常盤貴子主演、小泉孝太郎、北村匠海らが共演する「グッドワイフ」の第3話が1月27日にオンエアされ、ラストでみせた小泉さんの“ハグ”に視聴者からの興奮の声が続々と寄せられている。『ハンニバル』『プロメテウス』などのリドリー・スコットが製作総指揮を務め、ミー賞やゴールデン・グローブ賞を多数受賞したアメリカの大ヒットドラマ「グッド・ワイフ 彼女の評決」を原作に日本版としてアレンジ。常盤さんが演じるのは、東京地検特捜部長である夫が汚職で逮捕され不倫スキャンダルも発覚、家族のために16年ぶりに弁護士に復帰した蓮見杏子。杏子の司法修習生時代の同期で彼女の復帰を後押しした神山多田法律事務所の代表・多田征大に小泉さん。杏子と採用枠をめぐって争いながら共に働く新人弁護士・朝飛光太郎には北村さん。元々杏子の夫の元で働いていたがクビになり、現在は多田の事務所のパラリーガルをしている円香みちるには水原希子。逮捕されながらも裏で何かを画策してる様子の杏子の夫・壮一郎には唐沢寿明。その部下・佐々木達也には滝藤賢一。壮一郎の後任の特捜部長・脇坂博道には吉田鋼太郎といったキャスト。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。第3話は鉄道事故を巡る驚愕の真実に迫るストーリー。回送列車が脱線、運転士が死亡し杏子らは遺族代理人として過重労働による事故で1億円の賠償金を提案するが、相手側となる東神鉄道の代理人を務める河合映美(江口のりこ)は運転士の居眠りだとして50万円の見舞金を提案。あの手この手で翻弄してくる映美にてこずりながらも事件の真相に迫っていくと、当初過重労働での居眠り運転が原因だと思われた事故は、実際にはブレーキの整備不良が原因だったことがわかる…というもの。さらに遺族が杏子を弁護士に指名していたことがわかる。遺族に杏子のことを勧めたのは壮一郎の弁護士でもある林(博多華丸)で、事件を以前脇坂が捜査していたことも判明。壮一郎は杏子を利用して脇坂を窮地に陥れたのだった…。ラストで悔し涙を流す杏子をそっと抱きしめる多田、そんな多田を演じる小泉さんに「最高だったよー今週の小泉孝太郎」「今日も小泉孝太郎ヤバみ」「知的でかっこいいのに一途なところにやられる」などの感想が殺到中。「パーカー&メガネ姿好き」とラフなスタイルにも好感が続出している模様で、なかには「パーカー小泉孝太郎国宝」という声まで上がるほど。小泉さんの新たな魅力が開花した本作に視聴者も大きな注目を寄せているようだ。(笠緒)
2019年01月28日常盤貴子主演ドラマ「グッドワイフ」第4話に、浅野忠信を父に持つ新人俳優・佐藤緋美(さとう・ひみ)が出演することが決定。浅野さんが怪演を見せた「A LIFE~愛しき人~」と同枠の日曜劇場で堂々のドラマデビューを果たす。「グッドワイフ」は、巨匠リドリー・スコット製作総指揮によるアメリカの人気海外ドラマを原作に、オリジナル要素を加えて描く痛快リーガルヒューマンエンターテインメント。常盤さんが、東京地検特捜部長である夫が汚職で逮捕、不倫スキャンダルまで発覚するなか、16年ぶりに弁護士に復帰する蓮見杏子に扮し、杏子の夫を唐沢寿明が演じるほか、小泉孝太郎、吉田鋼太郎、滝藤賢一、賀来千香子と豪華俳優が集結していることでも話題だ。今回、ドラマデビューが決まった佐藤さんが出演する回は、2月3日(日)放送の第4話。杏子の専業主婦時代が描かれる重要な回だ。演じるのは、野球部所属の高校生・荻原翔平。彼は、杏子のかつての住まいの近所に住んでいて、翔平の母・奈津子(須藤理彩)と杏子は大親友といえるほどの仲。また翔平も杏子は気軽に相談できる相手だったが、杏子の夫・壮一郎の事件以降、奈津子の方から連絡を絶っていたのだ。しかしある日、喫煙がバレ、野球部が大会に出られなくなることを恐れた翔平は、杏子を頼って神山多田法律事務所を訪ねてきた。杏子に諭され、奈津子に説明するため2人で翔平の自宅に行くが、ある傷害致死事件の重要参考人だと言い、警察が翔平を連行してしまう…。昨年、初舞台にして主演という大役に大抜擢され、俳優デビューを果たした佐藤さん。今回の出演に関して「自分も実際に野球をやっていたので、その時を思い出して演じました。翔平との共通点はあまり無かったけど、ないからこそ、役者としてやりがいがありました」「舞台とはまったく違うし、人見知りな性格なので緊張しましたが、無事に撮影を終えることができてよかったです」とドラマデビューの感想を語った。また、目標にしている俳優について聞かれると「一番近くに大先輩がいるし、役者として尊敬している人もたくさんいますが、やっぱり目標は自分自身。佐藤緋美という役者でありたいです」と言い、今後については「とにかくいろんな作品に出演できる俳優になりたいです。ドラマ・映画・舞台、これからもっともっといい作品に出会えたらいいなと思っていますし、楽しみです」と期待に胸をふくらませた。ほかにも第4話には、翔平の母を演じる須藤理彩をはじめ、翔平と同じ野球部員の中村明宏役に「まえだまえだ」の前田旺志郎、翔平と明宏が忍び込むマンションの管理人役にお笑い芸人の平井“ファラオ”光の出演も決定した。「グッドワイフ」は毎週日曜日21時~TBSにて放送中。(cinemacafe.net)
2019年01月27日常磐貴子が夫の逮捕がきっかけで16年ぶりに弁護士に復帰する主人公を演じる日曜劇場「グッドワイフ」の第2話が1月20日にオンエア。今回も新人弁護士役で出演している北村匠海に「可愛い」の声が続々と集まっている。人気の海外ドラマを原作に日本版としてアレンジ。常磐さん演じる蓮見杏子は東京地検特捜部長である夫が汚職の疑いで逮捕されてしまう、さらに浮気まで発覚。2人の子供を抱え生きていくために16年ぶりに弁護士に復帰する。その復帰をサポートしたのが小泉孝太郎演じる杏子の司法修習生時代の同期で神山多田法律事務所の代表・多田征大。彼は現在賀来千香子演じる神山佳恵と共に事務所の共同代表を務めている。だがこの復帰には条件があった。事務所の採用枠は1つしかなく、杏子は北村さん演じる新人弁護士・朝飛光太郎と採用枠を巡り争うことになる。一方、唐沢寿明演じる杏子の夫・壮一郎は潔白を主張しているものの、滝藤賢一演じる部下・佐々木達也と口裏合わせをして何かを裏で進めている様子。さらに吉田鋼太郎演じる壮一郎を敵視する後任の特捜部長・脇坂博道が壮一郎だけでなく杏子にも揺さぶりをかけ始める…という本作。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。佳恵の父で事務所の名誉顧問・神山大輔(橋爪功)が飲酒運転に公務執行妨害も起こし起訴され、その弁護に杏子が指名される。状況証拠はどうみても有罪。しかも自由奔放な大輔は裁判でも勝手に発言、杏子を翻弄。しかしその発言には法廷で闘うヒントも隠されていて、杏子はそこから戦いを有利に進めていく。実は大輔は初期の認知症で、それが発覚すると自分の弁護士人生に影響が及ぶと考えわざと酒を飲んだというのが真相。一方裁判所では脇坂が杏子に接触。脇坂から聞かされた話から壮一郎の疑惑がますます深まる…というのが2話のストーリー。前回多田との“いちゃいちゃ”が話題となった光太郎だが、今回も水原希子演じるパラリーガルの円香みちるにアプローチしたり新たな面を見せ、視聴者から「可愛さが溢れる」「可愛さが爆発してた」などの反応が多数寄せられいたほか、「意外と演技よい」「上手いな~やっぱり」などその演技を評価する声も多数。さらにラストでは宝石屋の店員役で元フィギュアスケーターの村上佳菜子が出演。「似てるなぁと思ったら、本人やった」「やっぱり村上佳菜子ちゃんだった」「佳菜子ちゃんがドラマに出ているよお~!」など、こちらもSNSで話題になっている。(笠緒)
2019年01月21日常盤貴子が主演を務め、唐沢寿明、小泉孝太郎、吉田鋼太郎、滝藤賢一、水原希子、北村匠海、賀来千香子ら豪華キャストが顔が揃えたTBS日曜劇場「グッドワイフ」が好評だ。その原作は2009年から7年間、アメリカで放送された大ヒットドラマ「グッド・ワイフ 彼女の評決」。日本では2014年のシーズン4以降、長らく続編がDVDリリースされていなかったが、今年1月から7月にかけ、シーズン5からファイナルのシーズン7までを一挙リリースすることが決定!今回、シーズン1からファイナル・シーズンまでを約2分でチェックできる特別映像が公開された。●2分でわかる!海ドラ「グッド・ワイフ」の見どころ紹介ハリウッドの巨匠リドリー・スコットが製作総指揮を務め、テレビ版のアカデミー賞と呼ばれるエミー賞やゴールデン・グローブ賞を多数受賞してきた本作。この度到着したのは、これまでのシーズンの見どころをふり返る映像とシーズン6&ファイナル・シーズンの予告編だ。出産を機に弁護士を辞め家族を支えてきた専業主婦が、検事の夫が汚職・不倫スキャンダルで失職したことから、子どもたちを守るために16年ぶりに弁護士として復帰する――。主人公像の設定は原作と同じだが、日本版では、解決する事件や背景は現在の時代に即した独自の内容になっている様子。一方、原作は家族を最優先に生きてきた主人公アリシア(ジュリアナ・マルグリーズ)が、次々と迫り来る人生の厳しく難しい選択に迫られたとき、力強く、時にしたたかに“母として、妻として、女として”生き抜くために下す決断が大きな共感を呼び、とりわけ女性視聴者のハートをわし掴みにしてきた。特にシーズン5からファイナルにかけては、アリシアも真面目な“清廉潔白”な人間ではなく、自身のステップアップ、また野望のため事務所の独立、政界進出など“攻め”の展開を次々と仕掛けていき、ときには不倫も…。●主人公アリシアの心境を反映するファッションにも注目!また、守りから攻めの姿勢に移るに連れ、アリシアのファッションがゴージャスになっていく見た目の変化も見どころのひとつ。専業主婦時代の夫を引き立てる華やかで保守的な装いから、弁護士として社会復帰直後はダークなテーラードスーツ、そして社会的な地位を得ていくにつれ、自身の魅力を最大限表現するかのように、フェミニンで洗練されたスーツにシフトしていく。ファイナル・シーズンでは、子どもたちが成長し、独立のときを迎える。これまで夫への愛情が一切なくなっても、子どものために離婚せずに家族を支え続けたアリシアは“良き妻”のままフィナーレを迎えるのか!?それとも真に愛する男性と人生を新しく歩むのか!?彼女の決断を最後まで見届けてほしい。「グッド・ワイフ 彼女の評決」はシーズン5 DVD-BOX1とvol.1~6がリリース中。2月6日(水)よりDVD-BOX2、vol.7~11がリリース。さらにシーズン6、ファイナル・シーズンが順次リリース。(text:cinemacafe.net)■関連作品:グッド・ワイフ 彼女の評決 [海外TVドラマ]
2019年01月20日常盤貴子が19年ぶりにTBS日曜劇場で主演を務める「グッドワイフ」が1月13日から放送開始となった。唐沢寿明、小泉孝太郎、吉田鋼太郎、滝藤賢一に水原希子、北村匠海、賀来千香子と錚々たる顔ぶれでおくる本作の第1話に視聴者はどんな反応を寄せたのだろうか。巨匠・リドリー・スコット製作総指揮による海外版を原作に、オリジナル要素を加えて描く本作で常磐さんが演じるのは、東京地検特捜部長である夫が汚職で逮捕され、さらに不倫スキャンダルまで発覚するなかで、16年ぶりに弁護士に復帰する蓮見杏子。その他のメインキャストに杏子の夫・壮一郎には唐沢寿明、杏子の司法修習生時代の同期で神山多田法律事務所の代表・多田征大には小泉孝太郎。壮一郎の後任の特捜部長・脇坂博道役には吉田鋼太郎。壮一郎の部下だった佐々木達也には滝藤賢一。多田の事務所のパラリーガル・円香みちるには水原希子、1つの採用枠をめぐり杏子と争うことになる新人弁護士・朝飛光太郎には北村匠海、多田とともに事務所の共同代表を務める神山佳恵には賀来千香子。初回はゲストに武田鉄矢らを迎えた。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。初回は杏子が壮一郎の逮捕から数か月後、かつての同期である多田が手を差し伸べたことで弁護士に復帰。過激な言動が売りの人気キャスター・日下部 (武田さん)が、ネット番組でスーパーでの幼女行方不明事件を取り上げた際、犯人は母親の可能性が高いと放送したことで、追い詰められた母親が自殺。父親が日下部を名誉毀損で訴えた裁判を担当することになるところからスタート。日下部も対抗し名誉棄損で訴える訴訟合戦となるなか、久々の法廷に慣れない杏子が悪戦苦闘しながらも、日下部の“ウソ”を暴いていくストーリーを軸に、壮一郎を落としたい脇坂と今は脇坂の部下となった佐々木の関係性も描かれた。そんな1話、かつて杏子に好意を寄せていた壮一郎は、杏子と採用枠を争う光太郎とも仲睦まじい姿を見せるのだがこの仲良しぶりが“濃厚”で「まさかあんなにじゃれ合うとは」「2人がわちゃわちゃイチャイチャしてる所がツボ」「小泉孝太郎くんと北村匠海くんのいちゃいちゃがとても気になりつつ来週も見ます」などの声が多数。また「あそこでBUMP流れるの反則、、、泣いた」「BUMPのauroraが最高だった」など、ラストを彩ったBUMP OF CHICKENによる主題歌「Aurora」にも感動したという反応がいくつも寄せられている。(笠緒)
2019年01月14日『モンスター・ホテル』シリーズ2年ぶりの最新作『モンスター・ホテルクルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』のBlu-ray&DVDが12月5日(水)よりリリース。この度、その特典映像として収録されるショートフィルム「子犬のチッチ!」の一部が到着した。シリーズ2年ぶりの新作となる本作は、モンスター御用達の豪華客船クルーズが舞台。これまで、娘や孫を心配ばかりしていたドラキュラが、家族旅行で訪れるミステリアスなクルーズ船で船長・エリカと恋に落ち、アトランティスに向かう道中で繰り広げられる大騒動が描かれる。そんな船長・エリカ役には、今回が海外アニメーションの吹き替え初挑戦となる観月ありさ。ほかにも、ドラキュラ役の山寺宏一、ドラキュラの娘・メイヴィス役の川島海荷、人間の青年・ジョナサン役の藤森慎吾と、これまでのシリーズ同様のキャストが集結している。今回到着したのは、特典映像からショートフィルム「子犬のチッチ!」の一部シーン。本編では息の合った活躍を見せるドラキュラの孫デニスと子犬のチッチ。しかしショートフィルムでは、デニスが子犬を欲しがり大騒動を巻き起こしてしまう…という“本編より前のストーリー”となっている。「わんわん飼いたい」と両親に頼むかわいらしいデニスや、子犬のチッチとの出会い…続きが気になってしまう映像となっている。なお、ほかにもBlu-ray&DVDには劇場では公開されないアダム・サンドラーやセレーナ・ゴメスなど、オリジナルキャストの音声も収録。Blu-rayにはリリックビデオや製作の舞台裏など、約54分に及ぶ特典映像が収録されている。<『モンスター・ホテルクルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』Blu-ray&DVDリリース情報>12月5日(水)リリース&レンタル開始※デジタル先行配信中Blu-ray4,743+税DVD3,800+税発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(cinemacafe.net)■関連作品:モンスター・ホテルクルーズ船の恋は危険がいっぱい?! 2018年10月19日よりユナイテッド・シネマ、シネプレックスにて公開© 2018 Sony Pictures Animation Inc. and MRC II Distribution Company LP. All Rights Reserved.
2018年12月05日過去、「女性の幸せ」が「リッチな結婚相手をつかまえて、優雅な専業主婦生活を満喫」だったとしたら、現代版のそれは、「仕事も家庭も両立。自己実現にも手を抜かず、充実した毎日を満喫」といったところでしょうか。 前回 登場した笑美さんのように、結婚しても働き続ける女性は増え続け、仕事で昇進、起業する方も増えてきました。「キャリアを築かなくちゃ生き残れない」「社会的承認されたい」とする風潮も出てきたように思います。以前にも触れましたが、現代社会はさまざまなことを「あきらめなくていい社会」であると同時に「あきらめさせてくれない社会」。バリっと動いて、仕事と家庭を両立。そのうえ余裕もあって、上質なものに囲まれる暮らしを送り、さらに自分を高めて一目置かれる意識高い系妻になりたい。妻、ママ、仕事人としての麗しいハーモニー…。そんなこと、本当にできますか?どれだけ時代が変わり、便利な社会になっても、私たちに与えられた体は1つ。そして1日は24時間。思いつくすべてのことを実現しようなどと考え出したら、エネルギーも時間も足りなくなって当然なのです。ところが「幸せ」演出できるツールがあるがゆえに、つい頑張ってしまう。ネットそのものが悪いわけでは決してありません。上手に使えば、とても有益なサービスです。けれどもSNSは、女性の大敵でありモンスターワイフの卵でもある「虚栄心」「嫉妬心」「比較魂」を刺激してやみません。投稿する写真、ちょっと盛っちゃおう。これは誰にでもある盛り心。うわ、ママ友のAさんのインスタのお部屋の写真、ものすごくきれい! え? 整理収納アドバイザーに合格? Aさんだってフルタイムで働いてて、子どももいるのに。よーし、私だって負けてられない! Aさんにできたなら、私にだってできるはずだわ…。ネット上の幸せ画像は「ステキな私の輝く一場面」のみを披露する公式の場なので要注意。資格取得で忙しすぎて、家事や育児がおろそかになり、夫婦ケンカが増えた、セックスレスになった…などという舞台裏が暴露されることは非常に少ないからです。「あの人にできるなら、私も頑張ればできるかしら」そうして勝手に自分の足りなさを悔しく思ったり、不必要な課題を自己に押し付けたりします。「アレもコレもやらなきゃ」と、いつもソワソワ。職場でも家庭でもグッタリ。忙しく頑張っているはずなのに、いつも何かが足りない気がして、欠乏感や飢餓感はいつまでも癒えることがない…。常に何かに追い立てられているかのように落ち着きがなく、必死の形相の妻と一緒にいては、夫や子どもの心も休まるはずがありません。そんな妻が外面だけは異様に良く、対外的な「幸せな私」演出に異常な執念を燃やしている…これでは夫の心は離れていきます。向上心旺盛で、努力家だと自分で思っている場合、夫もそう見てくれているかどうか立ち止まらなければなりません。「向上心」がいつしか「強迫観念」にすり替わっていることも…。早速確認してみましょう。■「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度チェックここでは、あなたの「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 家庭と仕事を両立できてこそ一人前だと思う。2. 自分や自分の生活について、足りないところ、改善の余地がある点ばかりに目がいき、いつも焦っている。3. 根性論が嫌いではない。 4. 「常に上を目指しててポジティブね」と言われる。5. スケジュール管理表は埋めてしまいたいタイプだ。6. 「やるべきこと」「やりたいこと」をリストアップして、つぶしていくことで達成感を得る。7. 休息日には「ためになること」をしていないと不安で、「のんびり過ごす」ことに罪悪感を抱いてしまう。8. 「忙しそうね」と言われるとうれしくなる。 9. ステキと感じる対象が目に入るとスマホですぐ撮ってしまう。10.身近な人に「結婚・出産後も社会で活躍を」と期待されている気がする。■あなたの「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、新型幸せなふり度「C」(努力するのは良いことですが、常に「頑張りモード」で疲れが溜まり始めていませんか?)○の数が6個以上8個未満は、新型幸せなふり度「B」(常にせわしなく動き回り、立ち止まることに不安を覚えるようになってきます)○の数が8個以上は、新型幸せなふり度「A」(「幸せな私」「充実した私」という理想に向かってアンストッパブルに爆走中。そんなに息切れして、本当に「幸せ」ですか?)いろいろなことがどんどん便利になってゆく世の中。あらゆる分野で「効率アップ」が叫ばれ、頭を使って最新の技術やサービスも味方につければ、何でもできそうな気がしてきます。残念ながら、それは幻想。誰にも、何でもできるほどの時間なんてあるわけがないのです。自分の人生を納得できるものにするためには、自分が本当にやりたいこと・実際にやることを選択する必要があります。さまざまな可能性にあふれている社会では、そんな「取捨選択」が難しいもの。山積みの選択肢のどれも手に取ってみたくて、そしてすべてが手に入るような気がして、「何かを捨てるなんてムリ!」と思うこともあるでしょう。でも、無数の選択肢を前に何一つ捨てられないのは 何一つ選べないのと同じです。そんな状態では、どこへも進めません。また最近気になるのは、「朝活」や「タイムマネジメント」に傾倒して、「多くをこなす」ことが人生の目標になっているような妻、特にワーキングマザーです。やりたいこと、達成したい目標があって、そのための時間を捻出するための朝活やタイムマネジメントに励むのは、大いに結構。ところが、仕事と家庭の両立に悩み、「私の効率が悪いのがいけないんだわ」と悩んだ末に、効率アップをうたったメソッドに飛びつき、効率アップ自体が目標になってしまうと、おかしなことになってきます。そんな考え方にとらわれた妻たちは、無限に続くTo Doリストを自分に押し付けて、常にフル回転で息切れしているような状態に。こうした妻たちもやはり、自分が本当にやりたいこと・やるべきことを、一度立ち止まってしっかり考えてみたほうがいいのではないでしょうか。「自分が本当に求めるもの」を考える際に重要なこと、それは女心に巣食うモンスター「幸せなふり」が、あなたの本音をねじ曲げようとしているのに気づくこと。「出産後も以前と同じように働きたい」それは、本音ですか? 「そうしなければならない」と周囲が思っているから?「スタイリッシュなおもてなしができる妻、ママになりたい」向上心は大事。でも、本当はそんな面倒なことはしたくないけれど、ママ友たちに圧倒されて、「これくらいできなくちゃダメ」と追われているのかもしれません。■意外過ぎる本音「自分が本当にほしいものは何?」前回登場した笑美さんも、そんな自問自答を繰り返しました。そうして見えてきたのは「意外過ぎる本音」だったそうです。「私は昔からいわゆる努力家でした。向上心も旺盛なほうだと思ってきました。でも、世間体とか、まわりにどう思われるかとか、そういうことを一度全部脇に置いて、今の自分が本当に求めていることを考えてみたら…それは、『どうしてもやらなきゃいけないことだけこなしたら、あとは極力何もせずゆったり過ごす』ことだったんです」それではなぜ、タイムマネジメントまで学んで「少しでも多くのことをこなす」生活を長年続けてきたのでしょう?「私の実家はごくごく普通の、決して裕福とは言えない家庭でした。それでも両親は私のために高い学習塾の授業料を払ってくれて、おかげで私は地元でトップクラスの高校に進学することができた。だから高校時代は、勉強一筋でした。結果、いわゆる一流大学に合格できたわけですが、今度は都内での一人暮らしのために、親から仕送りを受けることになって。ずっと『親に申し訳ない』っていう気持ちが大きかったんですよね。大学で全身おしゃれに決めた同級生を見てうらやましいと思っても、いつも同じ大型衣料品店の似たような服を着ていた母の姿を思い出すと、私だけファッションなんかにうつつを抜かしていたらいけない気がして…。勉強も就活も頑張って、いい企業に就職できて。自分の面倒を自分で見られるようになって、初めてファッションやインテリアにお金をかけられるようになった時はすごくうれしかったです。自分がどんどん洗練されていくような、人生がどんどんアップグレードされていくような気がして。一度そうなったら、『もう昔みたいな、さえない自分には絶対に戻りたくない』と強く思うようになりました」そうして変身した笑美さんは文哉さんと再会を果たし、結婚・出産。娘さんが生まれて、「子どもが幼稚園に通い始めるまでは、仕事をセーブしようか」といったことも考えたといいます。それでは一体何が、笑美さんをフルタイムでの仕事復帰へと駆り立てたのでしょう。「やっぱり『まわりがみんなそうしていたから』というのが大きいですね。大学時代の友人たちにしても、職場の同期や先輩にしても。だから子どもが生まれたから仕事をセーブするなんていうのは、私の甘えや能力の低さの表れのような気がしたんです。それに、おしゃれな暮らしを維持したければ、お金もかかりますし…。あとはやっぱり、両親への申し訳なさというか。教育を受けさせた娘が、出産を機にあっさり第一線を退いたりしたら、両親は失望するんじゃないかって」子どもの幼稚園入学までは、のんびり子育てがしたい。笑美さんはそんな自分の本音にフタをして、バリキャリママの道をひた走り始めます。自分の本音に逆らった生き方はつらいもの。そんなつらさを紛らわせて走り続けるためには、ごほうびが必要です。笑美さんにとってそのごほうびは、「ステキな暮らし」でした。「これだけ頑張ってクタクタになるまで働いてるんだから。自分を癒すためにも、もっとステキな暮らしをしなくちゃって」ところが「ステキな暮らし」の参考にとチェックし始めたSNSやママ友との交流は、笑美さんをさらに追い詰めていきます。「世のワーママたちは家庭と仕事を両立しながら、ここまで充実して洗練された暮らしをしているのかと衝撃を受けて…それができない自分はダメなんだ。能力や効率が低いんだって落ち込みました」家庭+仕事だけでクタクタだった笑美さんに、「ステキな暮らし、ステキな自分」という目標が新たな「To Do」としてのしかかります。それは笑美さんにとってもはやごほうびではなくなり、遂行すべきタスクに変わりました。けれども体調不良により、笑美さんにはイヤでも自分の生き方を見直さざるを得ない転機が訪れます。そして時を同じくして、「理想のワーママ」の舞台裏を図らずも知ることに。「そこからは少しずつ、目が覚め始めました。今後の働き方について、夫とも話し合いました。夫婦でバリバリ働かなくちゃまともな暮らしができないってずっと思ってたんですけど、それは今の街に住み続けて、今のペースで自分や子どもの習い事にお金をかけ続けたらの話。夫が前々から希望していた通り、私たちの地元へ引っ越せば家賃はグッと安くります。娘にも、習い事やレジャーで本当に好きなものとそうでないものについて、初めてまともに本人に聞きました。そうしたら、娘自身は興味を持っていないのに、私が勝手に押し付けていたことがたくさんあって…。私はお金だけでなく、娘の時間や気持ちまで犠牲にしていたんだって猛反省しました」娘さんが本当に求めていたのは、ママが普通に家にいて、いつ話しかけても怒られない暮らし。訳も分からずあちこち連れ回されるのではなく、家でママと一緒に塗り絵をしたり、本を読んでもらったりする休日でした。「それを聞いて、いろいろ考えさせられて。私が望んでいるのも、『最低限やるべきことだけやったら、あとはあれこれ詰め込まず、余裕を持って家族と過ごせる生活』だと気づいたんです」今は娘さんの小学校入学前に、地元に戻ることも視野に入れ始めたという笑美さんと文哉さん。「仕事を辞める。地元に戻る。習い事や資格取得をやめる…。これまで追い求めてきた『キラキラした今風の幸せ』とは真逆を行く生き方です。でも、私が本当に幸せになるための道はこっちなんだと、時間はかかりましたがようやく気づくことができました」そう言って微笑む笑美さんからは、偽りのない余裕が感じられます。家でもカリカリした怖い顔でいることがなくなって、家庭の雰囲気も良くなったそうです。幸せの形は、人それぞれ。自分にとって何が本当の幸せか、ハッキリと見極めるのは容易ではないこともあります。ましてネット時代、他人のライフスタイルが輝いて見えて、うらやんだりねたんだり、まねをしたくなることもあるでしょう。自分の暮らしぶりを発信する機会を得た分、「幸せなふり」をしたくなってしまう場面も急増。「幸せなふり」をするのに忙しく、自分の本当の幸せについて考える余裕がなくなるという不健全な状況に陥る妻たちも急増中です。幸せのカギは、あなたの中にあります。キラキラした投稿の中にではありません。世間体、虚栄心などに邪魔されて、自ら幸せに背を向けて走り続けては疲弊します。あなた自身の声と、あなたの家族の声に耳を澄ませてみてください。外野からの雑音や「幸せなふり」モンスターに、心を乗っ取られないように。
2018年11月25日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。今回ご紹介するのは、社会が変わっても相変わらず多くの女性たちの心にはびこるモンスターの卵、「幸せなふり」にがんじがらめにされてしまった妻のケースです。「幸せなフリ」は、妻たちを本当の幸せから遠ざける。それは拙著 『モンスターワイフ 幸せなふりはもうしない』 でも、こちらの連載でもお伝えしてきた通りです。前の時代は「経済的に苦しいのに、余裕があるふりをしたくて専業主婦の座に固執する」という「幸せなふり」が蔓延していました。ところが、現代版の「幸せなフリ」モンスターは、これとは様子が異なります。「家庭も仕事も両立できて当然。両立に疲れて、所帯じみてくたびれた雰囲気になるのはお断り。きっちり仕事して、家庭でも良き妻・良き母で、そのうえ自分磨きも怠らず、充実した日々を楽しまなきゃ!」現代社会が生み出したキラキラ系モンスター「新型幸せなふり」は、そんなふうに考えて生きています。確かに、理想的な生き方のように聞こえます。けれども、そんな妻たちの実情はどうでしょう。自分のためにも家族のためにも、意識の高い「キラキラ系」を目指して頑張ってきたものの、気付けば「新型幸せなふり」モンスターに足元をすくわれていた…なんてことも。■子どものため、夫のため…いつも努力が空回り「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」代表:笑美(仮名)37歳の場合「できた…!」娘の明日の弁当の下ごしらえをした笑美は、達成感と疲労感の両方でいっぱいになった。時計を見ると、もう22時半。いけない、早くお風呂に入らなきゃ。最近、顔のむくみが気になりお風呂でリンパマッサージを始めたので、22時にはバスタイムと決めていたのに…今日は仕方がない。明日からは、もう少しお弁当作りの効率を上げなくちゃ。そんなことを考えながらエプロンを外していると、一人娘の優乃(ゆの)がトイレに起きてきた。笑美のほおが、思わずゆるむ。「じゃじゃーん!」笑美は眠そうな優乃をキッチンに招き入れると、お弁当のデザインを見せた。ところが…。「えーっ! ママ、何これ!? お野菜と果物ばっかり。優乃、いつもみたいなお弁当がいい!」優乃は、顔をしかめてすごい勢いで嫌がる。気付くと笑美は、キッチンカウンターに手のひらを思い切り叩きつけていた。調理器具がシンクにカンッという音を立てて転がり落ちる。「なんで!? どうしてそんなこと言うの? 優乃ちゃんのために、ママがどれだけ頑張ってるか…」怯えた顔で立ちすくんでいる娘の姿が、涙でにじんでゆく。野菜ソムリエの資格取得のために、かかった時間と労力。そしてお金。忙しかったのに。疲れていたのに。家族のため、娘の健康のためにと、どうにか時間とエネルギーをやりくりして頑張った。それなのに、この反応は何?ああ、もうイヤ。こんなに頑張っているのに、どうしていつもダメなんだろう。自分のためにも家族のためにも、私はいつだって努力している。いつまでたっても「幸せになりたい」という飢餓感でいっぱいなのか…。物音を聞きつけて、夫の文哉が飛んで来た。優乃はすぐさま文哉にしがみつく。笑美は無言で娘と夫の横を通り過ぎ、できかけのお弁当をまるごとゴミ箱に放り込んだ。そして振り返ることなく、キッチンを出て行く。その心は虚しさと徒労感で、重く重く沈んでいた。■インスタでは「完璧・理想なワーママ」その仮面の下は…笑美と文哉は、千葉の高校の同級生だった。と言っても高校時代の2人は、ただの仲の良いクラスメート止まり。それぞれ別の都内の大学に進学し、都内で就職した後、28歳の時にたまたま再会。そこから交際が始まった。笑美は大手飲料メーカー勤務。広報という仕事柄、ファッションに気をつかうようになり、すっかり垢抜けた笑美は再会した文哉を驚かせた。文哉は電機メーカーで開発に携わっていた。こちらも優良企業で、笑美と文哉はお似合いのカップル。旧知の仲であることもあり、2人の交際は順調に進み、再会から2年後には結婚。その翌年には娘も生まれて、一家の人生は順風満帆と思われた。ところが…笑美が1年の育児休業を終えて職場復帰を果たした頃から、夫婦間のすれ違いや衝突が少しずつ増えていくことに。理由は明らかだ。笑美が忙しすぎたのだ。「最初は時短勤務からでもいい」と言ってくれた会社には、夫に相談もせず「フルタイムで問題ありません」と即答。せっかく就職した大企業、せっかくつかんだ希望の職種、やるからには、順調なキャリアアップを目指したい。自分の産休・育休中にもバリバリ働いていた、独身の同期や子どものいない同僚に、これ以上差をつけられるわけにはいかなかった。長時間利用可能な保育所に高い料金を支払って、笑美は仕事に邁進(まいしん)した。育児をおろそかにしているのかといえば、そんなことはまるでない。満員の通勤電車の中ではスマホを片手に、知育玩具や、情操教育に良いとされる絵本を検索・購入。週末も持ち帰った仕事で忙しいことが多い中、子どもに人気のスポットをリサーチして、できる限り娘を連れ出すようにする。さらに笑美は、自分磨きにも余念がない。美容・健康関連の習い事に参加したり、仕事に役立ちそうな資格について調べたり…あまりに休む間もなく常に忙しくしているので、文哉が思わず「大丈夫? やることだらけでパンクしない?」と心配したことがある。すると、笑美はその翌週には、「文哉の言う通りね。もっと効率よく物事をこなすために、タイムマネジメントのオンライン講座を受講することにしたの」と言い出す始末だった。文哉は徐々に、笑美のことが理解できなくなっていった。どうして妻はいつもスケジュールをギュウギュウにして、常に何かに追われる生活を続けているのだろう? スマホのカレンダーはぎっしりうまっている。忙しくても、本人がそれを楽しんでいるのなら構わない。けれども笑美は楽しそうにはとても見えないし、むしろ疲れて殺伐として見える。それを指摘しようものなら、笑美は「私はやりたくてやってるの」「文哉に迷惑かけてないじゃない」と、全否定だ。そして、家の外やSNSでは、笑美は疲れ切った顔の上に「充実した毎日を楽しむ幸せなワーキングマザー」という仮面を貼り付けていた。ついさっきまで家でくたびれ切った顔をして不機嫌オーラ全開だった妻が、ママ友に会った途端、1オクターブ高い声で満面の笑みを振りまいている。夫に子どもの世話を押し付けてブツブツ言いながら資格試験の勉強をしていた妻のインスタグラムには、試験対策テキストとブランド物のコーヒーカップの写真が「#資格試験」「#自分に投資」「#充実した時間」といったハッシュタグとともに投稿されている。そんな妻の様子に、文哉は首をひねるばかりだ。この頃から、2人の夫婦仲にすきま風が吹くようになる。■セレブエリアへ引越し、理想がさらにエスカレート…娘の優乃の保育園入園前にもう少し大きなアパートに引っ越そうという話になった時、笑美と文哉の意見が対立した。「生活の質は住む場所で決まる」と主張し、都内の子育て世代に人気の街に住みたいという笑美。千葉の2人の地元である町に戻れば、両家の両親から育児のサポートが得られるうえに、家賃も大幅に節約できると訴える文哉。結局いつも通り、「子どものためにも上質な生活を」と熱弁する笑美に文哉が屈することになった。家賃ははね上がったが、元の家賃に上乗せられた金額の大半を笑美が負担するということで、この一件はどうにか丸く収まった。しかし、新たな街に引っ越すと、笑美の「より上質な生活」を目指す熱意はさらに過熱していった。その背後にあったのは新たな街でできた、新しいママ友たちの存在だった。皆いつもおしゃれで、家を訪ねればインテリア雑誌に出てくるような部屋。子どもの誕生日パーティーに招かれれば、海外の盛大なバースデーパーティーのような華やかな飾り付け…。彼女たちの生活を垣間見るたびに、笑美は「私にはやるべきことがまだまだある」と痛感した。そして、この頃から笑美は、ママ友たちと自分を比べては落ち込み、ふさぎ込むことが多くなっていった。「凜花ちゃんママのインスタで遠足の日のお弁当を見たんだけど、本当にすごいの。私、あんな凝ったお弁当作ったことない…。もしかして優乃に、みじめな思いをさせてたかしら」「怜ちゃんのピアノの発表会のお疲れさまパーティーに呼ばれたんだけどね。お部屋の飾り付けもお料理もすごくスタイリッシュで、洗練されてて。怜ちゃんのママはテーブルコーディネートの資格を持ってるんですって。うちもこれからお客さんを呼ぶ機会が増えるかも知れないし、私もテーブルコーディネートくらい勉強しておかないとダメよね…」笑美はそんなことを言って、いつも自分にないものを探し出しては嘆いてばかりいる。文哉はずっと、妻は向上心の塊のようなタイプなのだと思っていた。しかし、これでは「向上心が旺盛」なのか、「自分へのダメ出しが過ぎる」のか分からない。「俺はそもそも、そこまで弁当やらテーブルコーディネートやらに凝る必要性を感じないんだけどさ。笑美の場合、凝りたくたって仕方がないじゃないか。フルタイムで働いて、家でも持ち帰りの仕事だろ。人脈づくりの異業種交流会にまで顔を出して、それでいつキャラ弁作りや、テーブル・部屋の飾り付けまで時間をさけって言うんだよ」文哉は至極当然の指摘をしたつもりだったが、笑美は不満げに口を尖らせる。「『時間がない』なんてただの言い訳よ。要は自分の時間とエネルギーをどう活用するかなの。そのためにタイムマネジメントや、目標達成戦略を勉強して…」「言い訳じゃないよ。事実だよ。『家庭と仕事の両立』だけでも大変だ、大変だって、みんな言ってるのにさ。それに加えてアレもコレもだなんて、苦しくならないほうがおかしいよ」それでも笑美は引き下がらない。「そんなことないわ。私より忙しくても、私よりずっと多くのことを実現できている人はいっぱいいるわ」「『いっぱいいる』って…例えば、誰? ていうかさ、どうしてそんなに『多くのことを実現』しなきゃならないわけ? 一体何をどれだけ実現すれば、笑美は満足なんだよ?」いつになく執拗に追及してくる文哉に、笑美はたじろいだ。私よりずっと多くのことを実現できている人…一つの顔が、笑美の脳裏に浮かんだ。■夫や子どもに八つ当たり「どうして理想通りにならないの?」文哉に詰め寄られた時、笑美の頭の中に浮かんだのは淑美の顔だった。淑美というのは笑美の大学時代の友人、寛人の妻だ。大学卒業後も寛人とは時々会っていたのだが、文哉に寛人を紹介すると、意気投合。今ではこの男2人のほうが、仲の良い友人同士になっていた。こうした事情で笑美と文哉は時々、寛人とその妻の淑美に会う機会があったのだ。淑美は大手出版社勤務。人気女性ファッション誌の編集部で働いている。そんな彼女は、いつ会っても最高にファッショナブル。編集者の仕事は多忙なはずだが、疲れなど感じさせない優雅な雰囲気だ。一人娘の恵麻も、いつ会っても髪型にも服装にも、しっかりと手がかけられている。淑美のインスタグラムには、美しい料理の写真の数々。彼女は野菜ソムリエの資格を持ち、お菓子作り教室にも長く通っていたという。まさに、完璧な女性。仕事も家庭も完璧に両立しながら苦労をまるで感じさせず、余裕たっぷりでキラキラと輝いている…。淑美さんのような人が奥さんなら、寛人は最高に幸せなはず。恵麻ちゃんだって、自慢のママが大好きに違いない。そんなことを考えていたら、笑美はだんだん悲しく、みじめになってきた。何もかも完璧な淑美のような女性がいる一方で、私は足りないものだらけ…。妻が押し黙っているのを見て、自分の説得が功を奏したのだと勘違いした文哉。彼は気を良くして言った。「な! スーパーウーマンなんていないんだよ。笑美はもう十分頑張ってるよ。これ以上、あれもこれもやらなきゃなんて、焦る必要なんて全然ないじゃないか」残念ながら、そんな夫の言葉が笑美の心に響くことはなかった。笑美はますます仕事にも、家事・育児にも、自分のステップアップにも熱中し、彼女の生活は多忙を極めた。笑美の「向上心」は、夫の目にはもはや「強迫観念」のように見えた。彼女は楽しそうにしていることなどまるでなく、いつも疲れてイライラ、カリカリ。夫や娘に当たることも増えた。特に笑美が家族のために良かれと思ってしたことが受け入れられないと、ヒステリックに激怒するようになった。ママ友から聞いてきた習い事に、優乃が興味を示さない。クタクタの体にムチ打って、ネットで高評価のイベントに優乃を連れて行ったのに、優乃が喜ばなかった。聞いたこともない「スーパーフード」を突然朝食に出し、味が苦手な文哉が断った…。そんなことが起きるたびに、笑美は大爆発。「私がこんなに頑張ってるのに」「死ぬほど疲れてるのに、あなたのためにやってあげたのよ」が、激昂した笑美の口癖になっていた。文哉と優乃は次第に、笑美の顔色をうかがってビクビクしながら過ごすようになっていった。家庭がそんな状況になっても、笑美は家の外やSNS上での「ステキなワーキングマザー」の仮面だけは絶対に手放さなかった。「スーパーフード」をめぐってケンカになったその日のインスタグラムには、文哉が手を付ける前の朝食の写真が投稿され、「#夫の健康管理」「#パパいつもおつかれさま」などと書き込まれていた時には、文哉は妻の異常性を感じずにはいられなかった。■とうとう病気を発症! それでもキラキラ生活にしがみつく妻ある日、熱があろうが頭痛がひどかろうが、意地でも会社を休まなかった笑美が、尋常ではない腹痛に襲われて病院に駆け込むことに。そこで彼女はストレスによる心の病気という診断を下される。笑美から話を聞いた文哉は驚き、「通院の頻度は?」「どんな治療をするんだ? 薬はもらったのか?」と妻を質問攻めにした。しかし、文哉を驚かせたのは、笑美の答えだった。「しないわよ、通院なんて。残業ができないだけでも大きなハンデなのに、加えて通院のために半休なんてとんでもないわ。薬も勧められたけど、飲むと眠くなったりだるくなったりするんですって。そんな薬飲んでちゃ、仕事にならないわ」普段、穏やかな文哉も、この時ばかりは猛抗議した。健康が第一。きちんと通院して薬も飲んで、働き方も見直すべきだと文哉は主張する。しかし笑美は「この病気の原因がストレスだって言うなら、定期的に通院したり、毎日眠くなる薬を飲んで仕事をしなきゃいけないのが最大のストレス」だと言い張り、聞く耳を持たない。この議論は未曾有の夫婦ケンカに発展した。どちらも自分の言い分が絶対に正しいと信じているので、仲直りの糸口すら見えないまま、険悪なムードで日々が過ぎてゆく。その間も笑美は、毎日絶不調の体を引きずるようにして仕事と家事・育児、ママ友付き合いをどうにかこうにか回していた。顔にはいつもの笑顔を貼り付けていたが、正直、心身ともに限界だった。そして迎えた、ある週末。前々から寛人・淑美夫妻と約束していた、キャンプの日がやって来た。笑美は最悪な顔色と微妙な夫婦仲のまま、まぶしすぎる淑美と顔を合わせたくなかったが、仕方がない。寛人が誘ったもう一家族も加えた三家族分のキャンプ場がすでに予約されているからだ。鬱々とした気分のまま、笑美はキャンプ場に向かった。淑美が雑誌の撮影にも使用したその場所は、従来の「キャンプ場」のイメージを覆すものだった。新しいキャンプ体験ができる最近流行のグランピング施設で、どこもかしこも清潔でセレブ感が漂う。これなら雑誌の撮影現場にもなるだろう。子どもたちが安全に目一杯遊べる遊び場も併設されている。一言で言うと「さすが淑美さん」としか言いようのないキャンプ場だった。優乃は早速歓声を上げながら、淑美の娘・恵麻と、もう一家族の子どもたちと遊んでいる。その楽しそうな姿を見て、笑美はまた心が沈んだ。こんな場所があるなんて、私、全然知らなかった…情報収集不足だわ。恵麻ちゃんはきっと、優乃よりずっとたくさん楽しい場所に連れて行ってもらえてるのよね。それに、今日も恵麻ちゃんのファッションは完璧。子ども用のアウトドアウエアに、こんなにかわいいアイテムがあるなんて…。ひたすら落ち込んでゆく今日の笑美に、キラキラと輝く淑美の姿を眺め続けるのはキツすぎた。淑美がもう一人のママとの話に花を咲かせている間に、笑美はそそくさと退散。一人になれそうな場所を探して歩いた。■憧れの女性だったのに…親友の告白で知る現実木陰に腰を下ろして缶ジュースをすすっていると、誰かが近づいてくる。振り向くと、そこには寛人が立っていた。「よっ!って、笑美、お前何だよ、ジュースかよ!? ビール持って来ようか?」いつも通りの屈託のない寛人の笑顔に、笑美もつられて微笑みながら「今はジュースでいい」と答える。まさか「ストレスによる心の病気でおなかの調子が悪いから、アルコールは控えている」なんて言えない。寛人が笑美の隣に腰を下ろしながら、笑美の顔をのぞき込む。「笑美、なんか今日元気なくないか?」鋭い指摘にギクッとする。けれど、今自分が抱えている鬱々とした気分、健康問題、夫婦ケンカ…何をどこから、どう寛人に話せばいいのだろう。考えがまとまらないまま、気付くと笑美はつぶやいていた。「寛人は幸せ者だよね…」「はぁ? 何だよ急に?」「淑美さんみたいな、いっつもきれいでおしゃれで余裕があって、職場でも家庭でも完璧な奥さんがいて。私なんてさ、もうダメダメだよ。仕事に追われてヒーヒー言ってるし、家でも頑張ってるつもりなのに、一人で空回ってる感じ。家族に喜んでもらいたいのに、全然うまくいかなくて…」いけない、涙目になってきた。笑美は思わず寛人から顔を背ける。寛人はしばらく黙っていたが、キョロキョロとあたりをうかがうと、低い声で話し始めた。「ここだけの話だぞ。淑美ってさ、確かに余裕しゃくしゃくみたいに見えるけど、本当は全然そんなことないんだぜ。毎日ボロボロになって帰ってくるし、特に締め切り前なんて殺気立っててさ。家でもいらだってて、恵麻が怖がることもあるくらいだよ」「うそ…そんなの全然想像できない。私、淑美さんのインスタもチェックしてるんだけど、いつもすごく豪華なお料理の写真をアップしてるじゃない。恵麻ちゃんにお菓子作ってあげたりとか」「あれなー。なんか『職場のみんながインスタやってるから、私もやらなきゃ』とかって言って始めたんだけど、“ステキな暮らし”の演出に躍起になってるよ。俺は見栄えだけいいワケの分からん洋食より、普通に肉じゃがが食いてえって言っても、即却下。やたら手の込んだ洋菓子作って、恵麻の反応がイマイチだと腹立てるしな。ハッキリ言って、家族からするとはた迷惑なことも結構あるよ」何だか耳が痛い…あの「完璧な淑美さん」が、家では実は、私と同じようなことをしている…? 笑美はポカンと口を開けたまま、寛人の話を聞いていた。「知り合った頃、仕事をバリバリ楽しんでる淑美をいいなって思ったのは事実だよ。でも 仕事を楽しんでるからって淑美を好きになって結婚したわけじゃない。結婚しても、子どもが生まれても、仕事は昔と変わらずバリバリ、家庭でも完璧な妻、母で、ファッションや習い事は独身貴族並みなんて、どう考えてもムリだろ?俺はただ、淑美に昔みたいにニコニコしててもらいたいだけなんだ。そのために仕事をセーブしたければ、すればいい。家事や育児で手抜きをしたければ、すればいい。でも淑美には、そんな選択肢はあり得ないんだよ。『ここまで全力疾走してきたんだから、ここで足を止めるわけにはいかない』みたいに思ってるみたいで」そのうちぶっ倒れたり、ノイローゼになるんじゃないかって、結構真面目に心配してるんだ、と寛人は苦笑した。ずっと憧れていた、理想としてきた「いつも余裕の完璧な女性」の実態を知って、笑美は脱力してしまった。淑美さんのようになれれば、「私にはあれが足りない、これも足りない」なんて自分を責めなくてすむようになるはず。そうすれば、いつも感じている欠乏感や飢餓感から解放されて、自分に自信が持てるはず。幸せになれるはず。ずっとそう思っていた。けれども「ゴール」にたどり着いたところで、見える景色はどうやら今と大差ないようだ。それなら…それなら私は、どうやって幸せになればいいんだろう。どうやって家族を幸せにすればいいんだろう。寛人の話を聞き終わる頃には、笑美の涙も乾いていた。遠くから、「おーい、寛人、笑美! 肉焼くぞー」という文哉の声が聞こえてくる。2人は顔を見合わせると、同時に立ち上がった。みんなのところへ足早に戻りながら、「今夜は少し、文哉と話してみようかな」と笑美は思った。
2018年11月24日カプコンの人気ゲーム「モンスターハンター」シリーズの世界観を基にしたハリウッド実写映画『モンスターハンター』が、2021年3月26日(金)に公開決定。通常の2D上映に加え、IMAX3D、MX4D、4DX、DOLBYCINEMA でも上映される。「モンスターハンター」がハリウッドで実写映画化原作の「モンスターハンター」シリーズは、雄大な自然の中で巨大なモンスターに立ち向かうハンティングアクションゲーム。2004年に誕生した第1作目「モンスターハンター」から、2018年1月に発売された最新作「モンスターハンター:ワールド」までの累計販売本数が5,000万本を超える大ヒットシリーズだ。巨大モンスターたちとの戦いを描く突然の嵐に巻き込まれた国際連合軍が辿り着いたのは、この世界に存在するはずのない、超巨大モンスターたちが暮らす新世界。隊長アルテミスたちの戦力は、超巨大モンスターたちに全く通用しなかったが、新世界で謎の男と出会う。映画『モンスターハンター』では、異なる世界出身の2人の主人公が、協力して強大なモンスターに立ち向かっていく姿を描く。”黒角竜”ディアブロス亜種目を不気味に赤く光らせて咆える大型モンスター「ディアブロス亜種」ケタ外れの破壊力を誇りシリーズを代表するモンスター。原作ゲームでも初期からハンターたちを苦しめてきた因縁深いモンスターは、砂漠を舞台にどんな“暴君ぶり”を発揮してくれるのか?!”影蜘蛛”ネルスキュラ岩石を吹っ飛ばしながら姿を現すネルスキュラ。おそろしい蜘蛛のようなフォルムで、長く尖った爪、巨大な有毒針を突き出す。”火竜”リオレウスゲームで大人気のモンスター・リオレウスは、大きな翼で自在に飛び回り、炎のブレスで攻撃してくる。「空の王者」の異名を持つ。ハンターがディアブロス亜種を狙う“弓”や、アルテミスが使い方を学ぶ”双剣”など、ゲームでおなじみの武器種が登場する他、さらに、ゲームシリーズ屈指の名曲『英雄の証』や“肉焼き”シーンなど見どころ満載だ。キャスト主演ミラ・ジョヴォヴィッチ主人公アルテミス役を務めるのは、映画『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ。また、アルテミスが迷い込んだ異世界で出会うもう1人の主人公ハンター役を、タイのアクション俳優トニー・ジャーが演じる。モンハンファンにはお馴染み、大人気キャラのアイルーも登場。ネコのような容姿が特徴的でハンターたちのサポート役、調査団の料理長も務める。女優・山崎紘菜がハリウッドデビューまた、映画『50回目のファーストキス』『検察側の罪人』などにも出演し、2019年公開の映画『スタートアップ・ガールズ』では上白石萌音と共にW主演を務める山崎紘菜が、『モンスターハンター』でハリウッドデビュー。ゲームにおいて、ステージやゲーム、モンスターについてプレイヤーに説明をしてくれる「ハンドラー(受付嬢)」という重要なキャラクターを演じる。山崎はゲームさながらの受付嬢を演じるべく、実際にゲームをプレイしながら役作りをしたと告白。「監督がゲームの中から飛び出してきたようなキャラクターを求めていたので、受付嬢が登場するゲームのシーンを繰り返し見ながら彼女のチャーミングさや、個性的な動きを研究しました」と、明かしている。監督は映画『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソン『モンスターハンター』の監督・脚本を務めるのは、映画『バイオハザード』シリーズで知られるポール・W・S・アンダーソン。主演するミラ・ジョヴォヴィッチの夫でもある。また、同シリーズでアンダーソン監督とタッグを組んだコンスタンティン・フィルムが制作を担当する。<日本語吹き替え版キャスト>日本語吹き替え版キャストには、“モンハン大好きな人”限定で集めた、各界の著名人が勢ぞろい。モンハン愛に溢れたキャストたちが、“あのキャラクター”たちにどのように命を吹き込むのか、高い期待が募る。アルテミス役…本田貴子ハンター役…松坂桃李大団長役…大塚明夫リンク役…杉田智和マーシャル役…宮野真守ダッシュ役…井上麻里奈スティーラー役…中村悠一アックス役…花江夏樹松坂桃李が“モンハン言語”に挑戦?!中でも注目してほしい吹替キャストは、モンスターの狩猟を生業とする<ハンター役>の松坂桃李。異世界からやってきたアルテミス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)のバディとして、共に超巨大モンスターに立ち向かうという重要な役どころなのだが、実はこの役柄“モンハン世界のオリジナル言語”という特殊な設定が…。そのため役を務めたアジア俳優トニー・ジャーも全編アドリブで挑むという前代未聞の事態となった。当初は吹替えに不安を抱えていたという松坂桃李だが、本番中は役者魂に火が付き、キャラクターが憑依したような熱演を披露したのだとか。モンハンのヘビープレイヤーである松坂だからこそ成し得る(?!)その高い完成度に注目だ。大剣を担ぐアルテミスのポスタービジュアルポスタービジュアルには、原作ゲームでも人気の武器種のひとつである<大剣>を担ぐアルテミスと、彼女と共闘してモンスターに挑むことになるハンターが<弓>を装備した姿が映し出されている。さらにそんなふたりに立ちはだかるのはモンスターたち。想像を絶する大スケールの「モンハン」ワールドにますます高い期待が募る。『モンスターハンター』あらすじ突然の嵐に巻き込まれた国際連合軍。隊長のアルテミス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)たちが辿り着いたのは、この世界に存在するはずのない、超巨大モンスターたちが暮らす新世界だった!アルテミスたちの戦力は、超巨大モンスターたちにまったく通用しなかったが、新世界で出会った謎の男と共に立ち向かう!【詳細】映画『モンスターハンター』公開日:2021年3月26日(金)監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、トニー・ジャー、ティップ・“T.I.”・ハリス、ミーガン・グッド、ディエゴ・ボネータ、山崎紘菜、ロン・パールマン配給:東宝=東和ピクチャーズ共同配給
2018年11月24日ソニー・ピクチャーズが実写版『モンスターハンター』のオフィシャル写真をツイッターで公開した。コスチュームを身につけたミラ・ジョヴォヴィッチ演じるナタリー・アルテミスと、トニー・ジャー演じるハンターが砂漠を駆けている写真だ。実写版『モンスターハンター』のメガホンをとっているのは、ミラの夫のポール・W・S・アンダーソンで、撮影は南アフリカで行われている。アンダーソン監督が「IGN」に語ったところによれば、アルテミスはゲームに基づいたキャラクターではなく、「いわばゲームのプレイヤーなんだ。観客のアバターという立ち位置かな。映画の世界に入り込むためのね」とのこと。しかし、アルテミスの装備のデザインについては全てをゲームから取り入れているという。それはハンターにも言えることで、写真に写っているハンターはオオアギトを担ぎ、グレイトハンターボウらしき武器を手にしている。主演のミラは、これまでにたびたび撮影風景をSNSに掲載しており、最新投稿では「『モンスターハンター』の撮影は本当にタフよ。ゴージャスだけど、荒々しいロケ地もあり、ケガもあり…」と近況を伝えている。ディエゴ・ボネータやT.I.など、一部キャストとの共演シーンの撮影は終わったようで、「あなたたちなしにゲームに戻り、映画の新しいチャプターを始めなきゃならないなんて、つらいわ!」と寂しがるコメントも。公開日はまだ発表されていないが、撮影は順調に進んでいるようだ。(Hiromi Kaku)
2018年11月21日「セクハラ」「パワハラ」に続き、「モラハラ」に注目が集まる今日この頃。「モラハラ」と聞くと、夫が妻に「俺の稼ぎのほうが多いよな!」とすごむような光景を思い浮かべがちですが、モラハラの加害者はいつも夫とは限りません。実は、強力なモラハラ系モンスターワイフも、そこかしこで暗躍しているのです。モラハラの恐ろしいところは、DVなどと違って、加害者に加害者意識がない場合が多いこと。 前回 ご紹介した友梨佳さんのケースではどうでしょう。夫の裕貴さんの目に映る友梨佳さんは、完全なモラハラモンスター。しかし、当の友梨佳さんには何の悪気もなく、まさか自分がモラハラをしているなどとは夢にも思っていません。それどころか、「自分は家族のためにしている。家族を正しい方向へ導いている」という気でいるのです。夫と妻、それぞれに見える現実が完全に乖離(かいり)したまま、ついに夫は「妻を断舎離する」というところまで追いつめられてしまいました。その後、友梨佳さんと裕貴さんはどうなったのでしょうか。離婚も辞さない覚悟の裕貴さんに対して、友梨佳さんは夫がなぜ自分を捨てたがるのか、まったく理解できずに大混乱。「離婚だとか、そんなこと考えられません。私は夫を愛しているんですから。愛しているからこそ、夫にも消費社会の呪縛や物欲から解放された、本当に自由で健全な生き方をして欲しくて…。一体、夫はどうしたら、私の思いを理解してくれるのでしょうか?」「悪気がないからタチが悪い」というケースの典型例です。この期に及んでまだ、友梨佳さんは自分がモラハラの加害者であると認識できずにいるのです。このままではいつまでたっても、2人の主張は平行線をたどるだけでしょう。あなたも知らず知らずのうちに、モラハラ妻になりつつありませんか? 自分の中に危険な傾向を見つけたら、早め早めにリスクを摘み取ることが重要。早速、以下のチェックテストをどうぞ。■「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度チェックここでは、あなたの「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 物事の「違い」を尊重するよりも、「優劣」をはっきりさせたい性格だ。2. 自分がいいと思ったものは、人にすすめずにはいられない。3. 自分のやり方が受け入れられないとイラっとする。4. 善意と熱意を持って接すれば、相手を変えることはきっとできる。5. 家族が効率の悪いことやムダなことをしていると、すぐに口出ししてしまう。6. 不必要と思えば、人もモノも遠ざけたくなる。7. 自分のことを道徳的、常識的な人間だと信じている。 8. 夫に直して欲しいところ、変えて欲しいことが即座に5つは思い浮かぶ。9. 夫婦けんかの中で、相手の癖や生活習慣を否定したことがある。10. 子どもたちの前で夫を「悪い大人の見本」扱いしてしまったことがある。■あなたの「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、暴走ダンシャリアン度「C」(「自分こそ正義」「家族は私のやり方を見習うと幸せになる」という態度をとり始めていませんか?)○の数が6個以上8個未満は、暴走ダンシャリアン度「B」(自分のスタイルを夫にゴリ押しすることが多いのでは? 要注意!)○の数が8個以上は、暴走ダンシャリアン度「A」(夫もあなたと同じ、個性を尊重されるべき個人です。夫の気持ちやポリシーを切り捨てないで!))■モラハラモンスターにならないための「2つの心得」「セクハラやパワハラの定義は難しいが、被害者がセクハラだ、パワハラだと感じたなら、それはセクハラであり、パワハラである」と言いますね。モラハラも同じです。妻にどれほど悪気がなかろうと、善意しかないと言っても、夫が妻の言動をモラハラだと感じたなら、それはモラハラ以外の何物でもないのです。「それじゃあモラハラを避けるために、具体的に妻はどうしたらいいんですか?」そんな声が聞こえてきそうです。大丈夫。モラハラモンスターワイフ化を防止するための心得が、ちゃんとあります。どんな時も妻たちに心に留めておいて欲しいのは、以下の2つの点。一つ目は、「他人が操作して人を変えることはできない」ということです。これは、夫婦関係のみならず、あらゆる人間関係の基本です。大の大人が、それもプライドを傷つけられるのが大嫌いな男性たちが、「あなたのここがよくない」「こうしなくちゃダメよ」などと妻から言われると、気持ちよくはありません。誰しも大人になるまでに、さまざまな経験をして、たくさんの選択を重ねて、今の自分があります。本人にしか分からない心の傷があり、本人にしかわからないこだわりがある。そうしたことが、各人の「個性」を形成しています。それなのに、いくら妻だからといって、自分ではない別の人間が「ああしろ、こうしろ」と指図してきたのでは、それは夫にとってストレスにしかなりません。「自分なりのこだわり」を単なる「ムダ」と切り捨てられた時にも、夫のプライドは傷つきます。夫独自のやり方があるのに「そんなんじゃダメ。もっとこうして」とダメ出しされたり、個人の好みの問題にまで口を出されて、自分のスタイル、自分の趣味を否定されたり…。それが続くと、夫は妻に自分の人格や人間性を否定されていると感じるようになります。それを子どもの前でやるなどというのは、言語道断。夫の自尊心をひどく傷つける行為です。「自分と夫は別の人間」「夫を自分の思い通りに変えることなどできない」という事実が見えていない、あるいは事実に目をつむっている妻が多いのです。だから、それと気づかぬまま夫にモラハラ攻撃を続けてしまう。さらに、自分の善意のアドバイスや指示が夫に受け入れられないと、妻たちは傷つき、腹を立てます。そして「アドバイス」はいつしか「命令」になり、夫に自分の要望を飲ませよう、夫を自分の望み通りに変えようと躍起になります。こうなると、もはや夫にとって妻はモラハラモンスターでしかありません。夫がしていることや持っているものが、ムダか否か。それを決めるのは妻ではなく、夫本人です。「でも、相手はほかの誰でもない、私の夫なんだもの。自分の夫だからこそ、自分がいいと思うものはすすめたいし、よりよく変わってもらいたいんです」そんな妻の気持ちも分かります。では、どうすればいいのか?人を変えることはできないし、変えようとしてはいけません。人というのは自ら変わりたいと思った時に、初めて変わることができるのです。「あなたにこうして欲しい」「あなたにこう変わって欲しい」を上から目線で押しつけない。夫を変えようとするのではなく、夫が自ら「変わろう」と思うような機会を提供するのです。例えば、「夫のファッションセンスが理解不能。もういい大人なんだから、もっとちゃんとした格好をしてよ。一緒に外出するのも恥ずかしいから、私が選んだものを着てちょうだい」というのが、妻のホンネだとします。それをそのまま伝えたら、夫は自分の趣味を否定された気持ちになって傷ついたり、腹を立てたりするでしょう。では、「夫の着るものを変える」というゴールは同じであっても、伝え方を変えてみたら?「もっと正統派のおしゃれのほうが、あなたの魅力が引き立つと思うのよね。ちょっとあなたに着てみて欲しいお洋服があるんだけど…」まずは、相手の好みや趣味を否定しない。そして、妻の好み(夫自身の趣味ではない)を受け入れるか否かの選択権を、あくまで夫に委ねてみるのです。この後者の方法であれば、夫が「自分を否定された」と思うことも、「自分を曲げるよう強要されている」と感じることもないでしょう。このやり方であれば、妻の「要望」が夫に対する「モラハラ」になることもないのです。■妻のモラハラ行為「実は自信のなさの裏返し?」モラハラモンスター化防止のため、そして夫と幸せで安定した関係を築くために大切なポイントの二つ目は「自信」です。「モラハラモンスターって、自分や自分のやり方に自信過剰な人がなるんじゃないの? それなのに、モラハラモンスター化防止に大切なのは自信…?」そう思った方もいるでしょう。確かにモラハラ系モンスターは一見、「我が道に自信満々」というタイプに見えます。けれども、最近急増中なのは「自信満々に見えて、実は本当の意味での自信をまったく持てずにいるタイプ」のモラハラモンスターワイフです。「私の人生、これでいいのかしら?」などと、自分の生き方に漠然とした不安を抱いている妻。彼女たちは「新しいライフスタイル」や「洗練」といった言葉に弱く、常に「よりよい暮らし」を目指さなければならないような気がしています。これまでにも何度かお話ししてきましたが、ある種の妻たちにとって現代社会は非常に危険な社会です。自分自身のことをしっかり理解できず、自分のスタイルを確立できていないと、情報に流されてしまいます。インターネットによって無限の情報にアクセスすることができるようになりましたし、SNSの普及で人の暮らしをのぞき見ること、自分のライフスタイルを発信することが可能になりました。人の暮らしぶりや持ち物にいちいち嫉妬して張り合いたがる。自分だって幸せだと、見えを張りくなる。自分のスタイルが確立できていないから、ちょっとおしゃれに見える他人のスタイルをすぐにまねしたくなる。新しいもの、話題のものにすぐに飛びついて夢中になる。けれど、それが本当に自分が求めているものなのか、自分に合ったものなのか確信が持てないから、不安をかき消すために周りの人まで巻き込もうとするのです。本当に自分のこと、自分の求めるものを知っていて、自分の生き方に満足している人の心は安定し、落ち着いています。そんな妻は、以下のようなこととは無縁です。「没頭できるものがないと、不安で落ち着かない」「よさそうなものを目にすると、とりあえず片っ端から飛びつかずにはいられない」「何かが『マイブーム』になると、周囲の人にも加わって欲しくて仕方がない」自分の信条がしっかりしている人ほど、人の生き方も尊重できます。そして、人に押しつけられたライフスタイルや人にねじ曲げられたテイストでは、結局うまくいかないことも分かっています。自分に自信を持ち、自分の生き方に満足している妻は、「私もOK、あなたもOK、みんなOK!」と考えられるのです。そんな妻の心には、モラハラモンスターも侵入できません。知らず知らずのうちに、夫を全否定してその心を荒ませるモンスターワイフと化さないように。「私は私、夫は夫」という冷静な線引きができ、「私は私の生き方に満足」と思える、理性的なハッピーワイフを目指してください。
2018年11月11日ミスタードーナツから、「ポケットモンスター」の新作ゲームソフトとコラボレーションした「ミスド ポケモン ドーナツ」とコラボレーショングッズ「misdo Pokémon ウィンターコレクション」が登場。2018年11月16日(金)より、全国のミスタードーナツにて期間限定で発売される。ミスタードーナツとポケモンのコラボレーションは、「ポケットモンスター」シリーズの最新作『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ』『ポケットモンスター Let’s Go! イーブイ』の発売を記念して行われる。これらのゲームソフトは、1998年にゲームボーイソフトとして登場した「ポケットモンスター ピカチュウ」をベースに、「ニンテンドースイッチ」と「ポケモン GO」の特徴を組み合わせ、遊び方やシナリオを再構築したものだ。ミスド ポケモン ドーナツ「ミスド ポケモン ドーナツ」は、「ピカチュウ ドーナツ」と「モンスターボール ドーナツ」の2種類。「ピカチュウ ドーナツ」は、ふんわり食感の“ピカチュウ”型ドーナツをバナナ風味のチョコでコーティングし、可愛い表情を細かに再現した。また、「モンスターボール ドーナツ」は、ストロベリー風味のグレーズとホワイトチョコをコーティングして“モンスターボール”に見立てている。なお、「モンスターボール ドーナツ」は、ピカチュウとイーブイがそれぞれデザインされたケースで提供される。misdo Pokémon ウィンターコレクション「misdo Pokémon ウィンターコレクション」のマグカップは、ドーナツの“ふんわり感”や“もちもち感”をイメージし、柔らかいタッチでポケモンやドーナツを表現。ピカチュウの顔を大きく描いたものと、クリスマスツリーに見立てたドーナツの周りでイーブイとピカチュウがパーティを行う様子を捉えた2種類のデザインで展開する。なお、オリジナルコースター付き「お店で会おう!セット」、オリジナルボックス付き「お持ち帰りで会おう!セット」の2種類を取り揃えており、好きな「ミスド ポケモン ドーナツ」とマグカップを一緒に楽しむことが出来る。クリスマス限定ドーナツさらに、11月9日(金)から12月25日(火)の期間は、クリスマス限定ドーナツが発売される。新発売の「ふゆだるま」は、ふわふわした食感のシュー生地に、ホワイトチョコやストロベリーチョコのコーティング。その上に、鼻に見立てた赤くて丸いチョコレートをトッピングして、赤い帽子型のピックをかぶせた。その他、ポン・デ・リング生地にチョコレートやストロベリー風味のグレーズをかけて、カラースプレーや銀箔シュガーを飾った「ポン・デ・リース」や、オールドファッションにバナナ風味のチョコをコーティングした「リースファッション」をラインナップ。また、これらを一口サイズにした「クリスマスドーナツポップ」も登場する。「ミスド福袋2019」もポケモンとコラボレーションミスタードーナツとポケモンがコラボレーションした「ミスド福袋2019」が、12月26日(水)から順次発売される。ドーナツの“ふんわり感”や”もっちり感”を表現したポケモンやドーナツが、ブランケット、クリアファイル、ミニトート、小物入れ、カレンダーの福袋グッズとして登場。デザインされるポケモンには、新しく、ヒトカゲ、フシギダネ、ゼニガメが仲間入りする。毎年人気のドーナッツ引換券付き福袋2種に加え、今年は全てのグッズが手に入る福箱も発売される。詳細■ミスド ポケモン ドーナツ発売期間:2018年11月16日(金)~12月下旬(順次販売終了予定)販売店舗:ミスタードーナツ全店(一部ショップを除く)価格:・ピカチュウ ドーナツ 216円(税込)・モンスターボール ドーナツ 216円(税込)■misdo Pokémon ウィンターコレクション<数量限定>発売期間:2018年11月16日(金)~12月25日(火)販売店舗:ミスタードーナツ全店(一部ショップを除く)価格:・お店で会おう!セット 800円(税込)・お持ち帰りで会おう!セット 1,080円(税込)※「お持ち帰りで会おう!セット」は11月9日(金)~予約開始■クリスマス限定ドーナツ発売期間:2018年11月9日(金)~12月25日(火)販売店舗:ミスタードーナツ全店(一部ショップを除く)価格:・ふゆだるま(ホワイト/ストロベリー) 162円(税込)・ポン・デ・リース(チョコレートスノー/レッドスノー) 151円(税込)・リース ファッション イエロースノー 151円(税込)・クリスマスドーナツポップ(6種) 1個 37円/8個入り 270円/16個入り 520円/24個入り 760円■ミスド福袋2019発売期間:2018年12月26日(水)~順次発売※ショップ在庫がなくなり次第終了販売店舗ミスタードーナツ全店(一部店舗を除く)価格:福袋 1,080円(税込)・2,160円(税込)、福箱 3,240円(税込)※販売開始日、種類、内容等はショップにより異なる。詳細は12月5日(水)よりホームページに掲載。※ドーナツ引換カードは、172円(税込)以下のドーナツと引換可能。※ショップによってドーナツ引換カードではなく、実際の商品提供をされる場合あり。※ドーナツ引換カードは、全国のショップで利用可能。(一部ショップ除く)※ドーナツ引換カードの有効期限は、2019年3月31日(日)まで。※グッズの種類指定は不可。※小物入れは「食品容器」としての使用不可。※優待券、ミスタードーナツカードの0のつく日10%OFFキャンペーンカードは対象外。【問い合わせ先】ミスタードーナツお客さまセンターTEL:0120-112-020
2018年11月11日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「親しき仲にも礼儀あり」とは、人生の真実。とはいえ「親しい」どころのレベルではなく「運命共同体」である夫婦の間で、このことをきちんと理解できていないケースが多いのは非常に残念なことです。夫婦としてどれだけ親しい、近しい関係にあろうとも、夫はあなたとは別の人間。あなたとは違う感じ方、考え方、好み、ポリシーを持っていて当然なのです。ところが、そんな当然のことを認められない、認めたくない場面が出てきてしまうのが、夫婦生活の難しいところ。「この人の、こういうところがどうしても理解できない。苦手」「親身になってアドバイスしてるのに、まったく聞く耳を持ってくれなくて頭にきちゃう」相手が知人や友人ならば、距離を置くという選択をすることも可能です。けれども、夫婦となると、そうはいきません。毎日顔を合わせなければならないし、簡単に距離を置くことなどできない。今後もおそらく、ずっと一緒にいる相手。お墓もおそらく一緒…。だからこそ、夫を自分の都合がいいようにしたい。夫に気になる言動があったら、直して欲しい。夫にも、自分のやり方に従って欲しい。そう思うようになってしまうのです。「長い人生を共にする、代えなどきかないパートナー」だと思うからこそ、「相手と自分は違う人間」という当たり前過ぎる事実が見えなくなる。相手を支配したいと思うようになってしまう…。妻の中のこうした傾向は、夫の人格を否定する「モラハラ系モンスター」の卵。このタイプのモンスターワイフは、夫という自分とは別の人間の存在を無意識に否定し、夫婦仲を崩壊させます。あなたも知らないうちに、モラハラ系モンスターへの第一歩を踏み出し始めていないでしょうか?悪気などまるでなく、けれども気づけば完全なモラハラモンスターと化していた友梨佳さんのケースを参考にしてみてください。■断捨離に狂ったモラハラ系妻「家から次々とモノがなくなっていく…」「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」代表:友梨佳(仮名)34歳の場合裕貴は我が家のドアの前に立つと、ドアノブに手をかけて大きくひとつ深呼吸をした。最近ではこの瞬間が、一日の中で最も緊張する時間かもしれない。意を決して家の中に入る。リビングに異変はない。そこから見えるキッチンも、問題なさそうだ。鍋の中をのぞき込みながら「おかえり」とつぶやくように言った妻の友梨佳の様子も、いつもと変わりない。よかった。今日我が家では、何も起こらなかったようだ…そう胸をなで下ろして洗面所のドアを開けた裕貴はギョッとした。洗面所が、異様に広々として見える。それもそのはず、1年半前に友梨佳に懇願されて渋々購入した乾燥機が、跡形もなく消え去っているのだ。裕貴が唖然としていると、いつの間にか彼の背後に立っていた友梨佳が、不気味な笑いを浮かべて言った。「どう?スッキリしたでしょ。乾燥機も断捨離しちゃった。やたら場所を取るし、やっぱり服を傷めちゃうし。それにね、ネットで見たんだけど、乾燥機にかかる平均的な1カ月分の電気代って…」裕貴は嬉々としてしゃべり続ける妻の声が、遠のいていくのを感じた。勘弁してくれ。毎日毎日、家の中から何かしらなくなっていく。最初は、去年のクリスマスにねだられたホームベーカリーだった。次はトースター。続いて炊飯器が消えた。そして、今度は乾燥機?裕貴は文字通り頭を抱えると、「断捨離」の素晴らしさについてお決まりの熱弁を続けている妻をその場に残して、フラフラと寝室に逃げこんだ。■浪費と衝動買いを繰り返す「片づけられない妻」友梨佳と裕貴は、ともに27歳の時に結婚した。いわゆる「授かり婚」で、長女の芽衣は今年7歳。2歳下には長男の海斗もいる。少々いい加減でだらしないところはあるが、基本的に明るくニコニコしている友梨佳。優柔不断なところもあるけれど、穏やかで優しい裕貴。2人の結婚生活は、それなりにうまくいっていた。けれど、経済的な不安はあった。裕貴は小さなメーカー勤務で、収入はそれほど多くない。それなのに働くのが嫌いな友梨佳は第一子妊娠を理由に、ほとんど独断でショッピングモールの販売員の仕事を辞めてしまったのだ。長男の幼稚園入園後、夫にせっつかれてようやく友梨佳は重い腰を上げ、パート先を探し始めた。友梨佳の口癖は「好きなことしかしたくない」。そんな調子なので彼女の仕事探しはなかなか進まず、夫婦けんかも増えた。妻の「好きなこと」は、世の中にあまりないように裕貴には見えた。しょっちゅう「何か楽しいことないかなぁ」などと言いながらダラダラとネットサーフィンを続け、その時々の流行の商品やサービスを購入したりする。だが、どれも1カ月もしないうちに、友梨佳はきれいサッパリ忘れ去ってしまう。そんな性格の反動なのか、数年に一度、何かにハマると友梨佳はすさまじい勢いで熱中した。彼女が好条件とは言えない雑貨屋のパートの職にあっさり収まったのも、そのショップの雑貨にハマったからだった。キッチン小物やらベランダ用の置き物やらガーデニング用品やら、友梨佳はしょっちゅう細々したものを購入してパートから帰って来る。稼いだそばから浪費してしまうのも困りものだったが、それ以上に裕貴を困惑させたのは、どんどんひどくなる家の散らかりぶり。「春になったらハーブを植えるのよ。そのハーブを使ってお料理するの。すてきじゃない?」友梨佳はそんなことを言って自分の妄想にうっとりしているが、実際に春が来る頃にはそんな妄想などすっかり忘れているに違いないと、裕貴はため息をつく。一体どうして妻は、「ベランダ」というより「エアコンの室外機置き場」と言ったほうがいい小さな小さなスペースのために、これだけ大量のモノを購入してくるのだろう。キッチンだってそうだ。同じようなものをすでに持っていても、「デザインがすてき」、「ひと工夫あって使いやすい」などと言って、似たようなものを山ほど買ってしまう。おかげでキッチンも、モノだらけでグチャグチャ。その収納のために「すきま収納」家具が欲しいと友梨佳が言い出した時には、さすがの裕貴も異議を唱えた。「家具を増やして収納することより、少しはモノを減らすことも考えてくれよ。似たようなものがいっぱいあるじゃないか。同じようなものは処分するなり、ネットで売るなりできないのか?」自分の要望が通らず、友梨佳は逆上した。「何よ。私は家族のためにおうちをすてきな場所にしようと思って、そのためのアイテムを買いそろえてるのに。それに、料理なんてほとんどしない裕貴に、キッチン用品の使い勝手なんて分からないでしょ。何にも分からないくせに、口出ししないでよ」こうして始まった冷戦は結局、友梨佳が自分のパート代ですきま収納家具を購入し、裕貴がそれを黙認するまで続くことになった。この家が足の踏み場もない状態になるのも、時間の問題だな…。さらに狭くなったキッチンをながめながら、裕貴はがっくりと頭をたれた。 ■断捨離に目覚めた妻「トースター、炊飯器、次は…」やりすぎで生活崩壊ところが、事態は思わぬ展開を見せた。雑貨コレクターと化していた友梨佳が、断捨離ブームに乗っかったのである。「モノに依存しても、本当の幸せは得られないって気づいたの。それどころか、モノをためこむことで、幸せは逃げていってしまうみたい。これからはできる限り、シンプルライフを目指すわ」断捨離に関する本や雑誌を、散らかり放題のテーブルに山積みにして満足そうに笑う友梨佳。どうせ断捨離のムック本やら、お片付け講座のDVDやらが増えて、さらに部屋が狭くなるだけに違いない。そう思っていた裕貴だったが、翌週から本当に部屋が片づき始めた。毎晩裕貴が帰宅すると、友梨佳は夫の帰りを待ち構えていたかのようにやって来て、すごい勢いでまくし立てた。「今日はゴミ袋4つ分捨てちゃった」「しゃもじはね、厳選してこれ一つだけ残すことに決めたの」「私はこれまで新しいモノを買うことで、『新しい自分』になれるような気がしてたんだけど、今は違うの…」友梨佳は何やら、断捨離によってすさまじい充足感・達成感を得ているらしい。その没頭ぶりは多少異常なような気もしたが、とにもかくにも部屋が片づくのは素晴らしい。裕貴はそう思い、妻の変化に目を細めていた。しかし、そんなふうに呑気に構えていられたのは最初のうちだけ。裕貴はすぐに、断捨離にハマり過ぎた妻についていけなくなっていった。似たようなものが山ほどある、鍋しきやら調味料ケースを断捨離してくれるのは大歓迎。だが、さんざんねだられて買ったばかりのホームベーカリーを手放したと聞いた時には、裕貴も驚いた。「まだ新品同様だったじゃないか。これからまだまだ使えたのに…」「そういう問題じゃないのよ」決然とした口調で、まるでその道の専門家か何かのように友梨佳が解説する。「『まだ使えるモノ』であっても、『実際には使っていないモノ』を家に置いておくのが大問題なわけ。使われていない不要なものは、負のエネルギーを出すようになっちゃうんだから」確かにホームベーカリーは購入直後に2、3度使われたきり、まったく使用されていなかった。費用を負担した裕貴としては「もったいない」という気持ちはあったが、これからもずっと使われない運命にあるモノに、決して広くない家の中の空間を占拠させておくほうが「もったいない」のかもしれない。裕貴はそう考えて、自分を納得させることにした。ところが、しばらくしてトースターまで捨てたと言われた時には裕貴は訳が分からなくなった。「トースターは毎日使ってるじゃないか」すると友梨佳は、「まったく、これだから何も知らない人は…」と言わんばかりの顔で答えた。「トーストなんて、フライパンでもできるんだから。ミニマリストの間では、家電を減らしてほかのもので代用するのは常識よ、常識」ミニマリスト…? ついこの間まで「私って『ステラレネーゼ』なの」などと言っていた妻が、一体いつの間にミニマリストになったというのだ。裕貴はひたすら理解に苦しんだ。その間にも友梨佳の断捨離熱は、ひたすら過熱していった。次に姿を消したのは、炊飯器。友梨佳に言わせれば、「時短料理ブームの時に買った圧力鍋を使えば、あっという間にごはんが炊けるから炊飯器なんていらない」とのことだった。ところが、そこはもともとズボラな友梨佳のこと。「フライパンでトースト」も「圧力鍋で炊飯」も1週間と続かず、朝食のパンは「トーストしなくたっていいじゃない」とそのまま出されるようになり、ごはんの代わりに麺類ばかり出される日が続いた。「今日は米が食べたい」と裕貴が何日か連続でリクエストすると、とうとう「そんなにごはんが食べたければ、コンビニでパックのやつ買ってきたら?」などと言い出す始末。この頃になると、断捨離に関する夫婦けんかが急増した。「何でもかんでも後先考えずに処分して、生活に支障が出てきてるじゃないか」「支障って何よ? 家の中はどんどんスッキリ、快適になってきてるじゃない。きれいなものはネットフリマで売ると2000円位になるのよ。上等じゃない!」「なんだよ、その言い方。俺は前みたいに毎日普通に米が食べたいし、子どもたちだって朝はトーストが食べたいって言ってるだろ。快適、快適って言い張ってるのは、友梨佳だけじゃないか」こんな時、友梨佳はお決まりの「あきれた」「あなたは何も分かってない」という顔をする。そして、やれやれと首を振りながら言うのだ。「あなたは本当の『快適』の意味が理解できてないのよ。麺か米か? パンがトーストしてあるかどうか? そんなことが本当に重要だと思ってるの? だとしたら、あなたはこの過剰消費社会に踊らされてるのよ。あれこれ用途別に家にモノを増やして、それで快適な生活を手に入れているつもりなんだとしたら、そんなの健全じゃないわ。モノだらけの空間は精神衛生上よくないし、お金も浪費…」「じゃあコンビニの白米パックやコインランドリーは何なんだよ!」裕貴はすかさず反論した。「乾燥機なんてスペースばっかり取って服を傷めるって言って処分しておいて、やっぱり干すのが面倒でコインランドリーに頼ってるのは一体、何なんだ? せっかく買ったものを何にも考えずに処分して、新たな出費まで発生してるようじゃ、それこそ浪費以外の何物でもないじゃないか」「どうしてあなたは、いつもそうなの!?」ここで友梨佳は、まさかの逆ギレ。「私はいつだって家族のために、最善のライフスタイルを目指して頑張ってる。それなのにあなたは、いつもそうやってあげ足を取って、ケチをつけて…。どうして私の気持ちを分かってくれないの!?」こうして友梨佳の大爆発で、何の解決にもならないまま、けんかが強制終了されるのがいつものパターン。友梨佳は自分のやり方が通らなければ逆上し、泣きわめく。裕貴はそんな日々に疲れきっていた。けれども実は、この頃はまだよかったのだ。友梨佳の断捨離テリトリーが、主婦の主戦場であるキッチンや洗面所に限られていた頃は…。 ■「パパ、ダメね~」子どもを味方に断捨離を強要する妻そのうち友梨佳はベッドまで断捨離したいと言い出した。さらには、裕貴の個人的な持ち物にまで、連日うるさく口出しするようになる。「ねえ、このカタログ捨てていいでしょ」「この漫画本、全然読んでないじゃない。売りましょう」「あなたのクローゼットで、こんなシャツ見つけたんだけど。悪趣味よ。全然あなたに似合わない。捨てちゃっていいわよね」自分の持ち物にまで、断捨離に狂った妻の魔の手が伸びてきそうになり、裕貴も自分の身を守るために徐々に攻撃的になっていく。もはや断捨離をめぐる衝突は、日常の一部と化していた。ひたすら断捨離の素晴らしさを説き、それを夫にも押しつけようとする友梨佳。そんな妻を異常だと感じ、抵抗する裕貴。自分が理想とするライフスタイルを認められず、じれにじれた友梨佳は、とうとうこの問題に子どもたちまで巻き込み始めた。裕貴と口論になると、これ見よがしに子どもたちに向かって大声で言うのだ。「パパったら、いらないものをいつまでもためこんでダメねぇ。整理整頓ができなきゃダメって、幼稚園でも習うわよねぇ」「あーあ。パパはまだ、使わないものを捨てられずにいる。芽衣ちゃんと海斗くんは、パパみたいな大人になっちゃダメだぞー」子どもたちの前で「ダメな大人の見本」扱いされるにいたって、裕貴の妻を見る目も完全に変わってしまった。以前はズボラでミーハーで、とても「できた奥さん」とは言えなくても、それなりにかわいいところもあって、一緒にいて楽しいこともあった。けれども、今の友梨佳は独裁者だ。家庭内で自分の設定したルールが通らなければ即、激怒。自分のやり方こそ正しく、これを認められないのはお前がダメだからだという態度。そのうえ、子どもたちの前で、「パパはダメ人間」と毎日のように繰り返す。一体なぜこんな妻と一緒にいるのか。裕貴はいよいよ分からなくなってきた。■ついに夫のコレクションまで断捨離、その結果…そんなある日、決定的な出来事が起きた。大けんかの翌日、仕事から帰った裕貴がパソコン部屋に入ると、コレクションしていた映画のキャラクターのフィギュアが消えていた。何が起きたか、疑問に思うまでもなく一瞬で分かった。友梨佳が捨ててしまったのだ。持ち主である裕貴に何の相談もなく、何の許可も得ずに。裕貴専用のパソコンの横の、小さな箱に収められた、本当にささやかなコレクションだった。そんな小さな空間であっても、友梨佳は自分にとって「ムダなもの」にスペースを取られるのが、どうにも我慢ならなかったらしい。裕貴はリビングで、ミニマリストのブログに夢中になっている友梨佳に話しかけた。「お前の言う通り、健全な人生のためには、思いきっていらないものを捨てる覚悟も必要かもな」友梨佳はびっくりした顔でスマホから顔を上げたが、その顔はすぐに輝くばかりの笑顔に変わった。「もう! やっと分かってくれたのね! そうよ。ムダを排除して、本当に必要なものだけを持つことが一番大事なの。そういう生き方を、子どもたちにも早い段階から見せてあげることが…」友梨佳の弾んだ声を、裕貴がキッパリとした口調でさえぎった。「それなら俺が真っ先に断舎離すべきは、友梨佳、お前だよ」今ではガランとしたリビングで、友梨佳はポカンと口を開けたまま裕貴を見上げていた。「私が進む道こそが、我が家が進むべき道」と断捨離に没頭した友梨佳さん。夫の意見も持ち物も勝手に断捨離した結果、自分自身が夫の断捨離対象になってしまいました。果たしてこの夫婦の行く末は? 次回は、モラハラ系モンスターの診断チェックテスト、そして友梨佳さん、裕貴さん夫婦の結末をご紹介しましょう。
2018年11月10日常盤貴子が2019年1月期の日曜劇場「グッドワイフ」にて主演を務めることが決定。アメリカの人気海外ドラマの日本版となり、2000年に社会現象を巻き起こした「Beautiful Life ~ふたりでいた日々~」以来、実に19年ぶりのTBS日曜劇場主演となる。■エリート検事の夫がスキャンダルで失墜…16年ぶりに復帰する弁護士に常磐貴子が演じるのは、16年ぶりに弁護士に復帰することになった蓮見杏子。出産を機に弁護士の仕事を辞め、専業主婦としてエリート検事である夫を支え、子どもを育ててきたが、ある日突然、東京地検特捜部長である夫が汚職の容疑で逮捕、さらに女性スキャンダルまで発覚し、家族に尽くしてきた杏子の人生は一変する――。夫のスキャンダルの真相も明らかにならない中、子どもたちを守るために杏子は復職を決意。そして司法修習生時代の同期の助けで、その同期が経営する法律事務所に仮採用され、16年ぶりに弁護士として復帰する。とはいえ、スキャンダルの渦中の妻として世間から向けられる好奇の目、さらに16年ものブランクは計り知れず、悪戦苦闘する日々。それでも杏子は強い信念を持ち、“自分をあきらめずに”、自分の弱みも逆手にとって強く生き抜いていく中で、弁護士として、人として成長していく。久しぶりの仕事の雰囲気に戸惑いながらも、任された事件と向き合い、依頼人に寄り添いながら解決していく杏子の姿は清々しいもの。近年、映画や大型ドラマでその存在感を見せてきた常盤さんが、信念とプライドで“運命を切り拓いていく”女性をどう演じるのか、期待がかかる。19年ぶりの日曜劇場に「新人女優として頑張ります! という清々しい気持ち」「自分では19年も経った気がしない」と話す常盤さんは、「元々私はTBSに育てていただいたようなものなので、『ただいま』と帰ってきた感じがあります」とコメント、「これからが楽しみでもあり、また新人女優として頑張ります! という清々しい気持ちでもあります」と心境を語る。「杏子同様、私も久しぶりにこの日曜劇場に主演で帰って来て、やる気に燃えています。しかも個性豊かな素敵な俳優さんたちとの共演は、楽しみで仕方ありません」と、熱い決意を明かしている。■小泉孝太郎が手を差し伸べる弁護士に!吉田鋼太郎&滝藤賢一は天敵!?苦境の杏子に手を差し伸べる、同期の弁護士・多田征大を演じるのは小泉孝太郎。多田は司法修習生時代に、密かに杏子に想いを寄せていたが、今回、夫に裏切られた杏子の姿を目の当たりにして、再び杏子への想いに火がつく。杏子の優秀さも認めており、共同経営する神山多田法律事務所に、弁護士としてブランクのある杏子を雇い入れる。多田本人は依頼人の利益を最優先し、あらゆる手法で勝訴してきたビジネスライクに仕事をこなす敏腕弁護士。しかし、依頼人と真摯に向き合う杏子の姿を見ているうちに、弁護士としての姿勢が揺らぎ始める…。また、夫に代わって東京地検特捜部長の席に座る、最大の敵・脇坂博道役には吉田鋼太郎。杏子の夫のライバルとして、また検察内部での出世のために夫を尋問して汚職事件を暴く。杏子の夫の部下だった特捜部員・佐々木達也役には滝藤賢一。果たして、汚職事件の真相はどこにあるのか?この事件を巡る攻防も大きな見どころとなる。■水原希子&北村匠海が同僚に!賀来千香子は厳しい上司そして毎回、やっかいな案件をチームで追い、真相に迫っていく神山多田法律事務所の様子も見どころの1つとなる。事務所の優秀なパラリーガル・円香みちる役には水原希子。豊富な交友関係を駆使して重要な情報や証言を手に入れる、弁護士たちの右腕となっているミステリアスな女性だが、杏子に対しては好意的ではなさそうで…。そんな円香が抱える事情にも注目。一方、新人弁護士・朝飛光太郎役には北村匠海。上司にズバズバと意見するが、抑えるべきところは抑える愛されキャラ。杏子と同じく仮採用だが、実は事務所の雇用枠は1つ。杏子と朝飛はそのたった1席を巡って争うことになり、朝飛は常に杏子の動向を気にする。さらに神山多田法律事務所で多田と共同代表を務める神山佳恵役に賀来千香子。やり手の弁護士で仕事に全てを捧げてきたため、普通の主婦から16年ぶりに弁護士に復帰した杏子には厳しい態度を見せる。表現の自由、過重労働、集団訴訟など、彼らが取り扱うのは“いつ、誰が巻き込まれてもおかしくない”」事件。どんな糸口を見つけて解決していくのかにも、毎回目が離せない。■原作はリドリー・スコット製作総指揮の全米大ヒットドラマ!原作となるのは、リドリー・スコットが製作総指揮を務め、「ER緊急救命室」の実力派ジュリアナ・マルグリーズが主演と製作を務めた「グッドワイフ 彼女の評決」。2009年から7年間アメリカで放送され、テレビ版のアカデミー賞と呼ばれるエミー賞やゴールデン・グローブ賞を多数受賞。法廷ドラマを中心にしながら、政治と家庭の両面を鋭く描き、そのリアリティーと劇的な展開から全米で大人気を博した。韓国でもリメイクされており、ロシアでも2019年のリメイクが決定。今回の日本版では、夫の事件に隠された真相を、原作とは違うオリジナルの展開で描くという。プロデュースは「99.9-刑事専門弁護士-」でリーガルドラマを大ヒットさせた瀬戸口克陽と東仲恵吾。脚本を担当するのは、社会派をテーマにした作品に定評がある篠崎絵里子。演出は、「アンナチュラル」「リバース」などを手がけ、『コーヒーが冷めないうちに』では映画初監督も務めた塚原あゆ子が担当。人生が一変した杏子を筆頭に、岐路に立たされた登場人物たちが信念やプライドを武器に運命を切り拓いていく、痛快なリーガルヒューマンエンターテインメントを楽しみにしていて。日曜劇場「グッドワイフ」は2019年1月、TBS系にてスタート。(text:cinemacafe.net)
2018年11月05日ようやく授かったわが子が、かわいくて仕方がない。この子のためなら、なんだってしてあげたい。食事の内容もインテリアも、頭の中、心の中まで、とにかく子ども第一。いつも笑顔で甲斐甲斐しく子どもの世話を焼く、愛情いっぱいの母親…。とても理想的な母親に見えます。実際、母親としては百点満点といえるでしょう。ところが、時間も気力も体力も子どもだけに傾注した結果、夫婦仲が崩壊。 前回 ご紹介したケースの主人公、亜由美さんはそんな女性でした。亜由美さんと敬二さんのように、目に見える大きな衝突にはいたらなくとも、妊娠・出産という夫婦にとっての一大イベントをへて、夫婦仲が冷えきってしまうのは決して珍しいことではありません。特に、妻が「母」でしかなくなり、「妻」として機能しなくなってしまった、機能不全の夫婦。そんな夫婦は年月をへるごとに、どんどん夫婦仲が悪化していく傾向にあります。確かに母親業は重労働。持てる時間もエネルギーも、すべて吸い取られゆく…そんな気持ちも分かります。わが子を愛すればこそ、わが子のために良い母親になろうとすればこそ、疲労度もアップ。「そんな毎日の中で、夫になんか構っていられない」「夫は大人なんだから、自分のことは自分でやってくれなくちゃ。これ以上、私を忙しくしないで」「どうせ頼りにならない夫が、たまに育児に口をはさんでくると頭にきちゃう。いつも子どもの面倒を見ているのは私だし、私のほうがずっと子どものことを分かってるのに。思いつきみたいに余計なことを言って、私の足を引っ張らないで!」「こっちがクタクタに疲れてるのにセックスとか言われると、もうドン引き。そもそも子どもが生まれてそんな気分になれないから、誘われると『気持ち悪い』と思っちゃう」そんな風に言いたくなる気持ちも、分からないでもありません。妊娠・出産による環境やホルモンバランスの変化で、妻が夫を拒絶するようになってしまう。本能的に子どもを守り育てることに必死で、「足を引っ張られた」と感じたら、相手が夫でも攻撃対象となり、「敵」とみなしてしまう。これらはよく知られた事実です。生後間もない、か弱い赤ちゃんを守り抜くために、女性に備わった本能。しかし、ただ事実を事実として、本能を本能として受け入れるだけでは、なにも変わりません。こうした事実を踏まえたうえで、どう対処していくべきかを考えましょう。その第一歩として、あなたが本能のなすがままに「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」モンスターと化してしまう危険度をチェックしてみてください。■「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度チェックここでは、あなたの「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 子どもさえいてくれれば、夫は留守でも構わない。2. 子どもには持てる限りの時間とお金と労力を、すべて注いであげたい。3. 子育てこそ、女性の最大の幸せだと思う。4. 育児や子どもの教育について、夫はあてにならないと思う。5. 母親がどれだけ育児や教育に関する知識を持っているかで、子どもの人生は決まると思う。6. 妊娠中、産後を通して、育児書とネットが最高の友だちだった。7. 育児以外の仕事、人間関係の優先順位が下がるのは仕方がない。8. 妊娠・出産をへて、夫にイライラすることが急増した。9. 産後、夫の誘いを断り続けている。 10. 子どもが生まれてから、夫を家事や育児の足手まといだと感じるようになった。■あなたの「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、“子どもが恋人”ママ度「C」(今はまだ、ただの「いいお母さん」ですが…「いい奥さん」であることも忘れないようにしてください)○の数が6個以上8個未満は、“子どもが恋人”ママ度「B」(「夫に回す時間や労力はない」という生活になりつつありませんか?)○の数が8個以上は、“子どもが恋人”ママ度「A」(「子どもさえいてくれれば、夫のことなんかどうでもいい」という態度に、夫は相当傷ついているはず)夫の敬二さんをズタボロに傷つけた、「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」モンスターの必殺技。それは「夫を完全無視」。夫として尊重されず、父親として頼りにされず、男として求められない。だから家庭に居場所がない。「あなたの考え? 気持ち? したいこと? そんなの興味ないわよ」「あなたは精子バンクとATMとしてだけ機能してくれれば、それでいいの」そんな亜由美さんの態度に敬二さんはずっと傷つき、怒りを募らせていました。幸い女性の産後うつに関しては、少しずつ情報が増えてきています。赤ちゃんの誕生で突然環境が変わり、心身ともに疲労困ぱいしている妻に、夫が言ってはならない禁句があるそうです。それは…「母親になったんだから頑張れ」「ママなんだから我慢しないと」なんだそう。では、子どもの誕生後の夫の状況は? 男性は出産という、肉体的な大ダメージを受けずにすみます。ホルモンバランスの変化による、精神的なゆらぎもないでしょう。だからこそ、「いかにして夫が妻を産後うつから守るか」が重要視されていますね。けれど、夫だって父親1年生。なんでもかんでも「父親なんだから我慢」「妻は心身ともに参っているんだから、夫が我慢してやれ。折れてやれ」と言われていては、不満がたまるのは当然です。こんなことを言う妻がよくいます。「私は妊娠・出産で体の状態が変わってセックスどころじゃないのに、夫に求められると本当にゲンナリするんです。確かに男性は妊娠も出産も経験しないから、女性の体や心の変化を体感することはできません。でも、ちょっと想像すれば分かりますよね? あんなにおなかが大きくなって、人ひとりを生み出すんですよ。ちょっと考えれば、セックスどころじゃないことくらい、分かりますよね? そう思うと、本当に夫にイライラして」身も心も疲れ切っている時期に、そう思ってしまうのは無理もないかも知れません。けれど…そんな妻たちこそ、思いやりを持たなければ。男性は妻の妊娠期間中といえども、自動的に性欲スイッチがオフになるわけではありません。女性が男性の性欲のメカニズムを体感することはできませんが、ちょっと考えれば、「妻の妊娠中であれ産後であれ、夫の性欲は普通に存在する」のです(妊娠中の妻は対象にならない夫もいますが)。それでも新たな命を育み、生み出すために、妻は全身全霊で頑張っている。それが分かっているから、夫たちは自分の性欲を我慢するのです。それなのに、夫が頃合いを見計らって、勇気を出して、「そろそろ、どう?」とおうかがいを立ててきた時に、妻が相手をさげすむような態度で冷たく拒絶したら…夫だって「やってられない」という気持ちになってしまいます。そして「産後セックスレス」へまっしぐら。とはいえ「妊娠・出産・育児で体がつらかろうと、夫の誘いは断るべからず!」などと言うつもりはありません。もちろん応じることができればそれに越したことはありませんが、無理は禁物。妻たちに覚えておいてもらいたいこと。それは、子どものことだけで手一杯だからと夫のことを後回しにして、『そんなの当然』と開き直っていては、あっという間にモンスターワイフ化してしまうということです。これはセックスに限らず、夫婦の生活全般についていえることです。産後、時間も心身のエネルギーも、まずは子どもに回っていくのは避けられません。そこで妻が「仕方ないでしょ。あなた、父親でしょ。私の手をわずらわせないで」という態度を取るか。それとも「ごめんね。私も忙しくて疲れてて、あなたのことはいつも後回しで…」と、相手の抱える不満に理解を示すのか。夫に傾けることのできる時間やエネルギーの量が同じでも、妻の気持ちや態度によって、夫婦関係に大きな差が出てくるのです。■子育ては十数年、夫婦生活は数十年…どちらが大切?ここで、 亜由美さんのケース を振り返ってみましょう。子どもに夢中になった亜由美さんは、早々に夫をバッサリと切り捨ててしまいました。夫の気持ちや要望など、お構いなし。子どもさえニコニコしていればそれでよく、いつでも「あなた父親でしょ。子どものために、これくらいできるでしょ? こんなことも我慢できないの?」という態度。朝から晩まで、子どもにベッタリ。育児、教育に関する情報も徹底リサーチしているので、「わが子のことを一番よく理解しているのも、わが子にとってなにが良いかを知っているのも自分」と信じて疑わない。だから、夫が妻の育児・教育方針に意見しても、聞く耳を持ちません。最近の傾向に、「検索魔ママ」の急増があります。子どものことで知りたいことがあれば、すぐにネットで検索。初めての育児で疑問に直面した時にも、ネットのママコミュニティで質問し、教育の悩みも、ネットの相談サービスを利用します。育児書もおもちゃもおやつも、すべてネットで高評価のアイテムを検索してワンクリックで購入するのです。本来なら、子どもの父親である夫にも相談してしかるべき事柄まで、妻がネットでリサーチして自己完結。最高の相談相手であるべき夫が隣に座っているのに、妻はまったく目もくれず、ネットで見知らぬ他人に子育て相談…などという奇妙な現象まで発生しています。妻のこうした行為は、夫が父親として成長する機会を奪ってしまいます。妻に頼られ、子どもに求められ、家族に尊敬されてこそ、夫は成長していくのですから。こうした妻は普段、夫をスマホの育児アプリ以下の扱いをしておきながら、ネットや育児書で見つけた「理想の父親像」を夫に押しつけようとしたりもします。こうなると夫は当然、息苦しくて仕方がない。発言権を与えられず、「子どものために」と妻が独善的に設定したルールを強要される。夫が妻の思い通りに動かなければ、さんざん目の敵にされ、非難される。そして、それ以外の時には、見向きもされない。妻の妊娠中や育児中の、夫の浮気。どんな事情があれ決して正当化されてはならないし、許されることではありません。しかし、家庭に居場所を失った夫たちが、外に救いを求めた結果なのかもしれないという想像はできます。その後、亜由美さんと敬二さんは冷戦状態に突入しました。態度をあらためるつもりもなく、夫婦関係について話し合う気もないまま、「ねえ、2人目」という催促しかしてこない亜由美さんから、敬二さんの心は完全に離れてしまいました。催促を拒絶された亜由美さんも、子どもの前では相変わらずニコニコしていますが、敬二さんと2人きりになると、以前以上に冷たい態度を貫いているそうです。「離婚も真剣に考えましたよ。でも、妻は絶対に親権を譲らないでしょうし、僕も息子と離れるのはつらい。それに妻は、子どもを置いて働きに出るなんてことは考えられないでしょう。となると離婚した場合、一体僕は毎月いくら、妻と息子に払い続けなければならなくなるのか…」八方ふさがりです、と頭を抱える敬二さん。育児の真っただ中で時間的、体力的制約があっても。「正直今は、子どものことしか考えられない」という気持ちであっても。亜由美さんが夫に対してもう少し思いやりを示せていたら、状況は変わっていたはずです。息子の前でだけ演じる「見せかけの幸せ」ではなく、本当に幸せな家族でいられたかもしれないのです。もう子どものことで手一杯。子どもさえいてくれればそれでいい。セックスなんて、もう興味ないわよ。今そんな風に思っているあなたも、ちょっと考えてみてください。夫が忙しさを理由に、あなたの寂しさや不満を無視するようになったら? 子どもに手がかからなくなったら? 子どもが家を出たら? 夫にセックスを冷たく断られ続けたら、どんな気持ちになりますか?家族は夫婦に始まり、夫婦に終わります。子どもが巣立ってからも夫婦関係は続きます。熟年離婚や空の巣症候群のリスクは大きいのです。「今は子どものことしか考えられない」というあなたも、もう少し先のことを考えてみてください。そうして、今より少し思いやりを持って夫に接することができるようになり、夫婦仲がやんわりすれば…。それはあなたが愛してやまない、お子さんの幸せにもつながります。
2018年10月28日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「子どもが生まれたら、子ども中心の生活」。それが大多数の夫婦の現実かも知れません。けれど、そんなライフスタイルが、夫婦仲にヒビを入れる可能性があることも忘れてはなりません。自分の子どもがかわいいのは当然です。しかし、子どものことしか見えなくなり、夫との関係をおろそかにしていると…家族の基礎である夫婦仲が、確実にぜい弱化していきます。夢中で子どもを追いかけ回しているうちに、気づけば夫を置いてけぼりにしていた…。夫との間に、決定的な亀裂が入っていた…。今回ご紹介するのは、そんな亜由美さんのケースです。■悲劇は妊活から始まった…“子どもが恋人”ママモンスター誕生「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」代表:亜由美(仮名)38歳の場合「はるくん! タマネギもちゃんと食べなきゃダメだぞ~」大好物のナポリタンで口のまわりを真っ赤にした息子の陽翔(はると)に向かって、亜由美は言った。口では怒りながらも、亜由美の顔は満面の笑み。もうすぐ4歳になるひとり息子が、かわいくてかわいくて仕方がない。郊外の住宅街。子ども部屋やリビングのみならず、ダイニングスペースまで亜由美が厳選したおもちゃであふれ返る家。水色のエプロンをした亜由美は、満ち足りた顔で愛情いっぱいのまなざしを陽翔に向けている。陽翔も甘えん坊特有の上目づかいで、亜由美の顔を見つめている。絵に描いたような幸せな食卓…の片隅に亜由美の夫・敬二は、いつもの仏頂面で座っていた。「あら、あなた、食べないの?」敬二の手つかずのナポリタンを見て、亜由美は言った。「あのさあ、何度言わせるんだよ。俺はケチャップ嫌いだって言ってるだろ。それに甘ったるいタマネギも。なのに昨日はオムライス、今日はナポリタンってこれ…」さっきまで笑顔だった亜由美が、キッと鋭い視線を敬二に向ける。そして、そんな様子を息子には気取られまいと、視線とは裏腹の明るい声を上げて言った。「やだ~、パパがそんなこと言ってちゃダメだよねぇ。はるくんは、タマネギ食べれるでしょ? ほ~ら、パパに、お手本見せてあげて!」妻の取ってつけたような高い声と笑顔に、敬二はうんざりして顔を背けた。妻はいつもこうだ。息子のことしか考えていない。俺のことなんてどうでもいいと思っている…いや、そもそも夫のことなんて、なんにも考えていないのだ。昔はこんなじゃなかった。俺たちだって昔は、仲の良い夫婦だったのだ。そう、妊活が始まるまでは…。もちろん息子はかわいい。けれど、今の家庭の状況、夫婦関係を考えるにつけ、敬二は「こんなはずじゃなかった」という思いをぬぐい去ることができなかった。■奥ゆかしかった妻が「排卵日セックス」要求亜由美が大学生、敬二はすでに会社員として働いていた頃に2人は出会った。敬二の仲の良い同期の恋人が亜由美の大学の友人で、ダブルデートをすることになったのだ。5歳も年下の、しかもまだ学生をしている女の子となにを話したらいいんだ? やたらキャピキャピした子が来たらどうしよう?と心配していた敬二。しかし、自分と同じ奥手で真面目過ぎるくらいの亜由美に、一瞬で好感を持った。亜由美のほうも同じだった。それまでまともに男性と交際したことがなかった亜由美だが、誠実で頼りがいのあるお兄さんのような敬二に、どんどんひかれていった。こうして、晴れて付き合い始めた2人。交際は亜由美が中堅企業の一般職に就いてからも順調に進み、亜由美が27歳、敬二が32歳の時に結婚した。亜由美は家庭的なタイプで、子どもも大好き。きっと理想的な妻になってくれるだろうと、敬二は幸せに浸っていた。そして実際、2人の結婚生活は楽しかった。亜由美が30歳の時に、妊活を始めるまでは。心から子どもを望んでいたのに、自分が妊娠しづらい体質であることが分かった亜由美。思うように妊活の成果が出ないとひどく落ち込んだり、感情的になることも増えていった。彼女の穏やかで落ち着いた人柄を愛していた敬二にとって、これはつらかった。けれど、もちろん妻の苦しみは理解できる。だから敬二は、懸命に妻のサポートを続けた。ところが、亜由美の変化はそれだけではなかった。妊活に取り組む夫婦にとって避けては通れない道とはいえ、敬二は亜由美の寝室での変貌ぶりに衝撃を受ける。奥手で恥ずかしがり屋で、奥ゆかしいところがたまらなくかわいらしかった亜由美が、堂々と排卵日セックスを要求。そのうえ、ネットで見つけてきた「妊娠しやすい体位」を事細かに指示してくるわ、事後にも「妊娠しやすいから」と、いつまでも奇妙な姿勢を取っているわ…。分かっている。妻は一生懸命なのだ。必死なのだ。それは自分にだって、よく分かっている。頭ではよくよく分かっているのだ。だから、敬二はなんとか、亜由美と同じだけの熱意をもって妊活に参加しようとした。それでも、なかなか気持ちが追いつかず、排卵日セックスをひどく億くうに思うようになっていった。でも、これも今だけだ。ずっと続くわけじゃない。妊活さえ成功すれば、自分たちは元通りになれる。元のかわいい亜由美が戻ってきてくれるはずだ。そう自分に言い聞かせて、敬二は耐えた。そして2人の努力がついに実り、亜由美は妊娠。これで妻も穏やかではにかみ屋で、いつも自分を頼って慕ってくれていた昔の妻に戻ってくれるはず…敬二はそう信じていた。だが、事態は彼が望む方向へは進まなかった。妊活中、あれほどセックスを要求してきた亜由美が、妊娠後はセックスのセの字もなくなったのだ。■セックス拒否の妻「子どもが生まれれば…」我慢、我慢の日々妊活中の「必要に迫られてするセックス」から解放された今こそ、昔のような2人に戻れるのではないか。子どもが生まれるまでの数カ月間は、夫婦だけで過ごす最後の時間になる。2人で楽しい時間を過ごしたい。子どもが生まれたら行けないような場所にも行っておきたい。セックスだって子どもが生まれたらしばらくは、なかなかできないかも知れない…。そう考えた敬二はある日、リビングのソファでいかにも幸せそうに妊婦向けの雑誌を眺めている亜由美の隣に座り、肩を抱きながら久しぶりに妻を誘った。すると、妻の表情が一瞬にして激変した。「冗談よね?」妻のこわばった、相手を非難するような表情に敬二は困惑した。「え…、いや、安定期に入ったしさ。妊娠が分かってから俺たち、一度もしてないだろ。それに、おなかが大きくなったら、また難しいだろうしさ…。もちろん、絶対に激しくなんかしないし」「なに言ってるのよ!」亜由美は敬二から飛び退くようにして立ち上がり、敬二をにらみつけた。「安定期に入ったからって、赤ちゃんが無事に生まれてくる保証なんてどこにもないのよ! 赤ちゃんに万が一のことがあったらって、不安にならないわけ!? こんな時にセックスだなんて、敬二さん、どうかしてるわ。あなた、それでも父親なの!?」まるで汚いものでも見るような目つき。相手を完全に突き放し、見下した口調。まったく予想していなかった妻からの反応に、敬二は傷つく。と同時に、心には不満も芽生えた。つい数カ月前まで、こっちが引くくらい求めてきたくせに…。子どもさえできれば、俺はお払い箱かよ。俺は精子バンクか。そんな思いを、敬二はグッと飲み込む。4年近い不妊治療の末に、やっと授かったわが子。亜由美がナーバスになるのも無理はない。そうでなくとも、妊娠中の女性は気持ちが不安定になることがあるという。この件に関しては、自分が悪い。子どもが無事に生まれて、少し落ち着いたら、きっと妻も元に戻ってくれるはずだ。それまで自分が夫として、父親として、しっかりサポートしていかなければ。セックスにこだわらず、夫婦仲を良くしたうえで、わが子を迎える日に備える。敬二はそう思うことにした。ところがその後、敬二の心は妻からどんどん離れていくことに。正確には、亜由美が敬二にまったく関心を示さなくなり、敬二も「仲良し夫婦」を目指すのをあきらめてしまった、といった状態だ。亜由美はヒマさえあればあらゆる妊婦向け雑誌やウェブサイトを読みふけり、とにかく生まれてくる子どものことしか眼中にない。2人で並んで座っていても、スマホの妊婦向けアプリに夢中で、敬二が話しかけると露骨に面倒臭そうな顔をする。クレジットカードの請求がびっくりするような額になっていて、敬二が亜由美に問いただしたこともあった。すると妊娠中に食べると良いらしい健康食品をネットで見つけては、あれこれ注文したとのことだった。これまたネットでどこかの国の聞いたこともない教育法の情報を見つけてきては、なにやら高価な材料を取り寄せて、寝具やら知育玩具やらを作り始めたりもしている。正直、敬二はついていけなかった。子どもを迎える準備といえば、夫婦で子ども服やおもちゃを見に行って、ああでもない、こうでもないと、楽しく頭を悩ませるシーンを想像する。ところが実際には、「プロの妊婦」と化した妻がどんなことでもリサーチにリサーチを重ね、完璧かつ最高の条件を用意して子どもの誕生を待ち構えている。そこに敬二が入り込む余地はない。すると今度は「あなたの子でもあるのに、やる気あるの?」と亜由美に責められる。そんな生活に、敬二は嫌気がさし始めた。そうこうしているうちに待望の第一子、陽翔が生まれた。■夫は邪魔者? 息子を溺愛すぎる妻亜由美の母親ぶりは申し分ない。赤ん坊の夜泣きの対応をどちらがするかで夫婦けんかになるなどという話も聞くが、亜由美と敬二の間にそんな問題は皆無。どんなに疲れていても陽翔が少し声を上げれば、亜由美は飛び起きてすっ飛んでいく。「亜由美、疲れてるだろ。俺が見るよ」と敬二が言っても、「ダメ。はるくんには特別なあやし方があるんだから」と言って、亜由美は陽翔を渡そうとしない。妊娠が判明した直後からさんざん育児書を読みあさっていただけあって、亜由美の母親としてのパフォーマンスは最高だった。ところが…敬二の亜由美に対する不満は、息子の誕生後も募る一方だった。亜由美の献身的な母親ぶりには、もちろん感謝している。けれど、今の亜由美は陽翔の母親であって、それ以外の何者でもない。夫のことなどまるで眼中になく、夫の意見など完全スルー。彼女が夫を必要とするのは、子どもにかけるお金が欲しい時だけだ。もはや亜由美には、「妻」らしさがまるでない。夫との関係になど、まったく関心がないように見える。セックスに誘えば「疲れてるから」「はるくんがいつ目を覚ますかわからないから」と、いつもいつも同じ言い訳。そして「こんなに疲れてるのに、一体なにを言い出すのよ」「隣の部屋で子どもが寝てるのに、信じられない」という、軽蔑に満ちたまなざし。産後十分な期間待ったつもりなのに、一体、何度冷たく断られたかわからない。食事も、家の中のあれこれの配置も、生活パターンもすべて息子が中心。そして亜由美は、それを夫にも強要してくる。敬二の好きな和食が食卓に上ることはほとんどなくなり、陽翔の好物の洋食ばかりが用意される毎日。さらに亜由美は「父親がお酒を飲む姿を子どもに見せたくない」と、敬二のささやかな楽しみだった晩酌まで禁止する。シンプルにまとめて居心地の良かったリビングも、今では陽翔の「知育玩具」だらけ。壁にも目がチカチカするような「あいうえお」や「ABC」の表が何枚も貼り付けられている。敬二がこだわって選んだテレビボードに陽翔がシールを貼ってしまっても、亜由美は黙ってニコニコしていた。育児や教育の方針についても、亜由美は絶対君主制を敷いている。陽翔とずっと一緒にいるのは自分だし、自分は育児についてものすごく勉強しているのだから、自分のやり方こそ絶対に正しいと言う。例えば、亜由美が陽翔を甘やかし過ぎている気がして、敬二が少し強い口調で陽翔に注意でもしようものなら、すぐさま亜由美は飛んできて陽翔を擁護する。「叱らない育児」「ほめて伸ばす教育」という類の本を片っ端から読んでいる亜由美は、敬二が陽翔に少しでもきつい口調になると、もう我慢ならない。そして、そんな亜由美の言動について、陽翔のいるところで反論しようものなら、ギロリとにらまれ小声で「後で」と言われる。亜由美は「子どもに両親が言い争う姿を見せてはならない」という主旨の心理学者の記事をネットで読んだらしい。陽翔が起きている間は、意見することすら禁じられるようになった。そして陽翔が寝静まった「後で」2人の関係・問題について話し合おうとしても、亜由美は「疲れてるのよ」と言って、自分もさっさと寝てしまう。「あなたとの関係なんて、どうでもいいのよ」。敬二はそう言われているように感じていた。この家の王様は陽翔で、亜由美はその忠実な従者。そして、自分は…この家庭にとって自分は、ただのATMだ。いつしか敬二はそんな風に感じるようになっていた。■「俺は精子バンクか?」夫の怒りがついに爆発!そんなある日。敬二が寝室に入ると、いつもは先にひとりで寝ている亜由美が、珍しく起きて待っていた。「どうしたんだよ」敬二がいぶかしげにたずねると、亜由美は言った。「ねえ、はるくんももう4歳でしょ。私、もう1人、子どもが欲しいの」そして久しぶりに、本当に久しぶりに、敬二に向かって笑顔を見せた。この笑顔を、俺はずっと待っていた。待っていたはずなのに…。敬二は自分が奥歯をかみしめているのに気づいた。「ねえ、なんとか言って…」亜由美が言い終わる前に、敬二が怒鳴り声を上げた。「ふざけるな!」一瞬にして亜由美の顔から笑顔が消え失せ、目が一気につり上がる。「シッ! ちょっとなんなのよ、はるくんが起きちゃう…」亜由美の言葉をさえぎって、敬二は怒鳴り続けた。「おまえは俺のことなんか、精子バンクかATMとしか思ってないんだよな。さんざん俺を無視しやがって、欲しいものがある時だけ愛想よく笑ってみせて…もう、うんざりなんだよ!」ようやく授かったわが子を溺愛する亜由美さん。母親としては完璧ですが、妻としては…夫に我慢を強要し続け、ついに沸点まで追いつめてしまいました。母親の役目は、確かに大仕事。けれども妻の「完全ママ化」は、夫婦関係の悪化を招いてしまいます。あなたも「母親」としての役割しか見えなくなって、夫を無視して暴走するモンスターに変身してしまう危険性を抱えてはいませんか?幸せな子どもは、幸せな家庭から。幸せな家庭は、幸せな夫婦から。愛するわが子のためにも、夫婦仲をもっと大切にしましょう。その第一歩として、まずは、次回ご紹介する「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」チェックテストをお試しください。
2018年10月27日大好きだった仕事を辞めて、妊活に専念。ところが、思ったように結果が得られず、焦燥感と挫折感、そして仕事をあきらめたことへの後悔にさいなまれ、精神のバランスを崩してしまった麻子さん。日常生活も夫婦仲もどんどんおかしくなっていきますが、彼女はもはや妊活のことしか考えられない状態。専業主婦ならぬ「専業ベビ待ち」の誕生… 前回 ご紹介したのは、そんなケースでした。子どもを持つか否か。それは夫婦にとって、非常に大きな決断です。特に女性の間には、「女に生まれたからには、自分の子どもを生みたい。育てたい」という人が多いかもしれません。けれど…社会が女性たちを半ば強制的に、まずは「就活」に放りこみ、そして「婚活」、そしてこれもクリアしたら、数年後には「妊活」を用意している、というようなところはないでしょうか。「仕事に生きがい求めるのが普通よ。当然働かなきゃね。就活、就活」「結婚はしなきゃダメでしょ。結婚して一人前。みんな結婚に憧れてるでしょ。条件が合う人を求める婚活は今や常識」「女性なら子どもが欲しくて当然だよね。高齢出産年齢の35歳が近づいてきてるよ。早く妊活しないと!」まるでそんな風に言われているように感じてしまいます。「○活」という言い方をされると、それは「みんながやっていること」であり、「みんながやるべきこと」であるような気がしてきます。そして、「みんながやっていること、やるべきこと」である以上、社会に飛び交う情報の量は増える一方。今では、専門家や一部の著名人のみならず、一般の個人も自身の意見や経験を気軽にSNSなどを通して発信できるのですから、注目度の高いテーマに関する情報量はもはや無限です。「○活」に放り込まれた女性たちは、この膨大な量の情報に目がくらんでしまいます。情報がどんどん流れ込んできて、取捨選択する暇もない。そんな状況に疲れて自分を、そして自分のしたいことを、いつしか見失ってしまいます。とても便利な反面、自分を見失いそうになる社会に生きている私たち。そして、生まれ持った性格が、現代社会のこうした性質の悪影響を受けやすいタイプだったりすると…妻はいとも簡単に、モンスターワイフへまっしぐらに落ちてしまいます。あなたはそんな「ハイリスクな性格」に当てはまりませんか? 以下のチェックリストで確認してみてください。■「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」度チェックここでは、あなたの「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 自他ともに認めるコツコツ型の努力家だ。2. 人生設計をバッチリ考えているタイプだ。3. しないで後悔するより、失敗してもいいからチャレンジする。4. 子どもがいない自分の未来が想像できない。 5. なにかを途中でやめたくなっても、投資した時間、お金、労力を惜しむあまり、やめることができなかった経験がある。6. 物事を始める前には、関連する情報を集められるだけ集めたい。7. 他人のブログを3つ以上継続して読んでいる。8. チェックするブログ、SNSの発信者に対して、競争心を燃やしていることがある。9. 女性の幸せは結婚と出産にあると思う。10. これまでに大きな挫折を経験したことがない。■あなたの「専業ベビ待ち」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「専業ベビ待ち」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、専業ベビ待ち度「C」(あなたも「専業ベビ待ち」の卵を抱えている可能性があります)○の数が6個以上8個未満は、専業ベビ待ち度「B」(妊活が長引くにつれて、「専業ベビ待ち」がそのシッポを出し始めます。要注意!)○の数が8個以上は、専業ベビ待ち度「A」(かなり「専業ベビ待ち」化しやすい性格。一度立ち止まって自分と夫の幸せの形について、冷静に考えてみてください)妊活を始める以前の麻子さんの人生は、なにもかもが順調に運んでいました。生まれ持った真面目で頑張り屋な性格が、うまく機能していたのです。もちろん人生において、努力は重要な要素。努力すれば手に入るものも、努力を惜しめば手に入りません。けれど、世の中にはどれだけ努力しても、手に入らないものがあるのも事実。例えば、あなたがいくら魔法使いになりたくても、残念ながらなれません。「欲しいもの」がそれくらい分かりやすく、「手に入らないもの」なら問題ないのです。ところが、技術の進歩により、少し前までは完全に不可能だったことの多くが、今日では可能になりつつあります。ひと昔前の「不治の病」が、今では手術や薬で完治可能になり、スマホ1台で海の向こうの人々と、顔を見ながら話せる時代です。そんな世界では、「可能」と「不可能」の境界線がどんどん曖昧(あいまい)になっています。これって無理なのかな…どうにかならないか、ネットで調べてみよう。えっ、そんな方法があるの? SNSでこんなことを言っている人もいる。時間とお金をかければ、私だってできるかも…という錯覚。できることが増えるのは素晴らしい。欲しいものをあきらめなくていいのも素晴らしい。けれど…私たちの社会は「あきらめなくていい社会」であると同時に、「あきらめさせてくれない社会」にもなりつつある気がするのです。こんな方法もある。こんな商品もサービスもある。こんな成功体験談だってある。これらをすべて片っ端から試せば、私だって望むものが手に入るんじゃない? 努力を惜しまない人ほど、なにごとも徹底的にやりたい人ほど、そう考えがちです。でも、考えてみてください。どれだけ技術が進歩しようと、あらゆる情報や商品・サービスが瞬時に手に入る世の中になろうと、私たちに与えられた時間は1日24時間、体は1つしかありません。ただでさえ、誰もが忙しい現代社会。そこに膨大な情報や広告が流れこみ、あれもやらなきゃ、これも買わなきゃ、こっちも試してみなきゃ…と急き立てられるようになったら、心身ともに疲れきってしまうのは目に見えています。ところが努力家タイプの人は、「ほどほどにする」「ほどほどでやめる」ということができない人が多い。「これだけ情報も技術も豊富にあふれているんだもの。あきらめさえしなければ、必ずゴールにたどり着けるはず」「こんなに多くの選択肢に恵まれた時代に生きてるんだから、全部試す前にあきらめるなんて、逃げ。負けよ」「うまくいった人がたくさんいるんだから。私だってこのまま頑張り続ければ、いつかは必ず…」と、いつしか思いこまされてしまうのです。■妊活「いつまで、どれだけ?」引き際が見えない社会あきらめさせてくれない社会。「引き際」が見えなくなる社会。そんな私たちの社会において過度に「頑張り屋」な性格は、妻の精神を崩壊させるモンスターの卵となりうるのです。典型的な「努力の人」である麻子さんは、こうして妊活モンスターに取りつかれてしまいました。「どんなに不妊治療の副作用がつらくても、妊活がどんなに苦痛でも、ゴールまで絶対に立ち止まらずに走りきる」「大切な仕事をあきらめてまで妊活を選んだのだから、ここで手をゆるめたり、あきらめたりするわけにはいかない。絶対に妊活を成功させなければならない」本人は明確なゴールに向かって、前向きに全力疾走しているつもりなのです。ところが、取捨選択しきれないほどの情報や広告というノイズに混乱させられて、いつしか迷走、暴走するようになってしまいます。そうすると…「この治療は副作用がキツすぎて、体がもたないわ。別の方法がないか、お医者さんに相談してみよう」「毎日毎日、健康第一の妊活メニューばっかりで飽きちゃった。今日はガッツリお肉だらけにしちゃおうかしら。そういえば夫も『久しぶりに焼き肉が食べたい』って言ってたっけ。夫婦で気晴らし、気晴らし!」なんて考えは、絶対に浮かびません。ゴールに向かう足を少しでも止めたら、それは努力家の妻にとっては「逃げ」なのですから。もちろん「子どもをあきらめる」なんていう選択肢もありませんし、「いつまで妊活を続けるか」という冷静な見通しもありません。不妊治療で心も体も疲れはて、泣く泣く妊活を終了するも、長年続いた苦しい日々で夫婦関係は破綻状態。経済的にも危機的状況…というケースもあります。子どもを持つ未来へのビジョン、それにともなうリスクと心的負担は、妊活を開始する前、できるだけ冷静なうちに夫と共有してください。そうすれば妻が迷走・暴走を始めそうになった時に、夫がストッパーとして機能することが可能です。さらに、将来のビジョンを共有することにより、「妻だけがひとりで暴走し、夫は置いてけぼり」という状況に陥るのを防ぎ、妊活による夫婦仲の悪化防止にもつながります。「結婚はゴールではなくスタート」だと、よく言います。妊娠・出産も同じです。子どもを授かったその日から、夫婦は父親と母親という新しい役割を担って、新たなスタートをきるのです。ところが、とにかく妊娠することしか頭にない妊活中の妻は、夫との関係など考える余裕がなくなってしまうことが多いように感じます。「子どもが生まれてから忙しくて、夫婦仲が…」となげく妻が多いのですが、実は早くも妊活中から、夫婦仲にヒビが入り始めているケースが少なくないのです。「待ちに待った、待望の赤ちゃんを迎えるその日には、仲良しのパパとママでいたい」そんな思いを頭の片隅にでも常に置いておけば、夫を完全に無視した暴走は避けることができるでしょう。■「隣の芝生は青い」子持ちの親友と会って気づいたことさて、 前回 のリアルエピソードで、大暴走を繰り広げてしまっていた麻子さんは、その後どうなったのでしょうか。実は男性側が原因の不妊も多いという情報をネットでたて続けに目にした麻子さんは、俊さんを病院へ連れて行き、精液検査を受けさせます。ところが、俊さんの側には問題のないことが判明。これを機に麻子さんの精神状態は、ますます悪化していきました。「不妊の原因は私だけにある。私だけが悪いんだ。全部私のせいなんだ…」いつもそんな風に思いつめているため、事あるごとに夫に突っかかるようになります。俊さんは妻をサポートし、一緒に頑張っているつもりでしたが、麻子さんは少しでも気に入らないことがあると、「夫の協力が足りない」と不満爆発。そして「そうよね、あなたの問題じゃないものね」「当事者じゃないあなたには、分からないわよね」などと、嫌味のオンパレードです。ある日、治療のステージアップを宣言した麻子さんに「これ以上は経済的に苦しい」と俊さんが反論したことが、大戦争に火をつけました。「人生で一番重要なことを話し合ってるのに、あなたが心配してるのは、お金!? そっか、そうよね、不妊はあなたのせいじゃなく、私のせいなんだもの。そりゃあ、お金を出したくないのも当然よね。それならいいわ。私、実家の両親に借金を申し込みに行って来るから」「俺たちもうとっくに実家から独立して、夫婦として新しい家庭を持ってるのに、それは違うだろ。自分たちで費用の工面ができないようなことをどんどん押し進めるって、俺はなにか違うと思う」そんなやり取りの後、麻子さんは旅行カバンに最低限の荷物を放りこんで家を飛び出します。初めは夫に言い放った通り、実家に帰って借金のお願いをするつもりでした。ところが道中、数時間電車に揺られて冷静になってくると、夫の言い分も一理あるという気がしてきました。それに突然実家に帰って、「夫は不妊治療の費用をこれ以上出す気がないみたいだから、お金を貸してください」などと言ったら、一体両親はどう思うか…そんなことも考えました。悩んだ末に麻子さんは、里帰りを中止。とはいえ、もう実家の近くまで来ていたので、何年も会っていなかった地元の親友、夏海さんに会いに行くことに。自身の妊活中に夏海さんの妊娠と出産を知った麻子さん。辛うじて「おめでとう」は言えました。しかし、彼女のSNSに投稿されたフニャフニャとかわいらしい赤ちゃんの写真を見て心が荒れに荒れて以来、夏海さんに連絡を取ることもなければ、彼女のSNSをチェックすることもなくなっていたのです。そんな麻子さんの突然の訪問にもかかわらず、夏海さんは大歓迎してくれました。ほとんど涙目になりながら、「息子がちっちゃくてどこへも行けないし、夫はほとんど家にいないし、母は父の看病でここへはなかなか来れないし…もう何日も、まともに人と話してないよ。だから来てくれて本当にうれしい」と言うのです。確かに夏海さんは、疲れ切った顔をしていました。疲労と寝不足のせいか、むくみきった顔。肌はどんよりくもって、髪もボサボサです。そんな夏海さんの姿は、麻子さんがSNSから勝手に想像して激しく嫉妬していた「幸せなママ像」とは大きくかけ離れたものでした。親友との久しぶりの再会に一気に気がゆるんだのか、夏海さんは愚痴が止まりません。「もう、生まれたその日から戦争よ。自分の時間なんて、これっぽっちもありゃしない。トイレにすら自由に行けないし、忙しすぎて洗顔や歯磨きをしそびれることもしょっちゅう。本当にもう、赤ちゃんの奴隷になった気分。夫の出張中なんてノイローゼ寸前って感じで、『私の人生を返して!』って叫んで、赤ちゃんを放り捨てたくなっちゃうことすらあるの…」こんなこと誰にも言えないけど、とつぶやきながら、夏海さんはとうとう泣き出してしまいました。「麻子は都会に住んで、おしゃれな旦那様と2人で、おしゃれなお店めぐりとかしてるんでしょ? あ、麻子は料理上手だから、おうちでしゃれた料理を振る舞ってワインで乾杯とか? 麻子がうらやましいよ…私なんて外食もまともな料理も、一体いつになったらできるのか…」麻子さんが妊活に悪戦苦闘していることを知らない夏海さんは、そんなことまで言い出したそうです。「これを言ったのが旧知の親友でなければ、思いっきりひっぱたいていたところですけど」と苦笑する麻子さん。「彼女にそんなことを言われたら、『隣の芝生は青い』っていうのは本当なのかなぁっていう気が、ちょっぴりしてきて…」帰りの電車の中、麻子さんは夏海さんの様子や言葉を思い出しながら考えました。「私はこれまで苦もなく妊娠できた女性や、妊活に成功できた女性は勝ち組で絶対的に幸せ、私は負け組で絶対的に不幸なのだと思っていた。私もどうにかして、一刻も早く、勝ち組の側に回らなければ。向こう岸に渡れさえすれば、私も幸せになれる…そんな気がしていた。向こう岸から見たら、私の生活もうらやましく見えるだなんて、思ってもみなかった。向こう岸に渡れたとしても、結局『隣の芝生は青い』のだとしたら…一体どうしたら、どうなれば、私は自分の芝生に満足できるのだろう」答えが出ないまま帰宅した麻子さん。出迎えた俊さんは、麻子さんに謝ってくれたそうです。「麻子がどれだけ子どもが欲しくて頑張ってるか知ってるのに、真っ先にお金の話をするなんて、あまりに思いやりに欠けていたよ。ごめん。前からずっと言いたかったのは、俺は子どもを持つことだけが人生の幸せだとは思わないっていうことなんだ。俺たちずっと時間もお金も、ひたすら妊活のためだけに費やしてきただろ。食べ歩きも旅行も、なにもかも忘れたみたいに、妊活のことだけ考えて…。こんな生活をずっと続けるのは、健康的じゃないと思うんだ。麻子に仕事を辞めるのを勧めたのは、肉体的な負担だけじゃなく、精神的なストレスも軽減できたらって思ったからなんだよ。それなのに妊活一色の生活で鬱々として、働いていた時以上にストレスがたまるんじゃ、元も子もないじゃないか。俺は子どもが欲しくて麻子と結婚したわけじゃないよ。麻子と楽しく過ごしたくて、麻子と結婚したんだ」その日からは、少しずつですが「妊活メニュー」じゃない普通のごはんを料理して食べるのを楽しんだり、ヨガや温活セラピーをスケジュールいっぱいにつめこむのはやめて、夫とのんびり外出したりするようになった麻子さん。毎日の暮らしの中に少しずつ楽しみを見いだせるようになると、以前なら絶対に持つことができなかった視点も持てるようになったといいます。「もしも子どもを授かれなくても、その時は2人で楽しくやっていこう」「一生2人きりならちょっと冒険して、セレクトショップをオープンしたりするのも面白そう」今ではそんなことを、夫婦で話すこともあるそうです。この世には手に入るものもあれば、手に入らないものもある。自分が持っているもの、自分が手に入れられたものの中に喜びを見いだすことが、自分の芝生に満足できるポイントなのではないでしょうか。自分の芝生に満足している妻の心には、モンスターもつけ入ることはできません。
2018年10月14日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。まずは「就活」に勤しみ、その後「婚活」も闘い抜いた女性たちの次なる闘いは「妊活」…。社会に、世間に、次から次へと「○○活動」を押し付けられているような気がして、息がつまるような思いをしている女性も少なくないのではないでしょうか。ある行動が「○活」と呼び名を持つようになると、それは「みんながしていること」と認識されるようになります。するとメディアによる情報提供が増え、個人間で体験や意見を交換し合う場も一気に増加。SNS全盛時代の今、その傾向は強まる一方です。スマホひとつあれば24時間、いつでもどこでも、あらゆる情報が流入してくる時代。もちろん、情報というものは、うまく活用できればとても有益なものです。けれど、世間に氾濫する情報に流され、溺れ、SNSにあふれる「体験談」と自分の現状を比較して苦しむ…そんな女性が増えている気がしてなりません。特に「妊活」中の女性は、そんな情報社会の犠牲者にならないよう、ご自分の身を守ってほしいと思います。今回は、そんな思いをこめて、麻子さんのケースをご紹介しましょう。■妊活のはてに…「なにもかも、どうでもいい」「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」代表:麻子(仮名)36歳の場合「あぁ、またソファで寝ちゃった…」午後3時。リビングのソファで目覚めた麻子は、ぼんやりつぶやいた。おかしな姿勢で長時間寝ていたせいで、体のあちこちが痛い。そうでなくても、最近の麻子は全身が絶不調だ。いつもだるくて気分が悪く、体が重くて仕方がない。眠い目を開けると、目に入って来たのは散らかり放題の部屋。床にはビールや酎ハイの空き缶と、いかにも体に悪そうなおつまみの空袋が転がっている。ダイニングチェアには、洗ったままの洗濯物…いや、あのトレーナーはまだ洗濯してなかったっけ。ゴミ箱もいっぱいで、今にも中身があふれそうだ。でももう、なにもかもどうでもいい、と麻子は思った。眼前のカオスをこれ以上見ていたくなくて、目をつむる。そして、窮屈な姿勢のまま、彼女は再び眠りについた。■学業、就職、結婚…「努力さえすれば夢はかなう」麻子はこれまで、ずっと優等生だった。大人にやりなさいと言われたことには疑問を抱くこともなく、いつでも素直に従う子ども。おとなしく真面目で勉強もできたから、親や教師の覚えもめでたいタイプだ。そして、そこそこのレベルの公立大学に進学する。料理自慢の母に似て、趣味は料理とお菓子作り。周囲からはいつも「いいお嫁さんになりそう」と言われていた。そして麻子本人も、「私は特別、興味のある仕事なんてないけれど、家事は苦にならないタイプ。子どもが大好きだし、早く結婚して幸せな家庭を築きたい」と思っていた。ところが大学入学後、ほどなくして出会ったあるアクセサリーブランドが、麻子の人生を大きく変えた。若い女性を対象としたそのブランドのアイテムは、どれも繊細でかわいらしい。お値段的にも、アルバイトを頑張れば学生でも手が届く価格だ。麻子は家庭教師のアルバイトに励むかたわら、暇さえあればこのアクセサリーショップに通いつめ、バイト代がたまるたびに1つずつお気に入りを増やしていった。大学3年生になる頃には、ショップの店員全員と顔見知りになるほどだった。そんなある日、麻子は、このショップが販売員を募集していることを耳にする。大好きなアイテムに囲まれて働くことができたら、どんなに幸せだろう。麻子は、早速ショップの責任者に懇願したが、「うちでは学生のアルバイトは採用していない」という回答。それでも麻子はあきらめられなかった。自分がどれほどこのブランドに夢中か、どれほどブランドのコンセプトを熟知しているか、もしも採用してもらえたら、どれほど骨身を惜しまずに働くかを熱弁した。すでに麻子と何度も顔を合わせており、麻子のブランドへの熱烈な愛着を理解していたこの責任者は、麻子の希望を本社にかけ合ってくれた。「この子はうちの商品のことは、もう社員並みに熟知している」という責任者の推薦のおかげで、麻子は例外として学生ながらアルバイト採用されることになる。採用時に誓った通り、麻子は本当によく働いた。大好きなブランドのショップで働くのが、楽しくて仕方なかった。彼女の熱心な働きぶりは本社にもたびたび伝わり、麻子は大学卒業後、正社員としてこのブランドで働けることになった。麻子にはさらに大きな夢が芽生える。今は販売部にいるけれど、いつかはデザイン部で働きたい。そんな思いを胸に、24歳の麻子は新たな目標に向かって走り出した。忙しく働きながら、アクセサリーのデザインの勉強を始めたのだ。そして27歳の時に、ついにデザイン部へ異動。すべてが思い通りに運び、麻子は有頂天になってしまう。「私の人生、なにもかもうまくいっている。努力してるから当然よ。頑張ればなんだってできるの。努力さえ惜しまなければ、どんなことだって達成できるんだから」麻子は充実感でいっぱいだった。デザイン部でも人一倍努力し、成果を認められた麻子。「いいお嫁さん」という以前のゴールを忘れたわけではなかったが、仕事に没頭して気づけば29歳。しかし、人生が充実している時には、忙しく過ごしていても良縁が転がりこむものだ。麻子に人一倍目をかけていたデザイン部の先輩が、夫の大学時代の後輩を紹介してくれたのだ。麻子より2歳年上の俊は、小さな雑貨輸入会社勤務。こだわりを持つ大人を対象とした文具の輸入を担当しており、自分の仕事や扱う商品に誇りを持って生き生きと働いていた。仕事に情熱を傾ける2人は、あっという間に意気投合。精力的に仕事を楽しみつつ、料理上手で家事もテキパキこなす麻子に、俊がプロポーズするまでに時間はかからなかった。やさしく思いやりにあふれ、自分のことも自分の仕事も尊重してくれる俊からのプロポーズに、麻子は「はい!」と即答した。30歳の秋だった。■「妊娠しない…」結婚3年目の不安仕事と結婚生活の両立もうまくいった。ブランドの新作発表前になると、麻子はオフィスに泊まりこみ徹夜で働くこともあったが、俊は麻子を応援してくれた。学生時代から一人暮らしをしていた俊は、家事も自分でこなせる。多忙な麻子が家事に手が回らない時にも、2人が衝突するようなことは皆無だった。そして、互いに仕事が落ち着いている時期には、一緒に旅行へ出かけ、おしゃれなショップやカフェを回ったりして、楽しい時間を過ごした。ところが、結婚3年目。麻子はある不安を抱き始めた。夫婦生活は普通にある。そして子どもが欲しい麻子は、避妊をしていない。それなのに、3年たっても妊娠しない。危機感を抱いた麻子は、ネットで「タイミング法」や「妊娠しやすい体の作り方」について調べ、実践し始めた。「妊活」と銘打ったサイトが、山のように見つかる。「私はこうして妊娠した」といった成功者のアドバイスを、あれこれ試す日々。けれど1年続けても、効果はあらわれなかった。病院嫌いの麻子だったが、さすがに専門のクリニックにかけこんだ。さまざまな検査の結果、ホルモンのバランスが原因で、麻子は妊娠しづらい体質であることが判明。目の前が真っ暗になった。結婚して、子どもを生んで、温かい家庭を築く。それはもう、ずっと昔から当たり前に実現されるべき幸せの形として、いつも麻子の心の中にあった。全力で情熱を傾けられる仕事に出会って、優先順位が2番目になっていただけのこと。忘れたわけでも、あきらめたわけでもない。けれど、私ももうすぐ34歳。「第1子は35歳までに」と、みんなが言っている。仕事は相変わらず最高に面白いけれど、そろそろ「妊活」にも時間を割くべきではないのか。そうしなければ、きっと後悔する…。そう考えた麻子は、ホルモン治療を受け始めることにした。夫の俊は「子どもは好きだけれど、授からなければそれでも構わない」という考え方だが、麻子の願いを知っていたため、「2人で治療を頑張っていこう」と言ってくれた。翌週から、麻子のホルモン療法が始まった。■不妊治療「仕事と子ども、どっちをとる?」副作用に関する説明は受けていた。受けてはいたのだが…。いざ治療が始まると、麻子は想像以上の苦痛にさいなまれることになった。頭痛と吐き気に悩まされ、体が重くて仕方がない。そんな体調不良のせいなのか、それとも精神面への副作用なのかわからないが、気分もひたすら重く、鬱々としてしまう。そんな状態なので、なかなか仕事に集中できない。ただでさえクリニック通いで、以前より職場に迷惑をかけているのに…。麻子は肉体的にも精神的にも追いつめられ、ギリギリと歯を食いしばりながら毎日仕事に通っていた。そんなある日。新作発表前の怒涛(どとう)のスケジュールについて行けなくなった麻子は、とうとうオフィスで倒れてしまう。連絡を受けて、あわててかけつけた俊の車の助手席で目を覚ました麻子は、消え入りそうな声で「ごめんなさい」とつぶやいた。涙が流れて止まらない。普段ならすぐにやさしい言葉をかけてくれるであろう俊が、この日はいつになく強張った顔のまま、麻子のほうを見ずに黙って運転を続ける。そして重苦しい沈黙の後、思い切ったように俊は口を開いた。「麻子にとって仕事がどれだけ大切か、俺も分かってるつもりだよ。でも、最近の麻子はあまりにしんどそうで、俺、見てられなくて…。こんなこと、本当は言いたくないけど…」「待って」苦しそうに、慎重に言葉を選びながら話す夫を麻子がさえぎる。「分かってるの、私も。仕事も子どもも、本当は両方あきらめたくないのよ。でも、両方同時には手に入らないんだとしたら、タイムリミットが迫ってる妊活のほうを優先しないといけないのよね…」麻子の顔は、涙でグチャグチャになっていた。俊は人気のない場所に車をとめると、麻子にハンカチを渡し、彼女の手を握った。「麻子、ずっと忙しかっただろ。いくら楽しんで働いていたとはいえ、やっぱり激務は体にこたえたと思うし、ストレスもあったと思う。一緒に見た妊活サイトにも『ストレスは大敵』とか、『リラックスできるライフスタイルになった途端、妊娠』とかって話が載ってただろ。麻子もあっさり、そんなことになるかもよ。それに麻子、『時間に余裕があれば、もっと気合いを入れて料理したいのに』っていつもボヤいてたじゃないか。そういうことを、のんびり楽しんだらいいんじゃないかな。俺も豪華な料理が食べられるようになるの、楽しみだなぁ」努めておどけたようにそう言う俊のやさしさに、麻子は泣き笑いの顔で応えた。こんなにやさしい人が夫で、本当によかった。今まで仕事を全力で頑張ってきた分、これからは妊活を全力で頑張ろう。大丈夫。きっとうまくいく。これまでずっとそうやって、なにもかもうまくいってきたんだから…。夫の手を握り返しながら、麻子はそう心に誓った。そして、その翌日には、会社に退職届を提出する。■結果が出ない妊活「好きだった仕事まで辞めたのに…」その3カ月後に退職して、麻子は生まれて初めて専業主婦になった。それまで朝から晩までオフィスで働いてきたため、最初の1週間は戸惑いがあまりにも大きく、なにもできないまま終わってしまった。が、翌週からは気を取り直して、妊活成功のためのスケジュールを練り始めた。ネットで妊活情報をリサーチしていてしょっちゅう見かけた「温活」スタジオや、ヨガ教室。「これまでは時間がなくて無理だったけど、これからは行けるのよね」妊活に効果的なメニューも毎日用意するのは難しかったけれど、これからはレシピを検索する時間も、買い物に行く時間も、料理する時間もいくらでも取れる。「あ、お野菜はできるだけ、農薬が使われていないものを選ぶべきなんだった。有機野菜のお取り寄せサービスも、契約しちゃおうかな」こうしてあっという間に、長い長い「妊活To Doリスト」が出来上がった。これを一つ一つきちんとこなしていけば、必ず妊娠というゴールにたどり着けるはず。ただの大学生だった私が大好きなブランドの正社員になって、デザイン部にまでたどり着けたように…。麻子は再び、自分の中にやる気とエネルギーが満ちあふれるのを感じた。ところが、やる気が大きければ大きいほど、費やした労力や金額が大きければ大きいほど、それが報われなかった時の絶望感も大きい。なんの成果も得られないまま、妊活に専念する生活が半年も過ぎると、麻子は仕事を辞めたことを激しく後悔するようになった。あんなに大好きだった仕事をあきらめて…今の私は毎日毎日、温活のために退屈で死にそうになりながらよもぎ蒸しに通って、授かりヨガに通って。大好きなお酒もコーヒーもダメ、お料理だって塩分ひかえめじゃなくちゃダメ、苦手な発酵食品も食べなくちゃいけない。仕事を辞めればストレスがなくなって妊娠しやすくなるなんて、大ウソよ。ネットの「妊活成功体験談」なんて、信じるんじゃなかった。働いていた頃よりこの妊活生活のほうが、私にとってはよっぽどストレスだわ。ストレスと欲求不満と後悔で、麻子は頭がおかしくなりそうだった。それでも必ず赤ちゃんを授かれるというのなら我慢できる。でも、そんな保証はどこにもないのだ。仕事の繁忙期はキツかったが、いつでも終わりが見えていた。けれども妊活はいつ終わるのか、いつ終えることができるのか、誰にも分からない…。でも大事な、大好きな仕事をあきらめてまで妊活を選んだのだ。なにがなんでも、絶対に成功させなければならない。いや、絶対に成功させてみせる。「これまでずっと、そうやって欲しいものを手に入れてきたんだから。もっと頑張らなくちゃ。頑張れば、必ず道は開けるんだから」麻子はそう思い、より強力なホルモン療法を希望した。医師には「あなたは副作用が強く出るタイプだから、あせらないほうがいい」と言われたが、麻子は譲らなかった。治療の副作用が以前にも増してひどくなってからも、麻子は日々熱心に妊活に励んだ。毎日何時間もネットサーフィンを続け、「コレで妊娠!」といった情報を見つけては、サプリメントであれエクササイズであれ、なんでもとり入れた。それでも妊娠できないまま1年が過ぎると、麻子は精神的にひどく追いつめられていった。日々の努力もむなしく無情にも生理が来てしまうたびに、麻子は荒れるようになる。普段「健康的なライフスタイル」「健康的な食生活」を徹底している反動で、まるで体を傷めつけるかのような暴挙に出るようになったのだ。生理が来たその日にはお酒を浴びるように飲み、塩辛いおつまみや油分でギトギトのファストフードを、気分が悪くなるまで胃につめこむ。よもぎ蒸しもエクササイズも当然すっぽかして、ひたすら飲み食いしながらテレビの前でボンヤリ…。翌日は、強烈な二日酔いと自己嫌悪に襲われて、無気力感でいっぱいになり、なにもできずに1日が終わる。そしてこの「なにもできない日」の日数が、毎月次第に増えていく。気づけば生理が来てから1週間は病的な無気力感に襲われて、妊活もまったく再開できないような状態になっていた。そして「魔の1週間」が終わっても、体や心は常に重い。麻子の頭にはもう、妊活以外のことはなにひとつ思い浮かばなくなっていた。妊活をしている時以外は、空気が抜けた風船のように、常にソファに寝そべっているような状態。基本的な家事も手につかず、洗濯物、洗い物、ゴミがどんどんたまっていく。この頃になると、麻子は自分の感情をコントロールすることができなくなっていた。毎日欠かさずチェックしている妊活ブログで妊娠の報告を目にして、手にしていたマウスを壁に投げつけて壊してしまったことがある。麻子の現状を知らない友人からメールで妊娠を知らされた時には、ベッドに潜りこんで金切り声を上げて怒り狂い、メールにはとうとう返信せずじまいになってしまった。献身的に麻子を支えてきた夫の俊も、急激に変わっていく妻をもてあますようになっていった。俊は基本的に残業や出張が少なく、また多くの夫が苦手とする「排卵日セックス」にもいつも協力的だったはずなのに…。■ついに夫から「排卵日セックス」拒否「今日は絶対に早く帰ってきてね」と麻子が念を押していたある日、俊から電話が入る。「麻子、本当にごめん! イタリアから来た新しい仕入先のお偉いさんのフライトが、急にキャンセルになっちゃって。彼、日本は初めてだし、日本語も全然分からないし、俺がアテンドしないといけないんだ。本当に申し訳ないけど、今夜は…」俊が言い終わる前に、麻子はものすごいけんまくで怒鳴り始めた。「冗談じゃないわ! こっちは年にたったの12回しかチャンスがないのよ! そのたった12回のために、私が毎日どれだけつらい思いをしてるか、俊は全然分かってない。そんな外国人なんかほっといて、とっとと帰って来なさいよ!」その時「イタリア人のお偉いさん」は、俊の隣にいたらしい。低い声で短く「悪いけど」と一言告げて、俊は電話を切ってしまった。麻子は背中を震わせ、しゃくりあげながら泣いた。事の重大さを、夫はまったく分かっていない。チャンスは月に1度だけ。そして私は、刻一刻と年を取っている。妊娠できる可能性は、どんどん低くなっていく。だから少しでも早く結果を出すべく、私は最大限の努力をしているのだ。それなのに夫はなぜ、私の全身全霊をかけた努力を無にするようなことができるのか…。気づけばクッションカバーが破れ、写真立ては倒れ、コップも床で粉々になって、リビングは惨憺(さんたん)たる状態。麻子はソファに倒れこみ、涙でぬれた顔のまま目をつむる。毎日毎日、つらいだけ。楽しいことなんて、なにひとつない。妊活のための運動、妊活のための料理…私はまるで、妊活のためだけに生きながらえているゾンビみたい。それでも…それでも努力が実るその日まで、なんとか、どうにか、頑張り続けなければ…。麻子はスマホを手に取り、毎日何度となくチェックしている『ベビ待ちコミュニティ』のページを開いた。そして無表情のまま、深夜まで妊活情報を探し続けた。スマホはもはや、地獄の入り口に化していた。順風満帆な仕事を楽しみ、幸せな結婚も果たした麻子さん。真面目な努力家で家庭的な奥さんです。そんな麻子さんが、突如、妊活モンスターに変身。妊活というのは重大なテーマだけに、事がうまく運ばないと、それまで「いい奥さん」だった妻まで一気にモンスターワイフと化してしまう恐れがあります。あなたも麻子さんのように、妊活モンスターの泥沼に引きずり込まれないように。次回の後編をチェックして、注意点を確認してください。
2018年10月13日子どもの独立を機に、家事・育児と仕事だけに明け暮れていた自分の人生を振り返り、突然何かに憑かれたように若返りに熱中し始める妻。一気に「若さ」と「オンナ」を取り戻そうと、ファッションやヘアスタイルも180°方向転換し、ベッドでもセクシー全開で夫に迫るも拒絶されてしまう…。 前回 ご紹介したのは、そんな「やりすぎ美魔女」の翔子さんのお話でした。良妻賢母として長年立派に家族を支えてきた翔子さんが、どうして突然「やりすぎ美魔女」に変貌してしまったのか。今まさに良妻賢母として、家事に育児に仕事に奮闘しているあなたも、翔子さんと同じ轍を踏んでしまう恐れはないでしょうか。以下のチェックテクストで確認してみてください。■「モダンセクシャル系モンスター やりすぎ美魔女」度チェックここでは、あなたの「モダンセクシャル系モンスター やりすぎ美魔女」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 早いうちに結婚し、結婚後はずっと家事育児で忙しかった。2. 「結婚したからには良妻に」、「子どもを生んだからには賢母に」という保守タイプだ。3. 「かわいい」「きれい」「色っぽい」等、女性的なイメージのものは自分には似合わないと思っていた。4. 「やるべきこと」ばかり優先して、「やりたいこと」をする時間がない生活を送ってきた。5. 変身願望があり、まったく別の人生を生きてみたいと思うことがある。6. 憧れの人について情報収集したり、マネをするのにハマったことがある。7. 思い込みが激しいほうで、一度思い込んだら周りが見えず突っ走ってしまう傾向がある。8. 家族や友人から「やることが極端」と評されたことがある。9. 長いこと、夫は自分の夫というよりも、子どもの「お父さん」でしかない感じだ。10. 自分の人生に「やり残した感」、「不完全燃焼感」を抱いている。■あなたの「やりすぎ美魔女」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「やりすぎ美魔女」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、やりすぎ美魔女度「C」(「良妻賢母」として全力疾走してきたけれど、「私の人生、これでいいの?」という思いを抱き始めているのでは?)○の数が6個以上8個未満は、やりすぎ美魔女度「B」(変身願望が膨張中。これまでの人生を取り戻すべく、「若さ」や「新しい自分」に向かってひた走り始めます)○の数が8個以上は、やりすぎ美魔女度「A」(あなたの変身計画は、もはや誰にも止められません。夫はあなたの変貌ぶりに戸惑っているはずです)夫の正人さんに向かって、離婚まで切り出した翔子さん。その後、2人はどうなったのでしょうか。このご夫婦、奥さんも旦那さんも、基本的に「良い妻」「良い夫」。ともに真面目な働き者で、「お父さん」「お母さん」として協力し合い、2人の息子さんを立派に育て上げました。しかし翔子さんは「良妻賢母」を頑張りすぎました。家事・育児・仕事だけに全力投球。若くして結婚してから下の子どもが独立するまで、「自分のやりたいこと」について考えたこともなければ、「自分の時間」を持ったこともありません。時間もお金も、すべて家族(主に子ども)に捧げる生活を送ります。そして、子どもの独立とともに訪れる「空の巣症候群」。これまで時間とお金、心身のエネルギーのすべてを注いでいた対象を失って、どう生活していけばいいか分かりません。ラブラブの夫婦なら、「これからは夫婦水入らずで楽しく過ごすぞ!」ということになり、なんの問題もないのです。ところが、それまで「お父さん」と「お母さん」でしかなかった大半の夫婦は、そうはいきません。「お母さん」の役割を失った妻は途方に暮れ、子どもがいなくなった家での「お父さん」とのかかわり方に戸惑ってしまうでしょう。そんな手持ち無沙汰な日々を送る妻が、ひょんなことから興味をひかれるものを見つけると、ポーンとたがが外れる場合があるのです。「やるべきこと」を必死にこなす長い年月の末に、突然、自由に使える時間とお金ができたのですから、当然といえば当然です。そして、それまで真面目一筋、質素一辺倒というタイプだった人ほど、その反動で極端な行動に走ることが多いといえるでしょう。翔子さんは、まさにその典型例でした。美容やファッションと無縁な生活から、時間もお金も一気に「美」と「若さ」に傾注。「これまでできなかったことを、今から全部やる」「失った時間を取り戻す」という意気込みはすさまじく、「節度」などという概念は頭からすっぽり抜け落ちてしまいました。さらに悲劇だったのは、若さと美しさに向かって突っ走った翔子さんの目標地点が、夫の正人さんの好みとはかけ離れたところにあったことです。夫婦が長年「お父さん」と「お母さん」でしかなかった場合、夫も妻も相手の異性の好みに鈍感になってしまうのは避けられません。正人さんにも問題はありました。これまで美容に気をつかう暇もないほど、家族のために尽くしてきた妻。夫がそんな妻の労をねぎらい、「今からでもきれいになりたい。女性として大切にされたい」という妻の思いに寄り添うことができたなら。そうすれば、翔子さんのベッドでの「大爆発」のような事態は回避できたはずです。とはいえ、正人さんも長年忙しく働いてきて、妻の心情の変化やその背景を緻密に読み取れるほど、妻の観察や分析に傾ける時間がありませんでした。こうした状況が、妻の「空の巣症候群」を深刻化させ、熟年離婚にもつながっていくのです。■「本当に美魔女になりたいの?」暴走に気づかせてくれたのは…若さとオンナを取り戻したくて必死の妻。妻の変貌ぶりを理解できず、恐怖すら覚える夫。そんな状況に陥ってしまった翔子さんと正人さんを救ったのは、結婚して他県に住んでいた長男、雄太さんでした。妻が友だちと週末旅行に出かけた雄太さんが久しぶりに実家に帰ると、両親は未曾有の冷戦真っ只中。驚いた雄太さんは、両親それぞれに話を聞きます。父、正人さんの言い分はこうでした。「お母さんが突然、年甲斐もなくおかしな格好をし始めた。派手で若作りの化粧や髪型は、正直気持ちが悪い。ダイエットにもやたら必死になっているし、もういい年なのに今さらなにがしたいのか、全く理解できず困っている」これを聞いた雄太さんは、こう言って父親を諭したといいます。「父さん、それはひどいよ。父さんは『突然』って言うけど、母さんはこれまで、おしゃれしたくてもそんな時間なかったじゃないか。和明が家を出て、ようやく時間もできて、お金の心配もいらなくなったからじゃないの。確かに派手な服や髪型ではあるけど、母さんの気持ちもちょっとは考えてあげなよ」そして「きれいになろうと頑張っているのに、お父さんはほめてくれるどころかけなすだけ。もう離婚したい」と言う母の翔子さんには、こう声をかけたそうです。「確かに父さんは女心が分かるタイプじゃないから、母さんもつらいだろうけどさ。でも、父さんを振り向かせたいなら、頑張る方向が違うんじゃないの? だって父さんは『吉永小百合さんは永遠の美少女だなー』とか言ってるタイプだよ。奥ゆかしい清楚系っていうの? そういうのが好きなんじゃない? 少なくとも『とにかく若くて細い、今風の子がいい!』っていうタイプじゃないよ、父さんは」目からウロコ状態の翔子さんに、雄太さんはさらに言いました。「母さんがピンクのスカートや花柄のワンピースが好きで、そういうのを着るのが楽しいって言うなら、それが父さんの趣味じゃなくても、俺はいいと思う。母さん、俺と和明を追っかけ回すのに忙しくて、動きやすい格好ばっかりだったでしょ。やっと時間もお金もできたんだから、母さんが本当に好きなことをやればいいんじゃない」息子にそう言われて、翔子さんはハッとしました。私はピンクやらサテンやらミニワンピやらシースルーのスリップやら…そういうものが、本当に好きなのかしら? いや、違う。気づいたらすっかり年をとっていたことがショックで、とにかく若返りたいと思ったばっかりに、分かりやすい「美魔女」のイメージにすっかり執着して、分かりやすい「今風の若い女の子」のイメージを追いかけていただけだ。ネットや雑誌が発信するイメージ通りの「若くてきれいでセクシー」な女性になれば、夫も自分に振り向いてくれるはずだと思い込んで、ことが期待通りに進まないと夫を責めて…。「私は夫の好みどころか、自分が本当はどうしたいのかすら、ちっとも見えていなかったんです」と翔子さん。そして、ネットや雑誌に踊らされていたのはファッションに関してだけでなく、セックスについても同じだったようです。「20年間スキンシップらしいスキンシップもない状態だったのに、突然スケスケの下着でセックスを求められたら、そりゃあ夫だって困りますよね。冷静になった今なら、それくらい分かるんです。でも当時は、ネットで『してる女性は若々しい!』『女性としてのツヤや潤いを保つには、セックスが不可欠!』というような記事ばかり読んでいて。本当にお恥ずかしい話なんですけど、『私の身体の中にペニスでしか押せないスイッチのようなものがあって、セックスでこのスイッチが押されれば、女性ホルモンが活性化して若返る』みたいなイメージで、頭がいっぱいだったんですよ。だからなにがなんでも、とにかくセックスにこぎつけなきゃ、って思いつめていて…」夫に怖がられて当然でしたよね、と苦笑する翔子さん。息子さんのおかげで目が覚めた翔子さんと、妻の女心を理解しようと努めるようになった正人さん。以前よりも会話が増えて、2人で過ごすこれからの人生について、楽しく前向きに考えることができるようになったそうです。翔子さんのケースを踏まえて、私から読者の皆さんにお伝えしたいこと。それは、徹底した自己犠牲に基づく良妻賢母的生活は、妻たちの心の中に「やりすぎ美魔女」の卵となる「やり残した感」を蓄積していく可能性がある、ということです。もちろん、良妻賢母を目指すのは素晴らしい。けれど、自分の好きなこと・やりたいことにひたすら目をつむって家族のために頑張って、20年後に「これまでずっと努力と忍耐ばかりだった! 私の人生を返して!」ではいけません。それに、いくらやるべきことを完璧にこなしてくれても、頑張り通しでいつもクタクタ・ぼろぼろ・イライラ感満点の妻・母では、夫も子どもも幸せではないのです。20代から40代の、家庭でも仕事でも忙しい時期であっても、自分の希望も忘れないようにすることが大切です。夫にかわいくお願いして、子どもにやさしく協力を仰いで、できる範囲内で好きなことをする。息を抜く。風を通す。わがままの一つも言う。「あなた、節約もっと頑張るから、このコート、買ってもいいかな?「ママ、来週は隣町の美容院に行ってみたいから、パパとお留守番しててくれる?」そして、笑顔のあなたの「ありがとう!」が聞ければ、家族みんながハッピー。妻が「やりすぎ美魔女」の卵を抱え込むこともないのです。「私は50代で、『やり残した感』のかたまりなんですけど…」という方もいるでしょう。これまで妻業・母業のみに専念していて、「自分の好きなこと・やりたいことなんて考えたこともなかった」という人は、自分が本当に好きなテイストや、自分に合ったスタイルが確立されていません。そんな状態で「さあ、今から時間とお金をどう使おう?」という女性にとって、現代社会はとても危険で落とし穴がいっぱい。スマホひとつあれば、ありとあらゆる情報が流入してくるのです。一度ネットの世界に繋がってしまえば、メディアが発信するメッセージや、「世間一般」の声をシャットアウトするのはもはや不可能。加えて怒涛の広告攻撃。「自分のスタイル」がない女性は、目を奪われたキャッチーなものにあっという間に夢中になり、執着してしまう恐れがあります。自分は本当にそれが好きなのか、それは自分に似合うのか、夫はどう思うかな? などと考える暇もなく。また、自分が本当に好きなものは見つけることができた。でも、それが夫の好みとは異なる…という人もいるでしょう。例えば、自分はセクシー系に挑戦してみたいけれど、夫は清楚系が大好き。あるいは、自分はシンプルでナチュラルなスタイルこそ大人のおしゃれだと思うけれど、夫は女性には華やかな色っぽさを求めている。いくら仲良し夫婦になるためとはいえ、夫の好みに合わせて自分の好みをねじ曲げたり、自分の好きなものをあきらめてばかりいるのは健全ではありません。では、どうするか?あなたが「夫を喜ばせてあげようかな」と思うなら、エンターテイナーになったつもりで、夫の喜びそうなスタイルを実現してあげればいいでしょう。サービス精神旺盛な器の大きい妻は、愛され妻になれます。夫と出かける時には夫の好きなスタイル、自分ひとりの時には自分の好きなテイストを満喫、というように自分の趣味も上手に楽しめば、不満をためこむことも避けられます。いやいや、私はどうしても自分の好みを優先したい。夫が眉をひそめるようなものであっても、わが道を行きたい、という場合。そんな時には、「私の趣味を認めてくれてありがとう」という気持ちを持つことです。自分の好きなことを好きなようにやっていて、「夫がほめてくれない」などと不機嫌になるのは、お門違いというもの。わが道を突き進むのなら、この点を忘れないようにしてください。夫の目から見たら「なんじゃこりゃ」と思うような格好をしていても、心底それを気に入って妻がイキイキと楽しみ、「これいいでしょ? ほめてよ!」などと夫に強要さえしなければ、「そんなに好きならまあ、いいか」と大目に見てくれるものです。妻になっても、母になっても。役割が増えても、あなたの人生はあなたのものです。果たすべき役割が変わったり減った時に、「やり残した感」にさいなまれて自分を見失わないように、「役割」が許す範囲で自分の人生を楽しんでください。そんな生き方が、「やりすぎ暴走モンスター」からあなたの身を守ってくれます。
2018年09月30日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「いつまでも若く美しく」。それは女性の究極の願い。そんな女性たちの願望を反映して、今やアンチエイジングは一大産業です。美容院やエステサロンのソファでめくる美容雑誌。息を飲むほど美しいモデルたちの笑顔…。最新の技術・研究のおかげで、女性たちの「見た目年齢」はかつてないほどの若返りを実現しました。ついには「美魔女」と呼ばれる女性たちまで登場しました。妻たちがいつまでも若々しく、かわいらしく、女性らしい…。そんな社会が到来すれば、私の人生テーマである「仲良し夫婦」の人口は確実に増えていくでしょう。ところが残念ながら、女性なら誰もが持つこの「アンチエイジング願望」が暴走し出し、妻をモンスターワイフ化させてしまう恐れがあるのです。「若くありたい。誰よりも美しくありたい」そんな女心に、モンスターがつけ入るスキを与えないよう、今回ご紹介するケースを他山の石としてください。■子どもが独立「残ったのはオバサン化した自分だけ」美魔女ブームにあせり…「モダンセクシャル系モンスター やりすぎ美魔女」代表:翔子(仮名)49歳の場合「え、この人が50歳? ウソでしょー!?」リビングのソファでスナック菓子をつまみながらスマホをながめていた翔子は、一人で大声を上げてしまった。1年前、長年使用していた「ガラケー」がとうとう故障。翔子はいらないと言い張ったが、次男の和明に「今どきガラケーなんてもう売ってないから」と説得され、新しく持たされたのがこのスマホだった。少し前まで翔子のスマホは、ガラケーと同じように電話とメールにしか使われていなかった。ところが3カ月前、和明が大学を卒業して就職のために首都圏へ引っ越すと、ポッカリと空いた時間と心の隙間を埋めるように、翔子はスマホが手放せなくなった。翔子は21歳の時に、同い年の正人と結婚。2人の息子に恵まれた。正人は真面目な働き者。しかし小さなメーカーに勤める夫の収入だけでは、大学卒業まで続く息子2人分の教育費などをまかなうのは難しい。そう考えた翔子は、若い頃からあらゆるパートに精を出した。5年前からは近所のスーパーで、週に5日働いている。そんな翔子の努力を知ってか知らずか息子たちは立派に育ち、2人とも国公立大学に進学してくれた。そして兄に続いて優良企業への就職を果たした次男も、ついに実家を巣立っていったのだった。長い間、子ども中心に過ごし、夫よりも子どもたちと一緒に過ごしてきた翔子。2人の子どもが独立した今、家での時間をどう過ごしていいか分からない。夫と話をしようにも、息子たちの近況やテレビニュースくらいしか話題がなく、会話が続かない。そんな時、次男が残していってくれたスマホが目に止まった翔子。彼女は驚いた。こんな小さな携帯ひとつで、あらゆる情報が瞬時に手に入る。ネット上には料理のレシピにダイエットのエクササイズ、あらゆる情報があふれている。しかもそれらが全部タダ。翔子は一気にネットサーフィンのとりこになった。そんなある日。健康に関する情報を探していた翔子は、とある美容サイトにたどり着いた。そこで彼女は耳慣れない言葉を目にする。「美魔女…?」そこには女優かなにかのような、華やかな女性の笑顔。その横にはひとこと、「私、50歳に見えますか?」。「50歳って…私より年上!?」翔子は衝撃を受けた。そして思わず、リビングの鏡の中の自分の顔をのぞき込む。…スマホの中で微笑んでいるこの女性と私は、まるで別の生き物だ。これまで家事や育児とパート仕事ばかりの生活で、自分の外見だの美容だのといったことは、気にかけたことすらなかった。けれど特に根拠もなく、自分の見た目は「年相応」だろうと思っていた。ところが、私が忙しく日々を過ごしているうちに、「年相応」などという基準はなくなってしまったらしい。そう思ったらなんだか急に、翔子は自分のたるんでくすんだ肌、最後に美容院に行ったのがいつだったか思い出せないほどのバサバサ髪を、とてもみじめに感じた。「こういう人たちってどうせ、ものすごいお金持ちの奥様とかなんでしょ。庶民は足を踏み入れることもできないような、会員制高級エステとか? そんなところの化粧品ばっかりそろえてるのよ。そりゃあ金に糸目をつけなければ、美しさも買えるってもんよね…」くやしまぎれにブツブツ言いながらスマホをいじっていた翔子の指が、ピタリと止まった。「奇跡の美魔女・麗子さんプロデュースのコスメの購入はこちらから…? え、なに、この人が使ってる化粧品が、買えるの? それもスマホで?」翔子は思わずネットショップのページへと飛び、「おためしセット」の値段を確認してしまう。「2週間分が3,000円って、高い! いつもドラッグストアで買ってるオールインワンジェルは1,000円しないし、2カ月はもったわよね。お得なセットで3,000円って、高すぎるわよ!」そう思いショップのページを閉じようとした翔子だったが、ふと考えた。これまで和明にかけてきたお金、これからはある程度自由になるのよね…。次男の引越しがすんで以来、翔子の銀行口座の残高は増える一方だった。パートとはいえ、週に5日働いていればそこそこの額が稼げる。老後に備えるためにも、もちろん給与のすべてを「おこづかい」として使えるわけではない。けれども、これまでなんだかんだと息子のために消えていったお金の一部を、自分のために使ったってバチは当たらないだろう。これまでずっと、家族のために頑張ってきたんだから…。それでもまだ躊躇(ちゅうちょ)している翔子の背中を、スマホで微笑む美魔女の麗子さんが押した。「私が特別なわけではありません。丁寧なお手入れを続ければ、あなたの中の若々しさや美しさも、必ず目を覚まします」「…よし!」翔子は「購入」ボタンをクリックした。■美魔女活動に精を出す妻「若さを取り戻したい!」しかし、夫は無関心…その日から翔子の生活は一変した。ヒマさえあれば、スマホで美魔女情報探し。彼女たちは、その実年齢がとても信じられないほど若々しく、かわいらしい。私だってもっと若ければ、こんな服を着てみたかった。こんな髪型にも挑戦してみたかった。美魔女たちは翔子がそんな風に憧れるスタイルを、年齢にとらわれず自由に楽しんでいるように見える。そんなスマホの向こう側の美魔女たちを連日ながめているうちに、翔子は自分の人生は間違っていたのではないかという絶望感にさいなまれ始めた。私はずっと家事と育児に追われて、一番きれいな時期、楽しい時期を、これっぽっちも楽しまずに年をとってしまった。体重もシミもシワも、白髪までどんどん増えて、花柄のワンピースもピンクのミニスカートも、明るい色のゴージャスな巻き髪も、私にはもう無理…。心を押しつぶすような後悔の念が、翔子に重くのしかかる。「今から、少しでも若返りたい」そう切望した翔子は、「有名美魔女」オススメの商品とあらば、化粧品であれサプリメントであれ飛びつくようになった。当然、パートの給与はどんどん消えていくため、それまでは「家庭第一」と断っていた週末の出勤や遅番も、翔子は引き受けるようになった。さらにダイエットのために、毎日最低1時間のウォーキングも開始した。使える時間とお金を一気に美容に傾注した甲斐あって、翔子の体重は順調に落ち、肌や髪もツヤを取り戻し始めた。パート仲間たちは、すぐに翔子の変化に気づいてくれた。「なんだか最近スッキリしたね!」「お肌の調子が良さそう。化粧品変えたの?」そんな言葉をかけられるたびに、翔子は幸福感に満たされた。結婚後すぐに妊娠。出産して以来ずっとあきらめてきたものを、私は今、取り戻している。そう思ったら、翔子の若返り熱にはもう歯止めがきかなくなった。「私だって美魔女になりたい。若い頃にできなかったことを、今からだってやってみたい」憧れの美魔女たちのブログやインスタグラムをくまなくチェックするのが、翔子の日課になっていた。彼女たちの生活の中に少しでもマネできそうなことを見つければ、すぐさま自分の日常に取り入れる。近所の大型衣料品店で買っていたダボダボの部屋着は、丈の短い花柄のワンピースになった。「近いから」というだけの理由で10年以上通っていた美容院は卒業。ネットで見つけたおしゃれなヘアサロンで、カラーリングとパーマをオーダー。ファッション雑誌など以前は買ったことがなかったが、今では毎月2冊以上を購読。それも「無難に年相応」な雑誌ではない。美魔女たちをマネて20代の女の子のようなかわいらしさを追求し始めた翔子は、20代向けの女性誌を読みあさるようになる。美魔女たちがSNSで発信しているように、「愛され系」「艶っぽ系」に大変身して、夫ともラブラブ…というのが、翔子の思い描いたシナリオだった。ところが…これだけ努力して成果を上げているにもかかわらず、夫の正人が翔子にほめ言葉らしきものをかけてくれたことは一度もない。「お父さん、私8キロも痩せたのよ。部屋着だってすごくおしゃれに、女っぽくなったでしょ。お肌も髪も若返ったって、パート仲間にもほめられるのよ。なのにお父さんは、どうしてなにも言ってくれないの?」夫が鈍感なタイプであることは、もうずっと前から分かっていた。でも、それにしたって…これだけきれいに、色っぽく若返ったのだ。面と向かってほめるのが照れくさいなら、ちょっと態度がやさしくなるくらいでもいい。これまでの結婚生活で捨てざるを得なかった「オンナ」を、私は今取り戻そうとしているのだ。夫にも私のことを、ひとりの女性として扱って欲しい。美活に没頭する一方で、翔子のそんな欲求不満はどんどんふくらんでいった。■夫とセックスレス「露出多めの下着やナイトウエア」で迫ってみたものの…そんなある日、いつものようにスマホでアンチエイジングの特集記事を読んでいた翔子は、衝撃的な見出しを目にする。「いつまでも若い女性は、ベッドでもいつまでも現役!」「女性ホルモンの分泌を促進する『若返りセックス』!」翔子は動揺しつつ、記事を読み進める。「いくら努力してスタイルやお肌のコンディションを維持しても、セックスから遠のいてしまった女性には、女性らしい艶や潤いが足りません。ベッドでもいつまでも『現役』の女性は、セックスなしでは醸し出せない女らしさ、色気をまとっています。そんな女性は、いくつになっても魅力的。セックスによって女性ホルモンの分泌が促進されると、女性は心も体も若返ります。セックスこそ、最高のアンチエイジングなのです」翔子は愕然とした。どんなに時間とお金をかけて努力しても、セックスなしじゃダメってこと? もしかして、「美魔女」たちがあんなに輝いてどこからどう見ても年齢不詳なのは、セックスの効果? セックスこそ、アンチエイジングの決定打ということか…。そこまで考えて、翔子は思考停止におちいってしまった。セックスって、私もうどれだけしてないのかしら。次男が生まれてから、ほとんどしていない気がする…ってことは、20年以上!? 希望通り2人の子どもを授かって以来、セックスについて考えたことなんてなかった。でも美魔女たちは、40代、50代になっても「してる」ってこと?セックスがアンチエイジングの最終兵器になるというのなら、絶対に試してみなければ。「ラブラブ夫婦」への突破口も、ここから開けるかもしれない。翔子は夫をベッドに誘う決意をした。金曜日の夜。それほど遅くなる前にベッドに入った翔子は、夫の背中に手を置いて話しかけた。「ねえ、お父さん…」「あ?」正人の声はすでに眠そうで、話しかけられて迷惑そうな様子。「あ、なんでもない」翔子はあわてて手を引っ込める。あまりにも久しぶり過ぎて、どこからどう話を切り出していいか分からない。どうしたものかと策をめぐらせていると、1分もたたないうちに夫の寝息が聞こえてきた。翔子は仕方なく、自分も眠りにつくことにした。翌日。翔子はスマホとにらめっこしながら、「夫をさりげなく誘う方法」をリサーチしていた。「愛され妻になるための方法」といったホームページやブログが、山のようにヒットする。「完全なマンネリ夫婦で色っぽい雰囲気にならないのなら、ナイトウエアを工夫してムードを演出?」ナイトウエアって、パジャマのことでしょ? パジャマなんて私、ショッピングモールの福袋に入ってたのをなにも考えずに着てたわ…。その記事には、ツヤツヤしたサテンのネグリジェの写真が添えられている。かわいい…でもこんなの、若い子向きでしょ。あ、このページから、オンラインショップにジャンプできるのね。今ならセール中で4,000円? 私の年齢じゃムリかと思ったけど、家で、しかも夜しか着ないんだからいいかしら。それに、うちのお父さんは鈍感だもの。これくらい思いきらないと、気づいてもらえないかもしれないわ。結局、翔子はその日、「おうちでもオンナに手を抜かない」「寝姿もセクシーにかわいく」というキャッチコピーのパジャマやネグリジェを3着購入した。すぐに購入した商品は届き、早速鏡の前で身に着けてみる。ダイエットの甲斐あって、体のラインがあらわになってももう見苦しいことはない。お父さん、なんて言うかしら。翔子はドキドキしながら夜を待った。ところが…正人はネグリジェ姿の翔子をひと目見るなり、「なんだ、そりゃ」と眉をひそめた。「ネットでね、セールになってたの。たまにはこういうのもいいかと思って…」「いくら安くても、それはないだろ。そんなスースーした格好して、腹こわすぞ」それだけ言うと、正人は翔子に背を向けて、いつも通りすぐに寝入ってしまった。そして、残念ながら購入した残りの2着についても、夫の反応は翔子の期待を裏切るものばかりだった。「一体なんのつもりだ。風邪ひくぞ」「年を考えろよ」「悪趣味だな」翔子はすっかり気落ちしてしまった。いい雰囲気になるどころか、夫は冷たい言葉でダメ出しの連発。悲しいと同時に、夫に対して腹も立った。一体どうすれば、このマンネリを打開して、20年ぶりのセックスにこぎつけることができるのか…そんな悩みを抱えてスマホにすがりつく翔子の目に、今度はこんな記事が飛び込んできた。「抱かれる女性は下着にこだわる」「エロかわいい大人ピンクで、男性をトリコに」そのページで紹介されているのは、ふんだんな黒のフリルで飾られた、ショッキングピンクのシースルースリップだった。女の私から見ても、すごくセクシー…。こんな下着姿で迫られたら、男性なら誰でも心奪われるはず。気づいた時、翔子はすでに、そのスリップの「購入』ボタンを押していた。今度こそイケるはず。この一着で、勝負を決める。翔子の意気込みにはすさまじいものがあった。スリップが届いたその晩。翔子は早速これに身を包み、夫の布団に入っていった。正人の目は驚いたように見開かれている。でも、ここで尻込みしちゃダメだ。今夜こそ、20年ぶりのセックスに持ち込む。翔子の決意は揺るがなかった。「ねえ、お父さん。私、最近きれいになろうとすごく頑張ってるのよ。結婚してから今までずっとバタバタしてて、そんなこと言ってる余裕がなかったけど…。それでね、お父さん。お父さんともまた…」「おいおい、一体なにがどうなってるんだよ!?」翔子の言葉をさえぎって、正人がほとんどどなるようにして言った。「お前最近おかしいぞ。なにがあったんだよ。突然、濃い化粧なんか始めるし、髪型も派手になるし、服やアクセサリーだって年甲斐もなく…。それにその格好。一体なにがしたいんだよ。どうしたんだよ、一体!?」翔子は絶句した。あんまりだわ。確かに私はもう20代じゃない。美容からもファッションからも、長年遠ざかっていた。だけど、私がそんな人生を送ってきたのは誰のせい? お父さん、あなたのせいでもあるんじゃないの? 私だってお金持ちの家の奥さんだったら、もっと若い頃から美容やファッションに気をつかえたはず。もしかしたら今頃は、「美魔女」のようになれていたかもしれないのに…。私はずっと、家計を支えるために働きっぱなしだった。仕事で忙しいあなたの分まで、男の子2人の相手も一手に引き受けた。元気いっぱいの息子2人と外をかけずり回ってできた、シミやシワ。スーパーで買ったお菓子をドカ食いするくらいしかストレス解消法がなかったせいで、ついてしまった脂肪。これまでずっと、こんなにも家族に尽くしてきたのに。それなのに…あなたは私の気持ちなんて、これっぽっちも分かってくれないのね。きれいになりたい、女性として扱われたいという女心を、そうやって踏みにじるのね。気づくと翔子は、不気味なくらい静かな声で夫に語りかけていた。「家政婦にオンナもきれいさも求めない、年相応に老け込んでいけばいいって言いたいのね」「は? 家政婦? 誰もそんなこと言ってないだろ」「お父さんのせいよ!」突然激昂した翔子に、正人は固まった。「若い時にやりたいこと、なんにもできなかったのはお父さんのせいよ! 私はお金も時間も、ちっとも好きなように使えなかった。夫婦仲良く、なんて言ってる余裕もなかった。だから今からでもって思ったのに、そうやって私のことバカにして…。私の若さを返して! 私の人生を返してよ! お父さんとなんてもう一緒にやっていけない。離婚してちょうだい!」ピンクのシースルースリップ姿で、泣き叫ぶ翔子さん。彼女の胸は、張り裂けんばかりに傷ついています。一方、夫の正人さんも、妻の変貌と突然の大爆発に唖然。妻に恐怖すら覚えています。長年良妻賢母として家族を支えてきた翔子さんを、「やりすぎ美魔女」モンスターと化すまで追いつめたものとは、一体なんだったのでしょう。次回、チェックテストとともに解説していきます。
2018年09月29日夫に大切にされる生活を夢見て結婚するも、独身時代のようにかまってもらえず不満爆発。結婚生活の憂さを晴らそうと合コンにのめり込んでいった香織さんのケースを、 前回 はご紹介しました。吟味を重ねて理想の夫と結婚したはずの香織さん。彼女はなぜ「誰でもいいからかまって欲しい、抱いて欲しい」と合コンを渡り歩く「合コン狂いの人妻かまってちゃん」と化してしまったのでしょうか。また、香織さんのエピソードを他人事のように感じるあなたも、そのリスクをまったく抱えていないとは言いきれません。以下のチェックテクストで確認してみてください。■「モダンセクシャル系モンスター 合コン狂いの人妻かまってちゃん」度チェックここでは、あなたの「モダンセクシャル系モンスター 合コン狂いの人妻かまってちゃん」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 人気スポット、新しい飲み屋やレストランの情報を知ると行ってみたい。2. 学生時代からチヤホヤされてきて、それが快感だった。3. 複数の男性がいる場所が心地よい。4. 自分ひとりで楽しめる、没頭できる趣味がない。5. 付き合いが長い、深い話をできる友人がいない。6. 自分に甘い言葉をかけてくれる相手が、常に一緒にいてくれないと心細くなる。7. セックスをしないと「自分は男性に求められる魅力的な女」と感じられず、不安になる。8. 夫は、自分より家庭のことを最優先に考えなければいけないと思う。9. 結婚しても「女」でいたいし、夫がその要望を満たしてくれなければ、婚外交渉はしかたない。10. SNS の友だちは当然男性の方が多い。■あなたの「合コン狂いの人妻かまってちゃん」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「合コン狂いの人妻かまってちゃん」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、合コン狂いの人妻かまってちゃん度「C」(あなたの中の「かまってちゃん」が、夫にうとんじられ始めます)○の数が6個以上8個未満は、合コン狂いの人妻かまってちゃん度「B」(「夫がかまってくれないなら、よその男性と…」と、気持ちが浮わつき始めていませんか?)○の数が8個以上は、合コン狂いの人妻かまってちゃん度「A」(「もう誰でもいいから、私に優しくして!」…なりふり構わない状態です)「合コン狂いの人妻」モンスターの背後に潜んでいるのは「かまってちゃん」。とにかく誰かに甘えたい、自分を認めて欲しくて仕方がない。そして、そんな「かまってちゃん」な性格の背景には、自分への自信のなさが潜んでいます。■合コン狂いの毎日…目が覚めた一言は?前回の香織さんは、若い頃からかわいいと持ち上げられ、社交的な性格で大企業にも就職することができました。「理想の男性」と結婚して、大満足。自信に満ちあふれているタイプなんじゃないの? と思いますよね。ところが結婚後、夫は思ったほど自分を満足させてくれない。専業主婦として家にいるので、さまざまな男性からチヤホヤしてもらえるチャンスもない。そんな状況に直面して、香織さんが心の奥底に隠し持っていた「自信のなさ」がチクチクと刺激され始めました。仕事にも、人間関係の構築にもどことなく集中できず、最後までやりきることができない弱い自分です。独身時代はみんなにきれいと言われ、合コンに参加すればいつだって人気者。しょっちゅうデートに誘われて、自分はすごくイイ女、価値のある女だと思っていました。しかし、いざ結婚してみたら、夫は思うようにかまってくれない。しまいには、私のことが鬱陶(うっとう)しいとでもいうような、ウンザリ顔をするように。結婚生活には、合コンもデートもなし。暇だし寂しいし、夫も相手にしてくれないし。一体、私はどうすればいいの?趣味に没頭してみる? あれ? でも私、没頭できるような趣味なんてないわ。友だちに会う? でも私、一緒にランチに行くような同級生や同僚はいたけど、友だちらしい友だちって、そう言えばいない。なにかやりがいのあるもの、生活にハリを与えてくれるようなものを探さなくちゃ。だけど、一体なにをすれば? 習い事なんて、飽きっぽいから絶対続かないし。勉強? 資格? 今さらなんのために? そもそも私、興味を持てるものが全然ないのよね…。結婚して自分を持ち上げてくれる取り巻きがいなくなり、夫との関係も悪化した途端、実は自分がからっぽだったことに薄々気づき始めた香織さん。誰かにほめてもらわなければ、甘い言葉をかけてもらわなければ、自分を保っていられないという恐怖感・飢餓感におそわれ始めます。こうなると「かまってちゃん」に余裕なんてまったくありません。根気よく夫婦関係の改善に努めようなどと言っている場合ではない。「誰でもいいから」、とにかく自分に振り向いてもらいたい、自分にはまだ魅力があると証明して欲しいのです。そうして、自分の中の「かまってちゃん」に急き立てられ、みるみるうちに「合コン狂いの人妻」と化していく。家庭の空気はますます悪化、セックスレスは最長記録を更新。心身ともに耐えられなくなった香織さんは、いつ誰と肉体関係を持とうか、そんなことばかり考えるようになりました。そしてある日、ついに合コンで意気投合した男性と「今夜は一線を越えてしまおう」と心に決めます。ところがこの夜が、香織さんにとって思いがけない転機となります。今夜は下着も最高にセクシーなランジェリー。そうだ、もう一度香水をつけ直しておこう…。そう考えて、パウダールームに立った香織さん。ドキドキしながら合コンの場へ戻る途中、参加者の男性がトイレから出て来るのが見えました。香織さんの足が、ピタリと止まります。「人妻・香織ちゃん、ガンガンきますねー」「なに、お前。香織ちゃんがタイプ?」そう言って笑いながら続いて出てきたのは、なんと香織さんがお目当てにしていた昌弘さんでした。「タイプもなにも、既婚者なんてありえないですけど。でも、一度だけお持ち帰りくらいなら、アリかなーって。あとくされないもん」「お前、やめとけよー。一度だけのつもりだったのに、『旦那と別れるから、私と一緒になって!』とか突っ走られたらどうするんだよ。ああいうタイプは面倒くさそうだぞー。結婚してんのにメチャクチャ張り切って合コン参戦してきて、マジすぎて怖いじゃん」昌弘さんの言葉に、香織さんは血の気が引いていきました。それでも男性2人は笑いながら話し続けます。「確かに、『私を見て見て!』アピールがスゴすぎてちょっと引きますよね。欲求不満感がにじみ出てるっていうか…」「だろ? 人妻なのに必死過ぎて、あんなのに本気になられたらホラーだよ。確かにきれいはきれいだけど、俺は旦那に同情するね」そこで、ようやく2人は香織さんの存在に気づき、顔面蒼白に。香織さんのほうはもっと真っ青です。その場を取りつくろう術など思いつかず、そのままお店を飛び出しました。■依存しない自立した女性を目指して奮起した香織、すると…その後しばらくの間、引きこもりのような状態になった香織さん。「合コンの女王」の友人との連絡も途絶えました。夫婦仲は完全に破綻していたので、夫に甘えることもできません。ひとりぼっちで悲しみ、怒り、屈辱感、寂しさや虚しさ等々、あらゆるネガティブな感情にさいなまれた日々の末に、香織さんは「目が覚めた」と言います。「私にはなんにもなかったんです。趣味も特技も、友だちも仕事も。生きがいとか、夢中になれることも…。本当にからっぽだった。それを認めたくなくて、甘い言葉をかけてくれる、いい気分にしてくれる誰かにいつもそばにいて欲しかった。でも、自分を甘やかしてくれる人の間を渡り歩いてみたところで、からっぽな自分はなにも変わらないんですよね。そりゃあ、夫にも愛想を尽かされますよね」それに気づいた香織さんは、現実を直視せざるを得なくなりました。会話もスキンシップも完全になくなっていた夫には、いつ離婚を言い渡されるか分からない。資格もなにもない自分が今から再就職先を探すことになったら、かなり難航しそうだ。一体どうしたら…。悩んだ末に香織さんは、興味が持てそうなネイルアートの勉強を始めることにしました。いつも通っているネイルサロンで、おしゃれなネイリストが自分の爪を美しく仕上げてくれる様子を見ていて、「こういう仕事なら面白いかもしれないな」と思ったことが何度かあったのです。夫婦仲は破綻しているけれど、お金だけはかろううじて夫から振り込んでもらえているうちに資格を取りたい。香織さんは決意しました。それまで美容やろくに通ってもいない料理教室にかけていたお金をネイリストになるための学費にあて、懸命に勉強を始めます。「夫に離婚されてもなんとか自分ひとりでやっていけるようにと、とにかく必死でした」と香織さん。ところが事態は思わぬ方向へ進みます。香織さんが合コンとキッパリ縁を切り、時間とお金の浪費をやめて一生懸命勉強を始めた途端、あれほど冷たかった夫の真司さんが再び香織さんに話しかけてくるようになったというのです。「頑張ってるね。でもあんまり根つめ過ぎるなよ」「資格試験、いけそう?」「今度、香織が仕上げたネイルの写真、見せてよ」夫の変化に、香織さんは驚いたと言います。「夫に振り向いて欲しくて、かまって欲しくて、いつも彼にへばりついて大騒ぎしていた時には、ちっとも振り向いてもらえなかったのに。自分の人生を自分でなんとかしなきゃと必死になり始めたら、夫のほうからこっちへやって来るなんて…本当にびっくりしました」ネイリストの資格を取得した香織さんは、現在就職活動中。夫婦仲は少しずつですが、確実に回復しているということです。香織さんに近いタイプだと感じた方は、まず自立した妻を目指すと良いでしょう。自分で自分を楽しませる、満足させる術を心得ていると、たとえ夫婦仲に問題が生じても冷静に対処できます。なぜならそんな妻は、いざとなれば夫がいなくても生きていけるからです。そして、それを自分自身で認識している。これが「かまってちゃん」にはない、自立した妻の「自信」です。自分の面倒を自分で見ることができる、自立した2人の大人が一緒になって、お互いに助け合い、高め合いながら生きていく。それが理想的な結婚です。あなたの中にひたすら夫に依存したがる「かまってちゃん」がいるのなら、大きくなりすぎる前に退治してしまうこと。そうすればあなたが「合コン狂いの人妻」に変身してしまうことはないでしょう。
2018年09月16日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。女性も性に関してオープンかつ積極的になってきたのはとても良いことです。しかし、これは寂しさや虚しさを埋めるために、不特定多数の異性と関係を持つことをすすめるものではありません。恋人同士、夫婦のセックスが充実すれば、2人の関係性も向上する。私がお伝えしたいのはそこなのです。ところが、夫婦間のセックスがうまくいかず、寂しさや欲求不満を持て余して婚外交渉に走る女性が年々増えてきている気がしてなりません。SNSの発達で、男女の出会いがたやすくなったのは承知のとおりです。妻の不倫が夫にバレた場合、待ち受けているのは壮絶な修羅場。男の身勝手と言ってしまえばそれまでですが、男性は女性に「純潔」を求め、自分だけのものという意識があります。女性以上にパートナーの不貞行為を許せません。だから「夫にかまってもらえないのが寂しくて」不倫に走った結果、妻側には離婚の意思がなかったのに別れるハメに…などというケースがあとをたたないのです。結婚とは、人生を共にするパートナーの選択であると同時に、セックスのパートナーの選択でもある…ということに気づかず、セックスの相手を安易に外へ求める妻たちが急増中。人妻でありながら臆することなく、合コンに参加するツワモノまで出てきました。今回は、そんな妻たちの一人、香織さんのケースをご紹介します。■妻が浮気?「夫に相手にされなくたって、私は平気!」「モダンセクシャル系モンスター 合コン狂いの人妻かまってちゃん」代表:香織(仮名)31歳の場合「香織ちゃん、いい飲みっぷりだね!」「やだ~、昌弘くん。そんなにすすめないでよ。私、本当はお酒、あんまり強くなくて…」そう言いながら、香織はゆるくウェーブのかかったツヤ髪をかき上げると、ピンクベージュのカーディガンを脱いだ。男性陣の視線が一気に、襟ぐりの大きく開いた薄手のニットを押し上げる香織のバストへ集中する。ベタだけど、これが私の常勝戦略。香織は、男たちの視線を存分に浴びて、快感だった。ここは、都内のスパニッシュレストラン。店の奥の半個室では、男女4対4の合コンが今まさに進行中だ。女性陣の中でひときわ男性の注目を集めているのは、幹事チエの学生時代からの腐れ縁、香織だった。彼女は、結婚3年目の人妻だ。しかし、1年ほど前から、誘われれば必ず、誘われなければ誰かにセッティングを頼み込んでまで、合コンに明け暮れているのだった。■合コン三昧の腰かけOL「理想は専業主婦」たどりついた結婚相手は?香織は、大学卒業後、大手メーカーに一般職として就職。勉強は嫌い、働くのも好きじゃない彼女だったが、女子アナ風のルックスと、中学時代から磨き上げてきた愛想の良さが功を奏したのだろう。誰もが知る一流企業に就職できたのだ。香織が、その会社へどうしても就職したかった理由。それはズバリ、理想の夫探しのためだった。一流企業に勤めていれば社内での出会いにも期待できるし、合コン参戦時にも箔がつくというもの。社会人になってからの香織は、学生時代以上に真剣に合コンへといそしんだ。合コン三昧の生活は楽しかった。仕事にやりがいを見出しているわけでもなければ、これといった趣味も特技もない香織だったが、合コンだけはいつも中心人物でいられた。ネットのモテ記事、モテ本を読みあさってテクニックの研究を重ねては、合コンで実践。男たちから狙ったとおりの反応を得られると、香織は快感にひたった。私は女としてすごく価値がある。だってほら、彼らは私に夢中よ…こうして香織は、ほかのなにものによっても得られない万能感を楽しんでいた。セックスに関しても同じだった。香織は自分にセックスを懇願してくる男たちをじらし、「お許し」を出してやると夢中になって奉仕する男たちの姿をながめるのが好きだ。自分は男に対して力を持っている。セックスも最高。誰にも負けない魅力がある。その感覚は、香織に大きな満足感を与えた。そうして20代半ばまで、香織はひたすら楽しい時間を過ごした。そして25歳を過ぎると、いよいよ真剣に結婚相手探しに励むようになる。最終的に彼女は、同じ会社の営業部のエースと呼ばれていた真司と付き合うことにした。真司は安定した収入なうえに、スポーツマン。そしてなにより、香織をお姫様扱いしてくれる。理想の男をゲットした自分に酔いしれる香織。そして、香織28歳、真司33歳の時に、2人は結婚した。「お家のことをちゃんとやりたいのよ」試算の結果、真司の収入でやっていけるとふんだ彼女は、今の時流に逆らい、専業主婦の道に入る。■結婚生活は不満だらけ「私をもっとお姫様扱いして!」バブル期に結婚した母の影響か、香織にとって、職場は結婚相手を探すための場でしかなかった。パートナーを見つけ出すことが会社での自分の役目。成果を上げるポイントは、仕事の評価よりも結婚相手の獲得だ。時間にもお金にも余裕があって、いつもきれいにしていて夫にも愛される専業主婦。それが香織の理想だ。「家のことをちゃんとやりたい」というより、「イヤでも家事はしなくちゃいけないんだから、仕事との両立なんてしんどいことはまっぴら」というのが本音。とにもかくにも、真司は香織の希望を受け入れてくれた。夢の結婚生活が始まるはずだった。ところがすぐに、彼女は結婚生活に不満を感じ始めることになる。結婚したら一緒に過ごせる時間が増える分、やさしい恋人だった真司は、これまで以上に私を満足させてくれるはず。ずっとお姫様気分で暮らせるはずだわ。そう思っていた香織にとって、新婚生活は幻滅の連続だった。第一に、2人の時間が思ったよりずっと少ない。結婚前のデートは、多忙な真司に合わせて週に1度だった。香織は寂しかったが、「結婚したら2人で過ごせる時間が増えるはず」と自分に言い聞かせつつ、合コンで知り合った男性と飲みに出かけたりしていた。そんな「退屈しのぎ要員」たちがチヤホヤしてくれたからこそ、香織は忙しい真司に文句を言わず、いつもニコニコと付き合っていられたのである。しかし、結婚してみると、自分を大切にしてくれるはずの夫が、自分のために時間を割いてくれない。香織は憤慨した。真司は基本、帰りが遅い。営業という仕事柄、出張や接待もしょっちゅうだ。週末ですら、人脈を広げるためのイベントをリサーチしたり、ジムやテニスに1人で行ってしまったりする。恋人時代は、少なくともデートの間だけは、自分だけに100%集中してくれていた真司。しかし、結婚後は自分を単なる生活の一部として、軽んじている気がする…香織は我慢できなかった。 ■きれいな妻でいるために「おこづかいは最低でも5万円」「週末くらい、ずっと私と一緒にいてよ」ある土曜日、香織はジムに出かける準備をしている夫に不満をぶつけた。「いや、トレーニングには行かないと。営業は第一印象も大事だから、接待を言い訳にブクブク太るわけにもいかないんだよ」「じゃあ、明日のテニスには行かないで」「2週間ぶりだから、そろそろ行かなきゃ体がなまっちゃうよ。香織だって『趣味がテニスなんてステキ』って言ってくれてたじゃないか。あ、よかったら香織も来ない? 同年代の子たちもいるし、始めてみたら楽しいかもよ」「イヤ。日焼けするから」香織はつっけんどんに答えた。確かに恋人時代、テニスでいつもほどよく日焼けした真司は香織の目にも魅力的に映った。けれど、趣味も日焼けも、私との時間に支障をきたさないところですませてもらわなければならない。奥さんにだけ目をかけ、奥さんをかわいがって、友だちに自慢してくれること。香織にとって、それが夫の最重要条件なのだから。「それじゃあせめて、週に1度は、インスタ映えするレストランに連れてって。恋人同士の時みたいに」思いっきりおしゃれして、真司とレストランやバーに出かける。そうすれば、2人の時間が少ない不満も少しは和らいで、気分も晴れるだろう。香織としては、思い切り譲歩した提案だ。ところが真司は、眉間にシワを寄せて言った。「もう共働きじゃないんだから。それに香織、おこづかいは月5万は要るって言うじゃないか。それに加えて、さらに外食はきついよ」香織は絶句した。これが…私のために時間もお金も工面できないと言うこの男が、私が厳選した理想の夫?会社員時代の貯金はある。社会人になっても実家住まいだったのでそこそこの額だ。母親が貯めておいてくれた結婚資金もありがたい。でも、美容院とまつエク、それに料理教室の月謝のことまで考えたら、月に5万円はないと回らない。「時間にもお金にも余裕がある、いつもきれいな愛され妻」という理想のために最低限、夫からもらいたい額だ。ワガママを言っているつもりなど、香織にはまるでない。夫のためにきれいにしている妻のどこがおかしい?■新婚なのにセックスレス「釣った魚にエサはやらない?」香織が不満に思っていたのは、時間やお金に関することだけではない。セックスについても、結婚後、不満を抱き始めていたのだ。結婚前のデートでは、真司はいつも情熱的に香織を求めてきた。ところが、結婚してからというもの、セックスの頻度はどんどん下がり、内容的にも物足りない。熱意が感じられず、「求められている」と実感できないのだ。これは香織にとって初めての体験だ。男はみんな、私とセックスしたいんじゃないの? 私は女として価値がある。男は私を欲しがって当然。なのにどうして…どうして、毎晩同じベッドで寝ている夫すら、私にセックスを求めてこないのだろう?状況が理解できず、香織は混乱した。しかし、いくら夫が誘ってこないからといって、自分の方から誘うなどということは考えられない。セックスは、男が女に求めるものだからだ。セックスがないまま1カ月が過ぎようというある日、香織は我慢できずに寝室で夫にたずねた。「ねえ真司さん、私たち最近あんまりエッチしてないよね。どうして? 前はもっとしてたのに」このところ残業続きだった真司は、すでに眠そうな目をしている。「そうかな。まあ、そう言われてみれば、そうかもしれないな」夫ののんきな口調に、香織はカッとなった。自分は「男に求められない」という屈辱感にさいなまれ、「今日は誘われるか」「今日こそ、いよいよ?」と、毎日息をこらすようにして過ごしてきたのに。それなのに夫は「まあ、そうかもしれない」?? そんなとぼけた反応、納得できない。「『そうかもしれない』じゃないわよ。付き合ってた頃は、週に1度は絶対にしてたじゃない。なのにどうして?」「うーん。どうしてって言われても、これと言った理由があるわけじゃないけど。最近忙しかったし…それに結婚して、毎日会えるわけだからさ。『今日しないと!』って感じることがないっていうのもあるかな」「なるほどね」香織の中で、あらゆることがストンと腑に落ちた。そして自分でもびっくりするくらい嫌味な声が出た。「つまり、釣った魚にはエサをやらないってわけね」「なんだよそれ」香織の口調に、穏やかな真司も語気を荒げた。 ■「中身からっぽのかまってちゃん妻」夫の不満も爆発結婚して以来、妻は口を開けば不平不満ばかり並べている。だが、言わせてもらえば、こっちにだって不満は山ほどある。口にこそ出さなかったが、真司も相当ストレスをためていた。妻はいつ、いかなる時でも、自分のことを最優先して欲しがる。自分が仕事で忙しい時でも、たまの休みに息抜きをしようとしている時にも、妻はとにかく少しでも多くの時間とお金、労力を自分に注がせようと、夫を徹底マークしているのだ。それに、妻がこんなにつまらない、自立できていない女だとは結婚するまで知らなかった。趣味もなにもなく、夫にかまってもらうことしか考えていないように見える。極度の「かまってちゃん」だ。週に1度しか顔を合わせない間柄ならともかく、結婚した相手がこれでは正直、息がつまる。真司は大きなため息をついた。「俺にこれ以上、どうしろって言うんだよ」夫のその言葉とうんざりした顔に、香織のプライドはズタズタだ。私はかわいい、みんなの憧れの「香織ちゃん」なのだ。その私を、夫はちっとも大事にしていない。私の価値を分かっていない。一体どうして私は、こんな男の「専属」になってしまったのか。私を大切にしてくれる男性は、山ほどいるというのに。香織は自分の結婚を激しく後悔した。そして、その日を境に香織は夫を、結婚生活をかえりみなくなった。夫婦仲の悪化は当然、加速していき…。■かまってくれない夫に仕返し「合コン参戦」宣言数カ月後、学生時代からの友人チエから電話がかかってきた時、香織は躊躇(ちゅうちょ)なく言った。「チエ、次回の合コンは、私にも声かけてよ」とにかく誰かにかわいいと言ってもらわなければ。自分をほめて、求めてくれる男がいなければ、私は干からびてしまう。香織は必死だった。夫に対する罪悪感など抱く余裕はなかった。チエは「合コンの女王」。2人は以前、しょっちゅう連れ立って合コンに参戦していた。それでも、さすがに香織の結婚後は、合コンに誘うことはなくなっていた。「えーっ? なによ、やさしい旦那様となにかあった?」「別に。ただ単にヒマなのよ。主婦って」「もーっ、贅沢者! あくせく働きながら旦那探しまで頑張ってる私に、そういうこと言わないでよね」チエは笑いながら言った。「でもいいわ。既婚者が参加してくれれば、ライバルが1人減るもんね。今度企画する時には、絶対声をかけるよ」1カ月後、チエは実際に香織を誘ってくれた。服は自分のスタイルを目一杯際立たせてくれるものを選ばなくちゃ。久しぶりに、短めのスカートはいちゃう? それとも丈は普通で、ボディラインを強調するデザインのワンピース? 髪も久しぶりに巻いちゃおう。メイクも最近は新しいアイテムをチェックしていない。デパートに見に行かなくちゃ。自分の女としての魅力を、100%発揮するのだ。そして、女としての自分の価値を実感しなければ。香織は久しぶりに、気力がみなぎるのを感じた。真司には合コンに参加することを宣言した。黙っていることもできたのに、「人数合わせのためにどうしてもって、友だちに誘われちゃって」とあえて告げたのだ。真司が嫉妬して止めてくれるかもしれない。あせって、自分をもっと大切にしてくれるようになるかもしれない。そんな期待を、香織はまだ完全には捨て切れずにいた。ところが、真司はうっとうしそうに香織を一瞥(いちべつ)すると、冷たく一言。「あっそ」と言っただけだった。もはや妻のことになどまったく関心がないような夫の態度に、香織は自分の中でなにかが崩れ去るのを感じた。そうして迎えた合コン。香織のパフォーマンスは、すさまじいものがあった。笑顔を一時もたやさず、甘い声を響かせ、絶妙のタイミングで髪をかき上げる。適度なボディタッチも忘れない。既婚者と知りながら、彼女と連絡を交換したがる男が続出した。香織は、本当に久しぶりに、大きな満足感を味わうことができた。自分にはまだまだ価値がある、男を操れる魅力があるのだと、自信を取り戻すことができた。彼らの本心は「あとくされない、結婚を求めない女」…かもしれないのに。■これって浮気?「超えてはいけない最後の一線」がぼやけていく…以来、香織は合コンに没頭した。家では完全なすっぴん、髪はボサボサ。ルームウェアにもまるで気をつかわなくなり、常に不機嫌オーラ全開だ。合コンの日だけ「最高のワタシ」を演出するようになっていた。夫婦仲は完全に冷え切り、言葉も交わさないレベルにまで悪化した。セックスも当然ない。そのうち香織は、当初は自分の中に存在していた越えてはならない「一線」が、どんどんぼやけてゆくのを感じるようになった。「一線」とはもちろん、合コンで出会う男性との肉体関係だ。「合コンでチヤホヤされて『自分はまだイケてる』と思えれば、夫が私を見ようとしない、みじめな結婚生活にも耐えられる」「ほかの男性にやさしくされて、私の心に余裕ができれば、夫婦仲も改善するかも」最初はそう思って、香織は合コンに参加していた。ところが、そんなことを繰り返すうちに、夫婦仲はますます破綻してゆく。香織はどんどん不安定になり、ついには「誰でもいいから男に求められたい、抱かれたい、寄りかかりたい」と思いつめるところまで来てしまったのだ。その頃になると、真司が目を疑うような奇抜なデザインの矯正下着を香織は恥ずかしげもなく着用するようになり、合コンの日だけセクシーなランジェリーを身にまとうのが常になっていた。スパニッシュレストランの一角で酔ったフリをしながら、香織は自分に酒をすすめてくる目の前の男を冷静に観察していた。話が面白く、女心をくすぐるツボも心得ている彼にやさしくされるのは快感だ。連絡先も交換した。それにさっきからずっと、私だけを見つめてくれている気がする…今夜、彼と一線を越えてしまおうか。そうすれば私は、虚しい結婚生活でため込んだ怒りも屈辱感も悲しみも、どうでもいいと思えるようになるだろうか。とびきりの笑顔を弾けさせる香織の頭の中では、さまざまな感情や計算がグルグルと渦巻いていた。理想の夫と結婚したはずの香織さん。ところが、結婚当初から不満を抱え、合コンに逃げ道を見出すようになります。香織さんはその後、どうなったのでしょうか?もしかしたらあなたも、香織さんのように「合コン狂いの人妻かまってちゃん」の泥沼に足を踏み入れてしまうかもしれません。次回ご紹介するチェックテストでリスクを判定してみましょう。
2018年09月15日超大型フェス「ULTRA MUSIC FESTIVAL」マイアミよりスタートし、今や日本でも大人気のフェスとなった「ULTRA MUSIC FESTIVAL」。マイアミの高層ビルと海に面したロケーションで、2018年3月23日~25日に開かれた今回のフェスは、天候にも恵まれ絶好のフェス日和。フェスを楽しむにふさわしい最高のロケーションで音楽を楽しめるイベントとなりました。今年も8つのステージが登場。中でもとびきり人気なのがメインステージの「ULTRA MAIN STAGE」と、日本を代表してフェスへ参戦した『KSUKE』が上がった「ULTRA WORLD WIDE」のステージ。早い時間ながらもステージを盛り上げ、会場をヒートアップさせました。ビックなサプライズで会場は更に大盛り上がりアニバーサリーにふさわしいサプライズ演出には日本でも絶大な人気を誇る「SWEDISH HOUSE MAFIA」が登場。ファンが長年待ちわびただけあって会場が大盛り上がり。割れんばかりの歓声が会場中に響き渡りました。2日目の「Marshmello」ステージには、俳優でありながらラッパーでもあるウィル・スミスが飛び入り参加。“miami”を披露するなど豪華なサプライズ出演に会場はどよめき立ちました。トレンド要素を取り入れることもフェスの魅力このフェスでは、最近のトレンドをいち早く取り入れることでも知られています。今年はグラミー賞を受賞したエド・シーランやブルーノ・マーズなど、日本人でも一度は聞いたことのあるPOPソングを取り入れるDJが多く見られました。トレンド要素は音楽だけではありません。ファッションもフェスでの要チェックポイント。去年に続き光沢感のある素材を使ったシースルーや、スケルトンのアイテムを取り入れるファッションがトレンドに。ブーツから少しだけ靴下を見せるテクニックを取り入れている人も。「ULTRA JAPAN 2018」開催概要日本でも9月15日(土)~17日(月)の3日間、お台場ULTRA JAPAN特設会場にて「ULTRA JAPAN 2018」が開催されます。マイアミから始まった人気フェスは今年も日本を大いに盛り上げてくれるでしょう。チケットもすでに発売されているので、行く予定の方は早めの予約を忘れずに!最近のトレンドを取り入れてフェスへ参加してみてはいかがですか?「ULTRA JAPAN 2018」の豪華出演者が解禁!「ULTRA JAPAN 2018」の出演者が発表されました。今年も豪華なDJの出演が目白押し。注目のHeadlinersのステージは見逃せません。Headliners・Afrojack・Armin Van Buuren・Axwell || Ingrosso・DJ Snake・Galantis・John Digweed B2B, Nicole Moudaber・Nicky Romero・Nina Kraviz・Steve Angello・Sven Väth・Tchami X Malaa・Zeddなど「ULTRA JAPAN 2018」がLINEとコラボレーションを実施!LINEスタンプのプレゼント「ULTRA JAPAN 2018」の開催を控えて、2018年9月5日〜10月4日の期間限定でLINEスタンプの配布がスタート。オフィシャルCMソングのKSUKEの「Favorite Mistake (feat. Sidnie Tipton) [Short Ver.] 」をLINE MUSICで無料ダウンロードすると全員もらうことができます。公式HP:LINE MUSIC「ULTRA JAPAN 2018」LINE LIVE特番が放送!2018年9月6日は21時から、「ULTRA JAPAN 2018」に出演するKSUKEとTJOがLINE LIVEで本イベントの事前特番を放送!2人によるオススメ出演アーティストやグッズ紹介など、イベント当日に向けて盛り上がりをみせる充実の内容が予定されています。公式HP:[ULTRA JAPAN 2018 事前特番]( イベント情報イベント名:ULTRA JAPAN 2018催行期間:2018年09月15日 〜 2018年09月17日住所:東京都江東区青海1丁目1−20TOKYO ODAIBA ULTRA PARK (お台場ULTRA JAPAN特設会場)
2018年09月06日前回 ご紹介したのはセックスから遠ざかろうとする夫、純也さんとのセックスレスに悩み始めた愛美さんのケース。元は仲の良い夫婦だったのです。ところが、妻がセックスを求めたことで、セックスが苦手な草食系夫は大ピンチ。夫婦仲はどんどん悪化していきました。私に言わせれば、セックスの相性(身体の相性や性欲の強さ)について真剣に考えることなく結婚に踏み切ってしまうことが、まずは大間違いです。しかし、すでに結婚してセックスレスに悩んでいる妻たちにそれを言っても始まりません。性欲が極端に少ない男性と結婚してもセックスレスを回避するための方策を、ここでは考えていきましょう。(「結婚後セックスレスに泣かないためには、どんなことに注意すれば?」という未婚女性の皆様は、ぜひ拙著 『抱かない男の見分け方―いつまでもラブラブなふたりでいるための指南書』 をご一読ください。)まずは、あなたが愛美さんと同じタイプのセクシャル系モンスターと化してしまうリスクを判定しましょう。■「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度チェックここでは、あなたの「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 夫がいわゆる「草食系男子」だ。2. セックスの相性について真剣に考えたり、話し合うことなく結婚を決めた。3. 問題を見て見ぬフリをして、解決を先回しにしてしまうクセがある。4. 「女を捨てている」タイプの妻がセックスレスに直面するのであって、妻がキレイにしていれば、夫は妻に欲情するはずだ。5. 交際中、セックスが合わないと感じても、結婚後は改善するはずだ。6.すぐに結果が得られないとイライラしてしまうタイプだ。7. セックスという行為は男性が相手に性的魅力を感じている証拠だ。8. セックスを拒否されると、自分の存在そのものが否定されたように感じる。9. 「話し合い」をしたかったはずが、あとで思い起こすと「責任追及」や「批判」になってしまっていることがある。10. 夫以外の元彼や、過去のお相手のほうがセックスがよかったと思い出すことがある。■あなたの「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「今風セクシャル系モンスター 生殺し妻」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、生殺し妻度「C」(草食系夫への不満がにじみ出始める頃です)○の数が6個以上8個未満は、生殺し妻度「B」(夫はあなたに責められていると感じ、および腰になっています)○の数が8個以上は、生殺し妻度「A」(夫は縮み上がっています。この状態ではセックスレス解消は望めません。今すぐ方向転換を!)■セックスレス「セクシーでキレイな妻ほど夫は欲情する」というのは間違った思い込み現代社会の産物、草食系男子と結婚した妻が、セックスレスを克服するための第一歩。それは、セックスにまつわる従来型の思い込みを捨てることです。そうした思い込みが妻に、夫を追いつめる言動を取らせることになるからです。「セックスレスって奥さんが外見にかまわなくなったり、倦怠期で夫婦仲がイマイチな時になるんでしょ?」…あなたはそんなふうに思っていませんか? これは逆に言えば、「妻が努力していつまでも魅力的で夫婦仲も良好なら、セックスレスになんてならないはず」ということですよね。だから、草食系夫とのセックスレスに悩む妻たちは、自分磨きに必死になります。ダイエットをし、お肌や髪のお手入れもより念入りに。部屋着やパジャマもカワイイ系からセクシー系まで取りそろえ、料理にも力を入れて、理想的な妻を目指します。「これだけやれば、夫だって振り向いてくれるでしょ」と思えるレベルまで。ところが、セックスに意味を持っていない夫は、これでは振り向きません。彼らは、「チャンスさえあればセックスはもちろんしたいけど、妻が完全に女を捨ててるから、『妻だけED』なんだよね」などと言う、従来のセックスレス夫たちとは違うからです。やさしく繊細な今風男子たちは、セックスにおいても相手を傷つけないか、嫌な思いをさせないか、失望させないかと気づかいに気づかいを重ねます。また、失敗したらどうしようと不安に頭を悩ませます。失敗はあらかじめ回避するもの、セックスごときで嫌われるなんて割に合わないという価値観。思いやりのベクトルが変な方向を向いているのです。ネット時代の人付き合いの短所は、相手にガッツリぶつかって、ことが起こることを避けるようになるところ。相手の懐に入るなどという昔のスタイルは頭にありません。セックスなど、人と人とのコミュニケーションの最高峰なので、失敗したらあとが面倒くさいと思っているのでしょう。そして、セックスのあとは、ぐったり気疲れしてしまう。だからやがて「マスターベーションのほうが、手軽で気軽でいいや」ということになってしまうのです。まさに相手を気をつかわずにできる、面倒くさくない性欲解消法。そんな複雑な夫の心情・事情を妻が理解できずにいると、どんなことが起きるでしょうか。従来の「妻が魅力的でラブラブなら、夫は当然セックスしたいはず」という思い込みに妻がどっぷり浸かって、女磨きに邁進します。夫はそんなことを望んではいませんが、敏感な彼らは妻の努力を察知しているでしょう。そして「そんなことをしてもらっても、僕は『その気』になれないよ…」と、プレッシャーと申し訳なさで萎縮してしまうのです。妻が色っぽくなるとドン引きするという男性の声もあります。妻の側からすれば、どれだけ努力しても夫から自分の望む反応が得られず、どんどんストレスがたまりますよね。そして自分の努力が報われない悔しさや虚しさに、ある日突然、大爆発を起こして、夫を完全に震え上がらせてしまったりするのです。こんな状況で夫のマスターベーションが発覚したりすると、もう最悪です。ただでさえ「セックスレスの原因は妻の魅力不足」だと思い込んでいる妻は、「私は夫にとってマスターベーション以下の、魅力のかけらもない女だと思われている」と誤解して大暴走。修羅場を繰り広げることになります。このように、セックスしない夫に一昔前の思い込みを当てはめるのは悪循環の元。妻は「セックスレスの原因は自分だ…」と決めつけて突っ走らないことが大切です。■セックスレス草食系夫に「妻としたい」と思わせるには?それでは具体的に、妻は草食系夫とのセックスレスにどのように対処すべきなのか。かくにも重要なのは、「心と時間の余裕」です。やさしい男子をおびえさせることなくベッドへ誘導するには、性的な雰囲気を感じさせずに親密度を上げていくところから始めるしかありません。・夫に普段より丁寧に接してみる。・夫の話をしっかり聞く。・2人で楽しめることを見つけて、一緒に過ごす充実した時間を増やす。こうして2人の「ラブラブ度」をアップしたうえで、セックスを感じさせないさりげないスキンシップから、徐々に触れ合いを増やしていくのです。「そんなのまわりくどすぎる!」「レス解消までに、一体どれだけ時間をかけなきゃいけないの!?」そんな妻たちの悲鳴が聞こえてきそうですね。しかし、急がば回れ。その気がない夫にプレッシャーを与えることなくセックスにこぎつけるには、じっくりと段階を踏む必要があります。そして、これには妻が「心の余裕」を持っていることが不可欠なのです。セックスがないことが不安で、とにかく夫をベッドに引きずり込もうと突然お色気モードでベタベタしたり、セクシー下着を見せつけても、草食系夫にとっては肉食獣に追いつめられているようなもの。抱いてもらえないさみしさ、セックスレスが解消されないもどかしさを、夫に涙ながらに訴えるなんていうのはもっといけません。妻にそのつもりがなくても、夫は「責められている」と感じて、逃げ出したくなるからです。また人を傷つけるのが何より苦手な今風男子が妻に泣かれたら、セックスどころではなくなってしまいます。「時間の余裕」を奪う最大の要因は、なんといっても子どもを作ることでしょう。どれだけ女性の生き方が変わっても、医療が進歩しても、妊娠・出産についてはどうしても、無情な「タイムリミット」がついてまわります。妊活にあせる気持ちはよく分かるのですが、セックスレスの解消と妊活を同時に、一気に推し進めようとするのは避けるべきです。性欲がないうえに「うまくできるだろうか」「妻を失望させないだろうか」という不安を抱いている今風夫。そんな夫が「妊娠」という達成目標まで突きつけられては、プレッシャーに押しつぶされてしまうことは目に見えています。また、妊活においても一刻も早く結果を得ようとして「タイミング法」「ED治療」「人工授精」といったキーワードを持ち出すのは、セックスレス改善の前段階では、ちょっと待ってください。「タイミング法」は、夫にとって「なにがなんでもこの日にできなければ!」という強烈なプレッシャーになりますし、妻が「ED治療」「人工授精」と言い出せば、夫はデリケートな問題を第三者に露呈しなければならない恐怖に襲われます。「そのうち」「自然に、できるようになるのでは…などとのんきにかまえていた妻が、ある日、友人の妊娠に触発されて突然「来月からタイミング法を!」「病院に行ってED治療を!」と夫に迫るなどというのは最悪のパターンです。その気がない夫とのセックスレス解消には、一にも二にも忍耐力。長期戦を覚悟して、どっしりかまえなければいけません。夫を責めない。自分も責めない。これに尽きます。そして、時間をかけて夫のセクシースイッチがどこでオンになるかを探し出すのです。年齢を重ねてから性の嗜好が変化したという男性もたくさんいます。刺激作戦もあります。これは、また別の機会でお伝えしましょう。しかし、子どもを作る目的ではなく、妻側の性欲が高まってしまった場合、これは非常に厄介です。打開策として、妻側もマスターベーションのバリエーションを研究しておきましょう。最後に、愛美さんと純也さんはその後どうなったのでしょう。愛美さんは、草食系夫に提供すべきは「刺激」や「興奮」よりも「安心」や「気楽さ」であることに気づき、方向転換。分かりやすいお色気路線や、夫を批判・詰問するような言動をあらためたそうです。そしてついに! その努力が結婚後初のセックスという形で実を結びました!「『やっとセックスができるようになったから、いよいよ妊活だ』と前のめりにならないように、日々気をつけています」と笑う愛美さん。彼女なら、これからも草食系夫とうまくやっていけるでしょう。やさしすぎ、気をつかいすぎの今風男子。そんな現代型男性を理解し、受け入れてあげることのできる、器の大きな妻になってください。
2018年09月02日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「草食系男子」と表現される男性が数年前から認知されるようなっています。そんな男性陣を、若い女性たちは、「最近の男性なんてそんなもんでしょ」「いたって普通」「ギラギラしてるほうが格好悪い」という目で見ているようです。「草食系」などとキャッチーな呼び名を付けられて、メディアにも取り上げられるようになると、「今はそれがスタンダード」という雰囲気が漂い始めます。けれども、草食系男子が一般化しつつあることと、あなた自身がパートナーの草食化を良しとするか否かは、まったく別の問題です。「私の彼、草食系かも…。でも、今はそんなの普通だし、世の中の草食系男子だって結婚してるし。気持ちがやさしいし、家事もしっかりやってくれるし、きっとケンカも少ないだろうし…。だから私も、彼と結婚して大丈夫よ」そんなふうに考えて、草食系の彼との結婚に踏み切る女性たち。どこにでもありそうな話です。結婚決定は、人生を左右する重要事項。希望的推測も必要。草食系かもしれないけれど、良い点のみをすくい上げなければ結婚などできるものではありません。結婚決定には勢いも大事です。しかし残念ながら、こうした女性たちが結婚から数年後、「セクシャル系モンスター」と化してしまうケースが少なくないという事実も知っておいてほしい。知ったうえでの結婚であれば、あとの対処法が違ってきます。自分の性の欲求を甘く見てはいけません。「こんなはずではなかった」の新型セクシャル系モンスターワイフ。これが今回のテーマです。■夫は「草食系男子」…セックスレスに悩む愛美の場合「モダンセクシャル系モンスター 生殺し妻」代表:愛美(仮名)29歳の場合会社帰り、書店で女性誌を購入した愛美は、それを隠すようにバッグにしまった。セックスレス特集の雑誌。もう何冊目だろう。こうした特集の中で伝授される「対策」は、もう片っ端から試した。けれど、どれも効果がなかった。ネットに流れてくるセックス系の記事もほぼチェックしている。オフィス帰りの愛美は、ストライプのシャツワンピ姿。艶のあるセミロングの髪を、きれいにブローしている。上品なピンクベージュのバッグも今風。「女を捨ててる感じの奥さんじゃ、セックスレスになっても仕方ないんじゃない?」愛美は、そんなふうに言われてしまう“もう女を捨てている”タイプと自分自身は真逆だと思う。ずっと美容に気をつかってきたし、ファッションも男子受けよしのフェミニンにまとめている。夫・純也とのセックスレスに悩むようになってからは、下着もセクシーなものを選ぶようになった。それなのに、セックスレスは解消されない。愛美は屈辱感と怒りで爆発しそうだった。■セックスレスは恋人の時から…結婚しても大丈夫?愛美と純也は、結婚して2年半になる。2人の出会いは合コンだった。その合コンでカップルは誕生しなかったが、全員気が合い、その後も男女6人で出かけるようになった。グループ交際。2つ年上の純也はいつもニコニコしていて、愛美にとってやさしいお兄さんのような存在だった。動物好きで猫カフェやうさぎカフェに通う愛美に純也が付き合ってくれるようになってから、2人で出かける機会が増えた。動物や子どもにやさしく接する純也の姿を見た愛美は、「この人、旦那さんとしてアリかも」と、彼を異性として意識し始めた。その後、ITエンジニアとして働く純也が多忙でメンタルが弱っているところを愛美が支えたことで、急接近。愛美のほうから告白して、2人は恋人同士になった。「子どもは2人欲しいな。いつかペットOKのマンションを買いたい」愛美のそんな夢を、純也は笑顔で聞いてくれる。彼の温厚な性格は愛美の両親にも気に入られ、2人はスムーズに結婚までこぎつけることができた。しかし、愛美にはひとつだけ気になることがあった。純也がセックスを求めてこないことだ。愛美のほうでお膳立てして2、3度したきり、その後はなにもない。「純くんは最高に優しい。私のことを大切に思ってくれているから、気安くセックスを求めてこないのよ。今は仕事が忙しい時期だし、結婚の準備も大変。だからそんな雰囲気にならないのかも。それに、前に何度かできたんだもの。仕事も結婚生活も落ち着いたら、セックスだって自然とできるようになるわ」今はエッチしていないけれど、しようと思えば、環境が整えば、できるようになるはず…。純也の淡白さについてはそう考えることにして、愛美は結婚に踏み切った。■セックスレス「うちの夫、もしかしてふつうじゃない?」結婚生活は楽しかった。純也はいつも愛美の趣味に付き合ってくれた。派遣の事務員として働く愛美には残業も繁忙期もなかったが、純也は家事も快く分担。料理上手の純也は、愛美の好物をなんでも作ってくれる。特にイタリアンはプロの腕前。おしゃれのセンスもなかなかだ。周囲からは「すてきな旦那さん」と言われ、愛美も満足している。なんの不満もない結婚生活。セックスは相変わらずなかったが、2人で出かけたり、家で映画を観たり、楽しいことがいっぱいで、特に気にならなかった。そんなある日。愛美の学生時代からの親友、ミナから婚約報告の電話があった。愛美が結婚した頃、ミナにも婚約寸前の恋人がいたが、別れてしまった。ミナに言わせれば「すごくいい人なんだけど、スキンシップやセックスが物足りない」というのがその理由だった。1年ほど前に出会った新しい彼とは「気も合うしセックスの相性もバッチリ。野獣よ。野獣! あん、燃えるーー!」と、ミナは最高に幸せだと言う。「やっぱりあの時、『いい人だから』ってだけで結婚しちゃわないでよかったよ」。そうのろけるミナの声は、うれしさで弾んでいた。親友を祝福しながら、愛美は自分たち夫婦の現状を振り返る。純くんはやさしくて真面目で、趣味も合う。でも、純くんがミナの彼の半分でも積極的だったら、もっとうれしいんだけどな。それに現実的な問題として、そろそろ子どもも欲しい。となると結婚後一度もしていないというのは、さすがにまずい…。「今夜、夫を誘ってみよう」。愛美は密かに決意した。ところがその晩。純也は「急にどうしたの?」と、明らかにうろたえた表情を見せた。え? 私たち、夫婦なのに? 「急に」って、じゃあどう誘えばよかったの? 私が誘わなきゃ、純くんからは誘ってくれないじゃない。自分からの誘いを、夫は喜ぶどころか拒絶していると感じて、愛美は猛烈に恥ずかしくなった。同時に、純也のほうから男らしく誘ってくれれば、女の私が誘ったりしなくてすんだのにと、夫が憎らしくもある。「ほら、私ももうすぐ30だし」恥ずかしさをかき消そうと、愛美は夫を誘った正当な理由を説明し始めた。「子づくりって、始めたらすぐ妊娠、ってわけにはいかないことも多いらしいから。もう今からでも始めたほうがいいと思うの」純也は相変わらず、居心地が悪そうに視線を落としたままだ。「いきなりそんなこと言われても…」純也の腰が引けた態度に、愛美は当惑した。結婚前から「子どもは2人欲しい」って、私いつも言ってたよね? 私の年齢からして、いつ子づくりを始めたって全然驚くような状況じゃないのに。愛美の心の中に、大きな不安が渦巻き始めた。純也がいわゆる「草食系男子」であることは、結婚前から認識していたこと。それでも結婚して打ち解け合い、まして「子づくり」という明確な目的ができれば、その時には自然にことが進むはずだと、漠然と思っていたのだ。ところがここへ来て、愛美の根拠のない楽観主義に暗雲が…。純くんって、まじで性欲ないのかも。でも、赤ちゃんを授かるために、セックスは必須。それにミナから聞いた、「心身ともにラブラブ」っていうのも、何だかうらやましい…。心に渦巻くさまざまなモヤモヤを払拭するには、どうにか夫婦のセックスを軌道にのせるしかない。そう考えて愛美は、明快な実行計画を努めて明るく提示した。「私の排卵日を予想するから、その時にしようよ」純也はただ、困ったようにうつむいているだけだった。■子づくりを拒絶「セックスできるのにしない」草食夫に不満爆発!そして迎えた、排卵予定日。「純くん、今夜だよ!」先日の様子からして、何の前触れもなく迫ったりしたら純也は逃げ出してしまいそうだ。愛美はそう思い、出勤前の夫に明るく声をかける。ところがまた、純也は気まずそうな顔。小声で「いってきます」と言うと、そそくさと家を出てしまった。純くん、かなり緊張してるみたい…。でも、今夜一度うまくいってしまえば、不要な緊張も解けるわ。愛美はそう考えていた。ところが。このところずっと7時には帰ってきていた純也が、8時になっても帰って来ない。愛美が待ちくたびれていると、純也からメールが届いた。「愛美ちゃんごめん! 急に先輩に誘われちゃって。二次会まで付き合わなきゃいけない雰囲気だから、悪いけど先に寝てて。本当にごめん!」先輩と飲み? それも二次会まで? 純也はお酒がほとんど飲めず、会社の飲み会が嫌いだ。どうしても参加しなければならない飲み会でも、二次会は断って帰って来る。それなのに、どうしてよりによって今日? 愛美は、心底がっかりした。けれど、今日のところは仕方がない。また来月頑張ろう。愛美はそう思うことにした。しかし、ことは彼女が思うようには進まない。その後、なんと半年の間、純也は「約束の日」にはなにかと理由をつけて、日付が変わってから帰宅するようになった。当初は「そろそろ始めなきゃ」と、のんびり構えていた子づくり計画。しかし、セックスに持ち込むことができない現実に直面して、愛美の中で一気に「緊急課題」となる。それだけではない。愛美は「自分はこのままセックスが皆無の人生を送ることになるのでは」という不安にもかられ始める。「セックスができない相手と結婚して、一生セックスなしでいい」と覚悟して結婚に踏み切ったわけではない。「結婚すれば、いつかできるようになるはず」と思っていたのだ。愛美は性欲が強いほうではない。それでもまだ20代の自分が、女として求められることなく一生を終えることになるかもしれないと思うと、いたたまれなかった。そして生まれて初めて「男性から求められたい、抱かれたい」と切実に渇望するようになった。「子どもが欲しい」と真剣に願う一方で、「このまま一生セックスなしなんてあんまりだわ。私、いつか浮気しちゃうかも」などということも考える。頭も心もどんどん混乱してゆく。彼女はもう限界だった。「純くん、約束の日になると、必ず予定が入るんだね。どうして? 子どもが欲しくないの? それとも私とセックスするのがそんなに嫌?」愛美に詰め寄られると、純也はあからさまにオドオドした。「なんていうか、目的があって『今日しなきゃ!』みたいに言われると、プレッシャーっていうかさ。そういう気分になれないんだよ」「じゃあ、今日しよう」「え?」「今日は排卵日じゃないよ。子づくりとか目的なしで、私とセックスしてよ」純也は追い詰められた表情になった。そして、愛美を残して部屋を出て行ってしまった。愛美は呆然とする。ケンカをした時でさえ、純也が一方的に会話を中断してその場を離れてしまったことなど、それまでにはないことだった。その日から愛美は雑誌やネットで、あらゆるセックスレス克服法を読み漁り、実行した。けれども、状況は一向に改善しなかった。良好だった夫婦仲もギクシャクしたものになっていった。ある日とうとう愛美は、泣きじゃくりながら純也を問い詰めた。「純くん、どうして? 私はただ普通にセックスをして、普通に子どもが欲しいだけだよ。私、何かワガママなこと言ってる?」純也はいつもの困り顔で黙っている。「私もう疲れちゃったよ。ねえ純くん、本当はどう思ってるの? 正直に答えて。本当に子どもが欲しいって思ってる?」「それは、思ってるよ」「じゃあ、このままずっと私とセックスしてくれないなら、不妊治療のクリニックに一緒に行ってくれる? 純くんの精子をくれる?」「い、いきなり、なに言い出すんだよ…。突然そんなこと言われても」「全然、突然じゃないでしょ!」愛美は叫んだ。「私もう、何カ月も待ったよ。でも純くん、ちっともセックスしてくれないじゃない。なんで? EDなの? セックスできないなら、もうお医者さんに頼るしかないじゃない。お医者さんに精子を取り出してもらうしかないよ」「いや、そういうわけじゃ…」夫のその答えに、愛美は驚いた。純也の性格からして、浮気の可能性は限りなくゼロに近い。風俗なども毛嫌いしている。そして、マスターベーションをしているらしい痕跡も、愛美は感じたことがない。だから、純也はEDなのだと、ほとんど確信していたのだ。愛美は即座に聞き返した。「え、どういうこと? 純くん、勃つの? 射精できるの?」「女の子がそういうこと聞くかな」「質問に答えてよ!」「うん…できるよ」「ひとりでならならできるんだ?」ひたすら居心地が悪そうにしていた純也の顔に、いらだちが加わった。そして、うんざりした口調で答えた。「ああ、できるよ」「最後にしたのいつ?」「2週間くらい前かな」…それって、私の排卵日の頃じゃない。あの時、純くんは「仕事でトラブっちゃって」なんて言いながら、ご丁寧に排卵日のみならず、その前後1日ずつまで思いっきり遅く帰って来たのだ。まさかあのタイミングで、マスターベーションしていたなんて。夫は自分でならできる。それなのに、これだけ懇願している私とは、絶対にセックスしてくれないのだ。愛美の理性は完全に崩壊した。「そんなに私とセックスしたくないわけ!? なんなのよ、なにがいけないのよ!? 私はどうすればいいのよ!」子づくりにあせる気持ちと、女性として求められないさみしさ。ネガティブな感情が混じり合って、愛美さんはパニック状態に陥ってしまいました。彼女はどこで、モンスターワイフへの道に足を踏み入れてしまったのでしょうか。次回ご紹介するチェックテストで確認してみてください。
2018年09月01日前回 は、夫のことなどまるでかまわず、子どもを連れて実家に入りびたるあずささんのケースをご紹介しました。初めての妊娠・出産・育児では、誰もが不安になって当然です。つわりがひどい時や、暗中模索状態の子育て中には、誰かに頼りたくなるのも分かります。そんな時、実家は心強い味方です。最も気がねなく助けを求められる存在ですし、特に母親は、娘のことを熟知している。望む時に、望む形のサポートを、サッと提供してくれる実家や母親…「ママ1年生」になったばかりの娘がすがりたくなってしまうのは、確かに当然でしょう。まず、実家の親側にも問題があることを理解しておきましょう。「娘」はすでに結婚をして「妻」になっているということを忘れてはなりません。受け入れすぎてしまう親に、そのまま甘えてしまうのは妻失格です。結婚というのはパートナーとともに、新しく自分の家庭を築いていくという約束です。その約束をした以上、自分の都合だけ考えて「娘」の立場に固執し、「妻」としての立場や役割を放棄するのはルール違反。自分の都合や利益しか見えなくなり、相手に対する思いやりが持てなくなる。これはモンスター化の始まりです。こうした話をすると、「でも、夫に頼れないんだもの。実家に頼るしかないじゃない」「夫が頼りないから実家に頼っているのに、それで文句を言われても…あなたのせいよ、って感じです」と反論されることがあります。「夫に頼れないから、実家に頼るしかない」と考える妻。「娘が大変な時には、助けてやりたい」と思う妻の実家。どちらにも悪気などないのです。けれども、注意していないと、この「妻・実家協力体制」が夫婦仲を崩壊させる恐れがあるのです。あなたもそんなリスクを抱えていませんか?■「夫放置系モンスター 実家帰り」度チェックここでは、あなたの「夫放置系モンスター 実家帰り」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 一人っ子もしくは末っ子で、親から愛され、甘やかされて育った。2. 母親とは「友だち親子」のような関係で、行動をともにし、あらゆることを相談してきた。3. 母親は専業主婦、あるいは時間の融通がきく仕事をしており、なにかあればすぐにかけつけてくれる。4. わが子は実家にとって、待望の初孫だ。5. 結婚後も経済的に実家に頼ったことが何度かある。6. 夫が、夫として父親として頼りにならず、「最後の砦(とりで)は実家」という安心感が常にある。7. 子どもが生まれたら子どもが最優先、夫は2番目だ。8. 自分は難しい状況に直面すると、「できるまで自分でやる」よりも「できる人にやってもらう」タイプだと思う。9. 不安を感じやすく、すぐ誰かにLINEや電話をしてしまう。10. 夫婦間で問題が生じたら、話し合わず、面倒ごとを回避するスタイルを取ることが多い。■あなたの「夫放置系モンスター 実家帰り」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「夫放置系モンスター 実家帰り」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、実家帰り度「C」(夫婦間でイヤなことがあると、すぐに「実家に帰りたーい」と思っていませんか?)○の数が6個以上8個未満は、実家帰り度「B」(何かにつけて実家に頼りたがるあなたに、夫は不満を感じ始めています)○の数が8個以上は、実家帰り度「A」(精神的にはすでに「実家帰り」モンスター。実際に実家に帰ってしまうのも、もはや時間の問題かも)■セックスレスの原因にも「子離れできない両親、親離れできない妻」夫が仕事ばかりで、ほとんど家にいない。家にはいるけれど、いつもダラダラ。子どもが生まれても、父親としての自覚がまるで感じられない。妻に言われなければ、なにひとつできない夫。いざなにかやらせてみても、まったく使えない。ダメ出しばかりしなければならず、余計に疲れる…。夫がこんな状態では、妻の言い分も理解できます。けれど、考えてみてください。「あなたになんて頼れないから、もういい。もっと頼りになる実家にお世話になるわ」妻にそう切り捨てられた夫は、どんな反応をするでしょうか。「これはマズい! 夫として、父親として、もっとしっかりしなければ!」そうあせって一念発起、良き家庭人になろうと努力を始めてくれる夫は、残念ながらごく少数派でしょう。大抵の男性は、「あんたなんて役に立たない」という態度を取られた時点で、プライドを傷つけられ、そっぽを向いてしまいます。夫が頼りないのもいけませんが、妻が夫を頼りにしなければ、夫はいつまでたっても頼れる夫にはならないのです。「自分たちの家庭をともに築いていこう」という夫婦間の決意が固いものであれば、初めて直面する状況を前に困難が続いても、一緒に乗り越えてゆけます。そうするなかで夫は頼りがいのある夫へ、父親へと成長していくのです。ところが、最近ではひとりっ子が増加し、「一卵性母娘」などと呼ばれる母娘まで登場。結婚後でさえ「夫と妻」の関係よりも、「母と娘」の関係の方が強いケースが増えてきました。これがエスカレートすると問題が生じ始めます。母親がいつまでも娘の絶対的なピンチヒッターとして権威を振るい続けると…娘自身の、妻として母としての成長が妨げられるだけでなく、娘の夫まで、夫として父親として成長してゆく機会を奪われてしまうのです。それだけではありません。夫婦間への実家の介入は、多くの夫婦がただでさえ陥りやすい「産後セックスレス」のリスクを一層高めてしまいます。子ども中心で生活が回ってゆくなか、家庭に両親、あるいは義両親の影までチラついていたら…エロティックな雰囲気になどなりようもないことは、容易に想像がつくでしょう。「ママ」や「パパ」、「お義父さん」「お義母さん」のいる空間で、夫婦は「男」と「女」にはなりづらいのです。では、頼りになる実家との線引き、頼りない夫との関係は、どうしたらいいのでしょうか?■「実家も使いよう?」夫婦時間をもつために甘えるのは◎新米ママにとって、実家は強い味方。頼り方さえ間違えなければ、「実家の有効活用」によって、夫婦仲を良くしてゆくことだってできるのです。例えば、子どもを半日実家にお願いしてランチに出かけ、夫婦でゆったりとした時間を過ごす。おばあちゃんと孫が散歩に出かけてくれている間に、夫へお願いしたいことを落ち着いて丁寧に指示する。子育てでボロボロになっているから、おじいちゃん・おばあちゃんが孫と遊んでくれている間に、美容院やエステに行ってリフレッシュ。こんな実家への「頼り方」だってあるのです。モンスター化してしまう妻。それは、自分がラクをするためだけに、夫のことなどまるでかえりみず、夫婦でともに成長していこうという気持ちもなく実家に依存する妻たちなのです。その後、あずささんと大輝さんは結局、離婚しました。妻にとって夫はお荷物でしかなく、夫にとって妻は金食い虫でしかない…。せっかくご縁があって結婚し、そのうえ子宝にまで恵まれた男女の、あまりにも悲惨な結末です。妊娠・出産・育児により、心身ともに疲弊した妻に忍び寄る「実家帰り」モンスター。あなたはこのモンスターに、心を乗っ取られてはいけません。
2018年08月19日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。時代の変化にともない、家族のあり方も変わっていきます。どのような形の家庭を築くかは、各夫婦の選択に委ねられるべき問題です。それぞれの夫婦が、カスタマイズした家庭を形作ってゆけばいいでしょう。けれども、どんな家族の形を模索するにせよ、絶対に忘れてはならないことがあります。それは、夫婦は互いに協力するものであるということ。「そんなの当然」と思うのは頭の中だけで、実際には非協力的な夫婦たちのトラブルがあふれています。友だちとのトラブルなら距離を置けばいい話ですが、夫婦間は距離を置くと冷え切ってしまいます。結婚前や、結婚後しばらくの間は、夫婦間の協力が「当然」のこととして認識されているかもしれません。ところが、それから月日がたち、子どもも生まれて、家事に育児に忙殺されるようになったら…?環境が変われば、「夫婦間の協力」という意識はすっ飛んでしまいます。相互協力という夫婦関係の基本中の基本を忘れてしまった妻はモンスター化まっしぐら。そして夫婦仲は、破綻の一途をたどることに。今回ご紹介するのは、そんな夫婦間で協力しようという姿勢を完全に忘れてしまったモンスターワイフです。■「あんたなんか夫でも父親でもない!」妻の暴言が止まらない「夫放置系モンスター 実家帰り」代表:あずさ(仮名)32歳の場合あずさは、お気に入りのピンクのブランケットにくるまり、大好きなホットココアを飲みながら、海外ドラマに夢中になっていた。至福の時間。ところが…。「…ただいま!」息子を起こさないようにつけていたヘッドフォン越しに、突然耳に入ってきた雑音に振り返る。そこには、夫の大輝が不機嫌な顔で突っ立っていた。「え、なに?」あずさも負けず劣らず不機嫌な声で応える。「ただいまって、何度言わせるんだよ」あーあ、せっかくいいところだったのに。「ただいま」に対して、すぐ「おかえり」が返って来なかっただけですねるなんて、まるで子どもね。まだ3歳の息子・恵太のほうが、よっぽど物わかりがいい…。あずさは大きなため息をついた。「腹減った。メシは?」「え? もう10時半よ。会社で食べて来たんじゃないの? 最近ずっと、会社で出前をとっていたじゃない」まゆをひそめるあずさに、大輝の口調がますますイラ立ちを増す。「食ってるヒマ、なかったんだよ。冷蔵庫に何かあるだろ?」「ないわよ。お夕飯は恵太と実家で食べて来たんだもん」「またかよ…。じゃあ、なにか簡単なものでいいから作っといてくれよ。先に風呂入ってくるから」「お風呂わいてないわよ。私たち、実家で入ってきちゃったから。恵太がおじいちゃんと入りたいって…」「いい加減にしろよ!」ついに大輝が怒鳴り声を上げた。「家事もせず実家に入りびたって、俺から生活費だけ巻き上げて。おまえ、この家でまともに生活していないじゃないか。こんなの詐欺だよ、詐欺!」「はぁ!?」夫に怒鳴られても、あずさは一歩も引かなかった。夫の言い分が、彼女にはさっぱり理解できない。詐欺ってなに? 私は仕事ばかりの夫なんかに頼らず、実家のサポートを得て頑張っている。大輝は、給料がたいしたことないくせに家事を手伝うこともない。うちの実家のおかげで食費や生活必需品にかかるお金が浮いている。夫は私と私の実家に感謝すべきなのだ。それなのに詐欺とはなんだ。許せない。あずさは夫以上の剣幕(けんまく)で怒鳴り返した。「詐欺はどっちよ!? ロクに家にいないあんたなんか夫でも父親でもないわ!」■夫を放置…「始まりは長めの“里帰り出産”」あずさは、4歳年上の大輝と5年前に結婚した。小さな出版社に務める夫の大輝は、常に忙しい。朝は早く、夜は遅い。休日出勤もしょっちゅうだ。それでも結婚後、待望の第一子妊娠が分かった時、あずさは幸せでいっぱいだった。ところがその後、ひどいつわりにおそわれる。食べられないし、動けない。そんな窮地を救ってくれたのが、実家の母。電車で1時間かかる距離を毎日通い、面倒を見てくれた。夫の出張中には、泊まり込んで世話を焼いてくれた時もある。それ以降、つわりがおさまってからも、あずさはなにかと実家を頼るようになった。彼女の両親のほうも、一人娘が嫁いでからも自分たちと過ごしてくれることを喜んでいた。そして、あずさは妊娠7カ月になる前に、里帰りすることを決めたのだ。「ずいぶん早くないか?」大輝の顔がくもった。「もうすぐ繁忙期も終わるし、子どもが生まれる前にさ、少しはあずさと2人でゆっくり過ごそうと思って…」「でも、健診とかは、ママに車で送ってもらって、付き添ってもらえるほうがラクなんだもん。ママとお医者さんと相談して、もう決めてきたから」あずさは聞く耳を持たず、大輝は渋々あずさを送り出した。産後の1カ月を実家で過ごしたら帰って来る、という妻の言葉を信じて。ところが、あずさが大輝と住む家へ戻って来たのは、産後4カ月を過ぎてから。母子ともに健康だったが、あずさはなにかと理由をつけて、実家に居座わる。「恵太は俺たちの子どもだろ。週末だけ、あずさの実家で恵太の顔を『見せてもらいに行く』みたいな生活は、もう嫌だ。あずさも恵太も健康なのに、4カ月も帰って来ないなんて、いくらなんでも長過ぎるよ」大輝にそうつめ寄られて、あずさはむくれ顔でようやく帰って来た。こうして始まった「家族水入らず」の生活だったが、初めから難航した。■「育児ノイローゼが引き金に」親離れ子離れできない妻初めての、ひとりぼっちの育児。あずさは初日からパニックになった。夜遅く疲れ果てて仕事から帰る大輝を待ち構えるのは、ゾンビのような顔をして泣きぐずるあずさ。それが、毎晩のように続いた。玄関で靴もまだ脱いでいない大輝を相手に、あずさの口からは泣き言と愚痴の嵐。「どうしたら恵太が泣きやむか分からない」「疲れて死にそうだ」「大輝はいいわよ、どんなに忙しくたって、ランチとトイレくらいは、行きたい時に行けるでしょ」…。ようやく妻から解放されたと思ったら、今度は息子が泣き始めて、眠ろうにも眠れない。「このままでは共倒れになる」と大輝が危機感を覚え始めていたある日、あずさが「ママに手伝いに来てもらう」と言い出した。「また実家かよ」と大輝はむかつく。けれど、背に腹は代えられない。赤ん坊を抱えて、夫婦共倒れではどうにもならない。大輝は仕方なく、これを受け入れるしかなかった。しかし、これが間違いだった。義母は泊まりがけで、娘と孫の面倒を見始めたのだ。初めは、大輝の出張中だけだった。ところが次第に大輝が家にいる時でさえ、あずさは「ママ、泊まっていったらいいじゃない」「もう遅くなっちゃったから」「こんなに雨が降ってる中、帰るの大変でしょ」と、母親を引きとめるようになったのだ。確かに、義母のおかげで助かっている。だから、あずさのこんな主張を否定することなど、大輝にはできない。だが…大輝は居心地の悪さに押しつぶされそうだった。会社では、ひたすら忙しく働く。やっと家で過ごせる時間ができても、そこはすでに妻・息子・義母、そして時には義父という「定番メンバー」に占拠されていて、自分の居場所などない。それに…息子の夜泣きがひどい時などは、あやし上手の義母の存在は本当に有り難い。けれど、たとえ息子がぐっすりと眠っている夜でも、義母がいてはセックスなど望めない。というより、義母がいる時のあずさはすっかり「娘」に戻っていて、自分の「妻」という感じがしない。ついさっきまで「ママ、ママ」と義母にべったり甘えていた妻に、大輝はベッドの中で手を伸ばす気になれなかった。あずさの妊娠が分かってからこれまで、一度もセックスしていない。そろそろなんとかしないと、俺たちまずいんじゃないのか? 大輝はあせっていた。■夫婦崩壊「妻の実家から徒歩1分に引っ越し」で決定的にそんなある日。大輝が帰宅すると、あずさがいつになく明るい顔で出迎え、ニコニコしながら言う。「実家から歩いて1分のところにね、新築のアパートができるんだって! 大家さんがパパの知り合いで、私たちのことを話したら、1階の庭付きの角部屋を特別に確保してくれるって言うの。しかも家賃まで特別割引き!」「実家から歩いて1分」という言葉に大輝は初め「冗談じゃない」と思った。けれど…案外、悪い話ではないかもしれない。歩いて1分の距離となれば、さすがに義母が泊まっていくことはなくなるだろう。そうすれば少なくとも義母が帰ってからは、家族の時間、夫婦の時間を持てるはずだ。それに庭付きのアパート、家賃も割引きというのもオイシイ。恵太が元気に動き回るようになって、もう少し大きなアパートに引っ越さなければならない、庭付きの物件があれば最高だ、とちょうど夫婦で話していたところだったのだ。大輝はさまざまな条件を天秤(てんびん)にかけたが、最終的にはあずさの熱意に負けて、このアパートを借りることに。ところが、これが致命的な決定打となって、家庭は完全に崩壊した。確かに義母が泊まりに来ることはなくなる。なぜなら、あずさが恵太を連れて、完全に実家に入りびたるようになったからだ。大輝が家賃を払う新しいアパートにあずさと恵太が帰ってくるのは、恵太のおもちゃを取りに来る時と、寝る時だけという状態に。そんなアパートは掃除もろくにされておらず、あちこちホコリがたまっている。食事もすべて実家ですませてくるので、あずさが最後に自宅のキッチンに立ったのは、もういつのことだか分からない。「最近ランチに出かけそびれることが多いから、弁当を作ってくれないか」という大輝のリクエストも、あずさは当然のように完全スルー。週末の昼食でさえ、「私と恵太は実家で食べるの。大輝も来たければ来てもいいわよ」などと言われる始末…。そして最近では、夫婦が自宅で顔を合わせれば十中八九ケンカになるような状態が続いているのだ。夫が仕事で忙しいことを理由に、実家に頼りきりになったあずささん。自分と息子さえ快適に過ごせれば、夫のことなどお構いなし、というモンスターっぷりです。彼女はなぜ、モンスターワイフになってしまったのでしょうか? 後編でチェックテストとともに見ていきましょう。
2018年08月18日自分に不利な条件をのまされてはいけない。自分の主張は通さなければならない。どんな場面でも瞬時に損得を勘定し、議論では絶対に勝たなければならない…。確かにビジネスの場では、そうした姿勢も必要です。けれども、そんな態度をそのまま夫婦関係にまで持ち込むと、2人の関係にひずみが生じ始めます。■「夫婦は対等ってなに?」夫と妻は運命共同体上司や同僚、顧客などは、特定の目的のためだけに限られた時間だけ行動を共にする相手です。夫とは、根本的に存在意味が異なります。上司はあなたが病に倒れた時、心配して看病してくれますか? 数十年後、あなたがこの世を去る時、手をにぎって泣いてくれますか? その点を理解せずに「夫婦は対等」と言い出すから、夫と妻の関係がおかしなことになるのです。夫婦は対等というのは、絶対的な真理のように聞こえて、いざ実践となると難しく、実に曖昧(あいまい)なもの。完全なフィフティ・フィフティなど不可能ですし、そもそも夫婦間の「フィフティ」など、どのように判定しろというのでしょう。そこをはき違えると、夫婦関係はこじれるばかりです。「私が○○してあげたんだから、あなたも同じだけのものを返してちょうだい」「あなたが△△してるんだから、私だってしていいわよね」などと、お互いが勝手な論理を展開をし始めてしまう結果に。夫婦間のやり取りが一から十までこんな調子では、当然息がつまります。けれども、働く現代女性は、たえず競争や利害の攻防戦にさらされているケースもしばしば。妊娠出産に関して嫌味を言われるケースもまだまだあります。自宅でも、その流れのまま、攻防する勢いで夫婦間の会話をしてしまうわけです。 前回 ご紹介したのは、誰にも負けられないとバリバリ仕事を頑張るうちに、闘争心と自己防衛力がどんどん強くなっていった茉莉さんのエピソードでした。会社で自分のポジションを守るのに必死で、さらに会社だけではなく義母まで「女性なんだから、仕事よりも出産・育児」という考え方で、心底ウンザリしています。これでは自分の立場や利益は自分で守らなければ…という考え方になっても、無理もないかもしれません。けれど、茉莉さんは「運命共同体」であるはずの自分の夫を「敵」、「障害物」と見なし始めてしまいました。「敵」だから、意見が異なる場合には「話し合う」のではなく「論破する」。譲歩という選択肢はありません。「夫婦は対等」という基本を踏まえたうえで、お互いの言い分に耳を傾け、納得できる落としどころをみつけていく。それが夫婦本来の姿です。それを忘れてしまった妻が、モンスターワイフになっていくのです。モンスター化した妻たちは「対等、対等」とわめきながら、自分の譲歩や犠牲にばかり敏感で、夫の譲歩・犠牲は目に入らなくなっていることがほとんどです。茉莉さんの場合も、夫の亮平さんは夫婦で過ごせる時間がけずられていっても、嫌な顔をせず茉莉さんを応援。亮平さんも仕事で疲れていましたが、食事の支度を買って出てくれていました。けれども、茉莉さんはそんな亮平さんに感謝することができません。いえ、気づくことさえできませんでした。そして逆に、自分が犠牲を求められる状況になると、過敏に反応して戦い始めています。あなたもビジネスシーンで自分を守るのに必死になるあまり、家庭でも私利死守魔になっていませんか?■「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」度チェックここでは、あなたの「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 仕事に最も高い優先順位をつけている。2. 職場も家庭も男女平等は当たり前だと思う。3. 負けず嫌いな性格で、物言いもキツいほうだと思う。4. 雑誌などで「オス化」という言葉を目にすると、ギクッとする。5. やると決めたことは、徹底的にやらなければ気がすまない。6. 同僚や友人に「すごい」と一目置かれると幸せを感じる。7. どんな状況でも損得勘定を忘れない。8. 仕事も趣味も、熱中している時にそれ以外のものは躊躇(ちゅうちょ)なく切り捨てるタイプだ。9. なにごとも完全に白黒つけなければ気持ち悪い。10.ステイタス、経済力は結婚相手に左右されず、自分で勝ち取るものだ。 ■あなたの「私利死守魔」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、私利死守魔度「C」(闘争心・自己防衛力がムクムクふくらみ始めています)○の数が6個以上8個未満は、私利死守魔度「B」(目標達成の障害となりうるものは、バッサバッサ切り捨てるクセがついてきていませんか?)○の数が8個以上は、私利死守魔度「A」(自分の成功のためにパートナーや家庭を犠牲にすることを、もはや何とも思わなくなっているはず)その後、茉莉さんと亮平さんは、どうなったのでしょうか?仕事のことしか考えられない茉莉さんと、子どものいる幸せな家庭を築きたかった亮平さん。亮平さんはとうとう、自分の言い分や権利の主張ばかりに終始する茉莉さんとは建設的な話し合いを望めないと判断しました。亮平さんの帰国を待たずして、2人は離婚することになったのです。亮平さんは帰国後に再婚し、今ではお子さんに恵まれて幸せに暮らしているそうです。茉莉さんはといえば、離婚後それまで以上に仕事に没頭し、昇進を果たしたそうです。「夫のことが嫌いになったわけじゃなかったから、やっぱり離婚はこたえましたよ。それに子どもについても、いつかは…という気がなかったわけでもないのですが…。でも、離婚をした時には、もう30代半ばでした。その頃も仕事、仕事の毎日でしたから、再婚なんて考えられる状況じゃなくて。欲しいものを全部手に入れるなんて、きっと無理なんですよね」茉莉さんはそう振り返ります。しかし、果たして本当にそうでしょうか?バリキャリの社会生活で、私利死守魔と化してしまった妻。それでも一度立ち止まって、ガチガチの武装を解除し、夫と素直に話し合うことができていたなら状況は変わっていたはずです。何しろ夫婦は「運命共同体」なのですから、相手を論破して黙らせたり打ち負かしたりしても、何の得にもなりません。互いに思いやりを持って話し合い、譲歩もしながら、ともに納得できる状態で一緒に進んでいくことを選択するのが花丸です。家から一歩外に出れば、男性にも女性にも、シビアな現実が待ち受けている世の中です。そんな現代社会に生きる私たちだからこそ、せめて家庭ではいやし合いたいもの。夫婦でそこに気づけば「家庭」がこのご時世を生き抜くための、心強いよりどころとなります。まさに「二人には帰る家がある!」です。
2018年08月05日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。過去、「企業戦士」という言葉がありました。ワークライフバランスが高らかにうたわれる現代、その言葉は消滅したかと思いきや、そうでもない現状を皆さんもご存じでしょう。今では、最前線で男性と肩を並べて闘う「女性企業戦士」も珍しくありません。ビジネスシーンで自分の立場や利益を守るためには、シビアな損得勘定やドライな割り切りも不可欠。確かに社会で上を目指していくには、そうした「武装」も必要でしょう。けれども、そんな企業戦士の鎧(よろい)が完全に肌に張りついて、もはやプライベートでも脱ぎ去ることができなくなってしまったら…それは考えものです。今回は、家庭でもドライな理論武装を解除できなくなってしまった妻のエピソードをご紹介します。■パワハラ、セクハラに歯ぎしり「家でも企業戦士」の妻「バリキャリ系モンスター 私利死守魔」代表:茉莉(仮名)32歳の場合「茉莉、おかえりー。夕飯もうすぐできるよ」都心にほど近いスタイリッシュな新築マンション。家具は少なく、ホテルの部屋のようなすっきりした家だ。明るく出迎えた夫の亮平に、茉莉は「ただいま」と一言素っ気なくこたえ、そのまま自分の部屋に消える。オーダーメイドのスーツを脱ぎ捨てると、バッチリメイクをふき取りシートでゴシゴシ落とす。その間、茉莉はずっと、奥歯をかみしめていた。「冗談じゃないわよ…パワハラの原点はまさにこれだわ」茉莉は大手商社で海外営業を担当している。同期の女性社員の間で、彼女は出世頭ともてはやされていた。けれど、明らかに自分よりも能力が劣るとしか思えない男性同期たちが、次々と昇進していく。そんな現実に直面するたび、茉莉は死ぬほどくやしい思いをしていた。それでも「男の何倍も努力して、実績で勝負してやる」と、自分をふるい立たせてきたのだ。睡眠不足だろうが、熱があろうが、生理痛がひどかろうが、常に背筋を伸ばして仕事に向かっている。接待のため、嫌いなお酒も“訓練”して強くなった。「営業は見た目も実力のうち。デブは体調管理もできない意思が弱い人間と思われる」と自分を鼓舞し、時間さえあればジム通い。人脈を広げようと、朝は早起きして異業種交流の朝活にいそしんでいる。SNSは仕事関係のビジネスパーソンばかりとつながっている。英語で書き込むこともしばしば。ビジネス用語を調べながら投稿したりすると、時間がたつのを忘れるほどだ。残業、人脈作りのSNS、パワーブレックファースト…。朝食も夕食も夫婦そろって取れない日が続くこともある。そんなことに構ってはいられない。「誰にも負けたくない」茉莉は全力で努力していた。それなのに…残業中に上司から、国内のマイナー部署への異動を打診された。目の前が真っ暗になった。あわてて上司に食ってかかると、彼は気まずそうに茉莉に言った。「稲田さんって結婚して、えーっと、3年目? あ、セクハラとかって思わないでくれよ。やっぱり年齢的にも、子どものこととか考えるでしょ? となると、海外営業って激務だからさ…。国内担当の部署のほうが、育休からの復帰後も、何かと融通が利くし。ほら、うちは育休制度ばっちりフルサポートだからさ」「もっと仕事で結果を出すまで、妊娠・出産など一切考えるつもりはありません!」茉莉は上司をにらみつけ、そう言い残してオフィスを飛び出してきたのだ。■「くやしくないわけ?」家でも仕事モードの妻にうんざり食卓についても、茉莉の頭の中では上司の言葉が際限なくリプレイされていた。メイク落としの時に使ったヘアバンドがそのままで、眉間に寄ったシワが丸見えだ。イラつく茉莉には、夫が用意してくれマーボーナスの味すらわからない。亮平は大手電気機器メーカーに勤務している。帰宅時間は茉莉よりも早いことが多く、そうした日には夕飯を用意して妻の帰宅を待っている。食卓の重苦しい沈黙を破るように、亮平は明るい声を出して言った。「あ、そう言えばさ、俺の後輩の小宮。あいつ今度、フランスに赴任だって。すごいよなー」「栄転ね」茉莉のトゲを含んだ口調に、亮平はビクリとする。「後輩に先越されて、くやしくないわけ? 私だったらそんなの絶対に嫌。後輩に出し抜かれて、よくヘラヘラしてられるわね」まただ、と亮平は思った。先を越されるとか、出し抜かれるとか。茉莉はいつから、こんな闘争心の塊のような人間になってしまったんだろう。茉莉が頑張っているのは、よく分かる。それは分かるが、このギスギスした空気は耐えがたいものがある。ここは会社ではなく、2人の家なのに…。亮平はもう楽しい雰囲気を作ろうとするのをあきらめて、自分が用意した夕飯をひたすらかき込んだ。 ■「私のキャリアを犠牲にしろ?」夫に海外単身赴任を強いる妻茉莉の猛抵抗で、国内部署への異動の危機が過ぎ去りつつあったある日。帰宅すると、亮平がいつになく興奮した様子で出迎えた。「茉莉、俺、アメリカ赴任になった! でかいプロジェクトに参加できそうなんだ」茉莉は表情を変えない。「それは、おめでとう」あーあ、やっぱり、男ってだけで得よね…。そんな本音が顔に出ないよう注意しながら、茉莉はどうにか口角を上げて見せた。「頑張ってね。私は行けないけど」うれしそうだった亮平の顔が、一瞬にして暗くなった。「茉莉だって、アメリカに住んでみたいって言ってたじゃないか。だから俺、いつも部長に『海外赴任するならアメリカに』って言ってあって…」「それは私の実力が認められて、自分がアメリカに派遣されたらの話よ。駐在員の妻として、夫にくっついて行くなんてゴメンだわ」亮平はしばらく黙り込んでしまったが、やがて言葉を選ぶようにして言った。「向こうに行ったら、少なくとも3年は戻って来られないんだ。結婚する前、子どもは2人欲しいって話し合ったよね。となると、そろそろ…」「じゃあ、子どもはあきらめましょ」あまりにキッパリとした、まるで相手を切り捨てるかのような茉莉の物言いに、亮平は絶句した。対する茉莉の頭の中は、自分の夫と上司が結託して、自分のキャリアをブチ壊そうとしているイメージでいっぱいになっている。「つまりあなたのキャリアのために、私のキャリアを犠牲にしろって言ってるんでしょ? どうして私が、あなたの犠牲にならなきゃいけないの? 男女は平等、夫婦は対等でしょ。あなたについて行くために、私が仕事をやめる? あなたの子どもを生んで育てるために、私が仕事をあきらめる? どう考えたって不公平じゃない」一言の反論も許さないような、バッサリとした茉莉の口調。どこまでも冷たくドライな妻の態度に、亮平は反論する気力が消え失せるのを感じた。結局亮平は、一人で渡米する決心をした。亮平の出発までの3カ月間、もともとギクシャクしていた夫婦仲は一層冷え切ったものになっていった。■「子どもを作る気はありません」義母への言葉に夫は…亮平が忙しく引越し準備を進めていた、ある日曜日。自宅の電話が鳴ったので茉莉が出ると、相手は亮平の母親だった。茉莉はこの昔気質な義母が、昔から苦手だ。義母は、結婚したら女性は家庭を最優先すべきで、子どもを生み育てることこそ女性の最高の幸福だと信じて疑わないタイプ。案の定、義母は単身で渡米する息子を案じる小言を並べ始めた。「亮平はああ見えて、昔から寂しがり屋なところがあるから。しっかり者の茉莉さんがついて行ってくれたら、本当に心強いのにねぇ。それに、亮平のお給料で十分食べていけるでしょ? 何もそんなに必死になって、共働きしなくたって…。妊娠や出産だって、早ければ早いほどラクよ。体力的にね」「子どもを作る気はありませんから」茉莉はピシャリと言った。もうウンザリだった。誰もかれも、子ども、子どもって。私は“生む機械”じゃない。「私の仕事は、育児をしながら片手間にできるような仕事じゃないんです。産休・育休なんて言いますけど、一度、戦線離脱したら元いた場所には戻れませんから。それにお給料のことをいうなら、私のほうが稼いでるんですよ。亮平さんもお義母さんもそんなに子どもをご希望なら、亮平さんが生めたらよかったのに。残念」電話の向こうで、義母が息をのむのが分かる。ふと気配を感じて振り向くと、亮平が背後から茉莉を見つめている。その目は何だか、他人を見るような目だった…。プライベートなどそっちのけ。全力で仕事に邁進(まいしん)する茉莉さん。けれども、その「頑張り」は、いつしか「突っ張り」に。社会で自分を守るために理論武装をしてきたのでしょう。これを夫と将来について率直に話し合うべき場にまで、そのまま持ち込んでしまうようになりました。自分のキャリア、自分の立場、自分の利益…損得勘定や自分の意見の主張ばかりに固執するようになってしまった茉莉さんは、その後どうなったのでしょうか? そして、シビアな現代社会で頑張るあなたも、茉莉さんほどはいかないまでも、「私利死守モンスター」の卵を抱えていませんか?次回ご紹介するチェックテストで確認してみてくださいね。
2018年08月04日仕事をバリバリ頑張り、家事にも一切手抜きなし。旦那様はさぞかし幸せかと思いきや、夫婦仲はイマイチ…。 前回 ご紹介したのは、そんな亜紀さんのケースです。亜紀さんは、母親が専業主婦でした。母親は家事全般が得意で、家はいつでもピッカピカ。毎日おいしい料理がテーブルにズラリとならび、洗濯物がたまっていたことなど一度もなかったといいます。そのため、そんな家庭が亜紀さんの頭に「標準」としてインプットされていました。ここが間違いの原点です。母親が若い頃とは、時代がまったく違ってきています。「良妻賢母」のスタンダード感覚を臨機応変にシフトしていかなければ、自分自身を圧迫し、夫婦生活に亀裂を招きます。亜紀さんは、フルタイムで働く現代女性。プロ主婦であった母親の家事のレベルを目指していては必ず無理が出てきます。それでも努力家の亜紀さんは「もっと頑張らなければ」と考えます。「上手に手を抜く」「もっとラクに暮らせる方法を考える」という発想がないのです。夫の隼人さんはいつも亜紀さんに協力したいと思っているけれど、「何でも自分でやらなきゃ」「人に助けを求める=自分のいたらなさを露呈する」と亜紀さんは感じてしまう。夫の申し出をありがたく受け入れることができません。つまり頑固なため、時にやり方を変えたほうがスムーズにいくということを受け入れられないのです。有能で真面目な頑張り屋さんほど、陥りやすいこのパターン。あなたは大丈夫ですか?■「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」度チェックここでは、あなたの「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 昔から「真面目が取りえ」だ。2. 小学校、中学校で「頑張り屋」「努力家」と評されてきた。3.やればできることを「面倒だから」といってやらずにすませるなんて負けだ。4. 実家の母親は家事力が高いタイプだ。5. 何でも自分でこなす自信があるので、人に頼みごとをしない。6. 誰かから援助の申し出があると「自分がいたらないからだ」と、わが身を責める。7. 自分のことは自分でする8. 「苦労しながら頑張る」ことが美徳であり、「ラクをする」のは怠惰だと思う。9. 友だちからの遊びの誘いに気安くのらない。10. 計画通りに運ばないと怒りがわき起こる。■あなたの「クタクタぼろぼろ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「バリキャリ系モンスター クタクタぼろぼろ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、クタクタぼろぼろ度「C」(何でも一人で抱え込み、くたびれ始めていませんか?)○の数が6個以上8個未満は、クタクタぼろぼろ度「B」(「お疲れ顔」が標準状態になっています)○の数が8個以上は、クタクタぼろぼろ度「A」(常にクタクタ。疲労感や不満が全身からにじみ出て、家庭の空気もどんより)亜紀さんの世代は、母親が専業主婦であることがまだ多かった世代です。現代社会で男性と肩を並べてバリバリ働きながら、家庭では専業主婦の母親がこなしていた家事のレベルを追求してしまう。特に、母親の家事レベルが高かった場合ほど、その傾向が強いでしょう。多くの現代女性が、こうした苦境におちいっています。亜紀さんも、どんなに忙しくても「夫が掃除や洗濯をしている姿など想像できなかった」「夫に家事を頼もうとなどとは考えられなかった」と言います。けれど、疲労とストレスは蓄積する一方。家庭の空気が悪くなり、夫婦ケンカも増えました。亜紀さんがいつも疲れていて不機嫌なので、甘い雰囲気になどなりようもありません。2人で過ごす楽しい時間も、もちろんセックスやスキンシップも長い間ありません。そんな状況に我慢できなくなった夫の隼人さんが、ある日ついに…お掃除ロボットを購入してきたそうです。「私がやるからいいのに、こんなムダ使いして!」「私のやり方じゃダメってこと?」と、その日はまたケンカになったそうです。ところが、いざお掃除ロボットを使ってみると、その便利さにすっかり魅了されてしまった亜紀さん。これに気を良くした隼人さんは、食洗機や乾燥機付き洗濯機の購入も提案。亜紀さんも前向きに検討中とのことです。「『大変でも我慢して頑張っている自分』こそえらい」「苦労してこそ評価される」…そんなおかしな考え方にとらわれていたのかもしれません、と亜紀さんは言います。「1人で完璧にこなすけれど、いつも疲れていて不機嫌な妻」と、「ラクに暮らせる方法をうまく見つけて、いつでもゴキゲンな妻」。どっちになるも、妻次第です。
2018年07月22日