『マンガでわかる! 読解力を10日で上げる方法~中学受験国語カリスマ講師直伝~』3万部突破!株式会社あさ出版(代表取締役:田賀井弘毅、所在地:東京都豊島区)は善方威 著/春原弥生 マンガ『マンガでわかる! 読解力を10日で上げる方法~中学受験国語カリスマ講師直伝~』 が4月24日の重版をもちまして、累計3万部を突破したことをお知らせいたします。国語に限らず、他の教科でも読解力を必要とする出題が年々増えている毎年有名私立中学をはじめとする中学受験で驚異的な合格率を誇る中学受験国語塾、β(ベータ)国語教室。その主宰でありカリスマ講師の著者が、二十数年にもおよぶ講師生活の中で築き上げた 独自メソッドを用いて、10日間で読解力を飛躍的に上げる方法をマンガで解説した1冊です。近年、中学受験では、国語に限らず、算数や理科など他の教科でも読解力を必要とする出題が増えています。本書は受験を直前に控えた小学生や親御さんはもちろん、これから中学受験を始めようと考える層からも好評をいただき、この度3万部を突破いたしました。※以下、本書より一部抜粋国語を読み解く武器って何!?近年、入学試験等における出題文の「超長文化」が問題となっています。初めて見た長文を7~8ページ以上も読んで理解するのは大人でも苦労するのではないでしょうか。そんな長文問題を解くために必要なチカラが“読解力”です。“読解力”を上げることで“論理的な思考力”も身についていき、難しい論説文でもすぐに理解できるようになります。▼「マンガ」→「図解で解説」→「過去問」の3段構成で読解力がしっかり身につきます。10日間で読解力を飛躍的に上げる方法を紹介1日目国語のキホンのキホンをマスターしよう (主語・述語・修飾語)2日目指示語が指す内容を正確に読みとろう(指示語)3日目 読解力を倍増させる接続語の用法を知ろう(接続語)4日目 因果関係で未来が見える(因果関係概論)5日目 因果関係の読み取り方(発見方法と判断方法)6日目 文章を正しく読み解くための○×△読解法(○×△読解法)7日目 物語がスラスラわかる背景知識5選(物語文)8日目 論理的な文章を読み解くための武器「二元論」 (論説文1)9日目 世の中がわかる!頻出「二元論スペシャル」(論説文2)10日目 アウトプットは「決め言葉」を 使えば超カンタン(文章を書く)書籍情報表紙タイトル:マンガでわかる! 読解力を10日で上げる方法~中学受験国語カリスマ講師直伝~著者:善方威マンガ:春原弥生ページ数:192ページ価格:1,540円(10%税込)発行日:2023年10月24日ISBN:978-4-86667-639-5書籍紹介ページ: amazon: 楽天: 目次1日目 国語のキホンのキホンをマスターしよう(主語・述語・修飾語)2日目 指示語が指す内容を正確に読みとろう(指示語)3日目 読解力を倍増させる接続語の用法を知ろう(接続語)4日目 因果関係で未来が見える(因果関係概論)5日目 因果関係の読み取り方(発見方法と判断方法)6日目 文章を正しく読み解くための○×△読解法(○×△読解法)7日目 物語がスラスラわかる背景知識5選(物語文)8日目 論理的な文章を読み解くための武器「二元論」(論説文1)9日目 世の中がわかる! 頻出「二元論スペシャル」(論説文2)10日目 アウトプットは「決め言葉」を使えば超カンタン(文章を書く)プロフィール著者:善方威(ぜんぽう・たけし)著者:善方威早稲田大学法学部卒。中学受験国語塾 β(ベータ)国語教室代表(経営者、指導責任者)。 東京都内に5教室を展開(千駄木、本駒込、南青山、白金高輪、お茶の水)。早稲田大学在学中は、司法試験受験サークル緑法会で幹事長を務める。また、司法試験受験中は、辰巳法律研究所で司法試験の模擬試験問題の作成、解説の執筆も行う。司法試験受験生時の 塾講師のアルバイトにて「法律の問題の解き方を国語の問題の解き方に応用できる」ことを発見。以後、「法律のこの問題と 国語のこの問題は似ている」というユニークかつ確実な裏づけある視点を利用し、読解力、思考力を高める方法、および、国語の問題の解き方を追究。四谷大塚講師を経て、1994年文京区千駄木に日本初の中学受験国語塾 β(ベータ)国語教室を開設。以来、約750人の受験生を、独自のノウハウに基づく 完全一対一の熱血指導で合格に導いている。著書多数。【報道関係各位】『マンガでわかる! 読解力を10日で上げる方法 』3万部リリース.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年04月24日文章を読んで問題に答える、国語の文章問題。読解力を身に付ける練習として、学校の宿題にもよく出てきます。なみそ(@omochi_nam01)さんがX(Twitter)に投稿したのは、小学1年生になる息子さんの国語の宿題。文章問題の解答を見て、なみそさんは「お母さんは100億点あげるよ!」と感激の声を上げたとか。なぜなら…こちらの写真をご覧ください。「かわいいのはだれですか」という質問に対して、『お母さん』と書いていた、息子さん。問題の正解ではありませんが、素直な愛情がつづられた解答に、心が和みますね!投稿には15万件もの『いいね』が付き、「かわいい!お年玉を追加だ」「これは嬉しくて泣いちゃう」「先生がなんといおうと、100億点です」などの声が寄せられていました。息子さんの解答に、全母親のハートが打ち抜かれたことでしょう…![文・構成/grape編集部]
2024年01月05日森美術館開館20周年記念展「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」が、東京・六本木の森美術館にて、2023年4月19日(水)から9月24日(日)まで開催される。あらゆる科目に通底する現代アート1990年代以降、欧米だけでなく世界の多様な歴史や文化的観点から考えられるようになった現代アート。現代の美術とはいわば、学校の図画工作や美術といった授業の枠組みには収まりきらず、国語・算数・理科・社会など、あらゆる科目に通底する総合的な領域と言えるようになった。各学問領域の最先端では、研究者が世界の「わからない」を探求し、歴史を掘り起こし、過去から未来に向けて新たな発見や発明を積み重ね、私たちの世界を見る目をより豊かにしてくれている。こうした未知に対する「わからない」の探求は、現代アーティストが固定観念をクリエイティブに超えていこうとすることに通ずるものがある。この意味で、「わからない」世界に出会い、学ぶことのできる現代美術館は、「世界の教室」とも言えるのだ。展覧会「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」では、国語・算数・理科・社会と、哲学・音楽・体育・総合を加えた全8教科のセクションに分けて現代アートを紹介。未知の世界に対して、多様な“教科”という観点から出会うことを試みる。セクションごとの展示でありながら、それぞれの作品は複数の科目や領域に通じている。たとえば、国語セクションの作品の中にも数学的なテーマがあり、理科の中にも社会的な課題が含まれるように、どのような繋がりがあるのか考えながら鑑賞を楽しむことができる。出展アーティストは、1960年代のコンセプチュアル・アートの主要作家ジョセフ・コスースや、20世紀の美術史の中で最も影響力のあるアーティストのひとりヨーゼフ・ボイス、日本の画家であり彫刻家の奈良美智など。なお、出展作品のうち半数以上は森美術館のコレクションで構成するため、同館がこれまでに収蔵してきた作品を目の当たりにすることができる。展覧会概要「森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」会期:2023年4月19日(水)~9月24日(日)会期中無休会場:森美術館住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階開館時間:10:00~22:00※火曜日のみ17:00まで。ただし5月2日(火)、8月15日(火)は22:00まで。※入館は開館の30分前まで。入館料:平日=一般 2,000円(1,800円)、高校・大学生 1,400円(1,300円)、4歳~中学生 800円(700円)、シニア 1,700円(1,500円)・土日休日=一般 2,200円(2,000円)、高校・大学生 1,500円(1,400円)、4歳~中学生 900円(800円)、シニア 1,900円(1,700円)※シニアは65歳以上。※事前予約制(日時指定券)を導入(専用オンラインサイトより日時指定券を購入)※当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしで入館可■出品アーティストアイ・ウェイウェイ(艾未未)、青山悟、エリカ・ベックマン、ヨーゼフ・ボイス、ヨハンナ・ビリング、ルーク・チン(程展緯)、マノン・デ・ブール、サム・フォールズ、ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイス、藤井光、ク・ミンジャ、シルパ・グプタ、畠山直哉、アジズ・ハザラ、スーザン・ヒラー、ジャカルタ・ウェイステッド・アーティスト、クリスチャン・ヤンコフスキー、片山真妃、風間サチコ、菊地智子、ヤコブ・キルケゴール、ジョセフ・コスース、ディン・Q・レ、李禹煥(リ・ウファン)、クララ・リデン、パーク・マッカーサー、マリオ・メルツ、ミヤギフトシ、宮島達男、宮永愛子、森村泰昌、奈良美智、パンクロック・スゥラップ、ソピアップ・ピッチ、アラヤー・ラートチャムルンスック、ヴァンディー・ラッタナ、ジェームス・リチャーズ、ハラーイル・サルキシアン、笹本 晃、瀬戸桃子、杉本博司、マルティーヌ・シムズ、田島美加、高山明、田村友一郎、ロデル・タパヤ、ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)、ツェ・スーメイ、梅津庸一、ワン・チンソン(王慶松)、ヤン・ヘギュ、イー・イラン、米田知子、ユ・チェンタ(余政達)【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
2023年04月10日「学校のテストで、採点に納得できなかった」ネット上では、そんな声が散見されます。いろいろな解答ができる問題で、模範解答以外を書いたところ、バツをつけられ疑問に思った人が多いのでしょう。漫画家の、ぬこー様ちゃん(@nukosama)さんも、子供の頃は模範解答以外を書いてしまうタイプでした。自分の経験談を漫画に描き、Twitterに投稿したところ、人々の共感を呼んでいます。そしてこの漫画の作者の気持ちをこたえよ pic.twitter.com/O5OMzRR3EZ — ぬこー様ちゃん@絵日記毎日18時更新 (@nukosama) August 22, 2022 問題を深読みし、ライオンとウサギの生態まで考えた解答にたどり着いた、投稿者さん。納得のいく解答が書けた本人はスッキリしたのですが、模範解答に照らし合わせて採点された結果、バツになったようです…。漫画にはツッコミのほか、「自分の話かと思った」というコメントも寄せられました。・ナイスなセンス。深読みの天才か。・これ以上の解答は思いつかないよ!・似たような思考回路でした。ただ、私の学校の先生は丸をくれたからよかった!・賢すぎたんだ…それは殺人事件の動機を推理する刑事の思考なんだよ。・学校のテストでは、『模範的な解答を想像できるか』まで求められているから…。教師によっては、模範解答以外であっても、さまざまな視点から採点してくれることがあります。きっと教師側も、子供の柔軟な発想力を育てるか、問題の意図まで考えることを教えるかで、悩むことがあるのでしょう。例え成績が悪い教科があっても、大人になって振り返ると、「落ち込むことはなかったな」と思えることがあるかもしれません![文・構成/grape編集部]
2022年08月27日個別指導塾ココロミルの塾長が8年ぶりに出版した書籍「国語の心得」がAmazon2位を獲得。集英社オンラインにて月間の話題6位と今世間を賑わせています。渋谷・新宿・麻布にある超人気塾の指導法を公開!大手塾に入れない、偏差値40以下の子などが早慶、広尾学園、MARCH付属に続々と合格させる「大手塾とは真逆」の指導とは?これが話題の書「国語の心得」〈国語は読解力ではなく「戦略と思考」で決まる!〉大手塾・集団塾で伸びない子の教科書!ビジネスマンが納得!コンサルタント、経営者、ビジネスマンからも絶賛の声!「これは子供だけでなく、ビジネスマンも読むべき!新入社員教育にも使える!」「もっとはやく出してほしかった。。。本当に無駄な投資をしていた。」「自分の子供が5年間塾で偏差値30の理由もよくわかった」「父親も子供との会話でトレーニングできそう!」など今まで常識とされていて、国語の塾講師や学校の教師が使いがちである「読解力」「思考力」「客観性」というキーワード。それらをすべて排除した授業を展開することで、子供に具体的かつ的確に何が足りないのか?を丁寧に教えていきます。集団授業で国語が伸びない子供たちを伸ばしてきた個別指導講師による至極の1冊!【集英社オンライン】で取り上げられた『話題の本』です!「大手塾が教えない国語ができる子が勉強しなくてもできる理由」 首都圏で大手塾で伸びない子供達を再生させる話題のプロ個別指導塾講師が国語ができない子たちの思考を言語化!なぜ自分の子はいつまでたっても、何をやっても国語が伸びないのか?子供の思考プロセスが理解できます!著者は早稲田大学政治経済学部卒。日本たばこ産業(JT)株式会社を経て、ココロミルを創業。指導実績20年という異色のキャリアを持つ塾講師。本書は「大手塾が合わない子・国語ができない子が逆転するための国語の教科書」です。(できる子の本ではない)中学受験(小学生)をメインとしていますが、国語が苦手な中高生にもおすすめです。みなさんは「国語ができる子の二つの事実」を知っていますか?一つ目は、国語ができる子は「大手塾に入る前からすでにできている」という事実。つまり国語ができる子は、そもそも国語を勉強していません。著者も国語が苦手で、10以上の大小の塾や通信教育、個人指導も受けたが一向に伸びず、国語が足を引っ張ぱり浪人も経験しました。本書では、経験も活かし国語ができる子とできない子の比較をしながら課題を詳しく解説します。本書の目的は、国語ができる子が入塾前に身につけている基礎・土台にあたる部分『3つの戦略と4つの思考』を、できない子に身につけてもらうことです。それを「国語の心得」と名づけました。具体的には三つの取り組み方と四つの考え方に分けられます。これらが身につけば、大手塾の集団授業での理解も進み、演習でも伸びます。身についていない子は、複数年集団授業を受けても伸びません。ここには大きな原因があります。二つ目は、「集団授業を受信できる子」という事実。集団授業では難関校合格に向けたカリキュラムと、子供の課題を解決するための策を提示していきます。これを受信できる子は、塾が設定したカリキュラムについていける子であり、塾が想定した課題とのギャップは少ないです。発信される情報を集中して聞き、理解することができる子は、つまり受信できる子です。一方で大手塾に合わない子は「受信できない子」です。原因としては、子供が抱える課題と塾の想定している課題がズレているか、子供が想定外の課題を持っているかです。ここで重要なのは、子供一人一人の課題をきちんと理解することです。授業や解決策を提示する前段階の話ですが、本書ではそれを「聞く授業」と呼んでいます。子供の課題から授業する著者の聞く授業と、志望校合格へ向けた発信する大手塾の集団授業や、有名ユーチューバーの講義とは出発点がそもそも違うのです。著者は1対1の個別指導塾講師であり、中学受験生である子供の一人一人が抱える特殊な課題の理解に努めてきました。それは個別性が高い(特殊かつ多様)ことが原因となっていると思われます。集団授業や動画配信する授業は汎用性、網羅性がある一方特殊性はなく、多様ではない。国語が苦手な子には理解することが難しい。「できない子の現実」と一人一人と向き合い続けて20年。子供たちの声を「聞く」ことに努める指導を積み上げ、個別性と特殊性を重点においた結晶のような国語の教科書です。わかりやすい表現や言葉を厳選し、保護者はもちろん、読むことに慣れてきたら高学年の小学生も読みとくことが可能です。本書のエッセンスは、「大手塾とは違う!個性と主観重視する」、「アニメ、漫画、ドラマ等も使って学べる」、「簡単!親が読めば子を伸ばせる」などです。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年07月28日娘ももうすぐ2年生。たくさんの学びを経て、入学当初よりもいろいろな事が出来るようになりました。ただひとつ、なかなか身につかないのが読書の習慣…。自分の気持ちや状況の説明を文章化して伝える能力というのは、大人になってからも必要であり続けると思うので、できれば今のうちから少しずつ伸ばしていければと考えています。あとは単純に、今この時期の娘の書く文字や考えを形として保存しておきたかったというのも大きな理由の一つ(笑)将来、娘に反抗期が来たらこの交換日記を読んで気持ちを落ち着ける予定です!
2022年04月06日コミュニケーションで重要な“会話力”。スムーズな会話をする上で求められる“3つの力”とは?うまく話すことよりも相手に好奇心を持つ意識で。日々のコミュニケーションを通じて、自分の会話に苦手意識を持っている人も多いのでは。「最も重要なのは、不得意だと自分にレッテルを貼らないこと」と教えてくれたのは、コラムニストのひきたよしあきさん。「会話のプロであっても、上手に話せたと実感できるのは100回に1回だったりします。うまく話そうとばかり考えずに、話し相手の好きなところやよいと思えるところを、なんでもいいので1つ見つけましょう。相手に好奇心を持つことが、いい会話の第一歩です」そこで、まずはスムーズな会話をする上で求められる“3つの力”をレクチャー。スキル1:聞き上手をめざして!“リアクション力”「あなたの話、聞いてますよ」が伝わるリアクションを。会話をする上で重視すべきは「しゃべり上手よりも、聞き上手であること」と、ひきたさん。「人間は、自分のことをしゃべりたい生き物。“なんか今日は自分のことをうまく話せたなぁ”と思ってもらえたら、その会話はいい会話だったと言えるはず。“あなたの話、ちゃんと聞いてるよ”と伝えるため、リアクションのバリエーションを増やして、安心して話してもらいましょう。大げさなあいづちで声を出すのが恥ずかしい人は、大きく頷くだけでも」会話例・なるほど、確かにねぇ~。・うん、うん、ほお~、そうなんだ!・わぁ、面白いね!それでそれで?スキル2:一歩踏み込んで聞き出す。“インタビュー力”主体はあくまで“あなた”。たくさん話を聞き出そう。とはいえリアクションを返すばかりでは、会話にならない。「会話とは、相手の情報を引き出した上で、私はこう思うんですけど、と深めていくもの。最初から自分の話をしていては空回りするばかりで、聞いてもらえません。“あなた”を主体にすることで、さらに深く聞き出しましょう。会話を始めてしばらくは『あなたはどう思う?』と尋ねる気持ちで、一歩踏み込んだ情報を聞き出していけば、自然と『あなたはどうなの?』と聞いてくれるはず」会話例昨日、明け方まで映画観ちゃってさー。明け方まで!?どんな映画?船が沈没するパニック系(笑)。パニック系!そういう映画よく観るの?うん。好きなんだ。最近なんか面白いの、観た?スキル3:相手と衝突せずに、主導権を握る。“会話のペースを作る力”司会進行になってしまえば、自分の話が聞いてもらいやすく!“それで、あなたはどう思う?”そんなふうに聞かれたら、自分のことや思いを伝える大チャンス。「“賛成”“反対”に分かれやすいのが現代のコミュニケーションの特徴。だからこそ、いざ自分が話す時には、会話のペースを掴んで進行する側に回ってしまえば、話をぐっと聞いてもらいやすい。これまでの会話をまとめたり、考えられる反対意見を挙げた上で、主語を“私は”に切り替えて話すと、印象がやわらいで受け入れてもらいやすくなります」会話例・つまり、今日は疲れてるんだね。じゃあ遠出するのは土曜日にしようか。・ってことは、海に行きたいんだね。それもいいけど、私は山に行きたいなぁ。・わかる!今日寒いしめっちゃラーメン食べたい!でも、実は昼もラーメンだったから別のものがいいなぁ。どう思う?ひきたよしあきさんコラムニスト、コミュニケーションコンサルタント。博報堂勤務時代には数々のCMを手がけ、現在は講師としても活躍中。『「スルーされない人」の言葉力』(大和出版)など、著書多数。※『anan』2021年10月6日号より。イラスト・oyumi(by anan編集部)
2021年10月03日私は子どもの頃、国語が得意でした。理由はおそらく…。絵本も、絵のない文字ばかりの本も、漫画も、子どもの頃から大好き。ひとりでずっと読みまくっていました。そして娘のイチコも幼稚園の頃から本が好き。「読書量=国語の成績とは限らないよな〜」と思うものの、「国語は得意科目になっちゃうかも!」と思っていたのですが…。そう、イチコは読み聞かせしてもらうことが好き! 文字が読めるようになってからも、自分から本を読むことは数えるほどしかありませんでした。そのせいか、本で何度も出てきた漢字も読めず書けず…。ひとりで本を読むよう促しても、読むことはまれといった状況。とほほ…。どうやら本のストーリーを追いかけるのは好きでも、文字には興味が湧かなかったようです。そんなイチコ、2年生になり最近やっと本を自分で読むようになったのです!そのきっかけとなったのが…。漫画を読むようになったことで、自分のペースで本を読むということに慣れたのでしょう…。漫画ではない本も自分で読むようになりました! 素晴らしい! ありがとう漫画!そして先ほど漢字は苦手と書きましたが、読み取りや作文、音読は得意のよう。これこそ読み聞かせの甲斐があった!? いや、お願いだからあったと思わせてー!!漫画効果で、自分でたくさん本を読んで、漢字も得意になっていきますように!ちなみに苦手科目は算数。これは私も子どもの頃から苦手教科なので、何も教えられない…!私にできることは、イチコが何かできた瞬間に「イチコ算数わかってるやん! 得意なんやわ〜!」とひたすら盛り上げるのみ。母は女優…! がんばります!
2021年08月30日安田顕が阿部寛主演の日曜劇場「ドラゴン桜」第6話に、東大専科の“国語の特別講師”として登場することが分かった。第3話から、スマホやSNSを使い、新時代に沿った“桜木メソッド”が本格スタートし、Twitterを中心に話題になっている本作。5月30日放送の第6話では、桜木(阿部寛)が東大専科の生徒のために3日間の合宿を行う。合宿で桜木は国語の特別講師を招集するが、その特別講師・太宰府治(だざいふ・おさむ)を演じるのが安田さん。太宰府は、原作の「ドラゴン桜2」にも登場している国語の特別講師。前作の「ドラゴン桜」では国語の特別講師として“芥山龍三郎”が登場したが、今作では太宰府が生徒たちの“読解力”を強化するために登場する。前作から登場している数学の特別講師・柳鉄之介(品川徹)をはじめ、特別講師は個性的な面々が揃っている。はたして太宰府はどのような人物で、どんな授業を行うのか!?安田さんと阿部さんは「下町ロケット」シリーズで共演しており、先輩・後輩の役柄で息の合った芝居を見せてきた。今作ではどのような芝居を繰り広げるのか期待が高まる。安田さんは「ヒットドラマの続編、お慕いしている阿部寛さんの代表作のひとつでご一緒できることに喜びを感じました」とコメント、「阿部寛さんに定期的にお会いできることが、自分にとってとてもうれしく、役者としてのモチベーションです」とまで語る。太宰府治役については「舞台本番後に参加し、粛々と佇み、ひそやかに終わりました。そんな現場の感じが太宰府治っぽかったのかな」と振り返っている。また、5人が揃った東大専科が行う合宿は、勉強だけでなく、受験に挑むために最適な食事・運動・生活習慣などあらゆるメソッドを駆使し、桜木が生徒たちと向き合う。「東大受験」を目標とした桜木の徹底したメソッドは、受験生だけではなく、色々な面で役に立つことばかり。そして、未だ東大専科に加入していない藤井(鈴鹿央士)と麻里(志田彩良)を合宿に呼んだ桜木の真意にも注目だ。ようやく新時代の「東大専科」が本格始動し、 勉強だけでなく、それぞれの生徒とその家族にも向き合ってきた桜木。第6話では、優秀だが大学進学に興味のない小杉麻里の家族と向き合うことになる…。「ドラゴン桜」は毎週日曜21時~TBS系にて放送中。(text:cinemacafe.net)
2021年05月29日これからの時代に求められる力として、いま最も注目されているのが「思考力」、そして「発想力」です。これらの力を伸ばすために、たくさんの習い事やさまざまな体験をさせたい、と考えている保護者の方も多いのではないでしょうか。もちろん、特別な体験を通じて得られるものはたくさんあるでしょう。しかし、子どもの思考力や発想力を鍛えるヒントは、日常のなかにあふれているのです。今回は、すぐに実践できる「子どもの思考力・発想力を鍛える方法」について解説していきます。将来のためにいま「思考力」「発想力」の土台を築こう子育てをしていると、いまの子どもたちを取り巻く環境は、昔に比べてガラリと変わったと感じさせられます。私たち親世代が子どもであったほんの数十年前には想像もできなかったほど、社会全体がものすごいスピードで変化していることは、誰の目から見ても明らかでしょう。特に幼児期~学童期にかけての教育においては、昔といまでは「常識」とされていることがまったく違っているケースも多く、保護者のなかには戸惑う人もいるはずです。社会の仕組みが大きく変われば、教育のあり方や進むべき方向性も一変します。これまではペーパーテストで高得点をとることを目標にして、よい学校へ進学して安定した職業につくことが、一般的に「理想のコース」とされてきました。しかし、これからの時代に求められる能力やスキルは、テストの点数だけでは判断できないようなものばかり。そのなかでも、子どもたちが将来のために身につけておきたい能力として、重視されているのが「思考力」と「発想力」です。「考える力」と「ひらめき力」が伸びるとき思考力と発想力について、具体的に説明していきます。■思考力とは「思考力」いわゆる「考える力」は、当然誰にでも備わっているものであり、特別な訓練などしなくても “ただ考える” ことはできるでしょう。しかし、幼児期において育むべき「思考力」は、「物事を自分で判断し、自分で学んでいく力」だと東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生は述べています。情報があふれる現代社会では、正しい情報や自分にとって有益な情報を選び抜き、そこからさらに学びを深めていくことが求められます。そのために必要なのが、嘘やうわさに惑わされずに自分で考えて判断する力。そして、正しい判断力のベースとなるのは「考える力」です。子どもの「考える力」を育てるためのカギとなるのは「好奇心」にほかなりません。「知ることが楽しくてしょうがない!」という状態になった子は、親に「勉強しなさい」と言われなくても、勝手に知識をどんどん吸収していきます。まずは、子どもが好きなことに没頭できる環境づくりと、見守ってあげる心の余裕が必要かもしれませんね。■発想力とは「発想力」とはつまり「ひらめき力」。これからの時代は、常識にとらわれない柔軟な考え方ができたり、新しい感性で独創的なものをつくり出したりと、その人なりの個性を発揮することが求められます。子ども教育アドバイザーの岩田かおりさんは、「子どもは、周りの大人やお友だちとの『おもしろいね』『楽しいね』という会話や経験を通じ、自分とは異なる発想があることに気づき、学び、取り込み、新しいイメージをつくり出していきます」と説明しています。幼児期はこのような “楽しい体験” を重ねやすいため、自然と「ひらめき力」が育まれていくそう。子どもの発想力を伸ばそうとして、大人が無理に「考えなさい」と強要してしまうと、子どもは考えること自体が嫌いになってしまいます。大事なのは、自由な環境のなかで、のびのびと「ひらめき力」を伸ばしてあげること。そのためにも、どんどん楽しい体験をさせてあげましょう。思考力・発想力がアップする声かけの工夫続いて、子どもの思考力と発想力をアップさせる声かけ例を紹介します。■思考力アップの声かけー「なぜそう思ったの?」「どうしてこれを選んだの?」教育評論家の石田勝紀さんによると、「人間は『なぜそうなの?』『なぜだと思う?』と問われると考えるようになる」のだそう。子どもが興味をもっているものや好きなものに対して、「なぜ?」と問いかけてあげることで、考えるきっかけが生まれます。ー(子どもが自分で調べたあとに)「どういうことがわかった?」子どもの知的欲求が高まっているときは、質問をされてもすぐに答えを教えてあげるのではなく、調べる方法を伝えましょう。心理カウンセラーの浮世満里子さんによると、「調べたことに対して『どういうことがわかった?』と聞き、子どもに発表してもらうと効果的です」とのこと。それにより、ますます理解力が深まるというわけです。■発想力アップの声かけー「ゆっくりでいいよ」「待ってるから大丈夫」せっかく子どもが考えているのに、「まだ?」「早く早く」と急かしていませんか?親としてはパッとひらめいてほしいと考えてしまいますが、岩田さんいわく「『楽しい経験』や『周りの人の好反応』がなければ、子どもの発想力は育まれません」とのこと。ひらめきが生まれるまでじっくり考えさせてあげましょう。ー「○○ちゃんらしい絵だね」「世界にひとつの絵だね」浮世さんは、「お絵かきや工作などで、お友だちとは違う独創的な表現力を発揮している場合、ほかの子と比べたり評価したりするのではなく、ありのままの表現を認めてあげましょう」とアドバイスしています。それが自信につながり、さらに創意工夫を重ねることにつながるのです。ドリルを活用して、さらに思考力・発想力アップにつなげよう!声かけのほかにも、思考力・発想力を鍛える効果的な方法があります。書店やインターネットですぐに手に入るドリルなどは、まさにうってつけのアイテムだといえるでしょう。■『脳みそぜんりょくドリル』のここがスゴイ!○遊びのジャンルは13種類(おえかき、クイズ、こうさく、かいぶん、いたずら、など)。その日の気分に合わせて選べる!○300以上の遊びを詰め込んだ全600ページという大ボリュームで、飽きずに続けられる!○どこから始めてもOK、どこでやめてもOK!○1ページだけでもOK、10ページ進めてもOK。自由な遊び方で思考力・発想力がぐんぐんアップする!また、ページの途中でも切り離せるようなつくりになっているのも嬉しいポイント。「おえかき」ジャンルから数枚選んで切り離し、色鉛筆と一緒に荷物に入れておけば、車での移動中や食事の待ち時間にも遊ぶことができますね。このように『脳みそぜんりょくドリル』には、子どもたちの脳をフル回転させて、思考力・発想力を伸ばす工夫がたくさんつまっています。集中してよ〜く考えれば小さな子どもにも簡単に解ける問題ばかり。「どっちが早く見つけられるかな?」と親子で競争しても◎めがねやイヤリングを描き込んだり、お化粧をしてあげたりしてもいいですね。楽しみ方は無限大!少し難易度が高い問題もあるので、年齢に応じて長く楽しめます☆こちらもおすすめ!『しりとりあそび』遊びながら言葉を覚えるのに最適な「しりとり」は、小さな子どもが言葉を使いこなせるようになる訓練にも。たったの32ページなので、「最後までやりきった!」という達成感を得やすい構成になっています。『ちえあそび6』折る、切る、貼る、描き足す、といった動作によって手先を器用に使いながら、子どもの自由な発想力を育みます。迷路や仲間さがしなど、子どもが楽しみながら学べるしかけがたくさん!『めいろ1』子どもの能力が飛躍的に伸びる2~3歳は、脳に刺激を与えてあげることで思考力や直感力がぐんぐん発達していきます。カードを切り抜いて迷路をたどったり、ページを折ったりと、手を動かしながら進めていくことでさらに効果アップ!***特別なことをしなくても、日常生活のなかで子どもの思考力や発想力は確実に鍛えられます。声かけを工夫したり、ドリルを活用したりしながら、お子さまの能力を伸ばすサポートをしてあげましょう。(参考)PHPのびのび子育て 2020年12月号 ,PHP研究所.東洋経済オンライン|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ新井洋行(2020),『脳みそぜんりょくドリル』, ポプラ社.宮西達也 著, みやしたはんな 絵(2015),『しりとりあそび』, ポプラ社.宮西達也 著, 下間文恵 絵(2014),『ちえあそび6』, ポプラ社.たかいよしかず 著, 吉田朋子 絵(2014),『めいろ1』, ポプラ社.
2020年12月02日小学生の頃、国語の授業でよくある『音読』。1人ずつ順番にキリのいい文章まで読み上げなければならないため、漢字が読めるか不安になったり、緊張したりした人もいるのではないでしょうか。『音読』で漢字が読めなかった男の子は…?小学生時代の思い出を描く、漫画家の仲曽良ハミ(@nakasorahami)さん。仲曽良さんは幼少期の頃、漢字を読むことが苦手だったそうです。漢字が覚えられませんでした☺️ pic.twitter.com/NwyigdLpLB — 仲曽良ハミ@思い出漫画家 (@nakasorahami) October 13, 2020 音読で自分の順番が回ってくる部分を先読みし、対処しようとした仲曽良さん。しかし、前の人の読む量が少なかったため、先生が追加で読むよううながしたのです!これにより、対策していた文章がずれてしまった仲曽良さんは思考が停止。無言で天井を眺めたのでした…。小学校での『あるある』に、多くの人が共感しています。・せっかく準備をしても、先生にはバレるんですよね。・めっちゃ共感!苗字が『あ』から読み始めるパターンもあった。・同じく!漢字が読めない事態を回避すべく、教科書にふりがなを書き込みまくっていました。先生に見つかってなぜか怒られたなぁ…。コメントの中には、漢字の読み書きが得意で、音読に困ったことがない人もいました。苦手意識は人それぞれのようですね。仲曽良さんの作品に触れた多くの人が、自分の小学生時代を思い出したことでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年10月15日「国語が得意な子」と聞くと、みなさんは「きっと読書が好きなのね」と考えるでしょう。たしかに、読書量と国語力はある程度比例します。しかし、なかには “読書が好きなのに国語が苦手な子” もいるのです。今回は、「読書好き」なのに「国語が苦手」な原因と解決策について解説していきます。意外と多い!? 「読書好きなのに国語が苦手な子」大前提として、たくさんの本を読むことで、語彙が増えたり読解力が鍛えられたり感受性が豊かになったりと、数えきれないほどのメリットがあります。その延長線上で、「国語が得意になる」と考える人がいても不思議ではありません。しかし、ただの趣味や娯楽として読書を楽しんでいるだけでは、国語のテスト問題をスムーズに解くコツはつかめません。小・中学生向けの教材研究や学習指導を行なう平山入試研究所の小泉浩明所長は、「国語のテスト問題はあくまでも論理的に考える必要があるので、読書好きな子どもでもテストの点数が悪いことがある」と指摘します。小泉所長によると、「文章を自由に解釈してよい読書と違って、テスト問題では自分勝手な解釈はできない。登場人物の心情をたずねる問題でも、文脈や心情表現を根拠に考えることを求められる」のだそう。さらには、テストでは文章を読みながら「問われているのはこのことかな?」と内容を推測しながら進めていく必要があります。問いや問題文のなかに根拠を見つけ出し、正解までの道筋をたどることができる能力こそが、国語のテスト問題の理解度につながるのです。「読書が好き」なのに「国語が苦手」な原因は?読書が好きで普段からよく本を読んでいるにもかかわらず、「国語が苦手」なのはなぜでしょう。いくつかの原因が考えられます。■原因1:ナナメ読みする癖がついている「読書が好きな子のなかには、ストーリーを追うことが楽しくて “ナナメ読み” をしている子も多い。そういう読み方では、国語の成績は上がらない」と話すのは、中学受験専門塾「アテナ進学ゼミ」の設立者・宮本毅さん。それには “親のほめ方” も大きく影響しているそう。読書をしている子どもが「もう読み終わったよ!」と報告してきたら、どのような言葉をかけますか?おそらく、ほとんどの親は「もう読んだの?すごいね!」とほめてしまうのではないでしょうか。宮本さんは「このほめ方こそが、子どもの国語力を低下させている」と指摘します。ほめられると子どもは嬉しくなり、「もっと早く読んでお母さんを喜ばせよう!」と早読みするようになります。その結果、文字を一字一句きちんと読み込まずに、どんどんナナメ読みへと走るようになるのです。国語のテストでは精読する力が求められるため、ナナメ読みの癖は弊害にしかなりません。■原因2:読むジャンルが偏っている教育評論家の石田勝紀さんは、「これまで3,500人以上の小中高生を直接指導してきたなかで、『読書好きでも国語ができる子とできない子の違い』について、ある特徴が見られる」と話します。それは、好んで読んでいるジャンルが「小説・物語系」か「説明文・論説系」か、という違いです。石田さんによると、読書好きで国語が苦手という子は、小説や物語ばかりを好んで読む傾向があり、読書好きかつ国語が得意という子は説明文・論説系を読んでいるそう。物語系と論説系では、文章構造が根本的に異なります。つまり、読んでいるときの “思考のプロセス” がまるで違うのです。物語・小説系の基本的な文章構造は、時系列に沿っていることが多く、登場人物たちになんらかの出来事が起こり、心情が変化する様子を描写しています。一方で、説明文・論説系は基本的に「序文・本論・結論」という構造で成り立っており、論理的展開が明確です。論理的思考力が備わっていないと、国語のテスト問題を読み解くのは困難でしょう。■原因3:論理力が身につかない読み方をしている国語のテストでは、論理的思考に基づいた読解力が必要不可欠です。先ほど述べたように、物語の世界に浸って情緒を育んだり、ストーリーを追いながら感情の起伏を楽しんだりする読書と、論理力を駆使しながら読み解く読書は別物であると考えていいでしょう。『論理力は小学6年間の国語で強くなる』(かんき出版)の著者・小川大介さんは、「国語のテスト問題では、素材文(問題を解くために与えられた文章)を読んでいない人でも『ああ、なるほどね』と理解・納得できる答えを求めている」と話します。【問題例】「気がすすまないがしぶしぶ一緒に行った」とありますが、それはどういうことですか? 【考え方】「登場人物に起こった出来事」+「それまでの事情に基づくその人物の受け止め方」+「その結果生まれる感情」をうまく取り入れながら、素材文を読んでいない人にも理解してもらえるような答えを考える。 【解答例】たけしは母親とけんかをしたばかりなので顔も見たくなかったが、祖父のお願いを断ることができずに仕方がなく母親とともに出かけた。 小川さんは、「国語における物語文の読解は、客観的理解を軸に置きながら、答えを見つけていくもの」だと述べています。論理力がある子というのは、文章を読んでいる自分以外に「世の中の一般の人の物事のとらえ方や知識」も意識できるのだそう。一方で、読書が好きで表現力も豊かなのに、テストで高得点がとれない子は、自分だけの世界に陥っている傾向が強いといいます。つまり、設問に答えているつもりでも、実際は自分の感じたことをただ述べているだけに過ぎないのです。親子の会話が国語力アップにつながる最後に、「読書が好きだけど国語が苦手な子」が「読書が好きで国語が得意」になるためにはどうしたらいいか、いくつかご提案します。■早読み禁止!1冊をじっくり読み込む訓練を前出の宮本さんは、ナナメ読みの癖がついてしまったのなら、精読力をつける工夫をすべきだと述べています。先ほど述べたように、「早く読めたこと」ばかりを評価してほめてしまうと、子どもは「お母さんにほめられるために、適当でいいからパパッとやっちゃおう」と勘違いするそう。宮本さんは、「10冊の本をナナメ読みするくらいなら、1冊の本をじっくり何度も読み込んだほうがいい」とアドバイスしています。■読書の前に “親子の会話” で語彙を増やす国語が得意な子の共通点のひとつとして、宮本さんは「親子でよく会話をしている」ことを挙げています。もちろん読書は語彙を増やすには最適な手段ですが、言葉の意味が曖昧なままたくさんの本を読ませても結局理解できないでしょう。親はたくさんの本を与えるよりも、たくさんの言葉を投げかけてあげるべきなのです。その際に気をつけるのは、「子ども扱いせずに、大人と同じように難しい言葉を交えながら会話する」こと。それにより、子どもはたくさんの言葉を吸収することができます。■読後は論理的思考力を鍛えるアウトプットを親子で本の感想を語り合う機会をつくるのもおすすめです。ただ「おもしろかった」だけではなく、どんな場面のどんなところに心が動かされたのか、深い部分まで詳しく語り合いましょう。また、「主人公は○○したけど、僕だったら△△すると思う」など、自分に置き換えてみるのも、物語への深い理解と考察につながります。***「読書が好きなら、当然国語も得意なのでは?」と思われがちですが、実際には「読書好き」イコール「国語が得意」とはならないようです。国語を得意にするためには、家庭でのちょっとした努力と、本への向き合い方を少し見直す必要があるでしょう。(参考)ベネッセ 教育情報サイト|読書好きなのに国語テストが苦手なのはなせ?専門家が解説ベネッセ 教育情報サイト|読書好きなのに問題文だと思考停止の小4男子に、受験の専門家がアドバイス中学受験ナビ|今一度立ち止まって中学受験を考える|読書が好きなのに、国語の成績が伸びないのはなぜ?東洋経済オンライン|読書好きな人がなぜか「国語が苦手」な真の理由日経DUAL|読書好きなのに国語で高得点を取れない子の弱点
2020年09月20日近年、数値で測れる学力などの「認知能力」だけでなく、「非認知能力」の重要性が話題となっていますね。「非認知能力」とは伝達力・想像力・発想力・協調性など生きる力に直結する力のこと。その中でも、想像力や伝達力を鍛えるのにぴったりな遊びが「お話作り」です。わが家の子どもたちの想像力と表現力がグンとアップしたと感じる取り組みを紹介します。お話作りゲーム知ってる?想像力を鍛える脳トレ遊びお話作りゲームというのは、題材を元に自分でお話を作る遊びです。遊び方は、・絵カードを見てお話を想像する・「いつ・どこで・誰が・何をした」の4つの言葉をランダムで並べて文章を作るというもの。準備するものも少なく、家だけでなくお出かけ先でも家族みんなで楽しめます。小学校受験対策にも!絵カードを使ったお話作り小学校受験で出題されることもある「お話作り」。例えば「並んでいる4つの絵を見てお話を考えましょう」という問題が出題されます。試験と考えると堅苦しいですが、実はとっても楽しい遊びなんです。お話作りは、自由な発想の中に生きる子どもたちには得意なことかもしれません。【用意するもの】・写真やイラストなどお話作りの題材となるもの自宅にあるものでもOKですが、お話作り用のカードが市販されています。それを用意すると簡単に始められますよ。【遊び方】まずは1枚の絵から、自由にお話を作ってもらいます。おそらく最初は絵の説明になってしまうでしょう。その時は登場人物の感情や情景について、深掘りする質問を投げかけてみます。例えばこの絵を見て、子どもが「動物たちが集まってパーティーをしている」と言った場合。「なんのパーティーなんだろう?」「誰が主役なのかな?」「飾りつけは誰がしたのかな?」など、カードにある要素について質問します。そうすると単調な説明に肉づけがされ、お話らしくなっていきます。このやりとりを繰り返していくと、だんだんとストーリーを構成できるようになるのです。次は、複数枚のイラストを使ってみましょう。複数の題材があると、起承転結のあるストーリーが作りやすくなります。こちらも最初は状況説明になりがちなので、深掘り質問をしていきましょう。そうすると子どもの頭の中に隠れていた豊かな発想が次々と表れます。カードを時系列順に並べるミッションも加えると、よりレベルアップした遊びになります。おかしな文章で大爆笑!紙とペンだけでできるお話遊び私が小学校時代に担任の先生との遊びでとても思い出に残っているものがあります。まず、「いつ・どこで・誰が・何をした」この4つの言葉を自由に考え、紙に書きます。シャッフルして、ひとつずつ紙を引いていくと…あら不思議。それはそれは面白おかしい文章ができあがるのです。例えば、わが家ではこんな文章ができました。【用意したカード】・いつ:「ママの誕生日に」「クリスマスに」「地球最後の日に」「大晦日に」・どこで:「オーストラリアで」「動物園で」「幼稚園で」「デパートで」・誰が:「僕が」「仮面ライダーが」「じぃじが」「小島よしおが」・何をした:「おならした」「逆立ちした」「爪を切った」「オッパッピーした」【完成した文章】「地球最後の日に幼稚園でじぃじがオッパッピーした」完全にハチャメチャゃな文章になりましたが、息子は大笑い。意味がわかる文章が完成すれば大成功、そうでなくても大爆笑できるので盛り上がります。これは選択肢が多ければ多いほど面白くなるゲームです。たくさん題材を用意するか大人数で遊ぶと盛り上がります。パーティーでの余興遊びとしてもおすすめです。人に伝える文章構成の基本「5W1H」。ベースとなる「When・Where・Who・What」について楽しく学べます!知らない言葉が出てきたら、チャンス到来!お話作りゲームをすると、今子どもがもっている語彙力や文章力がよくわかります。日本語は豊かな言語で、ひとつの意味でも複数の表現法がありますよね。幼いうちは語彙数が少なく単調な表現になりがち。お話作りをすることで、表現力アップにも繋がります。もし題材の中で知らない言葉が出てきたら、チャンス到来!図鑑や辞書を使って一緒に調べてみましょう。「百聞は一見に如かず」の言葉通り、ただ教えるより自分で調べる方が深くインプットされます。わが家では知らないことが出てきたらすぐに調べるようにしています。知りたかった情報以外も得られることがあり、学びが広がりますよ。わが家で愛用中!お話作りにおすすめの知育玩具わが家で実際に使用しているお話作り用の知育玩具を紹介します。【100てんキッズ お話づくり絵カード】写真右幼児教室のこぐま会が監修している絵カードセットです。4枚のカードで構成されるお話が12話分入っています。それぞれのカードの裏面には例文が書かれているので、読みの練習もできます。カード1枚でも、4枚でも遊べます。お話作りのスターターキットとも言えるでしょう。【イーブー (eeBoo) テルミー・ア・ストーリー 森の動物たち】写真左動物たちが主人公でイラストがとてもかわいい絵カードです。様々な場面のカードが36枚入っています。「1枚の絵を見て、お話を考える遊び」「1枚のカードから始め、カードを加えていきお話を発展させる遊び」「1人ずつ順番にカードを引きお話をつなげていく遊び」と、シンプルですが多様な遊びができます。【ローリーズ・ストーリー・キューブス】写真中央さまざまなモチーフが描かれたサイコロが9つ入っています。好きな数のサイコロを振り、出ためのイラストを元にお話を作りあげる遊びです。情景が描かれた絵カードと違い、イラストはたったひとつ。そこからストーリーを考えるので、非常に想像力が鍛えられます。コンパクトサイズなので、おでかけのお供にぴったりです<文・写真:ライター秋音ゆう>
2020年09月15日こんにちは。ライターの和です。何年も前から話題になっている「女子力」というワード。筆者も「女子力」という言葉をテレビや会話で聞くたびに、「本当の女子力とは・・・?」と疑問に思っていました。今回はそんな誰しも一度は聞いたことがある、「女子力」について考えたいと思います。女子力を上げる方法が知りたい人も、そもそも「女子力」の実態が分からないと行動できませんから、じっくり読んでみてくださいね。■「女子力」は「見た目を磨くこと」だけじゃない「女子力」というと最初に思いつくのが、メイクやファッション、ダイエットなどの外見に力を注いで「かわいくなること」だと思います。もちろんこれも確かに女子力のひとつです。かわいくなると外に出たくなるし、実際に「モテる」というイメージはあります。でも見た目だけ努力することを「女子力」と呼ぶのかというと、それはちょっと違いますよね。■小手先の「女子力アピール」は、割とすぐバレる見た目がかわいくて良い香りがしたら、男性も「この子イイじゃん!」と飛びつきます。食事の席でおしぼりやお皿を配るのも、同じように「優しい!」と良い印象を与えますよね。でもそれも最初のうちだけなんです。話しているうちに「あれ?この子、性格悪いな」「自分じゃ何もできないじゃん」なんて思われてしまうと、彼らもすぐに離れて行ってしまう。しかもみんなが付き合いたいと思うような男性ほど「この子はハリボテだな」とすぐに察知するのです。なぜならモテる男性ほど、たくさんの女性を見てきているから。素敵な男性ほど、中身がしっかりしている。彼らは男女問わず、上辺だけの人には騙されないんですよね。つまりいくら外見を磨いたり、行動を見せつけたりしても、それは一時的なモテにしかなりません。でも私たちが望んでいるのって、一瞬だけ誰かにチヤホヤされることじゃないですよね?ひとりの男性に、長い間愛されたいと願っているんですよね?■女子力って結局のところ「人間力」なんです女子力の根本について考えてみると、結局のところ「人間力」にたどり着くのではないかと思います。つまり普通のことを普通にする。朝起きてご飯を食べて仕事へ行って、色んなことで悩んで、たまに楽しいことがあって。そういうごくごく日常的なことをすることに意味があると思います。逆にどんなにかわいくても、親のスネをかじって遊びまくっている人は、女子力が高いとは言わないと思うんです。話は戻りますがこういう普通のことをしていると、時には辛いことにも出くわします。そういう問題をひとつひとつ乗り越えたり、逆に「自分にできない」と判断する力を身に着けたりしていく。このように経験値が上がっていくと「これは違う」と思ったときに引き返せるようになるのです。そうすればダメ男と出会ったときも、たとえ好きでも「付き合わない」という判断ができますよね。わざわざ棘の道を進まなくて良いので、自分の心も穏やかになっていきます。そして「男子力」って言葉は聞かないけれど、いま書いたような「日常生活を送りながら学び、自分を成長させること」ができる男性って、やっぱりモテるんですよね。私たちがよく言う「誰か良い人いないかな~」「普通の人で良いんだけど!」に当てはまっている。だからやっぱり女子力だろうが男子力だろうが、結局のところ「人間力」につながっているんだと思うんです。■おわりにあくまで「かわいくなる女子力」がダメなわけではありません。でもたったひとりの人に長く愛される女子になりたいのであれば、こういった内面的な部分の「女子力」も並行して意識すると良いのではないでしょうか。(和/ライター)(ハウコレ編集部)
2020年05月28日男性にモテたいと思ったら、「女らしさをアピールできるように」と女子力アップのために行動する人が多いでしょう。しかし、女子力アップの前に“人間力の高さ”に注目するのも大切です。男性が思わず惚れるような“人間力の高い女性”を目指すべく、男性の体験談からヒントを探っていきましょう。■ 会話の中に“大人”を感じる!言葉遣いがきれい「職場で周りが年上ばかりなのもあって、友だちと集まったとき『マジ』とか『ていうか』って言葉を使う女子が気になって……親しみがあっていいんだけど、ちょっと子どもっぽいかな。きちんと言葉を遣っている職場の先輩と話すと、大人の魅力を感じます」(25歳/建築メーカー)言葉遣いは、聞き手の印象を大きく左右するものです。大人の女性としての魅力をアピールしたいなら、まずは普段の言葉遣いに目を向けてみましょう。親しみやすさを大切にしつつ、きれいな言葉遣いを心がけたら、男性から「人間力の高い女性」と思ってもらえるかも。■ 努力家な一面にドキッ!目標に向かって努力している「同期の子がペン字検定に挑戦中。“きれいな字がかけたらいいなって思ってはじめたんだけど、どんどん上を目指すのが楽しくなっちゃって!”と明るく楽しそうに話す姿にドキッとしました。何かの目標に向かって努力できる子はキラキラして見えますね」(23歳/出版社)目標に向かって努力することは、人間力アップにも男性の印象アップにも効果を期待できるでしょう。こちらの例ではペン字検定となっていますが、女性らしさのあるものや賢いイメージのあるものでも◎人間力の高さを意識するなら、目標を立てることからはじめたいものですね。■ 忙しくても笑顔を忘れない!気遣い上手「仕事でみんなバタバタしてるとき、忙しいながらも笑顔を忘れない○○さんは“できた人だな~”と思います。忙しいとつい暗い顔になっちゃうから、余計笑顔や明るさが目立つんですよね。仕事仲間をフォローしたりはげましたりするところも好印象です」(26歳/食品メーカー)周りを気遣えるタイプの女性は、男性から人間力の高さを認めてもらえるよう。場の雰囲気を明るくするための笑顔やはげましが、周囲へのフォローとなるでしょう。“気遣い上手”はいきなりできるようになるものではないため、周りをよく見るなど、日々のちょっとした努力で少しずつ身につけていくのがおすすめです。■ 人間力の高さが好印象につながるカギ男性からの印象アップには、人間力を高めることも効果的です。まずは人間力アップにつながる行動から。続いて女子力アップも考えて……と順を追っていけば、女性としての魅力はぐっと高まるでしょう。今回ご紹介した例を、女子力アップの前の“基本”として参考にしてくださいね。(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2020年04月14日最近、日本の子どもの「読解力」が低下したと話題になりました。その要因のひとつとして挙げられているのは、本を読む機会が減っていることです。読書習慣は、子どもの国語力を上げる一番の近道であり、子どもにも大人にも、多大な恩恵をもたらす習慣。今回は、「親子で読書習慣を身につける」と起こる “たくさんのいいこと” と、効果的な本棚について紹介します。読書量の減少で「読解力」低下経済協力開発機構(OECD)が進めている国際学習到達度調査(PISA)では、15歳児を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について、3年ごとに調査を実施しています。日本の読解力の順位は、2012年で4位、2015年は8位、そして最新の2018年調査では15位と急落してしまったのだそう。じつはそのなかで、読書習慣のある生徒は、ない生徒よりも読解力の平均点が高かったのだとか。そのため、今回の「読解力」低下の背景に、読書量の減少があるのではないかと考えられています。教育環境設定コンサルタントの松永暢史さんは、「賢い人は本が好き」というわけではなく、本を好きになることが賢さにつながる、と説きます。本を数多く読むと、言語的な理解力や、言語を使いこなす能力が高まるそうです。学力だけじゃない、〇〇力アップにつながる読書習慣それに、読書が影響を与えるのは学力だけではありません。『本を読む人だけが手にするもの』(日本実業出版社)の著者・藤原和博さんによれば、さまざまな人が書いた本を数多く読むことで、次に示す5つのリテラシー(理解・解釈・活用する能力)を高められるそうです。コミュニケーション(聴く・共感・伝える)力ロジック(著者の論理を理解する)力シミュレーション(先を読む、仮説を立てる)力ロールプレイング(他者の視点を得る)力プレゼンテーション(想像したり表現したりする)力日本は、経済や社会の成長がピークを迎え、精神的豊かさや生活の質の向上を重視する「成熟社会」に移行しました。これら5つのリテラシーは、「成熟社会」において必要な力なのだとか。また、仕事で成功するためには、IQ(知能指数)だけでなく、EQ(心の知能指数)がとても重要だといわれていますが、読書はそのEQを成長させてくれるそうです。EQとは、心の動きに気づいて理解し、管理する能力のこと。EQが高い人は、自己認識・自己管理・モチベーション管理・共感性・社会性などに優れているそう。先述した5つのリテラシーにも通じるところがあります。コンサルティング会社タレント・スマートの共同創業者であるトラヴィス・ブラッドベリー氏とジーン・クリーブス氏らが調査を行なったところ、仕事で高い成果を上げている人の90%はEQが高く、仕事の成果が低い人でEQが高いのは20%のみであったとのこと。脳科学者の茂木健一郎さんは、言葉が人と人をつなぎ、感情や状況の把握を可能にするからこそ、本を読むことで、自分と他者の感情をより理解できるようになる、と述べています。ちなみに、子どもの読書習慣は、親からの影響が大きいのだとか。親の読書習慣が子どもに影響厚生労働省が長年にわたって調査を行なった「第8回21世紀出生児縦断調査結果の概況」によると、親がよく本を読む家の子どもは、児童書や絵本などをたくさん読んでいるそうです。たとえば1ヵ月間、子どもの「本を読む習慣」を調べてみると――本を読んでいる母親の子どもの、本を読む割合は94.9%。本を読んでいない母親の子どもの場合は、88.0%と低くなっています。また、父親が本を読んでいる場合の、本を読む子どもは94.5%で、父親が本を読まない場合の、本を読む子どもは89.3%とのこと。そして、母親と父親が読む本の冊数が多いほど、子どもが読む本の冊数も多くなっています。先に述べたように、読書習慣は知性を高め、さまざまなリテラシーを磨き、EQ(心の知能指数)を成長させてくれます。それらの効能は、子どもだけではなく大人にも与えられるのですから、親も子どもと一緒になって積極的に読書を楽しむことを、大いにおすすめします。それに、読書がもたらす恩恵はまだあるんですよ。親も読書をはじめてみるといい理由英サセックス大学の研究によると、読書によって軽減されるストレスは68%。音楽鑑賞やコーヒーブレイク、ゲームや散歩といった、一般的な解消法のストレス軽減度を上回るそうです。そのため、英国では2013年6月に、医師が精神疾患の患者に対して「本」を処方する医療システムがはじまったそう。患者は処方箋を手に、薬局ではなく図書館へ向かうのだとか。いわゆる「ビブリオセラピー(読書療法・Bibliotherapy)」です。また、米イェール大学の研究チームが 12年間にわたって調査を行なった結果、週に3時間半以上読書をする人は、全く読まない人よりも死亡率が23%低いと結論づけられました。読書をする人は、読書をしない人に比べて2年も長生きするとのこと。臨床神経心理学者のジェニー・オグデン(Jenni Ogden)博士は、登場人物に感情移入したり、「自分ならどうするか」などと考えたりできるので、「自分自身をよりよく理解したいなら、小説を読むことだ」とアドバイスしています。なるほど、EQ(心の知能指数)を高めてくれるわけです。とはいえ、自分にも、子どもにも、読書を無理強いしてはいけません。自然に本が好きになれるように、親と子の「アラカルト本棚」を設けることをおすすめします。自然と本好きになる親子の「アラカルト本棚」偏差値35から読書習慣の改善で東大合格を果たした西岡壱誠さんは、「親が読ませたい本」を子どもに無理やり読ませることだけはしてはいけないと説きます。大人でも「この本を読みなさい!」と強引に押し付けられたら、内心では反発したり、億劫になったりするのではないでしょうか。子どもならなおさらです。それがきっかけで読書嫌いになってしまったら、元も子もありません。子どもが自分で、「読みたい本」を選べることが大切です。そこで、おすすめしたいのが「アラカルト本棚」です。“アラカルト” という呼び名どおりに、文化系、理系、雑誌、漫画、小説、絵本、世界地図など、何でも、あらゆるジャンルの「おすすめ本」を並べてしまうのです。ちなみに、子どもがたくさん本を読むご家庭の本棚の、画期的な例があります。親が子どもに「読んでくれたら嬉しいな」と思う本を図書館から借りてきた際に、まるで書店か図書館のように、面置きにするのだそう。すると、子どもが「あ、新しい本だ」とすぐに気づいてくれるのだとか。西岡壱誠さんが読書について東大生100人からアンケートをとったところ、親から本を「押し付けられる」のではなく、「さまざまな本をおすすめしてくれた」ことが良かった、と答えた東大生が多かったのだとか。「アラカルト本棚」にあった科学アドベンチャーシリーズを読んで理系に興味がわき、東大理学部に進んだ学生もいるそうです。また、約2,250件もの家庭で勉強を教えてきたという、カリスマ家庭教師の西村則康さんは、親子で本棚を共有したほうがいいと話します。子どもが、難しそうな親の本を見て、「いつか読めるようになりたい」と向上心を持つからです。その時々の興味関心に沿って、自分も子どもも自由に選べるような本棚をつくることで、子どもは自然と興味のある本に手を伸ばすようになり、ご自身も「今度はどんな本を並べてみようかな」「何を読んでみようかな」となり、親子でたくさんの恩恵にあずかることでしょう。***古代ギリシアの哲学者・アリストテレスは「すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する」といいました。そもそも本は、人間の “もっと知りたい” 欲求を叶えて、大いに楽しませてくれるもの。ぜひ、親子で気楽に読書を楽しんでくださいね。(参考)産経ニュース|PISA調査日本の読解力低迷、読書習慣の減少も影響か国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research|OECD生徒の学習到達度調査(PISA)日本実業出版社|「本を読むこと」で磨かれる5つのリテラシーSTUDY HACKER|本を全然読まないと「3つの超重要メリット」が逃げていく。STUDY HACKER|イギリス政府公認「読書療法」がすごい。ストレス6割減も期待できる『5分だけ読書術』PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)|“心の知能指数”を訓練で伸ばす4つの方法 仕事の成功には「ものすごく影響」厚生労働省|第8回21世紀出生児縦断調査結果の概況|2 子どもの生活の状況StudyHackerこどもまなび☆ラボ|東大生に共通する「幼少期の本の読み方」。思考力を鍛える読書法があるって本当?NEWSポストセブン|頭のいい子が育つ環境本棚は親子で共有、机は大きくHugKum【小学館公式】|「リビングに本棚」で子どもが本好きになる神話は本当だった!?【本好きキッズの本棚、見せて見せて!第6回】アリストテレス著,出隆訳(1961),『形而上学〈下〉』,岩波書店.
2019年12月28日「うちの子、国語が苦手みたい」と悩んでいませんか?国語科において必要とされる「語彙力」「表現力」「読解力」は、ほかの科目でも要求されます。小学生のうちから国語が苦手だと、文章問題や教科書を読んでも理解できず、学校での勉強全体に影響を及ぼすのです。今回は国語が苦手な子どもの特徴や、国語が苦手になってしまう理由をご説明します。そして、国語の苦手を克服するために親がどうサポートできるか、3つの方法をご紹介しましょう。国語が苦手な子どもの特徴国語が苦手な子どもにはいくつか特徴があります。自分の考えをうまく表現できない筑波大学付嘱小学校教諭の青木伸生氏によると、自分の考えをうまく表現できない子どもは国語が苦手な傾向にあるそうです。体験した出来事や読んだ物語についての感想を自分の言葉で表現するのは、一定の国語力がないとできません。見聞きしたことを頭の中で整理して、言葉として表現するには「語彙力」「論理的思考」「文章構成力」が必要。いずれも国語科において要求される能力です。つまり、自分の考えをうまく表現できない子は国語が苦手だといえるでしょう。国語が苦手だから自分の考えを表現できない、ともいえます。算数の文章問題が解けない子どもの算数の成績が悪いのだとしたら、原因のひとつは国語力の低さかもしれません。お子さんの算数の答案を見てみましょう。「3-2+5=」と式があらかじめ書かれている問題なら正解しているのに、「リンゴが3個あって、そのうち2個を太郎君が食べて、花子ちゃんがミカンを5個持ってきた」といった文章問題を間違えている場合、日本語の読解が苦手なのかもしれません。国語が苦手だと、算数の文章問題を解くことができません。算数の文章問題では、計算能力だけでなく、文章を読んで理解し、適切な式を自分で考え出す能力が要求されるからです。青木氏も、算数と国語の関係について以下の通り語っています。ドリルのような単発の計算は得意な子どもであっても、国語力が伸び悩んだがために本来の能力を発揮できないということにもなりかねないのです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法)計算自体は得意な子どもでも、国語が苦手だと、算数の成績が伸び悩んでしまいかねません。本を読まない国語が苦手な子どもの最大の特徴は、自発的に本を読まないことです。本を読むことで、日本語の正しい文法やさまざまな言葉を知ることができます。言い換えれば、本を読まないと文法や語彙を自然に身につけることができないのです。また、本を読まないということは、物語や言葉のおもしろさに興味を持っていないのだとも考えられます。日本語の物語や言葉に関心がなければ、国語の勉強そのものを退屈だと感じるかもしれません。2014年に発表された研究によると、テキサス大学オースティン校のレイ・リンデン准教授らは、フィリピンの小学校100校を2つのグループに分け、読書が成績に及ぼす影響を調べました。一方のグループの小学生に対しては「読書マラソン」(毎日1時間、読書・朗読や単語ゲームの時間を与える)を実施し、もう一方のグループにはしなかったそう。ひと月後、読書マラソンを行なった小学校での国語の標準テストの偏差値は、読書マラソンをしなかった小学校よりも0.13高かったそうです。単語力や読解力が上昇していることがわかりました。特に単語力と読解力が優れていたとのこと。やはり、読書をすると国語の成績は伸びるようですね。反対に、読書をしない子は国語が苦手である、ともいえそうです。国語が苦手な理由では、国語が苦手になってしまうのはどうしてなのでしょう?一部の子どもが国語が苦手な理由には、子どもの能力だけではなく、現代の子どもを取り巻くさまざまな事情が関係しています。子どもと大人が会話する機会が少ない一部の子が国語を苦手としてしまう背景には、核家族家庭の一般化や、共働きの家庭の増加があります。昔だったら、子どもが学校から帰宅したとき家には大人がいたため、大人と会話することで日本語の表現や知らない言葉を自然に学んでいました。しかし、両親と子どものみの家庭で、両親が共働きで夜まで帰宅しないとなると、子どもが親と言葉を交わせる機会は非常に少ないですよね。親は帰宅しても仕事で疲れていて、子どもとあまり話したがらない、ということもあるかもしれません。たしかに、学校や学童保育において、子どもたちは多くの会話をしていることでしょう。しかし、子ども同士での会話では、大人との会話によってもたらされる「正しい文法」や「未知の言葉」を身につけるのは難しいのではないでしょうか。そのため、正しい日本語や多くの言葉を伝えてくれる大人との会話が少なくなってしまった現代の子どもは国語が苦手な傾向にあるといえます。家庭に本や新聞がない子どもが国語を苦手としてしまう背景には、スマートフォンの普及や、家庭から本や新聞などの活字を読む習慣が失われたことも関係していそうです。読者の皆さんにも、「携帯電話をスマートフォンに替えたら、読書量が減った」「ニュースはスマートフォンで見るから、新聞の購読をやめた」という人がいるのではないでしょうか。オーストラリア国立大学・米ネバダ大学の研究者たちが、31の国・地域における25〜65歳の16万人を対象として2011〜2015年に行なった研究によって、家庭にある書籍数と読み書き能力に相関性があることがわかりました。被験者に「16歳のときに自宅に何冊本があったか」という質問に答えてもらったあと、読み書き能力・数字などのテストを受けさせたそう。そして調査の結果、家にほぼ本がない家庭で育った被験者は、読み書き・数字の能力が平均よりも低いことがわかりました。家庭の書籍数とテストの結果は、本の数が350冊程度までだと比例していたそうです。家庭に本がない、つまり家庭に読書習慣のない子どもは、活字に自然と親しむ機会がないわけです。そして本を読む習慣がないと、読解力や語彙が身につかず、結果として国語が苦手となってしまうわけですね。国語の苦手を克服するには1:親子の会話を増やす小学生が国語の苦手を克服するには、大人と会話をする機会を増やしましょう。身近な大人、つまり親と会話をすることを通して、子供は気持ち・考えを伝える方法や未知の言葉を学べます。東京の公立小学校教諭・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生も、子どもの「会話力」を上げるには、親子でたくさんのおしゃべりをするに尽きると語っています。会話力とは、さまざまな言葉を正確に使ったり、順序立てて話したりできる能力です。会話をする機会を増やすだけではなく、言葉の使い方も意識すると、会話の質が上がって正しい日本語の使い方を身につけられますよ。たとえば、今まで会話で「これ」「それ」などの指示語を使うことが多かったのなら、「テーブルの上にあるポット」や「ハンガーにかけてある紫色のTシャツ」などの具体的な言葉で表現するよう、親のほうから心がけましょう。物事を具体的な言葉で表現できるようになる頃には、国語の苦手はすっかり克服されたことでしょう。国語の苦手を克服するには2:読み聞かせによって本に興味を持たせる国語の苦手を克服する方法としては、親が本を読み聞かせることによって、子どもに本への興味を持たせることも重要です。読み聞かせは親子にとって良質なコミュニケーションともなりますし、本を読む習慣や本への興味がなかった子どもでも、読み聞かせによって本に興味を持つかもしれません。上で紹介した筑波大学附属小学校の青木伸生先生も、国語が苦手な子どもが本に興味を持って能動的に読書をするようになるには、親の協力と理解が必要であると述べています。子どもに本を読んでほしい場合、まずは親が子どもに本を読み聞かせることから始めていきましょう。今まで本に興味がなかった子どもでも、本に書かれているストーリーがおもしろいと感じれば、自ら本を開くようになりますよ。子どもの自主性を促すため、本は親が一方的に選んで押しつけるのではなく、子どもが興味を持って自ら選んだ本を買い与えるようにしましょう。そして、親も子どもが読んでいる本に対して興味を示してください。「何が書いてあるのか教えて」「どんな物語なの?」と質問をすれば、子どもは「知っていることを説明したい」という欲求から、本を読み込むようになるはず。意欲的に読書をする習慣が身につけば、おのずと国語の苦手は克服できます。国語の苦手を克服するには3:親子で交換日記をする国語の苦手意識を解消するため、子どもとコミュニケーションをとりたいけれど、仕事が忙しくて、帰宅する頃には子どもは寝ている……ということもあるでしょう。子どもと話す時間が少なくて困っているのなら、交換日記というのはどうでしょうか。シリーズ50万部を突破した『東大合格生のノートはかならず美しい』の著者・太田あや氏は、子どもの国語力を上げる方法として、親子間での交換日記を推奨しています。リアルタイムで話せる時間が少なくても、交換日記であれば、空いた時間に書いてテーブルの上に置いておくなどして、コミュニケーションをとることができますね。親の書いた文章を子どもが読むことで、段落の分け方や言葉の意味などを知ることもできます。毎日のように文章を書く習慣がつけば、作文への苦手意識もなくなりそうですね。交換日記は、国語の苦手を克服するのに効果的な手段です。親としても、子どもとの交換日記は楽しい思い出になるのではないでしょうか。***国語の苦手を克服するためには、「本を読みなさい」と子どもに押しつけるのではなく、親が子どもとのコミュニケーションを楽しみながらサポートしてあげましょう。平日にまとまった時間を子どもと過ごせないなら、休日に本を読み聞かせたり、一緒に料理をしたりするのもよいですね。どうしても時間がとれないなら、交換日記がおすすめ。なお、国語力を高める方法については、「小学生の『国語力』を上げるには。3つの方法とオススメ問題集」もあわせてご参照ください。文/森下智彬(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法StudyHackerこどもまなび☆ラボ|国語力アップの鍵はやっぱり読書だった!将来のために今、本を読むべき理由StudyHackerこどもまなび☆ラボ|読書量が算数の成績を左右する!?子どもの学力を上げるために「1日数分」からできることStudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「得意教科は国語!」自信をもって言えるようになるために効果的な勉強法リクルートマネジメント ソリューションズ|読書は子どもの学力を上げるのか?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|小学生の「国語力」を上げるには。3つの方法とオススメ問題集Newsweek日本版|子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査Project MUSE|Improving Reading Skills by Encouraging Children to Read in School: A Randomized Evaluation of the Sa Aklat Sisikat Reading Program in the Philippines
2019年07月02日むかしから家庭教育の大定番であるのが「絵本の読み聞かせ」です。それが子どもの成長に与える効果については、屈指の名門校、麻布中学・高校の国語科教諭である中島克治先生も手放しで絶賛します。絵本の読み聞かせは、子どもになにをもたらしてくれるのでしょうか。中島先生が「計り知れない」と語るその効果を教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)絵本の読み聞かせが子どもの心を豊かにする日々、進化を続ける子ども向け教材ですが、やはりむかしながらの「絵本の読み聞かせ」は、いまも変わらず最高の教育ツールといえます。お父さん、お母さんに絵本を読んでもらえる時間は、子どもにとってはまさに至福のとき。親子の強い絆を生んでくれるものです。そして、絵本の読み聞かせは子どもの心を成長させてくれます。絵本というものは、言葉の世界とイマジネーションの世界がぴたっとつながっていくものです。言葉によってイマジネーションをつくっていく、あるいは絵で表現されているものを言葉で補っていく。そのプロセスは、幼い子どもの脳にとっていちばん大切なものといっても過言ではありません。それが子どもの心を豊かにしていくのですからね。教育熱心な親であれば、絵本の読み聞かせによって「読解力」を得られるのかという点も気になるでしょう。その疑問に対する答えは、もちろん「YES」です。小学校での国語のテストでは「この場面での登場人物の気持ちを答えなさい」という問題が出されますよね?その問いに解答するために必要なものとはなんでしょうか。それは、「共感力」です。その力を絵本が高めてくれます。たとえば、みなさんにもおなじみのかぐや姫が物語の最後に月に帰っていく場面をイメージしてください。そこでは、かぐや姫もおじいさんもおばあさんも別れを惜しんで悲しんでいます。実際には別れというものの重みが子どもにはまだわからないにしても、自分から切り離された物語の世界として仮想的に別れを感じることができる。それは、ある種、社会的な常識を学んでいるともいえます。子どもはその過程を経て、「どういう世界のどういう状況に置かれた人間がどういう感情を抱くのか」ということを知っていきます。そうやって、共感力が磨かれていくわけです。いまの世界に必要な「思いやりと優しさ」その共感力は、子どもの内面にも大きな影響を与えます。絵本の世界に触れている子どもとそうではない子どもには、「思いやりと優しさ」という点で大きなちがいが出るように思います。もちろん、思いやりと優しさを持つことができるのは、絵本の世界に触れている子どものほうです。いまの世界は弱肉強食とまではいわないまでも、どこか殺伐としたところがあるものです。価値観が単純化していて、「勝つことがいいこと、強いことがいいこと」だと多くの人がとらえています。だからこそ、負けること、弱いことを見下す風潮もどうしても出てくる。そういう世界ですから、弱い子どものなかではどんどん劣等感が膨らむし、そうではない子どもは優越感を持つために差別的になることも多いように感じます。でも、絵本の世界に触れていたとしたらどうでしょうか。絵本は、そもそも作者である大人が「こういう子どもになってほしい」「こういう世界が大事だよ」と考えて、絵と文章で子どもに訴えている内容がほとんどです。そこには、子どもに対する大人の強い願い、思いが込められています。そういう絵本を親が媒介して子どもに触れさせてあげれば、殺伐とした日常生活とは切り離されたところで「心の大切さ」を感じることになり、子どもは自然と思いやりや優しさに重きを置くようになるはずです。そういう子どもなら、たとえ目の前の世界がどれだけ殺伐としていて、タフな者しか勝ち残れないようなものに見えるとしても、その競争からこぼれ落ちること、こぼれ落ちた者にも価値を見出していけるのではないでしょうか。子どもが求める限り読み聞かせをしてあげようさて、絵本の読み聞かせというと、「何歳くらいまでやってあげればいいの?」という疑問を持っている人もいるかもしれません。その答えは、「子どもが聞いてくれるうちはいつまででも」です。子どもはある日突然大人になるわけではありません。ある部分は大人に近づいても、ある部分は子どものままというふうに、凸凹した状態で成長していきます。それは大人になったあとも変わらないのではないでしょうか。誰のなかにも大人の心と子どもの心が共存しています。そして、読み聞かせを求める子どもの心があるうちは、いつまでだって絵本の読み聞かせをしてあげればいいと思うのです。子どもは絵本の読み聞かせを通じて、絵本の内容とは別のものも受け取っています。それはたとえば親が自分のそばのいてくれることだとか、親が自分のために時間を使ってくれている、心を使ってくれているということです。それらの安心できる時間の大切さというのは、小学生になる前の幼い子どもでも、小学生でも変わらないはずです。子どもが求める限り、いつまでだって読み聞かせをしてあげてください。『本物の読解力をつけることばパズル 入門編』中島克治 著/小学館(2019)■ 麻布中学・高校国語科教諭・中島克治先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「言葉の力」を伸ばすには?名門麻布の国語教師が説く“親の心得3か条”第2回:先取り学習はこんなに危険。「した子」の成績が「しなかった子」に抜かれるのはなぜ?第3回:麻布中高の国語教師が断言。「絵本の読み聞かせ」の教育効果はやっぱり絶大だった!第4回:我が子に“読書好き”になってほしいなら。ぜひ身につけさせたい「読み癖」とは(※近日公開)【プロフィール】中島克治(なかじま・かつじ)1962年生まれ、東京都出身。麻布中学・高校を経て東京大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程修了。現在、私立麻布学園麻布中学・高校国語科教諭。『本物の読解力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『一生役立つ! 子どもの本当の読解力をグッと引き出す方法』(PHP研究所)、『1話5分! 12歳までに読みたい名作100』(新星出版社)、『小学生クロスワードBOOK 1・2・3年生』(星雲社)、『本物の国語力をつけることばパズル 中級編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 入門編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『夏目漱石ほか文豪名著 書き写しノート』(朝日新聞出版)、『小学校入学前にことばの力をつける魔法の本棚』(小学館)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月26日国語はもちろん、算数や理科などあらゆる教科を勉強する際にも重要とされる「言葉の力」。子どもの「言葉の力」を伸ばすためにはどうすればいいのでしょうか。お話を聞いたのは、屈指の名門校、麻布中学・高校の国語教諭である中島克治先生です。まずは、「おしゃべりな子どもと無口な子どものちがい」についてのお考えから話してもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)ドリル学習では「言葉の力」はなかなか伸びない我が子が、まわりの子と比べて無口だと心配になってしまう親もたくさんいると思います。でも、ありていにいってしまえば、それは「個性」ということなのです。親がどんなにおしゃべりでも子どもは無口になることもあるし、その逆もある。同じような育て方をしても兄弟姉妹でちがいはありますし、親のアプローチいかんで子どもが多弁になったり寡黙になったりといったことはないのではないかとわたしは考えています。子どもには親とはまったく別の人格が備わっていて、おしゃべりであれ無口であれ、それはその子の「個性」なのです。そうとらえれば、「なんとか子どもの言葉を増やそうと努力しているのに……」と、頭を悩ますというような呪縛から解放されることになるはずです。とはいえ、おしゃべりか無口かということとは別に、「言葉の力」を身につけておくことはあらゆる勉強をするにあたって重要となります。そう考える教育熱心な親であれば、子どもにドリル学習などをさせているかもしれません。でも、ドリル学習にはあまり意味がないとわたしは考えています。子どもからすればドリル学習はやらされる、仕方なくやる受け身の側面が強いものです。しかも、紙の上での学習ということで、どうしても現実世界に応用しづらいものであるため、学習した内容の定着率も良くありません。たとえ勉強した直後には身についても、1カ月、1年といった時間が経つと内容がすっぽりと抜け落ちてしまうのです。単なるドリル学習というものは、どうしてもただ覚えること、テストでいい点を取ることに重点が置かれます。そういう学習で得た知識は、子どもにとって「生きた知識」にはならないのです。親との共通体験が子どもの学習を補強していくでは、「生きた知識」としての言葉の力をどのように伸ばしてあげればいいのでしょうか。その方法は、「実生活のなかでの親とのコミュニケーション」です。たとえば、親子で植物園に出掛けたときに、以前に図鑑で見たことのある花が咲いているのを発見したとします。そして、「これ、前に図鑑で見たよね?」「どんな花だっけ?」といった会話をする。すると、実体験のなかで実物と言葉がぴたっと結びついていくので自然に言葉が子どもの頭に入っていくのです。親に教えてもらったとか、親の質問に答えられてうれしかったとか、具体的な場面のなかでの親との共通体験が学習を補強し、そのときに得た言葉はしっかりと子どもの頭に刻まれます。共通体験といっても、わざわざどこかに出掛けて特別な体験をしなければならないということはありません。それこそ家庭での日常的な会話でもできることです。会話の内容も天気のことでもご飯のことでもいいし、幼稚園や小学校での出来事、親子それぞれが観たテレビ番組の感想をいってもいい。そういった親とのコミュニケーションを通じて、子どもは満足したり、安心したり、うれしく感じたりといったポジティブな体験とともに感受性を高めながら言葉を覚えていくのです。子どもに知識をただ詰め込もうとしても、身につくものではありません。喜怒哀楽などの気持ちが伴わなければ、学習したことが子どもの糧にならないからです。たとえば、子どもがはじめて真っ赤な美しい夕焼けを見たとき、「綺麗」という言葉を知らなくとも子どもの心はすでに震えています。そして、そばにいる親が「綺麗だね」とつぶやいた。自分の心の震えと「綺麗」という言葉が重なり合う。そんな言葉を忘れるわけがありません。親子のコミュニケーションにおける3つの注意点子どもとコミュニケーションを取る際の注意点もお伝えしておきます。ひとつは、子どもから「これ、なに?」というふうに質問をされたときに、すぐには答えないほうがいいということ。答えられることでもあえて答えず、「なんだろうね?」「うちに帰ったら調べてみようか」というふうに答えるのです。どういうことかというと、子どもに立ち止まる時間を与えるということです。そうすることにより、子どもは手探りで考えることになる。その時間が、その後の学習で得た知識の定着を高めることになります。次の注意点は、子どもの言葉を頭から否定しないということ。子どもは大人が忘れてしまったような感覚を持っていて、大人が考えもしなかった側面から考えることもあるものです。大人になってしまった親からすれば、子どもの言葉が間違っていると思っても否定してはいけません。また、子どもの言葉に親が本当に驚かされることもあるでしょう。そういうときは否定せずに「そんなふうに考えるんだね」といったリアクションをしたり、素直に驚きを伝えたりしましょう。子どもからすれば、自分より言語能力が長けていると思っている親にちょっと先んじることができたという優越感を得ます。その優越感によって、子どもは言葉に対してよりポジティブにかかわっていくようになるのです。そして最後のアドバイスとしては、なにより親自身が子どもとのコミュニケーションを楽しむことが大切だということ。子どもは「教えてもらっている」と思うと受け身になってしまい、学びに対する積極性を失います。でも、親自身が楽しんでいれば、それは親が子に教えるという姿勢ではありませんよね。子どもも親の楽しむ姿勢に引っ張られてコミュニケーションを楽しむようになる。そうして、親子のコミュニケーションによって言葉を得る効果も高まるわけです。『本物の読解力をつけることばパズル 入門編』中島克治 著/小学館(2019)■ 麻布中学・高校国語科教諭・中島克治先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「言葉の力」を伸ばすには?名門麻布の国語教師が説く“親の心得3か条”第2回:先取り学習はこんなに危険。「した子」の成績が「しなかった子」に抜かれるのはなぜ?(※近日公開)第3回:麻布中高の国語教師が断言。「絵本の読み聞かせ」の教育効果はやっぱり絶大だった!(※近日公開)第4回:我が子に“読書好き”になってほしいなら。ぜひ身につけさせたい「読み癖」とは(※近日公開)【プロフィール】中島克治(なかじま・かつじ)1962年生まれ、東京都出身。麻布中学・高校を経て東京大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程修了。現在、私立麻布学園麻布中学・高校国語科教諭。『本物の読解力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『一生役立つ! 子どもの本当の読解力をグッと引き出す方法』(PHP研究所)、『1話5分! 12歳までに読みたい名作100』(新星出版社)、『小学生クロスワードBOOK 1・2・3年生』(星雲社)、『本物の国語力をつけることばパズル 中級編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 入門編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『夏目漱石ほか文豪名著 書き写しノート』(朝日新聞出版)、『小学校入学前にことばの力をつける魔法の本棚』(小学館)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月24日「フレームリーディング」という言葉をご存じでしょうか?「文章全体の構造や内容をとらえる力」を育むことを目指した国語の授業スタイルのことです。フレームリーディングによって子どもはどんな力を得ることができるのでしょう。フレームリーディング研究と指導の第一人者である、筑波大学附属小学校の青木伸生先生にお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)文章全体をつかみ、より深く内容を理解するフレームリーディングとは、文章を細切れにして読むのではなく、文章全体をつかんで深く内容を理解するための手法です。まずは文章のなかにいくつの出来事や具体例が書かれているのかといったことを大雑把につかみ、そのあとで必要に応じて詳しく読んでいく。そのふたつの行為をいったりきたりと繰り返すことで、文章をより深く理解し、最終的には自分の考えを持つことが目的です。では、具体例で示してみましょう。次の文章をご覧ください。【1】ドングリのからが落ちています。【2】誰がドングリを食べたのでしょうか。【3】リスがドングリを食べました。【4】リスはドングリに穴を開けて中身を食べます。【5】バナナの皮が落ちています。【6】誰がバナナを食べたのでしょうか。【7】サルがバナナを食べました。【8】サルはバナナの皮をむいて中身を食べます。まずは全体を読んだあとに、子どもたちには登場した動物を数えさせます。この例ではリスとサルの2種類。そして、出てきた順番も聞きます。なぜなら、小学低学年の国語では「順序」をとらえられるようになることが重要だからです(インタビュー第2回参照)。続いて、どこからどこまでがどの動物の話なのかを聞く。【1】から【4】がリスで、【5】から【8】がサルの話ですね。こうして、話のまとまりを目に見えるかたちで整理してあげるわけです。次は、リスとサルの話を比べて、「同じところがあるかな?」と聞いてみます。子どもたちは、「誰が○○を食べたのでしょうか。」が同じだと気づき、それぞれのまとまりのなかで2番目に書かれていること、次の3番目にはその答えが書かれているといったことにも気づきます。そのように、子どもが文章の構造をどんどん発見していくように教員がリードする。こうして、ただ単に動物がものを食べたという話の内容の確認ではなく、文章の構造を子どもたちが自分で発見するという授業内容にしていくわけです。すると、別の文章を読むときにも、子どもたちは「話のまとまりはどうなっているのだろう」とか「どこが同じなのだろう」といった目のつけどころを持つようになります。そういった習慣こそが、文章を読むこと、しっかり理解することの楽しさにつながっていくのです。誰もが苦手な読書感想文も楽々進められる!?じつはこの手法は、2020年から小学校で実施される新学習指導要領で推奨される文章の読み方とほぼ一致しています。新学習指導要領では、「構造と内容の把握」というものが最初にあり、次に「精査・解釈」という詳細な読解がある。そして、それらをいったりきたりと繰り返すことで「考えの形成」ができるとしています。表現はちょっと難しくなっていますが、これは最初に説明したフレームリーディングの手法そのものですよね。このフレームリーディングが身につくと、文章を読むこと以外にも、さまざまな場面でその力を生かすことができます。まずは「思考」する――考えるときです。最初に全体をとらえたり俯瞰したりすることは、ものごとの本質をとらえるための思考パターンとしてとっても大事ですよね。思考の対象となるものごとの全体を見渡してなにが起きているのか、なにが問題なのかをとらえられなければ、思考することはできません。それができたら、今度は大事なポイントをとらえて切り口を見つける。それらを繰り返すことで、自分なりの結論やアイデアをまとめられるようになるわけです。さらに、フレームリーディングは「アウトプット」にも生かせるものです。国語の授業におけるアウトプットというと「作文」ですね。文章全体の構造を理解できるようになれば、物語や説明文の展開のパターンというものが見えてきます。たとえば、文章のはじめに結論が出てくる頭括型、最後に結論がある尾括型、どちらにも結論がある双括型などです。もちろん、低学年のうちから頭括型といった言葉は使いません。わたしの授業では、それぞれ頭型、お尻型、サンドイッチ型と教えています。これらのパターンを文章のスタイルとしてしっかり認識していれば、「今日の校長先生のお話を頭型で書いてみよう」という課題を出しても、子どもたちはスムーズに文章を書けるというわけです。フレームリーディングの基本は「数える」と「選ぶ」にあるフレームリーディングについて学んだことがあるという人はあまりいないでしょうから、「家庭では生かせそうにないな」と思うかもしれませんね。でも、家庭でもできることがあります。フレームリーディングは、先の例で動物の数を数えたように、まずは文章に出てくるものを「数える」ということが基本中の基本です。それが全体を見渡すことになるからです。ある物語の登場人物や出来事の数がわかるだけでも、ストーリー全体の輪郭がなんとなく見えてくるように感じませんか?ですから、家庭で子どもと本を読んだときにも、「お話のなかにいくつの動物が出てきたかな?」といったふうに聞いてみてください。子どもは読み返しながら「2匹!」というふうに答えるでしょう。それで、子どもはお話全体をなんとなく見渡すことができます。それから、重要な内容に的を絞る、つまり焦点化するときには、「選ぶ」ということをします。「お話のなかに出てきた動物のなかで、いちばんすごいと思ったのはどれ?」と聞いてみると、子どもはまた読み返して「きちんと皮をむいてバナナを食べるサルはすごい!」というふうに答える。この時点ですでに内容を詳しく読み込むことになっている、「焦点化した読み」になっているのです。「数える」と「選ぶ」。そのふたつをやらせるだけで、子どもの頭のなかでは、全体を見る、詳しく読むというフレームリーディングの基本を繰り返すことになります。家庭でも簡単にできることですから、ぜひチャレンジしてみてください。『青木伸生の国語授業 3ステップで深い学びを実現! 思考と表現の枠組みをつくるフレームリーディング』青木伸生 著/明治図書出版(2017)■ 筑波大学附属小学校教諭・青木伸生先生 インタビュー一覧第1回:子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法第2回:「宿題の定番」になるのも頷ける。意外だけどすごく重要な「音読」の4つの狙い第3回:「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫第4回:作文力アップも期待できる!文章の読み方の新習慣「フレームリーディング」とは【プロフィール】青木伸生(あおき・のぶお)1965年生まれ、千葉県出身。東京学芸大学卒業後、東京都の教員を経て現在は筑波大学附属小学校教諭。全国国語授業研究会会長、教育出版国語教科書編著者、日本国語教育学会常任理事、筑波大学非常勤講師なども務める。近年はフレームリーディングの専門家としても注目を浴びる。『ことばの事典365日』(小峰書店)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで説明文の授業づくり』(明治図書出版)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで文学の授業づくり』(明治図書出版)、『ゼロから学べる小学校国語科授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月31日「子どもの理科離れ」――。もう何年も前から聞かれる言葉です。では、「国語」の場合はどうなのでしょうか?とくに、子どもの頃に国語が苦手だったという親御さんの場合、自分の子どもも国語を敬遠するようにならないかと心配していることでしょう。お話を聞いたのは、全国国語授業研究会会長や教育出版国語教科書編著者も務める筑波大学附属小学校の青木伸生先生。国語に対する子どもの接し方の現状、さらに、子どもを国語嫌いにさせないための方法を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)二極化している子どもの国語好きと国語嫌いいま、子どもたちの国語に対する好き嫌いは、二極化しているように感じますね。国語が好きな子どもは自分でどんどん本を読んでいますし、逆に教科書の文字を見るのも嫌だという子どももいます。その差が大きく広がっていくと、後者の子どもは学年が上がるほど身につけるべき国語力を取り返すのが難しくなりますから、とても心配しているところです。子どもの国語離れを進行させないためにも、教科書のつくり手もいろいろと工夫はしています。お子さんがいる人なら、以前と比べていまの教科書はイラストや写真が豊富ですごくカラフルになっていることはご存じでしょう。というのも、いまの子どもは生まれながらにして映像などさまざまに刺激的な情報のなかで生きていますから、教科書にもある程度の刺激がないと心が惹かれないからです。ただ、入り口はそれでもいいとは思いますが、そこからいかに文字に意識を向けさせるかということが重要な課題だと感じています。読むことそのものの面白さや楽しさといったものを感じられないと、学年が上がり、教科書がシンプルになって文字が増えたときに拒絶反応を起こしかねないからです。もちろん、そうさせないための努力は小学校でもしています。たとえば、図書室で教員が読み聞かせをして、その本に関連する別の本をみんなで探して読むといった、「図書」の時間の活動もそのひとつ。「今回は昔話を探そう」「『繰り返し』があるお話を探そう」といったふうに、あるテーマを持って読むことの面白さを感じさせるための活動です。教科書の「本の紹介コーナー」に注目こういうことが必要となっている背景には、家庭環境が以前と変わってきたことも大きいように思いますね。いまは誰もがスマホやタブレットを持っています。それらの端末で本を読んでいる親御さんの家庭なら、以前の一般家庭より本や雑誌の数は減っている。新聞を取っていないという家庭も多いでしょう。そうすると、家庭で子どもが文字に触れる機会も自然に減っているはずです。だからこそ、子どもを国語嫌いにしたくないのであれば、家庭でいかに本に親しませるかということが大切になります。そのスタートとしては、やはりむかしながらの絵本の読み聞かせがいちばんでしょうね。親御さんのひざに抱えられて絵本を読んでもらえれば、子どもは間違いなく本に興味を持つようになります。お父さん、お母さんに絵本を読んでもらったという記憶は強く残るものです。みなさんにも、そういう記憶がある人も多いのではないですか?その経験によって、子どもは本の面白さに惹かれるようになっていきます。子どもがもう少し大きくなって小学生になったら、国語の教科書に注目するのもおすすめです。というのも、学習指導要領自体が読書に力を入れているため、いまの教科書には「本の紹介コーナー」がたくさんあるからです。たとえば、宮沢賢治の作品のページなら、宮沢賢治の他の作品がいくつも紹介されています。気に入った作家や作品に関連する作品、シリーズ作品を読んでいくというのは、まさに本が好きな人間の典型的な読書法ですよね。そういったことを教科書が手助けしてくれているわけですから、それを活用しない手はありません。読書を通じた「親との対話」でもっと本が好きになるまた、小学生になってひとりで本を読めるようになったからといって、親が「これを読んでごらん」と押しつけるだけということは避けましょう。そうではなく、子どもが自ら興味を持って読む本に対して、親御さんもしっかり興味を示してあげてほしいのです。日常の読書によって子どもがさらに本に興味を持てるかどうかは、そういった場面での「親子の対話」によって大きくちがってきます。子どもが音読をしてくれたのなら、思ったことを子どもに伝えてみてください。「いま読んでもらったお話、お父さんも子どもの頃に読んだよ」とか「子どもの頃に読んだときと感じ方がちょっとちがったなあ」といったささいなことで十分です。子どもは「むかし、お父さんも読んだんだ」とか「お母さんはそういうふうに思ったんだ」といったことを感じます。そうやって、自分が本を読んだことでお父さんやお母さんがなんらかの反応を示してくれたのなら、子どもは「もっと上手に読みたい」と思うものですし、さらには、自分なりの感想を持っていないと「お父さんやお母さんとちゃんとお話ができないぞ」とも思うもの。親がきちんと反応を示すことで、子どもは本の中身をもっときちんと読もうとするようになるのです。このようにして親と対話をしながら本に親しむうち、子どもはセリフのいいまわしや物語の伏線といったものに自分なりに面白さを感じられるようになっていきます。それは、「自ら発見する」ということに他なりません。これまでの学校の勉強にありがちだった受け身の姿勢ではなく、能動的な姿勢を手に入れるということなのです。その姿勢こそが、国語という教科に限らず、のちのちの学力の向上につながるということは容易に想像できるのではないでしょうか。『青木伸生の国語授業 3ステップで深い学びを実現! 思考と表現の枠組みをつくるフレームリーディング』青木伸生 著/明治図書出版(2017)■ 筑波大学附属小学校教諭・青木伸生先生 インタビュー一覧第1回:子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法第2回:「宿題の定番」になるのも頷ける。意外だけどすごく重要な「音読」の4つの狙い第3回:「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫第4回:作文力アップも期待できる!文章の読み方の新習慣「フレームリーディング」とは(※近日公開)【プロフィール】青木伸生(あおき・のぶお)1965年生まれ、千葉県出身。東京学芸大学卒業後、東京都の教員を経て現在は筑波大学附属小学校教諭。全国国語授業研究会会長、教育出版国語教科書編著者、日本国語教育学会常任理事、筑波大学非常勤講師なども務める。近年はフレームリーディングの専門家としても注目を浴びる。『ことばの事典365日』(小峰書店)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで説明文の授業づくり』(明治図書出版)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで文学の授業づくり』(明治図書出版)、『ゼロから学べる小学校国語科授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月30日我が子には、あらゆる教科を得意になってほしいというのが親の理想でしょう。でも、多様化が進むこれからの社会に出たときに求められる力の筆頭としてコミュニケーション能力が挙げられるいま、それにつながるであろう「国語力」をとくに伸ばしてあげたいと考える親御さんも増えています。全国国語授業研究会会長や教育出版国語教科書編著者も務める筑波大学附属小学校の青木伸生先生に、まずは「そもそも国語力とはなにか」というお話から伺いました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)国語力はあらゆる学習のベースになる国語力とひとことでいっても、いろいろな階層があると思います。実生活のなかでの国語力というと、文章の内容をきちんと把握する力、自分の伝えたいことを表現できる力などになるでしょうか。小学校における国語力にもいくつかの要素が含まれます。たとえば、物語のテーマを自分なりに感じ取れる力。説明文なら、筆者のいいたいことをつかみ、それに対して読者として自分の考えを返す力。また、ある程度の語彙を持ち、どんな言葉をどんな場面で使えばいいかという言語感覚を身につけているかどうかも小学生にとっての国語力に含まれるでしょう。これらの国語力は、とくに小学校低学年から身につけていくことがとても重要です。というのも、国語以外のあらゆる教科でも学習のためのベースとなるのが国語力だからです。国語力が欠けていると、自分の意見をわかりやすく発表できませんし、重要な内容をノートにまとめることもできません。理科の実験授業でも、実験結果をまとめ、それを基に考察する際に必要となるのは国語力です。また、国語と対極にあると思われがちな算数であっても、国語力がなければ文章題で述べられている状況をイメージできないということにもなります。問題のなかで「リンゴが3個あって、そのうち2個を太郎君が食べて、花子ちゃんがミカンを5個持ってきた」というような文章があったとして、描かれている内容をきちんと把握してその状況を思い浮かべられなければ問題を解くどころではありませんよね。本当なら算数を得意教科にできる能力を持っていて、ドリルのような単発の計算は得意な子どもであっても、国語力が伸び悩んだがために本来の能力を発揮できないということにもなりかねないのです。国語力アップのために読書で得られる重要な要素国語力はあらゆる学習のベースとなります。そうすると、親御さんなら子どもの国語力を伸ばしてあげたいと考えますよね。もちろん、小学校でもわたしたち教員はさまざまな工夫を凝らして子どもたちの国語力アップに努めています。でも、家庭でもできること、それから親御さんだからこそできることもあるのです。ひとつは「読書」です。ただ、残念ながら、テストで高得点を取るためという意味での国語力と読書はそれほど直接的にはつながるものではありません。テストというものは、問われたことに対して的確に答えていくという対応が求められます。「文章のここがポイントで、このことを聞かれている、だからこう答えればいいんだ」というようなある種のテクニックが必要とされますから、一定の練習をしなければなりません。ですから、とにかく読書が好きでたくさん本を読んでいる子どもであっても、意外とテストでは高得点を取れないということもあるのです。でも、読書をしていれば、国語力を高めるための重要な要素を得られることは間違いありません。そのひとつは語彙です。それから、物語の展開のパターンや表現技法といったものも子どものなかにどんどん蓄積されていきます。あとは、それらをどう使えば実際のテストで高得点を取れるのかというところをわたしたち教員が授業で教えてあげれば、一気に成果を出すことができるはず。そのためにも、読書好きになるように家庭でもできる限りの工夫をしてほしいですね。親子の会話で子どもにたくさん考えさせるそして、子どもの国語力アップのため、「親御さんだからこそできること」が「親子の会話」です。なぜ親子の会話が重要かというと、教員と子どもの場合だと、子どもの言葉を教員がくみ取ってしまうことが多いからです。授業をスムーズに進めるためといったこともあって、子どもの言葉がちょっとあいまいであっても、教員は「こういいたいんだね」と、子どもがいわんとしていることを整理してしまうのです。でも、親ならそういうことをする必要はありませんよね。子どもの言葉が本当にわからなければ、「なにをいっているかわからないよ」とストレートにいってあげられます。そうすると、お父さんやお母さんに自分のいいたいことを伝えるために、子どもは言葉を探したり、選んだり、いい方を変えるなどして必死に考えることになる。子どもの国語力アップのためには、そういう場面がとっても大事なのです。逆に、子どもに成長が見られてすごくわかりやすい表現をしたという場合なら、「いまのいい方はすごく良かったよ」といったふうに褒めてあげてください。そうすれば、その表現が子どもに定着していくことになるはずです。ひとつ注意をするなら、親だからこそ教員以上に子どものいいたいことをくみ取れてしまうということ。他人ならなにをいっているかわからない、子どもがぼそっとつぶやいたようなことも、親ならわかるということは多いものです。そこで、「ああ、こういいたいのね、こうしてほしいんだね」とくみ取ってしまうと、先に伝えたような子どもが必死に考えるということが起こりません。そういう意味では、子どもの国語力を伸ばしてあげたいと思うのなら、「ものわかりの悪い親」になるという考えが必要かもしれませんね。『青木伸生の国語授業 3ステップで深い学びを実現! 思考と表現の枠組みをつくるフレームリーディング』青木伸生 著/明治図書出版(2017)■ 筑波大学附属小学校教諭・青木伸生先生 インタビュー一覧第1回:子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法第2回:「宿題の定番」になるのも頷ける。意外だけどすごく重要な「音読」の4つの狙い(※近日公開)第3回:「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫(※近日公開)第4回:作文力アップも期待できる!文章の読み方の新習慣「フレームリーディング」とは(※近日公開)【プロフィール】青木伸生(あおき・のぶお)1965年生まれ、千葉県出身。東京学芸大学卒業後、東京都の教員を経て現在は筑波大学附属小学校教諭。全国国語授業研究会会長、教育出版国語教科書編著者、日本国語教育学会常任理事、筑波大学非常勤講師なども務める。近年はフレームリーディングの専門家としても注目を浴びる。『ことばの事典365日』(小峰書店)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで説明文の授業づくり』(明治図書出版)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで文学の授業づくり』(明治図書出版)、『ゼロから学べる小学校国語科授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月28日小学生が学ぶ教科には、国語に算数、理科、社会などさまざまなものがあります。そのうち、「国語と算数があらゆる学習のベース」と語るのは、東京の公立小学校教諭・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生。子どものやる気を引き出す独自の授業で注目され、「教育の鉄人」とも呼ばれるカリスマ教師です。今回は、その重要な国語と算数のうち、国語の力を伸ばすために家庭でもできることを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもを読書好きにするにはまず親が本を読む小学校における教科のうち、とくに重要なものが国語と算数です。それらの力が育っていないと、理科や社会の教科書、そのなかに出てくるグラフなどもきちんと読めないからです。逆にいえば、1、2年生頃にちょっとくらい理科や社会の勉強が遅れてしまったとしても、国語と算数がきちんとできるようになれば、あとからいくらでも遅れを取り返せます。そういう意味で重要な国語と算数のうち、国語の力を伸ばすために家庭でもできることというと、まずはやっぱり読書でしょうね。とくに1、2年生くらいの小さい子どもの場合なら、絵本の読み聞かせをおすすめします。というのも、読書は苦手でも読み聞かせは好きだという子どもが多いからです。また、親が本を読まなければ子どもも本に興味を示さないということも、読み聞かせをすすめる理由です。絵本の読み聞かせをすれば、子どもは文字や言葉、さまざまな概念を知ることになる。それはいまもむかしも変わらない読み聞かせの大きな効果です。そうして絵本の読み聞かせをするうち、「このシリーズものが面白い」というふうに、子どもがハマるものが出てくるでしょう。そういった事象こそ、読書好きになる兆候といえます。子ども自身が自ら本に興味を示さなければ、読書好きになるはずもありません。そう考えると、「○○先生が推薦しているから」なんていって、どこかの誰かがすすめる本を子どもに与えることにもなんの意味もありません。もし、子どもにすすめるのであれば、親御さん自身が本当に面白いと思ったものにしてほしいのです。そういう本であれば、「大好きなお父さんやお母さんがすすめるんだったら」と、子どもが興味を示すということだってあるはずですよ。漢字を覚えさせるにも「楽しさ」が最重要また、小学生なら漢字の学習も重要です。だからといって、漢字をいくつ書くだけというドリルのような学習方法はあまり好ましくありません。1、2年生のような小さい子どもの場合、楽しさが伴っていなければただ機械的にこなすだけになってしまい、なかなか学習効果が上がらないからです。ただの反復には意味がないのです。そういう意味では、いろいろと工夫をすることが必要。たとえば、「木」という漢字を書いて覚えるにも、子どもが「木」と書いたら、「これ、なんの木?」と聞いてみましょう。子どもは「桜の木」なんて答えるかもしれない。そうしたら、「じゃ、桜のピンクに塗ってみようか」と色鉛筆を与えるのです。あるいは、ピンクの色鉛筆で「木」と書かせてもいいですよね。また、漢字の「はらい」や「はね」を覚えさせるためにできる工夫もあります。「木」のはらいの部分を書くときに、親が「滑り台みたいだから、滑り台を想像して『シューッ』と書こう」といって、実際に「シューッ」といいながら書く。子どもも面白がって「シューッ」といいながら書くようになります。どちらも子どもにとっては遊び感覚で漢字の書き取りをすることになりますし、脳をしっかり使ってイメージを膨らませていますから、きちんと覚えられることになります。また、いろいろな漢字が書かれている紙を用意して、「このなかから、食べものの漢字を探そう!」なんて遊びもいいと思います。たとえば「公」という漢字は、「ハム」と読めますよね。そんな工夫がされている教材もたくさん市販されていますから、それらを使ってみてはどうでしょうか。しかも、そういう教材をやって漢字の面白さを知ったあとなら、子どもは一般的な漢字ドリルも楽しんでやるようになるものです。いずれにせよ、まだ小さい子どもには「勉強って面白い!」と思わせてあげることがなにより大切です。小さいうちから成績を気にし過ぎる必要はありませんし、「勉強は面白い」と思っていれば、自然に勉強を続け結果的に成績も伸びてくるものですからね。会話力を上げるには会話を重ねるしかない国語力を伸ばすためには、会話力の向上も外せないものでしょう。人と会話をするには、さまざまな言葉をきちんと使えることが求められますからね。子どもの会話力を向上させたいと思ったら、とにかく親が子どもとたくさんおしゃべりをすることに尽きます。子どものためのスピーチ教室なんてものもありますが、やっていることは、用意された原稿をただうまく読む訓練をしているだけ。実際の会話とは、そういうものではありませんよね?相手のいったことに対して瞬間的に反応し、自分の思いを適切な言葉で表現できてこそ会話になる。そう考えると、やはり実際に会話をすることでしかその力は伸びていかないのです。子どもと会話をするにあたって、親の立場として「いいインタビュアーになろう」と心がけることも重要なポイントです。学校から帰ってきた子どもがどことなくうれしそうにしていたら、「なにかいいことがあったの?」「それでどうしたの?」とどんどん聞き出してあげる。そのとき、親自身がそのインタビューを楽しむことが大切です。親が会話を楽しんでいる気持ちが伝われば、子どもはどんどん冗舌になっていくはずです。『たし算ひき算 10マス計算ドリル 左利き用』杉渕鐵良 著/学研プラス(2019)■ 東京都公立小学校教諭・杉渕鐵良先生 インタビュー一覧第1回:先取り学習はこうやれば効果的。「就学前学習ってどうなの?」に“教育の鉄人”が回答!第2回:「ちゃんと宿題やりなさい!」に効果がない理由。子どもに“響く”声かけの方法とは?第3回:子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!第4回:算数の力は“楽しく”伸ばす!地味で単純な「四則計算」を笑うほど面白いものにする工夫(※近日公開)【プロフィール】杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)1959年生まれ、東京都出身。東京都公立小学校教諭。小学校教諭となって7年目に子どもたちのやる気を引き出す独自の授業「ユニット授業」を開発。その成果により、「教育の鉄人」と呼ばれ、2011年には「ユニット授業研究会」を設立。若手教員の指導にあたる他、講演のために全国各地を飛び回っている。『小学校教師だからわかる 子どもの学力が驚くほど上がる 本物の家庭学習』(すばる舎)、『全員参加の全力教室2 燃える! 伸びる! 変わる! ユニット授業』(日本標準)、『1日1枚5分でできる 漢字パズル』(すばる舎)、『自分からどんどん勉強する子になる方法』(すばる舎)、『子どもが授業に集中する魔法のワザ!』(学陽書房)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月26日元号が変わり、言葉に対する興味が高まっています。今年は例年にない「国語ブーム」の予感がします。こんにちは。ゆか先生です。5回に渡り、国語辞典がなぜ子どもに必要なのかということや、選び方、引き方など、いろいろなお話をして参りました。最終回は、まとめとして、国語辞典を使えるようになった子どもたちのその後、また子ども用辞典から一般の国語辞典への移行についてお話しします。質問もいくつか届いていますので、それにお答えしたいと思います。国語辞典を使えると第1回でもお話しましたが、辞書を引くとは「分からないことをどうやって調べるか」の基本動作を身につけることです。辞書が上手に引ける子は、調べ学習の基本動作が身につくのです。この動作に慣れてくると、辞書を引くことがおっくうだと思わなくなり、むしろ楽しむようになってきます。私の生徒の中にも、授業の途中で何回も辞書を引く子がいます。例えば「これはどういう意味だか分かる?」と聞いた時、辞書を引く習慣がない子は「分からない」とか「知らない」と答えます。そしてそのままで、私が「これはね……」と意味を説明するのを受け身でずっと待っています。「分からない」と答え、まるで任務を果たしたような顔をする子もいます。「分からない」と思った段階で、ではどうしたらいいかという次の行動がとれないのです。この状態は何も辞書に限ったことではありません。世の中の様々なシーンで見られます。痛ましい事故が起きたらショックを受けるだけで、ではどうしたらそういう事故が起こらないようにできるかという考えまで発展しない、不利益を被ったら憤るだけで、対応策を練れない、そんな若い人もいます。どうして次の行動を考えないのか聞くと、それさえ「そんなこと知らなかった」と言います。「教えてもらっていない」というどうしようもない回答も。もちろん、国語辞典がこれら全ての問題を解決するわけではありませんが、「分からない」→「調べる」の反射的な行動がとれるようになると、「問題」→「解決」の基本動作が楽になります。また、当然ですが、辞書をよく引く子は、語彙が豊富です。知っている言葉を使う機会があると、どんどん使います。そうして、もやもやとした気持ちやあやふやな考えを言語化して、より相手に伝わりやすくできます。【例】1. おもしろかった。2. どれもこれもおもしろくて、まるで夢を見ているような一日だった。1. 弟がどんどん散らかすので、いや。2. 幼い弟が、片付けるそばから散らかすので、私は途方に暮れる。同じ状況を表しているにしても、ずいぶん印象が違いますよね。言葉を知っていると、こういう差が出るのです。作文を書かせてみると、国語辞典を引いて言葉を多く知っている子は、感情のひだが深い気がします。もしかしたら、感情自体もより深まっているのかもしれません。私が一番有利だと思うのは、自分の気持ちが説明できる点です。楽しい時はどんなふうに楽しいのか、そして、いやなとき、しんどいときはもっと大切です。反抗期に入ると、親からのアプローチが難しい辞書を引く学習はいつからでも取り組めます。でも、第1回でお伝えしたように、学校で始める小学校3年生、4年生の時期では遅すぎるというのが私の考えです。その理由として「反抗期」の存在があります。いわゆる親の言うことを聞かなくなる時期です。この時期「親に反抗する」ことは、人間が成長する上で本当に大切なこと。ですから、むしろ成長の証として反抗期自体は歓迎するのですが、「親子で辞書を引いてみる」状態をスタートさせるのには、かなりエネルギーを要します。そういった意味でも、小学校低学年くらいがちょうどいいと考えます。大人の国語辞典への移行では、低学年から取り組めたとして、次のステップは何でしょう。そうですね、大人の国語辞典への移行時期です。これは特に何歳からという定規はありませんが、お子さんが子ども用辞書に飽きたような顔をした時が替え時です。つまり、たいていの言葉を引き終わった、説明が幼すぎる、そんな状態が出てきます。「ぼくの辞典じゃ載っていないけど、ママの辞典にはあった」なんてことがあったら、それはズバリ乗り換え時期ですね。急に大人用に移行しても構わないのですが、ここで中学生向けの辞書を紹介します。大人の辞書では、引いた言葉の意味を理解できない場合があります。言葉の説明に使われている漢字が読めない場合もあるでしょう。そんな時は、このあたりの辞書を過渡期に使っても良いと思います。■ 三省堂『例解新国語辞典』第九版林四郎(監修)/篠崎晃一(編修代表)、相澤正夫・大島資生(編著)★出版社のページでセールスポイントをチェック!■ 学研『現代標準国語辞典』改訂第3版林史典、林義雄、金子守(編集)★出版社のページでセールスポイントをチェック!■ 旺文社『標準国語辞典』第七版古田東朔(監修)★出版社のページでセールスポイントをチェック!国語辞典に関する保護者の方からの質問国語辞典に関する質問もいただいているので、少しお答えしたいと思います。【質問】片付けないで、リビングに置きっぱなしになっています。【回答】置きっぱなしでOKです。例えば、靴下やおやつの袋など、本来リビングにあるべきものではない物が置きっぱなしになっていたら、片付ける必要がありますが、第3回でお伝えしたとおり国語辞典はリビングにあった方が良いものです。ですから置きっぱなしでOKです。ふとしたときに家族も手に取ることができて、便利です。学習効果が二の次になっても良いのであれば、インテリアを優先しても良いと思いますが……。【質問】調べた時に、書いてある意味が分からず、親がかみ砕いて説明しなければならないことがあります。【回答】親にとっても大きなチャンスですね!ぜひ、かみ砕いて説明してあげてください。引いた言葉の意味が分からない時にどうしたらいいかについては、第4回で詳しく解説しています。【質問】そもそも知らない言葉を知ることはできないのでは?【回答】深イイ質問ですね。基本的に辞書は知らない言葉を見聞きした時に引くものです。なので「知らない」ということを自覚しないと引けないのです。その言葉の意味が分からないと先に進めない時などは、まさにそうで、切迫して調べるものです。私の息子も小学3年生の時に、ハリー・ポッターの本を読みたい一心で、辞書を引きながら読んでいました。あまりに知らない言葉が多かったのでしょう。それでも、先を読みたい気持ちが、辞書引きの面倒くささを上回ったようです。本は読み進められても、引いたあと、意味を忘れてしまうこともあります。でも、「知らない言葉」と「忘れた言葉」は違うのです。付箋紙による辞書引き方法は第4回で紹介したとおりですが、引いた言葉に付箋紙を貼ると、二度目に引いた時、「その言葉を忘れている」ということを知ることができます。本来、人間「忘れている」ことは、思い出せないのです(笑)。私の子ども時代は付箋紙というものがありませんでしたから、辞書で引いた言葉に赤ペンを引いていました。二度目の出会いは、自分の記憶力の低さにがっかりもしますが、もう一度覚え直す良い機会になりました。また、言葉を増やすことは、知識を増やすだけでなく、概念を増やすことになります。例えば「敷居」という言葉があります。門の内外や部屋の内外を仕切る戸・障子・襖などをあけたてするために、地面や床に渡した溝付きの横木のことを言います。バリアフリーのマンション事情で、この「敷居」がない家があります。そうすると、その家に住んでいる子の概念に「敷居」は存在しません。では、この子は一生「敷居」という言葉に出会わないかというと、そうではありませんよね。大人になってから「あの店、すっかりご無沙汰で。敷居が高くて入れなくなっちゃったんだよ」とか「どこの馬の骨とも分からないやつに、うちの敷居はまたがせない!」(笑)なんて言われた時に、敷居の前で初めて辞書を引くなんてことはないわけです。この「敷居が高い」は「高級店に入りにくい」という使い方は間違いで、「不義理があって入りづらい」時に使いますが、そういう「慣用句」としても使いますし、上にある「鴨居」とセットだと分かったときに、日本建築の美にも触れられます。「そういえば、布団って『しく』って言う?『ひく』って言う?」なんて雑談にも発展させられます。そして、たとえ家になくても、言葉から覚えてしまうという方法もあるというわけです。また、言葉は、もやっとした概念に名前をつけるという意味を持ちます。学校の授業で習った言葉を辞書で引き、あとになって、その言葉に実体験の場で再会した時、初めて腑に落ちるということもあるでしょう。さらに、調べた言葉のそばに載っていた言葉の方が気になって、読んでしまい、そちらの言葉が、以前から名前をつけられなかった感情と結びつくこともあります。差別、嫉妬、希望、後悔。たとえばこんな言葉は赤ちゃんの辞書にはないわけです。でも、成長し、心のひだが増えるにつえ、これらの言葉の持つ感情を経験し、この感情には名前があるのだと知った時、これは名前をつけるほど、誰にでもある感情なんだということを知るでしょう。それはとても大切なことなのです。おわりになんだか壮大な話になってしまいましたね。でも「言葉」とはそういうものです。人間は、考える時と表現する時に言葉を使います。どちらも、語彙が多いほど、深くなります。チコちゃんのせりふではありませんが、ボーッと生きてるんじゃないよ!と叱られるような大人にならないために、できるだけ多くの言葉を教えたい。私はそう感じます。その方が個としても役に立ちますし、社会としても良くなるのです。学校では小学校3年生や4年生で教える国語辞典。でも、言葉に強い興味を抱き始める時期はもっと早いということ、そして、反抗期前ということで、親子一緒に取り組める時期であるということ、こういう点から、5、6歳の時期に、国語辞典と出会うことがとても大切であるということがおわかりいただけたと思います。ぜひ、お子さんと書店に出かけてみてください。そして、国語辞典のコーナーを覗いてみてください。素敵な辞書に出会えますように。そして素敵な言葉たちに出会えますように。■ 連載『ゆか先生の 国語辞典の世界へようこそ』各回の内容第1回:国語辞典でこの時代を生きぬくための基本動作が身につく第2回:子どもにぴったりの国語辞典を選ぼう! 電子辞書ってどうなの?第3回:初めての国語辞典。カバーは?置き場所は?どんなふうに引くの?第4回:ゲーム感覚でやる気をアップ! 付箋紙やノートで記録する方法など第5回:漢字辞典、百科事典、ことわざ辞典、四字熟語辞典、語源辞典など、子どもの世界の辞典いろいろ第6回:まとめ国語辞典を使えるようになった子どもたちのその後
2019年05月22日春です。新学期が始まりました。書店では、かなり目立つ場所に国語辞典が山のように積まれています。『辞書フェア』なども開催されます。中学や高校ともなると、新1年生に対して指定の辞書を買うように指示がある学校も。しかし、積まれている辞書、圧倒的に種類や量が多いのは、小学生向けの辞書です。そういえば、うちの子の小学校ではどうしているんだろう?買わなくていいのかな?よその家ではどのようにしているのかしら?そもそも辞書って、何歳くらいに引けるようになるものなの?辞書の引き方って小学校で教えてくれるのかしら?そんな不安にかられる保護者の方、いらっしゃいませんか?新しい探究型の授業でスタートラインに立てない子どもこんにちは。ゆか先生です。インターネット上で、国語塾「かきまくれっ!こくごトレーニングペーパー」を開いています。私の講座では、小学1年生から辞書を使うように薦めています。言葉に関心を持ち、ひらがなが読めるようになる。とても良いタイミングです。辞書を引けるようになると、ズバリ、いいことしかありません。先日、高校の先生方と一緒に、今年度入学の高校1年生から新科目となる「探究」についての勉強会に参加しました。新しい授業の方法と評価の仕方を知る必要があるので、どの先生も熱心でした。しかし、いざ問題点を書き出してみると「そもそもディベートやアクティブラーニング型授業の際、スタートラインにさえ立てない生徒たちがいる」ということが分かりました。そしてそれは小学校でも同じなのです。今の小学校は、昔のように教師が一方的に知識を与える「講義型」の授業ではなくなってきています。グループに分かれ、自分たちで問題を探し、解決するスタイルが増えてきています。そこでは、次のような能力が求められます。1. 課題を設定する力2. 情報を収集する力3. 整理・分析する力4. まとめ・表現する力つまり、子どもが、自分で課題を設定し、情報を収集し、整理分析し、まとめて表現するということが求められるのです。親の代が経験した、机の前に座り、先生が板書することをノートに写していた授業形態とは大きく異なります。さて、その時、先ほど挙げたような力が必要になるのですが、その下地となる力、基礎となる力が、「辞書」で身につけられる。私はそのように確信しています。もともとアクティブラーニングとは、大学のために用意された言葉です。大学では一方的な講義が主流だから、そこを改善しようとしたわけです。小学校では以前から「調べ学習」を取り扱っていました。それが、アクティブラーニングという言葉が大学から下りてきたせいで、その時間を確保するため、辞書で意味調べをするような時間が減ったそうで、そのことを小学校教諭の友人が嘆いていました。それはまるで、基礎トレーニングを積まないまま、スポーツの大会に出るような感じだと思います。ボーっと生きてんじゃねーよ!辞書が引ける子とそうでない子では何が違ってくるのでしょう?分からない、知らないことに出会った時、なぜなのか調べもせずに生きていると、チコちゃんに叱られます(笑)。チコちゃんの番組でも色々取り上げられますが、大人でも「そういえばなんでだろうね?」ということがありますよね。まして、子どもにとっては、世の中全体が分からないことだらけなのです。知らなくてもいい。分からなくてもいい。それは思考停止、思考放棄の状態であり、私はとても危険だと感じます。分からないこと、あいまいなことを、きちんと調べて自分の知識とする習慣がほとんどない子が増えてきていると、小学校教諭の友人から聞いています。辞書を引くとは「分からないことをどうやって調べるか」の基本動作を身につけることです。辞書が上手に引ける子は、調べ学習の基本動作が身につくのです。この動作が慣れてくると、辞書を引くことがおっくうだと思わなくなり、むしろ楽しむようになってきます。私の生徒の中にも、授業の途中で何回も辞書を引く子がいます。インターネット検索が気軽にできない子どもの場合、辞書は力強い友達です。そして、「分からないことをそのままにしない」という基本姿勢は、何物にも代えがたい「生きる力」を子どもに与えます。分からないことをそのままにしないということは、自分の知識を増やすという結果だけではなく、姿勢そのものが大切なのです。例えば、身近な社会問題に対して、「よく分からないけど、ま、いいか」という姿勢と「よく分からないから調べてみよう。そうか。そういうことなのか。じゃあ、今度こうしてみよう!」という姿勢との差。1回1回でこの差があるとしたら、どれだけ未来が違うか想像がつくでしょう。私は、国語辞典で、この時代を生きぬくための基本動作が身につくと言っても言い過ぎではないと思います。学校では3年生から。でもそれでは遅い!さて、小学校では3年生から国語辞典の使い方を教えます。小学校教諭の友人に聞いてみたところ「集団学習では小3からが限界」とのことでした。そうです。学校は集団学習ですからね。一人一人どのように辞書と友達になるのか、見ている環境ではないのです。私だって仮に40人の子どもの面倒をいっぺんに見なくちゃいけないとしたら、一人一人辞書引きに付き合ってなんていられません(笑)。それはいたしかたないことです。だとしたら、できない部分は家庭が担う方が良いのではありませんか?もっと小さい子に目を向けてみましょう。3才から5才くらいの子どもは何でも分からないことを聞いてきますよね。「ママ、○○ってなあに?」「ママ、○○ってどういうこと?」そんなふうに聞いてくるのは「言葉」に興味がある証拠です。私はこんなチャンスはないと思っています。もちろん、パッと答えそのものを教えるのは簡単ですが、時々辞書を一緒に引いてみてはどうでしょう?という提案です。辞書は、子どもの知りたいという気持ちに答えてくれます。そして、5、6才になると、子どもはひらがなが読めるようになっています。この時期こそ、チャンス!これから、全6回にわたり、国語辞典について、一緒に考えていきましょう。そして、この連載が終わる頃、国語辞典を前にして、わくわくしているお子さんの顔がありますように。■ 連載『ゆか先生の 国語辞典の世界へようこそ』各回の内容第1回:国語辞典でこの時代を生きぬくための基本動作が身につく第2回:子どもにぴったりの国語辞典を選ぼう! 電子辞書ってどうなの?(※近日公開)第3回:初めての国語辞典。カバーは?置き場所は?どんなふうに引くの?(※近日公開)第4回:ゲーム感覚がやる気をアップ! 付箋紙やノートで記録する方法など(※近日公開)第5回:漢字辞典、百科事典、ことわざ辞典、四字熟語辞典、語源辞典など、子どもの世界の辞典いろいろ(※近日公開)第6回:まとめ国語辞典を使えるようになった子どもたちのその後(※近日公開)
2019年04月10日「これからの子どもには『考える力』が必要だ」という言葉をここ数年よく目にするようになりました。しかし、その「考える力」とはどういうものなのでしょうか。お話を聞いたのは、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員の小川大介さん。小川さんによると、「『考える力』とは明白なる『技術』」なのだとか。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「考える」と「悩む」はまったく別のもの「考える力」とひとことでいっても、人によって定義はばらばらです。いま、大学入試改革に伴っていわれている「考える力」とは、「自分なりの価値観を明確にして社会との関係づくりをしていける力」。いわば、自己決定力のことです。わたし個人としては、これを「考える力」と呼ぶのはちがうように感じています。では、わたしが定義する「考える力」とはなにか――。それは、事象を正確にとらえて分析し、課題を設定する。そして、情報など自分が使えるあらゆるものを組み合わせることでなんらかの変化を生み出していく。その一連のプロセスを進めていける力こそが、「考える力」なのだと思います。はっきりお伝えしておきたいのは、「考える」と「悩む」はまったく別のものだということ。なにかを目の前にして「うーん」とうなって止まってしまう。これは、「考える」ではなく、ただ悩んで苦しんでいるだけです。なぜそこで悩んで苦しむかというと、先に述べた一連のプロセスを経ていないからです。なにが課題なのかを見つけようとしないままに、「答えらしきもの」が浮かんでくることを追い求めているだけ。だから、もやもやとして苦しいわけです。ものごとを明確にすることには、いまなにが起きているのかを見る、情報を集めるというステップ、あるいは、時系列に並べ直す、重要度を整理するといったファクターがある。そして、そういうものを割りつけていきながら、ものごとを徐々に分解しまとめていく必要があります。つまり、「考える」とは明白なる「技術」なのです。親子の会話で子どもの「考える力」を伸ばすでは、どのようにその技術を身につけさせればいいのでしょうか。ここでは、家庭での親子の会話でできることを紹介します。たとえば、ヨーロッパの難民問題のニュースを親子で見たとします。子どもに「これってなに?どういうこと?」と聞かれた。そこでただ教えてしまっては、子どもは考えるプロセスを身につけることはできません。かといって、いきなり「どう思う?」と聞いても、まだ考えていないのですから、自分なりの答えは返ってこないでしょう。そうではなく、順を追って問いかけるのです。まずは「難民って知ってる?」と問いかけ、知らないのなら一緒に調べてみる。そして、「なにが起きているのか」という現状を一緒に確認します。難民にはどんな事情があり、なぜヨーロッパの人たちは怒っているのか、ニュースのコメンテーターはどう解説したかといったことです。次に、「もし自分が難民の側だったらどう思う?」「逆にヨーロッパの人だったら?」と、立ち場を変えて想像させてみます。こうしてようやく、「じゃ、あなたはどう思う?」「どうしたらいい?」という問いかけの段階に至ることができ、「もっとよく話し合ったらいい」といった子どもなりの答えにたどり着かせることができるわけです。もしかしたら、結局「わからない」という答えが返ってくるかもしれません。でも、そこに至るまでの問いかけによって、考えることに必要なプロセスを経ているのですから、子どもにとっては「考えるトレーニング」になっているのです。一様に国語の勉強を押しつけるのはよくないいまの例で、まず難民という言葉を調べるとお伝えしました。考えるという行為は言葉を使ってするものですから、考えるためには考えるべきことに関連する言葉の意味を知っている必要があります。つまり、「考える力」を伸ばすためには、国語力が重要なキーワードとなります。とはいえ、幼い子どもに一様に国語の勉強を押しつけるのは間違いです。というのも、子どものタイプによって言葉にあまり関心を示さない、「言葉に反応したくない」という時期があるからです。それは、一般的に小学校1~2年生の頃に表れます。比較的女の子に多いのが、いろいろな言葉を覚えることが好きなタイプ。一方で男の子に多いのは、「同じ内容を表せるならどの言葉でもいい」と考えるタイプです。前者はものごとが定まっていくことですっきりしたいタイプで、言葉を知ってものごとがはっきり見えてくることで安心できるということ。すると、自然にコミュニケーション力も上がるので、その子どもにとっては単語力の重要性がさらに増していくことになります。後者は、いわば「算数タイプ」。言葉にあまり反応しない代わりに数字に強い、算数が得意な傾向があります。数字というのは抽象化されたものですよね。みかんが3個でも本が3冊でも、同じ3です。算数が得意な子どもは、ものごとをまとめていく抽象化能力に長けているのです。そして同時に、表現の広がりに対して関心を示さないということでもあります。さらに、「言葉も数字もまどろっこしい、直接見たい」「わからないことはとりあえずやってみたい」と考える、「体感タイプ」といえるタイプの子どももいます。算数タイプ、体感タイプの子どもに無理やり国語の勉強を押しつけると、確実に国語が嫌いになってしまいます。もちろん、コミュニケーション力はどんなタイプの子どもにも必要なものです。「言葉に反応したくない時期」を過ぎる9歳くらいになれば、タイプを問わずコミュニケーションに必要な国語力を伸ばしてあげないといけません。とはいえ、大前提としては、それぞれのタイプや成長段階を踏まえてその教育をする必要があります。まず親が国語力の4要素を知るでは、子どもの国語力をアップさせるためにはどうすればいいのでしょうか。やみくもに問題集をこなせばいいわけではないし、たくさんの本をただ読めばいいわけでもありません。重要なのは、国語力というものがどのように成り立っているかを親が知ることです。国語力は4つの要素にわけられます。「語彙力」がベースにあり、その上に「読む力」「解く力」「答える力」があるという構成です。ひとつのテーマを与えられたときに、それに関連する情報をどれだけ頭のなかに広げられるか。それが「語彙力」。「読む力」は「内容を理解し要約する力」。「解く力」は「情報を分析する力」です。随筆や小説を扱う場合なら、登場人物の立ち場や心情を理解する「共感する力」も「解く力」に含まれるでしょう。そして、「答える力」はいわゆる「表現力」です。「答える力」は、2段階にわけられます。自分のなかにあるものをなんらかの言葉にいったん置く第1段階。表現する相手を想定してさらに言葉を置き換えていくという第2段階です。国語力にはこういう要素があることをまず親御さんが理解することが大切です。というのも、国語が苦手な子どもがどこでつまずいているのかを知らなければ対処できないからです。そもそも言葉を知らないのなら、意味を調べることを教えないとならない。言葉を知っていて読むこともできているのにテストの点数が悪いのなら、「解く力」が足りないと考え、どのように問題をとらえたか、どう思ってその答えにしたのかを子どもに聞いて、「解く力」をつけてあげなければなりません。どの段階でつまずいていて、その原因がどこにあるのか。子どもと一緒に分析して対処してほしいと思います。『親も子もハッピーになる最強の子育て』小川大介 著/ウェッジ(2018)■ 中学受験のプロ・小川大介さん インタビュー一覧第1回:“国語嫌い”になりやすい子どものタイプと、親がやりがちな間違った教育法第2回:“リビング学習でかしこくなる”は勘違い。東大生がリビングで勉強する本当の理由(※近日公開)第3回:子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法(※近日公開)第4回:“後伸び”する子としない子の違い。成長後に学力が急伸する幼少期の過ごし方(※近日公開)【プロフィール】小川大介(おがわ・だいすけ)1973年生まれ、大阪府出身。ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』」主任相談員。プロ家庭教師集団「名門指導会」副代表。京都大学法学部卒業。関西最大手の進学塾の看板講師として活躍後、個別指導教室「SS-1」を創設。教科指導スキルに、声かけメソッド、逆算思考、習慣化指導を組み合わせ、短期間での成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。家庭をひとつのチームと見立てておこなう独自のカウンセリングは実施数5000回を超え、高い精度でクライアントを成功へ導いている。受験学習はもとより、幼年期からの子どもの能力の伸ばし方、親子関係の築き方といった子ども教育分野でも定評がある。著書に『1日3分! 頭がよくなる子どもとの遊びかた』(大和書房)、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『親子で学べる! カピバラさんドリル 小学社会47都道府県』(かんき出版)など多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月04日親ならば、「子どもには頭が良くなってほしい」と願うことはあっても、「頭が悪くなってほしい」と願うことはありません。では、そもそも学力を高めるためにはどんな力が必要なのでしょうか。素人だと教科によってちがうと思ってしまいがちですが、V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、「学力を高める力とは言語能力」だと断言します。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強ができるということは言語能力が高いこと親御さんが子どもに「勉強ができるようになってほしい」と願うのなら、「言語能力」を伸ばしてあげることを心がけてください。「勉強ができるということは言語能力が高いことに他ならない」というのが、教育に長く携わってきたわたしの結論です。言語能力というと国語というひとつの教科に限られた力だと思われるかもしれませんが、あらゆる勉強は言葉を使ってするものです。数学だって言語で説明されて理解できればいいのですからね。言語能力は、大きくふたつにわけられます。耳にした、目にした言語を正しく受け取る「了解能力」と、自分の意志を正しく相手に伝える「運用能力」です。これらを伸ばすには、実践するしかありません。つまり、「本を読み、文章を書く」ということ。ただ、どちらもまだ難しいような幼い子どもの場合、まずは「聞かせる」ことからはじめます。子どもにきちんと言語を理解させるには、「読み聞かせ」が重要です。人間というのは知能がすごく発達した動物です。それこそ、親が話していることを聞いているだけでしゃべれるようになるのですから、本当にすごいことですよね。赤ちゃんは、言葉を覚えようと大人以上に注意深く親の言葉などの周囲の音を聞いている。その前提を思えば、幼少の時期に正しいリズムの日本語を聞かせてあげる必要があります。言語能力を高めるには過去の名作を音読する正しいリズムとは、例を挙げると石焼きいもの移動販売車から聞こえてくる「いしや~きいも~」の呼び声。「たけや~、さおだけ~」もいいですね。これらに共通する特徴とは「一音一音切っている」ということ。これが日本語の音読のベースなのです。「ショッピング」という言葉も、英語の正しい発音だと日本人には「ショピン」に聞こえますよね。英語は子音で終わることが多い言語であることに対して、日本語は一音一音に母音がつく言語なのです。幼い子どもには、きちんと一音一音切って遠くに話しかけるような日本語に触れさせることが大切です。では、具体的になにを読み聞かせればいいのでしょうか。わたしは、「古典」を聞かせることを提唱しています。もちろん、子どもが言葉を理解しはじめれば、本人に音読をさせます。古典を読み聞かせること、音読させることに驚いた親御さんもいるでしょう。ただ、これには明白な理由があります。『徒然草』をきちんと一音一音で切って音読すると、子どもの国語の力はぐっと伸びます。どういうことか説明しましょう。言葉は時代につれ徐々に変化していますが、当然、その変化は前の時代の言葉を受けたものです。『徒然草』は、江戸時代に寺子屋と藩校でもっとも音読された随筆で、当時の役人や作家など文章を書く人間に『徒然草』を知らない人はいません。つまり、前の時代にテキストとしてよく読まれたものを音読すればするほど、その後ろの時代――この場合であれば、現代の言葉の力が高まるというわけです。では、『源氏物語』や『枕草子』を楽に読めるようになるにはどうすればいいのか。その答えは、その前の時代の『古今集』を音読することです。そしてさらに、『古今集』を楽に読めるようになるには、その前の時代の『万葉集』を音読するのです。読み方の手本は「宮中歌会始」です。新春恒例の行事ですから、ニュース等で目にしたことがある人も多いでしょう。そのイメージで、『徒然草』なら「つ、れ、づ、れ、な、る、ま、ま、に」と一音一音切って読んでみてください。読むだけで子どもの頭が良くなる本があるわたしは、実験として幼い子どもがいるお母さんばかりを集めて古典の音読会を2年間ほど続けたことがあります。その結果、子どもたちの国語力は爆発的に伸びました。まだ小さいのに、みんなが長いセンテンスでしゃべることができるようになったのです。とはいえ、古典にとっつきにくさを感じる親御さんもいるかもしれません。でも安心してください。戦後に生まれた文学作品や絵本のなかにも、正しい日本語の系譜を受け継いでいる作品はたくさんあります。それらは、わたしの著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)で「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」として紹介しています。これは、400冊を超える作品のなかからわたしが実際に音読して選びました。選んだ本は、一音一音切って読んで、意味が綺麗に伝わってくる作品ばかりです。作家、絵本作家のなかにも日本語本来のリズムがきちんとわかっている人がいるのです。ただ、「何歳のお子さんにはこの作品」と、年齢別におすすめ作品を紹介することはできません。子どもはそれぞれ成長に差があるので、一概にどの本がいいと決められないからです。とはいえ、著書で紹介した145冊はいずれもわたしが自信を持っておすすめできるいい作品ばかり。そのなかから気になる作品を選んで子どもに読み聞かせをしてあげたり、子どもに音読させたりしてみてください。間違いなく、子どもの国語の力は大きく伸びていくはずです。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針(※近日公開)第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫(※近日公開)【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月01日2020年度に大きく変わる「大学入試共通テスト」では、知識の詰め込みだけではなく、思考力や判断力が問われるようになります。このような力を養うためには、机の前での「The 勉強」では身につきません。実は、日常生活の中の新しい経験や楽しい体験こそ、思考力や判断力が自然と身につけられるチャンスなのです。そこで今回は、その具体的な方法をご紹介します。日常や非日常の体験の中でこそ記憶に残る!子どもの考える力は、無限の可能性を秘めていると言われています。しかし、小さな子どもの思考力を引き出すには、親の手助けが必要です。なかでも日常生活と勉強をリンクさせる方法が、もっとも有効なようです。意識的に、日常生活に学校で学んだことを応用させることで、学習内容をより定着させることもでき、さらに思考力や判断力、さらには応用力も養うことができるのです。そこで実践したいのが、買い物やスケジュール管理、お出かけの計画などの経験や体験。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初体験のことばかり。初体験というのは、子どもにとってすべてが学びであり、その経験から大切なことをどんどん吸収していきます。子どもは自分の体験で得た知識はそう簡単には忘れません。理科・社会は私たちの生活と関わる教科なので、日常生活の中でも様々な体験ができますが、いつもと違う場所でいつもと違う体験をするほうがより記憶に残ります(引用元:日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】)子ども主体で考え、判断させる実例集それでは、実際にどんな方法があるのか実例をご紹介します。子どもの年齢や、学校で習っている学習内容に合わせて、どんなことに挑戦できるかをご両親が判断してみてください。■決まった金額内で買い物をする足し算や引き算、掛け算などを学校で勉強し始めたら、子どもに買い物を頼んでみましょう。慣れるまでは一緒に買い物に出かけて、後ろから見守ってあげるのでもいいですね。500円や1000円など、あらかじめ予算を決めておいて、その予算を越えないように買い物をするよう伝えます。余ったお金でお菓子を買っていいよとご褒美をあげれば、足し算と引き算を使って、いくらのお菓子が買えるのかを一生懸命計算するでしょう。ほかにも、一緒に買い物へ行って会計をする時に、お釣りの小銭が少なくなるように考えさせると、思考力が身につきます。小さなお子さんであれば、100円を渡して駄菓子を自分で計算させながら買うのもいいですね。<この体験で身につく力>思考力判断力計算力■お出かけの目的地や交通手段を考える親子でのお出かけは、子どもにとって新しい経験がいっぱい。いつもは親が決めてしまう休日のお出かけ先を、たまには子どもに決めさせてみましょう。子ども主導で計画を立て、家族で出かけてみることもよい経験です。ガイドブックやインターネットを見ながら、目的地を決めましょう。そのときに、日帰りでも行ける場所なのかを地図で確認しながら決めるといいですね。地図を学習している時期であれば、学習内で勉強した地名などを絡ませて、行き先を決めるのもおすすめです。行き先を決めたら、そこまでの交通機関を一緒に考えてみましょう。地図上で目的地を見ながら、電車で行きやすい場所なのか、駅からは徒歩なのかバスなのか、車で行く方が便利なのか、ご両親がアドバイスしながら経路を考えてみます。このような経験を通じて、子どもは自ら考える力や、交通手段などを比較して決定する判断力を養うことができます。また、実際にその場所に行ってみると、計画通りにいかないことも出てくるでしょう。その時に、どうして上手くいかなかったのか、どうすれば上手くできるのかをもう一度考えてみると、そこで応用力も育まれます。そして、地図を見ながら目的地までも、ぜひ子ども主体で動いてみましょう。親にとっても新しい発見があり、親子で新鮮な体験になるはずです。<この体験で身につく力>思考力判断力応用力地図を読む力■お出かけ先でのスケジュール管理時計が読めるようになったら、日常的な声掛けで、「○時に家を出るけど、あと何分ぐらいある?」などと、クイズ感覚で問いかけてみることで日常生活と勉強を“リンク”!子どもの「判断力」「応用力」「計算力」を鍛えるよい方法ですね。そして、日常生活の中で時間の管理がある程度できるようになったら、お出かけ先でのスケジュールを子どもに組み立てさせてみてはいかがでしょうか。一日のスケジュール表を紙に書いて、「○時にここに着くには、何時に出ればいいかな?」「お昼には何分ぐらい時間を取ろうか?」など、最初はご両親と一緒にスケジュールを組み立ててみましょう。慣れてきたら、自分で考えさせてみて、ご両親が無理のないスケジュールになっているかを確認してみるのもいいかもしれません。そして実際に現地へ行ってみて、スケジュール通りに回れたのか、回れなければどこで時間がかかったか、時間が足りなかったのかなどを、一緒に話し合ってみるのもおすすめです。子どもはその体験をもとに、次回は時間の管理を工夫することができるでしょう。時間の配分を予測したり、改善したりすることができるようになると、日常生活や学校生活の時間の使い方も上手にできるようになるでしょう。<この体験で身につく力>思考力判断力時計を読む力時間の使い方臨機応変に動く力3つのアプローチを親が意識しておく!買い物やお出かけの計画などを、ただ経験させるのではなく、以下のようなことを親御さんが意識しておくのがより効果的なようです。【「考える」とは】「自分の言葉で語れること(What)」「疑問に思うこと(Why)」「手段や方法を思いつくこと(How)」のいずれかのことをしているときに、「考えている」という状態になると考えます。通常の教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「どっち?」が多く、このようなインプットばかりのアプローチでは、考えるという行為は起こりにくいのです。(引用元:東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ)意識しておきたいのが、この3つのアプローチです。集団で行う学校での学習では、自分の言葉で伝えたり、じっくり時間をかけて手段や方法を考える機会が少ないのが現状。しかし日常での経験の中であれば、その機会は親御さん次第でたくさん与えることができるのです。〇自分の言葉で語れること(What)〇疑問に思うこと(Why)〇手段や方法を思いつくこと(How)買い物やお出かけなどをきっかけに、自分の言葉でどうしたいかを人に伝えられたり、そこで疑問に思うことを言葉にしたり、手段や方法を考えたりという経験をたくさんさせて、自然と考える力を身につけさせましょう。***知識をインプットするような机の上の勉強だけではなく、日常の中の経験と学習内容をリンクさせることで、自らの力で考え、判断する力が自然と身につきます。これが親子での楽しい体験であれば、子どもは「またやってみたい!」「もっと何かしてみたい!」という意欲にもつながります。たっぷり時間が取れる長期休みなどに、ぜひ親子で実践してみてくださいね。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|親子で過ごす時間が子供の学習能力を底上げする!日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ
2019年01月15日こんにちは。ライターの和です。何年も前から話題になっている「女子力」というワード。筆者も「女子力」という言葉をテレビや会話で聞くたびに、「本当の女子力とは・・・?」と疑問に思っていました。今回はそんな誰しも一度は聞いたことがある、「女子力」について考えたいと思います。女子力を上げる方法が知りたい人も、そもそも「女子力」の実態が分からないと行動できませんから、じっくり読んでみてくださいね。■「女子力」は「見た目を磨くこと」だけじゃない「女子力」というと最初に思いつくのが、メイクやファッション、ダイエットなどの外見に力を注いで「かわいくなること」だと思います。もちろんこれも確かに女子力のひとつです。かわいくなると外に出たくなるし、実際に「モテる」というイメージはあります。でも見た目だけ努力することを「女子力」と呼ぶのかというと、それはちょっと違いますよね。■小手先の「女子力アピール」は、割とすぐバレる見た目がかわいくて良い香りがしたら、男性も「この子イイじゃん!」と飛びつきます。食事の席でおしぼりやお皿を配るのも、同じように「優しい!」と良い印象を与えますよね。でもそれも最初のうちだけなんです。話しているうちに「あれ?この子、性格悪いな」「自分じゃ何もできないじゃん」なんて思われてしまうと、彼らもすぐに離れて行ってしまう。しかもみんなが付き合いたいと思うような男性ほど「この子はハリボテだな」とすぐに察知するのです。なぜならモテる男性ほど、たくさんの女性を見てきているから。素敵な男性ほど、中身がしっかりしている。彼らは男女問わず、上辺だけの人には騙されないんですよね。つまりいくら外見を磨いたり、行動を見せつけたりしても、それは一時的なモテにしかなりません。でも私たちが望んでいるのって、一瞬だけ誰かにチヤホヤされることじゃないですよね?ひとりの男性に、長い間愛されたいと願っているんですよね?■女子力って結局のところ「人間力」なんです女子力の根本について考えてみると、結局のところ「人間力」にたどり着くのではないかと思います。つまり普通のことを普通にする。朝起きてご飯を食べて仕事へ行って、色んなことで悩んで、たまに楽しいことがあって。そういうごくごく日常的なことをすることに意味があると思います。逆にどんなにかわいくても、親のスネをかじって遊びまくっている人は、女子力が高いとは言わないと思うんです。話は戻りますがこういう普通のことをしていると、時には辛いことにも出くわします。そういう問題をひとつひとつ乗り越えたり、逆に「自分にできない」と判断する力を身に着けたりしていく。このように経験値が上がっていくと「これは違う」と思ったときに引き返せるようになるのです。そうすればダメ男と出会ったときも、たとえ好きでも「付き合わない」という判断ができますよね。わざわざ棘の道を進まなくて良いので、自分の心も穏やかになっていきます。そして「男子力」って言葉は聞かないけれど、いま書いたような「日常生活を送りながら学び、自分を成長させること」ができる男性って、やっぱりモテるんですよね。私たちがよく言う「誰か良い人いないかな~」「普通の人で良いんだけど!」に当てはまっている。だからやっぱり女子力だろうが男子力だろうが、結局のところ「人間力」につながっているんだと思うんです。■おわりにあくまで「かわいくなる女子力」がダメなわけではありません。でもたったひとりの人に長く愛される女子になりたいのであれば、こういった内面的な部分の「女子力」も並行して意識すると良いのではないでしょうか。(和/ライター)(ハウコレ編集部)
2018年12月01日何かをお願いする、催促する、自分の意見を言う…。言いづらいことを相手に的確に伝えるための語彙を研鑽。冷静でスマートな、大人の仕事力も身につきます。国語講師の吉田裕子さんに“攻めの語彙力アップ”のコツを聞きました。また、語彙力アップに使える例題もご紹介します。攻めの語彙力アップの大原則は、“クッション言葉”をつけること。「相手の時間を取り、プライドを傷つける可能性もあるので“こちらも遠慮をしています”ということを伝えるのがクッション言葉。ただ、下手に出すぎると慇懃無礼に取られたり、回りくどい言い方では、鬱陶しい印象になることも。重さと軽さの加減が大事です」その加減が難しいが、とにかく失敗を恐れずに使ってみること。「緊張しながら、ああ言おうか、こう言おうかと工夫するだけで文章力は上がるものです。また、定型文としてフレーズを覚えるのではなく、言葉の意味をしっかり理解しましょう。すると場面にぴったり合う言葉を使えるように。結果として、気持ちを込めて言うことができるので、相手の心に響き、思いが通じます。本当の語彙力は、心に通じるものなんです」「相手の時間を取り、プライドを傷つける可能性もあるので“こちらも遠慮をしています”ということを伝えるのがクッション言葉。ただ、下手に出すぎると慇懃無礼に取られたり、回りくどい言い方では、鬱陶しい印象になることも。重さと軽さの加減が大事です」その加減が難しいが、とにかく失敗を恐れずに使ってみること。「緊張しながら、ああ言おうか、こう言おうかと工夫するだけで文章力は上がるものです。また、定型文としてフレーズを覚えるのではなく、言葉の意味をしっかり理解しましょう。すると場面にぴったり合う言葉を使えるように。結果として、気持ちを込めて言うことができるので、相手の心に響き、思いが通じます。本当の語彙力は、心に通じるものなんです」以下では語彙力アップの例題を出題。以下の言葉を使って、実際に文章を作ってみましょう。問1不躾(ぶしつけ)ながら「躾」は和製漢字。たしなみ、品格などを表し、身を美しく整えた、凛とした印象を受ける言葉。「本来、このようなことは不作法であると承知しておりますが」という意味。柔らかい印象を与える女性向きの言葉。【解答例】不躾ながら、これから訪問させていただいてもよろしいでしょうか。問2お含みおきください「あらかじめわかっておいていただけたら」と言うより、女性らしく奥ゆかしい印象を与えられる表現。メールなどの書き言葉なら、「あらかじめご了承ください」という表現でも。シーンによって使い分けて。【解答例】完成が予定より遅れる可能性もあることをお含みおきください。問3遺憾に思う思ったような成果が上がらず「残念」の意。謝罪の場で使うと、自分の非を認めて謝ったことにならないので間違い。また、政治家が外交で他国を非難する場面で使う場合は、一番強い抗議の思いを込めた言葉となる。【解答例】誠実にご対応いただけなかったことを遺憾に思っております。問4お汲み取りください口にしがたい、詳しく伝えるのが躊躇される自分の事情をわかってほしいときに使う。「あなたの洞察力があれば、事情を汲み取っていただけるはず」というニュアンスも含んでいるので、相手を立てる意味合いもある。【解答例】どうか、こちらの事情もお汲み取りいただけませんでしょうか。問5僭越(せんえつ)ながら「僭越」の「僭」は分不相応に調子に乗ることを表した字。「私のような身分の低いものが、分不相応だとわかっておりますが」という意味。結婚披露宴など、人前でのスピーチの出だしによく使われる定型表現。【解答例】僭越ながら、この件は私に担当させていただけないでしょうか。吉田裕子さん国語講師。古典、近代文学、歌舞伎に精通。古典などを塾で教えている。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など。※『anan』2018年4月18日号より。イラスト・伊藤ハムスター取材、文・板倉ミキコ
2018年04月15日