こんにちは、婚活FP山本です。現役会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、年金を受給するようになると確定申告が必要になるかもしれない事をご存じでしょうか。仮に不要であっても、確定申告しないことで余計な損をしているケースも多々あるのが実情です。現役中の方も年金受給中の方も、基本的な知識は持っておきましょう。そこで今回は、年金受給者の確定申告についてお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。そもそも年金受給者でも確定申告が必要?まずは年金と確定申告の基本についてお伝えします。そもそも日本では、基本的に「全ての利益」に対して税金が発生するルールです。これは給料でも年金でも変わらず、そして給料もそうですが、年金でも基本的に税金が源泉徴収されます。一方、いくつか例外もあり、公的年金が158万円未満の場合(65歳未満なら108万円未満)だと源泉徴収はありません。また公的年金には、給与所得控除のような「公的年金等控除」という制度もあり、年金額が158万円未満(65歳未満なら108万円未満)だと収入ナシと見なされて税金も発生しない制度です。あなたの年金額はいくらでしょうか?上記の通り、158万円が一つの境界線となります。この金額を超えているなら確定申告が必要……というより、基本的に「したほうが得」です。覚えておきましょう。年収の中に税金天引きの所得があるならメリット年金を含めて、年収の中に税金が天引きされている、源泉徴収されている所得があるなら、確定申告したほうが得なことも多いと言えます。なぜなら、源泉徴収された税金は多めに取られていることも多いので、確定申告することで返してもらえることも多いためです。なお、先ほどの公的年金等控除は、2020年から変更予定となっています。一応、年金その他の収入が1000万円以下なら、同時に基礎控除も変更予定なので税負担は変わりません。しかしそれでも「自分の場合はどうか」を確認しておきましょう。年金所得者の確定申告不要制度の要件!次は、年金所得者の確定申告不要制度についてお伝えします。実は年金所得者の場合、以下の要件を満たす時は確定申告が不要です。公的年金等の収入金額が400万円以下公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下簡単に言えば、まず年金が400万円以下で、そして給料や個人年金などが年20万円以下の場合、確定申告しなくても良い制度になります。ただし、以下の場合は確定申告が必要です。所得税の還付を受ける場合確定申告が必要な特例を受ける場合つまり……悪く言えば「損を受け入れるなら確定申告しなくていい」といった意味合いです。また確定申告は不要でも、代わりに住民税の申告が必要なこともあります。なるべく、確定申告することをおすすめしたいところです。20万円以下の対象者は年金暮らしの人?先ほどの要件で、年金が400万円を超える人は滅多にいません。しかし給料や個人年金などが年20万円以下というのは、意外と厳しい要件と言えます。給与所得控除などを差し引いて計算するにしても、多くの場合で超えてしまうでしょう。20万円以下の対象者は、実質的に「年金暮らしの人」かもしれません。必要性の面でも損得勘定の面でも、どちらで考えてもやはり確定申告は「すべきもの」と考えておくことをおすすめします。年金だけで生活できる人は限りなく少ない……ここで少し余談をお伝えします。確定申告が必要なら老後は働きたくない……などと考えた人もいるかもしれませんね。確定申告が必要なのは、基本的に「年末調整がない年金受給者」です。定年延長などで、引き続き勤め先で年末調整できるなら確定申告は要りません。ただ、定年後の就労は非正規雇用やアルバイトということも多く、必ずしも年末調整があるとは限らないのが実情です。一方、今は老後資金2000万円問題が上がっているように、定年後に働かなくていい人はかなり限られています。実質的に、働かない選択肢は中々ありません。年金だけでは中々生活できない以上、ひいては確定申告も必要になる可能性が極めて高いと言えます。余計な損を防ぐためにも、確定申告できるようになっておきましょう。在職老齢年金の見直しを含め、働くのが基本実は現在の年金は、現役世代並みに稼げる(65歳以上なら月47万円)高齢者に限り、年金額が減らされる「在職老齢年金制度」が採用されています。ちなみに対象者は、高齢在職者のうち約13%です。この制度が、2021年から見直される可能性が高まっています。つまりそれほど、国としても高齢者に意欲的に働いてほしい訳です。もはや定年まで働けばいい人生モデルは成り立たなくなっています。老後も働く前提なのですから、合わせて確定申告も覚悟しておきましょう。年金収入の確定申告の方法とは?ここからは、年金収入の確定申告の方法についてお伝えします。まず、年金(と給料)収入について申告する場合に使う必要な書類は、以下の通りです。確定申告書A(公的年金等の)源泉徴収票また確定申告では、1枚目(第一表)で所得毎の総額を、2枚目(第二表)で内訳を記載します。なお、書類作成は国税庁サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を使うと、書き方の説明もありますからおすすめです。合わせて、必要に応じて「生命保険料控除(証明書)」なども申告・添付します。税金とは、以下の流れで計算しますから、合わせて理解しておきましょう。収入-経費=利益×税率=税金額「〇〇控除」という税金計算上の経費を増やせるほどに、最終的な税金額も安くなります。全部で14種類ありますから、他に使えるものがないかも確認しましょう。収入の金額と種類以外は通常と同じ給料は給与所得に該当し、年金は雑所得に該当します。また現役中の給料と比べ、基本的に年金額は割安です。そんな収入の金額と種類の違いはあるものの、確定申告の基本や書き方については現役の方と変わりません。経験済みなら、安心して取り組みましょう。なお、扶養控除や配偶者控除は、対象が高齢者(70歳以上)になると控除額が上がります。高齢者に優しいのが日本ですね。せっかくの優遇があるのですから、使えるなら忘れず申告しましょう。[adsense_middle]確定申告の提出の仕方と期限は?今度は、確定申告の提出や期限についてお伝えします。まず、確定申告書の提出の仕方は以下の通りです。税務署へ郵送する税務署へ持参するe-Taxを利用する(事前の申請や一定の機器が必要)また確定申告は、毎年2月16日~3月15日が期限となっています。この期間の税務署は沢山の高齢者が申告に来ていますから、持参するにしても気後れはしないでしょう。さらに最近では、土曜日も受け付けている税務署も増えてきましたから、平日働いていても大丈夫です。なお、申告が必要なのに期限に間に合わなかったり申告しなかったりすると、相応のペナルティを受ける可能性があります。余計な損を生まないためにも、ひとまず期限はしっかり守りましょう。書き方や仕方が分からない時は税務署で相談を!初めて確定申告するのであれば、どうしても分からない部分も出てくるのが普通です。そんな時は、ぜひ税務署に相談しましょう。特に確定申告の期間中は、専用の相談・作成コーナーを設ける税務署も多いです。書き方や仕方について、署員の方に相談しながら完遂しましょう。一方で、確定申告は毎年のことです。いつまでもできない、分からないままでは、それはそれで節税面などで損に繋がりかねません。なるべく早めに確定申告のことも理解していきましょう。老後資金は2000万円どころか4000万円必要!最後に、肝心なことをお伝えします。確定申告も含め、何事も年齢が高まるほどに目新しいことに困難や苦手意識を感じがちです。すると、どうしても人は避けようとしますね。お気持ちは分かるものの、確定申告を避けると労働を避けることにも繋がりかねません。一方、今は老後資金2000万円問題が言われていますが、実際には多くの場合で2000万円どころか倍の4000万円は必要です。しかし4000万円を超える資産を持つ高齢者は、全体の2割以下となっています。つまり、多くの場合で老後も働かなければならない訳です。限界まで働き、ギリギリまで貯金を減らさないようにするのが老後を生き抜く基本と言えます。そのためには、確定申告もセットで必要です。ちなみに確定申告は、例えば家賃収入や資産運用で老後対策をする際にも必須ですから、避けられないと考えて挑みましょう。尽きる直前では遅い、早くから対策を!多少なりとも貯金がある方の中には、まだまだ「いつか貯金が尽きる現実」を理解していない方も沢山おられます。実際のところ、70代~80代で貯金が尽きそうな方も多いです。尽きてから、尽きる直前になってからでは、定年直後よりもさらに諸々の対処のハードルは高いでしょう。働き口を探すのも働くのも、確定申告を覚えるのも、少しでも若いほうが有利です。70代~80代よりは、まだ今のほうが若いのではないでしょうか。どんなに周囲のサポートがあったとしても、肝心なのは本人です。ぜひ今のうちから、少しでも早くから、確定申告も含めて「未来への備え」を始めていきましょう。年金生活のためにも確定申告に慣れておこう働くにしても年金生活するにしても、どちらにしても老後は確定申告が必要になる可能性が高いです。仮に不要であっても、確定申告しない・できないのは損に繋がりやすいと言えます。人間いくつになっても成長できない訳ではありませんから、ぜひ早めに確定申告にも慣れていきましょう。
2019年11月25日「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」さらに、注意してほしいのが、5年年金を繰り下げたからといって、手取り額が42%増額するとは限らないという点だ。「平均的な収入で、40年勤め上げたサラリーマンの年金額は、厚生年金と基礎年金を合わせて、約188万円とされています。しかし、国民健康保険や介護保険などの社会保険料があるため手取りは約166万円になります。これを70歳まで繰り下げると、年金額は約267万円まで増えるが、社会保険料に加え、所得税と住民税もかかるようになり、手取り額は約225万円に。手取り額でみれば、35%の増額にしかなりません」
2019年11月15日「年金は繰り下げが正解!」「いや65歳からもらうべきだ」。さまざまな意見に、多くの人も迷っていることだろう。でも、正解は“夫婦によって違う”。あなたにとっての正解はーー。「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」それでは、さまざまな夫婦のケースから、“賢いもらい方”を考えてみよう。【1】会社員の夫と同年齢妻サラリーマン家庭の場合、夫が完全リタイアする65歳から受給を開始するのが基本だ。「いまは企業に再雇用が義務付けられていますし、60歳からの5年間は働くことは大前提です。収入がある間は繰り上げる必要はないですよね」65歳以降も、家計に余裕がありそうなら、年金の繰り下げを検討してもいいかもしれない。「じつは、どの年金を繰り下げるかは選ぶことができる。夫の厚生年金のみを繰り下げたり、妻の基礎年金のみを繰り下げたり。さまざまな選択ができるのです」繰り下げる場合、女性の平均寿命のほうが長いので、妻の年金から検討するのが合理的だ。要件を満たしていれば、夫が亡くなると、妻は遺族厚生年金がもらえるようになるが。「妻が基礎年金のみ受給している場合、夫の厚生年金の約4分の3が、妻の年金に上乗せされます。しかし、仮に繰り下げによって、生前に夫が厚生年金額を増額していたとしても、遺族厚生年金の算出の基準となるのは、65歳時点でもらったときの受給額です」【2】会社員の夫と年下妻妻が年下の専業主婦などの場合は、加給年金をもらえるので、厚生年金は繰り下げないほうがいい。ただし、夫の基礎年金を繰り下げても、加給年金には影響はない。「夫の厚生年金は65歳から受給して、基礎年金のみを70歳まで繰り下げると、加給年金をもらったうえで、70歳からの年金額を約33万円も増やすことができます。仮に、夫が5歳年上の夫婦の場合、夫が81歳、妻が76歳の時点で、夫婦の受給総額は4,326万8,040円となり、繰り下げなかった場合の受給総額を超えることになります」夫が85歳、妻が80歳の時点では、134万円も“得”をする。ちなみに、加給年金をもらわずに夫の厚生年金と基礎年金の両方を70歳まで繰り下げた場合、受給総額が夫の基礎年金のみを繰り下げた場合を超えるのは、夫が86歳、妻が81歳の時点だ。だが、「平成30年簡易生命表」(厚生労働省)によると、65歳男性は平均84.7歳までしか生きられない。夫が65〜70歳の間は無年金になるうえ、夫は平均よりも長生きしなければならない。【3】会社員と姉さん女房妻が年上の場合は、妻が65歳を迎えた時点で、夫は現役世代か、再雇用で働いていることになる。「夫が働いている間は、妻は年金をもらわなくても生活が成り立つ可能性が高い。であれば、受給を繰り下げて、老後に備えるという選択をすることもできます」仮に妻が5年受給を繰り下げた場合、81歳時点で“得”することになる。【4】自営業の夫婦満額の基礎年金は、65歳受給開始で月額約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどにすぎない。「定年のない自営業者の場合は、できる限り働き、可能な限り繰り下げることが大事です」70歳まで繰り下げれば、基礎年金額は月額9万2,300円に。夫婦ともに繰り下げれば、18万4,600円。だいぶ心強い金額になるのだ。必ずやってくる老後を豊かなものにするために、あなたも年金の繰り下げを検討してみてはどう?
2019年11月15日「今年6月、“年金だけだと老後資金が2,000万円不足する”とした金融庁の報告書が話題となりました。そして、8月末に厚生労働省が、今後の年金制度の見通しである“財政検証”を発表しました。しかし、いずれもサラリーマン夫と専業主婦の妻というモデル世帯を中心とした分析。独身で、一人暮らしの女性などは、参考にしにくくなっているのです」そう語るのは家計コンサルタントの八ツ井慶子さんだ。7人に1人の女性が生涯結婚しない時代。さらに50歳以上の離婚率は’90年から比べて、2.5倍の5.49%(’17年)にまで増えている。夫との死別なども含め、一人暮らしをしているいわゆる“おひとりさま”は現在、65歳以上女性の5人に1人にあたり(内閣府「令和元年版高齢社会白書」)、今後も増えていく見込みだ。まず、知っておく必要があるのが、将来の年金見通し。「もともと、物価の上昇などにあわせて、年金の支給額も上がっていく仕組みでした。しかし、『マクロ経済スライド』が導入され、寿命の延びなども考慮して、年金支給額の上昇は調整されるようになりました。年金は実質的に“目減り”していくのです」(八ツ井さん・以下同)もらえる金額は変わらなかったり、わすかに上がっていたりしても、物価はそれ以上に上昇していくため、もらえる年金の価値はどんどん減っていく。実際に、どれくらい減るのだろうか?「人口比や寿命の延びから、独自に年金の将来を試算してみました。10年後の’29年には、年金を受け取る65歳以上の人口は3%増加する見込みです。一方、年金の保険料を支払う20〜64歳までの人口は6.5%減ると予想されている。さらに、この20年間の平均余命の伸び率から、10年後の女性の寿命は2.5歳ほど延びると仮定。それらをふまえて計算した結果、10年後の年金支給額は、マイナス11.03%になると試算しました」わずか10年で、約1割以上の減!そんな試算をもとに、タイプ別の“おひとりさま”の年金の今後を見てみよう。「会社員として働いていた女性が現在、受け取っている年金の平均額は、基礎年金と厚生年金をあわせて10万8,776円。しかし、10年後、支給額は、現在の価値に換算して9万6,778円にまで下がってしまう見通しです(以下、10年後の予想額はすべて現在の価値における金額)」最新の家計調査によると、65歳の単身女性の月の支出額はおよそ15万円(総務省2018年「家計調査」)。現在でも4万3,000円ほどの赤字だが、10年後には5万4,643円に。仮に95歳まで生きた場合、単純計算で1,967万円の不足となる。だが、それ以上に厳しいのは、自営業者などの国民年金のみの受給者だ。10年後に予想される基礎年金の額は4万9,663円。今年10月に始まった、年収が87万9,300円以下の条件を満たせば支給される、「年金生活者支援給付金」の5,000円(満額)を足しても、とても年金だけで生活はしていけないだろう。大黒柱だった夫が亡くなった場合の専業主婦はどうだろうか?「たとえば会社員の夫が亡くなり、子どもがいなかった場合、夫がもらえるはずだった厚生年金の4分の3にあたる遺族厚生年金をもらうことができます。これは再婚しなければ一生涯、受け取れます」10年後に年金額が“減った”場合でも、平均で実質12万円の受給。それでも65歳以上の“おひとりさま”の平均支出額からは、月に3万円ほどの赤字で、95歳までの30年で累計1,147万円の不足に。専業主婦がサラリーマンの夫と離婚した場合はどうだろう。「サラリーマンの夫と離婚した場合、“離婚分割”といって、夫の厚生年金の一部を受け取れます。といっても、夫の厚生年金の半分がもらえるわけではありません。婚姻期間中に夫が払った保険料の“実績”の半分をもらえるというもの。対象は厚生年金だけです。当然、婚姻期間が長いほど、もらえる金額は増えますが、分割後に増える金額は、現在でも平均3万1,000円ほどにすぎません」10年後は、その平均が2万7,632円まで目減りするかもしれません。“おひとりさま”平均支出からいえば、月に7万9,126円の赤字で、30年だと2,849万円不足する。かくも厳しい“おひとりさま”の老後生活。しかし、これはあくまでも、平均額をもとにしたモデルケース。個人差があるので、注意してほしい。「一人暮らしは、1人あたりの生活コストが割高になります。世帯の人数が2人から1人になっても、家賃や光熱費は半分になるわけではありませんから。しかし、見直しは十分可能。まずは契約している電力・ガス会社を変えたり、携帯電話のプランを検討して、光熱費や携帯電話代など、毎月必ずかかる“固定費”を見直しましょう。削減の効果は一生涯続きます」さらに、“おひとりさま”には攻めの姿勢が大事かもしれない。「重要なのは、長く働くことです。将来への不安を、働いていない人は働き始めるきっかけに、すでに働いている人は働き続ける動機に変えてみてはいかがでしょうか」金銭的には不安が多い“おひとりさま”。でも、自分のライフプランを自分1人で決められるのも、また“おひとりさま”の特権だ。
2019年10月28日最近、「在職老齢年金」の見直しがさかんに議論されている。在職老齢年金とは、年金をもらいながら働く60歳以上の方を対象としたもので、給与と年金の合計額が、基準額を超えたとき、厚生年金が減らされる制度だ。現在の基準は65歳以上が47万円、60~64歳は28万円だが、年金の減額は高齢者の働く意欲をそぐと問題に。そこで、基準を62万円に引き上げることを中心に検討されている。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■年齢に関係ない基準額の引き上げを期待たとえば65歳のAさんは、給与が月45万円で、年金は月15万円。給与と年金の合計が57万円で基準の47万円を超えるため、年金が減らされています。減額は、合計57万円から基準47万円を引いた残り10万円の半額、5万円です。Aさんの年金は月10万円に。しかし、改定案どおりに基準が62万円になった場合、Aさんの年金は減額されず、月15万円のまま受け取ることができます。基準が上がり、年金の減額者が減るのはいいことでしょう。ただ、対象者はかなり限られています。現在、働きながら年金をもらっている65歳以上で、もっとも多いのは、年金と賃金の合計額が20万~24万円の方です。合計額が47万円を超えるのはかなりの高給取りで、働きながら年金をもらう方の17%、年金受給者全体の1.5%しかいません(’19年10月・厚生労働省)。それより問題は60~64歳のほうです。働いている方がたくさんいるのに、基準は28万円と65歳以上より低水準です。今回の改定議論では、65歳以上と同様、基準を62万円に上げる意見もありますが、現行のままでよいという意見が根強いようです。というのも、年金の支給は原則65歳から。今65歳未満の方がもらっているのは「特別支給の厚生年金」などに限られ、それも男性は’25年、女性は’30年に制度そのものが終わってしまうからです。ですが、今働く60代前半の方は体力ややる気がまだあるのに、年金が減額されない程度にと給料を抑えてしまうでしょう。その後、65歳以降に基準額が上がったところで、一度抑えた給与を上げるのは至難の業です。在職老齢年金を改定するなら、年齢に関係のない基準額の引き上げを期待したいものです。日本の少子高齢化は予想を上回るスピードで進行しています。今年1~7月の出生数は、前年同期より5.9%減って約52万人。このままだと、今年の出生数は90万人を下回ると言われます(厚生労働省)。働き手が減り、年金受給者が増えていくなか、国は、高齢者にできるだけ長く働いて、長く年金保険料を払う側にいてほしいと考えています。そのため、在職老齢年金の改定や、年金受給を75歳まで先送りできる制度、基礎年金の払込期間を今の40年から45年に延長する案などを検討しています。その先には、年金の受給開始を70歳に延ばしたい思惑が丸見えです。私たちは議論の行方に注目しながら、長く働ける体力作りにも力を入れたいですね。
2019年10月25日金融庁が「老後には夫婦で2,000万円必要」と金融審議会報告書で公表した際は世の中に大きなインパクトを与えました。「えっ、そんなお金ない……どうしよう!」と焦った人も多いのではないでしょうか?そしてやっぱり気になるのが「皆は老後資金をどのくらい貯めているのかしら?」ということ。総合旅行プラットフォーム「エアトリ」が10代~70代の男女959名を対象に実施した「老後の貯金」に関する調査の結果をご紹介します。■ 「老後に2,000万」で焦った人は23.1%!miya227 / PIXTA(ピクスタ)調査ではまず、「『老後に2,000万円の貯金』のニュースを聞いてどう思いましたか?」と質問。すると、「以前からそうなると思っていた」と回答した人が最多で56.2%。次いで、「焦りを感じた」(23.1%)、「何も感じていない」(20.6%)という結果となりました。ただ、世代によって老後資金に関する考え方は異なるかもしれませんね。20~30代であれば当然「まだまだ先の話だから大丈夫」と焦りを感じていない場合も多いかも。逆に、40代以降でまだお金が貯まっていない場合は焦りを感じるかもしれません。次に、「報道を聞いて何かを始めましたか?」と尋ねると、圧倒的に多かったのは「何もしていない」。全体では74.2%、最初の質問で焦りを感じた人では68.0%という結果でした。焦りを感じた人でも、なかなか行動にまでは結び付いていないようです。次に多かったのは「節約」。最初の質問で焦りを感じた人は19.4%、全体では14.2%という結果となりました。3位以降は「経済やお金に関する勉強」(11.3%/全体7.7%)、「投資」(5.4%/全体5.7%)、「副業」(5.4%/全体3.8%)でした。tomcat / PIXTA(ピクスタ)節約したりお金について学んだり、収入源を増やすといった行動は、本人の焦りが熱意となった結果といえそうです。■ ズバリ!現在の貯金額はいくら?Rina / PIXTA(ピクスタ)では実際、現在いくら位の貯金を持っているのでしょうか?ズバリ「現在の貯金額はいくらですか?」と尋ねると、年代ごとにかなり違う答えが出ました。総合的に見ると、年代が高く老後の生活に近づいている世代ほど貯金額が多いのが分かりますが、30代以下の若い世代でも結構しっかり貯めている人もいるのは心強いですね!50代、60代以上で最も多かったのは「2,000万円以上」で、50代が21.7%、60代が31.7%という結果に。また30代以下では「100万円以上300万円未満」と答えた人が21.8%に上りました。若い世代には結構堅実なタイプが多いのかもしれません。freeangle / PIXTA(ピクスタ)一方で、30代以下の最多は「50万円以下」で27.3%。しかし、働き盛りともいえる40代も同じ金額が22.6%とトップという驚くべき結果に……。また、50代19.3%、60代以上11.4%と、「50万円以下」と答えた人がかなり多いことが判明。これでは「老後2,000万円」発言に焦るのも無理はないかもしれませんね。freeangle / PIXTA(ピクスタ)みなさんの家庭では、老後のための貯金をしていますか。老後に向けた貯金は早く始めるのが無難でしょう。後々「貯金がない……」とならないよう、しっかり計画を立てたいものですね。【参考】※ 「老後2000万円」報道聞いて7割が「何もしていない」 事が判明 60代以上の貯金額「2000万円未満」は7割 「すべて節約できる」男性24.1%に対し女性は7%と男女で節約に対する意識に大きな差が
2019年10月04日国民年金の保険料は、原則として、日本に住んでいる20歳から60歳までの人が納めなければならない義務を負っています。そのため、例えば20歳を過ぎた学生をはじめ、失業して収入のない人など、国民年金を払うのが困難な人や払えない人にも納付義務があることを意味します。最悪な場合ですと、年金を払わないことによる財産の差し押さえもあり得ることを踏まえ、本記事では年金と差し押さえの関係について解説を進めます。年金を払わないと、ただちに財産が差し押さえられるわけではない国民年金保険料を未納のまま、長い期間に渡って放置していた場合で、最悪な場合は財産を差し押さえられてしまうことになるのは確かですが、年金を払わないからといって、ただちに財産が差し押さえられるわけではありません。実際に、国民年金保険料の未納がある場合、通常は年金事務所から特別催告状が自宅へ郵送で送られ、何かしらの対応が求められます。また、日本年金機構から委託を受けた会社(アイヴィジット)が、国民年金保険料の未納になっている人に対して、電話などで納付を促すこともあります。国民年金保険料の未払いや不払いによる滞納を長く続けると危険信号国民年金保険料の未払いや不払いによる滞納を長く続けることは問題ですが、何よりも大きな問題は、年金事務所などから連絡があった場合に未対応のまま放置することです。前項では、年金を払わないからといって財産がただちに差し押さえになるわけではないことをお伝えしましたが、大まかに解説しますと、催促、督促、最終通告などのように、未納や滞納問題がエスカレートしていき、最終的に財産の差し押さえとなるわけです。年金を払えない、払わないから連絡しないは最もしてはいけないこと年金事務所などから催促や督促などの連絡が来た時に、年金を払えないためや払う気がないからなどといった理由で、連絡をしないことは最もしてはいけないことです。たとえば、経済的な理由などが原因で毎月国民年金保険料を納めるのが困難な人も多いと思われますが、このような立場に置かれている方であれば、まずは年金事務所へ相談をしに行き、納付ができない事情をしっかりと説明することが重要です。国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などの対応方法とは前項で紹介しましたように、国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などが届いた場合は、放置をせずに速やかに年金事務所へ相談をすることが正しい対応方法と言えます。当然のことながら、未納や滞納をしている国民年金保険料をすべてまとめて納付できることが望ましいのは確かですが、意図的に払わない人を除きますと、その大半は経済的な理由によるものが考えられ、全額納付はまずもって不可能でしょう。年金事務所へ相談を行い、国民年金の保険料免除申請を行う国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などが届いた場合は、放置をせずに速やかに年金事務所へ相談をすることが正しい対応方法です。この時、なぜ国民年金保険料を納付することができないのか、事情を説明した上で国民年金保険料の免除申請を行うようにして下さい。なお、免除方法には全額免除、半額免除などがあり、相談に行った人だけではなく、配偶者などの収入(所得)によって免除の条件が変わります。国民年金保険料の未納や滞納が多いと考えられる人とその理由国民年金保険料の未納や滞納が多いと考えられる人には、主に無職やフリーターなど収入(所得)が少ない人、自営業者やフリーランス、場合によっては学生などが考えられます。また、次項で紹介する国民年金の種別が変更になったことによる影響もあると思われますが、このように言い切れる理由には、収入の問題だけではなく、国民年金に加入している人の種別と納付方法が大きく関係しているためです。[adsense_middle]国民年金に加入している人は、大きく3つの種別に分けられる本記事の冒頭では、国民年金の保険料は原則として、日本に住んでいる20歳から60歳までの人が納めなければならない義務を負っていることをお伝えしました。そのため、上記年齢の範囲にあてはまっている人は、基本的に以下で紹介する3つの種別のいずれかに必ず該当していることになります。(例外あり)国民年金の第1号被保険者国民年金の第1号被保険者とは、後述する、国民年金の第2号および第3号の被保険者にあてはまらない人のことを指し、考えられる主な職業は以下の通りです。無職フリーター自営業者フリーランス学生など国民年金の第2号被保険者国民年金の第2号被保険者とは、会社員や公務員など、毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている人のことを言います。判定のポイントとして、必ず正社員でなければならないといったことではなく、契約社員、アルバイト、パートなどといった待遇であったとしても、毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている人であれば、国民年金の第2号被保険者に該当します。国民年金の第2号被保険者になる主な職業は、以下の通りです。会社員公務員契約社員・アルバイト・パート(毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている場合に限ります)会社役員など国民年金の第3号被保険者国民年金の第3号被保険者とは、前項で解説した国民年金の第2号被保険者に扶養されている配偶者で、年齢が20歳以上60歳未満の人です。実務上、国民年金の第3号被保険者に該当するためには、収入要件など他の条件も満たしている必要がありますが、ここでは、大まかに主な職業を紹介しておきます。専業主婦(主夫)アルバイトやパートに就いており、給料から厚生年金保険料が天引きされていない人種別における国民年金保険料の納付方法国民年金の種別は第1号被保険者から第3号被保険者まであることが分かりましたが、それぞれの種別によって国民年金保険料の納付方法は異なります。重要ポイントは、第1号被保険者以外は、基本的に自ら国民年金保険料を納付することがないため、仮に国民年金の第2号被保険者や第3号被保険者になっている期間については、未納期間や滞納期間が発生することはないことになります。国民年金の種別変更に注意勤務先を退職した場合や年齢が60歳に達した場合など、様々な事情によって国民年金の種別が変更になることがあります。たとえば、国民年金の第2号被保険者であった人が勤務先を退職し、その人には扶養している配偶者がいたとします。この時、夫婦いずれも国民年金の第1号被保険者に種別が変更となり、種別変更届を行わなければ、将来もらえる年金額などに影響が生じてしまう点に注意が必要です。国民年金の種別変更忘れによる不整合があった場合前項の例の続きとなりますが、たとえば会社員であった第2号被保険者が退職し、第3号被保険者であった配偶者が種別変更届を行わなかった場合、誤りのあった部分についての国民年金保険料を後から納付する必要があります。(本来ならば第1号被保険者であるのにも関わらず、第3号被保険者として取り扱われていた未納部分のことです)この場合、基本的に配偶者である本人に国民年金保険料を納付する義務が生じますが、本人が納付できない場合、次項で紹介する法律上のルールに則って納付をする必要があります。国民年金保険料の納付義務についてポイントを知っておこう国民年金保険料を払わないと最終的には財産を差し押さえられることになるのですが、ここでは国民年金保険料の納付義務についてポイントを解説します。実のところ、国民年金法という法律の中には、国民年金の納付義務について規定しており、以下にポイントをざっくりまとめます。国民年金の被保険者は、国民年金保険料を納付しなければならない世帯主は、世帯に属する被保険者の国民年金保険料を連帯納付する義務を負う配偶者は、被保険者になっている他方の国民年金保険料を連帯納付する義務を負う国民年金保険料を本人が納付できない場合、世帯主や、未納や滞納状態である本人の配偶者が連帯納付しなければならないことを意味します。[adsense_middle]国民年金保険料と財産の差し押さえについて、これまでの解説をまとめます国民年金保険料と財産の差し押さえについて、これまでの解説を流れに沿ってまとめます。国民年金保険料が未納や滞納状態の場合、年金に関係する機関から特別催告状などの納付に関係する連絡がある1の連絡があった場合、速やかに年金事務所へ納付の相談へ行き、国民年金保険料の免除申請手続きを行う免除された期間について、催促や督促といった連絡が来ることはない免除申請の結果、免除された以外の未納部分がある場合は納めることになるが、本人のみならず、世帯主や配偶者も連帯納付する義務を負っている国民年金保険料を払わないことによる財産の差し押さえは、本人のみならず、世帯主や配偶者などが意図的に払わないなど、悪質な場合に十分ありえると予測できます。国民年金保険料を納付しないことによる財産の差し押さえは余程のこと国民年金保険料を納付しないことによる財産の差し押さえは余程のことであると考えられ、通常は年金事務所などから連絡が入った後に、納付についての相談をすることで解決するはずです。しかしながら、相談後のルールを破ったり、連絡を無視し続けたことが財産差し押さえという最悪な結末を迎える訳であり、いわば自業自得というしかありません。年金未納による差し押さえに関するまとめ国民年金保険料の未納や滞納が原因で財産を差し押さえられる場合とは、催促や督促といった再三の連絡に対して、応対や相談をしなかった場合であり、いわば長い期間に渡って、極めて不誠実な対応を行ったことによる結果です。国民年金保険料は、世帯主をはじめ配偶者なども未納となっている家族のものを連帯納付する義務を負っているため、年金を払わないことによる財産の差し押さえは余程のことと理解する必要があるでしょう。
2019年09月23日「『年金生活者支援給付金』とは、公的年金を受け取っている人で、年金を含めた所得が一定額以下の方の生活を支援するために、消費税が引き上げられる10月から年金に上乗せして支援金が支給される公的支援制度のことです」こう語るのは社会保険労務士の和田雅彦さん。10月から消費税が10%にアップすることで私たちの生活はますます厳しくなることが予想される。そんななか最も影響を受ける低所得者への支援という意味合いで「年金生活者支援給付金」(以下、支援給付金)が増税のタイミングで新設されるという。「給付対象者には今月中に請求書が送付される予定です。請求書に所定事項を記入し、返送することで国(日本年金機構)が審査をし、給付の決定を行います。給付対象者になると、10月以降に支給額が記載された通知書が届きます」つまり“自ら手続きをしないともらえるものももらえない”というのは、他の年金関連の申請手続きと同じということ。そこで支援給付金の仕組みと手続き方法について和田さんに解説してもらった。「まず対象となるのは65歳以上で年金が支給されている方。そして、前年の収入が年金と他の収入を合わせても老齢基礎年金の満額相当額(約78万円)以下であること。これから年金を受け取る人もこの要件に該当すれば支給されます」ただし所得が要件をギリギリ超えてしまって対象外となった場合、給付を受けた人より封入が少なくなる“逆転現象”が起こることも。「そのときは、年金と他の収入が約88万円までであれば、逆転が起こらないように、別の給付金『補足的老齢年金生活者支援給付金』が支給されることになります」また障害基礎年金、遺族基礎年金を受けている人で、給付金の受給要件を満たしている場合も支給の対象になる。厚生労働省の試算では、すべて合わせると対象者は約970万人になるという。となると、気になる支給額は?「老齢年金受給者に対する給付ですと、対象者は基本的に『月額5,000円×保険料納付済期間÷480』で計算された額が支給されます。保険料納付済期間とは、20歳から60歳までの40年間(480月)のうち、国民年金の保険料を支払った期間、会社員や公務員であった期間、あるいは会社員、公務員の被扶養配偶者であった期間です。また、保険料免除期間についても給付に反映されます」ちなみに“480月すべて支払った”場合には、月額5,000円、年間6万円が支給されることになる。「また対象は世帯ではなく個人ですので、夫婦どちらも支給対象となる場合は、それぞれに支給されることになります」対象者には9月中に請求書が送付されてくるが、どんな申請手続きが必要なのだろうか――。「請求書はハガキ形式となっており、基本的には、提出日、氏名、電話番号を所定の位置に書き込むだけです。難しくないので、書類が届いたら早く申請しましょう」支給の要件を満たす限り、一度手続きを行えば、以後の手続きは不要だが、いったん支給の要件を満たさなくなった場合は、再開には改めて請求手続きが必要になる。「認定されると10月分と11月分の給付金は、12月中旬に振り込まれます。以降、振り込みは年金と同じ口座に偶数月に行われます。ただし、ハガキ請求の到着が10月18日以降になると、振り込みも来年2月以降になってしまいます。さらに、今年中に請求すると、制度のスタートである10月分から振り込まれますが、請求が来年にずれ込むと、請求した月の翌月分からしか受け取れないので注意が必要です」「申請用紙が届かない」「自分が対象範囲内なのかわからない」という場合は速やかに近くの年金事務所に相談することと和田さん。「とにかく、認定請求をしないことには給付は受けられません。また、申請が遅れると損をしてしまいます。自分の身は自分で守るためにも、早急の申請を心がけてください」
2019年09月18日現行の年金制度では、原則として65歳になると、将来の老後生活資金にあたる老齢年金を受け取ることができます。ただし、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできるようになっています。本記事では、これらの内、年金の受け取りを遅らせる繰り下げ受給についてポイント解説を進めていきます。国民年金の繰り下げ受給とは老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げは、66歳から1ヶ月ごとに0.7%ずつ増額され、細かく増額率が設けられていることが分かります。年金を繰り下げすることによってもらえる年金が増えることはご理解いただけたものの、実際の年金額がいくらになるのかイメージがわかないと思いますので、次項では簡単な例で繰り下げ受給の効果を紹介します。老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げをした場合の年金額老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間においてすべて国民年金保険料を納付した場合、65歳から支給される年金額は年額で780,100円です。(令和元年9月現在)ここでは、仮に40年間の国民年金保険料をすべて納めた状態の人が、66歳0ヶ月から繰り下げした場合と70歳から繰り下げした場合の年金額を以下に紹介します。歳0ヶ月から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×4%≒65,528円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:845,628円(780,100円+65,528円)老齢基礎年金(国民年金)を繰り下げした場合の年金額を計算するには、年間の年金額に増額率を乗じて計算します。66歳0ヶ月から繰り下げした場合、上記表(緑枠)より8.4%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は845,628円となり、1ヶ月あたりの年金額は70,469円となります。70歳から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×42%=327,642円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:1,107,742円(780,100円+327,642円)70歳から繰り下げした場合、上記表(水色枠)より42%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は1,107,742円となり、1ヶ月あたりの年金額は約92,311円となります。厚生年金をもらえる人は、老齢厚生年金も繰り下げの対象会社員や公務員の方をはじめ、これまで厚生年金保険に加入した年金履歴がある人は、前項で紹介した老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も支給されます。この時、年金の繰り下げを行った場合、国民年金から支給される老齢基礎年金だけではなく、厚生年金から支給される老齢厚生年金も繰り下げの対象となります。なお、厚生年金を繰り下げした場合における増額率は国民年金と同様ですが、厚生年金を繰り下げした場合、経過的加算額が上乗せされるため、受け取ることができる年金はさらに多くなります。年金受取年齢は何歳が良いのか?65歳を基準に比較検証本記事の冒頭では、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできる旨をお伝えしました。年金を早くもらうことを繰り上げ、遅くもらうことを繰り下げと言いますが、ここでは本来年金が支給開始になる65歳を基準に、繰り上げした場合、65歳から年金をもらった場合、繰り下げした場合の3つを比較してみます。[adsense_middle]比較検証の前提条件と比較結果比較検証を分かりやすくするために、以下の前提条件で簡易なものとします。比較検証は、60歳から繰り上げをした場合、65歳から年金を受け取る場合、70歳まで繰り下げした場合の3パターンを比較します支給される年金は、令和元年9月現在における老齢基礎年金の満額(780,100円)のみとします60歳からの繰り上げは、30%減額とし、70歳からの繰り下げは42%増額とします死亡年齢は、平均寿命とし、男性81歳、女性87歳とします上記以外の条件は、加味しないものとします男性の場合女性の場合比較検証結果は、何年生きられるかわからないため、結果論に過ぎない比較検証の結果、男性も女性も平均寿命まで生存していた場合、年金を70歳から繰り下げする受取方法が最も有利であることが分かり、女性の例のように、長生きをすればするほど総受取年金額に大きな差が生じることになります。ただし、自分自身が何歳で死亡するのか分からないわけでありますから、あくまでも比較検証は結果論であり、早くに死亡した場合は逆転現象が起こることになります。年金を繰り下げするメリットとデメリットこれまでの解説や比較検証を基に、年金を繰り下げするメリットとデメリットをまとめます。年金を繰り下げするメリット年金を繰り下げするメリットは、本来もらえるはずの年金が多くなるところにあります。前項の比較検証は、国民年金(老齢基礎年金)のみの場合で簡易的なものとなりますが、仮に厚生年金から支給される老齢厚生年金のことも考慮しますと、年金を繰り下げすることによる年金額の増加は、さらに大きなものになります。また、繰り下げした際の増額率は一生変わらないため、長生きするほどその効果が大きくなります。年金を繰り下げするデメリット年金を繰り下げするデメリットは、仮に早くに死亡をしてしまった場合、もらえるはずであった老齢年金を受け取ることができないため、結果としてロスが生じてしまう懸念があります。このほか、国民年金の振替加算や厚生年金の加給年金など、ざっくり言ってしまうと、一定条件を満たすことで保障されるその他の年金が支給されないデメリットが生じる点も挙げられます。毎年、税金を納めなければならない懸念が生じる年金の繰り下げを行いますと年金収入が多くなりますが、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)は、雑所得として税金が課される対象となります。そのため、たとえば年金を繰り下げして70歳からもらう場合などで、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)をいずれの年金も受け取る場合などは、毎年税負担が強いられる可能性が高くなります。税法上の扶養控除の対象にならない懸念が生じる年金を繰り下げすることによって年金収入が多くなった場合、年金受給者である本人は税負担が生じる可能性があるほか、税法上の扶養控除の対象にならない懸念も生じます。たとえば、会社員である子供と同居をしていたと仮定し、年金収入が少ない場合、子供は親を扶養控除の対象とすることができる可能性が高く、税負担を軽減させられますが、繰り下げによる年金収入が多い場合は、扶養控除の対象外になってしまう可能性も否めません。健康保険の被扶養者になれない可能性が高くなるこちらも会社員である子供と同居をしている例で紹介しますが、年金を繰り下げすることによって年金収入が多い場合、健康保険の被扶養者になることができず、75歳になるまでは国民健康保険に加入する必要があります。(75歳から後期高齢者医療保険に切り替わるため)健康保険の被扶養者になれることで国民健康保険の負担を当然に避けられますが、世帯全体で見ますと、無駄にお金を支出してしまう懸念が生じることも否めません。年金を繰り下げする上での注意点年金を繰り下げすることによって年金が多くもらえることは確かですが、前項で紹介した各種年金制度や税金をはじめ、公的保険などの関係性も幅広い視野で見ていきますと、一概に年金が多くもらえるから得といった考えになるのは危険です。年金を繰り下げすることによって年金収入が増加する分、税負担や公的保険の負担が強いられるとするならば、それらの支出を差し引いたトータルで、年金の繰り下げを検討する必要があると言えます。以下、年金を繰り下げするその他の注意点について紹介します。[adsense_middle]年金の繰り下げ手続き後に取り消しや修正はできない年金の繰り下げをするためには、繰り下げをするための手続きをする必要があるのですが、一度繰り下げ手続きをしますと、後から取り消しや修正といった各種変更をすることはできません。そのため、年金の繰り下げ手続きを行う前は十分に考え、慎重な判断が必要になると言えるでしょう。年金の繰り下げは、遺族が代わりに行うことができない仮に、年金の繰り下げの待機中に本人が死亡してしまった場合、遺族は死亡した本人がもらうべきであった年金を未支給年金といった形で受け取ることができます。ただし、未支給年金は日本年金機構(年金事務所)に対して請求しなければもらえないほか、未支給年金の金額は繰り下げした金額ではなく、本来ならば65歳から支給されるはずであった金額となります。他の年金を受け取れる権利が発生した場合、繰り下げできない他の年金を受け取れる権利とは、具体的には66歳になる前に遺族厚生年金や障害厚生年金などを受け取れる権利を得た人のことを指し、このような人は年金の繰り下げができないことになっています。年金の繰り下げは、損得以前に老後生活ができるのかを考える年金は、老後生活をしていく上で極めて重要な生活資金であることを踏まえますと、年金の繰り下げは損得以前の問題であり、そもそも年金の支給が無い状態で老後生活をしていくことができるのかを考える必要があります。なぜならば、一度年金の繰り下げ手続きを行った場合、後から変更をすることができないからです。仮に若年者の方で、将来年金の支給が無ければ老後生活が厳しい人にとってみますと、年金の繰り下げを考えるよりも、まとまった老後生活資金を準備する対策を事前にとっておく方が望ましいと言えそうです。年金の繰り上げも考慮した長期目線の老後生活を考える年金の繰り上げは、年金を早くから受け取ることができる仕組みですが、本来もらえるはずの年金が減額されたとしても、長期目線で老後生活のお金がうまく回るのであれば、決して悪いこととは言い切れない場合もあるでしょう。もちろん、年金の繰り上げも年金の繰り下げと同じようにメリットやデメリットがあるものの、目先のメリットやデメリットだけに捉われるのではなく、ご自身や世帯にとって納得のできる有利な選択を取れることが望ましいと思われます。年金の繰り下げに関するまとめ年金の繰り下げは、損得以前に、そもそも安定した老後生活を継続して行っていけるのかを考えておく必要があります。仮に、老後生活が厳しく、年金が老後生活資金に欠かすことができないものであるならば、少なくとも年金の繰り下げをすることは望ましい選択肢とは言えず、むしろ年金が減額されたとしても繰り上げする方が望ましい場合もあるでしょう。年金の繰り上げや繰り下げといった年金の受け取り方は、ご自身が置かれている状況をはじめ、考え方や直感による影響が強いものとなりますが、配偶者との相談も含めて納得のいく年金の受け取りを実現するようにしたいものです。
2019年09月15日老後資金2,000万円が不足する問題のニュースが金融庁から発表されたことをきっかけに、将来の老後資金や年金破綻の懸念が多くの人の頭をよぎりました。政府(国家)は、この金融庁の発表について誤りだと指摘したものの、次いで経済産業省では老後資金が3,000万円不足するといった発表をした経緯もあり、どの情報が正しいのか、わけが分からなくなっている人も多いのではないでしょうか。そこで本ページでは、これらの内、年金破綻に焦点を当て、FP目線の考えを紹介していきたいと思います。将来、日本の年金制度が破綻する可能性はあるのか現状においても、支給される年金が少ないという多くの声が上がっている中で、これまで以上に将来の年金支給金額が減少することは、若年者の老後生活は相当厳しいものになると予測する考えとつじつまが合うのではないでしょうか。当初、100年安心と言われた年金制度の定義は一体どうなってしまったのか、首をかしげたくなります。消費税の増税によって、すべての国民が支出に対して負担増になる消費税の税率が10%に増加することによって、今後すべての国民は支出に対する負担増が強いられることになりますが、消費税が10%に上がる前の時点で、10%の消費税率が終わりではないといった議論がなされたことがニュースになりました。つまり、若年者が老後年金生活を迎える時には消費税がさらに多くなることも十分予測でき、そのようになりますと、現在よりもなお将来の老後生活は相当厳しいものになるでしょう。自助努力による老後資金対策が左右する時代年金制度が破綻する可能性が極めて低いと考える理由を紹介しましたが、やはりこれからの老後資金や老後生活を考えていく上で重要なのは、自助努力による老後資金対策になると言えます。現在高齢者の方々が現役世代であった時代のように、お金を預金へ預け入れていれば多くの利息を得られる時代ではなくなっており、預金でお金を寝かせておく時間的なロスは避ける必要があります。では、老後資金対策は、どのように行うのが良いのでしょう。[adsense_middle]個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用した老後資金対策個人型確定拠出年金(iDeCo)は、預金・保険・投資信託といった金融商品を自由に組み合わせて自ら資産運用をするもので、まとまった老後生活資金を節税しながら準備することができる私的年金制度のことです。個人型確定拠出年金(iDeCo)は、現状まとまった老後資金を準備するには極めて優良な制度と言えます。つみたてNISAを活用した老後資金対策つみたてNISAは、2018年(平成30年)1月から新たに始まった少額投資非課税制度のことで、金融庁が指定した投資信託またはETF(上場投資信託)を毎月一定金額ずつ買付して資産形成する方法です。つみたてNISAは、まとまったお金が手元になくても少額から始められる特徴があり、無理なく老後資金の準備をしやすいメリットがあります。小規模企業共済を活用した老後資金対策小規模企業共済とは、経営者や会社役員の方などが、廃業や退職時の生活資金のために積み立てる制度のことを言い、会社員や公務員で言うところの退職金制度です。小規模企業共済は先に紹介したiDeCoやつみたてNISAと異なり、基本的に誰でも加入できるものではなく、加入対象が限られているものの、小規模企業共済を老後資金対策として活用できることは確かです。小規模企業共済の詳細については、以下、中小機構のWEBサイトを見て確認されてみることをおすすめします。年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を考えるよりも自助努力をする方が賢明年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を私たち一個人が考えても、残念ながら自分自身の老後生活が豊かになることはありません。これまで以上に厳しい老後生活が強いられることが十分予測できる中で賢明なのは、やはり、先に紹介した制度を賢く活用した自助努力に尽きると筆者は考えます。国が国民に対して、老後生活は自分自身で準備してといった丸投げの批判も多いものの、不満を言っても何も変わらないわけであり、自分や家族は自分たちで守る考えを持つことがこれからの時代に必要なことと言えそうです。年金制度の繰上げ受給についても知っておこう現在、国民年金や厚生年金は原則として65歳から支給されることになっておりますが、65歳になる前に年金を受給することもでき、これを年金の繰上げ受給と言います。繰上げ受給には、全部繰上げと一部繰上げの2つの方法が設けられているものの、いずれの繰上げ受給を行ったとしても、本来ならば65歳から支給されるはずであった年金額よりも少なくなってしまう点に要注意です。繰上げ受給した年金は一生変更できない仮に、年金を繰上げ受給するための手続きを行い、実際に年金の支給を受けた場合、以後死亡するまでに支給され続ける年金額は減額され続けた金額となり、一生変更することはできません。繰上げ受給をした場合、長生きをすることでトータルの受取年金が少なくなる、障害年金や遺族年金といった他の年金の支給などに大きな弊害を生じさせるデメリットもあるため、繰上げ受給の請求は慎重に検討をする必要があります。なお、年金の繰上げ受給における注意点については、以下、日本年金機構のWEBサイトで詳しく解説されております。年金破綻の可能性に関するまとめ年金破綻の可能性は極めて低いと思われる一方、年金破綻の防止策として、若年者が将来支給される年金額は現在よりもさらに少なくなると見積もっておくのが無難でしょう。また、消費税の増税など負担の強いられる要素が様々なところで発生する懸念も考慮しますと、若年者の方はもちろん、老後生活に不安のある人は早急な対策が求められることになります。ご自身の懐具合と将来を考慮し、貯蓄・資産運用などできるところから始める必要があると言えます。
2019年09月15日年金は、将来の老後生活を考える上で欠かすことができない重要なお金です。しかしながら、将来支給される年金の見込み額は、これまで支給されてきた平均的な年金額よりもさらに少なくなることが予測されており、会社員(サラリーマン)や自営業者をはじめ、夫婦共働き世帯にとっては関心の高い問題だと思われます。そこで本記事では、将来の年金はいくらもらえるのかについて、ポイントや考え方について紹介していきます。年金がいくらもらえるのかを知る前に受給資格期間を要チェック上記は、平成31年度に50歳未満の人に対して送付されるねんきん定期便の例となりますが、裏面の受給資格期間(赤枠箇所)が120月(10年)以上になっていれば、将来年金の支給が受けられる受給資格期間を満たしていると確認することができます。なお、こちらは参考情報となりますが、ねんきん定期便を破棄や紛失した場合などで、古いものしかないといった人もおられる可能性も考慮し、平成30年度分の書式が違うものも紹介しておきます。年金の受給資格期間を満たせていない場合仮に、年金の受給資格期間を満たせていないことが確認できた場合、このまま放ったらかしておきますと、将来年金が1円たりとも支給されず、これまで支払ってきた年金保険料がすべて無駄になってしまいます。国民年金や厚生年金は、将来、どのくらいもらえるのか将来いくらくらい年金がもらえるのかは、ねんきん定期便の裏面にある、これまでの加入実績に応じた年金額(赤枠部分)を見ることで確認できます。なお、ここで言う年金の加入実績に応じた年金額とは、65歳から支給される現在の年額であり、たとえば30歳の方であれば、今30歳の方が年金の支給を受けた場合に1年間で支給される年金額といったイメージになります。国民年金と厚生年金は、基本的に併給される前項で解説したねんきん定期便にある、これまでの加入実績に応じた年金額に記載されている(1)老齢基礎年金は、国民年金から支給される年金のことを指し、(2)老齢厚生年金は厚生年金から支給される年金のことを指しています。このように、国民年金と厚生年金は年金の履歴によってそれぞれ計算され、どちらの年金も一緒に支給が受けられることになるのですが、これを併給(へいきゅう)と言います。年金の支給は、原則として偶数月の15日に2ヶ月分まとめて支給されるこちらは参考情報となりますが、原則として65歳から支給される年金は、偶数月の15日に前月と前々月分の2ヶ月分がまとめて支給される仕組みになっています。たとえば、10月15日に30万円の年金が口座へ振り込まれたとした場合、年金の内訳は、8月分15万円、9月分15万円といったイメージです。このような年金制度の仕組上、仮に年金の支給を受けている人が死亡した場合、必ず未支給の年金が発生することになるため、遺族の方は、この未支給の年金を請求してもらい忘れのないように心がけておきたいものです。年金の繰上げ受給について減額された年金は生涯に渡って受け取ることになり、65歳以降も減額された年金額が戻ることはないため、繰上げ受給の請求は慎重に行う必要があります。繰上げ受給をすると国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額される本記事中において、国民年金と厚生年金は基本的に併給され、どちらの年金も支給されることを紹介しましたが、繰上げ受給をすると国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額されます。前項の解説の通り、減額された年金額が元に戻ることは一生ないため、国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額される影響は、長い目で見るとかなり大きなデメリットになってしまいます。なお、一度繰上げ請求した後に取消しをすることはできないため、解説が重複しますが、繰上げ受給の請求は慎重に行う必要があります。繰上げ受給をして長生きすると、損をする自分は何歳まで生きるのか誰にも分かりませんが、仮に繰上げ受給をして長生きすると、65歳から年金の支給を受けた場合に比べて損をしてしまうデメリットが生じます。なお、参考までに、年金を繰上げ請求した場合と繰上げ請求しなかった場合における受給総額が同額となる年齢を紹介しておきます。繰上げ請求した年齢60歳の場合:76歳8ヶ月繰上げ請求した年齢61歳の場合:77歳8ヶ月繰上げ請求した年齢62歳の場合:78歳8ヶ月繰上げ請求した年齢63歳の場合:79歳8ヶ月繰上げ請求した年齢64歳の場合:80歳8ヶ月たとえば、繰上げ請求した年齢が60歳の場合で、76歳8ヶ月を超えて長生きした場合は、65歳から年金の受給を受けていた方が得であるといった見方になります。障害年金や遺族年金の支給に影響が生じる場合がある障害年金や遺族年金は、65歳から支給される老齢年金に比べて支給金額が多く、受給者にとって有利になる場合がほとんどですが、繰上げ受給をした場合、障害年金や遺族年金の支給に影響が生じるデメリットがあります。ざっくり言ってしまいますと、障害年金や遺族年金の支給を受けられる条件を満たしていたとしても、繰上げ受給をしたことによって、これらの年金の支給が受けられないことがあるということです。一般的に考えますと、デメリットは大きくなると言えます。繰上げ受給をする前は、年金事務所や専門家へ相談するのが望ましい年金の繰上げ受給は、年金が早くもらえるメリットがあるものの、それ以上のデメリットが極めて多いことが分かりました。実際のところ、先に紹介したデメリットのほかにも、専門的なデメリットが多数あるため、仮に年金の繰上げ受給を検討している方は、年金事務所や専門家である社会保険労務士などへ相談するのが望ましいと言えます。将来いくら年金がもらえるかを知るには将来もらえる年金額がいくらなのかをより正確に知るためには、毎年、誕生月になると郵送されるねんきん定期便を確認したり、ねんきんネットを活用するのが確実です。なぜならば、国民年金の納付履歴、免除履歴、未納履歴や厚生年金を計算する上で必要な平均標準報酬月額、平均標準報酬額、年齢、性別などは、すべての方で異なるためです。そのため、ねんきん定期便やねんきんネットの見方や活用方法を知る方が、楽でより確実な方法だと言い切れます。
2019年09月14日国民年金の保険料は、原則として20歳から60歳までの40年間において、日本に住んでいるすべての方が納めなければならないことが法律(国民年金法)で決まっています。つまり、国民年金には納付義務があることを意味しますが、仮に国民年金を納めない場合、実のところ、老後の年金問題だけに関わらない数多くのデメリットが生じてしまいます。そこで本記事では、国民年金を払わないデメリットを中心に解説を進めていきます。国民年金保険料を払わない主なデメリット国民年金保険料を払わない主なデメリットとして、滞納者および未納者本人が障害や死亡といった状態になった場合において、国民年金から支払われる障害基礎年金や遺族基礎年金の支給が受けられない懸念が生じます。また、原則として65歳から支払われる老後生活資金にあたる老齢基礎年金も支払われない懸念が生じるため、国民年金保険料を払わないことに対するメリットは一切なく、デメリットしかありません。国民年金の支払いが滞納や未納の場合、具体的にどうなるのか令和元年度(平成31年4月~令和2年3月まで)における国民年金の保険料は、1ヶ月あたり16,410円となっており、無職の人や低所得の人からしますと、国民年金を納めるのが義務だと分かっていても、中々納められない人も多いのが現状です。実際、国民年金の納付について滞納や未納がある場合、日本年金機構から督促状が郵送で送付されたり、日本年金機構から委託を受けているアイヴィジットという会社から自宅へ電話が来たりします。国民年金保険料を滞納や未納の場合の対応方法国民年金保険料を滞納や未納にしている場合、日本年金機構(年金事務所)から督促状やアイヴィジットから電話が来ることをお伝えしましたが、これらの場合の対応方法をそれぞれ紹介します。日本年金機構(年金事務所)から督促状が届いた場合日本年金機構(年金事務所)から督促状が届いた場合は、督促状に書かれている内容を一度確認し、必ず年金事務所に電話連絡をするようにして下さい。この時、時間を設けて一度年金事務所へ足を運ぶことになる場合もありますが、重要なのは、なぜ未納や滞納になっているのか理由を説明した上で、国民年金の納付免除手続きを取ることです。なお、国民年金保険料の免除制度につきましては後程解説を進めます。アイヴィジットから電話が来た場合アイヴィジットから電話が来た場合、電話が来た時点で日本年金機構(年金事務所)に電話連絡を済ませているのであれば、すでに電話連絡をして今後の対応について相談することになっている旨を伝えることで足ります。日本年金機構(年金事務所)とアイヴィジットの情報伝達にはタイムラグが生じるため、すでに日本年金機構(年金事務所)に電話連絡を済ませた後であったとしても、重複して同じ内容の問い合わせが来ることも多々あります。そのため、とても不快な思いをしてしまうことも十分考えられますが、冷静に対応しておくようにしたいものです。国民年金保険料の免除制度とは国民年金保険料の免除制度とは、無職や低所得をはじめ、勤務先の倒産や解雇などによる失業によって、国民年金の保険料を納めるのが経済的に難しい場合に行う手続きです。国民年金保険料の免除制度を活用しますと、国民年金の保険料が滞納や未納といった取り扱いにはならず、納付が免除される取り扱いになり、以下のようなメリットが得られます。[adsense_middle]督促状や電話連絡による催促が来ない日本年金機構(年金事務所)から国民年金保険料の滞納や未納に対する督促やアイヴィジットからの催促などによる電話連絡は、あくまでも国民年金保険料の滞納や未納がある場合となります。したがって、国民年金保険料の免除制度を活用したことによって、これまでの年金納付履歴に未納期間がない場合は、これらの連絡が来ることはありません。国民年金の免除期間は、受給資格期間に反映される国民年金保険料の免除制度を活用しますと、国民年金が免除された期間について受給資格期間に反映されるメリットがあります。受給資格期間とは、年金の支給を受けるために必要な期間のことです。一例として、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金が支給されるために必要な国民年金保険料の納付要件について、以下に紹介します。なお、納付要件の紹介において、国民年金保険料の免除に関するものだけを紹介し、すべての納付要件ではないことをあらかじめ申し添えておきます。老齢基礎年金:国民年金保険料を納付した期間、または、免除された期間が10年(120月)以上あること障害基礎年金:初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること遺族基礎年金:死亡した人が、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、加入期間の3分の2以上あること国民年金保険料の滞納や未納期間は、受給資格期間に反映されない前項の解説より、国民年金の免除期間は受給資格期間に反映されるため、仮に老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金が支給されるための要件を満たした場合にお金を受け取ることができます。その一方で、国民年金保険料の免除申請をせず、国民年金保険料の滞納や未納をしていた場合、その期間は受給資格期間に反映されないため、免除申請を行っていた方が得策であることが分かります。国民年金の免除期間は、将来受け取る年金額に反映される実のところ、国民年金の免除期間は将来受け取る年金額に反映されることになっており、具体的には、原則として65歳から支給される老齢基礎年金を受け取る際に、2分の1が受け取れる仕組みになっています。大まかな例となりますが、仮に20歳から60歳までの40年間において、すべて全額免除の取り扱いとなった場合、1年間に支給される老齢基礎年金は、年額390,100円(令和元年度)となります。なお、滞納や未納は年金額に反映されません。国民年金保険料の納付猶予制度についても知っておこうこれまで国民年金保険料の免除制度について解説を進めましたが、国民年金の滞納や未納を防ぐための制度として、免除制度のほかに国民年金保険料の納付猶予制度があります。国民年金保険料の納付猶予制度とは、年齢が20歳から50歳未満の人で、本人と配偶者の前年の所得が一定金額以下の場合、申請をすることによって、国民年金保険料の納付が猶予される制度のことを言います。国民年金保険料の納付猶予制度が承認される一定金額とは国民年金保険料の納付猶予制度が承認される一定金額には計算式が定められており、以下の計算式によって計算した金額の範囲内であれば、国民年金保険料の納付猶予が承認されます。(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円なお、計算式にある扶養親族等の数とは、源泉徴収票や確定申告書に記載されている扶養控除を適用した人数のことを指しており、いわゆる税法上の扶養人数となります。したがって、0歳から15歳までのいわゆる年少扶養親族は、扶養親族等の数に含まれない点に注意が必要です。国民年金保険料の納付猶予制度は受給資格期間に反映されるが、年金額に反映されないこちらは、国民年金保険料の納付猶予制度における注意点となりますが、仮に国民年金保険料の納付猶予制度を活用した場合、納付猶予を受けた期間について、受給資格期間に反映されるものの、将来受け取る年金額に反映されません。次項で解説を進めますが、納付猶予を受けた期間は追納と言って、免除などの承認を受けた期間の国民年金保険料を後から納付しなければ、将来の年金額に反映されることはありません。追納申請をすると、納付書で後から国民年金を納付することが可能国民年金保険料を払わない場合、基本的に将来支給される年金額も増加しないため、このような事態を避けるために、免除や納付猶予を受けた期間の国民年金を後から納付することができる追納制度が設けられています。実際に追納をするためには、年金事務所に対して追納の申請手続きをする必要があり、この手続きを行うことによって後日納付書が自宅へ郵送され、その納付書で国民年金を納付する流れとなります。[adsense_middle]国民年金の保険料を追納する際の注意点国民年金の保険料を追納する際の注意点として、追納することができる期間が10年以内の期間に限られていることが1つ目の注意点として挙げられます。たとえば、平成30年4月の国民年金保険料を追納する場合の期間は、令和10年4月末日までといったイメージです。2つ目の注意点として、3年度目以降に追納をする場合、追納するべき国民年金保険料に時間が経過したことによる加算額が上乗せされることが挙げられます。これによって、本来納めるべき国民年金よりも多くのお金を納付しなければならなくなるため、早めに追納されることが望ましいと言えます。国民年金を追納した場合、税金の所得控除が適用できる国民年金の追納を申請し、郵送された納付書で国民年金を納めた場合、その納めた金額は、所得税や住民税を計算する上で控除される社会保険料控除として適用できます。たとえば、平成30年度に免除を受けた国民年金保険料が60,000円あったとし、この60,000円分の国民年金保険料を令和元年に追納したとします。この時、令和元年度の年末調整や確定申告時に60,000円分の社会保険料控除が適用でき、これによって納めるべき所得税や住民税が軽減されるメリットが得られます。年末(12月31日)近くに国民年金保険料を追納した場合の注意点通常、毎年秋ごろになりますと、日本年金機構より社会保険料控除証明書が自宅へ郵送され、1年間に支払った国民年金保険料の金額などが記載された葉書を受け取ります。これを年末調整や確定申告の際に添付して社会保険料控除の適用を受けますが、仮に年末(12月31日)近くなど、すでに社会保険料控除証明書が届いてからの追納は、同証明書に追納後の金額が反映されていません。そのため、このような場合は追納後に受け取る納付書の控えを添付することで、適用忘れをすることなく社会保険料控除が受けられることになるため、いつ追納しても大丈夫だと言えるでしょう。国民年金保険料の免除制度と猶予制度まとめこれまで、国民年金の保険料を払わないデメリットと滞納や未納を回避するための方法として、国民年金保険料の免除制度および国民年金保険料の納付猶予制度、追納制度について解説を進めました。本記事で解説した様々な制度があることによって、情報が上手く整理できない場合も考えられるため、以下、それぞれの制度を活用した場合における国民年金の受給資格期間と年金額の反映効果についてまとめます。年金を払わないデメリットは一目瞭然前項の表を見ると、国民年金保険料を滞納や未納のままにしておくデメリットは一目瞭然であることが確認できます。国民年金は、老後生活資金にあたる老齢基礎年金だけではなく、障害や死亡といった場合に一定要件を満たすことで支給が受けられる障害基礎年金や遺族基礎年金もあり、年金を払わない効果は、国民年金で保障が受けられるすべての年金に対してデメリットしか与えないことが分かります。国民年金保険料を滞納や未納にしている場合は、年金事務所へ相談を国民年金保険料を滞納や未納にしている場合は、できるだけ速やかに年金事務所へ相談をし、国民年金の免除制度や猶予制度が適用できないか対応をすることが得策です。一時的に免除や猶予の対応を受け、お金に余裕ができた時に少しずつ追納していくことが、将来の老後資金対策や配偶者および子供のためになることをしっかりと理解しておくことが極めて重要であると言えます。年金を払わないデメリットに関するまとめ国民年金保険料を払わないデメリットは数多くあります。実際のところ、それぞれの人が置かれている状況は全く異なりますが、例えば既婚の場合における未納のデメリットは大きいと考えられ、配偶者や子供がいる状態での障害状態や死亡といったリスクを生活保障の面で支える働きが国民年金にはあります。国民年金は、老後生活資金だけに特化したものではありませんので、広い視野で将来のお金や物事を考え、どうしても年金を納めることができない場合は、免除申請や納付猶予といった制度を上手に活用するようにしたいものです。
2019年09月09日年金だけでは老後の生活は成り立たないというのはもはや常識に。でも、このまま嘆いているだけでいいのか。もう、今さら働けないと思っている人にこそ読んでほしい、50歳から始める仕事探しーー。「金融庁が『老後2,000万円足りない』と発表して以来、『将来、年金をどれだけもらえるのか?』は、最大の関心事かと思います。でも、ただ手をこまねいているのではなく『65歳までに、いくら貯蓄できるのか?』を考えて、50代から世帯の年収を増やしていくべきです。50歳からはじめても、年金受給までに『1日数時間で1,000万円の貯蓄』も可能ですよ」こう話すのは、老後のライフプランニングに詳しいマネーセラピストの安田まゆみさん。でも「1日数時間で1,000万円の貯蓄」って、いったいどうやったら稼げるのだろう?「いえいえ、難しく考えることはありません。時給1,000円で1日3時間×週4日働くと、15年たてば約900万円の収入になります。そして1日4時間働けば、15年で1,200万円稼げます。ここで大事なのは、『いかに効率よく、つまり極力負担が少なく、無理なく続けられる仕事を選べるか』なんです」(安田さん)安田さんによれば、主婦が「無理なく続けられて、1,000万円貯蓄できる」仕事とは、おもに「家から出ずに働く」「主婦力を生かした仕事」「財産を働かせる」の3つに分類できるという。ここでは「家から出ずに働く」について、仕事選びのコツと心構え、そして注意すべき点を安田さんが解説。合わせて2人の実例を紹介。■家から出ずに働く「いざ、会社や店舗で働き始めたあとに、嫌な上司や先輩がいることに気づくなんてことはけっこうあります。もとよりメンタルが弱くて、なにも言えなくなってしまう人や、そもそも、人と一緒に仕事するのが苦手だという人もいます。そんな場合は『在宅ワーク』を選ぶべきでしょう」(安田さん)仕事の受注も、人と会うことなくスマホで進められる。在宅ワーク・プラットフォーム「シュフティ」などに登録し、クライアントからの仕事を受ければ、一度も直接会話することなく受注から納品、入金までを完了できる。「結婚前の仕事が『事務職』だった人や『パソコンを使っていた』という人も少なくないでしょう。文字入力の単純作業や商品レビューの作成など、SEなどの専門的な知識はなくても対応できる仕事はあります」(安田さん)【実例1】「パソコンは触れるだけ」でも月15万円稼げた/Aさん・40代・専業主婦「息子が私立大学に合格し、学費も含めてまとまった収入が必要になりました。夫は年収500万円ほどですので、私もパートで足しにと思っていたのですが、「インターネットで稼げる」という雑誌記事をたまたま目にしたんです」40代専業主婦のAさんは、資格などはなかったが、結婚前の職場では事務作業でパソコン操作することはあった。現在の業務内容は「ウェブ情報収集作業」で、1日3〜4時間ほど。平均月収15万円、年収は180万円ほどになるという。「仕事を始めて2年、PCでの作業が長時間だとつらいこともありますが、だいぶ慣れてきたので、継続して続けられそうです」【実例2】“好きなこと”の延長でストレスなく稼ぐ/Bさん・52歳・専業主婦「会社員の夫は年収750万円で、私は専業主婦です。息子2人はすでに社会人になり、子育ても終わったので、趣味を生かせる仕事がしたいと思っていました。若いころから文章を書くのが好きだったので、クラウドソーシングのサイトでネット記事をライティングする仕事に登録したんです」現在52歳のBさんは練習で書いた文章を添付して応募し、何度か「不採用」に泣いたものの、現在は軌道に乗り、月額平均で5万円ほどの収入になっている。「1日にかかる時間は3〜6時間とまちまちですが、好きなことなので無理なくできています。これなら65歳を過ぎても、やる気がある限り、続けられそうです」そんな在宅ワークだが、クライアントの顔が見えないため、報酬の未払いなど金銭トラブルが起こることがある。また悪徳業者の中には、受講料をとって資格を取らせて、仕事を発注しないという例もあるのでご注意を。仕事の探し方としては、ネットで情報収集をしつつ、同時に主婦友やママ友などの口コミも参考にするべきだという。「そうして多重構造で情報収集しておいて、比較検討することが大事。そのうえで、最終的に登録するのがスマホでも、友人・知人の紹介での面接でもいいんです。そして、仕事がつらい、続かないと思ったら、辞めてしまってもいいんです」(安田さん)老後のお金は不安、でも嫌なことをしてまで働きたくない……。そんな“わがまま”を押し通そう。
2019年09月07日5年に1度の年金の通信簿。令和初の財政検証が公表された。“政治事情”で公表が遅れたといわれるこの文書。記されていたのは、あまりにも灰色の未来だった――。「財政検証が8月27日に、ようやく発表されました。財政検証とは5年に1度、経済状況などを鑑みて、年金制度が持続できるかどうかを見る“通信簿”のようなもの。作成しているのは年金を所管する厚生労働省です。まさに国の見解といっていい」こう語るのは、経済評論家の平野和之さんだ。’14年以来、5年ぶりとなる「財政検証」はこれまでの例から、6月に発表されるとみられていたが、予想より2カ月以上遅れての公表となった。「当時、“2,000万円問題”でバッシングを受けていたことや、参議院選挙を控えていたこともあり、忖度が働いたのだと思います」それでは、そんな“忖度通信簿”の中身を解説してもらおう。「財政検証で重要になるのが、“所得代替率”。『現役男子の平均手取り額』に対する『夫婦2人のモデル世帯の年金受給額』の割合です。’19年度の『平均手取り額』は35万7,000円。『モデル世帯』の年金受給額は、夫婦の基礎年金13万円、夫の厚生年金9万円の計22万円です。よって、所得代替率は61.7%となっています」しかし、少子高齢化の時代に、この水準は維持できない。「制度維持のため、所得代替率を50%まで段階的に引き下げていくことは既定路線になっています」所得代替率が現在のモデル世帯の61.7%から50%に下がるということは、年金が2割ほど減るということ。現在の「平均手取り額」から計算すると、22万円から、17万8,500円への減額となる。それでは、どのように引き下げられていくのか。今回の財政検証では、女性と高齢者の労働参加が順調に進み、経済も成長していくケース1から、もっとも悪化していくケース6まで、6段階の試算が行われた。もっともよい試算であるケース1でも、所得代替率は5年後に60.9%に下がり、現在44歳の人が受給開始を迎える’40年には54.3%、そして’46年に51.9%になり、以降は下がらない。ケース1〜4までは経済成長率がプラスになることが前提だが、第一生命経済研究所の首席エコノミストである永濱利廣さんはこう警鐘を鳴らす。「現在、日中貿易戦争が懸念され、日本ばかりでなく、世界経済全体が冷え込んでいます。日本以外の国は、税金や国債などで公共事業などに投資する財政出動に傾いているのに、日本は10月に消費税増税を予定している。増税すれば景気が後退し、税収が下がることは過去の経験則としてある。そういった最悪のシミュレーションが、ケース6にあたる可能性があります」(永濱さん)年金制度に詳しい日本総研主席研究員の西沢和彦さんはこう語る。「(財政検証が前提としている物価や賃金の上昇率の予想は)過去の実績に照らし楽観的。現実的なのは、ケース5と6です」最悪なケース6では、5年後には所得代替率が60%となり、’43年には50%に。’52年に46.1%まで落ち込んだところで、将来に備えて現在160兆円用意されている年金積立金が枯渇する。その後、保険料と国庫負担で賄うことができる所得代替率は36〜38%にまで落ち込むと報告されている。所得代替率36%を現在の「平均手取り額」から計算すると、夫婦2人の年金額は12万8,520円。現在の水準から約42%の減額だ。とても暮らしていける額ではない。しかし、この試算すら“甘い前提”で成り立っているという。「ケース6では経済成長率がマイナス0.5%と想定されていますが、運用利回りはプラス0.8%。経済成長率がマイナスなら、運用益もマイナスになるのが普通なので、さらに悪い“ケース7”も試算するべきです」(平野さん)西沢さんはこう語る。「“100年安心”とは十分な年金がもらえるという意味での100年安心などではありえません。年金給付が抑制されていくことにより、制度として“持つ”という意味でしかないのです」
2019年09月05日「『女性自身』の記事を見たという方から、『私も探してほしい』という相談が7件寄せられました。そのうちの1人は、亡くなったお父さんの“消えた年金”を探し出し、年金4,000万円を受け取ることができました」そう語るのは“年金探偵”こと社会保険労務士で年金コンサルタントの柴田友都さんだ。信用金庫に勤めていたころから、「請求もれ年金相談」を研究。行方不明の年金の専門家として、これまで5,000件の“消えた年金”を探し当ててきた。’17年9月26日号の本誌で紹介したところ、読者からの問い合わせがあり、実際に年金が見つかったケースが相次いだという。“消えた年金”とは、’07年に持ち主不明の年金記録が約5,000万件も存在することが発覚し、社会問題となったことを指す。4,000万円を見つけたかおりさん(仮名・68)の父は大正生まれ。昭和25年(’50年)に機械器具の会社を設立し、昭和44年(’69年)の退職まで、厚生年金の保険料を納めていたが、その期間は239カ月。かおりさんの父の世代だと、年金の受給には240カ月(20年)以上の加入が必要で、1カ月不足していたため、無年金状態だった(現在の受給条件は加入期間10年)。父は昭和60年(’85年)に68歳で死去。母も平成24年(’12年)に亡くなっている。「お父さんは会社設立時に33歳。それ以前にも、会社に勤めていて、厚生年金を払っていた期間がある可能性が高いと考えました。しかし、娘さんも、『働いていたと聞いているが、どこで働いていたかは不明』とのことでした」(柴田さん・以下同)昔は厚生年金の記録を照会する場合、本人の氏名や生年月日に加えて、会社名が必須となっている。「調査は難航しましたが、調査開始から8カ月後、社名が変更されていたある会社を見つけました。そこは戦前に輸入代理店をしていてかおりさんの祖父が社長をしていたことが判明。その会社名で照会をかけたところ、かおりさんのお父さんの、昭和19年(’44年)12月〜昭和21年(’46年)3月までの16カ月分の厚生年金記録が見つかったんです」すでに明らかになっている239カ月を足すと、年金の加入期間は255カ月となり、受給資格はクリアとなった。柴田さんは、かおりさんの父がもらうはずだった「老齢厚生年金」と、母がもらうはずだった「遺族厚生年金」を請求した。老齢厚生年金を受け取っている人が亡くなった場合、その人に生計を維持されている配偶者は、遺族厚生年金を受け取れる。「かおりさんのお父さんが亡くなるまでの8年間の『老齢年金』と、お父さんが亡くなってからお母さんが亡くなるまでの27年分の『遺族厚生年金』と合わせて4,000万円が支給。両親が故人だったので、次女のかおりさんを代表に、子ども3人が受け取りました」このように、本人が受け取らずに亡くなってしまった場合、配偶者や子どもが受け取ることもできるのだ。柴田さんは日本の年金制度についてこう話す。「日本の年金は、“請求されれば、支払う”という法制度になっています。つまり、国は請求されないと払わないのです。もし、自分や家族に、年金が支給されていない疑いがある場合は、迷わず私に相談をしてほしい」自分の、そして両親のために、もう一度、年金記録を確認しよう。
2019年08月29日持ち主が判明していない年金記録はいまだ1,800万件も……。関係ないと思っていたのに、実は自分や家族にもらい損ねた年金があった例も多い。専門家に聞く消えた年金の見分け方ーー。「『女性自身』の記事を見たという方から、『私も探してほしい』という相談が7件寄せられました。そのうちの1人は、亡くなったお父さんの“消えた年金”を探し出し、年金4,000万円を受け取ることができました」そう語るのは“年金探偵”こと社会保険労務士で年金コンサルタントの柴田友都さんだ。信用金庫に勤めていたころから、「請求もれ年金相談」を研究。行方不明の年金の専門家として、これまで5,000件の“消えた年金”を探し当ててきた。’17年9月26日号の本誌で紹介したところ、読者からの問い合わせがあり、実際に年金が見つかったケースが相次いだという。“消えた年金”とは、’07年に持ち主不明の年金記録が約5,000万件も存在することが発覚し、社会問題となったことを指す。そもそも“消えた年金”はなぜ生まれたのだろうか。「かつて年金の記録は手書きで紙の台帳に記載されていました。’80年代から年金記録はコンピュータで管理されるようになりましたが、紙の台帳から正しく統合されなかったり、コンピュータに統合されるときの入力ミスも多かったりしたんです」(柴田さん・以下同)現在でも、持ち主不明の年金がおよそ1,800万件残っているという。特に“消えた年金”が多く埋もれているのが、昭和17年(’42年)〜昭和36年(’61年)の期間だ。「戦時中の昭和17年にスタートした厚生年金の前身である『労働者年金保険』から、国民年金の始まった昭和36年4月までの厚生年金に関しては、年金手帳が従業員に配布されていなかったこともあり、もらっている人が少ない。厚生年金に加入していたことすら知らない人もいるのです」今回、『女性自身』の記事を見て、柴田さんに問い合わせた読者の中にも、同様の人はいた。洋子さん(仮名・65)の父は昭和4年(’29年)生まれの90歳。戦時中に軍需工場で働いていた記憶はあるものの、ずっと工場名がわからなかった。依頼を受けた柴田さんは、「戦時中に沼津の軍需工場に終戦まで勤めていた」という洋子さんの父の記憶を頼りに年金を探し当てた。「ある航空機のメーカーが、当時沼津で航空機を生産していたことが判明しました。年金事務所で、社名を問い合わせて、お父さんの厚生年金を見つけました」自営業だった洋子さんの父は、それまで国民年金のみ受給していたが、厚生年金分の1万2,000円(2カ月分)が加算されることに。さらに、60歳の受給開始まで遡り年金を請求し、約200万円を受け取った。洋子さんの父のように、戦時下で徴用されて働いていた人が、知らないうちに厚生年金に加入していたケースは多い。もちろん、戦後でも同じようなケースはある。本誌を読んで柴田さんに問い合わせたよしこさん(仮名・64)も、義父が会社に勤めていたことが発覚し、義父の厚生年金と義母の遺族厚生年金を取り戻した。100歳の義母は涙ながらに喜んだという。「転職が多かった人や、結婚前に働いていた女性も、厚生年金が埋もれている可能性があります。昭和30〜40年代にパートに出ていた人が、じつは厚生年金に加入していたケースもあります」もしかしたら、あなたの両親やあなた、夫の年金も埋もれているかもしれない。柴田さんの作成した、次のチェックリストで確認してみよう。□戦時中に、軍需工場、挺身隊などで働いたことがある□戦前から戦後にかけて、民間会社に勤めていたことがある□配給品を扱う商店、組合に勤めていたことがある□米軍キャンプで働いたことがある□昭和34年1月以前に農業会(現・農協)に勤めたことがある□結婚前に会社に勤めていた□転職が多かった□公務員になる前後に民間会社に勤めたことがある□勤めていた会社が閉鎖、倒産、合併、社名変更した□パート、アルバイト、夏や冬だけの職場で働いたことがある□家族や親せきが経営する合資、合名、有限、株式会社で働いたことがある□自営業をはじめる前に会社に勤めていたことがある□夜間学校に通いながら、会社勤めをしたことがある□日本年金機構から「あなたのものと思われる年金記録があります」という通知をもらったが、そのままになっている「もし、チェックリストにあてはまる項目があるなら、“消えた年金”の可能性を疑ってほしい」(柴田さん)
2019年08月29日こんにちは、婚活FP山本です。先般、国が老後資金として2000万円必要などと言いましたね。突然の発表に驚いた人も多いのですが、それほどまでに年金が少ないことを初めて知った方も多いようです。そもそも年金とはいくらくらい貰えるものなのか、何か対策は無いのか……気になった人も多いでしょう。そこで今回は、国民年金と厚生年金の平均受給額や年金・老後対策について詳しくお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。国民年金の支給額は満額で80万円ほど!まずは、国民年金についてお伝えします。結論からいえば、国民年金の支給額は「満額で80万円程度」です。具体的な金額は毎年のように変わり、最新の平成31年4月分からの年金額は78万100円となっています。一ヶ月あたりに直せば、およそ6万5000円ですね。詳しくは後述しますが、年金額は「保険料の納付年数(月数)」で変わります。40年しっかり支払えば80万円程度になりますから、例えば半分の20年分しか保険料を支払っていなければ、貰える年金額も半分の40万円程度です。どちらにせよ、少額かもしれませんが……。もっとも年金は、保険料の支払い期間は決まっているのに年金の受け取り期間は「終身払い」です。つまり生存している限りもらえます。色々と不満も聞きますが、メリットも大きいのではないでしょうか。会社員の妻である女性は国民年金!想像以上に勘違いしている方も多いのですが、いわゆる専業主婦の女性がもらえる年金は「国民年金」です。会社員の妻として扶養に入っていれば保険料を支払わずに済みますが、あくまで「無料で国民年金に加入している」という扱いになります。このため年金額は、満額でも80万円程度です。会社員の扶養なのだから、妻も夫と同じく厚生年金が貰えると思っていた……という勘違いは、かなり危険といえます。そう思っていた方は、早急に何か老後対策を取りましょう。厚生年金の受給額は満額でも300万円ほど!次は、厚生年金についてお伝えします。厚生年金は、会社員が国民年金の上乗せとして貰える年金です。ただ、厚生年金は「保険料の納付額(年収)」で、大幅に貰える年金額が変わります。最近は年収も変わりやすいので、尚更に金額が分かりにくいのですが、ひとまず目安は以下の通りです。(※あくまで目安です)これに、先ほどの国民年金が加算されて貰えることになります。仮に40年満額を合算すると、年収400万円の方なら約170万円で月14万円ほど、年収1000万円の方でも約300万円で月25万円程度です。老後資金がたくさん必要なのも、何となく分かるところではないでしょうか。ただ、この通り「年収を上げれば年金も上がる」点も知っておいて頂きたいところです。目先でもお金は必要でしょうし、ついでに先々のためにも年収アップに努めましょう。「想像以上に安い」と感じる人がほとんどハッキリ言って、年金額は「想像以上に安い」と感じる人がほとんどです。また当人の年収が高いほど生活水準も高い傾向にありますから、どちらにせよ年金だけでは生活が成り立たないでしょうね。むしろ年収が高い人ほど、「現役との格差」を感じることになります。かといって、収入が落ちるのに合わせて生活水準も落とせるものではありません。落とせるにしても、ダイエットと同じく「少しずつ」が基本です。先々を見据えて動いていきましょう。将来の受給額は「納付額と年数」で決まる今度は、年金全体の基本と大局観をお伝えします。年金の受給額は、基本として「納付額(年収)と納付年数」で決まるのですが、他にも様々な要素や制度が絡み合い、かなり複雑です。ただ、簡単にいえば「がんばったほど多くもらえる」わけですから、そこまで心配する必要はありません。また、統計によると全体的な平均年金額は月15万円ほどとなっています。年収なら180万円ですね。現在の平均年収が400万円少々ですから、計算通りといえます。もし結婚していれば、そして共働きなら二人分で月30万円ほど入ってくるのが基本です。一人で月15万円と考えると厳しいですが、二人で月30万円なら相応に余裕も出てくるのではないでしょうか。この数字を前提に、一度は老後を考えておくと良いでしょう。[adsense_middle]収入などを元に、年間いくら貰えるか確認を老後不安の高まりを受けて、最近では様々なところで「年金額の試算」ができるようになっています。大抵は、収入や勤続年数などを入力するだけです。どうしても不安なら近くの社会保険労務士に相談する手もありますが、お金も要りますし、まずは手軽に試算してみませんか。そうして、年間いくら貰えるかが分かったら、現在の生活水準と比べて「毎月・毎年どのくらい足りないか」を計算しましょう。その差額×余命分が、あなたに最低限必要な老後資金です。「繰り下げ受給」や「付加年金」を検討しようここからは、年金(老後)への対策についてお伝えします。まずは「繰り下げ受給」です。これは、簡単にいえば「もらう時期を遅くする代わりに年金額を増やしてもらう」という制度になります。厚生・国民のどちらも可能で、それぞれ一ヶ月あたり0.7%、最大で42%(70歳受給時)まで増額が可能です。また「付加年金」という制度もあります。これは国民年金が対象です。毎月400円を追加で支払う代わりに、将来的に「支払った月数×200円」が年金に加算されます。仮に40年間ずっと支払いを続ければ、480ヶ月×200円で9万6000円となり、ざっと2年で元が取れるというものです。どちらも、ほぼ誰にでもできる対策ではないでしょうか。誰にでもできますが、やったか否かで大幅に老後が変わる可能性があります。年金や老後が不安な人は、一つずつでも対策を積み上げましょう。65歳から貰わなくていい対策もセットに対策というのは「とにかくすればいい」わけではありません。例えば繰り下げ受給をするのなら、セットで65歳からすぐに年金をもらわなくても大丈夫な家計状態にしなければなりません。カツカツの人にとっては、たとえ400円でも将来の致命傷になることもあります。かといって、何もしなければ老後に困る可能性が高まってしまうでしょう。何かをする前提の一方、その行動の負の面や家計全体へのしわ寄せなども考えつつ、できる限り良さげな対策を取っていくことをおすすめします。年金保険やイデコ、不動産投資など方法は様々老後対策は、他にも様々です。一番、一般的な対策としては「年金保険」が挙げられるでしょう。様々な生命保険会社で取り扱っており、内容は様々ですが、基本は「一定の時期まで保険料を支払い、以後は年金形式でお金をもらう」というものです。これは節税にもなります。また最近では「iDeCo(イデコ)」も人気です。正式には「個人型確定拠出年金」といい、簡単にいえば「自分で運用して年金を作る」ものになります。自分で運用(投資)する以上、勉強も必要ですしリスクもありますが、節税になるなど様々なメリットもあるのでおすすめです。さらに、最近では「不動産投資」も注目されています。投資金もリスクも大きい代わりに、入ってくるお金も大きく安定性も高いです。まずは、どんな方法があるかを知ることが大切でしょうね。毎月コツコツ動くほどに収入総額は増える!結局のところ、老後対策に一朝一夕はありえません。すべての対策は毎月コツコツ動き、少しずつ将来の収入総額を増やしていくことになります。時間があるほど効果も大きくなる半面、時間がないほど効果も小さくなり、必要性を追求するならリスクが必要です。どの程度の時間が必要かは様々ですが、一般論としては「最低でも20年程度」でしょうか。仮に老後資金が2000万円必要なら、年間100万円で20年ですからね。金額や数字はともかく、なるべく早くから老後対策に動き出しましょう。老後をどうするか、夫婦で話し合うことが肝心最後に、肝心なことをお伝えします。確かに、いくら年金が貰えるかは大切ですし、増やす努力も重要です。しかし、一番大事なことは「老後をどうするか、どう過ごすのか」を、夫婦で話し合うことといえます。これ次第で、老後に本当に必要なお金が大幅に違ってきますからね。例えば仕事はどうでしょう?60歳、65歳で辞めるのか、それとも80歳くらいまで働くのかで随分違います。住まいはどうですか?実家や地方に移るのと、今のままかで大きく違ってくるでしょう。とりわけ「介護が必要になったらどうするか」は、かなりの金額差が出てくる要素です。入ってくる年金額を前提に老後を考えるのではなく、したい老後の暮らしぶりを前提に必要なお金を考えるのが正解といえます。その方が努力や向上にも繋がるでしょう。ぜひ一度、夫婦でじっくり話し合ってみましょう。[adsense_middle]「独身や熟年離婚」は老後を生き抜けない要素先ほどもお伝えしましたが、年金額は一人平均15万円です。一人ではかなり厳しいでしょう。日常生活はなんとかなっても、働けなくなったり介護が必要になったりしたらアウトです。結婚しなかった独身の方、熟年離婚を控えている方は、老後破産予備軍でしょうね。相応の年齢になれば中々どうにもなりませんが、まだ若いうちなら取り返しもつきます。なるべく婚活や夫婦仲の改善に励む一方、一人で生きるなら相当な対策が必要と考えて、励んでいきましょう。年金平均と生活水準を考え、差額への対策を考えよう年金は「いくら貰えるか」が大切な一方、「いくら生活に必要か」も重要です。一般的な年金平均と生活水準の差額を余命分考えたのが、例の「老後2000万円」になります。まずは年金の少なさと対策の必要性を知り、そして対策には時間が必要なことも知り、なるべく早めに老後対策を考えて動き出していきましょう。
2019年08月14日「年金関連のデータは個人情報の宝庫といえます。いくら給料をもらっているのか、税金をどのくらい払っているのか、家族構成などはもちろん、結婚歴や離婚歴、さらには病歴や中絶経験があることなど、データを読めばその人の“すべて”がわかってしまうのです。そんなデータが2万3千人分も紛失してしまうなんて、本当に恐ろしいことです……」本誌にそう語るのは、派遣社員のA子さん。彼女が“恐ろしい”と語るのは、日本年金機構が7月23日に公表した“DVD紛失事件”のこと。国民年金の未納者計約2万3千人分の個人情報が記録された8枚のDVDが行方不明になってしまったという問題だ。国民年金未納者への支払いの督促を委託されていた会社が状況を報告するためにDVDを作成。それが日本年金機構の東京広域事務センターに宅配便で送付されたという。そしてA子さんは同センターで働いていたのだ。「センターは江東区有明にあるビルの3フロアを使用しています。働いているのは日本年金機構の正規職員が1割、残り9割は派遣社員やアルバイトなどの非正規スタッフという割合でしょうか。スタッフはパソコンでのデータ入力、電話対応、書類の整理など業務ごとにグループに分けられていて、郵便物の開封作業だけに携わっている人たちもいます。DVDの入った宅配便が届いたのは7月4日だと聞いていますが、それを受け取ったり開封したりしたのは、アルバイトスタッフだったそうです」“センターに届いた郵便物の受け取りは機構の正規職員が立ち会う”というルールもあるが、この日、機構職員は不在だった。「私たちがDVDのことを知らされたのは7月9日のこと。朝礼のときに“紛失したから捜索する”というお達しがありました。もう大騒ぎで、杉並区にある日本年金機構の本部から100名ほどの職員がやってきました。ゴミ箱を1つ1つ漁ったり、通路に1列に並んで床を這うようにして捜したり、派遣社員やアルバイトたちの荷物を全部チェックしたり……。ただDVD8枚といえばかなりの量です。2週間も捜索を続けていましたが、何だか懸命に捜したという“アリバイ作り”のようにも思えました。荷物チェックについては、私物を見たりさわったりするのですから、“スミマセン”とか“ご協力ありがとう”といった一言があってもいいと思うのですが、そういった気遣いはありませんでした」5千万件という“消えた年金”問題で社会保険庁が解体され、’10年に発足した日本年金機構。その設立委員も務めたジャーナリスト・岩瀬達哉さんは次のように語る。「機構が管理している個人情報は非常に重要なものですが、職員たちは、その認識が甘いように思われます。これらの情報が詐欺集団の手に渡れば悪用されることは目に見えています。悪徳金融業者に渡れば、逃げた顧客の追跡に使うことでしょう。いわば“金になる情報”であり、’17年には機構の職員らが、データを持ち出し、逮捕されるという不祥事も起こっています」A子さんが今回、“告発”に踏み切ったのも、日本年金機構のずさんな管理体制に疑問を抱いたからだという。「データの整理には納期もあり、厳守しなくてはいけません。そのため大勢の人員を確保しなくてはならず、日替わりのようにして新しいアルバイトの人たちがやってくるのです。大切な個人情報がいわゆる“日払いバイト”たちに任せられているのですが、立ち会うべき職員が立ち会っていなかったという事実からもわかるように、機構は非正規スタッフに仕事を“丸投げ”し、きちんと管理しているとはいえない状況です」今回の紛失事件についての見解を日本年金機構に取材したところ、広報担当者が次のように回答した。「DVDの記録は暗号化されており、限られたパソコンでしか読み取ることができません。現在までにそれらの端末が使用された痕跡はなく、さらにデータ自体を閲覧できないように処理しましたので、個人情報漏洩は起きることはありません。今後は郵便物の開封や、(DVDなどの)データの持ち運びなどは、複数人で行うようにし、同じような事態が起きないようにしていきたいと思います」だが事件後、非正規スタッフたちの負担はさらに増加したという。A子さんが嘆息する。「例えば荷物を運ぶにも、いまは最低でも2人以上で対応することになり、その分、スタッフたちの業務が増えています。セキュリティーを重視しているという姿勢をアピールしたいのでしょうが、時給1000円程度の非正規スタッフにばかり負担を強いるのではなく、管理体制そのものを見直すべきではないでしょうか」発足以来、不祥事ばかりの日本年金機構。汚名を返上できる日は来るのだろうか。
2019年08月13日2019年6月に端を発した“年金2000万円問題”ですが、実際もらえる年金を把握することは今後を考える上で必要なことです。前回は夫が会社員、妻が扶養範囲内(第3号被保険者)とした場合の事例をお伝えしましたが、今回は夫が自営業・妻が専業主婦(パート・自営業の場合を含む)についてお伝えします。※この記事は2019年6月時点を基準にしております。 今回の対象家族夫:33歳・会社員(20歳~22歳は学生、23歳~60歳は個人事業主)妻:30歳・扶養範囲内の主婦(20歳~26歳は会社員、23歳~60歳は個人事業主または専業主婦)子: 1歳 老齢年金について自営業の方は65歳以降に支給される年金は原則老齢基礎年金のみとなりますが、会社等に勤務し厚生年金保険料を1か月以上納めた場合は、老齢厚生年金も合わせて支給されます。老齢厚生年金は厚生年金保険料の金額と納めた期間に比例しますので、厚生年金保険料を納めた期間が短い場合は年間数千円程度の場合もあります。老齢基礎年金は20歳~60歳までの40年間、国民年金保険料を欠かさず納めた人は、年間約78万円(2019年度基準は780,100円)が支給されます。 国民年金保険料は、収入に応じて変動する会社員等の厚生年金保険料とは異なり、収入に関わらず一律の保険料となります。2019年度の国民年金保険料は月額16,410円です。この保険料と受け取る金額を現在の制度で今後の物価や制度改正を考慮せずに比較すると、40年間で合計786.68万円を納め、1年間で約78万円が受け取れるので、10年を少し超える期間以上受け取れれば、支払った保険料以上に年金を受け取れる計算となります。 また、個人事業主(第1号被保険者)の場合は会社員と異なり、配偶者の扶養(第3号被保険者)の適用は受けられないため、配偶者が年収130万円未満の場合も国民年金保険料を納める必要が生じます。 今回対象のご家族は、夫が65歳から支給できる年金は約78万円、妻が65歳から支給できる年金は約78万円となります。夫婦合計で年間約156万円となりますので、この年金額が夫婦二人で老後の生活のやりくりができるか考える前提の金額なります。 なお、ご自身の国民年金・厚生年金の試算をしたい方は、日本年金機構のねんきんネットに登録すると今まで払った年金保険料と今後の収入の推移で試算できますので、興味を持った方はアクセスしてみてください。 しかし、多くの自営業者の場合は65歳以降を老齢基礎年金のみで生活しているケースは少なく、65歳以降もお仕事を継続したり、貯蓄や私的年金等で自助努力したりされているケースが少なくありません。国民年金基金、確定個人型(iDeCo)、民間の保険会社の行っている個人年金・共済、小規模企業共済などの制度がありますので、ご家族や家計の状況に応じて、利用を検討されると良いでしょう。 遺族年金について国民年金は老後の生活費だけでなく、遺族年金としてご家族に支給される制度でもあります。 今回対象のご家族で、直近に夫が亡くなった場合には、遺族基礎年金が支給されます。子が18歳到達年度末日までは、遺族基礎年金が約100万円(2019年度基準は1,004,600円)支給されますが、それ以降(子が19歳になる年度以降)の遺族年金は支給されず、その後の年金は妻が65歳以降に受け取る老齢基礎年金となります。生命保険を検討する場合は、この遺族年金の支給も念頭に置いて計算しますが、会社員等の遺族厚生年金が支給されるご家族よりは保険金額が多めになることがほとんどです。 自営業者の方は会社員等に比べて、年金保険料が安くなるケースが多い反面、受け取る老齢年金額も多くありません。そのためにも、会社員等よりも老後の生活についてどうするかを若い時期に考えておく必要があります。子育て中に、老後資金の準備は難しい面もありますが、準備をせずに老後を迎えると働き続ける選択肢しか残らなくなります。そのために、老齢基礎年金をベースに働く時期を長くするか、自助努力で老後資金を準備するか、併用するか等を定期的に確認するようにしましょう。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年07月29日「老後2,000万円不足問題」で一躍クローズアップされた年金・給付金。制度は複雑だが、実は思わぬ「裏ワザ」が!そんな「裏ワザ」を経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた。「老後2,000万円不足問題」から、年金への注目度が上がっています。ですが、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」の改訂は、大きく報じられていません。年金の受け取りは原則65歳からですが、60~70歳の好きな時期から受給できます。ただ、受給を65歳より早く「繰り上げ」ると0.5%×早めた月数分年金が減額され、65歳より遅く「繰り下げ」ると0.7%×遅らせた月数分増額されます。改訂版ねんきん定期便には、70歳まで繰り下げると受給額が増えることを図で解説。いっぽうで、繰り上げの図はありません。政府は繰り下げのお得感を強調し、当面の支給額を減らせる繰り下げに誘導したいのでしょうか。ですが、繰り下げが必ずしも得だとは言えません。年金を賢くもらう裏ワザを紹介します。■加給年金「加給年金」とは、厚生年金に20年以上加入した人が、65歳で年金を受給する際、年下の妻や18歳未満の子どもがいたら受け取れるもの。いわば、年金の「家族手当」です。妻の年収が850万円未満などの条件を満たすと、妻が65歳になって自分の年金を受け取るまで、夫の年金に加給年金がつきます。妻への加給年金は、年22万4,500円。特別加算と合わせると、年39万100円になり、月額では約3万2,500円受け取れます(夫が’43年4月2日以降生まれの場合)。ただし、夫がすべての年金を繰り下げてしまうと、加給年金は受け取れません。妻が5歳年下なら、年約39万円×5年=約195万円もの加給年金が一切受け取れない、残念な結果になってしまいます。【裏ワザ】年金を分ける厚生年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建て、2つの年金は分けて受給でき、加給年金は老齢厚生年金に付随する制度です。年金すべてを繰り下げると加給年金はもらえませんが、年金を分け、老齢厚生年金を65歳から受給すれば、加給年金ももらえます。そのうえで老齢基礎年金だけを繰り下げれば、年金額を増やすこともできます。
2019年07月26日2019年6月には“年金2000万円問題”がさまざまなメディアで報道されましたが、実際もらえる年金はどれくらいか把握している人は多くないと思います。今回は、夫が会社員、妻が扶養範囲内(第3号被保険者)とした場合の現在の制度で支払われる厚生年金・国民年金の金額についての概要をお伝えしようと思います。 ※この記事は2019年6月時点を基準にしております。 今回の対象家族夫:33歳・会社員(20歳~22歳は学生、23歳~60歳は会社員・38年間の平均年収400万円と仮定)妻:30歳・扶養範囲内の主婦(20歳~26歳は会社員、27歳~60歳は扶養範囲内で主婦かパート勤務)子: 1歳 老齢年金について65歳以降に支給される年金を老齢年金と言いますが、会社等に勤務した場合にお給料から支払う厚生年金保険料が1か月以上ある場合は、老齢厚生年金と老齢基礎年金が支給されます。老齢基礎年金は20歳~60歳までの間、国民年金保険料か厚生年金保険料を欠かさず納めた人は、年間約78万円(2019年度基準は780,100円)が支給されます。老齢厚生年金は加入期間や給料等に連動する保険料によって支給額が異なりますが、勤務中38年間の平均年収を400万円とした場合、年間約85万円が支給されます。厚生年金保険料を払っている期間が短い場合は、年間数千円程度、勤務中の平均年収が1000万円を超える場合には、年間約150万円程度となることもあります。 夫婦の年齢差がある場合、加給年金が受け取れる場合があります。加給年金とは老齢厚生年金が支給される時点で、年金受給者によって生計が維持されている65歳未満の配偶者または原則18歳までの子がいれば、年金額が加算される制度で、2019年度では、390,100円です。また、配偶者が65歳になった時点で加給年金は打ち切りとなります。その代わりに配偶者に加算される振替加算の制度もありましたが、昭和41年4月1日生まれ以降の方は対象外となります。 今回対象のご家族は、夫が65歳から支給できる年金は約163万円(妻が年金支給を受けるまでは約202万円)、妻が65歳から支給できる年金は約79万円となります。夫婦合計で年間約242万円(妻が年金支給を受けるまでは約202万円)となりますので、この年金額が夫婦二人で老後の生活のやりくりができるか考える前提の金額なります。 なお、ご自身の国民年金・厚生年金の試算をしたい方は、日本年金機構のねんきんネットに登録すると今まで払った年金保険料と今後の収入の推移で試算できますので、興味を持った方はアクセスしてみてください。遺族年金について国民年金・厚生年金は老後の生活費だけでなく、生計の主体である方が亡くなった場合は、遺族年金としてご家族に支給されます。遺族年金の詳細は以前お伝えした記事「老後の支給だけでない?遺族給付や障害給付もある公的年金」をご確認ください。 今回対象のご家族で、直近に夫が亡くなった場合には、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。子が18歳到達年度末日までは、遺族基礎年金が約100万円、遺族厚生年金が約41万円、合計約141万円が、それ以降(子が19歳になる年度以降)から妻が65歳以降老齢基礎年金・老齢厚生年金を受け取るまでは、遺族厚生年金約41万円と中高齢寡婦加算約58万円(2019年度基準は585,100円)、合計約96万円が受け取れます。 生命保険を検討する場合は、この遺族年金の支給も念頭に置いて、それでも足りない生活費や子の教育費を保険で用意すると生命保険に入り過ぎといった状況を防げます。上記以外にも、勤務先によっては退職金や企業年金(厚生年金基金、確定拠出年金、確定給付企業年金、中退共等)が用意されている場合もあります。老後の2000万円はあくまでも平均値の比較に過ぎず、ご家族ごとに必要金額は異なります。 子育て中に、老後資金の準備は難しい面もありますが、現状どのような状況になっているか把握することも大切です。今回の内容でご自身やご家族の年金の内容が気になるようでしたら、ねんきんネットの試算やねんきん定期便の確認、年金事務所への問い合わせなどをすると良いでしょう。不安の解消や今後の対応をするためにも、年金の概算は確認するといいですね。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年07月24日日本年金機構の東京広域事務センター(東京都江東区)が個人情報を含む年金関連データを収載したDVDを紛失していたと明らかになった。またもやの不祥事に加えて、参院選の直後というタイミングでの発表に怒りの声が噴出している。22日の産経ニュースによると、機構は国民年金の保険料未納者に訪問や電話で支払い催促する業務を外部業者に委託してきた。その業者が状況を報告するための情報を記録したDVDを送付したが、同センターに届いた後に行方不明になったとのこと。機構の担当者は「具体的な個人情報の内容や人数、行方不明になった時期は調査中」とコメントしているという。DVDは同センターにある一部のパソコンでのみ閲覧できるよう暗号化されており、すでにデータを閲覧できないよう措置をとったと伝えられている。さらに21日の朝日新聞によると厚生労働省も今回の紛失を把握していたが、同日時点では公表していなかったという。機構が毎月発表する「事務処理誤り」に掲載するが、ネットではその方針含めて“紛失”に怒りの声が上がっている。《事務処理誤り?その処理方法こそが誤りだ。漏えいがないから良いのではなく、紛失した事が問題だし、それを発表しないのも問題》《これだけ個人情報の取り扱いが厳しい世の中で紛失して何も公表しないのは遺憾に思います》《管理体制に不備がなかったのか、顛末を明らかにし原因追求と再発防止策を国民に説明報告を求めます》また今回の件が明らかになったのは、参院選直後のこと。そのためネットではタイミングを疑問視する声も上がっている。《国民年金のデータ紛失したの?本当なの?選挙のあとにわかるの?あえてなの?》《こー言う大事な事を選挙で隠れる?タイミングで発表する機構はダメだと思うし、それをさせている現政府の監督責任も大きいと思います》《日曜日に分かるもんなんだ。厚労省の皆様、選挙当日も休日出勤されてたの?選挙前ということで、公表を差し控えてたのかな?って疑われかねないから、経緯をしっかりと説明すべきかと》07年の「消えた年金問題」の後に社会保険庁が廃止されたことで、10年1月に日本年金機構は設立された。しかし以降も、不祥事が相次いでいる。15年6月には職員の端末がサイバー攻撃を受け125万件の年金情報が流出したと公表し、17年9月には事務処理ミスなどから約10万6,000人に総額約598億円の年金の支給漏れがあったと陳謝。18年3月には約130万人に年金を過小支給していたことも発覚。機構は受給者のデータ入力を情報処理会社に委託していたが、この会社が契約に反して中国の業者へ約500万人分の業務を再委託していたことも明るみになっていた。
2019年07月23日「国民年金しかもらえない高齢者は2,000万円足りないのではなくて、5,000万円以上足りないのです」金融庁の報告書に端を発した「老後2,000万円不足」問題。これに対してキャスターの辛坊治郎さんが、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』(6月13日放送)で冒頭のように語り、話題になっている。公的年金の被保険者は’16年度で約6,700万人いるが、そのうち、個人事業主やその配偶者などが該当する「国民年金第1号被保険者」は約1,600万人。年金を納めたり、受給したりしているうちの「4人に1人」という計算だ。これほど多くの人たちが「5,000万円足りない」とする辛坊説を、経済評論家の加谷珪一さんは「的を射た数字だ」と説明する。「“老後2,000万円”は、総務省の『家計調査』の、無職夫婦世帯の実支出の平均額月26万4,000円と、実収入の平均額月20万9,198円の差額を根拠にしています。しかし、現在の国民年金は満額で月約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどです。つまり国民年金だけで95歳まで生きるとなると、およそ5,000万円が不足するという計算になります」それでは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに老後の準備の進め方を解説してもらおう。「1つは『月1万円でも支出を減らすこと』です。現在50歳で月1万円ずつ支出を減らすことができれば、65歳までに180万円減らせる計算に。さらに、老後にかかるお金を減らすこともできます。そしてもう1つが『国民年金の未納期間を減らすこと』です」以上が必ずやっておくべきこと。そのうえで、自らの所得や職種に応じて、老後資金を増やす4つの方法を考えよう(※1:加入年の上限や受取時期は国民年金の加入状況等により異なる場合がある。※2:課税所得400万円で上限額まで加入した場合の所得控除による節税効果の例)。【1】国民年金基金掛金の上限額(自営業者、年間):合計81万6,000円加入年の上限(※1):60歳まで受け取れる時期(※1):60歳以降節税効果の例:年約24万円(※2)現在は予定利率1.5%で運用されている。ライフプランに応じて、受給の種類を選ぶことができて、終身受給のものもある。保険料は所得控除の対象になり、所得税や住民税を節税できる。「国民年金に“上乗せ”して加入することで、65歳以降に受け取れる年金額を増やすことができるのが『国民年金基金』です。厚生年金のない個人事業主のための“2階建て”システムです」自営業のCさん(50)は、1口目の終身年金A型をはじめ計8口を選択し、掛金は約6万7,000円。Cさん自身がこう語る――。「増える年金の額は年齢によって年6万~54万円の間で変動しますが、95歳まで生きた場合、合計1,200万円になる計算です。国民年金だけだと6万5,000円しかもらえないので、60歳までの10年間、上限6万8,000円に近い月額を頑張って掛けることにしました。だいぶ安心できます」【2】iDeCo掛金の上限額(自営業者、年間):合計81万6,000円加入年の上限(※1):60歳まで受け取れる時期(※1):60歳以降節税効果の例:年約24万円(※2)/運用益非課税金融商品を選んで、自分で運用する。国民年金基金よりも高い利率で運用できる可能性がある一方、元本割れのリスクも。受け取りは分割と一括が選べて、一括の場合、サラリーマンの退職金と同様に、税金が大きく優遇される「退職所得控除」の対象になる。「個人型確定拠出年金。税制面でも優遇された制度です。国民年金基金と併用できますが、月の掛金は2つ合わせて6万8,000円が上限です。元本が保証される『定期預金』『保険』商品か、元本割れのリスクがある『投資信託』から選択できます。非課税メリットは大きいですが、積立期間の満期の60歳まで途中解約できず、引き出せないことがデメリットです」(中村さん)【3】つみたてNISA掛金の上限額(自営業者、年間):40万円加入年の上限(※1):20年(非課税になる期間)受け取れる時期(※1):いつでも節税効果の例:運用益非課税一定の条件を満たした投資信託などを積み立て方式で購入していく。年間40万円、最長20年間で800万円まで投資可能。いつでも売却できて、売却益は非課税。「つみたて型の少額投資非課税制度で、iDeCoとの最大の違いは、途中でいつでも売却して引き出せるという点。事業に必要な資金が急に必要になることが多い人などは、こちらのほうが向いているかもしれません」(中村さん)【4】付加年金掛金の上限額(自営業者、年間):4,800円加入年の上限(※1):60歳まで受け取れる時期(※1):65歳以上節税効果の例:年約1,500円(※2)国民年金保険料に月々400円を足して納めると、将来の年金額が月々200円増える。仮に50歳から10年間払い続けると、年金額は2万4,000円増える。国民年金基金に加入していると、付加年金を払うことはできない。老後のために資金を回す余裕がないという人におすすめがこちら。「付加年金は年金保険料に月400円を加えて払うだけで、納付した月数×200円が終身で増えます。利幅はいちばん大きいですが、国民年金基金と併用することができないのがデメリットです」(中村さん)さまざまな手段がわかったところで、中村さんはこうアドバイス。「それぞれに一長一短がありますので、『国民年金基金とiDeCo』とか、『国民年金基金とつみたてNISA』など、複数のものに分けて、少しずつ運用するという方法を取る人も多い。経験を積みながら、規模をだんだんと大きくしていくのがいいでしょう」
2019年07月05日「国民年金しかもらえない高齢者は2,000万円足りないのではなくて、5,000万円以上足りないのです」金融庁の報告書に端を発した「老後2,000万円不足」問題。これに対してキャスターの辛坊治郎さんが、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』(6月13日放送)で冒頭のように語り、話題になっている。公的年金の被保険者は’16年度で約6,700万人いるが、そのうち、個人事業主やその配偶者などが該当する「国民年金第1号被保険者」は約1,600万人。年金を納めたり、受給したりしているうちの「4人に1人」という計算だ。これほど多くの人たちが「5,000万円足りない」とする辛坊説を、経済評論家の加谷珪一さんは「的を射た数字だ」と説明する。「“老後2,000万円”は、総務省の『家計調査』の、無職夫婦世帯の実支出の平均額月26万4,000円と、実収入の平均額月20万9,198円の差額を根拠にしています。しかし、現在の国民年金は満額で月約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどです。つまり国民年金だけで95歳まで生きるとなると、およそ5,000万円が不足するという計算になります」国民年金(満額、夫婦2人):12万9,882円-実支出:26万3,718円(総務省「家計調査」2017年より)=-13万3,836円(不足額)。30年で不足額は4,818万円になる。だが、必ずしも悲観することばかりではないと加谷さんは言う。「会社員と違って、個人事業主に定年はありません。会社員が定年後、働こうと思ったら、今までと別の仕事をしなければいけませんが、個人事業主であれば、慣れた仕事を続けることができる。“人生100年時代”は働き続けることが最大の防衛術になります。とはいえ、一生涯働くことも困難です。いずれ、働けなくなったときに備えて、老後の準備を怠ってはなりません」それでは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんに老後の準備の進め方を解説してもらおう。「1つは『月1万円でも支出を減らすこと』です。現在50歳で月1万円ずつ支出を減らすことができれば、65歳までに180万円減らせる計算に。さらに、老後にかかるお金を減らすこともできます。そしてもう1つが『国民年金の未納期間を減らすこと』です」■必ずやっておきたい老後の準備(※令和元年度の金額を基に概算)【家計の見直し】支出が減れば、必要な老後資金も減る。月1万円の節約ができれば、65~95歳の30年で360万円の節約に。【国民年金を満期(40年)に近づける】国民年金の満期は40年。現在の保険料は年間19万6,920円で、納付年数が1年増えるごとに年金受給額は約2万円増加する。未納になっている保険料を過去2年1カ月ぶんを遡って払う「追納」や、60~65歳になるまでの間に総加入年が40年に達するまで納付できる「任意加入」など加入期間を延ばすことができる。老後資金を増やすため、この2つは必ずやっておこう。
2019年07月05日これだけあれば、なんとかなるかも……。あなたがもらえると思っている年金額は本当に正しいですか?じつは年金にも社会保険料がかかるし、額は自治体によって違います――。「年金不安が広まっていますが、年金受給を控えた50代の人でも、自分が受け取れる年金の手取り額を知っている人は少ないのです。実際に年金を受け取ってみて“こんなに引かれるの?”と愕然としたという話はよくあります」そう解説してくれたのは『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』(ダイヤモンド社)の著者で、「生活設計塾クルー」取締役の深田晶恵さんだ。「ねんきん定期便」で将来もらえる年金額を知っているから大丈夫、という人こそ要注意だ。「1年半前に埼玉県から、都心のマンションに引っ越しましたが、前年より3万円も手取り額が減りました。年金は全国どこでも同じ額が受け取れると思っていましたのに……」と語るのは東京都在住の70代の女性。深田さんが解説する。「年金の手取り額は、額面の年金収入から、社会保険料である国民健康保険料と介護保険料、そして所得税や住民税を引いたものになります。じつは自治体によって社会保険料が大きく異なるので、同じ年金額でも、住んでいる自治体で、手取り額に差が出てくるのです」そこで本誌では、深田さんの協力を得て、全国の県庁所在地ごとの年金の手取り額を調査した。年金額は、一般的なサラリーマンの受給額とされる月約22万円、年間で265万円を基準とした。「手取り額が少ない県庁所在地」のランキング上位5都市、下位5都市は次のとおりだ(※「社会保険料」は国民健康保険料と介護保険料の合計、「税金」は所得税と住民税の合計。試算の前提は、65~75歳の年金のみで生活している男性で、妻(65~74歳)を扶養している。国民健康保険料は世帯(夫と妻)の合計額、介護保険料は夫だけにかかる)。【1位】大阪府大阪市=手取り額:224万2,495円/社保+税金合計:40万7,505円【2位】愛媛県松山市=手取り額:224万3,480円/社保+税金合計:40万6,520円【3位】島根県松江市=手取り額:224万6,970円/社保+税金合計:40万3,030円【4位】佐賀県佐賀市=手取り額:225万4,024円/社保+税金合計:39万5,976円【5位】熊本県熊本市=手取り額:225万7,912円/社保+税金合計:39万2,088円【43位】栃木県宇都宮市=手取り額:231万500円/社保+税金合計:33万9,500円【44位】神奈川県横浜市=手取り額:231万4,590円/社保+税金合計:33万5,410円【45位】千葉県千葉市=手取り額:231万6,510円/社保+税金合計:33万3,490円【46位】埼玉県さいたま市=手取り額:231万8,300円/社保+税金合計:33万1,700円【47位】静岡県静岡市=手取り額:232万1,900円/社保+税金合計:32万8,100円年金の手取りがもっとも少ないのは大阪市で224万2,495円。一方、もっとも多く受け取れるのが静岡市の232万1,900円。その差は1年間で約8万円(7万9,405円)。95歳まで生きた場合、30年間で両市の差は240万円にもなる!「このランキングは、おおまかな目安にはなります。ただ、収入が低ければ軽減措置などで負担率は低くなり、受け取る年金が高ければ、負担率は収入に合わせて高くなる。年金額265万円のケースということを忘れないでください。また同じ都道府県でも市区町村によって、手取り額は異なります」そこで、全国的に話題の自治体の手取り額も同じ基準で調べてみた。【日本一の企業城下町】愛知県豊田市=手取り額:233万7,800円/社保+税金合計:31万2,200円【財政破綻した】北海道夕張市=手取り額:233万9,560円/社保+税金合計:31万440円【日本一小さい村】富山県舟橋村=手取り額:232万1,000円/社保+税金合計:32万9,000円【日本一リッチな村】愛知県飛島村=手取り額:234万7,440円/社保+税金合計:30万2,560円【日本一所得の高い村】北海道猿払村=手取り額:234万7,400円/社保+税金合計:30万2,600円【ふるさと納税日本一】大阪府泉佐野市=手取り額:225万7,000円/社保+税金合計:39万3,000円泉佐野市を除き、どこも社会保険料が安く手取り額が高いという結果が出た。「愛知県豊田市は、トヨタ自動車やその関連企業が多く、法人税の収入が多い。また、ホタテ漁が盛んで、住民の平均年収が“日本一の村”である北海道猿払村は、国民健康保険の加入者に高収入な漁師さんが多いため、村の財政が潤っていることが考えられます。さらに、自治体の財政力を表す『財政力指数』全国1位の愛知県飛島村は、火力発電所や大型コンテナ船が接岸できる飛島ふ頭などを有している一方、人口が少ないので、税収が多く社会保障費などの支出が少ないためでしょう」とはいえ、財政破綻をして、全国唯一の財政再生団体となった北海道夕張市、ディズニーランド7個分の大きさで“日本一の小さな村”といわれる富山県舟橋市なども手取りが多いのは?「夕張市はずっと国民健康保険料が高かったそうですが、今年度から積み立ててきた準備基金を有効活用し、保険料の高騰を抑制したそう。また、舟橋村は人口増加率が全国トップクラスで、現役世代の割合が多く、財政が健全です。ふるさと納税で全国1位となる約500億円(’18年度)の寄付金を集めた大阪府泉佐野市は、社会保険料の抑制ではなく、別のところで還元しているのかもしれません。年金の手取りを比較することで、自治体の取り組みや指針が見えてくるのです」気がかりなのは、年金の手取り額が今後、減っていく可能性が高いということだ。「3年ごとに見直される介護保険料は、制度が始まった’00年から、全国平均で倍近く上昇しました。ますます高齢化が進むことで、今後も社会保険料は上がっていくとみられています」実際の手取りを知ることは、老後資金を守る大きな一歩になるはずだ。
2019年06月28日「年金不安が広まっていますが、年金受給を控えた50代の人でも、自分が受け取れる年金の手取り額を知っている人は少ないのです。実際に年金を受け取ってみて“こんなに引かれるの?”と愕然としたという話はよくあります」そう解説してくれたのは『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65』(ダイヤモンド社)の著者で、「生活設計塾クルー」取締役の深田晶恵さんだ。「ねんきん定期便」で将来もらえる年金額を知っているから大丈夫、という人こそ要注意だ。「1年半前に埼玉県から、都心のマンションに引っ越しましたが、前年より3万円も手取り額が減りました。年金は全国どこでも同じ額が受け取れると思っていましたのに……」と語るのは東京都在住の70代の女性。深田さんが解説する。「年金の手取り額は、額面の年金収入から、社会保険料である国民健康保険料と介護保険料、そして所得税や住民税を引いたものになります。じつは自治体によって社会保険料が大きく異なるので、同じ年金額でも、住んでいる自治体で、手取り額に差が出てくるのです」そこで本誌では、深田さんの協力を得て、全国の県庁所在地ごとの年金の手取り額を調査した。年金額は、一般的なサラリーマンの受給額とされる月約22万円、年間で265万円を基準とした。「手取り額が少ない県庁所在地」のランキング上位5都市、下位5都市は次のとおりだ(※「社会保険料」は国民健康保険料と介護保険料の合計、「税金」は所得税と住民税の合計。試算の前提は、65~75歳の年金のみで生活している男性で、妻(65~74歳)を扶養している。国民健康保険料は世帯(夫と妻)の合計額、介護保険料は夫だけにかかる)。【1位】大阪府大阪市=手取り額:224万2,495円/社保+税金合計:40万7,505円【2位】愛媛県松山市=手取り額:224万3,480円/社保+税金合計:40万6,520円【3位】島根県松江市=手取り額:224万6,970円/社保+税金合計:40万3,030円【4位】佐賀県佐賀市=手取り額:225万4,024円/社保+税金合計:39万5,976円【5位】熊本県熊本市=手取り額:225万7,912円/社保+税金合計:39万2,088円【43位】栃木県宇都宮市=手取り額:231万500円/社保+税金合計:33万9,500円【44位】神奈川県横浜市=手取り額:231万4,590円/社保+税金合計:33万5,410円【45位】千葉県千葉市=手取り額:231万6,510円/社保+税金合計:33万3,490円【46位】埼玉県さいたま市=手取り額:231万8,300円/社保+税金合計:33万1,700円【47位】静岡県静岡市=手取り額:232万1,900円/社保+税金合計:32万8,100円年金の手取りがもっとも少ないのは大阪市で224万2,495円。一方、もっとも多く受け取れるのが静岡市の232万1,900円。その差は1年間で約8万円(7万9,405円)。95歳まで生きた場合、30年間で両市の差は240万円にもなる!「大阪市は、大企業本社の首都圏への移転、失業率の高さなどの問題を抱え、財政状況が低迷していました。それが社会保険料に反映されているのです。特に“格差”の最大の要因となるのが、国民健康保険料。ランキング上位の県庁所在地ほど、高い傾向にあります。もっとも高かった松江市(23万9,730円)と、もっとも安かった静岡市(16万1,100円)で、7万8,630円もの差が出ました。国民健康保険料の差は、医療機関を多く利用する高齢者の割合や、税収などが関係しているとみられます」(深田さん)社会保険料が高くなれば、税金は多少安くなる。これは、社会保険料を控除した(差し引いた)あとの金額に、税金がかかるためだ。「このランキングは、おおまかな目安にはなります。ただ、収入が低ければ軽減措置などで負担率は低くなり、受け取る年金が高ければ、負担率は収入に合わせて高くなる。年金額265万円のケースということを忘れないでください。また同じ都道府県でも市区町村によって、手取り額は異なります」
2019年06月28日老後20~30年で最大2千万円の資金が不足する――。“年金神話”崩壊を告げた、金融庁が6月3日に発表した「金融審議会『市場ワーキング・グループ』報告書」。発表当初はその内容を支持していた麻生太郎金融相(78)だが、11日に「正式な報告書としては受け取らない」と表明。さらに、18日には報告書を基にした質問への回答を拒否する方針を閣議決定していた。7月の参院選を見据えた、不誠実な政府の対応に国民も怒り心頭だ。火消しに躍起な麻生金融相は11日、記者会見で報告書の内容をこう疑問視した。「高齢者の生活は極めて多様だ。(資金が)一概に足りないと決めつけるのはいかがなものか」確かに“老後に2千万円”が根拠としているのは、高齢者世帯の支出と収入の単純な差額だ。“普通の生活”を諦めて、食費や光熱費を無理に削ったり、お金のかかる趣味を諦めたりすれば、赤字額を減らすことはできるだろう。しかし、問題はそう単純ではなかった――。「年金は将来的にどんどん減らされていきます。それは年金に“悪魔の仕組み”があるからです」そう語るのは、“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾さんだ。10日、安倍首相は参議院決算委員会で「マクロ経済スライドによって、100年安心という年金制度ができた」と安全性を強調。この「マクロ経済スライド」こそが、北村さんの言う“悪魔の仕組み”そのものだという。「かつて物価が上昇した場合、年金額も同じように上昇する決まりでした。ところが、マクロ経済スライドが発動されると、物価が上昇しても、年金の上昇が抑制されてしまうのです」(北村さん)年金の上昇率が何パーセント抑制されるかは、被保険者の減少率や平均余命の延びによって決まる。現在の“調整率”は約0.9%。つまり、物価が1%上昇しても、年金額は調整率を差し引いた0.1%しか上昇しない。仮に、物価が毎年1%上がっていった場合、10年後には現在よりも約10.5%も物価が上がっていることに。しかし年金は0.1%しか上昇しないので、10年で1%しか上がらない。その差が9.5%にまで膨れ上がるのだ。「つまり、年金の価値が10年で約10%減ってしまうのです。金融庁の報告書によると、平均年金受給額は19万円ほど。そうすると、10年後の年金の価値は、現在の感覚でいうと、17万円ほどになってしまいます。そうなれば、赤字額は5万5千円では足らない。おそらく月7万5千円程度の赤字が出るようになります」(北村さん)10日、日本共産党の小池晃書記局長(59)も「マクロ経済スライドの発動などで、すでに安倍政権の7年間で実質6.1%の年金が削減された」と指摘していた。こうなると、“生活費だけで2千万円の不足”という予想でさえ、楽観的な計算になりそうだ。金融庁の報告書によって、あらわになった老後資金の不足。報告書は、投資によって増やせる」としているが、平野さんは疑問を呈する。「株の運用は、初心者ではほとんど利益を出せません。今の50代にとっては『何を今さら……』という話でしょう。そもそも、この世代は投資に関する知識があまりありません。バブル崩壊を目の当たりにし、若いころから貯蓄に力を入れてきた世代。今さら投資をしろと言われても、ハードルが高いでしょう」報告書の対処に焦りを見せる政府だが、自民党関係者はその様子を冷ややかに見ている。「ちゃんとデータで示されているのですから、麻生さんの『政府の政策スタンスと異なるから受け取らない』という言い訳なんて通らない。政府が言っていた“年金は100年安心”神話は完全に崩れたと言えます」はたして、作成者側はどう考えているのか?今回、報告書を作成したワーキング・グループに参加したのは、大学教授、弁護士、投資会社社長、ファイナンシャルプランナーなど21人。座長を務めた学習院大学大学院の神田秀樹教授に連絡をすると、助手らしき女性がこう対応した。「この件は『すべて金融庁に聞いてください』と伝えるように言われています」連絡が取れたメンバーのほとんども、「コメントは差し控えます」と異口同音の回答。まるで“取材を受けるな”と、お達しが出ているかのような対応だ。実質賃金の低下や10月に予定されている消費税増税など、ますます厳しくなる国民の家計事情。政府が報告書を“なかったこと”にしても、国民の老後への不安は事実として決して消えない――。
2019年06月21日「公的年金支給開始年齢の引き上げ検討」「受給額減額か」、こんな新聞見出しを見るたびに「私って、どれくらい年金がもらえるのかしら……」と不安に思う人が多いだろう。それぞれの納付期間や年金の種類などによって、複雑に支給額が変化するのが年金制度だ。「いつも年金問題を解説してくれるファイナンシャルプランナーの人たちって、自分ではどんな年金に入っているのかしら?」(50代・主婦)そんな疑問に答えるため、“お金のプロ”女性に、「あなたが実際に行っている年金対策」を緊急調査。賢女たちがプロの知識を生かしてどういうプランを立てているのか教えてもらった。「今年4月、これまで物価の上昇に合わせて、年金支給額も2.3%増加させる予定でしたが、それが0.9%に抑えられたことで、実質もらえる額が減りました。受取り方法だけでなく、“納め方”も見直すことで、最大限に年金を受け取れるよう工夫しています」そう説明するのは、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さん。じつは厚生年金が未納だった期間が数カ月過去にあったという。「その不足分は、60歳以降に厚生年金加入を延長することで埋めようと考えています」社労士・ファイナンシャルプランナーの中村薫さんも、未納には細心の注意を払っている、と語る。「20年前、厚生年金から国民年金に切り替える段階での未納がありました。『月末に退職すると社会保険料が引かれるから、月末の1日前にしたらいいわよ』と教えられ、そのようにしたためです。自腹で国民年金などを払う必要があるにもかかわらず、当時は理解できていませんでした。未納がきっかけで、障害年金を受け取れなくなったケースもあるので、加入状況は常に確認するようにしています」個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」には“もちろん加入している”と話すのは、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん。誰でも入れる個人年金として人気が広がっているが、その受け取り方にプロならではのワザが。「iDeCoは、投資信託などを毎月定額で購入して運用するもの。積み立てたお金は、60歳以降に年金や一時金として受け取れます。その拠出金は全額所得控除の対象で、利益も非課税。私は将来、一時金として受け取ることで退職所得控除を利用し、それを上回る部分は公的年金等控除を使いながら分割受給することで、控除をフル活用する予定です」また、国民年金には保険料を前納すると、一定額が割引されるという、保険料の前納制度がある。’14年4月から2年分前納することが可能になっており、割引額はなんと1万5,760円(口座払いの場合)。この割引制度を利用しているのが節約アドバイザーの丸山晴美さんだ。「クレジットカード払いにしています。割引額は口座払いと比べて1,000円ほど落ちますが、ポイントをつけることができます。2年前納やクレジットカード払いをするには、毎年2月末までに年金事務所へ納付の申し込みが必要ですので、実践したい方は年金事務所に相談を」ファイナンシャルプランナーの野々市恵子さんは年金について次のように語る。「年金の機能は、老後の資金としてだけでなく、一定の障害になったり、死亡したときに遺族の生活費として、現役世代も受け取れることです。自分はどの年金をどれくらい払い続け、どの制度を利用できるのか、いまいちど把握しておきたいですね」
2019年06月12日「公的年金支給開始年齢の引き上げ検討」「受給額減額か」、こんな新聞見出しを見るたびに「私って、どれくらい年金がもらえるのかしら……」と不安に思う人が多いだろう。それぞれの納付期間や年金の種類などによって、複雑に支給額が変化するのが年金制度だ。「いつも年金問題を解説してくれるファイナンシャルプランナーの人たちって、自分ではどんな年金に入っているのかしら?」(50代・主婦)そんな疑問に答えるため、“お金のプロ”女性に、「あなたが実際に行っている年金対策」を緊急調査。賢女たちがプロの知識を生かしてどういうプランを立てているのか教えてもらった。賢女たちは、いかにして年金額を増やすのか。そのポイントは、公的年金の受給方法にある。「年金受給開始の年齢を遅くして支給額を増やす『繰り下げ受給制度』を検討しています」と話すのは独身のファイナンシャルプランナー・野々市恵子さん。将来的な減額が危険視されているなかで、「繰り下げ受給」を検討しているという。繰り上げ受給と繰り下げ受給の違いは何なのか。1カ月早めて「繰り上げ受給」すると、年金を早く受け取れる代わりに0.5%支給額が減額される。反対に、1カ月遅らせて「繰り下げ受給」すると、0.7%の増額。最長70歳まで待てば、本来の支給額より42%もアップする。ただし、繰り下げ受給は、早く死亡してしまうと、65歳から受給するはずだった本来の受取総額より減ってしまうというデメリットがある。資産運用などに詳しいマネーステップオフィス代表の加藤梨里さんも、繰り下げ受給を検討している1人だ。その理由を、次のように説明する。「たしかに、“長生き前提”の制度ではありますが、81歳以降も生き続ければ、本来より総受給額が多くなる計算になります。平均寿命約81歳の男性の場合、トクができるかどうかは非常にギリギリでしょう。しかし、女性の平均寿命は約87歳。受給額を増やせる可能性は十分高いと考えます」経済ジャーナリストの荻原博子さん、社労士・ファイナンシャルプランナーの中村薫さん、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さん、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんも、「増額された年金額を確保」を理由に、繰り下げを検討している。「貯蓄や有価証券、完済した不動産の賃料収入、そして健康ならば60歳以降も働くことで、65歳以降も当面生活費をまかなえる見込みです。自分の資産がある間は、自分の資産で生活したいもの。そして、その資産が足りなくなりそう、あるいは働くペースが落ちたときに、増額された公的年金を受給するのがよいといえるでしょう」(風呂内さん)反対に、唯一「繰り上げ制度」を検討していると話すのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん。「50代の私にとって、今後も年金への利益率は下がると考えてしまいます。減額などの措置が行われる前に、早くもらってしまったほうがおトクになるかもしれませんね」
2019年06月12日「公的年金支給開始年齢の引き上げ検討」「受給額減額か」、こんな新聞見出しを見るたびに「私って、どれくらい年金がもらえるのかしら……」と不安に思う人が多いだろう。それぞれの納付期間や年金の種類などによって、複雑に支給額が変化するのが年金制度だ。「いつも年金問題を解説してくれるファイナンシャルプランナーの人たちって、自分ではどんな年金に入っているのかしら?」(50代・主婦)そんな疑問に答えるため、“マネーの賢女”たちに、「あなたが実際に行っている年金対策」を緊急調査。将来受け取れる年金額のイメージを聞いた。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが加入している年金の種類は国民年金。しかし、会社員時代に11年間ほど厚生年金に加入しており、現在も夫は厚生年金を納めている。「会社員時代に納めた厚生年金も合わせて考えると、年金受給制度が現行水準のままなのであれば、夫婦で月額あたり28万円程度を想定中です」夫婦ともに厚生年金に加入しているというファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんは、「夫婦合わせて月30万円ほど」、独身のファイナンシャルプランナー・野々市恵子さんは「月10万円ほど」と将来の受取見込み額について話す。厚生年金を選択している人はそのほかも、既婚であれば夫婦合わせて月20万~30万円、独身であれば月10万円程度としていた。公的年金を将来いくら受け取れるのかを確認する手段として、賢女が挙げたのが「ねんきん定期便」。毎年誕生月に送られてくるこの通知書は、受取見込み額や35歳、45歳、受給開始前年59歳時点での加入・納付状況が把握できる。毎年必ず目を通し、老後の生活設計に役立てているという。では、厚生年金に加入していない場合を見ていこう。独身で節約アドバイザーの丸山晴美さんが加入しているのは、国民年金。満額支払っていることは「定期便」で確認しているが、それだけでは老後資金に不安を感じたという。「国民年金に加えて国民年金基金に15年間、そして損害保険会社の『年金払積立傷害保険』に月2万円を24年間支払っています。損保の年金積立がありますので、60~75歳まで年間260万円、75歳からは年間130万円、公的年金に加えて受け取ることができる予定です」同じく厚生年金に加入していない生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんも公的年金(柏木さんは月10万円程度と試算)に加えて、民間の生命保険の個人年金に加入している。厚生年金に加入している期間がない、もしくは少ない場合、民間の年金積立制度を利用して、カバーするケースが多いようだ。しかし、「長く働いて収入を得たほうがいい。“年金”より“現金”です」と、きっぱり言うのは経済ジャーナリストの荻原博子さん。風呂内さんも、老後資金を年金ひとつに頼ることを危険視していると話す。「収入も変動しますし、想定より少ない場合もあるでしょう。今は月額28万円程度受取れそうと計算していますが、結果的には月額23万円程度という可能性もあると考えています。終身でもらえるという特徴は非常に心強いとは思うのですが、老後資金にするには、年金額を“増やす”施策を考えなければなりませんね」
2019年06月12日