わが子を奪った「大血管転位症」「新生児肺高血圧症」という病気。妊婦健診では何も指摘されずに過ごしたマタニティ生活でした。いよいよ出産が近づき楽しみにしていた未来から、過酷な現実と向き合った経験をお話しします。 ずっと「異常なし」だった妊婦健診妊娠6週だと判明したときは、初めての子どもですし、夫婦・両親ともにとても喜んだのを覚えています。通院していたクリニックは出産対応していないため、里帰り先のクリ二ックでお産する予定でした。 妊娠28週のとき、破水の疑いがあり総合病院へ転院しましたが結局破水もなく、それ以外も異常なく経過。妊娠32週のスクリーニング検査では時間をかけ、胎児の全体を細かく見ていただきましたが異常なし。妊娠33週に入り、里帰り先のクリニックでも「異常なく元気に育っている」とのことでした。 このように、妊婦健診で3つの病院に通い、3人の先生に診てもらいましたが、それぞれが同様に「赤ちゃんは元気に育っています。心臓も大丈夫」ということで安心しきっていたのです。 出産直後に始まったわが子の病気との戦いわが子の病気を知ったのは、健診時ではなく出産直後でした。出産予定日が過ぎ、なかなか陣痛も来ず分娩誘発のため入院することになりました。「いよいよわが子に会える!」という喜びが強くなるなか、急に分娩監視装置から胎児心拍数低下のアラームが鳴り響きました。緊急帝王切開に切り替わり、不安がいっぱいのなか、手術が始まりました。 局所麻酔だったため私の意識はあり、赤ちゃんが取り出された瞬間は、大きな産声を聞いて安心と喜びでいっぱいになりました。 しかし、安心したのはほんのわずか一瞬……。赤ちゃんの呼吸が不安定であると医師から報告を受けました。今すぐに大学病院へ移動が必要とのことで、わが子と離れることになってしまったのです。このときは、これが最初で最後の泣き姿のわが子とは思いもしていませんでした。 2,000人に1人の心疾患病室に戻ると、赤ちゃんに付き添っていた夫から電話があり、わが子の病名を聞かされました。「大血管転位症という心臓の病気がある」と伝えられた瞬間、悲しさのあまり涙が溢れ、泣き崩れました。 そのあとは私自身、術後にも関わらず、朝まで携帯で病名・予後・治療方法を必死に調べました。術後翌日からは痛みに耐えながら懸命に歩行訓練をおこない、歩行可能になるとすぐに転院許可をもらいました。 救急車で赤ちゃんがいる病院へ向かい、いよいよ出生時以来の面会です。新生児集中治療室(NICU)にいるわが子の容体が良くなっていますように、と願いながら、私は車椅子に乗せられて会いに行きました。しかし現実は甘くなかったのです……。 わが子になぜ心臓病があったのか、原因はわかりません。大血管転位症の発生頻度は2,000人に1人と稀とのことですが、手術をすれば生存可能な病気です。しかし大血管転位症には1型・2型・3型があり、1型が最も予後が不良。なんとわが子はその1型でした。出生直後のチアノーゼ、肺高血圧症の合併、そして手術のタイムリミットは2週間以内……。 ほんの数日前まで、赤ちゃんのいる幸せな日々を信じて疑いもしなかった私にとって、とても過酷でつらい日々が始まりました。(後編へつづく) 参照/日本小児外科学会「大血管転位症」著者:大島れい第1子は先天性心疾患により天国へ。現在第2子妊娠中。看護師として4年勤務。自身の経験を中心に執筆している。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年07月25日保育園1年目のママと子どもを待ち受けているのが、保育園でもらってくるたくさんの病気、通称「病気の洗礼」です。「はじめのうちは病気してばかりだよ」と聞いてはいたものの、「え、こんなに!?」と驚いているママも多いのではないでしょうか。この「病気の洗礼」は一体いつまで続くのか……。1歳から保育園通いを始めた、わが家の体験談をお伝えします。 入園後すぐ二度の発熱息子が保育園に通い始めたのは1歳8カ月から。0歳児から3歳児までの子どもたちが対象の小さな保育園でした。それまでは息子が熱を出したのは一度だけ。特に、風邪をひきやすいわけではありませんでした。 最初のお迎えコールが来たのは、入園して10日ほどしたときでした。「ついに来たか!」という気持ちでお迎えに行って、熱が下がるまで3日ほどお休みしました。元気になって登園したら1週間ほどですぐにまた発熱。熱以外には症状は特になかったので、軽い風邪だったのだと思いますが、こんな立て続けに熱を出すものなのかとびっくりしました。 かかりつけのお医者さんからは「最初の1年はたくさん病気をもらってくる。でも、それで免疫がついて強くなっていくから心配しなくて大丈夫」と言われましたが、熱を出すたびに心配でたまりませんでした。 最初の試練は夏の感染症それからも月一度から二度のペースで熱を出しながら、保育園に入って最初の夏がやってきました。プールが始まると、まもなく保育園では手足口病が大流行。息子ももれなく感染しました。 1週間ほどかかってやっと登園できたら、また別の風邪をもらってきて……と、夏は病気のループで、休日もなかなかお出かけできませんでした。 家族総倒れになった冬そして、相変わらず月一ペースで熱を出しながらあっという間に冬になり、インフルエンザの流行シーズンに。この年、初めて家族でインフルエンザワクチンを打ちました。そのおかげなのかどうかはわかりませんが、保育園内でインフルエンザが発生しても息子はかからず。 その代わりといってはなんですが、11月にRSウイルス、12月には感染性胃腸炎と大きな病気続きに。感染性胃腸炎は私と夫にもうつり、初めて家族総倒れとなりました。 2年目からはどんどんラクになる!こんな調子でとにかく病気ばかりだった1年目。もちろん預ける子どもの年齢や体質などで個人差はあるので、こんなに病気はしなかったという人もいれば、もっと大変だったという人もいると思います。2歳児クラスになってからは、アデノウイルスや胃腸炎などの流行りの病気はもらってきましたが、熱を出すことは半分くらいに減りました。 そして、3歳児クラスになるとさらに少なくなり、4歳児クラスになってからは病気でのお休みは年2〜3回ほどに。目に見えて病気に強くなっていくのがわかりました。 1年目の「病気の洗礼」は、誰もが必ず通る道です。集団生活をしていれば、どんなに手洗いやうがいを徹底していても、100%防ぐのは難しいのではないかと思います。病気の子どもを見るのは本当に胸が痛くなりますが、ママも体調を万全にしてうつらないように注意してください。2年目以降はどんどん病気をしにくくなっていくので、親子ともに1年目の今が頑張り時です! 著者:高橋じゅんこ一児の男の子を育てるワーキングマザー。病気ネタやママ友ネタなど、ペンネームでリアルな体験談を執筆中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年07月09日妊娠・出産は奇跡というけれど、赤ちゃんに病気や障害がある可能性は誰にでもあります。毎回の妊婦健診でおこなう超音波検査。あの白黒のエコーで、実はわかる病気があるんです。もし赤ちゃんがおなかの中にいる間に病気がわかったら……。私の妊娠・出産体験談をご紹介します。 妊娠7カ月、赤ちゃんの心臓病が見つかった毎回、妊婦健診でおこなう超音波検査。最近では、4D画像も見ることができて、ママにとっても赤ちゃんが見られるうれしい時間ですよね。このエコー、先生が見ているのは胎児の推定体重や性別だけではありません。白黒の映像の中でも見ることのできる内臓や血管があり、異常がないか先生は見ているのだそうです。 私は妊娠7カ月のころ、赤ちゃんの心臓病が見つかりました。エコーではっきりと、心臓の中の形が見えたことを覚えています。 おなかの中で赤ちゃんの病気が見つかること先生は私に、「おなかの中で赤ちゃんの病気が見つかることはとてもラッキーなことだ」と言いました。ママの心の準備もできますが、何よりも赤ちゃんにとって最善の出産方法を選ぶことができるからだそうです。 赤ちゃんに病気が見つかった場合、大きな総合病院に転院することが多いかとは思いますが、帝王切開になるのか、普通分娩になるのか、出産時の新生児科・小児科医との連携やNICUの準備など、エコーで見ることのできる情報を集めて先生方が最善策を考えてくれました。 調べすぎない。でも仲間を見つけたいこの経験を通して私は、ママにとって大切なのはひとりで受け止めないこと、調べすぎないことだと感じました。今はネットで何でも調べられる時代。でも、その情報が正しいのか、わが子の症状に当てはまるのかは自分では判断できません。 私自身、心配な話ばかり見てしまい、それだけで必要以上につらくなってしまいました。一方よかったと思うのは、同じ病気の子どもを持つ仲間を見つけること。同じ境遇の人とコミュニケーションをとると、とても心強かったです。 病気や障害を受け止めることはとても難しいことですが、おなかの赤ちゃんが出産前に教えてくれたんだと、私は感じました。正しい情報を自分で理解し、専門家に相談しながら、できる限りの準備ができるといいなと思います。著者:山本かやの二児の母。ウエディング業界から飲食業に転身後、妊娠を機に退職。現在は専業主婦。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。趣味はガーデニングと家庭菜園。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年04月24日前回はインフルエンザの概要と予防法についてお話しました。では実際にかかった、もしくはかかったかもしれない時はどうすればよいでしょうか?検査のタイミングは?流行期に発熱があると、「インフルエンザかも?」と心配になり受診されると思いますが、まずインフルエンザウイルスの迅速検査(鼻綿棒)は発症から24~48時間が望ましいということを押さえておいてください。※1中には、「まだ発熱したところなので検査できません」と検査を断られた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは発熱してから時間が経過しないとインフルエンザ検査の意義が乏しいからです。例えば、発熱してから2時間後に受診して検査結果が陰性だった場合でも、感染しているのか、していないのか判断できません。あまりに短時間の検査では空振りが増えてしまいます。仮に発熱してからすぐに検査をしても、陰性の場合は翌日熱があれば再検査することになり、大きな負担となります。また受診した待合室などでインフルエンザやあるいは他の感染症をもらってしまう可能性があり、発熱してすぐの受診はリスクが高いと考えられます。インフルエンザの検査は必須ではない実は診断に検査は必須ではありません。鼻綿棒の検査感度も100%ではないため、流行期に発熱、関節痛や寒気などの症状があり、診察上疑わしい場合は検査せずにインフルエンザと診断することがあります。(注:医師により判断は異なります)。治療薬の特徴は?インフルエンザと診断された場合、さまざまな抗インフルエンザ薬がありますが、ウイルス増殖を抑制して発熱の期間を短くすることが期待できます。ウイルスが増えきってからでは効果が乏しいため、抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内の投与が原則となります。主なお薬の特徴と副作用主なお薬の特徴と副作用、使い所についてまとめました。■タミフル®(オセルタミビル)内服薬で1日2回、5日間飲みます。1歳未満でも使用可ですが、主な副作用として嘔吐(24.3%)や下痢(20.0%)といった消化器症状があります。※2 以前は10代のお子さんでタミフル®によると思われる異常行動が心配され、厚生労働省から投与を控える措置がなされていました。しかし異常行動はインフルエンザそのものによる症状であり、タミフル®とは直接関係ないことから、今後、措置は見直される方針です。■リレンザ®(ザミナビル)吸入のお薬で1日2回、5日間吸入します。確実に吸うことができれば効果的ですが、吸入薬なので5~6歳以降でないと難しいものです。■イナビル®(ラニナビル)リレンザ同様吸入薬ですが、1日吸入してその後効果が1週間持続する便利な薬です。しかしその反面、吸入に失敗すると(例えば吸入後咳き込むなど)効果が十分得られなくなってしまうというデメリットもあります。※吸入薬のリレンザ、イナビルに共通して言えることですが「乳糖」が添加されているため、牛乳アレルギーの場合は稀にアレルギー症状が出る場合があり注意しなければなりません。■ゾフルーザ®(バロキサビル)平成30年3月から発売された最も新しいお薬で、1回の内服で治療が終了する点がメリットです。今シーズンの流行で使用が増えると思われますが、新しい薬のため医師の使用経験が少ないということが一つのデメリットです(私もまだ使用していません)。■ラピアクタ®(ペラミビル)唯一の点滴のお薬です。1歳未満も使用できます。脳症や肺炎など入院治療が必要な場合や、基礎疾患のために内服や吸入ができない場合などに選択されます。点滴のため使用できる医療機関は限られている点に注意してください。また漢方薬の麻黄湯を使うこともあります。上記の抗インフルエンザ薬とは作用ポイントが異なりますが、治療効果のエビデンスがあるため使用を考慮していいと思います。併用も可能です。※3インフルエンザのお薬はさまざまあり、医師や施設によっても方針が微妙に異なります。ここにあげた情報を参考にしつつ、治療方針は担当医とご相談ください。ホームケアと再受診のタイミングインフルエンザにだけ特別なケアはなく、基本的には発熱時の対応と同じです。( 第3話 、 第4話 参照)。倦怠感が強く食欲が落ちるので水分をこまめに取り、脱水の対策をしてください。タミフル®の消化器症状が出た場合は受診して薬の変更を考慮します。発熱が続く場合には肺炎や中耳炎などの合併症を伴ってきているかもしれませんし、「ぼーっとする」「わけのわからないことを言う」などの症状がある場合は、脳症の可能性があり受診した方がいいでしょう。インフルエンザは倦怠感が強く受診そのものも負担となりますので、この記事を読んで、受診すべきなのか?タイミングはいつがよいか?などの目安にしていただけたら幸いです。参考資料※1 Performance characteristics of a rapid immunochromatographic assay for detection of pandemic influenza A (H1N1) virus in children. ※2 タミフル添付文書 ※3 A randomized, controlled trial comparing traditional herbal medicine and neuraminidase inhibitors in the treatment of seasonal influenza. 2018/2019シーズのンインフルエンザ治療指針(日本小児科学会)
2018年11月16日「最近、日本で急増しているのが肺MAC症という病気です。これは進行するとせきや血痰が出る病気で、年間1,000人の人が亡くなっています。原因となる肺MAC菌は家庭の浴室にも生息しているのですが、浴室の間違った掃除法によって、この菌を繁殖させてしまうケースが少なくないんです」こう警鐘を鳴らすのは、日本ヘルスケアクリーニング協会代表の松本忠男さん。松本さんはダスキンヘルスケア、亀田総合病院グループなどの清掃管理者として長らく従事。科学的観点から清掃の指導をする第一人者だ。先日出版した『図解健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)が話題になっている。そんな“掃除のスペシャリスト”の松本さんによれば、浴室以外にも多くの人がやりがちなNG掃除法があるという。「いままで常識とされてきた家の掃除の仕方の数々に、かえって病気の原因を呼び寄せてしまう危険が潜んでいるのです」(松本さん・以下同)家庭で気をつけなければいけない病原体は大別して2つ。1つは空気中を漂うホコリに含まれるダニやカビなどの「のど痛病原体」、もう1つがキッチン、浴室やトイレなどに多い大腸菌や黄色ブドウ球菌などの「はら痛病原体」。NG掃除法はこれらの菌による健康被害のリスクを高めてしまうというのだ。「近年のマンションや戸建て住宅は、気密性がひと昔前に比べ格段によくなりました。また、掃除で使う道具なども、昔はなかったものが登場しています。こうした環境の変化も、多くの人たちがよしとしている掃除法が通用しなくなっている理由です」松本さんが指摘する代表的なリビングでの「NG掃除法」は次の4項目。【1】掃除中は窓を開ける窓を開けて掃除をすると外の土壌菌などを家に招き入れてしまう。「学校でも『掃除のときは窓を開けましょう』と習いますが、これはいけません。じつは、外気は土壌菌やホコリを多く含み、室内の空気より汚いことが多いのです。掃除中に窓を開けるのは、病原体をわざわざ家に呼び寄せているようなもの」【2】じゅうたんは力をこめて掃除機をかけるじゅうたんに掃除機をかけるときは、ダニ・ホコリを残さないようにと吸い込み口を力強く押し付けている人も多いだろう。掃除機をじゅうたんに押し付けると毛が寝てしまい、奥に潜むダニなどを吸い込めない。「じゅうたんの奥のほうに潜むダニを残さないためには、軽くかけるのがコツです」【3】フローリングワイパーを前後に動かしてホコリを取るワイパーは前後に動かしてもホコリが散らばるだけ。【4】ぬらした雑巾で床を拭く床の水拭きは汚れをこすりつけているだけで効果なし。「ぬれた雑巾で拭いても、汚れを広範囲に延ばすだけで、肝心の病原体を含むホコリを取り除くことはできません。乾いたマイクロファイバークロスなどで拭き取るほうが、ホコリをくまなく取ることができます」4項目は、いずれもアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などの原因に。部屋をきれいにしようと思って行っていた“掃除の基本”が、じつは病気の原因になることが!年末にかけて掃除の意識も高くなるこの季節、一度自分の習慣を見直してみて。
2018年11月09日医療従事者はミスが許されないものですが、やはり人間であるだけに、重大な病気などを「見落としてしまう」ことがあります。昨今は「セカンドオピニオン」も行われていますが、浸透しているとは言い難い状況。1人の医師から出された「重大な病気ではない」診察結果を信じ、「大丈夫だ」と感じていたが症状が改善せず、別の病院に行ってみると重篤な病気だった、ということも残念ながら発生しているようです。病気を発見できず、症状の進行を招いた場合、「見過ごした医師」に損害賠償などを請求することはできるのでしょうか? Q.病気を医師に見過ごされ、別の病院に行ったら発覚…発見できなかった医師を訴えることはできる?A.提訴には十分な事前調査が必要一口に「見過ごした」といっても、「単純な見落としなのか」「検査時に発見が難しい状況だったのか」など、そのときの「状況」を慎重に検討する必要があります。当時のカルテを取り寄せ、医療に詳しい弁護士と話し合い、そして第三者の医師に意見を聞くなど、広く情報(証拠)を集めたうえで提訴に踏み切ることを検討します。勝訴する為には、見落としについて医師に「過失」があったことを、訴える患者側が立証しなければなりません。「見落としがあったから即訴える」とはいかず、その医師が見落としてしまった原因を、集めた情報(証拠)によりしっかりと事前調査する必要があります。そのうえで、提訴が妥当であるかを判断することになります。「どうしても提訴したい」という場合、まずは医療問題を多く取り扱う弁護士に相談することをおすすめします。 *監修弁護士:若井 亮(不動法律事務所。「迅速対応」「分かりやすい説明」「徹底した報告」をモットーとしている。不当要求への対応、詐欺被害への対応を多く経験している)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta) 重大な病気を見過ごされた…医師を訴えることはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。重大な病気を見過ごされた…医師を訴えることはできる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月29日気分変調症/気分変調性障害とは?出典 : 気分変調症とは、比較的軽度の気分の落ち込みが慢性的に続く病気のことを指します。成人期早期に発症することが多く、短くても数年間、ときには一生続くこともある慢性的な経過をたどりやすい病気です。症状があっても、本人は病気ではなく性格的な問題であると考えていることもあり、適切な治療が早期に受けられないこともあります。この病気の症状自体は比較的軽度ですが、就学や就労、家事などの社会的な役割や人間関係など、日常生活に及ぼす影響は、うつ病と同等あるいはそれ以上と言われています。男性と比べると女性のほうが約2倍の確率で発症しやすく、うつ病(大うつ病性障害)や不安障害、パーソナリティ障害などの他の精神疾患と併存する可能性があります。「気分変調症」という名称は世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)診断基準におけるものです。一方、アメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版テキスト改訂版)では気分変調性障害、『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では持続性抑うつ障害という名称となります。これらは名称こそ異なりますが、症状などの内実はほとんど共通します。この記事では、ICD-10とDSM-Ⅳ-TRをひきながら説明致します。参考文献:中根允文ら/監『ICD-10精神科診断ガイドブック 』2013年中山書店/刊気分変調症/気分変調性障害の症状出典 : 気分変調症/気分変調性障害の症状はどのようなものでしょうか?アメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』を参考に、気分変調性障害の方が訴える症状を紹介します。・抑うつ気分がほぼ一日中ある日が多い・食欲の異常(食欲減退か過食)・睡眠障害(不眠か過眠)・気力の低下や疲労感・自尊心の低下・集中力低下や決断困難・絶望感参考文献:高橋三郎ら/訳『DSM‐IV‐TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』2003年医学書院/刊これらの症状はうつ病とかなり類似しているため間違えられることもあります。気分変調症/気分変調性障害と併存しやすい病気出典 : 気分変調症はうつ病やパニック障害、境界性パーソナリティ障害などの病気と合併することが多い病気です。以下において、それぞれの病気を簡単に紹介します。うつ病と気分変調症は、症状は非常に類似していますが、うつ病のほうが症状が重いことと、症状が持続する期間がより短い点において異なります。気分変調症とうつ病が合併した状態は「二重うつ病」「重複うつ病」とも呼ばれ、再発率が高く、治療が難しいとされています。気分変調症の診断を受けた患者がうつ病を併発し二重うつ病になる確率は、だいたい40%とかなり高いため、注意が必要です。出典:ハロルド・I・カプランら/編『カプラン臨床精神医学テキスト DSM−4 』2001年メディカル・サイエンス・インターナショナル /刊参考文献:中根允文ら/監『ICD-10精神科診断ガイドブック 』2013年中山書店/刊パニック障害は突然の動悸やめまい、発汗とともに恐怖を感じる精神障害です。また、発作を繰り返すにつれて、「また発作が起こるのではないか」という不安と、「発作が起こる状況に対する恐怖」とを感じるようになります。詳しくは以下の記事をご参照ください。境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder:BPD)は、対人関係や自己に対するイメージなどの広い範囲において、激しく考え方や感情が変化していく特性がある障害です。自己イメージの混乱や見捨てられ不安などの特性があります。詳しくは以下の記事をご参照ください。気分変調症/気分変調性障害は性格なの?出典 : 以前は、抑うつ神経症、抑うつ性パーソナリティなどと呼ばれ、性格的なものであると考えられていました。しかし現在は、性格ではなく病気であり薬物療法の対象であるという考え方が主流です。この病気の症状自体は比較的軽症のため、患者さんにとって日常の一部となってしまい、病気であることに自分ではなかなか気づけないこともあります。そのため、うつ病以上に隠れた疾患であるとも言われています。参考文献:黒木俊秀(2017)/著「持続性抑うつ障害とうつ病の慢性化」『臨床精神医学』第46巻第5号アークメディア/刊性格と間違われやすい「慢性のうつ病気分変調性/参考:性格と間違われやすい「慢性のうつ病(気分変調症)」について|三田こころの健康クリニック新宿HP気分変調症/気分変調性障害の診断基準のポイント出典 : 公的な申請に必要な診断書にも使われる、ICD-10における気分変調症の診断基準のポイントを紹介いたします。・慢性的な気分の落ち込みが2年以上続いていること・数日から数週間程度の回復期間があることもある・気分の落ち込みは比較的軽症であること・以下の項目のうち、3項目以上の症状が存在すること(1)エネルギーあるいは活動性の低下(2)不眠(3)自信喪失あるいは不全感(4)集中困難(5)涙もろさ(6)セックス及び他の快楽をもたらす活動に対する興味あるいは喜びの喪失(7)望みのない感じ,あるいは絶望感(8)日常生活上の日課に対処できないという自覚(9)将来に関する悲観,あるいは過去についての思い煩い(10)社会からの引きこもり(11)会話量の減少(引用:中根 允文ら/訳 『ICD-10精神および行動の障害-DCR研究用診断基準 新訂版』 2008年 医学書院/刊p.98−99)参考文献:中根允文ら/監『ICD-10精神科診断ガイドブック』2013年中山書店/刊気分変調症/気分変調性障害はどのように治療するの?完治はするの?出典 : 気分変調症には画一的な治療法はありません。その人自身の人生の歴史や性格、今置かれている環境などを考慮して、ケースバイケースに対応して行く必要があります。気分変調症の治療では、一般的には抗うつ薬などの薬物療法と並行して、カウンセリングなどの精神療法が行われれるようです。参考文献:黒木俊秀(2006)/著「気分変調症―精神療法が無効な慢性“軽症”うつ病?―」『精神療法』第32巻第3号金剛出版/刊参考文献:阿部隆明(2006)/著「気分変調症」『臨床精神医学』第35巻増刊号アークメディア/刊気分変調症を含め、精神疾患はかなり再発しやすい傾向にあります。そのため、基本的には完全に病気が治ったという意味の完治という言葉を使いません。代わりに、症状が一時的に良くなったり、消えたりした状態を「寛解」と表現し、これを治療の目標とします。わざわざ「寛解」という言葉を使うのは、たとえ服薬などにより調子がよくなったとしても、無理をしすぎず、焦らず今の状態を維持するために気遣う必要があるためなのです。とくに、慢性的な経過をたどりやすい気分変調症は、長い目で経過を見守るという心持ちでいることが大切です。気分変調症/気分変調性障害のある人の生活や仕事をサポートしてくれる制度出典 : 気分変調症は慢性的な疾患で、日常生活や働くうえでも影響が出てくる場合があります。就労で困ったときに使えるサービスとしては、公共職業安定所(ハローワーク)や就労移行支援、就労継続支援などがあります。これらの就労支援サービスについては以下の記事をご覧ください。自立支援医療(精神通院医療)とは精神疾患がある方で、かつ、通院による継続的な治療が必要な場合、その通院医療にかかわる医療費負担が原則1割になる制度です。詳しくは、以下のリンクをご参照ください。自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省HP気分変調症の方が受けられる自立支援医療以外の経済的な支援などについては以下の記事をご参照ください。仕事や生活などで困った時は、精神保健福祉センターに相談してみることをオススメします。精神保健福祉センターとは各都道府県及び政令指定都市に設置されている精神保健や精神障害者の福祉に関する機関です。こころの悩み全般に専門家がこたえてくれますので、気兼ねなく連絡してみましょう。以下のリンクで全国の精神保健福祉センターを検索できます。全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省HPまとめ出典 : 気分変調症はたしかに症状としては軽度であるとはいえ、気分の落ち込みなどのつらい症状が長引く病気です。また、その症状が日常生活に及ぼす悪影響は決して軽度ではなく、見過ごして良いものではありません。少しでも気になる症状がある方は、少し勇気を出して、お近くの精神保健福祉センターや精神科・心療内科に相談してみてはいかがでしょうか?自分だけでは見えてこなかった解決策が見つかるかもしれません。
2017年11月25日むくみはなぜ起こるのでしょう。むくみの原因にはさまざまありますが、病気が原因の場合には、腎臓病によるむくみが多いといわれています。むくみが起こるメカニズムむくみは、身体に余分な水分が留まってしまうことで引き起こされます。人間の身体は、体重のおよそ60%が水分といわれており、そのうち3分の2が細胞内にあります。そして、残りの3分の1の水分は血液内などにあるといわれており、その多くが細胞間液になります。細胞間液は血液の血漿(けっしょう)成分でできており、栄養素などを運ぶ役目をします。通常、心臓がポンプのように力強く動くことで、全身の血液を循環させます。その際、身体が必要としている酸素や栄養素などを血液と一緒に動脈を通して、すみずみまで運びます。そして、細胞内で不要となった老廃物などを、静脈やリンパ管を通して心臓へと戻します。しかし、なんらかの原因で、この細胞間液が、うまい具合に静脈やリンパ管に戻れなくなったり、静脈やリンパ管の流れが滞ってしまったりすると、そこで細胞間液も留まってしまい、むくみの原因へと繋がるのです。むくみの原因とはむくみが引き起こされる原因はさまざまです。長時間の立ち仕事やデスクワークなどで、同じ姿勢をとり続けていると、重力などが原因で朝履いた靴が夕方きつくなってしまうようなむくみを引き起こすことがあります。また、締め付けのきつい下着や衣服、ベルトなどは血流を妨げてしまうので、その部分がむくみやすくなる原因にもなります。むくみの原因は重力や身につけている衣類だけではありません。なんらかの病気が原因となってむくみの症状がひきおこされている場合もあります。その場合は、原因となっている病気によって、対処法も変わってくるので、まずは、専門の医師に相談のうえ、原因を明らかにし適切な治療をおこなうことが非常に大切です。むくみと腎臓の関係とはむくみの症状が引き起こされる病気で一番多いといわれているのが腎臓の病気です。腎臓の病気によるむくみは、「腎性浮腫」といわれ、足だけでなく全身に起こります。また、このむくみは腎臓の病気にとって、かなり重症化したサインでもあり、病気がかなり進行していないと腎性浮腫はひきおこされないといわれています。腎性浮腫の原因とは腎臓は、身体の中の水分量を調節したり、老廃物を尿として排出したりする機能を持っています。しかし、病気によってその機能が破壊されてしまうと、余分な水分やナトリウムなどを排出できず、身体に留まってしまいます。この排出できなかった水分や老廃物がむくみを引き起こすことになります。むくみを引き起こす腎臓の病気とは腎臓の病気でも、むくみを引き起こすものとそうでないものがあるといわれています。タンパクを排出するネフローゼ症候群身体の中の老廃物を排泄してくれる腎臓では、毛細血管のかたまりである糸球体(しきゅうたい)が血液の濾過(ろか)装置として機能し、老廃物のみを取り除く仕組みになっています。しかし、この糸球体になんらかの障害が起き、血液中にあるタンパクが大量に濾過されてしまい、尿と一緒にタンパクを排出してしまうことで、血液中のタンパクが減る低タンパク血症で、むくみなどの症状が引き起こされるのがネフローゼ症候群です。低タンパク血症で、血液中のタンパクの量が減ってしまうと浸透圧の関係で血液中の水分などが血管の外へと染み出します。その血管の外に溜まってしまった水分などがむくみとなるのです。ネフローゼ症候群の原因はさまざまで、むくみの症状も、原因や排出されてしまったタンパクの量、年齢などで変わってくるといわれています。少しずつ症状があらわれる場合もあれば、急にあらわれる場合もあり、その原因は、腎臓から組織の一部をとって検査をする腎生検で判明することが多いのです。糸球体腎炎腎臓内の濾過装置である糸球体に炎症が生じ、血尿やタンパク尿が出てしまう症状を糸球体腎炎と呼びます。これには急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎の2種類があり、急性糸球体腎炎の場合は、扁桃炎や咽頭炎などの1〜3週間後に発症するといわれています。むくみのほか、血尿、タンパク尿、尿量の減少、高血圧の症状があらわれます。慢性糸球体腎炎は、1年以上の長期に渡って血尿やタンパク尿などが続くものを指します。急性糸球体腎炎と同じく、むくみ、血尿、タンパク尿、高血圧の症状に加えて、頭痛や倦怠感などの症状もあらわれます。腎臓の働きが低下する腎不全健康な腎臓に比べてその働きが、30%以下にまで低下してしまった状態が腎不全になります。腎炎などで糸球体の細かな網目が詰まってしまい、血液の濾過が十分にできなくなり老廃物を排泄しきれなくなることで腎不全となります。腎不全になると、尿の出が悪くなるだけでなく、全くでなくなったりするため、身体に水分が溜まりむくみとなります。慢性腎不全になると、腎臓の機能を完全に回復するのは不可能ともいわれています。末期症状まできてしまうと、腎臓の機能が低下しすぎて、生命維持にも関わってくるため、腎臓の働きを補うための人工透析や、腎移植が必要となります。ひどい場合は病院へ立ち仕事やデスクワークなどが続くと、むくみの症状はあらわれやすくなるため、少しぐらいのむくみなら、と気にしなくなりがちですが、むくみの裏にはさまざまな病気が隠れている場合もあります。気になるときは、迷わず専門の医師に相談しましょう。監修:川端久雅
2017年04月30日●PMS・月経不順・無月経などの生理トラブルに注意20代は、体の機能も若く体力に満ちた時期。しかし、決して病気と無縁というわけではありません。若い女性の場合、知識がないためにトラブルや病気を見過ごして重症化することも多いので、特になりやすい病気の基礎知識だけでも身につけておくことが大切です。○将来の妊娠にも関わる生理トラブルまず20代の女性に気をつけてほしいのは、次に挙げる生理に関するトラブルです。・月経前症候群(PMS)生理の3~10日ほど前から生理が始まるまでの間に起こる、心身の不調のこと。イライラや気分の落ち込みといった精神的な症状が出る人もいれば、頭痛や吐き気などの肉体的な不調となって現れる人もいます。ピルの服用によって症状が緩和するケースもあります。・月経困難症仕事や家事が手につかないほど生理痛がひどい状態のこと。そのうち、原因に子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が絡んでいるものを「器質性月経困難症」、特に病気がないのにホルモンの影響で強い痛みが起こるものを「機能性月経困難症」と言います。特に後者は、10・20代の若い女性に多い病気ですが、通常は、加齢や出産によって徐々におさまっていきます。・月経不順生理が2カ月に一度しかこない、周期がバラバラで安定しない、ダラダラと長く続くなどの症状を「月経不順」と呼びます。主な原因は、ホルモンバランスの乱れ。体が未熟な10代で生理周期が乱れるのはよくあることですが、20代で起こる場合、恋愛や仕事のストレス、無理なダイエットが原因でホルモンバランスが崩れている可能性があります。・続発性無月経それまであった生理が3カ月以上止まってしまうことを「続発性無月経」と言います。何らかの原因で、脳の視床下部や下垂体、または卵巣の機能が正常に働いていない場合に起こります。特に若い女性に多いのは、ストレスや過労のほか、過激なダイエットによる栄養不足が原因で体の機能がストップしてしまうケースです。上記のような生理に関するトラブルがある場合、原因として子宮や卵巣の病気が絡んでいることも考えられます。原因不明の場合でも、放置すると、将来の不妊の原因になる可能性も。「よくあること」と見過ごさず、早めに婦人科で相談しましょう。●20代でも子宮・卵巣の病気が増えている生理のトラブルのほか、次に挙げる病気にも注意が必要です。・卵巣のう腫子宮や卵巣の病気の中でも、10・20代の若い世代に多発しているのが、卵巣にできる良性腫瘍(しゅよう)である「卵巣のう腫」です。初期には自覚症状がほぼありませんが、腫瘍が大きくなると、下腹部にしこりができ、違和感やお腹の張りを覚えることもあります。また、腫れた卵巣がねじれを起こし(卵巣茎捻転)、激しい痛みが生じる場合もあります。・子宮内膜症「子宮内膜症」は、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所にでき、炎症や癒着を起こす病気です。それによって、ひどい生理痛や経血量の増加といった症状を引き起こします。初潮から年数を増すごとに増加する傾向があり、発症のピークは40代ですが、20代でかかる人も少なくありません。・バセドウ病「バゼドウ病」は、首にある甲状腺という器官から出る甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気で、特に20・30代の若い女性に多い病気です。甲状腺ホルモンには新陳代謝を促す働きがあるため、多すぎると代謝が異常に活発になり、体のかゆみや口のかわき、甲状腺が腫れる、脈拍数が多くなる、食べているのにやせてくる、眼球が出てくるなどの症状が現れます。甲状腺の病気にはほかに、甲状腺ホルモンが少なくなって代謝が低下し、疲れやすくなったり、むくみや体重増加などの症状が出たりする「橋本病」という病気もあります。・子宮頸がん女性特有のがんの中でも、近年、20代の女性の間で増えているのが「子宮頸がん」です。子宮頸がんは、子宮の入り口付近にできる悪性腫瘍。その発生には、主にセックスを介してうつる「HPV(ヒトパピローマウイルス)」が関係していると考えられています。通常、初期には症状がまったくなく、進行すると、生理以外の出血、セックスの際の出血、おりものの変化などの症状が出ることがあります。重症化すると命に関わりますが、検診などで早期に発見できれば、比較的治療しやすいがんだと言えます。20代女性がなりやすい病気には、自覚症状がないものや症状がわかりにくいものも多いので、早期発見のためには定期的な検診が不可欠です。ぜひ20代のうちから、気軽に通えて相談しやすい、かかりつけの婦人科を見つけておきましょう。※画像は本文と関係ありません○記事監修: 鈴木俊治医師葛飾赤十字産院 副院長日本産婦人科医会 副幹事長1988年長崎大学医学部卒業、日本医科大学付属病院産科婦人科学教室入局、葛飾赤十字産院産婦人科派遣をへて米国ロマリンダ大学胎児生理学教室へ研究留学。帰国後、日本医科大学産科婦人科学講師、学助教授、東京臨海病院産婦人科部長を経て、現在は葛飾赤十字産院にて副院長を務める。
2016年06月28日病気を抱え、恋愛や結婚を諦めてしまう人もいます。コラムニスト・ひかりさんがそんな悩める女性に対して、アドバイスをします。■病気を理解してくれる人と人生を共にしたい(Aさん・34歳)3年前にブラック企業に転職してしまい、1年半後に無理がたたり精神疾患(双極性障害Ⅱ型)を発症しました。結局は、休職後、退職しました。1年ほど前にやっと医師から就業許可が出て、フルで働けるようになりました。回復したのはよかったのですが、この疾患は完治がなく、最悪な場合、一生薬を飲みながらの生活となります。自分の調子さえ上手くコントロールできず、この疾患に遺伝の可能性もあることから、子どもは諦めています。ただ、できれば恋愛したい、理解してもらえるなら人生を共に歩めるパートナーを見つけたい。でも、病気が病気だけに、なかなか受け入れてくれる人もいないだろうなぁ、と。どう思いますか?■Aさんへの回答私は精神的な病気については知識がないので、それについてはお医者さんとよく相談の上、行動された方がいいと思います。だからここでは一般的な話で言いますが、病気があろうがなかろうが、その人自身に魅力があれば、恋愛や結婚もできる可能性は高いと思いますよ?もちろん、その魅力がなにかは人それぞれ。一緒に話していると、相手の気持ちを楽にさせてあげられるほど、素敵なものの考え方をできるのか。一緒に住む人が、ずっと家にいたくなるほど、掃除が上手でおいしい料理を作れるか。ずっと見ていたいくらい美しいのか。さらに言えば、相手を養えるくらい経済力がある、なんてことも、人によっては魅力かもしれません。もちろん、それ以外のことでもいいでしょうし。Aさんがどんな魅力を持つか、自分の特徴をよく理解して見つけてみては。そして、それを磨いていってみてはどうでしょうか。■“ありのままの自分”を受け止められたい?よく人は、「“ありのままの自分”を受け止められたい」と願います。ただ、その“ありのままの自分”を、自分自身で受け止められているのでしょうか?「自分では受け止められない人を、人には受け止めてもらいたい」というのは、難しい話です。自分でも受け止め、オススメできるくらいの人だからこそ、人も受け止めたくなる、とは思いませんか?自分を受け止めるためにも、「自分のことをよく知る」ことは重要です。そのためにも、「自分の心の声をよく聞き、自己と対話をすること」「自分に嘘をつかずに、自分のいいところも悪いところもきちんと見て、その上で悪いところは責めるのではなく、反省して成長していくこと」といったことが、大事だと思います。自分を責めたところでいいことなんてありません。そのエネルギーがあったら、自分が成長し、変わることに使いましょう。結局は、「どんな思想を持つのか?」が、自分の言動を大きく変えていくものなんですよね。自分を責めるような思想を持っていたら、どんなに健康な人だって心が弱ってきます。まずは自分をもっと大切に、愛してあげてみてはどうでしょうか? それがいい恋をつかむためにも、重要ですよ!■最終回のご挨拶2013年9月から連載していた「ひかりの恋愛お悩み相談」は、今回で最終回となります。人それぞれ、悩みはちがいますが、結局は、「自分」が変われば、「環境」も変わるし、「相手の反応」も変わってくるもの。環境や人のせいにばかりしていないで自分が変わることで状況が好転していくことは結構あるものなんですよね。お悩み相談は、私の公式ブログ 「ホンネのOL“婚活”日記」 で、引き続き募集しています。いままで、どうもありがとうございました。
2016年03月30日急に寒さが強まってきましたね。小さい子がいる家庭では、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症が心配な季節です。そこで、今回は、子どもが保育園で病気などをうつしてしまった場合、親や保育園にはどんな責任があるのかを、アディーレ法律事務所の島田さくら先生と考えてみましょう。 「明らかに病気の子」を預けた親は罪になるのか?通常、保育園では、風邪や感染症の2次感染を防ぐため、園児の体調について親に申告するよう求めています。ただ、「風邪」という基準だと判断がつかないため、各園で「37.5℃以上の熱がある場合」「平熱より1℃高い場合」「下痢や嘔吐がある場合」といった具体的な基準を定めて、このような症状がある場合には預かりをしない運用をとっています。また、保育園における感染症予防については、厚生労働省が「保育所における感染症対策ガイドライン」を発表しており、それに基づいて、通常、保育園では入園に際しての契約書等で、感染症にかかった場合の登園の基準を定めています。感染症とはたとえば、麻しん、風しん、水痘、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、RSウイルス感染症、百日咳などですが(これ以外にも多数あります)、園が感染症と認定しているものに対しては、症状が治まっても、登園のためには、医療機関の発行する「登園許可書」や「治癒証明書」の提出が必要とされています。このように、保育園としては、ほかの園児に病気がうつらないよう努めることを、親に周知しています。なので、親としては、保育園での決まりや基準を守って、ほかの園児にうつらないよう気をつけなければなりません。とは言え、「病気の子どもを保育園に預けたら犯罪!」とまでは言えないでしょう。理屈の上での話をすれば、他人にわざと病気をうつしたら傷害罪、また、わざとでなくても注意義務を怠って他人に病気をうつしたら過失傷害罪となることが考えられます。しかし、犯罪が成立して処罰されるのは、懲役や罰金等の刑罰をもって処罰しなければならないような場合に限られます。そうすると、そこまでする必要があるのか、子どもを保育園に預けるという行為が傷害といえるのか、等々の問題が出てきます。また、実際問題として、その園児からほかの園児に病気がうつったんだという因果関係を証明するのは難しいですし、警察が捜査を始めるということもないでしょう。親はどのように責任をとるのかわざと他人に病気をうつせば、故意に他人の健康を害してしまっているため、民法上の不法行為(故意または過失により他人に損害を与えること)が成立し、病気がうつってしまった相手に治療費や慰謝料を支払う必要が出てきます。ただ、子どもを保育園に預けた結果、病気がうつってしまったというだけであれば、この行為が不法行為といえるのか、どうのようにして因果関係を証明するのかという問題もありますので、これは現実的ではないでしょう。仮に、子どもがよくかかるような病気をうつしたから損害賠償だ!と言われてしまうと、おちおち子どもを預けることもできなくなってしまいますよね。ただ、登園が禁止されている状態なのに、何度注意しても子どもを登園させることを繰り返すといった場合には、契約違反となり、保育契約を解約されることも考えられます。病気の子どもを預かってしまった保育園の責任もあるのか?保育園の責任については、ちょっと難しいですが、以下のように定められています。(1)保育園には感染症対策をする義務がある厚生労働省のガイドラインによれば、保育園は、感染症を防ぐため、感染症対策をすることを責務とされています(集団予防義務)。保育園の職員は、病気の感染予防や対策について十分に理解し、日々の衛生管理等に活かしていくことが必要です。また、保護者に対して、口頭で、又は保健だよりや掲示等を通じてわかりやすく伝えることが求められます。 そのほか、早期診断・早期治療・感染拡大防止に繋げるため、感染症が発覚した場合には、全職員が情報を共有して、速やかに保護者に感染症名を伝えるなど感染拡大防止策をとる必要があります。(2)保育園で悪質な集団感染が起きた時は、運営側が責任を負うこともですので、保育園には、病気の園児が、ほかの園児に病気をうつす可能性がないかどうか注意して感染を予防する義務があり、その義務に著しく違反し、集団感染などが生じた場合には、都道府県知事から期限を定めて必要な措置を取るべき旨が命じられ、その命令に従わないときには、事業の停止や、悪質な場合には、保育園の運営について認可を取り消される可能性も出てきます(児発第271号通知)。まとめ保育園に子どもたちが安全に通うためには、親もルールを守る必要があります。しかし、働くお母さんたちは、子どもが病気をしたからと言って簡単に仕事を休めるわけではないですし、近くに頼れる人がいない場合には、本当に困ってしまいますよね。最近では、「病児保育室」といって、事前に登録していれば病児または病後の子どもを預かってくれる施設も増えてきています。病院に併設していたり、保育園が運営していたり、さまざまな形態があります。行政によっては、利用料金を補助してくれる場合もあるので、子どもが保育園に通っている親御さんは、この機会に、お住まいの地域にどんな制度があるか、役所のホームページを見たり、担当者に訪ねてみたりしてはいかがでしょうか。あとがき保育園に通い始めた年の冬、うちの子も週1か週2のペースで風邪を引いては熱を出していました。正直、仕事にならない。保育園からのお迎え要請の電話に、裁判が終わって迎えに行くまでもうちょっとだけ待ってくださいとお願いしたこともありました。私の実家は九州で、近くに身寄りもないので、明日はお休みしなきゃなという日には、民間の病児ベビーシッターさんにお願いしています。安くはない出費ですが、子どもが病気の時に預かってくれる場所がないと働けないし、生活もできませんからね。働くお母さんたち、暖かい春が来るまで、なんとか乗り切りましょう!・協力: アディーレ法律事務所 (島田さくら<アディーレ法律事務所>)
2015年12月16日子どもが小さいうちは、予防接種やちょっとした体調の変化などで病院にかかる回数も多いものです。日常的に病気を診てもらったり、気軽に相談に応じてくれたりする病院があればママも心強いですよね。「子育てと病院」に関する調査結果では、そんな乳幼児の病院事情が詳しく紹介されています。子どものかかりつけ医を「決めている人」は全体の約8割医師・病院検索サイトのドクター・オウチーノが行った「 『子育てと病院』に関するアンケート調査 」によれば、「月に1回以上、子どもを病院に連れて行く」という人は48.4%と約半数の結果に。また、「子どものかかりつけ医はいますか?」という質問に79.0%の人が「いる」と答え、約8割もの母親が子どものかかりつけ医を決めていることがわかりました。かかりつけ医を決めた理由には「家から近いから」という意見がもっとも多く、先生が丁寧に話を聞いてくれるなど「信頼できる先生だから」という意見も多いようです。また、かかりつけ医を決めていない人の中には「その時の症状や時間帯によって使い分ける」「1ヵ所では不安」という意見も挙げられています。子どもを病院に連れて行く時に「困っていること」子どもを病院に連れて行く際、困るのは「待ち時間の長さ」ではないでしょうか。私も子どもが小さかった頃は、「いつ泣きだすか」とヒヤヒヤしたことがありました。今回の調査でも「待ち時間が長い」が36.3%、「他の子どもの菌をもらう」が20.2%、「予約が取りづらい」が9.7%など、子どもを病院に連れて行く際のお悩みが明らかになっています。絵本やおもちゃが常備してある医院でも、時間が長いと子どもが飽きてしまうことも多く、おお腹が空いたり、眠くなってぐずったり…と「どうしようもない」状態に陥ってしまうママも多いよう。「連れていくのはしんどいけれど、きちんと診てほしい」というママの心の葛藤が見え隠れしているようです。子どもが病気になった時の対処法また、仕事をもつワーキングマザーを対象に「仕事がある日に子どもが病気になった場合、どう対処していますか?」と質問すると「自分が仕事を休む・早退する」という人が72.0%、次いで「両親・義親に頼る」が28.0%、「夫が仕事を休む・早退する」が13.3%という結果となりました。自分が仕事を休む・早退するのは「融通がききやすい職場だから」とする人が多く、子育てに理解のある職場も多いようです。ただ、自分で解決できない場合は夫よりも自分や義理の両親にお願いする場合が多く、夫婦で仕事と育児を両立させることは難しい現状も明らかになっています。子どもの体調変化は、ママの不安の種になってしまうことも。頼れる病院がある、という支えはとても心強いものです。各家庭に合った良い病院選びも、子育てにおいて重要なことのひとつといえそうです。(すだあゆみ)
2015年12月10日鼻水の色は七変化します。なぜ鼻水は変化するのでしょうか? 鼻水を知ることで、子どもの健康のバロメーターとして役立てることができます。鼻水は生体防御のひとつ鼻の中は粘膜に覆われています。粘膜には、分泌腺、毛細血管、神経、リンパ組織がたくさんあり、鼻から入ってきた空気に適度な湿り気を与えるために、常に少量の分泌液を出していて、バイ菌や冷たい空気などの異物を排除する働きがあります。異物が入ってきて、粘膜に炎症が起こると、鼻の粘膜は風船のようにパンパンになります。そして分泌腺から出る分泌液が、大量の鼻水となって流れ出してきます。炎症が強くなると鼻の粘膜はさらに膨れ上がり、空気の通り道(鼻腔)を詰まらせてしまい、これが鼻づまりとなります。鼻水が出てくるのは私たちの生体防御のひとつです。体の中から悪いものを出そうと頑張った結果ですので、鼻水が出る時は必ずティッシュなどで鼻をかみ、取り除く必要があります。鼻水の色が違うのはなぜ?鼻水は通常、透明で、あまりネバネバしていませんが、粘り気があり、黄色、緑色、茶色をした鼻水を経験したことがある人も多いでしょう。鼻水の色の変化は、バイキンの種類や量の変化で起こる場合があります。わかりやすく、段階別に説明しましょう。<レベル1> 透明な鼻水風邪の引きはじめや花粉症などで見られます。そもそも鼻水は透明です。<レベル2> 白い鼻水次に、白色の鼻水が出てきます。これは、鼻水だけでは対処できなくなり、異物を処理しようとした白血球が増えてきた状態です。<レベル3> 黄色い鼻水さらに段階が進むと、鼻水は黄色くなります。これは白血球の死骸、つまり膿の色です。カラダがバイ菌を排除しようと頑張っているのです。<レベル4> 緑色の鼻水緑色は、さらにウイルスや細菌などが増殖し、膿が増えている、つまり病状が進行していることを指します。鼻からの感染を防ぐには最初にも説明したように、そもそも鼻の中はうっすら湿っています。空気の乾燥や体内の潤い不足によって粘膜が乾燥してしまうと、粘膜に刺激が入り、粘膜がはれ上がってしまいます。これがそもそものバイ菌感染の始まりです。そこで、鼻からバイ菌に感染するのを防ぐためには、「鼻の中を乾かさない」。これが大原則です。空気の乾燥が強いようならマスクをしたり、お風呂のように湯気のあるところへ行ったりするのもよいでしょう。私は乾燥の強い時期には鼻の周りにオイル(もしくは、鼻スースークリーム)を塗り、マスクをして粘膜保護をしています。鼻をかむ時はやさしく鼻水がたくさん出てきたら、鼻をやさしくかみましょう。絶対に、強くかんだり、鼻水をすすったりしてはいけません。「体外に排出するべきもの」という、身体の防御反応として鼻水を出しているのです。速やかに外に出すのが適切ですが、強くかむとかえって粘膜を傷つけ、鼻とつながっている耳を傷めてしまうことにもなります。注意しましょう。また、マスクは当然したほうがよいですが、まずは鼻の中の炎症の原因となっている、バイ菌の駆除が大切です。そこでおすすめなのが、鼻うがい(鼻洗浄)です。鼻うがい(鼻洗浄)のやり方鼻うがいは、水道水などの真水ではなく、必ず塩水(0.9%生理食塩水)で行います。鼻水はしょっぱいですよね。それは、体液に塩分が含まれているからです。ぬるま湯で作った塩水で、鼻の穴の片側を塞ぎながら、吸って吐いてを行いましょう。お風呂にゆっくりつかると鼻の粘膜のむくみが解消され、鼻の通りがよくなります。そこがチャンス! ですから、鼻うがいはお風呂で行うとよいでしょう。鼻うがいでバイ菌を洗い流したら、その後、粘膜への余分な刺激を防ぐため、オイルやクリームを塗ります。なお、小さな子どもはまだ自分で鼻をかむことができず、悪化しやすいもの。鼻水を吸う器具を使い、パパやママが吸ってあげた上で、お風呂に入る、乾燥を避ける、もしくは早めに耳鼻科を受診するのもよいでしょう。ちなみに、私の家では鼻が詰まると、近所に生えている「ドクダミ」の葉を摘んできて、軽く揉み、小さな塊を鼻の穴に詰めます。ドクダミは匂いが強いのですが、粘膜のむくみをとる働きがあります。ぜひお試しください。(鈴木元<天使のたまご総院長>)
2015年09月27日食物アレルギーになるのが心配だから、離乳食の開始を遅くして卵や牛乳は避けている。そんな方も多いかもしれません。でも、ちょっと待ってください。なんと最近、特定の食物の摂取を遅くしたり避けたりするほうが、食物アレルギーになりやすい可能性があることがわかってきました。さまざまな情報が飛び交っているからこそ、きちんと知りたい食物アレルギーのこと。予防の常識が大きく変わりつつある今、最新の研究で明らかになった意外な予防法についてご紹介します。食物アレルギーのある乳幼児の割合は5~10%「食物アレルギー」とは、食物を食べたり、触ったり、吸い込んだりした時に、免疫システムがはたらいて起こる有害な反応のこと。症状は、かゆみや発疹などが最も多く、中には呼吸困難、意識障害などの重い症状に苦しんでいる方もいます。日本では、乳幼児の5~10%に食物アレルギーがあるものの、年齢とともに減り、小学生以上では1.5~3%と推測されています。特に、卵、乳製品、小麦については、80~90%が就学前には自然に治っているというデータもあります。「念のため食べさせない」は食物アレルギーの予防にならない?これまで食物アレルギーの予防には、1.離乳食の開始を遅らせる2.アレルギーが心配な卵、乳製品、小麦などは、念のため避ける3.妊娠中や授乳中は、アレルギーが心配な食べ物は念のため避けるこの3つが有効と考えられてきました。しかし、それらの情報の信ぴょう性が、ここに来て大きく変わってきているようです。まず「1.離乳食の開始を遅らせる」ですが、離乳食の開始が遅めになっているのに、アレルギー患者が増えていることから、国立成育医療センターの大矢幸弘アレルギー科医長は、「食べ始めを遅らせても、アレルギーの予防にはならない」と見ています。(注1)また、「2.アレルギーが心配な卵、乳製品、小麦などは、念のため避ける」についても、気になる調査結果があります。今年(編集部注:2015年)、英国で行われた、子ども640人を対象にした調査では、乳幼児期からピーナツを食べ始めた子のほうが、5歳までピーナツを控えていた子より、ピーナツアレルギーになりにくいとの研究結果が発表されました。このことから、「食物アレルギーの頻度が高い食物も、除去するより早めに食べるほうがよい」可能性が高いという認識が広がりつつあるようです。それに伴い、現在世界中で、アレルゲンになりやすい卵、牛乳、小麦に関しても、早く食べるほうがいいのかどうかという研究が進行中です。ちなみに日本では、環境省が2010年度から行っている10万人規模の追跡調査において、生後6ヵ月以前に米を食べさせ始めた人が79%いるのに対し、牛乳は9%、鶏卵は10%に過ぎず、生後9ヵ月でも鶏卵は46%、牛乳は53%が与えていないという結果が出ています。(注2) この割合も、今後は変わる可能性があるかもしれませんね。なお、「3.妊娠中や授乳中は、アレルギーが心配な食べ物は念のため避ける」については、妊娠中や授乳中にママが食事制限をしたからといって、食物アレルギーの予防になるという科学的な根拠はありません。特定の食品を避けずに、ママは必要な食事をしっかり摂って、赤ちゃんに栄養を届けましょう。スキンケアで食物アレルギーが予防できる? 新しいアレルギーの予防法このように、食物アレルギーに関して、次々と新しいことがわかってきていますが、確実な予防法はまだ見つかっていないのが現状です。しかし、最近の研究では、「スキンケアをすることでアレルギーが予防できる可能性が高い」と考えられています。大矢医師(前出の国立成育医療センター・アレルギー科医長)は、「食物の成分は、ほこりにまじる形で比較的多くあり、皮膚の状態が悪いほど体内に入りやすいと考えられる」(注1)と話します。少し噛み砕いて解説すると、以下のようなことです。・食物の抗原(アレルゲン)は、空気中のほこりにも含まれていると考えられています・肌が炎症などを起こしてバリア機能が低下していると、バリアの弱まった皮膚の隙間からほこりに混じったアレルゲンが侵入します・アレルゲンの侵入によって、体内では免疫システムが反応して抗体を作り始め、アレルギーの原因物質に反応する準備ができている状態になります・この時点でアレルゲンとなる食物を摂取してしまうと、食物アレルギーになりやすくなります現在、このような仮説が有力なようです。ですが、皮膚から抗原が侵入しても、アレルギー反応を起こす準備が完全に整う前にその食べ物を食べれば、身体の中に受け入れようとする免疫が強くはたらくため、アレルギーにはなりにくいと考えられています。けれども、これまでのようにアレルギー予防のために特定の食品の摂取を避けたり遅らせたりすると、逆にアレルギー反応を起こす準備が整ってしまうため、食物アレルギーを起こしやすくなるというわけです。したがって現在、食物アレルギーを研究する医師の間では、「すでにアレルギー反応が出ている場合以外は、特定の食物を除去しないほうがよい」と考えられるようになっているそうです。つまり、最新の食物アレルギー予防策としては、・赤ちゃんの肌を清潔にし、保湿をして肌のバリア機能を高め、皮膚の保護機能を低下させないように気をつけること・離乳食は開始を遅らせず、特定の食品を避けずに進めること以上2点が大切といわれています。なお、アレルギー予防の常識は日々変わっている真っ最中。国立成育医療センターの成田雅美医師によれば、「私たちアレルギーの世界では主流となる考え方であっても、小児科医や産婦人科医、助産師や保育士など、現場に情報がいきわたっていないのが現状」(注3)とのこと。そのため、病院や保育園などで行われる指導と、ここに書かれていることは異なる可能性もあります。その場合、医師や保育士、栄養士などと相談しながら、現状で最善と思われる対応をとっていってください。(注1)東京新聞 2015年7月10日(注2)環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査」の中間集計から(注3)「ちいさい・おおきい・つよい・よわい no.99 園で、学校で、給食で…食物アレルギーからいのちだけは守る」(株)ジャパンマシニスト社参考:食物アレルギーの専門家が最新情報を発信【アレルギーラボ】
2015年09月11日「小さい頃、体調を崩した時に、お母さんに作ってもらった思い出の食べものは?」と尋ねられた時、何を思い浮かべますか? おかゆ、雑炊、うどん、中には玉子酒なんて答えも出てくるかもしれませんね。「子どもが体調を崩したら、どんな食べ物をあげる?」と尋ねても、「消化がよいもの」「栄養があるもの」「食べやすいもの」ということで出てくる答えはさきほどと一緒の場合が多いですが、子どもの食欲の度合いや症状によって、推奨される食べ物は変わってきます。今回は、子どもが体調を崩した時の食事についてまとめてみましょう。食欲がない時は無理に食べさせない子どもの具合が悪いと、「何か食べさせて栄養つけないと!」と、つい思ってしまっていますが、子どもの食欲がない時は無理して食べさせず、様子を見ましょう。食欲が回復するまでは、水分を摂取させることを重視します。脱水症状を避けるため、経口補水液(電解質と糖質をバランスよく配合したもの)やスポーツドリンク(小さいお子さんには薄めて与える)がおすすめです。これらの飲み物は、下痢や嘔吐の際の水分補給にも、医師や薬剤師が推奨しています。もしも子どもが水しか口にしない場合は、氷砂糖をなめさせるのもよいでしょう。母乳やミルクしか飲めない赤ちゃんが、それらを飲みたがらない時は、白湯やベビー用イオン水をあげましょう。もし、それすら飲まないという時は、おしっこが出ているかどうかを確認します。出ていないようなら、脱水症状の心配がありますので、ただちに小児科を受診しましょう。のどごしがよく食べやすい、体を温める食べ物がおすすめ子どもの食欲が回復してきたら、消化のよいものを少量から食べさせ始め、だんだんと量を増やしていきます。離乳食のステップを思い出してください。最初は、おかゆやうどん、お豆腐から始めた方も多かったのではないでしょうか? 体調を崩し、しばらく食事をとっていなかった子どもへの食事を再開させる時は、そのイメージで大丈夫です。「のどごし」と「食べやすさ」、そして「体を温める」食べ物をあげましょう。消化を助け、体の回復にもつながります。たとえば、塩少々、だし少々で味付けしたおかゆやうどん、湯豆腐から始め、徐々に野菜(ただし、きゅうりやナス、トマトといった夏野菜には体を冷やす効果があるので避けたほうが好ましい)を加えていくとよいでしょう。果物を食べさせる場合には、断然バナナがおすすめ。胃腸にやさしい上、体の回復に必要なたんぱく質やビタミンA、カリウムなどの栄養素を効率良く摂取できます。リンゴをすりおろしたものも、食べやすく消化が良いのでおすすめです。なお、アイスは、のどごしの良さと食べやすさという意味では良いのですが、添加物を消化することが体への負担となったり、体を冷やしてしまったりするので注意してください。パンや柑橘系の果物は避けましょう小さい子どもでもパンは食べやすく、好きな子も多いでしょう。しかし、パンはごはんに比べ、糖分だけでなく油分が非常に多く使われています。そのため、胃腸への負担も大きくなります。また、さっぱりして食べやすいように感じられる柑橘系果物に含まれるクエン酸は、胃腸が健康な時には消化を助ける作用がありますが、反対に消化機能が弱っている時は消化不良を起こしてしまうことがあるので要注意です。フルーツゼリーも、柑橘系のものは避けたほうが望ましいでしょう。そのほか、牛乳やそばは消化が悪いので避けたほうがベター。乳製品ならばヨーグルト(できれば低脂肪)がおすすめですが、嘔吐や下痢が続く時はこちらもNG。また、具合の悪い時にはあまり食べないと思いますが、お魚や肉も脂っこいのでやめておきましょう。どうしてもお肉を食べたがる場合は、鶏ささみぐらいにしておくのが妥当です。嘔吐や下痢が続く時は、何も口にしなくてもよい小児科の医師から聞いた話ですが、嘔吐や下痢が続いている時は水分も含め、無理に食べ物を口にしなくてもよいそうです。こういう時は、水分すら排出されてしまうことが多々あるからだとか。脱水症状にならないよう、おしっこが出ているかどうかを確認しながら、ある程度症状が収まってきたら、水分をスプーンで少しずつ(舐める→ひと口、ふた口から)与え始めます。その後、1~2時間ごとに様子を見ながら、水分量を増やしていくのがよいそうです。喉が痛い時は、しょうがやハチミツもおすすめ夏風邪の代表、ヘルパンギーナや、今夏に大流行した手足口病など、喉に水疱ができて痛がる場合におすすめの食材が、しょうが、もしくはハチミツです。野菜スープにしょうがを入れると、体も温めてくれて喉にもよいですし、ハチミツには消炎効果があるといわれているので、喉に痛みがある時は摂取するとよいでしょう。ちなみに大根おろしとハチミツを混ぜて食べると、喉の痛みが和らぐといわれています。ただし、ハチミツは乳児には厳禁です。必ず1歳を過ぎてからあげてください。子どもの体調、食欲の有無を確認しながら、離乳食を進めるように、「少しずつ」あげていくことを覚えておくとよいでしょう。(遠藤光恵)
2015年09月05日「子どもの寝汗がすごい」という声は多いです。でも、それだけ汗をかくのには、きっと理由があるはずです。子供は汗をかきやすい子どもは私たち大人より代謝が良く、体温が高めです。さらに体内の水分量も多いですね。これだけでも汗をかきやすい条件は揃っていますが、大人と違い、体温調節機能がまだ完全ではないということと、さらに体の大きさに比べて体表面積が大きいため、暑い部屋にいたり、厚着をしたまま暖かい環境にいたりすると、熱が体内にこもって体温が高くなります。それゆえ、子どもは汗をかきやすいのです。子供が寝汗をかく理由(1)パジャマや布団が暑い私も子育てをしていて経験があるのですが、「お腹を冷やしてはいけない!」と言って、子どもに長袖長ズボンのパジャマを着させ、布団をかける。気がつくと、子どもは布団をけっている。そこで布団をかける。すると、また子どもが布団をける…。こんなやり取りのご経験がある方は多いのではないでしょうか?なぜ子どもは布団をけるのでしょう? それは体温が高く、熱がこもりやすいにも関わらず、布団をかけられる。それが暑いからの反応だとは思いませんか?布団をける動作も体を使いますので、それだけで汗をかくかもしれません(筋運動といいます)。私が子どもの頃は、夏になると暑くて寝苦しく、布団をはぎ、パジャマを脱いで、冷たい床の上で寝ていたこともありました。実際、私の子どもも暑いようで、春ぐらいから冷たい床を転々として寝ています。万が一、寒いようなら、子どもはみずから人肌を求め、近寄ってきますし、何かかけるものを探します。「寒くないかな」と心配せず、安心してください。子供が寝汗をかく理由(2)エアコンの設定温度が高い夏は暑くて寝苦しいのでエアコンをつけますが、代謝の悪い大人の感覚で温度設定をしていませんか? それと同じく、冬は寒いから暖房をつけますが、代謝の悪い大人に合わせて温度設定していませんか?大人と比べると、子どものほうが「明らかに代謝が良い」ということを忘れないでください。汗をかくということは体の機能として、「熱を冷ます」ための行為です。子どもが寝汗をかくのは、きっと暑いのです。寝汗は肌荒れ、体調悪化の原因に寝汗が睡眠の質を悪くするということはおわかりだと思いますが、そのほかにもみずからの汗で、体をかえって冷やしてしまうかもしれません。また、体内の水分が失われるので、鼻や喉が乾き、風邪を引いてしまうかもしれません。さらに、汗をかくとき汗腺が開いているので雑菌を受け入れやすくなり肌荒れの原因になるかもしれません。そこで、子どもが快適で寝られる温度設定にしてあげることが大切です。また、肌着などの吸水性がよく、通気性、乾燥性の良いものを着させ、厚着は不要です。子供が汗をかいたら、その都度、石けんで洗っても大丈夫?子どもが汗をかいたらシャワーをする、という方もいるかもしれません。その時に、ちょっと注意してほしいことがあります。子どもの肌は大人に比べると薄く、皮脂も少なく、決して強いとはいえない構造をしています。汗をいっぱいかいたからといって、石けんで、さらにナイロンのタオルなどを使ってゴシゴシ洗うことは、汚れとともに必要な皮脂をも取り除いてしまうため、肌荒れの原因となります。小さな子どものターンオーバーは1~2週間といわれ、驚くほど早いのです。そうなると垢が多く出るのですが、ゴシゴシ擦ると、まだ剥がれてはいけない薄い皮膚も傷つけてしまうので注意が必要です。外で泥んこになって遊んだのであれば、肌に優しいボディシャンプーを使うのは仕方ないと思いますが、そうでなければお湯で洗い流してあげるだけで十分ではないでしょうか?子供に合わせた環境づくりを私たちが良かれと思って実践していることも、子どもから見たら必ずしも良いとは限りません。誰に合わせて生活スタイルを組み立てるのか。子どものいる家庭であれば、もちろんそれは子どもを中心に考えるべきです。なぜなら私たち大人よりもデリケートだからです。目の前にいる子供をしっかり観察し、体の状態やしぐさから情報を得て、理解してあげるのも、立派な親の役目。お子さんの様子をしっかり見て、それに合った環境にしてあげてください。(鈴木元/マタニティ鍼灸マッサージ院・天使のたまご総院長)
2015年09月02日地域で子どもを見守ることが希薄になっている昨今、子ども自身に防犯意識を持たせるようにするのは大切なことです。学校や園でも防犯対策を行っており、地域によっては学校・園側から防犯ブザーを支給してもらえることもあります。ただし、支給してもらったものの、使い方がよくわからない、いざという時に使えない、ということはありませんか? 後悔が残らないように、子どもと一緒に防犯対策をいま一度考えてみましょう。そこで今回は、防犯対策の入門編とも言える「防犯ブザー」について取り上げます。防犯ブザーだとわかりにくいデザインを選ぶ学校から支給される防犯ブザーは、みんなが同じデザインのものですよね。不審者の中には防犯ブザーを鳴らされないようにと、防犯ブザーを奪って遠くに投げたり、踏んで壊したりするケースもあるようです。見るからに「防犯ブザーを持っています」というタイプよりも、一目では防犯ブザーだとわからないデザインの物のほうが、万が一のときに役立つはずです。 DRETEC 防犯アラーム 「くま吉」 ブラウン PA-116BR 大音量のもので犯人を圧倒させる不審者・犯人を一瞬でも驚かせることができれば、その隙に逃げたり助けを求めたりできるはず。防犯ブザーを選ぶ時は、なるべく音量の大きいものを選びましょう。人間の耳が「不快だ」と判断する音を出す防犯ブザーなら、相手を圧倒させられます。この防犯ブザーは、100db・4kHzという、近くで聞くには耐えられないくらいの音量を出すそうです。これなら、大音量で子どもの身を守れるでしょう。 防犯ブザー プチアラーム2(ホワイト) 生活防水型 超音タイプ PAW-20WH コンパクトタイプなら持ち運びに便利肌身離さず持ち歩くのが、防犯対策のマナー。コンパクトな防犯ブザーなら、ポケットに入れたり、小さなバッグに入れたりと、どんな時でもすぐに取り出せるはずです。 ELPA コンパクト防犯アラーム ブルー AKB-100(BL) こまめに点検を行って、正常に作動するかを確認防犯ブザーを持っていても、それだけで満足してはいけません。いつ、どこで不審者に遭遇するかはわからないもの。いつでも使用できるように、定期的に防犯ブザーのチェックを行っておくことを推奨します。防犯ブザーの電池が切れていた、接触が悪くてならなかったということのないように、万全の体勢を整えておきたいですよね。最低でも1週間に1回は音のチェックをして、正常に作動するかを確認しておきましょう。さらに、防犯ブザーを鳴らしたら、そのブザーを遠くに投げるように子どもに伝えておいてください。これは犯人に鳴らした防犯ブザーを取り上げられないための対策。せっかくの防犯ブザーが無意味にならないよう、子どもには徹底して防犯対策について伝えておくべきです。ママも子どもも一緒に防犯対策について考えることで、防犯に対する意識も高まりますよ。安心な生活が送れるように、初歩的なところを見直してみましょう。(ライター:RUREI)
2015年08月22日最近何かとメディアに出てくる「腸内フローラ」。健康の秘訣は腸内フローラが元気である必要があるといわれています。腸内フローラは免疫力アップ、精神安定、アンチエイジングに効果的だということがわかってきました。しかし、子どものアレルギーにも関係していると知っていましたか?その前に、そもそも腸内フローラとは何なのでしょうか。医療関係者であれば誰でも知っていますが、大腸菌や乳酸菌を代表とする「腸内細菌」を言います。私たちの腸内には100兆匹から1000兆匹、約300種類の腸内細菌が生息し、重さにしてなんと1Kg(肝臓や脳と同じぐらいの重さ)もいるそうです。善玉菌が2~3割、悪玉菌1割、日和見菌がその他大多数の比率で生息しているといわれ、善玉菌の代表はビフィズス菌などの乳酸菌、悪玉菌の代表はウェルシュ菌、大腸菌、そのときどきに合わせて優勢な側に付く日和見菌は連鎖球菌、バクテロイデス菌などがいます。私は前職で便や尿などから菌を培養し、何菌なのか同定する仕事をしていました。初めて培養すると驚くほどの数と種類、増殖力があり驚いたのを覚えています。そして同じ人でも日によって差が多いということも経験してきました。きっと食生活などの日ごろの生活が腸内フローラに良くも悪くも影響を与えているのではないでしょうか。腸内フローラと密接な関係の食事ですが、最近では食物アレルギーの子どもが多いような気がします。腸内環境とアレルギーとの関係は以前から言われており、きっとお母さんの腸内フローラ、新生児・乳児の腸内フローラがキーワードになるのではないでしょうか?それでは、次はもっと詳しく子どものアレルギーに着目してお話をしていきます。子どものアレルギー、なぜ発症するの?おなかの中にいる赤ちゃんは「無菌」です。お母さんが食べる食事のブドウ糖やアミノ酸、脂質やナトリウムなどの無機質などが胎盤を通過して栄養します。一部の菌(溶連菌、淋菌、クラミジア、梅毒など)、ウイルス(ヘルペス、肝炎、HIVなど)、原虫(トキソプラズマ)、真菌(カンジダ)以外は胎盤を通過しませんので、感染症をお持ちでなければやはり原則無菌というわけです。アレルギーとは、あるもの(アレルゲン)に過剰に起こる免疫反応をいいます。簡単にいうと敵から体を守る防御機構のようなもの。しかし、それが過剰に働くと起こるのですが、どうやら遺伝子的にアレルギー体質というものがあるということもわかってきました。しかしアレルギー体質だからといって全員がアレルギーになるわけではありません。アレルギー体質に「悪化させるような原因」が加わることで発症すると考えられているので、アレルギーは環境の変化が影響しているといわれています。住宅環境によりダニやカビが増える、食品流通や食生活の変化で食事の欧米化や食品添加物の増加、皮膚に厳しい乾燥環境が増える、菌との接触が減って体の免疫反応がアレルギーの起こりやすい方向に傾くなどの可能性が示唆されています。赤ちゃんは生まれてからはじめて菌に接触します。次第に皮膚や口などの消化器官、鼻などの呼吸器官へ菌が入り増殖を起こし始めます。この時点から多くの菌に触れることで、免疫力を養っていくのです。腸内では生後3~4日で善玉菌であるビフィズス菌が大多数で、悪玉菌の大腸菌は微々たる数しかいません。このビフィズス菌は、母乳中にある物質が増殖を促し、整腸作用を発揮します。また母乳には白血球やリンパ球、抗体、ホルモン、酵素なども多く含まれるので、赤ちゃんの免疫に一役買っているということは誰もがご存じでしょう。こうして免疫を獲得し、腸内フローラは2歳~3歳ごろに完成するといわれています。こんなデータがあります。アトピーの子どもと、そうでない子どもの生後1カ月の腸内細菌の数と種類を調べると、そうでない子どものほうが多かったと。やはりアレルギーと腸内フローラは切っても切り離せない関係であるといわざるを得ません。アレルギーとの付き合い方また未完成の腸内フローラの時期に牛乳、貝、お刺身、そばなどを食べさせると、分解できずに体内に入り、その食べ物に対する抗体が作られ、同じものが入ってきたとき、激しく攻撃してしまうアレルギー反応が起こると考えられていますので、離乳食が始まってからは気をつけなくてはいけません。こうして考えてみると、赤ちゃんのアレルギーを含む免疫のすべてはお母さんに依存しているというのはお分かりでしょうか。(1) 妊娠中のお母さんの腸内フローラが正しく活動していること(2) 出産方法(菌との接触)(3) 母乳育児(菌との接触と腸内フローラへの栄養)(4) 母乳の質を高める(腸内フローラへの栄養)(5) 育て方(アレルギー、免疫の獲得)私が子どものころ、食物アレルギーやアトピー、花粉症はそこまで多かったイメージはありません。当時は今のように「殺菌・消毒」の概念はそこまで強くなかったと思います。もちろん怖い菌も存在するので、一概に悪いというわけではありません。しかし何でも抗菌といい、菌に触れる機会を減らしてしまった結果がこのアレルギーの原因のひとつであれば、ある程度育て方で予防できるのではないかと考えます。そしてやはり、赤ちゃんの栄養はお母さんからです。妊娠中、授乳中、離乳食もすべてお母さん。まずはお母さんの腸内フローラを正常化し、子どもの将来の体のことを考えてあげてください。(鈴木元)
2015年08月16日夏と言えば海水浴! 夏休みに子どもと一緒に海水浴に行く家庭も多いでしょう。海水浴に対する楽しみや期待は膨らむ一方ですが、安全に海水浴をするにはどうすればいいのかも考えておきたいところ。そこで、海水浴場での危険な場所や危険な生物などをまとめました。海水浴に行く前に再度確認しておきましょう。海辺の危険な生き物海水浴や磯遊びの際に気をつけておきたい生き物を、いくつかピックアップしてみました。※生き物名のリンクをクリックすると、Googleの画像検索結果ページが開きます。苦手な方はご注意ください。・ヒトデ星型のヒトデではなく、体全体にトゲのある「 オニヒトデ 」は、そのトゲに猛毒が含まれています。刺されると死に至るケースもあるので十分な注意が必要でしょう。沖縄などの温かい地域に旅行に行く際は気をつけて!・ガンガゼ磯に生息する「 ガンガゼ 」は、ウニの1種でトゲには毒があります。刺されるとトゲが折れて体内に残るのも特徴。ガンガゼは繁殖しやすく大量に発生する生き物なので、見つけたらすぐに遠い場所に離れましょう。・クラゲ全国的にみられるのが「 アカクラゲ 」です。強い毒を持っているクラゲで、刺されるとしびれや腫れなどが見られます。アカクラゲは死骸にも毒が残っている可能性があるので、浜辺に流されているのを見つけても、触らないようにしてください。また、「 カツオノエボシ 」という青いクラゲは、刺されると体中に電気が走るような感覚になります。通称デンキクラゲと言われているほど危険な生物です。・カニ子どもが好きなカニにも、毒をもったものがいます。「 ウモレオウギガニ 」は毒ガニの中の毒ガニ! サンゴ礁や岩礁の浅い海に生息しているので、海辺で遊ぶ際には気を付けておきましょう。毒を持つ生物に刺された時は、早く患部を温めることが大切。熱めのお湯に浸けることで痛みを緩和することができます。また、ウニなどのトゲが刺さっている場合は、真上方向に抜き、トゲが折れないように対処しましょう。ただし、これらはあくまでも応急処置です。すみやかに医療機関を受診して、専門家に処置してもらうことが大切です。海辺の危険な場所は?海水浴で気をつけたいのは生き物だけではありません。泳ぐ場所、遊ぶ場所への配慮も必要です。たとえば、人混みを避けようとして遊泳禁止のエリアに足を踏み込まないこと、岩場などの足場の悪い場所に立ち入らないことなどです。岩場には貝が張り付いていることも多々あり、貝で足を切ってしまうことも珍しくありません。また、バランスを崩して転倒や落下をする恐れもあるので、子どもと海水浴に行く時は、なるべく岩場に近づかないほうがよいでしょう。できれば事前に下見をするのがベストですが、難しい場合はネットなどで遊泳できる場所や周辺の環境について調べておきましょう。危険な生物、危険な場所には近づかないようにして、楽しい海水浴にしてください。(ライター:RUREI)
2015年08月09日乳幼児の体調は変わりやすいもの。昼間はとても元気だったのに、夜になると急にぐずり出し、熱を測ると高熱が…なんてことは珍しくありません。発熱以外も、けいれんや嘔吐、誤飲、事故など、さまざまな状況が考えられます。夜中の急病や事故などで的確な処置をするためには、正しい対処法を知っておく必要があります。今回は子どもが夜中に体調を崩した時に、まず行うべき方法についてお話しましょう。小児救急電話相談へダイヤルして局番なしで「#8000」にダイヤルすると、どこに繋がるかを知っていますか?この番号は「小児救急電話相談」といって、休日や夜間など、通常は病院が利用できない時間帯に、子どもの急な病気にどう対処すべきかを教えてくれるものです。電話口で対応してくれるのは小児医師、または看護師。すぐに病院を受診しないといけないのか、もう少し子どもの様子を見たほうがよいのか、パパやママではわからない場合でも、医師や看護師が症状に応じた対処の仕方を教えてくれるので安心です。小児救急電話相談の仕組み小児救急電話相談は、「#8000」に電話をかけることで、自動的に住んでいる自治体の相談窓口に転送されるシステムになっています。自治体によって、実施している時間帯が異なります。下記のページでこの機会に、お住まいのエリアの実地時間帯をチェックしておきましょう。・ 小児救急電話相談事業(#8000)について |厚生労働省 子どもの症状が不安な時は、まず「#8000」に電話を「救急に連れて行くべきかどうかわからない」と不安な時は、まず小児救急電話相談にダイヤルするようにしましょう。パパやママは初めてでも、医師や看護師は同じような症例を何度も見ているというケースが多いものです。アドバイスを受けることで、安心して看病ができることもあるはず。判断が遅れたために大きなトラブルに繋がってしまった、パニックになってしまって番号自体忘れた…ということのないように、「#8000」の番号はスマホの電話帳に登録しておくとよいですね。体調の急変しやすい子どもを守れるのはママだけ! ママがパニックになると、子どもはより不安になってしまうものです。右往左往する前に、まずは小児救急電話相談の番号をプッシュして、「困った!」を解消してください。
2015年07月21日おしゃれでかわいい、しかも安い子ども服がたくさん売られているので、パパやママはつい手が伸びてしまうのでは? しかし、デザイン性だけを求めるあまり、子どもの安全を守れていない服も中にはあります。おしゃれな服はいろいろありますが、安全性があってこそのデザイン性ということを忘れないで! 今回は、安全で安心できる子どもの服選びのポイントを紹介していきましょう。安全な子ども服選びのポイント(1)子どもの成長に合ったデザインか年齢の低い子の場合、デザイン性よりも機能性を重視することが大切です。たとえば、帽子代わりにもなるので一見便利そうなフード付きのパーカーでも、フードのサイズが大きすぎると、被った時の視野が狭くなってしまい、危険が伴う可能性があります。また、フードに紐があるものは、紐がどこかに引っかかって、思わぬ事故に巻き込まれることもあります。そのほか、ボタンやホックのついている服であれば、力が加わった時外れる仕様になっているかどうかもチェックしておきましょう。安全な子ども服選びのポイント(2)必要以上の装飾品がないかボタンやレースなどの装飾品はかわいいですが、必要以上についていると、それが何かに引っかかってしまい転倒につながるといった危険性も出てきます。また、ファスナーのついているズボンは、皮膚の表面を巻き込むおそれがあるので、年齢の低い子にはゴム仕様のものを選んだほうがよいでしょう。安全な子ども服選びのポイント(3)ボタンやホックはきちんと縫い付けられているか赤ちゃん服の場合、赤ちゃんが誤飲することのないよう、ボタンやホックがきちんと縫い付けられているかどうかを、着せる前にチェックしておきましょう。おむつ変えや着替えのしやすさを考慮されているデザインですが、赤ちゃんが飲み込みやすい小さいサイズなので、うっかり取れてしまうと要注意です。ほとんどの乳児用の服には、赤ちゃんがボタンやホックを引っ張っても取れないような工夫がされていますが、より安心して着せるためにも、しっかりと確認しておくほうがよいですね。安全な子ども服選びのポイント(4)滑り止め加工されているか靴下やタイツなどを購入する際は、足裏部分に注目しましょう。転倒しやすい子どもを配慮して、ほとんどの製品が滑り止め加工を施しているはずです。子どもはすぐに走ってしまいますし、体のバランスでどうしても転倒しやすいもの。滑り止め加工がないと危険なので、必ずチェックしておいてください。番外編:衣類のタグ、どうしてる?服についているタグが「チクチクする」という子どももいます。そこで最近は、タグにも配慮し、肌を刺激しないよう工夫された子ども服が増えているようです。購入する際、注意して見てみるとよいでしょう。もしもタグが大きな服を買ってしまっても、はさみで切ってしまえば、チクチクから解放されます。ただし、切り方によっては余計に不快感を覚えることもあるので、必ずタグの根本からカットするようにしてください。安全性に優れ、安心して子どもに着せられる服を選ぶのはママの役目。安全面に配慮された上で、なおかつデザイン性の高い服も多くあるので、服選びの際、今回紹介したポイントも考慮して選んでみてはいかがでしょう。
2015年07月20日暑い時期になると、おうちで水遊びをさせることも出てくるでしょう。ビニールプールでの水遊びは、子どもにとって楽しみなもの。きっと大はしゃぎするはず。ただ、そんな楽しい時間でも、常に危険が隣り合わせだということを忘れてはいけません。たった10cm程度の水かさしかなかったとしても、人は溺れる危険性があるのです。今回はおうちのビニールプールで遊ぶ時の注意点や心構えなどについてお話しましょう。どんなに浅くても油断は禁物、必ず誰かが監視すること「たったこれだけの水だから」「ちょっと必要なものを家の中に取りに行くだけだから」といった油断が、取り返しのつかない事故に発展してしまうおそれも十分に考えられます。特に水慣れしていない子どもの場合、少しでも顔が水に浸かると、パニック状態になってしまう傾向があります。どうしたらいいのかわからなくなり、余計に混乱してたった10cmほどの水でも溺れてしまうのです。たった数分、数秒でも、目を離したことが命取りになってしまう危険性もあります。そのため、子どもがビニールプールで遊んでいる時には、必ず誰かが見ているようにしてください。ママだけしかいない場合は、その場を離れる時、必ず子どもをプールから出してから離れる、ということを絶対に守ること。できるだけその場を離れなくて済むように、前もってプール遊びをする際に必要なものを近くに揃えておくとよいでしょう。自宅でプール遊びをする際に必要な配慮とは?自宅でプール遊びをする際には、次のようなポイントにも配慮して、安全に水遊びができるようにしましょう。30分を目途に切り上げる日なたにビニールプールを置く場合、日焼け止めやラッシュガードなどを使用する虫除け対策をしておく水温が低すぎないように気をつける熱中症にならないよう、こまめに水分補給をさせる水遊びをしていても、熱中症の症状が出てくることはあります。プールで遊んでいる時も、こまめに水分補給をさせて、十分な配慮をしてあげることが大切です。また、意外にもあると便利なアイテムが、長めのすだれ。ビニールプールを覆うように立てかけることで、日陰をつくることができます。バスタオル、レジャーシート、子どもの着替えなどはすべて手の届くところに置いて、目を離さずに済む環境を整えておきましょう。そのほか、子どもの体調と相談しながら、子どもの体力に合った時間遊ばせるのもポイント。水遊びは体力の消耗が激しいので、たとえ元気だったとしても、長時間遊ばせるのはやめておきましょう。
2015年07月14日猫はおしっこの病気になりやすいことは飼い主さんにも広く認知されてきていますが、微妙な言葉の表現に混乱があるようです。細かな違いですが、病気を正しく認識するために、混乱しやすい泌尿器の用語について解説します。○尿路結石、尿道結石、尿管結石の違いこれは解剖の図をみて頂ければ一目瞭然です。尿管は腎臓から膀胱をつなぐ管で、尿道とは膀胱から外にでるまでの管です。そして尿路というのは腎臓から外にでるまで全てを示します。そのため結石が腎臓にあっても膀胱にあっても尿路結石と呼びます。尿道は1本しかないので、結石が詰まった場合はすぐに尿毒症の症状が現れますが、尿管は左右2本あるので片方が詰まっても症状が出ないことがあります。人間の尿管結石は3大激痛の1つと言われるほどですが、猫の場合は必ずしも痛みを伴うとは限らない(または痛みがあっても隠す)ためレントゲンで偶然発見されることもあります。○結石と結晶の違い結晶ができているのと、結石ができているのは大きな違いです。結晶は顕微鏡でしか見えず(尿がキラキラ光ることはある)、結晶が凝集して目に見える結石になります。レントゲンやエコー検査で発見された場合は結石、尿検査で発見された場合は結晶のことが殆どです。基本的には結石の方が強い症状が出やすいですが、結晶があるだけでも膀胱炎の症状が出る猫もいますし、結石があっても全く無症状の猫もいます。結石が見られた場合は詰まると危険なので結石を溶かす治療を行います。猫で頻繁にみられるストルバイトとリン酸アンモニウムマグネシウムは同じものです。ストルバイトは地質学者の名前からとったようです。病気の用語は些細な違いですが、病気の症状や治療法が変わってきますので正確に覚えておくと、病気への理解が深まりますね。■著者プロフィール山本宗伸獣医師。Syu Syu CAT Clinicで副院長を務め、現在マンハッタン猫専門病院で研修中。2016年春、猫の病院 Tokyo Cat Specialistsを開院予定。猫に関する謎を掘り下げるブログnekopediaも時々更新。
2015年06月25日4月は新年度、新生活のはじまりです。幼稚園や保育園に入園する子どもたちや、育休明けの社会復帰を迎えるママたちにとっては特に、期待と不安が入り混じったスタートとなることでしょう。そこで今回は、新入園を迎えた子どもたちにスポットを当て、多くの親子が入園後に経験している、おこりがちなトラブルと、その対処法を紹介します。■子どもが毎日「園に行きたくない!」と泣き叫ぶ「登園バスが来ると泣いてしまう」「園でママとの別れ際号泣」「朝になると『(幼稚園や保育園には)行きたくない!』と泣く」などのトラブルは、毎年必ずよく見かける光景です。とはいえ、実際に経験すると、ママとしては毎朝のことですし、「このまま登園拒否になったらどうしよう」と思い悩むことでしょう。しかし、もう一度よく考えてみてください。いままでずっと一緒だったママと突然離れ、慣れない集団生活に置かれるなんて、不安を感じて当然のことです。むしろそれだけ、子ども自身がきちんと、自分の置かれている状況を理解している、といえます。■「子どもが園に行きたくない」と泣き叫んだ時に、親はどうすればよいかこのような時は、まず子どもの不安をできるだけ理解し、寄り添うことが大切です。「行きたくない気持ちはわかるよ」と認めてあげた上で送り出し、帰ってきてから親子スキンシップの時間をできるだけ持つようにするとよいでしょう。それでも子どもがいっぱいいっぱいな状況であれば、思い切って2~3日お休みする勇気を持つ必要もあるでしょう。大抵の子どもは、自分の気持ちを受け止めて、ママが寄り添う姿勢を見せてくれれば満足して、一歩を踏み出せることもあるようです。とはいっても、幼稚園に通っている場合は休ませることも可能かもしれませんが、保育園に通わせている仕事復帰ホヤホヤのワーキングママの場合は、そうはいかないことも多いはず。子どもの泣き声にうしろ髪ひかれ、通勤電車の中で涙目になるというママは決して少なくありません。そんな時は、先生の手を借りましょう。先生は、このような状況を幾度となく経験しています。先生の手に子どもをゆだねて、ママはその場を去ってください。ただしこの時、「どんなに小さくても、子どもにはしっかり伝える」ことが大切になってきます。まだおしゃべりのできない赤ちゃんでも、赤ちゃんが見ていないうちにこっそりと消えるのではなく、「ママお仕事行ってくるね。必ず、夕方になったら迎えにくるからね」ときちんと伝えましょう。これを繰り返すことによって、子どもも「ママは必ず迎えにきてくれる」という安心感を持ち、慣れるまでの時間には個人差がありますが、徐々に園生活に慣れていきます。子どもは大人が思う以上のスピードで成長しています。とはいえ、大人ほど感情を割り切ることはできません。わが子の性格に合わせて、パパやママがフォローしてあげてください。
2015年04月14日ニキビといえば思春期頃にできるものというイメージがありますが、実は新生児期にもニキビはできます。「新生児ニキビ」「乳児湿疹」「脂漏性湿疹」と、いくつか呼び方のある、新生児の湿疹について詳しく知っていきましょう。■いつごろから乳児湿疹ができる? 乳児湿疹(新生児ニキビ)ができるのは、生後数週間~3ヵ月の間頃。特徴としては、頬やおでこなどに白、または赤色のプツプツとしたできものが見られます。生後すぐに湿疹ができると「アトピー性皮膚炎なのかも…」と心配するママもいるようですが、アトピーと乳児湿疹は異なるもの。不安なら、一度専門家で診てもらうとよいでしょう。■乳児湿疹ができる原因は? 乳児湿疹ができる原因はさまざまですが、毛穴が発達していないため毛穴に汚れが詰まりやすく、新生児とはいえニキビ状の湿疹ができてしまう、というケースが多いようです。ただ、この場合は赤ちゃんが成長することで毛穴の詰まりも解消され、きれいなお肌になっていくので、心配はいらないでしょう。そのほか、寝具の汚れが顔につき、それが肌の負担になって乳児湿疹が発症するケースや、沐浴時に石鹸カスや汚れをしっかりと落とせていないことが原因で湿疹が出てしまうケースもあります。■乳児湿疹の対策方法は? 乳児湿疹の対策方法として大切なのは、常に赤ちゃんの肌の清潔を保つことです。お風呂に毎日入れるのはもちろん、洗い残し、すすぎ残しのないように気をつけること、寝具やミトンは小まめに洗濯をしておくことを心がけましょう。そして、清潔にしたら必ず保湿を。大人でも肌が乾燥してニキビができることがあるように、新生児にも湿疹ができる場合があります。沐浴後の保湿は徹底しておきたいですね。加えて、爪を短く切っておくことも忘れてはいけません。手を顔の周りに持っていった時、爪で肌をひっかいて、そこから菌が入り感染してしまうというケースもあります。抵抗力のない赤ちゃんは、傷が化膿するだけでも大変なことになってしまうので、フリーエッジ(爪の先端の、指先からはみ出した部分)が伸びてきたら、すぐにカットしてあげましょう。なお、ケアや対策をしても、乳児湿疹が治らなかったり、悪化したり、また湿疹の範囲がだんだん広がってきたという場合は、すみやかに皮膚科や小児科を受診してくださいね。
2015年04月06日子どもが急に「耳が痛い」と言ってきたり、いきなり耳のあたりを押さえて泣いたりする時は、中耳炎の疑いがあります。中耳炎は、大人よりも子どもに多くみられる病気の1つ。乳幼児の頃はまだ耳管が十分に発達していないため、細菌が入りやすいことが原因です。今回は、子どもの中耳炎について、詳しくチェックしておきましょう。■中耳炎ってどんな病気? 中耳という、耳の鼓膜から奥にあたる部分が炎症を起こし、痛みや熱などの症状が見られるのが中耳炎です。耳に直接菌が入り込むというよりは、菌を含んだ鼻水が耳に入ることで発症することが多いようです。鼻と耳は繋がっているので、鼻づまりや鼻水などがひどい時には、中耳炎になりやすい傾向があります。■耳を清潔にしていても中耳炎にかかるつまり、耳自体を清潔にしていたとしても、中耳炎になる可能性はあるということです。「耳掃除をすれば大丈夫」というわけではなく、耳掃除では触れることのできない部分の問題なので、耳掃除による清潔さとは関係ありません。それよりも、風邪をひいた時、鼻水が出る時などに早期に対処して、そうした症状をひどくさせないことが、中耳炎にかからない秘訣です。■中耳炎になった時、子どもはどうやって痛みを訴えてくる? 中耳炎になると、ほとんどの子どもは「耳が痛い」と言って激しく泣くようです。言葉を話せない小さな子でも、耳や頭あたりを手で押さえて、いつもとは違った泣き方をするので、きっと「何か違う」と感じられるはずです。ただ、まれに痛みを訴えてこないケースもあります。中耳炎の痛みは、炎症による腫れが原因で耳管の通りが悪くなり、鼓膜に圧がかかることが発生するのですが、鼓膜に抜け道ができ、圧を回避することがあります。この場合だと、痛みはなくなりますが、耳から膿や血が流れてくることがあるので、「様子が変だ」と思ったら、耳の中を確認してみましょう。■中耳炎の時、病院に連れて行くまでの応急処置中耳炎の症状があると思ったら、病院に行くまでの間は耳あたりを冷やしたり、鼻づまりを解消できるよう対処したりして、応急処置をしておきましょう。また、寝ている状態よりも、座っている、立っている状態のほうがまだ痛みが軽いので、痛みがひどそうな時は、なるべく横にさせないほうがよいようです。一度発症すると、何度も繰り返す可能性のある中耳炎。子どもの様子をしっかりと確認して、早期発見、早期治療に繋げられるようにしておきましょう!
2015年03月28日幼い子ども同士で遊んでいると、おもちゃの取り合いになってしまうことが多々あります。子どもの年齢にもよりますが、「お友だちに貸してあげたら?」とママが言っても、まったく聞く耳を持たず、子ども同士のケンカに発展してしまうこともあるでしょう。ママの目の前でいざこざが起こってしまった時は、これから挙げる4つの方法を参考に対処してみてください。■子供同士のおもちゃの貸し借りトラブル対策(1)「10まで数えたら交代」などのルールをつくる普段から、物の貸し借りのルールをつくっておくことが、いざというときに役立ちます。「10まで数えたら貸してね」「『いいよ』って言われてから貸してもらうんだよ」と、子どもにしっかりと伝えておくことが大切です。なお、子ども同士がおもちゃの取り合いをしている時は、決して頭ごなしに「やめて」「ダメ」とは言わないように。小さな子どもは否定の言葉に敏感です。「先にお友だちに貸してあげよっか?」などと、子どもの立場に立った言い方をしましょう。■子供同士のおもちゃの貸し借りトラブル対策(2)貸し借りができたら思い切り褒める子どもがお友だちに、渋々ながらでもおもちゃを手渡すことができた時は、オーバーなくらいに褒めてあげましょう。「貸し借りできるのはすごいことなんだ」と思わせることで、少しずつ子ども同士のやり取りもうまくいくようになります。自分の意志でおもちゃを貸すということは、子どもにとって大きな成長。そんなわが子の成長を心から褒めて、喜びを共有しましょう。■子供同士のおもちゃの貸し借りトラブル対策(3)代わりのおもちゃを勧めるプレイルームや児童館なら、たくさんのおもちゃがあるはず。1つのおもちゃに執着しているようなら、「こんなおもちゃもあるよ」「あっちのおもちゃのほうが楽しそうよ」と、子どもの興味をほかのおもちゃに持っていくように働きかけてみましょう。ただし、この方法では、ただ単にその場から離れ、トラブルの火種を未然に避けるだけになってしまい、お友だちとのやり取り、すなわちコミュニケーションを学んでいるわけではないことを覚えておきましょう。■子供同士のおもちゃの貸し借りトラブル対策(4)どうしてもダメな時は、相手の子どもに対応してみるどんな方法を使っても、わが子の気持ちをそらすことができない、ということもあるでしょう。どうしてもおもちゃを貸すことができない時は、相手の子どもにやさしく言葉をかけてあげてください。「ごめんね。もうちょっとだけ貸してもらえる?」「一緒にほかのおもちゃで遊ぼっか」などと声をかけて反応を見ましょう。近くに相手の子のママがいるなら、「すみません、うちの子、わがままで…」とひと言伝えておくことも忘れずに。こうした気遣いは、決して無駄ではありません。何も言わずに子どもの好きなようにさせているのと、ひと言声をかけておくのとでは、相手の気持ちが違ってくるはずです。幼いながらも、お友達と関わることや協調性、社会性を学ぶきっかけとなるので、ある程度は見守ることも必要。とはいえ、まだ加減のわからない幼児同士の場合、できれば無用なトラブルは避けたいのが親心。適切な時に適切な対応を取れるようにしておきましょう。
2015年03月24日広場や公園、お子さんが集まる公共の場に行くと、往々にして起こるのが「おもちゃの取り合い」です。親としては、お友だちとのトラブルを避け、できるだけ仲良く遊んで欲しいと思うもの。しかし、2歳を過ぎれば、たとえみんなで遊ぶためのおもちゃでも「これは自分のもの!」と所有を主張したくなったり、お友だちが使っているおもちゃがよく見えたりするのもごく自然なことです。そんな時、親としてはどのように対応することがベストなのでしょうか?■おもちゃを「取り合うこと」は、子どもの成長に必要なこと家でひとり遊びをしていたり、おとなと遊んだりしている時には、おもちゃを取り合うような状況は起こりません。実は、お子さんにとって、この「取り合い」という行為は、非常によい経験となります。独り占めしてはいけないことを知る、譲る、駆け引きするなど、ものを取り合うことで一度にたくさんの思いや学びを得ることができるのです。子育てサロンや児童館で小さい子が遊ぶ姿を見ることがありますが、子どもの年齢が低ければ低いほど、多くのママたちが子どもの後ろにぴったりとくっつき、ちょっとでもお友だちに近づくだけで「お友だちが使っているからダメよ!」と遮ってしまう場面をよく見かけます。実は、これはあまりよくないことなのです。ただ、お友だちに興味を持って近づいているだけかもしれないし、たとえおもちゃを取ろうとしていたとしても、ママが先回りしてお子さんのやることを遮ってしまうことは、子どもが自分自身で「これをやりたい!」と思って行動する気持ちを遮断してしまうことに繋がります。そうなると、お子さんはママの顔色を見て行動するようになったり、持っている好奇心を封じ込めてしまったりすることになるでしょう。■取り合いが起きてしまったら…とはいえ、トラブルはできるだけ避けたいもの。おもちゃの取り合いが起きてしまったら、親としてはどのように対処するのがよいのでしょうか。<まだ物の貸し借りが理解しにくい年齢の場合>なるべくケンカにならないように見守りながら声かけをするとよいでしょう。「●●ちゃんも使いたかったね。でも、○○くんも遊びたいんだって」と状況を説明し、「順番にしようか?」や「こういう時は、『かして』『どうぞ』と言うんだよ」などと教えてあげましょう。それでもダメな場合は、「こっちにこんな楽しいおもちゃあるよ!」と別の物で子どもの気を引く、という方法もおすすめです。<物の貸し借りが理解できるような年齢の場合>「どうやったら仲良く遊べるか、取り合いにならないか一緒に考える」という方法がとても有効です。「じゃあ、順番に遊ぼう」とか、「一緒に遊ぼう」とどちらかが言いだせばOK! 2人で相談して、お互いに譲ったり一緒に遊び始めたり、自分たちで解決策を見つけること自体が、とてもよい経験となります。ただし、自分が遊びたいものを「順番だから」といって、後からきたお友だちに譲るなんて嫌だ!と思うお子さんもいます。そこで言いがちなのは、「もし○○ちゃんが逆の立場だったらどう思う?」という声かけですが、実はこれが通用しないこともあるのです。「順番」という理論を重視して行動する子どもにとっては、相手の気持ちを想像することが難しい場合もあります。そんな時は、子どもの「僕が(私が)教えてあげる!」という気持ちがくすぐることがポイント。「どうやったら仲良く遊べるか教えて~」や「ママにどんな風にすれば楽しく遊べるか見せて~」といった言葉かけをしてみてください。だいたいの子どもが得意気になって、不思議と一緒に仲良く遊べるようになったりしますよ。過干渉のママが増加しているため、トラブルや想定外の状況に弱いお子さんや、好奇心がないお子さんが増えているという意見もあります。良い思いだけでなく、嫌な思いも含めて、なるべくたくさんの経験をお子さんにさせてあげることが健全な成長に繋がることでしょう。ただし、お友だちを叩くといった暴力的な行為に出た時は直ちに抑止して、別の方法を教えてあげることが必要です。
2015年02月19日毎年、健康診断に行っていても、健康的な生活を送っていたとしても、病気にならないという保証はありません。病気はいつ起きるかわからないからこそ、どんな症状が起きたら病院に行ったらよいのかを把握しておきたいですよね。そこで今回は、海外サイト『TODAY Health』から、気になる症状と疑われる病気について紹介します。■1:肩甲骨の間の鋭い痛み=心臓発作かもしれない心臓発作を起こす人の約30%は、胸部圧迫感が起きていません。女性の場合、肩甲骨の間の痛み、顎の痛み、息切れ、吐き気などもよく起こります。このような症状があれば、注意する必要があります。心臓発作は、突発的な激痛のような感じです。その時は救急車を呼んでください。■2:雷鳴のような頭痛=動脈が風船のように膨らんでしまう、動脈瘤かもしれないみなさんも、多少の頭痛は経験がありますよね。通常であれば頭痛薬を飲めば痛みもなくなるはず。しかし、今までにない強い頭痛で、突然発症するような場合は、救急車を呼ぶようにしてください。決して自分で運転して病院に行かないようにしてくださいね。■3:右下腹部の鈍い腹痛=虫垂炎かもしれない虫垂炎は、一般的には盲腸とも言われています。虫垂炎の痛みは通常、腹部中央から始まり、徐々に右に移動します。もし虫垂が破裂すると、危険な合併症を起こすこともありえるので要注意です。■4:目を覚ますほどの歯痛=歯ぎしりかもしれない常習的な歯ぎしりは、神経が炎症を起こしたり、歯のエナメル質が削れたりしてしまう可能性があります。歯医者に行き、問題を解決しましょう。就寝中にナイトガードと呼ばれる歯ぎしり防止のマウスピースを使うことで、歯ぎしりを防ぐことができます。■5:発熱を伴う中背部痛=腎臓の感染症かもしれない発熱、吐き気、背部痛があるときは、おなかの虫のせいだと決めつけないでください。それは腎臓の感染症かもしれません。治療としては抗生物質が適しているため、医者に連絡を取りましょう。■6:薬を飲んでも効かないほどの生理痛=子宮内膜症かもしれない子宮内膜症は、子宮内膜が子宮内腔以外の場所に発生・増殖する病気です。もし、生理痛のときに市販の薬を飲んでも効果が無い場合、この症状が原因かもしれません。ひどい生理痛を持つ女性は、子宮内膜症の可能性もありえます。■7:ふくらはぎに痛みを感じる=深部静脈血栓症かもしれない深部静脈血栓症は、エコノミークラス症候群と呼ばれることもあります。経口避妊薬を飲んでいる人や、長時間車や飛行機に乗った人がなりやすいといわれています。もし長時間、車や飛行機で移動する場合は、1~2時間ごとにストレッチをしたり、歩いたりしましょう。また水分を飲み、脱水症状にならないようにしてください。……以上、7つのサインをご紹介しました。体調が悪くなっても、「今は仕事が忙しいから」「いつか行こう」と理由を付けて、病院に行くのを先延ばしにしている人はいませんか?またインターネットで自分の症状を検索し「これなら大したことない」などと安心して、そのまま放置する人もいますよね。しかし体調不良の状態を放っておくと、症状がだんだん悪化していく可能性もあります。もし自分の体に異変を感じたら、早めに病院へ行き診断してもらいましょう。(文/椎名恵麻)【参考】※7 pains you should never ignore-TODAY.com
2015年01月27日子どもの急な発熱に悩まされることもありますよね。なぜか夜中に発熱するケースが多く、病院に救急で受診しようか、それとも自宅で様子を見たほうがいいのかで困惑することもあるでしょう。何はともあれ発熱時には、熱を下げる対応をするのが第一。とはいえ、自己判断で解熱剤を飲ませるにはためらいがあるものです。■ヨーロッパやアフリカのキャベツを使った民間療法もヨーロッパでは、キャベツの外側の大きな葉をはぎ取り、子どもの頭をやさしく包み込む「キャベツ枕」が民間療法として用いられているようです。■なぜキャベツが熱さましに有効なの? キャベツには熱を吸収する効果があるといわれています。乳腺炎の時にもキャベツで湿布をするという処方を耳にした人も居るのでは?キャベツは、解熱作用や利尿作用に良いとされているビタミンU、βカロチンなど特殊なビタミン類や食物繊維を含んでいます。一般的に利用されているものとすると、熱を吸収する市販の冷却シートもありますが、皮膚が弱い子や乳児の場合、使用をためらってしまいますよね。座薬や飲み薬の解熱剤もありますが、医師の診断なくむやみに使うのは危険ですし、極力使いたくないというのがママの本音でしょう。■高熱の場合は迷わず救急へもちろん、自宅でできることを試しても、熱が下がるとは限りません。高熱が続く場合は迷わず救急へ行きましょう。熱の原因を知って対処することが第一です。【お詫びと訂正】一部、誤解を招く表現があったため、テキスト・本文ともに修正致しました。ご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。2018年10月15日
2015年01月09日