国や自治体には、たくさんの子育ての支援制度があります。ここで紹介するすべての制度は、自分で申請をしないとお金はもらえません&戻ってきません。だからこそ、内容をしっかり把握して、適切なタイミングで申請をしましょう。■すべてのママがもらえるお金・ 出産育児一時金 (健康保険からの出産費用の助成金)・ 乳幼児医療助成 (乳幼児期の医療費をサポート)・ 児童手当 (3歳の誕生月まではひと月1万5000円)・ 医療費控除 (支払った所得税の一部が戻り、住民税が安くなる制度) ■働き続けるママがもらえるお金・ 傷病手当金 (つわりや切迫早産の時にも利用可能)・ 出産手当金 (産休中のママのお給料がわり)・ 育児休業給付金 (育休中の生活をサポート)■退職したママのための制度・ 失業給付の受給延長 (産後、再就職をめざすママのための制度)■条件に合えばもらえるお金・ 高額療養費 (医療費が一定額以上の場合、健康保険が負担してくれる)・ 未熟児療育医療制度 (入院・治療費の全額、または一部を支援)・ 児童扶養手当 (ひとり親家庭をサポートする)・ 保育園、幼稚園、学校にかかる費用を補助制度 ・ 小児慢性特定疾患の医療費助成 (国が指定した疾病の子どもをサポート)
2018年07月01日2年生から特別支援学級に転籍する娘。大丈夫かな…?2年生から特別支援学級在籍になった娘。1年生の10月、慣らしのために特別支援学級へ行くと決まった時は、1日1時間だったこともあり、簡単な説明で済ませてしまった私…。Upload By SAKURA娘も深く考えていないような、あっさりとした返事でした。しかし2年生からは、「自分のクラス」が特別支援学級になります。通常学級での娘は交流という扱いになるので、出席番号も一番最後に変わります。色んな変化で娘が戸惑うかもしれない…。ちゃんと理解することは難しいとは思いますが、私は娘に、なぜ特別支援学級に行くのかを丁寧に説明しようと決めました。「こんな時、あるよね?」娘に説明してみたそこで私は娘に、こんな風に話をしました。Upload By SAKURAUpload By SAKURAなんとなくわかっただろうか…いよいよ特別支援学級での新学期がスタート!初日の感想はまさかの…?心配しながらも2年生になる初日の朝、娘を送り出しました。この日、私は放課後、娘を学校まで迎えに行きました。通常学級のホームルームと、特別支援学級のホームルームを終え、出てきた娘は、ちょっと疲れているように見えました。初日の感想を聞くと…Upload By SAKURA2つも教室があってすごい…!?なんとも前向きなその考え方に、脱帽しました。教室移動もバッチリ!対応できている娘に一安心娘は今、国語と算数の授業を支援学級で受け、他の時間は通常学級で過ごしています。Upload By SAKURA本人も「国語と算数は特別支援学級」という流れをきちんと把握し、時間になれば、教科書をもってクラスを移動するそうです。娘は、変化に対して柔軟に対応できていました。娘に伝えたい「特別支援学級にいる意味」より大切なこと私たちが、迷いに迷って決めた特別支援学級という選択。娘に受け入れてもらえないんじゃないかと心配もしていました。しかし娘は、私の予想以上に支援学級をすんなり受け入れてくれ、なじんでくれています。おそらく娘は、特別支援学級にいる意味を完全には理解していないと思います。何故ここにいるのか、自分は何が苦手なのか…親としては、自分の特性や苦手を知る上で、将来的にはある程度理解してほしいと思っています。特別支援学級はみんなは通わないけれど、あーさんが成長する過程で必要な場所…ここは後ろめたく思う場所ではないということも。でも、ちゃんとわかるのは今じゃなくていい。それより、伝えたいのは『いる意味』よりも大切な、娘に合う場所で『マイペースに、ゆっくり頑張ろう』ということ。Upload By SAKURA新しくスタートを踏み出した娘を、引き続きサポートしていきたいと思います。
2018年06月13日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「死刑制度」です。世界は廃止が主流。加害者の人権をどう捉えるか。1989年~‘95年に起きた一連のオウム真理教事件。関連する刑事裁判がすべて終結し、麻原彰晃死刑囚をはじめ、死刑が確定した13人の刑の執行もまもなく行われるといわれています。日本の死刑の歴史は古く、5世紀の仁徳天皇時代からあり、現在の刑法に定められたのは明治40年です。しかし、世界では死刑制度は廃止の方向に進んでいます。1990年時点で、死刑制度のあった国は96か国、廃止国は80か国。2009年には死刑存置国は58か国に減り、廃止国は139か国に増えました。イギリス、フランス、ドイツなど、ベラルーシ以外の欧州諸国や南米諸国は廃止。アフリカでも廃止国が増えており、アメリカで死刑が存置されているのは一部の州のみです。中国も国際社会からの批判を受け、適用を厳格化することにしました。多くの国が死刑制度を廃止にした主な理由は、人権的な問題と、実は死刑が凶悪犯罪の抑止力にはならないと証明されたからです。国連人権理事会は、日本政府にも死刑制度の廃止や一時停止の勧告を行いましたが、政府は世論が求めていないからと、検討する構えを見せていません。平成26年度の内閣府の世論調査によると、80.3%の人が「死刑もやむを得ない」と答えました。「死刑は廃止すべき」が9.7%、「わからない、一概にいえない」が9.9%。「やむを得ない」と答えた人のうち5割以上の人が、その理由を「被害者やその家族の気持ちがおさまらない」「凶悪な犯罪は命をもって償うべき」としています。そして、「死刑を廃止すると、凶悪犯罪が増える」と考える人が57.7%いました。しかし一方で、袴田事件や名張毒ぶどう酒事件といった死刑判決が確定した事件が、再審でのDNA鑑定により冤罪だったことなど、問題も複数起きており見過ごせません。日弁連は、人権擁護の観点から死刑制度廃止を訴え続けていて、再来年、国連犯罪防止刑事司法会議が日本で開催されるまでに、進展を見せたいと考えています。加害者とはいえ、人が人を殺してもよいのか。終身刑ではなく、死刑でなくてはならない理由は何か?みなさんはどう思いますか?堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年5月23日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年05月16日オフィス内に託児所があったり、家族連れでの社員旅行がOKだったり、子連れ出社ができたりと、企業が実施している仕事と家庭の両立支援制度は多種多様。たとえば、日本最大級のポータルサイトを運営するヤフー株式会社には、「パパママサポーター制度」というものがあります。どんな制度なのか、人事担当の大内礼子さんに話をうかがいました。先輩パパママ社員にさまざまなアドバイスを受けられる「パパママサポーター制度」とは、同社の有志社員が中心となって活動している「パパママプロジェクト」の取り組みのひとつだそう。「プロジェクトのおもな活動は、子育て中の従業員を対象とした座談会や情報交換、悩み相談ランチ会、個別の相談の受付などを行っており、2012年に活動をスタートしました。発起人は、育休から復職したママ社員です。自身の経験として、育児中の情報共有や相談できる場が有効であると感じたことから、先輩ママ社員と協力してプロジェクトを立ち上げました」(大内さん、以下同)立ち上げから約5年がたち、今では社内のダイバーシティ推進プロジェクトのひとつとして活動中。執行役員がスポンサーとなってプロジェクトを後押しし、人事との連携をしながら、社内のパパママ社員とその上司の支援を行っているといいます。「プロジェクトは、コアメンバー5名、女性サポーター6名、男性サポーター2名で構成しており、月に1回程度、『子どもの習い事』や『小1の壁』など、テーマを決めてパパママカフェを開催しています。テーマに興味のある方がお弁当持参で会議室に集まって話したり、先輩パパママ社員のアドバイスを受けたりできます。カフェには30名前後の参加者が集まり、“みんな同じように悩んでいるとわかって気が楽になりました”といった声をもらっています」現在仕事をしている社員だけでなく、年に1回、育休中パパママ社員向けの座談会も開催しているそう。参加した社員からは、「会社が移転しフリーアドレスになるなど、働き方が変わったことを聞いて少し不安でしたが、会社に来られただけでも少し安心しました」、「保育園のことなどをいろいろと聞けて、復職イメージがつかめて良かったです」などの感想が寄せられているのだとか。他にも、正社員なら“有休”として取得できる「マタニティー休暇」や「看護休暇」があったり、無給ではあるものの小学生以下の子どもを持つ家庭なら、週休3日(週4日勤務)を選択できる「えらべる勤務制度」があるなど、充実した制度が用意されています。ヤフーのママ社員さんにインタビューでは、実際に働いているママ社員さんは、どう感じているのでしょうか?勤続年数10年目で2児の母でもあるクリエイター人財戦略室の干場未来子さんは、夫もヤフーの社員で、夫婦で協力し合いながら仕事と家庭を両立しているといいます。「仕事と家事・育児を両立するために、いろんな工夫をしています。たとえば、保育園への息子のお迎えや小学生の娘の夕飯の時間に合わせて退社する日は、その日に終わらせないといけない仕事を確実にクリアにしていく必要があるため、仕事の優先順位付けを間違えないように気を付けています。また、平日のうち2日は夕方以降、夫に子どもたちのことをお願いして、私はがっつり仕事をしたり、息抜きで飲みに行ったりする時間を作れるので、仕事と家事・育児の両立によるストレスやジレンマはほとんどありません。管理職である夫が週2日、18時半に保育園のお迎えに行けること自体、子育てに理解のある会社だと痛感しています」(干場さん、以下同)他にも、帰宅後の負担を減らすために、毎朝5時に起床してある程度は夕食の準備を終わらせているそう。さらに、週2回は家事代行を利用し、忙しい夫には家事よりも育児に比重を置いて参加してもらっているそうです。そんな干場さんは、どのように制度を活用しているのでしょうか?「子どもが1人の時、2人に増えてから、未就学児の時、就学してから、夫の仕事が忙しい時、自分が管理職の時、といったように、さまざまなフェーズで働き方を変えてきました。それもすべてフレキシブルな働き方を可能とする制度があったからできたことです。そして何よりも、多様な働き方を受け入れる社風と文化があったからこそ実現しました。時短勤務でも、どこでもオフィス制度やフレックス勤務を利用しながら日々の業務時間を自分の裁量で調整し、1週間、1カ月単位で仕事の計画を立てられることも助かっています」さらに、制度を活用することで、子どもとのコミュニケーションも充実したといいます。「昨年から『えらべる勤務制度』ができたので、仕事が中途半端にならないか少し不安はあったものの、娘の小学校の夏休み期間で週休3日にトライしました。娘と2人で出掛けたり、お菓子を作ったり、息子が生まれてからあまり確保できなかった“娘と2人だけの時間”を作ることができ、娘の笑顔をたくさん見ることができたので、制度を使ってみて本当に良かったです」週休3日にトライするにあたって、事前に業務量を上司と相談し、あらかじめ調整することで、周囲に迷惑を掛けることなく通常の勤務に戻ることができたそう。干場さんは、今年の夏休み期間も週休3日にしたいと話します。最後に、育児をされながらお仕事を続けている理由をうかがったところ…。「これは…育児が仕事を辞める理由にならないからです。仕事でしか成長できない自分がたしかに存在し、その成長機会を手放すという選択はできません。また、夫が事故や病気で働けなくなる可能性もゼロではないので、経済的リスクヘッジという観点もあります。加えて、子どもは中学生になれば物理的には随分手が離れていくので、一時の“子育てが大変な時期”を乗り越えるために仕事を手放す気持ちにはなれないまま、今に至ります。仕事はもう自分の人生からは切り離せないものなので、今後家族の状況や生活環境が変わることがあっても、何らかの仕事はしていたいと考えています」筆者は、さまざまな企業に取材し、働くママたちにインタビューをしていますが、話を聞いて感じることは、「仕事に対する意欲と生活の充実度」です。仕事にやりがいを見いだし、パワフルに働く一方で、家事の時間を最小限まで短縮し、“プライベートも充実させる”というのが、働くママたちの共通点。現在、仕事をしようか悩んでいるようであれば、思い切って1歩踏み込んだほうが、より充実した毎日になる可能性があるのではないでしょうか。(文・奈古善晴/考務店)
2018年04月11日新入学、進級をお迎えの皆さまも多いかと思います。春は喜びがいっぱいの季節ですが、子育て世代にとってはお財布に厳しい季節。大切な我が子の節目の時と思うと、ついついお財布の紐も緩みがちです。今回は、この先の教育費のことも考えた、無駄のない4人の子育てをする我が家のお財布基準をお伝えします。YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)■ 何を節約するのかをわかりやすく!お金の使い道を「イメージ」で判断CORA / PIXTA(ピクスタ)我が家の子ども達は、この春から、高校生2人、中学生1人、幼稚園生1人です。教育費や生活費、娯楽費などすべてに好きなだけお金を掛けるわけにはいきませんから、その都度賢い判断をしなければなりません。何にお金を掛けて、何を節約するのか。節約のためだけでなく 不公平感をなくすためにも、「ブレない判断基準」が必須です。その基準が堅苦しく難しいものだと、とっさの判断のときには億劫になってしまい、つい「ま、いいか」と油断して使い、あとから後悔したり、家計が混乱したりしていました。そこで、取り入れたのが「イメージ判断」。支出に対して「流れていくものか」「とどまるものか」という“イメージ”で判断しているのです。では、どのように「イメージ判断」をすればいいのかをお教えします。■ 「流れていくのものか?」「とどまっていくものか?」で使うお金を考えるそれでは、「イメージ判断」について少し具体的なアイテムでご説明しますね。1.子ども服やおもちゃshu / PIXTA(ピクスタ)5歳の息子の服は、すぐにサイズアウトしてしまうので「流れていくもの」。最小限の量だけ買って、ワンシーズンで徹底的に着つぶします。各シーズン、トップス5枚・ボトムス5枚です。その量だと毎朝の服選びもとても簡単なので、息子が自分で身支度をすることができるという利点もあります。ナオ / PIXTA(ピクスタ)一方、ある程度成長した女子高生の服については「とどまるもの」。安価な服をとっかえひっかえ使い捨てるのではなく、質の良いベーシックな服を大切に着まわす力を育ててほしいと願い、少しづつ上質なものへシフトしていっています。マハロ / PIXTA(ピクスタ)子どものおもちゃも、キャラクターものや戦隊ヒーローのものは一時的な「流れるもの」ですからなるべく最小限に。ブロック類は長く楽しむものなので、「とどまるもの」として十分な量を用意しています。2.食事遥花 / PIXTA(ピクスタ)公園などに遊びに行くときは、みんなで元気に外遊びをするのが目的なので、持参したパンやおにぎりなど簡単なもので十分。この食事は「流れていくもの」です。TATSU / PIXTA(ピクスタ)一方、日々の食事は家族の体をつくる大切な「とどまるもの」。安価なお惣菜やレトルト食品は少し遠ざけて、できる範囲で手間ひまもお金も掛けたいと考えています。3.趣味・インテリアRina / PIXTA(ピクスタ)私の趣味に関しても、大好きなタレントグッズは、一時的な「流れていくもの」としてなるべく手に入れず、スマホの画像などで良しとしています。インテリアや収納用品については、これから先の暮らしをずっと快適なものにする「とどまるもの」として、少しお金も掛けてでもごだわって選んでいます。atsu / PIXTA(ピクスタ)ピアスはなくす、ズボンはすぐ膝が出る、という理由で「流れていくもの」。プチプラでOKです。作造 / PIXTA(ピクスタ)バッグや靴はお直ししながら、長く使えますので「とどまるもの」。4.教育費プラナ / PIXTA(ピクスタ)教育費についても、子どもの意思でなく始める習い事はできるだけ控えてきました。塾通いも受験対策以外には通いません。長い目で見たら「流れるもの」と考えるからです。それよりもまずは学校の勉強と自宅学習を優先。学校の先生に質問に行ったり予習復習をしたり、そういった力を身につけることに意味を感じます。ですがその分、受験や子どもの進路選択については彼らの人生を左右する「とどまるもの」。本人の意思を尊重し惜しまずお金を掛けらるように、準備をしています。■ 家族の「投資」とは何かを見極める力が大切!freeangle / PIXTA(ピクスタ)これらはあくまでも、我が家の形です。判断基準や優先順位は、当然ご家庭によってそれぞれ違います。ただ、自分のなかでハッキリとブレない軸を持っておくと、迷いが減り、お金の使い方にメリハリができます。大切なのは、家族の未来に生きる「投資」は何かを見極める力なのでしょう。暮らしを楽しみつつ、気が付いたら家計が火の車だった!ということのないように賢く管理していきたいですね。ご参考になれば幸いです。ライフオーガナイザー®森下敦子
2018年04月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「徴兵制度」です。戦争の形も変わり兵役制度も変化してきています。今年の1月よりスウェーデンは、8年前に廃止していた徴兵制度を復活させました。ロシアの脅威に備えるためです。続いてフランスでも今年、マクロン大統領が、18~21歳の男女を対象に兵役を課すことを発表しました。ロシアへの対抗、テロ対策の強化が主な理由です。また、アメリカのNATO軍への負担が大きいため、トランプ大統領がヨーロッパ各国にも公平に参加してほしいと依頼したことも起因していると思われます。ただ今回のフランスの兵役は1か月なので、軍事訓練というよりは国威発揚を促すことに重きがおかれているのではないでしょうか。日本人は、徴兵制度というと太平洋戦争のときのイメージを持つかもしれませんが、いまは無人攻撃機やサイバー攻撃などが増え、かつての大量の歩兵による肉弾戦とは戦争の形が変わっています。それにともない、兵役の内容も変化してきているんですね。たとえばIT先進国のイスラエルでは、18~19歳から男子が3年、女子は2年の兵役義務があります。軍隊で心身ともに鍛えながら、同時にさまざまな最新のIT技術を学んで身につけます。退役後はそのスキルをいかし、起業するケースが多いんですね。また、マレーシアでも男女が徴兵され、3か月間の共同生活を行います。ただし、軍事訓練というよりは社会奉仕活動がメインなのだそうです。現在、男女ともに兵役のある国はこの2国のほか、ノルウェー、スウェーデンのみ。男性のみ義務がある国は、韓国、北朝鮮、シンガポール、ベトナム、タイ、スイス、ロシアなど。アメリカやイギリス、ドイツ、イタリアなどには徴兵制度がありません。かつてはあったのですが、冷戦が終わったときにほとんどが廃止されたんです。日本に徴兵制度が復活する可能性は低いでしょう。ただ、現在自衛隊が定員割れしています。「予備自衛官補」という、18~34歳の学生や一般社会人が基本訓練を受け、災害時や有事に徴集されるという制度も設けています。現在の自衛隊の人手不足を考えると、災害救助や救急救命のノウハウを学ぶための短期間の徴兵制度なら、あってもよいのではという声もあります。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年4月11日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年04月06日「自分は虐待をしているのではないか?」1991年より都内で、子どもへの虐待防止のための電話相談などボランティアで支援を続けている民間団体の「子どもの虐待防止センター(CCAP)」には、相談者からこういった疑問を投げかけられることも少なくないそうです。前編では、ベテラン相談員・Mさんに「虐待の境界線」をお聞きしました。続く後編では、子育てしにくい時代に、どうやってできるだけ怒らずに子育てをしていけるか、というお話をうかがいました。■児童虐待防止法も影響? 周囲の目がきゅうくつに感じる「現代の子育て」── 長年相談を受けている中でお母さんたちの相談内容が変わってきたという印象はありますか?Mさん:私の主観的な印象ですが、「周りに子どもがいるのが当たり前」の環境から、「子どもと接する機会がない、子どものはしゃぐ声や泣き声を普段耳にしない」という環境になってきているように思います。その中で子育てをするのは大変ではないかと感じています。── 今の環境は、お母さんたちにとってきゅうくつなのでしょうか?Mさん:電話相談を受けるなかでも、「スーパーで子どもがダダをこねてギャーっと騒いでしまったので叱ったら、周囲からは冷たい視線。通報されるのでは? といたたまれなくなって、買い物もそこそこに家に帰りました。ドアを閉めた途端、つい子どもに『何なのよ!』と怒鳴ってしまった。今、子どもはイヤイヤ期真っ盛りなのはわかっているのに…」などと話す方もいらっしゃいます。──私の周囲でも、「子どもを叱っていたら児童相談所の人が来た」という笑えない話を結構聞きますが、2000年に児童虐待防止法が成立して、通告が増えた影響はありますか?Mさん:通告は困っている親子を支援するためのものなのですが、お母さんたちは「助けられている」というよりは「見張られている」ように感じる面があるのかな、と感じています。──相談を受けているなかでお母さんたちのとまどいを感じているんですね? Mさん:小さい子の機嫌をコントロールするのは難しいことです。親ならそれをうまくできるはずというプレッシャーを受けて頑張るけれどうまくいかない、ということだと思います。── そんなきゅうくつな中で、どのように子育てをしていったらいいのでしょうか?Mさん:難しいことですが、少し心に余裕を持てたらいいですね。親も子育てしながら親として成長します。失敗したと思ったら「言い過ぎたね。ごめんね」と正直に伝えたらどうでしょう。「おやつ食べようか。本でも読もうか」と親子共に気持ちを切りかえられたらいいのでは?子どもとの関係ってもっと広いし深いので、一つのことにとらわれすぎずにやっていってもらえたらいいな、と思っています。■自分の中の「コップの水=たまったストレス」をあふれさせないためには?── 具体的にはどうすればいいでしょうか?Mさん:ストレスがたまりにたまった時って、コップにお水がいっぱいいっぱいの状態と似ていますね。表面張力でかろうじてこぼれていない状態のようなものです。だから、そこで何か起こると、最後の一滴となってコップに注がれ、一気に水があふれてしまうんです。── そうですね。子育て、家事、仕事とあふれそうな状況は私自身よくあります。そういう時は申し訳ないけれど、子どもに八つ当たり気味に怒ってしまう時もあります。Mさん:皆さんそういう状況で電話をかけてくれるので、「子どもにやりすぎてしまった」「自分は反省している」「でも夫はこういうことをわかってくれない」と話していくと少し余裕が出てきて、子どもに当たってしまう今の自分が見えてきます。だから、お母さんがいっぱいいっぱいになった時は、コップの水が一気にあふれないように、少し自分からこぼせるといいですね。子どもには成長段階があって、時期がくれば今まではなんだったのか? ということも多いです。── 自分の中のコップの水を減らすのが大切ということですね。具体的にはどのような方法がありますか?Mさん:今はいろいろなところで相談を受け付けていますから、こういう電話相談などにかけてみるのも一つの手だし、どこかに子どもを預けたり、休みの日は夫に預けて自分の好きなことをやる時間を少しとったり、というようなことをやって、しのいでいけたらいいのではと思います。── 子育てだけの世界から少し離れる、ということですね。Mさん:1日24時間、365日お母さんをやっていると、すごく疲れますよね。だから、お母さんも1人になれる時間は必要ですよ、と話すと「食事もトイレもお風呂も、1人の時はない!」と初めて気づかれるんです。それでちょっとでも1人になれる時はないか、ホッとできるのはどんな時かを一緒に考えます。ワンオペで育児されている方も多いですが、公的サービスなど使えるものは何でも使って、少しでもストレス解消できるといいですね。── 電話をかけてくるのもワンオペ育児の方が多いのですか?Mさん:多いですね。そういう方はワンオペという大変な状況のなかで、すごく頑張っているんです。なのに「もっとやらねば。大変だと思うのは子どもを愛していないからなのか」と自分を追い込んでしまっているのが本当に残念です。── まずは、自分が大変ななか頑張っている状況を自分でほめてあげて、心に少しでも余裕を持つことが大切なんですね。 ■「どういう時に怒ってしまう?」自分の怒りパターンを把握── そのほかに怒りすぎない方法はありますか?Mさん:そうですね。あとは怒りたくなるけれど、視点を変えると超かわいい子どもの姿を撮る“おバかわ写真”のような方法でしょうか。ギリギリの状況は変えられない、腹が立つのも仕方ない。でも、せめて腹が立つのを笑いに変えられたら、親子共にハッピーですね。── 笑いに変えるなど自分なりにしのぐ方法をちょっと探してみる、ということですね?Mさん:怒りすぎてしまう時って大体、同じパターンになっていませんか? いつものように親子のやりとりをして、気がつけばいつものように怒っていた。そのようなやり取りになった時に、先ほどのおバかわ写真を撮るとか「あー始まった、始まった」と呪文を唱えるとか、その場を離れる、深呼吸するなど自分なりにしっくりくるものを探して、「あー、また怒っちゃった」と後悔せずにすめばいいな、と思います。── パターンを把握して、対処法をいくつか持っておくといいんですね。Mさん:パターンのどこかを変えると流れが変わります。この言い方で話してみよう、このタイミングでこうしてみようなど、なるべく楽しくなるようなことに変えながらやってみる。それでダメだったら、「あ、ダメだったな。次はどの手でいこうかな」くらいの気持ちで。── それ以外に何かありますか?Mさん:子どもの行動を(a)好ましい、(b)やめさせたい、(c)してはいけない、のように3つに分けてみてはどうでしょう。(c)は命にかかわるなど重大なことですが、(b)は時期を待つ選択もあるかもしれません。親も言い出すと意地になって引くに引けなくなる時期もあったりしますのであきらめる、というか、今すぐにどうこうしようとせず、ちょっと置いておくのはどうでしょうか。── 今日はありがとうございました。日々、子育てに困っているお母さんたちに向き合っているMさんのお話は大変参考になりました。取材なのに、ゆったりとした口調で、こちらの話も丁寧に聞いてくださるMさんとのインタビューは時折、自分の子育て相談をしているような錯覚に陥りました。そのMさんが「子どもを怒らない」ための対策としてあげるのが次の3つ。1.1人でがんばりすぎず、できるだけ心に余裕を持つ。2.自分が怒ってしまう原因などパターンを見つけ、(できれば楽しめる)対策を考える。3.あきらめる(今は置いておく)。ほぼワンオペで、コップの水もかなりギリギリの筆者自身の話も聞いていただき、「怒りたくないのに怒ってしまった」と後悔を繰り返す日々を抜け出す多くのヒントをもらったように感じました。長年、親身に困っているママたちに寄り添ってきているMさんのような方たちに話を聞いてもらうのも、とてもスッキリしそうです。取材協力: 社会福祉法人子どもの虐待防止センター(CCAP) 子どもの虐待を早期に発見し、虐待防止を支援するために1991年に設立された民間団体。研修を受けた相談員と、医師、弁護士、臨床心理士、ソーシャルワーカー、行政経験者、教育関係者などが活動しています。CCAPでは、子育てに悩む方のための電話相談、母親のグループ(MCG)、CCAPペアレンティングプログラム講座「親と子の関係を育てるプログラム」などを行っています。相談の電話番号は、03-5300-2990(平日10:00~17:00 土曜日は10:00~15:00/通話料以外は無料)取材・文/まちとこ出版社 石塚由香子
2018年03月10日2015年4月、「子ども・子育て支援新制度」がスタートしました。そのうちのひとつ「病児保育」は、子どもの急病で出社できないというワーママに役立つ制度として注目されていますが、2016年、少し遅れてスタートした「お迎え制度」をご存知でしょうか?今回は、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さんが解説してくれました。「お迎え制度」ってどんな制度?「子どもが急病でお迎えに行かなきゃ…」。子育てと仕事を両立するママなら、多くの人が経験したことがあると思います。しかし「お迎え制度」を活用すれば、その心配はなくなるそう。「これまでは、保育園や幼稚園、認定こども園などの施設に預けていた子どもが急に体調が悪くなったとき、お母さんに連絡して迎えに来てもらうのが一般的でした。しかしこの制度は、病児保育を行う施設のスタッフなどが代わりに迎えに行き、かかりつけ医で診察してもらってから預かるというもので、お母さんやお父さんが仕事中に早退しなくてもよくなったのです」(大川さん、以下同)子どもの急病による早退問題は、働くママにとって、重要なこと。この制度はそんな人たちにとって、大きなメリットとなるのです。デメリットも認識しよう!一方で、この制度にはまだ危ない面もあるのだとか。大川さんは、デメリットとして2つのことを挙げます。「まずひとつ目は、『子どもの精神的不安』です。知らない人に知らない場所へ連れていかれるというのは、子どもにとっては、大きな心理的負担。子どもにとってもなじみのある施設、せめて一度は使ったことがある施設にするなどの配慮が必要です」そしてもうひとつは、「重症化したときの対処」。「体調が悪くなるといっても、軽度のものから重症化の恐れがあるものまで様々あります。施設のスタッフが園にお迎えに行って、かかりつけ医に診察してもらったとき、もしも『すぐに入院する必要がある』と言われたらどうしますか?家族ではないスタッフに、勝手な判断はできませんよね。そのため、あらかじめ保護者と綿密な話し合いをして、緊急時にどうするかを決め、同意を取っておく必要があります」さらに、大川さんは、「『お迎え制度』を含む病児保育は、母親の就労支援の面ばかりがクローズアップされますが、本来は子どものための制度」とも。ママにとっては、子どもの急病が原因での急な早退や欠席を避けられるメリットはありますが、「早退しなくてよくなった」だけではなく、子どものことを考え、もっと慎重に利用すべき制度なのかもしれません。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月26日2015年4月、子育て世帯やママを取り巻く環境は、大きく変わりました。それは、「子ども・子育て支援新制度」が始まったから。この「子ども・子育て支援新制度」には、保育園や幼稚園を利用するための認定について、子どもにかかるお金のことなど、様々なことが定められていますが、「病児保育」も注目したい項目のひとつ。そんな「病児保育」について、「病児保育の施設には3つある」、そう話すのは、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さん。「病児保育」を行う3つの施設って?先ほど、大川さんが言っていた「3つの施設」。これらについて、解説してくれました。「ひとつ目は、病院やクリニックに併設されている『医療機関併設型』。2つ目は、幼稚園や保育園などに併設された『保育園併設型』。そして3つ目は、『単独型』というものです」(大川さん、以下同)では、それぞれの施設はどのような特徴があるのでしょうか?「『医療機関併設型』は、おもに病気は治っていないけど、悪化する可能性の低い子どもを預かる『病児保育』を担当していて、『保育園併設型』は、病気は治っているけど、円や学校には行けない子どもを預かる『病児後保育』を担当しています。というのも、いずれの場合も子どもの容体は安定しているとはいえ、悪化する可能性はゼロではありません。そのため、『病児保育』は医師が常駐している『医療機関併設型』で担当することが多いのです」「医療機関併設型」、「保育園併設型」の違いはわかりましたが、もうひとつの「単独型」は?「『単独型』はNPO法人などが運営している施設です。地域のドクターがチームを組んで、今日は○○病院、明日は××病院といったように、当番制で担当しています」これらの施設には課題もこのように、病児を受け入れてくれる施設はありますが、「まだ課題もある」と大川さんは続けます。「『子ども・子育て支援新制度』が施行された2015年以前から『病児保育』の取り組みはありました。当時は、病児2人に対し、保育士・看護師がひとり付くことになっていましたが、現在は、人員不足の観点から、保育士・看護師ひとり当たり3人になったのです。しかし、これでは病児へのケアが不十分になるとの懸念もあります」また、定員が少なく、現状は預けたくても預けられない状況もあるそうで、その点も解決すべき課題だと大川さん。共働き世帯や働くママが増え、病児保育の需要が高まっている昨今。子ども・子育て支援新制度が充実するには、まだ時間がかかりそうです。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月23日2015年4月に始まった、「子ども・子育て支援新制度」。その中のひとつに、「病児保育」というものがあります。ひと口に「病児保育」といっても、じつは4種類もあるということ、ご存知でしょうか?今回は、それぞれの特徴をおさらいしましょう。ご協力いただいたのは、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さん。病児保育のそれぞれの特徴は?先述のように、病児保育には4種類あるのですが、それは(1)「病児保育」、(2)「病後児保育」、(3)「体調不良型」、(4)「派遣型」の4つ。それぞれの特徴は以下。(1)「病児保育」病気がまだ治っていないけれど、容体が急変する可能性が低い子どもを預かる(2)「病後児保育」病気自体はすでに治っているけれど、保育園や幼稚園、学校にはまだ行けない子どもを預かる(3)「体調不良型」保育園や幼稚園、学校等で預かっている子どもが、急に体調が悪くなったけれど、保護者がすぐに迎えに行けない場合、施設に配備されている看護師が面倒を見る(4)「派遣型」別名「非施設型」とも呼ばれている。厚生労働省が認定している病院、クリニック、保育園、認定こども園等の施設に子どもを預けるのではなく、病気の子どもの自宅にベビーシッターなどが訪れ、預かる大きな違いは国家資格の有無これら4つとも、病気の子どもの面倒を見てもらえるという点では共通していますが、大きな違いは「国家資格有無」とのこと。「『病児保育』、『病後児保育』、『体調不良型』の3つは、微妙な違いはあるものの、保育士や看護師、医師といった国家資格を有している人が対応します。一方、非施設型の『派遣型』は、『家庭的保育士』と位置付けられ、国家資格を有していなくても、市町村長が指定した研修さえ受ければどなたでもできます」この国家資格の有無の差は、私たちにしてみればあまり重要とは思えないかもしれませんが、懸念点は多いといいます。「派遣型の場合、きちんとした人が来てくれればいいけれど、人によっては不安が残ります。また、ひとりで来るので、どういう風にお世話をしているかがわからないのです。また、病気の子どもは、容体が急変する可能性もあります。看護師や医師なら緊急の時でも焦らず対応できるでしょうが、その保証もありません」保育士不足などが問題化している今、「研修さえ受ければ誰でも」というのは、人材を補うためにはいいこと。しかし、技術や経験が不足しているという点では、まだ不安も残るようです。子どもが病気になったとき、ママがそばにいてあげられないことも多々あります。子どもの状態を見て、どんな施設を利用すればいいのかを判断するためにも、4つの病児保育の違いは知っておきたいですね。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月20日「プリキュアも子育てもお仕事だって、ぜーんぶ、がんばっちゃうよ!」『キラキラ☆プリキュアアラモード』の放送後に流れた新シリーズ『HUGっと!プリキュア』の予告編で主人公・野乃はなが発したセリフだ。■プリキュア新シリーズは「子どもを守るお母さん」ごく普通の女の子たちが伝説の戦士プリキュアに変身し、世界征服企む悪と戦うプリキュアシリーズ。2004年2月に『ふたりはプリキュア』の放送が始まり、以降1年ごとに新しいシリーズが誕生している。キラキラとした変身シーンや果敢に敵に挑んでいく姿は、小さな女の子たちにワクワクする気持ちや憧れを抱かせてくれる。そして、2月4日(日)から放送を開始するのがシリーズ15作目となる『HUGっと!プリキュア』(ABC・テレビ朝日系)だ。今回のテーマは、ずばり「子どもを守るお母さん」。超イケてる大人のお姉さんに憧れる中学2年生の野乃はなの元に、空から赤ちゃん「はぐたん」とお世話係のハムスター「ハリー」が降ってきたことから物語は動き始める。はぐたんを守りたいという強い気持ちによって、はなはプリキュア・キュアエールに変身。キュアアンジュ(薬師寺さあや)やキュアエトワール(輝木ほまれ)と共に、みんなの未来を守るために立ち上がる。■プリキュアの子育て事情にイケメンのイクメンも登場これまでの「つよく」「かっこいい」ヒロイン像に、母として子どもを守る愛の力が加わった『HUGっと!プリキュア』。女の子たちは、これまでプリキュアとして世界を守るために悪に立ち向かってきた。十分にがんばっているのに、そのうえ子育てまで…? プリキュア、がんばりすぎだよと口を挟みたくたくなるが、まずは『HUGっと!プリキュア』を見るときに個人的にチェックしたいポイントを紹介する。●プリキュアの子育て事情物語の中で子育てがどう描かれるのかは気になるところ。「最近、はぐたんの夜泣きがひどくて寝不足なんだ」「離乳食を始めたけど、全然食べてくれなくて」と子育てによくある悩みが、はなの口から出ることもあるのだろうか。これまで、どちらかというと娘の好きな番組として見ていたプリキュアに、ママが共感を覚える日もくるかもしれない。●はぐたんの成長具合物語のキーになる存在のはぐたんの成長具合も見どころだ。まずは、はぐたんが生後何ヶ月くらいなのかが気になる。おすわりはできるのか? ミルク以外に口にできるものはあるのか? など、はぐたんの動向をチェックして観るのも面白そう。●イケメン(イクメン)も登場!はぐたんのお世話係のハリーは、関西弁を話すハムスター。人間体に変身するとものすごいイケメン(イクメン)になるそう。「イクメン」に関する是非はあるにせよ、イケメンがはぐたんのお世話をする姿はきっと絵になるはず! 子育てをめぐって、はなとハリーが口論するところもぜひ見てみたい。■ママが新プリキュアにハマる!?ここまで書いてきたが、ママがプリキュアにハマるにあたり、ちょっとしたハードルもある。登場人物の名前が覚えきれないことだ。興味のあることをぐんぐん吸収できる子どもの脳とはちがい、大人にとってたくさんの固有名詞を覚えるのは至難の業。しかし、できればがんばって覚えてほしい。理由は二つある。<プリキュアの固有名詞を覚えたい理由>●物語が楽しめる!プリキュアシリーズは登場人物一人一人の背景を丁寧に描いているため、名前と顔がわかっていれば物語をより楽しめる。●心痛める子どもの気持ちを切り替えられる!慣れ親しんだ『キラキラ☆プリキュアアラモード』が終わってしまうことに心を痛める子どももいることだろう。親がプリキュアに興味を持ってくれていることがわかれば、子どももうまく気持ちを切り替えられるのではないだろうか。筆者のケースでは、娘から毎日のように「キュアホイップは誰でしょう?」「琴爪ゆかりはキュア何でしょう?」とプリキュアに関する名前クイズを出される生活を送っていた。「えーと、宇佐美…ひまり?」と間違えた回答をすると怒る鬼教官の特訓のおかげで、自然と(?)覚えられたのだった。子育て事情や赤ちゃんの成長など、気になるポイントがたくさん詰まった『HUGっと!プリキュア』には、従来どおり仲間との友情や夢などのテーマも描かれている。今作に限っては「プリキュアがんばって!」と応援する子どもの横で、ひっそりと「がんばりすぎなくていいよ」と思ってしまうママたちもいるかもしれない。小さな女の子たちに夢や勇気を与えてくれたプリキュアが、一緒に見ているママたちの心にも寄り添った内容であることを期待する。■『HUGっと!プリキュア』(ABC・テレビ朝日系)●放送日時:2018年2月4日(日)8:30~放送スタート●公式サイト: 朝日放送公式サイト
2018年02月02日こんにちは。エッセイストの鈴木かつよしです。日経DUALと日本経済新聞社の共同で実施した「自治体の子育て支援に関する調査」の結果をもとに作成された「共働き子育てしやすい街ランキング2017」には、筆者にとって思い入れの強い3つの自治体が上位にランクインしました。総合ランキング第1位の東京都豊島区は筆者が6年間通った小学校が在る街。第3位の東京都渋谷区は筆者が30代から40代にかけての20数年間を区民として過ごし事業を営み、娘が生まれ育った街。そして総合ランキング第8位の東京都調布市は野鳥の宝庫である一級河川「野川」を擁し、息子を育ててくれた街です。「共働き子育てしやすい街ランキング」上位に入るこれらの自治体は他の自治体とどこが違うのでしょうか?考えてみようと思います。●「共働き子育てしやすい街」トップに躍り出た豊島区民間の有識者でつくる政策発信組織である日本創成会議(増田寛也座長)が2014年5月に公表した「消滅可能性都市」の一つとして、“豊島区”が東京23区で唯一挙げられたことは筆者にとってもショッキングなことでした。というのも筆者が豊島区立の小学校に通っていた1966年から1972年頃、筆者の母校は60人からなるクラスが1つの学年に6クラス。全校で児童数が2,000人をゆうに超すという、「少子化」とは真逆の自治体だったからです。この出来事を機に区をあげて出産可能年齢の女性の誘致と待機児童対策に取り組んだ結果、豊島区は2017年4月に待機児童ゼロを達成 。また、認可園に入れなかった家庭への補助も手厚くし学童保育は児童館から全小学校敷地内へと完全移行 を果たしました。「消滅のおそれあり」という負の指摘を受けたことでかえって「女性や子育て世帯が住みやすい街」という明確な区政のコンセプトを確立できたことが、「共働き子育てしやすい街ランキング総合1位」に見事に輝く要因になったと言うことができるでしょう。筆者が目白通りに面した小学校に通っていた50年前のように子どもたちの笑い声であふれた街になる日も近いかもしれません。●19時30分まで延長対応がある渋谷区の学童保育2011年3月までの20数年間を過ごした渋谷区が「子育てしやすい街」だと感じたことは、住んでいた当時は正直言ってありませんでした。おそらくその理由の一つには、地価が高すぎるために土地を所有している層の人とそうでない層の人との経済格差が大きく、「子育て世帯」という一言ではカテゴリーとして成立しないというのがあったかと思います。そんな中で「ああ、渋谷は共働き子育て世帯にやさしかったんだな」と感じたのは、わが家が渋谷区を去る直前の1年間。長男が渋谷区立の小学校の1年生だったときでした。『放課後クラブ』という名称の渋谷区独自の学童保育システムは6年生までの全学年の児童がいるため良い意味での“縦の関係”が児童の間にあり、低学年の子どもたちにたいして高学年のお兄さん・お姉さんたちの目があったため、子どもたちの人間関係が安定していたように思います。また放課後クラブでは親が共働きの3年生までは19時30分までの特別延長対応保育制度 があり、働くママとパパにとってはとても有難かった記憶があります。今回の日経DUAL・日経新聞のランキングでは保育料の安さが渋谷区への高評価の主たる要因になっているようですが、筆者にとっては一にも二にも放課後クラブの充実が思い出に残っています。●「東京一子育てしやすい街」と評された調布市「共働き子育てしやすい街ランキング」で2016年度の14位から2017年度は8位にランクアップした東京都調布市は豊島区や渋谷区とはやや趣きが違って、行政主導というよりも市民の肌感覚で“子育てしやすさ”を感じられる 街かもしれません。“住まいと街の解説者”の異名をとる東京情報堂代表の中川寛子さんは東洋経済に寄せたコラムの中で調布市のこの雰囲気のことを「東京一子育てしやすい街」という言葉で表現しています。中川さんはその根拠として調布市の次のような特長を挙げています。・人口に占める30代後半のファミリー層が高齢者より多く、子育てを重視する空気がある・電気通信大学や桐朋学園大学があるため恒常的に若年層が入ってきている・そのため新旧住民がうまく共存し、新参者にも鷹揚な雰囲気があり新旧住民の交流がある・人口約22万人という中規模さから行政が近いところにいて、意思疎通が図りやすい・手頃な飲食店が多く立地も集中しているため人が集まってコミュニケーションを取れる・場所的に田舎でもあり都会でもあるという“アンビバレンス”さが子育てには適している・ママやパパが「ここなら何かができる」と思える規模感が子どもにも好影響を与えている筆者にとってはこの調布市の素晴らしさは、市内を流れる一級河川「野川」の自然に象徴されています。長男が小2になった春に家族で引っ越してきたこの街のオアシス“野川”には、カワセミやメジロ、コゲラやツグミやシジュウカラ、アオサギ・コサギ・ゴイサギにタシギやキアシシギ、ツグミにキセキレイ、オオバン、オオタカにユリカモメ、メダイチドリといった東京23区内ではなかなか見られない野鳥たちが縦横無尽に飛び交っていました。息子ともどもこの自然のとりこになってしまった筆者はそれから毎週末には必ず野川のサイクリングロードを自転車で走り、今では少しは鳥たちと会話ができるようになったと自惚れている次第です。おしまいに、調布市が「共働き子育てしやすい街ランキング」の上位に入るようになってきた要因の一つとして、特定の政党に属さず「市民党」の立場を貫いてこられた今の市長さんの存在も忘れてはならないような気がしています。●参考リンク:共働き子育てしやすい街2017上位50自治体は(日経DUAL)独断!東京一「子育てしやすい街」はどこか(東京経済オンライン)文:中川寛子●ライター/鈴木かつよし●モデル/貴子
2018年01月22日年末調整・確定申告の時期になると気になるのが、控除による節税方法や関連するお得な制度です。住宅関連の中では「住宅ローン控除」がよく知られた制度ですが、ほかにも意外と知られていないお得な制度や控除があるようです。住宅購入やリフォームを検討している人は、対象となる制度や条件などをチェックしてみましょう。(1)中古住宅の購入でも利用できる「住宅ローン控除」住宅関連の制度でも多くの人が利用している「住宅ローン控除」は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。一定の要件を満たした場合、年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除され、10年間で最大400万円(長期優良住宅の場合は最大500万円)が控除されます。所得税から控除しきれない場合は住民税から一部控除されます。また、中古住宅の場合でも新築の場合の要件に加え、耐久年数もしくは耐震基準といった中古特有の条件をクリアすれば、10年間で最大200万円(長期優良住宅などの場合は最大300万円)の控除を受けることができます。(2)夫婦共働きなら住宅ローン控除が夫婦で受けられる「ペアローン」「ペアローン」は共働き夫婦がそれぞれの名義で住宅ローンを組む場合に、二人とも住宅ローン控除を受けることのできるローン制度で、互いに相手の連帯保証人となります。住宅ローン控除が一人ずつ受けられることは大きなメリットですが、それぞれローンを組むため、契約時などの事務手数料は2倍かかってしまいます。また、夫婦の一方が仕事を辞めるなどした場合には、返済自体が厳しくなる可能性もあるため計画的に組みたいところです。(3)目安年収510万円以下の人が対象の「すまい給付金」「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設した制度です。取得する住宅の床面積が50平米以上などの条件をクリアした場合、消費税率8%の2017年12月現在だと、収入額510万円以下の人を対象に最大30万円(消費税率が10%になった場合は収入額が775万円以下の人を対象に最大30万円)が給付されます。収入額によって給付される額は異なり、例えば、消費税率8%の場合、収入額425万円以下だと最大の30万円、425万円超え475万円以下だと20万円、475万円超え510万円以下だと10万円が給付されます。※収入額はあくまで目安のため、給与所得者のいわゆる「額面収入」ではなく、市区町村が発行する課税証明書に記載される都道府県民税の所得割額に基づき決定されます。(4)工事費用の10%の控除を受けられる「住宅特定改修特別税額控除」「住宅特定改修特別税額控除」は、一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事または三世代同居対応改修工事を行った場合に、標準的な工事費用の額の10%相当額が、その年分の所得税額から控除されるというものです。それぞれ工事限度額(それに応じた控除限度額)が設定されており、対象となる工事も指定されています。また、バリアフリー改修工事では申請できる特定の個人の条件も設定されています。(5)断熱改修やエコキュートの導入には「住宅省エネリノベーション促進事業費補助金」「住宅省エネリノベーション促進事業費補助金」とは、住宅の省エネ化を図るリノベーションを促進するために、省エネ性能が高い高性能建材(ガラス、窓、断熱材)を用いた断熱改修などを支援する国の制度によって交付される補助金です。省エネ性能が高い高性能建材では、一戸あたり補助対象費用の1/3以内もしくは150万円のいずれが低い金額、戸建て住宅での家庭用蓄電などの蓄電システムでは、定額5万円/kWhもしくは補助対象費用の1/3または50万円のいずれか低い金額、エコキュートなどの高効率給湯機の導入では、補助対象費用の1/3以内もしくは15万円のいずれが低い金額が補助金額の上限となります。ここまで、住宅関連のお得な制度と控除を紹介してきましたが、知っていると知らないとでは、支払わなければならない金額がだいぶ変わってくるようです。事前に情報を確認し、賢い住宅購入・リフォームを実現しましょう。
2017年12月27日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「子育て支援」です。子どもがなくても、他人事とは思わないで。衆議院選挙は自民党の圧勝に終わり、第4次安倍内閣がスタートしました。今回、安倍政権が打ち出した政策の最大のポイントは、来年に増税が予定されている消費税の使い道を変更したこと。これまでは国の借金返済に充てるとされていましたが、未来を見据え、社会保障、特に子育て支援に投入すると約束しました。選挙結果は、多くの国民がそれに賛同したということです。国が進めようとしている子育て支援は幼児教育の無償化でしたが、子育ての現場から、「それはピントがずれている。それよりも待機児童問題の解決を」という声が上がりました。まず必要なのはお金ではなく、安心して子どもを預けられる場所。それが確保できなければ働くこともできず、生活が回りません。子育て現役中のママやパパ、子育ては終えたけど後輩ママたちの役に立ちたい人たちが集い、「#保育園に入りたい」とSNSで呼びかけました。僕も少しお手伝いしたのですが、このグループは、選挙前には東京都の候補者全員に、子育て支援に関するアンケートをとって公表したり、当選した議員のその後の発言をチェックし、選挙前と違う場合には指摘し、世論やマスコミに訴えかけました。その声が政治家に届き、支援の内容を見直す動きが出ています。こうした方法で市民が政治を動かすこともできるのです。子育て支援は、「子どもがいないから関係ない」という問題では全くありません。日本の社会保障制度は、若い世代が高齢者の老後を支える仕組みになっています。私たちが年金を受け取る年代になったときに、そのお金を生み出してくれるのは、いまの、これからの子どもたち。2014年時点で、日本の総人口は1億2708万人。うち65歳以上は3300万人。20~64歳の2.2人が1人のお年寄りを支えていました。このまま少子化が進めば、2055年には推定で、総人口9744万人のうち65歳以上が約3704万人を占め、働く世代の1人が1人以上の高齢者を支えなければいけなくなります。高齢になったあなたは、医療費が高くて病院に行けなくなるかもしれません。子育て支援は、日本の国民全員にとって重要な課題なんです。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年12月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月03日こんにちは、ファイナンシャル・プランナーでライターのyossyです。2016年、”みまもり家族制度”事業を行う大手だった公益財団法人日本ライフ協会が公益認定取り消し・破綻という事態に陥り、利用者や利用検討者に衝撃が走りました。しかし、なぜみまもり家族制度のような事業が必要とされるのでしょうか。また、今後どのように活用していけばいいのでしょうか?●独り身高齢者の身元保証サービスいわゆる”みまもり家族”制度などの身元保証サービスというのは、主に下記のようなことを請け負ってくれる事業のことを指すことが多いです。日本ライフ協会以外にも、近しい事業を実施している企業・団体がたくさんあります。・賃貸住宅の更新や転居、入院、福祉施設への入所等に際して必要な身元保証の代行・困ったときに頼れる窓口・万が一の場合の対応や葬儀に関する手続きの代行高齢者向けの見守りサービスは、さまざまな企業・団体が実施していますが、身元引受人や葬儀・死後の手続きの代行までやっている部分に特徴があるといえるでしょう。はじめに100万円前後の費用が発生するケースも 少なくありません。親族・配偶者に先立たれてしまい、身元保証人がいない高齢者は多くいます。総務省によれば、平成28年時点で総人口に占める高齢者(65歳以上)の割合は27.3%。今後ますます高齢化が進み、「何かあったらどうしよう」と不安を抱える人が増えてくるでしょう。そういった不安を解消してくれるうれしいサービスなんですね。●成年後見制度とは成年後見制度というのは、自分自身が判断力を失ってしまったときのために後見人を立てられる制度 です。判断力がある人向けの”任意後見制度”と、すでに判断力が失われてきている人向けの”法定後見制度”があります。勘違いしやすいですが、後見人は、正常な判断ができなくなった本人に代わって契約行為などを行う人なので、身元引受人とは異なります。しかし、やむを得ない事情があれば、後見人がいることで入院等が認められるケースもあるようです。正常な判断ができなくなる前に、まずこちらの検討をしておきたいところですね。●信頼できる団体・企業、必要なサービスを「不安だから」という理由で急いで契約をしてしまうケースも多いようですが、初期投資額が高額なことも多いため、落ち着いて冷静に選びましょう。・賃貸住宅の保証のみ行うサービスを利用する・緊急時の駆け付けのみ行うサービスを利用する・万が一のときのために死後事務委任契約をしておくといった方法もあります。検討の結果、総合的にサービスを受けた方がいいと判断すれば、身元保証サービスを利用するといいでしょう。高齢者に必要とされる身元保証サービス。非常にうれしいサービスですが、慎重に比較検討したいですね。【参考リンク】・総務省|統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)(PDF)●ライター/yossy●モデル/貴子
2017年11月16日太陽光発電の売電に関する制度は、現在では2012年から施行されている「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に一本化されています。しかし、2009~2012年には「全量買取制度」と「余剰電力買取制度」の2つの制度が存在していました。この記事では、そのうち「全量買取制度(全量売電制度)」について詳しくご紹介します。現行の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」と照らし合わせながら、ぜひご参考になさってください。全量売電制度とはどんな制度?全量売電制度とは、太陽光発電設備で発電した電力の全量を電力会社に売電できる制度を指します。現在は再生可能エネルギーの固定価格買取制度へ移行していますが、移行以前からこの制度のもとで売電を行っていた方は、新制度移行後も従来と変わらない条件下で売電を行うことができます。全量買取制度と並んで、もっと規模の小さな発電設備を対象とした「余剰電力買取制度」があります。こちらは総出力10kW未満の設備を対象としており、主に一般家庭で自家用として使われる太陽光発電設備に適用されます。基本的には発電すればそのまま家庭用の電力として消費できますが、発電した全量を使うことなく余った電力(余剰電力)については、電力会社が決まった価格で買い取ることを国が約束する制度です。全量買取制度は主に事業者向け、余剰電力買取制度は主に一般家庭向けに設けられている制度と考えると分かりやすいでしょう。なお、これら2つの制度は2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に改められていますが、その内容は「余剰買取制度」と「全量買取制度」に二分されており、発電システムの最大出力10kWを境界に、それを満たさなければ余剰買取の対象となります。それ以上の出力なら全量買取と余剰買取のいずれかを選択可能としているため、2012年の制度変更以前と大きな差異はないと考えてよいでしょう。全量売電制度の対象は?全量買取制度は、比較的規模の大きな発電設備(具体的には総出力10kW以上)を対象とし、発電事業などを目的として設備を運用する場合が対象です。ちなみに、全量買取の対象となる発電設備を「産業用」、余剰買取の対象となる設備を「家庭用」と呼び分けることが多くなっています。なお、広い敷地に多くのソーラーパネルを設置できる一般住宅などでは、総出力がわずかに10kWを超えるようなケースもあり得ます。そのため、総出力10kW以上の発電設備に関しては全量買取とするか、余剰買取とするかを利用者が選択できる仕組みになっています。ただし、多くの一般住宅においては屋根上などにソーラーパネルを設置するケースが用いられるため、その総出力は概ね3~4kWが標準値といわれます。ゆえに、一般のご家庭で太陽光発電設備による売電をする場合は、余剰買取の対象になる場合がほとんどといってよいでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較固定買取期間とは?再生可能エネルギーの固定価格買取制度においては、規定の価格で電力買取を行う期限にあたる「固定買取期間」が規定されています。電力の買い取りを固定価格によって制度化した背景には「発電設備のさらなる普及」という目的がありますから、一定期間に得られる売電収入の固定化によって発電設備の導入コストを実質的に低減できる仕組みになっているのです。固定買取期間の長さには全量買取と余剰買取で差があり、全量買取の場合は20年間、余剰買取の場合は10年間と定められています。「20年固定価格で売電できるのなら、少し設備に費用をかけても全量買取にした方が得なのでは?」と考えてしまいますが、そもそも売電価格が異なります。2017年度の場合、余剰買取の売電価格は1kwhあたり28円~30円、全量買取の場合は1kwhあたり21円です。また、余剰買取の場合は発電設備の導入時に自治体などから補助金を受けられる場合がありますが、全量買取とした場合には補助金制度そのものがありません。それに、そもそも総出力が大きくなる発電設備を設置するには多くのコストがかかってしまいます。それらの兼ね合いを考慮し、現在の制度下で一般家庭においては余剰買取とするケースが大半となっています。また家庭用の太陽光発電設備の設置コストを考えても、10年の期間があれば売電である程度回収することができると考えられています。固定買取期間の経過後は電力会社と任意で売電契約をするか、あるいは売電を一切取りやめて自家消費用の発電のみに切り替えるかということになるでしょう。現状の予測としては、電力会社が自前で発電するコストよりは各家庭から電力を買い取る方が省コストになると考えられているため、当分は売電を継続できる可能性が高いといわれています。これらを踏まえ、今のところは「一般家庭では余剰買取」「発電事業をする業者などでは全量買取」とするケースが主体であると考えてよいでしょう。まとめこちらの記事では、太陽光発電の全量売電制度(全量買取制度)の詳細や、余剰買取制度との違いなどについてご紹介しました。設置する発電設備の総出力が10kwを超えると、全量買取か余剰買取のいずれかを選択することになります。一般家庭の場合は10kW以上の発電設備を設けるケースは稀ですが、もし大規模な太陽光発電設備を導入したいとお考えであれば、全量買取とするか余剰買取とするかは計画段階で決めておいた方がよいでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較
2017年10月31日ご自宅に太陽光発電設備の設置を考えている方なら「余剰電力買取制度」について聞いたことがあるかもしれません。実際に設備業者へ相談したご家庭などの場合、1度は説明を受けた経験があるのではないでしょうか。そこでこの記事では、一般家庭用の太陽光発電設備における「余剰電力買取制度」に関して、詳しくご紹介します。余剰電力買取制度ってどんな制度?一般家庭などで総出力が10kWに満たない太陽光発電設備を設置した場合に、ご家庭で消費する分の電力を発電した電力が上回った際には、その余剰分の電力を電力会社によって買い取ってもらえることが2009年から制度化されています。これを「余剰電力買取制度」と呼びます。家で使った電力の余り分を売ることができるという制度の仕組み上、ご自宅で消費する電力量が少なくなればなるほど売電できる電力量が増え、収入につなげられます。このため、太陽光発電による再生可能エネルギーを利用していてもご家庭での電力消費量を抑えたり、できるだけ節約したりしようというモチベーションの向上を図ることができるともいえます。この「余剰電力買取制度」そのものは2012年に終了し、それに代わり「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が新たに設けられ、今に至っています。ただし、一般家庭で太陽光発電を行う場合においては、特に各制度における差異を意識する機会はあまりないといってよいでしょう。【全量買取とは?】ちなみに、余剰電力買取制度が施行されていた時期、同時に「全量買取」という電力買取の方式が存在していました。こちらは、太陽光発電によって発電される電力を自分達で消費せず、すべて電力会社に売却する方式です。しかし、この方式を適用できるのは総出力が10kW以上となる太陽光発電設備を設置した場合に限られます。したがって、主に事業者や団体などが設置する大規模な発電設備にしか事実上は適用されないと考えられます。この全量買取と余剰電力買取制度を一本化し、現在施行されている「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」となったことが分かります。再生可能エネルギーの固定価格買取制度においても、総出力10kWを境にそれ以上の場合は発電電力の全量を買い取り、それ未満の場合は余剰電力を買い取る仕組みになっています。余剰電力買取制度の対象は?旧制度である「余剰電力買取制度」の対象に該当する太陽光発電システムは、総出力10kW未満のものと定められていました。現行の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」においても、総出力10kWに満たない小型の太陽光発電システムについては自家消費したうえで余った分の電力を買い取る方式によって売電を行っています。国内の一般的な一戸建て住宅で設置可能なソーラーパネルの総出力は、かなり広い面積の住宅であると考え多く見積もったとしても、概ね5kW程度までであるといわれています。また、余った電力を売電するために一般家庭向けの小規模な太陽光発電設備を設ける場合は、自治体によっては補助金を受けることができるケースがあります。しかし事業目的で発電を行うなど、発電した電力の全量を売電する目的で太陽光発電設備を設ける場合は、補助金を受けることができません。一般家庭で太陽光発電設備を設置するにはかなり高額な費用がかかるものです。補助金一切なしで、10kW以上の総出力をもつ大規模な発電システムを作ることは現実的ではないでしょう。したがって、ご家庭で太陽光発電を始めるならやはり、総出力10kW未満のソーラーパネルで余剰電力を買い取ってもらう方式をとることが一般的といえるでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較固定買取期間はいつまで?経過した後はどうなる?2009年から施行された「余剰電力買取制度」は、2012年からは「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に移行し、現在に至っています。なお、再生可能エネルギーの固定価格買取制度には、一般家庭や事業者などが民間の太陽光発電システムで発電した電力について、電力会社が決まった価格で買い取ることを国が約束してくれる「固定買取期間」が存在します。一般家庭で設置されることの多い、総出力10kW未満の太陽光発電設備の場合の固定買取期間は「10年間」とされています。2017年度(2018年3月末まで)に新たに太陽光発電設備を設置したケースを例にとると、総出力10kW未満の太陽光発電設備で余剰電力を売電する場合、1kwhあたり28円(出力規制ありの場合は30円)の売電価格となっています。この価格のまま、固定買取期間中である10年後までは余剰電力を買い取ってもらえるというわけです。なお、2018年4月以降は売電価格も1kwhあたり26円(出力規制ありの場合は28円)に下がることがほぼ決まっています。これから太陽光発電設備を設置して1kwhあたり28円(30円)で向こう10年間は売電を行いたいなら、早めに計画を進めて2018年3月末までに電力会社と売電契約を済ませるようにしましょう。まとめこちらの記事では、「太陽光発電における余剰電力買取制度」についてご紹介しました。余剰電力買取制度は、現在は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」となっていますが、旧制度の施行期間中に売電契約をしたご家庭や事業者は旧制度に基づく条件で引き続き売電を行うことができます。しかし、これから新規で設置した場合には現行の制度に基づいて売電を行うことになります。電力買取の価格は年度ごとに変動し、近年は家庭用太陽光発電設備の普及に伴い毎年2円ずつほど下がる傾向にあります。これから新規で太陽光発電設備を設置してより高い価格で売電するには、何より早めの準備が肝心といえるでしょう。太陽光発電の費用を無料で比較
2017年10月30日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です皆さんは、夫婦で教育方針について話すことはありますか?2017年9月12日〜13日の間、パピマミ読者の皆さんに『夫婦で教育方針の「違い」を感じますか?』というアンケートを行いました!86名の方々にご協力いただきましたので、その結果をランキング形式で発表したいと思います。●夫婦で教育方針の「違い」を感じますか?・1位:どちらかといえば「違い」を感じる……45%(39人)・2位:非常に「違い」を感じる……27%(23人)・3位:どちらかといえば「違い」を感じない……24%(21人)・4位:まったく「違い」を感じない……3%(3人)※有効回答者数:86人/集計期間:2017年9月12日〜2017年9月13日(パピマミ調べ)このアンケート結果からわかることは、教育方針に違いを感じない夫婦などほとんどいない ということです。実は、教育相談の場面でも「教育方針の違いから夫婦喧嘩になってしまった……」といったご相談が頻繁にあります。お話をうかがっていくと、パパもママもお子さんを思うがゆえに、「こうしてあげたい」「ああしてあげたい」と感じていることが伝わってきます。そのため、お子さんへの“愛”が、結果的に夫婦間の溝になっていることが残念でなりません。もし、教育方針の違いによって夫婦間に大きな溝を感じているようなら、一度冷静に夫婦の子育てを振り返ってみませんか?●教育方針に違いがあっても、強力なタッグを組んで子育てをしている夫婦の特徴教育方針の違いが少なかったり、違いがあったりしてもうまく“統合”しているご夫婦にはある共通した特徴があります。それは、“お子さんの現状を正確に理解している”ことです。つまり、お子さんの性格や成長、発達などについて、これまで一緒に見続けながら理解しているご夫婦は、教育方針を地道に作りあげている ように感じます。よくみられるのは、習い事に対する考え方の違いを発端に夫婦喧嘩が始まるというものです。たとえば、小学校に入学する前から、「他の子もやっているから」という理由だけで多くの習い事をしているお子さんがいます。「少しでも才能を伸ばしてあげたい!」という親の期待や思いがあるのもわかります。ただ、もしそれらの習い事をお子さんがイヤイヤやっているとしたら……、才能を伸ばすどころか挫折経験につながるリスクの方が高いのではないでしょうか。あくまで、子どもの体力や性格、動機づけなどを夫婦で理解しながら、どのタイミングで何を習得させるかということこそが“教育方針”です。親の過度な期待を押しつけることが“方針”ではなく、お子さんのタイミングをみながら成長や発達を促す計画が必要になります。これは極論になるかもしれませんが、一流大学に入学すれば幸せになれるという考えがもし根底にあるのだとしたら、それは捨てた方がいい と思います。これまで多くの“優秀”と呼ばれる学生をみてきましたが、苦労して一流大学に入学したからといって必ずしも幸せになれるわけではないからです。つまり、大学入学後に生き生きと活動できる子もいれば、何をしたらいいかわからなくなってしまう子もいます。前者の大学生は“幸せを感じ取る能力”が高く、自分でどんどん挑戦していきますが、後者の大学生は“適切な自尊心”が低い傾向にあります。たとえば、与えられた課題などはこなせるのですが、誰かと比較したり競ったりしていて、いつも自分の能力の高低を気にしています。誰かと比較することでしか自分の幸せを感じられないようにも映ります。また、就職活動の時期から“自分”について悩み始め、傷ついた状態で卒業することも珍しくありません。前者の学生たちに共通していると感じるのは、子どものときの習い事に親がしっかりと“関与”している ということです。ここでいう“関与”とは、単純に習い事ばかりをさせるのではなく、子どものことをよく理解して、家でも一緒に親が練習したり、話をしたりする活動を積極的に行なっているということです。多くのことを学ばせるのであれば、パパとママも多くのことに関与する覚悟が必要だと思います。また繰り返しになりますが、親がお子さんの性格や成長、発達などについて、正確に理解しながら関わることが何よりも大切です。子どもにはそれぞれの個性があり、成長のスピードも同じではありません。他の子を基準に考えるよりも、世界に1人だけのお子さんの成長に目を向けていきませんか。もちろんお子さんが楽しく学んだ結果として、学習環境が整っている一流大学に入学することは理想的ではあります。ただ、一流大学への入学だけを前提に教育方針を立ててしまうと、お子さんは大学卒業後にツラい思いをするかもしれません。----------いかがでしたか?今回は、夫婦間の教育方針の違いについて考えてみました。綺麗ごとのように聞こえてしまうかもしれませんが、教育方針の違いで喧嘩しそうなときには、パパとママは“敵”ではなく、“最強の味方”だということを思い出してください。共通して思う気持ちはお子さんの“幸せ”です!●ライター/今井千鶴子●モデル/藤沢リキヤ、福永桃子
2017年09月26日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。私は子育てや幼児教育に関するお話をさせていただく機会が多いのですが、ママたちから「もっと早く知って、そうすればよかった……」といった感想をよくいただきます。私自身、専門家ではありますが、自分の子育てでも「もっと早く知っていたら……」と思うことがあります。そこで今回は、先輩ママたちが後悔していることを取りあげ、心理学的な解決策などについて考えてみたいと思います。●家事が忙しく、子どもとあまり遊ばなかったこと子育ての後悔としてよくお聞きするのは、“お子さんとあまり遊ばなかった”というものです。今も昔もママは日々の生活に忙しく、ある程度大きくなると、一緒に遊ぶことも少なくなってしまうようです。ベネッセ教育総合研究所の調査(2015)によると、平日の家事を自分が8割以上分担していると感じているママが88.1% もいることがわかりました。このような調査結果からも明らかなように、ママの家事負担は重く、子どもと遊ぶには体力的にも精神的にも厳しい状況がうかがえます。また、最近では子育て中であっても、モデルルームのように片づけられている部屋が理想的であるかのようにメディアで取りあげられることもあり、家事に対してますますプレッシャーを感じているママも多いように感じます。児童精神科医の佐々木正美先生の著書『ママの心がふわりと軽くなる子育てサプリ』の中では、“子どもがいる家は散らかっているのが当たり前 ”と述べられています。また、佐々木先生は“家事も大事だが、子どもや夫を笑顔にすることのほうがはるかに大切”といったようなことも語られています。私自身、部屋が散らかっているとイライラしてしまいがちですが……佐々木先生のお言葉を胸に、自信をもって片づけないときもあります(笑)。そして、日々忙しく遊ぶ時間がないと悩むママにお伝えしたいのは、子どもにとってはママとの家事は“遊び”にもなるということです。どうやったらお子さんが家事を“遊び”として楽しめるかをぜひ考えてみましょう。たとえば、わが子が喜ぶ“家事遊び”は、洗濯物を畳めた数を競う遊び です。うれしそうに目を輝かせながら必死に畳んでいます。ポイントは、ママが畳みなおしたり、ダメ出ししたりしないことです(回数を重ねると大人よりも丁寧な仕事をしてくれます笑)。あとは、何分で片づけられるかを競う“片づけ競争 ”も大好きです。「何分でできるかを数えよう!」と言うと、笑顔で必死に片づけ始めます。私がロボットのように高速で片づけると、それを見て楽しそうにゲラゲラ笑っています。成長するにつれて、子どもは親との遊びよりも友達との遊びを好むようになります。「一緒に出かけよう!」と誘ってもついてきてくれない……と悲しそうに話すママもいます。子どもが親との遊びを求める期間は、案外短いものです。もし後悔しそうなら……今からでも子どもたちと思いっきり遊びましょう!●自立できる子に育てられなかったことママたちから相談を伺っていると、子育ての最終ゴールとして、“自立”を意識していることがほとんどです。「しっかりと自立できる子どもに育てたい」というママの思いがひしひしと伝わってきます。ただ、それと同時に、自立できる子に育てることの難しさも感じます。“お子さんを自立させられなかったこと”について後悔するママも多いのです。お子さんの自立を拒む要因の1つは、お子さんがかわいいがゆえに“口出し”をしすぎてしまうことです。この傾向は私にも少なからずあるため、ママたちの気持ちはとてもよくわかります。でも、お子さんが行動する前に、ママが先回りしてあれこれ口を出してしまうと、お子さんが“自ら考える機会”をどんどん奪ってしまうことにつながります。その結果、誰かがそばにいないと1人で行動することができなくなりますし、指示待ち人間 になってしまいます。自立するためには、自分に対する“自信”が必要だと心理学的にはいわれます。そして、自信をもつためには、少しずつ“成功体験”を重ねる必要があります。もちろん難しいことにチャレンジするときは、「ママとやったらできた!」といった状態からスタートするのもよいでしょう。ただ、いつまでもその状態だと真の自信にはつながりません。“しっかりと自立できる子どもに育てたい”と思うのであれば、“ママとならできた”といった状態から、“自分1人でもできた”といった状態につなげることをぜひ意識してみましょう。心配かもしれませんが……、ママにはお子さんの成長に合わせて、少しずつ手を離す覚悟も必要だと思います。----------いかがでしたか?今回は、ママが育児で後悔していることについてご紹介しました。皆さんの子育てのヒントになればうれしいです。【参考文献】・『ママの心がふわりと軽くなる 子育てサプリ―そのままのあなたで大丈夫!』佐々木正美/松本ぷりっつ(著)【参考リンク】・第5回 幼児の生活アンケート | ベネッセ教育総合研究所(PDF)()●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年09月05日避難行動要支援者って?災害時に避難しにくいのはどんな人?出典 : 地震や津波、水害などの災害が起きたとき、自力で避難が難しかったり、避難に際して特別な配慮が必要な場合があります。阪神淡路大震災や東日本大震災の時などにも、高齢者や障害のある方の中には自ら避難するのに何らかの困難を抱えた方も多くいました。たとえば以下のような人は一人では避難しにくいと考えられます。・視覚・聴覚障害があり、災害発生時に周りの状況の把握がむずかしい。災害情報が得にくい・高齢者・身体に障害がある人で、自力での避難が困難な人・知的障害や精神障害などがあり、地震や災害が起きた時に、どう行動したらよいかわからない障害のある人・重度心身障害者、人工呼吸器や温度調整が必要な人そのため、このような人を避難行動要支援者とし、名簿を作成してスムーズな支援ができるように平成25年6月、災害対策基本法が改正されました。またこれらの周知のため、今年(平成29年)パンフレットや事例集も作成されました。リーフレット「災害時に備えて今できること」|厚生労働省避難行動要支援者の避難行動支援に 関する事例集|内閣府災害対策基本法改正によりできた「避難行動要支援者名簿」の制度出典 : この法律で、市町村に避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられました。簡単に言うと、上記のような一人では避難が困難な人が、災害時にサポートを受けられるように事前に登録しておくという制度です。自治体が特に支援が必要な人を把握するとともに、災害時にスムーズに支援ができるよう、消防機関や警察、民生委員などの避難支援に関係する人に情報が共有できるようにすることが定められました。名簿には個人情報が含まれるため、災害対策基本法で個人情報漏えい防止のための規定もあります。実際に名簿をつくり、運用するのは市町村です。具体的な支援や制度については、自治体によって異なる場合があるので、お住まいの市町村に問い合わせることをおすすめします。発達ナビのユーザーの皆さんの中には、療育手帳や精神障害者福祉手帳の取得時などに名簿への登録や、情報提供の同意などを求められる場合があるかもしれません。また、災害があったときに一人で避難することが難しそうだと感じている人もいるかもしれません。避難行動要支援者がどのような支援を受けられるのかを知り、必要に応じて名簿に登録することで、災害への備えの一つとしてはいかがでしょうか?災害対策基本法避難行動要支援者名簿の作成等に係る取組状況の調査結果どんな支援をしてくれる?出典 : ・避難のための情報伝達情報を得ることが難しい人のために、その人が情報を得やすい方法で災害情報を得られるようにサポートします。・避難支援災害時、避難行動を支援します。また、要支援者の特性に合わせた個別の避難計画の作成や防災訓練をする場合もあります。平常時も支援者による声かけや見守りにつなげておくことも含まれます。・安否確認名簿が災害時の安否確認に活用できます。・避難場所以降の避難行動要支援者への対応避難した後も、避難場所での支援者への引き継ぎがスムーズに行えることがあります。名簿への登録は?出典 : 災害対策基本法では、以下を避難行動要支援者と定め、市町村に把握と名簿の作成を義務付けています。当該市町村に居住する要配慮者のうち、 災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難する ことが困難な者であつて、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため 特に支援を要するもの具体的な対象者の範囲はお住まいの市町村によって異なります。以下に千葉市の場合をご紹介します。名簿に掲載される方65歳以上のひとり暮らしの方で、介護保険の要介護認定区分1・2の方、または要支援認定区分1・2に該当する方要介護認定区分3~5に該当する方次に該当する障害がある方視覚障害(1級又は2級)、聴覚障害(2級)、上肢機能障害(1級又は2級)、下肢機能障害(1級又は2級)、体幹機能障害(1級、2級又は3級)、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害のうち上肢機能障害(1級又は2級)、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害のうち移動機能障害(1級、2級又は3級)、呼吸器機能(1級)、小腸機能(1級)、精神障害(1級)、知的障害(AまたはⒶ)難病患者で身体障害者手帳1・2級の方及び小児慢性特定疾病等で療養負担過重患者の方制度の運用も自治体によって異なります。自分が名簿に登録されているか確認したいときや、定められた対象ではないが一人での避難が困難な場合などで、名簿への登録を希望するときはお住まいの自治体に問い合わせてください。制度の運用方法は市町村によって異なりますが、以下に大まかな流れをご紹介します。1. 市町村が支援が必要な人の情報を集め、避難行動要支援者名簿を作成します。避難行動要支援者名簿には、掲載者の氏名、生年月日、性別、住所、電話番号その他の連絡先、避難支援等を必要とする事由、その 他避難支援等の実施に必要な事項が掲載されます。参考:災害対策基本法49 条10 第 2 項2. 名簿情報を平時から支援者に提供していいか、確認がされ、問題なければ同意します。3. 同意した人の名簿情報が消防、警察、民生委員などの支援者に提供されます。4. 支援者が日常の声かけなどの見守りや避難訓練などの支援を行います。5. 災害時には市町村や支援者により避難行動に関する支援や安否確認などが行われます。個人情報が支援者に提供されることに不安を感じる人もいるかもしれません。災害対策基本法によって、避難行動要支援者名簿を提供した支援者には守秘義務が発生します。また各自治体で名簿情報の漏えいの防止のため必要な措置を講ずることも定められています。参考:避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針|内閣府名簿に登録がなくても避難行動に配慮が必要な人もいます出典 : 避難行動要支援者として名簿に登録していない人でも、災害時の避難に困難を抱える要配慮者の人がいます。たとえば発達障害のある人は、自閉症などの特性から、いつもと違うことに強い不安を感じたり、パニックになってしまうことがあります。学習障害がある場合、電光掲示板や掲示物などから情報を得るのが難しいかもしれません。障害が軽度で、名簿に登録していない人でも避難時に思わぬ困難が生じる可能性があることを覚えておきましょう。また外国の人は、日本語での緊急避難速報や避難誘導の声かけが理解できないかもしれません。このほかにも外見からは障害があることがわからない人もいます。もちろん妊娠している人や乳幼児、高齢者なども避難の際に配慮が必要です。全ての人が一人ひとり日ごろから、防災意識を持ち準備することが、地域に住むさまざまな人を災害から身を守ることにつながります。また災害時には、まず自分の身を守ることが第一ですが、周りに困っている人がいないかどうかにも目を配るように心がけたいですね。参考:要援護者の特性ごとの避難行動等の特徴|大阪市住吉区まとめ出典 : 避難行動要支援者というと、高齢者や身体に障害がある人をイメージすることが多いかもしれません。ですが、その他にも避難に際して支援が必要な人もいます。知的障害や精神障害のある方の中には非常時の状況判断が一人では難しい場合もあるでしょう。言語障害のある人は見た目からはわかりませんが、緊急事態を言葉で人に伝えることが難しい場合も考えられます。災害はいつ発生するかわかりません。まわりに様々な困難のある人がいること、そして災害が起きたときのことを想定して事前に対策をすることが、もしもの時の大きな備えとなります。避難行動要支援者名簿への登録はその一つです。行政や避難支援者に受けられる支援にはさまざまなものがあり、避難時のサポートだけでなく、もし避難生活がはじまっても引き継がれます。情報の共有をすることで、日ごろから地域の支援者ともつながりが持てます。また、名簿への登録がない人でも、避難時に支援を必要としている人がいるかもしれないことを心に留めておきましょう。
2017年09月01日発達支援施設とは?発達が気になるお子さんや、障害のあるお子さんを、ご家庭の中だけでサポートすることは容易なことではありません。そういった子どもたちのためにあるのが「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」などの発達支援施設です!児童福祉法では、障害児通所支援と呼ばれ、全国各地にある施設に直接通うことで、必要なサポートを受けることができます。原則的に、小学生未満の未就学の子どもが通うことができるのが児童発達支援、小学生~高校生の就学児童が通うことができるのが放課後デイサービスです。児童発達支援では、小学校就学前の子どもを主に対象とし、支援を受けることができる施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった、多様な支援を目的としています。サービス・利用方法・費用・手続きの流れについては、以下の記事に詳しくまとめられています。放課後等デイサービスとは、障害のある就学児童(小学生・中学生・高校生)が学校の授業終了後や長期休暇中に通うことのできる施設です。放課後等デイサービスでは、生活力向上のためのさまざまなプログラムが行われています。トランポリン、楽器の演奏、パソコン教室、社会科見学、造形など習い事に近い活動を行っている施設もあれば、専門的な療育を受けることができる施設もあります。サービス・利用方法・費用・手続きの流れについては、以下の記事に詳しくまとめられています。どんな支援が受けられるの?児童発達支援や放課後等デイサービスにはさまざまなタイプがありますが、一部の施設では療育的なアプローチによる支援を受けられることもあります。ソーシャルスキルトレーニングをはじめ、さまざまな独自の療育プログラムが組まれている場合もあり、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など専門資格を保有しているスタッフがいる施設もあります。また、障害のある子どもにとって、児童発達支援や放課後等デイサービスは、家庭・学校(園)につぐ3つ目の居場所となります。子どもにあった施設を選ぶことができれば、親子ともども充実した時間を過ごすことができるはずです。発達支援施設を選ぶときのポイントは?お住まいの地域にどんな施設があるかは、保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所、発達障害者支援センターや、市町村の窓口で確認することができることもあります。これらの窓口で、子どもの特性にあった施設について相談してみることも有効です。公共の相談窓口以外に、インターネット上で施設を探すこともできます。LITALICO発達ナビの「施設情報」では、全国の児童発達支援施設や放課後等デイサービスを、合わせて約15,000施設掲載しています。それぞれの施設の受け入れ状況や、サポートの内容も詳しくまとめられています。また、各施設のスタッフが自分たちで更新している写真付きのブログや、実際の利用者さんからの口コミ情報も合わせて見ることができます。さらに、発達ナビ上から24時間いつでも、空き状況の確認や教室見学などの問い合わせをすることが可能です。利用にかかる費用は?児童発達支援と放課後等デイサービスは障害児給付費の対象となるサービスです。通所受給者証を取得することで国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスを受けることができます。生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円市町村民税課税世帯(年間所得がおおむね890万円以下の世帯): 4,600円上記以外(年間所得がおおむね890万円以上の世帯): 37,200円このほかにおやつ代などの食費や教材費などの実費が必要になる場合もあります。また、自治体により独自の助成制度があります。児童発達支援の利用にかかる費用について、詳しくはこちらのコラムの「児童発達支援施設の利用方法」の章にまとめられています。生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円市町村民税課税世帯(前年度の年間所得がおおむね890万円以下の世帯): 4,600円上記以外(前年度の年間所得がおおむね890万円以上の世帯): 37,200円原則一割負担ですが、前年度の年間所得によっては負担額が0円であったり、1割以上である場合もあります。施設によってはおやつ代や制作物の材料代などがかかるところがあります。これらに加え、自治体により独自の助成制度がある場合もあるので、行政の窓口に問い合わせてみましょう。放課後等デイサービスの利用にかかる費用について、詳しくはこちらのコラムの「放課後等デイサービスの利用方法」の章にまとめられています。施設の利用方法は?発達支援施設に通うためには「通所受給者証」が必要になります。通所受給者証はお住まいの市区町村の福祉担当窓口・障害児相談支援事業所などに申請を行うとで取得することができます。この通所受給者証があることで、自己負担1割でサービスを受けることができるのです。障害者手帳がなくても、通所受給者証があれば、「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」を利用できます。詳しい取得法や、申請の方法はこちらを参考にしてください。その他にも受けられるサービスはあるの?また、児童発達支援や放課後等デイサービス以外にも、受けられる支援があります。受けられる支援の詳細や申請方法はこちらにまとめられています。療育手帳・障害者手帳とは?障害者手帳とは、障害のある人が取得することができる手帳です。障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じてさまざまな福祉サービスを受けることができます。身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などの種類があります。まとめサービス・支援は多岐にわたるため、すべてを把握できず戸惑うこともあるかと思います。そんなときは、早めに相談することで、一歩ずつ疑問を解決してゆきましょう。保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所、発達障害者支援センターや、市町村の窓口に相談することで、次のステップが見えてくるかもしれません。また、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスなどのスタッフも相談に乗ってくれるはずです。一人で抱え込まず、相談できる相手を見つけ、適切な支援につなげていくことが大切です。
2017年08月29日子育て支援を行う「ここるく」が、渋谷区長が代表を務める社会福祉法人渋谷区社会福祉事業団と共同で、「街ぐるみ子育てDAYin恵比寿」を8月25日を初回とし、その後も定期開催します。地域・企業・店舗が一丸となり、「子育て応援」のメッセージを体現「街ぐるみ子育てDAY」とは、地域・企業・店舗が一丸となり、「子育て応援」のメッセージを体現するイベント。子どもは保育室で預かってもらえ、ママは保育室から徒歩2分圏内の複数の参加レストランやエステ店から好きなお店を選択、ゆったりと大人だけの時間を楽しみます。先の3月に第一回が行われた「街ぐるみ子育てDAYin青山」は、利用者からの好評の声に応えて、毎月1回の定期開催イベントとして継続中!青山につづく2拠点目である恵比寿開催では、地域に根差した子育て支援機関(渋谷区認定こども園)とのコラボレーションにより、更に子育て応援パワーが強化されて実施されます。「2016年版みんなが選んだ住みたい街ランキング関東版」で1位を獲得している恵比寿(※)が、もっと子育てしやすい街になる!(※)参照元【街ぐるみ子育てDAY in恵比寿】第一回の8月25日は申込受付終了。第二回<受付中>日時:2017年10月27日(金)11:30~13:30保育会場:恵比寿のびのびこども園(東京都渋谷区恵比寿西1丁目19-1)加盟店舗:全3店舗イベント詳細/申込ページママのお出かけプラットフォーム『ここるく』とは?ママがレストランなどの提携店舗を利用する間、すぐ側で保育のプロによる託児が受けられるプランをサイト上で販売。お店選び・予約・預け先の確保がワンストップで完了するので、忙しい育児中でも手軽にお出かけできるサービス。ちょっと抱っこを代わってもらってリフレッシュすることができれば、自分の育児を冷静に見つめ直し、また笑顔で育児に向き合えるはず。そんな子育て支援サービスです。株式会社ここるく社会福祉法人 渋谷区社会福祉事業団よりコメント渋谷区社会福祉事業団は、お年寄りから小さな子どもまでを対象とした福祉施設を運営しています。その中でも認定こども園4園、認可保育所2園では「良質な保育・幼児教育」を実践するとともに、地域の方とご一緒に次世代支援に取り組んでいます。認定こども園「恵比寿のびのびこども園」は、地域に根差した施設となるべく子育て支援事業に力を入れており、遊び場の提供や保護者対象のヨガ教室、英語に親しみながら体を動かす「Eスタート」は好評を得ています。今回、「ここるく」との共同事業でお子様をお預かりする「恵比寿のびのびこども園」の「一時保育」も子育て支援事業の1つです。お母さんが輝くと子どもも輝きます。親が安心すると子どもも安心します。お母さん・お父さんの子育て、お子様の子育ちを応援するため、経験豊富なベテランスタッフがお待ちしています。
2017年08月24日「市役所の人たちがしきりに成年後見制度の利用を勧めるので、利用してみたらとんでもないことになりました。わが家のお金なのに、人さまに頭を下げないとビタ一文、使えなくなってしまったのです。制度を利用したメリットは何もない。悪いことばかり。こんな制度と知っていれば絶対に利用しませんでした」 東京都の三多摩地区に住む山村洋子さん(70代・仮名)は怒りに声を震わせた――。 いま成年後見制度を巡るトラブルが全国で多発していることは、あまり知られていない。成年後見制度は、介護保険と同じく’00年から始まった。認知症の高齢者や知的障がい者など、判断能力が十分でない人の財産を守るために設けられた制度である。本人や家族からの申し立てを受けて、家庭裁判所が選任した後見人が、認知症の人などを保護・支援するものだ。発足した当初、後見人の約9割は、子どもなどの親族がなっていた。 ところが制度発足から17年を経た現在、弁護士や司法書士など、親族以外が後見人になるケースが全体の7割以上に上っている。じつはこうした親族以外が後見人に選任されることで、逆に多くの認知症の高齢者と、その家族が苦しんでいる現実が生じているのだ。トラブルが表面化しないのは、家裁(国家)と法律家(弁護士、司法書士ら)が相手なので、ほとんどの市民が“泣き寝入り”しているからにすぎない。 冒頭に紹介した山村洋子さんも、夫の後見人弁護士が実質的に何もせずに報酬だけ持っていくことに強い理不尽さを感じている。洋子さんにとって、成年後見制度は「夫婦の財産に家裁が穴をあけて、弁護士や司法書士にお金を流し込む制度」にしか見えないという。 洋子さんは昨年暮れ、自治体側の熱心な勧めで後見制度の利用を決めた。洋子さんと夫(80代)は夫婦共有名義の一戸建てで長年暮らしたが、昨年7月、夫は認知症が原因で特別養護老人ホーム入所。夫と一緒に暮らすことを望む洋子さんは「自宅を売却して、その資金で夫と一緒に入れる老人ホームを探そう」と思い、市役所主催の無料法律相談会に2度出席したところ、行政書士と弁護士から「認知症があるなら後見人をつけるしかない」と言われた。 「後見制度を利用しないですむ方法や、制度のデメリットについての説明は一切ありませんでした。弁護士が“自分で後見申立ての書類が書けないなら、手数料30万円で弁護士が代行する”と言ったので、金額の高さにビックリして相談室を出ました」 そこに、待ち構えていたかのように社会福祉協議会(社協)の女性職員が「お手伝いしましょうか」と近づいてきたという。職員は「弁護士に頼まなくても申立て書類は自分で書けます。ご主人の後見人にはあなたがなれますよ」とキッパリ言った。その言葉を信じた洋子さんは、職員に言われるままに書類に自分の氏名と住所を書き、そのほかの項目はすべて職員が記入。 後日、申立書は家裁に提出され、洋子さんは「これで私が後見人になって夫の世話をできる」と安心して家裁の審判を待った。ところが今年3月、家裁から洋子さんに届いた通知書には、洋子さんが名前も知らない弁護士を後見人に選任したと書かれていたというのだ。 それ以来、洋子さんの生活は一変した。まず、夫名義の通帳や銀行カードなどは、すべて弁護士に提出して、弁護士が管理。夫の預金からお金を引き出したいときは、いちいち弁護士に相談して許可を得なければならなくなった。 「それまでは、私のわずかな年金と夫の年金を合算して家計を切り盛りしていたので、夫の年金を取り上げられて生活は一気に苦しくなりました。弁護士は“今後、私の許可なしにご主人の財産は1円たりとも使えない”という態度。夫の財産を減らさないことしか、弁護士の頭にはなく、毎月10万円しか渡してくれない。赤の他人に土足で家を踏み荒らされたようで、怒りのあまり、頭がおかしくなりそうです」 洋子さんは「家の売却はやめるので後見人を辞めてほしい」と頼んだが、弁護士は聞く耳を持たないという。後見制度では、後見人は自分が辞めるか、家裁から解任されない限り、続けられるのだ。とくに弁護士が後見人の場合は、被後見人(認知症などで後見人がみつけられた人)の財産を横領しない限り、事実上、解任されることはない。要は、いったん弁護士が後見人につくと。被後見人が亡くなるまで自分の財産から毎月報酬を支払う仕組みなのだ。 こうした後見人への報酬は被後見人の資産の額に応じて決められる。東京家裁立川支部が’13年1月にホームページ上に公表した、弁護士など第三者への“報酬の目安”によると、資産が1,000万円を超えれば、年間で40~50万円、5,000万円以上だと70万円程度で、これが毎年の基本報酬。これ以外に、弁護士らが被後見人の家を売却したら約100万円の報酬を払うなど、各種ボーナスも発生する。 東京大学医学系研究科元特任助教で、成年後見制度に詳しい宮内康二・一般社団法人「後見の杜」代表はこう語る。 「全国的に、おひとりさま高齢者や高齢者夫婦の2人暮らし世帯に、行政や司法が後見を勧める傾向が見られます。行政は孤独死や空き家問題への対策が面倒なので、高齢者を後見人に任せたいのかもしれません。しかし、後見人への報酬などの不都合を事前に説明しないのでは、トラブルが起きるのは当然です」
2017年08月11日障害者総合支援法の自立支援給付とは?出典 : 障害者総合支援法が定めるサービスには、大きく「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つの種類があります。自立支援給付は、利用するサービス費用の一部を行政が障害のある方へ個別に給付するものです。具体的には、障害に関する医療や福祉サービス、福祉用具(補装具)などの費用が給付されます。自立支援給付の基本的な運用ルールは、国(厚生労働省)が定めます。これに対し、地域生活支援事業は、国が一律に運用ルールを定めるのではなく、障害のある方がお住まいの各地域で運用ルールを定めて実施した方が実情に応じた対応を期待できる事業や、一般的な相談対応のように個別の給付には当たらない事業をまとめたものです。例えば1人では外出が困難な方への付き添いを提供する「移動支援」や、手話通訳者や要約筆談ができる人を派遣・設置する「コミュニケーション支援」といった事業が挙げられます。詳しい法律の概要やサービスの内容などは次のリンクを参考にしてください。この記事では、自立支援給付の利用申請方法・利用負担額を詳しく解説していきます。障害者総合支援法の給付サービスの申請方法出典 : 自立支援給付の利用手続きはサービスごとに申請方法が異なります。それぞれの申請方法を詳しくご紹介します。障害福祉サービスには「介護給付」と「訓練等給付」の2種類があり、それぞれ申請の流れが多少異なります。介護給付を希望する場合は障害のある方の生活環境を踏まえ、どのような支援をどの程度必要とするかといった度合いを測る「障害支援区分(以下、支援区分)認定」を受けることが必要になります。訓練等給付を希望する場合には原則として支援区分の認定は不要ですが、共同生活援助(グループホーム)を利用する場合には、支援区分認定が必要となります。支援区分は、7段階の区分に分かれ、もっとも支援の必要性が高い区分が「6」、以下「5・4・3・2・1」と続き、もっとも支援の必要性が低い場合は「非該当」となります。支援区分は7段階の区分に分かれ、もっとも支援の必要性が高い区分が「6」、以下「5・4・3・2・1」と続き、もっとも支援の必要性が低い場合は「非該当」となります。この支援の必要性の区分によって、支給されるサービスの時間に違いが出てきます。一部のサービスは支援区分が低いと利用できないこともあります。以下が申請からサービス利用までの流れです。1. 市区町村の障害福祉担当窓口へ申請申請の際には、状況に応じて障害者基礎年金1級の受給の有無や介護保険申請の状況などを聞かれる場合があります。2. 障害者支援区分認定調査市区町村の認定調査員による面接が行われ、全国共通の質問票から心身の状況に関する80項目と状況の調査が行われます。詳しくは次のリンクをご覧ください。参考:障害者総合支援法における「障害支援区分」の概要|厚生労働省3.一次判定認定調査の結果に基づき、コンピューター判定が行われます。4.二次判定一次判定の結果と状況調査、医師意見書などを踏まえ、市区町村が主催する、支援区分や特別な支給決定(必要とするサービス量が基準よりも多い支給決定など)を審議する「審査会」で二次判定が行われます。医師意見書とは、医師が申請した方の心身の状態、特別な医療などに意見を付すものです(市区町村が依頼します)。5.障害区分認定二次判定の結果に基づき、非該当、区分1~6の全7段階で支援区分認定が行われます。各サービスの区分ごとのサービス量は上記のリンクを参考にしてみてください。6.サービス利用意向の聴取・サービス等利用計画案の提出支援区分の認定と並行して、市区町村から福祉サービスの利用等に関する計画(サービス等利用計画、または障害児支援利用計画と呼びます)の案を提出するように求められます。サービス等利用計画案、障害児支援利用計画案は市区両村から指定された特定相談支援事業者、障害児相談支援事業所が作成しますが、申請者自身による作成も可能です(申請した方自身が作成する計画をセルフプランと呼びます)。7.支給決定支援区分や本人の状況、家族・家庭の状況、現在の困りごとや将来に向けた希望、福祉サービスの利用意向、サービス等利用計画案などを踏まえてサービスが支給決定され、受給者証が申請者に通知されます。8.サービス担当者会議申請した方が利用する全サービスの担当者(サービス管理責任者)が出席し、利用する方に適したサービス提供のあり方や、事業所ごとに作成する「個別支援計画」の方向性などについて話し合われます。9.支給決定時のサービス等利用計画の作成市区町村の支給決定やサービス担当者会議での案協議をもとに、最終的なサービス等利用計画を作成します。(セルフプランの場合には、8・9が省略されることがあります)10.サービスの利用開始申請した方はサービスを提供する事業所と利用契約を結び、サービスの利用を開始します。サービスの量や内容については、サービス利用開始後であっても必要に応じて見直すことができます。Upload By 発達障害のキホン自立支援医療には、育成医療・更生医療・精神通院医療があります。育成医療は身体障害のある子ども向け、更生医療は身体障害のある方向け、精神通院医療は精神疾患があって定期的に通院している方向けに、医療の給付を行うものです。利用手続きに関しては市区町村ごとに異なるため、最寄りの市区町村または都道府県窓口に問い合わせてください。申請の際には下記のような事項や持ち物が必要になります。育成医療: 申請書、所得が確認できる書類、医師の意見書など更生医療: 身体障害者手帳精神通院医療: 指定医療機関の中から通院先を決めておくこと車いすや義足、補聴器や白杖などの補装具を製作・修理する際に要する費用の給付を「補装具費」と呼びます。補装具費の給付を受けるためには、障害のある子どもの保護者または障害のある本人が、お住まいの市区町村に申請します。市区町村は医師の意見書による身体障害者更生相談所の判定・意見を依頼し、補装具の製作や修理が必要かどうか決定し、給付が認められると補装具費支給決定通知書、補装具費支給券が発行されます。その後、補装具業者と製作・修理の契約を結び、完成品を受け取るとともに利用者負担(原則1割負担)を支払うことになります。障害者総合支援法の自立支援給付、利用者負担額はいくら?出典 : 障害者総合支援法の障害福祉サービスを利用した際の利用者負担は、原則として「1割」です。ただし、世帯ごとの前年度所得に応じて負担額の月額上限が定められているため、その金額以上の自己負担は生じないことになっています。利用月額が0円に免除される場合もあります。特に、生活保護を受けている世帯や住民税が非課税の世帯については、利用者負担はありません。世帯の範囲には、障害がある大人の場合は利用する本人と配偶者が含まれ、本人と配偶者の前年度所得を参考に負担額を決定します。親の所得は本人の前年度所得には換算されないことになっています。障害がある子どもの場合は、保護者の属する住民基本台帳での世帯が範囲となります。月額上限負担額の目安として、下記を参考にしてみてください。■障害者の利用者負担・生活保護受給世帯・・・0円・市区町村民税非課税世帯・・・0円・前年度所得約300万円以上~約600万円以下の方・・・9,300円・前年度所得約600万円以上・・・37,200円以上が障害のある方に提供している障害福祉サービスの利用者負担額になります。ただし、サービス事業所やグループホームなどで発生する食費、光熱費、交通費などの生活費などは別途に自己負担となります。出典:障害者の利用者負担|厚生労働省出典:障害福祉サービスの利用について|厚生労働省自立支援医療の場合には、下記の条件に当てはまる方であれば、0円~20000円までの月額負担上限となります。下記の条件に当てはまらない場合は原則1割負担となっています。また、入院時の食事療養費又は生活療養費(いずれも標準負担額相当)については原則自己負担になります。・生活保護世帯・・・0円・市町村民税非課税世帯で本人収入が80万円未満・・・2500円・市町村民税非課税世帯で本人収入が80万円以上・・・5000円・市町村民税を33000円以上納めている・・・育成医療の経過措置5000円・市町村民税を33000円未満から23.5万円以下納めている・・・育成医療の経過措置10000円・市町村民税を23.5万円未満以上納めている高額治療継続者・・・20000円自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み補装具費の利用者負担額は原則1割です。ただし世帯の所得に応じて負担上限額が設定されています。・生活保護世帯・市町村民税非課税世帯・・・0円・それ以外の世帯・・・37,200円また、補装具費については障害者本人または世帯が一定所得以上(市町村民税所得割の最多納税者の納税額が46万以上)の場合、給付対象外となります。また、例えば補装具を購入すると世帯の所得状況によっては生活保護の対象になってしまう場合があります。それでは本末転倒ですので、その場合は利用者が負担する費用は生活保護の対象とならない範囲まで減免することになっています。出典:補装具の利用者負担|厚生労働省障害者総合支援法が定める、医療費や食費の免除・減免制度出典 : 障害者総合支援法では条件を満たした方に向けて、生活費や医療費など別途利用料金を超えてかかった費用を免除する制度があります。■障害のある人向けの費用免除と上限・療養介護を利用する場合は、医療費と食費の軽減措置があります・入所サービス、通所サービスを利用する場合、食費・光熱費実費負担に対して減免・軽減する制度があります・グループホームの利用者向けに家賃助成する制度があります■世帯での合算額が基準額を超える場合の高額障害福祉サービス給付費同一世帯に障害福祉サービスを利用する方が複数いる場合や障害児が障害者総合支援法と児童福祉法のサービスを利用している場合などに利用者負担の合計額が一定の額を超えるとき、高額障害福祉サービス給付費が支給され利用者負担額が軽減されます。費用免除や上限、高額障害福祉サービス費についての詳しい内容は次の資料を参考にしてみてください。障害福祉サービスの利用について|厚生労働省まとめ出典 : 障害者総合支援法の給付支援における申請方法は、サービスごとに異なります。また障害福祉サービスの中でも介護給付、訓練等給付によって異なるため、複雑に捉えがちです。とはいえ、ほとんどのサービスは市区町村の障害福祉担当窓口で所定の書類への記入や提出を行えば、その後はある程度まで役所がリードしてくれますから、大まかな仕組みを把握していれば問題ないでしょう。また利用者負担額についても、給付を受ける人や世帯の収入に応じて市区町村が設定しますので、細かいルールまで把握する必要はありません。実際の運用ルールは複雑な総合支援ですが、手続きなどで迷ったらお住まいの市区町村の障害福祉担当課や市区町村から委託されている基幹相談支援センターや委託相談支援事業所へ相談してみましょう。
2017年08月04日障害者総合支援法とは?出典 : 障害者総合支援法とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の通称で、障害がある方もない方も住み慣れた地域で生活するために、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした法律です。障害がある子どもから大人を対象に、必要と認められた費用の給付や貸与などの支援を受けることができます。制度の実施主体は市区町村、都道府県などの行政機関となります。参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律障害者総合支援法が定めるサービスには、大きく「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つの種類があります。自立支援給付は、利用するサービス費用の一部を行政が障害のある方へ個別に給付するものです。具体的には障害に関する医療や福祉サービス、福祉用具(補装具)などの費用が給付されます。自立支援給付の基本的な運用ルールは、国(厚生労働省)が定めます。これに対し、地域生活支援事業は、国が一律に運用ルールを定めるのではなく、障害のある方がお住まいの各地域で運用ルールを定めて実施した方が実情に応じた対応を期待できる事業や、一般的な相談対応のように個別の給付には当たらない事業のことをまとめたものです。例えば1人では外出が困難な方への付き添いを提供する「移動支援」や、手話通訳者や要約筆談ができる人を派遣・設置する「コミュニケーション支援」といった事業が挙げられます。また、障害のある方の日中活動を支援する「地域活動支援センター」や、生活自立度が高い人へ住まいの場を提供する「福祉ホーム」などの運営も、地域生活支援事業の枠組みに含まれています。障害のある方の生活スタイルは地域によってさまざまですので、地域生活支援事業のサービス内容も都道府県・市区町村によって異なります。地域生活支援事業には、相談支援も含まれます。お住まいの地域で提供されているサービスにどんなものがあるのか?給付支援を受けたいけれど条件は満たしているのか?などといった福祉サービスの利用に関することから、一般的な生活上の相談まで、さまざまな相談に応えます。障害福祉サービスの 利用について|全国社会福祉協議会障害者総合支援法に基づくサービスの利用対象は以下のように定められています。障害者手帳がなくても、医師の診断書により障害や定められた疾患のあることが確認されれば、利用対象となるケースもあります。・身体障害者・・・身体に障害がある18歳以上の人で、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けている人・知的障害者・・・障害者福祉法にいう知的障害者のうち18歳以上の人・精神障害者・・・統合失調症、精神作用物質による急性中毒、またはその依存症、知的障害、精神病室などの精神疾患を持つ人(知的障害は除く)・発達障害者・・・発達障害があるため、日常生活や社会生活に制限がある18歳以上の人・難病患者・・・難病等があり、症状の変化などにより身体障害者手帳を取得できないが、一定の障害がある18歳以上の人・障害児・・・身体障害、知的障害、発達障害を含んだ精神障害がある児童、または難病等があり、一定の障害がある児童参考文献:遠山真世,二本柳覚,鈴木裕介/著『これならわかるすっきり図解障害者総合支援法』2014年 日経印刷/刊障害者総合支援法の自立支援給付で受けられる3つの給付サービス出典 : 自立支援給付には大きく障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)、自立支援医療、補装具という3つの給付があります。障害福祉サービスはさらに「介護給付」と「訓練等給付」の2類型へ分類されます。介護給付とは、障害があることで必要となる介護・介助サービス費用の一部を給付するものです。訓練等給付とは、就労に向けた訓練や福祉的な就労、安定した就労を支援するサービス、あるいはグループホームなど費用の一部を給付するものです。■介護給付・居宅介護(ホームヘルパー):食事や入浴、トイレなどの介助を提供します。・重度訪問介護:重度の肢体不自由や重度の障害のために常時の介護や見守り、外出支援などを必要とする方に、長時間の総合的な支援を提供します。・同行援護:視覚障害により自力での移動が難しい方に対して外出時の支援を提供します。・行動援護:行動障害があることで外出時などの支援が必要な方に対して、危険を避ける、先の見通しを立てる、コミュニケーションを仲立ちするなどの支援を提供します。・重度障害者等包括支援:最重度の障害(原則として障害支援区分が最重度の「6」であること)があり、常時の介護を必要としている方に対して、居宅介護や短期入所、生活介護など複数の介護サービスを組み合わせて提供します。・短期入所(ショートステイ): 障害のある方を介護している家族などの病気や所要、一時的な休養などのため、短期間、施設に入所するサービスを提供します。・療養介護:医療的ケアと介護を常に必要とする方に対して、医療機関などで医療サービスや介護、介助などをトータルに提供します。・生活介護: 日常的な介護や見守り、生活支援などを必要としている方(原則として障害支援区分「3」以上であること)に対して、日中の介護、介助や見守り支援を行うほか、創作的活動や生産活動、地域との交流活動などを提供します。・施設入所支援:重度の障害のある方(原則として障害区分「4」以上であること)に対して、施設内での夜間の介護、介助や見守り支援などを提供します。■訓練等給付・自立訓練: 障害のある方が地域で自立した生活を送ることができるよう、身体機能と生活能力の向上を目指した訓練を提供します。自立訓練には機能訓練と生活訓練の2種類があります。・就労移行支援: 一般企業での就労や、自ら企業することを希望する方に対して、就労や企業に必要な知識・能力の向上を図る訓練を提供しています。・就労継続支援: 一般企業などで働くことが難しい方に対して、福祉的な支援を受けながら働く場所を提供し、就労に向けた知識・能力の向上を目指す支援を提供します。就労継続支援には、雇用契約を結び最低賃金の支払いを原則とする「A型」と、雇用契約は結ばずに軽作業などを中心とする「B型」の2種類があります。・共同生活援助(グループホーム):標準的には5名程度(最大でも10名)の共同生活を行う住居において、相談や日常生活上の援助、食事や入浴、トイレなどの介護サービスを提供します。グループホームから一般住宅の生活に移行を目指す人を対象とした「サテライト型」もあります。自立支援医療とは、心身の障害の状態に対応した医療に対して、医療費の自己負担額を軽減する医療費の公費負担制度です。障害者自立支援法の成立以前はそれぞれ身体障害者福祉法に基づく「更生医療」、児童福祉法に基づく「育成医療」、精神保健福祉法に基づく「精神通院医療費公費負担制度(32条)」と、各個別の法律で規定されていました。これらを一元化した新しい制度として自立支援医療制度が創設されました。よって根拠となる法律はそれぞれの法律におきながらも、障害者総合支援法のもとで給付が行われるようになりました。給付には市区町村等で自立支援医療費支給の認定(支給認定)を受ける必要があります。・育成医療:身体障害のある子どもを対象に、障害を改善、軽減することで生活の能力を得ることが期待される治療に対して医療費の自己負担を軽減するものです。・更生医療:身体障害者を対象に、障害を改善、軽減することで生活の改善が期待される治療に対して医療費の自己負担を軽減するものです。・精神通院医療:精神疾患(てんかんを含む)の人を対象に、精神科の通院医療にかかる医療費の自己負担を軽減するものです。日常生活を円滑に送るために、身体の欠損や障害を負った身体機能を補完・代替する車いすや装具、義肢や補聴器、白杖などの用具に対して、補装具費(原則として、購入・修理費用の1割)を支給するものです。障害者総合支援法の地域生活支援事業は地域の実情に応じた支援を提供出典 : 地域生活支援事業は都道府県や市区町村が地域の実情に応じてさまざまなサービスや事業を実施するものです。住民に身近な市区町村で実施する地域生活支援事業には、外出時の付き添いを行う「移動支援」や、福祉用具を給付、貸与する「日常生活用具」、手話通訳や要約筆記を派遣する「意思疎通支援」、判断力が十分ではない人が成年後見人制度を利用しやすくするための「成年後見人支援事業」などがあります。地域生活支援事業には市区町村が主体の事業と都道府県が主体の事業があり、都道府県は人材育成や都道府県内の広域な事業を担うことになっています。Upload By 発達障害のキホン■市区町村事業・障害に対する理解促進・啓発・障害のある方や家族が自発的に行う活動の支援・相談支援事業・補助を受けなければ成年後見制度の利用が困難である方への費用助成・手話通訳者、要約筆談者などの派遣・設置・日常生活具の給付または貸付・手話奉仕員養成研修・移動支援事業・地域活動支援センターの設置・運営・福祉ホームの設置・運営・その他の日常生活又は社会生活支援など■都道府県事業発達障害や重症心身障害、高次脳機能障害など、支援に際して高い専門性や広域性が必要とされる障害について、相談に応じ、必要な情報提供を行っています。また手話通訳士や要約筆記者などの意思疎通ができる人材の育成を行っています。障害者総合支援法の相談支援事業は、困った時の強い味方出典 : 障害者総合支援法の下では、さまざまなサービスを組み合わせて支援プランをつくることができます。しかし、実際に利用するとなると、どのようなサービスがあって、自分はどれを受けられるのか、分からない点や不安な点が出てくると思います。その場合は、市区町村の障害福祉担当窓口や市区町村から委託された基幹相談支援センター、市区町村から指定を受けた特定相談支援事業所で相談支援を受けることができます。■基本相談支援障害がある方の福祉に関するさまざまな問題について、障害のある方や家族からの相談に応じ、必要な情報の提供、障害福祉サービスの利用のアドバイスなどを行うほか、成年後見人制度の利用など権利擁護のために必要な援助も行います。窓口は市区町村や市区町村から委託された基幹相談支援センター、市区町村から指定を受けた特定相談支援事業所になります。■計画相談支援・サービス利用支援障害福祉サービスなど申請を行う際に、障害のある方や家族から生活上の困りごとや将来の希望などをうかがい、サービス等利用計画の作成を行います。また福祉サービスを利用する際には、サービス事業者などと連絡調整を行います。窓口は市区町村の障害福祉課または市区町村から指定された指定特定相談支援事業者になります。・継続サービス利用支援支給決定されたサービスの利用状況の検証や生活上の状況確認(モニタリング)を行うとともに、サービス事業者などとの連絡調整を行い、必要に応じてサービス等利用計画の見直しをします。窓口は市区町村の障害福祉課または市区町村から指定された特定相談支援事業者になります。■地域相談支援・地域移行支援障害者支援施設等に入所している障害がある方や精神科病院に入院している精神障害のある方(原則として1年以上入院している方で、市区町村が必要と認める方)を対象に、地域生活へ移行するための支援計画の作成、生活環境が変わることへの不安の解消、外出への同行支援、住居確保、関係機関との調整などを行います。相談窓口は都道府県から指定された一般相談支援事業者になります。・地域定着支援居宅において単身で生活している障害のある方など、地域における安定した暮らしの実現に支援を必要とする方を対象に、常時の連絡体制の確保と、緊急時の対応などの支援を行います。相談窓口は都道府県から指定された一般相談支援事業者になります。■障害児相談支援障害児相談支援は児童福祉法を根拠に障害者総合支援法で実施しているサービスです。・障害児支援利用援助障害のある子どもが利用する障害児通所支援の申請を行う際に、障害児支援利用計画の作成を行います。また福祉サービスを利用する際には、サービス事業者などと連絡調整を行います。窓口は市区町村の障害福祉課または市区町村から指定された障害児相談支援事業者になります。・継続障害児支援利用援助支援決定されたサービスの利用状況の検証や生活上の状況確認(モニタリング)を行い、サービス事業者などとの連絡調整などを行い、必要に応じて障害児支援利用計画の見直しをします。窓口は市区町村の障害福祉課または市区町村から指定された障害児相談支援事業者になります。以上のように障害者総合支援法では、さまざまな相談に応えることができるよう体制を整えています。しかし、指定一般相談支援事業者、指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者と言われても、どこに行って相談すれば良いのか、少々分かりにくいかもしれません。お住まいの市区町村のホームページなどで情報を得たり、または市区町村の障害福祉担当窓口や発達障害者支援センターなどへ問い合わせたりするとよいでしょう。障害がある子ども向けサービスは、児童福祉法で提供されます出典 : 障害のある子ども向けの各種福祉サービスは、児童福祉法に基いて提供されています。これは、平成24年の児童福祉法改正にあわせ、障害があっても「子ども」である以上は児童福祉の枠組みで支援すべきである、という理念を取り入れ、障害児だけが対象の福祉サービスを児童福祉法へ一元化したことによるものです。そのため、障害のある子どもについては、児童期に限定した福祉サービスは児童福祉法、児童も成人も対象となる福祉サービスは総合支援法が適用法令となります。もちろん、利用申請をして支援決定を受ければ、同時に両方のサービスを受けることができます。児童福祉法は子どもの支援に関する法律です。この法律における障害児福祉サービスの対象は障害のある18歳未満の子どもと定義されており、サービスは障害児通所支援と障害児入所支援の2つに分けることができます。支給決定の主体は、障害児通所支援が市区町村、障害児入所支援が都道府県となります。また、児童福祉法における「障害児」の規定には特に障害者手帳の所持が条件となっていないため、サービスの利用に当たり、手帳の有無は問われません。ただし、医師の診断書により障害があることを確認するケースはあります。■障害児通所支援障害児通所支援とは施設や事業所に通所して、日常生活や集団生活を送るために必要な能力を身につける支援を提供するサービスです。児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の4種類があります。Upload By 発達障害のキホン詳しくは以下の記事、「障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)利用手順・施設選びのポイント・申し込み方法まとめ」を参考にしてみてください。■障害児入所支援障害児入所支援とは、療育などの必要性が認められた障害のある子どもを施設に入所させ、自立した生活を送ることができるよう支援するサービスです。障害のある子どもが入所できる施設は全国的にも限られているため、障害児入所支援については都道府県や大規模な政令指定都市などが所管する児童相談所が支給決定しています。障害児入所施設は医療機関を併設しているかどうかによって福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設の2種類に分類されます。Upload By 発達障害のキホン障害児通所・入所支援を利用するには、通所受給者証または入所受給者証の交付を受ける必要があります。通所受給者証はお住まいの市区町村の福祉担当窓口・障害児相談支援事業所などに申請を行い、サービスの利用が認められ、支給決定を受けると取得できます。入所受給者証は各都道府県や政令指定都市などの児童相談所に申請し、サービスの利用が認められ、支給決定を受けると取得できます。それぞれ、受給者証が交付されたら、指定障害児通所事業所・入所施設などとサービスの利用契約を結ぶことができます。自治体ごとに申請方法が異なりますので、お住まいの地域に確認しましょう。詳しくは以下の記事、「【障害児通所・入所給付費】受給者証の取得方法、体験談まとめ」を参考にしてみてください。まとめ出典 : 障害者総合支援法では一人ひとりの障害特性や生活環境などを考慮しながら、本人に合ったサービスを提供しています。また平成30年に施行される法改正によって、よりきめ細やかなサービスの提供を図るため、障害福祉サービスを取り巻くさまざまな関係者との連携やサービスの質の向上、サービス内容の情報開示などの努力がなされます。以前と比べれば自分に合ったさまざまな支援を受けられるようになり、サービスが充実していけば家族の負担も少しずつ減ってくるでしょう。障害福祉サービスを取り巻く環境は着実に良い方向へと変化しているのではないでしょうか。また、障害のある子どもに関しては、障害者総合支援法だけでなく児童福祉法に基づくサービスなども並行して利用できます。さまざまな支援サービスを組み合わせるなど工夫し、上手に使うことで障害がある方とその家族の地域生活が充実していくことを期待したいところです。
2017年08月04日障害者総合支援法とは出典 : 障害者総合支援法とは、障害のある方もない方も住み慣れた地域で生活するために、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした法律です。正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」ですが、略して「障害者総合支援法」と呼ばれています。この法律に基づき、障害のある子どもから大人を対象に、必要と認められた福祉サービスや福祉用具の給付や支援を受けることができます。実施主体は主に市区町村、都道府県などの地方公共団体です。障害者総合支援法の概要|厚生労働省障害者総合支援法ができたわけ出典 : 障害者総合支援法が施行されるまでには、障害のある人が利用する福祉サービスの利用方法や負担額の決定方法を改正・改善してきた歴史があります。2003年3月まで、障害のある人が利用する福祉サービスの利用内容や利用できる量はすべて行政(都道府県や市区町村)が決定していました。これを措置制度といいます。しかし障害のある人の暮らしぶりを何から何まで行政が決定する仕組みには批判も多くありました。2000年には、高齢者が利用する福祉サービスについては原則として措置制度をやめて「介護保険制度」へ移行したことも受けて、支援費制度が導入されました。これは市区町村から福祉サービスの支給決定を受けた障害のある人が、サービスを提供する事業所を選択し、事業所との契約によって福祉サービスを利用する仕組み(利用契約制度)を取り入れており、大変に画期的なものでした。しかし、支援費制度の導入によりサービスの利用者が増加したこともあり、財源の確保が困難になったほか、地域ごとのサービス提供格差や障害種別(身体障害、知的障害、精神障害)間の格差が生じる問題が発生しました。(支援費制度は精神障害が対象外でした。)これらの問題を解決するために、、2005(平成17)年11月に「障害者自立支援法」が公布されました。しかし法律の理念がないことや、サービスの必要性を図る基準(障害程度区分)が障害特性を十分に反映していないなど、施行当初から問題が指摘されていました。特にそれまでは障害年金が収入の中心であれば自己負担なしだったところ、自立支援法では、サービス利用者に原則として1割の自己負担を設定しました。そのため、収入よりも自己負担額の方が多くなる人も出てしまい、サービスの利用を減らしたり控えたりするケースも発生しました。そこで2010年には自立支援法を改正し、1割の自己負担額を改め、以前のように利用者の収入に見合った自己負担(障害年金が収入の中心であれば自己負担なし)の設定となりました。さらにその後2013年には、「共生社会の実現」や「可能な限り身近な地域で必要な支援を受けられる」といった法の基本理念を定め、福祉サービスを利用できる障害者の範囲を見直して、難病がある方も対象にするなどの改正が行われ、現在の「障害者総合支援法」が成立したのです。なお、障害者総合支援法については、法の施行後3年が経過した時点で内容を見直すことになっており、2016年にさらなる法改正がなされています。改正された障害者総合支援法は平成30年(2018年)4月から施行されることになっています。 NET独立行政法人 福祉医療機構「障害者福祉制度解説」障害者自立支援法から障害者総合支援法改正への改善点4つのポイント出典 : 障害者自立支援法から障害者総合支援法への法改正が行われたことで、いくつかの改善点がありました。今回はその中でも主なポイントを4つご紹介しながら、障害者総合支援法の概要をご紹介します。法改正前の自立支援法では基本理念は設けられていませんでした。法改正によって、障害のある人を権利の主体と位置づける基本理念を定めました。基本理念の設定により、住み慣れた場所で可能な限り必要な支援が受けられることや、社会参加の機会の確保、どこで誰と暮らすかを選べるなど、障害のある人が保障されるべき権利がより明確に打ち出されたほか、障害の有無によって分け隔てられることのない「共生社会」を目指す方向性が示されました。障害者総合支援法の福祉サービスは、こうした理念に基づいて実施されることとなります。第一条の二 障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行わなければならない。支援費制度から自立支援法、そして障害者総合支援法という法制度の変遷は、支援対象となる人が見直されてきた歴史でもあります。かつて支援費制度下では、精神障害のある人は支援の対象ではありませんでした。それが自立支援法の成立によって支援の対象となりましたが、今度は発達障害のある人の位置付けが不明確であることが課題となり、2010年の自立支援法改正で発達障害も支援の対象であることが明確化されました。総合支援法ではこれまで支援が行き届かなった難病等の疾患のある人についても、支援対象者として新たに加わることとなり、サービスを受けられる方の範囲が広がりました。平成29年4月時点で、対象となる疾病は358疾病が対象になっています。詳しくは次の厚生労働省のサイトを参考にしてみてください。障害者総合支援法対象疾病(難病等)の見直しについて|厚生労働省自立支援法では、福祉サービスの利用に際し、障害の程度を測る指標を導入して、サービスの給付決定をしていました。これを「障害程度区分」と呼びます。ただ、主に日常生活行為が「できる」か「できない」かに着目して障害の程度を測っており、例えば食事が自分でできる/できないかだったり、排泄が自分でできる/できないかだったりで、できる項目が多ければ障害の程度は軽く、できない項目が多ければ障害の程度は重いという考え方が基本となっていました。しかし、一口に障害といっても、その実情は一人ひとりさまざまです。日常生活の中でも、自分でできるけれど時間がかかったり、自発的に行えなかったり、症状の調子が悪い時にはできなくなるなど、条件付きで「できる」という方もいます。どの程度生活に支障があるかは人によって異なりますし、「できる」「できない」で障害の程度を判断することは難しいのです。そこで障害者総合支援法では障害程度区分を改めて「障害支援区分」とし、障害のある人それぞれの生活環境を踏まえ、どのような支援をどの程度必要とするかといった度合いを測ることになりました。コンピュータによる一次判定とかかりつけ医の意見書、市区町村の審査会による二次判定によって、障害支援区分を認定することになっています。支援区分は7段階の区分に分かれ、もっとも支援の必要性が高い区分が「6」、以下「5・4・3・2・1」と続き、もっとも支援の必要性が低い場合は「非該当」となります。この支援の必要性の区分によって、支給されるサービスの時間に違いが出てきます。一部のサービスは支援区分が低いと利用できないことがあります。重度訪問介護とは、日常生活上で常に介護を必要とする方に対して、ヘルパーを長時間(最大で24時間)派遣し、訪問介護や身体的な介護や家事の援助、外出の付き添いや生活を送る上での相談や助言などを行う支援です。従来は身体障害者のなかでも重度の肢体不自由者のみが対象でしたが、その他の障害がある方でも提供されるようになりました。具体的には、重度の肢体不自由・知的障害・精神障害により重度の行動障害がある人(行動援護サービスに該当する程度の人)で、障害支援区分が「4」以上の人です。これにより、行動障害がある人も重度訪問介護を活用して一人暮らしするという選択肢が増えたといえます。障害者総合支援法の2本柱は、自立支援給付と地域生活支援事業障害者総合支援法のサービスは、大きく自立支援給付と地域生活支援事業の2種類があります。どちらも市区町村または都道府県が実施主体となっていますが、位置付けには違いがあります。自立支援給付は、国がサービスの類型や運用ルールを定めるもので、障害のある人が福祉サービスを利用した際に、行政が費用の一部を負担するものです。法律上は全体費用の「9割」を給付しますが、住民税が非課税の世帯であれば全額(10割)を給付します。一方、地域生活支援事業は、都道府県、市区町村が主体となって実施するもので、大まかな枠組みは国から示されていますが、サービスの類型や運用ルールは都道府県、市町村が定めています。障害のある方がお住まいの地域で自立した生活を送るために必要な支援のうち、地域の特性に応じて実施するサービスが位置付けられています。自立支援給付に位置付けられているサービスは、障害福祉サービス(介護給付・訓練等給付)、自立支援医療、相談支援事業、補装具の大きく4つです。たとえば障害福祉サービスでいえば、ヘルパーサービスや施設への通所・入所を利用するサービス、就労支援などが挙げられます。詳しくは以下の図をご覧ください。Upload By 発達障害のキホン地域生活支援事業として提供されるサービスには、障害のある人の外出に付き添う移動支援や、福祉用具である日常生活用具の給付または貸与、手話通訳や要約筆記を派遣する意思疎通支援、成年後見制度支援などが含まれます。地域生活支援事業の中には、市区町村が主体の事業と、都道府県が主体の事業があります。都道府県は手話通訳士などの人材育成や都道府県内の広域な事業を担い、市区町村は障害のある人に身近な自治体として、移動支援や日常生活用具の給付、貸与といった利用者にサービスを提供する役割を担っています。詳しい分類は以下の図をご覧ください。Upload By 発達障害のキホン障害者総合支援法は障害者手帳がなくても使える?利用対象は?出典 : 障害者総合支援法のサービスを使うためには、原則として障害者手帳が必要ですが、一部を除いて医師の診断書があれば手帳がなくても使うことができます。障害者総合支援法のサービス利用対象者は次のように定められています。・身体障害者・・・身体に障害がある18歳以上の人で、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けている人・知的障害者・・・障害者福祉法にいう知的障害者のうち18歳以上の人・精神障害者・・・統合失調症、精神作用物質による急性中毒、またはその依存症、知的障害、精神病質などの精神疾患を持つ人(知的障害は除く)・発達障害者・・・発達障害があるため、日常生活や社会生活に制限がある18歳以上の人・難病患者・・・難病等があり、症状の変化などにより身体障害者手帳を取得できないが、一定の障害がある18歳以上の人・障害児・・・身体障害、知的障害、発達障害を含んだ精神障害がある児童、または難病等があり、一定の障害がある児童参考文献:遠山真世,二本柳覚,鈴木裕介/著『これならわかるすっきり図解障害者総合支援法』2014年 日経印刷/刊ここからも分かるとおり、サービスを受給するために障害者手帳が必要なのは身体障害がある方のみになります。身体障害以外の障害がある方は、本人や家族の希望と医師の診断書があればサービスの利用申請を行うことができます。ただし、医師の診断書については、障害や病名が対象となるかどうかを確認するため、国際的に使われている病名分類コードの記載が必須となります。詳しい情報やサービスの受給を希望する方はお住まいの市区町村の障害福祉課担当窓口へお問い合わせください。平成30年施行の法改正において創設されるサービスなどを紹介します!出典 : ここまでご説明してきた障害者総合支援法ですが、「生活」と「就労」に対する支援をより一層充実させることを目標とした新サービスの創設や、既存のサービスをより充実させるための法改正が行われました。正式名称を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」といい、障害者総合支援法と児童福祉法の一部が平成28年(2016年)に改正され、平成30年(2018年)に施行されます。児童福祉法のなかには18歳未満の障害児を対象とする支援が定められています。障害児が障害者総合支援法に基づいている障害福祉サービスを利用する場合もありますが、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などは児童福祉法に根拠を置いています。今回の法改正では障害児への支援の拡充が盛り込まれました。そのため、今回は総合支援法とあわせて児童福祉法の一部改正についても説明していきます。■自立生活援助の創設現在、障害者支援施設やグループホーム入所・入居している方の中には、賃貸住宅などで一人暮らしを希望する方もいます。しかし知的障害や精神障害によって、生活能力に不安定さがあることなどで一人暮らしを選択できない方がいます。自立生活援助では本人の意思を尊重した地域生活を支援するため、一定期間にわたり定期的な巡回訪問を行い、食事や掃除、公共料金の滞納はないか、地域住民との関係は良好かなどの確認を行います。また定期的な訪問だけではなく、電話やメールなどで随時相談が行うことができるようになります。■就労定着支援の創設就労移行支援などを利用し一般企業へ就労した方で、就労に伴う環境の変化によって生活面に課題が生じてしまう方がいます。たとえば遅刻や欠勤の増加、身だしなみの乱れや業務中の居眠りなどの課題が環境の変化によって新たに生じるなどです。就労定着支援は就労定着支援事業所の方が職場・家族・関係機関への連絡調整を行ったり、職場や自宅に訪問し、生活リズムや体調などの指導や助言などを行ったりすることで、環境の変化に適応できるようサポートします。■重度訪問介護の訪問先の拡大重度訪問介護を利用している人が入院した際、普段利用していたヘルパーに支援をお願いすることが制度上できませんでした。またその人の特性やニーズに合った支援が入院先へ引き継げない場合もあり、利用者が困ってしまうことがありました。この改正によって、重度訪問介護を利用している方が入院中の医療機関においても、利用者の状態を熟知しているヘルパーを引き続き利用したり、そのニーズを的確に医療従事者に伝達したりなどの支援が利用できるようになります。■高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用障害福祉サービスと同様のサービスが介護保険法にある場合は、介護保険サービスの利用が優先されるようになっています。さらに高齢障害者が介護保険サービスを利用する場合、障害福祉制度と介護保険制度の利用者負担上限が異なるため、利用者負担(1割)が新たに発生する場合があります。またこれまで利用していた障害福祉サービス事業所とは別の介護保険事業所を利用しなければならないことがあるなどの課題が指摘されています。この改正によって、たとえば65歳になるまでの長期間にわたり障害福祉サービスを受けていた障害のある方、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合、一定程度以上の障害支援区分の方や低所得者に対して、介護保険サービスの利用者負担が軽減されるような仕組みが設けられます。障害福祉サービス事業所が介護保険事業所としても機能しやすくするなどの見直しを行い、介護保険サービスがより円滑に利用できるようになります。■重症心身障害児などに対して訪問型の児童発達支援が創設障害児支援に関しては、複数の児童が集まる通所による支援が子どもの成長に望ましいと考えられていたため、これまで通所支援の充実を図ってきました。しかし現状では、重度の障害のため外出が著しく困難な障害児が発達支援を受けられません。そこで重症心身障害児などの居宅を訪問して発達支援を行うサービスが新たに創設されることになりました。■保育所等訪問支援の支援対象に乳児院と児童養護施設が追加保育所等訪問支援では、これまで保育所・幼稚園、放課後児童クラブ、小学校などに相談支援員が訪問していました。しかし乳児院や児童養護施設の入所者に占める障害児の割合は3割程度となっており、職員による支援に加えて、専門的な支援が求められているため、保育所等訪問支援の対象者を乳児院や児童養護施設の子どもたちにも拡大することになりました。■医療的ケア児に対する支援NICU(新生児特定集中治療室)などに長期入院後、引き続き人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な障害児(以下:医療的ケア児)が増加しています。医療的ケア児が地域において必要な支援を円滑に受けることができるよう、地方公共団体は児童発達支援センター、障害福祉サービス事業所、特別支援学校などの福祉機関と、訪問看護ステーション、小児科診療所、地域小児科センターなどの医療機関と連携を図るために連絡調整を行う仕組みをつくることになりました。また医療的ケア児に対する支援については、すでに平成28年6月に施行されています。■障害児サービス提供体制の計画的な構築これまで市町村および都道府県に対して、障害福祉計画および都道府県障害福祉計画の作成を義務付けていました。法改正によって、障害児を対象にした障害児福祉計画および都道府県障害児福祉計画の作成を義務付けることになりました。また障害児相談支援の提供体制を整備し、障害児通所支援などの円滑な実施を確保するための仕組みも導入しました。障害児福祉計画は障害児通所支援や障害児相談支援の必要なサービス量の見込みを示すなどして、提供体制を確保していく努力を行うための計画であり、整備の指針になります。■補装具の貸与制度の追加補装具費は身体障害者の身体機能を補完・代替する補装具の「購入」に対して補助金が支給されていました。したがって、これまでは補装具本体の「貸与」はありませんでした。この改正によって障害児など成長に伴って短期間で補装具の交換が必要となる場合は「購入」を基本とする原則は維持したうえで、「貸与」が適切と考えられる場合には補装具本体の貸与が行われることになります。詳細は今度、関係者の意見を踏まえた上で検討されます。■障害福祉サービスの情報公表制度の創設障害福祉サービスなどを提供する事業所数が大幅に増加するなかで、利用者が個々のニーズに応じて良質なサービスを選択できるようにするとともに、事業者によるサービスの質の向上が重要な課題となっています。施設・事業者に対して障害福祉サービスの内容などを都道府県知事へ報告し、都道府県知事が報告された内容を公表する仕組みがつくられます。この情報をもとに利用したいサービスを提供している事業所を選択することができるようになります。■自治体による調査事務・審査事務の効率化障害者自立支援法の施行から10年が経ちました。障害福祉サービスなどの事業所数や利用者数は大きく増加しており、自治体による調査事務や審査事務の業務量が大幅に増加しています。この改正に伴い事務の一部を委託可能にするために必要な規定を整備することになりました。 たとえば、利用を検討している方に向けて利用審査に必要な質問や、関連文書の作成などを、許される範囲内で行政から委託された民間法人が担うことができるようになります。参考:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び 児童福祉法の一部を改正する法律」について(経過) |厚生労働省まとめ出典 : 障害者総合支援法は障害の有無に関わらず、共に住み慣れた地域で暮らすことができる社会(共生社会)を実現するためにつくられた法律です。障害がある子どもから大人まで利用できる、自立支援給付や地域生活支援などのサービスがあります。また具体的にどんなサービスがあるのか、サービスを受けられる対象者に当てはまるかなどの相談に応える相談支援もあります。ただ、サービスも各地域によって特色がありますので、総合支援法の利用を検討中の方はお住まいの市区町村の担当窓口にお問い合わせください。障害者総合支援法は自立支援法を改正して生まれた法律です。しかし自立支援法時代からの課題が全て改善されたわけではありません。障害のある人の支援に関する法律は、今後も議論や改正を重ねながら、その時代や地域、利用者のニーズに適したサービスを提供していくことでしょう。
2017年07月31日テーマは「家族支援」−第10回教育実践フォーラム開催!Upload By LITALICOニュース2017年7月23日(日)の13時より、東京・品川の立正大学にて、子どもの発達と家族支援をテーマとしたイベント、「教育実践フォーラム」が開催されます。登壇者は、家族支援研究の第一人者である立正大学心理学部の中田洋二郎教授、鳥取大学大学院の井上雅彦教授ほか、教育と家族支援に携わる研究者、実践者、保護者の方々。「障害のない社会をつくる」をビジョンに、児童発達支援事業や就労支援事業などを展開する株式会社LITALICOが主催し、教育を取り巻く課題と実践、未来の展望を考える「教育実践フォーラム」。2012年の初回企画から数えて、今年で10回目の開催となります。第10回のテーマは「家族支援」。子どもの発達が気になる家族に対する有効な支援方法として行われている「ペアレントトレーニング」の最新の実践・研究動向を取り上げながら、子どもと向き合う保護者たちがどんな困難や悩みを抱えているのか、保護者に対して学校の先生たちや専門家はどのような支援をすべきか、登壇者や来場者の皆さまと一緒に考えていきます。第10回教育実践フォーラム専門家と保護者、それぞれの立場から語る「ペアレントトレーニング」の意義フォーラムの基調講演は、家族支援の第一人者として、長らくペアレントトレーニングの研究と実践を積み重ねてこられた立正大学心理学部教授の中田洋二郎先生。子どもの「困った」行動を分析・修正し、より良い行動を促すペアレントトレーニングは、これまで子どもの養育に悩み苦しんできた保護者の方々にとって、具体的な問題への対応方法を習得し、自信を取り戻す手段として有効だと言われています。一方で、子どもの困難や障害に対する理解を深め、自分自身の行動を変化させていくことは、保護者の方々にとって新たな不安や負担にもつながる可能性があります。ペアレントトレーングが成功し、子どもも、保護者も過ごしやすい環境を作るためには、専門家が単なる技法の伝授にとどまるのではなく、子どもの障害への保護者の認識の変容過程を踏まえ、保護者が孤立しないための配慮や支援が必要になります。中田先生の講演では、保護者の障害認識のあり方などペアレントトレーニングを実施する上で支援者が理解しておくべきことについてお話いただき、家族支援とは何かを会場の皆さんと一緒に考えていきます。Upload By LITALICOニュース中田 洋二郎立正大学心理学部教授専門は発達臨床心理学、発達障害の家族支援。東京都立の知的障害児通園施設の心理判定員を務めた後、国立精神・神経センター精神保健研究所 思春期精神保健研究室長、福島大学大学院教育学研究科教授を経て現職。臨床心理士。基調講演のあとは、専門家・保護者それぞれの立場からペアレントトレーニングについて語るパネルディスカッションです。モデレーターは、鳥取大学大学院教授の井上雅彦先生です。Upload By LITALICOニュース井上雅彦鳥取大学大学院 教授/LITALICO研究所所長(アドバイザー)応用行動分析学を理論的基盤として障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究。ペアレントトレーニングシステムなどの支援プログラムの開発をはじめ、著書も多数。パネリストは、東京・江戸川区の「まめの木クリニック」にてペアレントトレーニングを実践されている臨床心理士の庄司敦子先生、LITALICOジュニアでのペアレントトレーニングの作成・研修・実施を担当する井田美紗子の2名。それぞれの現場での取り組みが発表されます。中田洋二郎先生は基調講演に引き続きメインコメンテーターとして登壇。また、実際にペアレントトレーニングを受けたことのある保護者の方にもコメンテーターとしてご登壇いただき、ペアレントトレーニングを受けてよかったこと、フォローアップの要望なども含めたペアレントトレーニングのニーズをお話いただきます。7/23(日)教育実践フォーラム詳細開催日時: 7月23日(日) 13:00~17:50(12:30~受付)定員:500名参加費:無料(事前申込制)対象:小学校~高等学校、幼稚園、保育施設の職員、スクールカウンセラーなど、子どもの教育や医療・福祉・行政機関など子どもの支援に関わられている方その他、子どもの発達が気になる保護者の方、教育や発達支援について研究している方など、ご興味のある方はどなたでもお申し込み・ご参加いただけます。会場:立正大学 品川キャンパス 石橋湛山記念講堂(東京都品川区大崎4-2-16)アクセス:「大崎駅」より徒歩5分「五反田駅」より徒歩5分「大崎広小路駅」より徒歩1分お問い合わせ:03-5704-7361(地域教育相談室 岡野)※お申込みは下部ボタンのお申込みフォームよりお願いいたします。お申し込み締め切り:7月22日(土)13:00まで主催:株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)12:30~受付開始13:00~開会挨拶&LITALICOの家族支援について(20分)13:20~ペアレントトレーニングの有効性に関する研究報告(20分)13:40~中田洋二郎先生による基調講演(120分)15:40~質疑応答&休憩(15分)15:55~パネルディスカッション(100分)17:35~質疑応答、閉会挨拶、インフォメーション(15分)17:50~教材・展示コーナー自由閲覧(20分)学校や幼稚園、保育園の先生やカウンセラーの方々、子どもの発達が気になり、ペアレントトレーニングに関心がある保護者の方々をはじめ、「家族支援」にご関心がある方はどなたでもご参加いただけます。たくさんの方のご来場をお待ちしております!※2017年6月13日追記:満席のためフォーラムの申し込みは締め切りました。たくさんのお申し込みありがとうございました。残念ながら今回ご参加いただけなかった方も、次回以降のイベント情報をお待ちいただければ幸いです。第10回教育実践フォーラムジュニアペアレントトレーニング
2017年06月09日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。みなさんは、お子さんの“誕生月”を気にされたことはありますか?今回は、“早生まれ”と“遅生まれ”に分けて、それぞれのお子さんを育てるときに気をつけたいポイントをご紹介します。●早生まれの場合ちょっと昔の話ですが、某有名私立の小学校が設立されたときから数年、入学試験のお手伝いをしたことがあります。当時は子どもがいなかったので(結婚もしていませんでした)、入試が誕生月ごとに行われていることにとても驚いた覚えがあります。誕生月ごとにグループ化された子どもたちをいろんな試験が行われている教室へ誘導する係でしたが、生まれ月によって子どもの発達に“差”を感じました。もちろん個々の子ども自身の差はありますが、一般的には、早生まれの子は遅生まれの子に比べて、体格や体力、学力などで引けを取る傾向にあります (ちなみに、小学校入試に関しては、早生まれが不利にならないように考慮されている学校も多いかと思います)。実は、私自身も早生まれですし、息子2人も早生まれです。これは、私自身の経験ですが……小学1年生の成績は惨憺たるものでした。もちろん、早生まれでも成績の良いお子さんはいますが、早生まれのお子さんは遅生まれのお子さんに比べて、私のように勉強の初期でつまずいてしまう傾向が多々あります。ですから、早生まれのお子さんがいるママには、これから紹介することを気にかけて、お子さんを健やかに成長させてほしいと思います。まず、多くのお子さんは「自分は早生まれだから成績が悪かった」とは考えません。それよりも、「成績が悪いのは自分の“能力”が低いから」と思いがちです。その結果、「自分はバカだから勉強してもできない」「自分は足が遅いから頑張っても仕方がない」などと考えてしまうこともあります。そんなときは、ママからお子さんに“早生まれ”のことをわかりやすく説明してみてもいいでしょう。また、早生まれに対するママの意識が乏しいと、早い時期から「この子は勉強(運動)ができない」と決めつけてしまうこともあります。ママはそういった決めつけを絶対にしない ようにしてください。さらに、早生まれのお子さんがいるママにオススメしたいのは、お子さんが“楽しく学ぶ“土台を作ることです。これは月齢による差を気にすることなく今から取り組めることです。例えば、読み聞かせを習慣にすることによって、「これはなんだろう?」「もっと調べてみたい!」といったお子さんの学ぶ意欲を育てることができます。この“楽しく学ぶ力”を育てておくことは、目先の成績(結果)だけにとらわれることなくお子さんが“意欲的に学ぶ”という原動力になります。心理学者として言えることは、意欲さえあれば、学びは必ず実る ということです。それは、多くの偉人たちがさまざまなハンデを抱えていても、家族の支えで自信を持ち続けていたエピソードからも知ることができます。また、先生の中には誕生月をあまり意識されていない方もいます。もし、お子さんの様子で気がかりなことを伝えるときには、「早生まれだから、少し○○が難しいかもしれません」といった早生まれであることを知らせる“枕詞”をつける のもオススメです。そうすることで、先生からお子さんの発達に寄り添ったサポートをしてもらえる可能性が高まります。ちなみに、小学校高学年ごろには月齢による差は見られにくくなることがわかっています。ですから、ママも気持ちを楽にして、発達の差が見られにくくなるまでのあいだ、いかに“お子さんの自信を失わせないか”を考えていきましょう!●遅生まれの場合先ほども述べたように、特に小さいうちは、1年で大きく成長します。早生まれの子が産まれたころにはすでに歩き出しているお子さんもいるほどです。このような運動面だけでなく、生活面などにおいても、遅生まれのお子さんは「自分はできる」と思える環境に置かれやすくなります。この点は遅生まれの強みだと思います。しかし、遅生まれのお子さんの場合は気をつけなければいけないこともあります。それは、“周囲からの過剰な期待 ”です。もちろん、期待はお子さんにとってプラスの面をもつのですが、お子さんが“負担を感じる”期待はNGです。例えば、「4月生まれなのに、そんなこともできないの」「3月生まれの○○くんはできるのに……」といった言葉かけです。このような月齢と絡めた言葉かけや、誰かとの比較による言葉かけはお子さんの自信を奪うことがあります。傷ついた自信を回復するために、自分ができることを過剰に自慢し、友だちを傷つけてしまう子もいます。また、特別な努力をしなくても、小さいころから優秀な成績をおさめてきた遅生まれのお子さんの場合、月齢による差が見られにくくなる時期に成績が落ち込んだときには、人一倍自信を失う こともあります。こうしたことを防ぐためには、遅生まれのお子さんにも小さいころから“努力すればできる”ことを根気よく伝えていくことが大切ではないでしょうか。----------いかがでしたか。今回は早生まれ・遅生まれのお子さんを育てるときに気をつけたいことを紹介しました。ここではあくまで一般論を述べてきましたが、発達には個人差があります。ですから、目の前のお子さんの発達に寄り添い、ゆったりとした気持ちで成長を見守ることが大切だと感じます。すべてのお子さんが幸せに、そして個性豊かな力を発揮できることを心から願っています。【参考リンク】・誕生日と学業成績・最終学歴川口大司・森啓明 | 日本労働研究雑誌(PDF)()●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/椎葉咲子(苺乃ちゃん、胡桃ちゃん)
2017年05月30日「ふるさと納税」と呼ばれる制度をご存じでしょうか?この制度は税制を通じてふるさとに貢献するための制度であり、この制度をより利用しやすくするために平成27年には「ワンストップ特例制度」が新設されました。今回は、ふるさと納税に関する概要とワンストップ特例制度について解説していきます。■ふるさと納税の仕組みは?ワンストップ特例制度って何だろう?ふるさと納税は自治体への寄付に関する制度です。自治体に寄付をした場合に、この制度が適用されると税金の一部(所得税と住民税)が控除されます。対象となる金額は、自己負担額である2,000円を除いた寄付金額の全額です。例えば、あなたが自治体に対して50,000円の寄付をしたとしましょう。自己負担額は一律2,000円なので、ふるさと納税の対象は「50,000円-2,000円=48,000円」となります。この48,000円分の税金が、所得税と住民税から控除される仕組みです。では、ふるさと納税はどのような目的で整えられた制度なのでしょうか?ふるさと納税ができた背景には、日本の現代社会が大きく関係しています。現代の日本では、若年層が地方から都会へと移り住むケースが少なくありません。そうなると、地方出身の方は育った自治体に対して恩返しをすることが難しいため、その問題を解決するためにふるさと納税は制度として整えられました。ふるさと納税では、自分が生まれた街以外への寄付も対象とされています。そのため、学生時代に数年暮らした自治体や配偶者の故郷など、様々な自治体を積極的に応援しやすくなりました。ふるさと納税を通して寄付をした資金は、自治体ごとに少し異なります。各自治体が寄付金の使い道や考え方などをホームページで公表しているので、興味を持った方は一度確認してみてはいかがでしょうか?そのような情報を調べることで、応援したくなる自治体が見つかるかもしれません。【税制改革でふるさと納税はどう変わった?】平成27年の税制改革によって、ふるさと納税は以下の2点が変更されました。・ふるさと納税枠が拡大された・ワンストップ特例制度が新設されたふるさと納税枠は従来の2倍ほどに拡大され、控除対象となる金額が拡大されました。これにより、以前に比べて選んだ自治体をさらに応援しやすくなったと言えます。ワンストップ特例制度についても、ふるさと納税を利用しやすくなるために新設された制度と言えます。控除を受けるためには確定申告が必要になるケースが多いですが、この制度の新設により一定の条件を満たすことで確定申告は不要となりました。つまり、控除を受けるために余計な手間を発生させないための制度です。では、具体的にどのような条件を満たせば、確定申告が不要になるのでしょうか?主な条件としては以下の3つが挙げられます。・寄付をする自治体が5つ以下・サラリーマンなど、確定申告をする必要がない方・申告特例申請書を寄付をした自治体に提出した方上記の中で間違えやすいポイントとしては、寄付をする自治体の数です。ワンストップ特例制度は1年間の寄付が対象となりますが、同じ自治体に何回か寄付をした場合でも、寄付をした自治体は1つとして数えられます。■従来は確定申告が必要だった?ワンストップ特例制度が導入される前は、ふるさと納税には確定申告が必要でした。サラリーマンのように確定申告が必要ない方であっても、ふるさと納税で控除を受けるには確定申告で所定の手続きをする必要がありました具体的には、以下のような手順で控除申請が行われていました。【STEP1】証明書類を用意するふるさと納税を行うと、寄付したことを証明する書類が発行されます。自治体ごとに具体的な必要書類は異なりますが、多くの自治体では確定申告時にこの証明書類が必要です。【STEP2】確定申告書を作成する確定申告については、寄付をした翌年の3月15日までに行う必要がありました。それまでに確定申告書を作成し、税務署や役所などに提出をすることで控除の申請となります。本来確定申告をする必要がない方にとって、上記の手続きは面倒なものです。中には、この手続きによって「ふるさと納税を諦めた…」という方もいることでしょう。元々確定申告の必要がある方にとっては大きな手間ではありませんが、必要がないサラリーマンなどにとっては大きな手間と負担です。そこで導入されたのが、前述でもご紹介したワンストップ特例制度です。この制度の導入により手続きが簡略化され、上記の手続きをしなくても控除を受けられるようになりました。「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する必要はありますが、控除に必要なほかの書類や情報に関しては、この制度を利用することで自治体側がそろえてくれます。確定申告書を作成する場合と比べると、手間や負担を大きく抑えられる方法と言えるでしょう。では、このワンストップ特例制度が導入されたことで、ふるさと納税の実績はどのように変化したのでしょうか?平成27年度の実績を見ると、この制度が導入されたことで状況が変わったことが確認できます。・受入額は約1,653億円であり、前年の約4.3倍・受入件数は約726万件であり、前年の約3.8倍(総務省:ふるさと納税に関する現況調査結果)上記の結果を見ると、ふるさと納税の利用は今後ますます増加する可能性があると言えるでしょう。ワンストップ特例制度を活用することで、余計な手間を減らしつつ好きな自治体に貢献することができ、控除というメリットも得られます。興味を持った方は、一度好きな自治体への寄付を検討してみてはいかがでしょうか?■こんな場合には要注意!ワンストップ特例制度が適用されないケースがある?ワンストップ特例制度には条件が備わっているので、ふるさと納税をしたからと言って必ずしも利用できるわけではありません。では、実際にどのようなケースに該当すると、ワンストップ特例制度が適用されないのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。【その1】確定申告が元々必要な方ふるさと納税をしなかったとしても、元々確定申告が必要な方は多く見られます。そのような方については、基本的にワンストップ特例制度が適用されることはありません。確定申告が元々必要な方としては、以下のケースなどが挙げられます。・年収が2,000万円を超えているサラリーマン・給与所得が一ヶ所ではなく、複数の企業などから給与が支払われている方・事業所得がある方・不動産所得がある方・副業や投資をしている方確定申告が必要な方は確定申告時に寄付の証明書類を用意しておき、ふるさと納税の控除申請をきちんと行うようにしましょう。【その2】寄付をした自治体の数が多い場合前述でご紹介しましたが、ワンストップ特例制度を利用するには寄付をする自治体を5つまでに抑えなくてはなりません。寄付をした自治体が6つを超えると、確定申告をしなければ寄付した金額は控除がされないので注意が必要です。【その3】その他の還付申告を伴う方ふるさと納税以外にも、還付申告が必要になる制度はいくつか見受けられます。そのような制度を利用する方は、確定申告をしなければふるさと納税の控除を受けることができません。還付申告が必要なほかの制度としては、医療費控除や住宅ローン控除などが挙げられるでしょう。なお、住宅ローン控除については2年目から確定申告が必要ないケースもあります。住宅ローン控除は複数年に及ぶケースが一般的ですが、2年目以降は年末調整で処理がされるので、サラリーマンの方などは確定申告をする必要がありません。ただし、1年目については確定申告が必ず必要になるので、ワンストップ特例制度は適用されないことを覚えておきましょう。■「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」提出後の注意点申告特例申請書を提出した場合であっても、以下のケースに該当する場合は確定申告が必要になる可能性があります。以下でご紹介するケースを確認し、自分が該当していないかをきちんと確かめた上で行動をするようにしましょう。【ケースその1】その年の年収が2,000万円を超えた場合ひとつの勤務先に勤めているサラリーマンであっても、年収が2,000万円を超えると年末調整の対象ではなくなります。つまり、翌年の3月に確定申告をする必要性が生じてくるので、ワンストップ特例制度が利用できません。昇給などにより年収が変化しそうな方は、2,000万円を超えないかどうか事前に確認しておくことが望ましいでしょう。【ケースその2】その年の途中から収入源が増えた場合その年の途中から収入源が増えた場合も、確定申告が必要になるので注意が必要です。雇用形態が変更になった方や、不労収入がある方などは特に意識しておきましょう。【ケースその3】急な病気やけがで多くの医療費がかかった場合急な病気やけがで医療費がかかると、医療費控除の対象に含まれることがあります。ふるさと納税の控除に加えてこの医療費控除も受けたい場合には、確定申告できちんと控除申請をしなければなりません。このようなケースで確定申告を怠ると、「ワンストップ特例制度は利用できるものの医療費控除は適用されなかった」といった状況に陥る可能性があるので注意してください。■ワンストップ特例制度の申し込みは?提出期限はある?ここまでワンストップ特例制度の概要についてご紹介してきましたが、そもそもこの制度を利用するためにはどのような手順で申し込むのでしょうか?以下では、ワンストップ特例制度の申し込み方をステップに分けて解説していきます。【STEP1】申告特例申請書を郵送してもらう前述でもご紹介しましたが、ワンストップ特例制度の申し込みには申告特例申請書が必要になります。しかし、この申告特例申請書は必ずしも郵送されるものではありません。ふるさと納税を希望する場合は、各自治体の払込取扱票に記載をした上で寄付を行います。この払込取扱票に申告特例申請書の欄があるので、必ず「申請書送付を希望する」の欄にチェックを入れるようにしましょう。この欄にチェックを入れることで、自治体から申告特例申請書が郵送されてきます。もしチェックを入れ忘れた場合、待っていても自宅に申請書が届かなかった場合などは、各自治体のホームページから申請書をダウンロードすることが可能です。【STEP2】申告特例申請書を提出する申告特例申請書を手に入れたら、案内などに従いながら必要事項を記入していきます。必要事項をすべて記入し終わったら、ふるさと納税で寄付をした自治体に返送をしましょう。【STEP3】受領されれば完了返送した申告特例申請書が自治体に受領されれば、申し込みは完了となります。申請にはある程度の時間がかかり、記入漏れがあるとさらに手間が発生してしまうので、ワンストップ特例制度の申し込みは早めに行うことが大切です。【2016年以降はマイナンバーも必要!】2016年以降からは申請時にマイナンバーの記載が必要になりました。申請書にマイナンバーの記入欄があるので、自分のマイナンバーを確認した上できちんと記入するようにしましょう。また、マイナンバーに加えて本人確認書類が必要になる点も忘れてはいけません。本人確認書類については、以下のものを用意しておきましょう。・個人番号カードを持っている場合個人番号カードの表面と裏面をそれぞれコピーしたものが必要です。・通知カードしか持っていない場合通知カードのコピーに加えて、顔写真が貼られている本人確認書類のコピーが必要です。具体的なものとしては、運転免許証やパスポートなどが挙げられます。・通知カードを無くしてしまった場合マイナンバーが記載されている住民票の写しに加えて、運転免許証やパスポートなどのコピーが必要です。ワンストップ特例制度の申請は1年中受け付けていますが、提出の期限があります。税金の計算は毎年1月~12月までの期間に基づき行われるので、申請書類の提出はふるさと納税をした翌年の1月10日までであり、この期日までに自治体に到着することが必要となります。この期限を過ぎてしまうと、ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用を受けることができなくなるため注意してください。■まとめ今回は、ふるさと納税とワンストップ特例制度についてご紹介してきました。ワンストップ特例制度の開始により、サラリーマンでも利用しやすくなったふるさと納税。この機会に地方創生への想いも込めて、ふるさとへの恩返しやお世話になった地域への貢献の方法として、ふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか?
2017年04月18日保育所不足、待機児童問題、少子化問題の解決をめざすために2015年4月からスタートしている『子ども・子育て支援新制度』ですが、この制度によって具体的には何がどう変わったのでしょうか? 保育料や認定区分、認定こども園などの施設、制度の問題点などについて、改めて詳しく解説します。そもそも『子ども・子育て支援新制度』って何? 『子ども・子育て支援新制度』とは、「『量』と『質』の両面から子育てを社会全体で支え」るためにつくられた制度です(内閣府『子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK』より引用)。2012年に成立した「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部改正」「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」という子ども・子育て関連3法をベースとして、2015年4月から施行されました。基本的に、実施する主体は市町村です。国は財政面でそれをサポートしています。そのため、自治体によって支援や事業の内容はことなります。また、2016年度からは子育て支援をする企業へのサポート(企業内保育施設への補助金など)もプラスされました。2014年度から8%に引き上げられた消費税の増収分が、この制度の財源にあてられています。「社会全体で支える」というのはそういうわけです。新制度のポイント1:1号~3号認定とは? ここからは、より身近な視点から新制度のポイントを解説します。ママたちにとってどんな影響があり、何がどう変わったのでしょうか? まずは新制度でスタートした「認定区分」について。お子さんが通える施設や保育料・保育時間にも関わるので、しっかり理解しておきましょう。新制度では、幼稚園や保育所などを利用したい場合、お住まいの市町村から「利用認定」を受ける必要があります。認定は、お子さんの年齢と保護者の状況によって以下のように「1号・2号・3号」に分けられています。・1号(教育標準時間認定):保育を必要とする事由のない、3~5歳の子ども・2号(保育認定):保育を必要とする事由のある、3~5歳の子ども・3号(保育認定):保育を必要とする事由のある、0~2歳の子どもこのうち、「保育を必要とする事由」とは、保護者自身の就労・求職活動・就学・疾病、妊娠・出産(産前産後2ヶ月)、同居親族の介護などのことです。新制度のポイント2:保育時間について「保育認定」である2号と3号は、保護者の状況によって保育時間が2つに区分されます。基本的には、両親ともにフルタイム勤務の場合「保育標準時間」認定となり、1日最長11時間まで追加料金なしで利用できます。両親もしくはどちらかがパートタイム勤務の場合は「保育短時間」認定となり、1日最長8時間までの利用となります。ただし、たとえば11時間の範囲内であっても、利用する保育所が設定している「通常保育時間」(施設によりますが、7時30分~18時くらいが一般的)の範囲を超える場合は、別途「延長保育料」を支払う必要があるので注意してください。詳しくはそれぞれの施設や市町村に確認しましょう。新制度のポイント3:認定こども園と地域型保育お子さんを預ける施設については、新制度の目玉として「認定こども園制度の改善」と「地域型保育の新設」の2つが挙げられます。■認定こども園とは? 認定こども園とは、保育所と幼稚園を一体化した施設です。2006年からスタートしていましたが、幼稚園と保育所で管轄省庁や財源がバラバラであるなど制度面で問題が多く、当初期待されたほど普及しませんでした。そこで今回の新制度では、認可・指導を一本化するなど制度面を改善しました。保護者にとっても、たとえば「保育認定」を受けたお子さんについては園ごとの個別申し込みではなく、認可保育所と同じように市町村を通じ一括で申し込めるなど、仕組みがわかりやすくなっています。■地域型保育とは? 「地域型保育」とは、0~2歳のお子さんを対象とした、保育所よりも小規模(20人未満)の施設のことです。こうした施設はこれまで認可外扱いでしたが、新制度では認可施設となりました。具体的には、「保育ママ(家庭的保育)」「小規模保育」「事業所内保育」「居宅訪問型保育」の4タイプがあります。新制度のポイント4:認定区分と利用できる施設の関係は? 新制度では、ポイント1の認定区分によって、利用できる施設が決まっています。・1号認定:幼稚園または認定こども園(1日4時間程度)・2号認定:保育所または認定こども園(夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も)・3号認定:保育所または認定こども園または地域型保育(夕方までの保育のほか、園によっては延長保育も)ただし、共働き世帯でも幼稚園に通わせたい場合は1号認定を受けることができます。また、新制度に移行しない私立幼稚園やプレスクールなどは認定を受ける必要がありません。新制度のポイント5:保育料はどう変わった? 新制度導入後耳にしたのが「保育料が上がった」という不満の声です。実際のところ、保育料は上がったのでしょうか?結論からいうと、ほとんどの場合、大きな値上がりにはなっていません。それではなぜ「上がった感」があったのかというと、これには保育料の計算方法が変わったことが関係しています。新制度では、世帯の所得額に応じて国が定めた上限金額の範囲内で、市町村が保育料を定めています。2014年度までは世帯の「前年の所得税額」を基準に算定していましたが、2015年度からは「住民税の所得割課税額」が基準になりました。住民税は前年の所得をベースとしてその年の6月に確定するので、新制度が導入された2015年度は9月に保育料の切り替えがありました。4月~8月までは2013年の所得を基準とし、9月以降は2014年度の所得を基準にした保育料となったわけです。そのため、新制度開始から8月までの間は「保育料が高い!」と感じた方が多かったのかもしれません。新制度では低所得(年収360万円未満相当)の世帯やひとり親世帯、多子世帯への負担軽減もあります。たとえば2号・3号認定なら、第1子が未就学児の場合は所得額に関係なく第2子の保育料が半額、第3子以降は無料になります。低所得のひとり親世帯は、第1子の保育料が半額、第2子以降は無料です。また、幼稚園については、これまでは園ごとに一律の保育料を支払ったあとで「就園奨励費」という所得に応じた給付がおこなわれる仕組みでした。これが新制度に移行した園では、保育料そのものが市町村ごとに定める所得に応じた負担額に変更されています。子ども・子育て支援新制度の問題点とは? 施行から2年が経った『子ども・子育て支援新制度』ですが、いくつか問題点もあります。最大の問題点は、新制度下でも待機児童問題がいまだに深刻なことでしょう。2016年には『新語・流行語大賞』の候補に「保育園落ちた日本死ね」がノミネートされ話題になりました。待機児童問題の原因としては、慢性的な保育所不足にくわえて、新制度での解決策として期待されていた認定こども園や地域型保育が、当初の想定ほど増えていないことなどが挙げられます。さらに前提として、保育士不足という問題があります。施設を増やしたところで、保育士が足りないのです。新制度でも「職員の賃金改善」として3~4%の上乗せが実施されましたが、まだまだ十分とはいえません。2017年4月からは政府がさらに2%の賃金上乗せを実施するなど、ようやく「保育士の待遇改善」に本腰が入れられるようになってきたのが現状です。東京都では、2017年4月からさらに月額21,000円の賃金の上乗せを実施するなど、対策を進めています。まずは子育て世代が新制度をしっかり理解して『子ども・子育て支援新制度』にはこのように課題があるものの、行政が子育て支援政策に力を入れつつあることは事実です。新制度は市町村が主導するため、地域差が出やすいという問題点がありますが、市町村は私たちの声を反映しやすい身近な存在でもあります。まずは私たち子育て世代がこうした制度や取り組みをしっかり理解して、意思表示をしていくことが大切でしょう。【参照サイト】 制度の概要|内閣府 子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版)|内閣府 認定こども園に関するQ&A|内閣府
2017年04月14日