長嶋有さんの愛読者なら、新作『愛のようだ』の帯の惹句に驚くはずだ。「最初で最後の『泣ける』恋愛小説」とあるのだから。恋愛はこれまでにも作品内で描かれたことがあるが、「泣ける」などというストレートすぎる言葉は、ご本人が嫌っていそうなものなのに。「恋愛小説や泣ける小説が流行していた頃、サブカルの人たちは“泣ける”というフレーズは安直だといって斜に構えて見ていたんですよね。僕も“泣ける”ではないものを書こうとしていた。それで『ねたあとに』という小説を書いた時、すごく達成感がありました。“泣ける”の極北にある小説を書いたら、もうアンチテーゼをやってもしょうがない。じゃあ、さらに逆のことをやってみようと思ったんです」主人公の戸倉が自動車教習所に通うプロローグに始まり、彼が友人らとドライブする体験が連作となっている本作。戸倉は友人の彼女である琴美に恋心を抱いているが、その彼女は闘病中の身だ。「実は、最初に考えていたのはボーイズトークなんです。鋭い洞察で男の生態を分析する女性エッセイストや女性漫画家はいますが、男でそういう人ってなかなかいない。だから自分が男の本音を書こうと思いました。車のなかですることといったら自然と会話しかないから、ボーイズトークにちょうどよかったんです」と言うように、嫌いな女について男性陣の率直な意見が盛り込まれていたりして、女性読者は耳が痛いところ。また、旅の全行程が描かれるのではなく、あくまでもそれぞれの旅の車を走らせている場面だけを切り取っているところには、定点観測的な面白さが。ただ、そんなさまざまな遠出の道中でも、戸倉の心のなかには琴美がいる。好きな人が病気とはずいぶんストレートな設定だが、「山田詠美さんの『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』の文庫解説を書いた時に実感したんですが、山田さんは堂々と、恣意的に、大切な人が死ぬことを書いているけれどまったく安直じゃない。要はどう書くかなんだと気付いたんです」戸倉の心に秘めた思いはどこに辿りつくのか。第一話でミントタブレットを購入した時の会話が、終盤に効いてくる。やはりこれは、「泣ける」小説なのである。◇若者に交じり教習所に通い、免許を取得した戸倉。仲間たちとさまざまな車の旅へ出向く一方、気になるのは病に臥した琴美のことで…。リトルモア1200円◇ながしま・ゆう作家。1972年生まれ。2001年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞してデビュー。翌年「猛スピードで母は」で芥川賞、’07年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞受賞。※『anan』2016年2月3日号より。写真・岡本あゆみ(長嶋さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2016年01月31日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「プーチン大統領」です。***ロシアの大統領、ウラジーミル・プーチン。上半身裸で乗馬をしたり、射撃をする写真が公開されたりして、個性的な政治家ですよね。実はプーチンさん、自己アピール活動がとても上手で、強い指導者というイメージづくりに余念がありません。政治家になる前はソ連の秘密警察KGBに所属。強い国家作りに熱意を燃やす、正義感の強い人だといわれています。前任のエリツィンから次期大統領の指名を受けたとき、国民は貧困に苦しんでおり、経済の回復が彼に課せられたテーマでした。そこで、天然ガスを海外に売る「資源外交」を積極的に行いました。ヨーロッパの国々はロシアの天然ガスにけっこう依存しているんです。2012年の統計でドイツは約40%、ポーランドは約60%、フィンランドは100%。商売上手なプーチンさんのおかげで、国民の暮らしは上向きになり、支持率も昨年10月の時点で9割とロシア国内でも大変な人気者です。日本との関係では北方領土の問題がありますね。プーチンさんは子供のころから柔道愛好家で親日派。日本といい関係を保ちビジネスを広げたいと考えています。天然ガスを供給するパイプラインを日本に作り、天然ガスを買うことを条件に北方領土返還の可能性も?いずれにせよ、返還交渉はプーチンさんの任期中に進めないと、延々決まらないだろうといわれています。ところがいま、ロシアは欧米諸国と政治的には対立しているんですね。溝を深めたきっかけのひとつは、一昨年のウクライナのクリミア独立問題。ロシアが軍事侵攻したことから、欧米はロシアに経済制裁をかけました。また、シリアをめぐり、独裁的なアサド政権を支援するロシア vs 反アサド派の欧米という対立も起きています。日本がロシアと親密になるとアメリカは警戒しますから、返還交渉も慎重に進めないといけません。そんななか、昨年11月にパリでテロが起こり、世界的にまずIS勢力を抑えないといけないということで合意。皮肉な話ですが、アメリカとロシアが共闘態勢にあるいまこそが交渉のチャンス。プーチン大統領の任期は残り2年。この間に北方領土返還が実現するとよいのですが。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年1月27日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年01月26日私たちが当たり前と思っている価値観を揺るがす問題作を発表し続けている村田沙耶香さん。新作『消滅世界』は、人工授精が発達したパラレルワールドの日本が舞台。そこでは夫婦間のセックスは“近親相姦”とみなされ、人々は結婚後も配偶者とは別に恋人を作るか、あるいは二次元のキャラクターを相手にして、娯楽としての恋を謳歌している。「以前『清潔な結婚』という、セクシュアルなことは一切しない夫婦を書いた短編がイギリスの雑誌に掲載された時、共感するといった声が多かったんです。じゃあそれがスタンダードになった世界をとことん書いてみようと思いました。変な世界はこれまでにも短編や中編で書いてきましたが、もっと枚数のある長編を書くことにも憧れがありました。そうした世界で人間がどう生きているのか、その光景を見てみたかった」主人公の雨音(あまね)の事情は複雑だ。彼女は珍しく、父親と母親がセックスをして生まれてきた子供だ。母に男女が性交するのは当たり前だと言われて育った彼女は、恋をすれば必ずセックスを望み、時に相手に拒絶されてしまう。そんな彼女もやがて結婚し、夫以外の存在との恋を楽しむ。「主人公の体の中をいろんな価値観が流れていくようにしたかったんです。小さい頃はこの世界では非常識とされる価値観の中で育ち、成長して夫婦の間ではセックスはしないことが正しいと思い、そこからさらに実験都市へと行って、新たな価値観を知ることになります」そう、雨音と夫はやがて実験都市へ転居する。そこは家族単位ではない繁殖システムが導入されているエリア。男性も人工子宮をつけて男女が一斉に人工授精し、生まれた子はみなで育てている。そのため、親も子も均質化していく。「人工的な繁殖を箱の中で実験してみました、というのがこの都市のイメージ(笑)。ムラ社会のように、大人たちがみんなで子供を育てて、子供たちが自分は世の中から愛されていると思える世界を想像しました。最初はユートピアのつもりでしたが、書いているうちに子供を工場生産しているようにも思えてきて、自分が期待していたような良い世界にはなりませんでした(笑)」ここに描かれるのは、シリアスな恋愛が消え、家族が消え、親子の繋がりが消え、さらには人々の個性まで消えていってしまう世界。「最初はセックスがないだけの世界を書くつもりだったんです。夫婦の間にも、小学生が外で遊んでおうちに帰ったらお母さんが迎えてくれるのと同じような、愛情や信頼が存在する関係にするつもりでした。でも夫婦間の行為がなくなっただけで、いろんなものがあやふやになってしまって。抵抗して嘘の家族愛を書くことはできませんでした。私にはコントロールできなかったんです」著者も制御できなかった世界で、最後に広がるのはどんな光景か。衝撃的な予言の書である。◇むらた・さやか1979 年生まれ。‘03年「授乳」で群像新人文学賞優秀賞を受賞。‘13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞受賞。エッセイ『きれいなシワの作り方~淑女の思春期病』(小社刊)も好評。◇人工授精が発達した、パラレルワールドの日本。そこは家族から性行為が排除された世界。ただ、雨音は両親がセックスした結果生まれた子供だった。河出書房新社1600円。※『anan』2016年1月27日号より。写真・岡本あゆみ(村田さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2016年01月22日自らの体験を俯瞰し、シニカルな笑いを交えて描くハイバイ・岩井秀人さんの舞台。新作『夫婦』の題材は、高圧的だった実の父親の死だ。今作では、ドラマ『あさが来た』でおなじみ、山内圭哉さんがハイバイに客演、岩井さんの母親役を演じる。* **岩井:僕は、観客として一方的に山内さんを観ていて、いつか出てもらいたいとずっと思っていたんですよね。何というか…どこか自分と役との間に距離を置いている感じがあって、そこにすごく共感するんです。山内:それは、俺がどこかで「たかが演劇」って思っているからかもしれない。情感たっぷりに朗々としゃべる気恥ずかしさってあるでしょ。岩井:そう。僕もそれ、あるんです。たぶん、演劇を信じすぎてないんじゃないですか。そこが自分とすごく近い気がしていたんです。山内:そうやね。今回の戯曲を読んで、岩井君と自分の面白いと思っているところが近いなって思って、めっちゃ安心したんです。例えば、一緒に電車乗ってて、「あのオッサンの鼻、めっちゃおもんない?」って言った時、一緒におもろがれる人。ただ、その鼻のどこを面白がってるかが違うのが、また楽しいところで。岩井:いま稽古していて、ある瞬間、お母さんが可哀想で仕方ないと思うのに、ふと、山内さんのすね毛が気になってしまうっていうような、面白い瞬間っていうのがあるんです。それはある意味、僕らはそこまでシリアスにできません、って宣言しているようなものでもあるんですよね。山内:そういう演劇との距離のとり方が似てるんだろと思うわ。岩井:ただ、すっごい深刻な経験を、笑ってもらいたくって芝居を作ってるくせに、笑いが起きると、「こいつらマジかよ」ってめっちゃ腹立つ瞬間っていうのがあるんです。山内:(笑)。それって、岩井君独特の浄化のさせ方なんやろうね。たぶんこの芝居、自分の家族をちょっと俯瞰できる年齢になっている人やったら、めっちゃ面白がれると思う。岩井:どの家族にだって、面倒なところってあると思うんですよ。そこをね、笑ってもらえたらいいですね。◇『夫婦』家族の前で暴君のように振る舞う父親を嫌って、家を離れていた岩井は、突然、父親が危篤という連絡を受け動揺する。病院で久々に会った父親は、まるで別人のような姿で…。1月24日(日)~2月4日(木)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト作・演出・出演/岩井秀人出演/山内圭哉、平原テツ、川面千晶、鄭亜美、田村健太郎、高橋周平、猪股俊明、菅原永二前売り3500円当日4000円(共に税込み)ハイバイTEL:080・6562・4520(10:00~20:00)2月13・14日に北九州公演あり。◇やまうち・たかや(左)子役を経て、‘92 年に劇団笑殺軍団リリパットアーミーに入団。その後、舞台を中心にドラマ、映画などにも出演。現在、ドラマ『あさが来た』(NHK)に出演中。いわい・ひでと(右)‘03年に劇団ハイバイを結成。自ら脚本・演出を手がける。‘12年に『生むと生まれるそれからのこと』で向田邦子賞、翌年『ある女』で岸田國士戯曲賞を受賞。※『anan』2016年1月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2016年01月21日ファンタジックでシュールなビジュアル世界にユーモアを交えたダンス作品で、日本でも人気を誇るイスラエルのインバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンス・カンパニー。このカンパニーの‘13年初演の『DUST』が日本で上演される。これは2年前、文化庁文化交流使としてイスラエルに滞在していた森山未來さんが、初演時にクリエイションから参加した作品。なんと今作にダンサーとして出演もする。「イスラエルに着いてすぐ、まだ住む部屋も決まってない、生活にも慣れない状況のなか放り込まれたのがこの作品でした。理由がなくても踊れちゃうのがダンサーで、そこが良くも悪くも彼らのセンスなんですけど、僕にはそれがないんですよね。そんなだから、周りと同じようには動いていけなくて、その時は結構苦しみました。ただ、以前も一緒に舞台を作っているインバルとアヴシャロムが、僕のそういう部分も理解して導いてくれたんです」ふたりと森山さんとの出会いは、佐野洋子さんの絵本を舞台化した『100万回生きたねこ』。彼らが演出を手がけたこの作品は、高い評価を浴び、読売演劇大賞も受賞した。「振付や衣装、美術を手がけているのがインバルなんですが、ビジュアル的なセンスが突出していて、絵を描くように直感的にモノ作りをする人なんです。そこに音をデザインし、言葉を与えてコンセプチュアルなものにしていくのがアヴシャロムの役割。身体的なアプローチと演劇的なアプローチが融合して、そこに複雑性が生まれる。そして素晴らしいのは、ふたりで作品の世界観が完結しているということ。そこが僕は好きで、どうやってあの世界が生まれるのかに興味があり、イスラエルへ渡りました。ふたりのクリエイションをもっと見たかったんです。今回の作品も、ある種日本にはないセンスの作品ですが、日本のお客さんにも楽しんでいただけると思います」とはいえダンス、とくにコンテンポラリーダンスは、古典バレエや演劇のようなストーリーラインもなく、見慣れない人には難解に感じられるかもしれない。「僕は、舞台を観るって、ストーリーを追うことが全てじゃない気がするんですよ。それは演劇でも同じ。もちろんストーリーの面白さで引き込まれる作品もありますけれど、ストーリーをひとつのマテリアルにして、人をどう動かしてどういう美術を使って、どういう世界観を見せるのかっていう演出的な部分の面白さもありますよね。視覚的な部分、音楽的な部分、何かひとつでも、面白いなと思った瞬間があれば、僕は十分そこから何かを受け取れたと思うし、それで満足できる。ダンスも、振付がどうこうではなく、そこに起こっていること、クリエイターの世界観を見るっていう楽しみ方でもいいんじゃないんでしょうか。舞台を体験しながら、そういう瞬間を探す旅に出てもらいたいなと思います」さまざまなクリエイターと組み、精力的にダンス公演をおこなっている。そんな森山さんを通じ、ダンスに触れる層も確実に増えている。「ダンスにとどまらず、僕をきっかけに、いままで触れたことのない世界に興味を持って世界が広がるのは素直にうれしいこと。そこからさらに次に繋げていけるパフォーマンスを提供していけたらと思います」◇『DUST』 1月28日(木)~31日(日)与野本町・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールS席6500円A席4500円彩の国さいたま芸術劇場TEL:0570・064・939◇もりやま・みらい幼少期からダンスに親しみ、15歳でデビュー後、テレビや映画、舞台で活躍。近年の舞台作品に『PLUTO』『死刑執行中脱獄進行中』など。※『anan』2016年1月27日号より。写真・中島慶子(森山さん)インタビュー、文・望月リサ
2016年01月21日日本有数のシェイクスピア俳優として舞台好きの間で知られ、ドラマ『花子とアン』をきっかけにテレビで姿を見る機会が急増。そして昨年には、雑誌『GQJAPAN』が選ぶ「今年最も輝いた男性」に表彰されるなど、大人気の吉田鋼太郎さん。連続ドラマでは初の主演となる『東京センチメンタル』がスタート。老舗和菓子屋の職人・久留里卓三を演じている。「光栄だなという気持ちが2割、プレッシャーが8割でしたね。これまで、いろいろな俳優さんが主役を演じて大変そうな姿を目撃していたので、“あれを俺がやるんだ…”と。体力とモチベーションを維持できるか不安で、しばらく深酒はできないな、と思っていました(笑)」卓三は55歳で吉田さんは57歳。年齢以外にも、似たところが多い。「卓三は、僕そのものといっても過言ではないです。2人とも美味しいものを食べるのが好きで、ちょっと情けなかったり恋愛体質なところも一緒(笑)。恋をしても、うまくいかないのも近いですね。でも、自分に似た役は難しい。俳優って、役のなかに自分にない部分を探して作りこんでいくことが仕事なので、キャラが強い役のほうが演じやすいんですよ。だから、逆に卓三のように似ている場合は、素の自分で勝負することになる。それって、ものすごく恥ずかしい。役というベールをかぶらず、そのままでいることを求められる演技形態は難しかったし、これまでにないチャレンジでした。つい、何かしたくなるんですよ」毎回、異なるマドンナが登場し、卓三とのセンチメンタルな恋が繰り広げられるところが魅力のひとつ。「相手のことをよく知らない、恋が始まったばかりの盲目的な頃って、馴染みのある音楽がよく聞こえたりとか、いろいろなことでセンチメンタルになりますよね。それこそ恋愛でいちばん、いい時期なんじゃないかな。卓三はいい人なんです。女性を大事にして、常に彼女たちの身になって考えてしまうから、好きな相手に強く出られない。だから女性は安心して、卓三に相談をもちかけたり、ごはんを食べにいく相手には選ぶけれど、恋の相手にはしないんです。僕も人見知りだから、酒を飲んで酔わないと女性とうまく話せなくて(笑)。そんなおじさんの、情けなくもかわいい部分を見てほしいですね。この年になっても読者の方と同じように、恋をしたいと思っているんだよと。おじさんが恋愛していても、責めたり冷たい目で見ないでもらえるとありがたいです(笑)」◇よしだ・こうたろう‘59年1月14 日生まれ。‘97年に劇団AUN を結成。『MOZU』『花子とアン』など数々のドラマに出演し注目を集める。初となる写真集『吉田鋼太郎写真集』(ホリプロ)が2月3日に発売予定。◇55歳でバツ3の和菓子職人・久留里卓三の前には、いつも美女=マドンナが現れ、東京の街を歩き、食事をし、淡い恋心を募らせる。想いが成就する日は来るのか…?毎週金曜24:12~、テレビ東京系で放映中。※『anan』2016年1月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2016年01月20日書店員や編集者、その年を象徴する有名人らの投票によってランキングされる『このマンガがすごい!』が10年めに突入。少女マンガに対する深い愛情で舌鋒鋭い評論をする女子マンガ研究家の小田真琴さんに、今年の結果を講評していただいた。「サブカルすぎず、ライトすぎず、たまにはマンガも読みたいといういわゆる浮動票読者をも惹きつけてきた歴史がありますが、今回のオンナ編を見ると異変が。これまでの少女マンガの文脈の外にある『ヲタクに恋は難しい』が1位になってしまったことがちょっと驚きでした」ヲタクを自称する男女のラブコメディは、書店員たちの圧倒的な票を集めた。2位の『東京タラレバ娘』は、第6回アンアンマンガ大賞も受賞している超人気作。「しかし、この世界観に疲れてしまった人にはぜひ10位にランクインした池辺葵先生の『プリンセスメゾン』をお読みいただきたいです。誰かを必要とする幸せを描く『東京タラレバ娘』と、誰の心も必要としない幸せを描く『プリンセスメゾン』は、表裏一体の関係にあります」3位には、『町田くんの世界』が。「多くのマンガにあるように、カッコいい、可愛い、センスがいいなど“スペシャルな何か”がなくても世界は美しいのだと、このマンガは教えてくれるところが素敵です」『町田くんの世界』安藤ゆき著(集英社)各400円現在2巻まで。「絶大な優しさで老若男女に愛される町田くん。この不思議な幸福感は癖になります」。『ヲタクに恋は難しい』ふじた著(一迅社)815円現在1巻まで。「ヲタクを恋愛しない言い訳にしている人は共感しそう」。『東京タラレバ娘』東村アキコ著(講談社)各430円現在4巻まで。「賛否両論ありますが作者一流の語りは一読の価値あり」※『anan』2016年1月20日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子
2016年01月19日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する『anan』で連載の「堀 潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「爆買い」。中国人は日本の消費を促す大事なお客さん。でも依存は禁物だそうです。そのワケとは…。* **昨年の流行語大賞をとった「爆買い」。中国のお正月休みである春節など、長期休暇に中国人観光客が大勢日本を訪れ、ダンボール何箱分も、大量の商品を買う姿がたびたびニュースになりましたね。その様子をさす言葉としてすっかり定着しました。爆買いの背景には中国が豊かになったことがありますが、中国経済は決して急に伸びたのではありません。1970年代に鄧小平が推し進めた改革開放政策のひとつとして、海外の企業を誘致するようになりました。中国の場合、資本主義国のように自由に海外企業が参入できなかったので、中国との合弁会社が基本。当時はまだ中国の人件費は安く、自動車などの製造業や食品加工業などの多くの工場が建てられました。雇用も収益も増え、そうして、中国に富む人たちが増えていったんです。日本に来る中国人観光客も、昔は裕福な中国共産党の幹部でした。やがて、好景気になるにつれ、年収などによって制限されていた訪日ビザの発給に必要な条件が、日本政府によって緩和されて、上流階級の人々も訪れるようになります。最初は腕時計やカバン、電化製品を購入。最近では化粧品や紙おむつ、粉ミルクといった生活用品を大量に買っていっています。理由は、日本製品は品質がよく、安心して使えるから。一昨年に日本政府が免税対象を広げ、食品や化粧品が含まれるようになったことも影響しています。いま、外国人旅行客の日本での消費額はツアー代金を含め、約2兆6000億円。そのうち、4割強を中国人観光客が占めています。現在、日本はデフレ状態。消費がますます冷える一方なので、外国人観光客がたくさん消費してくれるのは企業にとってもありがたいこと。企業が儲かれば、賃金が上がる可能性も高くなります。ただ、中国経済の実態は不透明で、バブルがはじけたのではないかともいわれています。中国の爆買いに頼っていたら、日本の観光産業も共倒れになりかねません。なので、いまは次に爆買いをしてくれそうな人口の多いインドやインドネシア、ほかにミャンマー、ベトナムなど東南アジアの国々の観光客も呼び込もうとしています。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016 年1月20日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年01月17日どんなに頑張ってもモテない、好きな彼が振り向いてくれない…。その原因は「押し引き」のバランス、つまり“加減力”なのかも。「女性が“頑張りすぎて”失敗するケースは少なくありません。“女性は黙って尽くすべき” “恋愛は駆け引きが重要”なんて古い常識は捨てて、本当の意味で男性に求められる存在になることが大事」(心理学研究家・秦由佳さん)そこで、モテる女の秘密を探るべく、覆面座談会を開催。彼氏がほとんど途切れないという、彼女たちの日々の行動から見えてきた、目からウロコの“加減力”とは?* **B嬢:合コンの話でいうと、例えばサラダとか取り分ける系の料理が運ばれてきた時に、二人ならどうする?A嬢:私は絶対に取り分けたりしない!苦手だし、女子力アピールには無理に力を注がないな(笑)。C嬢:だよね。そこで変に「女子力高い」って思われても後でツラくなるのは自分だし。B嬢:じゃあ焼き肉デートでも、お肉は“焼いてもらう”派?A嬢:もちろん。ただし、彼が焼いてほしいタイプだったら自分が頑張ることもあるよ。C嬢:私も、相手に気に入られるための無理はしない。その代わり、男性がしてくれたことをちゃんと褒めるようにしてる。「サラダ取り分けてくれたんだ~、ありがとう!」とか「私の好きなお店探してくれて嬉しかったな」とか。A嬢:男の人ってけっこう単純なところがあるから、ちょっと褒めただけで嬉しくなるみたい(笑)。下手に駆け引きするよりも、そのほうがずっとアピールになると思うし、自分自身も正直な気持ちでいられるからラク。B嬢:うん。そう考えると駆け引きって本当に必要ないよね。よく言われているような恋愛テクニックって、使ったことある?A嬢:それって例えば、「好きな人へのメールには即レスしない」とかってやつ?ないない(笑)。そんなこと計算している暇があったらすぐに返事しちゃうよね。ただ、よっぽど忙しい時とか疲れている時には無理に急がない。連絡って、自分ができる時にすればいいだけだと思うんだけど…。C嬢:でも、ちょっとだけなら心当たりあるかも。例えば男の人にメールかLINEをする時、なんとなく相手の文章の長さに合わせて返信しない?男性側が送ってくれた文章が3行なら私も3行で返すし、長ければ頑張って長い文章を打つようにしたり。A嬢:それはテクニックっていうよりは“マナー”みたいなものかもね。私も、誰かとLINEする時に、相手がスタンプを使う人なら自分もスタンプを、絵文字を使う人には絵文字をつけて返すようにしているよ。これは男女限らずのことなんだけど…。C嬢:“駆け引き”っていうと、なんとなく相手を騙しているイメージがあるけど、“相手に合わせる”だけなら罪悪感もないから気楽。私は男性と二人で飲んでいる時に、同じタイミングでお酒を飲んだり、同じお酒をオーダーしたりするかな。そのほうが相手とも親密な雰囲気になれる気がして。B嬢:それ、いいね!今度、試してみようっと。◇はた・ゆか株式会社Bunill代表取締役。独自の恋愛術を提案する心理学研究家。著書に『“尽くすオンナ”をやめれば、あなたは一生愛される!』(大和出版)など。※『anan』2016年1月20日号より。写真・中島慶子イラスト・長谷川まき文・瀬尾麻美
2016年01月15日36度以下の平熱が続いている状態を「低体温」といいますが、そのままにしておくと心身のトラブルも!そこで自分が低体温かどうかをチェックするには、なにはともあれ体温を測ってみること。といっても、体温は一日のうちで結構大きく変動する。一般的には深夜に最も低くなって夕方から夜にかけて最も高くなる。その差はおよそ1度。つまり、いつどんなタイミングで測るかによって数値にバラつきがあるので、たまに体温を測ってもその数値が必ずしも自分の平熱とはいいきれない。「クリニック真健庵」院長の吉村尚美先生に直撃!「正確な体温を計測するには、昔ながらの水銀柱の体温計がおすすめです。皮膚の中でも温度が高い腋の中心に正しく体温計を挟んで、10分間測ります。朝、昼、晩と3回測り、平均値を出しましょう。その数値が平熱となります」現在では数十秒で測れる予測式体温計が主流。予測式による数値は10分後の実測値を予測したもの。このタイプの体温計には10分間の実測検温ができるものもあるので、一度は時間をかけてしっかり実測してみましょう。※『anan』2016年1月13日号より。写真・中島慶子取材、文・石飛カノ
2016年01月07日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「公共放送」です。* **今年も残りわずか。大晦日のNHK『紅白歌合戦』は、唯一、家族そろって見る“お茶の間感”の残った番組かもしれません。NHKは国営放送だと思われている方がたまにいますが、国営ではなく視聴者の受信料で賄われる「公共放送」です。公共放送には、国民の生命や財産を守るため、民主主義文化の発展に貢献する使命があります。商業放送は、どうしても利益を追求するため、視聴率のとれる番組を作らないといけませんし、クライアントに対して批判的なことも言えません。一般に重い内容の番組は視聴率がとれないといわれています。NHKが重厚感のある番組が作れるのは、視聴率を気にする必要がないから。そのかわり、どこにも囚われることなく中立的な立場で公平な情報を発信することが求められています。この理念はどの国の公共放送も同じ。ただ、どこも安定した財源を確保すること、独立した立場を守ることに頭を悩ませています。オーストラリアのABCは税金で賄っていますが、右派のアボット政権を番組で批判した結果、予算を半分にカットされてしまい大問題になりました。日本でも近年、NHKの報道の公平さを疑問視する空気がありますね。NHKは受信料で賄われていますが、国の代表が管理するという意味で、予算は国会で審議されます。また、NHKの最高決定機関の「経営委員会」のメンバーは政府が任命。NHKの会長も経営委員が選ぶという、構造的にも国の意思が反映されやすいんです。イギリスのBBCは、NHKの経営委員会にあたる組織「BBCトラスト」のメンバーを一般公募し、予算や番組の方向性を市民がチェックできるようにしています。ところが、BBCトラストの意見が強すぎて制作が自由にできないというジレンマも。それでも「市民の共有と参加」をスローガンに、皆で作る放送局を目指しています。NHKの受信料の徴収率は現状約7割。マイナンバー制度を使って、義務化するとか、ワンセグ利用の携帯から受信料をとろうという案も出ています。受信料を支払うからには、私たち視聴者の意見も聞き入れてもらえるような公共放送であってほしいですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月30日‐2016年1月6日合併号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年01月03日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「沖縄基地問題」です。***米軍の普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題が長引いています。ここで改めて沖縄の基地問題をおさらいしましょうか。1972年に沖縄が日本に返還されるころ、ベトナム戦争でアメリカは疲弊し、日本から撤退を考えていました。それを引き留めたのは日本。軍隊を持たないかわりに、米軍に日本を守ってほしかったため。「思いやり予算」をつけ、米軍の経済的負担を軽くしたことは「日米同盟」の回ですでにお話ししましたね。ところが1995年、12歳の少女が米兵から集団暴行を受けるという悲惨な事件が起きます。基地内の犯行だったため、日本は米兵を裁くことができませんでした。8万5000人が集まる抗議集会が開かれ、基地撤退を求める大きな運動になっていきます。翌年、街中にある普天間飛行場を5分の1に縮小して辺野古に移転するという計画を橋本内閣が決定。けれど、海をコンクリートで埋め立てて造るという、基地が半永久的にあることを前提とした計画に反対の声が上がります。基地がなくなると、沖縄の経済が落ち込むのではないかと心配する人もいますが、基地経済に依存しているのは沖縄全体の4・9%(平成23年度)。年々減ってきているんです。基地のかわりに商業施設ができれば、経済は上向きになるかもしれません。実は沖縄県は経済格差が激しくて、年収1000万円以上の人がいる割合が全国で10位なのに総所得は最下位なんです。今年6月に行われた琉球新報と沖縄テレビ放送の世論調査では、県内移設に反対する県民は約83%でした。夏に米軍海兵隊の広報官を取材したところ、基地は必ずしも沖縄県内でなければいけない理由はないと話していました。そうしたらどこに?難しい問題です。もし沖縄に遊びに行く機会があったら、街中に基地がある現状をぜひ見てきてください。県を縦断する道路が基地を避けて迂回しなければいけなくて、いつも渋滞。休みなく飛行機が飛び交い、窓ガラスがガタガタ揺れてものすごい騒音なんです。基地は沖縄だけの問題ではないということを意識するのも大切なことだと思います。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月25日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年12月21日初対面、しかも年齢差のある二人が、異国の町で共同生活を送る。その様子を、ほぼ24時間カメラを回しっぱなしで実況する番組、『チョイ住み』。過去3回は男性のコンビがヨーロッパを訪れましたが、今回は初の女性、しかも住む場所は世界中の女子の憧れの地、NY!「お話を頂いたときは、“NYに1週間住んで、好きなことしていいよ”って言われたので、大喜びしたんです。でもよく聞くと、見知らぬ方と共同生活、いかにもな観光は×。私は超マイペース&基本的に非行動的な人間なので、これは絶対無理だろう…と思いましたね」と言うのは、今回の出演者、浅田舞さん。共同生活を送ったのは、51歳の料理研究家・中本ルリ子さん。年の差24歳、二人の珍道中です。「何をするか、どこに行くかは私たちがすべて決めるんですが、NYの人はみんな自己主張が激しいから、私たちも自分の意見をしっかり言わないと、物事が進まない。しかもスタッフは何ひとつ助けてくれない。そんな状況なので、普段の旅行ではすべてを人任せにする派のこの私も、人に話しかけ、地図を見ざるを得ませんでした(笑)。住んだのはたった1週間でしたが、地元の人となるべく同じような暮らしをしてみると、今までとは全然違う街の顔が見えてくる。ローカルなスーパーで買った食材を使ってルリ子さんが作ってくれるお料理も、本当に美味しかった。海外に行っても、スケートリンクとホテルの往復ばかりだった私にとっては、すべてが新鮮な経験でした」ところで、シャワールームと寝室以外は、ずっとカメラが回っているというこの番組。ずーっと撮られてるって、どんな感じですか?「ストレスになるかなぁと思っていたんですが、途中から全然気にならなくなってしまって…。すっぴん、パジャマ、髪は貞子状態が全然映ってます。男の人が見たら、“女子って家でこんななの?!”って驚くかもしれないけど、女子はきっと分かってくれる…のでは(笑)」打ち解けられるか不安だったという中本さんとは、1週間で大親友になってしまった模様。「素をさらけ出しすぎたので、正直一人でオンエアを見る自信がなく…。なので、ルリ子さんの家で一緒に見る約束をしてます(笑)◇あさだ・まいスポーツキャスター。フィギュアスケーターとしてアイスショーにも多数出演。スタイルの良さを活かし、グラビアなどでも活躍。妹はスケーターの浅田真央。◇“その国にちょっと住んでみる”をコンセプトに、地元の人と同じ目線で街を楽しむ、という新しい感覚の旅番組。笑いあり、涙あり、旅の醍醐味満載です。旅に出たくなります!12月30日21:00~NHK BSプレミアムで放送。※『anan』2015年12月25日号より。 写真・中島慶子
2015年12月18日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「難民」です。* **今年はシリア難民のニュースが連日報道されましたね。難民とは、人種や宗教、政治的な理由などで迫害されて母国の保護を受けられない人。正当な理由により母国では命の危険があり、やむを得ず国を離れなければいけない人をさします。たとえば、自然災害や紛争によって国を追われるケース、独裁国で民主化運動を行い自国に居られなくなるケース、同性愛禁止国の同性愛者など様々なケースがあります。内部告発サイト「ウィキリークス」を立ち上げたジュリアン・アサンジは、命の危険にさらされて他国に亡命しました。そんな亡命者も難民に含まれます。国連が定めた「難民条約」により、難民は保護され基本的人権を守られる権利があります。人道的な立場からも、いきなり自国へ追い返したり拒絶することは禁止されているんですね。シリアでは2011年に紛争が起こり、国民2200万人の半数以上が難民になってしまいました。多くはヨーロッパに向かい、ドイツが積極的に受け入れをしていたのですが、あまりの数の多さに制限をかけなければいけなくなってしまいました。では日本の難民受け入れは?というと、’70~’80年代にアジアの難民を多く受け入れていたこともあるんですが、現在は残念ながら積極的とは言えません。実は日本の難民認定の審査はとても厳しくて、審査が終了するまで5年以上かかることもあるんです。昨年、難民認定申請をした5000人のうち、認定が下りたのは11人のみ。公式に難民と認められるかどうかで待遇に雲泥の差が出てしまうんですね。難民と認められれば住居の支援が受けられ、日本語を教えてもらい、職を探してもらえます。難民パスポートで海外に出ることも可能。ところが、審査待機中の人はパスポートがないので国外に出られないし、アパートの入居も家主に断られることが多い。言葉の問題もあって職を得るのは困難で、生活は苦しく、宙ぶらりんな状態に。元国連難民弁務官の緒方貞子さんは「難民受け入れは積極的平和主義の一部」とおっしゃっています。ユニセフや赤十字、難民支援のNPOに寄付をするなど、私たちにもできる援助をしたいですね。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月16日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年12月14日中島健人が悪魔級ドS男子を演じることで注目を集める『黒崎くんの言いなりになんてならない』。この度、本作の主題歌を中島さんが所属する「Sexy Zone」が担当することが明らかになり、主演・主題歌を務める中島さんから喜びのコメントが到着した。「俺に絶対服従しろ」なんてセリフを言ってしまう悪魔級ドS男子・“黒悪魔”こと黒崎晴人を主人公に、そのドSな振る舞いに抵抗しつつ翻弄されるヒロイン・赤羽由宇と、黒崎くんの親友で女子の憧れの的“白王子”こと白河タクミたちが繰り広げる、思い通りにならない「恋」のもどかしさや、止められない「好き」を描いたいまだかつてないエロキュンなラブストーリー。原作は「別冊フレンド」(講談社)にて現在も大人気連載中のマキノによる同名コミック。「男の子にこんなことしてほしい!」という女子の妄想を赤裸々に描いた本作は、女子中高生の圧倒的な支持を得て、累計70万部(全5巻)を超える大ヒットを記録中だ。実写映画化に挑むのは「ももいろクローバーZ」「RADWIMPS」など数々のミュージック・ビデオを担当する月川翔。出演者には、悪魔級ドS男子・黒崎くんに、本作映画主演3作目にして初のラブストーリーに挑む中島さん。ヒロイン・赤羽由宇を『近キョリ恋愛』『バクマン。』の小松菜奈。そして、“白王子”ことタクミを『アオハライド』『通学シリーズ』の千葉雄大が務めるほか、高月彩良、「ジャニーズJr.」の岸優太、川津明日香、鈴木裕乃、北村優衣、長谷川里桃、黒崎レイナ、山崎あみ、鈴木美羽と若手俳優陣が集結している。今回発表された主題歌は「Sexy Zone」の節目となる10枚目のシングル「カラフル Eyes」のカップリング曲として収録されている「Make my day」。本作のために書き下ろされ、中島さん演じる主人公・ドSな黒崎くんらしく「オレを好きになれ!」「後悔なんてさせない!」「ライバルが誰だってかまわない!」など強引な歌詞がちりばめられている。主題歌も担当することなった中島さんは「映画の撮影期間中に主題歌を担当させて頂くと聞き、とても嬉しかったです。突然聞いたので、不意打ちでした(笑)。撮影後にレコーディングだったのですが、スタッフさんからは役のせいか、『いつもより声にドスがきいてるね(笑)』と言われました。歌詞がとにかくドSです!『オレを好きになれ』という強烈な歌詞の中にも『君をいつも守ってるよ』という優しい歌詞も入っていたりするので、まさに黒崎くんの本能のままに恋心をぶつけるという感覚で歌えました。とても爽快感があって、歌っていて楽しかったです」とコメント。楽曲については、「『Make my day』というタイトルは『オレを楽しませてくれよ?』という意味もあるので、そこも黒崎くんらしさが出てていいなと思いました。『Sexy Zone』史上、いままでになかったパワフルで尚且つ爽やかな仕上がりになってるので、少し大人になった5人で歌うべくして出会った楽曲だと思ってます。グループへのリスペクトを忘れず、グループのパワーもしっかりこの映画にぶつけていけたらいいなと思ってます」と語った。本楽曲は、12月22日(火)、23日(水・祝)に放送される2夜連続スペシャルドラマ「黒崎くんの言いなりになんてならない」(日本テレビ)の主題歌にもなる予定だという。『黒崎くんの言いなりになんてならない』は2016年2月27日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年12月07日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「日米同盟」です。* **日米同盟とは、日本とアメリカの同盟関係のこと。日米安全保障条約が基本になっています。日米同盟の歴史は、第二次世界大戦にまで遡ります。日本は戦争に負けたあと連合国軍のGHQに占領されました。そして1951年にサンフランシスコ平和条約が結ばれ、民主主義国家として主権を回復します。そのとき、日本軍を再編するかどうかが問題になったのですが、GHQのマッカーサーが許可しませんでした。日本が軍隊を作らないかわりにアメリカ軍が日本を守ることになり、他国の軍隊は撤退。このとき、「日米安全保障条約」が結ばれました。ところがそれは、米軍が日本を治めるという不平等な内容だったんですね。その後、本来の主権を取り戻そうと、’60年に改定。「日米地位協定」が結ばれました。集団的自衛権を使って、引き続きアメリカ軍は日本を守る。そのかわり日本は米軍に土地を無料で提供する。しかも、基地内の事件を日本の司法は裁くことができません。これも不公平と、反米、反戦運動がさかんになりました。学生のデモ隊と警官が衝突する「安保闘争」のニュース映像はみなさんもご覧になったことがあるでしょう。その後アメリカは何度か軍の撤退を匂わせたんですが、実は撤退してほしくない事情が日本にはあった。というのも米軍がいるおかげで、日本は防衛費をかけずに経済成長に集中できたんですね。また、米軍が日本にいるということでロシア(旧ソビエト)や中国、北朝鮮など周辺諸国に対して抑止力になっていました。’78年からは通称「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)として、日本に駐留する米軍の経費の一部を日本が持つという気遣いもはじめました。戦後70年たってもアメリカの傘下にあり、強く言えない立場のままでいいのか、という意見もあります。でも、日米関係を本当にフェアにしようとしたら日本は軍隊を持ち、危険にさらされながら自分で身を守らなければいけなくなります。少ない財政のなかから、それだけの軍事費を何を削って捻出すればいいのか?日米同盟は、「日本を誰が守るか」という問題に直結する、いままさに転換期にきているんですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年12月07日いろいろな理由で後回しにしがちな、部屋の片づけ。特に忙しい女子に多いのが「時間がなくて……」というタイプ。そんな「時間のない人」に合った片づけテクをご紹介します!おそらく、散らかったままの部屋でも本当は全然大丈夫なあなた。「あなたに決定的に欠けているのは、ズバリ“生活感”。口では“忙しいから…”と言いますが、キチンと暮らす、あるいは落ち着いて過ごすことが苦手ゆえ、ゆっくり過ごしたり、部屋を心地よくすることを無意識に避けています。もっと居心地の良さを追求しましょう。それを繰り返せば、収納がクセになるはずです」(占術研究家、心理テストクリエーターの章月綾乃さん)とはいえ、急に本格的にやれと言われても、正直無理。まずは “ざっくりボックス”を置き“床にモノを置かない”レベルのことから始めましょう。その次は家の様々な場所に同じような箱を置く。そうなったら掃除すること自体もラク&好きになるはずです。■片づけ力アップには…この本を読むべし!キッチリやらなきゃと思うほど、片づけはイヤになるもの。短時間で、とりあえず部屋がスッキリ見える方法=“ざっくりボックス片づけ”に特化したのが、『ざっくりBOX 最速スッキリ片づけ術』。片づけといえば、捨てるか捨てないか、どこに収納するかなど、判断の連続。そこで躓く人も多いが、この本で古堅さんが提唱する方法は、とにかく箱に入れるだけ!「一度やって、空間にモノがない気持ちよさを味わうと、ズボラさんでもなかなかクセになる」とか。本の中では、活用しやすい箱の選び方や、置き場所についても指南。また『精神科医が考えた忙しすぎる人のための「開き直り」の片づけ術』は、忙しくてモノが多い人たちのことを<多忙・多物族>と呼び、「忙しいしモノが多いのを認めて、その上でいかにラクして片づけるか」を教えてくれる本。こちらでは“ざっくりボックス”と同じような存在として、持ち手付きのカゴをおすすめしている。いずれも床にモノを置かないことが、すべてのスタートです!このほかにも、anan本誌では「片づけられない人」の様々なタイプを紹介。心理テストから自分の“クセ”を知って、タイプ別の片づけテクをチェックしてみて。◇とにかく“モノを出しっぱなしにしない”というクセをつけることが第一歩。次のステップは、“ざっくりボックス”に入れっぱなしにするのでなくて、定期的に整理すること。◇『ざっくりBOX 最速スッキリ片づけ術』古堅純子 著¥1,204SDP◇『精神科医が考えた忙しすぎる人のための「開き直り」の片づけ術』奥田弘美 著¥1,300光文社◇しょうづき・あやの占術研究家、心理テストクリエーター。テレビや雑誌、webを中心に活躍。Yahoo!占い「ウィークリー心理テスト」を担当。『Sho-Comi』『増刊Flowers』にて占いを連載。※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子イラスト・前田はんきち
2015年12月06日片づけられない、整理整頓ができないという人は、まずはその“クセ”を知るべし。自分のタイプを知れば、それに合った片づけテクも見つかるはずです。今回はその中の「買ってしまう人」の性質&対策をご紹介します!いろいろな物を買ってしまい、つい物が増えてしまうあなた。「あなたは許容範囲が広く、質感の違う要素でも受け入れることができる、素晴らしい人です。でもそれをインテリアでやってしまうと、ただのカオスしか生まれません。テイストやスタイル、トーンを揃えるというのは、“自分らしさを選ぶ”という作業。“素敵だけど、私には合わないかも?”と、ひとつひとつ真剣に見極めることで、あなた自身の魅力的な個性が確立されるのです」(占術研究家、心理テストクリエーターの章月綾乃さん)インテリアを整えるのは、自分を知ることと同義。まずは自分が好きなテイストを知り、存在感のある家具はもちろん、小さな雑貨まで、そのトーンに揃えられれば、モノが溢れていてもスッキリ見せることは可能です。インテリアショップの飾り棚なども参考に!■片づけ力アップには…この本を読むべし!モノが多いということは、必然的に“外に出しておく”アイテムが出てきます。ならば思い切って、“素敵に見せる”方向性を探ろう。そんなときにぜひ読んでほしいのが、『華やかディスプレイ収納術』。著者は、アパレルの店舗内装担当だった、ディスプレイのプロ。見せてもOKの収納グッズの選び方から、キッチン、リビング、寝室など、エリア別に見せる収納術を具体的に紹介してくれる。また、ディスプレイ収納の悩みの種、掃除の仕方やグッズの情報も充実。一方、白と黒、モノトーンのカラーリングに揃えることで、部屋をスッキリ見せるという方法論を追求したのが、『シンプルモダンなモノトーン収納&インテリア』という本。手軽に買えるリーズナブルなアイテムを使い、“収納容器のデザインは揃える”“モノを判別しやすいようにラベルを付ける”など、基本の技を具体的に見せてくれる。“このショップのこれが便利!”と言い切ってくれるので、具体的なモノ探しにもとても役立つ一冊。このほかにも、anan本誌では「片づけられない人」の様々なタイプを紹介。心理テストから自分の“クセ”を知って、タイプ別の片づけテクをチェックしてみて。◇たくさんのボックスでも、同じサイズ&同じデザインに揃えれば、このスッキリ感。リーズナブルなものが増えているので、思い切って一気に買い替えてみるのも一つの手かも。◇『華やかディスプレイ収納術』寺戸 華 著¥1,200宝島社◇『シンプルモダンなモノトーン収納&インテリア』TUULI 著¥1,300宝島社◇しょうづき・あやの占術研究家、心理テストクリエーター。テレビや雑誌、webを中心に活躍。Yahoo!占い「ウィークリー心理テスト」を担当。『Sho-Comi』『増刊Flowers』にて占いを連載。※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子イラスト・前田はんきち
2015年12月05日片づけが苦手な人には、心の中に片づけられない“クセ”があるそう。今回は、面倒くさくて、元に戻せない「その場しのぎの人」について解説。このタイプの性質、そして対策とは?とりあえず棚や押し入れに突っ込んで、扉を閉めちゃえば、ハイオッケー。そんなあなたは、ズバリ外面のいい人です。「人に対して外面を取り繕うのはいいですが、そのぶん内面には様々な歪みが生まれます。その、溜め込んでしまうという心のクセの結果が、一見キレイ、でも中はグチャグチャという部屋に表れる。無駄を省き、合理的な日常の動線を確保すれば、部屋の中が動きやすくなり、その結果、散らかることもグッと減るはずです」(占術研究家、心理テストクリエーターの章月綾乃さん)まずは重ねやすいお皿など、“片づけやすい”アイテムを選ぶこと。さらに“とりあえず置くだけ”で収納になるシステムを作れば、特に手間を増やさずに片づけ技術は向上。■片づけ力アップには…この本を読むべし!身の回りにあるもの、“片づけにくい”フォルムだったりしませんか?片づけ下手な人は、自分の持ち物を一度見直してみるといいかも。そんな気持ちにさせてくれるのが、著書累計20万部売り上げた『わたしがラクするモノ選び』。自らを「本当は面倒くさがりでズボラ」と言うEmiさん(整理収納アドバイザー)の著書で、整理収納がラクにできるモノ選びのコツや、Emiさんが使っているアイテムが具体的に紹介されている。読むとなるほど、モノの選び方で片づけの手間がかなり変わることを実感させられます。1日に10万アクセスあるというブロガーのmegruさんの『メグメグの北欧雑貨とシンプル片づけ生活』は、モノが増えにくくなる雑貨の選び方を指南。棚や引き出しの中を仕切る技や分類法のアドバイスが。容器やトレイを使い、モノの住み処を決める術はぜひ見習いたい。また、キッチンなどは動線を意識した収納にすると、片づけそのものが格段にラクになることを紹介。動線、見直したい!このほかにも、anan本誌では「片づけられない人」の様々なタイプを紹介。心理テストから自分の“クセ”を知って、タイプ別の片づけテクをチェックしてみて。◇パズルのようにスパッと片づく、そんなアイテムを揃えましょう。そうすれば、定位置を決めたら、あとはパズルのようにハメていくだけ。ハメやすくしておけば苦もなくできる。◇『わたしがラクするモノ選び』Emi 著¥1,200主婦の友社◇『メグメグの北欧雑貨とシンプル片づけ生活』megru 著¥1,200主婦と生活社◇しょうづき・あやの占術研究家、心理テストクリエーター。テレビや雑誌、webを中心に活躍。Yahoo!占い「ウィークリー心理テスト」を担当。『Sho-Comi』『増刊Flowers』にて占いを連載。※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子イラスト・前田はんきち
2015年12月05日片づけられない、整理整頓できないのは、あなたがだらしのない性格だからでも、怠け者だからでもありません。答えはひとつ。心の中に片づけられない“クセ”があるから。そのクセのタイプベルに、対策をご紹介。今回は「捨てられない人」タイプについて。とにかくモノがどんどん増える。その原因は、執着心だった。「心の奥底に、“あの頃はよかった”“あの日に戻りたい”。そんな気持ちがうごめいています。頭ではわかっていても心が納得していないので、手放すのが怖いのでしょう。でも思い出に縛られていては前に進めません。思い切って捨てて身軽になるべき。そうすれば新しい幸運もきっと訪れます」(占術研究家、心理テストクリエーターの章月綾乃さん)手放すのが辛いと思っても、思い切って処分する!捨てるという行為が辛ければ、フリマアプリや中古品を引き取ってくれる業者に売る、あるいは人に譲るのもOK。とにかく家からモノを減らすこと。持ち物が少なくても、生きていけますよ!■片づけ力アップには…この本を読むべし!今年注目された言葉に、“ミニマリスト”というものがあります。持ち物を最小限にまで減らして生きる、という生き方で、佐々木典士さんが書いた『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』という本によって、注目度が高まりました。もともととにかく持ち物が多かった“汚部屋”住まいの佐々木さんが、モノを捨てまくりミニマリストになった経験と、そこから学んだことを綴った本。彼が編み出した<捨てる方法最終55リスト>を読むと、“モノを処分する”という思考が自然に身についてくる。また、ミニマムに暮らす人10人の部屋の写真とインタビューをまとめた『「何もない部屋」で暮らしたい』は、それぞれの“モノを捨てるきっかけ”や、実際ミニマリストになってどう感じているかなど、リアルな声を知ることができる。失恋、離婚、震災など、モノを捨てる引き金は人それぞれ。でもどの人にも共通するのは、「モノがないって幸せ」という価値観。捨てられない人が読めば、本当に人生が大転換するかも?このほかにも、anan本誌では「片づけられない人」の様々なタイプを紹介。自分の性格に合った片づけテクをチェックしてみて。◇『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』佐々木典士 著¥1,000ワニブックス◇『「何もない部屋」で暮らしたい』ミニマルライフ研究会 著¥1,100宝島社◇しょうづき・あやの占術研究家、心理テストクリエーター。テレビや雑誌、webを中心に活躍。Yahoo!占い「ウィークリー心理テスト」を担当。『Sho-Comi』『増刊Flowers』にて占いを連載。※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子イラスト・前田はんきち
2015年12月05日「サザエさん」の中島くんの声で知られる声優・白川澄子が、11月、80歳でこの世を去ったことを受け、「NARUTO-ナルト-」夕日紅役の声優・落合るみが2代目中島くんを務めることが分かった。「サザエさん」放送開始より初代・中島くん役を務めてきた白川さん。先週、逝去したことに伴い、急きょ今週オーディションが開催。スタッフの満場一致で落合さんに決定したという。12月13日(日)の放送分より落合さんによる2代目中島くんが初お目見えとなるようだ。プロデューサー・野崎理(フジテレビ編成部)は、「落合さんの明るく朗らかな雰囲気が2代目中島くん役にぴったりだと思い、オーディションに参加していたスタッフの満場一致で決定しました。カツオとの新しい名コンビとして視聴者の皆さまにお楽しみいただけるよう、気持ちも新たにスタッフ一同盛り上げていくつもりです」と、起用理由を明かした。落合さんは「いつも“磯野~”とやさしく呼びかけている中島くんの声。誰もが耳に残っていると思います。メガネで礼儀正しく優しい少年を、白川さんがかわいらしく個性的な魅力ある声で演じられていました。白川さんの作り上げた、皆に愛される中島くんを大事に演じていかなくてはいけないと思っています。 未熟すぎる私ですが、どうぞよろしくお願い致します」と、白川さんへの敬意と意気込みをコメントした。なお、12月6日(日)放送分に登場する中島くんは、収録スケジュールの都合上オーディション開催が間に合わず、臨時で声優のうえだ星子が代役を務める。「サザエさん」は毎週日曜日18時30分よりフジテレビにて放送。(text:cinemacafe.net)
2015年12月04日長塚圭史さんが約10年ぶりに古田新太さんと組んで舞台『ツインズ』(PARCO PRODUCE)を描く。このコンビといえば、岸田國士戯曲賞候補にもなり、傑作との呼び声の高い舞台『ラストショウ』のタッグ。しかし数年前から、長塚さんはそれまでの作風を封印し、脚本家というより演出を主軸にした舞台作りへとシフトしている。ただ今度の新作は、人間関係はグロテスクで、過激な描写もありながら、どこか哀切さを感じさせる、“長塚節”が発揮された物語になるらしい。脚本家・長塚圭史が帰ってきた!と、思い切って言ってしまおう。古田:そろそろまた一緒にやりたいね、ってとこから始まったんだよね。長塚:うん。その会話のなかで、古田さんから「家族の嫌な話を書いてくれ」という要望が出てきて…。古田:だってオイラ、ほっこりとか、そういういい話に興味ないもん。あと、いちファンとしては、圭史がかつて描いていた“父親ってほんと腹立つ”とか“兄妹って気持ち悪いよな”っていうような感じ悪いものを見たかったってのもある。長塚:(笑)。ここしばらく、芝居の可能性を追っかけたい時期が続いていたんだよね。演劇をやっていくうえで、そこを素通りしては先に進めない気がして。でも、こうやって古田さんにチャンスをもらったことで、この間に培った要素を使って、嫌な話を(笑)、昔とはまた違う形で面白くできるのかなと思って。古田さんから、現代においての家族っていうテーマをふられたので、いまの僕が思う家族のあり方を、どっちかといえば甘くない視点で描いたんです。終末的な世界だけど、非常に日常的なやり取りのなかで人間の怖さを感じさせるような恐怖劇。古田:表層的には不気味な話なんだけど、読了感は意外にも「家族っていいね~」だった(ニヤリ)。長塚:そうなんだよね。互いにいがみ合って、何も和解してなくても食卓を囲むのが家族だから。古田:オイラと(吉田)鋼太郎さんが、めちゃくちゃ仲悪い兄弟だったり、結構バイオレンスな部分もあるんだけど。そういや圭史は、最初の話し合いの段階から、鋼太郎さんを呼びたいって言ってたよな。長塚:古田さんとの2ショットがどうしても見たくて。だって…ふたりが兄弟だったら鬱陶しいじゃない。古田:脂っこいオジさんふたりだからね。鋼太郎さんとは、お酒好きで女好きってところで共通項もあるし(笑)、酒場ではたまに顔を合わせるんだけど、がっつり芝居するのは20年前のラジオドラマ以来。で、今回一緒にやって、鋼太郎さんは剛腕投手だってことがわかった。長塚:そうそう(笑)。古田:すごい変化球を投げるんだけど、じつは本人は全然狙ってないっていう(笑)。でも、それが確実にストライクになる。オイラはキャッチャータイプだから、一緒にやっていて、すっげー面白れぇの。長塚:今回、手練れな役者さんたちばっかりだから、変な機微を端折っても、ちゃんとゴールに辿り着ける安心感がある。極端な飛躍もできるし、試してみたいことが次々と出てきて、僕もすごく楽しいですね。◇information 海辺の大きな家で、その家族は一見穏やかに暮らしているように見えていた。しかし、そこに東京から次男とその娘が帰省してくると、徐々に不穏の色が濃くなっていく―。12月6日(日)~30日(水)渋谷・パルコ劇場作・演出/長塚圭史出演/古田新太、多部未華子、りょう、石橋けい、葉山奨之、中山祐一朗、吉田鋼太郎全席指定9500円U‐25チケット6000円 (観劇時25歳以下対象、要証明書)パルコ劇場 TEL:03・3477・5858www.parco-play.com大阪、北九州、長岡、松本公演もあり◇ながつか・けいし作・演出・出演を担う演劇プロデュースユニット・阿佐ヶ谷スパイダースと、ソロプロジェクト・葛河思潮社を中心に活動。俳優としても、ドラマ、映画などで活躍。◇ふるた・あらた劇団☆新感線所属。来年1月放送のドラマ『坊っちゃん』(CX系)、1月公開映画『信長協奏曲』、2月公開映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』などに出演。※『anan』2015年12月9日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2015年12月02日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「混合診療」です。* * *来年の春から、混合診療が解禁になります。混合診療とは、みなさんが通常病院で受けている「保険診療」と、保険外の自費でなされる「自由診療」を合わせた名称。今後、希望者は保険診療のほかに自由診療も受けられることになり、公式には「患者申出療養制度」と呼ばれています。これまで日本は、自由診療を禁じてきました。自由診療を認めてしまうと、お金持ちの人はいくらでも高い料金を払って医療を受けようとする。すると、病院側も儲かるほうにシフトして、お金のない人が十分な医療を受けられなくなってしまう。お金がないために助かる命が助からなくなる、そんな命の格差が生まれるのを避けようと、認めてこなかったのです。収入に関係なく、誰もが同じような医療サービスを受けられるようにしていました。唯一の例外は、歯科医療。歯医者さんで詰め物をするときに聞かれませんか?「保険なら◯○円ですが、保険外のインプラントなら◯万円です。どちらを選びますか?」と。自由診療では金額は基本、病院の言い値ですから、病院によっても値段は変わります。これまでは薬も、厚生労働省の厳しい基準をクリアしたものしか使えませんでした。ところが患者申出療養制度の導入によって、厚生労働省が承認していない薬も、今後は使えるようになります。難病の人やガン患者にとっては嬉しいニュース。混合診療に門戸が開かれるようになったのは、安倍政権の成長戦略の一環です。規制を緩和することによって、製薬メーカーは新しい薬を次々に売り出せるようになります。国立がんセンターの調べでは、来年に投入できる抗がん剤は42剤。大半は、1か月あたり100万円を超える薬剤費が自己負担になるだろうとのことです。従来の医療は国のお墨付きがありましたが、自由診療になれば患者は医師を信じるしかありません。万一、医師が製薬会社や医療機器会社と癒着して法外な医療費を請求しても、患者には判断できない。TPP協定が結ばれれば、海外の製薬会社の薬もさらに入ってくるでしょう。医療の選択肢は広がりますが、リスクも否めないんですね◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年12月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年12月01日’04年の初演以来、再演を望む声が高かった舞台、ナイロン100゜C 43rd SESSION『消失』が、初演と同じキャストで再演されることになった。取材の当日は、スタッフ・キャストの顔合わせの日。主宰で作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチさんを筆頭に、大倉孝二さんや三宅弘城さんらナイロン100゜Cの劇団員が顔を揃えるなか、賑やかにしゃべり、場を盛り上げていたのが、客演の八嶋智人さんだった。「僕は、なかなかどうしてテレビとのギャップがない男なんで」と言う口調も、まさにテレビで見たまんま。「まあ、病気なんです。おしゃべり病(笑)。よく、現場のムードメーカーだと言われたりするんですけれど、僕が楽しくいられる条件は皆が楽しい雰囲気でいることなんで、結局は、自分がやりたいだけなんです」初演の時から、当時ナイロン初参加だったのにもかかわらず、誰より劇団員のように馴染んでいたそう。「自分の劇団でもそうですが、僕、世話焼きのお母さんみたいなんですよ。稽古中にみのすけさんがビニール袋をガサガサさせるのをやめさせたり、カーテンコールにふてくされたような顔で出る大倉に注意したり。僕なりに気になることをしつこく言ってました。でも肝心のKERAさんが『ほかの現場じゃダメだよ』って言うだけだから、KERAさんにも僕が注意したりして(笑)」妙に楽しげな稽古場の雰囲気とは一転して、舞台『消失』は終始不穏な空気が漂うディストピアの物語。「初演の時は、稽古が始まってもなかなか台本が上がらなくて、僕の出番が全然来なかったんです。でも、冒頭のシーンを観ているだけで、これは絶対にいい作品になるなという予感はありました。ただ、サブカルチャーのど真ん中を歩いてきたKERAさん独特の…僕からしたら東京的なセリフ回しに体をなじませるのに苦労しましたね。昔は、テンションが上がってしまうと、つい笑いに走ってしまってたんですけれど、今回、KERAさんから『11年経って抑えがきくようになった』と言ってもらえてるんです(笑)。20代前半の頃は、アドリブをバンバン入れて、笑いをいっぱい取ってやったぜって悦に入ってたところがあったんです。でもいま芝居を生業にするということを考えるようになって、自分のこだわりや個性なんて埋没させてもいい、作品に殉じたいと思えるようになっているんですよね。初演の11年前から比べたら、体のキレは落ちてますけど、逆に作品のなかで濃密に生きることができるようになってきているし、初演以上に楽しませられる舞台になっているんじゃないかと思います」◇information 荒廃した世界に身を寄せ合って生きる兄弟(大倉孝二・みのすけ)。彼らとその元を訪れる人々との善意がすれ違い、いつしか大きな悲劇へと変わっていく。12月5日(土)~27日(日) 下北沢・本多劇場 作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/大倉孝二、みのすけ、犬山イヌコ、三宅弘城、松永玲子、八嶋智人 全席指定6900円(税込み) キューブ TEL:03・5485・2252(月~金曜12:00~18:00) www.sillywalk.com/nylon/◇やしま・のりと ’70年9月27日、奈良県生まれ。主宰の松村武と共に劇団カムカムミニキーナの旗揚げに参加。舞台のほか、ドラマやバラエティなどに多数出演。来年1月3日放送のSPドラマ『坊っちゃん』(CX系)も控えている。※『anan』2015年12月2日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2015年11月25日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「新しい働き方」です。* **まもなく勤労感謝の日。働き方もだいぶ多様化してきましたね。ビジネス界で「BYOD」が注目されていることをご存じですか?BYODとは、「BRING YOUR OWN DEVICE」の略。私物のパソコンや携帯端末で仕事をすることを可能にするという意味です。基本的に日本の会社、とくに情報を扱ったり、高度な研究をしているところは、私物のパソコンを持ち込むことを禁じています。僕がNHKに勤めていたころも、PCはデスクにがっちりとしばりつけられて、持ち出されないようになっていました。情報の漏洩やウイルスの侵入を防ぐためにも私物のデバイスを使うことは御法度でした。ところが、仕事と私生活の程よい調和(ワーク・ライフ・バランス)の重要性がうたわれ、過労死を防ぐためにも、時短勤務、自宅勤務を増やそうという流れに変わってきました。そこで、IT関連企業が前面に押し出したのがBYODです。仕事のデータは、コンピューターの端末には入れずにクラウド上で管理する。それによって、どこにいようと私物のPCを使ってデータセンターにアクセスすれば仕事ができるというシステム。グーグルの調査結果では、国内の会社員7080人のうち、BYODを実施しているのは48. 5%。会社に行かずにお気に入りのカフェで仕事ができたり、家で子育てをしながら仕事もできるようになります。生活に合わせて働く時間をコントロールできますし、通勤ラッシュにあわずにすむというだけでも、だいぶストレスが減りますよね。新しい働き方の話題でもうひとつ。「2枚目の名刺を持とう」という提唱があるんです。1枚目は会社の名刺。2枚目はこれからやっていきたい仕事やボランティアなど、現段階では収入にはつながらないけれど自発的にやりたいことを名刺にする。たとえば僕は「8bitNews」が本業ですが、「みんなの戦争証言アーカイブス」というプロジェクトの名刺も持っています。2枚目の名刺で積みあげた人脈と経験によって、将来1枚目の名刺に変わる可能性も。あなたなら、どんな2枚目の名刺を作りますか?◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年11月25日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年11月22日お酒と合う定番つまみの一つ、燻製もの。今年登場した、自宅で燻製できるロースター「けむらん亭」なら、手軽で簡単。そこで、今回は燻製料理に目がないモデル・斉藤アリスさんに、燻製に挑戦してもらった。用意するのは香りづけのチップとアルミホイルのみなのに、無限大に拡がる味わいに驚き。気になる食材にトライした結果、もう一度食べたくなったものとは?1位:トマト「生ものなだけに一瞬抵抗を感じるトマトだったが、燻したことで水分が減り、味が濃縮。いわゆるセミドライトマトの出来上がり。さらに木の風味が加わって、ダシで煮たような奥深さまで生まれた!パンやサラダなど、いろんな料理のアクセントにも使えそう」2位:チョコクッキー「木の香りがプラスされたことでスパイシーな印象に。北欧あたりで食べられている、香辛料強めのクッキーによく似た味わい。たった5分燻しただけなのに、シナモンやローズマリーがほんのり香るおしゃれスイーツに早変わり。甘いカクテルに合いそう!」3位:押し寿司「どうして今までサーモンしかスモークしてもらえなかったんだろう」と不思議に思うほどの美味しさ。鯖の濃厚な味わいと燻製チップの深みある香りがベストマッチ!さらに酢飯にも風味が移って炊き込みご飯のような味わいに。生魚が苦手な人に食べてほしい!」◇さいとう・ありすモデル、ライター。燻製の経験はないが、大のスモークチーズ好きであることから燻製には興味津々。そのにおいにはアロマテラピー効果があるのではと密かに期待を寄せている。※『anan』2015年11月25日号より。写真・中島慶子文・斉藤アリス
2015年11月20日微笑みがわき起こるトークに、さらにウェーブをおこす自虐ネタやたとえ話…。“達人”に会話を盛り上げるテクニックを聞きました。自分の欠点や失敗を面白おかしく表現する自虐ネタは、高度なスキルが必要なように思いがち。だけど「そんなに難しく考えなくても大丈夫!」とLiLiCoさん。「『私は結構きれいかも…』って、みんな自分のことを美化しすぎているんじゃないですかね。だから自虐ネタができないのだと思いますよ。コンプレックスは誰だって持っているもの。思い切ってそれをネタにしちゃえば、自分も楽になるし、相手も笑えて、さらにはかわいがってもらえる。こんなにいいことはないですよ!」持ち前の明るさとノリで芸能界をサバイブしてきたLiLiCoさんが、自虐ネタの鉄則をアドバイスしてくれました!■自虐は勇気いじったりいじられたりという、笑いを伴うやり取りには何よりも勇気が必要。自分のコンプレックスを受け入れることもそうだし、「傷つくかも…」と思っていたら自虐ネタは披露できない。「たとえば顔の欠点を指摘されたら、変顔ができるくらいの勇気がないと。そういう勇気を持って乗っちゃったほうが勝ち。等身大の自分が受け入れられているという感覚を持てると、より会話が楽しめますよ」。勇気を出せば、それだけ大きな見返りがあることを信じてGO!■堂々といじってほしがろうピントのずれた自虐ネタは、そもそもギャグとみなされない危険性もある。相手を笑わせるような自虐ネタは、自分のことをきちんと理解してこそ言えるもの。「自虐ネタに限らずですけど、まずは客観的に自分をとらえることが大切です。そうすれば長所や欠点にも気づくはずですから。欠点はラッキーな個性と受け止めて、自分から言っちゃえばいいんです。周りの人も、そこはいじっていいんだってことがわかりますしね」。恥ずかしがらず、堂々とやるのがポイント。■他人の自虐にはマッハで食いつけ!自虐ネタを披露される側として、最もやってはいけないのはスルーすること。「自虐ネタはいじってほしいというシグナル。食いつきが悪いと、冷た~い感じになってしまいます。スルーが一番ダメですが、『いえいえいえ…』っていう中途半端な返しも、これ以上会話が続かなくなるのでタチが悪い。『そんな◯◯さんが好き!』とひとこと言うだけでもいいんです。上司にハゲネタを披露された時も、きっちり返してあげるべき。出されたら乗っかるのが礼儀ですよ!」■表現ボキャブラリーを豊かにいくら自分のことを下げるとはいえ、きつかったり下品なワードは避けたいところ。言葉選びや表現のしかたも重要なポイントなのだ。「たとえば“デブ”とか“ブス”という言葉を、かわいらしい子やおとなしい子が言っちゃうと、周りは笑うよりも先に引いてしまいますよね。“ぽっちゃり”とか“残念なルックス”など柔らかくしたり、ちょっと声色を変えるなど品の良さを心がけることが大切です。どんな内容であれ、話し方はきれいなほうが好感が持てますから!」◇りりこスウェーデン出身。映画コメンテーターなどマルチに活躍。プロレスラーやボディビルダーとしても活躍。北欧雑貨のWEB ショップ“リリココ”もスタート。※『anan』2015年11月18日号より。写真・中島慶子文・兵藤育子
2015年11月14日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「憲法」です。***11月3日の文化の日は、70年前に日本国憲法が公布された日です。ところでみなさんは「憲法」と「法律」の違いはわかりますか?「憲法」とは国家をしばるもの、国民をしばるものが「法律」です。「国民の人権を尊重すること」「誰もが等しく教育を受けられる権利を与えること」など、国家権力が国民に対して何をするべきかを定めたものが憲法。一方、窃盗を禁じたり(刑法)、遺産の分配を決めたり(民法)など、国民が守らなければいけないルールが法律です。憲法は国家をしばるものですから、強大な力を持っています。憲法を変えるというのは大変なこと。改変の手続きは国によりますが、日本の場合、衆議院、参議院の3分の2以上による可決と、国民投票で過半数の賛成がないと、改憲できません。日本は制定以来一度も憲法を変えていません。たとえばドイツでは59回改憲が行われました。EUに参加したり、東西ドイツが統一したりと国に大きな変化があったので、対応する必要があった。時代に合わせてその都度改正をしてきましたが、骨格は変わっていません。自由民主党は結党以来60年間、改憲を訴えてきました。来年の参議院選挙の後には憲法改正にとりかかると安倍総理は公言しています。いま、戦争の放棄をうたう憲法9条の改憲問題に注目が集まっていますが、僕は12条も要注意だと思っています。12条には、国民の自由と権利が侵されないように国民は「不断の努力」をしなければならず、濫用してはいけないこと。また、「公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」と書かれています。「公共の福祉」とは、Aさんの自由をBさんも保障する義務がある。公の利益のために個人が犠牲になるのではなく、国民が互いに目を光らせて、個々の自由や権利が奪われないようにしましょうという意味です。自民党の改正案にこの言葉はなく、「公益及び公の秩序に反してはならない」となっています。主体が国になりますから、意味は大きく変わりますね。憲法は私たちにとってとても重要。次の参議院選は、今後の憲法を左右しますから、じっくり考えて投票しましょう。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年11月11日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年11月04日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「中国経済」です。***中国のバブルがついに崩壊したのか、と騒がれています。バブルとは、過剰に資金が市場にあふれ、実際のモノの価値を上回り、お金がお金を呼ぶ状態をいいます。たとえば100円のペットボトルの水が、300円でも買う人が出てきて、やがて600円で転売されるというような、正当な価値を越え高額で取引されてしまうのです。中国のバブルはこの10年くらい。まず、不動産バブルが起き、過剰な土地開発がなされるようになりました。昨年春ごろから不動産の値崩れが始まり、やがてお金は不動産から株の投資に回されました。上海の株式市場は時価総額500兆~600兆円規模の取引、1071社が上場し、東京証券取引所を大きく上回る規模になっています。株は儲かる、という話は中国の農村部まで広がりました。中国では、借金をして株取引ができるので、自分の持つ以上のお金を投資に回す個人投資家が倍増。短期間に大きな利益を得ようと賭博のような投資が増え、株相場の動きが極度に激しくなりました。普通、為替レートは市場で決まり、故意にコントロールはできません。ただ、極度な円高や円安になると市場全体が不安定になるので、国際協調策として、国が介入し、自国の通貨を買い上げることがあります。ただその場合も自由勝手にできるわけではなく、主要関係国に事前に打診をしてから行います。国際通貨である円、ドル、ユーロ、ポンドはその手続きを踏みますが、中国は国際市場から切り離されているので、中国政府が勝手にレートを決めてしまうんです。ニュースで出てきた「人民元切り下げ」というのは、中国政府が操作をして元安にしたということ。元安になれば、中国の輸出産業が儲かります。中国は共産主義なので、国の操作も多く、実態は不透明。やがて中国経済に破綻が起き、リーマンショックのときのように、世界経済に波紋を及ぼすのでは、と投資家たちは疑心暗鬼になっています。でも、中国国内だけの問題にとどまるだろうという意見もあります。国際市場が不安定になると、安定している円を買う人が増えるので、自然と円高に。すると日本の輸出産業は損をしてしまうんですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年11月4日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年11月02日「竹中直人さんと芝居がしたい!」という生瀬勝久さんの熱意でスタートした竹生企画。旗揚げ公演となった、マンションに集う人々を描いた群像劇『ヴィラ・グランデ 青山』から4年。久々の第2弾『ブロッケンの妖怪』は、絵本作家と編集者がアイデアを得るために訪れた島が舞台のホラーコメディ。お二人にお話をうかがいました。* **生瀬:正直、この企画は1回だけで終わっちゃうんだと思っていたんです。そしたら今回、竹中さんのほうから、そろそろやりますかって声をかけていただいたんですよね。僕は、それがうれしくって。竹中:本当はもっと早くできたらと思っていましたが、なんだかんだで4年経ってしまって、ここでやらないと次がないだろうと思って。生瀬:4年って、何かあるのかもしれませんね。オリンピックも4年周期だし。前回のことを忘れるのと、新しいことを始める気持ちになるのと、ちょうどいいサイクルなのかも。竹中:そこはやっぱり、前回が楽しかったからだよね。芝居をしていた時間とか、その時に感じていた風とか、なんだかすごく心地よくて。生瀬:それはうれし~なぁ。竹中:その生瀬さんが、どんな芝居にするかは任せますって言うから、前回同様、脚本・演出を倉持裕さんにお願いしたんです。前回の山田優ちゃん、今回の佐々木希ちゃんと、初舞台の女優さんたちを引っ張り込んでいるのも僕だし。生瀬:僕は、竹中さんと芝居がしたいだけなんで、他のことはお任せしています。竹中:あの、倉持君が描く、世界観が好きでね。生瀬:倉持君の作品って、覗き見のような面白さがあるんですよね。例えば、喫茶店で隣のカップルが喧嘩しだした時の、彼らの素性を知らないからこそ面白がれる、あの感じ。ただ、舞台ではいきなりそれが始まるから、観てる人は、会話を通して得られる情報から必死に状況を理解しようとする。その時点で倉持君の罠に引きずり込まれているんだけど。竹中:演じてる僕自身も、分からないまま演じています(笑)。生瀬:僕もそう(笑)。意味を考えてバランスをとっていくのは、作家であり演出家や監督の仕事であって、俳優は、台本どおりにセリフを言えばいいんですよ。そのほうが現場も波風が立たずに進んでいくし。竹中:僕も、言われるがまま。何も考えずやっています。生瀬:僕、竹中さんの、周りに合わそうとしない芝居が好きなんですよ。時々、本当にすっとぼけた顔をする時があって、それが面白くって。竹中:照れるな(笑)。生瀬君とやってると、想像もできない何かが生まれるような気がします。大体、生瀬君って独特の顔してるでしょ。それが本当に凄くて。しかも今回、そこに希ちゃんが参加するのも面白いし。お人形のような美しさがあるんだ。生瀬:生なのにお人形さんみたいって、それだけで凄いですからね。竹中:希ちゃんってすごい独特で、今回声をかけさせていただきました。前回の山田優ちゃんもそうだけど、舞台馴れしてない女優さんを誘うのって、やっぱり覚悟がいるし、責任も感じるからね。でも、その緊張感っていうのもいいんだよね。生瀬:ぶっちゃけて言うと、竹中さんも僕も、この舞台をやらなくったって、生活はしていける。でも、だからこそ純粋に芝居がやりたくてやってるとも言える。大人の俳優さんがやるいい芝居を、多くの人に観ていただきたいんですよ。竹中:今回はホラーコメディなんで、きっと怖くて笑える舞台になっていると思いますよ(笑)。◇なませ・かつひさ’60年、兵庫県生まれ。11月よりスタートする関東ローカルの深夜ドラマ『危篤スルー』(NTV)に主演。スペシャルドラマ『必殺仕事人2015』の放送も控える。たけなか・なおと’56年、神奈川県生まれ。出演ドラマ『海に降る』(WOWOW)が現在放送中。11月には『びったれ!!!』、12月には『海難1890』と出演映画の公開も相次ぐ。◇とある孤島の洋館を訪れた絵本作家と編集者。彼らの目的は、霧の濃い日にだけ海の上に洋館の影が現れるブロッケン現象の取材。そこに島の住人たちの思惑が絡み合っていく。10月30日(金)~11月1日(日)/北千住・シアター101011月12日(木)~29日(日)/日比谷・シアタークリエ作・演出/倉持裕出演/竹中直人、生瀬勝久、佐々木希、大貫勇輔、安藤聖、田口浩正、高橋惠子全席指定9000円(税込み)東宝テレザーブTEL:03・3201・7777(9:30~17:30)広島、大阪、静岡、名古屋、福岡、鹿児島、鳥取、新潟、岩手、栃木公演あり。※『anan』2015年11月4日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ
2015年10月28日