岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「バンドの解散」です。ロックバンド好きの方なら人生で一度は、自分が好きだったバンドが解散して悲しむという経験をしてしまうんじゃないでしょうか。バンドが解散するにはいろいろな理由がある。でも、いつも解散のニュースを目にするたびに、その理由の「ふわっ」とした感じにモヤッとなってしまいます。「音楽性の違い」とか言われてもファンの方は納得できないですよね。「ギターとベースで恋愛絡みのトラブルあって辞めます」とか「俺が全部曲作っているのにギャラ4等分とか割に合わないから辞めます」とか、ゴリゴリの理由をもっともっと聞かせてほしい…。でも、恋愛と一緒で原因は一つということではないから、結局はふんわりまとめて「音楽性の違い」になってしまうのでしょうね。ただ、不仲だからといっても、必ず解散するというわけではないのがバンドの面白いところです。以前、とあるバンドに「バンド仲はいいの?」と聞いたら、「ほとんど話さないし、めちゃくちゃ悪いよ!」とストレートにぶっちゃけられて思わず笑ったことがあります。バンドの在り方って、メンバーによって様々です。プライベートでも遊ぶほど仲の良い人たちもいれば、このように必要最低限の会話で十分という方たちもいる。長続きするには、お互いにとって最適の距離感をみつけることが肝心です。…って、みなさん、「それをお前が語るんかい!」と、いま思ってますよね?正直言うと僕はバンド、無理でしょう。大学生のころに組んでいたことはありますが、そのときも僕がワンマンで突っ走り、協調性がなく解散してしまいました。いまバンドをやることを想像しても、「なんで俺ばっか曲書いて、クレジットはバンド名義やねん」とかすぐに思ってしまいそうなので、やはり向いてないと思います。一度、仲良しのバンド、夜の本気ダンスのドラムの鈴鹿くんに「ボーカルが曲作っている間、君は何やってんの?」と聞いたことがあります。そのとき、鈴鹿くんは「ドラムの練習をしている」と言っていました。「ボーカルの作った曲を信頼しているから、彼がやりたいことを忠実に再現するのが俺の仕事だ」と。そうやって仲間の才能を信頼し、信じ続けることもバンドの長続きに必要なのかもしれません。結成当時の気持ちを忘れずに、リスペクトし合えるメンバーに巡り会うことはとても尊いし、難しいことなんです。おかざき・たいいく6/22に「『MUSiC』フェス~私立恵比寿中学開校10周年記念 in 赤レンガ倉庫~」出演。総合酒類会社「眞露」とのコラボ企画“岡崎体育÷JINRO”第2弾楽曲「今宵よい酔い」MV公開中。※『anan』2019年6月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月22日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ナレーション」です。先日、NHK岡山放送局からオファーがあり、『@okayama』という番組で放送された「“eスポーツ”にかける青春」のナレーションを担当しました。僕はナレーションがけっこう好きなんです。もっとこういうお仕事をやっていきたいと実は思っています。そもそも、僕の母がMC業で結婚式やイベントの司会をしていました。その血が流れているので、滑舌よく、流れるように話すことにはとても憧れがあります。小学校のころ、国語の宿題で教科書を朗読してくるとかよくあったと思うんですけど、うちの母はそのころから指導が厳しかったです。抑揚がついてないとか、間のとり方が悪いとか。小学生の朗読ですよ?それなのにプロ並みの指導をまだ年端もいかない僕にしてくるので、いつも泣きながらやっていましたね。「本読みカード」というものがあって、そこに親が上手に読めていたかの評価をするんですけど、それもめちゃくちゃ辛辣で。担任の先生も事情をわかっていたので、「岡くんとこは仕方ないよね」と笑って同情してくれていました。まあそういう背景もあって、声優の人やナレーターの方、アナウンサーの方が美しくナレーションをしているとすごく尊敬してしまうんです。自分が滑舌が悪く、なかなかうまくできないからこそいいなと思うし、心地よく話せる人に少しでも近づきたい、自分もそうなりたいと思ってしまう。でも、きっと僕にナレーションをオファーくださるときって、そういうアナウンサー的なうまさを求めてないですよね。それよりも、僕の個性だったり、キャラクターだったりが反映されたナレーションがいいはず。そのあたりもうまくバランスをとってできるようになりたいなぁ。あとは『チコちゃんに叱られる!』のチコちゃんだったり、『ねほりんぱほりん』のモグラだったり、中の人の面白みや機転が求められるようなものとかが、僕には向いているかもしれないです。どちらにせよ、やるとなったら怖いのは母のダメ出しです。ナレーションにしろ、声優にしろ、言葉の仕事をするとめちゃくちゃ言われるんです。そもそものキャラクター設定からダメ出しされますから。「あの感じやったら、もうちょっと明るく高いキーで発声せんと」とか。キャラ設定とかよりも、僕はシンプルに滑舌をよくしたいだけなんですけどね…。おかざき・たいいく総合酒類会社「眞露」とのコラボレーション企画“岡崎体育÷JINRO”第2弾楽曲「今宵よい酔い」のミュージックビデオが公開中。※『anan』2019年6月19日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「耳がいい」です。「耳がいい」は、いろんな解釈ができると思います。単純に、遠くの音や小さな音までよく聴きとれるとか、何Hzまで聞こえるというような聴力が優れている「耳がいい」や、1度聴いたメロディを再現できたり、人の歌い方や喋り方などのモノマネがすぐにできるのも「耳がいい」と言います。僕はどうなのかというと、実は前者のほうで言うと、めちゃくちゃ耳、悪いんです。大学のときに音楽解析のゼミをとっていたので自分の聴力を調べる機会があったんですが、60代の聴力と言われました。なんか生まれつき高音がとても聴きとりにくいそう。モスキート音なんて絶対に聞こえません。これは音楽家として本当にディスアドバンテージやなと思っています。だって僕がわからないところで妙な高音が鳴り響いているかもしれない。だから音源のミックスのときなどは気をつけていますね。一方で後者の意味での「耳がいい」については、けっこう自信があります。1回聴いたものを再現したり、真似る能力は高いはず。英語っぽく聞こえる曲「Natural Lips」や、先日も取り上げたMONKEY MAJIKとのコラボ曲「留学生」なんかは普段、英語で映画を観たり、洋楽を聴いたりして耳に馴染んでいる音の表現を形にしたもの。そういう意味での耳の良さを伸ばすにはどうしたらいいかというと、注意深く聴くことです。曲を1曲聴くとしてぼんやり全体で聴かずに、いつもどこかに着目して聴いてみる。今日はシンセの上物だけに注目してみようとかベースの音の流れだけ聴こうとか。そうするといろんな発見があるんです。なんかこのAメロめっちゃ気持ちええな、なんでやろと思ったときに、一つ一つの音に注目しながら聴くと「あ、この木琴のリズムがめっちゃおしゃれなんや!この音の動きでグッときたんやな」と理解できる。そういう分析ができるとより深く音楽を楽しめるし、アーティストの意図も理解できてちょっと感動します。ときには作り手の遊びに気づくこともあります。裏にこっそり違うメロディを忍ばせていたりだとか。実は、僕も最近、エビ中に提供した「Family Complex」という曲のAメロに、以前作った「サドンデス」のメロディをうっすらと入れてみたんです。聴いた人が、「あれ?これもしかして!?」と気づいてくれると、こっちもうれしいものです。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年6月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月10日6月9日、叶美香がブログを更新。さいたまスーパーアリーナで行われた岡崎体育(29)のワンマンライブを観に行ったと報告した。また岡崎も同日、Twitterを更新。さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブは7年越しの夢だったとつづった。実は、過去に叶と岡崎の間で“プレシャスな約束”が交わされていたという。叶のブログによると、かねてより岡崎が「さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをする際は来てください」とお願いしていたとのこと。叶は今回、その約束を守ったかたちだ。岡崎といえば、2016年にアルバム「BASIN TECHNO」でメジャーデビュー。17年12月にはTwitter上で、デビューしてから初めて連絡先を交換した女性が叶だったと明かしていた。当時、ファンに叶から連絡先を聞いてきたのかと問われた岡崎は《俺みたいなバッドルッキングガイからいけるわけない》と返答。写真撮影からの自然な流れで連絡先を交換したとつづっていた。また叶も岡崎のことを《とってもキュートで礼儀正しい岡崎体育さん、大好きですよ》とブログで告白していた。そんなきっかけがあって今回、ライブを訪れた叶。その際には、お祝いに紅白のバラを178本プレゼントしたという。ファンからは《お約束なさっていたのですね》《感激しました》《叶姉妹様の素晴らしいところ。それは約束を絶対守る事》《見習いたいと思います》と叶の義理堅さを絶賛する声が上がっている。
2019年06月10日岡崎体育が、6月9日にさいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催する。京都宇治市在住の男性ソロプロジェクト・岡崎体育。2016年4月に公開した“ミュージックビデオあるある”を題材にした『MUSIC VIDEO』のMVが大きな話題を呼び、同年5月発売のメジャーデビューアルバム『BASIN TECHNO』でオリコンウィークリーチャート初登場9位、iTunesのJ-POPチャートで最高位1位を獲得。また数々の大型フェスやイベントにも精力的に出演し、その独創的パフォーマンスが老若男女問わず幅広いファンの支持を集めている。『MUSIC VIDEO』「30歳までにさいたまスーパーアリーナでライブをやる」というのが昔から岡崎体育の大きな目標のひとつだったという。デビューアルバム『BASIN TECHNO』、2ndアルバム『XXL』とアルバムにはこれまで自身を体現するタイトルがつけられてきたが、今年1月にリリースされたアルバムは『SAITAMA』と冠しており、ここからも自身の夢にかける意気込みが感じられる。ネタ的な要素で注目を集めることが多い岡崎体育だが、このアルバムは“より音楽的な側面をクローズアップした”作品と本人も語っている通り、ミュージシャン岡崎体育の魅力が再発見できる作品となっている。そもそもなぜ「さいたまスーパーアリーナ」を目標に掲げていたのか。同会場に懸ける想いをニッポン放送『ミュ~コミ+プラス』にゲスト出演した際本人が語っていたが(出典: )、大学生時代友達に誘われて足を運んださいたまスーパーアリーナでのライブを観て「悔しい」と感じたことがきっかけだったそう。そんな岡崎体育にとってまさに有言実行のタイミングでライブが実現するわけだが、彼のライブではいつもたくさんの人が笑っていて、ユーモアとネタ満載の演出には面白さを超えて感動するほどだ。念願のさいたまスーパーアリーナという夢の会場でも、大勢のファンを笑顔にしてくれることだろう。なお、岡崎体育の楽曲『FRIENDS』にも参加しているペンギンの友達“てっくん”(岡崎体育のステージ上唯一の友達として知られている)が、『フェイクファー』というタイトルで6月9日にメジャーデビューを果たすという。岡崎体育プロデュースによる同作は、6月9日のさいたまスーパーアリーナ公演にて会場限定で販売されるとのことだ。『FRIENDS』公演情報「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」日程:2019年6月9日(日)会場:さいたまスーパーアリーナリリース情報『フェイクファー』発売:2019年6月9日(日)価格:¥1,000(税込)※会場限定盤<収録内容>01.フェイクファー02.キャラクター
2019年06月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「SE」です。ライブが始まる前にかかっている音楽のことをSE(Sound Effect)と言います。ライブ前の場の雰囲気を作るのに欠かせないもので、基本的にその日にライブをする演者が決めていることが多いですね。友達のライブに行って、開演前に流れている曲で、「あ、この曲、絶対ボーカルの子が選んでるわ」とか思うことあります。こだわっている方だと、ライブ後にSNSなどでその日のSEのプレイリストまで公開する人もいますしね。僕も自分のツアーでは、そのときに気にいっている曲を流すことが多いです。またはコンセプティブなツアーをするときは、雰囲気作りにSEを利用することもあります。「シマウマの中でも比較的凶暴なほう」ツアーのときには、サバンナの雰囲気を作りたくて、ずっと『ライオンキング』のサントラをかけてみたり、「キミイロハートII」ツアーは、恋愛シミュレーションゲームがテーマだったのでファミコンの音源を流してみたり。好きなアーティストのライブに行ったら、開演前に会場で流れている曲をちょっと気にしてみるといいと思います。アーティストの考えが詰まっていることは間違いないと思います。僕が苦手なのは、開演前やバンドとバンドのセットチェンジの間に音源を流すのではなくDJが入るパターンのやつ。僕は開演前とか転換の間はゆっくりしたり、友達と見たライブの感想などをしゃべったりしたいんです。でもDJたちは、踊らそうとしたり、ちょっと盛り上げようとしてくるから、休む暇がない。そんなことされるならヒーリング音楽の「イマージュ」とか流して、ライブに備えて心穏やかに待ち時間を過ごさせてくれるほうがずっといい、と僕は思ってしまいます。でも、まあこれも個人の意見です。DJ入れるのも、アーティストの方がよかれと思ってしていること。そのほうが盛り上がりが持続していいという人も多いでしょう。もうすぐ、僕のさいたまスーパーアリーナの単独公演です。そのときのSEはどうしようかな…。実はまだ何も考えてないんです。…必ずしも音楽である必要はないかもしれないですよね。思い切って語りとか?僕が夢を叶える場所で、「夢を叶える方法」をライブの前に1時間にわたって語り続けるとかどうでしょうか。大きい会場だとモニターもあるだろうし、映像を使ってみるというのも面白いかも。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年6月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「アーティスト写真」です。プロフィールを掲載するときなどに使う宣材写真。アー写といわれ、ミュージシャンの場合は、自身のホームページで使用したり、フェスに出るときなどの参加アーティスト一覧になったり、テレビやウェブのニュースに載るときに出たりします。自分の宣伝のために使うものなので、新しいシングルやアルバムをリリースするたびに写真も変えるっていう方が多いです。そんな中、僕はデビューしてから2年くらいアー写を変えなかったんです。なんか、そこに労力とお金をかけるのがもったいないと思ってしまうんですよね。でも、2年目に入ってからマネージャーに「体育さん、体型変わっているし、このままだと詐欺と言われるから撮り直してほしい」と懇願されて、重い腰をあげました。それで1年くらい前に撮ったのが今のアー写です。気に入っているので、しばらくはまたこのままでしょうね。その写真は、僕があらかわ遊園のイモムシ型のジェットコースターに乗っているもの。撮るときのこだわりとしては、きちんと顔が写っていることでしょうか。やはり顔は、ちゃんとわかるようにしたいものです。これ、ミュージシャンの悪いとこが出がちなんですけど、芸術性に重きをおきすぎて顔が煙で隠れているとか、そもそも顔が写ってないとか、そういうアー写も多いじゃないですか。おしゃれやし、かっこいいと思うんですけど、初見の人にとっては何のこっちゃわからない。すごい不親切ですよね。まあ、尖った活動をしているミュージシャンならそれはそれでいいと思うんですが、僕みたいな感じのスタンスのミュージシャンがそれやっても、何を急にイキっとんねん?と思われてしまう。だから、岡崎体育は親切第一でやっていきたいと思っています。個人的に注目しているのは、インディーズバンドのアー写です。ここに面白いアイデアが潜んでいることが多いんです。お金がないからプロのカメラマンに頼むことなんてまずできない。でも、個性的で目を引く一枚にしないといけないからみんな工夫して、いろんなアイデアを練るんです。僕もその当時は、自撮り写真を加工して真四角に引き伸ばして、下駄みたいになった顔を使っていました。今思えば、なんでそんなことしてたんやろ?と。もしかしたら、その下駄時代が岡崎体育の歴史の中でもっとも尖っていたアーティスト写真だったかもしれません。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年5月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年05月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「オマージュ」です。今年1月にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』をリリースしました。たくさんの方に聴いていただき本当に感謝しています。で、いろいろレビューなどもしていただいたのですが、その中で気になる言葉があり、それを今回の議題にしたいと思います。その言葉とは「オマージュ」です。僕はいろんなタイプの楽曲を作るので、曲ごとに“これはクラブミュージックのオマージュ”“これはラウドロックのオマージュ”と、1曲ごとにっぽいと言われがち。でも、オマージュってなんなん?と思います。確かに以前、星野源さんにも「岡崎体育は、いろんな音楽ジャンルのおいしいとこ取りをするのが上手」と褒めていただいたことがあるし、浅く広くですがいろんなジャンルの音楽を好きで聴いてきたから、その影響を受けていることは間違いないです。でも、楽曲を作るときに「よし、今回はこの感じをオマージュしたるぞ!」と作るわけではないです。現代のミュージシャンで、聴いてきた音楽に影響を受けていない人などいないと思うので、すべてのミュージシャンはオマージュの塊であると言えると思うんです。パンク一筋のパンクバンドも過去にいたパンクバンドのオマージュをしているはずです。でも、ことさらに「それはオマージュだ!」とは言われない。そんな中で、僕が「オリジナル」と言われずに「オマージュばっかり」と言われてしまうのは、やはり手広くいろんなジャンルの音楽をやっているからなのでしょうか。だって、パンクバンドの方はアルバムの中にわざわざ1曲ヒーリングミュージックを挟んだりしませんから。僕のそういうメタ的な制作スタイルが、批評をする多くの方たちに、岡崎体育は常に他者を強く意識して音楽を作っていると勘違いさせているのかもしれない。でも、実はそんなことはないんです。“こういうの、ちょっとやってみよ”くらいのテンションです。以前、ある音楽評論家の方に「岡崎体育は新しいパンク精神を持ったアーティストだ」と言っていただいて腹にすっと落ちたことがありました。そうなんです。僕は過去をトレースしたいんじゃない。ネタ元があるならもっと自由に裏切りたいし、ジャンルにだって縛られたくない。オマージュと言われるより、これ、岡崎体育らしいねと言われるものをもっと確立したいんです。…で、オマージュってどういう意味?おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。5/27には、マイナビBLITZ赤坂で公開リハーサルも開催!※『anan』2019年5月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年05月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「校歌」です。みんなで一緒に歌を歌うと気持ちがひとつになれる。まあ、そんな簡単に人はひとつにはなれんやろ!という本音もありつつ、でも、やはり高校野球で校歌斉唱をしている場面を見たりなんかすると胸にグッとこみ上げるものがあります。僕、甲子園は毎年見ているので、智辯学園和歌山高等学校の校歌は完璧に歌えます。もちろん、自分の出身小学校、中学校の校歌も覚えていますし、高校の校歌も今でも歌えます。僕の出身高校は公立だけど新設校だったので、新しいことへのチャレンジを前面に出すタイプの学校でした。校歌もちょっと斬新でサビが英語詞だったんです。当時はそれがすごく恥ずかしくて。ほかのみんなも同じだったようで、朝礼で全校生徒で歌っていてもサビになるとぐっと声量が下がっちゃうんですよね。いちばんええとこやのに、みんなちょっと口ごもる。サビが英語って、なんかええやん!と今なら言えるんですが、現役の子たちはどうなんやろ。恥ずかしがらずに歌えているのかな。気になります。でも、そういう新しい感覚の校歌が今、増えているみたいです。それこそ2011年夏と2017年春に甲子園に出場したときに話題になった、愛知県の至学館高等学校の校歌「夢追人」とか。まるでJポップのような歌詞、メロディです。そういう校歌らしくない校歌が流行るというのも今の時代っぽいですよね。それはそれでいいと思いますが、僕はいわゆるベタな校歌がやっぱり好き。校歌を卒業生やその土地にゆかりのあるミュージシャンが作るというのもよく聞く話ですが、もし僕の出身校からオファーがきたら前向きに考えたいところです。そのときは作るとしたらやはりゴリゴリのトラディショナルな校歌にしたい。EDM入れてノリノリの校歌とか作って、サビ前で校長が「飛べー!」とかいうのも面白いかもしれませんが、僕は意外と伝統を重んじるタイプです。それに、校歌を歌うのなんて、本当に学生時代だけのことですから。校歌というジャンルを歌える時代に、きっちり歌っておくのもええ経験やと思います。大人になってからは本当に歌いませんから。以前に、同じ中学出身のヤバTのこやまくんと「中学のときの校歌を思い出すインスタライブ」をしたことがあって、そこで歌ったくらいかな。同窓会でみんなで肩組んで歌うとか、まだそういうのもちょっと恥ずくてできないですね。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。5/27には、マイナビBLITZ赤坂で公開リハーサルも開催!※『anan』2019年5月15日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年05月11日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「コラボ」です。MONKEY MAJIKがいろいろなアーティストとコラボするアルバム『COLLABORATED』に僕も「留学生」という楽曲で参加させていただきました。現在、YouTubeで350万回再生くらいいっていて、話題になっています。そもそもは、MONKEY MAJIKのプラント兄弟とNHKの連続テレビ小説『まんぷく』で共演させていただいたことがきっかけ。そこで意気投合して一緒にやろうとオファーをいただき、実現しました。彼らは当然、英語ネイティブ。それと、僕の英語風日本語を組み合わせたら面白いんじゃないかという発想で生まれたのがこの楽曲です。究極の空耳ソングで、それぞれの特色を生かしたこれぞコラボという意味のある作品に仕上がっています。曲作りの土台はMONKEY MAJIKが用意してくれたので、僕はそこに乗って楽しむだけ。すごく充実した環境で制作できました。今回のコラボをきっかけに気づいたんですけど、僕ってコラボ映えするんですよね。岡崎体育を単体で見たときのミュージシャン力って著しく乏しい。でも、誰かと組んだときその相手を際立たせる力がすごくあるんじゃないかという、僕の新しい才能に気づきました。僕といるとみんな“映え”ちゃうんです。それは昨年から、うすうす気づいていたんですよ。w‐-inds.とツーマンライブをやった際に、アーティスト写真を撮ったんですよね。あの3人の中に僕が入るとw-inds.の美しさが映えること、映えること!自分が芋虫かと思いました。…って、そこまで卑下することはないんですけど、でも、僕ってすごいワンポイントになれるみたいなんです。ちょっとバンドに差し色ほしいな、とか、甘いスイカに塩振りたいわ、みたいなときに、ぜひ岡崎体育とのコラボをご検討ください。また、一方で僕が主体で誰かを招いてコラボをしてみたいという気持ちも強まりました。今の僕の目標は、さいたまスーパーアリーナにたった一人で立つことなので、そこまでは一人でがんばるつもりですが、たまアリが終わったら、より自由に音楽を追求しようと思っています。だから、コラボもアリなんじゃないかなと。一応、構想があって「フィーチャリング」って曲だそうかなって。歌姫的な人を招いてフィーチャリングするんですけど、歌姫が歌おうとすると僕が邪魔して延々ラップとかして、歌姫まったく歌えへんって曲。みなさん、聴きたいですか?『COLLABORATED』MONKEY MAJIK英語詞はラブソングとして成立していて空耳部分も日本人留学生の心情とマッチする、相当練りこんだ高度な仕上がり。僕のラップ部分にも空耳で“モンキーマジック”と聞こえる仕掛けが。繰り返し聴いてほしい。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。5/27には、マイナビBLITZ赤坂で公開リハーサルも開催!※『anan』2019年5月1日‐8日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月29日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「アンコール」です。本来アンコールって公演が終わった後、客席からの拍手や歓声が鳴りやまずに、その声に演者が応える形で行われるもの。あらかじめ用意せずその場の空気感で行われるのが自然やと思うんです。でも、現在の日本のライブシーンにおいては、アンコールはやらなあかん感じになっていますよね。アーティストもセットリストを考えるときにそれを含めて曲の構成を考えている。これ、ヤラセもいいところです。いつからこうなってしまったのでしょう。「このシステム、始めたの誰なん?」と聞きたい。そうは言いつつも僕もセットリストを考える際には、必ずアンコールまで考えてしまいます。6月に予定している、さいたまスーパーアリーナの公演では、ダブルアンコールまで考えていますよ。ええ、もうここで先に言っておきます。たまアリのダブルアンコールで僕は「Explain」をやります!ライブの冒頭でアンコールの曲数を発表してしまうのは、僕がよくやるパフォーマンス。これも形骸化したアンコール文化への僕なりのアンチテーゼなんだと思います。もちろん、日本のミュージシャンの中にはアンコールしませんと宣言している方々もいらっしゃいますし、海外のミュージシャンは会場入り口に「本日アンコールはございません。あらかじめご了承ください」と貼り紙をすることもあるそうです。そういうスタイルもありと思いますが、僕は僕のライブらしいアンコールのやり方を模索していきたい。もうひとつ気になるのは、アーティストがはけた後の「アンコール!」という定型化したコール。あれももっといろいろバリエーションがあると面白いですよね。以前、SEKAI NO OWARIのライブに参加させていただいたとき、アンコールの際にファンのみなさんが「スターライトパレード」のサビをループして歌っていた。あれはなかなか痺れましたね。でもみんなが歌える歌ならいいですが、うっかりB面曲のようなあまりメジャーでない曲を歌いだしたらどうするのでしょう…。客席は演者に出てきてほしくてコールする。それを逆手にとって「早く出てこないなら」を口火にみんなで「帰る!」「帰る!」とコールするのはどうでしょう?僕が「待って帰らんといて~」って出てくるんです。「曲用意してんねん。照明もかっこいいの作ってるから!」って。これ、かなりハピネスな空間になりそうです。次のライブでみなさんぜひ!おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「EDM」です。EDMとは“Electronic Dance Music”の略です。シンセサイザーやサンプラーなどを使った電子音楽の中でも、フロアの人々を踊らせる高揚感のあるダンスミュージックを総称してそう呼びますね。ここ数年で、日本でもEDMという概念が広く普及しましたが、欧米ではすでにひとつの音楽市場として確立しています。ベルギーの「Tomorrowland」、アメリカ・マイアミの「Ultra Music Festival」などのフェスは10数万人規模の動員がある。なので、世界にはEDMのDJで、ばちくそ稼いでいる人たちがたくさんいます。僕と同い年のドイツ出身のDJ、Zedd(ゼッド)なんて17億円の豪邸に住んでいるとか。ネットでお宅拝見の動画を見たんですが、家の中にジムもプールもある上に、トイレットペーパー置くだけのコストコルームなんちゅう部屋まで持っている。日本ではEDMのDJ一本でそこまで稼いでいる人はまだいないと思いますが、音楽ジャンルとしてはこれからも盛り上がっていくと思います。では、僕がEDMのクラブやフェスに足繁く通っているかというとそんなことはありません。そういうところはパリピっぽい人が多いので正直、苦手です。基本、ひとり家で聴いています。自室のロフトベッドの上をDJブースに見立てて、YouTubeにあるEDMメドレーをヘッドホンで聴きながら、DJのマイクパフォーマンスを真似してひとりでぶち上がってます。EDMのDJは、選曲はもちろんですが“さあここから盛り上がりますよ!”というフックとなるポイントでうまく煽ることが重要。限られた拍数、小節の中で自分の言いたいことをお客さんにどのように伝えるのか。そのテクニックを海外のDJたちからかなり学んでいると思います。日本って、ライブでみんな同じ動きをしてません?なんか右手だけ挙げてればいいか、みたいな。僕はそれが残念で。自分の好きな動きでノればいい、人真似なんてしなくていいはず。だからライブでは、EDMを使った楽曲を採用するんです。それは、単純にみんなに踊ってほしいから。4つ打ちのビートに陽気なサウンド乗せたら、直感的にダンスしたくなるはずです。EDMには、シャイな日本人特有の恥ずかしさを取り払って、己を解放してくれるパワーがある。僕のライブでは、自由に好き勝手に踊ってみてほしいですね(人に迷惑かけない範囲で…)。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「京都」です。京都出身のミュージシャンといえば、くるりと10-FEETがまず思いつきます。それぞれ日本を代表するトップランナーであり、ジャンルは違えどシーンを引っ張っている存在です。この先輩方が全国区で活躍し、京都に帰ってきてフェスを開催するなどしてくれたおかげで、京都で音楽をやってみたいと思う若者の流れができたと思います。くるりや、10-FEETの系譜を継いだバンドがめちゃくちゃ増えたんじゃないでしょうか。かくいう僕も、くるりのギターロックや日常を切り取った詩の世界観に影響を受けているし、ヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)のこやまくんも10-FEETがいたからこそ、ああいうバンドスタイルになっているのでは、と思います。京都でバンドやろうという人たちはどんな人かというと、基本的に“アー写が笑ってない”感じです。なんていうんやろ、張りきって前へ前へ出るというより、ちょっと後ろに立って腕組んで見てるような、常に半歩引いているような印象。プライドが高いわけじゃないんですけど、あまり自分に無理しない。はんなり上品に佇んでいるほうが京都っぽい。そんなちょっと“雅”なイメージです。…って、僕えらそうに語っていますけど「お前が京都を語るな」と言われそうで今びくびくしています。だって、僕は京都の人らに「宇治の人やろ?(笑)」と言われます。京都は、この洛中・洛外の意識がとんでもなく強いんです。伝統や歴史が残る街だからこそ、京都の人はどこか閉鎖的で排他的なのかもしれません。京都在住のミュージシャンにもそんなヒエラルキーがあるように感じてしまい、僕自身は京都市内よりどちらかというと奈良が好きで、そちらばかりに行っていました。奈良はライブハウスもミュージシャン人口も少ないので、ライブをやるとなるとオールジャンル、誰でも大歓迎。なんでもアリのゆるさと壁のない感じが僕は好きでした。とはいえ京都は有名な神社仏閣もあるし、おしゃれなスポットもあるし、クラブもライブハウスも充実しているので遊びに行くのはおすすめです。一乗寺界隈はラーメン店の激戦区。どこ入ってもうまいラーメン食べられるのでぜひ行ってみてほしい。あと名物と言っていい“鴨川等間隔”もぜひ一度見てほしいですね。三条から四条あたりの鴨川の河川敷に、僕の歌そのままにカップルが並んで座っているのは必見です。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月06日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ひとりだち」です。年度末ですね。平成最後の年度末です。入学や就職、転勤など新しい旅立ちのシーズン。この時期、引っ越しをされる方も多いのではないでしょうか。僕も正直、引っ越ししたい。いいかげん実家に居すぎやな…という思いがあります。ここでひとつ、みなさんにはっきり発信したいことがあります。僕は現在、地方の実家暮らしで自室の学習机から音楽をお届けしていますが、一生このまま実家で暮らすつもりはございません!そりゃ、これまでの活動を振り返れば、実家在住であることを堂々と宣言し、さらにはその自室をテレビの全国放送で流しているわけですから、岡崎体育=一生、実家で音楽活動するやつというイメージを持たれても仕方ないんですけど、でも僕には、いつか代官山に住んでデカイ犬を2匹飼う、という夢があるんです!東京の物件情報とか実はめっちゃ見てるんです!音楽をがんばって、その結果、稼いだお金で幸せに暮らしたい。一生、いい環境、いい精神状態で音楽を作り続けるための場所を自ら築きたい。これが僕の究極の成り上がりミュージシャンドリームです。さらに、引退後のセカンドライフは函館で暮らすというところまで自分の中で決まっています。実家の子ども部屋から発信した音楽で、さいたまスーパーアリーナの単独公演が実現できるのか、というのが岡崎体育・第1章の研究課題。で、それが今年6月についに達成を迎える。そのあとは第2章へと移行するはずなのですが、それがどういう目標になるのかは今の僕にもわからない。住む場所も、東京かもしれないし、違う土地かもしれない。でも、関西在住のバンドマンやミュージシャンも、成功するしないにかかわらず、夢を持って東京に移住する人はとても多い。これまでそういう人をたくさん見てきました。僕もどうなるかわかりません。ただ、実家は出ます。これは、せっかくだからここで断言したい。実家は出ます!…なんか正直なところ、30歳にもなってひとりで生きていく力が身についていないということがいよいよ情けなくて。ひとりで暮らして、世間並みの30歳くらいの社会人感覚や生活力を身につけたいんです。…と言ってみたものの、半年くらいでギブアップしてしまうかもしれません。そのときは、「岡崎体育、“もう、無理”。音をあげて宇治にUターン」というニュースを音楽ナタリーで出したいと思います。ださ。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ベストアルバム」です。誰かのCDを買うときに最初にベストアルバムに手を出す人のことを「わかってないヤツ」と言うことがありますが、僕はそれまったく納得いきません。だって、アーティストが「これ最高によくできたのをまとめました」と言ってリリースしているんですよ。そのアルバムを聴けば、まずはそれでいいじゃないですか。僕は「とりあえずベストアルバム」推奨派です。そもそも、僕は後追いでアーティストを知ることが多かったので、いろんなアーティストのベストアルバムに助けられてきました。ベストアルバムを聴いて、彼らのヒットソングを聴く。その上で、さらに深く知りたいと思ったら気になる年代順でアルバムを買っていく。とくにヒットソングが多いアーティストだと、ベストアルバムは気軽に名曲を知ることができていいですよね。最近では、クイーンの『グレイテスト・ヒッツ』なんてめちゃくちゃ売れているんじゃないでしょうか。と、ベストアルバムを推しているものの、じゃあ自分がベストアルバムを出すかというと僕自身は出さないだろうなと思います。そもそもヒットソングが「MUSIC VIDEO」と「感情のピクセル」の2曲くらいしかない。ヒットソングといってもセールス的に当たったわけでなく、話題にまあまあなったのが2曲というくらいですから。これは、まだまだ僕はベストアルバムを出すレベルに達していないということです。デビューして3年もたってないですから、ちょっと気の早すぎる話なのかもしれません。でももし出すとしたら、ネタ曲ベストと普通の曲ベストの2枚組かな…とか想像します。あ、それか、ボツ曲を集めたベストというのもいいかもしれないです。僕は、楽曲ができたらまずオカンに聴いてもらうんです。で、オカンに「わかりにくい、やめとき」とか「サブい、やめとき」と言われたら、レコード会社に聴いてもらう前に即ボツにしています。そんな“オカンボツ曲”がかなりの数あるので、そこからあえて選曲してみたいです。オカンが選ぶ岡崎体育ベストと未発表ボツ曲ベストの2枚組なんていかがでしょうか。ライナーノートはもちろんオカンに全曲解説してもらって。なんなら全国キャンペーンも回ってもらいたいですね。ラジオにもバンバン出演してもらって。中島ヒロトさんやクリス・ペプラーさんといった名物DJの方々とのからみが、今から楽しみです。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月21日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「日野市立七生緑小学校」です。ちょうど1年前のこの連載で合唱についてお話ししました。僕は合唱が好きで、なかでも日野市立七生緑小学校の歌声が大好きなんです。彼らは、ごく普通の公立小学校の生徒であるにもかかわらず、NHK全国学校音楽コンクール〈小学校の部〉にて6年連続金賞を受賞されている、すごい合唱団なんです。いつか、彼らと一緒に仕事がしたいとずっと思っていたんですが、その念願がついに叶いました。僕が作詞・作曲を手がけた、TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』(テレビ東京系)の新EDテーマ「心のノート」を彼らに歌ってもらうことになったんです。参加いただけることが決まってから、日野市で行われた彼らの合唱コンサートも観に行きましたし、レコーディングにも立ち会いました。その結果わかったことは、七生緑小学校の生徒さんたちは「誰よりもプロや」ということです。これは、ソニーミュージックで20年以上音楽業界に携わっているうちのディレクターも同じことを言っていたので、間違いないと思います。彼らはレコーディングの当日までずっと先生にダメ出しをされていた。いや、ダメ出しをされるだけじゃなくて、自分たちで意見を出し合って、どう修正していくか、どうよくしていくかを徹底的に考えてきてくれた。はっきり言って合唱の素人の僕からすると、「ええやん、全然この状態でいけるやん」と思ってしまうくらい完成度は高かったんです。それでも「いや、まだここが甘いんです」と修正を重ね続けてくれた。これがプロか…と、すっかり僕が教えていただきましたね。七生緑小学校の合唱団は4年生から6年生の生徒たちで構成されています。自分が小学校高学年のときを振り返ると、これだけ高い意識を持ってひとつのことに向き合えるか?と聞かれたら、絶対できないと即答できます。でもその不可能を可能にしているのは、合唱団を指揮する後藤朋子先生の存在。彼らの徹底したプロ意識を培ったのは、後藤先生の巧みな指導力の賜物。それが6年連続の王者の歌声を育てたんだと思います。小学生たちの真っすぐでピュアな歌声って実にすばらしいです。マジで心洗われます。彼らが昨年、金賞を受賞した自由曲「ああ ひまわり」なんて、本当にレベルが高くて聴くたびにゾクゾクするほどです。もっと、合唱曲の魅力、たくさんの人に届いてほしいです!おかざき・たいいく3rdアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「印税」です。印税はみなさんが考えているより素晴らしいものじゃないんです。レコード会社との契約次第だと思いますけど、一般的に2800円のCDを制作してアーティストのところに入るのは売り上げ1枚につき30円程度なんじゃないかなと思います。これ、むちゃくちゃ少なくないですか?僕はデビュー前、メジャーレーベルと契約さえすれば生活には困らない…、なんなら豪遊できるだろうと信じていたのですが、実際に1枚目のアルバムの印税が振り込まれた口座の金額を見て「こんなもんなんか…」とびっくりしました。ミュージシャンの中にはメジャーレーベルを離れ、自分でレーベルを立ち上げる方もいます。それはそれですべてが自分にかかってくるので大変なんですが、成功すれば還元率は100%ですから、裕福になっている方もたくさん見てきました。とはいえ、僕もそっちに行きたいというわけではないんです。現在のスタッフのおかげで僕は音楽を作る良い環境を作ってもらえているし、さまざまなお仕事もいただけている。ただ、CDが売れなくなったこの時代になにか改革していくシステムがないと、すべてのメジャーミュージシャンは幸せにはなれないんじゃないかと思うんです。それでもCDやネットの音楽配信はまだいい。もっと厳しいと感じるのがサブスクのシステムです。定額制の音楽配信サービスをみなさんも利用していると思います。これは、月額いくらという金額を世界中の何億人という人から集金し、その集めた総額を1曲ごとの再生数によってアーティストに分配するシステムになっています。この方法だと世界中で聴かれてないと利益が出ません。日本のみのガラパゴス的な活動をする僕のようなアーティストは、たとえToday’s Hitsに選ばれても、全世界の比率で考えたら分配される金額なんて総収益の何億分の、何千億分の1でしかない。このアーティスト格差が深まる仕組みには疑問があります。ぶっちゃけミュージシャンを国家公務員にしてほしいです。国民に娯楽をもたらすことを目的とした娯楽庁を作ってほしい。そして月々の俸給と社会保障を与えてほしい。まあ、それは大げさですけど、生活できないという不安やストレスを抱えながらいい音楽活動なんてできないと思うんです。贅沢したいわけではないですし、安定・安心のある中で音楽を創作したいと希望するのはそんなに難しいことなんですかね?おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「病気とケガ」です。人前に出る仕事なので表舞台に立つタイミングでは、できるだけ病気やケガはしないように細心の注意を払っているつもりです。それでも体調を崩してしまうことがあります。先日、僕は1月18日に予定していたNHK大阪ホールでのワンマンライブの公演をキャンセルしてしまいました。ウイルス性胃腸炎とインフルエンザA型の併発でした。ライブ当日の朝は熱もなく体調がすぐれないものの気合で乗り切ろうと思っていましたが、リハの段階でまったく声が出なくなり体調も悪化の一途で、病院に駆け込んだところドクターストップ。それで自宅に戻ったのですが、そこからさらに寒気がしてきて。電気毛布の目盛りをダニアウトまでマックスに上げたものの震えが止まらず、仕方なく母にお願いして救急で再び病院へ連れていってもらい…。即入院でした。一時は熱が42°Cまで上がり意識を失いました。意識ない中でうなされながら「いけます! (ライブ)やれます!」と繰り返していたそうです。覚えてないですけど…。僕は、ライブを飛ばさないというのをインディーズ時代からひとつのプライドとして持っていたので、今回のことは辛かったし心苦しかったです。ライブを楽しみにしていてくれた方々に申し訳なくて、たくさんのスタッフにも迷惑をかけました。中止を公表したあとはツイッターを覗くこともできませんでした。でも、クレームはなく、みなさんが心配してくれる声だけが僕に届いて、ファンの方はありがたい存在だという感謝の気持ちでいっぱいになりました。ミュージシャンはこういうとき、本当に応援の声が励みになるんです。早く元気になろうと思わせてもらえます。それと同時に、もっともっとプロ意識を持たなあかんと思いました。以前、エビ中の中山莉子ちゃんが「小さいころはよく家族でスキーに行っていた」と話をしていて、続けて「でも、今はケガが怖いから行ってません」とスッと言った。あ、これがほんまのプロやなと思ったのを思い出しました。ステージに立つ人間として、ひとつの覚悟を持って日々過ごしている。それが僕にはまだまだ足りなかったのかも…。だって、これまでの僕だったら誘われたらスノボでもスキーでも行ってしまっていたと思います。でも、今回のことをきっかけに変わりたいです。これからは人一倍、健康に気を使っていきます!おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月02日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ウィンターソング」です。冬の歌というと「雪」だったり「クリスマス」だったり、まず歌詞のイメージが思い浮かぶと思いますが、僕がウィンターソングを聴いていて気になるのは、冬らしさを表現するためにどんな音選びをしているかですね。これは作り手側のこだわりになりますが、使っている楽器や音のイメージで冬の感じを出すことができるんです。以前、いきものがかりやback numberなどを手がけられているサウンド・プロデューサーの島田昌典さんの密着取材番組を見たことがあります。そのときに、いきものがかりの「SNOW AGAIN」というウィンターソングのアレンジを手がけていて、シンセサイザーで冬を連想させるリズムの音をずっと探されていたんです。僕も楽曲に合う音はどれだろうと音選びの作業で1日費やすことがあるので、一流のアレンジャーの方でも、ひとつひとつの音を聞きながら同じように探すんだ…と感動しました。また、そのとき島田さんが「これだ!」と選んだシンセの音は、ひんやりと冷たい音色で完全に冬の音だったんです。的確に響く音を見極める才能、センスに感服したことを覚えています。J-POPを代表する名曲を数多く生み出すアレンジャーの凄さを垣間見た瞬間でした。季節感をイメージできる音というのは、なにも冬に限ったものではなくて、それぞれの季節に連想させる音があると思います。クリスマスの歌なら鈴の音が鳴っているだとか、夏ならスチールドラムやホイッスルのような音が似合う。季節のイメージを出すために、どんな音色が使われているか注意して聴いてみると新しい発見があるかもしれません。今シーズンの冬だとビッケブランカさんの「まっしろ」という曲が印象的ですよね。ピアノや鐘の透明な音色、そしてビッケさんの感情が乗った歌声で冬のなんともいえない切なさや冷たさが表現されている。あと、僕の最新アルバム『SAITAMA』に収録している「Jack Frost」もウィンターソングです。ジャックフロストとは冬の寒さや冷たさを司る精霊のこと。この曲の中では、やはり寒さやクリアな印象をイメージさせるシンセの響きを入れていますが、僕はあえて薄く海の波の音を入れています。より厳しい寒さを引き出すために、夏のイメージがある波の音を実験的に入れてみました。甘さをより引き立てる、スイカに塩みたいな効果を期待しましたが、みなさん気づいてました?おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年2月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年02月16日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「密着取材」です。昨年、NHKのドキュメンタリー番組『ノーナレ』ではじめての密着取材を受けました。これまで、丸1日カメラがつくとかそういうことはありましたが、今回の撮影期間はおよそ2か月。ここまでみっちりした取材ははじめてでした。いきなり肝のこと言っちゃいますけど、人間って一人でいる時間が必要なんやということを改めて再認識いたしました。いや~、ずっとカメラ入ってるの、やっぱキツかった~!夜の本気ダンスというバンドの鈴鹿(秋斗)は、何かで一緒になるとずーーーーっと僕の楽屋にいるんです。でもそれをなんとも思ってなかったんですけど、それはもともと彼が地元の同級生で、僕が素でおれてたってことなんでしょうね。カメラが入っているとやっぱり、“岡崎体育”でおらなあかんという変な緊張感が生じてしまい、全然リラックスできませんでした…。さらに今回は、実家の僕の部屋にも定点カメラが設置されていたんですが、それも気になって気になって…、ときどきオフにしていました。だって僕の部屋ですから、着替えとかもしますから。僕の着替えシーンなんてオンエアしないことはわかっています。わかっていますけど、編集の段階でNHKの方に着替えシーン見られるのもイヤやから、そこはきっちりオフにしていました。ドキュメンタリー番組で25分間、僕のことだけを流してくれるということがどれだけありがたいかは、十分にわかっています。だからこそ、アルバム制作がもっとも立て込んでいる時期にあえてカメラに入ってもらったんです。ドキュメンタリーの作り手は対象者が苦しんでいるところや足掻いているところを撮影したいわけじゃないですか。僕の通常の、表に立っている仕事…取材を受けたり、ライブをしたりという活動…を追いかけたいわけじゃない。裏の顔を撮りたいんだろうと思ったし、僕も1回くらいはそれをさらけ出してもいいかなと思ったんですけど、なかなか全部を見せるというのは難しいものですね。でも十分辛かったんで、そのモヤモヤしている姿をファンの方には楽しんでもらえたかなと思います。今回、出せるもんはすべて出し切ったので、もし次、密着取材をやるとしたら、岡崎体育が新しいフェス作りますとか、そういう何か大きなトピックがないとできないのでは?と思います。僕が自分の部屋で曲作りしているだけだと代わり映えしないですから。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年2月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年02月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「米津玄師」です。平成最後の紅白歌合戦で故郷・徳島から歌声を届けた米津玄師さん。実は、僕と米津くんには共通の趣味があるんです。それはニコニコ動画のゲーム実況動画を観ること。僕はYouTubeの公式チャンネルで自分がプレイするゲーム実況も配信していますが、他の方の面白いゲーム実況を観るのも好きなんです。で、米津くんも、同じ実況プレイヤーさん(ナポリの男たち)を推していて仲良しだったんですね。それで、その方々が「今度、米津さんとごはんに行くからよかったら岡崎さんも来ませんか」と誘ってくれた。それが昨年の5月のことです。よく覚えているんですが、ええ雰囲気の個室で、米津くんだけ遅れてやってきたんです。初対面だったし、僕はとにかく緊張して待っていて…。米津くんは、扉を開けて入ってきた瞬間、そりゃもう米津やったんですよ。これはもう間違いなく米津や、というアーティスト感漂う雰囲気をバリ醸しだしていた。だけど、ふっと席に座ったら、なんと米津がなくなったんです!米津とれたんです!!これにはびっくりしました。気難しさみたいなものがまるでなくて、まあ、気さくなお兄ちゃん。また、お酒が進めば進むほど陽気におしゃべりしてくれる。しかも人のことを褒めまくる。僕のことも「ネタ曲と真面目な曲のバランスがいいですよね」とか、めっちゃいいこと言ってくれる。僕はひたすら「ありがとうございます」と言っていましたね。僕のことをちゃんと知っていてくれたこともうれしいし、繊細なイメージから一転、気さくなええ人というめちゃくちゃいい裏切りでちょっとキュンとしてしまいました。僕も僕で米津くんのことはずっと気になっていたんです。彼は、もともとハチという名前でニコ動に楽曲を投稿していた。僕もニコ動にインディーズ曲を投稿していた時代があったんです。デビューまでの道のりは違いますが、地方在住のSNS世代でネットに音楽を投稿して、それを広い世界の人たちに見てほしい、評価してほしいというところにルーツを持つところは似ているのかなと勝手に親近感を持っていました。だから、二人で音楽の話をできたのはとてもうれしかったですね。米津くんとは、それ以来お会いしていないんです。また会いたいなあ。飲んだときの米津玄師さん、面白いもんなあ。せっかくだから『anan』で対談企画とかやってくれたらええのになあ…。どうですか、編集長?おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」開催。※『anan』2019年2月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年02月03日約1年半ぶりとなるオリジナル3rdアルバム『SAITAMA』をリリースした岡崎体育さんに、お話を伺いました。僕のターニングポイントとなるアルバムになりました。岡崎体育の快進撃がとまらない。音楽活動のみならず、‘18年はNHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』で堂々たる俳優デビューも経験。今年、白石和彌監督作で映画デビューも決定している。また、自身の活動の最終目標と公言してきた、さいたまスーパーアリーナでのライブを今年6月に開催。3rdアルバム『SAITAMA』は、その念願の公演に向けリリースされた岡崎体育の現在のリアルを色濃く反映させた一枚だ。「当初は過去2枚のアルバムのようにネタ曲をいくつか入れようかと考えていたんです。でも、あるときから“あ、これちゃうわ”となった。なんか葛藤が生まれたんですよね。ネタが面白い人という評価はもちろんうれしい。だけどそればかりじゃ長続きしない。普通に書いた曲もちゃんと評価されないとミュージシャンとして終わってしまうんじゃないか。岡崎体育っていう音楽家の真価が問われるというと大げさかもしれないですけど、でも僕の中ではそういうターニングポイントの一つとなるアルバムかなと思っています」ミュージックビデオあるあるを題材にし、SNS界隈をざわつかせた「MUSIC VIDEO」をはじめ、ゴリゴリのラウドロックに愛らしい歌詞を乗せた「感情のピクセル」や英語風歌詞で聴き手を惑わす「Natural Lips」など、これまでの“作戦勝ち”を自ら手放し、ど直球の音作りに挑んだ。「結果から言うと、すごく気に入ったアルバムになりました。とりあえず、僕は気に入っています。これまでにも『鴨川等間隔』とか『スペツナズ』『式』など、バズらせることを意識しないで作った曲がいくつかあるんですが、ツイッターなんか見ていると、そういう楽曲をいいって言ってくれている方がいて。それ、うれしいなあって思っていた。今回はアルバムごとそういう評価になってくれたらいいのにって、今からめちゃくちゃ妄想しています」“さいたまが俺を呼んでいるんだ”と、本音のリリックで“岡崎体育”を詰め込んだダンスチューン「からだ」。インディーズ時代の名曲のひとつ「私生活」はアレンジにストリングスを入れ、より叙情的な響きを得た。さらにピアノひとつで切なく弾き語る美メロのバラード曲「龍」など、ネタ曲はないもののジャンルの多彩さ、振れ幅の広さはさすがといったところ。聴きどころは満載だ。そして、おふざけはまるでなし?「そうですねえ。唯一ふざけているとすれば、このジャケット写真かな。全然、今の僕じゃない…。4~5年前の僕です。俺史上いちばんイラつく俺の顔をあえて選んでみました。レコ屋でこのジャケットと目が合ったときに“あ゛?”って気になってもらえたらそれもまたうれしいです」2017年6月リリースの『XXL』に次ぐ、約1年半ぶりとなるオリジナル3rdアルバム『SAITAMA』。【初回生産限定盤CD+DVD】¥3,500「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016~2018」出演ダイジェスト映像つき。【通常盤CD】¥2,800*共に税込み(SMEレコーズ)おかざき・たいいく現在、JINRO presents岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。4/5公開の白石和彌監督『麻雀放浪記2020』で映画初出演。6/9、さいたまスーパーアリーナでの単独公演も決定!※『anan』2019年1月23日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年01月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。出張版となる今回のテーマは「平成元年生まれが振り返る、僕の平成ソング6選。」です。小さいころから洋楽に浸かっていた僕ですが、そんな自分でも胸に刺さった平成のJ-POPがあります。まず思い出すのは母親がカーステで流していたサザンオールスターズや米米CLUB…。中学生時代はJ-POPは女子とのコミュニケーションツールに。当時、女子人気がえぐかったSPEEDやゆずのCDを貸し借りした甘酸っぱい思い出があります。‘00年代に入るとランキングのTOP10をはなれ、“聴き方”が多様化していく。僕なんかはフェスで新しい音楽と出合う機会が一気に増えました。プロデュースやタイアップ重視の時代で曲単体が話題になることって難しい。だからこそSMAPの「世界に一つだけの花」なんかは、強い曲やったな~と改めて思いますね。昨年もっとも刺さったのは米津くん。楽曲は尖っていながらヒットしていて。これはかっこいいしうらやましい限りです。『真夏の果実』サザンオールスターズ桑田佳祐が監督した映画『稲村ジェーン』主題歌としてリリース。「母親がいやがる僕にボディボードさせたくて夏は海へ。その時の車のBGMはサザン。なかでも記憶に残っているのがこの曲です」(タイシタレーベル)『ガッツだぜ!!』ウルフルズウルフルズをメジャーシーンに押し上げた代表曲。続く「バンザイ ~好きでよかった~」でミリオンヒットを記録。「小1のころ運動会で踊った曲。クラス中みんなで盛り上がりました」(EMIミュージック・ジャパン)『my graduation』SPEEDSPEED6枚目のシングルで150万枚に迫る売り上げを記録。卒業曲の定番に。「小4で初めて買ったシングル。女子が教室で歌っていて“何その曲?”って教えてもらった一曲。めっちゃええ曲やんって買いに走りました」『世界に一つだけの花』SMAPトリプルミリオンを達成したSMAPを象徴する一曲。「ヒットする要素が詰まった一曲ですよね。王道のコード進行とキャッチーなメロディ、前向きな歌詞。お見事なヒット曲だと思います」(ビクターエンタテインメント)『男の子と女の子』くるりファン投票によりアルバムからシングルカットされた一曲。「高1のころ初めてサマソニでくるりをみて、同じ京都出身で親近感が湧きました。琴線に触れる柔らかな歌詞が好きです」(SPEEDSTAR RECORDS)『Lemon』米津玄師TVドラマ主題歌として書き下ろされ、ミュージックビデオは現在2億回を超える再生数を記録。「現在のSNS世代を代表するおひとり。何かある人だなと楽曲を聴くたびに思います」(ソニー・ミュージックレコーズ)おかざき・たいいく3枚目となる最新アルバム『SAITAMA』が発売中。6/9には念願のさいたまスーパーアリーナでの単独公演も決定!※『anan』2019年1月16日号より。写真・小笠原真紀取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年01月12日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「高橋優さん」です。自分のラジオ番組やいろんなところでお話しさせていただいていますが、シンガーソングライターの高橋優さんと仲良しです。出会いは2017年の「風とロック芋煮会」というフェス。このフェスは変わっていて、ライブ終了後に参加ミュージシャン全員でお客さんの前で野球をするんです。僕は小学生のころ野球をやっていたので、野球経験があまりないという優さんとキャッチボールしたりルールを説明したりして。それがきっかけで試合中もずっと僕の隣の席に座ってくれていたんです。でも、お互い人見知り同士なので全然、会話は弾みませんでしたね。「打ちましたね~」「…はい」「あ、また打ちましたね~」「…あ、そうですねえ」みたいな感じで。でも、同じ男性ソロアーティストなので親近感を持っていただけたのでしょうか。フェスで僕のライブも観てくれていたみたいで、「FRIENDS」って曲の気持ちもわかりますと言ってくれました。それ以降は、Mステでお会いするとご挨拶したり、お互いのCDを交換しあったり、少しずつおしゃべりもできるようになっていきました。距離がぐっと縮まったのは去年のこと。優さんが地元の秋田で「秋田CARAVAN MUSIC FES 2018」というフェスを主催されて、そこに僕を呼んでくれたんです。これが地元密着型のとてもいいフェスだったんです。地元を盛り上げようという優さんの気持ちが溢れていました。レーベルや事務所に言われてやっているとかじゃない前向きな姿勢が、めちゃくちゃ人間味があって素敵やなと思えたんですね。このときも、「もっと二人の距離を縮めたいから、このあと一緒にごはん食べましょう」なんて、ステージでお話ししていただいて。でも僕は、それはリップサービスやろと思っていたんです。だって、次の日も優さんはフェスがあるし、関係者へのご挨拶とか主催者はいろいろ大変です。邪魔にならんように帰ろうかなと機材をまとめていたら「ちょっと!ごはん食べようよ!」と呼び止められて。一緒にイワナの塩焼きをいただきました。おいしかったです。優さんのファンの方に言っておきたいのは、この人についていったら間違いないということですね。絶対、信じても裏切られないやろなと思います。そういう方です。自信もってファンでい続けてください!おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。オリジナルサードアルバム『SAITAMA』が発売中。6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定!※『anan』2019年1月16日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年01月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「2018年」です。2018年も残すところあとわずかです。今年一年、みなさんはどうでしたか?僕は充実したデビュー2年目を過ごすことができたと思っています。音楽活動はもちろんですが、新しいことにいろいろ挑戦できたのがよかったです。朝ドラに出演させていただき俳優業を初体験、『テンゴちゃん』では初の地上波レギュラーも務めさせていただきました。フェスで大きいステージを任せてもらえるようになったのも、自分の成長を感じられてうれしかったことのひとつです。この連載も1年やってきて、自分にとってとても大切な場所になっています。だって、ふだん“音楽”についてあらためて考えることってないですから。飲み屋で友達と話すときでもそうそう“音楽”についてなんて語りません。でも、ここでは毎回ひとつテーマを決めて自分はこのことについてどう考えているのか、何を思っているのかと掘り下げて自問自答する。そこに意外な発見があったし、自分の意見をそのままに言っていいんだと思えるようになったんですよね。これまで、変に媚びたり、きれいごとだけ言って上辺だけでやり過ごす悪いクセがあったんですけど、あ、そんなことせんでもええんやと思えるようになった。『anan』連載セラピーで僕、変わりました。あと変わったことでいえば、音楽関係の友達がこの一年で増えましたね。京都在住なのでなかなか東京のみなさんとは遊べなかったんですが、オンラインゲームという共通の趣味があり、ボイスチャットでゲームしながら夜な夜なおしゃべりするようになりました。よく遊んでいるのは、前にもお話ししたw-inds.の(橘)慶太さんやビッケブランカさん、小袋成彬くんとかですかね。サッカーゲームでは僕がオーナーを務めているんですけど、最初は僕と夜の本気ダンスの鈴鹿(秋斗)くんの2人だけでやっていたのが、気づいたら15人くらいにメンバーが増えていました。ゲームやる人たちって基本インドア派で内向的な属性を持ってる方が多い気がして、個人的にとても居心地よく感じています。来年はどんな一年になるんでしょうか。まずはデビュー当初から目標としていた「さいたまスーパーアリーナ」でのライブが6月にあるので、それに向けてがんばりたい。たくさんの人にあのデカいステージに独りぽっちで立つ僕のことを観ていただきたいです。絶対、損はさせませんから!おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。‘19年1/13愛知、1/14福岡、1/18大阪、1/25東京。‘19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2019年1月2・9日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月29日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ボヘミアン・ラプソディ」です。映画『ボヘミアン・ラプソディ』が異例のヒットを記録していますね。この映画は、イギリスのロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの半生を描いた音楽映画。クイーンは僕がもっとも影響を受けたバンドのひとつです。僕がクイーンに出会ったきっかけは、うちのおかんです。おかんが若い頃からクイーンの大ファンで、とくにドラムのロジャー・テイラーの熱狂的おっかけをしていた。家にはクイーンが載った雑誌やグッズが山ほどあります。そんなこともあり映画の宣伝のためにコメントをくださいというオファーをいただいたときには、「僕なんかより、当時の熱いファンにコメントしてもらうほうがええんとちゃいますか?」と逆提案をして、僕とおかんのコメントを公式サイトなどで紹介していただいたんです。映画はおかんと僕、二人で観に行きました。僕たちが行ったのは、公開直前に京都で開催された一般試写会。ラジオや雑誌の公募で当選した一般の方々、熱を持って集まってきた人もたくさんいらっしゃってました。クイーン全盛だったあの時代、キラキラ輝いていただろうおばちゃんたちが大集結してました。うちのおかんは見事にその輪に溶け込んでいましたね。映画は素晴らしかった!まるでドキュメンタリーを観ているようでした。フレディの立ち居振る舞い、バンドの関係性、台詞ひとつひとつが練られていて、クイーンというバンドの真実を大げさにすることもねじ曲げることもなく伝えている。これはファンは大満足です。そして、フレディの孤独や葛藤、そして、圧倒的なステージは、当時のファンでなくても胸に熱いものがこみあげるはず。僕もフレディの寂しさを描くあるシーンでこらえきれず号泣してしまいました…。おかんに至っては映画冒頭、ブライアン・メイとロジャー・テイラーが演奏した20世紀フォックスのファンファーレを聴いた瞬間、泣いていましたね。映画が終わってからも二人でめちゃくちゃ語り合って。こんなこと久しぶりやなあと思いました。この映画、クイーンを知らない若い世代も劇場にたくさん足を運んでいると聞きます。この映画をきっかけにクイーンを話題にして家族の会話が増えるとしたら、こんなに素敵なことはないなと思います。いろんな世代に観に行ってほしい。そして、クイーンの名曲もたくさん聴いてみてほしいです。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。‘19年1/9にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売。‘19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2018年12月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「配信リリース」です。この間、ネットサーフィンをしておりまして、気になるアーティストを発見しました。イギリス・ロンドンを拠点に活動しているソウル・シンガーで、サム・ヘンショウという方。24歳くらいで若いんですが声がめちゃくちゃかっこいい。これはCDが欲しいと思って探してみたら、フィジカルリリースはレコードのみ。音源は配信でしかリリースしていなかったんです。僕は、以前にこのコラムでデジタルでばかり音楽を買わないで、CDをもっとみんなに買ってほしいと言いましたが、最近はこういうケースも増えてきましたよね。グラミー賞を受賞しているアーティストや日本の人気ミュージシャンでも配信限定で楽曲をリリースすることがあるし、かくいう僕もテレビアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』の新オープニングテーマ「キミの冒険」をTVのオンエアと同時に配信のみでリリースしました。配信でしか手に入らない音楽って確実に増えつつあります。作り手側の話をすると、配信のみでのリリースってすごくハードルが低いんですよね。現物としてモノを準備しないといけないCDと比べると、手間もコストもかからないから、リリースしたいときにすぐにリリースできる。CDだとプレスして、梱包して、配送してと、タイムラグがどんどんできてしまう。そのスピード感の差が、アーティストが配信に切り替えている理由のひとつだと思います。リスナーとしても好きなアーティストの最新の楽曲をどこででも手に入れられるのですから、音楽の聴き方が配信やサブスクが主流になっていくのは当然かなと思ってしまいます。この間も、ぼくのりりっくのぼうよみ君と対談をする機会があって「CDは買いますか?」と聞いたら「ほとんど買わないです」と言っていました。10代や20代前半くらいになると、日常的にCDを買うという意識を持っていない方がほとんどなのかなと思います。CDプレーヤーやドライブをもう持っていないという人も多いんじゃないかな。確かに家で自分が一番気に入っている椅子に座ったままで、PCやスマホで好きな最新の音楽を選べるというのは、なんと贅沢な時代かと思いますね。とはいえ、個人的には好きなアーティストの音源は盤で買ってほしい、という思いは変わらずに持ち続けています。CDは音がいいだけじゃなく、ジャケットやブックレットに作り手のこだわりが詰まっていますから。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。’19年1/9にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売。’19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2018年12月19日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「全国ツアー」です。ミュージシャンは自分の音楽をみなさんに届けるために、全国各地を巡りライブをする“ツアー”をします。すごい方だと1年かけて47都道府県を全部まわるという人とかもいらっしゃる。それは本当にすごいことやなと思います。尊敬しかありません。そういう僕も今、絶賛ツアー中です。初の全国ホールワンマンツアーです。ただし僕の場合、埼玉・北海道・京都・愛知・福岡・大阪・東京の全国7か所での開催です。ちょっと偏っていますか?偏って見えますか?でも、僕にとってみたらもうこれがギリギリ限界の仕様になっております。なんでかと言いますと、「岡崎体育なめてんな」とか「甘えるな」とか言われてしまいそうですが、僕はライブが終わったら1回、家に帰ってきちんと眠りたいんです…。ホテルに何連泊もするとか、1か月ずっと各地をまわって家に帰らないでいるとか、僕にはできないんです。とにかくホテルだと眠れない。休めない。僕は寝るときにはS字型の抱き枕を使っているんですけど、まずそれがないと落ち着かない。じゃあ、それ持っていけば?と言われるかもしれませんが、僕はステージで使う機材もキャリーに乗せて自分で運んでいるので、さすがにそれに加えて枕も運ぶことは難しい…。今度、マネージャーにお願いして、枕をホテルに直送してもらおうかなとかも考えていますが、まだ実現には至っておりません。とにかく、ちゃんと家で寝ないと僕はパフォーマンスが確実に落ちてしまうんです。そんな落ちた状態でライブをするのはどうしてもイヤなんです。それをするくらいならわざわざであっても一度、宇治の自宅に戻り、慣れた布団できちんと眠って、肉体的にも精神的にもチャージをしてから次のライブに挑みたい。そういう考えのもとで全国7か所に限ってやらせていただいています。ある意味、僕は誰よりも健全な志向を持ったミュージシャンなんだと思います。たとえば、富山県にお住まいの方に僕のライブを観てもらいたい。もちろんそう思います。思ってます。でも、僕のライブを観たいんやったら富山から出てきてほしい。僕が富山に行くより、キミが京都の会場に足を運んでくれないか。そして、ちょっと京都観光して帰ったらええやんかと思うのですが、富山のみなさま、全国のみなさま、いかがでしょうか。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。‘19年1/9にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売。‘19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2018年12月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ミュージシャンが言われてうれしい言葉」です。僕がよく言われる褒め言葉は「面白いですね」。もちろん、それはそれでうれしいですが、“面白み”を評価されることが多い分、逆に音のことを褒めていただけると、すごくうれしくなります。「あのトラック作り込んでますね」とか「ここの音作りがすごい」などと言われると、めっちゃちゃんと聴いてくれてるやん!と、テンションがあがります。だからミュージシャンに何か言葉をかけるとしたら「ファンです」とか「好きです」だけでなく「この曲のここの音がすごいと思っていて」など具体的に言ってあげると、とても好印象になると思います。ミュージシャンって結局、楽器オタクや機材オタクなんですよ。メジャーのフィールドまで来ているということは、当たり前ですけど、時間をかけて考えて、こだわりぬいて真摯に音楽を作っている。だからこそ、音のことを率直に褒められるとめちゃくちゃうれしい。だから僕も、ライブの後などに共演者の方と話すときは、音作りの話を振ることが多いです。「ライブでめちゃくちゃ低音出ていましたけどPAにどういう指示されているんですか?」とか「あのギターの音はどんなエフェクトかけているんですか?」とか…そういう話をしています。そうすると話も弾みます。逆によく言われるなかで、がっかりする言葉もあります。それは「このエピソード、曲にしてくださいよ」っていうやつ。僕はこれ、めっちゃしょっちゅう言われます。僕がネタ曲を多く作っているせいもあると思いますし、面白いネタを常に探していると思われているのかもしれないですが、そんな大したことのないレベルのそこそこの面白エピソードなど、曲にできるかい!といつも思います。なので、この記事を読んだ方は二度と言わないでほしいです。ヤバTのメンバーもよくこの言葉を投げかけられるようで、わざと僕に「岡崎さん、この会話、曲にしてくださいよ~」とちょけてきますが、そのノリももう飽きました。ここ1年で褒められて最もうれしかったのは、Mステに出たときにタモリさんに「よくできた曲だね」と言われたことです。タモさんって曲終わりでコメントすることがほとんどないので、それなのにわざわざそうおっしゃっていただけたのには興奮しましたね。やっぱり率直に曲のこと褒めるのがミュージシャンへの最大の賛辞なんだと思います。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。’19年1/9にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売。’19年6/9、さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定。※『anan』2018年12月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年12月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「タイアップ曲と自分の曲」です。ニュースなどでご存じの方も多いでしょうが、そろそろ私、岡崎体育が現在放送中のNHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演します。「どうも、朝ドラ俳優の岡崎体育です」って、いやマジでこれはすごいことで、非常に貴重な体験をさせていただきました。僕が演じたのは進駐軍の男です。長谷川博己さん演じる萬平さんが進駐軍に逮捕されるんですが、そのときの看守役。カリフォルニア生まれで片言の関西弁を話す日系二世です。そもそもこのキャスティングは、NHKさんの勘違いからはじまります。僕の楽曲には「Natural Lips」という英語風の曲があったりするので、普段から僕は英語のええ発音を心がけています。それがなにをどう間違って伝わったのか、岡崎体育は英語できるやつ、いわゆる“英ぺキャラ”として選ばれてしまったんです。打ち合わせの際、「僕は英語がしゃべれません」とはっきり申し上げたら「えっ、ご、ご堪能じゃない!?」と、とてもびっくりされました。結局、英語指導の方に発音の音源をいただいて、必死に練習することに…。思い込みって怖いですね。現場には出演者としてMONKEY MAJIKのお二人もいたので、指導の先生と一緒に英語の指導鞭撻をきっちりいただいて、NGもださずに撮影は無事、終了しました。それにしてもプロの役者さんは本当にすごいです!僕は俳優業は初心者なので“本読み”とか言われても、ライブのリハくらいのイメージで、流れを確認する感じ?とゆるく思っていたんですが…。みなさん一言一句、魂を込めてセリフをおっしゃる。橋爪功さんとかマジすごかったな…。これ、そのまま本番やんと思ってしまいました。いつもと違うクリエイティブの現場を体験できたことは、めちゃくちゃラッキーですし、いい刺激をいただいたなと思っています。それと同時に、本業をしっかりやらないと、と気持ちも引き締まりました。お芝居でも高く評価されているミュージシャンの方々ってたくさんいますけど、でもそれってやっぱりミュージシャンとしての足場をしっかり持っているからこそ、ファンの方々が俳優としても応援してくれると思うんですよね。音楽という基礎があるから役者としてもより魅力的にみえる。僕も他に類をみない、この憎めない系ぽっちゃり三枚目キャラを最大限に活かして、ハリウッドデビューできるまでがんばりたいと思います。おかざき・たいいくJINRO presents 岡崎体育ホールワンマンツアー「エキスパート」開催中。12/1(土)札幌市民ホールほか、全国7か所にて。来年の6/9(日)さいたまスーパーアリーナ単独公演も決定!※『anan』2018年11月28日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2018年11月25日