「児童虐待」について知りたいことや今話題の「児童虐待」についての記事をチェック! (4/6)
「教育虐待」という言葉を聞くことが増えました。「虐待」とありますが、子どもを叩いたり、蹴ったりするわけではありません。教育的な虐待です。今回は、「教育虐待とは?」「教育虐待に陥りやすい親」などについて考えていきましょう。「もしかして私、教育虐待をしているかも?」と、不安に感じている人に向けた “教育虐待チェックシート” もありますよ。教育虐待とは教育虐待とは、教育を理由に子どもに無理難題を押しつける心理的虐待のこと。教育虐待は、子どもに度を超えた勉強をさせる行為だけではありません。子どもが望んでいないのにもかかわらず、親が習い事を強要することなども教育虐待にあたります。教育虐待という言葉は、もともと、社会福祉法人カリヨン子どもセンター(さまざまな事情から家に帰ることができない少年少女を受け入れるシェルター)のスタッフ間で使われていた言葉で、「あの親は、教育という名のもとに虐待しているよね」といった文脈で使用されていました。「教育熱心な親の常識の範疇を超えた行為」が虐待にあたるということです。また、校則を全廃し、さまざまなメディアで話題となった、東京都世田谷区立桜丘中学校の前校長・西郷孝彦氏は、トークイベント「桜丘中学校ミライへのバトン~選びたくなる、公立学校とは?~」で、教育虐待について以下のように語っています。「教育虐待というのは、“見えない虐待” です。日本においては“教育熱心”という言葉で虐待の実態が見えなくなっているのです」(引用元:西郷孝彦・尾木直樹・吉原毅(2019),『「過干渉」をやめたら子どもは伸びる』, 小学館.)西郷氏は、明らかに行きすぎた教育であるのにもかかわらず、周囲からは「あの家庭は教育熱心だ」と称賛されるような日本の社会にも問題があると主張しています。教育虐待をする親が増え続けている『ルポ教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち』の著者である、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、「程度の違いこそあっても、以前より多くの親が教育虐待をしている」と話しています。“昔の教育熱心な親” には、「東大をはじめとした高偏差値の難関大学に入学させる」という明確なゴールがありました。しかし、いまは先が見えないと言われる時代。英語やプログラミング、コミュニケーション能力など、子どもに必要とされるスキルが多すぎて、「何が正しい教育なのか?」親自身もわからなくなってきているのです。そして、自らの不安を解消するために、子どもにあれこれとやらせてしまう――。では、どのような親の行動が教育虐待にあたるのでしょうか。教育虐待の例をいくつか挙げてみます。子どもをスケジュール漬けにしている子どもの勉強スケジュールを細かく管理する友だちと遊ぶことを許さない夜遅い時間まで勉強(習い事の練習)をさせる志望校や職業など、子どもの将来を勝手に決める成績が悪いなどの理由から子どもに暴力を振るう机や壁を叩く、怒鳴るなどの行為で子どもを威嚇する子どもの自尊心を傷つけるようなことを言う最後に挙げた、「子どもの自尊心を傷つけるようなことを言う」について、もう少し掘り下げてみましょう。教育虐待にあたるのは、以下のような言葉です。「なぜ15点も間違えたんだ!」「努力が足りないから100点をとれないんじゃないか?」「なぜこんな簡単な問題が解けないの!」「〇〇中学に合格しなければ、うちの子ではありません」「最低でも〇〇大学に行きなさい」「一番になれ!」「親の言うことが聞けないならば出ていけ!」文字にするだけでも胸が痛くなる言葉です。ですが、親は子どもが憎くて言っているわけではありません。最初は、「この子のために」「将来幸せになるために」という思いだったはずです。しかし、その「この子のために」という気持ちがエスカレートすることで、「あなたのために言っているのに……なぜ親の言うことが聞けないの!」という教育虐待になってしまうのです。教育虐待をされて育った子どもは……では、教育虐待を受けて育った子どもたちは、どのように成長していくのでしょう。前出の西郷氏は、「父親が勉強に口うるさいケースは、子どもの自己肯定感も成績も低下する傾向がある」と言っています。一緒に過ごす時間が多い母親ではなく、日常的な関わりが薄い父親からの教育虐待は、子どもの自尊心をガクッと低下させるのだそう。教育虐待は、子どもたちの心の成長に大きく関わっているのです。おおたとしまさ氏は、教育虐待を受けた子どもの傾向について以下を挙げています。自分自身で「やりたいこと」を見つけられない大人になって引きこもりになってしまった万引きなどの非行に走ってしまった過食や拒食などの摂食障害になってしまったぽっきりと心が折れて立ち上がれなくなった自分の子どもにも教育虐待をしてしまった「我が子の将来のために最高の教育を!」と頑張ってきたのに、頑張っているうちに子どもの顔が見えなくなり、結果的に教育虐待によって子どもを壊してしまう――とても残念なことです。教育虐待に陥りやすい親の「7つの特徴」どうやら、教育虐待をしてしまう親にはいくつかの特徴があるようです。『教育虐待・教育ネグレクト 日本の教育システムと親が抱える問題』の著者である、青山学院大学教育人間科学部教授・古荘純一氏は、教育虐待に走りやすい親の特徴を7つ挙げています。特徴1:両親ともに高学歴で、社会的地位が高い「成績がよくて当然、できなければ問題児」という考えが強い。また、「もし我が子がいい大学に入れなかったら……」という不安があるため、子どもに高成績を望み続ける。特徴2:自分の学歴に劣等感をもっている親自身が「学歴のせいで苦労してきた」ので、子どもには同じような苦労をさせたくないと強く思っている。子どもに過度な期待をしがち。自身の満たされない思いを子どもに投影している。特徴3:キャリアを捨てて育児に専念しているやりがいのある仕事についていたが、さまざまな理由から仕事を辞めなければいけなくなってしまった親。いままで仕事にかけていたエネルギーが、子どもの教育に向かうことが多い。特徴4:子どもの成績などの責任をすべて押しつけられている「子どもの成績が悪いのは、いつも世話をしている母親が原因だ」などのプレッシャーがある家。親族や父親からの重圧が大きいので、仕方なく、我が子に教育虐待をしてしまう。特徴5:母親は教育熱心だが、父親は教育に無関心父親は教育について無関心だけど、その一方で母親は異常に教育熱心。しかし「なぜ勉強しなければいけないのか」という哲学がないことが多いため、視野が狭く、情報に踊らされてしまう。特徴6:パートナーの教育虐待行為に反論できないパートナーの教育が「明らかに教育虐待」だとわかっていても、直接反論することができない親。パートナーの考え方に洗脳されてしまっている場合もある。特徴7:親自身が「きょうだい間の成績の差」に劣等感をもっている「お兄ちゃんは算数が得意なのに」などと、きょうだいと比較されて育った親。劣等感をもったまま育っているので、つい子どもの教育に厳しくなってしまう。我が子を教育虐待してしまうのは、親自身のコンプレックスが原因です。たとえば、教育虐待をする「東大に落ちて早慶に進学した親」は、はたから見たら高学歴ですが、当人は「東大に落ちた」というコンプレックスをもち続けています。だから、子どもがどんなに頑張って勉強をしていたとしても、「お父さん(お母さん)は、もっと頑張っていた。だから、お前もいま以上に頑張れ!」などと子どもに発破をかけるのです。頑張っているのに「もっと頑張れ」と言われる――子どもにとって、教育虐待は終わりのない虐待と言えるでしょう。教育虐待をチェックする「4つの問い」「もしかしたら、私も教育虐待しているかも?」そう感じた方は、以下のチェック項目にYES・NOで答えてみてください。じっくり考えてから答えを出してくださいね。□子どもは自分とは別の人間だと思えていますか?(YES・NO)□子どもの人生は子どもが選択するものだと認められていますか?(YES・NO)□子どもの人生を自分の人生と重ね合わせていないですか?(YES・NO)□子どものこと以外の自分の人生を持っていますか?(YES・NO)おおたとしまさ氏は、上記の質問の答えについて以下のように分析しています。◆迷いながらも「自分は大丈夫だ」と思えた人→問題なし◆NOに当てはまることがあるかも……と感じた人→これから改善していけばOK◆一切の迷いなく「YES!」と答えた人→教育虐待をしているかもいっさいの迷いなく「YES!」と答えた人は、「自分の教育は絶対に正しいんだ!」と思い込んでいます。それゆえ、子どもの気持ちに目を向けることができなくなってしまうのです。おおたとしまさ氏は、「教育虐待をしている親の多くは無自覚」だと言っています。教育虐待をしていることに親自身が気づいていないというのが、教育虐待のやっかいなところなのです。教育虐待をしないために気をつけることでは、教育虐待をしないために、親はどうすればよいのでしょうか?教育虐待という言葉を世間一般に広めたとされる、元武蔵大学人文学部教授の武田信子氏によると、教育熱心な親は「子どもの幸せ」を望んでいるのに対し、教育虐待をする親は「親としての成功」を望んでいるのだそう。子どもは親の所有物ではありません。子どもの人権は尊重しなければならないのです。「子どものため」と言いながら、実際は「親としての成功のため」になっていないかどうか、日々、自分自身の言動を確認しましょう。専門家の意見を参考に「教育虐待をしないために親が気をつけること」をまとめました。親は子育て以外の趣味や仕事をもつ子どもをまわりと比較しない子どもをひとりの人間として扱う子どもの意志を尊重する子どもの成果と親の評価は別である結果ではなく「過程」をほめる子どもにぼーっとする時間を与えるおおたとしまさ氏は、正しい家庭教育なんてものはないのだから、親はもっと迷うべきだと言っています。答えが出なくても、迷い続けていいのです。教育について、ああでもないこうでもないと迷う親を見て、子どもはこう思うはずです。「お母さん、お父さんは私のことを考えてくれている、こんなに愛してくれている」と。そして、迷いながらも、「この教育に、我が子は強い興味を示して目を輝かせているか」というアンテナを立て続けてください。子どもをしっかり見ていれば、教育虐待にはならないはずですよ。教育虐待について書かれた本最後に、教育虐待について書かれた書籍を紹介します。このなかの1冊だけでも読んでみてください。「親としての成功」ではなく、「子どもの幸せ」を願える親になれるでしょう。◆『ルポ教育虐待』教育虐待の事例を紹介しながら、親子の問題点に切り込んでいます。「毛根を食べるようになった息子」や「社会人になってから、うつ病を発症」など衝撃的な事例も。親自身の言動を見直すきっかけになるかもしれません。◆『受験で子どもを伸ばす親、つぶす親』著者は、精神科医でもあり、受験アドバイザーでもある和田秀樹氏。子どもの成績が悪いとき、学校や塾の勉強についていけないとき、親はどうするべき?目から鱗のアドバイスばかりが詰まっています。◆『教育虐待・教育ネグレクト』豊富な事例とともに、教育虐待を受けた子どもの心理が丁寧に説明されています。「発達障害だと決めつける親」「野球練習ばかりさせる親」など、勉強以外の教育虐待についても書かれています。***教育虐待は子どもの心に深い傷を負わせてしまいます。子どもの人生は子ども自身が決める!もし子どもが「決めた道」で失敗したとしても、自分で立ち上がり、また目標を見つけて頑張ることができるように、親は見守り続けることが大切です。親も子どもと一緒に “迷いながら” 成長していきましょう!そうすれば、教育虐待など絶対にしないはずですよ。(参考)おおたとしまさ(2019),『ルポ教育虐待 毒親と追いつめられる子どもたち』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.西郷孝彦・尾木直樹・吉原毅(2019),『「過干渉」をやめたら子どもは伸びる』, 小学館.古荘純一・磯崎 祐介(2015),『教育虐待・教育ネグレクト 日本の教育システムと親が抱える問題』, 光文社.STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間があるSTUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|教育虐待をする親とその学歴。その教育、本当に子どものためですか?STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|教育虐待は教育という大義名分のもとで行う人権侵害。でも親の多くは無自覚であるSTUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|心が折れて立ち上がれなくなってしまう、自信家なのに自己肯定感が低い人note|教育虐待(Educational Maltreatment)VERYオフィシャルサイト|そのひと言が“教育虐待”!?専門家に聞く“教育熱心”との違いとは?弁護士ドットコムニュース|耳元で「東大に行け」と怒鳴り続け、「医者になれ」と娘を暴行…弁護士が見た「教育虐待」エスカレートする親たち
2020年08月05日過去に入居者が亡くなった物件などは『事故物件』と呼ばれ、実際の相場よりも安く貸し出されています。そうした事故物件につきものなのが、心霊現象。もちろん、偶然や勘違いのひと言で片付けることもできますが、事故物件にまつわる心霊体験は後を絶ちません。これは、そんな事故物件から離れられずにいる幽霊と、そこに引っ越してきた少女のお話。悲しくもラストに温かな涙が流れる、爽(@sou_3634)さんの漫画『幽霊と幼女の話』をご紹介します。『幽霊と幼女の話』ひどい虐待を受けていた少女を、図らずも助けることになった幽霊。しかし、少女の母親は幽霊を怖がり、逃げ出したまま家に戻ってくることはありませんでした。突如始まった幽霊と少女の不思議な共同生活…しかし、少女はまだ幼く、ましてや生身の人間です。大人の助けをなくして生きていくことはできませんでした。命の危機に瀕している少女を目の当たりにし、幽霊がとった行動とは…そして、2人が迎えたラストとは。少女と同じ人生を歩んでいた幽霊幽霊と幼女の話 5/5 pic.twitter.com/eWciunrCFS — 爽(創作漫画描いてます) (@sou_3634) June 24, 2020 親からの虐待、学校でのいじめ、職場でのハラスメント…幽霊もまた、生前、つらい人生を歩んでいました。そしてついに、幽霊は自ら命を断っていたのです。そんな生前の自分の姿と少女を、幽霊は重ねて見ていたのかもしれません。幽霊のおかげで最悪の最期を迎えることなく、大人へと成長していった少女…そして生まれてきた娘は、黒髪が美しく、おままごとが好きな少女でした。もしかしたら、生まれてきた黒髪の少女は、あの日の幽霊の生まれ変わりなのかもしれません。つらい人生を歩んできた2人がつかんだ幸せなラスト。今度こそ、幸せな人生を送ってほしいと、漫画を読んだ多くの人が願ったはずです。爽さんのほかの作品はこちらから今回の『幽霊と幼女の話』以外にも、多くの作品を自身のTwitterで公開している爽さん。ぜひ、Twitterもご覧ください。Twitter:@sou_3634[文・構成/grape編集部]
2020年07月14日みなさんは児童手当をどう活用していますか? 金銭的な話は、なかなかママ友とも語れませんよね。わが家には、2歳から小学3年生までの子どもが4人います。児童手当も4人分いただき、非常に助かっています。今日は、わが家の児童手当の使い道をご紹介します。 1年ほど前まではすべて学資保険にわが家は、夫が会社員で私が専業主婦。毎月の貯蓄とは別に、将来の学費として児童手当を貯めていました。でも、自分で貯蓄をしていくと、何かの拍子に使ってしまいそう……。 そこで、1年ほど前までは4人とも学資保険に入り、児童手当をすべてそちらにまわしていました。保険の素人ながら、学資保険に入っていれば貯蓄代わりになると考えていたからです。 保険のプロに相談すると!?あるとき、夫の保険内容が心配だったので、1年ほど前にファイナンシャルプランナーに保険の見直しをお願いしました。 その際、ほかのすべての保険も見てもらったところ、学資保険が4人中2人も元本割れしている(支払った金額よりも戻ってくる金額が少ない)ことがわかりました。貯蓄代わりと思っていただけに、数万円も損をしていたかと思うと非常にショックでした。 すぐに元本割れの学資保険を解約!ファイナンシャルプランナーと相談のうえ、元本割れしている2つの学資保険をすぐに解約することに。代わりに提示してもらった保険が、夫名義の貯蓄型保険と生活保障型保険でした。 子どものための貯蓄=子ども名義と頭にあった私は目からうろこです。利率のいい貯蓄や保険があればそれでいいのだ!と、やっと理解しました。生活保障型は掛け捨てになりますが、一馬力で稼いでいる夫に何かあれば生活ができなくなるため、心強い保険になりました。 わが家は年収が高いわけではありませんが、子どものために児童手当総額分以上は貯蓄にまわしています。使ってしまうとあっという間になくなってしまうので、児童手当はないものと思い、貯蓄に励んでいます。 監修/助産師REIKO著者:武山あゆみ三男一女の母。ワンオペ育児に奮闘するかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2020年06月13日2019年6月19日に公布された改正動物愛護法の一部が、2020年6月1日に施行されました。どのような点が改正されたのでしょうか。改正された内容の中から、いくつかをご紹介します。ペットの殺傷や虐待の厳罰化、『多頭飼育崩壊』なども虐待に殺傷、虐待の罰則が厳罰化ペットなどの愛護動物に暴行を加え、殺したり傷つけたりした者に対する罰則がより厳しくなりました。・愛護動物をみだりに殺したり傷つけた者の罰則【改正前】2年以下の懲役または200万円以下の罰金【改正後】5年以下の懲役または500万円以下の罰金そのほかにも、虐待や遺棄した場合の罰則が、改正前は『罰金100万円』のみでしたが、改正後には『懲役1年または罰金100万円』となっています。『多頭飼育崩壊』など、著しく適正を欠いた密度での飼育も虐待に虐待については、詳しく内容が記されています。愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律ーより引用中でも、『飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること』の文から、多頭飼育で動物たちを衰弱させた場合も、虐待とみなされ罰せられることになったようです。また、虐待の恐れがある場合や、不適切な飼育によって近隣住民の生活環境が損なわれた場合についても改正されました。・虐待の恐れ、または不適切な飼育をする者、施設に対して【改正前】勧告や命令、任意の立ち入り検査が可能【改正後】勧告や命令に加え、指導や助言、立入検査が可能また、犬や猫の繁殖制限についても…。・犬または猫が繁殖してしまい適正に飼養できない場合【改正前】繁殖を防止するための生殖を不能にする手術そのほか措置に、努めなければならない【改正後】繁殖を防止するための生殖を不能にする手術そのほか措置に、講じなければならない『多頭飼育』し、動物を衰弱させている疑いのある人の家や施設に立入検査ができるようになりました。これにより、『多頭飼育崩壊』を防げる可能性が高くなることでしょう。虐待の疑いのある動物を診察した獣医師による通報を義務化虐待の疑いのある動物を診察した獣医師による通報についても、このように改正されています。・獣医師がみだりに傷つけられた疑いのある動物を診察した場合【改正前】通報するよう努める【改正後】遅延なく、通報しなければならない近年、ペットをいじめる様子をインターネット上に投稿する例も確認されており、相次ぐ悪質な虐待事件の早期発見と防止のための改正です。これらのほかにもさまざまな点が改正されました。気になった人は環境省のウェブサイトを確認してみてください。動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律改正動物愛護法について、ネットではさまざまな声があがっています。・こういう法律がなくても、ちゃんと愛情を持って飼うことが何より大事で、それが当たり前のはずなんだけどな。・やっぱり、殺傷や虐待に関する罰がまだ軽いなとも感じます。人も動物も同じだよ。ペットも家族。・まだ十分ではないけれど、大きな一歩だと思う。改正について称賛する声もある中で「まだまだ、改善してほしい点がある」という声も多く寄せられていました。これからも、動物と人間のよりよい関係を築いていくために、改善してほしい点については声をあげていきたいものですね。[文・構成/grape編集部]
2020年06月02日2018年4月、1匹の猫を家族として迎え入れた、天道グミ(@kawakimon)さん。出会いは保護猫カフェで、天道さんはその猫の人懐っこい姿を見て、引き取ることを即決したといいます。しかし、引き取った猫はほかの猫とは違う点が1つだけありました。それは、前脚が1本ないということ。これは、そんな3本脚の猫を天道さんが正式に家族に迎え入れるまでの1週間を描いた物語。天道さんによる『3本足の猫がうちの子になるまで』をご紹介します。3本足の猫がうちの子になるまで⑪ pic.twitter.com/dAipzhEOaB — 天道グミ (@kawakimon) April 23, 2020 人間の虐待により前脚を失ったにもかかわらず、猫は人間を怖がるそぶりは見せませんでした。むしろ、どこに行くにもついてきて、一緒に寝たり、お尻をさわらせてきたりと人懐っこく、そのかわいらしさに天道さんは猫への愛情が深まっていくのを感じます。そして1週間後、お試し期間を経て、正式に猫を引き取ることを決めた天道さん。猫は、以前、決心がつかず飼ってあげられなかった野良猫の名前である『あさり』にちなみ、『しじみ』と名付けられ、今も天道さんの元で元気に暮らしています。3本脚というハンデを微塵も感じさせない、しじみちゃん。それはきっと、新たな飼い主である天道さんが毎日たっぷり愛情をそそいで育てているからなのでしょう。これからは天道さんのそばで、幸せいっぱいな毎日を過ごしてほしいですね。また、2020年4月24日に発売したエッセイ漫画『3本足のしじみちゃん』でも、天道さんとしじみちゃんのエピソードを楽しむことができます。ぜひこちらもご覧ください。応援してくださる皆様のおかげで「3本足のしじみちゃん」でます本当にありがとうございます☺️書き下ろしもたくさん描きました。おうち時間のお供にしじみのかわいさを是非4月24日発売↓ #3本足のしじみちゃん — 天道グミ (@kawakimon) April 23, 2020 [文・構成/grape編集部]
2020年04月24日お笑い芸人の若井おさむ(47)が4月21日、「婦人公論.jp」で家族から虐待を受けていたと告白した。その壮絶な過去に共感する声が相次いでいる。同サイトによると若井は子供の頃、母親を中心に家族から暴力を振るわれていた。大人になったある日、父は虐待について「全部母さんに言われてやったことなんや」と発言。しかし、若井は信じられなかった。そんな父は離婚を決意した途端に自殺。葬儀で母が「心臓発作で死にました」と話したため、「母と縁を切る」と親戚に話したところ「血が繋がっているのだから」と諭された。絶望し死に場所を探しひとり旅をしたが、ひょんな事がキッカケで芸人に。そして5年前、久々に母親と再会したが、彼女が兄や再婚相手の自慢話ばかりをしたため「ホントにプツンと縁が切れた」という。若井は「こんな母親でも、殺せば僕が罪人になる。自分の人生を台無しにしてしまう」「自分の人生を、親への憎しみのために失うわけにはいかんのですよ」とも語っている。若井の告白は、芸人たちの間でも話題となっている。エハラマサヒロ(37)はTwitterで《数少ない同期芸人。僕らは昔から知ってたけどここまでセキララに話すんやと思ってビックリした。子供の生い立ちについて考えさせられる全部リアル話です》とコメント。またサンキュータツオ(43)は《親を手にかけずに済んだというのは、マジで共感するところだ》とし、《同世代の人が親を殺めたとか、逆に殺されそうだから子を殺したという話を聞くたびに、親世代の価値観の押しつけを考える》とつづっている。さらにネットでは、虐待を受けて育った人たちから共感の声がこう上がっている。《私も同じような境遇でした。私の場合は死人は出てないので、人を許すという選択に至りました。許すというか、自分で自分の気持ちを丸め込み押さえ込み蓋をして生きてます。家族ってある時から病のようなものに変わるときもあります》《私も家族と縁を切っているが、この「家族と縁を切ったからこその幸せ」を理解してくれない人が多くて困る。善意という名の興味本位で勝手に根掘り葉掘り聞いておいて、でも血が繋がった家族なんだから…とか》《若井さん同様、こういう辛い半生だったからこそ、残りはうんとうんと幸せに生きなきゃ!と思います》また《こんな壮絶な人生を背負って「親父にもぶたれたことないのに」ってセリフ言ってたのか 言葉が詰まる》《人生を失わなかったのだから、幸せに生きてほしい》と若井へのエールも上がっている。多くの人たちに見守られながら、若井はこれからを歩むことになりそうだ。
2020年04月22日栗原心愛さん(享年10)を虐待し死亡させたとして傷害致死罪などに問われた父・勇一郎被告(42)に3月19日、懲役16年の判決が言い渡された。昨年1月、千葉県野田市にあるアパートの浴室で死亡した心愛さん。各メディアによると発見されたとき体に複数のアザがあり、胃にはほとんど内容物がなかったという。また公判では勇一郎被告の携帯電話に残された、心愛さんの苦しむ様子が撮影された動画も公開。裁判長は「尋常では考えられないほど陰湿で凄惨な虐待だ」と非難したという。「勇一郎被告は後悔を口にしてはいるものの、虐待については大半を否認していました。しかし、裁判長は『客観的な状況と整合しない』と一蹴したのです。また有罪判決ではありますが、懲役刑だと勇一郎被告がいずれ出所するということ。更生プログラムも含めて、今後の課題は山積みといえるでしょう」(NPO関係者)19年6月、勇一郎被告の妻であるなぎさ被告も傷害幇助の罪で懲役2年6カ月・保護観察付き執行猶予5年が言い渡されている。各メディアによると心愛さんに食事を与えず、勇一郎被告の虐待を認識しながらも静止しなかったとされるなぎさ被告。「夫に怒られると思った」などと証言したという。「勇一郎被告の暴力を見続けたため、なぎさ被告はストレスで正常な判断ができなかったといわれています。彼女は『娘が暴力を受けることで、自分が暴力を受けなくても済むと思った』とも明かしていました。彼女にはもう1人、子どもがいます。母としての責務を全うするためにも、トラウマ回復のプログラムを受ける必要があります」(前出・NPO関係者)また児童相談所には、その判断の適性を問う声が上がっている。各メディアによると心愛さんが「お父さんにぼう力を受けています」とアンケート用紙に書いたところ、柏児童相談所は彼女を一時保護。しかし勇一郎被告が「お父さんに叩かれたというのは嘘」などと書かれた心愛さんの手紙を持って現れたため、児童相談所は心愛さんを自宅に戻す判断をしたという。「相談所側は手紙について『父親に書かされている可能性が高いと認識していた』と明かしました。しかし相談所はその名の通り、あくまで相談がメイン。強い権限はなく、児童福祉司が虐待に関する専門的な知識を持っていないケースもあります。人手不足も深刻ななか、虐待の通報が年々増加。そのため、現場は疲弊しています。専門性を高めるような方針を打ち出すなど、そのあり方を検討すべきかもしれません」(全国紙記者)
2020年03月20日1歳半をすぎると、徐々に言葉が増えてきてかわいい盛り。ところが、わが家の長男が最近習得した言葉で大変困っているものがあります。それはズバリ「いたいよー!」。二言目には「いたい」と叫ぶので、虐待だと思われないか、いつも心配になります。 お風呂場でも「いたいよー!」お風呂場に入ったとたん「いたいよー!」が始まります。いつもお風呂場の窓を開け放っているので、間違いなく声は外にダダ漏れ。「お風呂場で痛いこと+子どもに熱湯でもかけている?=虐待」と思われそうで不安です。 「はー、始まった……」と思いつつ、長男に向けてというよりは、外を通る未知なる人物に向けて「いたくないでしょお~。あったかくて気持ちいいよねえ~。きれいきれいしようねえ~」と大声で話しかけ、「虐待していませんアピール」をする日々です。 ママの姿が見えなくなった途端にトイレや洗濯干しでママの姿が見えなくなると、とたんに絶叫が始まります。「ママーっ!!」と見つけるまで大声で叫び、最近覚えた「ねーどこー!?」に続きます。 外に聞こえるほどの大声なので、ご近所さんに「幼児を置き去りにして親が外出している+育児放棄=虐待」と思われるのではと気が気ではありません。私の返事が息子に届かないものなら、「いたいよーう! いたーい!」と習得した言葉が始まります。 きょうだいとのやりとりでも「いたいよー!」長女とおもちゃで遊んでいて、取り合いになると「いたいよー!」が始まります。長女が手をあげた形跡はないのですが、「いたい」を繰り返します。食事中もエプロンをつけると「いたいよー!」、苦手な野菜を食べさせようとすると「いったいよー!」です。歯磨きはもちろん断固拒否。無理に磨くと「いったーいーっ!」。 こんなに連呼されると、「あの家では子どもが1日中痛い目に合っている=虐待」と思われても無理ないレベルです。 「いたい」という言葉を発したときの家族の反応から「注目が集まる」ということを覚えたのかもしれませんが、なかなか厄介な言葉です。しばらくはこちらも大声で「虐待していませんからアピール」を外に向けて続けていかなくてはならなさそうです。みなさんのご家庭でもそんな「困った」はありませんか? 監修/助産師REIKO著者:伊川 遥女の子と男の子の二児の母。家事や子育てのかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。趣味は読書、音楽、料理、ボルダリング、絵を描くこと。
2020年02月07日日本でも問題となっている児童虐待事件を真向から描ききり、現代社会が抱える闇に警鐘を鳴らす衝撃作が日本上陸。3月27日(金)より公開される、韓国全土を震撼させた、衝撃の実話の完全映画化『幼い依頼人』から、予告編とビジュアルが到着した。ロースクールを卒業して、出世の道を突き進むはずだったジョンヨプは、何度も就職に失敗し、姉の勧めで臨時に児童福祉館に就職。ある日、継母から虐待を受けている“ダビン”姉弟に出会うが、さほど深刻に考えていなかった彼は、また来るという言葉だけを残して去る。そして数日後、法律事務所に就職したジョンヨプは電話を受け、ダビンの鼓膜が破れたことを知る。ジョンヨプは継母からダビンを引き離そうとするが、誘拐犯扱いをされ、その後弟ミンジュンの死に加え殺人の被疑者とされたダビンを見て衝撃を受ける。真実を明かすため、ダビンの弁護士になることを決心する――。本作は、2013年に慶尚北道漆谷郡にて起こった漆谷(チルゴク)継母児童虐待死亡事件を基に、その被害者の弁護士を中心に信じ難い全貌を描き出す実録サスペンス。ひたすら出世だけを望んできた弁護士が、<7歳の実の弟を殺した>と衝撃の告白をした10歳の少女に出会い、真実を明かすために奔走する様子が描かれる。到着した予告編では、事件を知らせるニュースとともに、帽子を深くかぶった少女が連れられる様子からスタート。天才子役の名演も覗ける。キャストには、弁護士ジョンヨプ役に日本でも先日公開された『エクストリーム・ジョブ』でクールな刑事に扮したイ・ドンフィ。幅広い演技力で映画・ドラマの両方で活躍するユソンが、事件真相のカギを握る母親ジスク、“ポストキム・ヒャンギ”と称される天才子役チェ・ミョンビンが、継母の暴力に怯える少女ダビンを演じている。『幼い依頼人』は3月27日(金)よりシネマート新宿・シネマート心斎橋にて公開。(cinemacafe.net)
2020年01月08日「親の介護に直面して初めて自分の親が“毒親”であったことに気づくケースもあります」そう語るのは、家族問題や児童虐待を長く取材してきたジャーナリストの石川結貴さん。今、介護問題の新しい形に言及した新刊『毒親介護』(文藝春秋)が話題を呼んでいる。“毒親介護”とは石川さんの造語で、50代、60代の娘が母親との関係にトラウマを抱えながら、介護を強いられる状況のこと。幼少期から「殴る、蹴る」といった虐待を受けたり、育児放棄状態のまま育つなどした娘たちが、高齢化した親の介護を担うようになった現場を取材し続ける石川さんはこう分析する。「虐待を受けたにもかかわらず介護を続ける娘さんからは、責任感の強さや、『親から一度は認められたい』『感謝の言葉が欲しい』と切望する屈折した動機がうかがえます。はたから見れば『そんな親はさっさと捨てればいいでしょ』と思うような状況でも介護する背景には、長きにわたって醸成された親子の深い闇があるのです」今回、「毒母介護」という闇に陥らないための心得4を石川さんに教えてもらった。【1】「毒親は捨てる」と腹をくくる「“毒親介護”の泥沼に陥っている人たちは、『私がいなければ』と共依存の状態になっていたり、追い詰められて『介護離職してでも』と周りが見えなくなっているケースが目立ちます。本当に親を捨てるかはさておき、『決別する』という選択もあると思うことでメンタルは救われます。そもそも子どものいない高齢者でも、適切な行政サービスを受ければ生活は成り立ちます。具体的には、まず家を出て別居することで、親の施設入所が早まる場合もあります」【2】“親からの”ではなく“自分の”評価を大切に「毒親からの『ありがとう』を求めすぎていたり、必要以上の承認欲求を抱いていたりするケースも。大人になったのだから親からの評価からは解放され、『私なりによく頑張った』と自己肯定し、自分を褒める習慣をつけましょう」【3】“要介護認定”は医者から本人に告げてもらう「要介護認定をかたくなに拒む親は多く、いきなりケアマネジャーさんを呼ぶことはおすすめしません。高齢者の多くは医療機関にお世話になっているので、信頼している医師から『いいサービスがあるから手続きしよう』と促してもらうと『先生がそう言うなら』と素直になるケースが多いです」【4】ケアマネさんに自分の事情や思いを伝える「ケアマネさんの来訪時に見えを張らず、親に苦しめられた事実や心理的に追い詰められている現状を正直に打ち明けておくこと。仕事も辞めたくないなど、置かれた状況を隠さず伝えることで配慮のあるプランを立ててもらえます」ほかにも「身元保証人にはなる」「万が一の時は、葬式だけは出す」など、親とかかわる範囲を決めておくことも泥沼に陥らない対応策になると石川さんはアドバイスする。「うちも危ない!」と思ったら、介護が始まる前にまずはプランを立て、その時に備えよう。「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2019年12月24日天皇陛下の即位に伴う儀式が終了し、2020年に向けて動きだされる雅子さま。その原点は皇太子妃時代から続ける子供たちとの交流にあった。雅子さまの誕生日に発表された医師団の見解の中に《私的な部分でもご活動の幅を広げていっていただくことが大切だと考えております》との提案があった。12月4日に皇居の宮中三殿の賢所に参拝され、天皇皇后両陛下は即位に関する一連の儀式を終えられた。’20年は新たな活動を始める年となるのだろうか。精神科医で立教大学教授の香山リカさんはこう捉える。「令和になり、雅子さまは皇后としてのお立場でしっかりとお務めをなさっています。ただ、医師団の言う『私的な部分』が何かと考えると、皇后の公務だけではなく、雅子さま個人にとってライフワークとなるテーマが必要だということでしょう」12月9日に発表された誕生日文書にはこのような一節がある。《プラスチックゴミなど多くの環境問題や、日本国内の貧困や子供の虐待などの問題、また、世界で紛争や内戦が続いていることなどにも心が痛みます》また1年前、55歳の誕生日に際しての文書にもこのような言及が見られる。《最近、国内では、子供の虐待や子供の貧困など、困難な状況に置かれている子供たちについてのニュースが増えているように感じており、胸が痛みます》雅子さまは“子供の虐待”を防ぎたいというお気持ちを繰り返し訴えられているのだ。’18年3月、東京都目黒区のアパートで当時5歳の船戸結愛ちゃんが虐待を受けて死亡した事件。’19年1月、千葉県野田市で起きた10歳の栗原心愛ちゃんが、父親による虐待で亡くなった事件。悲惨な虐待事件が相次いで起こる日本の状況に、雅子さまはずっと以前から心を痛められてきた。20年前、36歳の誕生日にも《特に最近は、児童の虐待が急速に増加していると聞きます》と、子供たちを守るために社会全体の取り組みが必要だと訴えられていた。令和の皇后として歩みだされた今だからこそ、雅子さまは「虐待される児童をゼロにしたい」という宿願を抱かれているのだろう。皇室担当記者が明かす。「実は、雅子さまは療養に入られる前から、難しい状況にいる子供たちに心を寄せられていました。お忍びで聖路加国際病院の小児病棟を訪問されて重病の子供たちを励まされるなど、多くの児童養護施設をお訪ねになっています」神奈川県葉山町の「幸保愛児園」には、療養に入られてからもクリスマスカードを送られた。’02年11月に最初の訪問をされた世田谷区内の社会福祉法人「福音寮」も、長年の交流がある児童養護施設のひとつだ。理事長の飯田政人さんに話を聞いた。「ご訪問後、子供たちは雅子さまのお誕生日に合わせて毎年、将来の夢や思いを手紙にしたためて送ることが恒例になりました。みんな楽しみに書いています。子供たちへの“お返し”として、翌年のバレンタインデーには、雅子さまからお菓子や花が届くようになり、かけがえのない交流が続いています」雅子さまは、長期ご療養中に入られた後の’06年と’16年にも、「福音寮」を私的なご視察という形で訪問されている。「前回のご訪問では、10年前に雅子さまにお会いした卒業生たちも『ぜひお会いしたい』と戻ってきて、皆が笑顔で思い出話をいたしました。それぞれに事情があり親と一緒に暮らせない子供たちを、皇后さまは心からずっと応援し続けてくださっているのです。施設を運営している職員らにも励ましのお声がけをいただき、そのお気遣いに感動いたしました」(前出・飯田さん)療養中も“弱者救済”の信念を貫き、ひそかに活動を続けてきた雅子さま。ベテランの皇室ジャーナリストも期待を寄せる。「即位関連の行事も終了して、雅子さまにも少し心身の余裕がお生まれになるかもしれません。陛下のご公務にもほとんどご一緒にお出ましになられ、ご体調は快復傾向にあります。私的なご活動を広げられるには今がチャンスなのです」皇后になられて2年目の本格始動へ!子供たちの笑顔を守るため、雅子さまは再び立ち上がられる――。
2019年12月24日子供だけでなく連れてくる大人も一緒に楽しめる児童劇を作ろうと、故・岸田今日子が企画してスタートさせた、演劇集団 円による「円・こどもステージ」。これまでに谷川俊太郎、別役実、佐野洋子らの書き下ろし作品を上演、数多くの賞も受賞してきた同シリーズの38作目となる『青い鳥』が、12月21日(土)から27日(金)まで東京・シアターXにて上演される。演出を務めるのは、幅広い世代の男女が集まって演劇のゲームを交えながら気持ちをシェアする、「産み育てを考えるワークショップ」を全国で開催してきた阿部初美。誰もが知るチルチルとミチル兄妹の冒険物語を再構成し、原作の中にある生と死、喜びと悲しみなどの普遍的なテーマをイメージ豊かに描き出す。「子供の虐待などの痛ましいニュースが多い中、生まれてくることの尊さや幸せについて、大人と子どもが一緒に感じたり考えたりするキッカケに」と意気込む阿部。『青い鳥』は元々、メーテルリンクがクリスマスのための童話を頼まれて書いた戯曲でもあり、この時期にぴったりの舞台となりそうだ。文:町田麻子
2019年12月19日わが家が引っ越しをして間もないころのできごとです。そのころ、末っ子の長男はまだ1歳くらい。お風呂が大嫌いで、毎回大泣きをしていました。そんなある夏の日、突然児童相談所の訪問を受けてしまいました。そのときの体験談をご紹介します。 誤解の原因は子どもの「お風呂嫌い」3歳くらいまで、息子は「お風呂嫌い」でした。特にシャンプーは大嫌いで、シャンプーハットをかぶっていても顔が濡れるのが怖かったのか、毎回かなり盛大に大泣きをしていました。引っ越したばかりで、ご近所さんとはあいさつをする程度の間柄でしたが、顔を合わせたときには「いつも子どもが騒がしくてすみません」と声をかけていました。このときの言葉の足りなさが、児童虐待疑惑を生んだ原因だったのではないかと思います。 突然の児童相談所訪問にびっくり仰天!不思議なもので、お風呂は嫌いでもプールは大好き。庭で息子をビニールプールに入れて遊ばせていたときのことです。「こんにちは」と庭先から声をかけられました。あいさつを返しながら見てみると、そこにはにこやかな笑顔を浮かべた中年の男女の姿が……。 「県の福祉事務所から来ました」「福祉事務所……ですか?」男性の言葉に首をかしげていると、男性は衝撃のひと言を発しました。「はい。児童相談所です」と。 無用の誤解を避けるためにできること 児童相談所の方の説明では、「近所に毎日子どもが泣き叫んでいる家がある」と、いわゆる「虐待の通報」があって訪問されたのだとか。そのときの児童相談所の方がチェックされていたのは「子どもの体にケガやアザがないか」でした。 息子のお風呂嫌いのことを説明し、相談所の方が息子自身とも話をした結果、誤解だとわかっていただけて、ホッとひと安心。こういう誤解による通報もけっこうあるとのお話でした。 誤解が解けて安堵する一方で、ご近所の方に、息子が毎日泣く原因を具体的に話しておけば無用な誤解は生まれなかったと、自分の言葉の足りなさを反省するばかりです。 イラスト:(c)chicchimama著者:恋瀬たまこ一男二女の母。商業簿記、珠算、アマチュア無線技士の資格を持つ。自身の経験をもとに妊娠・出産・子育てに関する記事を執筆中。 ✿❀ベビカレ秋のマンガ祭り❀✿大好評のマンガ記事を増量してお届けする期間限定“マンガ祭り”開催中! 人気レギュラー連載10作品に加え、新たにゲスト連載8作品が登場♪ 育児や家事、仕事などの合間の息抜きタイムにどうぞ♡
2019年11月08日米フロリダ州のとある家庭で、住み込みで働いていたベビーシッターの女が、雇い主の子どもを性的虐待した罪で禁固20年を言い渡された。地元紙「Tampa Bay Times」が報じている。マリッサ・モウリー(28)がナディーン・キャンベルさん宅で住み込みのシッターとして働くようになったのは20歳のとき。キャンベル家はモウリーを娘のように温かく迎えたという。当時9歳前後だったキャンベル家の男の子が11歳になるころ、モウリーは本性を現す。性的虐待が始まったのだ。やがてモウリーは妊娠。雇い主はボーイフレンドとの間にできた子どもだと思い、彼女をいたわっていたという。2014年10月にモウリーは男児を出産。その後も性的虐待は男の子が14歳になるまで続いた。現在、被害を受けた男の子は17歳。5歳になる息子を育てながら高校に通っている。そう、モウリーが産んだのは被害を受けた男の子の子どもだったのだ。彼が生物学上の父親であることはDNA鑑定の結果からも明かだ。2017年に、キャンベルさんは息子に被害を打ち明けられ、警察に相談。キャンベル家を辞め、ウェイトレスとして働いていたモウリーは未成年者への性的暴行容疑で逮捕、起訴された。「父親であることで、この子がティーンエイジャーのうちにできることは限られてしまいます。放課後は息子の面倒を見なければならないし、デートだってできません。17歳で5歳の子がいる男とデートをしてくれる相手がいるとも思えませんけど。でも、この子は今まで会った中でも、最も素晴らしい父親の一人です」とキャンベルさんは語っている。
2019年10月21日最近、新聞やテレビなどの報道で「教育虐待」が取り上げられ、特に中学受験をする子供の話として、注目を集めています。しかし、どの年齢の子供にも起きる可能性があるとも言われています。筆者も子供を中学受験させた経験者ですが、「教育虐待をしていたかも」という方の話を元に「教育虐待」について考えてみました。■ 教育虐待って一体どういうこと?makaron* / PIXTA(ピクスタ)最近は中学受験が盛んで「塾以外で過度に両親のいずれかが勉強を押し付ける」現象が起きています。これが「教育虐待」になりやすいとも言われています。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)また、中学受験に関する本も多く出版されていて、中でも「親の力が9割」という内容の本が多く出ていますが、「親がリードしなければ、子供の将来はダメになる」と誤解してしまう親もいるのでしょう。今回、ご近所に住んでいた方で「中学受験」がらみで離婚にまで発展した母親と連絡を取ることができ、実際にあった「教育虐待」について話を聞きました。■ 教育虐待は母親がしてしまうケースもあるNOV / PIXTA(ピクスタ)夫婦共働きで母親はウェブデザイナーとして在宅で仕事をしていて、父親は会社員というご家庭でした。近くに引越したのを機に仲良くさせていただいたのですが、子供3人全員を将来中学受験させるという方針のご家庭で、お付き合いに少し困りました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)子供3人が全員とも幼稚園年長時から地元の小さな塾に通い、スイミングや習字、体操、空手と塾以外にもたくさんの習い事をしていました。筆者の子供とスイミングスクールが一緒で同じ時間帯に授業があり、しきりに「中学受験」について話をしてくるので、少し距離をおいた時期もあります。■ その家庭で起きた教育虐待の連鎖あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)その後、年齢順に有名中学受験専門塾に通わせるようになり、会うたびに「有名校に3人とも通わせる」と話していました。ひとり目の子は中学受験をしましたが、全て不合格で地元の公立中学に通わせました。ふたり目の子は、上の子の様子を反面教師にしたのか、母親の目を気にしながらも、塾で上位クラスにいるように勉強をしていました。しかし、少しでも順位が下がれば、母親が「どうしてできないの!」と怒鳴り、必要以上にドリルをするようにしました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ふたり目の子供は、母親も満足する超難関校に合格し、その他の学校にも合格したのですが、母親が一番気に入った学校へ入学しました。一番下の子で、ついに問題が起きました。ふたり目の子と同じ学校への受験を考えて、中学受験の準備に入りました。成績は一時よかったものの、成績が落ち始めました。過度に独自のドリルをさせたり「なぜできないの!」としつこく説教したり勉強を強いるようになりました。父親が止めても、父親に「私にまかせて!」と怒鳴るようになったといいます。さらに成績が落ちることにもつながったのです。■ ついに子供の体に異変が…OrangeMoon / PIXTA(ピクスタ)ある日、母親が子供たちを起こしにいくと、一番下の子が激しい腹痛を起こしていて、慌てて病院に連れていきました。検査の結果、特に異常はなく、医師から「何か学校や習い事でつらそうにしているとかありますか?」と聞かれたそうです。母親は黙っていましたが、父親から「実は妻が子供に中学受験の勉強をきつくさせていた」と話し、医師から注意を受けることになりました。親から教育虐待を受けると、場合によっては「助けて!」という心の叫びとして、体の症状として出てくることもあるようです。医師からは強く「教育で子供を追いつめてどうするの?」とお叱りも受けたとか。その子供は「塾は嫌い。ママもパパも嫌い。勉強はいや」と泣きながら訴えて、母親は「教育で虐待をしていた」と気づき、父親も止めなかった自分を責め、中学受験をやめる決心をしました。このことで夫婦間の溝が生まれて離婚されたのですが、「自分の学歴コンプレックスから子供を苦しめた」と話していました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)その母親が「こういう傾向の人が教育虐待をしやすいのでは」話してくれました。1.両親のどちらかに学歴コンプレックスがある2.父親もしくは母親の卒業校に通わせたいという強い希望がある3.共働きで金銭的余裕があるので、教育に力を入れたい4.両親ともに高学歴すべての家庭に当てはまるとはいいきれませんが、父親が教育虐待をしているケースも多いと教えてくれました。■ まとめmaroke / PIXTA(ピクスタ)最近は早期教育が盛んですが、教育虐待の始まりになっている可能性も少なくありません。高校や大学への進学後も、教育虐待によって心の傷を負っている子もいるようです。「子供には苦労させたくない」という考えの家庭は多く、教育方針が厳しい家庭は見かけます。しかし、ひとつ間違えると、家庭崩壊へ繋がります。親が歩んだ人生と、子供の歩む人生は違います。「子供が自分で将来を決めて進む」ということを大切にしながら、子供と接していきたいものです。
2019年07月30日父から受けた性虐待の、もっとも古い記憶は4歳当時のもの。中学の保健体育の授業で初めて、父から子どもをつくる行為をされていたと知った宮本ゆかりさん(49)。父だけではなく、幼い娘が抵抗できないのを見て見ぬふりをしてきた母の態度が、性虐待が終わった後も宮本さんを苦しめ続けた。家庭の外では言い出しにくい性被害。宮本さんは、ブログで自分の経験をさらけ出しながら、自分と同じ性虐待に苦しむ被害者を救おうと動き始めた――。「『親が問題なのだから、あなたは何も悪くない。あなたの人生は、あなたのものだから、親に気を使わずに自分の人生を生きてほしい』。親から性虐待を受けて、私のブログに連絡をくれた女子高生のAさんに会って、そんな話をしてきました」そう話す宮本ゆかりさん。香川県高松市在住の宮本さんは4歳から中学2年生まで、実父から“性虐待”を受けていた。自分と同じような被害者を出したくない。そんな思いから、’17年にブログで実名を公表し、自ら受けた性虐待とそのトラウマ(心的外傷)を克服してきた体験を公開。性虐待を受けている被害者から、メールで相談を受けている。今年3月、この活動が新聞で紹介されると、相談メールが月に20件も寄せられるようになった。冒頭のAさんもその一人だ。ゆかりさんの本業は美容師で、美容院を経営している。相談は、すべてボランティア。相談メールに返信するのは、深夜になることもある。それでも対応するのは、“性虐待”を受けた被害者の心理が、あまりにも社会に理解されていないからだ。今年に入ってからも、19歳の実の娘に性虐待を続けていた父親に対し、名古屋地方裁判所岡崎支部は、無罪判決を下した。裁判官は「抵抗できないほどの暴力や、心理的極限状況に追い込まれていたわけではない」と判断した。「幼いころから性虐待を受けていたら『抵抗してもムダ』という気持ちになるんです。しかも、彼女には2人の弟がいた。父の性虐待が世間に知られて仕事を失ったら、弟たちが生活できなくなると心配していたといいます。なぜ、そういう被害者の心理が理解できないのでしょうか」’17年7月、110年ぶりに性犯罪に関する刑法が厳罰化された。しかし、多くの問題が残っている。抵抗できないほどの暴力や脅迫があったと証明できないと罪に問われないなど、被害者側にとって立件のハードルが高いままだ。「被害を誰かに打ち明けたときに、『抵抗できたはず』『どうして周りに相談しなかったの?』などと言われると、<私が悪かったんだ>と、自分を責め続けてしまいます。そのことは、親から性虐待を受けたという事実以上に、被害者を苦しめます」ゆかりさんは、ときに相談者に会って話を聞くこともある。「冒頭のAさんは、義父から性虐待を受けていました。それでもしっかりと自分の進路を決め、高校卒業後は県外の大学に進学したいと言ってくれていました。でも、『やっぱり病気がちな母が気がかりだから、自分の思うように生きられない』と苦しんでいるんです。私も、彼女と同じように苦しんだから、『親にしばられなくていいよ』と伝えました」母親の対応も、被害者のトラウマを深くする。「私に寄せられる相談の9割が、父からの性虐待を母に相談したとき、『見て見ぬふりをされた』ことが心の傷になっています」ゆかりさん自身もそうだった。「性虐待を受けて傷ついても、気付いた大人が全力で守ってあげられたら、その子は早く立ち直れる。私はこれからも、その役割を果たしたいんです」
2019年07月29日近年、虐待に関する悲しいニュースが続いていますよね。同じ子どもを持つ親として、心を痛めている方も多いのではないでしょうか。しかし、こうした問題は決して他人事ではありません。なぜなら、虐待は悪意のもとになされるものだけではないから。「子どものためによかれと思って」なされた行動が、親の自覚のないままに虐待とみなされるケースもあるのです。特に、「教育虐待」にはその傾向があります。「教育虐待」は、ここ数年で広まってきた言葉ですが、どのような行為を指すかご存知でしょうか?「知らない」という方のなかには、気づかないうちに当てはまってしまっている方もいるかもしれません。そこで今回は「教育虐待」と「教育虐待を未然に防ぐ方法」についてお話しします。「教育虐待」は子どもの将来に多大なダメージを与えるみなさんは、自分の子どもに下記のような「しつけ」や「教育」を行なっていませんか?・宿題が終わっていないと、夜遅くまでやらせる・解けない問題があると、「どうしてできないの?」と責める・塾や習い事でスケジュール漬けにしている・親子間の約束が守られなかったとき、厳しく責め立てる・成績が悪いと、「努力が足りない」「人間のくず」などの暴言を浴びせる一見、よくある「しつけ」や「教育」のように思われるかもしれません。しかし、これらの行為が子どもを過度に追い詰めた場合、「教育虐待」とみなされることがあります。青山学院大学の古荘純一教授によると、「教育虐待」とは、教育を理由に子どもに無理難題を押し付ける心理的虐待のこと。2011年の「日本子ども虐待防止学会」で初めて発表された、新しい考え方です。「教育虐待」を受けている子どもは、大人になってからも、他者からの指示がなければ動けなくなる恐れがあります。また、自信が持てない、何をしても楽しめないなど、心の問題を抱えてしまうことも。学校生活や就職活動を機に不適応行動を起こす人も少なくありません。こうしたことから、「教育虐待」は子どもの将来に多大なダメージを与えるということがわかります。「子どものために」と言いながら子どもを追い詰める親たち「教育虐待」という言葉を広めた武蔵大学の武田信子教授によると、教育虐待に走りやすい家庭は、下記のような特徴を持っている家庭が多いと言われています。1. 親自身が、経済的事情などで進学を諦めた経験がある2. 母親が不本意に仕事を辞めて、専業主婦になった3. 子どもの両親ともに高学歴で社会的地位が高い上記の1と2の親が「教育虐待」をした場合の理由として考えられるのは、自らの生き方や学歴にコンプレックスを抱いているということ。子どもには同じ苦しみを与えたくないという強い思いから、自分が経験した失敗を避けるための教育に力を入れてしまいます。一方、3の親の場合は “失敗知らず” ですが、逆に自らの成功体験に依存しているということが考えられます。自分の知らない道を子どもに歩ませることを極端に恐れ、子どもにも高学歴・社会的地位の高い大人を目指すことを強制してしまうのです。社会福祉法人カリヨン子どもセンターの石井花梨事務局長いわく、教育虐待は決して特別な家庭に限った話ではないのだそう。表面的には「子どものために」という親心のもとに行なわれているのです。しかし、本当に子どものことを考えていると言えるでしょうか。本当に子どものことを考えていれば、子どもを追い詰めるほどの行為には至らないはずです。そう考えると、「教育虐待」をしている親は、「子どものために」と言いながら、実際には自分のために、過度な「しつけ」や「教育」を行なっているのだと言えますよね。その教育、本当に必要……?子どもを見て考え直そうとはいえ、「しつけ」や「教育」そのものを怠るわけにはいきません。親として、子どもに適切な「しつけ」や「教育」を行ないつつ、「教育虐待」しないようにするには、どうすればいいのでしょうか。小児科医の高橋孝雄さんは、親の「しつけ」や「教育」が虐待になるかどうかの分かれ目は、「親の関心が子どもにあるのか、テストの点数や合格した学校などの成果にあるのか」であると言います。前者であれば、自分の行為によって子どもが追い詰められていたら、すぐに気づいて対処できるはずです。しかし、後者の場合、子どもの変化に気づけないまま、子どもを追い詰め続けてしまうことがあります。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏いわく、現在の教育虐待には、「親自身の不安を解消しようとしている」という構造があるのだそう。我が子が新しい時代を生き抜いていけるのかが不安で、親が思う解決策を与えようと無理やり難関大を目指させたり、子どもの望まない習い事でスケジュールを埋めたりしてしまうのです。しかし、子どもたちがこれから生きていくのは、親たちが生きてきた世界とは全く異なり、予想もつかない世界。おおた氏は、親が与える解決策にはあまり意味がないと言います。まずは、「親は無力である」と親自身が自覚することが大切なのだそう。「教育虐待」を未然に防ぐのに必要なのは、まず子ども自身に関心を持つことです。子どもの様子をよく観察し、今行なっている「しつけ」や「教育」が本当にその子に必要なのか、よく考えなくてはなりません。たとえば、子どもが習い事に行くのを嫌がったとき、たまたま気分が乗らないだけなのか、ずっといやいや通っていたのか、はっきりさせることが必要です。そのうえで、なぜその習い事に通わせているのか、親の考えを伝えます。最後は、「続けるのか辞めるのか、あなたが決めていいよ」と、子どもの意思を尊重しましょう。子どもの人生は子どものものであることを自覚したうえで、子ども自身の生きる力を信じてあげることが大切なのです。***子育てをしていると、子どもが自分の分身であるかのような錯覚につい陥ってしまうことがあるでしょう。だからこそ、より幸せな人生を歩めるように導かなくては、と考えてしまいます。しかし、子どもは親と同じひとりの人間であり、親の分身ではありません。どんな人生を歩むことが幸せか、決めるのは子ども本人です。親が特別なことをしなくても、自分の思う幸せを追い求め、たくましく道を切り開いていきます。親は、それを一番近くで応援してあげればいいのです。(参考)こどもまなびラボ|「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある日経DUAL|「勉強しなさい」エスカレートすれば教育虐待に東洋経済ONLINE|中学受験で教育虐待しやすい親の2つの特徴東洋経済ONLINE|「あなたのため」が「教育虐待」に変わるときPRESIDENT Online|なぜ「教育」という名の「虐待」が増えているのか朝日新聞DIGITAL|しつけに名を借りた虐待…どの家庭でも起こりうる「考える力」を伸ばす『地図育®』コラム|教育熱心も度が過ぎると虐待になる?あなたのその行動が”教育虐待”にならないように気を付けよう日経DUAL|「教育熱心」と「教育虐待」線引きはどこに?
2019年06月20日働く親が頭を悩ませるのが「待機児童問題」。特に大都市圏に住む場合、居住する自治体によっては競争率が激しく、職場復帰の予定を立てるのが困難になってしまうことも……。では実際幼い子どもを持つ親たちは待機児童問題についてどう考えているのでしょうか?今回は「不満買取センター」を運営するInsight Techが、現在子どもを幼稚園・保育園へ預けている人や子供の入園を検討していたり、家族・親戚に預けようとしたりしている男女1,015名を対象に実施した「2019年待機児童問題」実態調査の結果をご紹介します!■ 7割以上が「待機児童問題が深刻」と回答調査ではまず、「現在、自分を含め周りの状況から待機児童問題は深刻だと思いますか」と尋ねると、「深刻である」と答えた人が最多で45%。次いで「かなり深刻である」が27%で、合わせて72%となりました。「深刻ではない」(18%)、「わからない」(10%)と答えた人は、まだ入園状況を調べていない、あるいは居住する自治体で待機児童問題が深刻ではないという場合もありそうです。CORA / PIXTA(ピクスタ)では、人々が実際にどのような「待機児童問題」に関してどのような経験をしたのでしょうか?皆のエピソードや、「ここを改善して欲しい」という声を聞いてみましょう。「一番下の子が生まれ、現在育休中。次男は今度年長になるが、同じ保育園へ入れなかった。4月までに保育園入所が決まらなければ次男は年長を目前に保育園を出されてしまう」「海外から3月末に帰国し、9月頃仕事復帰のため保育園入所を希望していたが、4月に連絡したら役所の人に無理に決まっていると鼻で笑われた」「保育園や幼稚園に入れないと母親は仕事につけないのに、保育園に入るには共働きであるのが最低条件だと言われた。預けられるかもわからないのに仕事決められない」などという深刻な事情が聞かれました。どうやら日本、特に大都市圏で競争率が高い地域の託児事情は、働く親にとって決してフレキシブルであるとは言えない様子。すず. / PIXTA(ピクスタ)待機児童が多い地域では、「保育園に子どもを預けて働きたい」という母親の意志と、「保育園が決まらなければ雇用できない」という企業側の意向がすれ違っているようです。待機児童の多い自治体は今後、このギャップを埋めるための対策が必要となりそうですね。■ 全国で待機児童が多い地域はどこ?では、今日本で待機児童問題が深刻である都道府県とはいったいどこなのでしょうか?厚生労働省による2018年度の「保育所関連状況取りまとめ」によると、待機児童数の多い都道府県は以下の通りでした。foly / PIXTA(ピクスタ)1位・・・東京都(5,414人)2位・・・兵庫県(1,988人)3位・・・沖縄県(1,870人)4位・・・埼玉県(1,552人)5位・・・千葉県(1,392人)また、待機児童数100人以上で待機児童率の割合が高い自治体は最多が「沖縄県南風原町」(10.11%)、次に「沖縄県西原町」(8.70%)、「福岡県筑紫野市」(8.16%)、「兵庫県明石市」(7.99%)、「福岡県大野城市」(7.55%)という順に。YUMIK / PIXTA(ピクスタ)大都市圏と比較して人口は少ないといえど、確率的に見ると沖縄県が1、2位を占めるという意外な結果になりました。気になる東京都内では7位が「東京都国分寺市」(7.09%)、9位が「東京都目黒区」(5.77%)、13位「東京都三鷹市」(4.95%)という結果でした。東京でも全区域で9割以上は何らかの託児施設に子どもを入園させることに成功していることになります。いかがでしょうか?統計の結果から判断すると、待機児童問題に対処するためには政府の対策と共に働く親としての周到な計画が必要なようです。妊娠したら会社の出産・育児休暇取得と職場復帰のタイミングを計ったり、必要ならば待機児童数が少ない自治体に移住したりするなどの対策が必要になってくるかもしれません。【参考】※ 「2019年待機児童問題」 実態調査ーInsight Tech※ 保育所等関連状況取りまとめ(平成30年4月1日)― 厚生労働省
2019年06月04日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。ですが中には、子どもが大きな負担を強いられているようなケースや、課題をさぼったり期待通りの成果を出さない時に、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも決して少なくはありません。どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのか?『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにインタビュー。第2回は、「教育」と「虐待」の境目についておうかがいします。お話をうかがったのは… おおたとしまささん教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。■教育と虐待、その境い目の見極め方法――明確な線引きは難しいと思うのですが、「教育的指導」と「虐待」の境目をきちんと知っておきたいです。おおたとしまささん(以下、おおたさん):概念的な線引きとしては、「子どもの人権を尊重しているか」というところです。子どもを親の所有物ではなく、自分と同じひとりの人間だと思うことができているかどうか、それが「教育的指導」と「虐待」の境目だと思います。――具体的な目安はありますか?おおたさん:例えば、1日5時間勉強させても全然平気な子もいるのですが、普通の子にさせたら大抵はつぶれてしまいます。それと同じで、負荷はその子にとっての相対的なものである、ということがまず大前提です。そして、その相対的な負荷が子どもの受忍限度を超えていることに気づくには、なんらかの負荷(勉強や習い事など)をかけた後の子どもの表情を見ればわかると思います。例えば、勉強が終わった後、「つらかったけどやっと終わったぜー!」というふうに晴ればれとした明るい表情になっているのか。それとも宿題が終わった後も「また明日もあるのか…」というふうに全然表情が輝かないのか。それが、ひとつの判断材料になると思います。負荷が終わった後にショボンとしているようでしたら、それは明らかに「これ以上やったらマズイ」というサインです。■「どうしてできないの?」「約束したでしょう?」2つの言葉が子どもを追いつめる――教育熱心すぎる親がやってしまいがちなNG対応はありますか? おおたさん:2つのパターンがあります。1つは、「どうしてできないの?」という言い方。そう言われても、わからないものはわからないのだからどうしようもないですよね。追いつめられれば追いつめられるほど、子どもの頭は真っ白になってしまいますし、「こんな問題ができないあなたはバカ」という含意が子どもを直撃します。――確かに…。ですが、親がつい言ってしまいがちな言葉です…。おおたさん:もう1つは「約束」です。例えば、テストで悪い点を取ると、教育熱心な親御さんは「どうしてこうなったのか?」「これからどうするか?」と冷静に原因と対策について話します。そして、「じゃあ具体的にどうするんだ?」と問いつめます。ヘビににらまれたカエル状態の子どもは、「これからはゲームの時間を減らして毎日勉強する」などと言わざるを得ません。ほとんど誘導尋問なのですが、こうして子どもは約束させられるわけです。でも、約束した時は本気でも、人間はそんなに強くありませんし、ましてや子どもです。ですが、約束が破られた時、「やるって約束したのに! 約束を破ったのか!」と親は理論武装して責め、子どもは言い逃れができず、追いつめられてしまうのです。――身に覚えがあるような…(苦笑)。おおたさん:実は、むやみに怒鳴ったりたたいたりする親御さんは少数で。最近の多くの親御さんは、こうして子どもを叱るに十分な理由をみつけてから、その正論を振りかざして、子どもを追いつめるのです。でも、たとえ、そこに正論があったとしても、相手を傷つけすぎて良いわけがないのです。親がやるべきことは、どうしたら子どもが悪かったと理解してくれるのか、次から改善してくれるのかを考えること。なのに、目的が自分のネガティブな感情を全部吐き出して、子どもにぶつけることに変わってしまっているのです。■体罰は愛ではない! 指導者としての未熟さが原因――「時には、ビシッと親の力を見せつけてやらないとなめられる」という厳しい親の意見も耳にしますが、どう思われますか?おおたさん:家庭において、親は絶対的な強者で子どもは弱者です。親という圧倒的に強い立場を利用して、逃げ場がない子どもを追い込むのは、穴に落ちた犬に石を投げるような卑怯(ひきょう)なことだと思いますけどね。以前、北海道で、親がしつけと称して山中に7歳の子どもを置き去りにした事件(※)がありましたよね? 当時も「親の行為はしつけか、虐待か?」と話題になりましたが、山中に幼い子どもを置いていくなどということがしつけのわけがない。あれは命に関わるような暴力的な行為で、たとえどんな理由があっても絶対にやってはいけないのです。――当時、「似たようなことをやってしまったことがある」という親御さんも少なくなかったですよね。おおたさん:中には、しつけと称して、愛があればたたいていいと体罰を容認する人もいますが、私は、体罰を生むのは愛ではなく、指導者としての未熟さだと思っています。言葉や態度による罵倒も同じです。スパルタ的な指導で子どもが伸びるという人もいますが、罰による成長は一時的なものであり、本質的な成長にはなりません。人は変えられる(外的動機づけ)のではなく、自ら変わる(内的動機づけ)のですから。 ■子どもの言動にイラッ「どうしても怒りが抑えられない時は?」――でも、親も未熟で、怒りの感情が抑えられない時もあります。そんな時はどうしたらよいのでしょう?おおたさん:ひとつ提案があります。子どもの言動にイラッとしてしまった時は、「今、自分は溺れかけているんだ」と考えてみてください。溺れている時、あなたはまず何をしますか? まず、口を閉じますよね? 次に、ジタバタするのをやめますよね? そうやって溺れた時と同じようにふるまったうえで、自分の感じていることをただ言葉にするのではなく、どうやったら子どもが前向きな気持ちで、自らの行動を改めようと思えるようになるか、翻訳するひと手間を考えましょう。いい翻訳が思いつかない時は、そのまま口を閉じていることが最善の策であることも少なくありません。――すでにやってしまった(手を出してしまったり暴言を吐いてしまったり)場合、親はどうやってリカバリーしたらいいのでしょう?おおたさん:間違いに気づいた瞬間から、親子関係をどうつくっていくのか、どんな親になりたいのか、それを考えればいいと思います。大切なことは、起きてしまったことを否定するのではなく、それを糧にするにはどうしたらいいかを考えること。望ましくないことが生じてしまった時、それを今後の糧にすることができるかどうかが、その人の強さだと思います。親も強くならなければいけないし、子どもにもその強さを学んでもらわなければならない。親も子どもも成長しています。親子関係も修復可能です。取り返しがつかないなんてことはないのですから。友人や仕事関係の相手にはきちんと配慮できるのに、わが子となると遠慮なく追いつめてしまう。子どもなら許されると思ってしまう。そこには、どんなに傷つけても結局、子どもは親以外には頼れない、という親のおごりや甘えがあるのかもしれません。でも、おおたさんが言うように、「たとえ、正論だとして相手を傷つけすぎて良いわけがない」のです。怒りが抑えられない時は、せめて「口を閉じる」こと。心に留めておきたいと思いました。次回は、おおたさんが考える「これからの時代に必要な力」についてうかがいます。※2016年、北海道の山中で、親が子どもをしつけのために車から降ろし、置き去りにした事件。7日後、子どもは無事発見された。取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月29日先行き不透明なこの時代、子どもの将来に不安を感じる親が、わが子になるべくたくさんの教育をほどこそうとする風潮があります。著者の周囲でも、幼児期から塾に通ったり、毎日が習い事で埋まっているという話はざらです。もちろん、子どもが楽しんでいるなら良いのですが、中には、大きな負担を強いられているようなケースも見受けられます。さらに、子どもが宿題や習い事の練習をさぼったり、成績がふるわなかった時、つい強く叱りすぎてしまったり、時には罰を与えてしまったり…。そんな話を聞くことも、決して少なくはありません。そんな時に知ったのが、「教育虐待」という言葉でした。教育虐待とは、「子どもの受忍限度を超えて勉強させること」、「親の所得格差が子どもの学習権に大きく影響する」状態も教育虐待とされています。もし、上記の話に少しでも引っかかる方がいたら、一度立ち止まって考えてほしい。そんな思いで、『追いつめる親』『習い事狂騒曲』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんにお話をうかがってきました。著書には、驚くような悲惨な教育虐待のケースも紹介されていますが、それは決してひとごとではありません。本書を読んでいくと、この問題が親個人の問題ではないこと、そして程度の差こそあれ、親であれば誰もが陥る危険性があることがよくわかります。どこまでが教育で、どこからが虐待なのか? 何が親をそこまで駆り立ててしまうのでしょうか?お話をうかがったのは… おおたとしまささん教育ジャーナリスト。麻布中高卒業、東京外国語大学中退、上智大学卒業後、リクルートにて雑誌編集。独立後、多数の育児・教育関連媒体の編集・企画に関わる。学校や塾などの教育現場を丹念に取材し、斬新な切り口で考察する筆致に定評がある。しつけから中学受験、夫婦関係までをテーマに、講演・メディア出演も多数。中高教育の資格、カウンセラーの資格。小学校教育の経験もある。『ルポ塾歴社会』『名門校とは何か?』『受験と進学の新常識』『中学受験「必笑法」』など著書は50冊以上。 『追いつめる親「あなたのため」は呪いの言葉』 の改訂版が2019年7月に出版予定。■「子どもをスーパーマンに」求め過ぎる親たちおおたとしまささん(以下、おおたさん):教育熱心な親が子どもを追い詰めてしまうのは、今にはじまったことではありません。教育虐待という言葉ができる前の1970年代から、教育虐待に関する事件は起きています。ただ、昨今の教育虐待の状況は、以前とは少し変わってきたところがあると感じています。――どこらへんが変わってきているのでしょうか?おおたさん:高度経済成長期はテストで良い点がとれる子を育て、「高学歴」というパッケージ商品さえ手にすれば、それで親は満足でした。いい大学にさえ入れば、そこから先の将来は良い会社に入って終身雇用というレールができていたからです。ですが昨今、高学歴はもう役に立たないと言われるようになりました。とはいえ、学歴が要らなくなったというわけではなく、高学歴があることはもう大前提。それプラス、スポーツも音楽もといった、ほかのオプションもできなくてはいけないという、まるでスーパーマンのような人間を育てなければならないという、ある種の暴走が社会にはびこっているように感じます。それを真に受けてしまった親御さんが、幼児期からいろいろな習い事をさせたり、何かの役に立ちそうなスキルを身に着けさせたりと、躍起になっている傾向があります。――求められるハードルがどんどん上がっているのですね。おおたさん:子どもの特技や強みを伸ばすための習い事ならまだ良いのですが、例えば、英語やプログラミングの場合は、将来の職業スキルとして、幼児期からやらせているわけですよね? 「このスキルを身につけておかないと、将来仕事に就けない」というふうに。そういう面が目立ってきているように感じます。■「教育」とは何? 「人材育成」との混同が引き起こす虐待――子どもの将来に対する、親の不安が押しつけられてしまっているのでしょうか?おおたさん:現在の教育虐待の構造の前提として、教育そのものがビジネスの原理に汚染されている、というところがあります。そもそも、教育とビジネスというのは、全く違う力学として働くものですが、経済至上主義的な現在の価値観で、教育がビジネス的な論理に当てはめて語られるようになってしまったのです。――具体的に、どういうことなのでしょう?おおたさん:「教育」と「人材育成」がごっちゃになっているのですよ。そもそも教育とは、子どもの持つ能力を、その子らしく最大化して自己実現し、かつ、余った力を社会に還元してより良い社会を作ること。つまり、「教育はまずその子ありき」なのです。一方で、人材育成というのは、なんらかの目的に合致した人を育てることです。例えば、「わが社にはプログラムができる人材が必要」というふうに。つまり、「人材は目的ありき」なのです。本来「教育」とは、「どうしたらこの子が輝けるよう育つのだろう?」と、その子を見て考えるべきものなのに、その子を見ずに「これからの時代はこんな人材が求められているから、そういう人材にするためにどうしたらいいのか?」と、型にはめていく発想になってしまっているわけです。■子どもだけではない「追いつめられる親」――時代に求められる「型」に、親が子どもをはめようと躍起になってしまう。その焦りや不安が教育虐待の引き金になっていくのですね?おおたさん:それ以外にも、親が脅迫概念にかられる背景がもうひとつあります。それは、「子どものできは親次第」という社会的通念があることです。例えば、東大に子どもを合格させた親がメディアでチヤホヤされるなど。子育てにおける成功事例は、その子、その親、その関係性があったうえで、その場限りのものでしかないのに、たまたまうまくいった例をあたかも親の手柄のようにいう風潮がおかしいのです。逆に、子どもがひきこもりやニートになってしまった親が「自分の子育てが間違っていたのではないか?」と自分を責めてしまったり、周囲から非難されたり…。本来、親の関わり方と子どもの人生の在り方とは、直線的因果律(結果が生じるには、ある特定された原因が存在するという考え方)で結びつけることはできないのですが。これは、マスメディアの責任も大きいと思います。――確かに、核家族で子育てしていると、子どもの責任が全部親の肩にかかってくるような、そんなプレッシャーは感じます。おおたさん:現代の子育てでは親の責任が大きすぎて、親の方に力が入りすぎているのかもしれません。親こそが、すでに追い詰められているのかもしれません。だとすれば、教育虐待は単なる親の人格的な問題として片づけることはできないのです。「教育」と「人材育成」は似て非なるもの。「本来の意味での教育が、虐待に直結することはありえず、教育虐待のように見えるものの本質は、『人材育成虐待』なのではないか?」とおおさたんは言います。自分が子どもにしているのは、本当に教育なのか? それとも、人材育成なのか? 非常に考えさせられるお話でした。 次回 は、「教育」と「虐待」の境い目についておうかがいします。取材・文/まちとこ出版社N
2019年05月28日みなさんは児童手当をどう活用していますか? 金銭的な話は、なかなかママ友とも語れませんよね。わが家には、2歳から小学3年生までの子どもが4人います。児童手当も4人分いただき、非常に助かっています。今日は、わが家の児童手当の使い道をご紹介します。 1年ほど前まではすべて学資保険にわが家は、夫が会社員で私が専業主婦。毎月の貯蓄とは別に、将来の学費として児童手当を貯めていました。でも、自分で貯蓄をしていくと、何かの拍子に使ってしまいそう……。 そこで、1年ほど前までは4人とも学資保険に入り、児童手当をすべてそちらにまわしていました。保険の素人ながら、学資保険に入っていれば貯蓄代わりになると考えていたからです。 保険のプロに相談すると!?あるとき、夫の保険内容が心配だったので、1年ほど前にファイナンシャルプランナーに保険の見直しをお願いしました。 その際、ほかのすべての保険も見てもらったところ、学資保険が4人中2人も元本割れしている(支払った金額よりも戻ってくる金額が少ない)ことがわかりました。貯蓄代わりと思っていただけに、数万円も損をしていたかと思うと非常にショックでした。 すぐに元本割れの学資保険を解約!ファイナンシャルプランナーと相談のうえ、元本割れしている2つの学資保険をすぐに解約することに。代わりに提示してもらった保険が、夫名義の貯蓄型保険と生活保障型保険でした。 子どものための貯蓄=子ども名義と頭にあった私は目からうろこです。利率のいい貯蓄や保険があればそれでいいのだ! と、やっと理解しました。生活保障型は掛け捨てになりますが、一馬力で稼いでいる夫に何かあれば生活ができなくなるため、心強い保険になりました。 わが家は年収が高いわけではありませんが、子どものために児童手当総額分以上は貯蓄にまわしています。使ってしまうとあっという間になくなってしまうので、児童手当はないものと思い、貯蓄に励んでいます。著者:武山あゆみ三男一女の母。ワンオペ育児に奮闘するかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。 ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
2019年05月18日後を絶たない児童虐待事件が注目を集める昨今、行政の対応のあり方が議論の俎上に上がっている。米国で実際に起こったケースを紹介したい。先月28日、アリゾナ州のチャンドラー警察署が1本の動画を公開した。警官が体に装着したボディカメラの映像で、一軒家に強行突入する様子が収められている。この家のサラ・ベックは2月25日、熱を出した2歳の息子を自然療法の診療所に連れて行った。チャンドラー警察署によると、このとき子どもの体温は40.5度にまで上がっていたという。担当した医師は、子どもが髄膜炎など命を脅かす病気を患っている可能性を指摘。診療所では検査する設備がなかったため、すぐに病院へ息子を連れて行くよう指示した。しかし、その後ベックは子どもを受診させなかったことから、医師は児童局へ通報、そこから地元のチャンドラー警察署へ相談が入り、警察が介入することとなった。動画では、警官が玄関をノックして中に入れるよう要求している。ベックとその夫ブルックス・ブライスは「もう熱は下がったから大丈夫。お引き取りを」と、決して家の中に警官を招き入れようとしない。警官はパトカーに戻り、電話で説得を続けるも、ベックは「息子はもう元気ですよ。今はもう37度を切っているんです。本当に元気だから」と電話を切ってしまう。警官は再度玄関へ赴き、「自分たちの目で子どもの様子を確かめたい」と食い下がる。「その必要はないから、帰ってくださいよ」と突っぱねる親との押し問答をしている間に、児童局が子どもを一時保護する裁判所命令を入手。警官は両親に告げる。「あなた方は選ぶことができる。つまり、家から出てくるか、子どもを病院に連れて行くか、児童局に一時的に監護権を渡すかだ」。それでもブライスは「病院には行かないし、時間を無駄にするつもりもない」と答えたため、警官は銃を構え、ドアを壊すことを警告した上で突入。親に銃を突きつけている間に子どもを保護した。チャンドラー警察署によると、問題の2歳児の他にも2人の子どもがおり、全員が原因不明の汚れに覆われていたという。ベックの弁護士は「子どもを連れ去るのは明らかに不必要であり、正当防衛の範囲をはるかに超えている」と声明を発表。両親がなぜ頑なに受診させなかったかについてはわかっていないが、ベックが子どもに予防接種を受けさせていなかったため、病院に行けばその件で責められるかもしれない、と及び腰になった可能性も指摘されている。
2019年04月01日1月24日、父親の栗原勇一郎容疑者(41)による虐待で命を奪われた千葉県野田市の小学4年生の心愛ちゃん(10)。発見されたとき、体には複数のアザがあり、胃にほとんど内容物がなかったという。2月4日には、夫の暴行を幇助していた疑いで、母親のなぎさ容疑者(31)も逮捕された。両親から激しい虐待を受けながらも、心愛ちゃんは懸命に「命のSOS」を発し続けていたことがわかってきた。そもそも心愛ちゃんへの虐待は、3年前から始まったとみられている。彼女が小3の夏まで過ごしていた沖縄県糸満市を取材した地元紙記者が語る。「’11年、勇一郎容疑者のDVが原因で、夫婦はいったん離婚。なぎさ容疑者は、しばらく実家で生活していましたが、’15年11月から心愛ちゃんと糸満市内のアパートで2人暮らしを始めます。ほどなくして、復縁をせまった勇一郎容疑者がアパートに出入りするようになり、近所では心愛ちゃんの泣き声やうめき声が聞こえるようになったそうです」’17年2月に、2人は再婚。同年6月に、次女が誕生するが……。「次女は低体重児で、母親も体調を崩して入院しました。父娘は2人の生活になり、暴力がいっそう激しくなったようです。たまらず、なぎさ容疑者は、夫のDVと心愛ちゃんへの虐待を糸満市役所に訴え、市も勇一郎容疑者に面会を求めました。ところがその面会を2度も拒否して、勇一郎容疑者は、強引に妻と娘を自分の故郷である千葉県に連れていったのです」(前出・地元紙記者)’17年8月、家族4人は事件の起きた野田市内の家賃7万円ほどのマンションに移り住んだ。「11月6日、転校先の野田市立山崎小学校のいじめに関するアンケート調査で、心愛ちゃんは《お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか》と初めてSOSを発します。それを受け、柏児童相談所は、彼女を一時保護。その後、市内に住む、父方の実家、心愛ちゃんの祖父母の家に預けられたようです」(全国紙記者)ただ一度だけ「SOS」が聞き届けられ、祖父母の家に避難していたころの心愛ちゃんは笑顔で生活ができていたようだ。近所の住民はそのころ目にした心愛ちゃんの姿をこう話している。「このあたりはお年寄りが多い住宅地なんです。だから、ランドセル姿の女の子が珍しくて、思わず挨拶してみたら、コロコロっとした笑顔を見せて“こんにちは”と返してくれたんです。とても感じがよかったから“おうちはどこ?”と尋ねると、小躍りするように、栗原さんの家を指さしました。そこで彼女が栗原さんのお孫さんだということを知ったんですが……。あの天真爛漫な笑顔が頭から離れないんです」その後、命のSOSが届くことがないまま、心愛ちゃんの短い生涯は実父の手で閉じられた――。
2019年02月13日子供がいる世帯について支給される給付と聞くと「児童手当」を思い浮かべる人が多いかと思います。児童手当は、15歳の誕生日を迎えた日以降の最初の3月31日までにある子の人数に応じて支給される給付の事です。児童手当以外にも、子供がいる世帯について支給されることがある給付として「児童扶養手当」というものがありますが、児童手当に比べると、受給している人が少ないため、知っている人は少ないのではないかと思われます。今回は「児童扶養手当」について、児童手当との違いを交えながら、くわしく解説していきます。児童手当に関しては以下の記事で詳しく説明しています。児童扶養手当とはどのような制度なのか?児童扶養手当は、父母が離婚した児童、父または母が死亡した児童、父または母が一定の障害状態にある児童などのように、何らかの理由によって、子の養育が困難な状態にある世帯の養育者に対して支給されます。そのため、養育する子がいることが支給要件とされている児童手当に比べると、受給している人の数は少ないということになります。具体的な支給対象者児童扶養手当の受給対象者は、父母が離婚をした児童、父母のいずれかが死亡した児童、父母のいずれかが一定以上の障害状態になっている児童などが対象となります。つまり、ひとり親世帯の児童や両親のいずれかが障害状態になってしまった世帯などが支給される対象とされている点が、児童手当とは大きく異なる点です。児童扶養手当と児童手当の相違点(支給対象者)【児童手当】:15歳に達した日後の最初の3月31日になるまでの子がいること【児童扶養手当】:ひとり親世帯、両親のいずれかが一定の障害状態である世帯など児童扶養手当の申請から支給までの流れ児童扶養手当は、支給要件に該当した時から申請をすることはできますが、注意点としては、他の手当等についても同様の事が言えますが、「さかのぼっての支給はない」ため、要件に該当したらできる限り早く、申請手続きを行うことがです。※児童手当の場合は、申請した月以降最初の支給月に、その支給月の前月までの4ヶ月間の児童手当がまとめて支給されます。つまり、該当することとなってから2,3カ月経過してから申請したとしても、支給要件に該当することになった時から支給開始となったときまでの期間については、さかのぼってその期間分をまとめて支給するということはないため、申請が遅れた分だけ、もらえたはずのお金がもらえなくなるということが出てしまうので注意が必要です。なお、申請から受給までの流れについては、児童手当の場合とほぼ同じような流れとなりますが、用意しなければならない書類は世帯に関する証明が必要になるところがあるため、児童扶養手当のほうが多くなります。支給を受けるための手続き児童扶養手当の支給を受けるための手続きは、住んでいる市町村の窓口(民生こども課など)に直接行います。申請の際に必要になる書類は、受給要件を満たす内容によって異なります。また、申請の方法についても、住んでいる自治体によって若干異なる部分がありますので、事前に確認をすることが望ましいです。申請に必要な書類(名古屋市の場合)戸籍謄本(手当を受ける方と対象児童のもの。1か月以内に発行されたもの)請求者の個人番号カード(マイナンバーカード)または通知カード請求者の身元確認書類(運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)など)支給要件が分かる主なもの印鑑(認め印も可)振込みを希望される金融機関の通帳またはキャッシュカード(コピーで可)【注】振込先名義は、手当を受ける方に限られます。健康保険証(手当を受ける方と対象児童のもの)年金手帳、ねんきん定期便、年金支払い通知書等(現在受給している年金額が分かるもの)家屋名義の分かるもの(賃貸契約書、固定資産税課税明細書など)そのほか個別の事情に応じて、各種申立書、除籍謄本、ご家族の個人番号、独身証明書(婚姻要件具備証明書)などが必要となる場合があります。支給開始時期支給開始時期は、最短で「申請を行った月の翌月」からとされていますが、申請を行った時期や申請書類の精査に時間がかかることがあるため、目安としては「申請をした日の属する月の翌月又は翌々月」となると考えられます。児童扶養手当の金額児童扶養手当は、児童手当の場合と同様に「所得制限」があり、支給額についても所得状況によっては、「全部支給」と「一部支給」の2種類に分かれています。そのため、児童扶養手当を受給するには、支給を受けるための要件を満たす。そのうえで、所得制限をクリアし、さらに、所得によって支給される額が全額または一部に変わってしまいます。児童扶養手当の所得制限児童扶養手当の所得制限は、実際の収入金額を基準に判定するものではなく、所得税の計算上、課税対象とされる金額(給料等の場合は「収入金額から給与所得控除額を控除した金額」の事です。)を示していますので、所得制限や全額支給・一部支給の所得制限の判定を行う際には注意が必要です。つまり、給料をもらって生活している人であれば、源泉徴収票の中に記載されている「給与所得控除後の給与所得の金額」が所得制限の判定に使われる金額となるということです。具体的な所得制限の判定の流れ(1)前年の所得の金額の計算前年の所得の金額は、基本的に1年前の所得の金額をもって前年の所得の金額とするのですが、1月から6月までに申請を行う場合は、前々年の所得の金額をもって判定を行います。(2)養育費の金額の計算養育費は、前年中に実際に子供の養育のために支払われた金額(1月から6月までについては、前々年に支払を受けた分)をもって計算した金額の8割相当額をもって、養育費として計算されます。(3)各種控除金額の計算扶養控除や障害者控除などの一定の要件に該当する人がいる場合については、その内容に応じて控除金額が設定されています。(1)から(2)と(3)の金額の合計額を控除した金額が、所得制限の判定の際に用いられる所得金額となります。なお、この金額については、全部支給と一部支給の判定にも用いられます。全額支給と一部支給児童扶養手当は、所得金額によっては全額が支給される場合(全額支給)と一部しか支給されない場合(一部支給)とがあります。これは、児童手当とは大きく異なる点です。(児童手当の場合は、子供の人数、年齢などによって、支給される金額に変化がありますが、所得によって支給される額の調整は行われません。)全部支給の場合全部支給とは、児童扶養手当を毎月満額(平成30年度は月額42,500円(子供が1人の場合)です)支給されることで、平成30年8月からは所得限度の金額が30万円引き上げられ、全部支給の対象となる範囲が拡大されました。【全部支給となる所得上限額】子供が1人の場合:57万円子供が2人の場合:95万円子供が3人の場合:133万円※「具体的な所得制限の判定の流れ」で行った計算結果で判定一部支給の場合一部支給とは、所得制限によって、全額支給とはならなかったが、一部の金額については児童扶養手当を支給するという制度です。一部支給の場合は、所得金額に応じて10円単位で引き下げられます。【一部支給の具体的な金額】子供が1人の場合:42,490円~10,030円子供が2人の場合:52,530円~15,050円子供が3人の場合:58,550円~18,060円※「具体的な所得制限の判定の流れ」で行った計算結果で判定「住んでいる地域 児童扶養手当」で検索すると市のHPにて詳しく説明されておりますので合わせてご確認ください。まとめ児童扶養手当は、ひとり親世帯や、両親が離婚してしまった世帯など、一定の要件を満たした場合に支給される給付です。そのため、児童手当に比べるとあまり知られていないところがありますが、万一の事態に陥った時には、児童扶養手当の内容を知っていることで備えをすることは可能です。また、改正によって、児童扶養手当の支給回数が年3回から年6回に増えるため、児童扶養手当の制度を利用することができる人については、ぜひとも、新しい情報を確認しておくことが大切になります。他の制度についても同様の事が言えますが、情報は常に最新の状態にすることで、さまざまな備えをしておくことが望まれます。
2019年01月06日児童福祉制度とは、児童福祉法を基本として、様々な行政機関や施設、専門職の働きや実践によって推進される制度で、具体的には「保育子育て支援」「健全育成」「母子保健対策」などの施策があり、妊娠・出産に関する福祉だけでなく、育児を行っている世帯まで、幅広い世帯においてかかわりが深い制度といえます。今回は児童福祉制度の一つであり、もっとも身近に感じることが出来る給付の「児童手当」の制度の仕組みについて説明します。子どものいる世帯の経済的支援を行う「児童手当」の仕組み児童手当は、児童がいる世帯に対して、子の年齢、子の人数に応じて支給される金額が変わります。この児童手当は、過去には「こども手当」という名称で支給されていたこともありますが、現在では、児童手当として支給されています。対象者児童手当は、15歳に達した日後最初の3月31日までにある子(つまり、「中学卒業するまでの子」のことで、「支給要件児童」といいます。以下同じ)がいる世帯に対して、その子の年齢、人数に応じて市町村から支給される給付で、毎年2月・6月・10月にその前月までの4か月分をまとめて支給されます。児童手当の支給要件次の①~⑤のいずれかに該当する者に支給されます。①父母等中学卒業前の児童である子を監護(児童の面倒を見ており、通常必要な監督保護を行っていること)する必要があり、かつ、その子と生計を同じくする父また母、もしくは、未成年後見人であり、日本に住所がある人のこと②父母指定者日本に住所がない父母等が指定する人のうち、その父母等が仕送り等で生計を維持している子と同居している人で、日本国内に住所がある人(例えば、祖父母や叔父、叔母など)のこと③父母等又は父母指定者のいずれにも監護されず、または、これらと生計を同じくしない支給要件児童を監護し、かつ、その生計を維持する者であって、日本国内に住所を有するもの簡単に言うと、「両親が離婚等をして別居しており、生計を同じくしていない場合」に児童と同居している人のこと④施設等受給資格者何らかの理由によって里子として出された子を監護している里親等、または、障害児入所施設に入所している支給要件児童がいる施設の管理責任者のこと⑤所得制限(2019年度)世帯の所得の合計金額が以下の金額未満であることが必要です。なお、所得制限の判断基準は所得(給与所得控除語の金額)がいくらになるかで判断されます。なお、今までは所得制限を超えた世帯であっても児童1人当たり5,000円の特別支給が行われていましたが、2019年度は廃止されます。扶養親族がいないとき年収:833.3万円(所得:630万円)扶養親族が1人年収:875.6万円(所得:668万円)扶養親族が2人年収:917.8万円(所得:706万円)扶養親族が3人年収:960.0万円(所得:744万円)扶養親族が4人年収:1002.1万円(所得:782万円)ひとり親+扶養親族が0人(子供1人)年収:833.3万円(年収:622万円)児童手当の額児童手当の額は子どもの人数や年齢によって異なり、1月当たりの金額で規定されており、4か月分を2月・6月・10月の年3回にその前月分(2月:10~1月、6月:2~5月、10月:6~9月)を支給されます。ただし、15歳に達した日後最初の3月31日以降になる子がいる場合は、その子については支給の対象とはなりません。①3歳未満の子15,000円×該当する支給要件児童の数②3歳以上小学校卒業までの子2人目まで10,000円×該当する支給要件児童の数3人目以降15,000円×該当する支給要件児童の数③小学校卒業後中学校卒業までにある子10,000円×該当する支給要件児童の数児童手当の額の具体例①14歳・10歳・6歳の場合10,000円+10,000円+15,000円=35,000円/月②17歳・14歳・10歳の場合10,000円+10,000円=20,000円/月※第1子が15歳に達する日後最初の3月31日を過ぎており、児童手当の支給対象児童とはならないため、支給対象児童である第2子と第3子が児童手当の支給額の計算の対象となります。③17歳・16歳・14歳の場合10,000円/月※第1子と第2子が15歳に達する日後最初の3月31日を過ぎており、児童手当の支給対象児童とはならないため、支給対象児童である第3子の10,000円/月が児童手当の金額となります。児童手当を支給するために必要な手続き児童手当は、支給手続きを忘れてしまうと遡及(過去にさかのぼること)して支給を受けることが出来ないため、必ず手続きができるようになった時に行うことが必要です。支給手続きで必要なもの児童手当の支給手続きをするときに必要になるものは以下に挙げるものが必要です。児童手当認定請求書申請者の健康保険証の写し申請者名義の振込先口座のわかるもの申請者の印鑑支給手続きの注意点具体的に支給手続きを行う際の注意点は、以下のようになります初めて子が生まれた場合子が生まれて、児童手当の支給対象児童となった日の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。2人目以降が生まれた場合その子を出産した日の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。引越しをして住所が変わったとき転入日(転出予定日)の翌日から15日以内に市町村に申請手続きをする必要があります。公務員になった場合基本的に勤務先である市町村に対して申請手続きを行いますが、新たに公務員になった場合、または、公務員を辞めた場合は、その事実があった日の翌日から15日以内に住所地の市町村に対して申請手続きを行う必要があります。まとめ児童福祉制度の一つである、子供・子育てに関する支援制度の一つとして児童手当があります。児童手当は、子が生まれた世帯に対する経済的支援を行うことで「生活の安定を図ると共に、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする(児童手当法1条)」とされている制度です。児童手当は、子供の年齢や人数によって支給される金額が異なり、また、世帯合算の所得によって制限がかかることがあります。さらに、自治体によっては児童手当以外にも、児童福祉に関する給付が行われているところがありますので、今、お住いの自治体が子供の育成に関する給付として、どのような支援を行っているのかを改めて確認することは重要なことといえます。児童手当の制度などを理解したうえで、妊娠・出産・育児を包括的に考えたうえで、今後のライフイベントをどのように計画していくべきかを、改めて考えてみるといいでしょう。
2018年12月29日前回、ごく普通の家庭が「知らぬ間に陥りがちな2つの落とし穴」についてファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに教えていただきました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ 第4話 「もらえる」教育費がトレンド! 充実の教育支援制度を活用するには -->落とし穴に落ちないためには、教育資金は、あらかじめ資金計画を立て、長い時間をかけてコツコツと計画的に準備する必要があります。今回は、具体的な教育資金づくりについてお話しを伺います。■児童手当が大学資金となる「教育資金づくりで大切なことは、子供が小さいころからコツコツと積み立てることです」(竹下さん)。そのための軍資金として心強いのが「児童手当」です。児童手当から受け取れる額は、次の表のとおりで、0歳から15歳までの総額は、198万円(※)にもなります。まさに、「ちりも積もれば山となる」ですね!大学進学に合わせて備えておきたい額は、国公立・自宅通いケースの学費総額をもとに200~300万円が一つの目安と言われていますが、児童手当を積み立てるだけで、この最低ラインは賄える計算となります。※児童手当の0~15歳までの総額198万円=15,000円×12ヶ月×3年+1万円×12ヶ月×12年:第1子、第2子の場合の例。一人あたり。▼児童手当の対象年齢と支給額■児童手当は、さかのぼってはもらえない!児童手当で覚えておいて欲しい注意点は、「申請が遅くなった際、その分をさかのぼってはもらえない」ということです。子どもが生まれた場合は、出生届が受理されて初めて、児童手当の申請を市区町村の役所が受理する流れになっています。ですから妊娠中に必要な書類などを役所の窓口やホームページなどで確認し、出産後は速やかに申請することが大切です。出産直後のママが動くことが厳しい場合も多いので、申請手続きの流れをパパと一緒に、シミュレーションしておくと良いですね。 ■「学資保険」はなぜおすすめなのか教育資金づくりの「はじめの一歩」は、児童手当を軍資金に、家計とは切り分けて積立てを始めることです。その手段として、おすすめしたいのが「学資保険(子ども保険)」です。「マイナス金利の影響もあり、最近お得度が下がり気味ではありますが、根強い人気が続いています。理由はおもに3つあります」(竹下さん)。▼学資保険の魅力3つ魅力その1確実に教育資金を準備できる安心感がある学資保険は、親の死亡時には以後の保険料支払いが免除になった上で満期金がうけとれる“保険ならでは”のしくみがあるプランが人気です魅力その2税制優遇がある満期などで受け取るお金は一時所得扱いになるので、増えて得した額が50万円を超えなければ実質的に非課税です。預貯金で積立した場合、得した額の約20%は税金として源泉徴収されます魅力その3子供のお金として色づけができる家計が苦しくなったり、住宅ローン返済が滞りそうになった時でも、学資保険は「取り崩しにくい心理が働く」と言われています出典: 「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本 より一部抜粋筆者としては、学資保険は保険商品ならではの「強制力」が大きな魅力だと感じています。有無を言わさず(←ここ、とても大事です)、自動的に指定口座から保険料が振り替えられているので、最初から「そのお金が無いこと」で生活する習慣がつきます。ですから、「いつの間にか貯まっている感」があるのです。■学資保険を選びときにチェックすることどの学資保険を選ぶか? というときに最初にチェックしたいのは、「返礼率」です。返礼率とは、支払った保険料に対して、受け取れる保険金の割合を示す率。たとえば、返礼率105%だったら、保険料を100万円支払えば、合計で105万円受け取れるということになります。ちなみに、これだけおすすめしておきながら、筆者の学資保険デビューは、長男を出産した1年後(汗)。初めての出産後、慣れない育児で手一杯になってしまい、教育費のことまで頭が回りませんでした。いまは、妊娠中から入ることができる学資保険も増えているので、プレママ時代に、学資保険のリサーチ&契約しておくのもアリだと思います。学資保険の注意点としては、途中で解約すると、ほぼ間違いなく損をする点。その時点の解約返戻金(解約することで戻ってくるお金)は、それまで支払った保険料より少なくなるのが通常です。確実に満期まで続けられるよう家計に無理のない保険料での利用が無難です。■「低解約返戻金型終身保険」vs「学資保険」最近は、保険ショップで「学資保保険に入りたいのですけれど」と相談すると、低解約返戻金型終身保険をすすめられることが多くなっています。低解約返戻金型終身保険とは、一生涯を保障する生命保険である「終身保険」の一種です。この終身保険を、適当な時期に解約して、解約返戻金を教育資金にあてるという使い方をします。この保険について、メリットとデメリットを整理しておきましょう。▼「低解約返戻金型終身保険」のメリット①教育資金として現金化できるタイミングを選べる「学資保険」が満期日(18歳の誕生日など)まで現金化できないのに対して、この保険であれば、保険料払込期間を経過していれば、いつ解約しても、ほぼ損をしません。たとえば、AO入試や推薦入試で合格すると、高校3年生の秋には入学金を支払う必要があり、お金の工面に困ることも考えられます。②親にもしものことがあった場合の死亡保障が大きい「親の死亡保障確保の点から言えば、同じ保険料の学資保険に入るよりも、死亡保障額が大きいので、費用対効果が高いです」(竹下さん)▼「低解約返戻金型終身保険」のデメリット保険料払込期間中に解約するとペナルティが大きい保険料払込期間とは、保険契約者が保険料を支払う義務がある期間で、保険契約を結ぶ時の条件として定められています。最初に取り決めをするので、あとから保険を見直すとペナルティが大きく、少ししか解約返戻金を受け取ることができません。「低解約返戻金型終身保険の利用は、家計に無理のない保険料水準が大前提で、しくみをしっかり理解できる保険中級者なら、視野にいれて検討するのも一策です」(竹下さん)■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月28日在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。■ 最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。sakai / PIXTA(ピクスタ)介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。■ 虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。では、なぜ息子の暴力が多いのか。それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。■ 在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。shimi / PIXTA(ピクスタ)徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。■ 病に対する理解不足は悲劇を生む根源同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。でも、それが認知症なのです。言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。shimi / PIXTA(ピクスタ)認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。では、どうすればいいのでしょうか?最大の防止策は、認知症を理解することです。多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。これは悲劇の根源でもあります。認知症の人は病人である前に人なのです。汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。■ 認知症を理解し受け入れる寛容さが大切認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)病を憎んで人を憎まず。難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。【参考】※イリーゼ高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策※厚生労働省医療経済研究機構「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要※厚生労働省平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年09月18日今はSNSという便利なものがあるので、家にいながらいろんな人と交流できるのが良いですよね。でも、我が子と同月齢の子の発達が早いと「えっ、もうできるの!? うちの子はまだできないのに…」と焦ったり、きれいに片付いた室内や手の込んだカラフルな離乳食を見て「同じようにできない自分は、なんてダメなんだろう…」と落ち込んだり。だけど、よく考えてみたら、みんな「頑張った」「できた」から、SNSにアップするんですよね。私だって、我が子が何かできるようになったら嬉しくて自慢したいですもん(笑)だから、できないことを気にすることはないんです。私なんて乳出しっぱなしのまま寝てたり、穴の空いたパジャマを着続けたり、それに基本的にいつもすっぴんだし、人見知りで家に引きこもってるし、家の中は物だらけで散らかってるし。インスタ映えとは無縁の生活を送っていますが、子どもたちが元気に育ってくれれば、それで良し♪マォInstagram :maoppachi.baby
2018年09月08日以前児童館で、ある一人のお母さんを見かけたときのこと。ほとんどのお母さんたちは、遊んでいる我が子のそばで一緒に遊んでいたり、近くにいる他のお母さんと挨拶をしたり会話をしています。そんな中、そのお母さんは、子供から離れ、壁に寄りかかり一点を見つめながら元気のない様子。気になってはいたけれど、走り回る我が子から目が離せず、その時私は時々遠目から見ることしかできませんでした。しばらくすると、あるお母さんがそのお母さんに声をかけました。最初は挨拶をする程度だったのが、お互いの子供も交え、会話も弾んでいき、元気のなかったお母さんの顔がだんだん明るくなっていきました。私はそれを見て、ほっとしました。私にも一歳になる息子がいます。自分ももしかすると、自分では気づいていないだけで元気の無い顔をしている時があるのかもしれない。辛そう見えるときがあるのかもしれない。自分が育児でとても悩んでいた時期、児童館へ行って他のお母さんが挨拶をしてくれたり、ちょっとしたことを会話するだけで、帰る頃には気持ちが本当に軽くなりました。児童館だけでのことではありません。あらゆる場面で、同じように気持ちが救われたお母さんたちがたくさんいらっしゃると思います。そして救えると思います。声をかける。自分のことでもいい、小さなことでもいい、何でもいいから話を聞く、聞いてもらう。これは #わたしたちでもできること だと思います。TABATOVAInstagram :taba_____tova
2018年09月06日この世から児童虐待がなくなるように、との願いから「#こどものいのちはこどものもの」というチームを組み、さまざまな活動をしているイラストエッセイストの犬山紙子さん。児童相談所で長年子どもの問題を扱ってきた元児童心理司で、『告発児童相談所が子供を殺す』などの著書もあるカウンセラーの山脇由貴子先生。児童虐待の根絶に向けた活動を続けているお二人に、“#わたしたちでもできること”というテーマで対談していただきました。※お二人の対談を3回に分けてお送りします。子どもの泣き声が大きすぎてもしも自分が通報されてしまったら……犬山:これまでの話とは逆なんですけど……イヤイヤ期で、毎日ギャン泣きするような子どもがいるお母さんの中には、自分が通報されやしないかとビクビクしている人も多いと思うんですよ。でも、もし通報されて、ちょっと様子を見に来られたとしても、別に堂々としていればいいんですよね。山脇:そうそう。通報されたくないからって、タオルで子どもの口を押さえちゃったりするお母さんも本当にいますけど。堂々としていればいいんです。そのあたりは、児童相談所の職員も慣れているので。「近所から通報があったので訪問しました。心当たりがありますか?」って聞かれたら「うちだと思います。いつか通報されるんじゃないかと思っていました。泣き声が大きくて困っているんです」と言って、子どもを見せればいいだけのこと。けっこういますよ、そういうお母さん。犬山:変に怖がりすぎないことですね。とはいえ、子どもがギャン泣きしているとき「うわ~、隣の家、どう思っているのかなぁ」っていうのは、頭をよぎりますよね。今日もうちの子の通う保育園のクラスメイトの女の子が、イヤイヤ期がすごすぎて、下着姿で登園してきたんですよ。お母さんも「どうしても着せられなかったんです」と言っていて。実際、保育園でも30分くらい着せられなかったみたい(笑)。それくらい大変な子は大変ですもんね。山脇:あと、中には近隣の人が、子どもの泣き声がうるさいから、児童相談所に通報して「なんとかしてくれ!」っていうケースもある。児童相談所が来ること自体は全然気にする必要はないです。「たぶん、またあると思います」くらいの対応で平気だと思います。犬山:あー、よかったー。心がラクになった~(笑)。山脇:児童相談所って通報するだけじゃなくて、もちろん相談することもできるんです。子どもがすごく泣いちゃって、バンバン通報されちゃうという人だったら「どうしたらいいんでしょう?」って、相談しちゃえばいいんですよ。虐待ではないんですから。自分も虐待してしまうかもしれないという不安カーッとなってしまった後はまず子どもにちゃんと謝ることが大切――自分が子どもを虐待してしまわないために、できることはありますか?山脇:子育ては大変だから、イラッとしますよね、絶対。イラッとして、子どもに何かひどいことを言ったり、たたいちゃったりしたら、それはもう子どもに謝るしかなくて。「ごめんね、イライラしちゃった……」って言って、ギュッてしてあげるしかない。犬山:そこで謝らずに正当化すると恐ろしいですよね。山脇:そう、「あんたが悪いからでしょ」っていうことになっちゃうので。基本は素直に謝ること。子どもにも「ごめんなさい」はちゃんと言いましょう。親が謝ってくれると、子どもは「自分が悪かったわけじゃないんだ」ということが分かるので。子どもにそれを分からせるということが大事。あとは、自分がどういうときにイライラしやすいかを知っておくことですよね。犬山:イラッとした後に、メモを取るといいかもしれないですね。おなかが空いていたとか、仕事をめちゃ抱えていたとか。山脇:カーッとなったときは、ちょっと子どもから離れられるといい。だから、やっぱり育児の協力者がいるのが一番いいですよね。どうしてもいない人は、自治体のサービスを使って。とにかくお母さんに余裕がないと、子育てがうまくいくはずがないから。あとは、カーッとなったときはどうするかを決めておく人もいます。シャワーを浴びるとか、お気に入りの服に着替えてみるとか、子どもを連れて外に出るとか。少し気分が変わることをやってみる。犬山:「イラッとした後メモ」とは別に、「今日よかったことメモ」みたいなのを残しておくのもいいかも。ダメなことばかり書いていると、最悪……って落ち込んじゃうから。毎日、客観的にいいところと悪いところが書けたら、いいところを伸ばせそうな気がする(笑)。山脇:私はいろんなご家族に「形容詞をたくさん共有できる家庭は明るい」という話をしているんですよ。一番分かりやすいのは「おいしい」ですね。家族で「おいしいね」って言いながら夕食が終わると、大体満足して一日終わります。だから、みんなで「楽しいね」「嬉しいね」っていうことがあった日は、メモしておくといいですね。それはみんなの思い出に残るものでもあるし。もちろん自分が今日よくできました、みたいなことでもいい。それを夫婦で探し合うというのも、私のクライアントにはやってもらっています。「今日あれがよかったよ」とか、「今日これをしてくれて、ありがとう」とか。挨拶が多い家、「ありがとう」や「ごめんなさい」が多い家は明るいんです。本にも書いているんですけど、とにかく“夫婦仲良く”ですよ。夫婦が仲良ければ、たいていのことはうまくいく(笑)。今も被害に遭っている子はたくさんいる虐待事件のニュースを風化させないためには――虐待の事件を他人事と思わず、身近に落とし込んで考えてみるということですね。山脇:虐待のニュースを聞いても「じゃあ、一般の人には何ができるかな?」っていうところには意外と話が行かないんですよね。それこそ児童相談所の批判とか、そういう方向に行っちゃって。一般の人とは常に遠いところにある。だから虐待の問題については、どうやったらみんなが活動したいという気持ちをキープしてくれるか、ですよね。犬山:そこは超課題ですよね。山脇:結愛ちゃんの事件は本当に悲しかったけど、でも、ああいうことは現在進行形でたくさん起こっているから。それが情報として報道されていないだけで。あんなにひどいケースは多くないにしても、このままだと結愛ちゃんみたいになっちゃう可能性のある家庭はきっと存在するから。実の親であってもね。犬山:気になったときに、ささいなことでもいいから、みんながまず一回、ちょっと動いてみることが大事なんですかね。それがひとつのフックになって、今後何かを見かけたときにアッとつながっていくのかなと思います。Text:Keiko IshizukaPROFILE山脇 由貴子Yukiko Yamawaki女性の生き方アドバイザー。家族問題カウンセラー。 東京都に心理職として入都し、都内児童相談所に心理の専門家として19年間勤務。2015年に退職後、「山脇由貴子心理オフィス」を立ち上げ、現職。『教室の悪魔』(ポプラ社)、『告発児童相談所が子供を殺す』(文春新書)、『思春期の処方せん』(海竜社)など。PROFILE犬山紙子Kamiko Inuyama1981年生まれ。コラムニスト、イラストエッセイスト。著書に『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス)、『地雷手帖嫌われ女子50の秘密』(文春文庫)、『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)ほか多数。2017年に女児を出産し、育児体験者への取材記録や自身の出産体験記を収録した『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)を刊行。現在は「SPA!」「anan」「steady.」「文學界」「読売新聞」などで連載中。▼第1回はこちら▼第2回はこちら
2018年08月31日