城県美術館コレクション 絵本のひみつ展」は、宮城県美術館が所蔵する絵本原画を公開する展覧会。今回は、月刊絵本「こどものとも」の作品を中心に、貴重な原画をその素材や技法に着目して紹介する。「こどものとも」の原画展は、2022年にも開催され、好評を博した。月刊絵本「こどものとも」とは?「こどものとも」は、芸術を感じ取る豊かな感性を養う絵本づくりを目指し、福音館書店が創刊した月刊絵本シリーズ。洋画、日本画、漫画、商業デザインなど、幅広い分野の美術家を起用したことで知られている。「絵本のひみつ展」では、そんな「こどものとも」で活躍した20名の作家を紹介。西洋絵画の特質を取り入れた日本画家・秋野不矩(ふく)や、日本画家の朝倉摂、漫画家やエッセイストなどとして幅広く活動した長新太など、多彩な作家たちの作品が一堂に会する。原画ならではの質感から絵本の表現を辿る会場には、絵本36タイトルの臨場感あふれる原画を展示。原画だからこそ辿ることのできる手の痕跡や、画材の質感に注目することで、その描写に込められた作家の思考を掘り下げる。例えば、関野凖一郎《うしかたとやまうば》で描かれている水の流れは、木版画ならではの木目あとを活かして表現したもの。また、田島征三の《ふるやのもり》では、厚く塗り重ねた絵の具の盛り上がりが見え、その場面の迫力を直に感じることができる。【詳細】企画展「宮城県美術館コレクション 絵本のひみつ展」開催期間:2025年7月12日(土)~8月24日(日)開館時間:9:30~18:00(入館は17:30まで)休館日:水曜日、7月22日(火)※8月13日(水)は開館会場:富山県美術館 2階 展示室3、4<観覧料>一般:前売 850円、当日 1,100円(20名以上の団体は850円)※一般前売券の販売は7月11日(金)まで大学生:550円(20名以上の団体は420円)高校生以下:無料【問い合わせ先】富山県美術館TEL:076-431-2711
2025年06月13日展覧会「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」が、2025年7月11日(金)から8月24日(日)まで、ジェイアール京都伊勢丹に隣接する美術館「えき」KYOTOにて開催される。熊本市現代美術館でも開催された巡回展だ。「アンパンマン」生みの親・やなせたかしの大規模巡回展「アンパンマン」生みの親として知られる、やなせたかし。漫画家、詩人、児童書作家、イラストレーター、グラフィックデザイナー、編集者など幅広い分野で活躍した、多才なアーティストだ。1988年にテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」の放送が始まると、作品は瞬く間に国民的な人気を博した。このほか代表作には、楽曲「手のひらを太陽に」や、絵本「やさしいライオン」などがある。やなせにとって、“人々に喜びを与えること”こそが人生最大の喜びであり、まさに究極のエンターテイナーといえる存在だった。漫画や絵本の原画を展示展覧会「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」は、やなせたかしにとって初めてとなる大規模な巡回展。会場内では、代表作「アンパンマン」をはじめ、「やなせたかし大解剖」「漫画」「詩」「絵本/やなせメルヘン」の5つのテーマに分けて、貴重な原画を展示する。ヒーロー・アンパンマンの原画特に注目したいのが、「アンパンマン」の原画だ。過酷な戦争の体験、家族との悲しい別れ、そして人生で出会ったさまざまな人々との交流を経て、やなせは「私たちはなぜ生まれ、どう生きるべきか」を問い続けた。その答えとして描かれたのが、決して派手さやカッコよさはないが、本当に困っている人にパンを差し出すヒーロー、アンパンマンだった。今もなお人々に勇気と感動を与え続ける、やなせたかしの世界観を、この機会にじっくりと楽しんでみては。【詳細】展覧会「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」開催日程:2025年7月11日(金)~8月24日(日) ※会期中無休時間:10:00~19:30 ※入館は閉館の30分前まで会場:美術館「えき」KYOTO住所:京都府京都市下京区 京都駅ビル内 ジェイアール京都伊勢丹7F隣接入館料:一般 1,000円(前売800円)、高・大学生 800円(前売600円)、小・中学生 500円(前売300円)※高・大学生は学生証を要提示。※障害者手帳提示で本人と同伴者1名まで当日料金より200円割引。※前売券販売期間:2025年5月30日(金)~7月10日(木)。販売場所は当館チケット窓口(休館日を除く)、チケットぴあ(Pコード687-171)、ローソンチケット(Lコード53204)。※展示作品、イベント内容が変更または中止となる場合あり。<巡回情報>◾️かごしま近代文学館開催日程:2025年9月19日(金)~10月20日(月)住所:鹿児島県鹿児島市城山町5-1◾️周南市美術博物館開催日程:2025年11月14日(金)~12月28日(日)住所:山口県周南市花畠町10-16◾️松坂屋美術館開催日程:2026年2月住所:愛知県名古屋市中区栄3-16-1 松坂屋名古屋南館 7階◾️福岡県立美術館開催日程:2026年4月17日(金)〜6月14日(日)住所:福岡県福岡市中央区天神5-2-1◾️世田谷文学館開催日程:2026年6⽉30⽇(火)〜9⽉6⽇(日)住所:東京都世田谷区南烏山1-10-10
2025年06月12日スウェーデンの首都ストックホルムにあるスウェーデン国立美術館が所蔵する世界有数の規模を誇る素描コレクションを紹介する展覧会が、7月1日(火)から9月28日(日)まで、東京・上野の国立西洋美術館で開催される。素描とは、木炭やチョーク、ペンなどを用いて対象の輪郭、質感、明暗などを表現した線描中心の平面作品のこと。絵画や彫刻などの構想を練る、下絵にする、完成作品の記録をするといった様々な目的でつくられる。あらゆる造形の基礎となるものであり、また素描自体が完成作品として仕上げられることもあるが、いずれにしても作者の手の跡がより直接的に感じられ、制作の試行錯誤の過程や作家独自のこだわりがうかがえるのが大きな魅力である。ジョヴァンニ・ダ・ウーディネ《空飛ぶ雀》スウェーデン国立美術館蔵©Cecilia Heisser/Nationalmuseum 2016主に紙に描かれる素描は環境の変化や光、振動の影響を受けやすいため、通常は海外所蔵作を日本で公開することは難しいが、今回は特別に、質・量ともに充実したスウェーデン国立美術館の素描コレクションから、選りすぐりの名品約80点が来日する。ルネサンスからバロックまで、巨匠たちの作品をまとめて本格的に紹介する初の機会となっている。4章からなる同展は国別で構成されている。ルネサンスからマニエリスム、そしてバロックに至るまで美術の中心地であったイタリアの章では、バロッチやカラッチ、パルミジャニーノらの巨匠が並び、フランスの章では、フォンテーヌブローの宮廷で活躍した画家たちやパリ画壇を率いたヴーエやル・シュウールらフランス・バロックを代表する画家が登場。ドイツの章は、16世紀の作例を中心に、グリューネヴァルトやデューラーの見応えのある作品が並び、ネーデルラントの章では、絵画で扱われる主題の幅が広がった17世紀の作品を中心に、ルーベンスやレンブラントなどの巨匠の傑作を目にできる。パルミジャニーノ(フランチェスコ・マッツォーラ)《聖ヨハネと男性聖人を伴う「長い首の聖母」のための習作、左に向かって歩く男性》スウェーデン国立美術館蔵©Cecilia Heisser/Nationalmuseum「偉大な芸術家はまた卓越した素描家でもある」という言葉通りの名品ぞろい。美術史に名を連ねる芸術家たちの技量と構想力のすべてが注ぎ込まれた優れた素描作品を通して、巨匠たちの創造の場に直接立ち会っているかのような臨場感が味わえるに違いない。<開催概要>『スウェーデン国立美術館素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで』会期:2025年7月1日(火)~9月28日(日)会場:国立西洋美術館時間:9:30~17:30、金土は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜(7月21日、8月11日、9月15日、9月22日は開館)、7月22日(火)、9月16日(火)料金:一般2,000円、大学1,300円、高校1,000円チケット情報: ()公式サイト: (h)
2025年06月11日2025年2月に、大規模な改修を終えて再オープンした神奈川県の横浜美術館。リニューアルオープン記念展『佐藤雅彦展新しい×(作り方+分かり方)』が、6月28日(土)から11月3日(月・祝)まで開催される。1954年生まれの佐藤雅彦は、広告代理店・電通で、湖池屋「スコーン」「ポリンキー」、NEC「バザールでござーる」、サントリー「モルツ」などの斬新なCMを手がけ、また1994年に企画事務所を設立してからは、プレイステーションソフト「I.Q」や「だんご3兄弟」など、ジャンルを横断したコンテンツを次々とヒットさせた。2002年には、教鞭をとっていた慶應義塾大学の佐藤雅彦研究室でNHKの教育番組「ピタゴラスイッチ」を立ち上げ、国民的幼児教育番組として高い評価を受けている。ピタゴラ装置(NHK「ピタゴラスイッチ」より)、画像提供:横浜美術館話題作やヒット作を連発してきた佐藤はまた、ヴィジュアルデザインやコピーライティング、漫画、ゲーム、楽曲、映画、教科書、膨大な著書まで、表現ジャンルが多岐にわたることでも特筆される。今回の展覧会は、表現者・教育者としての佐藤が生み出した多彩なコンテンツを一堂に紹介し、40年にわたる創作活動の軌跡をたどる世界初の大規模個展となる。同展が特に注目するのは、佐藤の創作の根幹にある「作り方」と「分かり方」についての独自のアイデアや方法論だ。「作り方」とは、世界の観察の仕方、ものごとの解釈の仕方、考えの整頓の仕方など、あらゆる思考をめぐる佐藤流のメソッドとも言えるというが、佐藤はそこから出発して、いかに伝えるかを考え、それを分かるように、あるいはもっと分かりたくなるように「表現」へと転化させていく。同展は、佐藤の創作プロセスを紹介しながら、その独創的な「作り方」を紐解き、コミュニケーションデザインの方法論を明らかにするものだ。計算の庭(桐山孝司との共作)森美術館『六本木クロッシング2007』展示風景会場には、記憶に残るテレビ番組やCM、キャラクター、知的好奇心を刺激する映像作品やメディアアートなど、多彩な作品が並ぶ。ピタゴラ装置の実物が4台も特別展示されるのも楽しみなところだ。多様なジャンルで活躍するひとりの表現者の「作家性」を浮き彫りにする同展はまた、リニューアル後の同館が標榜する「テーマとジャンルの多様性」を象徴する展覧会としても興味深い。<開催概要>横浜美術館リニューアルオープン記念展『佐藤雅彦展新しい×(作り方+分かり方)』会期:2025年6月28日(土)~11月3日(月・祝)会場:横浜美術館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)休館日:木曜料金:一般2,000円、大学1,600円、高中1,000円公式サイト:
2025年06月06日岡山の備前市立備前焼ミュージアムが、2025年7月12日(土)、「備前市美術館」としてグランドオープンする。備前市立備前焼ミュージアムが「備前市美術館」へ岡山・備前の陶磁器「備前焼」を紹介してきた備前市立備前焼ミュージアムが、2023年からの休館を経て、「備前市美術館」として装いも新たに開館。備前焼をはじめとする現代陶芸ばかりでなく、世界の現代美術、建築やデザインなど紹介する拠点として活動してゆく。展示室や屋上庭園を望むラウンジも素材そのものの飾らない美しさを愛する「素の美」をテーマとした建物には、展示室、ミュージアムショップやカフェ、屋上庭園を望むラウンジや茶室などを展開。2階の「展示室」では、国内外の多彩な文化芸術を紹介する企画展を年に数回開催する一方、1階の「歴史展示室」では、郷土資料の展示をとおして備前焼の歴史を紹介する。ピカソの陶芸や備前の現代陶芸を紹介する開館記念展備前市美術館の開館に合わせて、2つの展覧会を開催。まず、7月12日(土)から9月28日(日)まで開催される開館記念展I「ピカソの陶芸—いろとかたちの冒険—」は、パブロ・ピカソの陶芸に焦点を合わせる展覧会だ。キュビスムを創始したことで知られるピカソは、陶芸の分野でも3,000点以上の作品を残した。本展では、皿、水差し、花瓶、壺など、ピカソが手がけた陶器作品36点と版画2点を目にすることができる。また、7月12日(土)から9月28日(日)まで開催される開館記念展II「備前の現代陶芸:至極の逸品」では、備前の現代陶芸を紹介。備前焼は、約800年の歴史を有しており、現在もその伝統を受け継ぎつつ、新たな表現を追求する陶芸家が活動している。会場では、人間国宝である藤原啓、山本陶秀、藤原雄、伊勢﨑淳といった巨匠から中堅・若手作家まで、前後期合わせて37名・約80点の作品を展示する。詳細備前市美術館グランドオープン日:2025年7月12日(土)住所:岡山県備前市伊部1659-6開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日に休館)、年末年始※そのほか、展示替えなどによる臨時休館ありアクセス: JR赤穂線「伊部駅」より徒歩1分■開館記念展I「ピカソの陶芸—いろとかたちの冒険—」会期:2025年7月12日(土)~9月28日(日)会場:備前市美術館 2F 展示室2・3観覧料:一般 1,000円、高校生・大学生・専門学校生 500円、中学生以下 無料※本展のチケットで、同会期中の開館記念展II(前期)も観覧可■開館記念展II「備前の現代陶芸:至極の逸品」会期:2025年7月12日(土)~12月25日(木)[前期 7月12日(土)~9月28日(日) / 後期 10月11日(土)~12月25日(木)]会場:備前市美術館 2F 展示室観覧料:・前期=一般 1,000円、高校生・大学生・専門学校生 500円、中学生以下 無料※本展(前期)のチケットで、同会期中の開館記念展Iも観覧可・後期=一般 500円、高校生・大学生・専門学校生 300円、中学生以下 無料※本展(後期)のチケットでほかの企画展も観覧可【問い合わせ先】備前市美術館(代表)TEL:0869-64-1400※開館準備期間中は(一財)備前市文化芸術振興財団 事務局
2025年06月05日特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」が、2025年7月19日(土)から9月23日(火・祝)まで、 熊本市現代美術館にて開催。東京・上野の国立科学博物館で開催されたで開催され、九州初の巡回となる。“和食”の魅力に迫る大事典的展覧会“和食”は、日本列島の多様な自然やそこに暮らす人々の知恵・歴史を背景に発展し、2013年にはユネスコ無形文化遺産へ登録されるなど、世界中から注目を集めている。「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」は、そんな“和食”に焦点を当てた展覧会だ。会場では、和食の多様な食材と人々の知恵や工夫、歴史的変遷などを紹介。リアルな食品サンプルや動植物標本、迫力ある映像などを通して、視覚的にも分かりやすく和食の魅力を解説していく。“多様性”に富んだ和食の食材、技術和食の魅力を探るキーワードのひとつは“多様性”。食の基本である水をはじめ、キノコや山菜、野菜、海藻、魚介類など、日本列島は世界でも有数の生物多様性を誇る。展示では、日本列島が育むそれらの食材や、日本人が育んできた発酵技術、出汁の文化について、科学的な視点から理解を深めることができる。“昔のお弁当”レプリカや江戸の再現屋台また、和食の歴史を紐解くエリアでは、昔のお弁当のレプリカや、寿司、天ぷら、そばが並ぶ江戸時代の屋台の再現展示、織田信長が徳川家康をもてなした本膳料理の再現模型なども登場。縄文時代から現代に至るまでの和食の変遷が紹介される。熊本会場限定展示もなお「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」が九州地方で開催されるのは、熊本市現代美術館のみ。熊本会場の限定展示も用意しており、熊本の食に焦点を当てたイベントや、変化の大きい現代を食から考える現代アート作品など、オリジナルの内容を楽しめる。展覧会概要「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」会期:2025年7月19日(土)~9月23日(火・祝)会場:熊本市現代美術館ギャラリーⅠ・Ⅱ住所:熊本県熊本市中央区上通町2-3休館日:火曜 ただし9月23日(火・祝)は開館開館時間:10:00~20:00(入場は19:30まで)観覧料金:一般 1,600(1,200)円、シニア(65歳以上) 1,200(1,000)円、学生 900(700)円、中学生以下無料※( )内は前売、20名以上の団体、電車・バス1日乗車券等を提示の料金。※各種障害者手帳の提示者とその付き添い1名は無料。※うぇるかむパスポートのご提示者は無料。<チケット取り扱い>熊本市現代美術館、セブンチケット、KKday、熊日プレイガイド(前売券のみ)【問い合わせ先】熊本市現代美術館TEL:096-278-7500
2025年06月04日渋谷区立松濤美術館では、2025年6月21日(土)より、『黙然たる反骨安藤照』展を開催する。渋谷区を代表するモニュメントのひとつ《忠犬ハチ公像》(初代)を制作した彫刻家、安藤照(1892~1945)の没後80年を記念して、その仕事を網羅的に紹介する、日本初の回顧展だ。1892年(明治25)鹿児島県鹿児島市に生まれた安藤は、上京して早稲田大学商科へ入るも、その後同校を退学し、東京美術学校彫刻科塑像部予備科に入学した。彫刻家になってからは帝国美術院展覧会(帝展)を舞台に活躍し、1934年(昭和9)には《忠犬ハチ公像》(戦時中に金属供出される。現在のハチ公像は安藤の息子で同じ彫刻家の士/たけしが制作)、1937年(昭和12)には《西郷隆盛像》(鹿児島県鹿児島市)と、代表的なモニュメントを制作。着実に彫刻家としての地位を築いていたが、1945(昭和20)年5月、原宿や表参道などを焼き尽くした「山の手空襲」の犠牲となり、53年の生涯を閉じた。安藤照《兎》制作年不詳鹿児島市立美術館蔵多くの作品を保管していた渋谷区代々木の自宅兼アトリエも爆撃されたため、現存する安藤の作品は約30点と少ない。しかし、彼の生涯を、関連する作家たちの作品とともにたどる同展では、1928年(昭和3)、帝展の審査員制度をめぐる師・朝倉文夫の行動に異を唱えて、新たに作品研究の場「塊人社」を立ち上げ、芸術家への戦争協力の要請に、やむを得ず「塊人社」の社員で軍需工場を作り、戦闘機の部品の石膏型を製作するなど、安藤照の足跡から当時の日本の彫刻界や時代の雰囲気などを知ることができる。安藤照《女性仰臥像》1927(昭和2)年鹿児島市立美術館蔵そんな激動の時代にあって、あの《忠犬ハチ公像》はどのように制作されたのか?制度や時勢と戦いながら、黙々と制作を続けた彫刻家の生き様に改めて興味が湧くに違いない。<開催概要>『黙然たる反骨安藤照―没後・戦後80年忠犬ハチ公像をつくった彫刻家―』会期:2025年6月21日(土)~8月17日(日)会場:渋谷区立松濤美術館時間:10:00~18:00、金曜は20:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜(7月21日、8月11日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)料金:一般1,000円、大学800円、高校・60歳以上500円、中小100円※土日祝及び夏休み期間は小中学生無料、金曜日は渋谷区民無料公式サイト:
2025年06月03日展覧会「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展〈童堂賛歌〉」が、2025年6月21日(土)から9月7日(日)まで、滋賀県立美術館にて開催される。千葉市美術館でも開催された巡回展だ。ザ・キャビンカンパニーの大規模個展が滋賀県立美術館にザ・キャビンカンパニーは、2009年に阿部健太朗と吉岡紗希が結成した2人組アーティスト。大分県由布市にある廃校をアトリエとして拠点にし、40冊を超える絵本や個性的なタッチが特徴の絵画のほか、立体作品やイラストレーションなど幅広い作品を手がけてきた。また、歌手・あいみょんのツアーパンフレットを担当したり、NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」のコーナー「しりたガエルのけけちゃま」を制作したりと、ジャンルを超えた幅広い活躍を行っている。仕掛けが満載の7部屋構成展覧会「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展〈童堂賛歌〉」は、そんなザ・キャビンカンパニーの大規模個展。会場内は7つのテーマごとに分かれた部屋で構成されており、1冊の大きな絵本の中に入り込んだかのようなワクワク感あふれる仕掛けが満載。ザ・キャビンカンパニーのユニークな世界観を、存分に楽しむことができる。約300点の絵本原画が並ぶカラフル壁画展示されるのは、活動初期の作品から最新作に至るまでの絵本原画を中心に、立体造形や映像作品など。中でも注目は、約300点もの原画を一堂に並べた巨大な壁面作品《玉虫色の窓》。ザ・キャビンカンパニーがこれまで制作した絵本から選び抜かれた原画が一面に展示され、鮮やかな色彩が訪れた人の目を楽しませる。それぞれの原画は作品のイメージに合わせた色の木製額縁で飾られ、まるで物語の世界を窓越しに眺めているような気分を味わえるのも魅力だ。ダンボールや紙粘土で作られた廃遊園地また、忘れ去られた廃遊園地のような情景を体現した大型インスタレーション《アノコロの国》も登場する。このインスタレーションは、観覧車を彷彿とさせるオブジェやメリーゴーランドの馬のモチーフなど、大小さまざまな立体作品で構成されたもの。どれも段ボールや板、紙粘土といった、幼少期の頃から馴染みのある素材で作られているのも見どころ。床一面には草原をイメージした約1万本もの突起物が敷き詰められ、独特の世界観を作り出している。滋賀会場限定の新作品滋賀会場限定で目にすることができる、新たな作品もポイント。展覧会場の中間地点に位置する「ソファのある部屋」には、部屋から見える素敵な日本庭園の風景と、ザ・キャビンカンパニーの詩が融合する作品が登場する。キャラクター&あいみょんとのコラボ作品もこのほか、ザ・キャビンカンパニーがこれまで行ってきたコラボレーション作品も紹介。「しりたガエルのけけちゃま」のキャラクターデザイン原画や、歌手・あいみょんが2021年に開催したツアー「傷と悪魔と恋をした!」のパンフレット原画などが展示される。【詳細】展覧会「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展〈童堂賛歌〉」会期:2025年6月21日(土)〜9月7日(日)開館時間:9:30〜17:00(最終入場16:30まで)休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日休館)会場:滋賀県立美術館 展示室3ほか住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1入場料:一般 1,200円(団体 1,000円)、高校生・大学生 800円(団体 600円)、小学生・中学生 600円(団体 450円)※団体料金は20名以上の場合に適用。※企画展チケットの提示で展示室1・2で同時開催中の常設展も観覧可能。※未就学児無料。※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳所持者及びその介護者は無料。【問い合わせ先】滋賀県立美術館TEL:077-543-2111
2025年05月31日2025年6月28日(土)より、大阪の国立国際美術館では、特別展『非常の常』を開催する。気候変動ほかの天変地異や、侵略、戦争、突然の経済危機など、本来非常であることが常態化している現在にあって、私たちはどのように生きることができるのか?国内外で活躍する8名の作家の表現を通じて、明日を生きる希望を探る展覧会だ。今回紹介する作家たちは、様々な非常の出来事に目を向けている。例えば、イギリスを拠点に活動中の米田知子(1965~)の、一見穏やかで美しい風景写真は、実は、休戦状態で今も緊張が続く韓国と北朝鮮との非武装地帯(DMZ)を捉えた作品。また台湾を拠点とする袁廣鳴(ユェン・グァンミン、1965~)のビデオ作品は、心地良い居住空間が何者かによって次第に破壊されていく、戦争と背中合わせの日常を描き出している。米田知子《絡まった有刺鉄線と花(非武装地帯近く・チョルウォン・韓国)Ⅰ》2015年 作家蔵 Copyright the artist Courtesy of ShugoArtsこの袁廣鳴は、創意を凝らした撮影技術で驚くべき精緻な映像世界を作り出す作家だが、同展では8人中7人が映像によるインスタレーション作品を発表しているのも特徴だ。3Dアニメーションと実写を組み合わせた短編映画のようなキム・アヨン(1979~、韓国拠点)や、作家自身による体当たりの行為を美しいモノクロ表現で見せる潘逸舟(1987~、中国・上海市出身、日本拠点)の作品など、多様な映像表現に魅了される来館者も多いだろう。袁廣鳴の《日常戦争》と、キム・アヨンの《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》は、同館に昨年度収蔵され、今回が初お披露目となる作品。さらに香港出身で台湾に拠点を置くリー・キットの《僕らはもっと分別があった。》(We used to be more sensible.)は、2018年に東京で個展を行って以来、久々に日本で発表する新作だ。ぜひ、その絵画のように詩的な映像美を堪能したい。リー・キット《Tearing the world apart, yet achieving absolutely nothing.》2025年 Courtesy of the artist / Lee Kit<開催概要>特別展『非常の常』会期:2025年6月28日(土)~10月5日(日)会場:国立国際美術館時間:10:00~17:00、金土は20:00まで(入場は閉館の 30 分前まで)休館日:月曜(7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火)料金:一般1,500円、大学900円公式サイト:
2025年05月30日展覧会「はしもとみお 木彫展 ~いきものたちとの旅~」が、2025年7月19日(土)から9月23日(火・祝)まで、群馬県立館林美術館にて開催される。温もりあふれる動物彫刻家・はしもとみおはしもとみおは、動物たちの姿を木彫作品で表現する彫刻家。三重県北部の古い倉庫にアトリエを構え、自身の身近に暮らす動物や、旅先で出会った動物など、実際にこの世界に生きている、または生きていた動物たちをモデルに、温もりあふれる彫刻作品を制作している。様々な動物彫刻が集う展覧会「はしもとみお 木彫展 ~いきものたちとの旅~」は、はしもとが手がけた動物彫刻を、森や海、街や宇宙など、様々なシチュエーションの中で紹介していく展覧会。いきものたちが暮らす風景を、まるで旅するかように巡ることができる。鳥羽水族館のラッコ“キラちゃん&メイちゃん”新作彫刻注目は、日本で唯一ラッコを飼育する鳥羽水族館のキラちゃんとメイちゃんをモデルにした新作彫刻。《メイちゃん(ラッコ)》では、両頬に手を当てたメイちゃんの愛らしい姿を表現した。会場では、取材中の様子を撮影した動画などもあわせて上映される。裸足で上を歩ける“恐竜”彫刻また、はしもとが初めて古代の生き物・恐竜をモデルにした大きさ7メートルの大作《タンバリン(丹波竜)》も登場。発掘現場のごとく床置きで展示される本作は、彫刻の上を裸足で歩いて鑑賞することも可能だ。ほかにも、一部作品は実際に彫刻を触りながら鑑賞を楽しめる。動物たちを描いたペン画の絵日記もさらに、はしもとによるペン画の絵日記『あしたやさしくなれますように』の描き直し原画も初公開。はしもとが芸術家を目指した親友を励ますために送ったされる絵日記で、犬や猿といった動物たちの姿が繊細なタッチで描かれている。展覧会概要「はしもとみお 木彫展 ~いきものたちとの旅~」会期:2025年7月19日(土)~9月23日(火・祝)会場:群馬県立館林美術館住所:群馬県館林市日向町2003休館日:月曜日、なお7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館開館時間:9:30~17:00(入館は午後16:30まで)観覧料:一般 830(660)円、大高生 410(320)円※( )内は20名以上の団体割引料金。※中学生以下、障害者手帳等の所持者とその介護者1名は無料。※群馬県在住の65歳以上の者は平日のみ2割引。【問い合わせ先】群馬県立館林美術館TEL:0276-72-8188
2025年05月25日展覧会「オバケ?」展が、福岡アジア美術館で2025年7月10日(木)から8月31日(日)まで開催される。東京のプレイミュージアム(PLAY! MUSEUM)での開催を経て、巡回展として福岡に登場する。“オバケ”を掘り下げる体験型展覧会「オバケ?」展は、その名の通り、オバケをテーマにした多彩なコンテンツを用意する体験型展覧会。落語や音楽、絵本、歴史など、さまざまな視点からオバケの魅力を再発見できるイベントだ。多彩なコンテンツで“オバケ”の魅力を再発見中でも注目は、世代を超えて親しまれている名作絵本「ねないこだれだ」を落語家の春風亭一之輔が朗読するコーナー。寝ない子どもをオバケの世界へ連れ去るというストーリーを、独特な語り口で表現する。さらに、会場内には約500冊のオバケ絵本を収めた「オバケ研究所」も設置。日本美術に登場するオバケの歴史など、様々な角度からオバケを掘り下げた作品を楽しめる空間となる。そのほか、谷川俊太郎・谷川賢作親子が手がける軽やかなオバケ音楽「けいとのたま」や、アニメーション作家・加藤久仁生による新作アニメーションなど、多彩なクリエイター約20組による作品を紹介する。また、福岡アジア美術館限定で、コレクション作品から「アジアのオバケ?」も展示。オバケを通じて、多様なカルチャーに触れることができる。【詳細】「オバケ?」展会期:2025年7月10日(木)~8月31日(日) ※会期中無休場所:福岡アジア美術館 7階住所:福岡県福岡市博多区下川端3−1時間:9:30~17:30(入場は17:00まで)入場料:一般1,600(1,500)円、中高生1,100(1,000)円、小学生500(500)円(オバケ冠付き)※未就学児無料※( )内は前売料金前売販売期間:5月15日(木)~ 7月9日(水)■前売限定親子ペア割券 1,800円(オバケ冠1枚付き)※保護者1名につき小学生1名※ローソンチケットのみで数量限定販売【問い合わせ先】西日本新聞イベントサービスTEL:092-711-5491(平日9:30~17:30)
2025年05月19日東京・六本木にある国立新美術館で、2025年5月15日から25日までの期間、「DESIGN MUSEUM JAPAN展2025~集めてつなごう 日本のデザイン~」を開催します。©FASHION HEADLINE「DESIGN MUSEUM JAPAN 展」は、NHKで放送してきた「デザインミュージアムジャパン」と歩調を合わせ、展示を通じて地域の魅力を発信し、日本全体にひとつの『デザインミュージアム』を浮かび上がらせようとする取り組み。今回は、2024年度にリサーチした8つの“デザインの宝物”を中心に展覧会を構成します。©FASHION HEADLINE©FASHION HEADLINE今回紹介する8人のクリエイターは、グラフィックデザイナーの菊地 敦己氏、現代美術作家の宮永 愛子氏、建築家の塚本 由晴氏、インテリアデザイナーの五十嵐 久枝氏、映像工芸作家の菱川 勢一氏、プロダクトデザイナーの深澤 直人氏、デザイナーの宮前 義之氏、グラフィックデザイナーの佐藤 卓氏。第一線で活躍するクリエーターたちが日本各地の生活文化のリサーチを行い、世界がまだ気づいていない、豊かな物語を持つ“デザイン”を紹介することで、「日本中の多くの人に“デザイン”は実はわたしたちのまわりにあふれていて、日々の暮らしに豊かさや活力を与えていることに気づく」、そんなきっかけになる展覧会を目指します。©FASHION HEADLINE©FASHION HEADLINEまた本展は、番組を展示のかたちで再構成するにあたり、一般社団法人Design-DESIGN MUSEUMの協力のもと、デザイン史家の野見山桜氏が展示監修。建築家の田根剛氏が会場デザイン、グラフィックデザイナー岡本健氏がグラフィックデザインを担当しており、クリエイターたちが各地で感じたものを展覧会という表現に具現化しています。©FASHION HEADLINE©FASHION HEADLINE■2024年度、8人のクリエーターと各地で探した“デザインの宝物”菊地 敦己 (グラフィックデザイナー)「ほうろうの生活用品」 〈デザイナーなし〉の温かいデザイン (栃木/栃木県)宮永 愛子 (現代美術作家)「ヒラギノフォント」 明朝体と京都の新しく古い関係 (京都/京都府)塚本 由晴 (建築家)「氷室」 かき氷を生んだランドスケープ (天理/奈良県)五十嵐 久枝 (インテリアデザイナー)「魔法瓶」 ガラス職人たちの情熱が生んだ〈特産品〉 (大阪/大阪府)菱川 勢一 (映像工芸作家)「大漁旗」 漁師たちを鼓舞する魂のデザイン (米子/鳥取県)深澤 直人 (プロダクトデザイナー)「石州瓦」 瓦が生み出す町の〈雰囲気〉 (大田/島根県)宮前 義之 (デザイナー)「街路市」 市 300年続くコミュニケーションのデザイン (高知/高知県)佐藤 卓 (グラフィックデザイナー)「スナック」 〈間〉をつなぐ本能のデザイン (宮崎/宮崎県)【開催概要】展覧会名 : 「DESIGN MUSEUM JAPAN展2025~集めてつなごう 日本のデザイン~」会 期 : 2025年5月15日(木)~25日(日) ※20日(火)休館会 場 : 国立新美術館 3階 展示室3B (〒106-8558東京都港区六本木7-22-2)開館時間 : 10:00~18:00 (金曜日は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで観覧料 : 無料主 催 : NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁共 催 : NHKエデュケーショナル協 力 : 一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM問い合わせ : ハローダイヤル 050-5541-8600
2025年05月16日メインビジュアル会いたくないのに会ってみたい「オバケ」。そんな不思議なオバケを見て、感じて、知って、そしてオバケになる。私たちの空想の扉が開かれる楽しくて新しい展覧会!好奇⼼をくすぐる摩訶不思議な存在、オバケに会いにいこう!古今東⻄、さまざまな呼び名で存在してきたオバケ。絵本や物語にさまざまな姿で描かれ、ふとした拍⼦に現れるオバケ。怖いオバケにかわいいオバケ。会いたくはないのに、ちょっと会ってみたい。オバケは私たちの好奇⼼をくすぐる摩訶不思議な存在です。同展は、その名を聞いただけでワクワクするマジックワード「オバケ」を、規格外のクリエーションで楽しみ尽くす展覧会です。名作絵本『ねないこだれだ』を落語家の春⾵亭⼀之輔さんが朗読する怖い部屋があれば、⾕川俊太郎・⾕川賢作さん親⼦による軽快なオバケ⾳楽「けいとのたま」や、アニメーション作家・加藤久仁⽣さんの新作アニメーションなど、多彩なクリエイター約20組が参加。⽇本美術におけるオバケの歴史、500冊のオバケ絵本など、オバケを探究し作品化する「オバケ研究所」も設⽴されます。親⼦で楽しめる体験型の展覧会です。《開催概要》■展覧会名:おいでよ!夏の美術館vol.2「オバケ?」展■会期:2025年7月10日(木)〜8月31日(日)※会期中無休■観覧時間:9:30〜17:30(入場は17:00まで)■会場:福岡アジア美術館 7階(福岡県福岡市博多区下川端3−1)■主催:福岡アジア美術館、西日本新聞社、テレビ西日本、西日本新聞イベントサービス■協賛:NTT西日本■企画協力:ブルーシープ■観覧料:一般1,600(1,500)円、中高生1,100(1,000)円、小学生500(500)円(オバケ冠付き)※未就学児無料※()内は20名以上の前売・団体料金※再入場不可■前売限定!親子ペア割券 1,800円※保護者1名につき小学生1名※オバケ冠1枚付き※ローソンチケットのみで数量限定販売■前売販売期間:5月15日(木)〜 7月9日(水)■販売場所:ARTNEチケットオンライン、ローソンチケット(Lコード82503)、セブンチケット等で販売■特設サイト:西日本新聞社(マイナビ子育て編集部)
2025年05月16日原宿・太田記念美術館では、2025年5月31日(土)より、『鰭崎英朋』展を開催する。明治後期から昭和にかけて活躍した「最後の浮世絵師」鰭崎英朋(1880−1968)の、木版画や石版画、肉筆画など187点(前期は6月25日まで、後期は6月28日からで全点展示替え)を紹介する大回顧展だ。幕末・明治の浮世絵師・月岡芳年の流れを汲む鰭崎英朋は、妖艶な美さを湛えた女性たちを数多く描いた絵師。同時期に活躍した美人画の名手、鏑木清方と肩を並べるほどの人気を博し、主に小説や雑誌の表紙や挿絵、口絵など活躍した。当時、浮世絵版画は、大衆向けのメディアとしての役割を終えようとしていたが、明治後半から大正初期にかけて、文芸雑誌や小説の単行本の巻頭で、江戸時代の技術をはるかに上回る精緻な浮世絵が掲載され、鰭崎の作品はここに発表されたのだ。柳川春葉『かたおもひ』三巻口絵(朝日智雄氏蔵)後期展示もの思わしげな瞳、ほつれた髪、モデルの心情を雄弁に語る美しい仕草。様々な工夫で読者を惹きつけた鰭崎の作品の中でも、泉鏡花の小説『続風流線』の巻頭に付された口絵は、斬新な構図や高度な摺りの技法が際立つ代表作だ。竜巻に襲われて船が転覆し、湖に落ちた美樹子を、多見治が救助する場面を描いた作品で、水にたゆたうふたりの体が波間に透けて見えるという、驚異の木版表現に圧倒される。同作は前期展示なので、ご覧になりたい方は、6月25日(水)までに来館を。泉鏡花『続風流線』口絵(朝日智雄氏蔵)前期展示生まれた時代により、期せずして浮世絵版画の歴史の終焉を飾ることになってしまった鰭崎英朋だが、彼は木版画だけでなく、石版画の口絵も数多く手がけた。同展では、今まであまり紹介されることのなかった鰭崎英朋の石版画もボリュームたっぷりに紹介し、さらに原画や彩色の指示をした「差し上げ」という絵など、制作過程がわかる作品も展示する。また第9回日本絵画協会第4回日本美術院連合絵画共進会で褒状2等を受賞した《上杉謙信》(前期)も同展で初めて公開する。近年発見された同作は、鰭崎英朋が20歳の時に描いた、現存最古の肉筆画だ。会期中、学芸員が展覧会の見どころを解説するスライドトークも開催される。<開催概要>『鰭崎英朋』会期:2025年5月31日(土)~7月21日(月・祝)※会期中展示替えあり会場:太田記念美術館時間:10:30~17:30(入館は17:00まで)休館日:月曜(7月21日は開館)、6月26日(木)・27日(金)料金:一般1,200円、大高800円公式サイト:
2025年05月15日1933(昭和8)年に朝香宮家の自邸として竣工した港区白金台にある東京都庭園美術館の本館は、1920年代にパリに滞在した朝香宮夫妻が当時最新のアール・デコ様式のデザインに魅了されて建設させたもの。昭和初期の邸宅建築としては最高峰のひとつとされ、国の重要文化財に指定されている。毎年テーマを決めて開かれてきた恒例の建物公開展が、今年は6月7日(土)から 8月24日(日)まで開催される。今回のテーマは、旧朝香宮邸における建築空間の「機能の変遷」だ。実は朝香宮邸は、邸宅や美術館としてだけでなく、様々に活用されてきた歴史がある。朝香宮家が過ごした邸宅としての時代は14年間。第2次世界大戦終結後の1940年代後半には、当時の首相・吉田茂が外相・首相公邸として活用し始め、7年にわたる公邸としての役割を終えた1955(昭和30)年からは、国の外交を司る迎賓館として、19年間もの間、多くの国賓を迎え入れてきた。その後の7年間は、⺠間の催事施設として多くの人々に利用され、美術館として開館したのは1983(昭和58)年のことだ。東京都庭園美術館本館 書斎同展は、美術館として42年目を迎えるこの建物が、時代ごとにどのような機能や役割を果たし、人々と共生し、その歴史を紡いできたのかに焦点をあてるもの。各時代を彩るゆかりの作品や資料、写真や映像を通して、建物の記憶を紐解いていく。家具や調度品を用いた邸宅空間の再現展示や、3階のウインターガーデンの特別公開など、空間を体感したり、建築意匠をじっくり見たり、建物自体の魅力を楽しめる展示もある。建物公開展が夏に開かれるのは約6年ぶりのことで、カーテンを開け放った窓から夏の新緑の美しい庭園が望めるのも今回の見どころだ。なお、新館に並ぶのは、装飾芸術との関連で国内外を問わず収集してきた現代作家の作品群。同展では、一定の条件下で写真撮影も可能となっている。東京都庭園美術館ウインターガーデン_マルセルブロイヤー《ワシリーラウンジチェア》(復刻品)今回の新しい試みは、旧朝香宮邸と同時代の建築である港区立郷土歴史館(旧公衆衛生院)とのコラボレーション展示を行うこと。同館から徒歩10分ほどの距離にある郷土歴史館の4階ギャラリーでは、サテライト展示 『交わる建築旧公衆衛生院×旧朝香宮邸』() が開催され、両館の建築部材や装飾を通して、用途の違いやデザインの比較展示があるのも興味深い。<開催概要>『建物公開2025時を紡ぐ館』会期:2025年6月7日(土)~8月24日(日)会場:東京都庭園美術館休館日:月曜(7月21日、8月11日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)料金:一般1,000円、大学800円、高校・65歳以上500円公式サイト:
2025年05月09日〇大阪中之島美術館および京阪電車 中之島線各駅にスタンプポイントを設置 ○抽選で「大カプコン展」オリジナルグッズが当たる!京阪ホールディングス株式会社(本社:大阪市中央区、社長:石丸昌宏)は、「中之島パビリオンフェスティバル2025」春のプログラムとして、大阪中之島美術館で開催中の「大カプコン展」と連携したデジタルスタンプラリーを5月10日(土)から実施します。本イベントでは、駅にフォトスポットを設置するほか、「大カプコン展」メインビジュアルを使用したポスターを車内・駅などに掲出。大阪中之島美術館で開催中の「大カプコン展」と、京阪電車 中之島線各駅のスタンプポイントを巡り、人気キャラクターのデジタルスタンプを集めると、獲得数に応じて「大カプコン展」オリジナルグッズが抽選で当たります。京阪グループでは、かねてより地域との連携を深め、まちの魅力向上のためにさまざまな取り組みを行ってきました。今後も当社が主軸戦略の一つとして掲げている「体験価値共創」に基づき、価値ある資源を発掘し、磨き上げ、エリアの魅力あふれる体験コンテンツを地域と共創してまいります。歴史的建造物や文化施設、島の周囲を流れる豊かな水辺空間や公園などを有する中之島は、水都・大阪を象徴するエリアで、この時期のおでかけに最適です。さらに、「中之島パビリオンフェスティバル2025」の 春のプログラムでは本イベントのほかにもマルシェやワークショップなどさまざまなイベントを実施しています。ぜひ魅力あふれる中之島エリアへ、京阪電車でおでかけください。詳細は別紙のとおりです。「大カプコン展×京阪電車デジタルスタンプラリー」ポスター(イメージ) ©CAPCOM(別紙) デジタルスタンプラリー詳細【実施期間】2025年5月10日(土)~6月22日(日)【内容】大阪中之島美術館で開催中の「大カプコン展」と、京阪電車 中之島線の各駅に設置されたスタンプポイントを巡り、デジタルスタンプを集めると、獲得数に応じて賞品をプレゼントします。【参加方法】下記の特設WEBサイト内「デジタルスタンプラリーをはじめる」のボタンより参加いただけます。【WEBサイト】 ※WEBサイトは5月9日(金)より公開します【賞 品】コンプリート賞(スタンプ数:6個)・抽選5名様:「大カプコン展」オリジナルグッズ詰め合わせ・全員:「大カプコン展」メインビジュアルARフォトフレーム3スタンプ賞(スタンプ数:3個以上)・抽選20名様:「大カプコン展」オリジナルグッズ1点・全員:リオレウスARフォトフレーム参加賞(1スタンプごと)・全員:各ポイントに設定されたキャラクターARフォトフレーム【応募締切】2025年6月22日(日)【スタンプポイント】〇ご参考 中之島パビリオンフェスティバル2025について世界水準の文化施設や豊かな水辺空間が織りなす特色ある都市空間・中之島エリアの魅力を集約・発信する学術芸術の祭典で、以下コア期間を中心に「中之島パビリオンフェスティバル 2025」を開催しています。コア期間:春期2025年5月10日(土)~25 日(日)、秋期2025年9月27日(土)~10月13日(月・祝)■「中之島パビリオンフェスティバル2025」 公式HPURL: 〇ご参考 大カプコン展について「大カプコン展 -世界を魅了するゲームクリエイション」は、ゲームの歴史と未来を体感できる特別な展覧会。本社を大阪に置く世界的ゲームメーカー・カプコンの名作ゲームの原画や企画書、ポスターなど貴重な資料が並び、開発者たちの創造力と情熱が感じられます。最新技術を駆使した体験型コンテンツや、キャラクターの進化を追う展示にも注目!ゲーム文化の深さと広がりを再発見できるこの展覧会は、ゲームファンだけでなく、アートやテクノロジーに興味がある方にもオススメの展覧会です。■大カプコン展 公式HPURL: ©CAPCOM以上250507_keihan-holdings.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2025年05月07日2025年5月31日(土)より、箱根のポーラ美術館では、『ゴッホ・インパクト―生成する情熱』展を開催する。アルル時代の風景画《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》(1888年)、サン=レミ時代に身近な自然を捉えた《草むら》(1889年)、オーヴェール時代の静物画《アザミの花》(1890年)と、ゴッホの3点の油彩画を収蔵するポーラ美術館が、開館以来初めて開催するゴッホをテーマとした展覧会だ。フィンセント・ファン・ゴッホ《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》1888年ポーラ美術館蔵炎のようにうねる筆致と強烈な色彩、そしてドラマチックな生涯が相まって、世界的にも人気の高い、ポスト印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)。37年という短い生涯の中で2000点に及ぶ作品を残したことで知られる彼は、各時代ごとに忘れがたい名作を生み出した。その原動力となったゴッホの「パッション(情熱/受難)」は、芸術や文化に様々な影響を及ぼした。同展では、ゴッホのパッションが各方面にもたらしたインパクトを検証するとともに、その作品に備わる魅力を考える。とくに興味深いのは、ゴッホと日本との関係だ。そもそもゴッホは日本を夢見てアルルに移住したほど日本を愛した画家だったが、逆にゴッホに影響を受けた日本の画家も少なくない。たとえば岸田劉生は、文芸雑誌『白樺』などが紹介したゴッホに感銘を受け、その影響を如実に示した《外套着たる自画像》などを制作しているし、大正から昭和にかけて活躍した前田寛治のように、ゴッホ終焉の地オーヴェールを訪れた画家も数多くいた。現代では日本を代表する美術家、森村泰昌がゴッホにまつわる様々な作品を制作している。同展では初公開となるポーラ美術館の新収蔵作品を通じて、森村によるゴッホ関連の作品の全貌を明らかにする。森村泰昌《自画像の美術史(ゴッホ/青い炎)》2016年(平成28)ポーラ美術館蔵copyright the artist, courtesy of ShugoArtsそのほか、福田美蘭、桑久保徹、インドネシア出身でオランダを拠点に活動する映像作家フィオナ・タンなどの、ゴッホやその作品に着想を得た現代美術も紹介する。<開催概要>『ゴッホ・インパクト―生成する情熱』会期:5月31日(土)~11月30日(日)※会期中無休会場:ポーラ美術館 展示室1、2、3時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)料金:一般2,200円、大高1,700円公式サイト:
2025年04月30日諸橋近代美術館では展覧会「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」関連企画として2025年4月12日(土)・13日(日)の二日間にわたり、「モロビでサウナフェス」を開催します。美術館で開催するサウナイベントとしては国内初の試みです。サウナとアートを楽しむ新感覚のサウナフェス!磐梯朝日国立公園にある諸橋近代美術館屋外エリアに各日8~10基のサウナが集結します。大自然の中で「ととのう」を体験した後は、研ぎ澄まされた感覚で美術館で展覧会「ととのう展」鑑賞へ。サウナとアートを楽しむ二日間!必見!「モロビでサウナフェス」5つのポイント【1】大自然に触れる!国立公園内でアウトドアサウナ!すぐ近くには磐梯山の噴火で生まれた七色に輝く幻想的な五色沼湖沼群があり、庭園からは磐梯山の噴火口が望めます。大自然の真ん中にある美術館でアウトドアサウナを思い切り楽しもう!【2】研ぎ澄まされた感覚で美術館へ!ダリ、印象派、『マンガ サ道』など展示フェス中はサウナポンチョでの美術館鑑賞OK!4月12日開幕「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」ではサルバドール・ダリや印象派の作品の他、特別展示としてタナカカツキ氏による『マンガ サ道』の原画展示や、美術館オリジナル描き下ろしマンガも紹介します。【3】県内外から10基集結!福島県産檜バレルサウナも登場福島県内のサウナ関連企業を中心に県外からも出展していただき、各日8~10基が美術館屋外エリアに並びます。尚、日によって出展者様が変わります。(1) 37トラック/神奈川(サウナトラック※チラールーム有り)(2) Roots猪苗代/猪苗代町(パノラマサウナ)(3) 有限会社サン工業/埼玉(モバイルキャビンサウナ)(4) ZELKOVA/西郷村(福島県産檜バレルサウナ)(5) 常磐サウナクラブ/いわき(テントサウナ)(6) テントサウナ(7) Sauna & Spa Green/須賀川(テントサウナ)(8) 有限会社サン工業/埼玉(薪風呂)(9) 箱蒸風呂【ナッツ】/宮城(ハイエースサウナカー)(10) Revitalize SAUNA/大阪(家庭用サウナ「おうちdeサウナ」)※4月12日のみ【4】スパイシーな「サ飯」ご用意!福島県内キッチンカー出展。珍しいジャマイカ料理に、20種類以上のスパイスが用いられたカレーなど、サウナと相性が良さそうなキッチンカーをご用意しました。(1) Irie Wood NiNE MILE/須賀川(ジャマイカ料理)(2) Sabha Sarge/福島(スパイスカレー)【5】ゲスト登場!4月12日 福島美少女図鑑 牧田優花さん、4月13日 マグ万平さんトークや美術館&サウナグッズが当たる大抽選会も実施します!▽『モロビでサウナフェス』開催概要▽■ 開催日: 2025年4月12日(土)・13日(日)■ 時間: 10:00~17:00(最終入場16:00)■ 会場: 諸橋近代美術館 屋外エリア〒969-2701福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ヶ峯1093番23※更衣室としてメルキュール裏磐梯リゾート&スパ(美術館隣接)を利用いただきます。■ 参加費: (1)税込2,500円(サウナ+美術館観覧料込み)(2)温泉付き/税込3,800円(上記(1)にメルキュール大浴場利用がプラス)※大浴場は15~19時まで■ 定員: 事前申し込み制度・各日50名(若干名当日参加枠あり)■ 対象: 高校生以上※持参物や申し込み方法は、出典元のプレスリリースをご確認ください。(出典元の情報/画像より一部抜粋)(最新情報や詳細は公式サイトをご確認ください)※出典:プレスリリース
2025年04月07日東京藝術大学大学美術館で開催中の『相国寺展―金閣・銀閣鳳凰がみつめた美の歴史』で見つけたミュージアムグッズをご紹介。数々の芸術家を育て、名作の誕生を導いてきた臨済宗相国寺派の大本山・相国寺の歩みを紹介する展覧会には、若冲や応挙など、同寺ゆかりの巨匠たちの名品をモチーフにしたバラエティ豊かなグッズが揃っています。●ステンレスタンブラーステンレスタンブラー3080円デザイン文具メーカー、GreenFlashとのコラボ商品。飲み物を直接注ぐのはもちろん、ドリンクホルダーとしても使える2WAY仕様。●トートバッグトートバッグ2200円狩野尚信、狩野安信による《猿猴図》があしらわれたトートバッグ。シンプルなデザインで使いやすそう。こちらもGreenFlashとのコラボ商品。●ロルバーン ポケット付メモLロルバーン ポケット付メモL990円円山応挙の《牡丹孔雀図》が表紙にデザインされたロルバーンも登場。シンプルで飽きのこないデザインと使いやすさが一体となったポケット付きのメモ帳はB6サイズに近い人気のLサイズ。※円山応挙の《牡丹孔雀図》は東京展には出品されていません。●マグネットセットマグネットセット1760円円山応挙や狩野探幽ら巨匠たちが描いた生きものたちをピックアップしたマグネットのセット。デスク回りなどに貼れば、一気に空間がおしゃれになりそう。●フレームマグネットフレームマグネット990円フレームマグネットセット1760円作品がそれぞれフレームにおさめられたタイプのマグネットも。ミニサイズの作品を鑑賞するように楽しめそう。●線香線香白檀1650円沈香2420円『相国寺展』ならではのグッズを発見。白檀のお線香は狩野尚信《猿猴図》の箱に、沈香のお線香は、伊藤若冲《竹虎図》があしらわれた箱にそれぞれおさめられている。いずれも45本入。●マスキングテープマスキングテープ935円ミュージアムグッズの定番、マスキングテープは、長谷川等伯の《萩芒図屏風》など3パターンあり。●アクリルキーホルダーアクリルキーホルダー1100円何個あっても欲しくなる、アクリルキーホルダーはスクエアタイプで6つの図柄が用意されている。<開催概要>『相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史』2025年3月29日(土)~5月25日(日)、東京藝術大学大学美術館にて開催※会期中展示替えありチケット情報:()公式サイト:■『相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史』(東京藝術大学大学美術館)展示風景の動画はコチラこの投稿をInstagramで見る ()ぴあアート(@art___pia)がシェアした投稿()
2025年04月04日特別展「エドワード・ゴーリーを巡る旅」が、香川・高松市美術館にて、2025年4月12日(土)から6月8日(日)まで開催される。東京の渋谷区立松濤美術館などでも開催された巡回展だ。モノトーンの世界を描くエドワード・ゴーリーの特別展不思議な世界観とモノトーンの緻密な線描による絵本作品で知られる、アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリー。『うろんな客』や『不幸な子供』など、ゴーリー自らがテキストとイラストの両方を手がけた主著(primary books)のほか、挿絵、舞台や衣装のデザイン、演劇やバレエのポスターを手がけるなど、多彩な才能を発揮した。バレエや映画といった文化に加え、『源氏物語』など多くの古典から影響を受けたストーリーが魅力となっている。約250点の作品&資料を展示特別展「エドワード・ゴーリーを巡る旅」では、そんなゴーリーの作品や資料、約250点が集結。「子ども」「不思議な生き物」「舞台芸術」といったテーマを軸に、展示していく。『うろんな客』などの絵本原画見どころは、日本でも翻訳出版された絵本の原画。たとえば、子どもたちが恐ろしい運命に出会うさまを描いた『ギャシュリークラムのちびっ子たち』、とある家族の中に入り込んできた奇妙な生物を題材とした絵本『うろんな客』、不思議な自転車が2人の子どもを乗せて旅に出る奇妙な物語『優雅に叱責する自転車』などだ。日本未刊行の絵本原画もまた、『恐るべき赤ん坊』『具体例のある教訓』といった、日本未刊行の絵本の原画も登場し、ゴーリーの狂気的な世界観を原画を通して体感することができる。展覧会テーマに合わせた、奈良美智の作品展示さらに高松市美術館では、本展覧会のテーマに合わせ、奈良美智をはじめとする収蔵作品を特別展示するので、合わせて要チェックだ。【詳細】特別展「エドワード・ゴーリーを巡る旅」開催日程:2025年4月12日(土)〜6月8日(日)休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館、5月7日(水)は休館)時間:9:30〜17:00(金・土曜日は19:00閉館、入室は閉館30分前まで)会場:高松市美術館住所:香川県高松市紺屋町10-4料金:一般 1,200(960)円、大学生 600(480)円、高校生以下 無料※( )内は前売、20名以上の団体料金。※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳所持者(または障害者手帳アプリ「ミライロID」提示)は入場無料。※前売券は、高松市美術館1階受付、高松市役所生協、ゆめタウン高松サービスカウンター、宮脇書店本店及び南本店にて4月11日(金)まで販売(詳細な販売開始時期は各店舗へ問い合わせ)。【問い合わせ先】高松市美術館TEL:087-823-1711
2025年03月29日尾形光琳の名高い国宝《燕子花(かきつばた)図屏風》を所蔵する東京・南青山の根津美術館は、毎年、カキツバタの咲く季節になると、この国宝を中心とした企画展を開催するのを恒例とする。本年は、同館所蔵の重要文化財の屏風2点と取り合わせた特別展が、4月12日(土)から5月11日(日)まで開催される。日本と東洋の優れた古美術品のコレクションを誇る根津美術館は、現在、国宝・重要文化財をあわせて100件を所蔵する。その内、日本近世の絵画は、光琳の国宝《燕子花図屏風》と円山応挙の重文《藤花図屏風》、そして鈴木其一の重文《夏秋渓流図屏風》の3件のみ。数は少ないものの、いずれも六曲一双の金屏風の大作は、全コレクションにおいても文字どおり鮮やかな輝きを放っている。国宝《燕子花図屏風》(左隻) 尾形光琳筆 6曲1双日本・江戸時代18 世紀根津美術館蔵興味深いことに、この3件の屏風は、制作された時代や場所を違えながらも、相互に画風的なつながりを有しているという。江戸時代の中期に京都で活躍した琳派の光琳と円山派の祖・応挙は、ともに無背景の総金地に草花や花木を描いており、一方、江戸後期に活躍した江戸琳派の其一の作品は、律動的なモチーフの配置の点では光琳の、また写実性を備えた描写の点では応挙の影響を示している。同展は、こうした3件の屏風を中心に据えた3章構成をとり、各々の真価を際立たせる、あるいはその魅力をさらに高める他の作品を並べることで、3件の屏風の価値を深掘りするものだ。リズミカルに配置された燕子花による意匠的な構図が圧巻の光琳作品を核として、光琳が敬愛した俵屋宗達、応挙、応挙の高弟である山口素軒、そして其一と、江戸時代を代表する絵師たちの作品を見比べられるのも楽しみだ。重要文化財《藤花図屏風》(右隻)円山応挙筆 6 曲1双 日本・江戸時代 安永5年(1776) 根津美術館蔵重要文化財《藤花図屏風》(左隻)円山応挙筆 6 曲1双 日本・江戸時代 安永 5 年(1776) 根津美術館蔵なお今回は小企画として、同展に合わせた「女面の魅力 ―能『杜若(かきつばた)』に寄せて―」が同時開催される。展覧会を楽しんだあとは、ぜひ、庭園の散策を。タイミングが合えば、カキツバタの生花も愛でることができる。<開催概要>財団創立85周年記念特別展『国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章』会期:2025年4月12日(土)~5月11日(日)会場:根津美術館時間:10:00~17:00、5月5日(月・祝)~5月11日(日)は19:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜(4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水)料金:オンライン日時指定予約一般1,500円、大高1,200円公式サイト:
2025年03月26日企画展「ブラチスラバからやってきた!世界の絵本パレード」が、2025年3月22日(土)から5月18日(日)まで、千葉市美術館にて開催される。世界最大規模の絵本原画コンクール、受賞作品が集結「ブラチスラバ世界絵本原画展」(略称BIB=Biennial of Illustrations Bratislava)は、スロバキアの首都ブラチスラバで2年ごとに開催される大規模な絵本原画コンクール。子どもの本のイラストレーションが対象で、1カ国から最大15人の画家のみがエントリーできる。企画展「ブラチスラバからやってきた!世界の絵本パレード」では、そんなBIBの2023年10月から12月に行われた、第29回展の作品が集結。参加した36か国、275名による355冊の絵本、総計2,072点の原画の中から、国際審査を経て選ばれた受賞作品と、日本代表として選出された10組の作家の作品を展示する。世界各国の多彩な受賞作品見どころは、チリ、スイス、スペインなど多様な国の受賞作品。グランプリを獲得したパロマ・バルディビアの《問いかけの本》や、それに次ぐ金のりんご賞を受賞したスペインのアーティスト、ダニ・トゥレンの《一等車の旅》など、作家性や地域性が際立つ作品を、「IMAGINATION」「IDENTITY」「INNER JOURNEY」という3つのキーワードに沿って展示する。日本作家の絵本原画また、日本からエントリーした初参加からベテランまで10組の作家による作品も目にすることができる。たとえば、カエルや鳥、蝶などが華やかな色彩で描かれた、きくちちきの《ともだちのいろ》、少女が海辺のアトリエで過ごす日々を描いた堀川理万子の《海のアトリエ》、シベリアの原生林を流れるビギン川の旅を描いたあべ弘士の《よあけ》など。さらに荒井良二、ザ・キャビンカンパニー、junaidaらによる出品作品の原画のほか、制作過程を物語るラフスケッチや草稿、各作家のエピソードも紹介していく。これまでを振り返るBIB特集このほか、これまで千葉市美術館で10回にわたり開催してきたBIBの企画展の特集として、過去20年の間に受賞した作品の絵本も展示される。【詳細】展覧会「ブラチスラバからやってきた!世界の絵本パレード」開催日程:2025年3月22日(土)〜5月18日(日)休館日:4月7日(月)、14日(月)、21日(月)、28日(月)、5月7日(水)、12日(月)時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで。入場受付は閉館の30分前まで。)会場:千葉市美術館住所:千葉県千葉市中央区中央3-10-8料金:一般 1,200(960)円、大学生 700(560)円、小・中・高校生 無料※障害者手帳の所持者とその介護者1名は無料。※( )内は前売り、千葉市内在住65歳以上の料金。※前売券は千葉市美術館ミュージアム ショップ、ローソンチケット(Lコード:34285)、セブンイレブン(セブンチケット)、千葉都市モノレール「千葉みなと駅」「千葉駅」「都賀駅」「千城台駅」の窓口にて11月15日まで販売(11月16日以降は当日券販売)。※ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は観覧料半額。※本展チケットで7階「ノックノック!千葉市美術館をたのしむ4つの扉」、5階常設展示室「千葉市美術館コレクション選」の観覧可能。◾️第1部出品作家(BIB2023 受賞作家)パロマ・バルディビア、アテネ・バヤーレ=バブチュカ、チン シンルー、マエヴァ・ルブリ、マヤ・シュレイフェル、ダニ・トゥレン、アナ・クーニャ、ルツィエ・ルチャンスカー、サンナ・ペッ リチオーニ、ヤーン・ロームス、ヴェンディ・ベルニッチ、サゲジョル出版社、タラブックス、ナダ・セラフィモビッチ、スィモナ・スマタナ、オンドレイ・ズィムカ◾️第2部出品作家(BIB2023 日本代表作家)あべ弘士、荒井良二、石川えりこ、きくちちき、齋藤槙、ザ・キャビンカンパニー、junaida、たじまゆきひこ、堀川理万子、桃山鈴子【問い合わせ先】千葉市美術館TEL:043-221-2311 (代表)
2025年03月22日公益財団法人 阪急文化財団が運営する逸翁(いつおう)美術館で4月12日に開幕する「四条派ですが、実は─ 詩情派。呉春(ごしゅん)」展を記念し、書籍が刊行されることになりました。その内容は、阪急東宝グループ(現 阪急阪神東宝グループ)の創業者として知られる小林一三(こばやしいちぞう)が収集した200点余りの呉春作品から80点を厳選し、呉春の人生の歩みとともに紹介。加えて、作品の調査にあたった6名の専門家による多角的な論考も収録され、呉春の入門編にして決定版ともいえる作品集となっています。館内ミュージアムショップと当館オンラインショップでは特典付きでお求めいただけるほか、全国の書店でも4月1日より順次発売されます。詳細は下記の通りです。あわせて、これまで逸翁美術館が発行してきた美術工芸品の図録をはじめ、ショップで取り扱っている書籍の一部をご紹介します。ぜひお手に取って、それぞれの作品世界をお楽しみください。【タイトル】『四条派の祖 呉春 逸翁美術館コレクション』【仕様】B5判 160ページ、美術品掲載80点(カラー)【価格】3,300円(税込)【出版社・刊行】東京美術 2025年4月【特典】(1)特別価格4/12~の会期中に「四条派ですが、実は─ 詩情派。呉春」展を観覧されたお客様は館内ミュージアムショップに限り、特別価格 3,000円(税込)でご購入いただけます(2)ポストカード付き4/1より逸翁美術館オンラインショップで当書籍を購入された先着100名様に呉春筆「白梅図屏風」(※1)ポストカード2枚(右隻・左隻)をプレゼントします 「四条派ですが、実は─ 詩情派。呉春」展【会期】2025年4月12日(土)~6月15日(日) 前後期あり前期:4月12日(土)〜5月11日(日)後期:5月16日(金)〜6月15日(日)【休館日】毎週月曜日(ただし5月5日は開館、5月7日は休館)※5月12日(月)~5月15日(木)は展示替え休館【会場】逸翁美術館 大阪府池田市栄本町12-27(阪急宝塚線 池田駅下車 徒歩10分)【観覧料】一般:700円(各種割引・団体:500円)学生(高校生以上):500円(各種割引・団体:400円)、中学生以下:無料【開館時間】10:00~17:00(入館は16:30まで)【関連企画】(1)講演会:5月10日(土)14:00~15:30「呉春の文学的世界」近畿大学文芸学部 教授 井田 太郎 氏(2)鑑賞講座:4月27日(日)14:00~15:30「呉春作品における詩句と絵画とのレゾナンス」阪急文化財団 上席学芸顧問 仙海 義之(1)(2)とも無料(要当日観覧券)・要申込(定員80名、先着順) 『漆芸礼讃 漆工・三砂良哉』天才的技術を持ちながら、歴史に埋もれた三砂良哉の伝統的かつモダンな茶道具類を集めた初の作品集。逸翁美術館2024展示IV【特別展】「漆芸礼讃―漆工・三砂良哉―」の公式図録A5判 224ページ、美術品掲載150点(カラー)2,640円(税込)東京美術 2024年9月『鈴木華邨 ー花に鳴く鳥、風わたる余白ー』ヨーロッパでも高く評価され、明治・大正の人々を魅了した華邨の花鳥風月の世界を堪能できる1冊。逸翁美術館2021展示IV【特別展】「幻の天才画家鈴木華邨展ー甦る花鳥風月の世界ー」の公式図録A5判 144ページ、美術品掲載78点(カラー)2,420円(税込)東京美術 2021年10月『新・逸翁清賞ー逸翁美術館名品図録ー』逸翁美術館の開館60周年を記念し、所蔵の美術工芸品を厳選して収録。A4判 176ページ、美術品掲載150点(カラー)2,970円(税込)思文閣出版 2017年10月『復活!不昧公大圓祭ー小林一三が愛した大名茶人・松平不昧ー』逸翁美術館2013春季展「復活!不昧公大圓祭」の公式図録A4判 82ページ、美術品掲載72点(カラー)1,100円(税込)思文閣出版 2013年3月『与謝野晶子と小林一三』逸翁美術館2011春季展「与謝野晶子と小林一三」の公式図録A4判 94ページ、美術品・資料掲載116点(カラー・モノクロ)1,100円(税込)思文閣出版 2011年4月『小林一三日記』銀行員だった明治31年(1898年)から、逝去する6日前までの生涯を綴った日記(三巻セット)縦 22.5cm横 16.2cm厚み4cm(一巻)、4.6cm(二巻)、5cm(三巻)【特別価格】3,850円(税込)文藝春秋 1991年6月※1991(平成3)年に発行された書籍のため、本のケースやカバーなどに少しの変色などがみられる場合があります。予めご理解のうえお求めください。『上方役者絵集成』第1巻~第5巻阪急文化財団 池田文庫が所蔵する世界有数規模の上方役者絵を時代順に収録。■第1巻:文化期までに作成のある絵師(丸丈斎国広を除く)の作品を収録。文化文政期の巨匠春好斎北洲をはじめ、戯画堂芦ゆき、寿好堂よし国などの作品を中心に掲載。A4判 223ページ、704枚439点 収録4,290円(税込)1997年10月第1刷発行、2005年3月第2刷発行■第2巻:天保期を中心とした丸丈斎国広、春梅斎北英、柳斎重春等爛熟期の役者絵を掲載。A4判 207ページ、699枚444点 収録4,290円(税込)1998年12月発行■第3巻:天保の改革を挟んで、初代長谷川貞信や初代歌川貞升、長谷川宗宏、五葉亭広信など、大判期と中判期の作品を掲載。A4判 221ページ、865枚589点 収録4,290円(税込)2001年3月発行■第4巻:世界に愛好家が多く上方浮世絵の水準の高さを誇る五粽亭広貞の作品を1,114枚、542点。そのほか猿雀、歌川国員、六花園芳雪らの作品を掲載。A4判 261ページ、1,534枚701点 収録5,280円(税込)2003年3月発行■第5巻:芳滝の作品を掲載。A4判 247ページ、1,380枚592点 収録5,280円(税込)2005年9月発行(※1)屏は旧字公益財団法人 阪急文化財団 リリース 発行元:阪急阪神ホールディングス大阪市北区芝田1-16-1 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年03月21日展覧会「五大浮世絵師展 歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」が、東京都の上野の森美術館にて、2025年5月27日(火)から7月6日(日)まで開催される。江戸時代を代表する5大スターが集結「五大浮世絵師展 歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」展は、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳ら、江戸時代を代表する5人の浮世絵師を中心に紹介する展覧会だ。歌麿・写楽・北斎・広重などの代表作含む約140点作品は、美人画や役者絵、風景画など、各分野で人気を博した作品が約140点集結。北斎の《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》や、写楽の《二世嵐龍蔵の金貸石部金吉》、広重の《名所江戸百景 水道橋駿河台》など、江戸時代を彩った浮世絵の競演を楽しむことができる。ほかにも、女性を優麗に描いた歌麿の美人画に、個性あふれる国芳の戯画など、注目の作品が勢揃いする。【詳細】展覧会「五大浮世絵師展 歌麿 写楽 北斎 広重 国芳」会期:2025年5月27日(火)〜7月6日(日)会場:上野の森美術館住所:東京都台東区上野公園1-2
2025年03月20日ピカソ、ダリとともに、20世紀スペインを代表する芸術家ジュアン・ミロの回顧展が、東京都美術館で開幕した。日本でも人気の高いミロは、展覧会で紹介される頻度も高い。ただ、これまでは、テーマや時代に焦点をあてて掘り下げた各論的な紹介も多かったという。今回は、その各論を網羅した総論的な回顧展。ミロ自身が設立したジュアン・ミロ財団の全面協力に加え、世界各地の主要美術館からの出品も受け、各時代の代表作を中心に100点近くの多彩な作品が結集した。「一生に一度の出会い」という同展紹介のキャッチコピーにあるように、これだけの名品が一堂に並ぶ大スケールの個展はまたとない機会に違いない。《自画像》1919年パリ・国立ピカソ美術館初期から晩年まで、時代順に構成された同展の見どころのひとつは、70年に及ぶ活動歴を通じて、様々に作風を変化させたミロの多面性を目の当たりにできることだ。1893年にカタルーニャ州で生まれたミロは、父の意向もあって堅実な会計職についたが、体調を崩して養生のために過ごしたモンロッチの村で、本格的に絵画に取り組み始める。キュビスムなど様々な影響を経て到達した初期の独自の画風を示すのが、繊細な線を駆使して描いた《ヤシの木のある家》。画面の全体を細密に描き込んだ表現は、後年の作とは大きく異なるが、線の美しさに後の展開も見てとれるだろうか。左:《ヤシの木のある家》1918年国立ソフィア王妃芸術センター、マドリード右:《モンロッチの瓦工場》1918年個人蔵1920年に初めてパリを訪れたミロは後にアトリエを設け、シュルレアリスムの芸術家たちと交流する。1925年頃に生まれたのは、余白を多くとった画面に、人物や生き物を思わせるフォルムや、天体などの形を象徴的に表した記号が浮遊する絵画。この「夢の絵画」と呼ばれる作品群で、ミロは名声を得た。左:《絵画=詩(栗毛の彼女を愛する幸せ)》1925年ジュアン・ミロ財団、バルセロナ(寄託)この時代の特徴のひとつは、しばしば言葉が画面に取り入られていることだ。詩を愛していたミロは、「私は絵画と詩を区別していない」とも語っている。描かれたフォルムにも詩情が感じられるが、ときにユーモアも交じる言葉も印象的だ。例えば、《絵画=詩(おお! あの人やっちゃったのね》が意味するところは「おなら」だったり、寄り添う2人の人物像には「栗毛の彼女を愛する幸せ」と、ほのぼのとする言葉が書き込まれている。シンプルな表現で、絵画と詩の融合がはかられているのもミロ作品の魅力だ。《絵画=詩(おお!あの人やっちゃったのね)》1925年東京国立近代美術館同じ時代で異なる画風も見てとれる。例えば、オランダ旅行で気になった絵の絵葉書をもとに描いた《オランダの室内I》は、楽器を弾く男性と耳を傾ける女性を描いた17世紀の室内画を大胆に変奏した作品。デフォルメや省略、さらに加筆も行われているので、近くにパネルで掲示された元の絵と比べて見ると大いに楽しめるが、「夢の絵画」とは異なる路線のシュルレアリスム作品と言えるのだろう。《オランダの室内I》1928年ニューヨーク近代美術館東京都美術館の会場は3階に分かれており、階ごとに展示室の印象が異なる。次の階は、スペインが内戦に、そしてヨーロッパ全土が第2次大戦に向かう1930年代から始まる。スペインの独裁者となるフランコに反対した平和主義者のミロは各地を転々とせざるを得ず、作品の色調にも時代の暗雲が反映されている。と同時に、反骨精神にあふれていたミロは、従来の絵画の在り方を問い直す制作も進めていく。コラージュは以前から取り入れていたが、背景にアルミ箔を用いたり、合板のメゾナイトに下地を施さずに直接描いたりといった新たな取り組みも見られる。《絵画(カタツムリ、女、花、星)》1934年国立ソフィア王妃芸術センター、マドリードメゾナイトに描かれた作品の展示風景今回、特に注目されるのは、戦禍を逃れたノルマンディー地方で着手され、母の故郷マジョルカ島で隠棲しながら描き続けた〈星座〉シリーズだろう。星や天体、女や怪物、鳥、ハシゴなど、様々な記号とモチーフを配した23点の連作は、詩や音楽に触発されながら、辛い現実から逃れるように描かれたという。紙作品のために脆弱で、各地に散らばる連作が並ぶことは滅多になく、3点が並ぶのは稀なことだ。自由に浮遊するフォルムと美しい色彩から、描くこと自体が画家本人の心の慰めや希望となっていたとも感じられる。黒い壁面の独立した空間に展示されているため、その内省的な作品世界に静かにひたれるのも今回の展示の嬉しいところだ。〈星座〉シリーズの展示風景《明けの明星》1940年ジュアン・ミロ財団、バルセロナ戦後もフランコ政権下にあって隠棲していたミロだが、〈星座〉シリーズをはじめとした作品がアメリカで高い評価を受け、同地の若き芸術家たちに影響を与えることになる。と同時に、柔軟な精神をもつミロ自身も、訪れたアメリカから影響を受けたという。絵画では大胆な抽象化が進んでいく一方、彫刻や陶芸への取り組みにも力が入れられた。同展では、絵画と立体作品が響き合うような展示も見どころとなっている。展示風景より最後の階のはじめに登場するのは、社会の希望や要求を表現する手段としてミロが積極的に取り組んだ鮮やかな色彩のポスター群だ。国際的な評価が先行したミロだが、民主化が進んだ1970年代には母国での評価も確立し、例えばFCバルセロナの記念ポスターに採用されるなど、国民的画家として周知されたことがうかがえる。ポスターの展示風景より次の展示室の明るく開放的な空間は圧巻だ。楽しげに並ぶカラフルな立体作品は、家具の一部や蛇口といった身近なものを自由に組み合わせた彫刻をブロンズにして彩色したもの。周囲に並ぶ大型絵画は、年齢を重ね、巨匠となっても、ミロが常に新たな表現を目指していたことを明らかにしてくれる。展示風景より例えば、1966年に日本での大回顧展のために初来日したミロは、日本の詩や文化に対する関心をさらに深めたといい、今回は、仙厓の《○△□》を思わせる絵画も登場する。黒いアクリルで描かれた三連画は、東洋の墨を思わせると同時に、したたり落ちる絵の具にアメリカ抽象表現主義の影響も見られる。《太陽の前の人物》1968年ジュアン・ミロ財団、バルセロナ《花火I、II、III》1974年ジュアン・ミロ財団、バルセロナこの部屋でとりわけインパクトがあるのは、ナイフで切られ、炎で焼かれて穴のあいた絵画だ。「反絵画」ともとれるこの破壊された絵は、ミロの反骨精神を反映するとともに、現代にも通じる新たな技法の試みを示している。中央:《焼かれたカンヴァス2》1973年ジュアン・ミロ財団、バルセロナ(寄託)多面的であると同時に、新しい表現に挑戦し続けるという点においては、初期から晩年まで一貫していた巨匠ミロの情熱とその多彩な作品群を、ぜひ会場で体感したい。取材・文・撮影:中山ゆかり★『ミロ展』のミュージアムグッズを5名様にプレゼント!【プレゼント内容】下記のグッズをそれぞれ1名様にプレゼントします。※いずれの商品も上の写真の図柄となります。①手ぬぐい②クリアファイル③ノート④アクリルキーリング⑤マグネット【応募方法】①ぴあアート編集部のInstagram( @art___pia() )のフォロワーの方限定。②該当投稿のコメント欄にご希望の商品の番号をお送り下さい。この投稿をInstagramで見る ()ぴあアート(@art___pia)がシェアした投稿()【応募締め切り】2025年4月7日(月) 23:59まで【注意事項】※ご応募は1アカウントにつき1商品のみとなります。※当選者の方には4月14日(月) 以降、Instagramアカウント(@art___pia)よりDM(ダイレクトメッセージ)にてご連絡いたします。なりすましアカウントには十分ご注意下さい。※当選した場合のみ、DMをお送りさせて頂きます。※当選者の方には、発送先等の情報を頂くために、編集部の問合せメールをご連絡いたします。ご自身のメールアドレスや住所などの個人情報をDMに記載しないようにご注意ください。※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。※既にフォローをいただいている方もご応募の対象となります。※応募するInstagramアカウントを公開状態にしてください。※商品のお送り先は日本国内に限らせて頂きます。郵便物・宅配物の受け取りが可能であることをご確認のうえ、ご応募下さい。※このキャンペーンにInstagram(META社)の関連はございません。<開催概要>『ミロ展』2025年3月1日(土)~7月6日(日)、東京都美術館にて開催公式サイト:チケット情報:()
2025年03月18日展覧会「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン展」が、2025年4月5日(土)から6月1日(日)まで東京の八王子市夢美術館にて開催される。エロール・ル・カインとは1941年にシンガポールで生まれた絵本作家エロール・ル・カイン。幼少期をアジアで過ごした後、15歳で単身イギリスへ渡英してアニメーションを学ぶ。映画スタジオやBBCテレビでアニメーション制作に携わる中で、ずっとやりたいと思っていた絵本作家としてもデビュー。以後、『ハイワサのちいさかったころ』のほか、40点以上に及ぶ絵本の挿絵を手掛ける。東洋美術、西洋美術、映画、アニメーションなど、さまざまな様式が組み合わさった幻想的で色彩豊かな作風が人気を博している。エロール・ル・カインの絵を展示「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン展」では、『三つのまほうのおくりもの』をはじめとする絵本のストーリーを紹介。さらに絵画原本、スケッチ、資料などから、繊細な描写でありながら大胆な構図も併せ持つ絵の秘密に迫る。『アーサー王の剣』や『キャベツ姫』など会場内では、絵本作家としての第一歩を踏み出すことになった『アーサー王の剣』のほか、悪態ばかりついている王様が悪態が本当になる呪いにかけられる『キャベツ姫』、朝になると靴がボロボロになっている12人の姫の謎に迫る『おどる12人のおひめさま』の絵などを展示する。【詳細】「イメージの魔術師 エロール・ル・カイン展」開催期間:2025年4月5日(土)~2025年6月1日(日)会場:八王子市夢美術館住所:東京都八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子2F時間:10:00~19:00(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(祝日は開館し、翌平日が休館となる)料金:一般900円、学生(高校生以上)、65歳以上450円、中学生以下無料【問い合わせ先】八王子市夢美術館TEL:042-621-6777
2025年03月17日