シャープは2014年10月23日、大阪府八尾市のシャープ八尾工場において、メガフリーザー搭載冷蔵庫の出荷式を行った。今回、出荷した冷蔵庫「SJ-GT50A/GT47A」は、大きな食材もそのまま保存できる173リットルの大容量を持つメガフリーザーを採用した製品。冷却器ユニットのコンパクト化により、冷蔵庫各室の容量バランスが最適化されている。474リットルの容量ながら、600リットルクラスに搭載している大容量の冷凍室を搭載しているのが特徴だ。独自の冷凍ケースを仕切ることができる「4切り(しきり)名人」を採用し、収納量が20%増えているほか、冷凍食品がマイナス18度を上回ると味が落ちるところに着目。冷凍室を開閉しても、庫内温度変化が少なくする工夫を凝らしているという。また、プラズマクラスターも搭載し、庫内を清潔に保つことができるという。10月23日の午前10時30分から行われた出荷式では、シャープや協力会社などの関係者250人が参加。挨拶をしたシャープ 執行役員 健康・環境システム事業本部の沖津雅浩本部長は、「今年の家電業界は4月の増税前の駆け込みにより賑わいを見せ、八尾の冷蔵庫工場も業界の伸びを上回る生産量となった。その後、増税の反動や夏場の天候不順により、家電業界にとって厳しい状況が続いている」と、業界の動向に触れつつ、「そのなかでシャープの健康・環境システム事業本部は9月以降、冷蔵庫や洗濯機、掃除機、空気清浄機をはじめとするプラズマクラスターイオン関連製品を発売し、今後も新たな需要を喚起する製品を投入することで、事業拡大を図る」と語った。そして今回出荷するメガフリーザー搭載冷蔵庫について、「冷凍食品に対するニーズにおいて、冷凍室の大型化、収納の高効率化、食品保存の高性能化という3つの特徴を持つ製品だ。顧客のニーズを捉えており、拡売できると確信している。シャープでは、450リットル以上の冷蔵庫の5割以上をメガフリーザーとし、大型冷蔵庫市場のシェアを高めたい。販売店からも好評であり、初期配荷する店舗数は通常の1.5倍の約5,000店舗になる」と自信をみせた。また、シャープ 冷蔵システム事業部・野間繁雄事業部長は、「メガフリーザーは、ニーズを的確に捉えた斬新な商品。前評判も高く、間違いなくヒット商品になると確信している」と前置きし、「メガフリーザーシリーズで、2014年度下期の新製品販売台数を前年同期比1.5倍にする。450リットル以上の大型冷蔵庫ゾーンにおいて、現在10%のシェアを13%に引き上げる。また、メガフリーザーの品位を高め、すべての方に満足してもらえる商品にする。そして、市場に出たときに傾向不良は起こさない。メガフリーザーでシャープ大賞の獲得を目指す」と5つの決意表明を行った。乾杯の音頭をとったシャープエレクトロニクスマーケティング・細尾忠弘社長は、「市場は厳しい状況にあるが、販売店においては回復基調に転じるための製品として、メガフリーザー冷蔵庫に期待している。これを出荷できることを社員に感謝したい」と語った。さらに、協力会社を代表して挨拶した多田プラスチック工業の前田政利社長は、「ついに出たなぁと感じた商品。日本の食文化が大きく変化するなかで、冷凍食品の増加とともに、冷凍庫を大きくして欲しいという声が大きかったのではないかと感じている」と冷蔵庫に求められる機能の変化に言及。「女性の心を掴んだ冷蔵庫であり、評価されるものと期待している。シャープの冷蔵庫は、霜がつかない冷蔵庫や3ドア冷蔵庫、両開き冷蔵庫といったエポックメイキングな製品を相次いで投入してきた。こうした流れのなかで出てきたのが、メガフリーザー冷蔵庫であると考えている。台数シェアが拡大傾向にあり、そこにメガフリーザー冷蔵庫が投入され、さらに弾みがつくと期待している。メガトン級の販売が可能になる」と新製品に期待を寄せた。その後、社員代表による必勝スローガン唱和のあと、初出荷のために生産された製品がトラックに積み込まれ、トラックが八尾工場を出発した。八尾工場で冷蔵庫の出荷式を行ったのは、4年ぶり4回目のことだという。それだけ今回の製品に同社が強い意気込みがあることを示しているともいえよう。以下、出荷式の様子を写真と動画で追ってみる。
2014年10月24日●冷凍庫にいっぱい収納できる「メガフリーザー」シャープは3日、プラズマクラスター冷凍冷蔵庫7機種を発表した。都内で開催した新製品発表会では、大容量冷凍庫「メガフリーザー」を採用した「SJ-GT50A」と「SJ-GT47A」を中心に紹介。新製品の特長、開発の背景などの説明があった。○大容量の冷凍庫「メガフリーザー」誕生製品の特長について、シャープ 健康・環境システム事業本部 冷蔵システム事業部 国内商品企画部 山本愛子氏が説明した。容量501LのSJ-GT50Aおよび容量474LのSJ-GT47Aでは、冷凍室のレイアウトを一新。両モデルとも冷凍室の容量は173Lと、600Lクラスの冷凍庫と同程度の容量になった。2013年度モデルの冷凍室からは42Lの増量となった。容量が増えただけではなく、食品を上手に整理するための「4切り(しきり)名人」も搭載。従来の冷凍室では食品が"地層"のように積み重なって、古い食材は取り出しにくくなっていたが、「4切り名人」によって食材を立てて収納することでこうした悩みから解放される。食材を長期冷凍保存しておくと、乾燥によって「冷凍やけ」を起こす。そこで冷凍室には冷凍やけを抑える「新鮮極み冷凍」を搭載。上段冷凍室は「冷凍やけガード」によって食品の水分を保ち、下段冷凍室は温度をなるべく一定に保つことで食品への霜つきを防ぐ。大容量の冷凍室「メガフリーザー」はなぜ誕生したのか、ユーザーの不満の解消という視点から説明があった。次ページでは誕生の背景についてお届けする。●おうちの冷凍室、足りてますか?○「冷凍室はいつもパンパン! 」という不満製品の開発背景について語ってくれたのは、シャープ 健康・環境システム事業本部 冷蔵システム事業部長 野間繁雄氏。冷蔵庫の実態調査を行った結果、冷凍室はいっぱいいっぱいに食品が詰め込まれているのに対して、野菜室は案外スカスカでペットボトルなど野菜以外のものが収納されているケースも多かったという。こういった冷凍室の容量不足と、冷凍食品の国内消費量の増加を受けて、大容量の「メガフリーザー」が誕生した。また、容量だけでなく「整理整頓できない」といった不満も。それを解決するために、パッと食材を見つけて取り出せる「4切り名人」を搭載した。食材を劣化させてしまう冷凍やけについては、「新鮮極み冷凍」を搭載することで防ぐ。消費増税の駆け込み需要の反動で、売り上げ台数は前年を大きく下回っていたが、7月頃から徐々に回復してきているという。今後は「メガフリーザー」シリーズの投入で大型冷蔵庫の需要を掘り起こし、2015年度は二桁伸長を目指すとしている。
2014年09月03日