腰椎椎間板ヘルニアになりました。発症から5カ月以上がたち、発症前と変わりないくらいスムーズに歩けるようになったけれど、足先を中心に右下半身の痛みは消えないまま。発症から1カ月後にねんざした右足首は、夕方になるとパンパンでむくみがひどい! 闘病生活の様子をリポートします。足やおしりなど痛いところがあちこち移動腰椎椎間板ヘルニアを発症直後は右足の親指がやたらと痛くて冷たくて、厚手の靴下+靴下用カイロで完全防寒していましたが、1カ月ぐらい過ぎたある日ピタッと痛みが解消。その代わり足の裏の左側が痛くなったり、次は右側が痛くなったりと痛い部分が移動するように。発症から5カ月以上たった今は、良くなってきたので厚手の靴下は卒業し、普段はいていた靴下に戻りました。でも、足の甲がピーンと張ったような痛みがあります。時折、靴底に何か入っているのか、スニーカーの靴ひもをサポートしている部分(専門用語的にはタンやベロと呼ぶよう)がズレて当たっているのかが気になり確認してみると何もなくて、足の甲が痛いからだなと実感します。発症当初は足の親指の痛みがものすごくてあまり気にならなかったのですが、徐々におしりや右足の太ももの痛みも気になるように。長時間座っていて立ち上がるときにそれらの部位がピキーンと痛むのです。夕方になると右足首がパンパンに!腰椎椎間板ヘルニア発症から1カ月後に右足首をねんざ。湿布を貼ったり、リハビリをするなどのねんざのケアを怠ったせいで、じわりじわりと不調が表れてきました。平日はケースワーカーとして外を出歩き、昼食を取る暇もないほどバタバタしているときがあるのですが、夕方事務作業をしているときになぜか靴下を脱ぎたくなり脱ぐと、右足首が半端なくふくれているんです。靴下の跡もくっきりで、ものすごくむくんでいて……。足首を思い切り動かすのはしんどいほどです。病院で相談すると、医師から事前に湿布を貼っておくのが良いとアドバイスをもらいました。しかし、予防なのでうっかり忘れて夕方むくんでいるということを繰り返しています。そもそも、足首を激しく動かす動作は少ないのかもしれません。むくんでいるなと思って、足首を思い切り上げ下げしてみると足がぴきーんとなって動かしづらいのですが、階段の上り下りや歩行レベルの足の動かし方だと特段痛みも不調もないのです。痛みをほとんど感じないのと、むくんでいるだけだとついケアがおろそかになってしまっています。足首の太さに左右差があっても気にしない、だって翌朝にはむくみが引いて元に戻ってるしと、肝っ玉の据わっている私を恨めしく思います。薬を飲む量と種類が変化。新規コルセットを投入発症から1カ月が過ぎると薬が効いてきたのか、足全体の痛みが軽減してラクに歩けるようになりました。発症当時から飲んでいる神経の痛みを緩和する薬が1つありますが、飲む量が3分の1に。一方で長引く痛みを訴えたため、鎮痛剤が1種追加されました。この鎮痛剤は吐き気を伴うこともあるようなので、吐き気止めももれなくセット。なので、以前から服用している高血圧薬と併せて毎朝飲む薬は5錠になりました。なんだか更年期を超えて高齢者になった気分。しかし、3カ月を経過して吐き気がないことが確認されると、吐き気止めは飲まなくてよくなりました。よかったぁ~。本当は体質そのものを変えたほうが良いのではと思い、途中、漢方薬も処方してもらったのですが、薬が多くなるので断念しました。一方で、外出するときはコルセットが欠かせません。医師からはしなくてもいいとのお達しがありましたが、突然腰がポキッとなったりしないか、やっぱり不安なんですよね。私が持っていたのは腰からウエスト部分をがっちりガードする、高さ20cm超えのコルセットだったのですが、腰部分だけでもいいんじゃないかと思い、腰周りだけを支える高さ約11cmの細めのコルセットを購入。これがまた結構良い感じ! 十分きびきび動けます。これなら暑い夏の時季にも活躍できそうと期待しています。まとめ腰椎椎間板ヘルニアを発症して5カ月以上。痛みにほんろうされながらも、なんとか痛みと付き合える程度になってきました。とはいえ、この病気は体を動かしているほうが私としては症状が軽減できている印象なんです。なので、週末にガッツリ家でゴロゴロしていて立ち上がろうとすると、おしりや太ももがピキーン。休みたいのに休めないというジレンマに陥っています。かかりつけ医いわく、椎間板ヘルニアはある日突然症状がなくなることも多いとのこと。たしかに痛みは移動していて前に痛かったところはなんともないけれど、痛みそのものがなくなるのかは未知数。現在、花粉症の薬が新たに追加され、毎朝6粒の薬たちを飲みながら、これも加齢という成長の証で健康に生きていくために必要なものなのだと言い聞かせています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/中村光伸先生(光伸メディカルクリニック院長)整形外科医の知見から骨の仕組み、体の動かし方を活かした骨のトレーニングを提唱する骨の専門医。骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき」を考案。若々しい体を取り戻す「リバースエイジング」の専門家としてメディアにも多数出演。著書に『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』『ひざたたき世界一かんたんな健康法』(アスコム)。著者/杉田リエ(51歳)大学生と高校生の母。第二子出産を機にフリーライターに。46歳のとき社会福祉士の資格を取り、ケースワーカーとして社会復帰。現在の悩みは教育資金と心&体の健康。愛猫の姿に癒やされます。
2024年02月02日昨年、腰椎椎間板ヘルニアになりました。発症から5カ月以上がたち、発症前と変わりないくらいスムーズに歩けるようになったけれど、足先を中心に右下半身の痛みは消えないまま。発症から1カ月後にねんざした右足首は、夕方になるとパンパンでむくみがひどい! 闘病生活の様子をリポートします。★関連記事:「突然歩けなくなった!」 腰椎椎間板ヘルニアを発症。取れない足のしびれに一喜一憂する毎日…【体験談】足やおしりなど痛いところがあちこち移動腰椎椎間板ヘルニアを発症直後は右足の親指がやたらと痛くて冷たくて、厚手の靴下+靴下用カイロで完全防寒していましたが、1カ月ぐらい過ぎたある日ピタッと痛みが解消。その代わり足の裏の左側が痛くなったり、次は右側が痛くなったりと痛い部分が移動するように。発症から5カ月以上たった今は、良くなってきたので厚手の靴下は卒業し、普段履いていた靴下に戻りました。でも、足の甲がピーンと張ったような痛みがあります。時折、靴底に何か入っているのか、スニーカーの靴ひもをサポートしている部分(専門用語的にはタンやベロと呼ぶよう)がズレて当たっているのかが気になり確認してみると何もなくて、足の甲が痛いからだなと実感します。発症当初は足の親指の痛みがものすごくてあまり気にならなかったのですが、徐々におしりや右足の太ももの痛みも気になるように。長時間座っていて立ち上がるときにそれらの部位がピキーンと痛むのです。夕方になると右足首がパンパンに!腰椎椎間板ヘルニア発症から1カ月後に右足首をねんざ。湿布を貼ったり、リハビリをするなどのねんざのケアを怠ったせいで、じわりじわりと不調が表れてきました。平日はケースワーカーとして外を出歩き、昼食を取る暇もないほどバタバタしているときがあるのですが、夕方事務作業をしているときになぜか靴下を脱ぎたくなり脱ぐと、右足首が半端なくふくれているんです。靴下の跡もくっきりで、ものすごくむくんでいて……。足首を思い切り動かすのはしんどいほどです。病院で相談すると、医師から事前に湿布を貼っておくのが良いとアドバイスをもらいました。しかし、予防なのでうっかり忘れて夕方むくんでいるということを繰り返しています。そもそも、足首を激しく動かす動作は少ないのかもしれません。むくんでいるなと思って、足首を思い切り上げ下げしてみると足がぴきーんとなって動かしづらいのですが、階段の上り下りや歩行レベルの足の動かし方だと特段痛みも不調もないのです。痛みをほとんど感じないのと、むくんでいるだけだとついケアがおろそかになってしまっています。足首の太さに左右差があっても気にしない、だって翌朝にはむくみが引いて元に戻ってるしと、肝っ玉の据わっている私を恨めしく思います。薬を飲む量と種類が変化。新規コルセットを投入発症から1カ月が過ぎると薬が効いてきたのか、足全体の痛みが軽減してラクに歩けるようになりました。発症当時から飲んでいる神経の痛みを緩和する薬が1つありますが、飲む量が3分の1に。一方で長引く痛みを訴えたため、鎮痛剤が1種追加されました。この鎮痛剤は吐き気を伴うこともあるようなので、吐き気止めももれなくセット。なので、以前から服用している高血圧薬と併せて毎朝飲む薬は5錠になりました。なんだか更年期を超えて高齢者になった気分。しかし、3カ月を経過して吐き気がないことが確認されると、吐き気止めは飲まなくてよくなりました。よかったぁ~。本当は体質そのものを変えたほうが良いのではと思い、途中、漢方薬も処方してもらったのですが、薬が多くなるので断念しました。一方で、外出するときはコルセットが欠かせません。医師からはしなくてもいいとのお達しがありましたが、突然腰がポキッとなったりしないか、やっぱり不安なんですよね。私が持っていたのは腰からウエスト部分をがっちりガードする、高さ20cm超えのコルセットだったのですが、腰部分だけでもいいんじゃないかと思い、腰周りだけを支える高さ約11cmの細めのコルセットを購入。これがまた結構良い感じ! 十分きびきび動けます。これなら暑い夏の時季にも活躍できそうと期待しています。まとめ腰椎椎間板ヘルニアを発症して5カ月以上。痛みにほんろうされながらも、なんとか痛みと付き合える程度になってきました。とはいえ、この病気は体を動かしているほうが私としては症状が軽減できている印象なんです。なので、週末にガッツリ家でゴロゴロしていて立ち上がろうとすると、おしりや太ももがピキーン。休みたいのに休めないというジレンマに陥っています。かかりつけ医いわく、椎間板ヘルニアはある日突然症状がなくなることも多いとのこと。たしかに痛みは移動していて前に痛かったところはなんともないけれど、痛みそのものがなくなるのかは未知数。現在、花粉症の薬が新たに追加され、毎朝6粒の薬たちを飲みながら、これも加齢という成長の証で健康に生きていくために必要なものなのだと言い聞かせています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/中村光伸先生(光伸メディカルクリニック院長・医学博士)整形外科医の知見から骨の仕組み、体の動かし方を活かした骨のトレーニングを提唱する骨の専門医。骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき」を考案。若々しい体を取り戻す「リバースエイジング」の専門家としてメディアにも多数出演。著書に『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』(アスコム)。著者/杉田リエ(51歳)大学生と高校生の母。第二子出産を機にフリーライターに。46歳のとき社会福祉士の資格を取り、ケースワーカーとして社会復帰。現在の悩みは教育資金と心&体の健康。愛猫の姿に癒やされます。
2022年08月31日20代から悩んでいた腰痛が悪化し、椎間板ヘルニアと診断されたのが30代。40代前半、布団を持ち上げた瞬間、下半身に電気が走りました。歩けないほどの痛みで1週間安静となった私ですが、その後5年間は再発ナシ。そのとき言われた整形外科医のアドバイスを完璧ではないものの、できるだけ守っているおかげかなと思っています。物を持ち上げるときは、必ずかがむ!40代前半で重度の椎間板ヘルニアを発症してしまった私。その原因は、布団の持ち上げでした。軽いと思っていた布団が予想以上に重く、かがまずに勢いよく持ち上げてしまったのです。腰と下半身にビリビリビリッと電気が走り、その後は動くたびに腰が痛み、自力で靴下も履けなくなりました。整形外科で椎間板ヘルニアと診断され、その後は1週間安静。家事も育児もできず、義母に助けてもらうしかなくなりました。トイレに行く以外は寝たきりです。1週間後、だいぶ痛みが良くなり再受診したとき、まず医師に言われたのが「物を運ぶときや持ち上げるときは必ずかがんでからおこなってください」ということ。 かがむというひと手間を惜しむことで、腰には大きく負担がかかってしまうそうです。私はついつい、かがまずに腰を折った状態で家事などの作業をしがちなのですが、床にある物を移動するときや、ごみの処理など低い位置で仕事をするときは必ずかがむようにしています。椅子には浅く腰をかける。深い椅子はNGそのとき、もう1つ言われたのが椅子の座り方。物を持ち上げたり運んだりするときと同じくらい、椅子から立ち上がるときは椎間板ヘルニアの発症が多いとのこと。それを防ぐには、なるべく椅子には浅く腰かけることが大切で、浅く腰かけたほうが立ち上がったときの腰への負担が軽くなるそうです。また、深めの椅子やふかふかのソファもなるべく座らないようにすること。立ち上がるときに腰への負担がかかりやすくなるそうです。 深めのソファにゆったりと腰かけて読書をしたり映画を見たり……リラックスできるので、ついやりがちでした。医師のアドバイスを聞いてからは、深めに座るひじかけソファの座面の奥にぬいぐるみを置いたり、丸めたタオルを置いたりして、子どもたちが座るときにも腰に負担がかからないようにしています。 また、猫背や脚を組んだ姿勢で座るのも腰に負担がかかるそうです。正しい姿勢を意識することが腰痛予防になるということを知りました。なるべく太らないようにするそして、最後に医師から言われたのが「太らないようにすること」。椎間板ヘルニアには肥満は大敵、だそうです。特におなか周り。脂肪が多い上に腹筋、背筋を鍛えていないと、椎間板に負担をかけると言います。実は、30代で椎間板ヘルニアと診断されたときに、医師から「腹筋と背筋を鍛えてください」と言われていました。しかし、筋トレなんかまっぴら御免だった私。まったくしていませんでした……。40代の発症も、筋トレをまじめにしていれば防げたかもしれません。そして今回。50歳を目前にし、筋力がますます低下する更年期に入りました。43歳から48歳の5年間で、特に暴飲暴食をしたわけでもないのに4kg体重が増加しました。ですが、「筋トレしてください」よりは「太らないようにしてください」と言われたほうが少しラクでした。とはいえ、これについては、またしても何もしていない私。おなか周りの脂肪を減らすこと。腹筋と背筋を鍛えること。これらを目標に、今度こそ行動を起こさなくては、以前よりもひどい椎間板ヘルニアがやってくると感じています。まとめ椎間板ヘルニアは「ちょっと腰が痛い」というレベルではなく、歩くとき、座るとき、立ち上がるとき、すべてに激痛が走る怖い病気でした。本当に、腰は体の要(かなめ)だなあと実感しています。 最後の発症から約5年がたち、大きな再発はありませんが、医師いわく、椎間板ヘルニアは本当にひどくなると救急車を呼ぶレベルになるそうです。腰は折らずにかがむ、椅子は浅く座る、なるべく太らないようにするといったことを注意するだけでも、椎間板ヘルニアのリスクは減らせるので、いつまでも元気に活動するために、自分の腰は自分で守っていきたいと思います!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
2021年02月20日脊髄小脳変性症(SCD)とは出典 : 脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳を中心に、脳幹、脊髄、大脳が徐々におかされる進行性の神経変性疾患のことです。主に歩くときにふらついたり、ろれつが回らなかったりする運動失調と呼ばれる症状があります。脊髄小脳変性症は数十の疾患を含む総称で、その病型によって運動失調のほか、パーキンソン症状や認知症などさまざまな症状が同時にあらわれることもあります。病型は、遺伝性とそうではない孤発性に大きく分けられます。発症年齢などにもよりますが、進行すると数年で車いすが必要になり、寝たきりになったり死に至ることもあり、家族や医療・福祉などのサポートが必要不可欠です。◇小脳のはたらき小脳は四肢の運動がなめらかになるように、また、歩行の安定を調整する機能などがあります。そのため、小脳が障害されると、筋肉に異常はないのに手足がうまく動かせなくなり、歩行時にふらつくといった運動障害が起こります。参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会(編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)脊髄小脳変性症(SCD)の主な症状出典 : 脊髄小脳変性症は数十もの病気が含まれているので、症状もさまざまあります。ここではその中でもよく見られる症状について、紹介します。1. 小脳性運動失調脊髄小脳変性症でもっとも代表的な症状です。筋力の低下、麻痺といった筋肉の異常はないものの、筋の協調運動の障害が生じて、体をうまくコントロールできない状態です。・歩行障害…歩行時のふらつき、歩けないなど・四肢失調…腕や手がうまく使えない、箸がうまく使えない、文字が下手になったなど・会話障害…声の大きさやリズムが不整、言葉が不明瞭になる・眼振…眼球が細かく揺れる2. 不随意運動本人の意思に関係なく体が動く症状です。・素早くピクッとする動き・踊っているように見える・姿勢の異常などが起きるジストニア3. 自律神経系の障害血圧や呼吸などを調整する自律神経系の障害によって引き起こされる症状で、脊髄小脳変性症のなかでも患者の多い多系統萎縮症(MSA)によく見られます。・起立性低血圧…起立時に血圧が急に下降し、立ちくらみ、耳鳴り、頭痛などが起こる。重症例では失神することもあり、寝たきりになるケースもある・発汗障害…下半身から発汗の機能に影響が出て汗が出なくなる一方で、上半身では汗が多く出るなど、体温調節がうまくできなくなる。最終的には全身で汗が出なくなる・排尿障害…十分に尿を膀胱に溜めていられない頻尿などの蓄尿障害と尿を排出させることが困難となる尿排出障害があり、同時に生じることもある・睡眠時無呼吸…眠っている間に10秒以上呼吸が止まるのを1時間のうち5回以上繰り返す脊髄小脳変性症(SCD)を発症する原因は?出典 : 遺伝性のものとそうでない孤発性と呼ばれるタイプがあり、原因も疾患によって様々です。疾患ごとの原因遺伝子の特徴などは研究によって明らかになってきていますが、脊髄小脳変性症を引き起こすはっきりとした原因はまだ解明されていません。孤発性の場合、生活習慣や食習慣の関係はないと考えられ、疾患の進行を左右するような食習慣などもありません。遺伝性の場合は、遺伝の仕組みや疾患ごとの原因遺伝子が分かってきており、親子で伝わっていく常染色体優性遺伝性の疾患、きょうだいのみで発症する常染色体劣性遺伝性が知られています。脊髄小脳変性症(SCD)の病型病型がはっきりと分かることでその後の進行の見通しや、治療などの道筋も立てられます。そのため、病型の分類などを把握することは大切です。病型は、遺伝性かいなかによって大きく区別されます。Upload By 発達障害のキホン遺伝性ではない孤発性は脊髄小脳変性症患者全体の半数以上を占めます。その中でも多系統萎縮症(MSA)は最も多く、かつて別の疾患と考えられていた、オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群も多系統萎縮症に含まれています。小脳以外にも脳幹の萎縮が目立ち、進行すると車いすの使用や寝たきりになるなど日常生活が難しくなります。一方で、皮質性小脳萎縮症は小脳失調症以外のパーキンソン症状や自律神経症状などがない純粋小脳失調型です。予後や進行は多系統萎縮型と大きく変わってきます。Upload By 発達障害のキホン遺伝性の場合、多くは常染色体優性遺伝性です。日本で発症の頻度が高いのはマチャド・ジョセフ病や脊髄小脳失調症6型(SCA6)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症などがあげられます。常染色体劣性遺伝性は、両親が未発症でも発症します。十分に家族歴などの情報を得られないと、孤発性と思われる可能性もあります。脊髄小脳変性症(SCD)の発症の頻度や年齢の特徴出典 : 脊髄小脳変性症の患者は、全国で3万人を超えると言われています。また、2003年の「運動失調に関する調査及び病態機序に関する研究班」の解析結果では、脊髄小脳変性症の67.2%が孤発性、27%が常染色体優性遺伝性、1.8%が常染色体劣性遺伝性、残りが「その他」と「痙性対麻痺」でした。出典: 診断・治療指針(医療従事者向け) 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)|難病情報センター発症年齢の傾向は、病型によっても変わってきます。全体では小児から70歳以上の高齢までと幅広く、特に30歳前後の中年以降に多くなります。出典: 脊髄小脳変性症 概要|小児慢性特定疾病情報センター主に見られる多系統萎縮症と皮質性小脳萎縮症は、ともに成年期以降に発症します。そのうち、多系統萎縮症が64.7%、35.3%が皮質性小脳位縮小と臨床診断されています。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)日本における遺伝性脊髄小脳変性症は、90%以上が常染色体優性遺伝性、数%が常染色体劣性遺伝性、さらにまれにX連鎖性が認められています。常染色体優性遺伝性に含まれる疾患別では、マチャド・ジョセフ病、脊髄小脳変性症6型(SCA6)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、脊髄小脳変性症31型(SCA31)の4疾患だけで70〜80%を占めます。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)常染色体優性遺伝性であれば、祖父母、両親、患者の各世代には男女ともに発病者が分布していることになります。成人発症の遺伝性疾患は、患者のきょうだいや子どもの世代に未発症の保因者がいることも十分に考えられます。一方、常染色体劣性遺伝性の場合、両親が未発症でも保因者となります。患者のきょうだい、両親が近親婚でその血縁に罹患者がいる場合には、劣性遺伝である可能性が高いと思われます。また、一見孤発性と思われても、常染色体劣性遺伝性である可能性もあります。常染色体劣性遺伝脊髄小脳変性症3、4、6型の疾患では、多くが幼少期から若年発症です。しかし、一部には出生時にすでに小脳萎縮があり、非進行性であるなどの特徴から奇形・低形成、またはそれを基盤とした発達障害との異同が問題となっています。ほかにも、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症は、祖父母、父母、子、孫…と世代を経るごとに発症年齢が早まるのが特徴です。成年発症では、ふらつき、震えなどの小脳失調、舞踏アテトーゼなどの不随意運動が主症状とされてます。一方で、20歳以下の発症では、てんかん、精神発達遅滞、小脳運動失調といった症状がみられます。脊髄小脳変性症(SCD)の検査・診断出典 : 脊髄小脳変性症の診断は神経内科で行われ、臨床症状や頭部MRI、CTスキャンの画像検査から非遺伝性・遺伝性の違い、病型を調べます。診断を受けることで、症状に対応した治療を受けられます。皮質性小脳脊髄小脳変性症は、診断のための決定的な所見がないため、検査によって他の疾患の可能性を除外していきます。・画像検査…MRIやCTスキャンで小脳などの萎縮の有無、脳血流シンチグラフィーで小脳の血流低下の有無などを調べます。・神経学的な診察…本人の意思と関係なく体が動く反射や反応、麻痺などの神経症状がないかを調べます。・遺伝子検査…家族の中で脊髄小脳変性症の人がいる場合、採血をして遺伝性かどうか、どの病型に属しているかを調べます。予後の見通しなどにか変わってくるほか、治療可能な疾患の処置を適切に行うためにも、別の病気ではないかどうかの鑑別は重要です。症状が似ている疾患は以下のようなものがあります。・ビタミンB1やB12、葉酸の欠乏・アルコール中毒・甲状腺機能低下症・多発性硬化症・エイズ関連の神経疾患など多くの原因遺伝子が分かってきたこともあり、遺伝子検査によって正確に診断できるようになってきました。正確な診断ができることで、臨床的に有用な情報が提供されます。また病型の確定は予後の判定、合併症の予測に有効です。遺伝子検査をしない場合、原因究明のために他のいくつもの検査を繰り返すことになりますが、それが必要なくなるという長所もあります。しかし、遺伝性の場合、親族に保因者がいたり、患者の子ども以降の世代にも影響したりすることが考えられ、診断の受容における心理的影響についても配慮が必要であることが知られています。そのため、遺伝子検査は、患者本人の意思に基づいて行われるものとされています。参考: 脊髄小脳変性症の診断 | 健康長寿ネット参考書籍: 水澤 英洋 (監修) 月刊『難病と在宅ケア』編集部 (編集)『脊髄小脳変性症のすべて』(日本プランニングセンター・2006年)参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)脊髄小脳変性症(SCD)の進行・予後は?出典 : 脊髄小脳変性症の進行は、病型ごとに傾向があります。小脳症状のみがみられる病型の場合、孤発性、遺伝性を問わず、おおむね10〜15年など長い時間をかけてゆっくり進行します。発症年齢が高齢の場合は、余命にあまり影響を与えない場合もあります。ただし、小脳だけでなく多系統を障害するタイプの病型では、孤発性、遺伝性の両方で、進行が早く重症になることが分かっています。出典: 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院 『難病ケアガイド』(日総研出版・2005年)多系統萎縮症の予後は個人差はあるものの、一般的には、発症から3年ほどで歩行補助具、5年ほどで車いすが必要となります。その後は、発症から10年程度のうちに寝たきりとなり、血圧や呼吸、排尿、嚥下などの機能が衰えることで、肺炎や窒息などによって死亡する場合があります。出典: 月刊 難病と在宅ケア4月号脊髄小脳変性症のすべて「多系統萎縮症の現状と課題」(日本プランニングセンター・2018年)対して同じ孤発性でも、皮質性小脳萎縮症では、歩行時のふらつきや字がうまく書けないといった上肢の運動失調、ろれつが回りにくいなどの小脳症状のみがみられます。発症から4〜5年後に一人で歩ける人は76%だったという国内の研究の報告もあります。長い年数をかけてゆっくりと進行し、多くのケースで車いすが必要になります。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)遺伝性も同様で、常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症のなかでも、小脳症状のみがみられる脊髄小脳変性症6型(SCA6)や脊髄小脳変性症31型(SCA31)は、発症から車椅子が必要になるまでの平均が20年余りという報告もあり、進行はゆるやかであることが多いです。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)脊髄小脳変性症(SCD)の治療やリハビリは?出典 : さまざまなアプローチで、根本的治療の実現に向けて研究が進められていますが、まだ確立した治療法はありません。薬で症状を和らげる対症療法や生活の質を維持していくためのリハビリが中心となっています。一般的に、薬剤による治療開始は早ければ早いほど、運動機能が維持でき、身体機能も良好な状態をより長く保つことができる可能性があります。主症状である運動失調に対しては以下のような薬が使用されます。注射液…プロチレリン酒石酸塩(ヒルトニン®)錠剤…タルチレリン水和物(セレジスト®)その他、足のつっぱり感、めまい感など、症状に応じて薬で治療します。ヒルトニン®セレジスト®うまく体が動かせなくなっていくことで、症状の進行とともに患者が転倒などを恐れて動く時間が減っていく傾向があります。それに伴い、筋力や体力の低下につながり、さらに症状を悪化させます。しかし、小脳失調を主体とする脊髄小脳変性症に対して、バランスや歩行に対する理学療法を集中的に行うと、小脳失調や歩行が改善することができます。病院などでのリハビリテーションをはじめ、自宅での日常生活でも自分でできることを継続的に行うなど前向きに体を動かしていくことが大切です。介護者が専門的技術を指導してもらうことも、介護者負担を軽減するために重要です。外来や訪問リハビリテーションの際に歩行時や車いすなどへの移乗時の介助方法に関して、介護者が指導を受けて習得することで、負担感の軽減、腰痛や転倒事故の予防にもつながることが期待されます。参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)家族も知って安心。利用できる福祉制度・相談先出典 : 脊髄小脳変性症は、厚生労働省の認可する指定難病に認定されており、医療費の補助や福祉・介護サービスなどを受けることができます。患者本人や家族の生活を支えてくれる制度や相談先を知り、頼るようにしましょう。◇医療ソーシャルワーカー病院の医療ソーシャルワーカーは、病気やけがで生じる心理的・社会的問題、経済的問題を患者や家族が解決できるようにお手伝いしてくれます。診断された本人や家族がどう受け止めたらいいか悩んだり、進行して働くことができなくなる不安、身の回りのことが一人でできにくくなっていくといった問題に専門的な立場から寄り添い、改善の糸口を考えてくれます。参考: 医療ソーシャルワーカーとは|公益社団法人 日本医療社会福祉協会◇特定医療費(指定難病)受給者証認定申請によってお住まいの都道府県から交付されます。受給者証があると、医療費について、所得に応じて一部が助成されます。◇障害者総合支援法「障害者総合支援法」では、障害者の定義に難病等も含まれます。そのため身体障害者手帳を持たない難病患者にも、障害福祉サービスが公費負担されます。お住まいの市町村区の担当窓口で申請をすると、障害福祉サービス・相談支援・補装具及び地域生活支援事業 (障害児の場合は、障害児通所支援と障害児入所支援も含む)が利用できるようになります。参考: 障害者総合支援法が施行されました| 厚生労働省◇介護保険介護を必要とする人に対し、その費用の給付を受けられます。介護保険に必要な要介護認定は本来、65歳以上が対象ですが、脊髄小脳変性症は40歳以上から対象となります。お住まいの市区町村の窓口で要介護認定を申請してください。医療保険と介護保険で重複しているサービスは介護保険が優先されます。ただし、訪問看護は医療保険となります。参考: 特定疾病の選定基準の考え方 | 厚生労働省◇傷病手当金病気療養のために仕事を休み、給料が減った・もらえないなどの場合、健康保険から支給されます。◇障害年金国民年金の加入者が、病気やけがで障害が残った時に受け取れる障害基礎年金と障害基礎年金に上乗せして支払われる障害厚生年金があります。脊髄小脳変性症では、障害が重くなり仕事を継続することが困難になった際などに申請できる場合があります。障害認定日や障害程度、年金の加入期間など、細かい決まりがあるので病院で相談してみてください。参考: 難病対策| 厚生労働省参考: 指定難病患者への医療費助成制度のご案内 | 難病情報センターまとめ出典 : 脊髄小脳変性症は、病型によって症状や進行などが変わってきます。根本的な治療法がまだなく、介護などで家族や周りの支援が必要となる可能性が高い進行性の難病ですが、検査をしっかり受けることで、症状に対応した治療を受られ、リハビリで体の機能をなるべく維持することもできます。医療費の補助や介護サービスを受けられるので、制度を理解してサポートを受けることで、一緒に過ごす家族の不安や負担を減らすこともできます。診断後の日常生活は、患者本人が行えること、周囲のサポートを必要とすることを見極めながら、治療やリハビリをして過ごすことが大切です。参考: 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)|難病情報センター参考書籍: 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院 『難病ケアガイド―筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン病・脊髄小脳変性症・多発性硬化症』(日総研出版・2005年)参考書籍 : 水澤 英洋 (監修) 月刊『難病と在宅ケア』編集部 (編集)『脊髄小脳変性症のすべて』(日本プランニングセンター・2006年)参考書籍: 月刊 難病と在宅ケア6月号脊髄小脳変性症のすべて「脊髄小脳変性症の病態と治療〜現状と展望〜」(日本プランニングセンター・2018年)参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)
2018年08月28日質問:腰痛や階段が上れない症状があり、圧迫骨折だと判明。圧迫骨折はどれくらいで治るのでしょうか?母が、昨年入院中に「腰が痛い」と言ってベッドからの起き上がりに10分以上かかっていました。MRI検査でも異常がなく、ずっと寝ているからだと散歩指導がありました。その結果、起き上がりは3分ほどになりましたが、退院後も腰痛や階段が上れない症状があり、再度のMRI検査で圧迫骨折だと分かりました。どれくらいで治るのでしょうか?また、入院中から骨折していたのではないのでしょうか?兵庫県:きょんきちさん(53)回答:「圧迫骨折」についてお答えします。――「圧迫骨折」の原因お母さまが腰の圧迫骨折を受傷されたということですね。圧迫骨折は中年以降の方に多い骨折で、特に女性は閉経後、エストロゲンと呼ばれるホルモン量が減少することにより、骨粗しょう症をきたし、それをベースにして発症することが多いことが知られています。お母さまの場合は入院中に一度MRIをとられて骨折などがないことを確認しているので、その時点ではおそらく圧迫骨折はなく通常の腰痛であったのではないかと推察いたしますが、その後散歩などを行ったことで、どこかの段階で圧迫骨折が起きたものと考えられます。高齢の方の腰痛は、主に骨粗しょう症と椎間板変性を基盤とした病態によって起こることが多いといわれていますので、お母さまにはもしかすると以前から骨粗しょう症がおありだったのかも知れません。高齢者で骨粗しょう症がある場合には、特に転倒したり、しりもちをついたりするような外力がかからなくても、歩くなどの日常生活動作や、くしゃみや咳をしただけでも圧迫骨折を起こすことはたびたび見られるようです。<「圧迫骨折」の治療法>圧迫骨折の治療法としては、大きく分けて保存的治療と手術療法の2つがあります。どちらが優れているかに関してはコンセンサスが得られていません。特に脊髄を圧迫するような症状、例えば下肢のしびれや麻痺、感覚が鈍くなる感じや膀胱直腸障害(尿意や便意を感じにくくなる)といったことがあれば、手術を行って圧迫を解除する必要がありますが、そのようなことがない場合には、安静と痛み止め、コルセットで様子を見る場合も少なくありません。また手術をする場合には、圧迫骨折した部位に骨セメントという専用の素材を注入して固めることで痛みをなくすという方法が主流となっています。保存的治療を選択した場合の、治るまでの期間は、個人によって、また圧迫骨折の状態によっても異なってきますが、安静にして骨が固まるまでに要する期間は2カ月程度とされています。この期間は骨に縦方向の力をかけないように、横になって寝ていなくてはいけないので、自宅に介助する方がいない場合は、入院で安静をはかることもあります。お母さまが早く回復されますよう願っております。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日バイエル薬品はこのほど、メディア向けのセミナー「加齢黄斑変性の最新情報 ~子・孫世代(20代~40代)の親や祖父母の目の健康に関する意識調査結果とともに~」を開催。東京女子医科大学 眼科学教室の教授・飯田知弘氏が、50代以上で年々増加している目の病気「加齢黄斑変性」に関する最新情報について講演した。○加齢黄斑変性とは「黄斑」とは、眼球の視力・色覚の機能において一番よい場所のことで、視界の中心部分はこの場所で見ている。「加齢黄斑変性」は、この黄斑と呼ばれる部分が加齢によって異常をきたし、視界がゆがんたり、視界の中心が見えなくなったりしてしまう疾患のことで、近年、50代以上の世代で年々増加傾向にある。最新の学会報告によれば、50代以上の約60人に1人の割合で疾患が見られるという。発症の要因としては加齢や酸化ストレス、喫煙、虚血、動脈硬化、高血圧、遺伝的な要因など複数挙げられる。飯田教授は「遺伝だけなど、ひとつの要因で発症するものではない。これらの要因が複数重なった場合に発症すると考えられています」と、複合的な要因で発症につながると話す。発症の自己チェック方法として、「アムスラーチャート」がある。格子状の表を目から30センチ離して、片目ずつ中央の黒い点を見つめるという方法で、老眼鏡やコンタクトレンズをしたままでチェックする。「格子がゆがむ」「中心が見えない」「真ん中が欠ける」といった形に見える場合は、加齢黄斑変性が疑われる。○加齢黄斑変性の最新治療法は?加齢黄斑変性にはいくつかのタイプがあるが、日本人に多いのは「滲出(しんしゅつ)型」で、全体の90%を占める。網膜に浮腫(ふしゅ)や出血を起こして急激に視力が低下してしまい、失明してしまう人の大半がこのタイプだという。この滲出型の中でもアジア人の男性に多いといわれるのは、「ポリープ状脈絡膜血管症」(PCV)という特殊型の疾患タイプ。このPCVはいわば「目の動脈瘤(りゅう)」で、初期は視力が保たれているため発症に気付きにくいが、出血リスクが高い。診断にはインドシアニングリーン蛍光造影法が有用だが、この診断ができる施設でしか確定診断ができず、医療機関でもまだ十分に知られていないケースがあるとされている。だが近年、加齢黄斑変性は治療法が大きく進歩してきており、「抗VEGF薬」の投与で視力の改善・維持が可能となっている。デンマークでは、この抗VEGF薬の登場で人口10万人あたりの失明者が52.2人から25.7人に減少している。この抗VEGF薬には、計画的な治療法「プロアクティブ投与」という投与方法が採用されている。病態の悪化があった場合に事後的に投与するのではなく、病態の悪化を避けるために事前に計画した適切な間隔で投与する方法だ。それをさらに、患者の状態に合わせて投薬のタイミングを変える個別化治療「トリート&エクステンド」という方法が効果的とされている。飯田教授は、「加齢黄斑変性の治療は悪くなってからではなく、わずかでも疾患が認められれば治療を開始でき、進行を抑えられる」と解説。継続的な治療を続けることで滲出の再発を予防し、視力の低下を防げるのだ。○目の違和感を「老化」で片付けない加齢黄斑変性は近年になって患者数が増えており、昨年の調査では日本における視覚障害原因の第4位(10.2%)となっている。しかし、9割前後が認知している白内障や緑内障などに比べ、加齢黄斑変性の認知率は約5割と低い。見えづらさが、疾病から由来すると考える人も少ないようだ。例えば、自分の親が新聞を広げて「最近文字が見えづらくて……」などと話した際、「まぁ、もう年だからしょうがないよ」という具合に返答した経験はないだろうか。実際に意識調査でも、親や祖父母が目が悪くなった場合に「病気を疑う」と回答したのは13.4%にすぎなかったという。だが、加齢黄斑変性は進行すると日常生活への影響が大きい。文字が読めず、見えないので調理や外出も危険が伴い、家族のサポートが必要になる可能性も高い。もし、親や祖父母が目の違和感を訴えた場合には、「老化だから」と片付けずにきちんと病院で診断を受けさせることが最善だ。加齢黄斑変性は、早期に治療を開始すれば進行の悪化を防ぐことのできる病気。「病気についての認知を高めることで、病気に早く気付き視力を保つことができる。今後も多くの人に加齢黄斑変性を知ってほしい」と、飯田教授は話す。発病のコア世代である50代だけでなく、子や孫世代も病気に関する認知を高め、目の健康を長く維持できるように心がけたい。
2015年07月30日腰痛に悩まされている方のなかには、椎間板ヘルニアの疑いがある方もいるのではないでしょうか? 椎間板ヘルニアは、日常の些細なことでなってしまうもの。一度なると長い間付き合っていかなければなりません。そうならないためにもその原因と予防策についてご紹介します。椎間板ヘルニアの症状とは?腰が痛くても、それが椎間板ヘルニアによるものなのか、よくわからないという方も多いでしょう。そもそも椎間板がなんだかご存知ですか?椎間板とは、背骨の間にあるクッションの役目を果たす組織のこと。線維輪(せんいりん)という固い組織のなかに、髄核(ずいかく)と呼ばれる柔らかな組織が入った構造をしているのですが、何らかの原因によって髄核が線維輪を突き破ってしまうことがあります。これが、椎間板ヘルニアです。ぎっくり腰のような痛みが主な症状ですが、悪化すると足に痛みが走ることも。立っているのがつらいくらい腰が痛い、足にまで痛みが及んでいるといった方は、もしかしたら椎間板ヘルニアかもしれません。主な原因について椎間板ヘルニアの主な原因として、精神的なストレス、睡眠不足、過労、体の歪みなどが挙げられます。一見、腰の痛みとは無関係に思われるストレスですが、全身の筋肉を緊張させてしまうため、体の疲労や内臓への負担につながり、結果として、ヘルニアを引き起こすこともあるのだそう。また、体が歪んでいると、内臓が圧迫されるので血行不良の原因になります。血行が悪くなると、体の機能が低下して疲労の回復が遅れたり新陳代謝が乱れたり……。そこに睡眠不足や疲労が重なると症状がどんどん悪化し、結果としてヘルニアを誘発してしまうのです。ひどい場合は、腰が痛いだけでなく内臓機能が低下して、いくら寝ても疲れが取れないなんてことにも。そうならないためにも早めの対策が必要です。椎間板ヘルニア予防のために睡眠時間を意識しよう!ヘルニアを予防するためには、体の歪みを改善することも大切ですが、それ以上にストレスを溜めない生活を送ることが重要です。昼間は適度に体を動かし、夜はゆっくり眠るという生活を習慣化するだけでも、予防になるでしょう。また、1日ずっと立ったり座ったりしていると、腰に負担がかかってしまいます。その負担を少しでも軽減するために、横になる時間を長くすることも大切です。椎間板を休ませるために必要な時間は、連続7時間程度。毎日そのくらいの睡眠をとれると、椎間板だけでなく心身ともに疲れを癒してあげることもできます。あとでつらい思いをしないためにも、夜はしっかりと睡眠を取って体を休ませてあげましょう!
2015年06月06日エルムス動物医療センターは、全国の20代から60代までの現在犬を飼っている男女9,142名、及び現在犬を飼っていない男女400名を対象に、「犬の椎間板ヘルニア」に関するインターネット調査を実施した。現在犬を飼っている人のうち、犬が椎間板ヘルニアを発症することを知らない人の割合は33.4%となり、3人に1人が病気の存在を認知していないことが明らかになった。現在犬を飼っていない人では、7割以上が犬が椎間板ヘルニアを発症する事実を知らないという結果に。犬種別の椎間板ヘルニアの発症及び疑いの経験率は、ミニチュア・ダックスフンドが25.0%と、犬全体の3倍以上の数値となっている。一般社団法人・ペットフード協会の調べでは、2011年1月時点でミニチュア・ダックスフンドは国内飼育頭数トップの人気犬種だが、他と比べ椎間板ヘルニアを発症しやすいことがわかる。椎間板ヘルニアを発症もしくはその疑いを診断された犬の飼い主100名に、診断における検査方法について訊いたところ、触診・82%、レントゲン・70%、CT・11%、MRI・6%と、簡易な検査が大半を占め、正確な診断に不可欠な高度な画像検査データを用いる割合が非常に少ないことがうかがえる。同センターの早田明院長は、「『犬の椎間板ヘルニア』は突発的でかつ進行が早いため、発見と治療が遅れると、麻痺が残ったり、歩けなくなったり、最悪の場合は命の危険すら伴う病気です。早期発見・早期治療のために、少しでもペットの様子がおかしいと感じたら病院に連れて行くのを心掛けることです」と話している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月23日エルムス動物医療センターは、現在犬を飼っている全国の20代から60代までの男女9,142名、および現在犬を飼っていない男女400名を対象に、「犬の椎間板ヘルニアに関する意識調査」を行った。同調査は、2012年2月17日~2月22日に、インターネットアンケートにより実施。調査では、現在犬を飼っている人のうち、犬が椎間板ヘルニアを発症することを知らない人は33.4%という結果に。犬を飼っていない人では、7割以上の人は犬の椎間板ヘルニア発症については知らないという結果が出た。犬種別に椎間板ヘルニアの発症及び疑いの経験率を見てみると、人気犬種のミニチュア・ダックスフントは25%。ミニチュア・ダックスフントの4匹に1匹が、椎間板ヘルニアを発症やその疑いを経験しているという結果になった。これは犬全体の3倍以上の数値となっている。「犬の椎間板ヘルニア」は突発的で進行が早く、発見と治療が遅れると、麻痺が残ったり、歩けなくなったりするほか、最悪の場合は命の危険も伴うという。エルムス動物医療センターの早田明院長は「発症率のばらつきはあるものの、全ての犬種に発症の可能性がある。犬を飼う全ての方が知ってほしい」とコメントしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月23日