『持続可能な魂の利用』は、フェミニズム小説の旗手・松田青子さんの初長編だ。痛烈な「おじさん」批判小説であり、女性たちの連帯を描くシスターフッド小説でもある。「おじさん」は、見た目や年齢のことではない。カギカッコ付きなのは、それが家父長的な価値観で女性について勝手に語ったり評価したり貶めたりして消費し、女性の絶望を作り出す総体としての存在だからだ。「いまの女性たちが置かれている日本社会の理不尽な状況を、一度しっかり書いておきたいと思ったんですね。同時に、そうした『おじさん』の視線や悪意がなくなったら、女性たちはどれほどの自由を享受するだろうかとも想像しました」物語は2つの時空を行き来する。現代のパートでは、陰湿なハラスメントで負った傷を、射すくめるような視線の媚びないアイドル〈××〉に癒される敬子、ハラスメントの真相を知って、敵を討とうと誓う歩、二次創作にハマっている元アイドルの真奈、新生児の育児に右往左往する由紀などが活躍。未来のパートは「おじさん」から少女が見えなくなった世界だ。少女たちは伸び伸びと、現代社会の性差のゆがみを研究発表という形で考察していく。「未来の少女たちの目から見れば、なんてバカバカしいことがまかり通っていたのかと呆れることだらけ」作中で、アイドルは複雑かつ重要なモチーフとして描かれる。「敬子は女性アイドルに純粋に惹かれながら、その消費構造を手放しでは喜べないことにはっとします。人間は矛盾した生き物なので、女性が見られることで傷ついた心を、今度は自分が見る側に立つことで癒されるというのもあると思うんですね。私自身も実在のアイドルをモデル化して小説に登場させている時点で、やはりそこは綺麗事にならないように、自覚と自戒が伝わるような、ブーメランが自分にも返ってくる文章構造と書き方を心がけました」それでも本書に描かれた世界に、希望を見つける人は多いだろう。「SNSなどで女性を取り巻く問題が可視化されたことは気が重くなる部分もあるんですが、敬子の妹が言った〈鬱陶しい霧のようなままの気持ち〉のころよりは、多少は対策も立てられる。繋がれる人もいる。変化は生まれていると感じています」まつだ・あおこ作家。兵庫県生まれ。2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞および野間文芸新人賞候補に。『彼女の体とその他の断片』(共訳)など、翻訳家としても活躍。『持続可能な魂の利用』見られることから少女たちが解放された世界と、そこへ至る前史ともいえる女性が生きにくい社会。描かれる事象のリアリティに驚く。中央公論新社1500円※『anan』2020年8月26日号より。写真・土佐麻理子(松田さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年08月23日改札口から出てきた三浦祐太朗(36)の姿を見て、新妻は顔をほころばせる。2人は肩を寄り添わせながら夜道を歩きだした――。三浦友和(68)と百恵さん(61)の長男で歌手の祐太朗が入籍を発表したのは6月12日のこと。お相手は牧野由依(34)。「『ツバサ・クロニクル』のサクラ役をはじめ、話題のアニメ作品のキャラクターを数多く担当している人気声優です」(芸能関係者)本誌が東京都内で2人を目撃したのは7月下旬。この夜、祐太朗はレギュラー出演しているラジオ番組を埼玉県で収録し、東京へと戻ってきたところだった。「1時間ほどかかるはずですが、祐太朗さんはもっぱら電車通勤で、そのことを知ったときは少し驚きました。“二世タレント”というと派手な生活をしているイメージもありますが、祐太朗さんは全然違うようですね」(ラジオ局関係者)落ち合った祐太朗と牧野がデート先に選んだのは、駅の近くにあった、すし店。とはいっても、夜でも1人前3千円ほどのリーズナブルな店で、新婚夫婦の地に足の着いた生活ぶりが垣間見えた。実は“見えを張らずに、自分の身の丈に合った生活を”は、母・百恵さんのモットーでもある。友和は以前、本誌のインタビューに、仕事に恵まれなかった時期のエピソードを語っていた。バブル期に一軒家のために高額のローンも組んでしまい、「このままでは家を売るしかない」と、悩んでいた彼に、百恵さんは泰然自若とした様子でこう言ったという。「(収入が)10万円なら10万円の、千円なら千円の生活をするだけよ」そんな言葉に救われたという友和は最近、週刊誌のインタビューで長男の結婚についても言及している。《(お相手は)素敵な方でした。結婚式はしていませんが、やりたいでしょう。特に女性はね》(『週刊新潮』’20年7月30日号)挙式や披露宴について、本人たちはどう考えているのだろうか。本誌は祐太朗を直撃取材した。――ご結婚おめでとうございます。「ありがとうございます!」――牧野さんをご両親に紹介したのは3月と伺っていますが、お母さまからはどんなお言葉を?「そうですね。ふつうですが『おめでとう』と、言ってくれました」――挙式や披露宴については検討中と報じられていましたが?「実は考えていないんです」きっぱりと答え、その理由についても語る。「いちばんの理由は、こういった(コロナ禍という)時期だということです。皆さんに集まっていただくのも申し訳ないので、そう決めました」屈託のない笑顔を見せると、深々と一礼し、祐太朗は歩いていった。たとえ“逆境”にあってもめげず、動ぜず……。母の教えは、見事なまでに長男の血肉となっていた。「女性自身」2020年8月18・25日合併号 掲載
2020年08月11日才能って何だろう?持てる力を発揮できるフィールドが、きっとすべての人にある。作家の凪良ゆうさんに、ご自身の経験をもとに“才能論”を語っていただきました。しんどいことをしんどいと思わない。楽しんでやれるということが才能。小説を書く前はマンガ家志望。投稿など続けていた時代もあったんですが、うまくいかずにいったん離れました。10年ほど空いて、ある作品にハマったことをきっかけに、その二次創作をしてみようと思ったんですが、もうマンガは描けなかった。それで小説に挑戦してみたんです。いざ始めてみたら、書くこと自体がもう楽しくて、それ以外のことは何もやりたくなくなりました。それまで好きだった家事も全然やらなくなり、ひたすら書きました。すると、家族の不満が爆発。「そんなに毎日書くなら投稿でもしてみたら?本にでもなればいいよね」と半ばイヤミで言われたんですね。普通なら、少し反省して家のことをやったりするのかもしれないけれど、私はもう書くことに夢中なので、「プロを目指すなら書いてもいいんだ!」と免罪符みたいに思ってしまったんです(笑)。自分には小説の才能があるとかないとか考える前に、とにかく楽しくて、私の中にあるのはそれだけでした。引きこもりに近くて、友人にも「もっと外に出て遊んだり、息抜きしたら?」と勧められるのですが、私自身は小説を書くことこそが遊びで息抜きみたいな感覚でいるので、むしろ外に出かける意味がわからない。もちろん書くことはしんどい部分もあるんですが、それも含めて最高に楽しい。自分が苦もなくやれること、人から見たらしんどそうでも、自分はしんどいとも思わずにやれることが、才能というものの別の形ではないかと私は思うんです。才能と聞くと、誰かに見出されて花開くというイメージもありますが、偶然見つけてもらえて、育ててもらえる人は本当にラッキーな人。多くは、さっき言ったように、自分にとってこれをしていれば心地いいと思うことをひたすら続けていくしかないと思うんです。その道で食べていけるかどうか以前に、何かを見つけられるかどうかが大事。見つけられれば、たとえプロになれなくても自分を幸せにすることはできるんですから。早く見つかればステキだけど、若いうちじゃなくてもいい。私自身も、書き始めたのは35歳を過ぎてからで、自分が本当に書きたいものを書けるようになるまでには多少の回り道もありました。それどころか、書き始める前の10年くらいは、自分でもどうかと思うくらい、ぷらぷらとその日暮らしで生きていました。けれど小説家になったいま振り返ってみると、その何もしていなかった時期が宝物の山なんです。感じたことや考えたこと、経験したこと、人との出会いなどが引き出しに詰まっていて、物語を書いていると、その引き出しが開くんです。それは本当に貴重です。もちろん何かを成し遂げるために寝食を忘れて打ち込む時間も必要なんですが、あの“世間から見たらアカン10年”も同じくらい必要だったかなと思います。私は好きになると猪突猛進型で、他は何も目に入らなくなる。小説家になる前もなったいまも変わらず、朝起きてから寝るまでずっと書いています。その分、バランスをとって優先順位も決めてうまくやれない。一つのことにすべて注ぎ込んでしまい、私には小説しかないというのが少し寂しくもあります。一方で、好きなことに全力を注いでいるのだから、他のものはなくてもしょうがないと納得している自分もいる。実際、「他のことがすべてダメになってもこれができればいい」と思うくらい満たされた瞬間があったから、いま私は書いているんですよね。その気持ちが湧く何かに、才能の糸口があるように思います。なぎら・ゆう2006年に『恋するエゴイスト』でデビュー。BL作品を多く手がけてきた。近年は一般小説でも活躍。‘20 年、『流浪の月』が本屋大賞に輝いた。近著に『わたしの美しい庭』(ポプラ社)などが。※『anan』2020年8月5日号より。取材、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年08月05日俳優・三浦春馬さん(享年30)の出演する『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)が放送されると決定した。松岡茉優(25)主演で、三浦さんはお金の使い方にこだわる主人公・九鬼玲子の相手役。浪費癖のある同僚・猿渡慶太を演じた。公式サイトによると三浦さんの代役は立てず、台本を書き直して撮影を続けるという。全4話完結で、9月15日にスタートする。各メディアによると、三浦さんは7月18日の亡くなる前日まで撮影に参加していたという。三浦さんの最後の共演者だった松岡は、8月2日に『松岡茉優 マチネのまえに』(TBSラジオ)でドラマへの思いを明かした。「もう2週間ちょっと経ちますが、とても悲しいことがありました」と切り出した松岡。三浦さんについて「相手役としてお芝居を受けていた身として、あの素晴らしい猿渡慶太を皆さまに見てほしい」「本当に素晴らしいあのお芝居を見てほしい」と偲んだ。また三浦さんの死で胸を痛めている人々に向けて、「(ドラマの視聴を)ご無理なさらないでください」とも気遣った。そのうえで、撮影当初からの変わらない思いとして「ドラマを皆様に楽しんでもらいたい」と気丈にアピールした。「このドラマは松岡さんの了承がなければ、お蔵入りになっていたといいます。松岡さんは高い演技力が評価され、今や主演クラスの女優です。しかしその分、苦労も味わってきました。主演女優賞を受賞した『蜜蜂と遠雷』の授賞式では、出会いと別れを繰り返す作品作りを“一期一会”と表していました。このドラマについても悔いが残らないよう、続行の決断を下したのでしょう」(テレビ局関係者)そんななか、7月13日に公開されたドラマのPR動画が注目されている。現在480万回以上再生され、貴重な2人の対談を見ることができる。「どんなことが起こっても前向きに捉えてくれる」と、三浦さんの頼もしさを明かした松岡。いっぽう「セリフを失敗したらとか、常に一番最悪なことを考えている」と、自身のネガティブな一面も告白。すると三浦さんは「だからいつも動じないんだ」「職人気質」と松岡を讃えていた。「三浦さんは努力家であるいっぽう、共演者への気配りは欠かさなかったといいます。明るくオープンに振る舞い、撮影現場を和ませていました。チームのモチベーションを高めることも考えていたようです。このドラマでも、初共演の松岡さんと積極的にアイデア交換をしていたそうです。約1カ月という短期間でしたが、しっかり信頼関係を築いていたのでしょう」(制作関係者)三浦さんの最後の作品が放送されることに、感謝の声が広がっている。《松岡さん、本当にありがとうございます。松岡さんの気持ちがとても重要でとても心配でした》《松岡茉優さん とても優しく温かいメッセージ本当にありがとうございます。皆さんが心を込めて届けて下さるカネ恋を、精一杯応援させてください!!!》《TBSさん、キャストの皆様、関わる沢山の関係者様に本当に感謝ですそして、主演の松岡茉優ちゃん、本当にありがとうございます》
2020年08月03日子役としてデビューして以来、多くのドラマや映画、舞台など幅広く活躍していた、俳優の三浦春馬さん。俳優や歌手として絶好調のように見えた三浦さんですが、2020年7月18日に急逝したことが報じられました。自ら命を絶ったとして警察が調査を行いましたが、死因は正式に発表されていません。三浦春馬の『追悼ウェブサイト』が公開へ優しい人柄の伝わるトークや高い演技力、歌唱力で、三浦さんは多くの人の心をつかんでいました。三浦さんの突然すぎる訃報は世間に大きなショックを与え、「信じられない」「ウソだといってほしい」といった声が上がっています。30歳という若さでこの世を旅立った三浦さんに対し、きっとたくさんの人が複雑な想いを抱いていることでしょう。そういったファンの心境を察し、三浦さんの情報を発信しているスタッフのTwitterアカウントは、同月31日に追悼サイトのオープンを告知しました。いつも三浦春馬を応援してくださりありがとうございます。皆様にお知らせです。本日より三浦春馬の追悼サイトを立ち上げました。この追悼サイトは応援してくださる皆様からの言葉や想いをいつでも届けていただける場所です。是非この場にて皆様の想いをお伝えください。 — 三浦春馬 & STAFF INFO (@miuraharuma_jp) July 31, 2020 ウェブサイトの名前は『Forever in Our Hearts, Haruma Miura』。8月2日現在、ファンから三浦さんへのメッセージを募集中です。また、ウェブサイトではスタッフからファンに向けたメッセージがつづられています。いつも三浦春馬を応援してくださりありがとうございます。私たちが初めて出会った頃の彼は、話していても目すら見ることができないくらいシャイで、透き通った端正な顔立ちに綺麗な目が印象的な少年でした。その少年は関わる作品にとにかく真摯に、そして全力で取り組み、日本のエンターテインメント業界を代表する立派なアーティストの一人となり、応援してくださる皆様、そして我々スタッフにも大きな感動や希望を与えてくれました。彼の輝かしい軌跡と屈託のない笑顔は、これから先も永遠に記憶に刻まれ、残り続けると信じています。この追悼サイトは、応援してくださる皆様からの言葉や想いをいつでも届けていただける場所です。是非この場にて皆様の想いをお伝えください。お送りいただいたメッセージは予定しておりますお別れの会が執り行われるまでの間、大切にお預かりさせていただきます。Forever in Our Hearts, Haruma Miuraーより引用スタッフはファンや関係者に向けた『お別れ会』の開催も検討しているとのこと。きっと流行している新型コロナウイルス感染症の影響で、今すぐにはできないのでしょう。それまで、こうしてウェブサイトで三浦さんへのメッセージを募集し、少しでもファンの行き場のない思いを受け止めたいと思ったのかもしれません。ウェブサイト公開後、Twitterでは「スタッフのみなさんもつらいだろうに、ありがとう」「このような機会を作ってくれて救われました」といった声や、31万件の『いいね』が寄せられました。きっと集まったメッセージは雲の上にいる三浦さんに伝わることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年08月02日18日に亡くなった俳優・三浦春馬さん(享年30)の所属事務所・アミューズは31日、三浦さんへのファンからのメッセージを預かる追悼サイトを開設した。トップページには、三浦さんのさまざまな写真を掲載。「FOREVER IN OUR HEARTS, HARUMA MIURA」(三浦春馬さん、私たちの心の中に永遠に)」というメッセージが刻まれている。スタッフからのメッセージも掲載され、「三浦春馬を応援してくださるファンの皆様へ」と題し、「いつも三浦春馬を応援してくださりありがとうございます」とファンに感謝。「私たちが初めて出会った頃の彼は、話していても目すら見ることができないくらいシャイで、透き通った端正な顔立ちに綺麗な目が印象的な少年でした。その少年は関わる作品にとにかく真摯に、そして全力で取り組み、日本のエンターテインメント業界を代表する立派なアーティストの一人となり、応援してくださる皆様、そして我々スタッフにも大きな感動や希望を与えてくれました。彼の輝かしい軌跡と屈託のない笑顔は、これから先も永遠に記憶に刻まれ、残り続けると信じています」とつづった。そして、「この追悼サイトは、応援してくださる皆様からの言葉や想いをいつでも届けていただける場所です。是非この場にて皆様の想いをお伝えください。お送りいただいたメッセージは予定しておりますお別れの会が執り行われるまでの間、大切にお預かりさせていただきます」と呼びかけている。
2020年07月31日2020年7月18日、俳優として活躍していた三浦春馬さんが亡くなったことが報じられました。あまりにも突然すぎる訃報に、多くの悲しみの声が寄せられています。また、彼のこれまでの活動に敬意を表し、生前に収録されていたテレビ番組やミュージックビデオが公開されました。「絶対見る」「泣いてしまう」三浦春馬出演の未公開『せかほし』が放送へ三浦春馬の楽曲MVが公開「美しすぎる」と、ネットで大反響三浦春馬、CDは予定通り発売売上金の使い方に称賛の声三浦春馬出演のドラマ、収録途中だった4話で完結三浦さんが出演する予定だったドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)が、収録途中だった4話で完結する形で放送されることが決定。三浦さんの代役は立てず台本を書き直し、残された共演者で今後撮影するそうです。「おカネの切れ目が恋のはじまり」は、お金に対する価値観が正反対の男女が繰り広げる“じれキュン”ラブコメディー。女優、松岡茉優(25)が主演し、三浦さんは、玩具会社の御曹司でお金にルーズな相手役で出演。亡くなる前日の17日まで撮影に参加していた。だが、4話の途中まで収録していた矢先に、三浦さんが帰らぬ人に。制作サイドでは、ドラマの放送自体を見送ることも検討されたが、協議を重ねた結果、「三浦さんの最後の作品をお蔵入りさせるべきではない」との意見もあり、4話完結のドラマとして放送することを決めたという。サンケイスポーツーより引用現在は物語として成立するよう台本を練り直している最中で、完成次第、共演者のスケジュールを調整して撮影に入るとのこと。また、ドラマ初回の放送日は同年9月15日ということも決定しています。Instagramで「楽しみにしていて」と投稿していた三浦さんは生前、このドラマに関してInstagramに「楽しみにしていてください!」と投稿していました。 View this post on Instagram A post shared by Haruma Miura 三浦春馬 (@haruma_miura_info) on Jul 14, 2020 at 6:50am PDTTBS ドラマ「おカネの切れ目が恋の始まり」略して【カネ恋】!今回自分が演じさせて頂くキャラクターはおもちゃ会社のドラ息子で破壊的浪費癖があるものの、ポジティブで真っ直ぐな猿渡慶太を演じます。日に日に暑くなって参りましたが、キャスト、スタッフ一同、テレビの前の皆様に9月から、より笑って頂きたく撮影に励んでおります!楽しみにいていてください!haruma_miura_infoーより引用三浦さんのInstagaramは、これが最後の更新となっています。ドラマの放送決定に、ネットからはさまざまな声が上がりました。・4話で完結できるように台本を練り直すなんて、並大抵のことじゃない。たくさんの人の力が動いた結果なんだろう。これも三浦さんが今まで頑張ってきた役者としての功績と人柄あってこそのことだと思う。・役者としての三浦さんの、最後の演技を公開する決断をしてくださったこと、感謝しかありません。・今でも三浦さんが亡くなったなんて、信じられません。でも、彼の生涯最後の演技をしっかりと観たいです。「どうにか、三浦さんの最後の演技を形に残したい」という多くの人の想いが、異例の『ドラマ4話で完結』となりました。天国の三浦さんにも、多くの人がつないだ想いが届くことを願います。[文・構成/grape編集部]
2020年07月31日今年、ステイホーム期間、様々な趣味や勉強を始めた人、自分の現状や未来について向き合った人がたくさんいた。才能って何だろう?ニューヨーク州弁護士の山口真由さんに、ご自身の経験をもとに“才能論”を語っていただきました。反復することで、才能は磨かれる。コロナ禍がもたらしたのは、悪い面だけではないですよね。いままで、残業も人づきあいも資格のための勉強もと多方面に割いていた時間やエネルギーを、もっとミニマムに、自分にとって心地よいことだけに集中して割けるような環境が生まれましたから。思うに、現代の女性たちは、自分を他人に評価させる時間が多すぎた。同僚や友人など直接的な関係だけでなく、SNSなど間接的にも人と関わる場があって、常に他人の目に映る自分を見て、ジャッジしては自己評価を下げる。でも、こもる時間が増えた分、考える機会も増えました。誰と会ってるとき、何をしているときが心地いいかを、理屈ではなく“感覚”で捉えてみたほうが、気づかなかった才能にも気づける気がします。仕事にしても、雑務より、華やかな成果が見える仕事のほうが評価されそうと考えがちですが、「自分は事務作業のほうが好き」と思うなら、好きなことをコツコツやるのが正解だし、そういう人が最後は強いはず。私が「7回読み」勉強法の本を出したときに、読んでくださった人から「なんで7回も読めるの?」と言われました。本をサラサラと流し読みするのも、それを繰り返すことも私にとっては何の苦もないので、逆に私は、人から「私にはとてもできない」と言われたことに驚いたし、向いていることは人それぞれ違うんだなとつくづく思いました。それで思い出したのが、今年1月にヘリコプターの墜落事故で亡くなった元NBAのスター、コービー・ブライアント選手のこと。彼はオフシーズンの6か月には1日6時間を週6日、「666」を自分に課す練習の鬼だったそうです。6並びは無理でも、例えば2時間を週2回2か月続ける「222」ならできるかもしれない。実際、私は一度決めたことを淡々とこなしていくことが得意で、毎日同じ課題をクリアすることに快感さえ覚えるタイプ。「これならなんとかがんばれる」を続けていくことは、努力とも思わずできるんです。そのちょっとずつを積み重ねたら、技術だって磨かれるはず。そう思ったとき、自分では当たり前だと思っていたことのなかに、大きな可能性を感じたんです。一方で、私は「決める」のが本当に苦手です。食事に行ってメニューを決めるような簡単なことでも迷ってしまう。「こんなこともさっさと決められないなんて、ダメ人間かも…」とコンプレックスになるくらい。だから、私なりの対策として、決め方を決めておくというやり方を考案しました。メニューなら、最初に書かれているのがお店のオススメだからそれを選べば間違いない、というように。得意なことと同時に苦手なことも把握しておけば、恐れず対処できます。それから、「英語の勉強しよう」と漠然と始めても、なかなかエンジンがかからないもの。その場合、一気に高い目標を設定するのではなく、小さく分解してクリアしていくのがいいと思います。最終的にはTOEIC800点を超えたくても、まず2か月後にプラス50点を目標にするとか。私自身もこれまで小さな成功体験を積み重ねて目標を達成してきました。新しい挑戦って何であれ、最初は伸びるし楽しい。でも頭打ちになったらやめてしまう人が多いんです。そんなとき、むしろ「ここを抜ければゴールは近いぞ」と踏ん張る材料にしてほしい。スランプは大抵、完成の一歩手前で起きるものだから。何かをものにするのに、早道はなくて、ものをいうのは「継続と反復」に尽きる。地道にコツコツは自分の10年後を変えるパワーなんです。やまぐち・まゆ財務官僚、弁護士を経てハーバード大ロースクールに留学。帰国後は、東大大学院博士課程修了。様々なメディアで活躍。『「超」勉強力』(プレジデント社、中野信子氏との共著)など著書多数。※『anan』2020年8月5日号より。取材、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年07月30日三浦翔平(32)が7月25日、三浦春馬さん(享年30)への追悼メッセージを公開した。Instagramに春馬さんが笑顔を見せる写真をアップした翔平。《君の死を受け入れるのは、まだまだ時間がかかる》《少しずつ、一歩ずつ、受け入れる様に頑張るから》とつづり、《春馬。大好きだよ。どうか安らかに》と結んでいる。08年4月のドラマ「ごくせん」(日本テレビ系)や09年7月の映画「ごくせん THE MOVIE」での共演以来、親交を深めてきた2人。いっぽう、近年は作品を共にすることはなかった。そんななか、今年9月期のドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり(以下・カネ恋)」(TBS系)では揃って出演者リストにクレジット。同作は、2人にとって約11年ぶりの共演作だった。「春馬さんがInstagramを開設してすぐに翔平さんの写真をアップするなど、その仲は広く知られていました。さらに昨年9月に2人がサーフィンへ行ったとそれぞれのSNSで明かしたところ、大きな反響が。2人はたびたび『また共演したいね』と話していたそうで、『カネ恋』での共演はファンだけでなく本人たちにとっても念願のものでした。また翔平さんは“ダブル三浦”として『いつかバディ役を組みたい』と語るなど、春馬さんとの夢を思い描いていたそうです」(テレビ局関係者)「カネ恋」は待望の共演作だったが、その撮影中に春馬さんの訃報ーー。ネットでは、翔平の心痛を慮る声が上がっている。《春馬くんへの想いが綴られてて春馬くんの笑顔があって もう悲しくて苦しくなる》《どんなにつらい想いで言葉を綴ったんだろう》《春馬くん、これからも翔平くんのこと、空からずっと見守っててね》
2020年07月26日俳優の三浦翔平が25日、自身のインスタグラムを更新し、18日に亡くなった三浦春馬さん(享年30)を追悼した。2008年に放送された日本テレビ系ドラマ『ごくせん』で共演して以来、プライベートでも交流のあった2人。春馬さんがサーフィンボードの上で笑顔を見せている写真を添え、「最後の顔を見てから、寝てるだけなんじゃないか。またすぐ会えるんじゃないか。あの笑顔をまた見せてくれるんじゃないか。何度も現実逃避してるよ」と打ち明け、「君の死を受け入れるのは、まだまだ時間がかかる」とつづった。そして、「君を想う全員が深い悲しみの中にいて、きっと誰かと話して、誰かと支え合いながら、また泣いて、胸が苦しくて、何かをしてなきゃ頭がおかしくなりそうだと思う。でも、いつまでも泣いてたら安心して眠れないよな? だから少しずつ、一歩ずつ、受け入れる様に頑張るから」と春馬さんにメッセージ。「俺達は一生懸命に生きて、お前の意志を受け継いで、お前が見たかった景色を絶対見せるから。だから見守っててね。君と過ごした大切な思い出を、これから先もずっと胸に」と誓い、「春馬。大好きだよ。どうか安らかに」と悼んだ。
2020年07月25日俳優の三浦翔平さんが、2020年7月25日にInstagramを更新。同月18日に急逝した、俳優の三浦春馬さんについてコメントしました。三浦翔平「何度も現実逃避している」同年9月に放送予定の連続ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)で、三浦春馬さんと共演する予定だった三浦翔平さん。名字が同じである2人の共演は「W三浦」と呼ばれ、放送前から大きな反響を呼んでいました。三浦翔平さんは、訃報から1週間が経った25日に、サーフィンをする三浦春馬さんの写真を公開。 この投稿をInstagramで見る shohei miura/三浦翔平(@shohei.63)がシェアした投稿 - 2020年 7月月24日午後10時45分PDT満面の笑みを浮かべる三浦春馬さんの写真とともに、次のようなメッセージをつづりました。最後の顔を見てから、寝てるだけなんじゃないか。またすぐ会えるんじゃないか。あの笑顔をまた見せてくれるんじゃないか。何度も現実逃避してるよ。君の死を受け入れるのは、まだまだ時間がかかる。君を想う全員が深い悲しみの中にいて、きっと誰かと話して、誰かと支え合いながら、また泣いて、胸が苦しくて、何かをしてなきゃ頭がおかしくなりそうだと思う。でも、いつまでも泣いてたら安心して眠れないよな?だから少しずつ、一歩ずつ、受け入れる様に頑張るから。俺達は一生懸命に生きて、お前の意志を受け継いで、お前が見たかった景色を絶対見せるから。だから見守っててね。君と過ごした大切な思い出を、これから先もずっと胸に。春馬。大好きだよ。どうか安らかに。shohei.63ーより引用三浦翔平さんは、「何度も現実逃避している」「何かをしていないと頭がおかしくなりそう」と悲痛な想いを吐露。その上で、三浦春馬さんとの思い出を大切にしながら、彼の意思を受け継いで懸命に生きる決意をつづりました。プライベートでも親交があり、またドラマでの共演を楽しみにしていたからこそ、現実として受け入れがたいのでしょう。三浦春馬さんを愛するファンや友人、関係者を始めとする多くの人が、彼を心から悼み、前を向こうと努めています。[文・構成/grape編集部]
2020年07月25日2020年7月18日、俳優の三浦春馬さんが30歳という若さでこの世を去りました。三浦さんは同月24日、音楽番組『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、セカンドシングルとなる楽曲『Night Diver』を披露する予定でした。同日、番組では三浦さんが生前撮影していた『Night Diver』のミュージックビデオ(以下、MV)を放送。ネット上では「ダンスも歌もうまくて圧倒された」「なんて美しさ」「涙が止まらない」といった声が相次いでいます。三浦春馬の遺作『Night Diver』のMVが公開同日、レコード会社『A-Sketch』の公式YouTubeでは、『Night Diver』のMVを公開。生前の三浦さんが遺した、渾身のパフォーマンスをご覧ください。三浦さんは、普段見せていた弾けるような笑顔を封印し、切ないメロディーや歌詞を表現。品のある美しいダンスや、胸にしみわたるような歌声がとても魅力的ですね。【ネットの声】・演技だけでなく、歌や踊りまで完璧だとは…。こんなに才能ある素敵な人を失ったことが、改めて悔しいしやりきれません。・涙が出てきた。どんなことも人一倍頑張ってきたことが分かるMVですね。・三浦さんのことをよく知りませんでしたが、色気と切なさのあるパフォーマンスが素晴らしくて、心に刺さりました。またレコード会社は、『Night Diver』のCD売り上げの一部を、チャリティイベント『Act Against AIDS』で三浦さんが支援し続けていた認定NPO法人『フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN』を通じて、ラオスのラオ・フレンズ小児病院に寄付することも明かしています。三浦春馬、CDは予定通り発売売上金の使い方に称賛の声三浦さんの歌声やダンスを始めとするパフォーマンスは、多くの人々の心に残り続けるでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年07月25日2020年7月18日に俳優の三浦春馬さんが30歳という若さでこの世を旅立ち、悲しみの声が相次ぎました。動機は明らかになっていませんが、警察によると自ら命を絶ったとみられています。同月24日には、ドラマ『わたしを離さないで』(TBS系)などで共演した俳優の水川あさみさんが追悼のコメントをInstagramに投稿。愛にあふれた言葉に反響が上がっています。水川あさみ「ハートフルな場所でゆっくりと安らかに」多くの人と同じように、まだ三浦さんの訃報を受け止めきれていない水川さん。苦しい心をなんとか整理し、次のような言葉をつづりました。いつもわたしの話を楽しそうに聞いてくれて思い出すのは笑顔ばかりで記憶は新しく鮮明で受け入れるにはまだ苦しくて寂しいな寂しいよそれでも毎日やってくる日常は待ってくれないから彼を想い、頼れる人と支え合い、心を育みまた今日から、明日も明後日もこれからを生きようと思いますmizukawa_asamiーより引用水川さんは、喪失感を抱えながらも前に進んでいくことを心に誓いました。続けて、三浦さんに向けて温かな言葉を贈っています。どうかどうかあたたかな大きな愛に包まれてハートフルな場所でゆっくりと安らかに深呼吸しながら春馬らしく心から笑っててみんなあなたを想ってる、忘れないよmizukawa_asamiーより引用また、水川さんはコメントの投稿とともに、輪廻転生の死生観が根付くタイで、三浦さんが撮影した写真を公開。写真には遠くを見つめる水川さんの姿が写っています。きっと三浦さんの目には、水川さんの姿がこのように映っていたのでしょう。 View this post on Instagram A post shared by 水川あさみ (@mizukawa_asami) on Jul 23, 2020 at 8:27am PDT水川さんの愛のある言葉に、共感する人が続出。「苦しい中の投稿、ありがとうございます」「いちファンである私でさえこんなに悲しいので、共演したことのある方々はどれだけショックだったことか…」「みなさんの愛が、三浦さんに届きますように。切なる願いです」などのコメントが寄せられています。水川さんの投稿が自分の心情と重なり、悲しみを整理できた人もいる様子。悲しみを1人で抱え込まず、共有することが癒しにつながることもあるのでしょう。三浦さんへの人々の想いが届くことを祈ります。[文・構成/grape編集部]
2020年07月24日2020年7月18日、俳優の三浦春馬さんが30歳という若さで亡くなりました。報道によると三浦さんは自ら命を絶ったとみられ、すでに親族の間で密葬が執り行われたそうです。映画やドラマ、舞台など数多くの作品に出演していた三浦さんの突然の訃報は、芸能界に大きな衝撃をもたらしました。城田優三浦春馬を追悼2009年のドラマ『サムライ・ハイスクール』(日本テレビ系)で三浦さんと共演して以来、プライベートでも親交が深かった俳優の城田優さん。三浦さんが亡くなった当日、城田さんは生放送の音楽番組『音楽の日』(TBS系)に出演し、アーティスト『GReeeeN』の『キセキ』や映画『リメンバー・ミー』の主題歌をカバーし披露しました。目に涙を浮かべて歌う姿からネット上で「友人の突然の訃報にショックを受けているのだろう」「つらそう」と心配する声が上がっていました。プロ意識に称賛の声三浦春馬と親交の深い城田優が涙声で歌唱すると中居正広が…城田さんは同月23日にInstagramを更新。三浦さんと一緒に撮った数々の写真とともに、追悼の言葉をつづっています。 この投稿をInstagramで見る 城田優 Yu Shirota(@yu_shirota)がシェアした投稿 - 2020年 7月月23日午前7時38分PDT春馬の真っ直ぐで、マイペースで、人懐っこい性格、仕事に対する強い責任感、毎回素晴らしいパフォーマンスをするのに、裏ではどこか自信なさげな、その裏腹な繊細さ。そして何より、周りの人に対する深い愛、本当に本当に努力家で、目標に向かって常に全力投球をし続ける姿勢。出会ってからまだたった11年だけど、彼と過ごした時間の中で、僕は彼から多くのことを学びました。本当に色んな場面が頭に浮かびます。中でも、ずっと思い出しているのは、春馬のあの笑顔。無事にパフォーマンスを終えた時の、あの屈託のない安堵の笑顔や、嬉しそうにその日あったことを「優くん優くん!僕ね、、」と、ニコニコしながら話してくれるあの可愛い笑顔。弟のようで、本当に愛おしいんです。そんな春馬と出会い、仲良くなれたこと、近くで彼の成長を見守れたこと、そして共に同じ道を歩んでこられたことは、僕の人生において、大きな大きな財産です。これまで春馬は、たとえどんなに苦しくても、必ずその重圧に打ち勝ち、その度にたくさんの愛、夢、感動、興奮、最高のエンタメを僕らに届けてくれました。そんな春馬が成し遂げたかったこと、ミュージカルに懸ける想い、その野望や様々な夢。そして春馬と交わしたいくつもの約束。それらをここで終わらせるわけにはいきません。これからは、春馬の意思を受け継ぎ、春馬の分まで、その”約束”や”夢”を大切に大切に育てながら、生きていきたいと思います。yu_shirotaーより引用また、城田さんは三浦さんのファンに向けて「春馬は、皆さんの愛と応援に、心から感謝していました」と語り、励ましのコメントを寄せています。皆さんは、彼のパフォーマンス、そして人生の一部です。そして春馬もまた、皆さんの人生の一部。だからこそ、今は本当に本当に辛い毎日ですよね。涙が止まらず、心もボロボロで、人前では気丈に振る舞っていても、ずっと暗闇の中にいるような気持ちですよね。僕もそうです。彼を愛したみんなが同じ気持ちでいます。でも、僕らがずっと下を向いていても、春馬は喜びません。安心してゆっくり休む事もできません。だからどうか、少しずつでいいので、前を向いて生きましょう。そのためにも、例え気が向かなくても、出来る限り一人でいる時間を減らして下さい。お話しできる人がいるなら、くだらない話でもして笑って下さい。あいつもみんなの笑顔が見たいはずです。少し前を向けるようになったら、春馬に負けない最高の笑顔で、空に向けて温かい言葉をたくさんかけてあげて下さい。そして辛い時は、どうか彼の残してくれたポジティブな言葉や、たくさんの作品、あの笑顔を思い出し、踏ん張りましょう。またいつの日か会えた時に、胸を張って「春馬の分も頑張ったよ」って伝えられるように。yu_shirotaーより引用最後に「離れていても、心はいつでもつながっていると僕は信じています」という言葉で締められた追悼文。城田さんの想いが込められたメッセージは、反響を呼んでいます。【ネットの声】・泣いてしまいました。心の整理がつかない中、一生懸命投稿してくれたのだと思います。・素敵な思い出の写真に涙があふれました。本当にありがとうございます。・三浦さんと城田さんの思い出がこの先も消えることなく、永遠に続きますように。・「離れていても心はつながっている」の言葉、ありがたいし、私もそう信じます。大切な人を突然失った悲しみは、どれだけの時間が経っても完全に癒えるものではないでしょう。しかし、故人とのかけがえなのない思い出に感謝し、前を向こうとする城田さんの姿勢に、多くの人が励まされた気持ちになったのではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2020年07月24日俳優・三浦春馬さんが18日に亡くなったことを受け、三浦さんと同事務所・アミューズに所属する女優・上野樹里が22日、Twitterに追悼メッセージをつづった。2人は映画『奈緒子』(08年)などで共演。また、三浦さんは2018年7月、上野にとって2年半ぶりの連ドラ出演作『グッド・ドクター』(フジテレビ系)を観て、Twitterに「別に先輩だからではない…でも上野樹里ちゃんの演技に自然と引き込まれる。ブラウン管を飛び越えてくる芝居。また共演させて欲しい。。」と投稿していた。三浦さんの訃報から4日。上野は約1カ月半ぶりにTwitterを更新し、「春馬くん、2年前に『一緒にまた共演したい』って言ってくれたの、嬉しかったよ」と感謝する一方、「もっとお話ししたかったな」と悔やんだ。そして、「悲しい顔をする代わりに、私はお芝居がんばるよ」と前向きに捉えようとしながら、「良かったら、いろんな人達の心を救える方法、分かるように導いて」と願い、「春馬くん、ご冥福をお祈りします」と結んでいる。別に先輩だからではない…でも #上野樹里 ちゃんの演技に自然と引き込まれる。ブラウン管を飛び越えてくる芝居。また共演させて欲しい。。#グッドドクター ????????— 三浦春馬 & STAFF INFO (@miuraharuma_jp) July 26, 2018
2020年07月23日プロローグはおどろおどろしい。ペット以下の環境で監禁、虐待されている女性。そのみじめな姿をあざける犯人。それは、茨城県水戸市内の安ホテルで発見された男の刺殺体と、さらに彼が起こした先の女性監禁事件へと結びつく。犯罪の背景に何があったのか。櫛木理宇さんの『虜囚の犬』は、ゆがんだ家族関係や、閉鎖的な地方都市の陰湿さを浮かび上がらせる問題作だ。弱者の痛みが幾重にも絡む事件を、若き元家裁調査官と県警刑事が追う。「同時にこれは劣等感の物語でもあるんです。極端に感情が欠如しているサイコパス的な人間はおらず、加害者も被害者も自己評価が低い人物ばかり登場します。メッタ刺しにされた薩摩治郎(さつまじろう)は、女性たちを監禁して服従させ、女性に対して一見『強者』のようですが、過去を遡れば、決してそうではない人物だったことが見えてくる。最終的に絶対的な強者というのは存在するのかというのもテーマです」事件につながる要因を解き明かそうとするのが、白石洛(らく)という30代の元家裁調査官。かつて少年事件で治郎や関係者家族と関わったことがあり、治郎の過去について知る数少ない人物。洛の友人で、茨城県警捜査一課の巡査部長・和井田瑛一郎は、引きこもりだったという事件前の治郎について調べるよう洛に依頼する。「今回、捜査官だけではなく素人探偵役の洛を据えたのは、事件捜査だけでなく、少年という弱い存在に焦点を当てて見てくれる人が必要だったからです。洛がいまは妹と暮らす専業主夫にして、刑事の和井田と高校時代からのノリのままじゃれ合う会話を繰り広げる場面を入れたのは、そうしないとあまりにも陰惨な話だけになってしまうかなと。重い物語の緩衝材的な役割もあります」物語は、司法では裁けない罪や悪意にどう向き合うかも問いかける。「他者への寛容性がないというのが始まりだと思うんです。怒りの矛先が間違った方向に向かうという問題があって、より弱い存在が被害者になるのは社会の縮図のようです」櫛木作品では、犯罪をめぐるリアリティにも瞠目させられる。「もともと犯罪心理などには興味があって、作家になる前、シリアルキラーについてのコンテンツの管理人を10年くらいやっていたことがあるんです。本もいろいろ読みました。そのころの知識がいろいろ補填してくれているのかもしれません」くしき・りう作家。1972年、新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で日本ホラー小説大賞・読者賞を、同年、『赤と白』で小説すばる新人賞を受賞。『虎を追う』など著書多数。『虜囚の犬』1986~’87年、米国オハイオ州で黒人女性ばかりが狙われたゲイリー・ヘイドニックという男による実在の拉致監禁事件がモチーフ。KADOKAWA1700円※『anan』2020年7月22日号より。インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年07月20日7月18日に亡くなった三浦春馬さん(30)。突然の訃報はファンのみならず、大きな衝撃を与えた。本誌は、三浦さんを3月初旬に目撃していた。都内の自動車学校で大型バイクの卒業検定を受けていたのだ。「三浦さんは濃い紫色のキャップに黒いマスク。手には黒いフルフェイスのヘルメットを持っていました。バイク用の黒いアウターに生地の厚い青いデニムを履き、そしてリュックサック姿。ライダーとしてお手本のような姿で、バイクに対して真面目に向き合っているんだなという印象でした」(卒業検定を受けていた男性)検定の説明を受けるまで、三浦さんは10名ほどが集まる教室で待機していた。前出の男性はこう話す。「三浦さんは、一般人に混じり机に座ってスマホを触ったりしていました。InstagramやTwitterなどのSNSをチェックしながら、教官が来るのを待っていました」その後、三浦さんは教習コースに出て検定を受けた。大型バイクにまたがると、次々と課題をクリアしていった。俳優として多忙を極める日々。だがその合間を縫って、このときは大型バイクの免許取得へ意欲を見せていた三浦さん。バイクに目覚めたのは、昨年7月期の主演ドラマ「TWO WEEKS」(フジテレビ系)だった。「ドラマでバイクに乗るシーンがあり、彼は普通二輪免許を取得しました。そこですっかりバイク好きになったそうです。これまでも中型バイクを楽しんでいましたが、やはりアメリカンタイプの大型バイク、それもハーレーダビッドソンに乗ることを夢見ていたようです。そこで大型バイクの免許を取ることにしたと聞きました」(芸能プロダクション関係者)検定が終わるとすぐに合否の発表となり、教官は個別に参加者の名前を呼んだ。三浦さんは満点に近い点数で合格だったようで、結果を伝えられると「あ、本当ですか。よかったです。ありがとうございます」と教官に話す。そして微笑んでみせると、颯爽とその場を後にしていたーー。
2020年07月20日2020年7月18日、俳優の三浦春馬さんが30歳の若さで亡くなりました。警察によると、三浦さんは自ら命を絶った可能性が高いとのこと。ドラマや映画、舞台など、数々の作品に出演し、芸能界での交友関係も広かったという三浦さんの突然の訃報に、衝撃が広がっています。大竹しのぶ「春馬、悲しいよ。」過去に舞台で共演した俳優の大竹しのぶさんは、同月19日に自身のInstagramを更新。写真とともに追悼の言葉を寄せました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 大竹しのぶ(@shinobu717_official)がシェアした投稿 - 2020年 7月月19日午前8時27分PDT何を書けばいいのだろうか。昨日から、ずーと答えはみつからない。一緒にお仕事したのは5年前の舞台「地獄のオルフェイス」だった。イギリスの演出家のフィリップを中心に、私達はモノを作り上げる同士になった。毎日毎日、より良い芝居を作り上げることに皆で必死になった。そして思い切り笑って、悩んで、一緒に喜んでいた。みんな、春馬が大好きだった。昨夜も夜中に、西尾まりちゃんと、寝られるわけないよねと語り合った。フィリップは遠いイギリスで、心の中を嵐が吹き荒れているようで、言葉が見つからないと嘆いた。春馬、悲しいよ。わかっていることは、あなたの事を忘れないという事だけだよ。もう逢えないと思うと辛いので、去年会った時、一緒にバカなこと言って思い切り笑って、青春ドラマの様に肩組んで歌った事を思い出して、しのぶさん俺頑張る!春馬、私頑張る!って誓い合ったことを守ってゆくよ。写真は、大阪公演の帰り、新幹線の中でずーと芝居の話をして、帽子を忘れて先に降りた私に忘れ物!と送ってきてくれたものです。お誕生日にたくさんのコメントを頂いていたのに、お礼も言えずごめんなさい。温かいコメントありがとう。おひとつおひとつに感謝でした。ほんとにありがとうございましたshinobu717_officialーより引用2015年に公演された舞台『地獄のオルフェウス』で共演した時のツーショット写真を投稿し、悲しみを吐露した大竹さん。また3枚目の写真は、大竹さんが新幹線の中に忘れていった帽子をかぶりチャーミングな表情をみせる三浦さんが写っていました。コメント欄には舞台を見た人やファンから「素敵な舞台を思い出します。どうか安らかに」「昨日からこの舞台の時の春馬くんを思い出していました。かっこよかったよなぁと」「今、この写真を見て涙があふれました」など追悼の言葉が多数寄せられています。才能にあふれ、さまざまな人に慕われた三浦さん。早すぎる別れに、多くの人が心を痛めています。[文・構成/grape編集部]
2020年07月20日俳優の三浦春馬さんが7月18日、30歳という若さで死去した。突然の予期せぬ死に、衝撃が広がっている。日テレNEWS24によると三浦さんは同日に仕事の予定が入っていたが、現場に現れなかったという。関係者が自宅を訪れると、首を吊っている三浦さんを発見。搬送先の病院で死亡が確認されたという。また三浦さんの自宅で、遺書のようなものが確認されたとも報じている。97年に連続テレビ小説『あぐり』(NHK総合)で、子役デビューした三浦さん。その後『ブラッディ・マンデイ』(TBS系)や『ごくせん』(日本テレビ系)、『TWO WEEKS』(フジテレビ系)といった話題作で幅広く活躍した。三浦さんは、松岡茉優(25)主演の9月ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系)にも出演が決まっていた。お金を正しく使うことにこだわる主人公と男性3人の繰り広げる“恋愛合戦”が見どころで、三浦さんは「台本を読み進めるのがとても楽しみでした」と語っていたという。本ドラマ出演者の三浦翔平(32)とは、08年の『ごくせん』(日本テレビ系)と09年の映画『ごくせんTHE MOVIE』以来の共演。約11年ぶりに披露する“W三浦”にも、注目が集まっていた。また来年には三浦さんが武将・松平元康(後の徳川家康)を演じる、映画『ブレイブ 群青戦記』の公開も控えていた。三浦さんのインスタグラムでは、14日に投稿した新ドラマの告知が最後の更新だった。そこには、《テレビの前の皆様に9月から、より笑って頂きたく撮影に励んでおります!楽しみにいていてください!(原文ママ)》と笑顔の姿が添えられていた。突然の訃報に、三浦さんを偲ぶ声が広がっている。《なぜ、ショックすぎる、、、》《えっ?信じられない。今すごい動揺してます。嘘であって欲しい》《信じられない…どうして…天国で安らかにお眠りください》《端から見たら人気絶頂で、何の心配もないように思っていました。でも、ご本人にとってはそうではなかったのですね… 何が死に急がせたのかわかりませんが、ご冥福をお祈りいたします》
2020年07月18日9月スタートのTBS系新火曜ドラマは、松岡茉優主演「おカネの切れ目が恋のはじまり」を放送することが決定。三浦春馬、三浦翔平、北村匠海と人気俳優の出演も明らかになった。本作は、おカネ修修行を通してひと夏の恋物語が繰り広げられていく、大島里美脚本による完全オリジナルラブコメディ。中堅おもちゃメーカーの経理部で働く主人公・九鬼玲子は、とある過去が原因で「清貧」という価値観で生きるアラサー女子。金銭感覚が独特で、お金の価値ではなく、自分が愛するモノの本質を大切にして暮らしている。そのおもちゃメーカーの御曹司・猿渡慶太は、浪費にかけては天賦の才能を持った男。浪費のしすぎで経理部に異動になり、2人が出会い、ひょんなことから玲子の実家に慶太が住み込むことに…というあらすじ。そんな一風変わった価値観を持つ“清貧女子”玲子を演じるのは、ヒロインを務めた『劇場』の公開&配信がもうすぐ始まる松岡さん。玲子とは正反対のキャラクター、お金にルーズな浪費男子・慶太は、『コンフィデンスマンJP』「TWO WEEKS」などに出演する春馬さんが演じる。今回、TBS連続ドラマ初主演となる松岡さんは、春馬さんとは初共演。「ラブキュン物語なのですが、私が演じる玲子さんと三浦さんが演じる慶太の成長物語として、ほころんでいる2人がどんどん成長していくところも注目していただきたい」とアピールし、「三浦さんと私では、普段も違う性格な気がするので、二人三脚で、この暑い夏、そしてこの状況ですけど乗り切っていきたいなと思っています」と意気込み。「ぜひ視聴者の方にはご自身と照らし合わせながら、玲子が人としての喜びを得ていく様子を見守っていただきつつ、おカネの使い方に関しても役立つプチ情報が入ってますので、おカネの部分と恋の部分とそして2人の成長物語を楽しんでいただけたらうれしいです」とコメントしている。春馬さんは「僕が演じさせていただく役どころは、玲子の働く会社の御曹司なのですが、彼のキャラクターはとても気持ちの良い青年で、すごくポジティブです。ただおカネの捉え方に関しては少し突き抜けているので、登場人物のセンシティブな金銭感覚や問題に関して土足で軽快に乗り込んで、前を向かせようとする部分があり、ポジティブにかつ嫌味なく演じるのがすごく難しいなと感じています」と自身が演じるキャラクターについて説明している。さらに、玲子の初恋の相手・早乙女健を、主演ドラマ「M愛すべき人がいて」が大きな話題となった翔平さん。慶太の後輩・板垣純を、『砕け散るところを見せてあげる』『とんかつDJアゲ太郎』『東京リベンジャーズ』など待機作が多く控える北村さんが演じる。早乙女は公認会計士の資格を持ち、容姿を生かしてお金の専門家として人気コメンテーターとしても活躍する「顔面を金に換える男」。玲子が“清貧”になった過去の出来事を知る存在であり、キラキラしている表の顔の一方で謎めいた裏の顔も持つ。そして板垣は、とある理由で将来の貯蓄に大きな不安を抱いており、恋よりお金な「ドケチ節約男子」。あることがきっかけで玲子に恋をしていくという役どころ。旬な俳優たちによる4つ巴の恋愛合戦に注目だ。翔平さんは「早乙女という役を通して、この作品のいいスパイスになればと思いながら演じています。見てくださっている人々が元気になれるような、笑って、泣けるところは泣いて、明日への活力になるようなドラマになればいいなと思いますので、ぜひお楽しみにしていてください」と視聴者へメッセージ。「全話通して“かわいらしく憎めないやつ”として演じられたら」と語る北村さんは、「1話から純が何を抱えているのか描かれますが、話を重ねるごとにかわいらしかったり、コミカルな部分もあるので楽しみです。おカネは身近なものではあるけれど、人それぞれ価値観がすごく違うと思うので難しい部分もありますが、見てくださった方々がパーッて明るく笑顔になれるように、ドラマを通してエネルギーを発信できたらいいなと思っています」とコメントしている。あらすじ中堅おもちゃメーカーの経理部で働く主人公・九鬼玲子は、過去のある出来事が原因で、「清貧」という価値観で生きるアラサー女子。そんなある日、めったにものを買わない玲子が買い物をする、「お迎えの日」がやってきた。古道具屋で一目惚れした1,680円の豆皿を1年間、何日も店に通い、じっくり考えて、やっと買う決意。しかし、女性を連れた派手な装いの若い男が、バーベキュー用にとその豆皿を雑に購入していく姿を目の当たりにする。その男は、玲子が勤める会社の御曹司・猿渡慶太――。数日後、玲子の働く経理部に、豆皿を奪った慶太がやってきた。慶太のひどい浪費ぶりに社長である父が激怒し、お金の勉強のため経理部に異動になったという。玲子は不本意にも慶太の指導係に任命され、慶太に対する玲子のおカネ修行が始まる…!火曜ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」は9月、毎週火曜日22時~TBSにて放送予定。(cinemacafe.net)
2020年07月14日三浦春馬主演「ブラッディ・マンデイ シーズン2」が、7月20日(月)より「Paravi」にて全話一挙配信が決定した。主演の三浦さん演じる天才高校生ハッカー“ファルコン”こと高木藤丸が、最凶最悪のウイルステロから家族や仲間、そして地球を救うべく立ち向かうノンストップアクション・サスペンス「ブラッディ・マンデイ」。現在、シーズン1が配信中となっており、配信開始から 1週間(6/20~6/26)のParavi内再生数ランキングで1位を記録するなど、大きな反響を呼んでいる。続編となるシーズン2の舞台は、史上最悪のウイルステロ「ブラッディ・マンデイ」から2年後。「魔弾の射手」を名乗るテロ組織が核を入手し、日本再起動計画を開始。核爆発までのタイムリミットが刻一刻と迫る中、ファルコンが同級生・九条音弥(佐藤健)と共に再びテロの脅威に挑む。三浦さん演じる藤丸、佐藤健演じる音弥のほかにも、吉瀬美智子、松重豊、芦名星、川島海荷、成宮寛貴らがシーズン1に引き続き出演。誰が味方で誰が敵なのか、予測不可能なハラハラする展開の先に、衝撃の真実が隠されている。「ブラッディ・マンデイ シーズン2」は7月20日(月)0時~Paraviにて全話一挙配信。(cinemacafe.net)
2020年07月10日山下紘加さんの『クロス』は、既婚者の〈私〉こと市村ゆうじが、同じビルで働く不倫相手の愛未(まなみ)とふざけて女装してみたのをきっかけに、自分の性のありようやアイデンティティに迷っていくさまを刻々と追う、衝撃作だ。ゆうじは、女装しているときは〈マナ〉と名乗っている。物語は、マナとバーで出会った恋人タケオとの濃厚なセックスシーンから始まる。「私自身が異性愛者なので、異性装者や同性愛者の心理を、感覚的にはわかる部分もあるけれど、本質から理解するのは難しいだろうなと。その『わからなさ』をむしろ大切にして書きたいと思いました」LGBTQをモチーフにした小説は増えてきたし、その切り口に、作家の個性も垣間見える。本書では、自分を異性愛者だと思っていた既婚男性の揺れる気持ちがつぶさに拾われているところに瞠目する。「女装趣味やゲイをカムアウトしている人たちのノンフィクション番組などを見ていると、自分の性自認や性的指向がはっきりしているんですよね。けれど、誰もがそこまで明確に自分の性別や性の対象を意識してないと感じていました。ならば、主人公が己の性に身も心も揺れていくさまを書くことで新しさが生まれるのではないかと思ったんです」この作品のために取材もした。二丁目の女装クラブや、女装愛好者のためのSNS、女装パフォーマーとして活躍中のブルボンヌさんからのレクチャーなど。クリスチャン・ザイデル著『女装して、一年間暮らしてみました。』(サンマーク出版)には、強く影響を受けたそう。「異性愛者で妻もいる彼が、女性の服を着て生活し、どんな心境の変化があったかをありのまま綴ったノンフィクションなんですが、ストッキングのような女性のアイテムを身につけただけで、心のありようが変わるのが興味深かったです。一方で、私自身も女装している人たちと話をしていると、女の子と普通にはしゃぐような気持ちになるのが不思議」ゆうじの目を通して観察される、タケオや妻の典子、大学時代からの先輩・澤野らの反応に、共感も反発も新しい発見も生まれるだろう。簡単には噛み合わない、性と自分らしさと幸福感。その深淵をのぞき込むような一冊だ。やました・ひろか1994年、東京都生まれ。2015年、ユリカと名付けたラブドールへの恋慕に依存していく少年の、危うい心理を繊細に描いた「ドール」で文藝賞を受賞。同年デビュー。『クロス』警備会社で働く28歳の〈私〉はタケオと名乗る美しい男性と出会い、女装した姿でのセックスに溺れていく。〈私〉の思いの行方は。河出書房新社1600円※『anan』2020年7月8日号より。写真・土佐麻理子(山下さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年07月04日昨今のベストセラーリストに必ず食い込んでいるのが現代の哲学書や思想書。そのブームを分析し、おすすめの本を選書してくれたのは、2015年からロングセラーを続けている『哲学用語図鑑』の編集者で自著も持つライターの斎藤哲也さん。クールな思想家たちが牽引する、イケてて面白い哲学&思想書に注目。「日本の将来の不透明さがもたらす危機感や不安から、物事を根本的に問い、考えようとする書物に手を伸ばす人が多くなったように感じています。メジャーなビジネス誌が哲学特集を組むのもその表れでしょう」昨今の思想家たちはイケメン揃いなところもハートをくすぐられる。「最近は、ハラリやガブリエルのようなテレビによく登場するスター思想家が出てきました。佇まいもカッコいい彼らの本は総じて読みやすく、語られている内容も刺激的です」『21 Lessons21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ著柴田裕之訳河出書房新社2400円世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』で人類の過去を、『ホモ・デウス』で人類の未来を説いた著者が、現在に焦点を当てて書いた最新刊。「雇用、自由、平等、ナショナリズム、移民、ポスト・トゥルースなど、現代人が直面している課題を明晰に整理する手さばきが見事です。と同時に、本書は、ハラリ自身のエピソードや世界観について多くを語っている点も読みどころ。既出作と併せて読めば、その語り口に魅了されることうけあいです」『世界は贈与でできている―資本主義の「すきま」を埋める倫理学』近内悠太著ニューズピックス1800円お金では買えないものやその移動に「贈与の原理」という概念を用いる著者。贈与は人や社会にどう影響しているのか。「若き在野の哲学研究者が書いたデビュー作。私たちが普段何気なく行う贈与という行為はとても不思議なものです。人はなぜお返しを求めず贈り物をするのか。交換と贈与は何が違うのか。著者が親しんできた哲学や思想を渉猟しながら贈与の秘密に迫っていく本書を読むと、いままでとは違う世界の景色を発見できるかもしれません」『世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか』マルクス・ガブリエル著大野和基訳PHP研究所960円著者は、ポスト・トゥルースの時代における「新しい実在論」の提唱者であり、“哲学界のロックスター”と称される。「ガブリエルの主著『なぜ世界は存在しないのか』は、硬派な哲学書としては異例といっていいほどヒットしました。が、それでもけっこう難解なので、語りおろしで言葉も平易な本書から入るのがおすすめ。気候変動やグローバル資本主義、AI、GAFAなど時事的なテーマも多く、哲学者ならではの挑発的かつ反常識的な議論を楽しめます」※『anan』2020年7月8日号より。写真・中島慶子文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年07月02日天祢涼さんの『あの子の殺人計画』は、社会派とホワイダニット(犯行の動機を解く)が融合したミステリー『希望が死んだ夜に』のシリーズ第2弾だ。追い詰められる子どもや女性など弱者に光を当てる社会派ミステリー。「『希望~』で事件解決に大きな役割を果たした生活安全課の女性刑事・仲田巡査部長にまた活躍してもらいたいと思い、彼女の再登場は最初から頭にありました。所轄の刑事課・宝生巡査部長とのコンビで一度は書き上げたのですが、誰に事件を語らせるかを考えたときに、前作で仲田と組んだ神奈川県警刑事部の真壁が適任と判断して書き直しました」捜査を進めるうちに、椎名綺羅が一時期、殺された風俗店のオーナー・遠山菫が経営していた〈ラバーズX〉で働いていたことがわかる。だが綺羅はアリバイを主張。娘・きさらの証言もそれを裏付けているのだが…。一方で、きさらは自分が母から受けている〈水責めの刑〉などが躾ではなく虐待ではないかと思い至る。味方になってくれた翔太の言葉に感化され、ある計画を練り始める。「現実にはもっとひどい虐待もあるかもしれない。でも『この程度で、子どもがそんな大それたことを考えるだろうか』と読者に疑問を持たれたら、物語が成立しない。その案配が難しかったですね。なので、小芝くんのような目立つ貧困児童を置いたことも腐心した点のひとつ。それによって、そこそこ普通に見えてしまうきさらのような子の虐待は見逃されやすくなると思ったんです」本作では、謎解きの要素もたっぷり。真壁、宝生、仲田が追うのは、遠山殺しの犯人であり、動機であり、トリックだ。そこに、現代の貧困や貧困からくる虐待など社会問題が絡み合う。重層的な展開が魅力。「『希望~』ではじわじわ追い詰められていく少女たちの境遇や感情に読者は揺さぶられたと思うのですが、その分、大人のつらさにはあまり触れることができなかった。その反省もあったので、今回は大人の事情や問題も盛り込みたいと思いました」ある時期まで、貧困や虐待などの社会問題はノンフィクションのほうが向いていると考えていたそう。だが、本シリーズの反響の大きさから、いまは思いを新たにしている。「フィクションにしかできない伝え方があるとわかりました。これからも書いていきたいテーマです」あまね・りょう1978年生まれ。2010年にメフィスト賞受賞作『キョウカンカク』でデビュー。’19年『希望が死んだ夜に』で本屋大賞発掘部門で最多票を獲得。『謎解き広報課』など著書多数。『あの子の殺人計画』貧しい母子家庭で育つ小学5年生の椎名きさら。ある日、川崎の風俗街の狭い路地で、大手風俗店の女性オーナーの刺殺体が発見される。文藝春秋1650円※『anan』2020年7月1日号より。写真・土佐麻理子(天祢さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年06月24日ヒップホップブームやツイッターなど、誰もが言葉をつぶやく場が広がった影響もあるのかもしれないが、ひっそりと書店の隅にいた詩が、いま新たな存在感を見せている。詩の人気が再燃。ブームを引っ張る女性詩人に注目。「長い小説などを読むまとまった時間が取れなくても、純粋な言葉に触れたい、という読者のニーズが詩に向かっているのかもしれません」と言うのは、雑誌『現代詩手帖』(思潮社)の編集者で、’10年代以降、多くの詩集を世に送り出してきた出本喬巳さん。若い詩人たちの台頭が著しいゼロ年代と’10年代の詩について、出本さんに解説していただく。「ゼロ年代は、若者にとって大変生きづらい時代でした。そういった状況の中で自己のギリギリの生存を見つめ、切迫感や加速感をともなった詩編、たとえば中尾太一や岸田将幸、安川奈緒らの言葉は読む者の心をひりつかせ、その後の書き手たちにも影響を与えています。一方、’10年代に登場した詩人たちは、自己の内面を突きつめる以上に、まず外界へと意識の目を向けました。ベーシックな身体感覚を現代詩にとり戻すことでゼロ年代詩を乗り越えていったと読むことができるかもしれません。またSNSの隆盛やジェンダー観の変化など生活主体の多様化や揺らぎが顕著になった’10年代は、それに呼応した詩が増え、アーティストとのコラボなど表現にも広がりが。このころ暁方ミセイ、大崎清夏、岡本啓らが登場し、なかでも突出した存在感を放ったのが最果タヒです」詩に対して構えすぎなくていい、と出本さんは言う。「今日わからなかった詩が、閃きのように明日わかるかもしれない。10年後にわかる日が来るかもしれない。自分に刺さる一編や好きな詩人と出会っていくうちに、詩の世界の奥深さ面白さにきっと魅入られるはず」出本さんイチオシの詩集をご紹介。まず気になるのはどれだろう。水沢なおフィジカルな感覚と物語性を融合する独自の世界観。『美しいからだよ』(思潮社、2019年)「淡い色づかいの画集を思わせる趣、会話体による展開、短編小説のようなテイストが特徴的。〈これが最後の転生だからね。もう、無理に子孫を残す必要もないんだよ〉(「かいわれ」より)など、身体をもつことへの複雑な感情が全編渦巻いています。BLや百合、ポケモンから着想を得ていたり、感性に未来の可能性を感じます。今年の中原中也賞受賞作」紺野ともガールズカルチャーを、軽やかな言葉で描写。『ひかりへ』(思潮社、2019年)「『渋谷ヒカリエ』を連想させるタイトル。実際、各詩編の主人公は、渋谷あたりをそぞろ歩き、さまざまな地名や街景が書き込まれます。〈女の子たちは消費している/(略)/女の子たちは消費されない〉(「たわむれろ」より)など、都市の片隅にあることの自由と孤独、そして切なさ。今を生きる“女の子たち”への応援歌でありたい、というのが詩人本人の弁」マーサ・ナカムラ現実実現の先にひそむ超現実の世界をあらわに。『雨をよぶ灯台』(思潮社、2020年)「〈母の布団に針を撒いた/(略)/病院の窓硝子に心臓が映った〉(「鯉は船に乗って進む」より)といった予測のつかない展開と鮮やかなイメージによって、どの詩も良質な映画を観るように楽しめると思います。目論んでいるのは現実離れしたおとぎ話ではなく、細部まで世界を凝視しあらわにする超現実の芸術。詩人の驚異的なビジョンと直感におののくこと必至」※『anan』2020年6月17日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年06月15日歌手の三浦祐太朗(36)が6月12日、声優の牧野由依(34)と結婚したことを発表した。三浦と牧野はそれぞれの公式サイトで「私事で大変恐縮ではありますが 私共、三浦祐太朗と牧野由依は、本日6月12日に結婚致しました事を ここにご報告させて頂きます」と報告。また「これからの人生力を合わせ、私達らしい歩みで 朗らかな家庭を築いていけたらと思っておりますので どうか温かく見守って頂けましたら幸いに存じます」とつづっている。三浦の両親といえば、三浦友和(68)と山口百恵さん(61)だ。各メディアによると友和は「今年3月の初めに長男祐太朗から由依さんを紹介され、結婚の意思を伝えられました」「2人が並んで私と妻の目の前にいることに、何の違和感もなく、心から祝福できる2人の姿が、そこにありました」といい、「きっと、幸せな家庭を築いてくれると信じています」とコメントしたという。80年に結婚した友和と百恵さん。今年で結婚40周年となるが、その愛はいまだ変わらないようだ。「2人は10年に1度、お揃いの結婚指輪を新調するそうです。また今でも月に1回以上は必ずデートしていて、共通の趣味である映画や旅行に出かけていると聞きます。子離れしてからその絆はさらに強いものになり、親戚からは『夫婦喧嘩を一度も見たことがない』と言われるほどです」(芸能関係者)友和は18年12月、夫婦円満の秘訣について本誌で明かしている。夫婦喧嘩をしないことについて「相性としか言いようがない」と述べたが、相性の良さだけで等閑にしたくないことがあるという。それは、感謝の言葉だ。彼の両親の介護をしている百恵さん。2人は認知症ではないが“要介護1”であるため、百恵さんは同じ敷地の別棟に住む2人に食事を作ったりしているという。友和はこう語る。「(三浦の)姉夫婦もちょくちょく顔を見せては世話をしてくれています。それでも妻は大変ですよ。病院は、妻が車で連れていっています。介護で自分の時間が削られるだけでもストレスになっているはずですから、ここは相性ですませず『ありがたく思っている』と、言葉に出して伝えています。なるべく妻が楽に介護できるようにしたい。それが夫の務めです。下の世話が始まったら、施設に入れることも今から考えています」また筋金入りのドラマファンである百恵さんは、彼の出演ドラマは全てチェックしているという。友和も笑いながらこう語っていた。「妻のドラマを見る目は厳しいですよ、真剣に見てますから。ただし、感想を言うときは、いいことしか言いません。妻は何に関しても、マイナスの発言がないんです。すごくいいです。助かります」言葉できちんと感謝を伝える。そして、パートナーの仕事に関してはマイナスな発言をしない。この夫婦ルールを継げば、祐太郎夫婦も円満間違いなし!?︎
2020年06月13日三浦知良(53)と三浦りさ子(52)の長男・三浦りょう太(22)が芸能事務所「トップコート」に所属したと、6月1日に発表された。新たな門出にエールが上がるいっぽう、思わぬ形で注目を集めることとなっている。「トップコート」といえば、中村倫也(33)や松坂桃李(31)、菅田将暉(27)といった大人気俳優たちを抱える大手所属事務所。各メディアによると三浦は知人の紹介でオーディションを受け、所属が決まったという。昨年には木村拓哉(47)主演のドラマ「グランメゾン東京」(TBS系)にも出演していたりょう太。その本格的な芸能界進出に、Twitterでは《カズの息子さんトップコート入ったのか!》《キングカズの息子が倫也くんの後輩!!!!!!すごっ》《頑張って欲しいね!》といったエールが上がっている。いっぽう、りょう太は思わぬ形で注目を集めることとなった。「りょう」という漢字が機種依存文字であるため、ネットニュース記事にこんな言葉が躍っていたのだ。・スポニチアネックス三浦りょう(けものへんに寮のうかんむりなし)太(22)が1日付で芸能事務所「トップコート」の所属となった・スポーツ報知三浦●(けものへんに寮のうかんむりなし)太(りょうた、22)が、芸能事務所「トップコート」に所属したことが1日、事務所の公式サイトで発表された・ORICON NEWS三浦りょう太(りょう=けものへんに寮のうかんむりなし/22)が、芸能事務所「トップコート」に所属したことが1日、わかったこうしたメディアの「けものへんに寮のうかんむりなし」という説明は、大きな注目を集めることに。ネットでは、こんな声が上がっている。《三浦けものへんに寮のうかんむりなし太さん》《けものへんに寮のうかんむりなしって説明じわる》《けものへんに寮のうかんむりなし、ってアマテラスオオミカミみたいな神々しい名前になってしまってる》《草なぎ剛氏や李スンヨプ氏に続く逸材現る》機種依存文字のあるタレントといえば、草なぎ剛(45)が有名だ。当初は「なぎ」の字について、多くのメディアが「弓へんに前の旧字体その下に刀」と説明していた。だが最近では、そうした注釈もあまり見かけられなくなってきている。記事から「けものへんに寮のうかんむりなし」という言葉が消えるとき、それは彼が大スターとなったことの証明といえるのかもしれない。
2020年06月02日動物のレプリカ工場で働く主人公が残業中に、絶滅したはずのシロクマを目撃、その正体を追うデビュー作『レプリカたちの夜』。エリートとして温存されすぎ、73歳でデビューしたスパイの市長暗殺の行方を見守る『ざんねんなスパイ』。現実と二重写しになるような架空の世界を舞台にした長編を発表してきた一條次郎さん。『動物たちのまーまー』は、またも「よくまあこんなぶっ飛んだ物語を思いつくな」と感心しながら笑いが止まらない初の短編集だ。「私はプロットを練りあげ、設計図に従って作業をしていくタイプではなくて。小さな着想の、その世界に暮らす人物や動物になってみて、その様子や日常がどんなものなのかを実際に感じられないと書けないんです。また、登場人物たち全員の声がちゃんと聞こえてこない限り、そのお話はいかにも作り話っぽくなってしまい、自分でも好きになれません。短編にしろ長編にしろ、毎回そういうところから延々と考えるので、ずいぶん時間がかかる気もします」奇想や諧謔、言葉遊びのセンスは一條さんの十八番。そんな趣向に富んだ7編の中で、ご本人が特に気に入っているのは、「ヘルメット・オブ・アイアン」。芥川龍之介の『杜子春』の主人公のようにうまいことやってやろうともくろむ〈おれ〉が、仙人の鉄冠子(てっかんし)と出会って…。「そもそも、この現実世界はわからないことだらけだと私はいつも感じています。ずっと前から現実と非現実との関係をあれこれ考えていて、書いてみたその結果のひとつとして、こういう形になりました。ロシアのヴィクトル・ペレーヴィンという作家がそういった主題の作品をたくさん書いているのですが、読者としてとても波長が合います。そのせいか、作中のタクシー運転手の名前が、ヴィクトルになってしまいました」一見不条理な世界も、一條さんにとっては「自分にとって自然なものを自然に書いている」だけらしい。「もしかしたら世間のみんなは、この現実世界のことをちゃんとわかっているのかもしれない、わからないのは自分だけなのかもしれないとも思ったりもします。だとしても、自分にもどうしようもありません。病院へいってもだめかもしれません」テノリネコ、ネコビト、吸血鬼…。彼らに翻弄される世界は楽しい。いちじょう・じろう作家。1974年生まれ。2015年、新潮ミステリー大賞受賞作『レプリカたちの夜』でデビュー。絶賛された一方で「これはミステリーなのか」と物議を醸したという伝説も。『動物たちのまーまー』カバー装画は木原未沙紀。「写実的なタッチと非現実が合わさった絵。幻想的な空気がありありと感じられてすごい」と著者もお気に入りとか。新潮文庫630円※『anan』2020年6月3日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年06月02日人にあたってしまったり、関わり自体を持つのが面倒だったり…。人間関係を築くのが苦手なら、心の内を見つめる読書で、自分と対話してみて。ライター、ブックカウンセラーの三浦天紗子さんが、“セルフコミュニケーション”に役立つ本をご紹介!世間の物差しに迎合して人も自分もジャッジしない。対人関係が苦手な人は、そもそも主体となる自分自身とのコミュニケーションに問題があるのかも。その場合、自分との対峙を促す本が、自分への理解を深める一助になってくれそう。「自分で本を選び、意識的に読み進めないと進まない読書は、能動的な行為です。書かれている意味を意識的に掴もうとするので、自然と自分の感情や体験と向き合うことになります」と、三浦さん。内面を見つめるきっかけとして選んでくれた本が、韓国のイラストレーターが自問自答を繰り返す『あやうく一生懸命生きるところだった』。「韓国では、“お金持ちになってください”というCMのキャッチコピーが流行語になり、著者は“お金持ちになりさえすれば、あとはすべて上手くいく”と視野狭窄に陥ります。そして、本当に大切な、自分はどう生きたいのかということを見落としていたことに気づきます。世間が言う“当たり前”に自分を押し込めず、他人も、自分の枠に当てはめてジャッジしない。基本中の基本ではありますが、それが、いい人間関係を築くのには肝心です」三浦さんが自らにも問いかけたいというフレーズが、「仮に後れをとったとして、それはそんな大ごとだろうか」。「スピード感が求められる時代ですが、“なぜ、もっと効率よくできないのか”と自分の至らなさを責めても、意味がないんですよね。その人なりの速度を大事にしてほしいです」『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン岡崎暢子・訳自分らしい生き方を見つける韓国エッセイ。韓国で25万部超えのベストセラー。イラストレーターと会社勤めのダブルワークをしていた著者が、40歳を目の前に突然、退社。自分を見つめ直し、自己嫌悪から抜け出す。ダイヤモンド社1450円三浦天紗子さんおすすめのもう3冊『やらない理由』カレー沢 薫自虐で人気の漫画家が自己肯定!?「32ある全エッセイが、“自分は浮気したいが、されるのは嫌”など、自己中心的なわがままから始まります。誰もが“理想の自分”を描きますが、著者は皆が理想に挫折することを見越し、努力すべきではない理由を読者に代わり発見。逃げ出すことを肯定してくれます。同時に、なぜ自分は“そうあるべき”だと考えるのか、思考実験もできます」。マガジンハウス1100円『まとまらない人坂口恭平が語る坂口恭平』坂口恭平さまざまな顔を持つ著者の自伝。建築家、作家、アーティストと、多方面で活躍する著者。「ご本人は自分の好きなものを何でもやる方式で、ひとつに集中することなく片っ端からやり、“やりたいことやったら、人付き合いとかいらないことに気づく”のです。“人に認められないほうがいい。…自分で認めてあげればいい”など、他人の評価が気になる人に刺さる言葉が見つかります」。リトルモア1500円『僕は僕のままで』タン・フランス安達眞弓・訳Netflixの人気者によるエッセイ集。『クィア・アイ』のファッション担当として人気を博す著者が幼少期から振り返り、自分を信じる強さを手にするまでを記す。「ゲイでパキスタン系移民3世。人種差別や性差別に傷つくたびに、自分の心に徹底的に向き合い、ベターな方法を模索します。そうした自分との対話が、本心を見つけ、自分自身と仲良くなるためにも大切なのだと感じます」。集英社2100円三浦天紗子さんライター、ブックカウンセラー。本誌のほか、『CREA』『サンデー毎日』や文芸誌などで著者インタビューや書評を担当。漫画にも詳しい。著書に『そろそろ産まなきゃ』(CCCメディアハウス)などがある。※『anan』2020年6月3日号より。写真・大内香織取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2020年05月29日奇想の天才作家・石川宗生さんの第2作となる『ホテル・アルカディア』は、またも突き抜けた博覧強記の世界がどーんと眼前に現れる。突き抜けた先に広がる無限大の奇想。読書の喜びに浸る理想郷(アルカディア)へようこそ。ホテルに投宿していた7人の芸術家たちが、引きこもりになってしまった支配人の娘プルデンシアを癒すために朗読会を開く、というところから物語は進んでいく。物語は、愛、死生、文化など7章からなる。「月に2本ずつショートショートの連載をすることになり、好きだった『千夜一夜物語』や『デカメロン』のような枠構造にすることを思いつきました。カルヴィーノの『見えない都市』にも影響を受けています」カルヴィーノのその作品は、収録されている掌編の数の配置に工夫があるのだが、石川さんも、そんなふうに数で遊んでみようと思ったそう。「僕は完全数を採用することにしました。7、6、5……と1まで順番に足していくと完全数の28になるのですが、掌編を大まかなテーマで区切って7編、6編……と配し、全体でひとつの完結した世界を表現してみようと挑戦しました。その過程で、愛や都市など世界の構成要素みたいなものとして、アトラスという章のテーマを7つ考え、分けました」また、美女プルデンシアのエピソードは、ジョン・レノンがインド滞在中に書いたというビートルズの楽曲の誕生秘話がベースだとか。「瞑想小屋から出てこなくなった女の子に、外に出ておいでよと優しく呼びかける曲『ディア・プルーデンス』。僕はその小説版でいこう、と。『古事記』の天の岩屋戸のようなイメージが重なるのも面白いかなと」各掌編は、意中の女性と“ファックする”ための練習相手がガイア(大地)だの、語り手が訪ね歩くさまざまな専門家たちの専門性が変わりすぎだの、どれも「よくもまあ、こんなことを思いつくな」の連続だ。「エッシャーのだまし絵のように、最初に決めた物語の枠自体も変化させていこうと思いました。本作の裏テーマに物語で世界一周というのがあります。現実の世界も、隣り合う国や地域はなだらかに文化や言語や人種が移り変わっていくものです。この作品でもそんなふうに、ゆるやかな変化のなかで各章を動かしていこうと。そのたくらみが成功しているといいのですが」いやもう、脱帽です。いしかわ・むねお作家、翻訳家。1984年、千葉県生まれ。オハイオ・ウェスリアン大学天体物理学部卒業。「吉田同名」で創元SF短編賞受賞、2018年、同作を収録した『半分世界』を出版。『ホテル・アルカディア』文学や芸術作品への言及やくすぐりが随所に。次回作は、’17年の中央アジア、コーカサス、東欧訪問の記録をまとめた旅行記を予定。集英社2000円※『anan』2020年5月27日号より。写真・土佐麻理子(石川さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年05月21日