ミュージカル『天翔ける風に』が2023年9月29日(金)から東京芸術劇場 プレイハウスほかで上演される。出演する屋良朝幸と原嘉孝はそれぞれ人気舞台へのオファーが絶えない二人だが、意外にも舞台共演は今回が初めてだ。「ずっと共演したいと言い続けてきました」と原は思いを語り、「全身からエネルギーがあふれているというか、こちらも楽しくなるようなパフォーマンスをされますよね。こうなりたいと思う先輩の一人です!」と屋良を評する。一方の屋良は「実はプライベートで会う仲」と明かし、「初めて見たとき、面白いやついるなぁと。(原さんの)お芝居は見ているんですけど、歌ったり、踊っていたりする姿はそんなに知らない。今回はせっかくの機会だし、いろいろゆっくり話せたら」。舞台は幕末。原が「僕、歴史に本当に詳しくなくて......」と不安げにつぶやくと、屋良は「俺も全然分からない。一緒に勉強しよう」と笑う。いわゆる“和物”テイストの舞台が初めてだという屋良は「以前出演した舞台で日舞を少し踊って、先生に『君は日本の心がないね』と言われて(笑)。今回は自分の経験してきたダンススタイルとは違うパフォーマンスもあるかもしれないし、また新たな引き出しをつくるチャレンジができたら」と意気込んだ。原にとっても本作は“挑戦”が詰まっている。「血気盛んな役で、声を張り上げたりするでしょう。声の出し方やケアの方法などをいろいろ先輩方から学ぼうと思っています」。コロナ禍も終わりが見えてきた。屋良は「初日が開けて、千秋楽を迎えることが当たり前でないことを改めて感じた日々。どうやってその日のお客さんに楽しんでいただけるか、何をどう伝えるかをより考えるようになりました。確かに大変な時期だったけど、そういう風に思えたのはよかったかな」。原は「配信公演などはコロナ禍で生まれた新しい楽しみ方だと思うんですけど、それでもやっぱり生で観ていただきたい。早くコロナ禍が終わって、少しでも多くのお客さんに舞台を楽しんでほしいです」と語った。東京公演は10月9日(月・祝)まで。そのほか地方公演が予定されている。取材・文:五月女菜穂
2023年07月26日2023年8月11日より新宿FACEにて上演されるミュージカル「ALTAR BOYZ 2023」。オフ・ブロードウェイ・ミュージカルの決定打として、2004年にニューヨークの47丁目劇場(Puerto Rican Traveling Theater)にて初演されて以降、世界各地で人々を熱狂の渦に巻き込んできた。日本でも2009年に初演されると、キャストと組み合わせを変えながら再演を重ね、大勢の熱いファンを生んでいる。そしてこの夏、【Team GOLD】【Team SPARK】【Team SAPPHIRE】という3チームでの上演が決定。観る者を“救いの道”へと導く。先日行われたTeam SAPPHIREのスペシャルトークショーに続き、Team GOLDとTeam SPARKのスぺシャルトークショーの開催がそれぞれ決定しました!7月29日(土)に出演するのは、今回の公演を引っ張るTeam GOLD。今までの公演の裏話や稽古場での様々な秘話など…公演を控えたTeam GOLDメンバーの素顔にも迫ります。8月1日(火)は過去にも「ALTAR BOYZ」出演歴があるメンバーも多いTeam SPARK。本番や稽古場で培われた絆とそこで生まれた様々な逸話が聴ける!?Team SPARKメンバーの個性全開!ファン必見のトークショーです。熱く楽しいひとときをご一緒にお楽しみ下さい。チケットは7月25日(火)18時より販売開始。詳細はHP( )にて。<イベント概要>■ミュージカル「ALTAR BOYZ」Team GOLDスペシャルトークショー2023年7月29日 (土)開場12:00/開演12:30会場:ニッポン放送B2イマジンスタジオ(〒100-8439東京都千代田区有楽町1-9-3)出演者:Team GOLD:大山真志、法月康平、松浦司、石川新太、常川藍里MC:松村 蘭(らんねえ)チケット料金:4,000円チケット一般発売日:7月25日(火)18:00☆イベント終演後、会場限定!「ALTAR BOYZ」スペシャル特典付チケットを販売!座席も選べます!!※特典詳細1枚購入特典:推しキャストソロショットチェキ1枚2枚以上購入特典:購入者宛名付き!直筆サインチェキ1枚■ミュージカル「ALTAR BOYZ」Team SPARKスペシャルトークショー2023年8月1日 (火)開場18:30/開演19:00会場:ニッポン放送B2イマジンスタジオ(〒100-8439東京都千代田区有楽町1-9-3)出演者:Team SPARK:鍵本輝、米原幸佑、和田泰右、川原一馬、若松渓太MC:松村 蘭(らんねえ)チケット料金:4,000円チケット一般発売日:7月25日(火)18:00☆イベント終演後、会場限定!「ALTAR BOYZ」スペシャル特典付チケットを販売!座席も選べます!!※特典詳細1枚購入特典:推しキャストソロショットチェキ1枚2枚以上購入特典:購入者宛名付き!直筆サインチェキ1枚“アルターボーイ”とは、神と司祭に仕える「使徒」のこと。使徒である美しき男子5人はボーイズグループ(ダンスボーカルグループ)「ALTAR BOYZ」を結成。人々の魂を救うため、歌とダンスで愛を説きながら、魂を測る装置と共に世界中をツアーしていた。なぜ彼らはこの活動を始めたのか?それぞれが抱えていたのは、人種、移民、LGBT、家族などの問題。それらを原動力とユーモアの種にして、ALTAR BOYZはパフォーマンスを披露、観客の魂は徐々に浄化されていく。しかし、メンバー1人のために用意されたサプライズの誕生日プレゼント…、そこから雲行きが怪しくなり、どうしても救済されない魂があることが発覚する。なぜ救済されない魂が?果たしてALTAR BOYZは観客全員の魂を救うことができるのか!?<公演概要>「ALTAR BOYZ 2023」作:ケビン・デル・アギラ作詞・作曲:ゲイリー・アドラー&マイケル・パトリック・ウォーカー演出:玉野和紀台本・翻訳:北丸雄二Co-Producer:東山義久/植木 豪出演者【Team GOLD】大山真志 / 法月康平 / 松浦 司 / 石川新太 / 常川藍里【Team SPARK】鍵本 輝(Lead) / 米原幸佑 / 和田泰右 / 川原一馬 / 若松渓太【Team SAPPHIRE】中山優貴 / 大野瑞生 / 中本大賀(円神) / 司波光星 / Rayshy会場:新宿FACE(〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1丁目20−1 Humax Pavilion 新宿歌舞伎町 7F)公演期間:2023年8月11日(金・祝)〜8月29日(火)新宿FACE全29公演チケット料金:10,000円★Team SAPPHIREプレビュー公演(8月12日(土)17:00公演)9,500円※別途1ドリンク500円※全席指定・税込※未就学児童入場不可チケット一般発売日:7月 2日(日)10:00公式サイトURL: お問合せ先:キョードー東京0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月23日ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs六角が7月15日(土)からTACHIKAWA STAGE GARDENで開幕した。1999年7月から2008年3月まで「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載されていた同名漫画を舞台化し、「テニミュ」の愛称で知られる。青学(せいがく)の越前リョーマを演じる今牧輝琉は「テニミュ4thシーズンとして3回目の夏。どんどん新しい学校が増えてきて、テニミュとしてもいろんな色が出てきた」と話す。今年4月にテニミュは20周年を迎えたが「20周年記念最初の公演をみんなでできることを嬉しく思います」。その上で「皆さまに最高の夏をプレゼントしたい。カンパニーとして、越前リョーマとしてもっともっと上にいきたいなと思います」。青学(せいがく)の海堂 薫役・岩崎悠雅は「稽古で作り上げてきたものをやっと皆さまにお見せできることを嬉しく思っています。青学(せいがく)は手塚部長が不在の中、キャストも、役の一人ひとりもいろいろな場面で成長している姿が観られると思います」と見どころを語った。六角の佐伯虎次郎役の松永有紘は「稽古が始まってからあっという間に初日。今はワクワクとドキドキといろんな気持ちが混ざっています。20周年という記念すべき年に携われていることは幸せなことだと思うので、その気持ちを味わいながら楽しみたいと思います」と意気込んだ。「僕は夏にテニミュの公演をやるのは初めて。リアルに熱い夏になるのでは」と話すのは、氷帝の跡部景吾役の高橋怜也。「(今回、青学(せいがく)と対戦する)六角は氷帝とは真逆のチーム。公演自体も元気あふれる公演になっているので、僕も皆さまと一緒に楽しみながら公演できたら」とも話していた。第一幕1時間30分、休憩20分、第二幕1時間10分(予定)。関東大会準々決勝の青学(せいがく)vs緑山、準決勝の青学(せいがく)vs六角の熱い試合模様が全31曲の歌とダンスで繰り広げられる。往年のテニミュファンはもちろん、初めて2.5次元ミュージカルを観る方にもおすすめだ。東京公演は7月23日(日)まで。大阪、愛知、名古屋公演を経て、東京凱旋公演は8月26日(土)~9月3日(日)日本青年館ホール。(c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会取材・文:五月女菜穂
2023年07月20日昨年のトライアウト公演で大好評を博した『シュレック・ザ・ミュージカル』が満を持してのフルバージョン公演となり、日本青年館ホールで7月8日(土)に開幕した。大人も子供も一緒に笑える、ハッピーにあふれた初日舞台の様子をレポートする。物語の主人公は恐ろしい外見で嫌われ者の怪物シュレック(spi)。人里離れた森の沼のほとりでひとり静かに暮らしていたある日、領主・ファークアード卿(泉見洋平)によって国を追放されたおとぎ話の住人たちが森に押し寄せてきた。静かな生活を奪われたシュレックは追放令を取り消してほしいと訴えるが、プリンセスとの結婚を目論むファークアード卿は交換条件として「自分の代わりに囚われのフィオナ姫(福田えり)を救い出せ」と命じる。仕方なくシュレックは沼を取り戻すため、お調子者のおしゃべりなロバ・ドンキー(吉田純也)を道連れに冒険の旅に出る――。本作は2001年にドリームワークスが手掛けた大ヒットアドベンチャーコメディ映画『シュレック』のブロードウェイミュージカル版。2022年8月に日本初上陸したトライアウト公演では90分の短縮バージョンだったが、今回は2時間30分(休憩20分を含む)のフルバージョンとなり、よりパワーアップした舞台が楽しめる。メインキャストは昨年オーディションで選ばれた実力派俳優たちが続投し、コミカルなセリフを絶妙な間合いでテンポよく繰り出していく。ハイテンションな笑いを誘いながらも、オーケストラの生演奏にのせた伸びやかな歌声は抜群の安定感がある。最初は相容れないシュレックとフィオナ姫がオナラ合戦で意気投合するなど、子供たちが大ウケするネタも盛りだくさんだが、その裏には「ありのままの自分を受け入れてほしい」という普遍的なメッセージが込められる。“真実の愛”に辿り着くために、シュレックとフィオナ姫が「本当の自分」と「理想の自分」の間で思い悩む姿は切ないが、個性あふれるキャラクターたちがパワフルに奮闘しながら成長していく姿はカラッと明るく、悩みを笑いで吹き飛ばす豪快さが気持ちいい。カーテンコールは携帯電話での写真のみ撮影がOK(動画不可)。キャストと観客が一体となって盛り上がれるパフォーマンスがあるので、ぜひ最後まで楽しんでほしい。公演は7月8日(土)から16日(日)、7月22日(土)から30日(日)まで日本青年館ホールにて。取材・文:北島あや
2023年07月11日子どもから大人まで幅広い世代を魅了するファンタジー小説として、熱狂的なファンを持つ『精霊の守り人』(上橋菜穂子作)。TVドラマや漫画にもなった本作がついに舞台化され、日生劇場開場60周年記念公演として上演される。主人公のバルサは、ひょんなことから新ヨゴ皇国の皇子チャグムの用心棒を務めることになる女用心棒。ダブルキャストでバルサを演じる明日海りおに意気込みを聞いた。花組トップスターを務めた宝塚歌劇団を2019年に退団。その後出演したミュージカルでは華やかな設定と衣裳のミュージカルが続いたが、今回は泥にまみれて戦う役どころだ。「宝塚って下級生は兵士や警官役ということが多いので、実は懐かしさも感じていて(笑)。久しぶりなので不安もありますが、殺陣の基礎は学んでいるので、その頃お世話になった先生に恥ずかしくないように。これから稽古を詰めていけば、動きにキレも出てくると信じて頑張ります」と、早くもやる気充分の明日海。今回の演出を担当する一色隆司氏(ドラマ版『精霊の守り人』や大河ドラマ『麒麟がくる』などを演出)からは、直接オファーが届いたという。「自分で言うのは恥ずかしいのですが…。『バルサの繊細で深い部分を表現できる人にやっていただきたいので』というお手紙でした。その温かい言葉が本当に嬉しく、これはやらなければと思ったんです」と明日海は話す。すでにデモテープも1曲聴いたそうで、「樹々や大地のざわめきが伝わってくるような、壮大で神秘的な曲。温かい感じと少し寂しい感じが、原作から伝わる“ピュアさ”とピッタリはまっていて、聴きながらどんどん世界観に入り込んでいます」と語る。初舞台からちょうど20年。明日海は「今でも毎回、自信がないところから始まる」と笑うが、穏やかな佇まいとは裏腹に、舞台では圧倒的なエネルギーを放出して観客を引き込むのは誰もが知るところ。「初日の幕が開いてスポットライトがフワーッと当たり、“演者や制作陣と作ってきた役/自分”が動き出す時間がすごく好きです。お客様に観ていただいて作品が育ちはじめ、身体や心に起こる反応のようなものが日々少しずつ変化していく。その感触があるから、もっといいものを目指したいと思うのかもしれません。稽古場で苦しんだ分だけ本番で身になっていく感覚がたまらないんです(笑)」と明かす。そんな彼女が演じるバルサはどんな表情を見せてくれるのか。本番を楽しみに待ちたい。取材・文:藤野さくらヘアメイク:山下景子(コール)スタイリスト:大沼こずえ(eleven.)
2023年07月07日ミュージカル『スクールオブロック』が2023年8月17日(木)から東京建物Brillia HALLで日本初演される。開幕を前にライブイベントが行われ、楽曲が披露されたほか、出演者らが意気込みを語った。売れないロッカーが名門進学校の臨時教師になりすまし、生徒たちにバンドを組ませるコメディ映画として2003年に同名映画が公開され、15年にアンドリュー・ロイド=ウェバーのプロデュース・音楽によってブロードウェイでミュージカル化。日本では20年に日本初演を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって全公演中止になり、この度3年の時を経て初演を迎える。ロックを愛する破天荒な熱血バンドマンのデューイ・フィン役を務める西川貴教は、たまたまブロードウェイで本作を観劇したといい「お話をいただいたときはぜひやらせてくださいと答えました。感染が落ち着いた今のような状況でないと、皆さんと一緒に歌ったり盛り上がったりできない舞台。ぜひキャストの1人と思って会場にお越しいただければ」と意気込んだ。Wキャストでデューイを演じる柿澤勇人は「デューイはすごくピュア。社会で生きていると『本当は彼みたいに生きたい』と憧れを持つと思うんです」と役を分析。その上で「台本に『ロックの本質は完璧にやることじゃない。楽譜通りに歌えばいいってもんじゃない』というようなセリフが出てくるんですね。僕も性格上完璧を求めがちなんですけど、今回はもういいかなと(笑)。とにかく心から叫んでいきます」などと語っていた。翻訳と演出を手がける鴻上尚史は「僕はこの作品が大好き」という。「個人的に『ツーブロック禁止』とか『リボンの幅は2センチならOK、3センチはダメ』など日本の“ブラック校則”にずっと文句を言い続けているんですけど、この作品はそういう学校の変な真面目さとか意味のない規則をこんなに楽しくキャッチーな曲で笑い飛ばしてぶっ飛ばす。初めて観たときに、クリエイターとしてやられたと思った」と語り、「名作にしないとしょうがない。頑張ります」。イベントには、ロザリー役の濱田めぐみ、ネッド役の梶裕貴/太田基裕(Wキャスト)、パティ役のはいだしょうこ/宮澤佐江(Wキャスト)、バンドメンバーの生徒役らも登壇。東京公演は9月18日(月・祝)まで。大阪公演は9月23日(土・祝)~10月1日(日)、新歌舞伎座。取材・文:五月女菜穂
2023年07月07日ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』が2023年7月5日(水)から東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)で上演される。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をベースに、設定を1950年代のニューヨークのウエストサイドに置き換え、そこに芽生えた恋を描いたブロードウェイ・ミュージカル。2012年に同劇場のオープニングを飾った記念すべき作品でもあるが、今回は新演出バージョンの上演となる。初日を前にした5日(水)、プレスコールが行われた。「Tonight」「America」「Cool」という、きっと多くの人が一度は耳にしたことがあるであろうビッグナンバーを圧巻のパフォーマンスで披露した。プレスコール後の囲み取材で、トニー役のジェイドン・ウェブスター(Jadon Webster)は「日本に来た実感が湧いてきました。素晴らしいショーになると思います」とパフォーマンスを終えた感想を話す。会場となる東急シアターオーブについては「渋谷のど真ん中にあるので、どこを歩いていても刺激的。普段から楽しく過ごしています」とコメント。また、マリア役のメラニー・シエラ(Melanie Sierra)は「日本に来るのが夢でした。渋谷の中心に私たちの『ウエスト・サイド・ストーリー』の広告が出ているのを見て......さらに開幕が待ちきれません」などと話し、興奮冷めやらぬ様子だ。2人によれば、新演出はオリジナルのストーリーラインは変わらず、映画版にあるようなカラフルなシーンや演出が反映されており「より美しく見える」という。それぞれが思う『ウエスト・サイド・ストーリー』の魅力について、ジェイドンは「それぞれいろいろな苦悩やエピソードがあるが、それをダンスや演技で表現しきっているところが素晴らしいと思う」と話し、メラニーは自身がプエルトリコ人であることに触れつつ、作品が描く人種間の差別や対立といった社会問題や文化的な背景が心に響くと語っていた。東京公演は7月23日(日)まで。高崎公演は7月31日(月)~8月2日(水)、高崎芸術劇場 大劇場。大阪公演は8月5日(土)、6日(日)、オリックス劇場。これぞミュージカルの原点というべき作品、ぜひお見逃しなく!取材・文:五月女菜穂
2023年07月06日2023年8月11日より新宿FACEにて上演されるミュージカル「ALTAR BOYZ 2023」。オフ・ブロードウェイ・ミュージカルの決定打として、2004年にニューヨークの47丁目劇場(Puerto Rican Traveling Theater)にて初演されて以降、世界各地で人々を熱狂の渦に巻き込んできた。日本でも2009年に初演されると、キャストと組み合わせを変えながら再演を重ね、大勢の熱いファンを生んでいる。そしてこの夏、【Team GOLD】【Team SPARK】【Team SAPPHIRE】という3チームでの上演が決定。観る者を“救いの道”へと導く。【Team GOLD】の大山真志、【Team SPARK】の鍵本輝(Lead)、そして【Team SAPPHIRE】の中山優貴が公演への思いを語るインタビューが到着した。――出演が決まった率直なお気持ちをお聞かせください。鍵本正直なところ、未知数だなと思っています。これまでの公演を観させていただき、どんなものかはある程度は想定できていますが、やはり実際に演じてみなければ分からないところもたくさんあるので。自分がどのくらいできるのか、そしてチームのみんなとどれだけ深い関係を作れるのかなど不安要素もありますが、今は楽しみたいという気持ちが大きいです。大山僕は、2014年から出演しているこの作品に、再び戻ってこられたことが嬉しいです。長い間、この作品に出演しているとチームメンバーが変わることも多いのですが、今回はこのメンバーでTeam GOLDとして公演できるというのがとても幸せなことだと思います。Team GOLDは日によってもメンバーが変わるので、それもまた楽しみにしているところです。さらに今回は、Team SPARKとTeam SAPPHIREの新しい人たちがまた新たなALTAR BOYZを作り上げてくれると思いますので、ぜひご期待ください。中山歴史ある作品に関わらせていただくことができるのがとても嬉しいです。これまでの公演を観させていただいた時は、これは大変そうだと思ったのが正直な感想ですが、これを成し遂げたらきっと達成感も大きいと思うので、チームみんなと乗り越えたいと思います。Team SAPPHIREは、全員が新メンバーで、初めて共演する方ばかりなので、分からないこともたくさんあると思いますが、先輩方が築き上げてくださったものを参考にしつつ、僕たちにしか出せない色を出せたらと思っています。――鍵本さんと中山さんは今回、初参加となります。脚本を読んで感じている本作の魅力は?鍵本神に仕える「使徒」によるボーイズグループがコンサートを行うというストーリーですが、僕自身もアーティストとして活動している中で、似ているところがあるなと感じました。なので、物語にも入りやすかったですし、グループ“あるある”に共感しながら読みました。この作品は、ある意味、青春スポコンにも近いと僕は思います。みんなで一つのものを目指していく中で、バラバラになったり、また結束したりしながら、観客の魂を浄化していきます。僕自身もこの作品に携わることで、自分の中で失いかけていた何かを思い出せるんじゃないかなと思っています。中山熱量の高さが最大の魅力だと、これまでの公演を観ていても感じました。生バンドによる生演奏ということもそうですが、お客さんとの掛け合いもあったりと色々な意味でライブ感のある作品なので、臨場感を感じられると思います。そうした1つ1つのピースがハマって完成する作品になるのかなと思います。――大山さんはこれまでの本作への出演を通して、本作ならではの魅力をどこに感じていますか?大山シンプルなストーリーですが、LGBTQや宗教的な問題も練り込まれているので、今、上演する意味のある作品だと思います。それから、この作品では、役を演じながらも、同時に自分自身も出してお芝居をします。なので、このセリフを言っているのは、この物語のキャラクターなのか、それとも役者自身なのかが曖昧なところが面白いと思います。それぞれの役者たちの経験がその役に反映され、それがそのチームの個性になるんです。アドリブのシーンもあるので、どこまで自分を出して演じるのかという駆け引きも楽しめると思います。――それぞれのチームを、どのようなチームにしていきたいですか?鍵本稽古が始まってみないと分からないところではありますが、Team SPARKは、僕以外の4人はこれまでも出演していたメンバーなので、出来上がっている4人の中に真っ白な僕が入ることになります。一度、出来上がったチームの中に僕が入ることによって、また別の形に生まれ変わるのではないかなと思います。稽古の中で、メンバーとコミュニケーションを重ねて、Team SPARKらしさを作り上げていければと思います。大山Team GOLDは、今回はコーラスワークを緻密に作りたいと思っています。僕も含めてメンバーたちは、この作品から離れていた間も様々な経験をしてきましたので、必ずパワーアップしたものをお見せできると思います。分厚い音をお聞かせできたらと思います。中山Team SAPPHIREは、全員が初参加なので、全員が真っ白です。なので、何にでもなれるというのが強みでもあるのかなと思います。ストーリーやベースとなる役柄はもちろんありますが、そこに僕たちの人間性をプラスアルファして、まっさらな状態から作れると思うので、他のチームとはまた違った色をどんどん出せたらと思います。――作品を観たお客さまにどんな“救い”を届けたいですか?大山舞台を観に来たというより、ライブを観に来た感覚になれると思います。特に今回は声出しもできるので、一緒になってこの作品を楽しめます。鍵本この“ライブ”があるから頑張れると思っていただけるような、お客さまの活力になれたらと思います。中山毎回、新鮮なものをお届けできると思うので、「また浄化されたい」「またALTAR BOYZの汗が見たい」と思っていただけるようなものを作っていきたいと思います。大山今回、初めて夏に上演するというのも楽しみなのですが、きっとかなり盛り上がると思うので、暑さは大丈夫かな(笑)。鍵本熱中症にならないようにしないとですね。大山そうだよね。会場をキンキンに冷やしてもらいますので、皆さん、羽織るものを持ってお越しください!ミュージカル「ALTAR BOYZ」Team SAPPHIREスペシャルトークショー開催決定!!「ALTAR BOYZ」開幕を記念したPRイベント、『ミュージカル「ALTAR BOYZ」Team SAPPHIREスペシャルトークショー』を7月13日(木)に開催決定!ゲストにTeam GOLDの大山真志を迎え、ここでしか聞けないあんな話、こんな話が飛び出すかも!?熱く楽しいひとときをご一緒にお楽しみ下さい。<イベント概要>ミュージカル「ALTAR BOYZ」Team SAPPHIREスペシャルトークショー2023年 7月13日 (木)開場18:30/開演19:00会場:ニッポン放送B2イマジンスタジオ(〒100-8439東京都千代田区有楽町1-9-3)出演者:【Team SAPPHIRE】中山優貴 / 大野瑞生 / 中本大賀(円神) / 司波光星 / Rayshyスペシャルゲスト:大山真志MC:松村 蘭(らんねえ)チケット料金:4,000円チケット一般発売日:7月 5日(水)18:00☆イベント終演後、会場限定!「ALTAR BOYZ」スペシャル特典付チケットを販売!座席も選べます!!※特典の詳細は後日発表します。“アルターボーイ”とは、神と司祭に仕える「使徒」のこと。使徒である美しき男子5人はボーイズグループ(ダンスボーカルグループ)「ALTAR BOYZ」を結成。人々の魂を救うため、歌とダンスで愛を説きながら、魂を測る装置と共に世界中をツアーしていた。なぜ彼らはこの活動を始めたのか?それぞれが抱えていたのは、人種、移民、LGBT、家族などの問題。それらを原動力とユーモアの種にして、ALTAR BOYZはパフォーマンスを披露、観客の魂は徐々に浄化されていく。しかし、メンバー1人のために用意されたサプライズの誕生日プレゼント…、そこから雲行きが怪しくなり、どうしても救済されない魂があることが発覚する。なぜ救済されない魂が?果たしてALTAR BOYZは観客全員の魂を救うことができるのか!?<公演概要>「ALTAR BOYZ 2023」作:ケビン・デル・アギラ作詞・作曲:ゲイリー・アドラー&マイケル・パトリック・ウォーカー演出:玉野和紀台本・翻訳:北丸雄二Co-Producer:東山義久/植木 豪出演者【Team GOLD】大山真志 / 法月康平 / 松浦 司 / 石川新太 / 常川藍里【Team SPARK】鍵本 輝(Lead) / 米原幸佑 / 和田泰右 / 川原一馬 / 若松渓太【Team SAPPHIRE】中山優貴 / 大野瑞生 / 中本大賀(円神) / 司波光星 / Rayshy会場:新宿FACE(〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1丁目20−1 Humax Pavilion 新宿歌舞伎町 7F)公演期間:2023年8月11日(金・祝)〜8月29日(火)新宿FACE全29公演チケット料金:10,000円★Team SAPPHIREプレビュー公演(8月12日(土)17:00公演)9,500円※別途1ドリンク500円※全席指定・税込※未就学児童入場不可チケット一般発売日:7月 2日(日)10:00公式サイトURL: お問合せ先:キョードー東京0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月04日オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『ALTAR BOYZ』。2004年ニューヨークでの初演ののち、日本では2009年から公演を重ねてきたこの作品が、この夏GOLD、SPARK、 SAPPHIREの3チームに分かれての公演を敢行する。神と司祭に仕える美しき5人の男子たちがダンスボーカルグループを結成し、観客たちの魂を救おうとするという物語。歌もダンスもふんだんにある今作について、GOLDチームの大山真志、SPARKチームの鍵本輝、 SAPPHIREチームの中山優貴の3人に話を聞いた。まず、過去の公演にも複数回出演している経験者の大山が今作の魅力を解説する。「もちろん役として、芝居で舞台に立っているんですが、同時に素の大山真志もいる気がする。それがこの作品の面白さ。キャストの個性がチームの個性になっていく作品だと思います」。普段、3人組ダンスボーカルユニット・Leadで活動する鍵本は「3人では出せない、5人ならではのハーモニーの厚みを楽しみたいですね。自分なりにアレンジを加えるなどのチャレンジをしながら歌いたい」と歌のパートに意欲を見せる。3つのチームの中でも、SAPPHIREは今回新たにつくられたチームで、キャストの5人全員が今作に初めて参加することとなる。中山は「お話をいただいたときの率直な感想は『めっちゃ大変そうだな』でした」と笑い、「歴史ある作品に関われることがうれしいです。僕らのチームは全員が初めて、真っ白な状態なので、何色にもなれることが強みだと思っています。他のチームとは違った色をどんどん出したい」と意気込みを話す。経験者の大山は初参加となる鍵本、中山へのアドバイスとしてまず「必要なのは気合だけ!」と笑い、「あとはチームワークが命の作品なので、5人でコミュニケーションをとること」と話す。このインタビューの前に演出の玉野和紀と顔を合わせたという3人。鍵本は「『新しいALTAR BOYZの時代が始まるな』と言われたことが残っています。僕らが新しい扉を開けるべきなんだなと身の引き締まる思いです」と今作に向けた思いを語り、中山も「新しいチームだからこそ、これまでの『ALTAR BOYZ』を大切にしながら、新しいアイデアをたくさん提示できたら」と改めて語った。キャストと観客とが一緒に盛り上がる、ライブ感あふれる『ALTAR BOYZ』。この夏、その新しい歴史が刻まれる。チケットは一般発売中。取材・文:釣木文恵
2023年07月03日“数学”をテーマに展開される異色のミュージカル『浜村渚の計算ノート』。シリーズ累計110万部を突破した人気推理小説を原作に、“数学”が学校教育からなくなった世界を舞台に、天才的な数学センスを持つ女子中学生・浜村渚がテロリズムに立ち向かう姿を描く。警視庁の捜査官で、テロ組織「黒い三角定規」の事件を担当する武藤刑事を演じる立石俊樹、そして本作が初舞台となる、瀬島刑事役の藤岡真威人が本作の魅力について語り合った。学生時代から数学が得意だったという立石は本作について「なぞなぞの要素もあり、事件の部分に関しては人間ドラマがあって、すごく深い思いも感じつつ、数学の楽しさやワクワクを感じられる作品になっていると思います」とその魅力を口にする。藤岡も「テロが起きて、それに女子中学生が数学を使って立ち向かうという発想が面白い! 読んでいく中で、知らなかったこと、聞いたこともなかった数学の知識に触れることもできるけど、あくまでも物語の中で描かれるので『勉強してる』という感じではなく楽しめると思います」とうなずく。本作が初舞台となるが、藤岡は「個人的に舞台は難しそうというイメージがあって、ハードルの高さを感じていました。だからこそ成長や新たな学びもあると思い、いつかやりたいと思っていた矢先にこのお話をいただきました。わからないことがたくさんあると思いますが、回数を重ねながら成長していけたら」と意気込みを口にする。そんな藤岡とこの日、初めて顔を合わせた立石は「僕自身、初対面の人と顔を合わせるのは緊張するタイプなんですけど、すごく自然に話せました。10歳違うんですけど、もしかしたら、ようやく“お兄ちゃん”になれるんじゃないかと(笑)」と“頼れるお兄ちゃん”宣言。藤岡は「“先輩”感を出さない感じで接してくださるのがありがたいです。とはいえ、たくさんの舞台に出られている大先輩であることは変わらないので、ぜひ頼らせていただければと思います!」と笑顔で語る。初ミュージカルの稽古を前に藤岡は現段階で、自らのセリフを録音し、聞きづらい部分や伝わりにくい部分を確認するという作業を繰り返しているという。立石は、舞台に立つ上での自身で行なっているという取り組みとして「台本や原作を読み返すたびに、気づく部分が増えていくので、一度、台本を覚えた後に改めて原作や台本を読み直すことを意識的にしています」と明かしてくれた。頼れる先輩と共にどんな初舞台を見せてくれるのか。楽しみに完成を待ちたい。取材・文:黒豆直樹【公演情報】ミュージカル『浜村渚の計算ノート』演出:植木護脚本:嘉納みなこ / 植木護出演:桑原愛佳 / 立石俊樹 藤岡真威人 飯窪春菜 隅田美保 入来茉里 藤岡舞衣 西條妃華 /井上小百合 レ・ロマネスクTOBI 朝隈濯朗 ダイアモンド☆ユカイ 他
2023年07月03日開演前の『ギンギラギンにさりげなく』に始まり、カーテンコールの『ダンシング・ヒーロー』『2億4千万の瞳』に至るまで、80年代のヒット曲が次々と登場するジュークボックスミュージカル。使用された楽曲はもちろん、キャストも非常に魅力的だったゲネプロの模様をお届けする。夫(片桐仁)、娘(寺田彩乃)と共に暮らす主婦の奈美(花總まり)。経済的には不自由ないが、どこかもやもやとした思いを抱える日々を送っていた。ある日、奈美は高校時代の友人・千夏(瀬奈じゅん)と再会。病気で余命いくばくもない千夏に頼まれ、仲良しグループ「SUNNY」のメンバーだったみどり(小林綾子)、桜(馬場園梓)、好恵(佐藤仁美)を探し始める。私立探偵(片桐仁)に依頼して行方をつかみ、彼女たちと再会したことで高校時代を思い出す。そして、今の自分たちと向き合うことに……。友情や初恋、将来への夢など、10代の頃に何を思い何に夢中になっていたのか、大人になってから振り返ると今の自分の現実が身に染みる。冒頭で奈美が歌う曲が『センチメンタル・ジャーニー』(直訳すれば「感傷旅行」)であることが、それを象徴しているかのよう。それでも「SUNNY」は再び手を取り合い、今の自分たちにできる精一杯のことをしようと前向きに歩き出す。そんな、さわやかな幕切れが印象的だ。花總や瀬奈をはじめ、キャストは皆好演。小林、馬場園、佐藤も含め、それぞれの持ち味に合った配役も魅力だ。花總と瀬奈の『待つわ』、瀬奈の『飾りじゃないのよ涙は』、10代と現在の「SUNNY」全員による『想い出がいっぱい』など、思わず聴き入ってしまう。韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)を原作としながらも、舞台を日本に置き換えたことの意味がよくわかる。さらに、奈美の渡邉美穂、千夏の須藤茉麻、「SUNNY」と対立する美樹(伊藤彩夏)など、10代の彼女たちを演じたキャストがとてもキラキラしている。だからこそ、誰もが経験しているに違いない友だち同士の関係、衝突などが胸に迫るのだ。渡邉と花總、須藤と瀬奈の“10代→大人”という2人1役も、ごく自然になじんでいた。一方、男性陣は多くの役柄をこなして大活躍。特に片桐の早替わりは、この作品の明るさやテンポの良さに貢献しているのではないだろうか。多幸感にあふれた本作は7月5日(水)まで。その後、大阪公演あり。
2023年06月29日黒澤明監督の傑作『生きる』を世界初のミュージカル化。18年の初演、20年の再演に続き、3度目の上演が決定した。そこで演出を手がける宮本亞門に、これまでの創作の日々を振り返るとともに、再々演にかける想いを語ってもらった。過去二度の公演には、コロナ禍前とその渦中という違いがあるが、宮本にとってはさらに大きな変化が自身を襲っている。「主人公の渡辺勘治は胃がんになったことで必死に生き直すわけですが、初演の時の僕はがんの経験なんてなかったわけです。そんな人にどんな言葉をかけたらいいかもわからないし、難しいなぁと。でもおかげで僕、2019年にがんになったんですよ(笑)。自分では“命の勲章”と言っていますが、がんサバイバーとして再演が出来た。それはなんと言うか貴重な体験でした」その理由を訊ねると、自身ががんになったニュースをテレビで見ながら、こんなことを思ったそう。「僕のこれまでについて、みんなが勝手にしゃべっているわけですよ。俯瞰でそんな自分のことを見る機会、こんな体験なかないですからね!チャップリンの有名な言葉にもあるように、『クローズアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見ると喜劇だ』のようでした。つまり渡辺勘治のように自分自身のがんについては、もっと混乱したり、苛立ったり、喜怒哀楽を全部出してもいいんじゃないか。それは再演からの変化ですね」そして再々演。3年前とは世の中がまた変化している。「やっぱりパンデミックを経て、多くの人がいろんなことを考えたと思うんです。これから生きていく上でなにを大切にしていくんですか?とか。そんなことを感じてもらえる作品だと思いますし、タイミング的にも最良の作品ではないかと思っていて。もし出来たらお父さんやご家族など、誰かと一緒に観に来てもらえたら嬉しいですね。普段の会話ではしづらいようなことも、これを観た後で、少しずつ大切なことが話せるように変わっていくと思います」主人公の渡辺勘治を演じるのは、もちろん市村正親と鹿賀丈史。だがそれ以外のメインキャストは、再演からほぼ一新されている。「これはとても楽しみですね。それぞれ掛け合いも変わるでしょうから。また市村さんと鹿賀さんの役作りの方向性がまったく違いますし、毎回おふたりとももっと深く、もっと探りたいと、貪欲なまでの探求心で臨まれている。今回もそれぞれまったく違う渡辺勘治を見せてくださると思いますよ」取材・文:野上瑠美子■公演情報Daiwa House presents ミュージカル『生きる』2023年9月7日(木)~9月24日(日)会場:新国立劇場 中劇場
2023年06月26日イタリア詩人のロレンツォ・ダ・ポンテの人生を描く音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』。プレビュー公演開幕を前にした6月20日(火)、東京・シアター1010で取材会が行われた。6月25日(日)まで同劇場でプレビュー公演が行われた後、7月9日(日)からは東京建物BrilliaHALL(豊島区立芸術文化劇場)で上演される。本作は、モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』などの作品が誕生した背景にあった、ロレンツォ・ダ・ポンテの人生を描く。タイトルロールを演じる海宝直人は「完全新作で、ようやくお披露目できる」と挨拶。見どころについては「まず、衣装が豪華。(これまでの舞台経験でも)僕もこんなにキラキラしたことはない。あと音楽は30曲以上あって、それぞれのソロもあり、各人の思いが伝わるようになっているので、楽しんでほしい」と語っていた。また、モーツァルト役の平間壮一も「カンパニー全体が楽しく頑張って作ってきた。お客様が入って最後に作品が完成するので、どんな反応になるかが楽しみ」とコメントしていた。ダ・ポンテは「女好きでペテン師」「天才詩人」という設定。共演する相葉裕樹は見どころとして「海宝直人の色男っぷり」を挙げ、田村芽実や青野紗穂ら女性キャストからも「女性たちがメロメロになっちゃう」「普段からやってないとアレは出せない」などとの声も。それに対して海宝は「自覚はないですけど」と笑う。ゲネプロを観た。主に18世紀を描くということもあり衣装は豪華絢爛だが、舞台は五線譜をイメージさせる横線が強調された比較的シンプルな機構。音楽劇と銘打っているものの、楽曲の中で物語が進む場面も見受けられ、まるでミュージカルのようだ。主人公を演じる海宝の歌唱力は折り紙付きだが、見どころに挙げられていた“色男っぷり”も、おそらく目線の使い方まで計算されている表情もよく、ダ・ポンテという人物を見事に体現していた。また、そもそも主人公のダ・ポンテについてはあまり知らない人も多いだろうが、モーツァルトやコンスタンツェなど別作品で描かれてきた人物の造形がなかなか新鮮に感じられた。上演時間は第一幕65分、休憩20分、第二幕85分の計2時間50分を予定。時代の波に抗い、偏見を乗り越え、制作に没頭した若き天才たちの軌跡を描いたオリジナル音楽劇。ぜひお見逃しなく。公演は東京のほか、愛知(6月30日(金)・7月1日(土)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール)、大阪(7月20日(木)~24日(月)新歌舞伎座)でも上演を予定している。取材・文:五月女菜穂
2023年06月22日ミュージカル『浜村渚の計算ノート』の制作発表会見が6月15日(木)に開催され、主演の桑原愛佳をはじめ、立石俊樹、藤岡真威人、井上小百合、朝隈濯朗、レ・ロマネスクTOBI、ダイアモンド☆ユカイ、演出の植木護が出席した。2007年より刊行されている青柳碧人による人気小説シリーズを原作に、学校教育から数学が消えてしまった社会を舞台に、天才的な数学センスを持つ女子中学生・浜村渚がテロに立ち向かう姿を描く。会見は桑原、立石、ユカイによる歌唱披露からスタート。劇団四季のミュージカル『アナと雪の女王』のヤングエルサ役で注目を集め、オーディションを経て今回の浜村渚役を勝ち取った桑原は力強い歌声を響かせた。桑原は「このような豪華なキャストのみなさんに囲まれて、初めて主演をやらせていただくプレッシャーもあるんですが、それ以上に渚ちゃんという素敵な女の子を演じさせていただくことへのワクワクの気持ちの方が大きいです」と満面の笑みを浮かべ堂々たる挨拶。そんな桑原について、演出の植木はオーディションをふり返りつつ「桑原さんの渚はツッコむところがなく、歌もキャラクターも素晴らしかった」と手放しで称賛を送る。渚をサポートする武藤刑事を演じる立石は刑事役初挑戦。「渚ちゃんの頼りになる存在になるべく熱量で稽古場を回していきたいと思います」と意気込む。この日は衣装の鮮やかな青いスーツ姿での出席となったが「こんなに青いんだ!と思いました(笑)」と驚きを口にする。ユカイは、政府の進める数学排斥の流れに対抗して「黒い三角定規」を結成し、テロを実行する“ドクター・ピタゴラス”を演じるが、実は桑原はユカイの娘と同い年とのこと。自身の役柄について「『バットマン』でいうところのジョーカーのような役割」と評し「優しいパパにならないように、命を懸けて敵役を頑張りたいと思います」と宣言する。本作が初舞台となる藤岡は「素晴らしいみなさまと新しいこと挑戦できることが嬉しいです」と喜びを口にする。演じる瀬島刑事は「予想以上にコミカルなキャラ」とのことで「敵のクセ強なキャラたちに負けないように頑張ります!」と語っていた。桑原は「数学に苦手意識を持っている方もたくさんいると思うんですけど、数学が好きな方もそうでない方も楽しんでいただける新感覚ミュージカルになっています。ぜひ劇場に見に来てください」と呼びかけた。取材・文:黒豆直樹
2023年06月22日DIAMOND☆DOGSによる20th Anniversary『Le Pont de I’Espoir』が6月28日(水)から博品館劇場で開幕する。2003年に結成されたDIAMOND☆DOGS(以下、D☆D)だが、今回の公演を一つの集大成とし、公演終了後を“リフレッシュ期間”に入る。一部は20年の軌跡を遡るダンスショー、二部はお馴染みのミュージシャンを交えたライブという構成。D☆D結成時からリーダーとしてグループを率いる東山義久は、一部について「20年間でたくさんのナンバーが生まれて、全部で1000曲近くあるんです。そこから楽曲を選ぶのも一苦労なのですが、今のところ14、15曲にまとめる予定です。全部がメインディッシュのようなナンバーなので、きっとお腹いっぱいになってもらえるはず」。二部についても「D☆Dの活動の中でもライブは一つの売り。舞台作品とはまた違う形で、僕たちの素やエネルギーを観られるはずなので、ぜひ盛り上がっていただけたら」。この20年間は「本当にいろいろなことがあった」と東山は言う。「新たな挑戦をするためにD☆Dを卒業するメンバーを見送ってきました。今となればいい思い出なんですけどね、当時は結構しんどかった。でも一方で新しく入ってきたメンバーの才能に触れて『こういう表現もありなんだ』と教えてもらうこともたくさんあって......。D☆Dでの活動が確実に今の僕を形作っています」とも。東山といえば、昨年ミュージカル『ミス・サイゴン』で大役のエンジニア役を演じた。かつて『エリザベート』のトートダンサーだった東山が、エンジニアとして帝国劇場に1人立ち名曲『アメリカンドリーム』を歌い踊る姿には感涙したものだが、東山本人も「D☆Dで培った経験が外の舞台でも通用するんだということを証明したくて。メンバーの励みにして欲しかったし、応援してきてくださったお客さんにも『応援してきてよかったな』と思ってほしかったから」と大役への挑戦の理由を語る。D☆Dは本公演を機に“リフレッシュ期間”に入る。東山は「『希望への架け橋』という意味のタイトルの通り、これが終わりではなく、また大きなスタートになるような20周年の集大成の公演にしたい。皆さんとこの20周年を祝いあいたいと思いますので、ぜひ劇場にご来場ください」と呼び掛けた。公演は7月5日(水)まで。取材・文:五月女菜穂
2023年06月21日大ヒット映画『SUNNY』がこの夏、世界で初めて舞台化される。バブル経済絶頂期の1980年代と現代の日本を舞台に、学生時代と大人になった『SUNNY』メンバーが繰り広げる笑いと涙の青春物語。開幕を前にした2023年6月14日(水)、東京都内で製作発表会見が行われ、『SUNNY』と『ダンシング・ヒーロー』の2曲を披露。開幕の期待感が高まる中、出演者が見どころを語った。奈美役の花總まりは「奈美が動かないと物語が始まらない。みんなを引っ張っていく役なので、大切に演じたい」と挨拶し、「こんなに出ずっぱりの役は初めて。みんなで練りに練っている最中だが、間違いなく期待を裏切らない。誰でも共感できる物語なので、お誘い合わせの上、観に来ていただけたら嬉しい」。ジュークボックスミュージカルに出演することについては「私はミュージカルへの出演が多く、気持ちをどう繋げるか、どう伝えるかを考えて歌ってきた。今回は単純に切り替えて歌っているが、どこかリンクしているのも楽しい。観ている人に懐かしさを感じてもらえると思うし、楽しくノれるような曲もある。曲がいいスパイスになっている」と語っていた。千夏役の瀬奈じゅんは「花總さんと逆で、私はこんなにじっとしている役は初めて」と言い、「(高校時代を演じる)若者たちが本当に素晴らしく、若いエネルギーとパワーはすごいと思った。力をもらいながら(須藤)茉麻ちゃんと一緒に千夏を作りあげたい」と意気込む。青春時代の自分に伝えたいメッセージを尋ねると「今が青春だと思っているが、宝塚時代の自分には『そんなに生き急がなくていいよ』と言ってあげたい。やることに追われて、自分がやりたいことは後回しだったから、もう少し肩の力を抜いてもいい、と。でもそれが青春だったところもあるし、今すごく青春を謳歌してキラキラしている」。そのほか、みどり役の小林綾子、桜役の馬場園梓、好恵役の佐藤仁美、高校時代の奈美役を演じる渡邉美穂、同じく高校時代の千夏役を演じる須藤茉麻、私立探偵役の片桐仁、脚本・演出の西田征史も登壇。東京公演は6月26日(月)~7月5日(水)、東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)。大阪公演は7月9日(日)~13日(木)、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。取材・文:五月女菜穂
2023年06月20日この夏、不朽の名作であるブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』が日本にやってくる。物語の舞台は1950年代のニューヨーク。不良少年たちは縄張り争いに明け暮れ、ポーランド系移民の“ジェッツ”とプエルトリコ系移民の“シャークス”が対立していた。そんな中、“ジェッツ”の元リーダーであるトニーと、“シャークス”のリーダーの妹マリアが出会い、運命的な恋に落ちてしまう。敵対するグループでありながらも惹かれ合う若い恋人たちは、争いの波に翻弄されていく。公演のオフィシャルサポーターに就任した宮野真守は、2019年に日本キャスト版ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season1でトニー役として出演、2021年に話題となったスティーブン・スピルバーグ監督による映画「ウエスト・サイド・ストーリー」の日本語吹き替え版でもトニー役を担当しており、本作の魅力を誰よりも深く理解するひとりだ。宮野はオフィシャルサポーター就任について「自分にとって特別な作品なので、また(作品について)語れることが光栄です」と笑顔を見せる。公演の見どころについて、「演出が華やかで、音楽とダンスが格好いい。観ていてすごく興奮する舞台なので、エンターテインメントとして存分に楽しめる」と同時に、「生きるために大切な価値観をおしえてくれる舞台だ」という。宮野は以前トニー役を演じた際に、当時のアメリカの社会情勢について勉強した経験がある。それを踏まえ2023年に上演する意義について、「いまの世の中は人種問題だけでなく、それぞれの生活の中で生きづらさを感じてしまう時間もあると思う。トニーが示してくれる『一歩前に踏み出す勇気』というのは、現代に生きる私たちにフィットしている。そういう思いを、物語のどこかに感じながら観てもらうと、より楽しんでもらえるんじゃないかと思います」。クラシックな悲恋物語にとどまらない、いまを必死に生き抜こうとする若者たちの姿から「命の輝き」を感じてほしい。公演は、7月5日(水)から23日(日)まで東急シアターオーブ、7月31日(月)から8月2日(水)まで群馬・高崎芸術劇場、8月5日(土)から6日(日)まで大阪・オリックス劇場にて。チケットは発売中。取材・文:北島あや
2023年06月19日全米を震撼させた事件を基に、“私”と“彼”そして一台のピアノのみで繰り広げられるミュージカル『スリル・ミー』。2005年にオフ・ブロードウェイで開幕し2011年に日本初演されて以降、さまざまな俳優のペアで上演を重ね、今回で8度目。尾上松也と廣瀬友祐に話を聞いた。“私”役の松也は、2014年に柿澤勇人とともに本作に出演して以来、9年ぶりの登場。「役者人生でもう一度チャレンジしたいと思っていました。『スリル・ミー』の再演がある度に、自分に声がかからないことにモヤモヤしていました(笑)。前回は僕が初めての出演で、柿澤さんは何度も演じていましたのでいろいろ教えてもらいましたし、彼のパワフルな歌声で引っ張っていただいたんです。今回は逆に僕が経験者。引っ張っていってあげたいのですが......正直、ほとんど内容を忘れてしまっているから」と笑う。「でも前回の公演後、僕もいろいろな経験を積んできましたし、前回の“私”とはまた感覚も違うでしょう。純粋に廣瀬さんと新しく作品を作る気持ちで、僕も一から臨みたいです」。一方、“彼”役の廣瀬は『スリル・ミー』に初挑戦。「大前提として僕にお声がけいただいて嬉しいですし、ありがたい気持ちはあるのですが、作品のテーマや内容を考えると、安易にポジティブな感情にはなれなかったですね」と心情を吐露。ただ「もともと大人数の作品より、少人数の芝居が好きなんです。その分、存分にステージに立てるので。お互いがお互いを信じて戦うしかない環境にまさにスリルを感じます」といい、「役者をやっている以上、お客様にも今まで観たことのない、新しい廣瀬友祐の表現を観てもらえたらいいなと思います」とも。実は2015年にミュージカル『エリザベート』で共演経験がある2人。互いについて、松也は「『エリザベート』以降とても活躍されていらっしゃいますよね。世代も同じなのでまたご一緒にできたらいいなと思っていましたが、まさかこんなにガッツリ一緒になるとは(笑)」と話し、廣瀬も「『エリザベート』のときは自分で思い返しても、周囲に心を閉ざしている時期でした。第一線で活躍されていたので『本物だ......』みたいなミーハーな気持ちで見ていました(笑)。今回二人芝居の相手をできるのは嬉しいです」。見どころについて、松也は「3組の中で1番年齢が高いペアですが、実際の事件も同世代の2人が起こした事件ですからね。15年に『エリザベート』で共演して以来8年ほど経ちますが、その間の2人の歩みを存分にぶつけ合えれば、他の2組とはまた違った色が出せるのではないかと思います。ぜひ我々のチームの芝居も観にきてください」とまとめた。東京公演は9/7(木)~10/3(火)、東京芸術劇場 シアターウエストにて。その後、大阪、福岡、名古屋、群馬公演もあり。取材・文:五月女菜穂
2023年06月19日玉梨ネコの「リタイヤした人形師のMMO機巧叙事詩」(TOブックス刊)を原作に、火事で腕を使えなくなった人形師・いろはがVRゲームの世界で再び人形作りに挑んでいくさまを描く舞台「DOLL」が6月1日(木)より開幕。VR世界で最強のプレイヤーとして君臨するディアベルを演じる藤田玲が本作への思いを語ってくれた。もともと「ゲームが大好き」という藤田にとって、現実世界とゲームの世界が交錯する物語は「すごく好きな世界観で親しみを感じるものだった」と語る。脚本の小林雄次は、藤田が10代から関わってきた「牙狼<GARO>」シリーズの初期の脚本に携わっており「ご一緒するのはそれ以来なので嬉しかったです。ドールが戦うシーンで必殺技が出てくるところは小林さんらしいなと感じました」と嬉しそうに語る。ちなみに演出の元吉庸泰とも“浅からぬ”縁があるそうで…。「演出家として関わるのは初めてなんですけど以前、出演したミュージカルで演出の板垣恭一さんの助手として元吉さんが入っていて、すごく助けていただいたんですね。それもあって『元吉さんと一緒にやりたい』と今回のお話も受けさせていただきました。元吉さんはすごくよくしゃべります(笑)。演技に対するディレクションでいろんな例えが出てくるんですけど、その例えが長い(笑)! しかもだんだん脱線する(苦笑)。でもそれが素敵です。今回の舞台も、アンサンブルのみなさんと額縁を使って、バーチャルな世界を抽象的に見せる、アート性の高い演出をされていてすごく面白いです」いろはは現実とVR世界のはざまで、時に葛藤しながら成長していくが、演劇の世界はまさに“生身”の世界。肉体を駆使して表現するところが醍醐味と言える。「最近では、遠方の方もオンラインで演劇を楽しんでもらえたり、応援上映で盛り上がったり楽しみ方が増えたのは良いことだし、話題のChat GPTだって役作りで活用できるかもしれない。そういう新しい便利なツールをうまく活かしていくのは良いことだと思います。一方で、“生”の空気だから感じられるものが確実にあると思います」と言葉に力を込める。本作は“選択”の物語でもあるという。「元吉さんの言葉なんですけど、僕らはいつもいくつか選択肢を持っていて、どういう選択をするかでどう進んでいくかが変わっていく。この作品はみなさんにとっても自分の選択について考える機会になるんじゃないかと思います」。ちなみに藤田が何かを選択する時に大事にしていることは何かを聞くと、「直感ですね(笑)」と答えた。東京公演は6月5日(月)まで渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて。取材・文:黒豆直樹【公演情報】舞台『DOLL』脚本:小林雄次演出:元吉庸泰チケット:一般発売中(全席指定9,800円)
2023年06月01日『フィガロの結婚』などの名作オペラを生み出した、詩人のロレンツォ・ダ・ポンテと作曲家のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。若き天才ふたりの創作を巡る絆と葛藤を描き出す、音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』が、6月のプレビュー公演を経て、愛知、東京、大阪で上演される。その開幕を前に、有観客による歌唱披露イベントが開催。キャストの海宝直人、平間壮一、相葉裕樹、井上小百合が登壇した。まず披露されたのは、ダ・ポンテ役の海宝が歌う「この静かな夜に」。こちらは本作のテーマ曲でもあり、海宝の透明感のある、伸びやかな声が胸を打つバラードだ。さらに平間によるモーツァルトの決意を表明するナンバー「僕が拍手するんだ」。アントニオ・サリエリ役の相葉による、祖国イタリアのオペラの素晴らしさを高らかに歌い上げる「ヴィヴァ、イタリア!」。ダ・ポンテの恋人フェラレーゼ役の井上が、自身の生き方を力強く歌う「街角の女の子」。そしてデュエットナンバー「最高の相棒」では、海宝と平間が息の合った美しいメロディで、最高の相棒に出会えたふたりの喜びを生き生きと表現してみせた。続いては、観客からの質問にキャストが答えるトークコーナーへ。ここで一気に主役に躍り出たのが、サリエリ役の相葉だ。「ダークなイメージのあるサリエリを演じる上で意識することは?」という質問に、「正直ダークなイメージはなく、わりと愚直に、音楽に熱い、真っ直ぐな男だと思います」と答えると、「確かに“ヴィヴァ!”なイメージがね」と海宝は言いつつ、直角に曲げた右手を掲げ、相葉の歌唱時のポーズを真似る。するとその瞬間、平間と井上もニヤリ。「この曲をやると、稽古場のみんながニヤニヤするんですよ~」と相葉は苦笑いだったが、結果的にカンパニーの仲の良さを伺わせる一幕に。そしてそれは、「この配役でしか作れない作品になっていると思います」という井上の言葉を裏づけるものにもなった。「本作のイチ押しポイントは?」という質問にも、海宝と平間がサッとサリエリポーズを取った瞬間、会場に笑いが。相葉にツッコまれつつ、「それぞれのキャラクターがとてもドラマチックな人生を送っているので、そのドラマを楽しんで欲しいです」と海宝。平間も「メインテーマとなるのはやっぱり人間模様。そこを細かく見てもらえると、より作品を楽しめるんじゃないかと思います」とアピールした。取材・文:野上瑠美子
2023年05月30日ファッション界の革命児にしてレジェンド、ジャンポール・ゴルチエの半生を描くランウェイ・ミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』が開幕。2018年にパリで初演、約25万人を動員した話題作の初日直前に、作・演出・衣裳を手がけたジャンポール・ゴルチエが来日、報道陣にいまの思いを明かした。開口一番、「日本でこの公演を実現することは長い間の夢でした」と朗らかな笑顔のゴルチエ。2020年春夏オートクチュールコレクションをもってファッション界から電撃引退、世界に衝撃をもたらした彼だが、「引退後も引き続き何かやりたいと考えていた。それが、エンターテインメントのショーなんです」という。舞台に登場するのは、実際にパリコレを飾った200着を超えるオートクチュール。毎シーズン、その自由でアヴァンギャルドな世界を展開してきた彼の世界が、再び舞台に立ち上がるというのだから刺激的だ。「ストーリーは、幼少期、自分のぬいぐるみのくまにどんな衣装が似合うかなと絵を描いていた頃から、ピエール・カルダンで修業し、デザイナーとして独り立ちして──という私の50年のキャリアです。このショーで、ファッションには驚きがあるということを伝えたい」ちなみにゴルチエ少年のくまのぬいぐるみは、あの先端が尖った彼独特のブラジャー“コーンブラ”を最初に着用した張本人。「段ボールをぐるぐる巻いて作ったんです。ぬいぐるみは今も靴箱に大事に保存してある。アイシャドウやチークを入れたりしていたから、状態は良くないけれど(笑)。今回のショーに、その姿が写真で登場します!」ステージを彩る、ナイル・ロジャースの1978年のヒット曲「Le Freak」はじめ、70年代後半から80年代のディスコシーンを彩った名曲も、自ら選曲したという。エイズで他界したパートナー、フランシス・メヌージュとの出会いも描かれるが、「とてもロマンティックで、うまく表現できていると思う。モデルたちを集めて、様々なポージングをしてもらう場面も面白いでしょう。これは日本公演で初めて披露するシーンなんですよ!」と熱い語り口でアピールした。東京公演は5月19日(金)〜6月4日(日) 東急シアターオーブ、大阪公演は6月7日(水)〜11日(日)、フェスティバルホールにて。江口拓也、城田優、七海ひろき、美弥るりからが日替わりで特別出演する回も設けられる。チケットは発売中。文:加藤智子
2023年05月24日ジャンポール・ゴルチエの自伝的ミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」の舞台裏を追う『ジャンポール・ゴルチエ:フリーク&シック(原題)』が9月29日(金)より公開されることが決定した。2018年秋にパリで上演されるとともに話題の中心となった「ファッション・フリーク・ショー」。手掛けるのは80年代よりファッションデザイナーとして第一線で活躍し続けるジャンポール・ゴルチエだ。自身の半生を題材に、ゴルチエ特有の豪華な衣装、オリジナルの音楽やハイスタイルな振り付けで観客を魅了する舞台は、実に2年もの歳月が制作に注がれていた。マドンナ、カトリーヌ・ドヌーヴ、マリオン・コティヤール、ロッシ・デ・パルマをはじめとする世界的なセレブまでをも虜にした、贅沢で心穏やか、過剰かつ詩的、そして魔法に満ち溢れた世界観。その世界的なショーを作り上げるまでの背景に迫る。ジャンポール・ゴルチエは、マドンナの「コーンブラ」を手掛けたデザイナーとして知られ、映画衣装の分野でもピーター・グリーナウェイ監督の『コックと泥棒、その妻と愛人』(89)を始め、リュック・ベッソン監督の『フィフス・エレメント』(97)、ペドロ・アルモドバル監督の『キカ』(93)や『私が、生きる肌』(11)など、多くのキャリアを持つ世界的ファッションデザイナーだ。本作の監督を務めたのは、これまでフランスの柔道家テディ・リネールのドキュメンタリーや、Netflixで配信されたエマニュエル・マクロン仏大統領のドキュメンタリーを手掛けてきたヤン・レノレ。本作にはいまなおファッションアイコンとして君臨し続けるマドンナが出演しているほか、フランスの名優カトリーヌ・ドヌーヴやマリオン・コティヤール、アルモドバル監督作の常連俳優ロッシ・デ・パルマ、ディスコ&ファンクミュージックの巨匠ナイル・ロジャースなど、錚々たる面々がスクリーンを彩っている。「ファッション・フリーク・ショー」とは、ゴルチエの幼少期からデザイナーとして成功を収めるまでの半生を描いたミュージカル。ゴルチエ自ら演出と衣装を手掛け、2018年のパリ公演では25万人を動員、2022年のロンドン公演では30万人を動員するなど、ファッションの本場を熱狂させてきた公演だ。現在、世界各地でワールドツアーが決まっており、日本でも5月19日(金)から渋谷の東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)、6月7日(水)より大阪フェスティバルホールにて日本公演が決まっている。また、「ファッション・フリーク・ショー」の日本公演に合わせ、6月4日(日)にヒューマントラストシネマ渋谷にて1日限定の先行上映が行われる予定だ。『ジャンポール・ゴルチエ:フリーク&シック(原題)』は9月29日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2023年05月19日モーツァルトと組み、『フィガロの結婚』『ドン・ジョバンニ』などの名作オペラを生み出した台本作家のロレンツォ・ダ・ポンテ。ダ・ポンテとモーツァルトとの出会いや別れ、その軌跡を描くオリジナルの音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』が初演を迎える。ダ・ポンテ役の海宝直人に話を聞いた。音楽劇『ダ・ポンテ ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』 チケット情報「音楽に詳しくない人でも曲は聞いたことがあるぐらいモーツァルトは有名なのに、ダ・ポンテは意外に皆、名前を知らない。彼について調べていくうちに、濃い人生を送った人だと知りました」と語る海宝。1782年のウィーンで、女好きで詐欺師のダ・ポンテは、その才覚と計算高さで宮廷劇場詩人の座までのぼり詰める。しかし、作曲家サリエリにオペラの処女作を酷評され、行き場を失う中、モーツァルト(平間壮一)と出会い意気投合する。「ダ・ポンテはとにかく名声や評価がほしくて、いろんな手段を使って這い上がろうとする。でも、あともう少しというところでタイミングを逃して、一向にうまくいかない。名声がないまま80歳を過ぎても諦めないで学校やホールを作り、自分の思いに貪欲に生きた。なかなかできない生き方ですし、そのアンバランスさとバイタリティに魅力を感じます」。自身との共通点は、好きなことを一途に追い続けるところだと言う。「僕も音楽やミュージカルが好きだから。こういう仕事は自分の思い通りにならなかったり、表現がつかめなかったりと、苦しみは分かるんです。モーツァルトに出会い、お互い刺激し合いながら、有名なオペラを作れたのは幸運ですよね」。7歳で子役としてデビュー後、『ライオンキング』の初代ヤングシンバ役に抜擢された。以来、伸びやかな歌唱力と表現力で様々な役を演じ、ロンドンでも舞台デビューを果たしている。最近では難解で有名な作曲家スティーヴン・ソンドハイムのミュージカル『太平洋序曲』に出演、その安定した歌声で観客を魅了した。海宝に歌えないジャンルはあるのだろうか?「何でも歌えるように頑張っていますけど、日本語で歌っていないのはラップですね。ロンドンではやったんですけど。うまくできたかというと、それは分かりません(笑)。ラップのミュージカルも増えているからチャレンジしたいなと思います」と意欲的だ。今作でもダ・ポンテにどんな光をあててくれるのか楽しみだ。「不遇な人だと思われがちですけど、素晴らしい瞬間もある。いろんなことがあるけれど、人生って生きるに値すると人間賛歌になる作品です。ぜひ、観に来てください!」。6月21日(水)から25日(日)まで東京・シアター1010にてプレビュー公演、7月9日(日)から16日(日)まで東京建物ブリリアホール、6月30日(金)・7月1日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、7月20日(木)から24日(月)まで大阪・新歌舞伎座にて。取材・文:米満ゆう子
2023年05月19日シリーズ累計発行部数3,000万部突破の超人気コミックを舞台化したミュージカル「SPY×FAMILY」。東京・兵庫公演を満員御礼で終え、現在、最終地の博多座で上演中。公演を重ねるごとに、「“家族”としての関係性もより深まっている」という和気あいあいのメインキャスト8名が、博多座初日の前に舞台の見どころと抱負を語った。「SPY×FAMILY」は、凄腕スパイと、超能力を持つ少女、殺し屋という裏の顔を持つ女性の3人が、互いの正体を隠しつつ“仮初めの家族”を装っていくスパイアクション&ホームコメディ。“ちち”ロイドを森崎ウィンと鈴木拡樹、“はは”ヨルを唯月ふうかと佐々木美玲がWキャストで演じ、ロイドの養女となるアーニャは、池村碧彩、井澤美遥、福地美晴、増田梨沙の4人が演じる(観ているだけで頬が緩んでしまう、アーニャのキュートな存在感も本作の見どころのひとつ)。「遠藤達哉先生の原作をミュージカル化ということで、皆さんが聞き慣れたあるいは耳慣れたセリフを、各キャラクターがメロディに乗せて歌い踊るのが見どころです。ミュージカルならではの醍醐味を楽しんでください」とまずは森崎が挨拶。「元気いっぱいのアーニャにいつも救われています」という鈴木は、「オープニングナンバーのパフォーマンスと、その後、アレンジを変えて何度か登場するこのナンバーの演出も楽しんでいただければ」と見どころを語った。唯月は「“仮初めの家族”という設定ですが、舞台では本当の家族のような空気感。劇中で“ちち”がアーニャを抱っこするシーンは舞台上で見ていても萌えます(笑)。見ているだけで癒されるので、是非チェックして欲しいですね」と笑顔。客席の歓声にいつも勇気づけられているというのは、ミュージカル初挑戦の佐々木(日向坂46)。「ヨルの弟であるユーリが家を訪ねてくる場面では、ロイドを敵視しながら、結局ロイドへの褒め言葉しか出てこなくて(笑)」そんな“弟らしくて可愛い”シーンもおすすめと語ってくれた。アーニャ役の4人は「福岡の美味しいものを食べたり、きれいな景色を見に行ったりするのも楽しみ」と口を揃えて笑い合う。好きなシーンを聞かれると、「ロイヤルホテルでのははのバトルシーン。碧ちゃんもやってみたい!」(池村)。「(朝夏まなと扮する)シルヴィアさんがかっこいいので、“フルメタル・レディ”のシーンが大好き!」(井澤)。「フォージャー家がおばあさんを助けるシーンは、“ちち”と“はは”と本当の家族になったような気分になれる!」(福地)。「オープニングのシルヴィアさんのダンスがかっこいい!いつも楽屋とか舞台裏で真似してます!」(増田)と、それぞれ元気に答えてくれ、増田はそのダンスを披露してくれるシーンも。最初から最後まで笑顔あふれる時間となった。公演は5月21日(日)まで福岡・博多座にて上演。チケットは発売中。
2023年05月12日8月から9月まで東京、福岡、大阪、名古屋にて上演される、ミュージカル『浜村渚の計算ノート』の主人公・浜村渚役が決定した。『浜村渚の計算ノート』は、2009年7月より講談社Birthおよび講談社文庫(共に講談社)から刊行されている青柳碧人による日本の推理小説で、シリーズ11巻までの累計発行部数は110万部を突破している大ヒット小説である。作者が中学生からの「数学なんか勉強して、一体なんの意味があるの?」という問いへの答えに困り、自分なりの答えを見つけてみようと書かれた本作。読者からは「数学が苦手でも楽しめ、好きになる本」と高い評価を受けている。2021年の初演では、ミュージカル化という新しい切り口で、原作の面白さや数学の奥深さを魅力的な楽曲とともに表現した新しいエンターテインメントとして公演を大成功におさめた。子供たちに限らず、幅広い年齢層の方が数学を通して様々なことに興味をもつきっかけにもなる非常に教育的価値のある作品としても高い評判を獲得し、公演終了後には、老若男女幅広い世代から映像化や再演を強く望む声が多数寄せられた。そしてこの度、日本を代表するファミリーミュージカルとしてさらに躍進すべく、新たなキャストで再演される!主人公・浜村渚を務めるのは桑原愛佳(くわばらまなか)。オーディションでもフレッシュな演技と堂々たる歌唱力が評価された。そんな彼女が、数学のことになるとテンションが上がり饒舌になる、数学が大得意な中学二年生の女の子を演じる。歌唱力、演技力、スター性を兼ね備えた新たなミュージカルスターの誕生にご期待ください。共演には、近年『太平洋序曲』『エリザベート』などグランドミュージカルや映像作品でも活躍する立石俊樹、映画「仮面ライダービヨンド・ジェネレーションズ」、ドラマ「テッパチ」に出演、ドラマ「クールドジ男子」に出演中で本作が初舞台となる藤岡真威人、’18年にモーニング娘。を卒業し、以降女優としての活動の他バラエティ番組でも活躍する飯窪春菜。そして、俳優としてもミュージシャンとしても多彩に活躍するダイアモンド☆ユカイ、「フランスでいちばん有名な日本人」の異名をもち、変幻自在のマルチな活躍を見せるレ・ロマネスクTOBI、ミュージカル俳優として様々な作品に出演する朝隈濯朗、近年は舞台を中心に俳優として活躍する井上小百合。幅広いジャンルで活躍する多彩なキャストの共演にも注目だ。
2023年05月10日2023年8・9月にミュージカル「スクールオブロック」が日本初上演される。それに先駆け、5月7日(日)の日比谷フェスティバルに主演の柿澤勇人、そしてオーディションで選ばれた生徒役の子供たち21名が登場し、舞台への意気込みを語った。(体調不良により西川貴教、生徒役3名はイベント欠席)本作は、全米で大ヒットした映画のミュージカル版。売れないギタリストが名門エリート進学校の臨時教師になりすまし、生徒たちとロックバンドを組んでバンドバトルへの出場を目指すロック音楽コメディだ。破天荒な熱血ロッカーのデューイ・フィン役を西川貴教と柿澤勇人がWキャストで演じる。「オペラ座の怪人」「キャッツ」などの作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバー氏が手掛けるミュージカル楽曲、さらには生徒たちが劇中で披露する生演奏も楽しみな見どころだ。初演を予定していた2020年には新型コロナウイルス感染拡大により全公演中止となり、3年越しの上演となる本作について、柿澤は「当時オーディションで勝ち取った役をできなかった子供たちは悔しかっただろうし悲しかったと思う。だから彼らの思いも引き継いで、あらためて初演ということで盛り上げていきたい」と語る。また作品の魅力について「生徒たちのエネルギー、才能、楽器演奏のスキルはプロ級だと思います。将来日本を背負って立つ彼らのパフォーマンスが魅力のひとつ。初日から千秋楽にかけて、子供たちの成長の伸び率がエグいことになると思うので(笑)、ぜひ何回も舞台を観て、見守ってほしい」と期待を込めた。入学式さながらに柿澤が生徒たちの名前を読み上げると「はい!」と元気のいい声が響き、生徒役の子供たちが一人ずつマイクの前で特技とメッセージを発表する。「特技はパンケーキを上手に焼くこと」「ジェットコースターでも寝られちゃいます!」など個性あふれるアピールに、会場からは温かい拍手と笑みがこぼれた。まだ稽古前だというが、すでに柿澤と子供たちの掛け合いは息がぴったり。ラストは生徒たちが初披露となる楽曲「今がそのとき」を熱唱し、熱いステージでイベントを締めくくった。東京公演は2023年8月17日(木)~9月18日(月祝)、東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)。大阪公演は9月23日(土祝)~10月1日(日)、新歌舞伎座。取材・文:北島あや
2023年05月09日韓国で大ヒットを記録し、日本をはじめアジア各国でリメイクされた映画「サニー 永遠の仲間たち」。同作を世界で初めてミュージカル化した「SUNNY」が6月より東京と大阪で上演される。これを記念して4月25日(火)、韓国文化院(東京)にてオリジナル版の映画「サニー 永遠の仲間たち」の上映会が開催され、ミュージカル版の脚本・演出を務める西田征史のスペシャルトークイベントが行われた。オリジナルの映画版では1980年代後半の青春を描いているが、日本でリメイクされた映画は90年代のギャル文化にフィーチャーして制作された。今回のミュージカル版ではオリジナル版と同じ80年代を舞台とするが、この点について西田は「僕自身、青春は90年代なのですが、80年代への憧れがありましたし、アイドルが輝いていて、エネルギーを感じました。アイドルの楽曲を使って、懐かしい思い出と共に当時を振り返る作品にできたら楽しいと思いました」と明かす。セットリストの一部として「SWEET MEMORIES」(松田聖子)、「ダンシング・ヒーロー」(荻野目洋子)、「センチメンタル・ジャーニー」(松本伊代)、「待つわ」(あみん)など当時、青春時代を過ごしていた人なら誰もが知るヒット曲が使用されることが明らかになっている。さらに西田はオリジナル映画版で登場する80年代の韓国の音楽喫茶を「ディスコに置き換えて再現しようと思っています」と明かす。そうなると、歌だけでなくダンスも楽しみなところ。しかも今回、振付を担当するのは、「ダンシング・ヒーロー」に合わせてバブル時代の女性を再現した“バブリーダンス”で知られるakane。西田は「あの時代感やエネルギッシュさなど、akaneさんらしさが出てくると思います」とうなずく。主要キャストの花總まり、瀬奈じゅんは、共に宝塚歌劇団出身であり、まさに青春時代を同じ学び舎で過ごした“SUNNY”的な関係性を持った2人と言える。稽古に入るのはこれからだが、西田は「チラシ撮影の時点で2人の空気が出来上がっていて『ひさしぶり!』と言葉を交わす様子が、(劇中の)病室での再会と重なりました。2人の関係性を活かした生っぽいセリフにしていければと思っています」とこの2人だからこそ醸し出される空気感への期待を口にしていた。日本ならでは、そして舞台ならではの「SUNNY」の完成を楽しみに待ちたい。取材・文:黒豆直樹
2023年05月01日女性の美に革命を起こした二大コスメブランド創始者の争いを描く、ミュージカル『エリザべス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』。タイトルロールの二人に扮する明日海りおと戸田恵子に、稽古前の心境を尋ねた。ダグ・ライトの脚本、スコット・フランケルの音楽で、米ブロードウェイにて初演(2017年)された原題『WAR PAINT』。視覚に訴える華やかさを追求したアーデン(明日海)、科学的見地からアプローチするルビンスタイン(戸田)とそれぞれ独自の発想と行動力で自らの化粧品ブランドを世界的地位へ押し上げた二人が、苦悩や困難を乗り越えた先で対面を果たすまでの様子が綴られる。日本初演となる今回は、翻訳・訳詞・演出をG2が手がける。タイトルに対立関係の「vs.」と付されているものの、終盤までセリフの応酬はないという。ブロードウェイ版を観劇した戸田は「共通のミュージカルナンバーで二人それぞれの心情を歌うことはあっても、基本は個人戦で構成される珍しいミュージカル。二人の掛け合いは最後までお預けだから、稽古場でも明日海さんと顔を合わさないことになるのかな」とこれから始まる稽古に思いを寄せる。すると明日海は「同じ場所にいないからこそ、互いの存在をいちばん近くに感じる気がします」とコメント。戸田も頷き「ライバル心が燃え上がり、業界のトップランナーになっていく二人を意識させる台本でした」と話す。演じる女性の生き方をどう感じているか尋ねると、明日海は「二人がここまで頑固に意地を張って争っていると、清々しいですよね。日本人はオブラートに包んだ言動が美徳とされるので、なおさらスカッとしました。仕事に情熱を捧げるアーデンとルビンスタインに翻弄されるパートナー(上原理生・吉野圭吾)の反応も楽しくご覧いただけると思います」と見どころを述べる。戸田も「現代の女性が活躍するもっと前から精力的に動いている二人だから、想像以上に大変な目に遭っているんですよね。だからとても意志の強い人間に描かれているけど……そのぶん、家庭やプライベートがうまくいかない。ラストは切ないですよ」と続き、インタビューを結んだ。公演は、5月7日(日)~17日(水)に東京・日生劇場にて。その後、5月27日(土)~29日(月)に大阪・森ノ宮ピロティホール、6月2日(金)~4日(日)に愛知・御園座、6月8日(木)~13日(火)に京都・京都劇場と巡演する。取材・文:岡山朋代
2023年04月13日劇団四季の最新オリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』の製作が発表された。原作は『うしおととら』などで知られる藤田和日郎の中編コミックス『黒博物館 ゴーストアンドレディ』。演出は『ノートルダムの鐘』を手掛けたスコット・シュワルツを迎える。4月10日(月)、都内にて製作発表会見が開催され、劇団四季の吉田智誉樹 代表取締役社長と、演出のスコット・シュワルツが出席した。物語は19世紀、クリミア戦争下のイギリスを舞台に、ドルリー・レーン王立劇場に棲みつく芝居好きのシアター・ゴースト“グレイ”と、自分の生きる道に悩むフローレンス・ナイチンゲール(フロー)をめぐるファンタジックなラブストーリー。劇団四季は近年オリジナル作品の製作に力を入れ、2019年からは年に1本ペースで次々と新作を生み出しているが、今回は四季オリジナルミュージカルとしては初めて海外から演出を迎えての創作。作品の内容に関しては吉田社長は「19世紀半ば、欧州が直面したシリアスな歴史を描く中にあって、冒険、ロマンスといった要素が盛り込まれている。藤田氏ならではの独創的視点から描かれた筋立てはファンタジックなのですが同時に人生の本質を示唆している。さらにグレイはゴーストにして芝居好きという舞台お誂え向きのキャラクター。シェイクスピアやマザーグースの引用も登場し、演劇好きな方々の知的好奇心を刺激する内容」と自信をみせる。予算感としても「半年から一年程度上演する海外作品……『マンマ・ミーア!』『アイーダ』などと同規模くらいの予算をかけ、我々としても相当力を入れている」と吉田社長が気合いの入れ具合を語るものになる。また演出のシュワルツ氏は「原作の漫画は本当に興味深く、オリジナリティあふれる物語。ダークでありロマンチックでありスリリング、同時にとても楽しめるものです」と物語に対しての感想を述べ、さらに、すでにリーディングワークショップは終えていると語り「ハイライトはまず非常にメロディアスな楽曲。一度聴いたら鼻歌で歌いたくなる楽曲を期待してくださって大丈夫です。そしてスペシャルエフェクトでゴーストたちが魔法のごとく現れたり消えたりフライングしたりすることも考えている。舞台セットも見応えのある素晴らしいものになりそうですし、衣裳も魅力的なデザインがあがってきています。物語の題材はシリアスなものですが、遊び心とユーモアにあふれ、冒険のようにワクワクした体験ができる演出的アプローチをしていこうと考えています」と現状の進捗と構想を語った。脚本・歌詞は高橋知伽江、作曲・編曲は富貴晴美、振付はチェイス・ブロック。公演は2024年5月、JR東日本四季劇場[秋]にて開幕。チケットは2024年1月発売予定。公演期間は半年程度で、その後各地での上演も検討中とのこと。取材・文:平野祥恵
2023年04月13日韓国で大きな話題を呼んだ人気ミュージカルの日本版となる「サンキュー・ベリー・ストロベリー」が開幕! 4月5日(水)の初回公演を前に主演の真弓孟之(AmBitious/関西ジャニーズJr.)、土居裕子、高橋由美子、原田優一、まりゑが出席しての取材会と公開リハーサルが行われた。他人との関わりを避けて孤独に暮らす老女・エンマ(土居と高橋のWキャスト)と彼女の元に派遣されたケアロボット(真弓)の交流を描くハートウォーミングストーリー。本作でミュージカルに初めて挑戦した真弓。今回の“ロボット”役について「お茶目なロボットということで『ベイマックス』を見るところから始めた」と明かしていたが、実際に公開リハーサルを見てみると、なんとも憎めない、キュートなロボットをコミカルに好演している。見た目は人間と変わらないという設定だが、独特の口調やリアクション、長い手足を活かした動きで、絶妙な“違和感”を醸し出し、存在感を発揮しており「ああいうロボット、どこに行ったら買えるんだろう?と思ってもらえるチャーミングさ」(高橋)があふれる魅力的なロボットとなっている。そんな真弓演じるロボットとエンマの掛け合いも見どころ。辛辣な言葉や冷たい態度で、自らのテリトリーに入ってこようとするロボットを受け入れようとしないが、それでもなお、エンマの元にとどまり、献身的にケアしようとするロボットに少しずつ心を開いていく。土居も取材会で語っていたが、時折、エンマが漏らす哲学的な言葉(「使えないからといってゴミとは限らない」など)も観る者の心を打つ。この日の公開リハーサルでは、土居がエンマを演じたが、その歌唱力は圧巻! 生演奏に合わせて、力強い歌声でエンマの心情を見事に表現している。ちなみに、共演陣によると、土居と高橋では、おなじエンマ役でも解釈や表現がガラリと変化するとのこと。高橋版のエンマも楽しみだ。物語の中に、時折、挟み込まれるのがエンマの古い記憶。こちらのパートは原田とまりゑが担い、息ピッタリの演技を見せているが、彼らはいったい何者なのか? そして、そもそもケアロボットとは何なのか――?序盤から伏線が張り巡らされており、物語が進むにつれて、徐々にパズルのピースがハマっていくような爽快感をもたらしてくれる。エンマとロボットのやりとりを通じて、切なくも温かい記憶の旅が展開する。「サンキュー・ベリー・ストロベリー」は東京芸術劇場 シアターイーストにて上演中。取材・文:黒豆直樹
2023年04月11日