頭が良くなるには、デキる人になるにはどうしたらいい?参考になるのは、実際に結果を出しているリアルな人たち。集中力、記憶力、探究心に長けた囲碁の女流棋士3強に、普段の思考や行動、大事にしていることを伺い、強さの秘密に迫りました。黒と白の石を交互に碁盤に置いていき、自分の石で囲んだ陣地の広さを競い合う囲碁。相手の動向を探りつつ、経験や知識をもって何手も先を読み合うことから、将棋と並んで頭脳ゲームや知的ゲームの代表格とも呼ばれている。――漠然とした先入観ですけど、囲碁は地頭がいい人、賢い人がやる競技というイメージがあります。謝 依旻:私は勉強ができたわけでもなく囲碁を始めてしばらくは自分が打った碁を再現できなかったです。藤沢里菜:私も勉強が好きじゃない小学生でした(笑)。囲碁をやっていくうちに自然と集中力や記憶力が身につきましたね。上野愛咲美:私も囲碁のおかげで集中力が鍛えられたと思います。でも、記憶力は自信がないかも…。対局後に、開始から終局までを再現する感想戦というものをやるんですが、相手の人に「こういう詰め方でしたね」と言われても、どの局面か忘れていることがたまにあって。申し訳なく思います(笑)。謝:私はけっこう覚えていて、それがマイナスに働くこともあるから、(上野)愛咲美ちゃんがうらやましい。というのも昔から考えるクセがあって、寝る前に一日を振り返るんですね。だから自然と記憶している事柄が多い。もちろんプラスになる場合もありますが、対局中に過去の似た手を思い出して、考えすぎることもあるんです。藤沢:私はすべてにおいて記憶力がいいのではなく興味のないものは無意識に排除しているかも。囲碁や昔の思い出は記憶にあるけれど他はいろいろ忘れますから(笑)。好きなものとそうでないものの熱量が極端に違うのかもしれない。上野:それわかる~。私がよく覚えているのは、食料や日用品の価格くらい(笑)。この商品はあの店が安いとかは頭にすぐ入るよ。――上野さんは囲碁界の異端児というポジションなんですか(笑)。謝:愛咲美ちゃんは、勝負どころで直感力と感性を発揮できるタイプなんですよ。それは豊富な知識があるからこそできることで、従来のパターンにこだわらず、新しい手を潔く出せる人なんです。上野:頭の中にもう一人の自分がいて、(打つなら)ここかな?そうそう、打とう!って相談しながらやるんです。昨日の対局では、わからなくなったときに(藤沢)里菜先生だったらどうするかなと考えながら打ちました。その局面が得意な先生に(頭の中に)入ってもらうんです。もう一人の自分がその人になって、私ならこうする!オッケー、それでいこう!そんな会話をして局面を打開できることがあります。――別の棋士の方を頭の中に置くことで、視点や思考を変えられるということですよね。藤沢さんと謝さんはどんなタイプですか?上野:里菜先生は直感型ではないと思う。計算して、こういう理屈だからこの形は悪くない、だから打つ、みたいな理論型なのでは。藤沢:普段は違うけどね(笑)。謝:真逆だよね(笑)。里菜ちゃんは、判断力がすごいんだよ。藤沢:謝先生は、直感と理論のハーフ&ハーフかな。謝:そうかも。第一感でここを打ちたいと思うけど、もっといい手があるのではと考えてしまうから。結局は第一感でよかったと思うこともけっこうあるしね。直感と理論の違いって、短時間に判断できるかどうかなのかもしれない。――囲碁でいう直感とは実力のうちであり、理論同様に知識や経験がないと働かないものなんですね。藤沢:だから勉強は、当たり前ですけど絶対に必要なんですよね。上野:いつもどのくらいしてる?藤沢:日によるし質が大事だと思うけど毎日7~8時間とか?数年前から練習にAIを使うようになり、判断力が身について棋士全体がレベルアップしたと思います。上野:具体的な練習方法は、対局を2時間して検討を30分、AIにその対局を覚えさせて再検討するのに10分。そこから、また対局して…を繰り返すことが多いです。謝:囲碁を考えない日はないです。旅先でも思い出すし、昨日はサウナに入りながら愛咲美ちゃんの対局を頭の中で考えていました。藤沢:無意識に囲碁のことを考えてしまうんですが、全然嫌ではないですね。ディズニーランドで並んでるときもつい中継を見ちゃう。上野:街で縦と横の線が目に入ると碁盤に見えるしね(笑)。私は暇ができると囲碁のことを考えるようにしていて、昨日は眠れなかったので次の布石を考えていました。謝:お昼に何食べよう?と考えるのと同じテンションだよね。――それほどまでにハマる囲碁の魅力、みなさんを突き動かす原動力とは何なのでしょう。藤沢:幼いころに囲碁を始めたきっかけを思い返すと、石を取ったり取られたりすることが、シンプルに面白いと思ったからですね。上野:私は勝つことが楽しいから。謝:私は負けず嫌いの性格もあって、先に始めた兄に勝ちたい一心でどんどんのめり込みました。何事も興味を持っているかどうかがまず大事だと思いますね。そこから自然と深掘りしたくなって、やっていくうちに力がつき、精神もタフになるのだと思います。――好きや楽しい気持ちが起点となり、探究心が湧いて研究するほどに必要な力が養われる。上達するのに適したステップともいえますが、さらに自分の可能性を広げるにはそれだけではないような…。謝:相性もあると思います。ちなみに私は将棋ができません。これまで何回か教わっているけど、難しくてわからないのです(笑)。上野:囲碁でいうと、勉強の仕方とメンタルの強さで差がつくと思います。特に負けた後が肝心。逃げたくなるけど改善点をしっかり見つめて修復するべきなんですよ。そして負けた相手と再戦したときに、成長した囲碁を見せて勝てる人が抜きんでるのだと思います。謝:メンタルの強さといえば愛咲美ちゃんだよ。彼女は対局前に縄跳びを777回跳ぶルーティンがあるんです。一つのことを続けられるというのは、強靭な精神の証だと思うんですよ。そう考えると、継続力も才能を伸ばすために必要なもの、といえるよね。上野:すごく納得できる。縄跳びは頭の回転にも効果的で、集中することが得意になりましたね。記憶もトランプの神経衰弱とか短期系ならけっこういけるんですよ。藤沢:確かに強かった!上野:え、一緒にやったっけ?藤沢:そこは覚えてないんだ(笑)写真右からふじさわ・りな1998年、埼玉県生まれ。6歳から囲碁を始め、11歳でプロ入り。15歳で初タイトルを獲得するなど数々の最年少記録を樹立する。’20年の若鯉戦では男女混合棋戦で女流棋士史上初となる優勝。現在女流タイトル2つを保持。五段。シェイ・イミン1989年、台湾生まれ。6歳のころ囲碁を始める。12歳で来日し14歳でプロ入り。’19年、女流棋士史上最年少、最速となる公式戦通算400勝を達成する。名誉女流本因坊、名誉女流名人、名誉女流棋聖の称号を保持する。七段。うえの・あさみ2001年、東京都生まれ。4歳から囲碁に触れ14歳でプロ入り。攻撃的な碁風から「ハンマー」の異名を持ち、’22年「SENKOCUPワールド碁女流最強戦」では日本人初優勝に輝く。現在4つのタイトルを保持。四段。※『anan』2022年9月28日号より。写真・小笠原真紀取材、文・伊藤順子(by anan編集部)
2022年09月25日碁盤に白と黒の碁石を置き、囲った陣地の広さを争う競技、「囲碁」。「囲碁は思考力や集中力、判断力を養うのにいい…」なんて耳にすることはあっても、「ルールが複雑で難しそう…」というイメージから、気軽に始めるには敷居の高さを感じる方も多いかもしれませんね。しかし、そんな囲碁の難解なイメージを一新し、その魅力と面白さを子どもたちにわかりやすく伝えてくれるのが、現役の囲碁棋士によって手がけられた絵本 『いごってなあに?』 (ぶんしん社)。本書は、女流棋士、 小林泉美六段 が内容を、そしてウーマンエキサイトでもおなじみのコミックライター 荻並トシコさん が作画を担当し、さらに小林六段の夫であり現「名人」の 張栩(ちょう う)九段 の全面協力のもと制作された1冊です!ママ友同士である小林六段と荻並トシコさんの何気ない会話から生まれたという本書の内容ともに、母親の立場から語られる、親子で楽しむ囲碁の魅力についてを紹介します。■ママ友同士のつながりが生んだ! 「いごってなあに?」誕生秘話コミックライターである荻並さんが、そもそもなぜ囲碁棋士である小林六段と本書を手がけるに至ったのか?その答えの根本には、荻並さんより先に囲碁にハマっていた息子さんの存在があったといいます。息子さんと一緒に、囲碁を覚えようとしていた荻並さんですが、初歩のルールを覚えるのに、やはりそれなりに苦戦をしたそう。しかし、一度ルールを理解してしまえば「なーんだ、そんなことか」「あ、なるほど、面白いかも!!」と最終的には、囲碁の持つ奥深さに魅力を感じたと言います。そんなエピソードをご近所のママ友である小林六段に話してみたところ、「絵本とか、わらべ歌とか…自然に囲碁が分かるツールが何かあったらいいね」という話になり、このやりとりが本書誕生のきっかけに!お互いに育児と仕事の隙間時間を見つけて3年近くやりとりをしていくうちに、ちょっとずつ絵本として形になり、ようやく完成したのが本書「いごってなあに?」なのです。■3歳から楽しめる! 囲碁の面白さに触れられる絵本の世界イラストや漫画を用いて囲碁の魅力やルールをわかりやすく伝えてくれる本書の魅力のひとつといえば、荻並さんが描くゆるくてかわいい猫のイラスト。囲碁のルールがまだ理解できない小さなお子さんであっても、猫たちの愛らしい姿に心奪われ、ページを開くのがワクワクするような1冊に仕上がっています。さらに猫をモチーフに碁石を描くという表現方法は、囲碁が持つ堅いイメージを一新し、囲碁の世界をより親しみやすいものに感じさせてくれます!この碁石を猫で表現するというアイデアは、そもそも小林六段から生まれたもので、絵本の主人公であるシマシマの猫ちゃんも、実際に小林六段が飼っていた猫をモデルに描かれたものなのだそう。温もりを感じるイラストに添えられた文章も軽快でリズムよく、まるで歌うように楽しく読み聞かせができるのもポイントです!■ルールをわかりやすく解説! 子どもの“面白そう”を引き出す本書には、囲碁の基本を子どもたちによりわかりやすく伝えられるよう、囲碁の道具のイラストやルールを解説した4コマ漫画が収録されています。さまざまな碁盤の種類や黒白それぞれの碁石の数、碁盤のつくりなど、道具の基礎知識を身につけることができたり…囲碁の基本ルールを解説する四コマ漫画では、囲碁の基本的な考え方から碁石の置き方などのルールを猫ならではの目線を織り交ぜながら、楽しくわかりやすく解説してくれます。子どもの時から本書で囲碁に触れることで、「難しそう」という囲碁のイメージにとらわれず、「これなら僕も私もやってみたい!」と囲碁に対するポジティブな気持ちを引き出せるのも魅力の一つと言えるでしょう。■親として完璧でなくていい! 囲碁を通して学んだ親子関係先に囲碁にハマっていた息子さんの影響で、自身も囲碁に興味を持った荻並さん。今回、親子で楽しむ囲碁の魅力を聞いてみたところ、そこには親子関係を見直す考え方のヒントがあったと言います。そのきっかけとなったのが、囲碁をともに楽しむことで「親と子という縦のつながりだけではなく、同じ競技を楽しむ横のつながりができたこと」でした。子育て中、つい子どもに対して上から目線の接し方になってしまいがちななかで、囲碁を通して「これはどうすればいいのだろう?」と子どもと同じ目線、同じ立場に立って一緒に考える機会が持てるようになったことが大きかったと言います。そして囲碁という新しい体験を通して、萩並さんも「自分もまだまだ伸びしろがあるなぁ」と感じられ、「これから学んでいけばいいんだ、親として完成品の完璧な人間ではなくてもいい」と、子育てに対しても気持ちの余裕が持てるようになったのだそう。親子で囲碁を学ぶことは、ある意味子ども自身の成長だけでなく、親自身も不完全な自分を認めながらも、人としての成長を楽しめる貴重な機会になるのかもしれませんね!■作画担当 荻並トシコさんのスペシャルメッセージ!最後に「いごってなあに?」の作画を担当された荻並トシコさんから本書に込めた想いをお伺いしました!最初はよくわからないけど、1度覚えれば面白くて、一生使える囲碁!私がふだん連載している育児漫画とは少し違うジャンルですが、囲碁を知らない子どもたちにも興味を持ってもらい、囲碁のルールを知ってもらえるよう、育児の経験を生かしながらエネルギーを注ぎました!囲碁は、考える力を養う教材とも言われていますので、大人から子どもまで幅広い世代に親しんでもらいたいと考えています。ぜひご一読いただき、囲碁の世界の入り口に立つきっかけにしていただけたらうれしいです!<絵本『いごってなあに?』出版記念イベント>本書の出版を記念し、作者の小林泉美六段を講師に迎え、囲碁未経験の小学生と保護者の方向けの体験イベント「夏休み!プロに学ぶ楽しい囲碁 〜考える力を身につけよう!〜」が開催がされます! 詳細は コチラ 日時:8月4日(日)10:00〜12:00会場: 三鷹ネットワーク大学 対象及び定員:囲碁未経験の小学生とその保護者30組(先着制)受講料:2,500円(絵本『いごってなあに?』1冊付き)※お申込み1 組「お子さま1 名+保護者1 名」での価格です 『いごってなあに?』 作:小林泉美 画:荻並トシコ 協力:張 栩(ぶんしん出版)1,400円(税抜) 思考力、集中力、記憶力、忍耐力、大局観などを養うのに最適な囲碁の魅力を子どもたちに伝える一冊! ネコをモチーフにした碁石が、つながったり、かこんだり、とられたり…囲碁のルールをかわいらしいイラストでわかりやすく解説。親子で楽しめる囲碁入門者にぴったりの絵本です。
2019年07月30日夫の趣味で、わが家には以前から囲碁セットがあります。幼稚園のころ、少しだけ碁石で遊んでいた時期がある息子。ただ、私がルールを教えられるほど詳しくないので、しばらくしまい込んでいました。でも、日曜の囲碁番組を見ているうちに最近、また囲碁に興味を持ち始めたんです。せっかくなので、ときどき囲碁クラブに行っています(習いごとのように定期的に通っているのではなく、行きたいときにたまに行く程度です)。■子どもは、勝負ごとに本気でしかけてくる遊んでいるのは通常より目の数が少ない13路盤です。ルールがあやふやなので手探りで打つ私に対し、「打たなきゃ強くならないよ!」とガンガン攻めてくる息子…。最近めっきり勝てません。息子の上達が頼もしくもあり相手にならない自分が情けなくもあるのですが、楽しいです。
2019年06月25日最年少棋士の藤井プロや、小学生の天才囲碁少女により将棋・囲碁ブームとなっています。大人だけではなく子どもが通える教室も人気が高まっていたり授業に取り入れられたりと、将棋や囲碁の学ぶ力が注目されていることが伺えます。将棋も囲碁も両方とも長い歴史のあるものですが、簡単なルールは知っていてもどんな点でメリットがあるかということまでは意外と知らないかもしれません。今まで興味のなかった方もどんな面でプラス効果があるのかを知ることで興味がわくかもしれません。大人も子ども楽しめる将棋・囲碁について調べました。将棋も囲碁も長い歴史のある伝統文化将棋の起源は古代インドと考えられており、日本に伝わったのは中国を経由して6世紀頃と言われています。が、諸説ありはっきりとしたことは分かっていません。しかし最古の駒として平安時代のものが発掘されており、日本でも長い歴史があることは確かなようです。盤上は9×9マスで8種類の駒を操り、王将を取られたら負けとなります。日本の将棋人口は1,200万人以上と言われています。一方囲碁は、約4千年前に中国が発祥と言われています。日本には奈良時代に伝わったと言われていますが、平安時代になると貴族の遊びとして親しまれました。一般的な基盤は、縦横に19本ずつ線が引かれた「19路盤」と呼ばれるものです。黒と白の二色の石を、盤上の縦線と横線が交差した場所に交互に置いていきます。場所を取ったり相手の石を取ったりして、最終的に相手より多くの陣地を作った方が勝ちとなります。将棋・囲碁に共通するメリットとは将棋や囲碁を学ぶことで得られる力・メリットとはどんなものでしょうか。(1) 先読み力例えば将棋において「何手先を読めるか?」ということが言われます。プロ棋士などは、文字通り数百・千も先の手を読みながら対局しています。しかしそれだけではなく、先を読む力の神髄は「有力なアイデアを読む力」「それに対する相手の差し手を推測する力」なのです。先を読むことで、アイデア力・推測力が向上します。(2) 負けて成長できる勝負事なので、負ける対局に当たることも出てきます。その時なぜ負けてしまったのか、次はどうすれば負けないのかを振り返り勉強することで成長できます。負けを知ることは、負けた側の気持ちも理解できるようになるので、相手を思いやる優しい心を育てます。(3) 集中力静かに真剣に対局に取り組むことは集中力を養うのに効果的です。さらに対局中の戦略を練ることや、教室での講義を聞く時間などの繰り返しは集中力を向上させます。(4) コミュニケーション力将棋や囲碁は世界中で競技されていることから、国際的なコミュニケーションの手助けとなります。言葉が通じなくてもコミュニケーションが取れる点は、スポーツとも似ています。年代も幅広い為、普段話す機会のない年配の人などと話すことが人間的成長につながります。また、対局中に相手の意図を読む必要があるため、人の気持ちを考えられるようになることが期待されます。(5) 礼儀将棋や囲碁の教室の多くが、挨拶や敬語を大切にしており礼儀作法を重視しています。礼に始まり礼で終わる習慣により、礼儀が身につくことが期待できます。将棋か囲碁か似ているように感じる将棋と囲碁ですが、伸ばせる力は若干異なります。(1) 将棋は負けず嫌いな子に向いている?まず将棋は王を取り合うゲームです。様々な戦法があるため、どの戦法で戦うかという駆け引きを楽しみながら論理的思考を司る脳の部位や働きを活性化させます。王を取られたら終わりなので、負けず嫌いな子に向いています。駒には種類がありそれぞれが特徴的な動きをするので、動き方で試合を大きく変えることができるのが魅力です。1手が大きく状況を変えることもあるため、いきなり逆転できるという可能性があります。途中であきらめなければ逆転勝利をつかむことが出来る可能性のあるゲームであり、諦めない心を育むことが出来ます。(2) 囲碁は美的感覚が鋭い人に向いている?一方、囲碁は盤面全体を使った陣取りゲームです。広い盤面で自由に打ち合うので新たな発想を見出す創造力が刺激されます。対局中は常に盤面全体を見渡すことで空間認知能力が養われ、最終的な盤面がどうなるかを想像することで判断力が身につきます。何もない盤面に石を置いていく囲碁は、美的感覚が鋭い人に向いておりそういった力を伸ばす面もあります。「将棋にはまったけど囲碁ははまらなかった」またはその逆、という人も多くいます。より子どもの能力を伸ばせる方を選ぶと良いでしょう。しかし前述したように、両方に共通するメリットもたくさんあります。教室などに通う前に、まずは自宅で遊びとして両方覚えることがオススメです。その上で子どもが興味を持ったら、教室に通うなどを検討してもいいでしょう。筆者の小1の息子は、友人が将棋を指すことから少し興味を持ち、将棋が出来るゲームボードを欲しがりました。学童でも定期的に近所の高齢者を迎えた将棋塾が開催され、まだ参加したことはありませんが将棋と触れ合う機会があります。私自身将棋のルールは分かりますが囲碁は関わったことがありません。しかし購入したゲームボードは囲碁など数多くのゲームが遊べるタイプのものなので、これを機会に親子で囲碁にも触れてみたいと感じています。ブームになっているから、ということではありませんが、こういう時期だからこそ触れ合う機会も増えるかもしれません。今までやったことのないという方も、是非親子で楽しんで取り組んでみてはいかがでしょうか?
2019年03月08日将棋界初の永世7冠を達成した羽生善治さんと、囲碁界で全7冠を2度制覇した井山裕太さんが国民栄誉賞を受賞したことは記憶に新しいと思います。そこで、将棋と囲碁について今どきパパママに調査してみました。Q.囲碁・将棋のルール知ってる? 1.将棋は知っている 30.2%2.囲碁は知っている 2.2%3.両方知っている 5.6%4.両方とも知らない 62.0%もっとも多いのは両方とも知らないという人で62.0%。今どきのパパママ世代は、囲碁と将棋のルールは知らない人が過半数以上という結果になりました。両方ともどこかおじいちゃんの趣味というイメージを持っている人もいるかもしれませんね。■興味はあるけどどちらもルールは知らない将棋に関しては中学生棋士・藤井聡太6段などのニュースも多く、これだけ話題になると興味を持つようになった人は多いようです。囲碁も将棋も頭が鍛えられるということから関心を持つ人も。でも、実際はそのルールを知らない人が多いようです。「将棋も囲碁もわかりません! オセロしか分からないです」(宮城県 30代女性)「私はルールは分からず…。息子たちはおじいちゃんに将棋を教わりました。おじいちゃんと将棋で遊ぶ姿は、いつ見てもほっこりします」(滋賀県 30代女性)「両方とも知りません。子どものころに将棋の駒で山崩しをしたくらい。これは将棋じゃないですね。礼を大事にするところ、読みが必要な頭脳ゲーム…なんだか奥深いものを感じます」(神奈川県 50代女性)「恥ずかしながら、将棋も囲碁もわかりません。最近のブームを見ていて、とても知的で素敵なものだと改めて感じているので、まずは進む目の向きが示してある将棋でチャレンジしてみたいと思っています」(神奈川県 40代女性)「私は両方とも知りませんが、子どもたちは学童などで先生に教えてもらって、兄弟で将棋をしていました。頭を使うし、とてもいいことですよね」(北海道 30代女性)■両方できる親は子どもにもできるようになってほしい昔はお父さんや近所のおじさんが当たり前のように教えてくれた囲碁や将棋。今では、接する機会が減ってしまったようです。少数派の、自分がどちらもできるという人は、子どもにもできるようになってほしいと感じていることがわかりました。「将棋は小さいころ近所のおじさんに教えてもらって、よくやっていました。囲碁は父が大好きで、よくテレビを見ているのでなんとなく知りました。子どもにはよく考える力をつけてもらいたいので、両方できるようになってほしい」(神奈川県 40代女性)「両方できます。学校でクラブに入ってやっていましたよ。今、子どもが学校でハマっています。私に勝ちたくて、たくさん覚えようと頑張っている姿は素晴らしいです」(栃木県 40代男性)「将棋も囲碁も幼いころに父から教わりました。そのときは何も感じなかったですが、大人になってから、教えてもらってよかったなと感謝の気持ちを持つようになりました」(千葉県 40代女性)■おじいちゃんと孫のコミュニケーションツールに最近では、囲碁も将棋もアプリやオンラインで対戦ができるのが魅力。スマホやタブレットがあれば、すぐにでも始めることができますし、離れて暮らすおじいちゃんともネットで対戦ができます。今の時代は、親もそうですが、おじいちゃんと孫の良いコミュニケーションツールにもなっているようです。「学校でたまたまあった囲碁教室をきっかけに囲碁に夢中な次男。主人も私も分からないので、私の父とよくやっています。おじいちゃんは大喜びで新しい碁盤と碁石を買ってくれました。先を読む力は養われるようです」(神奈川県 40代女性)「子どもは囲碁と将棋のアプリで、離れて住むおじいちゃんとたまに対戦しています。私は子どもに囲碁では勝てますが、将棋では勝てません。昔は道具をそろえないとできませんでしたが、今は身近になりましたね!」(東京都 40代女性)「中2の息子は、小4のころから祖父と将棋をしていたので、ルールはわかっていました。囲碁は学校のクラブでわかるようになりました」(山口県 40代女性)Q.囲碁・将棋のルール知ってる? アンケート回答数:5425件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2018年03月07日6歳で囲碁を始め、7歳の時に小・中学校囲碁団体戦全国大会で優勝を果たした藤沢里菜さん。史上最年少11歳6か月でプロとなり、現在18歳の革命児にお話を伺いました。碁盤に向かえば自然と落ち着いて冷静になれます。「兄が碁を打つ姿を見て、面白そう、と6歳の時に囲碁を始めました。趣味でなくなったのはプロを目指し始めた9歳の時です」囲碁を少しでも嗜む人なら、おわかりのとおり。祖父は、記録にも記憶にも残る昭和を代表する大棋士・藤沢秀行名誉棋聖で、父は藤澤一就八段。棋士家系に生まれついた藤沢里菜三段である。「7歳で関西棋院の洪清泉(ほんせいせん)三段の道場に入り、小学校の頃から平日は学校帰りに、休みの日は10時から21時まで、食事する以外は、ずっと囲碁の勉強をしていました。長時間でも集中力が切れるようなことはなかったし、元々負けず嫌いというのもあって、勝敗がはっきりつく囲碁に余計にのめり込んだんだと思います。幼い頃から碁会所で60〜70代の方を相手に打っていましたから、11歳でプロになっても年上の方ばかりでしたが、環境の変化に困ることはなかったです」数々の最年少記録を作り続ける藤沢さんに、率直にその強さの理由を尋ねると「幼少期の道場が自分に合っていた」と自己分析する。「韓国出身の洪さんの練習法は、ある局面での最善の手順を熟考する“詰め碁”が主でした。それが、私には楽しくて楽しくて。言われてみれば子供時代から特殊な環境で、大きくなるにつれて少しずつ、おじいちゃんは凄い人だったんだなぁって思い知りましたが、私にとっては、生まれた時から身近に碁盤があり、常に家族が囲碁を打っているのが当たり前だったので、碁盤に向かったら自然と冷静になれるんです。平常心が一番実力を発揮できる。対局の際には変に緊張しないように、プライベートでは大好きなアニメ『名探偵コナン』を見たりしながら、リラックスするよう心がけています。その反動か、普段は忘れ物ばかりで、財布は何個失くしたかわからない(笑)。それでも、これまで大会で韓国や中国に何十回も行きましたが、言葉が通じなくても碁盤を通して会話ができることに毎回感動しています。囲碁の魅力の虜なんです」ふじさわ・りな1998年9月18日生まれ。日本棋院東京本院所属の囲碁棋士三段。小学生時代から全国大会で何度も優勝し、その名を知らしめてきた。11歳6か月の男女合わせた史上最年少でプロ入りすると、2か月後には最年少プロ棋士公式戦勝利を記録。15歳9か月での女流棋戦優勝をはじめ、いくつもの最年少記録を持つ。※『anan』2017年9月6日号より。写真・内山めぐみ取材、文・若山あや(by anan編集部)
2017年09月02日Photo by 伊藤 あきら京都大学卒業後、4大法律事務所でM&Aや巨額な税務訴訟案件を始めとする有名企業や大企業の案件に携わっていた坂尾弁護士。中学時代はプロの囲碁棋士を目指していたということもあり、勝負にはかなりこだわりがあるとのこと。そこで今回は弁護士としての“勝負強さ”についてお話を伺いました。坂尾 陽(さかお あきら) (アイシア法律事務所代表弁護士。京都大学法学部・京都大学法科大学院卒業後、四大法律事務所の1つ「森・濱田松本法律事務所」において、M&A、相続・事業承継、税務訴訟案件を主に担当。東京・銀座において独立してアイシア法律事務所を設立) ■勝ち負けがはっきりする弁護士という仕事__弁護士として仕事をする中で、“勝負強さ”は求められていると感じますか?弁護士の仕事は「勝ち」「負け」がはっきりと決まる世界です。当然、“勝負強さ”は求められていると思いますね。私自身も「勝ち」「負け」にこだわって仕事をしています。弁護士は成果として勝敗は必ず付いてきますから、“勝負強さ”というのは必要ですね。__坂尾弁護士は過去にプロの囲碁棋士を目指されていたということですが、“勝負強さ”ということを考えると、その時の経験は今でも活きていると思いますか。そう思いますね。私は、中学時代は「ヒカルの碁」という漫画を読んでプロ棋士を目指して囲碁をしていました。中学1年生で囲碁を始めて中学3年生の時には五段を取得したものの、プロ棋士になるための壁の高さに挫折して、プロの棋士になる夢は諦めましたが、勝負の世界に身を置いていたことは今の私にとって大きな経験となっていると考えています。中学生ながら「勝ち」と「負け」で天と地の差ほど違うという経験を味わうことができましたからね。もちろん、弁護士の仕事は「勝ち」「負け」だけの世界ではありません。それでも相手が必ず存在している仕事である以上、勝負にはこだわって仕事をしています。__弁護士の仕事と囲碁は通じるところがありますか?やっている内容は全く違いますが、通じるところはあると思います。囲碁も弁護士の仕事も人間同士が戦いますので、駆け引きなど、似ているところはあります。例えば、囲碁では勝ちすぎないことも重要です。最善の一手を常に打ち続けることが囲碁では求められるのですが、勝ちを欲張りすぎるとバランスを崩してしまい、余裕で勝てたはずの勝負であっても、負けてしまうことがあります。これは弁護士の仕事でも同様で、例えば交渉の際、自分が相手よりも圧倒的に有利な立場にいた時に相手を追い詰め過ぎてしまうと、かえって話がまとまらなくなるといったケースなどがあります。囲碁も弁護士の仕事も勝ちを欲張り過ぎることなく、譲れるところはしっかりと見せて、状況を見ながら冷静に最善の一手を常に考えることが重要ですね。 ■自分の土俵で戦うことが“勝負強さ”の秘訣__“勝負強さ”を発揮するうえで、何か重視しているポイントはありますか戦う場所を考える。これはとても大事にしています。例えば裁判。裁判は1つの事案に対して問題や論点があり、それを解決していく場であるというのは皆さんもご存知かと思います。しかし、実は解決すべき問題や論点はどれなのかを、こちらで選ぶことができることが多いのです。しっかりと準備をして、あらかじめ裁判官に今回の事案のどこがポイントとなり、どこが論点になるのかを伝えることで、戦う場を自分で設定し、話を有利に進めることができます。「自分の土俵で戦う」これが勝負強さを発揮する上で、私はとても重要なポイントだと思いますね。__自分の土俵で戦うために工夫していることはありますか。工夫ではありませんが、準備をしっかりとするようにしています。勝ちすぎると良くないということに通じる点でもありますが、単純に自分に有利な場を設定するだけでは、当然相手は警戒するので、そこに相手は乗ってきません。一見すると相手にも有利に見えるような場を設定し、その中に隠し玉や自分が勝てる条件をしっかりと揃え、相手を自分の土俵に上げる必要があるのです。そして、これらは全て準備がなければできないことです。もちろん時間はかかりますし、手間もかかります。しかし、どれだけ準備ができたのかで勝負が決まることも多いので、手を抜くことはありません。綿密に準備をして勝負に臨むこと、これが自分の“勝負強さ”につながっていると私は考えています。 *取材協力弁護士:坂尾 陽(アイシア法律事務所代表弁護士。京都大学法学部・京都大学法科大学院卒業後、四大法律事務所の1つ「森・濱田松本法律事務所」において、M&A、相続・事業承継、税務訴訟案件を主に担当。独立しアイシア法律事務所を設立。現在はテレビ東京WBSワールドビジネスサテライトやFMうらやす「ときめきウィンド」の準レギュラーなど、メディアへの出演も積極的に行っている)*取材・文:伊藤 あきら(AFP、クラシックカメラアンドアンティークカンパニー株式会社代表取締役。同志社大学卒業後、日本生命相互会社、HIPHOPダンサー、税理士法人を経て、現職。会社経営の傍ら、フリーライターとしても活動している。オフィシャルサイト「いとうノート」)【画像】*伊藤 あきら囲碁のプロを目指した弁護士に学ぶ「勝負強さ」の秘訣とははシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。囲碁のプロを目指した弁護士に学ぶ「勝負強さ」の秘訣とははシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2017年01月27日ドワンゴは1日、公益財団法人日本棋院協力のもと、世界トップレベルの囲碁ソフトウェア開発プロジェクト「DeepZenGoプロジェクト」(ディープゼンゴプロジェクト)を発表した。半年から1年後をめどに、新たな囲碁ソフトの完成を目指す。プロジェクトメンバーには、新生囲碁ソフトのベースとなる「Zen」開発者・尾島陽児氏、加藤英樹氏を中心に、将棋ソフトウェア「PONANZA」開発者である山本一成氏、人工知能の研究者で東京大学准教授の松尾豊氏らを迎える。ドワンゴは、ハードウェアや開発スペースなどの開発環境を提供するほか、同社の人工知能研究所も開発を支援。今後、プロジェクトの賛同者・賛同企業は、随時拡充していく。同社は、「DeepZenGoプロジェクト」を通じて、人工知能技術の向上や、囲碁への関心の高まりによる囲碁界の発展を期待する。日本棋院の和田紀夫理事長は、同プロジェクトが、Googleの囲碁AI「AlphaGo」に対抗するだけでなく、囲碁業界の発展にも貢献する点を評価。「この機会に囲碁の存在が高まり、囲碁の継承発展により人工知能と人間の知能の両方が成長し、コラボレーションできることを期待しています」とコメントしている。「AlphaGo」は、Googleが1月27日に成果を発表した囲碁プログラム。従来採用されてきた高速検索手法ではなく、ニューラルネットワークを活用した機械学習の手法を採用することで、プロ棋士に勝利する成果を上げた。
2016年03月01日米Googleは1月27日(米国時間)、同社が開発した「AlphaGo」という囲碁プログラムが、置き石などハンデのないフルサイズの囲碁で初めて人間のプロ棋士に勝利したことを明らかにした。Google DeepMindチームのDemis Hassabisが公式ブログでAlphaGoの概要を説明しているほか、27日発行の科学雑誌NetureにAlphaGoに関する論文が掲載された。AI(人工知能)は三目並べやチェッカーに始まり、近年ではチェスや将棋でプロ棋士を打ち負かしてきたが、広い盤面で指し手の組み合わせが多岐にわたる囲碁ではプロレベルの壁を打ち破れずにいた。DeepMindチームは、可能な指し手にサーチツリーを割り当てる従来のAI方式だけでは通用しないと考え、サーチツリーを押し進めたモンテカルロツリーサーチ(MCTS)とディープニューラルネットワークを組み合わせた。それがAlphaGoである。数百万のニューロンのような接続から成る12の異なるネットワーク層が指し手を分析する。例えば、ニューラルネットワークの1つ「ポリシーネットワーク」が次の手を選択、別のニューラルネットワーク「バリューネットワーク」が、その手を評価してゲームの勝者を予測する。AlphaGoのトレーニングは、囲碁のエキスパートによるおよそ3,000万の指し手の学習から始まった。57%の確率で人の指し手を予測できるようになるまでニューラルネットワークを鍛えると、指し手を再現するだけではなく、AlphaGoが自ら新たな戦略を組み立てられるように、ニューラルネットワーク間の対局、強化学習と呼ばれる試行錯誤を用いた接続の調整を重ねた。トレーニングプログラムを完了したAlphaGoは、既存の囲碁プログラムとトーナメント形式で対戦。500戦中499勝と圧勝し、そして昨年10月にロンドンにおいて非公開でファン・フイ氏と対局した。フイ氏は過去3回ヨーロッパチャンピオンになった実力者だが、AlphaGoは5戦して5勝と完勝した。初めてプロ棋士に勝利したAlphaGoは、次に囲碁界の最高峰に挑む。3月にソウルでイ・セドル九段と対局する予定だ。
2016年01月28日人間とコンピュータが囲碁で対局する「第1回囲碁電王戦」が16日、東京・日本棋院で開催された。「第1回囲碁電王戦」は2月11日、16日の2日間にわたって開催されており、11日にはプロ棋士の張豊猷八段(32)と平田智也三段(19)が9路盤で「Zen」と対局。プロ棋士側の4戦全勝という結果に終わっている。2日目となる16日は、アマチュア日本代表の江村棋弘氏が13路盤、政治家の小沢一郎氏が19路盤で、「第5回UEC杯コンピュータ囲碁大会」優勝などの実績を持つ世界有数の囲碁ソフト「Zen」と対局。碁盤の大きさが違うのは、Zenに「碁盤が小さいほど実力を発揮しやすい」という特性があるため。小さい碁盤を使うことで、Zenと人間側がほぼ互角になるよう調整されている。対局はすべて互先(コミ6目半)で、持ち時間は13路盤が30分、19路盤が60分。使い切ると一手30秒の秒読みとなる。江村氏とZenは3番勝負となり、先に2勝した場合はその時点で終了となり三局目は行われない。小沢氏とZenは19路盤による一本勝負となる。なお、イベントの模様はニコニコ生放送で中継された。対局の結果、江村氏は13路盤でZenを相手に2戦全勝。危なげのない展開で、アマチュア日本代表の貫禄を見せつけた。一方の小沢一郎氏は19路盤でZenと対局。白番を持ち、Zenのお株を奪う豪快な打ち回しを見せるも、序盤でのミスが響いて投了。「第1回囲碁電王戦」での人間側唯一の黒星をつける結果となった。Zenに敗れた小沢氏は対局後、中央に大きな模様を作りに行った今回の戦略について「今日のような碁は以前は打っていたんだけど、上手の人には(石を攻めても)生きられちゃう。だからそういう碁は打たないようにしていたんだけど、今日は面白くやろうと思って」と振り返った。小沢氏としては、大きく広げた模様にZenが打ち込んでくると予想していたようだが、Zenが誘いに乗らなかったことで思惑が外れてしまった。「コンピュータがどう打つかと思ったら、入ってこないんだもんね。良いと思って打っていたら、(地を)勘定してみたら足りない(笑)」結果としては対局はZenの中押し勝ちとなったが、終盤まで小沢氏が粘りを見せた名勝負となった。一方、Zenに2戦2勝と快勝したアマチュア日本代表の江村氏は、Zenの棋風について「人間でいうと力碁的な棋風。私としても力では負けたくなかったのでがんばって打ちました」と語り、「まだプロに勝つのは大変かもしれませんが、ある程度近いところまでいく可能性は十分に秘めていると思います」とZenの健闘を讃えていた。
2014年02月16日