元吹奏楽っ子(担当:Euphonium)の音楽好きharakoが、大人になってから、改めて音楽の楽しみ方を見つける連載です。第11回目は、ヤマハから発売されている、ユーフォニアム用のサイレントブラス™『SB2X』を実際に使用させていただきました。解説は、株式会社ヤマハミュージックジャパン鍵盤・管弦打営業部管弦打マーケティング課の武居さんです!練習したいけど、環境がないなんて言わせない……!?【大人の音楽LOVER♪】vol. 11harako楽器を練習したくても、音を出す環境がなくて困るなあ……(悲)。武居さんちょっと待った! 悲しい顔をするのは、まだ早いですよ。自宅で練習するには、ヤマハのサイレントブラス™を、ぜひ試してみてください。もともと90年代に発売され、2013年にリニューアルしたサイレントブラス™シリーズですが、重量バランスやサウンド感などを改善して2016年にユーフォニアム用『SB2X』が登場したんです。(上記画像参照/ユーフォニアム用サイレントブラス『SB2X』商品内容:ピックアップミュート™『PM2X』+ヘッドホンアンプ パーソナルスタジオ™『STX-2』)ミュートを使った、自宅練習に抵抗がある!という方にも、自信を持ってお届けできる商品なので、取り扱いを交えながら説明させていただきますね。折りたたみ式でスペースいらずharakoユーフォニアム用ミュートって、サイズが大きくて収納場所が大変じゃないですか?武居さん旧モデルのサイレントブラス™は、付属の袋に入れて別収納という形でした。確かに、少し大きくて持ち運びも大変だったと思います……(小声)。しかし、今回リニューアルしたサイレントブラス™は、分解することができて、使用後はベルの中にしまっておくことができるんです! 自宅の保管にも便利ですが、外出先でもミュートスペースを気にせずに持ち運びができるため、大きいサイズ(ユーフォやチューバ)の方には嬉しい情報ではないでしょうか。harakoこれはすごい!どんなふうに、組み立てるんですか?重ねてあるミュートを、ひっくり返して固定するだけ武居さんとっても簡単です。メカニックなことに苦手意識がある女性でも、力を入れずに組み立てることができますよ。ゴムのベルトを外していただいて、重なっているピックアップミュート™を取り外します。武居さんこのように、パコッと外れます。武居さん外れたピックアップミュート™をくるっとひっくり返したら、反対側にはめ込んでネジで止めて完成!武居さん繋ぎ目部分に、もう一度ゴムのベルトで保護したら、楽器に装着です。装着ベルトで安定着用できちゃうharakoおー。重心が上に来るのかと思いましたが、意外と安定感がありますね。重さや装着の違和感は少なく感じます。グラグラしないように、ベルトまで付いているなんて……!武居さんそうなんです。練習に夢中になって、うっかり楽器を傾けたらピックアップミュート™が落ちてしまった!というトラブルを防ぐためにも、ベルトで固定します。では、付属のヘッドホンアンプ「パーソナルスタジオ™」(上記画像参照/手に持っている小さい機器)を繋げてみます。ヘッドホンアンプに繋いで、サウンドチェックharako(プーッ……音を出してみる)な、なんですかコレは? イヤホンで音を聞いてみると、ピックアップミュート™をつけていることを忘れてしまいそうですね。ピックアップミュート™を装着して演奏すると、どうしてもバズィングした時に空気の抵抗感を感じたり、こもった感覚になったりしますが、とってもクリアに音が聞こえるのが不思議。まるで、広い部屋で吹いているみたい……!片方だけイヤホンを外して、音漏れと耳に聴こえる音を比べてみると、かなり消音になりますね。これなら周りを気にせずに、自主練習ができそう!でも、この付属のヘッドホンアンプ「パーソナルスタジオ™」は、どんな仕組みになっているんですか?デジタル音響技術搭載!練習に役立つツールに変身武居さんパーソナルスタジオ™の挿入穴は、左からMUTE IN(サイレントブラス™に繋ぐ)・AUX IN(外部の音源を流せる)・PHONES(ヘッドホンに繋ぐ)・VOL(音量調節)になっています。基本的な練習をする時には、MUTE INとミュート本体を繋いで、PHONESにイヤホンをセットしていただければ、音を自分の耳に届けてくれます。それに加えて、演奏会で練習中の楽曲と合わせて練習したい時などは、AUX INに音源を流すと一人ゲネプロに早変わり。他にも、電子メトロノームを繋げて正確なリズムを耳で感じながら、基礎練習をすることもできますよ。武居さんそして、パーソナルスタジオ™は、それだけではありません。Rev1とRev2を入れ替えて、音を確認してみていただけますか?harako(カチッ……)おおおおおおお!!!! Rev1は、こじんまりした音楽室で吹いている感じですね。音が自然と吸収されていく独特な感覚が、なんだか懐かしい。Rev2は、音の余韻と響がすごいですね! 大きなホールで吹いているみたい。でも、同じように吹いているのに、なぜ聴こえ方が異なるんですか?武居さん実は、このパーソナルスタジオ™には、当社独自のデジタル音響技術「Brass Resonnance Modeling」を搭載しています。ピックアップミュート™をつけると、どうしても “こもった感覚” になりがちですが、マイクで取り込んだ音をデジタル処理することで、より自然な音に仕上げています。楽器のベルから演奏者の耳もとに返って来るまでの響きを研究して商品化したので、まるでピックアップミュート™なしのような演奏をお楽しみいただけるのではないでしょうか。ピックアップミュート™に抵抗感が強いと、必要以上に息を入れたり、力んでしまったりしますよね。抵抗感が少なくて自然な音は、耳に届く音がクリアになるだけでなく、アンブシュアを崩さないためにも必要不可欠な要素。ピックアップミュート™なしの環境に近づけることにフォーカスしたのが、このサイレントブラス™なのです!自宅の練習環境に悩んでいる方や、これから楽器を復帰したい!と考えている方。いかがでしたか?サイレントブラス™を使用することで、集合住宅で音が出せない環境や子育てをしながら楽器を練習している方にも寝かしつけた後にこっそり練習! なんてこともできそうですね。私も、愛用させていただきます♡今回の音楽LOVERは……♪取材協力武居 健太郎さん株式会社ヤマハミュージックジャパン鍵盤・管弦打営業部管弦打マーケティング課♪サイレントブラス™愛をひと言で表すと?「自分だけの練習空間が手に入ります!」現役楽器奏者の方も、これから復帰されたい方も。今回は、ユーフォニアムの対応商品をご紹介しましたが、対応楽器は主な金管楽器を網羅しております。ぜひ、金管楽器奏者のみなさん!このサイレントブラス™を使って、音の悩みから解放してください。「いつでも・どこでも・楽しく」が合言葉です♪
2017年12月08日元吹奏楽っ子(担当:Euphonium)の音楽好きharakoが、大人になってから、改めて音楽の楽しみ方を見つける連載です。第7回目は、前回に引き続き、ヤマハミュージックジャパン 管楽器アトリエ東京技術者の新見 忠士さんに、金管楽器のお手入れ方法について教えていただきました。今回は、金管楽器の洗浄方法と楽器の磨き方についてです。半年に一回は行いたい!金管楽器の洗浄ケア。【大人の音楽LOVER♪】vol. 7harako木管楽器と違って、金管楽器は水洗いができるところが利点でもあると思います。自己流で洗うのは、大丈夫なのでしょうか?新見さん良い質問ですね。よく、コンクール前や大切な演奏が控えているにも関わらず、自己流の洗い方をして急に楽器の調子が悪くなった……!なんて声を聞くこともあります。楽器は小さな部品がひとつでもなくなると音も変わってしまうのと同時に、洗った後に水滴が残っていると輝きも減ってしまいます。そして、楽器を分解した後に、パーツの正しいポジションを覚えておかないと、元に戻せない! なんてトラブルも……。しかし、楽器をキレイにするということは、衛生的に保つことだけではなく、汚れが腐敗して穴があくことを防ぎ、楽器のポテンシャルをキープするうえで非常に大切なことなんです。今回は、よくある質問をふまえて、正しい楽器の洗い方、クロスでの拭き取り方をご紹介したいと思います!ステップ①パーツを全て外す新見さんではまず、外せるだけ全てのパーツをカゴに入れます。「あれ? あのパーツがない!」なんてことにならないよう、ひとまとめに置いておきましょう。そして、ピストン周りのフェルトなどは、水に濡らさないほうが良いので、外してくださいね。金属類だけ、洗います。harakoなるほど、ピストンの下にあるバネやキャップ類も外したほうが良いのですね。ところで、ピストンを外した時に、どこの場所だったかわからなくなりそうで、心配です……!新見さん大丈夫ですよ。実は、ピストンの表面に「1・2・3」と番号がついているのが見えますか? これが、元の位置の番号です。手前から順番に「1・2・3」と戻していってくださいね。この位置を間違えて入れると、空気穴が通らず、音が出ないので、変だな?と気づくと思いますよ(笑)。harakoこれは、安心ですね! 楽器本体の洗い方は、どこから手をつけたら良いのでしょうか?ステップ②外も中も水洗い新見さんご自宅で行うなら、こんな感じでドボドボとお水を入れて大丈夫です。金管楽器は、真鍮からできているため、こうして水洗いが可能。あ、間違っても木管楽器で同じことをしてはダメですよ(笑)、一気に楽器が壊れてしまいますから……!管は細い方から広い方へ、くるくると八の字を描くように回しながら最後は水を切ってくださいね。ステップ③洗浄液で管内を掃除新見さんそして、今度は、先ほどカゴに入れた細かいパーツたちを洗いましょうか。こうして洗面器にお湯(温度は気にしなくてOK)を入れて、ブラスソープを垂らします。この管楽器専用ソープは、管内の油汚れを落とすのに最適なんですよ。分量のバランスは、だいたい「お湯:ブラスソープ=9:1」で大丈夫です。新見さんブラスソープで作った洗浄液に、フレキシブルクリーナーという両サイドにブラシがついたもので、洗っていきます。微妙に大きさが異なるので、管の太さに合わせて変えることができます。あと、このブラシの良いところは、ワイヤーで柔軟に曲げることができますが、とても柔らかいゴム状の素材でコーティングされているので、楽器を傷つけることなく洗うことができるんです。新見さんこんな感じで、マウスピースの入り口をゴシゴシしたり、歯ブラシやスポンジなどを使用することもできますが、金管楽器の曲線に合わせたブラシ設計なので、非常に使いやすいと思います。事前に管を抜いたと思うので、ブラシが差し込めるところに、いろんな角度から入れてみてください。たまに「どうしても、この音だけ外してしまうんだよね……」と、悩んでいるプレイヤーに出会います。もし、楽器の掃除をしばらくしていないなら、ぜひ分解して洗うことをオススメします。ブラシでゴシゴシした矢先に、奥から「ボトッ!」と黒い汚れの塊が出てきて、一件落着(笑)なんてこともあるんです。管内の汚れは、音程に密接に関係しているので、正しいコンディションの楽器で練習することも大切なのです。新見さんそして、マウスピースも忘れずにブラシを使ってくださいね。フレキシブルクリーナーとは別に、マウスピースブラシがあるのですが、これは他のブラシに比べて消耗率が早いため、別で用意されています。この部分は、練習後に毎回ブラシをかけてあげるのも良いですね。あと、こうして洗いながら、マウスピースの穴が凹んでいないかをチェックするのも忘れずに。知らない間に、ベコっと円が凹んでいると、それだけで音程などに大きな影響を与えます。ブラシで磨くという時間は、元の原型を正しく保っているか? を観察することにも繋がるんですよ。新見さんあとは、グリスがついた管の周りを掃除するときは、ガーゼを使うのが良いです。この部分にブラシを使うと、傷つけてしまう原因にもなりますし、管が湾曲しているため、なかなかキレイに掃除ができないですよね。ガーゼは優しい素材ですし、繊維が細かくて汚れを密着しながら落としてくれるので、ブラスソープを染み込ませながら、こうしてクルクルと拭いてあげてください。コットンやパフなんかでも、OK。楽器の洗浄方法をひと通り解説しましたが、実は2番ピストンは届かない部分……。ご自宅で楽器を洗うには、どうしても限界があるのも事実です。そんな時には、ヤマハで設置している「超音波洗浄機」というもので楽器全体を洗うのもオススメですよ(※ユーフォサイズが入る超音波洗浄機は、店頭によっては置いていないこともあるので、要確認)。ステップ④クロスで水滴を拭き取る新見さんそして、楽器本体と、パーツを全て洗い終わったら、水滴をなるべく切ってからクロスで磨いていきます。クロスにもいろいろ種類があるんですが、デイリーで使うなら、ラッカークロス、ポロッシングクロスあたりが良いですね。野外での演奏や、やむ負えなく雨に濡れてしまった時などはもちろん、日頃からこまめに拭くことで楽器の表面をキレイに保つことができます。また、シルバークロスといって、はじめから細かい研磨剤がクロスに染み込んでいるものあります。液状のポリッシュをクロスに垂らす代わりに、クロスで拭き取るだけなんて、一石二鳥な商品ですよね!あ、注意点として、ポリッシュを使ったりシルバークロスで拭いたりすると、ずっと黒くなるので「まだ汚れている」と拭き続けなくても大丈夫です。研磨剤が入っているため、あんまり拭きすぎてしまうのは、よくないですよ。ある程度で留めておきましょう!harakoわー、とっても勉強になりました! 楽器の洗い方から拭き方まで、いろんなコツを発見できました。前回の「ピストンメンテナンス方法」と、今回の「金管楽器丸洗いHowTo」で楽器を清潔に良い状態で保つ秘訣をマスターできたと思います。新見さん、ありがとうございました〜!前回のピストンお手入れ法はこちら。【リペアマンに聞いた】金管楽器ピストンのお手入れ&注意点3つ!【#6,7】今回の音楽LOVERは……♪新見 忠士さんヤマハミュージックジャパン 管楽器アトリエ東京技術者♪金管楽器のメンテナンスで、一番注意してほしいことは?「凹まさないでね!」ベルが思いっきり凹んだ楽器が修理で来ると、悲しい気持ちになりますね。中身のメンテナンスも大切ですが、楽器の凹みにも気をつけて欲しいなと思います。〈取材協力〉株式会社ヤマハミュージックジャパン
2017年09月06日