広志は妻・洋子と1歳の娘と3人暮らし。洋子は「夫を育てること」が正しいと思い込んでいるが、広志はそれを負担に感じていました。そんな中、広志に昇進の話が持ち上がります。これで洋子にも認めてもらえると喜ぶ広志だでしたが…。■家事や育児の負担増 腹痛はストレス?妻と子どもが外出する際の荷物を準備して渡す広志。準備万端の様子を見て「私の教育のたまもの」と言う妻。広志は、妻が家事や育児の教えてくれたことには感謝しているものの、負担が大きくなっているように感じられ腹痛を起こしていました…。■昇進のチャンスは私のお陰 妻の言葉に…そんなある日、広志が上司から昇進の話が舞い込みます。まだ決定ではないが喜ぶ妻。残業が増える話をすると、妻からは家事や育児は今まで通りでと言われてしまいます。しかも今回の仕事のチャンスは自分のお陰と言い出します。そんな様子に広志は言いたいことも言えずにいました…。こちらは投稿者のエピソードを元に、ウーマンエキサイトで公開された漫画です。漫画に対する読者からのコメントを紹介します。■足を引っ張るな!読者が反論まずは、洋子の夫への言動に対する怒りの声です。高圧的な態度に反論する意見も多く集まり、一部を紹介します。・児童館行くことが育児だと思ってる?人には「そこまでやって家事だから!」とか言うくせに、自分は準備もせずに連れて行くだけで満点だと思ってない?・「私の教育の賜物」ってそう言うお前はどうなんだ?言う程出来ているのか?・すごいね。この奥さん。家庭の全てが自分中心に待ってると思ってそう。・自分ができて初めて他人への教育って出来るものでは…?モラハラの思考って訳わからん。・自分も仕事をしてるから家事育児は平等って、この奥さんはどこをどう見て今の状態を平等だと思ってるんだ?自分はサポートされて当たり前、だって教育してあげてるんだからってか?また、「私のおかげ」という洋子の台詞に反論する意見です。・洋子よ!アンタ旦那の昇進に寄与するどころか足引っ張ってるじゃないか、会社でも家庭でも文句言われるから指摘出来ないって環境では人は育たない。・洋子の「おかげ」要素どこにあった?・何で私のおかげって思えるのか全く共感できない。・モラハラ妻のおかげって…。旦那さん自身の努力やん。次は、夫に対して感情移入する声です。励ましや労い、胸が苦しくなる読者もいました…!・すごいよ旦那さん!児童館に行く持ち物の準備から離乳食の準備まで全部やってくれる旦那さんとか、初めて見たよ。神かっ!・羨ましい。その優しい旦那さんください(笑)・ビクビクしてるってDVでしかない。・旦那さんが可哀想で胸が苦しい・体調悪いの言えないなんて、気の毒。ここまで完璧を求められたら息苦しいだろうな。最後に、夫婦の今後についての分析です。離婚に向けた方が良いという意見もあがりました。・旦那目線で見たらこれじゃあ旦那が逃げたくなるわ!完全にうつ病になってるよ!精神科通うレベル!旦那育てるなんていきがってるモラハラ妻に慰謝料請求出来ると思うわ!逃げるじゃなくて自分の実家にも妻の仕打ちを話をして弁護士雇って離婚に向けた方がいいけどね・これは本当にひどいなぁ…。これでこの先この奥さんが「改心した。許してほしい。」とか訴えて、再構築とかの流れになったら、相当胸が悪い感じ。物語を最初から読んでいる読者からは「ますます洋子を擁護する言葉がない」という意見も。仕事をしながら育児も家事もしっかりこなしている夫を味方する読者が増える一方です。夫の昇進のチャンスはどうなるのか?ラストを前に「荒れそうな予感…」と心配する読者も!▼漫画「夫を育てたらいなくなりました 夫 Side Story」
2023年12月02日「家事育児に協力的な夫」が妻に打ち明けた本音夫と娘(1歳)と暮らす洋子さん。「旦那を育てるのは妻の役目」と、夫・広志さんを“家事育児ができる夫”に育てました。しかし、広志さんの給料がなぜ上がらないのか、なぜ昇進できないのかと厳しく責め立てます。ある日、耐えきれなくなった広志さんが家出。ようやく帰ってきましたが、夫婦の再構築はできるのでしょうか…?■前回のあらすじ広志は帰宅するなり、勝手に出ていったことを謝罪する。洋子は自分のほうが悪かったと頭を下げるが、広志は今の生活に限界を感じており、「これから洋子とどう一緒に生きていけばいいかわからない」と暗い顔で…。【妻 Side Story】広志が私を100%許してくれたとは思っていません。娘のために離婚はしないという結論になりましたが、今後また広志が出て行くことも、離婚を切り出される可能性も大いにあると思っています。そうならないために、私がどう広志に向き合っていくか。そして「夫を育てる」ではなく、自分を「思いやりのある妻に育てる」ことができるかどうか──。すべては私の行動次第。自分を変えて、この先の未来も変えていけるように。原案・ウーマンエキサイト編集部/イラスト・ 茅野 (監修: インクルーズ )こちらもおすすめ!理不尽なクレームをつけるモンスター妻に困り果てた夫…結婚前は感じのいい女性だったのに…突然、クレーマーと化し、店員に横柄な態度で接する妻を見て、夫はびっくり。何が彼女をそうさせたのか…!? 「理不尽な要求をするモンスター妻」1話目はこちら>> 妻はどうして変わってしまったのか…?
2023年10月25日「家事育児に協力的な夫」に私が育てた!そう思っていたのに…。夫と娘(1歳)と暮らしている洋子さん。「旦那を育てるのは妻の役目」という価値観のもと、夫・広志さんを“家事育児ができる夫”に育て上げました。しかし唯一、給料が上がらないことだけが気になり、広志さんに問い詰めます。優しい広志さんは何も言い返しませんでしたが、その翌日、衝撃的な事件が…。■前回のあらすじ「昇進の話はナシになった」と聞かされ激高した洋子は、広志に向かって「あなたとの結婚は失敗だったのかも」などと暴言を吐いてしまう。さすがに反省する洋子だったが、翌朝、広志は口を聞いてくれなくて…。【妻 Side Story】昨日はさすがに言いすぎたかな…と反省していると、広志から衝撃的なメッセージが!広志は優しい性格なので、今まで私の言うことに反論したり、無視したり、ましてや家出なんてしたこともありませんでした。そんな広志が、なぜこんなことを…? 私の何がいけなかったのでしょうか?次回に続く(全16話)毎日更新! 原案・ウーマンエキサイト編集部/イラスト・ 茅野 (監修: インクルーズ )
2023年10月15日「家事育児に協力的な夫」がさらに昇進!? 喜びも束の間…。夫と1歳の娘と3人で暮らしている洋子さん。昔から「夫を育てるものは妻の役目」という価値観が根付いていました。その価値観の通り、夫・広志さんを“家事育児ができる夫”に育てましたが、唯一、給料が上がらないことだけが気にかかっていました。妻の言うことはなんでも黙って優しく受け入れていた広志さんでしたが…。■前回のあらすじ洋子から「なぜ給料が上がらないのか」と詰め寄られた広志は、昇進の話があることを打ち明ける。そのためにも「少し残業したい」という広志に、洋子は当然のように「家事と育児の分担は今まで通りで」と告げて…。【妻 Side Story】広志が昇進すると聞いて、すっかり浮き足立っていた私。ブランド服も、娘の習い事も、新築マイホームも手に入るかも? 夢のような生活にワクワクが止まりませんでした。しかし、昇進面談があった日の夜、広志が告げたのは思いがけない一言。一体どういうことなの…!?次回に続く(全16話)毎日更新! 原案・ウーマンエキサイト編集部/イラスト・ 茅野 (監修: インクルーズ )
2023年10月13日夫を育てるのは妻の役目!?夫と1歳の娘と3人で暮らしている洋子さん。家事育児に協力的な夫・広志さんは、最初は何もできないタイプでしたが、洋子さんが時間をかけて“理想的な夫”に育て上げたそう。ママ友にも羨ましがられるようになりました。しかし、洋子さんは広志さんに対して、さらに高い要求をするように。私が思っていることを察して動いてほしい、給料をもっと上げてほしい…。広志さんは黙々と言われた通りに行動しますが…?■前回のあらすじ洋子が1歳の娘と児童館で遊んでいると、夫・広志が忘れ物を届けに来る。「気が利く」と羨ましがるママ友たちに、洋子は「自分が夫を育てた」と自負。しかし帰宅後、ハンドソープが切れそうなことに気づいて…。【妻 Side Story】広志は私の言うことをなんでも聞き入れてくれるので、「もっと自分で察して動いて」という要望にも、ちゃんと応えてくれました。しかし、次なる課題は「お給料」。家計簿アプリをチェックしていると、広志のお給料がなかなか上がらないのが気になります。娘の将来を考えると、もう少し家計に余裕を持たせたいところ…。まずは、お給料が上がらない理由を、広志に真正面から聞いてみることにしました!次回に続く(全16話)毎日更新! 原案・ウーマンエキサイト編集部/イラスト・ 茅野 (監修: インクルーズ )
2023年10月11日音楽家・青島広志と落語家・春風亭小朝がタッグを組んだ「青島広志のミュージックワンダーランド with 春風亭小朝」が、11月14日(日)にサントリーホールで開催されることが決定した。青島広志のミュージックワンダーランド with 春風亭小朝」の公演情報はこちらそれぞれのフィールドで人気・実力とも日本最高峰の青島と春風亭は幼稚園からの同級生で、子供ながらにお互いの才能の片鱗を感じたという。青島はその後東京藝大へと進み大音楽家に。春風亭も言わずと知れた落語界きっての才能で高座にテレビに人気を博した。ふたりに共通するのは、気取らない人柄、世の中を楽しませたいという「芸」本来の在り方を示している点。そんなふたりがサントリーホール大ホールで共演。どんな化学反応を巻き起こすのか、必聴だ。サントリーホールでの開催となるが、正装は不要。第一部で春風亭の語りとともに「動物の謝肉祭」を披露する。第二部のニューイヤーコンサートも、青島・小朝両氏の絶妙なトークで進行。初心者でも楽しめる公演となっている。演奏はオーケストラエクセラン、ソプラノは横山美奈が担当。ぜひ、同級生コンビによるミュージック・ワンダーランドに足を運んでほしい。■概要「青島広志のミュージックワンダーランド with 春風亭小朝」2021年11月14日(日) 開場:18:20 開演:19:00会場:サントリーホール 大ホール[出演]青島広志(指揮・ピアノ・MC)春風亭小朝(語り・MC)横山美奈(ソプラノ)オーケストラエクセラン(演奏)
2021年10月19日ベビーカレンダーでは、「子どもがいるっていいな」と思えた瞬間について、いろんな方へのインタビューをスタート。今回は初のパパが登場してくれました! ベビーカレンダーでも連載中のイラストレーターYUDAI9℃(ユウダイクド)さんにお話を聞きました。 YUDAI9℃さんイラストレーター、こぶたのキャラクター「ポトフスキー」のイラスト、グッズを作成しています。奥さんの妊娠をきっかけに記録のため、マンガを描くようになり、様々なメディアで子育ての失敗を戒めとして公開しています。 泣かないと思っていたのに出産では泣いてしまいましたー出産のときに、思わず泣いてしまったと連載にも書かれていましたね。 【YUDAI9℃さん】はい。泣かないと思ってたんですよ。そのときは、緊張の糸が切れたというか安心したというか。奥さんはそんな僕を見て笑っていましたね。ー子どもが生まれる前と後で変わったことはありますか? 【YUDAI9℃さん】子どもが生まれる前までは、日常の生活に充実感を感じたことがあまりありませんでした。小さなことを人と比べたり、ネガティブになることも多かったと思います。 以前の会社にすごく優しくて子煩悩な先輩がいたんです。当時の僕は「子どもなんていらない」と思っていたので、その先輩が自分の子どもだけでなく、再婚した相手の子どもも自分の子どもと平等に愛することができているのを見て、とにかくすごいと思っていました。 ある日、興味本位で聞いてみたんです。「子どもってそんなにいいものなんですか?」って(笑)。そしたら、「幸せのレベルが下がる」って言われたんです。「低いレベルですごく幸せを感じるようになるんだよ」って。 聞いた瞬間は「なんだ、それ!?」って思いました。やっぱり20代前半だったんで、幸せって、もっと他人から評価されたり、大金を手に入れたり、そういうわかりやすいものの方がいいでしょ!って思っていたんだと思います。なので、そのときは「そーなんすねー」みたいに流しちゃったんですけど、今はその言葉の意味が身に染みてわかります。 理想の父親って? 不安だったときに救ってくれたのは1冊の本ーYUDAI9℃さんのお父さんはどんな方ですか? 【YUDAI9℃さん】子どものころの僕と父のエピソードでよく母が話すことがあるんです。小さいときの僕は、姉がいたこともあって、戦隊ものよりもむしろサンリオが好きな男の子でした。 僕の誕生日に、父親が戦隊ものの大きなロボットを買ってやるとおもちゃ屋さんに連れて行ってくれたのに、それを欲しがらず、僕が選んだのがかわいいカラスのぬいぐるみだったと言って、父親が怒って帰ってきたそうです(笑)。 そんな感じで、僕の父親はよく手が出るし、寡黙で愛想もない人間だったので、子どもの教育に対してはあまり積極的ではなかったと思います。今でも、父親と真面目な話をするのはなんだか恥ずかしいです。そのせいか自分が父親になることに対し、あまりいいイメージが湧かずに、子どもを作ることも躊躇していました。 僕が父親の必要性を感じだしたのは自分が社会に出て働くようになってからかな。お金を稼ぐ大変さや親の大変さは、自分がその立場になってやっとわかるようになるんではないかと思います。 ーなるほど。では、理想の父親像などはありますでしょうか? 【YUDAI9℃さん】特にはないのですが…。子どもがうまれすぐ、Twitterで知った写真家・幡野広志さんの『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』という本には影響を受けました。この本は、ガンで余命宣告された幡野さんが自分の息子に伝えたいことが書かれているのですが、いざ父親になって不安がいっぱいだったときに出会い、この本に救われたことを覚えています。 いざというときに息子に適切なアドバイスができるよう、自分の意見をしっかり持つこと、息子とちゃんと会話できるような家族でいることが、当分の私の目標です。 ーちなみにパパがイラストレーターだと「あれ描いて、これ描いて」とお子さんにせがまれませんか?(笑) 【YUDAI9℃さん】あ、言いますね。でも、言われる前に自分から描きます(笑)。この間も、保育園の連絡帳の表紙に何か描いてと言われて、たまたま鬼太郎を描いたんです。しかも、筆ペン使って水木しげるのタッチで。子どもすごい喜んでくれてましたね。そのあたりは楽勝です。 不自由なことがあってもやっぱり子どもはかわいいー過去のご自身と同じように子どもを持つことに躊躇されている方にメッセージはありますか? 【YUDAI9℃さん】よく思うことですが、子どもが生まれて不自由になることははるかに多いです。自分の時間がなくなる、休日に休めない、行く場所・お店に制限がかかるなど、マイナスの点をあげればきりがありません。でも、そのマイナス全てと子どもがいる心の充実感と天秤にかけたとき、子供の存在の方がはるかに大きいです。 私は人より過去に対して後悔することが多く、あの時ああしていればと夜眠れないことも多いのですが、親になるという選択に関しては、一回も後悔したことはありません。 夏になって子どもが半袖になるだけで、腕のむちっとしたフォルムがかわいいな〜と思うし、子どもとおそろいのになるのはなんだかうれしい。子どもがきれいな「まる」が描けた! たったそれだけのことで、夫婦そろってこんなに喜べるなんて!こんな小さなことで人生を楽しくしてくれることは、ほかにないと思います。 子どもが生まれるまでは子どもが苦手だったというYUDAI9℃さん。今ではそんな片鱗はどこにもなく、とってもやさしいパパそのものでした。奥さんと子どもに好かれたいと奮闘するYUDAI9℃さんの育児マンガも、ぜひチェックしてみてくださいね。 ★♡★♡ベビカレ夏のマンガ祭り★♡★♡マンガ家100人突破を記念して『べビカレ夏のマンガ祭り』開催中!大人気のマンガコンテンツを増量し、レギュラー連載に加え、新たにスペシャルゲスト24作品を配信♪ 無料でザクザク読めちゃう!ぜひチェックしてくださいね! 著者:ライター サトウヨシコ大学卒業後、大手食品会社に勤務。未経験から編集者を目指し転職。その後、結婚と出産を経て妊娠・育児雑誌のディレクターに。WEBメディアの新規事業立ち上げをし、2017年に株式会社フラミンゴミンゴを設立し、現在は数々のメディアに携わっている。
2021年06月11日VR演劇『僕はまだ死んでない』が2月1日より配信される。聴き慣れない「VR演劇」という言葉だが、舞台上から360°を収録できるカメラで撮影し配信、観客は自身のスマートフォンやヘッドマウントディスプレイを使用することによって、まるで自身が主人公であるかのような視界で、観たいアングルを自由に選択して楽しむことができる新たなスタイルの演劇となっている。新型コロナウイルスの影響により、集客型の上演が難しい中で、演劇ならではの臨場感を届けたいという思いから立ち上げられた。今回上演される『僕はまだ死んでない』は、原案・演出をウォーリー木下氏、脚本を広田淳一氏が手掛け、内海啓貴、斉藤直樹、加藤良輔、輝有子、渋谷飛鳥らが出演する。壁に包まれた病室で、脳卒中で倒れ意識はあるが体が動かない主人公・白井直人(内海)の視点から家族や友人のやりとりを見つめていくこととなる。今回は、原案・演出を務めたウォーリー木下氏にインタビューし、同作で目指したものやコロナ禍の演劇について話を聞いた。○■演劇を観に来るお客さんは、解釈の楽しさを知っている――「VR演劇」というなかなか聞き慣れない形式で、今回の企画はどのようにして今の形になったんですか?これまでに演劇の公演でVRカメラを使う配信もあったのですが、今回はせっかく企画から立ち上げるので、VRカメラでしか作れない作品にしてみようと考えました。視聴者が出演者となるような形で体験できるものを作りたいと思い、いろんな案を出したんです。中には、「椅子に縛りつけられてる人質」といった案もありました(笑)。いろいろ考えるうちに、いわゆる閉じ込め症候群だと「しゃべれないけど見ることができる」状態なのではないかと思い、僕が終末医療や安楽死といったテーマに興味があったので、結び付けてみたらどうだろうと提案しました。――映像作品に近いところもあるのかな? と想像するのですが、監督のような感覚はあったんですか?稽古の時は演出家ですが、撮影の日は監督みたいでしたね。稽古中はずっと、お客さんの視点である、役者たちの真ん中にいたので、すごく嫌だったと思います(笑)。不思議な稽古でした。――映像作品だけど演劇である、というのはどういうところがポイントでしょうか?“演劇の映像作品”だと思うポイントは、お客さんが自由に見るところを決められる部分です。例えば人物が目の前にいても、横の窓を見ていることもできるんです(笑)。――例えば、好きな俳優さんをずっと見ているなんてことも可能なんですね。全然構わないです。好きな情報を得て編集し、好きな解釈を入れて、世界に1つしかない自分の作品を作れます。多分、演劇を観に来られるお客さんはみんなその喜びを知っていて、1つの解を求めているわけではないのだと思います。――主演の内海さんのファンの方は、内海さんをずっと見るようなことは難しいでしょうか?それだけはちょっと残念なんですが、自分が内海さんになった気持ちにはなれますから、なかなかできない体験です(笑)。もちろん内海さんも臨場感のある形で登場しますので、そこは楽しみにしていただければ。――台本を拝見すると、セリフに対して「【★】前の人物の台詞の語尾に重ねて言う」など、いろいろな記号が書かれていますが、これは今回の企画に合わせていたんですか?いえ、もともと広田くんの脚本がそういうスタイルなんです。とても作りやすく、今回やりたかったこともすごく合っていました。日常の会話ではしゃべる順番がきれいに分かれることはなく、しゃべっている最中に相槌を打ったりもするじゃないですか。見ている方からすると「これは本当に今そこで起こってるんじゃないか」と錯覚するような、喫茶店で隣の人が会話しているのを聞いているようなリアルさになっていると思います。○■「自分の仕事が簡単になくなるんだ」という恐怖――先ほど終末医療などについて気になっていたということでしたが、どういうところが気になっていたんですか?カメラマンの幡野広志さんが、TEDで「安楽死について検討している」という話をされていて。医療はどうしても生きることを念頭に置くものだけど、もし自分がそうなった時、死にたい時に死ねることも大事なのかなと考えさせられたんです。そこからコロナの時代になって、より自分や身内が死ぬ時のことを考えたり。弱者が見捨てられていく世界は寂しいし、答えがあるわけじゃないんですけど、深く考えたいと思うテーマでした。――コロナの時代になってから、いつ自分がどうなるかわからないという気持ちも身近なものになりました。みんな、そうですよね。ただどうも、こういうことについて考えること自体をあまり良いものとしない傾向はあるかもしれないので、今回のようなアトラクション感覚であっても、自分に置き換えられるというのは、意味があることではないかと思って作ってみました。――やはりコロナがあって、新しいものを演劇に結びつけていくという試みは増えていきましたか?僕自身はもともと、舞台があり客席があるものだけが演劇じゃない、と思ってトライしてきたので、その延長線上にある感覚です。4月〜5月の自粛中は落ち込みはしなかったんですけど、新しいことをしたいという気も起きず、ようやく夏くらいから、僕の周りのやる気がある方たちに感化されてきました(笑)。業界として風当たりも強かったですし、これから先どうやったら文化として演劇を認めてもらえるのか。きちんと演劇のことを伝えていって、また第二第三の危機がきた時にもできることを増やしていかないと、と思います。とにかく日本は演劇を見ている人が少ないので、本当に1人でも増やしていかないと。――役者さんにインタビューすると、「エンターテインメントは不要不急なものである」とダメージを受けてるのかな、と思うことがあります。一方で見ている方としては、必要なものだと思っていたので、そこまで皆さんが「不要不急」という言葉を気にしているんだと意外でもありました。みんな、単純に「自分の仕事が簡単になくなるんだ」と思ったんですよね。舞台を中心にしている俳優さんからすると、あっけなく公演中止になるし、とても怖い時代で戦々恐々としていると思います。でも見ている方が「そんなことないよ」と言ってくれることが、大きな糧にもなりますし、この作品を作るにあたって、余計なお世話だけど「役者さんの仕事をちゃんと増やさないといけないな」という気持ちもあったんです。たとえコロナで誰か陽性者が出ても、このVR演劇は永久に上演できる。今後も、他の方法も含めて色々な作戦を考えていかなきゃいけないなと思っています。――例えばチーム制にするとか…?もちろん、チーム制、Wキャスト、トリプルキャスト、アンダースタディも方法の1つです。あとは舞台上に役者が出てこなくても出ている形をとれる演劇とか、いろいろな形はあるはずなんです。37.5度出たら、もう公演が中止になるかもしれないとか、かわいそうじゃないですか。37.5度くらい、コロナにかからなくても出ることはある。それで公演中止とならないような仕組みを、作っていかないといけないですよね。――それはすごく楽しみです。ぜひ最後にメッセージもいただけたら。重たいテーマで、かつ聞き慣れない「VR演劇」というジャンルなんですけど、演劇の初心者の方でも楽しめるようになっています。見終わった後に深く考えられるところがたくさんあって、何度見ても楽しめる作品になっていますので、ぜひ1人で楽しんでください(笑)。1人でしか楽しめないので、絶対に密にならない演劇です。※配信チケットは2月28日23時59分まで、期間中何回でも購入可能となっている。閲覧は2月1日18時~3月7日23時59分で閲覧期限は7日間、配信チケット価格は3,500円(税込)。■ウォーリー木下93年、神戸大学在学中に演劇活動を始め、劇団☆世界一団を結成し、現在は「sunday(劇団☆世界一団を改称)」の代表として全ての作品の作・演出を担当。外部公演も数多く手がけ、役者の身体性に音楽と映像とを融合させた演出を特徴としている。また、ノンバーバルパフォーマンス集団「THE ORIGINAL TEMPO」のプロデュースにおいてはエジンバラ演劇祭にて五つ星を獲得するなど、海外で高い評価を得る。10ヶ国以上の国際フェスティバルに招聘され、演出家として韓国およびスロヴェニアでの国際共同製作も行う。2018年4月より「神戸アートビレッジセンター(KAVC)」舞台芸術プログラム・ディレクターに就任。2017年と2018年には手塚治虫生誕90周年記念MANGA Performance『W3 ワンダースリー』ではノンバール作品として構成・演出を、2019年と2020年にはデイヴィッド・アーモンド作『スケリグ』の演出を手掛ける。
2021年01月31日株式会社ほぼ日が渋谷PARCO8Fで運営するギャラリースペース「ほぼ日曜日」で、みんながだいすき、「おやつ」をテーマにしたイベント「ほぼ日のおやつ展。」を開催します。ほぼ日とご縁のあるお店、それはつまり、「わたしたちが本気でおいしいと思うお店」に声をかけ、胸を張っておすすめできる「おやつ」を集めました。こんなご時世ですので、残念ながら試食はできません。まずは芸術作品を見るように、じっくりとおやつを鑑賞してください。そして、「これ!」と思ったらご購入し、おうちでゆっくり、めしあがってください。今回の題字とイラストを手がけてくださったクリエイティブユニットtupera tuperaさんの絵本、『おやおやおやつ なにしてる?』の原画も展示。これもまた、うれしいおたのしみです。清潔と安心 をこころがけて、おやつたちといっしょに、ご来場をお待ちしています! 本イベントの詳細は にてご覧いただけます。ほぼ日のおやつ展。会期:2021年1月16日(土)~1月31日(日) 時間:11:00~20:00 ※1月31日は17時まで。場所:渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」渋谷区宇田川町15-1 入場料:無料イベント詳細:【ご参加いただくショップ】「ほぼ日のおやつ展。」に参加してくださるお店とおやつを、ご紹介します。会期の途中から入荷されるものもあります。お目当てがある場合はよくご確認のうえご来場ください。また、すべてのおやつは、ご用意する数に限りがあります。完売・再入荷などについては、「ほぼ日曜日」のツイッター(でおしらせします。●銀座 松崎煎餅の瓦せんべい1804年(文化元年)に創業された銀座 松崎煎餅の瓦せんべい大江戸松崎三味胴とtupera tuperaがコラボレーション。「太陽」「クマ」「ブタ」の3種類があります。●PAPABUBBLEのキャンディバルセロナ発祥のキャンディーショップ・PAPABUBBLEがつくるのは、いわゆる「金太郎あめ」です。tupera tuperaの絵本『くだものさん』とコラボレーションした「くだものさんキャンディー」を販売します。職人さんが手づくりしたキャンディーは1粒1粒、チャーミング! しかも、おいしい!●DE CARNERO CASTEのカステラ三重県に本店をかまえるDE CARNERO CASTE(デ カルネロ カステ)はカステラの専門店です。丁寧に焼き上げられたプレーンカステラは素材のおいしさがぎゅっとつまった一品。tupera tuperaとコラボレーションしたキューブカステラはひとつひとつにかわいい焼印がおされています。●写真家・幡野広志さんの「みかん屋 ハタノ」昨年の2月、ほぼ日曜日でのトークイベントで「みかんの仲買人をやりたい」と話していた幡野さん。その希望が実現します!東京ではなかなか手に入らないおいしいみかんを愛媛の農家さんに直接お願いし、譲っていただけることとなりました。「みかん屋 ハタノ」愛媛で仕入れたおいしい愛果28号のお店、オープンです!●テオブロマのチョコレート「ほぼ日のおかし」シリーズでクッキー缶を販売しているテオブロマ。実はチョコレートの世界でとても有名なお店なのです。バレンタイン前で大忙しのなかお願いをして、定番のチョコレートをいくつかご用意いただきました。●シュヴェステルンハウスのザッハトルテやドイツ菓子ほぼ日が、18年前からお正月にご紹介しているザッハトルテは毎年、大人気なんです。つくっているのは前橋にあるお店、シュヴェステルンハウス。今回は、ミニサイズのザッハトルテや、ジャムがたっぷりのったリンツァートルテ、コーンフレークを使ったザクザクのクッキーなど、ドイツのお菓子を数種類ご用意いただく予定です。※ほぼ日恒例の大きいサイズのザッハトルテは1月16日、23日、30日に数量限定で販売します。●アンカーコーヒーのコーヒーとドーナツほぼ日ではすっかりおなじみの気仙沼のアンカーコーヒーからは、オリジナルブレンドを気軽にたのしめるカップオンコーヒーと、コーヒーと相性ばつぐんの焼きドーナツが。さらに今回は、新商品のやわらかスコーンとぽりぽりクッキーも登場します。●A.K.Laboのチョコレートタブレットオーナーの庄司あかねさんがつくる、伝統的なフランス菓子を中心としたメニューが人気のパティスリー&カフェ「A.K.Labo」。今回はチョコレートのタブレットが入荷。ドライフルーツやナッツがのっていて、見た目もうれしいチョコレートです。●Uf-fu(ウーフ)の紅茶Uf-fu(ウーフ)は芦屋市で創業した紅茶インポーターです。オーナーの大西泰宏さんはインド、スリランカ、中国など世界各地から取り寄せた大量の紅茶サンプルから、心の底からおいしいと思った茶葉だけを選びぬいているそう。すてきな「おやつ時間」に、高品質な紅茶をご一緒に。●なかしましほさんのおやつミックスリピーターの方も多いのではないでしょうか。料理家のなかしましほさんとほぼ日がいっしょにつくった、オリジナルのミックス粉です。種類はふたつ。全粒粉の味がしっかりとするプレーンとココアパウダーをたっぷりつかったチョコです。おいしいおやつをつくってくださいね。●and recipeのおやつグッズ「ごはんと旅はひとをつなぐ。」をテーマに、おいしいごはんのレシピや旅のごはんを紹介してくださるand recipe。「ほぼ日のおやつ展。」のためにうれしいおやつグッズをつくってくださいます。●オリオリのパイ※1月21日より販売「ほぼ日のおかし」シリーズの第一弾として登場したオリオリのパイ。冬の味としておすすめの6種類のパイがつまった12枚のパイのボックスを1月21日よりほぼ毎日数量限定で販売します。(その日にできる数量によって、販売数は前後します。1月24日、25日、31日は入荷がございません)●foodmoodのクッキーボックス※1月22日より販売なかしましほさんの工房、foodmoodで作られた焼き菓子が3種類詰め合わせになっている人気のクッキーボックス。ほぼ日ストアで1月13日から抽選販売するクッキーボックスを1月22日~24日、1月29日~31日、数量限定で販売します。●Sunday Bake Shopの厚焼きビスケット※1月22日より販売Sunday Bake Shop(サンデーベイクショップ)は英国の焼き菓子を得意とされていて、素朴だけれど味わい深い「日々のおかし」がテーマのお店です。お店でも人気の猫のかたちの厚焼きビスケット「にゃんころうショートブレッド」と焼き菓子をもうひとつ、ご用意くださる予定です。●ほぼ日のおいしい新商品!※1月23日より販売ほぼ日の食品チームが開発を続けてきた商品が、ほぼ日ストアで1月27日に発売されます。それに先駆け、1月23日から、「ほぼ日のおやつ展。」で先行販売!詳細は1月18日に「ほぼ日のおやつ展」のページでお知らせします。【『おやおやおやつ なにしてる?』絵本原画展を同時開催】この催しの題字やイラストを手掛けてくれた人気のクリエイティブユニット、tupera tuperaと詩人・織田道代さんのコラボレーションが楽しい絵本、『おやおやおやつ なにしてる?』(鈴木出版)の原画展を会場内で開催します。tupera tuperaの原画は、切り絵です。さまざまな色や質感の紙を切り貼りして作られている、ゆかいな 「おやつ」たちを、ことば遊びあふれる文章といっしょに、ぜひおたのしみください。【開催にあたってのお願い】展示を安全にたのしんでいただくために、こちらのご案内 をお読みいただいてからご来場をお願いいたします。清潔と安心をこころがけて開催いたします。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2021年01月09日cakes史上、最も読まれた連載が書籍化されました! ガンを宣告された写真家・幡野広志さんによる人生相談です。幡野さんのところには、なぜか多くの人からありとあらゆる人生相談が集まるのですが「悩み相談を受ける中で、親子や家族関係で、悩んでいる人が多い」とのこと。「親子関係」は、人間関係の原点で悩みも深いテーマなのかもしれません……。親子の「距離感」は難しい幡野広志さん(以下、幡野):本のタイトルにもしましたが、人生の悩みを『なんで僕に聞くんだろう』とずっと思ってました。おそらく、相談者の方は「親に相談できる」という選択肢や人間関係を持てていないのかなぁ…と。自分の親に相談しても、納得のいく答えが出ないと思っているんでしょうね。編集部(以後、―)自分が母親になってみると、耳が痛い話です。幡野:多くのお母さんの子どもに対しての距離感、僕は「不思議だなあ」と、感じます。少し距離をとっているお父さんのことをdisっちゃったりして。― 夫が、自分と同じくらい子育てに「一生懸命」でないのが腹立たしくなるんですよね…幡野:子どもからすれば、お父さんまで、お母さんと同じ距離感になってしまったら、逃げ場がなくなってしまいます。あまりよくないと思います。― 母親にとっては、「自分」と「子ども」の精神的な線引きが、難しいのかもしれません。幡野:子育て以外に何かアイデンティティを持ってないと危ないですよ。子どもが生まれると、自分の仕事や趣味を諦めてしまう人は多いですが、僕は逆じゃないのか? と、思うんです。子どもができた人ほど、色々なことをやってみるべきだと思います。ストーカーみたいな親にならないためにもね(笑)。― 子育て以外のことをしていい…。なかなか、そうは思えない人が多いように思います。幡野:とりわけお母さんと息子のパターンは、恋愛にかなり似たようなものを感じます。下手な恋愛みたいになっている親子を見てると、逃げられない子どもは可哀想だと思います。恋愛上手な人って、恋人との距離感の取り方が上手だと思います。― 子どもとの距離感について、幡野さんはどう考えてますか?幡野:今、僕の子どもは3歳ですけど、とても魅力的な存在です。子どもが生まれて、子どものことが何よりも大事になるのはわかります。あそこまで純粋無垢に自分のことを大好き!と言ってくれる存在は、他にはいませんから。「ママ大好き! パパ大好き!」という「大好きでいてもらえること」が嬉しくて、それに依存してしまうんでしょうね。―親が「子どもという存在」に依存してしまう…。わかります。幡野:でも、子どもが、大きくなれば親がどういう人間なのかというのはバレます。いずれ、こう、何というか……例えば依存が強い親だったらそういう人間だってことが子どもにバレちゃうんです。僕だって、子どものころは「大人は立派で偉い人」と思っていた時期もありました。でも、大人が立派なわけではなくて、立派な人もそうでもない人がいることが自分が大人になるとわかりますよね。僕が子どもの頃、偉ぶっていた学校の先生がいましたけれど、今考えると大したことなかったと思います。いずれバレるんだから、あんまり子どもに偉そうな態度はしないほうがいいんじゃないかなと僕は思っちゃいます。力の弱い人間に対して、どんな態度をとるかで人間性は出るー著書の中で、「力の弱い人間に対して、どんな態度をとるかで人間性が出る」と。幡野:すごく出ると思います。これは、子どもに対しての話だけでもなく、たとえば、会社の後輩や、弱い立場の人に対する態度で人柄ってわかると思います。もちろん、これは男性だけでなく、女性も一緒です。― 反省しかないです…。家庭という密室の中で、どうしても子どもに対してイライラをぶつけてしまうことがあって…たとえば、出ないといけない時間なのに子どもがダラダラしている…とか、そういう些細なことなのですが。幡野:でも、子どもは、そういうもんなんじゃないですか? 僕は36歳で、もう36年も人間をやっているから、ある程度のことはできます。でも、3歳の息子は、地球に来て3年ですから。まだ新人ですよ。そんな人に怒ってもしょうがないかな~、と僕は思うんです。怒って子どもが成長するのだったら話は別ですけど、怒ったところであまり効果はないと思うので。― 怒っても何もいいことないのは、頭ではわかっています。でも、毎日の生活の中で、子どもと接していると、合理的な判断ができなくなってしまう瞬間もあって…幡野:そりゃそうですよね。その感じもわかります。お母さんの中には、完璧を求めている人が、多くいる気がします。無意識に「絵に描いたような家庭」や「良妻賢母なみたい自分」を目指してしまっているんだと思います。そんな「絵に描いた餅」を目指したって、無理なんじゃないですか?― どうして、母親は「「絵に描いた餅」を目指してしまうのでしょうね? 幡野:う〜ん…人の目を気にしているからじゃないですか? 僕は、人の目を全く気にしないから、あまり子どもに怒らないんだと思うんです。たとえば、「オムツが早くとれることは、良いことだ」と、思っていませんか? 無理にオムツを取ろうとして、それでおもらしをして子どもにイライラして、ストレス抱えるぐらいなら、オムツが自然に取れるのを待てばいいんじゃないかなと思います。きっと、「他の子よりも早くオムツがとれる」とか「喋り出すのが早い」とか「立つのが早い」とか……。無意識に他の子と比較しちゃうんでしょうね。次は、学校の成績や習い事の上手い下手、進学先や就職先、結婚相手……と比較ばかりしていると、その先にあるのは「自分のことを他の誰かと比較する人間」のできあがりですよ。―幡野さんは、比較とは無縁そうですね…(笑)幡野:僕自身、誰かと比べられるのが嫌いなので、自分の子どもを他の子どもと比較するなんて絶対に嫌です。妻の実家に行くと、「早くオムツ取れるといいわね」と言われるんですけれど、「関係ねえよ」と、僕は大きい声で言っちゃいます。人は比較する生き物だというのはわかっているんですが、あまり巻き込まれたくないので、面倒くさい人に釘を打つのは、大事な仕事かなぁと。僕は、1人の子どもを夫婦2人で育てていて、かなりギリギリだと感じています。これは僕もやってみてわかったことです。もし、ワンオペでやらざるをえないんだったら、よっぽど他の部分を切り捨てないと無理です。家事なんか、無理。バッサリと割り切って、合理的にやっていかないと難しいと思います。― ワンオペ育児でも「家事をきちんとやらないと」と思う人は多いですよね…。幡野:毎日の食事を自分で作らなければいけないと思っている人は多いですが、「そんなにがんばらなくていいんじゃないかな?」と、思います。もちろん好きで楽しんで食事を作ってる人はいいのですが、うちはかなりウーバーイーツに頼っています。子育てという、あんな大変な仕事を、1人でなんて、絶対に無理です。何度も言いますが、ウチは1人の子どもを夫婦2人で育てていてギリギリです。子どもが泣き止まない。僕はそんな時、音楽を聴いている― 幡野さんみたいに、「合理的」+「人と比べない」だと、だいぶ楽になれそうです幡野:そうですよ。人の目を気にするより、自分の子どもからの目を気にした方がいいですよ。僕は、子どもが泣き止まないとき、イヤホンをつけて音楽を聴くこともあります。「泣き声」でイライラするくらいだったら、イヤホンをつけて自分の好きな音楽を聴いていた方がいいじゃないですか。―泣き声は、自分が責められている気がしてしまうんですよね幡野:泣き声は生理的に不快だから、ですよね。それだったら僕は自分が耳栓をしたり、イヤホンで音楽を聴いて自分の気持ちを落ち着けてから子どもの対応したほうがいいと思うんです。「子どもが泣いているのにイヤホンで音楽を聴いているなんて、何て、ひどい人!」と言う人もいると思いますが、僕は「合理性に欠けるな」と、思っちゃいます。楽するところと、がんばるところを分けて考えればいいのに。親の方が立場が強い期間なんて一瞬― 楽をしていいところを見極める……。そういう「境地」になかなかたどり着けないです幡野:まず、人のことを気にするのをやめたらいいと思うんですよね。周りの人のことより、自分と自分の子どものことを気にした方がいい。あとね、最終的に「子どもの評価」を「自分の評価」にすり替えちゃう人がいるんです。― 子どもは、自分とは切り離して考えた方がいい? 幡野:そりゃそうですよ。想像するのが難しければ、「先輩」「後輩」ぐらいの関係性で考えてみたら、どうでしょう。 自分が何もできない新人の時に、「ガミガミ怒る先輩」と、「優しくいつも待って教えてくれた先輩」、どちらに信頼を置きますか? おそらく、感情的に「ガミガミ怒る先輩」を尊敬することって難しいですよね。それは親子関係でも、同じだと思います。今、子どもは自分よりも弱い存在ですが、15年ぐらいで抜かれますから。親がよっぽど成長する人でない限り、そのうち絶対に抜かれます。親の方が立場が強い期間なんて人生で圧倒的に一瞬ということを意識した方がいいと思います。幼少期は、自分と子どもの信頼関係を積み重ねる時期― 著書の中の「言葉で人の歩みを止めることも、背中を押すこともできるならば、できるかぎりぼくは背中を押す人でありたい」という言葉が印象に残りました。子どもの背中を押すことができるママになるために、どうすればいいですか? 幡野:子どものことを、否定しないことじゃないですか? たとえば、うちの息子がyoutubeを見て「これ、欲しい」と言った時、僕はいつも「いいね! 今度、探しにいこうか」と、言うんです。3歳の子どもが「これ、欲しい」というのは、少し噛み砕けば、「これ、いいな」ということでしょう? それを、大人の都合で「いらない」とか「すぐ飽きちゃうよ」と決めつけるのは、子どもの感情の否定だと思うんです。買う、買わないは、別の話として、「いいね! 今度、探しにいこうか」って言えばいいと思うんです。―どうして、幡野さんは、そういうセリフがサラっと出てくるのでしょうか?幡野:そうだなぁ、そうですね……。いずれ評価をするのは、子どもだと思ってるからですかね。最後は自分の人間性が子どもにバレるんです。だから僕は子どもに自分の価値観をできるだけ押しつけないようにしています。幼少期は自分と子どもの信頼関係を積み重ねる時期なんだと僕は思ってるんです。幡野さんの人生相談が人気の理由詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、恋愛相談から家族のこと、病気の悩みなど多種多様な人生相談に幡野さんが答えています。「家庭のある人の子どもを産みたい」「娘がイジメられていて自殺を考えている」「2歳半の息子の子育てがツラい」「娘が非行にはしった」「中2の息子の成績が悪い」「友人と同じ人を好きになった」「夫の浮気が判明し、自分の病気も発覚した」ヘビーな相談も多いのですが、幡野さんは、子どもや立場の弱い人に徹底的に寄り添いつつ、合理的――そして、問題の本質をさらっと見抜きつつ本音で生きることの大切さを伝えてくれます。合理的で優しい…このバランスの絶妙さが幡野さんが人気の秘密だと思いました。…本の帯には「言葉で人の歩みを止めることを、背中を押すこともできるならば、できるかぎりぼくは背中を押す人でありたい」と書かれています。幡野さんが誰かの背中を優しく(時に強く)押している言葉をぜひ読んでみてください。子どもとの関係に役立つ言葉はもちろん、人生のヒントがたくさん散りばめられています。ガンになった写真家になぜかみんな、人生相談をした。 Amazonで詳細を見る 『なんで僕に聞くんだろう。』 幡野広志著/幻冬舎刊 定価(本体1500円+税)
2020年02月26日マルチな才能で人気を博している青島広志による「世界まるごとクラシック」。 子供からお年寄りまでに親しまれているこのコンサートでは、青島が指揮、司会、解説、編曲、イラストなど多彩な活躍を繰り広げている。この1月11日の公演も広い東京国際フォーラムホールAが満員の盛況。演奏は今年創立10周年 を迎えるシアターオーケストラトーキョーが務めた。世界まるごとクラシック2016今年はスッペの喜歌劇「軽騎兵」序曲から始まった。映像用のスクリーンが舞台の両サイドにあり、指揮者やオーケストラのメンバーの表情が映し出される。青島の書いた作曲家のイラスト肖像画や曲目解説の字幕も入る。ショパンのピアノ曲「華麗なる大円舞曲」を青島自らがオーケストラ用に編曲。ここでは、ワルツがひとつ変わる毎に照明が変わる演出も施された。正月の定番、宮城道雄の「春の海」も青島の編曲。日本の旋律がフル・オーケストラで繊細に表現された。まるごと版「モーツァルト・メドレー」はこの日が初演だった。青島は「一番好きな作曲家はモーツァルト」という。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、「フィガロの結婚」序曲、「魔笛」序曲、交響曲第40、41番などをつなぎ、ここでもアレンジを施した。この日一番の聴きものだった。前半最後は、今年が生誕140年、没後70年となるファリャの「恋は魔術師」から“火祭りの踊り”。後半は、唱歌「1月1日」をみんなで歌って始まった。そして、ジョン・ウィリアムズ作曲の映画「スター・ウォーズ」より“メイン・タイトル”。勇壮なトランペットのファンファーレだけでなく、大オーケストラの迫力が満喫できた。次はセミ・クラシックを代表する作曲家アンダーソンの「タイプライター」。親しみやすい小品。今年が没後310年にあたるパッヘルベルの彼の代表作「カノン」では、ヴァイオリン群が3つに分かれて、旋律を順番に演奏(カノン)していく。今年のみんなで歌うコーナーは、「サウンド・オブ・ミュージック」より“ドレミの歌”。青島が振り付きで聴衆をリードする。最後は、ビゼーの歌劇「カルメン」から4曲が演奏された。アンコールはウィーン・フィルのニューイヤーコンサートと同じ、ヨハン・シュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」。青島は舞台を降り、客席まで入って、手拍子を指揮した。2時間を超えるコンサートは、バラエティに富み、青島のユーモアを交えた早口の解説で情報も満載。ボリューム感たっぷりの内容を満喫した。東京公演の後は大阪、愛知、北海道、広島の各地で開催。チケット発売中。テキスト:山田治生
2016年01月25日