保活の大変さが浮き彫りになる中、保育園に入るためにわざわざ離婚届を出してまで入ろうとする人もいるという話を聞きました。保活のための偽装離婚…それって罪にはならないのでしょうか? アディーレ法律事務所の先生が教えてくれました。 「保育園落ちた日本死ね」のブログ投稿が波紋を呼びました。言葉は乱暴ですが、、「そのとおり!スッキリした!」と共感した女性も多かったようです。この現象は、、「保育園に入りたいのに入れない」女性がいまだ多数存在することを表しているといえるでしょう。あんなに「女性の社会進出」と謳いながら、、「実際には保育園が足りない! 働けないではないか!」と政府への怒りを感じるのも無理はないかもしれません。■保育園に入園するために「偽装離婚」する夫婦もある「偽装離婚」とは、、一般には、「実際には夫婦としての実質が継続しているにもかかわらず、、離婚届を提出し、法的には婚姻関係を解消している夫婦」の状態を指します。最近は、保育園に入るために偽装離婚を行う夫婦もいると言われています。本当は離婚などするつもりがないのに、保育園に入るために離婚を装うという、この行為は法的にどのような評価になるのでしょうか。■偽装離婚って罪になるの?「相手にその意思がないのに勝手に離婚届にサインをして提出する行為」については、ズバリ犯罪となります。離婚届を偽造する点で「有印私文書偽造罪」、役所に提出する点で「偽造私文書行使罪」、戸籍に虚偽の記載をさせる点で「公正証書原本不実記載罪」という犯罪が成立します。しかしながら「離婚」については、法的な解釈では、「お互いが離婚届を出すこと・籍を抜くことに同意している」以上は有効な離婚となります。なので、保育園に入園する目的で、「実質的には夫婦のままでいるけれど籍は抜こう」と夫婦が合意して離婚届を提出したのであれば、これらの犯罪は成立しません。ただ、偽装離婚を手段として、財産的なメリットを得ようとする行為は、詐欺罪に当たる可能性が出てきます。過去には、「同居の男性がいるのに児童扶養手当を受け取っていた」ケースについて詐欺容疑で逮捕された事例もあるようです。離婚を偽装する、いわゆる騙すことにより、本来得られない金銭や、財産上の利益を得てしまう行為は立派な詐欺罪に該当します。 実際には離婚をしていないのに離婚したかのように装って保育園への入園権利を得たり、偽装離婚を手段として経済的なメリットを受けたりしたという場合も、当然詐欺罪に該当しうるでしょう。実際に離婚届を出してはいるものの、実質は夫婦のままであるという偽装離婚により、生活保護を受給する行為なども同様に詐欺罪に該当するといえます。■まとめ「行政の対応が不十分なのが悪い」と言えばそこまでですが、「偽装」をして他人より有利な条件を得る行為は、犯罪に該当する可能性もある行為です。行政が悪いということと、自分だけがいい思いをしようという行為とは、まったく別の話です。やはり法的に問題視される行為である以上、避けていただかねばなりません。偽装によって、本来得られない金銭や経済的メリットを得る行為は詐欺罪に該当し、過去には逮捕された事例もいくつか存在しますので、絶対にしてはいけません。偽装離婚が「悪いこと」という認識は、皆さんお持ちかと思います。ですから、「悪いことはやめましょう」という当たり前のルールはしっかり守ってくださいね。監修協力:弁護士法人アディーレ法律事務所 (東京弁護士会所属)
2016年04月20日少子化が国の大きな課題にもかかわらず、なぜか解消されない保育園の待機児童問題。つい最近でもブログが引き金となり、あらためて待機児童問題がクローズアップされています。では実際、保育園の数はどのように推移しているのでしょうか。ここでは、待機児童が多いといわれている東京23区の保育園事情について調べたことと、もし保育園に入れなかったときの対策方法をまとめてみました。■じつは、保育施設自体は増えている?まずは全国の保育施設の推移からみてみます。平成27年9月に厚生労働省が発表した「保育所等関連状況取りまとめ(平成27年4月1日)」によると、25年で24,038ヶ所、26年は24,425ヶ所と微増、27年には28,738ヶ所と、ここ3年をさかのぼると、保育施設自体はじつは増えてはいます。とくに、27年では前年から4,300件以上の急増。これは、27年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」により、認定こども園、特定地域型保育事業(小規模保育)がカウントされているためです。こども園とは、幼稚園と保育園両方の機能をあわせ持つ施設のこと。特定地域型保育(小規模保育)は、3歳未満の子を対象に少人数(6~19人まで)の保育をする施設のことで、それぞれ一定の条件をクリアした施設が国の「認可事業」として位置づけられます。つまり、公立の保育所以外の、国や市区町村の認可を受けた保育施設が大きく増えた、ということになります。子どもの預け先が増えているなら待機児童数は減るはずですが、27年の全国の待機児童数は23,167人。前年の21,371人から増えています。保育施設の増設と、出産後も働きたい女性の数とのつりあいは結局とれていないのが現状のようです。■東京都内では待機児童ゼロの区もあるけれど…さて、人口が密集している東京都はどうなっているのでしょう。東京都福祉保険局が27年7月に発表した「都内の保育サービスの状況について」では、都内の保育所等利用待機児童数は7,814人で、前年から減少とのデータが公表されています。さらに、区市町村別でみてみると、千代田区の待機児童はなんと0人。港区では30人、杉並区では42人と、思ったより少ない印象を受けます。一方で、待機児童数が最も多かったのが世田谷区の1,182人。区によって非常に大きな開きがあると受け取れますが、どんな状況の子を待機児童数とカウントするかは、自治体によって違いがあるようです。公表されたデータが、かならずしも実情と一致しているとは言い切れないかもしれません。個人的には、筆者が暮らす杉並区では、確かにここ数年で保育施設が増えた印象はあります。また、港区にお住まいの方からは、港区では民間も含めて保育施設が増えたため、保育園への入園が比較的スムーズだった、との話も聞きました。実際に港区の「区立・私立保育園の空き状況」をチェックすると、4月1日の時点で、0歳、1歳児でも数名ではありますが空きが確認できました。(※28年4月1日時点でのデータです。現在は状況が変わっている可能性があります)公立の認可保育所に限るとどの区でも倍率は高そうですが、民間の認可保育施設も増えてはいますので、預け先の選択肢自体は広がっていることも理解しておけるとよいかもしれません。■認可保育園に入れなかった…。そのとき、どうする?もうすぐ育休が明けるのに、公立認可保育所には入れなかった…。そんな事態に直面した経験を持つ先輩ママの多くは、いったん無認可の保育施設に入れて、公立認可保育所の空きを待つ、という方法で乗り切っています。公立認可保育所への入園がとりわけ難しいのが、0~2歳児まで。以降は、公立でも定員が増えるため比較的入りやすくなりますし、それまでのあいだ無認可の保育施設を利用していた実績は、公立保育園に入るためのポイントとして加算されます。また、前述のとおり市区町村の認可を受けた「こども園」や「小規模保育」施設に加え、家庭的保育(保育者の家などで行われる、0~3歳未満の子を対象とし、3人または5人以下の保育を市区町村の認可のもと行う事業のこと)も浸透しつつあります。そのほかでは、社員以外でも利用できる企業内託児所や、ベビーシッターなどを利用する手もないわけではありません。7年ほど前に、育児のプロへの取材で「長い育児のなかで、保育園探しに翻弄(ほんろう)されるのは妊娠中を含めても2~3年くらい。この間だけと割り切って、費用はかかっても何とか預け先を確保して、キャリアを途切れさせないことが長い目で見ると大切です」と聞きました。そのときは、保育園が少ないせいで、働きたいママに費用面でも、精神面でもしわよせがくるなんてやっぱりおかしい! ともやもやしたのですが、そこから7年たってもほとんど状況は変わっていない(保育施設は増えても待機児童は減っていない)ということは、それだけ劇的な改革は難しい、ということでもあると思います。であれば、気持ちを切り替えて、解決方法を見つけていくのが現実的なように思えます。いま、まさに保活中の方、4月から入園できなかった方は、気持ちが落ち着かなかったり、憤りだってあるかもしれません。でも、それも期間限定だと考えて、お住まいの自治体に何度も相談したり、ご自身でも保育施設を探したりしながら、何とか道を切り開いていけることを願っています。参考資料・ 「保育所等関連状況取りまとめ(平成27年4月1日)」厚生労働省プレスリリース ・ 「都内の保育サービスの状況について」東京都福祉保健局プレスリリース
2016年04月15日急に寒さが強まってきましたね。小さい子がいる家庭では、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症が心配な季節です。そこで、今回は、子どもが保育園で病気などをうつしてしまった場合、親や保育園にはどんな責任があるのかを、アディーレ法律事務所の島田さくら先生と考えてみましょう。 「明らかに病気の子」を預けた親は罪になるのか?通常、保育園では、風邪や感染症の2次感染を防ぐため、園児の体調について親に申告するよう求めています。ただ、「風邪」という基準だと判断がつかないため、各園で「37.5℃以上の熱がある場合」「平熱より1℃高い場合」「下痢や嘔吐がある場合」といった具体的な基準を定めて、このような症状がある場合には預かりをしない運用をとっています。また、保育園における感染症予防については、厚生労働省が「保育所における感染症対策ガイドライン」を発表しており、それに基づいて、通常、保育園では入園に際しての契約書等で、感染症にかかった場合の登園の基準を定めています。感染症とはたとえば、麻しん、風しん、水痘、流行性耳下腺炎、インフルエンザ、RSウイルス感染症、百日咳などですが(これ以外にも多数あります)、園が感染症と認定しているものに対しては、症状が治まっても、登園のためには、医療機関の発行する「登園許可書」や「治癒証明書」の提出が必要とされています。このように、保育園としては、ほかの園児に病気がうつらないよう努めることを、親に周知しています。なので、親としては、保育園での決まりや基準を守って、ほかの園児にうつらないよう気をつけなければなりません。とは言え、「病気の子どもを保育園に預けたら犯罪!」とまでは言えないでしょう。理屈の上での話をすれば、他人にわざと病気をうつしたら傷害罪、また、わざとでなくても注意義務を怠って他人に病気をうつしたら過失傷害罪となることが考えられます。しかし、犯罪が成立して処罰されるのは、懲役や罰金等の刑罰をもって処罰しなければならないような場合に限られます。そうすると、そこまでする必要があるのか、子どもを保育園に預けるという行為が傷害といえるのか、等々の問題が出てきます。また、実際問題として、その園児からほかの園児に病気がうつったんだという因果関係を証明するのは難しいですし、警察が捜査を始めるということもないでしょう。親はどのように責任をとるのかわざと他人に病気をうつせば、故意に他人の健康を害してしまっているため、民法上の不法行為(故意または過失により他人に損害を与えること)が成立し、病気がうつってしまった相手に治療費や慰謝料を支払う必要が出てきます。ただ、子どもを保育園に預けた結果、病気がうつってしまったというだけであれば、この行為が不法行為といえるのか、どうのようにして因果関係を証明するのかという問題もありますので、これは現実的ではないでしょう。仮に、子どもがよくかかるような病気をうつしたから損害賠償だ!と言われてしまうと、おちおち子どもを預けることもできなくなってしまいますよね。ただ、登園が禁止されている状態なのに、何度注意しても子どもを登園させることを繰り返すといった場合には、契約違反となり、保育契約を解約されることも考えられます。病気の子どもを預かってしまった保育園の責任もあるのか?保育園の責任については、ちょっと難しいですが、以下のように定められています。(1)保育園には感染症対策をする義務がある厚生労働省のガイドラインによれば、保育園は、感染症を防ぐため、感染症対策をすることを責務とされています(集団予防義務)。保育園の職員は、病気の感染予防や対策について十分に理解し、日々の衛生管理等に活かしていくことが必要です。また、保護者に対して、口頭で、又は保健だよりや掲示等を通じてわかりやすく伝えることが求められます。 そのほか、早期診断・早期治療・感染拡大防止に繋げるため、感染症が発覚した場合には、全職員が情報を共有して、速やかに保護者に感染症名を伝えるなど感染拡大防止策をとる必要があります。(2)保育園で悪質な集団感染が起きた時は、運営側が責任を負うこともですので、保育園には、病気の園児が、ほかの園児に病気をうつす可能性がないかどうか注意して感染を予防する義務があり、その義務に著しく違反し、集団感染などが生じた場合には、都道府県知事から期限を定めて必要な措置を取るべき旨が命じられ、その命令に従わないときには、事業の停止や、悪質な場合には、保育園の運営について認可を取り消される可能性も出てきます(児発第271号通知)。まとめ保育園に子どもたちが安全に通うためには、親もルールを守る必要があります。しかし、働くお母さんたちは、子どもが病気をしたからと言って簡単に仕事を休めるわけではないですし、近くに頼れる人がいない場合には、本当に困ってしまいますよね。最近では、「病児保育室」といって、事前に登録していれば病児または病後の子どもを預かってくれる施設も増えてきています。病院に併設していたり、保育園が運営していたり、さまざまな形態があります。行政によっては、利用料金を補助してくれる場合もあるので、子どもが保育園に通っている親御さんは、この機会に、お住まいの地域にどんな制度があるか、役所のホームページを見たり、担当者に訪ねてみたりしてはいかがでしょうか。あとがき保育園に通い始めた年の冬、うちの子も週1か週2のペースで風邪を引いては熱を出していました。正直、仕事にならない。保育園からのお迎え要請の電話に、裁判が終わって迎えに行くまでもうちょっとだけ待ってくださいとお願いしたこともありました。私の実家は九州で、近くに身寄りもないので、明日はお休みしなきゃなという日には、民間の病児ベビーシッターさんにお願いしています。安くはない出費ですが、子どもが病気の時に預かってくれる場所がないと働けないし、生活もできませんからね。働くお母さんたち、暖かい春が来るまで、なんとか乗り切りましょう!・協力: アディーレ法律事務所 (島田さくら<アディーレ法律事務所>)
2015年12月16日共働きの家族が多くなり、子どもを長時間預かってくれる保育園に通わせる人も多い昨今。認可園、認証園、認可外園など、何件の保育園に申し込んでも、どこにも受け入れてもらえず、あえなく高額な認可外保育園に入園させたり、泣く泣く仕事を辞めたりというママもいるかもしれません。こんな難保育園時代を迎えているのは日本だけなのでしょうか? 他国のワーキングマザーは、どうしているのでしょう? 今回は、働くママが多いと言われる、フランスとシンガポールの保育園事情をご紹介します。フランスでは、妊娠初期から保育園の待機リストに名前を連ねられる子どもを出産した後でも働くママが多いフランスは、近年、出生率が急激にアップしたことが知られています。おもな理由は、子育てのための各種手当が充実していること、そして、最長3年ほどの育児休暇が認められるなど、行政機関が手厚い子育て支援をしてくれることだそうです。しかし、どうやらその急激な子どもの増加によって、0~3歳までの子どもを預けることのできる保育園の数が不足しているようです。とは言え、多くの都市では、公立保育園の待機リストに、なんと妊娠初期のうちから名前を入れさせてもらえるのだとか。公立保育園への入園確率は日本同様、倍率が高いのでかなり難しそうですが、私立の保育園でも公的補助金が出るので、費用はそれほど変わらないようです。また、専門職以外であれば、日本のように残業がある会社もほとんどないので、時間通りお迎えにいけるのも、ママとしては嬉しいところですよね。保育園にするか、それともベビーシッターにするか、悩むシンガポールこちらの想像以上に働くママが多いシンガポール。公立の保育園だけではなく、私立の保育園も多く、日本語と英語のバイリンガル保育が可能な保育園もあるようです。20年以上前までは、保育園に入園できるのは2歳児以上の子どもからでしたが、少子化対策の一環として、国が生後2ヵ月からの入園を可能にしました。シンガポールでは現在、フル・デイケアの場合、7:00~19:00までの12時間、預かってくれる保育園も多いようです。それだけの時間、子どもを預けるとなると、高額な保育園料が痛いところですが、保育園料に関しては国から補助金の支給があるので助かるのだとか。ただし、シンガポールでは、英語や中国語を就学前に読み書きできるようにするといった就学前教育が一般的なので、保育園や幼稚園のうちから、しっかり宿題も出ます。これが、働くママにとっては、ちょっぴり悩むところ。ちなみに、乳児であれば保育園に通わせないで、タイやフィリピンから住み込みのナニー(乳母)さんを雇う家族も多いようです。ナニーさんを雇いながら社会性を身につけさせるために半日保育園に通わせるというのも、教育意識が高い、働くママたちの選択肢のひとつのようです。社会保障が充実しているフランス、経済&教育大国でもあるシンガポール。どちらも日本と同じような悩みがあるものの、国が働く女性へ配慮した政策を積極的に行っているところは、勉強になるかもしれませんね。(徳武加奈子)
2015年11月06日森ビルは2012年8月に完工した「アークヒルズ 仙石山森タワー」に、港区の認可保育園「まちの保育園 六本木」を12月1日に開園する。施設内への認可保育園の設置は同社が初となる。同園はナチュラルスマイルジャパンが運営。以前には、園併設の地域に開かれたカフェや近隣の大学・商店街などと連携した都認証保育園、「まちの保育園 小竹向原」を手掛けている。「まちの保育園 六本木」は同社初の認可保育園であり、近隣住民の方々との交流に加え、どもたちを育むことを目指すという。また、文化的で国際的な地域の特性を生かし、森ビルや大使館、近隣文化施設・商業施設との連携、オフィスワーカーとの取り組みなどを視野に入れていくという。同園の対象年齢は生後57日~未就学児。保育定員は0歳児6名、1歳児8名、2~5歳児各9名。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月28日