親という立場になってみると、なにげないあれこれが意外なところで役に立ったりしますよね。私も自分の中だけでひっそり終わると思っていた趣味が、こんなに育児に関わってくるとは思ってもいませんでした。■好きでい続けられた数少ない趣味それは小さい頃からのささやかな趣味である、「絵を描くこと」です。折に触れてはちょこちょこお絵描きしていました。とはいえノートの隅っこに落書き程度のお遊び趣味。目標を持って学んだことはないので、好きだからといって上手いわけでもなく、特に役立たないものだと思っていました。かといって他に何か役に立つ特技を持っているわけでもありません。妊娠中、子どもにあれこれしてあげたいなぁと考えていると改めてそれを感じました。裁縫も料理もスポーツも何もかも苦手!何もない!!!…しかしいざ子育てが始まってみると、意外なことに気付きました。■お絵描きが役に立つ場面はいっぱい!めちゃくちゃある!!!子どもってお絵描き好きそうだよな~くらいのイメージはありましたが、親の趣味がそこに関与してくるとは思っていませんでした。乳幼児御用達ヒーローアニメのキャラクターから始まり、成長につれ魔法少女やプリンセス、流行りのアニメキャラやゲームキャラ等々、その時その時で「これ描いて」の嵐は止まりません。そしてその度にとても喜んでくれるので、ものすごく描きがいがあります。リクエストされて描いた時だけではなく、私が描きたくて勝手に描いている時でも面白そうに眺めて誉めてくれるので内心ホクホク。お陰さまで、子ども専属絵師爆誕です。子ども達もお絵描きが好きなので、一緒に楽しめるのもまた嬉しい。大袈裟なようですが…役に立たないと思っていた趣味をこの歳になって生かすことができて本当にうれしく、昔の私が知ったら驚くだろうなぁ~と考えたりします。子ども達にも、好きなことはどんな小さなことでも大切に続けていってほしいなぁと強く思っています。
2023年08月18日2018年、FUKAIPRODUCE羽衣が上演した二人芝居『春母夏母秋母冬母』。母と子の関係を描いた今作は、初演時「FUKAIPRODUCE羽衣の新たな代表作」とも言われ、大きな反響を呼んだ。この作品に惚れ込んだCBGKシブゲキ!!のラブコールに応えるかたちで、2月13日(木)より再演が行われる。オリジナルキャストである深井順子、森下亮のふたりに加え、声優でもある土屋神葉、東京パフォーマンスドールの上西星来が参加。オリジナルのふたり、新しいふたりのペアだけでなく、深井と土屋、森下と上西の組み合わせもあり、じつに4バージョンの『春母夏母秋母冬母』が上演されることとなる。舞台は、夜中の公園で中学生カップルが遊ぶシーンからスタートする。公園に置かれた遊具は夢で見る景色のように、非現実的にぐにゃぐにゃとしている。ふたりの男女はそれぞれ、自分と母との物語を紡ぎながら、14歳から40歳までを自在に行き来する。自らの作品を妙なミュージカル、「妙ージカル」と称するFUKAIPRODUCE羽衣。ふだんは性愛の部分もたっぷり描くことが多いが、今作では母子の愛が中心。あたたかく優しい、けれど決してそれだけではない母という存在……。観ていくうちに、自然と観客が自分の母についてあらためて考えるような作品だ。また、劇中では作・演出の糸井幸之介がつくるオリジナルの楽曲がいくつも披露される。彼の曲はいつも、孤独な気持ちにひっそりと寄り添ってくれるようなメロディと歌詞で、胸を打つ。初演は、主宰である深井順子の40歳記念公演と銘打たれていた。糸井も森下も、深井と同じ77年生まれ。あのとき3人が作り上げた舞台が、共に96年生まれの若いふたりの息吹を得て、再び立ち上がろうとしている。CBGKシブゲキ!!presents『春母夏母秋母冬母』は、2月13日(木)から19日(水)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演。文:釣木文恵
2020年02月11日1組の男女が時を超え、性別も超えて織りなす舞台『春母夏母秋母冬母』が2月13日(木)からCBGKシブゲキ!!(東京都渋谷区)で上演される。FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介が作・演出・音楽を手がけ、オリジナルキャストの森下亮(クロムモリブデン)と深井順子(FUKAIPRODUCE羽衣)に加え、土屋神葉(劇団ひまわり)と上西星来(東京パフォーマンスドール)が本作に初挑戦する。登場するのは、深夜の公園で遊ぶ「こなこ」と「ユキユキ」の中学生カップル。そのシーンの中に、こなこと母、ユキユキとママの、幼年期・思春期・壮年期の物語が挟み込まれ、それぞれの「母」との関係性が描かれる。1組の男女が、母と子を自在に演じ分け、こなことユキユキのさまざまな年齢の物語が展開される。2018年5月に吉祥寺シアターで初演。「母」という普遍的テーマや、韻を踏んだ歌詞と耳に残るメロディ、詩的な世界観が評価され、今回の再演に至った。オリジナルキャスト同士、新キャスト同士、そして新旧キャストが入り混じる公演と、計4パターンでの上演が予定されている。初日まで2週間ほどとなった1月下旬、都内で行われている稽古を見学した。この日、行われていたのは、中学生になったこなこと母のシーン。母の帰りを待ちながらどこか寂しさを感じるこなこと、酔っ払いながら一人本音を漏らす母を描く場面だ。糸井の作品は、ミュージカルならぬ「妙ージカル」と称される、芝居と歌を融合させた独特な作風が特徴。どんな稽古をしているのか想像がつかなかったのだが、細かく場面を区切りながら、糸井が気になったポイントで、適宜修正点を提示して、再度芝居をするという、意外とスタンダードな手法をとっていた。キャストの組み合わせを代えて稽古をしていくので、自然と互いの芝居を見合う。40代のオリジナルキャストの森下と深井が、20代のフレッシュな新キャストの土屋と上西に動線や演技のアドバイスを伝えたり、若手の土屋と上西も自分らしさを出そうと動きやセリフの言い回しを少し変えてみたり。キャストによって演出が大きく変わることはないようだが、それぞれの創意工夫が見られたのが面白かった。初演をご覧になった方も、ご覧になっていない方も、楽しめる舞台になりそうだ。公演は2月19日(水)まで。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2020年02月03日