米Googleが2010年に明らかにした自動運転車が大きな一歩を踏み出す。Googleは米国時間15日、自社が設計した自動運転車のプロトタイプについて、今年夏に公道でのテストを開始することを明らかにした。Googleは2010年に自動運転車の取り組みを発表、それまではLexusなどの一般自動車にソフトウェアやセンサーを搭載した自動運転車の実験を行ってきた。2014年12月、Googleは自動運転向けに自分たちで完全設計したプロトタイプ自動車を披露した。このプロトタイプ自動車はこれまで、テスト施設でソフトウェアとセンサーの動作などのテストを重ねてきたが、今夏よりGoogleの本社があるカリフォルニア州マウンテンビューで、公道でのテスト運行を行う。このプロトタイプ自動車は、これまで自動運転車の実験で利用してきた「Lexus RX450h SUV」と同じソフトウェアを利用しており、すでに合計で100万マイル(約160万キロ)近くを自動走行しているという。最近では、走行距離が週1万マイル(約1.6万キロ)にアップしており、典型的なアメリカの成人運転手の75年分の経験を積んだとしている。Googleによると、テスト運転では速度を最高で時速25マイル(約40キロ)に抑え、運転手を乗せて行う。運転手が必要に応じて人間による運転を行えるように、取り外し可能なハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダルを装着する。この実験を通じて、市民の反応や他の車との関係などを見ていきたいとしている。また、工事や渋滞などが原因で目的地で停車できない場合にどうすべきかなど、自動運転車特有の課題を見ていきたいとも記している。
2015年05月18日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。○マンションか戸建か - 再び書き出して探る本音のありか土地がある場合は別として、土地から購入して戸建住宅を手に入れるのは一般の勤労者にはなかなか難しいものです。従って選択の余地はなくマンション住まいとなります。価値観の違いによりマンション派、戸建派もありますが、一般的に資産価値の面からは戸建に軍配があがりそうです。ただし立地の良いマンションにはそれなりの資産価値がありますので、自分達の価値観を整理するために書き出してみましょう。マンションのメリット都心や立地のよいところに住める鍵一つで外出可能一時的に住まなくなっても賃貸が容易土地から購入するのと比較して価格が安い自ら維持管理する必要がない火災等の類焼の被害が少ない戸建のメリット建替えが自由・建替えないのも自由土地が財産として残る管理費が不要間取りが自由、自己表現ができるリバースモーゲージ(※)が容易(※リバースモーゲージとは:住まいを担保にして老後の資金を借り入れる制度で、死亡後に住まいを売却して精算するものです。1981年に武蔵野市でスタートしました。現在は厚生省の生活福祉資金貸付制度(窓口は各都道府県の社会福祉協議会)や地方自治体の独自の制度のほか、都市銀行でも扱っています。土地が担保対象であり、多くは戸建住宅のみが対象です)○間取りの配慮 - 自分のこだわりは永遠か?戸建住宅の場合、過剰に方位を重視したり、自分なりのこだわりに執着したりするケースがあります。一般に言われている方位は古(いにしえ)の時代に中国から導入されたもので、当時の中国の自然環境や社会環境に基づいています。そのままでは日本の自然環境に合うはずもなく、もちろん社会環境は別物です。最適な配置は地域の環境の違いや敷地の状況のほうが大きく影響するにもかかわらず、昔の中国に合わせる意味はどこにあるでしょう。また、昔と現代では住まいの性能や設備は天と地ほどの違いがあります。日本でも共通に使えた方位の考え方も現代では建物性能の向上により意味を成さなくなっています。昔ながらの方位に固執した間取りは使いにくいことが多く、住まいの資産価値にも影響します。方位をすべて満足させるとこうなるという間取りを顧客から見せてもらったことがありますが、動物園のバックヤードのような間取りで、当然建築を請負うことを断りました。本人達以外に誰も住みたいと思わないような間取りで、本人達もさぞ日々生活しにくいと思います。極端な事例ですが、方位に限らず、あまり自分達のこだわりを押し出すと、資産としての価値が低減しかねません。また自分達の価値観が永遠とは限りませんし、家族構成は子供の成長と共にあっという間に変化するでしょう。自分たちも将来使い勝手が悪くなる可能性も孕んでいます。住まいはある程度汎用性を持たせて設計しておくほうが、将来にわたって快適に使えるだけでなく、資産価値も維持できると思います。○中古マンション購入+リノベーション - 工藤夕貴さんのハリウッドリフォーム必ずしも望ましい傾向とは言えませんが、現在の日本の中古物件は実際の実力と比べて極端な低評価となっています。つまりお買い得なのです。最近安い中古物件を購入すると同時に、自分達の価値観に合わせたリノベーションを行うケースが増えています。出費を抑えつつ、戸建のメリットである間取りをある程度自由にアレンジし、自己表現できることが人気の理由です。そのための専用のローンも用意されていて、購入費用とリノベーションの費用を合わせて借り入れることが可能です。「住まいが資産である」ということと、「住まいに対する心構え」について説明するのに、工藤夕貴さんのケースを紹介することが良くあります。工藤夕貴さんがハリウッドで活躍している時代に、最初に2000万円程度の大型2DKの築27年のアパートを購入し、徹底的にリフォームしたそうです。壁を自分で塗り、マントルピースまで自作したために、かかった費用は60万円ほどだったそうです。2年後に倍の価格で売却し、プール付の戸建住宅を3700万円で購入し、3年間で400万円ほどかけてリフォームしました。当然アパートの時と同様に徹底的に自分の労力をフルに使って手直ししたそうです。日本に帰国する時に8000万円で売却できたそうで、まさに資産としては倍々ゲームです。彼女は本格的な電動工具も使いこなし、日本に帰国した現在はトラクターも運転するようです。日本人はあまり日曜大工や住まいの維持管理に積極的ではありません。特に女性は電動工具を使えない方も少なくないのではないかと思います。住まいはしっかりしたものを購入しまたは建築し、自らの労力を惜しまず使ってしっかりと維持管理すれば、高い資産価値を発揮します。またそうした住まいの価値が正当に評価される仕組みが今後の社会には必要です。次回のその点に焦点を合わせて考えてみたいと思います。「ハリウッド・リフォーム」については、工藤夕貴さんのオフィシャルウェブで詳しく説明されていますので、是非参考にしてください。「工藤夕貴のハリウッド・リフォーム」(※参考 : 過去のコラムでも「資産としての住まい」を取り上げています。是非ご参照ください)『マイホームのための街選び(3)--"資産としての住まい"を考えての街選びが重要』(※画像は本文とは関係ありません)<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年05月15日セタ・インターナショナルは5月13日、ベトナムのオフショア開発センターにおいて、設計段階から最終テストまでセキュリティを考慮した「セキュア開発チーム構築サポートサービス」を、オフショア開発のオプションとして6月より提供すると発表した。これまで、同社の顧客の多くは、近年増加するセキュリティ事故に備え、プログラム開発終了後に外部企業の脆弱性診断サービスなどを利用していたが、開発工期やコストが予定より多くかかってしまうというリスクを抱えており、より上流工程でのセキュリティ対策を講じるサービスへの要求が高まっていた。しかし、オフショア開発においては、開発ルームの入館セキュリティや開発環境へのセキュアな接続といった範囲の対策にとどまっているのが現状だった。こうした背景を受け、今回提供開始となる「セキュア開発チーム構築サポートサービス」では、ビルトインセキュリティの概念を導入し、開発工程全般にわたるセキュリティの向上を目指す。また同サービスの提供に先立ち、月額費用固定型契約の専任開発チーム「ラボ型開発」のチームスタッフはセキュリティ教育を受けており、日本品質に合ったセキュリティ意識の高いオフショア開発が実現可能となった。Basicプラン(5万円/回、税別)では、現状を把握するために、一般的な脆弱性テストである外部からの動的テストを行う。Advancedプラン(20万円/月、税別)では、静的テスト(ソースコードのセキュリティ・スキャン/SAST)を開発の各工程で繰り返し実施できる。さらにGoldプラン(個別見積が必要)では、設計レベルでのセキュリティチェックを実現するためのドキュメント作成支援などを行う。対象となるのは、同社とラボ契約を締結または締結予定のユーザー。対応言語は、.NET、PHP、JAVAなどで、AndroidやiOSなどは今後の提供を予定している。また同社は、今回キャンペーンとして、Basicプランを1社1回限定で2015年10月末日まで無償提供するという。
2015年05月14日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。○あらためて「資産」とは何? - 資産の意味を考えれば住まいが分かる!機会あるたびに「住宅を資産としてもしっかり捉える必要がある」ことを唱えてきました。もちろん住まいを金銭だけで捉えることもまた問題ではあります。住まいは家族の夢を実現する場であり、家族の生命と財産を守る器であり、自己を表現する場であり、かつ資産でもある…なのです。それでは資産とはそもそもどういうものなのでしょうか。会計上の正式な用語の使い方は別として、資産とはいつか使う予定のための、あるいは活用するための、あるいは収益を上げるための預貯金や動産・不動産などです。換金できないものや活用できないものは資産とは言えないでしょう。家電製品や家具はどうでしょうか。10年程度で耐用年数が来る家電などは消耗品の部類かも知れません。何代にもわたって使い続けられるしっかりした家具などは、換金できるかどうか分かりませんが、絶対に必要なものであれば、買えば相当な金額となるので「資産」の部類に入れられるかもしれません。では住まいはどうでしょうか。消耗品でしょうか。今までの日本では住まいの耐用年数は20数年と短く、消耗品的な扱いを受けてきた面は否めません。高度成長期においては住宅ローンで家計が破綻するケースは少なく、住まいを活用する必要性は、さほど認識していなかったかもしれません。しかし数千万円の費用を費やし、ローン総返済額はさらにそれよりも多くなる住まいが「資産」でなく消耗品であるとすれば大浪費でしょう。今の住まいは維持管理さえしっかり行えば、100年は優に使えます。住まなくなれば売却して換金も可能です。住まいは最大の資産で、長持ちさせなければならず、そのための労力を惜しんではならないのです。○生涯住居費は持ち家・賃貸どちらが有利?住まい関係の雑誌等で、この話題は数10年にもわたって、その折々に話題に登場してきました。そもそも価値観の異なるものを同じ土俵に上げること自体、意味のないことなのですが、何度も話題になるのにはそれなりの理由があるはずです。日本の持ち家率は年代が進むにつれて高くなり、70代では80%以上となっています。つまり持ち家が日本人の基本路線であり、生涯賃貸で過ごすという意思を持つには、確固たる理念があるはずです。実際は、堅実な人生設計や貯蓄がなされなかったり、やむを得ない諸事情で、持ち家を断念せざるを得なかったりするケースということではないでしょうか。持ち家を購入する能力がありながらの"積極的賃貸派"は独自のしっかりした人生設計が必要で、そのようなケースは日本人の中にはさほど多くはないと思います。それにもかかわらず、度々話題に取り上げられるのは、バブルで持ち家を断念せざるを得なかった時期、低成長時代に突入して、若者世代に漠とした不安が広がっている時期などに、マスメディアが迎合している結果のように思います。実際比較検討した場合の生涯収支は、どの時代も共通してほぼ同じという結果となっています。しかし仮定の理論とは別に、実際は住む地域、戸建かマンションか、立地条件や市場性、建物の耐用年数などで大きく変化すると思われます。政府が推奨する長期優良住宅の場合は、単世代で採算の是非を論じること自体に意味がありません。住まいの選択は生涯収支の有利不利よりも、自分達の価値観や万一の時にどう活用できるかのリスク回避の面で考えるべきでしょう。○持ち家と賃貸、メリット・デメリット下記に持ち家と賃貸のそれぞれのメリットを挙げてみました。そのほかにも個々にリストアップしたい項目があると思います。一度家族でリストアップしてみて、どのメリットが重要か、反対にデメリットに対する対策は何があるかなどを考えてみると、自分たちにとってどちらが良いかが浮かび上がります。書き出してみる手法は、ファイナンシャルプランニングの手法の一つで、本格的に行ってみると、思わぬ結果に驚くことも少なくありません。持ち家のメリット資産が残る家賃を払わなくても済む自由に自分を表現できる子供にとって思い出の家が存在する幸福感が得られる賃貸のメリットローン負担がない身軽に好きな町や地域に転居できる災害で家という資産を失うリスクがない転勤や転職で家の対策を考える必要がない○リスク対応力はどちらが強い?生涯住居費が地域性などの条件によっては大きく異なるとは言え、人生の岐路に立った時に、持ち家と賃貸でどちらが安全か、どちらが有利か、が問題となります。ローンで破綻する、あるいは災害等で住まいを失うが持ち家の最大のリスクだと思います。失業・病気・死亡などによってローンの返済が困難になる場合を考えてみましょう。これからの時代、一生同じ会社にいられる確率は少なくなりつつあります。従ってローンを組む時はその対策をたてて組む必要があります。しかしその気になれば失業してもまったく職がないということはありません。配偶者が働くこともできますし、最低収入はある程度確保はできるでしょう。生活をある程度は絞ることも可能でしょう。重要なのは、ローンが支払えなくなった時に、それまでの意識を変えられるかどうかなのです。ローンの借り入れ時にはほとんど団体信用生命保険に加入しますので、死亡の場合や一定の障害を負った場合はその後の返済は免除されます。また、ローンの残債よりもその時々の売却価格が高いような資産として目減りのしない物件であることも重要です。つまり、人生設計をしっかり立てて、リスクに対応する措置をとれば、万一の場合でも家賃を払っていかなければならない賃貸のリスクの方が大きいと思います。ただし、災害リスクの高い地域やエリアに住まいを所有するリスクは大きいので、地域を選ぶか建物の構造や保険などの対策が重要となります。日本は地震国ですので、持ち家、賃貸にかかわらず、リスクの大きい地域やエリアに住むこと、地震に弱い建物に住むことには最大のリスクです。<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年05月11日ヴァイナスは5月7日、英国Advanced Design Technology(ADT)が開発を行っているターボ機械流体設計統合システム「TURBOdesign Suite」の最新バージョン「TURBOdesign Suite 5.2.5」の国内販売を開始したと発表した。同システムは、ポンプ、ファン、コンプレッサ、タービン、ターボチャージャなどターボ機械全般に適用可能なソフトウェアパッケージで、先端技術である3次元逆解法を使用した非粘性翼設計モジュール「TURBOdesign1」を中心に、子午面形状設計、最適化設計モジュールなどで構成されている。最新バージョンとなる「TURBOdesign Suite 5.2.5」では、スクラッチからの形状最適化設計を念頭に、子午面形状設計の適用対象の拡大、ターボ機械全タイプの子午面形状のパラスタ機能の追加、鋳造やプレスにおける製作上の制約や熱応力に対する強度確保を考慮した形状修正機能などを追加しており、リードタイムの削減を図れるようになったほか、従来の設計では達成できなかった性能向上が可能となったという。具体的には、設計仕様と制限項目を入力することで、スクラッチ設計時に決定が困難なインペラ、ディフューザの子午面形状およびボリュート/スクロールの面積変化のリーズナブルな解を十数秒で計算でき、これにより形状最適化の工数削減を図ることが可能となる子午面形状設計モジュール「TURBOdesign Pre」に、遠心ポンプ、遠心コンプレッサ、径流タービンに加えて遠心ファン、斜流ポンプを追加。設計の幅を広げた。また、非粘性3次元逆解法翼設計モジュール「TURBOdesign1」では、遠心型、斜流型に加えて軸流型についても子午面形状をパラメータ指定できるようになったほか、翼形状修正モジュール「TURBOdesign CAD」では、ファンのプレス加工のために必要な、前・後縁の翼角度調整およびターボチャージャのタービン設計で熱応力に対する強度確保のために重要な径方向フィラメント形状への修正機能が追加されたという。なおヴァイナスでは、国内の自動車、重工業および各種産業機械メーカーを中心に、初年度20ライセンスの販売を見込んでいるとするほか、販売価格は、年間ライセンス330万円(税別)~、永久ライセンス990万円(同)~としている。
2015年05月08日PTCジャパンは4月23日、高級携帯電話メーカーであるVertuが、製品の開発にCADソリューションである「PTC Creo」を、世界各国の設計チームをつなぐエンタープライズシステムバックボーンとしてPLMソリューションである「PTC Windchill」を選定したことを明らかにした。今回PTCのソリューションを導入したことで、単一の3次元デジタル環境で製品設計コラボレーションを実施することが可能となり、Vertuの設計者と主要パートナーが、世界のどこからでも共通のデータとコミュニケーションツールを利用してリアルタイムに協業することができるようになった。加えて、主な開発プロセスからデータ変換を排除し、データ交換のミスを大幅に減少させることにも成功したという。PTCは「Vertuは高級携帯電話端末市場におけるグローバルリーダーであり、極めて優れた材料と最新技術、Vertu LifeやConcierge Serviceなどで名高い、特別なサービスを組み合わせて提供することで知られる企業です。PTCのソリューションを活用することで、設計サイクルが50%短縮可能となります。PTCはこの高い独自性を持つVertuを、同社のブランドが成長する過程において支援できることを喜ばしく思います」とコメントしている。
2015年04月24日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。○不要品の整理で家具転倒リスクを軽減 - リフォーム時がチャンス!阪神淡路大震災では多くの方が家具の下敷きになって亡くなられました。日本の住まいはモノにあふれすぎています。私の子供の頃は、茶の間には茶箪笥と座卓くらいしかありませんでした。寝室にはほとんど何もなく、あったとしても鏡台や整理ダンスくらいでした。建物さえ倒壊を免れれば、家具の転倒の下敷きになって命を失うリスクは比較的少なかったと思います。しかし、現代の住環境はどうでしょうか。リビングダイニングを考えれば、ダイニングテーブルと椅子・ソファー・サイドボード・食器棚・テレビ・オーディオ機器などがあるのではないでしょうか。背が低いものでも安全というわけではありません。モノが室内にあふれていればいるほど、地震による被害のリスクは高まります。耐震リフォームの際は、不要品を徹底的に処分し、既存の押入やクローゼットの中に空き空間を確保し、できるだけ室内にモノを出さないように収納の中に納めるように考えてください。徹底的に不要品を処分しても収納が不足するのであれば、新たな収納を増設するか、そのスペース的余裕がなければ、貸し倉庫やコンテナの利用も考慮に入れてモノの管理を徹底してください。家具の固定などはその先の問題です。○収納の見直し - 工夫次第で既存収納の収納力倍増!リフォームや建替えを決心した理由として最も多いのが収納の不満だそうです。しかし元々さほど広くはない日本の住まいに新たに収納スペースを確保するのはかなり困難な問題です。そこで押入やクローゼットの中をより効率的に改造して、室内にあったモノをできるだけ多く取り込んで、すっきりと生活することも立派な耐震リフォームです。特に押入の天袋やクローゼットの枕棚は使いやすいとは言えません。マンションの収納などは、工場で効率的に生産するための規格化と、輸送面、施工面を考えて高さ2m以下の箱タイプがほとんどで、上部に枕棚があってその下にハンガーパイプのスタイルが大半ではないでしょうか。わが家も同様でした。わが家ではリフォームに際して、この枕棚を撤去し、天井に直接ハンガーパイプを取り付け上下二段にしました。奥行も85cmと深かったので、前後二列にして、合計3本のハンガーレールとしました。デッドスペースがなくなり、これだけで収納量は3倍です。季節の入れ替えからも開放され、住まい全体の既存の収納は満杯どころか空きスペースもできたくらいです。○家具のレイアウト - 明暗を分ける家具のレイアウト地震がどのように揺れて家具がどのように動くかは、起きてみないと分かりません。地震の威力は想像以上で、大きな箪笥も宙を飛んでくると思わなくてはなりません。それでも被害を最小限にするためには家具の配置は大切です。耐震リフォームの際は、家具は納戸やウォーキングクローゼットの中に仕舞うようなリフォームを心がける事が一番ですが、室内空間に配置する場合は箪笥がそのまま寝ている位置に倒れ込まないように、特に頭を直撃しないように配置してください。簡易的な転倒防止金物は万全とは言えません。先ずはレイアウトで極力被害を少なくする工夫を考えてください。○家具の固定 - 転倒防止金具だけではない、家具の固定方法阪神淡路大震災に続き、東日本大震災を通じて防災意識も高まり、家具の転倒防止の必要性も認識されていると思います。転倒防止金物も広く認知されていると思いますが、皆様のご家庭ではいかがでしょうか。狭い日本の間取りでは、家具は倒れたら必ず家族を直撃することは避けられません。しかし、転倒防止金物の多くは見栄えも悪く、また本格的に固定しようと思えば大切な家具にビスなどの穴を開けることになります。高価な桐ダンスや婚礼家具セットなどは、人命第一とは思っても少々残念な気持ちにはなるでしょう。そこで、そうした金具を使わずにスマートに耐震リフォームする方法を考えて見ましょう。下記の写真はわが家のダイニングとキッチンを分ける食器棚です。もともとリビングダイニングとキッチンがワンルーム形式の間取りで、キッチンとリビングダイニングを分けるために両面使いの食器棚をおいていました。当初は食器棚の上部の壁はなく、食器棚は自立していて、天井面との間に突っ張り形式の転倒防止金物を設置していました。側面は日曜大工で作った天井までのL型の壁で冷蔵庫を隠していました。東日本大震災の時は、そのためか幸いにも家具は転倒せず、中にあった食器も不安定なワイングラスを中心に一部の食器が転落して割れた程度でした。わが家も昨年リフォームしたのですが、本格的に耐震性を確保するために、天井から食器棚の上面までの壁を設置しました。壁の裏側(キッチン側)は棚になっていて、モノを収納する事ができます。食器棚を棚の面で固定しますので、壁が破壊されない限り食器棚は倒れる事がありません。食器棚をセットする都合、食器棚と棚にはわずかな隙間が必要ですが、念のためにゴムのピースを差し込んであります。リビングダイニングからの見栄えもよくなり、耐震性能も向上し、収納も増設されました。また図のように家具の上面に色調や雰囲気を合わせた材質で丈夫な棚や新たな収納を新設して、家具を固定する方法もあります。耐震性を高めるとともに収納量のアップも期待できます。家具の転倒防止金具やグッズは様々なものがあります。適材適所、使用注意書きをよく読んで使用してください。組み合わせによっては、互いに力が反対に作用し、逆効果の場合もあります。<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年04月23日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。○支援制度活用のポイント - 耐震診断は信頼できるところに!高齢者世帯などの被害が多い悪徳リフォームの事例として、補強金具の類が意味のない位置に、意味のない形で取り付けられているケースがよく報道されていました。耐震補強金具は取り付ければよいというわけではなく、有効に働くように建物全体のバランスを見て、正しい位置に、正しい方法で取り付けなければ意味がありません。取り付け位置や方法によっては、意味がないどころか、全体のバランスが悪ければ、建物にいびつな力が働き、地震への対応力を弱めて結果になりかねません。無駄なお金を使わないためにも、いきなり耐震工事をするのではなく、しっかりとした耐震診断を依頼してください。できれば工事会社と診断会社は別の方が公平を期待でき、安心です。耐震リフォームの支援制度は、情報・補助金・融資・税制などがあります。どうすれば安心できる耐震改修リフォームとなるのか、先ずは情報収集から利用しましょう。大半の都道府県は耐震診断・改修設計・改修工事すべてに支援制度を設けていますが、改修設計や改修工事については支援を行っていない都道府県もあります。詳細は管轄の地方自治体へ問い合わせください。また、住まいが幹線道路等に面している場合は、耐震診断が義務付けられている場合があり、支援も別途設定されています。○耐震改修補助金制度 - 耐震改修事例を多く入手しよう管轄の市区町村で、耐震診断や工事の依頼先がリストアップされています。診断方法や耐震設計、耐震改修工事の実績などを担当者に相談してください。建物の設計図などを持参すると相談しやすいと思います。最初の診断の相談の時に設計や工事までの流れと仕組み等を一気に把握することをお薦めします。どのような診断をして、どのような工事を行うのか。おおよその費用はどの程度かなどを把握し、補助金制度の有無と併せて、支出しなければならない費用を算出します。補助金の割合は下記の表となっています。詳細は地方自治体にお問合せください。○融資の支援制度 - リフォーム融資の制度は耐震リフォームが要住宅金融支援機構の業務は、一般の住宅ローンについては「フラット35」のように民間住宅ローンを証券化する役割となっていて、支援機構自体は直接の融資を行っていません。しかしリフォーム等については独自の融資制度があります。一般的な改修工事も融資の対象とはなりますが、必ず耐震改修工事を併せて行う必要があります。(※参考:その他に、返済が利子相当分だけで済む高齢者向け返済特例制度もあります。詳しくは住宅金融支援機構にお問い合わせください。『住宅ローンとの賢い付き合い方(3) - リフォームローンにもある減税制度』でも解説していますので参照ください)○税制上の優遇制度 - リフォーム減税制度のメインは耐震改修政府が設けている制度は、当然ながらその目的や狙いがあります。住宅の分野の政策は、住まいが衣食住のひとつで生活上必要なものであること、金額が大きく関連産業の裾野も広いことなどから、経済の活性化の目玉として位置づけられてきています。それに加えて耐震リフォームは、生命と財産を守るという役割の大切さや、一旦地震が発生したならば、二次災害を含めて被害は膨大になり、国の支出も膨大に膨らむことから一般のリフォームやバリアフリー、省エネリフォームよりも重要な位置付けにあり、優遇制度の要となっています。(※参考:リフォームに関する減税制度については、『住宅ローンとの賢い付き合い方(3) - リフォームローンにもある減税制度』を参照ください)<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年04月16日住友林業は、住まいと暮らしに関するスマートフォンサイト「わたしの家」の運用を3月31日に開始した。「わたしの家」は、同社ホームページから独立した立場で魅力的なコンテンツを提供することで、潜在顧客の将来的なファン化を図る「コンテンツマーケティング」の発想に基づいた同社初の情報サイト。同社ではこれまで、同社の家づくりを体感する「WEB住まい博」、自分の希望の間取りと概算価格がわかる「木達(こだち)サイト」、自分の希望する間取りが作成でき3次元でバーチャル体験できる「BF 間取り DESIGNER」、家づくりの知識をRPG形式のゲームで学ぶ「家づくりクエスト」(現、家づくりアドベンチャー)といった独自のコンテンツを開発してきた。今回開設した「わたしの家」は、そうしたコンテンツ制作の経験を生かしつつ、既に同社に興味を持っている顧客のみならず、家づくりに興味を持ち始めたユーザー層や、生活品質の向上に高い関心を持ったユーザー層など、潜在顧客へ向けて最新トレンドを踏まえた情報を継続的に提供する。運用開始の第一弾では、「女性目線」に基づいた住まいや暮らしに役立つコラムなどを紹介。収納や整理整頓のヒントや、子育て世代向けのコラム、二世帯住宅が快適に暮らすためのコツ、インテリアなどを含めた暮らしのヒントといったコンテンツが用意されている。同社では、住宅市場における女性の意見を取り入れた商品・サービスに対するニーズの高まりを受け、子育てと家事動線に配慮した「mamato(ままと)」、家族が集まるリビングを中心に間取りを考える「comama(こまま)」などを発表し、2013年12月には、女性の声を活かした商品開発を行う「女性目線開発プロジェクト」を始動。これらの活動を通して獲得した女性ファン層とのコミュニケーションを活発化し、更なる拡大を図るため、あらゆる女性が手軽にアクセスできるスマホコンテンツを展開していくとしている。
2015年04月07日ライフメディアはこのほど、「住まいに関する調査」の結果を公表した。同調査は、全国に住む50歳以上の男女を対象に、12日から14日にかけて同社のリサーチバンクを通じて実施。1,200件の有効回答を得た。○高齢化社会の日本でバリアフリーへの期待は?「現在の自宅は、バリアフリー対策がされているか」を尋ねたところ、23%が「バリアフリー住宅である」と回答した。「バリアフリー住宅に住んでいる人に、どのようにバリアフリー対策をしたのか」を尋ねたところ、最も多かったのは「バリアフリー住宅を建築・購入した(67%)」だった。「バリアフリー住宅に住んでいる人に、どのようなバリアフリー対策がされているのか」を尋ねた。その結果、「段差をなくす・スロープにする(75%)」、「手すりの設置(67%)」、「水回りのバリアフリー化(60%)」が上位となった。「バリアフリー住宅に住んでいない人に、今後自宅にバリアフリー対策が必要か」を尋ねたところ、62%が「必要」と回答した。「今後バリアフリー対策が必要と回答した人に対し、どのようにバリアフリー対策をしたいか」を尋ねたところ、「リフォームで対応したい」が70%で最も多かった。「今後バリアフリー対策が必要と回答した人に対し、どのよううなバリアフリー対策をしたいか」尋ねた。その結果、「段差をなくす・スロープにする(63%)」、「手すりの設置(59%)」、「水回りのバリアフリー化(50%)」が上位となった。
2015年03月30日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。○地震に対処する3つの方法 ~電車のつり革の役割は免震? 制震? 耐震?~免震・制震・耐震構造の違いを説明する時は、いつも電車の車内の状況を使って説明しています。電車に乗っていて急発進や急停車した時に、つり革につかまっていた状態はどうなっているのでしょうか。体は大きく揺れますが、つり革につかまっている腕の力でそれ以上は倒れません。腕をグィッと引いて体を元に戻すでしょう。もしつり革が強力なバネでできていたら、体はバネの力で元の状態に揺れ戻されます。この腕が引き戻す力やバネの動きの仕組みが「制震」構造と言われるものです。一方、今回のテーマの「耐震」構造は自らの耐力を向上させて揺れに対応するもので、電車の車内であれば、座席や手摺に体を固定して、電車の揺れに備える場面をイメージしてみてください。ただ単に立っているより、遥かに電車の揺れに対して安全です。「免震」構造を説明するのは少し難しいですが、ローラースケート靴を履いた状態で電車に乗っていることをイメージしてみてください。揺れに対して体は滑っていきますが、ローラースケート靴と体が一体であれば倒れることはありません。しかし車内をどこまでも滑っていってしまっては問題ですので、元の位置に戻す制震構造と組み合わせるのがベストです。住宅の地震に対応するリフォームは「耐震」が中心ですが、制震金具を取り付ける方法や、まれではありますが免震的な対処方法もあります。しかし地震に強くするためには、ただ単に金具で固定すればよいというものではなく、バランスが重要です。また組み合わせ方によっては逆効果になりうる場合もあり、どの方法を採用するかは個々のケースで判断する必要があります。○地震に対処する4つのポイント ~砂上の楼閣とならないためには~建物は地面に支えられています。地面が軟弱であれば、地上の建物がどれほど強くても意味がありません。地震の揺れで起きる液状化現象により、建物が傾いた事例は東日本大震災でも多く報告されています。また地盤だけでなく、地震が原因の火災や津波、堤防の決壊などによる洪水なども視野に入れておく必要があります。東日本大震災では、地震そのものでは無傷の建物が津波で流されている映像を目の辺りにしました。阪神淡路大震災でも多くの建物が二次災害の火災で延焼しました。ポイント1:派生する二次災害への対処今回のテーマではありませんが、実際は直接的な建物の倒壊より、より多くの人命が失われるのが二次災害です。この点も頭に入れて地震対策を考えてください。ただし、移転したり耐火構造にしたりと、簡単に解決できるものではないケースがほとんどでしょう。何度も繰り返しますが、リスクはゼロにはできません。どれだけ少なくできるかだけです。考えすぎて対処が遅くなるよりは、当面建物だけの範囲の耐震化に特化することもリスクを少なくする上では大切です。ポイント2:地盤は地震の際に建物を支えられるか地震がなくても、埋立地は地盤の沈下が置きやすい場所です。特に元の地形が斜面である場合は、斜面の低い部分の沈下の度合いが大きく、不同沈下を起こし、建物が傾く要因です。新築時に地盤の状況に見合った対策(杭・地盤改良・基礎の巾の拡大)を行っていない場合は、基礎や地業(※)の補強が重要課題です。(※ 地業とは、基礎を支える地盤面以下の部分のことを指します。地業工事とは基礎底の下に設置する割栗石、杭、地盤改良等の工事で、基礎を支える地盤面を強化したり、基礎をしっかり支えたりする役割を持ちます)ポイント3:建物を堅固にするには前回紹介した『誰でもできるわが家の耐震診断』(国土交通省監修)の後半に、木造住宅の主な補強方法が解説されています。下記に基本的な考え方をまとめておきます。ポイント4:家具や屋外の塀等の転倒防止対策阪神淡路大震災では建物だけでなく、家具の下敷きで多くの方が亡くなりました。家具や屋外工作物の対処方法は後日「耐震リフォーム(4)」で詳しくまとめてみる予定です。○地盤の強化 ~後からの工事では限られる耐震補強方法~地盤を強化する地業工事は本来建物が建つ前に行うものであり、様々な方法がありますが、建物が建っている状態での地盤の強化はかなり難しくなります。住宅に使用される地盤補強方法は次のようなものがあります。目的が耐震補強なのか、液状化対策なかで、適した工法が異なります。また軟弱地盤の深さ、地下水位や周囲の地形なども考慮に入れる必要があり、かなり難しい判断を必要とします。杭…固い地盤面まで杭を到達させて、その上に基礎を載せる方法です。価格は高めですが、確実な方法です。建物が建った後ではほぼ不可能です。地盤改良(1)…表層の軟弱地盤を強化する方法と、基礎の下をいくつも円筒状に掘削してセメントミルクなどを混ぜて、柱状に固める柱状改良があります。いずれも建物がある場合は難しくなります。地盤改良(2)…土に石灰や膨張性樹脂などを注入し、土の中で膨らませて建物の下の土の密度を高める方法です。建物が存在しても比較的容易に工事ができるのが特徴です。各社独自の方法があり、実績等を充分にチェックして判断ください。擁壁等の強化…道路や隣地と高低差がある場合は、土止めの擁壁があります。擁壁には鉄筋コンクリート造や加工された石材=間知石積みのものなどがあります。しかし違法なコンクリートブロック積みのものも少なくありません。擁壁の構造は建築基準法で定められていて、例えば鉄筋コンクリート造の場合、一定間隔で水抜き穴等が必要です。この水抜き穴のない違法のものも多く見られます。またコンクリート面が膨らんでいたら、中の鉄筋が錆びている可能性があり、擁壁としての性能が低下している可能性があります。○建物を強化する ~使い方を間違うと逆効果の耐震補強~阪神淡路大震災では多くの建物が倒壊しましたが、中には本来地震に強くするための筋交いが梁を押し上げて梁が柱から外れて破壊されたケースも見られました。筋交いの取り付け方、金物の取り付け方などで、逆効果の場合もあるのです。構造材の固定…基本は基礎・土台・柱・梁・屋根のそれぞれの連結部分を金具等で固定強化していきます。基礎と土台はアンカーボルトで固定されていますが、柱が土台から抜けてしまって倒壊につながった事例が多くありました。そのために最近は土台と柱を固定する金具を取り付けたり、直接基礎と柱を連結するホールダウン金物で柱を固定したりします。本来新築時に取り付けるものですが、耐震補強用の後付タイプもあります。壁の補強…耐力壁とは、通常の壁とは違って、所定の太さの筋交いが入っていたり、構造用合板で固められていたりする壁のことです。壁をそのような構造に補強するほか、壁そのものがなければ、壁を追加して補強します。どうしても外部への視界を維持したい場合は、強化ガラスなどで耐力壁を作った例も報告されています。屋根の軽量化…屋根が瓦葺きの場合は、屋根材を軽い素材のものに葺き替えると耐震性が向上します。公共の建物などは上層階を解体減築して耐震性を高めた事例もあります。(※写真画像は本文とは関係ありません)<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年03月24日NXP Semiconductorsは、デスクトップ/液晶一体型デスクトップPCやゲーム機、ノートPC、大型パネルテレビなどの電源設計を容易化する共振LLCソリューションとして、GreenChip電源ソリューション「TEA1916+TEA1995プラットフォーム」を発表した。同プラットフォームは、全負荷範囲、特に10~30%の軽負荷時に高い効率を実現しており、エネルギースターV6.0、CoC Tier 2、80+ platinum、EuP Lot6などのエネルギー効率規制への準拠を容易にするほか、TEA1916は75mW未満の低い無負荷時消費電力を実現しており、エネルギースター、米国エネルギー省(DoE)、CoC Tier 2などの要件に適合している。また、共振LLC方式は、フライバック方式に比べ、コモンモード・ノイズ要件と200%ピーク電力要件を、より簡単に満たすことができるものの、その電源は多くの場合、設計が難しく、高価になると考えられているが、同プラットフォームは、同社の新しいcycle-by-cycleアーキテクチャをベースとすることで、共振LLC方式の利点を生かしながら、フライバック方式に匹敵する設計の容易さを実現したという。なお、同プラットフォームは2015年第2四半期から出荷が開始される予定だという。
2015年03月24日Mentor Graphicsは、高速プリント基板(PCB)設計向けのシグナルインテグリティ(SI)/パワーインテグリティ(PI)解析ツール「HyperLynx」の最新バージョンを発表した。新しいパワーアウェアモデル技術を活用することで、複雑な信号プロトコルのシミュレーションを正確に高速実行し、時間とコストを大幅に削減する。なお、最新バージョンは現在入手可能となっている。HyperLynx SI/PIの新機能には、パワーアウェアIBISモデルのサポート、DDR4/LPDDR4(ローパワー設計向け次世代メモリ)の妥当性確認ためのDDRxウィザードが含まれている。追加されたパワーアウェアSIシミュレーションは、DDR3やDDR4をはじめとする高速パラレルリンクの精密なモデル化と信号性能解析を実現。パワーアウェアIBIS v5.0モデリングに基づき、同時スイッチングノイズ(SSN)、タイミングの電源効果、SIを正確にシミュレートするほか、最新JEDEC規格に準拠するDDRxウィザードで、次世代DDR4とLPDDR4を含むあらゆる種類のDDRおよびLPDDRメモリを検証する。他手法と比べて5倍から10倍高速な統合Sパラメータ抽出とシミュレーションを実現。高性能のDC電圧降下/熱コシミュレーションは、電圧降下、高電流エリア、結果として生じる温度変化を、競合ソリューションと比較して何桁も速く予測する。最新バージョンは、非理想電源の効果を表すIC向けのIBIS(Input/output Buffer Information Specification)v5.0モデルをサポートしている。同機能は、プリドライバ効果や供給電圧降下によるスイッチング動作の遅れなど、供給される電流を正確にモデル化するとともに、バッファのキャパシタンスのモデル性能を高める。パワーアウェアIBISモデルは、DDRx解析を含むすべてのタイプのシミュレーションに適用可能で、タイミングの電源効果と信号品質を確認できる。HyperLynxは、次世代メモリのインターコネクトを設計する際に決定的に重要となるSSNをモデル化する。DDRxウィザードは最新のJEDEC規格に準拠しており、DDR4とそのローパワー版に相当するLPDDR4など、すべての種類のDDRメモリを検証できる。また、DDR3ならびに次世代のDDR4メモリシステムを完全に検証するためにアイダイアグラムを生成する。シミュレーション内の個々のビットすべての妥当性を確認するために、DDRxとLPDDRxのための統合タイミング解析などアイダイアグラムに基づくメトリクスチェックを実行する。適切なスタブ除去に伴うビアを正確にシミュレーションするためのバックドリルのサポート。「what-if」シナリオを迅速に確立し、ドリルを有効化あるいは無効化する。Touchstone Viewer機能は、IEEE 802.3 Ethernet仕様に定義されたILDやICRをはじめとするメトリクスに基づいて計算し、標準からミックスモードへのSパラメータモデル変換を含む、インターコネクトの差動クロストーク特性を評価する。SerDes機能の追加によって、新しいIBIS 6.0の機能、FastEyeウィザード内のCTLEイコライゼーション、バッチAMI実行のための128b/130bエンコーディングとコンフィギュレーションファイルをサポートする。
2015年03月19日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。○考えよう! 住まいの役割とはなにかを! ~住まいは生命と財産を守る器~家族の生命と財産以上に大切なものはありません。「住まい」は、それを守る器です。明日にも起きるかも知れない大地震に対して、親として子供を守らなければなりません。住まいの耐震性能が問題ありと思うのであれば、直ちに詳細を把握して対処しなければならないはずです。『住まいと防災』シリーズの第1回に、災害の種類を表にしてあります。皆様の住まいが受けるかも知れないと想定される災害はどれとどれでしょうか。自然環境だけでなく、社会環境の項目にも地震と関係するものが多くあります。この災害リスクに対する住まいの性能が充分でなれければ、改修が必要となります。改修には費用がかかりますが、生命ほど重要なものはないはずですので、住まいの性能に対する状況把握とともに、徹底的に節約してでも費用の捻出をしなければなりません。補助金の有無等も確認ください。(※参照:住まいと安全とお金 第1回『住まいと防災(1)--考えなければならない防災とは?』)○国や自治体がネット上で提供している情報は貴重~情報はできるだけ生のものを~ネット上には政府や自治体、外郭団体等による防災データがいろいろ掲載されています。防災の心構えから詳細のデータまで様々ですが、このコラムを通じて最終的には是非、直接生のデータに触れてください。このコラムはそのための水先案内人だと思っています。現代はいろいろな情報があふれています。雑多な情報が飛び交う中、とかく末端の情報に左右されがちです。大切な事柄に関しては、できるだけ直接的なデータに触れる事を習慣付けてください。新聞で気になる情報を見つけたら、図書館等で数紙を比較してみてください。さらにデータ元のHPを検索して、より詳細の情報をチェックしてみてください。命にかかわる情報が最も重要な情報なはずで、一生の中で、そのような重要な情報はそれほど多くはありませんので、その時くらいは徹底的に情報収集ができるはずです。○住まいの性能は何で決まる? ~住まいの性能は最も弱い部分で決まる!~国の性能表示制度では、性能評価は10項目あります。耐震性能に直接大きくかかわるのは以下の築年数、地盤、構造体、管理の4つの項目です。弱い地盤に適切な事業や基礎が施されていなければ、その他の性能が高くても意味を成しません。過去にリフォームが行われている場合、壁や柱を撤去していることが少なくありません。阪神淡路大震災では、隣り合わせに建っていた全く同じ間取りの分譲住宅が、その後のリフォームの違いにより、倒壊と補修で済む状態の明暗を分けた事例が報告されています。建物の性能のチェック項目○ネットで簡単チェック! 我が家の耐震性能~簡単な事から動き始めよう!~我が家がどの程度の耐震性能があるかの判断は、なかなか難しいものです。地方自治体では診断の補助や診断機関の斡旋を行っているところもありますが、ますは自分で診断してみましょう。国土交通省監修の『だれでもできるわが家の耐震診断』は、文字どおり誰でも簡単に自分の家の耐震性能をチェックできます。リーフレットになっているものと、ネット上で診断するタイプの二通りあります。診断項目は10項目で、どのような部分が耐震性能に影響するのかがわかりますし、簡単なチェックでおおよそ自宅の耐震性能がどのレベルかが分かります。専門家に依頼する前に自己診断しておくと、建築士の説明も理解しやすいと思います。あまりに結果が悪ければ、耐震リフォームが待ったなし! と言うことも理解できます。また余談ですが、中古住宅などを購入する時に、図面などから耐震性能を診断するのにも利用できます。誰でもできるわが家の耐震診断国土交通省監修誰でもできるわが家の耐震診断(国土交通省インターネット版)<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年03月16日富士通とパナソニックのシステムLSI事業を統合した新会社「ソシオネクスト」は3月2日、事業を開始したことを発表した。同社は、システムLSI設計・開発を手掛けてきた両社ならびに日本政策銀行(DBJ)からの出資を受けて設立されたファブレス半導体企業。代表取締役会長 兼 CEOには西口泰夫氏、代表取締役社長 兼 COOには井上あまね氏が就任し、本社を神奈川県横浜市に設置するほか、京都や東京・あきる野など国内に7拠点、海外に15拠点を有し、「IoTシステム事業部」「ビジュアルシステム事業部」「グラフィックスソリューション事業部」「ネットワークSoC事業部」「ハイパフォーマンスSoC事業部」「カスタムSoC事業部」「ミルビュー事業部」「コネクテッドイメージング事業部」という8つの事業部構成で、設計・開発および販売を手掛ける組織となっている。なお、社名である「ソシオネクスト」は、SoCを中心とする半導体製品およびサービスの提供を通じて、広く社会に貢献し明るく豊かな未来を拓く、という新会社の在り方を表現するために創作されたもので、中心的なビジネス領域である「soc」に加えて、同社の強みである「Imaging」および「Optical Transport Network(io)」、「顧客、取引先、従業員をはじめとするすべてのステークホルダーにとってナンバーワンの企業となること(one)」、「つねに次の時代を見据える(next)」、「可能性を拡げていく(extention)」などの意味が込められているという。また、事業開始にあたって、自社のブランドプロミスを「for better quality of experience」と制定したとする。これは単なる高性能、高信頼性といった「品質」の向上にとどまらず、同社の製品やサービス利用する顧客、さらにはその先にいる世界中の人々に新しい価値を提供し、豊かな社会の実現に貢献していく、という思いを表現したものだという。
2015年03月02日2015年2月3日、東京コンファレンスセンター・品川において「ATCx 複合材設計ソリューションセミナー」(以下、ATCx)が開催された。セミナーには、航空・自動車をはじめとする日本のものづくりの中枢を担うキーパーソン達が一同に会して、複合材の製品適用に必須となる設計・生産・CAEの3大テーマについて言及。各界の技術交流を深めながら、複合材の製品適用を促し、日本のものづくりへ寄与することが目指された。ATCxとは、アルテアエンジニアリングが主催するグローバルシリーズのユーザー会「Altairテクノロジーカンファレンス(ATC)」から生まれた、業界や製品の最新情報をより早くより深く議論するための特定のトピックにフォーカスしたコミュニティのことである。日本においてATCは、1999年から毎年規模を拡大しながら国内最大級のCAEユーザー会へと発展。昨年7月には16年目を迎えたATCが、ANAインターコンチネンタルホテル東京において2日にわたり開催されている 。○航空・自動車におけるわが国最先端の複合材適用プロジェクトを立て続けに紹介午前中に行われた最初の講演に登壇したのは、三菱航空機の小祝弘道氏である。同氏は、三菱重工業株式会社において全世界に先がけて主翼構造に複合材を全面適用したF2戦闘機の開発を成功に導き、MRJの開発においてもプロジェクトを指導している人物だ。「航空機構造へのCFRP適用の歩みと民間構造への適用例」をテーマに行われた氏の講演には、来場者からの熱い視線が注がれた。ランチセッションを挟んで午後の最初の講演に登壇したのは、東レ オートモーティブセンターの黒田義人氏である。同氏は、「炭素繊維複合材料(CFRP)の自動車用途展開」と題して講演。自動車の量産適用に向け、低コスト・リードタイム短縮を目的とした材料や生産技術開発について解説を行った。○JAXAの航空機主翼構想におけるCAE活用事例とはそしてCAEの技術紹介としてJAXAの協力のもとで行われた講演「JAXA航空機主翼構想検討での積層構成最適化CAE技術」は二部構成をとり、航空機の主翼構造の構想検討においてメタル構造と複合材構造について最適化技術を適用した事例が紹介された。Part1の「JAXA将来旅客機TRA2022複合材主翼の構想検討におけるCAE活用フィジビリティ・スタディ」をテーマとした講演には、アルテアエンジニアリングの中川謙氏が登壇した。中川氏は、今回実施した取り組みについて「JAXAの協力を受けて、CAEを活用した設計プロセスの開発を目指している」と説明。そして「今回は、まずCAEがどのような分野に使うことができるのかのフィジビリティ・スタディとして、複合材主翼の構想検討において、積層構成の最適化により軽量化検討を行った事例について、アルミ構造との比較を交えて紹介したい」と続けた。同氏は、JAXAから提供を受けた主翼モデルをベースに詳細FEMモデルを作成し、メタル構造と複合材構造について、板厚最適化および積層構成の最適化を行った過程と結果について詳しく説明。CFRP構造の方が剛性を大幅に向上しながらメタル構造よりも軽くなったという結論などを受けて、「今回は既存のFEMモデルをベースにしたが、今後は様々な最適化の条件によって多様な結果へと変わることだろう。試行錯誤を繰り返しながら、より軽量で剛性のある翼の実現を目指したい」と講演を締めくくった。○JAXAの事例を実現したHyperWorksにおける複合材シミュレーション関連製品群続いてPart2には、アルテアエンジニアリングの由渕稔氏が登壇し、「HyperWorksにおける複合材機能の概要」と題して講演を行った。HyperWorksの中にはたくさんのCAEソフトウェアが含まれているが、由渕氏はそのうち複合材のシミュレーションにかかわる製品とそれぞれの関連性について解説を繰り広げていった。複合材のモデル化には領域準拠と層準拠の2つの手法があり、従来からの領域準拠の場合、領域ごとにそれぞれの積層のデータが必要となり、またデータに変更があるとすべての領域に変更を加える必要があるのが課題であった。これが新しい手法となる層準拠ならば、ラミネート内の層を定義しそれを積層するため、データの重複は発生せず、CADや制作プロセスと直結することが可能となり、データ変更の労力も小さくて済むというメリットがある。「基本的にHyperWorksは、領域準拠と層準拠の両方をサポートしている」と由渕氏は強調する。そしてこの後に由渕氏は、モデル作成およびモデルの視覚化と確認を行う「HyperMesh」、解析と最適化を行う「OptiStruct」と「RADIOSS」、結果の表示とポスト処理計算を行う「HyperView」といった、HyperWorks製品群における複合材シミュレーション関連製品について詳しく解説を行っていった。この説明を通じ、HyperWorksの最適化機能を利用することで、Part1で紹介した事例をいかに実現できたかを示したのである。すべての講演が終了した後にも、来場者からの熱心な質問が続き、当日の登壇者達による回答や、来場者との意見交換が繰り広げられた。こうして早くも、今年7月に開催予定のATCに向けた盛り上がりを見せつつ、ATCxの幕は降ろされた。講演資料はアルテアエンジニアリングのウェブサイト からダウンロード可能。
2015年03月02日エレコムは24日、Gigabit Etherne対応の軽量設計スイッチングハブ2シリーズを発表した。発売は3月上旬。価格は8ポートモデル「EHC-G08PN-J」が税別6,400円前後、5ポートモデル「EHC-G05PN-J」が税別5,760円前後。プラスチック素材による軽量ボディを採用した、1000BASE-T対応のスイッチングハブ。障害をLEDランプで通知するループ検知機能、Auto MDI/MDI-X機能、未接続やリンクしていないポートを自動判別して消費電力を調整する「らくらく節電E機能」などを搭載。従来モデルと比較して8ポートモデルで最大80%、5ポートモデルで最大79%の電力を節電できる。8ポートモデルの本体サイズはW180.2×D86.5×H34.0mm、重量は約230g。5ポートモデルではW140.0×D84.5×H34.0mmで約190g。本体にはマグネットを備え、スチールデスクなどにも設置可能。カラーはいずれもブラック、ホワイトの2色を用意する。
2015年02月25日クロス・クローバー・ジャパン nekozuki(ねこずき)では、猫の健康を考慮されて設計された、デザイン、機能性を兼ね備えたフードスタンドを発売している。sainome フードスタンド 猫専用食器台 シングル・Mサイズ(ステンレス食器1個付き)は、猫に負担がかからず、楽な姿勢で食べられることを考え設計されたフードスタンド。価格は7,884円(税込)。食器は犬、猫のアレルギーも起きにくい清潔な高級ステンレス製。つや消しのアクリルで作られたフードボール台と厚みのあるステンレス食器を組み合わせ、スタイリッシュなデザインとともに洗いやすく傷がつきにくい機能性も備えている。また、食器は取り外しが可能になっており、しっかり洗え清潔に保つことができる。カラーバリエーションはホワイトとブラック。Mサイズは、スタンドW16.5cm×D16.3cm×H14cm、ステンレス食器は直径13cmとなっている。Mサイズのほか、sainome フードスタンド 猫専用食器台 シングル・Sサイズ(ステンレス食器1個付き)も用意されている。Sサイズは、スタンドがW15cm×D14.3cm×H10cm、ステンレス食器が直径11cmとなっている。価格は6,768円(税込)。水もいっしょにセットできるMサイズのダブルバージョンsainome フードスタンド猫専用食器台 ダブル・Mサイズ(ステンレス食器2個付き)もある。価格は10,800円(税込)。Sサイズのダブルバージョンは、sainome フードスタンド 猫専用食器台 ダブル・Sサイズ(ステンレス食器2個付き)で、いずれもステンレス食器2個がついている。価格は9,180円(税込)。カラーはシングル同様に、M・Sサイズともにホワイトとブラックの2色。
2015年02月24日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。今回は趣向を変えて、あまり知られていないローン形態や住宅ローンの背景にある社会経済なども交えて雑学的に綴ってみたいと思います。日本人の多くが利用する住宅ローンですが、誰もが利用しているものだからと安易に事を運んでは、取り返しのつかない局面に陥らないとは言えません。ほんの少し、取り巻く社会体制や契約の仕組みなどを知っておくだけで、危険を回避できる場合もあります。年収の数倍の借金であることを忘れてはいけません。○住宅ローンの金利と社会経済 ~風が吹けば桶屋が儲かる~消費金額が大きいことと、関連産業の裾野が広いがために、住宅政策は長年政府の景気テコ入れの目玉として扱われてきました。「住宅ローンとの賢い付き合い方(2)」の文末で、住宅ローンの適正金利は6%程度と言われていると述べました。ローンを借り入れる時には少しでも金利が低い方が助かります。しかし本当に金利は低いままが理想的なのでしょうか。適正金利の意味合いは、金利が6%程度であれば、社会経済が活性化し、健全な成長が生まれ、所得も増え、資産価値も増し、相対的に返済の負担が減っていき、その事が消費を促し、さらに経済が安定していく循環を生み出すと言うことです。今は低金利であっても不安がいっぱいかもしれませんが、高度成長期の高金利時代の方が、気持ち的な余裕があったと思います。まさに「お金は天下のまわりもの」なのです。サブプライムローン(※)の破綻が世界の経済を大きく左右したことは記憶に新しいところです。「低所得者でも家が持てる」というメリットだけに目を向けて、そのリスクに目を向けなければ、大きな問題となります。個人として身を守るためには、現在の低金利に安穏とせずに、お金がまわらない社会のリスクにも目を向けて、ローン管理する事が肝要です。※ サブプライムローン…米国で低所得者に高めの金利と住宅を担保にして提供される住宅ローンです。ローンを借りた債務者は、万一破綻すれば住宅を放棄すれば債務は残りません。好景気で不動産価格が上昇していれば、ローン残高を上回った価格で取引され、投資家の損失はありませんが、景気が低迷するとリスクは大きくなります。米国のサブプライム問題は経済破綻の要因として取り上げられていますが、お金がまわらなくなった要因は、「適正」でない金利や仕組みであり、「適正」であることは経済の安定に非常に重要なのです。プライム(=優れた)にサブがつくと信用度が低いとなります。信用度が低いために証券化して投資家にリスクを転化させているのですが、証券化された証券を繰り込んだファンドをさらに組込んだ商品を開発し、そのまた商品を組込んだ…と細分化されていき、リスクの高い証券が拡散していきました。○出来高払いの住宅ローン ~工事中の建物は誰のもの?~町の工務店に工事を依頼するときに心配なのが、規模が小さいが故の工務店の倒産です。よほど信頼できる会社でないかぎり、手抜き工事の不安もあります。本来は長年その地域信頼を勝ち得てきた工務店は、建てた後も住まいの主治医として何かと面倒を見てもらえる存在です。しかし昨今、大会社も社会の変化に対応できずに倒産するケースは少なくありません。工事途中に倒産した場合、工事中の建物は誰のものでしょうか。着工金や中間金の支払いを済ませているので、当然施主は自分のものだと思いがちです。しかし、工事中の建物は等しく債権者の物です。もちろん施主も債権者ですので、工事中の建物の権利の一部は有しています。以前は他の債権者が工事中の建物から金目のモノを持ち去ってしますことが少なくありませんでした。それを防ぐには24時間見張っている必要がありますが、ほぼ不可能でしょう。「出来高払いの住宅ローン」は、建築工事着工前に住宅ローンが実行され(一般のローンは完成後の登記後に実行される)、つなぎローンが必要ありません。工事中は工事の進捗に応じて融資が実行されますので、基本的に建物のできたところまでは自分のものとして引渡しを受けたと同様に認識でき、工事会社が倒産しても建物の完成した部分を自分のものとして主張しやすくなります。住宅完成保証(※)とセットになっていれば、より安心です。※ 住宅完成保証制度…日本の法律では、新築住宅の請負人または売主は引渡しから10年間、瑕疵担保責任を負い(「新築住宅の請負契約または売買契約における瑕疵担保責任の特例」)、かつ円滑に履行されるための法律(「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保に関する法律」)により保険の加入等が義務付けられていますが、引渡し前の工事中の建物を守る法律はありません。個人として対処するには住宅完成保証制度に加入する方法があります。※ 建築中の災害(地震や津波)で建物が損失した場合の責任は?…地震国の日本では普通に起こりうるリスクで、実際に阪神淡路大震災や東日本大震災でも、こうした事態が発生していると思います。通常、建築会社は工事中の建物に火災保険を掛けます。しかし、地震が原因の火災には対応していないケースがほとんどです。地震保険もあるようですが、現実的には保険会社が引き受けるとは限りません。請負契約は本来完成品を引き渡すことを目的としています。従って引き渡し前の損失は工事店が責任を負うのが本来ですが、一般的に使われている旧四会連合協定の工事請負約款には、自然災害の地震や津波などの不可抗力による重大な損失は施主がその責任を負うと記されています。○預金連動型住宅ローンとは ~金利が0%? 預金連動型住宅ローン~預金連動型住宅ローンは、普通預金額に相当する分の利子が軽減されるタイプの住宅ローンです。住宅ローンの借り入れ金額と同等の普通預金があれば、金利はほぼ0%に近づける事が可能です。長期の固定金利商品がなく、当初の金利も高めですが、「住宅ローンとの賢い付き合い方(2)」で頭金の額について述べたように、万一の場合に使える現金を残しておく必要がある場合は便利です。変動金利のリスクもあるので、預貯金は温存したいけど短期で繰上げ返済可能な共働き夫婦などは検討しても良いでしょう。東京スター銀行が開発した商品で、扱っている銀行は少ないので、事前に確認ください。○上限金利付変動金利型ローン ~固定金利期間選択型のローンとどう違う?~キャップ付き住宅ローンとも言われ、扱っている金融機関は多くはありませんが、労働金庫で商品化されています。キャップ期間といわれる特約期間(5年、10年)は、上限金利を上回りません。上限金利内で変動するだけです。特約期間が過ぎれば、金融機関によって異なりますが、変動金利や固定金利、上限金利付変動金利などを選択できるのが一般的です。<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年02月23日図研は2月17日、自動搬送システムを手がける浜名エンジニアリングが次世代電気制御設計環境として同社の電装/制御ケーブル設計ソリューション「E3.series」を採用したと発表した。今回、浜名エンジニアリングが「E3.series」の導入に至ったのは同ソリューションの優れた図面情報連携機能、拡張性および図研の導入支援体制が高く評価されたことが背景にある。浜名エンジニアリングの技術部笠井グループリーダーによると、近年の納期短縮およびコスト削減に対応するには、作図目的に特化していた既存CADでは機能が不足していると強く感じていたという。「図面情報の整合性を保持できる電気設計用CADを比較検討した結果、『E3.series』のリアルタイムな情報連携機能により、仕様変更や機械設計での図面変更などによる付帯作業や図面情報の 不整合を大幅に削減でき、また資材部門の使用しているデータベースとの連携も可能なので手配ミスの削減にも繋がるとの判断に至りました。その操作性やカスタマイズ性が優れていることに加え、専任SE による立上支援を受けられることで、よりスムースで迅速な既存設計環境からの切り替えが期待できることも、図研の『E3.series』に決めた大きな理由です。」(笠井氏)図研は今後も「E3.series」の機能向上に努めるだけでなく、CADに社内リソースを十分にかけることができない中小規模の企業でも安心して同ソリューションを導入・運用できるよう、さまざまなサービスやサポートを拡充させていくとしている。
2015年02月18日連載『住まいと安全とお金』では、一級建築士とファイナンシャルプランナーの資格を持つ佐藤章子氏が、これまでの豊富な経験を生かして、住宅とお金や、住宅と災害対策などをテーマに、さまざまな解説・アドバイスを行なっていきます。住まいを新規に取得する時の住宅ローン減税等については様々な情報が提供されていて、各種優遇措置や減税などについても広く周知されています。ところが意外に知られていないのがリフォームローンに対する優遇措置や減税制度です。政府は環境保全の観点から住まいをできるだけ長持ちさせるための耐震性能と長く住み続けられるためのバリアフリー仕様にリフォームする場合などには優遇措置を強化しています。住まいは安全であることはもちろんですが、長く暮らし続けられることが、生涯収支を向上させます。またメンテナンスは早い段階で対応する方が少ない費用で済みます。必要に応じてリフォームローンを賢く利用する方法を考えてみましょう。○リフォームローンにもある減税制度 - 耐震・バリアフリー・省エネがポイント冒頭にも述べた通り、政府は安全な住まいを長く使ってもらうことをめざしています。従って、リフォームの優遇措置は、「耐震」、「省エネ」、「バリアフリー」が主軸となります。一般に認知されている住宅ローン減税は増改築(リフォーム含む)工事も対象となりますが、リフォーム専用の「ローン型減税」と「住宅ローン減税」の違いに注目ください。どちらを利用すれば有利かは個々に異なります。また、耐震リフォームの投資型減税に限り、住宅ローン、バリアフリーリフォーム・省エネリフォームのローン型減税も併用できます。リフォームに対する減税制度の概要該当するケースや組み合わせ等が煩雑なために、下記URLの組み合わせ表を参照ください。公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター○投資型減税とは - ローンを使わなくても利用できる! 所得税額の控除「投資型減税」は耳慣れない言葉かも知れません。住宅ローンを借りないで住まいを取得したり、リフォームしたりする時は、通常住宅ローン控除は使えません。自己資金でまかなうと言っても資金に余裕があるケースばかりとは限りません。高齢者の場合はローンを組みにくいですし、老後の生活ために貯蓄した資金を取り崩す不安もあると思います。政府はこうした状況下で、積極的に住まいの質を改善し、健康的に長く住み続けてもらうと共に、高齢者の貯蓄をリフォーム工事に拠出することにより、経済の活性化を図るために、ローンを組まずに住まいを取得したリフォームしたりした場合の減税措置を設けています。投資型減税の主な要件(平成26年4月25日作成 佐藤章子)○高齢者向け返済特例制度 - 年金生活者でも大丈夫! 利子分だけ返済の優遇制度住み慣れた我が家で高齢期を迎え、同時に住まいも老朽化しつつあるケースが多いと思います。現役時代にリフォームを済ませておくのがベストですが、まだ子供が独立していなかったり、バリアフリーの必要性をまだ感じていなかったりで、気がついたら日々の生活が不便という状態ということも少なくないでしょう。ようやくリフォームしようと思っても、ローンを借りる年齢ではないし、貯蓄を拠出するのも今後のことを考えれば不安という状態になっていることが少なくありません。こんな時に便利なのが住宅金融支援機構の高齢者向け返済特例制度です。返済は利子分だけで済み、元金返済は借入者全員が死亡した時ですので、リフォームの資金があったとしても、手持ち資金を温存できるメリットもあります。相続人が現金又は住まいを売却して返済します。高齢者向け返済特例制度<著者プロフィール>佐藤 章子一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
2015年02月13日富士通は2月6日、機械装置設計向け3次元CAD「FUJITSU Manufacturing Industry Solution iCAD SX V7L4」を同日より販売開始した。同製品では、同一パーツとなるソリッドデータのメモリ領域を共有化することで従来比約1.3倍のデータ容量の軽量化と、ファイル読み込み速度を従来比約10倍に高速化することに成功した。ファイル参照や保存、編集性能が格段に向上したことで、部品が数万点にもおよぶ大型産業機械全体を「iCAD SX」上で設計できるようになった。また、数千本にもおよぶ非常に多くの鋼材や配管について、CAD上で構想検討したモデル形状から、各鋼材の長さや重量、配管の接続情報を図面や帳票に自動で一括出力することができる。これにより、従来では抽出できなかった調達・加工・組立に必要な情報について、手作業で行っていた部品集計や追記作業といった設計付帯作業の効率化を図り、工数を従来比約50%削減できるとしている。さらに、図面化処理速度が大幅に向上したことにより、数万点におよぶ組立図を高速に作成できる。加えて、直感的な操作により、組立図、部品図、アイソメ図、断面図、詳細図などさまざまな図面を手間なく作成でき、設計変更における図面反映も一括で行うことができる。これにより図面作成や設計変更の反映にかかる工数を従来比約80%削減し、設計部門から製造部門に短期間で設計情報を伝達することができるという。なお、価格は138万円(配管設計オプションは30万円~)で、2015年度に1万2000本の販売を目標としている。
2015年02月06日米ジュニパーネットワークスは12月3日(現地時間)、オープンコンピュートプロジェクト(OCP)のハードウェア設計に同社のキャリアクラス・ネットワークOS「Junos」を統合したスイッチ「OCX1100」を発表した。同製品は2015年第1四半期に発売予定で、大規模なデータセンター構築に対しコスト効率に優れたオープンな分散型スイッチング・プラットフォームを提供する。同製品は、L3ネットワークの実装に必要な機能を提供するほか、カスタム・スクリプトおよびアプリケーションと「Junos」の対話を可能にするPythonなどのオープンスタンダード・プログラミング・インタフェース、自動プログラミングおよびプロビジョニングを可能にするPuppetやChefといった「Junos」のツールへのネイティブ・インストールのサポートを提供する。そのほか、「Junos」ソフトウェア開発キット(SDK)へのリアルタイムな一時テーブル・プログラミングや、サードパーティ・ネットワークOSの分散とローディングにより、ベンダロックインから解放するオープンネットワーク・インストール環境(ONIE)も提供する。なお、大手オリジナル・デバイスメーカー(ODM)であるAlpha Networksとの提携によるハードウェア設計をOCPに提出しており、「OCX1100」の発売までに承認される予定だという。
2014年12月05日富士通研究所は11月11日、LTE-Advancedに対応した無線基地局の最適な位置をシミュレーションにより決定して配置する設計技術を開発したと発表した。詳細は、10月30日からシンガポールで開催された国際会議「SmartCom 2014」にて発表された。近年のモバイル通信では、メールやWebアクセス、ストリーミングなどのデータ通信が主流となっており、データ通信を目的とした基地局配置の設計では、ユーザーの通信速度を最適化し、ユーザーの体感通信速度や、つながりやすさを向上することが重要になっている。そのため、ユーザーの通信速度を高速に計算するアルゴリズムの開発が行われてきた。最新の通信規格であるLTE-Advancedで採用された基地局間協調伝送では、1つの端末がマクロ基地局と小型基地局の両方から同一信号を受信することで、セル間干渉を回避することができる。従来の手法では、各基地局が独立にユーザー割り当てのスケジューリングを行うことを仮定して、ユーザーの割当率を高速演算アルゴリズムにより計算していた。同方法は基地局間協調伝送に対応していないため、ユーザーの割当率を正しく計算できず、基地局間協調の機能を持った基地局では、最適な設置位置を判定することができなかった。そこで今回、基地局間協調伝送を考慮してユーザーの割当率を正しく計算可能な基地局配置の設計技術を開発した。開発した手法では、新たに導入する条件により、基地局間協調伝送を用いる場合のユーザーの割当率を高速に計算することができ、基地局間協調伝送の機能を持った基地局の最適な設置位置を決定することが可能になる。同技術を用いることで、LTE-Advancedに対応した基地局の最適な設置位置の計算が可能になり、基地局増設による大幅な通信品質の向上が見込めるという。さらに、従来と同程度の通信容量を確保するために必要な増設基地局数を約3割削減すると同時に、モバイル通信のつながりにくさを解消し、快適な通信環境を提供することが可能になる。なお、富士通研では、基地局配置のさらなる最適化の検討を進め、2016年頃の実用化を目指すという。今後も、LTE-Advancedや次世代の移動通信方式である5Gなどで採用される新しい機能への対応を進めていくとコメントしている。
2014年11月12日National Instruments(NI)は、同社が提供する、NI AWR Design Environment(NI AWR設計環境)のソフトウェアであるMicrowave Office、Visual System Simulator(VSS)、AXIEM、Analystの機能を拡張させた新バージョン「11.02(V11.02)」をリリースしたと発表した。同リリースでは、Microwave OfficeのレイアウトデータとANSYS HFSS電磁界シミュレータ間の自動フローを可能にした「AWR Connected for ANSYS HFSS」の機能がサポートされたほか、線形、APLAC非線形、AXIEMとAnalystのシミュレータ技術、より堅牢な回路図エディタ配線ツールの改良など、15を超えるレイアウトの改良が施されたとのことで、全体では100以上の機能が強化されたという。なお、同バージョンはすでに既存顧客ならびにライセンス評価ユーザーに提供を開始しているという。
2014年11月11日Maxim Integrated Productsは10月29日(現地時間)、世界の電力会社の規格に適合する1つの共通コアを使用して電力メータを設計し、開発期間を短縮できるメータ用SoC「ZON」ファミリを発表した。電力メータの規格は世界各国で異なり、電力会社は顧客と地域のニーズに応じてさまざまなタイプのメータを求めている。このため、メータ会社は電力会社の要件が変化したとき、柔軟かつ迅速に対応する必要がある。また、現在のメータ用IC設計においては、同一チップ上で各種のメモリ容量を提供することによって柔軟性を持たせているが、メモリサイズの変更のみであり、電力会社の規格およびモデルの進化に合わせてメータを最適化させることができないため、ファミリソリューションと呼ぶことはできない状況にあった。今回発表の「ZON」ファミリは、メータ会社が同じファームウェアを採用する1つのプラットフォームを用いて機能を最適化し、まったく異なる顧客ニーズに対応することができる汎用的なソリューションとなっている。具体的には、あらゆる構成に対応するため、単相(1相)用の「M」と多相(3相)用の「P」の2つの製品シリーズがラインナップされており、ローエンド、ミッドレンジ、およびハイエンドのメータ用に調整されたオプションを備えている。さらに、両シリーズは同じ高精度32ビット計算エンジンを、メータのアプリケーションマイコンとは別に搭載している。これにより、システムコアの作業負荷が軽減される他、ユーザーがデバイス間でアプリケーションコードを移植することが可能なため、高度なIPの再利用が促進されるという。なお、「M1/M1L」、「M3」、および「P3/P3L」製品は、同社のWebサイトおよび一部の販売代理店で提供中。今後、さらに多くの製品の発売が予定されているという。また、リファレンスデザイン、評価キット、および検証されたDLMSソフトウェアスタックも利用可能となっている。
2014年10月31日新しい飛行機を設計して、図面を用意して、それに合わせたコンポーネントや搭載機器を設計して組み立てて、飛行機が完成した。これで仕事が終わった、万歳!…となれば話は簡単だが、実はその先が長い。特に軍用機は長い。○モノができたらテストするちょうど、三菱航空機が開発を進めている新型リージョナル旅客機・MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の初号機がロールアウトしようとしている(10月18日の実施を予定)。事情を知らないと、機体が完成してロールアウトした時点で、その機体がすぐにでも就航して利用できるようになると思ってしまうのだが、実はそんなに簡単な話ではない。どんな工業製品でもそうだが、完成したものはテストしてみて、問題がないことを確認しなければならない。他の工業製品がいい加減なテストでよいというわけではないのだが、もしも事故が発生するとさまざまな分野で大きな影響が生じる航空機の場合、テストについては厳格だ。まず、実機が飛ぶ前からテストが始まっている。それが地上で行う強度試験で、それがさらに「静強度試験」と「疲労試験」に分かれている。これらの試験に用いる機体は、飛行試験用の機体とは別に用意することになっていて、それはどんな飛行機でも同じだ。だいたい、地上で限界まで負荷をかけた機体で飛行試験をやるのでは、おっかなくて話にならない。静強度試験とは、要約すると「設計時に設定した通りの条件で荷重をかけてみて、壊れないことを確認する」というものだ。たとえば、荷重限界が3G(つまり地上の重力の3倍)であれば、その通りの荷重を供試体にかけてみる。3G荷重で旋回などの操縦操作を行ったときに機体にかかる負荷は計算できるから、油圧ジャッキのような機材を使って地上試験用機に計算通りの荷重をかけてみる。実際の試験では安全率も考慮に入れるから、たとえば荷重限界が3G、安全率が2.0なら、6G荷重に相当する負荷をかける。それで壊れなければ合格である。もうひとつの疲労試験とは、繰り返し荷重をかけるものだ。設計時の限界内であっても、負荷がかかる状態を何回も繰り返しているうちに機体構造材が疲労してきて、やがて壊れる。たとえば、一日に3回のフライトを行い、年間300日飛べば、一年間に発生する離着陸は900回、それを30年間繰り返せば27,000回だ。この辺の条件は機体の想定用途によって違ってくるから、設計の段階で数字を決めておく。そして実機が完成したら、設計段階で想定した荷重を想定した回数だけ繰り返して、それでも壊れないことを確認する。こういった試験の際に、機体の各所にどの程度の負荷や変形が発生しているかを計測しておかなければ、壊れたときの原因究明や対処が難しくなる。それに、壊れなくても「問題がない」と確認できなければならない。だから、計測用のセンサーを取り付けておいて、リアルタイムでデータを取る。供試体が壊れてから押っ取り刀で「どこが壊れた!?」とやっていたのでは仕事にならない。疲労試験は時間がかかるから飛行試験と同時進行になるが、静強度試験は飛行試験よりも先行させる必要がある。たとえばの話、静強度試験で2G荷重までしかテストしていないのに、飛行試験で3Gの荷重をかけることはしない。○飛んだら飛んだでデータを取らなければならないその飛行試験になると、データ収集には情報通信技術が大活躍する。実機を作って飛ばしてテストするのは時間も費用もかかる話だし、テストに延々と時間をかけるわけにも行かない。だから、できるだけ効率的に作業を進めたい。そこで、飛行試験を始める前に綿密に計画を立てて、どの飛行試験で何と何をテストして、どの部分のデータを取るかを決めておく。そして、機体構造材や搭載機器にセンサーを取り付けて、飛んでいる最中にデータを取る。それだけではなく、得られたデータをリアルタイムで地上に無線で送り、地上にいる技術者がその場で見られるようにする。もちろん記録もとる。軍民を問わず、いまどきの飛行機の飛行試験は、このように地上と機体を無線通信で結んで行う、テレメトリー(遠隔計測)が当たり前の姿になっている。だから、試験の前に設定した条件通りに飛んでいるかどうかは、地上にいても丸わかりだ。また、パイロットが計器で見ている飛行諸元についても、それは同じものが地上にもそのまま伝わっている。たとえばの話、地上にいる技術者がテストパイロットに、無線で「速度が設定条件より0.5ノット足りません」などと物言いをつけるようなことも起きる。テストパイロットにしてみれば大変な話だが、べらぼうなチェック項目がある飛行試験を迅速かつ確実にこなし、テスト中の機体に問題がないことを確実にするためには、こういうやり方をとるしかないのである。○執筆者紹介井上孝司IT分野から鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野に進出して著述活動を展開中のテクニカルライター。マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。「戦うコンピュータ2011」(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて「軍事研究」「丸」「Jwings」「エアワールド」「新幹線EX」などに寄稿しているほか、最新刊「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」(潮書房光人社)がある。
2014年10月14日STMicroelectronicsは10月9日、Bluetooth Smart対応機器・モジュールの設計において、開発期間の短縮、システム性能の最大化、製品サイズの小型化を可能にする集積型バラン「BALF-NRG-01D3」を発表した。同製品は、STのBluetooth Smart対応ワイヤレスネットワークプロセッサであるBlueNRGのコンパニオンチップで、アンテナとの間に外付けで必要とされる平衡化・整合回路を全て集積することで最適なパフォーマンスを実現しており、高度な技術が要求されるRF回路設計をより簡略化できる。また、バランの入力インピーダンスがBlueNRGに整合されることにより感度と出力を最大化し、さらに内蔵の高調波フィルタで規制基準に対応する。この結果、最大15個の表面実装部品の置き換えが可能で、ディスクリートで構成されたバラン回路と比較して実装面積を最大75%小型化することができる。これらにより、モバイル機器、ウェアラブル機器、IoT(Internet of Things)機器などに搭載されるRFフロントエンド回路に最適な集積型受動デバイス(IPD:Integrated Passive Device)となっている。同社のIPDプロセスでは、高品質な受動部品をガラス基板上に形成することで、高いコスト競争力、小型実装面積、低電力損失を実現しているという。なお、パッケージは1.4mm×0.85mm×0.67mmサイズの4ピンWL-CSP。価格は5000個購入時で約0.15ドル。
2014年10月10日造船設計では、国際条約や船級協会が定めた規則に則り設計を行い、承認を受ける必要がある。このうち船級規則については、かつては船級協会毎に個別に定められていた。しかしながら、グローバル化の流れの中で規則を統一する動きが広がりを見せ、2005年12月に国際船級協会連合(International Association of Classification Societies: IACS)において、「ばら積貨物船*」と「油タンカー」の2つの船種のための共通構造規則(Common Structural Rule:CSR)が採択され統一され、IACSに加盟するすべての船級協会において2006年4月より施行されることとなった。さらに、この2つのCSRの技術的調和を目指した調和型共通構造規則(調和CSR)の草案が策定され、業界レビューを経た後、2013年12月にIACSにて採択された。このような動きの中、船級協会の一つである「日本海事協会(ClassNK)」は、調和CSRに準拠した「構造解析システムの基盤となるFEM(有限要素法)構造解析ソフトウェア」としてAltairの「HyperWorks」を採用した。新たな規則への対応を迫られた造船現場。そこにHyperWorksが採用されたことで何がもたらされたのかを、実際に船の構造解析に利用している株式会社新来島どっく 技術設計本部 造船設計部 構造計画課 池本俊史氏に伺った。*ばら積貨物船:貨物をコンテナなどに梱包せず、そのまま船倉に積み込むタイプの貨物船のこと。主に、鉱物や穀物などの輸送に利用される。○大規模データの処理を求められる新規則に対応するために「以前、私達が利用していた解析ソフトはデータ容量が大きくなると、非常に処理が重く、結果が出るまでに大変な時間が掛かっていました。画面でモデルを表示している時も、少し動かしただけで処理が重くなり、場合によってはフリーズしてしまうこともありました。」(池本氏)新たに定められた調和CSRは2つの構造規則を統一することになるため、解析に必要となる計算も複雑になる。しかも巨大な建造物である船舶はモデルデータも大規模だ。このような大量のデータを用いて複雑な計算を行えば、処理が重くなるのは必然となる。「これ以上、構造解析の計算に時間が取られてしまっては、作業全体のスケジュールにも影響を及ぼすことになる」。そう感じていた池本氏は、HyperWorksが調和CSRに準拠する構造ソフトウェアとして採用されたと聞き、導入に賛同したという。○計算時間が1/4に。圧倒的に速くなった処理速度新来島どっくでは、HyperWorksが持つ各種ソリューションの、HyperMesh(構造解析用のFEモデル作成)、OptiStruct(構造解析)、HyperView(データの可視化)を利用している。「以前に利用していたソフトウェアと比較すると、HyperMeshで作成したモデルデータは容量が半分くらいで済みます。お陰で画面に表示する際もスムーズに動きますし、以前のようにフリーズすることもありません。ストレージ容量の点からも大変ありがたいです」(池本氏)。さらにHyperWorksで稼動する専用のプログラムと組み合わせることにより、これまで40時間掛かっていた作業が、四分の一の10時間で完了するほど、圧倒的な処理速度の向上を実現した。「簡単なものであれば、ちょっと席を外している間に終わってしまう。計算待ちの時間が大幅に削減されたので、非常に効率が良くなりました」(池本氏)。○思わぬ効果を生んだ多彩な画面表示機能処理速度のほかに、池本氏が挙げたHyperWorksの長所として「多彩な表示機能」がある。強度や防振などの問題に対処するため、現代の船体構造は複雑なものとなる。船全体を表示すると分かり難くなるので、該当する箇所のみを表示できると便利だ。だが、池本氏がこれまでに利用していたソフトウェアでは、詳細な表示の調整は難しい部分があった。一方、HyperWorksには多彩な表示機能があるため、表示したい箇所、逆に隠したい箇所の設定を容易に行うことができる。「表示に関しては、やりたいと思ったことが当たり前にできてしまう。導入時点では特に注目していた機能ではないのですが、実際に利用してみると非常に便利で、今では欠かせないものとなっています」(池本氏)○使いやすいインタフェースと柔軟なサポート体制「HyperWorksはソフトウェアとしても優れていますが、インタフェースの面でも非常に優秀です。新たにソフトウェアを導入すると習得に時間が掛かってしまうものですが、HyperWorksはインタフェースが直感的で分かりやすいので、習得に多くの時間を必要としません。サポートも丁寧で、しかも対応が速い。おかげさまで、よく利用させていただいています」(池本氏)。現在、新来島どっくでは、調和CSRをはじめとする新たな船舶規則に対応するため、日本海事協会、そしてアルテアと共同でさまざまな研究を行っている。今後も、規則に則った安全な船舶の設計のため、HyperWorksによる解析が行われて行くことだろう。「現在、私達はHyperMesh、OptiStruct、HyperViewの3つを利用しています。ですが、HyperWorksのシリーズには他にも沢山のソフトウェアがあります。その中に造船設計につながるものがあれば、是非とも使ってみたいですね」(池本氏)
2014年10月07日いくら航空機の設計作業を効率化しても、設計したものを形にしなければ、最終的な製品を生み出すことはできない。すると今度は、「設計と製作」のうち「製作」の工程について、いかにして効率よく、高い精度でモノを造るかという課題が出てくる。○設計するだけでは終わらない前回に述べたように、航空機の構造解析、あるいは外形や空力面の設計といった分野でコンピュータを活用することで、紙の図面と手回し式計算機を使っていた時代と比較すると、大幅な効率化を実現できた。もっとも、航空機そのものが大きく、複雑になってきているから、設計作業にかかる絶対的な時間そのものは増えているのだが、それはまた別の問題である。さて。どんなに優れた設計を行い、それを図面の形に落とし込んだとしても、その図面を基にして部品を製作して、それを組み立てなければ、航空機の製作という作業は完結しない。すると、図面に書いたものを実際に製作する工程、あるいは製作した部品を組み立てる工程をどれだけ効率的に行うか、という課題が生じる。もちろん、CAD/CAM(Computer Aided Design / Computer Aided Manufacturing)の活用により、作図、図面の管理、履歴管理といった作業は効率的になっただろうし、CADによって用意した設計データを工作機械に直接流し込めば、図面通りの製品を精確に造る作業も効率化できる。それでも当然ながら、実際に製作に携わる「人」という要素は無視できない。たとえば、軽量化のために電線や電線の被覆の寸法を抑えれば、それだけ取り扱いが難しくなる。実際、ある戦闘機を設計した際に、軽量化のために機内で使用する電線を細くしたら、製作工程でその電線がポキポキ折れてしまい、歩留まりが悪くなって大変だったそうだ。こういうのはコンピュータだけが頑張ってもどうにもならない。また、部品を高い精度で造っても、それを組み合わせる作業も正確に行わなければ、精度の高い完成品はできない。実際、最近の航空機の組み立てに際しては、レーザー光線を使った位置決めまで行われている。レーザー・ビームは細くて直進性が高いから、それを活用すれば精確な位置決めを行えるという理屈であるらしい。基本的には、治具を用意してそこに部品をセットした上で、溶接したり、あるいはリベットやボルトとナットで連結したりする。それは今も昔も変わらないが、その際の位置決めをどこまで精確にやるかというところで違いが生じるわけだ。ことにステルス機というのは高い精度を求められる。なにしろF-117Aの試験飛行を行っていたときに、機体外部に露出する部品の固定に使用していたビスが何本か緩んでいただけで、レーダー反射が急増したというから侮れない。ビスをちゃんと締めるだけでなく、それ以前の段階として機体の外形を構成する部品の位置合わせを正確に行わなければ、段差や隙間ができてしまうだろう。するとそれは、想定外のレーダー反射を引き起こす要素となり得る。ステルス性を持たせた機体を設計するだけでも大仕事だが、その設計通りに機体を作り、かつ維持する作業もまた、大仕事だったというわけである。○部品の履歴管理また、航空産業でうるさくいわれる課題のひとつとして、部品の履歴管理がある。つまり、サプライヤーが製作・納入する個々の部品について、どこから材料を調達して、どういう内容の加工を行ったのかを記録しておかなければならないという話だ。しかも、部品の種類ごとではなく、一点ごとにである。どうしてそういう話が出てくるかといえば、後でトラブルが発生したときの原因追及に関わってくるからだ。たとえば、機体構造材を構成する部品の中に、不適切な加工作業や熱処理を行ったものが紛れ込んでいて、それが原因で破損事故が生じたとする。その破損の原因として、「設計の不備」だけでなく「製作工程の不備」も考えられるのは当然のことだ。すると、製作工程で何をやったのかを記録しておかなければ、そもそも不備があったのかどうか、不備があったとすれば何をどう改善しなければならないのか、といったことが分からなくなる。だから、製作する個々の部品ごとに履歴管理をきちんと行わなければならない、という話になる。もちろん、紙の台帳に記録する方法でも履歴管理はできるが、後で履歴データを検索する作業、あるいは履歴データを複数の関係者が共有する場面では、コンピュータにデータを溜め込んでおく方が効率的になるのは自明の理だ。ちなみにこれは、機体そのものだけでなく、エンジンで使用する部品も同じだ。回転する軸を支えるボールベアリングひとつとっても、ちゃんと「どこから材料を調達したか」「それに対してどういう内容の加工を行ったのかという記録を取っておくよう納入先から求められるし、納入する側はそれに対応していかなければならない。そうなれば、その仕組みを支える情報システムの責任も重いはずだ。○執筆者紹介井上孝司IT分野から鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野に進出して著述活動を展開中のテクニカルライター。マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。「戦うコンピュータ2011」(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて「軍事研究」「丸」「Jwings」「エアワールド」「新幹線EX」などに寄稿しているほか、最新刊「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」(潮書房光人社)がある。
2014年09月29日