6月の歌舞伎座では、梅雨の鬱陶しさを忘れさせる舞台を上演中。必見は、共に大阪の住吉鳥居前から始まる、尾上菊五郎主演の昼の部『野晒悟助』と、中村吉右衛門主演の夜の部『夏祭浪花鑑』だ。【チケット情報はこちら】『野晒悟助』は、河竹黙阿弥が五世尾上菊五郎に書き下ろした世話物狂言。侠客・野晒悟助(菊五郎)は、剣学指南の提婆仁三郎(市川左團次)を頭とする提婆組の狼藉から、土器売の詫助(市村家橘)と、扇屋の娘・小田井(中村米吉)を救い、侘助の娘・お賤(中村児太郎)と小田井から惚れられる。翌日、仁三郎が現れ、百両出すか命を賭けた勝負をするかと無理難題をふっかけるが、悟助は母の命日ゆえ喧嘩を買うことができない。そこへ侘助が、お賤が身売りして作った百両を持参。折しも命日も過ぎ、悟助は四天王寺へ仁三郎を討ちに行く。とにかく見ものは、菊五郎のいなせな悟助。ふたりの娘から思いを寄せられるのも納得の男ぶりだ。荒唐無稽な話だが、黙阿弥らしい華麗な台詞や、他作品を想起させる趣向が楽しい。さらに四天王寺山門の場では、菊五郎劇団ならではの見応えある大立廻りが展開。『夏祭浪花鑑』は、並木千柳、三好松洛、竹田小出雲の義太夫狂言。団七九郎兵衛(吉右衛門)は、恩義ある玉島兵太夫の息子・磯之丞(中村種之助)の恋人・琴浦(米吉)が大島佐賀右衛門(中村吉之丞)に言い寄られているのを助け、妨害しようとする佐賀右衛門の一味・一寸徳兵衛(中村錦之助)とは、団七の女房・お梶(菊之助)の仲裁をきっかけに義兄弟の契りを結ぶ。その後、釣船三婦(中村歌六)のもとに身を寄せる磯之丞と琴浦。高津神社の夏祭りの日、三婦の女房おつぎ(中村東蔵)は徳兵衛の女房・お辰(中村雀右衛門)に磯之丞を託そうとするが、三婦はお辰に色気があるからと反対。するとお辰は焼けた鉄弓を顔に押し当てて傷をこしらえ、磯之丞を預かる。一方、琴浦は、佐賀右衛門から大金を得ようとする団七の舅・義平次(市村橘三郎)にさらわれてしまう。団七は義平次を追いかけ、祭り囃子が響く中、ついに彼を殺めてしまう。声にも姿にも大きさと若々しさが光る、吉右衛門の団七。義平次を殺す長町裏の場は様式とリアルがないまぜになって凄絶だ。登場人物達がそれぞれ、男/女が、立つ/立たないと、意地・名誉を重んじる本作。歌六の三婦も雀右衛門のお辰も、品を損なうことなく、各々のプライドを描き出した。なお、菊之助の長男・寺嶋和史は団七倅・市松役。菊五郎と吉右衛門の血を受け継ぐその雄姿に客席から大きな拍手が。この他、中村芝翫、尾上松緑、中村雀右衛門が演技合戦を繰り広げる夜の部の『巷談宵宮雨』は、夏の祭り、当てが外れた30両、肉親殺しなどが『夏祭浪花鑑』と符合。中村時蔵が健気なヒロインを好演した昼の部の『妹背山女庭訓』と菊之助が文屋康秀を軽妙に踊った『文屋』では共に官女が登場。随所に繋がりを感じさせる演目立ても面白い。歌舞伎座六月大歌舞伎は6月26日(火)まで、東京・歌舞伎座で上演。取材・文:高橋彩子
2018年06月12日歌舞伎座の團菊祭五月大歌舞伎が5月2日に開幕。團菊祭とは、明治の「劇聖」、九世市川團十郎と五世尾上菊五郎を顕彰するために昭和11年に始まったもので、近年は歌舞伎座の五月興行として上演されてきた。今月は九世團十郎の子孫にあたる市川海老蔵が昼の部で『雷神不動北山櫻』鳴神上人・粂寺弾正・早雲王子・安倍清行・不動明王の5役、五世菊五郎の子孫である尾上菊五郎が夜の部で『弁天娘女男白浪』弁天小僧菊之助役を勤めている。その『弁天娘女男白浪』の初日のもようをお届けしよう。【そのほかの画像はこちら】河竹黙阿弥が書いた全5幕の『青砥稿花紅彩画』のうち、「雪の下浜松屋」の場面から「滑川土橋」の場面までを上演する、今回の『弁天娘女男白浪』。本作には、虚構が何重にも張り巡らされている。まず、若党(市川左團次)を伴って呉服屋の浜松屋に現れた振り袖姿の娘(菊五郎)は、自身の緋鹿子を店の緋鹿子の中に忍ばせたあとでそれを懐に入れ直し、あたかも店の品を盗んだかのように見せかけて、これを咎めた店側を強請る。その娘が盗賊・弁天小僧菊之助であることを見破って店を救う日本駄右衛門(市川海老蔵)は、実は弁天小僧と若党に化けた南郷力丸の親分だった。彼らはただのごろつきではなく義賊的要素も持っている……。演じ手はこうした複雑さを内包しながら、華やかに芝居を運んでいくのだ。特筆すべきはやはり、弁天小僧菊之助を数限りなく演じてきた菊五郎の、無駄なく余裕あふれる演技だろう。婚礼前の娘になりすました「浜松屋」の場面では、おっとりとかまえつつ、緋鹿子を忍ばせる際には一瞬の鋭さを覗かせる。そして、正体が露見して居直る際の砕けっぷりの可笑しさ、威勢よく名乗る有名な「知らざあ言って聞かせやしょう」以下の名台詞の心地よさ。初日ながらこなれた演技で、左團次と共にベテランの風格を見せつけた。鳶頭役の尾上松也の眼光の鋭さも印象的。また、丁稚長松に扮した菊五郎の孫・寺嶋眞秀が、丁寧な手つきで茶を出したり草履を揃えたりと立ち働く姿に、客席が沸いた。「白浪五人男」の通称でも知られる本作。日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平(尾上松緑)、赤星十三郎(尾上菊之助)、南郷力丸の5人の盗賊が、まずは花道、続いて本舞台に、傘を手にずらりと並び、黙阿弥調の台詞を響かせる「稲瀬川勢揃の場」は、大きな見どころ、聴きどころだ。黙阿弥が、三世歌川豊国の絵に触発されてこの作品を書いたというだけあって、鮮やかな世界が楽しめる。さらに極楽寺の屋根の上では、捕手たちを相手に大立ち回りを展開した挙句、覚悟を決め、腹を切る弁天小僧菊之助。ここで、菊五郎を乗せたまま、屋根が倒れて次の場面に変わる“がんどう返し”も、他ではなかなか見られない趣向だ。昼の部は『雷神不動北山櫻』のほかに『女伊達』、夜の部は『弁天娘女男白浪』のほかに『鬼一法眼三略巻』菊畑、『六歌仙容彩』喜撰を上演。 歌舞伎の魅力が詰まった團菊祭五月大歌舞伎は、5月26日(土)まで、歌舞伎座にて。チケットは発売中。また歌舞伎座タワー5階の歌舞伎座ギャラリーでは 「平成歌舞伎30年博」も開催中。取材・文:高橋彩子
2018年05月11日尾上菊五郎が「團菊祭五月大歌舞伎」の夜の部『弁天娘女男白浪』で、音羽屋のお家芸である弁天小僧菊之助を演じる。4月、菊五郎の取材会が開かれた。【チケット情報はこちら】「初めてやらせていただいたのが昭和40年、22歳の時。その後、(菊五郎)襲名もこの演目でやりましたし、節目節目に、様々な劇場でやらせていただきました」と、菊五郎は振り返る。弁天小僧菊之助といえば、婚礼間近の娘として登場し、男であることが発覚して片肌を脱ぐ“見あらわし”で有名。女方と立役の両方が求められるその芸を、菊五郎はメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手に引っ掛けて「今流行りの二刀流の究極」と評する。今では押しも押されもせぬ当たり役だが、演じながら悩んだ時期もあったという。「最初は、煙管や赤い鹿の子の布をどう出すか、お金をどこに入れるかといった手順、あとは捨て台詞も難しくて、つい現代語のようにペラペラペラペラと言ってしまい、あとで台詞がなくなって困ったこともあります(笑)。それでも怖いもの知らずで、30代までは勢いでやっていたけれど、40代に入り、あまりに何度もやらせていただくので、悩んでしまって。立役がよくなってくると女方が気になるし、女方を一生懸命やると今度立役が……となるんです。完成品ではありませんから、今回も、色々勉強することになるでしょう」「白浪五人男」の通称でも知られる本作。日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸の5人の盗賊が並ぶ「稲瀬川勢揃の場」も、本作の見どころのひとつだ。「古い歌舞伎座で五人男をやった時、“10年後にやって、誰も抜けてないだろうなあ”と言ったら“そんなことないよ”と答えた夏雄ちゃん(市川團十郎)が一番先に逝き、それから寿(坂東三津五郎) も逝って、非常に寂しい思いをしました。今回、新しい歌舞伎座の五年祭にあたり、この辺りで一遍やろうかなと。(市川)左團次さんのようにずっと一緒にやってくださっている方もいる一方、(尾上)松緑も(尾上)菊之助も揃うし、(市川)海老蔵くんの日本駄右衛門も初めてだと思う。鳶頭も(故・尾上)松助がやっていたから(息子の尾上)松也にやらせます。(芸の継承を)意識して配役を決めました」若い世代に伝えたいことを問われると、「言葉の間(ま)と、歌舞伎の江戸っ子言葉。“ひゃく“と言わず“しゃく”と言うわけですが、あんまり“しゃくがにしゃくと……”と言われるとゾッとしちゃう。昔の江戸っ子はそう言ったかもしれないけど、歌舞伎としてお客さんの前でやる場合の発音はひゃとしゃの間くらいだと思います。若い人達には、映像だけではなく、一緒に演じることで、感じを覚えておいてほしいですね」今75歳。少年である弁天小僧を演じるにあたり、姿勢に気を使い、体重も落としていると語る。円熟味と若々しさが同居する珠玉の芸を味わいたい。團菊祭五月大歌舞伎は、5月2日(水)から26日(土)まで、歌舞伎座にて。チケットは発売中。取材・文:高橋彩子
2018年05月02日この秋からレギュラー化された「関ジャニ∞」のグルメバラエティ「ペコジャニ∞!」。11月20日(月)今夜は超定番メニュー「ハンバーグ」をテーマに、尾上松也、浅野ゆう子ら豪華ゲストを迎えてオンエア。今夜は誰が「No.1ハンバーグ」を食べられるのか…!?「関ジャニ∞」村上信五が番組MCを担当。「芸能界グルメ四天王」として寺門ジモン。プレゼンターには尾上さん、「関ジャニ∞」安田章大&錦戸亮。ペコラーとして「関ジャニ∞」横山裕、渋谷すばる、丸山隆平、大倉忠義と浅野さん、いとうあさこ、ヒロミが出演する本番組。老若男女“誰もが好きな人気メニュー”をテーマに、芸能界屈指の食通たちが“日本一美味しい”と思う一品を熱くプレゼン。番組認定の「芸能界グルメ四天王」、芸能界の“知られざる”「新グルメスター」、そして「関ジャニ∞メンバー+専門家」の3組がバトルを繰り広げ、腹ペコなパネラーである「ペコラー」が一番食べたい一品に投票。多数決1位になったメニューに投票した人だけがそのグルメを食べられるという“腹ペコ”ガチバトルが展開する。これまで「焼きそば」「オムライス」「生姜焼き」といったいずれも誰もが一度は口にしたことがあるであろう定番メニューでのバトルが行われてきたが、今夜はついに定番中の定番ともいえる「ハンバーグ」が登場。今回プレゼンターとして登場する“チーム・関ジャニ∞”は、安田さんと錦戸さん。究極のハンバーグをプレゼンするべく、今回は究極の肉を求めてロケへ!錦戸さんは初のプレゼンターに挑戦だが、はたして勝利なるか!?六代目尾上松助を父に持ち「鳴神」の鳴神上人、「弁天娘女男白浪」の弁天小僧菊之助などの大役を任される一方、新春浅草歌舞伎の最年長のリーダー役も務めるなど歌舞伎俳優としてはもちろん、蜷川幸雄演出による騒音歌舞伎(ロックミュージカル)「ボクの四谷怪談」や帝国劇場ミュージカル「エリザベート」、今年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」の今川氏真役など俳優としても輝かしい実績を誇る尾上さん。この夏には「さぼリーマン甘太朗」にスイーツ男子役で主演しているだけに、尾上さんがプレゼンする「No.1ハンバーグ」にも期待が高まる。一方、80、90年代にはトレンディドラマに、最近では数多くの2時間ドラマに出演。『劇場版 SPEC』シリーズなどの映画作品にも出演し、常に女優として一線で活躍を続ける浅野さん。最近では「真田十勇士」や「ハムレット」など舞台での活動も目立つ浅野さんが選ぶ「No.1ハンバーグ」にも注目したいところだ。今回はどんな対決が繰り広げられるのか、オンエアをお楽しみに。「ペコジャニ∞!」は11月20日(月)22時~TBS系にて放送。(笠緒)
2017年11月20日8月2日から始まった六本木歌舞伎『座頭市』で主演を務めるべく、名古屋を訪れていた市川海老蔵(39)。 妻の小林麻央さん(享年34)が亡くなったのは6月22日。最愛の妻を亡くしながら、成田屋宗主として、父として、海老蔵は激務に励んできた。そして8月に入り始まった「座頭市」。名古屋の後は大阪へと、子どもを置いて計11日の公演日をこなさなければならない。さぞかし海老蔵は疲弊しているかと思いきや、意外にも穏やかな気持ちで公演に臨めているという。「共演する寺島しのぶさん(44)のお陰」と語るのは、歌舞伎関係者だ。 「海老蔵さんにとって、しのぶさんは小さいときからよく知る親戚のお姉さんといった感じです。子供のころ、しのぶさんの父・尾上菊五郎さん(74)の軽井沢の別荘で、一緒に虫採りをしたり、仲良く遊んでいました。2人は切っても切れない関係なんです」 「座頭市」出演依頼は、寺島を子どものころから熟知する海老蔵からのプレゼントだった。 「昔から、彼女は女であるがゆえに、歌舞伎の舞台に立てなかったことに忸怩たる思いがある。海老蔵さんはそんな彼女の子どものころからの夢をかなえてあげようと、“指名”したそうです」(前出・歌舞伎関係者) 寺島は麻央さんとも仲が良かった。 「母親としては先輩だった麻央さんが彼女に自分の母乳マッサージの先生を紹介してあげたこともあったそうです。2月の『座頭市』の東京公演が麻央さんにとって最後の観劇になったと聞いて、しのぶさんは涙ぐんでいました」(前出・歌舞伎関係者) この名古屋で落ち込む海老蔵を元気づけるため、“姉”は一肌ぬいだのだという。 「麻央さんが亡くなって以降、2人がゆっくりと話せるのは今回の公演が初めて。寺島さんは『私がついてるから何でも言って』と全力サポートを約束したそうです。しのぶさんの長男・眞秀くん(4)と勸玄くん(4)が仲よしになったので、『またどこか一緒に連れて行ってあげよう。自分たちのように幼馴染になれたらいいね』と家族ぐるみで市川家を支える約束もしたといいます」(前出・別の歌舞伎関係者) 寺島の支えもあり、海老蔵は新しい一歩を踏み出した。
2017年08月17日歌舞伎俳優の尾上松也が連続ドラマ初主演を務めるグルメドラマ「さぼリーマン甘太朗」。このほど、本作のゲスト俳優として、尾上さん演じる主人公・甘太朗が働く出版社のエースであり、ライバル役に健太郎、販売営業部の新人役に八木将康の出演が決定した。吉朝出版で営業マンとして勤務する飴谷甘太朗(あめたにかんたろう)は、独身のメガネイケメン。仕事をテキパキこなし周囲の信頼も厚いが、ひた隠しにする秘密があった。それは仕事をサボってする、甘味巡り!甘味なるサボりの世界を堪能するべく、飴谷甘太朗は今日も仕事を手早く終わらせ、外回りに出向くのであった――。松也さんが独身のメガネイケメンながら、超絶“スイーツ男子”に扮することで話題を呼ぶ本作。このたび、さらに本作を盛り上げるゲストが発表。まず、第4話(8月3日(木)放送)から登場するのは、dTV・FOD共同製作ドラマ「パパ活」に現在出演中、WOWOW連続ドラマW「春が来た」、映画『先生!』や主演を務める『デメキン』が待機する注目俳優・健太郎さん。演じる吉朝出版・販売営業部で営業職として働く財部豊は、営業成績を甘太朗に抜かれたことにより、彼をライバル視している。「出演が決まり原作漫画を読んでみたらとても面白く、甘太朗独特の世界観を味わえると思うとワクワクしました」と語る健太郎さん。「財部はずっとニコニコしているのですが、内心では甘太朗へのライバル心が強く、秘めた思いと裏腹の笑顔は顔がつりそうになることも多々あり苦戦しました」とそのキャラクターに言及、見どころは「やはり毎回でてくるおいしそうなスイーツだと思います。甘いものが好きな方は深夜には観ない方がいいかもしれません(笑)」と明かす。さらに、「甘太朗のライバルとしては、特に妄想シーンで最高に楽しませていただきました。ライバル2人が魅せる妄想シーンをぜひ注目してご覧ください!」とアピールした。また、第5話(8月10日(木)放送)に登場するのは、「劇団EXILE」の一員として、舞台やドラマで幅広く活躍する八木さん。吉朝出版・販売営業部で営業職として働く、新人社員・五ヶ瀬宏樹役を務める。根性だけはある元高校球児で、甘太朗を慕っている役どころだ。「撮影期間が3日間という短い時間でしたが、松也さんをはじめキャスト皆様、スタッフの皆様の現場の雰囲気が本当に良くて、それに押される感じで自分も楽しく終えることができました。五ヶ瀬はプロ野球選手を目指していたということで、自分も高校までは同じく野球一筋でした。そういう面でも五ヶ瀬と自分がリンクするところが多くて最後にクランクアップしたときはもう終わってしまうのかと思い、とても寂しくなったのを覚えています」とふり返っている。彼らのほか、主人公・甘太朗を取り巻く同僚に石川恋、上司に皆川猿時らが出演している本作。個性豊かなキャストが、さらに盛り上げてくれそうだ。木ドラ25「さぼリーマン甘太朗」は毎週木曜日深夜1時~テレビ東京にて放送中。BSジャパン放送にて毎週火曜日23時~放送中。Netflixにて毎週金曜日先行配信中。(text:cinemacafe.net)
2017年07月20日「男の子ができたら歌舞伎役者にしたい」と結婚会見で語っていた寺島しのぶ(44)。その言葉が現実のものとなった。5月3日に開幕した團菊祭で長男の眞秀くん(4)が初お目見えを果たしたのだ。 『魚屋宗五郎』の丁稚役で眞秀くんが花道から登場すると、会場から「かわいい!」と歓声が。そんな姿を客席後方で見守っていた寺島とフランス人夫のローラン・グナシア氏(49)、そして祖母の富司純子(71)らは涙にむせんでいたという。 「ローランさんはアート・ディレクターとして海外で活動していましたが、日本を拠点にすることを決断。また寺島さんも眞秀くんが2歳のときから日舞を習わせるなど、早くから英才教育に乗り出しました。さらに夫妻は眞秀くんのために専用のシッターさんを雇っており、文字通り家族一丸となってデビューを支えてきたのです」(歌舞伎関係者) 長男の華々しい梨園入り。それは寺島にとって母の野望が叶った瞬間だった――。 音羽屋の第一子に生まれながらも、女性であるがゆえに歌舞伎役者にはなれなかった寺島。跡継ぎになれるのは、弟・尾上菊之助(39)だけ。“女を呪った”日々を、彼女はこう振り返っている。 《弟が6歳で初舞台を踏んだ時、「どうして年上の私が舞台に立てないの」と腹が立つやら悲しいやらで、それに男中心の梨園ですから、我が家は弟を中心に回っていて、私一人が取り残されていく気がして……》(『週刊現代』15年10月17日号) そのため人間国宝の父・尾上菊五郎(74)や女優の母・富司らに反発したこともあったという。そんななか、女優業に自らの居場所を見つけた寺島。下積みは長かったが、“芸への飢え”が彼女をトップ女優へと押し上げていった。 だが、彼女の梨園への憧れは消えなかった。07年にローラン氏と結婚すると、冒頭のように“息子を歌舞伎俳優にしたい”と発言。12年に眞秀くんが誕生すると、思いはより強くなった。 「ハーフの眞秀くんが梨園入りしようとすることに対して、陰口を叩く人も少なくありませんでした。それでも寺島さんは、めげなかった。まだ言葉も話せないうちから眞秀くんに父や弟の舞台映像を見せ続け、歌舞伎のイロハを叩きこんできた。その甲斐もあって、眞秀くんは才能の一端を見せ始めた。大人でも難しい文言が続く歌舞伎の『髪結新三』のDVDを、ずっと大人しく見ているんですよ。これには菊五郎さんも舌を巻いたといいます」(前出・歌舞伎関係者) また今でこそ眞秀くんの習い事は日舞だけだが、今後は義太夫や三味線や鼓の稽古も始めるつもりだという。 「習いごとだけで1週間埋まってしまうほどのハードスケジュールです。かかるお金も相当なものになるでしょうが、彼女はそれも覚悟の上だといいます。すべては、梨園関係者らに文句を言わせないため。自分が継げなかった音羽屋の名跡を、何としても息子に継がせたいのです」(前出・歌舞伎関係者) 寺島自身も2月に海老蔵からオファーを受け、六本木歌舞伎『座頭市』の舞台に立った。正調ではないが、海老蔵が新設したこの歌舞伎は女人禁制の梨園に大きく風穴をあけたことになる。40年を経て、寺島の闘いは報われようとしている――。
2017年05月13日「六本木歌舞伎」の第2弾となる「座頭市」(脚本:リリー・フランキー/演出:三池崇史)が、2月4日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて開幕。3日のゲネプロ後におこなわれた囲み取材に主演の市川海老蔵と寺島しのぶが登場し、本作について語った。六本木歌舞伎 チケット情報ふたりが舞台共演するのは22年ぶり。ゲネプロを終えた海老蔵は「しのぶさんは音羽屋(尾上菊五郎)さんのお嬢さまですから、いろんな意味で感慨深い。歌舞伎という名目の舞台の上で、お姉さんが白塗りをして歌舞伎役者のように演じているのを見ていると、もし男だったらとか、この後どうなっていくんだろうなとか、考えます」と感無量の様子。寺島も、「歌舞伎の要素をこんなにやらせていただいて、もう感謝ですよ。(歌舞伎のことを)好きだったんだなぁって思いますね」としみじみと語った。舞台は六本木温泉宿場町。一見、江戸時代のように見えるセットには六本木ヒルズ、劇中にはダンスにラップ、台詞には時事ネタも散りばめられ、現代を取り入れたちょっとおかしな江戸の世。大衆演劇と歌舞伎をミックスさせたような、老若男女が楽しめ、気軽に観劇できる作品だ。もちろん見どころはふんだん。代名詞ともいえる眼力を封じられて座頭市を演じる海老蔵は、圧倒的な太刀さばきで鮮やかな立ち回りを魅せる。江戸随一の花魁・薄霧と、盲目の少女・おすずの2役を演じる寺島は、花道を使った豪華絢爛な花魁道中や、2役の早替りなどを披露。そして、クライマックスは圧巻。三味線や鳴り物、拍子木が盛大に鳴り響く中、目をみはるような大仕掛けも待っている。また、劇中にはふたりの濡れ場もあり、台詞はすべてアドリブ。「リリーさんが、お願いだから自分が書いたっていうふうにならないようにしてくれって言うんです」(しのぶ)、「でも、台本を読むと、ああいうようにしてほしいって書いてあるんですよ」(海老蔵)というふたり。回を追うごとに、やりとりがエスカレートしていきそうだ。六本木歌舞伎「座頭市」は2月20日(月)まで上演。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年02月09日歌舞伎俳優の尾上菊之助が、フジテレビ系時代劇『鬼平犯科帳 THE FINAL』(12月2日21:00~22:52、3日21:00~23:10)で、義父である歌舞伎俳優・中村吉右衛門と映像作品初共演を果たすことが2日、明らかになった。30年にわたって放送されてきた『鬼平』の最後を飾るのは、「前編 五年目の客」と「後編 雲竜剣」の2夜連続。菊之助と吉右衛門は、歌舞伎での共演はあるものの映像で初共演となり、吉右衛門演じる長谷川平蔵と、菊之助演じる剣豪・石動虎太郎による激しい殺陣のシーンも見どころだ。菊之助は、吉右衛門に対しての心境を「ずっと見ていた、江戸の正義を守っている長谷川平蔵が目の前に現れるわけですから、歌舞伎とは違った緊張感がありました」と明かし、「正義を代表する長谷川平蔵と、悪の虎太郎が対峙(たいじ)する機会をいただいたことは、本当に一生忘れられない記憶です」と感謝の言葉を述べた。ほかに、前後編を通じて橋爪功、前編に若村麻由美、谷原章介、渡辺大、平泉成ら、後編に田中泯、中村嘉葎雄、木下ほうか、石倉三郎らがゲスト出演。橋爪は「久しぶりの時代劇で楽しかったです」、若村は「ファイナルに参加させていただけることは大変光栄に思います」、谷原は「今回が最後と聞いて、『ああ、残念だな』と思うと同時に、最後の作品に出演させていただくうれしさもあり、複雑な心境でした」、田中は「今回のオファーには、正直驚きました」と、それぞれ出演にあたっての思いを話している。吉右衛門が主演を務めるシリーズは1989年7月にスタート。2001年5月までに連続ドラマ137本、スペシャル版11本の計148本を放送してきたが、この2夜連続で全150本を数え、フォナーレを迎える。
2016年09月02日歌舞伎俳優の尾上松也が、5月31日に放送されたフジテレビ系バラエティ番組『人気者から学べ そこホメ!?SP』(19:00~)で、ディズニーランドでの失敗談を披露した。話題の芸能人をゲストに招き、スタッフの独自取材によって導き出した"成功の秘訣"を褒める同番組。スイーツ作りはプロ級の腕前で、自撮りにも凝る。女子力が高い一面を堂々と披露しているところが人気の秘訣と分析され、松也は「意外ですね。ただ好きなだけで」「まさかこういう結果とは」とびっくり。また、無類のディズニー好きであることも認め、仕事が早く終わった日や休日はディズニーランドに「まず行けるかどうか」を考えるほど。多忙になったことで頻度は減ったが、それでも年に10回は足を運んでいるという。松也は「本当にディズニーランドに行くと楽しくなっちゃって」と切り出し、かねてより憧れていた「ディズニーランドでダブルデート」をした日を回顧。念願叶ってテンションが上がり、「面白いことをやろうと思って、はしゃぎまくった」が、「ことごとくスベった」。当時交際していたのは関西出身の女性。数日後に呼び出され、「面白くない」とダメ出しをされてフラれてしまったという。松也の苦い思い出にスタジオは爆笑。松也は「『スベってんねん!』と言われてフラれてしまいました」と自らネタにしながら、周囲の反応にうれしそうだった。
2016年06月01日歌舞伎俳優の尾上菊五郎が、2月の歌舞伎座・昼の部『通し狂言 新書太閤記』で初めて羽柴秀吉(木下藤吉郎)を演じる。吉川英治が書いた「新書太閤記」を原作にした舞台は、これまでも様々な俳優によって上演されてきたが、菊五郎は祖父の六代目菊五郎が初演し、度々演じていたことから、「絶対やりたいと思っていた」と念願であったことを明かした。歌舞伎座二月大歌舞伎 チケット情報今回の舞台では、初めて上演される場面も加わるが、そこには菊五郎のこんな思いがある。「昔原作を読んで、どこが面白いか、どこが劇的かを考えた時に、秀吉が皆をいつの間にか味方につけて難題を乗り越えていく、その発想の豊かさだったり、ひとたらしなところを出していきたいと思ったんですね。そういう魅力のある人をやりたいんです」テレビや映画、舞台など秀吉を採り上げた作品は数多あるが、菊五郎は「今回は、チョンと柝も入れて“歌舞伎風”にやってみたい」と話す。アイディアも色々あるようで、秀吉が織田信長の命を受け竹中半兵衛を口説きに行ったのに、結局秀吉の麾下になってしまう場面については「信長は最初は絶対許さないと思うんです。本当は自分の家来にしたかったのに、いきなり秀吉の家来になっちゃったら怒るでしょ?そういうところをやりたかったんです。大概は口説いたところで終わりですけど、それじゃあつまらない。“大逆転”をしたら舞台で面白いんじゃないかと思って」と見どころを語る。さらに、“中国大返し”では、「(急に戻ることになった訳で)ずっと(重たい)鎧を着ているはずがないから、素っ裸で陣羽織を着ようかなと思ったり。実際の秀吉はどうだったのか、当時を思っていろいろと考えました。脚本家とも細かく打ち合わせを重ねたようで、「一つひとつの場面を簡潔に、面白くしたいと思ってね。ところがその作業が大変で…」と新たに創作する苦労を語り、「台本が出来上がったのがつい最近で、膨大なセリフの量に泣かされてますよ。稽古にあとひと月欲しかったな。DAIGO君の言葉を借りると“KTO”。困った・とっても・覚えられない」と笑わせた。「二月大歌舞伎」は2月2日(火)から26日(金)まで、東京・歌舞伎座にて上演。チケット発売中。
2016年02月01日夏の風物詩といえば怪談。そこで今回は夏にぴったりな“幽霊画”の展覧会をご紹介。そもそも幽霊とは、化け猫や塗り壁などの妖怪とは違う、現世に怨念が残って成仏しきれなかった“人間”の姿。そのうらみつらみといった人の情を、おどろおどろしく、巧みに表現するのが幽霊画で、だからこそ「その気持ちはわかる、可哀想…でもやっぱり、こわい」というリアルな恐ろしさが伝わってくる。本展で並ぶのは、谷中の全生庵(ぜんしょうあん)が所蔵する明治時代の噺家・三遊亭圓朝(さんゆうていえんちょう)ゆかりの幽霊画コレクション50点が中心。圓朝は怪談を得意とした噺家で、幽霊画のコレクターとしても有名だった人物。希代の“幽霊マニア”と呼べる彼が収集した作品だからこそ、間違いなく“怖い”ラインナップだ。会場では「怪談牡丹燈籠」や「四谷怪談」「番町皿屋敷」など、有名な怪談のストーリーも解説。美術に興味のない人でも、名画とともに恐ろしいストーリーを追えば、背筋がゾクッ!お化け屋敷とはまた違う、不気味な肝試し気分が味わえる。◇information「うらめしや~、冥途のみやげ」展―全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心に―東京藝術大学美術館地下2階展示室東京都台東区上野公園12‐8開催中~9月13日(日)10:00~17:00(8月11日・21日は~19:00、入館は閉館の30分前まで)月曜休TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)一般1100円◇毒殺されたお岩の悲劇『東海道四谷怪談』。病気がちのお岩を厭う夫・民谷伊右衛門は、出世のため隣家の伊藤喜兵衛の孫娘・お梅と結婚すべく、お岩に毒を盛る。容姿が崩れたお岩は苦しみながら死ぬが、その後、民谷家には不幸が続き…。醜い顔のお岩の亡霊が夫の前に現れた恐怖の瞬間が、この場面。歌川国芳≪民谷伊右衛門市川海老蔵・お岩亡霊 尾上菊五郎≫天保7 年(1836)大判錦絵8/18‐9/13(後期)展示◇愛しい男の心変わりで女が鬼に変わる『葵上』。元皇太子妃で光源氏の愛人・六条御息所は気高く教養深い高貴な女性。けれど源氏の足が遠のいたことで、彼の正妻である葵上に嫉妬の炎を燃やし、呪術で葵上の魂を抜き取ろうとする…。この絵は御息所の心に巣くっている嫉妬心が生霊となって表れたシーン!上村松園≪焔≫大正7年(1918)絹本着色東京国立博物館9/1‐9/13展示◇父子で間男を討つ復讐劇『怪談乳房榎』。絵師の菱川重信の妻・お関に惚れた磯貝浪江は、重信に弟子入りして、お関に関係を強要したうえ重信を惨殺。さらに子供まで殺そうとする浪江の前に、重信の亡霊が登場し、我が子を救出する絵がこちら。その後、成長した子が、父の仇討ちを果たす。伊藤晴雨≪怪談乳房榎図≫明治~昭和時代(20世紀)絹本着色全生庵8/18‐9/13(後期)展示※『anan』2015年8月12日・19日号より。文・山田貴美子
2015年08月18日歌舞伎俳優の尾上松也が8月10日(月)、都内で行われた海外ドラマ「GOTHAM/ゴッサム」のPRイベントに出席。腐敗した街で正義を貫く主人公の姿に、「彼の勇気はすばらしい。挑戦する気持ちが大切ですね。僕だったら、恐らく長いものに巻かれると思う」と話していた。クリストファー・ノーラン監督が生み出した『ダークナイト』3部作で知られる“ゴッサム・シティ”を舞台に、その前日譚として、若き日のゴードン刑事の活躍とダークヒーローの誕生前夜を描いた海外ドラマ。もともと『バットマン』シリーズの大ファンだと言い、「ファンとしては『ゴッサム』と言うタイトルだけで惹かれるものがある」と尾上さん。「あえてゴードンを主人公にしているのがニクイ。彼や悪役たちがどんな軌跡をたどって、映画につながるのか、将来を想像しながら楽しめる」とファン目線で楽しみ方を語り、「バットマンを知らなくて、刑事ドラマとして見応えがある」と語った。また、「ゴッサムがもつ独特の雰囲気が伝わってくる。(映画に比べて)より現実的な世界観の作り方がすごい。申し分ないですね」と興奮しきり。「The OC」でも主役を務めた人気スターのベン・マッケンジーが、ゴードンを演じており「男気を感じる俳優さん」とホレボレしていた。(text:cinemacafe.net)
2015年08月10日歌舞伎役者の父、女優の母の間に生まれた、まさに女優になるべくして生まれたともいえる存在、寺島しのぶさん。5月には歌舞伎座千秋楽に息子の眞秀(まほろ)君が初登場するなど、華やかなニュースが報じられる一方で、子育てする母として普通の感覚も持ち合わせています。そんな寺島さんに、家とのこと、結婚のこと、育児のことを、語ってもらいました。***――梨園の家の生まれというと、何不自由なく育ったお嬢様のイメージがありますが、ものすごく普通の感覚を持たれているんですね。寺島:その点はすごく母に感謝しています。母はとても苦労した生い立ちの人ですし、役者の家に生まれたからといって特別じゃないんだって育てられてきたんです。もちろん、いい学校に行かせてもらったし、何不自由ない生活をさせてはもらいましたけれどね。ただ、それも家によって違って、なかにはラップひとつめくれないっていうお嬢様もいらっしゃいます。――歌舞伎に対して、ご自身を部外者だとおっしゃるのも意外です。寺島:あくまでもうちの場合は、ですけれど、歌舞伎役者になるために育てられた弟と、娘の私とでは父の扱いが違いましたからね。私はひとり暮らしも夜遊びも怒られなかったけれど、弟は許されなかったんです。だからといって、父は娘をかわいそうだと思っているそぶりも見せなくて。でも、だからいまの自分があるわけで、ある意味自由に自分の道を切り開いていけたとも思うんです。それがなかったら、こういう女優にはなっていなかったと思います。――下積みを経験し、苦労してご自身で掴み取ったいまのキャリアです。当然、子育てなどのためにそれを手放すとなれば苦渋の決断ですよね。寺島:そうなんです。私にはこのキャリアがすべて。どんなに悩むことがあっても、仕事がそのモヤモヤを忘れさせてくれる。楽しいし、自分だけの時間だし、絶対にあってほしいもの。辞めたら私じゃなくなっちゃうんじゃないかと思うくらい。だって、芝居のほうが生活よりも楽しいんですよ。――それ、言って大丈夫ですか?寺島:ふふふ(笑)。仕事は、変身してその役になりきって、何でもやっていいわけですから、楽しいし簡単ですよ。そりゃあもがくこともあるし、何かを生み出す厳しさはあるけれど、しょせん自分が好きでやってることですからね。でも、日常生活は現実。幸せもあるけれど、喧嘩すれば辛いし、子供のことでも悩むし、自分以外のことがたくさん降りかかってきます。今回のことだって、ずっと寺島家から逃れたいと思ってきた私が、ようやく離れられたと思ったところで、今度は子供のことで寺島家に戻ってきているわけで…。――外国の方と結婚されたのは、どこかに寺島家から逃れたい気持ちがあったからですか?寺島:あったと思いますよ。これが日本人の旦那だったら、結局は逃れられずにいたと思いますし。――いまのご主人に会うまでは、外国の方が苦手だったとか。寺島:そうなんです。ただ、最初にローランに会った時、お父ちゃんに似てると思ったんですよ。どんなことがあっても、この人といると生き残れる、というような。――ということは、理想の男性は菊五郎さんだった、と?寺島:そうなのかなぁ。私が小さい頃から、家にいても父は役者で、いわゆる世間のお父さんとは違っていたと思います。一方のローランは、私がパニックになれば、物事を順序立てて話してくれて、落ち着かせてくれるような人で、彼といると父親ってこういう存在なのかなって思わされます。子供の頃から誰にも言えなかったいろんな感情を、彼にはぶつけられるし、「苦しみを味わった人が女優になる資格があるんだ」とかありがたい言葉まで言ってくれる。言われた私は滝のような涙ですよ。もうこれは、父性というよりも母性に近いのかもしれませんが。◇てらじま・しのぶ1972年12月28日生まれ、京都市出身。歌舞伎俳優の尾上菊五郎を父に、女優の富司純子を母に持つ。試験を受けて入団した文学座で活動の後、蜷川幸雄や久世光彦などの舞台で注目を集める。’10年に『キャタピラー』でベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。※『anan』2015年7月8日号より。写真・津留崎徹花スタイリスト・中井綾子(コンテンポラリー・コーポレーション)ヘア&メイク・鈴木節子(SHISEIDO)インタビュー、文・望月リサ
2015年07月02日独特の存在感を放つ女優・寺島しのぶさん。一児の母でもある寺島さんに、子育て、そして女優業について聞きました。***――フランス人のご主人、ローラン・グナシアさんとの間に生まれた眞秀(まほろ)君が、5月の歌舞伎座千秋楽に初登場し、ニュースになりました。やはり舞台に立たせたいというお気持ちがあったんですか。寺島:私より本人がね…歌舞伎が大好きなんですよ。で、好きになっちゃった以上、機会があればと思っていたら、たまたま今回こうなって。ただ、いざ出るとなったら本っ当に大変でした。歌舞伎の世界は、私がやっている舞台のカーテンコールに出るのとはわけが違いますから、あの数秒のために父の共演の俳優さん、お弟子さん、舞台の裏方さんといった関係各所へのご挨拶やらお礼やらが…。私は朝ドラ(次クールの『あさが来た』)の撮影が入っていたので、代わりに母がやってくれていたんですが、もう…話を聞いているだけで倒れそう。これがもし初舞台なんてことになったら、もっとエラいことになるはず。そしたら私、仕事なんかしてられないですよ。実際、母は弟(尾上菊之助さん)のために数年間は女優の仕事を休みましたしね。それに、まだ2歳の、自我が目覚めていない時に親がレールを敷いちゃうっていうのもどうなんだろう、とも思うんです。歌舞伎の家に生まれれば、そうも言ってられないけれど、彼は違うわけだから、自分の意思で自由に将来を選ばせてあげたいし。――もし眞秀君に「歌舞伎役者になりたい」と言われたら?寺島:できることは、どんなに頑張ってでもやるつもりではいます。でもじゃあ、現実にできるのかってことですよ、私が。この女優のキャリアを捨てられるのかっていう選択を迫られることにもなりますからね。そこの答えが全然出ないんです。自分がどんなにコンプレックスを感じたり悲しい思いをしても、自分が立ち直ればいいだけのことだけど、それが息子のこととなるとね。歌舞伎が好きは好きだけど、そこをどう見極めて親がサポートしてあげるのがいいのか…。正直、今回のことで心が折れましたからね~。まあそれはそれで、自分としては面白がっていたりもするんですけれど。――育児のために仕事を休まれる女優さんもいらっしゃいます。そういう選択肢を考えたことは?寺島:うーん…現実的な話、子供を育てていくためにはお金が必要ですよね。主人が莫大なお金を稼いでくるわけじゃないので、ふたりで働かなきゃこの子は育てられないわけです。それって、ごく普通のことですよね。私が仕事を辞めたら、たぶん子供に自由な将来を選ばせてあげられないと思いますし。◇てらじま・しのぶ1972年12月28日生まれ、京都市出身。歌舞伎俳優の尾上菊五郎を父に、女優の富司純子を母に持つ。試験を受けて入団した文学座で活動の後、蜷川幸雄や久世光彦などの舞台で注目を集める。’10年に『キャタピラー』でベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞。※『anan』2015年7月8日号より。写真・津留崎徹花スタイリスト・中井綾子(コンテンポラリー・コーポレーション)ヘア&メイク・鈴木節子(SHISEIDO)インタビュー、文・望月リサ
2015年07月02日ミュージカル、バラエティと幅広く活躍する尾上松也。彼が毎年夏に行い、大切にしているという歌舞伎自主公演『挑む』シリーズ。今年8月に上演される『挑む~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)』について話を聞いた。『挑む~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)』チケット情報毎年新たなことに挑戦している『挑む』シリーズだが、今年は「近年まれにみる挑戦」と語る松也。「大きな劇場(KAAT)で演じるということもそうですし、すべてを生演奏で演じることもひとつのチャレンジです。また、自主公演で一度演じている『二人椀久』という演目を再び、今回は僕と大先輩の片岡孝太郎さんというキャストで上演します。『二人袴(ふたりばかま)』という演目に関しては元々の名作狂言を尊重しつつも、いちから、オリジナルのつもりで作ります」おめでたいときに演じられる歌舞伎の代表的な踊りを操り人形仕立てにした「操り三番叟」、惹かれあう男女の幻想的な舞が強い印象を残す「二人椀久」、ドタバタコメディのような「二人袴(ふたりばかま)」と、さまざまな演目が一度に楽しめる。「『操り三番叟』と『二人椀久』は僕の発案で、市川蔦之助くんが『二人袴(ふたりばかま)』をやりたいと。それをみんなに相談して、『面白そうだね』ということで決まりました。だいたいの構成やアイデアは僕が出しますが、メンバーからもいろいろな意見が出て、全員でいいと思えるものを上演するようにしています。みんな忙しくて実際集まれないことも多いので、だいたいLINEで相談します」本当にやりたいことを実現するため、この公演に関わる歌舞伎俳優全員がどんな仕事もいとわず動くのだという。「舞台に立って何かを演じるということだけでなく、制作する側でもあるという意識が強いんです。最初の頃は、僕がひとりでがむしゃらに突っ走りすぎて、みんなを置いてきぼりにすることもあった。でも、今は本当にみんなが一丸となってやってくれるようになりました。僕も、ほかのメンバーも、プロデューサー的な面や、裏方的な仕事を兼務しながらつくっている公演です」年を重ねるごとに制作陣も含め、チームワークがどんどんよくなってきた。しかし、それに甘んじてはいけないという思いも持っているのだとか。「毎年経験を重ねて、スムーズにいくことも多くなりました。だからこそ、そこに落ち着くのではなく、自分たちにプレッシャーをかける意味でも毎年未知の領域に足を踏み入れる要素を作るようにしています。もちろん、すべてはご来場くださるお客様に満足していただければと。歌舞伎を初めて観る方にも楽しいと思える公演にしたいと思っていますので、ぜひとも観にきていただきたいですね」『挑む~更なる幕へ勇みし気迫(こころ)』は8月8日(土)昼の部11:30~、夜の部16:30~KAAT(神奈川芸術劇場)にて上演。また、公演への意気込みと松也の素顔を感じることができるイベント『歌舞伎トークパーティwith尾上松也』も6月21日(日)に開催。取材・文:釣木文恵
2015年06月18日1月2日、東京・浅草公会堂で初日を迎えた『新春浅草歌舞伎』。同公演の初日上演を前に鏡開きが行なわれ、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助らが出席した。新春浅草歌舞伎は毎年、次代を担う若手が大役に挑戦するという、若手歌舞伎俳優の登竜門として知られる人気興行だが、今年は全員が20代という異例の若さで行なわれる。尾上松也は「僕以外のメンバーが全員平成生まれで、若いメンバーで公演をさせて頂くことは光栄ですし、また責任もあると感じています。1か月興行を、これだけの責任を持ったポジションでさせて頂くことはなかなか無いことです。これまで浅草歌舞伎を支えてくださった地元の皆様、先輩方、お客さまのためにも精一杯力を出し合って、ご満足頂ける舞台を勤めていきたいと思っています」とコメント。また、同日より東京・歌舞伎座で開幕した初春大歌舞伎に市川猿之助が出演することについて触れ、「去年まで浅草を引っ張ってくださっていた猿之助さんが、新開場して初めての歌舞伎座出演ということで、僕たちにとって大きな壁になるのではないかと心配しているところですが、それを乗り越えろと気合いを入れてくれていると思い、負けないように頑張ります」と意気込んだ。中村歌昇は出演者が一新されたことについて「それぞれが一生懸命勤めていくつもりでおります。しかし一生懸命さだけではなく、この公演ならではのものを出して行かなければならないと思っています」と話した。また、坂東巳之助は「緊張しております。しかし今、自分の中から沸々と湧き上がってくるのはワクワク感。そして7人で並び立てることの嬉しさを武器に、盾に、千秋楽まで立ち止まることなく走り抜けたいと思います」と語った。『新春浅草歌舞伎』は1月26日(月)まで、東京・浅草公会堂で開催。
2015年01月06日来年1月東京・浅草公会堂で上演する「新春浅草歌舞伎」の製作発表が11月7日、都内で行われ、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助らが出席した。【チケット情報はこちら】新春浅草歌舞伎は毎年、歌舞伎界の次代を担う若手が大役に挑戦するという、若手歌舞伎俳優の登竜門として知られる人気興行だが、今年は出演者全員が20代という異例の若さ。仮名手本忠臣蔵の五段目・六段目での早野勘平など、大役を演じる松也は意気込みについて「私が出演するのは今回が3回目で、これまでは先輩がいて、胸を借りられるという恵まれた環境で演じる事ができました。ただ、今回の新春浅草歌舞伎は出演者の中で僕だけが昭和生まれ、全員20代という事で、メンバーもガラッと変わったので、来年から新たなスタートを切るような気持ちでいないといけないなと思っています。大役を務める喜びもありますが、同時により多くの方に、この世代だからこその歌舞伎をお見せすることができたらと思います」と決意を述べた。また、坂東巳之助は陸上用のバトンを取り出し「これは2年前に浅草歌舞伎に出演した折に、猿之助のお兄様から「次から浅草歌舞伎は頼んだぞ」と言われて受け取ったバトンです。ただ今年の浅草歌舞伎ではまだ我々だけでやるという訳に行かず、一度鏡開きの際にお返ししたのですが、また千秋楽に「今度こそ頼んだぞ」と渡されました。そして今回、このバトンを手に、やっと我々の世代で走り出す事ができるのを心より嬉しく思っています」と猿之助とのエピソードを交え答えた。報道陣から、先輩がいなくなって、宣伝や興行の盛り上げ方に不安があるのでは、と言う質問には松也が「ひとりひとりが、どうやってお客様を呼ぼうかとか、こうして大役を務めるのだから恥にならないようにやろうと言っていて、このメンバーで作品に挑む事ができて本当に良かったなって思います。宣伝も大事ですが、せっかく来ていただいたお客様に「つまんない」と言われたら何もならないので、ひとりでも多くのお客様に来て頂く努力をしつつ、しっかりと芝居も成立させようと思っています」とコメント。続けて、巳之助が「宣伝をする、そして劇場に来ていただいたお客様に満足いただく、その両方を満たすために、この7人でちょくちょくご飯を食べに行って、結束を深め、そのお店にポスターを貼ってもらうというのはいかがでしょうか(笑)」とアイデアを出すと、会場は笑いに包まれた。「新春浅草歌舞伎」は1月2日(金) から26日(月)まで、東京・浅草公会堂で開催。チケットの一般発売は11月20日(木)午前10時より。なお、チケットぴあでは先行抽選プレリザーブを実施中。受付は11月17日(月)午前11時まで。
2014年11月11日歌舞伎俳優の尾上松也が10月23日(木)、東京・タワーレコード渋谷店で開催された「DCコミックス バットマン75周年記念 渋・原ジャックイベント」のオープニングに出席。「バットマン」シリーズの大ファンを公言する尾上さんは、爽やかな白のジャケットにバットマンのロゴTシャツを合わせたスタイルで登場すると、“バットマン愛”を熱く語り尽くした。バットマンの生誕75周年を記念し、バットマングッズを集めた期間限定ショップ、 ゲームやフォトロケが楽しめるコーナー、バットマンカフェなど、バットマンファン垂涎のイベントの数々が東京の渋谷・原宿エリアで開催中。尾上さんは、「ティム・バートン監督でマイケル・キートン主演の『バットマン』(’89)を観たときに、ものすごい世界観に圧倒された」と子どもの頃からのバットマンファン。自宅には多数のフィギュアも所有しているそうで、「バットマンの魅力は完璧じゃないところ。スーパーマンみたいな超人的な力を持ってるわけじゃなく、人間そのものなので欠点もあるけれど、正義感を貫く男のかっこよさがある」とリスペクトを表した。また、ステージに集結したバットマンのコスプレイヤー“75”名たちに、「このコスチュームはどこに売ってるんですか?」と聞くなど興味津々。「獅童さんもスパイダーマンのコスチュームを持っているので、僕もバットマンの衣装をオーダーメイドで作ってみたい!」とハロウィンへの期待を膨らませていた。そんな先輩の中村獅童さんは、交際中の元読者モデルとの再婚を先日発表したが、尾上さんも「おめでたい。獅童さんが幸せになってくれるなら、慕っている後輩としてはすごくうれしい」と祝福。そこで、交際が報じられている女優の前田敦子さんとの結婚予定について突っ込まれると、「考えられないですね」と思わず苦笑い。すると隣りにいたバットマンが尾上さんを守るように芸能レポーターの前に立ちはだかり、報道陣の笑いを誘っていた。「DCコミックス バットマン75周年記念 渋・原ジャックイベント」は、渋谷・原宿エリアにて10月23日(木)~11月3日(月・祝)までの12日間開催される。(text:cinemacafe.net)
2014年10月23日歌舞伎俳優・尾上松緑の長男・藤間大河が、「歌舞伎座六月大歌舞伎」の夜の部「蘭平物狂(らんぺいものぐるい)」で3代目尾上左近を名乗り初舞台を踏むことが決まり、4月24日、都内で会見を行った。「歌舞伎座六月大歌舞伎」チケット情報藤間は平成18年1月生まれの8歳。2009年10月歌舞伎座『音羽嶽だんまり』の稚児音若で初お目見得。これまで本名で数々の舞台を踏んできた。会見に同席した尾上菊五郎は「初お目見得から、いろいろな役をやって、その都度成長してきた。なかなかしっかりした子役です。私どもの頃に比べるとレベルが高い」と太鼓判を押した。祖父(三代目松緑)、父も名乗った左近を襲名した藤間は「尾上左近でございます。よろしくお願いいたします」と緊張気味に挨拶。父の松緑は「舞台の上でお客様から拍手をいただくことをとても喜ぶたちのようですので今のうちは舞台の上でのびのびと芝居ができることが一番だと思う。ですから、あまりうるさいことは言わないつもり。でも親の気持ちからすると、そうはならないかもしれませんが」と話し、年若い歌舞伎俳優に期待を込めた。「歌舞伎座六月大歌舞伎」は6月1日(日)から25日(水)まで。チケットの一般発売は5月12日(月)午前10時より。なお、チケットぴあではインターネット先行抽選「プレリザーブ」を実施、5月4日(日・祝)午前11時から8日(木)午前11時まで受付。
2014年05月02日伊勢丹新宿店は、1月2日より新春企画として歌舞伎の語源ともされる、江戸時代に華美に着飾った最先端のファッションを指す言葉「傾く(かぶく)」をキーワードにした「お正月ミュージアム」を本館6階催物場で開催する。1月5日まで。三越資料室が保有する明治から昭和の歌舞伎衣装13点を歌舞伎コンシェルジュの辻和子のイラストと解説と合わせて展示する。中でも目を引くのは「助六」の中に登場する花魁“揚巻(あげまき)”の新春の打ち掛け。羽子板、お飾り、門松が刺繍されており、新春に見ると縁起が良いと言い伝えられてきた衣装。しかも昭和8年の歌舞伎座で六代目尾上菊五郎が着用したものだという。また、山本寛斎の歌舞伎からインスパイアされた当時のコレクションから「凧絵」のマントのレプリカなどが展示される。同時に伊勢丹新宿店本館2階TOKYO解放区では約20年振りに山本寛斎のコレクションが小売店で販売される「Kansai Yamamoto POP UP STORE @ TOKYO解放区」を同時開催。ポップアップショップは1月14日まで。お正月ミュージアムでは、歌舞伎や和装にまつわるトークイベントも多数。1月2日には「KABUKIとBASARA」と題した山本寛斎によるトークショーも開催され、日本人としての表現に込められた日本文化のスピリットを語る他、同店のショーウインドーに飾るビジュアルを手掛けたアーティスト、レディ・アイコやファッションディレクターの山口壮大らが参加する。また日替わりで、獅子舞や和楽器の演奏、お雑煮やお汁粉などのイートインコーナー、浅草の飴職人・手塚新理による飴細工など、お正月らしい遊びや演芸を展開し、日本のお正月を遊ぶこと、装うこと、食すことの切り口で提案する。1月3日にはアートユニット「ヘソ(heso)」によるフードライブが実施され、歌舞伎の要素を取り入れたフードとドリンクが無料で振る舞われる
2014年01月01日来月行われる新橋演舞場『吉例顔見世大歌舞伎』は、七世尾上梅幸の十七回忌、ならびに二世尾上松緑の二十三回忌の追善公演として、故人とゆかりの顔ぶれと演目を揃えて上演される。上演に先立ち、9月26日、昭和を代表する歌舞伎の名優・七世梅幸と二世松緑のふたりを偲ぶ会が日比谷の東京會舘で開催された。会場には、歌舞伎界を中心に800名を越える各界の著名人が出席し、出席者は開場とともにふたりの写真が並ぶ祭壇に献花を捧げた。「吉例顔見世大歌舞伎」チケット情報七世梅幸の長男・尾上菊五郎、孫・尾上菊之助、二世松緑の孫、当代・尾上松緑はそれぞれ壇上から出席者に挨拶し、坂田藤十郎の発声により献杯を行った。菊五郎は「ふたりを全然知らないお客様も増えています。大恩人のふたりの孫たちが、一生懸命頑張ってくれているので大分肩の荷もおりました。松緑おじさんの気配り・目配り、芯に立つ人は、こうでなくてはならないなというところを当代の松緑が引き継いでくれています。今日の会場は、父が大好きで、結婚式も挙げた場所。皆様に来ていただけて本当に嬉しい。お祭り騒ぎが好きでしたからね。沢山のお客様に観ていただいて当人たちを喜ばせたい。そのためには、なんでもやります」と挨拶。松緑は「祖父(二世松緑)から技術的な事を教えてもらう前に亡くなった。菊五郎のお兄さんをはじめ、これまで菊五郎劇団の方々に教えて頂きました。祖父が生きている間に、恩返しは爪のかけら程もできなかったが、自分の子供が舞台に出るぐらいにさせて頂いた、劇団というところへの恩返しが、ひとかけらでも出来ればという気持ちが強いです。まずはご覧になって頂くお客様に喜んでいただけるというのが一番。来てよかったと笑って帰って頂けるように、1か月間、舞台を勤めたい」と舞台への意気込みを語った。菊之助は「祖父に話をもっと聞いておけばと、役をさせて頂くときに思います。稽古の時には、厳しかったです。教わったものは数少ないですが、その中のひとつにまだ学生だった頃に、祖父と父とご一緒させて頂いた『三人道成寺』というのがありまして、そのお稽古をつけて頂いたのが厳しかったですけれども有難かったです」と思い出話を披露。ふたりの名優の映像や、故人と親しくしていた著名人による思い出話など、会場は終始和やかなムードに包まれていた。公演は11月1日(火)から11月25日(金)まで、東京・新橋演舞場にて上演。 チケットは発売中。
2011年09月27日歌舞伎俳優の市川海老蔵が、「七月大歌舞伎」にて舞台復帰することが松竹より発表され、主演映画の三池崇史監督作『一命』が10月公開予定であることも明らかになった。昨年12月以降、舞台出演を見合わせてきた海老蔵さん。父親の市川團十郎は、先日、5月に上演される「團菊祭五月大歌舞伎」の会見に尾上菊五郎と共に出席した際、海老蔵さんの復帰について「まだ白紙だが、みなさんと模索したい」と語っていたが、7月の新橋演舞場での公演での復帰が正式に決まった。映画『一命』は、『十三人の刺客』の三池監督による初の3D時代劇で、滝口康彦の「異聞浪人記」が原作。1962年には映画『切腹』として仲代達矢を主演に迎え映画化された。貧しくも、愛する人と共に、武家社会にひとり立ち向かった侍の生き様を描く本作。また、海老蔵さんにとっては2006年の『出口のない海』以来となる映画主演。鬼才・三池崇史とのコラボレーションで、どのように“飛び出す”のか注目だ。『一命』は2011年10月公開。© Natsuki Sakai/AFLO■関連作品:十三人の刺客 2010年9月25日より全国東宝系にて公開© 2010「十三人の刺客」製作委員会一命 2011年10月、公開■関連記事:第3回映画館大賞は『告白』!本屋大賞を受賞した原作に続き映画化作品も快挙第5回アジア・フィルム・アワード開催。登壇者から日本の被災者にお見舞いのコメント毎日映画コンクール授賞式稲垣吾郎、極悪人役にSMAPメンバー「地が出てるね」毎日映画コンクールタキシードの稲垣吾郎に大歓声!三池監督は銀色ジャケットで登場日本アカデミー賞優秀作品を一挙上映!好きな作品を観られる鑑賞券を5組10名様プレゼント
2011年04月11日第60回ベルリン国際映画祭のコンペティション出品作『キャタピラー CATERPILLAR』(若松孝二監督)で日本人として35年ぶり、3人目の最優秀女優賞(銀熊賞)を獲得した寺島しのぶが2月21日(日)、大阪・中央区のシアターBRAVA!で会見し、「ヤッター!」と喜びの声を上げた。カンヌ、ヴェネチアと並ぶ世界三大映画祭の1つとされる同映画祭で、同賞は1964年に左幸子が今村昌平監督作『にっぽん昆虫記』で、1975年に田中絹代が熊井啓監督作『サンダカン八番娼婦館望郷』で受賞している。同作は、日中戦争で手足を失い帰還した傷病兵・黒川(大西信満)とその妻(寺島さん)の姿を通じ戦争の愚かさと、それがもたらす悲しみを描くドラマ。両手足を失った夫に尽くす妻役の熱演が高く評価された。出演舞台のため大阪に滞在していた寺島さんは、20日夜(現地時間)に行われた同映画祭授賞式の発表を知った瞬間を「大阪のホテルでベルリンにいる関係者から連絡を受けて大喜びで大はしゃぎでした!」と興奮冷めやらぬ様子でふり返った。『キャタピラー』公式上映にあわせてベルリン入りしたものの、先に帰国していたため授賞式では若松監督が寺島さんのコメントを代読した。朗報を受けての緊急会見に集まった報道陣約50人を前に「正直、まだ実感がわかなかったのですが主人(フランス人アートディレクター、ローラン・グナシア氏)の関係で、世界中の方からお祝いのメールをもらい、喜んでもらって、少し実感がわいてきました。一言でいうと『ヤッター!』ですね。父(尾上菊五郎)とは話せなかったのですが、母(富司純子)とは電話で話せて『おめでとう』と言ってもらい、その電話口の向こうから弟(尾上菊之助)の『おめでとう』という声も聞こえて嬉しかったです」と笑顔で喜びを噛み締めた。同作については「最初に台本を見て素晴らしかった」と瞳を輝かせ、「監督から『(寺島の)モンペ姿が第一に浮かんだので起用した』と言われました」とエピソードも明かした。会見は、現在出演中の舞台「血は立ったまま眠っている」の大阪公演初回の開演19時を前に行われた。途中、同舞台の演出家・蜷川幸雄氏が登場し「私もひと足先に作品を見せていただきましたが素晴らしく、これは絶対賞を獲るぞ、と思った。予想が当たって嬉しいです」と祝福の言葉を贈った。『キャタピラー CATERPILLAR』は今夏公開予定。(text:Yoko Saito)■関連作品:CATERPILLARキャタピラー 2010年8月15日より公開予定© 若松プロダクション第60回ベルリン国際映画祭 [映画祭]人間失格 2010年2月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開■関連記事:山田洋次に“名匠”の称号日本発『おとうと』、ベルリン映画祭閉幕で拍手喝采日本映画が健闘した第60回ベルリン国際映画祭長身美人シン・ミナ熱烈メッセージと美脚2変化で“真!韓国映画祭”PR藤原竜也「自由にさせてくれた監督の力量」ベルリン批評家連盟賞受賞の喜び生田斗真歓喜の涙「幸せです」初主演映画『人間失格』初日前夜に舞台挨拶
2010年02月22日