「時間」について知りたいことや今話題の「時間」についての記事をチェック! (2/2)
新年度がスタートしました。この春から職場復帰するママも少なくないのでは?ただでさえドキドキの職場復帰に家事、育児と、やることは山積み。「朝は子どもを保育園に送り、バタバタ!」「退社時間になっても、仕事も中途半端なまま……」と悩みは尽きません。そんな悩みに答えてくれるのが、『マンガで楽しく読める〈仕事も育児も!ハッピーママ入門〉』(加倉井さおり著、かんき出版)。著者は財団法人で18年間保健師・心理相談員を勤めた後、起業。働く女性を対象にしたセミナーやカウンセリングを行うかたわら、男の子3人を育てる現役ママでもあります。自身の経験や失敗談を踏まえ、忙しくても毎日ニコニコ過ごせるハッピーママへの道をアドバイスしています。そのなかから著者が提唱する、時間を上手に使うために決めておきたい3つのことをご紹介しましょう。「時間がない」と悩むすべての人にとって役立つアイデアです。■時間を上手に使うために決めておきたい3つのこと(1)「増やしたい時間」と「減らしたい時間」を決めておくこれによって、生活のなかでの優先順位がはっきりしてくる、と著者。たとえば「増やしたい時間」には、「子どもに絵本を読む時間」「睡眠時間」「本を読む時間」など。自分や家族にとって必要なこと、リフレッシュになることを優先して増やしていければ、気持ちにも余裕が生まれハッピーママに近づけます。また、睡眠時間を削って仕事や家事をしていると体調不良を招くことも。健康にかかわる時間は意識して増やしたいものです。反対に「減らしたい時間」には、たとえば「スマホをいじる時間」「ネットサーフィンしている時間」「テレビを見ている時間」など。気づかないうちにダラダラと時間を費やしてしまいがちな行動には、時間を決めることが有効です。(2)あえて「やらないこと」を決めておく家事をはじめ、日々していることのなかには「やらなければならないこと」と「やっておければいいなぁと思うこと」が混在しています。カンペキをめざすと、息切れも心配。そこで著者がおすすめするのが、やらないことリストをつくること。「掃除機は2日に1度しかしない」「帰宅後は携帯を見ない」など、思い切ってルーティンの断捨離をしてみましょう。たとえば、小さい子どもがいると、部屋がおもちゃで散らかるのは仕方がないこと。できるだけキレイな部屋をキープしたくてこまめに片づけていると、「このおもちゃをしまうのは、今日これで3度目!」なんていうことも。寝る前の「お片づけタイム」で子どもと一気に片づけることにして、「『お片づけタイム』までは片づけしない!」と決めると、気持ちもずいぶん楽になります。(3)「スキマ時間にすること」を決めておく子どもがお昼寝をはじめたときや、電車の待ち時間や移動時間など、ポッとできたスキマ時間を上手に活用するのはなかなか難しいもの。スマホをぼんやり眺めていると、あっという間に過ぎてしまいます。そうしたスキマ時間を有効活用できればグッと楽になります。たとえば「メールに返信をする」「ネットスーパーに食材を注文する」など。また、「本を読む」「寝てしまう」、電車などであれば「ボーっと外を眺める」といったリフレッシュの時間にしてしまうのも手。気持ちのゆとりは、忙しい毎日だからこそ忘れたくないものです。■やることの優先順位は重要性と緊急性で決めるべしあれもこれもと「やること」は無数に思い浮かびます。その中から優先順位を決めるのは、意外と難しいですよね。そこで著者が提案するのが、「やることを4つのカテゴリーに分ける」方法。「重要性」と「緊急性」の2つを基準に、優先順位の高い順に「(1)緊急性も重要性も高いもの」 → 「(2)緊急性は高いが、重要性は低いもの」 → 「(3)緊急性は低いが、重要性は高いもの」 → 「(4)緊急性、重要性どちらも低いもの」に分け、各項目最大3つまでに絞って書き出します。こうすれば、「やらなければならないもの」の優先順位が一目瞭然。4つのカテゴリー×3項目=12件の「やること」が順序よく並びます。そこで気をつけたいのが、「12件全部やろうと思わない」こと。優先順位を決めることのメリットは、「どうしてもやらなければならないこと」と「できたらやっておきたいこと」を見分ける点にあるのです。「『(1)緊急性も重要性も高いもの』3件がクリアできたらOK!」など自分なりの合格点を決めておけば、負担感が減って充実感を増やすことができます。*「人生は期間限です。でも、子育てはもっと期間限定。その貴重なかけがえのないこの時間を、少しでも楽しみ、後悔なく過ごせたら、きっとしあわせ」。そう著者はいいます。大変なことも多いけれど、その分喜びも多いのが子育てという時間。「時間がない」とあくせくするのではなく、ゆったり構えたハッピーママでいたいですよね。(文/よりみちこ) 【参考】※加倉井さおり(2016)『マンガで楽しく読める〈仕事も育児も!〉ハッピーママ入門』かんき出版※株式会社ウェルネスライフサポート研究所
2016年04月08日みなさんは、自分の集中できる時間がどのくらいかをご存知ですか?医学的な見地からみると、人間がひとつのことに集中できる時間はせいぜい40分程度だそうです。つまり1時間悩んでいるとしても、そのうち20分は集中できていないようなのです。そう考えると、時間がもったいないですよね。40分で考えをまとめ、仕事をサクサク進められればいちばんです。しかし、なにを考えるのかがまとまっていないと、その40分間でさえ途中から余計な思考に走ってしまうことも……。そこで今回は、MBAを取得し、会社員とイラストレーターの二足のわらじを経験した、かんべみのりさんの著書『マンガでわかる!入社1年目からのロジカルシンキングの基本』(SBクリエイティブ)をピックアップ。本書から抜粋した「時間を無駄にしない仕事の秘訣」は、社会人のみなさんが仕事をしていく上で大切なスキルだと思います。早速ご紹介していきましょう。■大切なのはイシュー(問題の本質)を押さえること大切なのは、イシューを押さえることだと著者は主張しています。イシューとは「考えるべき問い」「問題の本質」という意味。イシューを漠然と捉えていると、根本的な部分があやふやであるため、的外れな労力を使ってしまったり、時間の無駄遣いにつながったりしてしまうようです。イシューの押さえ方は次のとおり。まず、あるべき姿(To be)と現状(As is)を把握し、ギャップを明確にすることで、「なにを考えるのか」を明らかにします。難しい場合はいまなにを考えるべきかを具体的な言葉(動詞が良い)に置き換えてみるといいそうです。また、イシューは「押さえたあと」も重要で、以後も押さえ続けなければなりません。新しい仕事では、往々にして新しい刺激があるもの。そのため、脱線した思考や議論が展開されてしまうことが多々あるようです。常にイシューを押さえた話し合いができるように、確認することが大切です。■人間は失敗したくないから「前例」を真似したがるもし、イシューを押さえないで仕事を進めた場合はどうでしょうか。たとえば、違う会社が運営していたイベントを自分が引き継ぐことになったとします。その場合、前任者からいままでの資料一式をもらい、前回のイベントと同じような仕事をすることになります。そのとき、「昨年これでうまくいったようだから、この資料通りにやれば無難に終わるだろう」と考えて、動く人が多いそう。新しいアイデアが出たときも、「失敗したときの責任を取りたくないし、突っ込んで追求されたくない……」と思ってしまい、多くの人が前例のとおりに動いてしてしまうそうなのです。しかし、その前例は本当に正しいのでしょうか。うまくいかなかったことの詳細なんて、報告書にわざわざ掲載していないかもしれません。終わってしまったイベントの失敗を追記するなんて、日々の仕事に忙殺されている担当者ならなかなかしないことでしょう。惰性で仕事をし、イシューを押さえられていないと、平気で同じ失敗を繰り返してしまうことになりかねません。仕事は、自分で考えて結果を出すことで成長につながります。著者は「ただ指示に従っているだけでは機械と同じ!正しく考えて、自分で道を見つけて、結果を出していくことが仕事の基本」と主張しています。いわずもがなですが、仕事は惰性でしないことも重要。よい結果も悪い結果も含めることが、自分で自分の人生を引き受けることにつながっていくようです。*イシューを意識しないと、論点がずれたり、的外れな労力を使ったりしてしまいます。あとから毎回、軌道修正や変更などをしていたら、いくら時間があっても足りなくなってしまうでしょう。イシューを意識した上で、集中できる時間を有意義に使っていく、これが時間を無駄にしない秘訣だと思います。本書は、日々時間に追われ、忙しい会社員の皆さんが参考にできる内容がてんこ盛り。解説の一部がマンガになっていて読みやすいので、ご興味のある方はぜひ一読してみてはいかがでしょうか。(文/齊藤カオリ) 【参考】※かんべみのり(2016)『マンガでわかる!入社1年目からのロジカルシンキングの基本』SBクリエイティブ
2016年03月27日1日は誰にとっても同じ長さ。1日24時間、1週間で168時間という長さは変えられないわけですが、使い方を工夫するだけで、同じ時間内にできることは増えます。いままで無駄に使っていた2時間を有効に使うことができるようになると、1日は2時間増えたようなもの。では、どうすれば1日を26時間にすることができるのでしょうか?アメリカの情報サイト『FORTUNE』が発表した、1日を長く使うための5つのテクニックを紹介します。■1:1日の予定を立てる朝、1分でも早く仕事をはじめるよりも、さらに効率よく仕事を進める方法があります。それは、まず考えること。「今日の終業時間までに絶対に終わらせたいこと」を3つ考えるのです。そして、それを終わらせることを最優先にして仕事を進めていくと、やらなくてもいいことに時間を取られずに済みます。今日絶対にやらなければならないことだけに集中しましょう。■2:気が散るものをなくすSNSやメールの通知など、私たちの周囲には気が散るものがたくさんあります。集中してやれば30分で終わる仕事も、他のことに気を取られながらすると1時間かかってしまう場合もあります。そこで、メールなどの通知を切って仕事をする時間をつくりましょう。また、「インターネットを使っている時間の47%は仕事をしていない」というデータもありますから、パソコンを使って仕事をするときはインターネットの接続を切っておくのも手です。■3:他の人にできることはしない部下にできる仕事は自分でやってはいけません。どんどん人に任せましょう。グループリーダーなどの中間管理職についている人は特に注意が必要です。また、一度はじまると時間を短縮することが難しい会議にも、できるだけ出席しないようにしましょう。必要な情報交換は、簡単な打ち合わせや、メールで済ませるように心がけるのです。■4:朝型の生活に切り替えるどんなに仕事が忙しくても、自分の時間は必要です。趣味に使ったり、家族と過ごす時間も大切にしたりすることで、仕事へのモチベーションも上がるもの。しかし、仕事が終わったあとの時間はもう疲れ切っていて、なにもできません。それよりも、朝早い時間のほうが有意義に過ごすことができます。夜テレビをダラダラ見るのをやめて早く寝て、朝1時間早く起きて好きなことに時間を使いましょう。■5:家で仕事する日を作る通勤は多大な時間を浪費します。通勤そのものにかかる時間だけでなく、家を出るための身支度の時間や、途中でお昼を買いにコンビニやレストランへ行く時間など、家を離れると相当の時間がかかります。毎日は無理でも、週に2、3日出勤しないで仕事をする日が作れれば、かなりの時間の節約になります。*1日の時間は24時間しかありません。時は金なり。時間を有効に使って、毎日を充実させましょう!(文/スケルトンワークス) 【参考】※Simple Ways to Add 2 Hours More to Your Day-FORTUNE
2016年03月21日『ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法』(猪俣武範著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、異例のキャリアの持ち主です。まず、医師として働きつつ、「語学力ゼロ」の状態からハーバード大学に留学したというのですから驚き。しかもそればかりか、ビジネススクールでエグゼクティブMBAを取得したというのです。制限の多い環境のなか、限られた時間内でこれほどの実績を打ち立てることは、そうそう簡単ではないでしょう。しかしそれでも、必ずしも特別なことをしたわけではないと著者はいうのです。効率よい目標達成のポイントは、「勉強に対する考え方や姿勢」「勉強のスキルやプロセス」「勉強以外のネットワーキング」などを良循環させること。そしてそのなかで著者は、「人生で達成したいことを見据えて目標を立てる」ことと、「なにをやらないかをはっきりと決める」ことにもっとも気をつけているのだそうです。つまり最大限のパフォーマンスを発揮するためには、その2つが重要な意味を持つということです。そんな基本をもとに、限られた時間内で最大の成果をあげる術を紹介した本書から、時間を有効に使うための「スキマ時間」の活用法をご紹介したいと思います。■時間管理を適切に行う1日24時間のなかで、人より多くのことを達成できる人がいるものです。でも、そんなことがなぜ可能なのでしょうか?著者は、その答えは時間管理の意識と方法にあると断言しています。時間管理とは、忙しく予定を詰め込めばいいというものではなく、目標に対する時間をどれだけ捻出できるかを指すものだといいます。たとえば通勤時間中にスマホでだらだらネットを眺めたり、好きな音楽ばかりを聴いたりしていたのなら、有効な時間管理をしているとはいえません。しかし目標に対して時間を管理することができていて、通勤時間中に英語やオーディオブックなどを聴いたり、勉強のための読書をしたりするようになれば、それは自身の成長につながるということ。時間管理をマスターすることは、決して難しいことではないと著者。もっとも大切なのは、時間管理が自分自身にとってどのくらい大切な規則であり、テクニックであるかを、自分の心に理解させることだといいます。時間管理を適切に行うことは、目標達成や成長に必要不可欠。だからこそ、時間管理の基礎を学ぶべきだと著者はいいます。■スキマ時間を有効活用効率的に勉強するためには、当然のことながら多くの時間を確保する必要があります。ポイントは、「長い」時間ではなく、「多く」の時間だということ。集中力は長く続くものではないので、勉強は必ずしも長くやればいいということではないという考え方です。一方、多く勉強するということは、細切れでもいいのでたくさんの時間を捻出し、それを勉強やタスクに振り分けること。忙しいビジネスマンも、子育てに忙しい人も、細切れの時間なら確保できるはず。つまり、そうした「スキマ時間」を有効に使うことが、いくつもの目標を同時に達成するためにもっとも有効な時間術だということです。会議を待つ10分間だったり、顧客との面談の待ち時間だったり、スキマ時間は日常のなかでたくさん見つかるもの。もし仕事が驚異的に忙しかったとしても、スキマ時間は必ず生じるものだと著者は断言しています。なぜなら社会で働いている限り、業務の継ぎ目をなくすことは不可能だから。■すぐツールを取り出すそして私たちは、このスキマ時間を有効に使うことが可能。たとえその時間が、わずか3分間であっても。たとえば著者は、いつも本や簡単な書類を持ち歩くようにしているそうです。電車やエレベーターの待ち時間も、読書やメールの返信作業などのために利用しているわけです。また、スマートフォンはスキマ時間を有効利用するのに必要不可欠。メールの返信や簡単な仕事は、スマホでスキマ時間に終わらせてしまえばいいのです。なお、iTunesなどのクラウドサービスに英語のポッドキャストを入れておけば、リスニングの練習も可能になります。これらのアイデアからも推測できるとおり、重要なのは、スキマ時間ができたら「すぐに」ツールを取り出せるようにしておくこと。1日のTO DOリストの確認をしたり、机の上の整理や書類のサイン、メールの返信をしたりするなど、オフィスで仕事中のときも、スキマ時間が5分あればさまざまなことができるはず。もし20分以上あれば、レポート、発表に使うパワーポイントの骨組みの作成なども可能。少しでも手をつけておくことで、その後の仕事の効率が大きく変わるわけです。そしてスキマ時間は、仕事場だけでなく家でも応用可能。たとえば5分あれば、今日やることを書き出したり、買いものリストをつくったりすることができます。10分あれば洗濯物をたためますし、20分あれば掃除機をかけられるでしょう。そうすれば、余った時間を仕事や勉強にあてることができるということです。*このように、1日のスキマ時間を合計すれば、相当の時間を捻出できるということがわかります。大切なのは、この時間を重要なことに投資し、自己投資と目標達成の良循環を生み出すことだというわけです。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※猪俣武範(2016)『ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016年03月20日ものごとについてしっかり結果を出せる人と、懸命にやっているのに結果を出せない人がいます。でも、結果が出せない人は、はたしてどこに問題があるのでしょうか?はじめる前から、すでに差がついているということなのでしょうか?あるいは、努力の差が違うというのでしょうか?『東大生が知っている! 努力を結果に結びつける17のルール』(清水章弘著、幻冬舎)は、東大出身の著者がそんな疑問に答えてくれる書籍。具体的には、大切な努力を無駄にしないためのルールが紹介されているのです。「正解を求めない勉強法」「テストの勉強法」「思考法」「社会に出てからの勉強法」からなる構成。著者は学習塾の経営などに携わっている人物であるだけに、勉強法が多め。しかしそれらは、ビジネスパーソンの仕事にも置き換えることができそうです。きょうは思考法のなかから、「時間」に関連する項目を引き出してみたいと思います。■学生時代は時間に振り回されていた!著者は起業した前後には「時間」に関する失敗を重ねていたため、「いつか『時間』で痛い目に遭うよ」といわれていたそうです。大学2年生の冬から会社づくりをはじめたので、結果としてとんでもなく忙しい毎日になってしまっていたというのです。たとえばそのころは、次のようなスケジュールで生活していたのだといいます。【部活のない日】9時~14時30分:授業(@駒場キャンパス)14時40分~16時:自主練習(@駒場ホッケー場)17時~22時:アルバイト(@御茶ノ水)22時30分~23時:夕飯23時~26時:仕事【部活のある日】9時~12時10分:授業(@駒場キャンパス)12時10分~13時:筋トレ(@駒場ホッケー場)13時~16時20分:授業(@駒場キャンパス)16時30分~21時:部活(@駒場ホッケー場)21時30分~22時30分:夕飯23時~26時:仕事■時間を固定することで時間が生まれたこの生活が楽しくて仕方がなかったといいますが、しかし時間に振り回されながら、ミスを連発してもいたのだとか。そうやって不規則な生活を続けていたある日、「予想外なことがたくさん起こるからといって、自分の生活も不規則にする必要はないな。むしろ、規則正しくしたほうが、時間が生まれるんじゃないか?」と気づいたのだそうです。そこで実践してみたのが、中学・高校時代に学んだ「三点固定」という発想。それは、次の3つの時間を固定するというものだといいます。(1)起床時間(2)帰宅時間(3)就寝時間この3つを固定すれば、規則正しい生活になるということを、数年前に学んでいたというわけです。■時間が生まれた決め手は「帰宅時間」それを20歳になってからふたたび試してみたというのですが、結果からいえばこれが大成功。理由は、このようにすると、自分がコントロールできる時間を算出することができるから。なお算出するための計算式は、次のとおりだそうです。(コントロールできる時間)=「就寝時間」—「帰宅時間」—「ご飯とお風呂の時間」たとえば18時に帰宅して、ご飯とお風呂に2時間かかって、24時に寝るのであれば、(コントロールできる時間)=24-18-2=4時間ということになるわけです。つまりここからもわかるとおり、帰宅時間が固定されていると、計画がとても立てやすくなるということ。「起床時間と就寝時間を固定しよう」という話はよく聞くかもしれませんが、そこに「帰宅時間を固定できるか」が大きなポイントだったのだといいます。*この話など、すぐにでも応用することができるはず。また実体験が数多く盛り込まれているので、読み物としても楽しめる内容になっています。時間のあるときにでも目を通してみれば、効果的に結果を出す方法を身につけることができるかもしれません。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※清水章弘(2015)『東大生が知っている! 努力を結果に結びつける17のルール』幻冬舎
2016年03月03日「先週の水曜日、なにをしていましたか?」この質問に、即座に答えられる人はどれくらいいるでしょうか。週末が休みの会社員であれば出勤、子どもも幼稚園や学校に行きます。多くの人がなんの気なしに通り過ぎてしまう週のまんなか・水曜日。そこに意味を見いだをした取り組みがいま、注目を浴びています。取り組みの名前は「赤崎水曜日郵便局」。そのプロデューサー兼管理人で新刊『赤崎水曜日郵便局見知らぬ誰かとの片道書簡』(KADOKAWA)の著者・楠本智郎さんにお話を伺いました。見えてきたのは、“平凡な1日”の持つ重みでした。■3年で5,000通以上が集まった「赤崎水曜日郵便局」は、熊本県津奈木(つなぎ)町が運営する公立美術館「つなぎ美術館」が2013年からことし3月まで、3年間の期間限定で行うアートプロジェクト。楠本さんはこの美術館の学芸員として、活動を主導しています。水曜日に起こったできごとを専用の便せんにしたためて「赤崎水曜日郵便局」宛に送ると、知らない誰かの水曜日について書かれた手紙が名前を伏せたかたちで届く、というもの。熊本県の小さな町で始まった取り組みは口コミから新聞やラジオ、テレビなどで取り上げられ、ことし2月現在で5,100通以上が寄せられました。送り手の多くは30代、20代の若い世代。全体の8割ほどが女性です。「アナログからデジタルの過渡期に育った、手紙も経験しインターネットも使いこなせる世代が多く参加してくれている印象です」と楠本さん。■100人いれば、100通りの幸せこのプロジェクトを特徴的なものにしているのが、“水曜日”のできごとをしたため合う、という設定です。水曜日を選んだ理由は、プロジェクトのシンボルになっている小学校の廃校舎が海の“水”の上に立っていること、そして、週の真んなかであるということ。「日常性を大切にしたかったんです。ともすれば思いだせないような1日に、あえて思いをはせてほしくて」。当初の思いをそう振り返った楠本さん。プロジェクトの活動をまとめた書籍「赤崎水曜日郵便局」では、そのうち101通を読むことができます。給食に出たカップアイスの“お気に入りの食べ方”を教えてくれる8歳の女の子。娘の恋人が結婚を申し込みに訪ねてきた1日を振り返る57歳の女性。仕事が休みで、娘を保育園に迎えに行った48歳の男性。何気ない日常がつづられた手紙ですが、読んでいると胸を突かれます。「たとえば土曜、日曜なら特別なできごとを書いた手紙が多かったと思いますが、水曜日にしたことで、日常のできごとから自分の人生まで掘り下げて思考した手紙が多かった。親しい人にはいいにくいけれど誰かに聞いてほしい悩みを抱えている方が、手紙を出すことで一歩前に踏み出すきっかけにできた、ということも聞きました。受け取った人も、100人いれば100通りの幸せのかたちがあると感じられたんじゃないかと思います」あえて週のうち最も平凡な1日を見つめることで、自分自身とじかに向き合う機会になったのでは、と楠本さんは考えています。■ゆるやかなつながりがもたらすものそしてもうひとつ、手紙という手段からも気づかされるものがあった、と楠本さん。「赤崎水曜日郵便局は、きずなのあり方を問いかけているんじゃないかなという気がします。SNSで人と人が簡単に、密につながれる時代、赤崎水曜日郵便局のようなゆるやかなつながりだからこそ伝えられることもあるんじゃないか、と。いまは、メッセージを送ってもすぐに返事が来なかったら『どうしたんだろう』と思うし、もらって返しそびれていると『早く返さなきゃ』と思いますよね。でも、昔はそうでもなかった。時代は本当に変わったけども、手紙のように、送ってから相手に届くまでの間にワンクッションあるということは、人間が思考する上で必要なことなんだな、と感じました」*「赤崎水曜日郵便局」の活動はことし3月末で終了しますが、書籍『赤崎水曜日郵便局』では、そのエッセンスを感じることができます。アートという枠組みで、普通の1日の重みを世に問いかけた今回のプロジェクト。その集大成である本書には様々な物語がつづられ、まさに「現代の万葉集」。何年か後にもう一度読むと、新たな発見もありそうです。毎日の忙しさに追い立てられ、昨日のことも思い出せないほどのスピードで生きている――そんな人にぜひ読んでほしい1冊です。(文/よりみちこ) 【取材協力】※楠本智郎・・・1966年福岡県生まれ。タイ国立大学の常勤講師などを経て2001年からつなぎ美術館主幹・学芸員。社会教育事業としてのアートプロジェクトを考案し、アーティストと住民が年間を通じて地域資源を活用しながら表現活動に取り組む「住民参画型アートプロジェクト」を2008年から実施している。近年は複数のプロジェクトを同時に運営しながら地域密着型アートプロジェクトの功罪を踏まえた上で、都市部から離れた地域におけるアートの可能性を探っている。 【参考】※楠本智郎(2016)『赤崎水曜日郵便局見知らぬ誰かとの片道書簡』KADOKAWA※アートプロジェクト「赤崎水曜日郵便局」公式サイト(毎週水曜日のみオープン) 【撮影】※森賢一
2016年03月02日