4月21日、市川中車こと香川照之(58)がXで自身の近影を公開した。その姿が大きな反響を呼んでいる。この日、Xに《オスとメスの見分け方を長々と講釈し、居合わせた一歳児に呆れられている香川プロデューサー》と投稿した香川。あわせて写真もアップしており、そこには庭のような場所で土をスコップで掬ったり、子供を抱きながら地面にいる幼虫を指差したりする香川の姿があった。この写真で注目を集めているのは、香川の“激変姿”だ。今年1月に行われた市川猿翁さん(享年83)とその弟である市川段四郎さん(享年76)を送る会で、香川は黒髪の中に白髪が散見されるような髪型だった。ところが今回公開された近影では、香川の髪は全体がグレーヘアに。さらに、鼻の下や顎に同じくグレーの髭を蓄えている。上はミッキーマウスの描かれたTシャツ、下はジーンズというラフなスタイルの香川は、そのグレーヘアを後頭部で結んでいた。そんな香川の渋い近影に、SNSでは驚きの声が続出することに。「かっこいい!」と絶賛する声がこう相次いでいる。《香川さん渋くてかっこいい》《シルバーヘアもとてもお似合いです》《渋くなられましたねー》《香川さん?!すごいグレイヘアで驚きましたけど、よくお似合いで私は好きです》
2024年04月24日歌舞伎俳優の市川團十郎白猿が22日に自身のアメブロを更新。正月に大怪我をしていたことを告白した。この日、團十郎は「到着!」というタイトルでブログを更新し「これから点滴なり」と報告。「時間かかりそうです」と述べ「終わったら帰宅なり」とつづった。続けて更新した「点滴」と題したブログでは「回復 これでだいぶ元気になると思う」と写真とともにコメント。「温泉ではずっと寝てたのでぼちぼち回復してくれるだろうと」とつづった。また「ぼちぼち時効ですかね」と述べ「正月にけっこう大きな怪我してて実は大変でした」と正月に大怪我をしていたことを告白。「それもあってけっこう休んでますね」と明かし、ブログを締めくくった。この投稿に読者からは「大変な状況だったのですね」「ゆっくり休んでください」「ご自愛ください」などのコメントが寄せられている。
2024年02月23日歌舞伎俳優の市川團十郎白猿が14日に自身のアメブロを更新。治療のために病院を受診したことを明かした。この日、團十郎は「一日休み」というタイトルでブログを更新し「リズム変わったので今日はとても疲れました」とコメント。「でも勸玄が元気で良かった」と述べ「私は病院の後名古屋で全然遊んでなかったので今日は出かけます」と明かし「たまにはストレス発散」とつづった。続けて更新したブログでは「よろしくお願いします!!」と自身の足元の写真を公開。「まずは治療」と治療を受ける事を明かし「本当今日は疲れた」とつづり、ブログを締めくくった。この投稿に読者からは「お疲れになられたのですね」「お大事になさってください」「回復を祈ります」などのコメントが寄せられている。
2024年02月15日新型コロナ感染症が季節性インフルエンザと同じ5類となり、劇場にもかつての賑わいが戻った。しかし、歌舞伎界では、昨年報じられた市川中車(58)の性加害報道に引き続き、5月に市川猿之助(48)がパワハラ疑惑を報じられた直後に両親への自殺ほう助で逮捕、7月には尾上菊之助(46)の不倫報道など、今年もスキャンダルが絶えなかった。女性問題が「芸の肥やし」で済まされた時代はとうに過ぎ、定期的に不祥事やスキャンダルが報じられる歌舞伎俳優への世間の目は厳しくなるばかり。果たして、これまでの行いからどの歌舞伎俳優が世間からの支持が薄いのか。そこで本誌は、男女500人を対象にこれまで不祥事やスキャンダルを起こした中で最も「引退してほしい」歌舞伎俳優についてのアンケートを実施。クロス・マーケティングの「QiQUMO」を利用した。結果をランキング形式で発表する。まず、第3位にランクインしたのは、市川中車。歌舞伎役者としての経歴は浅いが、香川照之の名で『半沢直樹』(TBS系)や『坂の上の雲』(NHK)といった数多くの人気作に出演。俳優業だけでなく、趣味の昆虫好きを活かし「カマキリ先生」としてNHKの教育番組に出演していることから、子どもからお年寄りまで幅広い層に認知されていた。しかし、’22年8月に「週刊新潮」によって、19年にホステスの女性への性加害を行っていた疑惑が報じられる。加えてその後掲載された、香川が笑みを浮かべながら女性の髪を掴んでいた写真も衝撃を与え、不快感を示す人が多かった。「女性を物のような扱いをしているのが許せない」「報道が事実ならば人として最低だし許せないので、もう顔を見たくない」「性加害は犯罪、不倫等とは全く次元が違う。気持ち悪いし不愉快」性加害報道後は出演していた番組を降板していたものの、今年8月に「歌舞伎」と「昆虫」に注力していくことを発表。しかし、これにも「子供の頃から歌舞伎をやっていたわけではないから、不祥事を起こせば続けて行くのは無理がある」と難色を示す意見も寄せられていた。続いて、第2位に選ばれたのは、市川團十郎(46)。新之助時代に隠し子の発覚、海老蔵時代には飲食店でトラブルになり暴行被害に遭うなど、数々の問題を起こしてきた團十郎。妻の小林麻央さん(享年34)を’17年に亡くして以降はシングルファザーとして子育てに奮闘する様子を見せているが、昨年には複数の女性との多重交際や義姉の國光真耶から告発を受けるなど、團十郎襲名前にも関わらずトラブルが噴出した。また女性関係だけでなく、父としての良識が疑われるような行動も。今年6月に本誌は、車での登下校が基本的に禁止されている長男の学校に車で乗り付け、他の保護者からクレームが来ていることを報じている。なにかと“お騒がせ”な團十郎に、あまり良いイメージをもっていない人は多いようだ。「問題が多い印象があるから」「女問題だけでなく色々問題がありすぎ」「なんだかんだで結局素行が悪そうなところが好かない」「トラブルが何度も報じられているが、歌舞伎界が特に問題にしないことに違和感がある」そんな團十郎を抑えて、1位に選ばれたのは市川猿之助。女方から立役まで幅広くこなす歌舞伎役者として手堅い評価を受けながら、叔父から「スーパー歌舞伎」を受け継ぎ『ワンピース』といった革新的な話題作も生み出すなど歌舞伎界に貢献。また『半沢直樹』(TBS系)や『鎌倉殿の13人』(NHK)などの現代劇にも多数出演しており、歌舞伎ファン以外からの認知度も高かった。しかし、今年5月に両親の自殺を幇助したとして逮捕され、11月に懲役3年・執行猶予5年の判決が下された。動機については、自身のパワハラ報道がきっかけで「歌舞伎の仕事はもうできない」という思いを抱き、心中を図ろうとしたと報じられている。この事件に大きなショックを受けた人は多いようで、復帰に対し厳しい意見が相次いだ。「行った行為があまりにも酷すぎるから」「事件が衝撃的で俳優に対するイメージが悪い」「どんなに辛い事が有っても、両親を満ち連れに自殺しようとするなど、有り得ない」「あれだけの事件を起こしておいて表舞台に立つのはいかがなものかと思う」裁判中に読み上げられた供述調書で「許されるなら歌舞伎に関わり舞台に立ちたい」と語っており、復帰を望む意向を示しているという猿之助。しかし、起こした事件の内容や大きさから、復帰しても今まで同じように見ることが難しいと感じている人も多いようだ。「見ても楽しめなさそう」「どんな理由があれ命を大切にできない人間に歌舞伎を演じてほしくないから」「人が亡くなっているから。その人が出演している作品を心から楽しめないから」また、「休んでほしいから」「一度きちんとメンタルケアをしてから出直すべきだと思います」と猿之助の体調面を心配する声もあった。旧ジャニーズ事務所の性加害問題や宝塚歌劇団のいじめ疑惑など、意識改革を求められている芸能界。歌舞伎界も例外ではないようだ。
2023年12月31日歌舞伎俳優の市川團十郎白猿、長男の市川新之助が25日、都内で行われた『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台 二月御園座大歌舞伎』(来年2月1日~17日)の合同取材会に出席した。同公演で、團十郎は「吉野山」の佐藤忠信実は源九郎狐と「勧進帳」の武蔵坊弁慶を演じ、新之助は「外郎売」の外郎売実は曽我五郎を演じる。團十郎は「見やすい演目を並べさせていただいて、歌舞伎を初めて見る方でも、歌舞伎をよくご存じの方でも楽しめるような構成に、昼の部も夜の部もしています」と紹介した。襲名から約1年。新之助は「新之助と呼ばれることがあまりなくて、まだあまり実感がないのかなと思います。サインをたまに練習するんですけど、そういう時は『新之助だな』と思う時があります」と述べ、團十郎も「私もあまり実感ないんですけど、同じで、サインを書く時に『團十郎なんだな』と思ったりします」と話して笑いを誘った。團十郎はまた、「1年前の自分と今の自分を比較すると、團十郎という名前に慣れてきたのかなと思います。少しずつ、まだ海老の殻のついている團十郎ですが、團十郎なのかもしれないなと自分でも思うところがちょっと出てきた。周りも『團十郎』と呼ぶようになってきたので、ちょっとずつ團十郎になっている実感はあります。ですから荷が重いです」と話していた。
2023年12月25日歌舞伎俳優の市川團十郎白猿、長男の市川新之助が25日、都内で行われた『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台 二月御園座大歌舞伎』(来年2月1日~17日)の合同取材会に出席した。同公演で、團十郎は「吉野山」の佐藤忠信実は源九郎狐と「勧進帳」の武蔵坊弁慶を演じ、新之助は「外郎売」の外郎売実は曽我五郎を演じる。團十郎は「見やすい演目を並べさせていただいて、歌舞伎を初めて見る方でも、歌舞伎をよくご存じの方でも楽しめるような構成に、昼の部も夜の部もしています」と紹介。新之助は「『外郎売』は新之助の襲名でもやらせていただいて、すごく好きなんですけど、その『外郎売』をまたやれる。名古屋で舞台をやるのは初めてなので、すごく緊張するんですけど、名古屋の方々にもいろんな演目を楽しんでほしいと思っています」と語った。新之助は、初舞台から約1年が経ったが、「新之助と呼ばれることがあまりなくて、まだあまり実感がないのかなと思います。サインをたまに練習するんですけど、そういう時は『新之助だな』と思う時があります」と心境を語った。團十郎は、新之助の成長について「めざましく進歩したなと。『外郎売』を1年間引っ提げて各地で披露してきた結果、積み重ねてきた日々がちゃんと実となってお客様にも通ずるような芸風に少しずつなってきている」と評価。「本人もやる気がある。だからといって私はあーだこーだ言わないタイプなので、環境を作って見守って。あまりプレッシャーをかけすぎると感じちゃうので、伸びやかに修正点を注文しながら、また一歩階段を上ってもらいたいと思っています」と話していた。
2023年12月25日2023年12月8日、以前は市川海老蔵の名で知られていた、歌舞伎俳優の市川團十郎さんがInstagramを更新。舞踊家の市川ぼたんとして芸能事務所に所属する、長女の写真を公開しました。京都府京都市にある劇場『南座』にて、ぼたんさんと、同じく歌舞伎俳優の市川新之助を襲名した、長男の堀越勸玄さんとともに出演している、團十郎さん。同日、團十郎さんは「お散歩。勸玄はお部屋なり」というひと言とともに、ぼたんさんの写真を公開しました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る Ichikawa Ebizo 十一代目市川海老蔵(@ebizoichikawa.ebizoichikawa)がシェアした投稿 満面の笑みで楽しそうに走る、ぼたんさん。スラリと伸びた足や整った顔立ちは、2017年に亡くなった團十郎さんの妻でタレントの、小林麻央さんを彷彿とさせます。團十郎さんが公開した、ぼたんさんの写真に、麻央さんの姿を重ねた人は多い様子。「麻央さんが走っているように見えて、涙が出ました」「麻央さんの生き写しですね」「立派に成長していて、胸がジーンとした」などの声が相次いで寄せられました。ぼたんさんは、同日現在まだ12歳。これからいろいろな経験を経て成長する姿を、團十郎さんはもちろん、麻央さんも天国で見守っていることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2023年12月09日2023年11月23日、歌舞伎俳優の市川團十郎さんがInstagramを更新。長男で同じく歌舞伎俳優である、市川新之助さんの写真をアップしたところ、大きな反響が寄せられました。新之助さんは、同日、東京都内で行われた新潟のブランド米『新之助』の新米お手渡しイベントに出席。来場者100名一人ひとりに、新米を手渡したといいます。※写真は複数枚あります。左右にスライドしてご覧ください。 この投稿をInstagramで見る Ichikawa Ebizo 十一代目市川海老蔵(@ebizoichikawa.ebizoichikawa)がシェアした投稿 10歳でありながら、1人でイベントに出席し、立派に務めを果たしていた新之助さん。幼い頃のあどけなさが抜け、その凛とした美しい佇まいと表情は、2017年に亡くなった母親の小林麻央さんを彷彿とさせます。投稿には新之助さんの成長に、驚きの声などが多数寄せられていました。・かわいかったカンカンがこんなに大きくなったなんて!すごくかっこよくなりましたね。・しっかり目を見て渡していてえらい。3枚目は麻央さんにそっくりです。・麻央さんに似ていると思ってたけど、團十郎さんにも似てきた。パパとママのいいと取り!團十郎さんは、投稿に「どんな気持ちだったのかを、聞くのが楽しみです」とコメントをつづっており、きっと後で新之助さんからイベントの感想を聞いて親子で会話をしたのでしょう。未来の歌舞伎界を背負う存在として、注目が高まっている、新之助さん。今後の活躍を応援したいですね![文・構成/grape編集部]
2023年11月24日2023年5月18日、自宅で倒れていたところを発見され、歌舞伎俳優の四代目市川猿之助(本名:喜熨斗孝彦)氏ら3人が救急搬送される事件が発生。後に、搬送された猿之助氏の両親は死亡が確認され、猿之助氏は自殺ほう助の容疑で逮捕されています。同年11月17日、猿之助氏の判決公判が東京都千代田区の東京地裁で開かれ、懲役3年、執行猶予5年の判決がいい渡されました。市川猿之助氏、判決を受けコメント同日、猿之助氏の判決を受け、松竹株式会社はウェブサイトを更新。亡くなった猿之助氏の両親へ哀悼の念を表し、「いかなる事情があったとしても、市川猿之助が行った判断は決して許されるものではなく、大きな過ちであった」と、会社としての考えを述べました。続いて猿之助氏の今後については、「まずは1人の人間として、両親のぶんまでしっかりとこの後の人生を歩んでほしい」と述べ、歌舞伎俳優としての予定が白紙であることを明かしています。また、同社はウェブサイトに猿之助氏のコメントも掲載しました。本日、裁判所から、懲役3年執行猶予5年の判決の言い渡しを受けました。失意のどん底で決意したこととはいえ、常に自分を見守ってくれた父と母を巻き込んでしまったこと、そして、歌舞伎界を含め、多くの皆様に治癒し難い傷を負わせてしまったことに対し、言い表せない罪を感じています。自分の記事が世に出るとき、そのこと自体により、四代目猿之助を継承した自分が「猿之助」という名前のみならず歌舞伎界という大きな伝統と文化に対し深い傷を与えてしまうこと、また成長を歩み続けている猿之助一門のみんなを暗闇の中に放り出すこと、その現実の大きさから自死を選んでしまいました。どん底の中で生き長らえることを選ばなかった自分の弱さを責めるしかありません。たとえ生活の場を失ったとしても、次の日を信じて静かに待つべきでした。生きることを諦める気持ちになったとき、自死を成し遂げることだけを考えていました。自分の精神状態の異常性すら理解できない状況に陥っていました。「あなただけ行かせるわけにはいかない。」という両親の言葉も自然に受け止めてしまっていました。来世に向かう両親の身支度をし、そして、自分の終止符へと向かいました。自分一人で抱え込まず、周囲の人に自分の不安や絶望を相談するべきでした。ただ、当時の自分は、自分の立場もあり、他の人には自分の気持ちは理解できないだろうと考え、また、周囲に弱みを見せることもできませんでした。事件の日から今日まで生きてきました。毎日、あの日のことを思い返してきました。私だけが生き延びてしまった、父と母に申し訳ない、そういったことを考えていました。事件後も、死んでしまいたい、明日命が終わっていないか、と思うこともありました。しかし、周囲や病院関係者の助けのおかげで、事件のときほど真に迫った自死の思いが生じることはありませんでした。「最後に何か言いたいことはありますか。」という裁判官の言葉に対し、「自分にできることがあればやらせていただきたい。」と答えました。今後は、生かされた自分に、これから何ができるか考えていきます。これからは、一人で抱え込まずに、自分の弱さも自覚し、周囲の方々に相談し、助けていただきながら、一日一日一生懸命に生きていこうと考えています。本当にご迷惑をおかけしました。松竹株式会社は、猿之助氏と時間をかけて話し合い、責任をしっかりと受け止めた上で、今後について模索していくとのこと。また、事件の発端とされているハラスメント行為の報道については、現時点で事実確認はないものの、通報窓口の利用者を拡大するなど、会社として改善を進めていくといいます。[文・構成/grape編集部]
2023年11月17日立飛グループ創立100周年記念事業『立川立飛歌舞伎特別公演』が、10月25日(水) に東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで初日を迎えた。TACHIKAWA STAGE GARDENは、2020年にオープンした多摩地区初の民間運営ライブエンタテインメントホール。新たに誕生した会場で初めて上演される歌舞伎は、歌舞伎三大名作のひとつ『義経千本桜』より「忠信篇」。『義経千本桜』は、『菅原伝授手習鑑』『仮名手本忠臣蔵』と並ぶ三大名作のひとつで、延享4(1747)年に初演。全五段のうち、今回上演される「鳥居前」は二段目、「道行初音旅」と「川面法眼館」は四段目にあたる。狐忠信を中心として、狐親子の情愛と人間への義理を描く幻想的な物語で、荒事や所作事をはじめ、狐言葉や早替り、宙乗りなどケレン味あふれる趣向がみどころ。狐忠信が活躍する「忠信篇」は、「三代猿之助四十八撰」のひとつとして人気を博してきた。このたび、市川中車が登場した開幕してすぐの「ご挨拶」、中村壱太郎と市川團子による「解説」、中村鷹之資が初役で狐忠信を勤める「伏見稲荷鳥居前」までの舞台写真が公開となった。<公演情報>立飛グループ創立100周年記念事業『立川立飛歌舞伎特別公演』2023年10月25日(水) ~28日(土) 東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN詳細はこちら:写真提供:松竹無断転載禁止
2023年10月25日2023年10月・11月に、「十三代目 市川團十郎白猿 襲名披露巡業」公演が全国20ヶ所にて開催となる。それに先駆け出演の市川團十郎による取材会が都内某所にて実施された。演目として『毛抜』を選んだ理由について「市川團十郎家の襲名公演ですので、歌舞伎十八番もしくは新歌舞伎十八番をご披露するというのが一般的。秋巡業の演目の候補としては『鳴神』、『毛抜』があがるなか、決め手となったのは一人で芝居をするところが多い点です。『鳴神』は荒事の要素は多いですが、女方と二人で芝居を進めていくことが多く、市川團十郎が中心の『毛抜』の方が襲名披露巡業としては面白いのではないかと思いました。『毛抜』には紋切り型という幕外の型があり、ご当地によって幕外の景色を変えたいという思いもあり、『毛抜』に決めさせていただきました。『毛抜』はもともと二代目市川團十郎が行った「雷神不動北山櫻」という作品。そこから七代目市川團十郎によって『鳴神』、『毛抜』、『不動』が歌舞伎十八番に選定されますがその形は途絶え、二代目市川左團次が色気ある作品に作り替えたのが今日伝わっている『毛抜』であり、『鳴神』。今やっている『毛抜』は派生して出来ている部分も大きくあり、二代目市川團十郎が演じていたものをそのまま演じている『助六』と違い、『毛抜』は原型がどうだったかは正直分からない。その中で『毛抜』の粂寺弾正は愛嬌とおおらかさ、その中にひけらかさない知的の強さ、歌舞伎十八番の「剛の者」というすべてのエッセンスがないと出来ない、歌舞伎十八番の中でもハードルの高い役のひとつ。」と語る。また、「歌舞伎十八番は荒事の印象があるかもしれませんが、お家騒動を解決していくLGBTQの壁をも超えた主人公が奮闘していくところに、新しい視点でも見ていただける作品なのではないかと思います。」と見どころについても触れ、「自分自身、襲名披露巡業のみならず他の興行を含めても各地に一番足を運んでいる役者だと思います。首都圏の近郊や遠方にいらっしゃる方々に届けられるよう巡業に力を注いで生きてきました。今回各地の方々にお目にかかれるということで、團十郎として今後ともよろしくお願いいたします、というご挨拶と、今まで海老蔵としてありがとうございました、という感謝を伝えられる興行になれば良いなと思う。」と締めた。チケットは好評発売中。
2023年10月10日かつてない正念場を迎えている歌舞伎界。昨年、市川中車こと香川照之(57)のホステスへの性加害が報じられ、今年に入っては大スターであった市川猿之助(47)が一家心中を図り自殺ほう助の容疑で逮捕・起訴されてしまった。さらに、7月には尾上菊之助(46)にも不倫疑惑が飛び出すありさま。スキャンダルまみれの歌舞伎界だが、「女遊びは芸の肥やし」といわれるなど、これまでは芸がよければお咎めなしという風潮も存在してきた。そこで、混沌とする歌舞伎界で、今誰が評価され、嫌われているのかを400人へのアンケートで調査した。今回は「嫌いな歌舞伎役者」について、公表する。嫌いな歌舞伎役者ランキング、3位に選ばれたのは市川團十郎(45)。歌舞伎界を背負って立つ大名跡を昨年襲名し、期待される存在だが、世間の評判は芳しくない。妻の小林麻央さん(享年34)を’17年に亡くして以降は、歌舞伎の傍らSNSで子育て風景を積極的に発信してきた團十郎。しかし、‘22年には義理の姉・小林麻耶(44)からの暴露騒動、「SNSナンパ」による複数女性との交際や、妻の麻央さんとの思い出の家で女性と密会するなど、良きパパの”裏の顔”がたびたび報じられてしまった。父親としての未熟さも指摘されている。今年6月、本誌は團十郎が金色の高級車で子供たちを学校から送り迎えする様子を目撃したが、なんとその学校では車送迎が禁止されていることも明らかになった。ふだんの振る舞いが好感度の低迷に大きく影響しているようだ。《イメージが悪すぎる。素行や女性関係。》《SNSよりも本業でがんばってほしい》《いろいろお騒がせな人物》2位に選ばれたのは、市川猿之助。今年5月、東京目黒区の自宅で、父親の市川段四郎さん(享年76)と母の喜熨斗延子さん(享年75)とともに倒れているのが見つかった。両親は死亡が確認され、猿之助はその後7月28日に両親に睡眠導入剤を服用させたとして、自殺ほう助の罪で起訴されている。猿之助については、自殺を図った日の朝に歌舞伎界での弟子に対するパワハラ・セクハラに関する報道がなされていた。猿之助本人は、この報道が自殺のきっかけになったと供述しているという。歌舞伎界きってのスター俳優だった猿之助。歌舞伎の世界だけでなく、’20年の『半沢直樹』(TBS系)、’22年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)などドラマの世界でも活躍し、人気を博していた。それだけに、スキャンダルによって両親ともども悲しい選択をした事実が、”反省して出直すこともできたはず”と落胆を産んでしまったようだ。《今回の問題が残念です》《1度のスキャンダルで家族会議を開き、一家心中を試みたメンタルの弱さがあまり好きでない》《流石にこの被告はありえない歌舞伎の伝統とか血筋とかに理由をつけて、これで数年後に復帰となると世間との感覚がズレているとしか思えない》そして、1位に選ばれてしまったのは香川照之。8月7日に、所属事務所によって昨年再婚し、子どもが誕生していたことが発表されたのだが、その“昨年”8月に、ホステスへの性加害や“鬼の形相”で女性の髪をつかむ写真が報じられている。それまで『半沢直樹』(TBS系)など人気ドラマや朝の情報番組、子供向け昆虫番組などに出演し、世間にとってはなじみ深い歌舞伎俳優だった香川。“カマキリ先生”との落差に、ファンのショックは大きかった。スキャンダルからしばらくして、出演していた番組は全て降板となった香川。しかし、歌舞伎の世界では、昨年12月の「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」で舞台復帰。さらに、この7月には猿之助の代役として「七月大歌舞伎」に出演し、昼の部「菊宴月白浪」で主演を務め、舞台のクライマックスでは、澤瀉屋のお家芸である「両宙乗り」にも挑戦していた。歌舞伎界では、今後の澤瀉屋を支える存在として期待されているよう。しかし、世間では”性加害報道”が、未だ強烈な印象として残っているようだ。《やはり、いろんな不祥事でクリーンなイメージがないから》《絶叫してワンパターンの芝居ばかり。もう見飽きた》《スクープされた内容が酷すぎるし、スクープされてもすぐに降板せず世間の批判が高まるまで朝の番組に出続けるくらい図々しい性格しているから》《クラブのホステスさんに性的な嫌がらせやセクハラをしたから》【嫌いな歌舞伎役者ランキング】1位:香川照之(市川中車)2位:四代目市川猿之助3位:十三代目 市川團十郎4位:二代目中村獅童5位:七代目尾上菊五郎5位:八代目中村芝翫7位:六代目片岡愛之助8位:十代目松本幸四郎9位:尾上松也10位:五代目尾上菊之助調査対象:20代以上の男女400人調査方法:WEBでのアンケート(クロス・マーケティングのセルフアンケートツール『QiQUMO』を使用)
2023年08月12日7月3日、歌舞伎俳優の市川中車こと香川照之(57)が東京・歌舞伎座で初日を迎えた「七月大歌舞伎」に出演した。香川は6月27日に母親に対する自殺ほう助の疑いで逮捕された歌舞伎役者の市川猿之助こと喜熨斗(きのし)孝彦容疑者(47)の代役として、昼の部「菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)」で主演を務めた。クライマックスでは、澤瀉屋のお家芸である「両宙乗り」に初挑戦。ワイヤーロープで吊り下げられ、舞台や客席の上を飛んで移動すると、観客からの拍手が鳴りやまなかった。香川は終演後、「父の熱い思いを受け継ぎ、力を込めてつとめます」と決意を新たにしたが、ネット上ではこの代役起用に疑問の声も相次いでいる。《猿之助さんの代わりに香川照之こと中車さんが演じて好評を得た、って言ってたけど彼もセクハラでTV干されてるよね?》《香川照之のセクハラだかパワハラはもうなかった事になってるの?》《ハラスメントの告発が理由で一家心中しようとした人の代役に、よりにもよってセクハラで失脚した人を…??そういう業界だっていうネガキャンをしてるようなもんじゃん。いいの?》また、この日歌舞伎座には勧進元である松竹の迫本淳一会長も訪れ、香川に「頑張ってもらわないと。歌舞伎ファンが戻ってきているし、一人でも多く非日常感を味わってもらいたい」とエールを送った。澤瀉屋についても「温かく見守ってもらいたい」と語った。しかし、この迫本氏の激励に対してもネット上では批判の声が。《松竹(株)という組織にはコンプライアンス遵守の認識があるのだろうか?伝統文化の歌舞伎役者だから、何をしても良いとの認識ですかね》《将来の歌舞伎界を松竹として考えるなら場当たり的な対応はやめた方が良いと思う》《この会社が、社会常識より自社の利益を優先する体質だってことがよくわかりました》伝統を守り、「温かく見守ってもらいたい」のであれば、自浄作用が失われている歌舞伎界の改善も必要ではないだろうか。
2023年07月04日歌舞伎座新開場十周年『七月大歌舞伎』が、7月3日(月) に東京・歌舞伎座で開幕。その初日レポートが到着した。昼の部は、スペクタクルな展開で描く忠臣蔵の後日譚『菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)』。歌舞伎の三大名作のひとつ『仮名手本忠臣蔵』をもとに鶴屋南北により独創性豊かに描かれた本作は、文政4(1821)年に初演されたのち、昭和59(1984)年に実に163年ぶりに三代目猿之助(現・猿翁)によりスペクタクルな要素を盛り込み復活上演され、「三代猿之助四十八撰」のひとつにも選ばれた。『忠臣蔵』では憎まれ役として描かれる斧定九郎がお家再興を目指す忠義者として登場するのも大きな特徴となっている。舞台は塩谷の浪士が高野師直を討って1年余、塩谷家、高野家の御家再興が取り沙汰される「禅覚寺」の場面から始まる。主君の敵討ちを果たした四十七士は義士として讃えられるなか、斧定九郎(市川中車)は、敵討ちに加わらず不義士の汚名を着せられた父・斧九郎兵衛(浅野和之)に代わり、せめて自分は亡君への申し訳を立てたい忠義の心をもっている。しかし御家再興のために必要な家宝が盗まれたことが判明し……。家宝を奪い返すため、定九郎は父九郎兵衛から斧家に伝わる忍術秘法を記した秘書こふさきの忍びの一巻を授かり、忍術を手に入れると“暁星五郎”と名のり、仲間とともにお家再興に立ち上がる。お家再興を巡り、それぞれの思いが入り乱れ、塩谷家、高野家それぞれの家宝はさまざまな人々の手を渡っていき……。『仮名手本忠臣蔵』の大序の場面を“兜改め”ならぬ“宝改め”として表現した冒頭の「禅覚寺」の場面をはじめ、五段目の鉄砲と猪の代わりに花火と角兵衛獅子を出すなど、随所に『忠臣蔵』のパロディ要素が散りばめられ、名場面の数々を彷彿とさせる構成、細かな趣向が観客を楽しませた。個性豊かな登場人物たちともに南北らしい奇抜な展開を見せる物語に引き込まれていくうち、舞台は注目の“両宙乗り”に。観客の熱い視線が注がれるなか、花道上を大凧が悠々と飛んで行ったかと思うと、たちまち反対側から本舞台へ向かって傘で舞い降りる中車演じる定九郎。劇場空間をいっぱいに使った大掛かりな演出に場内の盛り上がりも最高潮に。さらに、大屋根での大立廻りなど一瞬たりとも目が離せない怒涛の展開が続く。三代目猿之助(現・猿翁)が復活させた本作に挑むにあたり、「父の熱い思いを受け継ぎ、力を込めて勤めます」と意気込み見せた中車は、「令和のエンターテインメント作品として楽しんでいただけるよう、澤瀉屋一門をはじめ、共演の皆様の胸を借り、力を合わせて臨みます」と筋書の聞き書きで語った通り、気迫あふれる舞台を勤めあげ、客席からは割れんばかりの拍手が贈られた。夜の部は、平賀源内が「福内鬼外」の名で描いた義太夫狂言『神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)』から。舞台は、褒美の金欲しさに新田義興の命を奪った強欲者・渡し守の頓兵衛(市川男女蔵)の家。ある日、義興の弟義峯(市川九團次)が恋人の傾城うてな(大谷廣松)と一夜の宿を乞いに偶然にも頓兵衛の家を訪れる。頓兵衛の娘のお舟(中村児太郎)は、気品あふれる義峯に一目ぼれ。全身で恋する乙女を体現するお舟の様子が微笑ましく描かれる。しかし、父頓兵衛が義峯の命を奪おうとすると一転、愛しい人を守ろうと決意したお舟は恋と孝との板挟みで苦しみ、物語は後半の見せ場である父と娘の立廻りの場面へ。純粋な娘と極悪非道な父の姿が対照的に描かれる。今回がともに初役となるお舟役の児太郎と頓兵衛役の男女蔵。児太郎は、恋に身を焼く切なくも情熱的なお舟で観客を魅了し、男女蔵は、徹底的な悪役でありつつも歌舞伎らしい品を失わない頓兵衛を勤めあげた。続いては、江戸っ子の生き様を鮮やかに描く『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)』。通称「め組の喧嘩」と呼ばれる、江戸風俗をたっぷりと味わえる世話狂言の傑作だ。め組の鳶頭・辰五郎(市川團十郎)は、品川の遊廓でのめ組の鳶と四ツ車大八(市川右團次)ら力士たちの喧嘩を収めるが、その後も喧嘩が再燃し……。「喜三郎内の場」では力士への仕返しを心に決めた辰五郎と、辰五郎を案じる兄貴分の喜三郎(中村又五郎)とのやり取りが印象的に描かれ、続く「辰五郎内」では辰五郎の苦悩と、愛する妻お仲(中村雀右衛門)と幼い子との別れが竹本を巧みに用いて繊細に表現される。公演に向けた取材会で「気持ちを収めなければならないけど、収まりきらない。そこに男の心意気、色気がある」と辰五郎について語った團十郎は、背中で語る男の魅力を全身で体現。力士との喧嘩へ向かっていく鳶たちを率いる姿は、まさに粋でいなせな江戸っ子そのもの。今回は若い鳶のひとりとして市川新之助も出演。喧嘩へ向かう鳶たちの水杯、鳶と力士の豪快な大立廻りも心地よく、活気あふれるひと時となった。夜の部を締めくくるのは、趣向を凝らした迫力あふれる舞踊『鎌倉八幡宮静の法楽舞(かまくらはちまんぐうしずかのほうらくまい)』。劇聖と謳われた九世團十郎が制定した「新歌舞伎十八番」のひとつで、平成30(2018)年に新たな着想により復活上演された本作を、九世團十郎没後120年という節目の年に上演する。夜な夜な物の怪が現れるという鎌倉の荒れ寺に、風とともに現れたのはひとりの老女(市川團十郎)。怪しげな空気が漂うと、次々と物の怪たちが現れ、提灯(市川新之助)は軽やかに、三ツ目(市川ぼたん)はかわいらしくそれぞれの舞をみせる。團十郎は冒頭の老婆に始まり、狐の白蔵主、油坊主、船頭と次々と鮮やかに早替りを披露。そこへ町娘(ぼたん/二役目)、若船頭(新之助/二役目)も現れ、一同は賑やかに踊り始める。やがて老女が在りし日の静御前(團十郎)の姿になってやってくると、幻の源義経(團十郎)も現れ、連舞となる。しかし、静御前に魑魅魍魎が憑依すると、その姿は恐ろしい化生に。河東節、常磐津、清元、竹本、長唄囃子とだんだんと音が重なり合い豊かな五重奏が響き渡る中、化生と僧たちとの立廻りに。恨みのあまりの大きさに僧たちも圧倒されるところへ、花道より満を持して登場したのは二宮姫(ぼたん/三役目)と竹抜五郎(新之助/三役目)。ふたりは團十郎演じる化生を本舞台へと押戻す。「我らが父十三代目にさも似たり」と趣向を凝らしたセリフでも観客を沸かせ、九世團十郎の没後百二十年に相応しい豊かな音楽性とエンターテインメント性あふれる華やかな一幕となった。『七月大歌舞伎』は7月28日(金) まで歌舞伎座で上演される。『七月大歌舞伎』の詳細はこちら:チケット購入リンク:※公演期間が終了したため、舞台写真は取り下げました。
2023年07月04日2023年5月18日、自宅で倒れていたところを発見された、歌舞伎俳優の四代目市川猿之助(本名:喜熨斗孝彦)氏が、救急搬送されました。マネージャーが発見した際、自宅では猿之助氏の両親もその場で倒れており、後に両親は死亡が確認されています。同年6月27日には、母親に対する自殺ほう助の容疑で、警視庁は猿之助氏を逮捕。今後、父親であり、歌舞伎俳優である市川段四郎さんへの自殺ほう助容疑でも捜査を進めていくとのことです。市川猿之助氏の逮捕を受け、所属事務所がコメント猿之助氏が逮捕された日、所属事務所である株式会社ケイファクトリーはウェブサイトにコメントを掲載。ファンや関係者に向けて「多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと改めて深くお詫び申し上げます」と謝罪の言葉を述べ、今後についてこのようにつづりました。現在、本人は警察の取調べを受けていると認識しております。このような事態に至りましたことを重く受け止め、今後も当局の捜査に協力して参ります。また、司法による最終的な判断がなされるまで、所属契約に関する見解について申し上げることは差し控えさせて頂きます。マスコミ各社様、SNSを含む個人の記者様への改めてのお願いでございます。市川猿之助の自宅及び、ご親族の方へのご取材はお控えいただきたく、皆様のご理解賜りますようお願い申し上げます。尚、この件に関する弊社所属俳優のコメントは差し控えさせていただきます。株式会社 ケイファクトリーーより引用また、松竹株式会社は「司法による最終的な判断がなされるまではコメントを差し控え、今後の捜査等を見守りたい」とコメント。今回の事件が家族内のものであるため、両社ともに、会社としての見解を述べるのは控える模様です。[文・構成/grape編集部]
2023年06月27日2023年6月26日、歌舞伎俳優の四代目市川猿之助氏(本名・喜熨斗(きのし)孝彦)について、警視庁が母親に対する自殺ほう助の容疑で逮捕状を取ったことが、捜査関係者への取材で明らかになりました。産経ニュースによると、市川猿之助氏は同年5月18日、東京都目黒区の自宅にて、父親で歌舞伎俳優の市川段四郎さんと母親とともに倒れているのが見つかり、両親は死亡が確認されました。自殺ほう助罪とは、刑法202条にあたる規定で、すでに自殺を決意している者に対し、自殺行為の手助けをすることです。市川猿之助氏の今後の動向に、多くの人が注目しています。【2023年6月27日10時46分追記】母親の自殺を手助けした自殺ほう助の容疑で、市川猿之助氏が逮捕されたことが、2023年6月27日にメディアで報じられました。[文・構成/grape編集部]
2023年06月27日歌舞伎座新開場十周年と銘打ち、毎月見逃せない演目を上演中の歌舞伎座。「六月大歌舞伎」の昼の部(11時開演)は、絵師の又平を市川中車、女房おとくを中村壱太郎が演じる『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』。さらに中村芝翫が蝦蟇の妖術使いの盗賊に扮する『児雷也』、中村福助のもと、注目度急上昇中の若手たちが芸者に扮して毛振りまで見せる『扇獅子』の3演目。夜の部(16時開演)は、歌舞伎三大名作のひとつ『義経千本桜』から、小悪党だが憎めない“いがみの権太”を片岡仁左衛門が演じる「木の実」「小金吾討死」「すし屋」。最後は尾上松緑が狐忠信を勤める「川連法眼館」と、充実のラインナップだ。注目は、「土佐将監閑居」(通称“吃又”)に加え、53年ぶりに「浮世又平住家」が上演されている『傾城反魂香』。絵の才能はあるが言葉が不自由な又平と、夫を明るく懸命に支えるおとく、その夫婦の愛が奇跡を起こす物語だ。2012年に歌舞伎の初舞台を踏み、主役の又平を初役で勤める中車と、若手ながら緩急自在な芝居に定評のある壱太郎の組み合わせで、これが吉と出た。物語の序盤、夫婦で師匠の土佐将監を訪ねる場面では、中車が又平の人となりを繊細に、歌舞伎の所作は“楷書”で丁寧に演じる。隣で瑞々しくも頼もしく場を引っ張る壱太郎とのバランスが絶妙だ。土佐将監役・中村歌六の厳しいが奥底に温かさを感じさせる佇まいや、ある知らせを持ってくる狩野雅楽之助役・中村歌昇の躍動感。さらに市川寿猿(中車ら澤瀉屋の最長老)が扮する女中お百の優しい眼差しも、今回ならではの“吃又”を形作る。優秀な弟弟子の修理之助に、又平が仕事を譲ってほしいと縋りつく場面も見どころだ。修理之助を演じるのは、市川團子。苦しげに又平を見つめ、首を横に振る様子は清廉な美しさで、古典の主要な役同士では初の親子共演ということも忘れてしまうほどだ。その後、又平が奇跡を起こして夫婦に笑顔が戻ってからは、中車の持ち前の愛嬌でクスリと笑わせる場面もあり。随所で見せる舞踊の所作もキチッと決まり、地道な研さんの成果を示した。続く「浮世又平住家」は、師匠の命令で姫をかくまう又平の家が舞台。大津絵に描かれた人物が次々と抜け出して賑やかに踊り、追手を阻む。中村米吉扮する銀杏の前の赤姫ぶりが目にも楽しく、登場人物がズラリと揃う幕切れも文句なしの面白さ。客席からの大きな拍手が、その出来栄えの証拠だろう。取材・文:藤野さくら
2023年06月19日●女形に楽しさ「舞台中、普段の性格も柔らかく」俳優・香川照之(市川中車)の長男で歌舞伎俳優の市川團子が、明治座創業百五十周年記念『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』(東京・明治座、5月3日~28日)の夜の部「三代猿之助四十八撰の内『御贔屓繋馬』(ごひいきつなぎうま)」に百足のお百役で出演する。2012年に8歳で初舞台を踏んでから約11年。大学生活を送りながら歌舞伎俳優として着実に成長を遂げている團子に、同舞台への意気込みや歌舞伎への情熱、そして、目標とする祖父・市川猿翁と親戚でもある猿之助への思いを聞いた。『御贔屓繋馬』は、四世鶴屋南北の原作を三代目市川猿之助(現・市川猿翁)と奈河彰輔が筆を執り、1984年4月に明治座で初演し、大評判を呼んだ作品。今回は物語を洗い直し凝縮した形で届ける。大喜利所作事『蜘蛛の絲宿直噺』では猿之助が女童、小姓、番頭新造、太鼓持、傾城、土蜘蛛の精の6役を早替わりで踊り分け、“奮闘公演”に相応しい変化舞踊を披露する。――明治座創業百五十周年記念『市川猿之助奮闘歌舞伎公演』への出演が決まったときの心境からお聞かせください。『新・三国志』や『弥次喜多』に出させていただく機会が多く、それも本当にありがたいのですが、古典を学びたいと思っていたので、古典の作品に出演させていただけるというのはうれしかったです。――古典で学びたいと思った理由は?新作やスーパー歌舞伎『新・三国志』はセリフが現代調だったりして、先輩方は古典が身についていらっしゃるので現代調で言っても歌舞伎になるのですが、自分はまだ全然できていないので基礎である古典をしっかり学びたいと思いました。――明治座に抱いているイメージを教えてください。小学5年生のときに『四天王楓江戸隈』という作品に鬼童丸という役で出演させていただき、そのときに立ち回りが本当に楽しかったというのを覚えています。今回が2回目となりますが、また明治座さんに出させていただくのは本当にうれしいです。――『御贔屓繋馬』の魅力をどのように感じていますか?明治座さんでおじいさま(猿翁)がされた初演の映像も見させていただいたのですが、とにかく面白いという印象です。(主人公の)良門が復活するときに衣装から火や煙が出たり、視覚的にも楽しいですし、セットもすごくきれいです。そして、僕が演じる百足のお百はスパイで、村娘に扮して敵方に潜入するという役なのですが、僕だけでなく物語のほぼすべての人が“実は”という役で、スパイ合戦が繰り広げられます。この人はこうだったのだとひも解かれていくのも面白いですし、立ち回りも面白くパワフルな舞台だと思います。――今回の公演で特に楽しみにしていることを教えてください。女形を務めさせていただきますが、去年初めて女形をさせていただいたので、とにかく頑張って食らいつきたいと思っています。そして、“実は”という役を演じるのは初めてなので、その“実は”という要素をしっかり演じられるように、頑張ります。――女形はいかがですか? やりがいなどお聞かせください。楽しいです! 初めて女性に扮し、不思議な感覚になりました。――女形を演じて新たな気づきや変化などありましたか?すごく不思議なのですが、舞台中、普段の性格も柔らかくなっていたようで、家族や周りの人に言われてびっくりしました。言葉は変わりませんが、ちょっとした仕草が女性らしく柔らかくなっていたみたいです。――もしかしたらまた今回も?なるかもしれません(笑)●大切にしている猿之助の言葉「高1のときに…」――これまでも何度も共演されていますが、猿之助さんは團子さんにとってどんな存在ですか?“憧れ”と“かっこいい”が大きいです。『三国志』ではお父様の役(関羽)を演じられていて、後ろをついて歩く場面があったのですが、背中がとにかくかっこよかったです。――自分もこうなりたい! というように憧れている部分を教えてください。すごすぎてまだ何もわかりません(笑)。じいじと猿之助さんの2人が僕の中で一番の憧れなので、そんな役者になれるように必死に食らいついていきたいと思っています。――猿之助さんに言われたことや教えてもらったことで大事にしていることはありますか?高校1年生のときに猿之助さんと出演させていただいた『連獅子』で、「1日2個のことを直せば、25回公演があるから50個のことを直せる」とおっしゃってくださって、それは大事にしています。また、この前出演した作品の立ち回りのときに、僕は立ち回りは型だと思っていたのですが、猿之助さんは「そうではなく感覚でやるものだ。型も大事だけど、戦っているんだからもっと切羽詰まっているわけだし、それに縛られすぎたらよくない」とおっしゃっていて、とても勉強になりました。――今回の共演でもまた学びがありそうですね。長い時間共演するシーンが多いので、同じ場面で猿之助さんを見られるということが一番の楽しみです。猿之助さんの座頭を見るのも初めてで、目が見えない方をどう演じるのか、いろんなことを学ばせていただきたいです。――2012年に初舞台を踏まれていてから11年。ここまで活動されてきて歌舞伎俳優という職業に対して今どのような思いかお聞かせください。ずっと“好き”“楽しい”という感情です。――一番楽しいと感じる瞬間は?全部です! お稽古も本番も楽しいです。もちろん大変だなとか難しいという感情もありますが、常に楽しいという感情があります。――その楽しさは、経験を重ねるごとに増しているのでしょうか?楽しさはずっと一緒ですね。ずっと変わらず歌舞伎が好きなのだと思います。――團子さんが感じている歌舞伎の魅力とは?魅力は無数にあって未熟者なので到底語れませんが、音楽が楽しい、踊りも楽しい、そしてパワフルなところが大好きです。――若い團子さんを見て歌舞伎に興味を持つ若い方もいると思いますが、ご自身の活動によって歌舞伎界がこうなっていったらいいなという思いはありますか?全世代の方に見てみようかなと思っていただける役者に、いつかなりたいです。●祖父・猿翁の映像が活力源待ち受けも「じいじ」――歌舞伎のことがずっと好きだということですが、この11年で特にご自身にとって大きな経験になった転機を教えてください。おじいさまが『三国志』をやられた20年前のビデオとの出会いは転機になりました。おじいさまも言われていますが、主人公の関羽とおじいさまの人生は共通する部分があり、関羽が未来を語る場面は、おじいさまの夢を語っている場面でもあって、キラキラした目で語る姿がすごく好きで感動しました。子供のときも「かっこいい」と思って見ていましたが、2年前に僕も『新・三国志』に出演させていただくことになってよりそのシーンを見て感動し、その語りのシーンが活力源になっています。――けっこうな頻度で映像を見ているのでしょうか。見ます。いつも見ると「頑張らなきゃ!」と。心を燃やしてくださる活力源です。――今、映像を見せていただいた際に、スマホの待ち受け画面が歌舞伎の写真になっているのがちらっと見えましたが、ご自身ですか?これはじいじです。この写真は今年になってからですが、待ち受けはいつも、かっこいいなと思ったじいじの写真にしていて、本当に憧れです。――おじいさまの言葉で大切にしているものはありますか?「勇なるかな勇なるかな、勇にあらずして何をもって行わんや」という言葉をおじいさまが好きで、その言葉を書いた色紙を3、4年前にくださったのですが、これは何を行うにしてもまず勇気が必要であるという意味で、「僕も勇気を持ってやろう」と力をもらっています。――たくさんのパワーの源がありますね。そうですね!――大学ではどのようなことを学んでいるのでしょうか。芸術を学ぶ学科で、東洋のことだけでなく西洋の音楽や美術、演劇なども学んでいて、どれも面白いのですが、いろんなことを学んでいる中で僕はやはり歌舞伎が一番好きだと再確認しました。――本当に歌舞伎を愛していらっしゃるのですね。11年続けてこられて、別の道を考えてことはないですか?ないです。――今後、歌舞伎俳優としてどのようになっていきたいと思い描いていますか?じいじと猿之助さんが僕の理想なので、その背中を見てなんとか追いかけて、頑張り抜きたいという気持ちです。――最後にファンの方にメッセージをお願いします。『御贔屓繋馬』は、お話の内容がわかりやすく、早替わり、宙乗り、立廻りもありパワフルで楽しいお舞台です! 初めて歌舞伎を見る方や若い世代の方にも楽しんでいただける作品になっています。是非ご覧ください!■市川團子(いちかわ・だんこ)2004年1月16日生まれ、東京都出身。香川照之(市川中車)の長男。屋号 澤瀉屋。2012年、6・7月新橋演舞場『ヤマトタケル』で五代目市川團子を名乗り初舞台。2013年、国立劇場10月歌舞伎公演『春興鏡獅子』胡蝶にて、国立劇場賞特別賞を受賞。学業と芸道を両立させながら、さまざまな舞台に挑戦している。
2023年05月03日「毎月のように歌舞伎の舞台に立っている市川中車さん(香川照之)ですが、6月公演でついに主役を務めます」(歌舞伎関係者)昨年8月に銀座のホステスに対する性加害を報じられた香川照之(57)。昨年末の「十二月大歌舞伎」で舞台復帰しているが、歌舞伎ファンからは辛口な声も聞こえてきた。「まったく声が出ていませんでしたね。襲名披露した10年前から変わっていないようで残念でした」「六月大歌舞伎」では、『傾城反魂香』で主役の浮世又平を演じるが、果たして観客を満足させることはできるのか。「通称“吃又(どもまた)”と呼ばれる人気の演目です。吃音を抱える主人公が自分のコンプレックスを克服し絵師として成長していく物語で、夫婦愛も描かれます。中車さんにとって初めて演じる役どころですが、主役としてどれくらいの存在感を出せるかに、今後がかかってくると思います」(歌舞伎ライター・仲野マリさん)いっぽう、テレビについては“追放”されたまま半年以上が過ぎた。「香川さんと結びつきの強かったTBSからも声はかかりません。7月期の日曜劇場は主演が堺雅人さん、演出は福澤克雄さんと『半沢直樹』チームの制作だったのですが……」(テレビ誌記者)そんな香川は、自分をとりまく状況について近しい仲間にこう語っているという。「“テレビ復帰はもう諦めた。俺にはもう歌舞伎だけだ”と言っていました。性加害報道でそっぽを向いた視聴者よりも、“自分を理解してくれるお客さんのために演技したい”とも……」(香川の知人)梨園だけで生きていく決断をしたという香川。「先輩後輩にかかわらず、自分から挨拶したり、差し入れがあればおすそ分けするなど殊勝な態度です。以前は時折見られた“上から目線”も消えましたね」(前出・歌舞伎関係者)出演の決定権を持つ座頭には特に気を使っているようだ。「中車さんをよく起用しているのが、市川猿之助さん(47)です。中車さんは、演技で評判を落とすと彼の顔をつぶすことになってしまうので、必死ですよ。また、復帰の手を差し伸べてくれた市川團十郎さん(45)にも、一生頭が上がらないでしょう」(前出・歌舞伎関係者)主役に向けて、歌舞伎にとりつかれたように稽古しているという。ドラマ『半沢直樹』では一度失脚した大和田常務が復活していたが、果たして香川もしぶとさを見せられるか。
2023年05月01日12月26日(月) に歌舞伎座で行われる『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十二月大歌舞伎」』千穐楽より、十三代目市川團十郎が出演する『助六由縁江戸桜』の模様が生配信されることが決定した。2カ月続いた歌舞伎座での襲名披露公演のフィナーレを飾る『助六由縁江戸桜』は、成田屋の家の芸のひとつで、十一世、十二世團十郎の襲名興行の際にも上演された所縁のある演目。今回の公演では、粋でいなせな江戸の美男子・助六を新團十郎が演じる。視聴チケットは、本日12月16日(金) 10時より販売がスタートする。<配信情報>市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十二月大歌舞伎」夜の部『助六由縁江戸桜』千穐楽 生配信配信日時:12月26日(月) 17:40頃~(約120分)アーカイブ配信:12月27日(火) 17:00~2023年1月4日(水) 23:59まで※一度ご購入頂きますと、アーカイブ配信期間中は何度でも視聴可能です。【出演者】市川海老蔵改め市川團十郎中村七之助、市川猿之助、中村梅枝、坂東巳之助、市川猿弥、片岡市蔵、市川齊入、市村萬次郎、大谷友右衛門、中村勘九郎、坂東彌十郎、松本幸四郎、市川左團次、坂東玉三郎チケット料金:3,600円(税込)販売期間:12月16日(金) 10:00~2023年1月4日(水) 20:00※「イベント割」対象のため、通常の2割引の価格でお求めいただけます。(通常価格:4,500円(税込))【配信リンク】■歌舞伎オンデマンド※ご視聴には歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」の会員登録(無料) / ログインが必要です。■Huluストア「十二月大歌舞伎」の詳細はこちら:
2022年12月16日『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十二月大歌舞伎」』が、12月5日(月) に東京・歌舞伎座で開幕。その初日レポートが到着した。歌舞伎座での2カ月にわたる『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台』公演。12月公演は、歌舞伎の様式美を堪能できる華やかな演目『鞘當(さやあて)』で幕を開けた。舞台は桜が満開の吉原仲之町。尾上松緑演じる不破伴左衛門と松本幸四郎演じる名古屋山三がやってくると、すれ違う際に刀の鞘が当たったことから斬り合いとなり……。争うふたりを止めに入るのは市川猿之助演じる留女(偶数日は市川中車演じる留男)。荒事味のある伴左衛門と和事味漂う山三の渡り台詞や、留女の貫禄ある啖呵が心地よく響く。伊達を尽くした豪華な衣裳も目に美しく、廓風情漂う舞台に会場は華やかな空気に包まれた。続いては、十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言『京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)』。今回は鐘供養から、市川團十郎家の家の芸「歌舞伎十八番」の一つで華やかかつ壮大な荒事の魅力を存分に堪能できる『押戻し』までを上演。春爛漫の道成寺に現れるふたりの白拍子花子を尾上菊之助と中村勘九郎、大館左馬五郎を市川團十郎白猿が演じる。ふたりの花子が、実は恋の恨みから蛇体となって道成寺の鐘を焼いた清姫の怨霊であったことが分かり、その本性を現すと、花道より勇猛な大館左馬五郎が登場し、怨霊の前に立ちはだかる。前半の華やかな踊りから一転、後半は新團十郎演じる左馬五郎が花道から本舞台へと怨霊を力強く押戻していく様子を観客も息を呑んで見守る。「竹馬の友の和康と兄貴と慕うた中村屋の面差し漂う雅行によく似た化物奴……」と清姫の怨霊を演じる菊之助と勘九郎に絡めた遊び心溢れる左馬五郎の台詞に観客は大盛り上がり。公演に向けたインタビューで「父(十二世團十郎)のようなおおらかな左馬五郎を目指します。」と語った團十郎は、典型的な荒事の扮装を身にまとい、存在感溢れる左馬五郎で観客を魅了した。新團十郎、菊之助、勘九郎と同世代の俳優が揃い、襲名を寿ぐ華やかな一幕となった。昼の部を締めくくるのは、八代目市川新之助初舞台狂言『毛抜(けぬき)』。11月公演で『外郎売』の外郎売実は曽我五郎を凛々しく勤めあげた八代目市川新之助が、今月は史上最年少となる9歳で『毛抜』の粂寺弾正を勤めるとあって、開幕前から注目が集まる演目の一つだ。舞台は中村梅玉演じる小野春道の屋敷。原因不明の病に伏せる姫君錦の前の様子をうかがいに、姫君の許婚である文屋豊秀の家臣粂寺弾正がやって来る。機智に富んだ弾正は姫君の奇病の仕掛けや悪人たちの策略を見事に解き明かしていき……。父・十三代目團十郎が演じた『毛抜』の舞台を観てから粂寺弾正が憧れの役だったと話す新之助は、持ち前の明るさとおおらかさを存分に活かし、愛嬌あふれる弾正を見事に演じ切った。本作の見せ場である様々な見得が決まるごとに、観客からは大きな拍手と劇場指定の関係者による小気味良い大向うの声が会場に響き渡った。歌舞伎十八番の中でも特におおらかな雰囲気が溢れ、古風な味わいたっぷりの一幕。新之助が今回使用している髷は曽祖父にあたる十一世團十郎が粂寺弾正を勤めた際に使用していたもの。「新之助としていろんな役をいっぱい演じていきたい」と熱く語り、歴代の想いを受け継ぐ八代目新之助が大きな一歩を踏み出した歴史的瞬間に立ち会った観客からは、あたたかな拍手が絶えることなく送られた。市川ぼたんが愛らしく繊細に心情を訴えかける『團十郎娘』夜の部は、襲名披露『口上(こうじょう)』から始まり、幕が開くと舞台上には十三代目市川團十郎白猿、八代目市川新之助はじめ、市川團十郎家の色である「柿色」の裃を揃って身にまとって俳優がずらりと並ぶ。初日は松本白鸚が体調不良で休演のため市川左團次による紹介で始まった。続けて、河原崎権十郎、市川右團次、市川高麗蔵、松本幸四郎、市川猿之助、市川門之助、市川男女蔵、市川齊入が次々と華やかにお祝いの挨拶を述べていく。團十郎は「市川宗家の覚悟」を感じさせる真摯な眼差しで、続く新之助は若々しいエネルギーに溢れ、溌溂と挨拶。最後は11月に引き続き、團十郎が無病息災を願い成田屋の家の芸である「にらみ」を力強く披露し、熱い拍手に包まれた。続いては、市川團十郎家所縁の舞踊『團十郎娘(だんじゅうろうむすめ)』。『團十郎娘』は文化10(1813)年に七世團十郎によって初演された所作事。美しく、力自慢で評判の娘・お兼を市川ぼたんが勤める。歌舞伎座において歌舞伎の本興行で女性が出し物をするのは実に60年ぶり。昭和37(1962)年5月に歌舞伎座で行われた十一代目市川團十郎襲名披露興行の際に三代目市川翠扇が同じく『團十郎娘』を勤めて以来となる。舞台は近江八景の一つの琵琶湖のほとり。花道より馬をひいてやってきたお兼は乙女の恋心を近江八景によせて見せていき、ぼたんは長唄に合わせて愛らしく繊細に心情を訴えかける。やがてお兼の大力の噂の真偽を確かめようと、隠れていた市川右團次、市川男女蔵ら演じる漁師たちが打ちかかるが、お兼は軽やかにそれをあしらう。大きな見せ場である白い晒を用いた“布晒し”では、白く長い晒を華麗に翻し、その軽快な様子に場内からは万雷の拍手が送られた。最後の演目は、11月に続けての上演となる歌舞伎十八番の内『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』。裃姿の松本幸四郎の口上に始まり、聞こえてくるのはさっぱりと軽やかな河東節の粋な演奏。坂東玉三郎演じる三浦屋揚巻が花道より登場すると、場内は一気に華やぎ、一瞬にして吉原の街に。傾城たちの口から語られる江戸一の伊達男・花川戸助六とは一体どんなに良い男なのかと、客席の期待も最高潮に達したところで登場するのが、市川團十郎勤める花川戸助六。花道にあらわれた途端、無駄のない流麗な立ち振る舞いに多くの観客が視線を奪われた。高まった期待をさらに上回る新團十郎の洗練された美しさに圧倒されるうちに物語は進行。助六が探す重宝・友切丸の詮議のため、坂東彌十郎演じる髭の意休に悪態をついたかと思えば、印象的な登場人物たちが次々登場し華やかな舞台を背景に楽しい場面が続く。中村勘九郎演じる白酒売新兵衛がやってくるとその和事味ある佇まいと、弟の助六との対比が面白く、喧嘩を売った相手に自らの股の下をくぐらせる件は、思わずくすりと笑いがこぼれる。廓風情を漂わせる市川猿之助演じる通人里暁の存在も印象的で、新團十郎の若い頃のエピソードを繰り出し、笑いを誘う。師走の忙しなさを忘れる、襲名披露興行に相応しい華やかなひと時となった。「十二月大歌舞伎」は12月26日(月) まで歌舞伎座で上演される。「十二月大歌舞伎」の詳細はこちら:チケット購入リンク:写真提供:松竹(株)
2022年12月06日「まだまだ未熟者で先祖の足元にも及びませぬが、一生懸命努力をして、精進したいと思っております。市川宗家としての覚悟でございます」11月7日、市川海老蔵改め市川團十郎白猿(44)の十三代目襲名披露公演が、歌舞伎座にて華やかに開幕した。「口上」に続き、厄落としになるといわれる市川家伝来の「にらみ」も披露。さらに家の芸である『勧進帳』『助六』では、團十郎が見えを切るたびに、「成田屋!」「十三代目!」という「大向こう」(客席からの掛け声)が、満員御礼の劇場に響きわたった。この日、息子の勸玄君(9・かんげん)も、祖母の堀越希実子さんや姉の麗禾さん(11・れいか・市川ぼたんを19年に襲名)が見守るなか、八代目市川新之助を襲名した。これに先立ち、10月31日から2日間行われた襲名披露の特別公演を観た古典芸能解説者で、かつてNHKで多くの歌舞伎中継も担当した葛西聖司さん(71)は、「スペシャル感いっぱいの公演でした。共演の片岡仁左衛門さん、坂東玉三郎さんという大先輩の胸を借りて、立派に晴れの新團十郎を披露してくれました。また『勧進帳』では、團十郎さんの弁慶を、成田屋のお手本どおりにきちっとやってくれたのでうれしくてね。先代の十二代目團十郎のお父さんをほうふつとさせる場面もあり、ふと胸が熱くなりました」一連の襲名披露の催し自体、コロナ禍で2年半もの延期を余儀なくされていた。この興行が、葛西さんの言うとおり、「ずっと苦しんできた歌舞伎界全体のカンフル剤になる」との期待も大きい。なかでも「市川團十郎」は、歌舞伎界において絶大なる影響力を持つ大名跡。また市川宗家は、英雄的な主人公が悪を成敗する「荒事」を創始した初代から十三代目まで、実に約350年もの伝統を有する歌舞伎界随一の名門である。しかし長い歳月の間には、実子が途絶え他家から養子を迎えたり、また幾人もが早死にや謎の自殺を遂げるなど、「團十郎の業」ともいうべき苦難の出来事も多かった。その波乱の人生のエピソードにおいても、團十郎家は他家を圧倒するのだ。■初代は刺殺、八代目は自殺ーー。初代團十郎が生まれたのは、1660年(万治3年)で、江戸初期のこと。前出のとおり、荒事を生み出した、江戸歌舞伎の創始者だ。しかし、45歳で共演していた生島半六という役者に舞台上で刺し殺される。嫉妬や恨みともされるが、真相は定かでない。二代目は、初代の急死を受けて17歳であとを継ぎ、荒事を完成させるだけでなく、「和事」(やわらか味のある美男子)も見事にこなし、最初の「千両役者」となる。屋号の成田屋もこのころに始まる。十三代目の團十郎本人も、こう語っていた。〈市川團十郎家は二代続けて「初代運」を持った人間が生まれた。だからこそ、今の團十郎家がある〉(『文藝春秋』13年6月号)続く三代目は病いで22歳の若さで死去し、その後12年間、四代目が襲名するまで團十郎は空位となった。さらに五代目を経て、14歳で襲名した六代目だったが、風邪がもとで、くしくも三代目と同じく22歳の若さで亡くなる。そして、七代目の登場。新團十郎が、〈人間はかく生きたいという原形をお持ちの方です……なんだか自分が似てるような〉(前出『文藝春秋』)と話していた、敬愛するご先祖である。今も高い人気演目の『勧進帳』や『暫』『助六』など「歌舞伎十八番」を制定するだけでなく、市川家の伝統にとらわれずに『東海道四谷怪談』の悪役など新しい役柄にも果敢にチャレンジした。「しかし、才能も人気もあっただけに、その贅沢ぶりなどを徳川幕府に目をつけられて、天保の改革時に江戸を追放になりますね。その後、10歳の若さで團十郎を譲られたのが、八代目。絶世の美男子で、その吐いた痰をファンがすくい取ったという“お痰さま”の逸話で知られますが、この人も32歳という若さで自殺します」語るのは、エッセイストで『海老蔵そして團十郎』(文藝春秋)の著書もある関容子さん(87)。そして、明治天皇の前で天覧歌舞伎を演じた九代目となる。「『劇聖』といわれ、近代歌舞伎の文化度を向上させた九代目が亡くなったあとは、大正、昭和の戦前まで團十郎は50年以上にわたって不在となります」(葛西さん)十一代目團十郎が生まれたのが1909年。しかし、彼は團十郎家の生まれではなかった。九代目のあと、息子のいない市川家を支えたのが、銀行員だった娘婿(死後に十代目を追贈)。彼は役者に転身しながら後継者探しにも尽力し、松本幸四郎家から養子を迎え入れる。「これが、のちの十一代目團十郎となります。つまり初代や二代目、七代目と、十三代目團十郎さんは血はつながっていないんですね。十一代目は、やがて『花の海老さま』となり、そこから十二代目、十三代目とつながりますが、そうした数奇な市川團十郎家の歴史をふり返ると、あの時代に幸四郎家から才能ある養子を得た巡り合わせは、歌舞伎の神様のはからいとしか思えません」(関さん)■十二代目は66歳で逝去。十三代目は茨の道を突き進んだ「十一代目の舞台を初めて観たとき、私はまだ幼い少女でしたから、もう80年近くも團十郎さんのお芝居を観続けております。戦後、女性人気を一身に集め、『海老さま』と呼ばれた十一代目はとびきりの美男子で、女の人はみんなドキドキしたもの」そう語る関さんが『源氏物語』で思い出すのが、その孫にあたる、新團十郎のデビュー時のこと。「まだ本名の堀越孝俊で『源氏物語』で初お目見えしたとき、歌舞伎座の案内嬢たちが彼の出てくる場面になると仕事を忘れて(笑)、劇場のうしろから入ってきて『かわいい!』『きれい!』って、うっとりするという現象がありました。それくらいセンセーショナルなデビューだったんです。その姿が、十一代目にそっくりで、『隔世遺伝』なんて言われましたね」十一代目が、團十郎を襲名したのは53歳。かなりの高齢だが、養子であることに遠慮した結果であったとされる。葛西さんは、「その前が50年以上、團十郎が不在でしたから、この間のいつ復活するのかという重みが、十一代目にのしかかっていたんですね。これは相当な重圧で、だから十一代目は團十郎を継いで、わずか3年で亡くなってしまうんです」まだ19歳の長男(のちの十二代目團十郎)を残し、胃がんにより逝去したときは56歳だった。その十二代目の襲名が行われたのが85年。この名優と、関さんは取材だけでなく、プライベートでも会食などする間柄だった。「大らかな、太陽のような存在。あの方がいることで、楽屋の諍いなどもなんとなく収まるような、まさに穏やかな大統領でした。一方、その息子の十三代目團十郎さんは内省的といいますか、誰にでも心を開くというタイプではないようにお見受けします。ただ、あのカミソリのような鋭い感性は、『若き日の信長』などで完璧を目指す信長役を演じるにはぴったりで、そこも祖父の十一代目と似ているといわれるゆえん。十三代目さんは、おじいさんの得意だったシャープな演目と、お父さまの『毛抜』などの大らかなものとの両方ができる。お二人のよいところを受け継いでいるんですね」葛西さんもまた、十二代目團十郎とは襲名披露を含め幾度もその素顔に接してきた。さらに取材を重ねるなかで、宗家ならではのストレスや重圧について知らされる場面があったという。「十三代目が新之助時代に『勧進帳』を初めて演じたときのことです。当時、まだ21歳だった新之助さんにも初日を迎えた気持ちなどをインタビューして、取材は普通に終わっていました。その事実を知ったのは、かなりあとになってからです。お父さまが、あの『勧進帳』のとき、『実は倅が家出した』と打ち明けたんです。つまり、市川家伝来の演目を演じるというのは、それほどのプレッシャーなのだと。『僕は、もう倅に継がせなくていいと思った』ということまでおっしゃいました。『息子はまじめで考えすぎるほどに考える』とも」当時の心境を、十三代目團十郎本人も、新之助時代に出版した写真集『新生CREATING NEW FORM』(スイッチ・パブリッシング)のインタビューでこう話していた。〈もう地獄。素っ裸で冷たい風に打たれて、右へ左へ、涙がこぼれてきた〉この「地獄」を乗り越え、新之助はやがて海老蔵となり、己れの道を突き進んでいく。〈坊ちゃんとかそういうものを捨てて、周りが何と言おうと俺は俺でもう生き始めた〉しかし、その眼前に待っていたのは、さらなる茨の道。父親の白血病が発覚したのが、04年の自身の海老蔵襲名披露公演中のこと。その後、10年秋には暴行事件に巻き込まれ、3年後には父が66歳で逝去する。そこから9年間、十三代目を襲名するまで、また團十郎不在の時間が過ぎていったーー。【後編】天国の小林麻央さんと子どもたちとの強い絆海老蔵が十三代目團十郎にへ続く
2022年11月27日11月28日(月) に歌舞伎座で行われる『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十一月吉例顔見世大歌舞伎」』千穐楽より、八代目市川新之助が出演する『外郎売』の模様が生配信されることが決定した。『外郎売』とは、七世市川團十郎が制定した市川家の芸「歌舞伎十八番」の演目のひとつ。今回は、八代目市川新之助初舞台狂言として、新之助が外郎売実は曽我五郎を勤める。新之助は、初日より本作の眼目である外郎売が薬の効能を語るういろうの言い立てや立廻り、勇ましい荒事の芸を見事に披露し、その凛々しくたくましい姿で多くの観客を魅了している。なお11月29日(火) 13時から12月4日(日) 23時59分までアーカイブ配信も予定されている。<配信情報>市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台『十一月吉例顔見世大歌舞伎』昼の部『外郎売』千穐楽配信日時:11月28日(月) 12:10頃~(約35分)アーカイブ配信:11月29日(火) 13:00~12月4日(日) 23:59まで※一度ご購入頂きますと、アーカイブ配信期間中は何度でも視聴可能です。出演者:八代目市川新之助、中村魁春、中村雀右衛門、片岡孝太郎、中村児太郎、大谷廣松、中村鷹之資、片岡市蔵、市村家橘、市川左團次、尾上菊五郎チケット料金:2,800円(税込)販売期間:11月18日(金) 10:00~12月4日(日) 22:00※「イベント割」対象のため、通常の2割引の価格でお求めいただけます。(通常価格:3,500円(税込))【配信リンク】■歌舞伎オンデマンド※ご視聴には歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」の会員登録(無料) / ログインが必要です。■Huluストア※こちらの視聴ページは本日11月18日(金) 10:00よりご覧いただけます。「十一月吉例顔見世大歌舞伎」の詳細はこちら:
2022年11月18日『市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「十一月吉例顔見世大歌舞伎」』が、11月7日に東京・歌舞伎座で開幕。その初日レポートが到着した。歌舞伎座で2カ月にわたる襲名披露興行の幕開きを飾るのは、『祝成田櫓賑(いわうなりたこびきのにぎわい)』。襲名などの特別な公演では、多くの俳優たちが揃って祝祭気分に溢れる「芝居前」と呼ばれる演目を上演することがあり、本作もその趣向で、鳶頭に中村梅玉、中村鴈治郎、中村錦之助ら、芸者に中村時蔵、片岡孝太郎ら、芝居茶屋亭主に坂東楽善、芝居茶屋女房に中村福助と、豪華な顔合わせでこの度の成田屋の襲名披露を寿ぐ。梅玉勤める鳶頭の掛け声で出演者一同と観客が手締めをすると、これから始まる襲名披露興行への期待に満ちあふれ、おめでたい雰囲気に包まれた。続いては、八代目市川新之助の初舞台となる狂言『外郎売(ういろううり)』。令和元(2019)年7月、貴甘坊役で早口の言立てを披露した市川新之助(当時 堀越勸玄)が、この度は新之助初舞台として外郎売実は曽我五郎を勤める。幕が開くと、舞台は富士山を望む大磯の廓。小林朝比奈(市川左團次)や、大磯の虎(中村魁春)ら大勢の傾城が招かれた酒宴で、工藤祐経(尾上菊五郎)が盃を重ねており、菊五郎の祐経が放つ敵役の色気と大きさが客席を一気に作品の世界へと引き込む。そこへやって来たのは、外郎売に身をやつした曽我五郎(市川新之助)。花道からその姿を現すと、凛々しい佇まいに観客の視線は釘付けに。「劇中口上」では、尾上菊五郎が「『外郎売』は、十二代目團十郎さんが昭和55年5月歌舞伎座におきまして、古風に則り演じられた復活狂言にて、市川家の家の芸にございます。この度八代目新之助くんの初舞台を迎え、父十三代目の教えのもと、この大役を相勤めますれば、何卒鷹揚のご見物のほどをひとえにお願い申し上げ奉ります。」と紹介すると、市川新之助が「祖父十二代目市川團十郎が作り上げました『外郎売』を父十三代目が受け継ぎ、その思いを私が継承させていただきます」と挨拶を述べた。そして、新之助は外郎売として本作最大の聞きどころである早口の言立てを堂々と披露。八代目市川新之助としての第一歩となる大役をしっかりと勤め上げ、割れんばかりの拍手が送られた。昼の部は、十三代目市川團十郎白猿襲名披露狂言『勧進帳(かんじんちょう)』で打ち出しに。智勇を兼ね備えた武蔵坊弁慶を市川團十郎白猿、気品と憂いを漂わせる源義経を市川猿之助、颯爽とした風姿で弁慶と対峙する富樫左衛門を松本幸四郎と、同世代の俳優が揃い歌舞伎十八番屈指の人気作を勤める。幕が開くと、安宅の関所。厳重な警固をしている富樫(幸四郎)が名乗りを終え、花道からは都を落ち延びてきた義経(猿之助)と四天王の亀井六郎(坂東巳之助)、片岡八郎(市川染五郎)、駿河次郎(尾上左近)、常陸坊海尊(片岡市蔵)が登場。続いて、花道に弁慶(團十郎)が姿を現すと、満席となった場内はみなぎる熱気と心地よい緊張感に包まれる。ここから新團十郎の弁慶による白紙の勧進帳の読み上げ、富樫が弁慶を追求する「山伏問答」など息もつかせぬ展開が次々と繰り広げられ、観客を魅了。襲名前の会見で團十郎は、弁慶を父である十二世市川團十郎に教わったと話し、「弁慶を演じる上で一番大切なのは、義経を守る気持ち」と語っていた。その言葉通り、鋭い目力、全身から溢れ出る気迫、躍動感ある一挙手一投足で、義経を何としても守り抜く覚悟を表現。幕切れの花道の引っ込みでは盛り上がりも最高潮に達し、4階の大向うエリアから「成田屋!」「十三代目!」との声がかかる中、飛び六方で豪快に引っ込むと万雷の拍手が鳴り響いた。まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような『助六由縁江戸桜』夜の部は、歌舞伎十八番の一つで、荒事の魅力溢れる『矢の根(やのね)』で華やかに幕を開けた。紅梅白梅が咲き誇る正月。勇ましい筋隈をとった典型的な荒事の扮装の曽我五郎(松本幸四郎)が、父の敵・工藤祐経を討つために大きな矢の根を研いでいる。そこへ、お年玉に宝船の絵を持参した大薩摩文太夫(大谷友右衛門)が挨拶に訪れ、その絵を枕の下に敷いて初夢に良い夢でもみようとうたた寝を始めた五郎だが……。五郎が「やっとことっちゃあ、うんとこな」と荒事特有の掛け声をかけたり、夢の中で兄の曽我十郎(坂東巳之助)の危難を告げられて勇みだったりと、全体を通して豪快さと明るさが漂い、祝祭気分に包まれる舞台となっている。続いては、襲名披露『口上(こうじょう)』。舞台上には、十三代目市川團十郎白猿、八代目市川新之助はじめ、尾上菊五郎、松本白鸚、片岡仁左衛門、中村梅玉、市川左團次と、襲名披露口上ならではの歌舞伎界を代表する豪華顔合わせが居並び挨拶を述べた。(22日以降は坂東玉三郎も出演)。團十郎は、先輩たちの挨拶に感謝を伝えながら「初代より十二代、團十郎を大切にしてきた先祖を思い、その先祖の足元にも及びませんが、一生懸命努力をし、精進したいという覚悟でございます」と述べ、新之助は「そののちはひとかどの歌舞伎役者となれるよう一生懸命相勤めますれば、どうぞよろしくお願い申し上げ奉ります」と凛々しく挨拶。最後は白鸚の紹介により、團十郎がご来場のお客様の無病息災を願って成田屋の家の芸である「にらみ」を披露し、熱い拍手に包まれた。夜の部の切は、歌舞伎十八番の内『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』。まずは、裃姿の松本幸四郎の口上により襲名についての挨拶と作品の由来が紹介され、河東節の粋な演奏が始まると、心躍る賑やかな雰囲気に包まれる。三浦屋揚巻(尾上菊之助)の花道の出では、吉原の風情が場内いっぱいに広がり、市川團十郎勤める江戸一の伊達男・花川戸助六が花道に登場。この助六の花道の出は、「出端(では)」と呼ばれ、流麗な所作と形で魅せる本作の見どころだ。助六が探す重宝・友切丸の詮議のため、尾上松緑演じる髭の意休に悪態をつく様子や、廓の女性に相手にされずへそを曲げる片岡仁左衛門演じるくわんぺら門兵衛が、通りすがりの市川新之助演じる福山かつぎに言いがかりをつけるやり取りなど、華やかな舞台を背景に楽しい場面が続いていく。助六と白酒売新兵衛(中村梅玉)の兄弟二人が喧嘩を吹っかける場面も明るい雰囲気に包まれ、通人里暁(中村鴈治郎)が、「成田屋!」「十三代目!」と大向こうで盛り上げ、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような見どころ満載の120分となった。團十郎襲名披露狂言に相応しい助六の伊達男ぶり、多彩な登場人物の個性に自然と笑顔がこぼれる豪華な一幕で、大盛況のまま初日の幕を閉じた。「十一月吉例顔見世大歌舞伎」は11月28日まで歌舞伎座で上演される。「十一月吉例顔見世大歌舞伎」の詳細はこちら:
2022年11月08日先祖と亡くなった人の冥福を祈る、お墓参り。遺骨が中に入ったお墓は、残された家族が故人をしのぶ大切なものといえます。2022年10月23日に、歌舞伎役者の市川海老蔵さんがブログを更新。先祖と、2017年にがんで亡くなった、妻でフリーアナウンサーの小林麻央さんのお墓参りに訪れたことを明かしました。我が子とともにお墓参りに行った海老蔵さんは、ブログを通してあるお願いを呼びかけています。それは、祖父と先祖の墓を削ることをやめてほしいというものです。そしてかなしいです。祖父の墓石と九代目の墓石、また削られています。やめてください。お願いします。市川海老蔵オフィシャルブログーより引用写真のように、墓石のいたるところが削られていたのです。「また削られています」と海老蔵さんがいうように、墓石への被害は一度に限ったことではないと分かります。大切な故人の墓石が削られていることを明かした海老蔵さんのブログに、さまざまなコメントが上がりました。・亡くなった人の墓石を削るとは、なんて罰当たりなことを…。・自分がされたら嫌なはずなのに、どうしてこんなことをできるのでしょうか。・心ないことをする人がいるなんて、とても残念です。墓石は、故人と残された家族を結ぶ大切なもの。このように削られる被害は、海老蔵さんだけでなく先祖も悲しんでいるはず。墓石を削った人が、自身の間違いに気付き、少しでも被害がなくなることを願うばかりです。[文・構成/grape編集部]
2022年10月26日歌舞伎俳優の市川海老蔵が15日、東京スカイツリータウンで実施されたイベント「スカイツリー点燈式と『三番叟』(さんばそう) 披露」に、長女の市川ぼたん、長男の堀越勸玄とともに出席。十三代目・市川團十郎襲名を間近に控え、ぼたんと勸玄から激励を受けた。歌舞伎座では11月、12月の2カ月にわたって「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」を開催する。同公演に先がけて今回、東京スカイツリーに十三代目市川團十郎白猿襲名・八代目市川新之助初舞台の記念企画として、成田屋をイメージした柿色の特別ライティングや特別演奏を実施。海老蔵が「三番叟」を披露した。海老蔵は「2020年に予定されていた襲名披露興行ですが、皆様もご承知のとおり、コロナ禍で延期という発表がございました。それがようやく本年2022年11月から襲名披露公演ができるのは、やっとの思い。大変うれしく、緊張感をもって過ごしております」と心境をコメント。本イベントの開催に触れて「(襲名の日が)刻々と近づいてきていると、ひしひしと感じています」と述べた。ぼたんは12月に「團十郎娘」で踊り、勸玄は11月、12月に「外郎売(ういろううり)」「毛抜(けぬき)」などに挑む。歌舞伎界の未来を背負う我が子たちの成長に海老蔵は「彼らもどんどん機運が高まっている。私もその気合いに負けないように過ごしていきたい」と目を細めた。さらに、ぼたんと勸玄が、團十郎を継ぐ父へのメッセージを求められると、海老蔵は「私に?」と目を丸く。ぼたんは「團十郎という名跡は、とても大きな名跡で、本当にすごいなと思います。これから大変なことがあると思いますが、頑張って乗り越えてください」と激励。勸玄も「團十郎という名跡はとても大きなもので、尊敬しています。お父さんに頑張ってほしいと思っていますし、ケガなく、安全に、楽しく過ごしてもらいたいです」とエール。海老蔵は頭を下げて感謝した。
2022年10月15日11月、12月の2カ月にわたり歌舞伎座にて行われる「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」の特別CMが公開された。本CMは「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」に向けた15秒の特別CM。撮影場所は襲名披露公演の舞台でもある“歌舞伎座”で、9月中旬、格式高い松羽目を背景にした舞台上に海老蔵と勸玄が並び、厳かな雰囲気と緊張感漂う中、撮影は行われた。なお、第五期歌舞伎座でのCM撮影は初めてとなる。監督は数々のCMを手掛けた原田陽介が務め、撮影は写真家の操上和美が担当した。操上は、襲名のビジュアルとなっている『勧進帳』武蔵坊弁慶の宣材写真を撮影しており、また新之助時代から海老蔵を撮影している。映像では、紋付姿の海老蔵と勸玄が挨拶をするまでの瞬間をツケ打ちの音とともに印象深く演出。真っ直ぐな眼差しで前を見つめるふたりがアップになり、「歴史の継承」そして「未来」という海老蔵のナレーションが入るなど、襲名披露公演への期待が高まるCMとなっている。特別CMは、12月上旬まで松竹チャンネル(YouTube)、日本テレビ、テレビ朝日で放送される。■市川海老蔵 コメント襲名を目前に控え、勸玄と共に、第五期歌舞伎座では初となるCM撮影を行わせていただきました。改めて身の引き締まる思いです。多くのお客様にお楽しみいただけるよう一所懸命勤める所存です。ぜひ歌舞伎座へお越しください。■堀越勸玄 コメント歌舞伎座の舞台での撮影でしたが、舞台を勤めるときとは違い緊張をしました。頑張りましたので、このCMを見てたくさんの皆さまに歌舞伎座に来ていただきたいです。「市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」特別CM
2022年10月15日歌舞伎俳優によるオンライントークショー『歌舞伎家話』第17回に、市川染五郎と市川團子が出演することが決定した。今回の配信は、「弥次喜多」シリーズの最新作として歌舞伎座で上演された新作歌舞伎『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離ー譚(やじきたりたーんず)』が歌舞伎オンデマンドで配信されることを記念した特別編。主役の弥次郎兵衛・喜多八を演じた松本幸四郎、市川猿之助の活躍はさることながら、「陰の主役」である伊月梵太郎と五代政之助をそれぞれ12才(染五郎)・13才(團子)から足掛け7年をかけて演じた染五郎、團子の活躍・成長ぶりは目覚ましく、同シリーズは彼ら二人の役者としての成長絵巻とも言える。今回の『弥次喜多流離譚』では、御家が没落して不良になってしまった伊月梵太郎を染五郎が、梵太郎の幼馴染であり家臣の五代政之助を團子が演じた。また、今回は二人とも女方にも挑戦し、見事な早替りと劇中で繰り広げられた「ダンスバトル」で観客を魅了。今回のトークでは、舞台の感想はもちろん、7年間同役を演じ続けてきた二人だからこその舞台への想いが語られる。■市川染五郎 コメント弥次喜多シリーズ初演から伊月梵太郎を勤めさせていただいています。純真無垢な若殿様が、暴走族の総長になるとは6年前を思うと想像もしていませんでしたが、次回はどうなるのか、はたまた次回があるのかどうかさえ想像できない所もこのシリーズの好きなところです。その弥次喜多シリーズのお話を中心にお話しできればと思いますので、限られたお時間ですが、ぜひお楽しみください。■市川團子 コメント皆さま、こんにちは。市川團子でございます。今回、戸部さんと染五郎さんと歌舞伎家話にてお話できる機会をいただけたこと、本当に嬉しく思っています。今回は久しぶりの舞台での弥次喜多の公演ということや、初の本格的な女形への挑戦ということもあり、色々な思い出のある一カ月となりました。舞台でのお話はもちろん、舞台裏のことについても楽しくお話させていただければなと思っておりますので、ご覧いただけたら嬉しいです。<配信情報>『歌舞伎家話』出演者:市川染五郎 / 市川團子聞き手:戸部和久(松竹演劇部 /『東海道中膝栗毛 弥次喜多離流譚』脚本)配信日時:2022年9月8日(木) 20:00~(約70分)※生配信詳細はこちら:『歌舞伎オンデマンド』2022年9月9日(金) 12:00~9月29日(木)※3週間限定配信(購入時より7日間視聴可能)■視聴料金『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚』本編:3,300円(税込)※『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚』本編&イヤホンガイド『Web講座』セット販売も同時配信詳細はこちら:※ご購入・ご視聴には歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」の会員登録(無料)/ ログインが必要です。
2022年09月05日歌舞伎俳優・市川海老蔵の長女・市川ぼたんが9日、大阪・京セラドーム大阪で開催されたオリックス・バファローズ対東北楽天ゴールデンイーグルス戦の始球式に登板した。突然スーパーパワーを手に入れた可愛いペットたちの大冒険を描く映画『DC がんばれ!スーパーペット』(8月26日公開)で声優に初挑戦し、空飛ぶ犬のクリプトや“スーパーペット”たちの前に立ちはだかる最強の敵、あざとかわいい子猫のウィスカーズを演じたぼたん。父・海老蔵と毎日キャッチボールの練習をして初始球式の当日を迎えたぼたんは、「(父から)たくさんアドバイスをもらいましたが、野球ボールの握り方を詳しく教えてくれました!」と明かし、始球式に向けて「緊張しますが、精一杯投げたいと思います!」と緊張した面持ちながら意気込みを語った。そして迎えた本番、観客でにぎわう球場内で名前がコールされると、オリックス・バファローズのユニフォームに自身が演じた子猫・ウィスカーズのイメージを加えたオリジナルのユニフォームで登場。会場から大きな拍手が沸き起こった。始球式前の投球練習でも父・海老蔵と練習をしていた成果もあり、一発勝負の投球はマウンドから見事なピッチングでホームへ真っすぐ届き大成功。会場からは大きな拍手が贈られた。始球式終了後、「緊張したけど楽しかったです!またチャレンジしてみたいです」と笑顔でコメント。始球式と同様、自身の中で初挑戦となった『DC がんばれ!スーパーペット』の吹替版声優に関しては「励ましと勇気をくれる映画です」と述べ、球場にいるプロ野球ファンたちに「ぜひ、映画館でご家族やお友達と観てほしいです!」と呼びかけた。(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. TM & (C) DC
2022年08月09日1歳違い。同時代に「歌舞伎」という同じ世界に生まれ、切磋琢磨し合う市川染五郎さん、市川團子さん。舞台では見せない等身大の表情で語り合う、ふたりの関係性、ふたりの未来とは――。――おふたりの関係を一言で表すとしたら?市川染五郎:ライバルであり、仲間ですね。市川團子:そこに大親友も追加しておいてください。染五郎:彼にだけでなく歌舞伎役者の皆さん全員に対してそう思っていますが、特に自分たちは年齢の近い役者が少ないので、そういう意味でもすごく貴重な存在です。團子:年が近くなかったら仲良くなっていないってこと?(笑)染五郎:そういうことではなくて。年齢は彼の方が1歳上で、歌舞伎役者としては自分が先輩ですけど、小さい頃から共演していたので、先輩・後輩感がないのがいいのかもしれない。彼はどちらかといえば弟っぽい性格だから、年上という感じもしないですし。團子:年齢は関係なく、僕はいっくんを年上だと思っています。――お互いをどう呼んでいます?團子:僕はいっくんです。いっくんは、名前を呼ばないですね。本当に俺の名前、生涯で呼んだことないんじゃない?(笑)染五郎:流れで今まで呼ばないできてしまったので、今更何て呼んでいいのかわからないんだよね。――プライベートで一緒に遊びに行ったりはしますか?團子:昔はありましたね。染五郎:初共演した頃に、父がしながわ水族館に連れていってくれて。それくらいですかね。團子:5年くらい前に大江戸温泉物語に一緒に行こうと言って断られました。染五郎:入り口まで行ったじゃん。年齢的に保護者がいないと駄目と言われて入れなかったんです。團子:そうだった、懐かしい。――ふたりの役割分担は?染五郎:どっちかというと、彼がずっとボケてます。團子:僕がボケで、いっくんがツッコミです。染五郎:ツッコミなのかもわからないけど。團子:みたいに冷静なコメントをしてくれるんですが、こう見えて、内心は笑ってるんですよ。なので、常に仕掛けています。10発に1発くらいは当たるので。染五郎:弥次喜多もですが、新作の稽古は1日がかりだったりして。そうなると、必然的に一日中一緒に過ごすことになる。自分は徐々に集中していくタイプだけれど、彼は集中しつつもテンションが上がってどんどんボケ始める。たまにちょっと集中させてくれよ、と思います。團子:それはごめん(笑)。いっくんには素を出せるというか、つい変なボケが思い浮かんじゃうんです。笑ってない感を出しているけど、実は顔はけっこう笑っているから、嬉しくなっちゃって。昔は、ボケが行くところまで行くと意外と乗ってくることもあったので。染五郎:小さい頃は自分もやんちゃだったので。昔は一緒に楽屋の大浴場で、父が後から風呂に入ってくるのを待機してね。團子:全部で5つあるシャワーが(十代目松本)幸四郎さんに一点集中するようにセットして、「おつかれさまです!」って迎えてね。でも、いっくんの心の奥は昔と変わらないと僕は感じているので、そんなに印象は変わってません。――今後、お互いがどんな大人になっていくと思いますか?團子:幸四郎さんがボケるタイプなので、いっくんもどこかで変わるんじゃないかと踏んでいます。染五郎:人前に出たときに、2~3発は笑いを取りたいという気持ちは正直あります。――大人になったとき、どんな関係でありたいですか?染五郎:歌舞伎にはふたりで演じる演目が結構あるので、それを一緒にできたらなと思います。團子:一緒に舞台に出続けたいですし、関係が死ぬまで変わらずにあったらいいなと思います。『八月納涼歌舞伎』染五郎さん、團子さんが共に出演する第三部「東海道中膝栗毛弥次喜多流離譚(やじきたリターンズ)」では、シリーズ内初の女方にふたりで挑戦する。8月5日~30日(10日、18日は休演)、歌舞伎座にて上演。いちかわ・そめごろう(写真右)2005年、東京都生まれ。’07年に初お目見え。’18年、八代目市川染五郎を襲名。’21年、アニメ映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』では映画初主演、声優に初挑戦。’22年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に木曽義高役で出演。シャツ¥24,200(ジョン ローレンス サリバン TEL:03・6721・0406)パンツ¥37,400(ガラアーベント/サーディヴィジョンピーアール TEL:03・6427・9087)その他はスタイリスト私物いちかわ・だんこ(写真左)2004年、東京都生まれ。本名は香川政明。屋号は澤屋(おもだかや)。父は九代目市川中車(香川照之)。’12年、新橋演舞場『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル』で初舞台。五代目市川團子を襲名。八月納涼歌舞伎「浮世風呂」では、なめくじを演じる。シャツ¥35,200(ジョン ローレンス サリバン)パンツ¥46,200(ウジョー/エム TEL:03・6721・0406)ブーツ¥99,000(ユハ TEL:03・6659・9915)その他はスタイリスト私物※『anan』2022年7月27日号より。写真・鈴木 親スタイリスト・中西ナオヘア&メイク・AKANE(染五郎さん)森 智聖(VRAI Inc./團子さん)取材、文・小川知子(by anan編集部)
2022年07月22日