日立製作所は今年9月、現場を理解して業務指示を行う人工知能を開発したことを発表、10月には人工知能で企業の経営課題解決を支援する「Hitachi AI Technology/業務改革サービス」を発表するなど、ビジネスに人工知能を活用する発表を積極的に行っている。「今回の発表につながる研究は、すでに10年以上前から行われていたものです。この研究をベースとしたものではありますが、サービス自体は実証実験ではなく、ビジネスとして提供する商品になっています」と、「Hitachi AI Technology/業務改革サービス」を担当する情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部 ビッグデータソリューション本部 先端ビジネス開発センタ 技師の三輪臣弘氏は話す。これまで研究レベルにあった技術をサービスとして提供を開始した背景については、「ご存じのように、IoTの広がりも踏まえ、データが増大しています。われわれは、増え行くデータをどう活用すべきかについて、研究を行ってきました。この研究が商用サービスとして提供可能なレベルになったことから、サービスとして展開することが決定したのです」と、三輪氏は説明する。○人工知能による分析の特徴とは?ビッグデータに関してはすでに数多くのアナリティクス技術が開発されている。通常のアナリティクスは、人間の手で計算するものを選択し、答えを導き出すことになる。これまで手動で行われてきた作業を人工知能により行うことで、どんな違いが生まれるのだろうか。「手動で行うアナリティクスはこれまで、仮説を立て、そこに関係すると思われるデータを選び、分析を行っていました。それに対し、人工知能を活用することで、仮説を立てることなくデータを分析することができます。つまり、これまでは答えを導き出すために優先度が低いと思われてきたデータも活用することが可能になるのです。仮説が想定できるものは、従来のアナリティクスで十分だと思います。仮説が想定できないものは、このサービスを活用することで、新しい答えが見えてくることになります」(三輪氏)手動と人工知能のどちらを利用すべきかについて、厳密な切り分けの定義があるわけではない。ただし、三輪氏は「人工知能によるアナリティクスの結果を見ると、人間が手動で行うレベルを超えていると思います。データはあるけれど、答えがどこにあるのか見いだせない時、人工知能を活用することで答えが見えてくる場合があると思います」とAI活用で、手動のアナリティクスにはない可能性があると指摘する。○事例では予想外の結果から売上増を達成一方、人工知能を活用したユニークな事例も生まれている。アウトバウンド型の営業を行うコールセンターで、オペレーターの成績を上げることを目的に導入したところ、思わぬ結果が出たというのだ。通常のアナリティクスではオペレーターのスキルレベル、教育レベルなどのデータを分析する。これに対し、この事例では、名札型センサーを導入し、オペレーターの動きを評価データの1つとして取り入れた。「休憩時間に活発にコミュニケーションを行っているオペレーターほど売り上げが高くなっているという分析結果が出ました。通常の評価基準では取り入れられないデータでしたが、その後、コミュニケーションが活発になるような社内体制に変更を行ったところ、実際に売り上げが上がるという成果につながりました」(三輪氏)また、あるホームセンターでは、マーケッターの提案により棚の位置替えなどの施策を行ってきたものの、効果が出なかったことから、人工知能による分析を導入。その結果、ある場所に店員を立たせたところ、売り上げ増につながることがわかったそうだ。「どちらの事例も、これまでは切り捨てていたデータが、実は求めていた答えを出す要素になることもあることを明らかにしたものだと思います。このように、従来の業務改革だけでは解決策が生まれなかった分野において、人工知能が新たなチャンスを生む可能性があるのではないでしょうか」(三輪氏)人工知能による経営課題分析に関しては、「特に業界の絞り込みは行わず、広く活用を呼びかけていく計画です」と、三輪氏は話す。○これまでにはない可能性を企業にもたらす人工知能日立としては今後、人工知能を活用していく分野として、「顧客の業務へのサービスの組み込み」「リアルタイム処理」という2つを検討している。三輪氏は、同社が今年10月に開催した展示イベントで、同社の研究開発グループで人工知能を担当する技師長の矢野和男氏が話した内容を例にとり、人工知能の可能性を示唆する。「ロボットをブランコに乗せるとします。その時、ロボットはブランコのこぎ方を知りません。しかし、ロボットに『高く』という指示を出すと、リアルタイムで判断し、自分自身でこぐことを学習していくそうです。つまり、ロボットはリアルタイムで判断を行うことで、新しいことを学習していくことができるのです。この技術を応用すれば、これまでにはなかった新しい方向で、業務の見直しが行える可能性があります」日立では研究所で進めている研究、さらに顧客の現場での活用に結び付ける、「共創」という発想で、実用的な研究を行うことを目標としている。「人工知能に対しては、これまでにはなかった可能性を生み出せるのではないかと、上層部からも高い期待が寄せられています」という。もはや、人工知能は研究にとどまらない、実業を変化させる技術になりつつあるようだ。
2015年11月27日ルネサス エレクトロニクス(ルネサス)は11月26日、人工知能ベンチャーであるクロスコンパス・インテリジェンスの人工知能技術を導入したソリューションを開発し、ルネサスグループのルネサス セミコンダクタ マニュファクチャリングの那珂工場の製造ラインで試験運用した結果、製造装置や産業機器などのリアルタイム異常検知が可能となる技術的な見通しが立ったと発表した。ルネサスが開発したソリューションは、同社のR-INプラットフォームに人工知能技術を実装したもの。同社のR-INエンジンは低電力で高速通信・高速処理が可能なため、大量のデータを上位のネットワークに低電力かつ高速で転送することができ、CPUの処理余力に人工知能技術を実装することで、データを高度な解析モデルで処理し、上位が必要な情報のみを送信することが可能となる。これにより、これまで見ることができなかった異常をエッジデバイスで検知し、リアルタイムに生産に反映させることができるようになるとする。また、上位の分析・解析との連携で装置間状態を詳細にモデリングすることで柔軟な生産が可能となり、エッジデバイスの解析結果を上位で時系列に解析し高度な予兆保全を実現することができる。なお、同社は12月2日から4日まで東京ビッグサイトで開催される「システム コントロール フェア2015」に出展し、那珂工場で検証した異常検知の成功事例および人工知能技術によって異常検知を簡単に確認できる技術のデモンストレーションを披露する予定となっている。
2015年11月26日カラフル・ボードは11月26日、同社が運営するファッション人工知能「SENSY」が、EC接客サービスを同日より開始すると発表した。人工知能「SENSY」はユーザーのファッションセンスを学習していく人工知能。ユーザーは、表示される提携ブランド(現在2500ブランド以上)の服の「好み」を分類することで、人工知能がそのユーザーのファッションセンス「感性」を学習しユーザーの感性に沿ったアイテムやコーディネートを提案してくれる。また、モデルやタレント、スタイリストの人工知能も公開されており、そのセンス「感性」に沿って商品を選ぶ事も可能だという。今回第一号としてEC接客サービスを開始するのは、イケガミが運営する自社ECサイト「IKG crossing」(KATHARINE ROSS、Paradise Picnic、Cupid Heartの3ブランドをまたがるECサイト)。提供するのは、ECサイトにおけるユーザーヒアリング型接客、店舗とのデータ連動可能なオムニチャネル接客、ECサイト内のブランドをまたがる横断的コーディネートの提案接客、販売スタッフやモデルの人工知能による提案接客(実装予定)。今後、カラフル・ボードとイケガミは、ECサイトでの人工知能「SENSY」の活用だけではなく、店頭やマーケティング活用等、イケガミの培ってきた店頭接客技術に人工知能技術を使用した1人1人の好みに合わせたアイテムやコーディネートの提案力を活かし、未来に向けた新たなプラットフォーム構築を共にしていく考えだという。
2015年11月26日UBIC、同社の100%のRappa、ヴイストンの3社は11月17日、UBICの人工知能を搭載してヴイストンが設計・製造を行う生活密着型パーソナル・ロボットである「Kibiro」(キビロ)の開発と、Rappaによるビジネス展開の開始を発表した。KibiroはRappaを通じて、2016年前半に民間企業や公共団体など法人向けの提供を開始し、2016年後半に家庭向けへの提供を開始する予定だ。UBICとヴイストンはKibiroを、人々の暮らしに溶け込み共に過ごすことで日常を豊かにする生活密着型の人工知能搭載ロボットとして、開発を行っているという。Kibiroは、家庭や各種施設のテーブルの上でコミュニケーションを取りやすいという大きさ(高さ 約28.5cm×幅 約14cm)であり、利用者が親しみを感じるかわいらしい動作で反応するとしている。内蔵するカメラ/マイク/スピーカーによる会話のやり取りや、顔の識別などの基本コミュニケーションを行う他、ネットワークを介してUBICの人工知能エンジンである「KIBIT」(キビット)と接続し、専用アプリやメール、SNSなどを通じて、利用者の行動や好み、感覚を蓄積し、利用者自身も気付かなかった好きな物を勧めることもできるとのこと。公共施設や民間の商業スペースでは、その場の必要に応じたデータベースと接続し、利用者の役に立つ知識や情報を提供するとしている。胴体、首、腕で8つの自由度により、親しみを感じる動作や表現が可能で、内蔵カメラは人間の顔を識別し、人によって反応を変えることが可能だという。マイクとスピーカーからの発声で簡単な会話のやりとりを行い、生活の中でKibiroを身近に感じてもらうことができるという。人工知能エンジンであるKIBITは、これまでにUBICが行ってきた法曹・ビジネスの支援や医療分野、マーケティングに使われてきた実績を元に開発されている。少量のテキストデータのインプット(教師データ)で、選んだ人間の機微(個人の暗黙知・判断の仕組み・感覚)を理解することができ、利用者が気に入った趣味や生活上での衣食住などの好みをインプットすることで、Kibiroは、利用者の感覚をどんどん蓄積する。例えば、お店を探す時に、利用者の好みにぴったりなところをおススメ。また、飲食店を選んだ感覚をもとに、宿や本などのジャンルを越えたおススメも可能だという。さらに、利用者の好みの文脈を理解し、マッチングする情報を広く探すことで、利用者自身が気付かなかった意外な「好きなこと」をおススメする「驚き」も提供するとしている。Kibiroとのコミュニケーションは、会話によるものだけでなく、スマホ/タブレット用の専用アプリケーションやメール、SNSとの連携を予定。音声認識では聞き取りが難しい言葉も、テキストを送ることで、きちんとKibiroが理解することができるようになるという。Kibiroは、博物館や美術館、図書館、観光案内所などの公共施設、飲食店、書店、百貨店などの商業スペースや病院、ホテル、教育施設など、沢山の情報を保有・蓄積したり、滞在時間の長い利用者が多い拠点での設置を目指す。
2015年11月18日トヨタ自動車(トヨタ)は11月6日、2016年1月に人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.(TRI)」を米カリフォルニア州パロ・アルトに設立すると発表した。新会社は約200名規模となる予定で、今後5年間で約10億ドルを投入する。TRIでは、人工知能技術を通じてビッグデータを活用することで、社会のさまざまな課題を解決し、将来の持続可能なモビリティ社会の実現ならびに、誰もが安心して安全・自由に、より豊かに暮らすことができる社会の実現を目指し、革新的な商品の企画・開発を進めるという。また、新会社のCEOにはトヨタのExecutive Technical Advisorであるギル・プラット氏が就任し、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学に設立した研究センターとの連携を進めるなど、研究体制を強化していく。プラット氏は「TRIでは、事故を起こさないクルマ、誰もが移動の自由を享受できるモビリティ、高齢者の尊厳ある老後をサポートするロボットなど、人と協調できる人工知能技術の開発に取り組む。さらには、新材料探索・生産管理システムなど幅広い領域での応用に向けた技術開発を行い、社会に貢献したい」とコメントしている。
2015年11月06日トヨタ自動車は11月6日、2016年1月に人工知能技術の研究・開発の拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE(TRI)」を米国カリフォルニア州のシリコンバレーに設立し、今後5年間で約10億ドルを投入することを発表した。人工知能技術は、これからの産業技術の基盤を担うとともに、新たな産業を創出すると期待される重要技術である。今後トヨタは、TRIを技術イノベーションの拠点と位置づけ、人工知能技術に関する研究・開発を加速させる。具体的には、人工知能技術を通じてビッグデータを活用することにより、これからの社会が直面するさまざまな課題を解決し、将来の持続可能なモビリティ社会の実現はもとより、誰もが安心して安全・自由に、より豊かに暮らすことができる社会の実現を目指し、革新的な商品の企画・開発を進める方針だ。トヨタのExecutive Technical Advisorであるギル・プラット氏がTRIのCEOに就任し、優秀な研究者を集めるとともに、マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学に設立した研究センターとの連携を進めるなど、研究体制を強化していく。
2015年11月06日○人の感性に着目した人工知能「SENSY」ビッグデータの活用は、今後、企業が自社のビジネス展開を検討していく上で、避けられない課題だ。需要分析による在庫の削減、顧客の購買意欲を高める情報提供、プロモーション分析など、ビッグデータの活用例を挙げていくと枚挙にいとまがない。とはいうものの、ビッグデータのシステムの構築・運用は非常にコストが掛かかるため、すぐに導入・運用できるものではない。多くの企業が頭を悩ませている状況だ。こうしたなか、この課題を「人工知能」というアプローチで解決しようとしている企業がある。カラフル・ボードである。「以前、アパレル系企業を中心としたコンサルティング業務を行っていた際、この業界には共通の課題があることに気がつきました。それは、『アパレル業界は"感覚"が非常に大事な業界のため、生産管理や在庫調整など、非効率なことが課題として残っている』ということです」と、カラフル・ボードの代表取締役CEOの渡辺祐樹氏は指摘する。ファッション業界の場合、アイテム数が多いため、それらの商品がどれくらい売れるのかを予測するのは非常に困難だ。経験豊富なスタッフが予測を立てても、その予測が当たらず、在庫を抱えてしまうケースも少なくない。なかには、人知れず廃棄されていく商品もあるという。渡辺氏は、その課題の解決に「人工知能」が使えるのではないかと考えたのだ。そこでカラフル・ボードでは、ユーザーの好みを学習する人工知能「SENSY」を開発。ユーザーごとに個別のSENSYを用意し、ユーザーの好みに合致する情報だけを収集した上で、ユーザーにその情報を提示する。「SENSYは、人の"感性"に着目しています。ファッションの場合、購入を決める要素は「色や柄」「形」「肌触り」「価格帯」などさまざま。これらの要素がそろった時に、初めて購買に結びついていきます。この要素の組み合わせによる反応を、SENSYは学習していきます」と渡辺氏。つまり、SENSYで作られるプラットフォームを使えば、アイテムを販売する前に、高い精度の需要予測が可能となるのだ。その結果、在庫の最適化も図ることができるようになる。人工知能を使うメリットは、ほかにもある。スタッフの経験など属人的なデータではなく、客観的なデータに基づいて戦略を立てられるようになるため、安定した結果が得られるのだ。「Eコマースのみならず、SENSYを実店舗の接客でも使おうという動きもあります。三越伊勢丹ホールディングスさまは、SENSYを使ってお客さまの好みにマッチしたアイテムの提案を行っています。この実例から、対面での接客に対してもSENSYが有効に使えるという結果が出ています」と渡辺氏は語る。SENSYは現在、ファッション業界を中心に展開しているが、ほかの業界に応用して活用することも可能だ。ファッション業界のように「属人的な経験」に頼った経営を余儀なくされている企業は、SENSYの仕組みを使って業務改善できる可能性が非常に高い。「例えば、グルメや音楽、旅行、ヘルスケアなどの業界でも有効活用できるポテンシャルを持っているはず。今後、こうしたジャンルの企業にもアプローチし、コンテンツを保持しているパートナー企業を増やしていきたいですね」と、渡辺氏は今後の展望を語った。○B2C/B2Bでの利用が進む人工知能プラットフォームこのように、SENSYをうまく活用すれば、多くの業界の課題が解決できそうだ。ここで気になるのが、導入の障壁だが、SENSYの導入は非常に容易だという。SENSYを導入する際にやるべきことは、Eコマースなどのサイトのソースに数行を加えるだけ。SENSYはサービスとして提供されているため、自社内でシステムを構築・運用する必要がないのだ。これなら、中堅・中小規模企業でも、簡単に導入できる。もちろん、もっと詳細にSENSYを活用したい場合は、APIを使ってシステム事態にSENSYを組み込むことも可能だ。「SENSYを使えば、接客はもちろん、売り場編成、供給の最適化など業務全体の効率化の支援はもちろん、デジタル広告やメールマガジン配信のパーソナル化といったマーケティング活動にも使えます。グローバル展開している企業などでは、国ごとの傾向をリアルタイムに把握するという使い方も可能です」と、渡辺氏は力を込める。接客・MD最適化・マーケティング活動といった一連のプロセスを大きく改善する、SENSY。もしこれを商品開発などに活用できれば、人間が思いつきもしなかった新しい商品や領域を生み出すかもしれない。人工知能が今後、企業にとって有効なツールになる可能性は大きい。
2015年11月06日UBICは10月29日、人工知能を用いた知財戦略支援システム「Lit i View PATENT EXPLORER(リット・アイ・ビュー パテントエクスプローラー)」の提供を開始すると発表した。初期費用は100万円(税別)、年額300万円(同)~。同システムは、2014年12月に発表したUBICとトヨタテクニカルディベロップメントが進めてきた共同開発を製品化。開発ではトヨタテクニカルディベロップメントが実際の特許分析調査のケースに基づいて、スコアリング手法の検討とフィードバックを行い、UBICが人工知能の調整を繰り返しながら、完成度を高めた。同システムによる特許関連書類の処理は「学習・解析・仕分け」の3ステップで行い、見つけたい文書(発明提案書、無効化したい特許資料等)の内容を「教師データ」として同社の人工知能に学ばせる。その後、対象のファイルを解析し、スコアリング(点数付け)して文書を仕分ける。仕分けの結果、教師データとの関連性の高い文書からスコア順に並び、調査の着手に優先順位が付けられることで、特許関連文書のレビュー効率が向上。開発時において同システムは、平均で約330倍、最大で約3,000倍のレビューの効率化を達成している。また、同システムは従来の特許関連書類の調査で用いられている「キーワード検索」「類似検索」「概念検索」などの絞込みよりも、さらに踏み込んだ分析が可能で「Landscaping(ランドスケイピング)」という機械学習の手法により、解析を行う。Landscapingは少量の教師データを基に、膨大なデータを解析し、判断できることが特徴だという。特許分析調査で見つけ出したい内容を必要な教師データを学習し、関連性の高さを判断するだけでなく、不要な教師データも学習して、判断・解析することも可能だ。さらに、スコアリングを行う際、文書のページ単位ではなく、段落単位できめ細かく結果を表示できるため、容易に該当カ所の確認などが可能となり、案件数の多い先行技術調査や無効資料調査をはじめ、特許調査関連のさまざまな用途において効率化を実現している。現在、同システムは電子関連企業などからの引き合いがあるといい、同社ではメーカーを中心とした企業の研究開発部門、知財部門、学術機関、特許事務所などに対し、同システムを提供していく。
2015年10月30日日立製作所は10月26日、人工知能技術を活用して、企業の売上向上やコスト削減といった経営課題の解決を支援する「Hitachi AI Technology/ 業務改革サービス」を11月2日から販売開始すると発表した。価格は個別見積もり。同サービスは、日立が開発した人工知能技術の1つである「Hitachi AI Technology/H」を活用して、ビジネスに関連する大量かつ複雑なデータの中から、組織の重要な経営指標(KPI)との相関性が強い要素を発見し、業務改革施策の立案を可能にするもの。Hitachi AI Technology/Hは、従来、専門家の知見ではKPIとの関係が薄いと考えられ、分析や仮説の立案に使用されていなかったデータからも重要な要素を発見し、専門家の思考に頼らない革新的な改善施策を立案できるという。同社によると、同サービスは研究開発の段階も含めて、金融、交通、流通、物流、プラント、製造、ヘルスケアなどの多くの業種で、売上向上、リスク低減、コスト削減を実現しているとのことだ。例えば、小売業において、顧客の来店から購買に至るまでの行動に関する購買行動データや、購買の結果である販売データなどから、顧客の購買単価を向上させる施策を導き出すことができたという。
2015年10月27日●人工知能のIQは1万!?ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、そのプレゼンを「Singularity」(シンギュラリティ)というテーマで切り出した。同代表によれば、人工知能が人間の脳の限界を越える日も近いという。そのとき、人類には何がもたらされるのだろうか。本稿では、都内で22日に行われた「ソフトバンクアカデミア特別講義」で孫正義代表が語った内容の一部を紹介したい。○人工知能のIQは人間の100倍に?孫正義代表は「人間のIQの平均値は100で、200もあれば天才とされる。ところがコンピューターの人工知能は、今後30年ほどでIQが1万に達する。40億年とも言われる地球の歴史上で初めて、人類の知能を越える存在が出現する」と説明した。同氏によれば、コンピューターに組み込めるトランジスタの数は、2018年に人間の脳細胞の数(300億個)に到達。さらに、その後30年かけて人類の脳細胞の100万倍にまで増加し続けるという。コンピューターは人間に勝てるはずがない――。従来はそう考えられてきた。人間は見て、聞いて、触ってという経験を通じて自己学習(ディープラーニング)し、それに基づいて考え、予測し、創造する。一方でコンピューターは、人間がプログラミングして動かす。だからコンピューターは人間に勝てるはずがない、という理屈だ。しかしそれは、コンピューターを数少ないトランジスタで動かしていた時代の常識。孫代表は「有り余るほどのトランジスタをもってすれば、コンピューターにもディープラーニングさせることが可能になる」と分析する。つまり“コンピューターが勝手にどんどん賢くなっていく”、そんな時代がやって来るという。西暦2040年前後には、ロボットの数も地球上の総人口を上回ると予測。孫代表は「ロボットと言っても身近なIoTから、自動操縦できる乗用車、Pepperのようなスマートロボットまで色々あるが、人間の知能を遥かに越えたスマートロボットがウジャウジャしている、そんな時代が来る」と語った。●ロボットが溢れる世界は素晴らしいのか○ロボットと人間の関係性はどうなる?そうなると気になるのが、ロボットと人間の関係性だ。Singularityは、人類にとって良いことなのか悪いことなのか、進化なのか破滅なのか。孫代表は「私は楽観的に考えている。人類にとって、きっと素晴らしいものになると信じている。人類の知能を越えたコンピューターだから、この地球を破滅に導くようなことは避けるだろう。人類は知的ロボットと共存し、より良い社会をつくっていくだろう」と話した。ここで舞台には、ソフトバンクグループの代表取締役副社長であるニケシュ・アローラ氏が招かれた。孫代表は「情報革命は人をより幸せにしてくれる」とし、Singularityの訪れも楽観的に捉えている。これに対して、ニケシュ・アローラ副社長は慎重派。「IQが1万に到達したコンピューターを誰がコントロールするのか」「コンピューターが人にやかましくアドバイスするようになったら」と懸念材料を並べた。孫代表は「コンピューターは、コンピューター自身がコントロールする」「人はコンピューターに依存するようになる。すると、人間が行う知的作業の生産性を高められる」と回答。ニケシュ・アローラ副社長が「人類はコンピューターに支配されてしまうのではないか」と質問すれば、孫代表は「いや、共存できると思っている」。好対照なこの2人だが、ニケシュ・アローラ副社長も最後には折れて「孫社長は楽観的ですね。それで2人でバランスがとれている」と楽しそうに笑った。●Pepperは「良い」ロボット○悪いロボットも必要?情報革命が人を幸せにする例として、孫代表は「医師が行うアドバイスは今後、DNAや血液情報などをもとに、コンピューターが行えるようになる」と説明。ニケシュ・アローラ副社長が未来の交通事情について尋ねると、孫代表は「今後も四輪車は残る。でも人間がコントロールしない方が安全。コンピューターと一緒にドライブを楽しむ、というシチュエーションになるのではないか」と持論を展開した。IQの点では、人類より頭の良いスマートロボットが開発される。だからこそ、孫代表はロボットに「心」を持たせることにこだわっている。「IT業界で叫ばれているような、生産性向上の一辺倒には陥りたくない。だからこそ、私たちは優しい心を持ったPepperを開発した」と孫代表。ここでニケシュ・アローラ副社長が「人間でも冷たい人はいる。そうすると、悪い感情を持ったロボットも必要になるのでは」と問うと、孫代表は「人間と同じで、バランスは必要」。この回答に、ニケシュ・アローラ副社長は「では良いPepperはソフトバンクが開発して、悪いPepperはほかの会社に任せましょう」と応じて、会場の笑いを誘った。「Pepperを迎えた家族が、ハッピーになれるようにしたいんです」と孫代表。未来のロボットについて話題は尽きないようで、「会社を300年存続させるには」「リーダーシップとは」といった別のテーマに移った後も、度々、Singularity後のロボットについて熱く語り合う2人の姿があった。
2015年10月23日国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は10月16日、低酸素ストレスにさらされたラット胎児の発育不良を人工赤血球で予防することに成功したと発表した。同研究はNCNP精神保健研究所知的障害研究部の太田英伸 室長、神経研究所疾病第二部の李コウ 研究員、奈良県立医科大学の酒井宏水 教授、東北大学、早稲田大学、崇城大学、理化学研究所によるもので、10月16日に英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。同研究では、妊娠高血圧症候群で低酸素ストレスが加わる胎児への治療法を開発した。妊娠高血圧症候群は約5%の妊婦に発症し、重症例では母体死亡、胎児・新生児死亡を引き起こす。特に、高齢出産が進む日本では増加傾向にある。これまで同症候群の原因物質として胎盤由来の可溶型VEGF受容体-1(sFlt-1)などが発見されており、これらの物質が胎盤血管を狭小化し血行不全を引き起こすため、胎盤の血液循環が妨げられ母子間のガス交換、栄養物質の運搬、老廃物の代謝が低下し、胎児が低酸素状態・子宮内発育不全になることがわかっている。そこで同研究グループは、狭小化した胎盤血管を通過できる小粒径(250nm)でかつ高い酸素運搬機能をもつ人工赤血球を用いて、母体胎盤および胎児の低酸素状態を改善。その結果、妊娠高血圧症候群の原因物質である母体血中のsFlt-1が低下し、胎児発育も促されることを確認した。また、低酸素ストレスが与えた胎児の脳へのダメージも人工赤血球の投与で抑えられることがわかった。今後、人工赤血球をベースとした新しいタイプの輸液を作製することで、妊娠高血圧症候群の治療法として帝王切開や早産など妊娠の終了だけでなく、その症状を軽減させる輸液療法も選択肢の1つとなる可能性が期待される。
2015年10月16日NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月8日、米国IPsoftと提携し、人間の自然な会話や書き言葉を高い精度で解析する人工知能(AI)を活用した対話業務支援サービス「Virtual Assistant」を2016年夏より提供開始すると発表した。同サービスにより、コールセンターの一次受付や店頭窓口、アウトバンド要員をクラウド上のAIに置き換えることが可能で、オペレーター/販売員の後方支援としても利用できる。また、自動応答に加え、請求書発行業務やメール送信、資料の発送など、応対に伴って発生するビジネスプロセスの処理も行いながら、一人称で応対を完了することができる。例えば、コンタクトセンターなら、エンドユーザーの予約受付/トラブル相談/各種手続きなどを、自然言語による対話を通じて一人称で応対し、曖昧な質問には最適な問い直しを行い、問題を特定できる。問い直しは同サービスが自動的に判断して行うため、従来必要だった問い直し部分のシナリオの作成は不要となるという。解決できない問題や複雑な要請は人間のオペレーターに自動エスカレーションするとともに、オペレーターの応対を自動学習し、次回以降の応対に生かす。同社は商用サービスの提供に先立ち、2016年2月より開始予定のPoC(Proof of Concep)における参加企業を募集し、さまざまな利用シーンでの活用実証実験を重ねることで、サービス品質の向上を進める。
2015年10月09日日本航空(JAL)と日立製作所(日立)は10月5日、同日から約3カ月間、日立グループが開発したIoT(Internet of Things)と人工知能の技術を活用して、JALの従業員満足度の向上を目指す共同実証実験を開始すると発表した。実証実験では、ワークスタイル変革の施策や従業員満足度の関係性の発見に取り組む。具体的には、JALの間接部門で働く従業員約80名を対象に、日立グループが開発したIoTデバイス(名札型ウェアラブルセンサー)を用いて従業員の身体運動を把握。その身体運動の特徴パターンから集団の活性度を定量的に算出した「組織活性度」、従業員の属性や担当業務の特性、ワークスタイル変革施策の実施状況などのデータを組み合わせ、日立の人工知能を用いて分析を行う。日立の人工知能は、従来は人手で行っていた仮説設定・検証の自動化を実現するもの。実証実験により、「組織活性度」に影響する要素とその影響度を算出することができるため、JALグループにおけるワークスタイル変革施策の成果に関する分析や新たな施策の検討に役立てることが可能としている。JALグループは、ITツール導入などによる業務の効率化だけではなく、従業員一人一人が成長し、それにより得られる従業員満足度の向上をワークスタイル変革の最終的な目標としている。
2015年10月06日神奈川大学は9月30日、「何世代にもわたって細胞分裂できるモデル人工細胞」の構築に成功したと発表した。同成果は同大学理学部の菅原正 教授らの研究グループによるもので、9月29日の英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。菅原教授らはこれまでの研究で、細胞膜に見立てたジャイアントベクシルという直径3~10μmの人工分子膜でできた袋が、外部から膜分子の原料を取り込み、膜内でその原料から膜分子を作り出すことで自らを成長・分裂させ、さらに内部で染色体のモデルであるDNAを増幅することを報告していた。しかし、分裂後はDNAの複製に必要な原料分子が枯渇し、親細胞と同様の効率よい分裂を行わせることができなかった。今回の研究では、DNA複製の原料を外部から摂取する方法を開発し、DNAが枯渇した子供細胞に、内部でのDNA複製能力を回復させ、孫細胞を作らせることに成功。さらに、この人工細胞では現実の細胞と同様に摂取期、複製期、成熟期、分裂期を巡回する周期性が存在することを確認した。今後、この人工細胞が繰り返し分裂していく中で優れた形質をもつ「変異種」が出現し「進化」するモデル人工細胞が誕生する可能性もあるという。同研究グループは今回の成果について「物質からどのようにして生命が誕生したかの謎の解明に通じる研究であり、原始地球での生命誕生や、原始生命からどのような形で萌芽的な進化の仕組みを備えるに至ったかを知る手がかりになる」としている。
2015年09月30日NTTデータは2015年10月1日付けで、同社グループにおける人工知能(AI:Artificial Intelligence)の応用ビジネスを推進するための組織として、「AIソリューション推進室」を技術開発本部サービスイノベーションセンタ内に設置すると発表した。AIソリューション推進室は、NTTの研究所が保有する人工知能技術(音声認識、画像認識、自然言語処理、知識処理、機械学習など)と、NTTデータが保有する情報活用ノウハウ・プラットフォームを組み合わせ、人工知能を活用した幅広いシステム・サービスの創出などを目的としたもの。当初は、人工知能技術のスペシャリスト20名の体制で活動を開始し、順次体制を拡大していく。同社はすでに、「融資審査やマーケティング分析のミドルオフィス業務における意思決定・知的判断の支援 」「窓口やコンタクトセンターの顧客対応業務における手続き、商品などの相談支援」「オフィス、公共施設、店舗などでのグローバルなコミュニケーションの支援」「スマートフォンなどのモバイル端末や人型ロボットを介したコンシューマー向け対話型サービス」において、人工知能の応用を進めている。同社は人工知能関連のシステムおよびサービス提供で、2018年度までに累計200億円の売上を目指す。
2015年09月30日UBICは9月25日、人工知能の成長を可視化することに成功、人工知能の成長過程を視覚的に把握し、テキスト解析の精度を効率的に向上するコンサルティングサービスの提供を開始すると発表した。同社は、人工知能によるEメール自動監査システム「Lit i View EMAIL AUDITOR(以下、EMAIL AUDITOR)」により、企業内の大量のメールを自動的に監査し、企業が防ぎたいリスクを発見するソリューションを提供している。「EMAIL AUDITOR」に搭載された人工知能「バーチャルデータサイエンティスト(以下、VDS)」が、豊富な経験をもつ監査人(社内外の監査スタッフや弁護士など)から不正を判断する特徴を学び、監査人がすべてチェックすることが不可能な大量の電子メールのテキストから、情報漏洩やカルテルなど不正行為への関与の疑いがあるコミュニケーションや行動を、監査人に代わって見つけ出すというものだ。今回提供開始となったサービスは、EMAIL AUDITOR導入企業に対するコンサルティングサービスとして提供される。人工知能の成長を測定するポイントは、監査人が「不正に“関連する”と判断した文書」と「不正に“関連していない”と判断した文書」が、正しくスコア付けされているかどうかで判断。成長プロセスは、「成長初期」、「成長期」、「成熟期」の3つの段階に分けることができ、成熟期に到達すると、安定したメール監査機能としての稼働が確認できたことになる。同社では、VDSの学習機能が適切に働いているかどうか分析するコンサルティングを行ってきたが、今回の可視化の手法を用いることによって、従来よりも、より直感的に人工知能の成長過程を把握することが可能になり、成長の精度やスピードが適正であるかどうかを容易に判断することができるようになったという。
2015年09月25日信州大学は9月14日、独自の人工タンパク質を用いた「タンパク質ナノブロック(PN-Block)」を開発し、複数種類の超分子ナノ構造複合体を創り出すことに成功したと発表した。同成果は同大学大学院総合工学系研究科博士課程3年の小林直也氏、同大学学術研究院繊維学系の新井亮一 助教、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の雲財悟 助教らの共同研究グループによるもので、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」の9月9日発行号に掲載された。同研究グループは、独自の二量体人工タンパク質と三量体ファージタンパク質を融合することで「PN-Block」を開発し、樽型(ラグビーボール型)や正四面体(テトラポッド型)などの超分子ナノ構造複合体を自己組織化により同時に創出することに成功した。同技術は将来的に次世代半導体のための有機無機ハイブリッドナノ材料開発、次世代医薬品のためのドラッグデリバリーシステムや人工ワクチン開発などへの応用が期待されるという。
2015年09月14日トヨタ自動車はこのほど、米国のマサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)と、人工知能に関する研究で連携していくことに合意したと発表した。今後5年間で同社は、合計約5000万米ドルの予算を投じ、CSAILおよびSAILそれぞれと連携研究センターを設立する。今回設立される両連携研究センターでは、人工知能をクルマやロボットへの応用を目指し、「様々な環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」などを実現するための研究を推進する。CSAIL所長のダニエラ・ラス教授は「我々の研究チームでは、周囲の環境を認知し、安全な走行を実現するための先進的なクルマのアーキテクチャーを研究する。一連の研究は、交通事故死の低減や、事故を予防するクルマの開発にも大きな役割を果たすと考えている」と述べた。SAIL所長のフェイフェイ・リ教授は「我々は、スタンフォード大学が誇る視覚情報処理および機械学習、大規模データ解析などの技術に基づいて、クルマが様々な状況下で物体や人の動きを認識、予測し、安全で適切な判断をするための技術に取り組んでいく」と語っている。また、トヨタは、米国国防総省の国防高等研究計画局が主催する災害救助用のロボット競技大の元プログラムマネージャーであるギル・プラット博士を招聘し、同博士の協力のもとクルマやロボットの知能化研究を強化していく。本連携研究センター設立には同博士も関わっており、両連携研究センターで今後実施する研究やその活用も博士の助言を得ながら推進していく。トヨタは、今後の産業技術の基盤を担う人工知能に関する研究開発をより一層強化し、本連携研究の成果は自動車やロボット、情報サービスなど将来の製品開発に幅広く応用していくとのこと。
2015年09月07日BI.GarageとUBICは9月7日、BI.Garageのソーシャルメディアマーケティングに関する知見と、 UBICが保有する人工知能技術を組み合わせ、人工知能を活用したSNSマーケティング支援サービスの提供に向け協業したことを発表した。サービスの第一弾として、BI.Garageが2009年より開発・提供しているTwitterアカウント運用支援ツール「Tweetmanager」に、UBICが開発した人工知能「バーチャルデータサイエンティスト(Virtual Data Scientist、以下VDS)」およびVDS関連技術との連携機能を追加する。VDSがTwitter上に投稿される大量のテキストを短時間で解析し、その結果から導かれるユーザーの属性情報などをマーケティング戦略に取り入れることで、Tweetmanagerの利用企業はより効果的な施策を実施することが可能となる。両社は今後、連携をより一層深め、Twitter運用を行ううえでリスクになる可能性のあるツイートを自動監査し通知するシステムの開発を進めるなど、ソーシャルメディア領域でのサービス展開を継続して推進していくという。
2015年09月07日トヨタ自動車は9月4日、米国マサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory:CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(Stanford Artificial Intelligence Laboratory:SAIL)と、人工知能に関する研究で連携することに合意したと発表した。両連携研究センターでは、クルマやロボットへの応用を目指し、「さまざまな環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」などを実現するための研究を推進する。同社は、DARPA Robotics Challenge(米国国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救助用のロボット競技大会)の元プログラムマネージャーであるギル・プラット(Gill A. Pratt)博士を招聘し、同博士の協力の下、クルマやロボットの知能化研究を強化していく。連携研究センター設立には同博士も関わっており、両連携研究センターで今後実施する研究やその活用も博士の助言を得ながら推進していく。
2015年09月07日トヨタ自動車(トヨタ)は9月4日、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)およびスタンフォード大学のスタンフォード人工知能研究所(SAIL)と、人工知能に関する研究で連携していくことに合意したと発表した。今後5年間でトヨタは、合計約5000万ドル(約60億円)の予算を投じ、CSAILおよびSAILそれぞれと連携研究センターを設立する。両連携研究センターでは、クルマやロボットへの応用を目指し、「さまざまな環境における物体の認識」「高度な状況判断」「人と機械との安全な相互協調」といった技術の研究を推進するとしている。また、トヨタはDARPA Robotics Challengeの元プログラムマネージャーであるギル・プラット博士を招聘し、同博士の協力のもとクルマやロボットの知能化研究に取り組んでいく。両連携研究センターで今後実施する研究やその活用もプラット博士の助言を得ながら進めていくこととなる。今回の連携研究に関し、トヨタは「今回の連携では、クルマに留まらず、お客様の暮らし全般をより良いものにすることを目標に、研究に取り組んでいく。人工知能研究の最先端を走る米国のトップ2大学および、プラット博士との協力のもと、これまでにない新たなテーマに挑戦し、トヨタの研究開発を大きく飛躍させていきたい」とコメントしている。
2015年09月07日伊勢丹新宿店では、9月16日より、カラフル・ボード株式会社が提供する人工知能を使ったファッションアプリ「SENSY(センシー)」を活用した“人工知能接客サービス”を開始する。同店内では、このプロジェクトの一環で、8月26日から「SENSY」のプロモーションビデオを放映している。「SENSY」とは、慶応義塾大学と千葉大学との共同開発でリリースされた人工知能が搭載された無料のファッションアプリ。同アプリ内にインプットされている提携ブランドの服を、ユーザーが“好き”“嫌い”で分類していくことで、人工知能がファッションセンスを学習し、好みにマッチした商品を提案してくれる。同アプリと提携しているファッションブランドは、2,500以上で、モデルやスタイリストなど、有名人のファッションセンスも手に入れることができる「センスリンク機能」も搭載。選んだ商品を実際に購入できるECサイトへアクセスすることもできる。“人工知能接客サービス”は、自身のスマートフォン等や店頭販売員がタブレット端末にインストールされた「SENSY」を使って接客するサービスで、「SENSY」が来店客の好みを解析、よりパーソナルなアイテム提案を行うというもの。同店担当者によれば、「将来的には、『SENSY』をヒト型ロボットやデジタルサイネージにインストールさせ、“人工知能に相談しながら買い物する”という新しいショッピングの形を実現したい」と話す。現在、同店本館2階ウエストパーク、同店メンズ館インターナショナルクリエーターでは、「SENSY」のプロモーションビデオを放映している。9月16日からは、メンズ館1階プロモーションスペースで、実際に「SENSY」を体験できるサービスを実施する。この際は、「SENSY」と連動するブランドは30を超え、雑誌『SENSE(センス)』との連動企画も用意している。10月28日からは、メンズ館2階、6階、7階の商品を中心に、コーディネート提案できるサービスを開始予定。またレディスフロアでも、9月16日から雑誌『SPUR(シュプール)』と「SENSY」が連動した企画「SPUR MUSEUM~モードの頭のなか展~」も実施するという。
2015年09月03日みずほ情報総研とみずほ銀行は8月28日、共同で実施したIoTと人工知能に関する産業・社会の動向調査の結果として、「みずほ産業調査『IoT(Internet of Things)の現状と展望 -IoTと人工知能に関する調査を踏まえて-』」を刊行した。同レポートは、みずほ銀行のWebサイトからダウンロード可能。両社は、今後あらゆる産業・企業に大きな可能性とインパクトをもたらすと想定されるというIoTを中心に、国内外の産業・企業動向の他、先進的なテクノロジーの進展・活用動向などに関する調査を実施。その結果を受けて、未来の産業やライフスタイルの姿を示したレポートを「みずほ産業調査」として共同でまとめた。同レポートでは、まずIoTの全体動向としてIoTの概念整理から始め、昨今の市場動向や国内外の産業・企業動向などを示した上で、普及に向けた課題や日本企業におけるIoTへの取り組みの方向性についての示唆を提示した。次に、IoTの応用分野として移動・物流、生活・くらし、ものづくりを取り上げ、IoTが実際に社会の中でどのように実現するのか、IoTによって社会がどのように変わるのかといった点について、最新の活用事例を含めて紹介している。また、IoTを支える基盤に着目して人工知能とセキュリティの動向を解説している他、IoTに関連する最前線の領域で活躍する有識者へのインタビューを通じて、IoT時代を切り拓く人材の姿を示した。同レポートはPDF形式であり、表紙・裏表紙を含め全174ページ。
2015年08月31日みずほ情報総研とみずほ銀行は28日、IoT(※)と人工知能に関する産業・社会の動向調査を行い、このたび「みずほ産業調査『IoT(Internet of Things)の現状と展望 ―IoTと人工知能に関する調査を踏まえて―』」として共同で刊行したと発表した。なお、同調査レポートは、みずほ銀行のホームページよりダウンロードできる。(※)レポートでは、"モノ、ヒト、サービスの全てを包括したインターネット化による価値創造"と定義。○日本でも重要施策の一つとしてIoTへの取り組みが掲げられている近年、モノとインターネットの融合により新たな付加価値を創造するIoTへの注目が高まっているという。米国や欧州を中心に、さまざまな産業や企業において、IoTを戦略に掲げた取り組みが進められていることがその背景にあり、日本でも、6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015 ―未来への投資・生産性革命―」に、重要施策の一つとしてIoTへの取り組みが掲げられている。また、ソーシャルコンピューティングの普及やビッグデータ活用の本格化、人工知能やロボットの高度化など、テクノロジーは加速度的に進化を続けており、注目すべき新たな取り組みも次々と登場してきているという。このような新たなテクノロジーの登場・進化とその普及・進展は、産業構造や企業の競争環境の変革にとどまらず、個人のライフスタイル等も含めた社会全体に大きな影響を及ぼすものと考えられるとしている。こうした大きな変革の波の中で、テクノロジーの動向と、テクノロジーがもたらす産業・社会への影響を把握しておくことは、企業が戦略や経営の方向性を決定する上でますます重要だという。こうした観点から、みずほ情報総研とみずほ銀行では、今後、あらゆる産業・企業に大きな可能性とインパクトをもたらすことが想定されるIoTを中心に、国内外の産業・企業動向のほか、先進的なテクノロジーの進展・活用動向等に関する調査を行い、未来の産業やライフスタイルの姿を示したレポートを「みずほ産業調査」として共同でまとめたとしている。同調査レポートでは、まず、IoTの全体動向として、IoTの概念整理から始め、昨今の市場動向や国内外の産業・企業動向等を示したうえで、普及に向けた課題、日本企業におけるIoTへの取り組みの方向性についての示唆を提示。次に、IoTの応用分野として、移動・物流、生活・くらし、ものづくりを取り上げ、IoT が実際に社会の中でどのように実現するのか、IoTによって社会がどのように変わるのかといった点について、最新の活用事例を含めて紹介している。また、IoTを支える基盤に着目し、人工知能とセキュリティの動向を解説しているほか、IoTに関連する最前線の領域で活躍する有識者へのインタビューを通じて、IoT時代を切り拓く人材の姿を示したという。みずほ情報総研とみずほ銀行は、我が国の産業の発展と、顧客の企業価値向上に貢献するために、今後も協力して取り組んでいくとしている。
2015年08月31日データセクションは8月20日、人工知能(ディープ・ラーニング)を活用した「Web画像フィルタリングサービス」の提供を開始した。利用料金は月額10万円(税別)~となる。同サービスはAPI経由で提供され、Web上に多数存在する画像を自動判定し、ジャンル分類を行う。例えば、裸や事件などの不適切画像を自動で判定することで、自社メディアや掲示板、SNSなどに不適切な画像が投稿された場合でも、掲載前に自動で除外可能となる。また、学習データ(顧客が保有している画像判定したいデータ)を用意することで企業ごとのカスタマイズが可能になり、顧客ニーズに沿ったサービス提供を実現する。これにより、さまざまな画像の中から、性的・官能的な画像や凄惨な画像といった不適切画像を高精度かつ低コストで判定可能となる。同社は今後、さらなる高精度化を図るほか、動画・音声領域への展開や広告などのリコメンド領域での活用を目指す。また、同技術を利用するサービス展開にも取り組んでいく意向だ。
2015年08月21日LINEは8月7日、日本マイクロソフトが開発・提供する人工知能「りんな」を活用した、人工知能(AI)型のLINE公式アカウントを提供すると発表した。LINEの企業向けAPIソリューション「LINE ビジネスコネクト」を利用している。LINEは2012年6月より企業向けにLINE公式アカウントの提供を開始し、これまで国内外で300を超える企業やブランドに導入されているという。また、2014年2月にはLINE公式アカウントの各種機能を企業向けにAPIで提供し、各企業がカスタマイズして開発・提供できる「LINE ビジネスコネクト」を発表。従来のLINEユーザーへの一方通行のメッセージ配信のみならず、特定のユーザーに対してより最適化されたメッセージ配信や双方向コミュニケーションなどを可能にしている。今回、提供を開始する人工知能(AI)型のLINE公式アカウントは、LINEの企業向けAPIソリューション「LINE ビジネスコネクト」と日本マイクロソフトが開発・提供する人工知能「りんな」の会話エンジン技術を活用し、企業向けの新たなマーケティングソリューションとして提供するもの。このサービスの導入により、企業は、LINE公式アカウントでの個々のユーザーとの会話内容をもとに、おすすめの商品や必要な情報を提供したり、ユーザーからのさまざまな問い合わせに対し、的確にLINE上で対応しつつ、オペレーターの人的コストを削減したりといったことができるようになり、新たなCRM/マーケティング・ツールとして、LINE公式アカウントを有効に活用できるという。なお、企業での導入に先駆け、日本マイクロソフトのLINE公式アカウント「りんな」(LINE ID:@ms_rinna)を公開しているので、ユーザーは「りんな」と会話を楽しみ、企業は自社の導入検討の参考にすることができる。
2015年08月10日LINEは7日、企業向けAPIソリューション「LINE ビジネスコネクト」と日本マイクロソフトが開発・提供する人工知能「りんな」を活用した、人工知能(AI)型のLINE公式アカウントを企業向けに提供すると発表した。新たに提供される人工知能(AI)型のLINE公式アカウントは、企業向けの新たなマーケティングソリューションとして提供されるもの。「LINE ビジネスコネクト パートナープログラム」認定の公式パートナーであるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、トランスコスモスを通じ「LINE ビジネス」対応ソリューションのひとつとして「りんな API for Business」を提供、企業のLINE公式アカウントに実装することで導入可能となる。同サービスを導入することで、企業は、LINE 公式アカウントでの個々のユーザーとの会話内容を元に、おすすめの商品や必要な必要な情報を提供したり、ユーザーからの問い合わせに対し、的確にLINE上で対応しつつ、オペーレーターの人的コストを削減したりなど、新たなCRM/マーケティングツールとして、LINE公式アカウントを活用できるとしている。
2015年08月08日LIPは14日、人工知能による入会審査をパスした大学生・大学院生のみが入会できるSNS「Lemon」のユーザーエントリー受付を開始した。利用料は無料。「Lemon」は、「30%以上の既存メンバーとの親和性がある」と人工知能に判定された場合のみ入会できるという、大学生・大学院生向けのSNS。アプリではなく、Webブラウザを介して利用できる。6月25日より、完全招待制でベータ版を運用開始しており、海外留学生、モデル、ライターなどの経歴を持つ大学生などが加入している。サービスには、親和性が高い相手を人工知能で検出し、毎日相互に紹介する「メンバー紹介機能」や、自由に書き込み・コメントができる掲示板「ボード機能」などがある。また、公式特別アカウントとして数名の難関企業ヘッドハンター、芸能プロダクション関係者が登録されており、メンバーに対しスカウトが届くこともあるという。サービス開始当初は、大学生・大学院生限定だが、今後は社会人のエントリーも可能になる予定だとしている。なお、審査方法に関する詳細は公開されていない。
2015年07月14日人工知能や自然言語処理などを活用したサービスを提供するクーロンは7月7日、Webメディア向けに機械学習・自然言語処理・行動分析に基づく独自の人工知能「フェアプレイアルゴリズム」を搭載したコメントシステム「QuACS」の提供を開始したと発表した。同システムでは、Webメディアに数行のコードを埋め込むだけで、読者が自由に意見や感想を投稿できるコメント欄を設置することができる。また、読者がコメント欄に投稿した言葉や文章の意味を解析する「文章評価」機能を搭載しており、誹謗中傷や罵詈雑言、差別用語、人権侵害、公序良俗に反する内容、違法取引、出会い目的などの内容を人工知能が自動的に判断し、フィルタリングすることが可能。さらにWebメディアごとのガイドラインやポリシー、トーン&マナーなどに応じて、フィルタリングの強弱が設定できるため、媒体が持つ独自の雰囲気をコメント欄でも醸成することが可能となっている。同社は、同システムの海外展開を2016年春ごろに計画しているほか、国内ではWebメディア以外にも、ブログやレビューサイト、各種掲示板などへ順次導入を進めていく考えだ。
2015年07月07日物質・材料研究機構(NIMS)と京都大学は6月26日、金属基板の上で超分子を用いた人工分子モーターを作製し、その回転方向を制御することに成功したと発表した。同成果は物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)の内橋隆 MANA研究者、ジョナサン・ヒル MANA研究者、中山知信 ユニット長、クリスチャン・ヨアヒム MANA主任研究者(フランスCEMES/CNRSグループリーダー兼任)らのグループと、京都大学化学研究所の小野輝男 教授らによるもので、米化学会発行の「Nano Letters」に掲載された。生体内のATP合成酵素などに代表される分子モーターは、回転子などの部品が分子によって構成されており、回転動作を行うことでエネルギーの生成や消費を行い、生命活動の基礎を担っている。化学合成の手法を用いることで溶液中で人工分子モーターを作製に成功した例は多く報告されており、固体基板上で作製した例もいくつか報告されている。しかし、人工分子モーターではモーターを構成する部位が共有結合という強い結合によって結び付けられていることから、モーターの回転方向を反転させることが難しく、挙動の柔軟性に問題があった。今回の研究では、超分子を分子モーターの構成部品に用いることでこの問題を解決した。超分子は複数の分子が共有結合より弱い水素結合などによって結ぶついており、分子の設計によってその結合力を調整することができる。研究では、ポルフィリンという有機分子に3本の「足」をつけ、さらに結合のための「手」を1つつけることで、2つのポルフィリン分子が結合して超分子を作り、さらに基板上で滑らかに動くように設計。この超分子に電流を注入したところ、分離することなく全体で回転運動をし、注入する電流の電圧を負の値にすると超分子内で分子同士の結合の組み替えが起こり、回転方向を反転させることができたという。同研究グループは「今後は、さらに複数の超分子を組み合わせてより複雑で高機能なナノスケールの機械的システムの構築を目指す」とコメント。また、今回開発した人工分子モーターが、自己組織化や自己修復の性質を持つため、周りの刺激に応じて自らの機能を変化させていく、生物のような柔軟なシステムの構築に開発につながる可能性があるとしている。
2015年06月29日